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2018年10月15日 第147回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成30年10月15日(月)16:00~18:00

 

○場所

厚生労働省専用第15会議室 中央合同庁舎5号館12階

○出席者

【公益代表委員】

荒木委員、安藤委員、川田委員
 

【労働者代表委員】

櫻田委員、柴田委員、中川委員、八野委員、村上委員、弥久末委員、世永委員
 

【使用者代表委員】

齋藤委員、佐久間委員、杉山委員、松永委員、輪島委員
 

【事務局】

坂口労働基準局長、田中審議官、富田総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、久知良計画課長、中嶋調査官、竹野企画官

○議題

(1)「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
(2)その他

○議事

 

 

○荒木会長 定刻より少し前ですけれども、御出席予定の皆様はおそろいということですので、ただいまより第147回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の委員の出欠状況ですけれども、御欠席の委員としまして、公益代表の黒田祥子委員、平野光俊委員、水島郁子委員、守島基博委員、両角道代委員、労働者代表の川野英樹委員、使用者代表の秋田進委員、早乙女浩美委員、佐藤晴子委員と承っております。
それでは、本日の議題に入る前に、事務局より定足数の報告をお願いいたします。
○労働条件政策課企画官 定足数について御報告いたします。
労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木会長 カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。
それでは、本日の議題に入ります。
お手元の議事次第に沿って進めてまいります。本日の議題は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」であります。
まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○労働条件政策課企画官 事務局でございます。
本日の分科会につきましては、事前に御案内をさせていただきましたとおり、ペーパーレスでの開催としておりますので、お手数ですが、資料はお手元のタブレットで御参照いただければと思います。操作に関して御不明な点等がございましたら、お近くの職員までお声がけいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の議題「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」でございますけれども、この法律に含まれる内容のうち、労働時間の上限規制、年次有給休暇の時季指定、高度プロフェッショナル制度等につきましては、2019年4月1日からの施行とされております。本年7月から8月にかけて開催されました本分科会におきましては、まず、第1段階として、労働時間の上限規制や年次有給休暇の時季指定等に関し、省令・指針で定める事項等を御議論いただきました。本日からは、第2段階といたしまして、高度プロフェッショナル制度に関し、省令指針で定める事項を御議論いただければと考えてございます。
それでは、資料の説明に移らせていただきます。資料を2種類御用意しております。
まず、資料No.1でございますけれども、これは今後御議論いただく項目を一覧にしたものでございます。
まず、<省令で定める事項>でございます。高度プロフェッショナル制度の法律上の根拠といたしまして、今回の改正法で労働基準法第41条の2が新設されておりまして、その規定順に省令に委任されている事項を整理したものでございます。あわせて、11番でございますけれども、これは労働安全衛生法におきまして高度プロフェッショナル制度の対象労働者に対する面接指導の規定が整備されておりまして、これに基づく省令委任事項もございます。複数の事項を一つの項目にまとめているものがございますけれども、大きく分けて12の項目がございます。本日の分科会におきましては、主にこちらの省令で定める事項について御議論いただければと考えてございます。
<指針で定める事項>でございます。現行の労働基準法におきましては、企画業務型裁量労働制の対象労働者の適正な労働条件の確保を図るため、法定指針を定めているということでございます。今回の改正で、高度プロフェッショナル制度につきましても、この法定指針を定めるという規定を法律上準用してございますので、必要な事項について指針を定めていきたいと考えてございます。こちらの指針で定める事項につきましては、次回以降の分科会で具体的に御議論いただければと考えてございます。
続きまして、資料No.2をお願いいたします。「省令で定める事項(素案)」でございます。
まず、中身の説明に入ります前に、資料の構成、見方の説明を先にさせていただければと思います。まず、最初の枠に「法律の規定」といたしまして、法律の根拠条文を記載してございます。次に、中ほどの枠ですけれども、「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」といたしまして、制度を御議論いただいた際の平成27年の建議の内容とか、国会における附帯決議、また、国会で議論された内容など、これまでの議論で示された事項を記載してございます。ページの下の部分、矢印の先の枠でございますけれども、「省令で定める事項(素案)」といたしまして、これまでの議論を踏まえて整理をいたしました省令事項の素案、議論の出発点となるものを記載してございます。先ほどの資料No.1で項目を一覧としてお示ししておりましたけれども、その項目の順番に次のページ以降も同じような構成ということで資料を作成してございます。
それでは、順次、内容の御説明に入らせていただきます。
1ページ、「1 決議の届出の方法」でございます。「法律の規定」でございますけれども、第41条の2におきまして、労使委員会が決議をし、使用者が厚生労働省令で定めるところにより決議を行政官庁に届け出た場合ということで、この届出をすることが法律の制度導入の要件となってございます。「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄でございますけれども、まず、参議院の附帯決議におきましては、27のところで、本人同意が適正に確保されることについて、決議の届出の際に労働基準監督署において確認をすることとされてございます。国会答弁のやりとりでございますけれども、届出として対象業務ごとに支払われると見込まれる賃金額の最低額を少なくとも記入させることを想定しているというやりとりがございます。以上を踏まえまして、「省令で定める事項(素案)」でございますけれども、まず、この決議の届出については、所定の様式により、所轄労働基準監督署長にしなければならないとするものでございます。2点目でございますが、様式において、法定の決議事項について記入する欄を設けるほか、「本人の同意を得る方法」「対象業務ごとに支払われると見込まれる賃金の最低額」を記入する欄を設けるということでございまして、これは附帯決議と国会答弁を踏まえた案でございます。
2ページ、「2 労働者の同意の方法」でございます。「法律の規定」ですけれども、同じ第41条の2に、対象労働者につきましては、書面その他の厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものということが規定されておりまして、書面その他の省令で定める方法により同意を得るということでございます。中ほど「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄でございますけれども、まず、建議におきましては、制度の導入に際しての要件として、労働者ごとに制度適用についての同意を得なければならないとされてございます。国会でのやりとりでございますが、同意の方法につきまして、詳細は労働政策審議会で御議論いただくということでございますけれども、書面への署名による以外の方法といたしましては、電磁的記録による方法も検討いたしますということでございます。同意の方法は書面とそれ以外のどういう方法でということでございますので、省令で定める事項の素案といたしましては書面または電磁的方法としてはどうかということでございます。
3ページ、「3 対象業務」、法第41条の2第1項第1号でございまして、ここからは労使委員会が決議する事項が1号から10号までございますけれども、その第1号が対象業務でございます。法律上、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務とされてございます。「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄でございますけれども、まず、平成27年の建議におきましては、具体的には、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務、コンサルタントの業務、研究開発業務等を念頭に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で適切に規定することが適当とされてございます。参議院の附帯決議でございますけれども、まず、20のところで、政府は、省令でその対象業務を定めるに当たっては、対象業務を具体的かつ明確に限定列挙するとともに、法の趣旨を踏まえて、慎重かつ丁寧な議論を経て結論を得ることとされております。同じく21ですけれども、使用者は始業・終業時間や深夜・休日労働など労働時間にかかわる働き方についての業務命令や指示などを行ってはならないこと。それから、実際の自由な働き方の裁量を奪うような成果や業務量の要求や納期・期限の設定などを行ってはならないことなどについて、省令で明確に規定し、監督指導を徹底することとされてございます。国会答弁も同様の趣旨でございますけれども、働く時間帯の選択や時間配分について、使用者が具体的に指示するものは対象業務としないことを明記する方向で検討しますという答弁をしてございます。
4ページ、「省令で定める事項(素案)」でございますけれども、まずは対象業務につきましては、業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示、この具体的な指示につきましては括弧書きで説明がございますけれども、著しく短い期限の設定その他の実質的に当該業務に従事する時間に関する指示と認められるものを含む。こういった指示を受けて行うものを除くこととするということで、使用者から時間に関する具体的な指示があるものは対象業務ではないものとしようということを定めてはどうかということでございます。なお、※にございますけれども、金融商品の開発等々が例示をされてございますが、限定列挙をする具体的な業務につきましては、次回以降、御議論いただければと考えてございます。
5ページ、「4 職務の合意の方法」、法第41条の2第1項第2号イでございますけれども、対象労働者の要件といたしまして、使用者との間の書面その他厚生労働省令で定める方法による合意に基づき、職務が明確に定められていることと法定をされてございます。「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」でございますけれども、対象労働者につきましては、職務記述書等に署名等する形で職務の内容についての同意を得なければならないとされてございます。これは先ほど同意の方法でもございましたけれども、書面その他どういう方法があるかということでございますので、「省令で定める事項(素案)」といたしましては、書面または電磁的方法としてはどうかということでございます。
6ページ、「5 年収要件の算定方法及び額」で、同じく法の第41条の2第1項第2号ロの部分でございますけれども、年収要件を定めているという部分でございます。これにつきまして、基準年間平均給与額、これは毎月勤労統計における毎月決まって支給する給与の額を基礎として省令で定めるところにより算定した労働者1人当たりの給与の平均額でございますけれども、この3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であることが年収の要件になってございます。「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄でございますけれども、まず、平成27年の建議におきましては、具体的な年収額については、労働基準法第14条に基づく告示の内容(1075万円)を参考に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当とされてございます。参議院の附帯決議でございますが、22のところで、高度プロフェッショナル制度の対象労働者の年収要件については、それが真に使用者に対して強い交渉力のある高度な専門職労働者にふさわしい処遇が保障される水準となるよう、労働政策審議会において真摯かつ丁寧な議論を行うこととされてございます。「省令で定める事項(素案)」でございます。まず、1点目、基準年間平均給与額の算定方法でございますけれども、毎月勤労統計における毎月決まって支給する給与の額の1月分から12月分までの各月分の合計額ということで、年間分を足し上げようということでございます。2点目、年収要件でございますけれども、基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額でございますけれども、1075万円を参考に定めるということにしております。
7ページ、「6 健康管理時間から除くことができる時間及び健康管理時間を把握する方法」で、法律の3号に基づきまして、健康管理時間を把握する措置を使用者が講ずるということが法定をされてございます。省令委任事項は2つございまして、まず、1点目は健康管理時間の定義でございますけれども、これは事業場内にいた時間と、事業場外において労働した時間との合計の時間とされております。この事業場内にいた時間につきましては、労使委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間とされておりまして、この省令で定める内容を定める必要があるということでございます。もう一点は、健康管理時間の把握方法というところで、把握する措置については、厚生労働省令で定める方法に限るということが法定をされてございます。「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄でございますけれども、まず、建議におきましては、健康管理時間の把握方法について、客観的な方法(タイムカードやパソコンの起動時間等)によることを原則とし、事業場外で労働する場合に限って自己申告を認める旨を規定することが適当とされてございます。附帯決議の25番でございますけれども、これも健康管理時間は客観的な方法による把握を原則とされてございます。下の答弁でございますけれども、この厚生労働省令で定める労働時間以外の時間の議論でございますけれども、食事、休憩などの労働から解放された時間を想定しているということで、具体的には、労働政策審議会で議論の上、決めてまいりますということでございます。
8ページ、「省令で定める事項(素案)」でございますけれども、まず、1点目、厚生労働省令で定める労働時間以外の時間は、休憩時間その他労働者が労働していない時間としてはどうかということでございます。2点目、健康管理時間を把握する方法でございますが、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法とする。ただし、事業場外において労働した場合であって、やむを得ない理由があるときは、自己申告によることができるとしてはどうかということでございます。
9ページ、選択的措置の関係でございます。法律の第41条の2第1項第5号に基づきまして、これは決議等々で定めるところにより使用者が選択的な措置を講じなければならないということで、イロハニと4つございます。まず、イは、インターバルの確保、深夜業の回数の制限。5号のロにつきましては、健康管理時間を1カ月または3カ月について、一定時間、超えない範囲とすること。5号のハですけれども、これは2週間の連続休暇を与えること。5号のニでございますが、これは健康管理時間の状況等々に応じまして、省令で定める要件に該当する労働者に健康診断を実施する。この4つの措置の中から、1つ以上を選択していただくということで、法律上、規定されてございます。
10ページ、「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄でございますけれども、まず、平成27年の建議におきましては、下ほどの「上記1、2」のところからごらんいただければと思います。上記1、2の「一定の時間」及び「一定の回数」ということで、これは先ほど申し上げたインターバルの時間数と深夜業の回数、健康管理時間の上限の時間数でございますけれども、これにつきましては、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当とされてございます。中ほど、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱ということで、これは昨年9月に労働政策審議会で答申をいただいたものでございますけれども、この法案要綱の中に省令に関する事項についても一部記載がございまして、(五)のニとありますけれども、これは健康診断のことでございますが、健康診断についての省令で定める要件として、健康管理時間が1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間が1カ月当たり80時間を超えた場合または本人から申出があった場合を規定することとする。健康診断の項目といたしましては、疲労の蓄積の状況及び心身の状況等を規定することとされてございます。以下は、国会答弁でございますけれども、<深夜業の回数>につきましては、労働安全衛生法で自発的健康診断の対象となる深夜業の回数が月4回とされているということでございますので、これを参考にすることが考えられる。<健康管理時間の上限>でございますけれども、一つの議論としては、今回設ける時間外労働の上限、単月100時間未満、複数月80時間、これが議論の一つの出発点になるということでやりとりがございます。
11ページ、「省令で定める事項(素案)」でございますけれども、まず、1点目、勤務間インターバルの時間数は、11時間以上とするとしてございます。2点目、深夜業の回数でございますが、1カ月について4回以内とする。3点目、健康管理時間の上限の時間数でございますけれども、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合における超えた時間について、1カ月当たり100時間及び3カ月当たり240時間ということで、先ほど複数月80時間ということがございまして、3カ月ですので3倍して240時間ということでございます。健康診断の要件でございますけれども、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合における、その超えた時間について、1カ月当たり80時間を超えたことまたは本人からの申出があったことということでございます。健康診断の項目でございますけれども、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目であって脳・心臓疾患との関連が認められるもの及び当該労働者の勤務の状況、疲労の蓄積の状況その他心身の状況の確認とすることとしてはどうかということでございます。
12ページ、「8 省令で定める健康確保措置」で、法律の第41条の2第1項第6号におきまして、対象労働者の健康管理時間の状況に応じて健康診断の実施その他の厚生労働省令で定める措置のうち決議で定めるものを使用者が講ずるということで、先ほど5号で選択的措置の4つの中から1つ選ぶということがございましたけれども、それに加えまして、6号でもさらに健康管理時間の状況に応じた措置の決議をして講じていただくという法律上の立て付けになってございます。「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄でございますけれども、まずは平成27年の建議でございます。これは企画業務型裁量労働制の関係についての建議の記載の部分でございますけれども、健康・福祉確保措置についても見直しを行うこととされてございまして、企画業務型裁量労働制の法定指針に例示されている事項、代償休日または特別な休暇の付与、健康診断の実施、連続した年次有給休暇の取得促進、心とからだの相談窓口の設置、配置転換、産業医の助言指導に基づく保健指導を参考にしつつ、長時間労働を行った場合の面接指導、深夜業の回数の制限、勤務間インターバル、一定期間における労働時間の上限の設定等を追加することも含め検討の上、省令で規定することが適当とされてございます。これも踏まえた国会答弁でございますけれども、これは高度プロフェッショナル制度に関する議論の部分でございます。同じように、企画業務型裁量労働制の指針に例示されている事項、代償休日または特別の休暇の付与等々の事項を参考といたしまして、検討の上、省令で規定することが適当ということで議論がされております。
13ページ、「省令で定める事項(素案)」でございます。厚生労働省令で定める健康確保措置は、次に掲げる措置ということで、まず、1点目でございますけれども、法定の選択的措置、先ほど申し上げました第5号のイロハニの4つの措置でございますけれども、このいずれかのうち当該措置、5号で定める措置として、労使委員会で決議をしたもの以外のものということで、5号で1つ選んだら残りの3つがあるわけでございますので、それから選んでもよいということでございます。2番目でございますが、建議に例示されている事項のうち、法定の選択的措置以外のものということで、代償休日または特別な休暇の付与、心とからだの相談窓口の設置、配置転換、産業医の助言指導に基づく保健指導、医師による面接指導といった項目が考えられるところでございます。
14ページ、「9 その他の省令で定める決議事項」でございまして、法律の第41条の2第1項第10号ということで、1号から9号まで決議で定める事項が法定をされているわけでございますけれども、前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項ということで、決議で定める事項そのものが省令委任をされているということでございます。「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」でございますけれども、附帯決議の25におきまして、健康管理時間について、適正な管理、記録、保存の在り方や、労働者等の求めに応じて開示する手続など、指針等で明確に示すとされてございます。参考で、明朝体で書いている部分でございますけれども、現行の企画業務型裁量労働制におきましては、労働時間の状況、健康・福祉確保措置として講じた措置、苦情の処理に関する措置として講じた措置の記録を3年間保存することについて、労使委員会の決議事項として省令で定めているということがございます。附帯決議の29でございますけれども、労使委員会における決議については、その制度創設の趣旨に鑑み、有効期間を定め、自動更新は認めないことを省令等において規定することと盛り込まれてございます。下の国会答弁でございますけれども、これは50人未満の小規模事業場の扱いでございます。50人未満になりますと産業医の選任義務がなくて努力義務があるということでございますけれども、高度プロフェッショナル制度を導入する場合には、50人未満の小規模な事業場においても、健康管理に当たる医師を選任することとする方向で検討していきたい。具体的には、決議事項を定める省令等に規定することを考えていきたいということがございます。
15ページ、「省令で定める事項(素案)」、厚生労働省令で定める決議事項は、次に掲げるものとするということで、まず、1点目、決議の有効期間の定め、当該決議は自動更新しないこと。2点目ですが、委員会の開催頻度及び開催時期ということで、これは企画業務型裁量労働制で決議事項となっているものではございませんけれども、国会議論の中で労使委員会の適切な運用という議論もございましたので、こういったことを定めてはどうかということでございます。3点目、50人未満の事業場である場合には、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師を選任すること。4点目、労働者の同意及びその撤回、合意した職務の内容、支払われる賃金の額、健康管理時間、健康確保措置として講じた措置、これは4~6号までの措置が含まれるものでございます。それから、苦情処理に関して講じた措置、ⅲの医師の選任の記録、こうした記録を決議の有効期間中及び有効期間終了後3年間は保存することということで、こうした記録の保存を決議に定めてはどうかということでございます。
16ページ、「10 健康確保措置の実施状況の報告の方法」でございます。法律の第41条の2第2項におきまして、決議の届出をした使用者でございますけれども、厚生労働省令で定めるところにより、同項第4号から第6号までに規定する措置、健康確保措置でございますけれども、その実施状況を行政官庁に報告しなければならないとされてございます。「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄でございますけれども、平成27年の建議におきましては、届出を行った使用者には、健康・福祉確保措置の実施状況を6カ月後に報告すること、その後は健康・福祉確保措置の実施状況に関する書類を保存することを義務づけることが適当とされてございます。それから、国会でのやりとりでございますけれども、まず、6月28日におきましては、この報告につきまして、裁量労働制においても6カ月ごとになっているわけでありますから、そこを踏まえて検討していきたいということでございますし、7月3日におきましては、6カ月ごとに報告を徴収しようということを考えておりますといったことでやりとりがなされてございます。何を報告させるかという点につきましても若干議論がございまして、その下の部分でございますけれども、同意した者の数、同意を撤回した者の数も報告をとっていきたいということで答弁がございます。
17ページ、「省令で定める事項(素案)」で、1点目、報告でございますけれども、労使委員会による決議が行われた日から起算して6カ月以内ごとに、所定の様式により、所轄労働基準監督署長にしなければならない。2点目、報告は、健康管理時間の状況及び健康確保措置の実施状況について行うものとする。3点目、様式において、「同意をした者の数」「同意を撤回した者の数」を記入する欄を設けるということで、こうした内容にしてはどうかということでございます。
18ページ、「11 医師による面接指導の要件」で、これは労働安全衛生法の関連になります。労働安全衛生法の第66条の8の4ということで、これは今回の改正法で新設されていることでございますけれども、高度プロフェッショナル制度の対象の労働者について、その健康管理時間が健康の保持を考慮して省令で定める時間を超えるものに対し、省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならないということで規定されてございます。第66条の9でございますけれども、これは面接指導の義務対象者以外の労働者について、健康への配慮が必要なものに対しては、必要な措置を講ずるように努めなければならないということで、努力義務が設けられているということでございます。「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄でございます。平成27年の建議におきましては、<面接指導の強化>ということで、労働安全衛生規則において、健康管理時間について、1週間当たり40時間を超えた場合の超えた時間が1カ月当たり100時間を超えた労働者について、一律に面接指導の対象とする旨を規定することが適当であるとされてございます。本制度の適用労働者に対し、事後措置の実施を法律上義務づける。これは法律でございますけれども、上記の時間が1カ月当たり100時間以下の労働者であっても、その申出があれば面接指導を実施するよう努めなければならないものとすることが適当であるとされてございます。「省令で定める事項(素案)」でございますけれども、まず、66条の8の4に基づく厚生労働省令で定める時間でございますが、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1カ月当たり100時間とする。2点目、面接指導の実施手続等については、労働安全衛生法第66条の8の2の面接指導、これは研究開発業務の面接指導でございますけれども、これに係る規定に準じて定めるということでございます。3点目、面接指導の義務の対象となる労働者以外の労働者から申出があった場合には、面接指導を行うよう努めなければならないこととするということで、法律の第66条の9に基づきまして、努力義務を定めるというものでございます。4点目、あわせてということでございますが、面接指導に係る事項について、産業医の職務、産業医に対して情報提供する事項として追加してはどうかということでございます。
19ページ、「12 その他省令事項」で、これは法の第41条の2第3項がございますけれども、ここにおいて、法第38条の4第2項、これは企画業務型裁量労働制の労使委員会の要件等に関する規定でございますけれども、この規定を準用しているということがございまして、これに基づく省令についてもあわせて整理をする必要があるということでございます。省令を定める事項の素案でございますけれども、現行の企画業務型裁量労働制に係る規定を準用してはどうかということでございます。
具体的にどういう規定があるかということは、20ページをごらんいただければと思います。これは現行の労働基準法施行規則の規定でございますけれども、第24条の2の4に、今、申し上げた労使委員会の要件等が定められてございます。まず、委員の指名でございますけれども、監督または管理の地位にある者以外の者について行わなければならない。第2項では、議事録を作成して、3年間保存しなければならない。第3項では、議事録を労働者に周知させなければならない。第4項でございますけれども、委員会の運営について規程が定められているということ。第5項では、運営規程の作成、変更については、労使委員会の同意を得なければならない。第6項で、労働者が労使委員会の委員であることなどを理由といたしまして、不利益な取扱いをしないようにしなければならない。こうした規定がございますので、これは高度プロフェッショナル制度においても準用してはどうかということでございます。
20ページまでが「省令で定める事項(素案)」でございまして、21ページ以降は指針に関する事項で、指針につきましては、冒頭申し上げましたとおり、次回以降の御議論ということで考えてございますけれども、関連する建議等々でどういうことが言われているかということを参考としてお付けしたものでございます。下の「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」の欄に参りますけれども、対象労働者につきましては、本制度の対象となることによって賃金が減らないよう、法定指針に明記することが適当とされてございます。(3)は、先ほど来、出てまいりましたが、健康管理時間について客観的な方法によることを原則とし、事業場外で労働する場合に限って自己申告を認めるということがございます。(7)は、法定指針を定めることが適当とされております。附帯決議でございますけれども、これも一部「省令で定める事項」で出てまいりましたが、25番の健康管理時間でございまして、適正な管理、記録、保存の在り方や、労働者等の求めに応じて開示する手続など、指針等で明確に示すとされてございます。
22ページ、附帯決議の27でございます。下線部でございますけれども、本人同意に関しまして、本人同意の手続の適正な運用が重要であることから、提供されるべき情報や書面での確認方法を含め、本人同意に係る手続の要件等について指針等において明確に規定するとされてございます。それから、使用者に対して、同意を得る際には不同意に対していかなる不利益取扱いもしてはならない。労働者が同意を撤回する場合の手続についても明確に決議した上で、同意の撤回を求めた労働者を速やかに制度から外すとともに、いかなる不利益取扱いもしてはならないことについて、周知徹底とされてございます。29番でございますけれども、本人の同意につきましては、対象労働者としての要件充足を適正に確認するためにも、短期の有期契約労働者においては労働契約の更新ごと、無期または1年以上の労働契約においては1年ごとに合意内容の確認・更新が行われるべきであることを指針に規定とされてございます。以下は、国会答弁の関係でございます。まず、<同意の撤回に係る不利益取扱いの禁止>で、この不利益取扱いの禁止については、指針に位置づけて明確化する予定ということでございます。<対象労働者の契約期間>で示しておりますけれども、これは非常に短期間のものはふさわしくないだろうという議論がございまして、どういったものを除外するべきかということを議論する必要があるということで答弁がなされてございます。
23ページ、<休日の確保>で、これは法律の第41条の2第1項第4号のところで休日の確保は出てまいりますけれども、これについて、年間104日以上、かつ4週間を通じ4日以上の休日については、確実に取得されるよう労働者本人が年間を通じた取得予定を策定して使用者に伝えることが望ましい。また、その際、疲労の蓄積を防止する観点から適切に取得することが重要である、その旨が使用者や労使委員会によりあらかじめ周知されることが望ましいといった点を指針に規定をして、徹底していきたいということでございます。<健康管理時間の記録方法>でございますけれども、下の下線部のところでございます。様式は特に定めをしておりませんけれども、少なくとも日々の健康管理時間が記載されているということ、医師による面接指導の要否等を確認するため、1カ月の合計時間が集計されている必要はあるということで、こうした記録方法とすべきことは指針に規定してはどうかということでございます。
最後、24ページ、<健康確保措置として、一定の条件の下で労働者を制度の対象から外す旨>でございまして、健康管理時間が長時間に及んでいる場合などについては、一定の条件のもとで労働者を制度の対象から外すということを、健康確保措置として決議することは考えられるだろうということでございまして、こうした点も指針等に明記することも検討していきたいといったことがございます。国会におきましては、これ以外にも解釈にかかわる部分等やりとりがございましたので、そうしたことを参考に指針事項を整理して御議論いただければということで考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等があれば、よろしくお願いいたします。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
高度プロフェッショナル労働制の議論が労働政策審議会で始まるということでございますので、改めて使用者側としての基本的な考え方だけ先に述べさせていただきたいと思っております。
我が国企業を取り巻く環境でございますけれども、国際競争の激化、デジタライゼーション、AIなど新技術を利用した企業の新規参入、人口減少に伴う国内市場の縮小ということで、これまでにない大きな変化に見舞われていると認識しているところでございます。企業がこうした環境変化に対応するためには、イノベーティブな経営を一層追求していくほかございません。そのために、最先端分野の研究者などイノベーションの担い手である高度専門職がその持てる能力を最大限発揮できるように、環境を整えることが大変重要だと考えております。もとより、高度専門職の特徴として、働いた時間と成果との関連性が高くないということ、また、企業に引く手あまたであって転職が容易なくらい極めて高い専門性を持っているという点が指摘できるのではないかと思っております。
こうした高度専門職の特性を考えると、働いた時間に比例して成果が上がることを前提とした従来の労働時間規制はなじまないと考えておりまして、高度専門職の健康確保措置はもちろん、そのための通常労働者にはない独自の健康確保措置も用意されていると理解しているところでございます。
必須の健康確保措置となっている年間104日の休みの確保は、週休2日相当になりまして、確実に休みを確保するという内容でありまして、労使同数による労使委員会が自社の実態に合った形で別途健康確保措置を決める仕組みが、法律上、盛り込まれており、高プロ対象者の健康を確保する上で実効性が高い仕組みになっていると理解しているところでございます。
上限規制の導入などによって、過重労働、過労死を防止しつつ、企業の生産性向上を実現するために高度プロフェッショナル労働制の制度が盛り込まれ、働き方改革関連法案が国会で可決・成立したと考えております。
今後、きょうから労働条件分科会で検討を行っていく事項は、今、御説明をいただきましたけれども、高プロ制度を導入するに当たって、労使が具体的に定めなければならない事項、手続、対象業務や年収要件を実務的に定めていくと認識しているところでございます。労働者の実効性の高い健康確保措置がされていることを前提に、柔軟な働き方の選択肢をふやす制度として、来年、2019年4月の施行に向けて、使用者側としてしっかり議論に参画をしてまいりたいと考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
八野委員。
○八野委員 ありがとうございます。
労働側の意見ということで、審議会に臨むに当たって意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、労働側からは、建議の取りまとめに当たっても、高度プロフェッショナル制度について、既に柔軟な働き方を可能とする他の制度が存在し、現行制度のもとで成果と報酬を連動させることは十分に可能であり、現に実施されていること及び長時間労働となるおそれがあること等から、新たな制度の創設は認められないという意見を建議の中に入れさせていただいたと思っております。現在でもなおこの制度に対する反対は根強く、そのことを踏まえて審議に当たりたいと思っております。
働く者の命と健康を守るという観点から、参議院の附帯決議19でも、長時間労働の歯どめがないとの指摘を踏まえ、この制度の誤用・濫用による健康被害を決して許してはならず、使用者による決議違反等に対しては厳正に対処するということが述べられております。
そういう視点から、高度プロフェッショナル制度の具体的な実施の在り方については、参議院の附帯決議の30にあるように、多くの事項が省令に委任をされております。国会答弁の中においても、詳細に関しては省令または指針でという答弁があったかと思っております。
立法趣旨または参議院での附帯決議の要請内容を十分に踏まえて、当分科会において省令に委任されている一つ一つの審議について十分かつ丁寧な審議を行いたいと思っております。その必要性をまずここで述べさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
世永委員。
○世永委員 ありがとうございます。
今、御説明いただきました省令事項と指針事項が分かれて資料が出されているということで、全体像としてどのような制度となるのか把握するためには、一覧となっている資料をぜひお願いしたいと思っています。次回以降、省令事項、指針事項が一望でき、何をどこに規定するのかわかる資料を出していただきたいということを要望として言わせていただきます。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
この点については、事務局からありますか。
○労働条件政策課調査官 御指摘ありがとうございます。
次回、そのように心がけたいと存じます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
弥久末委員。
○弥久末委員 ありがとうございます。弥久末です。
中身でありますけれども、このタブレットの資料でいいますと2ページ、また、5ページの関係です。資料の2ページには、労働者の同意の方法というところ、また、5ページには職務の合意の方法というところで記載がありますが、書面または電磁的方法ということが記載されています。附帯決議27号におきましても、真に制度の適用を望む労働者にのみ適用されることを担保するとあります。この電磁的方法、非常に重要な内容において、いわゆるサイン、署名ということではなく、電磁的方法についての具体的な中身について確認をさせていただきたいと思います。
また、電子メール、ファックス等々もありますけれども、そういった意味では、昨今、なりすましとか、そういった非常に不安定な状況もあろうかと思っています。労政審の今までの議論においても、自署での署名をイメージして議論してきたと理解しておるところであります。電磁的記録による方法については、こういったものについて認めていくことはあってはならないと理解しておるところであります。このあたりのことについても、少し聞かせていただければと思います。
以上です。
○荒木会長 電磁的方法について質問がありましたけれども、事務局からいかがでしょうか。
○労働条件政策課調査官 御指摘いただきました電磁的方法といたしましては、御指摘もありましたような電子メール、すなわち、これにつきましては、書面そのものではございませんけれども、今の使われ方あるいは技術的なものからしましても、それと同視できるようなものではないかと考えておりまして、国会での答弁も踏まえてそのような形で御提案させていただけたらと思っておりますが、御指摘の中には、恐らくはそのような方法もさることながら、今、同意の話がございましたので、同意をする方、高プロの対象になる方について、きちんと十分な判断材料をもって、決断、判断ができるようにという御趣旨もあるかと思っておりまして、そういうところも含めまして、次回以降、指針なども含めまして御議論いただきたいと思っているところでございます。
○荒木会長 弥久末委員。
○弥久末委員 答弁ありがとうございました。
ただ、どういう形であれ、どういう技術を使っても、こういったものを電磁的なものできちんと管理していくことは非常に無理があるのではないかと思っています。全てのところがこういったものをどういうふうに入れられるのか。そういったものを含めて、これは非常に課題が多いとも思いますので、電磁的方法については再考願いたいと思います。
以上です。
○荒木会長 村上委員。
○村上委員 先ほどお答えの中で、国会答弁ということを言及されていたのですが、6月14日の参議院の政府参考人、労働基準局長の御答弁の中では、「本人同意については記録を保存していただく、これを労使の決議事項として省令で定めますので、労働基準監督署で監督指導した際には、この本人同意が書面でなされているかどうかも確実に確認してまいりたいと思います」とお答えになっているところでありますので、書面でなければならないのではないかと思っております。
以上です。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 今、村上さんがおっしゃった6月14日は、資料No.2のところに書いてあるのでしょうか。これは事務局への質問です。
○労働条件政策課調査官 私どものほうで引用しているものではございません。恐縮です。
答弁自体は、もちろん書面等ということで、書面が芽出しをされている、主たるといいますか、出されているところでございますので、そういったことを鑑みて書面ということを申し上げたのだと思います。趣旨としては、恐らく書面など適切な方法でされているということを、これは監督の現場でも見ていきますということ、まさに委員から御指摘がありましたとおり、これにつきましては、省令で今回、定めをして、使用者にきちんと同意のことについても記録をして保存していただくということでございますし、それについては、そういうルールを設けることに加えて、これは監督という中でもきちんと確認をしていきますということを申し上げたものと考えてございますが、御指摘については御意見として頂戴したところでございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 先ほどのものと関連して、書面か電磁的かというところはございますが、その中身のところで、5ページに職務記述書とありますけれども、これが具体的にどういうものなのか、イメージがまだつかめないということで言うと、内容をしっかり固めていくことが必要ではないかと考えております。
例えば、具体的な職務を書くことはもちろんですけれども、保障される年収なり、業務形態、健康確保措置、あとは労働時間に係る働き方について業務指示がないといったことも記載すべきではないかということとともに、会社と労働者の同意であることを担保すべきではないかと提案させていただきます。
以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
佐久間委員。
○佐久間委員 私も今の御質問の趣旨とちょっと似ているのですけれども、まず、5ページのところです。職務記述書になりますけれども、こちらについては、今、おっしゃられた項目のほかに、実際には様式をこの分科会でそこまで定めていくのかどうかですね。これはまた次回以降の議論となってくると思いますけれども、そういう疑問点がございました。
3ページですが、27年度の建議のときにこういうお話が出たのかもしれませんが、私が不勉強で申しわけないのですけれども、コンサル担当業務について、事業・業務の企画運営に関する高度な考案または助言の業務というものがあります。これも当然ながら外部に対するコンサルタント業務を指していると思うのですが、内向きの業務またはグループ会社とか、そういうものに対してのコンサル業務が入るのか。社内向きですとかなり広い業務、経営面、財務面とか、また、労務の関係もあるでしょうけれども、こういうものも対象になってくるということが読めてしまうのかどうか。ここは教えていただきたいところでございます。
9ページ、10ページに、11ページに、インターバルの時間がございます。高プロのほうで一つここでは特記するという考え方になると思うのですけれども、この素案、これもこれからですけれども、11時間以上というものがあります。過労死等の防止の大綱のほうでは、これらの数値目標は定めないという形になってきたと思うのですけれども、この辺の関連性を、一つこれは特記していくのか。これもまた次の議論になると思いますので、事務局としての大きな考え方だけ教えていただければと思っています。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
まず、職務記述書等々に関しましては、また今後、指針等の在り方も含めて御議論いただきたいと思っておるところでございます。
また、コンサルタント等に関しましても、御指摘いただいているような視点があろうかとは思っておりまして、こちらも恐縮でございますが、次回以降と思ってございます。
インターバルの時間に関しましては、いわばこれは今回の法改正におきましても、いわゆる労働時間等設定改善法の中で努力義務ということになっておりまして、何時間以上でなければそのような制度と呼ぶことができないといったものではないと考えてございます。
一方、平成27年の建議にもございますが、各企業におかれまして、実際、インターバルの取組実態など幾つか把握できているところによりますと、時間数はそれぞれではございます。しかし、そういった中で今回一つの御提案といたしまして、健康をしっかりと確保していく。すなわち、睡眠時間もそうでありますし、さらに言うと生活時間の確保という観点もあろうかと思います。そのような中で、今回は一つ11時間を、この高度プロフェッショナル制度における健康確保措置という意味におきまして、定めてみるというのもいかがかと思いまして、素案として御提示させていただいた。ここも御議論をいただきたい点であろうと考えてございます。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 先ほど冒頭に言いましたように、附帯決議の中で出されているように、省令等に委任される一つ一つの事項について、十分に丁寧に議論をしていく必要があると思います。
何を言いたいかというと、例えば、今、労働者の同意の方法というところでもう一度意見を言わせていただきたいのですが、労働者の同意は今回の高度プロフェッショナル制度にとっては非常に重要なものだと思っております。
世永委員から先ほど言ったように、例えば、職務記述書の詳細については指針で出されるということで、指針とセットで省令を見ていかないと、この同意の在り方がどういうものなのかというものが我々としては理解ができない。例えば、職務記述書の中に、労使委員会の中で合意する10の項目が全て入っていますよと。それに同意するのか同意しないのかということなのか、この中ではそれが十分読み切れない。それをなぜ言うかというと、高度プロフェッショナル制度は、それが真に制度の適用を望む労働者のみに適用されるものであって、本人同意の手続が非常に重要であるということがあるのだと思います。例えば、本人が同意しない場合または同意の撤回が国会の中でも話されて、不利益な処遇が禁止されていることもここに明記していく必要があるだろうと考えるのですが、そういうものが十分に触れられていないと思っております。
それと、22ページの附帯決議29で、有効期限を定め、自動更新が認められないことを省令に定めるということが資料のところでは載っているわけですが、それがここの中では入っていない。そういうように、どこまでをここの中で包含しているのか。そういうものが見えない中では審議をしづらい。41条の2しか載っていないわけですね。あとは省令と指針の中で決めていくということになっているので、どこまでが包含されていて、どこまでを省令の中に入れようとしているのかを明確にすることが非常に重要なのではないか。そうした観点から、もう少し本人同意のところについてもお答えいただきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 ありがとうございます。
今、御指摘いただきました中で、まず、技術的な点からでございますけれども、附帯決議の29のところで、有効期間を定めて、これは省令等において規定することという部分でございます。ここにつきまして、決議についての有効期間というところでございますので、これにつきましては、省令の中で決議の有効期間を定める。それから、自動更新はだめなのだということを省令で定めて、それにのっとって決議を定めていただくということで担保してまいりたいと考えているということが1点でございます。
それから、前段部分のところで、同意と言ったときに一体どこまでのことを求めていくのかという御指摘だろうと思います。これにつきまして、法文に照らしますと、同意を得るところといたしましては、制度の適用があるということと職務の内容も合意をしていくということで整理はされておるわけでございます。こういったものを、書面、あるいは電磁的な方法も提案しているわけではございますが、この中でそういったことを確認していただくということを考えているところでございます。
少し先ほどのお答えの中で申し上げましたのは、そういったものを書面なりで確認していく際に、恐らく同意をする方については、その判断をするに当たってもっとさまざまな情報が要るということだと思います。委員の御指摘の中でも、同意をしないときにどうなるのかという点にも答えられなければいけないという御指摘だったかと思います。
そういった意味で、同意を求めるときにあわせて提供しなければならないような情報といったものを、少し指針なりの形で整理をして御議論いただきたいと思っておりまして、大変一覧性がなくて恐縮でございますが、次回以降、御議論を深めていただきたいと存じます。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 どうもありがとうございます。
一つ、不同意または同意の撤回の不利益の禁止がされていることは、同意の文書の中に入っているべきではないかと捉えます。この契約の中で、何年間やるのですかと。1年間なのですか、その契約はどうなのですかということも、有効期限の中には私は網羅されていると思っています。それは、労使委員会の決議が1年間というところで押さえるというやり方もあるのかもしれませんが、その辺が明確でないと、この場の中でこれでいいとは言えないところがありますので、そういうものの定めも省令の中にきちんと入れていくべきなのではないかと思っています。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
資料No.2の2ページ、2つ目の箱の「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」、建議(4)のところを事務局に解説していただきたいと思います。制度の導入に際して、要件として、法律上、対象労働者の範囲に属する労働者ごとに、職務記述書等に署名等する形で同意を得なければならないということでございますので、最終的には労働者ごとにサインをとるということではないかと思うのですが、それは全体的にはそれぞれの内容について労働者が理解した上で最終的にはサインをするということが私どもの理解なのですが、そういう理解でよろしいかどうかを教えていただければ。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ただいま御指摘いただきましたように、この27年の建議におきまして、まさに労働者ごとにということ、職務記述書などに署名等をする形で同意を得なければならないということにしてございますので、まさに労働者一人一人に関しまして内容がきちんと把握された上で同意をとっていくということであると考えてございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
中川委員。
○中川委員 同意のところの次に、対象業務について、具体的な業務の列挙は次回以降と伺っておりますけれども、議論する上で、参議院の附帯決議、3ページの20、21のところで2点意見を申し上げたいと思います。
まず、1点目は、附帯決議の20ですね。制度の趣旨に鑑みると、使用者に対して強い交渉力を持つ者でないといけないというところなのですけれども、そういう意味で言うと、使用者からの具体的指示がないというだけではなくて、高額な賃金というところがあったとしても、1年目なり2年目の労働者は交渉力があると言えるのかというところは、その点も明らかにすべきであろうというところがまずは1点。
もう一点、次の附帯決議の21番のところですね。素案の表現では、時間にかかわるところしか記載していないようなのですけれども、もう一点、時間だけではなくて、裁量を奪うような成果の要求なども行ってはならないということも附帯決議に忠実に記載していくべきではないかと考えております。
以上、2点でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
御意見ということだと思いますが、村上委員。
○村上委員 同意の話に戻るのですが、質問ですけれども、資料No.2の1ページの決議の届出の方法の部分で、下の箱の「省令で定める事項(素案)」として、様式においては、法定の決議事項について記入する欄を設けるほか、本人の同意を得る方法を記入する欄を設けるとあるのですが、本人の同意を得る方法は、具体的にどういうことなのか、何を記載すればいいのかということのイメージをお聞かせ下さい。この省令案が出てきた背景は、その上の箱にある参議院の附帯決議の中で、本人同意が適正に確保されることについて決議の届出の際に労働基準監督署において確認するということがあったので、この様式にも加えるべきということになったのかと推察いたします。
衆議院もそうですけれども、参議院の委員会の中では、同意の問題は大変大きな争点になっていまして、その背景には労使の力関係に非対称性があるので、交渉力があるといっても、労働者は制度の適用を強制されるのではないかとか、無理に同意させられるのではないかという大きな懸念が背景にあったと思います。
そういった背景を踏まえて、今回、省令・指針の議論をするということであれば、それの不安を払拭するに足るだけの手続を定めるべきではないかと思いますので、この同意を得る方法だけ、書面を用いますとか、サインをもらいますということだけ書いてあれば、本人同意が適正に確保されることを監督署が確認できるのかということについてはいささか疑問がありますので、その点は少し事務局のお考えをお聞かせいただければと思います。
○労働条件政策課長 ただいまの様式のところでございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、本来であるならば、この届出事項とされているところに関しまして、様式の欄を設けていくということで足りるわけではございますが、国会での御議論も踏まえまして、今、村上委員から御指摘いただいたような点に関しましても、届出の際に確認するということで欄を設けたいと考えておるわけでございます。
この同意に関しましては、先ほど来、御指摘もいただいておりまして、一方、同意の記録といったものをきちんと保存していっていただく必要もあると考えてございますので、この届出の際の記入していただくやり方に関しましても、引き続き検討を進めまして、改めて御議論に供したいと思ってございます。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
中川委員に先ほどの御発言の趣旨をお伺いします。専門性が高いことと新入社員ということとは関連性があるのかどうかという御発言の御趣旨は、新入社員には高プロは対象にするべきでないと理解しました。しかし、専門性が高ければ年収は1075万円以上なのですから、大学を卒業していたとしても専門性が高ければ高プロの対象になるのではないかとおもいます。新入社員という話とはリンクしないと思うのですけれども、どういう御趣旨だったのか、もう一度御説明いただけますでしょうか。
○中川委員 ありがとうございます。
そういった意味では、そもそも交渉力が高い低いというところをどう見るかということが難しいということがベースにございます。そういった意味では、1年目、2年目というところは、我々は新卒も想定していますし、中途採用みたいなものも最初は想定しております。会社との交渉というところでいうと、当然その会社のそれぞれ文化・風土等もございますから、それぞれの会社によって違う。歴史も当然ございますし、そういった中、いきなり入った1年目のところで会社と対等に交渉ができるか。しかもその業務は会社から与えられているのですよね。細かい時間等の指示はなくても、業務は会社の指示のもとやっているわけですから、そういった中で交渉力があるかというと、1年目、2年目ではないのではないかということを私は申し上げただけです。新入社員とか、中途採用とか、そういったところには特にこだわってはいません。1年目、2年目はそういった意味であります。年収が高くても、当然仕事をする上では1年目ではなかなかそういった交渉力があるとは言えないのではないかということが趣旨の発言でございます。
○輪島委員 ありがとうございます。
○荒木会長 よろしいですか。
八野委員。
○八野委員 今のところですが、さまざまな捉え方があると思うのですけれども、まずは高度な専門的な知識等を本人が持っていることがあると思います。その対象の業務のさまざまな要件があって、そこのところに対して強い交渉力を持つには、その場において、ある程度の経験値が必要なのではないか。そうでないと、この対象業務についてのさまざまな要件についての交渉ができないのではないか。そういうところも趣旨としてあるのではないかと思っています。
条文の中で決められている高度プロフェッショナルの規定が、ある意味、非常に曖昧で、いろいろな解釈ができる要件があるので、その辺をきちんと定めていく必要があるというのが本来の趣旨なのではないかと思っております。
続けて、先ほども言いましたように、本人の同意をどうやって得ていくのかというのは非常に重要だという認識には変わりはありません。いわゆるそれが真に制度の適用を望む労働者のみに適用される。先ほど使用者側からもそういう意見がありましたけれども、真に制度の適用を望むといったときに、その真にとは何なのかというものを明確にしていく必要があるだろうと思っています。それによって本人の同意の手続が適正な運用がされているかどうかというところが、一つ今回の大きなポイントではないか。先ほどから繰り返し言っておりますが、同意の撤回を求めたものにも不利益な取扱いをしないことが重要なのだろうと思っています。
多少、対象業務のところにも入っておりますので、その部分についてもお話ししていきたいと思うのですが、6月4日の参議院の本会議で、安倍総理からも、働く時間帯の選択や時間の配分は労働者がみずから徹底するものであることを省令で明記する方向で検討しているとの答弁がなされております。そういうふうに見たときに、制度の対象者は、附帯決議等にもあるように、使用者に対して強い交渉力を持つ労働者であること、それと、業務という視点から見ていったときに、労働者に労働時間の裁量権がある業務に限られるのではないかと思っています。ここの中では、限定列挙でさらに詳細に規定することについては今後の議論ということですので、対象業務についてはそういうふうに思います。
もう一つ、制度の対象者を見たときに、国会の中でも、また、参議院の附帯決議の中にもさまざまに出てくるのですが、労働者に労働時間の裁量のあるものが対象者であることは、法文の中では明記はされておりません。そういうものをきちんと明らかにして、この制度に対象業務及び対象労働者を明記して、わかるようにしていく必要があるのではないかと思っております。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
事務局、お願いします。
○労働条件政策課調査官 どうもありがとうございます。
まさに御指摘いただきましたように、時間に関して具体的な指示を行わない。要は、時間に関する労働者の裁量の部分はどういうふうに担保しているのかという御指摘だと思います。条文的にはこの41条の2全体において、とりわけ委員からも御指摘のある、性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないというところで、我々としてはこの部分で担保しているという考えでもございますけれども、そこのところは国会の議論の中ではっきりと書いていくということで、省令において明記をするということで申し上げたところでございまして、それを踏まえた今回の提案のものといたしまして、資料で申しますれば4ページに当たりますけれども、対象業務について、業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものを除くとしていることと、括弧書きをぶら下げまして、これは著しく短い期限の設定その他の実質的に当該業務に従事する時間に関する指示とを認められるものを含むとしているところでございます。
この括弧書きの意味といたしましては、括弧外にある時間に関する具体的な指示に加えまして、期限の設定などによって、それが実質的に時間に関する指示と同等のものについては、これは認めないのだということがはっきり書いたところでございまして、国会での議論、附帯決議を踏まえまして、このような提案をさせていただいているところでございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
柴田委員。
○柴田委員 ありがとうございます。
私からは、年収要件の算定方法及び額について、真に強い交渉力を有する労働者にふさわしい年収要件とありますが、示されている水準では低いのではないかという観点で3点ばかり申し上げたいと思います。
まず、1点目でございますが、建議にもございます3倍を相当程度上回るという読み方でございますが、第124回の分科会の事務局の答弁の中では、決まって支給する給与の12カ月分の3倍で約937万に加えて、相当程度上回るという解釈については、ほかの立法例を見ても、3割ないし4割がそこから離れていますということでございましたので、そうしますと1200~1300万円程度になるのではないかということが1つでございます。
2点目でございますが、附帯決議22号で、冒頭にも言いましたが、真に使用者に対して強い交渉力のある高度な専門職労働者にふさわしい処遇が保障される水準でございますので、いわゆる正社員の中でも、高度な技能、スキルを持ち、使用者からのリテンション、いわゆる引きとめがかかるぐらいの水準である必要があると思っております。現在お示しいただいている統計には、パートタイム労働者も含まれた平均給与ということで算定されておりますが、これを除外して水準を設計すべきではないかと思っておりまして、そうしますと1600~1700万ぐらいの水準が示されることになります。
もう一つは、当然グローバルな競争環境の中で、こういった専門技能を持った方々をどう処遇するかという観点に立てば、例えば、賞与とか退職金のような制度が給料の中に全部含まれているような外資系企業との比較をどう見るのかと思っておりまして、その点について、今、申し上げた3点でございますけれども、制度設計上、その疑念とか不安を持たれるような水準であってはならないと思いますので、附帯決議に基づいて真摯な論議を、今、申し上げた観点からもしていただきたいと思っております。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
櫻田委員。
○櫻田委員 ありがとうございます。
今、年収要件ということで質問がありましたので、私もそれについて加えさせていただきたいところがございます。
この年収要件の算定の中に含まれる、基準となる額に含まれるものとそうでないもの、どのようなものが入ってどのようなものが入らないのかということについて御説明いただければと思っております。
国会の議論の中で、あらかじめ賃金として確定している額が入るということで、実績に応じて支払われるような手当は含まれないという答弁もあったと思っております。その中で、通勤費とか、地域手当、成果で変動する部分の一時金、家族手当、そういったものに対してもどのような取扱いとなるのかということを、まず、お伺いしておきたいと思います。その上で、通勤費なのですけれども、額が確定しているものということであっても、通勤費は労務提供の対価に関係するものではないと思いますし、加えて通勤費の支給額が労働者の交渉力の強さといったものを反映するものではないと思っています。
例えば、通勤費の新幹線通勤などは、むしろ心情的には使用者に対して負い目になるということもあり得るのではないかと思いますし、そういったこともあって、通勤費は額が確定していても除外すべきではないかと思いますので、その辺についても御説明をお願いしたいと思います。
○荒木会長 それでは、ただいまの点について、事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 お答えいたします。
こちらの年収要件として、カウントをするものが具体的にどのようなものかという点でございますけれども、これにつきましては、支払われることが確実に見込まれるものという考えでございます。この点につきましては、法文上も支払われることが見込まれるという形で押さえておりますのと、我々といたしましても、国会でも答弁をしてまいりましたとおり、支払われることが確実に見込まれるものをカウントしていくのだということで、解釈として確立しております。
その上で、やや細かな部分として、実際にどういうものが、どういう名目あるいはどういう性質のものが入っていくのかという御指摘かと存じます。これにつきましては、私どもは名目を問うものではございませんので、支払われることが確実かどうかというところで判断をしていくというところでございます。したがいまして、地域手当、通勤手当に関しましても、これについては支払われることが確実に見込まれていくかというところでございますので、例えば、実費を使ったときに、自分で負担をしたときに、それに対して弁償するような実費弁償的なものは入らないと考えているところでございます。
その上で、通勤費については、そもそも労務提供の対価ではないというところで、これは交渉力として組み込むのはいかがなものかという御指摘かと存じます。この点につきましては、私どもは給与の体系と申しますか、どういう名目で払っていくのか、賃金の組み立てにつきましては、企業においてさまざまな御判断の中でやっていくのだろうということの上で、私どもとして、その交渉力については、提案ベースで申し上げていますけれども、この1075万という金額の中でその交渉力を担保しているという考えに立っているところでございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
柴田委員。
○柴田委員 もう一点というか、先ほど質問させていただいた件について、水準に関しては議論の余地ありという考え方でよろしいのかということをもう一度確認させていただきたいと思っております。
今、事務局から答弁がありました手当云々については、企業労使の取扱いだということでございますので、そういう観点からすれば、なおさら1075万円の水準の在り方についてもう少し議論が必要なのではないかと思っております。当然企業によってはいろいろな手当がなくて、その毎月の賃金1本というケースもあるのではないかと思っておりまして、その点についてもう少し深まった議論が必要なのではないかと思っております。
○荒木会長 今の点については、事務局としてはいかがですか。
○労働条件政策課長 本日のこのお手元の資料の6ページのところで、この3倍の額を相当程度上回る水準として、省令で定める額は1075万円を参考に定めるとしておるところでございます。これに関しましては、その御議論を丁寧にいただいた上で定めていくものでありますので、当然議論の対象となっているわけでございますが、この1075万という数字に関しましては、資料の真ん中あたりにも載せてございますが、平成27年2月のまさに労働条件分科会におきまして、この平均給与額の3倍を相当程度上回るという考え方を前提とした上で、この1075万という数字が、既にこの審議会の場で御議論の上、建議を私どもはいただいておると考えてございますので、今回、この議論を進めていくに当たりましては1075万といったものが一つの参考とすべき水準であろうと、そのようなことで今回出させていただいたと、まずはそのような経緯でございます。
○荒木会長 柴田委員。
○柴田委員 議事録を見て先ほど申し上げたのですけれども、相当程度上回るということからすれば1200~1300万円ではないかと申し上げたのですが、こことこの1075万円はどういう比較をすればよろしいのでしょうか。その3倍を相当程度上回るということも事務局答弁があったとなっていますけれども、その点についてはどういうふうに捉えればよろしいのですか。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 申し上げます。
今、御指摘のありました、3割、4割という部分でございますけれども、要すれば、これはコンマ、0.3とか、0.4とか、そういった意味でございまして、そういたしますと、3倍を相当程度上回るということになりますと、3.3倍とか、3.4倍とか、そういった水準になってくる。それを掛け合わせますと、これは1000万を上回る水準になったと思いますけれども、そういったところで担保をするというところでございますのと、同じ考え方で、国会の中でも大臣から答弁いたしましたけれども、3倍ぎりでもないし、4倍に張りつくということでもないし、その間の水準だという形で申し上げてございます。この点がまさにコンマ3とか、コンマ4とか、そういった考え方でございまして、労政審におけます建議の段階でも、そういった計算式でもって、具体に1075万という数字が導かれ、書かれているものと理解してございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
村上委員。
○村上委員 前に戻るので恐縮なのですけれども、4ページの「3 対象業務」の「省令で定める事項(素案)」の部分なのですが、先ほど御説明いただいて、使用者から具体的な指示を受けて行うものを除くという中の括弧書きで、ここで、時間を指定するわけではないのだけれども実質的に時間を縛るようなことはだめだという例示として「著しく短い期限の設定その他の実質的に」と続いているのですが、この著しく短い期限の設定は、読みようによってはいろいろありまして、限定し過ぎなのではないかという感じがいたしております。このあたりのイメージがあるのかどうかということと、これでよいのかというと。実際に無理なノルマとか、あるいは1週間後に何か出せと言われたら、その1週間はかなりの時間の仕事をしなくてはいけなくなるようなこともありますので、著しく短いというところの書きぶりではない、何かもう少し工夫が必要ではないかと思っております。
もう一点、健康管理時間について、7ページ以下で健康管理時間について記載されておりますけれども、参議院の附帯決議の19番には、制度の創設の趣旨にもとるような制度の誤用や濫用によって、適用労働者の健康被害が引き起こされるような事態を決して許してはいけないと明記されております。健康被害を引き起こすかどうかというのは、この健康管理時間の把握をいかにしてきちんとやっていくのかということにかかっているかと思います。そういうことから言うと、厳格に行う必要がありますし、把握を怠れば、長時間労働はもとより、過労死や過労自殺にもつながりかねない問題でもございますので、そういった点を忘れずに、この点については慎重に議論をしていただきたいと思っております。
以上です。
○荒木会長 前半部分は質問だったと思いますが、事務局からはいかがですか。
○労働条件政策課長 まず、ただいまの後段の部分を先に一言申し上げますと、この健康管理時間といったものをきちんと把握していくということは、今回のこの制度を実施していくに当たって、それが有効となる要件でございますので、ここに関しましては、きちんとその運用が確保されるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
前者の部分でございます。業務の部分に関しましては、先ほど申し上げましたように、これは実質的に業務に従事する時間に関する指示と認められるものを除くというところがコアな部分でありまして、著しく短い期限の設定といったものはいわば例示として書かせていただいているものでございまして、これに限るものだけでは決してないものではございますが、一方、やや誤解を招く面があるといたしますと問題でもございますので、改めて検討をしてみたいと存じます。
○荒木会長 中川委員。
○中川委員 議論がたびたび戻って申しわけないのですけれども、年収要件のところでございます。先ほど、柴田委員から大きく2点申し上げたと思います。0.3、0.4の話はどこにかかってくるのかという話と、もう一点、基準の3倍程度というところが、パート労働者も入っているデータであるけれども、それでいいのかどうかという観点。そちらについてはどうなのかというところはお答えいただきたいと思います。
もう一点、1075万円が安過ぎるというところで言うと、例えば、グローバルで考えたときに、IT技術者の1年目、そういう教育を受けた、大学を出た1年目の水準が大体1000万円と言われている世界で、この高度プロフェッショナル制度を入れる上で、1075万円でどうなのかというのが、これは肌感覚なので申しわけないのですけれども、我々としては低過ぎるのではないかという思いでございます。
以上です。
○荒木会長 質問の点について、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 この1075万に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、27年の建議で既に書かれておる。その中で、先ほど委員から御指摘がございましたように、当時、3倍を相当程度上回るという議論があった上でこの数字が書かれるに至っていると承知してございます。いま一度、当時の議論、議事録をもう一度振り返りまして、その上でまた当時の議論など御紹介できるものがありましたら、この場で御紹介申し上げたいと存じます。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
資料No.2の6ページ、「5 年収要件の算定及び額」の件でございますけれども、法律の規定として41条の2のロで書かれていると私どもは大変重く受けとめておりまして、年収要件について、仮に決める、変更するということをするとすれば、法律改正をしなくてはならないというような、大変重い決め方になっていると理解しているところでございます。結果として、この真ん中にありますように、「関連する建議、附帯決議、国会答弁等」によって、基本的には1075万円ということでずっと議論をされていたと、私どもとしては、理解しています。
そういう意味では、6ページの3つ目の箱、「省令で定める事項(素案)」の2つ目のポツ、厚生労働省で定める額は1075万円を参考に定めるという記述でありますけれども、私どもとしては、1075万とするとしていただくことが自然な考え方だろうと思っておりますので、その点だけ申し上げておきたいと思います。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
八野委員。
○八野委員 法文には、3倍の額を相当程度上回る水準となっています。ここはベースになるのだろうとは思いますが、年収要件の充足性を判断する上での賃金の中身については、ここでは限定はされていないわけですね。それは、先ほど出た手当の問題とか、例えば、成果によって配分されるものを「賞与」という言葉で言った場合に、ある程度固定の部分と変動の部分もある。そういうものはどこまでが含まれるのかというのは、国会答弁等、附帯決議等の中では出ておりますが、それがきちんと定められているわけではない。
この6ページのところにあるように、真に使用者に対して強い交渉力のある高度な専門職にふさわしい処遇が保障される水準について、労政審において真摯かつ丁寧な議論を行うことが附帯決議でも求められているので、この取扱いをどのようにこの場で考えていくのかということではないかと思います。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
櫻田委員。
○櫻田委員 年収要件のところではないのですけれども、次の健康管理時間のところで何点か申し上げたいと思います。
まず、1点は確認のような感じなのですけれども、健康管理時間の把握に当たってということで、8ページの「省令で定める事項(素案)」のところに、事業場外で労働した場合、やむを得ない理由があるときは、自己申告によることができるとありますけれども、これは事業場内では客観的な方法で健康管理時間を把握するということの理解でよいかということと、事業場外でも原則的には客観的方法で把握するということで、やむを得ない理由があるときは自己申告ということにされているのかということを1点確認させていただきたいと思います。
次が、休憩時間の把握のところなのですけれども、ここはタイムカードとかパソコンだけの管理では限界があるのではないかと思っていまして、休憩ごとにタイムカードを押したりとかということはしないと思いますし、パソコンはもしかしたら電源を落としたりということがあるのかもしれませんので、現実的には考えづらいのかなと思います。そういった意味では客観的とは言いがたいのではないかと思っていまして、そういうことからすると、毎日周囲の人が目視をするという理解なのかということを疑問に思っています。ここについては、お考えを少しお聞かせいただきたいと思います。
最後にもう一点ありまして、国会の中で、健康管理時間から除かれるのが労働から解放された時間を想定していると言われているということで書かれているのですけれども、これがどのような時間なのか、事務局の見解をお伺いしたいと思います。休憩時間その他労働者が労働していない時間には、例えば、業務の準備行為とか待機時間といったものは除くという理解でよろしいのかということなのですけれども、そういったことについては省令で示すべきではないかと思っています。また、労働から解放された時間といいましても、休憩ではなくて、例えば、軽食みたいな、物を食べながら仕事をしたりとか、そういった場合には労働から解放されている時間とは言えないのではないかと思いますし、こういった点も明らかに示していくべきではないかと思いましたので、この点も申し上げたいと思います。
以上です。
○荒木会長 それでは、3点ほど質問がありましたが、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 今、御質問いただいた点でございます。
まず、1点目でありますが、この事業場外の場合でございましても、御指摘をいただいておりますように、あくまでも客観的な方法が原則でございまして、やむを得ない理由があるときに限って自己申告になると考えてございます。例えば、幾つか例を挙げてみますと、顧客先に直行直帰するような場合などで、通常であれば自社のシステムへのログイン・ログオフなどで管理できる場合であっても、客観的に接続ができないような環境にある場合といったものもあろうかと思いますので、そのようなあくまでも客観的な方法によることができない場合の例外的な措置であると考えてございます。
2点目でございます。休憩に関してどのように把握をするのかという点でございます。この休憩の議論に関しましては、この法律の条文にも括弧書きで書いてございますように、その当該事業場の労使委員会におきまして、労働時間以外の時間を除くことを決議したとき、そのような場合に初めてその時間を除くことができることになってございます。したがって、どのような時間を除くのか、あるいはその除いたものに関してどのように把握をすることができるのか、そういった点も労使委員会において議論がなされた上で、この除く決議がなされるべきものであろうと考えてございます。このあたりに関しましては、指針で措置をするべきことも含めまして、次回以降、御議論に供したいと考えておるところでございます。
最後の点でございますが、この括弧書きで抜けることができるものは、あくまでもこの労働していない時間、つまり、労働時間ではない部分でございますので、例えば、その一例を挙げると、手待ち時間のような、すなわち、労働時間と考えられているものに関しまして、決議をしたからといって労働時間ではないとして除くことができるものではないと考えてございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
村上委員。
○村上委員 今の点に関連して、今、労使委員会で決議したときは労働時間以外の時間を除くことができるとなっていますけれども、定め方のイメージなのですが、例えば、休憩時間を除くといったときには、休憩時間を除くという決議をすればよいということなのか、あるいは休憩時間として1時間を除くということなのかということでいうと、私としては前者の理解でありまして、実際に労働をしていない時間のみを除くということであれば、時間数とか何分を除くということを機械的に書くような決議ではないと理解していますが、それでよいのかどうかという確認を1点したいと思います。
附帯決議の26番で、この資料No.2には記載されておりませんけれども、参考資料にも出ておりますが、高度プロフェッショナル制度の適用労働者やその遺族などからの労災申請があった場合には、監督署は労働時間の把握について徹底した調査を行うというような附帯決議がなされております。これは、国会の中でも過労死の御遺族の方々から大変強い懸念が示されていたことを受けて、さまざまな審議がなされたことを受けた附帯決議と承知しております。
その点で、改めて確認なのですが、労災申請がなされた場合に、徹底した調査と迅速な対応を行う、となっておりますが、事業場外での時間は、基本的に客観的な把握でありますので、使用者が立証するということでよいのかということであります。また、休憩時間についても、休憩時間をちゃんととっているということが立証できていれば、健康管理時間から外す、労働時間からも外すということでよいのかということについて、見解を示していただきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 1点目、まさに御指摘がございましたとおり、決議で定めますのは、どういう時間を除くのかという内容、性質でございまして、時間数ではございません。それが1点でございます。
もう一つ、労災申請の場合でございましたけれども、これはその監督署の調査の段階におきまして、これは実際に働いた時間を、タイムカードやパソコンの記録といった物件的なものもそうでございますし、健康管理時間として把握した時間も一つの参考になるものではございますし、また、必要な聞き取りという中で、これは同僚の方への聞き取りなども含めまして、監督署の権限でもって調査を進めているということでございます。
そうした中で、今、事業場外で働いている部分の記録についてのお尋ねもございましたけれども、考え方は同様でございまして、客観的な記録といったものを見ていく。そして、それに足らざる部分については、聞き取りなども含めて、これは立証責任というお言葉でございましたけれども、監督署の権限として、きちんと調査をしていくというものでございます。そういった意味で、事業場外の時間とか、休憩時間として除いた時間も含めまして、実際に働いた時間をさまざまな方法によって監督署として確認をしていくものでございます。
○荒木会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 今のことに関連して、使用者が労働時間にかかわる働き方について業務命令・指示はできないことになっています。
今、あったように、健康管理時間ではない時間がどうなのかといったときに、今、待機しているときとか、休憩するときといったように、時間ではなくて性質を定めると言われていましたけれども、それが例えば立証できないという場合には、それは全部健康管理時間になるという認識でいいのかということですね。それが1点です。
今、法文の中でも、事業場内と事業場外で働く時間を健康管理時間と言っているわけですけれども、健康管理時間というから健康が管理されている時間なのかなと思うのですけれども、これは実際に働いている時間なのですね。そこで認識をそういうふうにしたいと思っているのですが、対象業務が事業場外が中心となる業務になったときに、客観的に時間を把握するということを先ほど言われていましたが、その認識でいいのか。再度、確認をさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○労働条件政策課調査官 申し上げます。
労働時間でない時間として除く旨、決議をした場合でございます。これは、その決議に従ってきちんとした把握を一義的には求めていくわけでございますが、その上で、何か個別の事案、労災の事案が起きて、実際に認定に当たって、監督署で、これは調査の段階では実際に働いた時間を見ていくわけでございます。そのときには、きめ細かくといいますか、聞き取りなども含めまして、実際に働いた時間を見ていく。つまり、それは働いた時間をきちんと確認をしながら物的に確認できるものもそうでありますし、聞き取りもそうでありますし、そういったことで判別をしていく。一律に何かをみなしていくということではなくて、個別に実際の時間を積み上げていくという手法になるというものでございます。
2点目の事業場外で働くケースでございますけれども、これは、申し上げましたとおり、客観的な方法によることが原則でございまして、その上で、これは事業場外で働く場合であって、例えば、自社のシステムにログインできないようなケースとか、そういったものを除いていくということでございますので、働き方はさまざまにあると思いますが、客観ということが原則にあった上で、それはどうしてもできないような、やむを得ない事情のときに、自己申告を認めるという考え方でございます。
○荒木会長 八野委員。
○八野委員 労働側がここのところについて言うのは、労働時間の規制がなくなっていくということで見たときに、対象労働者の健康を確保することが非常に重要であるという認識に立っているということだと思います。
ですので、健康確保の観点から、労働者の心身に負荷がかかる時間は厳格に健康管理時間として把握しなければならないのではないか。それはもちろん業務をやっているということの前提になりますけれども、そういう対象労働者の健康確保という視点が重要であるというところで、現状の中では、省令、指針という中でどういうふうにしていくのかというところが非常に重要なのだろうということで言わせていただいているということを、あわせて申し添えておきたいと思います。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
きょうの労働条件分科会の議論は、大変労使がかみ合った、非常に深い議論で大変いい議論をしていると自己評価をしておりますけれども、それに当たって、次回以降、詳しい省令・指針の中身を今後示されるということなのですけれども、そもそも高プロ、高度専門職でどうやって働いているのか、それはどういう仕事なのか、そういうことが基本的にイメージとして共有されていなさ過ぎる。一方で、働かされ過ぎなのではないかとか、年収要件をけちるのではないかとか、そういう話ばかりが喧伝されるわけですけれども、労使として、国会で通ったこういう制度をポジティブにどうやって認めていくのか。こういう働きだったら、高度プロフェッショナル制度としてふさわしいよねというような、情報の共有、認識の共有ができるイメージを共有する必要があるのではないかということを強く思いますので、分科会長に御指導いただいて、事務局にもそういうものをつくっていただくとありがたいと思った次第です。
感想でございますが、以上です。
○荒木会長 御要望がありましたので、その点を含めて事務局と相談したいと考えます。
村上委員。
○村上委員 その前の質疑に戻りたいのですけれども、先ほどの健康管理時間とか休憩時間のあたりのことで、労災に絡めて御質問したのですが、労災とは別に、健康管理時間としてのカウントの中でどうするのかということについて、改めて伺いたいと思います。
健康管理時間をもとに、週40時間を超えた時間が月100時間のところで、医師の面接指導が今回は義務化になっているわけですので、健康管理時間としてのカウントも客観的にしていかなくてはならないというところで言うと、休憩時間だけではなくてもいいのですけれども、労働から解放された時間は、もちろん客観的に使用者が見た上で判断していく、積み上げていって判断していくということでいいのか。休憩をとっているだろうということで、先ほどの労使委員会の決議の中では別に時間数を定めるものではないとあったのですけれども、毎日、多分40分とか、1時間とか、休憩時間をとっているだろうから、健康管理時間から除いてしまうということではなくて、本当にその時間に当たっているということを会社側が見ていて、その積み上げの中で健康管理時間はカウントをされるという理解でよいのかということで確認したいと思います。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 今、おっしゃっていただいたところでございます。
健康管理時間に関しましては、先ほど来、御議論いただいておりますように、客観的な方法によって把握をすることにしてございますので、仮にそこから除く部分が客観的でないとするならば、結果において健康管理時間は客観的ではないものになってしまいますので、したがいまして、先ほど来、申し上げておりますように、除く時間に関しては、何か時間をみなして決めてしまうというものではなく、何を除くのかという性質を決めていただく。さらに言うならば、それをどのような形できちんと客観的に把握することができるのかといった部分も含めまして、労使委員会の中では御議論がされていく必要があるものと考えてございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
村上委員。
○村上委員 次の9ページの選択的措置の部分で、条文の内容について確認をしたいと思います。四角囲みの41条の2第1項第5号で、「対象業務に従事する対象労働者に対して、次のいずれかに該当する措置を当該決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより」と書かれておりますが、就業規則ではない、「その他これに準ずるもの」とは具体的には何を指しているのでしょうか。
○労働条件政策課長 事務局です。
これに関しましては、就業規則は10人以上でございますので、10人未満の場合を想定しているものでございます。
○荒木会長 村上委員。
○村上委員 10人未満のところで何か定めるというときには、個別契約ということでしょうか。就業規則であれば労働契約の内容になっていきますけれども、就業規則でないものは労働契約の内容になっていくのかというところでいうと、個別契約なのかなと思ったのですが、その具体的なイメージを教えていただければと思います。
○労働条件政策課長 これに準ずるものと書いてございます。このような規定は、労働基準法上、他の部分にもそれなりにございます。
就業規則に関しましては、労働関係を集団的に規律をしていくというものでございまして、その就業規則の法的な効力に関しましては、労働契約法においても規定もされているところでございます。したがいまして、これに準ずるものということでございますので、その就業規則とイコールではないわけではございますが、しかし、ここのやり方は決まってはいないにせよ、必ずしも個別ということ以外に、何らかの集団的な合意によってルールを決めていくということもあり得るのではなかろうかと思ってございます。
ただ、ここに置いております趣旨は、そこの事業場において、そのルールをきちんと明らかにさせておく、それを労使合意のもとに明らかにしておくということでございますので、そこの事業場の労使関係の中でどういった定め方がされていくのかといったものが議論されるものであると考えてございます。
○荒木会長 村上委員。
○村上委員 私の理解不足だったのかもしれないのですけれども、この労使委員会の決議では足りずに就業規則などで定める理由は、事業場で明らかにすることよりも、労使委員会の決議そのものでは労働契約の内容にならないので、就業規則で定めて労働契約の内容にするという趣旨があってこういうふうにしていたのかと思っていたのですが、もしそういった理解であれば、準ずるものが何なのかということは少し疑問になるのかなということです。
先ほども、個別の合意、本人同意のところで職務記述書にサインということがありましたけれども、そういったところがますます大事になってくるのではないか。つまり、対象業務の中身だけではなくて、どのような働き方なのかとか、撤回もできるのだとか、そういったことまで含めて書き込んだようなもので、それも労働者だけがサインをするのではなくて、会社側も記載してあるといったもので、双方が合意したものとイメージをしたほうがよいのではないかと思います。これは、次回以降、検討いただければと思います。
○荒木会長 今の点について、この表現は労働基準法でも少々出てまいりますけれども、今回は「労使委員会決議及び」ということになっておりますので、その点も含めて、次回、見解を示すということにさせていただきたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
柴田委員。
○柴田委員 同じところです。この選択的措置の部分で2点確認をさせてください。
まず、法41条の2第1項第3~5号の違反があった場合、契約期間における高プロ制度の適用が無効か、それとも違反した時点から法32条に復帰すると理解していいのかということがまず一つです。
もう一つ、附帯決議23号に、法の趣旨に基づき適用可否をきめ細かく確認する、とありますが、違反時点、それ以降だけでなく、違反時点より前や、ほかの制度適用対象者に違反がなかったかをきめ細かく監督指導を行うという理解でよろしいか。
2点、お願いします。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 条文の中で、第3号から第5号の措置が講じられていない場合の効力の時点のお尋ねでございました。これにつきましては、これらの要件を満たすことができないということが確定した段階で、高プロの適用が認められないということでございますので、措置を講じていない、104日であれば、その取得が不可能になった時点でございますし、健康管理時間の把握であれば、それが把握をしていないということになった時点でございます。
その上で、2点目でございますけれども、違反になる以前、要は、そういうスクリーニングをどうやっていくのか。常時、ふだんからの監督をどういうふうにやっていくのかというお尋ねかと存じます。これにつきましては、私どもは決議の届出がされたケースにつきましては、その全てについて監督指導を行うということでございますので、そういったものの中で、ここでお示しをしておりますような法定の要件とか、あるいは決議の事項について遵守がされているかということを確認してまいるというところでございます。
○荒木会長 それでは、予定していた時間が参りましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
次回も、引き続き、きょうの議論も踏まえた議論を継続させていただきたいと考えています。
最後に、次回の日程について事務局からお願いします。
○労働条件政策課企画官 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木会長 それでは、以上をもちまして、第147回労働条件分科会を終了いたします。
なお、議事録の署名について、労働者代表の柴田委員、使用者代表の佐久間委員にお願いいたします。
本日は、以上といたします。
どうもありがとうございました。

 

 

(了)

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