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2017年12月14日 第37回 社会保障審議会生活保護基準部会
社会・援護局
○日時
平成29年12月14日(木)10:00~12:00
○場所
厚生労働省専用第21会議室
○出席者
駒村 康平 (部会長) |
岩田 正美 (部会長代理) |
阿部 彩 (委員) |
岡部 卓 (委員) |
栃本 一三郎 (委員) |
山田 篤裕 (委員) |
○議題
・報告書(案)について
・その他
○議事
■駒村部会長 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第37回「社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について、事務局より、御報告をお願いいたします。
■鈴木社会・援護局保護課長 本日の委員の皆様の御出欠の状況でございますが、小塩委員、宮本委員より、御欠席との御連絡をいただいております。その他の皆様は、御出席でございます。
それでは、部会長、議事の進行をよろしくお願い申し上げます。
■駒村部会長 では、カメラの方は、ここで退室いただければと思います。よろしくお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
■駒村部会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
前回の部会では、報告書案について御議論いただき、幾つかの意見がありました。その修正結果を事務局より報告いただき、報告書をまとめていきたいと思います。
それでは、事務局から、報告書案についての御報告をお願いいたします。
■清水社会・援護局保護課長補佐 それでは、説明させていただきます。資料ですけれども、資料1と書いた資料が3つございますが、1つは修正箇所がわかるように見え消しを行った資料と、それを溶け込ませた資料と、あとは参考資料編ということでデータを載せてあるもの、別紙と書いたものがございます。本日につきましては、主に修正箇所にポイントを絞って説明させていただきたいと思いますので、この左肩に第36回部会資料からの修正箇所と書いてございます資料に沿って説明をさせていただきたいと思いますので、御了承いただければと思います。
それでは、かいつまんで説明をさせていただきます。
1ページ目でございますけれども、前回部会で、これまでの基準見直しによる影響の把握ということで、前回の基準見直しの影響の把握についてまず実施した内容を記載すべきではないかということで、2ページ、3ページ、4ページ、5ページにわたりまして、生活扶助基準の見直しの影響、それぞれ検証方法、また生活保護受給世帯に与えた影響ということで記載をさせていただいております。
3ページ目の「(3)検証結果」では、生活扶助基準の見直しの影響ということで、影響額の把握の状況について記載をさせていただいてございます。
また、3ページ目の下の「2 住宅扶助基準の見直し影響」ということで、こちらもアンケート調査等をした内容を記載させていただいてございまして、その検証結果ということで、それぞれの調査の結果を記載させていただいております。
また、5ページの「3 勤労控除等の見直し影響」についても触れさせていただいてございます。
5ページのローマ数字の3以降は、前回部会でも提示させていただいた内容から修正を加えたものでございます。文言等の修正等は除きまして、主なところだけ御説明をさせていただければと思います。
少しページを飛びまして、20ページをお開きいただければと思います。こちらは世帯人員の算定方法について実データと回帰分析のそれぞれの特徴に触れた部分でございますけれども、2番の回帰分析の記載を修正させていただいております。
また、その下の丸でございますけれども、これも前回の部会で資料として提出させていただきましたが、中間所得層の比較等について、語尾について留意が必要であるというところの文言をつけ加えさせていただいてございます。
21ページ、「(4)検証結果の総括」ということで、少し御指摘がございましたような確認ができたことと実施をしたこと、解明に至らなかった点ということでまとめさせていただいてございます。まず、夫婦子1人の第1・十分位の生活扶助相当支出と生活扶助基準額がおおむね均衡していたというところと、それぞれ2通りの方法で年齢、世帯人員、級地別の指数について算定したというところを記載してございます。また、(4)の一番下の丸で、実データと回帰分析による結果の違いというのは理論値を導き出す回帰式の立て方にも起因するものと考えられるのではないかというところで、その原因等については十分に解明には至らなかったということを記載させていただいてございます。
続きまして、21ページ以降は「(5)検証結果に対する留意事項」ということで、こちらも前回の御議論に沿いまして、必要な修正をさせていただいております。少し項目も世帯人員別の指数についてというような形で、それぞれ項目に分けて分類させていただいて、記載を行ってございます。
主につけ加えたところでございますけれども、これは前回提示させていただいたものと引き続きでございますが、22ページの一番上、ここは直していない部分でございますけれども、検証結果を機械的に当てはめることのないよう、強く求めるというところは繰り返し指摘があった部分かと思ってございます。
また、「イ 展開後の基準額の評価について」で、水準均衡方式のあり方が課題であるということに留意する必要があるということも前回の部会で御意見が出た部分について、記載をさせていただいてございます。
また、「ウ 展開後の基準額が及ぼす影響について」で、これも前回の部会で御意見がございました、特に一番下の部分でございますけれども、生活扶助基準を参照する他制度への影響にも配慮することが重要であるということを記載させていただいてございます。
また、23ページの「5 今後の検証に向けた課題」でございます。こちらについても、前回いただいた意見をもとに修正させていただいてございます。特に項目立てしてございますけれども、24ページの(3)、また25ページにかけまして、それぞれ水準均衡方式の課題というところで改めて記載を整理してございます。
また、25ページの「イ 新たな検証手法の開発」で、 全国消費実態調査 のデータの課題、 全国消費実態調査 のデータ分析から得られた結果が、それぞれ健康で文化的な生活を送ることができる水準なのか検証することが必要であるというところと、前回部会で御紹介させていただいたMIS手法を用いて試行的に実施した結果等について触れまして、26ページの上にかけてでございますけれども、新たな検証方法の開発に早急に取り組むべきというところを改めて記載させていただいてございます。
26ページ以降は、有子世帯の扶助・加算についてということで触れさせていただいてございます。こちらについても、前回の部会において、それぞれ御指摘いただいた内容を反映させていただいておるところでございます。特に各項目に共通するところといいますと、例えば28ページで、それぞれ項目の語尾について「適当である」という表現をしてまいりましたけれども、一つの方法等として考えられるというような表記に変えさせていただいてございます。
また、29ページ、下のところですけれども、学習支援費の内容について、それぞれ少し記載内容等も整理させていただいておりまして、子どもの健全育成にかかる費用について、学校外活動にかかる費用への対応を児童養育加算において、学習支援費においてはクラブ活動費用として費用を賄うことが考えられるという記載に変えてございます。
それぞれ30ページにかけて、こちらも文章の結びについて変えさせていただいてございます。
また、「4.検証結果に対する留意事項」でございますけれども、特に一番下のところで、これも前回部会で御意見が出されました内容、子どもの健全育成にかかる費用の関係、また、一般制度の理念との関係について、記載をさせていただいてございます。
修正等箇所は以上でございます。また御議論、御意見をいただければと思います。
説明は以上でございます。
■駒村部会長 ありがとうございました。
前回の議論を踏まえて事務局が修正した点について説明がありました。今日は取りまとめたいと思いますので、本日、特に指摘しておきたい点、報告書に載せるべき点について御発言をいただければと思います。重要な検証ですから、これまでの検証の連続性という観点から必要なデータが載っているのか、 逆に間違って理解されるような 不必要な記述はないのかという点で、最終的な議論を進めたいと思います。
委員の皆様から御意見、御発言を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
岩田先生、お願いいたします。
■岩田部会長代理 前回欠席してしまったものですから、そのことで御議論がもしかしてあったかもしれないので、間違っていたらお許しいただきたいのですが、水準均衡というのは丈比べだというふうに思われている節があることを私は大変ゆゆしく思っているものです。つまり、第1・十分位なり第6・五十分位なりの値と基準を比較して、どちらが高いか低いか を比較する 。その 比較 で、もしも基準が高ければ引き下げるという考え方なわけですが、水準均衡というのはもう少し、きっちりそこでどちらが高いか低いかをやって 引き上げ、引き下げ をどう する というよりは、おおむね一般世帯のどの程度のところ と合致しているか を検証しようということなわけですね。
この場合、もちろん最初の水準均衡のときの考え方として、家計調査ですけれども、第1・十分位が適当であろうということになったのですが、それと同時に一般世帯、つまり平均値の何割ぐらいになっているかということが重要で あったのです。 そもそも水準均衡の前に格差縮小方式ということで格差を縮めていったわけですが、そのときに一般世帯の6割を目指すと。では、なぜ6割かというと、これは先進国の公的扶助の基準 が 、厳密に平均と考えたかどうかわかりませんけれども、 平均消費水準の 6割ぐらいは達成しているということが書いてあるわけです。今回も 当時の 資料を出してもらったと思うのですけれども 。 もちろん今回算定した方式のどれをとるかによってかなり違いがありましたけれども、夫婦子1人 の モデル世帯ではどのやり方をしてもほぼ6割を超えていたと思うのですが、単身高齢世帯は場合によって5割、50%というのが出ている。これはちょっと注意信号だろうと思います。やはり単身は非常に難しい。あるいは3人から1人を割り出すときにも、もとのデータが違う調査と言ってもいいぐらいの単身世帯のデータを使うわけですから、その辺が出てしまったかなという思いが非常に強い。
ですから、その点も今後検証するということはもちろんあり得ると思うのです。6割とは何かということ。でも、二重基準だったということですね。 第1十分位と、平均との。 単に第1・十分位と丈比べして高い低いということだけではなくて、全体の 平均の 6割と を達成しているかが求められた 。全体の6割というのは、大体、生活扶助基準相当額はどの階層でも7割ぐらいの部分なのです。そうすると、大体それを掛け合わせると、相対的貧困率などの考え方に割合近くなるのです。ですから、報告書に盛り込むかどうかは別ですけれども、その辺もぜひ議事録に残していただきたいと思います。
2点目は、私は全国消費実態調査というデータの持つ限界について繰り返し発言をしてきましたけれども、報告書にもその点がある程度盛り込まれていました。もちろん余り細かいことを言うのは、統計局に対しても、非常に努力されていますので申しわけないとも思うのですが、しかし、全国消費実態調査が国民の正しい消費実態のデータだということではもちろんないということです。だから、限界があるということを国民の皆さんにも知ってもらって、その上でどのように使えるか、あるいはどのような調査で補ったらいいかということを、厚生労働省としてもぜひ、厚労省の中にある調査をどのように使うかということも含めて 、 お考えいただきたいと思います。
ちょっと長くなって恐縮ですが、3点目は級地の問題と住宅扶助の問題です。住宅扶助の議論は大分前のときに申し上げましたが、住宅扶助も級地と非常に関連して、つまり地域的なものですから、地域をどう設定するかというのは非常に大きな問題になってきます。例えばイギリスなどの住宅手当の設定の場合は、やはり住宅市場という市場の圏域設定をして、行政区域とは別の設定をしています。ぜひそういう考え方も今後取り入れていただいて、これは級地にも言えると思うのですけれども、消費水準の違いだけではなくて、消費環境といいますか、そういうものの違いを圏域で考えていくことも必要だと 思います 。
住宅扶助の 検証 に際しては 、これは国土交通省が持っている 居住 最低 水準 、あるいは最適水準というものに達していない住宅がまだ非常に多くて、そうすると比較の上で生活保護の住宅自体も基準に達していない住宅への居住が容認されてしまうということがよくわかったわけです。それを前提にして、例えば 居住最低限基準以下の 小規模住宅などの場合の住宅扶助の設定がされますので、やはり非常に矛盾を感じました。最低限というのは非常に高くなったと国民の皆さんはお思いでしょうけれども、住宅に関しては決してそんなことはない。これは生活保護世帯の問題だけではなくて国民全体の問題ですから、そういうことがあぶり出されたということも、私たちはやはり心して、生活保護基準を通して最低限のものを確保していくということに、厚生労働省としては、中心省としてぜひ今後も頑張っていただきたいと切に思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
■駒村部会長 ありがとうございます。
今の御発言のうちの1番目につきましては前回議論がありまして、岡部委員からも、あと、たしか山田委員からも、この点については非常に心配であるという御発言がありました。
その辺の議論を踏まえて、事務局、その辺のことはどの辺に書かれていますか。一応確認させてください。お願いします。
■鈴木社会・援護局保護課長 まず1点目の平均的な世帯との比較につきましては、先ほどの見え消しのもので言えば20ページの真ん中あたりに書いてございまして、「夫婦子1人世帯の展開後の基準額は中間所得層の消費水準の6割を超える見込み」。これは、夫婦子1人は超えるのだけれども、高齢者世帯の展開後の基準額では5割台になってしまうことが見込まれることに留意が必要ということを明記させていただいたところでございます。
2点目の全国消費実態調査の持つ限界の御指摘でございましたけれども、これは23ページの「(1)現行の水準均衡方式を前提とした検証方法」の1個目のアで、これまでの岩田委員の御発言をもとにいろいろ書かせていただきまして、最後の4つ目の丸のところで、 全国消費実態調査 だけではなくて、それ以外のきちんと補足するデータの整備とかも含めて取り組むということを書かせていただいております。
それから、級地と住宅扶助につきましては、次のページの「ア 級地について」ということで基本的には書かせていただいておりますが、住宅扶助との関係は確かに記述がきちんとなされておりませんので、そういったことは修正を検討させていただいて、そういう意味では住宅扶助も含めて、関連するものと明確に認識した上で、級地制度についてもこれから研究・検討を進めていきたいと考えております。
■ 駒村部会長 ほかの委員から御発言は。
山田委員、お願いします。
■山田委員 非常に短期間で前回の議論をいろいろと盛り込んでいただき、ありがとうございました。その上で、私のほうから3点お願いがあります。
1点目は、先ほど岩田委員からも御発言があったとおり、6割ということを一応は2つの基準のうち のひとつとして 見ていたと。お手元に前回の2013年1月の報告書がありまして、これは後ろからめくったほうがよろしくて、2枚目のところです。27ページ、前回はどういう書きぶりをしていたのかというのをもう一度確認いたしました。ここのイでは、第3・五分位対比の消費水準との比較というのが細かい数値まで前回は書き込まれております。したがいまして、36回部会資料としていろいろと細かい数値を掲げていただきましたけれども、その数値はぜひ織り込んでいただくとともに、前回は高齢についてもどうだったかということになろうかと思うのですが、前回もこのように細かく、60歳以上の単身については、例えば27ページだと64%という数値が出ているわけですね。これを、今回の指数を機械的に展開すると5割になるというのは、この報告書を最初に読むわけですから、一体どういう違いが大きく出てくるのかというのを国民に明示的にする意味でもきっちり書き込んで、前回の検証では6割であったと。これを引用して何%か、もしくは今回の 全国消費実態調査 の数値でも構いませけれども、それで指数展開したら何%になるかという前回の36回部会資料はぜひ入れていただきたいと思います。
前回の36回部会資料には、いわゆる現役の単身世帯についての記述がなかったわけで、少なくとも前回の報告書の27ページでは、今回、現役に相当する単身世帯についても含まれていますので、単身世帯のところが問題だという議論をしていますので、そういったことはやはり国民に広く、機械的に当てはめてしまったらどういった結果になるのかということを知っていただく上でも、きっちりここは数値自体を前回の報告書と同様に書き込んでいただきたいというのが1点目です。
2点目については、これも前回の資料で、もう一枚めくっていただくと25ページが出てきます。先ほど6割の比較ということについてですけれども、もう一つの比較対照として第1所得・十分位と比較することをどうやってオーソライズするのかということが前回の報告書の25ページの6番、中ほどに書かれています。ここでは、前回は第1・十分位の世帯の収入が全体に占める割合に大きな変化がないこと、もう一つは、第1・十分位の世帯の必需品の充足状況についても確認しました。
(b)については、今回は同じ作業はしませんでしたけれども、そのかわり変曲点、それから今回織り込んでいただいたMIS、そしてもう一つ、実は資料が出されながら織り込まれていないものについては社会的必需項目が、これは阿部委員からの御主張で入ったかと存じますけれども、そこの資料の部分、社会的必需項目について確認して、この変曲点、MIS、社会的必需項目でどうかといったことを議論してきたわけです。
MISについては入っていますけれども、社会的必需項目については、私の見落としがあったら申しわけないのですが、今回の報告書ではそういった記載が余り見られない。第1・十分位でよいかということで、変曲点で 、 折れ線回帰分析で 、 詳しく見たわけですけれども、6割とか展開の部分でやはりMISとか社会的必需項目についていろいろと資料を提出いただきましたので、ぜひここはもう少しこういったことを見ると、大きな差異という言葉が掲げられていますけれども、より高い最低生活水準になったと。要するに、より大きな差異というのではどちらに向いているかわかりませんので、MISとか社会的必需項目でやると、より高い 最低 生活水準というものも見られたというのは、この報告書だけしか読まない人々にとって重要な情報ですので、入れていただきたいというのが2点目になります。
3点目について、非常に大幅な修正で、 前回改定の影響に関する 検証結果がどうであったか一般国民にも広く伝わるように書き加えてくださいということで、いろいろと書き加えていただいたと思います。もちろん 紙幅 の制約もあると思います。それから、生活 保護 基準の見直しということで、それにフォーカスを当てたのかもしれません。ただ、議事録をつらつら読み返しますと、第26回、昨年の10月には、例えば勤労控除の影響についても議論しております。例えば脱却によって 所得 分布が変わったのかとか、就労時間の調整があったのか、それとも就労するかしないかの選択に調整があったのか、まだわからないとか、そういった議論があって、ここら辺はもうちょっと詰めていかなくてはいけないという議論もありましたし、あとは今回の子 ども 関係については、一般世帯では 高校生の 就労 率 が5%であるのに対して、生活保護世帯では19%で2割 に 近いと。こういった就労を促進するだけでよいのかという議論もあったかと思います。
さらに、パラメーターに関する影響としては、2017年の第29回の議事録では、やはり母子世帯の影響が大きかったと。例えば小塩委員の 御 発言ですけれども、マイナス5から7%の世帯が合計すると全体の6割を超えていたということなので、淡々と4割であったとかいうふうに書くのではなくて、事務局側の説明としても、例えば若年の多い世帯、それから人数の多い世帯 で マイナスの影響が大きかったという御発言がありますので、一体どういう方向に 影響があった のかということについては、広く知っていただくために、やはり明記していただきたいというのが3点目です。
長くなりましたけれども、私からは以上です。
■駒村部会長 ありがとうございます。
3点御指摘があって、まず、これまでの過去の報告書との連続性、検証の安定性、透明性の観点からでしょうか。前回出てきたデータに相当するものは入れたほうがいいのではないかという御指摘。2番目が水準の話だったわけですけれども、前回とは違う方法で検証していることをわかりやすく説明しなければいけないということ。3点目は、今回の報告書が1ページにあるように1から6の項目を挙げながら、1と2が中心になっているけれども、先ほど岩田先生からもお話があったように級地の問題や、山田先生からお話があったような勤労控除の問題を議論したのだと いうことも記述する 。その記述が、いかに1、2が中心とはいうものの、この一連の部会としては、それも含めて議論したはずではないかという御指摘だったと思います。
もし関連する御意見があれば、ほかの委員からもお伺いしたいと思いますし、特段ここで関連する御意見がなければ事務局のほうにお答えをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。いいですか。
では、事務局のほうから今の山田先生の御質問。
ありますか。では、ちょっと待ってください。岡部 委員 、先にお願いします。
■岡部委員 前回、第1・十分位での比較に加えて、第3・五分位の比較がこれまで一定合意されていたのではないか 。 報告書にはその点 を 記載していただいた。20ページのところ に 留意をすると一文が入ったと思 います 。
山田委員と岩田委員から も お話がありました が 、私の理解ですと、第1・十分位で比較するということはこれまで一定の説得力を持ってやってき まし た。しかし、もう一方の尺度の第3・五分位についても合意され、連続性をもって検討 され て います。 あの一文だけでは、第1・十分位だけの考え方というメッセージを送ること にもなりますので 、私たちは当然この2つを考慮に入れ、その上で第1・十分位を考えているということをある程度の前提でやってき まし た 。 前回出た差の開き について もう少し 文章を 付加していただいて、 データを 記載していただければと思っております。
■駒村部会長 今の岡部委員の ご発言 は山田委員の最初の部分と重なっております。あと、先ほど山田委員からお話があった、大変重要な報告書でありまして、わかりやすい表現で、これだけでも必要な部分がわかるようにという御指摘があって、今の部分については「(第36回部会資料参照)」という形で細かい数字は触れているものの、お二人の委員は、より明確に書いたほうがいいのではないかと。そこは事実を書けばいいのではないかという御指摘でした。
済みません。課長のほうから手が挙がったので、お願いします。
■鈴木社会・援護局保護課長 ありがとうございます。
まず1点目、山田委員と岡部委員からございました平均の6割ということに関しましては、御指摘のとおり数字を本文の中に書き込めるようにしたいと思います。ただ、私どもが大変悩んでおりますのは、世帯類型ごとにどこまで真ん中の人たちの生活と比較するのがいいのかと。例えば世帯類型によっては大変低所得であれば、その真ん中と何割ということだけでは一義的には判断できないということで、今回、留意するということでさせていただきましたが、事実は事実として御指摘のとおり書き込ませていただくことが、皆さんにその趣旨がわかるということでございますので、検討させていただきます。
山田委員から2点目にございました、今回やったものとして、例えば社会的必需項目のことが記載されていないということで、こちらも記入を検討させていただきます。MISに関しても、記述の補足を検討したいと思います。
3点目、勤労控除の評価とか生活扶助のインパクトがどこに出たかということにつきましても、記述の補足を検討させていただきます。
■駒村部会長 ありがとうございます。
ほかの委員はいかがでしょうか。
山田委員、お願いします。 その次に 阿部委員 。 先にお願いします。
■山田委員 今、鈴木課長がおっしゃったことと関連するので 。 もちろん、前回、私もあらゆる世帯の第3・五分位と比較するというのは、例えば単身世帯であればその第3・五分位の中にたくさんの相対的貧困とされるような人々を含んでいるので、第3・五分位と比較して高ければ、6割を超えていればいいということでは もちろん なくて、そこは課長がおっしゃったように、全ての世帯類型について第3・五分位が比較対照として世帯類型によっては低所得層を含むので非常に留意が必要であるがというのを入れていただければ ご 懸念は避けられるのではないかと思いますので、そちらの留意事項もあわせて、 紙幅 の制約もあると思いますけれども、入れていただければと思います。
■駒村部会長 阿部委員、お願いします。
■阿部委員 今回の報告書に対する記述について追加していただきたい点は、岩田先生、岡部先生、山田先生がおっしゃったことに私は全く同感いたします。それに加えて、この記述についてが1点と、今後について何点かお話しさせていただければと思います。
記述については、有子世帯のところで、ぎりぎりでの意見提出で申しわけなかったのですが、いろいろ取り入れてくださってありがとうございます。特に26ページで「子どもがいる世帯全体の平均的費用に対応する観点から」というのを入れていただいたのは非常に大きな進歩かなと思います。
その上で、30ページの最後、健全育成のためには生活扶助の本体のところも含めた検討が平均的な値に近づけるといったような、子どもの費用だけでもそういった観点が必要ではないかというところの書きぶり、これは私が言ったのを加えていただいたのですけれども、ここでは、何とかが懸念する意見があったというふうに書いていただき、ほかのところは「適当である」から「考えられる」に変えていただいたのですが、ここは「懸念する意見があった」という、これはかなりマイナー意見ですよみたいな書きぶりではありますので、ここのところが気になるといえば気になるのです。私自身は、これは大きな問題だと思っていますけれども、ほかの委員の総意に比べてどうかということがありますので、ここの記述については部会長にこの後、御判断をお任せしたいと思います。
記述についてはそれだけなのですが、幾つか今後の課題といったことで議事録にも残るように発言させていただきたいのですけれども、1つが、今回、前回からの改定の影響というのはある程度いろいろ見ていただいた結果を載せていただき、さらに詳しく載せるべきだという意見には全く賛成です。それと同時に、私もこの報告書をまとめるという作業は3回目になって、かなり積もってきた改定の影響があるのだろうなと。先ほどの一般世帯に比べて6割がというような意見もあると思いますけれども、そのほかの住宅扶助ですとか加算も全て含めて、生活保護としてどこまでを保障するべきなのかというのが、この10年、15年ぐらいの間でどれぐらい変わってきたかという、かなり長期的な観点での見直しが必要なのではないかと思うのです。ですので、今回の改定で幾ら変わるのか、前回の改定で幾ら変わりましたというだけですと、少しのように見えるかもしれませんけれども、もうちょっと長いスパンで、生活保護といって何を。いわば84年の水準均衡方式はこれでオーケーとしたわけですけれども、そこから比べて今の私たち、20年後、30年後に何を保障しているのかといったところをちゃんと見直す作業をしていただきたいと思いました。
もう一つが、今回、第1・十分位が比較的どうのこうのという議論はもちろんあるのですけれども、モデル世帯では第1・十分位と現行の基準は均衡しているという結論になったのですね。ですけれども、展開したときに世帯によっては大きく変わってしまったのです。実際にはほとんどの世帯で引き下げとなったということで、これは展開の方法が、今までの方法でいいのかという議論を少しするべきだと思うのです。モデル世帯で均衡しているのに展開した後にどうしてほとんどの世帯で引き下げになるのかといった議論です。これは私たちも統計的手法を駆使して、本当に苦労しながら今できるベストなやり方をいろいろ検討した、今まであるやり方を踏襲しながらもやったところですけれども、ここの考え方ですとか、級地ですとか、人員ですとかを全て消費実態に合わせてやっていいのか。それで理論値的な要素が入ってくる部分があるのではないかとか、いろいろ検討し直すべきだなと思いますので、これはぜひ今後の課題とさせていただきます。
ですので、水準均衡をやめるかどうかとか、それだけではなくて展開方式が問題なのではないかというところがあります。
3つ目ですが、子どもの健全育成という言葉が何遍も出てきて、それについては、やはり子どもの貧困対策ということで政府全体としても取り組んでいると思います。その中で、子どもが今、この日本社会において健全に、生まれたところの出身家庭によって大きな不利がつくことのないようにするためには、政府としてトータルパッケージで何を保障するべきかという議論をぜひどこかでやっていただきたいと思います。もちろんそれは生活保護の範疇を超えるものだと思うのです。ですけれども、文科省は恐らく教育のところでやっているかと思いますが、だったら政府のどこでそれをやってくれるのですかといったときに、今この生活保護というのは、ある意味では末端ですけれども、でもそれを真っ当から議論する唯一の場というところはあると思うのです。なので、保護課の中だけの話ではないかもしれませんけれども、トータルで何を。
例えば、子どもの学力が落ち始める生活水準ですとか、子どもの健康状況が悪くなっていく生活水準というのは閾値があるはずなのです。それを求めていくというのは、やはり子どもの健全育成を望むという政府全体の方針としても非常に重要かなと思うのです。その作業をした上で、生活保護をどこまで保障するかというのは議論があるべきかと思いますけれども、もともとの議論がない中で、では第1・十分位と比較したらいいのかとか、では平均と比較したら多過ぎるのか、平均と比較してやるにはどこの費用まで含めればいいのかとか、そういった議論がなされないままに今の生活保護だけで物を考えようとするのは限界があるかなと思います。
なので、長期的な観点ではありますけれども、今、日本政府として子どものためには何を保障するのか。それは教育政策ですとか、医療政策ですとかも含めて議論しなければいけないところで、それをぜひどこかでやっていただきたいなというのが私の望みです。
■駒村部会長 ありがとうございます。
関連していれば、では、岡部 委員 、お願いします。
■岡部委員 30ページの有子世帯の扶助・加算に関して、この中の丸の2つ目です。5の前ですけれども、今、出ました「懸念する意見があった」というのが2カ所にわたって入ってい ます 。これ について 私 は 、前回のときにもお話をしましたけれども、健全育成という考え方を出されたのは非常によい 、 かつ実費で出す費目 にしました ので、これは前進というお話をさせていただきました。
しかしながら、児童養育加算、母子加算については、データからすれば減額という話が出てくるでしょう。しかし、健全育成という観点からすれば、これは後退していることにもな ります。 健全育成という観点を出すならば、児童養育加算、母子加算は、児童手当、児童扶養手当と連動して 創設された 制度でもあります 。その点、 これは考え方の転換ですかということのお話をさせていただいたかと思います が 、この意見として懸念があったということではなくて、理念との照らし合わせで考える必要がある、あるいはその前に健全育成の費用が十分手当てをされないおそれがある 。 阿部委員がおっしゃったけれども、私 も その考え方を持っております 。 これは懸念をする意見ではなく、 課題として 上げていただければよいかと思います 。 皆さんの意見もお聞きしたいと思います。
■駒村部会長 今の点について関連する御意見はありますか。先ほど阿部委員は部会長にお任せすると言われてしまいましたけれども、岡部委員も補足する意見がありました。この点について、ほかの委員はいかがでしょうか。
岩田委員、お願いします。
■岩田部会長代理 今の点と、先ほど課長がおっしゃったいろいろな類型ごとに検証するのは難しいという御意見との2点、よろしいでしょうか。
■駒村部会長 お願いします。
■岩田部会長代理 これまで児童手当と児童扶養手当に連動した形で子ども関係の加算がついてきたのを、今回、健全育成という形で編み直したわけですね。恐らくその一つの 背景 は、比較する一般世帯の中に既に児童手当、児童扶養手当が入っているではないかと、多分そういう御批判があってそこを編み直したということがあると思うのです。これは児童手当に関してはそうかなという気もする一方、児童扶養手当に関しては 、モデル世帯は夫婦と子世帯なので、むしろ扶養手当は入っていない ので、その 批判はあたっていないと思います。ですから、ちょっと懸念があるわけです 。
ただ、今後、そういう手当類をこれまで生活保護は全部収入認定して、 無しにして 、生活保護 加算 でつけてきたわけですね。こういうやり方を今後どうするかという、もうちょっと大きな社会保障の中での生活保護の位置といいますか、そういう問題があるかと思うのです。私個人的には、余り生活保護でごちゃごちゃつけないで、児童手当も児童扶養手当も収入認定から除くほうがいいのではないかという感じもちょっと持っているのです。これは少し行き過ぎた議論 かもしれませんが 、今の岡部委員、阿部委員の御意見をさらに、特に児童育成にかかわる社会保障の整合性といいますか、そういう中で生活保護をどう位置づけるかということも今後の課題としてお考えいただきたいなと思います。
2点目は、先ほどの話を蒸し返すようですが、そしてまた、江戸のかたきを長崎でみたいなのですけれども、私は老齢加算を取ったときのメンバーといいますか、座長をさせられましたので、あのときは、まさに夫婦と子のモデルから展開でやったのですが、加算に関してはじかに 高齢世帯での 丈比べをされてしまったのです。私はそれでずっとうらみを持っていまして、というか、自分自身が後から、展開なのだから加算と展開は違うという感じを非常に強く持ったのです。つまり、何でもかんでも丈比べして、 引き下げ をやって きた経緯がある 。今の保護課にそのことを申し上げるのは恐縮ですけれども、そういう実績があるということと、今回はもともと高齢モデル、老齢モデルと夫婦子1人のモデルをやっていこうということにしましたので、少なくとも高齢夫婦と高齢単身については 、平均の何パーセントに達しているかは、 出していただくのが筋かなと思いますので、よろしくお願いします。
■駒村部会長 先ほどの阿部委員、岡部委員、岩田委員からも、もう少し視野の広い話も出ておりましたけれども、この辺は恐らくほかの委員も、今の岩田 委員 の御解説も含めて御納得いただいていると思いますので、加筆をお願いできればと思います。
それから、今の岩田委員の最後の部分は、先ほどの話に重なっているということで御対応をいただければと思っておりますが、阿部委員から出た累積効果がどうかと いう点です 。ただ、今回の報告書ではその作業はできないわけでありますが、これは現在の扶助の基準の改定方式そのものにかかわる話ですので、今後、政府におかれては議論していただきたい点でありますし、もう一つの展開方式自体を見直しする、あるいは検証しなければいけないのではないかというのが阿部委員からお話があった点。子どもの発展について、より突っ込んだ政府全体での対応をお願いしたいという点。
これは今日この報告書の範囲を超えている部分もあります。非常に重要な指摘でもありますので、この報告書を出すためにこの作業がなければいけないとまでは言えないと思いますけれども、事務局のほうで必要なところは反映していただく。これは後でまた今日の加筆した部分は御発言した委員にも見ていただきたいと思いますけれども、考慮していただきたいと思いますが、今の点、事務局いかがでしょうか。
■鈴木社会・援護局保護課長 ありがとうございます。
まず、30ページの一番下の丸に関する御指摘でございますけれども、ただいまの議論で前段部分は皆様方の総意ということであれば、そのように修正をさせていただきます。
後段は、私どもとしては、先ほどの岩田先生の御指摘とおおむね同じような認識を持っておりまして、そういう意味で、児童手当並びということであればそもそも児童手当をもらっている方の消費と水準を比較している。そういういろいろな指摘があったことから、新たにどういう費用がかかりますというか、追加して必要かということをある意味、積極的に御検証いただいた結果だと思っております。そういう意味では、全く理念と合わせるということになってしまいますと、これはむしろ今回の検証の趣旨と少しそごが出てしまうのではないかということを多少懸念しているところでございます。
阿部委員からございました長期的な課題につきましては、私どもも理解をいたします。特に展開方式のことは、ある意味、水準均衡でやる場合の課題ということですので、修正を検討させていただきます。
■駒村部会長 ほかに委員の方から御発言はいかがでしょうか。あと1時間ぐらいありますが、御発言があれば、栃本委員、お願いします。
■栃本委員 既に各先生方からお話があったわけですけれども、今回、文章の末尾とかを統一していただいたので、それはそれでよかったと思うのですが、例えば28ページのかかり増し費用の部分です。「適当である」というのを「考えられる」という形にしますと、上記の約13万円が、ひとり親世帯が夫婦子1人世帯と同定の生活水準の生活を送るために必要な費用と考えると、その約13万円との差額がひとり親世帯のかかり増し費用と考えられるというような形での「考えられる」という使い方と 意味になってしまいます。 これは要するにかかり増し費用として考えられるということを書いているだけの形に読めてしまいますね。だから、そこら辺をもう一度、部会長のもとで。もう少し丁寧にしないと いけないと思います。
ぎりぎりラインでいろいろ判断されるでしょうけれども、どうしても最後の部分を「考えられる」に 統一 してしまっている と伝わらない。 もう少し丁寧に見ないと。
あと、「考えられる」という表現は、be able toという形になりますね。可能性として考えられるというのと、be able toとして解釈されてしまったら、なぜ適当であるとかそういうことを重ねて議論したかというと、展開の方法であるとかさまざまな制約のもとで最大限こういうことについて留意しなければいけないよ、これはやはり出さなければいけないなと。基本的に決められるのは行政のほうですけれども、この部会としては、そういうことについてかなり強く議論したし、また、その経緯については、先ほど阿部先生からもありましたけれども、また、ほかの委員、山田先生からもありまして、私も前回申し上げたように、前回の議事録、資料も全部読んだと申し上げましたけれども、その部分は簡略化しているというか、ほとんど触れずに書いている部分があるのです。ただ、いろいろ議論した上で「適当である」と考えた部分があるから、その部分を少しきちんともう一度見直していただきたいということです。
もう一つは、先ほど多くの委員から指摘がありましたけれども、20ページの参考のグラフがあるところの上の「なお」で、これは山田委員から詳しくお話がありましたけれども、前回の報告書との比較で御指摘がありました。ここで「留意が必要である」と書いてあるのですけれども、ここの部分の指摘の組み立ては、もう少し19ページとか18ページを見たらわかりますように、大項目、中項目、小項目で言いますと、1と2を総合的に勘案した場合の基準額の水準ということで夫婦子1人世帯から展開した各類型別の生活扶助基準額でアとなっていて、次がイで1の実データと2の回帰分析との比較という中で幾つか丸がついていまして、それで実データと回帰分析が書いてあって、なお書きでこういう形で組み立てられているということですね。
ただ、私は、先ほど来も議論がありましたように、25ページのところに、この25ページは24ページからの続きですので「(3)新たな検証手法の開発について」という項目の中でア、イとなっていて、イの前のところに「一般低所得世帯との均衡のみで生活保護基準の水準を捉えていると、比較する消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念があることから、これ以上下回ってはならないという水準の設定についても考える必要がある」と書いてありますね。この部分は、一応、新しい検証手法の開発についてというところでの書きぶりというか、挿入している部分なのですね。ただ、我々の議論とかを踏まえるなら、繰り返しになりますけれども、先ほどの20ページのところに書くのはいいのです。ただ、それと同時に我々としたら、先ほど岩田委員からも話がありましたし、均衡と格差縮小ということも議論があったわけですから、25ページの設定についても考える必要があるというところの間に再度というか、この6割、5割問題というものを書くべきだと私は思います。
それと同時に、今回、参考資料として出ているところには載せないで、これはほかの委員からも指摘があったかもしれないけれども、むしろ前回の審議会のところを参考にしなさいという形で文中で前回資料参照という形になっているのですが、前回資料参照だと前回資料ということになってしまうから、この間の審議会で指摘したこと、つまり表をつくるのだったら完成バージョンというお話だと思うのです。それらも含めて後ろのほうに資料としてつくられたほうがよろしいのではないかと私は思います。
最後に、これは日本語のこと 、文章の形ということですが、 21 ページの「検証結果に対する留意事項」ということで、今まで指摘はなかったのですけれども、「今回の検証手法は、一つの透明性の高い一つの妥当な手法である一方、これまでの検証方法との継続性、整合性にも配慮したものであることから、これが唯一の手法というものではない」という書き方になってしまったのです。それの具体的な説明は、それ以下に書かれているのです。また、継続性と整合性に配慮したものということはこの報告書の中でずっと出てきますね。そういうことを考えたら、むしろ「手法である一方、これまでの検証方法との継続性、整合性に配慮したものである」で丸にしてしまったほうがいいと思います。なおかつ、唯一のものではないというのは、この新しい検証方法について考えなければいけないというのは全員お話しされているわけですから、それは21ページ以降のところでちゃんと書かれていますから、むしろ逆に、これが「唯一の手法というものではない」というのを除いたほうが、より適切な認識を持っていただく、また、この報告書の持つ意味をきちんと明らかにするということになると思うのです。
それと、これは非常に日本語的で、一つの、一つの、一方、唯一というの が連続で出すぎている文章です。そのような意味でも 、前回言いませんでしたけれども、これはちょっと本当に。気持ちはよくわかるのですけれども、最後の「ものである」で丸にしたほうがきちんとすっきりして、なおかつ、言おうとしていることを消すことでは全くありませんので、そのほうがいいと私は考えました。
以上です。
■駒村部会長 今、幾つか大事な指摘があったわけです。まず、今の栃本委員のお話で確認したいところは、20ページの最後のなお書きからのこの記述は、動かすというよりは、再掲しろという意味ですね。動かすという意味ではなくて、再掲したほうがいい。それから、必要な資料は載せておくようにと いう趣旨ですか 。
■栃本委員 特に文法作法上、なお書きで書くのと主文で書くのと重みが違いますね。あと、検証方法についてのなお書きのところでちょこっと触れる。ちょこっとではないのでしょうけれども、触れるというのと、後ろのほうで、今、部会長がお話ししてくださいましたように、そういうところでこういう観点からというのはまた別の意味がありますので、繰り返しになりますけれども、それは必要だと思います。
もう一つは、前後関係で文章を読むということを、我々はコンテクストで読むわけですから、例えば先ほど申し上げた25ページです。ここでは絶対的な水準を割ってしまう懸念があるよと、本当のことを言えばこれは本質論ですね。これは検証手法の開発どころではなくて、これは本当に、それを我々は全員懸念していることだからね。だけれども、一応検証方法のところに入れたらどうかと言いましたけれども、その上で問題は、「考える必要がある」となっていて、「このことは、生活保護基準を指標として一般低所得世帯の消費水準の改善が図られる効果も期待される」という形で、文脈上読むと矮小化される 。 そういうことに後ろの文章から前を見るという形で日本語は読みますよ。そうすると、そういうつもりはなかったとしても、やはり「このことは」というふうにつなげてしまうと、このためにみたいな形で読めてしまうのです。だから、細かいですけれども、そこら辺は丁寧に、先ほど来各委員の方々が、国民の方がごらんになるということでもあります。また、専門家の方はもちろんごらんになると思います。ということで、後ろの「このことは」というのは、つながりを考えると、そこら辺はよく部会長のもとで最終的にはお願いしたいと思います。
■駒村部会長 大変難しいので、むしろ具体的に御意見をいただいたほうがいいと思うのですけれども、ただ、おっしゃるとおり、この書き方は恐らく前回、小塩先生がおっしゃった部分を踏まえたと思うのですが、それを知らないでここだけを読むと多義的にとれてしまうかもしれないということで、まだ終わりまで少し時間がありますから、その間で栃本先生のほうから少し表現ぶりのアイデアをいただければなと思います。
もう一つ、これはお話を聞いていてとても大事な点だと思ったのは、28ページの「適当である」が「考えられる」に変わったことによって文意が大きく変わってしまうのではないかと、かえって弱くなってしまうのではないかという報告書の表現上の課題と、むしろ、先ほど栃本委員がおっしゃったひとり親のかかり増し費用として母子加算を位置づけるというふうに母子加算の根拠をここで明確にしたほうがいいですよということですね。
この「適当である」と「考えられる」の表記変更の議論は、前回、阿部委員からお話があって、これ以外に「適当である」を「考えられる」に変えた部分はほかにありましたか。一応念のためにそこをチェックして、もし今の栃本委員のような意味で「適当である」というほうが本当に望ましいのであればもとに戻したほうがいいということもありますので、「適当である」という言葉を事務局で変えていたのはほかにもありますか。お願いします。
■鈴木社会・援護局保護課長 その後も、教育扶助及び高等学校等就学費に関しまして、29ページの検証結果のところ、まず基準額部分の語尾、それから学習支援費の語尾、入学準備金の語尾、入学考査料の複数回の語尾を修正いたしております。
■駒村部会長 阿部 委員 、今、御指名しますので 少し 待ってください。
行政用語というのはちょっと難しくて、「適当である」と「考えられる」とどう読み分ければいいかというのはあると思うのですけれども、多分、その辺も含めて、お願いいたします。
■阿部委員 私は適当であると思っていないので、前回、「適当である」と書くことについては反対したということです。というのは、このように提示されて掲載したらこうなりましたねという結果を見ましたけれども、これが一番これのベストなやり方かどうかということについて深い議論をしていないと思います。先週出されて、こういう結果をしたらこういうふうになりましたと。それでやるのは、なので「適当である」と書くのは、私は適切ではないと。「考えられる」を、本当はもっと「こうなった」というだけにしていただきたいということはありますけれども、そこは譲って「考えられる」でもいいですというふうに言っているところです。
■駒村部会長 栃本委員。
■栃本委員 そのことは全部について「適当である」というものを、全てにわたって「考えられる」ということを求めたのですか。
■駒村部会長 阿部委員、お願いします。
■阿部委員 違います。有子加算の母子加算の検証のところと、教育扶助のところで現物支給にするかというところと学習支援費のところです。この3ページぐらいです。
入学準備金については、私はこれは異論は申していませんので、これは「適当である」で結構です。
■駒村部会長 ここは戻すのですね。
■阿部委員 あと、高校の就学費用のところもです。
■駒村部会長 済みません。ちょっと大事な点なので確認しましょう。ここは戻す。そんなところですか。
■阿部委員 以上です。加算の検証のところは「適当である」ではなくて「考えられる」にしていただきたいと思います。
■駒村部会長 余り部会長が踏み込むこともできないのですけれども、ほかの委員からこの辺で何かありますか。
私が理解しているのは、金額 については議論 はあるものの、母子加算ということについては、母子 世帯 ゆえ に生活 に負荷がかかっている部分をどのように評価するかというのは大変迷って、ぴちっとしたベストな方法というのは、世帯構造ゆえの負担というのは見つけることがなかなか難しかった。その議論の中で今回の方法でこれを母子加算の根拠として考えましょうというアイデアが出てきたのだろうと思います。ただ、それが本当にベストな方法であるかどうかはわからないですけれども、一つの根拠として評価したという理解をしていたのです。
どうぞ。
■阿部委員 ひとり親世帯のかかり増し費用を母子加算と考えるという、このことについては既に書かれていることですし、それについて異論を申しているのではなくて、この計算方法で計算した上記の約13万円がと金額まで書かれているのですね。ひとり親世帯が同程度の生活水準を送るために必要な費用と考えるとという、ここまでピンポイントでこのやり方で計算して、この13万円というのが適当であるかどうかということについては、私はまだそこまで議論はしていないと思います。
このやり方しかなくて、この役割でやったらこうなりましたと書かれるのは、それはほかのところもそうですけれども、それは構わないといいますか、そうせざるを得ないと思います。ですけれども、それが適当であるかどうかというのはまた別の議論かなと。ちょっとそれは踏み込み過ぎかなと思います。
■駒村部会長 栃本委員は恐らく「考えられる」という言葉にすることによって、むしろ母子加算としての根拠が弱まってしまうことを留意されているので、多分この「適当である」というのは、恐らく政府報告書の中では、望ましいとか普通に使われている意味とは違う意味合いがあるということでおっしゃっているのだろうと思うのです。
この「適当である」という表現は、やはり譲れないということで、ここはどうしましょうか。栃本委員、何かいいアイデアを終わりまでに考えておいてもらえますか。
■栃本委員 はい。
■駒村部会長 あともう 一つ は、栃本委員からお話があって、これも重要なのかなと。21ページの「唯一の手法というものではない」という言葉は削除したほうがよいということですね。最後ですから、これも重要な点だと思いますので、これは前回もこういう表現をして、さまざまなアプローチでトライをしているということで、これまでの継続性も整合性も含めてさまざまな方法でトライをしてきた試行錯誤の結果なのだということで前回も今回も入っているということですけれども、栃本委員から、これは取るべきではないかという御発言でしたが、ほかの委員はいかがでしょうか。
お願いします。
■阿部委員 前回のときもそうだったと思うのですけれども、こういう書き方をしているのは、その後に出てくるさまざまな、例えば水準均衡方式ではなくて積み上げ方式だとか、そういったいろいろな方法もある中でこれをやっているのだよという意味で、これが唯一の方法ではないと書かれているのだと思います。ですので、このやり方が万全ではないのだよということを書く必要はあり、それを強調するためにはあってもいいのではないかと思いますし、前回との整合性を図るという意味ではいいのではないかと。
■駒村部会長 もう一度、栃本委員。
■栃本委員 むしろ後ろのほうに入念に書かれているのです。そのことを申し上げているのです。
■駒村部会長 栃本委員、先ほど発言だったと思いますが、どこでそこを読み取ろうという意図でいいですか。確認させてください。
■栃本委員 唯一の手法でないからこそ、一定の限界があるということ。そして、機械的に当てはめることがないようにということ。それと、そのずっと後に来て、今後の検証に向けた課題というところの中でも、最終的には24ページにつながる形で「新たな検証手法の開発について」ということが書かれているわけです。これらは全て、要するに今回のことが唯一のものではないということを明らかにしている。
私は、例えば文章を2つに分けて「したものである」で丸にして、「したがって」ということはあるかもしれないけれども、いずれにせよ、つなげてこういう形で書くのは余りよくないと思いますよ。
それと、唯一の検証だということを申し上げているわけでもないし、後ろのほうできちんと読まれれば、そのことはむしろ明確なので、最初の入り口のところでこういう書き方というのは文章上どうなのかなということです。
■駒村部会長 どう書きますかね。この場でなかなかいい表現ぶりがすぐには出てこないわけで、両委員、言っていることは同じことであろうと思うのですけれども、書き方の問題、表現方法の問題ということで対立的な話ではないと思うのです。申しわけない、ここはこの文意がきちんと残るように、しかし、場所も含めて、少し私のほうで預からせてください。
栃本委員にお願いしていた先ほどの適当というところをお願いします。
■栃本委員 まずは適当ではないほうで、仮に25ページの先ほど申し上げた一般低所得世帯との均衡のみで生活保護基準の水準を捉えてしまうと、比較する消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念があるということは前回、数日前のことでも議論がなされたし、これは本質的なことですね。懸念があることから、これ以上下回ってはならないという水準の設定についても考える必要があるということで、水準を割ってしまう懸念があることは、既に、前のところですね。既にというのは先ほどの20ページで述べたところであるとか、あとはもう一つ、附属資料にあるようにということを書き加えればいいと思います。
■駒村部会長 その後の「このことは」からは、それでいけますか。
■栃本委員 「このことは」だと、いけないですね。「なお」ですね。
■駒村部会長 「なお」 ですか 。
■山田委員 「このことにより」。
■栃本委員 はい。「このことにより」。
■駒村部会長 ここは一語一句大事な点ですから。
■栃本委員 やはり歴史に残るからきちんとしておかなければいけないのだ。あと、繰り返しになるけれども、表も36回参照という形ではないほうが、きちんとした表をつくったということで、後できちんと 歴史的に文書として 耐え得るものにしなければいけないから、それはきちんとされたほうがいいと思うのです。
■駒村部会長 済みません。傍聴の方も皆さん含めて、 「てにをは」まで 議論しているように見えますが、とても大事な点で、意味が変わってきてしまうところは大変丁寧にやらなければいけないと思います。
適当のほうはいかがでしょうか。
■栃本委員 それは適当にというわけにはいかないですね。先ほど、私は全てを機械的に「適当である」を「考えられる」にしてしまうと、前後の関係とかその前の文章からいって注意しなければいけないよということと、可能性としてこういうことが考えられるという形になってしまうと、もちろん審議会の委員の間で多様な意見があり、議論もなされたところですので、これは違うよということもあるでしょう。しかしながら、やはり今回、かかり増し費用というものがきちんと存在すると。ともすれば、子どもの貧困、貧困の連鎖ということは社会が注目し、なおかつ最も極めて我が国にとって重要な課題でありますので、それについて言及することは重要ですけれども、その一方で、前回申し上げたように、母子家庭というのは母親と子どもという世帯の中で暮らしているわけでして、その中で今回、審議会の委員の先生方にしていただいたように、新たなある種のセオリーというか、そういうものに基づいて算出してみると、こういう形のものがやはりあるよなと。それが決定打ではありませんけれども、やはり無理して母親のほうの支出を我慢したり押さえ込んでいることがあるということは理論上というか、考えられるというものを載せている部分ですから 重要です。 その上で、「適当である」ということは別にこだわりません。ただ、かかり増し費用として想定されるとか、そこら辺の文章を前回話したと思うのです。最終的には「考えられる」でいいですよ。適当であるとか適切であるとしなくてもいいですから、そこはアクセントをつけていただきたい。
それと、阿部先生が話された、この部分は「考えられる」ではなくてもいいですよという部分がありますので、そこら辺はもう一度、既に口頭で説明をなされましたけれども、その部分を直していただければいいと思います。
■駒村部会長 では、ここも「評価する」の後をどういう語尾にするか、御両者の意見を考慮して後でまとめて事務局に私のほうから御相談するしかないのかなと思いました。
阿部委員の御指摘の意味もよくわかる一方で、阿部委員は、かかり増し費用を母子加算として評価することはいいのだけれども、この方法で出てきた金額がいいかどうかまでは言っていないということですね。だから「適当である」とは言わないということですね。
栃本委員は、こういう方法で母子加算を評価したと。これは金額の話というよりは、そのアプローチをちゃんと確認して、そのアプローチは一つの選択肢として、現時点でいいのではないかと思っていると。そのことによって母子加算の根拠がより明確になったからということだと思うのです。
■阿部委員 その御趣旨であれば、母子加算の検証方法のところに、母子加算についてはひとり親世帯としてのかかり増し費用を、ふたり親世帯との消費実態の差を検証することによってというのをもうちょっと丁寧に書いて、最後の28ページの丸のところは検証結果の数字のことを言っているのだと思うのです。この13万円ということを言っているのが適当であるというのが結局主語だと思うのです。なので、そこはやはり適当ではないと私は思いますので、「考えられる」にとどめていただきたいと思いますが、それでいかがでしょうか。
■栃本委員 阿部先生が話された具体的な数字で13万とかそういうのをばしっと数字が出てしまっているということで、そのことを適当だということでの御懸念は非常によくわかりました。それは本当におっしゃる部分があると思います。また、今回はとにかく、本当は出すべきものが出されない状態になっていることを明らかにしたというのは極めて重要なので、そこの部分は強調していただきたいなということだけです。
■駒村部会長 では、そういう位置づけになるように、最後、引き取りたいと思います。
ほかに委員のほうから御発言はありますか。
岩田委員、お願いします。
■岩田部会長代理 今いろいろな御意見があったので、つい読み直してしまったものですから、またごちゃごちゃ言って恐縮ですが、24ページから25ページにかけて新たな検証手法の開発についてということで、水準均衡の課題があって、次に新たな検証方法の開発があるのですけれども、25ページのイの2つの丸は両方とも 全国消費実態調査 のデータ分析の課題、あるいはデータ分析から得られた結果がというふうに引っ張っていますが、余り引っ張らなくてもいいのではないかという感じがしなくもないですね。つまり、23ページに 全国消費実態調査 データの検証手法についてということでかなり書いてありますので、ここはもう水準均衡とは違う検証方法が中心になりますので、そこをはっきり、水準均衡に留意する一方で最低生活水準を仮に、今回は一部エンゲル方式を使っていますけれども、もともと水準均衡というのはエンゲル方式による格差縮小の延長に出てきているものなので、それを使うという方法は今後もあると思うのです。
その前提として、 全国消費実態調査 のデータ分析の限界ということももちろんあるのですけれども、それは書いてあるので、私の感じでは、このデータ分析をしてみると、もう限界だなという感じがするのです。今の 全国消費実態調査 の個票を見ますと、五十分位で分けて高いほう、2つ、3つの階層の消費水準がべらぼうに高いのです。それ以外はぐっと低くなるのですね。低くなったのがだんだん低くなって、最後にがくっと落ちるわけですけれども、そして、インフレではないと。つまり、格差縮小、水準均衡に向かっていった時代の、インフレを前提として生活保護だけが非常に低かった時代とは全然違う構造の中にあるということをむしろ書いたほうがよかったかなと。
でも、今さらなので、 全国消費実態調査 データの分析の限界とか問題点というのは前に書いてあるので、ここでは新たな検証手法ということで、水準均衡を考慮しつつも違う検証方法を加味していくという意味で、エンゲル方式とか食費自体を理論的に積み上げるとか、そういうことでいいのではないかと。
■駒村部会長 重複のような部分はむしろ削ることによって文意がよりシャープになるという御指摘だったと思いますので、データの課題は既に前に書いてあるということで、新しい検証あるいはアレンジについての部分だということが明確になるように、この部分は整理してくださいということだと思いますので、事務局のほうでは今のを。いずれにしても、各委員の触れた部分については見ていただき、なかなかまとまらなかったところは私のほうで引き取りますけれども、そのような形にしたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
栃本委員、お願いします。
■栃本委員 既に前回、それ以外のときも議論されて、今日もそうだったと思うのですけれども、そもそも我が国は相対的貧困率が高い。相対的貧困率が高くて、なおかつ65歳以上の人の割合が高い。相対的貧困率は言うまでもなくフローで見ますので、したがって、そういった場合、従来から議論されているように第何分位、第1、第3とかそういう形で見た場合、そのもたらすことというのは結局、低位安定という形になりますね。つまり、相対的貧困率が高くて、それはいろいろな要因があるわけだけれども、フローで見る限りは、65歳以上の人 のボリュームゾーンが きいてきて、多分、さらにこれからきいてきますね。まさに従来から議論されているように、そういう場合の比較すべき世帯というものをここで書かれていますけれども、再度強調しておくことはとても重要だと思いますし、全委員が本当にそう思っていると思うのです。だから、改めてそれは申し上げたいということです。
■駒村部会長 私もまとめで言いたかった部分でありますけれども、社会構造の変化が今の岩田先生の御指摘にあった80年代とは随分変わっているわけですから、その時代時代に合った検証方法を考えていかないと、漫然と過去の方法でいいのだということではない。ただ、それは恐らく新しい 考え方も必要になると思います。 あるいは修正するにしても国民の合意も必要だと思いますから、かなり難しい作業だと思いますけれども、データ面でも検証方法面でも限界が来ているのだということは、多くの委員がおっしゃっていたのではないかと思います。
この点について、ほかにいかがでしょうか。
岡部委員、お願いします。
■岡部委員 栃本委員がその発言をしていただいたので、私も 少し 発言をさせていただきます。
まず、24ページの「(3)新たな検証手法の開発について」の中で水準均衡方式の課題について書いていただいたことは、私としても、非常にありがたいと考えております。
水準均衡方式は、先ほどもちょっとお話をしましたけれども、第1・十分位と格差縮小方式 から 第3・五分位という ことで 、国民生活の均衡と生活保護基準をどこに設定するかということを考えてき まし た が、この方式は 制度疲労 を起こしており、 基準の 算定 方式の見直し を 早急にしなければいけないと考えます。
その上で、先ほど山田委員が前回の報告書のことを挙げられました が 、今からぜひこのところだけは少し書き加えていただけるならばしていただきたい。といいますのは、基準部会では生活扶助基準の検討を中心に今回やっていただきましたけれども、それは生活保護の生活扶助の基準ということもあ ります が、国民の最低限の生活を保障する社会保障制度の中の根幹を成していると考えます。そうしますと、別の観点からしますと、本制度があることによって国民が安心して働き、 納税をし、 生活をしているということがありますので、その中で生活扶助基準の検討を中心にやっていただ き 、また、教育扶助、生業扶助ということを検討していただいた 。 これは相当国民が注視している、かつ、これがあるから 私たち の生活は 守られている のだということをここで検討していることがあると思います。
最低生活の保障というナショナルミニマムの保障以外に、生活保護は、ここにいらっしゃる皆さん は 、富の偏りを是正するという所得の再分配政策の中で、税もあります が 、生活保護制度 は 一番再分配効果が高い制度でもあ ります 。そういうこと から 、こういう状態、非常に 生活が 困難になったときには国家が手を差し伸べる制度であるという配慮をどこまでしているのか。それが生活保護の基準 に現れて いるということがあ りますの で、私 も 、皆さんも同じように、この報告書の持っている意味合いは相当インパクトがあると考えております。
そう考えたときに、前回の報告書の中に生活保護の目的を書いてい ます 。そこの生活保護法の目的と基準部会の役割というものが前回の報告書、平成25年のところでいくと「今回の検証法に至る経緯と今回の部会の役割」ということで書かれてい ます。 今、栃本委員がちょっとおっしゃいましたが、この中でこういう文言が入ってい ます 。生活保護法の目的は最低限度の生活を保障することとともに、自立を助長することを目的としている。これは生活保護法の第1条です。その生活扶助基準の水準は、その時々の経済的・文化的な生活状況や国民の社会通念などの影響を受けるものであると。また、現在、生活扶助基準額の設定に当たっては水準均衡方式が採用されていることから、その水準は国民の消費実態との関係で相対的に決まるものと認識されていると。
そうしますと、相対的な貧困の尺度として、第1・十分位というもので比較をする。そうなったときに、先ほど、よく書き込んでいただきましたというお話をしたときに、一般低所得層との均衡のみで生活保護基準の水準を捉えると、比較する消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念があることから、これ以上下回ってはならない水準の設定についても考える 必要 がある 。 その ことについて いろいろな箇所で書いてい ます 。 そのため、 そういう意味で 、生活保護制度や基準部会 の役割と、今回 も 前回と基本的に同じ 内容 にする。そういう文言を、できましたならば、この基準部会の中のローマ数字の2の「これまでの基準見直しによる影響の把握」の丸の一番上ぐらいのところに、基本的には変わっていないと思 いますので、 そ れを 入れていただくと、とりわけ見直しの必要 や 、開発も出てくるのではないか。追加が可能であれば入れていただくと、部会の性格がよりクリアになるのではないかと 考え ます。
■駒村部会長 わかりました。
前回と確かにちょっと違う部分があって、前回はこの前段部分できちんとこの部会の役割、目標、哲学的な部分があるのだけれども、今回はいきなり技術的な部分から記述が始まっているということですので、この初めの部分に今後の見直しや課題が出てくるということも中に含まれていますので、やはり国民に広くこの問題、課題について関心を持ってもらいたいと。
今、岡部委員や栃本委員がおっしゃったように、生存権を現実化している制度そのもの、国民の最後のセーフティーネットそのものであるわけです。受給している人からしていない人まで関係なく、国民全員が、いざとなれば 、 ここ 場 にいる 委員や行政の人 みんなが使うかもしれない制度であって、国民のセーフティーネットとしての公共財であるわけですから、まず最初に その理念を 挙げて、そういう性格のものであるということで水準そのものも、その時代その時代の国民のコンセンサスもあるだろうということを踏まえて、広く議論を共有してもらいたいという始まりについて入れていただく。こういう趣旨で引き取らせていただきます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。意見はございますか。
それでは、質疑が出尽くしたようです。委員の皆様の今日の御発言と、あと私のほうで預からせていただいているものを反映した形で、皆さんの御質問については事務局から確認をさせていただくと思いますけれども、一部私のほうで預からせていただいている部分もありますけれども、それを前提して、この報告案で取りまとめていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ほかの委員の方、よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
■駒村部会長 それでは、そのようにさせていただき、今、修正を受けた報告書については、まとまり次第、事務局から御公表させていただきたいと思います。
今後の予定について、事務局から御報告いただけますか。
■鈴木社会・援護局保護課長 どうもありがとうございました。
ただいま部会長からございましたように、修正の内容につきましては、部会長と御相談し、また委員の皆様と確認もさせていただきながら確定をしてまいりたいと思います。
なお、確定したものにつきましては、ホームページなどで公表させていただきたいと思います。
終了に当たりまして、審議官の八神より御挨拶を申し上げたいと思います。
■八神大臣官房審議官 局長の定塚が今ちょっと席を外して戻りませんので、私から御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。
今回の生活保護基準部会の報告書の取りまとめに当たりまして、御礼を申し上げたいと存じます。今回、検証を行っていただきました生活扶助基準と有子世帯の扶助加算という2つの主なテーマにつきまして、昨年5月から多くの時間をかけて大変充実した実りのある御議論を賜りました。委員の先生方におかれましては、さまざまな論点につきまして精力的に御議論いただき、心より感謝申し上げます。
特に駒村部会長におかれましては、私ども事務局で行き届かない点も多々あったかと思いますが、部会の円滑な運営に大変御尽力いただき、まことにありがとうございました。
今後、基準の見直しに当たりまして、報告書について留意事項も考慮し、政府として検討をしてまいりたいと考えております。
今回の基準部会での議論はこれで一区切りを迎えることになりますが、積み残された課題も多々ございますし、今後とも基準部会においてさまざま御議論をお願いしたいと存じます。
引き続き、先生方にはさまざまな場面で御指導、御鞭撻、御意見を賜りますようお願いを申し上げまして、御礼の御挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
■駒村部会長 ありがとうございます。
それでは、私のほうからもまとめで一言申し上げたいと思います。
部会長として至らぬところもたくさんあったと思います。また、 委員の皆様には 大変難しい議論に御協力いただきまして、悩ましい部分もあったと思います。大変ありがとうございます。
今回の報告書は、現在の水準均衡方式の考え方に基づいて 、あくまでも消費データを 統計的に検証した結果であるということです。これを生活保護 制度 に実際に適用する場合には、今日も御報告の中で議論があったように大いに留意事項があるという点について政府は承知していただき、過度な給付の変更につながらないように十分な配慮をしていただきたいと思います。 先ほども申し上げたように、生活保護制度は、生存権を具体化する仕組みであり、すべての国民のセーフティーネットであり、国民が安心して暮らす制度として、社会を安定化させる公共財のような性格を持ちます。そして、本日、参加いただいている委員、事務局、傍聴者も含めて、すべての人が当事者となる可能性のある制度です。
本日 の議論でもありましたように、 今後、 格差 拡大 や貧困、デフレ、高齢化の影響を受けることによって 、低所得者層や中間層の所得や消費動向によっては、現在の水準均衡方式による扶助の基準がより 下方方向に吸い寄せられていく不安があります。水準均衡方式は30年にわたって一つの考え方として定着したものであって、これを変更するのはなかなか難しい作業だと思います。しかしながら、今日の議論にもありましたように、経済、社会の環境の変化に応じて国民のコンセンサスも得られるような新しい考え方を模索していく責務 が政府そして社会全体にあります 。
この報告書取りまとめ後においても、政府におかれましては、直ちに新しい扶助の考え方 や 検証方法 、データ について議論を開始してほしいと思います。
現在、経済動向を見ると、人手不足や株価の上昇もあり、一見改善方向には見えますが、今後は非正規労働者の比率の高い団塊ジュニア が 中高年に さしかかります。 仮に5年置きにこういう 生活保護基準の 検証を続けていくということになると 、次回は2020年過ぎになりますが、その頃には 、非正規労働者の割合が多い団塊ジュニアの世代も50代に突入し、生活不安が高まると思います。
年金制度の給付の見直しも今後続いていくと思いますし、雇用の不安定化、年金給付 や 他の社会保障制度の 給付抑制の歪みを 生活保護制度のみで 引き受け続ける というのは大変負荷が大きいと思います。 政府におかれては 従来の形での生活保護で進めていくには あまりにも 大きな負荷がかかっているということを認識していただいて、雇用面では失業給付や最低賃金、年金面では 特に 基礎年金のあり方、家族給付面では児童 手当、児童扶養 手当などの点から、より充実をお願いできればと思っております。
いずれも厚労省の部局が担当している政策でありますので、部局単位ではなく、制度横断的に生活保護に過度の負担がかからないように賃金や所得保障で、各種制度の所得保障が 本体 保障すべき最低水準はどういうものであるのかということも含めて、高齢化社会の中における社会保障のひずみを生活保護制度のみが引き受けることにならないように、部局横断的な 議論 、あるいは今日は 子育て支援 の話もありましたけれども、政府 全体で 横断的な議論を直ちに開始してほしいと思います。
最後に、昨年5月より大変精力的に御議論いただきました委員の皆様に改めてお礼を申し上げて、今日の会合を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
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