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2018年1月17日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第12回)議事録

○日時

平成30年1月17日(水)14:00~15:50


○場所

厚生労働省共用第8会議室(20階)


○出席者

真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、橋田構成員、松原構成員

○議事

○真野主査

 それでは、少し早いのですが、ほぼ定刻なので始めます。本日は、「第12回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」です。構成員の皆様におかれましてはお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。本日は、石渡構成員、名里構成員、三田構成員が御欠席です。最初に、本日の議事について、事務局から御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事について御説明させていただきます。本日の議事は、福祉医療機構の次期中期目標案・次期中期計画案についてです。本件については、積んである参考資料の中の参考資料1「独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱」の3の四「その他一から三までに掲げる事項に関し重要な事項」に該当するものとして、本WGの意見を賜るものです。

 厚生労働省所管の中期目標管理法人については、厚生労働大臣が中期目標を定め、当該法人は定められた中期目標に基づき中期計画を策定することとされておりますが、法人の中期目標と中期計画は御意見を頂く上で密接な関係にありますので、本日は中期目標と中期計画について同時に御議論いただきたいと考えております。

 平成30年度からの新たな中期目標・中期計画の策定に至るまでの流れについて、簡単ではありますが御説明させていただきます。参考資料2を御覧ください。こちらに四角い囲みが3つありますが、一番上の四角い囲みに「平成298月~9月独立行政法人の『業務・組織全般の見直し内容』等を総務省へ提出」とあります。福祉医療機構の中期目標期間見込評価と業務組織全般の見直し内容については、昨年8月に開催した本WGにおいて皆様から御意見を頂き、その意見を踏まえて厚生労働大臣から総務省独立行政法人評価制度委員会に通知したところです。

 中ほどの四角い囲みには、「平成299月~12月総務省独立行政法人評価制度委員会の審議・決定」とあります。総務省側の委員会において、独立行政法人の「中期目標期間見込評価書」及び「業務・組織全般の見直し内容」を審議し、「独立行政法人の中()期目標の策定について」を決定しました。この決定した内容は、参考資料6になります。参考資料6は、霞が関所管の全法人共通のものですが、2ページに法人の目標設定に関して目標に盛り込むことを検討していただきたい視点が整理されております。(1)のマル1~(2)のマル4までの4点で目標に盛り込むことについて、検討していただきたいと示されております。これらを踏まえて作成したのが、本日、御議論いただく福祉医療機構の次期中期目標及び中期計画案です。

 参考資料2に戻ります。一番下の四角い囲みには、「平成2912月~平成303月独立行政法人次期中期目標・次期中期計画の策定」ということで、今後の流れについてまとめております。本日、御議論いただく福祉医療機構の次期中期目標案については、本日頂く御意見を踏まえ、必要に応じて修正などを行い、2月に厚生労働大臣が総務省独立行政法人評価制度委員会へ送付いたします。その後、2月中に同委員会において審議が行われ、その審議結果に基づいて出される意見を聴いた上で、財務大臣との協議を経て次期中期目標が確定されることになります。

 一方、中期計画については、確定した次期中期目標を基に福祉医療機構が次期中期計画を作成し、同計画について主務大臣である厚生労働大臣が内容の精査、財務大臣との協議を経て年度内に認可する、そういった予定におります。事務局からの説明は以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。以上の進め方について何か御質問はありますか。よろしいですか。早速ですが議事に入ります。本日、福祉医療機構の次期中期目標案・次期中期計画案について御議論いただきます。最初に、法人所管課から次期中期目標案について御説明いただき、その後、法人から次期中期計画案について御説明いただきます。この2つが終わってから、質疑応答という形で進めていきます。最初に、法人所管課から次期中期目標案について御説明をお願いします。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 社会・援護局福祉基盤課長の石垣です。福祉医療機構の所管をしております。この後資料に沿い福祉医療機構の次期中期目標案について、御説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。お手元の資料1-1がありますが、表題で「独立行政法人福祉医療機構の次期中期目標案の概要」ということで、これに沿って御説明をさせていただきます。中期目標案の本文の案と現行の中期目標との対比表については、それぞれ資料2-1と資料3-1ということですので、そちらを適宜御参照いただきながらと思いますが、本日は時間の関係もあり、そういうものも含めてまとめて資料1で御説明させていただきます。「第4期中期目標()の基本的な考え方」ということで、現状認識や課題から行政との関係、具体的に福祉医療機構に求められる役割を、ごく簡単ですが整理させていただいております。

 左上の「現状認識、課題」です。こちらは改めて申し上げるまでもないことかもしれませんが、福祉や医療の関係について様々な課題があります。こちらにあるように待機児童や特養の待機者の問題、それを支える福祉などの人材が非常に不足しているという問題、あとは高齢化に伴う医療需要の増大とか、地域で人のつながりの希薄さで福祉の需要が高まっているのと、いろいろあります。

 こういったものを受けて右側ですが、行政の対応としては、一番上の子育て安心プランから順に書かせていただいておりますが、それぞれプランを作ったり法律を作ったりということで、これまで対応をさせていただいており、今後、2020年初頭ぐらいまでを含めていろいろな対策を講じているところです。

 この中から左向き矢印で書いておりますが、福祉医療機構にまとめて実施をする、あるいはそこに情報などを集約して実施することが、業務として非常に効率的で効果的ではないかと思われるものを、整理させていただいて実施していきたいということです。

 福祉医機構はこれまでの経緯があり、「小回りのきく福祉・医療支援の専門店」ということで、福祉医療貸付などを中心として、経営についての支援もしており、その他、退職手当共済や扶養保険の事業を実施していたり、後ほど御説明しますが、WAM NETということで福祉保健医療情報をいろいろと集約している業務があります。そういったものを基盤にし、様々なサービスを効率的に提供していきたいということです。4期の中期目標期間は、左下に書いてありますように、平成304月~平成353月までの5年間でお願いしたいと考えております。

2枚目から、中期目標の概要をそれぞれの項目に沿い御説明させていただきます。1つ目は、福祉医療貸付事業です。こちらについては、柱書きですが、福祉にしても医療にしても、今、サービス提供体制の整備をするところが政府として非常に重要な課題となっております。「ニッポン一億総活躍プラン」等、様々な施策の中で、民間の施設などの整備について、重点にやっていくことになっております。これと連動する形で2行目に書いておりますが、長期・固定・低利の資金を福祉医療機構で提供し、これで施設の整備を安定的に着実にしていきたいということで、そういう政策の重要性からも重要度高ということでお願いしたいと考えております。下の括弧書きの個別の情報ですが、(1)ですが、政策優先度に即した効果的・効率的な融資ということで、その時々によって様々な福祉・医療のニーズがありますが、それに合わせた資金需要への対応を今後もしていただきたいということです。

(2)です。ここは新規に記述をしたいと考えておりますが、福祉医療貸付について、私どもはいまいち制度の周知が十分ではないと思っており、この辺に力を入れてやっていきたいと思っております。(3)ですが、福祉医療機構はこれまでの長年の融資とか、それに伴う経営診断を通じ、非常にいろいろなノウハウがたまってきております。福祉医療機構だけで全ての資金需要に対応していけない部分もありますので、民間金融機関へこういうノウハウを提供しながら、また、私どもは民業補完という観点も各方面から御指摘いただいておりますので、民間金融機関との協調融資をこれまでも進めておりますが、今後の5年もしっかりとやっていきたいと考えております。(4)です。融資に当たり、多数の法人の方々からの御相談を頂きますので、この相談対応、あるいは融資をする際の審査手続の中で、利用者の方々の目線に立ち早くしっかりと審査し、融資をしてもらいたいと考えております。

(5)(7)までですが、融資をした後にいろいろと法人の経営の状況も変わってまいりますので、そういったところで、後ほど御説明する福祉医療経営指導事業などとも連携をしながら、継続的に貸付の状況を把握し、時々調査などもし、貸付の状況を確認する。もし、債権の状況が悪化してきている場合には、状況をよく把握し、必要に応じて御指導などをしていく。(7)になりますが、そうは申しましても、冒頭に申し上げたような、福祉医療機構には政策融資をすることによって施設を整備していくという部分がありますので、そこは何とか施設を保持し、それによって利用者の方々に御迷惑をお掛けしないという民間の金融機関ではなかなかできにくい部分について業務をやっていただきたいと考えております。定量的目標については、点線で囲っておりますが、3点ほど書かせていただいております。マル1とマル3は、新規の目標ということで指標を設定させていただきたいと考えております。福祉医療貸付事業については以上です。

 「2福祉医療経営指導事業」です。こちらについては、1つ目の貸付事業と連動し、貸付で得たノウハウを活用し、民間金融機関などとも連携をし、福祉施設の運営がうまくいくように、御指導、情報提供などをしていきたいということです。

 具体的には(1)(3)までありますが、1つ目はセミナーということで、集団的な指導と申しますか、集まっていただいて、優良事例などを御説明して、経営に役立てていただくということです。2つ目は調査ということで、福祉医療機構自身がいろいろ調査・分析を行っており、各種その結果を公表させていただいております。そういうものも引き続き実施していただきたいと思っております。3つ目は個別の経営指導ということで、これも個々の法人、いろいろ経営状況なども突っ込んだ形で御相談をして、経営を立て直したり安定させていただくことをやってきておりますので、こういうものも引き続き実施していただきたいということです。定量目標については、同じく右下に点囲みで書かせていただいております。マル2マル3が新規の目標設定ということで考えております。

3ページをお願いします。「3社会福祉振興助成事業」についてです。こちらについては、NPOなどの非営利法人は地域で育っていない所もありますので、意欲的な取組をしていただいている団体に対して機構が助成を行い、各地に地域共生社会の芽出しといいますか、地域資源を増やしていきたいという観点で実施しているものです。この事業についても引き続き実施していただきたいと思っておりますが、具体的には(1)(4)のような進め方で行いたいと考えております。

1つ目は、助成に関するテーマの設定です。政策と連動する形で、各福祉の制度、高齢者や高齢者介護、障害者福祉、保育など、ばらばらにやっているのではなくて、地域によっては地域共生社会をつくり、包括的に取り組んでいく必要があるということで進めてきておりますので、この地域共生社会の実現に資するテーマに重点化をし、NPOなどがそういう取組を意欲的に行う部分について、重点的に事業を選定していただきたいと考えております。2つ目は、助成金の申請業務の効率化などを図り、助成を受けたい方が事務負担などの点でネックにならないように取り組んでいただきたいということです。

(3)は、助成先の法人、時々、コンプライアンス的に問題のある法人も出てくる場合がありますので、これはいろいろな助成制度でもそうなっておりますので、これまでも取り組んできてはおりましたが、ガバナンス強化の支援ということで、その法人のその後の活動をしっかりとフォローアップしていくことに努めていただきたいと考えております。

(4)ですが、機構が助成を行った後、事業が継続しないことでは非常に効率が悪いので、助成金の支給が終わった後も継続できるような相談・助言、こういったものに努め、助成金の効果がその後も続くように取り組んでいただきたいと考えております。具体的には、そういう施設の運営・経営などのノウハウが機構にありますので、コスト削減や運営のノウハウなどをよくお知らせしたり、あるいは関連の自治体の部局につないであげたりと、そういった取り組みを行っていただきたいと考えております。定量目標については、2項目設定をさせていただきたいと考えております。

 「4退職手当共済事業」です。社会福祉法人が中心ですが、福祉施設に従事する職員の処遇を改善に資するということで退職手当共済事業を運営しております。これについても非常に多くの法人が加入されており、職員の確保などにも非常に高影響を与えていると業界の方々から伺っております。こちらについても重要度高ということでお願いをしたいと思っております。

 具体的には(1)(3)までの目標で進めたいと考えております。1つは、給付事務の効率化により、平均処理期間を短縮化していきたいということです。福祉施設を退職した方が少しでも早く退職金をもらえることにつながりますので、こういうところは引き続きしっかりと努力をしていただきたいということです。

2つ目については、その中でも大きく影響を及ぼすと思われる、退職届作成システムの利用促進に努めてまいりたいと考えております。退職手当共済の関係では、事業所の加入のシステム、退職届の作成システム、そのほかにもいろいろ手続があるわけですが、加入システムはこれまでの取組の中でかなり多くの事業所が入っていただいておりますので、今度は退職届作成システムの利用促進を進め、ミスを減らしたり、処理期間を短くするということで取り組みたいと考えております。

 そういったことを全部含めて(3)ですが、制度についての周知・広報、これも徹底をして、よく利用していただきたいと考えております。定量目標ですが、マル1マル2とありますが、マル2が新規の目標という形で、今ほど申し上げました退職届作成システムはまだ使われていない所が多うございますので、これの利用割合を少しずつ上げていきたいということです。

 「5心身障害者扶養保険事業」についてです。こちらについても障害者の親御さんが亡くなられたときに、心身障害者の生活の安定ということで、制度の運営は着実にしていく必要があると考えております。

 具体的には、(1)(3)の進め方でと考えております。(1)については、毎年度、扶養保険事業の財政状況を見ていくことが大事ですので、しっかりと検証し、加入者等の方に御安心いただけるように公表していきたいと考えております。(2)ですが、多額の資金を運用することになりますので、基本指針をしっかりと定め、管理をしていく。分散投資をし、リスクなどがないようにしっかりと努めていただきたいということです。運用に関する基本方針も、いろいろな状況の変化で必要に応じて見直す必要がありますので、こういうものもしっかりやっていただきたいということです。(3)ですが、こちらも新規に項目を立てさせていただいておりますが、自治体の方々とも連携をし、事務処理をしっかりやることと、加入すべき方にしっかりと加入していただくことに努めていただきたいと考えております。定量目標についてですが、制度の周知が総合的に見て重要であろうということで、新規に目標の設定をさせていただいております。

4ページ、「6福祉保健医療情報サービス事業(WAM NET事業)」です。こちらについては、独立行政法人という信用力があるところを活かし、現在、社会福祉法人制度の中で「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」の運営をしていただいておりますが、障害福祉の関係でも、今度は「障害福祉サービス等情報公表システム」も運営をしていくことになりますので、非常に法人関係の情報が集まってくることになります。ここに一元的で正確な情報を集めることは、福祉行政的には非常に重要な部分になってまいりますので、しっかりとやっていただくという意味で重要度は高いものと考えております。

 これの運営ですが、3点の項目で進めたいと考えております。1点目は、今ほど申し上げましたような大変基本となる情報に加え、様々な福祉に関する情報を集めるように今までしてきております。これについては今後の次期中期目標においても、情報の質の向上、利便性の向上、これは少しでも高まるように努めていただきたいということで考えております。2つ目ですが、こちらは新規の項目ですが、これも今の柱書きで申しましたように、各種国の施策の基本となるような情報を集めるようにしてきておりますので、これをしっかりと整備して、利用者の方にも使いやすいように安定的に運営をしていくことに努めていただきたいと考えております。3点目ですが、せっかくそうやって集まった情報やシステムがありますので、福祉保健医療施策あるいは機構の業務を効率的に実施する観点で、WAM NETに集まった情報をうまく活用していただきたいと考えております。具体的には、様々な情報が集まっておりますので、WAM NETを活用して書類を削減する、手続の簡素化、そういったものを今後少しずつ考え、実施していただきたいと思っております。定量目標については、右側にあるとおりで、マル1が今回新規に立てている目標です。

 「7年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業」についてです。こちらについては、これまでの流れの中で年金担保貸付については、2行目にあるように、国の施策として平成33年度末を目途に新規貸付を終了することとしております。ですので、次期中期期間中においては、事業廃止に向けて利用者の方を中心に念入りに適切な措置を講じていく必要がありますので、そういったことに取り組んでまいりたいと思っております。

 具体的には下の3点です。1つ目としては、業務運営コストの分析をよくし、貸付金利に適切に反映させて、今後新規貸付が終わってもしばらく業務が続く部分もありますので、安定的・運営的にしっかりと努めていくということです。

2番目ですが、無理のない返済となるように配慮した審査等をしっかりと行い、また、公的機関ですので、本人のためになるような相談や助言、貸付だけに限らないようなところも含めて利用者目線で適切にやっていければと考えております。また、返済中に生活困難に陥った方も出てくると思いますが、適宜状況をよく見ながら、返済条件の緩和を実施したりということで取り組んでまいりたいと思っております。

3番目ですが、円滑に最終的には事業を終了していく必要がありますので、新規貸付の終了時期及び利用可能な他の制度等についての周知は、利用者の方々のことを考え、丁寧にやっていきたいと考えております。そのためには、現在、年金担保貸付事業については、市中の金融機関に受託して業務を行っていただいておりますので、そういう所の御理解・御協力も得ながら、利用者の方向けに適切な対応をしたいと考えております。定量目標として、こういったものについては各種関係団体の方々の御協力も必要になってまいりますので、新規の目標設定として団体の方々などを通じた周知活動をしていきたいということです。

 「8承継年金住宅融資等債権管理回収業務」についてです。こちらについては、残高を過去から見てまいりますと、平成17年には3兆円ほどあったわけですが、平成28年度においては6,700億円ほどと非常に少なくなってきております。柱書きですが、将来的にはこれが最終的に年金給付の財源に戻っていくということもあり、本業務の終了を見据えて具体的に検討を行って業務を進めていく必要があると考えております。

 これに伴い、(1)(4)までの対応で進めてまいりたいと考えております。1つ目は全体的な話になりますが、債権残高が今申し上げましたように全体的に減ってまいりますので、将来見通しをよく踏まえながら、どういう形で業務を運営していくのが望ましいのかどうかをよく見ながら、業務の関係機関などとも密接に連携をし、制度の運営の在り方というマクロ的なものを進めていきたいと考えております。

(2)(4)までは個別の所になりますが、貸付になりますので、貸付先の財務状況などをよく把握・分析をし、適宜・的確に回収を行っていって、焦げ付きの債権が出ないようにするといったことに努めるとともに、最後ですが、延滞債権という形になってししまった場合には、関係の保証人の方などには必要な請求などを行うことも含めて、着実・適切に業務を行ってまいりたいということです。定量目標としては、最終的に収束に向かっていくわけですが、特段大きな経済環境の変化がない限り回収を着実に行っていくということで、目標設定をさせていただいております。

5ページをお願いします。こちらからは、各種業務というより管理業務部門についての事項が大きく3点です。1つ目は業務運営の効率化に関する事項ということで、「業務・システムの効率化と情報化の推進」と「経費の節減」です。1つ目のシステムについては、先ほどWAM NET事業などを中心に申し上げましたが、各種システムを持っており、非常に膨大な情報がありますので、そういったものをしっかりと導入、あるいは導入した後も利用しやすいように改善に努めていきたいということです。経費の節減ですが、これもシステムの改善も含めてですが、いろいろな業務のやり方を見直し、常に経費の節減ができるように取り組んでまいりたいということです。

 次に、「調達合理化計画」がありますので、それに基づいて一者応札がなるべく生じないように、札の条件などをいろいろ考えながら競争的な調達ができるように取り組んでもらいたいということです。運営費交付金という国費が入っていますので、一般管理費、業務経費などについても、一部例外はありますが、しっかりと取り組んで効率化を進めていただきたいということです。

 真ん中の段です。「財務内容の改善に関する事項」ということで、運営費交付金以外の収入も確保していくと。具体的には、利用者負担でサービスを提供する部分などがありますので、そういったものについてはしっかりと自己収入を確保していただきたいということです。「2自己資金調達による貸付原資の確保」ということで、これまでも債券の発行等で資金調達している部分がありますので、引き続きそういう運営をしていただきたいということです。

 一番最後ですが、「その他の業務運営に関する重要事項」ということで、大きく3点掲げております。1「効率的かつ効果的な業務運営体制の整備」ということで、今中期目標期間中においても隣に座っております中村理事長のリーダーシップの下、いろいろと組織の見直しなども進めてまいっておりますが、次の目標期間中においてもそういったものを不断にしっかりと取り組んでいただきたいということです。

 「2内部統制の充実」は、多額の予算をお預りして、融資もやっていて、非常にいろいろな情報も持っているということですので、内部統制をしっかりしていくことが重要だと考えております。体制としては、規程類をしっかりと整備することもありますが、職員に向けて研修や業務ラインでの指示の伝達、役職員がよく認識を共有すること、こういったことは地道ですがしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。あとは、モニタリングなどを通じ、内部統制がしっかりできているかというチェックなどもしていただき、今後ともPDCAサイクルを回しながら、内部統制の更なる充実を図っていただきたいと考えております。あと、情報セキュリティの関係です。これは時々いろいろな組織で問題になりますし、役所にもそういう攻撃というのでしょうか、そういうものがよくあるというふうに担当部局から聞いておりますので、機構にもしっかりと対応していただきたいと考えております。

 一番最後に、「3人事に関する事項」です。政府として、女性活躍や働き方改革を推進しておりますので、機構の組織にもいろいろな状況を踏まえながらということはありますが、育児・介護等の両立支援、ワーク・ライフ・バランス、そういったものには政府の政策の動向を見ながら着実に進めていただきたいと考えております。

 雑ぱくですが以上のような形で中期目標を考えており、構成員の皆様方の御意見を頂戴しながら、次期中期目標についてもしっかりと運営をしてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。では、続いて法人のほうから次期中期計画案について説明をお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 福祉医療機構企画管理部長の佐藤と申します。本日はよろしくお願いいたします。私から中期計画案の概要について、資料1-2のパワーポイントの資料により、説明をいたします。参考として資料2-2、資料3-2に計画案の全文と新旧を用意しておりますので、そちらも御覧いただきながら、お聞きいただければと思います。

 それではパワーポイントの資料の2ページをお願いします。まず、当機構の第4期中期計画等の概要を1枚のスライドにまとめたものです。今ほど基盤課長からお話を頂きましたとおり、国における福祉・介護・医療に関する様々な課題解決の一助となるべく、私どもとしましては一層の機能発揮により、福祉・医療基盤の整備に寄与すること、制度の谷間の要支援者を支える団体への支援を行い、地域包括ケアシステムや地域共生社会の実現に寄与すること、更にはWAM NET基盤を活用した情報提供体制等の整備の取組を行うこと。これらが与えられた大きな役割であると認識いたしまして、第4期中期計画では、全部で14項目の事項について計画しているところです。

 下の箱が各項目を要約したものとなっておりますが、今回、平成26年に総務大臣から示されました「独立行政法人の目標策定に関する指針」において各セグメントや会計など一定の事業のまとまりごとに目標を設定するとされておりますことから、第3期計画においては福祉貸付・医療貸付、福祉・医療の債権管理と3つのカテゴリーに分割していたものを、第4期計画では福祉医療貸付事業として、1つの項目に統合しています。

 したがって、評価項目についても第3期の16項目から14項目と2つ減った形になっています。具体的には3ページをお願いします。まず、表の構成ですが、左側に中期計画案として機構が取り組むべき事項を記載しています。この各事項は、先ほど基盤課長から御説明いただきました中期目標の各ミッション、各事項に11でそれぞれ対応させた内容となっています。右側にあります関連指標ですが、こちらは定量目標とは別に、各事項について定性的な事項を補完するものとして、例えば貸付規模などを数値で示し、業務の特徴などを御理解いただきやすくするため、あらかじめ中期計画上に登録しておくもので、各事業とも4期計画案の中で記載しているものです。

3ページの内容についてご説明します。まず1の福祉医療貸付事業については、「ニッポン一億総活躍プラン」においても、保育の受け皿整備や、介護サービス基盤の整備、また、医療の世界においても地域包括ケアの推進や地域医療構想における病床転換などの政策が掲げられておりますが、当機構においては、長期・固定・低利の資金を提供することにより、福祉・介護及び医療の基盤整備に資するとともに、地域における施設等の維持及び存続を図ることを最優先とした貸付債権の適正な管理を行うことが大きな役割であり、ミッションであると考えています。

 例えば(1)の政策優先度に即した政策融資を実施する、また、災害復旧などを機動的に対応するという事項においては、審査、契約、資金交付実績や優遇融資をした実績に加えまして、災害時の訪問相談実績や契約実績などを示した上で、取組を記載させていただきたいと考えています。

 また、(3)の民間金融機関と協調した融資を推進するということでは、民業補完の観点から協調融資実績とともに、全国地方銀行協会等との意見交換会の開催実績などを示しながら、また、(5)(6)(7)の債権管理においては、期中管理の実績として、業況注視先の実地調査等の実施先や、貸出条件緩和実績を織り混ぜながら、一番下に記載していますが、今後リスク管理債権化するおそれのある貸付先に係る実地調査といった、債権が悪化する前の予兆管理の取組などを定量目標だけでなく関連指標として加える形で、機構の取組を御理解いただきたいと考えています。

 次に4ページです。同様に2の福祉医療経営指導事業については、福祉施設や医療施設に対して、正確な情報や有益な知見を提供するとともに、持っているノウハウを活用して、経営指標の提供や経営状況を的確に診断することにより、施設の経営を直接、間接を問わず支援することが大きな役割であると考えています。したがって、セミナー有用度や経営診断の有用度をアンケートにより調査するとともに、更には講師の派遣回数や外部媒体執筆件数等により、実績をお示ししたいと考えているところです。

 次に、3の社会福祉振興助成事業です。こちらについては地域に密着したきめ細かな活動、特に制度の谷間にいる要支援者を支える活動等に対しまして、助成期間内の活動だけにとどまらず、継続的に活動するための自立的運営を行えるよう、助成金を有効に配分すること。更には助成先のコンプライアンスを高めることが我々の任務であると考えて、募集及び採択実績とともに、より広く助成金という仕組みがあるということを知っていただくための周知活動回数、更には助成期間中から助成金が変な形で使用されないかなどをチェックする進捗状況調査の実施件数や、助成金がなくなった後の活動として1年経過後における事業継続率、これらによりお示ししたいと考えています。

5ページです。4の退職手当共済事業については、人材不足や成り手不足が特に深刻な業種である福祉の世界において、社会福祉施設等に従事する職員の処遇改善を図り、福祉人材の確保に資することが必要と考えており、退職手当金の支給実績とともに制度に加入している社会福祉法人へのアンケートによる福祉人材確保の貢献度などを記載させていただきたいと考えています。

 また、次の5の心身障害者扶養保険事業については、心身障害者の保護者の不安を解消して、親なき後の心身障害者の生活安定に寄与すること、並びにこの事業、この勘定ですが、繰越欠損金の解消も1つの大きな課題であることから、新規加入者数などの事業内容の充実を図る指標とともに、ベンチマーク差などの運用実績についても触れたいと考えているところです。

6ページです。6の福祉保健医療情報サービス事業、いわゆるWAM NET事業ですが、こちらについては社会福祉法人の財表公表システム等の国の施策を確実に実施するとともに、全ての利用者に対して、一元的かつ正確な情報の基盤を提供することが大きな役割の1つであると考えており、一番下に書いてある年間ヒット件数などの定量目標とともに、アンケート調査による利用者満足度により、実績を記載することとしたいと考えています。

7の年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業については、平成33年度末を目途に新規貸付を終了し、事業の廃止に向けた適切な措置を講じるとされたことを受けて、制度の廃止までの混乱を生じさせないよう、受託金融機関事務説明会開催実績や金融機関を束ねる全国銀行協会等との意見交換実績などを盛り込み、実績をお示ししたいと考えています。

8の承継年金住宅融資等債権管理回収業務についてです。こちらは回収業務のみを実施していることから、当該業務の終了を見据えた具体的な検討を行いつつ、業務実施に努めるということで、滞っている債権の処分を含め、債権の元金回収率などを用い、御説明したいと考えています。

 最後に7ページです。このページの第2「業務運営の効率化に関する事項」から、第9の「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」までが機構全体で取り組むべき事項となっており、最初に基盤課長からお話いただきましたとおり、例えば21、業務・システムの効率化と情報化の推進については、情報システムの継続的な改善等として、情報担当職員に対する技能アップのための研修、全職員に対して業務内容に応じたIT技能向上のための取組を実施していくこととしています。

2の経費の節減については、調達等合理化計画に基づく取組や、業務運営の効率化への取組、更には役職員の給与水準の検証、公表について適切に実施していくこととしています。

 また、第5ですが、不要財産の処分に関する計画では、今般、第3期計画期間内に宿舎の処分を全て完了したことから、第4期は年担労担貸付の政府出資金等について、業務廃止後速やかに国庫返納するということとしています。

 また、第81、効率的かつ効果的な業務運営体制の整備の事項では、(2)で様々な会議体を効率よく運営することで、理事長のリーダーシップが組織運営に反映される統制環境を維持・強化するとともに、(3)では、業務連携の強化により、シナジー効果の発揮、並びに効果的な情報発信など積極的な広報活動に取り組みたいと考えております。2の内部統制の充実では、ガバナンス会議でのモニタリングなどを通じたチェックアクションのルーチン化、並びに適切な情報セキュリティ対策の実施など、機構として厚労大臣からの御指示を着実かつ効率的に実施したいと考えているところです。私から中期計画案の説明は以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。進展は若干早いのですが、それでは、御説明は以上ですね。次期中期目標案と次期中期計画案について、議論をしていきたいと思います。50分ほど議論をするということなのですが、構成員の先生方から何か御意見などありますか。

 

○五十嵐構成員

 質問です。今、御説明いただいた中で、関連指標と定量指標という言葉が出てきたのですが、これは定量指標というのが、いつも評価のときに中期計画の達成が計画どおりとか、大きく上回っているとか、下回っているとかという、それも指標は定量指標という理解でよろしいのでしょうか。 

 

○福祉医療機構企画管理部長

 はい。定量指標は、要するに実績が伴っていることをもって評価していただく指標です。関連指標は定性目標をあくまで補完する指標ですので、貸付規模であるとか、そういったものを織り交ぜ、数字的にお示ししながら、定性目標の御評価の一助としていただくという目標です。

 

○五十嵐構成員

 ということは、私の理解で間違いないということでよろしいですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 はい。

 

○五十嵐構成員

 では、取りあえず質問は分かりました。

 

○真野主査

 ほかはいかがでしょうか。

 

○石井構成員

 すみません、私のほうから1つ質問なのですが、中期目標のほうの1番の福祉医療貸付事業の(6)ですけれども、「債権悪化の未然防止の取組を実施」というのがありますが、これは貸付をしたならば当然やることであって、目標に入るような項目なのでしょうか。したがって、こちらの具体的な概要のほうにも、関連指標で何をするかというのが、具体的に入ってこなくなる、これ自体が関連指標になるのか、その辺りが整理をしていて、このこと自体が目標になるというのが、難しかったというか、以上です。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 私どもは、もともとある程度問題債権化してからの取組というのをメインで債権管理をしておりましたが、債権管理として、リスク管理債権になる以前の正常先案件について、予兆を早く見抜いて、その債権悪化を予防するということに現在、主眼を置いています。定量目標で今後、リスク管理債権化するおそれのある債権というものを目標にさせていただきましたが、(6)は正に定量目標を持っている項目であるので、あえて関連指標は設けていないということです。

 第3期では、こちらの今後リスク管理債権化するおそれのある債権について、いろいろなデータを蓄積いたしました。例えば現預金がちょっと少ないのではないかとか、債務の償還年数がちょっと長過ぎるのではないか、これらのことを指標化いたしまして、イエローゾーン債権と名付け、こちらを重点的にウォッチしていくというような仕組みを、第4期はやっていきたいと考えているところです。

 

○石井構成員

 ありがとうございます。

 

○真野主査

 ありがとうございました。今の質問とも関連して、私から。やはり特色を持って貸付をするのだという話ですし、当然、福祉医療機構ですから、福祉・医療のところでやっていくわけです。もちろん協調融資もあるにしても、ある程度リスクを取って貸すという部分も当然出てくると思うのです。そうすると、今の話で、今後いろいろな対策が打たれるかもしれませんし、今も打たれているのかもしれませんが、やはりリスク債権になる可能性というのは、一般の銀行とかに比べると、多少高いのかなと思うのです。その辺りをどのようにお考えになっているかということです。

 それと、例えばですが、コンサル的な事業もされているので、そういうことで介入することによって、リスクを減らせるのだとか、何かそういう具体的なお話があれば、お教えください。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 まず、一般の金融機関よりリスクが高いだろうということは、正におっしゃるとおりです。都市銀行、地方銀行含めまして、大体1%後半のリスク管理債権比率ですが、私どもは、やはり2%前半のリスク管理債権比率であるということ。我々としては、ある意味、地域医療、地域福祉にとって必要不可欠な施設であるという認定をしたものについては、少々そのリスクを抱えていても、その基盤整備を後押しするということから、いわゆる要管理先、貸出条件を緩和する債権というのも、ほかの金融機関よりは、多分、多く持っているだろうと思っております。

 ただ、これは先ほど真野主査がおっしゃったように、私ども経営サポート事業というものを第3期中に作りましたけれども、こちらのサポート事業と顧客業務部の債権管理部門が連携いたしまして、例えば、財務諸表上の問題点だけでなく、例えばガバナンスの体制がいかがなものか。例えば後継者がちゃんといるのか。収入は適正に稼げているのか。費用はちゃんと節約できているのか。そういったことを総合的にあらゆる評価をいたしまして、法人の立て直しに着手していくということをさせていただきたいと考えております。

 

○真野主査

 ありがとうございました。

 

○福祉医療機構理事長

 すみません、ちょっと補足をさせていただきたいのですけれども。

 

○真野主査

 お願いします。

 

○福祉医療機構理事長

 いろいろここの福祉医療貸付事業のところで御質問を頂きまして、なかなか分かりにくいところもあったかと思うのですが、私どもは独立行政法人として、この福祉医療貸付事業については、2つのミッションを負っていると理解していただくと解りやすいと思います。1つは福祉医療基盤の整備・維持・安定、これが重要なミッションです。それから、2番目は原資を財政投融資から頂いておりますので、財政投融資の償還確実性という、このダブルのミッションを負っております。

 これを両立するためには、どういうことが必要かというと、これは経営が悪くなってきた所は確りと指導・支援するということが必須となります。一般の民間の金融機関であれば償却をする、担保処分をする、そういう選択肢があるのですけれども、それでは我々の最初のミッションである福祉・医療基盤の維持・安定というものが図れませんので、そういう意味で、2つのわらじを同時に履くためには、悪い所は確りと指導・支援しなくてはいけないという思いがあります。

 それで経営悪化の未然防止というところですが、リスク管理債権になったものについては、既に状況が悪くなったものと認識しています。ここは過去からも一生懸命指導をやってきております。我々はそれをやっている間に、要するに、随分悪くなるよりも、もっと早く指導しておいたほうが効率的だということに気が付きました。先ほど企画部長のほうからも話したイエローゾーンというものがあります。これは今までの経験則に基づいて、今後、調子が悪くなって、リスク管理債権に落ちるであろう確率の高いものを効率的に選び出そうということで、指標を幾つか決めて分析し、経営悪化の未然防止対象先を選び出しております。

 今、旧型のパターンでやっておりますが、これはもう少し有効性を高めるということで、情報の信頼度を高くする検証もやっております。いずれ新しいものに移れると思っているのですけれども、そういう意味で、かなり悪くなる前に、早め早めに防止していこうということを重視しています。債権悪化の未然防止の取組というのを実施することが効率性と有効性の両面で重要と考えているわけです。これは独立行政法人として、政策を限られた人数で担っている者として特徴的なことで、一般民間金融機関とは異なると思っております。

 

○真野主査

 詳しい御説明をありがとうございました。ほかはよろしいですか。では、ほかの構成員の方、何かありますか。

 

○五十嵐構成員

 ほかのテーマを出してもいいのですか。

 

○真野主査

 はい、幾つでも。

 

○五十嵐構成員

WAM NET事業で定量目標が最終掲載数50%以上増加となっていますが、これは最初に御説明いただいたように、社会福祉法人の財務諸表等電子開示システムに関するものということでよろしいですよね。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 それも含めております。私どもでは現在40ほどのコンテンツを持っているのですが、その中の1つに、財表公表システムも当然入っております。それらを全て含めて50%以上にしたいと考えております。

 

○五十嵐構成員

 そうすると、変な言い方ですが、いろいろなものを混ぜこぜにすると、幾らでも掲載数の調整などというのは。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 基本的に、掲載のコンテンツを充実していこうというところの定量目標にしたいと考えておりますので、やみくもにヒット件数だけを稼ごうということではありません。

 

○五十嵐構成員

 いやいや、そうではなくて、どんなものというところの割合の制約がなければ、何でも増やせるのではないかなと思うので、目標になぜなるのかなと。私はこれ、要は財務諸表システム、これは確か福祉医療機構からお金を借りている人ではなくて、全社会福祉法人に対してという話ですよね。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 はい。

 

○五十嵐構成員

 それはいいのですよね。そうすると、全社会福祉法人に対して、どれだけこれを利用したかという比率で、目標を立てていたほうがいいのかなとか考えたのですけれども。あと、社会福祉法人の数自体も、ここは多分減ってきたりすると思うので、この定量目標はよく分からなかったのでということです。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 今の社会福祉法人は2万法人ありますが、それが例えば2回ヒットをしたとして4万件ですので、私どもが立てている件数というのは1億件数ですので、そういった意味では、それは当然、その中の1つ。

 

○五十嵐構成員

 いや、ごめんなさい、ヒット件数ではなくて、あくまでも情報掲載の話をしているのです。情報掲載数が増えるというのは、情報が増えるということですよね。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 はい。

 

○五十嵐構成員

 その中の1つが、まあ1つというか、この見方をすると、私はこの電子開示システムのことかなと思ったのですが、電子開示システムはどのぐらいきちんと制度上使われているかというのをこれから見ていくという話になると、何かその比率を高めるというのが、定量目標としては一番分かりやすいのではないかと思ったのですが、いかがなのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 最初に申しましたとおり、財表公表自体は、これは義務ですので、基本的には2万法人あれば2万になるということです。私どもが増やしたいと言っているのは、例えば福祉の仕事ガイドとか、我々はいろいろなコンテンツを持っておりますので、こういったものが、皆様に正確な情報としてお伝えできればいいなということで、目標をコンテンツの掲載情報数ということにさせていただいております。

 

○福祉医療機構理事

 すみません、私から今少しよろしいでしょうか。御指摘いただいているのは、特に財表の公表システムに関する評価の在り方のように思います。本年度、実施しておりますけれども、1つには財表公表システムは、社会福祉法人に対して利用を義務付けているわけではありません。ただ、インターネットを使って開示することが義務付けられていて、基本的な方法は、このWAM NETの財表公表システムであろうと考えられ、ほとんどの社会福祉法人にお使いいただいていると、このようになっております。

 現実に今年度どれだけ利用いただけたかと申しますと、95%を超える法人に掲載頂いている状況はあります。正確な数字を思い出せず失礼いたしますけれども、大変高い割合で既に利用頂けており、引き続き毎年度、これからも供用してまいります。

 ここで目標に立てておりますのは、WAM NET事業全体に関わるものです。ヒット件数で見ましても、WAM NETの中で財表公表システムが占める割合は、今のところそれほど高いものではありません。1割には満たない数字であったと思います。そういう意味で、この目標については、WAM NET全体としての充実を目指していくということで、情報掲載数の増加という、新たな目標を立ててはどうかという提案をさせていただいているものです。

 

○五十嵐構成員

 今の話はよく分かりました。そうすると今95%というお話で、私はもうちょっと少ないかなと認識していたのですけれども、それを義務付けられているということを含めて、情報の一元化からいくと、逆にどれだけ近づけるかという話は、それほど余り政策的には重要視はしないという理解でいいのでしょうか。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 まず、この情報掲載数というときに、今の社会福祉法人の電子開示システムでの一法人の情報と、あとは多分、先生がおっしゃっておられるのは、では同じWAM NET上に、全く別の所にある福祉のイベントの情報だったり、いろいろな福祉サービスに関する、福祉に関わっている方々が利用する情報と、いろいろあると思うのですけれども、そういう中で今ほど福祉医療機構の方々からお話をしましたように、社会福祉法人の電子開示システムにつきましては95%以上ということで、本システムの利用をかなり所轄庁に勧めておりますので、ほぼ100%に近くなると思っております。今年度か来年度ぐらいには相当いくと思っています。

 それは引き続きやるのですけれども、ほかにもいろいろな基本的な情報を掲載していくと、それは福祉サービスを利用する国民の方々のための必要な基本情報になるということもありますので、そういうところも着実に、今後ともしっかりと件数として載せていただくようにしたいというのがあります。

 その一方で、先ほど申しましたように、いろいろなイベントの情報とか研修の情報とか、政策が変わった情報とか、そういったものをしっかりと拾って体系的に整理をしていくと、それはそれで1件の情報として積み上げていくことは、今でも福祉の世界では、かなりたくさん見ていただいていますけれども、そういう見ていただく基になるようなものを、地道にちゃんと積み上げていきたいということです。そういう意味では数え方も変に細切れにして、件数とかそういうことにはならないように、役に立つ情報がどのぐらい掲載できるかという観点でやっていけるように、注意はしていきたいと思います。

 

○五十嵐構成員

 その点は、よく分かりました。ただ、ちょっと気になったのは、ある意味、サービスとしてのWAM NETの情報提供の部分と、要は義務的な、他の社会福祉法人という社会の情報開示に関して、義務的なものとしての役割の道具として担うという話を、一緒にするのもどうかと思います。ですので、義務的なものについて、どのぐらいきちんと到達されているのかと。

 なぜかと申しますと、これは御存じかと思いますが、情報開示の手続をすること自体、社会福祉法人にとって大変なのです。それだけのことを義務付けているのだから、きちんと100%近くやった上で、それを適切に情報に使えるようにしてあげるというのが、やらせる側からしたら非常に重要な話だと思いますので、そこの部分の何らかの目標というか、それは別にあったほうがいいのかなと思うわけです。以上、意見ですので、これに対しては結構です。

 

○真野主査

 いや、でも重要な話ですので、理事長から何かあれば、お願いします。

 

○福祉医療機構理事長

 どういう思いでこの目標が設定されているかと言いますと、今、福祉・医療の基盤、社会保障に関するコストというのは大変大きくなってきていて、大きな議論を呼んでおります。その中で、国が進めているICTの利活用があって、このICTを利活用することによって、いろいろなものを効率的にやっていきましょうという流れがあると思っています。その中にWAM NET、いろいろな情報を提供しておりますけれども、これはセキュリティの面からいっても大変高いセキュリティで、信頼度が高いものです。

 それから、我々はフェイクニュースを載せるというような立場ではなくて、独立行政法人として、しっかりとした情報を載せていきたいと思っています。そういう意味では、このICTのいいインフラを情報媒体としてこのインフラを徹底的に活用して、福祉・医療基盤の効率性、透明性、こういうものを高められるのではないかという、そもそもの思いがあります。加えて、これは事務手続の簡素化にも使えるインフラでもあります。私ども特に退職共済等で使っているのですけれども、分野は限られますが、E-government化的な効率化にも利用しています。

 その中で社会福祉法人の財表開示というのがあって、これも財表開示によって、社会福祉法人の透明性を高めることによって、ガバナンスをしっかりさせましょうということがまずあります。、それから、社会福祉法人が税制で恩典を受けて、内部留保が多いのではないかという、一部の議論があったかと思います。そういうところはしっかり実態を見ていただくという思いもありました。ICTというインフラとしては、それはいろいろな情報に使えますものですから、やや雑多と思える程、いろいろな面で使っていただいています。また、事務手続の簡素化、そこのためにも使っていただきますし、有用な情報の広汎な伝達にも使っていただきます。それから透明性のためにも使っていただきます。

 我々、地域共生社会とか、今後もいろいろと大きなものを抱えている中で、信頼できて安心できる、ICTインフラを独立行政法人がしっかり運営しているというのは、我々は胸を張って言えるところかなと思っています。そういう意味でここに、もちろんやみくもに何でも載せるというわけではありませんけれども、いろいろな種類、多種多様な情報が有効に伝わることが、結果として社会的にいい効果を生むようなものは載せていきたいと思っています。

 幸いなことに現状の月間ヒット数から推定すると年間ヒットが12,000万ぐらいのところまできています。、かなりのヒット件数がありますので、つまり、見てくださっている方は、既に相当数いらっしゃるのです。従って、情報開示の場としての価値は極めて高いものと思います。逆に新しい開示情報について新たに開示の場を立ち上げると、まず100人、200人に見てもらうということから始めなくてはいけないということになりますので、これはいわゆる市場などと同じなのですけれども、一度参加者の多くなった市場というのは効率的ですから、ここは福祉医療関係の情報開示については、WAM NETを徹底的に使っていただければいいなと思って、このような目標を設定しております。

 

○真野主査

 ありがとうございました。多分、五十嵐先生の御指摘はあれですよね。義務的な開示とかそういったものと、消費者といいますか、生活者への情報提供と、両方が混在しているので、目標も別々に作ったほうがいいのではないかという、そういうお話かもしれないですけれども、今すぐどうこうという話ではないですが、多分、御指摘はそういう意味合いのように感じました。結局、義務的なところは一定数は当然見るから。

 

○福祉医療機構理事長

 例えば社福の財表開示の義務的なことについては、WAMで公表するということが強制されているわけではないのです。ルールとしてはICT上で公表することというのが定まっている所までです。それでWAMとしては、WAMの準備したフォーマットで公表していただければ、これはきちんとした公表と認められますという、そういうスタンダート化は行い、公表用のICTの基盤を、提供しております。ただ、独自で自分でやられるという方は、それはそれでやって結構ですと言う事になっています。ちょっと数は定かではないのですが、社福の2万余の母数に対して数百とかある一定数はそういうポリシーの方もいらっしゃるというのが現状です。

 

○真野主査

 よく分かりました。どうですか。

 

○五十嵐構成員

 その辺、実態はよく分かっているのですけれども、現実、きちんとした開示をという話になると、やはりWAM NETを利用してもらう、それを強制することはできないというのは、制度的にはできないという話だと思います。事実問題として、それで統一してやるほうが、やるほうというか出すほうも、そのほうがいいようにできているはずなので、そこは本当の意味で罰則をもって強制はできないのは分かっています。どのぐらいそれが利用されているか、全部で何%が入っているかというのは、出している側からしても重要なので、その辺はなるべくそういう努力をして、100に近づけるということをやっていただいたほうが、いろいろな人のメリットになると思いますので、よろしくお願いします。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 今、五十嵐先生から御指摘いただきましたとおり、先生はよく御案内だと思うのですけれども、WAM NETの前に、まず社会福祉法人制度の中で、各種所轄庁に届出をしなければいけないものがあって、そのときにこのシステムを使うと、その届出と公表と、また一遍にできるとか、そういう社会福祉法人制度自体、行政、私ども厚生労働省と自治体の所轄庁が、しっかりとその法人の方たちに周知して、趣旨を理解して御協力していただくという部分だと思います。ですので、そこについては、機構は出てきた業務をしっかりと管理して、分類して、セキュリティも掛けながら預かって公表していくという部分が、私どもとしては主にお願いしたいところだと思っています。ちゃんと届出をさせてしっかりとやっていくということは、行政の仕事としてよく御理解を頂きながら、それはそれで進めていきたいと思っています。

 また、情報掲載はいろいろな情報をまとめて1件、何でも同じように1件というところが義務的なものとそうではないものという御懸念は非常にごもっともだと思いますので、そこのところは関連指標なり、情報を定義するときに、何か工夫ができないかということで考えていきたいと思います。

 

○真野主査

 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 

○橋田構成員

 すみません、少し抽象的なというか、そういう話題になるかもしれませんが、お許しください。WAMのお仕事は、いつも評価のときに聞かせていただいて、具体的な内容は承知させていただいているのですけれども、今日は5年間の中期目標・中期計画ということですので、少し抽象的なというか、大きな枠組みのことを、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 まず、WAMさんの活動全体を御説明いただくときには、いつも福祉・医療・介護、当然そういう柱で御説明を頂いております。それに対して、中期目標を考えるときに、基本的な考え方というところで、行政で、例えば子育て安心プランという政策なりがあって、それを受けて今度の目標の中では、待機児童解消というようなものを取り上げていくということだと思うのですけれども、そのときの待機児童解消というのは、言葉で言えば、例えば福祉とか、そういうところに入ってくるのかというようなこと。

 それから、もちろん保育の人材確保とか、そういうのが中で入っていますので、トータルでということかもしれませんけれども、ちょっとその辺の全体の大きな目標との関係の辺りを、まず1つお聞きしたいと思います。それから、WAMさんの活動全体は、もう対象は、みんな法人、NPOで非営利法人もありますけれども、法人だということでよろしいのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 まず待機児童の関係、待機児童解消加速化プランが政策と連動しているということで、保育所でいえば当然、福祉の世界、児童福祉法の世界ということになっております。したがいまして、私どもの福祉医療貸付事業においても根拠法が児童福祉法である場合は、福祉の世界で整理をさせていただいております。また医療法とか看護師の関係の法律という法体系ごとに医療貸付、福祉貸付と、私どもでは呼ばせていただいております。ただ、もともとが医療金融公庫と社会福祉事業振興会という所が一緒になったという経緯もありまして、そこは根拠法によって、どちらのカテゴリーかということを考えさせていただいております。

 それから、私どもの貸付先は、法人に限っております。助成事業の一部や、年金担保貸付については個人の方が対象ということですが、福祉医療貸付については、法人ということで整理をさせていただいています。

 

○橋田構成員

 そういう意味で、その大きな枠組みはもちろん変わらずにこれからも続けていかれるということですね。あと、例えば中期目標の議論、目標と計画の議論をするといいますと、今の質問の答えの中にも出ておりましたけれども、ある程度、ボリュームの問題とか、社会構造がどうなるとか、そういったことも要素としては入ってくると思います。そういったことは、むしろ例えば政策で出てくるとか、もっと違うところで数字なり政策が出てきて、それを受けてそれを具体化するという形で、この目標と計画をお作りになっていると、そういう理解でよろしいでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 特養などは介護保険計画というものに基づいて、都道府県単位での整備数というのは決まっていきます。平成30年度から第7期の介護計画が始まりますが、私どもに融資のお申込みがあるのは、計画が決まってすぐに申込まれるということではなく、やはり都道府県が財政等いろいろと勘案しながら補助金を付けていった上で、私どもにお申込みがあるということなので、若干タイムラグは当然出てきますし、その大枠のところの整備数について各都道府県が介護計画に落とし込んでいただいて、各都道府県から市町村に下りた上で、うちにお申込みが来るということになります。そういう意味では、各地方公共団体の意向に沿って、私どもの申込みが増えたり減ったりということは、当然、出てまいります。

 

○橋田構成員

 ありがとうございます。ちょっと具体的な行政のシステムを十分理解していないところがありますのでお聞きしました。あとはそういうことで、ボリュームそのものについては余り議論されずに、むしろそこから出てくる、いろいろな事業の柱立てみたいな形で御説明を頂いておりますのと、それから、定量目標という場合は、活動のアクティビティの定量ですね。そういった意味では、だけど、もっと大きな社会的な仕組みそのものから出てくるボリュームなり定量の話とは、これは切り分けて考えるということでよろしいでしょうか。分かりました。ありがとうございました。

 

○真野主査

 よろしいですか。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 あまりお答えにならなかったら大変恐縮なのですけれども、目標の設定の在り方のお話で、待機児童解消の例などを挙げながら、お尋ねを頂いたものだと理解しています。例えば、今の橋田先生の問題意識の、例えば待機児童の解消というところで申しますと、最終的に政府としては、待機児童をゼロにしていくとか、特養の待機者をゼロにしていくということがあるわけですけれども、そのときに、ごく大まかに言いまして、行政のほうとしては、受皿の施設を整備していく、例えば保育所であったり、特養を建てたり、いろいろなことで整備をしていくというのが1つありますのと、もう1つはそれを支える人材を確保していくというものがあります。

 施設のほうにしましても、では、整備をしていくというときに、機構が融資をして整備をする場合というのも、もちろんかなりあります。中には、やはりなじみの民間銀行さんがあって、そちらから資金を調達をするですとか、あるいは一部の自治体さんですと、かなり手厚く補助をするので、そういうものでやるとか、手法の中では必ずしもWAMだけが全部のポイントを持っているわけではありませんので、その中でWAMとしてできる部分については、低利で長期で貸し付けて、しっかりとそれでやっていただくという部分が、まず施設整備の面としてあります。

 人材の確保で言いますと、保育士の確保に具体的にはなると思います。厚生労働省には子ども家庭局がありまして、いろいろな予算を確保し、直接、報酬制度というか、予算制度の中で支援しているものというのも、かなりあります。

 ただ一方で、福祉医療機構が担っている部分としましては、大きいのは政策的に公費も少し補助をしまして、退職手当共済制度の中で、保育士の確保、処遇改善を支援しているという部分があります。そこは政策の中の大事な一部分、人的面でもWAMが担っているのですが、これも当然ながら全部は持っていないということで、それは介護の部分についても障害福祉の部分についても、過去の経緯などもありまして、パーツで担っている部分、あるいは主要に担っている部分、いろいろあります。そういう中でしっかりと、これまでの経緯を踏まえて、役割を果たしていけるような目標の立て方ということになるものですから、どうしても最終的なアウトカムの部分というよりは、途中の状況チェック的なところも含めまして、目標を細かく設定させていただいているようなところがあります。最終はそういう結果につながるようにWAMが動いていくことが大事だと思いますので、先生の問題意識も大事にしながら、取り組んでいきたいと思います。

 

○真野主査

 関連して、理事長は民間からだと思いますが、民間ですとボトムアップなどという考え方もあると思うのですが、ボトムという表現がいいかどうかは別として、WAMが仮にボトムだとすると、WAMから何か大きな政策決定者に、こんなことが実は必要なのだみたいな意見を上げるようなケースというのも、パブリックコメントとかは厚労省がされると思いますけれどもね。そういうWAMから何か上げていくようなこともあるのでしょうか。

 

○福祉医療機構理事長

 厚労省は、企画・決定部門であり、こちらのWAMは執行部隊という関係なのですが、良い政策遂行の為には情報のコミュニケーションが必要であり、その情報をいろいろなレベルでやり取りをしています。今、一番話題になった部分では、例えば病院の収益率の推移などは、私どもの融資先でデータを取ったものは厚労省のほうにも伝えています。厚労省も、もちろん独自の数字は持っていらっしゃいますけれどもサンプルの分散が異なりますので、それぞれに意味があります。それから、リスク管理債権比率も、これはWAMと厚労省限りの数字ではありますが、厚労省とは共有するということはしております。償却金額も然りです。そういう意味では現場の情報も見ながら政策立案に役立てていただいていると理解しています。我々が何かそこに意見をするというのはおこがましいのですが、課題に関わる重要な情報で、現場執行部隊が見えるものについては、それなりの重みもつけて伝えるようにしています。それから、例えば事業廃止が決定しております年金担保貸付については、今後行っていく民間への情報提供については、いろいろな懸念や心配事や混乱の可能性も有り得ます。その可能性を共有し、懸念事項の発生を起こさない為にも担当部局のほうには、こういう課題があると共有することに力を入れています。企画部門と執行部隊とは一緒になって課題を乗り越えなくてはいけませんので、いろいろ主張し合いながら合意や厚労省の決定を得るプロセスは、重要だと思っています。そういう意味でお互いの働き掛けというのは活発です。

 橋田先生のほうから先程お話のあった目標の件なのですが、確かに民間であれば、多くの分野で何千億必達とかという目標を決めまして、次の年はその1割増だとか、機械的にて2割増ということがあるのですが、私は独立行政法人のWAMのミッションを果たすには、そのような分野は限定的だと思っています。それは組織運営としてはむしろ好ましくない場合も多いと思っております。もちろん使命として、福祉医療基盤を発展させ、安定化させていかなければいけない。そこのミッションを心の中に秘めながらいかにベストを尽くすかということに、工夫と力を発揮する事が重要だと思っています。例えば、年間の貸付金額は重要な数字で、常にモニタリングもしていますが、目標にはしていません。この数字はその時々の報酬の状況だとか、建設費の状況、人材確保の状況など、様々な影響を受けながら決まってきます。ベストを尽くした制度の最大限の運営があり、更に、それ以外の要素が大きく影響しいろいろなものが重なり合って、結果として数字が生まれるということであって、民間のように収益の最大化のための数字達成を絶対視に近く位置付ける運営は、厳格な制度運営や使命・ミッションの本質の達成に対し、ストレスを与えかねないとも思っております。使命を負ってやっている以上、それぞれの使命の重要度と直面する課題に応じてものごとを決めていくという事を常に実践していく、この道しかないのかなとはちょっと思っているところです。

 

○真野主査

 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

 

○五十嵐構成員

 直接の計画でなくてもいいですか。

 

○真野主査

 いいと思います。

 

○五十嵐構成員

 福祉医療経営指導事業に関することになるかと思うのですが、御存じのように社会福祉法人も医療法人も、この間の制度改革でガバナンスの強化ということでいろいろなことが図られましたが、例えば監事1つにしても、すぐに今、監事に就任している人が監事の役割を果たせているかというと、非常にお寒い状況だというのは実態だと思うのです。評議員にしても、評議員の資格が法令上きちんと書かれたにもかかわらず、それをどうやって担保するのかというものは何もないわけで、そうすると福祉医療機構が1回、単発のセミナーというのではなくて、例えばきちんとした連続したカリキュラムに基づいた、それはどこまで資格と言えるか分かりませんが、そういったものをやるということは、非常に福祉医療機構ならではのところではないかなと思うのですが、そういったものはやれないのでしょうか。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 まず、法人制度改革については、私どもは平成28年度に法改正を行い、今、五十嵐先生に御指摘いただいたような組織体制の見直しとか、新しい評議員制度なども作ったりということをやっているわけです。この実効性を担保していくことについては、まず一義的には都道府県や一般市までにわたる所轄庁がありますので、そこが実効性を確保していくという、指導監査制度がありますので、そこがまず第一にはなってまいります。ただ、その監査をされて指摘されるのを待つまでもなく、改善されるようにすることは大事だと思いますので、今回、制度改正をしたときにはセミナーを開催し、関連でアドバイスをしていただいたりということは、機構でも心掛けて、政策と連動して、関連業務も実施していただいていますので、そういうところはセミナーやいろいろな指導の中でやっていただいてはおりますが、今後もそういうところは折りに触れて御協力いただけるようにはしてまいりたいと思います。

 

○福祉医療機構理事長

 五十嵐先生のほうから大変有り難いお言葉を頂戴して、うれしいのですが、我々が事業の中で抱えているものの中で、リスクを考えると、政策融資のところの財投が返ってこないというのは大きなリスクです。それが償却に至った場合には、これは国庫にとっての大きな損害になります。そういう意味では、独立行政法人として極めて限られた人数で、ものごとをやっていくときに、どうしてもプライオリティーを付けなくてはいけないという事になります。そういう意味で、メインの政策融資に関わるところで、更に基盤施設の経営環境には厳しいものがありますから回収に関わる部分、それから経営が悪くなり出す前に、事前に指導する、そこは随分力を入れてやっています。ガバナンスという意味では、今のところ先ほどお話にあった研修と社会福祉法人の財務諸表の開示をWAM NETを使って行う事がまずあります。あのように透明性を高めることは見える化を進め、物事をあるべき姿に収れんさせていく事につながると思っています。この事は第三者の目で社会福祉法人のガバナンスを良くすることだと思います。その他事務フローの実務の中で法人のガバナンスに影響を与える事も重要と思っています。退職共済などでも、社会福祉法人とのやり取りがあります。NPO等の助成事業でも、今度はNPOのほうになりますが、帳簿や報告書だけではなく、きっちりと領収書も出してもらうとか、報告のフォーマットを統一化して、誰もが間違えずに、これは報告しなければいけない事項だというのがはっきり伝わるようにしていく事も重要と思っています。今のところ現勢力としては現業をやっております福祉医療貸付並びに退職共済、助成事業、WAM NETも含めて、所掌業務毎に各法人のガバナンスの強化に貢献できるところは、重要事項と認識の上、取り組んでおります。今、国の中でも、一般民間会社は会社法の改正やガバナンス・コードの採択、ステューワードシップコードで投資家からの監視も強化されました。ガバナンス強化という面では独立行政法人も同様ですし、社会福祉法人もそうですし、監査法人もガバナンスコードが導入されるなど、各分野でガバナンスを強化して、日本中で凛として効率良く働こうという状況になっているのだと思います。重要性は十分、認識しております。ただ、手持ちの資源の中で何とかそこに少しずつ貢献していきたいという思いです。

 

○松原構成員

 一言だけ手短に。先ほどから理事長も御指摘なさっているように、どんどんグローバル化も進んで、規制緩和も進んで、そうなると何でも規制緩和すればいいことだという流れがある中で、それでも医療・介護・福祉というのは市場に任せきりで、それで本当に効率化とか、又は目指すべきものができるのかという中で、日本は社会保障を充実して、医療・介護・福祉の整備をする、その基盤が福祉医療機構なので、非常に重要な役割を担っていただいていると思っております。財源が財投ということで、原資が財投ということで、目標をしっかり定めて、それをしっかり着実にこなしていくということが何よりも重要ということもよく分かります。

 一方で、職員にとって目標をすることが重要なのですが、それだけではなくて、いかにそこにチャレンジを生み出していくか。そのチャレンジというのは、一般営利企業における、例えば来年は売上げ2割増だぞとか、そういうチャレンジとかではなくて、日頃のいつも行っている業務なり現場を見る中での発見を更に業務につなげていくとか、そういう意味でのチャレンジが評価されるような仕組みは、別にWAMがではなくて、割と独法はなかなか厳しいのかなと。そういう傾向はあるのかもしれないと思いまして、これはあくまで意見として是非そういう点も、簡単に言ったら職員の評価をどうするかということにつながってくる話なのだろうと思うのですが、チャレンジ精神。今、最初に申し上げた、いかにこの業界を守っていくかという、財投を財源にして、しっかり行っていくか、守っていくかという視点とチャレンジ精神をしっかり刺激しつつ、やっていくかという、そこら辺はバランスが大変だと思うのですが、そういう視点も重要だろうなと、あくまで意見です。

 

○真野主査

 お願いします。

 

○福祉医療機構理事長

 ありがとうございます。いろいろチャレンジをしなければいけないというのは、私もここの組織にまいりましてまず感じたことです。平成2122年頃に総務省で独立行政法人の内部統制の課題についてまとめられた資料があって、そこでは一般民間企業と独法は、リスクプロファイルが違うと記されていたことが印象的でした。リスクプロファイルは、一般企業は収益のために突っ走るから、法令遵守だとか、コンプライアンスだとか、そこが危ないと。独立行政法人はその逆だと。要するに法令遵守、コンプライアンスは普段から制度に忠実に実践している。そうすると、組織の性格としては、やや進化することに対して慎重になるというか、新しいことをやると新たなリスクを生むという観点になりやすいという、総務省の研究会レポートでした。

 私もWAMに来まして、ちょっと偉そうなのですが、この観点からすぐに機構運営哲学というのを導入しました。、それはどういう文言から始まるかというと、「永続する進化を旨とする」という文言で始まっています、要するに社会はみんなどんどん進化しているわけですから、WAMだってそこに置いていかれないために進化をしないといけない、という意識を持ってもらっています。もちろん、組織人にとって、人事というのは相当な関心事だと思いますので、そこはなるべく評価にも反映させられるようにしています。重要な事項についての目標設定の中に、進化に関すること、効率化だとか、チャレンジのターゲットを入れています。また、現場の人たちがやったことで、私の所に上がってきた良い事例は、今の若い人たちは誉めるということをしないとなかなか成長しないという側面もあるようですので、なるべく誉めるようにし、「良かった」という意思表示をするようにしております。

 松原先生のほうからお話をいただきました、市場メカニズムに全てを任せるというのがそれでいいのかというと、これは大変問題が有るという点は同感です。もちろん市場メカニズムが効率的な部分はあるのですが、リーマンショックなどを見てみれば、自由化を進めて市場メカニズムに任せて、みんなハーメルンの笛吹き男に引っ張られ誘導された、レミングというか、鼠の大群のように、リターンの高いサブプライムローン関連のリスクの集積とコストの安い短期資金調達への傾倒という同じリスクテイクをして、全部川に入っておぼれてしまいましたということは、自由経済の中で何度も何度も起こっているわけですね。

 それから、自由化度の高いアメリカの医療制度が非常に効率的なのかというと、これはOECDでも統計の中でも見ても分かりますが、Health CostGDP比率、福祉・医療のコスト比率が最も高いのがアメリカで、日本も高齢化で高くなりましたが、これはアメリカに比べると大分少ない。ということは、考え抜かれた日本の制度の優位性をあらわしていると思います。日本の医療制度はバーデンシシェアリングというか、大きな共助の仕組で成り立っています。お医者様はお医者様でグローバルな水準のお給料ではないし、勤務時間も長いですし、いろいろな御負担をしていただいている。保険者の人たちは、その分支払いが安く上がっているという事ではなく、やはりそれなりの負担をしている。国と地方も公的に負担を負っている。もちろん本人負担も有ります。そういう公と保険者、そして個人、お医者さん、診療側、かつそれに中医協などは学識経験者の中間に立つ方が必ず入られて議論をやって、あるべき姿はこれだとの結論を毎回出し、負担の偏りがないように、また、重度の患者の負担が高くなりすぎないよう工夫されています。

 多分その基本的な考え方というのは、江戸における小石川診療所や聖徳太子の悲田院のように、昔からそういうシステムの原型があったのだと思います。亡くなられた元数学者で経済学者になった宇沢弘文さんの、社会的共通資本というのはどうあるべきか、社会をどうやって作る、社会保障をどうやって作るのだという、そこの議論を哲学や文化も含めてやった上で市場メカニズムをこういうところでは入れていきましょうとなるのが手順だと思います。この基本設計部分については、広汎な知識や日本人の求める本質的な社会のあり方に対する洞察が必要で、難易度が高いのですが、そういう議論がもっと必要だというのは思っています。私も時々雑誌に何か書けと言われると、今の日本の医療制度と福祉の制度は素晴らしくて、必ずしも市場メカニズムだけではいい制度は作れないよねというのは意識して書くようにしております。引き続き、またそういう機会がありましたら、そのようなことも広めていただけると有り難いと思います。長くなりましてすみません。

 

○真野主査

 最後の挨拶が終わってしまったような感じですが、どうもありがとうございました。よろしいですか。それでは、法人所管課と法人から、一言ずつお願いいたします。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 本日は私どもの説明も先生方に非常に御理解いただきまして、また大変貴重な私どもの気付かない御指摘を頂きましてありがとうございます。引き続きいろいろと御指導いただきながらですが、機構に担ってもらうべき業務をよく考えながら、しっかりと政策目標を達成できるように、これから関係省庁との協議もありますが、そういったものも踏まえながら、中期目標をしっかりと作成してまいりたいと思います。どうもありがとうございます。

 

○真野主査

 改めて理事長からおまとめください。

 

○福祉医療機構理事長

 本日は長時間にわたりまして、私どもの第4期の中期目標計画案について御審議を頂いて、ありがとうございます。私どもWAMは、国の政策実施機関として、地域の福祉・医療基盤の進化・発展と安定の実現、これに貢献することを使命とすると心得ております。第3期中期目標期間においては、福祉・医療政策の早期実現を目指し、より有効で効率的な業務運営に務めた結果、国の政策に基づき設定した各事業の目標に対する実績については、厚生労働大臣より高い評価を頂いたところです。

4期中期目標期間においても、政府が推進いたしますニッポン一億総活躍プランやまち・ひと・しごと創生基本方針などに基づいて、活動してまいります。より具体的には待機児童及び特養待機者の解消、地域医療構想の実現のための福祉・医療基盤の整備、福祉や介護人材の処遇改善、地域包括ケアシステム及び地域共生社会の実現などの政策方針について、各政策の実施実現の一翼を担う独立行政法人として、環境変化を常に捉えながら対応をしていきたいと思っております。御審議いただきました中期目標、中期計画案は、当機構の第4期における業務運営の重要な指針となるものです。本日、頂戴いたしました貴重な御意見等を踏まえつつ、福祉・医療政策の推進に引き続き貢献をいたしてまいる所存でございます。

 昨年5月にIMF(国際通貨基金)に高く評価された日本の高齢化対応政策における先見性、また今後、急速な高齢化を迎えるアジア諸国をはじめとする国々への有用な先行参考モデルとなることへのIMFの強い期待感、また更には英国医学誌『ランセット』における日本の医療制度の高評価など、グローバルな観点でも、優れた福祉・医療制度に誇りを持って業務を運営してまいります。また、福祉・医療基盤の進化・発展・安定に向けて、小回りの効く福祉・医療支援の専門店として、一層の機能発揮、及び多くの組織との有機的な連携に役職員が一丸となって取り組む所存です。有識者会議の委員の皆様には、当機構の業務運営について、今後とも御指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

 

○真野主査

 ありがとうございました。以上で本日の議事が終了いたしました。最後に、事務局から今後のことについて、お願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 事務局から、今後の流れについて説明差し上げます。今後は、本日、会議で頂きました意見を基に、法人及び法人所管課において、中期目標案、計画案を改めて精査させていただいて、手続の流れは会議冒頭で参考資料2で説明させていただいたとおりです。最終的な終着点としては、計画が年度内認可ということで、ちょっと日にちがありますが、確定した中期目標と中期計画について、構成員の皆様にお送りいたします。

 本ワーキンググループの次回の開催ですが、129()10時からを予定しております。場所は、今回の厚生労働省の建物とは異なり、中央労働委員会の7階講堂です。議題としては、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の次期中期目標案・次期中期計画案について、御意見を賜ることとしております。どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、事務的なお知らせですが、本日の会議資料は大部にわたりますので、構成員の皆様の中で配布した資料の郵送を御希望される場合には、机上にそのままにして退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 最後に、本ワーキンググループの閉会に当たり、本多総合政策・政策評価審議官から御挨拶をお願いいたします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 本日は大変お忙しいところ御出席いただき、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。本日の御議論を踏まえて、厚生労働省及び福祉医療機構において、それぞれ次期中期目標・次期中期計画の策定手続を進めさせていただきます。独立行政法人の業績を適切に評価し、法人の業務改善につなげていくためには、その前提として法人の有する資源、能力、これまでの実績、また法人に期待される役割などを踏まえて、的確な中期目標及び中期計画を策定することが重要であると考えております。有識者の皆様におかれましては、引き続き福祉医療機構をはじめ、当省所管法人の評価、またその前提となる目標及び計画の策定に際して、御知見を賜りたく存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○真野主査

 非常に突っ込んだ議論もできたかなと思っております。以上で第12回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGを終了させていただきます。長時間にわたり、いろいろな議論を頂きどうもありがとうございました。


(了)

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