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2018年7月18日 第144回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
労働基準局労働条件政策課
○日時
平成30年7月18日(水)9:00~11:00
○場所
TKP新橋カンファレンスセンター1A会議室
○出席者
【公益代表委員】
荒木委員、川田委員、守島委員、両角委員 |
【労働者代表委員】
川野委員、櫻田委員、柴田委員、中川委員、八野委員、村上委員、弥久末委員、世永委員 |
【使用者代表委員】
齋藤委員、早乙女委員、佐久間委員、杉山委員、松永委員、輪島委員 |
【事務局】
山越労働基準局長、土屋審議官、村山総務課長、藤枝労働条件政策課長、増田監督課長、久知良計画課長、中嶋調査官 |
○議題
(1)「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
(2)その他
○議事
○荒木分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第144回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。お暑い中、早朝よりありがとうございます。
本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員としまして、公益代表の黒田祥子委員、平野光俊委員、水島郁子委員、使用者代表の秋田進委員、佐藤晴子委員と承っております。
なお、公益代表の安藤委員は若干おくれて到着と聞いておりますが、その後、所用のため途中退席されると伺っております。
本日の議題に入る前に、事務局より定足数について報告をお願いします。
○労働条件政策課調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木分科会長 それでは、カメラ撮りはここまでということでお願いします。
では、本日の議題に入ります。
議題(1)は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」です。
では、資料について事務局より説明をお願いします。
○労働条件政策課長 おはようございます。労働条件政策課長でございます。
それでは、前回に引き続き省令や指針で定める事項につきまして、御審議をお願いしたいと思っております。
資料でございますけれども、資料NO1は法律の概要の5枚紙でございまして、これは前回と同じものでございます。説明は割愛させていただきます。
それから、資料NO2は後ほど御説明いたしますけれども、これも前回に御説明した資料を基本的に変えてございません。後ほど御説明します。
それから、参考資料といたしまして、
NO1-1が法律の条文、
NO1-2がその新旧対照表、
NO2、NO3が関連する建議、
NO4、NO5が国会での衆参の附帯決議、
NO6が現行の労働基準法施行規則や、上限基準告示の抜粋、
NO7が限度基準告示そのもの、
NO8が自動車運転者の労働時間改善のための基準、いわゆる改善基準告示、
NO9が労働時間の適正把握のためのガイドラインでございます。
特に参考資料NO6の現行の施行規則につきましては、横に置いて参照していただきながら、聞いていただければと思います。
それでは資料のNO2に戻っていただきまして、前回も一通りは御説明をさせていただきましたが、少しそれぞれについて丁寧に内容を説明し、御審議いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
ページをめくっていただきまして、各項目ごとに御説明をいたします。
まず、労働時間の上限規制に関する事項の1つ目としまして、36協定の様式について定めることにしております。これは法律上、いわゆる36協定については、厚生労働省令で定めるところにより、行政官庁、労働基準監督署に届け出た場合において、時間の延長、休日労働をさせることができる規定でございます。この省令に定めるところによりということに基づきまして、新たに36協定の様式を定めたいと思っております。
本日は御用意できておりませんけれども、次回には具体的な様式のイメージ案をお示しできればと思っております。現時点で考えております内容は、基本的にはこれまでの様式を踏襲することとしたいと思っておりますが、1つは今まではいわゆる特例、特別条項について定まった様式がなく、別紙として任意の様式で36協定の後ろにつけていただいたり、36協定の様式の欄外に書き込んでいただいたりとした取り扱いをしておりましたが、今回は特例についても法的に位置づけられておりますので、特例部分についても様式を定めたいと思っております。
また今回、上限規制が設けられているところでございますので、1日、1カ月、1年の時間外労働の具体的な数字については、法定を超える時間についてしっかりと記載いただくことにしております。ただ、企業の実態として所定超えで締結をされているところも多いと聞いておりますので、そこはそういったところに配慮できるような形にしたいと思っております。
続いて、2ページ目でございますけれども、36協定において定める事項として、法律上も締結事項が列記されておりますけれども、5号として「労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として、厚生労働省令で定める事項」とされております。この具体的な省令定めの事項について、右の欄にございますように6つの項目を新たに規定したいと思っております。
まず1番目でございますけれども、有効期間、起算日について記載していただく。
2番目として、限度時間を超えて労働させることができる場合の事由、特例の場合の理由です。
3番目として、これは新しい話になりますけれども、限度時間を超える場合の健康及び福祉を確保するための措置です。
4番目として、限度時間を超える場合の割増賃金の率です。
5番目として、限度時間を超えて労働する場合における手続です。
6番目として、法第36条第6項第2号及び第3号に定める要件を満たすこととしております。
このうち、有効期間でありますとか、限度時間を超えて労働させる場合の事由、そして、その場合の割増賃金率、手続、これらについては参考資料6を見ていただきますと、現行の労働基準法施行規則、真ん中の第16条のところで、既に有効期間の定めはしていただくことになっておりますし、2ページ目の限度基準告示の中で、限度時間を超える場合については、いわゆる特別条項、特例の場合についてはその事由、そして手続、その場合の割増賃金の率を記載していただくことにしておりますので、これは従来どおりでございます。先ほど申し上げた3、これは今回の改正に基づきまして、新たに設けていただくものでございます。その真ん中の欄に29年の建議がございますけれども、2番目のポツでございますが、原則の上限を超えて労働した労働者に対する健康確保措置を、36協定の記載事項として定めなければならないことを建議いただいております。この内容を踏まえて3としたものでございます。
それから、6でございますけれども、この36条第6項第2号及び第3号はいわゆる上限時間、休日労働を含めて月100時間未満、複数月80時間以下という内容でございますけれども、これについて定めていただくものであります。36協定で定めていただく時間は1日、1月、1年についての時間外を定めていただくものでございますけれども、それだけでは複数月80時間を超えないようなことは、一見すると明らかではないこともございます。当然、法律上の義務でございますので、これを超えることはしていただかないことが大前提でございますけれども、36協定を結ぶに際しても、労使でこの上限を超えないことを改めて確認していただくことが必要ではないかと考えておりまして、この6を設けております。具体的なイメージは、次回様式でお示ししたいと思いますけれども、労使でこの上限をしっかり守ることを合意いただくことを内容に入れたいと思っております。
次の項目でございますが、先ほどの健康確保措置でございますけれども、これについての記録について、これは建議の中で3年間保存するようとされておりますので、3年間の保存義務を省令上書き込むことを考えてございます。
次は3ページでございますけれども、これは適用猶予業務の建設事業についての範囲でございます。法律上、139条におきまして、工作物の建設の事業、その他これに関連する事業として、厚生労働省令で定める事業については、5年間猶予した上で適用する措置になってございます。
右にございますように、まず法別表第1第3号は建設の事業を指しております。
そして2が少しわかりにくくて恐縮ですが、事業場の所属する企業の主たる事業が建設業である事業場における事業としております。これは現行通達、先ほどの参考資料6の3ページの真ん中辺、(五)適用除外でございますが、「工作物の建設等の事業」として、その解釈としまして、この「工作物の建設等の事業」とは、原則として法別表第1第3号(建設業)をいうものとするが、建設業に属する事業の本店、支店等であって同号に該当しないものも含むものであるとされております。この規定を省令上、条文化しようということで2を定めることにしております。
3は前回御説明しましたが、建設現場と一体となった交通誘導警備につきましては、その限りにおいてこの事業に含める。つまり適用猶予とすることにしてございます。
次に自動車運転でございますけれども、これにつきましても140条で、その他の自動車の運転の業務として厚生労働省令に定める業務とされてございます。これにつきましては、現行の取り扱いが先ほどと同じ参考資料6の3ページでございますけれども、(五)適用除外のロのところでございます。「自動車の運転の業務」としまして、「自動車の運転の業務」とは、四輪以上の自動車の運転を主として行う業務をいい、いわゆる改善基準告示の対象となる自動車運転者の業務と同義であることとしております。また、改善基準告示におきましても、次の4ページでございますが、一番上の第1条のところで、「四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事するものをいう」としております。ここで運転の業務(厚生労働省労働基準局長が定めるものを除く)とございますが、これは災害時の緊急車両だとか、そういった特殊な場合でございます。
この内容を基本的に踏襲することとしておりまして、資料のNO2に戻っていただきますと、右のところでございますけれども、一般常用旅客自動車運送事業の業務、貨物自動車運送事業の業務、その他四輪以上の自動車の運転の業務を定めまして、同じような解釈をしていくこととしたいと考えてございます。
次の5ページ目は医師でございます。医師の上限規制に関する事項につきましては、これまで御説明したとおり、現在、医師の働き方改革に関する検討会を医療界の参画を得ながら議論いただいております。この結論を踏まえて、改めてこの厚生労働省令で対象の医師の範囲、そして時間数を決めることにしておりますので、その検討会の結果を踏まえて、改めて当分科会にお諮りをしたいと思っております。ですので、今回の省令改正には盛り込まない形にしたいと思っております。
以上が上限規制の関係でございます。
次が6ページ、年次有給休暇に関する事項でございます。年次有給休暇については、十労働日以上の年休を与える場合について、そのうちの5日については、使用者が時季を定めて与えなければならないことにしております。法律上、ただし書きがございまして、「ただし、これらの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない」と真ん中にございます。これは前回も説明しましたけれども、法定でいけば、まず入社して6カ月経過後に8割以上の出勤要件を満たせば10日与えられるわけで、例えば4月入社であれば10月が基準日となります。しかし、企業の取り扱いとしては、入社当初に既にもう年休を付与するといったケースも多いので、そういった場合の取り扱いをこのただし書きが定めたものでございます。
右にございますように、こうした場合について1としまして、入社日から年次有給休暇を付与する場合でありますとか、2として全社的に年次有給休暇の起算日を合わせるために2年目以降に付与日を変える場合、これは何を言っているかと申しますと、例えば入社当初は6カ月経過後の10月1日が基準日となって、その時点で初めて年休がもらえるのですけれども、2年目以降は全社的な基準日に合わせて4月に年休を付与する。例えば1年目が10日であれば、2年目の4月に11日与えると、そういった取り扱いをしている企業も多いので、こういった場合についても省令で定めるとしておりまして、基本的には入社当初から年休を付与する場合については、入社当初から1年間の間に5日を付与しなければいけない。それから、基準日を2年目以降4月に合わせる場合は、入社当初とその後の1年間の期間に応じて、比例配分で5日に相当する年休を与えなければいけないことにしたいと思っております。ちょっと口で申し上げるとわかりにくいと思いますので、次回少しわかりやすい絵をお示しして御説明したいと思っております。
次のところですが、これは建議に書かれた内容でございまして、この時季指定について、「労働者に対して時季に関する意見を聴くものとすること、そしてその労働者の意思を尊重するよう努めなければならないことを省令に規定することが適当」とされておりますので、同様の内容を省令に定めたいと思っております。これは附帯決議でも定められた内容でございます。
次に年次有給休暇の管理簿といたしまして、建議において、この年休の管理簿の作成を省令において義務づけることにされております。そこで使用者はその年休の与えた時季、日数、労働者ごとの基準日を明らかにした書類を作成することを省令で義務づけることにしたいと思っております。
次が7ページで、労働安全衛生法に関するものでございます。これは医師の面接指導で、上の段が一般労働者に対する医師の面接指導の規定でございまして、省令で定める要件に該当する労働者に対し面接指導を行う規定になってございます。これにつきましては、現行では週40時間を超えて労働させた場合の超えた時間が1カ月当たり100時間を超えた者から申出があった場合に、医師の面接指導を義務づけることになってございますが、これを建議に基づきまして100時間という水準を80時間に引き下げることにしたいと思っております。
それから、下の段でございますけれども、研究開発業務従事者に対する医師の面接指導は、今回適用除外となりましたが、医師の面接指導を罰則つきで義務づけることとし健康確保措置を強化したところでございます。「厚生労働省令で定めるところにより」としてございますので、ここについては建議どおり、週40時間を超える時間が1カ月当たり100時間を超えた者に対して、罰則つきで義務づける内容にしたいと考えてございます。
続きまして8ページ、労働時間の状況の把握でございます。今回、法律上に労働時間の把握を義務づけることになっております。これにつきましては、「厚生労働省令で定める方法により把握しなければならない」となっておりますので、建議に基づきまして先ほど御紹介した労働時間の適正把握のためのガイドライン、これを参考に明確化したい考えでございます。省令におきましてはタイムカード、あるいはパソコンのログイン、ログオフ等の記録といった客観的な方法、その他の適切な方法を定めたいとしてございます。また、この記録に関しましては、3年間の保存義務をかけたいと考えてございます。
9ページ、その他の事項でございます。まず労働条件明示の方法でございます。これは平成27年の建議で継続審議になっていたものでございます。建議の内容としましては、真ん中にございますように、「労働条件明示の方法は引き続き書面明示によることを原則とするが、労働者が希望する場合にはファクシミリの送信、電子メールの送信(労働者が記録を出力することにより、書面を作成できるものに限る)により明示することを認める方向で検討を継続することが適当」とされたところでございます。
これを受けまして、右にございますように、労働者が希望した場合には、ファクシミリを利用してする送信、あるいは電子メールその他の電子的方法による送信(ただし当該労働者が記録を出力することにより書面を作成できるものに限る)をすることができることとするかどうかという御提案でございます。
同じく27年の建議で、労働条件明示が事実と異なるものであってはならないという当然のことを省令にも入念的に規定すべしとございましたので、今回「第15条により、労働者に明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない」ということを省令に規定したいと考えてございます。
次は過半数代表の規定でございます。これにつきましては、平成27年の建議、さらに平成29年の建議でも宿題とされたところでございまして、今回措置をしたいと思っております。真ん中の建議にございますように、「使用者の意向による選出」は手続違反に当たるなど通達の内容を労働基準法施行規則に規定することが適当とされております。現行の施行規則を見ていただきますと、先ほどの参考資料NO6の上の段の6条の2の1項で、まずは管理監督者でないこと、そして2号として、「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること」と、これは施行規則で書かれておりまして、さらに通達で3ページの一番下のところでございますが、過半数代表者の要件として、「使用者の意向によって選出された者ではないこと」と、ここで通達に記載してございますので、これを省令に格上げすることを考えてございます。
戻っていただいて、過半数代表の2つ目の事項でございまして、これも建議されているところでございますが、過半数代表者がその業務を円滑に遂行できるよう、必要な配慮を行わなければならない旨を規定することになってございますので、それを措置するものが2つ目でございます。
次にフレックスタイム制に係る労使協定でございますけれども、今回清算期間を1カ月から3カ月までに延長いたします。これを厚生労働省令に定めるところにより、協定を労働基準監督署に届け出ていただくことにいたしましたので、その場合には有効期間を定めていただくことにしたいと思ってございます。
以上が省令事項でございまして、最後、10、11ページでございます。
36協定に基づく指針の内容でございます。第7項におきまして、「労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定める」となってございます。また、指針の内容につきましては、29年度の建議、あるいは今回の国会での附帯決議によって内容について提言がされておりますので、その内容を踏まえて規定したいと思っております。
まず、右側の1項目めでございますけれども、これは建議でも提起されたところでございます。「原則である月45時間、年360時間にできる限り近づけるようにするため、労働時間の延長をできる限り短くするよう努めなければならない旨、及び休日の労働を可能な限り抑制するよう努めなければならない」といったことを盛り込みたいと考えます。これは建議に対応した内容でございますし、附帯決議でも同様のことが決議されているところでございます。また、括弧として適用猶予後5年後の自動車運転業務、建設事業についても同様であること、つまり原則は月45時間、年360時間であることを明記したいと考えてございます。
2、3番目は建議等ですでに示されてございますが、まず健康確保措置の内容です。今回、36協定に限度時間を超える場合に健康確保措置の内容を定めていただきますけれども、その例示をこの指針に盛り込むことで、建議に基づきまして、企画裁量労働制における健康確保措置として規定したものと同様の内容を望ましい内容として規定することを考えてございます。その内容でございますが、その真ん中の建議のところで、2ポツ目のところでございますけれども、企画裁量の指針に列挙された内容として、「代償休日又は特別な休暇の付与、健康診断の実施、連続した年次有給休暇の取得促進、心とからだの相談窓口の設置、配置転換、産業医の助言指導に基づく保健指導を基本として、長時間労働を行った場合の面接指導、深夜業の回数の制限、勤務間インターバル等を追加することが適当」とされております。この内容を盛り込みたいと考えてございます。
それから、右のほうの段の項目の3つ目でございますけれども、「限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金率を定めるに当たっては、法定の割増率を超える率とするように努めなければならない」ということにしたい。これは現行の限度基準告示でも既に盛り込まれている内容でございまして、参考資料6の2ページでいきますと、限度基準告示の第3条の3項に、限度時間を超える場合については法定の率を超えるように努めなければならないと既にされているところでございますので、これを踏襲したいと思っております。
4つ目の「労働時間を延長する必要のある業務区分を細分化すること」も同様でございまして、今見ていただいた参考資料6の2ページの限度基準告示の第1条の一番上のところでございますが、「業務の区分を細分化することにより、当該必要のある業務の範囲を明確にしなければならない」ということが、今の告示にも入ってございますので、これを踏襲して定めたいと思っております。
5点目でございますけれども、これは附帯決議に対応した内容でございまして、附帯決議の参議院のほうですね。資料NO5をめくっていただいて三のところでございますが、「労使が特例に係る協定を締結するに当たっては」ということで、それがあくまでも通常予見できない等の臨時の事態への特例的な対応であるべきこと、そしてその次の行ですが、単に「業務の都合上必要なとき」または「業務上やむを得ないとき」と定めるなど、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの等については特例が認められないこと、こういったことを指針で明確化すべしと決議されておりまして、これを踏まえた内容を盛り込みたいと思っております。ただ、この内容につきましても、現行の通達でも示している内容と同義でございまして、参考資料6の3ページの上のほう、これは通達の内容でございますけれども、通達においても「臨時的なものとは、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要があるものであり」とあって、「単に業務の都合上必要なとき又は業務上やむを得ないときと定める等恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの等については、臨時的なものに該当しない」ということで、既に解釈をしております。こういったことや、この決議を踏まえて指針の内容を規定したいと思っております。
最後の11ページでございますけれども、これも附帯決議に対応する内容でございまして、これは今見ていただいたNO5の附帯決議でいうと5番目の項目になります。事業主は特例の上限時間内であっても、その雇用する労働者への安全配慮義務を負うこと。また、脳・心臓疾患の労災認定基準においては、発症前1カ月間の時間外・休日労働がおおむね100時間、または発症前2~6カ月間の月平均時間外・休日労働がおおむね80時間超えの場合に、業務と発症との関連性が強いと評価されることに留意するよう指針に定め、その徹底を図ることとされております。これを踏まえて指針の内容を規定したいと考えてございます。
以上が省令及び指針について定める内容として提案している内容でございます。
今日御用意できませんでしたけれども、最初に御説明したように36協定の様式のイメージでありますとか、あと、指針についても具体的に縦書きにしたイメージをお示ししたほうが、より議論が深まるのではないかと考えておりますので、それについても次回用意できればと思っております。今日はこの資料で恐縮ですけれども、御議論いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見等あれば、どうぞ。
中川委員。
○中川委員 ありがとうございます。
私のほうから36協定に関するところとフレックスタイム制について、それぞれ確認をさせていただきたいと思います。
まず、36協定でございますけれども、御説明いただいた資料2の2ページにございます「36協定において定める事項」のところの特に6です。こちらについては、要件を満たすことが締結事項ではなくて、具体的に同号の要件を踏まえた内容、単月100時間未満、複数月平均80時間以内ということを記載することでいいのかが1点です。
また、複数月のところの記載に関して、各月それぞれ時間数が異なる場合で言うと、複数月平均の時間を記載していくのかどうか、それとも各月の時間数を記載するのかという点を確認させていただきたいと思います。
もう一点はフレックスタイム制のところでございます。資料9ページでありますけれども、こちらは清算期間の上限を1カ月を超えて3カ月とすることも可能という話でございますけれども、今回の改正目的自体が現行の時間外割増賃金の支払い範囲を狭めるものではないことを1点確認したいのと、やはり清算期間を延長するとなると、特定の月に過度に時間外労働が偏ることが懸念されるため、そのようなことのないように通達等に明記するとともに、こうした内容の周知が必要なのではないかと考えていますので、確認させていただきたいと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 2点御質問がございましたけれども、この点についていかがですか。
○労働条件政策課調査官 それでは、私のほうからお答えをさせていただきます。
36協定、この資料2ページの6のところで御指摘をいただきました。ここにつきましては、要件といたしましては36協定延長時間、これは1日、1月、1年について定めることになっております関係で、上限時間としては、それを100時間未満とすることで、協定を締結していただくわけでございます。その上で複数月、これは平均80時間以内でございますけれども、これは1つ担保といたしましては、まさに法36条第6項第2号第3号といったところで、実際の労働時間として複数月の平均80時間を超えてはならないことを書いているわけでございます。これを労使間の協定でもっても約する意味で、協定としては月100時間未満のところで1月単位で決めていただくわけですけれども、しかし、協定におきましても複数月において80時間を超えないのだということを、これは労使間の合意として協定をしていただくのが、ここの条文が想定をしているところでございます。
それから、フレックスのところで御指摘をいただきました。フレックスのところは、当然これは現行の割増賃金の規定について、何か適用をどうするかということを設けているわけではございませんので、そういった意味でそれがそのまま乗っかってくるわけでございますが、ただ、ここは3カ月について、その清算期間内で清算をするのだけれども、その各月について見たときに、それが1カ月で見て週の平均の労働時間が50時間を超えるような場合にあっては、そこについては当該月において清算をするようなことで、これは法律レベルで整理をされているものでございますので、そういったものは当然ながらそのような内容として、我々としても周知をいたしますし、現場でも運用していくと考えているところでございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
藤枝課長、どうぞ。
○労働条件政策課長 ちょっと36協定のところを補足させていただければ、複数月80時間以内の扱い、これをどう取り扱うかが、1つの課題だったと思います。あくまで36協定で定めていただくのは1日、1カ月、1年の時間です。考え方として、36協定上、複数月月80時間以内を確認するためには、例えば1カ月から12カ月のそれぞれの月について、何時間というのを定めていただいて、それを見て、月平均して80時間以内を確認するやり方も考え方としてはあるかもしれません。しかし、時間外労働はまさに通常予見できない場合に生じるわけでございます。
何月に何時間、例えば4月に70時間とか、8月に80時間、9月に60時間とか、そういった具体的な数字は協定を締結する時点では、決めることはできないので、あくまで月のマックスである100時間未満を月単位で定めていただくことにしています。ただ、それでありますと36協定上は、法が求める複数月月80時間以内を超えないことが、書面上は明確にはならないことから、そのところも労使協定の中で、複数月月80時間以内を労使で合意していただくことが必要ではないかという考え方であります。ちょっと口で申し上げてもわかりにくいかもしれませんので、また次回、様式をお示しする中で御説明をしたいと思っております。
○荒木分科会長 よろしゅうございますか。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 ありがとうございます。
次回の議論になるとは思うのですけれども、やはり現場の労使で理解し合える様式でないとだめだと思いますので、そこについてはこの場で、次回議論の際に、ぜひともそういった新様式の御提示をお願いしたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
弥久末委員。
○弥久末委員 ありがとうございます。弥久末です。
この資料2の件につきまして、1点確認と要望を申し上げたいと思います。
3ページの建設事業に関する項目のところです。建設事業の対象とする範囲に関して省令により定める内容で、2の記載がございます。建設業に属する事業の本店とか支店、総務や経理といった間接的な業務で働く方もこの対象となります。同時に今回設けようとしています「3工作物の建設の事業に関連する警備の事業」ですが、ここに関しては、いわゆる交通誘導警備の業務に限って規定をつくろうということでありますが、この1、2、特に2の項目と3の項目のこの規定の考え方について、大分違いがあるのではないかなと思います。
1点は、2で建設事業全体としてはいわゆるバックヤードも全部入るとされるのに対し、3の交通誘導については、バックヤードは入りません、交通誘導警備の業務を行わせる場合に限定しますとなっています。こういったところの整合性を、どう理解すればいいのか教えていただきたいと思います。
また、同様に建設業に関して5年後の一般則適用に向けてですが、今後この5年間の中でどうやってこの一般則適用に向けて具体的に進めていくのか、明確なロードマップを描きながら計画的に進めていかないといけないと思います。長時間労働削減をし、5年後にはきちんとしたものになっていくことも含めて、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 それでは、質問もございましたが、事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 本社の扱い、それから交通誘導警備の部分との概念整理といいますか、関係整理の御質問をいただきました。
まずは本社のところでございますけれども、こちらにつきましては、現行の大臣告示における取り扱いは踏襲しているものでございます。現行の告示におきまして、本社も含めまして工作物の建設等の事業、これ全体を適用除外と大臣告示がしていることでございますので、政府の実行計画におきましても、昨年の労政審建議におきましても、このような整理をしているところでございまして、改正法につきましても同じ考えに立っていることで御理解をいただきたいと考えているところでございます。
その上で交通誘導警備の部分でございますけれども、ここにつきましては、現場での一体性に着目をして、今回省令において措置をすることで、お諮りをしているところでございます。ここの点につきまして、前回もこの現場で働く方の健康確保といったものに意を尽くすべきであると御指摘もいただいているところでございまして、そういうところも含めながら対応のほうをしてまいりたいと考えているところでございます。
最後は御指摘、御意見で頂戴したかと存じますけれども、一般則適用に向けた対応で、御案内のとおり、政府の中でも関係省庁の連絡会議のような場におきまして、建設業における労働時間の背景事情となっておりますような発注の関係にも踏み込んで、納期の適正化といったことについてロードマップを定めるとか、ガイドラインを定めるとか、そういった対応をしているところでございますけれども、引き続きそういった取り組みを国交省などとも連携をしながら進めていきたいと考えてございます。
御指摘、どうもありがとうございました。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
それではほかにいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
前回7月10日でございましたけれども、久しぶりに法律が成立した後の労働政策審議会で、大量の資料でほぼ説明でございまして、省令のところもさらっと流しただけだった感じでございましたけれども、本日は資料第2で、改めて事務局から御説明をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。
その点で言えば、資料2に出典が赤字で示されておりまして、今後確認をして議論を進めたいと思っております。これらにつきましてはほぼ建議に示されている内容と理解をしているところでございます。その建議に基づいて、きちんと省令議論がされることにつきまして、この労働政策審議会の労働条件分科会で企業の現場、実務をよく知る労使によって議論をして、それを重ねた結果の建議、それを踏まえた省令と考えておりますので、その点は高く評価をしたいと思っているところでございます。
3点ほど要望を申し上げたいと思っております。先ほど労働側の委員からもありましたように、36協定の様式のイメージです。次回お示しをいただけるとのことでございますので、そういったもの、資料2の1ページにありますように、36協定の様式については、基本的に従来の記載要領を踏襲すると考えておりますけれども、企業の現場が混乱をしないようにわかりやすい内容にしていただきたいことと、ぜひ次回、様式を示していただきたいと思っております。
それから、2ページの健康確保措置でございますけれども、これにつきましても、実施状況等に係る書類を作成して、3年間確実に保存しなければならないとされておりますけれども、記録の書類に必要な記載事項の形式とか、そういうようなことについても、なるべく早目にお示しをいただきたいと思っております。
それから、6ページでございますが、先ほど藤枝課長からも年休について御説明がありましたけれども、やはり口頭ではわかりにくいと思います。これも次回示していただけることでございますので、企業の現場が本当に混乱をしないようなわかりやすい図と、代表的なケースと、個別の労使で工夫をしている部分もあると思いますけれども、それも含めて理解が進むようなものを示していただきたいと思っています。
とりあえずは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
世永委員。
○世永委員 ありがとうございます。
私のほうから大きく2点について、御質問と意見を述べさせていただきます。
まず1つは自動車運転業務の対象とする範囲についてです。これまで曖昧であった兼任ドライバーの一般則適用と特例適用の範囲の明確化について申し上げさせていただきます。今回自動車運転の業務が適用猶予になりました。そういう意味では先ほど申し上げたとおり、何の業務に一般則が適用され、どれが適用猶予となるのかで、大きな違いが生じてくることでありますので、明確化の必要があると思っています。資料2の4ページなり、あるいは参考資料6の3ページにもありますけれども、限度基準告示にあります四輪以上の自動車の運転を主として行う業務、この「主として」というのは、どのような意味なのかということです。今までは告示だったということも相まって、先ほど申し上げたとおり兼任ドライバーについては、特に現場では曖昧な取り扱いと思っております。営業をやりながら、あるいは運行管理業務をやりながら運転業務を行う場合については、どのように判断していくのか。また、非常に都市部で多い宅配の関係でいきますと、宅配の主たる業務は集配業務です。ドライバー業務は従たる業務でほとんど運転業務になりません。そういった場合はどちらの規定が適用になるのかについて、今の段階でわかることがあれば、明らかにしていただきたいです。
それと、大きな2つ目として改善基準告示についてです。平成9年の対応が最後だったと思っています。当時は中央労働基準審議会の下に自動車運転者労働時間問題小委員会を設置して、その後、トラック、配タク、バスの作業部会を設けて自動車運転者の労働時間の規制のあり方について検討がされてきたと思っています。今後どのような形で進めていくのか見解があれば、お示しいただければと思っています。
それと、改善基準告示でもう一つ申し上げさせていただきたいのは、現行の告示では拘束時間等さまざまな規定がされています。具体的にどのような点について、見直しの議論を行うのかということについて、問題意識を持っているということです。労働側としましては、参議院厚労委員会における審議内容からも明らかになったように、拘束時間の短縮が急務であると受けとめています。また、その際の時間の設定につきましては、当然、過労死認定基準を下回る水準を基本にして定めるべきと申し上げさせていただきます。
以上です。
○荒木分科会長 それでは、2点ほど質問がございましたので、事務局よりお願いします。
○労働条件政策課調査官 それでは、私のほうからお答え申し上げます。
まず最初の点、兼任ドライバーの関係でございます。ここは考え方といたしましては、その方が行っている主たる業務が何なのかを、実態を見て判断をしていくことなのでありますけれども、委員のほうからは、まさにそういった判断の部分で現場で曖昧になっているのではないかというような御指摘かと存じます。そういったことも踏まえまして、考え方もそうですが、現場での具体的な事例などでわかりやすく説明できるように、工夫を少し考えてみたいと思います。
それからもう一つ、改善基準告示についてのお尋ねでございました。こちらにつきましては前回、当分科会にお示し、お諮りをしましたとおり当面のところ、まずは改正法の施行に向けた省令等の議論を進めさせていただくわけでございますが、改善基準告示につきましても附帯決議などで指摘をいただいたところでございまして、重要な課題であると認識しているところでございます。対応については、改めて相談をさせていただきたいと存じます。
○労働条件政策課長 ちょっと補足をさせていただきます。
改善基準告示につきましては、衆議院参議院それぞれの附帯決議の中で、速やかに検討を開始することとされております。これは国会審議の中で加藤厚生労働大臣からも、いわゆる5年間の猶予期間を待たず速やかに開始すると答弁をさせていただいております。先ほど中嶋のほうから申し上げたように、今回の省令指針等の準備が整った後に、これは国土交通省とも相談をさせていただいて、また、関係の労使とも進め方についてもよく御相談をさせていただいて、先ほど世永委員からも御指摘があったように、平成9年当時は、当時の労働基準審議会の下に自動車問題の小委員会を設けて議論をしていただいておりますので、今回もそのように、当労働条件分科会の下にそういった小委員会を設けることも含めて考えたいと思いますので、引き続き御相談をさせていただければと思っております。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
八野委員。
○八野委員 ありがとうございます。
私のほうから資料6ページの年次有給休暇に関する事項で、意見を述べさせていただきたいと思っております。
もう一度、平成27年の建議を振り返ってみますと、これをやっていくということは、有給休暇の取得率がまず一つ低迷しているという課題があったと思います。少しずつ上がってきてはいるのですが、最近の調査によっても50%をまだ割っている状況です。また、中身を見ていきますと男女でも違いがあったり、または業種業態によってもかなりの差が出てきている。それと、企業の規模によっても差が出てきていると、だからここのところをどう改善していくのかが、非常に大きなテーマになってくると思っています。
それと、このときの資料によりますと、いわゆる正社員の中で年次有給休暇を1日も取得をしていない人たちが16%いて、そこのところの長時間労働という比率が高いことが出ていたと思います。そのため、今回、時季指定をして年休を付与していくということだと思いますので、その目的が達成できるようにしていかなくてはいけないと思っています。
内容としては10日間以上有給休暇がある労働者に対して、5日間を確実に取得促進をしていかなくてはいけないと思っています。ここは労使ともに工夫が必要なところと、使用者が与えていくことですから、今までではやったことがないことをやっていくわけなので、ここについて、どのように進めていくのかが非常に重要だと思っています。逆に労働者の時季指定や計画年休が合計5日以上取れているというところについては、しなくていいわけなので、その辺の理解がきちんとされていないようなところもあって、全ての企業が慌てているような感じを受けとめるところがあります。やはりこの辺は、使用者が与える新たな取り組みですから、実行性があるものにしていかなくてはいけないので、その意識改革が非常に重要なのだろうなと思っています。
それと、年休権を有する労働者に対して、時季に関する意見を聞くものとするとなっておりますが、形式的な意見聴取ではなく、対象となる労働者に対して、可能な限り早い段階で意見を聞いていくことが必要であろうと考えています。
もう一点は、時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならないとなっております。現行法の39条5項のただし書きのところで、使用者において労働者の意思を尊重しなくても許されるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に相当するようなケースということがあります。この辺は判例でも出ていて、かなり要件が厳しくなってきていると認識をしておりますが、やはり使用者が労働者の指定した時季に年休が取れるような状況に配慮をしていくことが必要だと考えております。附帯決議の参議院のほうでも出ている内容だと思いますが、省令では努力義務として意思尊重の義務が規定されるにとどまっていることになりますけれども、こうした内容についても、やはりわかりやすく解釈できる例規を示すべきではないかなと思っています。
計画年休のガイドラインをもう一度これと合わせて見てみると、それと合わせたガイドラインみたいなものができていくと、使用者としては計画年休の部分、それとこういう時季を指定していかなくてはいけない部分が、ある程度ミックスでわかるのではないかなと、これは個人としてそのような意見を言わせていただきたいと思います。
それともう一つ、これは確認なのですが、年休の休暇の管理簿は様式を定めるものなのでしょうか。それとも、労使の中で確認されたものでやっていくということなのでしょうか。ちょっとそこだけ、新たなことなので教えていただければと思います。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 お答えいたします。
まず、年休に関してお尋ねの前にさまざまな御指摘をいただきました。行政としても対応できる部分として、さまざまな周知の部分があると存じますので、御指摘を踏まえながらと考えているところでございます。
確認としてお尋ねいただきました管理簿の点でございますけれども、何か様式を定めるということではなくて、任意の様式で適切にやっていただくことで考えているところでございます。
○労働条件政策課長 補足になりますが、今御指摘いただいたように、今回年次有給休暇については、これまで労働者の請求によって与えるということだったのが、使用者側から時季を定めて与えるという、かなり考え方を大きく転換するものでございますので、やはり法制度の理解をしていただくために、その周知をしっかりやっていかなければいけないと考えてございます。特に中小企業、小規模事業者においては、なかなか人手不足の中で代替要員が確保できないような状況の中で、この年休の規定を守っていただくためには、もちろん我々としても、しっかり周知をすること、それから先ほど御指摘があった計画年休でありますとか、そういった制度をうまく活用していただくことが必要だと思っておりますし、労働者のほうから既に5日取得した場合には、付与する義務はないという、そもそもの制度の解釈についても、十分理解していただくことが必要でございます。
年次有給休暇に限らず今回の上限規制などの働き方改革については、特に中小企業、小規模事業者にとって、何となくの負担感とか、不安を感じてらっしゃるところが多いと聞いておりますので、今年度、我々が予算措置で設けました働き方改革の推進支援センター、これは各都道府県に設置したところでございますので、そういったところでいろいろな御相談にも応じ、出かけていってアウトリーチで御相談にも応じたいと思っております。そういった中で業務の見直しなども含め、生産性向上も含めた対応、アドバイスをさせていただいて、法律の理解もしていただくということかと思っておりますので、御指摘いただいた周知方法については、また参考にさせていただいて、対応を考えていきたいと思っております。
以上でございます。
○荒木分科会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
今、八野委員からの御指摘もそのとおりだなと思っております。私どもも同じような疑問を持っておりまして、まず年休の管理簿、新たに管理簿をつくることでございますけれども、現在各社では紙で管理しているところもありますが、多くのところは、もうデータで管理をしていることもございまして、各社の勤務のシステムの中で管理をすることも、きちんと必要に応じてアウトプットもされる環境であれば、それでよいかどうかという点について、確認をさせていただきたいと思います。
それから2点目ですが、これも八野委員の御指摘のとおりで、計画年休と合わせて時季を指定するものと、それから自由年休といいますか、労働者が取った年休も合わせて5日以上あればいいというようなことかどうかも、御指摘のとおり企業側も理解が進んでいない点は多々あると思います。そこの確認と本当に丁寧な周知をしていただきたいというお願いでございます。
○荒木分科会長 では、事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 御指摘がございました年休管理簿の件でございますけれども、こちらにつきましては、現行の労働者名簿や賃金台帳などでもそうでございますけれども、必要なときにいつでも、出力できる仕組みとしていただいた上で、システム上で管理することも認められる考え方でございます。
それから、年休のところでございますけれども、法の解釈の部分で5日のカウントの仕方として、計画年休のようなもの、労働者がみずから時季を指定するようなもの、これを合わせて5日ということでカウントするのでよいのかという確認と承知をいたしますが、まさにそのようなものとして法律がつくられているところでございます。こういった点も含めまして適切に正しい内容で周知をすることにつきまして、御指摘のとおり対応してまいりたいと存じます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
杉山委員。
○杉山委員 ありがとうございます。
私からは、資料2で示されていることにつきまして、お願い事をさせていただきます。
日商を初めとしまして、各地の商工会議所では働き方改革推進に向けまして、会員企業へ周知、説明会等を行っております。法の成立を受けまして、企業が円滑に準備を進めていくためには、速やかに細目を定めていただく必要がありますが、多くの中小企業では、そもそも現行の労基法について理解が十分でない現状があります。
したがいまして、新たに省令や指針で定める事項については専門用語をできるだけ使わず、イラストや図表等を活用してわかりやすくしていただきたいと考えております。特に「義務」と「努力義務」の判別については明確に分けて記載していただくことが重要です。
また、法36条第9項および附則第3条4項に記載のとおり、中小企業に対する助言指導につきましても、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○荒木分科会長 御要望でしたけれども、事務局からはよろしいですか。
お願いします。
○労働条件政策課調査官 まず周知、それから説明会、多々取り組んでいただいていることを承知しております。大変ありがとうございます。行政のほうの対応として申し上げますと、私どものほうの現場の監督署でも、特に中小企業、小規模事業者の方に正しく内容を御理解いただいて取り組みを進めていただくために、特別に体制を組んで取り組んでいることもございますし、御案内のとおり、大変御協力をいただいております働き方改革推進支援センターの取り組みも、まさに今、動きが出ているところでございまして、引き続きと考えているところでございます。法案が成立をいたしまして、まさに周知のタイミングでございますので、るるさまざまな御指摘をいただいていますように、そこには適切に取り組んでまいる、その中で御指摘のありました義務とか努力義務とか、要すれば法律の正しい内容について正しく理解されるように、わかりやすくというところに意を用いながら取り組んでまいりたいと存じます。
どうもありがとうございます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
櫻田委員。
○櫻田委員 ありがとうございます。
私のほうからは資料2の7ページにあります労働安全衛生法に係る事項のところについて御質問させていただきたいのですが、「研究開発業務従事者に対する医師による面接指導の実施」というところですけれども、参議院の附帯決議では46項目です。参考資料NO5で、「新技術・新商品等の研究開発業務に関し、現行制度で対象となっている範囲を超えた職種に拡大することのないよう」ということで、この新技術・新商品等の研究開発業務に関する記載があるのですけれども、この後半のところで、「新技術・新商品等の研究開発業務に従事する従業員に対しては、十分に手厚い健康確保措置を採るよう努めるものとすること」という記載がございます。こちらに関しては、具体的にどんな形で、どのような健康確保措置をどこで規定していくのか、お尋ねしたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○労働条件政策課調査官 御指摘をいただきました新技術・新商品等の研究開発業務の健康確保の部分でございますけれども、これはまさに今、この資料でお諮りをしております面接指導が1つあるわけでございますし、当然ながら面接指導に限らず労働安全性法に規定するさまざまな措置がございます。そういったものと合わせて、現場の中でさまざまな工夫があるものと存じているわけでございますけれども、ここの附帯決議、私どももこれを頂戴したところでございます。これについて、当然ながらその趣旨を尊重しながら努力をするというのが、政府の立場でございますので、こういった今私が申し上げましたような内容もございますし、さらにそういったどういうことがあり得るのかというようなところは、附帯決議をいただいたところでございますので、少し考えさせていただくことも含めて、真摯に受けとめさせていただくことだと存じております。
○荒木分科会長 よろしゅうございますか。
それではほかにいかがでしょうか。
佐久間委員。
○佐久間委員 佐久間でございます。いつもお世話になります。
ちょっと繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、今、議論に出ていました年次有給休暇の取得につきましては、できるだけ速やかに労使で話し合うことも必要なのでしょうけれども、年次有給休暇5日の付与というのは、例えばよく有休を取られる方が、もう4日間取ってしまった、5日間取ってしまったということで、もう付与しなくても、何か予定が決まっている方もいらっしゃると思います。そういう場合に当初、どのように与えていくか、また、既に付与された場合に、残りの日数、例えば4日だったら4日で、あと1日の場合はどのように付与していけばいいのかとか、具体的なルールを事例などを挙げて、これから省令に入った後に説明をいただければ、わかりやすくなるのではないかなと考えています。
あと、本当にこれは八野委員も言われたとおり、出退勤等のというか管理簿の関係でございます。これはお願いになってしまうのかもしれません。中小企業と言いますか、これは私の感覚であるのかもしれませんが、大体50人ぐらいの組織を超えていくと、なかなか紙での管理というのが非常に難しくなってくると思います。ただ、ある程度の人数、100人とか300人ぐらいになってくる地域の中核企業としての中小企業としては、既にシステムでの管理は入っていると思うのですけれども、まだまだ紙ベースの管理が非常に多い中でございますから、統合的なソフトを導入しようとすると、かなり費用もかかってしまうのではないかと思うのです。
こういう年次有給休暇、そして、例えば労働者名簿については、記載項目もそんなにたくさんあるわけではありませんので、連動するようなエクセル、または簡易なソフトで構わないので、厚生労働省さんのほうから、ホームページから配信というか、これはASPでサービス料を取るとかいうのではなくて、簡易なソフトを提供するという方法も一つ考えられるのではないかと思います。もちろんソフトウエアの作成、提供となりますので、民業圧迫の問題もあるかもしれませんけれども、わかりやすい、そして厚生労働省さんが出しているのだということで、中小企業のほうも安心感というものが出ると思います。そういうものでも御検討いただければと思いまして、これはこういうのがあったらいいなという要望でございます。
以上でございます。
○荒木分科会長 事務局よりお願いいたします。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
年次有給休暇については、特に中小企業、小規模事業者の方に十分理解をしていただいて取り組んでいただくことができるよう、周知に努めたいと思っております。御提起がありましたように、どういったときに与えたらいいかというところもあるかと思います。例えば大企業さんなどでは、恐らく年休の基準日だとか、年度当初に1年間の有給休暇の計画を各社員に出させて、そこで調整を実際にした上で年間の計画をしっかり立てて、ちゃんと休んでいただくようなことをされている企業も多くあるのではないかと思います。やはり年度の当初とか基準日ごとに年間の計画を立てていただくのが、実際には現実的ではないかと思っておりまして、そういったやり方なども周知の中でお示しできればなと、今お聞きして考えたところでございます。
あと、2点目のほうは、なかなかどこまでお応えできるかというのはあります。今までお答えしたように様式自体は任意でございますけれども、中小企業で簡単に利用できるような例を示すとか、そういったことはあるかなと思っておりますので、ちょっと検討させていただきたいと思います。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
村上委員。
○村上委員 9ページのその他の事項の労働条件明示の方法のところで、1点意見と1点質問です。
まず、労働条件明示の方法の原則は書面であるというところで、「労働者が希望する場合には、1ファクシミリの送信、2電子メールの送信」でも可能とするとあります。平成27年建議当時の議論に参加してはいなかったので、当時の議事録などを読み返してみて今回の議論に参加しているのですが、やはりさまざまな議論がある中で、書面明示が原則であるという結論になったと理解をしています。
今後、ファクシミリの送信は問題ないのですけれども、電子メールその他の電子的方法での送信ということを可能にするといった場合に、具体的にどのような方法があるのかということは、よく考えなければならないのではないかと思っております。具体的に実務を考えますと、やはり労働条件明示書は書面をつくっていただいて、それを添付ファイルで送信するといったような方法が望ましいのではないかと考えております。もともと労働条件明示が規定されたのは、労働条件を口頭などで行っていることで、言った言わないでトラブルになることがあるから、こういった条件明示の規定が設けられていることを踏まえれば、メール本文に書くような取り扱いであると、大変不安定なのではないかと思いますので、ぜひそういった方向で御検討いただきたいと思っております。これが要望です。
もう一点はその下にあります「労働条件明示が事実と異なるものであってはならない旨」というところでありますが、ここが建議と表現ぶりが若干違うのかなということです。「使用者は労働条件を事実と異なるものとしてはならないこととする」と、若干表現ぶりが変わっているのですが、このことがなぜ変わっているのかということと、意味合いは変わるのか変わらないのかということについて御質問したいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 それでは2点目は質問ですので、事務局よりお願いします。
○労働条件政策課調査官 質問の部分につきまして、お答えをさせていただきます。こちらの書き方、書きぶりが異なっておりますけれども、内容としては同じものだと考えてございます。建議のほうが、誰が誰にではなくて、要すれば労働条件明示が事実と異なるものであってはならないと、客観事象として書かれているところではございますけれども、それは労働基準法令の体系において書いていく中で、このような構文になっているものでございますが、内容としては同一のものとお考えいただければと存じます。
○荒木分科会長 ほかにいかがでしょうか。
川野委員。
○川野委員 過半数代表者の要件等について、御意見と御質問をさせていただきたいと思います。
2015年建議及び参議院の附帯決議を踏まえて、過半数代表者の要件等に関して省令に「使用者の意向によって選出された者でないこととすること」が規定されます。不適切な選出実態が明らかとなっている中で、こうした内容が省令に規定されることは一つ前進したと理解をしています。
一方でこの過半数代表者は、法令によって設定された強行的規制を解除する機能、法定基準の解除機能を担うといった大変重要な役割を適切に果たすべき存在として位置づけられていることを踏まえれば、過半数代表者の選出手続が労働基準法の遵守、法の趣旨や目的に沿った実行性にかかわる大変重要な手続であることは言うまでもありません。そうしたことを踏まえると、過半数代表者は36協定の締結にかかわらず、多くの役割を担いますが、労働基準法の規定はほとんどが事業場単位を念頭に置いておりまして、事業場は会社という概念とは異なったものであることからして、事業場は本社、支店、支社、営業所など場所的なものを指すものであって、これらは一つ一つの事業場になるということでございます。当該事業場が場所的な単位からこうした過半数代表者を選出しなければいけないのは、大変大きな手続になってくるわけでございます。
このたび、時間外労働の上限規制が規定されて、4月を起算日とする36協定の締結・届出が3月末に集中する場合に、果たして前述いたしました大変重要な役割を担う過半数代表者が適切に選出されて、適正に手続が行われているのかについて、労働基準監督署が窓口業務でどこまでチェックができるのかに疑問が残るところでございます。今回の改正内容とともにそもそも過半数代表者の選出が適正に行われていない場合、36協定を締結し労働基準監督署に届け出ても違法無効であることを改めて周知徹底するとともに、不適切な手続が行われないよう対策することが非常に重要であり、必要であると思っています。この件に関する対応、対策等について、事務局の考え方をお尋ねしたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 それでは、事務局よりお願いします。
○労働条件政策課調査官 お答えいたします。
過半数代表についての御指摘でございました。まず、考え方としまして、36協定の様式案につきましては、次回お示しをさせていただきたいと存じますけれども、その中で現行と同様に過半数代表の選出方法について記載を求めることで、まずやっていくことと、その上で当分科会の建議などでも御指摘をいただいておりますとおり、過半数代表者、これは法令等に基づき適正に選出される必要あることにつきまして、一層の周知徹底に取り組むことは、昨年の建議でも頂戴しているところでございますので、それを踏まえた対応をしていくことでございます。また、新たに規定をいたします「使用者の意向によって選出されたものでないこと」につきまして、まさにこのことに沿った運用がなされるように、現場での監督ということも含めまして、しっかりと対応していきたいと考えております。
○荒木分科会長 村山課長。
○総務課長 ただいま、制度的な観点からお答えを差し上げました。川野委員の御質問の御趣旨のもう一点は、現実問題として、36協定の年度単位での御締結が大変多い中、3月末に非常にたくさんの協定が出されてくる。31年4月から大企業分、32年4月から事業上の多い中小企業分の施行でございますので、31年3月ですとか、あるいは32年3月の労働基準監督署の体制をどうするか。人員体制とともに、職員の研修ですとか、あるいは協定のチェックのやり方ですとか、そういったことが大変重要だという御指摘はまさにおっしゃるとおりだと考えております。
一方で、労働基準監督署で36協定等を取り扱いますのは、署の規模によって方面と言ったり、監督課と言っていますけれども、労働基準監督官が集中配置されているセクションです。労働基準監督官の柱の業務は、さまざまな課題のある事業所、例えば労災事故が起こったとか、過重労働の疑いがあるとか、そういったようなところに能動的に出向いていくのが大きな仕事であり、この能動的に出向いていく仕事と受動業務のバランスをどのようにとっていくのかということは、非常に難しい課題です。
この点について中小企業を初めとして、なかなか複雑化する労働法令が浸透していないところに対して、丁寧に事前に御説明を差し上げて、きちんと手続とか様式に御理解をいただいて適正に届け出ていただくということが、まず円滑な遂行につながっていくことがございます。前回の分科会でも御説明を差し上げましたように、ことしの4月から全ての労働基準監督署で相談支援のチームというものを設けて、そうした業務に通じた再任用職員等も含めたベテランの職員なども含めて、丁寧な窓口対応、あるいはまた、積極的な御説明にも努めているところでございます。
さらに、2月、3月とこの関係の業務が急増するため、労働基準監督官だけでこれに対応していける体制になっていないのも事実でございます。36協定に関しましては、やはりチェックポイントも増えていきますので、現在多くの労働基準監督署に36協定の点検指導員という形で、これはそうした業務に通暁された方々を、再研修して中立な非常勤の国家公務員として任用し、協定について見ていただく仕事もやっていただいており、長時間労働問題が大きな課題になってくるという中で、そうした非常勤職員の増員も図っているところでございます。
特に今後数年間に関しましては、その数も年間一定数というよりは、一定の予算の枠を効果的に使うために、年度末の1月、2月、3月はそういった方々を集中的に掘り起こして任用する、増員していくといったようなことなども含めて対応を講じつつあり、その予算枠に関しましても、今後の概算要求の中でしっかりと要求し、また、そうしたもののめどがつきますならば、先ほど来、労使からお話のございますような新しい様式に関する習熟のほうを、そうした人たちにまずやっていくことも大事でございますし、そういう研修ですとか、周知ですとか、そういったことも含めてしっかり対応させていただきたいと考えております。大変重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。
柴田委員。
○柴田委員 ありがとうございます。
私からは10ページの36指針に関する事項というところで、意見要望になるかと思いますが、2点申し上げたいと思います。まず最初は、先ほど政策課長からもありました健康確保措置の内容でございますが、指針で定める内容の案のところには、「企画裁量労働制における健康確保措置として規定したものと同様の内容を健康確保措置として望ましい内容として規定すること」と書かれております。建議では「長時間労働を行った場合の面接指導、深夜業の回数の制限、勤務間インターバル等を追加することが適当」という記載がありまして、先ほども盛り込んでいきたい旨の発言がありましたので、建議を踏まえた内容にしていただきたいことをまず1点申し上げたいと思います。
2つ目は参議院の附帯決議の4項目に「特例的延長の場合においては、時間外労働時間の設定次第では4週間で最大160時間までの時間外労働が可能であり、そのような短期に集中して時間外労働を行わせることは望ましくないことを周知徹底すること」と書かれております。当然4週間で最大160時間というのは限界事例でございますけれども、例えば前月の後半、2週間で80時間、翌月の1週目で20時間という時間外労働のように、短期に時間外労働が集中すれば、その範囲では100時間もの時間外労働が違法ではないということになります。使用者の安全配慮義務の観点からも、短期に集中して時間外労働を行わせるのは望ましくないという旨を解釈例規やリーフレットなどに記載し、周知すべきと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 要望ということでしたけれども、事務局からよろしいですね。
ほかにはいかがでしょうか。
村上委員。
○村上委員 同じ10ページの36指針に関する事項で、幾つか質問などです。
まず、指針において定める内容のところに「適用猶予後の自動車運転業務、建設業についても同様であること」とございます。これは参議院の附帯決議に対応されていると思うのですが、参考資料のNO5の参議院の附帯決議の二では「自動車の運転業務や建設事業等」とあり、「等」の中に恐らく医師も入っているのではないかと思いますので、指針の縦書きにする際にはそういったものを漏れないように記載をいただけないかと思っております。
また、大変細かな点なのですが、この「適用猶予後の」となるのは、現時点であるので、そのように書いているのだろうと思いますが、指針が効力を持つのは2019年4月1日だとすると、もう「適用猶予後の」とは書かなくてもよくなるのではないかと思っておりますので、そういった記載についても、次回に指針の縦書きをお示しいただく際には、そういったこともわかるようにしていただいたほうがよいのではないかというのが1点です。
それから、11ページに参議院の附帯決議に対応して、特例の上限時間内であっても安全配慮義務を負うことであるとか、労災認定基準に関する部分を記載することになっておりますけれども、労災認定基準を引用するのであれば、100時間、80時間の部分だけではなくて、そもそもの認定基準にある「おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること」という点についても、ぜひ記載をいただくべきだと思っておりますので、その点についてもお願いしたいと思っております。
以上です。
○荒木分科会長 次回示すときに考慮してほしいということですが、事務局からいかがですか。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
まず、附帯決議にございます自動車とか建設につきましては適用猶予、5年間は上限45時間、360時間を猶予されていることから、こういう表現にしております。そこは具体的に今後その指針を条文の形というか縦書きの形でお示しする際に、もう少しわかりやすくしたいと思っておりますけれども、ここで書かれている適用猶予後という言葉が入っているのはそういう理解をしております。
それから、安全配慮義務のところで、そもそもの45時間超えから、業務と発症との関連性が徐々に強まっていく点については、今御意見をいただきましたので、そういった旨を指針の中に定めるかどうかについては、ここでの議論だと思っております。具体的にまた案をお示しする中で調整させていただければと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
何か10ページに関する議論が多いですけれども、10ページの業務の細分化のところです。新たな指針で細分化するということですけれども、具体的にどういうイメージで細分化をする必要があるのかということを教えていただきたいと思います。
それから、2つ目は年休ですけれども、使用者側で議論をしていると、指定をするのですけれども、本人がどうしても休まない、会社に来てしまうということもあって、会社が指定をして休みなさいと指示をしても会社に来てしまう。そこを使用者側としては、どこまで責任を負う、どこまでやればいいのかというところをちょっと教えていただければと思っております。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 まず1点目、業務区分の細分化の御指摘、御質問でございますけれども、この業務区分の細分化につきましては、現行の限度基準告示と同様の内容でございます。業務の実態に即しまして、業務の種類を具体的に区分していただくわけでございますが、この関連で解釈例規通達におきましては、業務の関係部分を読みますと、「事業の実態、実情を最も熟知する労使の判断が尊重されるものであるが、例えば労働時間管理を独立して行っている各種の製造工程の設けられているにもかかわらず、業務の種類を製造業務としているような場合は、細分化が不十分であると考えられる」としたものがございます。御参考でございます。
それから2点目、労働者本人が年5日休むことを拒むようなケースの場合のお尋ねでございますけれども、使用者が年休日を指定したにもかかわらず、労働者がこれに従わず、自身の判断で出勤した日につきまして、これにつきましては使用者が当該日の労働を受領した場合には年休を付与したことにはならないため、違反に問われるものと考えてございます。
○荒木分科会長 八野委員。
○八野委員 今の点と関連ではないのですが、よろしいですか。
きょうの議論を聞いていまして感じることなのですが、まずは上限規制が規定される、または36協定に関するガイドラインができてくる、健康確保措置等が明示されるようになってくると、先ほど労働側の川野委員が発言したのと同様に、過半数代表者については、事業場の中でその意識、使用者と36協定の締結となる労働者側の代表者の意識の問題があります。この中にはもちろん過半数代表者をどのように選ぶのかという課題もあります。
広義で見ると、特にサービス産業で働く人たちが統計によると7割と言われています。 何かこういう場で話すときも、どうしても製造業が中心となった形になってくるのですが、例えば先ほどの36協定の届出が集中する3月で言うと、かなりの人事異動があります。そういう中での従業員代表者をどうしていくのかであるだとか、今回の労基法の改正による上限規制や36協定の新様式とともに、過半数労働者の決め方など、36協定の締結の持つ意味合いが今までとは違って少し質が高くなってきており、要件もいろいろあるなか、難しくなってきています。そのことを公労使ともにどのように周知をしていくのかが非常に重要なのではないか。例えば中小企業であれば、分科会の中では議論が出てきますが、ではサービス産業の中の小さな事業場に対する支援指導はどうしていくのかということもあります。企業の単位で見れば、従業員数で言えば、大企業という単位になってくるかもしれませんが、事業場でみればはかなり小規模になることもあります。そういう事業場がやはり多く出てくると思っています。こうした点も含めて今回議論を進めていくところで、段階を分けてはいますけれども、どのように周知をしていくのか、これによって労働時間がきちんと短縮できるように、過労死、過労自殺が出ないようにしていくためにどうしていくのかを、もう一度、周知方法等を含め、しっかりとこの場でも議論をさせていただきたいと思います。
きょうの意見を聞きながら感じたことで済みません。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
川田委員。
○川田委員 ありがとうございます。
やや細かい点にはなるかと思いますが、資料2の2ページの36協定で定める事項の右側の欄の1です。省令で有効期間の定めと、起算日を36協定で締結すべきとする点について、2点ほど確認したい点がございます。
労働基準法の本体のほうを見ますと、例えば今回の資料では参考資料の1-2で言うと4ページのところで確認できると思うのですが、改正後の新しい労働基準法36条では、2項の2号で対象期間というものについて36協定で定めることにしていて、その期間は必ず1年である。今回導入される上限規制との関係での時間のカウント等はこの対象期間をベースに行っていくということだと思います。
確認の1点目は、この対象期間と有効期間が同じ概念なのかどうかということです。
以下、この点についてのコメントになりますが、仮にこれが異なる概念だとすると、対象期間のほうについても起算日がいつなのかを明確にする手だてを何か考える必要があるのではないかと思います。いずれにしてもこの2つの概念が、同じなら同じ、異なるなら異なることが、規定の文言等を通じてできるだけに明確になるようにするのが望ましいだろうと思います。
それから、確認の2点目ですが、例えばきょうの資料だと参考資料6の1ページ目のところで確認できますが、現在の労基法施行規則の16条の2項では、現在の36協定の有効期間の定めについて、労働協約で36協定が締結されている場合には有効期間の定めは労働組合法15条等のルールによることで、ここの有効期間の定めをするのとは別扱いにすることになっているのですが、今回提示された案におけるイメージとして、労働協約との関係について、どのような想定をしておられるのか。これが2点目です。
以上です。
○荒木分科会長 法的な観点についての質問でしたけれども、事務局からお願いします。
○労働条件政策課調査官 まず、御指摘の1点目のほうでございます。対象期間と有効期間は別のものでございます。有効期間につきましては、これは複数年のものは排除しておりませんので、そういった意味で1年間の上限を管理するという意味での対象期間と、それから労使の協定の有効期間、1年なのか複数年なのかというのもございますけれども、そういったもので概念としては違うのでございます。その上で起算日の点につきましては、当分科会の議論の中で1年の上限を定めるからには、それがしっかりと管理できるように起算日を設けるべしと御指摘をいただいたものでございますけれども、そこで言います起算日とは、まさに上限時間の管理の観点でございますので、対象期間としての起算日を想定しているものでございます。いずれにいたしましても、先生の御指摘を踏まえながら次回様式としてごらんをいただきたいと存じます。
2点目でございますが、労働協約との関係につきましては、今回特段我々は措置をするような考えでいないわけでございますけれども、先生の御指摘を正しく踏まえての回答が少し自信ない部分がございますので、持ち帰りで整理をさせていただきたいと存じます。
○川田委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 それでは、そういうことで検討いただきたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
杉山委員。
○杉山委員 質問を1つさせていただきたいと思います。
資料2の6ページの年休の時季指定の日数について、入社半年後に8割出勤の者に対して年次有給休暇を10 日付与する場合、当該年と翌年を合算し、1.5年間で7.5日を時季指定とする理解でよろしいでしょうか。
○荒木分科会長 事務局、お願いします。
○労働条件政策課調査官 御指摘の点を整理いたしまして、次回詳しく御説明をさせていただきたいと存じます。考え方としては、比例付与というようなことでございますけれども、次回図などもつくる予定でございますので、お示ししたいと存じます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。きょうのところは大体以上でよろしゅうございましょうか。
年次有給休暇についても新しい考え方が入ってきたり、御指摘があったように過半数代表者の役割、その責任も重くなりますし、手続も重視されてくることで、いろいろと検討すべき事項があると思います。引き続きこの分科会で議論を深めていきたいと考えております。
それでは若干早いですが、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
最後に次回の日程等について事務局よりお願いします。
○労働条件政策課調査官 次回の日程につきましては、調整の上、追って御連絡をさせていただきます。
○荒木分科会長 それでは以上をもちまして「第144回労働条件分科会」は終了といたします。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の世永委員、使用者代表の齋藤委員にお願いをいたします。
本日は以上といたします。どうもありがとうございました。
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