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2018年7月9日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第14回)議事録

○日時

平成30年7月9日(月) 15:26~17:42

 

○場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)
 

○出席者

真野主査、五十嵐構成員、梅里構成員、河村構成員、名里構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

○議事

 

○真野主査
それでは定刻より3、4分早いのですが、委員や法人のほうも揃いましたので、今回は2回分を1つにするということで少し時間が読めないところもあり、多少早いのですが、始めさせていただこうと思います。今回は第14回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉のワーキンググループです。構成員の先生方、本当に暑いというか蒸すというか、ありがとうございます。議事に入ります前に、新任の構成員の方2名を御紹介させていただきます。4月1日付けで、公益社団法人地域医療振興協会シニアアドバイザーの梅里良正先生、株式会社日本総合研究所調査部上席主任研究員の河村小百合先生に構成員として御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、石井構成員と石渡構成員が欠席になります。それでは早速本日の議事について事務局から御説明お願いします。
 
○政策評価官室長補佐
政策評価官室長補佐の加藤と申します。本日はどうもよろしくお願いいたします。本日は、「福祉医療機構」につきまして、「平成29年度業務実績評価」及び「中期目標期間実績評価」に係る意見聴取を行うこととなります。
御意見を頂くに当たり、昨年までは、全ての評価項目について法人から説明を行っておりましたが、今年からは、自己評価が「「A評定以上の項目」及び「定量的指標の達成度が100%未満にも関わらず「B評定」であるもの」など、事務局が指定させていただきました項目について、法人から説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。
それ以外の項目については、法人からの説明は行いませんが、御意見がある場合には、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。
法人からの説明項目は、参考資料9「福祉医療機構 評価項目一覧(年度評価・期間実績評価)」の中の網掛けされているものとなります。議事の流れとしては、「年度評価」の各項目について、一通り御意見を頂いたあとで、「期間実績評価」の御意見をお伺いいたしますので、「期間実績評価」における法人の説明につきましては、既に「年度評価」で説明された内容は極力省略の上、御説明のほどよろしくお願いいたします。
 
○政策評価官
続きまして、私のほうから参考資料1について、できるだけ手短かに説明させていただきたいと思います。今、補佐のほうから説明がありましたとおり、今後の有識者会議では、ちょっと評価項目を絞って御議論いただきたいと思っております。この趣旨は、特にB評定以外になる場合について、特に明確な評価の根拠を主務大臣評価に当たり求められているということで、主務大臣としても評価が難しいところに絞って御意見を頂きたいという趣旨です。
また、平成27年に独法の評価制度が大きく変わりましたが、そのあと評価実績の蓄積も進んできたことから、参考資料1におきまして、特に数が多いA評定を中心に、総務省などの指針などに示されている評価の考え方を改めて事務局のほうで整理いたしましたので、これをざっと御説明させていただきたいと思います。
表紙の次のページの1枚目です。個別の評定区分の意味は、前年まで御説明してきた内容と同じですが、改めて示させております。評定区分は、5段階評価で、B評定が標準です。そのほかに、5項目のうちのA評定を御覧ください。A評定は、中期計画目標における初期の目標を上回る成果が得られているものがA評定になります。点線で囲っておりますが、定量的指標がある場合は中期計画の達成度120%以上、また指標がない場合には初期の目標を上回る成果をきちんと説明する必要があるということが大原則になっております。
次ページに進みまして、主務大臣による「A」評定の判断ポイントを、更にブレイクダウンして書いておりますので、ここについても説明させていただきます。1の(1)は、定量指標が全て達成度120%以上の場合です。このときは基本的には、A評定となると考えられますが、例えば毎年、達成度が非常に高いといった場合には、そもそもの目標設定が妥当であるかということも検証すべきと、総務省から指摘がありますので、委員の先生方には、その目標設定の妥当性も含めて御意見を頂きたいと思っております。
次に、1の(2)ですが、複数の定量指標のうち一部のみ達成度120%以上のケースです。あるいは目標が非常に広くて、定量指標が本当に一部しか定められていないというケースがありますが、こういう場合は基本的に、自動的にA評定ではなくて、その評価項目の難易度の検証とか、定性的な成果の説明が必要となります。法人のほうから説明があると思いますが、きちんと成果の説明があるかということについて、委員の先生から御意見なり御質問なりを頂ければと思っております。
2番の定量的指標がない場合ですが、(1)参考指標などの実績値を用いて「成果」を説明することも可能となっておりますが、実績値が基準の120%だったから、イコールA評定ではなくて、基準となる実績値の設定等に関する考え方がきちんと示されていることが重要であると考えております。
(2)定性的な成果の説明ですが、この「成果」については、法人の直接的な活動結果だけだと、「成果」としては不明確な説明とされやすいことがありますので、きちんとアウトカムが説明できているかというところが見ていただくポイントになると思っております。
3番目は、難易度を考慮した評価の引上げとありますが、総務省の指針では、中期目標に難易度を設定した項目については、評価のときに、評価を1段階引き上げることができるとされております。例えば達成度が100%であってもA評定にすることが可能になっております。ただし、本ワーキングについては、法人が3つありますが、今の計画期間が、計画が定まった後に制度が変わったこともあり、難易度がちゃんと中期目標に設定されていない状況になっております。評価の自己評価書などには難易度が書いてありますが、これはあくまでも、自主的に付けられている難易度ですので、評価のときには、現時点では参考ということで見ていただきたいと思っております。仮に正式に中期目標に難易度が付いてあったとしても、本当に難易度が高い項目であるかどうかは評価の度に一応、検証することになっておりますので、難易度が高いかどうかについても、きちんと見ていただいた上で、A評定がどうかということを御意見いただきたいと思っております。ちょっと駆け足になりましたが、以上のとおりです。実は、次のページ以降で、今までの事例の蓄積を少し整理して総務省から良い評定だとか駄目な評定とか言われた事例を少し整理しておりますので、御参照いただければと思っております。以上ですが、主務大臣から、適切な評価をできるように評定の根拠・理由に着目して、有識者の皆さんから御意見いただければ大変ありがたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 
○真野主査
それでは、早速議事に入りたいと思います。最初に平成29年度の業務実績評価に係る意見についてということで議論したいと思います。最初に国民に関して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項ということでやっていきたいと思います。やり方としては、最初に法人の業務概要について、1~2分程度で簡潔に説明をお願いして、その後、先ほどから説明がありましたように、年度評価のうち自己評価が「A」評定以上の項目と「B」評定で定量的指標が100%未満の項目を中心に議論しますので、全部ではなくて6つさせていただくということになるわけです。
最初に、「1-1 福祉医療貸付事業(福祉貸付事業)」について、法人から「評価の要約」の記載内容を中心にポイントを絞って簡潔に御説明をお願いいたします。では、お願いします。
 
○福祉医療機構企画管理部長
福祉医療機構企画管理部長の佐藤と申します、本日はよろしくお願いいたします。私から御用意いたしました資料1-1、パワーポイントの資料ですが、平成29年度業務実績について御説明をさせていただきます。
まず2ページをお願いいたします。まず私ども機構の事業体系でございます。「ニッポン一億総活躍プラン」や「日本再興戦略」など、国の施策に基づき福祉・医療に関する多様な事業を一体的に実施し、地域の福祉・医療の向上に資することを目的に、平成29年度も引続き、下の箱にございますとおり、16の項目について評価いただくこととしております。
平成29年度の自己評価につきましては3ページをお願いいたします。平成29年度におきましては、自己評定をAとさせていただいている項目は4項目です。1-1の福祉貸付事業、1-2の医療貸付事業、1つ飛びまして1-4の福祉医療経営指導事業、更に1-6の退職手当共済事業としております。
そのほかの12項目につきましては、B評定とさせていただいております。具体的な内容につきましては次のページから御説明いたします。
4ページをお願いいたします。まず福祉医療貸付事業のうち福祉貸付事業ですが、「自己評定A」としております。上の箱の一番下に、重要度「高」の理由がありますが、少子高齢化が進展し、福祉サービスの安定的かつ効率的な提供体制の構築が喫緊の課題である中、社会福祉施設等の整備に対して資金を提供する事業は重要と考えております。目標としては、(1)政策優先度に即した政策融資を実施すること、(2)資金需要に迅速かつ機動的に対応すること、併せて(3)利用者サービスの向上を図ること、さらに、(4)民業補完推進の観点から協調融資金融機関数を拡大すること、(5)審査業務及び資金交付業務の平均処理期間をそれぞれ30日以内、15営業日以内とすることとしております。
それらの目標に対し、下の箱は実績ですが、(1)毎年度厚労省関係部署と調整の上で策定しております融資方針に基づき融資を実施し、また(3)ですが、貸付先を対象としたアンケート調査で97.6%から「満足した」との回答を得るなど、利用者サービスの向上が図られており、所期の目標を達成していると考えております。
そのほかの目標につきましては補足資料で御説明いたしますので、5ページをお願いいたします。私どもの借入申込受理・審査の状況ですが、福祉貸付の場合、介護基盤の緊急整備や待機児童解消加速化プランなど、国の施策や介護保険事業計画の初年度、最終年度といった各自治体の整備計画の動向により、整備数が多い年や少ない年が多少ございますが、概ね各年度2,000億円をベースに需要があり、それらに適切に対応しております。
6ページです。当機構では、国の施策に沿った優遇融資を実施しております。例えば、子育て安心プランに基づく保育所、認定こども園につきましては、437件393億円の融資。特養待機者解消のためということでは、特別養護老人ホーム並びにグループホームに対して225件1,203億円の融資。更には災害融資やスプリンクラー整備、耐震化の整備など、呼び水としての優遇メニューを整え、地域における社会福祉施設の基盤整備を支援しています。
7ページです。利用者サービスの向上ということでは、融資相談会を全国8ブロック、計16回開催したり、平成29年度は都合58回、関係団体等に赴き制度説明を行うなど、事業計画の早期段階からの融資相談を心掛けています。また、協調融資の推進といたしましては、全国地方銀行協会との意見交換を厚労省及び財務省を加えた四者により行っております。昨年度は、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会など、更に枠を広げて取り組んでいるところでございます。結果といたしまして、その下、協調融資金融機関数につきましては362機関まで拡大し、中期計画を達成することができております。
また、もう1つの数値目標ですが、一番下のとおり、審査処理期間につきましては27.9日、資金交付処理期間につきましては7.6日となっておりますので、福祉貸付については自己評定を「A」としております。以上が最初の項目となる福祉貸付についてでございます。
 
○真野主査
ありがとうございました、今の御説明は福祉医療貸付事業の中の福祉のほうの貸付事業ということですね。それでは、御説明がありました事項について御意見や御質問がありましたら、よろしくお願いします。
 
○松原構成員
地銀さんとの意見交換なのですが、どのような意見があったのでしょうか。例えば問題点など、指摘されたことがあれば教えてください。
 
○福祉医療機構企画管理部長
意見交換会自体を実施するということについては、かなり地銀協さんにも評価はいただいているところです。ただ、今、どうしても金利が低い水準にあるものですから、機構の金利に合わせた金利設定をしないとなかなかお客様に満足いただけないというような御批判はいただいております。
 
○福祉医療機構理事長
民間金融機関との間の意見交換なのですが、まず地銀協さんと始まり、現在は第二地銀協さん、信用金庫協会さん、信用組合中央協会さんと行っています。各団体によって若干、トーンが変わっておりますが、総じて好評です。地銀さん関係では、地銀協さんと第二地銀協さんとの間でかなり活発にやっているわけですけれども、そこにおいては、事務プロセスについて分かりやすくするというようなところは大変よかったということで御好評をいただいていると思っています。
ただ、福祉医療機構の目指す福祉医療基盤の安定と公費・社会保険料など国民的負担も抑制する支援、それから民間金融機関の目指す「株主利益の最大化」というのはベクトルが違いますので、意見が完全に一致をみるということはないと言っていいのだと思います。そういう意味では、福祉医療機構としては、政策は政策として、やるべきところはしっかりやるということは、昨年の意見交換会の中で厚生労働省からも言っていただいております。
民業との関係ですが、補完関係にありますので、しっかりそれぞれの持ち分を生かし、その範囲でやっていくということでございます。我々の協調の仕方の軸足は福祉医療基盤の安定と進化、これを目的に協調を進めていく。ただ、その協調を進めていく中で民業自体の拡大もありますので、そこに方向性の一致が大枠として見て取れます。ただ、個別についてはもちろん様々な議論があります。それはお互いの立場をしっかり全うしていくということと、その上で課題解決の糸口を探る意見交換を行うもので、現状は大変堅実な意見交換会が実現できていると思っています。そこで意見の表明がなされたことには、両者とも建設的に知恵を絞っていると思います。
 
○真野主査
よろしいですか。
 
○松原構成員
金利の差は当然あるでしょう。それは置いておいて、例えば、もうちょっと具体的に、「地銀のほうは払えないのだけれどもWAMさんのほうだけは払っているかもしれないと。うちのほうは払ってもらえないんだよね」とか、そういう話は出ていないのですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
ある意味、私どもは特殊な業態にお貸ししているというところがございます。お尋ねいただいた話とは少し異なりますが、一般の企業にお貸ししているノウハウだけでは、なかなか将来を見込めないことがございますので、どちらかと言えば協調融資機関には良い印象を持っていただいているというか、「WAMがお貸しするのであれば我々も協調しやすい」という意味のお誉めの言葉はいただいております。
ただ、私どもの制度には融資率というものがありまして、大きな金額を融資する際、WAMがそれほど持っていかなくてもいいではないかということも御批判としてはございます。そこは理事長が先ほど説明しましたとおり、各々ケース・バイ・ケースで、お互いに了解をし合っていくというような流れがほとんどだと思っております。
 
○真野主査
ありがとうございました。
 
○河村構成員
御説明、ありがとうございます。今、御説明くださった中で協調融資の金融機関数の拡大ということで、覚書締結金融機関数が増えたということで達成度163%と書いてあります。
私は今年からこの評価に関わらせていただくことになりましたので、そもそもの目標の設定の在り方の問題かなという気もします。協調融資の金額、残高や年度ごとの融資の実行の金額や残高、それはどうなっていますか。それをお尋ねしたいと思います。
 
○福祉医療機構企画管理部長
事業費を100といたしますと、福祉貸付の場合は大体5割程度が私どもの融資になります。3割が補助金、あとの15%程度に協調融資が入ってくるというのが大体のパーセンテージの割合です。金額は手元にないのでお示ししかねますが、基本的には大きな事業になればなるほど、協調融資の割合が高くなっていくというのが傾向としてはあるのだろうと思っております。
 
○河村構成員
そういう数字がお手元にないというのはちょっとびっくりいたしました。非常に大事な数字だと思います。覚書を締結すれば済むという話ではなくて、きちんと目標にもはっきり書いてあるわけです。(4)で、民業補完推進の観点から、ノウハウ等を民間金融機関に提供するとともに、併せ貸しの一層の普及に努めるということになっているのに、要するに覚書だけ締結されればいいと。実際の協調融資が進まなくていいのか。そもそもの目標の設定を、今さら私が申し上げるわけにもいきませんが、そういうところで、果たして覚書締結機関数だけで高く評価していいのかなという気がいたします。
もう1つお尋ねします。6ページに、融資率の引上げということをお書きになっていますね、90%、90%、90%というように。これは要するに、WAMさんとして融資率を上げられるということは、民間から出てくる部分を減らしてということで、これは国の政策上の意向を受けてやっていらっしゃるということでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
融資率を引き上げるということにつきましては、やはり緊急整備がどうしても必要というような場合、私どもだけでも対応できるようになるべく引き上げておくということで、財務省への予算要求事項として、国に認めていただいた部分だけは融資率を高くしております。普通の一般的な緊急整備に該当しない融資については、融資率70%や60%となっております。特に、どうしても緊急的に整備が必要なものについては毎年、国に予算要求という形で了解を取りつつ、9割をセットしている。ただ、当然のことながら、法人の財務内容によっては、私どもが90%をお貸ししなくても、メインの金融機関さんだけでやっていただけるという部分もございますので、そういったものについては、融資相談の中で、「メインの金融機関を作ってください」ということをお願いしたり、「ここは協調融資をもう少し多く引き出すような形で、この事業計画案をお進めになったらいかがですか」というようなことを提案させていただいております。
それから金額ですが、先ほど申しましたように、私の手元にないということでございましてデータがないということではございません。申し訳ありませんでした。審査額で言いますと、協調融資の割合ということで言いますと、総事業費として大体2,000億近くをお貸ししているわけですが、そのうち民間金融機関が入っている事業計画のみでいきますと、施設によって違いはありますが、総額で言いますと約258億円が協調融資、私どもが約1,000億円という内訳でございます。
 
○河村構成員
変化はどうなっていますか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
経年で申しますと、民間の割合というのは、第3期の初年度で申しますと11%程度です。
 
○河村構成員
11%というのは件数ですか、金額ですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
金額でお話させていただいております。11%だったものが、今は13%程度になっており、また、途中の年度においては14%になったり数字的にはぶれがありますが、基本的にはそのぐらいのパーセンテージとなっております。
福祉貸付事業の場合は、障害の施設であるとか児童の施設であるとか、補助金がかなり多めに出て、その分融資がなかなか入りにくいという部分がございますので、そういった小さな施設については、私どもと補助金というようなケースが非常に多くなっております。
 
○河村構成員
分かりました、数字も頂いてありがとうございました。ただ、今の数字を伺っていると、やはり11%だったものが13%にということで、ちょっと増えているのかなと思います。覚書を締結した金融機関数の達成度が163%という数字から受けるのとは随分違う実態が見えてくるのではないかという気がいたします。
先ほどの融資率についても、やはり本省側というか、国の側の政策運営上のいろいろなお考えがあって90%となるのでしょうけれども、もちろんそれに従ってなさるしかないと思います。それは本省側の問題かと思いますけれども、今後の目標を民業、ほかの推進ということを前々からWAMさんもやっていると思いますが、そういうことを目標に掲げておきながら、この融資率を上げるということはWAMがどんどん出てくるということですよね。果たして、それを前向きに受け止めて高い評価に結び付けていいのかなという感じがいたします。これは個人的なコメントです。すみません、ありがとうございます。
 
○真野主査
ありがとうございました。確認ですが、そうすると融資率の90%というのは6ページに書いてあるものが全てということですか、ここに幾つか90%と出ていますね。これがそうですね。
 
○福祉医療機構企画管理部長
全てではございません。例えば、震災に備えて高台移転をしなければいけない事業に対しては、土地取得資金などが入ってきた上で、大きな融資をするということになりますので、そういったものは特に90%としておりまして、ここにあるものだけということではございませんが、基本的には毎回、緊急整備が必要なものであるとか、例えば、医療・介護の耐震化整備など、収入が上がらないけれども設備投資はしなければいけないというような事業に対しては、なるべく高い融資率を適用できるような形とさせていただいています。
 
○真野主査
ありがとうございました。1-1は、ほかによろしいですか。はい、お願いします。
 
○梅里構成員
民間の金融機関が貸し渋っているとき、WAMの融資で救われた医療機関や福祉機関というのがかなりあります。そういった意味では、社会的役割を非常に果たしておられるというように思っております。
民間が渋るとか、一定の経営の状況がありますよね。それと同じような判断で、貸さないというようなことをしていたのではWAMらしさがないわけですが、そこを踏み込んで更に焦げ付かないところ、その辺の判断基準というのは、WAMのほうでは何か一定の基準をお持ちなのでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
基本的にはケース・バイ・ケースです。私どもは、地域医療であるとか地域福祉というものに欠くことができない施設につきましては、償還確実性ということは視点に置きながら、地域にとってどうしても必要な施設だと判断した場合には、少々財務状況が悪くとも、お貸ししております。
ただ、それについては債権管理という部分で、「開設から3年目まではずっと見守らせていただきます。また、何か不測の事態が起きれば、すぐに経営改善という形でコミットします。」というような対応をさせていただいております。ですから、返せないかもしれないので貸さないということには、必ずしもなっておりません。
 
○梅里構成員
いいですか、先生。
 
○真野主査
はい。
 
○梅里構成員
実際に審査した結果、融資できないという判断をされたのはどのぐらいあるのでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
これは本当に僅かしかございません。年間1%もないぐらいの割合だと思っております。
 
○梅里構成員
もう1つだけ、すみません、審査件数と融資の契約件数で、契約件数のほうが多い数字があります。これはどういう意味なのでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
これは、私どもが審査をいたしますと、法人の建設計画の進捗によってお金を資金交付します。資金交付というのは、基本的には前年度や前々年度に審査が終わっていますので、ここに若干のズレが生じているという状況です。
 
○梅里構成員
ありがとうございました。
 
○真野主査
ありがとうございました。
 
○福祉医療機構理事長
民業補完のところで、もう少し話を整理しておいたほうがいいと思いますのでお話させていただきます。
WAMが民業と協調をしている目的は、先ほども申し上げたとおり、「福祉医療基盤」の安定と利益のためです。民間銀行には、株主利益の最大化の責務がある一方、Fiduciary Duty(顧客利益優先責務)もありますから、借り手の立場・利益を優先して物事を考える必要があるかと思います。そこに寄って立つと、最終的な判断は、やはり借り手がなさるということだと思います。国の定めた制度の枠組みの中で、我々の融資する期間の年限と金利の状況を考えると、WAMの融資率が高くなることは経済合理性のある判断だと思います。
今、ちょうど議論になったのが福祉貸付事業ですけれども、福祉貸付事業の中で協調融資の民間の金融機関が積極的に入ってくるところは、大型の特養などの金額の大きいもの、プロフィタブルで手間がかからないところは積極的に入ってこられます。ところが、1件当たり1億に満たないような保育所の施設や障害者施設の案件では、施設側から、WAMの融資に加えて、更に金融機関に協調融資をお願いしても、審査の得意分野では必ずしもないとするところもあり、意外と入ってこられない金融機関が多いという現実があります。
これが大型の病院施設になりますと、また全く話が違っておりまして、ここは民間金融機関としてやりたいという状況があります。協調融資ないしは併せ貸しについては、我々は原則借入に民間の活用も要請するスタイルを貫いています。この我々のスタイルと金融機関の強いアピタイトが合致する大型病院では、その成果も件数ベースで高い水準です。その意味で、民間金融機関のやりたいところ・やりたくないところというのはちょっと色分けがあると思っています。数字の評価につきましては、いろいろお考えもあられるかとは思いますが、なぜ我々が協調融資を積極的に進めたいかということは、民間金融機関の株主の配当を増やすためではなく、重要なサービス提供の責務を担い、税や社会保険料などの国民的拠出で支える福祉医療基盤の安定を確保するためです。WAMの融資目的というのは国の政策として定められており、限定列挙です。万が一の運転資金で応じられないものもございます。そこに対して、民間からそういうものについてもフレキシブルな対応ができる体制を作っておきたいという思いがあります。そういう意味では、1つの目標の設定の仕方、その評価ということだけではなくて、かなり複合要因があって現状があるということが、先ほどの数字の背景にあることを御理解いただきたいと思います。
 
○河村構成員
ありがとうございます。ただ、このように中期目標を設定されておりますし、理事長もおっしゃられるように、借り手に全て決めてもらうということになると、どこの政策金融の世界でも、やはり国に借りるほうがいいということになってしまう。果たしてそれでいいのかどうか。なぜ、このような民業補完の推進の観点からと書かれているかというのは、金融のそもそもの機能に立ち返った考えなどがあるはずです。
それから、先ほど貸し渋り云々という話がありましたが、ここ5年ぐらいの金融情勢を考えれば、これだけジャブジャブに質的緩和を日銀がやっていて、貸し出し先がなくて、民間金融機関は仕方がないから日銀の当座預金に山のような資金を預けているような状態にあるわけです。もちろん、かつてのように貸し渋り、貸し剥しなどということが問題になった時代はあったと思います。だけど、その時々で金融情勢も変わっていきますので、ここで掲げられた中期目標がどう達成されるべきかということは、やはりその時々にきちんとした金融情勢に関していろいろ考えて判断をしていかなくてはいけないのではないかと思います。
理事長が御説明くださったような民間金融機関は手を出しやすいところには出すけれども小さいところにはなかなか出さない。もし、そういうことがあるのであればそういうところをきちんと、そういうところでこそ、WAMが対応していらっしゃるのかということをきちんと御説明いただきたい。全体の数字としてどれだけ本当に伸びているのか。先ほど私が貸出の金額をお尋ねしたところ、ちょっと正直申し上げて、あの数字では伸びているというか、A評定になるような数字なのかなと思いました。この項目全体としてA評定というのはちょっとどうかという感じが私はいたします。やはり何でも出ていけばいい、できるだけWAMが仕事をすれば、出ていってどんどん融資すれば評価が上がるということには、ちょっとこの項目というのはそもそもの目標の立て付けからしてならないのではないかと思います。以上は意見です。
 
○松原構成員
もともと、福祉という所は、最近は営利も増えていますが、もとは社会福祉法人が圧倒的、特養は当然、今は社福しかできないわけです。今までは補助金で随分建てていたわけです、補助金率が随分減っていますが。だから、建物自体が担保に入れづらいわけです。民間がやりたくても、そういう担保の問題もあります。あと、小さいのは、うま味がないから、やらないというのもあります。医療のほうとは、また全然、福祉の貸付のほうは協調融資の難しさが全く違うなと私は認識しています。だから11%が13%に上がったという、この妥当性云々というよりも、そもそも福祉サービスにおける担保が難しいとか、そういうバックグラウンドがあります。
確かに、金融はダブついていますけれども、これはまた、いつ変わるか分からない。実際に、ものすごい貸し剥しで病院だけでなく困った時があったので、そういう意味でも政府系金融機関の役目、特に民間が手を出しづらいところでWAMが出張っているというのは、意味があるかなと私は解釈しています。
 
○真野主査
いろいろ議論もあると思いますが、大分時間が過ぎてしまいましたので、次に1-2をお願いします。今度は医療のほうの貸付ですね。お願いします。
 
○福祉医療機構企画管理部長
それでは、8ページです。医療貸付事業につきましても、「自己評定A」としております。重要度につきましては、福祉貸付と同様の部分もございますが、こちらに記載しておりますとおり、超高齢化社会に直面する中、医療・介護サービスを持続的、かつ効率的に提供していくことが課題であり、医療施設の整備につきましても、資金を提供する本事業は重要度が高いと考えております。
また、目標も福祉貸付と同様です。(1)政策優先度に即した政策融資を実施すること。(2)資金需要に迅速かつ機動的に対応すること。(3)相談等を適切に実施し、利用者サービスの向上を図ること。さらに、(4)併せ貸しの一層の普及に努めるとともに、(5)審査業務及び資金交付業務の平均処理期間をそれぞれ30日以内、15営業日以内とすることとしております。それらを踏まえまして、下の実績です。(1)地域医療介護総合確保基金等に基づく整備や、耐震化整備など重点的に融資を行うとともに、(3)貸付先を対象としたアンケート調査でも、98.8%の方から満足したとの回答を得るなど、利用者サービスの向上が図られていると考えております。
また、そのほかの事項につきましては、補足資料で説明しますと9ページです。借入申込受理・審査の状況についてです。平成25年度は突出しておりますが、これは、平成26年4月1日に消費税が引き上げられたことに伴う駆け込み需要によるものです。病院の耐震化などにつきましては、コンスタントに1,000億程度の需要に対し的確に審査を実施しており、地域における医療基盤の整備等に貢献していると考えております。
10ページです。医療貸付事業においても、いまだに未耐震の病院が3割程度を占めているという調査結果も出ておりますので、医療施設の耐震化や、各都道府県で平成28年度までに策定した地域医療構想の実現を支援することとしております。また、東日本大震災や熊本地震などの被災者の皆様には、復旧・復興のため、きめ細かな対応をしております。
11ページです。利用者サービスの向上として、機構が主催する個別融資相談会や個別訪問相談など、私ども機構が主催するセミナーも利用しながら行っております。また、厚労省が全ての病院に対して実施しました耐震化状況調査において、耐震化整備融資制度の案内を添付いただくなど、制度周知も図っています。また、併せ貸しの普及では、福祉貸付と一体となって情報提供や意見交換会などを実施するとともに、5,000㎡を超える大規模施設における協調融資の利用を必須化するなど、併せ貸しの拡大に取り組んでおり、数値目標である審査処理期間は19.5日、資金交付処理期間は8.4日となっていることから、医療貸付事業につきましても、自己評定「A」としております。医療貸付事業については以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。それでは、御意見、いかがでしょうか。
 
○河村構成員
ここの項目についてもA評定となっているのですけれど、こちらの大きい項目別の評定調書も拝見していますけど、この項目について定量指標で目標を設定されていたのは、貸付審査期間の短縮と資金交付の迅速化のところだけですかね。ほかはないのですか、ほかもありますか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
医療貸付の場合は、基本的に第3期中期計画の目標自体が、先ほど政策評価官室からも説明があったように、そもそも定量目標というのが平成26年度から入った制度で、法律上の立て付けとしては第3期中期目標自体は経過措置的に、そのガイドラインが出る前の目標をそのまま引き継ぐという立て付けになっています。もともとは福祉貸付についてのみ協調融資機関という定量目標がありましたが、私ども、その後、福祉貸付と医療貸付を統合した時点で、医療貸付についても協調融資という制度を導入したという経緯がありますので、第3期計画を策定した時点では、医療貸付にはございませんでした。従いまして、医療貸付については、平均処理期間だけが定量目標になっております。
 
○河村構成員
分かりました。ありがとうございます。それも踏まえた上でお尋ねしますけれども、A評定になっているのですが、もちろん最初の目標を立てたときの独法の制度の問題も、もちろん旧法下だったと思いますので、あるとは思うのですけれども、A評定って相当高いと思うのですよね。さっき牧野政策評価官も説明くださったと思うのですが、よくやってらっしゃるとは思うのですが、Aにまでもっていく根拠はどこですか。今の定量だけからは、さすがに無理があるというか、貸付の申込受理や貸付審査の推移を棒グラフで示されていて、年ごとに凸凹があるのはどうのということではないと、私ももちろん思います。よくやっていらっしゃると思うのですが、「B」は普通によくやっているということだと思うのですが、「A」だと自己評価されることの根拠はどこかをお尋ねしたいと思います。
 
○福祉医療機構企画管理部長
基本的には定量目標が120%以上であるということ。その目標の立て方自体に問題があるかないかということは、第3期中期計画の目標設定の中では余り議論になっていなかった部分です。その後、「評価に関する指針」の中で120%以上は評定がAとなりました。なお、定性的な評価も踏まえて、A評定としている理由ですが、これは福祉貸付とも重複するのですが、地域医療の維持・存続について、かなり丁寧にきめ細かく対応していると私どもは思っております。例えば東日本大震災が発災したときの対応であるとか、その優遇融資の条件の作り方など、そういったものを含めて様々な取組を実施しているということで、A評定と考えております。
 
○河村構成員
コメントですが、今日の今回の説明では定量の指標は限られているので、それは分かるのですが、ほかの部分は定量の指標はないと思いますので、いろいろな所でデータや実績を示して説明いただかなければいけないと思うのですけど、ちょっと今日の説明だと、「A」なのかなという感じは、個人的にはします。
 
○真野主査
ほかは、御意見いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、次の1-4です。これも「A評定」ということですので、説明をお願いします。
 
○福祉医療機構企画管理部長
それでは、15ページをお願いいたします。1-4、福祉医療経営指導事業につきましては、「自己評定A」と考えております。重要度「高」の理由の所に記載しておりますが、福祉医療サービスを担う経営主体の経営の効率化のために機構が保有するノウハウを活用し、施設、法人が健全に安定した経営が行えるよう支援することが重要だと考えております。目標では、それらを支援する手法として、1つはセミナー形式により、施設の健全経営に必要な情報を広く経営者等に提供すること。2つ目として、それら情報の分析・提供の充実に努め、経営診断機能をより高度化することを目標としております。
具体的には16ページになります。まず、各数値目標ですが、1セミナー当たりの受講者数は、180人の目標に対して238名。また、役に立ったかどうかのアンケート調査を実施しておりますが、その結果であるセミナー有用度も、目標80%に対して97.5%。さらに個別経営診断では、診断件数の目標280件に対して429件。さらにアンケート結果による診断有用度ですが、目標の8割に対して94.5%の方から満足を頂いております。更に平均処理期間についても、50日の目標に対して24.8日ということで、いずれも高い達成度となっている状況です。
次に、17ページです。私どもが提供いたします情報の充実、高度化については、社会福祉法人の制度改革や、地域共生社会の構築などの政策動向に関する内容に加えて、施設の整備計画策定や、資金調達の多様化に関するテーマ、更には優良実践事例の紹介など、機構の独自性を打ち出しながら法人経営の一助となるよう内容の充実に取り組んでおります。また、民間金融機関への経営指導ノウハウの普及ということでは、民間金融機関の求めに応じて、研修会の開催や外部講演の講師派遣などを行っております。さらに経営指導ノウハウに係るデータ提供やニーズ調査を実施しているところです。
18ページです。広く関係者の方々に公表し、活用してもらうという観点から、私どもでは、例えば特別養護老人ホームの経営状況や施設を整備する際の建築費など、テーマを絞ったリサーチレポートを発信しております。さらに、内部統制診断や、収支計画策定支援という法人の多様なニーズに対応した個別支援プログラム。更には、四半期ごとに実施している社会福祉法人の経営動向調査など、情報の収集・分析に力を入れるとともに、横浜市からの受託による次期保健医療プランの策定支援や、八戸市からの受託による、同市が所管する社会福祉法人に対する研修など、活用方法の多様化などにも取り組んでいるところです。以上により、「自己評定A」としております。
 
○真野主査
ありがとうございました。この項目について、御意見いかがでしょうか。よろしいですか。お願いします。
 
○梅里構成員
2つですかね、セミナーの1回当たりの人数は分かったのですが、これはなかなか、来て受講していただくということだと、数にも限界がありますよね。せっかくWAMが得た知見をできるだけ広めていくという考え方からすると、セミナーをDVD等で撮影したようなものをネットで閲覧できるようにするとか、そのようなことをされているかどうかを伺いたいのですが。
 
○福祉医療機構企画管理部長
今は、そこまではやっていないのが現状です。講師の先生の資料等で著作権の問題があるため、なかなかDVDにしてというようなことは難しいということでございます。
 
○梅里構成員
でも、WAMの作り上げていた経営指導のノウハウで、セミナーを実施されているのではないのですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
基本的には、WAMの職員が講師を務めるような部分については公開できるだろうと思っておりますが、そこは今はやっていません。
 
○梅里構成員
検討をしていただければと思います。それと、もう1つ、ガバナンス診断のプログラムというのがあったのですが、これの実績がないのですが、これは何か理由があるのでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
ガバナンスにつきましては、最近プログラムを作ったばかりということが1つあります。特に、改正社会福祉法等で評議員会の役割など公になっている部分となりますが、現実問題として、自分の法人のガバナンスについて機構に見てもらうというインセンティブがまだ働いていないということだろうと思っております。
 
○梅里構成員
医療機関か何かで結構、様々な医療事故が起こって、ガバナンスの欠如が指摘されていて重要な視点になりつつあるので。今、始めたところということですよね。
 
○福祉医療機構企画管理部長
はい、平成26年度から開始しております。
 
○梅里構成員
26年度からですか。26年度からで、まだ1件もないですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
実績として、26年度は2件。27年度は1件という、かなり小さな数字ですけれども、実績はございます。
 
○梅里構成員
分かりました。ありがとうございます。
 
○真野主査
ありがとうございました。最初に梅里先生の御指摘のあったWAM NETでのいろいろなセミナーの公開は、今回議論になりませんが、WAM NETの定量目標にもアクセスが多いというのはありますものね。だから、そういうことも含めて多分、もちろん録画したのを著作権のある人に許可を取っているのだと思いますが、民間では公開している例も多々あると思うので、理屈上はできると思うので、機会があれば、御検討いただければ。
 
○福祉医療機構企画管理部長
そちらについては、今日の御意見も踏まえまして、前向きに検討させていただきたいと思います。
 
○真野主査
よろしくお願いします。
 
○河村構成員
今の項目の意見なのですが、医療法人や社会福祉法人向け、本体に向けてのいろいろな経営の御指導と、それから、そこにお金が貸せるかどうか、民間金融機関に経営を見たり、指導するノウハウの普及と両面でいろいろやっていらっしゃると、これは数字からよく分かるとは思うのですが、まだもっと頑張るところで余地があるのではないのかなと。で、ここでお示しくださって、目標を結構高く達成していらっしゃると思うのですが、これはある意味、一種のアウトプット指標だと思います。ですから、あと、例えば民間金融機関への経営ノウハウ、指導ノウハウの普及がもっと進めば、それは、ここのアウトプットの指標が上がるだけではなくて、最終的にはアウトカムとしてどこに出てくるかというと、民間金融機関が、どれだけ社会福祉法人とか医療法人にお金を貸せるかという、残高の所に明らかに出てくるはずではないかと思います。ですから、今回は既に設定された目標があると思いますが、今後はそういう所も是非、意識されて、より積極的に取り組んでいただけると有り難いのではないかと思います。以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。よろしいですか。次が1-5でよろしいですか。こちらは「B評定」ということですが、多分100%を切ったのがありましたね。よろしくお願いします。
 
○福祉医療機構企画管理部長
19ページです。今、真野先生から御指摘がございましたとおり、この項目は「自己評定B」ですが、1つ、数値目標について100%を切ったものがありますので、そちらも含めて御説明をさせていただきます。まず、目標です。(1)政策的に必要なテーマに重点化すること。(2)助成事業の選定については公平性、客観性及び透明性の一層の確保を図ること。(3)適切に事後評価を実施すること。(5)事業効果の高い事業等の周知と、その効果的な普及を推進することとしております。
具体的には20ページになります。私どもは平成29年度においては、各団体の活動期間を十分にとっていただくため、募集時期を3か月前倒しした上で、国の「ニッポン一億総活躍プラン」を後押しするため、助成テーマを大幅に改変しております。さらに、過去の優良事例を参考にして、全国的に普及させたい事業をモデル事業として募集するなど、大幅な制度見直しを行ったところです。
一番右ですが、不正受給等に対する取組として、全助成先団体に対して、助成期間中に進捗状況確認調査を実施することとしております。また、その下ですが、「助成金支出管理システム」を導入して、助成先団体の支出管理を徹底するなど、新たな取組を行っております。また、事後評価を通じて洗い出された課題等に対しては、例えば選定方針と募集要領の一本化など、利用者の利便性の向上も図ったところです。各数値目標についても、特定非営利活動法人等への助成割合の97%を除き、全て100%を超えており、右上に記載しているとおり、達成度平均は118%となっております。また、特定非営利活動法人に対する助成割合ですが、いわゆるNPO法人、任意団体に対する割合を定量目標としておりましたが、公益法人改革に伴い、一般社団法人、一般財団法人については、これまで主務官庁による認可が設立には必要であったものが、登記のみで法人設立ができるように制度が改まっております。そのため、一般社団法人等というカテゴリーの法人に対する助成割合が増えたことによって、今回、目標数値100%まで達しなかったことになっておりますが、私どもは助成事業において、助成を応募できる条件として、定款に非営利を明記することや、一般社団法人等であっても必ず監事を置いていただくという条件の下で募集をしております。結果として、公益性は担保されていると考えているところですが、これらのことから助成事業については定性面での取組も含め、自己評定を「B」としております。説明は以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。御質問とか、これはどうでしょう。
 
○名里構成員
ちょっと分からないところがあるのですが、4番の連携効果があった事業の割合ですが、効果があったかどうかというのはどのように評価をされるのでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
これは毎年度ですが、助成先団体に対してアンケート調査を行っております。例えば、1つの事業を実施することによって、地域の市役所であるとか、高齢者の団体であるとか、こういったものと連携ができたか。あるいは、他のNPO法人と協働ができたかということについてお尋ねし、助成先団体のアンケート結果で、そこに「○」が付いていれば、連携や協働があったということで、カウントをさせていただいているものです。
 
○名里構成員
下の利用者満足度はかぶらない、別立ての項目とされているということですね。
 
○福祉医療機構企画管理部長
この利用者満足度というのは、いわゆるアウトカムの指標として持っています。助成先団体が助成金を使って実施した事業に対して、そのエンドユーザーの方が満足しているかどうか助成先団体からエンドユーザーの方にアンケート調査を実施していただいて、それを集計しているものです。
 
○名里構成員
連携というのは、助成先ではない所にも聞いているということですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
助成事業を実施したことにより、地域の中でいろいろな連携が図れたかどうかを助成先団体に回答いただいているものです。
 
○名里構成員
違うということですか。私だけが分からない。利用者満足度を助成した団体に行っていて、その中に連携効果があったかどうかという項目もあるという意味ですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
助成事業の利用者満足度というのは、助成先の団体に、その助成事業を利用されたエンドユーザーの方にアンケートを取ってもらい、その結果を集計したものです。連携があったかどうかというのは、助成先団体そのものにアンケートをさせていただいて、そこで連携・協働があったということを、回答していただいているということです。
 
○名里構成員
そういうことですか。2つ違うのですね。分かりました。
 
○真野主査
ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。大分、時間も押してきましたが、前半の最後の1-6のほうをお願いします。
 
○福祉医療機構企画管理部長
21ページです。退職手当共済事業については、自己評定を「A」としております。重要度「高」の理由にありますとおり、少子高齢化が進展する中、安定的に施設運営をしていただくために、社会福祉法人の職員の処遇改善、並びに福祉人材の確保に資するこの事業は重要と考えており、目標では(1)事務の効率化により給付までの平均処理期間を短縮すること。(2)利用者の利便性の向上及び負担軽減に努めること。(3)業務委託先との連携の在り方を踏まえ、事務の効率化を図ることとなっております。(3)ですが、業務委託先は都道府県の社会福祉協議会になりますが、この事務担当者に集まっていただき、事務打合会を開催するとともに、WAM NET基盤を活用した「退職共済事務連絡システム」を導入して、事務手続の円滑化などに取り組んでおります。
次ページをお願いします。利用者サービス向上の取組として、記載のとおり、記入誤りが多い様式や福祉人材センターが発行する求人票などの様式を、より分かりやすいものに改訂するとともに、機構ホームページとマニュアルに掲載しているFAQの見直しや、更には東京都が実施する福祉人材就職フォーラム等における周知活動などを実施した結果、給付までの平均処理期間は昨年度と比べて6日間短縮されて、36.9日となったこと。さらに、事務負担の軽減に関するアンケートでも、96.2%の方から「負担が軽くなった」と回答を得られたこと。
また、23ページですが、私どもは電子届出システムの利用促進ということで、電子届出システムについて新規加入法人や未加入法人に対する利用案内の実施や、アンケート調査結果に基づく操作性向上のためのシステム改修などを実施しております。お客様の事務負担軽減のためにこれらを取り組んだことが、私ども機構の事務負担軽減にもつながっており、結果としては新規加入法人のシステム利用申請については、目標の50%に対して76%となっています。また全体の加入率でも、期初の84%から89%に向上しています。さらに、その中でエラー発生率が0.29%、こちらは紙で提出されたときに比べて電子システムで入力いただいたものについては大幅にエラー率が抑制されたということもあり、退職手当共済事業については「自己評定A」と考えております。以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。何か御質問とか、どうでしょうか。
 
○河村構成員
この事業は、社会福祉法人等で働いていらっしゃる方々、その経済的な対価というか、いかにちゃんと確保するか、非常に大事な課題である中で大切な事業ではないかと、いろいろ取り組んでくださっていると思うのです。この項目についても、中期目標を設定した時点で私が関わっていないので言いようがないのですが、設定されている目標は事務処理の期間とか、電子届出システムをなるべく使ってもらうということで、取組をされているということなのですが、そもそも、この退職手当共済事業に入っていらっしゃる社会福祉法人が全体の中でどのぐらいの割合で、どのように変わっているのかといった辺りをちょっと御説明いただければと思うのですが。
 
○福祉医療機構企画管理部長
社会福祉法人は約2万法人ありますが、約1万7,000法人に加入いただいております。
 
○河村構成員
それはこの期間中、余り変わらないという感じですか。増える感じでもない。
 
○福祉医療機構企画管理部長
制度利用の御案内も常にさせていただいているのですが、基本的には第3期で言うと、契約者数については、それほど変動はございません。
 
○河村構成員
そもそもの目標の設定になかったのかなと思うのですが、なるべくならやはり、9割ならあれだけど、これで結構良い線という評価でいいのかどうか、ちょっとよく分からないのです。もうちょっと加入してくださる社会福祉法人とかが増えてもらえないものかどうか。私は増えたほうがいいのではないかと思うのですが、この事業の目的が、より達成されることになるのではないかなと思うのですが、その辺は余り取り組まれたりとかは、それは余りWAMさんの仕事ではない、本省のお仕事。その辺の切り分けは分からないのですけれども。
 
○福祉医療機構企画管理部長
この事業は、もともとの制度の立て付けで言いますと、国が3分の1、都道府県が3分の1、社会福祉法人が3分の1で掛金を負担するという制度でしたが、介護施設などが措置から契約方式に変更になった際に、社会福祉法人が3分の3の掛金を払って、補助金は入らないという仕組みとなりました。今回、障害の施設も契約方式になった関係で、これまで3分の1の負担で済んだものが、新規加入者は3分の3の負担になるということで、社会福祉法人の負担が相当増えるということがありますので、この制度は確かに良い制度であると思っておりますが、コストパフォーマンスを踏まえて、各社会福祉法人に決めていただくことだと考えております。我々としては、できるだけ3分の3負担の施設であっても、退職金も公務員並みとなる面がありますので、できれば加入していただきたいというアナウンスは常々させていただいておりますが、やはり1人当たり3分の3の負担になることによって、職員1人あたり凡そ5万円の掛金額が15万円の負担になるということがありますので、そこは余り無理にというのもいかがなものかというのが、現在の退職手当共済制度になっております。
 
○河村構成員
国の政策運営ということがよく分かりました。ありがとうございました。
 
○真野主査
ほかには。
 
○梅里構成員
23ページの所で、システム導入でエラー率がかなり減少したという説明を頂きましたが、この電子化後のエラーは、入力の単純な間違いとかそのようなものなのか、どういうエラーなのかということと、それを更に減少させるために何か手立てを検討されているのか、手立てが講じられる種類のものなのかどうか分かりませんが、その辺のところはいかがでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
基本的には数字だけの足し引きの部分はシステムを導入したことにより、自然と間違いが浮き上がるようなシステムにしております。ただ、エラーの内容ということで申しますと、例えば生年月日をもともと入力間違いしてしまったという、致し方のない部分がエラーの大部分です。ただし、システム自体は日々アンケート調査もさせていただきながら、直せるものは直しております。
 
○梅里構成員
システムチェックで対処できるものについては、もう既に対処しているということでしょうかね。
 
○福祉医療機構企画管理部長
はい、そのとおりです。
 
○梅里構成員
ありがとうございます。
 
○真野主査
ほかはよろしいですか。それでは、これで前半の業務の質向上の所は終わりで、次に業務運営の効率化及び財務内容の改善に関する事項について議論をさせていただきたいと思います。こちらは2-2だけですか。先ほどと同じ話で、AとかBとかというところで考えると、2-2だけがB評定で、多分、点数の定量評価の問題です。こちらで説明をお願いします。
 
○福祉医療機構管理部長
34ページです。2-2、経費の節減についてです。お話させていただく理由ですが、今回、「自己評定B」としている平成29年度評価と、次に説明する5年間を通じての自己評定を「A」としていることから、そこの「B」と「A」の違いということで、定量目標が100%を切っているかどうかということではありません。
内容ですが、目標については(1)業務方法の見直し及び事務の効率化を行い、経費の節減に努めること。(2)契約については、1,調達等合理化計画に基づく取組を着実に実施すること。2,競争性、透明性が十分確保される方法で実施すること。3,監事や会計監査人による監査において徹底的なチェックを受けることというのが目標です。さらに、(3)一般管理費及び業務経費の節減をするとともに、給与水準について検証することとなっており、特に給与水準については、下の箱の(3)の後段の部分に記載しておりますが、平成29年度はラスパイレス指数で98.4ポイントと、適切に運用されていると考えております。
また補足として、35ページで説明しますと、経費の節減ということでは、一般管理費の目標▲15%に対して1億8,600万、▲19.8%となっております。また、業務経費の目標▲5%に対して9億7,600万円、▲7.5%と大幅に削減しております。さらに、契約の適正化についても、競争性のない随意契約は、件数は前年度と変わりませんでしたが、金額では3億4,000万円の減少となっており、これらのことを実現するため、一者応札・応募に対する取組としては、公告期間を10営業日以上とすることや公告に先立ち調達予定の案件をホームページに掲載するとともに、入札辞退者に対してアンケート調査を実施し、極力一者応札とならないよう取り組んでおりますことから、こちらについては自己評定を「B」と考えております。以上です。
 
○真野主査
ありがとうございました。ちょっと勘違いしました。御意見はありますか。厳しくされたということですね。よろしいですか。業務運営の効率化は法人からの説明はこれだけということですが、今のことも含めて、御説明がなかった項目が幾つかあるわけですが、そちらについて構成員の先生方から何か御意見がありましたら承りたいと思いますが、どうでしょうか。よろしいですか。
これで一応、年度評価は終わるのですが、いろいろ御意見も出まして、我々はもともとずっと委員をやっている者と、新しく入られた先生方とおられるわけですが、いろいろお話を聞いていると、定量評価自体の議論が結構あったと思うのですが、これに関しては、今日、後半はまた今までのフィードバックですが、今後、定量評価に関しては、どのようになっていくのでしたか。今後、定量評価の考え方とか、どのようになっていきますかね。要するに、目的と必ずしも一致しないものも結構、定量評価になっているのではないかみたいな、そういう御意見だと思うのですが、これは新しく入った考え方なので、WAMに限りませんが、まだまだWAMでは余りそれをうまく消化できていないという話だと思うのですが、今後はもう少し定量評価の項目が増えたり、何かしていくということなのですか。
 
○政策評価官
そうですね。基本的には中期目標での検討課題ということになるかなと思っております。WAMさんは。
 
○真野主査
別にWAMと細かく限定しなくても、要するに新しい先生方なので、今後こうなっていくのだということが分かればと思いますけれども。
 
○政策評価官
WAMはもう新しい目標期間に入っておられますよね。そういう意味では、新しい目標期間でも、定量指標というのは設定しておりますので、またちょっと新しい目標について御意見は頂くということになると思うのですが、どうしても定量指標を新たに定める必要があるということであれば、中期目標の変更手続という形にはなると思うのですが、そこまでいかない場合には、あらかじめ定めた指標で評価をしていくということにはなりますので、目標値が妥当でない場合については、年度計画で少し修正をするというやり方もできるとは聞いておりますけれども。
 
○真野主査
目標自体の項目に関しては、ちょっと大掛かりなことになるということですね。
 
○政策評価官
そうですね。目標変更する以外については、ちょっと難しい。次の中期目標に向けた課題ということにはなってしまうかなと思います。一定程度、新しい目標で少し定量指標を見直すとかもあるとは思うのですが、それを見て、また御意見を頂ければと思っております。
 
○真野主査
分かりました。そういったことですが、よろしいですか。
 
○河村構成員
この委員会には今年から入れていただいたのですが、かつて旧通則法の時代の総務省の政策評価独立行政法人評価委員会におりまして、梅里先生が厚生労働省の担当のワーキングの主査で、そこに御一緒したこともあります。その後、行革で独法通則法の見直しにも関わったりもしておりまして、去年、厚労省の政策評価官室で資料を付けていらしたと思うのですが、総務省から指摘を受けていますよね。A評定の多い府省ということで、外務省と厚労省かな。そういうのを拝見していると、今日の議論とかも伺っていると、やはり何でこうやってA評定が多くなっているのかなというのは、正直言ってちょっと分かるような気がするところもありますので、考え方は今の総務省の独立行政法人評価制度委員会と言うのですか。きちんと考え方を示されていると思うのですが、それに従って粛々とやらせていただくのがいいのではないかなと、1意見ですが、思います。
 
○真野主査
ありがとうございました。そういうことですね。では、後半に入りたいと思います。今度は中期目標期間の実績評価ということなのですが、時間もちょっと押してきておりますし、基本、先ほどちょっと議論が出ましたが、今日、議論になる6個のうち1個を除くと評価は一緒なものですから、いちいち細かくやるよりも、違いぐらいを、ざっと法人のほうから説明していただこうかなと思います。つまり、一個一個やると時間もないので、最初の3つ、1と2と4をまとめて御説明いただけますか。福祉貸付、医療貸付と経営指導をまとめて御説明をお願いします。
 
○福祉医療機構企画管理部長
資料2-1、平成25年度から平成29年度までの5年間の第3期中期目標期間実績評価について御説明させていただきます。
3ページ、評価項目一覧です。まず、表の立て付けとしては、真ん中に今回の29年度の自己評価を含めた5年分の各評価を並べております。右から2列目が昨年度に実施した4年分の見込評価結果を記載させていただいて、一番右側に5年間の実績として今回の自己評定を記載しております。
今、真野先生からありましたとおり、まず、今回の実績の評価としては、29年度と同様ですが、福祉貸付、医療貸付、福祉医療経営指導並びに退職手当共済事業に加えまして、経費の節減という5項目をA評定にしていただきたいと考えております。
具体的な御説明は4ページです。まず、福祉貸付事業については、「自己評定A」とさせていただいております。中期目標の内容と重要度「高」の理由、こちらは年度実績と全く同様の記載となっております。また、実績については、5年間のうちで最も低いものから最も高いものまでをつなげて記載させていただいております。
具体的には5ページになります。福祉貸付事業については、国の福祉政策に即して福祉の基盤整備を支援するということで、介護基盤の整備を推進することや、子育て安心プランの実現を支援すること。さらには、被災地における復旧・復興のための優遇融資などのメニューを整えております。真ん中にある貸付審査実績ですが、中期目標期間累計で1兆2,549億円の融資を行っております。
先ほども若干御説明いたしましたが、私ども事業計画の早期段階からの融資相談や「融資のポイント」の周知によりまして、審査処理期間並びに資金交付処理期間については、各々の年度でコンスタントに計画を達成していること。協調融資の推進・ノウハウの提供としては、定量目標である金融機関数を着実に増やしているということ。先ほど御説明しましたように、地銀協等との意見交換会によりまして民業補完について様々な取組を行っているということがありますので、自己評定を「A」とさせていただいております。
6ページ、医療貸付事業です。こちらについても福祉貸付と同様で、自己評定は「A」としておりますが、具体的には、7ページを御覧ください。国の医療政策に即して医療の基盤整備を支援するということで、地域医療構想の推進であるとか、耐震化の推進のための優遇融資のメニューを整え、貸付審査の実績としては中期目標期間累計で6,150億円の融資を行っております。右側ですが、審査処理期間については、5年平均で19.4日、資金交付処理期間で8.7日となっております。また、27年度からは、医療貸付においても協調融資制度を導入するとともに、大規模施設については協調融資を必須化しました。また、情報提供ということでは、政策動向、経営動向等の情報や、機構が保有する医療関係施設に関するデータ提供などを行っておりますので、こちらも自己評定を「A」とさせていただいております。
次に、少し飛びますが、10ページです。福祉医療経営指導事業についても、自己評定を「A」としております。具体的には11ページですが、各年度の定量目標の達成度を左側にまとめております。1セミナー当たりの受講者数やセミナー有用度、個別経営診断件数など数値目標については、いずれも高い達成率で、達成度平均は、136%という状況です。また、リサーチレポートや社会福祉法人の経営動向調査による情報発信に加えて、個別支援プログラムにより法人の多様なニーズに対応するとともに、こちらも一番下にあります民間金融機関等への経営指導ノウハウの普及ということで、延べ618機関に対する研修会、また、延べ180回に及ぶ講師派遣等によって、ノウハウの提供を図っているということで、自己評定を「A」としております。以上、3項目についての説明となります。
 
○真野主査
それでは、中期のほうで、何か御質問はありますか。よろしいでしょうか。
 
○梅里構成員
先ほどの質問とかぶるのですが、経営指導のところのセミナーについて、1セミナー当たりの受講者数という実績で、かなり伸びている数字が見えますが、ここに実際の数字を表示してもらうとすると、延べの受講者数のほうが、要するに、このセミナーを何回やったかということ、結局、何人の方に情報提供をしたのかということが分かるので、延べのグラフのほうがよいのではないかと。1回当たりは増えているけれども、開催はすごく減ったとか、そういうこともあり得るので、延べの数字が分かれば、それを示していただきたいと思います。
 
○福祉医療機構企画管理部長
延べで申しますと、23年度は3,152名でしたが、29年度では3,873名となっております。また、5年前のセミナーは14回の開催でしたが、29年度は16回ということで、ニーズに応じて開催回数も増やしてきております。
 
○梅里構成員
ありがとうございます。
 
○真野主査
多分、梅里先生、あれですよね、そういうのが一見して分かるような資料の作り方をしてほしいということですね。
 
○梅里構成員
どうしても、そういう資料の作り方になるのはよく分かるのですけれども。
 
○真野主査
なかなか難しいですけれども、1枚で書かれているので、その辺を何かうまく、今後は書き方とか工夫できればと思います。
 
○福祉医療機構企画管理部長
工夫させていただきます。
 
○真野主査
お願いします。河村構成員、どうぞ。
 
○河村構成員
資料1-1、資料1-2の所で、福祉貸付と医療貸付のところは先ほど申し上げたのと同じなのですが、ここに書かれている中期目標(1)~(5)、それぞれに対応する内容についてA評定と値するに十分な説明というのは、この資料では私はできていないと思います。以上です。
 
○真野主査
ありがとうございます。これは有識者会議ということですので、こちらでそういう意見を頂いたということが議事録に残って、最終的な判断にということになるわけですね。ほかには、意見でも結構です。よろしいでしょうか。
それでは、次の3つですが、1つは、効率化のほうになってしまいますけれども、次の3つにいきたいと思います。最初はB判定のところです。
 
○福祉医療機構企画管理部長
12ページです。社会福祉振興助成事業については自己評定を「B」としております。先ほども若干御説明させていただきましたが、1つの指標が100%割れしているという状況です。具体的には13ページを御覧いただくと、こちらの定量目標について左側の棒グラフで推移をまとめています。5年間の達成度平均ということでは、いずれも100%を超えているという状況です。特定非営利活動法人等に対する助成割合については、先ほど御説明させていただいたとおりです。右側ですが、助成事業の重点化ということでは、自治体、民間団体等の助成とのすみ分けを更に明確化するために、複数の団体が連携やネットワーク化によって実施する事業に特化したということ。さらに政策動向等を踏まえた募集要領の見直しなど、私どもでは常にPDCAを回した対応を図っております。特に29年度から大幅に見直しを行っておりますが、これは先ほど御説明したとおりの記載内容ですので割愛させていただきます。以上により、自己評定を「B」とさせていただきたいと考えております。
14ページ、退職手当共済事業です。こちらは自己評定を「A」としております。具体的な内容は15ページにまとめております。利用者サービスの向上の取組ということでは、退職手当共済法の改正内容や、利用者アンケートを踏まえたシステムの改善を、その都度行っているということで、電子届出システム利用申請割合は計画を大きく上回る結果が出ています。FAQの見直しや、記載ミスの多い様式の改正などを行った結果、右側ですが、支給回数の増加や、各都道府県等の補助金の早期入金という効果も実現することができております。また、平均処理期間についてはマイナンバー法の施行や共済法の改正といった、いわゆる外的要因があったにもかかわらず、平均では39日と、大幅に短縮することができたことから、こちらについても自己評定を「A」とさせていただきたいと考えております。
飛んでいただいて、26ページが経費の節減です。先ほども御説明しましたが、経費の節減については、29年度は「自己評定B」としておりましたが、5年間の自己評定としては、「A」とさせていただいております。具体的には、この下の箱の(3)ですが、中期目標期間平均では、給与水準がラスパイレス指数で100ポイントちょうどとなっております。こちらは特に中期目標期間を通じまして職員一人一人の特別都市手当や、55歳以上の職員の昇給幅について公務員以上に抑制をしたことなど、いわゆる当機構独自の取組により100ポイントを達成することができたと考えております。
また、27ページの一般管理費等の節減については、最終年度までで一般管理費は▲19.8%、業務経費は▲7.5%となっており、5年間の節減目標を大きく上回っております。下の箱ですが、随意契約の適正化についても、調達等合理化計画に基づき契約方式の妥当性や評価結果の適正性、選定基準及び配点の事前公開など、調達の公正性、透明性を確保するとともに、競争性のない随意契約についても大幅に削減できたということで「A」としております。なお、こちらの上の表の一般管理費の部分ですが、27年度決算だけが2億2,400万円と、ちょっと頭が出ているということで、当時、B評定となっております。
転じまして、29年度における業務経費の部分を御覧いただくとおり、各年度6億円内外で推移していたものが、29年度は9億7,600万円ということで、かなり出張った形になっておりますので、29年度については、これをもってB評定ということで考えております。しかしながら、5年間では、先ほど申し上げたとおり、最終年度までで、結果的に目標を大きく上回ることができていることから、5年間の自己評定としては「A評定」としております。以上でございます。
 
○真野主査
詳細な説明、ありがとうございます。今、3つをまとめてしまいましたが、1つは業務運営ですが、御意見はいかがでしょうか。
 
○河村構成員
最後に御説明くださった経費節減の過去の評価のところを今、御説明くださったのですが、27ページの所で一般管理費とか、業務経費が飛び出てしまった年はB評定になってというお話だったのですが、このグラフにある一番右の「平成29目標」というのは、緑の棒グラフはどういう数字ですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
1番右側が24年度に比べて15%を節減したときの棒グラフの高さです。ですから、この高さより下になれば目標達成ということです。
 
○河村構成員
目標達成しているということなのですね、分かりました。あと、ちょっと気になるのは随意契約の実績のところで、27ページの下に表が付いていますが、調達の仕事の中身によるので、一概に件数だけでは随契が多いとか少ないとか言えないのは、それは分かるのですが、割合で見ると、競争性のない随契の割合が上がってしまっていますけれども、これはどういうことでしょうか。一応、御説明をお願いできますでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
例えば、私どもの事務所の家賃とか、財務諸表を公表するに当たっての官報公告など、どうしても外せないものはなかなか減らすことができないということがあります。一般競争に付せるものは極力付せてはいますが、どうしても件数の割合としては余り減らないという事情がございます。
 
○河村構成員
ちょっとここが、さはさりながら、やはり随分割合は上がってしまっているので、29年度は平均の額ですか、これは少ないですけれども、その前年は結構大きいですし、正直言って、ここはかなり気になるというか、A評定とするときには、ちょっと大丈夫かなというか、気になるところだと思います。以上です。
 
○福祉医療機構理事
補足として、随意契約10件の内容を説明させていただきます。10件のうちの3件は借上宿舎の賃貸借に係るものです。当方は、東京から大阪支店に転勤する職員がいまして、その場合には宿舎を充てがいますが、専用の宿舎の建物を保有しているわけではなくて、賃貸した宿舎を所定の金額の範囲以内であれば借上宿舎とするということをしております。こういった仕組みであるので、これは3件ありましたが、随契になるということがあります。次に、社会保険のオンライン端末の賃貸借と保守で1件がありました。これは日本年金機構のシステムと連携できる専用端末を賃借する必要があって特定の者でなければ契約できなかったということです。次に、業務システムの改修・保守関連が2件ありました。システムの知的財産権を契約相手方が有しているため、第三者に委託できないということで、2件が随契になっております。その他に、財表の官報掲載が1件、事務所の空調機の増設等工事が1件。これは賃貸人との契約により、賃貸スペース工事に当たって、指定事業者以外と契約ができないということで、家主が決めておられる方に工事を依頼したというものです。残り2件は、心身障害者扶養共済制度に係る広告掲載に関する随契があったというのが、29年度の10件の内訳です。
 
○河村構成員
ありがとうございます。28年度も同じような感じですか。28年度は結構、金額が大きいですけれども。
 
○社会・援護局福祉基盤課長
厚生労働省社会・援護局の福祉基盤課長でございます。28年度の競争性のない随意契約のところについて御説明申し上げます。今ほどシステムの保守で改定というか、そこの部分で2件ほど業務システムというお話がありましたけれども、平成28年度について、私ども社会福祉法の改正で大きく社会福祉法人制度というのを変えたときに、全国で2万以上ある社会福祉法人にシステムによる計算書類や現況報告書の公表の義務を課しておりまして、それを公表したものを集約して集める先を福祉医療機構のほうにしています。そのための大掛かりなシステムの改修を政策的にお願いしております。そのために業務システムを大きく改修したために随意契約に当たるところの部分の金額がどうしても増えてしまったということです。これは経理の努力というところとは別に政策的にお願いした部分の反映ですので、その辺は御考慮に入れていただければ大変有り難いと思います。
 
○河村構成員
ありがとうございます。私は行革推進会議の仕事もしていて、調達の仕事もしているのですが、仕事の内容も伺って、いろいろな御事情がおありなのだろうなとは思いますが、でも、それはどこの役所でも、どこの独法さんとかでもやっている、あり得るような話でして、そういう、さはさりながら、そういう中でもなるべく競争性を高めようということで、いろいろな努力を皆さんはされていると思うのですね。例えば、随契になるとしても、一応、公募随契のような形にできないかとか、随契にするか、競争性がある調達にするかといった判断というのは、何か別にいろいろな判断する機関というのはWAMさんの中で設けていらっしゃいますか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
私どもでは「調達等合理化推進委員会」という会議体を独自に作っております。そこには外部の方は入っておりませんけれども、公平性を担保するということで、経理担当理事を筆頭に企画管理部長や情報システム室長といったメンバーで構成しております。そこでは、先ほど申し上げたように、一般競争になじまない部分というのも多々あるものですから、総合評価落札方式に改めるとか、例えば、毎年、会計監査人を選定しなければなりませんが、専門性が必要であるため複数年契約にするということで、技術的評価を入れざるを得ないところは総合評価落札方式に切り替えております。ただし、どうしても件数的には、もうカットできない面も当然ありますので、調達等合理化推進委員会において、随契や一者応札について妥当性があるかどうかということを評価しながら、やむを得ないものを随意契約にしている状況です。
 
○河村構成員
さはさりながら、A評定でということですと、やはりその辺をもう少し御説明いただけないとなという感じがします。この表だけ拝見すると、どうしてこんなに随契の割合が上がってしまったのかなというか、国としての本当に各府省で取り組んでいらっしゃる流れと逆行する数字が出てきてしまっているので、やはり皆さんいろいろな工夫していらして、どこの仕事でも今はシステム化されますよね、そうすると、もう最初に落札した所がその後もずっと随契で保守の仕事とか全部もらってしまって。これが、やむを得ないというときもあるけれども、なるべく切り分けるような形にして、最初にシステムを作って構築した所に全部仕事が行かないようにするとか、いろいろ工夫していらっしゃる所がある話もたくさん聞いていますので、やはりA評定でということであれば、この辺はもう少しブレイクダウンしたいろいろな取組の内容をお示しいただくことができればと思います。以上です。
 
○真野主査
ありがとうございます。梅里構成員、どうぞ。
 
○梅里構成員
今の委託で、ここの評価ではないかもしれませんけれども、委託業務の評価をどのようにされているか。WAMさんのほうでもデータ入力等の外注というか、委託されていると思いますが、データの誤った入力で大分大きな問題になっておりました。そういうことも踏まえて、その辺の委託業務のクオリティの評価ということを、どういう形にして契約を続けておられるのかというところを教えていただけますでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
例えば、入力作業については、私どもCIO補佐官という専門の方と契約させていただきまして、CIO補佐官の御助言とか、御支援を頂きながら業務システム最適化計画というものを策定しております。その中で経費の節減とか、契約の見直しなどを実施するとともに、例えば調達仕様書などはその御助言を受けて、1社に偏らないような調達仕様書にするとか、品質点検リストというものを作り、チェック項目について毎年、定期的にチェックをかけ、常にその委託業務について監視しています。
 
○真野主査
よろしいですか。河村構成員、どうぞ。
 
○河村構成員
先ほど言えばよかったのですが、一般管理費と業務経費の目標についてですが、一番右のグラフというのは中期計画のときの目標値だということで御説明くださったのですが、この実際の棒グラフのオレンジの推移を見ると、24年度決算から25年度決算の所で両方ともガクッと下がっていますよね。こうやってちょっと拝見すると、この目標値は、そもそも妥当だったのか、中期計画の目標値が妥当か、どうだったかということもきちんと検証しないと、ということは最初に牧野評価官から御説明があったと思いますが、もしかしたら、そこに該当する事例なのではないかなという気もしなくはないのですが。例えば24~25年度にかけてガクッと落ちた何か特別な要因等があったのでしょうか。当初、想定できなかったような何か大きな改善要因があったのでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
一般管理費のグラフは表として大幅に落ちていますが、金額は3,000万円程度なので割愛します。業務経費は、私どもはWAM NETというシステムを運営しておりまして、先ほど福祉基盤課長からもお話いただきましたが、社会福祉法人の財務諸表等の公表システムを私どもに受託する前というのは、昔の話で恐縮ですが、10億円近く掛かっていたシステムでした。このシステムをクラウド環境にするとか、いろいろ経費の節減を図った年度というのが、たまたま25年度であったということです。WAM NETの運営費が10億円近くだった点については、第2期以前からずっと問題にされていたことでしたが、第3期になって、ようやく徐々に縮減してきた最後の大きな取組ということで、クラウド環境への転換により大幅な見直しをかけて、ここの年度で一気に、WAM NET事業の経費が削減されたというのが原因です。WAM NETの大幅な見直しというのが、例えば27年度になっていれば27年度でガクッと下がったのだろうと思っておりますが、たまたま25年度のところで見直しを完了したということです。
 
○河村構成員
WAM NETのクラウドにされて、その経費がすごく削減できたこと自体は大変すごくよかったことだと思います。国民にとっても大変有り難いことで、WAM NETも、今日は余り御説明はありませんでしたが、前からは考えられないぐらい姿がすごく変わっていて、良いものになっていて本当にびっくりして、よかったなと思っているのですが、ただ、WAM NETのクラウド化というのが、この期の中期計画を作る段階では全然考えられなかったのか、突然降って湧いた話だったのですかね。だから、ちょっとやはり、この目標が随分緩い目標だったのではないかなという気がして、結果的には中期目標を達成していらっしゃるということにはもちろんなると思うのですが、そもそもの目標が本当にそれほど減らなくてもという感じで立てていらした中で達成したからというようになって、どうなのかなという気がいたします。以上、コメントです。これは、ちょっと当時の経緯はもちろん本省のほうでよく御存じだと思うので、それで御判断されるのだろうなと思いますけれども、そういう感じはいたします。
 
○真野主査
ありがとうございます。何か言われますか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
基本的に経費削減の目標値を積み上げるにあたっては、過去の実績値を取るような形で策定しています。当然、WAM NET事業の経費がそこまで減るとは思っていなかったということがあります。クラウド化により大幅に経費を削減できたということで、少なくとも第3期の目標を設定する時点でWAM NET経費の削減幅がいかほどになるかということは、予想できなかったということですので、そこが積み上がっていることについては、私どもとしては特に問題ないと考えております。
 
○真野主査
WAM NETは独立行政法人の有識者会議の前身の評価委員会でも、何度も値段がどうなのだという指摘があって、なかなか変わらなかったのが、たまたま25年に変わったという理解でいいのかと思います。よろしいでしょうか。今、説明がなかった項目も幾つかあるのですが、こちらもよろしいですか。それでは、少し時間が押してしまいましたが、続いて、法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人監事のほうからお願いして、次いで、法人の理事長からお願いしたいと思います。お願いします。
 
○福祉医療機構監事(大橋)
福祉医療機構の監事の大橋です。私からは平成29年度の監事監査結果及び第3期中期目標の達成状況など、WAMの業務運営の状況に対する監査結果について説明させていただきます。まず平成29年度の監事監査結果については、お手元の資料1-4の監査報告に記載のとおりです。監査報告については、厚生労働省令で定められた記載事項に準拠し、また、総務省による記載例等を参考に作成しています。
私ども監事は、役員会、経営企画会議、ガバナンス委員会などの重要な会議に加え、融資決定の場である審査会、また、今後WAMにとって必要なICTの優先順位を決定する情報システム委員会等の主要な委員会への出席、また、全ての理事長の決裁文書の内容確認等を通じまして、WAMの意思決定過程や業務執行状況を、日々、現場において監視・モニタリングをしています。
さらに監事として重要なリスクがあると認められる事案については、書面監査、又は担当部署に対するヒアリングによる監査を実施していますが、その結果として、重大な問題点や不当な事実等は見当たらず、平成29年度の業務執行が適正に実施されたことを確認しています。
また、昨年度は第3期中期目標期間の最終年度ということで、5年間の業務の執行状況について、改めて振り返りましても、WAMにおいては、経営企画会議、ガバナンス委員会を軸とした適切なガバナンス体制の下に運営されており、年度ごとに業務目標の進捗状況や実績管理を経営陣がマネージメントし、理事長の強いリーダーシップの下で、各部門のそれぞれが求められる役割を適切に果たし、計画を上回る成果を上げていると評価をしています。
最後になりますが、WAMのお客様である社会福祉法人や医療法人は、職員の採用難や建築費の高騰などにより、総じて厳しい経営環境にあります。地域の福祉医療基盤の維持存続を図り、更なる高みを目指していくためにも、WAMにおいてはそれぞれの事業部門が連携協力をし、福祉医療を取り巻く環境の変化をいち早く察知し、それらの情報発信を含めて総合的に支援していくことが、今後ますます重要になることから、その備えに万全を期すことが今後の課題と言えるのではないかと考えています。以上、簡単ではありますが、監事の意見とさせていただきます。
 
○真野主査
ありがとうございました。では、理事長の先生からお願いします。
 
○福祉医療機構理事長
理事長の中村です。委員の皆様方には、本日の業務実績評価を通じまして、多くの御意見を頂いて大変ありがとうございました。多様な御知見に基づく本日の御意見は、今後の業務運営の改善と、機構としての更なる進化を図るための指針とさせていただきます。
また、今日の議論を通じて強く感じましたのは、WAMの業務実態内容が、作り込んだ資料に必ずしもうまく反映されていないという側面もありました。この辺りのところは、初見の方にも分かりやすいよう、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
私ども機構の使命は、国の政策の実施機関として、地域の福祉医療基盤の進化発展と安定の実現に貢献することです。したがいまして、日頃より国の福祉医療政策の早期実現を目指し、業務運営が効果的かつ効率的であるように努めているところです。
日々のマネージメントを踏まえました私の現状認識については、機構の業務運営及び内部統制ともにPDCAがしっかりと機能しており、組織の健全度は高いものであると認識をしています。機構の運営に当たりましては、まず機構経営理念である「民間活動応援宣言」を掲げていまして、福祉医療基盤に従事する民間活動を支援することを、役職員が広く共有して臨んでいます。その上で平成28年度からは、機構運営哲学として「永続する進化」を明示し、業務の更なる有効性、効率性をはじめ、内部統制も含め、立ち止まることなく使命全うのために進化し続けることの重要性を発信し続けています。
さらに、課題に迅速かつ適切に取り組むため、職員に対しては3つの行動の指針を示しています。1つは課題に対して、受身や待ちの姿勢になることなく、自ら解決に向けて動き出す「能動性」。2つ目に、社会経済の情勢や福祉医療基盤の将来像、更には個別課題についての先々の状況など、将来の姿・展開を想定しながら活動する「将来予見」。3つ目として、目的遂行のため、機構内外の知恵や執行力を最大限活用する「ダイバーシティの活用」を示し、実践をさせています。業務における指示や会議運営など、多くの局面において、この指針を明示することにより、更なる実践力の強化につなげています。
今年度から始まりました第4期中期目標期間においても、政府が推進する「ニッポン一億総活躍プラン」や「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」などに基づき策定される少子高齢化や地域包括ケアシステムの強化などの政策について、その実施、実現の一翼を担い、直接現場の施設を支援する独立行政法人として、福祉医療を支える法人の事業環境変化も常に捉えながら対応してまいりたいと考えています。
例えば、高齢者福祉での大きな課題である介護の人材不足は、新たな施設整備への影響だけではなく、既存の施設においては稼働率低下、利益及びキャッシュフローの悪化から、法人の存続や基盤の安定性への脅威となりかねません。機構では、審査、与信管理、経営サポートセンターの総力を挙げて、基盤を支える法人の経営リスク削減のための活動も行っています。
また、医療における事業環境においては、基盤構造の進化が政策により進められています。つまり地域医療構想の推進、在宅医療体制の整備、かかりつけ医の機能の更なる定着、介護医療院という新たな選択肢の追加などですが、しっかりと国の政策の後押しをしてまいりたいと思います。
そのほか、各事業におきましては、その事業目的の遂行に加えて、社会から強く求められる課題にも取り組んでいます。それらを3つほど挙げますと、まず社会福祉法人やNPO等のガバナンス向上への貢献であり、次に政府のeガバメントの政策と親和性のある基盤法人及びWAM自身のICT化による効率化の推進。3番目には、福祉医療基盤を支える重要な事務事業を行う組織として、サイバーセキュリティに関わる不断の努力も重要課題として認識して事業を遂行し、多くの関係者とも有効に連携してまいります。
このような活動を通じまして、福祉医療基盤の進化・発展・安定に向けて、「小回りの利く福祉医療支援の専門店」として、一層の機能を発揮し、多くの組織との有機的連携に役職員が一丸となって取り組む所存です。委員の先生方におかれましては、今後も引き続き当機構に対して御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
 
○真野主査
ありがとうございました。それでは、何か今のことについてありますか。
 
○松原構成員
質問というか、意見でもいいですか。理事長に対してではなくて、今回の資料についてというか、伝え方なのですが。例えば、融資はほとんど断っていないというのは、何でできるかといったら、WAMだからこそですよね。
若干、成績に問題があっても、ちゃんとコンサルタントもしながら育てていくとか、社会福祉法人のデータ、WAMだからこそ任せて公表できるわけですし、あと、日銀短観みたいなWAMの福祉の短観データを、非常にスピードをつけて出していっているとか、そういうことによって医療・介護・福祉業界の経営の安定化、地域の健全化に役立っているわけなので、そうしたことをデータを見せながら、数量的なことを見せながら、定性的にWAMがどう役立っているのか、そこをもう少し資料と説明の仕方とで工夫していただきたいと強く思います。
 
○真野主査
何かコメントはありますか。お願いします。
 
○福祉医療機構理事長
私も今日の議論を通じて、ちょっと資料の作り込み方が至っていないなというところは実感しました。本日は、どちらかというと中期目標として指示されたものにフォーカスしてプレゼンをやるような形になっていました。WAMのやっていること自体はもちろん中期目標以外のことも大変多くあります。それから総務省の内部統制の指針を拝見しましても、これは平成22年のものですが、中期目標の達成を通じて、最終的に独法の使命を達成するというのが独法の在り方であるというのが明示されています。その辺りのところが分かりやすく、そして、その中で中期目標がどのようなところで位置付けられていて、こういう結果になったのかと、もう少し全体像が見えるような形で、初見の方でも分かるようなプレゼンの資料の作り込みを図りたいと思いますので、引き続きよろしく御指導をお願いしたいと思います。
 
○真野主査
ありがとうございました。ほかに御意見、御質問はよろしいですか。
 
○名里構成員
すみません。多分、私だけ社会福祉法人の経営者だと思うのですが、本当に社会福祉法人は大変になっています。もちろん経営的にいろいろそろえないといけないものとか、そういう事務的に大変なことも、この1、2年はバーッと増えている現状と、それと理事長がおっしゃっていたように人材難というところで、それは法人として成り立っていくかどうかということは、結果的にはそこを利用される高齢者であったり、障害のある方であったり、そういう方々の安定した生活というのが、本当にままならなくなるということが、非常にそういう危機感を持っています。
ですので、私自身や社会福祉法人が頑張って、何とかそこを切り抜けなければいけないと思っているのですが、本当に福祉医療機構さんも一緒にそういう現状を打破していけるようなことを、ますますお考えいただけたらすごく嬉しいと思います。よろしくお願いします。
 
○福祉医療機構理事長
ありがとうございます。我々も福祉と医療の基盤の安定性というのは、最重要課題と認識しています。そういうわけで、福祉医療基盤は、故 宇沢弘文教授の唱えた「社会的共通資本」にあたるという考え方もしているわけです。福祉と医療は、国民の尊厳に係ることや、次世代養育、公衆衛生増進など、大変重要なサービスを提供しています。加えて、その費用は税・社会保険料など国民的拠出で支えられていますので、モニタリングをし、確りと支えてまいります。今日のプレゼンの中には余り入っていなかったのでよろしくなかったのですが、社会福祉法人の経営の状況を常にウォッチしています。決算が出るごとに、毎年これは時系列で多分10年遡りますが、どういう状況で来ているのかと。それから赤字・黒字施設の状況はどうなっているのか、これを出しています。
それから、日銀短観と張り合うわけではないのですが、日銀に1日か2日遅れて、福祉の関係者、医療の関係者に見ていただけるように、社会福祉法人のWAM短観という活動もやっています。経営動向に対するいろいろな質問をしたところ、どういう回答になっているか追いかけています。現在は人材確保についてのコメントが大変厳しい状況になっていて、かつ右肩下がりとなっています。
それで今日を振り返りますと、そういう意味で我々も現場の法人さん、施設の方々、国民のために福祉・医療基盤を支えるべく、緊張度高くいろいろ活動しているのですが、なかなかそこが伝わりにくかったかなと思っています。プレゼンを取りまとめる上で、ちょっとこちらの至らなかったところということで猛省しております。厚生労働省もそうですが、やはり基盤の安定というのは最大限の注意をもってウォッチしていますし、いろいろな意見交換もやっています。そういうことも含めて、ものごとが伝わるようなコミュニケーションの場を作りたいと思っていますので、引き続き御指導のほど、よろしくお願いします。
 
○真野主査
ありがとうございました。「民間活動応援宣言」などを掲げられていますから、それが伝わるようにしていただくといいかもしれません。ほかはよろしいですか。それでは、議事としては以上になります。では、最後に事務局からお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
今後の流れについて説明します。本日、御議論いただきました福祉医療機構の平成29年度業務実績評価、並びに中期目標期間実績評価につきましては、この後、本ワーキンググループにおける御意見や、法人様の監事様及び理事長様のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人様及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りしますので、よろしくお願いします。
最後に構成員の皆様におかれましては、本日配布した資料の送付を御希望される場合は、机上にそのままにして御退席いただきますよう、お願いいたします。事務局からは以上です。
 
○真野主査
それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。また2回ほど連続してやりますが、構成員の皆さん、よろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

 

 

 

 

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第14回)議事録(2018年7月9日)

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