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2019年1月24日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第29回)議事録

○日時

平成31年1月24日(木) 10:01~12:02

 

○場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)
 

○出席者

今村主査、志藤構成員、髙田構成員、中村構成員、宮崎構成員

○議事

 

 

○今村主査
ただいまから、独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG(第29回)を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。本日は、関口構成員、土井構成員、松浦構成員、松尾構成員、三宅構成員が御欠席、それに加えて戸田構成員が御病気ということで御欠席です。
最初に本日の議事について、事務局から説明をお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
説明の前に、事務局に異動がありましたので報告いたします。政策評価官の中村です。
それでは、本日の議事について説明いたします。初めに議事次第にある参考資料1~6に関しては、お手元のタブレットに収納してあります。画面がスリープ状態になっている場合は、右上の電源ボタンを軽く指で押してください。
本日の議事は、労働者健康安全機構の「次期中期目標案・次期中期計画案について」です。本件については、参考資料1「独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱」の3の第四号、その他、一~三に掲げる事項に関し重要な事項に該当するものとして、本WGの意見を賜るものです。
厚生労働省所管の中期目標管理法人については、厚生労働大臣が中期目標を定め、当該法人は定められた中期目標に基づき中期計画を策定することとされておりますが、法人の中期目標と中期計画は御意見を頂く上で密接な関係にありますので、本日は中期目標と中期計画について同時に御議論いただきたいと考えております。
平成31年度からの新たな中期目標及び中期計画の策定に至るまでの流れについて、簡単に説明いたします。タブレットの参考資料を御覧ください。参考資料2の一番上の四角い囲みに、平成30年8月から9月、独立行政法人の業務・組織全般の見直し内容等を総務省へ提出とあります。労働者健康安全機構の中期目標期間見込評価書と業務・組織全般の見直し内容については、昨年の7月に開催した本WGにおいて皆様から御意見を頂き、その意見を踏まえ、厚生労働大臣から総務省独立行政法人評価制度委員会に通知したところです。
中ほどの四角い囲みに、平成30年9月から12月、総務省独立行政法人評価制度委員会の審議・決定とあります。総務省独立行政法人評価制度委員会が、独立行政法人の中期目標期間見込評価書と、業務・組織全般の見直し内容について審議をした結果を決定いたしました。
決定した内容は参考資料6です。こちらは、総務省側の独立行政法人評価制度委員会が、昨年の11月29日に目標設定に向けての考え方を決定したものです。2ページです。3の1、2について、目標設定に当たって目標に盛り込むことについて検討していただきたい視点を整理しております。
労働者健康安全機構に関しては、6ページの中段に、働き方改革の実現に向けた両立支援について、病気の治療と仕事の両立に関する専門性、人材面での強みを活かして、地域産業保健総合支援センターを中心とした企業との窓口を活用し、企業ニーズに適合したアドバイスの実施、産業医、保健師の研修の充実、両立支援コーディネーターの養成を行うことや病気の予防から職場復帰、両立支援までの総合的な取組を行うことを目標に盛り込んではどうか。また、医療サービスの質の向上を図るとともに、経営改善の取組に向け、理事長がリーダーシップを発揮できるマネジメント体制を構築することについて、目標に盛り込んではどうかという留意事項が示されております。これらを踏まえて作成したものが、本日、御議論いただく労働者健康安全機構の次期中期目標と次期計画の案です。
それでは参考資料2に戻っていただき、一番下の四角い囲みです。平成30年12月から平成31年3月、独立行政法人の次期中期目標、次期中期計画の策定は、今後の流れについてまとめております。本日、御議論いただく労働者健康安全機構の次期中期目標案については、本日いただきます御意見を踏まえ必要に応じて修正等を行い、2月に厚生労働大臣が総務省独立行政法人評価制度委員会へ送付いたします。その後、2月中に同委員会において審議が行われ、その審議結果に基づいて出される意見を聴いた上で、財務大臣との協議を経て次期中期目標が策定されることになります。
一方、中期計画については、確定した次期中期目標を基に労働者健康安全機構が次期中期計画を作成し、同計画について主務大臣である厚生労働大臣が、内容の精査及び財務大臣との協議を経て年度内に認可する予定です。事務局からの説明は以上です。
 
○今村主査
皆様、今の事務局の説明について、質問等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。議事に入ります。労働者健康安全機構の「次期中期目標案・次期中期計画案について」御議論いただきたいと思います。最初に、法人所管課から、次期中期目標案について御説明いただき、その後、法人から、次期中期計画案について御説明いただきます。この2つの説明が終わってから、質疑応答するという流れで進めていきたいと思います。それでは、まず、法人所管課から、次期中期目標案について説明をお願いいたします。
 
○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室長
労働基準局の安全衛生部計画課機構・団体管理室長の小森と申します。それでは、法人所管課として、独立行政法人労働者健康安全機構の第4期中期目標案について説明いたします。
まず初めに、独立行政法人労働者健康安全機構は、平成28年度より独立行政法人労働者健康福祉機構を母体として、独立行政法人の労働安全衛生総合研究所、国の委託事業を行っておりました日本バイオアッセイ研究センターが統合して発足した法人です。現中期目標においては、統合による相乗効果を最大限に発揮して研究等に取り組むこととしていたところです。
機構においては、それぞれの機関が互いの強みを活かして研究を実施するなど、中期目標で求められた役割を着実に果たしているところではありますが、統合4年目を迎える2019年度から開始される新たな中期目標期間においては、統合による相乗効果の発揮を基本としつつ、働き方改革の総合的な推進を始めとする政策課題に対して役割を果たし、労働者の健康、安全の確保及び労働者の福祉の増進に寄与することが期待されているところです。
こうしたことを踏まえて策定した第4期中期目標案について、資料1-1に沿って説明いたします。
1ページは、中期目標全体の構成を示した概要です。第1として、政策体系における法人の位置付け及び役割を記載、第2として、中期目標の期間として2019年4月から2024年3月までの5年間を定めており、第3として、各業務の個別の目標を記載、第4として、業務運営の効率化に関する事項、第5として、財務内容の改善に関する事項、第6として、その他業務運営に関する重要事項を記載しております。
2ページは、政策における法人の位置付け及び役割を記した政策体系図です。まず、働く人の健康と安全の確保に関する現状の課題についてです。労働災害によって年間65万人の被災者と1,000人近い死亡災害が発生していることや、職場で強いストレスを感じる労働者が約6割を占めるなどの現状にあり、厚生労働省としては、こうした現状に対応するために第13次労働災害防止計画に基づく労働災害の防止対策の推進や、健康障害予防対策等に取り組んでおります。
これらを踏まえて、機構では大きく2つのミッションに取り組んでいただきたいと考えております。1つ目は、臨床研究、医療の提供機能、高度な基礎・応用研究という機能を有する施設が協働して予防、治療、職場復帰支援までを総合的に実施すること、2つ目は、労働安全衛生関係法令の改正等への科学技術的貢献を行う観点からの調査研究を実施するということです。
機構の主要な事業は大きく6つに区分しております。3ページからは、各事業の目標です。赤字の部分は、現在の第3期中期目標から追加・変更を行った箇所となりますのでこの部分を中心に説明いたします。「1 労働者の健康・安全に係る基礎・応用研究及び臨床研究の推進等」については、第3期中期目標において、「統合による相乗効果を最大限に発揮するための研究」と「労働者の健康・安全に係る重点的な研究」としたものを包括しております。
次に、「(1)労働安全衛生施策の企画・立案に貢献する研究の推進」については、機構が実施する研究は、労働安全衛生施策の企画・立案に貢献するものに重点化するということを明確にしております。
「ア プロジェクト研究」は、1~7の視点を踏まえてテーマを設定することとしており、1は労働安全衛生施策の企画・立案のエビデンスを収集する研究を体系的・継続的に推進していく視点、2~6は、具体的な研究テーマとして、第13次労働災害防止計画における重点事項に即した視点、7は過労死等に関する研究において、自然科学的な側面と社会科学的な側面の両方を考慮する必要があるため、社会科学系の他の研究機関との連携の視点を挙げております。
「イ 協働研究」は、労働安全衛生総合研究所、労災病院、バイオアッセイ研究センター、両立支援センターなど、機構内の施設が連携して行う研究を協働研究と位置付けて、研究テーマは労働災害の減少及び社会復帰の促進に結び付くことを目的として、過労死等の防止等に関する研究、せき損等の予防及び生活支援等に関する研究、産業中毒の予防及びばく露評価に関する研究等、相乗効果が期待されるものについて設定することとしております。また、その成果が労働安全衛生関係法令の改正等に積極的に貢献することから、引き続き重要度高と設定しております。「(2)労災疾病等に係る研究開発の推進」については、労災補償における重要なテーマや課題についての研究です。引き続き、3領域についての研究を行い、協働研究と連携を図りながら取り組むこととしております。
4ページです。「(3)研究の実施体制等の強化」については、研究・試験等が機動的、機能的に実施できるよう体制を強化していくこととしております。化学物質による疾病の調査や予防のための研究等に係る情報発信を、効率的、総合的に実施する体制を整備することとして、更に、治療と仕事の両立支援の事例をデータベース化して質の高い支援のために活動していくということとしております。
「(5)研究評価の厳格な実施と評価結果の公表」について、機構が設置している外部評価委員の該当評価の対象となる研究について、新たに採点基準を設け平均3.25点以上の評価を得ること、また、期間中の研究報告書の総数の80%以上について政策効果が期待できるとの評価を受けることとしております。なお、外部評価において高評価を得ることは、労働安全衛生行政の重要課題に対した研究を的確に論議し、その研究成果が施策の企画・立案に貢献できているか、また、質の高い研究成果を公表できているかを客観的に判断するために極めて重要であり、さらに、施策の企画・立案に貢献する研究を推進するという観点から、厚生労働省の政策部門による評価が重要であり、新たに重要度高と設定しております。
5ページの「(6)成果の積極的な普及・活用のアについては、現中期目標と同様に年10件として5年間で50件以上と設定しております。イのホームページへのアクセス数については、直近の実績を基に、その5倍である1,200万回以上とする目標値の見直しを行っております。また、本事業は、その成果が労働安全衛生関係法令の改正等に積極的に貢献すること、また、広く普及されることにより、労働災害の減少に結び付くということから、引き続き、重要度高と設定しております。
「2 労働災害の原因調査の実施」は、労働安全衛生法第96条に基づき、国からの要請を受けて労働安全衛生総合研究所が実施するものです。新たに災害調査等の結果を体系的に整理・分析を行い、これを踏まえた再発防止対策の提言や、災害防止のための研究への活用、反映を行うこととしております。また、本事業は新たに目標を設定し、災害調査報告、鑑定結果報告について依頼元へのアンケート調査により、平均点2.0点以上の評価を得ることとしております。
6ページの「3 化学物質等の有害性調査の実施」は、日本バイオアッセイ研究センターが行っている労働安全衛生法第58条に基づく化学物質の有害性の調査ですが、本事業については、引き続き計画的に実施することとしております。また、本事業は発がん性などの有害性が認められた化学物質が国に報告され、国が規制対策等の適正な対応を図ることにより、働く人の健康の確保につながり労働災害の減少に結び付くことから、引き続き、重要度を高と設定しております。
「4 勤労者医療及び地域医療における役割の推進」は、労災病院が行っている事業です。「(1)労災疾病に関する高度専門的な医療の提供」として、労災病院が疾病の予防、職場復帰、治療と仕事の両立支援等の総合的な取組の中核的な拠点としての役割が求められていることから、地域、職域保健との密接な連携の下、先導的に実践して得られた知見を他の医療機関にも効果的に普及させるという対応により推進を図っております。「(2)地域医療への貢献」は、地域医療支援病院の要件を満たすことが必要であることから、引き続き、当該要件を目標としております。
7ページの「(5)患者の意向の尊重と医療安全の充実」の目標については、引き続き、患者満足度調査において全病院で平均で80%以上の満足度を確保することとしております。「(6)治験の推進」の治験症例数の目標値は、平成26年度から平成29年度までの実績が4,187件であることを踏まえ、5年間で2万900件以上としております。「(9)行政機関への貢献」については、労災病院が、労災請求に対する認定やアスベスト関連疾患等の国の労災補償政策上、中核的な役割を果たしていることから、引き続き、重要度高と設定しております。
8ページの「5 産業保健総合支援センターが行う事業場における産業保健活動の積極的な支援と充実したサービスの提供」の「(1)産業医・産業保健関係者への支援」については、産業保健総合支援センターが行う産業医の研修において、嘱託産業医の実践力不足による、事業者などからの期待に応えられないという状況があることを踏まえ、実践力を高める実地研修が行えるよう内容等の見直しを図ることにしております。
また、郡市区単位にある地域窓口に登録し活動を行う産業医、保健師が対応に苦慮する事案に接した場合のサポート体制を整備することも明記しております。「(2)事業場における産業保健活動の支援」の年間目標について、産業保健総合支援センターの相談件数と、地域窓口の相談件数の平成29年度実績の合計の5%増の12万2,600件を設定しております。また、地域窓口に対する小規模事業場からの支援ニーズは今後も拡大していくと想定されることから、限られた予算と人員の中で効率的な事業ができるよう支援対象を重点化するなどの取組を行い、支援ニーズの拡大に備えて、登録保健師の拡充等にも取り組むこととしております。更に、小規模事業場を対象とした産業保健関係助成金の拡充に向け、現場のニーズを踏まえた事業案の検討、既存の助成金の利用促進に向けた検討も行うこととしております。
「(4)産業保健総合支援センター事業の利用促進」については、本事業の認知度向上や利用促進を図るため、地域の事業者団体や労働組合などに対するヒアリングやアンケート調査などを実施することとしております。9ページの「(5)研修内容・方式又は相談対応等の評価、事業場における産業保健活動への効果の把握」については、引き続き、利用者から有益であった旨の評価を80%以上確保し、70%以上について改善事項が見られるようにしております。重要度、難易度については、本事業は閣議決定において事業の実施が求められていることや、働き方改革の推進において多様な働き方をする全ての労働者の健康やメンタルヘルスを守ることが求められており、また、本事業における地域の医師会など関係機関との連携強化が必要であるということから、引き続き高という設定にしております。
10ページの「6 治療と仕事の両立支援の推進」の「(1)治療と仕事の両立支援を推進するための治療や患者支援の推進」については、機構において平成26年度から、がん、糖尿病、脳卒中、メンタルヘルスの4疾病を対象として取り組んできたところですが、第4期中期目標では対象疾病の拡大を図っていくこととしております。また、平成29年度に作成した4疾病についての医療機関向けマニュアルの充実を図り、医療機関や事業場へ普及することとしております。
「(3)治療と仕事の両立支援を推進するための人材の育成」については、両立支援において主治医と会社の連携の中核となって相談支援やプランの作成支援などを担う両立支援コーディネーターを養成するための基礎研修を着実に実施するとともに、コーディネーターの能力向上を図る応用研修を実施することとしております。なお、本事業は引き続き重要度高と設定しておりますが、設定理由について、政府が推進する働き方改革実行計画に資するという文面に改めさせていただいております。
また、治療と仕事の両立を推進するために、経営トップや管理職の意識改革等が求められていることに加え、主治医、会社、産業医と患者に寄り添える両立支援コーディネーターのトライアングル型のサポートが求められており、ますます、企業、医療機関、労働者等の多くの関係者による連携を強化していく必要がある状況となっております。とはいえ、病気に対する正しい知識が必ずしも社会全体に共有されていないということや、中小企業での困難性、企業と医療の情報共有不足などの課題があるということから、新たに難易度高と設定しております。
11ページの「7 重度被災労働者の職業・社会復帰の促進等」については、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センターが行っている脊髄損傷患者等に対する医療等についてですが、引き続き、高度専門的な医療を提供するとともに、職場復帰を見据えた入院時からの医療機関の継続的な支援方法等に関する研究を推進して成果の普及を図ること、職場復帰に必要なリハビリテーション技術及び、自立支援機器などの新たな医療技術等の開発及び普及を推進することとしております。また、目標についてですが、引き続き、医学的に職場、自宅復帰が可能である退院患者の割合をそれぞれ80%以上確保することとしております。
12ページの「二 労働者の福祉に係る業務として取り組むべき事項」の「1 未払賃金の立替払業務の着実な実施」の「(1)迅速かつ適正な立替払の実施及び立替払金の求償」については、立替払の請求書の受付から支払までの期間について、これまでの実績を基に立替払請求者の迅速かつ適正な救済を図るという観点から、25日以内から5日を短縮して20日以内と設定しております。また、本事業は労働者とその家族の生活の安定を図るというセーフティネットの面もあることから、引き続き、重要度高として設定しております。
「2 納骨堂の運営業務」については、引き続き、着実に業務を実施することとしており、目標についても慰霊の場としてふさわしいとの評価を毎年90%以上得ることとしております。また、納骨堂のある高尾みころも霊堂で毎年行われている産業殉職者合祀慰霊式は、第13次労働災害防止計画の重点事項である企業・業界団体での安全衛生の取組の強化を具体化するものであり、参列する経営トップによる積極的な取組を推進する上で重要であることから、引き続き重要度高と設定しております。
13ページの「第4 業務運営の効率化に関する事項」の「1 業務の合理化・効率化」については、機構における働き方改革の取組を推進するため、業務の効率化等に向けた取組を実施し、職員の長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等を図ることとしております。
「2 機動的かつ効率的な業務運営」については、理事長の強い指導力の下で、内部統制の充実強化を図り、労災病院や労働安全衛生総合研究所などが有する機能を連携して行う協働研究の相乗効果を最大限に発揮するため、引き続き、効率的・効果的な業務運営に取り組むということとしております。「3 業務運営の効率化に伴う経費節減等」については、5年間で一般管理費を15%程度、事務費を5%程度削減していくということとしております。
「第5 財務内容の改善に関する事項」の「3 労災病院の経営改善」については、第3期中期目標では、繰越欠損金の解消を目標としておりましたが、平成28年度中に解消が図れたところです。第4期中期目標では、政策上及び地域医療において重要な使命を担っている労災病院が、安定的な運営を図るために医療サービスの質の向上等に取り組み、また、客観的な指標により病院施設を効率的に稼働させ、病院収入の安定的な確保に努めることとしております。
「14ページの「第6 その他業務運営に関する重要事項」の「1 人事に関する事項」については、事業場や産業保健関係者に対して質の高い産業保健サービスを提供していくためには、産業保健総合支援センターに従事する職員の育成が重要であることから、職員の能力のための計画的な研修を実施することとしております。「2 労働安全衛生融資貸付債権の管理」については、過去に貸付を行っていた職場環境改善等資金貸付金の貸付債権の回収を行っていますが、当該債権管理の業務を適切に行うこととしております。駆け足の説明でしたが、第4中期目標についての概要の説明は以上です。ありがとうございました。
 
○今村主査
では続いて、法人から次期中期計画(案)について説明をお願いします。
 
○労働者健康安全機構総務部長
労働者健康安全機構総務部長の増田でございます。よろしくお願いします。私の方からは、独法の第4期中期計画(案)について御説明を申し上げます。資料につきましては、資料1-2の「第4期中期計画(案)説明資料」に基づいて説明します。
1枚めくっていただきまして、右上の方に書いていますが、この資料は、本文中の赤字部分は新規の取組ということ、○については中期計画における取組、●は中期目標・計画における数値目標という形で記載をしています。また、中期計画のみの指標については下線を引くということです。中期目標等を受けて設定をしていますので、重なるところは多いのですが、赤字を中心に、変更があった箇所を中心に説明したいと思います。
第1 国民に対して影響するサービス、その他の業務の質の向上に資する目標を達成するために取るべき措置。一 労働者の健康・安全に係る業務として取り組むべき事項です。
まず1番ですが、労働者の健康・安全に係る基礎・応用研究及び臨床研究の推進等、(1)労働安全衛生施策の企画・立案に貢献する研究の推進です。こちらについては、労働安全衛生施策の企画・立案する、立案に貢献するものに重点化して研究を実施するということを計画で明記しています。
また、プロジェクト研究については、先ほど中期目標における視点の説明がありましたが、こちらの視点を踏まえて、こちらにある5つのテーマの研究を実施する計画としています。1,死亡災害の撲滅を目指した対策の推進に関する研究。2,過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進に関する研究。3,就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進に関する研究。4,疾病を抱える労働者の健康確保対策の推進に関する研究。5,化学物質等による健康障害防止対策の推進に関する研究です。イの協働研究につきましては、こちらについては次期中期では安衛研と労災病院の協働にとどまらない、複数の施設が協働して行う研究を実施することを明記しています。 3ページ(2)労災疾病等に係る研究開発の推進です。協働研究は、先ほど言ったように更に範囲を広げて協働を行うということですので、そちらの研究と連携を図りつつ以下の3領域について研究を実施することで、引き続き労災疾病等の原因と診断治療、労働者の健康支援、労災保険給付に係る決定等の迅速・適正化の3領域について研究を実施していきます。
次に、(3)研究の実施体制等の強化です。こちらについては、目標を受けて、機構における研究・試験等が機動的かつ機能的に実施できるよう、体制を強化することとしています。また、下の○から2つ目ですが、自然科学的な側面と社会科学的な側面を考慮する必要のある研究分野については、例えばJILPTなどの社会科学系の研究機関との連携等を強化するとともに、また新たに両立支援データベースの整備・活用等に取り組むことにしています。
4ページ。(5)ですが、研究評価の厳格な実施と評価結果の公表です。新たな中期目標を受けて、外部評価の対象となる研究の成果については、平均点3.25点以上の評価を得ること。また、報告書総数の80%以上について、厚生労働省より「政策効果が期待できる」との評価を受けることを設定しているところです。(6)ですが、こちらも中期目標案を踏まえ、50件以上の労働安全衛生関係法令、関連通知等の制定改正へ貢献すること、ホームページにおける研究業績・成果等へのアクセス数を1,200万回以上とすることを指標として設定しているところです。
引き続き、5ページ目を御覧ください。2番、労働災害の原因調査の実施です。こちらについても、新たな中期目標案で、災害調査報告、鑑定結果報告について、依頼元へのアンケート調査等を実施し、平均点2.0点以上の評価を得ることが示されていますので、同様の指標を設定しています。また、新たな取組として、行政が行った調査も含めて、災害調査等の結果を体系的に整理・分析を行うということにも取り組んでいきます。
6ページ。4.勤労者医療及び地域医療における役割の推進です。(1)労災疾病に関する高度・専門的な医療の提供です。こちらも中期目標案の方で、疾病の予防、治療・職場復帰、治療と仕事の両立支援等の総合的な取組について、地域、職域保健との密接な連携のもと、先導的に実践するということで盛り込まれていますので、これを受けた計画としているところです。また、一般的に診断が困難な労災疾病については、協働研究及び労災疾病研究の成果を踏まえ、引き続き積極的に対応することとしていまして、今回、協働研究は新たな施設、バイオアッセイ研究センターを含めた協働を行いますので、その結果も含めて対応するとしています。
その下の(2)地域医療への貢献のところですが、こちらは引き続き中期目標としては、患者紹介率、逆紹介率、症例検討会及び講演会の実施回数、高度医療機器を用いた受託検査を指標として設定しているところです。また、中期目標案を受けて、症例検討会や講習会等の実施回数については、現中期より500件増の4,200回ということで設定しているところです。
7ページ。(5)ですが、患者の意向の尊重と医療安全の充実です。こちらについては、目標としては、患者満足度調査において、全国平均で80%以上の満足度を確保することを引き続き目標として設定しているところです。(6)治験の推進ですが、こちらは中期目標を受けまして、現中期の1万件増の2万900回とすることを目標として設定しているところです。
8ページ。産業医等の育成支援体制の充実から、行政機関への貢献等については、目標を踏まえて適切に実施するということで記載しています。
9ページ。5番目が、事業場における産業保健活動への積極的な支援と充実したサービスの提供です。(1)産業医・産業保健関係者への支援ということで、新たに3つの取組を行うこととしています。1つ目が、嘱託産業医の実践力を高めるための実地研修が行えるよう、カリキュラム、実施体制の見直しを図ることとして、例えば企業に赴いて実際の産業医活動を行うなど、より実践的な研修等に取り組むという計画としています。また、産業医や保健師が対応に苦慮する事案等に接した際に、アドバイザー産業医が専門的な相談に応じられるよう、体制を早急に整備、効果的に運用すること。3つ目として、保健師等の産業保健関係者の活動に対するサポート体制の整備を図ることを新たに盛り込んで行うこととしています。
次は(2)事業場における産業保健活動の支援ですが、最初ですが、専門的研修等の実施回数を5,300回以上という目標を設定しています。また、2つ目ですが、産業保健総合支援センター及び地域窓口における専門的相談件数、こちらについては、中期目標におきまして122,600件ということで設定しています。機構が実施することとしては、限られた予算と人員の中で支援すべき事項について優先順位を付ける等、取組の重点化、効率化を進めること、産業保健に知見のある登録保健師の拡充にも取り組むことを新たに計画として盛り込んでいます。また、1番最後の○ですが、小規模事業場を対象とした産業保健関係助成金の充実に向け、現場のニーズを踏まえた事業案を検討することとしています。
10ページ、(4)産業保健総合支援センター事業の利用促進ですが、こちらは新たに利用者アンケートに加えて、利用実績のない事業者等のニーズを把握するということで、地域の事業者団体等に対するヒアリングやアンケート調査等を新たに実施するということにしています。(5)研修内容方式又は相談対応等の評価は、事業場における産業保健活動への把握ですが、中期目標を受けて、相談利用者からの産業保健に関する職務や労働者の健康管理に関する職務を行う上で有益であった旨の評価を80%以上確保すること、研修、相談又は指導を行った産業保健関係者や事業者等に対してアウトカム調査を実施し、有効回答のうち70%以上につき、具体的な改善が見られるようにするという目標を設定しているところです。
11ページ。(6)治療と仕事の両立支援の推進です。機構が実施する取組の最初にありますが、まず対象疾病の拡大を図っていくということで目標を踏まえて設定しています。また、3つ目の○ですが、医療機関向けマニュアルについて、新たに収集した事例等の分析・評価を行い、更新・充実させ、労災指定医療機関等及び事業場に普及することを新たに盛り込んでいます。
下の(3)治療と仕事の両立支援を推進するための人材の育成ですが、こちらについても新たに両立支援コーディネーターの養成のための基礎研修を着実に実施するとともに、事例の共有化を図るなど、さらなる能力向上を図るための応用研修を実施すること及び研修の受講終了者がどのような実践を行っているか等について、広範囲に追跡し、両立支援コーディネーター養成制度の在り方について検討することを新たに盛り込んでいます。
12ページ。重度被災労働者の職業・社会復帰の促進等ということで、先ほどお話にもありましたが、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センターを運営しているところですが、どちらの施設についても数値目標としては医学的に職場・自宅復帰可能である退院患者の割合をそれぞれ80%以上確保するとしていて、新たな取組としては治療開始から職場復帰までの事例収集・分析、継続的な支援方法等に関する研究の推進と成果の普及に取り組むということを取り入れています。また、自立支援機器の研究開発の実施・普及についてもしっかりと明記して、新たにしっかり取り組む計画です。
13ページ。こちらからは、労働者の福祉に係る業務として取り組むべき事項です。1番、未払賃金の立替払業務の着実な実施ですが、こちらは説明にもあったように、中期目標において、受付け日から支払い日までの期間については現在の25日から20日ということで、5日間短縮した目標が示されていますので、それを踏まえた目標設定としていまして、引き続き、現在行っている有効な取組を行って、この目標を達成していきたいと考えています。また、納骨堂の運営業務についても、現在しっかり対応させていただいていますし、評価についても高い評価を受けておりますので、同様の目標設定をさせていただきたいと思います。
14ページ。第2、業務運営の効率化に関する目標を達成するために取るべき措置です。1番が業務の合理化・効率化ですが、こちらについては、新たに中期目標に示された内容を受けて、業務の効率化等に向けた取り組みを実施し、職員の長時間労働の抑制や年次有給休暇取得促進等を図り、機構における働き方改革の取り組みを推進するということを明記させていただいています。また、2つ目ですが、機動的かつ効率的な業務運営としては、協働研究の相乗効果を最大限発揮するため、引き続き効率的、効果的な業務運営に取り組むこととしています。
次に、3番目、業務運営の効率化にともなう経費節減等です。(1)業務運営の効率化にともなう経費節減等ですが、こちらについては目標を踏まえて一般管理費については15%の額、事業費については5%の額をそれぞれ削減ということで設定させていただいています。また、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営費交付金割合についても、前中期目標期間の実績を超えないものとするということで設定させていただいています。
16ページ。3番目の労災病院の経営改善ですが、(3)医業収入の安定的な確保ということで、新たな中期目標案において、病院施設の効率的な稼動による病院収入の安定的確保ということが盛り込まれたことを受け、病院施設を効率的に稼動させ、病床利用率を全国平均以上とし、病院収入の安定的な確保に努めるということで設定させていただいています。また、このために安定的な病院経営を図るため、医療サービスの質の向上や所在する医療圏の地域医療構想、人口動態等を踏まえた適切な医療機能の検討を行うとともに、地域包括ケアシステムの構築における各労災病院の取組を推進し、新入院患者の確保に努めるということで取り組んでまいります。
19ページ。第9として、その他業務運営に関する重要事項です。1、人事に関する事項で、(3)医療従事者の確保です。こちらについては、現中期と同様に、看護師国家試験合格率を全国平均以上にすることを指標として定めていますが、その他に看護師の育成に当たっては、特定行為を行う看護師の育成についても、新たに取り組むことで記載をしています。
20ページ。人事に関する事項の(4)です。産業保健総合支援センターに従事する職員の育成ということで、事業者、産業保健関係者への適切な助言指導や相談対応を行なう産業保健総合支援センター職員の育成が重要であるということで、職員の能力向上に向けた研修計画を定め、計画的に研修を開催するということです。
2番として、労働安全衛生融資貸付債権の管理、先ほどもこれについて御説明がありましたが、こちらについても貸付事業所の状況を見て、適切な債権管理を行うこととしています。
最後になりますが、22、23ページについて、次期中期目標期間における機構の社会において果たすべき役割について、イメージ資料として添付しています。こちらについては、全国的に展開している多様な施設を有機的に連携することにより、働く人の様々なステージにおける支援をイメージ図として表わしたものなので、御参照いただければと思っています。第4期の中期目標案に定められた取組を含めて、これら働くことを通じた自己実現支援に向けての取組が機構としての社会的な使命だということで、引き続き尽力してまいりたいと考えています。中期計画(案)に係る説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
ありがとうございます。それでは、ただいま御説明がございました次期中期目標(案)と次期中期計画(案)について御意見、御質問等をお願いいたします。よろしくお願いします。
 
○宮崎構成員
御説明、ありがとうございました。主に資料2-2の中期計画に基づいて幾つか、コメントというか、意見、要望を含めていろいろ、私なりに思うところをお伝えしたいと思います。
まず、資料2-2の2ページの基盤的研究の所です。私、正直言って専門外ではあるのですが、日頃、法人に勤務している労働者という立場から、産業構造の変化など、サービス業が増えていると思いますので、個人的にも非常に長時間、パソコンを使って仕事をするものですから、スマートフォンとかパソコンとか、いろいろなもの、LEDとか、目に与える影響とか、いろいろなところ、既に起きた疾患に関しての対策というよりは予防的見地からも、どういう影響があるのかということなどを、先手を打つような形で何か、いろいろ取り組んでいただければという、これは個人的な期待です。それが2ページです。
続いて12ページから13ページですが、12ページの(3)メンタルヘルス対策推進という所です。これは、メンタルヘルスの診断などが義務化されてストレスチェックをやっていると思うのですが、いろいろなお話を聞いていると、この診断をやることは企業が義務化されてやっているのですが、出た結果をどう分析して活用していいかということが個人情報の秘匿などの関係もあって、全体としての分布が分かるのだけれども、これをどう活用していいのかというところが、正直、悩ましいという声をよく聞いています。ですから質問の設定の仕方を、その活用をどうするかという対策につなげることの出口を見据えながら、どういったことを聞けばいいかとか、出た結果をどう活用したらいいかというところも少し意識していただいたものを何か工夫していただければというのが、よく聞いている話でございますので、御検討いただければと思います。
それから13ページから14ページの治療と仕事の両立支援ですが、これはこれで、是非、推進をお願いしたいと思っているところなのですが、この計画を見ていますと、具体的な傷病疾患の患者さんの層のどの辺りを意識されているのかというのが、正直、余り見えていないという印象がありまして、もう少しアウトカムという成果を意識して、例えば1つですが、成人病の患者さんがどの程度いるのかとか、がんの患者さんで、どの程度勤務していない方がいるのかという母集団がどうなっているかということをまず、できるかどうかは別ですけれども把握していただいた上で、その方々がどの程度職場復帰できる目標になるのかという、その成果を意識した上で、どの辺にニーズがあるのかというところも少し踏まえて重点化なり減り張りというのを検討いただくと、より良いのではないかと思っています。その内容によっては、テレワークとか在宅勤務とか、いろいろなやり方、ICTも進んでいますので、正直、通勤、往復する時間が負担だという方も結構いるものですからそういう働き方、それから労働法制とか、JILPTとの連携なども含めて、労働法制なども絡む感じですけれども、家でなら勤務できるとか、そんなこともあるのではないかと思っています。政府の言っている働き方改革の就労できる環境の促進ということで書いていらっしゃるところは、センターとか、コーディネーターとか、体制を整備するということなのですが、体制を整備した結果、どの程度就労できる人が増えるのかというところに、体制だけが充実しても、結果としてうまくアウトカムが出ないということにならないように、その出口を意識したところをもう少し重点化を検討いただけると、より良いかなと思っています。
続いて、17ページの経費節減です。正直、これは恐らく一律なのだとは理解しているのですが、管理費が年3%、業務費が年1%削減という、5年間目標に交付金がなっているのは、どこもそうなのかもしれませんが、第4期まできて管理費を毎年3%で15%削減、これを3回、4回とやって管理費がほぼ半減みたいな形になっているかと思います。正直、これ以上、管理費を半分以下に削ってきちんとした業務ができるのかという懸念がございますので、この辺は、その代わりに競争資金とか外部資金の間接費を取るとか、自己収入で必要なものはここまで当てられるとか、何か合わせた工夫をする必要があるのかなと思っているのですが、その辺りを合わせて御検討いただければと思います。
一人でしゃべって恐縮ですが、最後に19ページ、これで最後ですが労災病院の経営改善です。書いていただいている目標が労災病院の稼働率を全国平均以上とするということですが、これは地域性とかエリアの分布特性もあって、労災病院は全国的にあるとは思うのですが、バックデータとしてこの平均と過去の、例えば第3期の労災病院の稼働率などを対比された上で、そもそも、首都圏とか都心にたくさん集中している状況から人口平均を出すと、もともとのスタートの発射台で既に大分乖離があるということだと、立てていらっしゃるのは結構なのですが達成が難しいという可能性も想定されるものですから、ある程度その辺りを意識された上でこの目標にされているのかというところはちょっと確認したいと、場合によっては前中期平均の労災病院の稼働率を上回るとか、違う目標の設定の仕方もあるのかなとは思いますので、その点だけは御検討いただければと思います。以上です。
 
○今村主査
どうもありがとうございます。詳細にわたり、ありがとうございます。それではお願いいたします、どちらからでも。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
いろいろの御質問、応援の御意見、ありがとうございました。私の担当がどこまで及んでいるかということも1つの問題です。まず、私が答えられるものを。5つほど頂きましたが、まず、私は、御指摘くださったストレスチェックと両立支援のことに関しまして話させていただきます。
ストレスチェックは、現在、構成員がおっしゃるとおり、ストレスチェックをしました、あなたは高ストレスですといったときに産業医が面談をするわけですね。その面談を、では、あなたはそんな高値だったら上司に伝えると言われたときに、その高値を、いや、伝えられたら困るというのが会社で起こっているのが現実です。そのときに産業医がいかに対応してその人を良くするか。かといって、直接、上司に伝えたら本人は困る、特に中小企業はそれでクビを切られることがありますから。ということで既に私どもはホームページに、そのようなことにおいて産業医がいかにしてストレスチェックの結果をもって個人の面談をしてそれをどう会社に伝えるか、つまり、その個人をどう助けるかを個人情報を守りながらするというハウトゥーを掲示しております。例えば、個人のことを上司に、あなた、こんなことを言われているから、この人の高値のケアをしなさいと言ったら、それはアウトです、恐らく。ただ、産業医がいろいろな高ストレス患者さんをたくさん面談すると、ある程度その職場の、なぜこういうストレスが増えているのかが見えてくるのです。そうするとその産業医は、個人の情報を伏せてその会社に、あなたの所の会社はこのストレスチェックの全体像のデータとしてこういうことがあるので職場改善をしてくださいということを伝えると、その職場の個人の情報を守りながら職場が労働者にとって、より良くなるというのが本来のストレスチェックの在り方なのです、職場環境の改善に努める。それを私どもは既にやってはおりますが今おっしゃってくださったストレスチェックは、個人情報を守りながら、やはり最終目標はその職場がより良くなるということをやっていきたいと思っております。いわゆる集団分析というのはそれをいうのですが、その研修も、今後、発揮できるように次期中期で行っております。それが1つ目です。よろしいでしょうか。
 
○宮崎構成員
はい。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
2つ目、両立支援です。これはもともと、我々が平成21、22年から研究を始めて、それがそのままこの2年来、国の制度になったものでして、いわゆるトライアングル型サポートと。おっしゃるとおりで、体制の充実だけで、あと、結果がどうなのかということと、今、患者さんがどのぐらいいて、どのぐらいのニーズがあるのかということですが、国の計画になったのが昨年ですので、そこから我々がオープン化してそういう体制を労災病院以外の全国の拠点病院や事業に広げておりますので、それの体制の充実は、今後、まだ必要なところではあります。ただ、今の構成員の具体的な、がん、脳卒中ですと、例えば、今、ナショナル・データベースで日本人が毎年、どのぐらいに発症するかというのは、ようやく今年から発表されるようになりました。そして、これまでの経験では、がん患者さんの就労状況につきましてはある程度分かっていまして、がんに罹かった方が、そのがんを理由に辞められる方は半数弱いらっしゃる。その理由が、やはりがんに罹かったことであって、それはもちろん、がんで会社に迷惑を掛けるとか、いろいろなことで分かっております。そして辞められる方も、やはりその4割ぐらいが、つまり、がんを告知されてから治療が始まるまでに辞めてしまっているということも分かっております。これはこれまでにある程度分かっていますので、そういうことをどう持っていくか、アウトカムですが、さすがにまだこれは、我々も年間、数百例以上のそういう個人の支援を続けております。この体制が充実して、労災病院、我々の機構以外の、日本隅々までに毛細血管のように両立支援の体制が充実した場合には、初めてそのアウトカムとして日本のがん、脳卒中の罹患者が、辞めなくてもいい仕事を続けられるという支援は、どれだけのアウトカムというのは国として目指さなければいけませんし、我々はそのお手伝いをしていきたいし、それはフロントランナーになっていきたいと思いますが、今すぐアウトカムを設定すべきと言われても、そこは、体制の充実がまずあってのアウトカムで、どのくらいのニーズがあるかというのは把握していますし、コーディネーター研修に関しましても、やはり常にニーズがあって全国展開をしておりますし、次期中期も全国展開で全国で行っていきますので、そこで更なるニーズを把握していきたいと思っております。取りあえずこの程度でよろしいでしょうか。
 
○宮崎構成員
ありがとうございます。今日、アウトカムを設定してくださいということは無理だというか、そう簡単なことだとは思っていませんので。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
もちろんそうです。
 
○宮崎構成員
そちらはそういうことで構わないと思っているのですが、先ほど、先生方が、在宅勤務とかICTとか、いろいろなやり方で働ける可能性がある人も増えますと。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
それはおっしゃるとおりです。そこは、特に事業所においてどのようなことに配慮していただければ仕事を続けていけるか。先ほど構成員がおっしゃっていたように、確かに、朝、混雑している電車で通勤するというのはがん患者さん、例えば人工肛門を造っている人とか脳卒中の方には辛いですよね。ですから、やはりそれは、フレックスタイム制にするとか、おっしゃってくださったように在宅のテレワークにするとか、そういうことは当然考慮してくださいということを事業所に、又はそれを、そういうことだけは主治医としては病院から事業所に、こういうテレワークやフレックスタイムでは働けますというアドバイスを持って、事業所がそういう対応をしていただくようにというのは両立支援の根本ですので、そこは、構成員のおっしゃってくださったように4月以降も努めてまいります。ありがとうございます。
 
○労働者健康安全機構理事(木口)
1問目の研究の内容について御質問に対して答えます。研究テーマ3番、就業構造の変化で働き方の多様化に対応した対策の推進に関する研究ですが、この項目で今、意識しておりますのは、先生御指摘のとおり、第3次産業の就労者が増えて労働災害が増えていること、それから、高年齢労働者が増えていることを念頭に置いたものです。労働安全衛生総合研究所は、いわゆるVDT作業というものが職場に出てきた頃から目への影響、それから筋・骨格への影響などに関する研究などもやっておりますので、今後、また本日のタブレットのように、いろいろ新しい機器も出ているところです。そういうことに関連して、労働者の健康上、どのような影響が出ているかということにつきましても念頭において研究の設定等を進めてまいりたいと思います。
 
○労働者健康安全機構理事(木暮)
業務の効率化の関係です。法人の立場としては、効率化系数、いろいろな事情に、一律に掛かっている部分もありますので、なかなか返答は難しいところではありますが、確かに頂いている御意見で、外部資金の活用といった工夫とか、そういうことはやっていかなければならないと思いますので、特に研究部門は努力の余地があると考えております。
 
○今村主査
それ以外にお答えになる方は。
 
○労働者健康安全機構理事(猿田)
病院の病床利用率の件についてお答えさせていただきたいと思っております。皆さん御案内のとおり、各病気の治療期間が年々短くなっていることは御存じのとおりです。昔は、糖尿病だと大体、3週間から4週間入院していたところもあって、インスリンの量を決めて退院させていたというのが2週間から3週間ぐらいになってしまっている。そうすると、昔、例えば病床利用率が80%だったものもそうやって短くなってくると、50%を下回って短くなっていく。最近の傾向では、昔、80%だったものが、大体、年1%弱ぐらいで年々短くなってきております。病床利用率は、最近の全国平均だと75%程度まで低くなってきている、入院期間が短くなると、当然、ベッドにいる患者さんもトータルの中で減ってきますので。今は75%まで減ってきている。今後とも医療費の伸び、今、大体、年間40兆円ぐらい掛かっているのですがこれを年間、従前ですと、年に1兆円ずつ上がってきているのですが、これを抑えていきましょうというようなことで、最近、大体、5,000億円ぐらいに下げている。下げるためには更に在院日数を短くして、結果的にどうなるかというと、病床利用率は下がってきている。今後とも下がってくるのです。なので、目標の設定として過去5年とかにすると、全体の平均も世の中の、日本には大体、8,400数十ぐらいの病院があるのですけれども、全ての病院は病床利用率が下がってきていますし、在院日数が短くなってきますので、過去のものを実績からして頑張っていきましょうというようにすると、公正、公平ではないというか、適切なデータではないというようなことが1つと。
あと、在地にこだわるのですけれども、労災病院の地域を見ていただくと県庁所在地に余りないのですよね、どちらかというと地方に多いということで。そういうことを考えると、公平、公正で、全体的にフィックスした平均値というか、トレンドではないということを考えると、毎年毎年、厚生労働省で病院報告といって、全体の病床利用率とかはどうですかというのを取っているのですけれども、そこよりも平均を超えて取っていくということが正しい評価のデータであると。これは実は、原案は過去5年の実績を踏まえてというようにしていたのですけれども、これからの5年を考えると、それでは公平、公正、科学的ではないということで、これは実は私から提案させていただいたのですけれども、全体の平均以上といたしましょうというような形に変えさせていただきました。同様に、例えばほかの指標として国家試験の合格率があるのですけれども、そういうものも毎年毎年違うので、何パーセントとかというようにすると、そこは公平、公正ではないし、適切でもないということで、試験の毎年変動するようなものというか、毎年、これからも明らかに変わることが想定されているものについて、過去の実績を基本に目標を設定するのはいかがなものかということで、一番正確なデータということで厚生労働省の病院報告、これは細かいデータを毎月取っているのです。年度をまとめたデータというのも出てくるのですけれども、そこは直近データを使わせていただいて、いつもそれを超えるように頑張っていきましょうというようなことが適切なデータになると思います。そういう形で御提案させていただいたということです。以上です。
 
○今村主査
ありがとうございます。宮崎構成員、それでよろしいでしょうか。
 
○宮崎構成員
承知しました。ありがとうございます。
 
○志藤構成員
今ほどの両立支援について、11月29日の評価委員会からの意見、タブレットで拝見させていただいたものなどを拝見しましても、どうも産業保健総合支援センターというのが今後のいろいろな活動の肝になっていくのかなというように拝見させていただいておりましたし、働き方改革なども含めて両立支援というのは、先ほどからお話に出ておりますように、やはり病気にかかったとしても働き続けたいという気持ちを支えるという意味でとても大事なことだと思うのですが、私の勉強不足で申し訳ないのですけれども、仕組みについてもう少し教えていただけると有難いと思っております。
頂いた資料を拝見しますと、産業保健総合支援センターというのは全国の都道府県に配置されていると、それから、治療就労両立支援センターもその中に含まれているのかどうか、それは別個にあるものなのかどうか。それから、両立支援コーディネーターという方の存在も貴重なように書かれておりますが、この方々はどこに属しておられるのか、お話の中ではどうも各病院などにおられるのかなという気もするのですが、そういう方々の資格とか、あるいは、どういったお仕事をなさっているのか、そして、その方々が今、実数としてどのぐらいおられるのか、全国の地域にばらつきがあるのかないのか、そして、その方々の養成もどうも産業保健総合支援センターのお仕事になっていくような感じですけれども、それはどのぐらいの数を目指して、どんなカリキュラムで、どんなことを考えておられるのか、非常に細かなことにもなってしまうかもしれませんが、昨年、私、そのがんセンターに行った帰りにこの会議に参加してあのポスターを見て非常に感動して、これからはこういう時代なんだなと思ったものですからこの問題に関してはちょっと関心がありますもので、細かなことになってしまうかもしれませんが、お知らせいただけると有難いと思います。お願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
ありがとうございます。産業保健担当で答えさせていただきます。
まず両立支援は、もともと、2年前までは、この機構を労福機構と言った頃に労災病院が行っていたことなのです。労災病院の中の社会福祉士や看護師が両立支援コーディネーターと言って、もちろん病院の方ですからその人の医療情報とか医療的に困っていることは把握できるのですが、では、病院にいる看護師やMSW(Medical Social Worker)がその人の仕事場のことは知らないよねということで、その仕事のことをサポート、病気でも仕事を続けたいというときには、どういうことを仕事場で配慮してもらえばいいのかとか、どんな仕事だとどういうことの作業負荷があって、今の病気はどう工夫して治療をしたら仕事が続けられるかというのは、病院の職員には分からなかったのです。ですから、労災病院のMSWや看護師又は、もちろん医師も含めて労働者側、例えば事業所には安全配慮義務がありますよとか、労働者はこういう契約で労働しているからとか、年休はどのぐらい取れて、それがどういう、1日単位でしか取れないのか、1時間単位で取れてその時間を利用して病院に受診できるのかとか、先ほどおっしゃってくださったフレックスタイム制とかの導入というものを全く分からなかったので、それは医療者が知った上で患者さんの悩みを受け付けて、では、この病気で、職場にはこういう制度があるはずだから、コーディネーターというのは患者をサポートして、患者が職場にこういう相談をしたら治療も続けられるのではないかということを労災病院でやっておりました。それが患者を中心に労災病院と事業所が続けるトライアングルのサポート体制ということで、コーディネーターはもともとは病院におりましたが、患者に寄り添って事業所の情報も集めて、こういうことをしたら、事業所とまた相談したらとか、主治医に、事業所ではこうしたらいいみたいですよというのをサポートしながらやっているのが両立支援コーディネートでした。ただ、これがそのまま国の、初めは2017年それから作りかえて、2018年度から国の方針となりました。ですので我々は、そこで初めてコーディネーターを全国、つまり、機構の職員にかかわらず、全国の病院、特に初めはがん拠点病院、大きな病院等で育てるようになりました。
何人いるかという質問ですが、国の働き方改革実現会議の目標は、2020年までに全国2,000人のコーディネーターを養成するというのが国の目標です。そのコーディネーターの養成は我々労働者健康安全機構が行うというのが国の通達で決まっていますし、カリキュラムは申し上げたように、どういう病気にはどういう配慮が必要かという医療側の情報のこと、そして事業所側の、いわゆる安衛法のこととか安全配慮義務、労働法規、産業保健のこと、両方のカリキュラム、1日で朝9時から5時までのカリキュラムにしています。これは国の通達で既に決まっています。カリキュラム案は我々の機構の中で委員会を作って問題を厚労省に上げて、最終的に決まったものですが。それで現在は、ですから病院では労災病院以外も全て、どことでもどうぞ、ウェルカム。そして、病院だけに限らず、事業所の方の産業保健師又は産業看護師さんだけでなく労務管理担当者、一般の方々、つまり、企業側のそういう労務管理担当者の方も受け入れるようにして、コーディネートするマインドを知っていただく研修をしております。既に2,000人は超えていて、現在、2,000数百人、とっくに2020年の目標に到達して、現時点において全国で2,000人以上を養成しております。これは来年度も再来年度も続けていきます。どのぐらい養成するのかと言えば、来年度の育成は、全国27か所で1回に50人から100人ぐらいの受講者を対象として、来年度はそういう予定で全国展開をしております。
次に、産業保健総合支援センターも大切だよねということですよね。おっしゃるとおりです。両立支援センターは労災病院の中にあるのです。ですから労災病院が労災病院の患者、あるいはそのほかの患者のそういう両立支援のサポートをしてきたものなのです。ただ、それだけではなく、今後は、労災病院以外の各病院ではそういう、両立支援と相談の部門を設けているはずです、診療報酬が付きましたので。ただ、産保センターにおいては、そういう両立支援のことをまだ分かっていない事業場やコーディネーターがいない事業場や病院の方々に対しては、産保センターにも両立支援コーディネーターの資格を持つ両立支援促進員がおりますので、その人たちが実際に両立支援コーディネートをしてあげますよということで、産業保健総合支援センターは全国各地でそれをやっております。プラス、各事業所に関して、両立支援という制度があります、コーディネーター研修を受けてください、そして両立支援というのは企業で、大、中、小を問わず全事業所でやってくださいというマインドを啓発することも、両立支援促進員がやっております。というのが現状です。雑駁ですが、よろしいでしょうか。
 
○今村主査
大丈夫ですか。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
最後の我々の目標の「働くことの自己実現に向け」という一番最後のページの真ん中の両立支援のそういうこと書いておりまして、このページでの自己支援サポート体制につきましてこの図でまとめております。これが具体的返答です。
 
○志藤構成員
私も今、これを拝見させていただいているのですが、すみません、産業保健総合支援センターを略称「産保センター」とお呼びになっているのでしょうか。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
すみません、産業保健総合支援センターです。
 
○志藤構成員
これは全国47都道府県の県庁所在地にあって、どのぐらいの人数の方がここで働いておられるのですか。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
残念ながら、この10年間、政治の波にもまれてきましていろいろございました、席に着く前の話ですが。現在は、各所長、副所長、そして、そこに常にいらっしゃる方は事務方など5名ぐらい。プラス、今年から全産保センターに保健師さんを配置しました、大体5、6名でやっております。それがそこにいらっしゃる方ですが、プラス、社労士さんや産業カウンセラーさんに両立支援促進員、メンタル促進員、産業保健相談員といった各大学の産業保健とか公衆衛生担当の先生方に委嘱しております。そういう方を含めると、常に勤めているのは5、6人、プラス、その地域のことをされている職種の方が20人から30人ぐらい、プラス、医師会の力を得まして各都道府県の、労働監督署の地域に郡・市・区の医師会があります、例えば、東京都の産保センターが1個ドーンとあるのですが、その下に各地域窓口という地域産業保健センターというのを産業保健総合支援センターがまとめて、そこにも登録産業医や登録保健師がいますのでそれを合わせると、実働部隊は割といますということを御理解いただきたい。ただ、十分ではないですが、今後、またもっともっと増やしたいところですが、そういう活動をしております。よろしいでしょうか。
 
○志藤構成員
ありがとうございました。とても大事なことなので、やはりシステムがきちんとしていないと、思いだけではというところがあろうかと思いますので。システム作りの、もちろん政治の中でいろいろカットされる部分はあるかと思いますけれども、きちんとしたシステムが目に見える形で私たちに伝わってくるということも大切かなと思いましたので、とても細かなことですけれども伺わせていただきました。
それから、地区の医師会との連携はやはりまたとても大事なことだと思いますので、啓発という意味では、ある意味でお医者さんが分かっていない部分があると思うので、もうとても無理だよとか勝手に思ってしまわれる方も多いと思うので、その辺りの啓発とか広報も、医師会を通じてということはとても大事だと思いながら伺っておりました。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
ありがとうございます。現在の日本医師会の産業保健担当の理事の方とも密接に、また、医師会は各都道府県の産業保健担当の理事と強い連携を持って密接にやっていっていますし、今後ともやっていきたいと思います。ありがとうございます。
 
○中村構成員
中期計画そのものについて、少しコメントと質問をさせてもらいます。中期目標に対して中期計画を作られたわけですが、中期目標の中では、単に目標を羅列しているわけではなくて、これは重要ですとか、これは難しいんだよということを、わざわざ書いてくれているわけですよね。それに対して、こちらの中期計画を見ますと、それに対応した書きぶりに若干なっていないのではないかなという気がします。
ただ、この計画そのものについては、機構が実施する取組ということを書いてくれたのは、非常に分かりやすくて有り難いと。また、これこそが目標に対する計画になるのではないかと思っているのですが、せっかくそういう体裁で書いてくれながら、中身そのものを見ますと、目標の中をこちらに持ってきているというものが多くて、政策的なところがなかなか読み取れないというのが、ちょっと残念に思いました。
例えば1-2ですが、10ページの所で、研修内容方式又は相談うんぬんとか、機構が実施する取組はあるのですが、これは正に重要度が高くて、難易度高であるというコメントが書いてあるわけです。目標ですと9ページになりますが、しかも重要度の高さ、難易度の高さ、わざわざここまで書いてあるのですが、それに対してやることを見ますと、何をやろうとしているのかというと、アンケートを実施し、事業の更なる向上を図ると。本当に重要であるのだったら、あるいは難しいのだったら、それなりの工夫があっていいと思うのですが、それが読み取れない。ほかのものと全く同じような形になっている。
では、そこばかりかというとそうではなくて、11ページの所に、治療と仕事の両立支援を推進するための人材の育成というのがあります。これも、こちらでいいますと10ページになるわけですが、ここでもやはり重要度が高い、難易度が高いと言っていて、しかもここはどういうものが要求されるので、ここは難しいんだということを言っているのですが、それに対する計画というのは若干乖離していると。
せっかくこういった目標、計画なのだから、全てのものをやる必要があるかどうかは別として、やはり目標が高い、重要度が高い、難易度が高いといったものに対しては、それなりの対応が望まれるのではないかと。これは単なる説明資料だからというものかと思って、2-1、2-2をよく見たのですが、やはり2-1は同じように大事ですよということが書いてあるのですが、2-2を見ますと、概要と同じような内容に終始しておりまして、難しさに対応したもの、あるいはやるぞという意気込み、ここら辺が欠けるというのが残念な気がします。
では、全てにわたってそうなのかというと、そういうことはなくて、例えば19ページに労災病院の経営改善というのがあります。ここの中身を見ますと、やはり真剣に分析して、それなりに対応を取ろうというものが読み取れる。これは単なる目標を、こちらに移しているだけではなくて、これは高く評価したいと思うのですが、そこら辺のコメントであって質問ではないのですが、私のそういった感想に対する声が聞ければ有り難いと思います。いかがでしょうか。
 
○労働者健康安全機構総務部長
構成員が御指摘のとおり、重要度、困難度が設定されていて、その上で目標が設定されている。それを踏まえて、中期計画を私どもが作成するということは、そのとおりです。いろいろ厚生労働省とも話合いをさせていただきながら、作成をしてきたところではあるのですが、確かに目標とほとんど変わらないとか、それぞれ濃淡があるはずなのに、同じような形でどうかという御指摘は、それは本当に御指摘のとおりかと思います。
ただ、どういう形で目標の内容と計画の内容をブレイクダウンするなり、何か入れていくのか。重要度や困難度の説明は、基本的には目標のほうに設定されるということで、セットで運用していくものでもあると考えておりますので、今日、正にこの有識者会議はそういうことも含めて、私どもの計画に対して御意見を頂く場だと考えておりますので、今の御指摘を踏まえて、担当の厚生労働省とも話し合いながら、工夫ができないか検討させていただければと思います。
 
○中村構成員
運用の中で是非、配慮していただければ有り難いと思います。お願いします。
 
○今村主査
1点、よろしいですか。例えばアンケートだけで評価をするとか、そういうことを言っていても、中村構成員からそれだけで十分なのかという質問があった。つまり我々の関心は、これから各年で評価に関するコメントをしなければいけないのですが、そのときにどういう基準でコメントをしたらいいかというときに、アンケートで80%有益であったからそれでいいねと言われても、何とも答えようがないのですが、もう少しそこを、我々が判断する材料を提供してくれるかどうかという、そういう関心かと思いますが、いかがでしょうか。
 
○労働者健康安全機構総務部長
当然、評価についてはいろいろな角度から御意見を頂いていて、総務省からの御意見も頂いて、まず国の目標が設定されているものと考えています。アンケート調査についても、アンケート調査だけで何かを行うということではなくて、やはり評価については、おっしゃるとおり多角的に材料を提供するということがあって、先ほど事業者団体に対してヒアリングを行うとか、国から明確にこれをやるべきだということは目標で示されて、私どもも計画に明記をしていることですが、これまでもいろいろな形で御意見を頂いておりますので、そこは先ほどお話がありましたように、運用の中でできるように努めていきたいと思います。
 
○今村主査
できるだけ評価に当たっては、そういう具体的な判断材料を提供していただけるということですね。いかがでしょうか。
 
○髙田構成員
研究部門のことで伺いたいのですが、プロジェクト研究、協働研究、基盤研究、行政要請研究というように分けて、政策的な活動を評価していこうという狙いは、よく理解できました。ただ、研究員の意欲とか、これまで積み重ねてきた、この分野における実績とか、そういうことからすると、ちょっと研究者には物足りないところがあるのかなと思ったりもするのですが、そういう研究のインセンティブと言いましょうか。そういうものには、どのように配慮されているのでしょうか。
 
○労働者健康安全機構理事(木口)
今回の中期目標におきましては、労働衛生安全施策の企画・立案に貢献するということで明記されておりますので、これまで以上に厚生労働省の政策担当との意見交換を密にして、実際に現場でどのようなニーズがあるかといったことを、着実に把握した上で研究に結び付けて、施策に反映されるような研究に結び付けていくような、そういった行政との連携をこれまで以上に密にしていくということで、既存の研究の成果が施策に反映されたという形で残していけるようにしたいと思っています。
 
○今村主査
皆さんがお考えになっているので、1つだけお伺いしたいのですが、参考資料の6ですか。独立行政法人評価制度委員会から昨年末、11月29日に出ている策定において要望事項が出て、2の1、2と書いてあります。これも当然、今回の目標や計画について関わってくると思うのですが、例えば1の中にはいろいろ書いてあります。AI、IoT等のデジタルテクノロジーと、それからもう1つ、やはり人材も含めてオープンイノベーションと書いてあるのです。これについてお伺いしたいのですが、例えば先ほど来議論になっているポンチ絵のほうの23ページ、これは計画のほうですね。それに志藤構成員からも質問があった、両立支援コーディネーターの位置付けということで、どうも少し具体的に分かってきたことは、もともとは労災病院にいる人たちが中心であると。なおかつ、それは一般の病院や産保センターにも配置して、普及を図っていくという、そういうイメージは分かってきたのです。
つまり、これは話題になっていますが、サンプルの一部なのですね。全数で普及しているということではなくて、産保センターとか、そういう機構の組織を通じて、常駐が5人ぐらいで、関係する人が20人とかいうところで、普及していくということになるから、どうやってオープンイノベーションを起こしていくのかなというところが、それではどのぐらい普及するかという成果を達成するためのパワーと言いますか、影響力というのは、必ずしも十分ではないのかなと思うのですが、その辺はどうお考えでしょうか。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
ありがとうございます、追加説明させていただきます。両立支援のことで今おっしゃってくださった、もともとはうちの機構の労災病院、産保センターでしたが、今はコーディネーターや各病院に対して、医者に対しては専門医機構で両立支援というものは必修講習になりましたし、医学生については両立支援を教えなければいけないという文科省のカリキュラムになっています。
産業保健分野につきましても、そういうものを働き方改革のほうで推進せよということで事業者らに対してなっていますが、では、実際にはどうするかということですが、2つ考えています。まずはサンプルではなくて、先ほども説明申し上げましたが、次期中期計画においては両立支援のビッグデータベースを作るというのが、うちの機構の1つのミッションになっておりますので、そういう支援収集をどんどんデータベース化しまして、それをいかに解析していくかということは、当然そこではAIやいろいろなIoTが必要になってくると思いますが、それを目指していくことが1つ。
そして、労災病院だけのサンプルではなくて、コーディネーターは現在、既に2,000人以上配置していますが、労災病院の方はそのうちのほとんど数パーセントしかいません。全国に配備しています。今回、その方々のネットワークを作ります。つまりそれは、いわゆるIoT、又はインターネットを使ったネットワークを、各地域においてコーディネーターネットワークを作って、そのシステムの具現化を図ろうとしておりますので、今、主査がおっしゃってくださったように、そのときにおいては、地域、地域でのコーディネーターのネットワークを、それこそ事業所、病院、労災病院などはもう少ないですが、全地域に張り巡らせるネットワークを作って、それを最終的には全国のネットワークにして、隅々まで体制強化というものを、当然そこにはIoTが必要だと思います。
そしてもう1つ、これはまだ私の考え、頭の中だけですが、今後、AIとかそういうものが普及していきます。実際の研究としまして、病院の研究においても、既にそういうAIを用いた研究を、労災病院などの病院機能向上研究などでも始めておりますし、いろいろなAIを始めています。
労災病院、又は産保、両立支援をしているメンバーからは、先ほどほかの構成員からお話がありました、両立支援においては、その方が言っている言葉が、本当に何が言いたいのかというのは、非常に面接で掴むことが難しいのです。そこにおいては、例えば今AIにおいては、会社の上司と部下のインターネットのやり取りの文章をAIに解析させると、こいつは辞めるか続けるかというのがある程度の確率で分かるそうです。そういうことの応用で両立支援も、患者さんの悩み、職場の対応のことなども、そういういろいろな事例が多く集められれば、AIのディープラーニングにも使えると思いますので、いずれは主査がおっしゃってくださったようなそこまで持っていけたらという夢は持っていますが、まずはデータベースにおいて、いわゆるサンプルではなくて、全ての支援の事例の収集、データベース化と、そしてコーディネーターの全国ネットワーク化で具現化を図りたいと思っています。
 
○今村主査
今、理事がおっしゃった夢も含めての行程表というのは、機構の中で共有されているのでしょうか。つまり理事お一人の御意見なのか、機構の中でそういうことが合意形成されているのか。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
2-2の15ページ、人材の育成の所にそのようなことを記載しています。それの詳細なことをお話したのが、今のことです。
 
○今村主査
つまりIoTやAIなど、そういうデジタルテクノロジーに合わせて、よく言われているいろいろなルーチンワークを、AIやIoTが奪っていくということは、逆に今おっしゃったようにAIの中でディープラーニングやビッグデータ化をして、両立支援のデータベースというのは正にビッグデータになっていくわけですが、そういうデジタルな部分にどうやって人間が関わっていくかというと、やはり人間独自の感受性だとかクリエイティビティとか、そういうところを活用していくのだと思うのですが、ところがこの報告を見ていると、確かにコーディネーターはやるんだ、つながりが地域の中で広がっていくんだと、正に独立行政法人評価制度委員会にありますように、「人材を効果的に配置育成して、全国の病院や職場で両立支援が可能となることを目指し」と書いてあるのですが、つまり何が言いたいかというと、座学で9時5時までやりますとか、そういうことはおっしゃっているのですが、では、そのノウハウを持った人が限られた人員で、ICTなどを使ってやるとしても、ヒューマンスキルというか、要するに対人スキルですね。そういうものでちゃんと人を説得していけるのかどうか。例えば医師会とか、いろいろな違った組織にコミュニケーションしていくわけで、でも常駐は5人しかいない。本当にそういった目標が達成できるかというところが、いかにAI、ICTを使って、IoTも含めて、いろいろな言い方ができると思うのですが、そこのプランがどのぐらい出来ているかということが、ちょっと不安になるというか、ちょっと不明なのですが。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
今の15ページに書かれていると思うのですが、先ほどから申し上げているコーディネーター研修というのは、あくまで基礎研修です。それが2,000人を突破しているというところが、それを正に主査がおっしゃってくださったように、実際その人たちができるのかという問題があります。
ですから、我々はそういうネットワークを作りながら、実際にやっている方々のブラッシュアップ。現場でどういう問題があって、どういうことに対応しているかということについては、応用研修ということ。つまり既に基礎研修を受けて、職場や病院という現場で両立支援をやっている方々を集めて、さらにおっしゃってくださったようにスキルアップ、ブラッシュアップ研修というのを、応用研修を昨年から始めています。
ですから、このニーズはもっと増えてきますので、おっしゃるとおり1回やっただけではなくて、その方々が困ったことなどのブラッシュアップをするということも、応用研修でやっていきたいと思っています。
 
○今村主査
時間も大分限られてきたので1つだけ。つまりこれは機構独自で両立支援の全てが貫徹するとはとても思えないので、NPOも含めたり、民間の営利企業も含めたり、あるいはスタートアップのベンチャーとか、つまりスマホのアプリで全部自動診断できてしまうとか、いろいろなものが、そういう人たちとどう関連付けていって、オープンイノベーションを広げていくかというイメージが、どうしてもこれでは湧かないのですが。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
ここには具体的に書いていませんが、2点申し上げたいことがあります。まず民間とはどうかということです。ここで特定のことは申せないのですが、大きな日本の中小企業、事業団体、事業者が加盟している多分、外部団体という所が、非常に両立支援についての興味というか、やらなければいけないということは示してくださっています。多分、民間事業者の5割以上が加入しているような、とある民間の団体があります。民間というか、福祉奉仕団体ですかね。そこと組んで、そういう事業者への啓発と一緒にやっていきたいというのが1つ。
それから、今おっしゃってくださったようにスマホとか、そういうのはどうしているのかという、それこそ今は医療のほうで遠隔診療というのがありますが、では、これをどうするのかということで、現在、うちが労災疾病研究補助金などをもらって、両立支援に関する研究を行っています。ここにおいては、正に今おっしゃってくださったように、そういうアルゴリズムを作って、スマホでこういうのを訴えたら、こちらにこう持っていくべきだよねとか、そういう両立支援をやる方、又は両立支援を受ける方に対しての、サポートができるようなもののアルゴリズムを作ったり、又はそれを民間のベンチャー企業、又はほかの大学ともネットワークを組んで、そういう研究を既にスタートしておりますので、それは今日はここに書いていませんが、そういうことも既に始めておりますし、次期中期でそれが実装化というか、実際に使えればいいと願っているところです。
 
○今村主査
実は私、この間イスラエルに行ってきて、世耕大臣なども来たジャパン・イスラエル・イノベーション・ネットワークという所に行って、イスラエルは非常にスタートアップのベンチャーが進んでいて、その中でスマホアプリで全部診断できるという所もヒアリングしてきたのですが、ただ、そこまでが限界なのです。そこから先、本格的な医療とか、そういうところにつなげていくという技術の部分は、やはり大きな病院や企業にやらせなければいけない。そういう連携をどう付けるかというのも、恐らく機構のお仕事ではないかと思うのですが、先ほどの志藤構成員と全く同感なのですが、むしろこんなことを言ったら逆に怒られてしまうかもしれません。こういうフォーマットに従った評価の情報ではなくて、機構としてそういう行程表を作って、こんなすごいことをやっていますという、何かそういうマップといいますか、そういうのがあったほうが非常に説得力があるかなと思って。
 
○労働者健康安全機構理事(大西)
これは先ほど総務部長からありましたように、厚労省と話をしております。ただ、私も機構に来て、年に先生の下で評価を2回の6回ぐらい受けていますが、そこで見ていただきましたように、先生方に両立支援はS、協働研究はAという評価を頂いているとおり、ただ目標だけで独自にこういうことをやったというのを毎回提示させていただいて、評価をしていただいておりますので、今後それは私、両立支援担当、又は研究担当としても、今後とも変わらない姿勢だと思いますので、そう御理解いただければと思います。
 
○今村主査
よろしくお願いします。今日の構成員の話を総合すると、もう少し説得力のある資料を示していただいて、我々の評価の参考にさせていただければと、是非よろしくお願いします。いかがでしょうか。特に御意見がなければ、これでよろしいでしょうか。それでは、まず所管課からですね。コメントをお願いします。
 
○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室長
安全衛生部計画課です。本日は様々な角度からの意見、助言、質問を頂戴しまして、誠にありがとうございました。我々としましては、本日のこの場での議論を踏まえまして、また、今求められております、働く人の健康と安全の確保、取り分け働き方改革の実現ということになるかと思うのですが、その実現に向けた重要な役割を担うというのは、やはり労働者健康安全機構だと認識しておりまして、労働者、企業、医療機関、広くは国民全体から信頼の置ける、そういった支援が提供できるという中期目標、中期計画というのを、年度末にかけて機構と行政が連携して、取り組んでいきたいと考えています。
今日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして、非常に忌憚ない意見を頂いていることを踏まえて、修正等の対応をしていきたいと思っています。本日は本当にありがとうございました。
 
○今村主査
それでは、法人からお願いします。
 
○労働者健康安全機構理事長
本日は構成員の方々に、労働者健康安全機構の中期目標、同計画に対して大変有意義な御意見を賜りましたことについて、まずは御礼申し上げます。誠にありがとうございました。この機構は労働者健康福祉機構と労働安全衛生総合研究所が、平成28年に一緒になって発足して3年目になります。そのときにバイオアッセイ研究センターや、それに先立って先ほど御質問がありましたところの、都道府県にあります産業保健総合支援センター、並びにその傘下にあります地域窓口といった社会の仕組みも一緒に包含するということになって、今日に至っております。
ですから、そういう社会の仕組みを持っているということから、私たちの機構が果たす大きな役割が、勤労者医療の充実、勤労者の安全の向上、産業保健の強化という話で、先ほど来お話があった資料1-2の最後から2枚目のページに日本地図がありますが、そこでまとめています。
従って労働安全衛生総合研究所やバイオアッセイ研究センターと、それらについては、どちらかというと基礎的な応用研究。それから労災病院は、どちらかというと臨床研究ということになりますが、先ほど来お話にありますように、協働していろいろやっていかないかんというようなこともありますので、労働安全衛生政策の決定のためのエビデンスを、ビッグデータもその一部になると思いますが、収集等の役割を果たして、協働で研究を進めていきたいと。
それから、治療と仕事の両立も大事な話です。一億総活躍社会の実現という話が出て久しくありますが、働き方改革も今、いろいろな議論が展開しているところです。先ほど全国に広めるにはということも、少し言及されたと思いますが、平成30年度からは今言った治療と就労の両立支援が診療報酬に収載されていますので、心ある病院、ドクターに関して言えば、診療報酬についてのことがあるので、そういう意味でのインセンティブは多少あると。ただ、今のところがんに限定されていますので、これは日本医師会の先生方とも議論するといつも出ますが、やはり脳卒中だとか、その他、私たちの病気は多々ありますので、そういう人たちにも診療報酬に収載されたことが役に立つように、進めていきたいということがあります。
その中でコーディネーターも、今言った病院の中にもコーディネーターがいて、本件についてきちんとサポートできているということであると、診療報酬にまた別途プラスアルファがありますので、そういう意味での全国的な展開を考えていきたいと思っています。
私たちの活動が、私たちの社会、私たちの仕組みの中だけで、日本の国全体がうまくいくとは到底思えないという話は、全くそのとおりで、これは私はときどき言うのですが、国立がんセンターががんの治療に関して先進的なことをしていたと。その先進的なことをしていただいた成果を、全国の津々浦々の病院でそれを利用するということによって、全国のがんの患者さんに役に立つようなことが展開できるというのと全く同じなのです。たまたま労災病院が30幾つ残っているというだけの話でありまして、これがもし全国の都道府県にあったとしても、その労災病院でできることは限られていますので、労災病院がトップランナーとしてやっていたことが、ほかの病院でもやっていただけるという形に持っていかないと、この手の話は私たちのためにあるわけではなくて、国民のためにあるわけですから、そういう形でやっていきたいと思っています。
ですから、先ほど来トライアングル型のサポート体制うんぬんがありますが、結局のところそういうことが病院と、働く場所と、それらを結びつけるような私たちのコネクターとしての役割が、それらを強くしていくということで、これからもやっていきたい。それが今回の中期目標の、目標であり計画であるという理解を私はしていますので、その件について引き続き御指導いただきたいと強く思います。
もう1つ、このグラフで見ていただくと下のほうに「未病」というのが出てきますが、病気ではないけれど健康でもないという方たちが、労働者としての高齢者が増えています。これは労働者が健康に働く、企業における産業保健活動を高めていくと言ってしまえば、全くそのとおりなのですが、実に産業保健そのものの考え方が、少し視点を変えて、もう既に半分病気を持っているような方が実に働いていると。その働いている方が、これからも働き続けることができるようにするという部分に、産業保健の見る視点を少し変えていかないといけない。そういうことを変えていくのがどういうことかというと、基本的に病気を診るのは病院なので、病院と産業保健総合支援センターなどが、やはり協働していかなければいけないだろうという話になるのです。
ですから、そういう全体像を強くするということを含めて、これからもいろいろなことを進めていきたいと強く思う次第です。先ほど労災病院の運営についての言及がありましたが、少なくとも社会情勢の変化を踏まえて、地域ごとにおける労災病院の役割について、やはり精緻に考えながら、今後の労災病院個々の在り方についても丁寧に扱っていかないといけない。これは日本の病院の在り方が、これから先、少しずつ変わっていく可能性が高いので、そのこととも併せて考えていかなければいけない重要なテーマだと思っています。
だからといって突然、赤字の病院が黒字になるということは、とても考えられませんので、そういう意味では長期的な考え、戦略的な考えを、もう少し具現化しながらやっていかなくてはいけないということを考えています。そういう中での議論を、今後とも深めていきたいと思っています。ですから、今日も労災病院の話がほんの少し出ましたが、実はそういうことも含めて、大事なことだと認識しましたので、大変有意義な議論だったと思っています。
最後になりますが、独立行政法人としてのコンプライアンスと言うのでしょうか。そこら辺は法人としてのガバナンスと表裏一体だと私は思っていますので、そういう意味での内部統制の強化も含めて、法人の運営に当たっていきたいと思う次第です。今日は先生方から大変貴重なお話をたくさん聞くことができました。心から感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。働く人々の健康を守るという大きな目標がありますので、今日頂いた様々な意見を十二分に咀嚼しながら、究極的な案からフィックスした計画へという形で進んでいきたいと思います。引き続き御指導を賜りますよう、よろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。
 
○今村主査
どうもありがとうございました。AI、IoTというのは脅威ではありますが、正にチャーチルの言葉にもありますが、危機の中で好機を見出していくということが、これから大事だと思います。是非、日本における産業保健医療のオープンイノベーションの起点となるように、第4期の評価を私たちも見つめさせていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
それでは、以上で本日の議事を終了いたします。最後に事務局からお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
今後の流れにつきましては、会議の冒頭に参考資料2で説明しているとおりです。確定しました中期目標と中期計画につきましては、構成員の皆様にお送りします。最後に構成員の皆様の中で、本日配布した資料の送付を御希望される場合には、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いします。事務局からは以上です。
 
○今村主査
それでは、以上で第29回独立行政法人評価に関する有識者会議WGを終了します。長時間にわたり熱心な御議論をありがとうございました。お疲れさまでした。

(了)

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