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2018年1月15日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第24回)議事録

○日時

平成30年1月15日(月)13:57~15:36


○場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)


○出席者

今村主査、関口構成員、高田構成員、戸田構成員、中村構成員

○議事

○今村主査 

 中村構成員が少し遅れるということなので、若干、早目ですが、始めさせていただきたいと思います。それでは、ただいまから、第24回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は、志藤構成員、松浦構成員、松尾構成員、三宅構成員、宮崎構成員が御欠席です。

 それでは最初に、本日の議事について事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、「勤労者退職金共済機構の次期中期目標案及び次期中期計画案について」です。

 参考資料は幾つかありますが、本件につきましては、参考資料1「独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱」の3の第4号「その他1から3までに掲げる事項に関し重要な事項」に該当するものとして、本WGの意見を賜るものです。

 厚生労働省所管の中期目標管理法人につきましては、厚生労働大臣が中期目標を定め、当該法人は、定められてた中期目標に基づき中期計画を策定することとされておりますが、法人の中期目標と中期計画は、御意見をいただく上で密接な関係にありますので、本日は、中期目標と中期計画について、同時に御議論いただきたいと考えております。

 平成30年度からの新たな中期目標及び中期計画の策定に至るまでの流れについて、簡潔に御説明させていただきます。

 参考資料2を御覧ください。参考資料2に四角い囲みが3つあります。一番上の四角い囲みに、平成298月~9月 独立行政法人の「業務・組織全般の見直し内容」等を総務省へ提出という囲みがあります。勤労者退職金共済機構の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」については、昨年8月に開催しました本WGで皆様から御意見をいただきまして、その御意見を踏まえて、厚生労働大臣から総務省独立行政法人評価制度委員会に通知したところです。中ほどの四角い囲みが、「平成299月~12月の総務省独立行政法人評価制度委員会の審議・決定」です。総務省側の委員会ですが、独立行政法人評価制度委員会が、独立行政法人の「中期目標期間見込評価書」と、「業務・組織全般の見直し内容」について審議した結果を決定しました。これは、全省庁全ての法人対象のものですが、この委員会が決定した内容が参考資料6です。参考資料6については、全ての独立行政法人を対象に、制度の趣旨や、目標の策定について考え方が示されております。特に重要なものとして、2ページ目に、目標に盛り込むことについて検討していただきたい視点が(1)のマル1マル2及び(2)のマル3マル4として4点まとめられておりますので、お目通しおきいただければと思います。

 こちらの総務省の委員会の決定事項を踏まえて、作成したのが、本日御議論いただきます勤労者退職金共済機構の次期中期目標と次期中期計画案です。

 参考資料2に戻りまして、最後の一番下の四角い囲みです。平成2912月~平成303月までの独立行政法人の次期中期目標・次期中期計画の策定についての動きをまとめています。本日御議論いただきます勤労者退職金共済機構の中期目標案については、本日の御意見を踏まえて必要に応じて修正などを行い、2月に、厚生労働大臣が総務省・独立行政法人評価制度委員会へ送付します。その後、2月中に同委員会において審議が行われ、その審議結果に基づいて出される意見を聴いた上で、財務大臣との協議を経て、次期中期目標が確定されることになります。

 中期計画につきましては、確定した次期中期目標を基に、勤労者退職金共済機構が次期中期計画を策定し、同計画について主務大臣である厚生労働大臣が、内容の精査及び財務大臣との協議を経て、年度内に認可するという予定です。事務局からの説明は以上です。

 

○今村主査

 どうもありがとうございます。宮崎さん、風邪で苦しい中、ありがとうございます。ただいま御説明いただきましたが、皆様、何か御質問等ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは議事に入りたいと思います。それでは、勤労者退職金共済機構の次期中期目標案及び次期中期計画案について、御議論いただきたいと思います。

 最初に、法人所管から「次期中期目表案」について御説明いただき、その後、法人から「次期中期計画案」について御説明いただきます。この2つの説明が終わってから、質議応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、まず、法人所管課から「次期中期目標案」について説明をお願いいたします。

 

○雇用環境・均等局勤労者生活課長

 勤労者生活課長の平嶋です。まず、中期目標()の概要について、資料1-1に沿って御説明いたします。

 最初のページですが、第1は政策体系、第2は中期目標の期間、これは4月から20233月までの5年間です。第3につきましては、なるべく事業勘定ごとに整理をするようにということですので、一般の中退共、建退共、清退共、林退共、財形、雇用促進と、それぞれの勘定ごとに整理する形にしております。その後、また共通事項になりまして、第4として効率化、第5の財務内容の改善、第6は、その他の重要事項としております。

2ページ目は、政策体系図です。近年の動きについては赤字にしておりますが、まず背景としまして、このところ人手不足の深刻化ということで、労働力の確保ということが課題になっています。それから、4番目ですが、低金利の継続等で投資環境が難しくなっている。また、サイバーテロ等の脅威の高まりということを掲げております。厚労省のミッションとの関係では、国民生活の保障・向上と経済の発展への寄与が厚労省のミッションですが、その中で、中退共制度及び財形制度の普及で、勤労者生活の充実を促進するということで、当課との関係を記載しております。

 中退共制度については、従業員にとって、退職後の生活の安定、事業主にとって、人材の安定確保という意味を持つとなっておりますが、これにより、従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与するものと。財形制度については、一般に資力に劣る勤労者の計画的な財形形成の促進ということで、国民経済の健全な発展に寄与するものと考えております。機構の役割については、主なものを下の枠の中に記載しております。

3ページ以降は個別の内容になります。まず、退職金共済事業の中で、資産の運用についてです。この本文の中で、赤字にしているのが新しく作ったところです。資産運用は、従来、予定運用利回りを前提にですとか、安全かつ効率を基本としているという形で、ざっくりと書いていましたが、よりはっきりさせるということで、退職金支給に必要な流動性を確保する。これは、キャッシュ・フローに注意しつつ、中期的に退職金共済事業の運営に必要な利回り、具体的には予定運用利回りとか、業務経費等がありますが、これを最低限のリスクで確保することを目標とすることということで、GPIFの書き方も参考にしながら、より具体的に記載しております。それから、資産運用委員会による資産運用の状況その他の運用に関する実施状況の監視を徹底するというのも新たに掲げています。

 指標につきましては、ポートフォリオの中で、年度については、それぞれ勝ったり負けたりということはありますが、ベンチマーク収益率を確保すること、いわゆる他の投資家がどのぐらい儲かっているかということに対して負けないようにということを掲げています。これにつきましては、重要度、難易度ともに、「高」としております。

 それから、4ページ目ですが、退職金の未請求者対策です。本文のほうには、退職金請求者へのアンケート調査結果を踏まえた対策の実施を加えておりますが、指標で大きく変わったところがあります。従来は2年経過後の未請求者比率ということで目標にしておりましたが、28年度から、ある中退加入企業から、別の中退加入企業に移るような場合、その猶予期間が2年から3年に延長されたということで、2年で締める根拠がなくなってきておりましたので、3年経過後の数値に新たに書き換えております。御覧いただきますように、2015年度が1.27%、2016年度が1.26%ということですので、この水準を参考にして1.3%以下としております。

 それから、未請求対策も国費から出ているわけではなくて、ほかの加入者の退職金の費用を使うということもありますので、費用対効果に留意する必要があるということです。未請求退職金額の割合を引き下げようということを新たに目標にしております。これも0.380.37という近年の数字を参考にして、0.4%以下ということにしております。

5ページ目ですが、特定業種退職金共済事業についてです。これにつきましては、住所が把握できた全ての人に対して、未更新期間3年経過時及びその後一定期間経過時に、手帳の更新又は退職金請求の手続を取るように要請。それから、未更新者数そのものを、第3期中期目標期間終了から減少させることを新たに設けております。各事業ありますが、特に労働者の動きが激しい建退共事業については、特に把握が難しいということもありますので、建退共については、難易度を「高」としたいと思っております。

6ページ目です。加入促進対策です。従来の目標に加え、中退共制度を知らない企業及び、中退共制度の加入、又は未加入理由の調査を実施するということで、きちんと対象を把握するということを加えております。目標値そのものにつきましては、165万人以上としたいと思いますが、17ページを御覧ください。

 中退共につきましては、新規の被共済者数は、2013年度の315,000人から、近年増加傾向ではありますが、最近の雇用需給要因が、かなり強いものだと思います。そういうことで、雇用需給要因とか、長期トレンドや、制度変更要因などで、回帰分析をし、これに基づきまして、新規加入者あるいは、在籍者数を基に、同じ会社での追加加入者数の近似式を作成しまして、これを基に、厚生年金からの3万人の移換が見込まれるということを加え、165万人と目標を設定しております。

18ページです。特退共のほうの被共済者数です。建設については、2016年度の数字ですが、技能労働者が長期的に減少トレンドで、年間1.3%減少がありますので、それを掛け合わせまして、545,000人という5年間の数字を導いております。

 清酒と林業については、2012年からの数字の単純にトレンドを取って、5年間の数字です。清酒は、若干の下方トレンド、林業については、若干の上方トレンドになっておりますが、これで目標値を定めています。

7ページに戻り、B評価となるような、普通に頑張ったときの目標ということで、建退共は545,000人以上、清退共は600人以上、林退共は9,500人以上という目標にしています。

 それから、8ページのマル2の所です。5月から確定拠出年金法等一部改正法が施行されると、DCDBと中退共制度が、一部ポータビリティを持つようになるということで、企業合併等があった場合は、併用するとなかなかやりにくいということもあろうかと思いますので、そういった場合にはどちらかに統一することができるというのが、5月から施行されますが、これについて、来年度はしっかり周知広報をすること。その後も相談に乗っていただくということを新たに書いております。

 それから、指標につきましては、受付日から18業務日以内と、従来、カレンダー日で25日としておりましたが、土日を除いて5/7倍にして、18日以内としております。これは年末年始ですとか、長期休暇のときに、一部対応が厳しい部分もあるということで、業務日換算にしております。

 それから、ホームページ閲覧者の満足度は80%以上、アクセス件数は115万件以上、これは単純に現在の今期中の実績を平均しております。毎年度1回以上、統計情報等を整理・分析し、対応策を検討・実施するということです。

それから、特退のほうは、指標の所ですが、もともと30カレンダー日でしたが、22業務日以内としております。ホームページのアクセス件数についても、今期実績の単純平均をもとに66万件以上、清退共は16,000件以上、林退共は32,000件以上。毎年度の検証も同じように定めております。

 次に、10ページは、固有の課題についてです。まず、林退共事業についてです。各共済事業は資算運用が順調に行われておりますが、林退共の資産に対しては、まだ約5%の負債を抱えているということで、その解消が課題になっております。昨年度から中退共との合同運用を開始しておりますが、31年度に財政検証が行われるまでは、被共済者の実態調査を行って、合同運用部分の割合を、どの程度まで高くできるかについて、来年度末までに検討して、必要に応じて見直しを行うこととしております。

 財政検証は遅くとも2年後ぐらいまでに行うとなっておりますが、その結果を踏まえて、2005年に策定した「累積欠損金解消計画」の見直しを行って、その計画に沿った累損金の解消を図ることにしております。指標につきましては、年度ごとの解消すべき累積欠損金を解消することとし、それについても、重要度を「高」、難易度も「高」にさせていただきたいと思います。

11ページの財形ですが、融資資金の調達及び貸付方法と書いてありますが、例えば労働者が家を建てたいときに資金を調達しますが、この調達割合が長く国債8単プラ2の割合で調達することとなっておりますが、現在、この差が少し広がっているということで、調達割合が適当かどうか、あるいは貸付方法と書いていますが、機構が取るスプレッドが適当かどうかについて、現在の金融情勢や、機構の財務状況を考えながら検討して、検証結果で見直しが必要ということになれば、厚生労働省の支援を得ながら金融機関との調整を実施するということを書いています。

 あと、職員研修の実施等と利用促進対策の中では、特別な支援を必要とする利用者への融資ということで、現在も子育て世代ですとか、中小企業の労働者への融資ということについては、特別金利を設けておりますが、これらについて必要なものを取り組んでいくことを記載しております。

3番の剰余金については、金融リスクへの備えとか、先ほどの特別な支援を必要とする利用者への融資の資金として使うようにとしております。

 指標につきましては、借入申込みからの処理期間は平均5業務日以下、これは現在の数字を基に設定しております。それから、新規借入申込件数ですが、財形が低金利の中で新規件数は減少しておりますが、そのトレンドを踏まえまして、2,080件以上です。ホームページのアクセス件数が31万件以上としています。

12ページは、雇用促進融資業務につきましては、残務処理的な業務になりますが、単々とリスク管理債権を処理して、財政投融資の償還期限(2019年度末)までに、着実な償還を行うこととしております。

 第4の効率化につきましては、独法評価制度委員会のほうでも言われているように、法人の長を中心に、必要な見直しを検討・実施することとしております。経費削減については、今期と同じように、一般管理費については15%以上、業務経費については5%以上という削減目標にしております。また、給与水準につきましては、機構のラスパイレス指数は、地域差などを考慮しますと、101ということで、ほぼ国家公務員並みということですが、一般的な給与水準の適正化の記述を入れています。

13ページですが、業務の電子化について記載しております。まず、プログラミング言語が少し古いものになっているので刷新すると。システムが継ぎはぎ継ぎはぎできているものですから、利回りを変えるというときに非常にコストを要するということがありまして、そのシステムの再構築を行うことにしております。

 それから、建設業退職金共済制度については、掛け金の納付方法が、労働者がそれぞれ持つ手帳に、就労の都度、事業主が証紙を貼るという方法でやっておりまして、管理がなかなか難しいとか、管理コストが高いというようなことがありますので、電子申請方式について導入が可能かどうかの実証実験を実施して、導入の可否を検討するとしております。実験そのものは1月から開始しております。指標としましては、このシステムの更新についてスケジュールを入れておりますことと、先ほどの建退共の実験については6月までに終了して、今年中に検討結果をまとめるようにということにしております。

 それから、5番の契約の適正化については、マル1ですが、特に、システムの回収の場合は、どうしても随契になりがちだということがありますが、安易に随意契約とせず、透明性を確保することと、前回の委員会で指摘されたものを入れております。マル2の中には、中期目標期間中の一者応札の平均件数を今期より増加させないよう努めることとしています。

14ページ、第5の財務内容の所は、「第4の効率化に関する事項」で定めたものを予算化して、それによる運営を行うとしております。

 第6の重要事項です。内部統制については、「独法の業務の適正を確保するための体制の整備」に基づく業務方法書に定める規定がありますが、これを適宜適切に見直して、各種会議及び研修等を通じて、役職員で認識を共有すること。この内部統制の仕組みについて検証を行って必要な見直しを行うこと。情報セキュリティー対策については、インシデント発生時に、迅速かつ適切な対応ができるように、組織体制及び手順の確立をする。それから運営委託先についても、リスク管理体制を強化すること。対策の状況をPDCAサイクルで改善することということを盛り込んでおります。

4番の所ですが、社会的に優良な企業への投資ということで、最近、ESG投資というような取組が行われておりますが、社会的にいいと思われる企業に投資を行うことで、その企業を延ばしていって、延いては労働環境の改善につなげられないかということについて検討して、来年度中に結果を取りまとめて、可能な場合は取り組んでほしいということです。中期目標についての説明は以上です。

 

今村主査

 ありがとうございます。では続いて、法人から「次期中期計画案」について説明をお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 総務部長の鈴木です。御説明させていただきます。資料は、1-2の緑色の方の資料を御覧いただければと思います。この会議の直前まで、勤生課(勤労者生活課)さんと、目標に基づいて計画を定めるため、ぎりぎりまで調整していたので、若干、目標と計画との整合性が悪い部分もありますが、御容赦いただければと思います。また、目標により具体的な取組まで御指示を頂くような形となっておりますので、目標の説明との重複を避けるため、計画については補足的な説明になるかと思います。よろしくお願い申し上げます。

 先ほど、勤生課長様から御説明がありましたが、今回から資料1-1の「第3国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」の所は、機構の勘定ごとに分かれるということになりましたので、そのような括りで、こちらの計画の「第1国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標達成するためとるべき措置」も勘定ごとになっております。

 まず、Iの退職金共済事業におきましては、中退共、それから建退共、清退共、林退共、それぞれ同じような枠組み構成になっています。それぞれ資産の運用、それから確実な退職金の支給に向けた取組、加入促進対策の効果的実施、サービスの向上と、この枠組みの中で、それぞれの退職金事業の特徴に応じた目標の設定、それに対する取組という枠組みになっております。

 まず中退共の資産の運用のところですけれども、これは先ほども御説明がありましたように、機構の実施する取組としましては、資産運用委員会の議を経て作成又は変更する基本ポートフォリオ等を定めた「資産運用の基本方針」に基づいて実施していきます。当然その中では、退職金支給に必要な流動性を確保しつつ、中期的に中退共事業の運営に必要な利回りを最低限のリスクで確保しますし、委託運用部分につきましては、各年度において各資産のベンチマーク収益率を確保していきたいと考えております。

 次に、確実な退職金の支給に向けた取組ですが、実は、先ほど御説明がありましたとおり、今回、目標の指標が変わっております。3年経過後の未請求者比率を毎年度1.3%以下、それから3年経過後の未請求退職金額の割合を、毎年度0.4%以下という形で、指標の見直しをしていただいたところです。それに基づき、機構が実施する取組として、共済契約者に対する働きとして、年1回、被共済者ごとの加入状況のお知らせの送付、「被共済者退職届」における被共済者住所記入の周知・徹底等を図りますし、退職者に対する働き掛けとして、退職後3か月経過後、2年経過直前、3年経過直前、5年経過直前に請求手続の要請等を図っていきたいと思います。また、加入者への周知・広報等も行う等をしていきたいと考えております。

2ページにいきまして、加入促進対策の効果的実施ですが、165万人以上という目標を設定することということですので、引き続き周知・広報活動、それから、個別事業主に対する加入勧奨として、機構が実施する普及推進員、事業主団体等による加入勧奨等を行っていきたいと考えております。

 それから、サービスの向上です。目標(指標)では、受付日から18業務日以内に退職金を全数支給することとなっています。また、毎年度、ホームページの閲覧者の満足度を80%以上とすることなども目標として設定されています。これについて具体的に申し上げますと、ホームページのQ&Aに対して、それぞれに「参考になった」、「参考にならなかった」、それから、それぞれにコメントを付すような形になっておりまして、この「参考になった」という割合が80%以上ということになっています。「参考にならなかった」コメントを利用しまして、ホームページのQ&Aそれぞれを改善してサービスの向上を図っております。このように、「参考になった」という割合が高まれば、ホームページが充実した、サービスの向上を図れたということなのかとは考えているところです。そういった様々な取組をして、サービスの向上を図りたいと考えております。

3ページの建設業退職金共済事業の関係です。(1)資産の運用の関係は、中退共とほぼ同じです。それから、(2)確実な退職金の支給に向けた取組のところですが、先ほどありましたが、目標(指標)が、これまでの共済証紙の販売額の累計と、貼付確認額の累計の差額、これを前中期目標期間の終了時の数から100億円程度減少させるという目標から、ここにありますとおり、特に下の●のところですが、中期目標期間の最終年度までに、長期未更新者数を、前中期目標期間の終了時の数から減少させるという指標に変えていただいております。

 これに基づき、機構の実施する取組として、○の2つ目辺りですけれども、過去3年間手帳更新のない長期未更新者に対する現況調査に加え、長期未更新者のうち75歳に達した者に対しても、共済手帳の更新、業界引退者への退職金請求等の手続をとるよう要請を図っていきたいと考えております。

 それから引き続き、4ページですが、共済証紙の適正な貼付に向けた取組も行っていきます。(3)加入促進対策の効果的実施ですが、545,000人以上ということで、これに対しても機構としては周知広報活動、それから個別事業主に対する加入勧奨等を行っていきます。(4)サービスの向上としては、機構が実施する取組として、業務処理の効率化、情報提供の充実、それから積極的な情報の収集及び活用、こういった様々な対策を講じていきたいと考えております。

5ページ目になります。清退共事業ですが、こちらも資産の運用については、同じような目標、同様の取組を図っていきたいと考えております。それから、確実な退職金の支給に向けた取組ですが、こちらも先ほどの建退共と同じように、新たに長期未更新者数を前中期目標期間の終了時の数から減少させるという指標が示されておりますので、機構の実施する取組として、真ん中辺りですが、過去3年間手帳更新のない長期未更新者に対する現況調査において、共済手帳の更新、業界引退者への退職金請求等の手続を取るよう要請する等、また、集中的な広報活動などを積極的に行っていきたいと考えております。

 加入促進対策の効果的実施としては、600人以上という指標が設定されており、下に書いてありますように、機構が実施する取組として、相談員、既加入事業主に対する文書等による要請、それから、関係事業主団体等が発行する広報誌等への掲載など、一生懸命やっていきたいと考えております。(4)サービスの向上につきましても、建退共、中退共と同様な取組を実施していきたいと考えております。

7ページ目、林退共事業の関係です。これにつきましては、資産の運用のところは、先ほど、勤労者生活課長様からありましたが、累損があるということで、真ん中辺りですけれども、機構が実施する取組として、今後は行われる予定の財政検証までの間に、被共済者の実態調査を行い、資産運用における中退共事業との合同運用部分の割合を退職金支給に必要な流動性を確保した上で、どの程度まで高くできるかを平成30年度末までに検討し、必要に応じて見直しを実施すると。その後、財政検証の結果を踏まえ、「累積欠損金解消計画」の見直しを行い、計画に沿った着実な累積欠損金の解消に努めていきたいということです。

 次の(2)確実な退職金の支給に向けた取組としては、先ほどの建退共、それから清退共と同じように、長期未更新者数を減少させるという目標が定められており、同様な手続を要請するような取組、機構が実施する取組の真ん中の○のような取組を引き続き実施していきたいと考えております。

 それから、(3)加入促進対策の効果的実施ですが、9,500人以上とすることが示されておりますが、特に林退共につきましては、機構が実施する取組として、○の最後のところですが、「緑の雇用」の実施に当たり、林退共制度への加入について、事業主に指導するよう関係機関に要請することとしています。この辺は、特に強めにやっていきたいと考えております。(4)サービスの向上については、ほかの事業と同じような形で、サービスの向上に向けて取り組んでいきたいと考えております。

 次の9ページです。財産形成促進事業の関係です。これも先ほど、厚生労働省のほうから御説明がありましたが、機構が実施する取組として、調達金利につきましては、厚生労働省の支援を得ながら金融機関との調整を実施していきたいと考えていますし、厚生労働省の政策体系・目的にも配慮しながら特例金利の設定等の商品設計の工夫も図っていきたいと考えております。それから、職員研修なども力を入れていきたいと考えております。

 利用促進対策の効果的実施には、様々な目標(指標)を示されております。そういった中で、機構が実施する取組としては、ここに書いてありますが、特別な支援を必要とする利用者への融資内容の見直し、それから財形持家融資制度のみならず、やはり財形制度全体の周知というのは大切ですので、そういったことも、ここに書いてあるようないろいろなツールを使いながらやっていきたいと考えております。そして、ホームページ、パンフレット、インターネット広告等のコンテンツの改善も図っていきたいと考えております。財政運営の関係は、先ほど厚生労働省のほうから説明があった内容と一緒です。

10ページですが、雇用促進融資事業の関係です。これについては、債権管理を適正に行うとともに、財投からの借入金残高、これを着実に償還していくのが、機構の取組であると考えております。

 続いて、第2として業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置ということです。1.効率的かつ効果的な業務実施体制の確立ということで、法人の長を中心に、業務の効率的・効果的実施等の観点から様々な見直しを検討して実施していくというところです。それから、業務運営の効率化に伴う経費削減についても、先ほど厚生労働省のほうから御説明がありましたが、一般管理費を15%以上、業務経費を5%以上の削減を図っていくということです。給与水準の適正化についても、引き続き適正な給与水準となるよう取組を行い、公表を行って参りたいと考えております。

4番、業務の電子化に関する取組について、少し補足的な説明をさせていただきたいと思います。資料1-214ページの参考1を御覧ください。中退共電算システムの再構築というところです。2.再構築の背景・必要性です。昭和50年代の基本設計をベースに、類似の制度改正による変更の継ぎ足しで開発・改修をしてきました。かなり非効率なシステムになっています。また、細かい要件までハードコーティングされていて、柔軟性を欠くシステムになっているというところです。先ほど、勤生課長様からありましたが、予定運用利回りで、元号を変更するだけでも年単位の期間と、億単位の費用が掛かるといった現状にあります。

 また、もう1つは、○の3つ目になりますが、プログラミング言語がCOBOLを使っているということで、機能的な古さ、それを扱えるSEの方も高齢化しています。データ的に見ますと、IPAの白書等から抜いてきたのですけれども、IT技術者が業務上使用したことがあるプログラミング言語の割合というのが、昔は第1位だったのが第9位で、これが大分、下がっています。

 それからもう1つですが、情報の多さからプログラミング言語の人気や関心の高さを計算した指数、TIOBEというランキングがあるのですけれども、これも29位までと大分下がっているということです。やはり将来的な面からのシステムの安定的な運用という観点からも、やはり再構築の必要性があるかなということです。

再構築の効果としては、システムの柔軟化による改修期間が短縮、また経費が削減されるのではないかと考えております。また、やはりシステムの安定的な運用のためには必要であろうということで、こういったことを御理解いただいて、目標と示されている指標として、先ほど御説明がありましたが、2018年、平成30年度末までに現行システムの調査・分析を行い、2020年度末までに新システムの要件定義・再構築手法等を決定し、2021年度からシステムの再構築を開始するようにという御指示ということで、調査・分析等をしっかりやりながら、4番にあるようなスケジュールで何とかやっていけたらと考えております。

15ページ、もう1つの柱である「建退共制度における掛金納付方法について」です。これにつきましては、先ほども御説明がありましたけれども、目標(指標)として、電子申請方式の導入の可否につきまして、20186月までに実証実験を終了し、実証実験参加者その他の関係者の意見を踏まえて検討を行い、201812月までに検討結果を取りまとめることを御指示いただいているところです。

 実際には、この1月から既に実証実験を開始しており、約20社の建設業者の方が参加し、実験を始めているところです。3番ですけれども、実際の手続は、これまでの手帳に印紙を貼るという方式ではなくて、事業者さんが掛金として実際に原資を電子的に払い込み、それを機構は入金確認後、退職金ポイントとして付与しておく、そして、(2)になりますが、就労実績が事業者さんから報告があれば、それを、その実績に基づいて退職金ポイントを掛金として充当するというような枠組みになっているところです。6か月間、実証実験を一生懸命やっていきたいと考えております。

11ページ、契約の適正化の推進、これは厚生労働省のほうから御説明がありましたが、示されている目標、取組などにつきまして、契約の適正化を図っていきたいと考えております。それから、第3の財務内容の改善に関する事項も同様です。次に、「第4その他の業務に関する重要事項」で、内部統制の強化です。これについては、資産運用委員会や運営委員会をはじめとする各種会議や監事監査等を通じて、内部統制システムを適切に運用していきたいと考えております。

12ページですが、2番の情報セキュリティ対策です。私どものシステムについては、業務系と情報系に物理的な分離をやりました。現状として、その個人情報が漏れるというようなことではありませんが、サイバー攻撃等の脅威に対しては、引き続き強固なシステム環境の構築が必要だということです。特に情報系システムについては、まだ脆弱ですので、それらを含めてセキュリティ対策の適時適切な対策の実施強化を、是非、図っていただきたいと考えております。

 そうした内部統制の強化、情報セキュリティ対策関係ですが、全体的なガバナンスという観点で資料の16ページの参考3を御覧ください。機構のガバナンス体制という図ですが、緑のところが外部の方の知見を使って、ガバナンス体制を強化しているような形になっています。「資産運用委員会」、これは大臣指名の委員によって資産運用状況の監視、資産運用に関する重要事項を審議していただいております。それから左の端ですが、「リスク管理・コンプライアンス委員会」において、私どものどういうところにリスクがあるかというマップ等を作り、職員のリスクの認識を高めるようなことをやっております。真ん中の「情報セキュリティ委員会」において、CIO補佐官に入っていただきながら、政府の情報セキュリティポリシーに合わせるように、基準の改定をしたり、情報セキュリティ対策などの計画を作ったりして、PDCAを回しながら、研修それから訓練等を行っているところです。また、さらに右端になりますが、「システム化委員会」ということで、機構全体のシステム案件をとりまとめ、優先順位を作り、計画を作って進捗管理などもやっております。その端、「CIO補佐官報告会」というものを設け、機構におけるセキュリティに関するシステム等の助言を頂いているところです。また、左の上のほうにありますが、新たに外部有識者委員から構成されます「情報セキュリティ委員会」などを立ち上げて、更にセキュリティ対策に万全を期していきたいと考えております。

 戻って12ページですが、内部統制の強化、情報セキュリティ対策の推進、こういった枠組みの中で一生懸命やっていきたいと考えており、更に、災害時における事業継続性の強化も図っていきたいと考えております。それから3番目の退職金共済事業と財形促進事業との連携も図っていきたいと考えております。最後、4番目として、社会的に優良な企業への投資ということで、ESG投資のお話が厚生労働省からありましたが、2018年度末までに結論を取りまとめ、可能な場合は実施していくというところです。

13ページには、その他、予算や職員の人事に関する計画、積立金の処分に関する事項等を記載させていただいているところです。説明は以上です。

 

○今村主査

 それでは、ただいま御説明いただきました、次期中期目標案と、次期中期計画案について、御意見、御質問等をお願いいたします。前回のJEED、高齢障害求職者雇用支援機構の検討会では、非常に熱い議論が展開されました。今日も是非、熱い議論を展開されますよう、お願いいたします。いかがでしょうか。

 

○戸田構成員

 御説明ありがとうございました。今回新たに中期目標を作るということで、数値目標に関しては、きちんと根拠を明示されていて、非常によく分かりやすく、特に何か異論を申し上げるということはほとんどないのですが、1つだけ、少し懸念しているところで申し上げます。

 林退共の累積欠損金を、御説明を理解した限りでは、5年間で累積欠損金を解消するという、ですから5年間でゼロにするというところを目標として掲げていらっしゃると理解したのですが。これは結構、印象としてですが、これまでの運用実績等を拝見していると、なかなか難しいのではないかと。やはり林業自体の業界の置かれている環境を踏まえると、なかなか厳しいということです。

 御説明の中では、ほかのアカウントとの合同運用もあるという御説明があったかと思うのですが、やはり目標を書くときには、なかなか累積欠損金をゼロにするというのは、ちょっとチャレンジングで、かつ少し無謀かなという印象も持っております。その辺をもう少し、例えば合同運用を含めて検討し、その中で累積欠損金解消に向けて取り組んでいくみたいな書きぶりであってもいいのではないかなということを、少し印象として思いましたので、もし御意見等ありましたら、お伺いできればと思います。

 

○雇用環境・均等局勤労者生活課長

 ありがとうございます。ちょっと説明が足りていなかったと思うのですが、実は現在の累損解消計画というのが、平成34年度までになっておりまして、残り5年間ということで、先ほど少し申し上げましたが、今、資産に対して5%ほどの欠損があるということですので、毎年、利回りなどとは別に、プラス1%で返していかないと解消は終わらないという状況なので、これは正直、難しいと思っています。従って、今の累損解消計画は諦めて、新たに計画を作り直す必要があるだろうと思います。

 それまでの間、法律的に、5年ごとに財政検証をやることになっておりますので、遅くとも再来年度までには財政検証をやって、その業界の方とも話をしなければいけませんが、今の0.5%という利回りが適当なのかどうか。そうでなければ、もっとリスクを取りますかというような話をしながら、新たに、では何年で、どうやって返していきましょうかということを決めて、それに基づいて累損解消計画を、これは5年ということはないと思います。もっと長いタームになると思いますが、新たな計画を作って、それに基づいて着実に返していきましょうということを、お願いしたいということで書いております。

 

○戸田構成員

 すみません、失礼しました。「年度ごとに定める解消すべき」と書いてある点を、ちょっと見落とした質問であったかなと思っています。そこは訂正させていただければと思うのですが、先ほどの御説明の中で、合同運用を含めて視野に入れているというような話もあったかと思うのです。その点について、もう一度、御説明いただければと思います。

 

○雇用環境・均等局勤労者生活課長

 この2年前から、利回りを0.7から0.5に下げたり、林野庁と協力して、林野庁の助成金も使いながら、加入者を増やしていこうとか、そういったパッケージの中に中退共事業との合同運用というものがありました。これは林退事業という100数十億円の資産ですので、小さなロットで運用するよりも、中退の4兆何千億円のロットと、まとめてやったほうが委託手数料が節約できるということで、年間900万円ぐらいなのですが、節約できるということで、これを始めております。

 この財政検証の結果を踏まえて、長期的にどうやって取り組んでいくかということが決まるわけですが、それまでの間は、この中退共事業は昨年度から合同運用を始めていますけれども、実は去年の2月に中退のほうでは借金を返し終わって、それなりの蓄えができたということで、リスクオフしています。

 その結果、リターンも従来よりは小さくなったということで、中退事業だけを見ると、それでいいのですが、それに乗っている林退事業のリターンも小さくなったということで、その返済が従来よりも少し鈍化する状況になっているので、そのキャッシュフローとの関係で、どこまで合同運用に回せるかというのを検証して、その範囲で、もう少しリターンを取れないかということを、やっていただけないかということが、そのマル1の記載になります。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。

 

○関口構成員

 直接的な意見ということではないのですけれども、システム関係のことについて、今一度、少し説明をお願いできればと思います。中退共の電算システム再構築ということで、そういう意味では、かなりしっかりとスケジュールを組んで、これからなされると思うのですが、今後のことを考えますと、同様の非常に古いシステムを使っている企業等が多々ある中で、その予算の、ある程度の枠組みがあるかと思うのですけれども、年度が経てば経つほど、今後、元号が変わったり、いろいろな対応が予測される中で、予算の中で、このスケジューリングできっちりと施行することができるのかどうかというところも、若干、不安なところがあります。その辺りについて、しっかりと内部で御検討されていると思うのですけれども、心づもりについて、もし何かありましたら、お知らせいただければというのが1つです。

 それから、今の中退共と特退共のほうで、システムが別運用ということだと思うのですが、中長期的に見ると、多分、一緒にするということが一番望ましいとは思うのですけれども、その辺りのスケジューリングについて、今後、中退共でうまくいったところに寄せて、ほかの特退共のところを加味していくというか、一緒にされていくということが、一般的に考えると、一番リーズナブルであったりするのかなと思います。その辺りについても何かお考えがあるようでしたら、少しお教えいただければと思います。すみません、雑駁ですが、以上2点、もし御検討されているのであればということで、お知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 計画に関するご質問だと思いますので、私どものほうから御説明をさせていただきたいと思います。まず、今、おっしゃったように、恐らく私どもと同様の問題を抱えている機関というのは、非常に多いのだとは思っています。であればこそ、非常に担い手の少なくなっているCOBOLを使った再構築ではなくて、プログラミング言語をCOBOLから変換していくことによって、再構築に使えるSEの調達の規模というものが、より自由になるのではないかと考えているところです。

 若干、敷衍させていただきますと、先ほども説明にありましたが、COBOLについては、機能そのものもさることながら、やはり担い手不足というのが一番大きな問題であると思っております。先ほど、TIOBE Software社のランキングの話がありましたが、若いSEの方々がどんなプログラミング言語を学べばいいのかと、身に付ければいいのかを検討する際に参考にするランキングにおいて、COBOLは既にランキング番外に近いような所にいるということは、今後、SEの担い手が増えるということは余り期待できない、ということを示唆しているものと考えられます。そうなりますと、人数不足に加えて高齢化が進んでいるようなSEに余り無理もさせられないということだとすると、一刻も早く新しい言語に変換していく必要があると思っております。それによって、先ほどおっしゃったような担い手SEのボトルネックの発生も、ある程度抑えられるのではないかと思っています。

 ただ、おっしゃるとおり、そうであっても、向こう5年から10年の間に、こういったものを見直すというような動きが集中して、なかなか前に進みづらくなるという懸念があるのは確かだと思っています。そこで、私どもは業者の選定の部分でも、工夫をしていきたいと思っております。安いからといって、バックアップ体制が不十分で、十分なSEを投入できないような業者に頼むということではなくて、そういったバックアップ体制も含めた総合企画評価というような形で業者を決めて、SE不足による作業遅延といったヒッチが起きないような形で計画を進めていきたいと考えているところです。

 それから、もう一点の事業毎のシステムの合同ということですが、制度の内容がかなり異なりますので、システムのプログラムの内容も全く異なっており、一つのシステムにまとめるというのは難しいと考えております。ただ、現在でも共通基盤化している部分は存在しており、全く別のシステムになっているというわけではありません。

 また、システムの共有については、各制度毎に被共済者、あるいは共済契約者との関わり方の差異もありますので、情報セキュリティとの兼ね合い等も考えながら、どこまでシナジーが発揮できるか検討して参りたいと思っております。

 すみません、2つ目の質問については、システムの一本化というところまで、余り現時点で計画があるわけではないので、一般的な概念として御説明をさせていただきました。

 

○今村主査

 どうでしょうか。

 

○戸田構成員

 システムの件に関連して、勤退共の皆さん、結構、目標も計画もしっかりしているので、なかなかコメントしづらいというところもあるのですが、シートについては私より皆さんのほうが御専門なので、釈迦に説法というコメントになってしまうのですけれども、やはり最近はフィンテックですとか、ブロックチェーンといった新しい技術を含めて、かなり金融機関も導入して、それが社内行動にも影響しているという話を聞きます。是非そういうところも、もちろん予算との兼ね合いというところは承知しておりますので、それがかなう面でというところではありますが、やはり御検討いただければと思います。

 先ほどの御説明で、入札の際でも随意契約にしないようにするというところも、かなり見方によっては、いろいろと批判が出てくるとか、いろいろと物議を醸すというところもあるかもしれませんけれども、是非、その点も貫徹していただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 ただいま頂きましたフィンテック等については、AIといったものの活用がどこまでできるかということなのかというご質問だと思います。業務系ということで考えますと、1つ考えられるのは、最近の流行りのRPAのようなロボティックの活用というのがあるかと思います。これも釈迦に説法みたいで恐縮なのですが、RPAは、高度なマクロというようなものですので、システム再構築を待つまでも無く、今現在のシステムに上乗せするような格好でも利用し得るものと考えております。

 ただ、そうした計画を新システムの再構築と同時並行的に走らせるのは、しんどいのはしんどいので、再構築に向けた作業が一段落しましたらば、例えば今は派遣の方々でやっていただいているようなところについて、ある程度ロボティックスを導入することで少人化を図るとか、残業減らしに役立てるとか、そのような検討は、再構築とは別に、できるのではないかと思っております。

 

○今村主査

1つ質問ですが、法人のほうの説明の14ページに、「細かい要件までハードコーティングされたシステム構成」というのは、これは「ハードコーティング」でよろしいのですか。「コーディング」ではないのですね。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 「ハードコーディング」です。

 

○今村主査

 そうですよね。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 すみません、コーディングです。プログラミングです。

 

○今村主査

 分かりました。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 ついでに謝らせていただくと、今の四角の一番最後の行の最新ランキングのところに、「TOIBE」になっていますが、それは「TIOBE」です。これはオランダのTIOBE Softwareという会社です。失礼しました。

 

○今村主査

 今、システムに関連する御議論で、最後に「取りあえず、この問題を片付けてから、次に」とおっしゃったのですが、私はむしろ、これは同時にどこまでできるかということを、ある程度ぎりぎりまで検討されたほうがいいのではないかと思うのです。というのは、先ほど戸田委員からも、機構はとてもしっかりとシスティマティックに構築されて、よくできていると。ただ逆に、それがよく出来過ぎているがために、イノベーションの機会を逃すという心配が、もしかしたらあるかなと。

 よく言われたら、中国はどんどん進んでいると。あれはリープフロッグだと。つまり遅れているカエルのほうがジャンプして飛び越えて行ってしまうということがあるわけです。特にAI、特に汎用AIががどんどん進歩していきますと、これからシステムの発想が全く変わっていくことが考えられます。したがって、そのCOBOL、「電算システムの再構築と電子計算器」と書いてあるのですが、むしろこれは、ITAIとか、そういったシステムということになるわけであります。

 そういう発想で、法人所管課からの指示は、2012年度からシステム再構築開始、201812月で検討結果という程度の指示ですので、内容については特に指示がないわけであります。機構の持続可能性ということも考えると、是非そういう意味で、せっかく16ページでは、CIO補佐官という方を外部からエキスパートとして導入される、この部分は非常に陳腐化が激しいところでありますので、その中で維持ということは非常に難しいと思います。  だからこそ、最新の、特に日本の中だけではなくて、中国とか、それからもちろんアメリカももそうですし、一部のアフリカでもどんどん進んでいる所はありますから、そういうところをちょっとグローバルに視野を広げていただいて、今までの発想に捕らわれない、よくできた機構だからこそ、陥りやすい罠には陥らないでいただきたいという希望があります。

16ページの図に関して、ちょっとこれは質問ですが、一般の機構職員はどこに入るのかという素朴な質問です。理事長のところに非常に集中して、非常に頑張っていらっしゃるというS評価の理事長も中核にいるような感じがするのですけれども、その全体のガバナンスというと、これは一般の職員も当然入っていくわけであります。

 それから、理事会というのがポツンとぶら下がっているというのも、ちょっと気になるところであります。これはもちろん一時的に作られたポンチ絵だと思うのですが、実はこの上に、先ほど言ったコンピューターシステムの情報、電算ではないいろいろな経営情報が載っていくのではないかと思うのです。

 具体的には、金利の運用状況のデータなどがリアルタイムで載っていくということになると思いますので、是非、せっかくこういうガバナンスのすばらしい絵を作られたのでありますから、これが機能するようなシステム構築というものを併せて、エコシステムとして全体がうまく絡み合っていくような、そういう発想が是非、必要ではないか。これは法人所管課からの依頼事項とか、指示事項にはありませんけれども、是非、そういう意味で、より高度な目標を達成していただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 今日は本当に良い機会を与えていただきまして、ありがとうございます。今の御質問にお答えする前に、前振りでお話をすると、本当に理事以下で、勤生課等がずっと詰めてくれて、私はほとんど何も言わなかったのですが、出来上がったものはほとんど私のイメージどおりです。そういう意味では、今日も何も言わずに帰るのが一番良いのかと思っておりましたが、今村先生から、16ページのガバナンス体制についての御質問が出ましたのでお答えをさせていただきたいと思います。その前に、関口構成員からの御質問ですが、西川理事の答えの、そちらの受け止め方が違うと思いますので、それもお話をします。

 まず、システムというのは手段であって目的ではないので、システムを特退共と中退共と、もしそろえるのであれば、このガバナンス体制から全部そろえないと、それはできないということです。現在、我々の機構が頂いているガバナンス体制はこういうふうになっておりますので、むしろ分けておいたほうがいいのかなと。将来、それが一緒になる可能性があるかなということから考えると、完全には一緒になかなかなりにくいだろう。もともとの歴史や制度を考えると、それぞれに運営委員会もありますし、そこはなかなか難しいだろうということで、分けて進みますというお答えだと思います。

 次に、理事長が頑張っているというよりも、独法の理事長は、独任制と言って理事会はあるのですが、最終的な決定権限は全部、理事長になっていて、更に責任も全部理事長にある。その反省から、GPIFの改革では、経営委員会が出来た。現在、独法では理事長が全ての責任を負うことになっているので、ガバナンス体制という面で言うと、こういう体制になるのかなということです。

 そうすると、当然、外部の知見が、理事長はすぐどんどん陳腐化していきますし、外部の知見が必要なので有識者委員会を作っています。。この委員会も、私にとっては非常に有り難い貴重な委員会ですが、そういう委員会を作って、外部の知見を入れてチェックですね、理事長の暴走を止めるというか、そういう体制がどうしても必要です。当然、ここでもそうですが、そこで、出てきた知見を、今度は職員の皆さんに何とか流し込んで、我々も常にたゆまざる努力をしていくということです。

 この体制が本当に良いのかどうかは私も分かりませんが、現在はこの体制の下でベストを尽くすと言うと、こういう施策になるわけです。今村先生からも御指摘がありましたが、ますます変化は激しいです。我々の機構というのは、情報セキュリティーと資産運用という最も変化の激しいものが、下手をすれば致命的な間違いになるわけです。この体制が良いのか、という面から言うと、これはむしろ我々の責任権限ではなく、厚生労働省の権限だと思いますが、我々現場からも問題を提起していきたいと思っています。、中退共システムについて言えば、決して、取りあえず中退共システムをやるという訳ではないのです。中退共システムをやるに当たっては、そこの分野においては、最先端のものを研究し、ただし、我々の機構の力とか、能力からいえば、最先端をいきなりやるのではなく、自分たちがそこでできるところはどの辺かを見極めた上で設定をしていきたいと思います。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございました。

 

○中村構成員

 拝見して、それぞれ高い目標に対して、どのようにやるかということを検討されている様子がよく伺えて、非常に素晴らしいなと思っています。11つのテーマに対して、これはできるかできないかということは多分、検討されているので、そうではなくて全体的なことを言わせていただきます。

 目標に対して、やはり、自分たちの言葉で書かれているのは、読んでいて非常に気持ちが良いです。それで、どういうふうにこれをやっていくか。例えば、これは建設業退職金共済事業ですが、6ページの(2)マル1マル2とあるわけですが、これに対して計画のほうは、6ページ(2)に、イロハニまで使って書いてあります。ここを書けるというのは、やはり、実際にやっている皆さんでなければ書けないことであって、目標に対して、こういうような方法論でやりますよということまで展開されて非常に良いなと思いました。ここに書かれている計画に従ってやっていただければと思います。

1点だけ、難易度がこうというものとか、重要度とか、今回、新たなものが加わったわけですが、これをどういうふうに取組むかというのは非常に難しいと思います。計画の中でも、これは難しいですよとか、大事ですよと書いてあるわけですが、計画を作る上で難易度や重要度をどのように意識していたのかを教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 難易度は、特に中退共事業が典型ですが、この場合、去年の成果の評価のときも申し上げましたが、過去トレンドでやると、ものすごく良くなるのです。なぜかと言うと、先ほど平嶋課長からも御説明がありましたが、2つの要素があって、1つは明らかに大きな適格年金からの移管というのがすごい数字が入っている。もう1つは、今回、日銀からいらした西川さんが極めてアカデミックに、最小二乗法を使った分析をされましたが、景気環境によって、当たり前ですが、人手不足になれば、こういう退職金制度を入れる企業は増えるので、この2つが、今の5年間の中期計画で非常にフォローできて、それをそのまま入れると相当大変だろうなと。そこは重回帰分析を使って、その2つを除いた結果の数字を出しているのです。それに更に難易度というのは、新聞報道でも盛んにやりますが、これから団塊の世代の経営者が70歳を迎えるので、今までずっと頑張ってきた中小企業が事業承継の壁にぶつかりますので、まず、もっと減る。しかし、そこは実は、計画には余り盛り込んでいないのです。それに対して、どういう施策をやるかというのは、これから厚生労働省の御協力が非常に必要になりますが、腹案はありますが、それが入ればできますよと、入らないとできませんよというのが難易度の形で出ています。

 先ほどの林退共の話について言えば、今村先生がおっしゃったように、今まで10年間で半分累損が解消されたと。しかし、そのときには助成金が1億円ぐらいあって、今でも多少ありますが、今よりも1億円ぐらい多くて、更に金利もものすごく高い利ザヤもあったと。それが現在は利ザヤもほとんどないし、助成金もないという中では難易度は非常に高い。それが、先ほど御質問があったように、これは多分5年間でいかないよねという話になってくるので、これについては息の長い計画で行きたい。ただし、重要度から見ると、これができないと林退共事業はなかなか苦しいわけで、我々として見ればここは大事だということです。例を挙げて申し上げましたが、そんな感じです。

 

○戸田構成員

 先ほどガバナンス体制について議論があったかと思いますが、逆に、この話というのは、私の理解では、平時でのガバナンスをどうするかという話だと思います。先ほど来から御説明があるように、例えば、重要なセキュリティー上の問題が発生したとか、そういった状況についても、いろいろと機構としては情報セキュリティーをしっかりしているということですが。それは、おそらく事前の対策と事後の対策の両方あると思う中で、もし、何らかの事故が発生した場合の、例えば、リスク管理とか、以前の委員会の中ではBCPを作るみたいな話もあったかと思いますが、そういったリスク体制やリスク管理について、今の御見解みたいなものをお伺いできればと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 それも私から御回答します。まず、情報セキュリティーのインシデントが起こった場合は、このガバナンス体制で言うと、理事長の独任制なのです。ですから、私が判断して決断する。ただし、独立行政法人というのは、厚生労働大臣の処分に従うということになっていますので、具体的に言うと、所管の局長とお話をして、最終的にはそこで決めるようになっているのです。そのときの判断として、善管注意義務というか、忠実義務上は、そこの判断に至る間にどのぐらいのことを調べ、、どのくらいのことをしていたかということになると思います。現在の情報セキュリティー体制・対策基準に従って判断をすれば、多分、善管注意義務を尽くして判断したということにはなると思われます。

 今、戸田構成員からお話があったように、今、うちにとって、もう1つしなければいけないのは、今度中期計画でやろうと思っているBCPです。これは情報セキュリティーだけではなく、それこそミサイルが飛んできたらどうするかというところまで入るのだと思います。これについてはまだできておりませんが、ただし、そのBCPの構成要素を因数分解すると、一番大きいのは情報セキュリティーになってくるのです。あともう1つは資産運用です。これは、それをやる前に、先ほど御案内したように、リスク管理・コンプランス委員会を立ち上げて、ガバナンスの専門家のアンダーソン・毛利・友常法律事務所の先生を有識者委員に来てもらって、そのときはどうするかということを議論していますので、ほとんどできてはいるのですが、今度は実はこれからが大事なのですが、それを文書化して、見える化して、更に職員の末端まで落とし込むには、もう少し時間がかかるかなということです。

 ただ、いきなりそれを作っても、紙はできても魂が入りませんが、こういうプロセスを通じてやってきていますので、これから12年かけてやっていくと思います。中期計画では、それを完成させるという目標で今、動いているということです。

 

○今村主査

 若干、時間がありますので、もう少し細かな話で強縮ですが、先ほど理事長の話にもありました、重回帰分析で非常に詳細な雇用者数の将来予測をしておられるということですが、どうも、これは私はトレンドで、ただ伸ばすということに対しては、若干の疑問があるところです。

 例えば、林業に関して言うと、簡単に言うと何が起こっているかというと、イノベーションというか、いろいろな形で技術変化が起こっている。林業であっても、農業であっても、水産業であってもという部分があると思います。もう1つは、セクターを超えて参入しているものが非常に多いので、例えば、従来の林組というルートで介入するだけでなく、外部から入っていた営利企業とか、そういうものを通しての林業の従業者を当然、捉えられるし、そういう意味で、発想がこれからもう少し柔軟に必要になるのではないかと考えます。

 例えば、林業だと、ドローンを使って間伐の時期にやってみたりとか、あるいは農業だと、GPSを使って自動農業をやったりとか、あるいは、この間、コウヨウ山へ行ったのですが、檜のような品質を持ちながら成長期が半分もないという、そういう樹木を植えてみたりとか、かなり林業は努力をしている。何が言たいかというと、要するに、食っていけない林業から食っていける林業にしようと思って一生懸命やっていると。そういう努力はかなり地道にやっているようです。私もそれに関わる評価の基金の仕事をしておりまして、いろいろ現地視察をさせていただいているのですが、非常に動いているなと思います。

 要するに、退職金を司どる機構として、そこまで入り込むかどうかは別にして、現場ではかなりそういう意味では非常に動きがあるということを考えた上で、是非、勧誘とか、加入促進をされたほうがいいのではないかと、将来予測に関するちょっとした付け加えの印象です。

 もう1つは、評価に関して、この間も申し上げたのですが、JEEDの議論で、実際にアクションに結び付いたかどうか。要するに、いろいろなアドバイス、説明会、コンサルティングをやって「良かった」「満足した」という答えだけで、アウトカム指標になるのかという問題について、もう少しお考えいただければと思います。

 つまり、そういう所へ行って、実際にアクションを起こしたとか、起こそうという判断に至ったとか、若干、アクケートのやり方を工夫することで、今までのアウトプット指標から、だんだんアウトカム指標、つまり結果に結び付く指標として、それがまた逆に、先ほど来申し上げている経営の情報システムの中にフィードバックとして流れていくという感じもします。以上2点ですが、答えいただければと思います。

 

○雇用・勤等局勤労者生活課長 

 まず、目標については、将来についてはいろいろな変数があって、例えば林業でも、2024年度からは国民1人当たり1,000円の税金を納めて、それによって、ぐっと盛り返すのではないかという推測もあるわけです。今の時点で、利用可能なデータに基づいてやったということです。

 例えば、中退についても、4月から、5年間有期の人は無期雇用化すると、対象がずっと広がるのではないかとか、同一労働の関係でどこまで入れていくべきかとか、いろいろな議論があり得て、今、お示している目標というのは、今の時点で利用可能なデータを基に作っていますが、今後、5年間の期間の中でも、大きく状況が変わったりする場合は、少し目標を設定し直すことも含めて考えていきたいと思います。これは、どの法人でもそうだと思いますが、そういうのは常に数字をよく見ながら考えていきたいと思っております。

 先ほどの指標ですが、例えば、満足度80%というのは、少しぼんやりしているのではないかという御指摘も含めてだと思いますが、これについては、満足度というぼんやりしたものではなく、もう少し、実際に参考になったかとか、そういうアウトカムにつながるような経路をつなぐものとしてもう少し工夫できないかを考えてみたいと思います。

 

○今村主査

 是非、よろしくお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(三富)

 林業の将来予測について補足させていただきます。実はこの指標を策定する過程で、業界団体や、林野庁の方々ともよく相談させていただきました。先生の御指摘のとおり、新たな参入とか、今後、林業の成長産業化を目指そうという動きはあるのですが、他方で、新規就労者の確保が、これまで以上に難しくなっています。特に若年者については、賃金格差もある中で、すぐには確保が難しいという状況で、林野庁は、かなりアグレッシブな目標を掲げられましたねという受け止めでした。

 推計に当たっては、先々の森林環境税の効果なども含めいろいろ検討してみたのですが、当面5か年で、すぐに新規就業者の増加に結び付くだけの効果はなく、推計に取り入れることが現状では難しいことから、このようなトレンド関数で置かせていただいた経緯があります。

 

○今村主査

 私が申し上げたいのは、林野庁ルートだけで勧誘するのではなく、もしかしたら経産省ルートとか、民間企業ルートで林業就業者がいるのではないかという趣旨のことを申し上げたまでのことです。

 例えば、中山間地で、林業だけでは当然食べていけないと。林業専業ではなく、ウナギの養殖とか、ナマズの養殖とかをやりながら林業と両立させるとか、新しいことをいろいろやっているので、その辺は単なる産業分類だけで捉え切れない就業構造があるということで、就業促進が機構の目的ではないので、ただ網の目を少し広げてやられたらいいのではないかということです。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 もう一点だけ、ホームページの満足度の話で若干、補足させていただきます。ホームページの位置付けということですが、未契約の方については、基本的に基礎的な情報を調べるために使われているというのが利用実態かと考えております。したがって、ホームページの閲覧を、中退共制度導入を決めたという成果に直接的に繋げることは、なかなか難しいのかなと考えております。

 ただ一方で、ホームページから情報を得る方が非常に多くなっている時代ですので、最初の取っ掛かりとしての重要性は非常にあると考えています。ホームページを見て、こんな制度はどうしようもないと思ってやめてしまうことがないようにという意味で、満足度、参考になったという意見を高めることは重要だと考えておりますので、そういう意味で、この指標を使わせていただいているということです。

 一方で、実際に何が決定要因になったのかということについては、別途、毎年行っている調査の中で、最終的にはおそらく社労士や税理士、保険業者、そういった専門家の話を聞いて、私どものほうに申請をしてくる。あるいは取っ掛かりとしても、パンフレットを見たとか、ポスターを見たとか、そういった経路についての調査をやっておりますので、まず経路として何が有効かというもののチェックをし、更には評価委員会でもお示ししましたが、「何を要因として私どもは選んだか」といったことに対する回答を基に制度、あるいは手続の変更余地など、そういったものを検討していければと考えているところです。それをどういうふうに数値で追うことができるのか、また今後、御検討させていただきたいと思います。

 

○今村主査

 繰り返しになりますが、日本経済全体に言えることですが、よく出来た、成功した、しっかりした機構だからこそ陥りやすい罠ということで申し上げたわけで、要するに、ホームページを侮るなかれと。

 私は大学でビジネスモデルを学生に考えさせているのです。例えば、ビジネスモデルもフリーミアムと言って、ただで入るのですが、実はそこからいろいろな新しいサービスを有料で引っ張ってこられるというフリーミアムモデルとか、御存じのとおり、グーグルとか、フェースブックとかマルチプラットホームでいろいろな展開をしていく。

 ですから、中小企業、林業、清酒、そういった人たちのために、全く機構のこれまでの発想になかった形で引きつけていくというような、ホームページという単純な発想ではなくて、ビジネスモデルの根幹を成すような、そういうものに発展する可能性もあるから、是非、今すぐということではありませんが、そうすると、そういうフィードバック情報というのは絶対必要になってきますので、柔軟な発想で是非、お願いしたいということだけです。よろしくお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長 

 今、今村主査から、目が覚めるというか、300万件あるわけですから、300万人の方々がこれを使ってくれれば、相当なものになるかもしれません。

 今、お金がないのと、情報セキュリティーが先ですが、あと5年ありますから、よく頭の中に入れておきたいと思います。ありがとうございました。

 

○今村主査

 是非、検討するだけでもよろしくお願いします。いかがでしょうか。よろしいですか。分かりました。どうもありがとうございました。最後に法人所管課及び法人から、一言お願いします。

 

○雇用環境・均等局勤労者生活課長

 今日は、様々な角度から助言を頂きましてありがとうございます。我々としては、今日頂いた御意見を踏まえて、50年後に振り返ったときに、あそこで対応が遅れていたということにならないように、しっかり精査しながら、この目標は設定していきたいと思います。次の中期目標期間に入っても、必要な見直しをしていきながら、適時適切な対応ができるようにしていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 既にいろいろお話をしておりますが、せっかくですから、まとめて私の会議に対する思いを述べたいと思います。まず本当にありがとうございました。いつも本当に感謝しております。

 今回、中期計画では、一番の大きなところが評価体系だと私は思っています。事業本部ごとのまとまりにより評価されるようになったということで、これが従来からは予算とか、事業の推進とか、決算などが事業本部ごとでしたが、これに評価が一本化された、縦軸でそろったということだと思います。

 理事長としては、事業本部長に任せるべきは思い切って任せる運用を今まで以上に行いたいと思っております。

 是非、事業本部長、理事の皆さんには、目標達成に向けて、遺憾なく手腕を発揮してもらいたいというのが、まず私の気持ちです。

 これも何度も申し上げているように、当機構は、共済契約者と被共済契約者の貴重な2つの財産、すなわち退職金資金と、個人情報をお預かりしています。業務としては、資産運用と、情報セキュリティーということになります。この分野は、先ほど申し上げたように高度な専門知識が必要であり、かつ、日々進化しておりますので、外部有識者の知見によるチェックが必要ですし、さらに今村主査からもいつもお話があるように、人材育成上でも、その知見を職員に浸透させていくメカニズムの構築が必要だと思います。引き続き、この2つの分野については理事長が陣頭指揮を取って、横軸でガバナンスを利かせるとともに、機構の人材の再生産メカニズムを構築してまいります。

 ただ変化の激しい中、今後の5年間を展望すると想定できなかった環境変化が起こる可能性も高いと考えています。特に、当機構は、業務分野が資産運用と情報セキュリティーという最先端の分野に跨がっておりますので、日々の変化にさらされており、対応が遅れれば致命的になりかねないと思っております。

 執行機関である以上、目標を達成するためにベストを尽くすことは、当然ではありますが、中期計画の前提となっている環境に大きな変化が発生した場合は、果断に中期計画のローリングを行うことが当機構の執行を任せられた理事長の責務であると思っております。引き続き、厚生労働省の御理解、御支援をお願いしたいと思います。

 最後になりましたが、本日は本当にありがとうございました。次回の独法評価に関する有識者会議でも良い御報告ができますように、明日からまた頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

 

○今村主査

 どうぞよろしくお願いいたします。楽しみにしております。以上で、本日の議事を終了します。最後に事務局からお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 事務局からお知らせします。今後の流れについては、参考資料2で御説明したとおりで、最終的な中期計画の認可は3月になりますが、確定した中期目標と中期計画については、構成員の皆様にお送りしますのでよろしくお願いします。

 事務的なお知らせになりますが、構成員の皆様の中で、本日配布した資料は大部にわたりますので、郵送を御希望される場合は、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 最後に本WGの閉会に当たりまして、本田総合政策政策評価審議官から御挨拶をお願いします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 本日は、大変お忙しいところ御出席いただき、また、貴重な御意見を賜りまして誠にありがとうございました。本日の御議論を踏まえて、厚生労働省及び機構におきまして、それぞれ次期中期目標、次期中期計画の策定手続を進めさせていただきます。独立行政法人の業績を適切に評価し、法人の業務改善につなげていくためには、その前提として、法人の有する資源・能力、これまでの実績、また、法人に期待される役割などを踏まえ、的確な中期目標及び中期計画を策定することが重要であると考えております。有識者の皆様には、引き続き、勤労者退職金共済機構をはじめ、当省所管法人の評価、またその前提となる目標及び計画の策定に際して御知見を賜りたく存じます。引き続き、どうぞよろしくお願いします。

 

○今村主査

 どうもありがとうございます。以上で、第24回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを終了します。先ほど来、構成員の知見の提供に感謝の言葉を頂いておりますが、私ども構成員としても非常にこの機会は有効です。次回、また新たな知見が提供できるように頑張って勉強してまいりますので、今日は本当にありがとうございました。


(了)

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