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2018年7月10日 第143回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成30年7月10日(火)16:00~18:00

 

○場所

中央労働委員会講堂

○出席者

【公益代表委員】

荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、水島委員、守島委員、
 

【労働者代表委員】

川野委員、柴田委員、中川委員、八野委員、村上委員、弥久末委員、世永委員
 

【使用者代表委員】

秋田委員、齋藤委員、早乙女委員、佐久間委員、杉山委員、松永委員、輪島委員
 

【事務局】

山越労働基準局長、土屋審議官、村山総務課長、藤枝労働条件政策課長、増田監督課長、久知良計画課長、中嶋調査官

○議題

(1)報告事項
(2)「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
(3)その他

○議事

 

 

○荒木分科会長 それでは、ただいまから第143回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員としまして、公益代表の平野光俊委員、両角道代委員、労働者代表の櫻田あすか委員、使用者代表の佐藤晴子委員と承っております。なお、公益代表の川田委員には所用のため途中退席をされる予定です。
本日の議題に入る前に、前回、当分科会を開催して以来、委員に異動がございましたので、定足数とあわせて、事務局より説明をお願いします。
○労働条件政策課調査官 分科会委員の交代につきまして、御報告させていただきます。お手元の参考資料として、労働政策審議会労働条件分科会名簿を配付しております。名簿順に新しく委員に就任された方々につきまして、御紹介させていただきます。
使用者代表の委員が新たに2名就任されました。
全国中小企業団体中央会事務局次長労働政策部長の佐久間一浩委員。
○佐久間委員 佐久間でございます。よろしくお願いします。
○労働条件政策課調査官 株式会社日立製作所人材統括本部人事勤労本部トータルリワード部長の松永恭興委員。
○松永委員 松永です。よろしくお願いします。
○労働条件政策課調査官 次に、定足数について御報告いたします。
労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木分科会長 それでは、カメラ撮りはここまででお願いします。本日の議題に入る前に、山越局長より一言御挨拶を申し上げたいということですので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○局長 それでは、一言御挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律につきましては、おかげさまで6月29日に参議院本会議で可決をいたしまして、先週7月6日に公布されました。本日からこの法律の施行に向けまして、省令や指針について検討を行っていただきたいと思っておりますので、引き続き委員の先生方には御協力をお願い申し上げたいと思います。
この法律の関係でございますけれども、平成25年の労働時間等総合実態調査において裁量労働制に関するデータがございました。このデータにつきまして、国民の皆様に疑念を抱かせることになってしまったことから、裁量労働制につきましては、今回の法案から全面削除をすることとなったわけでございます。
本分科会におきまして、委員の皆様方に長期間にわたる御議論をいただきまして、権利そして法案、要綱を取りまとめていただいたわけでございますけれども、このデータの不適切な取り扱いが原因で法案を修正することとなったわけでございまして、この点について深くおわびを申し上げたいと思います。
具体的な内容でございますけれども、後ほど担当の労働条件政策課長からも御説明をさせていただきますが、実態を反映していないデータを本分科会にもお示しをしていたことにつきまして、重ねておわびを申し上げたいと思います。
裁量労働制の実態につきましては今後、専門家や労使関係者の御意見も伺いながら、改めてしっかりと実態を把握し直した上で、改めて審議会で御議論をいただきたいと考えておりますので、なにとぞよろしくお願いを申し上げます。
○荒木分科会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
本日の1つ目の議題「報告事項」について、事務局より説明をしてもらいます。よろしくお願いします。
○総務課長 総務課長の村山です。資料No.1をお手元に準備していただければと存じます。
毎年6月に夏の概算要求等の検討に先立ちまして、政府の重要な政策方針について、方針決定いたしますが、そうした方針等の中で労働基準行政関係の部分について御紹介する資料です。
骨太の方針、未来投資戦略、規制改革実施計画の順に御説明したいと思います。まず、いわゆる骨太の方針、経済財政運営と改革の基本方針の関係です。2ページは、この関係を調査審議されております経済財政諮問会議の概要についての資料です。
具体の内容は3ページ以降でして、経済財政運営と改革の基本方針2018は「少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現」というサブタイトルになっております。
このうち、第2章で、冒頭、少子高齢化が進む中、持続的な成長経路の実現に向けて潜在成長率を引き上げるため、サプライサイドの改革として、一人一人の人材の質を高める人づくり革命と、成長戦略の核となる生産性革命に最優先で取り組むとともに、働き方改革を推進していくとされております。
働き方改革の推進の関係は頁の右側ですけれども、「3.働き方改革の推進」のところで、冒頭、戦後の労働基準法制定以来、70年ぶりの大改革として、働く人の視点に立って、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための改正であるという趣旨が書かれております。
次に施行期日について、中小企業を初め、企業活動に与える影響に配慮する必要があるため、その施行までの十分な準備期間を確保するという観点から、長時間労働の是正のための規定の施行は、2019年4月1日、中小企業への適用は1年猶予し、2020年4月1日。同一労働同一賃金の実現のための規定の施行は2020年4月1日。中小企業への有期パート関係の適用は2021年4月1日。高度プロフェッショナル制度創設のための規定の施行は2019年4月1日とする等の内容が書かれております。
また、中小企業・小規模事業者の労働法制に対する理解を深める観点から、労働法制の周知徹底に関する記述がなされております。
その柱といたしまして、中小企業・小規模事業者がワンストップで相談できる窓口として全国47都道府県に働き方改革推進支援センターを設置し、よろず相談所等の中小企業支援機関とも連携して対応することや、特別チームを編成して各監督署において中小企業・小規模事業者の相談に丁寧に対応することなどが書かれております。
この労働基準監督署におきます特別チームは4月から労働時間改善指導援助チームとして、署内にコーナーを設ける、そして再任用の職員ですとかベテランの職員、それから民間でのさまざまなノウハウを持った非常勤の職員も含めまして、特別な相談支援班という体制を設けて対応をしているところでございます。また、指導におきましては中小企業・小規模事業者における労働時間の動向、人材確保の状況、取引の実態、その他の事情を踏まえ、まずは自主的な改善を促す等の内容が書かれており、同時に、雇用対策法を改正した労働施策総合推進法に基づき今後策定する基本方針にもこうした考え方を盛り込んでいく旨が書かれております。
4ページです。こうした働き方改革について地域の実情に即した取り組みが重要でございます。従来から労使の御参画を得て進めております地方版政労使会議などを活用して、自治体、労使、その他の関係者間の連携体制をしっかりと整備する旨を書いているところでございます。
先ほど、局長からもございましたように、なお書きでございますが、裁量労働制につきましては現行制度の施行状況を把握した上で、対象業務の範囲や働き方の健康確保措置等について、本審議会で検討を行うとともに、指導を徹底する旨が書かれております。
以下、具体の内容です。(1)が本分科会関係の長時間労働の是正です。初めの「このため」というところで、先ほどの記述を敷衍して、史上初めての労使トップの合意のもと、36協定でも超えてはならない罰則つきの時間外労働の上限規制を設ける旨が書かれており、その具体の内容が書かれております。
また、「他方」というところで、労使が上限値までの協定締結を回避する努力が求められる点で合意したことに鑑み、さらに可能な限り、労働時間の延長を短くするため、指針を定め、労使に対し、必要な助言・指導を行う旨が書かれているところです。
「また」というところで、労働安全衛生法制の関係ですが、事業者に労働時間の状況の的確な把握や長時間労働者に対する医師の面接指導などの措置を行わせることにより、労働者の健康確保を図る旨が書かれております。
その後で、違法な長時間労働に対しては実際に行う監督指導の徹底ということが書かれております。
「あわせて」というところで、法律としては労働時間等設定改善法の改正内容ですが、勤務間インターバル制度の関係が書かれており、具体の政策として好事例の普及や労務管理に係るコンサルティングの実施等による環境整備に努める旨が書かれております。
4ページ右側の「加えて」というところで、時間外労働の上限規制の適用が猶予される業務に関する省庁横断的な環境整備のための対応について書かれております。
具体的には、自動車運送事業及び建設業に関しましては、官邸に設けられております関係省庁と連絡会議の到達点も踏まえまして、それぞれの政府行動計画の着実な実施や、改善基準告示の見直しなど必要な施策の検討、また、建設業におきましては、受発注双方の取り組みによる適正な工期設定の推進等が書かれております。医師に関しましては医療機関に対する勤務環境改善支援策の充実等について書かれております。鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業に関しましては、宿舎の整備等の人材確保策、また、機械設備の投資の支援等に対する省力化に対する支援等が書かれております。
(2)は同一労働同一賃金の実現の関係ですので、割愛させていただきます。
5ページに進んでいただきまして、「(3)高度プロフェッショナル制度の創設」についてです。初めに趣旨書きとして、創造的に付加価値を生み出していく高い交渉力を有する高度専門職に限って、健康を確保しつつ、時間ではなく成果で評価される働き方を選択できるようにするため、こうした制度を創設する旨が書かれており、以下、対象者の要件、労使委員会決議の内容、また、対象となる労働者に対する健康確保措置等が書かれております。
(4)として最低賃金の引き上げ等についての記述です。
これは一昨年、昨年の記述と同様、年率3%を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく旨が書かれており、これにより全国加重平均が1,000円となることを目指すという旨が書かれております。
「また」というところで、一昨年、昨年と25円ずつの引き上げが続いているわけでございますが、こうした中で影響率が大きくなっている生活衛生業など最低賃金の引き上げによる影響が大きい業種に対して、きめ細かい対応を図っていく旨等が書かれております。また、5ページの右側、4番のところで新たな外国人材の受け入れについての記述があり、5の中で労働法令に基づく適正な雇用管理のための相談指導等を行う旨が書かれており、労働基準監督機関としてもこうした決定に即して、しっかりと対応をしてまいりたいと考えているところです。
以上が骨太方針の関係です。
6ページからが未来投資戦略2018の関係です。これは、以前の成長戦略が大ぐくりに再編されて衣替えした政府決定文書です。その推進体制は7ページにございますように、総理をトップとして全閣僚が参画する日本経済再生本部のもとに、未来投資会議が8ページのとおり置かれておりまして、民間企業も含めた議論の積み重ねの上で閣議決定内容についての検討が進められてきたという経緯です。その具体の内容は9ページからで、未来投資戦略2018「『Society 5.0』『データ駆動型社会』への変革」という副題がついているところです。
この中で右側2-2というところで新たに講ずべき具体的施策、労働市場改革関係の具体的施策といたしまして、長時間労働の是正健康確保、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、最低賃金の引き上げ等が書かれております。
10ページですが、5多様で柔軟なワークスタイルの促進といたしまして、職種や地域を限定した多様な正社員についてプロフェッショナル人材の受け皿等としての活用ということが書かれております。
また、テレワークの普及に向けた適正な労働時間管理の促進、副業・兼業の促進に向けたモデル就業規則の周知に努めるとともに、働き方の変化等を踏まえた実効性のある労働時間管理や労災補償のあり方等について、労働者の健康確保や企業の予見可能性にも配慮しつつ、労働政策審議会等において検討を進め、速やかに結論を得る旨等が書かれているところです。
以下、国家公務員の関係、雇用関係によらない働き方の関係、それからフリーランス等に仕事を発注した場合の厚生取引上の課題等が書かれた上で、最後のポツのところで、高度プロフェッショナル制度の創設に言及されているところでございます。
続いて6治療と仕事の両立支援です。病気の治療と仕事の両立に向けて主治医と企業の連携の中核となり、患者に寄り添い支援する両立支援コーディネーター等の人材の養成ですとか、あるいはこの数年間1億総活躍の文脈で進めてきたがん、脳血管疾患、肝疾患等さまざまな疾病別の企業、医療機関に向けたマニュアルの作成等を進めるとともに、医療分野との連携、地域社会との連携は大変重要ですので、地域両立支援推進チームを各都道府県に設けて、地域における相談支援体制の構築を進める旨が書かれております。
10ページの右側で「ⅲ)主体的なキャリア形成を支える労働市場のインフラ整備」の一つの項目として、解雇無効時の金銭救済制度の検討が書かれているところでございます。これは前回の本分科会における議論の経過も踏まえた記述になっているかと存じます。
具体的には解雇無効時の金銭救済制度について可能な限り速やかに法技術的な論点、要件ですとか金銭の性質ですとか他の訴訟との関係でさまざまな法技術的な論点があろうかと思いますが、そうしたものについての専門的な検討を行い、その結果も踏まえて労働政策審議会の最終的な結論を得て所要の制度的措置を講ずる旨が書かれております。次の新たな外国人材の受け入れは先ほどの骨太方針と同様の内容が書かれております。
10ページの右下ですが、ここの部分は国家戦略特区諮問会議におけます議論の成果を未来投資戦略の中にはめ込んでいる部分です。その中で新たに講ずべき具体的施策といたしまして、地域における規制改革がございます。
その中で、銀行口座の開設が難しい外国人労働者への賃金支払いを円滑化する観点から、賃金の確実な支払いなどの労働者保護に十分留意しつつ、現行認められている銀行口座及び証券総合口座以外の口座への賃金支払い、具体的には資金移動業者が開設する口座への送金の導入可能性について検討を行うという旨が書かれているところでございます。
なお、一言付言いたしますと、この関係につきましては6月14日の国家戦略特区諮問会議において提起がございまして、厚生労働副大臣から賃金の確実な支払いなどの労働者保護に十分留意しつつ検討してまいりたい旨を申し上げており、その旨、議事録等も公表されているという経過になっていることは付言させていただきたいと思います。
続きまして11ページからが、規制改革実施計画の関係でございます。
12ページがこの関係の推進体制で、民間議員の方々からなる規制改革推進課意義が内閣府本部組織令に基づいて設けられており、ここで答申がなされ、それを踏まえて政府として実施計画を閣議決定する流れになっているところでございます。
労働基準行政の関係の抜粋が13ページからでございまして、まず、規制改革推進に関する第3次答申の中で、行政手続コストの削減関係の内容です。これは、労働基準行政だけではなくて、政府全体のさまざまな行政に関する手続コストの削減の中で我々もかかわっているという文脈で掲げているものでございますが、昨年の本分科会でも御答申いただきましたように、社労士による電子申請の際の電子署名の省略などの法令上の対応も含めまして、行政手続の電子化の決定、デジタルファーストに向けて政府を挙げて取り組んでおり、その中で右側の表にございますように、労務管理といった分野が一つの重点分野になっている訳でございます。
こうしたこれまでの取り組みを引き続き進めていく観点から、14ページでございますが、閣議決定されました規制改革実施計画におきまして、引き続き2020年までに事業者の行政手続コストを20%以上削減するということを目指して、積極的に取り組んでいくという内容が決定されているということでございます。
こうした文脈のもとで、以前にも御紹介いたしましたが、国の行政機関が行っている申請とか届出の手続の中でも、オンライン化がとりわけこの労働基準監督行政の分野では遅れている実態がございますので、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
15ページです。これはフォローアップ事項に関する答申の関係でして、一つが先ほどもございましたが、ジョブ型正社員の雇用ルールの関係について引き続きフォローアップを行っていくということです。
それから、3ですが、労使双方が納得する雇用終了のあり方のうち、表の中でいうと4のcのところですけれども、労働紛争解決システムのあり方についての検討を引き続き進めていくことで、この関係が、先ほどの未来投資戦略の閣議決定とも整合的な形でこちらにも言及されているところでございます。
続きまして16ページです。個別の分野でございますが、投資等の分野の中で放送をめぐる規制改革として、視点としては制作現場が最大限力を発揮できる環境整備という観点から、優越的地位の濫用等の公正取引上の課題についての論点の後に、16ページ左下のまた書きのところですが、取引の発注・受注問わず、制作現場における過剰な労働環境の問題も指摘されるとして、月末1週間の労働時間が長時間の方の比率というのが、放送業ですとかコンテンツの産業では多いということの客観的なデータが示され、また、雇用形態以外のフリーランスの方々が混在して働く実態も問題を複雑化している旨の指摘がなされております。
そうした中で、対応策が右側のa~gですが、この中でbのところで、制作現場での働き方について「実態調査(メディア業界へのアンケート調査による実態調査)」を行うとされているところです。
これを受けての閣議決定が次の17ページでして、先ほどのa~gがそのまま閣議決定される形になっております。bの部分ですが、制作現場での働き方についての実態調査を行うとされており、30年度中に実施時期としては実施するとされており、所管府省は厚生労働省とされております。これは、別途、過労死等防止対策推進法に基づく重点分野、過労死等が多いといわれており、調査研究を重点的に進める分野の一つといたしまして、こうしたメディアの分野を加えて、その実態を調査していくという流れと整合的に閣議決定されている内容と理解をしているところでございます。
最後にフォローアップ事項として、18ページでございます。昨年の本分科会に御報告し、さまざまな御意見を頂戴いたしました労働基準監督業務の民間活用等の関係です。以前の閣議決定がそこに引用されているとおり、労働基準監督業務のうち、権限行使の部分は当然労働基準監督官が直接行うしかないという考え方は私どもも堅持しているわけでございますが、一方で、自主点検を行わせた上での相談指導といったような業務に関しましては、民間のノウハウやネットワークを活用していただいて、その中で課題があるところについて労働基準監督官のほうにつないでいただくというような枠組みの実施に入っているところです。この関係について引き続きフォローアップする旨の規制改革推進会議の答申がなされているということでございます。
以上、雑駁でございますが、資料1の説明でございます。よろしくお願い申し上げます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料No.1について御意見、御質問等あればお願いいたします。
八野委員。
○八野委員 ありがとうございます。
今の資料1についてですが、まず、骨太の方針に書かれている働き方改革関連法案に関する事項については、資料5のところで後ほど労働側から発言をさせていただきたいと思っております。
私のほうからは、未来投資戦略の10ページになります。まず、「5多様で柔軟なワークスタイルの促進」というところですが、「副業・兼業の促進に向けて」という記載がございます。私たち労働側としては、副業、兼業は政府が促進するものではないと考えておりますが、現実の問題として副業・兼業の場合は、まず、長時間労働にならないようにしていく、2番目として使用者による労働時間、健康管理が必要不可欠となる。それに加えて、複数就業時における社会・労働保険の適用や給付などの課題もあると思います。これらの問題・課題についてどこで検討され、いつまでに結論を出すことになるのかということを伺いたいと思います。
もう一点は、同じく10ページの「主体的なキャリア形成を支える労働市場のインフラ整備」というところの「4解雇無効時の金銭救済制度の検討」というところでございます。
これは規制改革実施計画にも記載されているところでございますが、「可能な限り速やかに、法技術的な論点について専門的な検討を行う」と記載されております。検討会で議論が進められているという現状もあると認識をしていますが、労働側としてはこれまで一貫して解雇無効時の金銭解決制度の創設は求めていないということを繰り返し申し上げてきております。法技術的な論点だけではなく、政策的にも課題が山積みされているという認識を持っております。制度導入ありきという検討を行うべきでないという労働側の意見を改めてここで申し上げておきたいと思います。
質問と意見ということでございます。以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、質問について事務局からお願いします。
○総務課長 ありがとうございました。
質問は、副業・兼業の関係について頂戴しました。八野委員から大所高所からの御意見いただく中で、副業・兼業自体政府が推進するものではないという御指摘も頂戴いたしました。
これまでの経緯としては、政労使合意をもとにした働き方改革実行計画の中でこうした内容も明記されている流れはあるのだろうと思いますが、その上で、今後の進め方についてはもとより労使の皆様方とよく意見交換をしながら対応していくことは重要であるというふうに私どもも考えているところでございます。
その上で、2つの課題がここで書かれており、八野委員からも重要な視点の御提示がございましたけれども、まず、1つが労働時間管理のあり方の問題、もう一つが労災補償のあり方についてということかと思います。それぞれ相関連はいたしますけれども、それぞれの専門的な観点からも議論も必要な難しい課題だということもございますので、既に各側の皆様とも御相談しながら、労働時間管理の関係に関しましては来週から、有識者の方々に御参集をいただいた専門的な検討の場を設けてまさにここにあるような、あるいは八野委員からも御指摘のあったような点も含めて、検討に着手するということでございます。
また、労災補償のあり方は八野委員の御指摘の中で具体的には給付基礎日額の合算等を念頭に置かれての御発言もあったかと思いますけれども、そうした論点も含めまして、当分科会のもとに置かれております労災保険部会で既に議論に入っておりまして、いずれにいたしましても、今後とも公労使各側の皆様方の御意見をよく承りながら検討してまいりたい。その中でスケジュール感に関しましては、出口スケジュール、いつまでに結果を出すとか、いつまでにこれを措置するという形ではなく、この内容を閣議決定しております。最初に申しましたが、よく政府も含め公労使で議論を積み重ねていくことが重要であるという認識のもとで特に出口のスケジュール感についてここであえて決めてはいないということもあわせて御理解いただければと思っております。
その他金銭救済制度の検討を含めてさまざまな御意見をいただいている点については、事務局としてもしっかり受けとめて今後対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○八野委員 はい。
○荒木分科会長 それではほかに御質問、御意見等ありますか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
14ページですが、行政手続の簡素化、事業主の行政手続コストで、真ん中の規制改革の内容のところですけれども、年間約3億3,000万時間、約8,000億円に換算をして、それを20%以上ということでして、これは国全体でこのような試算があって、それで20%だということなのでしょうかという質問と、私どもとしては労働条件分科会でございますので、今後、改正法が施行される、現状でも36協定や就業規則等の電子申請ということをもっと普及していきたいということで、各企業での働き方改革というかコスト削減をしていきたいというふうに考えているところでございます。その点前回の分科会でも御要請をしておりますけれども、ぜひ電子申請の普及について特に36協定や就業規則の電子申請について企業が取り組みやすい環境をつくっていただきたいというお願いでございました。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それではほかに御意見等ございますか。
中川委員。
○中川委員 ありがとうございます。御説明いただいた資料10ページの右下の部分になります。国家戦略特区を利用して、銀行口座及び証券口座以外の口座への賃金の支払いの検討との記載がございます。そもそも国家戦略特区を利用する検討する理由は何なのかということ、東京都から出された資料だとは思うのですけれども、具体的にどういった外国人労働者の不便が発生しているのかということ、銀行口座を開設できない外国人労働者というのはどのような労働者を想定しているのかというところの3点を質問したいと思います。
あと、1点は賃金の支払いについては労基法24条で、通貨で直接払うことが原則、例外として銀行等の預貯金口座に振込みにという話がありますので、そういった意味では、銀行口座を開設できないのでというケースが仮にあるとするならば、通貨払いをすれば足りるのではないかと考えておりますのでよろしくお願いします。
以上です。
○荒木分科会長 御質問ですけれども、事務局から答えていただけますか。
○総務課長 お答え申し上げます。先ほども申しましたように、この関係に関しましては6月14日の国家戦略特区諮問会議におきまして、実際に中川委員からも個別の自治体のお名前も上がりましたが、事業者も含めてのプレゼンテーションが行われ、そして要請検討がなされる中で、副大臣のほうから先ほど申し上げたとおり回答するというやりとりがあり、それが出発点になっての閣議決定である。そして、中川委員ご指摘以外の特区区域からも要望が上がってきている経緯がございます。
その上で、議事録によれば、先方の要望としては、中川委員御質問のどういう方を念頭においてということに関しましては、銀行口座を持っていらっしゃらない外国出身の方もいらっしゃる。そういう方にとっての利便性ということを考えての提案であるという説明がなされ、議事録にも残っているということでございます。
具体的にどのような方法を念頭に置いているのか等はこれからの検討の中でよく我々としても御説明を承り、考えていきたいと思いますが、例えば携帯電話に組み込まれた「電子財布」に電子マネーの振り込みをしていくというような形態などが考えられているということが、その場でのプレゼンテーションでは説明されているということでございます。
それに対する私どもの答えは、先ほどの繰り返しになりますが、外国人労働者への賃金支払いを円滑化する新たな賃金支払い方法の導入可能性につきましても、賃金の確実な支払い等の労働者保護に留意しながら検討してまいりたいと考えておりますと、副大臣からお答えを申し上げているところでございますので、我々としてもそうした副大臣からお答えを申し上げた内容を踏まえつつ、また、本日いただきました御指摘も念頭に対応してまいりたいと思います。
なお、御質問としては最初のところであったところかと思いますが、国家戦略特区でやる話ではないだろうというお話がありました。特区の要望にはさまざまなものが出てまいります。その中には、特区で一部の企業とか労働者の方にやることがなじまないような話であれば、全国措置してどのように対応できるのか等の検討のやり方もあり得る訳であって、特区の要望で上がってきたから必ずその1地域に限って対応するものでもないということなのだろうと理解はしているところでございます。
以上でございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○中川委員 はい。
○荒木分科会長 それでは、ほかに御意見等ありますか。
村上委員。
○村上委員 今、お答えいただいた部分に追加してなのですけれども、特区で行うものではなく、いろいろな検討をされていくと副大臣が答弁されたということではありますが、そもそも労基法24条はなぜあるのかということは重要であると思っております。通貨払いや全額払いというのは大変重要な規律であると考えておりまして、確実に労働者は報酬を受領できるのか、あるいは価値が変動することはないのか、あるいは簡単に通貨に換金できて誰に対しても使えるのかということが保証されないと、労働者保護に欠けるということがございますので、くれぐれも慎重に検討をいただきたいと考えております。
以上です。
○荒木分科会長 では事務局から。
○総務課長 繰り返しで恐縮でございますが、副大臣からお答えしていますように、賃金の確実な支払い等の労働者保護に留意しながら検討してまいりたいと、私どもとしては考えているところでございます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、特段ほかになければ次の議題に移りたいと思います。
次は資料No.2についてということになります。これも事務局からお願いします。
○監督課長 それでは、報告事項の2番目でございます。資料No.2-1をごらんください。成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度の見直しについてということでございます。こちらにつきましては、平成28年に成年後見制度の利用の促進に関する法律が成立いたしまして、この第11条におきまして、基本方針といたしまして成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、必要な見直しを行うことが法律上、明記をされているところでございます。
この法律を踏まえまして定められました成年後見制度利用促進基本計画、29年の3月に閣議決定されているところでございますけれども、こちらの中で現在成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度、いわゆる欠格条項と言われているものでございますけれども、こちらが数多く存在していることが成年後見制度の利用をちゅうちょさせる要員の一つになっているという指摘を踏まえて、これらの見直しを速やかに進めるということが定められているところでございます。
今回、これらを踏まえまして政府といたしまして、成年被後見人等を資格・職種・業務等から一律に排除する規程等、欠格条項を設けている各制度について、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、制度ごとに必要な能力の有無を判断する規定、個別審査規定へと適正化するとともに、所要の手続規定を整備する方針を固めまして、これに関する法律が180程度ございますけれども、そういうものを政府全体といたしまして、成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案としてまとめまして、3月13日に閣議決定し、現在の通常国会に提出をしているところでございます。
次のページをおめくりいただきたいと思います。
180の法律がございますけれども、労働関係の法律につきましては、それぞれ法律ごとにそれぞれの分科会において報告されていると承知をしております。こちらで報告をさせていただきますのは、社会保険労務士法でございます。社会保険労務士の資格といたしまして、現在、欠格事由が定められておりますが、こちらの第5条の第2号に成年被後見人または被保佐人ということが定められていることでございますけれども、こちらについて先ほどの方針に基づきまして、一律に削除するというものでございます。
次のページに参考条文がございますけれども、資格を有する者が社会保険労務士になるに当たって、登録制度というのが14条の2ということで設けられているところでございます。この14条の2の登録に当たって心身の故障により、社会保険労務士の業務を行うことができない者については登録を受けることができないとされておりますので、先ほどの方針どおりこちらのほうについて個別に審査を行い、判断をするということでございますので、その中で社会保険労務士法については、このように規定をさせていただいた法律案を提出させていただいているということで御報告を申し上げます。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それではただいまの説明につきまして、御質問、御意見等あれば承りたいと思います。特段ございませんか。よろしゅうございますか。
それでは、これは報告事項ということですので、次の議題(2)「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」に移ることといたします。これについても事務局より資料の説明をお願いいたします。
○労働条件政策課長 労働条件政策課長でございます。法律の内容に入ります前に冒頭、山越局長から申し上げましたように、今般、平成25年度労働時間等総合実態調査結果の取り扱いにつきまして、私ども、不適切な取り扱いをし、結果としてさまざまな問題を生じ、皆様方に御迷惑をおかけしました。この間の経緯について私から御説明させていただきます。
今回、結果として法案の中から裁量労働制の部分を全面削除ということになりました。審議会の委員の皆様には大変御迷惑をおかけしました。改めて担当課長としておわびを申し上げます。申しわけございませんでした。
それでは、簡単な資料で大変恐縮でございますけれども、3-1をごらんいただければと思います。めくっていただきまして、平成25年度労働時間等総合実態調査に係ります経緯についてまとめてございます。
まず、事の発端でございますけれども、平成30年の1月に予算委員会だったと思いますけれども、国会におきまして、総理から厚生労働省の調査によれば裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもあるという御答弁をいただきました。この答弁に添付した事務方の資料は我々がつくったものでございまして、そこに不適切な取り扱いがございました。
この答弁の後、野党の先生方などからデータの根拠などの開示を求められ、私どもも改めて当時の資料等に当たったところ、次のようなことが判明いたしました。2月19日の日付が書いてございますけれども、この平成25年度労働時間等総合実態調査は労働基準監督官が約1万を超える事業場を一つ一つ訪問して、いわゆる監督指導の一環としてこの調査もあわせて実施するという、我々は調査的監督と称しておりますけれども、そういった手法で行ってございます。当時平成25年の4月を調査月といたしまして、原則4月の実績を調べております。
調査の方法として4月について、監督官が入った一つ一つの事業場について4月の1カ月間で一番時間外労働が長い方と平均的と思われる方の2名についてそれぞれさらに調べていくという手法でございました。
一番長い方と平均的な方といらっしゃって、まず、平均的な方についてのデータが今回、問題になったわけでございますが、平均的な者につきまして、注書きで細かく書かせていただいておりますけれども、調査の手法を改めて確認したところ一般労働者につきましては、月で見ると平均的な方なのですけれども、その方の1日と1週については最長の時間を記入するとなっておりました。
それに対しまして、裁量労働制につきましては、具体の定義は注書きにございますが、一言で言うと平均的な方の平均的な時間を記入するような形になっておりまして、少なくとも最長時間ではない。そこでそもそも比較対照として相応しくなかったということが明らかになり、その旨を国会に報告したところでございます。その後、さまざまな国会での議論を踏まえまして総理の判断として2月28日でございますけれども、法案から裁量労働制の改正につきましては全面削除するということになりました。
その後、裁量労働制に関するデータ、裁量労働制に係る部分を含む事業場のデータ全てを撤回するということにいたしまして、それ以外の残りの部分につきましてもさまざまな異常値が散見されるという事態に陥り、これを改めて、統計部門にも協力を依頼しまして、データクリーニングを行った上で、再集計するということをいたしました。それが5月15日のところでございます。
裁量労働制以外のデータにつきまして異常値である蓋然性が高いものを無効回答といたしまして、裁量労働制に関する部分を削除して再集計を行いました。
当初、1万1,575事業場のデータがございましたけれども、そのうち裁量労働制に関するものが1,526事業場のデータ、異常値等が見受けられたものが966事業場のデータ、これらを除いた9,083事業場について再集計をして、改めて国会に報告をしたところでございます。
ただ、大変恐縮なのですけれども、さらにミスが判明いたしまして、9,083事業場のデータの中にいわゆるダブルカウントと申しますか、コピーが紛れ込んでいたということもございまして、それも除いた9,077事業場について再集計をいたしまして、5月25日に報告をしたところでございます。
冒頭、申し上げましたように裁量労働制の調査につきましては、改めて調査し直すということを総理から指示をされておりますので、今後、調査の方法それから調査内容を含めまして、新たに統計の専門家の方とか労使の関係者にも入っていただいた検討の場を設けて、調査の内容を詰めた上で、再度調査をし直し、その後改めて当分科会等で議論いただくということを考えてございます。大変申しわけございませんでした。
なお、資料の3-2としまして、再集計の結果を全て御提示させていただきました。上の段が再集計後の新しい訂正したものでございます。下の段が平成25年度当時の調査結果でございます。
詳しくはまたごらんいただければと思いますけれども、例えばで申し上げますと、24ページを開いていただきますと、表25でございます。1カ月の法定時間外労働の実績一般労働者で最長の方の結果でございます。右上が平均の合計でございますけれども、精査前の下の段で見ますと平均は18時間3分でございましたが、再集計の結果は15時間40分と、極端に長い時間だとか異常値をはねた結果として、全体としては時間数としては短くなってございます。ただ、分布などの傾向は余り変わりませんで、例えば下の段で80時間超え100時間以下の事業場の割合は1.3%で100時間超えが0.9%となってございますが、精査後の上の段で見ますと、80時間超え100時間以下が1.2%、100時間超えは0.6%という結果になってございます。
続きまして、26ページでございますが、1年間の時間外労働の実績、一般労働者で最長の者につきまして見ますと、下の段の当初の結果で見ますと、平均は157時間37分でございますが、精査後は135時間15分となってございます。ただ、こちらも分布として傾向は余り変わらず、例えば800時間超えのところを見ますと、下の段でいくと800時間超えから1,000時間以下は0.8%、1,000時間超えは0.7%。上の段でいきますと800時間超えが0.6%、1,000時間超えが0.5%というような結果になってございます。
また、ちょっと飛びますけれども、40ページの表40ですが、割増賃金率の実態を調べたものでございますけれども、月の法定時間外労働時間が45時間超え60時間以内の場合の割増賃金率を何%で定めているかという実態でございますが、下の段で平均の割増賃金率が26.1%でございますが、精査後では25.9%となっております。また、41ページは60時間超えの場合でございますけれども、60時間超えにつきましても、精査前は35.1%、精査後は33.9%という結果になってございます。大きく傾向は変わっていないと私どもは認識したところでございます。
さらに、資料No.3-3でございますけれども、こちらはこれまで当分科会におきまして今の25年度調査をもとにしまして、さまざまな資料を提出させていただいております。一番最初は第104回の平成25年度10月30日からでございますけれども、これまでお出しした資料につきましても、全て再集計の結果を反映させるということで訂正をさせていただいてお示しをさせていただいております。上の段が精査後のもの、下の段が当初のものということで、こちらも国会にも報告をさせていただいたところでございます。
以上のような状況でございまして、改めましてこのような結果を招いて大変申しわけなく思っております。おわびをいたします。とりあえずここで一回御説明を切らせていただきます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料3関係の説明につきまして御質問、御意見等あれば承ります。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
冒頭、労働基準局長から、また今、担当課長から御説明がありましたけれども、働き方改革関連法に関して今回の調査データのミスということで企画業務型裁量労働制の対象の拡大が削除されたということでございますけれども、柔軟な働き方の選択肢を広げるという改正ということで、私どもとしては大変期待をしていたということでございまして、大変残念に受けとめているということでございます。誠に遺憾と考えているところでございまして、厚生労働省におきましては、深く反省をしていただきまして、二度とこのようなことがないように御対応いただきたいと思っているところでございます。
今後でございますけれども、厚生労働省が新たな調査を実施して、実態を把握した上で、労働政策審議会で法律改正について検討を再度行うというふうにされていると。これは、資料1で先ほど御説明があったとおりでございまして、裁量労働制自体については柔軟で多様な働き方の選択肢を広げるというものでありまして、生産性の向上に寄与するということを期待しているということでございます。
私どもとしましては対象業務の拡大について法案の早期再提出の環境が整うように改めてお願いをしておきたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見御質問ございますか。
村上委員。
○村上委員 今、使側委員からは裁量労働制の対象業務拡大がなくなったことが残念だというお話がありましたけれども、私どもとしてはまず、データがどうであろうと企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大については、必要がないという考えを持っているということを冒頭申し上げておきたいと思います。
その上で、今、御説明いただいた資料3などについてですが、今回データの活用であるとかデータの取り扱いやデータのとり方について課題があったということだと思います。今後に向けての意見と御専門の黒田先生に1点御質問ないし御見解をお聞かせいただければと思っております。
裁量労働制に限らず、公的なデータというものは大変重要なものだと思っておりまして、調査を行う際にも調査結果を集約する際にも慎重さというものが求められるのであろうと思います。今後、さまざまな施策を検討するに当たりましては、調査結果や統計資料などデータが用いられることになっていくかと思います。時間であるとか人員などの制約がある中で調査を行うこともあるかと思いますけれども、調査目的を明らかにした上で、調査手法を構築し、調査実施後の内容の精査も確実に行っていただきたいという要望でございます。
それから、平成25年度労働時間等総合実態調査は、調査的監督という手法で労働基準監督官が実態調査と労基署の臨検監督を同時に実施するという御説明でありました。
こういったことを行う中で、やや危惧するのは労働基準監督官の業務は多岐にわたっておりますし、これから働き方改革を施行していくに当たって、やっていただく役割というものが大変増えていくというように認識しております。その中での調査ということで、調査手法の設計に当たっては、こうした人員的な問題なども踏まえてぜひ御検討いただきたいと思っております。
さらに今後、制度見直しの議論のためにいろいろな基礎的な調査を行っていくこともあるかと思いますが、その場合においては、やはり審議会の場で一度議論させていただくほうが確実かと思いますので、その点も要望として申し上げたいと思います。
黒田先生に御見解がもしあれば教えていただきたいのですが、労働時間の問題を検討する上でどのようなデータを用いることが適切なのかということです。事業所での把握した数値ということで、ともすれば労働時間というと働く時間だけを捉えた調査になるわけですけれども、一方でなぜ労働時間規制があるのかと言えば、やはり健康に働き続けられるようにするために一定程度、法律で労働時間を規制しているということがあるわけで、そういったところからすると例えば生活時間に関する調査であるとか、睡眠時間などといったものもデータとして活用することも考えられるのではないかと思っております。黒田先生は労働時間などを御専門に労働経済学で研究されておりますので、こうした点でもし御知見があれば教えていただければと思います。
以上です。
○荒木分科会長 御指名がございましたが、黒田委員いかがでしょうか。
○黒田委員 御指名がございましたので、私のわかる範囲でお答えさせていただきたいと思います。
労働時間の実態を把握する上でどのようなデータを持ち得るのが適切なのかということですけれども、いろいろな切り口があるかと思いますが、特に柔軟な働き方をされている労働者に関しては、事業所が実労働時間を完全には把握できないという問題があろうかと思います。そういう意味では、事業所に問うアンケートも重要だと思いますけれども、労働者の実態を把握するために労働者に問うというデータも必要になってくるかと思います。その際に働いた時間を聞くだけで十分なのかどうかということですけれども、おっしゃるとおり生活時間ももちろん把握すればそれに越したことはないのだろうと思います。ただ、一日は24時間ですから、睡眠時間は働く時間以外にも、家事労働時間とか通勤時間などにも制約を受けて少なくなってしまうという問題もあります。したがいまして、生活時間を把握すればなおのこといいわけですけれども、まずは労働時間を把握するということがよろしいかと思います。
さらに、時間管理が緩やかな制度に移行した場合に、労働者の労働時間がどうなるかという今般の一連の議論ですけれども、経済学の観点から申し上げますと、ある制度で働いている人とその制度で働いていない人同士を比較しても余り意味がないだろうと思っております。特に現在、裁量労働制で認められている職種は、比較的長時間労働になりがちな職種が多いのではないかと考えられます。もともと、長時間労働になりがちな職種の方と、それ以外の職種の方を比較しても制度変更に伴う影響を把握することは難しいと思います。問題は制度を適用拡大したときに、新たにその対象となった労働者が、制度変更に伴って労働時間がどう変化するかであり、それを把握することが重要になってくるかと思います。
そういう意味では、クロス・セクション・データという一時点でのデータで分析・比較するのは、経済学的には余り得策ではないと考えられていまして、同一個人を経年的に追跡調査したデータで検証することが重要です。経済学ではパネル・データというのですけれども、別の分野ではコーホート・データといわれているものかもしれません。こうした追跡調査のデータを利用して、制度を変更した前後で同一個人の労働時間がどう変わっているかということを把握しない限りは、なかなかこの制度を適用したときにどの程度労働者に影響があるかということを把握することは難しいのではないかと考えられています。
以上です。
○荒木分科会長 よろしゅうございますか。
○村上委員 はい。
○荒木分科会長 それでは、ほかに御意見、御質問等はございましょうか。よろしいですか。
それでは、冒頭、事務局からも説明があり、また、労使委員からも御意見がありましたデータ問題について、私からも一言申し上げたいと思います。今回の働き方改革法案の審議過程では、裁量労働制に関する調査データの不備が問題となりました。労働政策の重要事項を公労使の専門の委員が専門的知見を踏まえて調査審議するという本分科会の重要な役割に鑑みますと、議論の前提となるデータあるいは情報の正確性が担保されているべきことは言うまでもないことであります。事務局には今後、この点につき遺漏がないよう十分に留意いただきたいと考えております。
それでは、資料No.3については以上ということにいたしまして、次の議題に移ることといたします。次は資料No.4と5についてですけれども、これについても事務局より説明をお願いします。
○労働条件政策課長 それでは、資料No.4から御説明をさせていただきます。
冒頭に申し上げましたように、7月6日に働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が公布されたところでございます。後ほど、今後の省令、指針等について御議論いただきたい事項についても御説明いたしますけれども、まず、簡単にこれまでの経緯、審議経過等について御報告をさせていただきます。
1ページにこれまでの衆議院・参議院での審議日程を簡単にまとめてございます。4月27日に衆議院の本会議で審議を開始いたしまして、衆議院の厚生労働委員会で7回の質疑を経まして、5月31日に一部修正の上、可決をして参議院に送られたところでございます。修正点については、後ほど御説明をいたします。
参議院におきましては、6月4日に本会議で審議をいたしまして、こちらも厚生労働委員会で7回の審議を経て、6月29日に可決成立をして、7月6日に公布ということでございます。
2ページ以下、これまでも使わせていただいた法案の概要資料につきまして、修正点等を赤字で記入したものを御用意しております。詳細は省略させていただきますけれども、後ほど省令指針事項も御説明いたしますので、おさらい的に労働基準法の主な改正部分について簡単に御説明させていただきます。
4ページでございますけれども、労働時間に関する制度の見直しということで、(1)として長時間労働の是正でございます。時間外労働の上限規制の導入ということで当然法定労働時間は1日8時間1週40時間が原則でございますけれども、現在36協定の締結届出によってこの法定労働時間を超えていわゆる時間外労働、残業をすることができるという規定になっています。
この時間外労働につきましては、現在大臣告示、限度基準告示と呼んでおりますけれども、これにおきまして限度時間は1カ月45時間、年360時間と定め、労働基準監督署において指導をしているところでございます。また、告示の中でも特別条項を結んだ場合については年6カ月を限度としますけれども、この限度時間を超えて時間外労働をさらに延長できるということを定めているところでございます。御案内のように限度基準告示、労働基準監督署で指導はしておりますけれども、法律上の罰則等はない、指導のための告示だということでございます。
今回の改正におきましては、この時間外労働の限度時間につきまして、法律上位置づけて罰則を持って規制するものでございます。時間外労働の限度は限度基準告示を踏襲して1カ月45時間、年360時間を限度とすることを原則とします。
その上で、特別条項いわゆる特例の場合について年6カ月限りとしますけれども、これを超えることができる。ただし、特例においても上限はつけるということでございまして、年間トータルで720時間、複数月平均で80時間、これは休日労働を含む数字でございます。それから、月単位で100時間未満、これも休日労働を含むということで、特例を使う場合であっても超えられない上限を今回罰則つきで定めるという内容になったわけでございます。
なお、適用猶予・適用除外については下に掲げてございますように、自動車運転については5年後に年960時間、ただしその後一般則の適用を目指していくということ。
建設事業についても5年後に適用、ただし、災害時の復旧・復興については月単位・複数月の規制は対象にしないというもの。
それから、医師については、これも5年後に適用でございますけれども、上限のあり方については別途医療界の参画を得て検討を行うということ。
それから、鹿児島県、沖縄県における砂糖製造業につきましては、後ほど御説明しますが、これも5年の猶予期間を設けるということにしております。
現在の限度基準告示でも適用除外になっております新技術・新商品等の研究開発業務につきましては、引き続き上限規制の適用にはしませんけれども、医師の面接指導等強力な健康確保措置をかけるということにしております。また、上限規制は適用しないということでございますけれども、当然割増賃金の支払いは従前どおり必要だというものでございます。
2のところでございますけれども、中小企業における月60時間超えの時間外労働に対する割増賃金の見直しでございます。これは既に大企業については適用されておりますけれども、月60時間を超える場合については、割増賃金率50%以上の支払いが必要でございます。現在、中小企業についてはこれが適用猶予されておりますので、その猶予を廃止して中小企業についても規定を適用するということでございます。
3 年次有給休暇の確実な取得でございます。
年次有給休暇の取得促進はなかなか取得率が低い状況が続いている中で、今般改正によってこれを少しでも進めようというものでございまして、10日以上の年休が付与されている労働者につきましては、その5日分については使用者側に時季を指定して与えていただくということを義務づけるというものでございます。
当然労働者の意向は十分尊重した上ででございますけれども、これまでのように労働者が申請したら付与するというものではなくて、使用者側に5日必ず与えてくださいという義務を新たに課すものでございます。
次のページでございますけれども、4は後ほど御説明しますが、労働安全衛生法に労働時間の状況の把握についての義務規定を設けることといたしました。これは与党審査の過程で追加されたものでございます。
(2)多様で柔軟な働き方の実現でございまして、1フレックスタイム制の見直しでございます。今、フレックスタイム制、始業終業時間について労働者本人が決められるという制度でございますけれども、清算期間1カ月間で割増賃金等の清算をすることになっております。これを3カ月間に延長してより長い期間で清算できるようにするという形になるものでございます。
2いわゆる高度プロフェッショナル制度の創設でございます。特定の専門職、高度な専門知識を有する方について一定の年収要件、新たな健康確保措置を講じること等を義務づけた上で、労働時間規制の規定は適用除外にするというものでございます。
労働基準法の関係は以上でございまして、大きな2、勤務間インターバル制度の普及でございまして、労働時間等設定改善法のほうに努力義務規定を置くことにしたものでございます。勤務間インターバルの普及促進ということで事業主は前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保、インターバルを確保することに努めなければならないと規定しております。
3は産業医・産業保健機能の強化でございまして、労働安全衛生分科会のほうで御議論いただくことにしてございます。
労働基準法の関係をかいつまんで御説明すると以上でございます。
続きまして8ページ、オレンジの表題のところを見ていただければと思います。
当分科会におきましては昨年の9月に法案要綱を答申いただいております。当初臨時国会での提出もにらんだ内容で我々諮問し、答申をいただいたわけでございますけれども、臨時国会が短かったこともあり、提出時期が次の通常国会に延びたということがございます。そういった中で与党審査、自民党、公明党に法案を提出する前に御意見をいただく機会があるのですけれども、その中で施行について特に中小企業については十分な準備期間を確保するべきではないかという御意見もございましたので、そういったことも踏まえまして、施行期日について法案提出前に修正を行ったところでございます。
8ページにございますように、時間外労働の上限規制につきましては当初平成31年4月からの予定でございましたけれども、中小企業につきましては1年延期しまして、平成32年4月からとするということ。割増賃金の猶予の廃止につきましても、当初平成34年を予定しておりましたが、1年延期して平成35年4月からとしております。その他、年休や高度プロフェッショナル制度については平成31年4月から予定どおりということにしております。
なお、同一労働同一賃金の関係につきましても、1年施行期日を延期しているところでございます。
次のページをごらんください。施行期日のほかに与党内での御議論を踏まえて修正をした点が3点ございます。まず、修正の2でございますけれども、適用猶予の関係でございます。自動車運転や建設と並んで、鹿児島県、沖縄県の砂糖製造業が非常に季節的業務でございまして、繁閑が激しいということがある。それから、離島地域で行われているということもありまして、人材の確保がすぐには難しいといったこともありまして、適用の猶予期間を設けることにしております。
当初、法案要綱を諮問させていただいたときには、3年間の猶予としておりましたけれども、やはり人手不足の状況とか離島地域の設備の状況等を考えると3年では厳しいのではないかという御意見がございまして、これを5年間、つまり自動車とか建設とあわせた形にしたところでございます。
修正3で労働基準監督署の監督指導についてということで、与党内で御議論をいただいた中で、今回の時間外労働の上限規制あるいは年休の付与といった義務規定が強化されるわけでございますけれども、それにつきまして、特に中小企業・小規模事業者においては、残念ながら36協定さえ結んでいないようなところも見られるあるいは労務管理体制が脆弱である、そして未曽有の人手不足の中で時間外労働を抑制しようとしてもすぐに代替要員が見つからないといったこともあるという懸念が示されました。やはり中小企業に対しては十分働き方改革に取り組めるような丁寧な周知、説明と、同時に省力化投資でありますとか、時間短縮に対する支援、さまざまな助成措置も含めて、予算措置も含めて、しっかりと対応して、中小企業・小規模事業者がしっかりと自分のこととして働き方改革に取り組んでいる環境を整備すべきだという御意見が強く出たところでございます。
それを受けた一つのものといたしまして、次のような規定を法の附則に設けることといたしました。
改正後の36条7号に新たに時間外労働の抑制について指針を設けることとしております。できるだけ時間外労働の抑制や休日労働の抑制に努めるよう、労働基準監督が助言・指導するという規定を設けました。この規定の助言・指導に当たっては中小企業における労働時間の動向でありますとか、人材の確保の状況、取引の実態、その他の事情を踏まえて行うように配慮するものとするということで、中小企業に対してこの指針に基づく指導を行う場合について配慮を求めることを規定したところでございます。
なお、当然指針に基づく指導に当たっての配慮でございますので、例えば本則である時間外労働の上限規制に反する場合について、罰則を猶予するとか適用を猶予するとかいう話ではもちろんございません。この指針に基づく助言・指導に当たっての丁寧な対応ということを求めているものでございます。
修正4、これは先ほど申し上げましたように労働安全衛生法の改正でございまして、既に当分科会の建議の中で労働時間の状況の把握をしっかりやっていくという観点から労働安全衛生法の省令、施行規則に労働時間の状況の把握を義務づけるべきという御提言を既にいただいておりました。この内容につきまして、与党の中でも、過労死防止等の観点からも労働時間の把握というのが非常に重要な点であるという御指摘がございまして、労働時間の状況の把握について法律上、明確に規定するというものでございます。そこにございますように、事業者は第66条の8云々、これは医師の面接指導でございますけれども、医師の面接指導を実施するため厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならないと規定しております。省令で定める方法につきましては、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインを参考に定めることとしております。
10ページでございますけれども、さらに加えてということで、先ほど申し上げた中小企業に十分丁寧に指導をしていく、そして働き方改革について十分理解の上で取り組んでいただくことが必要という観点で、今回の法案の中で雇用対策法を改正して労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実に関する法律と名前を変えまして、雇用対策のみならず、働き方改革、労働政策全体の基本的な方向性を定めた法律に衣替えをすることにしております。そして、その中で国が働き方改革を今後も推進していくに当たっての基本方針を定めることとしておりますが、その中で、中小企業に対する配慮といいますか丁寧な指導について明記すべきではないかという御意見を与党審査の中でいただきました。そこの2番目の○にございますように、基本方針には国が講ずる施策の一つである労働時間の短縮その他労働時間の改善について定めることにしておりますけれども、その中に以下の事項も盛り込むべきではないかという御意見でございまして、特に3つ目、4つ目でございますけれども、監督指導に当たっては特に中小企業についてはその労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて対応し、労働基準法、労働安全衛生法等労働基準関係法令に係る法違反が認められた場合において、当該中小企業の事情を踏まえ、行政官庁から使用者に対し自主的な改善を促していくこと。
ただし、重ねて改善を促しても是正されないもの、違法な長時間労働により過労死等を生じさせたもの、違法な長時間労働により重大な結果を生じさせたものなど重大・悪質な場合は書類送検を行うなど、厳正に対処するということを書くようにという御意見をいただいております。
この3点目、4点目は新たな話ではなくて、今も我々労働基準行政としてはこういう姿勢で中小企業・小規模事業者には臨んでいるところでございます。当然、監督指導に当たって違反を把握した場合であっても、まずは自主的な改善を促し、指導をし、一定の期日を定めて是正を行うように指導しているところでございます。繰り返し、是正指導を行っても直らないであるとか過労死等の重大な事案が発生しているといった重大・悪質な事案については、当然送検を含めた厳正な対処をしているということでございます。これは、我々として今までやっていることを変えるものではございませんけれども、改めてこういったことを基本方針に盛り込むことによって、まずは中小企業に自主的な改善を促すということを明らかにした上で、中小企業の取り組みを促していくということが大事だと考えておりまして、そういった方向で検討していきたいと思っております。なお、基本方針につきましては別途労働政策審議会の中で議論の場を設けていただいて、他部局のものも含めて御議論いただく予定でございますので、その際はよろしくお願いしたいと思っております。
以上が与党審査過程での修正でございまして、こういった内容を含めて答申いただいた法案要綱から修正を加えた上で国会に提出し、審議をいただいたということでございます。そして先ほど申し上げましたように衆議院・参議院で御議論をいただいたわけですが、衆議院段階で修正がございました。4点ございましたので、12ページでございます。衆議院における修正につきましては、自民党、公明党、日本維新の会、希望の党の4党の共同提案ということで、修正が提案され、修正議決されたものでございます。
1点目は、高度プロフェッショナル制度の関係でございまして、高度プロフェッショナル制度の適用に係る同意の撤回ということで、この制度は本人の同意がなければ適用できない仕組みになっておりますけれども、同意の撤回についてもその手続を労使委員会の決議事項として加えるものです。決議事項に撤回の手続も明確に入れることによって、労働者本人の意向によって出入りが自由というか、適用を受ける本人が途中でこの制度にはなじまないと判断したときには、同意を撤回して外れることができるということを明確にする意図でこのような修正がされたところでございます。
修正点2と修正点3は中小企業対策の観点でございます。中小企業における取り組みの推進のための関係者間の連携体制の整備ということで、先ほど議題の最初に骨太の方針の御説明をさせていただいた中にもございましたが、中小企業が働き方改革に取り組むためにはやはり地域ごとのいろいろな支援体制が必要だと、そういった制度の周知も含めて地域が取り組んでそれぞれの課題に対応できるように商工関係団体あるいは労働者団体そして自治体、こういったものが中小企業の取り組みをバックアップする連携体制を整備すべきという趣旨でございまして、雇用対策法の中にこうした規定を設けることとしております。
繰り返しになりますが、中小企業における取り組みが円滑に進むよう、地方公共団体、中小企業者を構成員とする団体その他の事業主団体、労働者団体、その他の関係者により構成される協議会の設置、その他のこれらの者の間の連携体制に整備に必要な施策を講ずるように努めるものとするという規定が加えられたところでございます。
3番目が「事業主の取引上必要な配慮の努力義務」ということでございまして、労働時間等の設定改善法に既に労働時間の短縮等を進めるに当たっては取引関係、親事業主であったり、発注元企業の協力が必要だということで、こういった取引慣行については配慮をするようにという規定がございますけれども、そこに改めていわゆる短納期発注でありますとか頻繁な仕様変更を行わないということを明示的に追記したものでございます。
最後、修正点の4番目は法全体の検討規定、5年後の見直しについて規定がございますけれども、その中に働き方改革を進めるに当たっては労使の協議、コミュニケーションを通じて具体的に取り組んでいくことが重要だという観点から、検討規定に基づいて今後検討を行う際の観点として、労働者と使用者の協議の促進等を通じて、仕事と生活の調和、労働条件の改善、雇用形態または就業形態の異なる労働者間の均衡のとれた待遇の確保その他の労働者の職業生活の充実を図ることが明記されました。検討に当たっての観点として、こういった趣旨が盛り込まれたところでございます。
以上のような修正が衆議院で加えられました。
資料のNo.4-2、4-3にお配りしておりますけれども、それぞれ衆議院、参議院で附帯決議が決議されております。内容を紹介しておりますと時間がかかりますので省略させていただきますけれども、特に資料No.4-3の参議院ですが、47項目に及ぶ決議がなされておりまして、それぞれ例えば時間外労働の上限規制に関しては今後議論いただく36協定に関する指針の内容についてのものでありますとか、高度プロフェッショナル制度の運用や省令、指針を定めるに当たっての留意点等についての決議がされているところでございます。詳細はそれぞれの項目を議論いただく際に改めて御紹介したいと思っております。
以上が審議の経過でございます。
続きまして、資料No.5で、今後御議論いただきたい省令や指針について整理しておりますので、御説明をさせていただきます。
この法律に基づいて省令とか指針、具体の制度設計を今後分科会で議論いただきたいと思っております。資料No.5にまとめてございますが、1ページおめくりいただいて、進め方について事務局として御提案をさせていただいております。
1としまして、当然ですが労働基準法の施行2019年4月に向けまして、制度改正の対応に係る準備に必要な期間、1年を切っているという状況を考慮しつつ議論を進めていく必要があると考えております。
その点で2にございますように、制度の確実な定着を図るためにまずは、労働時間の上限規制や年次有給休暇の義務づけなど罰則つきで新たに義務づける項目を優先的に議論を進めていただいてはどうか。省令や指針を制定するタイミングを2段階に分けてはどうかと考えております。2段階というのは全て議論が終わって、一挙に省令、指針を出すのではなくて、まず、急ぐものを先に議論していただいて固まったものについてはその時点で省令指針を公布して、その後また、議論を引き続きやっていただいて、また公布するというように2回に分けてはどうかという御提案でございます。
その上で、高度プロフェッショナル制度に係る事項については、できる限り早期に結論を得るように御議論いただきたいと思っておりまして、こういった進め方でよろしければお願いしたいと思っております。
本日、時間も限りがございますが、御議論いただく省令、指針について、以下一覧にしておりますので、簡潔に、御説明を一通りさせていただきたいと思っています。
まず、1でございますけれども省令事項でございまして、1としまして労働時間の上限規制に関する事項について以下何点か議論をお願いしたいと思っております。まず、36協定の様式ということで36条で36協定については厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合において、時間外労働や休日労働ができるという規定になっております。省令上、様式も定めたいと思っておりますので、具体的には今後お示しをして議論をいただければと思っています。
めくっていただきまして、36協定において定める事項、締結事項でございます。法律上、締結事項が列記されておりますけれども、その他として、条文で言いますと5号でございますが、労働時間の延長及び休日労働を適正なものとするために必要な事項として、厚生労働省令で定める事項というものを定めていただく必要がございます。
右側に現時点で事務局として考えております項目を既に掲げさせていただいております。今、考えています事項としましては、36協定の有効期間、起算日でありますとか限度時間を超えて労働させるいわゆる特別条項の場合の労働をさせる理由。
それから今回、限度時間を超えて特例を使う場合には健康福祉確保措置を講ずるということを定めておりますので、その内容。
特例を使う場合の割増賃金の率でありますとか、手続。
6でございますけれども、36条6項第3号というのはいわゆる複数月80時間を超えないという上限でございますけれども、当然これも満たしていただくということを協定事項として定めていただくことを予定しております。
次の項目が、健康確保措置でございまして、今回、限度時間を超える場合については健康確保措置を講ずるということを協定していただくことにしておりますので、それについては27年の建議でも実施状況について記録を保存することが適当ということになっておりますので、3年間保存するということを省令事項として定めたいと思っております。
次でございますけれども、上限規制の適用猶予業務、業種の関係でございます。まず、建設事業につきまして、範囲を厚生労働省令で定めることとしております。
1としまして、建設の事業。
2としまして、今の限度基準告示でも建設事業の本社等についても適用除外になっておりますので、建設現場以外の事業場についても対象にするということで2を定めたいと考えております。
3でございますけれども、建設現場を考えますと、そこで行われる交通誘導警備につきましても建設現場と一体のものでございまして、例えば建設の工期の途中で交通誘導警備員がいなくなってしまうと建設工事自体が止まってしまうという実態もあるという御指摘もいただいたところでございまして、これも一体のものと考えて3を規定しているところでございます。
次は自動車運転でございます。
これも省令で業務の範囲を定めることになっておりますけれども、今の限度基準告示においてもいわゆる改善基準告示で定める内容、トラック、バス、タクシー等四輪以上の自動車の運転の業務ということに対象がなっておりますので、それを踏襲した内容にしたいと考えてございます。
次が医師でございまして、医師は今、医師の働き方改革に関する検討会で上限のあり方あるいは健康確保措置のあり方について御議論いただいておりますので、その結果を踏まえて厚生労働省令を定めたいと考えてございます。
次のページからが年次有給休暇でございます。年次有給休暇につきましては、前倒し付与に関する事項として、法律上もただし書きがそこにございますように、通常の基準日、6カ月経過後に与えるというのではなくて、企業によっては入社当初から年次有給休暇を付与する場合等ございますので、入社日から年次有給休暇を付与する場合等についての、5日付与の考え方や取り扱いについて省令で規定したいと思っております。
次が年次有給休暇の時季指定に関する事項として、27年の建議でも書かれておりますけれども、今回使用者側が時季を指定するわけでございますけれども、それに当たっては労働者に対して意見を聞くということ、その意見を尊重するように努めなければならないということを省令に規定すべきという建議をいただいていますので、その旨を省令に定めたいというものでございます。
次が年次有給休暇の管理簿ということで、これも今回新たな仕組みを導入するに際しては一人一人の年休の取得状況を確実に把握していただくことが必要ということで、建議の中でそういった管理簿を設けて保存すべきという提言をいただいております。これによりまして付与の時季、日数、基準日等を明らかにした書類を作成するよう、省令で規定したいと考えてございます。
次が労働安全衛生法の医師の面接指導に関する部分でございまして、いただいた建議の中でも一般の労働者について、これまで100時間を超えた場合について申し出があった場合について医師の面接指導を実施する義務をかけていたわけでございますが、100時間のラインを1カ月80時間超えに下げるということを提言いただいております。その内容を省令に規定したいというものでございます。
次が研究開発業務の医師の面接指導でございまして、これも建議にありますように、100時間超えについて罰則つきで規定するということでございますので、100時間超えの場合に医師の面接指導を義務づけることを省令に規定したいというものでございます。
次のページでございますけれども、与党審査で修正された労働時間の状況の把握でございまして、先ほど御説明したとおり厚生労働省令で定める方法により、労働時間の状況を把握しなければならないとなっておりますので、この省令で定める方法としては、いわゆる客観的な方法について規定したい、また、保存期間も定めることを予定したいと思っております。
次のページのその他でございますけれども、平成27年の建議で継続的な審議ということになっておりましたけれども、労働条件明示の方法につきまして、いわゆる電子媒体での明示を認める方向ではどうかということでございました。ここにつきまして、労働者が希望した場合でございますけれども、ファクシミリでありますとか電子媒体による送信、記録をすることによって書面を作成できるものに限るとしていますが、そういったことを省令として規定してはどうかというものでございます。
次も同じでございますけれども、27年建議において明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならないことを省令に規定すべきということでございましたので、そういった内容を盛り込んではどうかというものでございます。
次は過半数代表でございまして、過半数代表につきましては建議におきまして使用者の意向による選出は手続違反に当たるといったことを施行規則に規定することが適当。過半数代表が業務を円滑に遂行できるように必要な配慮を行わなければならないといったことも規定すべきという提言をいただいておりますので、その内容を省令に規定してはどうかというものでございます。
フレックスタイムでございますけれども、これは清算期間1カ月を超えるものにつきましては、監督署に届け出ていただく必要がございます。厚生労働省令で定めるところにより、その届出をするということで、変形労働制と同じ規定を準用しておりまして、協定について有効期間を定めていただくこととしておりますので、フレックスタイム制についても同じ内容を規定したいと考えているところでございます。
以上が上限規制でありますとか年休等に関する省令でございます。
11ページからが2としまして指針の事項でございます。36条の7項で新たに指針を設けるということでございます。これにつきましては既に建議でも提言をいただいておりますように、特例による労働時間の延長をできる限り短くするように努めなければならない、休日労働も可能な限り抑制するよう努めなければならないということを規定することとしております。
また、先ほど御紹介した国会での附帯決議におきましても原則である月45時間、年360時間にできる限り近づけるようにすべきだということ、あるいは、特例を使う場合であってもそれはあくまで臨時の事態への特例的な対応であるべきで、単に業務上の都合上の必要なときでありますとか、業務上やむを得ないと言った場合については認められないといったことも規定すべきだということも決議いただいているところでございます。
また、下のページになりますけれども、特例の上限時間内であっても使用者は労働者への安全配慮義務を負うものであるということ、脳・心臓疾患の労災認定基準においては、100時間超えあるいは複数月80時間超えといった場合に業務と発症との関連性が強いと評価されるということが規定されているわけでございますが、こういったことも留意して上限を定めるようにすべきであるということが決議されておりまして、そういった内容を踏まえて指針を定めていきたいと考えているところでございます。
以上が指針の関係でございます。13ページ以降は3として高度プロフェッショナル制度についての事項でございます。これにつきましては、上限規制や年休の議論をいただいた後と考えておりますけれども、現時点で省令指針事項として議論いただくべきものを整理させていただきました。そこにございますように、届出の様式から始まりまして本人の同意を得るための書面その他の方法のその他として何を定めるか、あるいはそもそも対象業務として何を定めるか、職務記述書を定める方法でありますとか、年収要件をどう定めるか等々でございます。
15ページに行きますと、健康確保措置につきましてはインターバルの時間数でありますとか健康管理時間の上限の時間数を省令で定めるとなっておりますので、このあたりも御議論いただきたいと思っております。
17ページへ行きますと、高度プロフェッショナル制度についても医師の面接指導を義務づけるということになっておりますので、その時間数。これは建議では100時間超えとなっておりますが、これを省令を定めていただくことを予定しております。
最後、高度プロフェッショナル制度についても、労使委員会が留意すべき事項を指針として定めることにしておりますので、指針の内容についても御議論いただくことを予定しているところでございます。
以上が今後、御議論をお願いする事項でございまして、冒頭で申し上げたようにまず上限規制それから年休等の議論を行っていただいて、できるだけ速やかに施行の準備に入れるように議論をまとめていただければその時点で省令や指針を公布して、その後高度プロフェッショナル制度の議論に移りたいと考えておりますが、その点もあわせて御了解いただければと思っております。
私からは以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは資料No.4及びNo.5について御質問、御意見等あればお願いします。
川野委員。
○川野委員 ありがとうございます。
4-1の資料にかかわっての御意見を申し上げたいと思います。
まず、1点目につきましては、中小企業の施行時期、施行期日に関して申し上げたいと思います。今回与党での議論の経過を踏まえ、中小企業における罰則つき時間外労働の上限規制の適用や、月60時間を超える時間外労働に係る割増率の適用猶予廃止等に関する施行期日が1年先送りとなってしまいました。これは昨年9月にまとめました法案要綱の内容と異なる結果であるということでございます。
加えて、中小企業で働く者は全労働者の7割を占めていますが、今回の働き方改革関連法は長時間労働を是正し、働く人全体の労働環境や労働条件の改善を図ることを目的としたものであって、上限規制が施行されるまでの間においても、中小企業が労働環境の整備や改正法の対応した準備に着実に取り組んでいただきますよう、厚生労働省においても必要な対策を強力に進めていただきたいと思っているところでございます。
また、もう一点は、資料4-1の12ページに記載されております「衆議院における修正について」の修正点2のところです。修正として、雇用対策法に中小企業における取り組みの推進のための関係者間の連携体制の整備に関する規定が新設されるということでございます。また、「衆議院における修正について」の修正点3に記載のところでございますが、労働時間等設定改善法に事業主の取引上の必要な配慮の努力義務が追加されることとなっています。
こちらに記載のとおりでございますが、中小企業における長時間労働の是正に関しては、著しく短い納期での設定、発注内容の頻繁な変更など取引慣行の問題が非常に多く、自社だけで解決が困難な場合が多くございます。取引関係で弱い立場にある中小企業にしわ寄せがいかないよう、新たに設置されるこの協議会の場において実効性のある議論を展開していただきたい。また、こうした法改正の趣旨や内容の周知にも十分に努めていただきたいと思っているところでございます。
加えて、改正された法律を定着させるためには修正点4にもかかわるところかもしれませんが、法律を定着させるためには職場の労使の取り組みが何よりも重要でございまして、労働組合との集団的労使関係、また労使自治の重要性や機能についても理解を広げられるようにしていただきたいと思っておりますので、御意見を申し上げさせていただきました。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問等ありますか。
佐久間委員。
○佐久間委員 全国中央会の佐久間でございます。よろしくお願いいたします。
今、川野委員からも御意見を賜りましたように、今回、中小企業への対応に係る明確化という形で、ある程度の猶予措置というのも中小企業のほうにいただきまして、分科会等々の議論また国会との議論につきまして実はお礼を申し上げたいと思っております。
今言われましたとおり、これだけ多い中小企業がありながら、働き方改革について、まだ何をやっていいかわからない、どういうふうに取り組んでいいかわからないということで、働き方の推進センターやセミナー、チラシ等々、事務局であります厚生労働省の担当課の皆様方には、非常によく取りまとめをやっていただいていると感じております。
ただし、セミナー等に参加される中小企業はまだまだいいほうで、なかなかうちには関係はない、あるいは残業についても36協定がない事業所が実際にまだございます。こういうことがあってはならないことだと思いますので、これからも労働局また外部に委託してという形もあると思いますけれども、まだまだ何をやっていいかわからないという企業についての掘り起こしにアプローチをかけていただくよう、それを担当する人員の確保、人数が大変だと思いますけれども、ぜひともお願いしたいと思っております。
もう一点、先ほども述べられていましたけれども、取引上の必要な配慮措置、しわ寄せというのは中小企業にとってもかなり大変なものがありますので、いろいろ取引先のところとも協議を進めているところでございますけれども、ぜひ監督強化をしていただきたいと感じております。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、柴田委員。
○柴田委員 ありがとうございます。
資料No.5の1ページ目、今後の法施行に当たっての進め方について、労働条件政策課長が最後におそらくおっしゃったと思うのですが、再確認の意味で御質問させてください。
省令・指針を作成するタイミングを2段階に分けてということでありますが、第1段階として時間外労働の上限規制、年次有給休暇の義務づけなどに関する省令・指針に関する事項の検討策定を行うということ、第2段階で高度プロフェッショナル制度に関する事項の検討を行うという認識について間違いないかどうかについて確認させてもらいたいということです。また、36協定の様式について、先ほどおっしゃっていたようにぜひ具体的な様式案を出していただいて議論を進めていただければと思っております。よろしくお願いします。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 御質問ありがとうございます。
御指摘のとおりでございまして、進め方についてはまず、上限規制や年次有給休暇などについて御議論いただいて、省令指針を公布し、その後できるだけ早くでございますけれども、高度プロフェッショナル制度について御議論いただくという形で進めさせていただければと思っております。御賛同いただければそういった形で進めたいと思っております。
○荒木分科会長 36協定については。
○労働条件政策課長 36協定については、次々回になるかもしれませんけれども、様式もできるだけ実際の形に近いものをお示しして御確認いただけるようにしたいと思っております。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
弥久末委員。
○弥久末委員 どうもありがとうございます。弥久末でございます。
No.5の4ページ目でございます。1点、要望を申し上げたいと思います。「建設事業の対象とする範囲」というところでありますが、限度基準告示の中に3工作物の建設の事業に関連する警備の関係、いわゆる交通誘導警備というところが今回新たに加わっていくというお話がありました。
本件につきましては、先ほどお話しのありましたように業務の一体性ということ、また建設現場と一般道といったところの安全を守るという意味であれば、一定の理解はあるものと考えているところであります。
しかしながら、この交通誘導の方というのは先ほども申し上げましたように工事現場と外もしくは建設現場と外の安全をきちんと守るという非常に大きな使命を持っております。
また、最近は交通誘導をされる方が高齢化をしているという問題もあり、本日のように非常に暑いときとかに外でずっと立って交通誘導するということが業務になります。そういった意味での健康上での配慮もしくは安全配慮について今後きちんと固めていただきたいと思います。
要は本人の健康も非常に重要なのですけれども、副次的な災害も考えられる話だと思いますので、そういったところについてはきちんと整理をした上で御説明、また、内容の提起をいただきたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
先ほど柴田委員が2段階方式について確認はされましたけれども、労側はそれでよろしいのかという回答をされているかどうかは、労側にお聞きしたいと思っておるところでございます。
使用者側としましては、時間外労働の上限規制と年次有給休暇の義務づけ、これらは2019年の4月1日施行でございますので、時間がない中で罰則がかかりますので、2段階方式で早目に省令と指針を示していただきたい。実際には1日でも早く示してもらわないと勤務のシステムのところは間に合わないといわれておりますので、1日も早く省令指針を示していただきたいゆえに、2段階に分けて議論をするということをぜひやっていただきたいと思っているところでございます。
以上です。
○荒木分科会長 世永委員。
○世永委員 今後論議いただく要請事項の資料No.5の5ページにある「自動車運転業務の対象とする範囲」の関係になります。具体的には次回以降、申し上げさせていただきますけれども、1つとしてはこれまで曖昧だった兼業ドライバー、つまり営業や運行管理をした上で運転業務を行うドライバーの一般則適用と特例適用の範囲の明確化ということが必要だろうと思っております。
2つ目として、改善基準告示の見直しの関係につきましては、衆議院厚生労働委員会の附帯決議並びに参議院厚労委員会における審議さらには附帯決議を踏まえて、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えております。具体的な中身については次回以降申し上げさせていただきます。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかには何か御意見ございますか。
村上委員。
○村上委員 先ほど輪島委員から御質問がありました点ですけれども、2段階ということで上限規制であるとか年休については私どもとしても早く周知をする必要があると考えておりますので、そちらについてはできるだけ早くということで2段階の議論ということは了解しております。
ただ、3ポツで高プロについても、「できる限り、早期に結論を得ることができるようにする」とありますが、できる限り早くということとか早期に結論を得るということの必要性はなく、きっちりと議論していく必要があると考えております。2段階に分けて議論という点については、了解をしているところでございます。
○荒木分科会長 それでは、きょうは資料No.5の1ページにありますような進め方でいくことについて御了解を得られるかということだけは確認しておきたいと思います。労側・使側からいずれも2段階という形で議論していくことについては異論がないとのことでしたが、公益の皆さんについてはいかがでしょうか。この点、特段異論はないということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○荒木分科会長 それでは、進め方としてはNo.5の1ページのようなやり方で進めていくということで御了解頂いたということにさせていただきます。
そのほか、何かこの場で御発言等ございましょうか。よろしいでしょうか。
それでは、時間もまいりましたので本日はここまでと致します。
次回の日程について、事務局よりお願いします。
○労働条件政策課調査官 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては調整の上、追ってお知らせをさせていただきます。
○荒木分科会長 それでは、これをもちまして第143回労働条件分科会は終了といたします。なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の弥久末委員、使用者代表の輪島委員にお願いをいたします。
長時間ありがとうございました。
 

 

 

(了)

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