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2018年3月9日 第6回高齢者医薬品適正使用検討会議事録

医薬・生活衛生局

○日時

平成30年3月9日(金) 16:00~18:00


○場所

TKPガーデンシティPREMIUM京橋 ホール22A
東京都中央区京橋2-2-1 京橋エドグラン 22階


○議題

(1)高齢者の医薬品適正使用の指針案について
(2)構成員等からの情報提供
(3)その他

○議事

○医薬安全対策課課長補佐 何人かおくれていらっしゃる先生方がいるのですけれども、定時になりましたので、開催させていただきたいと思います。

 それでは、第6回「高齢者医薬品適正使用検討会」を始めさせていただきます。

 開会に先立ちまして、傍聴の皆様にお知らせをいたします。

 傍聴に当たっては、既にお配りしております注意事項をお守りくださるようお願いいたします。

 また、本日の検討会は、従来の取り扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミの関係者におかれましては、御理解と御協力のほどをお願いいたします。

 御出席の構成員、参考人の先生方におかれましては、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。

 本日、三宅先生は御欠席との連絡がございます。

 現在、水上先生、美原先生、樋口先生が遅れておりまして、現在のところ、本日は構成員19名中15名に出席いただいているところでございますが、この15名の出席をもちまして、検討会を開催させていただきます。

 また、本日は参考人として、昭和大学薬学部社会健康薬学講座地域医療薬学部門の倉田なおみ先生に御参加いただく予定となっておりますが、倉田先生も少し遅れるということなので、倉田先生の御紹介はまた後ほど、プレゼンテーションの際に一言お願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、これ以降は議事に入ります。座長の印南先生、よろしくお願いいたします。

 なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

○印南座長 それでは、議事を進めてまいります。

 初めに事務局から資料の確認をお願いします。

○医薬安全対策課課長補佐 配付資料の確認をいたします。

 お手元にお配りしました資料、一番上に議事次第と配付資料一覧、続いて座席表と出席者名簿。開催要綱、構成員名簿となります。

 続きまして、順に資料を確認させていただきます。

資料1「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)案」

資料1には別添がホチキスどめでついております。

資料2「高齢者の身体機能に合わせた服薬支援」

資料3「プレゼンテーションの論点等について」

参考資料1 高齢者の医薬品適正使用ガイドライン(総論編)骨子

参考資料2 指針詳細編の作成にあたって

本日の資料は以上でございます。不足等がございましたら、お申しつけください。

○印南座長 それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいります。

 昨年12月の前回の検討会で御議論いただきました、ガイドライン骨子に基づき、ワーキンググループにてガイドライン案の作成を行っていただきました。本日は、ワーキンググループで作成していただいたガイドライン案の内容について、報告をお願いしたいと思います。

 ワーキンググループの皆さんにおかれましては、昨年12月末から2カ月余りと非常に短期間で作業いただき、大変御苦労されたと思われます。改めまして、御尽力に感謝いたします。

 それでは、ワーキンググループの主査をお願いしております、秋下構成員にコメントをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○秋下座長代理 よろしくお願いします。

 資料1が、今回、ワーキンググループで作成した指針案になります。

 まず、表題についてですけれども、これまで「ガイドライン」という用語を使ってきましたが、この文書は関係学会が収集・評価したエビデンスに基づいて作成した各領域の診療ガイドラインでの処方の考え方などの情報を横断的に整理してまとめた診療や処方の参考、すなわちガイダンスという位置づけなので、現場での混同を避けるため、表題を含めて「ガイドライン」を「指針」という用語に修正しましたので、一言申し上げておきます。

 今年度は、包括ガイドラインということで、老年医学会を初めとした各学会が出している既存のガイドラインの内容を参考にして、より医療現場で使用しやすく、わかりやすいものを作成することを念頭に、総論的な指針を検討いたしました。

 各パートをさらっと説明したいと思いますが、「はじめに」の部分に本指針の目的、位置づけ、対象等を記載していますけれども、本指針は「高齢者の特徴に配慮したより良い薬物療法を実践するための基本的留意事項をまとめたガイダンスとして、診断や処方の際の参考情報を提供する」ものであり、老年医学会を初めとした各学会が出している既存のガイドラインを参考にしつつ、より医療現場で使用しやすく、わかりやすいものとなるように作成いたしました。

 高齢者ということで「65歳以上を対象としながら、特に平均的な服用薬剤の種類が増加する75歳以上の高齢者」に重点を当てたものです。

 「主たる利用者は医師、歯科医師、薬剤師」となりますが、患者の状況の把握と服薬支援の点で、看護師やその他の医療職が参照することも期待しています。

 また「ポリファーマシー」という用語の定義についても整理していまして、「多剤服用の中でも害をなすもの」をポリファーマシーと呼び、両者を使い分けています。さらに、何剤からポリファーマシーとするかについて、厳密な定義はなく「本質的にはその中身が重要である。したがって、ポリファーマシーの是正に際しても、一律の剤数/種類数のみに着目するのではなく、安全性の確保等からみた処方内容の適正化」が必要である旨を記載しています。

 薬剤見直しの大前提は、患者が受診している診療科、医療機関を全て把握するとともに、処方されているあらゆる薬剤や服薬状況を把握することでありますが、それに加えて患者の認知機能や日常生活動作、生活環境等の評価、いわゆるCGAも推奨しています。

 また、指針案に書かれた内容を遂行するためには、多職種、医療機関及び地域での協働が必要であり、連携におけるそれぞれの役割について、医師、歯科医師と薬剤師は薬物療法で中心的な役割を果たす一方、看護師は服薬支援の中で、服用状況や服用管理能力、さらに薬物有害事象が疑われるような症状、患者、家族の思いといった情報を収集することが期待されます。

 最後に「8.国民的理解の醸成」という項目を入れております。この指針が医療現場で広く活用されるには、医療を受ける立場にある患者と家族を含む一般の方の理解が必須であり、広く国民に薬剤の適正な使用法の知識を普及させることが望まれる旨を記載しています。

 以上、本指針案の趣旨について述べましたが、詳細については事務局より説明をお願いいたします。

○印南座長 それでは、資料1の案についての議論を、段落ごとに分割しながら進めていきたいと思います。

 まず、導入部の「はじめに」から「2.多剤服用の現状」までについて議論を行いたいと思いますので、事務局から説明をお願いします。

○医薬安全対策課課長補佐 それでは、資料1の指針案を御覧ください。

 まず「はじめに」及び「1.ポリファーマシーの概念」につきましては、先ほど、主査の秋下先生より御説明いただいたとおりでございますので、1ページの34行目「2.多剤服用の現状」から説明させていただきます。

 この項目には、多剤服用の実態、処方変化のイメージを記載しております。(1)では、ポリファーマシー及び多剤服用の実態をデータとともにお示ししております。

 2ページ目の図1には、薬剤が6種類以上で薬物有害事象の頻度が上がっているというデータでございます。

 また、その横の図2は、高齢者の服用薬の全体像としまして、同一の調剤薬局で一月当たりに調剤された薬の種類数の調査結果を年齢別に示したものでございます。75歳以上の約4分の1が7種類以上、4割が5種類以上の薬剤を調剤されている実態をお示ししたものでございます。

 3ページで「(2)ポリファーマシーの形成」といたしまして、形成される典型的な例として、2ページ目の図3で2つの事例を紹介しています。

 例1としましては、A、Bと複数の医療機関を受診することにより、お互いの処方情報が一元管理されておらず、結果的にポリファーマシーになってしまうという事例。

 例2は、1つの症状で受診した薬の副作用に対して、その副作用に対するお薬が出されるというような形で、処方カスケードが起きてしまう事例でございます。

 さらに、こうして形成されたポリファーマシーが、かかりつけ医や薬局における一元化に伴い処方状況の全体が把握されることにより、こうしたポリファーマシーの解消が期待されるという説明をしております。

 以上でございます。

○印南座長 以上の部分につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いします。

 松本委員、お願いします。

○松本構成員 図1ですが、薬剤の種類が増えれば有害事象の頻度が上がるという図だと思うのですけれども、その内容です。その中の1剤が有害事象を引き起こしているのか、AとBが合わさって飲むことによって有害事象が起こっているのか。その辺の検証はどのようになっているのでしょうか。

○秋下座長代理 これは私どもの研究データでございますので、私のほうから説明させていただきたいと思いますが、これは入院のデータベースを使った解析で、個々の有害事象は把握しているのですが、どの薬剤が原因かというのは結構特定が難しいです。

 特定できていないということで、今、松本委員がおっしゃったように、多くは相互作用のリスクが増えることが一番大きいと思っています。その相互作用の中には、後のほうで出てきますような、薬物の代謝・排泄等への影響などもございますし、例えば、抗コリン薬とか向精神薬などが複数出ていると、そういったものの作用が積み重なる影響も含めての相互作用と理解いただきたいと思いますが、そういうことの結果と考えています。

 高齢者の薬物有害事象というのは、ここにも副作用ではなく薬物有害事象を使った理由なども説明していますけれども、因果関係が明確ではないものも結構多いのです。ですから、ここでまさに「薬物有害事象」と書いていますけれども、必ずしも副作用というわけではない。もっと広い意味での薬物有害事象としてデータをとった結果、このようになっているということです。ですので、必ずしもこれが原因だというよりは、あくまでこういう人たちはハイリスクなのだということを理解いただくためのデータと読んでいただければありがたいかと思います。

○松本構成員 我々処方する側としては、なるべく薬の種類は少なくしたいというのは当然あるのですけれども、なかなか減薬しにくいという中で、今、秋下先生がおっしゃっていただいた理由は非常によくわかるのですけれども、では、我々臨床家としてはどうすればいいのか。せっかくの指針なのですから、たくさん出しているハイリスクは、処方しているほとんどの人間はわかっているかと思うので、我々が読む上での指針としてはどういうことに気をつければいいのかを御示唆いただけると大変ありがたい。

○秋下座長代理 ありがとうございます。

 それは1ページ目のちょうど真ん中の「1.ポリファーマシーの概念」のところの2段落目ですね。何剤からポリファーマシーということの厳密な定義はないということです。

 一方で、今の図1に言及しながら、6種類が発生増加に関連した。つまり、ハイリスクであることを示していて、次の一文が大切なのだと思うのです。「治療に6種類以上の薬剤が必要な場合もあれば、3種類で問題が起きる場合もあり、本質的にはその中身が重要である」ということなので、薬が多くなるとハイリスクであることを意識しつつ、中身をしっかりとチェックしてくださいとしています。

 具体的には、この後のほうにどういう対応をするのかというのが書かれていますので、まずここで注意を喚起するという意味で、このような表現を使わせていただいているということです。日本医師会の手引にも同じ図を引用していただいていて、同じようなことを書かせていただいておりますので、日本医師会も承認されているような内容かと思っております。

○松本構成員 宣伝するわけではなくて、それをおっしゃっていただきたかった。だから、同じようなものが2種類必要だったのかなという意味も込めて、ちょっとお聞かせ願いました。

○印南座長 それでは、ほかに御質問、御意見等はございませんでしょうか。伴先生、お願いします。

○伴構成員 伴でございます。

 「(1)複数施設で処方されている薬剤を含めた服用薬の全体像」のところの2行目で、内容ではなく表現の仕方ですけれども、「多剤服用になりやすい特徴」と書いてあるのですが、「特徴」というのは他と異なって特別に目立つしるしということで使われる言葉ですので、「傾向」という言葉のほうが文の流れとしてはいいのではないかなと思います。

○秋下座長代理 そこはおっしゃるとおりかもしれません。これは言葉の修正ですので、この場でお認めいただければ、ワーキングの主査としてはそれでよろしいかと思います。

○印南座長 ほかの先生方はいかがでしょうか。

 では、異論がなければそのように直すということでお願いします。

 勝又委員、お願いします。

○勝又構成員 「はじめに」の13行目と15行目のところで「主たる利用者は医師、歯科医師、薬剤師とする」という記載があるかと思いますけれども、確かに、処方だとか薬剤の調整というのは医師、薬剤師等が行うものと承知しているのですが、適正使用ということになれば、後半部分に書いていますように「患者の服薬状況」とかその他のところを看護師あるいは多職種によってやっていくのだということが書かれてありますので、先ほど、秋下先生がお話しされたように、「想定される」という書き方ですと、想定されるだけかという感じなので、できましたら「薬剤師とするが、利用も期待される」とか「求められる」といった文章に修文していただけるとありがたいかなと思います。

○秋下座長代理 これはこの場で意見をいただいて、集約していただければ、私は構わないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○印南座長 他の先生方はいかがでしょうか。池端先生、お願いします。

○池端構成員 ワーキンググループの一員として発言させていただきます。

 この議論は結構ワーキンググループでもいろいろ問題になって、当然、多職種も含めて全体で利用することが一番いいだろう。ただ、今回の場合は、そうすると、内容に関してかなり広い多職種が利用するものにしようと思うと、いろいろ難しいところがあって、専門用語をどこまで使えるかとか、そういうことがあるので、一義的にはここに集約したほうがかえっていいのではないかということが大勢を占めたかと私は感じているので、そういう意味でこういう表現で2段階なのです。当然、2段階目に行けば、多職種も含めていろいろな情報交換していってやっていきましょう。

 ただ、主導権を持っている医師が変わらなければなかなか変われないだろうということもあったので、そういう書きぶりで少しここに差をつけた形になったかと思います。表現としては、私は勝又構成員がおっしゃったもので問題ないかと思いますが、経緯はそういうことだったかと思っていますので、一応、お話だけしておきます。

○印南座長 ほかの先生方はいかがでしょうか。今、経緯説明がありましたが、元のままでよろしいということですか。池端先生の意見はそうですよね。

○秋下座長代理 よろしいでしょうか。

 「利用」という言葉の意味というのがいろいろあるかなと思っています。「主たる利用者」の場合は、薬剤に介入してくるという形になるかと思うのです。処方に直接的に影響を与え得る人たちだと思いますが、次の二次的な利用者というのは、間接的になるのかなと思いますので、そこで同じ「利用者」「利用」という言葉が少し引っかかるので、私が先ほど読ませていただいた言葉というのは、参照することを期待していますということなので、その辺のニュアンスが若干違うのです。ですので、一歩引いているということはあるのかなと思います。

 逆に、余り「利用者」として規定してしまうと、使っていただかないと困りますみたいなことになると、看護師の方々も、現場の他の職種の方々もお困りになる面もあるかもしれないので、ここは言葉を少し厳密に決めていったほうがよろしいのかなと思います。元のままあるいは「利用を期待される」あるいは「参照することも期待される」のような段階的な言葉があるかもと思います。

○印南座長 松本委員、どうぞ。

○松本構成員 今、秋下先生が後のほうで言われた「参考」「参照」という、例えば「主な利用者」はこの3者だと思います。ですので、多職種が参考にすることも「期待する」とか「想定される」というような文言のほうがいいのではないかと思います。

○印南座長 他に御意見はございませんでしょうか。

 この語句につきましては、勝又先生、いかがですか。

○勝又構成員 「想定される」という言葉が合わない感じがするので、そういうことであれば「参照するのも期待される」という言葉のほうがいいと思います。

○印南座長 ほかに御意見がなければ、そのようにさせていただきたいと思います。

○医薬安全対策課長 事務局でございます。

 今の先生方の発言をまとめさせていただきまして、文言としては「患者の服薬状況や症状の把握と服薬支援の点で看護師や多職種が参考にすることも期待される」という形でよろしゅうございますでしょうか。

○印南座長 他にこの部分につきまして御意見、御質問等はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。

○松本構成員 他の部分でよろしいですか。

○印南座長 どうぞ。

○松本構成員 9行目の「服薬アドヒアランスの改善」なのですけれども、なかなか自宅での管理方法とか、家族とかあるいはかかわる看護師さん、介護職員の方が服薬支援としてどういうことをすればいいのかという具体的なモデルが余りない。例えば、よく見るのが服薬カレンダーのような、朝、昼、晩、寝る前、月曜日から日曜日までというようなものがあるのだけれども、これは意見というか要望なのですが、そういうものをつけ加えていただく。あるいは別添でも結構なのですけれども、そういうものがあると、我々が見て、こういうものを使ったらどうですかというのが言いやすい。よく薬局などにはありますので、使いやすいならそういうものを利用すればいいと思うのですけれども、ここで一歩踏み込んでいただいてもいいのかなと思うのです。

○印南座長 「ここで」というのは「はじめに」のところではないですよね。

○松本構成員 そうではないです。

○秋下座長代理 ありがとうございます。

 これは後で出てきます11ページのほうに「(2)処方の工夫と服薬支援」というところで、例えば、表3にいろいろな工夫をポイントでまとめていまして、絵などがないという話はあるかもしれませんが、さまざまなものがあって、本日も倉田先生がまさにそのようなお話をされるのですけれども、剤形等の問題です。この表3ぐらいでいかがでしょうか。この利用者の方々等であれば、何となく理解いただけるかなと思っているのですが。

○松本構成員 これを参考にして、我々が使えると。

○秋下座長代理 はい。

○印南座長 他にございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 続きまして「3.薬剤見直しの基本的な考え方及びフローチャート」及び「4.多剤服用時に注意する有害事象と診断、処方見直しのきっかけ」について議論したいと思いますので、事務局から説明をお願いします。

○医薬安全対策課課長補佐 それでは、資料1の3ページ目の11行目から御覧ください。

 「(1)処方見直しの一般原則」として「○高齢者総合機能評価」、いわゆるCGA、「○腎機能等の生理機能のモニターの必要性」、「○処方の優先順位と減量・中止」の点については、治療の優先順位に沿った各薬剤の適用の再考についてを示しております。

 高齢者では、さまざまな原因から服薬アドヒアランスの低下が起こり得るため、CGAの構成要素である認知機能や日常生活動作、生活環境等の評価が必要であり、こうした過程で一般用医薬品等も含む、処方されているあらゆる薬剤や服薬状況の確認も必要であること、さらに28行目の3つ目の○で、薬物有害事象を回避するためには、その下の表に記載された3つのポイントを踏まえて、薬剤に優先順位をつける等して、薬剤を再考してみること、さらには、減量を中止する場合には、患者の状態を見ながら、少しずつ慎重に行うなどの留意点が記載されています。

 4ページ目に入っていただき、「(2)非薬物療法の重要性」としまして、「○生活習慣病」及び「○認知症の行動心理症状(BPSD)」について例を挙げて記載しています。

 さらに、14行目では「(3)専門医の立場からの考え方」として、「特に緊急性が高く、重篤な病状である状況においては、薬物有害事象のリスクが高くてもより良いアウトカムを目指した薬物療法を選択することもある」が、高齢者では複数の疾患の併存等や、薬物有害事象のリスクも考慮し「疾患治療の優先順位への配慮や薬物治療によるリスク・ベネフィットバランスの検討」を理解してほしい旨を記載しております。

26行目からは「処方見直しのプロセス」として、一般的なフローチャートをお示ししております。

 5ページ目の図4-1に「処方見直しのプロセス」を提示しております。

 図4-1のプロセスでは、まず患者の生活環境を含めた多面的な観点の評価、いわゆるCGAを実施した後、ポリファーマシーに関連した問題点を確認し、問題点のある患者については、さらに個々の薬剤について、図4-2のフローチャートに沿って処方の適正化の検討を実施することとしています。

 6ページ目の図4-2に、フローチャートとして、個々の薬剤の見直しの仕方について、これは老年医学会のガイドラインより引用したフローチャートを掲載させていただいております。

 また、5ページ目の図4-1に戻っていただきますが、個々の図4-2のフローチャートで検討し、適正化を行った後も、経過観察等を実施し、新たな問題が生じましたら、再度、図4-1のフローで検討を実施といった流れになっております。

 処方時に注意を要する薬剤につきましては、別にホチキスどめしております「別添」の別表1及び2にまとめています。こちらにつきましては、また後ほど説明させていただきます。

 続いて、6ページ目の12行目の「(5)減薬・変更する際の注意点」には、多剤服用の改善のための系統的な減薬手順は確立されておらず、薬物療法の効果を判定する上では、日常生活の変化など、慎重な経過観察が重要である旨を記載しております。

 7ページ目の「4.多剤服用時に注意する有害事象と診断、処方見直しのきっかけ」についてです。

 ここでは「薬剤起因性老年症候群と主な原因薬剤」を表1としてお示ししております。老年症候群を含めて、薬剤との関係が疑わしい症状、所見があれば、処方をチェックし、中止・減量を考慮する、というような症状からの処方チェックのアプローチについて記載しております。

 以上でございます。

○印南座長 ありがとうございました。

 以上の部分につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。伴先生、お願いします。

○伴構成員 伴でございます。

 表1の「薬剤起因性老年症候群と主な原因薬剤」は全部単剤なのですけれども、割と日常臨床でちょこちょこ遭遇するのが、後で出てきますが、9ページの一般用医薬品等の、小さい字で書いてあるところに「カルシウム含有製剤と骨粗鬆症治療薬」というものがあるのです。高カルシウム血症になって、抑うつではないのでしょうけれども、認知機能が落ちていたり、食欲低下していたり、便秘気味になっていたりというのは、割とよく遭遇する問題かなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 私どもも、両剤の併用による高カルシウム血症というのは、これまでに非常に多く経験していまして、老年医学会のガイドラインの2005年版では、活性型ビタミンD3に関しては、用量の上限を設けるなどして注意を喚起しています。

 ただ、ここの症状のところは今、まさに伴先生がどこにはまるのかとおっしゃったように、高カルシウム血症という事象ではあるのですけれども、症状として、例えば、せん妄で発現する方もいれば、ふらつきみたいなものになる人もいて、少し当てはまりにくいものですから、そういうことでは入れていないということなのです。ここは症状の側から見てという選び方をしています。

○伴構成員 症状の側から見ても、例えば、抗パ薬の抗コリン薬なんかは「ふらつき」に入っているし「便秘」にもありますよね。そういう意味では、活性化ビタミンD製剤と骨粗鬆症治療薬は、ほかの薬は合併処方みたいなことは余り書いていないので、それで入れられていないのかなと思ったのですが、頻度的には結構多いと思うのです。

○秋下座長代理 ありがとうございます。

 そういう意味では、合わせわざ的なものは余り入れておりませんで、単剤でというところにとどまってしまっているところはあります。併用に関しては、さまざまな組み合わせがこれまでと変わってくることがあって、少し限界がある表ではあるかなと思います。

○印南座長 池端先生、お願いします。

○池端構成員 伴先生がおっしゃったとおり、記載したいなという気もするのですけれども、むしろ逆に別添のほうで、治療薬からの副作用などがありますので、ここで一つ、骨粗鬆症治療薬などという形で入れて、今は(この疾患が)すごく高齢者が多いので、どんどん症例も増えていますので、そこで一つ項目を追加して書き込む方法もあるのかなと思ったのですが、秋下先生、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 別添の表の中に、骨粗鬆症の薬が取り上げられてはいなかったので、少しどこかに書き込めないかなとは思います。先ほど言いましたように、ワーキングでは直接は話題には上らなかったのですが、私も日本老年医学会の代表としてここに入っているのですけれども、老年医学会としては注意を促したいお薬には入ります。

 では、別添の表のなかに入れる形で検討させていただきます。

○印南座長 あとは、もし伴先生のような疑問が読む人から出るようであれば、ここに注記で「ここは症状についてまとめたもので、併剤とかそちらについては別添を御覧ください」とか、そのように書いておけばよろしいのではないかと思いつきで思うのですが、いかがでしょうか。

○医薬安全対策課課長 事務局でございます。

 そうしましたら、今のところは確かに、別添の中に骨粗鬆症関係のお薬が現状では明記されていませんので、これは追記させていただくとともに、今の7ページの4.の表1のところに、座長が御指摘されたような注を一言入れさせていただくことで、少しワーキングの主査のもとで作文等をさせていただいて、また座長のほうにフィードバックする形にさせていただこうと思います。

○印南座長 よろしいでしょうか。北澤先生、お願いします。

○北澤構成員 3ページの下のほうなのですけれども「○処方の優先順位」というところで、「ポリファーマシーを回避するような処方態度を心がけることが大切であり」と書いてあって、これはとても大事なことではないかと思いました。この指針では、構成上、最初にポリファーマシーがあって、ポリファーマシーを減らすためにどうするかという流れで進んでいるのですけれども、それは実態としてそうなのかもしれないのですが、そもそもポリファーマシーに至るようなことを回避することが大事であるというところをもう少し強調していただくと、さらにいいのではないかと思いました。これは感想です。

○印南座長 秋下先生、いかがですか。

○秋下座長代理 そもそもなる前にという話ですよね。この最初の一文がそのようなことを含んでいるのですが、ここ以外にということでしょうか。

○北澤構成員 現状でも十分わかるのですけれども、もうちょっと強調してほしいのです。

○秋下座長代理 なるほど。では、そこをよく見ていると「大切であり」というよりは「大切であるが、ただの数合わせで処方薬を減らすべきではない」というふうに、「てにをは」としては間違っているかなと今、思いましたけれども、一回、ここで一文を切る。そうすると、先生のおっしゃっていることが出るのかもしれませんので、そのように少しここの文章の表現を検討してみます。

 ありがとうございました。

○印南座長 ほかはいかがでしょうか。

 それでは、続きまして「5.多剤服用の対策としての高齢者への薬物投与の留意事項」について、事務局から説明をお願いします。

○医薬安全対策課課長補佐 7ページの13行目を御覧ください。

 (1)では、一般的な開始用量や投与量調整方法について、高齢者では薬物の最高血中濃度の増大及び体内からの消失の遅延が起こりやすいため「少量(例えば、1/2量~1/3量)から開始し、効果および有害事象をモニタリングしながら徐々に増量していくことが原則」といったところを記載しております。

 代表的な腎排泄型薬剤につきましては、別表3としまして、別にホチキスどめをしている別添の25ページに掲載しております。

 さらに、クリアランス等を用いた個別の薬剤の投与量設定等、詳細な部分につきましては、専門的な要素が強いため、こちらにつきましても別添の27ページからの部分で、指針の最後につける形にしています。

 続きまして、本文の指針の8ページ目の「(2)薬物相互作用とその対応」については、特にシトクロムP450が関与すること、基質と阻害薬や誘導薬の相互作用に注意する旨を記載しております。シトクロムP450の分子種ごとの基質、阻害薬、誘導薬につきましては、先ほどの別添の26ページの別表4にまとめております。

 8ページの7行目からは「(3)高齢者で汎用される薬剤の使用と併用の基本的な留意点」になります。

 マル1では「同種同効薬同士の重複処方の確認」について。

 マル2では「相互作用の回避とマネジメント」について記載し、マル3では、中間取りまとめで挙げられた疾患領域のほか、そのまま30行目の(4)に入りますが、疾患横断的に使用する薬剤ごとに、薬剤選択や併用注意等の留意点を、こちらにつきましては別添の14ページからの別表1に、それぞれ「A.催眠鎮静薬・抗不安薬」から「L.抗コリン系薬剤」として記載しております。

 別表1をご覧ください。それぞれの薬効群について、全般的な注意事項に加えまして「高齢者の特性を考慮した薬剤選択」、「投与量、使用方法に関する注意」、「他の薬効群の薬剤との相互作用に関する注意」について、それぞれ代表的な薬剤の一般名及び販売名を挙げながら記載をしております。相互作用の部分につきましては、必要に応じて、先ほどの別表4の相互作用の表を参照していただく形となります。

 さらに、これら以外で注意を要する薬剤として、日本老年医学会のガイドラインで、注意を要する薬剤リストに入っている薬効群につきましては、23ページの「別表2 その他の特に慎重な投与を要する薬物のリスト」として、そのガイドラインに記載された注意事項をそのまま引用する形で掲載しているところでございます。

 続きまして、指針本文の9ページ目を御覧いただきまして、マル2として、一般用医薬品等に関する留意点を記載しています。

 「○医師の処方外で患者自身が使用する一般用医薬品等やいわゆる健康食品の把握」についても、重複や相互作用による有害事象が起こり得ることから、患者、家族等、介護職員にも自覚を促し、これらの使用状況、使用頻度や服用量を把握することが重要であり、相互作用で注意するべき代表的な事例も、小さな文字のところで掲載しています。

21行目の「(5)処方の見直しのタイミングの考え方」では、急性期、療養環境移行期、慢性期といった、患者の病期ごとの薬剤選択における考え方を示しています。

 下のほうに、図5としまして「療養環境移行時における処方変化のイメージ」を示しています。例1では、入退院や施設入所・退所を通じた療養環境移行時における処方見直しのイメージ。

 例2では、かかりつけ医や在宅医療への移行時における処方見直しのイメージを示し、処方見直しには、患者の病状や処方薬剤が一元管理される必要があり、特に療養環境移行期につきましては、移行先における継続管理を見据えた退院時の処方見直しが求められる旨を掲載しています。

 以上でございます。

○印南座長 ありがとうございました。

 ただいまの部分につきまして、御質問、御意見等がありましたらお願いします。島田委員、お願いします。

○島田構成員 7ページの「(1)薬剤の特性に合わせた開始用量や投与量調整方法」がありますけれども、薬剤師が投与時に、その投与量が適切がどうかを判断するときに、検査値の共有や処方医もしくは医師のコメントといったものも共有されると、調剤や監査のときに的確な判断ができると思いますので、薬剤師が調剤するときの関与についても一文つけ加えていただけるとよろしいかなと思いますが、いかがでしょうか。

○印南座長 ただいまのにつきまして、まずは秋下先生、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 おっしゃるとおりなのですが、その文を入れるのが他にどこかになかったかなと今、見ていたのですけれども、後のほうに情報の共有とか連携のお話が出てくるので、ここは少し意味が違います。7ページの最後に、今おっしゃった一文をつけ加えたほうが、より明確になるかもしれません。

○島田構成員 11ページの多職種との協働というところでもよろしいのかもしれませんが、その後の御説明をいただいてから発言をしてもいいかと思うのです。

○医薬安全対策課長 よろしゅうございますでしょうか。事務局でございます。

 文章という観点で申し上げますと、今、島田先生がおっしゃられたように、そもそもこの指針は、医師、歯科医師、薬剤師が主たる利用者であるということでございまして、11ページの「7.」にも書かれていますように、特に医師・歯科医師と薬剤師が薬物療法で中心的な役割を果たすことを求められているということでございます。

 そういう観点からすれば、先ほどの7ページの5の(1)の部分も、主語を特に書かなくても、当然これは薬剤師が行うべき業務の中で、きちんと処方の監査をするということでありますので、こういった多職種連携のことも書かれておりますし、ここは全体の流れからいっても、特段加えなくても、読んでいただく方には御理解いただけるのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

○印南座長 どうぞ。

○島田構成員 そのように読み込んでいただきたいと思いますので、了解しました。

○印南座長 他にいかがでしょうか。林先生、お願いします。

○林構成員 林です。

 用語の問題で、本質的なことではないのですが、確認と提案です。

 8ページの21行目あたりからA、B、C、Dとなっているところを見ると、薬効群を示しているところは、何々治療薬というふうに「薬」でくくっているのですが、その下の35行目あたりから見ると「I.消炎鎮痛剤」あるいは「L.抗コリン系薬剤」になっているので、ここは薬理作用とか薬効群を言っているところは「薬」にしておいたほうが、マニュアルとしての全体の読みやすさというか、使いやすさになるのかなと思い確認と提案です。

○秋下座長代理 そのことに関してはおっしゃるとおりかと思います。

○印南座長 他に。それでは、お願いします。

○斎藤構成員 斎藤でございます。

 細かいところで恐縮でございますけれども、26ページの別表4でございますが、下に注が1、2、3、4、5とございまして、表の中に「注)」が3カ所ございます。注1、2、3、4、5と表の中の「注)」が対応しているのかどうかについて、ワーキンググループで確認いただければありがたいと思います。

○秋下座長代理 これは大変失礼いたしました。それぞれがどれに当たるかを、注1と2が当たる場合などがあると思いますので、整理させていただきたいと思います。

○印南座長 他に。お願いします。

○大井構成員 確認ですけれども、ページ26の別表4ですが、ここは「基質、阻害薬、誘導薬の代表例」ではあるのですけれども、CYP3Aの阻害薬のところで「グレープフルーツジュース」が入っていて、誘導薬のところに「セントジョーンズワート」が入っている。これはいわゆる医療用医薬品と同類のところで扱っていいのかなというのが、何となく違和感があるのです。グレープフルーツジュースは恐らく全てのCYP3Aにはかからないと思うので、例えば、これは食品ですので、これに対して阻害するという、薬剤として一くくりにしてしまっていいのか疑問に思ったので、質問させていただきます。

○秋下座長代理 これは私は余り詳しくないものですから、薬剤師の方の御意見を伺えたらと思います。

○医薬安全対策課長 よろしゅうございますでしょうか。事務局でございます。

 薬剤師という立場ではなくお答えさせていただきますけれども、このあたりはワーキンググループで作成する過程の中で、特にグレープフルーツジュース、セントジョーンズワートは、薬物ではないのですけれども、食品ということでございましても、添付文書に書かれているという位置づけから、ここに入れても差し支えないのではないか。このために、表の一番上の表題のところにも、わざわざ「薬物等」と「等」をつけさせていただいているという経緯でございます。

 これはあくまで注意喚起をするのがメインの文書でございますので、余りそこはこれが医薬品ではないからということで厳密性を追求するよりは、むしろ注意喚起としての適切性という観点で見ていただければよろしいかと思っております。

○印南座長 よろしいですか。

 他にございませんでしょうか。

 ないようですので、続きまして「6.服薬支援」。「7.多職種・医療機関及び地域での協働」。「8.国民的理解の醸成」について、事務局から説明をお願いします。

○医薬安全対策課課長補佐 資料10ページの17行目「6.服薬支援」につきましては、「(1)服用管理能力の把握」としまして、表2に示しております「服薬アドヒアランスの低下の要因」を理解した上で、服用管理能力を正しく把握すること、本人との会話からの気づきが難しい場合もあるため、薬剤師、家族や介護者、看護師などから生活状況や残薬、服薬状況の確認が必要であること、暮らしの評価をアドヒアランス評価に結びつけることの重要性を記載しております。

11ページの「(2)処方の工夫と服薬支援」では「服薬アドヒアランスが保てるような処方の工夫と服薬支援」に関して、表3に要点をまとめています。剤数の削減、剤形の選択、用法の単純化、調剤の工夫に加え、家族や介護職員等による介助も含めた管理方法の工夫も重要である点を記載しています。

14行目の「7.多職種・医療機関及び地域での協働」につきまして、まず連携における役割では「医師、歯科医師と薬剤師は、薬物療法で中心的な役割を果たす」一方、「看護師は、服薬支援の中で、服用状況や服用管理能力、さらに薬物有害事象が疑われるような症状、患者・家族の思いといった情報を収集し、多職種で共有することが期待される」記載しております。

 「○入退院の療養環境の変化に伴う医療機関等の協働」では、処方見直しチームの形成、入院時、入院前、退院後におけるかかりつけ医との連携、病院薬剤師の役割についても触れています。

 さらに、14行目の「○医療機関を超えた地域での協働」につきましては、お薬手帳などを用いた情報ツールの活用、地域内や外来の現場においても、多職種協力のもとに、医師が処方を見直すことができるための支援、例えば、訪問看護師と訪問薬剤師の連携による服薬状況、残薬の確認や整理、服薬支援等の期待について記載をしております。

 最後に、23行目の「8.国民的理解の醸成」では、この指針が医療現場で広く活用されるには、医療を受ける立場にある患者と家族を含む一般の方の理解が必須であり、広く国民に薬剤の適正な使用法の知識を普及させることが望まれる旨を記載しています。

 また、この部分で、本指針の精神は患者中心であることに触れ、一般向けの教育資材の作成への期待、老年医学会と老年薬学会が共同で作成した既存のパンフレットの活用についても記載しています。

 以上でございます。

○印南座長 ありがとうございました。

 ただいまの部分につきまして、御意見、御質問等があればお願いいたしたいと思います。溝神先生、お願いします。

○溝神構成員 11ページの表3に関してなのですけれども、「調剤の工夫」の「嚥下障害患者に対する剤形変更や服用方法」というところで「簡易懸濁法」という記載がございますが、実際、簡易懸濁法で全ての薬剤が行えるわけではございませんので、現場では服薬補助ゼリーですとか、この後、倉田先生からいろいろと御紹介があるかと思いますけれども、オブラードなどさまざまな方法で行われているかと思いますので、そういったところに関しても少し追記いただければと思いますが、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 追記をしたいと思います。ありがとうございました。

○印南座長 他に御意見、御質問等は。島田先生、お願いします。

○島田構成員 今の表3のところなのですけれども、「処方の工夫と服薬支援の要点」とありますが、「要点」とすると大分絞られた感じがするので、ここは「例」という形にしていただいてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 「例」でいいでしょうか。「例」だと、ほんの一部みたいな、もっと絞られた感じを受けませんでしょうか。

○島田構成員 「要点」というと、非常にここが重要で、要するに、ここだけではなく、もっといろいろな例がある。例えば「力価の弱い薬剤を複数使用している」の1行目にしても、力価の強いものにする前に、まずは一つずつ減らしていくとか、いろいろな方法が多分あると思うので、これだけがとても重要な点と受け取られないような表現の仕方もよろしいかなと思って発言させていただきました。

○秋下座長代理 おっしゃることはわかりました。網羅はされておりませんし、何か事務局から名案はありますか。

○医薬安全対策課長 事務局でございます。

 言葉の問題かと思いますが、例えば「主な事例」とされてはいかがでしょうか。

○秋下座長代理 では、そのように修正をさせていただければと思います。

○印南座長 他にございませんでしょうか。どうぞ。

○樋口構成員 この12ページの最後に「8.国民的理解の醸成」ということを入れていただきまして、大変ありがたいことと思っております。

 また、冒頭にもおっしゃられましたように、この検討会が、指針の精神として患者中心ということをうたっていただいたことも本当にありがたいことと思っております。

 しかし、前回、私はヒアリングしていただきましたように、患者といいましょうか、高齢者自身の願いの中には、まだまだお医者さんに物が言えない、かかりつけ薬剤師という制度ができたけれども、どこまで何をしてもらえるのか、どこに相談できるのかがなかなか理解が進んでいない。それやこれやの不安を解消するために、ぜひ薬剤に関する相談窓口を設けてほしいという意見が、私共の調査では大変多かったわけでございます。

 いきなりこの指針の中に、相談窓口をと言っても、今の制度上は非常に難しいと思うのですけれども、何とか患者自身の応答可能な相談の仕方は、むしろお医者さんなり薬剤師さんなりにそういう機能を強化するという言い方でも何でもいいのですが、その辺のところをもうちょっと、これは検討課題でもよろしいですから、御承知おきいただければありがたいと思っております。

○秋下座長代理 ありがとうございます。

 それは大変重要な御指摘かなと思います。そのような表現がうまく入るかどうか。言い過ぎてはいけないかなと思います。

○医薬安全対策課長 事務局でございますが、1点よろしゅうございますでしょうか。

 これは前回の本検討会でも、骨子のときに御指摘をいただいたことなのですが、今回は医師、薬剤師と医療職向けの指針をつくっていますけれども、今後、国民に対する普及・啓発も含めて、もう少し患者向け、一般向けのものをつくる必要があるかの検討を、引き続きワーキングのほうでもさせていただくと申し上げていたところでございます。

 今回の指針の趣旨は、まずは医療従事者向けというところではありますので、次年度の検討の中で少し、今の視点についても織り込ませていただきまして、実際にいろいろな都道府県ですとか、PMDAなどにもお薬相談の窓口はあるのですが、そういうところも含めて、どのように情報を皆さんに知っていただく形で提供するのがいいのかも含めて、検討させていただけないかと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

○樋口構成員 ありがとうございます。

○印南座長 他にございませんでしょうか。お願いします。

○林構成員 1011ページにかけての「表2 服薬アドヒアランス低下の要因」のところです。切り口が変わってしまうかもしれないのですが、有害事象の経験というか、服薬後に体調変化を経験されていて、自己判断で薬のせいと考えられて服薬を躊躇される方にはよくお会いすることがあります。薬剤師なので、そういうところに気づくことが多いので皆さんで考えるときに、ここに「体調変化」と書くのか、「服薬開始後の有害事象の経験」とか、何か1つ入れておくとプラスにならないかなと思って御提案ですが、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 そういうことはあるのだろうなとは思います。一般的な、総説的なもの等にそういうことが書かれていなかったので、今回はここで落ちているのですが、実はその表の上に「○暮らしの評価」ということが書いてありまして、まさにそこから発見してくださいというところがここには書いてあるのです。表2の中に入っていないということです。

○医薬安全対策課長 よろしゅうございますでしょうか。

 今の点は、実はワーキングでも議論がありまして、この表2の中の11ページにまたがる方なのですけれども、枠で囲った下から3つ目に「・自己判断による服薬の中止」というものが追記されているのです。その部分が言葉足らずということであれば、ちょっと補っていただくのがいいのかなと思いますけれども、何かいい御提案はございますでしょうか。

○林構成員 確かに、ここに近いかなと思いますので、例えば、括弧書きで「(服薬後の体調変化・有害事象を含む)」みたいなものを入れておくと、気づいてもらいやすいかなとは思います。

○秋下座長代理 それはいい案かなと思います。「服薬後の体調変化」になるのですか。

○林構成員 はい。

○秋下座長代理 では、そのように修正させていただいて、また御覧いただきたいと思います。

○印南座長 他にございませんでしょうか。どうぞ。

○平井構成員 質問なのですけれども、今の11ページの表の上から3つ目の「・自覚的健康感が悪いこと」は、お薬を飲んでも効いていないというようなイメージですか。

○秋下座長代理 趣旨的にはどちらかというとそういう感じです。

○平井構成員 ちょっとわかりにくいです。

○秋下座長代理 医療者でもわかりにくいですか。

○平井構成員 そういうことなのだろうなというのは、医療者では何となくわかるのですけれども、「健康感」というと、普段の健康感みたいな感じかなというので、端的に「お薬が効いていない」という言い方をしてはいけないのかなと思っただけです。

○秋下座長代理 この表現が出てきたのは多分、英文の論文等でこういう研究があって、それの訳語として出てきてしまっているので、わかりやすい言葉を考えたいと思います。

 趣旨としてはそれでよろしいですか。

○平井構成員 はい。了解です。

○秋下座長代理 では、表現のことだけですので。

○印南座長 他にいかがでしょうか。先生、お願いします。

○荒井構成員 別添のことでもよろしいでしょうか。

 別添の別表1と2のところで薬剤名を書かれているのですけれども、一般名だけではなく販売名も書かれていると思います。これから後発80%の時代になると、一般名だけでいいのではないかと思うのですけれども、ここを入れた理由をお聞きしたいところがあります。

 というのは、先発の販売名というのは、医療過誤の問題で名称が変わる可能性もあるということと、先発品のほうが先に承認整理されてしまう可能性もありますので、この別添資料のリバイスというところも考えると、一般名だけでいいのではないかと思われるところがあります。

○秋下座長代理 ありがとうございました。

 この点につきましては、最初は一般名だけでスタートしていたのですが、特にかかりつけの先生方が、販売名のほうになじみがあって、そちらが記載されていたほうがイメージしやすいということなので、一般名と販売名を併記しています。それも、販売名につきましては、現在最も多く使われている商品ということを、きちんとデータをとっていただきまして、その中の代表的な1ないしは2品目だけを載せさせていただいたという経緯を御理解いただければありがたいかと思います。

 恐らく、ジェネリックのほうが広まっている現場と、販売名あるいは商品名のほうが通りがいい現場があるかと思いまして、例えば、看護師さんなども一般名よりは販売名とか商品名のほうがわかりやすいという方も多いのだと思うのです。そういうこともありますので、併記ということで御了承いただきたい。特に、余りいっぱい並べるとすごく読みにくくなるので、本当に1~2品目にさせていただいたということです。

○印南座長 いかがでしょうか。

○荒井構成員 一物多名称のものもあるかと思うのですけれども、その場合は両方とも記載する方針でしょうか。

○医薬安全対策課長 事務局から補足をさせていただきます。

 今、秋下主査から申し上げたのが、実際にワーキングの議論の中で、販売名を記載する経緯になったものでございます。基本的に、ここではいわゆるレセプトのオープンデータと薬事ハンドブック等の、一般名ベースと販売名ベースで上位の売上品目がわかるデータソースがございますので、そういったものから上位3~4の製品を選ばせていただいています。その過程で、一物多名で片側のほうがリストアップされないケースが出てきますので、そういうものについてはメジャーなほうだけを書いているものもございます。

 ただ、そのあたりは、もし一物多名のもので2つあったほうがいいということであれば、そこはまたこちらのほうで工夫をさせていただくことにしたいと思います。

 あと、大事な点は、薬剤のメンテナンスでございますけれども、これは販売名が変わるとか、製品が販売されなくなるということだけではなくて、実際、この催眠鎮静薬等もそうですけれども、新しいタイプの薬もどんどん承認されてきている状況もございますので、これは、例えば毎年1回ですとか、一定の期間でメンテナンスをさせていただいて、販売名も含めて、その上でまた検討会の先生方にも御確認をいただく機会をつくるとか、そういうこともこれから考えていくつもりではいるところでございます。

○印南座長 よろしいでしょうか。

 ほかにございませんでしょうか。伴先生、お願いします。

○伴構成員 伴でございます。質問が2つと、提案が1つです。

 質問は、最後の13ページの「参考文献」というのは、指針に入るものなのでしょうか。

○秋下座長代理 13ページ、最後ですね。ここまで含めて指針と考えています。

○伴構成員 そうすると、すごくこれは不十分な記載だと思うのです。例えば、出版年がなかったり、論文の引用の仕方も体裁が整っていなかったりする。ですから、これはかなり整理する必要があります。

○秋下座長代理 わかりました。確かに体裁はそのとおりです。これはきちんとさせていただきます。

○伴構成員 2つ目は別添なのですけれども「A.催眠鎮静薬・抗不安薬」のところで、割と老年医学の教科書的なものですと、例えば、ベンゾジアゼピン系ではあえてロラゼパムが推奨されるような記載は見かけると思うのです。私はそう記載したほうがいいと言うほど詳しくはないのですけれども、例えば「D.高血圧治療薬」のところでは「サイアザイド系利尿薬の使用は、骨折リスクの高い高齢者で他に優先すべき降圧薬がなければ特に考慮する」。これはカルシウムの保持作用があるからということで、骨粗鬆症予防的に使いなさいという意味だと思うのですが、そういう意味では、秋下先生はベンゾジアゼピンの特にロラゼパムを推奨するなどという立場ではないということでよろしいのでしょうか。

○秋下座長代理 どちらかというと、それでしたらまだベンゾではなくて非ベンゾということになるかもしれないです。これは、もしよろしければ水上構成員からコメントをいただければと思います。

○水上構成員  確かに、ロラゼパムは、直接グルクロン酸抱合されるので、高齢者には比較的安全なベンゾジアゼピン系薬剤という、記載があると思います。なので、これを一律にベンゾジアゼピン系抗不安薬の中、の代表的な薬剤として入れるかどうか。というのは、アルプラゾラムとエチゾラムに関しては、グルクロン酸抱合のところはロラゼパムとは違いますので、そのあたりでしょうか。

○伴構成員 むしろ、ベンゾは薦めないのだという立場で書かれないということならいいと思いますが、ベンゾを使いたいのだけれども、では何を使えばいいのかということになると、先ほどのサイアザイドを降圧剤に薦めているような形で、ロラゼパムという記載が入ってもいいのかなという読み方はしました。

○水上構成員 ベンゾジアゼピン系抗不安薬は使わないようにしようという流れだと思いますので、あえてここにロラゼパムが使える薬だということを入れるのはどうかと思うのですけれども、同列に扱うのはどうかという御意見があるのは理解できます。

○伴構成員 了解しました。

○水上構成員 これは使用量によって選ばれていることになりますか。

○秋下座長代理 多分、伴先生がおっしゃった趣旨はベンゾジアゼピンの中でもロラゼパムはまだ比較的ましなのではないかということなのですが、ベンゾは基本的には推奨しないということで議論をしてきました。この枠の中の一番最後のところに、ベンゾジアゼピン系抗不安薬として「アルプラゾラム」「ロラゼパム」「エチゾラム」と挙がっているのですが、これはよく使われているというか、売上ベースでこの順番としているのですが、むしろそこからロラゼパムは消しておいたほうがいいかもしれないということですか。

○伴構成員 推奨しないという立場から言うと、薦めるということは書かないでしょうから、消しておいたほうがということになるかと思います。

○秋下座長代理 では、ここはロラゼパムを削除してはどうでしょうか。水上委員もそれでよろしいですか。

○水上構成員 私はそれでよろしいかと思います。

○秋下座長代理 はい。

○伴構成員 もう一つの提案は「A.催眠鎮静薬・抗不安薬」のところの一番下のボックスに「表4」とあるのですけれども、これは「別表4」だと思いますので、「別表4」にしておいたほうがわかりやすいかなと思います。

○秋下座長代理 おっしゃるとおりです。もともと「表4」というものがあったので、それが残ってしまいました。ありがとうございます。これは「別表4」です。

○印南座長 他にいかがでしょうか。どうぞ。

○水上構成員 

 今、催眠鎮静薬のことが出たので、それについてコメントさせていただいていいでしょうか。

○印南座長 コメントの趣旨は。

○水上構成員 追加の意見です。

○印南座長 どうぞ。

○水上構成員 「A.催眠鎮静薬・抗不安薬」の最後の「他の薬効群の薬剤との相互作用に関する注意」という部分に、ラメルテオンは「フルボキサミンマレイン酸塩との併用は禁忌」と書いてあるのですけれども、スボレキサントについても、CYP3Aの阻害作用の強い薬との併用禁忌となっていて、その中でクラリスロマイシンなど比較的使われる薬があると思うので、併用禁忌について、少し追記しておいたほうがよろしいかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 そのとおりにしたいと思います。

○印南座長 美原委員、お願いします。

○美原構成員 12ページの12行目あるいは20行目の「薬剤師」のところに、あえて「かかりつけ薬剤師」という「かかりつけ」を使わなかったのは何か理由があるのでしょうか。私は、かかりつけ薬剤師は病院の人の場合もあるし、調剤薬局の方もあると思うのですが、ここは病院の薬剤師からかかりつけ薬剤師に役割が変わるというイメージもありますし、20行目ではどちらかがかかりつけ薬剤師になるわけです。

 実際問題として、今、かかりつけ薬剤師の方と連携というか、いろいろ話をしたり、疑義照会があるのですが、結構困ることがあるわけです。

 例えば、新しいお薬を出したときに、かかりつけ薬剤師の人が、この薬は副作用があるからと説明をされるわけです。その薬剤師の方は当然、薬剤師の役割としてそういうお話をされるのだろうと思うのですが、患者さんはそれでお医者さんに不安を感じてしまうことがあります。ですから、非常に仕事熱心なためにというのか、新しいお薬を出すときには、副作用だとかその他いろいろ考えて処方するわけですが、それをまた繰り返し行われることによって、非常に患者さんに不安感とか不信感を抱かせてしまうこともあるわけです。

 そういうことを考えると、いわゆるかかりつけ薬剤師との連携というのは非常に重要だろうと思いますし、これからかかりつけ薬剤師の意識というのもこの中でしっかり高めるような文言があってもいいのかもしれないと思いました。この指針を見てみますと「かかりつけ薬剤師」というものがないので、それをあえてそのようにしたのか、どうなのかと思って御質問させていただきました。

○秋下座長代理 これは随分と議論させていただいた点で、この検討会でも多分、骨子のときに議論していると思います。もし私が間違ったことを言ったら、修正していただければと思います。

 制度として指名を受けて「かかりつけ薬剤師」という形になった方がかかりつけ薬剤師ということで、制度上の「かかりつけ薬剤師」と、一般名称としての「かかりつけ薬剤師」とが、今の状況でかなり混乱を招くということで、あえてそこは使わないように進めてきたのです。

○美原構成員 ドクターもかかりつけ医というのは制度上で決まっているのですか。

○松本構成員 決まっていません。

○秋下座長代理 それなので、ドクターのほうの「かかりつけ医」は、一般名称としての「かかりつけ医」ということで、ここは使わせていただいています。

○美原構成員 薬剤師は制度上で決まっているから。

○秋下座長代理 決まっているので、そこは混乱しやすいので使わなかったということです。

○印南座長 どうぞ。

○島田構成員 今の御発言はとても重要なところだと思います。

 確かに「かかりつけ薬剤師」というのは、調剤報酬制度の中で「かかりつけ薬剤師指導料を算定できる要件があるということで取り上げて頂いているところですが、日頃からきちんと患者さんと向かい合って、いわゆる「かかりつけ」関係にある薬剤師さんは前からいるわけなのですけれども、調剤報酬上の「かかりつけ薬剤師」と必ずしも一致しているというわけではありません。しかし患者さんとの個別に対応する「かかりつけの薬剤師」は重要ですので「かかりつけ」という言葉も生かせたらよろしいかなと思うのですが、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 これは厚労省の制度的なことも絡むので、むしろ事務局から意見をいただいたほうがいいかと思います。

○医薬安全対策課長 どうもありがとうございます。

 今の御指摘の部分なのですけれども「かかりつけ薬剤師」と「かかりつけの薬剤師」という言葉が2つ存在することで混乱も招くこともあるかと思いますので、余り議論が起こらない形にしたほうがいいのかなと思います。

○島田構成員 実態を整理して「かかりつけ薬剤師」について適切にご理解して頂けるよう頑張りたいと思います。

○印南座長 他にございませんでしょうか。お願いします。

○林構成員 別添の16ページの「D.高血圧治療薬」のところで、先ほど来コミュニケーションのあった、ブランドネームを入れるという件なのですが、1行目の「Ca拮抗薬」の一番右側に[アダラート]という記載があるのですけれども、ここはブランドネームを入れるのであれば「L」とか「CR」などを私は入れておいたほうがいいのかなと思いました。というのは、その5行ぐらい下で「若年者と同様に第一選択薬であるが」と書いてありますので、今、アダラートを第一選択薬で使うことはないと思うので、ここは多分、販売量からいっても、選択からいっても「L」あるいは「CR」を入れておいたほうがいいように思いました。

○秋下座長代理 これは、実は私も販売名と商品名の区別がよくわかっていないのです。

○林構成員 補足説明すると、今はほとんど医療現場で見ないに近いと思うのですが、ラグビーボールのような形をしたカプセル剤で、中に油が入っている「アダラート」というものがあります。

○秋下座長代理 それはよくわかっていて「アダラート」という商品が使われることはもうないと。

○林構成員 いや、LとCRという徐放化したものは。

○秋下座長代理 それもよくわかっているのですが、ここに書く言葉として、例えば、そうすると、他の薬品も何とか錠とか何とかカプセルというものを全部書いていかなければいけなくなるものですから。

○林構成員 「アダラート」だけでとめてしまうと、急激に血圧が低下して、恐らく心臓への負担も大きいアダラートの、ただのカプセルを推奨することにこのマニュアルがなることを少し心配したという意味です。

○秋下座長代理 ありがとうございます。

 そこは私たちであれば、アダラートCRしか使わないことに多分、一般的にはなるのだと思いますが。そういう意味では誤解を招くのであれば、ニフェジピンごと削るという手もあるのかなとは思います。

○医薬安全対策課長 よろしゅうございますでしょうか。

 ここの販売名名称のところは、今、先生から御指摘いただいたように、何とか錠とかそういうものをつけ始めると切りがないので、大体ドクターの方が想起しやすい販売名の幹の部分をとらせて書かせていただいたのですが、もしアダラートのように、血中濃度で特段問題を起こし得るというところで「CR」とか「SR」を付記したほうがよいのであれば、ここは特段そういう配慮をさせていただくということで対応してよろしいかと思います。

○秋下座長代理 そうですね。それはここだけ、あるいは徐放錠とかです。

○林構成員 そういった御配慮をいただけるとよりよいかなとは思いました。ありがとうございます。

○印南座長 島田先生、お願いします。

○島田構成員 限られた時間で申し訳ありません。2点、申し述べることができなかったものですから。

 9ページの例1と例2の絵なのですが、ここの薬局への矢印が一方通行のように見えてしまいますけれども、現状では、退院されてからまた施設や病院等に再入院ということも少なからず起きていることを考えますと、この矢印は一方的な方向ではなくて逆向きにも。薬局から情報共有・提供もあることを御検討いただきたいということが一点です。

 先ほどの7ページのところで「薬剤師」と申し上げてまずかったかなと思うのですが、ここのところで私が気になったのはすぐ「投薬」と書かれてありましたので、この前の「調剤」とか「調整」という段階でも、十分内容を吟味するタイミングがあるものですから、ここのところに「薬剤師」ではなく「調剤」もしくは「調整」という言葉をつけ加えていただけると、全体的にバランスがとれるかなと思いましたので、御検討いただければと思います。

 以上です。

○秋下座長代理 最初に御指摘のあった、図5の例1と例2の情報共有の矢印を両方向につけておくという御趣旨ですね。情報は多分、両方で共有するというのと、患者の流れが左側から右側にというのがあるので、こういう矢印になっているのです。両方矢印にしても、情報共有の部分に関しては特に不都合はないですかね。

○島田構成員 再入院ということも現実にはあります。

○医薬安全対策課長 よろしゅうございますでしょうか。

 恐らく再入院ということであれば、例1でいえば、左側から再び同じ絵に入っていく感じになるので、秋下先生もおっしゃられたように、これは情報の流れとともに患者の動きを矢印で示している部分なので、逆に戻るというよりは、同じプロセスをもう一回回すという感じで整理されたほうがいいのかなという気はいたします。

○島田構成員 ワーキングでの議論をよくわかっていないので、間違っているかもしれませんが、左側のほうには薬局の絵がなかったものですから、お話をしたいのは、在宅での薬局薬剤師からの情報提供もあることをお伝えしたかったということであります。

○印南座長 どうぞ。

○松本構成員 先ほど、美原先生がおっしゃったことにもかかわると思うのですけれども、当然、医療機関あるいはドクターから薬剤師の方に情報提供すれば、フィードバックするのが当たり前の流れだと思いますので、あえて逆向きの矢印が必要なのでしょうか。そのようにしないと、先ほど、美原先生が御心配された、単に不安をあおるようなことにつながるのだとすれば必要になろうかと思いますけれども、それは一般業務だと私は思います。○島田構成員 おっしゃるとおり、一般業務ではあるのですが、この絵から受ける印象が、薬局に向かって、そこでとまっているようにどうしても理解してしまうのではないかなと思ったものです。

○医薬安全対策課長 事務局でございます。

 今、先生方が御議論いただいたポイントで、多分、この絵を1点修正すれば、そこは解決するかなと思っているのは、例えば、例1の一番左側のラグビーボールみたいなところですけれども、確かにここに薬局がいないのです。右側に行くと薬局がまた出てくるのですけれども、当然、入院をされるような機会に患者さんが移行していくということであれば、もとの状態の中には当然、薬局が関与したはずなので、この例1と例2の一番左側のラグビーボールのところに、それぞれ薬局の絵を追加してはいかがでしょうか。そうすることによって、今、先生方が御懸念のお話が全部整理できるように思います。

○島田構成員 よろしいと思います。

○秋下座長代理 それで矢印のところはいいと思います。

○松本構成員 例2のイメージが湧かない。例2のどこに入れるのですか。

○医薬安全対策課長 例2の左側の楕円のほうの「医療機関A」「医療機関B」と書いてある真ん中に「患者」「ポリファーマシー」と書いてあるところですけれども、このどこか下のほうでもいいのですが「薬局」というものも入るのではないか。右側の「かかりつけ医」のところで一元化をするところにも「薬局」が小さく書いてありますので、この例2の左側のほうにも入っていないと、多分、薬局なしでこの方は「医療機関A」「医療機関B」と「診療科D」「診療科E」だけに行っているわけでは恐らくないと思います。

○松本構成員 もともとの絵が悪いですね。

○医薬安全対策課長 申し訳ございません。

○秋下座長代理 これは少し難しい点がありまして、最初のほうに出てきた図ですと、それぞれの医療機関ごとに薬局があるという絵が出てくるので、1つだけ薬局が入っているというと、そこは一元化されているイメージであるのか、ただつけ足しで入っている薬局なのかが少しわかりにくくなる面があるかもしれないです。

○島田構成員 お伝えしたかったのは、情報は一方通行で終わりではなくて、いわゆるサイクルで動くという、これは前の検討会でも林先生のお話があったように、フィードバックが重要だと思いますので、そういった流れがこの辺の中でうまく表現できると、より理解が深まるのではないかと思いました。

○松本構成員 書き直しですね。

○医薬安全対策課長 今の点も含めて、主査とこの絵の描き方については、御相談をいただいて、また先生方に御覧いただきたいと思います。

○秋下座長代理 そのようにしたいと思います。

○印南座長 他にいかがでしょうか。

○島田構成員 ちょっとしつこくて申し訳ないのですが、2点目の7ページ目の「調剤」という言葉の挿入はいかがでしょうか。投薬というところで「薬物投与の留意」とありますけれども、投薬の前に調剤、調整があるものですから、その段階からこういったものに留意をするのが、私ども処方監査の部分で行われている作業ですので、ぜひ「調剤」という言葉がどこかに入っていただけるといいかなと思うのですが、なかなか難しいですか。

○医薬安全対策課長 よろしゅうございますか。

 事務局でございますけれども、5の(1)の1623行目なのですが、要は、ここは処方するときの一連の流れが書かれているわけで、言ってみれば、そこで薬剤師さんの方が処方箋をもらって、調剤時に監査をしていくとか、それは業務として当然やっておられることなので、指針としてそこを長々と書くのは、その指針が非常に複雑になるという観点から、ここは当然やっている業務であれば、できるだけ指針としてはシンプルにさせていただくという趣旨で長い文章を短く詰めてきているところでもあります。そうでないとなかなか現場の方に読んでいただけないということでもありますので、できればそこは通常業務としてやっておられる部分については、このままにしていただくのがよろしいかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○島田構成員 わかりました。

○印南座長 よろしいですか。

 それでは、他にはございませんでしょうか。お願いします。

○美原構成員 今、議論になっているところの絵なのですけれども、26行目の例1、例2の絵なのですが「移行時」というのはどこを指しているのかが明確でないから、わからなくなってしまうのではないでしょうか。

 例1はもしかしたら、在宅あるいはどこかにいるところから入院という移行時に、入院している時点で変わるというところの「移行時」であって、例2はもしかしたらば、病院から在宅あるいは居宅のところに移ったときのイメージである。

 ですから、そこの連携を書くのであったならば、最終的な例1の一番右と、例2の一番右は同じですよね。同じ在宅の話でごっちゃになってしまっているから、在宅ないし他の病院からある病院に入ったという療養環境の移行時に変化がある。そして、病院ないし医療機関から在宅等々に戻ったとき、あるいは施設に戻ったときに変化があるという2つの療養環境ということを明確にすれば、よりわかりやすい絵になるのではないでしょうか。

 以上です。

○秋下座長代理 言い訳になりますが、これは実は全く別のところにあった絵なのです。最初のほうにあった絵を、ワーキングの議論の中でこちらのほうに絵をということで持ってきたのでいろいろ不都合があって、例1と例2は、別に例1、例2ではなくて、一つの絵にして、今、美原先生がおっしゃったようなことで、薬局はむしろそこと離れたと言ったら変なのですけれども、情報の輪の中には入るのですが、先ほど、左側のところに入れたりなどと言うとちょっとややこしいので、位置を少し考えながら、一つにつくり直したほうがむしろわかりやすいのかなという気がしました。それを至急やり直して、提案いたします。

○印南座長 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 これで一通り、指針案に関する議論が終了したことになります。本日いただいた御意見等を踏まえて、ワーキンググループ主査である秋下先生ともよく相談の上、事務局が修正をいたしまして、私のほうで確認し、さらに事務局から構成員の皆様に御確認をお願いする。そういう手続のもとで、最終的な取りまとめは私に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○印南座長 それでは、そのような形で、取りまとめは座長に一任させていただきたいと思います。

 それでは、今後の事務局の方針について説明をお願いします。

○医薬安全対策課課長補佐 本日御審議いただきました結果に基づいて、取りまとめていただいた指針案につきましては、先生方に、本日の意見を踏まえての修正を御確認いただいて、最終的にフィックスした後で、パブリックコメントの手続に入らせていただきます。

 次回検討会では、パブリックコメントの結果も含めて、改めて先生方に御確認をお願いする予定です。

 以上でございます。

○印南座長 よろしいでしょうか。

 それでは、議題2に移りたいと思います。

 指針の中でも服薬支援について記載され、その役割に期待しているところですが、本検討会では、服薬支援についてまとめた形での検討はしてきませんでしたので、本日は、倉田参考人にお越しいただき「高齢者の身体機能に合わせた服薬支援」について御発表をお願いします。

 それでは、倉田参考人、15分程度でお願いします。

○倉田参考人 わかりました。

 昭和大学の倉田と申します。

 「高齢者の身体機能に合わせた服薬支援」というタイトルをいただきました。、私はずっと大学病院にいまして、リハビリテーション病院などで高齢者を診てまいりました。今は大学におりますが、今の地域医療という部門の前に薬剤学におりましたので、剤形のこと等も含めて本日はお話しさせていただきます。

 運動障害、嚥下障害、チーム医療のお話をさせていただきます。

 まず、運動障害なのですが、今のお話を聞いていても、何となく患者さんが薬を100%飲んでいるところを前提にお話しされているような気がしたのです。

 例えば、リウマチ罹患歴30年の患者さんは、PTPシートを出すのにこんなに苦労されています。指でPTPシートを押し出せないので、歯で押し出すということです。リウマチの患者さんだけではなくて、脳梗塞やパーキンの患者さんも皆さん苦労されています。PTPシートから錠剤を出すということです。

 そして、これは今のリウマチの患者さんが軟膏を使うところです。「使えますか」といったら「はい」なのですが、普通には蓋をあけられないから、こうして歯にくわえて蓋をあけるようです。

 新しい軟膏は、蓋の先端でぶつっと最初に穴をあけますけれども、この穴をあけることができないわけです。普通にこうやって絞り出すことができないので、下に置いておいて、こうして腕でぐいぐいと押し出すのが彼女の当たり前の使い方なわけです。

 何とかそういう方が自由に使えるようにというので、こういう歯磨き粉の絞り器とか、入れ歯補強剤におまけでついているものを患者さんにお渡しして、できるだけ御自分で使えるようにしていただいていました。

 また、脳卒中、片麻痺の患者さんは、片手ではこの袋をあけられないのです。皆さんも御自分の利き手が使えなかったら、この薬をどうやって飲むかを考えていただきたいと思います。

 何とか患者さんが自分であけられるように、これは封筒をあける文具ですが、ここにスイッチがありますので、片手であけることができます。ただ、これは滑りどめのゴムが敷いてあるので、これがないと機械が動いていってしまって、スイッチがオンになりませんのであけられません。

 こんな工夫をすると、患者さんがやっと自分で飲めるようになるということです。

 錠剤も、片手で取り出すことが難しいです。抗がん剤を飲んでいる方でも爪がやられますので、錠剤を出すのは非常に難しくなります。なので、錠剤を取り出すもので、今はASKULでも買えるのですが、この「トリダス」を考案しました。ここにプラスチックの板があるので、ここに錠剤を挟んで、上からげんこつでどんと押すと、錠剤を全部取り出すことができます。

 ここに板があって、これがないと錠剤が逃げていくのですが、ここに全部挟み込みますので、どんな大きい錠剤も、小さな錠剤でも、カプセルでも、こうしてどんと押すことによって取り出すことができます。このカップの中に、1回に飲む薬を全部取り出してしまって、このカップごと飲むことができるというものです。

2000年ごろに、私はこうやって、患者さんの体の中に入るまでをしっかり見ましょうということを言いたかったのですが、そのときに、皆さんのところはブルーのところが抜けてしまっているのですが、入るまでを確認して支援することを何とか言葉にあらわしたいと思って、そのときに考えたのが「服薬支援」という言葉だったのです。なので、薬剤師は「服薬指導」ではなくて「服薬支援」をしましょうというのを、多分、この言葉はなかったように思いますが、使い始めました。

 手の障害を有する患者さんが、どういう錠剤がいいのかという調査をしました。

 そのときに、パーキン、リウマチ、脳梗塞の患者さんです。

PP

 今の「トリダス」を使っていただきました。手で錠剤を出す場合と「トリダス」を使う場合、有意差をもって「トリダス」を使うほうが使いやすいという結果です。

 「レターオープナー」を使うのも、手であける場合と「レターオープナー」を使う場合で、有意差をもって「レターオープナー」のほうがいいということです。

 こういう自助具というのは、非常に薬剤をあけやすくします。

 ただ、患者さんに初めて使っていただいたときに、患者さんは自分が難儀していることに全く気がついていないです。これを使っていただいた途端に「今、それでいいから売ってください」といっぱい言われました。なので患者さんが本当にどれだけ薬を飲むことに苦労しているのかを私たちは気がつかなくてはいけないかなと思います。

 「服薬支援」というのは、薬が患者さんの体の中に入るということがまず大事だと、飲めること服薬支援の第一歩ではないかと思います。

 なので、残薬というのは物すごく残っているわけです。

 こういう状況になっているわけです。

 これもコミュニケーションの問題なのですが、「お薬は飲めていますか」ともし患者さんに聞くと、患者さんは「はい」と答えてしまうのです。そこで、薬剤師が「お薬はどのぐらい残っていますか」と聞くと、患者さんは「結構ある」と言う。クローズドクエスチョンか、オープンクエスチョンかというところだと思います。

 服薬支援には、本音が聞けるコミュニケーション能力も非常に重要になってくるのではないかと思っております。

 嚥下障害のほうに移らせていただきます。

 嚥下障害があると栄養療法が必要になってきて、これはアメリカの静脈経腸栄養学会のガイドラインです。静脈栄養をするよりも、注射よりも腸を使いましょうと言われています。

 腸を使う患者さんが、何とか口から食形態を工夫している場合、経管投与の場合といろいろありますが、ここに適する剤形は何かというと、本日は時間がないので全部省いてしまいますが「口腔内崩壊錠」なのです。ここのなぜ口腔内崩壊錠かというところはお話を省いてしまいますが「口腔内崩壊錠」です。

 口腔内崩壊錠の添付文書を見ると、「水なし服用」とは書いていないのです。でも、結構「水なし服用」と言われてしまいます。

 なぜかというと、添付文書に書いてありますように、「OD錠であっても、水またはとろみ水で服用」させることが大事ということです。それから、消化管に落とさなければ、口腔粘膜からは吸収されないですので、こういうことをしっかりお話しすることが大事であります。

 薬がこういうところに残留するというのはよくある話です。

 残留しないためにはどうしたらいいかといったら、ゼリーとかを用意するのはすごく大変ですので、口の中に入れたらぬるっと、錠剤の周りがゼリーになればいいのではないかと考えました。

 飲みやすさを追及したゼリーコーティング錠というものを考案したわけです。

 何をやったかというと、薬剤にいたので、自分でいろいろなコーティングをやって、こういうコーティングをしたものを水で濡らして、この滑り台を滑らせたものです。

 このディッピング・ドライ法でやったのが非常によく滑ったものですが、GMPの環境を私は持っていませんから、薬はつくれません。

 なので、こういう製剤企業の開発の人たちが集まるセミナーなどで何回かお話をさせていただきました。

 その結果、このように飲むと水の周りがつるんとなる、こういう「GEMTAB」というものが発売されて、この絵は私がぬるっとした状態がいいなというところからつくられた製剤です。

  服薬支援するには、飲みやすくする。とにかく患者さんの体の中にしっかり入るようにするということが、服薬支援の第一歩かなと思います。

 続いて、経管投与の場合です。

 こういう場合です。

 配合変化を起こすことがあります。カマはもともと制酸剤ですので、強アルカリでpH10ぐらいあって、こちらがアルカリに弱い薬です。

 この2つを潰して、混ぜておきますと、これがL-ドパ、そしてマグミットはカマです。重質酸化マグネシウムと混ぜておきますと、粉の状態で4週間混ぜて置いておくと、含有量が実は60%まで減っています。

 なので、潰して混ぜて患者さんのところに置いておくだけで、含有量は下がっていっているということです。

 何かといったら、レボドパがメラニンになってしまうということなのです。

 簡易懸濁で水の中に一緒に入れた場合も、こちら側がカマで、今、L-ドパを入れます。最初は同じ色ですけれども、これをかきまぜて、1分たち、2分たつとどんどん色が変わっていきます。20分たったときには真っ茶色色になります。メラニンができるので、当然、最後は真っ黒になるというわけです。

 これの含有量を調べています。120分ちゃぽんとつけて、かきまぜ続けると、含有量は、メネシッドだけ、L-ドパだけだったら120分たっても100%ありますが、かきまぜ続けると、マグミットと一緒に混ぜたものは含有量が20%になってしまいます。100mg投与するつもりでも、20mgしか投与していないということです。

 しかし、医療の現場で2時間かきまぜ続けるということはないので、撹拌しないで120分置いてみました。そうしたところ、含有量は低下しませんでした。

 このことから何が言えるかというと、一緒に簡易懸濁で水に入れたときに、撹拌は投与直前までしないということです。先に水を吸ってかきまぜてしまうと、そこから配合変化が起こってしまいます。

 ですので、水を吸ってそっと置いておいてというところでもって、ちょっと工夫するだけで配合変化が起こらなくなるということです。

 これもまさに服薬支援なのです。投与する薬を、調剤とか投与方法を変更して、配合変化を減らしていく。こういうものも服薬支援の一つであろうと思います。

 潰すということは危険なので、やめていただきたいと思いますが、本当に思ったのは、腸溶錠を潰すのです。そうしたら、これこそ不要なポリファーマシーなわけです。全く無意味になるので投与しないほうがいいです。まさにこんなことをやっていると、不要なポリファーマシーということになるのではないかばと思います。

 最後は「チーム医療」です。

 先ほど「レターオープナー」のことを紹介しましたが、高次脳機能障害があると、患者さんはここに平行に、きれいに入れることができません。

 すぐできなければ、OTと連携をとって、OTさんにあける練習などをしていただいていました。

 看護師さんたちは、袋があけられないと、こんなスタンドをつくってくださっていましたけれども、これだと朝、昼、夕にここのところを切ることができないのです。1個ずつになっていれば、はさみで切ることができますけれども、ここが切れません。

 ですので、私たち薬剤師が空の袋を持っていってあける練習、それから、朝と昼のところは、ここできれいに折り曲げて、折り曲げたところをここに入れると、朝だけが別になります。そして、セットするということをやっていたのですが、これもすぐにできるわけではなかったりしますので、最初は毎日セットしているか確かめることが大事になります。

 そのときには、看護師さんとの連携です。薬剤師は毎回見るわけにはいきませんが、看護師さんはずっといてくださるので、そこで連携をとることが重要になっていきます。

 「PTとの連携」も行いました。

 例えば、パーキンの患者さんで、薬を増やす、状態が悪いのでカベルゴリンを追加しましょうといったときに、ドクターたちは結構主観的評価ができますが、薬剤師やPTはできません。

 なので、何をやったかというと、5メートル行って、戻ってくる時間を測るという「1.歩行障害度テスト」を行いました。

 手の障害では、叩いて平行にする動作を10回やるという変換運動の時間をはかりました。ドクターたちはキラキラでできるのですが、これは非常に主観的なので、秒数を測るという客観的評価を行いました。

 その時間が、これが薬のトラフのときで、これがピークのときです。つまり、ここが薬物の効果です。

 2回目は、リハビリの前とリハビリの後なので、こちらをPTが測定し、こちらを薬剤師が測定するということでこのテストを行いました。

 結果ですけれども、投与開始前のこれがトラフのとき、これがピークのときです。つまり、これだけ薬物の効果がありまして、歩いてどれだけ時間が早くなったかというグラフです。こちらがリハビリの前、リハビリの後で、ここで早く歩けるようになって、戻って座れたので、リハビリ効果もあったということです。

 これが、日にちを追っていくごとに、最後は全く偏向がなくなりました。つまり、これで退院時期を決めるということを行っていました。

 手の変換運動のほうも、何秒で10回できるかの時間を測ったのですが、いろいろな条件ですけれども、トラフのとき、ピークのときでよくなったのですが、1カ所だけ、左のトラフのときはなかなか調子がよくならなかったので、もう1剤を加えるというものになって、こういうチームプレーによって客観的な評価をすることを行っていました。

 ということで、大急ぎでしたけれども、この3つのお話をさせていただきました。

 御清聴ありがとうございます。

○印南座長 大変ありがとうございました。

 一応、資料3に、事務局のほうから論点となるポイントが掲げられております。これを参考にしながら、何か御意見あるいは御質問等がありましたら、お願いしたいと思います。お願いします。

○伴構成員 伴でございます。興味深いプレゼンテーションをありがとうございました。

 研究としては非常におもしろいと思うのですが、これはどのように、今、先生のかかわられている地域とかチームでは普及されているのかということが一点。

 それから、これは全国に普及させていく場合に、レターペーパーのオープナーとか、あるいは錠剤を出す自助具を買うことはできると思うのですが、それも最初は一緒に行かれて指導するのが必ずあると思うのです。その辺の普及活動はどのようにしていくのがよろしいでしょうか。

○倉田参考人 御質問いただいてありがとうございます。

 普及で今の「トリダス」とか「レターオープナー」などは今、全国で簡易懸濁法の実習と一緒に、実際に薬剤師に使っていただくということをやっていますので、実際に使いますと、皆さんもそのよさがわかって、各薬局などに置いてくださって、患者さんに、苦労していないですかということを聞いて、実際に試しに使っていただくということを、結構全国で広い部分でやってきていますので、そういうもので前半の部分は普及できるかなと思います。

 それから、今までお話しした患者さんの体の中に薬が入るとか、ちゃんとコミュニケーションで患者さんの本音を聞きましょうとか、飲みやすくしましょうとか、調剤とかで剤形を変えて配合変化がなくなるというのは、普及とかではなくて薬剤師の業務の一つ一つで、それにどう気がつくかというところだと思うのです。今まで当たり前にやっているけれども、そうではなくて、実は飲めていると思ってポリファーマシーを考えているけれども、もとの薬が体の中に入っていないかもしれないというところをできるだけ気がつけるようにしようというところが一番かなと思います。

 研究でやるということよりも、本当に薬が体の中に有効に入っているのか、配合変化を起こして無駄になっていないかとか、腸溶錠を潰して、意味のない薬を投与していないかとか、そういうところをしっかり見ていくことも、服薬支援としては大事ではないかということです。

○印南座長 ほかに御質問、御意見等あれば。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

 大変ありがとうございました。これで議題2を終了したいと思います。

 次の議題は「(3)その他」として、来年度作成予定の「指針詳細編」について、事務局から説明をお願いします。

○医薬安全対策課課長補佐 それでは、参考資料2を御覧ください。

 来年度は、指針詳細編を作成する予定でございますが、大きな進め方としましては、総論編と同じように、まずは骨子案をワーキングに作成いただき、親検討会で御確認いただいた後、指針案の作成へと進めていく予定です。

 詳細編につきましては、前回本検討会の御指摘に合わせて表現を修正しておりまして、参考資料2の2つ目の四角の「○2年度目(H30年度)」と書いてあるところに「疾患領域別もしくは療養環境別の指針(詳細編)」ということで予定をしているところでございます。

 具体的にどのような指針をつくっていくかにつきましては、次回検討会の際に御意見をいただければと考えております。

 以上でございます。

○印南座長 この部分につきまして、何か御意見や質問等がありましたら、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

 それでは、議題3を終了します。

 本日も活発な御議論いただき、ありがとうございました。

 以上で本日予定していた議題は全て終了となります。その他に御発言等ありましたら、お願いしたいと思いますが、よろしいですか。

 最後に、事務局のほうから何か連絡事項はあるでしょうか。

○医薬安全対策課課長補佐 本日は長時間御議論いただき、どうもありがとうございました。

 次回検討会の日程は、日程調整の上、改めて事務局より御連絡させていただきます。

 なお、本日の議事録につきましては、後日、送付させていただきますので、内容の御確認をお願いいたします。修正・御確認いただいた後に、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○印南座長 それでは、これにて閉会いたします。本日はどうもお疲れさまでした。


(了)

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