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2018年7月26日 第2回複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会議事録
○日時
平成30年7月26日(木)13:00~14:15
○場所
厚生労働省 厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)
○議題
マルチジョブホルダーの実態について
○議事
○ 岩村座長
それでは定刻となりましたので、ただいまから「第2回複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会」を始めることにいたします。皆様お忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。なおカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。
早速、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第を御覧ください。議題は、「マルチジョブホルダーの実態について」です。事務局より、これについての資料1、資料2を用意していただいておりますので、まず事務局から資料の説明を頂きたいと思います。その上で、質疑を行うことにさせていただきます。では、説明をよろしくお願いいたします。
○ 引田雇用保険課長補佐
事務局より説明いたします。資料1を御覧ください。
資料1は、第1回の検討会での御指摘に関する資料です。
まず前回、酒井委員から御質問のあった景気循環とマルチジョブホルダーの数の関係です。
2ページを御覧ください。マルチジョブホルダーの人数につきましては、有効求人倍率及び完全失業率も明確な関係性を見いだすことができておりません。3ページ、景気動行と比較しております。企業の倒産件数及び可処分所得の増減について比較をしたところですが、これにつきましても明確な関係性を見いだすことができておりません。なお、この可処分所得の時系列ですが、平成12年以前は集計の仕方が異なっておりますので、平成12年からの計上とさせていただいております。
4ページを御覧ください。参考までに、景気動向につきましてマルチジョブホルダーとの関係を、男女別の労働者数で見た場合です。この場合、それぞれ男性女性の状況を見ましても、完全失業率及び有効求人倍率ともに明確な関係性を見いだすことはできておりません。
5ページも参考です。パート・アルバイトと、マルチジョブホルダーの男女別の関係を見たところです。パート・アルバイトの労働者数が増加するにつれて増加しているように見えます。ただ、この就業構造基本調査は5年ごとの調査ですので、この間も同様に増加傾向にあるのかが分からないので、この表はその点について留意する必要があります。その下の表は男女別で見た場合ですが、女性についてはパート・アルバイトの増加につれて、マルチジョブホルダーの女性も増加しているように見ることができます。
ただし、男性については、パート・アルバイトの増加につれて増減が見易いようにグラフは作っておりますので、実際の増減幅は小さい点を考慮すると、横ばいに近いのではないかと言えるのではないでしょうか。
6ページです。これは岩村座長からお話があった第1回資料のマルチジョブホルダーの本業の就業上の地位雇用形態について、平成24年以外の数値を見せてくれないかということで、平成14年から平成29年までの就業構造基本調査を提示しております。各年度の正規労働者は男性が多く、パート・アルバイトは女性が多くなっています。
7ページ目は、渡邊委員からお話があったマルチジョブホルダーの年齢層の推移について示しております。各年とも、総数としては40代が多く、女性が多い傾向にあります。
資料1につきましては以上です。
続きまして、資料2を御覧ください。資料2は、マルチジョブホルダーの実態についてです。こちらにつきましては、JILPTで行っております複数就業者についての実態調査についての調査結果です。この調査はインターネット調査でして、2017年9月29日から10月3日にかけて実施されました。約185万人に対して調査依頼を行い、約15万7,000人から有効回答を得ています。この有効回答のうち、仕事をしていると回答のあった方は12万9,916人です。このうち、仕事を2つしている、つまり副業していると回答のあった方は9,299人、約7.2%となっております。また、分析にあたって、9,299人のほか、比較対象とするため、仕事を1つだけしている方も2,012人を分析の対象としているところです。
先ほど申しましたように、この調査はインターネット調査です。したがって、先ほど資料1でご説明した統計法に基づく基幹統計調査である就業構造基本調査とは異なり、調査対象は登録モニター等の特定の方にならざるを得ず、調査母集団から無作為抽出されたサンプル調査ではない点については留意する必要があります。これにつきましては、3、4ページを御覧ください。具体的には、JILPT調査は就業構造基本調査に比較して、男女を含めて10代、20代、そして60代の高齢者が低く出ております。一方で30代、40代、50代が高くなる傾向にあります。
では、調査内容について説明いたします。ただし、この調査は非常に分量が多いので、主なページのみを説明いたします。
5ページを御覧ください。副業している人のうち、副業を幾つしているかという表ですが、副業1つで73.5%、2つで20.6%であり、副業2つまでの割合を見ると、男女計で全体の94.1%を占めています。年代別では30代から50代が多くなっております。
6ページを御覧ください。この副業をしている人9,299人について、本業、副業については雇用以外も含んでおります。このうち本業が雇用で副業をしている人は6,576人であり、副業については雇用以外も含んでいます。また本業雇用で副業も雇用である方、ただしこの副業も雇用である人とは、複数ある副業のうち1つでも雇用とした人の数ですが、4,493人となっていまです。なお、このJILPTの調査ですが、副業の就業形態は5番目までの収入の多い副業までしか把握していないということをお含みおきいただければと思います。また、下の所、副業している人、雇用関係のみですが、副業の平均所定労働時間は最も多い副業5つで3時間程度となっております。
7ページ、副業をしている人の世帯上の地位を見ると、世帯主が多くなっています。また世帯主について扶養家族の数を見ると、0人の割合が46.0%と高くなっております。つまり単身者が多いのかと思います。
8ページを御覧ください。男女別に見た場合、男性は84.2%が世帯主です。そのうち40代、50代が68.9%を占めています。また、単身者が36.8%となっております。
9ページは女性です。女性については44.3%が世帯主の配偶者となっており、次いで36.8%が世帯主となっております。世帯主の配偶者では30代、40代、50代で88.9%となっております。単身者が69.8%と、男性より高くなっております。
10ページ、主たる仕事の就業形態です。副業をしていない人は「正社員」の割合が高くなっております。また副業をしている人は、正社員に加えて「パート・アルバイト」「自営業主」「自由業・フリーランス(独立)・個人請負」の割合も高くなっております。男女別では、男性は全体的に正社員の割合が高く、女性は全体的にパート・アルバイトの割合が高くなっております。これは、先ほどの就業構造基本調査と同様の結果になっております。
飛びまして、26ページを御覧ください。副業の理由を見ると、「収入を増やしたいから」が54.9%、「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」が37%、「自分が活躍できる場を広げたいから」が23.9%と、回答する割合が高くなっています。一方で、「働くことができる時間に制約があり、1つの仕事で生活を営めるような収入を得られる仕事に就けなかったから」と、副業を行う必要があると回答した方は4.4%です。この方たちについては細かな理由も聞いており、この理由につきまして「(自分の)病気のため、体力不足のため」と回答しているのは、この回答を行った410人のうち41.0%が回答しています。ただ、この回答は全て複数回答ですので、その点もお含みおきいただければと思います。
飛びまして、39ページを御覧ください。これまでJILPT調査に基づき副業を行っている者全体についてご説明いたしましたが、副業をしていると回答した人のうち、このままでは雇用保険に加入できない者について調べてみたところです。
これは、(1)雇用保険に加入していると回答した人以外、(2)本業及び副業(雇用に限る)における週の所定労働時間の合計が20時間以上となること、(3)本業及び副業の週の所定労働時間がいずれも20時間未満であることという要件に該当する方を厚生労働省で機械的に絞り込んだ結果、371人となっております。
ただし、絞り込んだ結果が371人と、分析対象とするには非常に少ないことについては留意が必要ですので、お含みおきください。
40ページを御覧ください。本業と副業の週の所定労働時間の合計が20時間以上となる方を世帯別に見ると、世帯主は32.3%にとどまっております。副業している方全体と比べると、世帯主の割合が低くなっております。
41ページを御覧ください。世帯主である方の扶養家族の数を見ると、71.7%が単身世帯となっております。42ページを御覧ください。過去1年間の収入についてです。200万円未満までの層が281人と、75.7%を占めているところです。一方、世帯収入の中で自らの収入が占める割合が4分の1以下の方、表の黄色の部分ですが、これが全体の43.1%となっております。
43ページを御覧ください。これはどちらかというと参考に近いのですが、自己の年収が50万円から100万円未満の方、これは世帯年収が400万円から500万円の方が多くなっております。自己の年収が100万円から150万円未満の方については、世帯年収が700万円から800万円未満の方が最も多くなっております。これを横に見た場合、自己の年収が50万から100万円未満の方は世帯年収400万円以上の者が68.3%で、自己の年収が100万円から150万円未満の方は、世帯年収が600万円以上の方が46.2%となっております。
44ページを御覧ください。1つめの表は本業と副業の週の所定労働時間の合計のクロス表です。本業と副業の週の所定労働時間の合計が20時間以上になる方で世帯主である方について、男女別に見ると男性が39.2%、女性が60.8%となっております。
また、下の表は、世帯主と自己の年収との世帯収入のクロス表です。自己の年収と世帯年収について、自己の世帯の年収層が一致する者、黄色く塗っている部分ですが、これが49.2%。自己の年収が世帯収入に占める割合が少なくとも2分の1以上の方、これが橙色の枠でして72.5%、自己の年収が世帯収入に占める割合が少なくとも4分の1以下の方、これは青色の枠でして10%です。橙色の枠及び青色の枠以外の方は17.5%となっております。したがいまして、世帯主の場合は、世帯収入に占める自己の年収割合が高くなっている者が多くおります。
45ページ、今度は非世帯収入について調べております。本業と副業の週の所定労働時間の合計が20時間以上の者の中で、非世帯主である者を男女別で見ると、男性が8.8%、女性が91.2%となっております。また、下のクロス表ですが、自己の年収と世帯年収について、自己の収入と世帯年収が一致する者、黄色の所ですが、7.2%、自己の年収が世帯年収に占める割合が少なくとも2分の1以上の方、橙色の枠ですが、12.0%、自己の年収が世帯の年収に占める割合が少なくとも4分の1以下の青色の枠は59.0%となっております。橙色の枠及び青色の枠以外の方、この間の部分にいる方ですが、少なくとも29.5%となっており、非世帯主の場合は世帯年収に占める自己の年収の割合が低い方が多いと出ております。
46ページ、本業及び副業のいずれにおいてもパート・アルバイトの者が多いところです。
47ページ、副業の理由を見ると、「収入を増やしたいから」が61.7%、「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」が42%、「自分が活躍できる場を広げたいから」「時間のゆとりがあるから」が25.9%、20.1%と回答する割合が高くなっております。一方で、「働くことができる時間に制約があり、1つの仕事で生活の営めるような収入を得られる仕事に就けなかった」という方が11.1%です。その理由も、「(自分の)病気のため、体力不足のため」と回答しているのは、この回答を行った41人のうち31.7%でした。
事務局からは以上です。
○ 岩村座長
ありがとうございました。ただいま御説明いただきました資料1と2につきまして、何か御意見、御質問がありましたらお出しいただきたいと思います。
○ 酒井委員
最初に資料1に対するコメントなのですが、前回私から質問させていただいた、景気循環と副業者の数の関係について御確認くださりありがとうございました。結果としては、景気循環とマルチジョブホルダーの数との間には、ほぼ関係が見られないというような結果だったと思うのですが、例えばアメリカの統計などを見ても、同じように景気循環と必ずしもマルチジョブホルダーの関係というのは明確でないということから、非常に納得できるものだったかなと思いました。
それから、資料2に関して2点ほど質問があります。いずれも細かい点で恐縮なのですが、資料2の26ページ以下で、いわゆる副業の理由ということが紹介されているのですが、少し分からない部分があります。一番左の、1つの仕事だけでは収入が少なくて生活自体ができないからという選択肢がある一方で、一番右側に、働くことができる時間に制約があり、1つの仕事で生活を営めるような収入を得られる仕事に就けなかったからという選択肢があり、この2つの違いというか、何かちょっと混乱する気がしております。回答者のほうも混乱しないのかなという気がするのですが、その上で、もう少し突っ込んだ質問をさせていただくと、一番右の、働くことのできる時間に制約があるがゆえに、1つの仕事で生活を営めるような収入を得られる仕事に就けないのだけれども、副業しているということがどういう状況なのかが、私には分からない気がしたのですが、私が分かってないだけかもしれないので、後で御説明いただけると有り難く思います。
それから、もう1点なのですが、資料の説明では、飛ばされていたかと思うのですが、37ページに、雇用保険加入の希望ということの質問をしたその結果を紹介されているかと思います。特に、副業している人で本業では雇用保険に加入していない人の新制度希望ということに関して、そのような制度を希望すると答えている人が41.7%だったのですが、これを後ほどのいわゆる39ページの3条件を当てはめた場合にはどうなるか。3条件に該当するのは371人ということなのですが、先ほどの37ページの希望というのは、この3条件に当てはまっている人よりは広い範囲のようなので、3条件にした上で、この雇用保険の希望の有無というのを確認できるかということを伺いたいと思います。私からの質問は以上です。
○ 岩村座長
ありがとうございます。事務局のほういかがでしょうか。
○ 髙橋調査官
それではお答えいたします。最後の質問のほうで、37ページの資料についての確認の件で、39ページの3条件を満たした方に絞って把握可能かということについてですが、数字は手元にはありませんが、集計そのものは可能だと考えておりますので、それはまたちょっと対応してみたいと思います。
前のほうに戻りまして、26ページの副業の理由の所で、選択肢についての御質問を頂きました。一番左の、1つの仕事だけでは収入が少なくて生活自体ができないからということと、もう1つは一番右の、働ける時間に制約があり、1つの生活を営めるような仕事に就けなかったからということで、一番の違いというのは、右の選択肢で申し上げると、働くことができる時間に制約がありと、複数就業をせざるを得ない状況に置かれている方と、自ら様々な事情がない中で、働き方として、そういった複数就業という形を選んでいるというような、その違いというのが浮き出されないかということで、この違う2つの選択肢を設けたということです。
○ 岩村座長
例えば私の想像では、週2日は介護をしなければいけないので就労できないと。他方でしかし、当該地域の労働市場では、そこの2日が抜けてしまうと、週2回しか働けない仕事しか見つからない。そうすると残り1日については、もうしょうがないから、もう1つ別の仕事を探してという、そういう構造にならざるを得ないというのが、恐らくここに入ってくるだろうというように私はこの設問からはそう理解しておりました。あくまでも、様々な理由で仕事に就けない日が、あるいは時間帯が存在する結果として、自分の希望するような仕事に就けない、その結果、それでは収入が足りないので、埋め合わせに、何かもう1つ、2つなりをやらなければならない、そういうことなのではないか。
他方で、一番左のものと若干ダブる可能性はあって、両方に付けてしまう人というのは出てくる可能性は当然あるのかもしれませんが、左側のほうは、とにかく今やっている仕事では収入が足りないので、プラスアルファやっていますと、そういう単純な累計だと思います。おっしゃるように、もしかすると御本人では区別が付かないので、両方に付けてしまっている可能性はあるだろうという気がします。
○ 酒井委員
分かりました。ありがとうございます。
○ 岩村座長
ほかはいかがでしょうか。
○ 中野委員
資料2の調査の全体的な方法のことを伺いたいのですが、御説明の中でもたびたび、インターネット調査なので、例えば回答者の偏りなどには留意が必要だということを御注意いただいたのですけれども、例えば、世帯の状況で、単身世帯が多く出るというようなことに、インターネット調査であることでの回答者の属性の偏りというようなことが影響してきているのかということをお伺いしたいのです。
○ 岩村座長
そこはいかがでしょうか。
○ 髙橋調査官
今、私どもの手元で把握できている集団の属性ということで申し上げれば、先ほどお示しした3、4ページになるのですが、もともとのモニターの調査、モニターの対象となる世帯とかが、どういった状況かというのが確認できるかどうか、モニターの全体像の状況がどうかということについては、確認をしてみないと分からないので、ここではお答えできないのです。確認をしてみたいと思います。
○ 岩村座長
ただ、一般的にはインターネット調査だと、多かれ少なかれインターネットに馴染んでいる人が登録をしているという観点からすると、やはり無作為抽出でやるというのとは違って、どうしても最初から集団にバイアスが掛かっているというのは常に言われることなので、その点は気を付けて見なければいけないということだと思います。
私も含めて高齢者は、インターネットは何のこっちゃという話にある程度はなるので、そもそもそういう意味で登録をしてこないということも当然ある。
今日のこの後の論点との関係で言うと、いろいろな一般的なデータとともに、37ページの加入の希望であるとか、一番大きいものが、例えば38ページの申告をしているかどうか、39ページ以下で、週の所定労働時間が合算して20時間以上になる人という人はどういう属性かというところが、多分、後で議論する論点との関係では、ポイントとなるデータなのかなという気はしております。
○ 髙橋調査官
よろしいでしょうか。今、座長から御指摘いただいた資料の38ページについては、先ほど御説明していなかったので、補足で御説明させていただければと思います。
○ 岩村座長
お願いします。
○ 髙橋調査官
38ページを御覧ください。ここにつきましては、調査の中で、副業していることを本業の勤め先に知らせているかということを聞いております。それを集計したのが左上の(1)の所でございます。これを見ていただくと、知らせている、知らせていない、真ん中にありますのが、事実上知っているというようなことです。知らせていないのが39.6%になっています。右のほうは、本業の勤め先で副業が禁止されているか否かということですが、禁止されているというのが15.3%、されていないというのが65.2%、分からないというのが19.5%ということになっております。(1)と(2)に関して、クロス集計したのが左下ということになります。これを御覧いただきますと、色を付けているという所が、「副業していることを、本業の勤め先に知らせているか」ということについて、「知らせていない」とお答えになった上で、「副業を禁止されている」とお答えになった方でして、黄色を付けていますが、697名となっております。この697名について、本業の勤め先に副業をしていることを知られることについてどう思うかということで絞ってみますと、一番右の表になりますけれども、知られても問題ないというのが9.6%、できれば知られたくないというのが86.1%、どちらともいえないというのが4.3%というような状況になっているということです。
○ 岩村座長
ありがとうございます。就業規則などでは禁止されているけれども、やっている人は意外と多いし、しかしそれは会社には言ってもらっては困ると、そういう結果であるということになりますね。
○ 髙橋調査官
今回のアンケートからは。
○ 岩村座長
そういうことになりますね。これもまた制度設計を考えればいいのですが、なかなか微妙な話ですね。ほかはいかがでしょうか。今回こういう形で調査の結果が出てきて、事務局側としてはこの調査結果について、どういう評価をしているのか。具体的には、本業があって副業しているという人のイメージというのを、属性みたいに非常に大ざっぱに捉えると、大体典型的なイメージはどういうイメージなのかというようなことについて、何か事務局のほうで、現段階での見方なりがあればとは思うのですが、そこはいかがでしょうか。
○ 松本雇用保険課長
これは各委員から御指摘いただいていますように、調査そのものの特性による傾向、つまり偏っている可能性があるということに十分留意する必要があります。また、数値は条件を絞り込めば絞り込むほどnが小さくなっていくのです。
その上の分析の程度を重視してもいいのかというルールは当然に必要ですが、ここでお示しできた調査からは、生計を維持しているといった状態になっているであろうかといった点でありますとか、あえて複数就業をしなければならない事情にあるという方が、どの程度いるであろうかといった点については、参考とすべき一定の値が示されているのではないかと思います。
とはいえ、全体に占める割合が、仮に割り引いて考えて小さいとしても、そのほかに必要性のある方というのも、当然に十分想像した上で検討していかなければならないと思っているということで、このデータはデータとして、データに表れていない所も含めて、いろいろ御意見を頂きたいと思っているという、そういう位置付けでございます。
○ 渡邊委員
資料に関してなのですが、雇用保険の適用というのが、週の所定労働時間で行っているということからしますと、副業における週の 所定労働時間の分布というものもやはり重要な指標になるのではないかと思います。副業で週何時間働いている層が最も多いのかといったようなことがわかる資料が作成できるのであれば、是非お示しをしていただきたいです。
○ 岩村座長
そこは事務局、いかがですか。
○ 髙橋調査官
そういった、今御指摘いただいたような分布のようなものを作成することは可能かと思いますので、整理して次回お示ししたいと思います。
○ 岩村座長
今回のこの調査の中で取っているのですか、労働時間を。
○ 髙橋調査官
本業と副業それぞれにつきまして、雇用で働いている方については、週の所定労働時間をお伺いしていますので、そういったことは可能です。今回の資料ですと、分布という形ではありませんが、6ページを御覧ください。6ページの下のほうで、副業の平均の所定労働時間、それぞれに所定労働時間を聞いておりますので、それを平均化したものです。それを取っていますが、それぞれの副業についての所定労働時間について平均化したものです。副業1番目で平均ですが12時間ほど。副業5番目の方で3時間となっているということです。これを今の委員からの御指摘で分布ではどう見えるかということですので、それは試みたいと思っています。
○ 岩村座長
ありがとうございます。ちなみに平均所定労働時間は週で取っているのですか。週ですね。そうしないとすごいことになるから。そうだろうなと思いつつお訊きしました。ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。データの件はよろしいでしょうか。もちろんまた、何かお気付きの点があれば後ほど戻ってきていただければと思います。
それでは、資料1、2につきましては、この程度にさせていただきまして、次に、今後の議題、論点ということで、事務局のほうで資料3を用意していただいていますので、それについて事務局から説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○ 引田課長補佐
では、資料3について御説明いたします。
資料3を御覧ください。複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する論点について、これは事務局の案として御提示しているところです。大きく分けて、適用の必要性、適用の在り方、保険料の在り方、給付の在り方に関して、それぞれの論点の案をお示ししております。
適用の必要性として、複数の事業所の所定労働時間を通算することで適用基準を満たす者を雇用保険の保護の対象とするかどうかについて御議論いただければと考えております。
また、適用の在り方については、適用基準をどのように設定するのか、現在の雇用保険制度は強制適用ですので、本検討会の対象になるような方について強制適用とするのか、それとも任意適用とするのかについて御議論いただければと思っております。
また、資格取得等について手続を行う者は事業主とするのか、被保険者とするのかについても御議論いただければと思っております。複数の事業所の所定労働時間はどのように把握するのかについて御議論いただければと思っております。
また、保険料の在り方については、保険料率の設定及び保険料の徴収をどのように行うのかについて御議論いただければと考えております。
給付の在り方については、給付の対象となる保険事故をどのように設定するのか、給付は所定給付日数により支給するか一時金(給付金)のように一定日数分を支給するのか、賃金日額の算定をどのように行うのか、自己都合離職に対しても給付を行うのか、教育訓練給付や雇用継続給付等についても支給をするのかについても御議論いただければと考えております。
もちろん、御議論を進めていくに当たり、委員の皆様から論点として問題提起された事項なども御議論いただきたいと考えております。また、この論点に更に加え、必要と思われる論点も出していただければと考えております。事務局からは以上です。
○ 岩村座長
ありがとうございました。それでは、事務局より御説明いただきました資料3について、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。
ほかの方が考えていただいている間に私がお聞きしたいのですが、最初の適用の必要性の所で、これは複数の事業所の所定労働時間を通算すると適用基準を満たす、つまり、週20時間を超えるケースで、一番分かりやすいのはA事業所で10時間働いてB事業所で10時間働くという、その結果として、雇用保険の適用基準は満たすという、それを一番想定しているのだと思うのです。
全体の大きな動きとしては、フルタイムで働いている人についても、所定労働時間の通算をどうするかという大問題はあります。例えば、週40時間の事業所で働いて、それが認められるかどうかはともかくとして、その後、週に通算で5時間ぐらい他の事業所で副業していますといったときに、要するに、一方の事業所だけで当然、雇用保険の適用基準は満たしていると、そのときに、プラスアルファの5時間分については、これも適用の対象になると考えるのか、それとも、それはもう週40時間の所でパスしているので、それ以上更にプラスアルファで5時間というのは、もうないですという世界になるのか、そこのところは何かあるのでしょうか。もともと週40時間働いているので更に働けるのかという、その通算の問題は横に置いて、それもまた別の問題としてあるのです。
○ 松本雇用保険課長
それも含めて論点たり得るとは考えますが、基本は雇用保険制度の在り方として何を支えるべきかという観点で、これまでは2つ目3つ目の所は通算しないという取扱いをしてきたところですので、それを変えるべきか否かといった御議論を頂ければとは思います。
○ 岩村座長
ありがとうございます。更にそれに絡んでの話として、今の問題も典型ですが、週40時間というと、もう法定労働時間一杯になってしまい、通算の問題を横に置いたとして、仮に何らかの通算ルールができてという話になったときに、週5時間更にB企業で働くとなると45時間になってしまい、労働時間法制上はアウトになってしまう可能性が出てきます。そうすると多分、週5時間分に着目することになるとは思うのですが、その週5時間分のところは実はやってはいけない部分なので、それについても雇用保険の対象にはなるという話なのか。
これは、実はもう1つ更にコロラリーがあります。先ほどの調査でも出てきましたが、会社自身が就業規則で兼業を認めていないというとき、パートについてどうかという議論はあるのですが、例えば、フルタイムでも37時間とか大企業などであるので、そうするとまだ法定労働時間の余裕があって週37時間で働いて残り3時間B企業で働いている、しかし、会社の就業規則では兼業はやってはいけないとなっているので、兼業の許可は得ていない、でも3時間働いているといったときも、就業規則があるかどうかには関わりなく雇用保険の適用対象ということにするのかどうなのかという、その論点も実はあるとは思っています。今は事務局の考えを聞こうという話ではないのですが、ただ、そういう論点もあるということです。
○ 松本雇用保険課長
確定的なお答えは頭に浮かんでいますが、御議論いただくという観点から差し控えたいと思います。
○ 岩村座長
分かりました。では、中野委員どうぞ。
○ 中野委員
今のお話の逆側というか、マルチジョブホルダーの人たちに適用議論するとことになると、2つ3つお仕事をしていらっしゃる方々が、例えば、1つ仕事を失い労働時間が減った場合を保護するかどうかという議論だと思うのですが、そうすると、今フルタイムで働いている人が、労働契約が変更されてパートタイマーになったという場合、現在の雇用保険ですと、原則として、それは失業ではないという扱いだと思いますので、そこのバランスをどう考えるのかは、恐らく議論が必要だと思います。フルタイムの人たちの労働時間が減った場合は、この検討会の射程の範囲内には入ってはいないということなのでしょうか。
○ 松本雇用保険課長
あえて申し上げれば、複数就業者の適用についての御検討をお願いしているということからすると、厳密に言えば射程外ではあると。であるけれども、その複数就業の適用に関して議論していく中で、現行の原則としてのルールに抵触するけれども、それについて現行のルールも改める必要があるという、そういった条件といいますか、そういった留保を付けてまとめていただくことは十分にあり得ることかと思います。
○ 岩村座長
今の中野委員の議論は非常に大きな論点で、要するに、保険事故をどう考えるかという問題と結び付いてくるのです。今までの失業というのは、結局のところ、全く仕事がなくなるというか職を失うと考えていたのです。けれども、複数就業者を考えると、2つ仕事に就いているうちの1つがなくなるということが当然あるのですが、本来の今までの意味からすると、それは失業ではないのです。
そこまでもカバーの範囲内にすると、それは失業の概念そのものが変わるという話に及ぶかもしれません。いじらなくてもいいかもしれませんが、そこはまだ分かりません。実はそこまで話が広がってくると、今、パートへの転換とおっしゃいましたが、例えば、企業の業績が悪化して操業時間を一時的に短くする。景気回復するまでの間、取りあえず3か月間は、今まで週40時間でやっていたが、とにかく仕事がないので週30時間で操短をやるといったとき、それは今までトータルで2つの事業所で30時間、10時間で働いていた人の10時間分が失業したのとどこが違うのだという話につながっていく可能性もあるのです。なかなか、そうきれいに切れる話かなという気もしなくもないのです。今日、答えを出すわけではないのですが、ただ、そういう問題も有り得るかもしれないし、そこを射程に入れるかどうか自体が、もう1つの議論の論点だと思います。酒井委員どうぞ。
○ 酒井委員
今、岩村座長からあったことと、すごく関連するかと思うのですが、結局そもそも失業という保険事故をどのように捉えるのかということを考え出すと、実は少し難しいかもしれませんが、改めてデータが必要ではないかという気がします。
というのは、例えばマルチジョブホルダーが実際に全部の仕事を一気に失ってしまうというケースがどの程度あるのか、私のイメージとしては、そういうことではなく、1つは失業するのだけれども、実際にはまだ残りの仕事は持っているというケースが多いのではないかと思いますが、それを失業と捉えない、だから給付はしないと捉えると、実は適用してもほとんど給付は行われないということも生じ得るかなと思うのです。
これは難しいので無理だったら仕方ないのですが、そういう意味で、特にマルチジョブホルダーの失業のダイナミックな動きが、本来であれば把握できないと判断は難しいと思います。
似たようなことだと思いますが、自己都合離職に対しても給付を行うかということも論点に入るということだったのですが、これに関しても、例えばマルチジョブホルダーが2つの仕事を同時に失うことがあったとしても、一方は会社都合で仕事を失ったと、一方が会社都合で仕事を失ってしまったので仕方なく、例えばほかの地域に移らなくてはいけないから、もう1つも辞めたというと、こちらのほうは自己都合だけれども、それは本当に自己都合といえるのかという議論も出てくるかと思います。この点に関して、自己都合のほうの給付を行わないということも、基準としては難しいことになってくるという気はしております。以上、コメントです。
○ 岩村座長
ありがとうございます。ただ、現行法上も自己都合に当たるかどうかは、かなり細かいいろいろな基準があり、一見すると自己都合なんだけれども、こういう場合については自己都合ではなく、むしろ、非自発的な離職とみて失業給付をするという、いろいろな類型を定めていたりするので、そこはまたそういう議論としては当然あり得ると思います。他にいかがでしょうか。渡邊委員どうぞ。
○ 渡邊委員
給付の在り方の所で、先ほど保険事故、失業が話題に出ていたのですが、それ以外にも、受給要件をどうするのかという点も大きな問題になると思います。先ほど自己都合離職に関してもお話がありましたが、その自己都合離職の給付制限の在り方や、更に被保険者期間で要件を一般被保険者と同じようにしておくと、結局は給付に結び付かないのではないかということが懸念され、その受給要件自体も一般被保険者と分けて、被保険者のカテゴリー自体を別に作るとか、そういった発想まで含めて検討するということになるのでしょうか。
○ 岩村座長
いや、でも最初の半年は週10時間、その後、仕事を見つけたのでもう10時間で20時間となったら、その仕事を見つけた20時間のところから被保険者資格が発生するというようにしかならないのではないでしょうかね、恐らく。何らかの別の規定を置けばともかく、今の制度を前提とする限りは多分そうなるのだと思います。そうすると、20時間になった時点からスタートして、被保険者になるという、だから被保険者資格もそこからスタート、逆に言うと、週10時間のところは、普通では被保険者にはならないので、当然、保険料も取っていないという、そういうことではあると思います。
○ 渡邊委員
そうすると、2つのうち片方の職を失った場合に、また被保険者資格自体を喪失してという。
○ 岩村座長
多分そこで1回、資格は無くなってしまう。
○ 渡邊委員
全部、無くなって。
○ 岩村座長
資格は全部無くなってということに多分なるのかですね。
○ 渡邊委員
そうすると、そういった受給要件をそもそも考えていくということですね。
○ 岩村座長
でも、そこは変えないという手もあるわけです。
○ 渡邊委員
ただ、変えないということになると、ほとんど給付に結び付かないという結論になってきて、なぜ適用対象にするのかという、そもそも論になりそうな気がしております。
○ 岩村座長
ありがとうございます。雇用継続給付のほうは、例えば育児休業給付を考えると、マルチジョブホルダーをAで10時間、Bを10時間でやっていて、子供の育児をするとなったときに、A、Bを休業する必要はないので、Aだけ休業する。そうすれば一応育児はできると。そうすると育児休業給付は払うのか払わないのかという、そういう問題の捉え方でいいのでしょうか。私の理解が合っているのかがよく分からないので。
○ 松本雇用保険課長
正に、それでいいのかどうかというのが論点だと思います。
○ 岩村座長
そういう論点でいいのですね。
○ 松本雇用保険課長
正に、雇用保険制度だけではなく、育児・介護休業法との関係も当然、発生してくるということかと思います。
○ 岩村座長
それはこちらで考えなくていいのですよね。
○ 松本雇用保険課長
はい、本検討会では射程外です。
○ 渡邊委員
ただ、複数就業だと、片方が育児休業を取得する要件を満たしているけれども、もう片方は育児休業を取れない状況はあるのではないでしょうか。
○ 岩村座長
それはある。
○ 渡邊委員
雇用形態の場合。
○ 岩村座長
雇用形態の場合ね。
○ 渡邊委員
そういった場合に、育児休業を取得できるほうは取得したけれども、片方で働いていると休業していないという評価になり、育児休業給付は出ないという結論になってしまうのでは。
○ 岩村座長
なるのかですね。
○ 渡邊委員
現行制度では、なると思います。
○ 岩村座長
それは、先ほどの失業の問題と同じようなことではないでしょうか。
○ 渡邊委員
はい、同じです。
○ 岩村座長
そんな話ですね。今ひとつ、まだよく分かっていないのが、教育訓練給付は、これもAを辞めなくても別に教育訓練給付は受けられるのですよね。
○ 松本雇用保険課長
教育訓練給付の場合は、在職者か又は離職して1年以内。
○ 岩村座長
ですね。
○ 松本雇用保険課長
ですので、被保険者期間が一定年数あるというのが要件です。
○ 岩村座長
要件ですよね。
○ 松本雇用保険課長
これはどちらかというと、シンプルではあります。
○ 岩村座長
そうですね。
○ 松本雇用保険課長
在職者でも離職者でも1年以内でもどちらでも出ます。
○ 岩村座長
でも、そうか、そのときの離職というのがどのように考えるのかですね。
○ 松本雇用保険課長
つまり、片方で仕事が残っていても、在職者も当然出るので。
○ 岩村座長
そのとおりですね。
○ 松本雇用保険課長
そういう意味で問題は余りない。
○ 岩村座長
はい。何かほかに、もちろん今日出していただいた論点をもう少しそれにブレイクダウンしたものが入りますというのでもいいですし、そもそも落ちているのではないかというのがあれば、是非おっしゃっていただくと有り難いです。今、適用の在り方の所の2番目の丸印で、強制適用か任意適用かという所です。雇用保険は一応、任意適用は形としてはあるのですか。
○ 松本雇用保険課長
農林水産の事業です。
○ 岩村座長
そうですね。それは事業主側からの任意適用、それとも労働者個人からの任意適用でしたでしょうか。制度を詳しく覚えていないのですが。
○ 村田課長補佐
事業主です。
○ 岩村座長
事業主側からのものですか。要は事業主が手続を取ればという、そういう意味での任意適用ですね。
○ 村田課長補佐
そうですね。
○ 岩村座長
だから、社会保険にあるような被保険者側の単独で加入するとか、そういうものではなく、あくまでも事業単位でという考え方ですね。
○ 村田課長補佐
はい。
○ 岩村座長
そうすると、ここで考えるのは、事業所自体は適用事業所だけれども、しかし、当該労働者は法律上では強制被保険者にはなっていない、だけど任意適用でやるという整理なのか。そうですね、多分そういう事例しかなくて、そのとき労働者個人がハローワークに行って手続を取ったら任意適用になるのか、それとも事業主がやるのかということなのかですね。また、それは議論すればと思います。
○ 松本雇用保険課長
つまり、これ単独では考えることができなくて、そもそも他の事業主の労働時間を誰が把握できるかということも当然に関わってくるので、手続自体もその把握の方法の適用の在り方も、いわばセットです。
○ 岩村座長
それらともセットですよね。ありがとうございます。
○ 渡邊委員
もう1つ、適用の所ですが、保険関係の成立に関して見たときに、通算して適用基準を満たすけれども、その場合に1つの事業所との適用関係でいくのか、保険関係としてはAとB、複数の所で成立させると考えるのか。その点はどうなのでしょうか。
○ 岩村座長
そこは何か事務局からありますか。私は事業所が別なので、単純に労働時間を通算して20になればAの保険関係がその限度で成立し、Bでも保険関係がその限度でも成立し、保険料をどう取るかというのは、その後の問題として額をどうするか、届出の手続をどうするかなどいろいろあるけど、そこはすごく単純に考えていて、A、B合わせてAに寄せてしまうということはできないと思っていました。
○ 松本雇用保険課長
事業主が別であると、そういうことも事実上ほとんど無理なので。
○ 岩村座長
無理ですよね。
○ 松本雇用保険課長
労働保険料は、基本的に総賃金額に料率を掛けるというやり方をしているので、これは事業所とか事業主単位で処理しないと徴収は非常に困難です。
○ 渡邊委員 そうすると、先ほどの片方失業とかの場合を考えたとき、AとB合わせて20時間超えたけれども、Bで解雇された場合に、Aも当然にそこで保険関係が消えると。そういうふうな扱いで整理していくという発想ですか。
○ 松本雇用保険課長
そういうことになってしまうのですが、Aのほうは、それを通常は知り得ないので、どうしましょうかということがございます。
○ 岩村座長
そこはポリシーとしては2つあり得て、失業が終わればまた使うかもしれないから、Aのところだけ残しておくというのはあるのかもしれない。難しいだろうとは思うけど、技術的にはあるかもしれない。健康保険の任意適用継続被保険者みたいな形にしておいてというのは、あるのかもしれないけれども、現実にはなかなか整理は難しいだろうなという気がします。
○ 渡邊委員
その発想でいくと、結局、30時間と5時間といったような場合に、5時間の場合も保険関係が成立していくと。もっと最少で言えば1時間でもあればやっていくという、そういうふうな考え方で。
○ 岩村座長
だから、さっき言っていたように、40+5とか37+5といったときに、それも両方入るのかという議論になってくる。
○ 渡邊委員
1か所の事業所で働く労働者については20時間というラインが引けるけれども、複数事業所で働いている労働者については、事業主側から見れば、週の所定労働時間が、一概に何時間超えていれば適用というのが言えなくなってくる状態となり得ると。
○ 岩村座長
そういうことになるのかどうか。
○ 渡邊委員
なるかというところも含めて検討だということですね。
○ 岩村座長
検討しないといけない。そういうことにはなるのだろうと思います。
○ 酒井委員
労働者の側からすると、例えば37時間働いていて、一方が、あと3時間さえ働けば適用になるといったら、無理やりでも3時間の仕事に何らか就いてしまおうというインセンティブは働く可能性がある。
○ 岩村座長
働く可能性はあります。30時間というか20時間なんですけどね。今、10時間働いていて、しかし、8の仕事しかないから18時間しかいかないけど、あと2時間就ければとなると、もう2時間働きましょうというインセンティブにはなるというのは、おっしゃるとおりだと思います。
○ 渡邊委員
保険関係が別々に成立しているのであれば、給付の面も別々の保険関係に基づいて、1つの職を失ったのであれば、当然、給付をくださいというようなことになりやすいと思いますが。
○ 岩村座長
方向に行きやすい。そっち側に行きやすいことは行きやすい。
○ 渡邊委員
そうです。
○ 岩村座長
ただ、給付の額をどうやって計算するのかという、また別の問題がそこでは出てくる。つまり、A企業の報酬を基準にしてAだけで給付を計算し、B企業の分はBの報酬をベースにB企業だけで計算する。したがって、Aを失業すればA企業で計算している給付の分しか出ませんと、それが一番やりやすいだろうとは思いますけど。
○ 渡邊委員
事前の保険料拠出と給付との、そういった対価性的な考え方から言うと。
○ 岩村座長
多分、そのほうが素直にはいくだろうという気がします。
○ 渡邊委員
素直ですよね。そうすると、最初の保険事故というのをどう捉えるかという整理に。
○ 岩村座長
そこの問題に、最終的にはまた結び付いていくということです。堂々巡りで同じ所をクルクル回っている気がするのですが。
○ 渡邊委員
そうですね。
○ 酒井委員
保険料の在り方の所で、保険料率の設定も論点の1つということだったのですが、具体的に保険料率の設定というのは、一般被保険者よりも高い保険料率を設定することを想定しているのか、それとも低い保険料率を設定することを想定しているのかというのは、事務局のほうとしてございますか。というか、その根拠を聞かせていただきたいのですけれども。
○ 松本雇用保険課長
事務局には意見はありません。現時点ではありません。
○ 酒井委員
分かりました。
○ 岩村座長
今のところは、雇用保険については季節的に失業率の高い業種について保険料率を高くしています。
○ 松本雇用保険課長
清酒製造業。
○ 岩村座長
そうですね。建設とか、いま話の出た清酒の製造業とか、そういったものについてはデフォルトの保険料率を高くしているのですが、それ以外は基本的に一律なので、マルチジョブホルダーのほうが、先ほどおっしゃっていたことと関わりますが、要するに失業の頻度が実は高いのだというデータがあるとすると、実は高くしないといけないという論理が出てくるかもしれないですが、そこはちょっと分からないですね。建設とか季節労働的なものというのは、当然、一定の期間が来れば仕事がなくなる。日本酒の杜氏さんなどはみんなそうですから、ちょっとそれとは違うのかなとは思います。
一応、雇用保険は被保険者の総報酬をベースに掛けるという建前でやっているから、A企業でもらう総報酬に掛けて、B企業でもらう総報酬に掛けてという形の保険料率の設定で問題ないのかな。要するに、それだけ賃金が薄くなりますよね。そうすると、あれはスケールがありましたか。労働者側の保険料の取り方で、何円のところでどうこうというのは何もなかったでしたか。
○ 松本雇用保険課長
ございません。単純に料率を掛けて。
○ 岩村座長
単純に掛けるだけなのですね。そうすると余り問題ないですか。
○ 松本雇用保険課長
念のため申し上げれば、基本は賃金報酬を全部一括掛けるということです。要は20時間以上であればなのですが、日雇被保険者などはシステムが違う。
○ 岩村座長
それは違いますね。
○ 松本雇用保険課長
システムが違うので、そこは違う取り方をしている。
○ 中野委員
事業主が支払う保険料は、事業主が払っている賃金の総額に一定率を掛けるという形ですか。
○ 松本雇用保険課長
一応、総報酬に労働者分も含めて事業主が納め、あとは労働者側から差っ引くという構造です。
○ 中野委員
そうすると、もしマルチジョブホルダーの人について保険料率の設定を別にするとなると、その事業の中でマルチジョブホルダーの人が何人いるのかを、企業側が。
○ 松本雇用保険課長
分けて、総報酬からそこを控除して、それについて別の率を掛けるということになります。
○ 中野委員
ということになりますね。ややこしくはなりますね。
○ 岩村座長
ややこしくはなると。しかし、労働者側からの取り分の設定の仕方に何か表はなかったでしたか。
○ 田中課長補佐
恐らく、おっしゃっているのは厚生年金。
○ 岩村座長
厚生年金のほうでしたか。
○ 田中課長補佐
いわゆる標準報酬のことをおっしゃっている。
○ 岩村座長
もちろん、標準報酬はそうなのですが、そうか、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。65歳まではどうするのですか。
○ 松本雇用保険課長
高年齢者に適用拡大して、今、移行期間中です。給付はしているけれども、まだ保険料徴収を始めていないという状況ですので、65歳以上は65歳以上として別の論点として、正にここではないステージで別途検討しなければいけない気配です。
○ 岩村座長
そうですか。では、ここでは考えなくていい。
○ 松本雇用保険課長
はい。
○ 岩村座長
60歳から65歳は、そこは今では特別扱いがなくなったのでしたか。
○ 松本雇用保険課長
65歳までは、あるとすると給付率が違う。賃金日額に対する掛け率が若干違います。給付率が違うという話と、あとは高年齢雇用継続給付との関係は発生します。
○ 岩村座長
その観点が出てきますね。そこはあり得るわけですね。高年齢雇用継続給付は整理が付くのですか。もともと、賃金が下がるというのを捉えているので。
○ 松本雇用保険課長
そこの考え方は、一番後のこの給付をどうしますかというところも含めての論点だと思いますけれども。
○ 岩村座長
さっき、基本手当以外の給付の例としては、分かりやすい育児を先に上げたのです。というのも高齢者は難しいからです。
○ 松本雇用保険課長
こういった類型の方々に対して、高年齢雇用継続給付を、そもそも給付することにするかどうかというのも当然の論点たり得ます。対象であるときに、どうやってそれを算定するのかというのは、これまた当然に、それも含めて御議論という形になります。
○ 岩村座長
今日もらったデータでは年齢別のデータがないので何とも分からないのですが、定年後だと、マルチジョブって定年前よりもあるような気がしなくもないですね。
○ 松本雇用保険課長
男性は、高年齢で本業が役員である場合、この複数就業している率というのはそれなりに高いのです。ただ、その場合、本当に雇用なのかという。
○ 岩村座長
その問題は別にある。
○ 酒井委員
給付の所で所定給付日数により支給するか、一時金のように一定日数分を支給するかというのは、どういうことか分からないのです。要は、あらかじめ何か月ぐらい失業するとみなして支給するというような想定なのですか。
○ 松本雇用保険課長
期間雇用者の場合は一律に40日分を出す。高年齢者の場合は30日分又は50日分と。
○ 酒井委員
もう決めてしまうと。
○ 松本雇用保険課長
人によって日数を増減させない。かつ、一時金として一気に支払うというスタイルをとっています。
○ 酒井委員
なるほど、分かりました。
○ 岩村座長
普通は、要するに被保険者の範疇に応じて、失業者の範疇に応じて最低が30日分ですか、今、45日分ですか。
○ 松本雇用保険課長
一般ですか。
○ 岩村座長
一般の人。
○ 松本雇用保険課長
一般だと90日分。
○ 岩村座長
90日分ですか。90日分から最長ほぼ1年までと。
○ 松本雇用保険課長
330日分。
○ 岩村座長
そういうふうになっているわけですが、例えば90日分だったら90日分に相当するものを毎月お支払いするのでなく、一時金で渡してしまうというのもあるかもしれないということですね。なぜかというと、例えばさっき議論していた18と2というのも仮に考えると、2の所で失業しても額自体が非常に薄くなってしまうので、事務コストとかいったものを考えると、それは一時金で払ってしまったほうがいいかもしれないと、そういう議論があるかもしれないということですね。
○ 酒井委員
ということは、一時金を何十日分とするかということも検討しないといけない。
○ 岩村座長
そこも検討の余地というのはあるかもしれない。ただ、なかなか90日分と一般のが決まっているところで、マルチは45日分でいいよねという理屈をどう立てるかというのは、かなり難しいような気がします。
○ 松本雇用保険課長
今、そこの一時金は、高齢は30日分か50日分ですし、期間雇用者は40日分ですから。
○ 岩村座長
だから、それを並べるというのもあるけど、なぜマルチはそうなのかという説明の義務というのが必要になってくるかもしれない。ほかにはいかがでしょうか。
これに更にブレイクダウンでなくて、新たな論点として付け加えたほうがいいというものがあればですけれども。もし、今日思い付かなくても、後で思い付かれたときは事務局のほうに御連絡を頂ければと思います。いずれにしても、今日論点を頂いた制度設計に関する様々な問題と、実は実際のオペレーションに関する問題、とりわけ、適用の在り方の一番後の丸印ですが、複数の事業所の所定労働時間をどうやって把握するのかとか、被保険者資格の確認をどうやってやるのかとか、そのオペレーションのところが実はかなりの難問で、具体的な実際の実務は事務局のほうで御検討いただくことになると思いますが、それを組み立てる際の原理原則は考えなければいけないと思いますので、そこも含めてということかと思っています。
あと事務局のほうで何か、今日せっかくなので、この点を実は議論してほしいとか、提示いただいた論点の関係で何かあればですが、いかがですか。
○ 松本雇用保険課長
一応、論点として、雇用保険の制度設計に関して御議論いただきたいものは全て提示したつもりです。それぞれにサブテーマがぶら下がることはあるとしても、網羅しているつもりですが、私どもが気付いていないものがあれば、是非御指摘を頂戴したいと思っています。それから、1点目の論点に関して、先ほど私、今日お示しした資料からは、こういうことではないかというのを申し上げました。つまり、こういった定量的なデータだけでなく、バイアス等の可能性も考慮いたしまして、次回は労働組合関係から、マルチジョブホルダーについてのプレゼンをお願いする予定にしていますので、お含みおきいただけると有り難いと思います。
○ 岩村座長
分かりました。そうしましたら、今日お示しいただいた資料3の論点(案)については、大体、御意見は頂けたと思いますし、今、課長からありましたように、論点としてこういうのもあるのではないかとか、何かお気付きであれば事務局のほうにまたお伝えいただければと思います。大体、議論が尽きたかなと思いますので、今日のところはここまでということでよろしいでしょうか。今、事務局から次回の予定についてはコメントを頂きましたので、そこはそのように準備をしていただきたいと思います。日程のほうはいかがですか。
○ 引田課長補佐
日程のほうは、また決まり次第、御連絡をさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○ 岩村座長
それでは、そういうことでよろしくお願いいたします。これをもちまして、「第2回複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会」を終わらせていただきたいと思います。本日は、お忙しい中、また遠方からお集まりいただきまして誠にありがとうございました。
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