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2018年2月2日 (平成30年2月2日) 平成29年度 第2回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成30年2月2日(金)
13:30~16:30


○場所

エッサム神田ホール2号館 4階大会議室


○議事

○司会者 (高野) それでは、定刻となりましたので、只今より「平成29年度第2回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を開催いたします。
  このリスクコミュニケーションは、働く方の健康障害を防止するため、厚生労働省が行っている化学物質のリスク評価に当たりまして、関係する事業者の方、また事業者の団体の方との情報共有、意見交換会を行うために実施しているものです。
  厚生労働省から委託を受けまして、私ども、テクノヒルが昨年度に引き続き運営を担当しております。私は、本日の司会を務めさせていただきます高野と申します。宜しくお願いいたします。
  初めに、お手元の資料の御確認をお願いいたします。
  議事次第1枚、ステープル留めの基調講演資料、資料1、資料2の2部、A4のピンクと水色のアンケート用紙が1枚ずつ。こちらのピンクのアンケート用紙は休憩時間に、水色のアンケート用紙は意見交換会終了後に回収させていただきます。あと、はがき大の赤と青のカードが1枚ずつお手元にございますでしょうか。資料の不足などがありましたら、挙手にてお願いいたします。
  それでは、本日のスケジュールについて簡単に御説明いたします。
  まず「酸化チタン (IV)の健康障害防止措置について」というタイトルで、厚生労働省の検討会である化学物質のリスク評価検討会で行われた検討内容につきまして、検討会委員でいらっしゃいます慶応義塾大学名誉教授の大前和幸先生に30分ほど御講演いただきます。
  次に「ラベル・SDS・リスクアセスメント制度について」というタイトルで、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質国際動向分析官の吉澤保法様に40分ほど御講演いただきます。
  以上の基調講演が終わりましたら、一旦20分ほど休憩といたします。
  尚、休憩時間にピンクのアンケート用紙を回収いたします。ピンクのアンケート用紙に、基調講演をお聞きになった御感想、疑問点、御質問などについて御記入いただき、会場内の事務局員へお渡しください。後半の意見交換会は、会場からいただいた意見を踏まえた形で進めてまいります。
  後半の意見交換会では、コーディネーターを長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いし、パネリストとして基調講演の大前先生、吉澤様の他、厚生労働省から2名、日本酸化チタン工業会から2名の方にお入りいただいて、疑問点にお答えしてまいります。
  意見交換会につきましては、開始から1時間ほどはピンクのアンケート用紙に御記入いただいた御質問について回答し、その後、30分ほど会場からの御質問を直接お受けいたします。
  尚、この講演会につきましては、後半の意見交換会を含めて議事録作成のため録音させていただいております。録音の関係上、最後の質疑応答の際はマイクをお渡ししますので、マイクを通して御質問をいただきますようお願いいたします。
  全体の終了は16時半を予定しております。
  それでは、最初の基調講演「酸化チタン (IV)の健康障害防止措置について」を慶応義塾大学の大前先生、どうぞ宜しくお願いいたします。

基調講演
「酸化チタン(IV)の健康障害防止措置について」

○大前 慶応義塾大学を昨年の3月に定年退職しました大前でございます。

(スライド1)
  最初に、資料1についてお話を申し上げます。「酸化チタン (IV)の健康障害防止措置について」ということで、スライドを使いまして、順次、25分くらいの予定でやります。

(スライド2)
  これは、酸化チタン (IV)の検討の経緯でございます。厚生労働省のリスク評価の制度というのは、平成18年から開始されたという形で、ここにありますようなプロセスで実施しております。
  最初にリスク評価の対象物質を選定しまして、それで有害性情報の収集、実際のばく露実態調査を行いまして、その両方を見比べましてリスクがどれくらいあるかということを、初期リスク評価、詳細リスク評価の2段階でチェックしているということです。
  もし、リスク評価の結果、リスクが高いと判断されましたら、その下の健康障害防止措置検討会に行きまして、そこで具体的にどういうことをやろうかという形になってございます。
  この四角の中がリスク評価の部分、健康障害防止措置検討会はリスクマネジメントの部分ということになります。したがって、リスク評価のところで判断されたことと、マネジメントである措置検討会で判断されることは若干違う可能性はいつもあるということになります。
  左側の四角に、この制度に即しまして平成28年度から措置検討会を開始しておりますけれども、酸化チタンに関しましては、21年から作業報告から始まりまして、28年度に措置検討会の検討を開始して、まだヒアリングを行っている最中になります。

(スライド3)
 まず、酸化チタンのリスク評価のことでございます。

(スライド4)
  基本情報は、皆さんの方がよく御存知だと思いますけれども、用途が非常に多岐に渡っておりまして、塗料、化繊のつや消し等々、この部屋もたくさん酸化チタンを使っている製品があるということは重々承知しております。

(スライド5)
  有害性情報の概要ですが、発がん性に関してはIARC、これはWHOの下部機関で、その化学物質に発がん性があるかないかという定性的な判断をしている国際機関ですが、酸化チタンに関しましては2Bということで、人に対する発がんの可能性があるという判断をしております。
  ちなみに、1になりますと明らかに人に対して発がん性があるもの、2は2Aと2Bに分かれておりまして、2Aは動物実験等々で発がん性が証明されておりまして、その証拠が確からしいもの、2Bが証拠のレベルが少し落ちるものということで、2A、2Bになっております。
  急性毒性のLD50は5,000 mg/kg体重以上というすごい量です。窒息するぐらいの量です。
  皮膚腐食性等々、ここにあるようなことは判断できない等々でございます。
  反復投与毒性は、若干、肺機能等に影響があるのではないかということが概要になります。

(スライド6)
  これは、御存知のように、酸化チタン粒子の様々な種類です。ルチルとか、アナタースとか、サイズによってナノかナノではないか。それから、同じ酸化チタンでも表面処理をされているもの、されていないもの。表面処理といっても様々なものがあるということで、私も聞いてびっくりしたのですが、表面処理自体が多岐に渡っているということになります。
  表面処理がないものは純粋な酸化チタンと考えていいわけですが、表面処理があるものはどう考えるのだというのは、なかなか判断の難しいところになっております。

(スライド7)
  最初に、ナノの方のリスク評価になります。
  有害性の評価の結果は、許容濃度がACGIHと日本産業衛生学会から出ておりまして、ACGIHはナノではなくて全体になります。10 mg/m3というすごい量ですけれども、これは1996年くらいの勧告だったと思いますが、その勧告の提案理由を読んでみますと、ろくなことを書いていないですね。余りしっかりした根拠があるものではないという意味です。
  それから、産業衛生学会は2013年だったと思いますけれども、これは動物実験をもとにしまして、2 mg/m3のレベルですと動物では何も起きないということで、それを無毒性量とみなして、NOAELといいますが、そこに若干の不確実係数、いわゆる安全係数を掛けて0.3 mg/m3にしたというのが産業衛生学会の2013年の評価結果になります。
  したがって、評価値としては、二次評価値0.3 mg/m3を採用したということになります。

(スライド8)
  実際、ばく露実態調査を行いますと、ここにありますように全部で15事業場の協力で46名の方の個人ばく露測定を行いまして、最大値が1.644 mg/m3ということで、先ほどの0.3 mg/m3と比べると結構高い数字になっているということになります。
  それから、スポット測定で、最大値が0.733 mg/m3、A測定で最大値が0.8mg/m3ということです。

(スライド9)
  これは全部のデータを図示しているわけではなくて、高い方から順番に全部で20データくらいを棒グラフにしているものでございます。点線が0.3という数字で、これを超えているのが全部で10データぐらいあったということになります。

(スライド10)
  その結果、今お話ししました0.3を超えているものは10データくらいあるということなので、個人ばく露の最大値が二次評価値0.3を上回っていることから、リスクは高い。
  それから、物性や作業の様態から、酸化チタンを製造している事業場における充填もしくは袋詰め作業、特にこういうところで高かったという作業場所による濃度の差も出てきたということになります。

(スライド11)
  それから、ナノを除く、いわゆる顔料用の酸化チタンとよく言われているようでございますけれども、これにつきましては、先ほどのACGIHが10。これは先ほど言いました、ナノ、ナノ以外も全部まざって10ということです。それから、産業衛生学会は吸入性粉じんとして1、総粉じんとして4というのを出しております。
  ACGIHが1996年くらいだったと思いますけれども、産業衛生学会の許容濃度はもっと古いものになっておりまして、ナノ以外の酸化チタンに関するこういうタイプの情報がない。逆に言いますと、ナノ以外のものに対する文献情報自体がないということなので、残念ながら、決して新しいデータではない数字を持ってこざるを得なかったということになります。
  一次評価値はなく、二次評価値は、産業衛生学会は吸入性粉じんの1を採用したということになります。

(スライド12)
  ナノ以外の酸化チタンのばく露実態調査を行いますと、全部で17事業場の59名の方に協力いただきまして、それの最大値が3.1。顔料、染料、塗料または印刷インキとしての使用という用途でございますけれども、ここで3.1という数字が出てきた。スポットでは4.85、A測定の最大値が1.7ということで、いずれも1を超えているという形になります。
  非常に違うのは、対象物質の製造のところが個人ばく露が0.29で、A測定が1.71です。それから、先ほどの顔料、染料、塗料または印刷インキとしての使用が、個人ばく露が3.1で、A測定が0.03と、逆転しているというのは非常に不思議な感じがするのですが、実際に作業場に行きまして測定するとこういう結果だったということです。

(スライド13)
  それを先ほどのように棒グラフで示しますと、上の4例の個人ばく露濃度が1mg/m3という二次評価値を超えていましたということでございます。

(スライド14)
  その結果といたしまして、酸化チタン (ナノ粒子を除く)の粉体塗装に関する作業のリスクが高いということがこの結果で観察されました。粉体塗装を行っている事業場に共通する問題だろうということでございます。
  以上が、ナノとナノ以外の酸化チタンに関するばく露評価、リスク評価になります。

(スライド15)
  今の結果を踏まえまして、今後の対応としましては、酸化チタンは吸入による健康障害のおそれがあると考えられ、ばく露実態調査の結果から高いリスクが作業工程に共通して確認されたということから、製造・取り扱い作業において労働者の健康障害防止措置の検討が必要ではないかという結論に至りました。
  その検討に至る留意点といたしまして、ナノ粒子に関しましては充填、袋詰め、ナノ以外の粒子に関しましては粉体塗装のところが高かったということになります。
  もう一つの問題は、これまで測定に用いてきました個人ばく露測定方法とか作業環境測定方法では、ナノとそれ以外の粒子を区別して測定できないという実際上の問題点も、残念ながらまだ技術的に解決されていないということでございます。

(スライド16)
  ちなみに、バイオアッセイ研究センターで、酸化チタンのアナターゼ型のナノ粒子の長期発がん実験を現在進行形でやっております。
  試験方法は、ラット、マウスを用いました2年間試験、これはごく通常のスタンダードなタイプの発がん実験でございますけれども、これを29~30年度に本試験、今やっている最中ということでございますけれども、31年度、再来年度に解剖等に回しまして結果をお示しすることができるだろうということで、まだこの結果は出ておりません。
  その結果が出ましたら、32年度以降に有害性評価小検討会の方に回ってきまして、どういう結果だったかということも含めて検討するということになります。

(スライド17)
  そういうことで、リスクが大きいのではないかということで、いわゆる措置検討会の方に話が回ってきております。

(スライド18)
  もともとこの措置検討会の意味というのは、重篤な健康障害のおそれがある有害化学物質について、労働者のばく露状況等の情報に基づきリスク評価を行い、健康障害の発生リスクが高い作業については、リスクの程度に応じて特別規則等による規制を行うということを検討する委員会になります。
  それから、ここは重要なところですけれども、先ほど言いましたように、リスク評価をするところとリスクのマネジメントをするところでは若干結論の違いが出てくる可能性があるということですけれども、化学物質のリスク評価は科学的・中立的に行う必要がありますが、特別規則等による規制については、その対策の実現可能性等も考慮に入れて導入するということになります。
  こういうことがあるものですから、今、ヒアリングをたくさんやっているということになります。実現不可能なことを提案しても、もともと守れないものを提案しても意味がないということですから、ここのところはマネジメントの考え方が入るということになります。

(スライド19)
  当面のスケジュールといたしましては、29年、去年の3月17日からずっと措置検討会の様々なスケジュールが始まりまして、10月に酸化チタン工業会を初め、ヒアリングをずっとやってきております。これは、先ほど言いましたが、まだ終わっておりませんで、3月12日は酸化チタン工業会にもう一度ヒアリングということで、ここでいろいろなお話を伺いまして、それでどのような措置をしようかということの最終決定をするということになります。

(スライド20)
  そのヒアリングのところで、事業者の方々からいろいろな意見が出てきております。まず、規制をするのだったら、ばく露の高いところだけにしていただきたいというのが共通の業界の御要望です。
  それから、酸化チタンが措置の対象とされた場合、消費者に悪い印象を与え、風評被害の話はいつも出てくる話ですけれども、風評被害による悪影響も懸念されることから、情報を発信するときには十分注意してくださいと。これが共通した御意見になります。
  個別の業界としては、印刷インキの方からは、樹脂等に分散した状態であるために粉じんとして出てこないということも含めまして、規制の対象外ではないかという御意見です。

(スライド21)
  それから、先ほどIARCで2Bと言いましたが、これは未処理、生の酸化チタンで評価しているので、現実にたくさん出回っております酸化チタンは表面処理しているものがほとんどであるということで、発がんのターゲット、発がんの物質が違うのではないかということを考慮したらどうかという御意見です。
  粉体塗料につきましては、幾重にもコーティングされているということで、酸化チタン特有のリスク、要するに酸化チタンが出てこない、そのものが表面に出ることはないということで、リスクは小さいのではないかということです。
  それから、粉体塗料の粒径は平均30~50 µmで、細かい粒子はほとんどないと。これは先ほどナノ以外の酸化チタンの実際のばく露のところで、吸入性粉じんをはかっておりますので、あれで1を超えているところがちょこちょこあるので、これは余り該当しないかなと。確かに、トータルとしてみたら30~50は多いのでしょうけれども、4ミクロン以下のものも1を超えているレベルになっているということなので、この意見は若干クエスチョンみたいな感じがいたします。

(スライド22)
  それから、化粧品の方は実際に測定されたそうですけれども、二次評価値を超えていないそうです。それから、50年以上の使用で特に何も起きていないと。
  溶接の方ですが、フラックスの中にチタンが入っているそうですけれども、これは酸化チタンかどうかもわからないみたいなお話を伺っております。また、実際には粉じん則で規制されているので、それでいいのではないかという御意見です。
  トナーの方は、実際に酸化チタンが離脱してばく露することはないとおっしゃっておりました。したがって、印刷とかコピーでトナーの表面に処理している二酸化チタンに関しましては除外ではないかという御意見がございました。
  今度またヒアリングがありますから、また別の意見が出てくるかもしれません。

(スライド23)
  そのヒアリングの中で、我々委員の中の関心事項が幾つかございます。1つは、先ほど申し上げました、酸化チタンといいましても、生の酸化チタンと表面処理してある酸化チタンがあると。実際に使われている量自体は表面処理されている酸化チタンが圧倒的に多いと。例えば食品用の酸化チタンは未処理だと聞きましたけれども、量的には表面処理のものが圧倒的に多いと。したがって、未処理の酸化チタンは製造するところの前半の工程の部分ではばく露をすると。それから、さっき言った食品なんかではばく露をするのかもしれませんけれども、そこのところを一くくりで考えていいかどうかというのは、判断としてはなかなか難しいということになります。
  ただし、それぞれの類型ごとの毒性データについて、様々な種類のコーティングがあるということなので、本当にコーティングされたものは大丈夫なのかという情報がない状態で判断するのはなかなか難しいということも、我々の中での関心事項になります。

(スライド24)
  粉体塗料の話は先ほど申し上げました。
  吸入性粉じんのレベル、4ミクロン以下のところで結構出ているので、これは余り当てはまらないかと思うのですけれども、もし情報があるとしたら提出してくださいということでございます。

(スライド25)
  先ほど、コーティングの問題をどうするかというところで、これを除外するかどうかというところで、今までこの措置検討会で幾つかの物質についてこういうものは除外しようということを決めてきたのが今4つございます。
  一番最近が三酸化ニアンチモンでございますが、これは樹脂等により固形化された物質については除外しようと決めてやっております。
  ナフタレンにつきましては、液体状のものの業務の一部は除外しようということでやっております。
  リフラクトリーセラミックファイバーにつきましては、バインダーにより固形化された物、その他粉じんが出てこない、リフラクトリーセラミックファイバーの粉じんが出てこないことが保証されているものについては除外しようということも決めております。
  それから、DDVPにつきましては、製造または取り扱う業務のうち、成形、加工、包装は措置の中に含めますけれども、それ以外の業務はいいのではないかということで、実際に適用除外ということもやっております。

(スライド26)
  参考といたしまして、どのような手続で特化則になるかという標準的な手続が書いてございます。
  リスク評価検討会が終わりまして、今、措置検討会をやっている最中でございます。まだヒアリングは全部終わっておりません。その後、パブリックコメント等を経て、労政審へ諮問するということで、順番としてはこういう順番になります。これは酸化チタンに限らず、一般的な手続になります。
  以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

○司会者 (高野) 大前先生、ありがとうございました。

基調講演2
「化学物質を安全に取り扱うためのラベル・SDS・リスクアセスメント制度について」

○司会者 (高野) 続きまして、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質国際動向分析官の吉澤様に、ラベル・SDS・リスクアセスメント制度について御講演いただきます。
 宜しくお願いいたします。

○吉澤 只今御紹介にあずかりました厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課で化学物質国際動向分析官をしております吉澤でございます。これから40分程度、お話をお聞きいただきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。

(スライド1)
  私からは、資料2として皆様に配られている「化学物質を安全に取り扱うためのラベル・SDS・リスクアセスメント制度について」を御説明したいと思います。

(スライド2)
  化学物質につきましては、皆様方はよく御存知のとおり、取り扱う際に化学物質による危険・有害性によりまして、健康被害とか爆発・火災等の事故を引き起こすおそれがありますので、一定の取り扱いに関する規制等が設けられているところでございますけれども、現在、我々の方で把握しております世の中に出回っている化学物質として、大体7万物質程度あると考えているところでございます。
  その中でも、特に一定の危険・有害性を有するものについては、化学物質のリスク評価に関する検討会という専門家による検討を経まして、化学物質の危険・有害性を、メーカーとか輸入業者がそれを譲り渡すときに、化学物質の危険・有害性についてもちゃんと情報提供してくださいという制度にしているところでございます。
  それを労働安全衛生法では、容器に張るラベル、それから譲り渡す際に安全データシート、SDSを交付するということで担保しているわけでございます。現在、その物質は663物質でございます。

(スライド3)
  ラベルについては、製品名、危険・有害性がある場合にはわかりやすい表示で、具体的な危険・有害情報と取扱注意事項がラベルに簡単に書いてございまして、より詳しい情報について、SDSで国際ルールに基づいて16種類ございますけれども、この16種類の化学物質情報について取引の際に相手方にお渡しするという制度にしているところでございます。

(スライド4)
  現在、危険・有害性につきましては、ここに書いてございますが、「The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals」、これの頭文字をとってGHSといいますけれども、危険・有害性の表示項目を国際的に調和するためのシステムというものでございます。
  ただ、調和といっても日本人に余りぴんとこないので、私は「Harmonized」を「統一」と読みかえさせていただいておりますので、危険・有害性を判定するための国際的な統一基準、分類基準に従って分類した結果を統一された方法で情報伝達するための手段というふうに内容を読みかえさせていただいております。

(スライド5)
  GHSに基づくラベル・SDSに関しては、物理化学的危険性については16項目、健康有害性については10項目、他に化学物質の環境有害性について2項目ございますけれども、特に危険性と有害性について労働安全衛生法では情報伝達をするべき対象としているところでございます。

(スライド6)
  表示というのは、ラベルに必要なものということで、GHSで定められているものでございますけれども、現在、9項目定められております。
  それぞれどういう項目について表示しなければならないかということが定められておりまして、例えば急性毒性について言いますと、区分1~3はどくろマーク、区分4については感嘆符ということで、それぞれ意味があるわけでございます。

(スライド7)
  現在、安全データシートにつきましては、平成28年に実態調査を行いまして、これは29年に特別集計をしております関係で29年の特別集計と書かせていただいておりますけれども、28年の統計調査によりますと、51.6%については法定外のSDSについても交付していると言っているところでございます。
  ただ、まだ半分近くの事業場は交付していない。その中でも、譲渡・提供先から求めがあれば交付しているというところが36.8%ございますので、皆様方の事業場でもし化学物質を相手方に引き渡す場合には、求められなくても積極的にお渡しするというようにちょっと変えていただくだけで、このSDSの交付実施率が8割を超えるぐらいに非常にアップしますので、ここは厚生労働省としてはお願いしたいと思っているところでございます。

(スライド8)
  法定物質については、法定外物質に比べるとまだまだ多いのですけれども、譲渡・提供先から求めがあれば交付しているというところが全体の3分の1ございます。法定物質については求められなくても交付するのが当たり前でございますので、こちらについてはちょっと問題があると考えております。
  ただ、この中でも、例えばSDSを自社のホームページで公開しております、もし相手から求められたら紙でお渡ししておりますというところもあるかと思います。厚生労働省の通達によって、SDSの交付については必ずしも紙でお渡しするだけでなく、例えばメールで送信する、あるいはホームページのアドレスを相手に通知する、それも全てSDSの交付に該当するという解釈をしておりますので、もし求めがあれば交付しているというところが紙でお渡ししていないけれどもというところがあれば、これは全てSDSを交付しているというふうにしていただいて宜しいですので、そこは幅広くSDSの交付をしていただきたいと思っているところでございます。

(スライド9)
  SDSにつきましては、サプライチェーンで製造メーカーからユーザーに至るまでの間に様々な販売業者を経るわけでございます。当然、ユーザーは直前の販売業者からSDSをもらうわけでございますけれども、その販売業者がSDSをその一歩手前の業者からもらっていないと、SDSが途中で途切れてしまうということもあるわけでございます。これは各業者が663種類の物質についてはSDSを必ず交付しなければいけないということをきちんと御認識いただいて、このサプライチェーンを通じてSDSの交付をつなげていただきたいと思うところでございます。

(スライド10)
  ラベル・SDSは、当然、各事業者がその物質の危険・有害性を認識し、取り扱い上の注意をするということを目的としているわけでございますけれども、労働安全衛生法で化学物質について663種類の物質についてはリスクアセスメントを実施しなさいということになっております。リスクアセスメントを実施するための情報源としてSDSが非常に重要なわけでございます。

(スライド11)
  リスクアセスメントにつきましては、最初にその物質の危険・有害性を特定し、みずから使用状況を踏まえてどのくらいのリスクがあるか、例えばそれが密閉した装置の中で全て完結します。全然外に漏れません。この場合は、リスクは非常に少ないと思います。しかし、例えばバケツで取り扱っていますとか、しゃもじでかき回していますとか、そういうオープンな状態であれば当然リスクは高くなるわけでございます。ですから、そのリスクを見積もっていただいて、対策を考えていただく。この対策を考えていただくところまでがリスクアセスメントでございます。つまり、ステップ1~ステップ3がリスクアセスメントでございまして、この結果、どういう措置をとらなければならないかということについて、努力義務としてリスク低減措置の実施、労働者への周知があるわけでございます。
  最低限ステップ3までやっていただいて、あと、それぞれの事業者さんで、例えばうちでは設備改善までは難しいので、何とか他の方法がないかとか、そういうふうにお考えになるところもあると思いますけれども、そこは各事業者さんでそれぞれできることを考えていただくというわけでございます。

(スライド12)
  ラベル・SDSについては法定で、ラベルについては名称から標章までが表示義務になっておりまして、SDSについては名称から適用法令、あと、その他参考情報があれば参考事項も含めてですけれども、これが一応法定事項になっております。
  赤字については、例えば名称については物質名でなくても製品名でもいいですよとか、人体に及ぼす作用についてはGHS分類ですよと。GHS分類というのは、先ほど説明をした危険・有害性項目の話でございます。そういうものが通達で決まっているところでございます。
  SDSの名称についてはラベルと一致させなければなりませんということが決まっているわけでございます。
  また、もちろん危険・有害性というのはその製品に対する危険・有害性ですので、混合物の場合には混合物としての危険・有害性があるわけでございます。ただ、情報収集をする上で、混合物としての危険・有害性というのはなかなか収集しづらいということがございますので、その場合には成分ごとの危険・有害性をSDSに記録していただくということでもよいことにさせていただいております。

(スライド13)
  リスクの見積もり。ここからはリスクアセスメントのやり方等の話になりますけれども、リスクアセスメントというものは、様々なやり方がございます。マトリクス法とか数値化法。これは厚生労働省で公表しておりますリスクアセスメントの技術的指針をごらんいただければ、具体的に載っております。
  例えばマトリクス法では、発生可能性と重篤度を相対的に、つまりクロスチェックで評価をするものでございますけれども、そういうような様々な方法があるわけでございます。
  どのような方法を使うかというのは、各事業者さんが使用状況等に合ったものを採用いただくことになっているところでございます。

(スライド14)
  当然、実測法というやり方でもよいことになっております。
  また、特別化学物質とか、あるいは有機溶剤については法的規制がございますので、法的規制があるものについてはその法的規制を守っているかどうかどいうものでリスクアセスメントとするということが、このウの「準じる方法」というところへ載っているところでございます。

(スライド15)
  リスクアセスメントのやり方について、いろいろありますが、要は各事業者さんが自らに合ったやり方で総合的に判断をして選択をしていただくというところでございます。

(スライド16)
  その結果、リスク低減措置を検討していただくわけでございますけれども、先ほど言ったとおり、リスク低減については設備改善もありますし、より危険・有害性の低い物質があれば、その物質にかえるというのも一つの手段でございます。
  そのような措置をとっていただいた後、改めてリスクアセスメントをしていただいて、どれだけリスクが減ったか、それを行うことによって初めてリスクアセスメントによる化学物質管理の制度が完結するということになります。

(スライド17)
  設備改善というのは、ここでは一般的な例をお示ししていますけれども、例えばライオンの危険性については、このような動物園みたいに完全に隔離してしまうという方法もありますし、あるいはサファリパークのように直接危害を加えられないように防護するような方法もございます。そういう様々な方法をとっていただいてリスクを低減して、低減した結果がここまでだったらいいだろうという基準以下に抑えていただくということでございます。

(スライド18)
  そのリスクアセスメントの結果については、労働安全衛生規則34条の2の8で、ちゃんと労働者に知らせることが義務づけられておりますので、ここをしっかりやっていただきたいと思うところでございます。
  ただ、労働者も、リスクアセスメントの結果はこうですよと言われても、なかなか内容が理解できないことも多々ありますので、労働者教育をしていただいて、化学物質取り扱いに対する対策をより深めていただきたいと思うところでございます。

(スライド19)
  リスクアセスメント実施状況というのは、これは参考なのでさらっと言いますと、リスクアセスメントについて平成27、28年の調査をしておりますけれども、ただ、このリスクアセスメントは化学物質に関するリスクアセスメントではなく、全てのリスクアセスメントのデータを載せておりますので、化学物質はこの中のごく一部という形になります。

(スライド20)
  実際、危険・有害性がなかったからリスクアセスメントをやりませんでしたというところが全体の6割ぐらいあるわけでございまして、残り4割で危険・有害性がありと認識しているわけでございます。
  その中で、人材がいないとか、やり方がわかりませんとか、そういう理由でリスクアセスメントを実施していないところもありますけれども、こういうところは厚生労働省の方でいろいろな支援策を設けておりますので、そういうのを御活用いただければと思います。
  災害が起きていないからやりませんとか、法令のみで十分と思っておりますとか、ここはちょっと考え方を変えていただきたいと思うところでございます。

(スライド21)
  ラベル/SDS、リスクアセスメントについては、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」というところで、モデルラベル、モデルSDSを公開しております。
  また、労働者教育のためにテキストを作成し、それも公開しております。
  あと、これらも含めて電話相談窓口を設けておりますので、こういうところへ御相談をいただければと思うところでございます。

(スライド22)
  これはツールの一覧でございます。
  ちょっとここから飛ばしましょう。

(スライド28)
  リスクアセスメントに関しては、厚生労働省は年度始めから年度終わりにかけて、電話相談窓口を業務委託しておりますので、コンサルティング会社の方に御一報をいただければ、リスクアセスメントの実施の仕方がわかりませんとか、ラベルの読み方がわかりませんとか、そういうことを電話あるいはメールで御回答いただけるわけでございます。
  29年度事業ということで3月の最終週の1週間手前の22日ぐらいまで電話相談窓口を開設しておりますけれども、既に現在、もう4月の初日の月曜日から電話相談窓口を引き続き開設するよう準備中でございますので、厚生労働省のホームページなどでそういう情報をチェックしていただければと思うところでございます。
  この電話相談窓口の事業には、リスクアセスメントの仕方がわかりませんという事業場には、中小規模事業場というふうに限定しておりますけれども、リスクアセスメントの専門家を直接現地に派遣して現地指導もしておりますので、これを御活用いただきたいと思います。
  今、中小規模事業場と申しましたけれども、これは会社の規模が中小という意味ではないので、大企業であってもその事業場の規模が小さければ、中小規模事業場ということでリスクアセスメントの訪問指導の対象になりますので、御検討いただければと思うところでございます。

(スライド29)
  今のような事業については、「ラベルでアクション」という形で一くくりにして周知活動をしているところでございます。
  現在、663物質についてラベル表示の義務づけがあるわけでございます。これは、現在出回っているものの中でも特に利用量が多くて、かつ危険性があるものが全て入っているというふうに書いておりますので、その場合にはラベルを確認していただき、危険・有害性を見ていただく。もし危険・有害性があるようであれば、SDSを見ていただく。もしSDSがついてなければ、買ったときの業者にSDSの交付を請求していただくという形で、危険・有害性の情報を入手していただきたいと思うところでございます。
  その結果、リスクアセスメントを実施していただいて、各事業場における化学物質によるリスクが低減すれば、それだけ各事業場において事業活動がより活発にできるようになる。あるいは、安全・安心な作業環境になるということでございますので、前向きに考えていただきたいと思うところでございます。
  ラベル教育については、先ほどの労働者教育用資料というものに入っておりますので、厚生労働省のホームページで御確認いただければと思うところでございます。
  ラベルについては、よくメーカー任せというところもございますけれども、基本的には譲渡する場合にはラベルが必ずついているものである。もし、ラベルがついていない物を譲渡したら、それは譲渡した人間の責任になりますので、必ずラベル表示を継続していただきたい。ちゃんとサプライチェーンをつなげていただきたいと思うところでございます。

(スライド30)
  「ラベルでアクション」として、厚生労働省ではポスターを作成したり、あるいはこのように活用するためのこのぐらいの小さな携帯カードですけれども、こういうカードも作成しておりますので、ホームページからダウンロードしていただいたり、あるいは厚生労働省の方に携帯カードが100枚欲しいのだけれどもありませんかと言われれば、もし在庫があれば御対応いたしますので、お気軽に御連絡いただければと思うところでございます。

(スライド31)
  第13次労働災害防止計画。厚生労働省では労働災害を防止するために大体5年間の中期計画を作成しておりまして、その5年間でこういうことをやっていきます、こういう対策をとります、こういうことを皆さんに呼びかけていきます、そのような様々なことを中期計画として位置づけているわけでございます。現在の第12次労働災害防止計画がもうそろそろ終わりますので、第13次労働災害防止計画、もう次回の災防計画を作成しているところでございます。
  12月7日に労働政策審議会の安全衛生分科会にかかったこの案が、現在公表されているものの中で最新の計画であるということで、ここに掲載させていただきましたけれども、この計画には数値目標を掲げさせていただいておりまして、例えば死亡者数とか、あるいは労働災害発生率とか、そのような様々な数値目標を掲げております。
  その中に、ラベル表示及び安全データシート(SDS)の交付を行っている化学物質譲渡・提供者の割合を80%以上とするという数値目標があります。これは、実のところ、第12次労働災害防止計画にも同じように80%以上というふうに載っておりまして、先ほど資料にもありましたとおり、ラベル表示についての最新のデータでは、ラベル表示率60%、SDSの交付率が51.6%ということで、2年前よりも増加しているものの、まだまだ80%には達していないということで、第13次労働災害防止計画でも引き続きこの目標を継続させていただきたいというところでございます。
  2から現状把握と施策の方向性について書いてあるところでございますけれども、先ほどのお話のとおり、663物質について現在危険・有害性の情報提供を行っているところでございますけれども、663物質以外のもの、多くの物質については現在義務づけが行われていないところでございます。
  ただ、663物質以外についても、実は労働安全衛生規則で、危険・有害性がある物質についてはラベル・SDSを表示、交付するよう努めてくださいということをお願いしているところでございます。ですから、必ずしも663物質に限らず、広く危険・有害性情報についてはラベル・SDSを用いた伝達をしていただきたいと思うところでございますけれども、まだ十分それが行われていない。SDS交付率が51.6%ということでございます。
  欧米諸国におきましては、物質を指定せず危険・有害性を各事業者さんが調べていただいて、危険・有害性があるものについてはラベル表示をしたり、SDS交付を行う仕組みも整備されているところでございます。

(スライド32)
  このように国際的な状況を踏まえて、化学物質の危険性または有害性に関する情報提供のあり方について考えていく必要があるのではないかという問題提起を第13次労働災害防止計画でしているところでございます。
  下線だけ抜粋して申し上げさせていただきますけれども、「663物質以外の化学物質の危険性や有害性が情報伝達されないままに、規制対象物質の代替品として用いられる動きも認められる」と。これは、さっきリスクアセスメントのリスク低減措置の中で、リスクの高い物質についてはより危険有害性の低い物質に転換をするというやり方も御紹介したところでございますけれども、そういうものでなく、危険・有害性がわからない物質、当然、世の中に物質数というのは何万も何十万もあるわけでございますけれども、中には危険・有害性についての知見データがないものがございます。当然この663物質に入っていないわけですけれども、そのような物質に安易に転換したら、後で健康被害が生じたということも実際に起こっております。ですから、代替するときには、その物質についてのSDSを見ていただいて、データがないから分類できませんというようなことが書かれていたら、ちょっと御注意いただきたい。決してそれは安全という意味ではなく、ただデータがないというだけでございます。ここを御注意いただきたいと思うところでございます。
  厚生労働省のスタンスとしては、わからない場合にはおそれがあることを前提にした対策をとることが前提ですよとお話ししております。
  この下線部も同じことを書いてございます。「危険性又は有害性等が不明であることが無害であることを意味しないことから、有害であるおそれがあることを踏まえて、必要な対策を講じることを指導・啓発する」。

(スライド33)
  ここで災防計画の項目が飛んで、現在、国の方では、先ほどの酸化チタンの話にもありましたけれども、積極的にリスク評価をして、リスクの高いものについては特別対策をとるということも言っておりまして、その一環としてラベル表示・通知義務対象物質についても、一定の危険・有害性が認められたものについては逐次追加しているところでございます。
  法改正時点では640物質が表示・通知対象物質でしたけれども、現在は663物質にまでそれが拡大しているところでございます。
  今後も、様々な知見に基づいて、当然、この物質については見直すこととしておりますので、それを改めてここで書いているところでございます。
  また、国の方で収集した情報については、収集した情報を用いて対象物質を見直すという活用をするわけですけれども、その収集した情報を直接公開をするということもやっておりますので、先ほどのモデルラベル、モデルSDSもそうなのですけれども、ホームページで危険・有害性情報がないかというのをチェックしていただくというのも情報収集のやり方の一つでございます。
  リスクアセスメントを各事業者さんの責務としてやっていただくわけでございますけれども、実際にその物質を取り扱うのは労働者でございますので、その労働者が正しく安全に化学物質を取り扱えるように、きちんとラベル教育やSDSの周知によりまして、正しい知識を労働者にお伝えしたいと思うところでございます。
  私の話は以上でございます。

○司会者 (高野) 吉澤様、ありがとうございました。
  それでは、ここで20分間の休憩を挟ませていただきます。議事次第のスケジュールとは若干異なりますが、こちらの時計で14時50分から開始する予定でございます。
  お手元のピンクのアンケート用紙に御質問などを14時40分までに御記入いただいて、会場におります事務局員にお渡しいただくか、事務局員が回収に参りますので、挙手にてお伝えください。どうぞ宜しくお願いいたします。

(  休 憩  )

意見交換

○司会者 (高野) それでは、お時間となりましたので、後半の意見交換会を始めさせていただきます。
  コーディネーターは、先ほど御紹介いたしました長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いしております。
  また、パネリストに、基調講演を行っていただきました慶応義塾大学名誉教授の大前和幸先生と厚生労働省化学物質対策課化学物質国際動向分析官の吉澤保法様、また、同省化学物質評価室より穴井達也室長、平川秀樹室長補佐、日本酸化チタン工業会より奥田雅朗様、真柄光一郎様に御出席いただいております。
  予定では、16時まで、あらかじめ会場からいただきました御質問について、先生から御回答をいただきたいと思います。
  それでは、堀口先生、宜しくお願いいたします。

○堀口 皆さん、こんにちは。どうぞ宜しくお願いいたします。
  初めに、赤と青の紙を出していただいて宜しいでしょうか。前回も酸化チタンについてはこのような意見交換会を実施したのですけれども、そこに御参加されていた方は赤、今回初めて御参加された方は青を上げていただけますでしょうか。宜しくお願いいたします。
  ありがとうございます。
  それでは、たくさんの御質問をいただきましたので、SDSに関する質問も結構たくさんありました。最初は酸化チタンから行きたいと思います。
  まず、リスク評価の結果について、酸化チタンのばく露量の高い作業があるということは理解できましたが、酸化チタンそのものが有害であるということがどうしても自分の中でリンクしません。ACGIHや日本産業衛生学会の許容濃度が有害性の根拠としては説得力に乏しいと思うのですが、いかがでしょうか。
  大前先生、お願いできますか。

○大前 産業衛生学会の、これはナノの方ですけれども、酸化チタンの許容濃度の提案のところの最後のところを今示しております。赤線のところ、「ラットにおける発がんはオーバーロードにより慢性炎症から上皮化生を由来するラット特有のものであると考えたので、採用しない」、これはハインリッヒという方がやりました有名な実験ですけれども、これは採用しておりません。
  その次のベルムデッツの亜慢性試験、13週間のばく露試験ですけれども、これで2 mg/m3のばく露濃度ではオーバーロードではなくて、肺にほとんど影響がないということで、これがNOAELとみなして、不確実係数を3と期間の2で6ということで、割って0.33、丸めて0.3という論理構成でやっております。
  したがって、この場合はナノでございますけれども、ナノの酸化チタンは無害であるということはございませんので、そういう結果だけがあるわけではなくて、やはり何らかの影響があるという結果もございますので、これは御理解していただきたいと思います。
  それから、これはナノに関しての各機関の許容濃度です。NIOSH、アメリカのNational Institute of Occupational Safety and Healthという機関ですが、これは0.3、ECでは0.017、日本ではNEDOが0.6ということを提案しております。いずれも先ほどのベルムデッツの試験を根拠にしているということです。それから、デュポン、主なメーカーですけれども、これは1と言っております。
  こんな形なので、産業衛生学会のナノに関する0.3が根拠はない、理解できないということは改めていただきたいと思います。
  それから、ナノ以外の酸化チタンに関しては、これは先ほど申し上げましたが、あの酸化チタンの許容濃度ができたのは、私が大学を卒業して10年後ぐらいのイメージで、もう30年ぐらい前なのです。そのころは、粉じんということでまとめて、酸化チタン以外の粉じんも含めて提案しております。あそこの提案の根拠というのは、酸化チタンにかかわらずいろいろな粉じんでいわゆる塵肺のようなことが起きているということを根拠にして、物質を第1種、第2種、第3種と振り分けたということでございます。でも、今お話ししたようにもう随分古いデータなので、今思うと、当時、粉じん小委員会という委員会ができてやっていましたけれども、たくさんの粉じんをまとめて分けてしまったかなという感じはしております。本当はもっと新しいデータが欲しいのです。

○堀口 IARCの発がん性は250 mg/m3という高ばく露によるもの、これに基づき吸入性粉じんでない一般の酸化チタンの評価値を1mg/m3とするのは過剰規制ではないでしょうか。ナノ以外の酸化チタンについては、他のPSLTも規制対象とするのでしょうかという御質問です。

○奥田 補足いたします。今、欧州の方でも酸化チタンの発がんに関する議論が進んでおります。酸化チタンの発がん区分を、欧州のRACというリスク評価委員会は2という提案をいたしました。これは第1回のときに穴井室長の方からコメントがあったところかと思います。そのRAC、専門家委員会のオピニオンの中では、酸化チタンだから発がんに至ったのではないと。これは今ありましたPSLT、poorly soluble, low toxicity、低毒性の難溶性物質として対処していく必要があるというレポートのまとめになっております。
  ですから、今の御質問は、酸化チタンとして扱うのか、酸化チタン以外の物質も含めたPSLTとして対処していくのかということではないかと理解いたしました。

○大前 先ほど、ナノ酸化チタンの赤線のところ、「ラットにおける発がんはオーバーロードにより」と書いてありますけれども、これは多分そのことだと思います。酸化チタン特有のものではなくて、たくさん肺の中に入れると、それに対して反応が起きて、いろいろなプロセスを経て結果的に発がんに至るということになろうかと思います。さっきの250という数字があったと思いますけれども、それは恐らくオーバーロードなのでしょうね。
  それから、この機会なのでついでにお話ししたいと思います。ヒトのデータがデュポンから出ております。

(スライド28)
 これは2010年のデュポンの3つの工場の作業者のデータです。その論文のアブストラクトのところだけ持ってきたのですが、赤線のところが肺がんに関する記述になっています。肺がんはない。「nonmalignant respiratory」ですから、肺がんとか、あるいは肺のがん以外の病気がないというのが2010年のこの方々の結論です。

(スライド29)
  その中に入っている実際の数字は、TABLE 3というのがあるのですが、この赤線のところ、Lungとありますが、これは肺がんですけれども、肺がんのところの左から3つ目のカラム、SMRと書いてあるところ、このSMRが0.9で、一般人口と比べて0.9倍であるということで、有意にふえているわけではないということで、ここの論文ではヒトのデータではないという結果でした。

(スライド30)
  同じグループから3年後にまた出てきまして、今度はばく露のデータがちゃんとあるとか、そういう形で少し対象を絞ってやったものですが、これもConclusionsの赤線のところですけれども、「There was no indication of a positive」何だかんだとありますけれども、これも肺がんに関してはないというふうにConclusionsでは書いてありますが、Resultsのところに幾つかごちゃごちゃ書いてあります。

(スライド31)
  TABLE IVというのがその表で、黒線は見にくいので私が勝手に線を引いたのですが、この中の上から3つ目、Cancer of the Lung、肺がんのところで青線が引いてあるところと赤線が引いてあるところがあります。
  アメリカの一般人口を母集団として、それと比べたら何倍肺がんが起きたかというのは青線が引いてあるところです。トータルのところを見て欲しいのですが、さっき言いましたように、デュポンの3つの工場で、左から3つ目のカラム、4つ目のカラム、5つ目のカラムが各工場の名前が書いてあって、一番右側のTotalというのは全工場を合わせた数字になります。
  それを見ますと、一般人口と比べるとSMRが0.98で、1を超えていないということで有意ではない、ふえていないという結果なのですが、赤線は、同じ比べる集団としても、アメリカの全人口ではなくて、デュポンの中の酸化チタンを使っていない労働者を比較対照とした場合に、一番右側の1.35ということで、括弧の中に1.07,1.05と書いてありますが、信頼区間が1を超えているということで、デュポンの中だけで比べると3割くらいふえているという結果があるのです。

(スライド33)
  これは中身の文章ですけれども、文章はともかくとして、デュポン以外の情報はあるかということで、このグループはディスカッションしておりまして、この赤線のところ、ボフェッタさんという方が2004年に、ヨーロッパの11の酸化チタンのプラントを調査しておりまして、この赤線のところですが、only the lung cancer SMR of 1.23、これがstatistically significantlyにふえていたということで、今のところ、2つのデータが肺がんに関して少しふえていますよというヒトのデータがありますので、こういうデータをもとにして、まだ不十分なデータだと思うので、IARCは1にはしていないのですけれども、こういう情報があるということは見ておいていただきたいと思います。

(スライド34)
  それで、なぜ一般人口だとなくて、デュポンの中だとあるのだということは当然疑問になると思うのですけれども、それはこの論文の中にも書いてあることですが、こういうタイプの疫学というのは、酸化チタンをばく露している集団とばく露していない集団を比べて多いか少ないかということをやっている論文なのです。対照集団と書いてありますが、これはばく露していない集団ですけれども、この集団に何を持ってくるか。非ばく露の労働者集団は、デュポンの中の酸化チタン以外の集団を持ってくるのか、あるいはアメリカ人全体を持ってくるのか、どの集団を持ってくるかによって当然結果は変わるわけです。
  理想的には、対照集団とばく露集団の酸化チタンのばく露以外の要因が全部一緒だったら一番いいのだけれども、なかなかそんな集団はないので、どうしてもいろいろなところでベースラインが不均一な集団を比べざるを得ないというのが実情なのです。

(スライド35)
  「Healthy Worker Effect」という言葉をよく使います。日本語に訳しますと、健康労働者効果といいます。一つは「健康者雇用効果」というのがあります。非常に極端な言い方をしますと、会社で働いている人の方が一般の人よりも健康状態がいい。それから、会社が健康な人を採用するというところで、最初の採用の時点でもう既に差がついている。2番目は、「健康労働者生存効果」と書いてありますけれども、会社に入って、何かちょっと調子が悪くなるのでやめてしまうので、健康な人が残る。3つ目は、「労働による有益な効果」ということで、日本などは特にそうですけれども、会社に入りますと、一般健康診断があったり特殊健康診断があったりして、ちゃんと健康管理をしてくれるのですね。そういう意味で、早く見つかって早く治療できると。特に、SMRは死亡を見ていますから、死ぬ前の軽い段階で見つかれば死なない。いろいろなそういうことがあって、どうしても会社にフルタイムといいますか、正規雇用されている人は、そうでない一般の人よりももともと健康状態がいい。
  そういうことがあるものですから、一般集団と比べると、同じ健康状態がいい集団同士で比べると差が出ても、健康集団がもともと少し悪い集団と比べると差が出ない。そういうことが起きるのです。それが健康労働者効果ということで、さっきお示しした2つ目の論文は、デュポンの労働者と比べると肺がんは3割くらい多いのだけれども、一般の方と比べると差がないというところの説明になるのです。
  こういう情報があるので、必ずしも肺がんに関しては真っ白な情報だけではないということは認識しておいていただきたいと思います。ただし、これはチタン特有の話かというと、そうではないと思います。それはもうおっしゃるとおりだと思います。

○奥田 一つ確認ですけれども、今御説明なさった論文といいますのは、IARCが酸化チタンのモノグラフを2010年に出した以降の疫学論文でしょうか。

○大前 2013年ですね。

○奥田 この論文は、一応レビューを受けて出版されています。酸化チタン工場で働くばく露群とそうでない人で肺がんの発生率に差がないという結論は出ているのですけれども、先生の御解釈でいくと、有意な差はあるだろうということですか。

○大前 単純に研究者の目線で見れば、ありそうだなという気がします。ただ、一般人口と同じだから、いいのではないのかという判断ももちろんあります。だから、これをマネジメントはどう判断するかというのはまた別の話だと思います。

○奥田 私どもも、本当はヒトのしっかりした疫学データがあれば一番いいのですけれども、それがないですから、今のIARCみたいにラットからヒトを類推している。そのラットのデータというのがオーバーロードです。だから、いつまでたってもオーバーロードのデータを用いて議論しているので、本当にそれが適切か否かという議論もなかなか溝が埋まらないところがあるかと思います。
  先ほど欧州の話が出たついでに、欧州の方からも疫学論文が幾つか出していますが、IARCでは方法論的に限界があるからということで不採用になったりしているのですけれども、それらをまとめてメタ分析するという情報も聞いております。いつになるかわかりませんけれども、またそんな結果も反映できたらいいと思っております。

○大前 肺がんの情報のとても難しいところは、今回のこの情報もそうなのですけれども、ほとんどが喫煙の補正ができていないのです。一番大きなのは喫煙なので、この論文もそうですけれども、喫煙に関しては何の補正もしていない。ディスカッションに出てきた論文は、喫煙のせいかもしれないとか、あるいはどこかでわからないアスベストのせいかもしれないとか、そういういろいろなことが書いてあるのですけれども、本当に肺がんに関してはそういうところがとても難しいのです。本当はノンスモーカーだけで比べてくれると一番いいのですけれども、残念ながらそういう情報はないので、肺がんに関しては結構難しいですね。
  他の論文はネガティブな論文が多いので、メタ分析するとネガティブな方向の結論が出るような気がいたします。

○堀口 ヨーロッパの話も幾つかいただいているのですが、その前にベーシックな御質問もあるので、基本を固めていきたいと思います。
  まず、評価のところで、ばく露量調査において防じん保護具をつけた場合のばく露量は考慮して測定しないのか。粉体を取り扱うためには防じん保護具は必要であり、規制するならば必須にすればよいのではというのと、酸化チタンについて作業現場では防じんマスクなどを使用しています、個人ばく露測定ではそのことについて考慮されているのでしょうかという測定のところの話です。

○大前 今の話はとても重要な話です。個人ばく露測定というのは、あくまでも防じんマスクの外の濃度なのです。だから、実際に防じんマスクをして、そこでブロックをして、実際に吸っている濃度と違うのです。そこのところはとても重要な視点です。
  それで、文献で出てくる数字をもとにして許容濃度などをつくっているのですけれども、古い文献はマスクをしない状態のものがほとんどだと思うのですけれども、最近の文献はマスクをしているものが多いのですね。そうすると、マスクをしているものだと、ここの濃度が高くても実際に吸っている濃度が低いから、影響は出てこないという論文も結構あります。
  だから、そういうものを我々が見て、この濃度でセーフだねというふうに判断しないようにしなければいけないのですね。防じんマスクをしている場合はそれを考慮して、外の濃度と健康影響を直接結びつけてはいけないという注意はいつもしています。
  でも、残念ながら、中の濃度をはかる方法はないことはないのですけれども、実際に研究としてはやるのですが、現場としては現実的にはやらないですよね。

○堀口 あと、酸化チタンで具体的な健康被害の情報はありますか。あるのであれば、健康被害の状況、用途、量、対策不備に応じた措置を考慮すべき。健康被害の情報がないならば、一般粉じんの評価、措置と同じ位置づけにした対応にすべきではないかという御意見と御質問です。

○穴井 我々が何でリスク評価をするかというと、既に患者が出ました、だから対応しましょうというのではなくて、あらかじめリスクを評価した上で、出ないように防止をしましょうというためにやっているということなのです。そのために、リスクが高いときに未然に労働者の健康障害を防止するためにこういう措置をやりましょうということを仕組みとしてやっているので、既にどこかで集団的に被害があったからやっているわけではないということなのです。そういうことで、我々はそういう被害の情報は国内で今のところ持っておりません。

○奥田 私ども業界の中でも、何らかの健康有害の症例が出ているかというのは調べられる範囲では調べておりますけれども、それは出ておりません。
  今、御質問がございましたように、酸化チタンは粉じん則、じん肺法、ここで粉じんがたつ作業並びに粉じんが発生する場所を規定されて、またその管理濃度なども決められております。ですから、私どもはそれを遵守する形で、保護具、局排なども設けながら普段作業をしているところでございます。
  今、酸化チタンのリスクが高かったら、その枠組みとして今回措置の検討まで来たという御説明は、スキームはそのとおりです。ただ、私ども業界としまして、初めに御質問がございましたように、肌感覚として酸化チタンがそんなに危険なものと思っておりません。ただ、仕組みとして、酸化チタンはIARC:2Bで発がんの疑いがある。1回目のリスクコミュニケーションでも説明がございましたように、発がんの疑いがある、また生殖毒性とか神経毒性とか、そういう有害性が疑われるものはまずピックアップされます。次にそのばく露測定をする。酸化チタンはIARC:2Bで、ばく露測定をしたら高かったということから、リスクが高いということで措置の検討に来ております。
  ただ、そのプロセスに関しては、私どもの業界として幾つか今後措置検討会の中で御議論いただく点、論点整理をしておりますので、それはまた次の2回目のヒアリングのときにいろいろ主張していきたいと思っております。

○堀口 ありがとうございます。
  それから、酸化チタンを粉体塗装する作業はリスクが高いということでしたが、酸化チタンを含む粉体塗料を塗装する作業のことでしょうか、酸化チタンのみのことでしょうかということです。

○穴井 粉体塗装ですから、当然、塗料を噴出するわけですね。その中に酸化チタンが含まれているということです。

○堀口 それから、酸化チタンの措置検討会の結果、判断は、バイオアッセイの結果まで待つのですか、待てないのですかということです。

○穴井 それについても今後の措置検討会の中でいろいろ議論されると思います。その結論が出てから改めて結論を出した方がいいということになるかもしれませんし、それを待たずにやった方がいいという結論になるか、それは今後の議論次第だと思っております。

○堀口 ばく露実態調査の用途の例、数が、三酸化二アンチモンのときと比べて少なく感じたのですけれども、酸化チタンの適用除外についてどのように考えますかという御質問があります。

○穴井 まず規制するかどうかということを決めなければいけませんし、仮に規制するとして、ではこの部分を抜きましょうとか、抜かなくていいねという議論になるので、それもこれからの議論次第だと思います。

○奥田 1回目のときも発言させていただいたのですけれども、除外を受けるためにはばく露が少ないということを皆さんが証明しないといけません。口だけでは多分除外はされません。
  ただ、アンチモンのとき、樹脂で固定化された場合は発じんが少ないから除外するとなっています。それは、アンチモンが樹脂で固定化された場合、酸化チタンが樹脂で固定化された場合、カーボンブラックが樹脂で固定化された場合、それぞれデータをとるのかというと、そこは同様に扱って欲しいという希望がございます。またそれも検討会の中での御議論だと思いますけれども、実際、除外を受けるためにはばく露が低いというデータは必要です。前回も申しましたけれども、そこを御注意いただいた方がいいと思います。

○堀口 溶接棒使用時の溶接ヒュームの酸化チタンの取り扱いは、実験で検証できていない以上はリスクありと判断するしかないのでしょうかということです。

○穴井 ヒアリングをお聞きした限りでは、酸化チタンが発生しないとお聞きしているので、発生しないのであれば当然対象外だと思っています。仮に発生するのだという事実があるのであれば、それはまた議論の対象になるのかなと思っています。

○堀口 化粧品のパウダーファンデーションは酸化チタンが樹脂などで覆われていない商品形態である。美容部員が化粧をする際、吸引の可能性があると思うが、これも規制対象になるのでしょうか。

○穴井 仮に規制対象となった場合ということでしょうけれども、微妙ですね。使い方というか、どういう場面を想定しているのかというのがよくわからない部分もあるのですけれども、労働者としてそういうのを毎日やっていらして吸うという話になれば、当然規制の対象になるかもしれませんし、単なる個人的なもので一時的に吸うという話であれば対象外になるかもしれませんし、場合によるのではないかと思います。

○堀口 想像したら、化粧品売り場でお客様に塗ってあげたりする頻度が、毎日ずっとやっているから結構吸入しているのではないでしょうかという御質問のような気がしました。
  個人だと、朝塗って、お化粧が落ちてもう一回ぐらいなのが、人にやっているので。かつ、化粧品売り場はいろいろなメーカーのが一緒になっているので、においですらそこのフロアはすごいので、それで多分ばく露が多いのではないかというイメージは何となく私も思います。別にそういう作業は測定していないですよね。

○穴井 もし問題になるのであれば、測定しないとわからないと思います。

○堀口 毒性データをとっているときのナノ材料のサイズ分布はどのようになっているのでしょうか。酸化チタンの発がん性が化学特性ではなく物理特性、難分解、残留性によるとするEUの判断もあり、表面処理が施されていても安全とは言えないのではないでしょうか。それと、日本における規制上のナノ材料の定義は何でしょうかという御質問です。

○穴井 ナノの定義は、厚生労働省の通達では、三次元のいずれかの次元が1ナノメートル以上100ナノメートル未満のものをナノ粒子と定義していたと思います。
  基本的にナノをどうやってはかったかというと、ナノを製造されていると申告のあった工場にお伺いして測定しているということなので、ナノのどういった粒子がどれくらいの割合になっているというのは、その企業の秘密的なところもあるので、教えてもらっていない部分もありますので、これについてはわからないところがあります。

○奥田 私どもにナノ酸化チタンのばく露測定に来られたのは、中災防さんと労安研さんが来られて、そのときはしっかり気中を漂う粒子の分布もはかっていらっしゃったと思います。それがどこかの学会で発表されるのだったら、皆さん、お知りになることもできるでしょうけれども、私どももその結果は聞いておりませんので、そこはわかりません。
  今のナノマテリアルの定義ですけれども、もし間違っていたら済みません、少なくとも一辺が100ナノ未満、二辺が100未満でもいいのですけれども、少なくとも一軸が100ナノ未満のものがナノマテリアルだったと思います。

○吉澤 100ナノだと、インハラブル粒子ということですか。

○奥田 そういうわけではございません。

○大前 ナノの定義で入っている。

○奥田 定義です。

○堀口 作業環境測定法で、ナノ粒子とそれ以外の粒子の区別がつけられない場合、測定された値はナノ・非ナノのいずれとして扱うのでしょうか。バイオアッセイ研究センターで実施されている長期発がん試験で用いている酸化チタンは、被膜されたものなのかされていないものなのか、その被膜されたもののデータがない状況なので、こちらを実施するべきではないでしょうかという御意見です。

○穴井 最後の質問からですけれども、バイオアッセイ研究センターで実験する粒子については、表面処理されていないものを使っています。処理されていなくて、活性の高いものということで、それをやりましょうという方針で今やっているということです。
  あとは何でしたか。

○堀口 作業環境測定法でナノ粒子とそれ以外の粒子の区別がつけられない場合、測定された値はナノ・非ナノのいずれとして扱うのか。

○穴井 実際のところ、先ほども言いましたとおり、ナノについてはつくっていらっしゃる工場にお伺いして測定しているので、それはナノというふうに分類しています。ナノ以外については、レスピラブル粒子をはかって測定して、それはナノ以外の粒子ということで判定して、このデータをつくっているという現実です。
  将来的には、区分して集じんするような装置も開発されつつあると聞いていますので、それが開発されれば区別してばく露をはかることはできるようになると思っています。

○堀口 IARCの試験方法をどう考えますか。ラットの肺が2倍以上膨らむ試験方法では、どんな物質でも2Bとなるのではないですかという御質問です。

○大前 それは先ほどのオーバーロードという話と同じことだと思います。単純にドーズが多過ぎれば処理し切れなくなるというお話だと思います。
  ただ、オーバーロードと言われる前に、私が一番違和感があるのは、確かにオーバーロードは間違いなくあると思うのだけれども、例えば私が今研究していますインジウムというのは0.1mg/m3でもがんは出るのです。これは肺の中の細胞が処理し切れなくて、結局がんが出るのですけれども、それもオーバーロードかと言われると何か不思議で、何か影響が出ればみんなオーバーロードという考え方はしない方がいい。
  今言ったマクロファージという細胞が出るのですが、処理し切れないというのは、毒性があって処理し切れないのか、毒性はないのだけれども、単にボリュームが大きいから処理し切れないのかというところはちゃんと分けて考えないといけないと思います。
  酸化チタンの場合は、余り細胞毒性は強くなさそうだけれども、量が多いから処理し切れなくて、結局、がんみたいなことが起きるというような解釈だと思います。

○堀口 発がん性評価で雌ラットだけで発がん性が見られる物質が多いが、これをどう考えたらよいのでしょうか。

○大前 雌ラットだけでもあるでしょうし、あるいは雄雌で出るのもあるでしょうし、マウスで出るのもあるでしょうし、それはもう種とか性によって、どの動物が一番敏感か、鋭敏か、感受性が高いかというような解釈をしております。雌だけに出るから発がん性を評価しないとか、そういうことは実際やっておりません。雌だけに出るのは、多分この物質に関しては雌が一番感受性が高いのだろうという解釈をしております。

○堀口 酸化チタンでナノ・ナノ以外に分けた測定方法は何でしょうか。顔料、染料など、個人ばく露の最大値が作業環境測定を上回ったのはなぜでしょうか。

○大前 それは作業環境測定よりも個人ばく露濃度が高くなることはよくあります。それは単純に発生源からの距離の問題です。作業環境測定ですと定点を決めてはかりますよね。その決めた定点と発生源の距離が近くなければ、そっちが低くて、実際に作業をする人は発生源のすぐそばで仕事をやるということであれば、個人ばく露濃度は高くなるので、それは幾らでもあります。不思議なことではないです。

○堀口 二酸化チタンについては、EUでもCLP分類適用検討やCoRAPでの評価検討が行われている最中であり、まだ結論は出ていません。日本が先行して規制をかけることに対して意義があるものか、疑問を感じています。長年に渡って使われている材料であり、社会経済的な影響も大きい。これらを考慮し、措置の決定については慎重にお願いしたいですという御要望がありました。
  ナノ粒子のリスク評価については、世界的にも考え方が固まっていないと認識しています。日本は今後どのように進めていくのでしょうか。
  酸化チタンへの厳しい措置は日本の産業界の国際競争力低下につながる懸念があります。海外でどのような措置がとられているのかも考慮していただいているのでしょうか。
  欧州ECHAのCommittee for Risk Assessmentで、2017年9月14日にIARCの1B相当のクラスの2に合意したようですが、欧州では何か対応をとっているのでしょうかという海外の御質問があります。

○穴井 先ほど奥田さんからもお話があったとおり、ヨーロッパでも酸化チタンの毒性についての検討が進んでいる最中であるということは我々も聞いております。それはまだ定まっていないということもあります。そういう情報も込みで、措置検討会の場で専門委員の方々に検討していただきます。ですので、そういった欧州とか諸外国の結果が出るまで待った方がいいねという結論になれば待つことになるでしょうし、そうは言っても労働者のことが心配だから早目に日本として手を打った方がいいという結論になれば、そういうふうになるかもしれません。それは今後の結論次第だと思いますし、我々もそういった外国の情報を全く無視しているわけではなくて、情報も把握しながら検討していくということになります。
  ヨーロッパについては、奥田さんからお話があったとおり、まだ2という提案がされていますが、それはまだ決定しているわけではなくて、今そういう決定のプロセスの過程にあると承知しています。

○奥田 少し補足させていただきます。今もECHAのRAC専門家会合が2という分類の意見書を出しました。これはあくまでも途中段階です。最終的には行政である欧州委員会が判断します。ただ、先ほども述べましたように、酸化チタンだから発がんに至ったというものではなくて、難溶性の低毒性物質に共通することだから、PSLTとしてどう扱っていくのかというのをこれから議論していくことになっております。
  欧州の産業界としては、PSLTの低難溶性とは何%未満なのか、どんなエンドポイントがどうだったら低毒性なのかといった定義であるとか、閾値であるとか、そういうのがありません。だから、そこを解決するためにワーキンググループをつくってやりませんかという話をしております。
  また、REACHのCoRAPの話もございました。私ども欧州に酸化チタンを輸出するとき、REACH規則のもとで届け出をしております。そのときにいろいろな安全性データをSIEFから出しているのですけれども、その安全性データの評価をフランスがやります。その中で、何が出てくるかわかりませんので、そこのCoRAPの進捗も見ながら、欧州の酸化チタン工業会は独自でいろいろな安全性データをとろうということを考えております。
  具体的にはヒトのばく露は、経口、経皮、吸入、それらのばく露経路で酸化チタンをばく露したときにどうなるのか。今の酸化チタンによる発がんデータはあくまでもラットのオーバーロード条件ですが、それをいつまでも言っていてもなかなか議論の溝は埋まりませんから、新たなデータをとっていこうと。それで、もう一回ちゃんとした議論をしませんかというような提案をしているところです。
  最終的に、欧州委員会の方がどう判断するかというのは、ことしの3月の会議でその方向性が出ると聞いております。

○堀口 あと、御意見がいろいろあるのですけれども、粉体塗料は日本では世界の中では1.5%程度の使用状況である。その中で率先して規制するのはいかがか。国際的な評価レベル合わせが必要ではないかという御意見がありました。
  意見がたくさんありましたが、SDSの御質問をたくさんいただいているので、そちらに移りたいと思います。
  CASナンバーについて、SDSに記載する義務はありますかという御質問です。

○吉澤 SDSの記載事項については、資料にもありますとおり、法的にはあそこに載っているものだけです。CASナンバーについては、もし書くことができれば書いていただいた方がいいという参考情報的なものですので、もしなければ、ないで結構ですし、わからなければ本当に書かなくて結構です。

○堀口 お客様より、SDSに載せるためにCASナンバーを教えて欲しいとの依頼があります。コンフィデンシャルのために教えることはできません。そもそもSDSに全て載せる必要はありますかという御質問です。

○吉澤 全てというのは何をでしょうか。

○堀口 CAS。

○吉澤 ですから、CASナンバーは載せる必要はないです。

○堀口 御要望が、SDS3法をまとめた、PRTR法、安衛法、毒劇法の説明会を開いて欲しい。輸出品のSDS対応について、国の方からも情報発信、説明会をやって欲しいですという御要望がありました。
  どうぞ。

○吉澤 要望として承ります。
  それで、先ほどのPRTRとか何とかいろいろ話がありましたけれども、現在、GHSで対応している法令として、経済産業省の化管法、厚生労働省の安全衛生法と毒劇法がございますけれども、これらについては、現在、2省連名でパンフレットを作成して、厚生労働省のホームページで公開しておりますので、これを参考にごらんいただければと思います。厚生労働省ではホームページの化学物質対策というところが化学物質対策課のページですけれども、その中のラベル表示・SDS提供制度というところにこれが載っております。

○堀口 ありがとうございます。
  SDSについて、川上のメーカーからの化学物質のSDSを入手しても、「分類できない」や「知見がない」ということが非常に多いです。それらを混合して自社製品とした場合、その製品のSDSを作成しても、「分類できない」、「知見なし」という評価しかできません。この状況をどのように扱ったらいいでしょうか。「分類できない」ばかりだと、リスクアセスメントも有効性のある形ではやりにくいです。SDSを要求して、もらえないケースはかなり減りましたが、入手できても「分類できない」ばかりでは形骸化してしまうのではないでしょうか。

○吉澤 SDSは国内外の化学的知見を情報収集した結果でつくられておりますので、どうしてもそういうデータがないというケースは存在します。現在、厚生労働省の方でモデルSDSを3,000程度公開しておりますけれども、中には本当に「分類できない」ばかりのものもございます。それはもう技術的にそういうものになってしまっているので、それは我慢していただくしかないのですけれども、先ほど申しましたとおり、分類できないものについて安全性が担保できない場合は、取り扱い上、御注意いただく必要があるかと思います。

○堀口 混合物のSDSを作成(個々の成分のSDSの集計)をして取り扱い業者に渡すことがありますが、SDSを作成するには資格のようなものが必要でしょうか。

○吉澤 SDSの作成は譲渡・提供者の義務になっておりますので、特に作成上の資格はございません。譲渡・提供者、これはメーカーだったり、輸入業者でしたり、あるいはユーザーさんにお渡しする場合の販売業者さんだったりしますけれども、それぞれがそれぞれの責任でお渡しするものです。

○堀口 国外へ向けての製品に対してのSDS、ラベルの作成が負担になっています。特に中国向けで中国語仕様となっており、中国語の使用者が少ないため苦労しています。何かアシストしてもらえる方法があればと思っています。

○吉澤 厚生労働省では国内制度のための事業を行っておりますので、海外に販売する場合は自助努力でやっていただくのが原則かと思います。
  あとは、中国側の方にそういうものがないかというのを探していただくのかなという気がします。

○堀口 ラベル・SDS交付義務物質の増加の具体的予定はありますか。努力義務だけではなかなか情報が伝わらないと思います。

○吉澤 最初の部分は、恐らく663物質について今後増加する予定があるかどうかという話かと思いますけれども、現時点では検討はこれからという形ですので、今のところは未定としか言いようがないです。
  後半の努力のことは、質問の趣旨がよくわからないです。

○堀口 努力義務だからやらない人がいるということなのではないですかね。

○吉澤 化学物質管理については、一部の個別の法定物質を除いては、基本的に事業者の自助努力というスタンスで行っておりますので、努力義務はそれぞれの事業者が事業者の責任でやっていただく。もしそれで何かあれば、その事業者さんの責任になりますよということなのです。
  厚生労働省の方では、危険・有害性のある物質について、ラベル・SDSを交付することを原則として、一つにはモデルSDSを公開していますし、危険・有害性の分類方法についてはJIS規格で決まっております。JIS規格どおりで危険・有害性を御判断いただいて、もしそれであるという場合にはラベルに表示してください、SDSをつくってくださいというのを努力義務にしているということです。

○堀口 物質を譲渡する側にSDSを出すのが義務づけられて、それを怠った場合に罰せられる対象とのことですが、購入する側が求めないで買った場合は罰せられないのでしょうか。

○吉澤 譲渡・提供のための制度ということで、譲渡・提供者がラベルを表示したり、SDSを交付する義務がある。それを買っている側は、そもそも労働者を雇用して労働者に化学物質を取り扱わせているという事業体になりますので、労働者の安全と健康を守るための義務がもともと生じております。それは、譲渡・提供制度以前の問題になるかと思うのです。
  何が言いたいかというと、ついてなければ、もうついていなくてもいいよという話ではなく、ついてないものを買って、それで何かあったら事業者責任が問われますよということです。

○堀口 企業の研究所の方です。複数の塗料をまぜて新しい塗料をつくる調色作業があります。新色の塗料を大量に塗料業者に依頼する場合、新色の塗料をサンプル品として提供する場合、原料となる複数の塗料に関するSDSを塗料業者に提供することが求められるという理解でよいでしょうか。

○吉澤 まず、今の話で言うと、調色業者さんはそれぞれの塗料を川上の業者さんから買って、それをまぜて川下の業者さんに売ったり、試供品を提供したりする形になるかと思いますので、当然、川上の業者さんからSDSを入手する。それを川下の業者さんにお渡しするときには、それぞれのSDSを取りまとめて試供品のSDSとして渡すという形になるかと思います。

○堀口 同様に、新たな機能性材料を開発した場合、大量に製造する業者への新機能材料の原料のSDSも提供することが求められるという理解でいいですよねということです。

○吉澤 今のは、つまりもともとSDSが存在しない状態で新たにSDSをつくる場合ということでしょうか。

○堀口 そのような気がします。

○吉澤 それは、国内法令で決まっていることですので、製造業者、あるいは海外から輸入して国内で流通させる輸入業者、それはSDSのサプライチェーンの出発点になりますので、それは自主的につくっていただく必要がございます。

○堀口 第13次労働災害防止計画(案)の中にもありましたが、諸外国に比べ、日本のSDSでは成分開示しなければならない物質が多く、化管法では2桁の有効数字で、レンジでの表記が必要になります。そのため、企業秘密に当たる情報が必要で、輸入品のSDS・ラベル作成をするのが難しいです。もう少し諸外国の法規に近づけることは可能ではないでしょうか。検討して欲しいです。
  同様に、化審法と安衛法で化学物質インベントリーが別々にあるのも、海外から見ると理解ができないと言われることが多いです。これも検討して欲しいです。
  法改正などの情報を、この方はアメリカみたいですけれども、本社に伝えるのが非常に難しいです。特に、特化則、有機則は、日本語でも理解するのが難しい上に、法律の英訳が古いものしかないので、もっと法改正などの情報を英文でホームページに公開して欲しいという御意見です。

○吉澤 諸外国の方が簡単という話が最初の話かと思いますけれども、現在、日本ではGHS分類という国際ルールにのっとったことをやっておりますので、国際ルールより厳しいという話ではないと考えております。
  ラベル・SDS関係で他に何かありましたか。

○堀口 ホームページで法律を英文で。化審法の説明が難しいとか。

○吉澤 他法令とはそれぞれ行政目的が違いますので、そうなると、必ずしも一致させることは難しいかと思います。

○堀口 多分、日本の法律と一致させるという意味ではなくて、日本の法律を説明するのが難しいと言われているような気がするのです。
  ちょっとわからないのですけれども、英文の表記というのは古いままなのですか。

○平川 労働安全衛生法とか労働安全衛生施行令については法務省の日本法令外国語訳データベースシステムに既に公開されているところです。あと、労働安全衛生規則も出ているのですが、先ほどお話のございました有機則、特化則については、日本法令外国語訳データベースシステムに登録されておりません。

○堀口 論文を書くときも、英文のがなくて時々困るので宜しくお願いします。
  中小事業者が加工して使いやすい形でのラベルやSDS、会社の情報と製品名を入れればすぐに印刷して使えるようなものを厚労省として提供して欲しいですという御要望があります。
  そして、SDSに関して、化学品を直接扱わない業種にも周知すべきですと。いまだにSDSを交付しているのにもかかわらず、会社の公式含有調査でSDS記載義務のある物質を1物質だけ調査依頼する会社があります。企業でも化学品を扱っていないと、余り認識されていないということの御指摘ではないかと思います。
  法律で指定されている化学物質の特定の判断が難しいときがあり、そのときに利用するデータベースがあると、より対応がしやすくなると考えますと。

○吉澤 まず、ラベル・SDSに関しては、先ほどの説明にもありましたけれども、厚生労働省のホームページ、「職場のあんぜんサイト」ですけれども、そちらの方にラベルの作成ツール、モデルSDSの公開をしておりますので、それを参考にしていただければと思います。
  あと、化学物質の複数の省庁の情報を取りまとめたものということで、独立行政法人製品評価技術基盤機構、俗にナイトと呼んでいますけれども、NITEの方でデータベース化しておりますので、ホームページでNITEと検索していただいて、化学物質データベースを活用していただければ、これは厚生労働省だけでなく、環境省あるいは経済産業省、いろいろなところの情報を一度に見ることが可能です。

○堀口 ラベル・SDSですけれども、譲渡・提供のたび提供者名を更新するルールですが、製品に手を加えない限り提供者名を更新不要とする法令改正が中止となったが、再改正は行われる予定ですか。

○吉澤 残念ながら、この改正案は準備不足で、昨年の法令改正では見送りになってしまったのですけれども、同じ問題意識は残っておりますので、ことしも引き続き検討して、内容が変わるかもしれませんけれども、改正を目指していきたいと考えております。

○堀口 事業者はリスクの見積もり、リスクの低減措置の内容の検討を実施することがSDSでマークや注意書きのない製品に切りかえることで対応している。ただし、SDSの中には成分情報を十分調査せず、「分類できない」として、見た目だけでマークや注意書きのないSDSを作成しているものもある。事業者はそれを信じて、本来必要な設備や防護措置をとらないでよいと考えている。このように潜在的な労働災害のリスク拡大につながっている実態を理解して欲しいということです。
  御要望は余り読んでいないのですが、質問に関しては大体読んだ気がするのですが、読まれていない、物を言いたい方は、あと30分あるので、挙手をしていただいて言っていただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。
  措置がどうなるのですかみたいなのは、今は省いています。そういう前の段階でしたので。
  どうぞ。

○A氏 酸化チタンに関してですけれども、ヒアリングでの専門委員の関心事項として、表面処理品がたくさんあるので、一くくりにしていいのかというような関心事項を持たれているということで、これを表面処理あり品となし品を区別するデータどりとか検証をされていく予定はあるのでしょうか。

○大前 表面処理ありなしというのは、恐らく今までのリスク評価の中で出てきた初めての話だと思うのです。だから、我々の方もどういうふうにお答えをしたらいいか、実はよくわからないという状況です。
  ヒアリングの中では、評価処理したものははがれないとか、いろいろなお話を伺っております。とはいっても、評価処理したものは、もとの酸化チタンよりも安全かどうかというところの情報をまだ我々は持っていないので、そこのところの情報をできるだけ出していただきたいと思っております。今のところはまだそういう段階です。

○堀口 どうぞ。

○奥田 私どもも表面処理ありなしで基本的に違うと考えていますのは、昨年、もともとシリカが表示・通知対象物質から結晶性シリカが表示・通知対象物質になって、あとの非晶質はその義務はなくなりました。そのQ&Aが厚生労働省のホームページ、国民の声か何かというところに出ています。そこでいくと、結晶性シリカでも表面処理した場合は表示・通知対象になるのかというと、もう完全に密封化されたものは表示・通知の義務はないということが書かれていますから、先ほどの三角形の法体系の整理がありましたけれども、やはり663物質とは違う扱いになるのだろうなと思っています。
  私ども、酸化チタンメーカーが表面処理品それぞれでデータを持っているかというと、決して持っておりません。化粧品などでは認められたものしか使いませんし、あとも自主的な判断で、表面処理剤は一般的なものを使っております。
  その議論が欧州でもやはり出ております。先程のRACのオピニオンといいますのは、あくまでも未処理品に対して区分2ということなのです。表面処理品に関しては自分たちで判断しなさいとなっています。
  表面処理も非常に多岐に及びますので、人が吸い込んだときに気管、気管支、肺胞で、何が肺胞に接触するかというと、表面処理をしていたら、アルミが接触したり、シリコンが接触したりするわけですから、一概に酸化チタンの有害性がそこに出ているわけではない。だから、有害性の程度は酸化チタンの未処理に比べて高いか低いかわかりませんけれども、やはり違うのではないかなと。アルミの有害性を用いたり、シリコンの有害性を用いたり、やはり違うのではないかということは思っております。だから、データがないところで一括りにするのはちょっと乱暴なところはあるのではないかというのが私どもの主張でございます。

○堀口 宜しいですか。

○A氏 ありがとうございます。

○堀口 他に御質問はないですか。

○A氏 もう一つ宜しいですか。

○堀口 もちろん。どうぞ。

○A氏 やはり酸化チタンなのですけれども、今回、お話を聞いている中で、過去に酸化チタンによる肺がんの発生はないと。酸化チタンはもう何十年と使われていると思うのですけれども、その中で肺がんの発生はないというところは考慮されないのでしょうか。

○大前 先ほど、肺がんの発生があるかもしれないという資料をお見せしたので、これはあくまでも集団で見る手法ですから、この人が肺がんになったのはたばこが原因なのか、酸化チタンなのか、そこら辺は全然わからないわけですけれども、集団で見たら、今のデュポンの酸化チタンを使っている方と、デュポンの中で酸化チタンを使っていない方を比べると、30%ぐらい肺がんが多いという資料をお見せしました。だから、少なくともあの資料を見る限り、あるいはもう一つのフィンランドかどこかの資料を見る限りは、肺がんが起きていないという証拠はないということです。日本のデータはないので、日本で実際にどうなっているかは全然わからないのですけれども、少なくとも海外の、先ほどのデュポンのデータなんかを見ますと。
  デュポンは立派な会社で、結構こういう情報を出してくれるのです。しかも、彼らはメーカーですから、当然、利害関係からいったら出さない方が得だといいますか、そういう立場であるにもかかわらず、こういうデータが出てきたということは、私たちの見方から言うと、これは結構信用できるのではないかという見方になります。だから、肺がんがないというふうにまでは思わない方がいい。
  先ほど、奥田さんがおっしゃったように、幾つかの疫学の論文をまとめてメタアナリシスというやり方があるのですけれども、それをやってトータルとして見たら、あの論文はポジティブらしいけれども、他の論文はネガティブがやはり多いので、全部をトータルするとネガティブだね、あるいは逆にポジティブだねという結果が出るのは、恐らくもう少したってからですね。だから、そこまで待った方がいいかなと思います。

○A氏 ありがとうございました。

○堀口 質問を1個見つけました。天然物 (砂など)に酸化チタンが少量含有される場合、どういう解釈をするのですか。

○吉澤 危険・有害情報の伝達の話ですよね。

○堀口 その1行しか書いていないので、それが何かがよくわからないのですけれども。

○吉澤 それについて、通常の危険・有害情報の伝達の際には、製品単位で言いまして、その製品にどれだけ対象物質が含まれているかということになります。ですから、酸化チタンについては現在、4価の酸化チタンが表示・通知対象物質になっておりますけれども、酸化チタンについては製品の中に1%以上含まれていればラベルを表示する。0.1%以上であればSDSを交付するという形です。ラベル表示の下限値とSDSの下限値がちょっと違っているのですけれども、天然物の中に酸化チタンがまじっている場合には、その含有率で御判断いただきたいと思うところでございます。

○堀口 ありがとうございます。

○奥田 もう一つ質問者の方が気にしているのは、酸化チタンが特化則で指定されたとき、自分たちが、例えば酸化チタンが1%以上入った砂を製造取り扱いに供するときは、特化則の指定対象がサプライチェーンを通して指定対象になるのですかということだと思うのです。

○穴井 原則は、仮に特化則になったとしたら、1%以上含むものが対象になるということです。もちろん例外規定で除外される可能性はありますけれども、一般的にはそういうことです。

○奥田 ですから、皆さん、酸化チタンが特化則で指定された場合は、アンチモンが去年の措置検討会報告書に出ているように何もしなかったらほぼそれに近い形になります。というのは、酸化チタンを1%以上含むものの製造及び取り扱いをするところが対象ですから、サプライチェーンを通して広く網がかかりますということです。除外されるのは、ばく露が低いというデータを出せば、そこは除外するかどうかという議論に行く。だから、何もしなかったら、皆さんすっぽりかかります。
  酸化チタン工業会は、きょうの御質問にもあったように、本当に酸化チタンというのは肌感覚でそんなに危険かというと決してそう思っておりません。また、リスクが高いのは、ハザードIARC 2Bとばく露が高かったということになっておりますけれども、私どもはそれぞれのプロセスでそこはよく考えた方がいいのではないですかというような問題提起なり、論点整理をして、次の2回目の検討会に臨もうと思っております。
  既に酸化チタン工業会のホームページでいろいろな有害性の発信もしておりますので、またごらんいただけたら結構ですし、私どもが考えられる範囲は決して広くありませんから、もっとこんな論拠、またこんな戦術、こんなこともやったらいいのではないかということを工業会の方に御意見をいただけたら、大変ありがたいと思っております。

○堀口 酸化チタンを扱っているので酸化チタンばかりの頭になっているけれども、どういうルールになるのかというものにおいては、他の物質の報告書を参考にしてくださいということだったと思うので、その物質の特性がわからなくても、規則がどうなるのかというのは、評価書というか、報告書を御参考にということだったと思います。
  それでは、御質問を。一番前の方、お願いいたします。

○B氏 酸化チタンを使った製品、ブレンドしたものを過去につくっていたとして、その製品は今は使っていないのですけれども、例えばそういうものがどこかに施工されて残っているとか、そういうものになった場合には、今回の規制については何かやらなければいけないことがあるのでしょうか。

○堀口 厚労省の方でお願いします。

○穴井 かつて造っていたけれども、今は製造していない、ただ流通量があると。

○B氏 例えば塗料みたいに施工されて塗られた状態で放置されていて、それはどういう状態かわかりませんが、そういうものがあったとしたら、そういうものに対しての製造者の責任が出てくるかどうかということです。

○穴井 ばく露するおそれがあるかどうかで規制するので、そこが既に何かに使われていて、ばく露する可能性がなければ、そこは規制の対象にはならないと思います。

○B氏 あと、チタンの業界さんですけれども、今は使っていないのですが、今後、新製品とか新しいものをつくるときに、酸化チタンは一つの候補にはなっているのですが、こういう状況だと、もう正直、新製品の開発から外してしまうのですね。そういうのは、私ども、他のものも同じ規制なのですけれども、そういう実態に対してどういう働きかけを、今みたいな情報はホームページには確かにあるのですが、風評被害というのはもう出た段階で起きていますので、それについてどのように対策するのがいいとお考えでしょうか。

○奥田 もう既に風評被害が出ているということですね。それに関しては、私どももホームページでは安全性に関する知見とか発がん性に関する知見は公開しております。また、一番気にしていますのは、特化則で酸化チタンが、きょうもいろいろ物質の説明がありましたように、第2類の特別管理物質に指定されたら、それこそウィキペディアを見ていただいたら、少量のばく露でがんを誘発する物質になります。ですから、物質の指定というのは何とか避けたい。これは厚労省の方もおっしゃるのは、感情論はわかるけれども、リスクを考えたらそうはいかない。これは決して感情論で論拠を立てているのではなくて、別途、筋道、プロセスを立ててハザードとばく露の面から、そこはもう少しこう考えてくださいなり、その考え方はこれからもう少し議論を深めてくださいという形ではやっていこうと思っております。

○堀口 宜しいですか。風評被害というのは、メーカーさんの間で起こっているということですか。

○B氏 正直申し上げて、新製品を開発する側としては、例えば酸化チタンが入っているという話になれば、論拠なしでもうやめようという話になるのは当然だと思うのです。御存知だと思いますが、例えばつい最近もありましたよね。滑らない石。受験で滑らない石で、鉄道の滑りどめの石です。あれの中に発がん性物質があるからと回収騒ぎがありましたよね。結晶性シリカのことだと思うのですけれども、そういう形の風評被害が出るので、もう論議なし、特にマスコミが絡んでくると論議なしで引き揚げなければいけないという状況になるとしたら、会社の存亡をかけるような新製品に酸化チタンを使わないよという話になるということです。イコール、そこからもう風評被害というのは起きているよと。そういう認識を持たないといけないし、逆に、お客様を相手にしている商売なので、どんなに論理をかざしても、お客さんがその意見をのまなければ、当然、風評被害は起きていますので、その辺が怖いなというのもあって、同じ立場になることがあるので、その辺をお伺いしたかったのでお話ししただけです。ありがとうございます。

○堀口 それは、リスクがあれば使わないという1か0かというところの判断をされるということですよね。そうならないように、一生懸命頑張るようにしています。
  他に、御質問はありますか。まだ時間はあります。今言っておいた方がいいと思うのです。御要望も含め、声を上げた方がお得な気がするのです。議事録は公開されますので、アンチモンの報告書を参考にするとともに、今、発言されておくのが宜しいではないかと。
  後ろの方、どうぞ。

○C氏 肥料の話ですけれども、例えばマンガンの化合物を入れるのではなくて、岩石を買ってきて、砕いて、肥料のものを入れたりするのですけれども、調べてみたらもともと岩石にマンガンが入っていましたという場合には、SDSの義務の対象になるのですか。

○吉澤 なります。というのは、前々から言っているとおり、その物質の危険・有害性について相手に知らせるというのが制度の趣旨ですので、その製品がどのような形であれ、663物質のいずれかのものが含まれていれば、それが入っていますよという情報を相手方に伝える必要がございます。
  それを受け取った側はそれについてどのように対処するかというのは、相手側の問題ですので、つまり譲渡・提供者は情報を相手に渡すということを義務としてやっていただく形になります。

○C氏 極端な話、例えば普通の岩石を売っている人が、そこに663物質のものが入っていたら、その人はSDSをつくらないといけないということになるのですか。

○吉澤 そういうことになります。

○堀口 売る側が、それが天然物であれ何であれ、売る物の中に663物質が入っているのだったら、きちんと伝えなければいけないということですよね。

○吉澤 労働安全衛生法令の中で、特別規制をする場合には、例えば使用法とかいろいろなことがございますけれども、危険・有害性情報の提供に関してはそういう細かい話は一切なく、その物がどれだけ含まれているかということだけです。

○堀口 宜しいですか。
  他にないですか。御意見を言っておいた方がいいと思うのですけれども。どうぞ。

○D氏 少し話が外れてしまうかもしれませんが、今回は労働安全衛生法とかそういう労働者への話ということで議論が深まったと思うのですけれども、一方、先ほどお話がありましたように、風評被害とか、使われた後でどんなばく露が起こるか。そんなことも考えると、欧州とかですと、一般市民あるいはNPOの団体の方々の参画というのがあるということで、こう見渡すとやはり企業の方が多いのではないかと思いますので、そのあたりの一般の方の参画、ある意味、我々からしたら風評被害をなくす、要はリスクとハザードの関係を一般の人に知っていただくという観点からするとどうか、コメントをいただければと思います。

○堀口 私がコメントした方がいいですかね。
  こういう意見交換というか、間違った理解をしないように、正しくリスクを捉えてもらうようにということを目的とするには、企業とお役所だけでやりとりをするだけでは不十分だと思っています。
  化学物質によってはこの場に労働組合の方がお見えになっている場合もございましたし、また消費者団体ではないですけれども、既に労災を受けてしまった患者さんの団体の方が御参加されていることもございました。
  化学物質に関して言うと、特に労働現場にかかわらず、教科書を含め、積極的な情報発信が十分ある状況ではないと思っております。例えば農薬であったり、食品添加物であったり、環境ホルモンであったり。なので、消費者にどのように最初にその情報を届けていくか。今回は特に化粧品は結構日常、女性の方は皆さん利用されるので、そういう意味では、労働者だけではなくて、情報をうまく届けていくことを、企業さんの方からそういうお問い合わせがあったときに、例えばニュースになりました、どのようにわかりやすく解説するのかというような準備といいますか、そういうことをしていく中で、それが大問題であれば、消費者団体の方はよく意見交換会に出てこられますので、この場にも多分出てこられるのではないかなと思っております。

○D氏 ありがとうございます。

○堀口 参加者を連れてきていただいて結構でございますので、ぜひ宜しくお願いします。
  他にありませんか。
  それでは、こちら側から何か言っておくことはありますか。大前先生、厚生労働省、何か。

○平川 化粧品の関係につきましては、昨年の11月20日に化学物質の健康障害防止措置に係る検討会でヒアリングを行っておりまして、そちらの方で実際に化粧品製造現場における酸化チタンに関するばく露測定を実施していただいています。関係資料などを公開しておりますので、御確認いただければと思います。宜しく

○堀口 大前先生、何かありますか。

○大前 アンチモンのときも今回の酸化チタンもそうなのですけれども、とにかく情報が少ない。こんなに長い間使われていて、酸化チタンなんかもすごい量を使われていたと思うのですけれども、にもかかわらず人の情報がほとんどないというのは大変困りますので、ぜひ皆さんの会社で長い間使われている化学物質に関する健康情報をつくっていただきたいと思います。
  そうでないと、結局、その情報がない中で動物実験をやっていろいろなことが決まってしまうとなりますと、酸化チタンは感覚的には問題がなさそうなのだけれどもという話で、皆さんの不満がたまったまま終わってしまうということになるので、この物質に限らずぜひ積極的に情報を出していただきたい。
  しかも、その情報は論文にならないと評価されないので、個人的に持っている情報では評価しようがないので、そういう面も含めて、ぜひ会社の中で情報をつくって、それを公表するようなシステムを作っていただきたいと思います。

○堀口 評価をするには資料が必要なのでということですね。

○真柄 業界の方でいろいろ心配しているのは風評被害という話ですけれども、個人的には、先ほど質問がありました、美容部員さんのパウダーファンデーションを塗っているときはどうかと、ああいう質問が出るということが非常に怖かったわけです。その美容部員さんを労働者ととるかどうかという厚労省の方のお話がありましたけれども、それによって規制も変わるかどうかがあるのですけれども、その先にあるのは必ずそれを塗られている側の人たちはどうなのだと、そこまで意識は行っていると思うのです。そうなると、その製品が使われなくなってしまう。先ほど、一番前の方が言われたことが我々が最も恐れているパターンです。
  実験データが過去にありまして、いろいろな解釈をされているのですけれども、それはいろいろな角度からなされていて、それの寄せ集めで今検討されているのかなと思います。業界だけでは限界もございますので、酸化チタンというのはかなり多くの業界で使っていただいていますこともあり、やはり業界さんの方からも何か情報があって、そういうものを積み重ねて一つの結論に持っていけたらと考えておりますので、ぜひともいろいろな情報の御協力をお願いしたいと思っております。

○堀口 情報共有が大事ですね。
  どうぞ。

○奥田 いろいろしゃべらせていただきましたので、そうしゃべることもありませんが、きょう御説明の中にありましたように、3月12日に酸化チタン工業会は2回目のヒアリングを受けます。これがヒアリングを希望した業界団体の最後になります。その後、具体的に酸化チタンをどう措置していくのだという議論が措置検討会で始まります。ですから、12日のときは、今、自分たちが持っているものを全て御説明して、論点整理していこうと思っておりますけれども、具体的にはその次以降の措置検討会が山場になってまいります。
  欧州の動きもございますので、そうすぐ決まるものではないと思っているのですが、皆様も黙っていると知らない間に決まってしまいます。決まった後で自分のところは困ると言われてもどうしようもありませんので、まだ決まらない今のうちから声を上げていただくとか、また酸化チタン工業会に、こんなデータがあるけれども、どうだとか、こういう攻め方をしたらどうだとか、いろいろ教えていただけたらと思っておりますので、宜しくお願いしたいと思います。

○堀口 パブコメにかかる前にぜひ事業者の方々はお声を上げて、現状、事実を届けるというのが一番いいのかなと思っております。
  ほぼ時間になりましたので、これにて意見交換会を終了させていただきたいと思いますが、宜しいでしょうか。
  皆様、御協力、どうもありがとうございました。

○司会者 (高野) 先生方、ありがとうございました。
  以上をもちまして「平成29年度第2回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を終了いたします。本日は皆様、悪天候の中、御参加いただきありがとうございました。
  尚、今後の参考のため、できましたら、水色のアンケート用紙に御記入いただいて、会場出口の事務局員にお渡しいただければと思います。また、お配りいたしました赤と青のカードにつきましては、出入り口を出まして右手のトレイへ御返却ください。
  本日はありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省労働基準局安全衛生部
化学物質対策課化学物質評価室
電話03(5253)1111(内線5511)

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