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2018年2月26日 第35回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

○日時

平成30年2月26日(月)10:00~12:00


○場所

弘済会館4階 萩
東京都千代田区麹町5-1


○出席者

増田部会長、大山部会長代理、石井委員、金田委員、喜田村委員、齋藤(衛)委員、椎野委員、藤井委員、松山委員、安井委員、山口委員

○議題

(1)日本年金機構の平成30年度計画の策定について
(2)その他

○議事

 

 

○藤原参与 定刻になりましたので、ただいまより、第35回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 初めに、委員の出席状況ですが、本日は、岩瀬委員、斎藤聖美委員、西沢委員、西村委員及び原委員が御欠席でございます。また、石井委員におかれましては、他の用務のため途中退席されるとの御連絡をいただいております。

 それでは、議事進行につきましては、増田部会長よりお願いしたいと存じます。

 恐縮ですが、カメラにつきましては、ここまでで御退室をお願いいたします。

 

(報道関係者退室)

 

○増田部会長 おはようございます。

 それでは、議事次第に従って「日本年金機構の平成30年度計画の策定について」を議題にいたします。

 前回の部会でこの問題について議論いたしましたけれども、引き続き今日も御議論いただきたいと思っております。前回、各委員からいただいた御意見を踏まえて、お手元に配付の案に修正等が行われております。初めに、機構からその点について説明をお願いいたしまして、御意見あるいは質疑応答に移りたいと思います。

 それでは、機構からお願いいたします。

 

○田中日本年金機構企画調整監 日本年金機構の田中と申します。

 私から、計画案の修正について御説明させていただきたいと存じます。

 資料につきましては、お手元の資料1-1と1-2という資料があるかと思いますが、資料1-1が前回部会に御提出させていただいた案からの修正点を対照表の形で示した資料でございまして、資料1-2がこの修正案を踏まえて溶け込ませた形の全体の案になっております。説明につきましては、資料1-1、修正箇所対照表という資料に沿って御説明させていただきたいと存じます。

 まず、資料1-1、表の構成でございます。左から「項番」、「修正箇所」、「前回部会(1/29)に提示した案」、一番右側の欄が「修正案」になっております。項目につきましては17項目ほどございますので、この項番に沿って御説明させていただきたいと存じます。

 項番1でございます。本文でいいますと1ページ目の「前文」でございます。これにつきましては、前回部会で5つの重点取組課題を位置づけて取り組んでいくということでお示しさせていただいたのですが、委員から5つの重点取組課題についてどういった方向に向かっていくのかという方向性を明確にすべきではないかという御意見がございました。したがいまして、修正案に記載のありますとおり、冒頭に2行、方向性という意味で追加させていただきまして、複雑化した年金制度を実務としていかに正確かつ公正に運営するかが機構の役割であるという文言を追加させていただきました。

 2点目、下の行でございますが、本文でいいますと3ページ目の「行動計画の策定」で、国民年金について、前回提示させていただいた案におきまして、行動計画の策定に当たっては、最終納付率70%台半ばを目指すとともに、機構全体の目標は以下のとおりとするということで、平成30年度分保険料の現年度納付率がアでございます。イとして、平成29年度分保険料の平成30年度末における納付率、いわゆる過年度1年目の納付率、あるいは、一番下、ウでございますが、最終納付率についてそれぞれ目標値を設定したものを提示させていただきました。これにつきまして、前回の部会で、最終納付率についてさらに高い目標をという御意見がございましたが、ここにつきましては、中期計画の最終年度ということで確実に目標を達成していきたいということもございますので、数字についてはこのままにさせていただければと思う一方、ア、イ、ウの特にイとウでございます過年度1年目の納付率あるいは最終納付率については、もう少し高い目標を設定することが可能ではないかということでございまして、イについては「4.0ポイント以上」を「5.0ポイント以上」、ウについては「7.0ポイント以上」を「8.0ポイント以上」ということで、それぞれ上方修正をさせていただいたということでございます。

 対照表の2ページでございます。

 一番上、項番3、本文でいいますと4~5ページ目の国民年金の「強制徴収の着実な実施」でございます。前回、「会計検査院からの指摘を踏まえ、対象者に対する着実な徴収と債権管理の徹底を以下のとおり行う」ということで御提示させていただきましたが、ここにつきましては、本部における進捗管理も必要ではないかということで「対象者に対する着実な徴収と債権管理及び本部における進捗管理等の徹底を図り、会計検査院からの指摘も踏まえ、以下の取組を実施する」と修正させていただきました。

 真ん中の項番4でございます。本文でいいますと5ページ目の「納めやすい環境の整備」、国民年金のことでございますが、これにつきましては「平成31年1月開始予定のインターネットを利用したクレジットカード納付を可能とする仕組みを導入し」ということを御提示させていただいたわけですが、これにつきまして、個人情報の統制をどのようにとっていくか記載したほうがいいのではないかという御意見がございましたので、その旨を追記させていただいて、一番右でございますが、「個人情報の管理など情報セキュリティ対策を講じた上で、平成31年1月を目途に導入し」と修正させていただいております。

 一番下、項番5でございます。本文6ページ目の「厚生年金保険・健康保険等の適用・徴収対策」でございます。ここにつきましては、真ん中にありますとおり、「年金制度の安定的な運営のため、従来の施策に加え、徴収専門の本部組織の設置、事業所向け機能の集約拠点の拡大等、公権力行使機能の再構築に向けた取組を推進する」ということでお答えさせていただきましたが、委員から「再構築」と書かれているバックグラウンドを示すべきではないかという御意見がございましたので、右側の欄にございますとおり、「国民全体で支え合う公的年金制度の趣旨、保険料納付者間の公平性を確保するため」こうした取り組みを進めていくということで、記載を追記させていただきました。

 対照表の3ページ、

項番6と7でございます。これにつきましては、本文でいいますと6ページになりますが、厚生年金保険の「行動計画の策定」でございます。前回お示しさせていただいた案では、「適用促進に係る行動計画の策定に当たっては、適用すべき被保険者数が5人以上の事業所(以下「優先加入指導事業所」という。)については、平成29年度行動計画で決定した事業所の従業員規模に応じた取組期限を踏まえ、対応する」ということで、優先加入指導事業所の取組期限ということで、被保険者が10人以上の事業所につきましては平成30年9月末、被保険者が5人以上10人未満の事業所につきましては平成31年9月末までにそれぞれ取組期限を明記させていただいたのですが、厚生年金のいわゆる未適に関する意見もございましたので、それも踏まえまして5人未満の事業所に関しても記載を追加させていただきました。具体的には、右側の欄の赤文字のところでございます。「また、適用すべき被保険者数が5人未満の法人事業所のうち、事業主とその家族以外の従業員を雇用している事業所については、実態を確認しつつ、平成31年9月末を目途に、対応する」ということで、真ん中あたりにその取組期限の31年9月末ということも記載させていただいております。

 また、下のほうの項番7番目につきましても、同じく厚生年金の具体的な取組の中で「適用調査対象事業所の適用の促進」という項目がございますので、同様に5人未満の法人事業所についての取組を記載させていただいているところでございます。

 4ページでございます。

 まず、上の行、項番でいいますと8番目でございますが、本文は11ページ目、「障害年金をめぐる諸課題への対応」でございます。これにつきまして、「障害年金初期対応の手引き」や「障害年金請求キット」の活用、あるいは2つ目のポツでございますが、認定医会議の開催、こうしたことを書かせていただきましたが、委員からもう少し具体的に記載すべきではないかという御意見がございましたので、右側の欄でございますが、「障害年金初期対応の手引き」の活用及び「障害年金請求キット」のお渡しを徹底するとともに、後日、「障害年金請求キット」の活用状況や職員の相談対応の状況について、お客様にサンプル調査を実施するということ。あるいは、定例的に認定会議を開催するとともに、適時に障害認定事例を提供する等により、認定医相互間の情報共有を図るということで、もう少し具体的に記載させていただいたということでございます。

 次に、項番9でございます。本文でいいますと1415ページでございますが、事務処理の正確性の確保でございます。これにつきまして、事務処理遅延、書類の紛失、誤送付・誤送信・誤交付を根絶するということを書かせていただいて、それに向けた取組を書かせていただいたのですが、2つ御意見がございまして、1つはなかなか実際には根絶ということまでは難しいのではないかということ、あるいは、発生した場合の事後処理を明確化すべきではないかという御意見がございました。これを踏まえまして、マル2につきましては「根絶に向けた取組」ということで表現を修正させていただくとともに、マル3という項目を起こしまして、「事務処理誤り発生時の対応」ということで「発生部署において本部関係部署と連携し、速やかにお客様対応を行う」。2つ目として「発生部署から報告された事務処理誤りについて、本部において発生原因、対処結果及び再発防止策について分析を行うとともに、その結果に基づき、発生部署に対する再発防止策の徹底を図る」。3つ目としまして「また、必要に応じて原因の追加調査や、全国的指示の発出を行う」ということで追記をさせていただきました。

 対照表の5ページでございます。

 この一番上は項番10ということで、本文の1617ページの「テレビ電話相談等」ということで、テレビ電話相談とマルチランゲージサービスについての記載でございます。これにつきまして、テレビ電話とマルチランゲージサービスについては具体的に何のためにやるのかということ、あるいは、テレビ電話相談につきましては試行事業の検証をどのように行っていくのかということを記載すべきではないかという御意見がございましたので、それぞれ趣旨を踏まえて追記させていただきまして、右側の欄でございますが、離島や遠隔地に居住されているお客様が適時適切に年金相談できる環境を整備するため、テレビ電話を試行実施する。それにつきまして、お客様満足度、利用者数、及び実施市町村へのヒアリング等による効果検証を行うこと。マルチランゲージサービスにつきましては、外国人のお客様に対する年金制度加入案内や年金受給手続等の利便性の向上を図るということで目的を追記させていただきました。

 なお、テレビ電話相談につきましては、お手数ですが、お手元の参考資料の40ページをご覧になっていただければと存じます。テレビ電話相談でございますが、佐渡でこの1月23日から試行事業ということで開始させていただいております。「1.相談件数等」とございまして、1月23日~2月21日の件数をそれぞれ記載させていただいております。ご覧になっていただければおわかりになりますとおり、この1カ月につきましては、コンスタントに1日平均2件程度御利用いただいているということでございます。

 参考資料の42ページでございます。こちらで「テレビ電話相談にかかる設置経費」をお示しいただいておりますが、これにつきましては、これに要した費用、499万円、約500万円の内訳をお示しさせていただいたものでございますので、審議の御参考にしていただければと存じます。

 恐縮ですが、お戻りいただきまして、対照表の5ページ、真ん中の項番11でございます。本文の20ページ、「ICT化の推進」につきましては、「電子(媒体)申請による届出の促進を図る」ということで記載させていただいておりますが、これは厚生労働省だけではなくて政府全体の取組でございますので、一番右側の欄にございますとおり「行政手続の簡素化に向けた政府全体の取組の一環として」を追加させていただきました。

 一番下の項番12でございます。本文23ページの「外部委託の推進」でございます。これにつきましては、前回契約主体を一元化する等の方向で検討を進めるということでお示しさせていただきましたが、意味が不明確ではないかという御意見がございましたので、「外部委託を主とした機構内物流の在り方について、一層の効率化、情報管理の徹底等の観点から、機構全体の物流を一元的に管理する方策等の検討を進める」ということで修正させていただきました。

 対照表の6ページをおめくりください。

 項番13でございます。本文25ページの「社会保険オンラインシステムの見直し」でございます。これにつきましては、前回、最適化計画の基本的な理念に沿って取り組んでいくということでお示しさせていただきましたが、何のためのシステムの見直しを行っているのかもう一回理念を明確にする必要があるのではないかとか、あるいは、年金局と機構が目的を共通の認識として進めていくべきではないかという御意見がございましたので、この趣旨を踏まえまして、赤字のところでございますが、「業務の正確性向上の視点も含め、システム開発が何を目指すのか、その目的を再定義するとともに、当該目的を関係者で共有した上で、社会保険オンラインシステムの見直しに取り組む」ということで修正させていただきました。

 真ん中の項番14でございます。本文28ページ「本部組織の再編・効率化」でございます。これにつきましては、「中央年金センターに年金給付の事務処理に係るチェック専任部署の設置」と記載させていただきましたが、少し表現を修正いたしまして「裁定業務のチェック専任部署を設置する方向で検討を進める」ということで修正させていただきました。

 項番15が、本文31ページの「保存文書の整理」でございます。これにつきましては、前回、「当面保存期限到来後も保存することとした文書を除き、保存期限が到来し廃棄可能となった文書の廃棄を進めるとともに、引き続き保存が必要な文書の電子データ化に向け、具体的な方法について検討する」ということでお示しさせていただきました。これにつきまして、文書保管に関するルールを定めた文書を改正することを記載すべきではないかという御意見がございまして、これも踏まえまして、赤字のところでございますが、「機構が保存する文書を適正かつ効率的に管理するため、電子データによる保存の推進や保存期間の見直しを行う。また、廃棄可能となった文書の廃棄を進める」ということで、修正をさせていただきました。なお、文書の関係につきましては、この後、文書保管ルールの見直しについて御議論いただくことになっております。

 対照表の7ページでございます。

 項番16、本文3334ページの「働きやすい職場環境の確立」でございます。例えば、長時間労働の是正とかメンタルヘルス対策ということを書かせていただいておりましたが、日本年金機構の運営評議会で御意見を伺ったところ、働き方改革の中で病気治療と就労の両方の視点に配慮すべきであることとか、介護離職も大きな問題になっているという御意見がございますので、これも踏まえまして、右側の赤字にありますとおり、「健康で働きがいのある職場環境を確立するとともに、疾病を抱えていても治療を受けながら安心して働くことができる職場づくりを進めていく。また、引き続き、子育てや介護と仕事の両立支援を図る」ということで、「ア 長時間労働の是正」と「イ メンタルヘルス対策」はこのままですが、その下に「ウ 疾病の治療と仕事の両立」で「治療と仕事の両立を安心してできるよう、管理職等の意識改革や治療に専念しやすい環境整備に取り組む」、「エ 子育てや介護との両立」で「男性職員の育児への参加促進や、育児休業から復帰しやすい受け入れ体制、介護休暇を取りやすい環境整備に取り組む」ということを追記させていただきました。

 最後の項番17でございます。本文35ページの「年次報告書(アニュアルレポート)の作成・発行」につきましては、アニュアルレポートを作成して公表するということでお示しさせていただきましたが、これにつきましてどこに公表するのかあるいは配付をどう考えているのかという御意見がございました。これを踏まえまして、右側の欄、赤い文字のところですが、「お客様が容易に閲覧できるよう、機構ホームページへの掲載、年金事務所等の窓口への設置及び市区町村等の関係機関への配付・公表を行うとともに、地域年金展開事業での一層の活用等を図る」ということで追記させていただきました。

 また、本文とは別に委員から詳細な予算書を配付すべきではないかという御意見がございましたので、本日、机上にファイルで配付させていただいております。日本年金機構予算関係資料の平成30年度でございますが、これにつきましては、大変恐縮でございますが、委員限りということで配付させていただいております。これにつきましては、調達に係る機微情報が含まれているということで、守秘義務がかかっている委員限りとさせていただいておりますので、資料の取り扱いには御留意いただきたいと思いますが、審議の参考にしていただければと存じます。

 私からの説明は以上でございます。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 前回のこの部会からの指摘事項を踏まえて、計画の本文を修正した修正案が、今、御説明のような形であります。中期計画の平成30年度はちょうど最終年度に当たるということでありますので、そうした中期計画の仕上げという意味での内容をいろいろ盛り込むということかと思います。

 それでは、ただいまの説明内容について、御意見や御質問等がありましたら、委員の皆さんからお願いしたいと思います。

 藤井委員、どうぞ。

 

○藤井委員 ありがとうございます。

 ちょっと多くて申し訳ないのですけれども、6点ほど申し上げようと思っています。

 まず、2ページをご覧いただきまして、項番3、前回もちょっと私が言及した点なのですが、やはり「債権管理」という言葉は私にはよく理解できない感じです。法律上にあるのかもしれませんけれども、何やら銀行が貸付金でも起こしているかのようなことを読者に思わせる。あるいは、納税と同様に考えて、保険料の徴収のみに着目をし、それが給付に結びつく点が印象として抜け落ちはしないかという感じを受けます。印象としてはそうなのですけれども、ロジックで申し上げますと、これを読みますと「なお、対象者に対する着実な徴収と債権管理及び本部における進捗管理等の徹底」ということは、ここでいう「債権管理」は着実な徴収でもなく本部における進捗管理でもない何かだということです。それから、ア、イ、ウ、エとあって、ア、イ、ウとエの途中までは具体的な行動が並べて書いてあるのですけれども、最後の最後に「と適切な債権管理を行う」と書いてあります。ということは、このア、イ、ウとエの前段までの4つのことの他に何やら「債権管理」というものがあるということになるわけですけれども、一体それは何なのかということなのです。私の直感では、多分そういうものはないのだと思います。すなわち、こういう様々なことを総称して「債権管理」とこの場合には呼んでおられるのだと思いますけれども、非常に誤解を招く表現、言葉遣い、及び内容が実は何もないということではないかという感じがいたします。

 項番6、これは日本年金機構の問題ではない、立法上の問題だろうと思いますが、日本の厚生年金保険法は法人と法人以外は非常に強く別種のものとして取り扱うたてつけになっているせいか、こういうおかしげなることが生じるのだろうと思いますけれども、これは法律の問題だろうと思いますので、この程度にとどめたいと思います。

 5ページの項番10、テレビ電話相談の目的のようなことが冒頭に書き加えられています。これについて私は少し疑問がありまして、確かに離島や遠隔地に居住されているお客様に便利なようにするということは、現在の試行の内容を述べているのだろうと思います。しかし、そのことは必ずしもテレビ電話相談による試行の目的そのものではないと考えます。目的というのは、テレビ電話相談が上手い具合に機能するものであろうかということでありまして、その結果、もしよければさらに広げるなどということもあり得るわけですから、テレビ電話相談の試行をする目的は冒頭の1行半ではなく、これは試行の内容そのものを述べているのではないかと思います。ですから、文脈を少しお変えいただいて、大きな目的はこうではなくて、果たしてテレビ電話相談は上手くいくものだろうか、上手くいくようならもっと広げるし、だめならやめてしまえということだと思うのです。とりあえずその手がかりに試行するに当たってはこの離島や遠隔地を取り上げているということではないかと思いますので、書きぶりを少しお変えいただくほうがよろしいのではないかという感じがいたします。

 項番11、前回のディスカッションでは登場しなかったことですけれども、その後、規制改革推進会議で1月末に承認された一元申請にかかわることであろうと思います。もしそうであれば、書けるのであれば「一元申請」というキーワードを盛り込むほうが、具体的に何を言っているのかということがわかると思いますし、もしそれが上手くいくようであれば、非常に利便性の高いことではないかという感じはいたします。

 6ページの項番15、これは以前から私がしつこく申し上げていることでありまして、このたびはこのようにお書きいただいてよろしいかと思いますけれども、後で議論したいと思います。ただ、ちょっとだけ難点があるという点では、保存期間の見直しということなのです。ここも若干誤解を招きやすいところでありまして、多分これでもいいのかもしれない、考えがまとまりにくいところなのですけれども、私の指摘は、規則の文章全体が変、それから、原則が変ということなのですが、ところが、今の規則は全体とすれば附則があることによって、事実としては保存期限が永久になっているわけですね。だから、その保存期間の見直しとは一体どこのどれを見直すことを指しているのかということで、読者によっては、永久であることをやめるともとれるし、私のような人から見ると、保存期限の文章のありさまというのですかね。たてつけとか、本質的な誤解を解くことにあると考えていることから、これはこれでもいいのかもしれないのですけれども、ちょっと気にはなっています。

 最後に、7ページ目の17項なのですけれども、アニュアルレポートに関するくだりですが、前回指摘があったのかもしれないですけれども、コスト・アンド・ベネフィットを考える必要があるかと思います。一般に、アニュアルレポートはディスクローズ資料だろうと思うのです。ディスクローズ資料がわかりやすいことは大切なことですし、調べたい人とか、わかりたい人にとってわかる必要がありますし、隠すことはだめだと思うのです。しかしながら、ディスクローズ資料がPR資料であるかというとそうではないと思うのです。あるいは、届出を必ずやってくださいとか、漏れないようにしましょうとか、加入しましょうとかというものは周知徹底を図るべき事項だと思うのですけれども、開示資料をここまでコストをかけて各市町村にまで配布することに果たして意味があるのかどうかという感じはします。現実、市役所などに行きますと、陳列棚に様々なものがあるわけですけれども、特にそれによって何か日本年金機構の活動のPRが増すかというと、さほどの予感はしない感じはします。それよりも、PRPRでお考えいただくことと、開示資料はしっかり開示することが大事で、それを無闇に配ってみても、特にPRになるかどうかについては検討を要するのではないかという感じがいたします。

 以上です。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 今、6項目の指摘がありました。修正案は先ほどの説明のとおりなのですが、今の指摘について、修文の必要があるのかどうか、必ずしもそういうふうには思いませんけれども、機構のほうから今の点についてお願いします。

 どうぞ。

 

○野口日本年金機構理事 事業推進部門統括担当の野口と申します。

 先ほど、債権管理につきまして御指摘を賜りました。それにつきまして補足で説明を試みさせていただきたいと存じますが、御案内のとおり、元々ここはア、イ、ウ、エと4点は会計検査院からの御指摘を受けたことがここに書かれているきっかけでございまして、この4点の御指摘を踏まえて、機構としてきちんと重く受けとめて適切な対応をしなければいけないというところが実はここで書かれなければいけないことであると。そのことはそのことで大事なのでございますが、単に会計検査院の指摘を受動的に受けるだけではなくて、きちんとそのことはそのこととして機構としてもやっていかなければいけないというところで、この本文の柱書きのところにつけ加わっておりますけれども、まず、着実な徴収をすること、また、徴収できていない債権につきましてきっちり管理をしまして、例えば、時効の中断をするとか、徴収に結びつけていくということを、各拠点、年金事務所でやっておりますけれども、そういうことについて、本部においてもしっかりと進捗管理をしていって、遺漏がなきようにしなければいけないということで柱書きに書かせていただいておりまして、ア、イ、ウ、エとございます。御案内のとおり、エのところは全体的な進捗管理を意味しておりまして、ア、イ、ウが個別の項目でございまして、エはそれについての進捗管理を行うことになってございまして、それを全体として徹底するとともに本部としても進捗管理の徹底を図る。こういう構造にさせていただいているところでございます。債権管理についての委員の御指摘の趣旨でございますが、もちろん年金保険制度でございますので、いただいた保険料が給付に結びついているものである、単純にそのお金を取るという話ではないのだということを、私どもは十分に委員ご指摘の趣旨を体して取り組ませていただきたいと思っております。

 以上でございます。

 

○増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 概括的にお答え申し上げたいと思います。

 「債権管理」の「債権」という言葉がどうかということに関しましては、これは「債権」でございますので「債権」という言葉でいいと思っております。徴収と債権管理は同じではないかということですが、徴収を適切に行った上で徴収できない債権についてそれを債権管理していくという意味でございますので、このような表現をさせていただいたということでございます。

 項番6は、機構としては、法人の事業所であろうと個人の事業所であろうと、これを適用対象事業所である限り適用していくということは変わりないわけでございますが、ステップといたしまして、従業員がいる事業所から順次適応していくという方針を示したものでございます。

 項番10でございますが、テレビ電話相談、確かにそういう面はございますが、ここでの御議論や効果を見定めながら慎重に進めるべきだという御議論であったかと思っております。したがいまして、とりあえず離島等に関して行うということでございまして、それ以外のところについて、現状、拡大は考えていないということでございます。もしこれ以外のところについて実験をするということでございますれば、その際には、また御説明し、お諮りすることになると思います。

 項番11でございますが、おっしゃるとおりでございます。全体としてそれが政府方針として御議論はあると承知いたしておりますが、方針として最終的に決定しているということではないかとは思いますが、私どもとしては、電子申請について、あるいは電子媒体申請も同じでございますが、より国民の利便性を高めるという観点からこれを推進していく必要があると考えているということでございます。

 保存期間に関しましては、後ほど御議論いただくことになると思いますので、そこに譲りたいと思います。

 最後のアニュアルレポートでございますが、私どものアニュアルレポートに関しまして、過去からいろいろ御議論をいただいてまいりました。どのように考えるかということについてはいろいろな御意見はあると思いますが、私どもが、今、考えてきておりますことは、年金制度の運用に関しまして、日本年金機構が信頼いただける組織であることを御理解いただくことが一つの目的だと思っております。したがいまして、今まで御批判をいただいた点等につきましても、どのように対応しているかということについてきちん御説明申し上げ、それを御理解いただいた上で信頼できる機構であるということを御評価いただけるように努力するという状況について御説明をするということでございますので、可能な範囲でと申しますか、余計な費用はかけませんが、可能な範囲で御理解いただく努力を続けたいということでございます。

 以上でございます。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 藤井委員、今のお話で質問などはございますか。

 

○藤井委員 全体的には、趣旨を御理解いただいて、御判断の上、お答えいただけたかと思うのですが、やはりこだわるのは、もちろん債権であるから「債権」だというのは、別にそれが悪いと言っているわけではないのですけれども、しからばこのア、イ、ウ、エのエの最後でいう「と適切な債権管理を行う」ということは、債権管理はア、イ、ウ、エとは異なる何物かだと思うのです。このア、イ、ウ、エの一言一句が良かれ悪しかれ会計検査院からの指摘の文面そのものでしょうか。

 

○増田部会長 どうぞ。

 

○野口日本年金機構理事 このア、イ、ウ、エにつきましては、会計検査院のご指摘を踏まえて、いわば書きおろしたところでございますので、そのものではないと思います。私どもがこの会計検査院のご指摘を受けて、各拠点に指示文書を出しております。その時の出した文書をなぞらえてこのようにまとめたと理解しています。したがいまして、現場に対する指示文書ベースでこのような書き方になっているものと理解しております。

 なお、先ほど申し上げましたとおり、確かにア、イ、ウは徴収と債権管理に入る部分があると思いますけれども、エはそれをまとめた形で確実に徴収することと、必ずしも徴収できない部分もございますので、例えば、その部分を時効中断等として、時効が成立しないように、きちんとまた将来の徴収につなげるように債権管理をしていくと理解しております。

 

○藤井委員 そうしますと、細かい話かもしれませんけれども、ア、イ、ウ、エは並列ではなく、エが総括的だというのであれば、エにかかわる内容は上の文章の中に上手く盛り込むことによって、ア、イ、ウが具体的な行動であって、それらを総称して着実な徴収と適切な債権管理と言っているのだというのならわかるのです。だけれども、この書き方だと、ア、イ、ウの他に何やら債権管理とか着実な徴収とかを行うのでしょうね。しかも、よく読めば確かに上の2行半とさほど変わらないことがエに書いてあるような感じもする。いわばエを消しても特別差しさわりがないような気もします。

 

○増田部会長 理事さん、どうですか。

 

○野口日本年金機構理事 重ねてのお答えで恐縮でございますが、ア、イ、ウ、エ4項目が会計検査院からご指摘を受けた部分でございまして、私どもは会計検査院の指摘を重く受けとめたいということで、もちろんロジック的に再整理をして表現を工夫することは可能だと思うのですけれども、私どもとしましては、会計検査院のご指摘に対してどういう対応をしたのかという後のフォローアップも含めまして、よりわかりやすい、そちらのほうがわかりやすいのかなと、私どもの考えで恐縮なのですが、そういう形で整理させていただいたということをぜひ御理解を賜れれば幸いでございます。

 

○藤井委員 別にいいです。感想を言っているということと、文章が変だということは変わらないとは思います。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 ここで私が口を挟むのはあれですけれども、アニュアルレポートの最後のところです。これまでも配って、結構いろいろ問題もございましたので、ディスクロージャーの姿勢をきちんと出す必要はあると思いますが、恐らく実際に現物を手にされる方は非常に少ないのも一方で事実ですので、引き続きその機構の姿勢と実際にどのくらいコストをかけてそれを実施するのか。だんだんそこを減らしていくと、ディスクローズの姿勢が薄いのではないかという御批判も招くので、そこは慎重にやる必要はあるのですが、ただ、いろいろな機構のホームページ等に掲載しておけば、むしろそちらを見る人のほうが調べる際には恐らく多いのではないかと思います。このあたりは今後の継続の検討の材料だと思いますので、よろしくお願いします。

 山口委員、どうぞ。

 

○山口委員 今、御説明いただきました資料1-1、項番2です。納付率の目標ということで、現年度と過年度の伸び幅についてより数値を上げて取り組まれる、積極的に取り組む姿勢を示されるということで御説明いただきました。1点質問なのですけれども、今度は5年間の中期計画が今年度で終わり、さらに次から別の新しい中期計画ということでまた動いていくと思うのですけれども、計画全体の納付率ということで、中期計画ですと60%代半ばを目指すことになっていて、今回、70%代半ばを目指すとなってきていて、参考資料の中で、その決め方として、直近5年間の伸び率の平均ということをベースに考えているというお話だったと思うのです。中期計画の5年間の数値を立てるときで、26年度にその計画をつくるときも、その前の5年間の数値をもとにこの60%代半ばという数値を位置づけたのかと思うのですけれども、これを決めるときに平均的な数値という以外に、例えば、最近ですと、いろいろな取組を進めてきて、それが納付率を上げるのに貢献しているだろうと思われる部分もあるかと思うのですけれども、その際に多分総合的に判断をされると思うのですが、どういう要素を加味しながら決めていくのかということです。次の中期計画のときに大分当初の数値と変わってきているので、それをどのように考えていくのかと思いまして、質問させていただきます。

 

○増田部会長 今の点は、理事さん、お願いします。

 

○日原日本年金機構理事 大変重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 中期計画につきましては、これからまた中身を検討してまた御議論をお願いしていくことになると思うのですけれども、機械的に何か最終的なものを出すということではもちろんございませんので、いろいろな状況を勘案して決めていく。その中でも、私どもが力を入れていますのが、効果の部分、これまでやってきたことの効果の分析、さらにその年齢や所得といったいろいろな属性で見たときに、これまでの施策がどのような効果を持っているのかということを十分に分析しながらこれから検討していきたいと考えております。

 以上でございます。

 

○増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 若干補足をさせていただきますと、まず、中期計画で60%代半ばと言っておりますのは現年度納付率のことを言っているのです。今、70%代半ばと申し上げておりますのは最終納付率でございますので、2年後の納付率になります。中期計画、それぞれの計画をそれぞれで達成するということだとまずは御理解いただきたいと思います。

 それから、目標の立て方でございますけれども、考え方として、従来、大体最低が58%ぐらいだったわけですが、それから努力を重ねまして、毎年大体1%ちょっとぐらいの現年度納付率の増加ということで実績として上がってきているわけです。これを、例えば、3%にするあるいは5%にするという場合には、それなりの体制、コストをかけないといけません。どういう体制を、何%にするためには、例えば、今、日原理事が申し上げましたように、どのような人が未納であって、どのような属性を持った人が未納であるのかということを分析しながら、どういう対策、マーケティングを行っていけば、あるいはマーケティングツールを使っていけばいいのかということになるわけでありまして、その場合に、安定的に増加をさせていくことが、コストの面も考えますと基本的な考え方ではないかと思っております。

 ただ、より効率的なやり方によって1%をさらに引き上げていくということは必要だと思いますが、今でも200億ぐらいのコストをかけてやっているわけでありまして、果たしてどの程度のコストをかけていつまでに何をやってきているのかということについては一定の議論が必要だと思います。今は、現状のコスト、体制の中でどのようにより効率的に行って1%以上のものを安定的に増加させていくかということが機構の使命ではないかと考えて計画を立てているということでございます。その点を御理解いただきたいと思います。

 

○増田部会長 山口委員、何かございますか。

 よろしいですか。

 

○山口委員 はい。

 

○増田部会長 他には何か御意見はどうですか。

 椎野委員、どうぞ。

 

○椎野委員 ただいまの納付率関連ですが、先ほど理事長がおっしゃったように、納付を滞納というか、納めていないような人の割合、内容がどういう方が対象なのか、そういうことの分析は、今、されていらっしゃるのでしょうか。

 

○増田部会長 機構からどうぞ。副理事長さん。

 

○深田日本年金機構副理事長 未納者については、まず、所得階層別あるいは納付の未納期間別のデータをとっておりまして、そこでいろいろな勧奨活動を行っております。そういったものの効果がどう出ているのかといった点を分析しております。今後は、今、出てきませんでしたけれども、28年、29年は、1号被保険者の方が、厚年の適用拡大とかによって被保険者の数が大幅に減って、100万人以上の単位で減ってきております。その中でどのように人口の構成や所得の中の構成が変わっていくのかということをよく見極めないと、有効な手続・対策になりませんので、現在はその分析をしておりまして、かなりのビッグデータをずっと回しながら、一体どの辺に我々で手が出ない部分があるのか、あるいは、ここはかなり押せば取れるところなのかといった点を分析して、取り組みをさせていただいております。

 

○増田部会長 椎野委員、どうぞ。

 

○椎野委員 そうであれば、先日、ある研究者の方が、若者の年金の知識があまりにもひどいと。大学の学生たちの調査をした結果、年金の知識に誤解を生じているという結果が出ています。若者に対する年金教育の統計のデータをいただいたものがあるのですが、その中に若者に対しての教育にどう年金機構が力を入れているのだろうかということもあり御質問させていただきました。

 

○増田部会長 今の点について、理事さん、どうぞ。

 

○上野日本年金機構理事 相談・サービス推進部担当の上野でございます。

 現在、地域年金展開事業の一事業としての、全国の高校や大学等において、20歳前後の方たちに対して、年金セミナーを実施しております。これは全国の事務所が中心となって実施しております。私どものホームページにも掲載させていただいておりますが、「知っておきたい年金のはなし」という、どちらかというと若年層向けに作成しました公的年金の内容が書いてある冊子ものを使いまして、各年金事務所が中心となって、毎年、全国の高校であるとか、大学、こういったところに対して、教育機関中心に年金セミナーを実施している最中でございます。その詳細につきましてはホームページでも公表してありますので、もしよろしければそちらもご覧になっていただければと思います。

 

○増田部会長 よろしいですか。

 

○椎野委員 わかりました。

 私の方も再度調べさせていただきますが、ただ、その研究者の結果でいうと、対象になる方たちが本当に少ない。結果的にどこまで知識が広がるのだろうかという結果が出ているというところも私は聞いておりましたので、そこら辺はまた調べさせていただきまして、御質問させていただければと思っております。

 

○増田部会長 理事さん、どうぞ。

 

○上野日本年金機構理事 ぜひアドバイスをいただき、今後の地域年金展開事業における年金セミナーの品質向上、事業推進に役立てたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○増田部会長 今の関係ですけれども、関係資料の26ページ、機構発足当時は納付率が低くて、過年度の1年目、2年目と、最近になってからずっと数字が上がってきていますよね。いいことだともちろん思うわけです。ですから、今回の30年度の計画でも、前回の御提示ですともう少し低い数字でしたが、ここに書いてあるとおり、平均の最近の伸び率をとって、それに合わせるような形で、御指摘もありましたし、ここの目標値の平均値をとって高くされたのだと思うのですが、これは是非こういう形で実行してほしい、クリアしてほしいということです。

 一方で、先ほど椎野委員がお話しになったように、未納者についての分析は非常に重要なところでありますので、先ほどビッグデータを回していろいろ分析等もされているということですが、どういう状況になっているのか、今の若い人たちに対してのいろいろな啓蒙活動をどうしているのか等についても、部会の中でぜひ御説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 理事長さん、どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 今ある数字だけお知らせしておきますと、私どもが学校に行ったりあるいは職場に行ったりして、いろいろセミナー活動をやっております。学校に行っているのは、去年1年間、全ての事務所で3,400回行っています。それ以外に、2,500回ぐらいのセミナーを開催しております。それ以外に、年金エッセイを募集しておりまして、各学校にまとめてやっていただくところもかなりございまして、千数百件の御応募をいただいて、厚生労働大臣の受賞もやっている。ただ、学校教育も含めてさらにどのようなことを行わなければいけないかということについては、多分努力をすべき余地はまだあるとは思っておりますが、機構としては可能な範囲で努力を続けていることについては、御理解いただきたいと思います。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 齋藤委員、どうぞ。

 

○齋藤(衛)委員 「ビッグデータ」という言葉が出てきてしまったので反応してしまうのですけれども、当然機構の皆様は支払い等に関する、個人の活動に関する情報を持ち、それはそれで従前のように管理していただければと思うのですけれども、その動向を分析しているという環境がどこにあるのかという話が、今まで登場していないような気がしているので、それをどこで分析されているのかということを教えていただきたいのと、そこに関してそれ相応のセキュリティ対策を実施されているのかどうか、そこを確認させていただけないでしょうか。

 

○増田部会長 今の点は、理事長さん、どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 今、聞いていて言い過ぎだったと思ったのですが、個人のデータを回して分析しているということはございません。未納者の属性といいますのは、いただける所得がございますので、これは免除ができるかどうかということについて使っているわけです。そういう意味で、そこに直接使っているデータのみを使って、あとは年齢、そのようなものを使って、過去のそのベースで分析をして、その方々がどのようなプロモーションを行った場合にどのような結果になっているであろうかという分析を行っているということでございます。したがいまして、国民のデータを使って何らかの分析を行っているということはございません。それは是非御理解いただきたいと思います。

 データをどのような属性で分析をしていくかということについては、今、申し上げましたとおり、一定の限界はございますので、実際に出てきているデータというのは、極めて精緻なものでは必ずしもありませんが、ただし、今、我々が考えなければいけないと思っておりますのは、今の体制そのものが未納者の量に応じた体制にはなっていないという事実です。要するに、人の配分などです。例えば、首都圏には100万ぐらいの未納月数を抱えた事務所があるのです。地方には数万とか、多くても10万とか、そういうことです。ただ、そこに人を動かすためにはわっと転勤させなければいけないという問題もありまして、そう簡単にはいかないという面があります。そういう点について可能なデータと体制面も含めながら検討を進めているということでございまして、国民に関するデータがあるということではございません。

 

○増田部会長 どうぞ。

 

○齋藤(衛)委員 そういう分析活動をされているということで、それをシステム上のどこでやられているかということを聞きたいのです。つまり、今まで年金個人情報はどこにあるとか、業務上の情報はどこにあるという、構成図が出て。

 

○水島日本年金機構理事長 年金個人情報専用共有フォルダという、インターネット環境とは分離した環境で分析しております。

 

○齋藤(衛)委員 そこで分析したと。わかりました。

 

○増田部会長 よろしいですか。

 大体よろしゅうございますか。

 安井委員、どうぞ。

 

○安井委員 これは単なる確認なのですけれども、日本年金機構予算関係資料がどんと積んである、2センチ弱だと思うのですけれども、これはここで拝見するわけにはいかないので、どちらに連絡してどのようにすればこれをゆっくり拝見することができるのか。それだけを確認させていただきたい。

 

○水島日本年金機構理事長 それはお渡しいたします。

 

○田中日本年金機構企画調整監 お持ち帰りいただいて結構でございます。

 

○増田部会長 他にはよろしゅうございますか。

 ありがとうございました。

 それでは、大体質疑は以上だと思いますので、ここまでといたします。

 それでは、ただいま御意見等もございましたけれども、30年度、来年度の計画については、内容について概ね御了解をいただけたと思いますので、本日御提示のあった計画案で厚生労働大臣の認可手続を進めていただきたいと思います。各委員の皆様方にもそのように御理解いただきたいと思います。あとは機構と厚労省でよろしくお取り計らいをお願いいたします。

 議事の2番目です。「その他」ということで、先ほど来、お話がございましたが、年金機構の文書保管ルールの見直し(電子データによる文書保管)について議論したいと思います。

 資料2になるかと思いますが、初めに、この関係について機構から説明をお願いいたします。

 

○小崎日本年金機構情報管理対策室長 日本年金機構情報管理対策室の小崎でございます。

 私から、この文書保管ルールの見直しについて、御説明させていただきます。

 資料2です。

 1ページをご覧いただきたいと思います。まず、「1.電子データによる文書保管」の「(1)基本方針」を記載しております。機構においては、御案内のとおり年金記録や年金額に直接関係する文書は当面廃棄しない方針にしているところでございますが、保管量が恒常的に増加するという問題もございますし、会計検査院等からも文書保管の経費節減について指摘を受けているところでございます。他にかかる費用等を考慮した場合に、紙から電子に媒体を変換して保管したほうが有利と考えられることから、上から4つ目のマルになりますけれども、法人文書を紙から電子へ媒体変換して保管することにつきまして、年金局を通じて内閣府に照会したところ、それを直接的に禁止する規定はないと確認されたところでございます。そこで、5つ目のマルに記載していますように、必要性が認められる文書については、紙から電子媒体に変換して保管して、元の紙媒体については廃棄することとしたいということでございます。

 2ページに「(2)具体的な対処方針」を記載させていただいております。まず、1つ目のマルでございますけれども、経過管理システムでございます。システムについてはまた後ほど御説明させていただきますが、このシステムによって提出書類が画像化されたものからこの取り扱いを開始しまして、既に紙の形で保管している文書やこの経過管理システムの対象となっていない届出、書類の取り扱いにつきましては、またかかる費用等を考慮しまして、必要に応じて電子データにして保管を行うということでございます。

 この経過管理システムと申しますのは、4ページに参考2として概要図を記載させていただいております。こちらをご覧いただきたいと思います。「現行」、「刷新後」とありますが、この「刷新後」の図の一番下になりますけれども、お客様から紙の届出について受け付けをしまして、画像化を行って、その後にデータの内容をパンチ入力しまして、データのシステムチェックを行ってから、画像化された届出書によって審査を行いまして、その後の決裁からその結果の通知まで処理の経過を一元的に管理するというものがこの経過管理システムになります。この経過管理システムで画像化したものを活用していこうということが今回の趣旨でございまして、この経過管理システムについては、これまで5届についてこの画像化を行ってまいりましたけれども、本年3月から18届に拡大する予定でございまして、これによりまして経過管理システムで予定しています届出書の8割は今回画像化されることになります。

 3ページに、参考1としまして、経済産業省による「文書の電子化・活用ガイド」における4つの基本的要件と経過管理システムの対応状況を記載してございます。4つの条件は、見読性、完全性、機密性、検索性になりますが、この「1.見読性」につきましては、JPEGフルカラーあるいは解像度300dpiという保存をしておりまして、対応を行っているということでございます。「2.完全性」につきましても、画像のバックアップを取得することと同時に、ユーザーからの変更や削除ができないということによって対応を行ってございます。それから、機密性につきましては、生体認証の実施、あるいはインターネット環境と完全に分離した外部からのアクセスはできないという環境にしてございます。「4.検索性」につきましても、この届書単位で検索可能としてございまして、原本化とする条件としては十分に整っているものと考えてございます。

 2ページにお戻りいただきまして、2つ目のマルでございますけれども、この経過管理システムで電子化したこの文書の取り扱いにつきまして、規程等を本年3月中に改正しまして、この取り扱いを開始したいということでございます。なお、この3つ目のマルになりますけれども、紙の他、電子申請、電子媒体といったもので届け出られた文書もございます。これらについては、現在、届け出られたデータそのものを保管する仕組みはございませんので、それらの取り扱いについてシステム開発を含めて検討していきたいと考えてございます。

 最後、5ページは、先ほど来、議論がありました法人文書の保存期間の見直しでございます。現状としましては、この機構の文書は文書管理規程に規定されてございますけれども、この部会でも御指摘いただきましたように、制度が必要とする保存期間と現行の保存期間が必ずしも整合していなかったということがございます。このため、「(2)対応方針」にございますけれども、文書管理規程上の個々の保存期間につきまして、その届出の持つ性質、制度上の必要性、あるいはお客様との関係等を考慮して検討していくこととさせていただきます。ここの保存期間と申しますのは、先ほどございましたけれども、本則上、今、経過的に年金記録や年金額に直接関係する書類は廃棄しない、保存するということにしていますが、この見直しというのは本則上の保存期間の見直しを指してございます。改正に当たりましては、保存方法と、費用等がかかりますので、それらを加味して決定する必要がありますので、ちょっと時間をいただくことになると思いますが、この検討結果につきましては、また改めてこの部会で報告させていただければと思います。

 私からの説明は以上でございます。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 それでは、文書保管、従来から決められております保存期間の見直しの対応方針と2つ大きくあったかと思いますが、この点について御意見あるいは御質問等をいただければと思います。

 藤井委員、どうぞ。

 

○藤井委員 紙の媒体の保存に関して今後は電子化していくというのは大変結構なことだと思います。今後検討されるということですから、細部を含めてよく御検討されたらよかろうかと思います。特に細部は結構重要だと思うのです。例えば、4ページ、事務センターで受け付けをしたものを画像化する、それをパンチ入力するということがありますね。ここで画像化に失敗をすると、その後、紙を廃棄した場合には証拠が残らなくなってしまうということがあるわけです。こういう手続の一つ一つの細目は極めて重要だと思います。

 例えば、受け付けをしたものを画像化することを、これは受給者の場合と加入中の給与等の届出とかと両方あろうかと思うのですけれども、一番いいのは届け出た本人の目の前で画像化をし、画像化ができたことを確認するというのが一番いいと思うのです。あるいは、後で審査をするに当たって、画像化したものを用いて処理したものに対してその審査に当たっては原本を見てチェックをするとか、二重のコースをつくるなど工夫することによって、漏れがない、間違いがないということができると思います。

 加えて、システムの内容によると思うのですけれども、昨今では、街の電気店でも全て、窓口で申し込みをしているようだけれども、実はネットで申し込みをしているような場合が多いですね。すなわち、目の前にいて手続をしているのだけれども、実は全てネットの取り扱いを担当の方と一緒にやっているということさえあるわけで、本人にとってわかりいいとか、なじみいいとかということと、システム化されているということは両立し得ることだと考えられますので、そういう点も含めてこれからより良いものをつくられたらいいかと思います。

 一方、既存の紙をどうするかということがありますね。これを画像化するというのは大変な努力と経費がかかると考えられますので、これもよく検討されて、いっそのこと画像化しないという選択肢も含めて。今後は増えないわけでしょうから、フローの部分で、今後は画像化できるのであれば、過去の部分は増えないということかと思います。

最後の5ページで、この文書のルールの見直しですけれども、ここまで歩みを進めてこられて大変よろしいと思います。幾つか申し上げたいことがあるのですけれども、修正するに当たって、これはこれから検討されるわけですから、今、結論を出す必要はないわけですけれども、例えば、(1)30年、(2)10年と様々にあります。こういうものを緻密に何年と小さく分けて、やればやるほど間違いが起こり得るわけですね。電子化をすると、電子媒体の保管のストレージもただではないわけですけれども、そうはいっても紙の媒体と比べると余力が出てくると思います。したがって、できるだけざくっとした、かつ、長目の期間にしておくのが全体の考えとしてはよろしいかと思います。ぎりぎりを選ぶのではなく、ざくっと長目にしておく。それから、様々なものが混蔵保管されてしまいますと、それをより分けるというのは大変な労力とお金がかかることになると思いますので、あらかじめ受け付けたときから様々な保管のルールも考える必要があると思います。

 それから、以前申し上げたように、年数に関しては非常に長目がよろしいかと思います。というのは、年金というのは、20歳の方に関して掛金をした、保険料を出したという記録が最長でも30年となりますと、50歳でその記録がなくなるということです。受給を開始するのは、60歳、65歳になってからということですから、30年というのは論外ですね。かつ、その方が受け取り始めても、実は間違いがあったということもあり得るわけですね。そういう時のために保管するわけです。

 だから、裁定をしたからといって、その後、ミスが発見されることだってあり得ますし、さらにまた本人が亡くなっても遺族ということもあります。どこで権利がなくなるのか、検証の必要がなくなるのかといってみたところで、援用すれば時効が成立する場合もあるでしょうけれども、もし援用するのなら漏れなく徹底的に援用しない限りは、不平等、不公正が生じます。どちらかといえば、今の銀行預金でもそうであるように、10年で時効が来るといっても引き出しには応じるように、誤りは直すべきだと思います。そうすると、遺族の方が、このホモサピエンスというものがどう考えても死ぬ、死に尽くすときまで保管しておけば特に問題はないわけです。そうすると、無制限にデータが増えはしないかと思うかもしれませんけれども、そんなことはないです。なぜならば、どこかで定常状態に入りますし、日本の人口が減る予想となっているので、どこかで有限の期限を設けておけば、そこまで増えますけれども、それ以降は増えないのです。ずっと同じ量または微減しながら総量が推移していくわけですから、そこまでよく見通して、総量は幾らになるのか、無制限に増えるということではないということも含めて、よくよく検討されたらいかがかと思います。

 最後に、私の思いですけれども、この保管ルールの第31条は修正するべきですが、修正したという経緯をよく記録にとどめ、歴史にとどめ、これが実務及び関係者の心というか、あり方、理解を非常にゆがめていた原因であることをよく後世に伝えて、二度とこういうことがないようにするということの象徴とされたらよいのではないかと考えています。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 今の関係は今後の検討のときによく頭に入れておいていただきたいと思いますが、とりあえず今の段階ではよろしいですか。よろしくお願いします。

 大山部会長代理、お願いします。

 

○大山部会長代理 電子化をこういう形で進めていくことについて異論はないのですが、気をつけていただく必要があると思うのは、最初に始めるものから、その次、またその次と拡大していくのが一般的だと思うのです。そのときに、3ページ目の「参考1.経過管理システムの画像データの対応状況」と書いてあるわけですけれども、これは経済産業省の4つの基本的要件、見読性、完全性とかがある中の具体的な中身を見ると、これは右側に合うように要件を引っ張ってきていて、実際にはこれだけではないはずなのですよ。もちろん経産省のものが全て正しいというわけではないのですが、参考にする上では、全ての要件に対して扱うものはどのものだからこれについてはという但し書をちゃんとつけていかないと、これは大間違いをする可能性があるのではないか。

 特に、簡単に申し上げて、「1.見読性」でよく出てくる話ですが、画像データをJPEGにしておいたほうがいいと思っているのだと思うのですけれども、画像データではない大元の電子データで入ってくるようなものについては、これをJPEGにすることをおやりになるとは思っていないのです。私自身は、今、思っていません。そのデータのフォーマットあるいはそのデータベースの中が、今までの記録システムを見ればわかるとおり、ずっと使えているから大丈夫だと思っているのですけれども、これが最近の刷新のお話で出てくるように、データの移植ができるかどうかというのは非常に大きな課題に一方でなっているということは、これは「1.見読性」の確保は十分にできていないからこういうことになっている。要件から見ると、まさしく「1.見読性」のところに当たっているのです。移植性は、長期にわたって見たときには「1.見読性」になっているということもございますので、その点は気をつけなければいけない。しかしながら、ここには全く触れられていないということになります。

 「3.機密性」について、例えを申し上げると、これは「アクセス履歴の管理」と書いてあるのですけれども、機密のレベルの違いがあるときに、見てはいけない人が見てしまったということに対してはアクセス履歴でわかるのですけれども、それでも防止策にはなっていなくて、後からの何らかの処分をすることは可能になりますが、一般的にはこの点の機密性を言うのであれば、アクセスレベルまで言わなくてはいけなくて、最初からアクセス管理をどうやるのですかと。それが一律で、例えば、今の指静脈でやるから大丈夫ですというのは議論が飛び過ぎている感じがいたします。この辺の整理の仕方は、先ほど申し上げたように、ガイドライン自体には一般論で書いてございますので、必ず全てのガイドラインに書いてあるもの、ひょっとするとそれに加えなければいけないかもしれませんが、それを見た上で、今、やろうとしていることがその中でどうなのかということをお間違えなきようお願いしたいと思います。そうでないと、このまま進むと拡大したときにアウトになる気がいたしました。

 以上です。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 松山委員、どうぞ。

 

○松山委員 御報告ありがとうございました。

 この文書の保管のところについては、先ほど本当に藤井委員が御指摘になったとおりで、何のために文書を保存するのかという目的と制度をきちんと考えて検討していただきたいと思います。31条を拝見すると、まさに先ほど藤井委員がおっしゃったとおり、年金という非常に長期間のものにもかかわらず30年が上限とか、確かに全然制度と合っていないところがありますし、20歳の人が65歳からとなったときには、一般常識、いわゆる世の中の文書保管というものとはかなり期間が違うものが求められているのが年金だと思いますので、そこに合わせて仕組みを考えていかなければいけない。

 そうなると、全ての文書をそんなに保管していたら、とてもではないけれども、費用対効果で回りませんので、最低限これを確認する必要がある情報が何なのかというところを厳選して長期保管し、そうでないものはなるべく短い期間で廃棄することができるという形の仕組みをつくっていくことが重要だと思いますし、見直しをいただくときには、できればそのあたりの文書にどういう情報が載っていてという、第1類、第6類とか、こういう整理の仕方ではなくて、もうちょっと中身のところまでわかる形でぜひ検討状況等を御報告いただければと思います。

 その意味では、電子化はすごく重要なところで、費用対効果のところでいえば電子化すれば恐らくそれほど費用がかからずに長期間の保存ができるようになってくると思いますので、電子化を進めていくことはこの保存期間の見直しとあわせて考えていかなければいけないところだろうと思います。

 電子化のところについて言えば、バックアップとかがちゃんとできているのかというところのシステムの強固さというか、そういったところがどうしても年金機構さんは不安を感じさせるところが、今までのシステムのところから国民からも疑われると思いますので、そこのところをきちんとやっていただきたいのが1つ。

 あとは、先ほど事業計画の中にもありましたけれども、システムのオンライン化とか電子化といったもので、この先10年後のことを考えると、かなり先を踏まえて検討していかなければならない。そうすると、この文書の保存のところも10年後の制度設計にも合うような形で、つまり、今、目先のところで簡単に電子化してしまうことによって、その先のもっと進化したシステムと整合性がとれなくなってしまっても困るので、システムのオンライン化とか、そういう将来を見据えながらこの電子化というところも進めていっていただきたいと思います。

 以上です。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 藤井委員、どうぞ。

 

○藤井委員 今の御発言の中にあった点で、バックアップというところなのですけれども、これについては、当然電子化するほうがバックアップの余地は広がると思いますし、各窓口でも、証拠を見せてくれと御本人が言われたときに、さっと見せることもできるでしょう。紙ですと取り出すのに相当手間ですから、そこがバリアーとなって、実際的にはなかなか原本まで行きつくことなく泣き寝入りする方もいらっしゃるのではないかと思うのですけれども、その点、電子的であれば、さっと検証ができて、最近のスポーツでいうチャレンジみたいなもので、ぱっと見ればすっとわかるということで、修正するならするということでいいのではないかと思います。

 加えて、紙ですと、今はどこにあるのか知りませんけれども、日本の領土のどこかにあるのだと思うのです。そこが攻撃でも受けたり、事故等があれば、それで焼けてなくなって終わりということでしょうから、その意味でも電子化は望まれると思います。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 他にはいかがでしょうか。

 齋藤委員、どうぞ。

 

○齋藤(衛)委員 今の藤井委員からの話と同じことになるかもしれないのですけれども、バックアップをとると、そのバックアップを原本と同じだけ厳重に管理しないと、そちらを盗まれるという事件も実際にあるわけなので、その同じだけというのが、電子的にいろいろ仕組みができて安全性が確保されているものと、物理メディアになってしまって物理的に保護しないといけないものと並べて評価するのはなかなか難しいのですけれども、従前の原本の取り扱いと同等でいいのかどうか御検討いただいたほうがいいと思います。特に1本のテープの中に大量の情報が入りますので、それが失われたとき、持っていかれてしまったとき、盗まれたときの影響を考えると、少し強目のセキュリティの強化をすることを御検討いただいたほうがいいのではないかと思います。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 理事長さん、どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 今、いろいろと御意見を承りまして、確かに検討すべきテーマだと思っているところでございますが、1点だけ御理解いただきたい点は、例えば、記録の正確性に関しましては、毎年、定期便をお出しして確認をしていただいて大丈夫ですかということは常々やっているわけです。節目の年齢には、それぞれの方々のそれまでの記録を全部お示ししています。その他、御確認いただくための仕掛けと仕組みと申しますか、そういうものも一方にあるわけであります。どこまで完璧を期すかということであるかと思いますが、いろいろな御議論の中で、ほぼ永遠に近く保存すべきだという御議論もございましたが、果たしてそういう議論を進めるべきかということについては、もう少し考えさせていただきたいと思います。

 バックアップ等に関しましても一定の対応を行っておりますが、いい機会でございますので、全体の見直しをいたしまして、あるべき姿を追求してまいりたいと思いますが、幾つかの仕掛けも含めまして、制度も含めまして、トータルで御議論いただくことも必要かと思いますので、その点も御理解いただきたいと思います。

 

○増田部会長 石井委員、どうぞ。

 

○石井委員 すみません。どうしても中座をしなければいけませんので、これで失礼いたしますが、今の文書保存期間30年を、場合によっては、50年、80年と延ばすという議論に関して、1つ御確認というか、お願いしておきたいことがありまして、現在、既に運営している年金システムは多数の方に年金を払い続けていると思うのですが、もし30年を100年に延ばすのであれば、現実に、今、行っている業務自体が極めて欠落的というか、致命的な欠陥があるのだと、つまり、30から100にしなければいけないのだということに関してのしっかりとした説明をしていただきたいと思います。

 コストがどの程度かかるかわかりませんが、管理をしていく上で、データの量が多くなればなるほど大変なコストがかかる可能性もございます。そういう観点からは既に行われている業務自体が、現時点において致命的欠落を持っていないのであれば、本当にそれほどまでの期間を保存してくることが適切かどうか、私にはよくわかりません。よろしくお願いいたします。

 それから、予算関係資料は、今日は出張に行きますので、後日お届けいただくということで、これに関しては幾つか質問がございますので、また事務の方と打ち合わせをさせていただきたいと思います。申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 藤井委員、どうぞ。

 

(石井委員、退室)

 

○藤井委員 ただいま御指摘があった永遠に近い保管をする必要があるのかどうか、今、重大な欠陥があるのかどうかという点ですけれども、そういう視点も重要かと思います。一方で、これは以前この部会でも議論があったかと思うのですけれども、法的な権利の確定とか、裁定ということとの関係もあろうかと思います。というのが、ねんきん定期便というのは大変結構なことで、むしろそれを法的な位置づけをつけて、それによって10年も確認したのだから、10年前までのものは本人もよくわかっているはずだから、それで確認されたことにするというのなら、本人もその目で見るでしょうし、争ってもそれで済むでしょう。しかし、現実は、私の理解ではそうではなくて、裁定のときに当たって、それまでの定期便が何であれ、どうであれ、来ているけれども、よく見もしない人も含めて、最終的に権利を確定し、それでも消えた年金問題とかといってミスも起こり得るわけですから、そういうために原本を保管するのだと思います。

 原本を出してくるということがしばしばあってはならないことだとは思います。しかしながら、原本をなくすというのは全く別のことだと思いますので、そこはよくよく検討をする必要があると思います。法的なたてつけとの関係はないがしろにできないと思いますし、人間はミスし得るので、それをどう本人に責任をとらせるのかということです。10年で原本を捨てるということは、10年の間に本人が徹底的に見て確認をして、後で文句を言われても自分の責任だと自覚できるかどうかです。そうでない限りは、それは無理だと思います。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 松山委員、まだありますか。

 

○松山委員 今の関係でもう一言言わせていただくと、先ほど年金教育のお話がいろいろと出ていたと思うのです。年金制度について御理解いただくことがすごく重要だと思うのですが、そのときに、私自身のこの事業管理部会に出た感想として思うのは、国民の一人一人あるいは若者の一人一人に自分の年金の管理を自分の責任でやるのだということをもう少し意識してもらうような形で教育できないかなとは思います。消えた年金問題とか、システムの問題とか、ここ数年ずっと機構は批判されることが多くて、なかなかそういうふうにも言えないところもあったと思うのですけれども、全国民の年金の全ての過去40年、50年の記録を全部保管して管理しろというのはかなり無理難題を押しつけられているのに等しいなと、いろいろと伺っていて思うところもあり、全部お任せでやるのではなくて、国民一人一人が自分の記録は自分である程度管理するのだと。先ほどねんきん定期便で確認しているではないかというところも、そこである程度確認が済んでいるところは、それ以上は機構としては責任を持てませんよということが、きちんと国民との間である程度明確に合意できるような関係がいずれ築けていけるといいのではないかとは思っています。

 以上です。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 2番目の議題ですけれども、およそ各委員からの意見は出尽くしたと思います。私も、こうした記録あるいは文書等について電子化を大いに進めていくというのは非常に重要だと思いますが、それと同時に、一番最後のところの保存期間、保管ルールのところについては様々な考え方があると思いますので、内部でまた検討していただいた上で、この場で、途中段階、最終的な段階と適時御披露いただいて、議論の場をつくっていただきたいと思います。

 それでは、今日の予定されておりました議事は以上でございますが、他はよろしゅうございますね。

 それでは、本日の議題は全て終了しました。次回の日程については、改めて事務局から御連絡を差し上げます。

 本日の会議はこれで終了とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

 

 


(了)

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