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2018年3月9日 第3回「雇用類似の働き方に関する検討会」議事録

○日時

平成30年3月9日


○場所

AP新橋虎ノ門


○議題

1.各国の雇用類似に関する情勢等についてのヒアリング
2.クラウドソーシングに関するヒアリング
3.「独立自営業者の就業実態と意識に関する調査(ウェブ調査)」(速報)報告
4.意見交換

○議事

 

 

鎌田座長:それでは、定刻となりましたので、ただいまより第3回「雇用類似の働き方に関する検討会」を開催いたします。委員の皆さまがたにおかれましては、ご多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。なお、飯田委員から欠席のご連絡をいただいております。

     本日は、議題1として「各国の雇用類似に関する情勢等についてのヒアリング」を行った上で意見交換を行い、議題2として「クラウドソーシングに関するヒアリング」を行って、その上でまた意見交換を行い、議題3として『「独立自営業者の就業実態と意識に関する調査」(速報)報告』、議題4として「意見交換」を行いたいと思います。カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。

    それでは、早速始めたいと思います。では議題1として「各国の雇用類似に関する情勢等についてのヒアリング」を行います。その後、意見交換の時間を持ちたいと思います。

    それでは、独立行政法人労働政策研究・研修機構主任調査員山崎様から発表をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。

山崎氏:どうぞよろしくお願いします。労働政策研究・研修機構の山崎と申します。座ってご報告させていただきます。簡単に自己紹介させていただきたいのですが、私自身はアメリカの労使関係、人的資源管理、企業経営等を専門にしております。今回報告の機会をいただきましたのは、私どもが出しております『ビジネス・レーバー・トレンド』紙、昨年の12月号で特集したシェアリングエコノミー特集の中で取り上げたものをご注目いただけたのかなと思っております。アメリカの労使関係上の課題といたしまして、1980年頃から雇用類似に関する問題というのがかなり言われておりました。私はこの関係の調査を長年やってきております。また、シェリングエコノミー、プラットフォーム・ビジネス関連でいいますと、昨年10月にILOのアジア支局で行われましたシンポジウムのほうでも報告をさせていただいておりますので、そのような知見などもご紹介できる点があるかなと思っております。

    まず、各国状況をご報告申し上げます。その次に、先進例として、イギリス、アメリカの事例をとりあげます。イギリスですけれども、昨年末に、立て続けに報告が出まして、政府は、One of the leading countriesと自称しています。アメリカも、注目すべき新しい事例が生まれています。

    雇用類似の背景として、シェアリングエコノミーというビジネスモデルがあります。このことについても簡単にご紹介させていただきます。20分という時間でかなり駆け足となりますが、ご容赦いただきたいと思っております。まず、各国情勢でありますが、アメリカは雇用類似の働き方を連邦労働省、日本の国税庁に当たる内国歳入庁、住宅政策を担う住宅都市開発庁などの行政サイドが、請負労働を雇用に戻すことに積極的に取り組んでいます。これをMisclassification、つまり誤分類の修正と呼んで、オバマ政権時から盛んに取り組んできました。また、州政府レベルでは、ニューヨーク州労働省行政審判官が請け負いとして3人のウーバー社の元運転手に失業保険の受給資格を認定するということが起こっています。雇用類似の働き方が米国で増えているという推測に基づき、連邦議会の要請で、20175月に雇用類似を含む非典型労働者の実態調査が実施されました。結果はまだ公表されていません。州レベルでは、ニューヨークだけでなく労働者保護に向けたさまざまな動きが起こっています。

    次にイギリスですが、以前から3つの区分、Employee、雇用労働者とSelf-employed、自営業との間にWorkerがありました。このWorkerという区分を労働者保護に使えないかという動きが始まっています。昨年、イギリス政府は「Good work」という報告書を発表しました。この報告書に基づいて、20182月に、政府は雇用類似の働き方をする労働者に対する保護が必要であるとする提言をPress releaseの形で出しました。昨年11月に、連邦下院議会も同様の提言を行っています。201610月には雇用審判所がウーバーのドライバーがWorkerであって、Self-employedではないという認定をしています。

    イギリスだけでなく、ドイツ、フランスなどヨーロッパの主要国が、雇用類似の働き方を雇用労働のほうに寄せる形になってきています。その中でも、ドイツでは、インダストリー4.0に対峙して、雇用類似の働き方をする労働者の保護を提言する「労働4.0」が政府から出されました。この中で、利害関係者の対等性を確保するために、例えば協働組合による出資をするのはどうかという提言が行われています。これは、民間投資銀行や個人投資家がシェアリングエコノミーやプラットフォーム・ビジネスに出資する場合、利益が出資者に集中し、労働者には分配されないということを防ぐ一つの方法としてドイツで議論されていることのあらわれです。雇用類似の働き方をするクラウドワーカーの保護として、年金、健康保険、安全衛生、労使関係の在り方なども議論されています。

    フランスでも雇用類似の働き方を雇用のほうに寄せるようになっています。一方で、独立自営業者に失業保険の適用を拡大したり、これまで対象とはなっていなかった自発的失業も対象とするような検討がマクロン政権で行われていて、実現の可能性は高くなっていますが、政府が状況に柔軟に対応しようとしている姿がうかがえます。

    中国は、全国人民代表大会または共産党大会などで、シェリングエコノミーを経済の推進力の中心に据えるという方針が出されていますので、今後一層力を入れていくだろうと思います。中国は、アメリカとならんで世界でも雇用類似の働き方が一番伸びている国と思われます。そのなかで、雇用類似の労働者が使用者と団体交渉を行うことができるかどうかという労使関係の認定について、労使関係があると認定される判例もでています。

    続いて、イギリス、アメリカという雇用類似の働き方をする労働者に対する保護における先進事例を持つ二つの国をもう少し詳しく説明しようと思います。前に申し上げましたように、イギリス政府は、20177月に「Good work」という報告書を委託したシンクタンクから出ています。ここで、「全ての仕事を公正かつディーセント(人間らしく)で、発展性と達成感の余地があるものとする」7つの提言がなされております。

    提言の注目すべき1つ目の点としては、雇用類似の働き方をする労働者を保護する責任は政府だけではなくて、関係者全てにあるとしていることがあげられます。一般的な労使関係は、労働組合と企業、もしくは労働者と企業という二者間の関係になります。けれども、これはでは雇用類似の働き方をする人を中心にした関係する全ての人たちの合意が形成されません。このために、関係者すべてが集まって合意を形成する社会的合意であるとか、円卓会議型(ラウンドテーブル型)の合意形成が必要だという問題提起です。   
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番目の注目すべき点として、雇用類似の働き方をWorkerというこれまでの区分ではなくて、Dependent contractor、従属的契約事業者という分類を新たに作るべきじゃないかという提言をしているということがあげられます。Workerも従来から一定程度の保護が与えられてきましたが、ウーバーの運転手のような場合、Workerよりも自立性が低く、請負元に対する従属的な役割が強いとして、雇用労働者により近い保護が必要だろうという趣旨になります。

    また、組織における責任あるコーポレートガバナンス、良い経営、強力な雇用関係の必要性や、最低賃金を上回る水準であり、人間らしい生活を送るための全国生活賃金、つまりはLiving wageを雇用類似の働き方をする労働者に必要だとも提言をしています。Living wageは一般的には労働者よりの労働党が進めてきたと考えられがちなところ、保守党のキャメロン政権でも推進されています。雇用類似の働き方が柔軟性において利点がある一方、労働者側にリスクがあることを明言し、従業者が一方的に負う不公正さを是正することを提言しています。その具体的方策として、被用者、Worker、自営業者という従来の区分に従属的契約事業者を置いて保護をWorkerよりも強化するとしています。従属的契約事業者は、イギリスが最初につくった概念ではなく、カナダ等の国でもすでに存在していて、アメリカにおいても導入の必要性が議論されています。この新しい従属的契約事業者は、従来の自営業者との区分を明確化するとともに、労働者保護の姿勢をより強くする形になっています。たとえば、自営業者かWorkerという区分の判断には、代替要員による役務提供の有無が使われましたが、従属的事業者かどうかは、報酬額や指揮命令などの使用者による管理の度合いが重視されるべきと提言されています。従属的契約事業者に該当する場合は、Worker相当の保護が与えられることに加えて、従属的契約事業者の元請け企業であるプラットフォーム事業者には、従属的契約事業者が担う時間ごとの業務量のモニタリングと監督官庁への提供が義務付けられるべきだとする提言が行われています。 Workerは、職場における差別からの保護、全国最低賃金、賃金からの違法な控除からの保護、年次有給休暇、1日及び週当たりの休息、自動加入年金といった保護があります。こうした保護は従来から雇用労働者に寄せる形であったわけですが、Workerよりもさらに雇用労働者に近いかたちで従属的契約事業者を保護するという提言なのです。 201827日の政府公報ででもさまざまな提言が行われています。雇用審判所の裁定した賠償金を支払わない事業主の氏名公表制度の導入とか、無給のインターンを労働力として活用させないための規制、公正な賃金の支払いといった雇用類似の働き方をする労働者に対するといったような、さまざまな保護規定が上がっています。 201711月、下院議会雇用年金委員会の提言でも、雇用類似の働き方をする労働者にWorkerと同様の保護を与えるべきだと指摘しています。関連して、最低賃金の適用を緩和することで雇用類似の働き方をする労働者に対する報酬を抑制することを目指すというような法改正を実施しないといったことも提言されています。これはつまり、雇用類似の働き方をする労働者であっても、最低賃金の適用から除外しないということが述べられているのです。派遣労働者について雇用類似の働き方の一つとして捉えていて、派遣先の直接雇用労働者との間の均等義務の逸脱を認める、いわゆる「スウェーデン型」逸脱を認めず、いうなれば、同一労働・同一賃金の元に保護を与えるということが書かれています。イギリスでは、雇用類似の働き方をする労働者を保護するため、労働市場監督責任者という行政上のポストを新設しています。

    イギリス政府は、シェリングエコノミーの下で働く労働者の数についても報告をしていて、その数は約280万人だとしています。ところで、雇用類似の働き方をする人が増えているという指摘がある一方で、こうした働き方が労働者にとっての主たる収入源であるかどうかということについては疑問符がつくことを報告書は指摘しています。なぜなら、こうした働き方をする人たちは概して、労働時間が短く、生活するためには十分ではないほど収入が低いという実態があるのです。そのため、シェアリングエコノミーの下で働くという労働は、おそらく副業だろうということもあわせて指摘されています。

    続いてアメリカの動向です。アメリカは政府報告ではなく、先行研究が状況を明らかにし始めています。20182月には、新聞、マスコミ等で注目されたMIT、マサチューセッツ工科大学によるによる報告書がでました。これによれば、雇用類似の働き方の一つであるウーバーで運転手として働く労働者に聞き取り調査を行ったものです。の回答者の税引き前中位時給が$3.37だったことが明らかになりました。アメリカの最低賃金は$7.25ですが、調査回答者の74%が最低賃金水準未満となっていました。走行距離1マイルあたりの利益は、$0.59にすぎません。Rosenblat and Starkの研究では、ウーバーで運転主として働く人の50%が1年後には職を去っていることを明らかにしました。1年後には4%しか残らないという研究結果も出ています。これらの先行研究からわかることは、雇用類似の働き方の一つであるウーバー運転手として働くこことは、次の雇用先を見つけるまでのつなぎ労働もしくは副業だったということです。

    注目される論文の一つ、Katz and Krueger論文では、派遣、オンコール、請負、独立請負、フリーランスを新しい就業形態と呼び、こうした働き方をする労働者の数が20052月の10.7%から20152月の15.8 %に多く増えていると指摘する一方で、多くがつなぎ労働もしくは副業だと報告しています。その一方で、請負企業を通じて雇用される労働者の数が2005年の1.4%から2015年の3.1%へと増えていますが、Katz and Kruegerはここに顕著という言葉を付けて、特に増えていることを指摘しています。この意味するところは、雇用類似よりも、はるかに大きな部分が請負企業の雇用の伸びとしてあらわれていることです。、ウーバーやTask Rabbit等の仲介企業を通じて働く労働者は全就業者の0.5%にすぎないという推計もあります。つまり、雇用類似の働き方が伸びているのではないのです。これを受けて、 Bernhards は企業間の元請けした下請け関係が増えていることに着目しています。特に近年のプラットフォーム・ビジネス、もしくはインダストリー4.0とかインダストリアルインターネット等の新しい技術革新で登場したビジネスモデルの進展により、企業間の下請け元請け関係が急増し、下請け企業で雇用される労働者の労働条件が低位に固定されるだけでなく、労働条件向上のための手立てがないということを指摘しているのです。   
じゃあ、労働者保護の観点からどういうことが起こっているのかということを見ますと、フリーランスで働く労働者の権利を守る組織であるフリーランサーズユニオンが中心になって作ったものがあります。フリーランサーズユニオンは全米で30万人の会員がいますが、この組織の運動によって、フリーランサー賃金条例というものが201611月にできています。簡単に内容を説明しますと、契約に関して働く人を保護する規定になっています。また、20159月には、ロサンジェルス市が請負企業で雇用される労働者の労働条件について、請負元の責任を問うというような条例である、「賃金未払い取り締まり条例」を施行しています。雇用類似の働き方をする労働者は、健康保険や年金といった、雇われて働いているならば受けることができる社会保障が適用されません。これ日本でも同様だと思います。この社会保障について、オバマ政権下の医療保険制度改革、通称オバマケアの中で、フリーランサーズユニオンが健康保険の受け皿団体にななり、中小企業、零細事業主向けの健康保険の適用を受けられるようになりました。連邦政府が行っているさまざまな施策として、連邦労働省女性局が雇用類似の働き方をする人のためにどのような年金の仕組みが必要かという調査を外部機関に委託して実施しているなどの試みもみられます。

    雇用類似の働き方をする人に向けた労使関係、もしくは利害調整において注目すべき動きがあります。それが、 Worker s Bills of Right法制化です。2010年のニューヨーク州の「家内労働者の権利の章典」が最初で、州法になっています。そこから、2012年カリフォルニア州、2013年ハワイ州に広がっておりますが、最低賃金の導入、超過勤務手当、休暇、要するに労働基準法に準ずるような条例で、団体交渉の導入について調査するということもうたわれています。2014年には、サンフランシスコ市で「小売り労働者の権利の章典」が制定されました。これは、一日当たりの労働時間を短時間にすることで、使用者が社会保険料の支払いから逃れる細切れ雇用を規制することを主たる目的としていますが、その対象に、雇用労働者だけでなく、雇用類似の働き方をする請負労働者も対象としています。労働組合の全国組織、アメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFLCIO)は全米各地の州法や市条例、連邦法に「権利の章典」をするための活動を展開中です。雇用類似の働き方をする労働者に対する保護には、職場差別からの保護も含まれるようになってきています。アメリカでは、職場差別からの保護を規定する連邦法として、「障害を持つアメリカ人法」、「雇用機会均等法」、「公民権法」等々があります。しかしこれらは全て雇用労働者のみを対象としています。いま、これを雇用類似の働き方をしている労働者にも拡大するべきだという議論が連邦議会でも始まっています。

    特にアメリカの先行研究から得られる示唆は、ビジネスモデルとしてのプラットフォームやシェアリングエコノミーにより、主要な企業からのアウトソースの拡大が雇用類似の働き方の拡大よりも深刻だということです。プラットフォーム・ビジネスは、さまざまな形で企業間、企業内、請負労働者をつなげることで競争力をつくりあげています。こうしたネットワークのなかではつなげられた企業や個人の関係は平等ではありません。だから、ドイツによる協同組合方式の出資や、アメリカのロスアンジェルス市の「賃金未払い取り締まり条例」といった、企業間取引への規制に各国政府がのりだしはじめているといえるでしょう。

    各国動向のまとめをしたいと思います。一つ目はネットワークの中で、従属的な立場に置かれて、労働条件の上昇が望めない労働者の数が増大しています。これは必ずしも雇用類似だけではありません。下請け元請けといった企業の上下関係の中でも拡大しています。雇用類似の働き方では、職場差別からの保護も欠落している状態になっています。そうしたなかで、イギリス、アメリカという雇用類似の働き方をする労働者を保護する先進国の事例がみられるようになってきました。 2つ目ですが、ネットワークの中での企業の組み合わせが、例えば労使関係で考えますと、従来の産業別労使関係の枠組みに当てはまらない形で、大きな変遷が起こっているということがあげられます。具体的には、労働組合と企業という二者間ではなく、プラットフォーム・ビジネスでいえば、関係する企業や個人すべてが利害関係者として一堂に会するとともに、そこで社会的合意を形成するための方法を模索するということです。 3つ目ですが、技術革新により、AIの導入とかコスト削減のための施策が企業で進展しています。そのなかでも注視しなければならないのは、アウトソースで、転籍、出向、請負が拡大しています。 4つ目ですが、労働条件や福利厚生、失業保険、年金、健康保険がない、また職業訓練機会の少ない労働者が増大しているということです。雇用類似の働き方をする労働者には、現状、労使関係の保護がありません。ですからイギリス、アメリカの事例のように、社会的なコンセンサスを形成しつつ、どうやって新しい枠組みを作っていくかが試みられている段階になっています。   

鎌田座長:はい、どうもありがとうございます。大変膨大な情報を駆け足で、本当にコンパクトに教えていただいて、ありがとうございました。10分ほど意見交換というかご質問させていただきたいのですが、それでは皆さん自由に、ご質問があれば、お願いいたします。

土田委員:すみません、非専門家ですので、基本的なところを教えていただければと思います。大変興味深いご報告、ありがとうございました。経済法、独占禁止法をやっております土田と申します。イギリスのEmployeeというのとWorkerというのとSelf-employee、この3つの区分がもともとあったということで、このWorkerというのがどういう業種が多かったのかということが、この辺、私素人ですので、よく分からなかったのですけれども、そのことを1つ教えていただければと思います。

    もう1つは、イギリスが将来こういうシェリングエコノミーとかアウトソーシングという情勢を前にして、このWorkerのところをさらに細分化して、Dependent contractorというような捉え方をするということで、そういうのを1つ何かまた工夫しようとしているというような理解でよろしいのでしょうか。

山崎氏:ご質問ありがとうございます。私はイギリスの専門家ではないのですけれども、聞きかじり程度でご紹介させていただきたいと思います。イギリスは19世紀まで徒弟制度の下で、労働者が請負として、例えば工場でWorkerとして働くという姿がありました。Workerは親方として取得した職業スキルが請負元である企業との交渉力になっていました。ですので、Workerは企業に対して一定程度の交渉力のある人たちだったわけです。彼らは、企業からしてみれば、コントロールしにくい。ですから、企業はこうした請負労働者を雇用として企業の中に取り込むという時期がやってきます。19世紀末から、20世紀にかけてイギリスで起こりました。これが雇用労働そして人事管理の始まりです。この雇用労働が始まる前の段階で、Workerという概念が生まれたのかなと考えられます。Workerは工場にもおりましたし、工事現場にもいました。親方から技能を教わるという機会が失われれば、請負元との力関係は圧倒的に弱くなります。換言すれば、交渉力が落ちる。そういう人たちがDependent contractorであり、彼らが保護の対象となるというふうに考えております。

土田委員:そうしますと、アメリカや、今ご説明のありましたイギリス、それからヨーロッパ大陸のドイツ、フランス、その辺までを含めて、非常におおざっぱに捉えれば、労働者の方向で扱うというのが大きな流れというふうに捉えてよろしいでしょうか。

山崎氏:新しく増えてくれば、雇用類似の働き方について、政府があえて規制をかけて、雇用に戻そうという動きがヨーロッパで主流なのかというと、必ずしもそうではありません。新しい雇用類似の人たちの動きが、例えば経済の活性化に向かうのであれば、政府はもちろんそれは歓迎すると。ただ、その中で、こぼれてくる人たちの保護が失われるのであれば、規制をかけようと。ただし、社会保障に関する負担は必ずどこかでしなければならないので、雇用類似であっても、請負元が一定程度の負担をするべきだという考え方はある。これはアメリカも同じです。

鎌田座長:他にご質問はありませんか。

川田委員:川田でございます。今日はどうもありがとうございました。2点お伺いしたい点があります。1つは、本日の話のタイトルがシェアリングエコノミーということになっていまして、ネットワークとかICT技術の進展に関わるような新しい働き方の話に焦点が置かれていたかと思いますが、雇用類似というと、もう少し広く、伝統的に存在していたような、例えば家内労働のようなものも入ってきうるという観点からの質問です。本日のお話の中で、ネットワークの進展に伴っての新しい問題が生じてくると言えるような部分が、実質としてどういうところにあるのかについて、補足的にご説明お願いしたいというのが1つです。

    それから、2点目はアメリカについてなんですが、先ほどのお話の中で一部言及されていたかと思いますが、本日の資料の中のアメリカの動向というところを見ると、労働法の保護を及ぼそうとか、労働者であることを前提とした保護という方向に向かっている面があるのかなというふうにも考えられたのですが、労働法の保護を及ぼすのではない方向性が何かあるのか、あるとしたらどういうものなのかということについて、もしあればご説明いただきたいと思います。

山崎氏:アメリカは、1986年に元労働長官ジョン・T・ダンロップが中心となり、雇用類似の働き方をしている労働者の権利や社会保障制度の在り方を検討する委員会がつくられ、労働法改革が提言されましたが、連邦議会の承認を得られずに頓挫しました。そのまま、現代にいたるまでその時に解決されなかった問題を引きずっているのです。雇用類似の働き方を活用するビジネスモデルとしてシェリングエコノミーがありますが、アメリカやヨーロッパでは、労働力の場合、すでに分かち合うという意味のシェアリングという言い方は使われていません。労働に関するものは、ギグエコノミーといわれています。同様の意味で、ライドシェアという言葉もほぼ使われなくなっており、配車サービスを意味するライドヘイリングが使われるようになっています。

    こうしたビジネスモデルはどのようになっているかと申し上げると、情報通信技術やAI、ビッグデータ等の進展により、請負元企業は中枢にかかわる機能のみを本体に残して、コストとみなされる部門を外に出すということが頻繁に行われるようになってきたのです。人間同士のコミュニケーションによってつなげていたような仕事も、技術革新によって代替されるようになってきました。それによって、人事とか、財務といったような、企業の競争力に寄与しない部分がどんどん外注されるようになっているのです。こうしたビジネスをシェアードサービスという言い方をします。シェアードサービスの世界的なコンソーシアムができるほど、かなり大きな市場になってきています。雇用類似の働き方をしている労働者の保護をどうするかということは確かに喫緊の課題だけれども、シェアードサービス企業に雇用される労働者の数が増え、労働条件が低位に固定化されているという現実がどれだけ拡大しているのかということをきちんと把握するということが遅れていると言わざるを得ません。話を戻すと、先ほど来からご質問があったように、請負から雇用に戻す形で、保護をかけるところが1つあります。また、事業主に社会保障に関する負担を負わせるということもあります。また、雇用類似の働き方を否定するのではなく、新たに「労働者の権利の章典、Workers Bills of Right」という法律を作るという方向があります。内容的には労働基準法や労働組合法に近いといえるでしょう。つまり、各国の事例は、雇用類似の働き方ではなく雇用労働として扱って保護するという方向と、雇用類似の働き方は認めるけれども新しいかなり厳しい保護規制をかける、という両面でいっていると見たほうがいいかなと考えています。

鎌田座長:他にございますか。

芦野委員:本日は非常に貴重なご報告ありがとうございました。芦野と申します。私の専門は、労働法ではなくて、民法なのですが、少し教えていただきたいところがあり、質問させていただきます。アメリカの動向(先行研究)2のところで、今のお話にも少し関連するところでありますが、請負企業を通じて雇用される労働者が増えているだろうとして、また右のほうでも請負企業を通じて雇用される「元請け下請け関係」の増加がアメリカでは顕著な例だというお話でしたが、ここではまさに企業に雇用されている労働者だという考えでよろしいのでしょうか。

山崎氏:おっしゃる通りですね。政府公表を待たなければいけませんが、雇用類似はあまり増えていないだろうというのが学会の主流になっているかなと考えています。U.C.バークレイの Bernhards 氏と直接会って話をしたことがありますが、雇用類似の人が非常に増えているという数字はコンサルタント企業が意図的に増えているように見せていると彼女は指摘しています。実際は分かりません。学会の主流はどちらかというとつなぎ労働であろうということが大方の見方で、それを裏付けるのが、ウーバーで運転手として働く労働者の報酬が非常に安く、生活できないレベルなので、長くとどまることができなかったというMIT報告だと考えています。

芦野委員:そうすると、このような労働者はもともと従来の保護対象として保護されている人たち、ということでよろしいでしょうか。

山崎氏 :雇用労働のほうですか。

芦野委員:はい。

山崎氏 :今まで同じ仕事をしていた人たちが、例えば外部にアウトソースされてしまう形で、企業間の力関係で労働条件が上がらない、ということが起こっていることがもう1つの大きな問題だと考えています。わたくしがこれまでに行った聞き取り調査では、請負元企業からシェアードサービスへと切り離された仕事に従事する人の年収は、切り離される前の8万ドルとか10万ドルから4万ドル程度を上限として引き下げられるという事例がありました。雇用類似の働き方と違って、雇用労働としての保護は確かにあるのだけれど、低下した労働条件を引き上げるための術がないという問題の深刻さはあまりかわらないと思います。そのための一つの解決策が、ロスアンジェルス市の条例のように企業間取引への規制なのかなと考えています。

芦野委員:ありがとうございました。

鎌田委員:他によろしいですか。

湯田委員: 貴重なお話ありがとうございます。クラウドソーシング協会の湯田と申します。イギ リスに関する説明で、EmployeeWorkerの区別の説明がありましたが、ギグエコノミーの 隆盛で単発の仕事を複数受託して収入を確保する方が多くなっているとなると、Employee なのかWorkerなのかは、人単位で認定されているのか、もしくは業務受託形態で仕事をし ているときにWorkerと言い、WorkerEmployeeが事実上併存しているという考え方もあるものなのでしょうか。

山崎氏:おっしゃるところが一番ポイントで、従来のWorkerというのは、先ほど申し上げたように親方で、自分の技能がある方、交渉力がある方と考えていいと思うんです。では、Dependent contractorに交渉力があまりないとしたら、一体どうやって認定するのか、たぶんone by oneでやっていくしかないと思うんです。この制度は提言ですので、実際にやるとなったら、恐らく相当混乱するんじゃないかなということは、推測できるかなと。ですから、まずは提言レベルですので、これが法律になってどうなるかみたいなことは、まだ先は見えないですが、それでも政府が提言を出したということからすれば、他の国よりは随分進んでいるかなというふうには思います。

鎌田座長:では、時間が押しているところで、私から2点ばかりちょっと確認です。まずイギリスなのですけど、従来あるWorkerに加えて dependent contractor という概念が出てきたということでありますけれども、Employeeというのは、先生が提示されている図表を見ると、これは恐らく統一的な概念で、全てこれは保護の対象になるという、日本で言う労働者。そうしますとWorkerは一部について、労働法を拡張適用している。そしてWorker以外であると、もう自営業、self-employedになるという。さらにdependent contractorが加わると、Workerdependent contractorをどういうふうに定義づけるか、いろいろありますけれども、Employeeに全部寄せちゃうという発想じゃなくて、まだ必要な範囲で保護するという発想で捉えているのでしょうか。

山崎氏:おっしゃる通りだろうと思います。被用者と労働者の真ん中ぐらいに入れるのかなという感覚を持っていますし、もともとWorkerというものを残していたイギリスの特殊な制度なのかなという感じも受けております。

鎌田座長:あともう1つ、アメリカのほうなのですが、今先生がおっしゃった2者間での労働者性があいまいな個人で働いている請負労働のようなのと、それから請負会社を仲介した3者間といいますか、プラットフォームもそうなのですが、こういうものがあって、アメリカでは主に仲介会社が入ってきて、さまざまな保護の必要性というのが問われているというような、そんな認識なのですか。

山崎氏:おっしゃる通りですね。Workers Bills of Rightも、主として始まりは家内労働者ですけれども、この中でも、労使間で団体交渉をどう規定すべきかが議論されておりますが、ここで行われる団体交渉は、家内労働者とその社長、直接雇っている、もしくは契約をしている家族、家庭ですね。もう1つはエージェンシー、家内労働者を家庭に紹介するエージェンシー、この3者プラス労働者の権利擁護組織の4者で団体交渉できないかということが言われておりまして、恐らくその準ずる法律ができ始めている形になっているということです。

鎌田座長:どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。ちょっと押しておりますので、どうも大変ありがとうございました。

    それでは、次の議題に移りたいと思います。議題2として、クラウドソーシングに関するヒアリングを行い、その後意見交換を行います。それでは湯田委員から発表お願いします。

湯田委員:よろしくお願いします。本日はクラウドソーシングの活用の広がりと課題についてお 話させていただきます。まず、クラウドソーシングのタイプと契約形式を説明し、活用さ れている企業のボリュームとワーカーの方にどのようなバリエーションがあるかを話さ せていただいて、課題についてお伝えします。クラウドソーシングとは、インターネット 上で主に非対面で仕事の受発注をする仕組みのことです。海外では、ファイナンスや場所 貸しなども含めて不特定多数の方からサービスを提供されるものをクラウドソーシング と言う場合もありますが、日本では特にスキルシェアなど労務面を指していることが多い です。
日本においては、業務委託の形式で要件定義し発注できるものであれば、クラウドソーシングで概ね依頼でき、開発、デザイン、事務などの業務が発注されています。発注額でいうと、システム開発とデザインとその他が約3分の1ずつという状況です。個別発注額では システム開発等は比較的単価が高くなります。発注件数で見るとライティングやアンケー トのようなライトな業務がおおよそ4割、クリエイティブが3割、開発2割、その他1割という傾向になっています。
クラウドソーシングの特徴としては、報酬の支払いを適切にできるような仕組みを織り込んでいることです。発注者は依頼の掲載は無料でできます。受注者も登録料等かからずに仕事を探すことができ、仕事が完了し支払がされるときに、クラウドソーシングの利用手数料が差し引かれるサービスが多いです。受注者が仕事をしたものの、発注者がお金を払ってくれなかったということがないように、クラウドソーシング事業者が事前にクレジットカードの与信枠を押さえる仕組みを組み込んでいます。クラウドソーシング事業者によって手数料の課金先は異なり、受注者から取るタイプと発注者から取るタイプがあります。手数料は5%から20%ほどの手数料率を、金額の多寡によって設定する工夫もみられます。例えば低い金額では手数料率は20%で、高い金額になると手数料率は5%というように設定をしている事業者が多いです。クラウドソーシングサービスは、総合型と特化型に分けることができ、総合型は様々な仕事が掲示されており、ワーカーが興味ありできそうなものに応募していきます。特化型は特定の業務や業種、ワーカー集団など特徴をもたせ、サービス形成しています。
クラウドソーシングは、業務委託のプラットフォームとして展開している旨説明しましたが、類似するシェリングエコノミーを含め、シェアサービスプラットフォームとして見ると、業務委託形式ではないサービス形態のものもあります。消費契約や顧問契約形態で提供しているものもあり、表示している図の右側に分類しているサービスは、事業者がクラウドソーシングと明示しているものですが、クラウドソーシング事業とは言わず、サービス提供しているものでも、提供している内容は近しいものもあります。
クラウドソーシングは、 3 つの依頼タイプで運営されていることが多く、プロジェクト型、コンペ型、タスク型があります。プロジェクト型は相見積りを取って外注するタイプで、従来の外注というときにイメージされるものです。例えば発注者がホームページの作成を依頼する場合、依頼内容を掲示すると、ワーカーが、幾らでいつまでにやります、こういう経験がありますという提案をしてきて、その提案の 1 つ選び、契約をして仕事を始めるというものです。プロジェクト型では、ワーカーも選定された後、契約条件の変更や、納期や価格の交渉をすることができます。
コンペ型は、ロゴやチラシやネーミングなどの依頼で使われるもので、依頼時に発注者が記載している内容で作品を提案し、金額や納期もほぼ決まっています。コンペ型は、著作 権譲渡契約の形式でサービス提供している事業者もあります。その場合、下請法の適用がないため、大企業でも使いやすい形式です。
タスク型は、データ入力、データ分類など細かい単位の仕事に用いられることが多く、最近では AI 開発におけるアノテーション業務で利用が増えています。細かい仕事を多くの方に同時にやってもらう業務はタスク型で発注されることが多いです。受注者を個別指名するのではなく、掲載されている仕事を早い順にやっていくという使い方のため、契約条件の交渉や納期の変更はあまり行われないタイプになります。
利用比率としては、おおよそプロジェクト型が 6 割、コンペ型が 3 割、タスク型が 1 割であり、契約の条件交渉などができるプロジェクト型の利用が多くなっています。
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ページのプロジェクト型での仕事の流れを説明します。左側が発注者、右側が受注者となり、間にあるピンクのところをクラウドソーシングサイトが機能提供しています。発注者が仕事をクラウドソーシング上で募集すると、ワーカーがそれに応募し、契約を締結する際に契約書のひな型を提示したり、一部の事業者は電子契約を締結できるようにしています。基本的にはクラウドソーシングサイトの利用規約にて記載している契約条件に則って業務実施していくことが多く、別個の契約条件を付したければ、ひな型に特約をつけるなどし、契約するようになっています。その後、業務実施し、納品後の検収については、検収期間を定める仕組みを入れている事業者が多いです。 1 つの仕事が長期間の契約になりすぎないよう、基本的には 30 日単位、長くても 60 日ほどで 1 つの仕事を終え、検収できるようにシステム制御をしたり、ガイドラインで提示しています。支払いについては、クラウドソーシング事業者の多くは収納代行契約として規約設計をしており、受託者が発注者に請求を直接するのではなく、代わりにクラウドソーシングサイトが行います。その手数料としてシステム利用料などの名称で、受託者もしくは発注者から手数料を徴収する事業モデルになります。
クラウドソーシングの活用状況について説明します。市場成長はしていますが、非常に規 模が大きいかというとまだそこまでではなく、 2018 年度の予測でも 1820 億ほどになっています。しかし、クラウドソーシング市場だけでなく、次のページに記載していますフリーランスが今後どれぐらい増えるのかという予測を見ると、今後活用が広がっていく可能性 を読み込むことができると思います。
これはクラウドソーシング事業者のランサーズ社が調査しているもので、 2017 年では前年比 5 %増え、労働人口の 17 %が広義のフリーランスと推計しています。アメリカを見ると、 2027 年にはフリーランス人口が過半数になるというレポートもあります。 2030 年のフリーランスイメージも提示しており、現在定常的にオンラインで仕事を受けているフリーランスは、およそ 2 %ですが、 2030 年には 10 %程度になり、 1 兆円程度のビジネスフィールドになると推測しています。この増加するフリーランスの方々が仕事を受けていく際に、クラウドソーシングの利用率もあがっていくと思います。
一方で現在、企業はどれぐらいフリーランス等を活用しているかについて、経済産業省のレポートがあり、 2 割程度となっています。どのようにフリーランスの方を探すかというと、 8 割ほどは縁故もしくは自社で募集しており、 2 割程度が仲介会社に依頼し、クラウドソーシングを活用しているのは、まだ 4 %程度ではないかと推測されています。
中小企業庁の平成 26 年度事業にて、中小企業にクラウドソーシングを体験利用する取り組みを行った後、今後の利用意向調査をした際、 75 %の方がクラウドソーシングの利用検討したいと言っています。まだ利用したことがない企業が多いこともあり、今後裾野が広がり、クラウドソーシングの利用も高まるのではないかと推測されます。クラウドソーシングを利用しているワーカーについては、先ほど山崎様のレポートにもあったように、日本でもクラウドソーシング専業の方は多くなく、ほとんどは副業ワーカーと推察されます。一部のクラウドソーシングサイトでは、 1 週間の稼働可能時間をワーカーに登録いただいており、その中でフルタイムを選択される方は多くはなく、契約実績を 見ても、クラウドソーシングだけで生計を立てている方は、一握りです。その背景としては、例えば主婦をしていてスキルはあるもののフルタイムでは働けない方、フリーランスとして独立したばかりでクライアントを探している方、キャリア形成目的で利用している方なども多く登録されているからです。キャリア形成目的というのは、ご自身でしたい仕事はあるものの、就職面接の時などに実績や実務経験をきかれても答えられず面接突破できない際、実務経験を積むためにクラウドソーシングで幾つか仕事をやり、その経験を基に希望する企業に応募するという使われ方もしています。
フリーランスの継続年数と年齢別のプラットフォーム登録傾向利用を見ると分かるように、フリーランスの継続年数が長い方ほど登録されていません。クラウドソーシングは 2013 年ほどから利用が活発化したため、それ以前の利用は少ないという背景もありますが、基本的にはプロとして生計をたてていかれる方は、ご自身で営業ラインを構築されていきますので、クラウドソーシングを使い続けることは、多くはないと思われます。クラウドソーシング利用にあたっては、一定の IT リテラシーが必要であり、若い方のほうが親和性あり利用が多くなっているとも考えられます。クラウドソーシング事業者に複数登録しているかという質問では、 3 分の 1 程度の方は複数登録と回答しています。しかし、ずっと複数の事業者を並行利用するのではなく、主たる 1 社を選んで使い続ける方が増えています。例えばネットショップを利用する際、ポイント蓄積などを考え、 1 つのサイトに利用を寄せようと思うように、クラウドソーシングでも実績数や評価を蓄積すべく、なるべく 1 のサイトにかためて利用するようになります。もちろん、必ずしも1つのサイトにこだわる方ばかりではなく、興味ある仕事があれば、他のサイトを使うということもされるようです。
ワーカーへのサポートは、各事業者にて教育、相談、事業融資などのサービスも展開しだしていますが、まだ十分といえる状況ではありません。
クラウドソーシング活用に向けた課題としては、発注するためのスキルがあげられます。
発注するにあたり依頼する業務の要件定義や IT リテラシーが必要になるものの、これができる方がまだ多くないこともあり、直接発注されるのではなく、図の仲介事業者を通じた発注 マル1 となっている、いわゆる再委託での活用も増えています。発注者からクラウドソーシング事業者が委託を受け、仕事を分解して、クラウドワーカーに出す再委託タイプが、業界売上の半分ほどになっているのが現況です。皆さんが一般的にクラウドソーシングとしてイメージされるマッチングタイプは、図下の マル2 です。マッチングタイプの運用では、 1 社専属での依頼はほぼなく、ギグエコノミーと言われるように、 1 1 件の仕事のマッチングとなります。
自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン等も本年 2 月に出されており、クラウドソーシング事業者でも募集内容、契約条件を適切に明示していく取り組みをしています。ワーカー個人で契約を締結する、もしくは債権を回収するというよりは、プラットフォームを活用するほうが、安全に安心して利用できるという観点もあり、特にエントリーレベルの方には利用しやすいと思います。
よく聞かれるトラブルにも事前対応できるようにクラウドソーシング活用ガイドラインを業界にて策定したり、クラウドソーシング優良事業者の認定制度も設け、チェックすべき項目を 24 設定し運用しています。以上、クラウドソーシングの活用の状況と課題への対応について説明させていただきました。

鎌田座長:はい、どうもありがとうございます。本当に短い時間の中、報告していただきありがとうございました。それでは、少し意見交換をしたいと思いますので、皆さん何かご質問があったら、どうぞよろしくお願いいたします。いいですか、私から質問いたします。

    確認なのですけれども、最初クラウドソーシングのご説明をされていて、途中でフリーランスの話も加えていただいたということで、36ページの仲介事業者にて業務分解・再発注の対応というシートがありますが、仲介事業者を通じた発注マル1とマル2ということなので、湯田委員は、再委託タイプとマッチングタイプと、こういうふうにお分けになりましたけど、これはクラウドソーシングというビジネスモデルでいうと、この図はどのような形になるのでしょうか。単純にいえば、発注マル2というのが、クラウドソーシングなのか、あるいはクラウドソーシングはそもそも発注マル1もあるし、発注マル2にもあるしという、そんな感じなのでしょうか。その点をちょっと教えていただきたいです。

湯田委員:ご質問いただきましたマッチングタイプのものは、発注タイプマル2で、クラウドソーシ ング事業者は契約当事者にはならないタイプのものです。ただ、再委託発注者がクラウド ソーシング事業者である場合、BPOビジネスとして、クラウドソーシングサイトの中で自 社の案件を出すということになります。その際はクラウドソーシングのマッチングタイプ をやっているように見えますが、実は注文者としてマル1のタイプの利用であるものの、募集 の画面では同じように見えていることが多いかと思います。

鎌田座長:両方ある。

湯田委員:両方です。

鎌田座長:分かりました。ありがとうございます。

土田委員:プラットフォーマ—というふうに呼びますけれども、そこは今度は事業者なので、経済法なり、独禁法なり、場合によっては下請法の対象になるのかなと思っているのですけれども、具体的なページで申しますと、39ページに関連するかと思いますけれども、最後におっしゃったこと、トラブルへの対応というスライドですけれども、クラウドソーシング利用の際によく聞かれるトラブルということで、依頼内容が明確でないとか、その内容が大幅に変更になった、これは発注者側の問題ということなんだろうと思うんですね。何を聞きたいかといいますと、そのプラットフォーム自体についての苦情というのは、あまりないんでしょうかということです。

湯田委員: プラットフォーム自体の苦情というのは、あまり出てくることはないです。例えば手数料がどういう形になっているのかや、もう少し教育のサポートをしてほしいなどは聞きますが、不満というよりは質問のほうが多いと思います。クラウドソーシング事業者に対して入っている苦情の多くは、仕事の内容がよく分からないというものだったりしますの で、クラウドソーシング事業者にて、そのような依頼が出ていた場合は、一時非掲載にし、発注者にこの業務内容だとよく分からないので、書き直しをしてください、補足をしてくださいというサポートをしたりします。また、クラウドソーシング事業者へ依頼の金額が低いことについてワーカーから連絡が入ってくることもあります。これも発注者へ、依頼内容に対して、金額は適正ですかと確認したり、また明らかに依頼内容と金額があっていないものは、非掲載にしたりします。発注者に直接コミュニケーションが取れない場合は、サポートに入ってくることがあり、それらへの対応は事業者にてしています。

鎌田座長:他にご質問ありますか。

宮田委員:よろしくお願いいたします。今拝見していまして、ワーカーの紹介のところで、登録ワーカーさんがたくさんいらっしゃるということで、伸びてきているのですけれども、どんな方が登録をしてくださって、さっきのトラブルのところと今後のクラウドソーシング協会さんの対応のところで、発注者側への認定制度であったりというのは、明確に見えてきたんですけれども、このワーカーの方に関しましては、今ご紹介いただいたワーカーの方たちで、キャリア形成編の方たちとかは、ちょっと怖くてお仕事が出せない経歴といいますか、いろんな方がたくさん人数がいる中で、規模は何万人ということだと思うんですけれども、登録側に対するスキルアップ、底上げだったりとか、もうちょっと経営上明確にするとか、その辺りというのは、協会さんのほうで何か今後取り組むということはあるんでしょうか。

湯田委員:ワーカーの方のスキルアップの支援につきましては、中盤でご説明させていただきましたように、各事業者のほうで、提携して優待で研修が受けられるであったりとか、そういうようなサービスの提供をしていたりします。業界全体でしなければならないということについては、どちらかというと各個別のスキルアップというのは、なかなか民業では難しいところがございまして、契約をスムーズにできるようにするであったり、何か困ったことがあったときの相談窓口をきちんと設けるようにするであったりとか、あとは価格系について、ある程度バランスが取れるように、価格の下限みたいなところをある程度設定するように、システム化を促すということを事業者にしていたりしまして、そういう意味ではワーカーにダイレクトというよりは、ワーカーの方がより良い条件のお仕事ができるように支援をしているということが協会の立ち位置としては多くあります。

    一方で、先ほどキャリアアップ編の方々のスキルが本当に安心できるかというようなところがあると思うのですが、こういう方々って、発注者の方とのバランスがございまして、例えば新聞広告に出すような、画像、ものすごくデザインクオリティが高いようなものをやられるかというと、そうではなく、商店街のチラシをちょっとお願いします、自分ではなかなか作れないけれども、少しパワーポイントで書いてほしいだけなんです、というようなバランスのマッチングもありますので、全ての方々がすごくハイスキルでハイクオリティでないといけないというようなバランスも、実は発注サイトのバランスでいうと、違うところがあったりしますね。ですので、それぞれの利用度でマッチングできるというようなところも、クラウドソーシングの1つの特徴でして、より良くご自身の状況が分かるように、登録については充実した配慮がされているということはしておりますから、必ずしもスキルが低いから駄目ですよということではないというのが現状になります。

宮田委員:分かりました。ありがとうございます。

村田委員:リクルートの村田と申します。クラウドソーシングの登録は、個人なのか複数なのか、仕組みを教えていただけますか。通常は個人ですが、例えばグループの場合、コンペ型、プロジェクト型のように、請け負う側が、グループもしくは少人数、小規模事業者で請け負う場合、何か判断基準はあるのでしょうか。

湯田委員 :クラウドソーシングのサイトによっては、個人登録だけではなく、法人登録ができる 識別選択肢のあるサービスもあります。法人格で登録することもありますし、グループを作って受託することもできたりします。受託については特に制限をかけているわけではないです。登録の際に、基本的には個人ごとに登録するよう利用規約でほとんどの企業は定めています。

村田委員:ただ、労働者性の判断として参考にしたいのですが、個人が請け負って、それを誰か他者に再委託することは、行われているのでしょうか。

湯田委員: 各社の規約によりますが、特に制限していないと思います。

村田委員:特に制限はない、自由であるということですね。ありがとうございます。

鎌田座長:他にございますか。芦野委員。

芦野委員:2点ほどお伺いしたいのですが、1つは、今日のこの話と直接関係のないところかもしれないんですが、8ページのところの消費契約というのは、具体的にどのようなものなのかを教えていただきたいということが1つと、もう1つは、クラウド事業者の関与のことについてなんですが、36ページのところでは、発注マル2というところで、実際には関与しないというところだったかと思うんですが、一方で6ページのところの報酬支払いのところでは、報酬支払いについては保障的な形で、一定程度クラウド事業者のほうも関与するというようなお話があったと思うんですが、そうすると36ページの図のところでいくと、その報酬支払いの担保の分というのはどういう形になるのかという、この2つを教えていただければと思います。よろしくお願いします。

湯田委員: はい、分かりました。まず 8 ページの消費契約について。業務委託契約は、発注者が要件定義して募集するタイプで、クラウドソーシングはほとんど業務委託契約になっています。シェアサービスの幾つかは、私のスキルを買いませんかとう形で、例えば似顔絵を書けます、その似顔絵を書くスキルを売るということで、業務委託を受けるのではなく、 スキル販売ということで利用規約を立て付けている場合もあります。次に 36 ページについて。どのような保障の仕方をしているかというと、契約当事者として保障するわけではなく、「エスクロー」という仕組みで、 30 万円の仕事であれば、 30 万円分のクレジットカードの与信を事前に取るということをやっています。依頼された仕事を一度納品したにも関わらず、支払い拒否をされたというときでも、まずその支払いを行うのを原則としています。支払いを受託者にした上で、もし取り戻したければ、発注者がなぜ検収不合格だったのかを説明し、再度取り戻す流れで立て付けている利用規約が多く、発注者が一方的に払わないことがないようにしています。日本のクラウドソーシングではクラウドソーシング事業者が補償する形態はほとんどないものの、一部アメリカのクラウドソーシングでは、仲裁をする費用のほうがコストが高いとし、保険の要素を組み込み、補償金を払うという運用をしているクラウドソーシング事業者もあります。

芦野委員:ありがとうございました。

宮田委員:もう1点だけ。仲介事業者の場合、仕事内容とか大きさにもよるかと思うのですけれども、一般的にはどのぐらいの仲介手数料というのをいただいているのか、というのをお伺いできますでしょうか。

湯田委員:仲介手数料は、クラウドソーシングでいいますと、5%から20%が多いです。金額によって手数料率が変わるという形式です。

宮田委員:それは金額が大きいと、5%、小さいと5%、大きいと20%、そういうような感じになっているのでしょうか。

湯田委員:金額が低い場合は20%。

宮田委員:低い場合は20%、大きい場合は5%という感じですね。

湯田委員:5万円とか10万円に上がっていきますと、パーセンテージが下がっていくという仕組みのところが多いです。

鎌田座長:よろしいですか。

川田委員:どうもありがとうございました。幾つか細かい点について伺いたいんですけれども、1つは、最後の20ページ前後ですかね、フリーランスの話が出てくるところの、フリーランスというのは、今出ているようなスライドのデータで、どういうふうに定義されているのか。日本、アメリカそれぞれどうかという質問です。もう1つがその少し先にクラウドソーシングの登録ワーカーの傾向というのがあって、主婦編とかフリーランス編とかというのが出ていて、それに関係するのかなと思いますが、例えば、これはあくまでも傾向で、はっきり類型化しているわけではないとは思うのですけれども、経験を積むだとか、あるいは生活状況が変化するだとか、置かれている状況が変わることで、クラウドワーカーとしてのタイプが変わるというようなことについて、例えば仲介業者とか、プラットフォーム事業者が何らかの関与とか支援をするというようなことがあるか。将来的にクラウドワーカーでなくなっていくという可能性を含めて、そういう中長期的なキャリア形成に仲介事業者あるいはプラットフォーム業者はどう関わっているのかということです。それからあと1点、仕事の質の保障について、やはり仲介事業者とかプラットフォーム事業者がどう関わっているのか。さっきエスクローサービスの話がちょっと出てきましたが、例えば発注者側が仕事の質に不満があるというようなときに、仲介事業者が自分で判断して、これだと確かにちょっと駄目だよね、というような判断がされるか、あるいはそこは取りあえず払って、あとは問題があれば当事者間で交渉してくださいということになるのか、あるいはそれ以外の問題もあるかもしれませんが、そういう点が最後の質問です。

湯田委員:ありがとうございます。フリーランスの数をどう算出しているかですが、これはラン サーズ社の独自調査であり、広義のフリーランスとして定義しています。このフリーラン スの中には、いわゆる自営業者だけではなく、すき間ワーカーと言われているような、一 部の時間だけ業務従事していいる方や、雇用形態で働いている一部の時間、個人事業主と して業務委託を受けている副業ワーカーも含んでいます。それらを今の労働人口で割り戻 した数字となります。
2
つ目にご質問いただいたクラウドソーシングに登録はしているが、常時稼働するわけで はないので、どれくらいサポートをしていくかというのは非常に悩ましいところでして、 優待サービスを紹介するなどは事業者各社でもしているものの、囲い込んで教育までする のは多くありません。仲介事業者として教育するのではなく、発注者が希望するときに、 教育プログラム付きの仕事案件として募集をかけることもあります。最近多いのは、地方 公共団体にて在宅ワークができる方を育成したいということで、教育支援をする施策も多 く出てきています。そのような施策をクラウドソーシング事業者が受託し、教育展開をし ていくというケースが今増えてきています。クラウドソーシング事業者でワーカーをずっ と抱え込んでいくという想定は難しいため、教育投資をクラウドソーシングの今のビジネ スモデルの中に組み込んだ本格展開するのは、各社はかじを切っていない状況です。
3
番目にご質問いただいた、質のコントロールについて、この質というのは2つに分けて考 えなければならないと思います。1つは発注者が想定しているようなレベルまできていな いというものと、そもそもその要件を満たせるワーカーの実力がないということとで、意 味が違うことになります。まず、1つ目の発注者がどこまで求めているのかという要件定 義が適切にできていたのかということ、途中で業務変更や追加が発生していないかも関係 します。クラウドソーシングサービスの多くは、そのサービスサイトの中でコミュニケーションするように促しています。コミュニケーションチャットの履歴もいわゆる契約変更 に当たるというようにして契約条件を組んでおり、その会話履歴を見ることにより、どの 時点で要件が増え、リクエストしたものが入っているのかが、ある程度追えるようになっ ています。よって、最初に想定していたものと違うものができていたという際には、途中 で起因することあったのかをチェックし、仲裁に入ることもクラウドソーシング事業者で でき、大手事業者は対応しているケースもあります。そもそもスキルが不足しているとい うような方への発注予防に関しては、発注者のほうにも一気に全ての依頼を出すのではな く、テストワークを推奨しています。また例えば、30万円でウェブサイトを作るときに、 全部納品して全額支払いではなく、最初トップデザインだけをして1万円、次に設計図を 書いて2万円のように、支払いのステップを踏む推奨もしており、スキルが全然違ったと いうことがないよう工夫する仕組みを織り込んでいるというのが現状です。

川田委員:ちょっと確認になりますが、2番目の質問については、結局基本的には発注者が提供するスキル向上の取り組みを仲介するというようなものが、プラットフォーム事業者については中心になっているというふうなイメージになるのでしょうか。

湯田委員:そうです。あとは提供されているスキルアップ施策を優待で紹介することが多いと思 います。

川田委員:3点目も、結局、実質、契約変更になっているようなケースについては、会話の履歴を確認する等で対応したり、あとは発注者側にアドバイスすることで、例えば段階的に発注してくださいというような、そういう形での質の保障というか、人の獲得に関わる関与を仲介事業者の方はやっているということ。

湯田委員:そうですね。

川田委員:分かりました。どうもありがとうございました。

鎌田座長:それでは、どうもありがとうございました。湯田委員は、こちらにお座りいただいて。また、議論に参加していただきたいと思います。どうもありがとうございます。

    では、次の議題に移りたいと思います。議題3として、「独立自営業者の就業実態と意識に関する調査(速報)」と議題4として意見交換をまとめて行いたいと思います。厚生労働省から資料の3から5までがありますので、これのご説明をお願いいたします。

永倉在宅労働課長補佐:資料3から資料5につきまして、まとめて説明をさせていただきます。時間が限られているので、ポイントのみ説明をさせていただきます。資料の3ですけれども、前回の検討会ヒアリングで出た主な意見ということで、前回非公開の中でヒアリングを行わせていただきました。その時に出てきた意見について、団体ごとにまとめた資料になります。中身については、今回説明は割愛をさせていただきます。

    続きまして、資料4JILPT、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「独立自営業者の就業実態と意識に関する調査」の速報の報告になります。1枚おめくりいただきまして、まず概要というところなのですけれども、この調査は調査の登録モニターのうちから、スクリーニング調査によって、個人商店主、雇用主、農林業従事者、2017年の1年間で、独立自営業者、ここでは自営業・フリーランス・個人事業主・クラウドワーカーを総称していますけれども、これらの仕事で収入を得ていなかった人を除いたという調査になっております。 3ページですけれども、本調査における独立自営業者についてということで、この調査ではこうだったということを示させていただいております。年齢はかなり幅広くなっていまして、これでは40代が比較的多いのかなというところで、性別、隣を見てみますと、男性のほうが多くなっておりました。専業・兼業別で見てみますと、専業が半分ぐらい、兼業は2つ取っていまして、自営主ごと副業でやっているか本業でやっているかというところで分けているのですけれども、副業のほうが多かったというところになっております。 4ページお願いいたします。仕事の内容についてです。仕事の内容は、「データ入力作業」というのが少し多くなっていたかと思います。あとは「文書入力、テープ起こし、反訳、調査・研究、コンサルタント、営業、販売、」このようなものが多くなっていたのですけれども、下のグラフを見ていただければ分かる通り、かなり幅が広い仕事の内容になっているというところでございます。

    少し飛ばしまして、次6ページをお願いいたします。6ページ、取引先数についてです。1年間の独立自営業の仕事の取引先の数ですけれども、左側ですけれども、全体で見ますと1社という回答が4割強を占めていたというところです。

    その次のページ、7ページ。報酬総額についてなんですけれども、1年間に独立自営業の仕事で得た報酬総額については、全体一番上のところで見ますと、「50万未満」というのが最も多く、4割ぐらいというふうになっておりました。ただ、副業・兼業を別に見てみますと、一番下の兼業のうち、独立自営業が副業というところは65%と大幅に高くなっていた。さらにこれを細分化したのが次の8ページのところになります。8ページは専業・兼業別とプラスで生活上の主な家計の維持者が誰かというところで見たものになります。これで見てみますと、一番左が専業の枠になるのですけれども、この専業のうち、主に自分の収入で生きていますという人になると、50万未満という回答は15.8%で、全体に比べるとだいぶ下がるということになりますが、一方で一番右側の大枠のところですね。兼業で、副業でやっていますという人になると、かなり高くなっているということが見て分かるかと思います。

    飛ばしまして、11ページお願いいたします。11ページは契約期間についてです。これは全体で見てみますと、契約期間、納期はないという回答が25.2%と最も多くなっておりました。その次が2日以上~10日未満が多くて、その次が1日以下というふうに、期間が定められている場合には比較的短期間という契約が多いのかというところです。

    次のページ、12ページです。仕事の受注方法についてというところになります。受注方法については、「自分で営業活動をして」、「現在の取引先から声がかかった」、「知人・親戚等から紹介された」という回答が多くなっていまして、属人的なルートによるものが多いのかなというところです。「クラウドソーシングの会社や仲介会社などの仲介組織から」という回答については19%というふうになっております。

    また飛ばしまして、15ページをお願いいたします。15ページ、契約内容の決定方法についてです。一番左側の全体を見てみますと、「双方協議の上で決定」という回答が47.4%で、最も多くなっておりました。次に多かったのが「取引先が一方的に決定した」というのが24%となっております。それより右側のところは業種別に見たものになるのですけれども、大きくは業種ごとに見ても変わらないかなとは思うのですが、例えば事務関連のところ、隣を見てみますと、「第三者の定めるルールに沿って決定」というところが他の回答よりは多くなっていたのかなというところです。ここの第三者というのは、クラウドソーシングの会社とか仲介会社を指しているものになります。

    続きまして16ページ。主要な取引先事業者から書面等による契約内容の明示がありましたかというところなんですけれども、全体で見ますと、「はい、ありました」という回答が54.9%、「いいえ」が45.1%となっております。業種別に見ても、大きく傾向は変わらないかもしれないのですが、例えばIT関連とか専門関連業務になってくると「はい」という回答が比較的高いのかなと。一方で現場作業関連とか生活関連サービス、この辺りになってくると、むしろ「いいえ」のほうが多くなっているというところでございます。

    また、飛ばしまして19ページお願いいたします。19ページ、作業を行う日・時間に関する指示の状況というところです。契約以降にも主要な取引先事業者から作業を行う日・時間について指示を受けたかというところですが、全体で見ますと、「全く指示されなかった」「あまり指示されなかった」という回答が多くなっております。これは業種別に見ても、そこまで傾向は変わらないかなというところです。

    次のページ、20ページ。今度は場所に関する指示の状況になります。場所については、これも全体を見てみますと、「全く指示されなかった」という回答が48.4%と半数弱を占めておりました。業種別に見てみますと「全く指示されなかった」という回答が、デザイン・映像制作関連、あるいは事務関連では半数以上というふうになっております。一方で「常に指示を受けていた」という回答が、全体と比べますと、現場作業関連とか生活関連サービス辺りでは高くなっている傾向というところです。

    その次のページ、21ページ。報酬額の決定方法になります。報酬額の決定方法について、全体で見ますと、「取引先が一方的に決定した」という回答が最も多くなっていまして、その次に「取引先が提示し、必要があれば交渉した」という回答が多くなっております。

    すみません、時間がないのでさらに飛ばしまして、次、31ページお願いします。31ページ、トラブルについて聞いたものになります。独立自営業の仕事で経験したトラブルについては、「トラブルはなかった」という回答が一番右側で、50.1%で最も多くなっておりました。経験したトラブルの中では、「作業内容・範囲についてもめた」が一番多くて、あとは「仕様を一方的に変更された」とか「一方的に作業期間・納品日を変更された」というような回答が多くなっております。

    次のページ、32ページです。またトラブルについてなんですけれども、今度は経験のあったトラブルは解決しましたかというものを見たものになります。これの傾向はトラブルごとに若干異なっているかなと思うのですけれども、例えば真ん中ぐらいなんですが、「報酬の支払いが遅れた・期日に支払われなかった」というものについては、「全て解決した」というのが7割を超えていて、多いのかなと思われます。一方で右側のほうですけれども、例えば「セクハラ・パワハラ等の嫌がらせを受けた」ということについては、逆に「全く解決しない」というのが43.7%と多くなっていまして、これはトラブルの種類によってまちまち、というところなのかなと思います。 1つ飛ばしまして、34ページお願いします。34ページ、仕事でトラブルが起こった際に、どのような対処をしましたかというところなのですが、「取引相手と直接交渉した」という回答が54.8%で最も多くなっておりました。次いで「特に何もしなかった」というのが25.6%というふうになっております。3 7ページお願いします。37ページ、病気や怪我についてです。独立自営業の仕事が原因で、病気や怪我をしたことがあったかというのを聞いたものですが、一番左の全体を見ますと「なかった」という回答が8割というふうになっております。「ある」という中でさらに回答を分けてまして、「病気や怪我によって、独立自営業者としての仕事を中断したことがあった」というのを聞くと、8%というふうになっております。この8%の人に対して、次のページなんですけれども、その間、生活費をどのようにまかなっていましたかというのを聞いたのが、38ページになります。これを見ますと、「自分の貯金を切り崩した」という回答が41%で、最も多くなっております。これをさらに専業・兼業別に見たのが、次の39ページになるんですけれども、これ、分けてみますと、兼業であるものについては、「他の仕事の収入でまかなった」という回答が全体に比べると多くなっている。一方で専業であるものについては「自分の貯金を切り崩した」という回答が他の類型よりもかなり高くなっているところになります。

    続きまして、44ページです。44ページ、スキルとか能力についてのところなんですけれども、今後スキルアップをしていくために最も必要だと思うことについてですが、「特にない」という回答が34.0%で、最も多くなっております。それ以外の回答のうちだと、一番左側の「関連書籍などを使って自学自習」というのが21.3%で、一番多くなっているというところです。

    続いて45ページ、独立自営業者になった理由です。これについては、「自分のペースで働く時間を決めることができると思ったから」という回答が一番多くなっていまして、次いで「収入を増やしたかったから」「自分の夢の実現やキャリアアップのため」という順に続いております。

    また飛ばしまして、52ページを開けていただけますでしょうか。52ページ、独立自営業者としての働き方に関する満足度というところです。グラフをながめていただきますと、下の2つが満足度が高いというところかと思うんですけれども、総じて高い傾向にあるのかなと思います。収入に関する左2つは、若干低いかもしれませんが、例えば独立自営業者の働きやすさ、右から2番目ですけれども、これは満足している回答を足すと7割を超えているというところになっています。

    次に55ページをお願いいたします。55ページ、独立自営業者を続ける上での問題点について聞いたものになります。それについては「収入が不安定、低い」という回答が45.5%で、最も多くなっておりました。次いで「仕事を失ったときの失業保険のようなものがない」あるいは「仕事が原因で怪我や病気をしたときの労災保険のようなものがない」という回答が多くなっておりまして、お金関係といいますか、収入関係といいますか、そういった形の問題点が比較的多かったのかなと思われます。

    次のページ、56ページです。今度は独立自営業者がより働きやすくなるために整備等望む事柄について聞いてところになります。これを聞いてみますと、一番右側、「特に必要な事柄はない」という回答が43%で、一番多くなっておりました。「ある」の中で聞いてみますと、「取引相手との契約内容の書面化の義務付け」だったりとか「トラブルがあった場合に相談できる窓口やわずかな費用で解決できる制度」あるいは「取引相手との契約内容の決定や変更の手続きの明確化」こういったものが多くなっていたというところでございます。

    駆け足で大変恐縮なんですが、資料4については以上とさせていただきます。続きまして、資料5をご覧いただけるかと思います。

    資料5、雇用類似の働き方に関する検討会の取りまとめに向けた議論のための整理ということで、経過を出させていただいております。この検討会、報告書という形でまとめていただければなというふうに考えているんですけれども、その際にどんなことを書いたらいいのか、そういった辺りを少し整理したほうがいいかなというふうに考えまして、経過を参考に出させていただいたものというところです。

    まず、一番上、わが国におけるこれまでの検討状況ということなんですけれども、これイメージしておりますのが、今の労働基準法上の労働者以外の人も対象としているような労働関係の検討会、あるいは他省庁さんの検討会なんかについて、1回目の時に既に資料として渡していただいておりますけれども、そういったことを記載したらどうかなというふうに考えております。

    その下、わが国の「労働者」及び労働者以外の役務提供者に適用される制度等というところで、ここにも※で3つ書かせていただいているんですけれども、全部第1回の資料で提出させていただいております。出発点は雇用類似ということがありますので、例えば労働者性について、少し書いたらどうかとか、後は労働者以外に適用されるような労働関係法令もありますので、そういったものを紹介したらどうか、あるいは雇用類似の働き方に関係する関係法令ということで、民法だったりとか、経済法というのは大きく関係してますので、こんなものを紹介したらどうかというふうに考えております。

    その下、諸外国の「労働者概念」等に関する状況というところでして、これも第1回の検討会の時に、諸外国の法制度については、分かるデータは紹介させていただいたところです。本日、山崎様に発表いただきましたので、そのことを踏まえて諸外国の最近の動きについて記載したらどうかなというところです。

    その下、本検討会で把握した雇用類似の働き方に関する現状というところでして、今回の検討会は実態把握、課題整理についてお願いしているものになります。これまで検討会で前回ヒアリングをしていただきまして、あと先ほどJILPTの調査を紹介させていただきました。この他、ちょっと飛ぶんですけれども、参考資料1としまして、厚生労働省による雇用類似の働き方に関するヒアリング結果というものを配布させていただいております。これは、検討会がなかなか時間がなかったということもありまして、厚生労働省でも幾つかの団体様とかワーカーさんにヒアリングをしておりました。団体名や個人名は伏せさせていただいていますけれども、こちらに資料としてまとめさせていただいていますので、紹介は割愛しますけれども、よろしければ素材として参考にしていただければと考えております。

    また、資料5のほうに戻りまして、今紹介したようなこれらの素材から、検討会で把握できた実態について記載してはどうかというふうに考えております。ただ今日この場では、課題整理を見すえまして、議論いただきたい事項を併せて提示させていただいております。それが例えば(2)のところに○印で、論点的なことを書かせていただいているんですけれども、こういったことについて、特に議論いただければなというふうに考えております。この柱立てなんですけれども、(1)から(10)までありまして、基本的にはヒアリング項目などに沿って提示をさせていただいているようなものになります。

    時間がないので、個別の説明は省こうと思うんですけれども、例えば(2)のところであれば、書面等による契約内容というのがなかなか明示されていないという声があったかと思います。これについてどう考えるかだったりとか、(3)契約条件の決め方、交渉等というところであれば、契約内容を取引先が一方的に決定している割合が一定程度あったかと思います。そういったことについてどう考えるかということですとか、あと(4)契約の相手先の数というところであれば、ヒアリングでは、1社に事実上専属してしまっている声も比較的多かったなと思うんですけれども、逆に複数の取引先と取引をしているという人ももちろん多くいらっしゃいます。そういう関係について、どう考えるか。

    裏側にいっていただきまして、2ページ目のものですけれども、(5)の受注ルートのところであれば、現在は直接発注が多いというふうに考えられるのですけれども、一部クラウドも使っている人もいらっしゃるかと思います。飛ばしまして、(10)の総括のところに書かせていただいているんですけれども、これまでの実態などを踏まえまして、雇用類似の働き方に関して、どのような課題があると考えられるか、この辺りを本日は中心的にご議論いただけるとありがたいなというふうに思っております。

    最後、雇用類似の働き方に関する保護等の在り方及び今後の検討課題等というところなんですけれども、繰り返しになるんですが、今回は実態把握と課題整理をしていただきたいなというふうに考えております。今後雇用類似の働き方に関しては、中長期的に検討していくことになるんだと思うんですけれども、今後の検討のためにも、ぜひ考え方の視点といいますか、そういったものを出していただきたいなというふうに考えている項目になります。それが(1)雇用類似の働き方の者についてというところなんですけれども、保護の必要があるかどうかというのも、先の議論にはなるかもしれないんですが、雇用類似の働き方の者として保護の必要性があるか検討する対象者としては、どのような者と考えるか、どういう視点があるかということを議論いただければと思っています。(2)検討会で挙げられた保護の内容等というところは、基本的には上の(10)の総括のところで挙げていただく課題からを記載したらどうかというふうには考えているんですけれども、その他考えられる点として、雇用類似、雇用と自営の中間的な働き方がイメージされるかと思いますので、例えば経済法等との関係で留意すべき点があるかということも、1つの点として考えられるかと思います。あとはこれらについて検討した結果、仮に雇用類似の働き方の者を保護するとした場合には、その方法として、どのようなものがあるというふうに考えられるかという点についても、議論いただければと思っています。

    最後(3)の部分は、把握すべき事項として、今回実態把握していただいてはいるんですけれども、ただ今後さらにこんなことがあったほうがいいんじゃないかとか、そういったこともあろうかと思いますので、もしあれば、そういう方にも挙げていただければありがたいなというふうに考えているところです。早口で申し訳ないんですが、説明は以上になります。

鎌田座長:はい、どうもありがとうございます。今資料の345、とりわけ45をご議論いただきたいのですが、目標は、報告書をまとめる上で、今までのヒアリング調査、それから今日出されましたウェブ調査を踏まえて、どういうことが課題としてあるのか、ということを皆さんにご意見をいただいて、少しまとめていきたいなというふうに思っております。そこで、今私、資料5を目の前にしているのですが、これから全部まとめてというのも大変だと思いますので、少し分けて、ご議論をいただきたいと思うのですが、まずは資料5が報告書をまとめる上での、項目立てと申しますか、構成をイメージしています。中身も大事なのですが、こんな構成で考えていきたいなということで、何かご意見があればいただきたいと思います。それが終わりましたら、次、とりわけ本検討会で把握した雇用類似の働き方に関する現状ということで、細かく(1)から(10)まで分かれておりますが、これを皆さんにやや詳しくご議論いただければというふうに思っております。

    それから最後になりますが、雇用類似の働き方に関する保護等の在り方及び今後の検討課題ということで、今これまで議論したものの総括をするような形での課題の摘出を、皆さんにお考えいただきたいなというふうに思っております。大体そういうようなことで、かなり時間が押しておりますけれども、できるだけ皆さんに活発なご議論をいただきたいというふうに思っております。それでは、まずこの資料5の構成について、ご意見があればいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。中身の話をしないで、構成だけと言われても意見の言いようがないと思いますので、次のほうに入って、適宜、構成の話、これはこうしたほうがいいのじゃないかということがあれば、ご指摘いただければというふうに思っております。

    それで、本検討会で把握した雇用類似の働き方に関する現状ということで、資料がたくさん出ておりますし、ヒアリングで皆さんもお聞きになっているところでもありますので、これも全部一緒というのではなくて、(1)から(4)ぐらいに分けて、話をしていただいて、その後に(5)から(10)と、ざっくりした分け方ではありますけれども、そういったところで幾つかご意見をいただければというふうに思います。どうぞ自由にご発言いただければと思います。はい、村田委員どうぞ。

村田委員:すみません、その前に参考資料2を提出しておりますので、簡単に説明したいと思います。この報告案の、諸外国の労働者概念等に関する状況の部分で、先ほど労働政策研究・研修機構様のほうからお話がありましたが、フランスについて少しだけお話を差し上げたいと思います。データがたくさんありますので、かいつまんでご説明をしたいと思っています。

    まず、フランスの労働者の判断の基準と枠組みでは、労働契約があるかないかが一番のベースになっています。次にと労働の提供の有無、報酬の支払い、それから法的な従属の関係がどうなっているのかで、使用者が労働者に対する指揮権限を有しているかということが一番のポイントになっています。

    次に労働者の範囲ですが、まず報酬が支払われる場合は家内労働者、これは労働法典の7412というもので定められています。一部のフランチャイジー、報道機関等の、プロのジャーナリストをどう考えるのか。それと公共の芸能関係、外交員(外務業務を行う外交員)で す。フランスでは今年マクロン大統領の定めた新しい労働法典によって、テレワーカーが増加傾向にあります。遠隔通勤の方についても労働者の拡張に含めて考えられております。あとは、論議中ですが、先ほどの議論になりました、労働者、雇用者ですね、雇用者と自営という間のIndependent workerという第3の働き方というのは、フランスは基本的に持たないというような判断の方向にあるようです。ただ最近、ウーバーの運転者やギグワーカーなどが増えておりますので、今後の議論ということで変更になるかもしれませんが、今のところは第3の地位にはしないということにしています。

    それと社会保障に関して、今幾つかの保障があるものの、先ほどの調査でも課題になっておりました職業訓練上の保護という面では、継続的にすべきとされています。中でもトレーニングの権利、個別アカウントという個人講座を持っておりまして、転職や失業したときにも権利が維持できるようにするという議論も出ております。

    最近の判例では5ページですが、法的従属関係を示す証拠群というのがあります。その中で、8つのメルクマールというのがあります。出勤、作業遂行の義務がどうなっているか、使用者からの機器の提供はどうなっているか、顧客の選択にはどうなっているか、労働時間の考え方、発注元へのサーバーへのアクセスとかメールアドレス、名刺、社員証みたいなバッチとか、そうしたIDの付与がどうなっているのか、出勤の義務があるのか、食堂とか駐車場の利用はできるのか、定期連絡をする必要性があるのか、こういった8つのメルクマールに沿って法的な従属関係がどうなっているのかを示しています。

    最近の判例の状況では、運送業のLeCabの判例では労働契約があると判断をされている。そのグレーゾーンに関して、どういう判断基準かということでは、まず携帯の保有規定があるかどうか、行動規範、服装、時間の制約、あとは他社からの受発注ができるか、そうした内容を中心に判断がされています。

    もう1社、Deliberooという飲食物などを運ぶ形態のサービスでは従属関係がないと判断をされています。これは英国でも同じような判断が出ていますが、労働日が自由だということ、あくまで下請けに近いということです。どうしてこれが従属関係がないと判断されたかといいますと、一般にはいい弁護士を付けたから、企業側が勝訴したのだろうと言われていますが、他者に受けた仕事を委託できるか、再委託できるかどうか、ここが労働者性の判断基準になっておりました。ただ保証として、ウーバーやDeliberooでは、健康保険や、死亡保険については、企業が無償で付与するというようなことを行っておりますので、必ずしもメルクマールをきっちり分けるというわけではなく、やや労働者に優しい判断がされていると思います。フランスについては、以上でございます。

    続けてもう2点。先ほどの調査に関しまして、幾つかご要望というかお願いがございます。今回は雇用類似ということですので、冒頭の部分とか、あと39ページので、専業なのか、もしくは複数で受けるのかの、分類をして、それぞれ集計をされていると思いますが、全体的に、平均的に見ても、あまり本来の判断には影響がないので、できれば1社専属の労働者なのか、もしくは複数から受けている方なのか、属性を分類した上で集計をお願いできればと思っています。

    もう1点、55ページですが、例えば失業保険のようなものがほしい、収入が不安定、仕事が不安定と回答している方は、実際にはどのような属性の方なのか、さらに詳細に、その層を見極めていくと、いずれ社会保障の対象を考える際、どういう方に付与したらよいのか判断基準に近しいものが出るのではないかと思っております。以上です。

鎌田座長:はい、どうもありがとうございました。フランスについて、非常に貴重な研究の成果を示されて、とてもありがとうございました。もし個別にデータができるようであれば、委員にお示しいただければというふうに思います。

永倉在宅労働課長補佐:承知いたしました。調査をやっているのがJILPTさんになるので、そちらとも相談をさせていただきたいと思います。

鎌田座長:はい、宮田委員どうぞ。

宮田委員:では、引き続きこちらの順番ということで。まず、資料4のほうなんですけれども、やっぱり私も村田委員から指摘があった通り、データのところでクエスチョンマークがあるところかなという感じがして、まず4ページで、仕事の内容で、データ入力作業というのがすごく突出しているんですけれども、先ほどクラウドソーシングさんのほうで湯田委員がおっしゃってくださった通り、職種の中にデータ入力というのが、今はあんまりメジャーではないといいますか、そんなに多くはないです。たぶん予想するに、この後の報酬のところ、7ページで、全体のうちは150万、200万円未満の方たちで計算すると、ほとんど64%以上で、専業の方でも50%以上が低賃金といいますか、これは実は報酬ではなくて、経費を引いた分の利益であれば、私は正しいと思います。ただ、これは報酬総額で、年間の年収で見たときに、これでは生きていけないと思います。この兼業のうちの独立自営業ということなんですけれども、一番下の数字でも65.6%の方が、これは50万円未満ですよね。なので、これ予想するに、データ入力が多くて、すごく報酬のほうが低すぎる。あんまり報酬という概念で、経費を引いていないということから、ポイント制によるアンケートの回答の方だったり、そういう作業の方たちが、たぶんこのネットアンケートで取られたと思うんですけれども、多く含まれ過ぎなんじゃないのかなというのが、ちょっとあります。なので、この資料5の取りまとめをやるときに、諸外国と同一のレベルで語っていくときに、それはちょっと違うんじゃないかなと思う。なので、やっぱり属性といいますか、そこはちょっと明確にしないといけないかなと思います。だから個人事業主であったりが対象になってくるのかなと思います。

    あとは、やっぱりこの資料4を拝見していまして、トラブルというのは、特に在宅就労のNPOをやっていて、実際に現場から出てくる声とあまり変わらないかなと。だからちょっとそのデータの中でも、うまく使う部分と気を付けたい部分というのがあるかなというふうに感じました。以上です。

鎌田座長:ありがとうございます。他にございませんか。順番から土田委員いかがでしょうか。

土田委員:そうですか。今この資料5についての議論ということでよろしいでしょうか。それとも、報告に対する質問ということですか。

鎌田座長:資料4の中身についてのご質問、ご意見でも結構ですし、把握する現状について(1)から(4)、でも(10)まで含めてでも。

土田委員:いえいえ。分かりました。そうしたら、資料5を見まして(1)から(4)までについて、若干感想といいましょうか、意見みたいなことを述べさせていただきたいと思います。例えば(2)、あるいは(3)に関わることですけれども、契約書の作成、あるいは重視する内容等、これは(2)、(3)は契約条件の決め方、交渉等ということで、私は思いましたが、一般的には確かに書面等による契約内容が明示されていない場合のことが結構多いという実態が浮かび上がってきているのかなと思いますし、また(3)に関わっては、一方的に契約内容が決められている割合が一定程度あるという実態も少し浮かび上がってきているのかというふうには思います。ただし、その一般論がどこまで当てはまるのかは、若干留保が必要で、例えばさっき私プラットフォーマーという言葉を使いましたけれども、クラウドソーシング、仲介するプラットフォーマ—と関わる場合には、私の推測なのですけれども、比較的契約内容が明示されている場合が多いとか、契約書が作られている場合は、そうでない場合に比べたら、プラットフォームが関わらない場合に比べれば、少し多いのかなというふうには思いますので、そういう留保は付ける必要があろうかなと思います。それからもう1つの留保は、業種別というのでしょうか、さまざまなフリーランスの人たちが働いておられる業種というのはさまざまなので、例えばIT関係ですと、割合契約書もちゃんとできているというようなことがあるかもしれない。それが業種については若干違っているというのがあるのかもしれないというふうに思います、ということです。

鎌田座長:今事務局に、業種別それから、今ご質問の中に、これもクロス集計の話だと思うのですが、業種別で契約条件の明示とかそれからルールの明確化等について、何か特徴がある表があれば、ご紹介いただけますか。

永倉在宅労働課長補佐:ざっくりと分けた業種別ということですと、今回の資料416ページのところでして、16ページで「書面等による契約内容の提示の有無」というのを出させていただきまして、グラフがたくさんあるかと思います。この右側のほうが一応業種についてまとめたものになっていまして、この業種というのが、5ページになるんですけれども、5ページのところで、この1年間で最も多く行った独立自営業の仕事内容というものを聞いておりまして、ここで例えば事務関連であれば、データ入力作業とか検索だったり、取引文書作成だったりとか、ここも矢印というか、かっこというか、で聞いているところを事務関連、その隣のところをデザイン・映像制作関連として区切ったクロス集計であれば、今の16ページのところで、書面による契約内容の明示の部分のところを見ていただくと、何となくの傾向は分かるのかなと思っています。例えばIT関連であれば、「はい」という回答が他のところより多くなっているというのがある。一方で現場作業関連だと「はい」という回答が45.3%しかないと、そういう形で若干の差があるのかなというふうに考えております。

鎌田座長:はい。それで皆さんに、これから報告書をまとめる上でご意見をいただきたいのですが、確かに業種別というか、職種といいますか、で、ひとかたまりにグループ化するといった場合、今5ページにありますように、事務関連、デザイン・映像制作、IT、専門業務関連、それから生活関連サービス、現場作業関連とあるのですけれども、おおむねこういったような分け方で、少し検討してみたらどうかと思っておりますが、その辺のところで皆さんにご意見をいただければありがたい。湯田委員はどうですか。業種の中には境界、ボーダーラインがたくさんあるので、難しい面もあるかと思いますが、ざっくりとこういったような分け方はどうでしょうか。

湯田委員:業種でいうとさほど違和感はないですが、この中にものすごくライトなワークが入っ ていた場合、そこでかなり数値がぶれると思います。その最たるものが、恐らく事務とデ ザインだと思います。事務とデザインについては、すごく軽微なものが含まれている場合 は、配慮しないといけないことについては、先ほどの宮田委員のご意見と同じです。その 補正がされているのであれば、このタイプ分けでいいかと思います。

鎌田座長:今おっしゃった通りだと思うので、元データとの関係でできるかどうかわかりませんが、報告書に載せる場合に、いわばブレといいますか、バイアスといいますか、それは注意を喚起するということはできると思いますね。

湯田委員::クラウドソーシング協会で調査するときは、金額が非常に低いものは、いったん切るということもあります。N値の中で、報酬が1カ月のうちお小遣い程度しかないものについては、いったん切ったものと全部のものとが、どれぐらい差があるのかなど、比較検討するのは有効かと思います。

鎌田座長:ありがとうございます。

芦野委員:分け方としては、こういう分け方なんだろうなと思いつつも、例えば先ほどの契約書の有無でいきますと、専門業務関連の中で、この業種はあまり契約書を作っていなんじゃないかというものと、この業種は契約書を恐らくちゃんと作っているんだろうというのが、両方入り込んできているような気がしまして、そうすると、この区切り方によって、見られる傾向とそうじゃない傾向というのがあるような気がするので、そこのところは少しきちんと分けたほうがいいのかなという気がします。

鎌田座長:はい、ありがとうございます。それでは、一応この区分けを前提にしながら、幾つか今言った個別の課題・整理といいますか、そういうことについてご意見があれば、積極的にご発言いただければというふうに思います。

湯田委員:今の分け方ではない意見ですけれども。

鎌田座長:どうぞ、結構です。

湯田委員:今回の(1)の就業状況のところで、働き方はこういうような形で、多種多様だというところに尽きると思うのですが、その後段で、契約などの様々な留意点が、列挙されていくことになりますが、多種多様に働いている方が、ポジティブに捉えているのかどうなのかの記載を最初にしたい。すごく大変な状況で課題が多いのか、割とポジティブでいるものの課題もあるというのかで、読み方はかなり変わるのではないかなと思います。そういう意味では、報告書の52ページに、「独立自営業者としての満足度」や「今後のキャリアをどうしたいか」を、53ページから書いていますが、この辺りをきちんと織り込んでいければと思います。できればここもクロス集計したほうがいいと思います。満足度が高いというふうに見えてはいるものの、専業の人や兼業の人での違い、また業種傾向などが、もし取れるのであれば、課題の打ち手がもう少し細やかに話ができるかと思っており、そこを最初の就業状況できちんと明示したほうがいいと思います。

鎌田座長:関連ですか。はい、お願いします。

宮田委員:私もその湯田委員の件に賛成で、今独立自営業者という言葉で区切っているんですけれども、これから在宅で仕事を、在宅独立型テレワーカーで仕事を始めたい方というのは、報酬が目当てではなくて、社会参画であったり、やりがいであったり、自分の好きなことを仕事としてチャレンジしてみたいというような、すごく前向きというかポジティブな方もいらっしゃる。決して環境的なもの、報酬の目的というのではないので、そこをちょっとやっぱり定義というか、きちっと書いたほうがいいと思います。

鎌田座長:はい、ありがとうございます。この働き方を選択した理由に関わることですけれども、その満足との関わりで、そこをちゃんと見た上で、全体をもう一度、課題の整理とリンクさせたほうがいいだろうというご意見ですよね。はい、ありがとうございます。村田委員どうぞ。

村田委員:湯田委員の発言にもありましたが、調査はインターネットでの回答ですので、現業の方、販売職の方とか、そういった日常的にインターネットを利用しない方の課題とか傾向が、このデータから読み取りにくいと思います。ヒアリング調査もされていますので、全体的なものを含めて、課題を抽出するというのがよろしいかと思います。

鎌田座長:全くご指摘の通り。どうしてもウェブ調査をしますと、そこのバイアス出てこざるを得ない。それは、ヒアリングということでこの検討会でもいろんな方のお話を伺っているというふうに思っています。それを生かしながら報告書をまとめていきたいと思っています。はい、川田委員。

川田委員:今のところで、大体今までの議論と重なるところもあるとは思うんですが、特に資料4のデータなどについては、報告書の中で使うときに、まさにこの検討会の中で、こういう指摘もあった、というようなことを注釈として付ける、というような使い方がいいのかなというのがまず1点です。

    それから、就業状況等のところについて話が出ましたが、仕事の内容等について、多様であるということ、併せて専業、副業のどちらであるかも多少関わってくるのかもしれませんが、要するにどういうことを求めて、こういう働き方をしていると考えられるのかについても、多様なものがあって、それが満足度などに影響することも考えられると思います。本当はそこもクロスのデータが出ればいいのかなと思います。そこのところの、どういうことを求めてこういう働き方をしているのかということについても、多様性があると考えられるということも確認できるデータがいいのかなということです。

    また、もしかしたらというレベルなのですが、業種によっては、人の入れ替わりが激しくて、今働いている人に聞けば満足度は高いけれども、参入してみたものの、例えばうまくいかなくて、撤退されてしまった方もそれなりにいるというようなケースも、もしかしたらあるのかもしれない。例えばそれを、今の仕事に就いた年数とクロスさせることで、ある程度分析ができるのかもしれませんが、その辺り、いずれにしてもデータが限られていて、期間も限られている中で、その前提でまとめるということに、取りあえずはなるんだろうと思います。今のようなことも、もし念頭に置いていただけたらというふうには思います。

土田委員:こういう呼び方がいいか、独立自営業者とか役務提供者とか、クラウドワーカーとかいろいろな呼び方があって、なかなか難しいと思うのです。さっき言われた就業状況等に関わってということで、満足度が高い、結構高いということに関わる発言をさせていただきたいのですけれども、確かに報酬目当てではない、社会参画とか自分の能力を生かしたい、そういう方々が結構の割合おられるというのが、確かに分かるんです。例えばアニメライターですね、何か自分の趣味とか能力を生かして、そのアニメの作成をするのがものすごく好きで、報酬は低くても全然構いませんという人にとっては、確かに満足度は高いというアンケート調査の結果になるのかもしれない。けれども、その人は労働者とは見られないとして、仮に労働者だとすると、最低賃金を下回るような報酬でやっているというときに、それを社会的、客観的、法的にいいよというふうにみるのかどうかというのは、1つ課題になるのではないかというふうに思います。私はそこのところは慎重に考えたほうがいいのではないかというふうに思っているところです。

鎌田座長:はい、ありがとうございます。

湯田委員:土田委員からおっしゃっていただいたのは、確かにそうだと思っています。そこの切 り方が、今回の軸だったら、何になるのかというと、9ページに「独立自営業の仕事に携わった1カ月当たりの平均日数」が出ていまして、この平均日数だけでは確かとは言い切れないものの、平均日数が高い方であれば、コミットや収入額もおそらくひも付いているのではと思います。本来であれば、どれぐらいの報酬額かのほうが良いかもしれません。日数などで切って、傾向値を分けたほうがいいかと、土田委員の話を聞きながら思った次第で、分析がもし可能であればしていただければと思います。

小畑委員:委員の先生方の今までのご発言を、まさに最初に書くということがとても重要なのではないかと思いまして、それと同時に、ちょっと先走っているのかもしれないんですが、2ページの(9)のクラウドソーシング等についてというのを、それまで何も書かずに、ここでいきなりクラウドソーシングの話をするというのでは、ないんですよ、ということなんですが、そのクラウドソーシングに関しても当然それよりも前にお話をしておいた後に、現状についての表示があるというような理解でよろしいのか。そういうふうにすることが必要ではないかということを、ちょっと述べさせていただきたいと思います。

鎌田座長:事務局コメントください。

永倉在宅労働課長補佐:ありがとうございます。ここで想定をしていたこととしては、今回まず、調査上では独立自営業者という言葉を使っているんですけれども、雇用類似に関係するといいますか、雇用によらない働き方といいますか、得てして、クラウドソーシングも入ってくれば、ある程度独立をするような人たちも、雇用によらない働き方という中には入ってくるかと思っています。今回は雇用類似の定義がない中で、雇用によらない働き方についての、これまでのヒアリングだったりとか、調査なんかで見てきたというところがありますので、その中にはもちろんクラウドソーシングというのが入ってくると思っています。そういうものをひっくるめて、この実態の中には書いておきつつ、ただクラウドソーシング事業というものについては、まだなかなか、今回そもそも働き方改革実行計画の中でも、こういう新しい働き方が出てきたからこそ、検討を始めたほうがいいんじゃないかという指摘があったと理解しておりますので、特に1つ項目を設けて、クラウドソーシングというのはこういうものです、というのも書いたほうがいいのかなということで、書くというふうに特出しをさせていただいています。なので、対象者としては、それまでの(1)から(8)までの中にも当然入ってくるものというふうに考えております。

芦野委員:今のお話にも関係するところもあるし、そもそもの話にはなってしまうんですが、雇用類似の働き方というのは、恐らくは企業との間で労働契約を締結しないで、役務を提供している人たちというような理解でいいんだろうなと思います。そうすると、検討課題の(1)や(2)のところですが、恐らく民法とか、そういう労働者類似の概念というところに出てくるのかなと思うんですが、契約形態としてはどのようなものがあるのかというのが1つと、それから役務の提供の仕方にはどのようなものがあるのか。それの中には、例えば実際に作業場に行ってやる人もいれば、自宅にいて従来通り内職のような形でやる人もいるし、クラウドを使ってやっている人もいると。場合によっては、それ以外ももしかしたらあるのかもしれませんが、そのような形で、これまで労働契約が締結されて、会社に行って、そこで働くという従来の観念でくくろうとしたときに、そこには入り切らないようなさまざまなものが、契約形態でもあるし、役務形態でもあるし、場合によっては場所でもあるし、というようなことをきちんと示していくと、その後のところにもつながりやすいんではないのかなという気がします。

鎌田座長:皆さんの今までのお話を聞くと、実は検討課題の後のほうでまたご議論いただこうかなというふうに思っておりましたけど、これも含めて、要するに、雇用類似の働き方をしている人たちはどういう人なのかが一つの検討課題だと。この調査データでは、何をターゲットにしているのですかと。いろいろ取ったというのは分かるけど。このデータの中で示されている、全部の人に対して一律に何かをするという発想なのか、それともこの中で区分けをして、保護の必要性とかいうことも考えられるのか。その辺のところというのが、恐らく大きな皆さんにとっては気になるところではないかというふうに思うのですね。私もそういうふうに思いまして、まず特に資料4を見てみますと、これ一体どういう形で独立自営業者という人たちをつかんできているのかというと、2ページ目にありますように、調査登録モニターのうち15歳以上の男女に調査協力依頼をして、そのうちから個人商店主、雇用主、使用者ですね、それから農林業従事者で、1年間で、独立自営業の仕事で収入を得ていなかった人を除くと、こういうようなことで大枠として除いているわけですけれども、そうするといろんな方が入っていて、恐らく自分で働いて、自分の働きによって報酬を得ている人もいれば、人を使いながら働いている人も入っているんですよね。たぶんこの中にはね。

永倉在宅労働課長補佐:法人化している人は入っているんですけれども、人を雇っている人は一応除かれているものになります。すみません、失礼しました。

鎌田座長:ちょっと待ってよ。そうすると。

永倉在宅労働課長補佐:雇用主は入っていないことになりますので。

鎌田座長:ああ、そうですか。じゃあ、14ページの「独立自営業の仕事の進め方」ということで、左側の図ですけれども、複数回答で、「1人で全ての作業を実施した」その後、「受注後、複数人で協力して作業を実施した」、この場合のこの「受注後、複数人で協力して」というのはどういうイメージですか。

永倉在宅労働課長補佐:雇用以外の形で、仲間うちで集まってということかと思うんですが、念のため、調査元にも確認させていただきます。

鎌田座長:分かりました。じゃあそういうことでいうと、ここでの調査の対象が、基本的に個人で報酬を得るために役務を提供して働いている人というイメージなのですよね。かつ消費者を直接対象にしていない方、消費者と直接取引している方は、除いているのですよね、幾つかのデータの中では。ということですよね。

永倉在宅労働課長補佐:幾つかのデータでは除いているんですけれども、ただ全部除ききれているわけではありませんで、このMaxN値の8000という中には、一般消費者とやりとりしている人も入っているものになります。

鎌田座長:そうすると、今いろんな方が入っているということなのですが、基本的に個人で仕事を請け負って、そして自分で仕事、作業をされて、報酬を得る人が対象となっている。だから、ボランティアなどの無償の人は入っていないと、こういうことです。で、その上で、皆さんクロス集計をしてほしいという要望が幾つかあったと思うのですが、その中でそれを平均像としてみると、例えば割と1社とのみ取引している人が多かった、というのがデータとして出てきますよね。1社との間でどれだけの継続性があるのかというのは、よく分からないところもありますけれども、しかし1つの取引先と契約をしているということから、一定の関係というのが伺えるのかなというふうに思いますし、さらに15ページですか、「契約内容の決定方法」ということで、契約内容の決定方法において、「取引先が一方的に決定している」というものが、平均でいえば24%ですね。さらに報酬で見ますと、「報酬額は誰が決めたか」というのは何ページでしたっけ。

永倉在宅労働課長補佐:21ページになります。

鎌田座長:21ページを見ると、これを全体像で見ると、「取引先が報酬額を決定した」ということが33.6%ですね。で、もちろん「交渉して決めた」という、それからワーカーといいますか、その独立自営業者の方が決めたということもあるのですけれども、やはりそういったところに一定の力関係が現れてくるのと、ただ仕事の満足度とかそういうこととはまた別に、一定の関係というのが伺われる。

    さらに、私が見ておもしろいなと思ったのは、調査をした時の視点として、この調査者がどうしてこういう項目を立てたのかというのが、よく分からないところもがあるのですけれども、いわゆる労働者性の要素といわれるものがちりばめられている。これは労働法の先生方はピンときたと思うのですけれども、比較的、この独立自営業は平均像として見ると、仕事内容の指示だとか、場所の指示とか、時間の指示は少ないのですけど、でもされている人もいるんだよね。そういうふうに見ますと、この辺のところはクロス集計をして、よく見ていかないと分からないのですが、労働者であるかどうかというのは、裁判所で個別判断でやってもらうしかないのですけれども、この平均像の中には、今言ったような、委託者といいますか発注者といいますか、そういう方たちと働いている自営業者との間に、幾つかのパターンがやっぱり見られるんじゃないか。それは満足度は比較的高いんだ、これはもうデータが出ているのですけど、何を悩んでいるか、問題にしているかということは、おのずとまた違う話であって、そういったことを課題として考えていくというのはあるんではないかというふうに感じるところですね。本当はクロス集計して、そこをきちんとやっていけばよろしいのかと思いますけれども、そういった観点で、今言ったように、平均像というのはありますけど、さらにその中にいわば、ある種の捉え方、保護を含めて、分けて考えていく必要も出てくるのではないか、ということで、ご意見をいただければありがたいかなというふうに思います。

湯田委員:最後の把握すべき事項を意識してお伝えさせていただきます。座長がおっしゃったよ うに、雇用類似といわれる対象が分かるように今後データを取っていく際、フリーランス の方と接している経験から、3つの観点を整理しないといけないと感じています。
1
つ目が、自発的契約なのか、事業者性はあるのかというところで、自分でその働き方を 選択しているかいないかで、だいぶ異なってくると思います。
2
つ目が、1社従属性だけではなく、継続性も見て、1社従属がどれぐらい続いているのか がポイントになってくると思います。
3
番目に、優越的地位や情報格差があるかです。これらの視点をもって調査をしないと、 職種や報酬帯だけでは、どの対象を保護すべきかの判断が難しいと思います。今回調査で は、現在提示されている軸でしか見えなかったところはあるものの、今申し上げたような 観点も含め、今後把握していくべきと報告書に入れたほうがいいと思っております。

芦野委員:今の湯田委員のお話とほとんど同じような話にはなってしまうんですが、保護が必要かどうかといったときに、一体どのような人に対して、どのような保護を、どのように行うのかというような検討がやっぱり、見方、資格が必要なんだろうなという気がしてきています。それでやっぱり保護の必要なものとしては、今回実は私自身は、村田委員の報告にすごく教えていただいたんですが、1つはやっぱり従属性という観点をどういう要素で捉えていくかというところで、先ほどのフランスの8個の要素を、これを今後の対象者を検討していくに当たって、非常に重要な要素の1つなんだろうなという気がしていますので、そういった意味では今後諸外国の動向などをさらに見ながら、こういう観点から、今回のデータなどの再分析ができるんじゃないか、あるいはアンケートの取り直しなんかもできるんじゃないかというのは、これまでやってきた検討も踏まえた上での、今後の課題として挙げられるところではないかと思います。

宮田委員:今のお話とちょっと続けてなんですけれども、今法的な制度を、例えば出産とか育児とか介護とか、いろいろ病気だったりとかトラブルだったり、いろんなことを制度と、いわゆるたぶん雇用類似の働き方というのは多様性といいますか、いろんな種類があって、自分で選んだり、やりがいがあったり、社会参画であったり、専門的なスキルを活かしたいというところを実現するための働き方として、いいところがたくさんあるわけで、それを活かすときに、先ほどおっしゃっていただいたような、フランスの判例みたいな、法的な従属関係ですね。

    例えば労災の話が出たときに、椅子に座って、事務の方たちは絶対にその椅子に座ってやらなければいけないというのは、社員と違ってルールはないはずなんですね。なので、腰痛になっていれば、立っていてもできるわけなので、場所を変えてもできるわけなので、そこは盛り込まれていないはずなんですよ。そうしたときに制度というものは通用するのか。例えば出産だったり育児のときに、仕事がストップしてしまうというものがあったとしたら、例えば先ほどちょっと探せなかったんですけど、仲間、1人でやりましたというのが円グラフで、ほとんどの方が出ていたと思うんですけれど、全く1人ではなくて、パートナーがもし誰かいれば、それはもしかしたら解決できたかもしれない。それがその多様性のある働き方のいいところなので、そこはあまりカチカチに労働基準法に合わせて同じものを整備するというのは、ちょっと違うのかなというのは思います。なので、ちょっとやっぱりセグメントというか、分けてというのは必要かもしれないですね。以上です。

鎌田座長:労働法の専門家の方もいらっしゃるのですけど、一応裁判例で個別事例が多いんですけれども、一応使用従属という概念で、判断をされているといわれているんですけれども、そしてそれが使用従属要素というのは個別判断ですけれども、ある程度満たされれば、それは労働者であると。労働者と判断されれば、それは個人が望もうが望まないが、会社が望もうが望まないが、関係なく全部適用になりますよね。その労働法といわれるものが。取捨選択できないという仕組みになっていて、それはもうだからできるわけですね。先ほどの外国の例なんかを考えた場合に、統一的概念というものを持っているところというのは、例えばイギリスもそうですけれども、労働者という概念に組み込んじゃうと、多様な働き方、さまざまな働き方というのが、全部一挙に労働者になるので、全ての基本概念ですから、わが国の労働者とひも付けされているものが全て入ってくるのですね。それは選択できない。労働組合法はちょっと別ですけれども。そういう仕組みの中で、近しい一定の保護とかあるいは何らかの規制が必要となるものがあるといった場合に、どういうようなイメージで、この方向性というのが、これから先の課題になりますけれども、どういったような基本的な考え方というのができるのだろうか。あるいは学会の中でも、こういった考え方が今ありますよ、そういうのでも構いませんけれども、もしあれば、もちろんご意見でも結構ですけれども、ご紹介いただければありがたいかなと思います。

小畑委員:ちょっとずれるかもしれないんですが、労災保険法の形だと、特別加入というのが別にありますよね。労災を負った労働者が労基法上、労働者ということになっているけれども、それとはまた別で、特別加入制度という制度が厳然として存在しているので、そういった必ずしも労働者に入らないけれども、似たような保護がなされるようなチャンネルというやり方も1つ可能かなというのは思います。

鎌田座長:今そういう制度が1つできているということですね。特別加入は全額自己負担の世界ですよね。

小畑委員:また家内労働法をどう見るかという話もございますよね。あと在宅ワークのガイドラインの話とか。強さ弱さの話にもございますけれども、それはどういうような選択をするかというのは、幾つか選択肢としてはあるかなと思います。

川田委員:ありがとうございます。今の話に加えると、労働法の学説のレベルでは、例えば労働契約法の対象である契約関係の存続保護、解約制限については、多少労働基準法上の労働者よりも広げてよいのではないか、例えば専属性があるというのは、相手方への依存関係があることの現れと見うるものであり、そのような関係の中で例えば特別な投資をしていると評価できる行動がなされていて、その投資に対する回収の機会を保護してやる必要性が認められるような状況では、保護の対象に含めてよいのではないかというような議論がありますし、さらに立法論のレベルまでいきますと、鎌田先生のご見解も含め、中間領域、労働者には該当しないかもしれないけれども、それに近いようなものについて、必要性に応じた形で労働法の規制、あるいはそれに類似した規制の適用を考えるべきではないかというような考え方もあるわけです。そうなっていくと、今の労働法で行われているのは、労働者性の判断要素、これは厳密にいうと、労基法と労組法で違う部分がありますが、労働者かどうかを判断するときは、その複数の要素を総合的に判断してAll or nothingで労働者かそうでないかを決めるわけですが、そこのところをもうちょっと細かく見て、この要素はこの保護との関わりが深いのではないかというようなことを、もう少し細かく見ながら、労働者ではないけれども、それに近いような人に、その実態からすると、労働法の保護のこの部分の必要性は少ないかもしれないけど、この部分は結構大きいんじゃないかというような形の保護をするという考え方につながっていくのかと思います。労働法の学説の中でそのような考え方がある、あるいは、学説における考え方を推し進めるとそのような考え方になりうるということかと思います。

    それと、この場での議論がどうつながっていくのかは、自分でも頭の整理ができていない部分がありますが、恐らくこの検討会というよりは、この検討会で議論していることの延長線上にどういうことが考えられるのかということを考えた場合に、1つは、ここでちょっと優れた法理論的な話として、そういう保護を必要とする要素というか事実は何であって、その事実と結び付く保護が何なのかということを、もう少し整理して考えていくというようなことが出てくるのかなと思います。現時点ではむしろ検討の対象とすべきものが何かということ自体が、検討課題になってしまっているというようなところからスタートしなければいけないので、その先の話ということになるのかと思います。たぶん普通はこの手の取りまとめのときには冒頭で検討課題を特定して、それに基づいて検討していくのだと思いますのが、この検討会については、検討課題が何か自体が検討課題になっているという状況があると思いますので、それを踏まえた上で、これまでの検討状況等を整理することになるかと思いますが、それを踏まえて検討を更に進めていくときに、その中で、現在の労働者性の判断要素を一つ一つ上げて、それに則して見ていくとどういう状況になっていくのかを確認するというような話が出てくることになるのかなと漠然と考えています。

鎌田座長:はい、どうもありがとうございます。お約束の時間が17時ということだったのですが、すみません、私の進行の不手際で、あと10分程度延長してよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。

土田委員:手短にお話をさせていただきます。報告書は実態把握と課題整理ということなので、実態をどう把握するか、それ自体がいろいろ捉え方が今もう出てきているのだろうと思うんですね。ただバラ色一色でもないといいますか、全面的になにも問題がないというわけではないとすると、何かそれに対してどう対応するかということを、課題で考えなきゃいけないというなんだろうと思うのです。労働者だと言えれば、何らかの基準でもって、指揮命令とか、労働法上の基準でもって労働者だと言えれば、労働法による権利、利益の擁護ということができるということになるんだろうと思います。そうすると労働者に当てはまらないときはどうするんだという問題が残って、それは全部事業者だから経済法でやれということになるのか、これはなかなか独禁法や下請法で考えても、下請法はもうきっちり適用される範囲は資本金や仕事の内容で決まっていますので、それに外れると下請法は適用されない。そうすると後は独禁法でやるということになるのかということになるのですが、これはなかなか正直、結構難しいんじゃないか。全部はなかなかやるのは難しいんじゃないかと思っているんですね。だから課題に対する対応としては、大きくは2つあって、二分論でいくというのが1つ。労働者、事業者というふうに分けて、労働法と経済法等でやるというのが1つのやり方だと思います。もう1つは、三分論といいましょうか、今日イギリスの話を聞いて、私、示唆的に受け止めたのですけれども、そのワーカーとかIndependent contractorですか、というような形でもって、労働者と事業者の中間的なカテゴリーを作って、それを、新しい法律ということになるかも分かりませんけれども、何かそういうような三分論ないし四分論みたいな形でやっていく方法もあるのかなと思いました。

芦野委員:今のお話に関連しているところで、今度は民法の立場から少しだけお話をさせていただこうかと思ったんですが、鎌田先生のおっしゃる労働者性から逃げているというのは、実は民法の損害賠償とか契約関係の判例を見ていると、たまにあるところでありまして、労働者性の判断をしないまま、例えば使用従属的な関係を見ることによって、債務不履行だったりとか不法行為による損害賠償を認めたりだったりとか、最近増えているのが、この検討会に関連するような話で、芸能関係において、契約、就労をどう見るかというときに、労働者性の判断とは別に民法の雇用の規定が使えるのかとか、あるいはむしろ逆方向として、アイドルが発注者として、事務所に対して業務委託契約をしているという準委任契約関係なんだという形で見て、かえってアイドル側に損害賠償の責任を負わせたりだったりとか、そういうところもありまして、そういう意味では、最後のほうに土田先生がおっしゃったような二分論ではなくて、三分論なのか、別の観点からなのかというような形での検討というのもありますし、実際地裁レベル、高裁レベルではありますので、そこのところは今後の課題として、どのような保護をどのようにするかという場面の1つ表れとして見ていくべきだろうと思っています。そういう意味では、非常に課題が山盛りで、やらなければいけないところが非常に多い検討なんだろうなという気がしております。

村田委員:少し先走りですが、54ページの調査では、失業保険のようなものがほしいとか労災保険のようなものがほしい、医療保険、年金のようなものが不十分だということで、既存の労働保険のようなものを欲している回答があると思われます。そのうち健康保険と年金については代替する手段があるとして、雇用保険のようなものを実際に欲しいといったときに、今回雇用類似の方々が保護を受けるだけではなくて、自らその掛け金とか支払う覚悟があるのかどうか、お金を払って、そうした保護を受けたいと思っているのかどうかというのが1つの判断基準かなと思っています。その際に、既存の雇用保険に組み入れる場合だと、不安定な契約の方が多いので、そうした方たちを既存の制度のほうに組み入れた方がいいのか、失職のリスクが高いということですから、そういったワーカーさんと、既存の加入者の意識が変化するのではないかと思っています。他に民間で既に代替できるものがあるのか、そうした代替手段の利用状況みたいなものも、調べるのが大変かもしれないのですが、もし少し状況が分かれば、教えていただきたいと思います。

宮田委員:今のお話を受けてなんですけれども、中小機構さんの、私は全然回し者でも何でもないんですけれども、中小企業倒産防止共済制度というのがありまして、こちらのほうで、今確認をしたら、個人事業主であっても入れると。だからここのアンケートの回答で、仕事を失ったというのが自己責任なのか、それとも先方さんが倒産されているのか、その観点でもちょっと変わってくるのかなというのは思います。ただ、現時点でこういう制度がありますので、加入しようと思えば加入できると思います。

湯田委員:土田委員や皆さまのお話をふまえ、労働者性の判断の議論に際し、現場で起きている ことをよりとらえないといけないと思います。本日前段に山崎様からご説明があったよう に、ギグワークが増えていて、1社完結でできるビジネスは大企業でさえも減ってきており、アウトソーシングが増えていく流れは進んでいくと思われます。そうすると、労働者かどうかの判断の前に、個々人はどのような働き方をしているのか把握しないといけない と思います。今回、JILPTの調査でも独立自営業者と呼称していますが、独立自営業者という言葉のイメージと、今回調査に回答した方とでは、おそらくちょっと違うのではないかと思います。個人請負就業者のような方々は、どういうパターンがあり、このパターンの方は労働者のほうに近いということであれば、労働者の権利を持たせるという議論の際、 アプローチとしては逆サイドもしっかり見ていかないといないと感じます。労働者サイド からだけ追いかけ議論をしていくと、市場や企業の動きとマッチしないところが出てきて しまうのではないかと思いました。
一方で、雇用類似というからには、使用者にも使用者類似という考え方も出てくるかと思 っており、現在の使用者がどうあるべきかという考え方と、アウトソーシングが増えていったときに、本来どこが責務を負うべきか、仲介機関がどのような位置付けになるのかも、 労働者性の議論だけでは追いかけられないことになると思いますので、個人がどのような 契約形態で仕事を受けているのかもより見ていく必要があると思っております。

鎌田座長:はい、どうもありがとうございました。もう概ね延長した時間も終了が近づいてまいりました。特にまとめるわけではありませんけれども、幾つか今皆さんのお話をお聞きして、感じたところを申し上げたいと思います。先ほど来、データを前に、湯田委員もおっしゃいましたけど、やはり実態というものをもう少し詳しく調べる必要があるんじゃないかということで、ただここで調べていただいた大枠としては、個人請負従事者みたいなものを前提にして、その中の平均像、この中でいろいろ描いた、ただしその平均像がどこまで全体を代表しているかということ、もう少し詳しく見ていかないと分かりませんよということですね。そのことの関連において、雇用類似の働き方をしている者というのは、どういう人たちなのだろうというターゲットをどう絞っていくか。それは後の何らかの法的な対応ということと相関なのですけれども、取りあえずそういったことを、もう少し絞って見ていく必要があるんではないかということ、これは課題とおっしゃっていました。

    そうした場合に、ざっくりした話なのですけれども、基本的な考え方、これは土田委員がおっしゃっていましたけれども、二分法でいくのか三分法でいくのか、あるいは四分法でいくのか。要するに、現状の現行法というか、現行システムの枠組みだけにとらわれずに、もう少し広く、諸外国の例も踏まえて、考えてみたほうがいいのではないかというようなことがある。そして、さらに個々の課題と保護ということを考えた場合に、これは例えば仮に三分法をとっても、何か3つ目の概念で、全てそれでまた一律にいくというのではなくて、やはりその保護、例えば労災だとか、例えば業務で怪我をしたという場合に、労働者は保護されるけど、個人事業主は保護されないという、その割り切りが、果たして現在の形でいいのか。例えば運転手さんが個人請負でやって、ケガをした場合、自己責任と言えるかどうかというような問題もありまして、それと一方で、先ほど言った、失業というリスクを考えた場合に、それを労災と同じような意味でのリスクと考えるのか、あるいはそこはちょっと違うんじゃないか、やっぱり自己責任的なものもあるんじゃないか。あるいは契約の内容を明確化するとか、あるいは契約終了についてどのような保護が与えられるのか。あるいは出産・育児・介護あるいはハラスメントという問題もありますよね。セクシュアルハラスメント、今は労働者、それから派遣労働者までは、これはやってはいけない。ところがそれが個人請負の方だったら、一挙に何もないと。やっていいという話は絶対にないわけです、そこはね。そうすると、何を保護するのかということと、保護される人の範囲というのは、おのずとやっぱり相関関係があるのではないか。そういったところもきめ細かく見ていかないと、一律に何か保護するというようなこととは、なかなかうまくいかないんじゃないかなというようなことを、皆さんがおっしゃっていたんじゃないか、勝手にまとめているようですけれども、そのような感じを受け取りました。あと何か最後に付け加えるようなことがあれば。よろしいですか。はい、どうもありがとうございました。今日は非常に盛りだくさんの話し合い、議論で、私も感銘をいたしました。

永倉在宅労働課長補佐:一応次回の日程ということで、少しだけ補足させていただきます。次回の日程ですけれども、3月下旬を目標に想定中ということでして、次々回また開催場所と併せてご連絡をさせていただきます。

鎌田座長:はい、それでは本日は本当にありがとうございました。本日ご報告いただいた山崎さんも傍聴席におられますが、どうも本当にありがとうございました。では、本日の検討会はこれで終了いたします。ありがとうございました。


(了)

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