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2018年7月25日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第28回)議事録

○日時

平成30年7月25日(水) 9:30~11:17

 

○場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)

 

○出席者

今村主査、戸田構成員、中村構成員、松浦構成員

○議事

 

 

○今村主査
定刻になりましたので、ただ今から「第28回独立行政法人に関する有識者会議労働WG」を開催いたします。構成員の皆様におかれましてはお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日は志藤構成員、関口構成員、高田構成員、土井構成員、松尾構成員、三宅構成員、宮崎構成員が御欠席です。
次に、本日の議事について事務局から御説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
政策評価官室長補佐の加藤と申します、どうぞよろしくお願いいたします。本日は勤労者退職金共済機構につきまして、平成29年度業務実績評価及び中期目標、期間実績評価に係る意見聴取を行うこととなっております。
御意見をいただくに当たり、昨年までは全ての項目につきまして法人から説明を行っていましたが、今年からは自己評価がA評定以上の項目及び定量的指標の達成度が100%未満にも関わらずB評定であるものなど、事務局が指定させていただきました項目について法人からの説明の上、有識者の皆様から御意見・御質問をいただきたいと存じます。
それ以外の項目については法人からの説明はございませんが、御意見がある場合には議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。法人からの説明項目は参考資料9の「勤労者退職金共済機構 評価項目一覧(年度評価・期間実績評価)」の中の網掛けされているものとなります。
議事の流れとしては、「年度評価」の各項目について、一通り御意見をいただいた後、「期間実績評価」の意見をお伺いいたしますので、期間実績評価における法人の説明につきましては、既に年度評価で説明された内容は極力省略の上、御説明のほどよろしくお願いいたします。
 
○今村主査
それでは議事に入りたいと思います。本日は年度評価と期間実績評価を2段階で行います。対象となる項目は3つです。まず法人の業務概要について1、2分程度で、ごく簡潔に説明をお願いいたします。その後、事務局からも説明がありましたとおり、年度評価のうち自己評定がA評定以上の項目と、B評定で定量的指標が100%未満の項目を中心に議論いたします。まず1-2、退職金共済事業、特定業種退職金共済事業について法人から評価の要訳の記載内容を中心にポイントを絞って簡潔な御説明をお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構総務部長
総務部長の鈴木でございます、よろしくお願いします。まず冒頭、私どもの説明資料で評価の要約という資料と補足資料を用意しております。ポンチ絵です。その中にちょっと字が小さいものがございます。後で資料を使わせていただきますが、林退共の関係の給付金の実績という、A3に拡大しているものを使わせていただきます。恐縮です。
業務の概要について御説明させていただきます。資料1-1、評価の要約、1ページを開けていただければと思います。当方の勤労者退職金共済機構ですが、設立目的のところにありますとおり、中小企業退職金共済法の規定に基づき中小企業退職金共済制度の運営と勤労者の計画的な財産形成の促進の業務を行っております。
具体的な業務につきましては4番にあります。まず、中小企業退職金共済制度につきましては、一般の中小企業退職金共済制度として中小企業(常用雇用)の従業員を対象として事業主が掛金を納付して、従業員が退職したときに直接、従業員に退職金を支給するものです。また、特定業種退職金共済制度として、業種を大臣が指定しており、建設・清酒製造・林業の3業種において指定し、期間雇用されている従業員に対して、これらの方々が所持する共済手帳に働いた日数に応じ、証紙を貼付することにより、その期間雇用者が働くことを辞めた時、その方々に対して退職金を支給するものでございます。
もう1つは、勤労者の財産形成促進制度の関係です。持ち家融資制度は、財形貯蓄を1年以上やっている勤労者を対象に、勤労者本人が居住する住宅の建設や改良のための資金を事業主等を通じ、貯蓄残高の10倍までを低利で融資するという制度です。これらの業務につきましては、役職員253名、役員6名で実施しているところです。
最初の項目につきましては、理事長代理の稗田と三富理事より説明させていただきます。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
建退共担当、理事長代理の稗田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、資料の7ページを御覧いただければと存じます。評価項目としては一番上にありますように確実な退職金支給のための取組です。そのための目標として、中期目標の内容の上の○に書かれていますように、建退共については、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計との差額を全中期目標期間の終了時、すなわち平成24年度末ですが、このときから100億円程度減少させることというのが目標です。8ページを御覧いただきますと、目標100億円程度減です。定量的指標のところにありますように、実績値としては43億円程度の増加ということです。
中身については、1-1の補足資料を御説明させていただきます。補足資料の4ページの右上の表を見ていただきながら説明させていただきます。
販売貼付差額の目標には、実は私どもにとって悩ましい点がございます。一つ目は、目標が販売貼付差額の絶対額であるということです。右上の表に示させていただきましたように、証紙販売累計額に対する割合は着実に減少しておりますが、過去に累積した絶対額を減少させるということにつきましては、やや困難な面もございます。
2つ目は、販売貼付差額が証紙販売額に左右されることです。証紙販売額は3段目にありますとおり、近年は増加傾向にあります。
なお、最近、新規加入者につきましては平成26年度以降やや減少傾向です。証紙販売額の増加は主として既存の加入者への証紙貼付額が増加していることによるもので、平成29年度には、手帳に250枚貼り終わったことにより手帳を更新するのですが、これが平成28年度に比べて5.2%増加しております。数値目標としては達成はできませんでした。ただ、重要なことは評価項目の表題に表わされているとおり、確実な退職金支給を行わせていただくことであろうかと考えております。
5ページ、長期未更新者対策です。上の四角に、現状と従来の長期未更新者対策を記入しております。3つ目の○ですが、生年月日等が未登録となっている被共済者に対する生年月日等の入力作業を実施し、被共済者220万人余りについて生年月日等のシステム登録作業を完了とあります。この作業は平成25年度に開始し、28年度に完了いたしました。これに基づいて、具体的な対策を講じていく必要があるわけです。2つ目の○ですが、従来、行ってきた長期未更新者対策というのは、過去3年間手帳更新のない被共済者の方々を対象とする。すなわち、未更新になって4年目の方々をまず調査するということです。その上で、更に2年間手続が行われない方々を対象としてフォローアップ調査を実施する。これは6年目の方々を調査するというものです。その時点を超えた方々への対策は従来、必ずしも十分でなかったところです。
そこで下の枠の平成30年度以降の取組です。まず、2つ目の○ですが、長期未更新者のうち75歳に達した方々で、かつ住所が把握できている被共済者の方々に対して退職金請求勧奨を実施するとともに、70歳に達した方々については掛金納付状況等を通知させていただきます。さらに、次の○ですが、集中的な広報活動を実施していく。こういうことを通じ、平成30年度以降の取組として、長期未更新者数を減少させるという数値目標の達成に取り組んでまいりたいと考えております。
1ページ戻って4ページを御覧ください。一番下の紫色の枠ですが、現在、証紙を手帳に貼るということで証紙貼付方式で制度を運営しているわけです。証紙貼付方式について証紙の貼付状況の把握ができないことという記述があります。これはどういうことかを御説明させていただきますと、左上に、証紙販売から順に3つ並んでいる図があります。これは手続の流れを示しています。証紙販売から貼付の確認までの過程においては、元請け・下請け関係がある場合には元請けから下請けに証紙が交付され、交付された証紙を下請けが手帳に貼付する。手帳に250枚を貼り、終わった段階で手帳が更新されるわけですが、始まりの証紙販売と、終わりの貼付確認の間の過程に従来、基本的には機構が関与してこなかったわけです。その結果として、仮に事業主の方の手もとに証紙が余っている。そういう現象があったとしても、なぜ余ったのかが十分には分からないという状況でした。そこで、私どもは現在、電子申請方式を実証実験で取り組ませていただいております。7ページです。1.検証する手続ですが、(1)掛金納付をペイジーで行うというものと、(2)電子システムによる就労実績報告があります。事業者は機構の電子システムで就労実績を報告する。さらに、機構は就労実績に基づき退職金ポイントを掛金として充当するということです。機構は、この電子申請方式の下では、どの工事で、どの事業者から払い込んでいただいた掛金が、どの労働者に当てられたかをリアルタイムで把握することが可能となってまいります。これは確実な退職金支給に資するものとして取り組ませていただいております。このような実証実験について、下に記載してあるように、19社の御協力をいただいて現在進行中です。6月までで、一応の段階に達したところですが、全体としては順調に進展しております。電子申請方式の実現に向け、私どもとしては取り組ませていただきたいと考えております。
私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
ありがとうございました。ただいま御説明がありました事項について御意見、御質問等がありましたら。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
すみません。
 
○今村主査
すみません、失礼しました。続けて報告お願いします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
清酒製造業、退職金共済を担当しております三富です。補足資料の8ページの「参考8」に、清酒製造業退職金共済事業における長期未更新者対策について御紹介させていただきたいております。清退共につきましては、数値的な目標ではなく、取組を行うという定性的な目標です。緑の枠の中の長期未更新者対策のところにありますように、昨年度は建退共と同じように、これまでは未更新の期間が3年経過した4年目の方々を対象に調査をしておりましたので、そもそもの調査対象となる方が毎年度20名前後しかいらっしゃらなかったのです。その結果、下の表にありますように、赤枠で囲ったところを見ていただくと、長期未更新者数の減少についても、27年度、28年度は、対前年度0.5%増だったり、0.1%減で、余り成果が見られなかったことを踏まえ、昨年度は平成28年9月末時点の在職者で3年以上共済手帳の更新手続を行っていない方々全てに対しての実態調査を行いました。人数にすると、1万4,142人で、共済と被共済者の全体が1万5,507人ですので、ほぼ悉皆調査に近い調査を行いました。その結果、下の水色の表に戻っていただくと、平成29年度の長期未更新者数はマイナス5.5%減で、人数では178人の減少ということで、一定の成果が見られたと考えております。
その下の緑の表に、退職金支給件数の変化を経年的に5か年分を載せております。29年度の赤枠で囲ったところを御覧いただきますと、29年度に調査を行いました結果、退職金支給件数が大幅に増加し、526件です。これは率にすると、253%の増でした。
他方、支給金額は1.9億円で、16.9%増ということです。28年度と比べますと増加しましたが、その下の平均支給額を見ていただくとお分かりのように、これまでは1件当たり平均108万円程度だったのですが、請求に至っていなかった小口の請求額などもかなり多うございました。それらがかなり増加したため、1件当たり35万9,000円という支給額になりましたので、件数の増加ほど支給金額のほうは増えることもなく、手元の資金が不足することもなく対応できたという結果です。
今後の対応ですが、今回の実態調査において住所不明であった方がかなりいらっしゃいました。5,000人以上いらっしゃったのですが、そのうち、住基ネットを活用いたしまして探索が可能である現住所が分かっている被共済者が830万人いらっしゃいますので、住基台帳に照会して、これらの方々で、氏名と生年月日が合致する方(286人)の住所が判明しました。これらの方々が氏名と生年月日が同一の全く別人の可能性もありますので、それぞれの住所を、関係の団体、具体的には杜氏組合がネットワークを活用して非常に協力をしてくださり、今は息子さんの所にいるとか介護施設の住所であるが本人に間違いないというような情報提供をしていただきつつ、現在、フォローアップ調査を実施しているところです。
既に、住所不明であった830人のうち、今日現在で47人の方に連絡が付き、請求に至った方が20名いらっしゃいますので、引き続き、今年度もフォローアップ調査を行ってまいりたいと考えております。私からは清退共の御説明です、以上です。
 
○今村主査
ありがとうございました。それでは御意見、御質問等ございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○中村構成員
非常に困難な状況の中で、いろいろと取り組まれている御報告をいただいたわけです。構造的に、どうしても難しい一面に対して、システムそのものを電子機器といったものに変えたという話をいただきました。ただ、それによって、これからどうなる見込みだとかいう話はありませんか。今こうやりましたということは伺いましたが、今後、今まで改善されなかったことがどうなるのかというあたりをいただけますと、ちょっと評価も変わるかなという気がします。いかがでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
電子申請方式ですが、これは証紙を貼るということが法律に規定されております。したがって、今、実証実験ということで現行法の下で実施させていただいておりますが、本格的な実施のためには法制度上の手当が必要になってまいります。それは今後ということになってまいりますけれども、ただ実証実験等の過程で、私どもも多くの事業社の方々と意見交換をさせていただいております。そこで、事業者の方々から実際、手元に証紙が余るという話も多数伺っております。
ただ、実際には証紙が余るということは元請け段階で余っているというケースを比較的多く聞きます。元請けの方に、なぜ余るのかを伺ったら、「証紙の請求が下請けからないからです」という答が非常に多く上がってきます。
ただし、実はこれは私どもの取組み不足の点も多いのですが、下請け企業、一線の専門工事業になりますと事務担当の従業員が1人、あるいは家族でやっていますとか、事務処理体制が非常に脆弱なところがある中で、実は建退共の請求をするための用紙は元請けごとに全てバラバラだと、そのような現状もございます。そういう現状がありますので、少なくとも、この電子申請に先立って請求様式の統一をしようということで今年の末に向けて取り組んでおります。そういうことを一つずつ行いながら、建退共で退職金の充実に向かうように、そのような取組をさせていただきたいと考えております。
 
○中村構成員
現状の不備をいろいろと直していますということは分かるのですが、全く展望がないような気がするのです。貼付方式そのものが前近代的であって、制度的な欠陥といいますか、問題点があるのではないかと思っています。それを解決する意味で、「実験段階だ」というお話がありましたが、今後に対する何か展望がないのでしょうか。
実験されたのですから、実験するに至った理由、やはり「こういうような改善が図られるはず」とか、何か見込みがあったのだと思います。その辺を、きちんと伝えてほしいなという気がします。今の回答には全くそれがなかったので。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
補足説明資料4ページを御覧いただければと存じます。4ページを御覧いただいて、一番下の紫の点ですが、現在の証紙貼付方式については現実には労働者の方々が手帳を持たずに事業者のところに預けていること、更に事務が煩雑であること、更に証紙の貼付方式の把握ができないこと、証紙の過不足が生じること、こういうことで労働者の退職金の充実を図る上で障害になっていると考えております。
電子申請方式を導入するに際しましては、これらの問題について、例えば手帳を持たないことが多いことについては手帳1冊に加えて副本を労働者の方々用に準備するとか、あるいは事務の煩雑さにつきましては今回の実証実験でもかなり事務の合理化全体が図られるのではないかというお答えも見られております。そういうような検証結果を、実は今年中にまとめて厚生労働省に御報告させていただくということにもなっております。さらに、証紙の貼付状況の把握につきましては、先ほど御説明させていただいたように、電子申請方式の下では可能となってきますし、かつ証紙の過不足についても、その原因究明により相当対応が可能になってくるかと思います。そのようなこと一つ一つを通じて全体としては改善が図られるかと存じます。ただし、一点だけ補足させていただきますと、現在、建退共の退職事業では、中小や零細企業の多くはパソコンも持っていないとか、パソコン操作はとてもできないというような声も聞いております。電子申請が導入されるとしても、当分の間は電子申請と証紙貼付を併存させる必要があるのではないかと考えております。
 
○中村構成員
ありがとうございます。目標に対しての実積というのは全く評価できないと判断せざるを得ないと思います。しかし、それに対していろいろと工夫をされている、対処のために努力されているという点は評価できるのかなという気がしております。その辺をどのように判断するかということかと思っております、御説明ありがとうございました。
 
○戸田構成員
御説明ありがとうございました。この点は、もう数年、会議で議論している、なかなか悩ましい問題ということはよく把握しておりますので、先ほどの構成員の意見とほぼ同じです。幾つか確認のために質問をさせてください、質問が2つあります。1つは、補足資料の4ページの一番上の箱の所に、販売貼付差額の説明を詳しく書いていらっしゃるかと思います。その中に、販売貼付差額を1から5まで分割されて、推計額も出されている中で、3の事業主の長期保有分というのは、先ほどの御説明では元請け・下請けの関係の元請けが持っているという部分も含まれているという理解でよろしいのかという点が1つです。
もう1つ、同じ資料の5ページ目、長期未更新者対策ということで、いろいろとやられていらっしゃるというのはよく理解しているつもりです。一番上に、平成29年度末現在36万9,592名という数字が載っております。こうしたデータというのは過去もお持ちなのか、過去のデータもお持ちであれば、その推移がどうなっているかについて教えていただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
まず3の事業主の長期保有分ですが、事業主がなぜ保有するかといいますと、実は公共事業の場合には工事の額に応じて契約時に一定金額の証紙を購入していただく、そのような御指導をいただいております。その結果として、公共工事で一旦買ったものが十分に配られなかったり、あるいは対象労働者がいないとか、そういう状況があった場合には事業主の手元に余るという状況になっております。
実は1、2、4、5については、ある程度それぞれについて推計が年間の購入額から見て大体このぐらいかというのが分かるのですが、3については、全体として全部の差額で出させていただいており、ここはなかなかよく分からない。ただし、例えば廃業や倒産された場合には、そこの手持ちの証紙を私どもが買い取らせていただいておりますので、多少出てくるということから、ある程度の金額はあるのかと思っております。
長期未更新者数の推移です。実は、システムを十分に整備するということを行い始めたのは最近です。従来、御説明させていただいた数字では、平成18年度末で約41万人という数字を示させていただいたことがあります。ただし、その時点での数字は、実はちょっとシステムが整備されていませんでしたので、推計に止まったということで、きちんと数字が出てまいりましたのは平成26年度末で、36万6,821人という数字が出ております。27年度末や28年度末の数字もございますが、29年度末には36万9,592人という状況です。
 
○戸田構成員
御説明ありがとうございました。そうしますと、長期に更新者の人数というと、ほぼこの平成26年のテデータが、ほぼ29年度末と同じですので、それほど変わってないということですかね。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
私どものほうは、そういうふうに理解しております。微増というような感じでございます。
 
○戸田構成員
ほぼ横這だというところを考えても、なかなかこの項目は評価が難しいといいますか、やはり建設業に従事されている方が増えているので、この4ページの表でいうと1,2の所が増えているので、その分、差額で見ると増えてしまうというのはどうしても起こらざるを得ないですし、この第3期の中期計画を立てた当初では、ここまでオリンピックも開催されるですとか、恐らくオリンピックが開催された後も、都市の再開発とかは、まだまだ終わりそうもないですので、建設業の需要というとろは、労働需要というところは、まだ一定数あるというところもありますので、そういったところは加味して評価せざるを得ないという意味では、こうした評価は妥当なのかなと思います。以上です。
 
○今村主査
よろしいですか。今の質問に関して、同じ4ページで、ちょっとお伺いしたいのですが、この右上の周辺を緑色に塗ってある所の差額、証紙販売累計額に対する割合、証紙販売額なのですが、証紙販売累計額に対する割合というのは、15年が11.9で、ずっと減ってきているのですが、これは何を何で割ったのですか。どういう意味を持っているのかというのをもうちょっと説明してください。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
絶対額でなくて、全体の割合で見れば減っているという、それだけの数字です。
 
○今村主査
ここには数字はないですよね。販売累計額はないですよね。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
そうです。
 
○今村主査
すごく単純な比較なのですが、販売額が増えている中でやむを得ないという議論のときに、証紙販売額を見ると、平成15年と平成29年は、ほぼ530億円で同じなんですね。それに対して差額は1,392億円~1,219億円で、約100億円ほど減っているということです。そういう単純な比較もできるのですが、この頃に比べると、機構の御努力はいろいろと、住所の把握とか、いろいろなことをやって、より具体的な細かなところも、かなり分かり始めているというように解釈してよろしいでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
御指摘のように、平成15年ぐらいから、こういうようなことに対して取組をしようという認識を持って、いろいろな対策を講じてきました。平成24年度ぐらいまでは、ある意味順調に減ってきた。ただ、そこには当時、販売額が減っているというのも相まって、更に減ってきたところもあるわけですが、例えば1から5で示させていただいたように、4の長期未更新者の手帳情報、これは長期更新者の方が請求されれば別ですけれども、1冊目の手帳だけを持って退職した方が、その分というのは戻ってきたり、退職されてしまうと戻ってくることがないわけですので、なかなか累積したものを減らしていくというのは、困難な点があって残念ながら、この29年度末では増えていると、そんな状況かと存じます。
 
○今村主査
ありがとうございます。やはり先ほど、元請けごとに手帳がばらばらとか、非常に困難な状況が山積みの中で、ここまでいろいろ御努力を積み重ねて原因の追及をされているということは、とてもよく分かりました。一方で、建設業に関しては、ちょっとここにはあまり国籍については触れていないのですが、外国人の雇用が随分増えている中で、住所の把握とか、本人把握というのが逆に困難になる要因とか、可能性がないかどうか。その辺は、人材の多様化に対して、どのように見通しを持っておられるかということですが。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
従来は登録のときに住所まで必ずしも求めていなかった。そういう状況がありますが、最近はそれについて住所も確実に求めて、加入のときに記述していただく。そのように変えておりますので、その点については、従来加入した方々については必ずしもまだ十分でない点はありますが、更新の機会等を通じて、その点を改善していきたいと考えております。
 
○今村主査
分かりました。東京オリンピックの工事等で、今後ますます増えるであろう建設事情に対して、人材も多様化していると。それに対しての対応は、登録時の住所把握ということで対応可能ということですね。分かりました。
それからもう1つお伺いしたいのですが、参考資料の7ページ、補足資料の7ページになりますが。すみません。その前に、5ページの緑色の真ん中辺りに、先ほどから強調されていますように、システム登録作業を盛んにやりました、データベースもかなり登録しましたと。それを基にしていろいろ実証実験が可能になったと思うのですが、この登録作業というのは外注でやっていらっしゃるのでしょうか。いろいろ最近、住所登録等の外注に関して話題になっていますが、その辺はいかがでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
外注でございます。実は、この長期未更新者の調査については、従来からの業者で、近年、廃業に至った業者が担当していたという事実もあります。そこについては、やはり年金機構の問題等もあり、今後の発注については、そういう点も十分に注意しながら行っていきたいと思いますし、ただ従来、私どもが契約させていただいたものにつきましては、それほど大規模な作業を必要とするものではありませんので、従来の作業については問題点はあるというものではないと私どもとしては認識をしています。
 
○今村主査
分かりました。機構の持てる力で、あとは予算の範囲で、外注も活用しながら的確な入力を行っていらっしゃると。それによって、この実証実験も可能になったというように理解させていただきます。いかがでしょうか。
 
○松浦構成員
御説明いただきましてありがとうございます。電子申請方式の実証実験をどう評価していいのか、先ほども他の構成員の方からも御質問があったのですが、私自身もまだはっきりよく分からないというところがありまして、それに関連して2つ質問させていただきます。
まず、電子化が現実的になかなか難しい中小の事業者の方々がたくさんいらっしゃるので全面移行は当分難しいという感触を持っておられるということですが、そもそもこの実証実験の対象である下請け66社、被共済者608人は、全体のどれぐらいをカバーしているのでしょうかまずカバー率を教えていただきたいということです。
もう1つ、証紙貼付方式で必要となる事務については、建退共が事業者から受託して代行されたというところです。恐らく法規制上貼付がmustになっている中で、事務作業を一括的に受託されたということなのでしょうけれども、一括受託は、実務を今後効率化していく上で1つのヒントになるようにも思いますので、この取り組みに対する評価を教えていただきたいです。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
まず、共済契約者の方々は17万社、被共済者の方々は約220万人おられます。その意味では、カバー率はきわめて少ない。そういう状況かと思います。
それから、証紙貼付については、電子申請といいながら証紙を貼っていただくわけにいきませんので、私どもが委託する受託者のコンサルタントに手帳をお渡ししてペタペタ貼る作業をしてもらっているのですけれども、集中して上がってくるときと、それほど上がってないときとがあるのですが、初めのうちは、手帳に数枚を貼る程度なら気分転換にいいかなという感じなのですが、ただ、大量になると1時間や2時間貼ることが出てきて、それについては結構な負担になるかなというようなことは伺っています。
 
○松浦構成員
ありがとうございます。これは本来でしたら、建設業者の方々がそれぞれにご負担される作業なのですよね。受託者がやっても大変だということは、建設業者がやっても同じように大変だから、なかなか貼付けがきっちりなされないのだろうと思うのですけれども、この貼付そのものについて、法改正による見直しの動きはあるのでしょうか。
 
○雇用環境・均等局勤労者生活課長
平嶋です。こういった紙業務のデジタル化というのは、今、政府全体で取り組まれております。デジタルファースト法案というのが、早ければ、この秋の臨時国会に提出されるということで今、内閣官房中心に必要な作業が行われているところです。私どもとしましては、建退共の貼付方式も、一定部分が電子化できるようにということで、その中に盛り込まれるようにということで関係部局と相談しているところです。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
すみません。実証実験の関係で補足させていただきますと、実証実験は、6月までで、もうアンケートを取る段階になっているのですけれども、特に元請けの方からは、証紙貼付方式だと証紙を送ると。証紙を送るということは、結局、下請けの方ごとに、書留にして、その発送を各社ごとにしなければいけないので、それは非常に手間がかかるので何とかしてほしいと、そんな声も伺っています。
 
○松浦構成員
ありがとうございました。
 
○今村主査
あれですよね。代行するということと、証紙を機構に預けていくということで、先ほど来から問題になっているのは、1番課題になっている3ですね。補足資料の4ページですけれども、事業主の長期保有分、そこが把握できるようになるという。ポイントはそこですよね。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
かなり進むと思います。
 
○今村主査
そういうことですよね。なおかつ、今の構成員の御指摘ですけれども、やはり未来投資戦略ということで、データ駆動型社会というふうに全体で動いているときでもありますので、そういう意味では、できるだけデジタル化に対応して遅れを取らないようにという御努力はしていただきたいと思います。そもそも繰り返しになりますけれども、こういった実証実験が可能に至るまで機構がいろいろ努力を積み重ねていると。それから、8ページの所にありますように、実態調査を徹底的にやることによって、いろいろ具体的なことが分かってきて、29年度の平均支給額が従来100万円を超える額から、いきなり35万9,000円になったと。こういうことが退職金の支給額が、小ぶりなものが多すぎて、その請求に対してインセンティブが少ないとか、いろんな状況がある中で、よく御努力されているなと思っていたのですが、その辺はいかがでしょうか、今回35万9,000円という金額が分かって。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
減少額の中には、遺族請求のものも含まれています。遺族請求をお子さんがする場合、兄弟全ての委任状を取らなければいけない手間があり、それに比べると退職金受け取り額は小さいので辞退するというような方々もいらっしゃいまして、やはり未請求に至った理由の1つに、小口であることが影響しているのかなと調査を通じて感じました。
 
○今村主査
長くは申し上げませんが、機構のいろいろな細かなデータ収集の努力によって、いろいろなことが分かってきたということで、これから引き続き継続の御努力をお願いしたいと思います。
少し長くなりましたが、次は、1-6です。お願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
続いて、評価の要約の13ページ、補足説明資料の「参考10」をそれぞれ使って説明いたします。加入促進対策についてです。前期中期計画においては、中退共、建退共、清退共、林退共トータルで、加入目標数が評価される仕組みになっておりました。それぞれの目標を掲げている中で、林退共は年間2,100人の目標を掲げておりました。その下の緑の枠で囲った所のⅡの目標と実績との比較の1番に、加入目標数がありますが、赤い字を御覧いただきますと、全体としては平成29年度は目標値に対して達成度は116%ということで、所期の目標を達成いたしましたが、その上に黒い文字で書いてありますとおり、事業本部ごとに見ると、それぞれ達成率が書いてありますが、林退共は2,100人の目標に対して1,626人ということで、達成率は77%と、目標数に届いておりません。これについて説明いたします。補足資料の参考10に移ります。林退共の加入目標については毎年度2,100人を目標として5年間で1万500人という目標でしたが、右上の水色の表にありますとおり、第3期中期計画において達成できたのは平成27年度のみということで、それ以外は80%前後の達成率となっており、トータルも88.8%となっております。
原因については後ほど説明いたします。加入促進対策としては、下の水色の枠で囲んでいる内容について取り組んでおります。例えば林退共では、事業主団体や個別事業主に対する周知・加入勧奨を行い、事業主や業界団体の会議に参加させていただき、5年間で71回ほど開催いたしました。また2つ目の○にありますように、林野庁の国有林野事業受託事業体に対しては直接加入勧奨を行い、5年間で未加入だった284事業所のうち26事業所の加入に至るといったような勧奨の取組を行ってまいりました。その1つ下に、林野庁の取組も連携した取組として行っていただきましたが、1つ目の○の「緑の雇用」現場技能者育成対策事業については、平成26年度補正予算で退職金共済加入を必須要件として、従来これまでは1年目までの研修生が助成対象でしたが、3年目までの研修生も、社会保険料等退職金共済制度の掛金についても、補助対象としていただくといった取組をしております。この退職金共済加入については、林退共を特定しているわけではなく、林退共等ということで、例えば自前の退職金制度や中退共などの制度であっても構わないという仕組みになっております。
今後の取組ですが、一番下にありますように、森林経営管理法は平成31年4月から施行されるとともに、その財源の裏打ちとして、森林環境譲与税の譲与開始が、同じく平成31年度から始まるといった新たな動きが始まっております。従来、経営管理が行われず放置されていた森林なども間伐や素材生産、再造林等の対策が促進されるのではないかと考えておりますし、規模の小さい林家さんの経営規模集約の動きも進むと見込まれております。こうした新たな森林管理システムを担う意欲と能力のある林業経営体の選定が、今、各県、市町村で行われております。来年4月以降に、これが公表されると伺っておりますので、こうした方々は既に共済契約者となっていただいている方々も多いとは思いますが、新規参入も見込まれますので、引き続き林退共加入の働き掛けを積極的に展開していきたいと考えております。
加入が思わしくなかった原因について、我々として分析した結果について説明いたします。「参考11」です。1つ目のポツは、林退共の対象労働者は、林業の現場で期間を定めて雇用される労働者の方々ですので、我々の加入の被共済者数は、林業の新規就業者数と期間雇用労働者の割合にも大きく影響を受けております。この林退共の新規加入被共済者の新規就業者に占める割合(「林退共加入シェア」)については、おおむね新規就業者数の6、7割の水準で推移しております。左下の図1のグラフを御覧ください。緑の帯グラフが新規就業者の人数で、濃い緑が林野庁の「緑の雇用」事業による新規就業者で、それ以外が薄い緑の部分です。年齢別の林退共の新規加入被共済者の人数ですが、平成19~29年度までの推移を示しております。平成29年度の新規就業者については、秋にならないとデータが発表されませんので、そこは欠けておりますが、これを見ていただきますと、おおむね林退共加入シェアは6、7割で推移をしていることが分かると思います。この中で、平成20~24年度の第2期中期計画と、第3期前期中期計画の平成25~28年度の平均を取ってみますと、この加入シェアが67.2%が前期中期計画ですから、今期は63.5%ということで、人数の増減にかかわらず加入シェアについても若干、落ちているところがお分かりになると思います。その原因については右の図ですが、これもデータの制約がありまして、就業者全体ではデータがありませんので、森林組合雇用労働者数について、年間就業日数別の推移をグラフにしてみました。常用雇用労働者を含む通年雇用の方々は、年間210日以上就業している方々のカテゴリーになりますが、これについては、おおむね平成18年度から10年間見てみても横ばいで推移しております。第3期中期計画の平成25~28年度を見てみても、横ばいで推移しております。他方、年間就業日数150日~209日、60日~149日、59日以下の層のトータルが期間労働者になりますが、この方々が大幅に減少しており、今期の平成25~28年度を見ていただきましても、平成25年度は1万1,200人ほどいらっしゃいましたが、平成28年度は6,200人ほどに減っており、4年間で4,979人の減ということで、年間あたり1,245人ほど減少しているという結果になっております。この原因については、上の枠の中の3ポツにあるように、林業就業者に占める期間雇用労働者の割合は、季節労働である植栽や下刈りなど、主に育林業に関連する事業量が減少していることが影響しています。それ以外にも、機械化であるとか労働者確保の観点から常用に移管するといったようなことも関係しているかと思います。そうした影響で大幅に期間雇用労働者の割合が低下したことが「林退共加入シェア」の低下にも影響しているものと考えております。
林業の現場で働いている方々は日給月給の方が多く、決まった月給ではない方については我々の林退共システムが非常にマッチすることから、常用の方についても加入できないわけではないのですが、やはり制度としては、期間労働者を対象とした制度ですので、この期間雇用労働者割合の減少が林退共の加入にマイナスに作用したのではないかと考えております。
12ページは、このような背景の下で、下の表にまとめております。第1期中期計画から第3期中期計画までの新規加入の目標数と実績値を掲げております。林業を取り巻く環境は、ずっと厳しい状況が続いております。第1期についての目標達成率は92%、第2期は103%で達成しましたが、第3期は88.8%という結果です。しかしながら、その下のグラフを見ていただきますと、林退共の被共済者数(期末在籍者数)のトータルについては、平成20年度以降、ほぼ下げ止まりの感があり、平成29年度における在籍者数は約4万人となっております。そして、一番大事な運用資算残高については、平成20年度から21年度にかけて若干上向きの傾向が見られており、平成29年度の運用資産残高も150億円近くに戻ってきている状況です。その下の赤線と青線は、それぞれの年度の脱退者数と新規加入者数を比較したものです。平成8年度以降、脱退者数が常に新規加入を上回る状況が続いておりましたが、先ほど申し上げた平成20年度前後辺りからは、ほぼ脱退者数と新規加入者が均衡するような状況になっております。新規の方の加入の確保がなかなか難しくなっておりますが、今いる方々が辞めずに長いこと留まって働いていただくという傾向も同じく見られるということで、結果的に被共済者数については下げ止まりの感があります。
このように、就業者の新規加入者の確保は非常に厳しい状況ではありますが、新たな林業を取り巻く政策の変化をうまく捉えて、新規加入対策に取り組んでまいりたいと考えております。私からは以上です。
 
○今村主査
それでは御質問をどうぞ。
 
○戸田構成員
丁寧な御説明をありがとうございました。林退共の説明をしていただきましたが、定量的な指標としては加入目標は幾つか事業がある合計で見ていると思いますので、合計では目標を達成しているので、Bという評価に特段の問題はないかと思っています。その上で、林退共について丁寧に御説明していただきましたので、統計等について若干、補足的な質問をさせていただきます。補足資料の11ページ目に参考11があります。この図の1ですが、新規就業者と新規加入被共済者の比較をされていますが、林退共自体は先ほど御説明がありましたように、期間の定めのある雇用者を対象にしております。このうち、新規加入被共済者は、期間の定めのある雇用者だと推察をしているのです。一方で、新規就業者というのは、特にここは期間の定めについては、ある、なし両方含んでいるという理解でよろしいでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
そのとおりで、新規就業者についても両方含まれております。そこの内訳を示すデータは、林野庁にもないそうです。
 
○戸田構成員
ですから、新規就業者に対して加入被共済者の割合を出しているわけですが、その中には、いわゆる無期雇用といいますか、常用雇用で対象外の方もいらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
新規就業者で常用の方で、決まった月給が支払われるような方々については、恐らく林退共ではなく、中退共に入っていらっしゃるのではないかと推測されますし、林退共に入った後に月給制に移られて中退共に移行される方もいらっしゃいますので、そういった動きが新規の加入の段階から見られている可能性があると思います。
 
○戸田構成員
なかなかデータがない中でいろいろと議論するのは難しいですし、この図の2を拝見しますと、見方によっては就業日数の短い方を「期間の定めのある雇用」と見たときに、減少している一方で、210日以上の方々についてはほぼ横ばいですので、ある意味、無期雇用が増加しているので、構成比で見ると雇用が安定しているという見方もできます。そうした状況で、林退共の加入促進をするのは難しいかなという意味では、最初の話に戻りますが、加入目標全体を見て指標を作っていますので、この点についてはBという評価は、何ら問題ないのかなと、お話を伺って思いました。以上です。
 
○今村主査
ありがとうございます。いかがでしょうか。若干今の話と繰り返しになりますが、むしろ雇用環境が好転しているという良好な状況で、林退共は周辺的な部分を補うということで、シェアが少なくなっているということは逆にいいことなのかもしれません。ただ逆に、このようにいろいろと詳細にデータを調査して、対象者の状況を把握されているという努力は高く評価したいと思います。あとは、私も森林組合などをいろいろ回って見ることがあるのですが、昔は人手が歩いてチェックしていたものを、やはり最近はドローンなどを使って間伐の計画を立てたり、あるいはコンテナ苗など、できるだけ林業も人手をかけないで収益が上がるようにと努力をされていることもあります。退職金共済全体がそうなのですが、そのような周辺的な雇用の部分を支えるという意味では、逆に厳しくなっているということなのかもしれません。それは全体で見て、おおむね良好であると受け止めていくしかないのかなとは考えておりますが、機構の情報把握の努力は高く評価したいと思います。
では次に、3-1をお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
評価の要約の資料の20ページと、補足資料の「参考14」を御覧ください。累積決算金の処理について、林退共については毎年度、累損解消目安額を9,200万円と設定して取り組んでおります。その下の定量的指標の所に書いてありますように、平成29年度は9,200万円の目標に対して、実績値が2億400万円ということで、達成度が221%となりましたので、自己評価をAとさせていただきました。
補足資料の参考14についても、取り組んだ内容の主なものを抜粋して掲げております。資産運用については、中退共との合同運用を平成28年4月から開始いたしました。その結果、合同運用前の状況よりも決算運用利回りについては大幅に上昇しております。また運用コストについても、単独運用をしておりましたときは1,400万円ほどかかっておりましたが、500万円前後に減少しております。
加入促進は、先ほど説明いたしましたので省略いたします。経費削減の取組として、平成27年度より給付経理から業務経理への繰入の削減に努めており、これを1,000万予算にして削減をいたしました。平成29年度は、平成27年度以降で最も低い繰入額となっております。その下に、予算額と決算額の推移も表にして掲げております。以上、総合的に評価をして、自己評価をAとさせていただきました。私からの説明は以上です。
 
○今村主査
それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
 
○戸田構成員
御説明ありがとうございました。いろいろとデータを丁寧に説明していただくと、データについて更に細かく質問してしまうのが、大変な準備をされている中、恐縮至極です。今年は、かなり当期純利益を計上したということで、その背景としては資産運用もかなり好調であるという話と、加入促進も進んでいる、経費削減もできているという3つの項目それぞれについて、着実に進められている結果だという理解で問題ないでしょうか。3つのうち、どれが一番利益を上増ししたことにつながっているのかみたいなことについて、何かコメントがあれば、お願いします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
中期計画の補足資料、第3期中期計画、資料2-1の補足資料の参考15の15ページを御覧ください。林退共の平成26年度の財政検証を行ったときに、林退共の安定的運用を図るための改善策として、4つの事項が示され、4つの取組を行っております。やはり金額的に非常に効いたのは、3番目の資産運用で、中退共資産の合同運用開始により、平成27年度の林退共単独のときと比べて運用効率が改善いたしました。平成28年度、29年度は4.7%の金銭信託の利回りがありましたので、ここは億円という単位ですので非常に大きかったです。加入促進については取り組んではおりますが、退職金の支出と加入促進で、掛け金と退職金支払いが、どっこいどっこい、若しくは若干のマイナスといった状況ですので、やはり額として影響が大きいのは3番の取組ではなかったかと思います。
 
○戸田構成員
合同運用されているという話と、市場環境がよくなっている、株価も上がっているという要因もあるかと思います。やはり、そういった合同運用で運用コストを下げながら御助力されているところは大きいという理解でよろしいでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
おっしゃるとおりなのですが、一言、付言しますと、合同運用をやることによってパッシブができると。要するに、林退共だけですと運用ロットが140億円しかなくて、中退共になると4兆8,000億円ぐらいです。それを1つの大きなまとまりとして、4兆8,000億円を全部委託運用しているわけではありませんが、大きなまとまりとしてやっておりますので、今の相場環境では非常によかったということと、手数料も非常に安くできて、更にリスクも軽減できたということです。ただ目立たないのですが、実は機構としては2番の本部経費500万円というのは、血反吐が吐くぐらいのコスト削減です。今は林退共の人たちは、機構では清退共と一緒にやっているのです。派遣社員を入れて、全部で9人なのです。ですから、実質、正社員は部長も入れて4人でやっています。その中から500万円ひねり出すのは、かなり大変なことです。今村主査は、いろいろと森林組合等に行かれていると思いますが、そこから即ち支部の経費も500万円を削減するのはなかなか大変なことです。数字的には大きくは効いていませんが、立て直しという事を徹底する意味では、ここは結構大きかったです。
 
○今村主査
よろしいですか。ほかに御質問等はありますか。ここの検証の対象になった理由をもう一回確認いたします。達成目標は、そこにありますように、221%でクリアしているということですよね。我々が確認しなければいけないことだけ、もう一度おっしゃっていただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
確認いただきたいのは、中期期間、中期計画をトータルで見たときに、BをAにしている自己評価について、いかがかというところです。
 
○今村主査
分かりました。ここでは達成度はAということで、問題ないということですね。では、それは期間評価のほうで議論させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。あとはよろしいでしょうか。それでは、これ以外の項目について、もし何か御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。機構から、ここは強調したいということがありましたら、それも構いません。特に御意見、御質問等はありませんか。よろしいでしょうか。
次は、中期目標、期間、実績評価について御議論いただきたいと思います。繰り返しになりますが、1-2の退職金共済事業、特定業種退職金共済事業について、法人から評価の要約の記載内容で、年度評価と異なる部分のみ、ポイントを絞って簡潔なる御説明をお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
中期目標については、年度計画と全く同じ資料ですので、説明は省略させていただきます。
 
○今村主査
資料としては資料2-1を見たほうがいいのですか。一応、資料2-1の7ページになりますか。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
恐縮です。資料2-1の7ページから8ページです。資料2-1の7ページで御覧いただくと、確実な退職金支給の取組ということで、B評価で、中期目標の内容は同じで、目標値100億円程度の減であるものが実績値43億円程度の増という、8ページの中身が同様です。
補足資料で御覧いただきますと、補足資料2-1の4ページに、共済証紙の販売額、累計額と貼付確認額の累計の差額、5ページが長期未更新者対策、6ページが検討等の経緯、7ページに電子申請方式の実証実験、8ページに清酒製造業退職金共済事業に係る長期未更新者への取組と、それぞれ年度計画と同じ資料を付けておりますので、説明は省略させていただきます。
 
○今村主査
これに関しては、先ほどの年度評価のときに、かなりの時間にわたって議論したので特にないと思いますが、何かあれば御意見、御質問を頂ければと思います。よろしいですか。では、次にいきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構(三富)
資料1-6については先ほどと同じ資料を用意していますので、説明については省略させていただければと思いますが、14ページの加入目標数の所を御覧いただきますと、林退共の実績が9,322人ということで、達成率は89%となっております。トータルでは所期の目標を達成しておりますが、林退共については未達成という結果でございました。以上でございます。
 
○今村主査
これも先ほどから随分議論をしておりまして、目標は全体で達成しているということでB評価、林退共の特殊な状況については機構のいろいろな御努力を評価するということで、先ほど議論をしたところですが、よろしいでしょうか。では、最後の重要な資料3-1について、よろしくお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構(三富)
評価の要約の説明資料の21ページと補足資料の15ページをお開きください。そして、少し細かい字で恐縮ですが、林退共の17年度からの給付経理の実績をまとめたA3の資料も参照いただければと思います。
まず、評価の要約について自己評価はAとしておりますが、まず年度ごとの解消目安額9,200万円の実績については、下の緑の枠の定量的指標の表にあるように、平成27年度がマイナス1億1,600万円で未達成でしたが、その他の年についてはいずれも目標を達成しております。そして、累損解消額としては、5年間で9,200万円の5年分で4億6,000万円が目標値になりますが、これに対して解消額のトータルは合計欄にあるとおり5億2,400万円ということで、達成率が114%となっており、これは120%未満ですので、普通の基準で言うと自己評価はBになるのではないかということですが、自己評価をAとさせていただきました。その理由について、補足資料などを使って御説明いたします。
まず、補足資料の15ページを御覧ください。先ほど御説明しましたが、「参考15」に、平成26年度の財政検証時に取りまとめられた4つの改善策をまとめています。これについては、以前も御説明したので簡単な説明にとどめますが、まず予定運用利回りを0.7%から0.5%に平成27年10月に引き下げており、こちらは12年ぶりの引き下げでした。2番目が、先ほど理事長からお話した業務費用の縮減です。これも平成27年度予算以降、引き続き毎年度取り組んでいます。そして、資産運用については、中退共との合同運用の開始、そして4番の加入促進対策については、林野庁と連携を強めつつ、各業界団体と協力して取組を行っています。
A3の大きな資料の給付経理の実績の推移を御覧ください。こちらの資料は一番上が決算、真ん中が平成26年度財政検証時に行われた推計値の表、3段目が平成17年度に策定された累積欠損金解消計画の推計値となっております。
一番上の決算の表を御覧いただくと、右の赤枠で囲んでいるのが、前期第3期中期計画の実績となっていて、当期利益金の赤い欄は、平成27年度が1億1,500万円の減となっております。その原因についてですが、その下の緑の欄の責任準備金の所にあるように、平成27年度は平成26年度と比べまして、準備金額が3億6,800万円増加して150億円となっております。これは、右側の一番上の四角の欄の吹出しに書いていますが、当初、平成26年度に財政検証が行われたときは、責任準備金の単価の見直しによって、むしろ平成27年度決算については括弧内にあるとおり、平成27年度の準備金額が減りまして、1億500万円減るだろうという推計が行われていましたが、実際にその単価が見直された結果、平成27年度決算では準備金額が3億6,800万円増加しまして、逆の効果になってしまったという影響が大きかったと考えています。
下のほうに青字で書いていますのは、これはあくまでも仮定の話ではありますが、この責任準備金の単価の見直しによる影響が非常に大きかったものですから、その影響がなければ、この累積欠損金の解消については平成27年度の目標を達成しており、5年間のトータルにおきましても、おおむね190%の達成率でした。ということになれば、A評価を頂ける実績ではないかということで、責任準備金単価の見直しがなければという前提で、自己評価はAとさせていただきました。
利回り引下げが12年ぶりだったので、併せて行われる責任準備金単価の見直しも12年ぶりの見直しとなり、単価の見直しによる影響度合いが大きかったわけです。したがって、この12年分の影響がこの5年間に集約されたという形で、平成27年度のみ未達成にはなっておりますが、その他の年につきましては累積欠損金の目標を達成しておりますし、平成29年度の累積欠損金額、このブルーのラインの△5億7,200万円という金額は、その下の財政検証の表のブルーの欄、当時平成26年度の財政検証時の推計では累積欠損金は7億7,600万円と見込んでいましたが、その7億7,600万円を下回る水準まで削減を達成しています。これらのことから、114%の達成率でありますけれども、自己評価はAとさせていただきました。私からは以上です。
 
○今村主査
御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。記憶に新しいところで、今の最後の所ですけれども、財政検証時には7億7,600万円のマイナスを見込んで、それゆえに150億2,700万円という準備金になったという理解でよろしいですか。つまり、財政検証時のマイナスよりも、ずっと少ない達成だったという御説明だったのですけれども、そういう因果関係ということでよろしいですか。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
はい。財政検証時の表を見ていただきますと、財政検証時においては責任準備金の推計、累積欠損金の推計を全て行っております。平成26年度の財政検証時の責任準備金の推計は緑色の欄にありますけれども、平成27年度の143億円の責任備備金で足りるだろうと見込んでおりました。平成28年度以降も責任準備金は減少傾向で推移するという推定でしたが、実際の決算では、その上の表のとおり実際の146億だった平成26年度の準備金が平成27年度は150億円になり、3億6,800万円ほど増えております。
ですから、責任準備金の単価の改定がどのように影響するかということが、推計とは違う方向に実際は動いたことになります。恐らく辞めると見込まれていた退職者の方々が余り辞めずにとどまられたことも影響していると思います。運用資産額についても、オレンジ色の部分が期末運用資産額の推計値になっておりますが、実際の決算では平成29年度末の表で御覧いただくと、149億円になっておりますが、財政検証時の推計値では期末運用資産額が144億円に減少するという推計でした。
当然ながら、その下の新規10年国債の利回り見込みも、今は0%前後で推移しているわけですが、当時は1.0%から順次上がっていき、平成29年度は2.1%の利回りという見込みでしたので、この辺りの推計も含めて、なかなか推計どおりにはいかなかったのです。この責任準備金単価の影響が平成27年度のマイナス1億1,500万円の当期利益金に集約されてしまったと思います。
 
○今村主査
ありがとうございます。いかがでしょうか。
 
○戸田構成員
御説明ありがとうございました。この点も、数年にわたりいろいろと議論して、なかなか悩ましい問題があるというのは理解しているのですが、1点基本的な確認なのですが、平成27年度に当期利益金がマイナス100万円というのは責任準備金を積み増したからだと。その理由としては、掛金の日額の引上げが460円から470円に上がったので、その分、民間の銀行で言うと、ここは引当ての話ですかね。引当てをそれだけ多く積むということで、こうした決算になっているとは理解しているのですが、1点確認したいのは、掛金の日額の引上げというのは、財政状況をある程度健全化させるためには収入を増やすというのは当たり前な話で、その観点で引上げを行うというのは普通には考えられる話だと思うのですが、これは「12年ぶりに」とおっしゃっているのは、なかなかそこまで議論が重ねられる中で引上げに踏み切れなかった要因というのはあるのでしょうか。あと平成27年に、踏み切った背景について、もう少し詳しく教えていただければと思います。
 
○雇用環境・均等局勤労者生活課長
掛金日額の引上げについてですが、このとき財政検証の結果で、運用利回りを0.7から0.5に下げたわけですが、そうすると林業で働く人の退職金が減ってしまうということで、それが減らないようにということで日額を上げることで、身入りが減らないようにということの手当だったということです。
それから、このときの準備金の話ですが、その日額の引上げもあるのですが、この間、退職期間が徐々に長くなってきているということがあり、長く勤めることになれば準備金も積んでおかないといけないということで、これは毎回のことなのですが、利回りを変更したときに合わせて準備金も見直すということをやっておりまして、それがこのときになったということです。
 
○戸田構成員
ありがとうございます。なかなか、この数字だけを見ると、平成27年度はマイナスで、そこからうまく回復されて、平成29年度ではプラスで、かなり目標を大きく上回っているというところを、どう評価するかというのは、なかなか難しいところもあり、1つは、そういう市場環境で、先ほど御説明がありましたように、株価が上がっている中で、ある程度収益が上がりやすい環境にあるという話と、あとは機構が例えば合同運用されてコストを下げるとか、そうした取組をどう見るかという話なのかなと思いますが、やはりその辺りも、こうした検証の中でも、やはり機構の取組というのは大きかったというように考えていらっしゃるのか、その根拠についてもう一度教えていただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(三富)
資産運用の関係で、非常に低金利であったために安定した収入が得られにくい状況であったということはマイナスでしたが、逆に低金利がゆえに株価の上昇につながり、委託運用については運用利回り4%台という予想以上に好調だったという結果を見れば、市場環境の影響はプラスマイナス両面あったので、自己評価には余り関係ないかと思います。
株価の影響について享受できたのは、平成28年4月から開始した合同運用の成果です。累積欠損金を抱えている林退共が合同運用によりリスクを増すことについては、資産運用委員会でも懸念する意見もありましたが、議論を重ね、先ほど御説明させていただいた4つの取組の一環として合同運用を行うということで了承していただきました。
また、制度上、平成27年度に利回りと単価の改定を行った結果、そこにしわ寄せがきてしまったのは致し方ない面がありますので、その辺りの評価はお任せしたいと思いますが、我々としましては、次期財政検証に向けて、取組の経過を残しておくという意味もあり、このような評価をさせていただきました。
 
○今村主査
この平成27年度のC評価のときに関してですが、私も覚えているのですが、以前中退共のときに、実は市場関係が非常によくて、本来であればSなのに、これは外政的な要因だからということでAになったことがありまして、その時私は「Sでいいのではないか」と申し上げたのですが、最終的にAになったときもありまして、逆にこのCのときは、そういう意味では制度改定の外的要因で、「機構の独自の要因ではないので、CではなくてBでもいいのだ」と申し上げた記憶がありますが、そういう意味で、こういう市場の要因とか、政策、制度によって、機構の本来の活動がストレートに表れないという状況に対してどう考えるか、これは全体的な今後の課題ではないかと思うのですが、機構のおっしゃることももっともで、3億6,800万円がなければ194%と、大幅にAを超える成果であったという御主張は、それが今回のプレゼンの趣旨だと思います。それは十分に理解いたしました。
あとは、そういう市場の振れ、制度の変化をどう機構の努力に反映させていくかという重要な問題です。広い目で見れば、機構の先ほど来の少人数でも頑張っていらっしゃるとか、いろいろなことがありましたので、そういうモチベーションと言いますか、機構で働く人たちの御努力にどう報いるかという観点もあるかと思います。そういう意味で、御主張は十分によく分かったということでございます。
個人的には十分に配慮していいのではないかと思いますが、最終的には大臣評価ということなので、そちらはお任せするということで、非常によく理解できたということは申し上げておきたいと思います。よろしいでしょうか。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
ありがとうございます。本来、こういう会議というのは事前に厚生労働省さんとお話をして、本来は自己評価と皆様方の評価が一致していることが望ましいし、それに向けて一生懸命やっているわけですが、中には違うこともあってもいいのかなとも思っています。
本件について言うと、ルールブック上はBだと思います。いろいろなことがあっても、12年ぶりだろうが何だろうが、数字という面ではルールブック上はBだと思いますが、先ほどから出ているように、12年ぶりに行った責任準備金の単価の見直しで、3億6,800万円もの下振れ要因をこの5年間の評価で全て負わなければならないのかということを考えると、機構の経営に責任を持っている理事長としては、自己評価はAとしたいと思います。
一方、隣にいらっしゃる勤生課長とも議論をして、厚生労働省としては多分、全体観を考えた上での評価なのだろうなと。それを下すことについても、これは一応、厚生労働省さんも、我々が自己評価をAで出すことを認めていただいたと同じように、逆に我々から見ると、厚生労働省さんが全体観を見て評価することについて、我々も納得しなければいけないかなということだと思います。
以上をまとめますと、今後どういう評価が下ろうが、我々としてはおかしいとかそういうことではなくて、納得して受け入れさせていただくということを最後に申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 
○今村主査
ありがとうございました。それでは、期間実績評価について、今回説明がなかった評価項目について、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、続いて法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえまして、今後の法人の業務運営等につコメントを頂ければと思います。まず最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構監事(前山)
監事の前山でございます。隣におります塩田監事とともに、監査業務を行っております。私どもは、通則法に基づいて平成29事業年度の財務諸票承認日の次の日より、機構の監事に就任しております。前任監事からの引継ぎにより御報告を申し上げます。
監査報告は資料「平成29事業年度監査報告」のとおりです。当機構の平成29事業年度の業務実績及び第3期中期目標期間である平成25年度から平成29年度までの業務実績については、前任監事からの意見聴取あるいは関係書類の閲覧、役員及び職員へのヒアリング等を通じて確認しておりますが、平成29年度を含め、毎年度とも中期目標設定当初に掲げた目標がおおむね達成されており、評価できるものと考えております。
また、第3期中期目標期間中に生じた環境変化を踏まえ、組織体制及びハード面を強化した情報セキュリティ体制の強化、あるいは厚生労働大臣任命の外部有識者委員による資産運用委員会を開催し、資産運用に係る内部ガバナンスの強化を実施したことも大変評価できるものと考えております。
今後の事業運営に関しましては、超高齢化社会の日本におきまして、退職後の生活設計の基礎、基盤となる退職金をお預りする機構として、安全かつ安心できる事業運営を心掛けるとともに、制度の目的である中小企業で働く方々の福祉の増進と雇用の安定に寄与することを期待しております。
引き続き、機構としては法令を遵守し、効率的、効果的な事業運営に努めていただきたいと思います。私からは以上です。
 
○今村主査
ありがとうございます。それでは、続いて理事長からのコメントをお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
本日は、平成29事業年度並びに第3期中期目標期間の業務実績について御審議いただき、誠にありがとうございました。第3期中期目標期間を省みますと、大きな出来事は平成27年4月1日に独立行政法人通則法の改正があり、法人の政策実施機能の強化を図り、適切なガバナンスを構築していくため、当機構は中期目標管理型の法人に分類されたことです。
理事長としては、改正の趣旨を踏まえ、ガバナンスの構築に傾注し、その一環としてこの独立行政法人評価に関する有識者会議で業績を総括し、委員の方々へ説明責任を果たすことに意を用いてまいりました。
資産運用業務に関しては、実効性あるリスク管理、情報セキュリティに関しては業務系システムと情報系システムの物理的分離を行う。当機構にとっては最大のリスクファクターでありながら、民間のメガバンクのレベルから見ると遅れていたこれらの2つの分野についても、ガバナンスの構築には手が打てたと思っています。
そこで、第4期中期計画のスタートに当たり、初心を申し述べさせていただきます。4点申し上げます。
先ず、第3期中期期間見込み評価に基づき、第4期中期計画を策定しましたが、私としては良い計画が作成できたと思っております。これは先ほど申し上げましたように、機構の実績を総括し、説明責任を果たすことについて、高いテンションで臨みましたし、厚生労働省並びに有識者会議の皆さんも真剣に対応してくれたお蔭だと思っております。改めて御礼を申し上げさせていただきたいと思います。
次に、最大のプロジェクトは中退共のシステム再構築と建退共の電子申請方式導入に向けた検討ですが、先の中期計画期間中に業務型システムと情報系システムの物理的分離ができているからこそ実行できるプロジェクトであると思っています。ハードルも高く、長期間に及ぶプロジェクトではありますが、当機構の退職金共済事業を持続可能なものとして運営していくためには不可欠なプロジェクトであり、理事長としても不退転の決意で臨む所存です。
3番目は資産運用です。2年半に及ぶ資産運用委員会の議論により、実効性あるリスク管理は有効に機能し始めました。中退共については6年ぶりに基本ポート運用も改訂し、マネージャー・ストラクチャーの見直しについても10年ぶりに開始しました。今後の5年間はステュワードシップ活動を行う中で、アセットマネージャーとのエンゲージメントを通して、公的機関としての機関投資家の在り方についても検討を進めていきたいと思います。
4番目が、中退共、建退共、清退共、林退共、財形の各事業です。第4期中期目標期間から評価体系も事業本部ごとのまとまりにより評価されるようになり、予算、事業の遂行、決算、評価を事業本部という縦軸でそろえることができました。建退共については、既に理事長代理に理事長権限を委譲していますが、中、清、林、財形についても、事業本部長に任せるべきは思い切って任せる運営を今まで以上に行います。いずれの事業本部も、担い手不足並びに経営者の高齢化による廃業問題に直面しており、環境は厳しいですが、目標達成に向けて事業本部長に遺憾なく手腕を発揮してもらいたいと思っています。
以上の4点を一言で申し上げれば、第3期中期目標期間でガバナンスの背骨ができました。第4期中期目標期間は徐々にではありますが、理事長の軸足を攻めに移していきたいということであります。となると、この有識者会議に限らず、外部の有識者の委員の方たちとの会議は、理事長にとってはますます重要になってくると思いますし、そのように対応していくことは冒頭に申し上げた独法通則法の改正の趣旨にも沿っていると思います。これからも誠実に説明責任を果たしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、本日は貴重な御意見をありがとうございました。また次回のこの会議でも、よい御報告ができるように、また明日から、役員、職員が一丸となって頑張っていきたいと思います。本日は本当にありがとうございました。
 
○今村主査
ありがとうございました。それでは、ただいまのお二方の御発言内容について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいですか。今、有識者会議の効果についてお話いただきました。私も、後ろに機構の方がいっぱいいらっしゃって、理事長が御発言をするということで、ここは非常に重要な場ではないかと思います。依然としてB評価ということで、B評価が標準であるということで、機構によっては、Aを取ることは機構に働く人のインセンティブだと考えている機構が依然としてあるように見受けられますけれども、こちらの機構については、基本的にBで達成したと。その中で特に優れたものをAとして申請するという、きちんと対応してくださっていることに心から感謝申し上げます。
そして、逆にこういう所で情報整理して、そして四方八方ですか、いろいろな機構の内側、外側に対して努力のプロセスの情報を提供されるということで、それが正にインセンティブにつながっていくのだと思います。そういう御努力、御見識を非常に高く評価したいと思います。
本来、我々はここに出てくる数字だけではなくて、内側に入って、一緒にプロセスを共有しないと本当は分からないと思うのですが、今日のいろいろなデータを作っていただいて、御説明いただきまして、非常に分かりやすく機構の置かれている現状、それを取り巻く労働市場とか、いろいろなことがよく分かりました。そういう意味でも、我々にとっても非常にすばらしい機会になったと思います。今後、できる限り機構の御努力を前向きに受け止めまして、もちろんコメントするところはきちんとコメントして、双方向で共に折衝していって、我々のこの有識者会議自体もイノベーションをして、できればAを頂けるように努力をしていかなければいけないと思います。どうもありがとうございました。
よろしいでしょうか。以上で、本日の議事を終了いたします。最後に事務局からお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただいた勤労者退職金共済機構の平成29年度業務実績評価並びに中期目標期間実績評価につきましては、この後、本ワーキンググループにおける御意見や法人の監事様及び理事長様のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
最後に、構成員の皆様におかれましては、本日配布した資料の送布を御希望される場合には机上にそのままにして御退席いただきますよう、お願いいたします。事務局からは以上です。
 
○今村主査
どうもありがとうございました。それでは本日はこれで終了させていただきます。長時間にわたり熱心な御議論をありがとうございました。ずっと暑い日が続いておりましたが、今日は少し穏やかそうで、週末はどうやら台風が来るかもしれないと。非常に不安定な環境の中、経済も同じように不安定が予想される中で、当機構の存在価値がますます高まるのではないかと思います。そういう意味でも、 本日は本当にありがとうございました。お疲れさまでした。

(了)

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