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2018年6月29日 第37回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

○日時

平成30年6月29日(月)10:00~12:00

 

○場所

厚生労働省18階 専用第22会議室 
東京都千代田区霞が関1-2-2
 

○出席者

増田部会長、大山部会長代理、石井委員、岩瀬委員、喜田村委員、西沢委員、西村委員、原委員、藤井委員、松山委員、安井委員、山口委員

○議題

(1)日本年金機構における業務委託等の見直しについて
(2)日本年金機構に対する業務改善命令について(諮問)
(3)日本年金機構の平成29年度業務実績について
(4)その他

○議事

 

 

 


○藤原参与 定刻になりましたので、ただいまより第37回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
初めに、委員の出席状況ですが、本日は金田委員、斎藤聖美委員、齋藤衛委員及び椎野委員が御欠席でございます。
それでは、議事進行につきましては、増田部会長にお願いしたいと存じます。
恐縮ですが、カメラにつきましては、ここまでで御退室をお願いいたします。


(報道関係者退室)


○増田部会長 それでは、議事次第に従いまして、(1)「日本年金機構における業務委託等の見直しについて」から議論を進めていきたいと思います。
前回の部会で御議論いただきました、調査委員会の報告書を踏まえた機構の対応状況と検証作業班による検証について、まず続けて説明のほうをお願いしたいと思います。
それでは、機構のほうからどうぞよろしくお願いします。理事長さん、どうぞ。

○水島日本年金機構理事長 機構理事長でございます。おはようございます。
本日の御審議に先立ちまして、前回の部会で御指摘を頂戴いたしまして、御報告することをお約束いたしました事項につきまして、現在の検討状況を、お手元の資料1-1に基づいて御報告を申し上げたいと思います。
御報告事項は2点でございまして、1点目は前回の部会で御報告いたしました、外部委員による調査報告書により御提言をいただいた内容を踏まえた機構としての対応方針でございまして、具体的には本年6月4日付で当機構に設置いたしましたプロジェクトチームにおけるこれまでの検討状況についてでございます。
2点目といたしましては、特に平成31年の扶養親族等申告書に関する事業が既に開始いたしておりますので、その対応状況について御報告を申し上げたいと思います。
まず、1点目のプロジェクトチームにおける検討状況でございますが、調査委員会の御提言のポイントは大きく2点でございました。
1ページと2ページに整理してございますが、すなわち1点目は検証結果を踏まえた今後の機構における外部委託・調達管理のあり方。
2点目は本事案を踏まえた、検討すべき機構運営の基本的事項でございました。
1点目の外部委託・調達管理のあり方についてでございますが、資料の1にございますとおり、左側に整理してございますが、報告書で御提言をいただいた事項は8点でございました。工程ごとに広範にわたる具体的な御提言をいただいておりますが、現在、その御提言の内容を踏まえまして、検討いたしております内容につきまして、その右側に整理をいたしております。
まず1点目は、外部委託ルール及び調達ルールの見直しでございますが、これらにつきましては、内容については省略いたしますが、可及的速やかに諸規定等の改正など必要な整備を行うという方針で、現在作業を急いでいるところでございます。
2つ目の組織でございますが、特に事業の企画から外部委託終了までの、調達外部委託全体をコントロールする調達企画セクションの設置を御提言いただいています。速やかに立ち上げるべく、準備を進めているという状況でございます。
3点目でございますが、機構が用意いたしました場所で機構がリスクをコントロールできる形で委託業務を行わせる、いわゆるインハウス委託と言っておりますが、これに関しまして、この内容につきましては後ほど担当の理事から御説明を申し上げますが、まず平成31年分の扶養親族等申告書の対応を先行事例として、今後のポイントは事務センターにおけるパンチ委託だと思いますが、この点について具体的な検討を進めているという状況でございます。
御提言のポイントの2点目は、本事案を踏まえた検討すべき機構運営の基本的事項についてでございます。
2ページ目をご覧いただきたいと思いますが、大きく3点でございました。
まず、1点目の人事体系の見直しでございますが、当機構におけます従来の人事体系が正規職員については全国異動を原則とした管理職の育成体系、これが人事体制の主体でありまして、約2万人のうち1万人が正規職員でございます。それ以外の約1万人は有期雇用職員という構成でございますが、このような体系を見直して、専門分野を担う人材の育成を図るべきという御指摘でございました。業界に精通した専門人材の採用、育成、実務以外における専門人材の育成等についてどうあるべきかということにつきまして、現在、検討を開始したところでございます。
2つ目の本部組織のリスク管理の見直しでございますが、近時、お客様に御迷惑をおかけする事案の多くは機構本部で発生いたしております。また、機構本部で発生いたしますと、極めて広範なお客様に御迷惑をおかけするということになります。このような事態を防ぐために、本部現業におけるリスクマネジメント、リスクコントロールが急務であるという御提言でございました。
検討に当たっては外部コンサルタントの起用も検討中でございますが、それに先駆けまして、一部、本部の実態調査に着手し、それをコンサルタントの調達に結びつけていきたいと考えているところでございます。
3点目のIT化、システム化の推進についてでございますが、特にAI‐OCR、RPAの導入の御提言をいただいております。
現在、どのような形で実験、あるいは導入に向けた検討を進めていけばいいかということについては検討中でございますが、いずれにいたしましても、31年扶養に関しましては一部でAI‐OCRの実験を行いたいと考えております。
これらにつきまして、前回の部会で、増田部会長から本年9月末までをめどに検討を進め、その状況について御報告を申し上げるようにという御指示を頂戴いたしております。その期限を厳守し、速やかに検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
また、31年扶養親族等申告書の実施状況でございますが、ここに関しましては、担当理事から詳しく御説明を申し上げたいと思いますが、資料の3ページでございます。
31年度事業のポイントは、まず前段として、組織横断的なプロジェクトチームの組成。RFI、業者の情報収集の充実。調達外部委託ルールの実質的な適用を行う。あるいはインハウス型委託の実験と申しますか、具体化をする。また、分割せずに一体型の委託を採用する等でございます。
本件に関しましては、調査委員会の御提言を踏まえまして、前回の轍を決して踏まないように万全を期してまいりたいと考えております。
内容については、担当理事から御説明いたします。

○増田部会長 それでは、理事さん、お願いします。

○安部日本年金機構理事 年金給付担当の安部でございます。
私のほうから、お手元の資料1-1、3ページの、31年の扶養親族等申告書の実施に向けました現在の対応状況につきまして、御説明を申し上げたいと思います。
お手元の資料の3ページでございますが、中段のほうに前回、それから今回ということで比較をしてございます。
今回の全体の送付件数といたしましては、約800万人の方に送付を予定しているところでございます。前回は800万人の方でございますが、29年の個人番号申出の関係がございましたので、相当数件数が多かったわけでございますが、今回につきましては800万件という形で予定してございます。
また、今回送付する申告書の関係でございますが、様式の見直しを一部行っております。それから、様式記載の内容につきましても簡素化を図るという形で、わかりやすい形でお送りする予定にしてございます。
前回は税制改正等の関係でできなかった部分でございますが、いわゆる前年、前回から変更がない方につきましては、簡易申告という形で変更なしということでチェックをしていただくことで、簡易な申告をしていただけるような形にしているところでございます。
その右の委託の方法の部分でございますが、前回でございますけれども、昨年は記載にありますように、受付・点検・返戻関係の業務とデータの入力・画像化の関係の業務の2つを別々の業者に委託を行っておりまして、それぞれフルアウトソーシングの形で実施したところでございます。
下段のほうでございますが、今回でございますけれども、受付からデータ入力・画像化までの業務は分割をしないで、一括して委託を行う予定としてございます。また、調査報告書の提言を踏まえまして、インハウス型で実施する予定としているところでございます。
4ページをご覧いただきたいと思います。
調査報告書の提言内容を踏まえまして、現在、それぞれ調達の関係について準備を進めている部分がございますが、ここの主立った部分を御説明申し上げたいと思います。
まず、先頭の項目、「全体計画」の部分でございますけれども、全体計画、それからスケジュール管理等を行うためのプロジェクトチームを今回新たに設置してございまして、扶養関係のワーキングチームとして既に設置して動かしているところでございます。
そのワーキングチームにつきましては、従来の事業担当部署だけではございませんで、事業を企画する部署、それから調達をする部署といった関係部署の職員を入れまして、組織横断的なプロジェクトチームとして対応することとしておりまして、前回のような問題が生じないような形で、万全の形で対応していきたいと考えてございます。
下のほうでございますが、「入札方式」でございます。記載させていただいておりますように、総合評価落札方式を行う予定にしてございまして、参加資格につきましても、本件につきましてはA等級に限定する予定でございます。
それから、その下でございます。「委託方式」「委託単位」でございますが、インハウス型によります一体型の委託を行うこととしてございます。インハウス型につきましては、後ほど資料に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
こういった部分は、現在、RFIによりまして、広く業者のほうから情報収集を行っておりまして、あわせまして、調達関係に必要な委託要領、仕様書等の作成を現在鋭意進めているというような状況でございます。
資料の5ページ、6ページでございます。5ページが前回の部分でございまして、6ページに記載してありますものが今回お送りする予定のものでございます。
縮尺しておりますのでちょっとわかりづらいかもしれませんが、5ページの昨年お送りいたしましたものはA3判の形で、左側に個人番号申出、右側に30年分の扶養親族等の申告の部分を記載してございます。
6ページでございますけれども、今回はA3のものがA4判に、わかりやすい形ということで見直しをかけてございまして、吹き出しが出ておりますけれども、上段のほうは前年から変更がない場合の方についてはその部分に丸をしていただくことで、他の項目、必要事項等の記載は必要ないというような形で、簡易申告を行えるようにしてございます。また、個人番号の申出の部分につきましては、今回はないという形で訂正をしてございます。
7ページ、8ページの別紙1のほうをご覧いただきたいと思います。
別紙1、7ページからでございますけれども、調査報告書で提言をいただきました13項目を左側に記載してございます。今回、扶養申告の対応につきまして、このそれぞれの提言の内容に対してどのように対応しているかということで、右側のほうでございますけれども、対応状況を「平成31年分申告書に係る対応状況」ということで記載させていただいているところでございます。詳細につきましては、説明のほうは省略させていただければと思います。
資料の9ページ、別紙2でございます。今回のインハウス型委託の概要についてまとめている部分でございます。
項番の1番のほうでございますが、調査委員会報告におけます提言ということでございますが、年金個人情報を取り扱う業務につきましては、機構はできる限りということで機構の外部に出さず、機構が用意した場所で情報セキュリティのリスク、受託事業者が仕様書と異なる業務を行うリスクを機構がコントロールできる形で行うという形で定義がされているところでございます。
2番のところでございますが、今回の扶養の関係の状況について御報告申し上げます。平成31年の扶養申告につきましては、全体で先ほど申し上げましたが、800万人の方にお送りする予定にしてございます。受付からデータ入力まで一貫してやるわけでございますけれども、下にございますように、これを処理するための人員の関係はピーク時で大体450人程度。それから、そこの部分の履行場所としては、2,500~3,000平米。それから、機材と記載してございますけれども、必要な資材といたしまして入力用のパソコン関係を見込んでございます。また、こうした履行場所、セキュリティ関係も含めました必要な資材等につきましては、機構において準備をするという予定でございます。
右側のほうでございます。項番の3番でございます。
「(1)委託方法等」でございます。ここは先ほど申し上げまして、一体として行うということで予定をしているところでございますが、RFI等の状況を踏まえますと、履行場所を1箇所でということがなかなか難しいということも予定してございまして、履行場所につきましては、2~3箇所程度に分割をする必要があるのではないかと現在検討を進めているところでございます。
「(2)入力方法」でございます。入力方法につきましては、できる限り機構が保有しておりますデータを活用することで、委託するデータ入力項目等を削減するという予定にしてございます。これによりまして、データの入力誤りや作業量は前回に比べましてかなり軽減されるのではないかと考えているところでございます。
また、セキュリティ対策、履行場所の確保、業務委託に向けました準備については、先ほど申し上げましたように、RFI等の状況等を踏まえ、現在、鋭意検討を進めているところでございます。
最後、10ページでございますが、これが扶養の関係の全体の今のスケジュールでございます。下段のほう、マル1、2、3という部分につきましてでございますが、マル1については帳票の関係でございますので、既に調達を進めさせていただいておりまして、ただいま御説明申し上げましたのがマル2、3についてということでございます。
以上、簡単でございますが、説明のほうは終了させていただきます。

○増田部会長 あと、資料1-2の検証作業班のほうをお願いします。

○黛年金事業運営推進室長 それでは、資料1-2につきまして、事務局のほうから御説明させていただきます。
今回のこの機構の業務委託等の見直しでございますが、これは前回の部会で、部会長のほうからもお話がありましたが、機構の取り組み状況は部会としてもフォローしていきたいということがございまして、まず9月末までの取り組み状況を機構から当部会に報告するという予定となってございますが、また、部会長の御発言の中で、検証作業班、こちらは昨年、当部会の4名の先生方に業務改善計画の取組状況を確認していただくということで活動いただいたものですが、今回も検証作業班で取組状況を実際に確認してはどうかということがございました。
そこで、検証作業班の4名の先生方、石井委員、岩瀬委員、原委員、そして松山委員とも御相談させていただいた上で、おおむねこのように実施してはどうかということで資料1-2を取りまとめましたので、その御報告ということでございます。
「1.目的」のところですが、これは今、申し上げたような趣旨、目的が書かれておりまして、つまるところ、最後なのですけれども、外部委託・調達管理等の見直しについて着実に検討・実施されているか進捗状況等の確認を行うということでございます。
「2.日程等」のところですが、これは2回ほど活動を予定させていただいているのですけれども、1回目は8月上旬ということで、この時点での取組状況で、特に「3.確認事項」の(1)で挙がっているのですけれども、調達ルール・外部委託管理ルールの見直しに関することで、諸規程の改正ですとか、マニュアル等の整備といったものの状況を見ていただくということを1回目は想定してございます。
また、2回目は9月の下旬頃に行いたいということで、この回では9月末までの状況を部会に報告ということですので、それに先立ちまして、機構の取組状況を確認し、どのような報告になるのかということをチェックしていただくということを考えてございます。
最後の「3.確認事項」ですが、ここは調査委員会の報告書で提言された対応策の実施状況を実際に確認していただくという観点から、(1)~(4)までの事項が列挙されておりまして、(1)は今、申し上げたことでございまして、(2)で組織体制の強化に関すること。(3)でインハウス型委託の推進に関すること。(4)で人事体系・本部組織のリスク管理の見直し等に関することを挙げさせていただいておりまして、このようなことを御確認いただくということでございます。
簡単ですが、資料1-2につきましては以上でございます。

○増田部会長 ありがとうございました。
調査委員会のほうから報告書が前回出たわけですが、それについての機構の対応状況の説明と、後のほうは検証作業班のこれからの検証についての御説明がありました。
この説明内容について、御意見、御質問等があれば、ここでお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
岩瀬委員、どうぞ。

○岩瀬委員 機構の取組状況についての質問と、この検証作業班の要綱について付け加えてもらいたいことが2点あります。
今、機構が取り組んでいる31年度の扶養親族等申告書の入力業務についてなのですが、これは事故が起こった30年度と比べると、入力件数はかなり減るということにはなりますが、返戻等の作業はかなり膨大な作業だと思うのです。今までこれは分離して発注していたと思うのですけれども、これを一体化するということはどういうことなのだろうと。これは今までどおり分離してやったほうがより精度が上がって、事故の起こる確率は少ないのではないかと思うのです。
というのは、昨年度事故が起こったケースを調べてみると、29年度は入力業務と入力業務が終わった後の画像化処理業務を別々に発注していたわけです。それを一体化したことによって、非常に無理な事業プランができてしまう。外部委託業者の問題だけではなくて、プラン自体が非常に無理なプランを立てたことがこの原因ではないかと思うのですけれども、今回、入力業務と画像化業務と、なおかつ受付、返戻、確認業務を一体化するということは事業者にとって相当な負担だと思うのですけれども、こういうことはできるのですか。問題なくやれるという勝算があるのかどうかちょっとお聞きしたいのですけれども。

○増田部会長 それでは、理事長さん、どうぞ。

○水島日本年金機構理事長 御質問が2点あったと思います。
まず一点、後者のほうからお答え申し上げたいと思いますが、前年、画像化業務と入力業務を一体で行ったということはなぜかということでございました。これに関しましては、ベリファイを行う際に、そもそもスキャンをして画像化をして、画像化したデータからベリファイを行うということが通常の業務であるとRFIの結果判明をしたために一体で行ったということでございまして、これは一定の合理性があると考えておりますし、その点で問題が発生したということでは基本的にないと思っております。
それから、今回一括でやったことについてはどうかということでございますが、前回、審査業務と画像化及び入力業務を分割したわけでありますが、その結果発生したことは、審査業者から入力業者にデータを渡すときに、一番初めから終わりまでの一括した管理が難しかったという点があります。そういう意味で、お客様から御提出いただいて最終入力をするまでの過程を、一つの届書について全て一貫して処理をしたほうが、間違いが起きないということでございまして、これは調査報告書においてもそのような方向で検討をすべしという御提言をいただいているところでございます。

○増田部会長 岩瀬委員、どうぞ。

○岩瀬委員 ベリファイでやるのだから入力も画像も一体化でやったほうが合理的だという御説明だったと思うのですけれども、これは実際ベリファイをやっていないわけですよね。
それと、これは前回の部会でも言いましたけれども、この入力業務が始まる10日前までに、入力事業者として予定していた800人分の守秘義務契約書の写しを提出しないといけないということになっていたわけですよね。契約事項という。だけれども、機構にその後、守秘義務契約書の全契約書のコピーを出してもらったのですけれども、これをチェックすると、この提出期限である9月22日までに出た守秘義務契約書の人数が、わずか52名なのですよ。800人要員を確保しないといけないのに50人分しか出ていないということは、わずか6.5%の要員しか確保できなかったわけで、その時点で事業が破綻しているということは普通の感覚でいくとわかると思うのです。
それなのに、ベリファイだから一緒にやるのだとか、この時点で契約を解除するということは、契約書の趣旨からいってもなされてしかるべきだったと思います。そういうことが全然よくわからない。
それで、理事長の今のお話だと、今回も一括でやったほうがいいと言うけれども、今まで分割して事故なくやってきているわけですよね。何でこれは一括する必要があるのか、いま一つわからないのです。この問題はやり始めたら切りがないので、後でペーパーでこの合理性ということを出していただきたいのです。
もう一つ、年金局にお願いしたいことはこの検証作業班の要綱なのですけれども、基本的にこれでいいと思うのですが、ここに一文を入れていただきたいのです。どこに入れてもいいのだけれども、「進捗状況等の確認を行うとともに、必要な調査を実施する」と。必要な調査を実施しない限りは、ただ報告を受けているだけでは機構が行っている作業が本当に実効性があるのかどうかということは検証できないですから、三たび同じような事故が起こらないためにも、必要な調査を実施するということは入れていただかないと、検証作業班の意味がないと思いますので、そこはお願いします。

○増田部会長 それでは、今の最初の岩瀬委員の御質問の関係ですが、分割ではなくて一体化、一括で発注してというこの関係は後でまた文書で整理して御提出をお願いします。
それから、検証作業班のほうのこのペーパーですけれども、目的のところになるのかどうか、そのあたりに、きちんとした調査ができるようなことを、文章の修正のほうをしておいてください。

○高橋年金管理審議官 かしこまりました。必要な調査をぜひお願いしたいと思います。

○増田部会長 委員の皆様、他に。
西沢委員、どうぞ。

○西沢委員 資料1-1の6ページで、新しい扶養親族等申告書についてなのですけれども、1つ質問は、この平成31年分で冒頭にアとして前年から変更なしと書いてあるのですが、そうすると前年は平成29年で、平成29年の状況か。前年とは今年なのですか。

○高橋年金管理審議官 30年です。

○西沢委員 平成30年ですか。サラリーマンだと、大体年末ぐらいにこういう紙を出して、平成30年の落着がわかっているころだと思うのですけれども、年金受給者の場合、8月か9月にこれを書かなくてはいけなくて、まだ年の途中で、私はこれが今年だということをわかっていなかったのですが、まだ年の途中でどういう落着になるかわからない状況で、例えばこれから配偶者が働き出しますという人もいるかもしれませんし、ですから、サラリーマンが年の落着がわかってから来年について予想を立てるのと、年金受給者がまだ夏ぐらいで今年の落着から来年を予測させるのとかなりレベルが違っていて、これは用紙に工夫されているとは思うのですけれども、この時期に来年についての見込みを出させるということはやはり構造として難しいと思っています。
もう一つ、これは細かなことですけれども、タイトルが「公的年金等の受給者」となっていますが、税制上は私的年金、企業年金も含めて等なのでしょうけれども、年金機構から送る書類なので公的年金に決まっていて、私が年金受給者であればちょっと疑問に思って、今、申し上げた2つは電話するかもしれませんし、あと、この本人所得の900万の根拠とか、税制を精緻に知っている方はわかるかもしれませんが、この900万も一体何なのかなと思ったりしますので、やはり構造として、扶養親族等申告書は非常に概念として難しいなと思います。
以上です。

○増田部会長 ありがとうございました。
今、御質問があった点、前年というのが年金受給者だと判断が難しいのではないかというような御指摘があったのですが、ここのところはどう考えたらよろしいですか。
どうぞ。

○竹林事業管理課長 事業管理課長でございます。
前年という表現そのものは、ほとんどの年金受給者は毎年この手続を踏まれておられますので、もう一回前、30年分といっても実際には29年の夏から秋にかけて記入の作業をされたわけですけれども、それのことを指しているということ自体はある程度御理解いただけるかと。
あと、この申告書そのものは、ここも両方あると思うのですけれども、申告書そのものを、これだけで見てあらゆる情報がわかるようにしようとするとどんどん複雑になってきますので、申告書そのものは極力簡単にしたのですけれども、これ以外に記入の手引きがあります。そこに、今、西沢委員がおっしゃったようなこの900万の意味合いとかも含めて、これは税制に基づくものだということを記入の手引きにはかなり詳しく書いてあります。
ですから、そういうことが余り気にならない方はこの申告書だけ見て完結できるようになるし、逆に気になる方については、その記入の手引きをしっかり読み込んでいただくと、そういったことも書いてあるという2段構えでやっておるところでございます。
あと、最初の時期の問題なのですけれども、これも本当に悩ましくて、確かに西沢委員がおっしゃるように、今年の所得がどうなるか、そして、配偶者の方が働くかどうか。そういったことの状況をなるべく引きつけてやればこの申告書の作業をする時期は夏ではなくて秋だとか冬だとか、我々サラリーマンと同じように後ろに引きつければ引きつけるほど直近の状況が反映できるわけなのですけれども、一方で2月の支払いから新しい税制がスタートしますので、できればその2月の支払いのときに、その方の扶養の状況とかを踏まえた正しい源泉徴収税額を反映していきたいということがあるわけですね。
昨年の反省を踏まえても、昨年もこの夏の時期、8月末から始まったわけですが、2月の時点で間に合わない方が出ていた。我々みたいに職場で人事担当者がいて、催促もしてくださったり、書き方がわからないとこう書くんだよとすぐ隣で教えてくれたりと比べると、年金受給者の方は基本は紙でやりとりをして、もちろんコールセンターなどがあって問い合わせをしていただければ書き方などのお話もできるのですけれども、催促だって隣にいてできるわけではありませんので、記入にも一定の時間がかかる。そして、出てきたものについても必ずしも完璧ではなくて、お返ししてここをもう一回埋めてくださいとか書き直してくださいというそこのやりとりにも、我々みたいなサラリーマンと比べればやはり時間がかかるだろう。
そうやって考えていきますと、逆に少しでも前に送って、そういう作業の時間、余裕を見る必要もございまして、その辺のバランスを考えると、去年は8月末に送りましたし、今年も時期はもう少し遅くできるかもしれませんけれども、やはりある程度まだ1年が見え切っていないところで作業を始めざるを得ないということも、両方のバランスを考えますと致し方ないところなのかなと思っております。
最終的には日本年金機構が送られる話なのですけれども、今回の件はかなり年金局のほうでも一緒に考えさせていただきましたので、私のほうから回答させていただきました。
以上です。

○増田部会長 今の関係で、機構のほうから、どうぞ。

○安部日本年金機構理事 送付の時期、それから届出に際して、非常にわかりにくいという御指摘の部分でございますが、昨年から今年の初めにかけまして、前回のような誤りが生じました。その関係で、再勧奨を今年の2月、3月からさせていただいている部分がございまして、そこで様式の見直し等を一部やった部分を参考にいたしまして、今回、31年分の扶養の関係につきましては、先ほどもありましたように、記載要領ですとか、それから、もともと申告をしていただく目的といった部分の手引きの部分も含めて、わかりやすい内容のものを同封してお送りする予定にしてございます。
そういった届けの関係等につきましては、機構のホームページ等でも掲載いたしまして、よりわかりやすい形で御理解いただき、提出をしていただけるような形で対応していきたいと考えてございます。
また、送付の時期でございますが、昨年の部分でございますけれども、8月の下旬から申告書をお送りさせていただきまして、お客様に当初の提出をいただくのが9月末という期限で昨年はお願いをしたところでございます。
今回の資料の最終10ページのほうに先ほどの資料がございますけれども、大体今の予定でございますと、9月の中旬から順次発送させていただきまして、提出の当初の締め切りのほうは10月末を予定させていただくということにしてございます。記載方法も少し簡略化されるという部分等もございまして、お送りして提出いただく期間については、多少でございますけれども昨年よりは多目にとるような形で、できるだけ御提出いただけるような形で対応していきたいと考えてございます。
以上でございます。

○増田部会長 8月下旬から送って、昨年は9月いっぱい。今年は10月いっぱいということは、昨年と比べると1カ月遅くなったわけですね。

○安部日本年金機構理事 昨年は8月下旬から順次お送りして9月末で、本年につきましては、9月の中旬から発送を開始いたしまして10月末の予定でございます。

○増田部会長 わかりました。西沢委員、今の関係で。

○西沢委員 そうすると、このアのところは前年というよりも今年の落着見込みと変わりないということを書いたほうが本当はいいのですかね。私は理解していなかったので、すみません。

○増田部会長 どうぞ。

○水島日本年金機構理事長 そもそも将来の予測をするわけですよね。ですから、その予測に関して、実績ではありませんから、問題は永遠に解決しない部分ではあるのです。
ですから、その速さ遅さというところが、若干でも予測可能になるかどうかということについて、ぎりぎりまで遅くできるかというところが我々で努力できる範囲と、それから内容についていかに簡素化できるかというところが努力できる範囲だと思うのです。そこに関しては、可能な限り努力を行ってきているということでございまして、また、お客様からやはり御質問が大変多いわけでございますので、事務所における体制はもちろんでございますけれども、本年度に関しましては、この専用のコールセンターを設けるつもりで予定をいたしております。そこで、専用で受けるという形を、今まではねんきんダイヤルで一緒に受けておりましたので、どうしてもつながりにくいという状況が発生いたしました。そういう努力も続けるということで、御理解を頂戴できればと思います。

○増田部会長 ありがとうございました。よろしいですか。
それでは他にどなたか。
藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 2ページを拝見していて思ったことを申し上げたいと思います。
2ページの第4項で定型業務を専門的に実施する職員の雇用について検討をされるということで、どのような検討をされるのかというのはちょっと気になるところではあります。
というのが、報告書ではマル9で業界に精通した「目利き」の育成とか、それから組織的に知識・ノウハウを蓄積するなどという重要な役割を担っておられる方のような表現があるのですけれども、一方でマル10を見ますと、その一環として確かにここに定型業務を安定的云々という表現があります。この定型事務が何を指すのかということなのですけれども、全体の文意からは発注にかかわる部署の担当の方を指しているのだろうと思います。
ところが、先ほど来、岩瀬委員からも指摘がありましたように、必ずしも全ての業務の発注の仕方が定型的であるとは限らないし、かつその発注は非常にある種の権限を伴うわけですし、1箇所にそのような方がずっといるということも問題が生じる場合もあるとも思います。しかも重要な役割を担っている方に対して定型業務という言い方は何となくやる気を損ねるような気もするわけです。
このような文字が確かに報告書にあるのかもしれませんけれども、報告書の字面を全てそのとおり追うということでもなく、内容を斟酌されて実態に合うようにされたらよろしいかと思います。
以上です。

○増田部会長 ありがとうございます。
理事長さん、どうぞ。

○水島日本年金機構理事長 御指摘のとおり2点、2面ございまして、1つは調達業務に関しまして業界に精通をして、あるいは技術的な進歩についても常にフォローしているというような人材という意味で、これはかなりレベルの高い人材をどのように育成するかという点がまず1点でございます。前回の部会におきましても、斎藤聖美先生からこの人材は外部から導入をするということも検討すべきではないかという御提言を頂戴しておりまして、その点も含めて検討していかなければならないと考えております。
一方で、本部の調達、例えばこの扶養親族等申告書に関しましては、今、御指摘のとおり、制度が変わるというようなこともございますし、なかなか難しい面がございます。こういうことを制度の変更も税制の変更も含めて長期的に追って、過去の事例も踏まえながらどういう問題が起きたかということについて対応していく人たち、そういう人材も一定の育成をしていく必要があると考えますし、また、事務センター等の業務に関しましては、かなり定型的な業務でございますので、このような業務に関しまして、いわゆる正規職員が常に行っていく必要があるかということについては、検討をすべきではないかという御指摘だと受けとめております。
そういう意味で、両面から議論を進めたいと考えております。

○増田部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今の話ですと、報告書のマル10における定型事務というのは、請負業者を発注するという事務ではなく、機構内において直接事務を遂行される方を指しているという御理解ですか。事前にちょっとお伺いした場合と、言葉の意味が違っていたような気がしましたので、今、了解いたしました。

○増田部会長 ありがとうございました。
このPTでの検討については、今の関係は9月末までに検討して方向性をまた御報告いただくことになりますので、御指摘を踏まえつつ、決定をよろしくお願いします。
他にございますか。よろしいですか。
西村委員、どうぞ。

○西村委員 1点だけ。9ページに機構内既存施設を利用する方向と書かれているのですが、これは機構だけの問題ではないと思いますので、もう少し幅広にお考えになったほうがいいのではないでしょうかというのは感想でございますので、そこら辺はお願いできればと思います。

○増田部会長 それではまた、御検討をよろしくお願いします。
質疑等はこれまでといたしまして、業務委託等の見直しの取り組みですけれども、今日の議論も踏まえて見直しを進めていただく。そして、それぞれの項目について、8月末ですとか、9月末ですとか、いろいろ方向性を出す時期がこの中で明らかにされておりますが、今後も随時取組状況について部会のほうに報告をお願いしたいと思います。
また、検証作業班については、先ほど岩瀬委員からも御指摘がございました、調査をきちんと行えるような文言もつけ加えつつ、昨年と同じく4名の委員にお願いをいたしますので、その中で検証作業を行っていただきまして、その結果を部会に報告できるようにお願いをいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事の(2)に移りたいと思います。「日本年金機構に対する業務改善命令について」ということで、こちらは当部会への諮問という形になりますが、本日付で、厚生労働大臣から業務改善命令について社会保障審議会の西村会長宛てに諮問がなされております。
まず、年金局からの説明を聴取して、その後御議論いただきたいと思いますので、それでは、年金局のほうから説明をお願いします。

○宮本事業企画課長 事業企画課長でございます。
資料2の「日本年金機構に対する業務改善命令(諮問書)」について、御説明をいたします。
前回、6月4日の部会において、日本年金機構における業務委託のあり方等に関する調査委員会の報告書について御議論をいただいたところであります。
厚生労働省としては、この報告書で提言をされた業務委託の見直しに係る対応策が、機構において着実に取り組まれるものと考えております。
今回は、こうした機構の取り組みを後押しする趣旨からも、日本年金機構法に規定された業務改善命令という形式によりまして明確に指示を出すべきと判断をいたしましたところから、本日、加藤厚生労働大臣から社会保障審議会西村会長に対し、業務改善命令についての諮問を行ったところでございます。
1枚資料をおめくりいただきまして、業務改善命令の案文ですが、冒頭のところでただいま御説明したことも含めて、業務改善命令を行う趣旨が書かれております。その上で、業務改善措置の実施状況について、9月末の時点で報告を求めるとともに、その後も定期的に報告を求めることとしております。
「記」以下の内容でございますが、まず、1で調査委員会の報告書を受けて、機構の業務委託等についてどのような見直しを行うかということの概略を記載し、2以下でそれらの見直しについていつまでに実施するのかという観点から実施すべき事柄を明記しております。
それでは、諮問案でありますので、全文を読み上げさせていただきます。
 

業 務 改 善 命 令

 
日本年金機構における扶養親族等申告書に係る一連の業務における事務処理について、「日本年金機構における業務委託のあり方等に関する調査委員会」の報告書が取りまとめられ、平成30年6月4日の社会保障審議会年金事業管理部会で報告・審議されたところである。
日本年金機構における業務委託については、業務の大幅な改善が必要であると認められることから、日本年金機構法(平成19年法律第109号)第49条第1項の規定に基づき、日本年金機構に課せられた使命を改めて認識し、組織の中で意識改革を進め、被保険者、適用事業所の事業主、年金受給者等のお客様の立場に立って、正しく確実に業務を行うことを徹底するとともに、こうした考え方に立って、下記の業務の運営の改善に関し必要な措置をとることを命ずる。
また、改善措置の実施状況について、平成30年9月末時点で報告するとともに、当分の間、定期的に報告を行うこと。
 

 
1.日本年金機構の業務委託について、総合評価落札方式の適用の原則化や全省庁統一資格(AからDまでの等級)の本来等級の適用の原則化、インハウス型委託の推進等、「日本年金機構における業務委託のあり方等に関する調査委員会」の報告書で提言された対応策に着実に取り組むこと。
 
2.次の各事項について、今後調達手続を開始するものから直ちに実施すること。
(1)年金個人情報を取り扱う業務のうち、委託に当たり業務品質を確保するために業者の業務の履行能力を見極める必要があるもの(届書の処理、データ入力、年金相談(コールセンター)及び訪問勧奨)について、総合評価落札方式の適用を原則化
(2)年金個人情報を取り扱う業務委託の調達について、全省庁統一資格(AからDまでの等級)の本来等級の適用を原則化
(3)調達単位の適切な分割等、調達手続について直ちに改善が可能な事項を措置
 
3.業務委託に係る調達、委託管理及び監査について、諸規程、マニュアル及びチェックリストの所要の改正等を平成30年7月末までに実施し、それらを日本年金機構内で周知・徹底すること。
あわせて、日本年金機構の組織について所要の見直しを行うこと。
 
4.届書の処理、データ入力及び年金相談の業務委託について、日本年金機構における作業場所の確保等の準備を進め、準備が整ったものからインハウス型委託を実施すること。
 
5.次の各事項に係る取組を進めること。
(1)複数年契約や業務の包括的な委託の積極的な活用
(2)IT化・システム化の推進による入力業務等の削減
(3)人材の育成及び職員の意識改革
 
以上が、本日諮問させていただきました業務改善命令案の内容でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○増田部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの業務改善命令ですね。この諮問の案ですけれども、これについて御意見、御質問があればお願いしたいと思います。
西沢委員、どうぞ。

○西沢委員 今、私の聞き間違いかもしれませんけれども、後押しとおっしゃって、今回の事案はそもそも配偶者控除の見直しで税制改正が複雑だったのですよね。私の会社でも、夫の所得と妻の所得のマトリックスになって、非常にわかりにくい。それを平成30年の施行に間に合わせろと言う。年金機構は制度を実務に落とすという使命でやっていて、制度が複雑であれば、執行も実務も複雑になるに決まっていて、先ほど被扶養者申告書も非常にまだ複雑であるということがわかったわけであって、そうした税制改正と税制の執行を源泉徴収している中で起きていることであって、ですから、日本年金機構だけに業務改善命令を出すのはフェアでないと私は思いますし、あと、後押しと言いましたけれども、これが機構職員全体にとって後押しになると水島理事長が受けとめるのであれば私もこれは賛成しますけれども、そうでなければ、この業務改善命令を出して後押しにならないのであれば、出すべきでないと思います。
以上です。

○増田部会長 他に御意見はございますか。
どうぞ。

○西村委員 単なる質問なのですけれども、これはホームページに出ているのですが、出てしまっていていいものなのですか。これは公開されていていいものなのですか。

○黛年金事業運営推進室長 諮問案としては構わないというか、そういうことです。まだ決定された命令ということではございません。

○増田部会長 審議会資料として出ているということね。これに(案)がついていると、形式的に言えばそういうことですね。
後で、先ほどの西沢委員の御意見についてはお答えしていただきますが、諮問について他に何かございますか。よろしいですか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 確かに業務改善命令と出すことについて、今、1つ命令が行われたものの計画が進行中で、私も西沢委員と同じように、出さないといけないのかとは思いました。明確に指示を出して、取り組みを着実に進めたいという御趣旨と伺っていたので、そういう考え方もあるのかと思いましたが、やはり命令は出さないといけないとすれば、それはどうしてかということをもう一度確認させていただきたいということがあります。
もう一つは意見なのですけれども、もし命令を出されるというときには、今回の命令の案としての内容は、業務委託について、事業手法としての業務委託による事業の実施の精緻化を図るということが一つ内容となっていますけれども、前回の命令による改善計画も進んでいるところで、両方につながるものとしては、組織の体制にかかわることということなので、それぞれの命令で出されている、指摘されている改善すべき課題もあるのですけれども、これから機構が取り組んでいかれるときに、組織のこれから実現していこうとする全体像について、ぜひ具体的なイメージを持って、統一的な視点に立って取組を進めていただきたいと考えております。
以上です。

○増田部会長 後者のほうは、仮に命令が出た後の内容についての御意見だと思いますが、他にはよろしゅうございますか。
松山委員、どうぞ。

○松山委員 今回の業務改善命令については、事前の御説明をいただいたときに、やはりこれだけ大きな社会的な問題になってしまったのでやむを得ないのかなと個人的には思っていたのですが、先ほど西沢委員がおっしゃった内容については、私は全面的に賛成ですし、前から感じていたことです。年金機構のほうでいろいろとミスが重なるのは、いろいろとシステムとかが行き届いていないというところもありますけれども、やはり制度が余りにも複雑過ぎて、それにキャパとして追いつけない状況があることは否めないだろうと。
これは、年金がすごくいろいろ積み重なって複雑な構造になっているということもありますし、先ほどのように税制のところとかもありますが、やはりそこは税制改正とか新しい年金の変更をするときに、それをやることによってそれを実現するためのコストがどのぐらい膨らむものなのかということを、これは機構のほうなり、あるいは厚労省のほうからフィードバックをきちんと事前にして、それを考慮に入れていただいた上で制度改正をするという流れができないと政府全体が非常に非効率ではないかと思いますので、ここはぜひ機構と厚労省のほうから、そういったことを事前に発言できるような形で運営していただければなと思っております。
以上です。

○増田部会長 ありがとうございます。
発言できるというのは。

○松山委員 発言できるというか、フィードバックしながら、なるべくそういう情報を提供しながら制度改正を議論できるような運営にしていただきたいなと思っております。

○増田部会長 わかりました。
岩瀬委員、どうぞ。

○岩瀬委員 これはいろいろな意見があると思うのですけれども、私としてはやはり2回目の業務改善命令が出たほうがよろしいかと思います。
もちろん税制改革が変わって非常に業務が複雑になるということはあるのですけれども、それはもう事前にわかっていたことで、それに対してどう対応するかということをきちんと機構側はやらなくてはいけなかったわけですよね。
だけれども、先ほども言いましたように、この入力業務の必要な人員800人を集めるという計画を立てていながら、守秘義務契約書の提出日にわずか6.5%の人員しか集められなかった、この時点で事業は破綻していると思うのです。
複雑な業務であるにもかかわらず、今まで分離していた契約を一体化するとか、何を考えているのだろうと思うぐらい非常にわからないことをやって、そしてこういう制度への信頼性を大きく損なったということは非常に重く受けとめるべきだと思うのです。
2回目の業務改善命令というのは大変不名誉なことだと思いますけれども、それを受けることによって、今後、機構が三たびこういう問題を起こさないために非常に真剣に取り組むという意味では、私は業務改善命令を出すということに対しては賛成だし、大臣に対しても大変御迷惑をかけることですが出していただきたいと思います。
以上です。

○増田部会長 ありがとうございました。
それでは、厚労省から、先ほど一応課長さんのほうから説明がありましたけれども、年管審のほうからまた追って説明はありますか。

○高橋年金管理審議官 大きく2つあると思います。
1つは、機構に対する業務改善命令もさることであるけれども、制度が複雑化しないような厚生労働省としての取組も大事だと、こういう御指摘の一つだと思います。
今回の事案は、岩瀬委員が言われたように、制度が複雑化してもその上でそれをしっかりやるということが大事なので、事務をしっかりやるということはこれはこれと、一つ。
一方で、できるだけ国民にわかりやすく、また、間違いが起きにくいような仕組みにしていくということも、これはまた大事でございまして、年金局としてそのような努力をしてまいりたいと思っています。
今回の税制の問題も、例えば申告書の様式等につきまして、さまざまな制度改正の影響で複雑になったと。これをもっと簡単にしていくということで、今年の3月、4月に関係省庁に年金局から働きかけまして、できるだけ簡単にしていくという交渉をしたりしましたし、また、今後の税制改正、さらにという、またの機会のときに向けて、より一層国民にとってわかりやすく、また簡便なものになるような、やはり年金受給者という方々ですから、なかなか理解も難しいわけでございますから、そこの取組は努めてまいりたい。今後の制度改正に当たりましても、できるだけ制度を実務に落としやすいようなことを考えながらやってまいりたいと思っております。
もう一つの点、今回の業務改善命令の趣旨は何かという点でございます。6月4日に調査委員会の報告書がまとまりまして、機構におきましてPTもつくられ、この取組を今、水島理事長のリーダーシップのもとに、機構の中で進めていただいているわけでございますけれども、その機構において取組を着実に進めていくという観点から日本年金機構法の規定に基づき、業務改善命令という形で大臣が明確に指示を出すということは必要ではないかということで、業務改善命令をするという諮問をさせていただいたところでございます。
以上でございます。

○増田部会長 石井委員、それから、大山代理で、どうぞ。

○石井委員 単純に確認なのですけれども、検証作業班による検証は、業務改善命令の案の1番についてのみ検証対象となるという理解でよろしいのか。そうではなくて1~5番までの部分も含めてそうなるのか。平成30年ないしは31年の扶養親族等申告書にかかわる外部委託業務に関して起きた残念な問題との関連の中で、調査委員会等から出てきた御指摘等が確実にフォローされたというようなことについて検証するのか、それともそれだけに限らず、例えば年金相談(コールセンター)、訪問勧奨というような外部委託業務全般とでもいうような領域も含まれたところで検証するのかというようなことについて御確認をさせていただきたいのですが。

○増田部会長 課長さんのほうからどうぞ。

○宮本事業企画課長 ちょっと説明がわかりづらかったかもしれませんが、業務改善命令の「記」以下で書いているところは、1番で要するに包括的なことで、いわゆるこの調査委員会の報告書で提言をされた対応策について着実に取り組むということを書いておりまして、その中に2以下、2~5に書いた事項は全て盛り込まれております。それが、期限がいつなのかという観点から2、3、4、5と分かれているということになっておりますので、1で書いたことは包括的なこと、それが調査委員会の対応策。それから、2~5までがその期限。期限をいつまでにやるのかということの観点から分けたものなので、この全体が対象になりますし、今回の検証作業班の対象も同じ範囲であると考えております。

○増田部会長 1番を対象にするということでよろしいですね。

○宮本事業企画課長 はい。

○黛年金事業運営推進室長 補足させてください。
この検証作業班の資料をつくるに当たっては、基本的には業務改善命令とのリンクということは直接的には考えていなかったのですけれども、とにかくこの8月上旬、それから9月下旬の時点で機構の取組状況を御確認いただく。そうすると、必然的に業務改善命令の中身と被ってくるところがあるという構造になっているということで御理解いただければと思います。

○増田部会長 調査委員会からの提言に対しての対応策を検証するということでよろしいですね。

○黛年金事業運営推進室長 はい。

○増田部会長 石井委員、よろしいですね。
それから、大山部会長代理、どうぞ。

○大山部会長代理 今回のこういう状況が起きたことは残念だと思っておりますが、後でシステムの関係のほうの報告をさせていただくのと関連するので、一言だけ申し上げたいと思います。
今回の業務改善命令の中の5の(2)にもIT化・システム化の推進による入力業務の削減と書いてあって、資料1-1の5ページ、6ページの状況ですけれども、5ページは初めて入力することもあり致し方ないかなと思うのですが、6ページを見ると前年から変更がない方は丸をつけると書いてあるので、きっと今まで既に入っているものが前提で来ることが結構あるのだろうと思うわけです。
こういうものを見るのに当面紙がなくせないということはわかるのですが、もともとこのA4判の、今回の31年分の公的年金受給者の扶養親族等申告書には、個人別、対象者別の何らかの識別の番号をつけて送り、それを送ってくれば全部経過管理をする中で、確認をしていく作業はどちらにしろ発生すると思うのですけれども、そうすればかなりしっかりとやれるのではないかと思います。
ところが、このA4判の今回出ている6ページを見ても、依然としてそういう形には、この紙の状態から見えていない。
すなわち、経過管理の話の重要性というのは、システムの中でいつも言われている話ですけれども、もともと発信のときから、最初からその管理を始めることであって、申告書が来てから管理するのではないのですよと、この辺のところはぜひこの先、考えていただければと思います。
以上です。

○増田部会長 今の関係で理事さん、どうぞ。

○安部日本年金機構理事 今年度お送りします申告書の関係の部分でございますが、今、御指摘いただきましたように、もともと機構が保有しております情報はお送りする際に印字をさせていただきます。それから、受給者の方々の情報、被扶養者の方の前年の、30年分の情報につきましても、記載をした形でお送りするということにしてございます。
お送りする際でございますが、ここには記載はまだございませんけれども、いわゆるQRコードで、個々人の方を特定できるような形でお送りすることにしてございまして、この様式をお返しいただくことで、特定の暗証番号をもって一元的に管理をするという形で予定をしているところでございます。

○増田部会長 どうぞ。

○大山部会長代理 そう聞かせてもらえると非常にありがたいと。いいと思うのですが、だとすると、今回起きたようなことは、次はちょっと状況が違いますよね。同じことが起こるとしても、まず機構側で審査をしてしまった後に、記録として残すために電子化するとか、何か考え方が違うのではないかという気がするのです。
したがって、業務改善命令の中の回答をしっかり、今、実はできるのではないかという感じがしますので、その辺をまたお考えいただければと思います。

○増田部会長 ありがとうございました。
それでは、厚労省のほうから、この業務改善命令について、社会保障審議会の親会のほうを通じて、当部会のほうに諮問という形で意見を求められておりますので、ここで各委員から御意見等もございましたのですが、日本年金機構に対する業務改善命令案、これについて当部会で了承してよろしいかどうか、決をとりたいと思います。
この諮問されております業務改善命令案で了承してよろしいか、皆さん、いかがでしょうか。これでよろしゅうございますか。

○西沢委員 私はさっき申し上げたとおり反対ですので。

○増田部会長 わかりました。
それでは、西沢委員のほうはこの業務改善命令案に反対をされるということで意思表示がございましたが、それ以外の皆さん方は御賛同ということで、この業務改善命令案を当部会として了承したいと思います。よろしゅうございますね。

(「はい」の声あり)


○増田部会長 それでは、この後の手続ですけれども、私のほうで部会として了承ということで、社会保障審議会の西村会長のほうに報告をさせていただきます。
なお、この報告を受けて、西村会長から加藤厚生労働大臣宛ての答申が行われることとなりますので、これは厚労省のほうで手続を進めると思いますけれども、その旨、御了承いただければと思います。では、後はよろしくお願いいたします。
続きまして、議事の(3)「日本年金機構の平成29年度業務実績について」、こちらを議題としたいと思います。
これにつきましては、前回の当部会で一度議論をしておりますが、その機構からの説明の際に数値等で空欄になっていたところがございます。その空欄が本日は埋まっておりますので、ここを中心に御議論いただこうと思っております。
また、年金局から国民年金の納付率に関する資料が提出されていますので、先に日本年金機構から説明をしていただいた後、こちらについても年金局から説明を行っていただいて、まとめて議論していただきたいと思います。
それでは初めに、機構のほうから説明をお願いします。

○田中日本年金機構企画調整監 それでは、資料3「平成29年度業務実績報告書(案)」につきまして、前回御報告をさせていただきましたが、数字が確定していない部分がございましたので、そこにつきまして御説明をさせていただきます。
まず、3列の表になっている、資料の3ページをご覧になっていただければと思います。
こちらの「平成29年度計画に対する取組状況」という欄、まず国民年金保険料収納対策でございます。3ページの下のほうに(納付率等の状況)とございます。こちらのほうが確定いたしました。
まず、平成27年度分保険料の最終納付率というものでございますが、73.1%。28年度分保険料、過年度1年目が71.5%。29年度分保険料、現年度納付率が66.3%ということでございます。
それぞれ目標が、最終納付率に関しましては、平成27年度の63.4%から7ポイントの増。過年度1年分につきましては、28年度の65%から4ポイントの増。現年度納付率につきましては、平成28年度の65%から1ポイントの増ということが目標となっておりましたが、それぞれそこに記載がございますとおり、9.8、6.5、1.3ということで、それぞれ目標を達成したということで、御紹介をさせていただきたいと思っております。
次に4ページでございます。
口座振替実施率でございますが、対前年比0.3%減ということで、ほぼ同水準を確保したということでございます。
次にコンビニエンスストア、インターネットバンキング、クレジットカードによる納付状況、これにつきましては合計で対前年比がマイナス4.2%になっておりますが、全体の被保険者数の減少割合、これも(参考)のところに記載がございますとおり、4.5%減ということでございますので、被保険者数の減少割合とほぼ同水準ということでございます。
5ページでございます。
(特別催告状の送付)ということでございます。これにつきましては、同一の未納者に対する送付回数を見直しまして、効果的・効率的に取り組むこととしておりまして、昨年度より15%削減を目標として取り組んでまいりまして、結果として実施件数869万件ということで、対前年度比20.2%減ということで、結果として納付率の目標を達成することができたということでございます。
6ページ、(市場化テスト受託事業者との連携・強化)ということで、真ん中あたりに実績ということで、1,727万月ということ、あるいは納付対象月数における収納実績の割合は4.9%ということで記載をさせていただいております。
次に、7ページ、8ページでございます。
(強制徴収の取組)につきまして、数字を確定いたしました。8ページに表がまとまっておりますので、これについて御説明をさせていただきますと、最終催告状送付数、納付対象月数、納付月数、督促状送付数、差押件数、これら全てが平成28年度に比べて増加しているということでございます。
8ページの一番下、前納制度でございます。平成29年4月に、現金とクレジットカードによる2年前納制度の取り扱いが開始されましたが、5.8万件の利用があったということでございます。
ページを飛んでいただきまして、13ページでございます。
厚生年金保険の適用でございますが、最終的な数字として適用調査対象事業所が57万9,770事業所ということでございます。内訳につきましては、28年度の51万3,332に加えまして、29年度に新規に把握した6万6,438事業所が追加ということになっております。
15ページをおめくりいただきまして、適用を進めてきたということを前回も御説明させていただきましたが、この結果、適用調査対象事業所の残数でございますが、29年度末時点で42万1,377ということになってございます。
次に19ページ、20ページに飛んでいただきまして、厚生年金保険等の適用・徴収対策でございます。
こちらにつきましては、20ページに収納実績が書いておりますが、平成29年度の収納率は99.0%ということで、昨年に引き続き高い数字を保っているということでございます。
あわせて、協会健保の保険料の徴収率につきましても、98.2%と高い数字になっているということでございます。
20ページの一番下、時効中断措置でございますとか、21ページにございます口座振替の利用促進の取組、あるいは滞納事業所への取組、22ページに移りますと厚生年金基金特例解散に伴う対応、それぞれ数字が確定しましたので、記載をさせていただいているところでございます。
29ページに飛んでいただきまして、「年金記録の確認等の対応」ということでございます。未統合記録でございますが、平成28年度の1,951万件から1,903万件ということで約50万件減少いたしました。例年に比べて若干増ということでございまして、受給資格期間短縮に合わせた記録確認の取組が功を奏したと考えております。
ページを飛んでいただきまして、70ページでございます。
予算と決算でございまして、決算が確定しましたので、数字を入れさせていただいております。70ページの一番下でございます。一般管理費の人件費を除いた分の執行額でございますが、予算額133.2億円に対しまして、9.1億円削減いたしました。そのうち、複数年契約の実施等で効率的な予算執行を行ったことによるものは7.1億円ということでございます。
また、業務経費の執行額につきましても、予算額1,660.2億円に対しまして、43.1億円を削減いたしました。これも複数年契約の実施等で効率的な予算執行を行ったことによるものが42.8億円ということになってございます。
120ページでございます。
今ほど申し上げました業務経費、一般管理費の予算、決算について記載させていただいております。これにつきましては、人件費も込みの数字になっておりますので、先ほどと若干ベースが違いますが、予算額と決算額の比較でございますが、2,736.7億円の予算額に対して、決算額が2,664.2億円ということで、72.6億円を削減したということでございます。詳しいことにつきましては、参考資料2の35~47ページのほうについておりますので、後ほど御参照になっていただければと思います。
私からは以上でございます。

○増田部会長 それでは、課長さんから。

○竹林事業管理課長 続きまして、事業管理課長でございます。
私からは、資料4-1及び資料4-2に沿いまして、国民年金の保険料納付状況等につきまして御説明させていただきます。
最初に、資料4-1でございます。平成29年度の国民年金の加入・保険料納付状況について御説明させていただきます。
最初の表紙に書いてございますけれども、この資料では未納分をさかのぼって納付できる過去2年分を集計したいわゆる「最終納付率」、それと29年度分の保険料のうち、30年4月末までに納付された月数に基づき算出した「現年度分の納付率」についてまとめております。
枠囲いの中でございますけれども、27年度分の最終納付率につきましては、73.1%ということでございまして、27年度末の現年度から比べますと9.8ポイントの伸びとなっております。また、28年度分、過年度1年目の納付率につきましては71.5%ということで、現年度の65%から見たら6.5ポイント伸びております。そして、29年度分の直近の現年度納付率は66.3%ということで、前年よりも1.3ポイント増えているということでございます。
おめくりいただきまして、詳細な資料のほうの、下のほうについておりますページ番号、1ページをご覧いただきたいと思います。
最初に、国民年金被保険者全体の動向の御説明をしております。図1のほうには、最近5年間の公的年金の加入者数の推移をまとめておりますけれども、ご覧いただければおわかりいただけると思いますが、まず厚生年金被保険者、国民年金の第2号被保険者が顕著に増加している。そして、第3号被保険者はやや減っており、第1号被保険者の中で見ますと納付者はやや減る傾向にあります。また、免除者は大体一緒ですが、やや微減の感じになっておりまして、未納者は顕著に減少しているということがおわかりいただけるかと思います。
よく第1号被保険者の中で、納付者が若干減っていること、あるいは第1号被保険者の中で免除者の比重が高まっていることについて問題ではないかという御指摘もいただくところですが、第2号被保険者等も含めた国民年金、公的年金全体の加入状況を見ていただきますと、第2号被保険者も含めて納付者が顕著に増えている。そして、未納者は顕著に減っているということが、この5年ほどの推移でございます。
2ページのほうでございますけれども、こちらのほうでは第1号被保険者の資格取得者の状況等について、表2で整理をしております。
それから、(2)のほうでございますけれども、第1号被保険者の年齢構成の変化を書いてございますが、やはり学生が多いので、全体としては20歳代前半の占める割合が一番大きいとなっております。
3ページでございます。
先ほども直近の数字は申し上げましたけれども、保険料納付状況の推移を見ていただきますと、図3で折れ線グラフもつけておりますが、まず現年度保険料です。下のほうの折れ線グラフにつきましては、平成23年度がボトムになっていまして、そこから6年連続の上昇になっております。また、最終納付率につきましては、平成22年度がボトムになっておりまして、そこから5年連続の上昇になっております。統計をとり始めたのが14年度でございますが、それ以降今年の73.1ポイントという数字は最高値でございます。
4ページは、もう少し詳しい納付率の状況の詳細を表4にまとめており、また、表5は納付対象月数や納付月数、表5のほうは1年度分の保険料という切り口で整理をしております。
また、表6のほうは29年度に納付された保険料という切り口、ある年度に納付された保険料という切り口で整理をしているものでございます。
5ページでございますけれども、年齢階級別の納付率をまとめております。これは毎年こういう傾向がございますが、年齢層が若いほど低い、年齢層が高いほど高いというような傾向があります。ただ、経年で見ますと、29年度は28年度と比較しますと全ての年齢階級において納付率は上昇しております。
6ページのほうでございますけれども、免除の状況別の納付率ということで、やはり一部免除の方は納付率が低いという傾向にございます。
7ページでございますけれども、こちらのほうは28年度と29年度で、例えば28年度で資格喪失をされた方、それから29年度で新規に資格を取得された方、あと、28年度と29年度で継続されている方といったところの分析をしておりますけれども、やはり継続されている方の納付率が69.57%と高くなっております。
8ページのほうは、前年度、28年度と比べまして、現年度納付率が1.3ポイント上昇したわけですが、その1.3ポイント上昇したものの寄与度と申しますか、影響度を先ほどの属性別で分析をしたものでございまして、両年度とも納付対象月がある、継続の方の寄与度が大きいということでございます。
9ページ以降は、地域別の保険料納付状況ということになっておりますので、説明のほうは省略をさせていただきます。
それからもう一つ、今度は資料4-2のほうをご覧いただきたいと思いますが、こちらのほうは月次の納付率でございます。平成30年4月末現在の月次の納付率ということで、枠囲いにございますけれども、平成27年4月分の納付保険料が3年経過したところでどれだけ30年4月末に納まっているかというところで見ますと、72.5%。それから、28年4月分の納付率が2年経過したところでどれだけ納まっているかと見ますと、72.8%。平成29年4月分の保険料が1年経過したところでどれだけ納まっているかと見ますと70.5%になっております。
実はこの月次納付率につきましては、算出の仕方を今回改めようと思っておりまして、これが初めての数字でございます。どのように改めるかということなのですが、ページ数が一回1~3となってもう一回1ページに戻るところに新しい資料がございます。
今般の見直しの考え方は、各月の納付率の実勢をより正確に捉えるという観点でございまして、中ほどに「変更のポイント」とございますけれども、従前の月次納付率は、毎月6月、まさに今日のこのタイミングですが、ここに公表している年次の納付率に向けて、その途中経過を示すという性格のものでございました。先ほど御説明したものは、年次の納付率とは切り離して、各月の動向を見るというものでありまして、特に3年経過納付率は最終的な納付率の状況を示すものとなっていると考えております。
しかし、ここに文章に書いているだけですと何がどう変わったのかがわかりづらいと思いますので、この資料の最後のページ、10ページをご覧いただきたいと思います。これが従前発表しておりました月次の納付率でございまして、まさに今日発表いたしました29年度分でございましたが、年次の66.3%に向けてそれぞれ4月分からどういうふうに保険料の納付率がそこに向けて伸びていっているかということを毎月発表しておりました。
ですので、免除の切り替えの時期などを除けば基本的には年度内は上昇し続ける。そして、年度が変わればまたがくんと落ちるという性格のものでございますので、これだけを見ても前月と比べて、実際の保険料の納付の状況が改善したのか悪化したのかはわかりづらい。上がって当たり前の数字でございます。
今回のものはその1ページ前をご覧いただきたいと思います。9ページでございますけれども、今回お示ししているものはこの最後の数字を3つ述べただけなのですが、過去に遡ってこの数字をとっております。この特徴は、それぞれ1年前の保険料が1年経過したところでどれだけ納まっているか。2年前の保険料が2年経過してどれだけ納まっているか。3年前が3年経過後にどれだけ納まっているかという、ある意味同じ物差しで各月の保険料の納付状況を示す数字でございますので、まさにこの数字を見てみますと、直近の傾向として納付状況が向上しているのか、それとも悪化しているのかということがよくわかるようなデータだと思っております。今後はこの形で公表する、ホームページ等に載せていきたいと思っております。
私からの説明は以上でございます。

○増田部会長 それでは、大きく2つございましたのですが、業務実績報告書、今の国民年金の加入、それから納付状況について、どちらからでも結構でございますが、各委員の皆様方のほうから御質問、御意見がございましたら、お願いしたいと思います。
原委員、どうぞ。

○原委員 ありがとうございます。
質問でして、今の資料4-1と4-2に関してなのですが、これは従来の未納分に対しての督促などの取組もしばらく相当程度力を入れてやってきていただいていると思いますが、資料4-2の最後のほうのページ
の、月次納付率の推移なんかを見ますと、1年目に未納だった分が積み上がっていくという、その積み上げの効果はそんなに過去、差が生じていないということなのでございましょうか。

○増田部会長 課長さん、どうぞ。

○竹林事業管理課長 御質問ありがとうございます。
そういう意味では、私、少し説明をし忘れてしまったのですけれども、今、いろいろやっていることは、この資料4-1のほうの最後のページなどに書いてございます。皆様、ページ数が打っておりませんけれども、資料4-1の最後のページにございまして、まず保険料を納めやすい環境づくりということで、口座振替の推進だとか、あるいはクレジットカード、コンビニ納付、インターネット納付、こういったものをやっております。
その上で、未納の状態になっている方につきましては、市町村から所得の情報をいただきまして、負担能力のある方については強制徴収も進めておりますし、また、負担能力の乏しい方につきましては、免除等の周知や勧奨をしっかり進めているということでございます。
今の原委員の御質問につきましては、まず入り口で保険料を納めやすい環境づくりを進めておりますので、コンビニやインターネットで納めやすくするということがまず最初の1年経過納付率のほうには効いてくると思うのです。その上で、もちろん1年経過してからも自主的に納めてくださる方もいますし、それ以外にこういう強制徴収などの取組をしていくことによって、1年経過したところからさらに2年経過、3年経過に向けてもさらに上積みが図られていくというようなことかなと思っております。

○増田部会長 原委員、どうぞ。

○原委員 お伺いしたいことは、1年目までのところで、入り口についての対策は相当程度きいていて効果を発揮しているのだけれども、一旦1年目の時点で未納になってしまった人に関しては、そこから2年目、3年目で積み上がっていく率は大体ほぼ同じ数字で推移していると見てよろしいのでしょうか。そこはもうあまり手だては講じようがないものなのかどうか。

○竹林事業管理課長 ここをどう見るかですけれども、例えば今、資料4-2のほうの9ページの、この資料の見方はそれぞれの月分の保険料が縦に同じ月分の保険料が伸びているものなのですね。3年経過ということですので、3年経過の納付率はまだ27年4月分のものまでしかないわけなのですけれども、ですから、この9ページで見られるのは26年以降。その前の8ページにはもう少し前のものも載せております。
ここで見ますと、1年経過納付率は上がっていますけれども、大体2年目も3年目も並行しているような感じでございますので、そういう意味での上積みの効果は、あまり顕著に上がってはいないようには見えますけれども、やはり最初の出発の1年経過納付率が上がってくれば、そこをさらに超えて2年目、3年目も伸ばしていくということは、未納者自体が減ってくるわけですから、そういう意味では対策はしっかりやっておりますけれども、数字に2年、3年の持ち上げ効果がしっかり見えるような傾向には今、なっておりません。
ただ、全体としての納付状況はやはり改善をしていると思っております。

○増田部会長 執行に当たられている機構のほうで、理事長さん、どうぞ。

○水島日本年金機構理事長 機構の実績表の3ページをごらんいただきたいと思いますが、そこに過年度の伸び率というものが、29年度で過年度の伸び率が27年度比で9.8%と書いてございます。それから、6.5。これが現年度から積み上がった数字なわけです。
この数字は、左側でございますけれども、過年度2年目については7ポイントでございまして、過年度1年目が4ポイントの増加ということが目標になっているわけです。これは中期目標の中でやっているわけですが、これは順次上がってきておりまして、そういう意味で機構といたしましては、最終の納付率、これでいきますと73.1、これをいかに上げていくかということが最終的な目標だと考えておりまして、現年度を上げつつ過年度についてもきちんと対応していく。その中で、強制徴収も含めて対応してきていると。これは順次上がってきている。数字は今、手元にございませんが、御説明できる状態にはなっていると思います。

○原委員 ありがとうございます。

○増田部会長 よろしいですか。
他にございますか。
それでは、ただいま、機構のほうから業務実績報告書、数字も埋めていろいろ御説明がございましたので、当部会で今、出ました意見等も十分踏まえた上で、厚生労働大臣宛てに業務実績報告書を提出していただきたいと思います。
なお、今後についてでありますが、提出された実績報告書に基づいて、厚生労働大臣が業務実績の評価を行うということになります。日本年金機構法において、機構の業務実績の評価を行うに際しては、これは厚生労働大臣が行うわけですが、その評価を行うに際しては当部会で審議をするということになっておりますので、当部会の次回はその評価の案についてこの場で議論したいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、議事の(4)「その他」と書いているところでございますが、この部分については、情報セキュリティ・システム専門委員会から御報告がございます。
それに先立ちまして、まず機構から年金業務システムの開発(フェーズ2)の取り組み状況について説明をしていただきまして、引き続き情報セキュリティ・システム専門委員会、部会長代理の大山委員に委員長をお引き受けいただいておりますので、大山委員長からの報告もお願いしたいと思います。
それでは、機構のほうから初め、お願いします。

○久島日本年金機構理事 年金機構の久島でございます。
それでは、私から「年金業務システムの開発(フェーズ2)の取組状況について」、資料5-1に基づいて説明させていただきます。
この資料は、まず現行の記録管理システムと年金業務システムとの関係の概略を示し、次いで開発準備工程推進協議会の趣旨と今日までの内容。業務プロセス検証の状況と方法論について。さらにフェーズ2の設計開発の体制の全体図。そして、最後に情報セキュリティ・システム専門委員会、以下、専門委員会と呼ばせていただきますが、その検討状況をまとめさせていただいたという構成になっています。
では、1ページ目にまいります。
現行記録管理システムから年金業務システムへの移行を、我々は刷新と呼んでいますけれども、それを実現するに当たって、開発内容とボリューム、目的を考え合わせ、フェーズ1とフェーズ2とに分類させていただきました。それらの関係と問題点、改良点、目指すところを図示したものがこのページでございます。
フェーズ1では、まずはシステムチェックの導入によって不適正な入力や、処理の放置等を防止し、ペーパーレスと事務処理の効率化を実現することを目的として開発してまいりました。現在、それは経過管理・電子決裁システムという名前で構築されてありまして、実際に動き出しております。
その後、フェーズ2として、データベースとアプリケーションの構造を制度別から個人別、機能別に改め、簡素化することで、お客様中心のサービスと業務を実現するとともに、制度改正などに柔軟に対応できるシステムをつくるということを目指しています。
この刷新についての時系列的な流れをお示ししたものが次の2ページです。
フェーズ1は昨年1月より稼動を開始しまして、段階的に対象を拡充してまいりました。現在は約8割の厚年、国年の適用関係届出書が対象となっています。あわせて、マイナンバーへの対応も進めています。
フェーズ2は本格的に設計、開発に着手するに当たりまして、昨年夏に専門委員会で取りまとめていただいた基本方針に基づいて、要件定義を改めて見直すための業務プロセス検証、開発方式を確定するための開発準備工程実施に向けた準備を進めているということが現状であります。
今、申し上げました開発準備工程ですが、それを推進するために協議会というものを立ち上げました。その趣旨と内容について説明したものが3ページ目でございます。
フェーズ2の設計、開発を進めるに当たり、関連事業者からは詳細設計の一部を先行して、実機によるプロトタイプ検証を行って、開発に向けた実現性を高めたいというリクエストと、業務要件の十分な確定が必要なのではという意見をいただいています。
それを受けまして、開発準備工程というものをやることにし、その推進をするべく協議会というものを現在運営しています。この協議会の実施状況は、このページの3番にありますとおり、公募によって事業者を募集して、今、10社に参加していただいています。これまでに6回の会議を開催してきたところであります。
次に、4ページ目です。
フェーズ2を進めるに当たって、システムに求める要件が適当なものなのか、妥当なものなのか、利用者視点で徹底した検証実施が必要であるということが、専門委員会の基本方針からも強く求められてきました。また、我々、実際やってきた者としてのフェーズ1での反省点でもあります。
このために、機構内にワーキンググループを設けまして、現行と刷新後の業務プロセスの確認について、昨年末から本格的に着手しています。我々はこれを業務プロセス検証と呼んでいますが、その取り組み方法とワーキンググループの構成等を示したものが、この4ページ目であります。全国の拠点の職員の協力をいただきながら、現在、進めているものです。
次のページに行きますが、この業務プロセス検証の結果、何が出てくるということ、つまり、結果の記述イメージを示したものが5ページであります。
具体的には、人が行う処理、動きとシステムが行う処理とに分けまして、それぞれどのような処理を行うのか、そういうものを洗い出し、さらに画面や帳票イメージなども作成して、現状と刷新後のものを対比しているものです。こういう考えを進めるに当たって、このページの左に「フェーズ2のコンセプト」とまとめさせていただいていますが、そのコンセプトに基づいて、妥当なものになっているか。また、さらに電子化や自動化できるのにまだまだ人力というか、手作業が残っていないかなどについて、BPRの考え方に基づいて、最適な処理となるように見直しをしているものです。右側はその一つのアウトプットの例であります。
現在、こういう形で進んでおりますが、これらをどのように実施していくかという体制の話を6ページに書かせていただきました。
体制についても、フェーズ1の取組状況を整理、評価した上で、不足があった部分、弱かった部分を強化しております。最高決定機関の明確化とともに、設計開発の現場責任者を明確にして、業務を担当する事業企画部門の担当理事もともにして、全体のプロセスを進め、設計開発を進めていこうという趣旨でございます。言ってみれば、経営層と利用部門とシステム部門による三位一体の体制を構築しているというところでございます。それの登場人物をまとめさせていただいたものが、この6ページ目であります。
これらの取組は、専門委員会が昨年取りまとめていただいた基本方針というものに基づいて、現在、一つ一つ積み重ねて実施してきているところでございます。そして、その都度専門委員会に報告し、計4回にわたり議論をいただいてきました。その検討状況を簡単にまとめさせていただいたものが、次の7ページ目でありますが、詳細についてはこの後、専門委員会のほうから御説明があるかと思います。
機構の取組についての私からの説明は以上になります。

○増田部会長 それでは、大山部会長代理、お願いします。

○大山部会長代理 それでは、私のほうから、資料5-2を使って説明したいと思います。
ただいま、久島理事のほうから刷新・フェーズ2に関する取組状況についての報告がありました。6月5日に情報セキュリティ・システム専門委員会として取りまとめました刷新・フェーズ2についての留意点に関するレポートのポイントを説明したいと思います。
まず、冒頭部分で触れさせていただいている点について、機構においての取組状況、かなり努力しているということはわかるものの、昨年の基本方針策定後、必ずしも十分に定着しているとは言えない状況です。そのため、今回はこうした現状を踏まえ、現段階で今後の開発に向けて特に配慮すべき点をまとめさせていただきました。経緯等を含め、記載しております。
それでは順に、具体的な内容を説明いたします。
まず、1についてですが、ここではフェーズ1開発の評価をし、改善すべき事項を明確にし、関係者で共有し、それをフェーズ2開発に着実に反映させるべしということを述べております。
2でございますが、昨年の報告書、基本方針でございますけれども、この中でも強調しましたが、昨今の環境変化等を踏まえ、刷新において実現すべき目標を明確にした上で、プロジェクト憲章という形で取りまとめるべきということを記載しております。
さらに、具体的にはということで、2ページをご覧ください。
刷新の目的は、ともするとコスト削減に目が行きがちになりますが、そうではなく、デジタルファーストを初めとする政府の方針との整合性、業務の見直しや削減、人材育成などの総合性、組織横断的な事業推進体制を強化すべきことなどを念頭に、今後制定するプロジェクト憲章において、この先の中長期計画にも挙げていく組織的な目標とも整合した記載がなされるべきこと。つまり、機構の組織目標を実現する手段として、刷新を位置づけるべきと、システムの活用はここにあるということの趣旨を指摘させていただいております。
3番目ですが、2~3ページにかけて書かれています。
ここでは厚労省・機構の意思決定のあり方として、まず、事案の重要性に応じてしかるべきレベルの責任者に情報をエスカレーションし、責任者が迅速で的確に意思決定をする体制づくりが重要であること。そして、その旨をプロジェクト憲章に明記すべきであること等を指摘しております。
さらに、3ページ目の上段ですが、年管審や理事長などのトップマネジメント層が、報告を待つまでもなく、リスクの兆候を気づけるようにすることが重要なので、年管審や理事長がプロジェクトの進捗をリアルタイムで把握できる装置を設けること。リスク排除が困難であることから、リスクを想定した対処を行うべきこと。IT人材の不足が見込まれること等も勘案し、システム開発についてのマネジメント人材、つまり、プロジェクトを指揮し得る人材でありますが、マネジメント人材について、外部からの招聘など、短期的な確保策と内部での人材育成の両面で検討をすべきこと。特に、内部での育成については、金融機関等への職員の派遣、いわゆる人事交流を通してなど、計画的な育成が有効であることなども提案しております。
次に、4ページの4です。
先ほど、機構の説明でもありましたが、業務プロセスの見える化による検証は極めて重要と考えます。業務プロセス検証により、生産性を向上させること。発注者ニーズを開発事業者に確実に伝えること。開発終了後の業務見直しを効率化させること。特定の開発事業者への過度の依存から脱却できること。これらを、実に多様なメリットがあることを指摘させていただきました。
また、こうした取組を通じて、電子化の利点を生かした形で、業務の見直しを進めること。特に、これまでの業務実施方法にとらわれずに、合理的な業務手順を確立すべきであること。業務量やシステム構築範囲の削減、ここにつなげていくべきこと等の提言をしております。
あわせて、開発後のシステムの適切な運用や、保有するデータの扱いにも十分配慮すべきこと。こうした取組を通じた機構の人材育成の重要性を認識し、拙速を避けつつも、目標日程を定め、徹底した取組をすべきことなどについて触れております。
次に、5ページの5の部分です。
こうした本専門委員会として、厚労省や機構から当初予定期間では開発が難しいという判断がなされた事情等を聴取いたしました。それを十分慎重に議論いたしましたが、その結果、専門委員会としては開発規模や難易度に加え、業務プロセス検証の徹底の重要性などを勘案すれば、その判断を尊重するということとした一方で、具体的な工期をどうするのかにつきましては、機構等が投入できる職員数やそのスキル、組める体制などを十分考慮して整理すべきこと。決めた工期をさらに延伸させることがないよう、しっかりとした現状評価に基づく計画を見積もるべきこと。こういった注文をつけさせていただきました。
なお、民間企業でも、大規模システムの移行に苦労して成功した例がございます。こうしたプロジェクトの情報を収集して、参考にしていただきたいと考えております。
最後に、6ページにあります、6と7についてです。
ここでは本格開発に先立って、プロトタイプ検証などを行う開発準備工程について、昨年の報告書、基本方針ですが、これで求めた12項目の検討を早期に行うべきこと。ベンダー等の協議会についての詳細な状況について、専門委員会に報告していただきたいこと。経営幹部と事業部門が一丸となってプロジェクトを遂行すべきことから、企業の例を踏まえ、報告体制、助言体制、意思決定体制を明確にすべきことなどを求めさせていただきました。
以上、今般、専門委員会として取りまとめましたフェーズ2開発に向け、現状について重要と考えるポイントを説明いたしました。
刷新・フェーズ2はこれからが正念場になります。当委員会としても、今後ともしっかりと局、機構の取組状況を注視し、必要な対処を行ってまいりたいと考えております。
私からの説明は以上でございます。

○増田部会長 ありがとうございました。
それでは、これまでの説明について、御意見、御質問があればお願いします。
西村委員、どうぞ。

○西村委員 取りまとめに参加した人間として、1つ、2つ申し上げさせていただければと思います。
御報告と提言があったのですけれども、プロジェクトの範囲というものを少し明確化というか、範囲を合わせたほうがいいなというのが、直接的な感想です。
御報告の6ページの体制図に、設計・開発の現場責任者で久島理事ということではあるのですけれども、世の中一般的というと少々なんなのですけれども、やはり設計というのはある程度いろいろなことが取りまとまって、具体的な設計フェーズに入ってからと聞こえてしまうのですけれども、現在、理事が行われていることというのは、もっと広範囲のことを取りまとめる形としてやられているのではないかというところがありますので、ぜひとも、ここら辺は文言で見えるという形よりは、プロジェクト憲章というものを早く定めていただいて、理事の御責任範囲、状況によっては業務プロセスを見直すということもやっておりますので、業務担当の方々にも、いろいろな、御調整ではなくて、プロジェクトとしてオーバーライドするようなことも起きてくるのではないかと思いますので、ここら辺の責任、役割というものを明確化していただければ、より見えやすくなると思っています。
それから、もう一つ、これも民間というお話がありましたけれども、そこの事例によりますと、体制図にはいわゆるシステム監査的なところが全く出てこないので、従来のシステム監査室の役割ということと、このプロジェクトへのかかわりというものは少し違うのかもしれませんけれども、プロジェクトの進捗とか、そのやり口とか、最初に決めたことについてどのようなことが行われて、何が課題になっているかというような、全然別の観点で監査をして、ある意味ではダブルチェックをするという意味で、上のほう、もしくは委員会のほうに御報告をされるというのが世の中でよくある形ではないかと受け取っておりますので、そういうところもあわせてお考えいただければありがたいなと思っているところです。
以上です。

○増田部会長 ありがとうございました。
今の御意見についてはよろしゅうございますか。

○久島日本年金機構理事 最初のお話は、6ページの図を前提にして、文言も含めてもう少し責任と役割と、それのオーバーヘッドとかオーバーライド分をきちんと書けということだと思いましたので、それについていろいろ検討して、この図をブラッシュアップしたいと思っております。

○増田部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、他に意見がないようでありますので、この部分は以上にいたします。
以上で、本日の議題は全て終了いたしました。次回の日程については、事務局から改めて御連絡をすることといたします。
それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。御苦労さまでした。
 

 

 

(了)

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