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2018年1月25日 平成29年度医療的ケア児支援促進モデル事業検討委員会

社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室

○日時

平成30年1月25日(木)9:00~11:30


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(15階)


○出席者

【検討委員】

及川委員
田村委員
並木委員
福岡委員
宮田委員

【事業実施自治体】

東京都町田市
長野県安曇野市
宮崎県

○議題

「平成29年度医療的ケア児支援促進モデル事業」実施自治体(東京都町田市、長野県安曇野市、宮崎県)からの中間報告

○議事

【医療的ケア児支援促進モデル事業検討委員会議事録】

 

○上井障害児・発達障害者支援室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、平成 29 年度医療的ケア児支援促進モデル事業検討委員会を開催いたします。委員の皆様方、実施団体の皆様におかれましては、御多忙のところを御出席いただきまして誠にありがとうございます。なお、本日は福岡委員は御都合により欠席という報告が届いています。会議に先立ち、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室室長の三好より御挨拶をさせていただきます。

○三好障害児・発達障害者支援室長 皆様、おはようございます。厚生労働省の三好です。本日は御多忙の中、朝早くからお集まりいただきまして誠にありがとうございます。平成 29 年度モデル事業の検討委員会の開催に当たりまして一言御挨拶を申し上げます。昨年度までは重心児の支援体制整備モデル事業をやっていましたが、今年度はそれに代わってより広い視点から医療的ケア児の支援促進モデル事業を実施させていただいております。

 この事業ですけれども、児童発達支援事業所などにおいて、受入れの促進であるとか、必要な支援提供体制の整備を実施することにより、医療的ケア児の皆さんの地域生活支援の向上を図ることを目的としております。都道府県と市町村を主体として、全国展開できるような先進的な取組を実施していただくことにより、更なる地域生活支援の拡大を目指しているところです。

 昨今、医療的ケア児に関するニュースなどもメディア等で非常に取り上げられるようになってまいりましたけれども、まだその取組というのは先進的な事業所といった、点での取組にとどまっているのではないかと思っております。それを、いかに面的なものに広げていくかというのは、正にモデル事業を通じて知見を獲得していくべきものと思っております。

 この検討委員会は、今年度採択された東京都の町田市、長野県の安曇野市、宮崎県の事業内容に対し、検討委員の先生方からの御指導・御助言を頂くということ。それから事業の評価及び全国展開に向けた検討を目的として設置しております。本日はこの後、 3 自治体の皆様方よろしくお願いいたします。中間報告をしていただく予定になっておりますが、委員の皆様方の御助言も踏まえて最終報告に持っていきたいと思っておりますので、御指導・御助言のほどよろしくお願い申し上げます。

 以上簡単ですけれども、検討委員会の開催に当たって御挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

○上井障害児・発達障害者支援室長補佐 カメラ等の撮影はここまでとさせていただきます。御退室をお願いいたします。

 次に、本日の流れについて簡単に御説明いたします。議事次第を御覧ください。最初に、この検討委員会の座長の選任を行っていただきます。その後は座長の進行により、議事の公開について御確認いただきます。その後、議事 2 の実施自治体からの中間報告を予定しております。最後に議事 3 として、報告書様式についての御確認をお願いできればと考えております。なお、終了予定時間は 11 30 分を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 座長の選任の前に、本日お集まりいただいた委員の御紹介をさせていただきます。時間の関係上、御所属及びお名前を事務局から紹介させていただきます。埼玉医科大学総合医療センター教授の田村委員です。東京家政大学家政学部児童学科教授の及川委員です。一般社団法人全国保育園保健師看護師連絡会理事の並木委員です。社会医療法人財団聖フランシスコ会姫路聖マリア病院重度障害総合支援センタールルドセンター長の宮田委員です。委員の皆様、本日はよろしくお願いいたします。

 次に座長の選任をお願いいたします。本検討委員会の座長については開催要綱に基づき、座長は委員による互選となっています。どなたか御推薦いただける方がおられましたら挙手をお願いいたします。

○宮田委員 御経験や、医療・福祉に通じるお立場から田村先生にお願いできたらと思います。

○上井障害児・発達障害者支援室長補佐 ただいま宮田委員より、座長として田村委員の御推薦を頂きました。委員の皆様御賛同いただけますか。

                                   ( 異議なし )

○上井障害児・発達障害者支援室長補佐 ありがとうございました。それでは、この検討委員会の座長を田村委員にお願いいたします。田村委員は、座長席への御移動をお願いいたします。

 それでは、座長より一言御挨拶を頂き、その後の進行は座長にお願いいたします。

○田村座長 私を座長にお選びいただきまして非常に光栄です。できるだけ任に沿えるように努めたいと思います。昨今、医療的ケアを必要とする児がどんどん増えて、しかもそういうお子さんが集団生活、学校生活というところにどんどん進むということになって、そういうことに対して地域が責任を持って、そういうお子さんも健康児と同じように対応することが求められております。この事業に対しては、そういう方向性を先駆的に取り上げたいと考えている 3 地区の方々が応募してこられましたので、その成果をお聞きして、できれば日本のモデルにするような事業にしていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、本日配布の資料について事務局から説明をお願いします。

○上井障害児・発達障害者支援室長補佐 お手元の資料を御覧ください。本日用意いたしました資料として、資料 1 は「平成 29 年度医療的ケア児促進支援モデル事業検討委員会開催要綱」、資料 2 は「平成 29 年度医療的ケア児支援促進モデル事業の取組について」、資料 3 は「医療的ケア児支援促進モデル事業報告書の作成について」です。参考資料 1 は「平成 29 年度医療的ケア児支援促進モデル事業実施概要」、参考資料 2 は「医療的ケア児支援促進モデル事業実施要綱」です。資料の不足等がありましたら事務局までお願いいたします。

○田村座長 それでは、議事の公開の取扱いについてです。中間報告に先立って本検討委員会の議事の公開の取扱いについて事務局から説明をお願いします。

○上井障害児・発達障害者支援室長補佐 本検討委員会の議事の公開については、国の設置する一般的な会議の慣例に則り、原則公開としたいと考えております。そのため、本検討委員会は公開として、資料及び議事録については、会議終了後、厚生労働省のホームページ上で公開させていただきたいと考えております。

○田村座長 それでよろしいですね。それでは議事 2 に移ります。実施自治体からの中間報告をお願いいたします。今回は東京都町田市、長野県安曇野市、宮城県の担当者の皆さんにおかれましては、お忙しいところを本検討委員会に御参加いただきましてありがとうございます。この検討委員会では、実施団体から事業内容を直接お聞きし、ここにお集まりの様々な分野でふだんから医療的ケア児の地域生活に携われておられる委員と意見交換を行い、本モデル事業が一層効果的なものとなり、また全国の自治体の参考になるようにアドバイスさせていただくことを目的としておりますので、よろしく御理解、御協力のほどをお願いいたします。中間報告の方法について、事務局から説明をお願いいたします。

○上井障害児・発達障害者支援室長補佐 中間報告の方法について御説明いたします。本日は東京都町田市子ども生活部すみれ教室、長野県安曇野市福祉部福祉課、宮崎県福祉保健部障がい福祉課、以上の 3 自治体から中間報告をしていただきます。中間報告の方法ですけれども、まず事業内容等について 20 分程度御説明を頂き、その後各委員から説明内容に関して疑問点等がありましたら 20 分程度で御質問と実施自治体からの御回答をお願いいたします。

 なお、事業計画等の説明時間の残り時間 1 分前及び質疑時間の終了間際にベルで合図をさせていただきますので、円滑な議事の進行について御協力いただきますようお願いいたします。

 中間報告が終了いたしましたら、東京都町田市、長野県安曇野市、宮崎県の事業内容等について、各委員の皆様からコメントを頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○田村座長 初めに東京都町田市から御説明をお願いいたします。

○東京都町田市子ども生活部すみれ教室 東京都町田市子ども生活部のすみれ教室という療育施設からまいりました。所長の山之内です。

○東京都町田市 担当課長看護師の岸田です。

○東京都町田市子ども生活部すみれ教室 私ども町田市の医療的ケア児へのモデル事業の取組ということで報告をさせていただきます。町田市は、 42 万人の人口を抱える市ではありますけれども、専門的な医療機関等は特にありません。町田市では古くから障がい児・者の福祉の施策については取り組んでまいりましたが、法的な位置づけがない施設から知的障害児の通園施設ということで私どもが位置付けられて以降、発達障害系のお子さんたちの対応に追われ、重度心身障害児、医療的ケア児のお子さんの対応については少し間が開いてしまったところがあります。再スタートを切る意味で、本モデル事業を活用させていただいている状況です。

 本日の流れとして、 1. 受入れに際してということで、 8 番まで項番が振ってありますので、それに沿って報告をさせていただきます。私どもの施設の性質は、町田市子ども発達センターすみれ教室という条例上の位置付けです。主な法律上の位置付けとなると、児童福祉法に定める福祉型の児童発達支援センターになります。

 「 1. 受け入れに際して」です。私どもが受入れに際して非常に重要視したのは、やはり主治医からどのような御意見や情報を頂けるかということです。こちらについては、都立の特別支援学校が用いている指示書の様式を活用させていただきましたが、これは比較的丁寧な指示書となっています。あとは、私どもが療育する中で必要な情報を得るための指示書を頂きました。また、園医の先生や園医の先生を御推薦いただいている町田市医師会との連携により助言を頂いています。

 受入れに関して何が一番心配かということですけれども、やはり症状の急変、緊急事態にどう備えるかということです。こちらについては幸いなことに、町田市では町田市民病院を抱えておりますので、こちらに事前の受入れ対応のための診察等を依頼し、診察の機会を設けてバックアップ体制を整えた上での受入れを行いました。また保健所や、訪問看護ステーションと情報共有をして申し継ぎを受けました。

 「 2. 共に過ごす中で」です。いろいろな医療的ケアの必要性を合わせ持つお子さんの医療ケアをすみれ教室で全く初めて行うということで、御家族が選択をするのに勇気が要るような状況で、今回初めて受けさせていただいたのが 4 歳のお子さんです。頭蓋骨早期癒合症、水頭症等を合わせ持っています。必要な医療的ケアは、経鼻エアウェイの挿入・取外し、あとは途中の吸引等が想定されるということで受入れをスタートしています。非常に元気で、ユーモアのあるお子さんで、正に集団の中で過ごすのが本当に適切なお子さんです。

 これ以降説明してまいりますけれども、一方で、私どもが受入れをするに当たって、医療的ケア児を受け入れるというのはこういうことなのかと思うような場面にも遭遇することがありました。また、知的障害児を中心とした療育プログラムの中でも、本当に楽しく過ごし、成長が見られました。

 「 3. 医療的ケアの内容」です。登園するとバイタルのチェック等を行います。比較的スムーズに活動には入っていきます。やはりエアウェイの取り換え、管を鼻から入れで、それを取り換えることになりますので、お子さんにとってはかなり厳しい状況になります。落ち着いた状況の中ではなかなかできなくて、お子さんを固定して、その上で他の楽しいことに気を引きながら、やっと取り換えをしています。

 もう 1 つはやはり食事です。口からの食事も、固形物をスタートしているところですので、その誤嚥の見守りというのはかなり神経を使います。医療的ケアが必要ではありますが、見た目大変元気なお子さんが、こういうことで医療の側面が必要になるのかということを改めて気づかされました。食事中につかえたりという場面もあって、あわてる場面等も発生いたしました。帰りの降園のときにはバスで帰りますので、体調の確認等を行った上で乗せて帰します。

 「 4. 併行通園を目指す」ということです。大変元気なお子さんですので、是非、保育園にというお母様からの御要望もある中で、最初の一歩として私どもが受けて、併行通園につなげていこうということです。御家族の保育利用の意向もある中では、比較的スムーズにいくかなと思われていました。しかしこのことは、私どもではなかなか手が付かず進まなかった部分です。というのは、かなり頻回長期に入院が発生する、御本人の状況の変化が思った以上にたくさんあったためです。お医者様からは、視力がかなり落ちてきているというお話もいただく中で、通常の保育園等の生活の中にチャレンジするという要望が御家族からどんどん薄れていきました。食事のリハビリ等も含め、実際にはなかなか厳しいということで、次のステップに今は進めていません。

 「 5. まとめ」です。小さな取組ではありますけれども、受入れの促進の中で、ある程度ノウハウが積めたので次のステップに向かえるということで、今年度から来年度にかけて更なる受入れを御希望と合わせて検討していく予定です。かつ慎重にということです。併行通園の促進ということで、本人の状態もありということですが、またチャレンジしてまいりたいと思います。人材育成については、後ほど詳細にお伝えします。

 私どもの取組の次の焦点になるのですが、体制整備ということで、医療的ケア児・重症心身障がい児支援のための協議会等を何とか常設化する方向で今は動いています。私どもが取り組んだ人材育成の取組というのは、平成 28 年度から準備のために着手して、平成 29 年度も含めて実施しております。

 「医療的ケア児とともに過ごしてみて」ということでは、お子さんの状況がどんどん変わっていくので、それに伴う支援が必要ということ。そのお子さんに合わせた支援を考えるというのが本当に当たり前のことなのだというのを改めて感じました。全てオリジナルの支援の組合せをやらないといけないのだということです。御家族のことも含めた支援の視点が必要だということを改めて気付かされました。

 「 6. 「協議の場」の今後」というところで少し御説明いたします。町田市については、平成 28 年度から個別のお子さんの保育園での医療ケアをテーマとした協議会をスタートしております。必要に迫られて始めたというところです。そこから発展して、重症心身障がい児・医療的ケア児の支援も、保育受入れだけではなく、生活全般の支援について協議する場を設けようということで、それを常設化しようという取組が今年度であったということです。

 「「協議の場」の今後 -2 」の所で、 2017 年に実際に取り組んだ内容です。具体的なお子さんの状況を通じた協議、また協議の場の常設化に向けた検討、その協議の場の常設化についての情報交換等を行い、今後、要綱を作成したり、 2018 4 月からスタートできるような体制づくりを進めていき、その中で特に 2018 年度に取り組む項目として、その翌年度に実際に活用することになろうとは思いますが、保育受入れのためのガイドライン作成というところをテーマに検討してまいりたいと思っております。ガイドラインをテーマにするわけですが、実際にお子さんたちの情報がここに集まってくることが非常に大切かと思います。

 「「協議の場」の今後 -3 」ということで、協議会の委員構成と事務局の構成は、まだ案の段階ではありますが、検討の中で出てきている部分について少し出させていただきました。

 「 7. 「子ども発達支援計画」を策定」です。こういった取組の全体をどこでコントロールしていくか。町田市では「障害児福祉計画」を「子ども・子育て施策」と関連づけて、「子ども発達支援計画」という名称で現在策定を進めております。その中での項目として、医療的ケア児の支援についても取り出しているということです。

 「 8. モデル事業に参加して」です。併行通園の進め方は非常に難しかったということ、この事業に参加させていただいて、子ども・子育ての施策とも絡んだ形で地域へ広げていかなければいけないということ、周囲への理解の促進も非常に必要なのだなということを考えさせられました。

 「 9. 課題は」です。私どもは微々たる取組ではありますが、この取組をしたことで非常に情報が集まるようになってきました。窓口が正直申し上げて連携が十分でないところがありますので、医療的ケア児の生活実態を捉えるのは非常に難しい、必要なお子さんのニーズを捉えるというのは本当に難しいというのを改めて感じながら、いろいろ他の取組を進めているところです。何回も繰り返しになりますけれども、やはり個別の配慮の必要性、あとは人材育成の困難さというのは、取り組む中で改めて感じました。以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○田村座長 ただいまの御説明に対して、御質問、コメントをお願いいたします。他の委員が考えられている間に私からですが、この患者さんに関しては訪問看護師さんは付いておられたのでしょうか。

○東京都町田市 地域の訪問看護ステーションが、ずっと在宅医療のほうを見守り、また訪問もしてくださっていました。すみれ教室への入所については、そちらの訪問看護ステーションの看護師から手技等、あるいはお子さんの様子、御家庭の様子の情報提供を頂き、共有する中で取り組んだ経過があります。

○田村座長 併行通園がうまくいかなかったということは、患者さん側の状態だけの理由なのでしょうか、それとも受入れ側の施設から見ても、このような状態ではとても無理だとか、そういうことがあったのでしょうか。

○東京都町田市子ども生活部すみれ教室 お子さんの状況と、御家族の希望の問題です。実際には園との具体的なやり取りまで進めなかったのが現状です。

○田村座長 他の委員の方どうぞ。

○及川委員 今の御家族の希望のところをもう少し教えていただけますか。差し支えない範囲で結構です。

○東京都町田市子ども生活部すみれ教室 当初、御家族としては、保育園を選択するか、療育施設を選択するかという選択肢でお考えになっておりました。現在は、視力が落ちたので、すぐに健常児の中に入れるということに考えが及ばない状況にあるということかと思います。

○宮田委員  4 点教えてください。 1 点は、医療の立場からエアウェイというのは、経鼻咽頭エアウェイが入っているわけですね。これの入れ換えを保育所でしなければならなかったのかどうか。それから、エアウェイを入れたまま摂食訓練というところがよく分からない部分です。

2 点目は、喀痰吸引研修の受講を保育士さんにしていただいているというのはすごく良いことだと思います。これからの医療的ケア児の受入れに向けては、看護師の配置と並行して、一般職員がこの研修を受講するというのが肝になると思っています。この辺りを将来的にはもっと広げていかれるつもりなのかどうか。個人的には、医療的ケアが必要な重度児が地域で暮らしていこうと思ったら、隣のおばちゃんまで研修を受けて、「ちょっと遊びにおいでよ」みたいな話も進めていかなければならないだろうと思うのです。この部分の取組について教えていただきたいです。

3 点目は、子ども発達支援計画です。要するに、これは子ども・子育ての計画の中に障害のある子も入れますという意味でしょうか。

4 点目は、お母さんが保育所を希望されたということで、就労という問題が出てくると思うのです。子ども・子育て支援制度の中で、居宅訪問型保育というのがあるはずです。我が兵庫県では 1 件も実行されていませんが、この辺りへの取組ということについてお考えをお聞かせください。以上 4 点をお願いいたします。

○東京都町田市  1 点目と 2 点目を岸田のほうからお答えさせていただきます。経鼻エアウェイなのですが、先ほど所長のほうから病名のお話がありましたが、頭蓋骨の早期癒合症ですので、従来のシリコン型の軟らかいエアウェイはなかなか入りが難しいのです。気管内チューブを、主治医から処方されて長さをカットして挿入しております。最初の指示書では、睡眠等のときにどうしても酸素飽和濃度が下がることもあるので、その時点で入れたらいいねということの指示書でした。当教室で食事をしている最中に、たまたま酸素飽和濃度が下がる状況がありましたので、やはり食事の前には入れて食事をしたほうがいいのではないかというように途中で変わりました。家で一度抜いて登園されていたのですが、直前に食事の前に入れようという形になりました。

 その中では、主治医のほうの病院で、食道造影等をしていただきながら、エアウェイを入れたままで食事をすることによって気道の確保等をしながら、食事を進めようということになりました。 1 点目と 2 点目の連続した答えになるのですが、そのような経過があって入れたままの食事になっています。ただ、 1 回の食事の量は、スプーン 3 分の 1 程度の少量からということで、今はまだ取り組んでいる段階です。

○東京都町田市子ども生活部すみれ教室 喀痰吸引研修についてですが、今受け入れているお子さんについては、吸引がそれほど頻回でないものですから、研修と実地の関係は難しいと感じています。もともとが経管栄養が必要なお子さんの受け入れを念頭に置いて受講させた研修でしたので、そのお子さんが来るのをためらったということで現在のお子さんが入る、そうすると、研修の手続きをし直さなければいけないということで、なかなか時間がかかってしまいました。でも、これは使える制度でもあるなと感じています。しかし、私共の別のセクションでは、もっと小さいお子さんで医療的ケアが付いたお子さんが、曜日によって交代で来ますので、どうも 3 号研修だけでは十分でないという中で、どのような研修を組んでいく必要があるのかというのを検討しています。

3 点目の「子ども発達支援計画」については、障害のある児童、それから発達に遅れや心配のあるお子さんも含めたというところの計画としております。法的な位置付けとしては、障害児福祉計画となります。ただ、私どもは子どもの一般施策についても、教育の問題についても併せて、お子さんの立場からの計画として見える形にしたかったということで、このような計画にさせていただきました。ただ、その中で名称として障害児の問題、特に重度のお子さんの問題が抜けるのではないかという心配も頂いておりますので、一番の重要なテーマの 1 つとして、重症心身障がい児・医療的ケア児の問題というのは強調させていただいております。

4 点目の居宅訪問型保育ですけれども、私どもは、これから協議会の中で検討させていただければと思っています。医療的ケア児の保育受入れということも、子ども施策の中で前向きに進めるための検討をしております。ただ、当然そこに適さないお子さんも想定されます。そのときに療育施設としての私どもの利用も提案もできます。さらに就労等の要件が出たときにどうしようか。その 1 つの手段として、今は居宅訪問型の保育ということがあるということで勉強させていただいております。どのように使えるのか、研究させていただければと思っております。

○田村座長 ありがとうございました。町田市ができなければ全国どこもできないぐらいに思っていますので、是非よろしくお願いします。よろしいですか。時間が大分押しておりますので、次に移らせていただき、また総合討論のところで質問させていただきます。続いて、長野県安曇野市の方、説明をお願いします。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 皆さん、おはようございます。長野県安曇野市福祉部福祉課の小笠原と申します。よろしくお願いいたします。実は、今日は担当者が来て説明するところだったのですが、昨日、家族の方が事故に遭われて入院されてしまったということで、今付添いをしております。ですので、急きょ、私が代理で御説明させていただきますので、御質問等にはなるべくお答えしたいと思いますが、今日お答えできないものについては、後日、また御回答させていただきますので、すみませんがよろしくお願いします。

 平成 29 年度安曇野市医療的ケア児支援事業についてということで、皆様のお手元にある資料 2-2 を御覧いただきながら御説明します。 2 ページをお願いします。最初ですが、「 1. 安曇野市の概要」です。安曇野市は長野県のほぼ中央に位置しており、松本市から電車で約 10 30 分の所にあります。安曇野市は、平成 17 10 1 日に、豊科町、穂高町、三郷村、堀金村、明科町の 5 町村が対等合併して誕生しました。ですので、中核になる市はなく、町村が集まってできた市です。

 現況ですが、平成 29 12 1 日現在の人口は、 9 8,068 人です。このうち 18 歳未満の方が 1 6,111 人で、総人口の 16.4 %を占めております。 65 歳以上の方が 2 9,549 人で、 30.1 %を占めております。また、当市には長野県立こども病院、安曇野赤十字病院があり、小児科を診療科目とする診療所が約 20 か所、訪問看護ステーションが 10 か所、小児の訪問看護を行っているステーションが 5 か所あります。

3 ページを御覧ください。「 2. 障がい児通所支援等の提供体制」です。 (1) 障がい児の状況として、手帳を取得されている児童数の割合は示しているとおりです。平成 28 年度末の身体障がい者手帳を取得している児童は児童の中で 0.4 %、療育手帳は 1.1 %、精神保健福祉手帳は 0.1 %となっております。重度心身障がい児は 13 人、市が把握している人工呼吸器の装着や胃ろうの造設、人工肛門の造設、 IVH 挿入等の医療的ケア児は 14 人となっております。

(2) 通所支援等の提供体制ということで、それら児童を支えるサービスについては、児童発達支援事業所が 3 か所、放課護等デイサービスが 8 か所、保育所等訪問支援事業所が 1 か所あります。その中で医療的ケア児を受け入れている事業所は、基準該当事業所を含む児童発達支援事業所が 2 か所、放課護等デイサービスが 1 か所あります。安曇野市の障害者活動支援センター、通称「ほっぷライフ」は、生活介護併設の市の指定管理事業者であり、療育も行っておりますが、家族負担軽減的要素が強い事業所となっております。

4 ページを御覧ください。「 3. これまでの医療的ケア児の受け入れ経過」です。幾つか例を挙げておりますが、今回のモデル事業を対象とした児童発達支援事業所「やまびこ学園」の医療的ケア児の受け入れ経過を掲載しました。当市の 18 の公立保育園には、合併前から 2 人の看護師を配置していましたが、現時点では 4 名を配置しております。公立保育所入所支援委員会等の意見を踏まえて、看護師の加配が行われております。

 この表の中で 2 例だけ御説明します。一番最初にある A ちゃんですが、先天性疾患、嘔吐症がある療育手帳のみ取得されている子どもさんです。経口摂取のリハビリをしていますが、経口摂取は難しく、経鼻経管栄養でした。 3 人兄弟の 2 番目で、家族は保育所へ行くことが当然と考えておりましたので、少しでも行動制限がない状況の確保のため、胃ろうへの変更について、何度も家族・医療・支援者との話合いを行い、保育園への入園となりました。

B ちゃんの場合です。先天性疾患における体幹機能障害がある重症心身障がい児の方です。 11 か月から通所を開始しました。通所当初から筋力が弱く、お母さんがほぼ抱いて過ごしていました。お母さんから離れていろいろな経験をする機会を得たいという家族の希望により、補装具等の検討を医療機関等と一緒に行い、入園しました。しかし、入園はしたものの、保育園への入園ですので、お母さんが働かなくてはなりません。お母さんも虚弱体質で就労の経験が少ないため、体調を崩してしまいましたが、何とか B ちゃんの通園を支えることができました。

5 ページを御覧ください。「 4. これまでの医療的ケア児受け入れの課題」です。今回の児童発達支援事業所は「やまびこ学園」と言いますが、ここは母子通園の施設であるため、通常の医療行為は全て母親の手に委ねられていました。保育園に通園する前に、母と離れるための単独通園を体験させる機会を持つ訓練を行っていますが、常に母がすぐに対応できる環境を作っていなければならない状況でした。また、「ほっぷライフ」には看護師が配置されていますが、やまびこ学園には看護師が配置されていないことから、家で子育てをしていても変わらないと考えている家族が少なくなく、安心して子どもを預けられる場として認知されるまでに時間を要し、早期利用に至らないケースもありました。そして、保育園は単独通園が可能ではありますが、先ほどの B ちゃんのように、今まで働いていなかった母親が就労し、帰宅後には育児や保育園通園の準備などにより、母親の負担が増している状況となっていたという課題がありました。

 「 5. モデル事業の取り組みについて」ということで、図を見ていただきながら御説明します。安曇野市では、在宅ケアを受ける児童や介助する家族が何に困り、何を望んでいるかに耳を傾け、状況を把握しながらニーズを関係者と共有し、できることを家族と一緒に考えていく必要があると考えています。そこで、このモデル事業を活用し、当市ではネットワークの構築強化、児童発達支援事業所「やまびこ学園」への看護師配置を行うことにより、医療的ケア児の生活環境の整備や、家族がこの子が地域で暮らしていけるという満足感が得られる支援を行いたいと考えて実施しました。

 当市では、組織的には福祉課の中に子ども発達支援相談室があり、設置場所としては、健康推進課保健師、総合相談支援センターの療育コーディネーターと同じ施設の中で活動しております。相談室を中心に、発達に心配のある子ども連絡会を実施し、庁内の課題解決連携・協力を図っています。相談室は、こども病院との連携会議、県が松本に配置する発達支援サポートマネージャーとの連絡会議を通じ、個別のケースの検討を行いながら体制整備に努めています。また、子ども発達支援相談室の職員が出席する松本県域障がい者自立支援協議会子ども部会には、重症心身障がい児 ( ) 支援チームがあり、その中で医療的ケア児の実態把握、社会資源の課題に取り組んでいます。これらの活動の中から個々のケースに対する関係スタッフとの病状及びケアの確認に加え、在宅生活の留意点や対応について共通理解を図るなど、家族と関係者の顔の見える関係づくりがスムーズに行われるようになりました。

7 ページを御覧ください。「 6. 併行通園までの流れ」です。安曇野市の子育て施策の大きな変更点として、公立保育園 18 園を全て認定こども園としました。これはお母さんが働いていなくてもこども園に入園することができるようになり、医療的ケア児を含む障がいを抱えた児童の家族にとっては大きなメリットとなりました。障がいがあってもなくても、子どもは地域の中で育ち、地域で暮らし、大人になっていきます。障がいのある子どもたちも、一般の児童施策に支えられて育てられる必要があります。保護者や支援者は、認定こども園へ入園対象となる年代であれば、当然、入園していくという観点に立って、子どもの成長を願い、相談を開始していく必要があります。それを可能にするには、子育ての場、療育の場が手を取り合い、子どもの成長を支える体制づくりが必要です。

 現在、併行通園をしている医療的ケア児はいませんが、発達障がい等の子どもさんを参考に、次のように併行通園を行うための体制を整理しました。➀相談、➁では、その中核となる子ども発達支援相談室が相談に乗り、支援会議を開催していきます。そして、認定こども園やその担当部署である子ども支援課と調整をとっていきます。➂として、医療的観点からの調整事項は何かということで、医療機関とも連携を図り、支援者全員がその必要性や方向性を確認します。ここには、訪問看護ステーションや総合相談支援センター配置の療育コーディネーターも関わりを持っていきます。➃として、保護者が子ども発達支援相談室のスタッフや療育コーディネーター、やまびこ学園の児童発達管理者や看護師等と、認定こども園に見学に行ったり、開放日に通園を行います。➄として、医療機関、認定こども園等々と環境整備のための調整会議を行うということで、補装具等が必要な場合にはここで調整を行います。➅で、認定こども園や子ども支援課から複数回療育の場を観察に伺い、医療的ケアの内容等について観察・面談を行います。➆として、最終的には支援機関が一堂に会し、サービス調整のための支援会議が開催され、併行通園を開始することになります。そして、その都度子どもさんや保護者のニーズをかなえるべく連携して対応していくと考えております。

8 ページを御覧ください。「 7. 今後の取り組み」です。先ほども申し上げましたが、医療的ケアの必要な子どもさんは、当市では、現在、併行通園はしておりません。しかし、現在、児童発達支援事業所へ通所しながら、認定こども園への通所を悩んでいる保護者もいます。そこで、➀として、認定こども園による児童の受け入れを推進し、看護師の確保に努めていきたいと考えております。➁として、併行通園できる認定こども園、児童通所支援事業所を増やし、療育と保育の連携強化を図ることを考えております。➂として、子ども発達支援相談室が中核となり、関係機関との連絡と支援ネットワークづくりの強化を図るなどの取組を通じて、児童や保護者のニーズに沿えるよう今後の取組を行い、スムーズに移行できるような体制を整えていきたいと考えております。簡単ではありますが、現在の安曇野市の医療的ケア児の支援事業について御説明させていただきました。

○田村座長 どうもありがとうございました。ただいまの御報告について、御質問、コメントをよろしくお願いします。

○及川委員 モデル事業は長野県はとても先駆的にやられているのではないかと思って、今回のモデル事業の取組をとても興味深く拝見させていただきました。 1 点確認したいのが、 5 の「モデル事業の取り組みについて」と 6 の「併行通園までの流れ」で、やまびこ学園にいらっしゃったお子さんが併行通園をするに当たっては、まずは福祉機関にある療育コーディネーターという方が、併行通園までの流れの中にある相談支援専門員というように理解してよろしいのでしょうか。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 安曇野市の場合は、先ほど少し御説明した「子ども発達支援相談室」を市で設置しており、そこに臨床心理士、保健師、作業療法士、子どもの相談員、保育士、社会福祉士のスタッフをそろえて、ここで市の、子ども発達に関する 0 18 歳までの一貫した切れ目のない相談をできるようにしたいということで、平成 24 年にこの相談室をつくりました。ここを中心にしていろいろな、例えばネットワーク図にある総合相談支援センター等、あと保健師、認定こども園、学校等々と、ここが中心になってコーディネートをしていくという形でやっております。

○及川委員 そうすると、福祉機関にある療育コーディネーターという方が、直接的にやまびこ学園にいるお子さんたちを、例えば子ども発達支援相談室に紹介して上げてくるとか、そういう形ではないのですか。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 そういう場合もありますが、やまびこ学園に通っている場合に、子ども発達支援相談室が大体関わっておりますので、ここで把握しており、保護者の方が認定こども園に通いたいということであれば、このような形になっていくということです。

 昨年までは併行通園しているお子さんがいらしたのですが、今年度はたまたまいらっしゃいません。昨年まではやまびこ学園には看護師は配置していなくて、こども園には 2 か所だけ看護師を配置してある所があり、そちらに通っていたのですが、今年度からやまびこ学園にも看護師を配置したので、そちらで療育を行いながら、保育園でも医療的ケアを受けながら両方できればいいなと考えてはいるのですが、今年度は、両方に通いたいという希望の方がいなくて、体制は整えたのですが、今、そういう希望があればすぐに対処しようと考えています。

○田村座長 よろしいですか。ほかにいかがですか。

○宮田委員 今後、併行通園に持っていく手段として保育所等訪問支援事業があると思うのですが、やまびこ学園からの保育所支援の手段として、その事業の導入についてのお考えと、やまびこ学園は看護師の配置がなされたということですが、それまでの医療的ケア児の受入れに対して、医療連携体制加算とかの利用は考えてこられたかどうか。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 併行通園の関係ですが、先ほど少しお話したように、市の子ども発達支援相談室が一番の中心になってコーディネートしていく予定ですが、やまびこ学園にも支援員もおりますし、今回、看護師も配置されましたので、そこでできれば認定こども園と、今、意見交換をする場所をつくり、保育と医療的ケアを同時に、併行的にやっていこうという連携体制はとっております。

 加算については、申し訳ないですが、私は詳しいところは分からないので、すみません。

○田村座長 よろしいですか。実は私、長野こども病院に立ち上げから約 10 年ぐらいいたものですから、あの辺りの地理的状況はよく分かっているつもりですが、長野こども病院は小児在宅拠点事業を 2 年続けて受けられて、あそこにも子どもの在宅医療移行のための部署が保健師たちを中心としてできていると思うのですが、そことの連携みたいなことは特に安曇野市としてはされておられないのですか。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 医療機関、長野県のこども病院は、子どもさんの一番のメインとなる病院ですので、そことも連携しております。前は保育所等の訪問ということで、こども病院から医者、作業療法士とかも来ていただき、保育園等の巡回もお願いしていた経過もあります。

○田村座長 先ほども町田市の看護師さんを雇用する場合に、 NICU から始まる障がい児はかなり多いと思うので、特にこども病院、 NICU の看護師は正直言ってかなり過重労働なものですから、結局、離職者も多いので、そういった方をリクルートされると、ひょっとするとこのネットワーク、安曇野市の在宅医療支援の看護師確保にも役に立つのではないかと、少し横から、余り長野こども病院には言えないアドバイスですが、一応耳に入れておいていただけたらと思います。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 ありがとうございます。

○並木委員 保育所等の看護師を長く続けていたのですが、保育現場とか、そういった所でも看護師の配置は全国規模でもまだまだ 3 割やっとぐらいなところですが、基本的な乳幼児施設の中にそういう医療的な視野を持っている職員がいない中で、こういう事業をスタートと言うと、配置したというだけで終わりなのですが、今おっしゃったように看護師を配置したら動かせるのかと言うと、実際、私もそういう所にいましたが、就学以降の子どもとそれ以前の子どもでは全然違う、本当に個々に個人差が大きくて、研修の部分の大切さを本当に感じておりました。

 先ほども保育士に吸引の研修をしたと言いましたが、吸引だけではなくて、例えば 1 つですが、看護師を配置した後と配置する前の研修の充実、あとは、過重労働だとおっしゃったけれども、看護師がいるからお任せではなくて、そこの職員が基本的にできる救命研修、これは全員研修とか、それに関わる保護者への研修とか、そういう基本的なところと、あとは摂食時の危険性を挙げていましたが、摂食指導という部分で、スプーン 3 分の 1 から始めたとか、形態を変えたとか、栄養士とか、それから PT OT とか、そういういろいろな職種が関わって、一番危険なのは食事の部分でもありますので、そこの研修内容をお聞きしたいのですが。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 すみません、今日、詳しいところまではお話できないのですが、今、看護師は認定こども園にも 4 人配置しておりますし、やまびこ学園にも配置しているということで、基本的には、今後ですが、皆さんを集めて市が中心となって研修会をしていけばいいのですが、今、まだそこまで達しておりませんので、病院が主催のものとか、県が主催のものとか、外部に出掛けていって研修を受けていただき、技術を上げているところです。

 保護者との話ですが、全員ということではなくて、個々の医療が必要な保護者とは連絡を密に取りながら、そのお子さんに合った医療をどうするのか、看護師がどういうことをするのか、家族の方がどのようなことをするのかという分担をしっかり分けて、なるべく家族の方に負担が掛からない形で保育も療育もやっていこうと考えております。

○田村座長 ほかにはいかがでしょうか。

○及川委員 現在はこども園に行かれている方がいらっしゃらないということですが、実際はそういう可能性のあるお子さんがいるのだけれども、なかなか進まない状況なのか、実際問題、こども園に行くのはなかなか無理で、療育センターのほうがいいと思っていらっしゃるお子さんのほうが多いのか、その辺をお聞きしたいのですが。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 実は、ここにも書いてありますように、認定こども園で 4 園に看護師が配置してありますので、どちらかと言うと、こども園のほうに行っていて、療育のほうには余り行かない形ということになっています。お母さんたちはこども園に行かせてあげたいというのがあり、そこで看護師が配置になっておりますので、そうすれば、そこで一定の認定こども園の生活が送れるということで、そこにプラスやまびこ学園等で行って、療育ができれば本当はもっといいのでしょうが、認定こども園で看護師がいるということで、ある程度安心して認定こども園で見ていただける形になっていますので、本当であれば保育だけではなくて、療育も一緒にできればいいということで、今後、両方に通っていただけるように考えていきたいと考えています。

○田村座長 今の認定こども園の看護師さんですが、この看護師は授業の始めから終わりといいますか、お預りから最後までそこにおられるという予定で、それでもし併行通園でお子さんが来られたら、お母さんは家に帰ってもいいというのを原則にする予定ですか。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 基本的にはそういう形で考えています。ですので、今、お子さんが来たときから帰るまではずっと付いておりますので、今後、併行通園になれば、いらっしゃったときに対処する形になるかと思います。

○田村座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。よろしいですか。では、どうもありがとうございました。

○長野県安曇野市福祉部福祉課 どうもありがとうございました。

○田村座長 それでは引き続き宮崎県の方、御説明をお願いいたします。

○宮崎県福祉保健部障がい福祉課 宮崎県福祉保健部障がい福祉課の鎌田と申します。

○宮崎県福祉保健部障がい福祉課 大賀と申します。

○宮崎県福祉保健部障がい福祉課 それでは資料 2-3 、宮崎県資料の「医療的ケア児等に対する本県の取組について」に沿って、御説明させていただきます。 2 ページからが「本県の現状と課題」としてまとめているところです。まず医療的ケア児と言う以前に、長年取り組んできた本県の重症心身障がい児 ( ) の状況ということで、把握している数字を載せております。在宅の方が児 ( ) 合わせて 434 人、入所の方が 256 人、計 690 人というのが、県が把握している数字です。

 把握の方法としては、療育手帳の重度の方と身体障がい者手帳の 1 2 級を合わせて持っている方ということで挙げた数字です。児童相談所の関与がない在宅の方については、実態を把握できていないのが実情でした。この中では年齢区分や必要な医療的ケア、手帳未取得の方、障がい福祉サービスを利用されていない方の数が入ってないのではないかと考えております。この数字は過去 5 年ほど、ほぼ横ばい状態ということで、 700 人前後で推移しているという状況です。

4 ページは本県の地図に重症心身障がい児 ( ) 関係ということで、医療的ケアに一部対応できる施設の種類と定員ベース、入所者ベースの数を大きさに直したものを載せております。県の中央と南部にある円い緑と青で示してあるのが、医療型の障がい児入所施設と療養介護を合わせた医療機関で、県央のほうが国立病院で、南部のほうが社会福祉法人が運営する施設となっております。これを見ますと県北部や県西部、都城北諸県というのが県内では 2 番目に大きな市になっているのですけれども、そういった所に入所施設や短期入所の施設がないというのが、 1 つの大きな課題になっております。円が全て青色で小さく示してありますが、これが県立こども療育センターという医療型の障がい児入所施設です。ただ、者のほうの入所施設がないことと、定員ベースでも、県央と県南にある入所施設に比べると、かなり小さいので、入所施設の不在も課題となっております。

5 ページに課題として、文字にまとめたものがあります。 1 つ目が、重症心身障がい児 ( ) をはじめとする医療的ケア児の入所施設の偏在です。一番大きな課題は、宮崎市にないということです。

 次に、在宅で医療的ケア児を看護する家族の負担軽減のための短期入所や通所系の事業所が不足している。これは 1 番目とも関係してくるのですが、医療型の入所施設が県央というか、人口集中地区にないということで、そういった母体のない所で医療型のサービスが提供できる施設の参画が、なかなか進まないという現状です。

3 番目が、医療的ケア児とその家族の社会参加への支援の不足を挙げております。保育・教育での預かりや通所系事業所、短期入所等を利用した就労や社会参加機会の確保がなかなか難しいということです。

4 番目は、全国的でしょうけれども、特に本県は小児科医がそもそも不足している中で、小児神経や在宅医療、訪問診療などに従事できる小児科医が絶対的に不足しているということを、 1 つの課題として挙げております。

 最後に小児慢性特定疾病は、保健所を中心とした健康増進課でやっているのですけれども、そちらと福祉側との連携がなかなか不足しているといったところが挙げられております。小慢等を実施する機関としては、保健所のほうでやっているのですけれども、そこと児相や障がい福祉の事業所との関与が、余りなかったというところが挙げられております。

6 ページでは、そういった中で目指すべき方向性を整理しております。医療的ケア児等の成長や家族の状況に応じて、必要なサービスを選択できる体制が、県内のどこでも構築できていないというのが現状です。

 そういったところを目指していく中で、 2 番目の医療的ケア児と家族に対する保育と教育、就労等の各側面での医療サービスの提供を課題に挙げております。保育所配置の看護師とか、学校にも看護師が配置されているのですけれども、そういった所と福祉型の事業所、一般の医療機関等における医療サービスの高度化が求められています。

3 番目が、医療機関と福祉事業所等との連携の強化です。県内には 7 つの NICU があるのですが、そういった所から福祉サービスや在宅医療サービス、地域に戻るところの円滑な移行をするという体制が求められています。小慢の児童についても、保育・医療と自立の促進を目指します。

 最後は、小児科医の確保ということになっています。特に県立こども療育センターと重心児・ケア児の受入れの中核になっている 2 病院の体制強化と、地域の医療機関や障がい福祉サービス事業所の人材育成の拠点としての機能の強化が、 1 つ求められているところです。

7 ページ以降で、課題に対する取組内容を挙げております。 8 ページの「取り組むべき施策」として➀から➂まで、既存の医療・福祉資源の活用、福祉・医療サービス提供体制の充実、各分野との連携強化を挙げております。

 ➀の既存の資源活用では、県内の介護老人保健施設における空床利用型の短期入所、障がい児 ( ) の受入れができる短期入所への参入、訪問介護ステーション、福祉型の児童発達支援事業所等で、医療的ケアに対応できる体制の整備を目指すということを掲げております。訪問看護ステーションが 100 弱あり、小児を対象としているということを標榜している所が 47 くらいあるのですが、実際に医療的ケアをどの程度実施できるかというと、 47 という数にはなかなか至ってないという状況だと聞いております。

9 ページは、「これまでの本県の取組」ということで挙げております。➀の療育研究支援事業については、平成 28 年度から実施しております。事業の概要は、○で 3 つ示しております。まず医療や療育サービスの向上のための研修ということで、拠点となる施設に勤務される医師・看護師等の資質・専門性の向上のための研修の支援です。

2 つ目の○にある「重心児に対する在宅サービスの充実に向けた研修」というのは、上のほうで拠点施設の高度化を図る中で、拠点施設が実施する訪問看護ステーションとか、地域の事業所等の看護師向けの研修を実施していただいているものです。

 最後が関連機関との連携です。拠点となる施設で連絡会議を設けていたのですけれども、これが不定期の開催になっていて、ここ 2 年ほど、実質休止状態になっています。

 ➁が在宅生活支援事業です。これまで御説明したのは短期入所等、医療的ケアの提供ができる通所系の事業所が少ないということで、新設や受入人員の拡大を目指す医療機関、医療型・福祉型の事業所に対し、医療機器等の購入、施設・設備の整備に要する費用の一部を補助する事業を、県の単独事業として実施しております。

10 ページから、本モデル事業としての取組内容を現時点で整理したものを掲げております。まず➀として、県立こども療育センターにコーディネーターを配置し、相談機能を強化しました。医療的ケア児等が必要な支援を受けやすくなるようにコーディネーターを配置し、相談機能及び医療機関や関係事業所との調整機能を強化することを目的としております。さらに、分野の連携のため、協議の場の事務局としての機能も想定しております。

 ただ、今年度これまで進めてきた中では、立上げに関しては県立こども療育センターの小児科医や障がい福祉課から、かなり各分野にお声を掛けるというところで、コーディネーターが 1 人ではなかなか活動が進まないというのもあって、当課や医師の指揮・関与で進めていったものです。

 コーディネーターの配置に際しては、昨年度から関係機関や庁内で、いろいろと意見交換があったところです。各地域、市町村や障がい保健福祉圏域の単位で、実際に顔の見えるコーディネートをする方の育成のモデルケースとして、課題を検討したところです。

 まず、どのような立場の方、どのような機関にあるのがいいか、一元化した窓口として動くにはどういった方が最適かというところで、各機関等から御意見を頂きました。候補としては、相談支援事業所の相談支援専門員とか市町村保健センターの保健師、 NICU を持つ医療機関の医療連携室の看護師などが挙がって、それぞれ関係機関等にも打診をし、実際にそういったコーディネート業務をやるについて、どうかという御意見も伺ったところです。

NICU を持つ医療機関の医療連携室というか、 NICU のドクターや小児科のドクターにも御意見を伺ったのですが、医療機関に置くと、その病院に入院されている方以外の方の業務までやるというところに非常に懸念を示されて、そこに地域なり県全域なりのコーディネーターの業務を担わせるのは厳しいかなという御意見でした。今年度、障がい児福祉計画を市町村と県で策定する中でも、目標として全ての市町村圏域で設置するというところでは合意を得たのですけれども、どういった方を想定しているかというところになると、相談支援専門員も日々の計画策定業務に追われているということもあって、非常な熱意を持った方でないと難しいのではないかという御意見もありました。その地域の中にそういった方がおられれば、圏域としてはその方にお願いすることもあろうかというところです。

 一方、市町村の保健センターの保健師については、周産期からお子さんの発達の過程で、一番情報が集まってくるかと思っているのですが、そこが県の保健師長会や市町村の保健センターと、まだ合意が取れているところではなく、規模の小さい市町村だとなかなか事例もなく、実際に市町村の保健師がどういった形で関与できるかといった課題も挙げられているところです。県としては地域のコーディネーターについて、ここではこういった方でなければいけないというところまで縛る予定はまだないのですけれども、それぞれこういったところが考えられるということで、市町村にお示ししています。

2 番目のポツにあるのは冒頭に御説明したことで、重心児・医療的ケア児の実数とか、必要な医療的ケアなどの生活状況把握が必要であるというのは、各分野どちらからも御意見を頂いております。現状の方法では実態を反映していないというのはそのとおりで、支給決定を行う市町村の協力を得て実態把握調査を実施する方向で、今検討しております。

 医師会の小児科のドクターから情報提供があって、全国的には在宅指導管理料の点数の報酬の取得の状況で、全国の在宅の医療的ケア児の数の推計を出しておられるということでした。昨年度、宮崎県の社保・国保のほうに、同じような方法で抽出できないかということで打診をしたのですが、社保・国保として、県のレベルでは集計には御協力いただけないということでした。在宅管理料自体が適切に把握できているかというのは、個人情報がないと市町村レベルで情報の整理もなかなか難しいので、推計には使えると思うけれども、実際の個人情報を含めた状態で市町村が把握できるものとしては、障がい福祉サービスの重心単価取得の方の情報が一番適しているのかなというところで、今、市町村側とどういった基準で集計調査をするかを協議しています。

11 ページは、「各分野における連携会議の設置」ということでまとめております。連携会議の設置に当たっては、総合周産期母子医療センターを県内で唯一設置している宮崎大学医学部をはじめ、庁内関係部局、市町村、障害児入所施設、医療機関、障害福祉サービス事業所等との意見交換を実施しました。

 連携会議の在り方としては、県の障害児福祉計画に位置付ける、県全体を見る連携会議としては、連携の枠組みを決定する場として設置し、市町村障害児福祉計画で各障害保健福祉圏域で共同設置をしたり、各市単独で設置される協議の場について、立上げや運営に関する指導や、総合調整も行っていく場にするという在り方で考えております。

 構成員としては保健所長会、宮崎大学の NICU の小児科部門、県医師会の小児科医会、また、資料からは漏れているのですが、内科のほうで大人の訪問診療等を実施されているドクターにも、次回から御参画いただこうということで検討しております。それと訪問看護事業所の代表、障害福祉サービス事業所代表、特別支援学校代表、保育所等代表、当事者団体代表、行政機関といったところで意見交換を実施しております。

 検討事項としては、宮崎大学のほうに協力を求めて、実際に NICU から在宅へ移行するお子さんの実情を把握するという観点から、入院時からの大学病院側のカンファレンスに、➀のこども療育センターのコーディネーターを参画させていただいて、各分野の支援状況を調査すると。その中で課題として上がってきたものについて、今後、支援の在り方を協議していくということと、地域のコーディネーター設置に向け、コーディネーターの養成や顔の見えるネットワーク作りの課題を整理していくというところでまとめております。

12 ページでは、「併行通園、学校における医療的ケアに関する調査」ということでお示ししております。併行通園については、当県のモデル事業の計画上、ニーズ把握ができておらず、実施は困難でしたが、そういったところに向けて現状の調査、意見交換を行いました。保育所、認定こども園等に通う医療的ケア児は、平成 28 年度は 1 名、平成 29 年度は 2 名でした。これは併行通園ではなく、実際に園に行かれている方です。平成 29 年度の 2 名については、 1 名は 1 型糖尿病で 1 名は経管栄養ということを、保育所等の所管部局から報告を受けております。

 そういった中で保育所側というか、行政の保育所を所管する側からの実情なども伺ったのですけれども、保護者の意向や受入側の体制に関する情報の把握とか、コーディネートをする窓口が現在は決まっているわけでなく、そういった御希望のある保護者と実際に受け入れを検討できる園とで個別にされているのが実情です。

 また、対象児の数とか必要な医療的ケアなどの実態が分からないといった課題もありますし、もう 1 つ挙がったのが、既に発達障がい児などの受入れのある保育所については、経営上のメリットがなかなかないのではないかという御意見もありました。うちの県には 200 数十の保育所、認定こども園等がある中で、 74 名ほどの看護師配置があるのですけれども、その看護師全てが医療的ケア児の看護を経験しているわけではないので、そのような中で、受入れに当たっては研修等が必要になってくるというところで、結び付けていく動機付けも必要ではないかという御意見でした。

 学校における医療的ケアについては、学校配置の看護師は 25 名です。全て特別支援学校ですが、現在、教育委員会では個別対応医療的ケアから通常対応医療的ケアへの移行を目的に、文科省の別のモデル事業で取り組んでいるところです。その目的としては、保護者待機や母子登校の解消が掲げられております。

 ただ、看護師配置が絶対的に足りないというのが、モデル校となった学校側の御意見で、看護師配置を補うためにも病院等で導入されている PHS の導入などで、職員なり保護者の不安がどの程度解消できるかといった検討が今されているところです。現在のところ、医療的ケアが必要なお子さんの母子登校は週 3 回、 3 時間を限度に、学校看護師が付いて保護者待機の解消ができるという状況になっております。その文科省側のモデル事業については、緊急時対応マニュアルを見直したり、人工呼吸器の方の受入れに当たってのガイドラインの作成を検討したりしているところです。

13 ページは、「受入促進に係る人材育成」です。目的としては、児童発達支援事業所職員等の医療的ケアの技術習得の研修に加え、市町村における医療的ケア児等コーディネーターとして想定される方、先ほど御説明した相談支援専門員とか、市町村保健師などを対象として、まずはコーディネーターの研修の前段として、医療的ケア児の支援全般に関する知識習得のための研修会を実施する予定としております。

14 ページの「今後の活動内容」については、年度中に連携会議で皆さんに集まっていただいて、来年度以降の活動内容の協議をします。また、行政側の既存資源の活用に向けた検討ということで、先進的な自治体では実施されているレスパイト入院について、差額補助ができるかどうかを、市町村側と意見交換をしていきたいと思っております。あとは医療的ケア児の受入施設の拡大に向けた施策ということで、今、ハードの整備と看護師を中心とした研修の実施をしているのですが、それに加えて何ができるかといった検討が必要かと思っております。

 最後に、市町村の医療的ケア児コーディネーターの育成ということで、養成研修の実施に向けた検討をしたいと考えております。本県の説明は以上です。

○田村座長 どうもありがとうございました。広範にわたっていろいろ試みておられるという御説明だと思いますが、これについてコメント若しくは御質問をお願いいたします。ちょっと時間の関係がありますので、質疑を含めて 20 分以内でお願いいたします。

○及川委員 今、いろいろ整備をされているのだなというのは、すごくよく分かりました。この中で、宮崎県の場合は訪問看護ステーションで、今後どのぐらい子どもたちのこういうところに関わる可能性というのはできるものでしょうか。

○宮崎県福祉保健部障がい福祉課 その辺りの実態というか、事業所ごとに小児を中心にやっていくという所は数は少ないですけれども、小児もできるといった所が半数弱くらいで、積極的に関わっていこうとする所をどうやって増やしていくのかというところと、地域のニーズがあれば対応できるように周辺の環境を整えるというのが必要になってくるかと思っております。その中で、小児を中心に熱心にされている事業所というのは、障がい福祉課で把握しているのは日向市という県北のほうの市と、都城祉という県西のほうにある所の市郡医師会立の訪問看護ステーションが、時間も日数も結構長期にわたって人工呼吸器管理の在宅の方の所に伺ったりしているということなので、そういったところのノウハウを広げていく必要があるかと考えています。

○及川委員 子どもの場合、特に在宅の当初はステーションの役割はすごく大きいと思っていますし、是非ステーションを活用していただくことでスムーズな在宅ケアに結び付けることができるかと思いますので、御検討いただければと思います。

○田村座長 ちょっと付け加えますと、訪問看護師さんが子どもに対して結構積極的に取り掛かりたいと思っている施設は 100 か所のうち約 40 何箇所と、確かに在宅診の先生よりずっと多いのですよ。だけれども、どこまでのことであればできるかというところまできちんと調査をしないと、例えば人工呼吸器を使っている子どものケアまで大丈夫とか、実際に医療的ケアをしているお子さんのレベルに応じて、どこまでならできるというようなことをきちんと調査されて、関係者がいざとなったらそこに相談できるような資源マップを作っておくべきではないかと思いました。何かコメントはございますか。

○宮田委員 県としてこういうモデル事業をやられるということについて、私は非常に興味があり期待もしています。今日はちょっと制度にこだわりたいというか、こういう事業をしかも広域的にやっていくときに、いかに柔軟に既存の制度を導入していけるかというところが課題になるかと思い、今日は制度についてこだわっています。加えて宮崎県さんは学校の医療的ケアの部分を出されてきたということでは、非常に視野の広い取組をされる予定なのかなとは思います。

12 ページの「学校における医療的ケア」で、看護師の数が足りないという部分で受入れの難しさが考えられるという点ですが、きっと現場からの要求としてはほぼ 1 1 を求めてくると思うのですけれども、現実は難しいわけで、その辺りでは町田市さんにも質問させてもらった、いわゆる喀痰吸引等の研修をいかに学校の先生方にしていただけるかということと、平成 22 7 月の医療法の改正で、附帯業務で病院からの看護師の派遣や医療的支援が OK になっています。県がやるときに県立の療育センターや県の病院からの看護師の派遣などをどう考えていかれるかということがお聞きしたいと思います。

○宮崎県福祉保健部障がい福祉課 このモデル事業のモデル校になっている清武せいりゅう支援学校というのが県立のこども療育センターの隣接で、渡り廊下で通用できる所なのですけれども、御意見のように、学校側としてはモデル的に検討されているのは人工呼吸器対象で、ほぼ 1 1 が必要だという御意見でした。緊急時の対応マニュアル等でも障がい福祉課とこども療育センターの小児科医で関与しているので、作成についてはいろいろと意見交換をしているところですが、こども療育センター側の看護師が、入所が 30 人前後ぐらい通常はいて、外来を含めて 40 名の看護師が職員配置としてはいるので、その中でどういった対応ができるのかと。

 組織の中で言うと教育委員会と知事部局というところにもなるので、まだちょっと具体的な整理まではできていません。配置が難しい、増員がなかなか難しいというのは教育委員会側から学校側への回答だったのですが、側面として書いてあるように PHS や、教育委員会の検討委員会の中では担任の先生や教務部の主任、養護教諭なども全て含めて入っていて、教員の研修の必要性というのを整理されているのですけれども、それに加えてこども療育センター側からの看護師の支援についてというのが今後はちょっと整理が必要かとは思っております。

○田村座長 よろしいですか。先ほどの実数調査で保険のほうがいろいろ個人情報ということで協力してくれないということでしたけれども、我々が埼玉県で医療ケア児の実数調査をしたときには、 1 つは、従来よくやっているように、入所施設を持っている病院全て、それから重心施設に対して、在宅管理料を取っているお子さんがどのぐらいいるのか、その中には人工呼吸器を使っているとか使っていないとか、そういったことを全部細かく出してもらいます。ただ、それだけだと県外、特に埼玉県などの場合は東京で診てもらっているお子さんも多いものですから、そういうお子さんが落ちてしまうということで、実は県が 15 の保健所で難病の届出をしている患者さんを調べ上げて、在宅医療をしている子どもを合わせてほぼ実数調査ができています。ですので、県が本気になって調べれば、その県内の在宅医療ケアを必要としているお子さんの数はそれなりに出せると思いますし、各地域別にどのぐらいおられるのかも分かります。

 先ほど県内の医療福祉施設が偏っているとおっしゃっていましたけれども、それと照らし合わせてみると、特にこの地域においては、もっと在宅の子どもをサポートするようなシステムを十分に育てる、実際的には訪問看護師や在宅診の先生たちに特別な何かのインセンティブを付けたり、研修会をしたりしてやってもらうとか、そういう政策にも生かせると思いますので、是非そういう調査もされればいいのではないかと思いました。

 ほかに何か御質問やコメントはございますか。私ばかり言っていて申し訳ないのですけれども、コーディネーターの方ですが、やはり小児在宅医療を考えるときに、コーディネーターは一体誰になってもらうかというのは非常に大きな問題です。相談支援専門員の方はどうしても在宅医療を自宅でやっている人工呼吸器とか、そういう高度の医療には慣れておりませんし、一方で、医者や看護師さんは福祉制度に疎いということがあるので、方策としては、宮崎県が今考えている、相談支援専門員と保健師や看護師がペアでコーディネーターとして活動するという在り方も、 1 つのチョイスではないかと思うので、また検討していただければと思います。

○宮崎県福祉保健部障がい福祉課 おっしゃるように、障がい福祉側としては、医療機関というところがなかなかハードルが高いというか、ふだんの各障害種別などで関わるところというのが重心児や医療的ケア児に限られているので、なかなか窓口が狭いという印象があって、逆に医療機関側では、訪問看護ステーションまでは大丈夫なのですが、医療的ケアができる障がい福祉の事業所や保育所といった所にパイプが細いのかなという印象がありますので、御意見があったように 2 人や 3 人などでも当然可能かと思いますので、地域で顔の見える関係であれば複数で当たるのも一つかと思います。ありがとうございます。

○田村座長 ほかに御質問若しくはコメントはございますか。よろしいでしょうか。

 それではこれで、東京都町田市、長野県安曇野市、宮崎県からの事業内容等の説明や質疑が全て終わりましたので、この説明を踏まえまして全体で 10 分程度時間を取っていただきますので、全体を通じて何かあれば、委員の皆様方からそれぞれの事業内容に関してコメントを頂ければと思います。まず宮田委員からお願いいたします。

○宮田委員 それぞれに特色のある事業展開をしていただいているので、非常に興味を持ちました。全体的に言えることですけれども、 30 年ほど通園施設にいて、今、病院に戻っている医者の立場としては、看護師や医師を中心に据えてシステムを組むのは基本的に難しいのではないかと思います。もともといないわけなので、その辺りをどう補完していくかというところを検討されて、加えて、補完するために既存の制度をどう活用していくかということが課題になるのではないかと思います。

 平成 24 年度に厚労省から出てきた様々な子ども関係の事業について、作成の段階で関わらせてもらった人間としては、障害のある子どもを地域で育てていくときにどのような事業が必要かという観点で出してきているので、発達障害のある子どもも医療的ケアの必要な子どもも基本的には利用できる制度です。地域のシステム作りにそのような事業をどう利用していくか、そこで次の段階として医療機関や看護師を取り込んでいけるかどうかということが大事なのかと思います。

○田村座長 宮田委員、もし各発表ごとに一言ずつ何かアドバイスがありましたら、よろしくお願いいたします。

○宮田委員 大体それぞれに申し上げたので、あえて追加することはございません。

○田村座長 分かりました。及川委員、よろしくお願いいたします。

○及川委員 私も個別にというよりは、全体的なところです。今回、併行通園を目指してというところで行われた事業の 1 つかと思って、今それぞれ取り組んでいることがよく分かりました。ただ実際問題、併行通園をすること自体がお子さんにとっても親御さんにとっても、また受け入れる園にとっても、なかなか難しい課題がやはりあるのかなというのを感じられたと思います。特にお子さんの状態が不安定であるとなかなか難しいということと同時に、やはり併行通園となった場合に、 2 か所にどのようにお子さんが通園していけばいいのかというところでの家族の負担がかなり大きくなってくるかと思いまして、そこを緩和してあげないと、 2 か所をどのようにうまく利用していくというか、使うことによって、お子さんの発達を伸ばせるかというところが 1 つ課題なのかということでの整備として、人材だけがいればいいかということだけでもなさそうな、もう少し検討するべきことがあるのではないかと感じました。

 もう 1 つは、それぞれシステムを作ろうというところでは非常にいいシステムを作り上げてきていると思ったので、逆に言えば今後にそれらが期待できるかなという印象も受けました。以上です。

○田村座長 並木委員、お願いいたします。

○並木委員 ありがとうございました。全て聞かせていただいて、どれにも共通することですが、やはりきちんとしっかりしたシステムを作ることと人材の確保と研修が 3 つのポイントかと思いました。その中で、乳幼児期と就学以降で一番違う所は、文科省の中で学校現場に養護教諭というものがきちんと位置付けられていて、プラス看護師が入っていき、おおむね 100 %以上の配置率で置かれていて保健室があり、医ケアができるような場所も確保されている。

 ところが、乳幼児施設には今、本当にいろいろな形の家庭的なところから、大きな違いは、例えば施設長が子どもを専門に見た経験のない方たちがとても多いことに注目すべきだと思います。今年度や昨年度の新任の施設長の研修に行かせていただいたときに、保育経験のない方たちというところでピックアップしただけでも 350 人ぐらいが全国から一気に集まってくるという現状でした。その中で、例えばこの代表者会議に施設長は来てくださいと言ったとしても、子どもについて分からない、医ケア以前に子どもとは何かという部分が分からない人たちが代表として上がってくるということは、すごく危険だと思っています。

 私がここにいさせていただいた意味がやっと分かりました。やはり現場が見えて、子どもの生活が分かり、家族のことが分かる現場の者が入っていかないと、システムを回す一番下の生活に至る所が見えていないといけないのではないかと思いました。キーパーソンとして、一番大事な保育現場やケアの必要な子どもたちのいる施設にとって、看護師や医療職は絶対に必要な存在であるし、今は法的なものがないので置けない現状ではあるけれども、子どもの生活の中にこういう職種は必ず必要であるということを、この委員会をスタートに発信していただければと思います。

 そして、研修の中で教員など、これは学校の教職員が自分が担当しているお子さんのためにそれぞれの専門の所に行って身に付けていらっしゃるというのは、そういう教育現場に行くと証明書が貼ってあって安心ですが、保育士にそれをプラスするということは、保育士養成校の中でもそこまでは本当に難しいし、現場で「あなた担任だからやってください」と言われて、体以前に精神的にまいってしまう人たちが現状ではおります。だとしたら個人に任せるのではなくて、まずは施設長を含めた職員全員の研修の中に医ケアが入っていく・いかない以前の研修レベルとして何をしたらいいのか、緊急時の対応が全員できるとか、そういう研修もこの中に盛り込んでいただきながら、プラスして少しずつ環境を変えていただきたいと思っております。ありがとうございました。

○田村座長 私のほうからは、町田市さんと安曇野市さんが併行通園を 1 つの大きな目玉にして取り組みをされておられることに対して、非常に期待しております。実は今、厚労省の保健局の研究で、これは特別支援学校だけではなくて通常の学校もそうなのですけれども、学校に人工呼吸器を付けたまま行っているお子さんの場合、ほとんどの所がお母さんがずっと付いていなければいけないということで、何とか訪問看護師に介入してもらったり、若しくは学校看護師に特別な教育をするという形で、できるだけお母さんが付かずに済むようにするという介入研究をやっています。まだ途中経過ですけれども、その介入がうまくいった場合は、やはりそのお子さん自身の自立心が高くなって、周りの子どもたちも、障害を持っている子どもに対して非常に思いやりが深くなっているという形で、非常に大きな教育効果が上がるということが分かってきています。

 ただ、これから実際に普遍化するには、法的にも経済的にもいろいろ乗り越えなければいけないことはいっぱいありますので、一気にそこまで持っていくことはできませんが、そういう点からいくと、併行通園に関しても、そのお子さんや家族に対する影響だけではなくて、その子と一緒に遊ぶことになるほかの園児たちに対してもどういう影響を及ぼすのかということについても、是非検討していただければと思います。

 それから宮崎県ですけれども、宮崎県は県として取り上げるので、今日お話を聞いてやはりいろいろなことができるなと感じていました。 1 つは先ほど申し上げたように、県全体で医療的ケアを必要とする子どもがどのぐらいいるかということを病院と保健所を通じて調べるということで、まずは各地域別にどれだけの重症度で、どれだけの年齢の子どもがいるかを調べ上げて、先ほど訪問看護師だけのことをおっしゃっていましたけれども、それだけではなくて在宅診の方やヘルパーの方で子どもを見てもいいという方を全県調査をされて、そういう方々がどの程度の所までであれば自分たちが支援できるというところも含めて調査をされますと、それぞれのケースが発生した場合に、その地域ではどこにサポートをお願いすればいいのか、やはり今までどおり中心病院から誰かが行くしかないのかといったようなことについても、いろいろ解決策が見つかってくるのではないかと思います。それについても、そういうところでコーディネートをする人の育成は本当にキーになりますので、コーディネーター育成に今積極的に取り組んでいるのは非常に希望が持てる試みだと思います。

 ただ、先ほど申し上げたように、コーディネーターの方は福祉の制度には非常に強い方が多いのですけれども、大人と違って、こういう高度な医療機械を持って在宅に通っている方のケアに関しては、実際には見たこともないという方もまだまだ多いと思いますので、そういう方と高度医療施設との連携若しくは見学や、そこにおける講習会等といったものを組み合わせることによって、コーディネーターの方も高度な医療ケアをしている方のケアプランを立てたりすることができるようになるのではないかと思いますので、そういう方向でまた御検討いただければと思います。

 ほかに付け加えることのある委員はおられますか。よろしいですか。それではこれで、東京都町田市、長野県安曇野市、宮崎県に対する事業内容等の中間報告を終了といたします。

 最後の議題に移ります。議事 3 の申告書の作成について、事務局から説明をよろしくお願いいたします。

○上井障害児・発達障害者支援室長補佐 お手元の資料 3 を御覧ください。東京都町田市、長野県安曇野市、宮崎県においては、資料 3 の様式に沿って報告書を作成いただき、平成 30 3 2 日までに本日の資料と同じように、メールで提出をお願いしたいと思います。平成 29 年度医療的ケア児支援促進モデル事業を実施した自治体においては、事業報告書 ( ) を提出していただくことになりますけれども、当該報告書が単なる補助事業の事業実績報告ではなくて、医療的ケア児のための地域生活支援を実施するために、全国の都道府県及び市町村で幅広く活用されるよう、取組の具体的なノウハウを取りまとめていただくという観点から、この報告書には、実施した項目について、以下のような内容を記載していただきますようお願いいたします。

1 番から 6 番までありますけれども、地域の現状と課題、都道府県及び市町村におけるこれまでの活動・取組、本事業の取組の内容、本事業の実施スケジュール、今後の展開、そして参考資料です。このような項目について記載していただき、繰り返しになりますが、平成 30 3 2 日までに、本日の資料と同じようにメールで御提出をお願いしたいと思います。事務局からは以上です。

○田村座長 それでは時間となりましたので、以上で終了とさせていただきます。委員の皆様、東京都町田市、長野県安曇野市、宮崎県の皆様におかれましては、長時間にわたり、誠にありがとうございました。また、皆様方におかれましては、本日の委員の意見を踏まえて、是非、事業内容がモデル事業の目的に沿った効果的なものとなりますように、引き続きよろしくお願いいたします。

 以上をもちまして、平成 29 年度医療的ケア児支援促進モデル事業検討委員会は閉会とさせていただきます。どうも御協力をありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室 
〒100-8916 
東京都千代田区霞が関1-2-2
電話: 03-5253-1111(内線3032)
Fax : 03-3591-8914

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