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2017年11月2日 第109回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成29年11月2日(木)15:00~


○場所

厚生労働省省議室(中央合同庁舎第5号館9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

委員(五十音順、敬称略)

青木 健、明石 祐二、漆原 肇、勝野 圭司、栗林 正巳、佐保 昌一、城内 博、高田 礼子、土橋 律、
中澤 善美、縄野 徳弘、増田 将史、最川 隆由、矢内 美雪、山口 直人

事務局:

田中 誠二 (安全衛生部長)
久知良 俊二 (計画課長)
小沼 宏治 (調査官)
井上 仁 (安全課長)
縄田 英樹 (建設安全対策室長)
高橋 洋 (主任中央産業安全専門官)
神ノ田 昌博 (労働衛生課長)
毛利 正 (産業保健支援室長)
山本 要 (電離放射線労働者健康対策室長)
丹羽 啓達 (主任中央労働衛生専門官)
奥村 伸人 (化学物質対策課長)
穴井 達也 (化学物質評価室長)
木口 昌子 (環境改善室長)

○議題

(1)第13次労働災害防止計画の本文案について
(2)その他(報告事項など)

○議事

○土橋分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第 109 回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日の出欠状況ですが、公益代表委員は熊崎委員、三柴委員、水島委員、労働者代表委員は袈裟丸委員、水田委員、使用者代表委員は中村委員が欠席されております。青木委員は所用のため途中退席されるとのことです。

 また本日、 11 月2日付けで、資料3のとおり、労働者代表委員の村上委員が退任され、日本労働組合総連合会総合労働局雇用対策局長の漆原委員が就任されております。漆原委員から一言御挨拶をお願いいたします。

○漆原委員 連合の漆原でございます。 10 月の大会で雇用対策局長を拝命いたしまして、この分科会を担当させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

○土橋分科会長 よろしくお願いいたします。傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。

 議題に入ります。議題1「第 13 次労働災害防止計画の本文案について」、事務局から説明をお願いします。

○小沼調査官 計画課調査官でございます。御説明させていただきます。本日の第 13 次労働災害防止計画ですが、資料1と参考資料の「第 12 次労働災害防止計画の評価」を使いまして御説明させていただきます。9月のこの分科会で論点等について御議論いただきましたので、それに肉付けする形で作っており

ます。よろしくお願いします。

 まず資料1の「はじめに」という1ページから御説明させていただきます。冒頭にはこれまでの労働災害防止計画の経緯や歴史のようなものが簡単に書いてあります。その後、今回の第 13 次労働災害防止計画として、どのようなことに取り組んでいくのかについて記載しております。こちらについて、要点だけ申しますと、3段落目の「しかしながら」というところをご覧ください。まず死亡災害につきまして、発生件数こそ減少しておりますが、発生率については、欧州の先進諸国と比べて必ずしも低くはないという現状が書いてあります。その2行ほど下は死傷災害ということでけがも含めた部分です。こちらに至りましては、かつてのような減少は望めていないという状況が書いてあります。

 次の「また」の段落は、働き方改革実行計画を踏まえ、長時間労働者の健康確保対策やメンタルヘルス対策に取り組むことが必要であり、傷病を抱える労働者の方の健康確保対策を推進していくことも必要であるということが書いてあります。その後、「このほか」の部分ですが、化学物質による重篤な健康障害の防止や石綿対策、段落が変わり、震災からの復旧・復興、オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした安全や健康への意識の底上げということも書かれております。「はじめに」の部分につきましてはこのような構成です。

 1ページの下、1「計画のねらい」、 ( ) 計画が目指す社会に移ります。2ページを御覧ください。理念のようなことを書く部分ですが、2ページの最初に出てまいりますように、一人の被災者も出さないという基本理念の下で取り組んでいきたいということが書いてあります。次の「また」の段落ですが、多様で柔軟な働き方を選択する社会への移行が進んでいく中で、正規や非正規といった働き方の違い、それから兼業や副業、個人請負、いろいろな働き方があるわけですが、このような働き方におきましても、安全や健康が確保されなければならないということが書いてあります。

( ) の計画期間ですが、 2018 年度から 2022 年度までの5か年と記載の通り、従前同様の5か年計画です。

 続いて、 ( ) 計画の目標です。こちらは参考資料の2ページを御覧ください。まず、マル1死亡災害です。こちらにつきましては、 2022 年までの5か年間で 15 %以上減少させるという目標を掲げております。 12 次防につきましては、横長の参考資料にありますように、平成 28 年の段階で平成 24 年と比べて 15.1 %減少ですので、大体この実態に合ったような目標を掲げるということでございます。

 マル2死傷災害につきましては、同じように5か年間で5%以上減少させるという目標を掲げております。こちらも参考資料を見ていただきますと、平成 28 年の段階で 1.4 %減少ということで、目標である 15 %についてはそこまで達成していないということで、少し頑張っていただくべく現実的な数字として5%という形で設定させていただいております。

 マル3業種別の目標です。参考資料では3ページ目になります。3ページ目の下のほうに建設業や製造業があります。ここに今回は林業を追加させていただきますが、これら3業種において5か年間で 15 %以上減少という目標です。陸上貨物運送事業や小売業、社会福祉施設、飲食店といった第三次産業につきましては、そもそも働いている方が増えているということもありますので、死傷者数を加味した、千人率という形で5%以上減少というように設定してはどうかとしております。

 マル4は健康に係る目標になってまいります。まず最初はメンタルヘルスの関係です。仕事上の不安や悩み、ストレスの相談先、相談先というのは事業場外の専門機関、 EAP と呼ばれるものを含めてという考え方ですが、そういう相談先が職場にある労働者の割合を 90 %以上にしたいということです。こちらについては、参考資料にはちょっと出ておりませんが、ここに書いてあるとおり平成 28 年の調査で 71.2 %と出ております。メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は 80 %以上、これは第 12 次の計画でも同じように書いてあります。こちらは参考資料の4ページの一番上に同じ目標がございまして、 80 %に対して 12 次防では平成 28 年段階で 56.6 %となっております。これをしっかり 80 %にしてはどうかというものです。

 続きまして資料1の3ページ目、ストレスチェックの結果の集団分析です。こちらについてストレスチェックの集団分析を実施していただき、それを職場の改善などに活用した事業場の割合が 60 %です。現在の調査では 37.1 %ほどが活用いただいているということです。

 続いて化学品の関係です。こちらは参考資料の4ページ目の真ん中辺りに同じ目標が入っております。ラベル表示や安全データシートの交付を行っている化学物質の譲渡・提供者の割合が 80 %以上ということです。 12 次防の中では目標が達成できていないという状況になっております。また、第三次産業及び陸上貨物運送事業の腰痛についても目標を設定させていただいております。こちらも先ほどの死傷災害と同様、死傷年千人率で5%以上減少を考えております。

 熱中症につきましては、前回の 12 次防では死傷災害ということでしたが、今回、重篤な災害を減らすということですので、死亡災害を5%以上減少させるという目標を設定してはどうかと記載しています。

 受動喫煙につきましては、現在、防止に係る諸政策に関する動きがありますので、それらを踏まえながら今後御検討いただきたいと考えております。

 次に ( ) 計画の評価と見直しです。こちらは 12 次防同様、毎年、進捗状況をこの安全衛生分科会に御報告させていただくということです。もちろん、必要に応じ、計画の見直しについても先生方の御意見を頂戴することになっております。

 2の「安全衛生を取り巻く現状と施策の方向性」です。 ( ) 死亡災害の発生状況と対策の方向性を御覧ください。こちらは前回、9月の分科会で御説明した内容を文章に起こしたという形になっております。かいつまんで申しますと、まず製造業についての死亡災害の状況ですが、全業種平均の減少率には届いていないということです。そういう中で重点化が必要ではないかと記載しています。それから、建設業につきましては、減少率は全業種平均を上回っているのですが、件数は依然として非常に多く、全体の3分の1を占めております。更に、 12 次防の中では、重点業種としてはいなかった林業ですが、やはり強度率の高さという観点から、今回、重点業種に追加してはどうかということが3ページの下に書いてあります。

 4ページ目です。今のことが書かれた表1、それから下の表2の真ん中にはさまれた文章の部分ですが、この辺からは業種別の事故の型別の状況を見て、それぞれ重点化をして対策に取り組む必要があるということです。例えば、製造業であれば、はさまれ・巻き込まれ災害というものが非常に大きな割合を占めておりますが、そういったものについて重点的に取り組む必要があるのではないかというものです。

 一番下の部分には、建設業では墜落・転落災害において死亡者数が多く、林業につきましては、伐木作業において木が倒れてきたときの激突され災害というものがありますので、そういった部分の対策を強化していくことが必要ではないかということが書いてあります。

 5ページ目の ( ) 死傷災害の発生状況と対策の方向性です。まず、第 11 次の労働災害防止計画以降における死傷災害の減少は低調な状況にあります。その中で、製造業、建設業においては、件数の絶対数は依然として多いのですが、減少率については全業種平均を大幅に上回っている状況です。その一方で、第三次産業の各業種については、労働者数の増加を考慮したとしても増加が著しいという状況にあります。

 事故の型という部分で見ていきますと、7ページの表6ですが、転倒や動作の反動・無理な動作という、比較的年齢層が高い部分で発生しやすいものがこの 20 年間ぐらいの間で着実に増えている状況です。こういった部分の対策が必要ではないかということが書いてあります。

 5ページの下の方ですが、その他、小売業や社会福祉施設においては転倒や動作の反動・無理な動作というものが多く、被災者の年齢も過半数は 50 歳以上である。一方、同じ第三次産業でも、飲食店につきましては、調理中の切れ・こすれや高温・低温の物との接触が多く、 30 歳未満の方が3分の1を占め 50 歳以上の割合と拮抗している。それぞれのこのような特徴を踏まえながら対策をしていく必要があるということが書いてあります。6ページはそれらの状況が書かれたものですので割愛します。

 7ページ目を御覧ください。 ( ) 労働者の健康確保をめぐる動向と対策の方向性です。最初の部分には、仕事に関する強い不安や悩み、ストレスを感じる労働者の方は依然として半数を超えているという前提がございます。そうした中で、過労死で労災認定される方は毎年 800 人前後で推移しており、そのうち 200 人前後の方が死亡されたり自殺をしている状況です。また、先般出た過労死白書にもありますように、例えば脳・心臓疾患につきましては 50 歳代や 40 歳代のような比較的年齢層が少し高いところで多くなっており、一方では、精神障害は 30 歳代とか 40 歳代、あるいは 29 歳以下という比較的若いところで多いという特徴があるということが書かれております。

 8ページ目です。こういう中で過労死等防止対策推進法が 2014 年に成立し、調査研究や啓発、相談体制の整備、民間団体への支援を行うということになっております。また、 2015 12 月からはストレスチェック制度が創設され、労働者一人ひとりのストレスを把握していくということと、集団ごとに分析して職場ごとの環境にも活用するということになっております。それから、7月以前の分科会でも御審議いただきましたとおり、労働者の方が産業医による健康相談などを安心して受けられるように、こういった部分について対策が必要と書かれております。

 9ページ目の ( ) 傷病を抱える労働者等の動向と対策の方向性です。傷病を抱える労働者の方は労働人口の3人に1人と多数を占めております。今後、労働力の高齢化の進行という中で、事業場においてこういった方々が増えてくるということも考えられ、支援が必要になるのではないかということが書いてあります。働き方改革実行計画の中でも、会社の意識改革を進め、受け入れ体制の整備などを進めるということが明記されておりますので、こういった対策を進めていくことが書いてあります。

( ) 化学物質等による健康障害の現状と対策の方向性です。化学物質は世の中に大体7万種類ございまして、更に毎年 1,000 物質程度新しいものが出てくるという状況です。このうち、具体的に何か対策が義務付けられているものは 663 物質ということになります。それ以外の部分につきましては、対策の基本となります危険性や有害性の情報の通知が十分に行われていないという部分もございます。欧米諸国におきましては、化学物質の製造又は輸入を行う事業者のほうで化学物質について分類を行い、ラベル表示や SDS の交付を行うという仕組みが整備されておりますので、こういった仕組みについて検討していかなければいけないということが書いてあります。

 また、胆管がんや膀胱がんといった化学物質による重篤な健康障害が起きておりますが、こういうものについて、職業性疾病を疑わせる段階においては国のほうで把握できないという実態があります。こういったことについて何か対応が必要ではないかということが書いてあります。

 一番下のほうで、石綿につきましては 10 年後、 2028 年ごろに国内での石綿使用建築物の解体がピークを迎えますので、引き続き対策をしていく必要があるのではないかということになります。

 以上のような課題の中で、 10 ページ目から計画の重点事項や具体的な対策ということになってまいります。まず、3「計画の重点事項」です。これは前回、9月の分科会で御審議いただきました項目と一緒です。簡単に申しますと、 ( ) が死亡災害の撲滅、 ( ) が過労死などの防止、 ( ) が就業構造の変化や働き方の多様化への対応、 ( ) が両立支援と呼ばれるもの、 ( ) は化学物質、 ( ) が企業や業界単位での取組、 ( ) が安全衛生の管理組織や人材育成、 ( ) が国民全体の意識の高揚という部分です。

 4として、それぞれの重点対策を具体的に御説明させていただきます。まず、 ( ) 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進。ア . 業種別・災害種別の重点対策の実施。 ( ) 建設業における墜落・転落災害などの防止です。まず、最初の項目については墜落・転落災害が非常に多くなっておりますので、こちらの防止対策の充実強化につきまして検討していくという記載です。それから、フルハーネス型の安全帯につきまして、その使用を徹底していくことが書いてあります。2番目、死亡災害における解体工事の占める割合は徐々に増加しております。老朽化したインフラ等の解体が今後増えてきますので、解体工事における安全対策について検討していくというものです。3番目はオリンピック・パラリンピック競技大会の施設工事の関係です。関係の行政機関、発注機関などと連携し、長時間労働の縮減も含めた労働災害防止対策に取り組んでいきたいということが書いてあります。4番目、一番下を御覧ください。こちらは自然災害への復旧・復興工事について引き続き対策をしていくことが書いてあります。 11 ページ、一番上のポツは、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画という閣議決定がありますので、これに基づき、請負契約における適切な安全衛生経費の確保に係る関係者の理解を促進していく、施工段階で安全衛生に配慮した設計をしていただく、それから中小規模の建設業者に安全衛生管理能力の向上をしていただくことを書いてあります。

( ) は製造業における施設、設備、機械等に起因する災害等の防止です。1番目、はさまれや巻き込まれなどの危険性の高い機械などにつきまして、製造時のリスクアセスメントを製造メーカーにしっかりやっていただく。それから、どうしても残る残留のリスクがありますので、それらの情報を、使用するほうの事業者に確実に提供していただく。そういった方策を検討していくことが書いてあります。2番目、機械のリスク情報に対する適切な措置が講じられている場合や、信頼性の高い自動制御装置によって機械等を監視・制御する場合においては、例えば柵の設置や危害防止措置、有資格者の配置、こういった部分の適用についての特例を検討していってはどうかということが書いてございます。3番目、こちらはもともと鉄鋼業で事故が多かったということで、経済産業省や中央労働災害防止協会と連携をいたしまして、製造業安全対策官民協議会というものを開催しております。そういった中でいろいろと御提言をいただいておりますので、そういったものを周知・普及していくということを書いております。4番目、生産設備の高経年化、特にプラント等ですが、そういった部分につきまして経年劣化によるリスクを低減していくという観点から、点検や整備の基準を検討していくといったことが書いてあります。

 5番目、先ほどの経年劣化と関係してきますが、化学プラントなどについて、外国では損害保険会社で保険料の減免が行われることがあるようです。我が国におきましても、例えば機能安全の認証制度について検討して、こういったことができるのではないかというものです。

 6番目は、災害が多い食料品製造業です。製造業では、例えば平成 28 年ですと 26,000 件ほど災害が起きているのですが、食料品製造業だけで 8,000 件ほどあります。そういうものにつきまして、他の製造業と同様に、職長に対する教育を考えていってはどうかということが書いてございます。最後の部分は製造業の職長の教育・再教育ということで、建設業では再教育のカリキュラム等が示されておりますが、製造業でも必要ではないかということで書いております。

 続いて一番下の ( ) 林業における伐木等作業です。林業の死亡災害につきましては、伐木等作業中のものが7割程度を占めております。こういうこともあり、伐木作業の安全対策の充実強化を図りますというのが最初です。2番目は林野庁との連携です。林業の場合、山に入りますので非常に広範な場所があり、なかなか我々の労働基準監督署から出向いて状況を見せていただくことも難しい面があります。林野庁と連携し、例えば林野庁のほうの林業普及員などと一緒になって、現場での安全対策について指導していってはどうかということが書いてあります。

 イ . 重篤な災害の防止対策です。もちろん労働災害防止ということでいきますと、死亡災害などが起きたときには私どもが調査に行っておりますが、死傷災害につきましては必ずしも全数調査できているわけではございません。そういう中で休業6か月以上のような、少し重篤な災害につきましては、きちんと分析をして、その中から死亡災害につながるような原因は何かについて検討していきたいということが書いてあります。

 ウは、最新基準が適用されていない既存の機械等の更新促進です。構造規格などの改正時には、経過措置により、最新基準の適用が猶予されるということがありますが、そのような機械での災害というのは依然としてありますので、こういう機械の更新について、何らかの支援措置を検討していきたいということが書いてあります。

( ) 過労死等の防止対策等、労働者の健康確保対策等の推進です。ア . 労働者の健康確保対策の強化、 ( ) 企業における健康確保措置の推進という部分についてです。まず、ここの部分につきましては、労働者の健康管理に関するトップの取組方針の設定や表明、こういったことを企業における健康確保措置としてしっかり推進していただきたいということをやっていきたいということです。

( ) 産業医・産業保健機能の強化です。1ポツ目は、過労死などのリスクが高い状況にある労働者の方を見逃さない。そういう方につきましては産業医による面接指導や健康相談が確実に実施されるようにということで、7月時点の分科会で御議論いただいたようなことについてしっかりやっていくということです。2番目も同じで、産業医の在り方の見直し、一層効果的な活動を行いやすい環境を整備するということです。

13 ページを御覧ください。産業医の質や量の確保の問題、小規模事業場に対する支援の問題にしっかり取り組みますということがあります。それから衛生委員会の活動の活性化を図っていくということが書いてあります。

( ) 過重労働による健康障害防止対策の推進です。こちらは時間外労働の上限規制や産業医の関係、いわゆる一括法にしっかり取り組んでいくということです。

 イは職場におけるメンタルヘルス対策等の推進です。 ( ) メンタルヘルス不調の予防です。1つ目の項目は再掲になります。2番目には、メンタルヘルス指針に基づきしっかり取り組む、そういうことを引き続きやっていくと同時に、事業場外資源を含めた相談窓口の設置を推進し、安心して相談を受けられる環境を整備していきますということが書いてございます。ストレスチェック制度ですが、高ストレス者を適切に医師の面接指導につなげていくことをしっかりやる。それから、集団分析結果を活用した職場環境改善の取組を推進するということです。3番目は、小規模事業場はストレスチェック制度は義務化されておりませんが、そういった部分について支援措置をしながら普及を進めていくというものです。

 一番下の ( ) はパワー・ハラスメント対策の推進です。こちらは労働基準局ではなく、他の部局で検討を進めておりますけれども、その検討結果も踏まえ、対策を推進するということが書いてございます。

( )2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を活用した健康促進です。身体活動、スポーツなどですが、抑鬱や不安の発生の予防に有効だという医学的知見もあるようです。こうした中で、オリンピック・パラリンピックの開催により、広く国民のスポーツへの関心も高まりますので、スポーツ庁と連携して健康保持増進のための指針 (THP 指針 ) の見直しをする。そうしたことを通じて、労働者の心と体の健康増進に取り組みたいということが書いてあります。

 ウ . 雇用形態の違いに関わらない安全衛生の推進です。いろいろな雇用形態がありますが、その違いにかかわらず安全衛生教育、健康診断、安全衛生委員会への参加といったものが適正に実施されるようにしていきたいというものです。

 エ . 兼業、副業、テレワークの拡大への対応です。兼業、副業といったものの拡大が見込まれるわけですが、労働時間、業務内容、健康診断などについて、一体的かつ継続的に管理されるような方策について検討していきたいということが書いてあります。テレワークについては、労働時間管理を適切に行うとともに、同じように安全衛生教育、健康診断などが確実に実施されるように周知していくということです。

 オ . 過労死等の実態解明と防止対策に関する研究の実施です。労働安全衛生総合研究所で実施している過労死等の調査研究に引き続き取り組むということです。労災事案のデータベース化、疫学的な研究を行っていくということが書いてあります。

( ) 就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進です。ア . 災害の増加や減少が見られない業種等への対応、 ( ) の第三次産業対策です。1番目は、小売業、社会福祉施設、飲食店についてです。多店舗展開の企業という形では個々の店舗、施設において、安全衛生に取り組む人員、権限、予算が限定的であるという話も伺っています。このような状況の業種・業態の事業場については、従来の安全衛生法の中の事業場単位での安全衛生管理というものに加えて、企業単位での安全衛生管理の在り方について総合的に検討していきたいということが書いてあります。それから、経営トップに対する意識啓発、危険の見える化ということです。三次産業系の業界ですと大きな災害はないという部分があり、安全衛生に対する意識が希薄な部分がありますので、そういったことにしっかりと取り組んでいきたいということが書いてあります。3番目は、第三次産業の業界団体の一部では、安全衛生委員会が設置されていないものが見受けられますので、こういったものをきちんと設置し、業界として安全衛生向上に取り組んでいただきたい、またそういう委員会を動かすための人材の育成についても、中央労働災害防止協会と連携していきたいということが書いてあります。4番目は、第三次産業の事業場が実効ある活動あるいは安全衛生の改善ができるようにするための専門家の活用ということです。コンサルタントによる改善指導などができるように、何らかの支援をしていきたいということが書いてあります。また、社会福祉施設で腰痛が多く発生していますが、そういった部分で安全衛生教育をきちんとやるとともに、介護機器の導入促進もやっていきたい。最後に小売業・飲食店については、未熟練、経験年数が3年未満の死傷者の割合が高いということがありますので、雇入れ時の安全衛生教育を徹底していきたいということが書いてあります。

( ) 陸上貨物運送事業対策です。陸上貨物運送事業においては、死傷災害の7割が荷役作業時に発生しているということですので、荷役作業の安全対策ガイドラインに基づいて、基本的な安全対策の徹底を図っていくことが書いてあります。それから、陸上貨物のトラックの業者だけにお願いをしても限界があるので、荷主事業者に対しても、例えば荷待ち時間の削減、荷役施設の改善、安全担当者の配置などについて支援をお願いしていくということが書いてあります。3番目は、インターネット通販の普及という部分もあり、今後、宅配業者の死傷災害なども増えるのではないかと思われるので、そういった荷役作業の実態に即した対策について検討していくということが書いてあります。

( ) 転倒災害の防止です。事故の型別に見ると死傷災害の2割強が転倒災害ですので、整理整頓など、つまづかないようにするための4 S 活動、注意喚起を促す見える化、防滑靴・耐滑靴といったものを着用することを推進します。合わせて、こういった対策について e ラーニングの教材を使って、それぞれの労働者にも理解を深めていただいてはどうかということを書いています。転倒災害防止という部分については、加齢による影響がありますので、そういったものを少しでも防ぐための、例えば体操の周知・普及にも取り組みたいということを書いています。

( ) 腰痛の予防です。腰痛については教育をきちんとやっていくことと同時に、身体的負荷を軽減する介護機器の導入促進が必要ではないかということを書いています。2番目は、介護だけでなく荷物の積み卸しなど、定型的な重筋業務も同じような状況ですので、そういった部分について身体への負担を軽減する機械の普及を図ることについて検討してはどうかということが書いてあります。

( ) 熱中症の予防です。熱中症については、 WBGT ( 暑さ指数 ) を測定する機械の JIS 規格ができたため、きちんと測定いただき、休憩の確保、水分や塩分の補給、クールベストの着用といった措置が取られるように推進していくということを書いています。2番目は、屋外型の建設業などでは熱中症対策にはしっかりと取り組んでいただいておりますので、そういった先進的な取組の紹介などをほかの業界にもしていきたいということが書かれています。

( ) 交通労働災害対策です。1番目は、交通労働災害防止の教育を、国土交通省と連携してやっていくということが書いてあります。2番目は、事業用自動車運転業務、特にバスですが、長距離のバスの運転手を臨時的な雇用をする場合について、そういう方の健康状況をどのように把握するのかについて検討していきたいということが書いてあります。3番目は、交通労働災害の死亡災害の過半数は、バス、トラック、タクシーというプロのドライバーではない方が起こしているということがありますので、そういう意味でいろいろな業種の方に、警察庁と連携してお願いしていきたいということが書いてあります。

( ) 職場における「危険の見える化」の推進です。多様な働き方という中で、派遣労働者、若年労働者、未熟練な労働者、あるいは外国人と、いろいろな方々がいろいろな現場で働いているということになりますので、直感的に危険が分かるような「危険の見える化」を進めていきたいということが書いてあります。

 続いて 17 ページです。イ . 高年齢労働者、非正規雇用労働者、外国人労働者、障害者である労働者の労働災害の防止です。 ( ) 高年齢労働者対策です。労働者の年齢階層が上がり、転倒、腰痛が増加傾向にあることを踏まえ、そういったことに配慮した職場の改善、筋力強化など身体機能の向上といったことについて、実際に取り組まれている事例を収集し、そういったものを皆様方のほうに普及していきたいということが書いてあります。

( ) 非正規雇用労働者対策です。まず、派遣労働者、非正規雇用労働者の方の安全衛生活動の実態、労働災害の発生状況の把握などを更にしっかり詳しく行い、その上で必要な対策を検討していきたいということが書いてあります。2番目は再掲です。

( ) 外国人労働者、技能実習生対策です。技能実習制度が変わり、1回技能実習の3年間を終えて帰国した方についても、建設業、造船業、製造業などでは再入国が認められるという制度に変わっていますので、こういう中でもう一度安全衛生教育、日本語教育、標識・掲示についても、直感的に分かるものにしていただく、健康管理といったことについてもしっかりと取り組んでいただくようにしていきたいということが書いてあります。それから、外国人の技能実習機構という新しい法人ができていますので、そういった所と連携し、管理団体、技能実習生の受入れを行う事業場に対する取組を推進していきたいということが書いてあります。

( ) 障害を有する労働者対策です。障害を有する労働者に関する労働災害事例、労働衛生上の配慮事項について実態把握を行い、必要な対策を検討していきたいということが書いてあります。

 ウ . 個人請負等の労働者の範疇に入らない者への対応です。建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画に基づき、建設業の一人親方などについて安全衛生教育の実施など、必要な対応について検討していきたいということで書いてあります。

 エ . 技術革新への対応です。1番目は、人との協調作業を可能とする産業用ロボットについて、機能安全の基準、認証制度について検討していく。2番目は人工知能 (AI) といったものの開発に伴い、これまでの産業用ロボットの法令上の定義の「記憶装置の情報に基づき、マニピュレータの屈伸等を自動的に行う機械」にあてはまらない、自律的に動くロボットがありますので、そういったものの産業現場への普及に対応するための安全基準や規格を検討していきたいと書いてあります。3番目は、 AI GPS 技術が急速に普及をしているので、技術革新を見越した上で、人と機械の安全な協働の方策などについて必要な基準を検討していくということが書いてあります。

( ) 傷病を抱える労働者等の健康確保対策の推進です。傷病を抱える労働者の就労の継続に当たっては、業務によって傷病を増悪させてしまうことのないようにすることが大事ですので、両立支援のガイドラインの周知・啓発を図り、企業の皆様方の意識改革、支援体制の整備をお願いしていきたいということです。それから、企業向けや医療機関向けのマニュアルも作成しているので、こういったものを普及していきたいということです。3番目は、都道府県ごとに地域両立支援チームを設置していますので、こういったものの活動を通じ、地域における企業、医療機関の連携を推進していきたいということを書いています。

 イ . 傷病を抱える労働者に寄り添い継続的に支援する人材の育成と相談体制の充実です。治療と仕事の両立支援については、傷病を抱えた労働者御本人による支援の申出という部分が起点になりますが、その申出が躊躇なく行われることはすごく大切です。これを支援する仕組みとして、労働者、主治医、企業・産業医のトライアングルのコミュニケーションのサポートを行うような「両立支援コーディネーター」の養成に取り組んでいきたいということが書いてあります。

19 ページです。ウ . 脊髄に損傷を負った労働者等の職場復帰支援及び治療と仕事の両立支援の促進です。1番目については、脊髄に損傷を負った労働者が職場復帰につながった事例があれば、そういったものを収集・分析し、支援方法に関する研究をしていきたいということです。2番目は、脊髄に損傷を負った皆様のリハビリテーション技術・機器の開発などを推進したいということが書いてあります。3番目は、そういった方々の障害者雇用施策との連携など、国の支援策の在り方についても検討していきたいということが書かれています。

( ) 化学物質等による健康障害防止対策の推進です。ア . 化学物質による健康障害防止対策、 ( ) 国際動向を踏まえた化学物質による健康障害防止対策です。真ん中の「このようなことから」という部分ですが、欧州諸国などの国際的な動向も踏まえ、ラベル表示、 SDS 交付対象化学物質について、国が個々に有害性や危険性を評価し規制を加えるのではなく、 GHS に基づき、化学物質の製造又は輸入を行う事業者が、譲渡・提供する全ての化学物質について分類を行い、危険性又は有害性のある物質については、ラベル表示や SDS の交付を行う仕組みに転換していくことを検討したいということを書いています。 ( ) リスクアセスメントの結果を踏まえた作業等の改善です。化学物質のリスクアセスメントを行っていただき、その結果を作業方法の改善に具体的にどうつなげていくかといったことを分かりやすく示していきたいということです。2番目は、ラベル表示・通知義務対象物質について当面の間は国のほうでやっていくということですので、こちらをしっかりやっていきたいということです。3番目は作業環境測定ですが、現状は場の管理ということですが、状況によっては個人サンプラーによる個人測定についても対応していってはどうかということが書いてあります。 20 ページの一番上の項目は、作業環境測定の結果等と特殊健康診断の結果を結び付け、こういったものを産業医、衛生工学、人間工学といった専門家の方に共有いただき、総合的な健康確保対策が講じられるような方策を検討したいということが書いてあります。

( )( )( ) は一連の流れがあります。まず、欧米等の諸外国における化学物質の知見を迅速に収集します。その中でも発がん性などを指摘されている化学物質のリスク評価をやる場合に、諸外国における規制の動向、判断基準、優先順位といったものの情報の収集をきちんとし、国内での評価を効率化・迅速化していきます。それから、がんなどの遅発性の健康障害、中には接触毒性、変異原性などいろいろとあると思いますが、そういったものも含めて健康障害の事案を的確に把握できるようにするため、例えば化学物質による職業性疾病を疑わせる事例を把握した場合には、国への報告を求める仕組みについて検討していきたいということが書かれています。

( ) 化学物質を取り扱う労働者への安全衛生教育ということで、特定化学物質、有機溶剤ですと、作業主任者の下に実際に取り扱う作業者がいるわけですが、実際に取扱いをされる労働者の雇入れ時の教育、安全衛生の教育などをしっかりと行い、ラベル表示、 SDS による情報の理解、保護具の正しい着用方法などを覚えていただくということをしたいということが書いてあります。危険性や有害性が判明していない化学物質を使う場合に、危険性や有害性が不明であるということであって、それは決して無害であるということではないことをきちんと行い、有害である恐れがあることをきちんと理解した上でお使いいただくという、指導・啓発をしていきたいということが書いてあります。

 イ . 石綿による健康障害防止対策です。まず、石綿ですと基本的に建物に使われているものを解体するということが一番大きな課題になるので、そういった場合について、まず石綿が使われた建物かどうかの事前調査が大切になります。調査が十分に行われないまま解体工事が施工されることのないようにしていくということです。そのための調査を行う専門性のある人の確保についても検討していきたいということです。2番目は、必要な石綿ばく露防止措置を講じない施工業者がいるようですので、そういった部分は対策をしっかりと強化していく。それから、事業者は労働者ではありませんが、解体工事などの発注者についても一定の御協力を頂く必要があるので、そういった部分について検討していきたいということが書いてあります。3番目ですが、東日本大震災以降、大きな地震や自然災害が繰り返し続いていますが、そういった災害が起きた後に石綿対策をやるということになり、ここまで何年間かやっているわけですが、後追い的なものではなく、事前に各企業、事業場で、そういったことが起きることを前提に対策、マスクや手袋、保護具などを用意していただくなど、そういった部分について検討してはどうかというものです。

( ) 労働者の化学物質取扱履歴等の記録の保存です。石綿をはじめ、発がん性のあるような化学物質については、事業場がそういう仕事をおやめになったときに監督署にお届けいただくことになっていますが、そういった部分が必ずしも十分でないところがありますので、きちんとお届けいただき、私ども監督署のほうでもそういったものをきちんと管理していくということをもう一回徹底していきたいというものです。

 ウ . 受動喫煙防止対策です。こちらについては従前同様ですが、職場での禁煙、空間分煙をしっかりやります。それから、換気などにより、たばこの煙の有害濃度の測定、低減をするということ、喫煙室などの清掃をする方についても保護具の着用といった部分について検討していきたいということです。

 エ . 電離放射線による健康障害防止対策です。一番上の項目は、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の関係、除染の関係について、きちんと安全衛生管理、被ばく線量の管理、健康管理を徹底していくということが書いてあります。2番目は、東京電力福島第一原子力発電所での事故当時の緊急作業で、比較的高い線量下で作業された方につきまして、メンタルヘルスケアも含めた長期的な健康管理対策をきちんとやっていくということが書いてあります。

22 ページです。一番上ですが、今度は医療従事者ということですので、医師、診療放射線技師の被ばく線量管理についても、きちんとやっていきたいということが書いてあります。

 オ . 粉じん障害防止対策です。こちらは 13 次防と合わせて、第9次粉じん障害防止総合対策を策定することになっているので、そちらでしっかりと自主的な対策を進めるということが書いてあります。2番目は、トンネル工事に従事した労働者の方で、じん肺になられた方々の健康情報、粉じん業務に従事された経歴について一元管理を行うことになっていますので、そういったことをしっかりやっていきたいということが書いてあります。

( ) 企業・業界単位での安全衛生の取組の強化、ア . 企業のマネジメントへの安全衛生の取込です。労働災害防止については、企業の経営トップの方々の関与が非常に重要ということで、企業のマネジメントの中へ安全衛生をきちんと位置付けていただくことを引き続き推奨していく。それから、トップの方の取組方針の設定、表明といったものを推進していくということが書いてあります。

 イ . 労働安全衛生マネジメントシステムの普及と活用です。1番目は、労働安全衛生マネジメントシステムは、国際標準化機構 (ISO) で規格化されることになっているので、そういったものの発効に合わせて、現在、日本工業規格を制定しております。こういったことをしっかりとやっていくということが書かれています。2ポツ目は、 ISO JIS といったものができると、私どものほうの労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針との関係が出てくるので、中身をチェックし、指針の改正を行いたいということが書いてあります。3ポツ目は、このマネジメントシステムは、これまではどちらかというと産業安全、化学物質という観点で使われてきたわけですが、今後は過重労働対策、メンタルヘルスといった衛生分野、産業保健分野での活用についても検討していきたいということが書かれています。

 ウ . 企業単位での安全衛生管理体制の推進です。こちらは先ほど三次産業の所で御説明したものの再掲です。エ . 企業における健康確保措置の推進ですが、同様に再掲です。

23 ページの上のほうのオ . 業界団体内の体制整備の促進です。1つは、この後に御報告させていただくものもありますが、あれと同じようなもので、労働災害が減少しない業界などについては、そういった部分は業界団体に対していろいろな協力の要請をお願いするということが書かれています。2番目ですが、災害が増加傾向にある業種については、災防団体と連携し、例えば災防団体にいる安全管理士、衛生管理士による指導や教育支援などもしながら、自主的な取組を促進していきたいということが書かれています。3番目は再掲です。

 カ . 元方事業者等による健康確保対策の推進です。1番目は、建設業などにおける元方事業者による関係請負各社に対する健康確保対策の推進といった部分について検討していきたいということです。2番目は、東京電力福島第一原子力発電所の場合ですが、発注者である東京電力、中で工事を請け負っている建設会社といったものが一体となった安全管理体制の確立を推進していきたいということが書かれています。3番目は、トラックの関係で再掲です。

 キ . 業所管官庁との連携の強化です。業所管官庁との連携を強化し、「業」の許可基準に安全衛生に関する事項を盛り込んでもらう、公共発注への入札要件に安全衛生の部分を入れていただくことの取組を進めたいというものです。あとは 24 ページまで再携が続きます。

24 ページの真ん中の下のほうのク . からです。こちらは中小規模事業場への支援です。労働災害の発生状況を事業場規模別に見ると、中小規模事業場が多いということですので、中小規模事業場における安全衛生活動の活性化という観点で、先ほど申しましたように労働災害防止団体にいる安全管理士や衛生管理士の支援も頂きながら、対策を充実していきたいということが書かれています。2番目は再掲です。

 ケ . 民間検査機関等の活用の促進です。端的に言いますと、都道府県労働局、労働基準監督署で実施している、ボイラーやクレーンなどの特定機械等の検査について、一層の民間移管を進めていくことを検討すると書いています。 25 ページです。こういう民間機関への移管を進めると同時に、きちんとやっていただくということで、民間の登録検査機関、教習機関に対する監督、処分や処罰といった部分の在り方について検討するということが書かれています。

( ) 安全衛生管理組織の強化及び人材育成の推進です。安全衛生専門人材、産業安全、産業保健に加えて、衛生工学、人間工学といった専門家の方々がおられるわけですので、そういった部分の育成、それから労働安全、労働衛生コンサルタントなどの事業場外の専門人材の活用といった部分を総合的に検討し、安全衛生管理組織の強化につなげていきたいということが書かれています。あと、 25 ページは下まで再掲です。

26 ページの真ん中の ( ) です。国民全体の安全・健康意識の高揚です。ア . 高校、大学等と連携した安全衛生教育の実施です。1番目は、文部科学省と連携し、学校保健安全法という法律に基づく「学校安全の推進に関する計画」というものがあるので、こういったものの中で、現在は津波から自分を守るというようなことなどをやっているようですが、労働安全衛生やメンタルヘルスといったものについても何かできないかというものです。2番目は、大学の理工系学部の学生については、将来は産業界に出て機械、ロボット、プラント建設工事など、いろいろなものをやられるわけですので、そういった技術者の立場から、それを使う方あるいは作る方の安全について理解を深めていただくことをしてはどうかということで書いています。

 イ . 危険体感教育及び震災に備えた対策の推進ということで、災害自体が減少傾向にあるのは間違いありませんので、そういう中でバーチャルリアリティなどの技術を活用し、危険感受性を高めるための教育を推進していってはどうかというのが1番目です。2番目は先ほど石綿の所で御説明したものの再掲です。

 ウ . は技能検定試験の関係団体との連携です。職業能力開発促進法に基づいて、いわゆる職人向けの技能検定試験というものをやっていますので、こういったものの関係団体と連携し、安全衛生に関する知見の普及を推進したいということです。

 最後にエ . 国際動向を踏まえた施策推進等ということで、安全衛生に関する研究を推進するということ、安全衛生分野の国際貢献を積極的に推進することが書いています。少し長くなりましたが、以上です。

○土橋分科会長 ただいま説明いただきました本文案につきまして、質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。栗林委員。

○栗林委員 まず、全体についての意見を述べさせていただきたいと思います。労働災害防止計画というのは、そもそも災害の防止や疾病の予防という、いわゆる1次予防の領域に関する計画だと事業者としては認識しています。 12 次防も確かそのような内容になっていると考えていますが、今回、 13 次防の中身を拝見しますと未然防止ということだけではなく、いわゆる3次予防、起きてしまったことに対する対応や再発防止というところの領域も記述されていると思います。具体的に言いますと両立支援の所がメインだと思いますけれども、そのほかにも雇用の促進という考え方の部分も少し見受けられると思います。そのためかどうか分からないのですが、計画がすごく広範囲にわたっていて、我々としては絞り込みにくいというか絞り切れないような印象を持っています。ここでは選択と集中の考え方を用いて、実効の上がる計画にしていったらどうかなというイメージですが、そんなような感じがしています。以上です。

○土橋分科会長 御意見を頂きました。事務局側から何かございますか。

○丹羽主任中央労働衛生専門官 労働衛生課の主任衛生専門官です。今、両立支援のお話を頂きましたので、そちらのほうで少しお答えをさせていただければと思っています。今、委員がおっしゃったように、災害防止計画につきましては安衛法に根拠規定があり、今回、 13 次目の計画を作るということですが、安衛法に根拠がある災防計画につきましては、私どもとしまして災害の防止ということは当然あるのですが、単に災害の防止のみならず、安衛法に基づく健康確保措置や、更にその延長として事業者の方が実施することが望ましいとされる各種健康対策も含めて、言わば安全衛生の総合対策というものではないかと理解しています。ということで、両立支援の話も、今回、この計画の中に書き入れさせていただいたということです。よろしくお願いいたします。

○土橋分科会長 ほかに、いかがでしょうか。青木委員。

○青木委員 全国ガスの青木でございます。御説明いただいた資料1の 14 ページですが、エの兼業、副業、テレワークの拡大への対応について発言させていただきます。兼業、副業、テレワークの拡大への対応のうち、特にテレワークについて、「必要な労働時間管理を適切に行う」と記載されています。テレワークでは、労働者は管理監督者の直接の指揮命令を受けない上に、労働者の勤務時間帯と日常生活が混在せざるを得ないことなどから、現実的には、労働時間管理や健康保持等の状況のチェックが難しい事例もあるのではないかと思います。

 テレワークであっても、労務提供に起因する災害は、業務上の災害として労災保険の対象となりますが、管理監督者の目の届かない所で発生する事故の扱いも課題であると思います。また、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されたとしても、テレワークによる深夜労働や休日労働がなされた場合には、健康管理上の課題が存在し得ることから、労働災害防止計画という観点に於いて、必要な労働時間管理を適切に行うという表現を、もう少し具体的に記載すべきではないかと考えています。また、ウの雇用形態の違いに関わらない安全衛生の推進については、是非、推進していただきたいと思っています。以上です。

○土橋分科会長 事務局側、いかがでしょうか。

○神ノ田労働衛生課長 御意見、ありがとうございます。ただいま御指摘いただきましたテレワーク、あるいは兼業、副業等に関しましては、働き方改革の中で柔軟な働き方を推進していこうということで、今後、しっかりと取り組んでいきたいということですけれども、その推進に当たって健康管理が疎かになってはいけないということで、その時間管理等も含めて、今、検討会の中で具体的なところを検討しているところです。ガイドラインという形で取りまとめていくことになっていますので、そういったことも踏まえて、この 13 次防の中でもしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

○土橋分科会長 ほかに、いかがでしょうか。増田委員。

○増田委員 先ほどの栗林委員の意見に追加するような形での意見となりますが、資料の 18 ページ、 ( ) 傷病を抱える労働者等の健康確保対策の推進のアで、1つ目のポツに両立支援の内容が書かれていますが、労災防止対策というのは基本的に労働者からの申出の有無にかかわらず、事業者が必ずやらないといけない、そういうものであると認識しています。一方、両立支援は 18 ページのイの1つ目のポツに書かれていますように、あくまでも労働者本人からの申出が起点となります。したがって、両立支援を労災防止計画に書き込む、すなわち労災防止策として位置付けた場合、この両立支援の趣旨、位置付けが損なわれることになりはしないか。労働者の意向、プライバシーが毀損される場面が出てくることになるのではないかと思います。これは本来、労災防止対策としての意味合いの薄いものを、ここに並べることによって起こってくる矛盾の結果、出てくるのではないかと思いますので、ここに載せるのが果たして適切かどうか。あるいは、どのようにして整理すべきかもう少し検討すべきだと思っています。

○土橋分科会長 事務局側、いかがでしょう。

○丹羽主任中央労働衛生専門官 御意見、ありがとうございました。労働衛生課でございます。 18 ページに書いてありますとおり、両立支援に関しては正に傷病を抱えた労働者の方の支援の申出が起点になると考えています。労働者の方の疾病の種類や程度によっては治療に専念すべきという方も、当然ながらいらっしゃると思いますが、そこは主治医の先生、産業医の先生の御判断、御意見等を踏まえまして、事業者の方が傷病を抱える労働者の方を就業させると判断した場合に、この両立支援の仕組みが必要ではないかと考えています。

 委員がおっしゃったとおり、労働災害防止のための必要な措置ということで、労働者の申出の有り無しにかかわらず措置すべきものは、災害防止の対策としていろいろ並べるべきという御意見はもっともですが、両立支援に関しては、そういった疾病の種類や程度によって、いろいろ総合的に考えていかなければならない面があるかと思います。そういった点と、先ほど申しました災害防止計画は、安全衛生の総合的な対策ということで健康確保措置や、その延長として事業者の方が実施することが望ましいことも含めて、今回、こういった形で両立支援のことを書かせていただければということです。よろしいでしょうか。

○明石委員 今の件、追加で意見ですけれども、翻って、9ページの ( ) に方向性が書いてあります。これは働き方実行計画をそのまま引用されたのだと思いますが、ここに書いてある内容は精神論というか情緒論で、計画には不要なのではないかと思っています。また先ほど来、両立支援ということで、これは事業者としてやらないと言っているわけではなく、前回も申し上げたように事業者としてはそこに安衛法上の「病者の就業禁止」などを加味した大きな判断があって、それを受け入れられないこともあります。この計画にこういうふうに位置付けられると、そこに監督指導等が生まれ、混乱を生じる可能性があるので、本計画案には必要ないのではないかという考えに基づいて意見を申し上げています。安衛法の6条に、この計画は「労働災害防止のために」と書かれているので、これは労働災害の防止の案件ではないと思うのですが、どうでしょうか。

○山口委員 今の件について、私はあまり違和感なくすっと読んでいたのですが、 18 ページの ( ) のアで、最初のポツの最初の所がもうちょっと強調されていいのではないか。「業務によって傷病を増悪させてしまうことがないよう」とあって、増悪した結果として労働災害が起こる可能性があるということ。例えばメンタル不調みたいな病気を持って働いている人が、それが十分に配慮されない仕事の仕方を継続してしまい、重大な労災という形になるみたいなイメージで、あまり違和感はなかったのです。

○明石委員 事業者としてはそう読めません。まず、これは「傷病」になっていますが「疾病」ではないのですか。傷病というのは違うのではないですか。それと、今の話ですが、ガイドラインには「傷病を増悪させない」と書いてありますけれども、業務によって傷病を増悪させるような人は、多分、復帰できないと思います。事業者の就業規則の「就業禁止」のなかに、「就業によることによって疾病の悪化する恐れのある者」と記載されている場合がありますから。

○丹羽主任中央労働衛生専門官 今、御指摘がありました傷病という文字を使っていることについて、私どもの両立支援ガイドラインにおいては「疾病 ( 負傷を含む ) 」と書いているのですが、今回の災防計画では「傷病」とさせていただいています。実は安衛法第2条に労働災害の定義があって、労働災害という定義は、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう」となっています。最後に「労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡」ということで負傷と疾病を分けています。ガイドラインのほうでは「疾病 ( 負傷 ) を含む」ということでしたので、この「疾病 ( 負傷を含む ) 」を表すために傷病という言葉を使っています。疾病だけにしますと負傷が入らなくなってしまうという観点で、この言葉を使っています。

○明石委員 今は労災の話ですよね。これは私傷病が対象なのではないのですか。労災は当然、事業者としてもいろいろと考えなければならないですけれども、私傷病とは違うのではないでしょうか。

○丹羽主任中央労働衛生専門官 定義に関して、正に労働安全衛生法の2条に書かれている労働災害は、最初にありました「労働者の就業に係る」から始まって、「建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して」ということですが、傷病という文字を使ったのは、ここを参考にさせていただき、負傷又は疾病にかかりということで分けているので使わせていただきました。それを踏まえて、両立支援ガイドラインでも疾病 ( 負傷を含む ) となっていますので、そのとおりに書けということであればいいのですが、今回は傷病という言葉を使わせていただいたということです。

○明石委員 労働災害によるものと私傷病は違うので、分けていただかないといけないと思います。この両立支援の検討が始まったときに、ガイドラインにも書いてありますけれども、がんのような不治の病が、医療の高度化などによって外来でも治療が可能となり、治っていくというところが基本だったと思います。労働災害はこれとは別の話であって、ここに書かれているのは私傷病災害にまとめないと非常に変な脈絡になっていくのではないですか。

○土橋分科会長 ほかに、いかがでしょうか。

○神ノ田労働衛生課長 まず、前提としてガイドラインの対象範囲については、疾病だけでなく負傷も含むということで広くなっています。それの全体をしっかりカバーして取組をしていかなければいけないときに、それを、この 13 次防でどう表現するかということですが、「疾病」としてしまうと、労働安全衛生法上の言葉の定義に合わせると「負傷」が抜けてしまうものですから、その両方を含むような形でしっかりと計画上、位置付けようということで、「負傷」、「疾病」を含む用語としてここでは「傷病」と書かせていただきました。ですから、書き方として、例えば「負傷及び疾病」でもよろしいかと思いますが、対策として負傷を両立支援から除いているということではありませんので、そこは押さえた上で、この計画上、どう書き込むかということを検討していく必要があるかと思っています。

○明石委員 私が言っているのは、労働災害と私傷病は違いますよと言っているのです。労働災害は公に認定された話ですよね。事業者の過失があるかどうかは別ですけど。私傷病は自分で病気になった話だから、対応が違って当然なのではないでしょうか。言葉から話を始めましたけれども、そのおおもとが考え方として違うのではないですか。

○田中安全衛生部長 混乱があるようなので少し発言させていただければと思います。治療と仕事の両立と言うときの治療というのは、労災の治療ではなく私傷病の治療ということで、ここで案として書いている傷病も私傷病を念頭に置いています。もちろん、この中に労災傷病が入ってはいけないということではありませんので、労災も含めて一般的には私傷病ということになります。

 この計画に書く趣旨というのは、ガイドラインを安全衛生行政として検討したときの考え方の一番のエッセンスが、ポツの所に書いてあって、業務によって病気あるいは負傷のある労働者の健康状態を更に増悪させないように、事業主として私傷病への治療の対応と業務との両立をいかに図るかということを、主治医あるいは産業医、関係者との連携のもとに個々具体的な判断としてやっていこうと。これは一律的な義務ではなく、先ほど明石委員がおっしゃるように様々な要素、これは制約要素ももちろんある中で労使が工夫をして、可能な限り病気を抱える方々でも業務を継続していけるようにする。その業務を継続している中で病気が悪くなることはあるかもしれませんが、業務が傷病を進行させ悪化させることのないように、できるだけ考慮し配慮していきましょうという趣旨の施策で、これが基本だと思います。

 そういった基本的なところで、業務によって傷病を増悪させないような労使の主体的あるいは個別的な配慮による取組が、今回、働き方改革の中で1つの項目として取り上げられていますけれども、一億総活躍ということで様々な事情を有する方々が職場を選び、仕事を選び、あるいは継続する上で必要な対策として位置付けられている中で、この1つの業務によって傷病を増悪させないという、最初のエッセンスの所と関連のある施策として、先ほど衛生課のほうからありましたように、そこと関連する総合的な中身として、現在、政府として1つの政策の塊として示されている治療と仕事の両立を、その塊の姿として見えやすいように、この災害防止計画の中でも言及するということではないかと思っています。

 したがって、労働災害防止対策としての中身が一部含まれている部分はあると私たちは思っていますが、全てがいわゆる労災防止という意味での対策だけではないですけれども、それと密接に関連する、特に働き方改革という中で政策を進めていく上で、1つのパッケージとして進めている部分もあり、公労使の先生方の御理解を頂ければ、そういう趣旨で、この部分に、現在進めている方向性を国民の皆様方に分かりやすく示すという意味でも、1つのパッケージとして書かせていただければ有り難いという趣旨です。よろしくお願いします。

○明石委員 今の田中部長の言われた趣旨は分かりました。ただ、たくさん書いていただいて有り難いのですが、事業者としてこの両立支援は結構難しいものです。それと、前回も申し上げたように働き方改革実行計画とガイドライン、これはかなりレベル感が違う話ですし、やることが違うので、我々のほうもかなり戸惑っているのが実態です。これを災防計画に載せることについては、もう少し時間をかけて検証しないといけないと思っています。

 翻って、9ページの ( ) で働き方改革実行計画の中の方向性の引用は、先ほども申し上げましたが精神論過ぎて納得がいかないのです。というのは、仕事に期待することと治療とは無関係だと思いますし、病気の状況を誰にも伝えていないと精神的に厳しいと書いていますが、これはストレスチェックと全く逆行することになります。やる気がないと思われたくないというのも、こういう病気と関係なく職務精励義務とか誠実職務義務というのはどこでもある話なので、こういうことを書かれると、この方向性について疑問を覚えることを申し上げておきたいと思います。

○丹羽主任中央労働衛生専門官 9ページの取り巻く状況の記載につきまして御意見を頂きました。今、明石委員からお話があったとおり、ここの記載は正に働き方改革実行計画の本文で、7番目の病気の治療と仕事の両立の ( ) の記載をかなり引用して、やる気がないという文言もそこから取って記載しています。そういった実行計画の本文を使って文章の案を作ってみましたが、全部削除というのも1つの意見かもしれませんけれども、具体的に、ここをもう少しこうしていただきたいという修正意見を頂ければ、こちらのほうでまた検討させていただきたいと思っています。よろしくお願いします。

○土橋分科会長 よろしいでしょうか。本件は、今回、新たな項目が加わるということで、いろいろ御意見を頂きましたので更に検討していきたいと思います。事務局側としても、もう少し整理するようにお願いいたします。ほかに、いかがでしょうか。

○中澤委員 3ページの目標の所ですが、受動喫煙の目標ということで括弧書きで、「受動喫煙に関する目標値については、受動喫煙の防止に係る諸施策に関する動向を踏まえつつ検討」と書いています。結果として、 13 次防にこのまま載せて 13 次防自体を確定するという意味ですか。それとも現時点ではこう書いていると、経過的な意味で書いていることなのでしょうか。

○神ノ田労働衛生課長 受動喫煙対策は非常に重要ですので、しっかりと 13 次防にも位置付けて取り組んでいきたいと思っていますが、受動喫煙の防止対策について諸施策が流動的なところがあり、先般、閣議決定された第3期のがん対策推進基本計画も、この受動喫煙に関する数値目標については、法案の内容を踏まえて別途閣議決定すると、そのような取扱いになっています。こちらの 13 次防についても、そこら辺の法案等の動きをしっかりと見極めた上で、その時点で 13 次防が策定されていればその改正という形になるかと思いますが、そういった形で進めていけたらと思っています。

○中澤委員 それであれば現時点の話として考えたときに、この※が残っているということであれば、 21 ページのそれに対する対策というのも、当然、目標値があってそれに対する対策が書かれていると理解しますので、そこら辺についても同じような表現を取るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○神ノ田労働衛生課長 私の説明が足りなかったのですが、目標の所については、ある意味、メモとしての※であり、計画を取りまとめる段階ではコメの記載は落とす予定です。全体の受動喫煙対策がある程度固まった段階で、場合によっては書き込むという形になるかと思います。

○最川委員 2つ要望と、1つ質問ということで、まず9ページの化学物質に関してですが、 ( ) の中段ぐらいに、「欧米諸国においては、 GHS に定められた分類手法に基づき」とあり、メーカーがラベル表示や SDS の仕組みが整備されているということで、 19 ページの ( ) の化学物質の所にも書かれています。この欧米の仕組みを取り入れる仕組みに転換するというところで、今、化学物質自体が7万種類あって、今は 663 物質がリスクアセスメントの実施を義務付けられていますが、これが毎年増えていっている。私が初めてこの会に出たときは 640 物質でしたが、それがどんどん増えていって、特に建設業の中ではどれが化学物質なのか、はっきり分からないところがあります。ラベル表示も、この目標値にありますように全ての製品にラベル表示がきちっとされて、 SDS が交付されているわけではありません。又、製品を扱う事業者としてリスクアセスメントにものすごい時間をかけておこなっており、普及もされていないというのが現状です。特にメーカーが製品化するときに、危険性のランク付けというか重要度が高いものが分かる。こういう作業には必ずやらなければいけないという、分かりやすい形の表示をメーカーと検討していただいて、是非、実施していただきたいところです。

 特に建設については、法違反で指摘されないように、リスクアセスメントの書類作成に時間を裂かれていて、実際の取扱い方法に注意がはらわれなくなってしまう懸念があります。製品自体のラベル表示で危険度のレベル感がはっきり分かるようなもの、製品自体の取扱い方法がわかりやすいものにしていただきたいというのが、1点目の要望です。

 2点目は、 10 ページの死亡災害の撲滅を目指した対策の推進で、 ( ) 建設業における墜落・転落災害等の防止です。フルハーネス化ということで、特に高さが2メートル以上の箇所では作業床を設置し、囲い等を設けるのが原則というのは分かっていますが、それを設置できないような場所で使用を認められている安全帯について、今後フルハーネスを原則とするということが、検討会でほぼ決定しました。建設業については、5メートル以上の高所作業に関しては業界のほうも、ほぼ納得して普及していくというのはあるのですが、安衛法上は2メートル以上が高所作業ということで、特に2メートルから5メートルの作業が建設業ではすごく多く、今まで胴ベルトを使用していれば地面に衝突しなかったものが、フルハーネスだと墜落距離が4メートル以上、 4.4 メートル程度といった現状があって地面に衝突してしまう可能性がある。このまま何もしないで普及していくと、逆に4メートル以下の作業でフルハーネスを使用しても墜落して事故が起きてしまうことになりかねない。今、業界で2メートルから5メートルの墜落をどうやって防止するか協議していて、胴ベルトも一部条件付で残していただきましたから、それを使えるような規格作りを、是非、一緒にやっていただきたい。特に、今、出回っている胴ベルトにつきましては衝撃加重6 KN には対応しているものはあるのですが、4 KN に厳しくなってしまうと、それに対応する胴ベルトは現状ないと聞いています。是非、2メートルから5メートルでの作業で使えるものをしっかり決めて、それに対応する構造規格がはっきりしてから罰則付きの施行をしていただきたい。それが2点目の要望です。

 質問ですが、 23 ページ、カの元方事業者等による健康確保対策の推進の所で、「元方事業者等による関係請負会社に対する健康確保対策の推進」と書かれていますが、具体的にはどういうものをお考えでしょうか。何かあれば教えていただきたいのですが、よろしくお願いします。

○奥村化学物質対策課長 化学物質対策課です。最初の御要望についてお答えいたします。確かに化学物質のリスクアセスメントの支援ツールはいろいろありますけれども、これは、どちらかというと化学工業とか化学物質を使っていろいろな取扱いをして、いろいろな用途のために製造したり、そういった作業をする所で、どういうリスクがあるのかを分かりやすく示すために開発されているものだと思っています。

 確かに建設業においては、有害な化学物質として塗料や防水加工剤など、かなり用途が限定されていて、使い方もそんなにばらつきはないと思います。そういった限定的な用途の化学物質については、メーカーのほうに要望して、標準的な取扱いで、そこにはばく露防止対策も書いてある、そういったものを付けるようにお願いすることを、これから取り組んでまいりたいと思っています。

○縄田建設安全対策室長 建設安全対策室です。フルハーネスについて御要望を頂きました。委員がおっしゃるとおり、先般の検討会では、高さ 2 5m 程度の作業床ではフックの掛け位置とか、作業の態様によってフルハーネスだと地面に激突する恐れがあるとしており、そのような場合には一定の条件で胴ベルトを使用することを認めるとの方向性を出しています。引き続き胴ベルトが使えることで、今、考えています。

 そうは言っても、フルハーネスについては国際規格に準じて墜落衝撃荷重、これは4 KN というのを新たに打ち出しましたから、これとの整合性を図るという意味で、胴ベルトについても墜落衝撃荷重は最大4 KN ということで整理した経緯があります。委員がおっしゃるとおり、もし胴ベルトでこの4 KN の墜落衝撃荷重が実現できないということであれば、それはそれでまた検討が必要かなと考えています。 12 月になりましたら JIS の安全帯の規格の検討委員会が始まりますので、その中でしっかり御議論いただき、私としては4 KN が実現できる胴ベルトをメーカーに開発していただければと思っています。

 もう1つ、この規則の改正、施行については、検討会の中でも十分な周知期間を持つということで考えています。 JIS の検討に1年ぐらいかかりますし、買換えの負担の軽減などを考えますと、しっかりと周知期間を取って施行しようと思っていますので、一緒に御議論させていただければと思います。

○神ノ田労働衛生課長  23 ページの元方事業者等による関係請負各社に対する健康確保対策に、どのようなものが含まれるかという御質問かと思います。現時点で、具体的にこういったものをやるということを固めているわけではないのですが、問題意識として、請負各社は小規模の所が多くて、産業医も選任されていないということで、健康確保対策が手薄になっているのではないかといった現状について、何らかの対策を打っていくときに、元方事業者として取り組んでいただけるようなものがあるのではないかということで、計画(案)では、「効果的な取組」と書かせていただいていますが、その具体的な取組については、しっかりと分科会の場でも御議論いただいて検討していきたいと考えております。

○奥村化学物質対策課長 先ほどの回答について、言い忘れましたので補足させてください。先ほど、要望するというような言葉で終わってしまったと思いますが、私ども国としても、具体的な対策を分かりやすく伝えるツールを、今、検討、開発しております。こういったことを引き続き続けてまいりまして、御要望に応えていきたいというのが基本です。

○勝野委員 今、最川委員が最後に出されました建設業における健康確保対策の推進の件ですが、これを推進していく上で私が大切だと思っているのは、 11 ページの上段にありますが、安全衛生経費の確保の問題が、取り分け建設業のような重層下請けの中では、重要な課題だと思っております。ただ、この 11 ページの3行目の記述でいいますと、「確保に係る関係者の理解の促進」という記述になっておりますが、ここの部分については例えば 12 次防の中では、安全衛生を確保するための必要な経費を積算し、関係請負人へその経費が確実に渡るよう、国交省と連携して対応する、また、公共工事において同様の取組が取られるよう、広く要請すると。 12 次防ではこのような記述になっております。そういった点からすると、今回の 13 次防の記載は、少し後退をしているのではないかと感じます。ですから、そこについてはもう少し前進をするような記述にしていただければと思います。

 もう1つは、 17 ページの一番下の「個人請負等の労働者の範疇に入らない者への対応」という記述です。これも、非常に大切な記載を入れていただいたと思っております。安衛法の対象ではないけれども、実際に現場で作業に従事をする人たちも、この災害防止計画の対象として考えていくのだということの表明だと私は理解をしております。そういう点で、取り分けここの建設業においての一人親方に対する対応等については、重要な課題だという理解をしております。一番最後の所で、「作業の実態を踏まえた」と書いてあるのですが、実際に実態を把握をするための施策というか、具体化について、何か予定があるのであればお聞かせ願いたいと思っております。

○縄田建設安全対策室長 安全衛生経費の確保については、先に閣議決定いただきました基本計画で、一番肝となる施策だと理解しております。国交省では、来年度の予算を現在 4,000 万円ほど要求していただいており、そこでいろいろな検討をすることになっております。厚労省も一緒になって協力していくことになっており、 12 次防よりも更に1歩進めていきたいと思っております。しかし、 12 次防のときに今から振り返れば少し書き過ぎて十分に対応できなかったということがあって、「関係者の理解の促進」と書きましたが、委員の御指摘がありましたので、もう少し前向きに書けないかどうかを別途御相談させていただきたいと思っております。気持的には、一生懸命やることを考えております。

 それから、一人親方の災害防止も、基本計画の中で重点の施策として位置付けられております。私どもも、従来の労働者の保護の枠を超えて、今後進めていこうという気持ちです。一人親方の実態の把握をどのようにするのかという御質問だと思いますが、私どもは既に一人親方の死亡災害については局署を通じて情報を取っており、簡単な分析も幾つかやっております。少し紹介しますと、例えば一人親方の死亡災害等の場合は、墜落・転落災害が 60 %ということで、労働者の割合が 45 %ぐらいですから、労働者に比べて更に墜落・転落災害の割合が高いです。それから、死亡災害のうち、 60 歳以上の高齢者が占める割合ですが、一人親方については 61 %、労働災害は 32 %ぐらいですから、一人親方の死亡災害は高齢者が高いという分析も既にできております。こういった分析を更に進めていくことが1点です。

 もう1つは、年内に一人親方等を対象に、労災保険特別加入の勧奨に関するリーフレットを配布する予定で作業を進めており、間もなく出せると思っております。このリーフレットの中で、一人親方等へアンケート調査をしております。この中で、例えば一人親方の皆さんが安全衛生教育として学んでみたいことは何ですかといった幾つかの質問項目を設けており、御意見を伺うことにしております。こういった取組を進めて、一人親方の災害防止のニーズに合った適切な対策を、今後進めてまいりたいと考えております。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○漆原委員 2点発言させてください。1点は、化学物質について、 20 ページの ( ) のポツの2つ目です。この記載を読んでいきますと、「無害であることを意味せず」というのは、そのまま有害であるおそれがあるのとイコールに見えます。であれば、「有害のおそれがある」と同意義であるため、記載を少し整理すべきではないでしょうか。また、危険性・有害性が不明で、影響を否定できないということならば、これは防災計画ですので、当然、労働者のばく露防止を一定程度実施するということで、リスクの低減を目指すべきではないかと考えます。そうすると、単に指導・啓発にとどまらず、そういった対策が必要なのではないか。その記載の上に、「胆管がん」の記載があります。1、2- DCP の高濃度のばく露による「がん」ですから、その流れで見ると、高濃度ばく露にならないような対策が必要であると読めるような気がします。ですので、指導・啓発よりも、まずはばく露防止をここに入れたほうがいいのではないかと。それが、換気か保護具かどうかは別にして、労働災害を防止するという観点からすれば、また、亡くなった方や遺族の思いからすれば、危険性・有害性が不明だからといって高濃度で使っていいということではないことに加え、一定のばく露防止策について記載していただけたらなというのが1点です。

 もう1点は、案件自体は 11 ページの ( ) の林業についてですが、2つ目のポツに「労働災害の防止対策についての指導の充実を図る」という記載があります。御存じのとおり、林業においては筋肉を要する作業や不自然な姿勢での作業、体に負担の大きな作業は今でも多く存在しております。さらに、近年、新規の就業者はそれなりに入ってはおりますが、既存の労働者の高齢化も進展をしておりますので、そういった高齢者が働いているという特性に配慮した安全衛生対策の強化を、是非この指導の中に加えていただきたいです。以上、2点です。

○奥村化学物質対策課長  20 ページの下の ( ) のポツですが、ここに書いた本来の趣旨は、化学物質を作るメーカーなり輸入する方が、 663 物質はラベルを付けたり SDS を付けなければいけない対象になっておりますので、それがコストが掛かったりするということです。それを避けるために、 663 以外の物質であって、有害性情報や安全性のデータが十分ないものに回避行動というか、そちらのほうにいくことが懸念されております。それは、 663 物質をどんどん拡大していけばいいという対策まで講じてきたわけですが、危険ドラッグのいたちごっこのような面があり、なかなか対応し切れない状況です。本来、化学物質を供給する方は、安全性と有害性を確認して、責任を持って分類して提供するという考え方が、欧米ではとられています。化学物質のユーザーの多くの方は、化学物質の毒性について十分知識がありませんので、ラベルがないから無害なのだという思い込みが、まだたくさんあります。それが、化学物質に対する知識、教育として一番必要なのではないかということで、ストレートにこういうことを書いています。

 化学物質の有害性が不明なものについても、データがなくて有害か安全か分からないものについては、やはり安全側に対応してもらうことは必要だと思いますので、災防計画でどう書くかについては、また御相談させていただきたいと思いますが、今のような考え方でこれをまとめていると御理解ください。個別の通達等で、今でも粉状の有害性が定かではないものについても、なるべくばく露は避けるようにとの通達を出したところです。

 化学物質が有害と無害のものに分かれると思っている方がたくさんいて、本当はまだもっとグレーゾーンのものがあります。基本的には、化学物質対策の一番前に書いております欧米のように、全ての危険有害なものに GHS 分類をして結果に基づいて付けると、そこまで事業主の方が責任を持ってもらうのが基本だと思います。それに向けて、今、取り組んでいる状況です。

○縄田建設安全対策室長 委員の御指摘は、林業安全を検討するに当たって、林業労働者の構成や、林業労働の実態等を十分踏まえて検討すべきという御意見であったと思います。御指摘のとおりだと思っております。私どもは安全施策の検討に当たっては、対象とする作業や災害の実態等を把握して分析することが重要であると考えております。ちなみに、林業の年齢構成について、資料が古いですが紹介いたします。高齢化が進んでおりますが、林野庁で「緑の雇用」という事業を進めています。実は林業では、比較的若い方の割合が増えてきています。 65 歳以上の割合は、平成 12 年では3割を超えていたのですが、今は2割ぐらいになっています。一方、若い方は 35 歳未満ということで定義してありますが、 18 %ぐらいまで増えてきているということで、引き続き高齢者も多いのですが、若い人も増えているという実態があります。私どもは、近く林業の伐木作業の安全対策について、専門家による検討会を立ち上げて、安全対策について検討をすることにしておりますが、委員の御指摘の点を十分踏まえて検討してまいりたいと考えております。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○山口委員  20 ページの ( ) の有害性評価、発がん性を中心にしてということで、これは具体的にどなたがどういう形でこれをやっていくかという方向性を、厚労省として何かお持ちでしたらお伺いしたいと思います。それから、その次の ( ) ですが、例えば胆管がんなどの発がん性の問題が最近いろいろと出てきました。ほとんど奇跡的に見付かった、偶然がたくさん重なって見付かったというようなことで、本当に遅発性の健康障害をきちんと把握しようと思ったら、そういう事例に頼ると同時に、やはり統計的にどうかというような見方もしないと、なかなか検出が難しいのではないかと思います。その辺りを、例えば法制化されたがん登録と連携を考えるとか、何か一工夫いるのではないかという気がしますので、もしその辺について御意見がありましたらお願いいたします。

○穴井化学物質評価室長 最初の御質問は、発がん性等について、どのように実施していくかという指摘だと思いますが、我々はリスク評価に関する企画検討会を開いており、そこで、どういう順番で発がん物質を優先的にやっていくかを審議していただいています。その中で、国際がん研究機関 IARC の分類に従い、 IARC の1、2 A 、2 B の順番で、まず優先順位を付けるべきではないかという提言を頂いておりますので、そういう順番でやろうと考えております。

○山口委員 検討会はとても重要だと思うのですが、今 IARC が出たので申し上げます。 IARC は、世界中から専門家を招いて、ワーキンググループを作っていろいろな評価をして、それをモノグラフのような形で出しています。やはり、事務局がかなりしっかりしているのです。情報を集めたり、評価の土台を作ったりして、それを専門家に提供して評価がなされているということですので、 IARC がそのままということでしたら、それはそれでいいのかもしれませんが、やはり評価をきちんとやっていくためには、検討会の専門家の先生とともに、事務局機能をきちんとすることが大事ではないかと思います。

○奥村化学物質対策課長 御指摘の 20 ページの ( ) の遅発性の健康障害を把握する方法ですが、この計画の案に書いてありますが、御指摘のとおり難しい問題だと理解しております。2行目に「例えば、」と書いてあるのも、これらに決め打ちするほどの自信がない表れでもあります。しかし、重要なことであると思っておりますので、いろいろな方の意見を伺いながら、また御指摘のようながん登録との連携についても、引き続き取り組んでまいり、実効のある仕組みを検討したいと考えております。

○明石委員 先ほど、受動喫煙の話が出たので、1つ意見を申し上げます。まず目標については、健康増進法の改正をもとにやられるのであれば、賛成ができないと思っています。というのは、我々がやっている安衛法の中にも受動喫煙防止対策の条文がありますので、職域の目標値を置くのであれば、それでやっていただきたいと思っています。

 もう1つは、 21 ページの受動喫煙対策の所ですが、安衛法の条文にも書いてありますが、事業場の実情に応じた適切な措置を講ずるようにと書いてありますので、それを付け加えていただきたいと思います。

 また、これは5年間の計画ですので、今は加熱式たばこというものが紙巻きに代わってかなり増えてきています。5年後にはかなり状況が変わってきていると思うので、どこかで検証するなりをしていただきたいと思っています。

○神ノ田労働衛生課長 ありがとうございます。健康増進法の改正については、現在可能な限り早期に国会に提出すべく、関係各方面と調整を続けている状況だと、担当部局から聞いております。調整後の内容については、この分科会の場にもしっかりと報告をさせていただきたいと思っております。また、本分科会での対応についても、御相談をさせていただければと思っております。

 それから、加熱式たばこについては、いろいろと情報収集をしているということは伺っているのですが、具体的にこうするという話は、まだ担当部局で検討途上だと理解しております。それも併せて、またこの分科会に情報提供等をさせていただき、適宜御議論いただければと思っております。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○佐保委員 私からは、 13 ページの上段 ( ) 産業医・産業保健機能の強化の中のマル3のチームによる産業保健活動の推進について、意見を述べます。産業医や事業場の衛生管理者、保健師だけが、個々で事業場の産業保健に関わるものではなく、産業保健スタッフというチームでの対応を推進するということについては、連合も賛同をしているところです。一方で、チームによる産業保健活動を強化するためには、産業医だけでなく、管理監督者や保健師などの育成とともに、知識、対応技術の向上を図ることが重要ですので、人材育成とともに育成後の研修体制の強化についても、併せてお願いしたいと思います。

○毛利産業保健支援室長 ただいまありました、チームによる産業保健活動の推進については、今後専門家を交えて議論をしていくことにしております。その中で、今頂いた御意見も踏まえて検討していきたいと思います。よろしくお願いします。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○縄野委員  17 ページのイの ( ) 高年齢労働者対策について発言いたします。記載のように、労働者の年齢が上がり、転倒や腰痛が増加傾向にあることを踏まえて、高齢者に配慮した職場環境改善、あるいは身体機能向上のための具体的な事例の収集、そして高齢者への安全と健康確保のための配慮事項を整理して、その普及を図るということが記載されています。再雇用、あるいは雇用延長によって、 65 歳まで就労するケースが普通となりつつある中で、今後も、職場で働く人たちの高齢化が確実に進展をすると思われます。記載内容の、高齢者に配慮した職場環境改善、そして身体機能向上のための健康づくりへの取組事例の収集といった点については、私どもも理解をするところです。 65 歳まで働くことを前提とした、高齢者が安全・安心して働きやすい職場に向けた環境整備はもちろん、高齢者自身に合った作業方法やペース、高齢者のための教育訓練などについて、これまで以上に配慮を是非お願いいたします。

○土橋分科会長 事務局側、いかがでしょうか。

○神ノ田労働衛生課長 頂いた御意見を踏まえて、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○増田委員 2点あります。まずは、数値目標の3ページ目の一番上です。ストレスチェックの集団分析、その計画を活用した事業場の割合 60 %以上ですが、事業者によってはストレスチェックでない別のアンケート調査などの結果に基づいて、職場環境改善などの取組を行っています。ストレスチェックに限定されてしまうと、ストレスチェックが義務化される前からそのような取組をしていた事業者が報われない数値目標になるかと思われますので、そこについての配慮があったほうがいいのではないかというのが1点目です。

 もう1点は、しつこくて恐縮ですが、先ほどの両立支援のお話で、山口委員と田中安全衛生部長の御発言を、そういう考え方もあるのかと思って聞いていました。両立支援は、文字どおり基本的には私傷病の人に対する支援だと認識していました。そこで、先ほどの労災防止という観点が出てきますと、今度は事業者側がしり込みするようになるのではないかと思います。せっかく両立支援で、文字どおり両立できるはずの人たちが、労災になってはいけないという観点から、かえって就業の機会が削がれるようになるのではないかというところを懸念しました。これは私の杞憂かもしれませんので、それについて何か御意見を頂ければと思います。

○土橋分科会長 2点頂きました。いかがでしょうか。

○田中安全衛生部長 御指摘のように、施策の位置付けといいますか、ニュアンスは、特にこの両立支援というのは微妙ですし、重要だと思っています。そういった意味で、今のご指摘では杞憂とおっしゃいましたが、事業者としての責任感から萎縮効果が生ずるような危惧がないわけではないと私も思っております。その点については、様々な形で誤解のない表現や考え方の整理をしないといけないですし、問題の性質上やむを得ない部分については、様々なアドバイスや支援、工夫を補助的に組み合わせないといけないと考えています。

 もう一度元に戻りますと、先程治療と仕事の両立という施策は、労災という非常に小さい部分だけでなくて、私傷病にわたる部分であると申し上げました。恐らく労働政策を超える部分もあり、医療の場面との接点も非常に大きいです。今おっしゃったように、事業主がどう行動するかという部分についても配慮が必要なのですが、恐らく関係する医療関係者などがどのように行動してくれるかも、慎重に見極めながら進めないといけないと思っております。ガイドラインをしっかりとお作りいただいたということは、誤解やしり込みといったマイナスの要素をかなり削減できる1つのターニングポイントであったのだと私たちは思っております。逆に言うと、ガイドラインがあったから今の議論ができていると言えるぐらい、非常に重要であり、基本的な考え方の整理を頂いたと思っていますので、そこを出発点にし、大切にしながら膨らませていきたいと思っています。

 こういう大きな議論を始めて、それほど時間がたっているわけではありませんので、まだまだ未熟な部分もあります。その辺りについては、是非忌憚のない御意見を頂き、必要であれば様々な修正をしながら、趣旨としては非常に必要なことだと私自身は思っていますし、そのようにおっしゃっていただける方も多いですので、進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。その点については、しっかりとこの場でも議論させていただければと思っております。

○毛利産業保健支援室長 1点目の集団分析と、事業場の割合の目標についてです。委員がおっしゃるように、確かに他の方法もあることは承知もしております。我々としては、このストレスチェックを法令に位置付け、それを努力義務としていることからしても、やはりこれをしっかりと普及していくことをまず考えたいと思っております。行政の施策としても、事例の収集、あるいは助成金の対象にもしておりますので、そうしたものを通じて事業場の取組の促進を図りたいと考えておりますので、御理解賜りたくお願いいたします。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○明石委員  12 ページの産業医の件です。 ( ) の産業医・産業保健機能の強化ということで、これは9月の建議に出したものと同じような文章になっていると思います。ひとつめは、誰がやるのでしょうか。建議は、事業者だと思うのですが、ただ事業者にすると後半が全然違う話になってくるのですが。

○毛利産業保健支援室長  12 ページの1番目の主体という御質問ですね。

○明石委員 はい。建議では、「事業者は」で書かれていて、最後が「体制整備に努める」という努力義務で終わっていると思います。なぜかというと、この健康相談が全事業者にできるわけではないので、そうなったと記憶しているのですが、急に強化をされると非常に戸惑うのですが。

○毛利産業保健支援室長 では、建議を踏まえて精査したいと思います。

○明石委員 もう1点は、これも先ほど出ましたが、 14 ページの真ん中辺りの兼業、副業とテレワークの所です。テレワークはいいのですが、兼業、副業については、後半の健康管理の一体的かつ継続的な管理と労災の問題が全て収まっていかないままに拡大をされると、事業者にとっては非常に困る話になってきます。これは少し書き方を工夫するか、兼業、副業については落としていただきたいと思っています。

○神ノ田労働衛生課長 ここでの記載では、「方策を検討する」としています。ご指摘の点も含めて、関係者の御理解を頂けないと進められるものではありません。先ほども申し上げましたが、今別途、検討会で議論されておりますので、その動向をしっかりと見極めた上で、対応を考えていきたいと思っております。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○山口委員 先ほど増田委員がおっしゃった両立支援のお話ですが、今、がんの患者さんに大変大きな焦点が当たっています。多分、本来的な両立支援というのは、非常に幅広いいろいろな病気だと思うのです。ですから、がんの患者さんで考えると「えっ」という感じになるのです。先ほど例としてメンタル不調を挙げましたが、メンタル不調そのものは私傷病で、明石委員はそんな人は働いていないとおっしゃいましたが、普通に働いていて、それをきちんと把握して産業保健が対応しないと、私傷病から作業関連の病気に進んでしまうおそれがあると思うのです。そういう病気がメンタル不調に限らず、たくさんあると思います。ですから、もう少し幅広く見ていただくと、多分この防止計画に相応しいような状態もあるのではないかと思いますが。

○明石委員 今、先生がおっしゃったのは、私の言ったことを誤解されています。要は、治療と仕事の両立支援で、病気の方を復帰させるという問題で言った話です。今、やっている人がどうのこうのと言ったつもりはありません。ここに増悪させないようにと書いてありますが、そのような増悪が見込まれるような方はなかなか復帰できないのではないですか、と申し上げた話です。誤解のないようにお願いします。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○増田委員 健康管理と健康確保、それから支援と、幾つかの用語が入り乱れて、余り整理ができていないのかなと感じます。その辺りも、誤解や混乱のもとになるのではないかと思いますので、これからの議論で整理していただければと思います。

○土橋分科会長 御意見頂きました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日の本件の議論はここまでといたします。本日の皆さんの意見を参考に、事務局で修正案を用意いただきますので、次回、引き続き議論をしていただきたいと思います。また、本日の議論に上がらなかった御意見についても、次回議論の参考のために、随時事務局にお寄せください。

 なお、既に事務局に指示して、皆さんに御案内しておりますが、第 13 次労働災害防止計画の議論の参考のため、来る 11 14 日に東京電力福島第一原子力発電所の視察を予定しております。私は所用のため参加できませんが、御参加できる方は是非現状を把握いただき、今後の議論にいかしていただければと思います。

 それでは、次の議事に移ります。議題2「その他」について、事務局から説明をお願いします。

○井上安全課長 資料2-1、2-2を用いて、本年9月に実施いたしました「職場における死亡災害撲滅に向けた緊急要請」について説明いたします。厚生労働省では、毎月、労働災害発生状況の速報値を取りまとめておりますが、9月に取りまとめた本年1~8月までの状況を見ますと、8月に死亡災害が急増しており、対前年比 9.6 %の増加という状況でした。資料2-1の8ページを御覧ください。月別の死亡災害発生状況を、昨年の同時期と比較して、毎月の発生の件数を見たものです。これを御覧いただきますと、7、8月の辺りで非常に急増していることが分かると思います。8月といいますと、季節的には熱中症ではないかということも考えて、1件1件中身を見たのですが、そういったものではなくて、例えば機械に挟まれたであるとか、安全帯を着用していたのだけれども、フックを掛けていなくて墜落してしまったといった基本的な安全帯管理の取組が徹底されていないというような状況が多数見受けられました。このような状況を踏まえて、9月 22 日付けで労働災害防止団体、あるいは関係の事業者団体など約 250 団体に対して、資料の3ページ目の要請文を添えて、安全衛生部長名で緊急要請を実施したところです。その内容としては、注意喚起をして、今一度原点に立ち返って、安全衛生活動を総点検していただきたいというものです。これを受けて、各都道府県労働局で特に増加したような局、あるいは各団体においても取組を進めていただいているところです。資料2-2が、9月の速報値です。急増の傾向は、若干収まったようで、9月単体で見ますと、昨年の9月より件数としては減った状況です。ただ、今後とも発生状況に注視して対応してまいりたいと考えております。

○土橋分科会長 本件について、質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、報告として承ったこととさせていただきます。

 全体を通して、何かありますか。それでは、事務局から連絡事項をお願いします。

○久知良計画課長 本日は、大変活発な御議論をありがとうございました。次回の分科会については、日程調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。

○土橋分科会長 本日の分科会は、これで終了いたします。なお議事録の署名については、労働者代表委員は縄野委員、使用者代表委員は明石委員にお願いいたします。本日は、お忙しい中ありがとうございました。


(了)

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