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2018年7月11日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第25回)議事録

○日時

平成30年7月11日(水) 15:00~16:28

 

○場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)
 

○出席者

今村主査、志藤構成員、高田構成員、戸田構成員、土井構成員、中村構成員、宮崎構成員

○議事

 

 

○今村主査
それでは定刻になりましたので、ただいまから第25回独立行政法人評価に関する有識者会議労働ワーキンググループを開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は関口構成員、松浦構成員、松尾構成員、三宅構成員が御欠席です。
議事に入ります前に、新任の構成員を紹介させていただきます。4月1日付けで土井美和子、国立研究開発法人情報通信研究機構監事・奈良先端科学技術大学院大学理事に構成員として御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
次に本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
政策評価官室長補佐の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は労働政策研究・研修機構について、平成29年度業務実績評価に係る意見聴取を行うこととなっております。御意見を頂くに当たり、昨年までは全ての評価項目について、法人様から説明をもらっていましたが、今年からは自己評価がA評定以上の項目及び定量的指標の達成度が100%未満にもかかわらずB評定であるものなど、事務局が選定させていただいた項目について、法人様から説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。
それ以外の項目については、法人様からの説明はありませんが、御意見がある場合には、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。法人様からの説明項目は、参考資料9の労働政策研究・研修機構評価項目一覧(年度評価)中の網掛けされているものとなります。以上です。
 
○政策評価官
続きまして、私のほうから参考資料1について、ちょっと冒頭御説明させていただきたいと思います。今説明がありましたとおり、今年から有識者会議において、明らかにB評定というもの以外の評価項目を中心に御議論を頂きたいと考えております。これはB評定以外の場合に、主務大臣評価において、特に明確な評価の根拠というものを求められますので、主務大臣としても評価が難しい部分であると思いまして、その部分について有識者の方々に御意見を頂きたいと考えております。また、平成27年の独法評価制度の改正以降、評価実績の蓄積も進んできたということもありまして、今回参考資料1において、特に議論の対象としては数の多くなるであろうA評定を中心に、総務省の指針などに示された評価の考え方を改めて整理いたしました。そういう意味で余り新しいものではないのですが、今後のワーキングにおいてこの考え方を念頭に御意見を頂けると大変有り難いと考えております。ちょっと駆け足で参考資料1を説明させていただきます。
1枚目ですが、これも昨年まで御説明してきた内容ではありますが、基本的には5段階評価のうちB評定が標準となっております。特にその中でA評定を御覧いただきますと、中期目標における所期の目標を上回る「成果」が得られているのがA評定の判断基準です。更に詳しく言いますと、定量的指標がある場合については、中期目標の達成度120%以上。それから定量指標がない場合には、所期の目標を上回る「成果」というものを明確に示す必要があるとされているところです。
さらに次のページは、主務大臣による「A」評定の判断ポイントということで、先ほどの御説明を更にブレイクダウンして、今までの評価実績も参考にしながら書き並べてみました。まず1の(1)、定量指標が複数ある場合は全て達成度120%以上の場合については、基本的にはA評定となると考えられますが、そもそもの目標設定が妥当であったかという形で考え方の明示などが必要になってくると考えられます。ですので、目標数値の妥当性について先生方から御意見を頂けると有り難いと思っております。
(2)は、複数の定量指標のうち一部が達成度120%以上の場合、あるいは非常に幅広い目標で、定量指標が非常にごく一部しか定められていないというケースもありますが、その場合は自動的にA評定というわけではなくて、A評定とする場合には、その目標の重要度・優先度・難易度の検証や質的な、定性的であってもいいので「成果」、いわば「アウトカム」の説明が必要となると考えております。
2番目は、定量的指標がない場合ですが、(1)、参考指標などの実績値を用いて「成果」を説明することは可能であると考えられますが、基準値の120%を越えたから自動的にA評定ということではありませんで、基準となる実績値の設定に関する考え方が分かりやすく示されていることが必要であると考えております。その意味では、中期目標に定められたような定量指標よりも、もう少し説明のハードルが高くなるものかなと考えております。
(2)、定性的な「成果」の説明をする場合については、これは総務省からも明確な基準が示されているわけではないのですが、「アウトプット」ですね、法人の直接的な活動結果だけでは「成果」と言えるかどうか不明確とされやすいということもありまして、できるだけその「アウトカム」の説明が求められるということで、その辺りの法人からの説明も踏まえまして、それらの点が十分に説明できているかどうかについて、先生方から御意見を頂きたいと思っております。
3番目、難易度が中期目標で付いている場合には、評価を一段階引き上げることができるというように総務省の指針でされております。例えば達成度100%の場合にA評定とすることが可能となるということですが、本ワーキングでは、今日御議論いただきますJILPTとケンアン機構のところで難易度が設定されているケースがありますが、これについては、中期目標策定のときに難易度を設定したから毎年自動的に評価を引上げということではありませんで、評価のときに難易度が高いかどうかについて、改めて検証を頂くことになっておりますので、その根拠について具体的説明を頂いて、難易度が高いかどうかについて、先生方から御意見を頂きたいと思っております。
次のページ以降は、説明は省略いたしますが、総務省から良い評定事例とか駄目な評定事例とかとされたものについて、少し事例を整理をしてみました。要約して言えば、その評価の根拠、理由、それからA評定であればその根拠となるその「成果」をきちっと明示できている評定というのが、良い評定となると思います。以上のとおり、主務大臣が適切な評価ができるように、その評定の根拠、理由に着目して有識者の皆様から御意見を頂けると大変有り難いと思っております。私のほうからは以上です。
 
○今村主査
ありがとうございます。それでは議事に入りたいと思いますが、ポイントとしては、やはり今の御説明を受けて、簡単に検討させていただきます。まずは達成目標のための基準が適切であるかどうか、あるいは目標の内容そのものです。それからもう1つは、やはり難易度の設定についての妥当性といった問題があろうかと思います。
今、我々はこの部会でもいろいろと努力をしてやってきたわけでありますけれども、特に達成度120%というのは目標がばらばらであり、内容がそれぞれまちまちでありますので、それについて120%の達成そのものを厳格に確認できない場合もあります。そういうことについては、今回こういう提案が評価官室からありましたので、是非、委員の皆様に共有していただいて、より適切な評価になりますように御協力いただければと思います。
そうは言いましても、目標はあくまでも各機構の達成が良好に行われるということであり、評価でもってしっかりと押さえ付けるということが目標ではありませんので、その辺は我々も目標を取り違えぬように意見提供をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、労働政策研究・研修機構の平成29年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。初めに法人の業務概要及び第4期中期目標・中期計画の初めての評価ということですので、中期目標・中期計画について、第3期との変更点について概要と併せて10~15分程度で、ごく簡潔に御説明をお願いいたします。
その後、事務局からも説明が先ほどありましたとおり、年度評価のうち自己評定がA評定以上の項目、それからB評定で定量的指標が100%未満の項目などについて議論いたします。まず1-1、労働政策研究の実施について、法人から評価の要約の記載内容を中心にポイントを絞って、ごく簡単な説明をお願いいたしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
それでは総務部長の村松でございます。私から法人の概要及び中期目標の変更点、それと1-1について御説明申し上げます。まず、法人の業務の概要ですが、資料1-1の「評価の要約」の2ページに、「独立行政法人労働政策研究・研修機構について」という1枚紙があります。これで法人の概要について説明いたしますが、法人の目的については御案内と思いますが、内外の労働事情及び労働政策について総合的な調査研究を行うこと、併せて、労働行政担当職員に対する研修を実施するという2つの柱を目的に、事業を実施しているものです。設立年月日は平成15年10月で、元日本労働研究機構と旧労働省の施設等機関でありました労働研修所を統合してできたものであります。所在地は本部が上石神井、大学校が朝霞にあります。理事長は本年4月より前慶應義塾大学商学部教授の樋口美雄先生に御就任いただき、その理事長を含め5人の役員という形になっております。職員数は現在102名、予算額は昨年度ベースで27億円ということです。
右側に組織図があります。理事長、役員の下で、まず上に労働政策研究所所長があり、その下に、研究調整部、調査部があり、研究調整部は、横に研究6部門とありますが、この研究6部門の研究の進捗・管理等を主に行う部署で、それに加えて、後ほど資料のほうで出てまいりますが、成果の普及ですとか政策提言といった業務を担当している部署です。調査部の中には国内及び海外の労働事情の収集・整理というものと統計解析を担当する部署を持っております。
労働大学校は校長の下で教育担当、教授及び准教授、さらに大学校事務局ということで研修推進課を配置しております。そのほかに本部事務局として総務部、具体的には総務課、人事課、経理課、会計課といった組織があります。さらに加えて内部統制推進室が理事長の直属ということでコンプライアンス統制をつかさどっているという体制です。
業務の概要については先ほど2つの柱と申し上げましたが、労働政策の総合的な調査研究というものと、労働行政職員研修です。具体的には、また後ほど研究の所で出てまいりますので細かくは申し上げませんが、それぞれ時期に応じた政策課題に基づいて、労働政策の支援をするための研究を実施すること、さらには体系的・継続的な基礎的な研究を実施すること等を講じて、政策の企画、立案をサポートするというものです。
さらに労働行政職員、具体的にはハローワーク、労働基準監督署、また労働局の各ポジションの職員を対象に階層ごとの一般研修、労働安全、労働衛生、障害者や生活保護などの難しい部門に対する専門研修、さらには署長や課長などのような管理監督者の研修というものを実施しており、年間で昨年度は89コース、4,000人を超える受講者、職員を対象に実施しているところです。
続いて、3期から4期に目標が変わった点について、資料自体を御用意できておりませんが、評価項目の中からかいつまんで御説明申し上げます。まず3ページ目の評価項目No.1-1というものが労働政策研究の実施になっております。これは3期においては2つに分かれており、実施体制、厚労省との連携というものと、成果の取りまとめ評価という、どうやって研究するのか、そしてその結果はどのように評価できるのかという2つに分かれておりましたが、これを1本の柱としてまとめております。
さらに昨年度までは、海外とのネットワークの形成といったものを海外情報の収集に配置しておりましたが、本来、労働政策研究の促進のために海外とのネットワークを構築するということが法令上うたわれておりますので、この機会に海外とのネットワークの構築という部分については、この評価項目No.1-1というものに含めることと変更したところです。
6ページ目の1-2の国内の情報収集・整理は特段の変更はありません。8ページ目の1-3、海外のものについては、先ほど申し上げたネットワークの部分が削除されて、海外情報の収集・整理に特化したものです。10ページ目の1-4、成果の普及、政策への提言については、3期では成果の普及と政策論議の場の提供、政策提言という2つのシートに分かれておりましたが、これを1つの項目ということで集約をしたというものです。
12ページの研修についても特に変更はありません。そのほか、管理部門に関しては変更ありません。あと、具体的にまた研究のところでも申し上げますが、評価項目、評価の基準が新たに設定されておりますので、それについて冒頭で触れたいと思います。
戻って3ページ目の1-1での「中期目標の内容」という所に1~6までの評価基準がありますが、1についてはリサーチ・アドバイザー部会という外部の有識者の評価において、平均点を2.0以上得るということになっており、「S」を3点、「A」を2点、「B」を1点、「C」以下を0点としたときに、それを平均して点数化するというものです。前期がA評価を3分の2以上確保するということでしたので、例えば3本の研究成果があって、A、A、Bという結果であった場合に、前期まではA、A、Bですから3分の2以上のAを取っておりますが、今期の評定ですと2点、2点、1点を3で割りますと1.67と2点を下回るということで、前期よりも大幅に高い基準が設定されているということだと承知しております。
また、ここで「重要度:高、難易度:高」と書いておりますが、このリサーチ・アドバイザー部会の先生方に高い評価を頂くということは、私どもの研究成果が労働政策に貢献する質の高いものであるかどうかということを客観的に判断していただくということで、極めて重要な指標であると考えております。また、外部の先生方には常に厳正に評価いただいているところであって、そもそもA評価を取ること自体、困難であるということから、これを「重要度:高、難易度:高」としていただいているものと承知しております。
2で、厚生労働省から「政策貢献が期待できる」と評価を受けたプロジェクト研究のサブテーマを、テーマ総数の80%以上を確保するというものですけれども、参考までに同じ1-1の評価の要約の説明資料がありますが、この3ページ目、労働政策研究の実施で7つのプロジェクトテーマを厚生労働省から提示いただいており、これに更に細かく具体的な14のサブテーマを私どもで設定したところです。この14のサブテーマについて、厚生労働省から政策貢献が期待できるかどうかという評価を頂くものです。今期はテーマ総数の80%以上を確保するというものであり、これは新規目標で若干表現を変えておりますので、前期では目標設定をしておりません。
3の労働関係法令・指針・ガイドラインや予算・事業の創設、審議会・検討会等での活用を成果総数の85%以上得るというものについては、前期は2分の1以上ということでしたが、第3期の実績、83.7%を踏まえて85%以上を得るという高い基準となっております。
次に4で、研究成果についての有識者アンケートで2.0以上を得ると。これも「大変有意義」から「有意義でない」まで、3、2、1、0で数値化したものであり、新規の目標設定です。5の労働政策担当者向け勉強会等への参加者数を225人以上確保するについては、前期の実績を踏まえて、これ以上の参加を募るというものです。
6の海外とのネットワークの形成の関係でありますけれども、国際会議や学会等において積極的に発表し、幅広く海外の研究機関との連携体制の構築、英語での情報発信を図るといったもので、これは数値目標ではありませんで、新規指標のために実績なしというものです。
1-1についての数値目標は以上のとおりであり、参考までに6ページ目で国内の労働事情の情報収集・整理についてですが、前期の目標は毎年度延べ100件以上というものでしたが、第3期の実績を踏まえて毎年度140件以上確保するという目標設定とされております。8ページ目で海外については、3期については国内同様100件以上でしたが、第3期実績142件を踏まえて150件以上とされているものです。
10ページ目で1-4については、メールマガジンの週2回発行、これは変わりません。メールマガジンの読者、労働政策フォーラム参加者への有意義度評価で2.0以上得るというもの、これも新規指標です。労働政策フォーラムの年6回開催は前回と同様です。
さらに12ページ目で研修、大学校関係ですが、研修生に対する事後調査により、毎年度平均85%以上から「業務に生かせている」との評価を得るというものについては、前期の第3期においては、直後のアンケート調査でしたが、これを研修が終わって業務に戻ってから一定程度した段階で業務に生かせているかどうかを判断するべきであるということで、事後調査という形に変えておりますので、新規のものです。2の研修生の上司に対する事後調査は、同様に数字は85%以上というものであり、前回と同様です。さらにイブニングセッションは前期は年15回以上ですが、実績を踏まえて30回以上の開催、さらにイブニングセッション等での知見を活用して、研修教材の開発・改善を毎年度3件以上得るというのは実績を踏まえた新規の指標設定です。
14ページ以下の管理部門の設定については、この場では御説明は割愛させていただきたいと思います。今、申し上げたのは、第3期から第4期においての変更点です。
続いて、自己評価「A」としております3ページの評価項目No.1-1、労働政策研究の実施について、Ⅱの目標と実績との比較を御覧いただきながら、御説明をさせていただきたいと思います。1のリサーチ・アドバイザー部会の外部評価ですけれども、これについては「重要度:高、難易度:高」という設定です。今年度はまだ第4期の第1年目であり、成果の本数としては4本と、やや少ないわけですが、その成果が全て「優秀」という高い評価を得ることができたわけです。
3つ例を挙げておりますけれども、一番初めの『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査』については、私どもが2006年から継続的に一昨年まで3回同じような調査を実施して、2016年にキャリアコンサルタントが国家資格化されるに至る中で、どのような制度運用の実態、変更があったのかと、それと現状の分析、それに基づいた課題が何なのかといったことを明らかにしたものです。この報告書に基づいて、厚生労働省でキャリアコンサルタントの能力要件の見直しに関する報告書が作成されたということで、高く評価されているものです。以上、リサーチ・アドバイザー部会の評価が実績値2.0ということで、達成度100%ということです。ですので「重要度:高、難易度:高」という視点からすれば、1ランク上の評価が得られる実績を上げたと認識しております。
次の4ページ目ですが、厚生労働省から「政策貢献が期待できる」との評価を受けたプロジェクト研究サブテーマについては、先ほど7つのプロジェクト研究に14のサブテーマを設定したと申し上げましたが、この全てのサブテーマについて「政策貢献が期待できる」との高い評価を得ることができたということで、目標値80%以上に対して、実績値100%、達成率125%となっております。
3の労働関係法令等々への活用につながった研究成果については、目標値85%以上に対して実績値92.9%、109.3%であり、1本だけつながったと、活用予定がないという評価のものがあったわけですが、これについて一言だけ申し上げたいと思います。3の一番最後のDP、ディスカッションペーパー、『生産性の上昇が労働需要に与えるマクロ影響評価』というものについての厚生労働省からのコメントを記載しております。この報告書を一言だけ御紹介すれば、ある部門の生産性を1%上昇させた場合に、各部門の労働サービス投入の変化を推計したものであり、非常に画期的なものであると、私ども内部では評価しているものです。厚生労働省担当課の感想としては、直ちに具体的な政策立案等への活用はないというものでありますが、精緻な分析、今後の政策立案への寄与の可能性はあるということで、実質的には高い評価を得られているものと考えており、ほぼ100%と言ってもいいのではないかと評価しております。
4の有識者アンケートによる評価については、目標値2.0以上のところ実績値2.43ということで達成度121.5%です。行政官、労使、学識経験者からアンケートを頂いておりますが、全ての属性において2.0を上回っており、特に学識経験者は2.5ということで、非常に高い評価を頂いております。主な有識者コメント例については、幾つか肯定的なものを書き出しておりますが、割愛をさせていただきます。
5の労働政策担当者向け勉強会等への出席者数については、実績値290人ということで、達成度128.9%と大幅に上回っております。これについては政策的関心が高いテーマ設定に努めるとともに、積極的に開催周知を行って、労働部局のみならず厚生労働省の幅広い部局から参加を頂けたということで、高い評価を頂いているものと考えております。
最後に6で定性的指標ですけれども、海外とのネットワークの形成といったことを目的に、機構の研究成果に基づく発表や知見の提供等々を行うために国際会議、学会等への派遣、さらに海外研究者の招へい、また機構が主催する国際セミナー等における発表というものを実施したところですし、1年程度の長期の研究員を2名、海外の研究機関へ派遣したところです。
また3つ目に赤字で書いておりますが、国際比較労働政策セミナーというものを昨年度、試行的に実施して、今回が本格実施の第1回目という位置付けです。これは昨年度に引き続き、機構本部にヨーロッパやアジアの研究者を招いて、我が国の労働関係の研究者等が一堂に会して、労働政策上の課題について話し合うといったものです。これによってアジアの労働政策研究機関として、アジア一の機関としての位置付けを、今後、発揮していけるように更に発展に努めていきたいと思っております。さらに日本の労働事情等を海外に対して発信する英文ジャーナル『Japan Labor Issues』を月刊誌ということで創刊したところです。国際会議等々の具体的な事項については下に記載しておりますが、省略をさせていただきます。
Ⅲでその他考慮すべき要素ということで3つほど○がありますが、上記のとおり数値目標の全てで100%以上であり、3項目は120%以上、また「重要度:高、難易度:高」のものが100%の達成となり、目標を大幅に上回る実績となったということ。さらに第4期の初年度であるが、様々な場面で成果が活用されて、企画立案に貢献したと認識しております。
そのほか審議会等への参加や海外の研究者等とのネットワークの構築等、定性的な面においても着実に対応ができているということで、自己評価を「A」とさせていただいております。以上です。
 
○今村主査
ありがとうございます。ただいま御説明がありました事項について、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。3期から4期への中期目標の変更と、そもそものA評価に関する説明についての御質問等、全部一緒で構いませんので、御遠慮なくお願いいたします。
 
○戸田構成員
御説明ありがとうございました。まず1点、基本的なことを確認させていただきます。1-1の目標は、4期の計画を立てる際にもいろいろと議論させていただいた点があると思います。研究成果を評価するときに、リサーチ・アドバイザー部会で評価するという話だと理解しましたが、3期から4期にかけて、この部会の例えばメンバーを替えるとか、恐らく1つの報告書に対して何名かの先生方が評価を付けてその平均を取っていらっしゃると思いますが、その評価の仕組みを変えた点、それから、そもそも1報告書当たり何名の方が評価されているのかといった具体的なところについて、少し説明をお願いします。
 
○労働政策研究・研修機構研究調整部長
リサーチ・アドバイザー部会の仕組みというか、評価方法についてですが、大きく変えた点はありません。同じ評価票を用いまして、2名ずつの先生に御評価を頂いており、従来どおりの形で行っています。それから、メンバーは、2名がお替りになったのと、1名、私どもの研究成果の本数の傾向といいますか、労働法や社会学で育児や介護の関係の成果が多いので、そこを拡充したということがあります。
 
○土井構成員
初めてなのでまだ理解しきれていないところがあるので教えていただきたいと思います。質問があった1-1について、1に関しては難易度:高というお話でしたが、一方で3の法令・指針・ガイドラインの制定に関したところでは、達成はされていますが、いわゆるA評価とする120%には達していないですね。もちろんリサーチ・アドバイザー部会で外部評価を得ることも重要だとは思いますが、本来ミッションとして労働政策研究の実施というのであれば、評価も大事ですが、実際にその政策に対してどれだけ寄与したかというのも同じように重要だと思うのです。ですから、リサーチ・アドバイザー部会の外部評価が難易度ということで言われていますが、3に関しても同様に難易度が高いとはなっていない、「重要度:高、難易度:高」になっておらず、それで、ここは120%に達していないという点について、どうしてなのか理由を教えていただきたい。これが1点目です。あともう1つあるのですが、1点目を教えていただいてから2点目に移ります。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
正確にお答えできるかどうか分かりませんが、労働関係法令等、厚生労働省に御活用いただくという点について言えば、それは直接的に御活用いただくのが最も望ましいのですが、私どもの研究は基礎的な研究も幾つかやっておりまして、直接政策に結び付くものでもない、ただやり続けることが重要、その変化を把握しておくことも重要であるというものもあります。結果的に使ってもらえれば、それはもちろん私どもとしては有り難いことで、この評価指標は重要なものであると考えておりますが、そもそも目標値が85%以上という設定ですので、120%は取れないという目標設定です。ですから、これは言い訳になってしまいますが、120%取れないからといって、これをA評定とはできないということになれば、私どものこの項目は全て「B」以下にしなければならないことになってしまいます。私どもが努力していることを、先ほど、活用予定はないとあえて申し上げたのは、私どもとしてこれは重要な研究であって、現在すぐに活用できないとしても今後これを有効に活用していただきたいという思いを持っているからこそであり、なぜ活用予定なしとされたかについて厚生労働省の現時点での評価を報告させていただきました。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
今の点は総務部長が御説明したとおりですが、もう一点付け加えますと、ここは昨年度にまとめた研究成果がどうかということです。世の中はどんどん動いておりまして、厚生労働省の審議会や研究会でもどんどん研究している。それにダイレクトに、すぐ今これについて調べてくれというような形で、まだ報告書がまとまる前の段階で我々の研究員がそこに行って報告するというようなことも、実は何件かあります。とりわけ、雇用類似のものについては、正に今大きな問題として議論されておりまして、言わば同時並行的にどんどん動いているというところがあります。ですから、昨年度の成果としては、まだまとまるところまでいっていないのですが、その段階で、例えば雇用類似の実態調査の結果とか、あるいは諸外国でどういった状況で対策が取られているかについて、いわば先行的に審議会などに報告することもあります。ただ、これはここに書けませんので、なかなか入っていけない、ここでカウントするものではありません。所詮はそれ以外のことにすぎないのですが、そういった、ここに出てこないことについても、我々が厚生労働省の問題意識に沿った形で研究し、それを随時アップデートの形で報告させていただいていることもあるということを付け加えたいと思います。
 
○土井構成員
先ほどの御説明と今の御説明で、数値としてはこうなるというお話は分かりました。だとしたら、あえてここで、なぜこういう数値目標にするのかというのもかえって問題なのではないかと感じました。なぜかと言うと、研究とか、今言われたような、成果としてまとまっていないうちでも情報をインプットするというのが主務省庁である厚生労働省からのミッションであれば、それを反映するような目標設定にすることが重要です。これは、そういうことが分かるような目標設定にし、なおかつ、重要度は高いのだと、難易度:高ではないかもしれませんが、重要度は高いということを示していただくことも重要だと思うのです。そういう意味では、研究のところでは、新しいことにチャレンジすることが大事なので、そういうものを考えて難易度が高い、ですから100%を達成することさえ難しいものを目標にしてくださいと言うことができるように、独法評価制度委員会では評価のやり方を考えて変えたので、その辺りを少し考えていただくほうがいいと思います。今のように、数値目標として100%やっても達成度を120%にすることはできません、そういう数値目標です、でも、というような、数値目標ありきのような発想ではなく、そもそもこの機構が主務省庁からのミッションで研究として担っていることにきちんと沿った成果が、成果物とかが、日頃の意見交換でできているかということをきちんと表現していただくほうが正しい姿のように感じます。あくまでも個人的な感想で申し訳ありませんが、お話はよく分かります。
2点目について、よろしいでしょうか。

○今村主査
ちょっとお待ちください。今の土井委員の御指摘に関してです。85%という、目標は、この部会の前期の末に承認したものですので、我々に対するコメントということにもなると思います。
 
○土井構成員
すみません。
 
○今村主査
この件に関しては確かに、テンションを高くする、ストレッチを高くするということで、昨年度の実績が83.7ということで、85で少し高めにやってもらいましょうと。それから、これは通っているかどうかは分からないのですが、私たちのほうから政・独委に常に質問をしておりまして、このケースについて85%以上の目標設定では120%は達成できないじゃないか、そのときにどうやって数値を扱えばいいかと質問をしています。いまだに返ってきておりません。ですから、これについてはストレッチを高くして目標設定して頑張っているということを評価して85%に設定しましょうということを認めました。120%達成は初めから無理ということは承知して実施していますので、その辺は御承知いただきたいと思います。
 
○土井構成員
はい。
 
○今村主査
では、次の御質問をどうぞ。
 
○土井構成員
B評価のところで、やはり目標の設定で分からないことがあるので教えてください。12ページの1-5の研修に関するお話で、こういう研修ものの目標値をどうするかというのは、どこの独評に関しても難しいと思いますが、気になったのが、3のイブニング・セッションを30回開催するというのが目標になっていますが、第3期の実績平均が30回なのです。平均と同じ30回ということだと、言い方は悪いのですが、前中期の成果を上回らないのですよね。ここはそれほどの重要なものではなく、予算も絡むことなので、できないものだからそうなのだというお話かもしれませんが、その辺りについて、これは目標を決めたときのお話に絡むことですが。
 
○今村主査
これは私が答えなければなりません。これは大分良くなってきたと理解していただきたいと思います。つまり、あくまでもベストエフォートで昨年度の実績がある場合に、それを維持すること自体が大変だという目標も中にはあるという理解で考えました。ですから、30回が過去の実績値とすると、ベストエフォートだろうと。それを維持すること自体が大変だろうということで、我々も、とにかくそれを維持してくださいということでお願いしました。ただ、これに関してはその後私も少し考えて思ったのですが、やはり情報を伝達するということで、回数も大事だなと。できるだけ回数を多く開催して、人を集めて、そこでいろいろと伝達するということも重要だと思います。今回はこういうことで、ベストエフォートと理解して30回を目標設定にさせていただきましたが、今後の検討としては、むしろその内容などを含めて、これから5年間続きますが、少しその辺は詳細に見ていきたいと思うので、どうぞよろしく御協力をお願いしたいと思います。
 
○土井構成員
だとしたら、多分、書きぶりの問題だと思いますが、実績平均という意味ではなく、ベストエフォートを30回として認めているから30回なのだというような、そういう理由が書いてあるほうが、概要としては分かりやすいし、中の説明も数値目標の意味がきちんと把握できるのではないかと思いました。細かいことで恐縮ですが。
 
○今村主査
ありがとうございます。土井構成員に御参加いただいているのは、そういう厳格性を持たせようということで、是非、引き続きよろしくお願いいたします。
 
○戸田構成員
1-1の話に戻ります。前期からも成果についてはいろいろと御説明していただいて、JILPTがかなり高い成果を出していることは重々理解しているつもりです。1-1に関しても、目標を設定する昨年度の会議では、この辺について難易度が高いというのはどうなのかという議論もあったと思います。とはいえ、中期計画の1年目の中で、報告書を4本出されていることや、その中でも特に3の成果総数の85%以上を得るという目標に関しても、1年目ということもありますので、研究というのは1年で成果を出してまとめて、それを使ってもらえるところまでいくのはなかなかこう。中期目標全体で考えるのであれば、重要な点だと思いますが、1年目でここまでできるということは、それなりに評価できることではないかと思います。そういったことを前置きにして、若干質問します。
3の、いろいろと活用していただくというような話で、「政党・労使団体への説明での活用」という表記があります。活用の場面をいろいろと見てみますと、内容について、最初は、法改正の中で参考とされるとか、予算や政策評価に用いられるとか、やはり重要なことが書かれていますが、政党・労使団体への説明での活用というのは、見方を変えて言えば、何とでもなるというか。例えば、もしJILPTの研究員の方々がアポイントを取って政党や労使団体に説明しに行くというようなものも含まれるとすれば、かなり恣意的なところもあるのではないかと見えます。今回の14本の中で政党・労使団体への説明での活用に該当するものは実際どれだけあるのでしょうか。
 
○労働政策研究・研修機構研究調整部長
この評価につきましては、厚生労働省から評価を得ておりますので、厚生労働省が何に活用したかの結果ですので、私どもが出向いたとか、そういうものは含まれていません。それから、労使への説明については、1本あります。大きいほうの評価シートの23ページを御覧ください。一番右の欄の、調査シリーズNo.178『大学生・大学院生の多様な採用に対するニーズ調査』というものです。これは、指針の改正の検討資料、労政審の人材開発分科会資料への活用、それから、労政審の分科会なので同審議会での活用に関連して労使への説明に活用ということで、この1件です。これを活用した厚生労働省の担当の部門が括弧の中に書いてあり、厚生労働省の活用部門から評価いただいているというものです。
 
○戸田構成員
分かりました。私も勘違いといいますか、理解が不足していました。基本的にここの項目は、主語は厚生労働省が活用するという理解で、JILPTも厚生労働省の政策に関して連携しながら進めているということは理解しているので、厚生労働省がそれを受け止めてどう活用しているかという理解でよろしいですか。
 
○労働政策研究・研修機構研究調整部長
そうです。私どもが取りまとめて厚生労働省に御提供して御活用いただくという仕組みになっています。
 
○今村主査
いかがでしょうか。時間はまだあります。
 
○土井構成員
細かいことで恐縮ですが、何点か教えてください。先ほどの5ページの、『Japan Labor Issues』、英文ジャーナルを創刊されたということで、ウェブサイトでも公開されているということですが、どのぐらいのページビューになっているのか教えてください。また、いわゆる情報誌として公開されているということなので、もしどこか他の国でこれを引用された実績などあれば教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
 
○労働政策研究・研修機構調査部長
海外を担当している調査部長の天瀬です。ビュー数について、Issues単独では今手元にありませんので、把握できましたら後ほど御連絡差し上げたいと思います。引用については、この雑誌が昨年9月に立ち上げたもので、総数はまだそれほど頒布していません。完全な引用の形ではありませんが、国際労働法社会保障学会の学会において参考として使われたということを聞いています。
 
○土井構成員
せっかく情報誌を出されたので、これにはコストも掛かっていると思いますし、citation indexあるいはページビューが年月を経てきちんと上がっていくという点もフォローしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
今の件について、Social Sciences Citation Indexでしたか、正式な名前はちょっと分かりませんが、客観的な評価数値については、できるだけ取っていただいて、この場で公表していただきたいと思います。恐らく、これは海外との研究ネットワークの形成という目的のために重要なメディアとしてスタートしたものだと思いますが、JILPTの存在価値にも関わる問題ですので、その辺は的確に把握して、まだスタートしたばかりだと思いますが、是非、データはよろしくお願いいたします。
 
○中村構成員
1-1にシフトした海外研究者等とのネットワークの形成等について、少しお伺いしたいと思います。ワークショップ、セミナー等としてイ)~ハ)の3つありますが、これは主催されたと受け取ってよろしいのでしょうか。機構が主催したものが、国際比較労働政策セミナー、北東アジア労働フォーラムと日韓ワークショップの、この3件ということですか。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
はい。この国際比較労働政策セミナーは正にJILPTが主催し、JILPTを会場として一昨年度から始めたものです。そのほかの日韓とか日中韓のものは、JILPTと同じような機関がありますので、その2者なり3者で持ち回りでやっているという形です。
 
○中村構成員
分かりました。それと、研究者等の招へいで、3名の方を厳選して招へいしたということですが、期間が結構長いですよね。ですから、かなり成果も上がっているのではないかと思いますが、これらの3名の方というのは、具体的にどのような形で機構の中で研究をしているのか、その実態を教えていただけますか。
 
○労働政策研究・研修機構調査部長
招へい研究員については、帰国する前に報告会というものを行いまして、研究の成果を報告させていただくという形を取っています。来られたときには皆さんと一緒に研究しています。その分野について協力をする、JILPTの中の研究費を付けて研究計画を策定するなどの協力をしながら、ときにはヒアリングに付いて行くなど、そういった協力をしながら進めています。
 
○中村構成員
ともすると、ネットワーク形成と言いながら、単なる国際会議の参加というものの羅列で終わりがちです。ひるがえって、このようにきちんとした招へいや主催したセミナーがあることなどは、非常に評価されるのではないかと思います。
 
○今村主査
何だか歌でも歌いたくなるような残響のある音が響いて、少し聞き取りにくいかもしれません。もう時間も大分限られてまいりましたが、1つだけ。実は私も今、東洋大学で新しいグローバル・イノベーション研究センターというものを作っていまして、今回のプレゼン資料に関しては、中村構成員からもありましたように、全景が見えない感じがいたします。ですから、研究所としてどういうプレゼンスでビジョンを持って、統合的なアイデンティティを持っているかというところを、もう少しお考え頂ければと。特に国際戦略に関しては少し明確なビジョンが見えない感じがいたします。是非、その辺は整理していただきたいと思います。何が言いたいかと言うと、今の2人の御指摘のエコシステムですね、研究者がどう移動して、どうつながって、どういう研究者に結び付いていくのか、そういう1つの生態系のようなものがこの中では見えないということを、少し印象として感じます。是非、その辺をお願いいたします。
 
○中村構成員
単に全体的に何%うんぬんという説明では、件数で終わってしまいますが、やはりここは戦略といいますか、何を目指して、どういう形でやろうとしているのかが重要と思います。ということで、単なる件数ではなくて具体的な中身を質問しました。どうもありがとうございます。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
すみません。ページビューに関して調べられました。JILPTのホームページ、日本文のホームページとは別に英文等での情報発信のページを持っていますが、そのうち、英語によるホームページ全体のものは年間約146万ビューです。そのうち、Labor Issuesのページビューは約3万6,000ページビューということになっています。
 
○今村主査
いろいろと聞いていくと、なかなかしっかりやっていらっしゃる。いつもJILPTは実績をしっかり持っていらっしゃるのですが。
では、御説明がなかった残りの項目について、B評価として、特に定量指標は100%以上で問題はないのですが、それ以外の指標について御質問がありましたら、どうぞ御自由にお願いいたします。今の項目について引き続きでも構いません。
 
○戸田構成員
先ほどの海外との連携という話などを含めて、幾つかコメントと質問をさせていただきたいのですが、海外との研究は前の理事長の菅野先生からかなり積極的にやられていて、かなり国際比較などに取り組んでいらっしゃるということは、チャレンジングな課題であるということは理解をしていますし、そういうことを進めていくうちに見えてくることというのも、恐らくあるのではないかと。その中でいろいろと模索されているということは、よく理解できましたので、是非この調子でと言いますか、「この調子で」と言うのはかなりおこがましいのですが、進めていただければなと思います。
他の点に関しても、まずコメントから先に申し上げますと、JILPTの運営上の課題の自己収入というところの資料を拝見いたしますと、3期平均で8.4%増という数字が載っています。収支をどう立てていくかということは、なかなか独法の中では難しい課題であると理解している中で、自己収入を増やしていけているということは、JILPTの進めている研究なりプロジェクトというところが、世の中にも評価されているという現れなのではないかというところがありますので、この点は自己評価を「B」とされていますが、評価できるポイントであり、今後も着実に経営状況は検討していただければなと思います。
ここからは質問です。JILPTの持つリソースの中で、今後検討していかないといけないというように個人的に思っているポイントとしては、名前にもありますように、研究と研修の両方をやっている中で、研究と研修のシナジーがどれだけ生まれているかというところ、昨年のこの会議でも質問させていただいたと思うのですが、これがやはり独法が課せられている課題なのではないかと思っております。今回、資料で拝見する限りでは、研修と研究に対するシナジーをどう考えていて、第4期の中期計画の中ではどう進めていこうとされているのかというところについて、もし何か御意見等がありましたら教えていただければと思います。
 
○労働政策研究・研修機構労働大学校長
労働大学校の清川です。研究と研修の連携という点について、研修を実施する立場から評価等を説明させていただきます。研究と研修の連携に関しては、「評価の要約」の13ページに主に書いています。
先ほどお話にあったイブニングセッションなどで、研究者の方々に最新の研究成果を持ってきていただきまして、いろいろ研修生とディカッションをするということについては、できる限り開催しています。そういった場を通じて、その下、研修教材の開発・改善の件数という所に出ていますが、特に研究者の中で、職業紹介の技術、相談技法等を研究しておられる方が私どもの研修にコミットメントしていらっしゃるのですが、そこで使われる研修教材などにおいても、イブニングセッションなどによって肌に感じた研修生からの御意見、実体験などを用いて、開発していただいておりますし、かつ、こういった研究者の方の研究内容にもかなり良い影響を与えているとお聞きしているところです。
今のところ、分野としては、そういう職業紹介、職業相談の分野が中心であるわけですが、更にその部分を掘り下げるとともに、もう少し他の分野にも広げていくということに、これから努めていきたいと、努めていかなければならないと感じているところです。以上です。
 
○戸田構成員
今おっしゃっていただいたように、PDCAサイクルを回すというのは重要なことだと思っております。例えば研修で得られた知見を例えば研究に生かすとか、そうした、ただ単純に研究で何か得られた知見を研修という形で成果を活用するということではなく、それが重要であるということは言うまでもないのですが、やはりそれだけではなく、実際にそれを研修で活用したときに例えば受講者からの声を活用して、それを研修ではなくて研究に生かすとか、そうしたより立体的なシナジーというところをより目指していかれると、機構が持つ意義、機構がやっていることの重要性が世の中にも広がっていくのかなと思いますので、是非そういったことも御検討いただけると幸いです。以上です。
 
○高田構成員
高田です。質問というよりは感想を申し上げることになってしまうかもしれませんが、今回のプレゼンテーションは特記事項に絞って御説明いただいたということで、とても焦点が明確になって、分かりやすいプレゼンテーションをしていただいたと思います。
今回は研究成果ということに非常に焦点が当たって議論をしたわけなのですが、先ほど海外との関係のことで、例えばどういう閲覧数があるかというようなデータは御紹介いただいたのですが、もっと見えない形でJILPTの研究成果が利用されているというところがあります。例えば韓国や中国の研究者で、私どもが参りますと、日本の研究をいろいろとする方が多いです。実際、行政的にも一番早く新しい労働行政の問題が出てくるのは日本ですので、そういった状況の中で、日本の情報がいろいろと研究されています。
ですけれども、そういう評価がこういうところのデータになかなか反映できないという面があると思うのです。つまり、非常に専門性が高いと言いますか、国際的な何か統一的な活動、あるいは経済学のようにマーケットみたいなものがあって、国際的にある程度共通の評価ができるというようなものであると、非常に明確に数値なりエビデンスが出しやすいのですが、この種の研究というのは、それぞれの国ごとに特殊な事情もありますし、そういう点で、参照はされているのだけれども、具体的に評価として客観化できるようなものが非常に限られてしまうという面があると思うのです。
そういう意味で、JILPTのプレゼンスというものをもう少し明確にできるような評価の仕方を工夫できたらいいと常々思っているのですが、しかしなかなか現実に、具体的にどういうことをやったらこれがそのように明確化できるかというのは、私にも今のところはアイディアがないものですから残念なのです。そういう点が少し残念な状況にあると思います。
これは、今後とも労働行政の中で研究という領域を扱う、ほかにもありますが、しかしその研究の中身もまたJILPTのやっているものはかなり特殊性があるということで、それに合った評価というものをもっと考えていかなくてはいけないと思っています。思っているだけで具体的な提案ができなくて甚だ申し訳ないと思っているのですが、そのように感じております。
 
○今村主査
先ほど来指摘されている国際的な定性的指標の中の6に、もしかしたら若干関係するのかなという、つまり国際的なプレゼンスという意味で関係してくるのかなと。まだ始まったばかりですが、今後そういった活動指標もできれば、この6の所に何か入れていただくなりして、是非JILPTの活動をアピールしていただければと思います。
最後に1つ私からのコメントで、先ほど来1、つまり外部評価について非常に困難度、難易度を指定してということの議論があって、一方で政策研究・研修機構という名前があると。ここはもしかしたら、研究のクオリティを高くするというJILPTのアイデンティティはすごく高く評価するとしても、その研究のテーマが、政策との関係でトップダウンで政策から与えられていると。一方で研修というのはボトムアップの話ですから、そうするとそこで何か矛盾が生じる危険があると思うのです。その辺の機構のアイデンティティは一旦御検討されて、やはり研究水準が高いということはもちろん大事なのですが、全体としてどうガバナンスがトップからボトムまで、つまり政策研究からボトムの研修までどうつながっていくかということを、是非今後御検討いただいて、報告の中に生かしていただければと思います。よろしくお願いいたします。構成員の皆様の意見も貴重なものがありまして、取りまとめになるかどうか分かりませんけれども、よろしくお願いいたします。
それで、いろいろと貴重な御意見をありがとうございました。次は、最後になりますが、法人の監事と理事長から、年度・中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。まず最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構監事
監事の東ヶ崎です。当機構の平成29事業年度に係る監査報告は、6月19日付けで理事長宛てに報告いたしました。資料1-3の財務諸表の一番最後の109ページと110ページが、その監事報告ですが、本日のお手元の資料1-4が抜粋になっています。これについて、かい摘んだところで御報告いたします。
当機構の監査報告は2ページにわたって示しています。独立行政法人通則法第19条第4項及び同法第38条第2項の規定に基づき、独立行政法人労働政策研究・研修機構の平成29事業年度の業務、事業報告書、財務諸表及び決算報告書について監査を実施しましたので、その結果を御報告いたします。
監査報告Ⅰに、監査の方法及びその内容を示しています。監査計画に基づき、業務監査にあっては役職員からその職務の執行状況について聴取するとともに、全ての理事長決裁書類の内容確認を行ったほか、経営会議等重要会議への出席などを通じて、当機構の意思決定過程や業務活動状況を監査いたしました。さらに会計監査にあっては、当該独立行政法人の契約した監査法人の監査結果を聴取し、会計に関する帳簿、証拠書類及び計算書類を閲覧、点検、資産の実地監査を行うとともに、会計責任者から聴取を行いました。
その結果を、Ⅱに示しています。その1にあるように、法人の業務は法令等に従い適正に実施され、また中期目標の着実な達成に向け、効果的かつ効率的に実施されているものと認めます。その2以降の内部統制に関すること、役員の不正行為、法令違反、財務諸表等の内容、事業報告書の内容についても、詳細は割愛いたしますが、いずれも適正に行われており、指摘すべき重大な事項は認められませんでした。
Ⅲの法人の事務、事業の見直しの基本方針等、過去の閣議決定において定められた監査事項についての意見ですが、指摘すべき事項はなく、特段の意見はありません。監査は私と非常勤の小林監事の2名で実施しておりますが、両監事間での意見の相違はございません。監査の報告は以上ですが、今後の効果的かつ効率的な業務運営について、日常及び監査期間中に気付いた点を少し述べておきます。
平成29事業年度から、第4期中期計画が始まり、新たな業績評価制度も展開されたところにあります。特に、目標達成基準のハードルが、過年度の高水準の結果を反映させた高レベルに設定されております。平成29年度は幸い、各目標達成項目ともハードルを下回ることなく成し遂げることができたところです。
客観的な感想ですが、かかる状況は、各職員の質を落とすことなく目標数値を達成させるという強い気概によるものと感じるところです。しかし、その高いハードルの目標達成に対しB評定となることが、今後の職員の士気、モチベーションの維持、向上に懸念されるところです。
他方、取り巻く社会の変化から、取り扱うそれぞれの課題も難しく、複雑になると思われます。これらから職員の長時間労働やストレスによる心の健康に対しては、ますます職場としての気配り、心配りが必要になると考えます。柔軟な働き方による効果的かつ効率的なマネジメントをお願いしたいと存じます。以上で監事からの報告を終わります。
 
○今村主査
続きまして理事長からお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
本年4月1日に当機構の理事長に就任しました樋口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。有識者会議の皆さんにおきましては、本日の業務実績の評価をはじめ、当機構の業務運営に多大なる御尽力を頂き、また御指導を頂いておりまして、心から感謝申し上げたいと思います。
ただいま東ヶ崎監事からも御指摘がございました、また、本日皆様からも頂きました点ですが、高い水準の目標といったものが設定されておりまして、それを実現してもB評定という「標準」となるような、そういった結果に終わっているところもございます。職員の士気が低下しないように、また柔軟な働き方に配慮しまして日々のマネジメントもしっかりやっておこうというように考えています。
この点につきましては、実は6月21日に当機構の自己評価の妥当性を審議していただいた諮問機関である総合評価諮問会議においても、監事と同じような意見、そしてまた本日皆さんから頂いたような意見が委員から提示されております。
第4期の初年度である昨年の平成29年度においては、新たな目標の下でも、その成果は厚生労働省をはじめとする政府の関係審議会及びマスコミ等で多数活用していただいておりまして、相応の貢献を果たすことができたのではないかと自負しております。引き続き、役職員が高い士気の下、一丸となって目標を達成すべく努力していきたいと考えております。
そしてまた、本日頂きました皆様からの御議論の中で、数量的な評価基準だけではなく質的な面、なかなか数量化することができないような本質的な問題ということについても十分配慮しろ、というような御指摘があったと思います。往々にして我々は数字が与えられますと、その数字目標だけを追って、実態の中身、本当に必要なところをしばしば見落としてしまうということもありますが、この点についても十分に配慮しながら実現していきたいと思っておりますので、今後とも御指導をよろしくお願いしたいと思います。
今後の業務の運営の重点事項ですが、御承知のとおり、我が国の労働政策においても、政府主導の下に一億総活躍社会、あるいは働き方改革、人生100年時代構想等の標語の下、例えば労働分配率の向上、あるいは外部労働市場の整備、さらには女性、高齢者、若者等の就業促進、そしてまた非正規労働者の処遇改善、長時間労働の是正、労働生産性の向上など、たくさんの課題が、正に労働市場や雇用システムの全般にわたる問題点として挙げられ、重要な施策の検討が活発に進められているところです。労働事情あるいは労働政策の調査研究を主要任務としている当機構においても、こうした状況を正面から受け止め、必要がある場合には、やはり厚生労働省の要請に応じた喫緊の政策課題に対する個別的な調査研究を遂行するだけではなく、労働政策の企画立案の基礎となるような、様々な構造変化を見据えた、かつ歴史的また国際比較を十分に踏まえた主体的で基礎的な労働研究を積み上げ、そして客観的なデータ、エビデンスに基づいた証拠を提供していくといったことに努めていきたいと考えております。
今日頂きました中にも、国際的なネットワークの構築について、数字だけではなく、それを戦略的にどう進めていくのかということが見えるようにということがございました。これについては、国際的な研究者間のネットワークだけではなく、今後は国内における研究者とのネットワークも重要ですし、そういったところとの連携も十分に考えていきたいと思っております。
法人の長として、こうした調査研究を実施しやすいような環境整備をしていくとともに、情報発信していきやすいような組織としてのガバナンスの確立、あるいは不祥事が発生しない内部統制システム、情報セキュリティの確保についても、引き続き遺漏がないよう、整備を図っていくつもりです。また同時に、より柔軟な働き方による効率的かつ効果的な組織運営を目指すことで、職員の士気を高めていきたいというように考えております。
本日、皆様から頂きました御意見を業務運営の改善に反映させるとともに、より質の高い調査研究、研修事業の実施に取り組んでいく所存でございますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。以上でございます。
 
○今村主査
ありがとうございました。ただいまの御発言内容について、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
 
○土井構成員
B評価は以前のA評価ですから、そういう意味ではB評価だからモチベーションが下がるというのは、以前のままの評価だったら確かにそうですが、そういう意味では「S」は今までの「S」ではないので、「A」が昔の「S」になっているので、そこは皆様もよく考えて、職員の皆様の評価をしていただくということが大事だと思います。決して、B評価だからやっていないということではないのですよね。それは、今までだったらA評価のものをやっているということなので、そこが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
お励ましを頂きまして、ありがとうございます。少し付け加えさせていただきますと、このとじた中の独立行政法人の評価の考え方の中、2枚目の裏側に好事例が書いてあります。やはり「A」を取ることは、レポートの仕方、評価の仕方で変わると思います。特に定性的な評価の部分では、職員のモチベーションを上げるという意味では、このようなことをやっているのだ、あのようなことをやっているのだと、先ほど高田構成員からもありましたように、見えない部分についてもしっかりと定性的に記述していただいて、大いにA評価を目指していただければ、たとえ数値が「B」程度であっても、そういう可能性は我々もできるだけしっかりと理解して認めたいと努力いたしますので、是非今後とも、職員の士気を高めていただけたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
特になければ、本日の議事を終了しまして、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました労働政策研究・研修機構の平成29年度業務実績評価につきましては、この後に本ワーキンググループにおける御意見や法人の監事様及び理事長様のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
最後に、構成員の皆様におかれましては、本日配布した資料の送付を御希望される場合には、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○今村主査
それでは、本日はこれで終了いたします。今回は短縮した議論ということで初めての試みでありました。もっといろいろとお話になりたいという御希望の方もいらっしゃると思いますが、取りあえず今日はこういうことで熱心な御議論をありがとうございました。お疲れさまでした。
 

(了)

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