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2018年7月26日 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第4回)議事録

○日時

平成30年7月26日(木) 14:30~17:23

 

○場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)
 

○出席者

松尾主査、大西構成員、亀岡構成員、河村構成員、斎藤構成員、髙瀬構成員、田極構成員、富田構成員、山口構成員

○議事

 

 

○松尾主査
皆さんこんにちは、主査を務めさせていただきます、松尾でございます。時間になりましたので、ただいまから第4回独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WGを開催いたします。
構成員の皆様へおかれましては、お忙しい中、お集まりをいただきまして、ありがとうございます。議事に入ります前に、新任の構成員を御紹介します。4月1日付けで、河村小百合株式会社日本総研調査部上席主任研究員に構成員として御就任いただいております。どうかよろしくお願いいたします。本日は、山口構成員におかれましては、所用のため少し遅れてこられると伺っております。
次に、本日の議事につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
政策評価官室長補佐の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は国立病院機構につきまして、「平成29年度業務実績評価」及び「中期目標期間見込評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。御意見を頂くに当たり、昨年までは、全ての評価項目について法人から説明を行っておりましたが、今年からは、自己評価がA評定以上の項目及び定量的指標の達成度が100%未満にもかかわらずB評定であるものなど、事務局が指定させていただきました項目について、法人から説明の上、有識者の皆様から御議論、御質問を頂きたいと存じます。
それ以外の項目については、法人からの説明はございませんが、御意見がある場合には議事の最後にまとめてお伺いすることにいたします。
法人からの説明項目は、参考資料9の「国立病院機構評価項目一覧(年度評価・見込評価)」中の網掛けされているものになります。議事の流れとしては、網掛けされている項目について、年度評価及び見込評価の順に、法人から続けて説明を頂いた後、意見をお伺いいたします。
見込評価における法人の説明については、既に年度評価で説明された内容は極力省略の上、御説明のほど、よろしくお願いいたします。
3つ目の議題ですが、業務・組織全般の見直しについては、独立行政法人通則法第35条の規定を根拠としまして、主務大臣が、中期目標期間終了時までに、法人の業務の継続又は組織の存続の必要性、その他その業務及び組織の全般にわたる検討を行いまして、その結果に基づき、業務の廃止若しくは移管又は組織の廃止その他の所要の措置を講ずるものでありまして、次期中期目標の内容に反映することを目的として、実施するものです。これについても、本ワーキンググループの御意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
 
○松尾主査
はい、ありがとうございました。
 
○政策評価官
すみません、ちょっと私のほうから、参考資料1のほうを手短に説明させていただきたいと思っております。これは独立行政法人の個別の評定項目の考え方について、評価官室で整理をしたものです。皆様には既に御案内も多いと思いますが、直近までの事例を収集して再整理をしましたので、御説明させていただきます。
表紙をめくっていただきまして、独法評価における個別の評定区分の意味のところですが、評定区分は5段階評価中のBを標準とするというルールになっております。Bの所を御覧いただきますと、中期目標における所期の目標を達成していると。定量指標においては、100%以上120%未満をBとしております。これは普通ということではなくて、十分目標を達成していて、法人として順調な業務運営がされているというのがB評定の意味ということです。
特に主務大臣評価で難しいのは、A評定の部分だと思いますが、A評定においては、初期の目標を上回る成果が得られているのがA評定の意味でして、定量的指標がある場合は、達成度120%以上。指標がない場合は初期の目標を上回る成果というものを明確に示す必要があるとされています。
なお、定量的指標は、中期目標ないし中期計画に定められた数値目標と理解しております。
次のページですが、特に問題となりやすいA評定について、さらにブレークダウンして整理をしております。まず1の(1)、定量指標が複数ありまして、これが全て達成度120%以上の場合には、基本的にはA評定になりますが、目標設定自体が適切でなかったというケースもありますので、本当に適切であったかというところまで、委員の先生からも御意見を頂けると大変有り難いと思っております。それから、複数の定量指標のうち一部が達成度120%以上、あるいは目標がひどい目標設定をして定量指標の一部しか定められていないというケースについては、基本的にはそのままA評定ではなくて、目標自体も重要度・優先度・難易度、質的な成果が説明できてるかということが判断ポイントになります。定量的指標がないケースの2の(1)ですが、この場合には定量目標でない参考指標を用いて成果を説明することもできますが、これが例えば前年比120%だからすぐAではなくて、基準となる実績値の設定に関する考え方を示していくことが重要になります。
(2)ですが、定性的に成果を説明するということも可能ではあるのですが、この場合「アウトプット」、これをやりましたという活動結果だけですと、総務省から成果が不明確という指摘を受ける傾向がございます。可能な限り「アウトカム」を説明していただきたいと思っております。
3点目は、難易度を考慮した評価の引上げとあります。中期目標に難易度を設定した項目については、評価を一段階引き上げることができるというように総務省のルールで定められておりますが、今回の国病機関の中期目標については、中期目標を設定した後に、この新しいルールができたこともありまして、現在の難易度の設定については、中期目標には定められていない、参考の難易度として御考慮いただけますと、有り難いと思っております。
次ページ以降はそれぞれの判断事例について、少し事例を引きながら説明しておりますので、お時間があるときに御覧いただけますと有り難いと思います。こういう判断基準に沿った御意見を委員の皆さんから頂けますと大変有り難いと思っております。私からは以上です。
 
○松尾主査
ありがとうございました。構成員の皆様方におかれましては、参考資料を開いて見ながら、いろいろディスカッションいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。今日、マイクがたくさんあるようですが、これは本物ではなくて、録音用のマイクで、これに向かって話をしても声が出ませんので、是非、手を挙げますとマイクが運ばれるそうですので、よろしくお願いいたします。それでは、議事に入りたいと思います。皆様のお手元に議事次第がありますが、先ほども説明がありましたように、平成29年度の業務実績評価、中期目標期間の見込評価、これらに関するものを1つの固まりとして、これはお互いに関係がありますのでまとめてやりたいということです。国立病院機構の平成29年度業務実績評価について、まず御議論を頂きます。初めに、法人の業務概要について1、2分程度で、ごく簡潔に説明をお願いします。その後、事務局からの説明があったとおり、自己評価がA評定以上の項目、B評定でも定量的指標が100%未満の項目、これらをあらかじめピックアップしてありますので、これを中心に議論を頂きます。まず、1-1-1、診療事業(医療の提供)について、法人から年度評価及び見込評価と続けて、5分程度で評価の要約の記載内容を中心にポイントを絞ってごく簡潔な説明をお願いします。よろしくお願いします。
 
○国立病院機構企画経営部長
国立病院機構の企画経営部長の佐々木と申します。よろしくお願いします。法人の業務概要、法人組織の概要について御説明します。資料1-1及び見込評価の資料2-1に基づいて御説明します。まず法人の概要ですが、資料1-1、1ページ、構成員の先生方には御案内のところですが、私ども国立病院機構は平成16年4月1日に国立病院機構法に基づいて設立された中期目標管理法人です。
機構の行う業務は、医療の提供、臨床研究、教育研修の3本柱、及びそれに附帯する業務を行うこととなっております。組織の規模は、平成30年4月1日現在で142病院。実際、5月1日に長野県にあるまつもと医療センターが機能統合しておりますので、現在数は141病院ですが、昨年度までの業務実績評価については142病院ということで御説明します。
運営病床数は5万970床、10病院に臨床研究センターを設けるとともに、臨床研究部を73病院、附属の看護師養成所が37校、リハビリテーション学院が1校ということです。セーフティネット分野の医療については、かなり、我が国でも中心的な役割を担っているという状況です。患者数は、平成29年度実績で入院患者数は、1日平均4万2,161人。外来患者数は1日平均4万8,391人です。役職員数は、常勤の役員数は5人、職員数は6万1,894人ということで、内訳はドクターが約6,000人、看護師が4万人、その他、コメディカル、あるいは事務職等含めて1万6,000人という状況です。
財務の状況は、各病院が自己収入によりまして、経常収支率を100%以上にすることを目指しております。平成29年度の経営状況は、9,853億円の経常収益に対して、9,874億円の経常費用となりまして、機構全体では経常収支マイナス22億円、経常収支率99.8%が昨年度の経営実績です。以降、1-1-1、診療事業(医療の提供)等について、各担当から御説明します。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
引き続き、診療事業について御説明します。平成29年度の資料と見込評価説明資料を並べて御覧いただければと思います。4ページ、診療事業(医療の提供)です。重要度はこちらに記載しておりますが、難易度に関しては、患者の多様なニーズに応えるため、医療の提供全般にわたって不断の見直しが必要なこと。また、我々の診療事業全体に共通の課題ですが、障害者医療から高度急性期まで各病院の医療内容や機能が多様である国立病院機構において、医療の実践の手順の変更、職員の意識改革を図りながら、医療の質を高めていくことは容易でないことがあります。また研修、電子カルテを始めとするインフラの整備などには、多大な時間・費用を要することもあり、難易度は高いとさせていただいております。
引き続き、目標と実績、6ページ、患者の目線に立った医療の提供ですが、患者満足度調査は、入院(総合評価)では、見込評価資料にあるように、高い数値ながらも、少しずつなお改善しております。ただ、外来(総合評価)は年度により上下しており、平成29年度も前年に比べて低下しております。その原因として、待ち時間に対する不満が指摘されておりまして、平成29年度はこの待ち時間対策として、個別の取組では医療費を後払いすることのできるサービスの導入を始めております。
7ページ、安心・安全な医療の提供については、いろいろな取組がなされておりますが、特に平成25年度から取り組んでいる病院間の相互チェックの拡充では、平成30年度の診療報酬改定において、医療安全対策加算を算定する複数の医療機関が連携し、当機構が作成した「国立病院機構医療安全相互チェックシート」を参考として、相互に医療安全対策に関する評価を行う「医療安全対策地域連携加算」が新設されるなど、国の医療安全政策に貢献しております。
平成29年度の資料では8ページ、見込評価指標では9ページ、質の高い医療の提供です。見込資料にもあるように、病棟薬剤師の配置、診療看護師の配置、専門・認定看護師の配置などを積極的に進めております。10ページ、定量的指標のクリティカルパスの実施件数です。平成29年度の目標29万9,940件に対して31万2,580件で、達成度は104.2%になりました。達成はしておりますが、昨年よりも実施件数が低下しているのは、継続的にパスの見直しをし、スクラップ・アンド・ビルドもしているので、それによる変動と考えております。見込評価では、102.4%~105.6%の達成率で推移しております。平成29年度、右ページ、見込評価では11ページ、「臨床評価指標ver.3.1」に関してです。国立病院機構では、平成22年度以降、毎年、計測結果を公表しておりますが、本資料の計測マニュアルは、Webサイトに無料公開されております。公開以降の延べアクセス数は88万件、平成29年度も33万件と広く活用されております。また、この指標を用いた改善例としては、全病院平均でも良性卵巣腫瘍患者に対する腹腔鏡下手術の実施率など、個別病院でも急性腎盂腎炎患者に対する尿培養の実施率などの実績を上げております。
11ページ、もう1つの定量的指標の医療の質向上委員会の設置数です。グラフのように、中期目標期間中に全病院で達成を目指しましたが、各病院の熱意が非常に高く、平成28年度に達成しております。平成29年度の達成度も141%になります。
12ページ、療養環境の改善です。見込評価を見ますと経緯が分かります。患者の療養環境の改善のため、平成26年度から4年間、全面建替整備病院が4病院、病棟建替整備病院が42病院、外来等の建替整備が9病院となっております。以上より、重要度は高く、難易度も高いということを我々は考えておりまして、自己評価Aとしました。以上です。
 
○松尾主査
ただいま御説明がありました事項につきまして、御質問や御意見がありましたら、構成員の方からよろしくお願いいたします。いかがですか。それでは、私から1つ質問させていただきます。
先ほど評価案のほうから、プロセスとアウトカムという話があって、医療の質向上委員会の設置数はある意味ではプロセスになります。これは素晴らしく超過達成をしているのですが、その結果としてのアウトカム、これから後で説明があるのかもしれませんが、これについてはいかがですか。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
10ページから11ページにかけての医療の質向上委員会のことと、臨床評価指標の指標を見ますと分かるように、実は、指標の公表だけではなかなか改善はしませんでしたが、11ページにある医療の質向上委員会を設置して動かすことによって、10ページの右の下にある計測病院全体での改善例、これは例を示しておりまして全指標は出しておりませんが、かなりの改善の指標が出ております。我々とすれば、アウトカムとしてもかなりの効果を上げていると考えております。全項目は資料として挙げられなかったのです。
 
○松尾主査
全項目は多分、詳しい資料の中に入っているのかと思います。冒頭にもありましたが、もともとこれは計画を立てるときに、立て方についてのルールが違って、結果的には医療の質向上委員会の設置をすることによって、アウトカムは上がったと。ただしアウトカムの目標は、あらかじめ設定されていなかったので、これは100%なのか120%なのか分からないということですね。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
御指摘のように、最初に目標を立てたときはそのルールがなかったので、そういう意味で、2年目からということがありまして、この設置数とさせていただきましたが、クオリティマネジメント委員会を設置するという目標は立てておりますが、これ自体を実際に動かすために、年間、まず分析の技術を上げるセミナーを行っております。これらの参加病院が実際に集まって、それぞれの結果を発表し、共有する報告会及びワークショップを年3回開いております。それは、140病院一堂にというわけにはいきませんので、それぞれ半分ずつの病院を1群、2群として集まって評価をする。それと、国立病院総合医学会を利用して、その発表にも使うということで、かなり共有できます。そういう意味では、改善方法についてスキルアップや結果が出たと思っております。
 
○松尾主査
ほかの構成員からありますか。
 
○富田構成員
日赤の富田です。12ページの療養環境の改善の所ですが、約5,800床、建て直しをしなければいけない建物があって、9病院、1,305床の建て直しが終わったということですが、これは私どもも実は本当にとても悩んで苦しんでいるところです。必ず財務に多くの影響をしますので、まずは9病院、1,305床の費用はどのくらいかかったのですか。
 
○国立病院機構副理事長
それは調べて御報告します。
 
○富田構成員
もう1つは、残り4千数百床ですが、その建て直しの計画はどのようにされているのか教えていただけますか。参考になりますので。
 
○国立病院機構副理事長
基本的には5,800床の整備については順次やっていきたいと思います。ここにも書いてありますが、基本的にまず耐震は相当急がなければいけないということですが、耐震は守れている状況にあります。そうしますと、全体の資金計画を考えながら、これもやっていくしかないということですので、今後計画的にはやっていこうと思っております。もちろん、個々の病院の経営状態も併せて考えてまいりますので、若干、早めのところ、遅めのところがでてきますが、機能移転をしようというものは優先的に準備を進めていくということです。計画を立ててから出来上がるまで3年から5年はほぼかかるのではないか。それは着実にやっていきたいと思います。
 
○富田構成員
経営の中で、経営状態が思わしくない病院で、耐震状態を改善しなければならない。しかし、経営状態が思わしくないので建て直しは諦めて、ある意味で併用を考えるみたいなチョイスも持っているのですか。
 
○国立病院機構副理事長
改善する上での準備、順番を変えるとか、そういうことは当然やっていくということですので、場合によっては全面建て替えではなく、必要な改修にとどめるとか、そういう内容の選択も当然していかなければいけないということで考えております。
 
○国立病院機構企画経営部長
若干、補足で申し上げます。まず耐震化の状況ですが、国立病院機構の全ての病院におきまして、耐震改修促進法に基づく耐震整備が必要な建物については、現在3病院対応中ですが、耐震化自体は対応済みという状況です。また、その費用については見込評価及び平成29年度の実績評価の48ページを御覧ください。少し後のほうで御説明しようかと思いましたが、48ページ、中期計画期間中の建物の投資額、実際にこれは支払ったベースですが、中期計画期間中には3,122億円を投資する設定をしておりますが、達成度96.9%ということで、この中期計画期間中はそういうような支払い状況です。
先ほど病棟では5,800床、国立病院機構の病床数の約11%が昭和52年以前の建物ですが、そのうち、3,100床は既に投資を決定しておりまして、残りの2,700床については、先ほどの副理事長からの御説明のように、病院の資金状況等も考えて、まだ投資決定に至っていないという状況です。
 
○松尾主査
ありがとうございました。
 
○河村構成員
今年からお世話になる日本総合研究所の河村と申します。こちらの委員会は今年初めてですが、私は独法通則法の改定前に総務省の旧政独委におりまして、国立病院機構の評価も第1期の中期目標の終了時、2期の終了時ともに担当させていただきまして、大阪や名古屋の医療センターにお邪魔させていただいたこともあります。今回、こういう形でお世話になります。よろしくお願いいたします。
この項目について質問ですが、自己評価Aということですが、先ほど主査からも御質問があって、似たようなところですが、いろいろ拝見しますと、見込評価で年度ごとの推移も付けておられますが、基本的にアウトプットの数字が多いのかなと。その経年推移を拝見しますと、大きく落ちているということもないですが、大きく伸びている感じでもないのかなという、そういう指標が多いような感じがします。主査も先ほどおっしゃられましたが、もともとの目標の設定の在り方もあるかと思いますが、アウトプットの指標を中心でというと、先ほど牧野政策評価官からも御説明がありましたが、評価は難しいところがあって、相当程度質的なところというか、定性的なところの御説明を頂かないと難しいのではないかと思います。
先ほど1点だけ、アウトカムの点で御説明がありましたが、ほかについてもこの場で御説明いただけることがあれば幾つかいただければと思います。そうでないと、やはり、Aでいいかというのは正直少し疑問ではないかと個人的には思います。よろしくお願いいたします。
 
○松尾主査
よろしくお願いします。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
今の御指摘というのは、アウトカム自体でかなり達成したような例をもう少し挙げていただきたいということでしょうか。
 
○河村構成員
はい、そうです。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
先ほども言いましたように、臨床評価指標などはアウトカムが非常に出ているところです。例えば、なかなか120%が難しいところもありますが、我々としても、ほかの設置主体も行っているであろうクリティカルパスとかに関しては、このような状態でやっておりますが、その中である意味重点的に取り組んでいるのが臨床評価指標と、これを使った改善ということです。項目をたくさん挙げることはなかなか難しいかもしれませんが、この臨床評価指標を使ったに改善関してはかなり結果としては出ているのではないかと思っております。今の御質問の趣旨は種類を挙げないといけないということでしょうか。
 
○河村構成員
併せて、過去の評価を拝見しますと、例えば、昨年度はBとなっております。それで今年引き上げられるということは何か明確な根拠がおありかなと思いまして、そこをお尋ねできればと思います。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
こちらの評価として、自己評価では昨年度も難易度が高いということからAの評価をお願いしたところはありますが、全体として評価を頂いたところが、確かにBということがありました。ただ、昨年度よりも新たなものとして、先ほどもあった臨床評価指標での改善例とか、新たなものを示したということがあります。ただ、数字として定量的指標を最初に設定した中にあったのがクリティカルパスと、医療の質向上委員会の2点であります。医療の質向上委員会のほうは確かに120%を超えておりますが、クリティカルパスに関しては超えていない状況から考えますと、我々としては、新たなものとしては臨床評価指標の項目の改善例を挙げたものと考えています。今年度も臨床評価指標を使って改善するのは難しいと思っておりましたので、Aとさせていただいたということで、この点が去年とはある意味少し違うと考えております。
 
○河村構成員
意見として申し上げます。以上の御説明を伺った範囲では、総務省で全府省所管の独法共通の評価で、この評定区分でやろうということでやっていると思いますが、私は今の御説明ではA判定では難しいというか、別にやっていらっしゃることが足りないとか、そういうことでは決してなくて、先ほど評価官からも説明があったのですが、B評価というのも十分にやって達成しているという評価だと伺っておりますので、私はB評定がいいのではないかと思います。これはコメントです。
 
○国立病院機構理事長
昨年度も数値的にはBのものが多いのですが、難易度等の所で自己評価はAとしていたわけですが、正に今御指摘された御意見で、厚生労働省からは最終的にB評価の判定を頂いております。今年度も我々も十分その点は考慮しておりますが、難易度を考えて、今回も自己評価をAとさせていただいたわけですが、確かに御指摘の点に関しては不十分なところはあるかもしれないと思っております。
もう一点は、途中でルールが変わったために数値目標がうまく立てられていなかったということがあります。医療に関しては、普通にやって当たり前というか、その中で数値を上げるというのは、例えば手術数を上げるとか、初診患者数を上げるとか、そういうものは確かにあり得るとは思いますが、それがアウトカムとして妥当なものかというところはなかなか難しいところで、どうしても内容的には質の評価ということになります。今取られている評価システムと、我々どもがやっている事業内容等に関しては必ずしもうまく一致していない点があるということで、そういうことはやむを得ないところと思っております。
例えば質の点に関しては、資料1-1の7ページ右側に「医療安全に関する相互チェック」があります。これは国立病院機構で前から取り入れていたものですが、群馬大学や東京女子医大の事例が問題になりまして、特定機能病院では相互チェックは当然やるべきだということで、医療法の改正の中で、特定機能病院には義務付けられたものです。今回の診療報酬改定におきましても、特定機能病院以外の一般の病院でもこれをやったほうがいいということで、診療報酬で評価するという、加算のようなものを入れていただいている状況です。そういう意味では、医療安全に関する取組というのは、制度的に我々がやってきたものが、それが日本として標準化すべきということで採択されているという形になっております。しかし、どう評価を頂くかというところはなかなか難しい点だと我々は認識しております。
 
○国立病院機構副理事長
例えば、患者満足度調査はいつも主査に御指摘を頂いて、ほかはやっているのかとか言われると、こういうものをやって公表しているものはないだろうと思います。したがいまして、長年にわたって共通項での120%という考え方に対して、本当に維持していくことの重要性や先駆性、そういうことをなかなか数字では織り込めない。そういう意味で御指摘のように、我々もその点はもっと分かるように説明することは大事だと思いますので、今後はそのような努力をしていきたいと思います。
 
○田極構成員
正に今の御説明のとおりだと思います。例えば患者のアウトプット調査も地道に毎年毎年取っていただいておりますが、5段階のうち、例えば入院は4.564という数値になっている。外来も4.139で、少し外来は下がったというところも先ほど説明にありましたが、この意味合いも、軽く見られてしまうような形で表示されていますが、これ1つ取っても、非常に大変な御苦労と成果だと思いますので、やはり、丁寧に御説明いただいて、医療の中でアウトカムを出すこと自体がそもそも難しくて、そういう中で臨床評価指標を先駆けてお作りになって、そこで計っていこうという先駆的な取組ですので、こういった評価が一般の人にも分かるような形で出していくことがまず大事ではないかと思います。
私自身は、120%とか基準が明確に定められている中で、非常に難易度が高いことを説明すること自体、非常に難しいことだとは思います。いろいろな取組が難しく、更に先駆的であることを考えると、非常に頑張っていると評価、そこをBにするか、Aにするかというところはあるのですが、昨年度よりも頑張った成果が出ていると評価できると思います。
 
○髙瀬構成員
今の話はなかなか難しいところですが、私のほうは余り難しい話は分からなくて、簡単に言うと、患者の目線に立った医療の提供の所ですが、入院と外来と比べて、外来のほうは、基本的には待ち時間が非常に問題になるのではないかと思います。私のほうからも一患者として見れば、待ち時間は非常に長いと。この取組は、総合評価は、外来のほうが評価は高いところを示しておりますが、中身を見ますと、待ち時間の関係で言うと、本当に改善されているような感じがここずっとやっていてあんまり感じられないのです。今回出ている医療費の後払いということも、この間お聞きしたら2、3の所でやっている非常に面倒くさいやり方だということで、余りここで解決にもなりそうもない。ここのところを外来の満足度の質を高めるという意味で、会計の待ち時間をいかに縮めるかというのは、何か根本的なものを考えられているのですか。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
現実問題として、ほかの法人等も含めてグループ病院も外来での待ち時間はやはり課題になっていることは事実です。我々としても、今、持っている手法として、会計の待ち時間は減らそうということをやっておりますが、全体として縮めることはなかなか抜本的な方法はありませんので、それを積み上げていくことしかないと考えております。そこはただ我々としても、後退するということなく、新たな手法は、御指摘のように今回3病院ですので、3病院での評価が上がるのであれば、それは全病院に展開することになると思います。ある意味で改善というのは、QC活動もそうですが、地道なものを積み上げたり、水平展開することによって得られるものと思っております。待ち時間でお考えのところは重々聞いております。私も受診して待ち時間は長かったので、そこは改善していきたいと思います。
 
○国立病院機構副理事長
補足させていただきます。待ち時間というのは、今、紹介をしっかりやろうとか、予約制を取るとか、そういうことは個々の病院でかなりやっています。その上で、各病院の機能とか、ちゃんと開業医さんから病院に行くという形が、制度的にも国民の皆さんの理解も合わさっていかなければいけないと思います。これは我々の努力は最善にしていきますが、そういうことも必要だと思います。
 
○髙瀬構成員
会計の待ち時間がやっぱりちょっと。診察のほうはいろいろ事情がありますし、日によって違いますが早いときもあるのです。しかし、会計のほうは全然改善されていないという感じがして、これは何か根本的なシステム的な解決が必要ではないかと思いますが、どうでしょうか。
 
○国立病院機構副理事長
会計のほうは、どういう行為をしたかということで、出来高払いとか、きちんとやっている部分はどうしても時間がかかりますし、正確にやらないと個々人の負担にも影響します。そういう中で努力して、例えば国立病院機構では先駆けて、カードでも払えるような仕組みを採用したりとか、いろいろやっておりますので、そういう意味ではできるだけ機械化もしながら努力はしていきたいと思いますが、そういうことは御意見として承らせていただきます。
 
○松尾主査
まだ1つ目です。時間が限られております。これは1つ、コメントですが、恐らく構成員のほうで、今1つ納得感がないのは、やはりベンチマークがないとか、先ほど維持することは大変難しい項目も多分あって、維持するだけでも120%の価値があるというものも当然医療の中にあるのです。そうすると、例えば国際的に見て質の高いと言われる病院と比べてどの程度かとか、やはり、難しいと思いますが、そもそもどんな項目がJCIを受けたときに、どういう項目が評価されて、どの程度なのだというのは求められるわけです。これは全部の項目ではないですが、そういった項目もきっと含まれています。日本で非常に特殊だと。
先ほどの待ち時間は多分国によって全然違います。そうすると、日本全体では大体どの辺りを目指したら100で、どこを超えたらどうなのだというふうな、例えばそういうことも多分将来は目指していかないと何を目指して改善していくのかキリがありませんから、前年比で必ず120%というのは大変です。そうすると、それが難しい根拠としてはこうなのですというのを、もう少し分かりやすくベンチマークしながら出していただくと、恐らく納得感があるのかなと思いますので、これは今後の話ですが、よろしくお願いします。次の項目にいきますが、多分、次でも同じようなことになりますから、最初に時間を取って少しその辺りを確認させていただいたということです。
この有識者会議はグレードを決めるところではありませんので、いろいろ意見を頂くということですので、よろしくお願いします。それでは、次は1-1-2です。これも説明は簡潔にお願いします。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
それでは13ページ、診療事業(国の医療政策への貢献)です。難易度が問題になりますので、この難易度が高いとしている理由は先ほどからも強調しておりますように、国立病院機構の各病院の機能というのは、障害者が中心の病院から高度医療まで非常にバラエティに富んでいるというところから、全体として上げるのは非常に難しいというところを強調しております。また、災害発生時など国の危機管理に際して求められる医療を迅速に提供できるように人材育成の訓練、災害対策体制の整備を実施し、かつ維持するということは難易度が高いと我々は考えております。
また、後ほど述べます後発医薬品に関しても医師、薬剤師等の医療従事者、あるいは患者側の理解も一層深める対策が必要ということもありますし、やはり障害者の病院等でこちらを上げるということは非常に困難であるというところに、今、直面しておりますので難易度が高いと我々は考えております。
引き続き15ページ、国の危機管理に際して求められる医療の提供です。国立病院機構防災業務計画に基づいて、国立病院機関の災害拠点病院12病院、災害拠点病院は平成29年度に新たに1病院追加して、25病院として37病院体制といたしました。それから厚生労働省の委託を受けてDMAT活動を指揮するためのDMAT事務局は、災害医療センター、大阪医療センターの2病院に設置しており、そのほかの43病院においても災害発生時における迅速な対応を可能とするDMAT体制を維持しております。平時は各種研修の実施にも取り組み、日本の災害対応の体制強化に貢献しております。本期間中の医療支援については、見込評価資料の15ページ、右ページを御参照ください。
16ページ、セーフティネット分野の医療の確実な提供です。こちらはほかの設置主体が必ずしも実施しないおそれのあるセーフティネット分野の医療の提供、特に重症心身障害、筋ジストロフィーを主とするような療養介助病棟の療養介助職の配置も充実させましたし、難病医療連絡協議会事務局を5病院、難病相談支援センターを4病院の相談体制も維持しております。
精神科医療、こちらは見込評価資料では18ページになりますが、薬物依存症やアルコール依存症などの治療困難な患者の受入れに取り組んでおりますほか、特に強調したいのは、昨今、増加してきているギャンブル依存症、インターネット依存症に対しても依存症対策の全拠点である久里浜医療センターを中心に対応するとともに、これらを担う多職種に対する研修も実施しております。心神喪失者等医療観察法に基づく医療の実施では病床の半分を我々が担っており、厚労省からの委託を受けて、医療観察法の関連職種の研修会も実施するなど貢献しております。
重点課題に対応するモデル事業等の実施は、平成29年度では17ページ、見込評価資料では19ページになりますが、こちらに定量的指標となっている後発医薬品の採用率があります。グラフにありますように、平成27年度の「経済財政運営と改革の基本方針2015について」(閣議決定)を踏まえて、当初の達成目標60%を70%に引き上げておりますが、平成29年度はこの数値が更に上昇いたしまして、83.5%になって達成度としては119.2%でした。こちらは先ほどもありましたように、急性期病院だけではない我々の法人でこの数字を出すというのは非常に困難を伴っていることを御理解いただきたいと思います。
平成29年度は18ページです。見込評価資料では20ページになりますが、特に今年、強調したいのが難治性精神疾患地域連携体制整備モデル事業への取組です。これは、琉球病院を拠点とした沖縄連携モデルとして地域の医療機関とのネットワークを組み、重篤な副作用があるものの、難治性の精神疾患への有効性が示されているクロザピンの導入への取組が評価されました。この評価によって、精神療養病棟入院料加算等においてクロザピンの薬剤料を包括範囲から除外されるなど、より使いやすい診療報酬になっておりまして、国の精神医療の施策に貢献したと考えております。
エイズの取組の推進に関しては、引き続きブロック拠点病院を中心に、全科対応による総合的な診療を実施するとともに、中核病院を通じてのエイズ医療の均てん化を図っております。
以上より、重要度が高い、難易度も高いと我々は判断しており、自己評価はAといたしました。以上です。
 
○松尾主査
ありがとうございました。それでは構成員の皆さんから御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
 
○田極構成員
後発医薬品の使用割合だけが評価指標として出ているのですけれども、例えば119.2%という捉え方については、やはり120いってないじゃないかと言われてしまうところだと思うのですけれども、これは非常に大変なことで、国を挙げていろいろなところでそもそも平成32年9月までに80%いくのかどうかと言われているなかで、早々に83.5%に達しているということ自体が、120はいってないけれども非常に大変な成果だということが相場観としてあるところです。こういったところについて、なかなか一般の方にも理解しにくいところなのですけれども、ほかの病院さんから見ればこの数字というのは、十分評価される数字だということと。あと、背景的なことを申し上げれば、私もいろいろな調査研究やっているのですが、国立病院機構さんの取組を結構参考にされている病院さんも多くて、国を挙げて正にこれを進めている中で模範となっている取組だということは、私のほうからも評価できるということを、一言、コメントさせていただきます。
 
○松尾主査
ありがとうございました。
 
○河村構成員
この中期目標を4つ立てていらっしゃると思うのですけれども、1つ目が危機管理で、2つ目が重症心身障害児(者)や筋ジスなどを始めとするこういう神経とか、筋疾患等に対する医療の提供、それから3番目がエイズの話、そして4番が、医療分野における重点施策への貢献ということになっているのですけれども、何か定量指標というのは、さっきの後発医薬品しかないということでそれはもともと指標を設定されてないので、それだけということでしょうがないと思うんです。その代わりにお尋ねしますけれども、その1、2、3、4のそれぞれについて、この自己評価でAと判断されるに至った根拠というかポイントを簡潔に御説明いただけると有り難いです。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
ありがとうございます。まず、1の危機管理ですけれども、こちら、実は東北の震災を受けまして、この体制を整備しております。それを維持するときに、結構、転勤等によって職員が変わりますので、実際の拠点病院の機能維持することが大変で、本部としても例えば、初動医療班の研修であるとか、いろんなものを作りながら新たにこれを維持するためにいろんな努力をしているのが1点目です。
2点目に関しては、セーフティネット、こちらは非常に大切なものとして考えておりますし、言及はいたしませんでしたが、実はこれらを担う医師を養成するというのは非常に大変で、大学で養成してくださっているわけではないので、これに関しては我々のほうで、例えば、急性期をやっておられたけれども途中から重度心身障害児(者)の医療にも目覚める先生もいらっしゃって、いろんなプログラムを使っての養成研修を始めております。これも実はこの2年ぐらいで拡充をしておりまして、そういう意味で、例えば医師全体の研修の中にあったものを、重度心身障害児(者)のその研修に関しては独立して本部が直轄してやるようにしたということも新たなものです。先ほど強調させていただきました新たなインターネット依存とかいうところに関しては、やはり先見的に取り組んだことが、今、こういう形でそういう研修を行ってスタッフを育てるというところの手が出せるようになったということで、2点目も我々がAというふうに思っている理由です。
 
○河村構成員
今のところは。では、今年とありますが対象が平成29年度について特質を言っていただくとすれば、さっきの依存のところですかね。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
2のところで言えばそうなります。
 
○河村構成員
今、説明を伺っていたのだと、よそでなかなかやっていらっしゃらなくて大変なお仕事、それも本当によく分かるのですけれども、そういう役割を担っていらして、ただ、御説明を伺っているとそういう大変な役割、やはり、与えられている役割を果たすだけでAという御判断なのかなとも少し聞こえてしまったので、そこをよくお尋ねできればと思います。大変なことはすごくよく分かるのですけれども。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
やってる者からすると、果たすということ自体は、やはりそれは必要であり、準備をし、それに向かって体制を整えた上でやらないとできないということがあって、不断の努力が必要であるということです。大変かどうかと、Aの評価という、評価と少しどうしても部分が違うとは思うのですが、我々とすればそれをある意味で、外から指示を受けた中ではない中で、適宜、将来のことを考えて準備しながら、新たなものを導入しているので、Aと考えております。
 
○河村構成員
過去もA評価が付いて、ずっとやってきていらしているわけですよね。ですからこれ、平成29年度についてということで伺ったときに何か、今までデッドロックだったところにぐっと踏み込まれたとか、そういうことがおありなのかなと思って、それで1、2、3、4についてということでお尋ねしました。1点目についてもいろんな災害があってそれに対する対応をということですけれども、最初の御説明では1病院を災害拠点病院に追加されたということ。でも、いろんなところで災害があったりもしますから、いろいろやってくださっている。報道もいっぱいされているのも拝見していますし、国立病院機構さんがいろいろやってくださっているんだなというのは、我々、一般の目にも耳にもよく入ってきますので承知していますけれども、何というかデッドロックのところにぐっと一歩、踏み込んだというのが平成29年度について、3、4についても伺えればと思いますけれども、おありになったのかというような感じで伺えればと思いますが。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
デッドロックという表現というかイメージが。
 
○河村構成員
ごめんなさい。言い方、よくないかもしれないですけれども。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
なかなか、例えば、8というようなレベルだったものが突然、デッドロックなので10を超えるとかいうような平成29年度で大きく躍進するとかというようなイメージで。
 
○河村構成員
8を維持するのも難しい、大変なことでとおっしゃっているのは分かるのです。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
ただ、8に対して平成29年度では、例えば先ほどのセーフティネット分野のもので言えば、そういうプログラムも我々のところで見直したりいろいろしているのは、これは8.5なのか9なのか。10という天井があるので考えればそういう数字になるかもしれませんけれども、今まではそれまでやってきた研修をある意味で繰り返していたわけですけれども、新たに独立させてその領域の、ある意味ではそういうスキルを持って考えを持った先生方を集めて、企画会議を新たにやって、いろんな意味で新たな方策とか、あるいは教育の仕組みを導入しながらプログラムを作ったという意味では、平成29年度はそのプログラムを動かし始めた年なので、それをデッドロックと言えるのかどうかというのはあるのですけれども、そういうようなことは非常に考えながら行っております。
3番目に関しては、非常に努力を続けていたのと、今、問題になっているのは先ほど少し言いましたように、障害者病棟においてこの後発医薬品のものを増やすというのは非常に大変です。特に有り体に言えば、重度心身障害児(者)とか、こういうところでもう長年、アレビアチンだとか抗けいれん薬というものを使っている中で、それを変えるというのは先ほどもありましたように、患者さんあるいは御家族の抵抗は非常に大きいです。
ですから我々も慢性期の病院が結構ありますから、この83.5%という数字になるためには、急性期病院においては9割を超えるような病院は、もうほとんど限界という状況です。そういう意味では、平成29年度をデッドロックみたいに何かを行ったかということよりも、そういうある意味では慢性期の病院に対しても啓発を行ったことによって結果として83.5%という数字が出たと考えています。平成29年度の実績は非常に高い数字だと我々は思っておりますので、A評価という判断の一つの材料にもなっております。もちろん、119.2%なのでもう少しで120%になるのではないかという声もありましたが、ここはきちっと、その数字を合わせて出しておりますので、このとおりの数字になりました。それから先ほどの4番目に関してですが。
 
○松尾主査
少し、手短にお願いします。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
すみません、4番目のエイズに関しては引き続きやっていることです。
 
○斎藤構成員
1と2と両方合わせてのコメントになるのですけれども、先ほど松尾先生がおっしゃられたように採点が非常にしづらい、そういう仕組みにそもそもなっているということを前提に考えたときに、日本で最大の病院を擁し、しかも幅広い活動をし、ということはメンテナンスするだけで私はSだと思うのです。経営をしておりますとメンテナンスするのがいかに大変かというのがよく分かります。しかも経営の場合ですと、予算をつけてお金を投入すれば、それを多少伸ばすことができるとか、採算が合わないところを削って、それでどこかを伸ばすとかそういうことはできるのですけれども、国立病院の場合にはそれができない、どれもカットすることができない。その中でメンテナンスをするというのは大変な努力だと私は思っております。ですので、ビジネスの経営と一緒にしてはいけないのかもしれませんけれども、これだけメンテナンスをして、高い水準を維持しながら新たなところに挑戦をしているということ、これは普通に120%だから、S、Aというような単純な評価ではなくて、もっと定性的なところも考えるべきではないかと私は思っております。
 
○松尾主査
ありがとうございました。
 
○大西構成員
いろいろ御説明をありがとうございます。先ほど、事務局のほうからもお話がありましたように、アウトカムというところに注目をしたときに、このモデル事業の成果というのは、アウトカムを強調できるような対応もあるのではないかと思います。例えば、難治性精神疾患地域連携体制整備モデル。これはいろんなことがこのパラグラフの中に盛り込まれているように思いますが、例えばこのクロザピンという投薬治療ができる環境が増えたということが1つですよね。それから包括の範囲から除外することも達成できたということも書かれておりますし、それから精神科入院患者の地域移行ということも推進することにつながるということもあります。これらを合わせて、または、それぞれでもいいのですが、もう少し素人にも分かるようなお話で頂けますでしょうか。
 
○国立病院機構理事長
クロザピンという薬は統合失調症にすごくよく効く薬ということが欧米でも認識されていて、統合失調症の患者さんは、欧米では大体50%以上の方が服用されています。一方、我が国では、まだ一桁しか使われていない。その要因はなぜかと言いますと、精神病院が単科病院であったり、単科の診療所であるがために、この薬には非常に重篤な副作用があり、精神科単価では副作用への対処ができないということで我が国では普及されないままになっていた。今回この琉球病院モデルでは、そういうような形で体制、ネットワークをうまく形成すれば、安心して使えるということを示しました。今回、診療報酬のほうでそれを推し進めるような形の点数が付いたことで、今後、クロザピンがもっと多数の病院で使われるのではと期待されています。日本の標準治療としてクロザピンがこれからどんどん使われるようになると思われます。そういう実験的なものも我々のところで行ったという、正に御指摘いただいたとおりのところです。
 
○大西構成員
ということは、より効果の高い薬について、いろいろなところで使用できる環境を整えることによって、患者さんの予後がよくなる、若しくは経過がよくなるということが実現できる環境の構築に3年をかけて貢献してこられ、成果につながったということになりますね。ありがとうございます。
 
○松尾主査
ありがとうございます。今の話では、例えば評価項目1、2、3、4とあって、1の項目は120%でした。2は120%でした。だけどそのインパクトが1と2では全然違いますというお話だったかと思います。それこそ岩盤があったのに風穴を空けたら、これ、インパクトは大きいですよねということが、多分、全体評価のところで重みづけをして考えられないといけないのかなという感じはしました。どんな評価システムも完璧なものはないので、そういう意味で自己評価はAにされているということでしょうかね。
次は、1-1-3です。よろしくお願いします。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
1-1-3、平成29年度資料は19ページ、見込評価資料で21ページをお開きください。難易度に関してですが、先ほどから繰り返しているところですが、それを踏まえて、更に地域の実情に応じてそれぞれの地域で異なった連携デザインを構築する必要があること。このような状況で、全国展開している国立病院機構全体として、例えば紹介率・逆紹介率を上げていくことは容易でないと考えて、難易度を高いとしております。
引き続き、21ページ、見込資料では24ページになりますが、医療計画等で求められる機能の発揮についてです。定量的指標の地域連携クリティカルパス実施総件数です。毎年1%ずつ向上させ、平成30年度までに5%増加させる目標を立てております。平成29年度は目標の6,871件に対して、7,632件で111.1%の達成度でした。平成26年度からの達成度は106~112.6%で推移してきております。地域の医療機関との連携であり、自己努力だけでなく、相手との協力の下、向上させる必要がある指標で、難易度が高い項目と考えております。平成29年度は平成28年度の低下を克服し、再度増加することに成功しております。
平成29年度資料の22ページ、見込評価資料はそのまま24ページですが、2つ目の定量的指標の紹介率です。平成29年度の目標の67.2%に対して、74.4%。平成28年度に比しても更に伸ばすことができ、達成度が110.7%でした。
さらに22ページの右のページで、見込評価は次の25ページになりますが、地域の救急医療体制への取組です。救急受診後の入院患者数、救急車による受入れ後の入院患者数ともに増加しており、より重篤な患者や小児患者などの受入れを行い、地域の救急医療体制の中での役割も果たしております。
平成29年度資料の23ページ、見込資料では26ページになりますが、在宅医療との連携など、地域包括ケアシステムへの貢献です。在宅療養支援の取組は、平成29年度末で在宅療養支援病院が1病院、在宅療養後方支援病院が24病院、地域包括ケア病棟は33病院が導入しております。年度推移では見込評価資料を御参照ください。また、都道府県が実施している「難病医療提供体制事業」においては、難病医療拠点病院が29病院、難病医療協力病院が57病院として入院治療が必要な難病患者さんを適宜対応できる体制と役割を担っております。重度心身障害児(者)の在宅医療の支援のための通所事業も実施しておりますし、短期入所できる短期入所事業も引き続き行っております。
在宅療養患者の急性増悪時の対応としては、平成29年度で、122病院で在宅患者の急性増悪時の入院を、98病院でレスパイト入院に対応しております。訪問診療・訪問看護に関しては、各病院の診療機能と地域の要請に応じて、在宅療養患者に対しての訪問診療を34病院、訪問看護を50病院が取り組んでおります。また、訪問看護ステーションも平成27年度から可能ということで取り組んでおり、平成29年度は新たに3病院が開設し、国立病院機構全体では9病院となっておりますが、特に神経難病や、そのような所での訪問看護ステーションが中心となっております。以上により、重要度が高い、難易度も高いことを考慮して、自己評価をAとしております。以上です。
 
○松尾主査
ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いします。いかがでしょうか。
 
○河村構成員
ここの項目も先ほどと同じ質問をさせていただきます。過去を見てくると、過去2年間Bが付いていますが、今年度、経年推移の数字も見させていただいておりますけれども、自己評価はAということでお付けになられていますが、アウトプットの数字はいろいろお示しくださっていて、高い水準もいろいろ、ちょっとした数字の凸凹はありますけれども、高い数字をずっと維持されていることは分かりますけれども、昨年の評価は、これはでも、大臣評価がBということだったので、それはそれで受け止めていただいた上で、昨年もAだと思っていたのですがという御説明はちょっとこの場ではなしなのではないかと私は思いますが、昨年はBと受け止めていただいた上で、今年1段上に上げられている理由というか、そこを御説明いただければと思います。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
我々の1つのものとして、医療を行うところがありまして、なかなか介護というところを担うことが今までできないということをされておりまして、その意味で実は今年、29年度にデッドロックという表現で、そこにこだわるのは私としても厳しいのですが、ただ、そういう中で、ある意味で自分たちの中で在宅医療の考えるセミナー等を自主開催しまして、介護ではございませんが、訪問診療や、訪問看護をやっている病院等にも集まっていただいて、いろいろな意見、あるいは地域の中のお話を集めた中で、厚労省の医政局との間で、訪問看護ステーションに関しては活用できるのではないかというところを勝ち取ることができたために、平成29年度ではありませんが、27年度から取り組むことができるようになりました。
それで、実際に医師会等、あるいは地域において訪問看護ステーションはたくさんありますので、そのような地域の中で、特に歓迎されているのは、神経難病であったり、場合によってはがんの緩和的なものも弱い地域もありますので、そのような地域において、少ないもの、あるいは不足しているものから取り組む中で、平成29年度もある意味で新たに3病院ということで我々の中でできていない介護面にも幾分踏み込んだ、看護ステーションでは介護のほうも使えるところが大きなお話ですので、そういう意味では29年度だけではありませんが、訪問看護ステーションを特出しで説明させていただいたという意味でございます。
 
○松尾主査
これはなかなか難しいですね。今のお話では、去年のB評価はちょっと不当だと。
 
○国立病院機構副理事長
なかなか言いにくいことを主査に言っていただいたような気がするのですが、私どもとしては、定性的にどこまでどううまく説明するのか。例えば、地域クリティカルパスの取り組みはものすごく難しいわけです。開業医さんと連携しなければいけない。中小病院と連携しなければいけないとなります。例えば、我々の病院から中小病院というか、療養病院に移るときに、同じリハビリができますかときかれます。そのための準備としては何をしているかというと、送る先の病院のPT・OTの方々を我々の所に来ていただき、同じことを一緒にやっていただいて、水準をそろえる作業をして、そして、患者の方には同じサービスが提供され続けますという理解をしていただいて、それから移っていただく。だから、こういうようなことを全部やっていて、ある病院がなくなったら、新しい病院にやらなければいけないとかというような作業は、とてもではないですけども、説明できない訳です。
したがって、我々としては、去年もそういう努力をかなりやっていて、やはり、このことを維持していることのエネルギー、努力をどうやって厚生労働省は評価するのかということを問いかけたいぐらいであります。そういう意味では我々としては、ここで字に書いてある以上のいろいろな折り合いをつけて作業をしている。正に医療というのは連携をしていくということであり、それを評価していただくような考え方ができるといいのかなと思います。そういう意味では、それぞれ相当ボリュームのある背景があることだけは申し上げておきたいと思います。
 
○松尾主査
大分、本音が出てきたと思うのですが、そこで2つ質問があるのは、1つは去年の実績報告書と、今言った背景も含めて説明というか、これは変わったのでしょうか。本当は私が見ないといけないのだけれど、そういうことがある。それから、もう1つは、プロセスとアウトカムという話でいうと、訪問診療とか、在宅医療、病院数は確かに増えているのですが、実際の件数だとか、こういったのはどうなのでしょうか。それから、本当に地域でうまくシステムが構築されているのでしょうか。そういうアウトカムのところですね。これはやはり、病院数だけではなかなか見えないというのがあって、その辺りはいかがですかね。まず、最初の説明の仕方は果たして分かるように説明して、変わっているのかどうか。分かるように言っているのだけれど、全然分かってくれないということなのか、どっちですか。
 
○国立病院機構副理事長
もっと分かりやすい説明をすべきだろうとは思います。ただ、私は4回ぐらい説明しているわけですけれども、この資料自体は毎年変わっておりまして、去年より読みやすくさせていただいていると思います。それから、評価は141病院に膨大なワークシートを渡して、全部記入してもらって、作業をし、数字を作って、精査をさせていただいている状況でございます。どこまできちっと取れるのかということになりますと、時間的な制約もあるので、こうなっておりますが、我々としては、もっと簡単にどの病院がどれだけ増えたとか、患者がどれだけ増えたか、もう少し取りやすい指標ができるかどうか、次の課題にさせていただきたいと思います。
 
○松尾主査
多分、一個一個、50病院とか、60病院を全部事例を紹介するのは難しいと思うので、先ほどインパクトの話もしたのですが、その中で、非常に特徴的な取組ができて、地域の医療が劇的に変わったというのは言いすぎですが、非常にインパクトを与えたというか、そういったものもしっかりこの中に具体的事例として入れてもらうと、分かりやすいかと思います。
 
○河村構成員
こういうことをお願いできるかという話なのですが、地域連携クリティカルパスがどれだけ大変かと御説明くださったのですが、もしこういう数字が頂ければという感じなのですが、こんなことはタブーで無理ですということはそれでも仕様がないと思いますけれども、国立病院機構さんがあって、ほかの病院と比べたときにどうなのか、よそさんがどこがどれぐらいできているのか。他の公立病院とか、ちょっと分かりません、JCHOさんと比べていいのかどうか私は分かりませんが、それはタブーかもしれません、よく分からないのですけれども。そういう形でなかなかできないのを国病さんがやってくださって、そういう比較を、全国の統計ではなくても、例えばこの地域で見たときにというような感じで御説明いただけると、主査もおっしゃられたのですが、本当にそれだけ大変なことを先導してやってくださっているなと分かる気もするのですが、そういう数字は余りないものですか。
 
○国立病院機構副理事長
できるだけそういう一般的な指標がほしいということで我々も探しております。なかなか比較する資料がなくて困っております。このクリティカルパスについて言いますと、もともと熊本で私どもの医療センターが非常に地域の連携に取り組んでいたというのが、ある意味、全国に広がっていて、プロトタイプになったということなのですが、このクリティカルパスの件数を公的に統計として集める方法はないわけです。おっしゃることは大変よく分かります。我々もそういう説明をしたいと思って、いろいろ探すのですが、難しい。先ほどの臨床評価指標のように、我々のものをどれだけ参照していただいたのか、社会全体でというのは、我々としても一つの指標としてお示しして30万件問合せがあるということは、相当関心が高いということは申し上げられるのですが、日本全体でクリティカルパスが何件あってという、学者の方に研究報告としていただいて、その中で我々のウェイトがどれだけあるかということができれば一番いいのかと思っています。今後の参考にさせていただきます。
 
○大西構成員
先ほど副理事長がおっしゃられたことに重なるのですが、今のクリティカルパスについてもそうだと思うのですが、患者さんの数は膨大ですから、その中の7,000人、8,000人という件数がどれぐらいのウェイトを占めているかというと、比較的少なく見えてしまいます。対象とすべき患者さんが、ある母数の中にあって、どのぐらいの割合でクリティカルパスの適用が実現できているのかということであれば、また別な見方ができるのかという気もいたします。
それから、地域連携、地域医療への貢献という中で、地域・地域によって国立病院の持っておられる施設も、立ち位置、若しくは役割もそれぞれ違いがありましょうから、ある程度、地域の中での役割を分類し、そういう役割を担う施設の中でこの目標を持って活動したときに、患者さんたちの診療データがこのように共有されたとか、又は地域に戻って患者さんの満足度がこうであったとか、家族の評価がこうだったとかという評価はできますでしょうか。モデル事業的に場所を選んで、目標を掲げたところが、これだけ達成できたというふうに見せていくのもいいのかと思います。先ほどのモデル事業のお話は非常にいろいろなことが盛り込まれているのがよく分かりました。
 
○松尾主査
ありがとうございました。
 
○亀岡構成員
どうもありがとうございました。私もお話を聞いていて、非常に納得をしているところですが、どうしても数字のほうに目が行ってしまうので、例えば先ほどありました、地域連携クリティカルパスの実施総件数ということで、一昨年、つまり平成27年度を見ると、B評価になっているんですね。ところが、クリティカルパスの実施の達成度は27年度のほうが29年度より高いんですね。なので、目標と計画値と実績値に、もちろん計画値に問題があるのかどうか分かりませんけれども、この数字が正しいという目標ということになると、27年度よりも達成率は落ちていると。にもかかわらず、27年度はBになっているのはAにきますという、総合的な判断だと思いますが、その辺の数量的な指標から見ると、ちょっと気になる部分があるのかという点があります。
 
○松尾主査
御意見があれば、簡潔にお願いします。
 
○国立病院機構理事長
地域連携クリティカルパスの日本での客観的な数字という点に関してでありますが、ものによっては診療報酬上定義されていて、これを算定する機関数がどれだけあるかとか、実際に診療報酬で何件請求されているかが出てくるものも一部ありますが、その対象となるパスが時代とともにどんどん変わっています。初期の頃は脳卒中とか、大腿骨の関節の置換等が中心だったのが、今は変わってしまっている。我々自身のデータは取れるのですが、対外的に客観的データが取れるものがどんどん変わってしまっているので、ベンチマーク的なものが難しいという実状はあります。ただ、地域でもしそういうアンケート的なもので協力していただける所があれば出せるけれども、それも1医療機関では少ないので、その地域の病院団体、医師会等で音頭を取っていただいて、そういう調査に協力いただければというのが現状という形でございます。
 
○松尾主査
ありがとうございます。まだいろいろあるかと思いますが、これは本当に、日本の医療のデータを地域、病院それぞれ質のいいデータがあるのですが、それはデータベースとして全然統合されていなくて、まして、それを利用するというのは全然日本は下手であると言われていますので、これは国立病院機構というよりは、日本全体の医療情報、医療データをどう統合して活用するかというところは大きいかと思います。
時間の関係で、次にいきたいと思います。次は1-2です。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
1-2の臨床研究事業です。平成29年度資料では24ページ、見込資料では27ページをお開きください。こちらでも難易度を高いと付けておりますので、その理由としては、電子カルテ情報の収集分析を推進するためのSS-MIX2を用いたデータ様式の標準化に、国立病院機構が日本で初めて取り組んでいること。このため、病院やメーカーごとに仕様や様式が異なることから、膨大な量の調査と変換作業が必要となっております。また、大規模臨床研究や治験を実施するためには、やはり地域でのハイレベルなコーディネートを図る必要もあるため、こちらでの難易度も高いと考えております。
引き続き実績です。29年度評価資料では27ページ、見込評価資料では30ページをお開きください。診療情報の収集・分析と情報発信機能の強化についてですが、こちらは特に29年度は、国立病院機構診療情報集積基盤(NCDA)の電子カルテデータの標準化のためのIT基盤構築事業を更に発展・充実するため、事業参加病院を17病院追加して、58病院とすることができました。さらに、対応ベンダーも1社追加して7病院に拡大しております。もう1つ、平成29年度で大きかったのは、これまで集積できなかった診療経過記録や退院時サマリ、紹介状データについても集積できるように改修が行われ、より精度の高い臨床疫学研究の実施が可能となるデータベースにバージョンアップできたことが挙げられます
引き続きまして、平成29年度の28ページ、見込評価資料の31ページの大規模臨床研究の推進です。こちらに定量的指標の英語論文掲載数があります。平成29年度の目標の論文数の2,024本に対して、2,472本となりまして、達成度としては122.1%と高い達成率になっております。目標をはるかに超える結果となりました。また、質でありますが、インパクトファクターの平均値でも2.8を超える程度の高い実績を示すことができ、質・量ともに充実した結果となっております。
平成29年度の30ページ、見込評価資料の33ページをお開きください。こちらはバイオバンク・ジャパンとか、京都大学iPS細胞研究所等の外部機関との連携ですが、この中の特に京都大学のiPS細胞研究所(CiRA)との連携で、iPS細胞を用いた難治性疾患等の病因・病態の解明や新たな治療の開発のための「疾患特異的iPS細胞樹立促進のための基盤形成」事業というものがありますが、こちらにおいて、指定難病を対象とした症例登録で、国立病院機構からは159疾患・457症例の登録実績を挙げることができました。
CiRAが樹立した疾患特異的iPS細胞の中で、こちらは公表されておりませんが、CiRAに確認したところ、国立病院機構が最も貢献した医療機関ということを伝えていただいておりますので、こちらの貢献度も非常に高いと考えております。
引き続きまして、平成29年度の31ページ、見込評価資料の35ページです。迅速で質の高い治験です。平成29年度は、病院での治験・臨床コーディネーター(CRC)の配置数を増やすとともに、治験審査の迅速化、効率化を図り、本部での中央治験審査委員会において、新規課題23課題、継続課題79課題の審査を行っております。治験実績については表に示すとおり、堅調に26年度から推移しておりましたが、世界的な治験の動向もあり、平成29年度は治験実施症例数、請求金額ともに初めて減少傾向を示しております。
 引き続き、先進医療技術の臨床導入について平成29年度資料の34ページ、見込評価資料の37ページをお開きください。高度先進医療技術の臨床導入においては、理化学研究所とのNKT細胞の共同研究の継続もありますが、特に「筋ジストロフィーの心筋障害に対するTRPV2阻害薬内服療法」について、厚生労働省に先進医療の届出を行いまして、有効性、安全性が審議された結果、平成29年11月に先進医療Bに承認されて、今後、国立病院機構を中心とする15施設に拡大する予定となっております。
29年度資料の34ページ、見込評価資料の38ページの臨床研究や治験に精通する医療従事者の育成ですが、こちらではCITIJapan教育研修プログラムを活用して、こちらは研究者だけではなく、CRC、事務局、倫理委員会の委員も対象として、e-learningでの研究倫理などの教育を平成29年度も引き続き実施して、8,301名がこのプログラムを修了しております。以上より、重要度も高く、難易度も高いということを考慮させていただき、自己評価もAといたしました。以上です。
 
○松尾主査
はい、ありがとうございました。それでは御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
それではちょっと私のほうから質問させていただきたいのですが、この患者の臨床データの統合というか、情報のデータベースを作って、いろいろなところに応用するということなのですが、これはベンダーが7社あって、主にSS-MIX2を使ってやっているのですが、これは実は非常にベンダーが違うと難しいところがあるのです。これはちょっと本質とは違うかもしれないのですが、ベンダーは違うのだけれども、そこでの電子カルテを入れるときのイニシアティブというか、ガバナンスは、これは機構が取ってやっておられるのですか。それともそれぞれの病院がベンダーと交渉して、どの電子カルテを入れるか決めておられるのですか。どういうふうに。
 
○国立病院機構企画経営部長
基本的には各病院のほうでコスト面も考えて、利便性も考えて、業者選定をしているという状況です。電子カルテの情報のデータベースそれ自体はSS-MIX2形式でもって統合するための基盤を作っているということです。
 
○松尾主査
これはそれぞれの病院で電子カルテをカスタマイズしてしまうと、かえって難しくなることがあると思うのです。だから、その辺のところは機構で何か工夫はされているのですか。そういうデータを統合しようとかというときには、必ずそれは問題になるので、SS-MIX2で入れるものというのは、やはり限界があるのでその辺りはいかがでしょうか。
 
○国立病院機構企画経営部長
正に主査の御指摘のとおり、各病院のほうのユーザビリティを考えると、どうしても各病院のほうで疾病名あるいは検査値の入力方法等をカスタマイズしているケースが多数ございまして、そういう意味でSS-MIX2の標準的な仕様に基づいたデータに統合するために、別途、変換モジュールというものを今回開発しまして、それを各病院から情報集積に活用させていただいているという状況です。
 
○国立病院機構理事長
電子カルテそのものは、こういう事業が始まる前から各病院では既に導入しておりますので、それを入れ換えるときに全面的に内容を変えてしまうというのはなかなか難しい状況にあります。我々の基本的な考え方として、いろいろな病院で今まで使っていたマスターを、全部入れ換えるというのは膨大な作業になりますので、病院の中は今までどおりの形でやっていただいて結構ですけれども、外側へデータを提供するところは、SS-MIX2と標準的なマスターに基づいたものにする。その変換のツールを必ず電子カルテを入れるときには備えていただくということにして、いろいろなデータが集まりやすくしていくということを考えています。
もう1点は、松尾主査の御指摘のとおりSS-MIXで扱えるデータには限界がありますので、それを超える部分となりますと、電子カルテその他に何かモジュールを埋め込まなければならなくなりますが、それは結構お金もかかりますし、それぞれの病院の事情もあります。例えばどんな疾患を取り扱っているかによってモジュールが変わるという可能性もありますので、これは我々も今後の検討課題で、幾つかの大学とも連携しながら進めていきたいと考えております。
 
○松尾主査
どうもありがとうございました。
 
○河村構成員
この臨床研究事業のそもそものところを御質問したいのですが、国立病院機構さんとして、この臨床研究をなさるその立ち位置を、ちょっと御説明いただけると有り難いなと思いまして、実は国のほうでも研究開発法人のほうのナショセンさんとかそれぞれおありになるではないですか。それぞれ病院をお持ちで、各分野の御研究をされていると思うのですが、そこと多分、違うお立場でなさると思うのですが、その辺をちょっとお教えいただけると有り難いなと思います。
 
○国立病院機構理事長
我々国立病院機構の場合は、最初の事業内容でも御説明しましたように、急性期型からセーフティネット系の慢性期型の病院、それからいろいろな疾患を取り扱っておりますので、全体としてはかなりの診療分野をカバーしている状況になっております。大学とかナショナルセンターのところでいろいろな研究結果というものが出てきて、新たな薬とか医療機器の候補が出てくるわけですが、実際にそれを市場に出すためにはいろいろな治験とか臨床試験が必要になってきますが、日本ではその段階がなかなか進まず開発が遅れているということが指摘されています。
我々としては、新たに開発することはもちろん一部の病院では行っておりますが、それよりも新たにそういうように開発されてきたのを、いかに早く市場に出すための試験等を進めていくか。そのためには非常に多数のバラエティに富んだ症例があるということは、いろいろなタイプの治験を引き受けられるということ。それからCRCを初めとして、そういう試験等に協力する人材を育成して、医師だけに頼るのではなく、病院全体で試験等が進められる体制を作っていく、この2点を進めるということを基本的な考えとして今の体制を作っていると思います。
 
○松尾主査
ありがとうございました。
 
○大西構成員
どうもありがとうございます。治験のところなのですが、私個人的には非常に充実した体制を組まれていて、セントラルIRBも整備されていますし、CRCの方々とも多数配置されている。とは言うものの29年度の数字を見ますと、症例数が減っている、又は国内、国際ともに少し下行線になってしまったというのは原因としてどういうふうに考えておられますか。
 
○国立病院機構理事長
国際的に治験の体制が大きく変わってきております。日本、アメリカ、ヨーロッパでもデータを共通に使うというような試みが一般的になっていて、ほとんどの治験がグローバル治験ということで、日本で提供しなければならない症例数そのものが少なくなっています。今までならば日本だけで100例必要だったのがグローバルで100例となり、そのうちの20例を日本でというような形で、症例数そのものが減ってきている。また、昔のようにブロックバスターのような大きな薬ではなくて、特定の希少疾患、難病をターゲットにした薬が中心になっておりますので、薬の治験の数そのものが減っています。当然対象となる患者さんの数も減っているということで、治験の件数、症例数の減少が一部そういう動きの結果です。あと、我々のほうは出来高払いということで、要するに実施したもののみに対する額を請求するという形に、請求方法を変えたために、若干その影響もあって、収入のほうも減っているという状況になっています。
 
○大西構成員
それに対して今後は、どのような方針で臨まれるお考えでしょうか。
 
○国立病院機構理事長
1つはもちろん我々の治験に対するいろいろなデータ等の信頼性を高めることで、より多くの治験がくるようにということ。それから非常に難しい治験に対しましては当然費用も高くなりますので、それに見合った形でお金を頂いているということがあります。しかし、全般的に今後はやはり薬の開発というのはどんどん難しくなって、治験の件数そのものが減っていく傾向にあると思いますので、今後は治験のみならず、治験ではない、医師等が主体的に行う臨床試験等にも一緒に取り組んでいくこと。これは必ずしも収入につながるわけではありませんが、社会的な貢献としては重要と思いますので、そちらのほうにも力を入れていきたいと考えております。
 
○松尾主査
どうもありがとうございました。そこの同じ表の医師主導治験もかなり大幅に減っているのですが、これは何か理由があるのですか。
 
○国立病院機構理事長
これまで新型インフルエンザワクチンに関する治験及び医師指導治験がかなり走っていたのですが、現在それの部分が小休止状態にあるということで減っていると。ただ、今後、臨床研究中核病院等で計画される医師主導治験などには積極的に参加していく方向を打ち出しておりますので、この状況というのは一時的なものではないかというふうに考えています。
 
○松尾主査
よろしいですか。それではちょっと遅れておりますので、次の1-3、教育研修事業をお願いします。次の説明をお願いします。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
29年度では35ページ、見込評価では39ページをお開きください。こちらも難易度が高いとしている理由は、繰り返し行っております我々の法人の病院の多様性ということと、医療技術の進歩や地域の医療ニーズなどの変化を的確に対応するためには、しかも通常の診療業務を行いながら教育体制の不断の見直し、維持を行っていくということは非常に難しいと。また、不断に講師の育成・確保、また、研修ツールの作成を継続的にも行っておりますので、難易度は高いと判断しております。
引き続き、29年度の37ページ、見込評価資料の41ページをお開きください。質の高い医療従事者の育成・確保です。まず、医師の育成ですが、臨床研修病院の指定状況は、見込評価資料の表を見ていただければ分かりますように、基幹型に関しては維持、協力型は全増しております。また、初期研修医に関しての受入数は、基本型ではコンスタントに増加してきております。後期研修も増減はありますが、堅調に推移していると考えております。
平成29年度資料の右のページの、新専門医制度への対応ですが、こちらは基幹プログラムは19領域中の16領域で106プログラムが認定されて用意いたしました。平成29年度に専攻医の募集を行いまして、13領域で137名の登録が確定して、この4月からスタートしております。診療科の詳細は38ページの表にありますので、参照していただければと思います。
こちらは東京中心という大きな流れの中で、137名というところは、グループ病院としては日赤に次ぐ数を確保できたということで、一定の結果を残せたものと我々は判断しております。
続きまして、平成29年度の38ページ、見込評価資料の43ページを御覧いただきます。定量的指標になっております看護師の国家試験合格率です。平成29年度を目標としている全国平均の合格率96.3%に対して、98.8%となり、達成度は102.6%でした。また、看護師の育成として、平成29年度は、新たに看護師の生涯教育を支援する特徴を持った「看護師職員能力開発プログラム(ACTyナース)Ver.2」の運用が開始されておりまして、教育体制の充実や、各種研修に取り組んでおります。
引き続き40ページ、見込評価資料の44ページをお開きください。メディカルスタッフへの専門知識の強化であり、あるいはチーム医療の推進を目的といたしまして、各種実修技能研修、メディカル・スキル・アップ・ラボラトリーの設置、各種専門資格のキャリア支援においても継続に取り組んでおります。
平成29年度はそのまま40ページで、見込資料の45ページを御覧ください。もう1つの定量的指標であります地域医療に貢献する研修事業で、地域医療従事者等を対象とした地域研修会の開催件数になっております。
平成30年度までにこの項目は10%増加させる設定で、1年に2%増加を目標としております。平成29年度は4,909件の目標に対して、5,159件となり、達成度は105.1%でした。以上より、重要度、難易度ともに高いと我々は考えており、自己評価もAとしております。以上です。
 
○松尾主査
ありがとうございました。それでは御質問、御意見をお願いします。いかがでしょうか。
 
○河村構成員
この項目についても、やはりアウトプット的な指標が中心になっていると思いますので、それは何かということは、それはそれで数字として置いておいて、質的な意味でA評価に相当すると考えられるところ、特に昨年度について特段というところがあれば、そこをちょっと抜き出して御説明をお願いいたします。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
先ほども言いましたように、平成29年度の問題として、新専門医制度が挙げられておりまして、こちらは相当準備をやってきましたし、内科学会とか、いろいろな学会ともいろいろと協議を重ねる中で、例えば29年度の前から導入しておりましたが、JMECC研修等も指導者講習を大学以外で、我々の所が初めて行うなど、この制度に対する対応を行ってきたのが非常に大きくて、プログラムとしてもかなり出来たものを用意できたと思っております。定性的なものとしても29年度としてはそこが新たに行ったものがあります。それ以外のものに関しては、これはもう維持というか、継続と更にブラッシュアップを行っている研修ということになります。
別のところにありました重度心身障害児(者)の研修とかは、ここに入っておりませんが、先ほどもありましたように、我々はセーフティネットの医師というのは、大学で養成をなかなかしていただけないところもあって、現場での養成を非常に重視せざるを得ないということで、現場の先生方、特にスキル、あるいはそういう知識、あるいは学術的にも優れた方々を企画会議ということで、本部主導で集めて、作っておりまして、そういう意味では平成28年度からになりますが、新たに特段の研修を立ち上げてやっているということになります。それはこちらには入っておりません。
 
○河村構成員
ありがとうございます。最初の御説明があって、今の追加の御説明を伺って、ああ、なるほどなと思うところもあるのですが、やはり新専門医制度と、そこは分かりました。そこは大きく去年進んだというところなのですかね、そういうことなのですね。ちょっと全体的に見たときに、個人的な意見としては、Aはちょっと厳しいのではないかなというふうに思われます。
 
○松尾主査
ですから、これもできればベンチマークできるような難しい項目もありますが。それから見込評価の43ページ、看護師さんの国家試験合格率、これは1つは年度計画値がだんだん下がって、29年度は突然上がっているというのがあって、これはなんで途中で下がっているのかということと、この目標設定値だと、120%いかないのです。120%いったら100%を超えてしまって、これは難しいということで、例えば看護学校に入ります。その入った人のうち、途中でドロップアウトするもいるので、何人看護師になりましたかみたいな指標のほうが、いいのかなと思って、コンプリーションレートって、よくアメリカでは大学に入って、きちんとまともに卒業できた人は何割ですかみたいなことをやるのですが、この国家試験の合格率はもともとものすごく高いので、1%落ちようが、増えようが、余り、本当にアウトカムとしてこれでいいのかということを、ちょっと感じた次第です。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
目標値ですが、これは全国平均ですので、試験問題の難易度によって、年度でやはり上下するということで、28年度は94.3%と低くて、うちとしてもちょっと下がっているという状況でありますが、そういう目標設定になっているので、このような目標値になったということです。
 
○松尾主査
ということは、これは計画値ではなくて、結果値なのですね、この目標は。
 
○国立病院機構企画役(専門医養成担当)
計画したときにはその数字は分かっていませんのでそういうことになります。
 
○松尾主査
分かりました。ほかによろしいですか。それでは、最初に申し上げました、ここは評価をするところではなくて、この付けられた評価について、いろいろ御質問、御意見を構成員の方から伺うという所ですので、次に移りたいと思います。続きまして、業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項の項目に入りたいと思います。
先ほどと同じ流れでいきたいと思います。2-1と3-1が、今日御説明いただく内容になります。それでは2-1から説明をお願いしたいと思います。
 
○国立病院機構企画経営部長
2-1です。資料1-1の41ページを御覧ください。業務運営の効率化については、効率的な業務運営体制、効率的な経営の推進と投資の促進について、年度計画に定めています。この評価項目について、難易度は「高」と設定しております。その理由としては、一般管理費、これは本部の経費ですけれども、第1期中期計画期間中に38%、第2期中期期間中に23.8%と既に大幅な削減を図っております。その上で、この5年間で5%削減という計画を設定しております。そういう状況で、更に本部組織の見直しとして、内部統制部門の強化、あるいは情報セキュリティ対策の強化等々の対応を図らなければいけないということがあり、非常に難易度が高いということで、難易度「高」と認識しております。
個別の項目については、年度評価の43ページ、見込評価の48ページを御覧ください。43ページで、効率的な業務体制の実績です。昨年度の組織体制として情報システム統括部、セキュリティ対策等データの利活用ということを目的とした部を新設するなどの改定を行っています。
次に、右側は定量指標になっています。QC活動奨励の状況です。11期目を実施しておりますけれども、平成29年度の新たな取組として、既に蓄積されたQC活動の水平転換の促進を図るということで過去のもの、他病院の事例を活用した事例を新たに表彰するという取組を進めています。
44ページです。目標値自体は、平成30年度までに2%ずつ向上させて、結局10%増加させるという目標です。応募件数自体は昨年よりは増加しておりますけれども、達成度は86.8%という状況です。
44ページの右側で、調達の関係です。医薬品、医療機器の調達については、引き続き他法人と連携の上、実施しております。新たな取組として、平成29年度には102病院において、医療材料のベンチマークシステムを導入し、費用削減に取り組んでいます。
45ページです。一般管理費は先ほど御説明したとおり、平成30年度において、基準値である平成25年度に比べて、一般管理費の5%削減という定量的指標になっています。セキュリティ対策の強化等に対応する必要が、費用増補よりもあり、達成度自体は87.6%となっております。ちなみに45ページの上に書いてありますが、情報セキュリティ対策強化に伴う経費8,500万円程度は追加的に発生したということがありますので、これを除けば目標自体は達成している状況です。説明は以上です。
 
○松尾主査
ただいまの説明に対して、御質問、御意見をお願いいたします。斎藤構成員どうぞ。
 
○斎藤構成員
QC活動についてお伺いします。今は働き方改革で、残業が非常にしづらい状況になってきています。QC活動というのは、正規の勤務時間以外で活動するわけなので、QC活動自体がとてもしづらくなっているのではないかという気がするのです。それがこの数字に表れてくることはあるのでしょうか、教えてください。
 
○国立病院機構企画経営部長
QC活動自体は業務の一環としていただくということです。残業対策、長時間労働対策については別途対策を講じていかなければいけないという状況です。
 
○国立病院機構副理事長
言い方を補足します。要は、勤務時間の外に出すのか出さないのかといったときに、やはり残業問題もあるので業務時間に入れてもいいという形で、勤務時間内に折り合いを付けてやってもらってもいいという形で、あえてしているという趣旨です。全体として必ずしもどうしなければいけないということにはしていない。しかし、内容的にはそれぞれが工夫をする時間ということで、なんとか残業対策との間の折り合いを付けているということです。
 
○松尾主査
ものづくりの工場などへ行くと、ほとんどロボットになっていて、朝8時から作業をスタートします。最初の30分も工場は動いているのだけれども、そこへ集まってQC活動をやることはできます。医療の現場というのは、必ず患者さんがいて作業をやらなければいけない。恐らく斎藤構成員の質問は、この活動をやったら当然医療活動をやりながらというわけにはいかないのだけれども、やらなければいけない。それで過度になっていませんよねという質問だったと思うのです。
 
○国立病院機構副理事長
当然時間外でやっているというのはQC活動件数に入っているはずですので、我々はそういう調査はしておりませんけれども、勤務時間の中でやってもいいよというふうに我々は言っています。無理なく、やりやすい環境を整えるということで言っています。実際の医療とか看護に支障を与えるようなことは決してしていないということです。
 
○髙瀬構成員
減っているのは疲れているからではないですか。
 
○松尾主査
減っているのはどうしてでしょうか。
 
○国立病院機構副理事長
これは、応募件数を見てください。140余りの病院がこれしかやっていないように見えますが、各病院の中でまずコンテストをし、その中から、選ばれて選ばれて出てきたのがこの数ということです。多い病院は、院内でまずグループに出すのを1件か2件としています。そのためにこの下に膨大な数があるということです。昨年から変えたのですけれども、全部新規性がなければいけないと言ってしまうと、領域が限られているので、以前に発表されている、あるいはやられたことの改善というものも応募の対象に加えようということにしています。例えば節電というのは前と同じだから駄目だということにはしないようにしています。今後そういう形で更なる改善したものが出てくるのではないか。実際に病院によっては、1つ出すのに10、20やって、それから1個を病院の外に出すというようなことはあります。
 
○河村構成員
質問です。収入の確保のところで、未収金はどのように推移しているのですか。何か取組をされていればお伺いしたいと思います。
 
○国立病院機構企画経営部長
患者さんの未収金について、ほぼ横ばいです。
 
○河村構成員
絶対数でどのぐらいですか。パーセントというか金額。
 
○国立病院機構企画経営部長
金額的に申しますと、医業未収金の合計額は25億円、医業収益に対する割合は0.1456%です。前年度より、絶対額それ自体は2,400万円ぐらい増えておりますけれども、比率的には0.008%低減しております。収入全体が増えていますので、金額は増えていますけれども、比率としては0.008%ですけれども若干減少という状況です。取り組んだ内容としては、きちんと債権管理をして、早期に督促をすることがまず基本だと考えています。そのようなマニュアル等も定めておりますし、そういうものを活用しています。場合によってはサーベイヤーを活用したり、弁護士のほうに委託するというような事例もあります。
 
○河村構成員
システムを導入した病院と、そうでない所で差は出ているのですか。
 
○国立病院機構企画経営部長
差は把握していません。
 
○河村構成員
よその病院では結構対策が大変みたいなことを聞くのですけれども、国立病院機構にとっては、余り大きな問題としては捉えていないのですか。
 
○国立病院機構企画経営部長
そういうことではありません。
 
○河村構成員
その全体は病院の中でも大きいから、やはりすごく大きいですよね。
 
○国立病院機構企画経営部長
はい。その後、患者さんが生活困窮に陥っているような事例もありますので、なかなかお支払いに結び付かないような事例もあります。そういう観点から、早く債権管理をして、かつ督促をする。それをきちんと管理できるようなシステムを導入していて、それを順次広げているという状況です。
 
○河村構成員
国立病院の場合は、外国人の患者さんが増えているとか、そういうことは余り関係ないのですか。病院によりますか。場所によりますか。その問題はそんなに基本的に認識されていない。
 
○国立病院機構企画経営部長
全体としては認識していないですけれども、病院によってはそういう事例もあるかと思います。
 
○河村構成員
こういうところに今は急には入っていないと思うのですけれども、やはり今後は大事になってくるところではないかと思います。
 
○松尾主査
他にはいかがですか。
 
○亀岡構成員
平成29年度の、45ページの一般管理費の節減のところです。平成29年度においては、情報セキュリティ対策強化に伴う経費ということで8,500万円ぐらいかかっていますと。これがもしなかったとするならば、実績値の6億4,700万円が5億6,200万円になるから、目標値の5億6,700万円を下回っていますというような説明だと理解しています。平成30年度においても、平成25年度の5億6,700万円に対しての5%削減を目標にしているということです。5%となると5億3,800万円になるのですが、なぜ平成29年度に目標値が5億6,700万円に増えているのかということ。これは、もちろんセキュリティの強化は別の話だと思うのです。だから、セキュリティの強化がなければ目標を達成とおっしゃったのです。
これが明年更に3,000万円下がるような目標にあるというのは、何か計画がどんどん右肩上がりになりつつあるのが、来年だけガクッと下がると、達成可能なのかどうか。今年は達成しましたと言われたのですけれども、目標自体が低いのか、少し甘いのかという感じなのですが、いかがでしょうか。
 
○国立病院機構企画経営部長
目標値自体の5億6,700万円自体は、このときにネット基盤の更新を見込んで、IT経費も増補もこの計画の段階では見込んでいて、それで単純に5%の数字よりも少し高い5億6,700万円の水準になっているという状況です。更に追加的に、先ほど申し上げたような、他法人の個人情報の流出事案を踏まえて、追加的にセキュリティ対策の強化が必要になったので、その分8,500万円がプラスオンになったので、目標値自体は達成していないという状況です。
 
○亀岡構成員
明年は、目標自体が5億3,800万円に持っていけるということでよろしいのでしょうか。
 
○国立病院機構企画経営部長
目標自体は、そういう計画に今中期計画期間中はなります。
 
○亀岡構成員
分かりました。
 
○松尾主査
他にはよろしいですか。次に3番の説明をお願いします。
 
○国立病院機構企画経営部長
46ページを御覧ください。見込評価は51ページです。予算収支計画・資金計画です。この項目については経営の改善、医療機器・建物整備に関する計画について年度計画を定めています。この評価項目については、難易度は高いと設定しております。私ども、他の独立行政法人では課されていないおよそ139億円もの独自の負担を診療収入で賄うということが求められていること。投資の関係については、建設コストが高止まりしている中で、投資需要が増大しているということがあります。こういった状況の中で、効率的に投資を実施することと、健全な経営を維持することの両面に考慮しつつ、経常収支率を100%以上を達成することは非常に難しいと考えていて、難易度は極めて高いと考えております。
内容は47ページ、見込評価の52ページを御覧ください。47ページの左側にありますように経営の改善です。昨年度の収入は186億円、一方で、費用は139億円増加しております。経常収支は前年度比で47億円改善してマイナス22億円ということで、経常収支率99.8%という状況です。
病院の経営改善計画の実施及び支援の状況です。47ページの右側です。資金不足が生じている病院については、経営改善計画を策定しています。昨年は105病院が対象でしたけれども、64病院について前年度を上回っている状況です。ちなみにこの表に書いてありますが、平成28年度に経営改善計画の策定対象になったのは97病院ありました。全体的に右側に経常収支の増減額が寄っているという推移がお分かりいただけるかと思います。経営改善計画対象病院については、昨年度、一昨年度に比べて経営改善が進んでいるという状況が見て取れるのではないかと思います。
48ページは投資の状況です。医療機器・建物への投資の関係です。平成26年度当初、今中期計画期間中の総投資額をそれぞれ設定しております。その後の経営状況が厳しくなってきたということを踏まえ、平成26年度当初の見込みを改めております。平成29年度以降、当分の間は地域医療構想に基づく機能変更、あるいは法令対応でどうしても必須なものを除いて、各病院の資金状況によっては、投資を不可とするなど厳しい投資判断を行うというように方針を変更しています。また平成30年度からは、この中期目標期間中の経営状況の変化を勘案して、法人全体で投資枠を定めて、年度ごとの投資決定を行うというような方式に改めているところです。
そういう方針の変更に伴い、医療機器については、目標292億円の投資計画に対して、昨年度の支払いは142億円とほぼ半分の48.6%という実績です。建物についても、既に建設決定をしたものは着工に至っておりますけれども、そういう意味で達成度96.9%になっております。新たな投資については見直しをするという状況です。
投資環境そのものについては48ページの上に記載しております。平成25年度の建設価格を100とすると、鉄筋・鉄骨労務コストが地域によって1.3倍から1.8倍、主要資材コストは1.1倍から1.2倍という状況で建設コストが今は非常に高止まりしているという状況です。説明は以上です。
 
○松尾主査
ここは、御質問や御意見がいろいろあると思います。亀岡構成員どうぞ。
 
○亀岡構成員
48ページなのですけれども、その前に47ページで経常収支比率では非常に努力されていると思っているのですけれども、若干達成しなかったために、48ページの医療機器整備等のほうは随分削減しているというようなことになるかと思うのです。当初の計画というのは、適切な医療を提供するというようなところが、ここ数年半分ぐらいまで下がってきている。実際にそのことが、逆に収入に影響してきて、売上げのほうに影響してきて、結果的にそういうスパイラルではないですけれども、良くない循環になっていないのかどうかというところが気になっておりますので、その辺を説明してください。
建物のほうについては、先ほどありましたようにコストが上がってきているということなので、実質的な当初の計画との達成率と言いましょうか、金額ではなくて。当初想定したコストよりも高くなったから、当然率はもっと下がっていると思うのです。この辺が分かれば教えてください。
 
○国立病院機構企画経営部長
前者のほうですが、私どもは平成25年度の段階の法人自体の経営状況に鑑みて、当時は非常に経常収支率も高かったので、第3期当初はこのような計画を立てております。その前の実績を踏まえた投資規模を基本的に設定をして計画を立てたわけですけれども、非常に経営環境が厳しくなっておりますので、ここ2年程度は法人自体の資金規模を勘案して、法人全体の中で必要な機能維持を図るということは当然前提ですけれども、少し我慢するというのを2年続けようと考えているところです。全ての病院というわけではありませんので、当然収益性が確保できるような医療機器の投資等については、その内容を見ながらになりますけれども、投資判断をさせていただいているような状況です。
後段の御質問については整理させてください。
 
○国立病院機構副理事長
関連してです。この数字自体が計画値です。例えば箇所付けをして、この計画額を個々に積み上げたわけではないということを1点申し上げておきます。何パーセントと言いましても出てこない部分があります。かつ、建築費用が10数%とか、2割とか、平成23年度以降上がっております。オリンピックもあって、なかなか容易ではないということは申し上げておきます。
先ほど最初のところで、富田構成員から12ページのところで御質問がありました9病院の病棟、5病院の外来の整備の額は、平成29年度の支払額というわけではありませんが、その契約した金額は合わせて433億円ということです。
 
○松尾主査
山口構成員どうぞ。
 
○山口構成員
本日、遅れて申し訳ありません。私は建築のところで質問いたします。いろいろな所で材料を含めた建築コストが高騰しているということで、計画した段階に比べてコストも上がってきているので、いろいろな医療機関で困っているという話を伺います。ただ、国立病院機構の場合は、かなり老朽化してきている病院があって、そこをなんとかしていかなければいけないということで立てられた予算だったと思うのです。その中でいろいろ見直しを行ったあと、その具体的な見直しの内容というのは、例えば先延ばしにしたのか、範囲を限定的にしたのか、その辺りの具体的な工夫があればお聞かせください。
 
○国立病院機構副理事長
内容的には、建物をどこまで直すかを検討して、例えば管理部門はやめようではないかということや、サービス棟と呼ばれている部門、あるいは手術棟を中心にしようというように、個別に建てたものがあります。それから病棟もきれいになり、あとは外来部門となっても、外来部門は診療科の部屋だけではなくて、サービス棟とか、検査棟とか、手術棟も入ることがあります。それもどこを優先するのか、精査をして整備をしていくこともあります。
さらに、どうしても厳しいところについて、耐震上問題がないのであれば時期をずらすという判断をしています。いずれにしても尋常でない建築単価の伸びになっています。
 
○山口構成員
計画したものに向かって進めていく時期が、最終的には初めに計画したとおりのところに到達したいということで計画されているのですか。
 
○国立病院機構副理事長
この額自体が平成25年度から一定のベースで延ばしたものだと思います。したがって、最終目標は耐震基準以前、例えば39年という耐用年数をだんだん越えていくものが出てきますので、そういうのを優先してやっていくことになります。最終的には整備していかないといけないと思っています。
 
○松尾主査
髙瀬構成員、どうぞ。
 
○髙瀬構成員
経常収支のところで、年金の国庫負担分というのは幾らになるのですか。
 
○国立病院機構企画経営部長
私どもの負担総額は、正に2分の1の国庫負担相当額は139億円です。
 
○髙瀬構成員
これがなければ、プラスになっているということですよね。
 
○国立病院機構企画経営部長
はい。
 
○髙瀬構成員
基本的に診療報酬でやっているわけですから、経営努力と言っても限りがあるわけです。いつまでも国庫負担を引きずっているというのはどうかと思うのです。これは聞いてみると、独法全体がそうしているわけではないという話なので、何か強力な、要望か何かしているのでしょうか。
 
○国立病院機構副理事長
これは、正に制度として義務づけがされているわけです。それから、これは収益課税のようなものではありませんので、収益があろうがなかろうが、139億円は天引きすると。これは人員が増えたら更に増えますということです。本来我々は診療収入だけでやっている組織体ですから、この問題が適切かどうかということです。これは法律上の問題になりますので、我々がどうのこうのというようにはならないのですが、要望としては昨年度も理事長と共に厚生労働省のほうに赴きました。これは今申し上げたようにいろいろ資金も苦しい中で、改善しなければいけないことはたくさんあるということですので、是非これの見直しをお願いしたいという要望はしています。
 
○松尾主査
大西構成員どうぞ。
 
○大西構成員
いろいろな環境の変化の中で御尽力されていて、僅か0.2%というところがギャップとして出てきてしまったというのは非常に残念だと思います。先ほど未収金の話がありましたけれども、査定率というのはどんなふうに数字を出すのかを教えてください。
 
○国立病院機構企画経営部長
すみません、手元に数字がありません。
 
○大西構成員
私の記憶では、査定率というのはそのぐらいの数字の範囲かと思ったのです。もしかしたら、その辺りがちょっと改善されれば届いたかもしれないです。ちょっと素人ながら思ったものですから、失礼しました。
いろいろな改善をされているとは思うのですけれども、私どもとしては国立病院機構というのは、グループ病院としては非常に有力な団体であると思っています。1兆円の収入を得ておられる。しかも先ほどのお話では、国庫の負担の一部を担われながら経営をされている。今後どのような考え方で経営改善されていくのか。先ほど参考資料を拝見したのですけれども、例えば、設備費の調整にも尽力されていることもうかがいました。いろいろな御尽力をされているとは思うのですが、もし教えていただけることがありましたらお聞かせください。
 
○国立病院機構理事長
平成22年から平成25年にかけて、非常に経常収支が改善していた時期があります。これは、1つは当時、国の時代に総定員法で人を増やせなかった所が、独法化後に看護職員を中心にして人を増やしたことによって、上位の施設基準を取ることができたこと。そういう中で非常に収入が伸び、かつ支出も当時は人件費単価抑制の時代だったために、非常に黒字幅が大きかった。
それが、その後7対1に対して規制が厳しくなるとか、在院日数がどんどん短くなっていますので、在院患者数も減ってきております。したがって、収入として見かけは増えているわけですけれども、実際上は病棟の空床が目立つ、場合によっては休棟するというようなことをしても、まだ人件費が少し過剰になっている所も若干ありますので、今後は各病院の地域医療計画の中で期待されている機能に合わせて、例えば現在7対1の所も10対1でいいのであれば10対1にするというような形で、直ちに人員調整はできませんけれども、長期的には病院の目的に合った人員に変えていくということ。それによって経費の節減等と、一方機能を強化することによって、より収入を伸ばすことも考えております。現状いろいろな状況を考えると、医療費そのものがどんどん伸びる時代ではありませんので、収入額はある程度頭打ちを覚悟して、いかに支出を抑えていくかということでやっていかざるを得ない。
その中では次の中期計画に関わりますけれども、病院の統廃合も考えて、要するに地域に対する診療機能は落とさずに、2つの病院が1つになることで、同じ機能が維持でき、かつ効率が上がるのであれば、そういうことも視野に入れて検討していきたいと考えております。
 
○松尾主査
まだ、いろいろあるかと思うのですが、時間も大分超過しています。ここまでのところで大変活発な質疑応答をありがとうございました。大体今の質疑応答で、それぞれの項目について、自己評価の妥当性等々ある程度見通しが付くのかなと思います。ここで年度評価、見込評価で、今回説明がなかった項目に関わる意見が、今ディスカッションした以外の所で何か御意見がありましたらお願いいたします。全体でも構いませんので、もしありましたら簡潔に御意見を頂きたいと思います。
 
○河村構成員
説明がなかった項目についてというのではなくて、全体について申し上げます。本日の説明の資料を拝見していると、「難」という赤いマーク、それから「重」という緑のマークがたくさん付いています。先ほど数えたら1-1からずっと医療関係の所は全部両方付いています。業務運営の効率化とかお金の話、経営の話の所は「難」だけが付いている。正直言ってここは違和感があります。
私は文系の人間で、医療のことは素人で一般国民の目線なのですが、今まで各府省が所管されているいろいろな独法のお仕事を拝見してきました。国立病院機構が本当に公的な病院の先頭を切って立派な経営改革をされて、こういう立派な業績を達成されているのは重々承知しているつもりではあるのですが、これだけ並んでしまうとちょっと違和感があるというか、逆に全部付けられてしまうと、本当に重要で難しいのはどこなのか分からない。
これは、総務省と協議をされる前の段階で付けているということなのですけれども、総務省と協議になったらこうはいかないだろうと思うのです。正直違和感があるということは申し上げたいと思います。
他のいろいろな独法の仕事を見ていて、もちろんいろいろな仕事があると思うのですけれども、こちらが見たときに信じられない、こんな目標を立てて平気なのですか、でも主務省は絶対に譲らないからということで、ものすごいきつい目標を掲げてやっているところがあったりします。
国立病院機構の仕事は本当に難しくて、先ほどの借金を返さなければいけない、でも大分返されたと思うのです。そういうお話もありますし、すごく不利な条件を最初から国に決められてしまったようなところがあることも承知しています。ただ、他の独法と並べてみたときに、だからこういう統一の評価のスケールを作りましょうということで通則法を改正したときに入れたと思うのです。これだけ並んでしまうと違和感があるということを一言申し上げます。逆に、もうちょっと選んで付けていただけると、本当にここは難しいのが出てきて、先ほど私がしつこく何度も聞いて申し訳なかったのですけれども、質的にどこがどう難しいかというところがより分かりやすくなると思います。
 
○松尾主査
時間の関係で機構側からの御意見は後でまとめて理事長からお話を伺いたいと思います。他に何かありますか。
 
○政策評価官
一言よろしいでしょうか。難易度についてです。来年の1月に中期目標及び計画に関する御意見を有識者から御意見をお伺いする期間になっています。そのときに難易度設定、今回は正式に難易度を設定することで案を国病のスタッフから頂きますので、そのことについての御意見を頂けると有り難いと思います。
 
○松尾主査
簡潔に一言。
 
○国立病院機構副理事長
一言言わなければいけないのは、独法制度を総務省はどう使いたいのか。そのときに、いろいろな独法があるのを共通指標で本当に適正な評価ができるのかどうか。本当にA評定以上となる基準の120%というのはどういう根拠なのかというのを、本当は厚生労働省の政策評価官室が仕切って、つまびらかにすべきだと私は思っています。それだけ申し上げます。
 
○松尾主査
それともう一言言うなら、いわゆる補助金というのは、運営費交付金の依存度が法人によって全然違います。ほぼ100%に近い所から、国立病院機構みたいに、ほとんど自分の所の収入でやって、なおかつ借金というのは分かりませんけれども、国立時代のあれを返してという所まで千差万別ある。これだったら、全然そんな少ないお金はもらわずに好きにやったほうがいい。しかし、国立病院機構は国民の医療だとか、政策医療にとって非常に重要なところなので、是非頑張っていただきたい。国民のために頑張っていただきたいと思います。
以上で業務、組織全般の見直しについての議論を終了いたします。法人の監事及び理事長から、年度そして中期目標期間における目標の達成状況を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。よろしくお願いいたします。最初に、法人の監事からよろしくお願いいたします。
 
○国立病院機構監事
監事の伊勢です。まず監査の結果について申し上げます。資料1-4に監査報告がありますが、平成29年度の国立病院機構の業務の監査に当たっては、監査計画に基づき理事長以下、役職員の皆さんと意思疎通を図り、役員会等の重要な会議に出席し、必要な情報を収集して行ってまいりました。また財務諸表、及び決算報告書について検証するに当たっては、会計監査人からその職務の執行状況について報告を受けつつ行ってまいりました。監査の結果として、法人の業務は法令等に従い適切に実施され、また中期目標の着実な達成に向け、効果的かつ効率的に実施されているものと認められます。また財務諸表、及び決算報告書に関する会計監査人の監査の方法及び結果は、相当であると認められます。
次に、法人の業務運営の状況や、今後の課題について申し上げます。国立病院機構では、監事、会計監査人の監査に加え、内部監査部門が定期的な監査を行うなど、適切な業務運営の確保に努めていると考えております。平成29年度も、引き続き理事長の法人運営方針、及び指示の徹底など、内部統制システムの充実・強化に努めたところであり、特に通報制度については国のガイドライン等を踏まえ、内部通報、外部通報に関する諸規定の改正を行うなど、更なる充実を図ったところです。
平成29年度決算においては、ただいまありましたように、平成28年度に続き、経常収支率100%を達成することができませんでしたが、病院長会議や職員向け理事長メッセージにより、理事長が自ら先頭に立って経営改善に向けた取組を徹底したことなどによって、医業収支率は100%を回復するなど、大幅な収支改善が図られております。また職員の皆さんも厳しい経営環境の中、国から付託を受けた責務を果たすべく真摯に経営目標に取り組んでいることは、監事監査を通じて確認しているところです。監事としては、法人の業務運営状況は評価されるべきものと考えております。今後においても、地域医療構想への対応、情報セキュリティー対策の推進、働き方改革への取組など、しっかりと対応していかなければならない課題が山積しているものと認識しております。
こうした状況下においても、引き続き国立病院機構に課せられた使命を果たしていくため、業務運営に係る不断の改善の取組を行い、業務の適正を確保しつつ、将来にわたって安定的な法人経営を行っていくことが重要であると考えております。以上です。
 
○松尾主査
続いて、法人理事長からよろしくお願いします。
 
○国立病院機構理事長
理事長の楠岡です。当法人は、独立行政法人化後、2回の中期計画を経まして、現在第3期中期計画の最終年度に入っております。この中期計画4年目の平成29年度の業務実績、及び第3期中期目標の見込評価について、ただいま各担当より説明したところです。
これまでの我が法人の実績としては、医療の提供、臨床研究、教育研修を実施しながら、地域医療及び国の医療政策等に貢献し、医療情勢をめぐる環境の変化にも対応しつつ、職員一同努力を重ね続け、厚生労働大臣から示されている中期目標で示された目標を、確実に達成しているものと自負しております。
しかしながら、これまで同様努力は続けてきたところですが、平成28年度において、法人設立以来初めて、経常収支が赤字となりました。平成29年度においては、先ほど報告したとおり、改善傾向にはあるものの、残念ながら2期連続の赤字となっております。このような経営状況を踏まえ、平成29年度の給与改定においては、ボーナスの改定は行わず、ベースアップについては、平成29年度の改善状況や改善の流れを一層促進する観点から、平成30年3月から実施しております。さらに、経営の責任を果たす一貫として、平成30年度においても引き続き役員報酬の一部カットを実施しております。またマイナス改定でありました平成30年度の診療報酬改定や、平成26年度に引き上げられた消費税の影響、建設コストの大幅な上昇や過去の投資に係る支払いなど、近年、病院経営をめぐる環境の厳しさは、ますます増しております。
さらに、私どもは平成27年度の非公務員化に伴う労働保険料の負担増など、費用の増加要因があることに加え、先ほども話に出ました基礎年金の国庫負担分に相当する長期公経済負担という、年間約140億円の他の独立行政法人にはない重い負担を課せられており、それを自己収入で賄っている状況です。このような厳しい状況下においても、医療の質向上や、患者の療養環境改善のため、健全な経営とのバランスを図りながら、老朽建物の更新等を実施していく必要があります。
一方、今年度から中長期的に安定した投資を継続するために、法人全体の経営状況を踏まえた投資枠を設定し、その下で各病院の財務状況に応じ、法人として適切な規模で機動的に投資をしていくこととしております。当面の間は、新規投資は大幅に圧縮し、投資同意案件であっても、ある程度の見直しが必要という大変厳しい状況となっております。
平成30年度は、2025年に向けて大きなターニングポイントとなっていると認識しております。第7次医療計画に基づく各種取組の開始、診療報酬及び介護報酬、障害報酬の3報酬同時改定。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、国を挙げて地域包括ケアシステムの構築と、地域医療構想の実現に向けた議論が本格化しております。
個別病院においては、都道府県の地域医療構想調整会議における議論にしっかりと参画し、各病院が今後地域で担うべき医療機能等について真剣に検討し、議論の中で地域関係者の理解を進めているところです。
このような中、平成30年度の診療報酬改定の状況を踏まえれば、平成30年度以降も病院経営は引き続き厳しくなることが予想されます。当法人としても、平成28年度から29年度にかけて悪化傾向について、ひとまず歯止めがかかったものの、より一層の経営改善策に取り組んでいく必要があります。また次の中期計画期間での発展への礎を築く重要な年となり、改善基調を継続し、平成30年度には収支相償、平成31年度には黒字化することを目指して、職員一丸となって取り組んでいく所存であります。
さらに、働き方改革への対応ですが、昨日来、当機構の都城医療センター職員の自死事案について、労働基準監督署が書類送検する方針を固めたとの報道がありました。現時点においては、書類送検されたとは聞いておりませんが、これまでセンター職員が長時間労働により亡くなられ労災認定に至っていること、労働基準監督署による臨検や事情聴取が当機構に対して行われていることは事実です。当機構としては、今回このような事態となったことを深く反省し、今後このようなことが起こらないよう、国を挙げて推進している働き方改革を踏まえながら、当機構の141病院の6万人を超える職員の長時間労働の削減を最優先課題として、真剣に取り組んでまいります。
おわりに、国立病院機構の使命である医療の提供、臨床研究、教育研修などを今後も継続的に的確に果たしていくこと、地域や社会に貢献していくため、安定的な経営ができるよう、引き続き様々な課題の解決に向け取り組んでいきたいと考えております。以上です。
 
○松尾主査
それでは、今の決意表明について、何か御質問、御意見はありますか。よろしいですか。
続いて、国立病院機構の業務、組織全般の見直しについて、大分時間が超過していますが議論をいたします。最初に、見直しの内容について、法人所管課からポイントを絞って簡潔に説明を頂きたいと思います。
 
○医政局医療経営支援課国立病院機構管理室長
資料2-3と2-4があります。資料2-4は本文ですので、資料2-3の概要版に沿って説明いたします。1ページの診療事業の医療の提供については、患者目線に立った医療の提供ということで、患者満足度調査を引き続き実施するなどして、患者満足度の向上に努める、また、蓄積された診療データを活用して、臨床評価指標の開発・見直しなどを行うことにより、医療の質の向上に努めていただきたいと思っております。
2ページの地域医療の貢献については、地域の医療需要の変化に対応した、地域に求められる医療に貢献すること、地域のニーズに応じた機能転換や再編等を検討すること、医療機器の共同利用などによる地域連携や、介護・福祉施設との連携、退院後の在宅支援などの強化を図っていただきたいと考えております。
3ページの国の医療政策への貢献では、災害など国の危機管理に際して求められる医療については、中核的な機関としての機能を充実・強化する、セーフティネット医療については、引き続き中心的な役割を果たし、医療・福祉サービスの充実を図る、エイズ医療については、薬害の被害者に対するも医療の取組を着実に実施する、そして、国の重要政策の先駆的な取組を積極的に実施していただきたいと思っております。
4ページの臨床研究事業については、迅速で質の高い治験の推進や、大規模臨床研究に取り組み、電子カルテデータを活用した臨床疫学研究の推進などを積極的に進める、他の設置主体との連携により、ゲノム医療・再生医療に関する臨床研究などの推進、そして、医療のIT化への積極的な貢献や、治験に精通する医療従事者の育成などを図っていただきたいと考えております。
5ページの教育研修事業については、学生に対する臨床実習や卒後のキャリアパス制度などにより、質の高い医療従事者の育成を行う、地域住民などに向けた研修の実施、医師の負担軽減を図る観点からの診療看護師等の養成を、引き続き行っていただきたいと思っております。また、看護師と養成施設については、地域の需要や医療の高度化等の環境の変化を踏まえた見直しを行っていただきたいと思っております。
6ページの業務運営の効率化については、各病院の収支改善を促進する、また、多様で柔軟な働き方を可能とするための人事制度、給与制度の構築、医師の労働時間短縮やタスクシフティングの推進など、働き方改革への実施体制を構築していただきたいと思っております。経費の節減と資源の有効活用については、人件費率と委託費率の合計が適正の水準となることを目指す、共同調達については、その効果を検証して、効率的な方法を工夫する、そして、後発医薬品等の採用促進を図っていただきたいと思っております。投資の見直しについては、老朽化や医療機器などの整備を効率的・機動的に行っていただきたい。
7ページの経営の改善については、現在の中期目標が中期目標期間の各年度の損益計算において100%以上を目指すことになっておりますが、今後の診療報酬改定の動向や消費税増税などの要素もあり、機構は中期目標管理法人であることから、中期目標期間の5年間を通した経営基盤の安定を図ることが重要との考えから、中期目標期間を通じた損益計算において100%以上という、幅を持たせた目標としております。
そして、法人の長のリーダーシップを発揮したマネジメントについては、本部・グループの体制強化や病院・本部・グループが一体となったPDCAサイクルによる経営解析、情報セキュリティも入れた内部統制の充実を図っていただきたいと思っております。情報セキュリティ対策の強化では、これまでの対策を引き続き推進していただいて、機構の知見を他の医療機関にも共有する取組をお願いしたい。
8ページの医療情報の利活用の推進では、NCDAなどのデータベースの更なる規模の拡大などに取り組んでいただき、今後は外部のデータベースとの連携や外部機関へのデータの提供など、取組をお願いしたい。広報・情報発信では、ホームページの見直し、SNS活用方法の検討など、広く国民の理解が得られるよう、情報発信をお願いしたいと思っております。
最後に、9ページの組織の見直しについては、各病院が効率的な業務運営となるよう、体制の見直しを行い、戦略的な強化を図るとともに、きめ細かい病院運営の支援等を実施するため、グループ担当理事部門の体制の充実を図っていただきたいと考えております。説明は以上です。
 
○松尾主査
それでは、ただいまの法人所管課からの発言内容について、構成員の皆様から何か御意見、御質問等はありますか。
 
○斎藤構成員
私は民間の会社で予算を立てている者なので、こういう御説明を伺うと、では予算は幾ら頂けるのですかと、つい言いたくなるのです。それが増えないでこれを達成するのは、まあ大変なことだなと改めて思いました。先ほどの理事長のコメントは非常に感動的な決意表明で、更にこれをというのは厳しいだろうなという感想です。先ほど投資は控えるとおっしゃいましたが、これを達成するためには人間の力では難しいことがたくさんあります。ロボット、AIなどを活用していかなければ無理なところが多いと思いますので、それに関しての投資は是非続けていただきたいと思います。その結果、成果は1年後、2年後には出てくると思いますので、その努力だけはお願いできたらと思いました。以上です。
 
○松尾主査
ほかにありませんか。
 
○河村構成員
御説明くださった7ページの経営の改善の所の書きぶりについてです。これまでの目標は各年度で経常収支率が100%以上としていたのを、中期目標期間を通じた損益計算においてという方向でいいのではないかと賛同いたします。いろいろと御説明も伺っていて、国立病院機構は独法になられて初めて経常収支率を黒字にされて、みんなが最初はすごくびっくりして、大変な業績をあげられて、それが今では他の独法病院なども達成されるようになって収支相償が標準になっているようなところがあります。ただ、今日のお話を伺っていても、やはりいろいろと長期負債の問題があったり、これから先、診療報酬などがどう変わるかというのは、ある意味外部要因で何か国立病院機構さんの経営努力でどうのという話ではないと思います。やはりここは柔軟に、基本的には収支率100%以上を目指すという目標は掲げておいたほうがいいのですが、余り過度にこれに縛られて大変な思いにならないようにというような書き方がいいかなと思っています。
この表現ですと、柔軟になっていていいとは思うのですが、ちょっと心配なのは、これから先5年間のうちに何か外部的にすごく不利な要因があって、1、2、3年目は例えば黒字、黒字、黒字でくると比較的気が楽だと思うのです。しかし、外部要因で最初の3年ぐらいで非常に厳しい状況になったときに、この表現でいくと最後の4、5年目が大変な思いをされることになるのではないかということを心配いたします。ですから、もし可能であれば、もう一言、二言表現を工夫して、うまい表現がなかなか考えられませんが、「中期目標期間を通じ総じて」とかそういう形で、余りギチギチに、絶対5年間で100%という感じにはならないような書き方にしたほうがいいのではないかというのが意見です。
 
○松尾主査
ほかにいかがですか。
 
○山口構成員
私は、国立病院機構の難しいところが、今は141病院でしょうか。141という数は、立地も違えば急性期もあって、重身を持っている病院もあるなど、かなり違いのある病院が集まっているところだと思います。それが同じ目標を出されたときに、各病院のスタッフが生き生きと頑張っていこうと思えるようにするとしたら、全部が全部同じことができる病院ばかりではないと思っています。みんなが同じ方向に向かって進まないといけない項目もあれば、例えば臨床研究事業などは141の中でできる所は限られていると思います。ここは、全部の国立病院機構の病院が同じ目標に向かって進んでいこう。ただし、この項目については重点的にこの病院がやるのだというようなことが、各病院のスタッフの方が自分たちの目標とするところをきちんと把握できるような示し方も必要ではないかなと思いますので、是非そういった工夫をしていただけたらと、全体的にお聞きしていて思いました。
 
○松尾主査
手短にお願いいたします。
 
○亀岡構成員
どうもありがとうございました。私は、最後の組織の見直しの所で、9ページの2つ目の、きめ細かい病院運営の支援や、機構のネットワークをいかした人事調整等を効果的、かつ効率的に実施していくために、グループ担当理事部門の体制の充実を図るということなのですが、もう少し分かりやすく説明していただけますか。
 
○医政局医療経営支援課国立病院機構管理室長
現在、グループ理事担当部門は、病院運営の支援をやっているわけですが、主に人事調整等もやっています。今般、機構の経営が厳しくなったこともあり、この経営改善のところにグループ担当理事部門の体制を厚くして、経営部門についても強化をしていくことが、具体的に言えるのではないかと思っております。
 
○亀岡構成員
すみません、グループ担当理事部門の体制を充実して厚くするということは、経営につながると考えてよろしいのでしょうか。利益が出てくる方向にいくのであって。
 
○医政局医療経営支援課国立病院機構管理室長
そのとおりです。
 
○亀岡構成員
分かりました。
 
○大西構成員
いろいろな議論があるかとは思うのですが、やはりこれだけの機構を運営していくとなりますと、経営の中の自由度といいますか判断ができた中で、自由に対応できる要素が十分にないと、なかなか大きな目標は達成しにくいのではないかと思います。そういうことを、きちんとこの文章の中に反映していただくことも、少しお考えいただければと思うのです。具体的に言いますと、例えば地域への貢献みたいなことも書かれていますが、地域の中で141の病院がいろいろな役割を持つと思うのですが、施設、若しくは設備を地域の中でうまく生かすことによって、効率を上げていくということもあるでしょう。又は、地域を超えて病院同士が診療、診断、治療といったものの中で連携をしながら、共同して治療に当たっていく、又は診断に当たっていくこともあるのではと思います。グループを超えた形でやっていって、それがまた効率化を上げていく、又は新しい収益を得ることもできるかもしれません。そういったことについても、機構のマネジメントの中で裁量が持てるようなことをお考えいただけるといいのかなと。自由度がないと、なかなか診療事業、臨床研究事業、更には教育研修事業も、すべてを維持しつつ、かつ収益を上げていく、目標を達成していくのは、大変高いハードルではないか思った次第です。
 
○松尾主査
構成員の方々は、まだいろいろと御意見があるとは思いますが、私も言いたいことがたくさんあります。先ほど余分なことを言いましたが、今日はもう時間が過ぎておりますので、この辺りで閉じたいと思います。いずれにしても、先ほども申し上げましたように、国立病院機構は国の政策医療というよりは、国民の医療にとって必要なことを不採算部門も抱えながらやっているということで、だからこそ余計資源配分などを持続可能的にやっていこうと思うと、経営は非常に重要になります。それから、どうしても国に頼らないところは、やはりあるのかなと思いますが、それはまた来年いろいろと評価、あるいは指標等について議論する機会があると、先ほど評価官がおっしゃいましたので、そのときにまた十分御意見を頂きたいと思います。
それでは、今日はこれで議事を終了いたします。事務局から伝達事項をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
今後の流れについて連絡いたします。本日御議論いただきました国立病院機構の平成29年度業務実績評価並びに中期目標期間見込評価については、このあと本ワーキンググループにおける御意見や法人の監事様及び理事長様のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。また業務組織全般の見直し内容についても、同様に本ワーキンググループにおける御意見等を踏まえ、厚生労働大臣が決定し、独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
なお、中期目標期間見込評価及び業務組織全般の見直し内容については、参考資料2の別添7の流れのとおり、独立行政法人評価制度委員会への通知、以後同委員会において点検が行われ、その点検結果に基づき出される意見を踏まえ、厚生労働省において次期中期目標案を作成することとなります。その次期中期目標案については、来年1月以降、再度独立行政法人評価制度委員会の審議されることが予定されているため、次期中期目標案等についても、来年1月頃に本ワーキンググループを開催し、意見聴取を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
最後に構成員の皆様におかれましては、本日配布した資料の送布を御希望された場合は、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○松尾主査
それでは、本日はこれで終了といたします。長時間にわたり、大変熱心な御討議を頂き、ありがとうございました。
 

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第4回)議事録(2018年7月26日)

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