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2018年11月9日 第82回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

○日時

平成30年11月9日(金) 13:30 ~ 15:00

 

○場所

厚生労働省 職業安定局第1・2会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2
合同庁舎5号館 12階 公園側

○議事

○  鎌田部会長
 それでは定刻となりましたので、只今から第82回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、当部会に所属する委員の交代がありましたのでご報告いたします。小保方委員に代わりまして、損害保険労働組合連合会事務局長の松浦委員が就任されております。一言ご挨拶をお願いできますか。
 
○  松浦委員
 損保労連の松浦です。宜しくお願いいたします。
 
○  鎌田部会長
 はい、宜しくお願いいたします。
 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の桑村委員、酒井委員、労働者代表の小林委員、使用者代表の渡辺委員、遠藤委員がご欠席というふうに連絡を受けております。
 はじめに事務局からご挨拶があります。宜しくお願いします。
 
○  土屋職業安定局長
 職業安定局長の土屋と申します。どうぞ宜しくお願い申し上げます。本日は委員の皆様方に大変お忙しい中お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。外国人労働の関係につきましては、本年1月に私共が公表しております、昨年10月末の時点での我が国で就労している外国人労働者の方の数というのは約128万人ということで、過去最高を、更新をしているという状況にございます。こうした中で、政府全体として、この7月に外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議というものを、開催をしておりまして、外国人の方々との共生社会の実現に向けた環境整備が必要という認識の下で、これまでの取組みの拡充などを検討するということにしているところでございます。
 外国人労働者の方につきましては、労働関係法令、あるいは社会保険関係法令、これが日本人の労働者と同様に適用されるものでございますけれども、日本語能力であるとか、あるいは我が国の雇用慣行に対する理解の不足といった点から、あるいは在留資格による様々な活動制限といった点から、雇用管理という観点からみますと、なお一層配慮が必要だという場合があるわけでございまして、その観点から労働政策総合推進法に基づいての指針を策定し、ハローワークでも周知指導を行っているところでございます。
 この指針につきましては、これも労働社会保険関係の適用等の手続きに関して、事業主の方が講ずべき措置を定めているところでございますけれども、先ほどご紹介申し上げましたように政府全体としての取組みを進める中で、増加している外国人労働者の方々が、我が国で十分に能力を発揮していただいて、我が国における就労が魅力あるものとなるような環境整備ということに資するように、この指針の見直しを行いたいというふうに考えているところでございます。
 このような問題意識の下で、今日皆様方にご議論いただくということでお集まりをいただいたところでございます。是非積極的なご議論をいただきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 
○  鎌田部会長
 はい、ありがとうございます。
 それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。どうぞご協力宜しくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。
 まず議事ですが、外国人労働者の現状についてご議論いただきます。資料について、事務局より説明をお願いいたします。どうぞ宜しくお願いします。
 
 
○  吉田国際労働力対策企画官
 外国人雇用対策課企画官の吉田と申します。宜しくお願いいたします。座って失礼いたします。
 今お手元のタブレットのほうですが、ちょっと資料の格納場所がですね、若干混乱をさせてしまってるかもしれませんが、資料1という方をお開きいただければと思います。資料一式というものが映ってるかと思いますけれども、そちらだと綺麗に映りませんので、資料1という方を開いていただければと思います。宜しくお願いします。
 資料1に基づきまして、外国人労働者の現状についてご説明させていただきます。
 まずは1ページ目でございます。こちらは法務省の資料でございますが、総在留外国人数と我が国の総人口に占める割合の推移というチャートをご用意しております。左側のブルーの棒グラフが総在留外国人数ということでございまして、その下にある注2のとおり、中長期在留者、基本的には3ヶ月以上在留している方と、特別永住者を加えた在留外国人の数ということで法務省の方で把握しているデータでございます。こちらは足元の平成29年で256万人ということになりまして、右肩上がりで我が国に在留する外国人の方が増えているという状況でございます。
 右側のオレンジの棒グラフでございますが、こちらは国際比較ということで、総人口に占める外国人の割合を、若干古いものではありますが、平成26年で比較したものでございます。これを見ていただきますと、欧米の国に比べまして、我が国は2%を下回る1.7%ということで韓国よりも低いという状況になってございます。
 続きまして2ページでございます。入管法上の在留資格というスライドでございます。我が国に入るためには、法務省入国管理局の方で在留資格というものを一人ひとり与えられた上で外国人の方が入ってくるということになってございます。この中で就労が認められる在留資格というものが、左側のブルーで色付けしてる在留資格でございます。外交、公用から技能実習までございます。基本的にはここで認められた在留資格のその目的である活動を行うということで入ってこられますので、活動制限ありというふうになってございます。
 続きまして右側の緑のところでございます。こちらは身分・地位に基づく在留資格ということでございまして、例えば永住者。我が国で10年以上就労されている場合には、永住許可を申請出来まして、これが認められた方は永住者というステータスになります。また、日本人の配偶者等ということで、日本人と結婚された外国人の方、そのお子さん、あるいは永住者の配偶者等ということで、永住者と結婚された方やそのお子さん、あるいは定住者ということで日系人の方々がこの緑色の部分、身分・地位に基づく在留資格というところに入ってきまして、こちらの方々は就労について特段制限がないということで活動制限なしの在留資格になってございます。
 次の水色の部分でございます。これは特定活動という在留資格でございますが、これはここに記載されているように外交官の家事使用人であったり、ワーキングホリデーなどであったり、様々な在留資格がございまして、これは法務大臣がそれぞれ定める活動を行う場合にこの在留資格が与えられております。
 また右の一番下のオレンジの部分でございますが、基本的に就労が認められない在留資格ということで、例えば観光客であったりとか、留学だったり、家族滞在の方という方がいらっしゃいます。この場合、米印にありますとおり、資格外活動許可を受けた場合は一定の範囲内の就労は認められるということでございまして、週28時間以内の就労が、個別に許可を受ければ行うことができるということでございます。
 次に3ページでございますが、今ご紹介した在留資格ごとにどれだけの方が働いているかということを私共の外国人雇用状況届のデータで見たものでございます。これによりますと、平成29年の10月末現在で127万9千人、約128万人が我が国で働いているということになってございます。先ほどの在留資格の分類別で申し上げますと、マル1の就労目的で在留が認められる方というのは先ほどのブルーの部分で技能実習以外の方々になります。これが23万8千人。続きまして、先ほどのスライドでいうと緑色の部分の身分に基づき在留する方が45万9千人。技能実習が25万8千人。特定活動が2万6千人。そしてアルバイトなど資格外活動が29万7千人というふうになってございます。
 次は4ページでございますが、今ご紹介しました在留資格別に働いてる方の推移をみたものでございます。右側が29年、2017年の状況で127万9千人。10年前、2008年は、これが50万人を下回っていたということで、48万6千人でございました。近年大幅に増えておりますのが、ここの真ん中、ピンク色に塗られている資格外活動と黄色の技能実習でございます。そのほかの専門的・技術的分野の在留資格や身分に基づく在留資格につきましても、それぞれ18.6%、11.1%だったり、どのカテゴリーでも増えているという状況でございます。
 続きまして5ページでございます。同じ数字、データを国籍別にみた場合でございます。10年前は赤いところ、中国の方が多かったということでございます。現在も中国の方が一番多いわけですけれども、国籍が非常に多様化してるということが見て取れます。特に増え方が大きいのが、真ん中のピンク、ベトナムのところでございます。また、昔はほとんど色が見られなかったグリーンのネパールの方々も最近増えてきているという状況でございます。
 次の6ページでございますが、今ご紹介しました国籍と在留資格をクロスしてみたデータということでございます。国籍で一番多いのは中国の方でございまして、37万人いらっしゃると。で、中国の方は、マル1の専門的・技術的分野、マル2の身分に基づく在留資格、マル3の技能実習、そしてマル5の資格外活動と大体9万人前後で、どの分野もそれぞれ同じ程度の数の方がいらっしゃるというようになってございます。
 次は韓国でございますが、韓国の方は5万6千人程度いらっしゃいまして、マル1の専門的分野とマル2の身分に基づく在留資格、そして資格外活動が多いという状況になっております。
 フィリピンの方は約15万人いらっしゃいまして、3分の2がマル2の身分に基づく在留資格ということになってございます。ベトナムの方は24万人ぐらいいらっしゃるわけですけれども、ベトナムにつきましてはマル3の技能実習が10万人。そしてマル5の資格外活動が10万人と、このふたつがほとんどを占めているという状況です。
 ネパールは7万人程度いらっしゃる中で、そのほとんどがマル5の資格外活動ということになっております。
 そしてブラジルとペルーは、身分に基づく在留資格がほとんどということで、国籍によりましてその在留資格の、どの在留資格が多いかというのも非常にバラエティに富んだ状況になってございます。
 7ページ目ですが、こちらは事業所の数の推移でございます。労働者の数ほどではありませんが、近年も2万事業所ペースで増えておりまして、過去最高ということで、現在19万事業所で外国人が雇用されているという状況でございます。
 そして14ページ、15ページでございます。こちら法務省の資料になりますが、近年の外国人労働者受入れに係る取組みということで、在留資格が、様々拡充されてきたというものを表しております。一番上が高度人材ポイント制ということで、経済成長等への貢献が期待される高度な能力を持つ方については、出入国管理上優遇措置を実施するということでありまして、これは語学能力でありますとか、資産などを点数化して、その点数に応じて例えば永住までの期間が短くなったりとか、そうした優遇をするという制度でございます。
 次が介護に従事する方々ということで、介護福祉士の国家資格を有する方を対象に、新たな在留資格として、介護という在留資格が昨年の9月に創設されました。
 3番目は建設及び造船分野における受入れということで、こちらはオリンピック・パラリンピックの建設需要に対応するということで建設分野と、そしてそれと関連が非常に高いとわれている造船分野において、緊急かつ時限的な措置として受入れが行われているものでございます。
 次のページが特区による受入れでございまして、一番上が京料理、次が家事支援外国人。で農業、クールジャパンということで、地域と分野それぞれ限定した形での受入れというのが近年行われているということを示しております。資料1については以上です。ありがとうございます。
 
○  鎌田部会長
 はい、ありがとうございます。
 それではこの資料1につきまして、何かご質問等がありましたらご発言をお願いしたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。はい、どうぞ。
 
○  玄田委員
 ご説明ありがとうございました。一応確認させていただきたいんですけど、以前こういう外国人労働者の議論をする際には、必ず不法労働といいますか、法律的に認められない就労というのが深刻視された時代があったかと思います。今回の資料の中では特にその点については言及がありませんでしたが、もう今はそういう問題というのは、当初この問題を考える上では考慮しなくてもよいというふうな認識でよろしいのか、それとも一部ではあったとしても、我々として認識しておいたような問題があるかどうかということについて確認させていただければと思います。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 ありがとうございます。不法就労のデータにつきましては、今回入管のデータということで準備はしておりませんですけども、元々雇用状況届で報告を提出いただいている趣旨も不法就労の防止ということもひとつの目的としております。そういう意味で私共としては、雇用状況届をしっかり提出をいただいて、在留資格で認められた範囲で適正に就労いただくということは課題だというふうに認識しております。
 データにつきましては今回提出しておりませんでしたので、確認したいと思います。
 
○  鎌田部会長
 他にございますか。はい、村上委員。
 
○  村上委員
 今の議論と同じような話ですが、今外国人労働者というと技能実習生が大変多いですが、技能実習生がいる事業所での労働基準法などの違反件数、割合共に高いと承知しております。しかし、資料1にはその点が特に記載されていません。監督の状況は公表資料もございますので、議論する上ではそういう資料も配布いただいたほうがよいのではないかと思っております。
 
○  鎌田部会長
 事務局どうぞ。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 ご指摘のとおり技能実習につきましては、監督の結果について、年1回取りまとめて公表されております。そちらの資料についても準備できるようにいたしたいと思います。
 
○  鎌田部会長
 それでよろしいですか。はい。他にございますか。それでは次に移りたいと思います。また必要に応じて元に戻っても結構ですので、宜しくどうぞお願いいたします。
 それでは次の議題ですが、「外国人材が活躍できる環境の整備について」であります。事務局からご説明お願いいたします。
 
○  吉田国際労働力対策企画官
 はい。続きまして資料2と資料3に基づきまして、外国人材が活躍できる環境の整備ということで、私共が所掌しております外国人の雇用管理に関するガイドラインを中心にご説明させていただきます。
 資料1でご紹介しましたように、外国人の方、10年前に比べまして非常に数が増えてございます。ただ冒頭の局長の挨拶で申し上げましたとおり、総合対応策というものが7月に、関係閣僚会議で議論されたということでございまして、まずその資料をご紹介したいと思います。
 中ほど「参考」という仕切り紙の次にスライド、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(検討の方向性)概要」という資料が入ってございます。こちらは7月24日に関係閣僚会議、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」というものが開催されまして、そこではピンクのボックスの赤字で書いてありますように「外国人材の円滑な受入れの促進に向けた取組とともに、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備が必要」という認識が示されたというものでございます。
 そして、この検討の方向性について中間的に整理されたものがこの紙でございます。また、これにつきましては年内の取りまとめに向けて政府内で議論するということで、取組みの拡充・具体化を検討するという方向が示されております。
 私共の関係で申し上げますと、こちらの紙は日本語教育でありますとか、行政・生活情報の多言語化とか非常に横断的な取組みが書かれているわけでございますが、我々の関係で申し上げますと、左下の(4)労働環境の改善、社会保険の加入促進等のところから、右上にいっていただくこの黒塗りの、黒枠のボックスのところでございます。適正な労働条件と雇用管理の確保・労働安全衛生の確保ということで、労働基準監督署による労働関係法令遵守の周知や法令違反への厳正な対処です。そしてハローワークによる適正な雇用管理のための事業主に対する相談・指導。そして2つ目は雇用の安定。3つ目が社会保険の加入促進ということが書かれてございます。こうした内容につきまして、特にハローワークにおいて、適正な雇用管理のために事業主に対して相談・指導、また助言などをする拠り所としておりますのが、資料3にあります「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」という、長い表題がございますが、外国人の雇用管理指針というものが平成19年に作られております。で、恐縮でございますが資料3を見ていただければと思います。資料3の一番最後のページ、8ページ目でございますが「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」という法律の条文の抜粋がございます。これは雇用対策法と呼ばれていた法律が、先般の働き方改革法の改正で変わったというものでございますが、外国人のこのガイドラインはこちらに根拠を有しております。第7条に「事業主の責務」という条文がございまして、「事業主は」、そのあとちょっとだいぶ飛びますが、「雇用管理の改善に努めるとともに」ということが、この条文の5行目のとこまで繋がっております。外国人を雇用してる場合は雇用管理の改善に努めていただくということ。また、その先でございますが、「離職する場合においては、再就職の援助に関し必要な措置を講ずるように努めなければならない」ということで、事業主の責務がふたつ書かれているということでございます。
 そして次の8条にいきまして、厚生労働大臣は、この7条の規定に関して、事業主が、適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するとしておりまして、その公表された指針がこの資料3のガイドラインというふうになっております。
 そして28条の第2項におきまして、第一号「職業安定機関において、事業主に対して、外国人の有する在留資格、知識経験等に応じた適正な雇用管理を行うことについて必要な指導及び助言を行うこと」ということで、ハローワークにおいて、こうした助言・指導等を行うということが法律で位置付けられているということでございます。
 資料2に、すみません戻っていただきまして、この指針について中身をご紹介させていただきます。1ページ目であります。今ご紹介いたしました指針の趣旨・目的ということを2つ挙げております。1つ目が雇用管理の改善と再就職援助に関して、事業主が適切に対処するために定めたものということでございます。そして2つ目が、ハローワークが外国人材を雇用する事業所を訪問する場合には、本指針に基づいて、必要な助言・指導を行っているというものでございます。
 現行の指針の中身でございますが、左側1から6までで、項目を整理しております。募集・採用の段階から離職まで、一応流れに沿って項目を整理しております。外国人労働者の募集及び採用の適正化というところでは、募集にあたって業務内容や賃金、労働時間、関係法令の適用に関する事項について明示するということ。求人の申込みにあたって国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしないこと。在留資格上、就労することが認められる者であることを確認すること。公平な採用選考に努めることといった内容が定められております。
 2つ目でありますが、適正な労働条件の確保ということで、国籍を理由として賃金、労働時間等について差別的取扱いをしてはならないといったこと。これは労働基準法の3条で書かれている内容をそのまま取り込んだものでございます。次が主要な労働条件について外国人労働者が理解できるよう、その内容を明らかにした書面を交付するということで、法律でも労働条件の明示ということがございますが、ここではさらに外国人の方が理解できるようにその内容を明らかにするということをこの指針で具体的に事業主の方にお願いをしているというふうになっております。そして、適正な労働時間の管理を行うほか、外国人労働者の旅券等を保管しないようにするということが定められております。
 3つ目の安全衛生の確保でございますが、外国人労働者が理解できる方法で安全衛生教育を行うこと。法令は安全衛生教育を行うということでございますが、こちらでも外国人労働者が理解できるということを強調した形で定めております。そして労働災害防止のための指示などを理解できるよう、必要な日本語及び基本的な合図等を習得させること。それから健康診断を行うことといった内容が盛り込まれております。
 4つ目は、雇用保険、労災保険、健康保険及び厚生年金保険の適用ということで、当然社会保険には日本人外国人問わず入っていただきますので、被保険者の手続きを取っていただくというのが規定されております。
 5番目が適切な人事管理、教育訓練、福利厚生などということで、多様な人材が能力発揮しやすい環境整備に努めること。教育訓練の実施や苦情・相談体制の整備、母国語での導入研修の実施などに努めるということが書かれております。
 最後に、解雇の予防及び再就職の援助ということで、これは安易な解雇などを行わないでいただきたいということが書かれておりまして、あとはやむを得ず解雇等を行う場合には、外国人労働者の在留資格に応じた再就職が可能となるように、必要な援助を行うように努めるということが規定されております。こちらが今の指針の意義と主な内容でございます。
 2つ目のスライドでございます。見直しに当たっての視点という、事務局のほうで視点としてこれはどうかというのも提示させていただきました。1つ目の○は、先ほどご紹介しました7月の外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議で示されました「外国人材の受入れ・共生のための総合対応策」におきまして、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備との方針が示されたということが、見直しにあたってのひとつのきっかけというふうに考えております。
 そして2つ目の○でございますが、現在我が国で就労している専門的・技術的分野などの外国人労働者や、これから日本で働こうということを考えている外国人の方にとって、我が国が魅力的な職場であり魅力的な就労先である国となるために、公正な処遇の確保など、多様な人材が安心してその有する能力を有効に発揮できる環境を整備するというのが必要ではないかということで、問題意識として掲げさせていただきました。
 3つ目、米印のところでございますが、近年労働関係法令の改正や在留資格についてもご紹介しましたように多様なものが設けられておりまして、今の指針においてこうした近年の関係法令の動きを取り込んだ対応を行う必要があるのではないかということで、いくつか例示をしております。例えば長時間労働の是正でありますとか、求人情報等の適正化 などについては、これは外国人の方にもわかりやすく、また、外国人日本人問わず、適正にやっていただく必要があるんではないかということでございます。あと国家戦略特区や技能実習制度でもいろんなガイドラインなどが書かれておりまして、こうした中でもこちらの指針に抜けてるものがあるのではないかということで、取り上げさせていただきました。
 以下、参考ということになりますので、説明は割愛させていただきます。以上となります。ありがとうございます。
 
○  鎌田部会長
 はい、ありがとうございます。それでは、この件につきまして、ご質問・ご意見がありましたらご自由にご発言ください。
 
○  紺谷委員
 よろしいですか。
 
○  鎌田部会長
 はい。紺谷委員どうぞ。
 
○  紺谷委員
 実例を挙げた上で意見を申し上げたいと思います。私が労働組合の役員を務めている職場というのは、在日米軍基地の関連の職場です。現在、外国人としては、アメリカ人だけではなくて、31ヶ国の外国人、外国籍の労働者がおります。特にサービス業を中心に外国人の方がいるのですが、共通のコミュニケーションのプラットフォームとしては、米軍基地ですから英語であり、英語ができることが採用条件になっています。当然日本人も含めて、会話でのコミュニケーションは英語で取れるのですが、例えば、これから必要になるであろう年末調整の書類や、扶養届といった公的な書類は、全部難しい日本語なのです。外国人の方は全く理解できない。そういった状況の中で誰が何をやっているかというと、日本人の労働者が拙い英語を使って、なんとか説明しようとしているのです。しかし、法的な用語ですから難しくて、説明しきれないという状況があるのです。これが一点です。
 それから、これは過去にありましたけれども、日本人の留学生がアメリカで、ハロウィンの時期に仮装して、近所のお宅を間違えて訪ねてしまって、不審者に間違われて「Freeze」と言われたのを「Please」と勘違いし、殺されてしまったという不幸な事件ありました。例えば3.11のときのような大きな地震があってパニックになっている時は、英語を共通言語としてコミュニケーションをとるといっても、双方がネイティヴではないわけです。そういう中で、母国語での会話になって全くコミュニケーションが取れなくなり、安全上の問題が発生したりということが、もう長年にわたって起きているという状況があるのです。
 そういった実例を挙げた上で、資料2の「参考」の中にあるとおり、関係閣僚会議で「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(検討の方向性)概要」がまとめられていますけれども、厚労省の所管部分はこの太く四角囲みになっている部分だけです。それ以外の部分は、別途関係省庁があると思いますが、共生のための施策であるということであれば、働くだけではなくて、生活者としての外国人をどう受入れていくかという視点が大事なんだろうと思います。そういう意味では、本来であればここに書かれている項目全てに関連する省庁なり公的機関が集まって、共生に向けてどうすべきかを議論し、受入れの環境を整えてから新たな外国人労働者の受入れの議論をすべきだと思うのです。
 しかし、11月2日に入管法改正法案が、国会に提出されております。そして、その法案の内容自体はまさに雇用・労働政策そのものであるわけです。それにも関わらず労政審で議論をしないで国会提出されたということについては、非常に違和感を持っております。
 2年前に成立した外国人技能実習法も法務省と厚労省で合同会議を作り、合同会議のメンバーも労政審に倣って三者構成での法案の骨格を議論したというふうに承知しております。今後益々外国人労働者が増えていくことを踏まえれば、外国人労働者政策の重みを十分に厚労省も意識をしていただいて、労政審でこそ外国人労働者政策の議論を進めていくべきだと思います。以上です。
 
○  鎌田部会長
 ありがとうございます。まあ、こういうそのようなご意見があったということで。何か事務局のほうでコメントするようなことがございますか。ご意見はご意見として承っていますが。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 一点だけ補足いたします。政府全体で取りまとめております、参考1でお配りしております共生のプランにつきましては、7月の段階では検討の方向性ということで、中間的な取りまとめの段階です。現在、法務省が全体の取りまとめとして、政府全体として生活面も含めた対応について検討をしております。そこに私共も参画させていただいておりますので、取りまとめに向けて私共も積極的に参画していきたいと考えております。
 
○  鎌田部会長
 はい、それではその他ございますか。
 はい、春川委員どうぞ。
 
○  春川委員
 私から一点質問です。今回は、外国人雇用管理指針の見直しをするという方向性が示されていますが、そもそも現行の指針の認知度といいますか、浸透具合に関して、どのように評価されているのか。もしご見解あれば、認知度などのデータ等があれば共有いただきたいと思います。といいますのも、まさに今お話があったように、今後外国人労働者が増えていく中で、現行の指針を改正していくとなると、ベースとなる今の指針がどのように活用され、浸透しているのかということも、一定認識しておく必要があるのではないかということの思いがありまして、質問させていただきました。
 
○  鎌田部会長
 はい。今その手元に何かデータがあればご回答お願いしたいんですが。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 認知度に関する数値的なデータというのは持ち合わせておりませんけれども、毎年6月に外国人労働者問題の啓発月間というものを設定して、全国のハローワークで特に集中的な周知に取り組んでおります。月間以外にも事業所訪問の機会などを通じて周知に取り組んでいるところであります。引き続き認知度を高める努力というのはしっかり続けていきたいと考えております。データについては申し訳ございません。
 
○  鎌田部会長
 はい。他にございますか。
 はい、清家委員どうぞ。
 
○  清家委員
 只今の遣り取りとちょっと関連するご質問をさせていただきます。今の指針に基づいて、ハローワークが事業主に助言・指導を必要な形で行っているということでございますが、今後の議論に関連して、今までどういった内容の案件が多かったのか、あるいは逆に事業主からどういうご相談が多いのかとか、そのあたりご紹介できるものがあれば、見直しの議論の参考になりますので、ご教示いただきたいと思います。
 
○  鎌田部会長
 はい。今答えられるものがあれば、お願いします。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 今手元の資料を見ますと、労働保険、社会保険の加入に関する助言・指導ですとか、在留資格の活動範囲等に関するご相談をいただくことが多いようでございます。
 
○  鎌田部会長
 よろしいですか。はい。他に。
 はい、小野委員。
 
○  小野委員
 参考の1の、外国人材受入れ・共生のための総合的対応策の閣僚会議の資料の中で、一番上の赤囲みの○の2つ目のところなんですけれども、「中小企業等の人材不足の深刻化に踏まえ、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材に関し」っていうふうに書いてあるので、おそらくこの一定の専門性・技能を有する人を中心に受入れをしていこうというような意図なんだろうというふうに思うんですけれども、具体的には、例えばこの一番最初の、いただいた資料ですね、「外国人労働者の現状について」の資料の中の、例えば4ページのところに外国人労働者の在留資格別にみた推移っていうのがありますけれども、具体的にはこのいくつかの累計の中のどこの人材を増やそうと思われているのかっていうことを教えていただきたいっていうのがひとつ。
 それと、同じく元に戻って参考1の右側の囲みの中の、「外国人材の円滑な受入れの促進に向けた取組み」の中で、(1)のマル3ですね「新たな外国人材の円滑な受入れの促進」のところに、「技能水準を評価・確認する試験制度の整備」っていうふうにありますけれども、これは技能の評価を多分されることになると思うんですけれども、ここについて厚労省はどういうふうに関与していくのか、これは働く上で非常に重要なことになっていくので、どういうふうに関わっていかれるのかっていうことを教えてください。
 
○  鎌田部会長
 じゃあ事務局お願いします。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 まずご指摘をいただきました参考1の総合的対応策の2つ目の○は、今政府で検討中の新しい在留資格のことを念頭に置いた記述かと思います。受入れの促進という観点では、従来より専門的・技術的分野の外国人の方については積極的に受入れを進めていこうということで、冒頭ご紹介いたしました高度人材ポイント制といったものも取り組んでいるところでございます。
 また留学生につきましても、目標を立てて政府全体で受入れを進め、国内での就職を進めていこうという取組を進めているところでございます。
 新しい在留資格につきましては、先ほどご指摘もいただいたところですが、技能実習につきましては法律そのものが共管ということもございましたが、今回の法律案につきましては、法務省所管の法律ということで、今まさに国会でのご審議が始まろうとしているところでございまして、この場でのご審議ということは控えさせていただきたいと思っておりますが、新しい在留資格ができて運用されることとなれば、私共もしっかり適正に運用されるように協力や取組を進めていきたいと考えております。
 指針の中で、もし今後は反映すべきというようなところがあれば、またその段階でご相談をさせていただければというふうに考えております。
 
○  鎌田部会長
 評価制度の、もうひとつ質問を。試験制度の。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 制度設計の仕組みにつきましても、今法務省を中心に検討が行われているところでございますので、方針が固まったところでご報告をさせていただければと考えております。
 
○  鎌田部会長
 さらにありますか。他にございますか。
 
 
○  玄田委員
 最初はちょっとナイーブっていうか、どうでもいいことを言いますけれども、さっきの、今小野さんが指摘された参考1、資料に、やっぱり気になる即戦力っていうことが必要ですかね、外国人労働問題を語るときに。なんとなく私が知る限り、あんまり即戦力とか戦力っていう言葉を使って労働行政で上手くいった記憶がなくて、なんか新卒学生を即戦力としてなんか活用できるみたいなことを言ったときに、なんか人材育成みたいなの大丈夫かなっていうようなことが起こったような記憶があったり、かつて女性の活躍を議論したときにも、やっぱり女性を戦力化なんかって言って、なんとなく女性から非常に反発を食ったような記憶が私にはちょっとあって。まあこれは国家が決めることなので、どうかよく私にはわかりませんが、あんまり軽々しく戦力とか即戦力とかっていう言葉を使うのはどうかっていうのは、これ独り言として聞いていただければと思いますけど、私の経験としては労働行政にあんまり合う表現ではないような気がします。
 例えば「高付加価値化の実現に欠かせない」とか、働き方の改革でいえば「生産性の向上に不可欠だ」とかでも、十分でいいような気がするので、ちょっとそのへんは機会があったときに、ご経験などを少し踏まえて表現振りなどをお考えになるといいと思いますし、まあ実際それをさっきの話にあった、英語にするときに「即戦力」ってどういう英語にするのかなっていうのは大変興味があるので、是非そのへんは教えていただきたいなっていうのが独り言です。
 もうひとつは、もうちょっと真面目なことを申し上げると、やっぱり雇用対策っていろんな本当論点があるので、これはひとつだと思うんですが、キーワードとしては「請負」っていうことに対しては、もうちょっとなんかこう、この際議論しておくべきじゃないかなっていうふうな印象があります。この視点があったすぐ先に、いわゆるリーマンショックっていうのがあって、外国人労働にも大変大きな影響があったはずですが、そのときには確か記憶には請負労働で働く、特に日系の方々が非常に大きな影響を受けて、母国に戻ることになったり、その間に多分いろんなトラブルがあっただろうと思っております。請負についてはすでに労働行政の中で、かつて偽装請負問題だとか、請負という働き方が非常にいろんな意味で慎重に取り扱わなければいけないっていうことだったと思いますので、やっぱりこのリーマンショック、世界不況の教訓とか経験を生かして、これからは請負的な働き方、特に言語的な問題があるときに請負労働っていうのはかなり多くの意味で、今でも必要な働き方だと思いますので、やっぱりどういうふうな働き方をするのかってことを、しっかりと整理することが必要だっていう意味の請負が一点と、もう一点は、今この視点では、資料2の2ページ目の○、下の我が国で就労する外国人とか、これから日本で就労する外国人が視点の対象になっているんですが、多分請負っていうことを考えると、これからは個人請負の外国人の中には、日本に在留しないで仕事をする外国人の、個人請負みたいなことが多分相当増えてくるんじゃないかなっていうふうな。ないし実は増えているんだろうという印象を持っております。これらが難しいのは、個人請負なので、いわゆる雇用関係ではないのですが、ただご案内のとおり、今もうすでに日本国内でも個人請負業っていうのをどう考えるのかっていうのは大変大きな問題になっていて、多分外国人の就労問題でも、この個人請負の問題っていうのはこれからすごく大きくなる。ただマイナスだけではなくて、やはり外国人労働問題の本質っていうのは、日本の技能労働者だけでは十分に対応できないことを速やかに外国人労働者と一緒になって問題を解決していったりするということでしょうから、決して個人請負っていうのは否定すべきことばかりではなくて、特に国内で就労問題を回避するとすれば、場合によってはこういう個人請負的な外国人で、日本の職場と上手くコラボレーションするケースを促進するっていう視点も必要になるというふうなことだと思っております。
 ですので、さっきの集団的な請負労働だけではなくて、個人請負、おそらく外国人雇用管理の中でも個人請負まではハローワークで登録をされてないんじゃないかというふうに思いますけれども、この問題っていうのをどういうふうに考えていくかということも、これから論点・視点を整理する上では大事ではないかというふうに思います。以上です。
 
○  鎌田部会長
 はい、どうもありがとうございます。何か事務局で、現段階でコメントするようなことはありますか。なければ私が。別に事務局を代表して私がコメントするわけじゃなくて、私の感想ということで。
 今、玄田委員がご指摘いただいたこと、非常に私としても重要なことだと。とりわけ、やはり日系人の方、請負仲介事業が非常に大きな様々な問題を持っていたという認識を私も持っておりますので、今後の議論の中で、いわゆる悪質ブローカー、あるいは、これは請負事業者、あるいは仲介事業者が悪質ということではなくて、そういう人たちも、またこの円滑な労働力の需給調整とする上で、より大きな役割を果たしているという実態から、今後併せて検討してみたらどうかなというふうに思っております。
 あとは個人請負についても、また非常に有益なご指摘だったというふうに思いますが、如何せん職業安定法とか、労働政策総合推進法においても、労働っていうものをどう捉えるかという大きな課題がありますので、併せて今後の課題というふうに私は考えております。ということです。
 あと他にございますか。はい。
 
○  勇上委員
 本日の議論を拝聴していますと、資料2の参考1のような方針を受けて、現在の外国人雇用管理指針をどのように見直すかということと、もう少し範囲の議論が混在していると理解しました。そのうえで、参考1について申し上げますと、やはり共生のために、いろんな相談体制を整備すること、その中には語学教育などの広く生活全般に関わるものと同時に、労働行政でいうと生活・就労に関する情報提供・相談というものが位置付けられていると思います。そして現状では、外国人の方のための電話相談とか、主要な県の労働局に面談の窓口があるというふうに承知しています。けれども、これは指針改定の外の話になるかもしれませんが、日本人の場合には全国47の労働局に労働相談の窓口があることを考えますと、外国人の方についてもそういったものが必要になるだろうと思います。
 指針に関して言うと、これは外国人を雇用されている事業主に向けたものであると理解しました。現行の指針では、外国人労働者の方を10人以上雇われている事業主については、人事課長等を雇用管理責任者として専任することを努力義務としています。この点については、先ほど春川委員が仰ったように、まずどの程度実際の企業で実際に取り組まれているのかという疑問があります。さらに、外国人の方が10人より少ない場合でも、職場で孤立して相談できないこともあるのではないかと思います。そのような場合でも、例えば直接の上司の方に生活も含めた相談できる体制というものが必要になるのではないか。現行の指針を拝見してこのように思いました。以上です。
 
○  鎌田部会長
 他にありますか。はい、どうぞ。事務局。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 行政側の対応といたしまして、ご指摘いただきましたように、労働局あるいは監督署のほうでも、相談を受け付けるような多言語化の取組みを進めております。全て通訳を配置するというわけにはいきませんが、電話相談も含めまして、受け止められるような体制にしていく方向です。
 ハローワークにつきましても、外国人の方が多い地域を中心に通訳を配置して、相談できるような体制に努め、また電話通訳のサービスを利用しまして、通訳のいないハローワークでも職業相談、転職の相談を受け止めることができるような体制整備に努めているところでございます。
 それから雇用労務責任者の配置につきましても、ハローワークが事業所訪問したときに設置を求めているケースも多くあるようでございます。これもデータが採れておりませんので恐縮なんですけれども、引き続き指針の中で盛り込まれている設置が守っていただけるように、ご理解いただく努力を続けていきたいと思っております。
 
○  鎌田部会長
 よろしいですか。他にございますか。
 はい、松浦委員どうぞ。
 
○  松浦委員
 資料3の外国人雇用管理指針の条文に関連して、質問ひとつと意見ふたつ、申し上げたいと思います。
 まず、資料3の指針の2ページになります。「二 適正な労働条件の確保」の中に、「1 均等待遇」とあります。意見の1つ目としては、この規定は、先ほど労基法3条の均等待遇をほぼそのまま置いているというご説明があったかと思いますが、この内容だけでは具体的に何が差別的な取り扱いになるのかというのが明確ではないと思います。他の「2 労働条件の明示」以降をみますと、具体的に「こういうことをせよ」という規定になっいます。
 外国人労働者の方を日本人より安い賃金で働かせるといった話が後を絶ちませんが、事業者側も労働者側も、何が差別的な取り扱いなのか、どういった取り扱いが問題なのかが、現状の指針の記載であるとわかりづらいと思います。よって、意見の1つ目は指針を補足するようなパンフレットなどで、差別的な取り扱いについて具体例などを記載していくべきではないかと考えている、ということです。
 その上で意見の2つ目になります。現行の外国人技能実習法などには、日本人との同等の報酬規定が書かれています。少なくとも、現行法の規定は、指針に書き込むべきではないかと思います。
 次いで、質問になります。外国人技能実習法規定についてですが、先ほど申し上げたように安い労働力として扱われているという外国人労働者の現状をみると、その実効性に疑問を持たざるを得ないと思います。
 私自身は、同等報酬規定のチェックは、先ほど法務省と所管の問題があるとは伺いましたが、連携をされていると思いますので、この部分は、一番最初の入国時に、日本人と均等処遇になっているのかというのをしっかり確認することが、一番確実であると思います。入国したあとで厚労省が確認をしたり、法務省が確認するのは難しいと思っています。この点、現在、法務省では、入管法の上陸基準省令に基づいて、どういうふうに同等報酬であることを確認しれているのか。先ほどご連携されているということもありましたので、分かる範囲でそこは教えていただきたいと思います。以上が質問です。
 
○  鎌田部会長
 ありがとうございます。ご意見とご質問をいただいたと思うんですが、どこからでも結構ですので、事務局コメントお願いします。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 ご意見につきましては、この指針の中身のご意見と思いますので、受け止めさせていただいて、またこの場でもご審議いただければというふうに思っています。
 同等報酬の審査の手続きにつきましては、確認させていただいた上で、ご説明させていただきたいと思います。
 
○  鎌田部会長
 じゃああとで。
 
○  松浦委員
 ありがとうございます。その点はご確認いただきたいと思いますが、法務省は労働行政を所管していません。先ほどパンフレットに具体例を記載したほうが良いのはないかと申し上げましたが、報酬の判断などは、法務省は専門外とまではいいませんが、専門外に近しいと思いますので、厚労省側から具体例も含めて、同等報酬の物差しや基準を法務省に提供していくぐらいの能動的な動きをするべきであると思いますので、意見としてお伝えをしたいと思います。
 また、報酬関連で言えば、資料の2の2ページの見直しに当たっての視点の下の米印に、近年の労働関係法令の改正を踏まえた対応を行うと記載をいただいておりますので、昨今の同一労働同一賃金の法整備についても、当然に外国人にも適用されるべきものだと思いますので、指針に明記すべきであると思います。
 また、差別的な取り扱いの禁止の対象は、報酬のみならず、休日や休暇制度、労働時間の取り扱いも重要かと思います。技能実習生などからは、「外国人だけ有休がない」などという話も賃金の問題と併せてやはり聞きますので、こちらについてもしっかり指針に明記すべきではないかと思いますので、ふたつ追加でご意見をさせていただきます。
 
○  鎌田部会長
 ありがとうございました。じゃあそれは指針で検討する際に、今ご意見いただいたことについて、また再度ご議論いただくということで考えております。
 他にございますか。はい、村上委員。
 
○  村上委員
 何点か意見を申し上げたいと思います。1つ目は、先ほどの小野委員との入管法改正に関する遣り取りの中で、一定の専門的技能を有するであるとか、その技能水準をどのように評価するのかということは法務省の所管であってこの部会での議論ではないというようなお答えではありました。しかし、労働者の技能水準の問題というのは、労働行政がやはり見ていくところではないのかと思います。その部分は小野委員と同じ意見を持っているということです。
 2点目は、先ほど紺谷委員からもございましたが、年末調整などの公的書類は日本人にとっても難解なのに、ましてや外国人の方々にとってはいっそう難解であると思います。これは税金の書類だけではなくて、例えば労働関係でも労働関係法令違反があった場合に、自分は労働者としての権利を守ってもらおうと思って申告しようとしているのに、申告書が難解な日本語でしか書かれていない。そのところをどうするのかという問題もあるのではないかと思います。
 また、現行の指針をみますと、労働条件明示の部分は外国人労働者が理解しやすいように明示しなさいと書かれていますが、就業規則に関しては、特段そのような記載がありません。就業規則には労働条件だけじゃなくて、様々な社内のルールが書いてありますので、それも理解していただくように外国人労働者が理解しやすい形で示す必要があると思います。
 その上で、労働側としては、指針を法律に格上げすべきであると思っておりますが、指針を見直すということであっても、そこの部分はしっかり書いていただく必要があるのではないかと思います。
 それから、松浦委員から同等報酬問題について、ご質問ご意見申し上げましたけれども、繰り返しになりますが、技能実習法で同等報酬規定が定められているもの、現実は同等報酬になってないという状況がございます。そのため、「この業務に就いていただくのであればこれぐらいの賃金」という絶対的な数値を示し、それを入管のビザ発給時に確認いただくとべきではないか。その数値は労働行政的であり、厚生労働省の得意分野であると思っておりますので、そういった統計を作成した上で法務省に提供いただき、法務省が入国時にチェックすべきではないかという意見を持っております。法律で、日本語で「同等報酬」と書いていただくだけでは実効性が担保されないと理解をしておりますので、是非その点は進めていただきたい。この点を意見として申し上げておきたいと思います。
 最後にもう一点。先ほど鎌田部会長から悪質ブローカーの話がございまして、国内のブローカーの排除も必要ですが、技能実習生や留学生の問題をいろいろ伺っていると、現地の送り出し国での問題も大きいのです。送り出し国で、多額の保証金の差し入れや、借金を背負い、日本に働きにくるといった実態がありまして、借金をしているから帰れないというような事案も多くあります。これは日本国内での問題ではありませんが、労働者にとって日本に働きに来るための話でありますし、受入れる事業主にとっても、そういう状況にある外国人労働者を受入れているということがありますので、送り出し国側の対策も取らないと、国内だけ適正化しても問題解決は難しいのではないかと思います。この問題はどの場で検討すべきかということもありますけれども、是非政府内でご検討いただきたいと思います。
 
○  鎌田部会長
 現時点で事務局としてコメントありますか。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 ご紹介ということになるかもしれませんが、例えば労働条件明示書などにつきましては、多言語化したモデル様式も省のホームページに掲載してご利用いただけるような状況になっております。引き続きしっかり取り組むということが肝心かと存じますが、現状としてご紹介させていただきます。同等報酬の関係につきましては、この指針の中で加味できるかどうかというところも含めてご議論できればというふうに思っております。
 
○  鎌田部会長
 はい。今後議論の中でまた意見を言っていただければというふうに思います。はい、ありがとうございます。
 他にございますか。はい、小野委員。
 
○  小野委員
 すみません、先ほど質問させていただいた専門性・技能を有する即戦力の人材ということについてなんですけど、どうしても私は外国人労働を今後受け入れるに際して、今の議論がしっくりと心の中に落ちてこない部分がありまして、おそらくその一定の専門性・技能を有する人たちばっかりが日本に来てくれるというふうには思わないんですね。おそらく今日本が考えているのは、この人口減少と労働力不足をどういうふうに解消するかというところで、どこの部分が労働力不足になっているかといったら、おそらく単純労働であったり、肉体労働であったり、そういう部分について人が足りなくなってきているところを、なんとか外国人の方に手伝ってもらって、なんとか補填しようというふうに思っていると、私は思っているんです。
 で、その中で、資料2のページ1ページのところのマトリックスがありますけれども、最後の6番のところに、解雇の予防及び再就職の援助というのがあるんですけれども、安易な解雇等を行えないようにするっていうふうに書いてあるんですけれども、例えばですね、そういう方たちは外部労働市場に位置付けられる人たちなので、おそらくは雇用期間が契約で決まっていたりとか、短時間・短期間働いたりとか、いわゆる臨時的な労働力で働く人たちが多くなってくると私は思ってます。
 その中で、安易な解雇等を行わないというのは、これは労働契約上の契約期間の中で解雇を行わないということに限ってだと思うんですね。だから、というよりもですね、リーマンショックのときとか想像していただいたらわかると思うんですけれども、派遣契約が切れたあとですから、これは解雇ではないというふうに言われましたけれども、これはもう完全に社会的に派遣切りっていうふうに糾弾されるような問題になったわけです。これはもう雇用契約は切れてるから、解雇ではないって、派遣会社側は言ったわけですけれども、今回のこの外国人労働っていうのは、直接雇用を想定されてるとは思いますけれども、おそらく雇用期間で契約をして、それが、契約が終わったらさよならっていう形になると思うんですね。
 で、懸念してるのは、例えば今すごい景気がいいからいいんですけれども、不況になって同じ問題が起きたときに、おそらくバブル崩壊後の上野の公園にたくさんの外国人労働者の方たちが不法滞在で溢れたっていうのを記憶持ってらっしゃる方いると思うんですけど、同じことが起こりえないかというのは、私は懸念しているところです。
 それで、本当にその部分の人材が欲しいと思って、こういう政策を取られるんであれば、もっと上手く人が流動していくようなシステムを作らないと、また同じことが起こると思うんですね。
 受け入れちゃ駄目っていうんじゃなくて、受け入れるんであれば、ここに書かれているような「安易な解雇を行わない」っていうような、安易な言葉でなく、本質的な人を回していく管理というんですか、が必要だと思います。辞める時も気持ちよく辞めてもらえる、また気持ちよく人が必要になったときに来てもらえるような、日本って素敵なところだなあ、辞めたけれどもまた来ようよっていうふうに思っていただけるような退職管理ですよね。流動的なこの労働市場を作る上では、そういうことが、私はとても大切なことだと思うので、契約が終わって、「はい、さよなら」、関係ないよっていうのではなくって、そこからの部分で上手く人が流動していけるようなシステムを含めて考えていただきたい。意見です、これは。
 
○  鎌田部会長
 はい。意見ということで。
 はい。他にございますか。春川委員。
 
○  春川委員
 私からも意見でございます。指針の見直しにあたっての視点に関連して、留学生等に関しては、今日冒頭のご説明の中でも資格外活動で就業している数も非常に増え、具体的には留学生のアルバイト等であるというご説明がありました。
 当然留学生は勉学を目的に来日しているということですから、労働時間にも制約があるわけです。ついては、指針の中には、不法就労のようなことを助長させないためにも、資格外活動の就労に関するルールを、ルール違反の場合は不法就労助長罪にあたることもセットに明示していくことが必要ではないかと思いますので、意見として申し上げさせていただきます。
 また、今後、新在留資格を創設して外国人就労をこれから増やすということであれば、留学生はむしろ勉学に集中していただく観点から、むしろ資格外労働のあり方を再考する必要は別途あるのではないかということも発言させていただきます。
 
○  鎌田部会長
 ありがとうございます。何かコメントありますか。
 
○  古舘外国人雇用対策課長
 指針への反映につきましては、また改めてご相談をさせていただければと思います。
 
○  鎌田部会長
 まあ、これから指針についての詳しいことに検討しますけれども、いくつかの省を、入管管理という様々な法令も絡んできますので、別に議論を制約するわけじゃありませんけれども、どういった面でこの労働条件の確保あるいは労働力の円滑な需給調整というところで私たちがまとめられるか。こういった、プラス、それにプラス生活だとか様々な入国管理だとか、そういったこともですね、レベルを分けて考えられるように、いろいろ資料等も作っていただくと有難いなというふうに思ってます。
 
○  玄田委員
 今128万人っていう外国人労働者の数っていうことが冒頭でご紹介ありましたけれども、研究者としてっていう言い方はちょっとあれなんですけど、128万人って微妙な数字で、なんか実態がよくわかってるかわかってないかっていうと、ちょっとわかりかけてきたかなっていうぐらいなんですよね。フリーターの数よりは少し少ないぐらいで、ニートよりは多いんだろうっていう。
 だからこのあたりの本当に実態どうなってるかっていうのを、どうやって把握するかっていう問題があって、春川委員と勇上委員言われたように、たぶんこの指針がちゃんと守られてないっていうケースもあると思いますけど、一方でちゃんとこの指針を踏まえて外国人労働者の人も、国内の労働者の人も差別なくやってるケースがたくさんあるはずで、そのあたりの好事例をどう収集するかっていうのはひとつのポイントだと思うんですよ。そうしたときに、ひとつの有力な候補は、やっぱりハローワークの求人開拓されてる方々っていうのは、比較的中小で外国人を雇われてる方の状況をよくご存知のことが多いんじゃないかと。さっき小野さんも言われたように、もちろん不幸な雇用関係の終了の仕方もあるとは思いますけど、一方で終了したあとに、将来そういう人が母国に帰ってとか、別の仕事をするために、多分いろんな奮闘をされてる事業主の方もいらっしゃるので、そういう好事例をできるだけ多く速やかに皆で共有できるためには、さっきの求人開拓の方々の情報をできるだけ集めて、指針の見直しとそう遅れないタイミングで広く発信していくってことが大事なんじゃないでしょうか。
 この資料2の参考の1のところに、右上ですか、1番目の○で、ハローワークによる適正な雇用管理のための事業主に対する相談・指導っていう、書いてありますけれども、多分このハローワークが適正な相談・指導するためには、やっぱりそういう実際経験的持ってらっしゃる情報を収集して、皆でこう、こういうふうなことが上手くいくようですよとか、こういうことは気をつけたほうがいいですよっていうその具体的な発信っていうのを是非指針の見直しと同時に雇用労働行政の中でご検討いただくっていうのが大事ではないかというふうに思っております。
 
○  鎌田部会長
 はい、ありがとうございます。いいですね、ご意見として。
 はい。他にございますか。はい、どうもありがとうございます。非常に、あ、そっか。ごめん。どうぞ、村上さん。
 
○  村上委員
 追加で申し上げたいことがあります。先ほど、128万人といったボリュームであると全体的な傾向とか統計とかも取りづらいのではないかというようなご指摘もあったと思います。統計としてはなかなか取りづらい部分もあるかもしれませんけど、外国人労働者については、統計数値以外にも様々な実態、事例が挙がってきております。例えば、技能実習制度は、本当に制度本旨に照らして適正にやられていて、本国に帰られてその技能を生かして働いてらっしゃるというような制度の利用の仕方もたくさんございます。それは大企業だけじゃなくて、中小企業においてもやられている実例はありますが、一方でそうではない不適切な受入れもたくさんあるというのが実態かと思います。連合に寄せられる労働相談の中でも、「残業代が払ってもらえない」などという話や、長時間労働の訴え、以前よりは減ったのかもしれませんけれども、「パスポートを取り上げられる」といった事例が残っているわけです。そういった悪質な事業主が現実まだいるということを前提に、指針の見直しの議論をしていかなければならないのではないかと考えております。
 特に、中小・零細企業の皆さん方は、労働関係法令の理解に乏しく、改正に次ぐ改正が行われており理解も及ばない実態があります。専門の人事担当者もいない中小・零細企業で、在留資格のところもお問い合わせが多いということは、やっぱり法律の理解が乏しいということなのだろうと思っています。そういう方々にきちんと法律を守っていただけるようにしていくということが必要で、そのためには先ほども申し上げたとおり、指針であるとどれだけ認知度あるのかというような疑問があるのです。アナウンス効果ということも踏まえると、指針は法律に格上げしていただくことが必要ではないかと思います。以上です。
 
○  鎌田部会長
 はい、ありがとうございます。他にございますか。はい、ありがとうございます。
 それでは、この議題につきましては以上とさせていただきます。我が国で就労する外国人の方は大きく増加するとともに、在留資格についても様々なものが設けられております。平成30年7月24日に外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議で決定された、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(検討の方向性)」において、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備が必要との方針が示されたことも踏まえ、また本日様々な形でご意見をいただいたことも踏まえながら、当部会としては外国人労働者の雇用管理指針をより良いものにしたいと考えておりますので、次回は事務局から見直し案を出していただき、委員の皆様からのご意見を頂戴することができればと考えております。
 それでは最後に事務局から、次回の日程についてお願いいたします。
 
○  吉田国際労働力対策企画官
 次回につきましては、部会長とご相談の上でまた個別にご連絡させていただきたいと思います。
 
○  鎌田部会長
 はい、それでは本日予定されている議題は以上で終了いたしましたので、本日の部会はこれで終了ということになります。どうもありがとうございました。
 本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規定第6条により、部会長の他2名の委員に署名をいただくことになっております。つきましては、労働者代表の小倉委員、それから使用者代表の川上委員にお願いしたいと思います。宜しくどうぞお願いいたします。
 それではどうもありがとうございました。

(了)

 

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