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2018年7月12日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第15回)議事録

○日時

平成30年7月12日(木) 9:29~11:59

 

○場所

中央労働委員会 労働委員会会館第612会議室(6階)
 

○出席者

真野主査、五十嵐構成員、梅里構成員、河村構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

○議事

 

 

○真野主査
第15回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGを開催します。本日は、石井構成員、石渡構成員及び名里構成員が御欠席です。松原構成員は遅れて来られるようです。では、最初に本日の議事について事務局から説明をお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
政策評価官室長補佐の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、医薬品医療機器総合機構について、平成29年度業務実績評価及び中期目標期間見込評価に係る意見聴取を行うこととなっております。御意見をいただくに当たり、昨年までは全ての評価項目について法人から説明を行っていましたが、今年からは、自己評価がA評定以上の項目、及び定量的手法の達成度が100%未満にもかかわらずB評定であるものなど、事務局が指定した項目について、法人から説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問をいただきたいと存じます。それ以外の項目については法人からの説明はございませんが、御意見がある場合には議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。
法人からの説明項目は参考資料9の「医薬品医療機器総合機構評価項目一覧(年度評価・見込評価)」中の網掛けされているものとなります。議事の流れとしては、年度評価の各項目について一通り意見をいただいた後で、見込評価の意見をお伺いいたしますので、見込評価における法人の説明については、既に年度評価で説明された内容は極力省略の上、御説明のほどよろしくお願いいたします。
3つ目の議題であります「業務・組織全般の見直し」については、通則法第35条の規定を根拠とし、主務大臣が、中期目標期間終了時までに、法人の業務の継続又は組織の存続の必要性、その他その業務及び組織の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、業務の廃止若しくは移管又は組織の廃止その他の所要の措置を講ずるものであり、次期中期目標の内容に反映することを目的として実施するものです。これについても本ワーキンググループの意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○真野主査
議事に入りたいと思います。一つ一つ御説明いただきたいのですが、平成29年度の業務の実績の評価について、最初に、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」ということで、お願いします。先ほどの話で、全てやるわけではなくて、まず1-2、要するにA評定以上の項目、B評定で定量的評価が100%未満の項目を中心に議論することになりますので、1-2からよろしくお願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
医薬品医療機器総合機構上席審議役の稻川でございます。私のほうから、まず1-2につきまして御説明をさせていただきます。資料1-1の4ページ目です。これは当機構の業務の3つの柱の1つの「健康被害の救済業務」について、副作用被害を受けた方からの請求があった救済事案についての処理の項目です。目標にありますように、この項目は数値目標があり、請求から支給又は不支給の決定までの事務処理期間6か月以内を、全体の件数の60%以上達成するという目標です。昨年度の実績値は、ここにありますように69.3%で、達成率は115.5%になっております。120%には達していないのですが、下にありますように、実は一昨年度もそうでしたが、昨年度もいわゆる子宮頸がんワクチンに係る申請が一時的に増えている状況で、これは本来であればPMDAの救済業務は入院相当のものについて救済するのですが、これについては特例的に通院相当の事例も含めてやるということで、通院の回数も多い中で一件一件副作用被害のものなのかどうなのかのチェックをしなくてはいけないということで、一件一件非常に処理に時間が掛かるということがあります。それが昨年度も223件あったというような状況の中で、この数値を達成し、昨年度の67.4%を上回っておりますので、昨年度A評価をいただいたこともあり、今年度も自己評価はAとさせていただきました。以上です。
 
○真野主査
今の1-2、構成員の皆様から御質問ございますか。
 
○河村構成員
御説明ありがとうございます。今のところ目標が設定されていて、それに対する達成率でということで伺っていますが、目標自体がそもそもが6か月以内の処理件数が60%以上で、この目標の意味として60%以上でいいということは、裏を返せば残りの40%のところはできなくてもというところが、暗に認められているようなので、今回の実績を拝見しても、70%近く実績を達成され、3割くらいが残っているということですが、これは何か請求事案の内容として、6か月を超えてしまってもやむを得ないという御事情等があるのであれば御説明いただければと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(井上)
救済担当理事の井上でございます。どうぞよろしくお願いします。救済事案の審査においては、副作用であっても、まず当該医薬品の投与によって本当にその症状が生じたのかということ、それから医薬品が不適正に使用されて生じた場合は対象にならないのですが、適正に使用されたものなのかとか、それから入院相当か外来相当かというのもありますが、特にそういう因果関係と、また適正な使用によるものなのかという、その辺のところの調査をして、その上で対象になるかどうかと判定するわけです。事案によってそこの難しさがいろいろ違っていて、特にHPVはいろいろな症状が出たり消えたりして、いろいろな資料を取り寄せて調べなくてはいけないような場合もあります。HPVに限らないのですが、事案によってその辺の複雑さが、複雑なものとそうでないもの、それからいろいろな医療機関、違う症状が出ているので複数の医療機関に掛かられていたりで、複数の医療機関からやはりいろいろ資料を取り寄せなくてはいけない場合とか、それぞれ事案によって難易度が違うものですから、極力6か月以内でやろうということでやっていくわけですが、やはりどうしても難易度の高いものにおいては6か月を超えてしまうものも一部出てしまうことは現状としてはございます。
 
○河村構成員
分かりました。ありがとうございます。これはコメントですが、伺っていると何か、ですからその60%以上のところで入らない部分、6か月以内に入らない部分で何か特段の特別な事情がおありなのかなとも思ったのですが、そういうことでもないようですので、やはりこの手の事務処理はいろいろな案件がもちろんおありになるのは御説明くださったとおりでよく分かるのですが、そういう中で69.3%の実績値で、達成度が115%ということでA評価というのは、私は個人的にはどうなのかなと思います、Bくらいなのではないかなという気がいたします。
 
○真野主査
機構のほうからは、よろしいでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(井上)
私どもとしては、1つはこのHPV案件は平成27年度の途中から通院相当のものの審査も受け付けて、審査するようになり、平成27年度から平成28年度にかけて特に審査件数が増えてきたのですが、そういういろいろな症状、複雑な症状についての因果関係等を調べなくてはいけないということで、そういうものが増えてきた中で、もともと当初そういうものを想定していなかったときに設定した目標である6か月以内60%以上というところを上回る成果を上げることができたというのは、相当な担当部署の努力があったというように私どもとしては考えて自己評価としてはAとさせていただいたというところです。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
ちょっと一言追加発言させていただきます。私が10年前に赴任したときはこれは42、43%でした。これは、数年前に途中での事務的滞留を抑えることにより、やっと60%を超したのを覚えています。ところが数年前にいきなりHPV案件が出てきまして、どうなるのかなと思ったのですが、それも乗り越えていったということは、やはりそれなりの努力をしなくては達成できない話でございまして、私は心情的には理解するところでございます。
 
○真野主査
ありがとうございました。
 
○梅里構成員
この救済については、1-1と1-2の2つの項目が設定されてますよね。この目標というのはPMDAのほうで決めているのですか。どこで誰が決めているのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
この目標については、基本的に、厚生労働大臣から中期目標が示されまして、それを受けてPMDAが策定する中期計画の中で決めています。
 
○梅里構成員
PMDAで決めているということですね。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
そうです。
 
○梅里構成員
そうすると、ここに書いてある「救済制度の情報提供、相談体制の充実」と「迅速な処理及び体制整備」でしょ。これを見ると、この救済の中のごく一部、要するにスピードに関係するようなことのみが目標設定されていて、この目標設定の立て方によって、PMDAの中でこれを目指していくわけですから、この文字どおり読んだら、その相談を速くする、救済を速くするということだけが至上命令になってくる可能性があるわけですね。けれども本当に大事なのは、救済を必要としている健康被害を受けた本当に救済すべき人が救済されたのかということが一番大事なのじゃないですか。だから、それが目標にあって、その中の要素として、どれだけそれを見つけているかとかで、それに迅速に対応したかは、その最後のほうに出てくる、矮小と言うと失礼ですけれども、そういう目標だと思うのですよ。これで自己評価の文章をずっと読んでいっても、スピードに関することしか出てこない。
 
○真野主査
いかがでしょう。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
おっしゃるとおりでございます。それで、実を言うと、4ページの下に、「臨床医学担当者の配置」というのを書いてございます。もともとこの仕組みは法令系の事務的な処理の方たちのみによって構成されておりました。しかし、私自身が見ていると、判断で医学が関係するものがものすごく多いのです。当時は医師が足りなかったわけで、とてもこちらには配置できなかったのですけれども、現在はかなり医師が来てくれるようになりまして、まず最初は併任をかけて、審査系の方は併任をかけてこれをやっていただいて、今は完全に臨床医学の担当者を付けております。それでしっかりと、今、梅里構成員がおっしゃられたようなことを対応できるように、納得いくような形でさせていただくようにしております。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(井上)
補足の説明をさせていただきます。私どもも、この救済制度で救済されるべき人が、できるだけ救済されるようにしていくということは非常に重要であるというのは、全くそのとおりだと認識しております。それに関係する中期目標の内容として、3ページのⅠの中期目標の内容の1つ目のポツに「必要なときに確実に救済制度の利用に結びつけるための広報を積極的に行う」ということで、この救済制度というものがあることを、これを患者さん、一般国民の方々、それから医療関係者の方々への認知度を高めていく。それによって、副作用が起こったときに、この制度の利用につなげていくようにしていくということで、こういう目標を立てています。数値目標という形で立てるのが非常に難しくて、認知率なども認知度調査ということでサンプル調査のようなことを毎年毎年やって、それで大体の傾向をつかむということはしているのですが、限られた予算でサンプル調査という形でやっているので、全数調査をやったときにどうなるかということからすると誤差もありうるし、目標値として使うのはなかなか難しいなということです。
ただ、我々としても、毎年そういう認知度調査を国民一般と医療関係者と両方やっております。一般の国民や医療関係者、認知率を高めるためにいろいろな集中広報の取組とか、1年を通していろいろな広報の取組もやっています。それとは別に、医療機関に対する出前講座ということで、医療機関の中で職員の研修会などをやったり、いろいろな学会などに我々職員が出向いていって、救済制度についての御説明をするというような取組もしています。出前講座をしたときに、講座を行った直後に、話を聞いた方からアンケートを取る、また、しばらくたってからそれが医療現場で生かされているかどうかについてもアンケートで聞くとか、そういうフォローをしながら取組の成果というのも確認しながら進めているというところです。
 
○真野主査
1項目に8分という設定ですから、これで16分たっているので、もう少し説明を簡潔にお願いします。では次、1-5をお願いします。
 
○河村構成員
1-1で、御説明が抜けたところで、1-1のところです。質問したい点があったのですけれども、それは後で御質問したほうがいいですか。
 
○真野主査
1-1はそうですね、後で。
 
○河村構成員
今何か話が出ていました、1-1のところで。では後でさせていただきます、はい。
 
○真野主査
簡潔に質問を。
 
○河村構成員
質問しちゃいけないということではないですよね。
 
○真野主査
もちろんです。
 
○河村構成員
説明がなかった項目を質問してはいけない、1-1のところもちょっと議論させていただきたいと思います。
 
○政策評価官
それは最後に。
 
○河村構成員
最後に、はい、分かりました。
 
○梅里構成員
すみません、1-2で、簡単に。今のようなことで、本質的な目的に対しての活動状況が十分に書かれていないので、それから実績はいろいろ説明がありましたけれど、私もA評価になり得ないというふうに考えますので、せいぜいBかな。ひょっとすると、本当の本質的な先ほど言った、救済すべき人が救済されているかということについては、事実関係がほとんど分からないので、場合によってはCとかDにもなり得るくらいの実績だろうというふうに考えますので、是非、次回はそういう本質的な目標を設定して、それについてどれくらいできたかということを御報告いただければと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
分かりました。
 
○真野主査
では、次は1-5です。お願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
1-5、8ページになります。審査の関係で、医薬品の審査ということでございます。これにつきましては定量的目標が幾つか定まっております。8ページ目の一覧表にあるのがそれです。例えば、新医薬品の優先品目、医療上の必要性が高い品目については、9か月以内に70%の品目を審査するという目標に対して、84.2%ということで、達成度120.3%。それから新医薬品の通常品目については12か月以内に80%を審査するということで、87.9%で達成度109.9%です。80%となりますと120%というのはほぼ全部ということになってしまうのでなかなか難しいという中で、87.9%ということです。
それから9ページに移りまして、これについては資料3がございます。資料3の15ページをお開きください。これが、いわゆる先進国の規制当局における新有効成分の審査期間の中央値ということで、PMDAは2014年から3年連続世界最速ということだったのですが、昨年はFDAが頑張りまして、PMDAはFDAの次ということにはなっておりますが、レベル的には世界で最も速いレベルにはなっております。16ページ目は審査期間のばらつきを示すものです。PMDAはほかの規制当局と比べても非常にばらつきは小さいということで、世界でも非常に予見性の高い審査を実施しているというようなところは顕著な成果ではないかと思っております。それから優先品目についても、いわゆる実質的な審査が必要な公知申請以外の品目が増加する中で、この目標値を達成したということです。中身的に言いましても、先駆け審査指定制度という6か月で承認をするというのがございますが、その対象といたしまして資料3の18ページになりますが、インフルエンザの画期的な治療薬と言われているゾフルーザ錠、19ページ目で結節性硬化症に伴う皮膚病変に対する侵襲性の少ない治療の方法でありますシロリムスについても承認をする、更には希少疾病の医薬品で、脊髄性筋萎縮症の治療薬についても承認するなど、非常に医療現場に医療的価値の高いものを提供することに大きく貢献したというようなことがございます。それ以外の数値目標についても、120%を上回るものも幾つかございます。そういう中で、私どもといたしましては数値目標の多くで120%を超えており、先駆け審査指定品目をはじめとして、質的に顕著な成果も得られているということで、今年度も自己評価としてはS評価とさせていただいています。以上です。
 
○真野主査
では、御質問をお願いします。
 
○河村構成員
これについても、そもそも設定されている目標についてお尋ねしたいと思います。最初に確認しておきたいのは、今回、政策評価官室のほうで、この「評価の考え方」という資料をお作りくださっていて、ここにもはっきり書いてあることですが、2015年度から独法の通則法が改正になって、それまで4段階の府省があったり、5段階の府省があったり、各府省でばらばらだったのを統一して、きちんと評価の目線ですね、S、A、B、Cの目線をちゃんと共通、横串を刺そうということでなっているところです。それには、ここにはっきり書いてありますが、S評価というのは、中期目標・中期計画における所期の目標を「量的及び質的」に上回る「顕著な成果」が得られていることだと。「顕著な成果」がどういうことかというと、定量的指標がある場合には、達成度120%以上+質的に顕著な成果だということになっています。そういう目線でこれを見させていただきたいと思います。まず、それで拝見したときに、ここに難易度が極めて高い目標だとお書きになっていますが、確認ですけれども、この目標をお立てになったのは、通則法の改正の前の段階ですか。通則法改正になってからでは、難易度が高いかどうかというのは法人の側からの自己申告ではなくて、総務省のほう、独立行政法人評価制度委員会のほうと一応確認して、向こうもOKして、これは高いということでいいと認めることになっていると思いますけれど、そういう扱いにはまだなっていない項目ですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
これは平成25年度に定まっているので、恐らく通則法の前ではないかというふうに思いますが。
 
○河村構成員
分かりました。では、そういう意味での難易度が高いということですね。ここの目標値も、先ほどの質問から通ずるのですが、それぞれの目標が何箇月が何パーセントということで、やはり残っている部分が出てくると思うのですよね。何をもって高い目標とするかというところが、正直言ってどうなのかなという感じはいたします。その辺について、もし何か御説明があれば、いっぱいここは数値目標があるところなのですけれども、この目標については、例えば80%でも、これこれの理由でということが何かあれば、教えていただければと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
私のほうから。いわゆる承認審査につきましては、要するに審査の過程で企業側とやり取りをするということで、当然、審査の中で出された資料について問題点があれば企業に照会するという行為をします。それを受けて企業側が持って検討している時間も含めて、この審査期間ということですので、ある意味、私どもがコントロールできないような期間も入った中でやっているということですと、どうしても全体のうちの10%、20%は向こう側の検討に時間が掛かっているということです。それに加えて、我々もできるだけこれを短くするために、いわゆる申請前にできるだけ問題点を解決しようということで、治験相談と言われていると手順を踏んでいただいております。ある意味、私どもの完全にコントロールできない中で立った目標で80%達成するということは、非常に高い目標だというふうに私どもとしては理解をしているということでございます。
 
○河村構成員
ありがとうございます。私も以前、政・独委にいたことがあって、拝見していましたので、例えば各国と比べた順位を見ると、かつてに比べればめざましい改善というか、躍進されていることはよく分かるのですけれども、ただ、やはりこの数値目標のところを拝見すると、目標の設定に対して200%とか高いものもありますが、120%にいっていないものも複数あると。そういう中で、120%いかないということは、Aも厳しいのですよね。Aも厳しいものが入っている中で、全体としてSというのは、正直言って、ちょっと難しいのではないかな。Aだって、正直言ってどうかなという感じがするくらいです。もし質的にということをおっしゃるのだったらAかなと思いますが、それはやはりよその府省とかと横串を通してみたときに、果たしてどうなのかなという感じがいたします。以上がコメントです。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
よろしいですか。実は、御存じのとおり最初の頃は非常にみじめな状況だったわけですけれども、どのようにして審査期間を短縮させたかというと、先ほど説明があったように、申請前相談、つまり審査の開始を告げる時計を回す前にしっかりとその品質について十分お互いに理解した上で、治験などを全部スタートするわけです。無駄な時間を、お互いやり取りの時間を短くすることができたわけです。相談事業の充実により成し遂げることができたわけですね。それから、もう1つ大事なことは、今おっしゃられたように、80%タイルとございますけれども、最初は50%タイルだったのです。毎年毎年レベルを上げて60%タイル、70%タイル、80%タイルと上げてきたわけです。毎年、難易度を上げてきています。それでもこれを達成してきているということです。ですから、単に去年と同じことでやっているわけではなくて、より難しくしながら挑戦しながら来ているわけです。それを乗り越えてきて、初めてこれが成り立っているわけです。ですから、単に安易な目標でやっているわけではないということを御理解ください。
 
○河村構成員
とても大変な成果を上げられていることは分かるのですけれども、ただ、横串を通した成果の評価の仕方という、きちんとそういう物差しが出来ていて、毎年毎年その目標のところを上げていらしているのはPMDAさんだけではないのですよね。よその府省の、よその独法さんも同じ中で、そういう評価基準の中でやっているということで考えたらどうなのかということで、先ほど私はコメントを申し上げさせていただきました。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
審査担当理事ですが、一言だけ。今、理事長が申しましたとおり、一旦速くなったレベルを保つということ自体について、その評価はなかなかしにくいところがあります。医薬品の世界では、非常にイノベーションが加速してきており、審査がそれをきちんとキャッチアップして理解して行かないと、審査が正しくできないところがあります。ですので、ただ目の前の資料を見ているということではなくて、審査員の人材育成、知的経験アップにいろいろ注力しています。これは見えないところでありまして、基準を設定したときには予測できなかったイノベーションの速さに対応するために職員のレベルアップを図っており、そのところも、数字に表われない努力だということは申し上げさせていただきたいと思います。
 
○梅里構成員
これも先ほどと同じで、目標設定がスピードだけなのですよね。けれども、この審査の業務というのは、医薬品やデバイスの安全性や有効性、これを審査するのが一義的な業務ですよね。ということになると、ここのところの目標設定は、その審査そのものが適切であったかということが本来の目的だと思うのです。ただ、ここはスピードだけ、このスピードが目標に設定されたのはよく分かります、数年前のデバイスラグ、ドラッグラグだということが一番問題になって、これを短縮するのが急務であったので、そのときの目標設定はそれで良かったと思うのです。ただ、短縮すれば審査の質が落ちる可能性というのはどうしても出てくるわけですね。だからこそPMDAは、今はその審査の質を高めることを目標に掲げるべきで、それと同時に、審査の時間的な短縮は並列してもちろんあるべきだと思います。そういった意味では、この審査が適切であったかどうかをどのように今評価をされているのか。その実績のほうをお示しいただければ、Sになる可能性はあると思いますが、現状の、時間だけを設定し、それを短縮したと、しかも数字が120%に満たないという状況では、私はAも危ないと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
御疑念の点は、おっしゃるとおりでございまして、審査の質を上げるというのはどうやってやるかということですね。この為に世界で最初に我々が提言したレギュラトリーサイエンスに基づいて審査や安全対策の業務を行っている所です。レギュラトリーサイエンスというのは皆さん御存じであろうかと思いますが、PMDAの考え方について一寸説明させていただきます。これはアカデミックサイエンスとは違います。規制の科学です。これはどういうものかというと、規制はまず評価して適正な規制をするわけですので、2つのコンポネントから成り立っています。「評価科学」と「適性規制科学」があるということです。まず評価科学とは、ある製品を評価するときは、それを多角的に、多面的に、多次元で良い点と悪い点をそれぞれミクロ科学的に調べ上げ評価するわけです。調べ上げた結果、良いところは何か、悪いところは何かをしっかり見抜いた上で、特別に良いところはあると評価したとき、その悪いところをいかにコントロールすることが可能か考えていきます。つまり、この製品を将来ものにするに当たって評価の対象になるかどうかを見るわけです。これは、多角的、多面的、多次元で評価したミクロの評価結果を一つのテーブルの上に載せて最終的にマクロで評価して決定します。このようにしてリスク・ベネフィット評価して将来に向かって製品化する報告性を考えるわけです。
次には適性規制科学といって、この製品を社会に出す為の適正な規制を考える科学です。ここでは、欠点を抑えて、長所を支えていく。これをいろいろ工夫していかなくてはならない。そのためにはいろいろな学識をインストールしていかなくてはできないわけですね。そのために我々は今から6年ぐらい前から科学委員会というのを設けているのです。最先端の、例えばiPSの研究をしている人はたった1人ではなくて、いろいろな角度で研究している人がいますから、それを2年間かけてじっくり平場で議論をしてもらって、その平場の議論を審査員がみんな耳で聞くわけです。そうして、そのものの価値というのは何かということを肌で感じながら、審査のほうに応用していくわけですね。そうして初めてcutting-edgeのものについては、自分の目で見て確めて、自信を持って判断できる能力をつけていくわけです。ですから、誰もやっていない判断もできるようになってくるわけです。そういうことをやっているからこそ難しい審査や安全対策ができるわけであって、ただ数値を良くしてやっているわけではなくて、内容的にしっかりやればこそできるわけで、それだけ責任感を伴った判断をしていたからこそできるわけですね。ですから、かなり詳しい知識を持たなくてはこれはできないですね。だから、それで欧米で勝負できるわけです。欧米は、この日本発のレギュラトリーサイエンスについては極めて評価は高いのです。なぜかと言うと、日本が最初ですから。そういう学問の仕方があるということを、初めて日本が示したわけです。これは日本の薬学界の大事な業績なのです。だから、我々はそれをしっかり取り入れてきただけです。そういうことで理解いただかないと、我々の業務における評価に対する我々の気持は伝わっていかないと思って、お話しました。
 
○梅里構成員
大変にその説明が、だからここのところの目標が、適切な審査を迅速に行うという目標になっていて、その中の、今の説明がそこに書かれるべきだと思うのですよ。ここには時間のことしか書いていない。だから、その辺のところをやはり是非。
 
○真野主査
その辺のところは前回も議論になったけれども、この目標設定も正しいかどうかという議論をここでするのですかね。目標設定の明示はここに書いてあるけれども、目標設定自体が正しいか正しくないという議論もするのですか。
 
○政策評価官
評価という意味では、今設定された目標に対する評価ということにはなると思うのですけれども。今、見込み評価も併せてやるということも考えれば、次期目標に向けた御意見も御参考として頂くことはあるかなとは思います。ただ、年度評価になかなか反映させるのはちょっと難しいかなと、すぐにというのは難しいかなと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
今、梅里先生、河村先生がおっしゃった話で、項目1-7のレギュラトリーサイエンスの推進ということで、中身を評価しますので、そちらで御説明したいと思います。
 
○松原構成員
手短に話させていただきます。レギュラトリーサイエンスという、世界に先駆けて日本がやっているという話とか、いろいろな取組をしていて、総合的に話す説明も必要なのだけれども、一方で、この項目ごとに話さなくてはいけないという中で、かなり厳しいわけですね。是非、みんなでシェアしなくてはいけないと思うのは、これだけの、正に世界をリードするような試みを、世界の中でも先進国の中でもものすごい少人数、少予算で達成しているという、そういう点も高く評価すべきではないかと思っております。以上です。
 
○真野主査
次にいきます。1-6もまたSですが、お願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
評価項目1-6、10ページになります。ここも業務の迅速な処理ということで、目標設定は審査の期間となっています。まず医療機器につきましてはここにありますように、5項目、それぞれ新規性の高いものから改良、後発という設定をしており、それぞれ目標値が、例えば新医療機器の優先品目であれば10か月を70%ということです。ここの新医療機器の優先品目について70%達成のところを66.7%ですので、達成率が95.3%になっています。実は、この件数が3件ということで、3品目中の1品目が達成できなかったことによって、結果的にここだけ達成できなかったということですけれども、ただ、それ以外の項目についてはいずれも120%近く、改良医療機器と後発医療機器は120%をはるかに超えるような目標値を達成しておりますので、これは特筆すべき成果ではないかと思っております。なお、再生医療等製品については、昨年度は承認した品目はありませんでしたので、ここには掲載をしておりません。
あとそれ以外にも、中身的にも、資料3の23ページになりますが、医療機器についても先駆け審査指定品目として内転型痙攣性発声障害に適用するための画期的な医療機器であるチタンブリッジというのを承認したり、あるいは抗がん剤の効き方をチェックする、乳がんの変異遺伝子を確認するようなコンパニオン診断医療機器プログラムを7か月で承認するなど、医療上の必要性の高い医療機器をいち早く現場に届けることができたということです。
それ以外にも、治験相談、あるいは国際共同治験の初めての医療機器での実施もあり、多くの項目で定量的評価において120%を大きく超えており、新たな治療法を提供する医療機器等の承認によって医療へのアクセスに貢献したということで、ここにつきまして自己評価としてはS評価とさせていただいております。以上です。
 
○真野主査
御意見をお願いします。
 
○河村構成員
質問です。先ほどのドラッグラグに比べるとこちらの数字は少しいいのかなという感じはしますが、2つ質問があります。1つは、定量目標の達成度を表で示している中の、一番上の3件の新医療機器(優先品目)の目標総審査期間の達成率の所で、これは3件とありますけれども、これに該当するような新医療機器の優先品目は、毎年、これぐらい件数が少ないのですか。3件で1件達成できなければ66.6になると、それはすぐ分かるのですが、そもそもの件数がどういうものなのかという質問が1つ目です。
もう1つの質問は、先ほどのドラッグラグの所はよその国の規制当局と比べたときの順位のグラフがあったのですが、デバイスラグについてはこの資料3には付いてないようですけれども、その辺りはどうなっているのか。別によその国と比べて順位が上がったからS評価とか、そういう話ではないという気もするのですけれども、念のためお尋ねいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
品目数がどれぐらいかということに関しては、これくらいです。毎年、大体横ばいです。
 
○河村構成員
そうですか。過去何年かの件数を教えていただけますか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
平成28年度は1件、27年度が8件、26年度が5件です。
 
○河村構成員
5件とか8件とか1件、少ないほうではあるけれど、それぐらい、1桁ということですね。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
はい。
 
○河村構成員
分かりました。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
それと、医薬品のような速度に関する公表されている論文等のデータがあるかということですが、ないのです。
 
○河村構成員
だから、あのようなグラフを作ることはできないということですね。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
はい。
 
○河村構成員
デバイスラグについては、ドラッグラグのようによその国と比べてどうだということはできないということですね。分かりました。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
医療機器の国家認証をしている国というのは日本とアメリカだけです。だから比べるならアメリカです。ヨーロッパはないです。ECマークで第三者認証ですから、国家認証ではないです。
 
○河村構成員
ちなみにアメリカと比べるとどんな感じですか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
アメリカのほうが速いに決まっています。
 
○河村構成員
まだまだちょっと。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
向こうは開発国ですから。日本はそこら辺は出遅れているところがある。
 
○河村構成員
ドラッグのほうはもうこんなになくなりましたけれども。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
ドラッグはもう事実上無くなったと思います。
 
○河村構成員
抜いてしまいましたけれど。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
コンペティションやっていますけれどもね。
 
○真野主査
審査の期間だとどうなのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
審査ラグは医療機器もほとんどないです。
 
○真野主査
そうですよね。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
アメリカが速いわけではなくて、アメリカと一緒です。
 
○真野主査
そうですよね。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
はい。
 
○河村構成員
もちろんスピードが全てではないはずですが。
 
○真野主査
開発で医療機器に使われているかどうかはもちろんアメリカが早いですね。開発のラグは日本もアメリカもほとんど変わらない。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
審査ラグはですね。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
日本がやらなければいけないのは、新しいものは日本で開発していかねばならないという事です。
 
○河村構成員
そうしたらもっと受け止めるということですね。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
それをプロモーションしなければいけない。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
それについて補足させていただきたいのですけれども、日本で開発したものを出したいというので、先駆け指定制度というのはそれを狙っているわけです。実際この制度ができてまだ3年になったばかりですけれども、そこで1つ、チタンブリッジという、我が国で開発されたものが出てきています。ですので、そういうものも出てきているということをお知らせしておきます。
 
○梅里構成員
時間の関係がよく分からないのですが、例えば新医療機器について、通常品目で14か月の、14か月は1年2か月ですよね。これはやるべきことをやっていくとどうしても14か月になるのか、それとも、今、PMDAの体制をもう少し充実させるようなことにより短縮できるのか、1年2か月ぐらい待たないとこの辺は審査が終わらないものなのかどうか、その辺のところが1点です。
それからもう1つは、先ほど3件のうち1件できなかったというのがありましたよね。そのほか達成できていないものについてどこに原因があるのか、理由をどのように分析をされて、どう改善しようとされているのか、その2点を教えていただけますか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
まず第1点目の、審査期間が長いことについて、審査というのは行政側の持ち時間と、照会事項等をこちらから質問したときに、申請者側でそれに対応するために使う時間というのがあり、前者のほうは我々でコントロールができる、その点は年々短くして効率化を図ってきています。医療機器の業界の特性として、グローバルな大きな会社から小さな会社まで、能力的にリソース的にかなり対応能力に差があることがあり、速く済む会社は速いのですが、どうしても遅い会社があって、そちらが足を引っ張ることがありますので、その結果、14か月のようになっております。ただ、これも振り返って見ればどんどん短くなってきているのは確かです。
 
○梅里構成員
短縮可能ですか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
はい。
 
○梅里構成員
分かりました。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
それから達成できていない点について具体的に、先ほどの新医療機器の優先品目、3品目のうちの1品目だけが目標達成できなかったこと、これはどういったものかを分析しております。この1品目というのは心臓の手術が困難な高度の僧帽弁閉鎖不全の患者さんに対して、足の付け根からカテーテルを入れて、そして心臓まで先を持っていってそこでクリップで留めるというものですが、これの審査過程において、申請者側がこの有効性・安全性の評価方法の妥当性を示すためのデータをそろえるのに非常に時間が掛かったということがございます。それでこの1品目については残念ながら目標の期間を達成できませんでした。ただ、行政的な期間については十分努力をしております。
 
○梅里構成員
ほかのものについても、目標を達成できなかったものについては、その理由についての分析をされているということでよろしいでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
はい。今先ほど申し上げましたように、多くの理由は申請者側の持ち時間がオーバーしているというところにあります。
 
○梅里構成員
分かりました。どの過程で時間がオーバーしているか、その辺の資料は作られているのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
私どもは、厚労省の審査管理課とPMDAの審査セグメント、審査部門で、月に1回月例会で情報を共有する会を持っていまして、その会で品目ごとに遅れているものについては原因を分析・共有することをしています。
 
○梅里構成員
その原因についての、しておられるということですね。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
はい。
 
○真野主査
やはりどうしても目標の話とか、特に3件とか5件とか1件しかないのでというのも含め、この辺は先ほどの話で、今回の議論ではないかもしれませんけれども、是非、次回の目標設定のときに考えたいということですね。
 
○梅里構成員
私も件数は難しいと思います。
 
○真野主査
お気持ちとしてですね、分かりました。では、次が1-7で、これはAですね。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
1-7で、12ページです。これは開発段階のものの実用化促進のための支援で、先ほど出ました中身、内容の質の問題として、レギュラトリーサイエンスの推進というのが項目になっております。まずここの定量的目標については、いわゆる新医薬品とか新医療機器につきましては承認審査が終わった後、承認後3か月以内に申請資料の概要、これはこういうものを公表することにより、今後、開発を進めていく方々の参考になるのではないかということを考えてやっております。それにつきましては、新医薬品については全ての品目が3か月以内、それから新医療機器につきましては、製造販売者側がいわゆる知的財産のところをマスクするところの調整に時間を要したものが1品目ございますが、それ以外については達成したということです。
それからいわゆる質の関係では、まず資料3の25ページ、新たな取組として、ここにありますイノベーション実用化連携相談というものを今年4月から導入をするということで、昨年度、厚労省と制度設計をしておりました。これはいわゆる薬事の手続を通っても、その後の保険適用の段階でなかなか保険収載されないというようなことがあると、結局、医療現場に届くのが遅れてしまうので、そういうことがないように、事前に厚労省の、ベンチャー等支援戦略室、産業振興を行っている所と連携をして、そういうことがないように保険を含めた形の連携した対応をしていこうという新たな取組の準備ができたということです。
あと、次の項目はアカデミアと組みまして、いろいろな革新的な医療機器とか医薬品のガイドラインを開発のために作ろうという取組です。昨年度も、ここにあります埋め込み型の医療機器に対する非接触給電システムに関する評価ガイドラインも出したということです。
それから、レギュラトリーサイエンスですが、これは先ほど理事長の御説明にあった科学委員会があります。資料3の26ページはそれに該当しますけれども、今、アカデミアあるいは開発の部門でホットというか問題になっていることについて、有識者の方に集まっていただき、提言を出すということですが、この2年間検討しまして、昨年度末に1つは希少がんの臨床開発で、なかなか患者数が少ない中で、治験がしにくいようなことに対して、どのような課題があって、それをどう解決していくかの提言。それからあとは、アカデミア発の創薬が最近増えていますので、どういう問題点が発生するのかを抽出し、ギャップを埋める方策を提示する提言。
それと、AI技術を活用した画像診断とかの診断システムの課題について取りまとめ、公表ということで学術論文として出してもらうべく、応募しており、既に掲載されたものもございます。
あとPMDAのレギュラトリーサイエンス関係の取組ということで、資料3の29ページ、今年4月にレギュラトリーサイエンスセンターを発足しました。これはPMDA各部署で行われていたレギュラトリーサイエンスに係る質の向上に関する取組、あるいは先回りして新しい技術に対応するための取組について、一体的にやっていこうということで、先ほど言いましたような、科学委員会の仕事とか、あるいはPMDAも医療情報のリアルワールドデータベースというものを構築しておりまして、そういうものを活用した審査や安全対策業務の質の向上に取り組むべく、センターを設置したということです。一応、昨年度1年間いろいろ内部で検討して、発足にこぎ着けたということです。
それ以外にも、いろいろ業界から要望がありましたガイドラインを、職員がメインになって作成をしました。数値目標は一応こういうことですが、ただ、質的には新しい取組とか、あるいは今やはり薬事の世界で問題になっているものに対することをできるだけ早期に把握して、提言を出しております。これは質的なものとしては非常に顕著であると思っておりますので、A評価とさせていただいております。
 
○真野主査
これはどうでしょうか。
 
○河村構成員
この目標の所で、定量目標はあるけれども、2つだけで限られていると、それ以外にいろいろと説明くださって、補足の資料も御用意くださってお取組がすごくあったことはよく分かるのですけれども、ちょっとこれも難しいですよね。指標が2つあって、それがドラッグとデバイスの資料概要の掲載までの期間ということで、そこしか定量化はなかなかなじまないところだと、それは分かるのですが、ただ、その達成できている目標が100%と92%ですよね。92%は事情があるということはお書きくださっているのですが、これをストレートに総務省で出している基準に当てはめると、Aが付くには少なくとも定量評価が一部はAの基準100~120%、120%以上達成してないといけないのに、それが全然達成もできていなくて、見ると100と92ということはBも危ういのです。定量でBも危ういところで、ほかの定性的な所で御説明いただいて、Aにもっていけるかという話ですので、正直言ってなかなかこれは大変なところではないかなと思います。
この手の話は多分ほかの法人でもたくさんあるのです。ほかの府省でもあると思うのです。特に新しく取り組んでいかないといけない所は指標がなかなか作りにくいと。そのためのいろいろな取組をやって、回り始めると多分いろいろな指標が少しずつ設定できるようになっていくとは思うのですけれども、いろいろ御説明くださっていて、資料も用意くださつているのですが、正直言ってこれでAにもっていけるかは、用意されているというか、総務省で作られている基準から定めると、ちょっと厳しいかなという気がします。
 
○真野主査
これは去年はBでしたけれども、今年は定量指標が去年より大分伸びたからAになったのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
定量指標としては去年もこのぐらいの数字だったので変わりません。質的な中身として、確かに定量指標としてはこれぐらいしか項目はないですが、質の部分を定量で評価するのは難しいですので、定量はこうなんだけれども、質の部分で幾つかチャレンジングな取組ができたということで、Aにならないかということで、自己評価をAにしたということです。
 
○真野主査
分かりました。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
12ページのⅠの「中期目標の内容」で、レギュラトリーサイエンスの推進、ここで実用化推進事業の成果を踏まえて、ガイドラインを作ることに協力したことが1つ大きなことです。今までなかったものを作ることについては、レギュラトリーサイエンスセンターをこの4月1日に設立しました。それから先ほどからポツポツ出ている話で、先駆け審査指定制度、これは世界に先駆けて画期的な医薬品・医療機器の製品を承認するということですが、これもこの指定が始まって3年以内に実際に承認されたものを出してきています。
私が1つ触れたいのは、レギュラトリーサイエンス相談という、開発支援の相談を7年前からやっていることです。その成果として、この戦略相談を受けたものから先駆けの指定を受けるものが出てきています。先駆けの指定というのはこれまで3回やって34品目指定していますが、その過半数はRS相談を受けているものです。先駆け指定をうけたもののうちの更に3つが現時点で承認されているわけですけれども、3つのうち2つはやはりRS相談を経てきているということで、7年越しになりますけれども、この戦略相談というのが着実にイノベーションを育てることに貢献をして、その結果、承認に至るものも出てきていということです。こういったところを上手に定量的に御説明できていないかもしれませんけれども、事実として、そのような貢献をしてきているということをお伝えします。
 
○真野主査
ありがとうございました。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
ちょっと補足させていただきます。今説明がありましたように、なぜ審査のスピードが速くなったかというと、相談事業を強化したという結果でありますけれども、実は、その相談事業というのが進化して、例えば大学や研究所などにあるいろいろなシーズを薬事に基づいてオフィシャルに相談してあげようと言うことになりました。つまり相談したくても誰に相談していいか分からなかったのがいっぱいあったけれども、それを薬事戦略相談事業というのを7年前から始めたわけです。そしたらこれが大ヒットで、結局多くの大学のいろいろな医薬品・医療機器になろうというのは99%PMDAに相談がくるようになったのです。その前はなかった制度なのです。それが今度はいよいよいろいろなシーズになっていくという働きになったわけですけれども、それを今、レギュラトリーサイエンス戦略相談と名前を変えアカデミアだけではなくベンチャー企業への対応もできる状況になっているのです。この制度に加えて、今度は日本発のいいものがどんどん出てくるようになるということで、先駆け審査指定制度という、日本発のも製品をサポートしようという制度を作りました。
この先駆けというのが3年目になってきたわけですけれども、そろそろ花が咲き始めてきているわけですけれども、この先駆けというのは世に先駆けて制度に作ったわけで、直後にFDAがブレイクスルーという制度を作ったのです。それからヨーロッパもプライムという制度を作ったのです。又「先駆け」という言葉はそのまま英語になっているのですね。つまりそれぐらい日本がイノベーティブというか、今までにない制度をどんどん作ってきているわけです。それが世界的に刺激をしているということで、これはレギュラトリーサイエンスそのものがこういう形で進化していることを言いたいわけですけれども、実を言うとこれらは数値的には言えないのです。いろいろな創意工夫をやってきているけれども、数値的に言うと、さっき申し上げたように、何かわけの分からない数値を並べなければならないというのがつらいところであります。やはり定量的というのと定性的というのがあるけれども、内容が進化しているのをどうやって表現するのかは、この評価の制度の中ではなかなか難しいと思って、言われるままに数字を並べているところがちょっとつらいところではあるので、御理解いただきたいなと思っています。
 
○真野主査
ありがとうございました。
 
○梅里構成員
ありがとうございます。私もレギュラトリーサイエンスというのは初めて伺うので、内容がよく理解できなくて、この文章を一生懸命読ませていただいたのですが、この中に先ほど理事長が説明されたような、これは規制の科学なのですね。こういったものがどういうものであって、これを進めることによってどういう効果が期待できるのかというところがどうしても読めないのですね。
センターを作ったとか、これの報告書を上げたとか、提言したとかという一つ一つの事象は書いてあるのですが、これが本当にどういうもので、どういう効果を生むのか、特にこの世界に先駆けたというところの実用化促進の支援の所に書かれているでしょう。だからこの実用化促進の支援にどのような効果があるのか、レギュラトリーサイエンスの進展とこの実用化促進にどれだけ効果があるのかということの因果関係が分からないのです。そこのところをきちんと説明していただいて、これを世界に、世界トップでこのことを始めておられるということを、その事実はそうだとしてすごく素晴らしいことだと思うのですけれども、それがどれだけ日本のこの新しい先駆けの促進に効果が出てくるのかと。今すぐ目に見えて効果が数字で表れていないけれども、ボディーブローのように出てくるはずだということが私に伝わってこないのです。そこを書いていただければ、なるほどこれは数値的なものだけで評価できないぞというのが分かるのですが、今のままではその効果と因果関係が分からないので、数値で見るしかないというのが実感です。私も今はBだと思います。
 
○真野主査
ありがとうございました。では、次ですね。これも同じパターンなのですが、1-8です。これも去年はBで、今年はAになっているということですね。お願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
ここから安全対策のほうに入ります。1-8の副作用・不具合情報の収集の強化並びに整理及び評価体系の体系化ということですが、ここにつきましては、昨年度、ここにあります医療情報データベース、MID-NETにつきまして、最終的に構築し、平成30年4月の運用開始にこぎ着けたというのが、最大の成果だったと思っています。
このデータベースですが、世界でも非常に希有なものですし、いろいろここに書いてありますように、手法が確立されていない中で作ったということです。政府の中でも、多くの関係者からも、非常に評価されているということでして、具体的に1つポイントとしてありますのは、ここにありますようにデータの質が高いということです。単に電子カルテの様式さえ合わせておけばできるということではなくて、やはり1個1個の項目につきまして、カルテをどう記載していくかというところから、それぞれ先生方がばらばらに記載しているのを、統一していくということをしていかないと達成できないということを、達成できたということですし、あと試行的な利活用を幾つかやっておりまして、資料3の37ページ目になりますが、ここにあります項目について、例えば実際の処方実態が分かったとか、あるいは安全対策措置の実施の結果、副作用被害が落ち着いたということとか、あるいは複数の医薬品の比較というのもできることが証明されたということです。
あと、それが400万人の規模ということでして、さらに言いますと15ページにもありますとおり、このデータベースの売りとしては検査結果がわかることです。レセプトだけではなくて、レセプトでは分からないのを、検査項目として約200項目のデータを取れるというようなことでして、これはアメリカなどの同様の取組でも、ここまで取れるものはないということです。
そのようなことでして、まずはこのデータベース、一応、中期計画期間中に試行錯誤しながら取り組んでまいりましたが、昨年度、こういうことで運用開始にこぎ着けるところまでできたということは、これは定性的なものではありますが、大変苦労があった中で成し遂げたということは、是非御理解いただきたいと思っています。
それから、15ページ目の下にありますもう1つの話としては、通常の副作用の関係の話として、副作用は企業から報告するものと、医療機関から報告するものがあるのですが、医療機関からの報告件数、これはこの場でも少ないという御指摘を受けていたのですが、昨年度、研修会、講演会での周知とか、あるいはAMEDと協力した結果、8,077件ということで、120%以上と増加したということで、集められたということもあります。
このMID-NETというものが出来ることによって、これまではどちらかというと副作用の報告をもって、受身の安全対策であったのですが、こちらが積極的にデータベースを活用して、いろいろなことを調べて、それによって手を打てるということになりますと、安全対策の質も飛躍的に上がることになりますので、そういう取組について基盤を整えることができたということで、昨年度の取組はAという自己評価をさせていただいております。以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。それでは、御質問をお願いします。よろしいですか。
 
○梅里構成員
ここの部分は非常に重要な業務ですよね。それで、自己評価の文章をずっと読ませていただいたのですが、コデイン関係とか、いろいろ規制を掛けるというアクションがとられているのですね。これは非常に重要なことだと思うのですが、文章を読んでいくと、そのかなりの部分が、国外が先にそのようなことを行って、これがトリガーになっているような文面に読めるのです。PMDAへの副作用の報告がありますよね。この溜められたデータの中から、要するに分析をされて、規制を行ったという事例が具体的にどのくらいあるのかということを教えていただきたい。
それから、収集されている副作用情報はどのようにカテゴライズされて、何件以上、類似のものが出たら対策を講じるとか、その辺の基準はどうなっているのかということを、教えていただければと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
御質問、ありがとうございます。担当の理事の林と申します。よろしくお願いします。今の先生の御質問、どれぐらいPMDAのほうで副作用の件数を検討して、実際に対策につなげたのかというところですが、今は詳細な数字はお示しできないのですけれど、216万件ほど副作用報告が全体でありまして、その中で添付文書の改訂につながったというものが219件ということで、実情としてあります。
 
○河村構成員
質問なのですが、大変な難事業であるMID-NETをカットオーバーにこぎ着けられたということで、その成果ということだと思うのですが、今、お出来になったデータを資料3の35ページで拝見すると、全国10拠点、23病院ということで、大きな大学病院さんですとか、あと徳州会さんなどが入っているということですが、これはどうなのでしょうか。これぐらいの拠点を網羅できれば、必要なデータというのは集められるというものなのか。それは多ければ多いほどいいのでしょうけれど、でも、いろいろな手間やコストも掛かったりするでしょうし、あと、ちょっと心配なのはコデインの含有製剤の話がありましたけれど、子供に処方されてないかどうかなど、そういうのを見るときに、こういう大きな大学病院さんだけでデータを収集されるので、大丈夫なのでしょうか。
まさか地域の診療所さんの所からデータを取るのは、ちょっと大変なのかな。それは想像できなくはないのですが、そういう所のデータが集められる体制は整っていないけれども、大丈夫なのでしょうか。大変な事業をやっとスタートさせられるところまでこぎ着けられたということだと思うのですが、多分これで終わりではないのかなという気もするので、お尋ねしたいのは、どういう課題があるのかなど、そういうところを教えていただければと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
御指摘、ありがとうございます。このMID-NETの体制につきましては、平成25年度から厚労省のほうで、「医療情報データベース基盤整備事業の在り方に関する検討会」が設けられ、そこで御検討いただいてきました。まずは、事業の在り方として、現行の10拠点、23病院で平成30年4月に本格運用を開始すべきであると、検討会から御意見を頂いたことから、まず稼働させたものです。
 
○河村構成員
ここでやってくださいというように、指名したのですか。手を挙げられた所。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
これは公募です。現在の規模としては400万人分のデータをカバーしているということなのですが、河村先生も御指摘のように、例えば診療所のデータとか、やはり今の大学病院だけではカバーできない部分もありますので、そこは今後の課題として、いろいろなほかのデータベースとの連携とか、今の10拠点、23病院の中には、例えば徳州会が入っていますが、その徳州会の施設を今後さらに増やしていくということで検討中ですので、そういうことで順次拡充を図っていきたいと考えているところです。
 
○河村構成員
では、その更なる課題というのは、これからすぐ続けてなさるような話なのか。それとも、もっとはるか先というか、まだしばらくは今のものを回すことに専念してという感じなのでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
まず徳州会の対象病院の拡充を図るということについては、平成29年度補正予算を付けていただいておりますので、そこが恐らく一番先に取り組める部分ではないかと思います。それから、それ以外のところとの連携については、厚労省とまた御相談して、検討していくことになるだろうと考えています。
 
○真野主査
ありがとうございました。では、大分遅れてしまいましたので、最後に1-10ですね。お願いします。
 
○梅里構成員
今の例えば長崎の「あじさいネット」だとか、そういうEHRがありますよね。あれは多分、調剤薬局で処方されている薬まで、全部取り込んでいると思うのです。だから、こういう県単位でやっているようなネットワークが何箇所か出てきていますので、そういうデータを吸い上げると、薬の情報が相当入るのではないかと思いますので、連携先、その辺についても、ちょっと余計な一言ですが。
 
○真野主査
承ったということで、1-10をお願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
1-10は17ページになります。国際化等の推進ということで、ここについては2つの柱があります。1点目は、日本が世界の薬事規制をリードするための取組。それから、特に、今後、医薬品の市場としても拡大していく、いわゆるアジア規制当局のレベルアップを図るための取組ということです。
最初の取組につきましては、昨年度は京都で10月に薬事規制当局サミットというのが開催されています。具体的に資料3で言いますと59ページになりますが、幾つか重要な取決めがなされまして、1つは日本が今、世界で先頭を走っている再生医療等製品の国際規制の調和を推進していこうということ。それから、あとは、リアルワールドデータを薬事規制で活用していくための意見交換の推進という形を、日本が主導して決めることができたということです。
さらには、その下にICMRA会合とありますが、ホライゾン・スキャニングといいまして、いわゆるこれから出てくるであろう革新的技術を、できるだけ早い段階で網羅的に押さえて、それの規制に及ぼす影響の評価を行って、最適な規制構築に役立てるという、先ほどありましたレギュラトリーサイエンスの取組にも通じるわけですが、そういうものもやっていこうということになったということです。それ以外にも、医薬品の国際規制の場であるICHとか、あるいは医療機器の国際規制の場ではIMDRFにつきましても、活動の核として、主要な地位を占めて、議論をリードすることができたということです。
それから、資料1-1の18ページに移りまして、今度はアジアとの関係です。「アジア医薬品・医療機器トレーニングセンター」を平成28年4月にスタートしましたが、昨年度も9件の研修、資料3の56ページになりますが、開催しています。かなり参加者からも高い評価を得ていまして、very goodと答えた方が7割以上だったということです。これにつきましては、日本とアジアの保健大臣会合の共同宣言においても、国際的な研修基盤として高い評価を得ることもできましたし、何よりアジアの規制当局の人に日本に来てもらって、直に日本の規制の状況を見ていただくということが、その方が本国に戻って、日本の規制水準について大丈夫だということになってきますと、行く行くは日本で承認したものについては、その国では簡略な審査で通るようになるということになれば、日本の承認の価値も高まって、いろいろな革新的医薬品が日本に来やすいということにつながりますので、大変、国家戦略的にも大きいものだと思っています。
そのほか、4つ目のポツですが、薬剤耐性に対する治療薬のプロデュース。これは一昨年、日本でのサミットにおいて行われました厚生大臣会合の中でも、進めていこうということですが、日本がむしろFDAやEMAをリードして、こういう薬剤耐性菌の感染症治療薬の開発のための取組を主導してやってきているということもあります。
これについては定量的目標が一応ありまして、ここにありますように審査報告書の英訳、これも一応日本の規制水準をPRするということです。これにつきましては40件、40件、100%ですが、それ以外の取組として、サミット等で世界の規制当局をリードする役割を果たしたということ、それから、アジアに対して貢献して、高く評価されているということを判断いたしまして、A評価ということにさせていただいております。
 
○真野主査
ありがとうございました。御質問などはよろしいですか。では、時間もかなり押していますので、次にですね。
 
○河村構成員
1-1の所でちょっと。
 
○真野主査
それは、その後にまだあるのです。順番はどちらでもいいのですが、一応これのルールでいくと、効率化が先なのです。効率化で2項目ありまして、これはまとめて御説明をお願いできますか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
まずは2-1でして、大変申し訳ないのですが、自己評価Cということにさせていただいております。実は資料3の62ページ、最後のページですが、昨年度、幾つか不適切な事務処理の事案がありまして、ここに書いてある給付金の支払い遅延とか、あるいはデータが格納されたUSBの紛失ということがありました。PMDAといたしましては、この間、発足時は300人だった組織が1,300人に拡大するという中で、やはりその辺りのガバナンスといいますか、こういうリスクに対する統制というのが十分出来ていなかったということは、率直に認めざるを得ないと思っていまして、その辺りの取組に十分さが欠けていたということだと思っています。
それを受けまして、PMDAとしてはここにあります「組織基盤プロシーディングプロジェクト」ということで、資料3の61ページになりますが、この機会にしっかり組織基盤を固めていこうということで、1,300人の組織にふさわしい意思決定、統制体制の構築、それから優秀な人材の確保、業務品質の向上、財務ガバナンスの強化に取り組んでいます。すでに成果も出つつありますが、ただ、やはりこういうことで、昨年度は非常に公表に至った事案が多かったということは重く受け止めまして、再発防止に向けた不退転の決意を示すという意味で、Cということにさせていただいております。
それから、次の2-2です。経費節減ということですが、PMDAの目標上は全部の経費ではなくて、いわゆる運営費交付金を充当する経費となっています。これはPMDAの財政構造が、国費が全体でいうと1~2割くらいありまして、大多数は審査手数料、あるいは救済とか安全対策等拠出金ですので、そういう目標となっています。
これについては一応、4年間で一般管理費15%ですから、3年目でいうと11.25%になるのですが、それに対して31.7%の削減ということ。それから、事業費については5年間で5%ですから、昨年度は4年目ですので、3.75%というところの24.9%ということです。
なお、PMDAの中期計画を作ったとき以降に、新たに厚生労働省から幾つかの事業を負託されておりまして、その部分も足しますと、運営費交付金の額などは上がっているのですが、ただ、それまで含めて削減というのは無理なので、一応、平成26年度から継続しているものについて削減ということに、今回は進めてきました。
ただ、それだけではなくて、PMDAは今の3期につきましては、2期の終わりにありました積立金を取り崩すという運営をしていますが、ただ、いずれ積立金はなくなりますので、そうなったときにもしっかりした財政運営をしていけるように、平成29年度から全体の経費についても、かなり厳格なシーリングを作って、圧縮した予算を組んでいるということですし、平成30年度は更にこれを深掘りしてということで、取り組んできているということです。
そういうことの中で、いろいろ契約に関しての取組もしています。そういうことで、数値目標的には今の削減率を大きく上回る目標を達成しておりますし、それ以外の全体経費につきましても、平成29年度はかなり厳しい中で執行管理を行って、支出抑制に努めたということもありますので、これは顕著な成果ということで、一応Aとさせていただいています。以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。これはどうでしょうか。お願いします。
 
○河村構成員
人数は300人のかつての体制から1,300人に増えたと、先ほどのドラッグラグの話ではないですけれど、これだけ目覚ましい躍進をされたのは、何でこんなに急にできたのだろうということを、私も数年間関わっていないときがありましたので、今週、御説明にいらしてくださったときに伺ったら、その人数だと、ああそういうことかとも思ったのですが、やはりそのように短期間で組織が急にぐっと、普通の組織ではこんなに急に拡大することはまずないと思うのですが、ある意味、表裏一体というか裏のところが出てしまったのかな。でも、それをきちんと参考資料3の所でもお書きくださっていますし、しっかり御対応いただければと思います。ちょっとお尋ねしたいのですが、300人から1,300人というのは、一体どういうお立場の方、大体どれぐらいの年齢層の方を採用されて、もちろん業績につながっていますが、こういう体制に変わったのか。そこから、まずお尋ねできればと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
まず年度ごとの増やし方は、資料3の4ページ目にあります。ここに発足時から毎年の人数と、部門別の人数ということで集計をしています。それで平成30年6月1日現在の内訳ですが、これは915人のうち5名がいわゆる役員ですので、残りの910名の職員ということで言いますと、事務系の職員が127人で全体の14%、技術系が783人で86%、男性が515人、女性が395人ということです。平均年齢は大体37.5歳ぐらいではあるのですが、この間採用してきたのが、やはり新卒が中心になっていますので、年齢構成上は20代後半から30代というのが、かなりの層を占めている。今は数字はないですが、50~60%を占めているという感じの組織構成になっていますので、将来的にそこはどうやっていくかが大きな課題ということです。
それから、職種的に言いますと、技術系職員の内訳としては薬学が578名、医師が65名、医療機器の審査を行う主に工学の人が69名、それから獣医さん、これは非臨床の試験の毒性従事者が28名、あと統計家が11名、その他のいろいろな技術系の資格を持った人が132名という構成になっているということです。
 
○河村構成員
ありがとうございます。伺っていると、やはり新卒採用を中心にワッと増やされた。だから、お若い方が多いと。伺っていると薬学とか、そちらの御専門の自然科学系のマスターやドクターを出られたような方を、たくさん採用された。そういうお若い方がどっと入っていらして、それで組織として運営していくというのは、すごく大変なことだと思うのです。そこは是非、徹底をお願いして、今回は自己評価Cということになっていますが、心配なのは今後の機構の運営なのです。
多分、実力主義でやっていらっしゃいますから、お給料を決めるときは業績評価主義かなとは思いますが、今は30代でお若い方が、すごい塊がある組織ですよね。瘤がある組織は年齢が上がっていったときに、まさか平均給与水準がそのままだということは、多分ないですよね。いかに業績評価を徹底するとしても、それなりに上がっていくわけで、それに対する機構としての、先日、収入のデータを見せていただいたのですが、運営費交付金にべったりという組織では全然なくていらっしゃいますよね。そういうところの見通しが、果たして立つのかどうか。これだけ躍進的な業績を上げていらした一方で、これから先はどうかというところを、ちょっとお尋ねできればと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
ありがとうございます。最初からそれは非常に大きな問題であったわけです。まず医師についてはどういうやり方をしたかというと、ここは仕事をする場所でもあるけれど、勉強をする場所でもあると。ですから、我々の医師としての評価が、医薬品医療機器に反映するということを前提にして集めました。そのために、今は多くの大学や病院とローテーションさせていただいているのです。大体3年で、うちに来てもらってまた戻ると。つまり薬事のことを理解した人が、病院なり大学に戻ってもらって、イノベーションの手助けにもなるわけです。そういう人材を作るという名目で医師のローテーションをさせて、今は60人から80人くらい動いていますが、基本的にずっといる人というのはそんなに多くはないです。ですから、専門的な最先端の医療を持った人たちが来ていただくことを前提に運営しています。
それから、もう1つは薬系など、いろいろな科学者の方々ですが、こういう人たちも最初はもちろんくちばしが黄色かったかもしれないけれど、だんだん青くなって、立派な人になっていくわけです。なってくると、今度はそれなりの能力を付けてくれば、それなりの地位にしなければいけないのですが、私は人材というのは社会の中で流動的であるべきだと思っていますから、大学の先生になっていただいてもいいわけだし、企業に行ってもいいと思っているわけです。
それはなぜかというと、うちでやった仕事が社会に還元できればいいわけで、うちは単に仕事をする場所だけではなくて、研究する場所でもあるし、教育する場所でもあると思っていますから、それでレギュラトリーサイエンスセンターを作ったわけですから、社会全体との間のローテーションをやると。それは、もちろん透明性、倫理性、公平性をしっかり教え込んでいますから、欧米はみんなそれをやっているわけですから、日本も同じようにしていかなければならないと思って、そのつもりで育ててきています。
ですから、結構優秀な人がポロッと行ってしまうのです。残念ながらといえば残念ながら。でも、新しい人がどんどん育ってきますから、そういう格好をしていけば、PMDAだけではなくて社会全体、社会が本当はむしろ流動的でなければならないと思っているわけで、90年生きる社会だそうですから、そういう社会を目指して、その一角としてPMDAは流動的な人材の育成と、運用を図っていきたいと願っています。
 
○河村構成員
それは、そうなっていただいたらいいなと、私ももちろん思うのですが、お医者様は結構、大学の医局でいろいろ回られてという話は聞きますが、ほかの方も果たしてうまくそう回るかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
先生が御指摘の点は、大変重要な難しい問題だと私たちも認識しておりまして、先ほども説明しましたとおり、今はPMDA組織基盤プロシーディングプロジェクトということで、全体を先に進めていくプロジェクトを行っていますが、その中で人事評価制度であるとか給与制度の見直しについても、今、チームを組んで取組を進めています。優秀な人材を確保しないと、こういった成果を上げることはできない一方で、今、30代が大きなボリュームゾーンですが、それが10年たつと40代、いわゆる管理職の年代が一番のボリュームゾーンになってまいります。そのときにお給料をどうするのか、人事評価をどうするのかということについて、今、正にコンサルも入っていただいて、制度全体の見直しを抜本的に行っているところです。
ただ、一方でそういう人たちが、将来が見通せないということでは困ります。
PMDAというのは日本に1つしかない組織であるし、世界でも指折りの組織で、ここでしかできない経験もある中で、お給料について、例えば製薬企業と比べた場合に、もちろん勝てないわけですが、そんな中でもここでしかできない経験を積みたくなるように、人材を育てていくということで学位取得のための制度を作ったり、ワークライフバランスで非常に使いやすい、いわゆる育児の支援をするような制度なども入れていますし、今年の5月からフレックスも入れまして、できれば近い将来、テレワークも導入していきたいということで、ここで長く優秀な人が働き続けられるような、お給料だけでない制度も整備していきたいというように取組を進めているところです。
 
○真野主査
ありがとうございます。五十嵐先生もどうぞ。
 
○五十嵐構成員
経費の削減のところでA評価をされた、これに関する質問です。この取組の中で、わざわざ「会計監査人の十分なチェック」というのを強調されていますが、これはどういう意味なのでしょうか。というのは通常、会計監査人の役割の中には、こういう経費を削減するといった役割は求められていないはずなので、わざわざ特別に目付役で頼んだとか、あるいは契約は別にしていないけれど、特別にレポートをもらったとか、そういったことがあるのでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
すみません、これは会計監査人に経費削減をチェックしてもらったということではなくて、いわゆる通常の監査において、会計のチェックをしてもらったという意味です。
 
○五十嵐構成員
調達のチェックはしていませんよね。これは普通の話でしょう。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
はい、会計監査人は普通の話です。調達のチェックは、契約監視委員会等でしていただきました。
 
○五十嵐構成員
ということは、ここに記載するというのは不適切という理解でよろしいですか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
やるべきことを、やっているということです。
 
○五十嵐構成員
それを各種経費節減の取組の中に、わざわざ強調されて書いたというのは、それはおかしいという理解でよろしいでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
それはおっしゃるとおり、あえて書くまでもなかったかもしれません。
 
○真野主査
ありがとうございました。では、次へ行きたいと思います。
 
○梅里構成員
「不適切な事務処理等」ということで、幾つか問題が起こりましたが、これの要因分析をするような体制ですね。例えば先ほどのUSBメモリの紛失の再発防止などを見ると、本当にどういう過程で起こったかということを、よく分析して立てられたのかなと、ちょっと疑問に思う。要するに速やかな消去とか、処理場所を決めたという話になっている。だけどこの辺のところは、例えばこういうことが起こったときに、その理由・原因が何かを分析するような体制が取られて、その中で例えばRCA(ルート・コーズ・アナリシス)だとか、そういう要因分析の手法が取られて、検討されるというようなことができているのでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
一応、こういうリスク事案につきましては、リスク管理委員会という委員会を中で持っていまして、メンバーはここに座っている役員と私になりますが、そこで1件1件、事案についての再発防止策を書いています。
USBについて言いますと、これは当面やった話でありまして、今はもうUSBメモリは使わないということで一応改善しておりますし、これは記述がまずかったので、申し訳ありませんでした。
 
○真野主査
ありがとうございました。それでは、いよいよ今まで説明がなかった項目ということで、1-1をお願いします。
 
○河村構成員
御説明がなかった1-1の所ですが、PMDAに対する認知度、医療関係者の認知率が、資料の3ページに「PMDA発足以来はじめて60%を突破」と書いてあるのですが、医療関係者で60%ということは、突破はしたけれど、4割近くの方は認知していらっしゃらない。ちょっと愕然とするところもあるのですが、これは資料3の8ページに、救済制度の認知率の表を載せてくださっていて、まず一般国民の認知率も上がってきたけれど、やっと3割を超えたところだということですよね。
医療関係者も制度の認知率は確かに上がってきている。だけど、「知っている」のみだとやはり6割だし、「聞いたことがある」を含めて84.5%、これはちょっと低すぎるという気がするのですが、これは医療関係者といっても、いろいろお医者様とか、看護師の方とか、あと薬剤師さんなどが入るのか分かりませんが、分けて取っていらっしゃるかどうか。もし取っていらっしゃれば、その数字をまずお尋ねできればと思います。取っていらっしゃらなかったらいいです。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(井上)
取っておりますので、「知っている」のみの数字で申し上げたほうがよろしいでしょうか。「知っている」と「聞いたことがある」、両方合わせた数字で申し上げたほうがよろしいでしょうか。では、両方申し上げます。医師は「知っている」というのが70.3%、「聞いたことがある」も含めると93.5%。薬剤師は「知っている」と言っている人が91.4%、「聞いたことがある」も含めると98.3%。看護師は「知っている」が28.6%、「聞いたことがある」を含めると62.5%。歯科医師は「知っている」が55.5%、「聞いたことがある」を含めると83.0%。それから、医療関係者全体がここにある数値ということです。
 
○河村構成員
分かりました、ありがとうございます。やはり医療現場の方がまず知っていてくださらないと、国民に対する認知度を上げることもとても大事ですが、我々患者などの立場で考えますと、お医者様が知ってくださるのが一番いいですし、どちらかというと相談しやすいのは、もしかすると看護師さんのほうだったり、あとは薬局でかかる薬剤師さんだったりするかもしれないし、やはりそういうところを上げる努力を、今回の評価になっていますが、もっとしていただきたいと思います。
これまでの運営の経緯を振り返ると、今日もいろいろ話が出ていましたが、とにかく本当に数年前はドラッグラグを何とかしろとか、デバイスラグを何とかせよと、背景には製薬会社さんにもっとこの国として頑張っていただきたいというか、成長戦略の一翼を担っていただきたいみたいな政権の意思がありありと出てしまって、スピードだけでどうするのだということを、先ほどから梅里先生も言っていらっしゃる、そのとおりだと思うのですが、そういう政権の意向もあって、でも、一番大事なのは、これがあるということをきちんとみんなに知ってもらって、適切なチェックをしていただくことももちろん大事ですし、万が一不幸なことが起こってしまったら、きちんと救済してもらえるようにするためには、やはり認知率を上げなければどうしようもない。是非そういうところも、今後はお願いできたらと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
申し上げておきますと、救済制度が出来たのは世界で日本だけなのです。これを真似して韓国と、今は台湾が制度を入れました。北欧も関心を持っています。これは昭和54年ですから、今から39年前にサリドマイドやスモン、こういった患者さんを救済するということで作った制度です。
したがって、つまり国民皆保険の中で、患者さんがこういう副作用になったとき、救ってあげなければいけないとして作った、非常に真心のこもった制度なのです。欧米はもしも副作用が起こったときは、全部訴訟で対応する方向しかありません。日本だけが、申請することによって内容を審査することにより補償する仕組みになっているのです。
一方、この制度は、あるときはドラッグラグの原因になったと言われた時期があります。それは、かつての民主党政権時代、仕分けのときに、こういうものが新薬の審査のスピードを遅めているのではないかPMDAの中で切り離してはどうかと、私は質問を受けたことがありますけれど、しかしこれは国民を守るための制度であって、新薬の審査のスピードを遅めるものではなく、やはり国民目線で協同してやるものであり、これは絶対PMDAから切り離すことはできないと申し上げたことですが、これは今日まで続いています。実は再生医療等製品の認可において、世界に先駆けて条件付早期承認制度を作ることができたのは、この救済制度を取り入れたからできたと考えています。だから、他の国は簡単には真似ができない。だから、これは今後も多くの企業や医療機関にしっかり理解していただいて、このために新しい薬もちゃんと認可されていくのだということも含めて、我々は今後も広報に努めていきたいと思っています。
 
○真野主査
ありがとうございました。では、よろしいでしょうか。次に中間目標の見込評価に関して議論したいと思います。平成29年度のと重なる部分があります。全部で8つありますが、最初の4つをまとめて議論したいと思います。最初の4つ、1-2から1-7までをお願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
資料2-1、5ページ目が1-2になります。これは救済の迅速な処理ということで、先ほど御説明しましたように、ここにありますとおり、年々達成率が上がってきていることがあります。次のページですが、特に、先ほど議論になりましたHPVの話については、平成27年度から制度の対象として始まった、全く想定しなかったことで、そういうような事案がある中で、平成28年度は334件、平成27年度は152件を処理しながら、年々目標率を上げてきたことについては、Aと自己評価をさせていただきました。
続いて1-5は、11ページになります。これは医薬品の関係です。ここの4年間の達成の表を載せていますけれども、スピードというところで言いますと、多くの項目で、120%を超えているようなものもありますし、難易度も極めて高いと、私どもとしては認識をしております。特に12ページにありますように、新有効成分医薬品については、平成26年から平成28年については、3年連続世界最短であって、平成29年度も世界最速レベルであったということ。
あとは優先品目について、特に医療上の必要性の高い優先品目については、110%か120%を超えていること。更にはこの期間の取組として、先ほど御説明をいたしませんでしたけれども、平成28年度から、いわゆる新医薬品の治験のデータを電子的に受け入れるというのをスタートしています。それにより、これまでは企業にいろいろ解析をお願いしていたのを、私どもが独自にできるようになったということは、大変審査の質の向上にもつながるような取組でしたし、それ以外にも、条件付き早期承認制度、それから最適使用推進ガイドライン、いわゆるオプジーボとか、そういう高額の薬剤についての最適な使用を推進するガイドラインの取組。さらには、先駆け審査指定制度について、現在ここに書いてあるような品目を抱えているというような、質的な部分もありますので、この目標で、達成率120%を超えて、画期的な新薬の承認とか、あるいは治験電子データの受入れという質的な取組にも成果を上げているということでSとさせていただいています。
1-6、医療機器と再生医療等製品です。これについても4年間、多くの項目で120%を超えていて、難易度の高い目標を達成したということ。さらに次の14ページ目になりますが、先駆けの品目などで、利用上の意義の高い品目の承認をした。昨年度はなかったですけれども、再生医療等製品についても、ここに書いているヒト骨髄由来間葉系幹細胞、それからヒト骨格筋由来細胞シートというような、いわゆる心筋シートですが、そういうようなものを承認していて、新たな治療の選択肢を提供したということです。そういうことで、医療機器、それから再生医療等製品についても、新しい制度の下の承認ということもできた、あとは数値目標の多くで120%を超えたというようなこともありましたので、そこはAということにさせていただいております。
次、1-7については、一応、Bということにさせていただいております。年々おおむね数値目標としては、目標達成をしてきているということですし、あと定性的な部分については、先ほども議論がありましたけれども、イノベーション実用化連携相談であるとか、あとはいろいろな革新的医療機器のガイドラインの策定。昨年度、患者さんを中心とした合理的な医療を基軸として、レギュラトリーサイエンスを推進していくという、Rational Medicine Initiativeという概念を公表し、世界にも発信したということ、それと科学委員会の成果等もあって、おおむね所期の目標を達成したということでBということにさせていただいております。
 
○真野主査
ありがとうございました。それでは御質問などはいかがでしょうか。
 
○河村構成員
御説明くださったうちの1-5、ドラッグのところですけれども、これも理由は先ほどと一緒です。S評価ということで出されていらっしゃいますが、正直言ってやはり定量的な目標のところが届いていなかったりしますので、Sまで付けるのは、この総務省の基準に照らし合わせると、ちょっと難しいのではないかという、これは意見です。
 
○真野主査
ありがとうございました。他はよろしいですか。お願いします。
 
○梅里構成員
先ほどの年度評価のところで、大体お話させていただいたのと同じ内容なので、それが見込み評価のところにも反映されるかなというのが、私の意見です。やはり目標の設定は今更ちょっとどうしようもないのかもしれませんけれども、この目標が、働く職員にどうしても大きな影響を与えると思うのですね。これを見て行動してしまうというところがありますので、是非、本質的な内容を目標に設定して、職員が頑張れば、やるべきことが達成できるのだという方向に、持っていっていただければと思います。
 
○真野主査
ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは今、1-7まで見ましたので、1-8からまた4つですね。法人の方からお願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
1-8です。1-8はAとさせていただいておりますけれども、先ほど御議論いただきましたMID-NETについては、正にこの中期計画開始時から、試行錯誤の末、構築してきたデータベースですので、それが成功したということは、非常に大きな成果であったのではないかと思っています。
18ページになりますけれども、それ以外にも、毎年副作用の報告については、資料3でいいますと、41ページにありますように、副作用の症例報告の件数も年々増えていく中で、原則、国内の報告については、翌営業日中に精査確認をするということにしており、現にできております。あとは外国の副作用・不具合報告についても評価分析に活用、医療機関報告についても、この間の努力で6千件ベースだったのが8千件という形にまで増加したというようなことです。
患者からの副作用報告について、これは新たな取組ですけれども、本格運用を今年度実施すべく、準備を確実に進めてきたというようなことで、先ほどMID‐NETの成果というのが、やはり世界の先頭を走る顕著な成果ということで、Aということにさせていただいています。
1-10、20ページ目です。国際化の推進ということで、この間PMDAとしては国際戦略2015というのを、平成27年度に策定し、組織を挙げて取り組んでまいりました。この薬事規制当局サミットには毎年参加し、特に昨年度は先ほど御説明したように日本で開催し、幾つかの重要な合意形成に導いたということ。さらにはICHとかIMDRFにおける多国間協議の場でも主導的な役割を果たしたということです。
あとは、アジア医薬品・医療機器トレーニングセンターについても、平成28年度に設置し、その前の海外規制当局向けトレーニングセミナーと含めて、年々増加する参加者に来ていただいています。これについては先ほど、日・ASEAN保健大臣会合の話をしましたけれども、それ以外にも平成28年度にAPECから優良研修センターという承認を得て、評価をされております。先ほど御説明いたしました、AMRアクションプランといったものもありまして、そこを主導的に日本が欧米をリードして、世界に先駆けたということです。
そういうことで、定量的な分野については100%ですけれども、こういうその国の規制のノウハウを、各国に惜しげもなくというと語弊がありますが、提供するというのは世界初めての取組ですので、そういう取組を行ってきたということ、あるいは世界的な調和の活動においても、主導的な役割を果たしたということについては、大きな成果だと思っており、Aということにさせていただいています。
あとは2-1です。先ほど、平成29年度についてはCとさせていただきましたけれども、平成29年度はこういう事案の発生を受けて、プロシーディングプロジェクトというプロジェクトをスタートして、再発防止策を含めた取組を、個別案件の再発防止ではなく、組織のガバナンス、仕組みとして、そういうことが起きない仕組み作りをしていこうという取組に着手できたということで、トータルで見るとBということで自己評価をさせていただきました。
2-2の経費削減については、先ほど御説明したとおりの内容で、目標の対象となった運営費交付金については、一応目標を上回る削減率、それから各種の経費節約に取り組むということを踏まえ、Aということにさせていただいています。以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。御意見はいかがでしょうか。お願いします。
 
○河村構成員
2-1の所ですけれども、中期目標期間を通じての評価ということで、過去はB、B、Bときて、平成29年度は先ほど御説明があってCで、それで通期でどうするかということですけれども、こういうのは難しくて、何年間かあったところは、まさか平均でという話ではもちろんないと思うんですよね。
ただ事案の性質上、例えばこういう不適切な事務処理とかというのが、この中期目標期間の最初のほうであって、そのあと改善のための取組が行われて、そのあと例えば2年間3年間不祥事の発生がゼロになっているということだったら、Cが付いた期間があっても最終的にはBになってもいいかなと思うんですけれども、今回は違いますよね。
こうやって急拡大していらっしゃる中で、ある意味必然的と言ったら失礼かもしれませんけれども、表裏一体というかやはり難しいところが出てきたんだなと受け止めていますけれども、この資料3でお示しくださった62ページの例などを見ると、もう平成29年にぼろぼろ出て、今年に入ってもまだ続いてるわけですよね。4月にも出ている、続いている。
取組が始められたということは、プロシーディングプロジェクトを行ってらしたということで、先ほど御説明くださったので分かるのですが、それがまだ実を結ぶところまでも至っていないし、具体的な解決の道筋ができているというところでもないと思いますので、私はこういう事例については、何か公式があるわけではないと思いますけれども、こういう状況できて、たまたま過去は表面化しなかったかもしれないけれども、平成29年のところで、ばばっといろいろな不適切な事例が出てきて、今に至っているということですので、通期の評価は、Cがよろしいのではないかと思います。以上です。
 
○真野主査
これは先ほど梅里先生もいろいろ聞かれていたところですけれど、これは平成29年30年にはこれだけあったけど、それ以前は全くこういうのは何もなかったのでしたか。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
それ以前も年に1件ぐらいはそういうことが起きていて、公表しておりますが、資料にある平成30年4月というのは公表の日付で、実際に事案があったのは平成29年度中の3月だったんですけれども、昨年度はちょっと確かに多かったということがあり、こういう形で評価をしたのですけれども、ただ、先ほどのプロシーディングプロジェクトについても、既に幾つかリスク管理のやり方の見直しとかもさせていただいておりますので、このプロジェクト自体は、基本的に次の4期に行く前にはしっかりやっていこうということで、平成30年度が正念場になりますので、今年度中にしっかり取り組んで、成果を出していきたいと思っています。
 
○河村構成員
今の点ですが、今、総務省の通則法が改正になって、体制が変わっていて独立行政法人評価制度委員会になっていると思います。その前身の政・独委に私はいたのですが、そのときに他の府省において、不祥事に対する対応というのがあったんですね。不祥事があって、不祥事に対してしかるべき対応を理事長のリーダーシップの下で行ったから評価を上げるという例が、幾つもいろんな府省から出てきたんです。それは駄目ですよと。不祥事に対して対応するのは当然のことであって、それについて対応することで評価を上げるということは、それはとても認められないということを旧政・独委で、今はそういうのが出ているかどうか分からないんですけれども、示したことがありました。
そういう考え方からすると、こういう問題がいっぱい出てきたことに対して、何もしていらっしゃらないわけではなくて、始めてくださっているということはよく分かるのですが、それがまだ実を結ぶところには至っていないし、それどころか新しい年度に入ってもまだぼろぼろ出てきているような状態ですので、それはやはりBは難しいのではないのかなということです。
 
○梅里構成員
先ほどのリスク管理委員会ですか、やはり偉い人だけ入っていても駄目ですよね。だから原因分析とかは実働部隊で検討して改善策を作って、それで委員会に上げるということですよね。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
そのとおりです。
 
○梅里構成員
1-8の関係でいいですか。MID‐NET、大変なシステムを作り上げられて、データの集積がされたということなのですけれども、これについてここまで作り上げてきたということは、活用の方向、こういったデータを出すのだというようなものが、ここに出てきそうなところなのですが、余り具体的に見えていないのですが、その辺のところがまず出ていないというところ。
それから病院等から上がってくる副作用情報、これがどういうふうに分類されて、どういうふうに予防につながっていっているかというところが、先ほど言ったように具体的に見えなかったというところがあるのですが、この状況でAになりうるのかとちょっと私は思っています。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
御指摘ありがとうございます。MID‐NETの今後の活用ということですが、先般の有識者会議で、既に行政による活用ということで、医薬品副作用のリスク評価2件をMID-NETを活用して行うということをお認めいただいております。そしていくつか企業からも、医薬品の製造販売後調査に活用することを現在検討中であると聞いておりますので、それらが今後出てくる予定です。
 
○真野主査
ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。先ほど、五十嵐先生の話が途中になってしまった感じがあったのですけれども、こっちでも同じことが出てきます。
 
○五十嵐構成員
1つ確認を。今の体制の話の中で、要は通して全体の平均ではなくて、最終の今の時点のということなんですけれども、この経費節減の考え方というのは、途中経過はあくまでも目標達成時点で、最終的には来年のところで評価をするということでよろしいですか。来年の評価イコール中間の確定評価ということなんですかね。こういう経費削減の話なんか、こちらというよりむしろ評価するほうに聞かなければいけないかもしれないですけれども。
 
○政策評価官
目標の書き方によると思うのですけれども、最終年度の状況を目標値としてあるのであれば、原則的には最終年度が1つの基準になるのではないかと思いますが、ちょっとその辺りはいろいろ評価の仕方があります。他の法人でも、最終年度だけ突発的に建物の雨漏りとか、すごく経費が掛かる要因が発生して、最終年度だけ特に上がってしまったというケースもあったりします。そういう意味では、なかなか最終年度だけで評価すると不適切なケースも当然ありますので、最終年度の状況も見て総合的に判断していただくということで。
 
○五十嵐構成員
先ほどの年度評価ではなく、中間の見込み評価なのだから、その辺を踏まえて資料をまとめてもらわないと、やはりちょっとおかしいのかなと思います。先ほども話しましたように、さんざん説明が足りない、資料がきちんと本質的なことを説明していないという指摘に反して、先ほど申し上げたように本来書くべきでないところをわざわざ書いて、十分な要件というか原因になっているかどうか分からないままで、A評価のところの取組の中に、会計監査人がチェックしていますと書くとか、その辺が矛盾していると思いますので、その辺はもう少しきちんと取り組んで、御説明いただきたいと思います。
 
○真野主査
ありがとうございました。あと全体を通してでも何か御意見とか。なかなかこちらの左側といいますか、今までの先生方から余り御意見がないですけれど、何かあれば是非お願いします。
 
○橋田構成員
私は薬学を専門にしておりますので、少しその立場でコメントといいますか、言わせていただきます。本日の御議論も、やはり法人の評価の仕方の問題。1つは定量的な評価で目標を設定して、その達成度で議論するということ、もう1つは質の議論といいますか、そういうことの重要性が指摘されて、特に資料においてはもっとそちらの側面もきっちり説明していただきたいということだったかと思っています。
ただ、そういった意味で考えたときに、法人はたくさんそれぞれありますけれども、特にこのPMDAの場合はかなり他の法人と違うところがあるといいますか、他の法人の場合には、割と定型的な仕事を持って、安定的にそれを運営されて、その中でいかに改善が数値的にも目標達成していかれるか、といったことの評価が、比較的ウエイトとしては大きいかと思います。
PMDAの仕事に関しましては、元になる医療がどんどん変っておりますし、それのベースのサイエンスもどんどん変っておりますので、常にそれを踏まえながら、それにのっとりながら業務を改善していっているということで、そこの評価のところで定量評価と質的評価ということが出ているのかと思います。そういう意味で、その中でレギュラトリーサイエンスの話、これは全国の大学の医学部、薬学部などのみんなが連携の組織を作っていただいてますし、それからセンターも作っていただいたということで、これは比較的形として見えやすいことで、非常によく取り組んでいただいている。あるいは国際化の展開というのも、そのように伺っておりました。
あと、最初のほうの副作用の救済ですとか、審査、これは医薬品も医療機器もみんなそうですけれども、これについて、質と迅速審査という定量的な目標とのバランスということはあると思うのですけれども、質のほうに関しては、一方でそれぞれの審査をPMDAが担当していただいて、その審査報告を基に、例えば薬事・食品衛生審議会、これは部会のレベルから積み上げますけれども、そこで非常に厳格な審議をして評価をしてということでしていますので、ある意味、質の評価はそちらでもさせていただいているということかと思っています。ただそこでも、できるだけ質の高い審査をしてくださいという要望は、常に出ていると思いますので、それについては是非応えていただきたいと思っています。いずれにしても、ちょっとPMDAのそういう、特殊性ではありませんけれども、性格というものもあると思いますので、その辺を総合的に評価することが大事かと思います。以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。私はちょっと不勉強なのですけれども、これは研究型の独立行政法人がありますよね。あれもまったく同じスタイルで評価しているのでしょうか。あちらもいろいろPMDAみたいに変化が大きい分野だと思うのですが、厚生労働省にも幾つかありますよね
 
○政策評価官
研究開発法人は、研究内容のところについては別の評価基準があります。ちゃんと研究成果が出ているかとか、そういったところに着目して、要はノーベル賞級の成果が出ている場合はS評価だとか。そういうような別の評価基準があるといえばあります。
 
○真野主査
そうすると、研究開発型でも同じような、何が言いたいかというと、橋田先生が言われたように、定量的だけではなかなか評価できない定性的な部分というのは、研究もそうだし、PMDAは研究ではないかもしれないけれど、開発ではないですか。
 
○政策評価官
そうですね。成果としては、例えばこういう医療の発展に応用が期待されるとか、期待値も含めた成果というところが、定性的な成果というのが評価されるという形にはなると思います。ある程度研究結果が出て、それが社会の発展向上に使われていくというところが見えてきたところで、成果というふうに評価されるということだと思っています。
 
○真野主査
だから定性的な部分も、研究型だと加味される。
 
○政策評価官
そうですね。基本的には定性的な評価ということになりますね。なので具体的な一つ一つの研究結果で、これはこういう成果が出ましたという説明をしていただいて。
 
○真野主査
もちろんそれはあるけども。
 
○政策評価官
そこでノーベル賞級とか世界初の成果とかというのがあれば、そこは高く評価していただくという形になります。
 
○真野主査
なるほどね。この医療・福祉委員会はどうしてもまったくタイプの違う法人を見ているものですから、なかなかちょっと。のぞみの園も比較的定型的だし、福祉医療機構も比較的定型的ですけれども、PMDAだけちょっと、いつも思っているのですけれども少し特殊なところがありますので。
 
○河村構成員
私ちょっと他の中期目標管理法人に関わる場合もあるんですけれども、別に定型的な仕事だけではないんですよ。やはり時代の変化とともに劇的に変っていかれるところもあるので、多分そこの悩みは共通ではないかと。新しいところに取り組んでいかれるときというのは、定量の目標は多分作りにくいのです。それがやはりよそでは誰も取り組んでいないような、へたをするとよその国でもやっていないようなことをやるというのは、他の法人でもあると思います。でもそれがある程度軌道に乗ってくると、初めて多分定量目標を作りやすくなるということになると思います。PMDAはちょっと特殊なところはもちろんおありになると思いますけれども、そんなに他の中期目標管理法人のところと比較して、そんなに極端に特殊ということではないのではないかと思います。確かに定性と定量の評価をどうしていくかというのは、その時々にちゃんと考えなければいけないと思います。
 
○真野主査
ありがとうございました。ほかの先生はよろしいですかね。ありがとうございました。今のところで頑張りまして、ちょうど時間がよくなってきました。助かりました。そこまで厳密にやらなくてもいいのかもしれませんけれど、一応、時間があるので。では次は法人理事長、監事からのヒヤリングということになります。年度・中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等について、コメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、次いで法人の理事長からお願いいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構監事
監事を担当しております疋田と申します。よろしくお願いします。資料は1-4です。この資料は先月末に厚生労働大臣に提出した平成29事業年度の監事監査報告書になります。この報告書に基づいて概略を説明いたします。内容に入る前に、皆さんもう御存じのとおりなのですが、監事監査は業務監査と会計監査から構成されておりまして、PMDAの場合、会計監査は会計監査人による監査を実施しております。1ページの下、Ⅱに「監査結果」を書いております。内容としては主要3業務である救済、審査、安全と、戦略的な国際についての記述をしております。全ての所に諸課題はあるのですが、法令面については問題がなく、中期目標は今のところ達成基調にあると報告させていただきます。
2ページの下、2番目に「PMDAの内部統制システムの整備とその運用状況」といった項目を挙げております。これは業務監査の主要項目の1つになります。中身としては1,統制環境から5ページ目の6,ICTへの対応について見ております。各項目の中で当該年度における新しい取組み及び改善が認められた内容について、二重下線を引いております。内部統制システムについては適切に整備され、改善、運用されています。一方、重要書類やデータの紛失、支払業務における不適切な事務処理といった重大リスク案件が年度を通じて発生していることから、役職員の職務執行状況に関する再点検の徹底、再発防止を図ることが喫緊の課題であるといったコメントを付しております。
その次は役員の職務執行に関する違法、不当な行為というのは記載のとおりです。4番目には、先ほど申し上げたように、会計監査については会計監査人が実施しておりますので、監事としては財務諸表の信頼性と会計監査人の適切性について監査をしております。いずれも問題なかったことを確認しております。
「独立行政法人として事務・事業の見直しの基本方針等過去の閣議決定において定められた監査事項」として2つの項目を記載しております。1つは給与水準、もう1つは随意契約の適正化を含めた入札・契約の状況になります。この2項目については、昨年と比べて大きな変動はないといったような状況で特段問題があるとは確認はされておりません。
それから6ページの上段になります。Ⅳで「過年度の監事監査における指摘事項に係る改善状況」という項目は3つ挙げております。1番目が業務・システム最適化計画の策定及びその実施です。2番目は人材育成による強靱な組織作りに向けて、3番目が経営判断に資する財務データ分析の高度化です。いずれの項目も横に括弧書きで継続と書いておりますが、これは平成27年度から指摘しておりまして、平成28事業年度では決着がつかず、昨年度まで引きずったところです。いずれの項目も今回全て一定水準まで改善が認められたことから継続指摘案件としてはここで終わる認識をしております。
最終ページ7ページのⅤは、新たに是正又は改善が望まれる事項といった記載になります。1番目に先ほど来出ている重大リスク案件の真因の究明と再発の防止で、再発防止の不十分性が認められるため指摘をしております。下線部に書いているように、年度始と年度末で起きた案件が類似しており、再発防止策の有効性、取組み姿勢といったものに疑義を持たれる事象といったこともあり、経営としても深刻に受け止める必要があります。ステークホルダーとの信頼関係の上に成立している業務ですので、社会的な役割も重要であることから真因の究明、早急な実効性のある再発防止策の策定・実行といったところで、当然取り組みはしているのですが、先ほど来、御指摘があったように、最終局面まではまだ到達していないことから指摘事項として挙げております。
2番目に書いているプロシーディングプロジェクトの実効性については、これは指摘事項というには適さないかもしれないのですが、重要フォロー案件事項として挙げております。下線を引いているように、テーマが非常に全社横断的な内容若しくは高度な経営判断を要する事項というものが数多くあります。結論や方針が出るまでに一定の時間を要するといったところで、今後の人事異動などの環境変化によって、検討が頓挫するというようなことが起きないともかぎらないことから、定期的な進捗確認及び対外的な公表といったものを、監事監査の中でもフォローしながら実効性を高めていくための記載になっております。
資料には記載がないのですが、是正又は改善が望まれる事項は、無いことが理想ですが、組織は生き物で、特にPMDAを取り巻く内外の環境変化は非常にスピードが速く、なかなか追いつけないといったところもありますので、必然的に発生する不可避なものと感じております。
もう1点は、一旦ゴールにたどりついたように見えても、完成形たるものが進化するといったことが起きますので、不断の努力を要するものというところから、なかなかゼロにできないと感じております。
一方、今回の再発防止策が不十分というようなところについては、レベル感としては低いものだと認識しておりますので、これは経営が真摯に向き合うことが必要であるという判断でございます。ただ自己評価を見る限り、業務運営やトップマネージメントなどではC評価となっておりますので、経営としてはこの重要性、深刻度というものは認識していると判断しております。最後になりますが、業務監査、会計監査において重要な不備はなかったことを申し添えます。
 
○真野主査
ありがとうございました。では理事長先生からよろしくお願いいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
ありがとうございます。理事長の近藤でございます。本日は多岐にわたりまして、非常に活発な貴重な御意見を頂きまして誠にありがとうございました。委員の皆さまから頂きましたさまざまな御意見につきましては、今後の組織運営に役立ててまいりたいと思っております。
私は平成20年4月、今から10年前に当機構の理事長に就任いたしましたけれども、思い返してみますと、その頃は審査の業務面ではドラッグラグ、デバイスラグが大きな問題となっており、また安全対策業務面では薬害C型肝炎の問題で安全対策の不十分さが指摘されるなど、当機構が社会的に大きな逆風にさらされた時期でございました。そこからまず私は組織の旗印として理念を作り、組織が果たすべきミッションを内外に明らかにすることから始めました。その後、関係者の御理解と御協力によりまして、審査部門、安全対策部門の大幅な体制強化を図ると同時に、指摘された課題の解決に取り組んで、今ではドラッグラグ、デバイスラグの問題は解決いたしましたし、安全対策面でも評価・分析能力の大幅な向上が図られまして、欧米追従型から世界をリードするような規制当局への脱皮を図ることができたと自負いたしております。
現在、世界ではグローバル展開する製薬企業の競争も非常に激しくなっておりますけれども、同時に、世界で初めて医薬品医療機器を開発する国に選ばれるためには、各国の規制当局間の競争も極めて激しくなっております。なぜならば、革新的な医薬品医療機器が世の中に出るためには、その国の研究開発能力やマーケットの規模だけではなく、その国の規制当局がいかに前例にとらわれずに医薬品を適切に評価するのか、評価した結果を踏まえていかに安全性を確保しつつ有効性を最大限に発揮できるように規制できるかどうか、これにかかっているからでございます。
このような観点から、私は今の第3期中期計画期間において、将来に備えてレギュラトリーサイエンスの推進のために幾つかのプロジェクトに取り組んでまいりました。それが本日の会議でも御紹介いたしましたMID-NETの構築と本格運用であり、国際表示に基づく臨床データの電子的申請制度であり、それらが花開く場であるレギュラトリーサイエンスセンターの設置ということになりました。また当機構が規制当局間の国際競争に勝ち抜くためにも、国際活動面で世界の規制ルール作りで主導的な役割を果たすとともに、アジア諸国と手を携えて前に進む姿勢が必要です。それが本日の会議でも御紹介いたしました昨年10月に京都で開催いたしました「薬事規制当局サミット」やその他の多国間協議の場において、日本が主導的な役割を演じましたし、平成28年度からスタートしたアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターの取組となっております。併せてこうしたチャレンジを進めるためには、確固たる基礎基盤がなくてはなりません。本日、御紹介いたしましたPMDA組織基盤プロシーディングプロジェクトはそのためにスタートした日進月歩の組織改革プロジェクトでございます。これらの取組を着実に軌道に乗せまして、次の第4期中期計画に一段とステップアップした当機構の姿をお示しできるように取り組んでいくことが、私の使命だと思っております。本日はどうもありがとうございました。私からは以上でございます。
 
○真野主査
ありがとうございました。それでは何か御意見、御質問はよろしいですか。もう1つ今日は議題があります。PMDAの「業務及び組織の全般にわたる検討の結果並びに講ずる措置の内容について」という資料2-3です。これを議論したいと思います。まず見直し内容にいて法人所管課からポイントを絞って説明をお願いします。
 
○医薬・生活衛生局総務課長
厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長の屋敷でございます。遅参いたしまして申し訳ございません。準備した資料2-3、所管課から見た、第4期計画に向けて、これまで第3期を私どもでどのように見ていて、第4期に向けてどういうものになっていったらいいのか、そういうコメントをまとめたものです。今、理事長からもございましたが、これまで着実に進みつつある一方で、プロシーディングプロジェクトの発端となったようなものもあるということでして、第3期が終わり、第4期が1つの区切り目だと思っております。ただ基本はこの「セイフティ・トライアングル」が推進されるということと、併せて横串と書かれていますが、レギュラトリーサイエンスとか、国際的に主導的な立場にあるということと、組織のガバナンスの強化を進めていく。その3つのセイフティ・トライアングルを、3つの横串を通しながら進めていくというのが第4期の基本的な立ち位置、所管課もそのように見ているということです。
2ページからがセイフティ・トライアングルで、これは多く申し上げませんが、事務及び事業の見直し。これは薬事法の手続の中で国が行う部分と機構が行う部分、これもがっちり組み込まれておりますから、基本的には業務の姿、審査、安全対策及び救済も変わることはないということでございます。その中でも技術水準キャッチアップあるいはホライズン・スキャニングといったところを新しいものを練り込みながら進めていくというのが第4期の課題です。
2~3ページは審査等業務です。ここはこれまでスピードというところは達成しているので、これからは質を重視した取組、先ほども評価指標で定性的なものをどのようなものを作り上げていったらいいのか御意見があったと思いますが、これはともに所管課としても考えていくべきものだろうと考えています。
5ページ、安全対策のところはMID-NETが始まったということです。更にSuper MID-NETというところで世界の中でも確固たる地位を築き上げていかなければいけないかなと考えておりますので、ここは第4期目の中心的なものになるということです。
6ページ、3つ目の健康被害救済業務です。ここは着実に十分遂行していくことが必要な部分だと思っています。
7ページ、これが3つの横串です。レギュラトリーサイエンスの推進。これは本年度から設置されたレギュラトリーサイエンスセンターが第4期目以降本格的に始動する。安全対策でも審査でも成果を出していく時期になると考えております。7、8ページは国際化の推進ですが、引き続きいわゆる「3極」という立場はもう既に獲得をしていると思います。次はアジアにどれだけ浸透していくかということだと思いますので、主導的な位置を引き続き高めていきたいと考えております。
8ページ、3つの横串のガバナンスの点です。先ほども御指摘がありましたが、平成29年度に入り各種案件が起きてきているということです。やはり1,000人を超えるような組織になってきているということで、かつ、いろいろなステークホルダーがいる中で、しっかりと成果を出しつつ、またこのような案件が出ないような取組を組織の中にどのように練り込んでいくのかということが求められていると思います。理事長のリーダーシップの下、体制整備は急ピッチに進めていただいていると考えておりますし、所管の課としてもしっかりバックアップをしていきたいと考えております。第4期中期目標期間に向けてということですから、これは第4期からではなくて、もう既に動いているところですので、第4期が始まる前にできるかぎりこのプロシーディングプロジェクトの成果が見えるような形に持っていっていただきたいなと考えております。
財務内容あるいは人事については第4期は安定的な財政運営、第4期期間の中でのバランスを考えるということ。人事は最大の資源であるということですので、プロシーディングプロジェクトの中にもありましたけれども、しっかりとした人材の確保あるいは活用を図っていく。これが第4期の基本的な立ち位置になると考えております。今後、そのような形で私どもの目標も立てたいと思っておりますし、また計画の策定も進むと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
 
○真野主査
今のことで御質問、御意見ございますか。
 
○河村構成員
ありがとうございます。今日のいろいろな項目別の意見、議論でも出た話ではあるのですが、お願いできればという点です。やはりこれまでPMDAさんの業務は、厚労省、政権の方針がすごく大きいかなという気がするのですが、やはりスピードのほうにちょっと寄り過ぎだったところがあるのだと思います。でもそれはすごく目覚しい成果で達成されているのは事実だと思うのですけれども、やはりそれに対してこれから先の問題が今日たくさん出ていましたけれども、質というか中身がどうか、それから国民にとってどれだけ意味があるか、国民が助けられるか。そこにやはり改めて初心に帰るというか、そこのところをもう少し強めに打ち出してもいいのではないかなという気がいたしました。ですからこれまで以上に質を重視というのは、例えば3ページ、審査の所ではお書きくださっているのですけれども、いろいろ本省でお考えがおありだと思うのですけれども、もっと前文の所に持ってくるような大きな取組として書いてもいいのかもしれません。
あともう1つは、最後のほうにスキームの話が出てくると思うのです。8ページの第2の所ですですが、法人全体の業務運営の改善。普通は独法でこういう事務・事業の見直しなどを書くときは、こういう章立てにするのはごくごく普通だと思うのですけれども、やはりPMDAさんの場合、それこそほかの独法と比べても顕著に特殊なのは急激にここに来て人員の構造、人数の体制が大きく変わったということですよね。普通の組織ではあり得ないぐらい急激な変化があったということで、それに伴っていろいろな歪みなどが出てきてしまっていると。ですからやはり次の中期の期間に向けては、もう独法として一本足で立っている持続可能な組織体制をいかに構築するかをもう少し前面に出して、いろいろ第2の1の所でも「効率的かつ効果的な業務運営体制の整備」などと書いてはくださっているのですけれども、そこを明らかに意識して法人として何か、国の機関だから別に何かあったら国に助けてもらえばいいやということには多分ならないと思いますので、そこをもっと打ち出して、きちんと次の中期計画の期間中にどうやって持続可能な体制に持っていくかということを検討するということをもう少しお書きいただいてもいいのではないかなと、意見です。
 
○真野主査
ありがとうございました。ほかはよろしいですか。私からは、むしろ厚労省にお願いしたいのは、有識者会議を今回と前回やって、もう1つあるのですが、そこで委員の方も増えましたので時間配分などをどのようにするかも、もちろん今回2つ今まであったのを1つにしたりなど、いろいろあるのですが、折角いろいろ来ていただいているほかの先生方の御意見を、前回もでしたけれども、時間がないと何となく免られてしまうようなところもあるので、そういったところも考えていただければと思います。
あとは、先ほどから出ている目標です。目標をどう考えるかも、多分専門性の違いで、橋田先生などはよく分かられているから、あうんの呼吸で分かってしまうところがほかの立場の先生だと分からないと思います。もちろん分からないのがいけないというのではないです。その辺の説明もどこまでするかということです。法人の手間もあると思うので、何かその辺、医療・福祉部会だけの問題なのかもしれませんけれども、是非、御考慮いただけるといいなと思っております。ということで一応、議事としてはこれで終わりでよろしいですね。これで終わりになりますので、法人所管課で、今日の意見などを踏まえて見直し内容の修正などについて検討を頂いて、最終的な発表をお願いいたします。最後に事務局から今後の流れについて説明をお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
今後の流れについて御連絡いたします。本日、御議論いただきました医薬品医療機器総合機構の「平成29年度業務実績評価」並びに「中期目標期間見込評価」については、この後本ワーキンググループにおける御意見や法人の監事様及び理事長様のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知しますとともに公表いたします。また「業務・組織全般の見直し」内容についても、同様に本ワーキンググループにおける御意見等を踏まえ、厚生労働大臣が決定し、独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
なお、「中期目標期間見込評価」及び「業務・組織全般の見直し」内容については、参考資料2の別添7の流れのとおり、独立行政法人評価制度委員会へ通知後、同委員会において点検が行われ、その点検結果に基づき出される意見を踏まえ、厚生労働省において次期中期目標案を作成することになります。そして、その次の中期目標案について、来年1月以降、再度、独立行政法人評価制度委員会の審議に付されることが予定されているため、次期中期目標案についても、来年1月ごろに本ワーキンググループでの意見聴取を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
最後に、構成員の皆様におかれましては本日配布した資料の送付を御希望される場合には、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上でございます。
 
○真野主査
ありがとうございました。それでは本日はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたりありがとうございました。
 

(了)

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