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2018年8月27日 第146回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成30年8月27日(月)13:00~15:00

 

○場所

航空会館大ホール

○出席者

【公益代表委員】

荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員
 

【労働者代表委員】

川野委員、櫻田委員、柴田委員、中川委員、八野委員、村上委員、弥久末委員、世永委員
 

【使用者代表委員】

秋田委員、齋藤委員、早乙女委員、佐久間委員、佐藤委員、杉山委員、松永委員、輪島委員
 

【事務局】

坂口労働基準局長、田中審議官、富田総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、長良労働関係法課長、久知良計画課長、中嶋調査官

○議題

(1)「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令案要綱」等について(諮問)
(2)報告事項
(3)その他

○議事

 

 

○荒木分科会長 それでは、定刻若干前ですけれども、御出席予定の委員はおそろいということですので、ただいまより第146回「労働政策審議会労働条件分科会」を始めることといたします。
本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員としまして、公益代表の平野光俊委員、水島郁子委員、守島基博委員、両角道代委員と承っております。
本日の議題に入る前に、事務局より定足数の報告をお願いします。
○労働条件政策課調査官 それでは、定足数について御報告いたします。
労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数が満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木分科会長 カメラ撮りはここまでということでお願いします。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。
本日の議題の1つ目は、「『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令案要綱』等について(諮問)」です。
これまでの議論を踏まえまして、厚生労働大臣から政令案要項等が諮問されております。
内容について、事務局より説明をお願いします。
○労働条件政策課調査官 それでは、私から資料No.1~資料No.3を御説明させていただきます。
資料No.1が「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係性政令の整備及び経過措置に関する政令案要綱」でございます。こちらにつきましては、技術的な内容でございますので、簡潔に申し上げたいと存じます。
3枚目からが要綱でございます。この政令につきましては、働き方法の成立によりまして労働基準法などが改正されたことに伴いまして、現行の幾つかの政令において、必要な読み替え規定を整備するなど、技術的な手当てをするものでございます。3行目、「第一 関係政令の整備」に改正する政令を並べておりますが、例えば、最初の労働者派遣法施行令におきましては、派遣労働者がフレックスタイム制で働く場合の労働基準法の適用について、これは既に法律レベルで手当てがされておりますが、適用に当たりましての技術的読み替えを整理するものでございます。このような技術的な事項について、手当てをしたものをまとめた政令でございまして、改正法と同時の来年4月1日の施行とするものでございます。
続きまして、資料No.2をごらんいただきたいと思います。こちらが「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱」でございます。こちらは、前々回の分科会におきまして、省令において定める内容という案の対応する条文や建議の記載などとともにお示ししまして、議論をいただいたところでございますが、議論等を踏まえまして、今回、お諮りするものでございます。
3枚目からが要綱でありますので、内容を御説明いたします。まず、「第一 労働基準法施行規則の一部改正」ですが、「一 労働条件の明示」についてです。使用者は、労基法15条の規定により労働者に明示しなければならない労働条件を真実と異なるものとしてはならないということ。それから、労働条件の明示の方法について、労働者が希望した場合には、ファクシミリを利用した送信あるいは電子メールなど受信する者を特定して情報伝達をするために用いられる電気通信の送信、こちらは労働者が電子メール等の記録を出力して書面を作成できるものに限ります。そのいずれかの方法とすることができるとするものです。
次が「二 労働者の過半数を代表する者」についてです。労働者の過半数を代表する者は、使用者の意向に基づき選出された者でないものとすること。また、使用者は、過半数代表者がその事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならないとするものです。
続いて「三 フレックスタイム制」についてです。清算期間が1カ月を超えるフレックスタイム制に係る労使協定につきましては、労働基準監督署に届け出ていただくことが法定をされておりますが、その協定で締結すべき事項の一つとして、当該協定の有効期間を加えることを省令で規定するものでございます。
次が「四 時間外労働の上限規制」であります。まず、1が36協定において定めていただく事項についてです。既に幾つかの事項は法定をされておりますが、それ以外にも厚生労働省令で定める事項について協定で定めていただくという法律の構造になっております。その厚生労働省令で定める事項を(一)~(七)の事項とするものであります。(一)は協定の有効期間。(二)は1年の上限時間を見ていく上で起算日。(三)は、月100時間未満、複数月平均80時間以下という要件を満たすこと。これは、様式でいいますとチェックボックスのところでございます。(四)は限度時間を超えて労働させることができる場合。(五)は限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康福祉確保措置。(六)は限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率。(七)は限度時間を超えて労働させる場合における手続としております。続いての行、2は、今ほど(五)としてごらんいただきました健康福祉確保措置の実施状況に関する記録を当該協定の有効期間中及び満了後3年間保存しなければならないとするものであります。3は、協定の届出についてです。前回、基本となる様式につきましては御議論いただきましたけれども、様式を使って届出を行っていただく旨を規定するものであります。4は適用猶予となる建設事業の範囲を掲げる規定となります。(一)は労基法別表第1第3号に掲げる事業。(二)は、所属する企業の主たる事業が、今、申し上げた別表第1第3号に掲げる事業である事業場における事業。(三)は、工作物の建設の事業に関連する警備の事業(当該事業において労働者に交通誘導警備の業務を行わせる場合に限る)です。続いて、5は同じく適用猶予となる自動車運転業務の範囲の規定です。タクシー、トラック、バスを規定した上で、その他4輪以上の自動車の運転の業務とするものです。6は、適用猶予となる業務について、猶予の緩和、限度時間や月100時間未満といった上限は適用になりませんので、これらに係る規定について36協定において定めることは求めないこととする規定であります。7は、適用猶予となる業務について、猶予の間、現行の規定が適用されるわけでございますので、これに対応した様式によって協定を届け出ていただくというものでございます。
5ページ、「五 年次有給休暇」でありますが、このうち1~4は前回ポンチ絵にてお示しした内容でございます。例えば、1は入社時点などに前倒して年10日の年休を付与する場合の取り扱い、2は入社した年とその翌年とで年休の付与日が異なるなどのケースにおける履行期間、付与日程、付与日数の考え方というぐあいに、前回の議論の内容を整理したものでございます。その上で、残る5~7でございます。6ページとなりますけれども、5は、使用者は、時季を定めることにより有給休暇を与えるに当たっては、あらかじめ時季について当該労働者の意見を聞かなければならないとすること。また、使用者は、当該意見を尊重するよう努めなければならないものとすることです。6は、年次有給休暇管理簿につきまして、有給休暇を与えた時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類を作成し、3年間保存しなければならないとするものです。最後、7は、使用者は、年次有給休暇管理簿を、労働者名簿及び賃金台帳とあわせて調製することができるものとすることです。以上が、労働基準法施行規則の関係であります。
続いて、同じページのすぐのところに「第二 労働安全衛生規則の一部改正」という部分でございます。このうち、まず、一が一般の労働者に対する医師による面接指導の要件です。休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1カ月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることを要件とするものです。現行では100時間となっている時間数を80時間に下げるものとなります。
二は、今、申し上げました80時間を超えた労働者に対し、事業者は速やかに当該労働者に係る超えた時間に関する情報を通知しなければならないとするものです。
三は研究開発業務における医師による面接指導の要件です。改正法により、研究開発業務に従事する方については、厚生労働省令で定める時間を超えた場合に医師による面接指導を行うこととなりますが、この時間を休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における、その超えた時間について1カ月当たり100時間とするものであります。
四が研究開発業務における面接指導の実施方法等についてです。これは一般労働者についての実施方法等の規定を準用するとともに、必要な読み替え規定を設けることによりまして、内容といたしましては、面接指導は超えた時間の算定の期日後、遅滞なく行うとするものであります。
最後、五は、事業者がこうした面接指導を実施するために、労働時間の状況を把握する際の方法についてであります。これを、タイムカードによる記録、パーソナルコンピューター等の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とするものです。また、事業者は、これらの方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければならないとするものです。
内容は以上でございますが、この省令の施行につきましては、改正法と同時の来年4月1日からとするものであります。
続きまして、資料No.3をごらんください。こちらが「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針案要綱」であります。こちらは、前回の分科会で指針案イメージをお示しし議論をいただきましたものを、用語の定義をはっきりと置くなどの技術的な面で少し手を入れたものでございます。内容的には前回同様でございますので、ポイントの説明とさせていただきます。
「第一 目的」を置いた上で、「第二 労使当事者の責務」であります。ここでは労働時間の延長及び休日の労働は必要最小限にとどめられるべきであり、また、労働時間の延長は原則として限度時間を超えないものとされていると書いた上で、労使当事者はこれらに十分留意した上で時間外・休日労働協定をするように努めなければならないとしております。
2ページ目でございますが、続いて「第三 使用者の責務」です。一のところでは安全配慮義務について、二のところでは脳・心臓疾患の労災認定基準につきまして、それぞれ現行の内容を示し、それらに留意しなければならないとするものであります。
3ページ目でございますが、「第四 業務区分の細分化」であります。業務の区分を細分化することにより協定で定める業務の範囲を明確にしなければならないとするものであります。
続いて「第五 限度時間を超えて延長時間を定めるに当たっての留意事項」です。一のところでは、限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められないことに留意しなければならないとするものであります。続く二のところは、限度時間を超える時間を定めるに当たっては、当該時間を限度時間にできる限り近づけるように努めなければならないとするものです。続く三のところは、限度時間を超える時間に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、法令で定める率を超える率とするよう努めなければならないとするものです。
「第六 一箇月に満たない期間において労働する労働者についての延長時間の目安」、1カ月に満たない期間において労働する労働者について労働時間を延長することができる時間の目安時間を別表で示し、当該時間を超えないものとなるよう努めなければならないとするものであります。
5ページをごらんください。「第七 休日の労働を定めるに当たっての留意事項」です。労働させることができる休日の日数をできる限り少なくし、また、休日に労働させる時間をできる限り短くするように努めなければならないとするものです。
続く「第八 健康福祉確保措置」です。限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康確保措置について、次に掲げるもののうちから協定することが望ましいことに留意しなければならないとして、一~九の措置を掲げております。
6ページ、「第九 適用除外等」です。まず、一のところは、研究開発業務については、限度時間が適用されませんので、限度時間を前提とする規定である第五、第六、第八は適用しないこととするものです。その上で、二におきまして研究開発業務に係る36協定をする労使当事者は、延長労働させることができる時間を定めるに当たっては、限度時間を勘案することが望ましいことに留意しなければならないとするものです。また、三におきましては、1カ月について45時間または1年について360時間を超えて延長労働させることができるとする場合においては、健康福祉確保措置を定めるように努めなければならず、当該措置については、先ほどごらんいただきました第八に掲げるもののうちから定めることが望ましいことに留意しなければならないとするものであります。
続いて、「第十 附則」となります。一のところで、この告示は、改正法と同じく来年4月1日の施行とすることとしております。三のところは、適用猶予となる業務についてであります。これらの業務につきましては、猶予の間、限度時間が適用されませんので、これを前提とする規定である第五、第六、第八は適用しないとした上で、これらの業務について、36協定をする労使当事者につきまして、限度時間を勘案することが望ましいことに留意しなければならないとするものであります。
私からの説明は以上とさせていただきます。
○労働関係法課長 労働関係法課の長良でございます。
資料No.4は、私から説明いたします。「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針の一部を改正する件案要綱」でございます。
こちらの指針は、労働契約法第18条の無期転換ルールの特例として定められた、いわゆる有期雇用特措法に基づく指針となってございます。
内容につきましては、2枚目めくっていただきまして、要綱をごらんいただければと思います。先ほど資料No.2、いわゆる整備省令において、労働基準法施行規則の一部改正で、労働条件の明示に当たりまして、労働者が希望した場合にはファックスあるいは電子メールなどの送信の方法により明示することができる旨の御説明をさせていただきましたが、有期雇用特措法の今回の指針においても同趣旨の規定の整理を行う旨の改正でございます。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について、何か御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
川野委員。
○川野委員 ありがとうございます。
資料No.2の省令関係の点で1つ、ご意見を申し上げたいと思います。
今回の改正におきまして、罰則つき時間外労働の上限規制をはじめ、これまでとは大きく異なる、変わる項目が多数含まれています。改正項目の周知は当然重要でありますけれども、現行の労働法制に関するルールが十分に遵守されているとは言いがたい状況にあることを踏まえるべきだと思います。
そうした観点から、2015年5月の報告書「労働行政の現状」の中に、近年の労働基準法等の違反率が65%以上という報告もございます。日本国内における労働者の労働条件が十分に確保されているとは言えない状況にあると思います。このことを踏まえれば、上限規制等を実効性あるものとするためには、車の両輪として改正ルールと現行のルールの周知も多層的に行うことが非常に重要だと思っています。
労働基準法の冒頭、第1条の中にも、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」、加えて「この法律で定める労働条件の基準は最低のものである」ということがうたわれているところでございまして、そうしたことを考えると、労働条件は正規社員のみならず非正規社員を含めた全ての労働者が適用されるということになります。
労働基準法は、労働者の権利を守るためや労働者と使用者間の認識の相違を防ぐためにも、また、さらには使用者にとっては、雇用している労働者が健全に働くことができる環境を責任持って確保できているか、判断する重要な基準と言うこともできるかと思います。職場で起こるさまざまな問題に対処する際にも、正しく労働基準法を理解しておくことは必須と言えるのではないでしょうか。そのためにも、周知に関して、使用者の義務の視点からだけではなく、働く者自身の働き方のルールはこのように変わるというようなことや、自分たちが働く上で守られる権利はこうしたものがあるということを、労働者自身が知ることがとても重要であり、労使双方の視点からリーフレットの作成等を含めて、周知の徹底が重要だと思っておりますので、御意見申し上げたいと思います。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
重要な御指摘だと思います。ほかにはいかがでしょうか。
柴田委員。
○柴田委員 ありがとうございます。柴田でございます。
今の川野委員の話とも少し関連しますが、労働組合としての取り組みについても少し申し上げておきたいと思います。
今回改正された法律を定着させるには、職場の労使の取り組みが何よりも重要だと思っております。特に今回は、政労使で働き方改革を宣言して臨むということでございますので、職場における労使で具体的かつ建設的なやりとりを重ねることが非常に重要だと認識しております。
労働組合としましても、この改正法の趣旨を踏まえた周知などの取り組みを進めるとともに、労働組合も集団的労使関係の重要性やその機能についても理解を広げるようにしていきたいと考えているところでございます。
また、こうした取り組みの後押しとしまして、ルールの遵守が実効あるものとなるようにしなければならないと思っておりますので、行政をはじめとします関係各位の皆さんにおかれましては、環境整備や継続的な指導徹底をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
中川委員。
○中川委員 私のほうから、前回も議論しましたけれども、様式第9号について意見を申し上げたいと思います。
現在、協定届に労働者の代表者が署名または記名押印することで協定書を兼ねることができる運用ではあるものの、協定書と協定届の違いを知らない締結当事者も少なからず存在するところでございます。前回の分科会でも、私から協定の当事者で労働組合のところに押印をするべきではないかという意見を申し上げました。事務局からは、様式は現行のものを踏襲するという答弁があったと思いますけれども、今回、罰則付きで上限規制が設けられたということで言うと、そもそもこの1枚の協定届の重みは、これまでと相当違った形になるのではないか、全然違うのではないかということです。そして、協定書と協定届の違いを知らない、認識しない締結当事者がいるというところも踏まえれば、やはり労働者側の労働者代表者も含めて、押印を必須とすべきではないかということが、1点目です。
もう一点、電子申請についても、前回議論させていただきました。現在行われている「スタートアップ労働条件」の36協定届等の作成支援ツールを更新することについては、入力作業の簡素化ということと効果・効率の点からも賛成しますけれども、やはり電子申請については申請手法の話であるので別の観点ではないかということで言うと、電子申請は、過半数労働者代表者の適切な選出手続に対するチェックが働くのかという懸念が残りますので、慎重であるべきだと申し上げたいと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 36協定の様式について御議論がありましたけれども、この点について何かほかの委員から御意見はありましょうか。
輪島委員、お願いします。
○輪島委員 ありがとうございます。
資料No.2につきまして、その中に様式が示されているということで、きょうの参考資料No.10-1、No.10-2ということで、様式第9号と様式第9号の2が示されているということで、先ほど御説明がございませんでしたけれども、この内容について、前回は大変見にくいと申し上げましたけれども、それなりに整理をされたと思いますので、それを多としたいと思っているところでございます。
今ほどの中川委員の御指摘はそのとおりごもっともだと思いますが、前回、私のほうで申し上げたのは、労使で36協定を結ぶこととそれを労働基準監督署へ届出をすることと電子申請をすることは一体ではなく、それぞれ別のものでありますから、まず、36条に基づく労使協定をきちんと結ぶこと。そこに過半数代表の選出もきちんとすること。それについては、様式第9号の2の裏面、心得のところの8にきちんと書かれていると思います。その点で、私どもとしては、電子申請については、今時の状況でございますので、少なくとも申請のしやすいような環境をつくって多くの企業が電子申請できるように進めていく必要があると考えているところでございます。
もう一点、今ほどの様式の心得とかというところは、今度、記載例、記入例、パンフレットができると思いますので、そこのところにもきちんと先ほどのような過半数代表の選任の方法も、この8というところではなくて、もうちょっときちんとかみ砕いて選出手順も説明するとかということで、現行のものをきちんと守っていくことは当然でございますので、そういうような周知も含めてお願いしたいと思っているところでございます。
以上です。
○荒木分科会長 ほかには、この36協定についてはいかがでしょうか。
弥久末委員。
○弥久末委員 どうもありがとうございます。
上限規制の関係と建設業の関係のところにつきまして、今、議論がありました協定届の関係の整理をさせていただきたいと思います。
資料No.2の省令案要綱のところですが、特に建設業等では、四の4で対象とする範囲が記載されています。要は上限規制が適用される労働者と適用が猶予される労働者が混在する場合なのですが、7のところに、本日様式自体は示されておりませんが、様式第9号の4ということで記載されています。混在する場合、前回出されました様式第9号または第9号の2、それと今回お示しいただいています様式第9号の4、この2枚の協定届を出すことになるのか。もしくは、様式第9号または第9号の2の1枚に両者を記載して提出していくことになるのか。そのあたりの考え方について整理させていただきたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 それでは、お尋ねがありましたので、事務局からいかがでしょうか。
○労働条件政策課調査官 それでは、今の点についてお答えいたします。
この様式といたしまして、第9号の1、第9号の2という形で前回議論いただいたもののほかに、それを基本としながら第9号の3とか、あるいは猶予業務に係る第9号の4以下のものを定めていくということでありまして、こういったものを基本に協定をして届け出ていただくということを想定しているわけでございますが、同時に、今のお尋ねは、そういったことを基本としつつも、労使の協定において定めた内容を第9号の2あるいは第9号の1に追記して届け出る、そういったものも許容されるかというお尋ねであろうかと存じます。それにつきましては、それでも差し支えないということ。つまり、必要的な記載事項についてそれぞれの業務に関するそれぞれのルールを守っていただいた上で、その様式について、第9号の1あるいは第9号の2に追記するという取り扱いについても可能であるということで考えてございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
ほかに36協定関係では何か御意見はございましょうか。
先ほどの中川委員から36協定と36協定の届は違うということを認識していない当事者が少なくないのではないかということは大変重要な指摘だと思います。あくまでこの36協定の届というのは、36協定が存在することを前提にそれを行政に届け出る書式でありますので、したがって、その届に労使の代表が署名・押印とかをしていなくても届としては問題はないのですけれども、その前提に労働者代表がちゃんと署名をしたり記名押印した36協定が存在することが前提でありますので、その違いと混同している労使が少なくないと思いますので、その辺については誤解が生じないように十分な周知を図っていただく必要があるのではないかと考えております。
ほかにはいかがでしょうか。36協定以外の点についても結構ですので、何か御意見がありましたらお願いします。
八野委員。
○八野委員 ありがとうございます。資料No.3でもよろしいでしょうか。
指針のところになりますが、まず、この指針案要綱は、労基法36条第1項に基づくものであって、「第一 目的」を踏まえた内容を中心に記載しています。ここに書かれていることはどれも非常に重要な内容であると認識しています。
それを前提とした上で、指針の内容だけでなく、これからの周知またはそういう段階においては、昨年3月の労使合意や6月の建議の中で書かれた前文で触れられているように、なぜ今回上限規制を入れてきたのかという経緯、趣旨をあわせて伝えていくことが非常に重要だと認識しています。
今回の法改正は、過重労働の問題や過労死・過労自殺の問題、そういった問題がなかなか解決されていかない、非常に社会的な問題になってきているということを前提として、こういう現状を踏まえ、公労使の中でまたは政労使の中で話し合われて、罰則つき時間外労働の上限規制の導入ということが行われてきたのだと認識しています。
先ほどのような届出やさまざまな様式の変更、法律の変更内容を周知していくことが重要なのですが、それをなぜというところに踏み込んでいただいたのかも含めての周知、パンフレットなどの作成をお願いしたいと思います。昨年3月の労使合意や6月の建議の中では、企業文化を変えていかなくてはいけない、企業風土を変えていかなくてはいけない、商慣習・取引慣行を見直していかなくてはいけない、労働時間の把握をさらに改めてしっかりとやっていくことが必要だということも述べられていると思いますので、その辺のところを含めた今後の周知をお願いしたいと思います。
要望として、意見を申し上げたいと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
これも重要な御指摘だと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
世永委員。
○世永委員 ありがとうございます。
私からも、資料No.3の指針案要綱について要望を出させていただきます。
適用猶予業務の様式における健康福祉確保措置の関係についての御検討いただきたいということです。今回、建設事業や自動車運転業務等の適用猶予の様式第9号の4の資料は出されていませんけれども、今回の指針案要綱では、これらの事業業務においても附則で「限度時間を勘案することが望ましいことに留意しなければならないものとすること」と記載されています。そこで、この間、多くの発言をさせていただきましたけれども、最も過労死等が多い自動車運転業務という立場から申し上げれば、5年後の上限規制導入は理解しつつも、その間、長時間労働を是正し過労死等を防止する観点から、適用猶予業務にも健康福祉確保措置は必要と考えております。
7ページの「第十 附則」にあります三について、第9の2のみならず、第9の3についても加えるべきではないかと考えます。その上で、様式第9号の4について、健康福祉確保措置を記載できるかどうか、段を設けることができるのかということについて、御検討いただければと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
この点について、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ただいまの御指摘をいただきまして、自動車の関係につきましては、5年間猶予がされているというところでございます。ただいま御指摘をいただきましたように、猶予業務に関しましても、これらはその猶予期間中はこの限度時間というものが適用されていないわけではございますが、今般、この指針におきましては、限度時間を勘案することが望ましいということにさせていただいておるものでございます。
一方、研究開発業務に関しましては、これはその猶予ではありませんので、いわばそういった時期がなく、労働基準法の本則のほうにおきまして限度時間がそもそも適用除外となっているわけでございます。一方、この研究開発業務に関しましては、いわば現状において恒久的に適用除外になっていることも踏まえまして、この健康確保といったものについて徹底する必要があるという国会の附帯決議も頂戴しておるところでございます。
以上のような構造から、今般の指針の要綱案とさせていただいておるところでございます。
したがいまして、限度時間自体が適用猶予されている中において、届出様式なりに健康確保措置というものを盛り込んでいく、これはもちろん事業場の労使の実質的なお取り組みにおきまして、そのようなことを推進していただくことはもちろん可能なものでございますけれども、なかなか難しい側面があるのかなと思います。
ただ、一方で、今般の法改正全体を見まして、そういった過労死・過重労働の問題を背景とする中において、労働安全衛生法の改正によりまして、いわゆる面接指導あるいはその前提となる労働時間の状況の把握といったものにつきましても、さらに厳しく規定がされていっているところでございますので、そのような健康確保措置につきましてもあわせて周知徹底を図りまして、適用猶予で働く労働者の方々の健康確保にも全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
それでは、ほかにはいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
ただいま御説明いただきました資料No.1~資料No.4全体でございますけれども、先ほど八野委員もお話しになりましたけれども、これまでこの内容についてはこの労働政策審議会労働条件分科会において、企業の実態・実務をよく知る労使が話し合いをしてきて、取りまとめた建議を踏まえ、また、法律改正後は4回にわたって労働条件分科会を開催して議論をしてきた内容と理解しておりまして、それを全て踏まえた内容だと理解しておりまして、使用者側といたしましては、妥当な内容だと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
○荒木分科会長 資料No.1~資料No.4、これは諮問案件ですので、後ほど確認していただくことになりますけれども、使用者側からはただいまのような御意見をいただいたところであります。
ほかに御意見はいかがでしょうか。
この点について、労働側ではいかがでしょうか。
村上委員。
○村上委員 先ほど八野委員から総括的に申し上げたところですけれども、今回の政省令指針案要綱の内容については、この法改正のもととなった建議の段階でもかなり議論してまいりましたし、また、今回のステージにおいても実務的な観点からさまざまな指摘をさせていただいたところで一定程度配慮いただいたものと思っております。
私どもとしても、今回の内容については妥当だと思っております。次の段階はよりわかりやすくどうやって周知していくのかということだと思っておりますので、そういったところにぜひ注力をいただきたいと思っております。
以上です。
○荒木分科会長 公益の委員からはいかがでしょうか。
川田委員。
○川田委員 ありがとうございます。
私としては、既に労使の委員の方々が述べたことに余りつけ加えることはございません。
今回の案としてお示しされた内容は、基本的には当分科会のこれまでの審議あるいは関連する法案の内容、一部は附帯決議等の内容を踏まえて、その趣旨に沿うようなものがつくられている。そういう意味では、おおむねこれまでの関連する議論に沿ったものなのではないかと考えております。
その上で、これからの課題という点も既に各委員の方が述べられたことと同じで、新しく改正された点だけではなく、もともとの関連する労働時間関係の規定の中身なども含めて、できるだけわかりやすく、また、今後、適用していく過程でいろいろな具体的な課題が新たに出てくるかもしれませんが、そういうものについてもできるだけ迅速に対応して周知等を図っていくことが課題であると考えております。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかに何か御意見はございましょうか。
それでは、内容について特段異論はなく、公労使3者の委員から内容は妥当ではないかという御発言があったところでございます。そこで、ただいま説明のありました政令案要綱等につきましては妥当と認め、労働政策審議会宛てに報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒木分科会長 ありがとうございます。
それでは、事務局から報告文案を用意してもらっておりますので、その配付をお願いいたします。
(報告文案配付)
○荒木分科会長 ただいま配付いたしましたとおり、4枚紙ですけれども、政令案要綱、省令案要綱、指針案要綱、指針の一部を改正する件案要綱、この4つのものについてごらんいただきまして、特に異議がなければ、ただいまお手元に配付された報告文案により労働政策審議会長宛てに報告をしたいと考えますが、御承認いただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒木分科会長 それでは、御承認いただいたということといたします。
それでは、ここで坂口労働基準局長より御挨拶をいただきたいと存じます。
○局長 ただいま、この働き方改革推進法の関係の政令案要綱等につきまして、報告を御頂戴したことにつきまして、感謝を申し上げます。
関係の他の分科会での報告も含めて、また私どもは公布に向けての手続をしっかりしてまいりたいと考えております。とりわけ、本日も多くの委員からございましたし、前回等、これまでも委員からわかりやすい周知ということで御意見を多々御頂戴いたしました。私どもも、今後、わかりやすく、そして、正しい理解が労使の皆様にできるように、円滑な施行に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましても、またそれぞれのお立場で御協力いただくことをお願い申し上げることもあろうかと思いますので、引き続きの御協力をお願い申し上げたいと思います。
また、本日は、まだこの後に報告事項等の御審議、残された高度プロフェッショナル等に関する事項についての御審議も、後日、またお願いすることになろうかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
以上でございます。ありがとうございました。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、最初の議題については以上ということにいたしまして、次に、議題2「報告事項」に移りたいと思います。
これについても資料がございますので、事務局より説明をお願いします。
○労働条件政策課調査官 それでは、資料No.5をごらんください。タイトルが「労働時間等設定改善指針の改正について(案)」でございます。
労働政策審議会におきまして、現在、この指針を所管しておりますのは雇用環境・均等分科会となっておりまして、同分科会で本日お手元の資料No.5と同じ資料にて本指針の改正についての議論が開始されたところでございます。今後、同分科会で議論がされることとなるわけですが、この指針につきましては、従前は当分科会が所管しており、平成27年にまとめていただきました建議におきましても、法改正を踏まえた内容の充実といったことでまとめをいただいておりました。こうした経緯を踏まえまして、本日は、雇用環境・均等分科会で示されたお手元のこの改正案の資料をもとに、御意見等があればお伺いし、事務局でそれをお預かりさせていただきまして、雇用環境・均等分科会のほうにつなぎ、そこでの議論に反映していただくということで考えているところでございます。
それでは、資料の中身について御説明させていただきます。
「1.改正の趣旨」にありますとおり、この指針は労働時間等設定改善法の規定に基づくもので、事業主が雇用する労働者の労働時間等の設定の改善に関して適切に対処するために必要な指針ということで策定されております。働き方改革関連法によりまして勤務間インターバルを導入する努力義務や時間外労働の上限規制が新設されることに伴いまして、平成27年の当分科会建議なども踏まえて、所要の改正を行うことが改正契機でございます。
次に、「2.改正を検討している内容」をごらんいただきたいと思います。左側の囲みが今回の法改正の内容、右側の囲みが法改正などを踏まえて行おうとするこの指針の改正案であります。
順に申し上げますと、1点目は、時間外労働の上限規制との関係であります。法改正を受けた労使の取り組みとしまして、右側の囲みでありますが、業務の見直し等により適切な時間を設定し、時間外労働・休日労働の削減に取り組む旨を入れてはどうかという改正案であります。
2点目は、今回一定日数の年次有給休暇の確実な取得という法改正がありますので、それを踏まえ、右側になりますが、計画的な年次有給休暇の取得促進に取り組む旨、年次有給休暇管理簿を作成した上で、その取得状況を労働者やその上司に周知する旨を入れてはどうかという改正案でございます。
2枚目からですが、3点目、これは勤務間インターバル制度の普及促進という法改正を踏まえまして、右側になりますが、深夜業の回数の制限、勤務間インターバル及び朝型の働き方の導入を検討することを入れてはどうかという改正案であります。
4点目、これは企業単位での取り組み促進。具体には、企業全体を通じて一つの労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に係る労使協定にかえることができるという特例を設けたことを踏まえまして、右側になりますけれども、当該決議に関する特例の活用を図る旨を入れてはどうかという改正案でございます。
最後、5点目ですが、衆議院の法案修正によりまし、事業主の責務として、短納期発注や発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮を求めるよう努める旨が規定されたところですが、これを踏まえまして、右側ですけれども、特に中小企業等が時間外労働・休日労働の削減に取り組むに当たっては、長時間労働につながる取引慣行の見直しが必要である旨を入れてはどうかという改正案でございます。
私からの資料説明は以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等があれば、お願いいたします。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
まず、事務局にお伺いしたいと思うのですけれども、この設定改善法の法律と労働条件分科会と均等分科会との関係ですけれども、法律自体がそもそも労働条件分科会のテーマから均等分科会に移った。しかしながら、これまでの経緯もあるので、今回に限ってこの指針の改正について労働条件分科会に意見を聞いている。そういう理解でよろしいかどうかの確認を教えていただきたいと思います。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ただいま御指摘いただきましたように、この労働時間等設定改善指針につきましては、分科会の所掌といたしましても、雇用環境・均等分科会でございまして、労働条件分科会ではないというところでございます。
しかしながら、これもただいま御指摘いただきましたように、今般の働き方改革に関します労働基準法等の改正をこの労働条件分科会で御議論いただく中におきまして、この設定改善指針の中にこういったことを盛り込んではどうかというような建議もいただいております。この資料で御報告させていただいておりますのも、それらの今般の法改正を踏まえましての部分でございますので、その限りにおきまして当分科会に御報告させていただいているものでございます。
○荒木分科会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございました。
若干私どもも混乱しているというか、去年の厚生労働省の組織がえに伴って、分科会で所掌している法律と局が若干錯綜しているような気がしておりまして、法律全体の中の何条から何条はこっちの分科会で、何条から何条はこっちの分科会となっているような理解もあって、確認のために教えていただくという趣旨でございます。
資料No.5でございますけれども、設定改善指針の改正案の勤務間インターバル制度でございます。ことしの3月時点の経団連の会員企業での労働時間等の実態調査をホームページで公開しておりますが、勤務間インターバル制度も大変労使の中で話し合いが進んでおりまして、5,000人以上の企業では導入率が約16%ということで、労使の中ではこれからスタートをしていくという企業もございますけれども、大変重要な制度だという位置づけで導入も周知も進んでいくのではないかと思っているところでございます。
右側の3つ目の○でございますけれども、特に中小企業等についての取引慣行の見直し、これも非常に重要な視点だろうと思っております。一般的にはこういう理解だと思いますが、大企業同士ということもございまして、取引慣行の見直しは中小企業のところだけに限らないなというのも思うところでございまして、その点、意見としては申し上げておきたいなと思っているところでございます。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかに、御質問、御意見等はいかがでしょうか。
櫻田委員。
○櫻田委員 ありがとうございます。
ただいまお示しいただきましたのは、改正するポイントについてということで御説明いただいたと思っております。
今回、改めて労働時間等設定改善指針を読み返してみたのですけれども、その際に前文のところで思うところがありましたので、発言させていただきたいと思いました。前文のところを読んでみますと、最新の状況にはアップデートをされていないのではないかと感じる部分が少しございまして、例えば、年間の総実労働時間が1,800時間台前半で推移している点です。今、産業によっては1,700時間台まで取り組みを進めているところもありますが、一般労働者の総実労働時間はいまだ2,000時間近いと認識しております。あと、年次有給休暇の取得率が低下傾向にあるという書かれ方がありましたけれども、こちらも少しですが改善のきざしが見受けられたように感じておりましたので、そういった点などが少し更新されてもいいのではないかなと思っております。今回、多岐にわたる項目について改正するいい機会なのではないかと思いましたので、前文についてもあわせて見直しを行っていただいてはどうかと思いましたので、意見を述べさせていただきました。
以上です。
○荒木分科会長 全体についてアップデートをしてはいかがかということですけれども、事務局、この点はいかがですか。
○労働条件政策課長 ただいま御指摘をいただきましたように、この指針に関しましては若干データが古くなっているところもあるという御指摘でございますので、均等分科会の事務局にも、御指摘、御意見をお伝えして、検討していただくようにしたいと存じます。
○荒木分科会長 輪島委員から御指摘がありましたが、もともとこの労働時間等設定改善法は当分科会の所掌でありまして、もちろん労働基準法の労働時間規制と密接に関連するものでありましたので、現在は均等分科会の所轄ということですけれども、ぜひこの分科会からも有益な御意見があれば、省内で共有していただきたいと思っておりますので、その点も含めて御意見等があればお願いしたいと思います。
秋田委員。
○秋田委員 ありがとうございます。
御説明はなかったのかもしれないのですが、2枚目の一番下の「3.適用日」の上、ボランティアの記載がありますが、ボランティアの重要性は全くそのとおりだと思いますし、積極的に参加していただくというのは当然なのですけれども、ここのものを読むと事業主が労働者に対して参加を働きかけるということになっています。ボランティアですから人から言われてやるのではなくて自発的にやるものだと思いますので、ここは事業主の配慮を求めているわけですから、ここの書き方を工夫していただければと思います。
○荒木分科会長 村上委員。
○村上委員 1点質問と、2点意見です。
質問の1点目は、2ページ目の改正案の一番上のところに「深夜業の回数の制限」という記載があるのですが、ここでいう「深夜業」に定義があるのかということです。どういう定義なのか、もしおわかりになれば教えていただきたいということが質問の1点目です。
それから、意見ですけれども、働き方改革の関連でぜひ御検討いただきたいのは、医師の長時間労働の問題です。現在、医師の働き方改革の検討会も行われておりまして、そちらの検討会にも参加しておりますが、検討会では上限規制の適用猶予とされている医師について、医師の長時間労働をどうやって是正していけばいいのかという視点で議論が行われているものと私自身は承知しております。その中で、前回、7月9日の検討会でも意見が出たのですが、例えば、子供の学校の授業参観であれば、保護者は仕事を休むなり時間休をとるなりして学校に行くのだけれども、家族が入院しているときに主治医から説明を受けるときには、仕事を休んで行くということではなくて、「日中は仕事があるから夜間に説明してください」というように、患者の側がそうした行動をとってしまうことが医師の長時間労働の一因になっているのではないかという指摘がありました。こういったことに関して国民の理解を得ていくことが必要だということで前回の検討会では大変盛り上がったのですけれども、こうした視点も設定改善指針の中に入れていただくことも必要ではないかという気がいたしております。
加えて、現在、厚生労働行政として、仕事と治療の両立を進めていこうと取り組みを進められています。そういう観点からは、この指針の中の特に配慮を要する労働者について事業主が講ずべき措置の中に、育児と仕事の点は記載があるのですが、治療と仕事の両立に関しては特段記載がないと思いますので、こういったことについても指針に盛り込んでいただけないかということが意見でございます。
以上です。
○荒木分科会長 御質問の点については、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 まず、深夜に関して、この部分に関しましては、平成27年に当分科会から建議をいただいております中におきまして、深夜業の回数の制限を設定改善指針のほうに盛り込むのが適当ではないかという御提言をいただいているところでございまして、その意味するところは労働基準法におきます深夜業と同一の時間帯を指しているものと考えてございます。
また、あわせまして、ただいま仕事と治療の両立といった観点あるいは先ほどのボランティア休暇に関しまして誤解を招かないような表現という御意見もいただいておりますので、これらに関しましても申し伝えてまいりたいと思います。
○荒木分科会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
資料No.5の1ページ目、右下の指針改正案の2つ目の○、年次有給休暇、年休管理簿を作成した上で、この取得状況を労働者及び上司が把握する、周知をするということで、これまで上司が部下の年次有給休暇の取得日数を把握していないケースもあると思いますので、そういう意味では、まず、こうした周知が必要だと考えているところでございます。
私どもが会員企業からよく聞くケースですけれども、上司が部下の日々の労働時間や年休の取得状況を一応確認しながら年休の取得促進や円滑な時間マネジメントにつなげている積極的なケースというのもございます。各社の取組状況に応じて参考になるように、ここにあるような周知に加えて、アドバンスの取り組みについても、事例集とか、いろいろこれから周知のマテリアルがつくられると思いますので、その中にも加えていただいて周知をしていただければというお願いでございます。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
佐久間委員。
○佐久間委員 全国中央会の佐久間でございます。
今回は報告というものですから、この内容についてこれから議論をしていくということではないと思うのですけれども、まず、資料No.5の2枚目、「深夜業の回数の制限、勤務間インターバル及び朝型の働き方の導入を検討すること」とあります。左側のほうでは勤務間インターバル制度の普及促進という形のテーマがあって、そこの中の改正案として深夜業や勤務間インターバルが載っております。これは語句の問題なので大きな問題ではありませんが、「勤務間インターバル及び朝型の働き方の導入を検討すること」は、朝型に仕事を持ってきて効率的な運用を図れるという考え方もありますが、どうも勤務間インターバルで深夜に働いて「及び」ですぐ朝型の働き方の導入という形になると違和感があります。項目的に○を1つ置いていただくとかの標記に変更していただくことがよいのではないかと思います。
先ほど輪島委員にも言っていただいたのですけれども、年次有給休暇の関係では、特に基準日とか、第1基準日、第2基準日、みなし基準日とか、種類がいっぱいあって、混同してしまうのではないかと思います。そこで、今、その辺は働き方推進支援センターの中小企業への具体的に指導訪問という形が行えてきていると思います。ぜひこの年次有給の関係、インターバルなども、過労死の防止の大綱などでも、一つの目安として、80%の周知、10%の導入を目指していくという形がありますから、そちらと語句の齟齬がないよう、わかりやすいような明記をお願いしたいと考えます。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
事務局よりお願いします。
○労働条件政策課長 ただいま御指摘いただきました深夜業の回数制限、インターバル、朝型の働き方、これらを盛り込むということ自体はこの分科会の建議で頂戴している中身ではございますが、実際の指針におきまして、これらはきちんと項目として分けて、つなげて書かれないというような御趣旨におきまして、担当に申し伝えたいと存じます。
また、先ほど来、御指摘いただいております年次有給休暇の取得の促進に向けましても、あわせてわかりやすい周知に取り組んでまいりたいと存じます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
先ほど輪島委員から年休の取得促進についてアドバンストな事例の紹介などもしていただいたらという発言がありまして、大変重要だと思います。設定改善法は、いわゆるハードローではなくてソフトローとして、なるべく好事例を共有して年休あるいは労働時間の短縮を進めていこうという仕組みでありますので、そういった事例の紹介はぜひ考えていただきたいと思います。
それから、これまでずっと年次有給休暇は労働者が時季指定権を持って、その指定があったときに使用者のほうで時季変更権を行使しない限りは年休がとれるという仕組みで来たわけですが、げたを労働者に預けている結果、取得が進まないということで、今般の改正は、使用者は受け身ではなくて10日のうちの5日については付与義務を課すという大きな発想の転換があったところです。これは2006年ですかね、厚労省の「今後の労働時間制度に関する研究会報告書」で提言したものが立法に結実したわけです。ヨーロッパなどではなぜ100%近い取得ができているかというと、年度当初に年休カレンダーで労働者の希望を聞いて、それを踏まえて使用者が1年間の要員管理を行う、全員が年休をとっても回るような体制を整えることで100%近い年休がとれるということになっております。先ほどお決めいただいた省令の中でも、労働者の希望をあらかじめ聞くということになっておりますが、年度当初に聞いてそれをもとに要員管理をするなどの望ましい運用の方法を例示するなど、工夫をしていただければと考えております。
ほかに何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
特段ないようでしたら、資料No.5については以上ということにさせていただきたいと思います。
そのほか、この際に何か御発言等はございましょうか。
それでは、本日は以上とさせていただきたいと思います。
最後に、次回の日程等について事務局より説明をお願いします。
○労働条件政策課調査官 次回の労働条件分科会の日程・場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木分科会長 それでは、これをもちまして、第146回労働条件分科会を終了といたします。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の櫻田委員、使用者代表の佐藤委員にお願いいたします。
本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。

 

 

(了)

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