ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第17回)議事録(2019年1月16日)

 
 

2019年1月16日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第17回)議事録

○日時

平成31年1月16日(水) 9:28~12:01

 

○場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)
 

○出席者

真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、梅里構成員、河村構成員、橋田構成員

○議事

 

 

○真野主査
多少定刻より早いのですが、委員も医薬品医療機器総合機構の方々もおそろいになられましたので開催したいと思います。今回は「第17回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」ということで、PMDAの中期目標とか中期計画案について議論するということになります。
今日は、石渡構成員、松原構成員、三田構成員、名里構成員が御欠席ということになっております。短い時間ですがよろしくお願いします。最初に事務局から議事についてお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
御説明の前に、事務局で異動がありましたので御報告いたします。政策評価官の中村です。
 
○政策評価官
中村でございます。よろしくお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
それでは、本日の議事について御説明いたします。本日の議事は「医薬品医療機器総合機構の次期中期目標案及び次期中期計画案について」です。本件については、参考資料1「独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱」の3の第四号、「その他一から三までに掲げる事項に関し重要な事項」に該当するものとして、本WGの意見を賜るものです。
厚生労働省所管の中期目標管理法人については、厚生労働大臣が中期目標を定め、当該法人は定められた中期目標に基づき中期計画を策定することとされておりますが、法人の中期目標と中期計画は御意見を頂く上で密接な関係にございますので、本日は中期目標と中期計画について、同時に御議論いただきたいと考えております。
平成31年度からの新たな中期目標及び中期計画の策定に至るまでの流れについて、簡単に御説明いたします。事務局作成資料の参考資料2を御覧ください。一番上の四角の囲みに、「平成30年8月~9月 独立行政法人の『業務・組織全般の見直し内容』等を総務省へ提出」とあります。医薬品医療機器総合機構の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」については、昨年7月に開催した本WGにおいて、皆様から御意見を頂き、その意見を踏まえて厚生労働大臣から総務省独立行政法人評価制度委員会に通知したところです。
同じ資料の中ほどの四角の囲みに、「平成30年9月~12月 総務省独立行政法人評価制度委員会の審議・決定」とあります。総務省独立行政法人評価制度委員会が、独立行政法人の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」について審議した結果を決定しました。
決定した内容が参考資料6です。こちらは、総務省側の独立行政法人評価制度委員会が昨年の11月29日に目標策定に向けての考え方などを決定したものです。ツーアップの2ページ、右側を御覧ください。3の1、2について、目標策定に当たって目標に盛り込むことについて検討していただいた視点を整理しています。医薬品医療機器総合機構に関しては、7ページの下を御覧ください。医薬品等の審査の迅速な処理にあたり、安全対策の一層の質の向上に取り組むことを目標に盛り込んではどうか。また、「経済財政運営と改革の基本方針2018」においては、医療情報データベース(MID-NET)をクリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)と連携させ、治験・臨床研究・安全対策等に活用することとされている。このため、関係機関と連携することや個人情報の適切な取扱いを確保することを目標に盛り込んではどうか。さらに、法人の組織規模が拡大する中で、将来にわたって業務のパフォーマンスを発揮するため、透明性を確保しつつ、適切な法人運営が可能となるような組織基盤(ガバナンス体制)を構築することを目標に盛り込んではどうか、という留意事項が示されております。これらを踏まえて作成したのが、本日御議論いただく医薬品医療機器総合機構の次期中期目標と中期計画の案です。
参考資料2に戻りまして、先ほどの策定までの流れですが、一番下の四角の囲みの「平成30年12月~平成31年3月 独立行政法人次期中期目標・次期中期計画の策定」は、今後の流れについてまとめています。本日御議論いただく医薬品医療機器総合機構の次期中期目標案については、本日頂く御意見を踏まえ、必要に応じて修正等を行い、2月に厚生労働大臣が総務省独立行政法人評価制度委員会へ送付いたします。その後、2月中に同委員会において審議が行われ、その審議結果に基づいて出される意見を聴いた上で、財務大臣との協議を経て、次期中期目標が策定されることになります。
一方、中期計画については、確定した次期中期目標をもとに医薬品医療機器総合機構が次期中期計画を作成し、同計画について主務大臣である厚生労働大臣が、内容の精査及び財務大臣との協議を経て、年度内に認可する予定となっております。事務局からは以上です。
 
○真野主査
何か御質問などはございますか。よろしいですか。
それでは、議事に入ります。最初に、ここからは医薬品医療機器総合機構のことを略してPMDAと言います。PMDAの「次期中期目標案」及び「次期中期計画案」について、議論していきたいと思います。最初に、法人所管課から「次期中期目標案」について御説明いただき、その後、法人から「次期中期計画案」について御説明いただくということで、この2つの説明が終わってから、まとめて質疑応答という流れで進めていきたいと思います。最初に法人所管課から、「次期中期目標案」について御説明をお願いします。
 
○医薬・生活衛生局総務課長
医薬・生活衛生局総務課長の鳥井です。私から、PMDAの次期(第4期)中期目標案について説明いたします。基本的には資料1-1の概要で説明いたします。本体は資料2-1、資料3-1に、前期との新旧対照表があります。概要には書いていませんが、目標の期間は平成31年4月1日からの5年間ということで、2023年(2024年)(平成36年)3月31日までの5年間ということになります。目標自体はPMDAと協議の上、私どものほうで作成しております。
中身の説明です。全体的に大筋の枠は、今期(第3期)の中期目標と比較して、骨格は変わっておりませんが、当然のことながら医薬品を取り巻く環境は変化しておりますので、それを踏まえた書き込みを行っています。それから、細かいところですが、全体の構成として総務省から指針が示されているので、それに沿って、例えば評価指標を盛り込むとか、その考え方を盛り込む、あるいは重要度、難易度を盛り込むといったことで、第3期と比べてかなり書き込んだ形の目標になっています。
内容です。まず、資料1-1の1ページの政策体系図を御覧ください。この1ページについては、本体の目標にも掲載しております。まず、環境の変化ということでそこにまとめていますが、AI技術やゲノム情報等の活用によるイノベーションの急速な進展、グローバル化による企業間の国際競争の激化、人口動態的な変化ということで、かなり環境は変化しているということです。
政府が取り組むべき施策、政策ということでは、閣議決定された未来投資戦略2018等にも示されているように、1点目が、AI技術、ゲノム情報等を活用して開発された革新的医薬品等について、早期承認に向けた審査・調査体制を整備する、それから、医療情報データベースとクリニカル・イノベーション・ネットワークを連携させ、治験・臨床研究・医薬品開発、安全対策等に活用、最後ですが、より先の目的として、健康寿命の延伸、生産性の向上に資する施策の実施ということをゴールとしています。
これらを踏まえて、一番下の所を御覧ください。役割分担ということで、PMDAは科学的な判断を実施し、厚労省はそれを踏まえて行政措置等を実施するということです。これは前期から変わりませんが、PMDAというのは国が行政権限を行使する上での重要な根拠を提供する業務を三部門一体となって担っているということです。
これらを踏まえて第4期中期目標におけるPMDAの役割ということで、一番下の箱を御覧ください。左下の所に、もともとPMDAの出発点となった業務の健康被害救済給付業務については、健康被害を受けた方々への正確・迅速な救済の実施、積極的な広報の実施ということです。審査業務については、これも当然ですが、審査等の適切かつ迅速な処理、相談業務の充実、先駆け審査指定制度等が導入されているので、これも当然のことながら円滑に実施するということです。それから安全対策業務ですが、副作用・不具合情報の適切な収集・整理・評価の実施、医療機関や消費者への安全性情報の提供ということが役割ということです。
それらに共通するものとして、外部環境に適切に対応していかなければいけないということもありますので、◎の所を御覧ください。2つほど共通の要素として盛り込んでいるのが、レギュラトリーサイエンスの推進によるセーフティ・トライアングルの質の向上・高度化と、国際的な規制調和の推進と世界へのPMDA業務の積極的な情報発信ということで、これらを進めることがPMDA全体の役割として重要となっているということと認識しています。
2ページを御覧ください。これ自体は目標の中に入れているわけではありませんが、それぞれの医薬品等の開発のステージごとにPMDAの業務を並べています。その基盤となるということで、人材育成、環境整備、包括的連携協定の推進を進めていくということです。それから、それぞれのステージに応じて最先端の科学技術への対応、あるいは新たな開発手法への対応、医療情報データベース等の活用ということで、審査業務の質的向上を図っていくというもので、これはある種のイメージ図です。中身については、それぞれの項目で具体的に示していくという構造になっております。
各論に入っていきますが、3ページを御覧ください。まず、健康被害救済給付業務についてです。目標の内容は、基本的には今期の目標を踏襲しております。(1)広報の積極的な実施、(2)事務処理期間の設定、正確かつ迅速な処理です。その指標と考え方については、緑色の所を御覧ください。請求から支給・不支給決定までの事務処理期間を、6か月以内60%以上を堅持することとしております。(3)審査部門、安全対策部門との連携、(4)が保健福祉事業ということで、これらの重要度、難易度については、そこに書いてあるような理由から、重要度、難易度ともに「高」ということで評価しております。(5)は前期と同様です。
次に、スライド4です。ここからは幾つか審査業務についての目標です。審査業務については、(1)から(4)の9ページまでのスライドです。1つ目は審査業務の迅速かつ適切な実施です。ア、新医薬品審査関係です。既に、近年世界最速レベルの審査期間等を達成しておりますので、これを維持しつつ、サービス・質の向上を図るということです。それから、先駆け審査指定制度等の適切な運用、レギュラトリーサイエンス戦略相談等の充実、国内外のガイドラインに対応した適切な審査・相談の実施ということです。イとウのジェネリックなり一般用医薬品等については、これも同様ですが、迅速な審査、相談事業の充実を挙げています。信頼性保証関係では、リアルワールドデータの申請資料への活用に向けた検討等を進めるということです。品質管理関係については、実地調査の拡充、無通告査察の実施、新しい製造技術への的確な対応ということを目標設定としています。
スライド5を御覧ください。これは当然のことながら、重要度、難易度はいずれも高いという位置付けです。その指標ですが、緑色の部分を御覧ください。今回から、厚労省の目標のほうにも目標値を掲載することにしています。具体的な目標については、これは医療機器の部分にも共通しますので、後ほどまた御説明いたします。
重要なのが、2審査業務の質の向上です。なかなか数値化は難しいのですが、特に相談の対応について、先駆け審査項目、条件付き等については全件実施するとか、相談における対応、レスポンスの速さといったものを、そこに記載されているような目標値として設定しています。
これらの考え方としては、世界最速レベルの審査期間を堅持するということと、医薬品等自体が高度化しておりますので審査の高度化、あるいは申請者のニーズを踏まえて、各種相談業務を新設したり充実したりということを、よりきめ細やかな形でやっていただきたいということです。
6ページの(2)を御覧ください。医療機器、再生医療等製品等の審査業務の迅速かつ適切な実施です。アの医療機器関係については、これも医薬品同様ですが、世界最速レベルの審査期間の堅持等を掲げています。体外診断用医薬品についても同様の設定をしています。再生医療等製品関係でも、基本的には同じです。信頼性保証関係では、ここについてもリアルワールドデータの活用に向けた適切な対応です。品質管理関係でも、QMS実施調査体制の充実・拡充を図るということを目標としています。これについても、医薬品同様、重要度、難易度については高いという位置付けにしております。
具体的な評価指標は緑色の所を御覧ください。「別紙」ということで資料の17ページを御覧ください。表の構成は、項目ごとに平成30年度3期末の目標、第4期末の目標、平成29年度の実績という整理をしています。例えば新医薬品で見ますと、第4期末の目標は「同左」となっていますが、第3期の目標値と同様の目標値を設定しています。現状としては、80%タイルで9か月なので、ここは堅持をするということを目標としています。以下、基本的には同じようなことですが、先駆け審査指定項目については、もともと6か月で審査終了がそもそもの制度の目標ですので、これはそのまま目標に入れております。数字自体は変わりませんが、品目が増えてくる可能性も考えられますので、これは是非堅持していただきたいという考え方です。
ジェネリックについては、タイル値のレベルで少し高めの目標値を設定しています。一般用医薬品、医薬部外品については、これまで明確な目標値を立てておりませんでしたので、まず現状を踏まえた目標値を立てて、これからPDCAを回していくという考え方です。
18ページが医療機器です。これも基本的には第3期と比較して、指標という意味では、現状レベルを維持するということを最終的な目標値としております。これも同様の考え方です。体外診断用医薬品と再生医療等製品については、これまで明確な目標値を設定していませんでしたので、今回新たに設定するという考え方です。特に再生医療等製品等は、まだ承認品目にないものもありますので、まずこの目標を立ててPDCAを回していくという考え方です。
8ページにお戻りください。審査業務の(3)レギュラトリーサイエンスの推進による業務の質の向上ということです。前期の計画では、レギュラトリーサイエンスとか国際化については別立てにしておりましたが、総務省との協議で、全体の整理との関係で審査と安全のそれぞれに入れるという構成になっておりますので、見掛け上は変わった形になっておりますが、中身については、より現状を踏まえて書き込んでいくというようなことになっています。
まず、(3)のレギュラトリーサイエンス関係です。アのレギュラトリーサイエンス研究の推進ですが、ここは引き続きガイドラインの作成、包括的連携協定の推進を図っていただきたいということです。それと、ホライゾン・スキャニングの手法の確立とか、人材育成にも関連しますが、職員による論文の査読付き雑誌への掲載促進ということを新たに加えております。
それから、次世代評価手法の活用推進ということですが、電子データの審査、電子データ化されているものを活用して、効率化及び質の向上を図るということです。それから、リアルワールドデータ活用についても的確に対応するということを挙げています。いずれも、重要度と難易度は「高」ということです。
緑色の評価における指標を御覧ください。専門的、先進的なエリアですので数値でお示しするのは難しい面はありますが、臨床試験データを活用した解析をして、それを踏まえた指摘なり助言を実施できるように人材育成、研修の実施、解析支援を含めて、効率化、質の高度化を推進するための体制を構築することとしております。2020年度からは、原則的に全品目について実施することを目標としています。
それから、国際化の推進です。これも昨今の状況を踏まえて、より書き込む、これまでの5年間の状況を踏まえて少し書き込んだ形にしております。国際的リーダーシップの発揮、2国間での関係の強化、アジア医薬品・医療機器トレーニングセンターの充実強化を挙げております。これも重要度と難易度については、どちらも高いと整理しております。評価指標については、各国の規制当局からセミナーに参加していただくわけですが、そのときにアンケートを取りまして、満足度の割合は75%以上を達成することを指標としています。
10ページは安全対策業務です。13ページまでの4枚でまとめております。まず、(1)から(3)です。(1)副作用・不具合情報の適切な収集・整理・評価の実施です。中ほどにある副作用・不具合報告の迅速な整理・評価を行うことは当然ですし、MID-NET等の医療情報データベースを活用した薬剤疫学調査に基づく安全性評価の推進も新たな目標として掲げています。それから、普及・啓発活動の推進、患者からの副作用情報の安全対策への活用もやっていただきたいということです。
11ページで、これらについては重要度も難易度も高いだろうと整理しています。そこに書いてありますが、特に迅速承認が進められている中ですので、これは元来重要ですし手法としても新しいものが出てきていますので、そこを活用していくことも重要だろうということです。評価指標は、医療機関からの副作用報告に係るフォローアップ調査を必要な全てについて実施する、あと添付文書の記載要領の見直しが行われたので、2022年までに行うということを挙げています。あとは不具合情報等の公表関係ですが、4か月以内とか、添付文書改訂の指示については2日以内ということで、指標として掲げているということです。
12ページを御覧ください。これは安全対策においてのレギュラトリーサイエンスの推進による業務の質の向上ということで、アは同様で、審査と共通です。安全対策特有ではありませんが、リアルワールドデータ活用、医療情報データベースの活用を記載しています。MID-NETを運用していますが、エでその利活用の推進と運営に向けた体制を固めていくというのが現在の目標であろうという認識で、連携先の拡大、運営の安定化を図っていくことを目標にしたいと思っております。これについても、重要度と難易度については、重要度は骨太の方針にも掲載されているということで重要度は高いという認識ですし、難易度についても高いということです。(5)安全対策の面における国際化の推進です。これは基本的には審査と共通していますので、同様です。
14ページを御覧ください。以下は業務運営の効率化関係です。ここは各法人共通だと思いますが、まずは機構の役割等を踏まえたガバナンス体制の構築ということで、理事長のリーダーシップの下、意思決定を迅速かつ適切に行うための適切なガバナンス体制を構築することを記載しています。この重要度は高いということです。
15ページを御覧ください。(2)が人材育成の関係です。PMDA特有のものとして、(4)薬害被害者の方や関係団体等との意見交換、国民などからのインプットも活用するということです。3の広報活動は、社会に向けて発信するということとともに、世界に向けても発信することをPMDAの場合はやっていかなければいけないということです。これは新規ですが、薬害の歴史展示コーナーを設置していただくことになりましたので、これもしっかり運営していただくということを記載しております。それから財務ガバナンス強化ですが、これも当然のことですが、財源の確保、経費の節減、財務ガバナンスの確立といったことを挙げております。
16ページを御覧ください。財務内容の改善に関する事項ですが、業務運営の効率化で経費の節減を見込めますので、それを踏まえた中期計画の予算を作成していただきたいと書いています。「その他」では、人事に関する事項ということで、外部との不適切な関係を疑われることがないように中立性等に十分に配慮した上で、適切な措置を講じていただきたい、それから、外部機関との交流をはじめとする能力開発・計画的な育成、セキュリティの確保、積立金の処分に関する事項についても目標を設定しております。簡単ですが、私からの説明は以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。では、次いで法人のほうから、次期中期計画案の御説明をお願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
PMDAの上席審議役の稻川です、よろしくお願いします。私から資料1-2に従いまして、次期中期計画の概要を説明させていただきます。ただ、基本的に今回から中期目標のほうで、かなり具体的に目標を書くようになりましたので、余り繰り返し同じ説明をしても委員の皆さんに申し訳ないと思いますので、むしろ私どもとしては実務の立場からこのように考えているということにつきまして、掻い摘んで説明をさせていただければと思います。
2、3ページは鳥井課長から説明させていただいたとおりでして、PMDAとしても中期目標に従いまして、セーフティトライアングルの考え方に基づいて、しっかり次の中期目標期間もやっていきたいということです。
それから、4ページに若干補足ですが、先ほど政策評価官室のほうから、総務省の独立行政法人評価制度委員会から何点か指摘を受けているということがありましたが、PMDAに関してはここにあります左側の3点の御指摘を頂いております。それぞれについて、どのように中期計画に盛り込んでいるかということで、整理をしたものです。1点目は安全対策の質の向上ということで、これは先ほど鳥井課長の御説明にありましたとおり、革新的な医薬品がどんどん出てきますと、それに従って安全対策の質の向上というのは極めて重要になってくるという、非常に的を射た御指摘だと思っていまして、これについては後ほど説明いたしますが、次の期におきましては、新たにMID-NET等のデータベース等を使って、薬剤疫学的な調査に基づく安全性評価ということをチャレンジしていきたいと思っています。
具体的にここの安全対策については、当初、数値目標はなかなか難しいと思っていたのですが、いろいろ御指摘を頂いたこともありますので、この薬剤疫学的調査のうち、行政、いわゆるPMDAも含めた側で、どれぐらいの数の調査をするかという目標を、毎年度、数値目標として設定をしたいと思っています。
ただ、今から審査期間のように5年後のことまでコミットメントするのは難しいので、できましたら毎年の年度計画の中で数値目標を設定して、それをこの委員会でまた年度が終わったら評価いただくという形にさせていただければと思っています。そのほか、医薬品のリスク管理計画に基づく相談・指導などということ。あとは救済部門、審査部門との連携ということで対応していきたいと思っています。
2点目のMID-NETの連携、あるいは利活用範囲の拡大ということ。これは政府の方針にもなっていますが、協力医療機関の拡充ですとか、あるいは連携拡大に向けて他のデータベースとの連携について検討を進めて、利活用可能なデータの規模の拡充を図るということです。MID-NETのほうは、うまく運営していくのに苦労しておりますが、ただ、こういうデータベースについては、できるだけN数といいますか、データ数を増やしたほうがより私どもにとっても役立ちますし、PMDAのみならず社会全体にとっても役立つと思いますので、そういうところについてチャレンジしていきたいと思っています。個人情報の取扱いについては当然ですが、必要な措置を講じていきたいと思っています。
それから、法人のガバナンスの関係です。これは昨年の評価でも、大変厳しい評価を頂きましたが、特に組織規模が急激に拡大していて、かなり技術系の職員も多いという特殊な形態ですので、ガバナンスは大変重要なことだと思っています。そういうことで、一応ここにありますように経営企画機能ということで、今年の1月から経営企画部というのを新たに設置しまして、その辺りの体制強化も行っておりますし、もう1つガバナンスで言いますと、やはり財政運営ということです。私どもは手数料や拠出金という、ある意味、自己財源と言えるかどうか分かりませんが、自分たちである程度収入を確保していかなければいけないということです。当然、手数料については申請の数に影響されますので、こちらでコントロールできない部分があります。そういう中でしっかりガバナンスをして、もしアラートが鳴るようでしたら早めに対応していくということをやっていかなければいけないので、その辺りのガバナンスも強化していきたいと思っています。
それから、5ページが健康被害救済業務です。ここについては(2)の所で、60%以上の請求を6か月以内に処理ということになっています。これについては先ほど課長から説明いたしましたように、今の中期計画と同じ目標ではあるのですが、最近、非常に医薬品や医療機器の技術が高度化している。あと、この救済業務というのは、単に医薬品の副作用だけではなくて、やはり医療行為全体を見て、その中で医薬品の副作用かどうかというところの判断をしていかなければいけないということなので、医療技術の高度化というのも非常に難易度にかかってくるところです。
そういう中で最近、私どもの実際の審査に当たって、外部の専門委員の方に審査をお願いしていますが、やはり最近の事案というのは非常に難しいのが増えてきているということで、先生方からも御指摘を頂いておりますし、一時ありました子宮頸がんワクチンについても、恐らくそういう形のものだと理解しています。
そういう状況の下で、PMDAは最近ですが、必ずうちの臨床担当、お医者さんを個別審査に噛ませるということで、これは理事長の指示もありまして、スタートしています。ですから、どうしてもそれぐらいやっていかないといけないぐらい、レベルが上がってきているということ。それから、ここの救済業務につきましては、事務処理の半額を国費で補填していただいていますので、なかなか審査や安全のように人を増やすということがしにくい状況にあります。ですから、そういう難しい状況の中で、人を増やさないで対応していくということで、私どもとしては、これは同じ目標ではあるのだけれども、中身の質が違ってきていると理解していますので、是非とも先生方も御理解を頂ければ大変有り難いと思っています。
次の6ページが審査の関係です。新薬の関係については先ほど御説明がありましたように、今期と同じ目標ではありますが、ここについても、幸い今年に入ってかなり新薬の申請数が戻ってきておりまして、業界などにもアンケートを取ったところ、しばらくその傾向が続く可能性が高いということです。これは当然、件数が増えればそれだけ目標の達成が難しくなるということですが、そういう中で目標を達成していかなければいけないということ。それから、この目標自体が、世界最速のレベルの目標ということになっておりますので、同じ目標ではあるのだけれども難易度が高い。当然、先ほど言いましたように新しい技術を使ったものも出てきますし、それに対して、要するに製品は出て来ているけれどもPMDAが評価できないということは当然許されないわけですので、そういうところに向けて先回りしてやっていかなければいけないという取組があります。
あと、今期の新しいものとしては、3点目の先駆け審査指定制度の目標ということで、これは一応6か月ということですが、これも綿密に申請前から、申請企業とコミュニケーションを取っていかないと、この目標は達成できないということですし、この期間の中には、厚労省の薬食審で審議をする期間も含めて6か月ですので、相当これは高いハードルになってきます。これは、今はまだ承認品目数は合計3品目ですが、毎年、医薬品は5品目ですが、ほかのものも含めると10品目ぐらいあるのが、これからどんどんPMDAに上がってきますので、件数が増えてくるということも考えなければいけないということです。
あと、ジェネリックや要指導・一般用医薬品については段階的に、4期は更に高い目標を目指して取り組んでいきたいと思っていまして、ここに書いてあるような形で目標にコミットしているということです。特に要指導や一般用医薬品については、70%タイルで7か月という形の、かなりチャレンジングな目標を設定しているということですので、是非その辺りも含めて御審議を頂ければ幸いです。
それから、7ページがいわゆる相談の関係。これも新しい技術に対応して、この審査期間を守ろうとすると、やはり相談をしっかりやっていかないと無理です。そういうことで、ここにありますようにそれぞれ申込みがあったものについては、基本的に全件実施するということ。かつ、できるだけ企業の生産性を上げるということですので、私どもとしても、できるだけ早期にPMDAとしての見解を示して次のステップに行っていただくということに取り組んでいきたいということで、相談資料、評価報告の確定までの期間につきまして、目標設定をして実施をするということも合わせて考えていただきたいと思っています。
次のページが一般薬、信頼性保証の関係です。あと、GMPの関係、これは工場の査察の件ですが、これについても4期は、より実地に行って調査をするということを充実していきたいと思っています。
3点目になりますが、医薬品の製造技術について、従来でありますと、割と大きなタンクの中で一斉に作るみたいな製造方法で大規模な製造設備が必要だったのですが、今はと継続的に流れ作業で作っていくような連続生産という形で行っています。そういう技術が出てきています。企業の側もそういうものでコスト削減とか、小規模でも生産できるということがありますので、そういうことになってきているのですが、それに対しても的確に対応していくという形の取組もしていきたいと思っています。その他、企業側からの要望が大変強い書類の電子化、オンライン化。これは私どもとしても業務の効率化につながるものですので、これについても厚労省のほうで予算を確保していただいておりますので、しっかり次の期に取り組んでいきたいと思っています。
9ページがいわゆるレギュラトリーサイエンスの関係の取組、医薬品の関係ですが、この部分につきましては、この委員会でも昨年7月の評価の際に、いわゆる審査期間の目標だけではなくて、もっと質のほうにもコミットすべきではないかという御指摘を、複数の先生方から頂いております。正にその部分で言いますと、このレギュラトリーサイエンスの部分というのが我々としても一番大きいと思っておりますし、特にこれからはここにありますように新しい医薬品、革新的技術を使った医薬品などが出てくるのに当たって、できるだけそういう技術を早期に我々のほうでもキャッチして、それが実際に我々の所に来る際には、ある程度評価の在り方というのを決めておくということが、求められることになります。さらに、そういうことを先回りしてやっていくことで、開発する側についても、大体こういう形で開発すればいいんだなということが分かると、開発の効率化、生産性の向上にもつながるということですので、ここにあるような形で、どんどん新しい技術について情報を収集して、私どもの科学委員会などで評価をして、報告書を出して、ガイドラインなどを出していくということが、ある意味、質の向上というところで我々として一番取り組んでいきたいところです。
それの関係で、次にホライゾン・スキャニングというのが書いてありますが、これはいわゆる、これから水平線から出てくるような新しい技術というのを押さえて、その技術についてマッピングといいますか、緊急性が高いものから低いものに分けて、高いものから科学委員会などを使って、いわゆるガイドラインなどを作っていくという手法です。これにつきましても、これは日本だけではなくて、世界の規制当局と連携してやっていくという形になっていますが、日本のほうが主導してやっていくことになっておりますので、しっかり取り組んでいきたいと思っています。
あと、次世代評価の関係につきましては、今、臨床試験データの電子的な受付というのを、平成28年度から開始いたしまして、平成32年度になりますと、全品目の実施になります。今は、個別の審査の段階で、そのデータを使って我々が解析をして、効率化をしていくというところにとどまっていますが、4期、次の期についてはこの下にありますように、膨大なデータがこちらにも集まりますので、このデータを使ってModeling & Simulationなどの妥当性の評価を行ったりして、例えば、なかなか治験をしにくい小児の用法についても、こういうデータを使って、ある程度モデルを作って、それに基づいて開発の指針を作ることによって、小児の医薬品が出回るように、より医療現場に届くようにという取組もやっていきたいと思っています。
10ページが国際的なところです。これも先ほど鳥井課長から説明しましたように、PMDAとしてもう1つ取り組んでいくべき大きな課題だと思っています。今は欧米、EMA、日本とアメリカが3局と言われていますが、そういう中でも日本の発言力を積極的にリードしていきたいということで、新しいトピックを提案するという形とか、日本が主導して国際的な基準を取るということも含めてやっていきたいと思っています。
それから、特に二国間関係で言いますと、日本で開発をして、新しい医薬品や医療機器を開発していただくためには、日本の審査結果が日本だけではなくて、アジアの各国でも受け入れてもらえるような関係が出来ますと、日本が最初の開発国に選ばれる可能性が高いということで、そういう意味で日本の審査結果の相手国規制への取込みということを促進していきたいと思っていますし、その関係で平成29年にスタートしましたアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターというのが、途上国の方も含めて大変好評を頂いております。これについては数値目標ということで、セミナーを受講した後の満足度で、5段階で3以上の割合が延べ75%以上となるような形の、新たな数値目標を作ってやっていきたいと思っています。ここは単にPMDAだけではなくて、国家戦略的にも重要な取組ですので、レギュラトリーサイエンスの推進と合わせてしっかりやっていきたいと思っています。
11ページが医療機器の関係になります。医療機器についても目標自体は、3期の目標、今の目標と同じですが、実は医療機器につきましては、3期の間は2期のところで一定の積立金があったものですから、それに基づいて財政運営をしていたのですが、4期についてはそれがなくなるということで業界側ともいろいろ手数料関係の調整をしています。まだ調整をしているところですが、そういう中で医療機器につきましては、体制を今よりも絞った中で目標を達成していくということになっています。同じ目標でありましても体制をよりスリム化して業務の効率化をした上で達成していくということで、難易度は上がっていると思っていますので、そういうことで御理解を頂ければ有り難いと思っています。
それから、その下の体外診断薬につきましては、今回新たに目標を設定するということでして、段階的に80%タイル12か月ということで総審査期間の目標を設定していきたいと思っています。あと、再生医療製品につきましても、4期、次の期は新たに総審査期間で目標を設定する。これまでは行政側の審査期間、いわゆる行政側の持ち時間のみの設定だったのですが、総審査期間、申請者側が持っている時間も含めた目標を設定してということで、一段高い目標を掲げて取り組んでいきたいと思っています。
次のカルタヘナという、いわゆる遺伝子組換えの技術を使った医薬品について、その組み換えしたものが環境にばく露して生態系を破壊しないようにということでPMDAがチェックすることになっていますが、これについては業界のほうから、もう少し手続が迅速化できないかという御要望を頂いておりますので、今回、事前相談を受けた場合については審査期間をより短縮するという目標を新たに掲げて取り組んでいきたいと思っています。
次の12ページの相談については全件実施、先ほどの医薬品の説明と同じですが、この中でも特にAIやゲノム解析、昨今新聞をにぎわせていますが、そういうものに対する対応。あと、それに対応して体外診断薬におきましても、遺伝子パネル検査みたいなものの最先端技術を応用した製品がこれからどんどん出てくると思いますので、そういうものについても判断の遅滞なく承認をしていくとともに、評価指針の作成に協力しまして、開発する側にとっても効率的な開発が行われるように留意をしていきたいと思っています。
13ページは、おおむね医薬品の関係と同様ですし、QMS調査、いわゆる医療機器の工場に対する調査についても、実地調査をより充実させていきたいと思っています。
次の14ページ、レギュラトリーサイエンスの関係ですが、これも先ほど医薬品のところで説明した形と同じような形で、新しい技術に対して積極的に対応していくという意味で、報告書とガイドラインの作成、先ほどのホライゾン・スキャニングというところについての取組もしていきたいと思っていますし、先ほど説明し忘れましたが、もう1つ質を上げるということで言いますと、やはり我々の職員の人材育成というのも大変重要になってまいりますので、そういう中で研修プログラムの実施状況、研修プログラムを充実させていくということと、特にこれから医療現場とか企業の製造現場において現場で経験を積むということが、我々の成果が実際に現場でどう受け止められるかということを把握する上でも大変重要だと思っていますので、そういうところについてもしっかり取り組んでいきたいと思っています。国際についても先ほどと同様です。
16ページが安全対策業務の関係ですが、4期は冒頭に書きましたとおり、MID-NET等の医療情報データベースを活用した薬剤疫学調査に基づく安全評価にチャレンジするということが、非常に大きな取組になっています。具体的にMID-NETの成果については、資料4の62ページ以降に、これは試行調査の段階ですが、幾つかの成果と言いますか試行的利活用による結果ということで出ておりまして、例えば62ページですと、いわゆるブルーレターという警告を出した後と前とで副作用の発生度合がどのように変化しているかということの検証が、これによって可能になるということ。あるいは64ページですと、経時的な変化として、2つの群を比較した形の発生比率がどうなのかということ等についての成果も出ておりますので、こういうものをしっかりやっていくことを通じまして、これについては先ほど説明いたしましたように、数値目標を設定して取り組んでいきたいと思っています。
それ以外のところにつきましても、これからますます新しい技術を使った医薬品が承認されると。その際に、単に承認されるだけではなくて、むしろ市販後にこういうことをしっかり取り組みます、ということを条件に承認されていくものが増えてくると思いますので、そうしますと市販後をしっかり見ていく、もし何かあれば早めに手を打っていくということがこれまで以上に重要になってくるということで、先ほどの薬剤疫学調査の件に加えまして、副作用・不具合報告の評価もしっかりやっていかなければいけないと思っていますし、17ページに移りまして、医薬品リスク管理計画、これは新薬などを承認する際に、市販後にこういう副作用に注意して管理していきましょうというものですが、これがまだ医療現場で十分使われていないという実態もありますので、しっかり適切に使われていくことも含めて対応していきたいと思っています。
それと、もう1つ安全対策の関係で大きな話としまして、この17ページの一番下にあります添付文書の記載要領の対応というものがあります。これは、実は添付文書の記載要領が見直しをされまして、これから医療用医薬品につきまして、5年間、平成35年度までにかけて全部の添付文書について新しい記載要領の見直しをしていかなければいけないとなっていまして、それについて、恐らく企業のほうからかなり多くの相談を受けることになると思います。これを今の体制でしっかり捌いていかなければいけないということでして、これは地味ではありますが大変重要で、かつ、しっかりやっていかなければいけないという意味では大きな取組ですので、そういうことに取り組んでいくということで、是非御理解を頂ければと思っています。
次の18ページは情報提供の関係ですが、先ほど申しましたRMPをはじめとして、副作用のラインリストの公表ということについてもしっかり取り組んでいきたいと思っています。
19ページがレギュラトリーサイエンスの関係ですが、職員の人材育成。あとはリアルワールドデータ活用による革新的医薬品の早期実用化、これも審査のほうにも関係するものですが、そういうものをやっていくということ。それから、先ほどの薬剤疫学の調査の目標数を設定するということ。
あと、もう1つ大変重要な課題として、MID-NETをPMDAが運用していますので、これを将来にわたって安定稼働させていくということが非常に大きな課題になってきています。去年の4月からスタートしていますが、この間の実施状況も見つつ、先ほど説明しました連携の拡大でありますとか、あるいは中長期的な運営基盤をどうしていくのかということの、合わせて検討もこの期間にやっていって、このデータベースがより充実した形で多くの方に使われるような形に取り組んでいきたいと思っています。
次の20ページの国際的な関係につきましては、先ほど医薬品で説明したのと同じです。最後、21ページ以降が業務運営の関係ですが、先ほどガバナンス・コンプライアンス体制の構築とありましたが、次の期については理事長が意思決定を迅速かつ的確に行うことができて、組織内に徹底される組織運営ということ、あるいは透明性の確保ということもありますので、運営評議会等で引き続き業務実績については公表していくと。更には昨年発生したリスク事案というものの発生を防止するという観点から、未然防止、被害最小化への対応、さらには業務フローへのリスクマネジメントの視点を盛り込むということもやっていきたいと思っています。
あと、業務の質の向上で言いますと、やはり人材の育成が非常に重要ですので、CDPの運用などということ。さらには、昨今の流れとして働き方改革への対応ということもありますので、その辺りについても的確な対応ということでしっかりやっていきたいと思っています。
最後のページになりますが、国際的な情報発信ということで、これはPMDAの審査結果の英語を含めた発信をしていくことによって、我々の規制当局としてのステータスを更に上げていきたいと思っておりますので、英訳についても40品目をやっていくこととか、あるいは「PMDA Updates」という、英語でPMDAの業務情報を発信しているものがありますが、これについても毎年100件の新規登録を目指すという目標を掲げて取り組んでいきたいと思っています。
財務ガバナンスについては、引き続き4期においても厳格な予算執行管理を実施して、しっかり財政基盤が安定して、PMDAが今後も永続的に続いていく組織となるような運営をしていきたいと思っていますし、あと、運営費交付金の経費節減についても、ここに書いてあるような数字の目標、節減に取り組んでいきたいと思っています。
私どもとしては、もちろんスピードもあるのですが、質の向上というところに力を入れて取り組んでいきたいという観点から、このような形でまとめさせていただきました。本日は御審議をよろしくお願いします。
 
○真野主査
ありがとうございました。それでは、今2つ御説明があったわけですが、それについて構成員から御意見、御質問等をお願いいたします。
 
○梅里構成員
最初に確認なのですけれども、この第4期は4年間ですか、5年間ですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
5年間です。
 
○梅里構成員
5年間ですか。先ほど2019年4月1日から2023年と言われたのではなかったでしたっけ。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
2024年3月までですかね。
 
○梅里構成員
2024年ですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
2023年度末までです。
 
○梅里構成員
では、2024年ですね。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
はい。
 
○梅里構成員
ありがとうございます。それから、最初に目標の1ページの所で役割と書いてあって、事前に頂いた資料よりかなり整理が付いて分かりやすくなっているかなと思います。例えば、具体的に言うと左下の健康被害救済業務という中に、広報の実施というのが入っているではないですか。PMDAとして救済業務をする場合、適切に実施するのが役割だと思うのですけれども、それを具体的にブレイクダウンすると、救済候補者を適切かつ迅速に抽出することと、それが実際に給付金の対象者なのかどうかの判定とその迅速な実施、この辺が役割になるのかなと思うのですよ。
そうすると、これが今期の重点目標ならよいのだけれども、役割で広報が挙がっているので、広報というのは先ほど言った意味でいうと、救済対象者の抽出の1つの手段、向こうが申告してくるのを待つという、そのために知らしめるわけですから、手段の1つであるけれども、これが役割になっているので、救済の候補者をきちんと見付けるのだというPMDAの具体的な役割が少しぼけてしまっています。だから、向こうから言ってくるまで待っていればいいという感じになっているように見えるのです。MID-NET等がありますので、PMDAとしてはデータを用いて救済の候補者をデータ的に探っていこうと、能動的に発見していこうということは考えておられないのでしょうか。それは役割ではないのでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
組織運営マネジメント役の佐藤です。今、御指摘を頂いた能動的な救済対象者の発掘という部分です。確かにMID-NETというものも、今後はそういう手段になり得る可能性はあるのだろうと思いますが、MID-NET自体は個人情報保護法の観点からも、匿名化された形でのデータの抽出をしていまして、そういう観点からすると、そういった救済対象者の抽出には現時点では活用はなかなか難しい部分だろうと思っております。
厚生労働省でも大体年間5万件を超える副作用報告という形で、救済の如何にかかわらず、医療者の方が副作用の疑いがあると思ったものを報告いただいています。これは安全対策に使う目的もですけれども、そういう報告を頂いているものがあります。そういう5万件を超える国内の副作用報告を頂いているものから見て、現在の副作用被害救済制度に請求をしてこられる方の数が適当なのかどうかということは、やはりPMDAの中でも議論があります。広報というと何となく後ろ向きな感じということではありますけれども、やはりもう少し具体的に、私どもとしても副作用報告をされている方々がより積極的に副作用被害救済制度に請求いただけるような形の環境整備として、これから何ができるかということは考えていきたいと思っております。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
ちょっと補足をさせていただきます。資料1-2の5ページですけれども、1の(4)で保健福祉事業の充実と適切な実施ということがあります。その2つ目に、救済制度の確実な利用や迅速な救済を図るための方策等を検討ということでして、そういうことで次の中期計画期間においては、佐藤から今御説明した形で、どういう形で確実な利用に結び付けるかというところについての方策なり実態調査なりをしていきたいということで、盛り込ませていただいているということです。
 
○梅里構成員
個人情報等の制約があるということは理解できました。ということで1点です。役割の所に広報を書くのか、役割の所には救済対象者の適切かつ迅速な把握ということを役割として述べて、具体的な救済の所の今期の重点目標、あるいは計画の所で広報を挙げてはいかがかと思います。
 
○真野主査
ほかはいかがでしょうか。
 
○河村構成員
御説明ありがとうございます。PMDAさんは、改正された独法通則法の下で中期目標管理法人になられて、特に審査業務の所で近年ものすごくパフォーマンスをぐっと上げていらしたところです。では、次はどういう目標を設定するかということで、いろいろ御説明を伺って数値目標とかを見ると、平たく見ると何となく横ばい的な感じのものもあるけれども、業務の中身、環境の変化等に鑑みれば、それを維持することは非常に大変だということはすごくよく理解できました。ですから、全体としてこういう数値目標等を掲げられてということは、妥当なのではないかなと思います。よく分かりました。
ただ、ちょっと気になりますのは、今回PMDAさんが中期目標をお作りになるのは、独法通則法が改正されてから初めてだと思うのです。改正された通則法の下での1つの新しい枠組みでの重要度とか、難易度とか、あと優先度というのもあったはずだと思うのですけれども、そういう指標を作ることになったと。それをどう考えていくのかというのがちょっと気になるところがありまして、意見を言わせていただきます。
今、御説明いただいた中期目標、中期計画のお話を伺っていますと、今回から中期目標のほうでも随分いろいろ数値目標を入れられて、とてもいいと思うのですけれども、御説明を伺って資料を拝見していますとほとんど全部に重要度高い、難易度高いが付いている状況です。なさるお仕事のレベルが仮に同じ数値目標を掲げても、本当に大変になっていることはよく分かるというか、お気持ちはよく分かります。本当に重要だということはよく分かるのですけれども、改正された通則法の下で想定されている重要度を付ける項目、どれに付けるかとか、難易度が高いをどれに付けるかというのと、ちょっと合わないのではないかなという感じが個人的にはいたします。
私自身、ほかの省が所管されている中期目標管理法人でいろいろ見せていただいたりとかする機会もあるのですけれども、そういうのも含めて考えると、いろいろな独法さん、中期目標管理法人さんでやっていらっしゃるお仕事は本当に様々だと思います。行政執行法人はちょっと違うかもしれませんけれども、中期目標管理法人さん等になっていらっしゃる所だと、やはりどのような分野でも時代環境は刻々と変化していて、一見同じように見える目標とかお仕事でも、それを3年、5年とかけてやっていかれる中ではいろいろな状況の変化とかが起こってきて、見掛けのように簡単に同じことが追求できるわけではなくて、やはりいろいろな工夫とかいろいろな努力がないと、本当に同じようなパフォーマンスも達成できないという、そういう所が多いのではないかと思うのです。
そういう中で、重要度とか難易度をどこで付けるかというと、各法人さんで掲げられたいろいろな目標の中で幾つか選んで、外部の目から見ると、やっていらっしゃる業務の水準が例えば100という数字があったときに、直近の実績が75とか80ぐらいしかできていないと。それに対して目標を120ぐらいに設定しろと。端から見ると、やめたほうがいい、こんな目標を設定したら本当に頑張ってもC評価が付いてしまうかもしれないから、そんなのは入れないほうがいいのではないかと言いたくなるぐらいの目標を、本省として、政府として、これは非常に重要な目標で、難易度が高いのは承知の上で絶対やってもらわなければいけないからというところで、そういう目標に限って難易度が高いというのを付けておいて、その分ものすごく努力されて100に行くのか行かないのとかということになったときに、仮に100%をちょっと欠けるような結果になったとしても評価のときに配慮するというのが難易度が高い目標なのではないかなと思います。そういう目で見ると、今回はほとんど全部に付けられてしまっている感じで、ちょっとこれはどうかなと。
重要度についてもこれだけ全部付いてしまうと、かえってめりはりもなくなってしまいますし、あと、重要度については新しい通則法の下での運用をいろいろ見ると、そんなことはないと思っていらっしゃるかもしれませんけれども、重要度が高いと付けておいて、万が一何かの事情で実績のパフォーマンスが低くなってしまったときに、仮にそれがたった1個の項目についてだけでも、重要度が高いと付いている項目について、言葉が良くないですけれどもずっこけてしまうようなことがあると、全体の評価ではAが付かないということに、そういうような運用もなされるようですから、余りそこまで総花的にお付けにならなくてもいいと思います。PMDAさんがやっていらっしゃるお仕事は本当に重要で大事で、私たち国民の生活にとっても大事だということはすごくよく分かるので、ちょっとそこは考え直していただいてもいいのではないかなという感じがいたします。
私の個人的な意見としては、難易度が高いとかというのが当然付いてもいいのではないかなと思ったのは、ホライゾン・スキャニングとかあの辺りです。余り定量目標が付いていないのかもしれませんけれども、レギュラトリーサイエンスの所で質を上げてということでいろいろお取組を挙げていらっしゃると思いますけれども、ああいった所というのは本当に未知の分野に向かってやっていらっしゃる所だと思いますので、難易度が高いとお付けになっていいのではないかなと思いますが、ほかの所はちょっとどうかなという気がいたします。
もう1つ意見は優先度の所で、これは今回、全然お付けにはならなかったので、そこをちょっとなぜお付けにならなかったのかお考えをお伺いできればなと思います。こちらの意見としては、最後の所で御説明くださった組織のガバナンスとか運営の所に力を入れてやっていってくださるというお話なのですけれども、御説明にもありましたが、PMDAさんの場合はケースが極めて特殊というか、急激に組織が大きくなられたとか技官の方のウェイトが高いわけですね。そういう方で運営されていらっしゃる組織であって、比較的お若いというか中堅の方の人数が多いというお話を前に伺ったこともありますし、なおかつ財務運営が手数料に依存する面があって、やはりちょっとほかの法人さんと随分性格が違うと。
手数料というのも申請があって初めての手数料ということで、やればやるほど売上げが上がるという感じのものでもないと思いますし、やはりすごく特殊な事例だと思います。ですから、私なんかが思うには、そういったところでの財務面での改革目標を立てていらっしゃいますけれども、もし御検討いただけるのであればそういう所に優先度が高いというのを付けていただくとか、こういう所こそ難易度が高いと付いても私はよいのではないかなと思いました。以上、意見と優先度の所は御質問です。
 
○真野主査
これは、どなたがお答えになるのがよろしいですか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
河村先生、ありがとうございます。非常にすばらしいコメントを頂きまして、ありがとうございます。優先度について、ちょっと総論的な話をさせていただきたいと思います。確かに全て優先度が高いというのはいかがなものかというのはよく分かるところなのですけれども、国内的に見て日本国内だけで対応していくのだったら順番はあってもいいのかなと思うところです。
しかしながら、審査にしろ安全対策にしろ救済業務にしろ、我々のことを世界中が見ているのです。そうすると、失敗するわけにはいかないわけです。ですから、彼らがやはり我々を手本にどんどん始めているわけでして、そうした中で優先度を下げるわけにはいかない。しかしながら、絶対にやっていかなければ、成し遂げていかなければならないと思っているので、それで重要度が高いとマルを付けているところです。総論的な所で、まずインターナショナルで総論的と御理解いただければ有り難いと思います。以上です。
 
○医薬・生活衛生局総務課長補佐
厚労省といたしましても、今、理事長が申し上げたとおり、政策体系図にもありますとおり、PMDAの業務は大きく審査、安全、救済の3つのセーフティ・トライアングルがうまく機能して初めて最大の機能を発揮できるというところから、厚労省としましても、重要度、難易度の甲乙がなかなか付け難い、よって、優先度もなかなか付け難いと。今回の目標に当たっては、その中で重点項目としてレギュラトリーサイエンスと国際的な規制調和の推進ということを横串で掲げておりますので、こちらもまた重要度、難易度というところでは欠かせないところだということで、全部に大体重要度、難易度が付いてしまったという形になっております。以上です。
 
○河村構成員
優先度が付いているのがないのは、なぜですか。
 
○医薬・生活衛生局総務課長補佐
優先度は、当然どれを優先したらよいかというのもなかなか付け難いということが1つと、もう1つは、総務省の指針の中でも必ずしも付けなければいけないものではなかったので、付けていません。
 
○石井構成員
千葉大学の石井です。私は普段、医療現場にいる者としての視点として、今この重要度、難易度という所は全て大事だということですし、先ほどの3本の柱があるということを踏まえて考えてみますと、どこかに差を付けられると医療現場としては困ってしまうというか、同じように全部進めていっていただきたい内容です。特にこれについては、このまま進めていっていただかないと現場のほうは困るので、このようにやっていただきたいというお願いです。
 
○真野主査
それは、優先度とか難易度とかに限らず、3つともということですか。
 
○石井構成員
3つとも全て医療の現場に必要なことです。ましてや、もともとPMDAがどのように発展していったかというのは、この3つを充足させるための組織として発展していったと私自身は理解していますし、どれが欠けても医療現場は成り立たない所ですので、どれも頑張っていただきたいというのがこちらからの意見です。むしろ、私がどうしても重要度なり優先度を付けなさいと言われたならば、結果としてこちらが申請してきたのと同じようなことで差が付けられないという形になってしまいますので、私としてはこれでやっていただきたいと思います。
 
○真野主査
現場ということでは、ほかにどうですか。どうしましょうかね、これはあくまで議論の場ということですので、あとは橋田先生、何かどうですか。
 
○橋田構成員
この話は、伺っていて非常に難しい面があるなと思って聞いていました。そもそもの難易度なり重要度の定義と申しますか、意義付けのところで、それぞれの項目の内容を考えてされる場合と、組織としての次の目標、計画を立てられるときに、だけれども全部大事だからという形で展開されるか、そこに対するそれぞれのお立場の考えの違いかなと思いました。そういった意味で、何か少しアクセントを付けられるものであれば、全部重要だということを前提にした上でお考えいただく余地もあるかなとは思いました。
 
○真野主査
両方の御意見があって、繰り返しになりますけれども、別にここで何か決めるということではないとは思うのですが、両方の御意見があるという感じでしょうかね。先生、何かありますか。
 
○梅里構成員
そうですね、難しい問題かなと思います。一つ一つ見ていけば全て重要だしということだと思いますけれども、1つの考え方として患者さんの安全とか、こういったようなものに関わることは間違いなく重要度も高いということになるので、先ほどの3本柱ですか、審査、安全、救済に直結する業務について重要度が高いという位置付けにすると。決して重要ではないというわけではないけれども、国際化の推進とかそういったものについては、今言った3つの柱とはもうちょっと違うレベルのものとして、重要度が高いという位置付けにはしておかないという考え方もあるかなとは思います。
 
○真野主査
いろいろ御意見が出るところですが、またこの辺りは所管課と御相談していただくという形でしょうかね。構成員のほうでも何を重要視するかは、また意見が分かれると。国際化とかそういうもののほうが難易度が高くて重要だという意見ももちろんあるでしょうし、現場的なもののほうが重要だという意見もあるでしょうし、なかなか難しいところだとは思います。このような議論があったということでよろしいでしょう。
ほかに御質問はございますか。ちょっと私からも、今の議論に比べると細かい話なのですけれども、3つほどあります。1つ目は目標案の1ページで、これはもちろん計画のほうでも出てくるのですけれども、「MID-NETとクリニカル・イノベーション・ネットワークを連携させ」というのがかなり大きな柱として出ているようなのですが、もうちょっと詳しく教えていただきたいというのが1点目です。
2点目は、同じく目標の所で8ページです。これも詳しくお聞かせいただきたいということですが、評価における指標の所で「2020年度から原則全品目について実施」というのは、何を全品目についてやるのですか。臨床検査データとかを活用してというのは当然審査でやっていると思うので、ちょっとここももう少し詳しくお聞かせいただきたいのが2つ目です。
3つ目は計画の5ページで、救済業務が難しいうんぬんという話があったと思うのですが、要は医師とか専門家に聞いてとかという話でした。これは具体的に、もちろん例の子宮頸がんワクチンとか非常にナーバスな問題があることは分かっているのですが、最近どのような所が難しくなったのかと。もともとこの辺は非常に難しいというか、因果関係とかもなかなか明確にしにくい分野だと思うので、特に最近難しくなったというと、どのような所が難しくなったのか。この3つをちょっとお聞かせください。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
そうしましたら、組織運営マネジメント役の佐藤からお答えいたします。どうも御指摘を頂きまして、ありがとうございます。まず、最初の医療情報データベース、MID-NETとクリニカル・イノベーション・ネットワークの連携という部分です。現在のMID-NETというシステムは、10医療機関23病院という形で個々にPMDAと協力医療機関を契約した形で、その範囲の中で電子カルテ等の情報を匿名で頂いて、医薬品の安全対策等の分析に活用するという仕組みです。
一方で、電子化されている医療情報の総数というのはMID-NETだけではないわけでして、特にクリニカル・イノベーション・ネットワーク、例えば大学病院さんとかナショナルセンターでお持ちの患者レジストリーとかの電子データ、こういったものとか、臨床研究中核病院でお持ちになられている電子カルテ情報とか、こういうものとMID-NETを将来的に連結させていこうということです。現在、400万人強のデータを、可能な限り利活用できるデータの規模を増やしていくと。大きな目標でいうと、1,000万ぐらいの規模まで拡充したいというのがここに書いてあるMID-NETとクリニカル・イノベーション・ネットワークの連携ということの具体的な趣旨です。ただ、これは相手があることでして、現在PMDAと契約している医療機関外の方々にMID-NETに参加していただくということですので、またこの5年の中で、可能な限り彼らとの連携をどういう形でやっていくのがよいかというところも含めて検討させていただきたいというのが1点目です。
 
○真野主査
ちょっと今のに関連してですが、次世代医療基盤法ができましたよね。私の感じでは、それは直接MID-NETに余りリンクしないのかなという感じがするのですけれども、何かそういう新しくできた法律をうまく活用してということは余りないのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
実はMID-NETの仕組みは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法の下で情報収集を行っていますので、次世代基盤法を用いなくても次世代基盤法と同じようなことができる仕組みになっています。そういう観点からいたしますと、MID-NETを使っている所はそうなのですけれども、MID-NET外でこれからMID-NETと連携をしていく所については、そういった中核的な医療機関とか、あとは今御指摘いただいた次世代基盤法の認定医療機関とか、こういう所との連携を模索していくということにもなっていくとは思います。必ずしも限られたナショセンとか、臨床中核だけではない可能性もあるということで見ていただければと思っています。
 
○真野主査
なるほど、ありがとうございました。
 
○梅里構成員
今の関連で、クリニカル・イノベーション・ネットワークですか。あちらのデータというのは、やや疾患別なレジストリーのデータで限られた医療機関で実施をしているということがあると思うのですけれども。相手もあることだから、具体的に進めるのはなかなか難しい。1つ、こういうことを考えられないかというのは、今、診療報酬のDPCが随分進んでいますよね。DPCデータそのものは、もうPMDAでも利用することはできると思うのですが、あのデータは、医療提供したデータについてはいっぱいある。薬剤も分かるし、検査も分かるし。ただ、患者さんの病態に関するデータが、もう一方的に不足しているわけですよね。そのことを考えたときに、これは厚労省にもあるのですけれども、診療報酬のデータ提出加算の中に、臨床検査の結果データを含める。だから臨床検査の結果データを、データ提出することを加算対象にするというような診療報酬の改定を行った場合に、各医療機関は今のDPCデータのほかに臨床検査の結果を出してくる医療機関が、たくさん出てくるということが想定されるのですね。これはPMDAに限らずほかのいろいろな機関で、そのデータをものすごく有効に、臨床検査の結果も分かれば薬剤の投与と検査結果の対応も見ることができるし、その他の活用でもビッグデータの価値が飛躍的に増すと思うのです。だから、これは国策として、厚労省が診療報酬改定の中にそういうデータ提出加算を入れていく。これは保険局医療課の対応だけれども、厚労省の中では各課が診療報酬改定に対する要望を出すことができるはずなので、そういうものを出していくという。そうすると来年と5年の第4期の間に2回の改定がありますので、その間に何とかそういうデータ提出加算を入れていくことができないだろうかというのも、具体的な計画として入れておかれてはどうかと考えます。
 
○真野主査
PMDAが担当なのかどうか分かりませんけれども、本省の方もこられてますので、何か情報共有を。ナショナルデータベースなどでも同じことは言えると思うのですよね。その検査データがあれば、単にレセプトだけではなく。今DPCだけではなくという話でしたけれども。ただちょっと、PMDAさんが計画に盛り込むかどうかは分からないですけれども。
 
○梅里構成員
そうですね、PMDAが具体的に盛り込みにくいかもしれません。厚労省で動ければ。
 
○真野主査
そうですね。いずれにしても、こちらにも本省の方がお見えなので、何か議事録にも残ると思いますので。
 
○医薬・生活衛生局総務課長
やり方はいろいろあるし、困難度もそれぞれあると思うのですけれども。ちょっと目標の中に入れるのは馴染まないとは思いますけれども、そういう御意見だということを安全対策の担当課に伝えたいと思います。
 
○真野主査
ありがとうございました。では、2点目。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
2点目でございますが、先ほど、御指摘を頂きました新薬の審査における臨床データの活用の部分です。2020年度から、原則、全品目について提出ということですけれども、今、現状は新薬の審査をするに当たりまして、例えば臨床試験の個々のデータをエクセルみたいな形で、一患者さんの検査値など、そういった全てのデータを頂いているわけではありませんので。これは2020年の4月以降は、分かりやすいのはエクセルみたいな形式ですけれども、そういう形での個々のデータを全部試験ごとに頂くという形にしていくということです。
ただ、「原則」と書かせていただいているのは、最近の申請ということであっても、例えば海外では使用実績が長く、日本ではまだ承認されていなくて新薬になってしまって、海外でデータを取ったのがはるか20年前など、そういう品目もまだ存在しますので、そういうものに対して、過去に取ったデータが電子的なエクセルみたいなものに落ちていないようなものも、まだ依然として存在しますので、そういうものはさすがに提出からは除外をさせていただくということで、「原則」という形で、ここは記載をさせていただいているということです。
 
○真野主査
なるほど、ありがとうございました。いずれにしても、さっきの話ですよね、ビッグデータ化というか、いろいろなデータをうまく活用していくという流れの話だということなのですね。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
そういうことですね。
 
○真野主査
よく分かりました。この点に関しては、御意見よろしいですか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
3点目の救済事例の、最近の難しいものという所ですけれども、やはり最近の新薬は非常に効きがいいものが多くなってきている一方で、有効性と安全性は裏腹な関係があります。医療現場では使い方が難しいものが、だんだん増えてきています。例えば、お使いいただくときに、最初に少ない量からスタートしていく抗精神病薬などでは途中で用量を上げていく。その上げていくステップというのが、かなり使用上の注意で細かく規定をされているようなものがありますけれども、そういうところを医療現場で守らずに、割と急激に増量してしまって副作用を起こしてしまうなど、そういうものになってまいりますと、例えば薬理学的にみるとその薬が原因であることは非常に明らかであると。ただ一方で、そういった使い方が、やはり医療の中で適切なのかどうかというところを医療の視点から判断をしなければならないということになってまいります。その辺の線引きなど、そういうところが、先ほど理事長のお話もありましたけれども、臨床家が精緻に見ていかないとなかなか難しいような状況になってきています。これは一例として挙げるものですけれども、そういった事例も増えてきているということです。
 
○真野主査
確かに特に副作用というか、例えば痛みだとすると、そういうものの感じ方などは個人差がありますから、なかなかそれをどこまで問題と捉えるかですね。例えば、QOLの低下と捉えるかというのは、非常に難しいですね、個人差がありますからね。
 
○梅里構成員
今の御説明は、適応外使用は全て給付対象外になるということではないということですか。適応外使用でも、臨床的妥当性が判断されれば給付の対象になるという理解でよろしいですか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
はい、御指摘のとおりです。
 
○梅里構成員
分かりました。
 
○石井構成員
今のところで私はもともと質問があったのですけれども、このお仕事は時間も、人的にもかなり教育されていないとできないお仕事だと思うのです。先ほど、ちょっと財源的に人を増やすのは難しいような御説明があったのですが、こういったことを例えば広告をするというところでは、更に申請件数が増えるということがあると、それに対してまた、本来はそれをサポートする人がいないといけないということがあるのですが、広告したらやはり人は必要な気がするのです。その辺りは、どのようにお考えでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
基本的に、絶対に人が増やせないというわけではないので、もちろんそういう形で本当に業務処理ができなくなるような状況になってくれば、これは厚労省と相談した上で増員の要求をしていくこともあり得ると思います。現に今の3期の中においても、そういう形でちょっと増員をした経緯があります。
ただ、新薬などで増員したときのように自分たちで財源を持っていて、割と柔軟にできるという感じではないということを申し上げたということです。
 
○石井構成員
と言いますのも、一番最初にPMDAの一番大事なところというのは、健康被害救済制度というところをとても大事にされていると。要するに、安全性のところを一番守っていかなければいけない組織だといったところで、こういうことをどんどん進めていく、そういうときに潤沢な財源がないというのは、「ん」と思ったので。
 
○真野主査
財源というところでいくと、河村先生からも少し話題に出たかもしれませんけれども、今回、どこまで議論するかというのはありますが、さっきの溜っていたお金がなくなるうんぬんも含めると、どのように今後、お考えでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
すみません、先ほど申し上げたように一応PMDA、今の中期計画をスタートするときに審査部門で68億、安全部門で34億の積立金がありました。今の状況では審査の関係については、若干残りますけれども、ほぼ使い切るような形になっています。一応、これからはそういうストックに頼った経営ではなく、フローでしっかり回していかないといけないということです。今、4期に向けて、まず、もちろん我々自身が業務を効率化すべきところは効率化するということを前提にしつつ、各企業の方に手数料の引上げという形で御相談をさせていただいています。今、別途、パブリックコメントをしていますけれども、そういった形で、もし引上げができれば。もちろん今後の申請件数がどうなるかなど不確定な要素もありますけれども、次の5年間の4期については、ここに書いてある目標を達成するためには、人が増えていかないと達成はできませんので、それを賄えるだけの財源は確保できるような形のめどは立っているという前提です。
 
○真野主査
さっきの話で、どうしても申請を待つという受身の立場ではあるわけですが、治験の量は今後ある程度は増えそうだという、逆に言うとPMDA的にいけば収入になるものは増えそうだという見込みですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
そこはちょっと、今から3年先、5年先を予測するのは難しいのですけれども、定例的に今後2、3年ぐらいの新薬の申請見込数調査みたいなものは、ずっとやってきておりまして、その結果によりますと、今年度は年度半ばから申請は増えてきている状況になるのですけれども。
 
○真野主査
今年度ですね。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
はい。来年度もちょっと、アンケートの結果ですし、実際に開発するのかどうか分かりませんけれども、結果だけ見ますと、31年分については、かなり申請はあるだろうということで予測はしております。一応そういうことで、我々自身も単に待っているだけではなく、我々自身がいかに相談をしっかりやって、目利きと言うとちょっと語弊はありますけれども、新薬を医療現場に届けるような形に対応をしていく。それにはガイドラインなどを作って、開発をできるだけ効率化していくということと合わせて申請を増やしていくということでやっていかないといけないなと思っています。
 
○真野主査
戦略相談などは、増えているのでしたか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
30年度は、ほぼ例年並ぐらいの感じではありますけれども、ここは一番我々が力を入れたところでもありますので、しっかりやっていきたいと思います。
 
○真野主査
厚生労働省でも何か医療ベンチャーの育成でしたか、何か試みられているようですけれども、そういうところとの連携などもあるのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
今、先生がおっしゃった話については、医政局の経済課にベンチャー支援室ができました。薬事戦略相談などと、その後の薬価の関係の相談と連携してやっていくという取組が去年の4月からスタートしています。
 
○真野主査
そういうことですね。ありがとうございました。
 
○河村構成員
今の関連でお尋ねできればと思うのですが、PMDAさんはお立場的には非常に特別だと思います。資料の中でもお書きくださっていますけれども、中期目標だと15ページの辺り、財務ガバナンスの強化というところがあり、(1)、(2)といった辺りに書いてありますけれども。今、御説明があったようにストックに頼らず、なるべくフローでという話もあったのですが、基本的な考え方としては、こうやってある意味受身で、申請待ちで、それで収入が入ってくるような構造の中で、ある程度外部要因で多少の振れがあり得るときに、安定的に財務運営しようということになると、やはり積立金などは持っておいてということになる。それが普通の考え方なのではないかと思います。ただ、さはさりながら、いろいろ国庫に返納しないといけないなど、いろいろと独法は、そこの問題もあると思うのですが、その辺りをどうお考えかということと、あともう1つは、病院の診療業務などと違うのは、手数料自身をやはりPMDAさんで決めていく、交渉していく余地があるところではないかと思っています。手数料の引上げということを要請されていると伺いますけれども、それは実際にどういう根拠に基づいて交渉されているのか。先ほどからいろいろ御説明を伺っていますと、難易度がどんどん上がっていって、同じ審査といっても来る内容によってコストが変わってくるのかなというのが、素人からでも少し想像がつくところでもあるのですが、その辺はどうお考えでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
まず我々、先ほどフロー経営と申しましたけれども、今、先生がおっしゃったように、申請数がぶれたときに申請数がぶれたのを確認してから実際の手数料の改定も含めた措置につなげるまでの期間は、やはりタイムラグがあります。その間、何とかしのげるぐらいの積立金は持っておくような形の財政フレームを組んでいます。大体、目の子で言いますと10%ぐらい申請数が減って、それが2、3年続いても立っていけるぐらいの積立金を持つような形のフレームを、今日は出せていませんけれども、持つような形でやります。確かに積立金があると国庫にという話はあるのですけれども、こちらの積立金の場合は、基本的にはPMDAに仕事をしてもらうために納めていただいた手数料や拠出金ですので、そこは財務当局にも御理解を頂いて、4期に持っていけるようにしていきたいと思っています。あと何でしたか。
 
○河村構成員
手数料の引上げを要求するという。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
手数料は基本的には、法律にも実費を勘案してという形で書いています。一方で、企業も、業界の環境からしても、PMDAが少しでもよくなったら幾らでも出すという感じではないので、我々自身がまず業務効率化の努力を折り込む。かつ、それは部門ごとに負担者が違いますから、それぞれの審査に掛かっている費用。もちろん、これは一件一件でみれば、ブレがありますけれども、手数料自体が政令という法形式で定めていますので、一件一件ごとに別の額を定めるわけにはいきません。大体、平均的に掛かった費用のようなものを出して、それを定める形にしています。当然、新薬の審査とジェネリックなどの審査とは価格が違いますので、その辺りは額にも大幅な、新薬であれば、今、一件当たり3,000万ぐらいの手数料を頂いています。一方で普通の一般薬などであれば、10万単位、100万までの額という形で差は付けています。主に業務量に見合った形の手数料をお願いしているという状況です。そこは御理解いただけるように交渉しているというところです。
 
○河村構成員
積立金のところですけれども、今、お話がありましたが例えば仮の話で将来、申請の件数が何%少なくなってもやっていけるようにというリスク管理は大事だと思います。非常に金融的な考え方だと、そういうことは考えるので、やはりせっかく経営企画部門もおつくりになられたということですので、是非、そういうところをきちんと見通しを立てていただいて。一つの特別な独法だと思いますので、通則法上のいろいろな積立金の扱いがあると思うのですけれども、そこは逆にPMDAのお立場や、今、審議役がおっしゃられたようにPMDAで検査してもらうために納めてもらう手数料なので、そこに使うのが、もちろんそのためのお金ということで十分説得力もあると思います。必要であれば、財政当局や総務省とも交渉していただいて、安定的な財務運営ができるような、なるべく外にも説明できるようないろいろな分析などもされて、是非、そういう交渉をしてやっていかれたらいいのではないかなと思います。
 
○五十嵐構成員
関連して確認なのですが、財務ガバナンスの強化のところで、所管課で中期目標を書かれて、それを受けてこちらの計画にも入っているのですが、簡単に言いますと、今ありましたように必要な措置を迅速に講じろということを、中期目標に書かれているということは、ちょっと独法になじまないかなと思ったのですけれども、手数料やその他もろもろのことを、迅速に意思決定をして中でどんどんやっていって、財務の向上を図るというガバナンスをやっていいのだということを前面に出したという理解でよろしいでしょうか。ずっと流れを聞いていると、むしろそれよりも重要な事業がたくさんあるので、その事業を的確にやることが最重要だと一方で全部流れている中で、何となく財務のことを考えて、よりきちんとした損益が出るようにガバナンスを強化していけというのは、ちょっと馴染みづらいかなと私は印象を受けたのですけれども、その辺はいかがですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
基本的に我々は公的な機関ですので、まず役割をしっかり果たしていくということは、最初に置いています。そういう目的で今の4期の計画を作っています。ただ一方で、私どもの法人がこれだけ体制強化ができてきたのは、ちょっと言い方に気を付けなければいけないのですけれども、我々自身が手数料や拠出金、業界とも交渉をして独自に財源を確保したが故にここまで体制強化ができた経緯がありますので、今更、正直国に助けてくれという言い方は多分できません。ですから一方で、まず公的な役割をしっかり果たしていくことを前提としつつ、儲けようとは思っておりませんけれども、しっかりできるだけの財務運営はしていかないといけないと思っております。優先順位としては、そういう形になります。具体的には、メインテーブルに座っているメンバーと財務部局で財務管理委員会をやっております。そこで毎月の申請状況などを細かく分析をして、もし危ないぞという話になったら手を打てるという形の運営をしています。
いずれにしても、我々自身がやはりしっかり財務運営をしていくことがうちの法人は求められているということですので、公的な役割を果たしつつ、しっかり財務運営をしていくという形のスタンスで考えているということです。
 
○五十嵐構成員
念のための確認です。そうなりますと、中期目標期間の実際の評価のときに、これに従って新しい収入、財源を確保することをやったり、件数の状況を踏まえて弾力的な手数料の価格改定をしたということは、むしろ評価をするという方向で考えていいということですね。硬直的にあれするのではなくて、そのように考えて前向きにしていることに関しては、より評価を高くするという理解で。本人というよりは、むしろ所管課にお伺いしたいのですけれども、そういうことでよろしいですね。
 
○医薬・生活衛生局総務課長
そういうことになるかと思います。
 
○五十嵐構成員
分かりました。
 
○真野主査
ちょっとその手数料の話なのですけれども、FDA、EMAに比べるとそもそも安いのでしたよね。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
基本的に新薬、あるいは新医療機器というものについては、かなりFDA等に比べればまだ安い。今、FDAでは新薬だと2億ぐらい掛かっていますけれども、我々は3,000万円ぐらいです。今回の改定の案でもそれぐらいの水準なので。効率的にはできているのかなと思っています。
 
○真野主査
そうですね。そこでちょっと思ったのは、企業が申請するメリットでマーケットの大きさが、残念ながら日本はだんだん世界におけるシェアが減っていますよね。だから、もしかするとFDA、EMAだと、膨大なマーケットがあるから高くてもいくけれどもというところもあるかもしれない。何か、すぐは難しいと思いますけれども、アジアも含めてマーケットをね。つまりPMDAで承認を取れた場合のメリット、そこも追求されるといいのかなと思ったのですけれども。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
今、先生がおっしゃったのは御指摘のとおりです。日本の人口1億人ですけれども、先ほど国際化の取組でありましたが、やはり我々がアジアトレーニングセンターというものを作って、アジアの国々の規制のレベルアップを目的にするのも、一つはもちろん、今、医薬品というのは世界のどこかで作られて世界中に流通していますので、アジアの規制レベルを上げるということは、日本の消費者にとってもいいということがあります。もう1つは、やはり日本で承認を取れば、日本人1億人だけではなくてアジアの10億人なりに使えるという状況を作れば、企業の皆さんも、開発する皆さんも日本を開発に選んでいただくと。それによって日本国民も最新の医療の恩恵を受けることになります。そういう意味で、できるだけ私どもとしては国際展開をしっかりやっていって、日本の承認結果をアジアの国で広く受け入れていただけるような取組をしていくことで、今、先生がおっしゃったような問題意識に応えたいと思っています。
 
○真野主査
そうですよね。最近、日本の例えば年金などの仕組みを海外で構築のお手伝いをするといった話も聞きますので、是非よろしくお願いします。
 
○梅里構成員
関連して、今のアジアにおけるということで、これは計画の15ページですかね。この中で評価の指標ですけれども、満足度、Good以上が75%という目標を立てておられるのですけれども、今のような目的で国際業務を推進しているとすれば、何か国以上の参加であるとか、あるいは何人以上にそういう教育をするという量的なものが目標に立てられないと。満足度が5人きても、75%タイル以上などという目標は達成できてしまうのだけれども、そうではなくて、どれだけ世界中にこのPMDAの活動を知らしめたかというのが、指標に入ってこないのは、ちょっと不足しているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
理事の林と申します。私から御説明させていただきたいと思います。基本的に1回の研修に御参加いただける人数というのは、こちらのキャパシティの制約もありまして、申込みがかなりあっても、一部の方々には御遠慮いただかなくてはいけないというところがあり、無制限に受け入れられるようであれば、1回で何人以上という目標を設定できると思うのですが、そこはちょっと限界があるということを御理解いただければと思います。むしろそういうこともありますので、私どもとしては受けていただいた方が、どういうことを身に付けられて、それぞれの国に帰って、それをいかしていただけるかというところを見たいということで、このような指標を立てさせていただいております。
 
○梅里構成員
それは分かるんだけれども、そういうキャパシティの制約があって、それをだんだん広げていくのか、どうなのかというのがPMDAの計画になるわけですね。だから、具体的に次年度、次々年度、どういうふうにそれを規模感をもって、こういうセミナーを実施していくのかということが計画に盛り込まれるべきだし、その上で満足度がどうだというのが評価の指標になるのではないかと思うので。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
ありがとうございます。例えば20人の枠があったところに実は75人ぐらい応募してきて、各国が5人、6人派遣したいというのが結構あるのです。それを2人にしていただくとか、そういうふうにしながらコントロールしてやっているところです。そういうことで実は自分の国でやってほしいと言われて出張し、その国の人のためにわざわざやることもあります。特にインドネシアとかサウジアラビア、タイとかミャンマーなど、そういういろいろな国で個別にわざわざ行って講習することもございます。そういうことをどうやって数値化するかという話はまた別ですが、今、申し上げたように、これはアジアと言っていますけれども、中南米、アフリカ、東ヨーロッパまで及んでいますので、ほとんど世界中だと思います。加えて、これはWHOが非常に関心を持って、もともとこれはWHOが非常に興味を持っている仕事ですけれども、規制当局が、今までそういうことをわざわざやってくれていなかったのです。日本が最初にやったわけですけれども、非常に評価してくださって、WHOのサポートも、今後、どんどん出てくるだろうと思います。ですから、この評価の仕方につきましては、今、梅里先生がおっしゃったように、もう1回考え直して、どういうふうにすると一番できるのかを考えさせていただければと思います。ありがとうございます。
 
○河村構成員
関連してお尋ねします。近藤理事長が出ていらしたナショセンの在り方検討会に私も出させていただき、そこで聞いたお話ですけれども、お薬の効き方というのが人間の体の問題があって、データとかでもアングロサクソン系のデータはあるけど、アジア系の人種のデータがなくてという話を伺ったことがあって、日本の医薬品業界の今後の成長ということを考えると、専門的なところは門外漢で分からないですが、アジアの国というところに更に重点を置いて、この規制の見込みというか溶け込みというのを図っていったほうが、全体として日本の医薬品業界にとってのマーケット拡大にもつながるということがあると思います。そういうふうに重点を置いて取り組むという考え方については、いかがでしょうか。どうお考えになりますか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
御指摘いただきまして、ありがとうございます。正しく河村先生が御指摘のとおりでございまして、日本の承認された品目を、今、どんどん審査報告書を英訳したりして提供させていただいていますけれども、アジアの規制当局での利用というのが一番多い状況であり、彼らからすると日本人のデータは同じアジア系民族のデータということで、受け入れやすい状況があるというのは事実だと思っています。そういうことも含めまして、ATC、アジアトレーニングセンターのプライマリーなターゲット国は、まずアジアということに照準を当ててこれまで対応してきていますし、この計画の上のほうに書いていますけれども、守秘取決めに関する交換書簡に基づく二国間協議の推進というのもありまして、こういうトレーニングセンターの中で人的な育成をしていった上で、さらに信頼関係を醸成していくリライアンスというものを構築していって、二国間での様々なMOUを取り交わすという形で、この話をどんどん進めていくということですから、あくまでアジアに照準を置いた上での人的なリライアンスを作るのが、このセンターのベースというふうにお考えいただければと思っています。
 
○河村構成員
そういった辺りも取り込んだような目標を、もう少しお考えになってもいいかなと思います。
 
○梅里構成員
健康被害のところにちょっと戻って、これは血液製剤によるHIVとC型肝炎の給付業務というのが4期の目標と計画に書かれていて、もちろん給付をやるというのは悪いことではないわけですけれども、実態として、一昨年日赤のほうから出ているレポートは御存じだと思いますが、血液製剤によるHIVとC型については、一昨年日赤が150万本調査をして、実態としてはゼロなのです。感染は起こっていないということです。我が国で年間に大体500万本の血液製剤が使われますけれども、ゼロなので3倍してもゼロになってしまい推定不能というレベルです。
これを受けて確か昨年だったと思いますが、日本輸血・細胞治療学会がシンポジウムを開いて、輸血の感染症検査の実施についてはそろそろ見直すべき時期ではないか。実際、輸血の感染症検査は数十億の費用が掛かっていますので、そういう提言が出されているところです。これは厚労省のほうかなと思いますが、これを受けて輸血のガイドラインを見直すのかどうかというところも、今、検討されているのではないかと思います。そういう実態があって、これが4期の目標の中にポッと出てきている。具体的な計画の中にもゼロ件のものが出てきているというのは少し違和感があるのですが、この辺のところ。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
これは今のというより、むしろ過去の被害者に対する救済事業を委託で受けているということです。
 
○梅里構成員
重点目標ではないのかなということですかね。継続した実施ということ。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
これは、しっかりやっていくということだと思います。
 
○石井構成員
審査業務のところで、新薬のほかに今回もジェネリックというのが挙がっていると思います。新しいジェネリックだったらいいのですけれども、ちょっと我々、現場の者が困っているのが、1つの物に対して雨後の筍のごとく30とか、多いものは80以上ジェネリックが出るケースがあるのです。そういったものは、この条件さえ整えばというところで審査業務をされていると思いますが、ちょっと整理をするというか、80も承認する必要はないように思いますけれども、その辺りはどのように考えていらっしゃいますか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
私どもの立場としては、基本的に申請があったものが、品質、有効性、安全性が確保されていれば承認せざるを得ないという立場なので。
 
○石井構成員
お立場はそうですけど。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
なかなか私どもの立場は難しいのですが、ただ、一応、その辺りの問題意識は厚労省の医政局辺りは持っていると思いますので、そういうような取組は、今後、されていくのかなと思っています。
 
○石井構成員
その時間を新薬のほうに有効活用していただいてと思います。もう1つ、MID-NETの所で、これも少しお願いなのですが、MID-NETの体がまだ全て整っていないように思いますし、先ほど言ったような検査データとか必要なものがあれば、より良くなると思いますけど、問題は我々が使うのにはとても高すぎるということです。どういうふうに金額が設定されたかよく分かりませんが、我々、大学病院にいますと業務だけでなく、研究して更に良い薬物治療の提供ということを考えていますし、副作用も含めて治験のときの副作用のパーセンテージと市販後変わってきたり、合併症を含めた情報というのも必要ですので、できれば場末の者たちが有効活用で使えるような、もうちょっと幅広く使えるような形にしていただければというお願いです。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
御指摘、ありがとうございます。今の点は我々もよく承知していまして、医療薬学分野の方からのニーズが非常に高いということは我々も承知をしているつもりです。MID-NETの料金体系ですが、基本的には作業工数に基づいて算出していますので、アカデミアの方が使う、企業の方が使うということで、何らかの差別をするということは現状ではしていません。ただ、全体的にMID-NET自体は費用として固定費がかなり大きい状況で、これから利活用が進んでいくと、だんだんスケールメリットが価格に反映されていく状況になっていくと思っていますので、是非、企業の方も含めて利活用を進めていただいて、全体的な利用料をこれから下げていけるように、我々も努めていきたいと思っています。
 
○真野主査
あえて少し暴言を吐くとすると、PMDAという独法の位置付けとしてなかなか値段を変えにくいのかもしれませんが、一般的な民間企業ですと、アカデミア価格と企業価格は違うことも多いですね。さっきのジェネリックなども、これは暴言ですけど何品目以上は値段を上げるとか、そういういろいろな方法は、どこまで独法ができるか分かりませんが、考えれば、ちょっと民間的ですけど、あるのかなと思ったりもしています。
 
○石井構成員
多分、ジェネリックは、国によっては何品目以上はないとかありましたよね。定かではないですけれども、そういったコントロールしている所もあるような気がします。というのも、すごく困るのが、例えば供給がいきなり、変な所を選ぶと途絶えたりとか、一方、今、困っているのが、これだけジェネリックが出たからといって先発のほうがやめて、一応厚労省とは協議の上なのでしょうけれども、それでもまだシェアされているものが、いきなり供給が途絶えてジェネリックのほうで賄えないとか、そういったことがありますから、その辺りをちゃんと見据えて、しっかりとコントロールをお願いできればなと思います。
 
○真野主査
コントロールは厚労省のほうのお仕事になってしまいますね。
 
○石井構成員
そうだと思いますけど、少し審査とバランスというか、先ほど横串とおっしゃっていたので厚労省とも横串を刺していただいて、お願いいたします。
 
○真野主査
そうですね。実際、国によってジェネリックの品目を限定している国ってあるのですか。
 
○石井構成員
間違っていたらごめんなさい。ドイツとかは、そういうふうに幾つかまでと聞いたことがあります。定かでないので間違っていたら申し訳ないのですが、ある程度、そういったことも必要なときになってきたのかなと思います。
 
○真野主査
いろいろなことをお考えいただく時期が来たのかなという話ですかね。
 
○河村構成員
MID-NETのお話の続きで基本的な質問で恐縮ですが、MID-NETはPMDAの財務運営上、独立した勘定でやっていらっしゃるということですか。そうではないですか。固定費がという話がありましたけど、最初のイニシャルコストは運営費交付金で出てきたのですか。すみません、その辺りをちょっと。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
MID-NETは審査等勘定の中で運営していますが、安全セグメントで、いわゆる国費の補助金と企業から頂いている安全対策拠出金を活用して、全体のベースの部分は構築しているという形になっています。
 
○河村構成員
そうすると、先ほどの積立金の話ではないですが、PMDAでやっている他の業務とは別になって、審査等とは別になっていると。ただ、審査のほうでもMID-NETのデータをいろいろ活用しながらというお話も出ていたりするので、その辺りは今後のMID-NETの広がり具合とか、活用のされ方の具合によっては考えていく余地があるのかなと。そういうところも考え合わせ、先ほど高すぎてというお話もあったので、そういったところをもうちょっとうまい運営につなげていくことができれば、財務運営のところのあり方の見直しもあってもいいのかなという気がいたしました。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
是非、参考にさせていただいて検討させていただきます。
 
○橋田構成員
私、レギュラトリーサイエンスに関するところで質問させていただきます。今、医療が非常に大きく発展していますので、審査、それから安全性対策においてもレギュラトリーサイエンスの推進が非常に重要だということはよく分かるのですが、それを目標とか計画に落とし込むときに他の分野、審査部門とか副作用救済ですと、どういう担当者がおられて、どういう規模でどういうことをやっておられるかというのは、ある程度イメージできるのですけれども、サイエンスという言い方になると、どういう組織でこれから構築していこうとお考えかというのが1つあります。それから、実際の業務も例えばいろいろな情報を収集するということで、ガイドラインを作るとか、それこそホライゾン・スキャニングの手法の確立というのが重ねて出てきますけれども、何か計画なり目標といったときに、その辺りがこれからどういうふうに取り扱われるのか。その辺について教えていただけますか。お願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
御質問いただきまして、ありがとうございます。レギュラトリーサイエンスをどういう人がやっているのかということですが、本日、お配りしている資料4の43ページを御覧ください。資料4で補足資料と書いているもので、これの43ページにレギュラトリーサイエンスセンターの機能とあります。昨年の4月にPMDAの中でレギュラトリーサイエンスセンターというものを設立して、要するに審査部門と安全部門の共通部分に当たる部分が3部あって、例えば医療情報の活用、次世代評価手法の推進、研究支援を行うという形で、一定の横串的な機能を果たすような横断的な組織を作ったところです。ここに陣容として何人いるか正確な数を示すものが手持ちにありませんけれども、50~100人の範囲ぐらいの規模の組織になっています。
特にこういう中では、先ほど出てきているリアルワールドデータ等を活用していく。例えば承認審査データを電子的に頂いて、そういうものを横断的に分析することによって、例えば新しいガイドラインが作られてくるとか、そういったことにも活用していくというのが、ガイドラインを作っていくもののイメージになっていくのだろうと思います。
ただ、このホライゾン・スキャニングも、ここの課題の中に書いていますが、実はこれはICMRAという国際的な規制当局のトップの会議みたいなものがあって、その中でもホライゾン・スキャニングを国際的に協力してやっていこうと。日本だけが見つけたということではなく、アメリカで見つけたもの、ヨーロッパで見つけたもの、そういったものを共有しながら、それに対する規制の対策を一緒に考えていこうという取組を、一昨年のICMRAの日本会合からスタートしたところです。そういう意味では、まだ先進国の中でも、このホライゾン・スキャニングの手法というのは手探りでやっているところです。今、現状では、例えば新規で出てきている論文などの文献の中に、そういう医薬品や医療機器の開発シーズになるような研究が含まれていないか調べるとか、そういったデータベースの中で抽出していくとか、そういうことを今、研究レベルでやっている方もいらっしゃいます。そういう手法を我々も活用して、次の中期計画の中で具体的にホライゾン・スキャニングをやっていくことにしていますが、そういう意味ではまだ手探りであり、先ほど河村委員からも御指摘いただいたように、ここは本当に難易度が非常に高いところということです。そんな状況です。
 
○橋田構成員
ありがとうございました。レギュラトリーサイエンスの推進によっていろいろなフィードバックが出てくると思います。もちろん、人材育成というところも大事な要素だと思いますが、例えば機構の中での人材育成のことはよくイメージできます。それから、アジアトレーニングセンターを通じたグローバルなというのもよく分かります。これはちょっと質問ですが、その中に都道府県の担当者の方、あれは査察だけに限った話かもしれませんけれども、そういった部分は機構として何か取組を具体的にしておられるのかどうか、ちょっと教えていただけたらと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
お答えをさせていただきます。資料1-2の8ページになります。品質管理関係の一番最後の所で、合同調査等の実施の促進を図り、都道府県等の職員の資質向上に貢献ということで、これは厚労省のほうでも予算措置をしていただきまして、来年度から都道府県の職員の資質の向上というところについても取り組んでいき、日本全体としてGMPのレベルを上げていくところに貢献していきたいと思っています。
 
○真野主査
ありがとうございました。だいぶ時間も押してまいりましたが、幾つかまだあればお願いします。
 
○梅里構成員
ちょっと違う話ですが、計画のほうの13ページにSUDのことが書いてあります。「再製造SUD」ですけれども、確か厚労省のほうでは、再製造の企業を認定するという方向で動いていたのではないかと思いますが、これについて具体的に、このQMS適合性確認というのがそういう意味なのでしょうか。SUDを再製造することが適切であると、PMDAのほうが判断する試験という意味でよろしいのでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
御指摘、ありがとうございます。再製造SUDについてですけれども、一応、この再製造したものは新しい医療機器の個別品目という形で、再製造したものを新たに承認を与えるという仕組みを、今から2年ほど前に通知で示しています。ということですので、基本的には医療機器の個別承認と類似の考え方で承認を与えるという確認になります。ただ、再製造品というのは元から製品を作るのとは違い、いかに滅菌の部分がきちんとできているかなど、物を見ていく製造上の視点が変わってきます。そういうところもございまして、この再製造SUDの評価をするに当たってはQMS適合性の確認をやるときも、他の医療機器とは違う視点で見ていかなければならないという部分もあり、そういう部分が適切に実施できるように、我々のほうとしても体制を強化してやっていきたいという趣旨の中身です。
 
○梅里構成員
具体的に、そういう再製造を行う企業が認定されて実施するというのは、かなり先の話という認識になりますか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
ただ、品目としては既に承認されるようなものが来ていると聞いています。
 
○梅里構成員
それを目指している所もあるということですね。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
ということでございます。
 
○梅里構成員
分かりました。
 
○真野主査
ありがとうございました。ちょうど、今、SUDは割と新しい話題ですけど、同じような新しい話題でいくと、再生医療についての承認の取組とか、最近、動きはございますか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
再生医療の関係は、昨年末の12月28日ですけれども、ステミラックという、骨髄間葉系幹細胞で患者さんから抽出したものを培養して、また患者さんに戻すというものですけれども、重度の脊損の方に対するものというのが承認されています。これは先駆けの指定を受けたもので、審査期間も6か月ということで対応させていただきました。再生医療については条件付承認という新しい制度を運用していますが、条件付承認としては2例目ということで、これから実は再生医療品目は非常に申請が増えてくる状況があり、そういう中で今回も、中期計画の中で具体的な目標を設定させていただく状況になってきているということです。
 
○真野主査
着々と新しい話も動いているということでしょうかね。どうでしょう、最後ぐらいでどうでしょうか。
 
○梅里構成員
ガバナンスと人材養成の関係ですが、ガバナンスのところをPMDAのほうでどのように捉えておられるか。なかなか難しい概念かなと思いますが、これは病院のほうもかなり厚労省のほうから強く求められています。ガバナンスを確保するための具体的な要件として、例えば内部通報制度をきちっと設けなさいとか、それ以前に病院ではいろいろなインシデント、アクシデントの報告が義務付けられていたりということがあります。ガバナンスの基本は通常の運営と少し変わったようなことが起こったときに、それを速やかに幹部が把握できるようなモニタリングの仕組みが組織の中にあるかどうかも非常に重要かと思います。具体的なガバナンスの計画の中にそういうことがあまり書かれていないのですが、PMDAの中では既にそういう通報制度とか、オカレンスレポートという仕組みがあるのかというのが、1点です。
人材育成のところでも、あまり具体的に書いていないですけど、新規に入職されてからどのようにキャリアパスを形成していくのか。教育研修の計画とか、一人一人の目標管理、年度ごとの目標管理の達成状況、人事評価という言葉がありますけど、人事評価に加えて能力評価とか、アメリカで言うところのクレデンシャルファイルのように一人一人がどういう段階にあるのかを管理していくような、そういう計画はないのかどうか。2点、お聞きしたいと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
1点目、私のほうから、ありがとうございます。もちろん、私ども内部通報制度はございまして運用はしております。あと、先生がおっしゃった関係で言いますと、リスク管理委員会という委員会を開き、実際にインシデントが起きたケースについて、それが軽微に終わった場合も含めて、このメンバーで共有し、あと、それを再発防止策として組織内に横展開する取組をしてきているところですが、リスクには至らないような事案を逐一取り上げてというところまではちょっと。個別にそういうことがあればルールを作ったりはしていますけれども、そこまでシステマティックなものはできていないので、そこについて今後の課題として検討させていただきたいと思っています。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
2点目の人材の育成ということですが、計画の21ページ、人材の確保・育成の推進と業務品質の一層の向上の1ポツ目に、Career Development Program、CDPというのが書かれています。これは機構の職員の階層を8つに分けて、初級、中級、上級から課長補佐、課長、部長、審議役、それ以上という形で、要するにその方々の能力、役割の目標を設定し、それに適合する形で、毎年、人事評価をしながらキャリアラダーを分かりやすくしていくとともに、そのキャリアラダーに従って個々人の人材の成長を図っていく仕組みを導入したところです。それが正にCDPというもので、また、この中期計画においてもCDPに連動した形での新たな人事評価制度など、そういったものを動かしていきたいという形で考えているところです。
 
○梅里構成員
ありがとうございます。
 
○真野主査
それでは、そろそろ時間になりましたので、本当にいろいろな御議論、ありがとうございました。本来、70分だったと思いますけど90分ぐらいですかね、もっとしたかもしれませんが、結構、いろいろな議論ができたかなと思っています。最後に、法人所管課及び法人から一言ずつお願いします。
 
○医薬・生活衛生局総務課長
まず私からですが、本日、先生方、お忙しいところ御意見を賜りまして大変ありがとうございました。今日いただいた御意見を踏まえまして、これから関係省庁とも協議をしますけれども、しっかり中期目標を作成してまいりたいと思います。それから、その後も機構がしっかりと政策目標を達成できるように、いろいろ環境整備なり施策面での支援ということも私どもがやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
本日は、お忙しい中お時間を頂きまして、PMDAの第4期中期計画(案)につきまして大変深い御理解を頂いた上で、御丁寧な御審議を頂きましたことに感謝申し上げます。この第4期中期計画(案)は、私がこれまで11年間にわたってPMDAで取り組んでまいりました内容の集大成のつもりで策定いたしました。審査、安全、救済、このセーフティ・トライアングルの考え方を基本に置くことにつきましては、一点のブレもございませんけれども、現状に決して安住することなく、更なる規制や組織運営のイノベーションに取り組んでいきたいと考えております。そのためには、これまで以上に横串の取組、すなわち業務ごとの縦割りの取組ではなく、理念に基づき業務横断的な取組、PMDAはレギュラトリーサイエンスの推進や国際化の推進でございますが、それを進めていく必要があると確信しております。なぜならば、イノベーションは横串の取組の中から起こってくるものだからでございます。第4期中期計画(案)の策定に当たっても、この点に最も留意いたしたところでございます。
第3期中期計画期間において、アジア医薬品・医療機器トレーニングセンターやレギュラトリーサイエンスセンターを設置するとともに、MID-NETや次世代審査システムの構築を進めてまいりましたのも、正にこの点が念頭にあったからでございます。第4期中期計画期間は、それを生かして横串の取組を花開かせたいと思っております。特にこれからの規制当局は、これから出てくる革新的な技術を先回りして把握し、マッピングを行った上で、開発の動きに遅れないよう適切な規制体系を構築していく必要があります。そのような取組をホライゾン・スキャニングと言っておりますが、その方法論の構築につきまして取り組むとともに、科学委員会の場などを利用いたしまして、革新的技術についての評価ガイドラインや審査体制の整備を進めてまいりたいと考えております。
国際化の推進においても、これからは日米欧、三局の1つに安住することなく、多国間交渉、会議において議論をリードしていく所存でございます。特に日本の規制の質の高さに対する各国の理解が着実に進んでいることを肌で感じておるところですが、日本の審査結果がアジア各国で受け入れられる動きが、今後、加速してくると確信しております。これは我が国の医療、医薬関係産業が世界で戦う上でも大変重要であり、透明性が確保された産官学の連携のもと、国際的に羽ばたいていきたいと思っております。
あと1点は、健康被害救済制度について述べさせていただきたいと思います。健康被害救済制度はPMDAの正に原点であり、革新的な製品を世の中に出せるのは、この制度がしっかりとセーフティネットとして機能しているからだと思っております。昨今の医療技術の高度化や、これまで経験したことのない革新的な製品の上市、高齢化の進展に伴う多剤併用の問題などにより、1件1件対応の難易度が上がってきておるところでございます。このため、私は医師の資格を持った臨床担当が個別案件を精査する仕組みを導入いたしました。これにより、より患者さんに即した妥当な判断ができると考えております。また、薬の作用のより広く、より長期にわたる影響を具体的事例を通じて知ることができ、今後の臨床への貢献のみならず、審査業務と安全対策業務の質の向上に資するものと考えております。今回、掲げました救済業務の処理期間の目標の達成は決して容易なものではないことは、是非、御理解いただきたいと思っております。
最後になりますけれども、PMDAに対する社会的要請は、国における各種政策から見てもますます大きくなっていると感じております。この期待に応えるべく、第4期中期計画期間においても、我が国の医療行政の一翼を担う組織として、さらに発展させていきたいと考えております。今後も引き続き、PMDAの業務運営に御指導、御鞭撻を賜りますことを心からよろしくお願い申し上げたいと思います。本日は誠にありがとうございました。
 
○真野主査
以上で、本日の議事を終了いたします。最後に事務局のほうからお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
今後の流れにつきましては、会議の冒頭に参考資料2で御説明しましたとおりでございます。確定しました中期目標と中期計画につきましては、構成員の皆様にお送りいたします。最後に、構成員の皆様の中で、本日配布した資料の送付を御希望される場合には、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上でございます。
 
○真野主査
ありがとうございました。それでは、第17回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGを終了させていただきます。本日はお寒い中、どうもありがとうございました。

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第17回)議事録(2019年1月16日)

ページの先頭へ戻る