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2017年12月19日 第6回「柔軟な働き方に関する検討会」議事録

○日時

平成29年12月19日(火) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○議事

○松村座長 皆さんおはようございます。皆さんおそろいということですので、少々早いですが進めさせていただきたいと思います。第6回柔軟な働き方に関する検討会をただいまより開催したいと思います。皆様におかれましては御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。本日は江木委員から御欠席の連絡を頂いております。

 本日は「雇用型テレワーク」「自営型(非雇用型)テレワーク」「副業・兼業」それぞれのガイドライン()を含む報告案について、前回の議論を踏まえまして修正案に関して事務局から説明を頂き、その後御意見交換をしたいと思います。それでは、カメラ撮りに関しましてここまでとさせていただきます。

 早速ですが、議題に入りたいと思います。事務局より配布資料の確認からお願いします。

○永倉在宅労働課課長補佐 配布資料の確認をお願いします。資料1として報告案を配布しています。資料2から資料4-2がガイドライン()とモデル就業規則()です。こちらについては、修正履歴があるものとないものと両方配布しています。参考資料1として第5回検討会での委員からの主な御指摘事項をまとめた資料を配布しています。そのほか座席表をお配りしています。不足などありましたら事務局までお申し付けください。

○松村座長 よろしいですか。それでは「雇用型テレワーク」「自営型(非雇用型)テレワーク」「副業・兼業」それぞれのガイドライン()について意見交換をしたいと思います。

 まず事務局から資料の説明をお願いします。

○永倉在宅労働課課長補佐 それでは資料1について説明します。報告案は、前回提示した内容から修正が分かるような形で資料を提示しています。まず1ページ目は議論の内容等の部分ですが、後日委員から、テレワークに関してもメリットとか趣旨を入れたほうがいいのではないかという趣旨の御指摘をいただきました。ですので、(1)を「テレワーク」として、テレワークは時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方で子育て、介護と仕事の両立手段となる、多様な人材の能力発揮が可能となる、一方で「雇用型テレワーク」は長時間労働につながるおそれがあるという御指摘や、「自営型テレワーク」は注文者や仲介業者との間で様々なトラブルに直面しているという御指摘もあるため、これらに留意しつつ普及促進や就業環境整備を図ることが重要であるという言葉を追加しています。その下で、マル1「雇用型テレワーク」、マル2「自営型テレワーク」と書き分けると修正しているものです。

○飯田労働関係法課課長補佐 続きまして、(2)は副業・兼業ですが、まず冒頭段落ですが、前回の検討会で河崎委員から副業・兼業を促進する理由として、企業と労働者の関係が変化してしていく旨の記載を入れられないかと御意見を頂き、また後日萩原委員からも御意見を頂きました。御意見を踏まえて追記をしたものです。新しい記載ですので、委員の皆様の御意見を頂戴できればと思います。

 次の2点の修正、企業秘密の漏洩の部分ですが、これはモデル就業規則の記載に合わせて修正したものです。それから労働時間と健康管理の部分ですが、ここにつきましては、2つ目のポツの記載については前回の委員の御指摘を踏まえ、3ページ目の「ヒアリングにおいて」から労働時間ルールを遵守すべきとの御意見があったという部分に移しています。

3ページは、同じ部分に前回御紹介した「新しい経済政策パッケージ」の内容も踏まえつつという記載を追記しています。その他の部分ですが、ガイドラインについて今後必要な改定を行っていくという部分については、副業・兼業だけではなく、テレワークについても同様なため、「その他」にまとめて書いてあります。

 更に周知についても御指摘を頂きましたので、最後に追記しています。この報告案にそれぞれガイドライン()、モデル就業規則()を添付し、まとめることを考えています。

○高橋在宅労働課課長補佐 それでは、資料2を説明します。資料の右肩に「資料2(5回検討会からの修正履歴あり)」と記載されたものを御覧ください。修正した箇所が赤字で表示されているものです。前回お示ししたガイドライン()から修正した箇所は全部で4点あります。

まず1ページの下から4行目です。前回の検討会では、労働政策研究・研修機構が実施した実態調査結果のうち、テレワークを実施する上での問題や課題等のみを記載していましたが、萩原委員と荒井委員から同調査におけるテレワークのメリットについても記載すべきであるとの御意見を頂きましたので追記しています。具体的には、企業側メリットとして、「従業員の移動時間の短縮・効率化」、「定型的業務の効率・生産性の向上」などの点を挙げており、労働者側は「仕事の生産性・効率性が向上する」、「通勤による負担が少ない」などの点を挙げています。

 次に4ページです。ここでは、例えば自宅でテレワークを行ったのちにオフィスに出勤する場合の移動時間など、勤務時間の一部をテレワークする際の移動時間の取扱いを記載しています。このような移動時間の考え方につきましては、第2段落において就業場所間の移動時間が労働時間に該当するか否かは個別具体的に判断されることとした上で、第3段落において休憩時間になる考え方を、第4段落において労働時間になる考え方をそれぞれ記載しています。

 前回での荒井委員と神吉委員からの御指摘のとおり、第3段落の「労使で合意し」という文言があれば労使で合意すれば一律休憩時間として取り扱うことが可能と読めてしまう可能性があることから、「労使で合意し」は削除しています。

 次に6ページです。事業場外みなし労働時間制の所ですが、荒井委員からの「必要がない」という文言は口語的で解釈が難しいとの御指摘を踏まえ、「必要がない」を「義務がない」に修正しています。また、使用者の指示には黙示の指示も含まれることを補足的に付け加えています。

 最後に10ページです。これは後日の萩原委員と江木委員からの御指摘を踏まえ修正したものです。ここでは長時間労働対策の推奨例の1つとして、テレワークを行う際の時間外、休日、深夜労働の禁止を記載していますが、具体的な対策の事例として、時間外、休日、深夜労働の原則禁止や使用者等による許可を得ることを就業規則等に明記しておくこととしていますので、それに合わせて表題を禁止から「原則禁止等」に修正しています。私からは以上です。

○永倉労働在宅課課長補佐 続いて資料3です。右肩に「修正履歴あり」と表示されたものです。修正は3か所ありますが、1つ目が2ページです。2ページの募集の所ですが、イの募集内容の明示の所で、「ウェブサイト上等」と修正しています。これは前回湯田委員から御指摘がありまして、ウェブサイトではアプリケーションが入らないという御指摘だったかと思いますので、ここに「等」という言葉を入れました。同じ修正を2ページと4ページのロの電子メール等による明示の所、2か所ともウェブサイト上とありましたので、同様の修正をしています。

 続いて、8ページです。8ページのヘの契約解除のマル2です。これは前回委員にたくさん御議論いただいた所ですが、合意による契約を解除する場合のパターンについて示している所です。前回の委員の御意見を踏まえて書き方を大きく変えています。合意による契約を解除する場合は最終的には注文者と自営型テレワーカーで十分に協議した上で報酬等を決定することという書き方に修正しています。これには様々なケースがあることになりますので、1つの例示として例えば請負契約においては、既に仕事に着手した部分により利益が生じている場合、これを生かすような形で修正をしています。ある程度例示を示すことによりワーカー保護の面でもクリアができると考えて、このように修正をしました。「自営型テレワーカー」に関しては以上です。

○飯田労働関係法課課長補佐 続きまして、資料4-1と資料4-2について説明いたします。まず、資料4-1、「修正履歴あり」と書いてあるものです。2ページの企業のメリットの部分ですが、マル2に前回頂いた御意見を踏まえて、追記しております。また、(2)に前回検討会後に頂いた湯田委員からの御意見を踏まえ、地方創生に資する面があると考えられる旨、追記しております。

3ページの(2)ですが、副業・兼業の申請・届出の際の御議論ですが、前回の議論を踏まえ、「守秘義務に留意しつつ」という記載を追記し、労働条件通知書などと求人票についての記載を書き分けております。求人票については、広く「募集に関する書類」に修正しております。

4ページですが、安全配慮義務の前後の記載部分についても、前回、御議論いただきました。その結果、2ポツ目ですが、「それぞれの事業場において適切な措置を講じることができるよう」と修正し、「安全配慮義務について、明確な司法判断は示されていないが」という記載を追記しております。資料4-1については以上です。

 資料4-2のモデル就業規則の改定案ですが、前回の御議論を踏まえて、改定案の第653項の4号、競業の部分ですが、「競業により、企業の利益を害する場合」ということで修正しております。また、解説部分に、労使間で十分に検討することや、届出を必要とする趣旨、副業・兼業に関する裁判例を追記しております。以上です。

○松村座長 今の事務局の御説明を踏まえて、御質問、御意見を頂きたいと思います。特に、先ほど御説明がありましたが、資料1の検討会の報告案の2ページの副業・兼業の冒頭の部分は河崎委員から頂いたところです。今御説明いただいた副業・兼業の2ページの所に、湯田委員からの「地方創生に資するという面がある」というところで、それぞれPマークが付いていますが、その辺りを踏まえて、御自由に御意見、御質問頂ければと思います。それでは、よろしくお願いします。

○河崎委員 兼業・副業の所の修正、ありがとうございます。特にこの文章の中で、「労働者と企業との関係が変化している」という言葉、それと「労働者が主体的に自らの働き方を考え、選択」という言葉を入れていただいたことが、今回のガイドラインの大きな目的を的確に示すものだと思います。まず、この部分については修正を本当にありがとうございます。

 続いて、同じ報告の部分で、3.のその他の所に、ガイドラインあるいは分かりやすいパンフレット等を作っていくということなのですが、副業・兼業についても、前回ありましたように、もし事前に見せていただくことができれば、意見等を言わせて頂ければとお願いいたします。

 我々は本業・副業という視点で副業・兼業を見てきたのですが、実はこれから先、本業・本業みたいな、本と副の位置付けが変わっていく可能性が大いにあると思いますね。そういう面では、例えば今のこの時点では副業側から、あるいは労働者側から見たときの対応とか、この辺については我々は今回は協議はできておりませんが、今後、継続していく検討の中で、ある程度、明確にし、企業の人事担当からすれば、分かりやすいガイドブック的なものを作成していっていただければと思います。ちょっと意見でしたが、以上です。

○芦野委員 今の河崎委員とほとんど同じような意見、賛同の意見になるのですが、改めてそもそもの話をしてしまうと、この検討会は皆さん御承知のとおり、柔軟な働き方について提案をしましょうと。そのために、ガイドラインをどのように整備すればいいかということがスタート点だったと思います。そういう意味では、特にこれは名宛人としては雇主であるとか、発注者、仲介企業等を念頭に置かれているものですから、そのような方々にとって、一体どのようなメリットがあるのかということをきちんと示すのは、非常に重要なことだろうと思います。

 また、さらに一方で、しかしながら、これを基に役務提供者側も自分たちが一体どのような権利を持ち、両当事者が適正な関係を作ることができるのかを知ることができるのも、非常に重要なことだろうと思っております。そのような工夫、働きすぎないであるとか、働かせすぎないという工夫が、いろいろなところに入っておりますので、そのことを働く側のほうも知ることは非常に重要だろうと思っておりますので、是非ガイドラインを周知させるためのパンフレット等については、それぞれの対象の人にとって全てメリットがあるし、かつそのメリットは、もちろん一定程度の義務を伴うものであったり、どのような形での適正化を目指しているものなのだということが分かるような形で示していただければと思っております。以上です。

○湯田委員 アナウンスがありました資料4-12ページで、メリットの記載についてです。(2)において、「地方創生にも資する面もあると考えられる」という追記をお願いした理由を補足し、意義を説明します。現在の副業・兼業の事例において、テレワークも活用しつつ地方企業の経営人材として複数の会社で活躍されているケースがあります。都市圏にお住まいで、大企業で活躍されていた方が週2日程度、地方の企業に就業し、経営の支援をすることで、事業力が上がり、経営向上しているというものです。

 地域経済活性化支援機構の出資で、政府の施策で日本人材機構が大都市の経営人材を地方に送り出すという事業を期間限定で行っており、その取り組みの中でも兼業パターンで顕著な成功をだしている例も報告されています。よって、副業・兼業が地方創生に資する面もあるというメリットを、表現する文章を入れたほうが良いと思った次第です。

 ただ、現在の表現だと読んでいる方にとって、唐突感があるとも感じますので、もう少し補足し、例えば都市部の人材が地方でも活躍できるための土壌となることで、地方創生につながるという趣旨を文章として入れたほうが、なぜ地方創生に資すると言えるのかが分かると思います。今の潮流を踏まえ、都市部の方がテレワークや移動手段を活用し、兼業が地方でもでき、地方創生に役立つという意図を表現したほうが良いと感じています。以上です。

○芦野委員 今のところに関しては、湯田委員のおっしゃられたことは賛成です。ただ、ガイドラインの所に入れるのがいいのか、あるいはそれを周知するためのパンフレットに入れればいいのかというのは、いろいろな工夫があると思いますので、その点についてはどうでしょうか。そういう対応をしてほしいという要望を事務局に踏まえていただいて、ガイドラインに入れるかどうかはお任せしてしまうというのはいかがでしょうか。

○松村座長 今の件に関して、御意見はありますか。

○神吉委員 今、テレワークに関してと副業・兼業、それぞれメリットを載せたらいいのではないかというお話ですが、メリットというのは、柔軟な働き方といっても、それぞれ全然違います。特に副業・兼業に関しては、世間の受止め方はかなり厳しいといいますか、政府は副業・兼業をやらせようとしているけれども、単により働かされるだけではないかといった懸念も非常に大きいところ、メリットに関しても、いろいろな人がいる中で、余り何かに特化したものは出さなくてもいいかと思っています。パンフレットとか好事例として出すのも、芦野委員の言われたとおり、私も1つの選択肢かなと思います。せっかく話が出たので、資料4-11ページのところも。メリットが4つ並んでいて、例えばマル2の「本業の安定した所得を活かして」とありますが、安定している人ばかりではないので、こんなことを言ってしまっていいかという懸念はあります。メリットはなるべく最大公約数的なものを挙げて、細かい事例に関しては参考にしてもらえるようなパンフレットですね、そういうところで出してもいいかなと思います。

○湯田委員 両委員から御意見を頂いたように、一つ一つのケースを拾い上げ記載するということではなくていいと思います。一方で現在、政府で進めている大きな流れの中で、働き方改革、人づくり革命とならんで地方創生もありますので、この施策はそれらにも波及していくということは入れてもいいと思います。ガイドライン上では余り文章量を多くする必要はないので、神吉委員がおっしゃったように、解説書の中で中身は解説するという程度よいです。以上です。

○萩原委員 資料1でテレワークのところで、こちらも副業に合わせて背景やメリットを入れたという件なのですが、今挙げられているメリットが、「子育て、介護と仕事の両立手段となり」と書かれていて、これだと従来の特別な理由のある、限定された人を対象にした在宅勤務制度の延長のような印象を受けてしまうので、これからの柔軟な働き方というところでいうと、もうちょっと表現の仕方を工夫して、誰かに限定されたメリットではなくて、すべてのひとにメリットがあることが伝えられるほうがいいかなと感じました。

○松村座長 これに関してはいかがでしょうか。委員のほうからはよろしいですか。事務局、何かありますか。

○宮川雇用環境・均等局長 そうすると、「子育て、介護と仕事の両立手段となるとともに、働く方のワークライフバランスに役立つ」と、ちょっと変な表現ですが、「などや多様な人材の能力発揮が可能となる」という趣旨で直されたらいかがでしょうか。

○松村座長 御意見はありますか。では、そういう形で進めていきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○河崎委員 資料4-13ページの(2)の労働条件通知書とか契約書、これは前回も少し議論になった部分ではあると思うのです。大きな流れに反対ではないのですが、少し具体的な労働条件通知書、あるいは契約書ということを文書として出してしまうことが少しぎらつくなと。もう少し柔らかい表現に変えてはどうかと思います。例えば「自己申告書のほか、副業・兼業先から交付される書面を活用することが考えられる」というようなぼやかした言い方にすることで、特定の書類を提出するかのごとく、強い伝わり方をすることを避けるというのはいかがかと。以上です。

○松村座長 この件に関して、いかがでしょうか。

○神吉委員 私は逆に、副業・兼業の内容を正確に把握することが、安全配慮義務や、労働時間管理の面で必須になってきますので、むしろ挙げておくべきなのではないかと思います。自己申告せざるを得ない場合もあろうとは思いますが、前回、お話に出たように、労働条件通知書のうち通知すべきでないような細かい情報や、相手方企業の機密に関わるような部分に関しては、黒塗りでも問題ないわけです。形式として「書面」だけだと、一体何なのかが曖昧ですので、労働条件通知書、それから契約書を例示として挙げておくと。それも「例えば」ですので、問題ないと考えています。

○松村座長 ほかにいかがでしょうか。事務局、何かありますか。

○大塚労働関係法課調査官 今の労働条件通知書の河崎委員の御指摘に関しては、一方で神吉委員からの御指摘もありまして、私どもがガイドラインを示すときに1点、留意しなければいけないのは、このガイドラインを御覧になった一般の方々にとって、分かりやすく具体的なものである必要があるとも考えております。そういう観点で、神吉委員からも御意見がありましたが、具体的な例示について特段の御異論がなければ、原案のままにさせていただきたいと思いますが、委員の皆様方の御見解を賜れればと思います。

 先ほどの湯田委員からの地方創生の部分の件に関しては、これもほかの先生方からも御意見がありましたが、必要最小限の修飾語を地方創生の部分に加える。例えば「都市部の人材を地方にも活かす」という趣旨の修飾語を加えることは、検討し得ると思っております。以上です。

○河崎委員 今の労働条件通知書の部分ですが、めちゃめちゃこだわっているわけではないのですが、これは本業から副業を監督するという立場で書かれております。我々のアウトプットもそうなっています。ただ、今後、本業という呼び方がいいのか分からないですが、副業側からも同じように、労働時間であったり、勤務と状況は両方、合算して見ていくことは、労働者を守るという立場上、相互でなければならないと考えております。そのときに、お互いに両方ともいろいろなものを見せ合うというのは、特定の書面という考え方で記載するよりもいいのではないかと考えた次第です。

○松村座長 今の御意見に関して、いかがでしょうか。

○芦野委員 ここの部分は、先ほど河崎委員の御指摘のとおり、なぜ必要なのかというと、企業秘密の漏洩の観点であるとか、あるいは長時間労働を招くものにならないかということです。ですので、そのような場合に、一体どのようなものが考えられますかということでの例示なのだろうと。ここで苦労されているところは、やはり「活用することが考えられる」という表現ですので、実務の方がぎらつくというのは、正にそれはそうなのかなとも思いつつも、見た人が一体どんなのを使えばいいのでしょうか、あるいはどんなものを利用することができるでしょうかというのが分かるという点では、このような並べ方があると、私みたいに実務に疎い人間にしてみると、なるほど、こういうのは使えるものとしてはあり得るのだなというのが分かって、かつ活用するという言葉から、これは必須のものではなくて、例えばこういうのがありますよというのをお互いで話し合って決めることができるというニュアンスにも取れるかなと思うのですが。

○荒井委員 今の点、非常に悩ましい問題だなと思っています。河崎委員の御指摘するとおりで、実務においては労使のコミュニケーションの中で、際限なく開示の要請が広がっていってしまうのではないかという懸念があることも御指摘のとおりですし、逆に、企業にしてみると、ある副業について、それはやめてくれというコミュニケーションを取る前提として、副業に関する一定の情報は欲しい、というのも理解できるように思います。そういった意味でいうと、要するに、不必要な情報まで要求し、要求されるということが避けるべき事態であるということになりますので、こういった書面を利用するものの、企業として何でもかんでも情報を出せと言えることでもないことを注意喚起するというような、何か留保をつけるというのも、落とし所としてはいいのかなと思います。その最たる例は賃金ということになるのではないかと思いますが、そういった本来であれば兼業・副業を認めるに当たって、一般の場合には要素とならないような情報まで要求することについては、留意するべきだという文言ですとか。そうした、留保文言を設けておくというのは1つの落とし所なのかなと思います。

○神吉委員 不必要な情報が渡らないようにという懸念に関しては、最初に河崎委員の修正案であった、労働条件通知書とか契約書を取ってしまって、特定の交付された書面というようにぼかすという御意見は、むしろ逆に働く可能性もあると思っています。例えば就業規則を書面で渡されていた場合に、相手方の会社が就業規則を見せろと言ったとき。社外秘となっていればそれは駄目ですと言えるかもしれませんが、明確でない場合に、「交付された書面」というような漠然とした書き方だと、見せなければならないのか、労働者は迷ってしまうと思うのです。そういったものまで見せる必要がないことは、別に限定をしたほうがいいかもしれません。以上です。

○松村座長 ほかにいかがでしょうか。この件は事務局で最後はまとめて、また皆さんにお諮りすることになっておりますので、そうさせていただきます。ほかにありますか。

○湯田委員 本検討会の中で、仔細にわたるところは解説書やパンフレットで記載ということになっていますが、その発信がいつぐらいになるのか分かると、企業としては有り難く思います。4月から新しい施策を考えている企業が多い中、今回のガイドラインだけを読んで考えればいいのか、若しくは解説書がいつ出るのかが分かっているかでは、動き方が変わりますので、おおよそ解説書はいつ頃になる想定かを確認したいと思います。割と早期に出るのであれば、報告書の中の3ページで「パンフレット等を作成し」となっているところも、「早期に作成し」など、「早期に」を付けるのもよいのかと思います。もしスケジュールが見えているのであれば、御教示いただけますでしょうか。

○松村座長 それでは、事務局、いかがでしょうか。

○大塚労働関係法課調査官 なかなか確定日で申し上げることは難しいのですが、このガイドラインと、例えば労働時間の関係とか、実際の運用に当たって疑義が生じるような部分についてガイドラインを補足するような別途の具体的な整理を示そうとしているところです。その時期については、お約束するのがちょっと難しいと思いつつも、大体1月中を目途にはお示ししたいなと思っております。

 お示しするやり方ですが、パンフレットについては事前に適宜、御相談もさせていただければと思っておりますが、形としては本省のほうから都道府県労働局に対して、検討会の結果としてガイドライン等々ができましたということで、その周知の指示をする予定です。それとタイミング的に合わせて、今申し上げたような解釈に係る具体的な整理も、厚生労働省のホームページ等でお示しするなど、別途お示しし、併せて周知を図っていくと、そのような運用にしていくつもりです。

○松村座長 よろしいでしょうか。

○湯田委員 御回答ありがとうございます。理解しました。

○松村座長 ほかにいかがですか。

○神吉委員 細かいところが気になっているのですが、2点。1点目は、報告書案、資料1で、今回、テレワークという所で頭出しされて、テレワーク自体がこういう働き方であると書かれていたので気になっているのですが、マル1の雇用型テレワークに関して、別添のとおり、「情報通信機器を活用した在宅勤務のガイドライン」を、「情報通信技術を利用した事業場外勤務のガイドライン」としていくとなっているのです。

 よく見ると、「機器を活用」から「技術を利用」となっていて、多分、法律上のテレワークの定義に合わせたのだろうと思われるのですが、マル2の自営型テレワークに関しては、「通信機器を活用する」となっていますよね。なので、テレワークの定義が前に出されたがゆえに、何で違うのかが気になってしまう。もし範囲が違うのであれば、何か注記が必要ではないか。余り気にする人はいないかもしれないのですが、私は結構気になっているのが1点です。

2点目も先に申し上げますと、副業・兼業のガイドラインの資料4-14ページですが、安全配慮義務について、明確な司法判断は示されていないというのは、現状そのとおりだと思うのですが、「現時点で」などと入れなくていいか。出たら改訂すればいいのでしょうが、タイムラグが生じた場合に誤解を生じないか、ちょっと懸念しています。以上です。

○松村座長 それでは、事務局お願いします。

○大塚労働関係法課調査官 後者の安全配慮義務のほうからお答え申し上げますと、「現時点で」というのが事実だと思いますので、ほかの委員の方から御異論がなければ、「現時点で」という言葉を入れたいと思います。

○永倉在宅労働課課長補佐 テレワークのほうなのですが、御指摘のとおり確かに雇用型のほうは今回、「情報通信技術を利用した」という言い方に換えています。これはすごく細かいことなのですが、国家戦略特区法という法律があり、その中でテレワークについて定義をするときに、「情報通信技術を利用した」という言い方にしているので、今回換えているものになります。

 ただ、一方で自営型テレワークに関しては、従来から「情報通信技術を活用した」という言い方にしていて、今回、定義を換えてはいるのですが、大幅に変更すると、在宅ワークからものすごく拡大するとか、そういうことではないということもあり、特段、文言の変更はしていないところになります。両者とも大きくは意味が変わるものではないという捉え方をしており、ただ、雇用型については法律の定義があったので、そちらを引用したという違いになります。

○松村座長 今、大塚さんから、「現時点で」というのを入れることと、永倉さんのほうから今の御説明のとおりだったのですが、御意見はありますか。

○神吉委員 質問ですが、自営型は今までのを余り広げるつもりがないので従来の言い方をしている、でも、どっちの言い方でもそんなに変わらないとおっしゃいました。新しい国家戦略特区に関する考え方を自営型に適用すると、何かまずいのでしょうか。「テレワークとは」みたいな定義、それは雇用型に係るものだけで、自営型に関しては国家戦略特区の考え方は関係ないから、違う言葉を遣っているということでしょうか。

○永倉在宅労働課課長補佐 関係がないといいますか、テレワーク自体のかっちりした言い方が、多分これまで結構「情報通信機器を活用した」という言い方のほうが多かったかなというのはあるのですが、法律になってくると、やはり文言の使い方を精査しなければいけないということもあり、実際、国家戦略特区法においては「技術を利用する」ということで、ICTを利用するという言い方になっていたところになります。なので、自営型に適用できないとか、そういうことではないのですが、ただ、従来の言い方というところもありますし、語感の問題もあるかなという部分もあり、余り大きく変更しないほうがいいかなという観点で、これまでは特に自営型のほうは見直さずに、従来の用語できていたというところになります。

○松村座長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。

○小西委員 1点だけ、とても細かい所なのですが、教えていただきたいところがあるのです。資料1の報告案の1.議論の経過の2行目で、「自営型(非雇用型)テレワーク」と書いてあるのです。この検討会はずっとこういう形で書かれているのですが、何て言うのか、この自営型テレワークのためのガイドラインとかでは、「(非雇用型)」というのは書かれていないのですが、これは何か、その趣旨みたいなものがもしあるようでしたら教えていただきたいという点が1点です。この点だけです。

○永倉在宅労働課課長補佐 もともと、「自営型(非雇用型)」と並べていたのですが、働き方改革実行計画の中では非雇用型テレワークという言い方をされておりました。ただ、用語の使い方として、非雇用型、雇用に非ずという意味合いになってくることになるかと思うのですが、このような表現が本当に適当なのかという考えもありまして、自営型という用語にしたものです。実際のガイドラインとなったときには、やはり自営型というほうが適切なのかと事務局では考えまして、特に括弧で非雇用型とは書かずに自営型のほうだけ残しています。

 ついでにもう1点すみません。先ほどの神吉委員の御質問に関してです。情報通信機器を活用するとなると、英語で言うとICT機器を活用するという言い方になるかと思います。自営型テレワークに関しては、特に情報通信機器自体、パソコン等を実際に使って働くという観点もありますので、やはり今回、技術の利用というよりは機器の活用と言ったほうが分かりやすいのかという観点もあるかと思います。以上補足になります。

○松村座長 よろしいでしょうか。

○小西委員 そうしますと、この議論の経過の所で、「自営型(非雇用型)」と書いてあるのは、これまでの経緯のところで書かれているということで、ガイドラインのところで自営型テレワークという言葉が書かれているわけですが、その中に「(非雇用型)」という言葉が入っているわけではないという理解でよろしいですか。ありがとうございます。

○松村座長 ほかにございますか。

○荒井委員 これは報告案の内容というよりは、今後のことという、お願いといったことになると思います。ちょうど先週、私のクライアントで介護施設の運営をされている方がいらっしゃるのですが、御相談がありまして、人手不足で、人を採用したいと思っているのだけれども、応募してきた方が、別途本業で正社員をやられていて、週に1回だけでよければ、ということで副業として採用に応募してきた、という御相談が、正に現実にありました。施設の方は、他に本業で正社員をやられている方であれば、採用することはできないですよね、ということをおっしゃったのですが、いや、副業だからといって必ずしも禁止されるものではないですという、回答を行いましたが、、正に今、議論が行われ、このガイドラインを出すことは非常に意味があるように思っていますし、そもそもそういった、副業をしようかという方が出てきたこと自体、1つの選択肢が出てくるという意味で、非常にこの議論のいい効果だったのかと思っています。

 一方で、この報告の最後の部分にもありますが、労働時間の通算の部分ですとか、社会保険ですとか、今後どうするのだという部分の積み残しがまだ少しありますので、そういったところも、もう既に実務としては動き始めてしまっているところもありますので、これは是非、ここで終わりではなくて、追加的にでも見直しのための検討を進めていただきたいと思っております。

○松村座長 ほかにいかがでしょうか。

○河崎委員 今の労働通算の部分なのですが、全く荒井委員と同じ意見です。実は、ロート製薬が、2020年に、研究職、技術職の雇用を20%外国人研究者にするという目標を抱えてダイバシティを進めております。特にインドとかシンガポールだとか中国だとか、こういった所からの優秀な研究者とか開発者と一緒に、ロートの研究所で世界に通用する研究をしているわけです。時間外に対して、彼らは、会社が関与していくことに対しては、意外と文化的なものだと思うのですが、どちらかと言ったら置いておいてくれと、アウトプットはきちっと出します、プロとしてということなのです。これが、どうしても我々、本業・副業という考え方で、本が副を管理していくということで従業員の安全も守るしという感覚になりがちなのですが、今後、多様性の時代の中で、海外の労働者を、これは単なる労働ということではなくて、知的労働者を企業に招き入れて研究を進めていくといった中では、いずれ少し感覚が、僕らのジャパンローカルの考え方に縛られてしまわないかというちょっと懸念点があります。事務局のほうで、海外のこういう合算についての様子等が分かれば情報を頂きたいのと、将来、この合算についてはやはり少し一歩進めて考えていくべき検討を必要とするのではないかと思っております。

○松村座長 事務局から何かございますか。

○土田監督課課長補佐 御質問ありがとうございました。御質問のあった家以外での労働時間の通算の在り方について、少し前の調査なので最新のものはちょっと分からないので恐縮なのですが、主にヨーロッパ諸国では、基本的には通算をすることになっています。法律で決まっているものだとか、そうではなく解釈でそうなっているものとか、レベルは様々です。また、日本と同じような割増賃金を払う制度がない国だとか、割増賃金を払うことにはなっているけれども、通算について言うと、割増賃金は払わなくていいが時間のキャップははまるというような国、それぞれ様々である。あと、アメリカは労働時間の上限というものは特段なくて、割増賃金を払えば良いという国ですが、一定の、ほぼ同一の使用者と考えられるような場合には労働時間を通算するといった形になっていて、各国それぞれ様々となっています。ここに書いてありますように、今後制度の在り方については検討していくことになりますので、そういった各国の状況も参考にしながら検討していきたいと思っております。

○松村座長 よろしいでしょうか。

○河崎委員 ありがとうございます。特にイギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパの国々では通算が現状運営されているとは聞いています。新興国を含めて、逆にほとんどの国ではやはりそういうようにはなっていないのが実情かとは思います。今後、我々の職場が海外の人にもオープンにされていく中では、将来的には検討が必要な項目だと思います。

○松村座長 ほかにいかがでしょうか。

○荒井委員 今の部分ですが、諸外国の状況というのももちろん参考にすべきだと思います。一方で、我々の法律においても、解釈によっては通算しなくていいのだという有力な学説もあるものの、通算するとの行政解釈はなされています。ところが、実態としてどうなっているのか、というところはやはり重視すべきなのだと思います。同じ報告書だと思いますが、私が拝見したときには、実態としてそうした通算規定が守られているかどうかという意味で言うと、かなり疑問もあるという指摘もあったかと思います。法律はどうしても後追いになってきてしまうところもありますし、やはりその実態の部分を見据え、正に社会背景も大きく変わっておりますので、そういう点も含めて御議論していただければと思います。

○芦野委員 今の荒井委員からのお言葉でも出てきましたが、関係法令について恐らくパンフレット等で示していくことになるのだろうと思います。となると、そのような関係法令はどのようなものがあるのかということとともに、それがどのように使われるのかも、できれば示していただければうれしいと思います。御承知のとおり、先週の閣議決定で、新しい民法が202041日から施行されることになりました。このガイドラインの次の改定が一体いつになるのかも問題ではありますが、しかしながら、そうすると民法のここの部分に関する所が、特に今回は請負に限定せずに、請負等で広げたのもありますし、民法の中身そのものが変わったというのもありますので、そのパンフレットの中で、今、現行で適用されているものに限るのか、あるいは202041日以降のものも含めるのかどうか。さらに、適用関係について、もし両方含めるのであると、適用関係等についても少しでも示していただければいいのかと思っております。いずれにしましても、これはガイドラインですので、こういう形が、こういう方向がありますよという指針を提案しているものですから、その提案を受け止める側が、なるほど、この提案については法律の規定とともにこのような形で使うことができるのだというのが示されるのが、非常に有益ではないかと考えております。以上です。

○松村座長 ほかにいかがでしょうか。報告案の2ページの副業・兼業の冒頭の所が追記されておりますが、これに関してはいかがでしょうか。御意見ございますか。

○萩原委員 これは、私が個人的に意見したので、何をお願いしたのかを共有したいと思います。2点あります。1つ目は、先ほども河崎委員がこれでいいと認めてくださったのですが、初めは個人が自律できるようにという書き方の案を前回おっしゃったと思うのですが、もう少しかみ砕いて、働き方改革の実行計画も踏まえて、自分の働き方を主体的に考えて選択ができることが大事だというのにしたらどうかという案を1つ言いました。

2つ目は最後の文章です。ここは意見が分かれるかと思っているのです。ここにはもともとは労働者のメリットしか記載されていなくて、それでしたら企業側が進める気になれないのではないかということで、何とか企業側のメリットを1つでも入れてもらえないかということで、最後の文章を、企業にとっても副業・兼業はメリットがあるのですよということで、優秀な人材を獲得する手段ともなり得るのですよということを入れました。これが私がお願いした内容です。

○松村座長 これに関してはいかがでしょうか。

○神吉委員 今の点はよく分かりました。ガイドライン本体と突き合わせた場合の質問です。企業のメリットとして、資料1で、「優秀な人材を活用する手段」と入れたと伺いましたが、ガイドライン本体の2ページの企業側のメリットでは、先ほど削られた「労働者の自律性・自主性を促すことができる」というのが入っているのです。これとの関係はどうなのでしょう。

○松村座長 これは事務局、よろしいですか、お願いできますか。

○飯田労働関係法課課長補佐 まず、萩原委員から御指摘いただいた後半部分については、今のメリットのマル3の部分に入っているということです。もう1点の自律性の部分は、前回、河崎委員から御指摘を頂いて、ここに言葉として入れた部分です。報告案に入れました「自らの働き方を考え選択できるよう」という言葉のほうがよろしければそちらで書かせていただきたいと思いますが、委員の皆さんの御意見をここはお聞きしたいと思います。

○松村座長 いうことで、神吉委員、まとまっているということでしょうか。よろしいでしょうか、これで。

○神吉委員 はい。自律性、自主性という言葉をむしろ使わないようにされたと伺ったので、この文言でいいかという確認の意味の質問でした。

○松村座長 もう一度、ではお願いできますか。

○萩原委員 もともと、労働者の自律性を促すことが、こちらの資料1にも案としてどうかということだったのですが、それだと何て言うか、強い印象はあるのだけれど、具体的に分かりにくいのかと思い、いろいろな資料を見て、働き方改革実行計画の中の文言も参考にして案を作りました。ですから、意味は、私の中ではそれほど大きく変わらない、同じことを開いて書いたのが資料1になります。皆さんの御意見を踏まえてガイドラインもどうするのかは考えたらいいかと思っております。私は特に、ガイドラインも変えるべきとか、そこまでこだわりはないです。

○松村座長 分かりました。

○荒井委員 今の部分ですが、私は今の表現でもよいのではないかと思っています。というのは、恐らくこの報告案でおっしゃっている、「労働者が主体的に自らの働き方を考え、選択できるよう」という部分は、恐らく労働者がキャリアを自分で選択していくのだという意味合いと理解しました。他方、ガイドラインの2ページの企業側のメリットのマル2で書かれているのは、これは正に企業側のメリットのお話ですから、労働者のキャリア選択の話は余り関係なくて、むしろ、自社の中で労働者が主体的にジョブをおこなっていく、つまり、キャリア選択ということではなくジョブを自律的にやっていくのだということを意図しているのだろうと思います。ですから、この自律の「律」は、正に自分で律するという文字になっています。指示を受けるのではなくて、ある意味、自律的にジョブを遂行するのだということの含意と理解しました。ですので、ちょっと意味合いが似ているところもありますが、御説明もあったとおり、実は、違う意味のことをおっしゃっているのだろうと理解しております。

○松村座長 ほかにございますか。

○湯田委員 私もガイドライン上の表現は現在の案が適切と思っています。ヒアリングの中でも、企業の方が自律性や自主性を促すことのメリットも訴求されていました。また、アンケート等でも、教育的な観点として自律性が出るという意見があります。現在の文章のほうが企業にとっては分かりやすいと思います。以上です。

○河崎委員 私も全く一緒です。今の原案でいいかと思います。企業側からしたら、この副業にやはり期待する1つとして社員の自律性というのがあります。もたれ掛かる関係だとか、ぶら下がる関係だということから、やはりお互いが脱却していく。会社は社員を束縛していかないという気持ちが込められておりますので、むしろこの言葉のほうが適切だろうと思います。

○松村座長 ほかにございますか。そうしますと、検討案のほうは修正の入ったほうで、ガイドラインのほうは現状のままということでよろしいでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、ほかにございますでしょうか。

○神吉委員 ガイドライン本体とは関係ありませんが、パンフレットを1月までにお作りになるということで、1点お伺いしたいのは、現状の労働時間通算の在り方についてはどの程度御説明される予定でしょうか。

○松村座長 事務局、お願いします。

○土田監督課課長補佐 御質問ありがとうございます。今のお手元のガイドライン上は推進という観点で、ある意味、時間の通算の所は限られた範囲で記載しております。正に今、お話もありましたとおり、今現在、兼業をしている方を雇われている使用者の方が、ここはどうなのだろうと思われるような、例えば、どちらが割賃を払うのだというお話だとか、36協定というのはどのように結ぶかだとか、そういったところを分かりやすく記載したいと思っております。

○松村座長 よろしいですね。それでは、ほかにいかがでしょうか。

○河崎委員 今更、変なことを言うかもしれませんが、安全配慮義務の部分なのです。報告書にはそういう意見もあったことが明記されています。ガイドラインのほうにも、安全配慮義務について明確な司法判断はされていないがということで注釈が入っております。安全配慮義務というのは、本来、副業・兼業の問題ではなくて、社会人として、職業人として、これは当然のことであり、副業・兼業だけではなく、時間外の過ごし方そのものが、例えば、月曜日から始まる人の命を預かるような仕事であれば、それに対しての配慮は当然なされるべきものであると。そういう意味では、この2か所に表記していることそのものが、すごく副業・兼業を推進していく方向に向かうのを少しブレーキを掛けないかという懸念があります。ですから、書くなという意味ではなくて、文面の中にも、また報告の中にも、両方二重に重くのし掛かってくるような印象が少しあるので、これは皆さんの意見も聞いて、ちょっと違和感があるところを今、言葉にさせていただいたのですが、いかでしょうか。

○松村座長 ガイドラインの中で安全配慮義務についてという箇所ですね。

○河崎委員 そうです。

○松村座長 いかがでしょうか。

○荒井委員 河崎委員の御指摘はごもっともかと思いました。企業の安全配慮義務は、これはもちろん法律上決まっているわけです。しかし、当然、労働者、というか労働者に限らず個人個人が自分の健康を管理する責任を、当たり前ですが持っているわけです。多分、そこの部分は当たり前すぎて誰もあまり議論しないものですから、企業の安全配慮義務だとかそういうほうが目立ってしまっているというのは御指摘としてはあるのかとは思います。かと言って、ここで自己の健康管理責任のが出てくるのもやや不自然かもしれません。でも、副業・兼業の文脈だとそれほどおかしくないかも分かりませんが、そこら辺は、もしかしたら、これからパンフレットだとかが出される中での記載の中で、副業・兼業は正に労働者の自主的な意図で始められるわけですから、そこに書かれるのは1つの案としてあるのかも分からないです。

○松村座長 ほかにいかがでしょうか。

○湯田委員 河崎委員がおっしゃったことは私も感じてはいます。しかし、ここに問題や課題点があるということは伝えるべきという意味で、ガイドラインと報告書両方に書いていることは、良いと思います。報告書の記載では、検討会の委員の意見ではなくヒアリングでという表現もされていますので、多様な観点から意見が出ているということ含めて、報告として伝えるべきと思います。以上です。

○松村座長 また別の意見はございますでしょうか。よろしいですか。ではこれは、取りあえずこのままということでさせていただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。せっかくお集まりいただいていますので、何かございましたらどうぞ。よろしいですか。それでは、いろいろ御意見を頂きましたが、尽くされたということで先に進めていきたいと思います。

 今日いろいろ御意見を頂きましたので、これを踏まえて、今後、事務局と報告案の修正をしたいと思います。それから、事務局から、また皆さんに、報告案に関しては御意見を伺うことになっておりますので、それを反映して最終案に取りまとめていきたいと思います。その後、報告案に関しては私のほうに一任させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。

 それから、今一度、ガイドラインのほうですが、特に問題ないということで進めてまいりたいと思います。それでは次に、事務局からこの後の段取りについてお話を頂くことになっています。この後の説明をお願いします。

○大塚労働関係法課調査官 報告書とガイドライン両方とも修正事項が生じていると認識しておりますので、修正案を速やかに作成し御相談させていただければと思います。今後の流れですが、今、座長からの御説明がありましたとおり、本日、様々な御意見を賜りましたので、それを踏まえて修正した後、改めて委員の皆様方にも御意見をお伺いしつつ、その後、座長に最終的な報告を取りまとめていただければと思います。その後、速やかに公表させていだければと思っております。先ほどの御説明の中で、パンフレットとか、あと都道府県労働局に発出する時期について1月目途と御説明しましたが、検討会の報告自体は年内のできるだけ早い時期に公表したいと思っております。以上です。

○松村座長 それでは、今日まで6回務めてまいりましたが、今、大塚さんからありましたように、幾つか皆さんにも宿題が残っておりますが、本日はここで終了させていただきたいと思います。

 秋から始まって非常に短い期間でありましたが、6回も進めたのだと思って、皆さんには精力的に御参加いただいたと思います。非常に優秀ですばらしいメンバーの方がいらして、すばらしいガイドラインがまとまったのだろうと思います。今回の3本のガイドラインは、今も最後の議論にもありましたが、多様な課題が盛り込まれて、広く周知できるような形になったのではないかと思います。そういう意味で、テレワークを1つの技術として社会が進んでいますが、3つのガイドラインで多様な働き方の存在が認められて、多様な方に自分に合った働き方を探ってもらえるのではないかと思います。すばらしいガイドラインだと思うのです。

 テレワークの特徴を最初の検討会で申し上げたのですが、3つの特徴があります。1つは、いつでも、2つ目はどこでもということです。最後に余り言われないのですが、誰とでもというのがあるのです。誰とでもというのは、お子さんや介護の親とかそういうものも含みますが、ICTの流れの先には、誰とでもというのは、副業・兼業がやはりあります。また、これからこのガイドラインで雇用型の方々が安心して外へ出られて、今日もありましたが、地方の例えば実家の創業者である父、母の仕事を手伝う、いろいろな形で外に出て行くことによって皆さんが働け、かつ地域が強くなっていくのだろうと思います。

いつでもどこでも誰とでもというのはテレワークの一番の特徴なのですが、一方で起業のキーワードでもあります。いつでもどこでも誰とでもというのがシリコンバレーの1つのキーになっているかと思います。そういう意味で、今回のガイドラインは、まだまだ最後にお話がありましたように、最初の扉を開くものであろうかと思います。あくまでも、多くの皆さんが安心して、そして少しずつ社会に参画できるよう、そうした選択肢を作っていく、そのようなガイドラインにまずはなったのだろうと思います。

 非常に微力な座長でございましたが、皆さんの御協力でようやく終わることができまして、大変安堵しております。先ほど申し上げたように、まだ宿題は皆さんにもございますが、引き続きよろしくお願いしたいと思います。本当に皆さんの御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。最後ということで、宮川雇用環境・均等局長から御挨拶を頂けるということですので、お願いしたいと思います。

○宮川雇用環境・均等局長 委員の皆様方におかれましては、テレワーク、あるいは副業・兼業といった柔軟な働き方がしやすい環境整備のためのガイドライン策定等に向けまして、10月から短い期間の間に6回にもわたって御議論を頂きました。委員の皆様方には、大変お忙しい中お集まりいただきまして、それぞれ数多くの論点がある中で、精力的に御議論を頂きましたことを厚く御礼申し上げます。本日、報告の取りまとめに向けまして、最後の詰めをしていただきましたところでございます。先ほどお伝えしたとおり、ガイドライン等、あるいは報告につきまして、各委員の皆様方と個別に御相談させていただいた上で、座長に取りまとめていただくという段取りとなっております。これが取りまとめられました後には、それぞれのガイドラインにつきまして広く周知を図ってまいりたいと考えております。この会議の中で御指摘いただいた点、多々ございましたが、それを踏まえて、広く周知を図ってまいりたいと思っておりますので、皆様方の今後の御協力を引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 また、制度的課題として頂いた御意見につきましては、今後、別途検討を行ってまいりたいと思っております。委員の皆様方には、本当にお忙しい中を御協力いただきましたことを改めて御礼申し上げますとともに、今後とも、行政につきまして御指導を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○松村座長 それでは、以上をもちまして、柔軟な働き方に関する検討会を閉じさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 


(了)

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