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2019年1月17日 第84回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

○日時

平成31年1月17日(木) 17:30 ~ 18:30

 

○場所

厚生労働省 専用第15会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2
合同庁舎5号館 12階

○議事

○鎌田部会長
 少し定刻よりも早いのですが、皆さん、おそろいのようですので、ただいまから第84回「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」を開催いたします。
 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の小野委員、桑村委員、玄田委員、勇上委員、労働者代表の春川委員、使用者代表の遠藤委員、渡辺委員が御欠席とのことであります。
 それでは、議事に入ります。冒頭、事務局から本日の部会開催の趣旨について、御説明をお願いいたします。どうぞ。

○河野雇用開発企画課長
 御説明申し上げます。
 先週11日に公表させていただきましたが、毎月勤労統計調査におきまして、全数調査すべきところ、一部抽出調査を行っていたなどの事実が判明いたしまして、毎月勤労統計の平均給与の変動を基礎としてスライド率等を算定に使用しております雇用保険制度等における給付額に影響が生じているところ、雇用調整助成金等につきましても影響が生じておりますので、雇用調整助成金等を所掌いたただいております雇用対策基本問題部会の皆様に御報告させていただくものでございます。
 まず、職業安定局長より、本件につきまして、一言申し上げます。

○土屋職業安定局長
 職業安定局長の土屋でございます。
 御審議に先立ちまして、冒頭、一言御挨拶を申し上げます。
 ただいま触れさせていただきました毎月勤労統計調査の件につきましては、政策立案や学術研究などの基盤として、常に正確性が求められる政府統計におきまして、全数調査をすべきところを抽出調査とし、また、抽出調査をしたものを復元しないという取り扱いが平成16年から行われていたことは極めて遺憾でございまして、国民の皆様はもとより、労働者の皆様、事業主の皆様、皆様方に大変な御迷惑をおかけしておりますことを、深くおわび申し上げます。
 先日11日の記者会見で、根本大臣から、現時点までに確認をされた事実を公表させていただきますとともに、統計上、平均給与額が低目になった結果として、雇用保険などの給付額に影響を生じており、追加の給付、支給が必要となったために、必要な準備を経まして、できる限り速やかに順次追加給付、支給を開始させていただく予定であることを御説明申し上げた上で、問い合わせ専用ダイヤルを開設するなど、国民の皆様方からの御照会、御相談にきめ細かく対応させていただく旨を表明させていただいているところでございます。
 厚生労働省としては、さらに必要な調査を進めまして、こうした事態を二度と起こすことがないよう、再発防止策を取りまとめの上、実施をしていくとともに、雇用保険等の追加給付、支給にしっかりと対応させていただく方針でございます。
本日、御議論いただきます雇用調整助成金などにつきましても、皆様方の御意見を十分にお伺いしながら対応してまいりたいと考えておりますので、本日は御議論のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○鎌田部会長
 それでは、毎月勤労統計に関して、担当部局より御説明をお願いいたします。
お願いいたします。

○中井政策統括官付参事官 
 政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)付の参事官をしております、中井と申します。
このたびは毎月勤労統計調査におきましてこのような事態を引き起こしたことにつきまして、労使の方々を初め、国民の皆様方に多大な御迷惑をおかけしましたことを、私からも改めておわび申し上げます。非常に影響が大きく出ていることについても、本当に申しわけなく思っております。先ほど職業安定局長からも話がありましたとおり、今回原因究明をしっかりして、適正な調査を実施するよう、今後努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、資料1に基づきまして説明させていただきます。お手元の資料1をごらんになっていただければと思います。先週1月11日に公表させていただきました「毎月勤労統計調査において全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたことについて」ということでございまして、これに基づいて状況について御報告申し上げたいと思います。
 1ページ、「毎月勤労統計調査の概要」というところでございますけれども、言うまでもなく、この調査は統計法に基づく基幹統計調査ということで、雇用、給与、労働時間について、その変動を明らかにすることを目的として実施していますが、多方面に活用いただいているところでございまして、そういったことで今回の事態について非常に大きな問題が生じているということでございます。
 2ページ、「確認された事実」ということで、3点挙げさせていただいております。まず1点目、全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたということでございますけれども、この毎月勤労統計調査は全体としては抽出調査、サンプル調査ということで実施してきたところでございますが、その中で「500人以上規模の事業所」については、調査計画、具体的には平成30年の調査計画になるわけですが、及び公表資料で全数調査をするということを明記していたわけでありますが、実態が平成16年以降、厚生労働省から東京都に対して、厚生労働省として抽出した事業所名簿を送付して、その名簿に基づいて調査を行っていただくこととしていたわけでありますが、具体的には、東京都における「500人以上規模の事業所」のところでございますけれども、最近の数字で申し上げると、30年の調査対象で抽出していた事業所数は1,464であったわけでありますけれども、実際に直近、確定している10月分の対象が、おおむね3分の1の491になっていたということでございます。また、30年6月に、神奈川、愛知、大阪に対しても500人以上規模について31年から抽出調査を行う予定であるという旨の連絡をしていたわけでありますが、これについては既に撤回させていただいているということでございます。2番目として、統計的処理として復元すべきところを復元しなかったことについてでございます。そもそも今回については全数調査を行うべきであったわけでありますので、抽出調査をしていたこと自体が問題なわけでありますけれども、その中で、具体的には東京都のみ500人以上で抽出調査が行われたということで、東京都と他の道府県が異なる抽出率となっていたというのは、当然他の道府県は全数であるわけですから、抽出率で言いますと1分の1ということになります。東京は実際には先ほどおおむね3分の1と申し上げましたが、これは産業ごとに数が多い産業については、抽出を例えば2分の1とか3分の1という形で行っていたわけでありますので、そもそも抽出率が異なるということが状況として起きていたということであります。
 ところが、それを集計するに当たっては、その逆数を掛けて母集団を復元するということをやるわけでありますけれども、そういう意味では東京は抽出をしていたにもかかわらず、東京以外のところの1分の1を掛けて復元をすることになっていたがために、復元をされていない集計になっていたことがわかっております。
 また「なお」と書いてありますけれども、「499人以下規模の事業所」についても、21年から29年までについて、一部に異なる抽出率の復元が行われない集計となっていたということでありますが、これについても、ある意味、同様のことが起きていて、一部東京都の抽出率が全国と異なる抽出でとっていたのですが、集計に当たっては全国一本のものを使ってしまっていたということであります。ただ、こちらはごく一部に起きていたということで、全体を集計するに当たってはウエートが極めて小さかったので、全体の数値に及ぼす影響はほとんどないといったことがあったわけであります。
ただ、全体として、やはり東京の500人以上というところの要因によるものでありますが、16年から29年までの調査分の「きまって支給する給与」等の金額が低目になっているという影響がありましたということです。具体的な数値としては、後で再集計値をごらんになっていただくときに確認できるかと思います。3番目の調査対象事業所数についてでございますが、これについては公表資料で示していた対象数よりもおおむね1割程度少なくなっていた状況が、少なくとも確認できた範囲では平成8年以降、このような取り扱いになっていたということでございます。なお、こちらについては、例えば誤差率などは統計調査を公表するときにあわせて公表しておりますけれども、回収率をもとに計算しておりましたので、公表していた誤差率等についてこういった減少が影響を及ぼしていたわけではなくて、正しい数字として公表されていたということでございます。
 3ページ、「公表に至る経緯」ということでございますが、毎月勤労統計調査については、ここ2~3年、統計調査の見直しの中においていろいろ議論された経緯がありまして、そういった中で去年平成30年の1月から調査方法を、それまで2~3年に1回丸ごとサンプルを入れかえるという方式から、毎年部分的に入れかえるいわゆるローテーション・サンプリングという方式に切りかえて実施していたわけであります。そのタイミング以降、昨年の夏に報道されたことがありましたけれども、調査方法を変えて以降、毎月勤労統計調査の給与が高目に出ているのではないかという議論があって、それを分析したところ、同じタイミングでいわゆるベンチマークといっていますが、復元する上での母集団を平成21年の経済センサスから平成26年の経済センサスに更新するということもあわせて行っていて、その影響が大きく出ていたことが、分析の結果、わかったわけであります。
 そういったことについての対外的な説明が厚生労働省として不十分であるという御指摘等、これは統計委員会からいただいていた経緯がありまして、そういった中で、さらに毎月勤労統計調査の精度向上等の改善を図っていくということで、引き続き継続的に取り組んでいたわけであります。
 そういった中において、統計委員会から全数調査であるはずの「500人以上規模の事業所」において、平成29年と30年に数値の不連続があるという指摘があって、その原因を精査したところ、抽出調査としていたということがその原因であった、しかも、抽出調査していたにもかかわらず、やるべき復元がなされていないことによるものであったことがわかったわけであります。それを13日の統計委員会の委員長、総務省との打ち合わせの場において説明させていただいたところ、統計委員長のほうから全数調査でないのは大きな問題ではないかという御指摘をいただいて、さらに調査を行ったところ、先ほど御説明したような2の取り扱いが確認されたということで、今回、公表に至ったということであります。
 なお、注にも書いてありますけれども、そういう取り扱いについては、現場の担当職員はわかっていたはずだという議論がある中で、組織全体として共有されていなかったという課題も改めて明らかになっているということでございます。
続いて、4番目「今後の対応について」ということでありますけれども、そういう意味では公表されていた毎月勤労統計調査の数値、平成16年から29年までは復元ができていなかったわけですので、本来あるべきは全数調査ということですが、過去にさかのぼって行うのは物理的に不可能である中で、せめて統計的にあるべき姿ということで言えば、復元をして、望ましい母集団を推計していくということであるわけであります。それについて取り組み、必要なデータ等を過去にさかのぼって集めたところ、結果的には物理的に平成24年以降については復元が可能であったので、それを集計いたしまして、このたび「再集計値」として公表させていただいたということで、「きまって支給する給与」についてページで言いますと5ページ、別添1のとおり、金額ベースですが、数値を公表させていただいているということでございます。
 これを見ますと、平成24年から平成29年の間において、毎月どのような乖離が起きているのかを示しておりますが、これは平均で見ますと0.6%ということがわかっています。そういう意味では、復元の有無による差は金額ベースではそういう形で生じていたということであります。
 なお、この数字の平成30年におきましては、先ほど申し上げたローテーション・サンプリングを導入したときに、30年からは復元する形になっていたので、そこについてはお互いに復元された同士の数字ということで、それまでの差よりも小さくなっているのはそういったことだと考えているところでございます。
 という状況でございますが、この数値については今後も公表していくということと、平成16年から23年までの間は、残念ながら物理的にこういうことができなかったということでありますので、これまでの公表数値についても継続性という観点から引き続き公表させていただこうと考えているところでございます。
 また、(2)のところにありますけれども、今後については「500人以上規模の事業所」の全数調査に向けて、できる限り早急に適正な取り扱いとなるようにしたいと考えております。当然ですが、過去の詳細な経緯を調査して、適切な再発防止策を検討して講じていきたいということでございます。
 (1)の最後に統計委員会に報告する予定と書いておりますが、本日の午前中に統計委員会が開催されまして、そちらで今回の取り扱いについて報告をさせていただいたところでございます。関連するのでそこでの議論をかいつまんで御報告申し上げると、一つは東京都の500人以上の全数調査は可及的速やかに全数調査に復帰するようにと言われております。また、標本数の差についても、これも復帰をするようにと言われているところでございます。
 先ほど御説明した再集計値につきましては、統計調査としてはあるべき復元が行われていたわけでありますので、これまでのものよりは標本の偏りが少なく、現状を踏まえたベストエフォートのものであるということであります。ただ、本日御説明させていただいた資料は少し情報不足であるというご指摘を受け、次回の統計委員会に引き続き資料を追加で報告を求めるということもあわせて言われておりますけれども、そういうことも踏まえながら、この再集計値という形で公表させていただいたものを今後、毎月勤労統計調査の主要な公表系列にしていくべきだということもいただいておりますので、それも踏まえて今後対応を考えていきたいということでございます。
 4ページ、今回の事案に伴いまして、平成16年以降、雇用保険、労災保険、船員保険の給付を受給した方の一部及び雇用調整助成金などの事業主向け助成金を受けられた事業主の一部の方に対して、追加給付が必要になったということでございます。それを踏まえて、再集計できなかった平成16年から平成23年の期間をどうするかについては、「毎月勤労統計調査を基礎として加工し」と書いてありますが、「給付のための推計値」を作成して、これは6ページにありますけれども、別添2のとおり公表させていただいております。
 考え方としては、先ほど別添1でお示しした再集計値、平成24年から29年の期間における平均の差が0.6%、乖離が0.6%ということがありましたので、それを活用しまして、平成16年、復元が行われていなかった年に、その乖離幅の平均を公表値に加える形にしまして、それ以降、平成17年から平成25年3月までの期間、公表値の伸び率に合わせて集計するといったものを今回計算させていただいて、給付のための推計値ということでメルクマールとして御活用いただくことを考えて出させていただいたものでございます。
いずれにしましても、今回の事態を踏まえて適正な統計調査を、改めて実施に向けて、原因究明等も含めて、再発防止も含めてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○鎌田部会長
 それでは、今、御説明いただいた件につきまして、御質問、御意見がありましたら御発言ください。小林委員、どうぞ。

○小林委員
 このプレス資料の内容について、2点確認させてください。
 2ページにあります確認された事実についてですが、(1)のところで、一部抽出調査については、当初の計画と異なる手法であって、(2)のデータの復元については、報道資料を読む限り、データを復元していれば問題がなかったかのような印象を受けるのですが、復元すること自体もルール違反ではないのかと感じているのですが、この辺はどうなのでしょうか。
 もう一点、(3)の調査対象事業所数について、公表資料よりも概ね1割程度少なかったとありますが、これについては東京都の事業所数のことを指しているのでしょうか。それとも、全国の事業所数を指しているのか、この辺を確認したいと思います。よろしくお願いいたします。

○鎌田部会長
 それでは、お答えをお願いします。

○中井政策統括官付参事官 
 ありがとうございます。
 最初の点につきましては、そもそも全数調査を行うことを公表資料で明記しておりましたし、また、平成30年からの調査実施に際しては、申請書類の中に規模500人以上は全数調査を行うことが明記をされている。それをもとに統計委員会の諮問、答申を得て承認をいただいたということでございますので、そういったことと反することを行っていた行為そのものが問題であるということで、全体として今、いろいろな調査をやって整理中ではありますけれども、そういう評価であります。
そういった中で、復元ということについて言えば、先ほどもせめてという言い方をしましたけれども、本来は全数調査で行うべきところ、過去行われていなくて、しかも復元されていなかったことはそもそも問題というときに、全数調査に戻せないという中において、認められていないものをやったという問題はずっと残るのですけれども、それを逆に抽出調査をして復元しないまま放置していることのほうが問題と。母集団に近づけて適正な統計数値として出すという観点から、それ自体が問題であること、むしろそちらのほうが問題視されていて、そこは統計委員会からも同種のことを御指摘いただいているので、今回24年からでありますけれども、復元した形で再集計を行って公表したということのほうが、統計的にはベストエフォートという言葉を使っていただきましたけれども、望ましいので、そちらを主要の公表系列に変えていくべきだと御指摘をいただいております。
 そういう意味で、統計学的な観点も含めて、統計調査を仮に抽出調査、サンプル調査で行っているならば、母集団を復元して結果を作成するのはある意味当たり前というか、やらないほうが問題であるという整理をさせていただいているものということで御理解いただければありがたいということでございます。
 調査対象事業所数については曖昧な記述で申しわけなかったのですが、これは東京都限定ではなくて全体のことを示しております。具体的に申し上げると、平成30年は調査計画上は調査対象所数は3万3200ということを公表していたところでありますけれども、実際の調査を実施した数が3万297というのが実績ベースでございまして、こういった差が各年生じていたことについても、なぜそういうことが起きていたかは、今、いろいろなことを調査しているのですが、その調査項目の一つに挙がっているということでございます。

○鎌田部会長
 追加でありますか。どうぞ。

○小林委員
 追加といいますか、国の政策の判断などにも非常に重要な調査資料だと思いますので、ぜひとも厚生労働省の信用回復に向けて組織を挙げてこれから取り組んでいただきたいと思っております。
 以上です。

○鎌田部会長 
 御意見ということですね。ほかにございますか。
 清家委員、どうぞ。

○清家委員
 3時からの雇用保険部会でも御質問、意見させていただいた点と重ならないところで幾つか確認をさせていただきたいのですが、今もお話がありましたけれども、再集計値について、復元可能な24年以降については統計委員会のほうでもベストエフォートだと。ただ、情報不足なので改めて対応してほしいということだったとのお話ですが、さかのぼることができない16年から23年については、結局どの数字が毎月勤労統計上の「きまって支給する給与」という扱いになるのか、念のため確認をさせてください。
 もう一点は、原因究明、再発防止という点、繰り返しおっしゃっておりますが、今後厚労省さんとしてどういった体制でそれを進めていくのか。省全体としてということもありますし、統計部局さんとしての対応もあろうかと思いますので、御教示いただければと思います。

○鎌田部会長
 それでは、お願いいたします。

○中井政策統括官付参事官
 平成16年から23年についての「きまって支給する給与」ということでございますが、今回の追加給付を検討するに当たっての数値ということで出させていただいたのが給付のための推計値ということでございますので、これを活用していただくという話になっております。
 一方で、統計数値ということで言えば、現状を申し上げると、そこの部分が東京の500人以上が復元されていない数値が公表数値となっているわけでありますけれども、時系列という観点から、それはどういう性格の数値であるかということをきちんと説明した上で、継続的に公表していくことをやらざるを得ないというのが現状で、そういう意味でも本当に申しわけなく思っております。

○清家委員
 そうすると、今のお話で行きますと、平成16年から23年については、今の数字に注記というものが入って、そのまま毎月勤労統計上は残るという受けとめでよろしいですか。

○中井政策統括官付参事官
 どういう性格の数値かは注記した上で、時系列で数値を見ていくという観点から、そこは継続的に残させていただければと考えているところでございます。
 失礼しました。そこに限定ではなくて、継続的という意味でいえば、そこの期間も含めた数値として公表しておりますので、そういった意味ではこれまで公表させていただいた数値、指標につきましては、先ほど申し上げたような点があることを明記した上で公表を続けていくということでございます。
 原因究明に向けた体制ということでございますけれども、これについては現在、外部の方に入っていただく形でチームが設けられておりまして、そちらのほうに実際に今回の事案について関係者の聞き取りも含めて究明していただくとともに、そこで明らかになった問題点をどう改善していくかという観点で、再発防止策も含めて、そちらのほうで考えられると考えておりますけれども、我々統計を作成している部局についても、みずからの問題として捉えて、再発防止という観点から、そこで出されたことも含めて考えてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

○鎌田部会長
 よろしいですか。ほかにございますか。志賀委員、どうぞ。

○志賀委員
 今、再発防止策というお話があったのですが、この3.公表に至る経緯のところで、一部の職員は指摘を受ける前に認識していたけれども、共有ができていなかったというような文面があるのですが、なぜ共有ができなかったのかというところも含めて再発の防止に取り組んでいただければと思います。

○鎌田部会長
 御意見ということでよろしいですか。
 何かコメントがあればお願いします。

○中井政策統括官付参事官
 おっしゃるとおりで、こういう話が出てくると、組織のガバナンスとか、風通しとかといった問題もあわせて指摘をされるわけでありますので、そういった観点、特に問題意識を持って取り組んでいきたいと思います。

○鎌田部会長
 ほかにございますか。村上委員、どうぞ。

○村上委員
 ありがとうございます。先ほど雇用保険部会で申し上げた点は繰り返しませんけれども、政府統計は厚生労働省だけでなく、各種、ほかの省庁でもございますので、この場で申し上げるのは適当かどうか分かりませんが、いま一度、ほかの省庁におかれても検証を行うことが必要ではないかと考えているところであります。
 その上で、統計法の改正なども含めて、行政への監督強化の仕組みを導入していくことも再発防止に向けては必要かもしれませんので、その点もあわせてさまざま御検討いただければと思っております。以上です。

○鎌田部会長
 コメントはありますか。どうぞ。

○中井政策統括官付参事官
 ありがとうございます。
 統計調査全般について、政府全体での見直しというもの、これは一部報道で出ているかと思いますけれども、今回の問題を深刻に捉えている中において、全省的にそこは行っていく形になっていますので、厚生労働省の中でも毎月勤労統計調査以外の統計調査についても、これを機にしっかり点検していきたいと考えております。
 また、再発防止策、具体的にどう行っていくかについても、今、検討されているという話は先ほどからもさせていただいておりますけれども、これについては内向きな話ではなくて、きちんと統計調査という観点で言えばユーザーの方々の目もありますし、外部に専門家、有識者の方がいらっしゃるので、そういった方々の目とか知見とかもいただきながら統計調査をつくっていくという観点が今回の点では弱かったのではないかとも考えておりまして、そういう御指摘の観点も含めて考えていきたいと思います。

○鎌田部会長
 それでは、ほかにございますか。よろしいですか。
 それでは、次に、雇用調整助成金についてであります。資料について事務局から御説明をお願いいたします。どうぞ。

○河野雇用開発企画課長
 資料2をご覧いただけますでしょうか。先週11日に公表を行ったものでございますけれども、今ほど担当部局に御説明いただきました毎月勤労統計調査の影響によりまして、平成16年以降に雇用保険等の給付を受給した方の一部及び雇用調整助成金など事業主向け助成金を受けた事業主の一部に対し、追加給付が必要になっております。
 以下、本部会にかかわる助成金等につきまして、資料2を用いて御説明させていただきます。
 2ページ、「追加給付の対象となる可能性がある方」でございます。(1)雇用保険関係のところに記載がございます、一番最後の部分でございますが、労働施策総合推進法に基づきます「就職促進手当」でございます。また、(4)にございます事業主向け助成金でございます。「雇用調整助成金」の支給決定の対象となった休業等期間の初日が平成16年8月から平成23年7月の間であったか、平成26年8月以降であった事業主等が追加給付の対象となる可能性がございます。詳細は後ほど御説明をいたしたいと思います。
続きまして、2番の「追加給付の概要」のところでございます。追加給付の計算につきましては、今ほど説明のありました「再集計値」及び「給付のための推計値」を用いて行います。
 (2)のところでございますが、追加給付等の給付費等の現時点での見通しでございます。3ページ、雇用調整助成金等につきましては、対象件数延べ約30万件、給付費約30億円と見込んでおるところでございます。
 概略は以上でございますけれども、詳細は資料3で御説明したいと思います。
 1ページ、まず、影響を受けます制度につきまして御説明をいたしたいと思います。
 雇用調整助成金でございますけれども、概要のところにございますように、景気の変動などの経済上の理由によりまして、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練等により、労働者の雇用の維持を図った場合に、それにかかりました費用を助成する制度でございます。
 一番下の箱にございます助成内容のところをご覧いただきますと、休業手当、教育訓練の際の賃金等の一部を助成するということで、赤字で書いてございますけれども、雇用保険基本手当日額の最高額を日額上限としているところでございます。
支給実績につきまして、恐縮ですが4ページをご覧いただきますと、一番右の欄に「雇用調整助成金」ということでお示しをいたしておりまして、平成16年度以降、直近までの支給実績を記載させていただいております。平成21年度が直近ではピークになっております。6536億円の支給実績がございます。平成29年度は27億円の支給実績が出ております。
 お戻りいただきまして、2ページ、影響を受けます制度の2点目、職業転換給付金制度でございます。この制度は労働者に対する職業転換等への援助等を目的といたしまして、給付金を支給する制度でございます。今回影響を受けますのは就職促進手当でございまして、マーカーを引いておりますように、現在3,976円から5,820円の日額で給付をしておるわけでございますけれども、これは雇用保険の賃金日額、毎勤の平均給与額の変化率等を参考に下限額、上限額を設定いたしておるものでございます。
 恐縮ですが、これも4ページをもう一度お開きいただきまして、右から2段目にお示しをしております。支給実績といたしましては、直近平成29年度で2億円となっているところでございます。
 制度概要は以上でございますけれども、3ページ、改めて雇用保険の給付に関しまして、毎勤の今般の事案で影響が出ることについて御説明をいたしたいと思います。
 一番上の四角囲みの2番目のマルをごらんいただきまして、雇用保険の賃金日額には上限・下限、適用される給付割合の屈折点がございますけれども、これは法改正の際に、賃金構造基本調査のデータに基づきまして法律に規定をされるものでございます。その上で、毎月勤労統計の労働者の平均給与額の変化率を用いてスライドをさせています。今般、毎勤の上方修正がございますと、それぞれの額が上方にスライドをするということで、影響を受けるというものでございます。
 5ページ、雇用調整助成金等の影響について整理させていただいております。まず左の欄、雇用調整助成金でございますけれども、今ほど御説明いたしましたように、1人1日当たりの雇用保険の基本手当日額の最高額を限度といたしておりますので、そこに影響が出てくるということでございます。
 また、右ほどでございますけれども、就職促進手当に関しましては、その日額の算定に関しまして、最低額等を毎勤によりスライドをさせております。また、支給対象者が自己の労働によって収入を得た場合の控除額についても同様でございますので、影響が出てまいります。
 加えまして、下の※に付しておるところでございますけれども、このほか、育児・介護雇用安定等助成金、中小企業人材確保支援助成金、建設雇用改善助成金につきましても、支給額の算定に当たりまして、雇用保険の基本手当の日額の最高額等を使用しておりますため、追加支給の対象になります。これらの助成金に関しましては、影響は大きくないと見込んでおります。
続きまして、追加支給の基本的な方針につきまして、資料2にお戻りいただきまして、御説明を申し上げます。
 3ページ、「基本的対応方針」ということで記載をさせていただいております。これはどの給付、どの支給に関しても同様でございますが、国民の皆様に不利益が生じることのないよう、平成16年以降、追加給付が必要となる時期にさかのぼって対応をいたします。
一番上のマルのところでございますけれども、住所等の確認など、正確な支給のための最低限の準備を経まして、対象者の特定、給付額の計算が可能なケースから、できる限り速やかに順次追加給付を開始することを予定いたしております。
 雇用保険等、保険の部分に関しましては、追加給付のためのシステムの改修が必要となっておりますけれども、事業主向け助成金、就職促進手当に関しましては、その支給、給付につきまして、システム管理は行っておりませんので、手作業による追加支給、追加給付の事務となります。
 労働局に関係書類が残っている事業主や労働者の方、これは具体的には行政文書の保存期間によりまして、平成25年度以降に支給決定を受けた場合となりますけれども、まず手作業により事業主、労働者の方を特定いたしまして、追加支給額のお支払いを御連絡することといたしております。
 これらの関係書類が残っていない場合、具体的には平成24年度以前に支給決定を受けた場合となりますけれども、その場合につきましては、そこに記載がございますように、ホームページ等を通じまして追加給付、追加支給の可能性がある時期をお示しいたしまして、お申し出を呼びかけ、お申し出をいただいて、必要な確認を行った上で、追加支給、追加給付を行うという流れを想定いたしておるところでございます。私からの説明は以上です。

○鎌田部会長
 どうぞ。

○中井政策統括官付参事官
 話が戻って恐縮です。本来御報告すべき点を漏らしておりましたので、追加させていただければと思います。
先ほど給付のための推計値の御説明をさせていただいたときに、この推計値について、統計委員会でもコメントをいただいておりますのを紹介すべきところが漏れておりました。給付のための推計値については、政策の迅速な実施のための一定の仮定による推計であり、政策担当者の責任において行われるものであるというコメントをいただいているのを、本来、先ほど申し上げるべきところを申し上げていなかったということでございます。申しわけございません。
以上でございます。

○鎌田部会長
 ありがとうございます。
 それでは、今、追加で御説明いただいたものも含めまして、御質問、御意見がありましたら、どうぞ自由に御発言ください。紺谷委員、どうぞ。

○紺谷委員
 まさに本日の対象になっております就職促進手当の関係ですけれども、たまたま私はこの駐留軍関係離職者の属する駐留軍等労働者で組織する労働組合の代表をやっています。駐留軍関係離職者に関しましては、私ども労働組合と基地が所在する都県とで共同出資をして法人を立ち上げております。厚労省の認可をいただいて、再就職のための無料職業紹介ですとか、職業訓練ですとか、そういった相談事業等も行っておりますので、当然のごとく、この就職促進手当の支給に関する手続についても非常に深くかかわっておりますので、いろいろな資料はその法人ですね、センターと呼んでおりますけれども、そこで保管されている可能性が高いと思います。また、継続して相談事業、巡回相談等も行っておりますので、ぜひ追加支給に関する周知等、手続についても最大限御協力をさせていただければと思っております。
 そのための説明資料もしくは周知のためのリーフといった資料をいただければ、最大限協力をさせていただきたいと思っておりますので、ぜひ御検討のほう、よろしくお願いします。

○鎌田部会長
 何かこのお申し出についてコメントはございますか。

○河野雇用開発企画課長
 大変ありがたいお申し出でございまして、感謝申し上げます。
 先ほど御説明申し上げましたように、私ども行政のほうで保存していない期間が非常に長期間ございますので、特にその間を中心にいろいろな御協力をいただきながら、追加給付の対象になる方々に対しまして、周知を含めて連携してやらせていただければありがたいと思っております。ありがとうございます。

○鎌田部会長
 それでは、ほかにございますか。松浦委員、どうぞ。

○松浦委員
 2点ございまして、1点がお願いと、1点が質問なのですけれども、一つは、ほかの部会等でももしかすると意見されているのかもしれないのですが、今回追加払いということなので、作業も全般的に時間がかかる、労災なども含めると時間がかかると認識しています。こういうニュースになりますと、振り込め詐欺ではないですけれども、相談に乗りますよとか、そういった悪質な業者などが出てくる可能性は十分あるのかなと思っております。支給対象者が事業主という助成金もありますが、中小企業ということになれば個人と同様だと思いますので、個人のみならず中小企業を対象に、2次災害ではないですけれども、そういうところまで目を配って対策をとっていただいたほうがいいのかと思っております。それが一つ、お願いです。
 もう一つは質問となりますが、資料2にある基本対応方針の基本的な考え方として、「国民の皆様に不利益が生じることのないよう」という記載があります。不利益が生じることがないように追加給付をしますということなのですが、その不利益の中にはいわゆる機会損失も入っているのかどうか。すなわち、民間企業においてこのようなことが発生すると、商法の5%なのか、民法の6%なのかは別として、法廷利息にもとづいて支払うケースが多いと思っています。本件において、いわゆる機会損失、本来であれば5、6年間に受け取れていたものが支払われていないということになれば、その機会損失、遅延利息についてはどのような対応になるのでしょうか。以上です。

○鎌田部会長
 それでは、お願いします。

○河野雇用開発企画課長
 今、御意見として頂戴しました1点目のいわゆる振り込め詐欺といったことに関しましては、ホームページにも載せさせていただいておりますし、今回、資料2の5ページにも、私どもから直接お電話することはないということで記載をさせていただいておりますけれども、今後ともこのような被害が生じることのないように取り組んでまいりたいと思っております。
2点目、不利益の部分に機会損失といったような遅延利息という言葉もございましたけれども、そのことに関しましては検討中でございます。以上です。

○鎌田部会長
 よろしいですか。清家委員、どうぞ。

○清家委員
 1点御質問させてください。先ほど事業主向けの助成金のところで、システム上の管理がなされていないということのお話がございました。24年以前については事業主の方からのお申し出ということだったのですが、横紙の資料3の4ページを拝見しますと、まさに24年以前、とりわけ21年以降、非常にたくさんの件数、支給額もありますので、周知の仕方も含めて、なかなか申し出といっても、いろいろな立場の事業主さんもおられます。ホームページ等だけでは届きにくいケースも想定できるかと思います。私ども経済団体も含めて、多様な形で周知できるように厚労省さんでも音頭を取っていただいて、まさにここに書かれていますように不利益が生じることのないようにお願いしたいと思います。
 それから、今後の検討課題と思うのですが、助成金に関して、紙、手作業、そういう人海戦術を今後もずっと続けるのが果たして効率的なのか疑問に思っております。システム管理の是非も含めて、今後の課題ということでテークノートいただきたいと思います。以上です。

○鎌田部会長
 どうぞ。

○河野雇用開発企画課長
 1点目、周知ということに関しましては、私どもとしても非常に大きな問題意識を持っておりまして、事業主団体の皆様でありますとか、業界団体の皆様、あらゆる手段を通して連携をさせていただきながら、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 2点目、御指摘いただきました助成金等の支給に関しまして、紙媒体での管理であることに関しましては、それぞれの助成金の規模が違ってまいりますけれども、一定程度雇用調整助成金のように景気変動によってはかなり大きなものが出るものに関しましては、今後の管理のあり方につきまして検討してまいりたいと思っております。以上です。

○鎌田部会長
 ほかにございますか。
 それでは、特になければ、本日、御意見があった点を踏まえ、厚生労働省において現に給付対象の方及び支給対象事業主の方を含め、しっかりと対応していただくようお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、予定されている議題は以上で終了いたしましたので、本日の部会はこれで終了といたします。
 本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、部会長のほか、2名の委員に署名をいただくことになっております。つきましては、労働者代表の小林委員、使用者代表の清家委員にお願いしたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。
 
 

(了)

 

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