ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成29年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会> 平成29年度 第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録(2017年11月13日)




2017年11月13日 平成29年度 第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成29年11月13日(月)13:30~16:24


○場所

労働委員会会館 612会議室(6階)


○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより平成29年度第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を開催いたします。委員の出席状況ですが、田中委員からは、欠席との御連絡を頂いております。また、特別参集者として、櫻井委員、圓藤委員、清水委員に御参画いただいておりますが、圓藤委員から欠席との御連絡を頂いております。なお、本日は一部非公開のヒアリングを予定しておりますが、その際、関係者以外の退室をお願いいたします。

 それでは、以下の議事進行については、小野座長にお願いいたします。

○小野座長 よろしくお願いいたします。それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料の確認をいたします。本日、委員の資料については、左上1点留めの資料と、紙ファイル一式、また、傍聴者の皆様におかれましては、左上1点留めの資料を御用意させていただいております。それでは、資料の関係から説明をいたします。資料1-1、日本化粧品工業連合会提出資料が125ページ、資料1-2は机上配布になります。日本化粧品工業連合会提出の調査票(抜粋)120ページです。資料1-3、日本化粧品工業連合会提出参考資料、右上のページで、191ページと振られている資料です。以上が、本日、公開での資料ということになります。引き続いて、資料2、資料3は机上配布のみです。資料2-1、一般社団法人日本溶接協会提出資料は113ページ、資料2-2、一般社団法人日本溶接協会提出調査票は17ページ、資料3-1、一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会提出資料は127ページ、資料3-2、一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会追加資料は113ページ、資料3-3、一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会提出調査票は、115ページとなっております。

 次に、参考資料です。委員におかれましては紙ファイルで配布しております。参考資料1、参考資料2、参考資料3-1、参考資料3-2、参考資料4-1、参考資料4-2、参考資料5、参考資料6のそれぞれの資料を仕切紙を入れて区別しております。傍聴者向けの資料ですが、参考資料3-1、抜粋版は19ページ、参考資料4-1、リスク評価(酸化チタン(ローマ数字の4)(ナノ粒子を除く))抜粋版は18ページ、さらに、参考資料6、健康障害防止措置の検討シートを入れております。以上、資料に不備等がありましたら、事務局までお申し付けください。

○小野座長 資料のほうはよろしいでしょうか。それでは、本日の議題に移ります。酸化チタンに係る健康障害の防止措置の検討について議論を進めるに当たって、前回に引き続き、各団体からのヒアリングを行うことといたします。本日の検討会では、一般社団法人日本化粧品工業連合会から公開ヒアリングを行います。休憩を挟んで、一般社団法人日本溶接協会、続いて、一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会の順に、こちらは非公開でのヒアリングを実施いたします。それでは、日本化粧品工業連合会から、御説明をお願いいたします。

 

(「一般社団法人日本化粧品工業連合会」)

○日本化粧品工業連合会 私は、日本化粧品工業連合会の安全化学部長をしております畑尾と申します。よろしくお願いいたします。本日は、お時間を取っていただきまして、どうもありがとうございます。検討会の先生方におかれましては、余り化粧品になじみのない方も多いのではないかと思います。本日の説明の流れとしては、まずは化粧品産業についてということと、化粧品というのは、医薬品医療機器等法によって規制されているものですので、これまでの流れを簡単にまとめたものと、それから、化粧品と、酸化チタンの関わり合いというものがどういうものかということを、まず一般的な知識としてお話させていただきます。その後、化粧品産業の中における酸化チタンを使っている一般的な製造工程、ここが多分、規制の対象として考えていらっしゃるところだと思いますので、ごく一般的なものを、2つ例を挙げて、簡単に説明させていただきます。その後、そこの化粧品製造現場において実際に酸化チタンのばく露を、中央労働災害防止協会の御協力のもと測定いたしましたので、そのサマリーだけを御報告いたします。もう1つは、既に提出しておりますが、厚労省のアンケートの回収結果についても、抜粋版として御報告いたします。それでは、順番に、最初は化粧品産業です。

 化粧品というのは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等を規制している医薬品医療機器等法によって定められた定義によって様々なものがあるのですが、例えば化粧水、乳液、クリーム、口紅、ファンデーション、アイシャドー、シャンプー、日やけ止め等のほか、石鹸や一部の歯磨きが化粧品に含まれます。このうち、日やけ止めというのは、アメリカでは化粧品ではなくてOTC医薬品として扱われています。これは、日やけ止めが皮膚がんの予防に効くという観点からの扱いです。

 それから、医薬品医療機器等法に基づく化粧品製造販売業者、これは化粧品そのものの消費者に対する第一義的に責任を持つ業者ですが、これが全国に約3,500社、一部、ダブりがありますが、それ以外に化粧品の製造業者が3,500社あります。この全体の中から、日本化粧品工業連合会の会員の企業というのは、今年41日現在で、1,197社あります。それから、化粧品の工場出荷額は、日本の市場ですが、約15,000億円、作年ベースです。昨年の輸出金額は2,676億円、輸入金額は2,292億円という、輸出のほうがやや超過している状態です。

 次に、医薬品医療機器等法による化粧品の規制についてです。化粧品というのは、以前は、昭和35年から平成133月までは、化粧品の製造・輸入を行うに当たっては、品目ごとに、例えば○○○クリームや△△△口紅というものを申請して、厚生労働大臣による許可が必要でした。この際には、配合原料名、配合量及び配合原料の規格の提出が必要でした。新規の原料については、安全性データも出すということになっておりました。

 厚生労働省は、医薬品における日本薬局方のように化粧品においても、当時、配合原料の規格を公表しておりました。酸化チタンは昭和42年に、微粒子酸化チタンは平成6年にそれぞれ規格が公表されて、化粧品に使える原料として認められるということになっています。その後、規制自体が欧米との規制の整合性を踏まえて、平成134月以降は、「許可制」から品目ごとの「届出制」となりました。防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素等の一部の原料、これはポジティブリスト制になっていますが、これ以外は、企業の自己責任に基づいて化粧品を製造・輸入を行うことができるようになる制度になりました。

 この自己責任という形での規制緩和が行われましたが、この自己責任に基づく制度に移行した以降も、それ以前と比べて、特に安全性に関する大きな問題が増加するということもなく推移していると考えております。近年、加水分解コムギ末及び美白剤による副作用の問題が起きたのですが、これらは、化粧品のカテゴリーではなく、承認に基づいて申請、製造される「医薬部外品」のカテゴリーのものですので、化粧品としての扱いということではないと認識しております。

 それでは、化粧品と酸化チタンについて、少しお話をさせていただきます。酸化チタンの化粧品への使用量というのは、統計的なものが必ずしも化粧品について存在していませんので、化粧品の工場出荷額に対して、大体の配合率を掛けるという形で計算して、推定量ということで、このような化粧品の品目に対して、推定量はそこの2列目に書いてあります。その結果として、年間、大体国内で976トンぐらいのものではないかと推定しています。

 それから、化粧品への酸化チタンの配合がどういう目的で配合されるかは、化粧品に酸化チタンを配合する目的は、大きく言って2つあると思っております。1つは、白色顔料として、もう1つは、紫外線散乱剤、あるいは吸収剤というような意味での紫外線防御剤として配合されていると考えております。普通は、酸化チタンの顔料級のものは御存じのように粒径が大きいものなのですが、酸化チタンそのものの屈折率が大きいせいで隠ぺい力が高くなります。隠ぺい力が高くなるということは何かというと、塗ったときのその下に隠れている所のものを隠す効果が高いということです。例えば、ファンデーションというのは、顔の凹凸や、しみを隠す力がある化粧品ですが、顔の欠点とかをカバーするときに非常に重要に使われるということで、塗布時の白さを増大させるために顔料級酸化チタンがよく用いられます。

 それから、微粒子の酸化チタンは紫外線を遮断する効果が強いのです。これは粒径の観点から言って、可視光を透過しやすいということで透明性が高くなる。これを日やけ止めなどに使うと、透明な感じで少し自然に見えるということで、しかも、紫外線の防御効果があるということで、比較的日やけ止め製品に多く使われているものです。ただし、ファンデーションの中でも、透明感を高めたいものとか、そういうものの場合は、必ずしも酸化チタンはファンデーション、微粒子酸化チタンは、日やけ止めと限定されているわけではなくて、両方いろいろな形で混ぜて使われることがあります。

 次に、化粧品の製剤に対する酸化チタンがどのぐらい入っているかということをまとめたものです。今回はお配りした資料の中に3つ資料がありまして、1つは、成書である化粧品の技術を説明したものと、日本化粧品工業連合会からの特許に関する公知技術集というものから抜粋が2部、お手元に配られていますけれども、その中に、様々な形での化粧品の剤型の種類があります。あえて今回、酸化チタンの配合が見られるものと、そうではないものも書いているのはなぜかと申しますと、数千社の化粧品の全てのものに酸化チタンが入っている、入っていないという議論まではできないので、我々の所で把握できる範囲の成書に載っているようなもので、酸化チタンの配合があるものというのを、様々な剤型の中から幾つか選び出して書いているという構成で、空欄もありますが、今、ここは書いております。

 ということなので、ここにあるように、ヘアオイル、ヘアスプレーの中には書いていませんが、入っていないと断言できるわけではないので、化粧品はこういうものもありますということを書きました。特に、多く使われているものでは、日やけ止めには20%ぐらいまで、これも何パーセント使われているかというのは各社の判断でやっており、幾つかはっきりしませんが、5%、10%、20%といったレベル感で使われていると考えております。それから、パックというものについても使われておりますし、仕上げ用メイキャップの化粧品の中でもファンデーションには比較的多く使われていますが、このような配合量で使われていて、一部、歯磨き、あるいはベビーパウダー、ボディパウダーのようなものに対しても使われているという実態となっております。

 こちらも参考用としてですが、医薬部外品に対しても、このように使われています。

 当然、その酸化チタンの効果というものと似たようなもので、化粧品に代替する可能性があるものはないのかということを疑問に持たれているところもあるかと思いますので、これ、「類似原料」と書きましたけれども、何で類似原料という形で書いたかと申しますと、酸化亜鉛というのも、酸化チタンと同様に紫外線散乱効果、紫外線防止効果がある材料を使われておりますので、それと比較する形で、ここでその代替の可能性ということについて言及しております。

 酸化亜鉛も酸化チタンもファンデーション及び日やけ止め製品等に汎用される粉末原料です。両原料には、次のような特性の違いがありますが、酸化チタンと同じ特性を有するものは知られておりません。酸化チタン(顔料級)というのは、先ほども説明しましたが、隠ぺい性が高く、要するに、下を隠す効果が高くて、白い色を出すためには非常に重要な原料として使われております。対しまして、酸化亜鉛(顔料級)ですが、これはやはり酸化チタンの顔料級と比較しても同じ白色の粉末の顔料ですが、透明性が高くて、隠ぺい性がなかなか出ないということがあります。それから微粒子の酸化チタンというのは、屈折率の違いによって散乱効果があります。粉末なので、屈折率は違う屈折率、粉末と空気との界面の所で反射率の違いによって散乱効果が出るのですが、それ以外にも、吸収効果というのがありまして、バンドキャップを使った酸化チタンの特異的な吸収領域がありまして、これは主に、UVB領域の紫外線に対して吸収する効果があります。それに対して、微粒子の酸化亜鉛のほうですが、やはり屈折率の違いによる散乱効果というのはあるのですが、主にUVA領域の紫外線のほうが吸収の効果がありますので、若干、UVBUVAで、これは紫外線の波長領域の違いですが、カバーする領域が違うということで、必ずしも酸化亜鉛によって、一部、代替できる部分もありますが、全ての酸化チタンの特性が代替できるとは考えておりません。

 次に、代表的な2つの化粧品の剤型について、どのように作られるかということを御説明いたします。最初に、粉末成型製品と申しましても、皆さん余りなじみがないと思いますが、例えば、ファンデーションを中皿に充填したコンパクトというのがあります。コンパクトという化粧品の容器の蓋をパカッと開けると、中にスポンジが入っていて、粉末と油を混ぜたものですが、それを中皿にプレスしたものがあります。それをスポンジで取って顔に塗るものが「粉末成型製品」と言われているものです。これは、一番最初に秤量・仕込みをする所があるのですが、この場合は、多くの場合、原料はファイバードラムのようなもので供給されて、粉体で供給されるものが多くあります。これを仕込むときには当然ここを開けて秤量して仕込みますので、粉末が少しここで舞う可能性があります。ただ、これは原料も粉末ではなくて、水にスラリー状に分散させた状態で市販されているものもありますので、必ずしも粉末だけとは限りません。ここは粉末の成型製品なので、粉末の例を使って説明しております。

 粉末は酸化チタンだけではなくて、そのほかに粉末はあります。タルク、マイカとか様々な酸化亜鉛、酸化鉄とかいろいろな粉末があるのですが、そういった粉末をまず1回秤量して、仕込みます。それを混合機という所で混合するのですが、混合するときに油分や活性剤等を添加して混ぜ合わせます。非常に見にくくて恐縮ですが、ここに粉末を仕込みます。油も入れて、上から、これは1つの例なので、機械が全部これではありませんけれども、上の混ぜる撹拌羽が降りてきて、中で通常は密閉状態で混ぜますので、仕込んでしまった後は、基本的にはそれほど粉末が散らばることはないと考えております。油がしみてしまうと、比較的粉で舞う状態ということがほとんどなくなってしまいますので、この問題となっている所は恐らく秤量・仕込みの部分が一番大きいところだと考えております。その後、この混ざったものを粉砕と言って、よくもっと油となじませるとか、あるいは、篩の処理をしまして、その後、それを成型機に粉と油が混ったものを中皿に打っていくという工程が、これが粉末成型製品の製造工程です。

 もう1つは、粉末を液状に分散したものです。これは、いわゆる日やけ止めといったものは大体液状で、クリーム、乳液状のものが多いのですが、水や油が混ざった乳液タイプのものに、この酸化チタンを混ぜる工程があります。これも一番始めが、秤量・仕込みの部分がありますので、ここに関しては粉末が少し舞う可能性があります。この場合は、酸化チタンをスラリーで水分散したものを買っている業者もいらっしゃいますが、そういった場合については、始めから酸化チタンの粉末は舞わない状態になっています。

 それを先ほどの同じような撹拌機に入れるのですが、こちらは少し違うのは、先ほどは粉末と油を混ぜる機械だったのですが、こちらは水や油とかの乳化系や水系の中に粉末を分散させる機械なのでちょっと形が違って、羽の形等も違います。ここに仕込んで水と油を混ぜた後の段階では、全く上部空間に粉末の酸化チタンが出てくることはありませんので、これ以降の工程、均一分散乳化工程、充填工程では、酸化チタンが外に出てくるという状況は想定できない。非常に考えにくいと考えております。

 今、2つのものの代表的な製造工程を説明しましたが、そのような工程について、どのぐらい実際に、酸化チタンが製造の労働者にばく露があるかということを、やはり調べる必要があるだろうということで、実際に測定を行ってみました。これまでいろいろ情報を集めてきますと、酸化チタン工業会などもいろいろな実験をやられているようで、酸化チタンの作業の主として取扱いのある労働環境(酸化チタンの製造現場等)のばく露に関する測定データというのはあったと聞いていますが、私たちが持っているわけではないので、化粧品製造現場について、酸化チタンのばく露というのは実際にどのぐらいあるのか今まで取った例というのはありませんでした。

 ということがありましたので、それを実際に取ろうとしたのですが、案外簡単ではなくて、各協力企業に対して当然、中に入ってやらせていただくということもある上に、その企業でも毎日酸化チタンを使った製造があるわけではないのです。例えば、日やけ止めは25月ぐらいの出荷が多いので、その前の、例えば11月、12月ぐらいから製造が増えますが、逆に言うと、5月、6月はほとんど製造がないという状況になってしまいます。しかも、それ以外にも化粧水や、乳液は酸化チタンを使わない化粧品製造を日常的に行っている所が多いので、わざわざ酸化チタンを使って製造する日がある日を選んで測定するという、非常に一般的な化粧品の製造現場ということではなくて、酸化チタンを使う日に限って調べております。その基礎的なデータを収集する目的で、作業者の1日の平均ばく露量及びTWA8時間値の実態を調査すること。それを酸化チタン及びナノ酸化チタンの二次評価値と比較することのために実験を行いました。

 まず、ばく露測定の進め方・事業所選定ですが、これも非常に難しかったのです。実際のところ、化粧品工業連合会参加企業だけでも1,200社あります。それを全部はもちろんできないわけですし、その全部の企業にいろいろな情報を取ろうとしても、なかなか返ってこないというのもありますので、我々もどうしたらいいかというのがよく分からなかったので、中央労働災害防止協会に相談を行いました。それで、まず日本化粧品工業連合会の技術委員会という所に加盟している会社が38社あります。様々な会社があるのですが、そこでは非常に責任を持った回答が出てくるだろうということもあったので、そこにアンケートを行って、26社の回答を得ました。その中で酸化チタンを使用している化粧品製造を行っている17社を対象として、この17社のうち、協力していただけるという所を、77事業場を選んで作業者が酸化チタンを扱う場合の作業者別の1日のばく露測定を行いました。

 先ほども少し触れましたが、酸化チタンを用いた化粧品製造というのは、今回、協力いただいた事業場でも毎日あるとは限らないので、平成292月から3月の中で、比較的多く酸化チタンが使用される製造日を各事業場で調整していただいて、酸化チタンを扱った場合の、7事業場延べ35人について作業別に測定を行い、各人のTWA8時間値を求めました。

 環境ばく露測定方法としては、この辺は私どもは素人なので全くよく分からないのですが、中央労働災害防止協会のほうで決めていただいて、PM4.0サイクロンホルダー(GS-3:SKC)というものを使った携帯型ポンプ(AirCheck 2000:SKC)を用いて捕集を行って、ばく露濃度測定、スポット測定、作業環境測定、バックグラウンド測定を行いました。黒鉛炉原子吸光法にて、チタン量として分析を行って、二酸化チタンに換算してデータを出しています。それで、ナノとナノ以外の分離というのは技術的にできていないので、後のほうで、ナノとナノ以外を分けて解析を行っているのですが、これは各社がナノを使っているか、ナノを使っていないかということを申告した所に関しては、そのとおりそれを基準にして解析を行っています。開示したくないという所も1か所ありましたので、そこに関しては、厳しい基準のナノの基準のほうで比較をするということでやっております。

 これがまとめの結果ですが、この見方としては、事業場のIDの所は7事業場のIDを付けています。それから、作業者のIDの所は、各事業場での個人別のばく露量を、これはTWA8時間値を求めたものです。このNDは検出限界未満という値しか出なかったということになっています。

 それで、非ナノの所に出ているのは、このAEFGの事業場に関しては、この日は非ナノしか使っていなかったということだったので、非ナノの基準値でやっております。それから次のCDに関しては、ナノを含むものを使っていたということなので、ナノの基準値でTWA8時間値を比較しております。それから、B事業場に関しては、非開示で、自分の所はどちらを使っているか言いたくないという話だったので、非常に申し訳ないのですが、会社、企業というのは、やはりこういう所もありまして、開示できないということだったので、これはナノの基準値と比較するということでやっております。

 ここで全般を見ていただくと、下に書きましたが、単純平均値を取ると、単純平均値は0.057mg/m3 ということで、これは検出限界未満はゼロと計算しています。これで考えると、非ナノと、ナノについても、双方ともの許容濃度を大きく下回ったと考えております。

 それから、これから計算した対数変換データによる区間推定上側限界値というものについても、これを計算してみますと、この下に書いたとおり、区間推定上側限界値が0.29mg/m3 なので、これはナノの基準を含めた0.3mg/m3 と比べても、それを上回っておりませんし、もちろん非ナノのほうも上回っていないということが確認できました。

 この中で、ずっと見ていくと、一番やはり気になるところというのが、非ナノの中で、この数字は全て有効数字の2桁でやっていますので、これは桁数が大分下側にきていますけれども、数字は2桁が有効数字ということで考えて、今まで全体から考えて2桁と考えていますが、それ以外のものは処理しております。これで見ると、事業場FIDNo.2の方が0.34なのです。この方は、逆に言うと、非ナノに関しては基準は全然オーバーしていないのですが、ナノの基準に関しては、ちょっとオーバーしているということがありましたので、Fの事業場については、自分の所で非ナノだと言っているのですが、一応、データを出していただけたので、そこで使っていた酸化チタンのデータというのが、次ページに出ている粒度分布のデータです。

 この粒度分布のレベル感ですが、この粒度分布のレベル感から言って、ナノの酸化チタンは入っていなかったと考えているので、0.34は大丈夫だと思いますし、これ以外については、非ナノのところでも、ナノの基準でも問題ないということになっていますので、そういう意味では、全ての事業場においても問題ないデータが出たと考えております。

 もう1つお伝えしておきたいことは、各工場において、これはたまたま酸化チタンを使った作業のある特定の労働者を追って、こういうばく露を考えたのですが、実際、例えばそれを年間に換算していったときには、各製造メーカーで毎日同じ作業でずっと酸化チタンを使うわけではないのです。もし可能であれば、年間のロット数に対して、酸化チタンを使うロット数がどのぐらいなのかというデータも出してもらえないかという話をしたところ、先ほどのABC3社とは同じではありませんが、3社がデータを開示していただけて、例えばA社は年間、大体、様々な化粧品を3,070ロット作るのですが、そのうち、酸化チタンを使ったロットは588ということで、大体19%しかやっていない。これは当然なのですが、作業者も酸化チタンを使ったものだけとは限りませんので、先ほどのデータのばく露というのももちろん、それ自体でクリアしているのですが、実際的にはもっと少なくなるだろうと考えているその例として、少しこういう情報を挙げさせていただいております。

 今の結果を考察すると、今回の非ナノ酸化チタン、ナノ酸化チタンのそれぞれの許容ばく露濃度で判断すると、35人の作業者全員が許容濃度を超過することはなかった。また、35人の単純平均値及び対数変換データによる区間推定上側限界値についても基準を下回っている。

 それから、化粧品製造において、酸化チタンは1万種を超える化粧品原料の1つとして取り扱われるものであり、酸化チタンを配合しない化粧品も多い。先ほど御説明したとおりです。今回の測定に当たりましては、化粧品製造時の酸化チタンを扱う労働者環境における濃度測定を行うために、あえて酸化チタンを使用した工程の測定を行ったものであるが、各事業場においては、恒常的に本工程が行われるものではなく、労働者も常に測定した工程に関わるとは限らないということで、更に頻度は低くなるだろうと考えております。

 それから、調査した全ての製造現場において、マスクなどの一定程度の防護具が自発的に使われておりました。ということで、今回測定したときはそのマスクの外で測定しているのですが、実際の作業者のばく露というのは、より低くなっていると考えております。

 次に、厚労省のほうから頂いたアンケートの抜粋です。これは平成29427日付けの事務連絡としてアンケートを御依頼いただいたのですが、これも1,197社の全てをというのはハンドリング的に困難ということを考えて、少し定量的に判断する部分は概観アンケートということで全社を対象にしたのですが、詳細アンケートのほうは、これは厚労省から依頼を頂いたものは詳細アンケートなのですが、その詳細アンケートのほうは、やはり先ほどと同じ日本化粧品工業連合会の技術委員会の委員会社(38)を対象にして協力を求めました。

 概観アンケートに関しては、化粧品業界における酸化チタンの使用実態把握をするために、どちらかというと定量的なものになるのですが、例えば酸化チタンの使用の有無、使用している酸化チタンの種類(ナノか非ナノなのか、コーティングが有るか無いか)については、全会員に独自のアンケートを作って、概観アンケートとして出しました。化粧品業界において、様々な種類の酸化チタンが使われているので、個別の企業において様々な酸化チタンを全てこれを網羅的に見るというと、このデータに落ちてこないものはたくさんあるので、それはそれとして、別途、まとめております。

 次がそのアンケート結果です。これは概観アンケートとして全体に送ったものです。この中で1,190社に送ったところ、回答企業数は466社ありまして、酸化チタンを化粧品原料として使用している会社が260社、使っていない会社が206社、使用している酸化チタンの種類はコーティング有り無し、ナノ酸化チタンと非ナノ酸化チタンでそれぞれ有り無しということで見ると、ナノ酸化チタンはコーティング無しという所が45社で少ないのですが、ほかは大体、150社以上使っていて、非ナノ酸化チタンのコーティング無しというのも150社ぐらいあるというデータになっています。

 調査結果をまとめてみると、酸化チタンの回答があった企業のうち、約56%が化粧品原料として使用している。ナノ酸化チタン(コーティング有り)、非ナノ酸化チタン(コーティング有り)及び非ナノ酸化チタン(コーティング無し)は、同程度に化粧品に使用されていたが、ナノ酸化チタンの(コーティング無し)というのは、これらに比べてかなり少ないという結果になりました。

 次は、詳細アンケートです。これはアンケート全体の資料を先生方には配られていると思います。これは実際の数としては38社に送って、回答があった20社のデータです。その20社のうち2社が酸化チタンを使っていなかったので、実際の母数としては18社のデータです。

 質問3の酸化チタンの用途、コーティング及び性状の所です。まず、マル1配合目的・用途ですが、酸化チタン(ナノ粒子)の主な配合目的は紫外線防御剤であって、日やけ止め製品、ファンデーションに配合されている。酸化チタン(ナノ粒子以外)のものについては、主な配合目的は、白色顔料としてファンデーションに入れるものが多い。日やけ止めの機能を有するファンデーションというのも一般的に販売されています。

 それから、マル2使っている酸化チタンのコーティング剤の有無については、酸化チタン(ナノ粒子)の多くはコーティングされている。酸化チタン(ナノ粒子以外)はコーティングされていない原料と比較して、コーティングされている原料のほうがやや多いということで、コーティングされていない原料も使われております。

 それから、マル3コーティング剤の種類については様々ですが、シリカ、水酸化アルミニウム、ステアリン酸、ハイドロゲン()メチコン等シリコーン類です。それから、酸化チタン(ナノ粒子以外)の主なコーティング剤は、水酸化アルミニウム、シリカ、シリコーン、ジメチコン、アルミナと同じような形でコーティングされているものが多くなっております。

 マル4コーティングした場合の酸化チタンの含有率ですが、コーティングしたものに酸化チタンがどのぐらいあって、そのコーティング剤がどのぐらいあるかというところですが、酸化チタン(ナノ粒子)の場合は、大体5599%ですけれども、80%以上を含んでいる原料が多い。酸化チタン(ナノ粒子以外)の場合は、もう少し高くて、8599%で90%以上のものが多いのですが、これはコーティングということの性格上、当然周りにくっ付いているということになっていますので、コーティングされている酸化チタンは酸化チタンの表面が原則、外側に出ているということではないので、酸化チタンの特性がそれに現れているとは考えておりません。

 それから、マル5購入する原料の性状ですが、酸化チタンを購入する場合は、コーティングの有無はあっても上記のものを「粉末状」のまま購入する場合が多い。ただ、分散剤等を加えた「粉末状ではない状態」、スラリーのようなものですが、水に分散させたような状態で購入している企業というのも5社ありました。

 それから、マル6使用としては、酸化チタン(ナノ粒子)と、酸化チタン(ナノ粒子以外)を混合して使っている例というのが、回答したのは4社あります。

 質問4、事業者の自主的な取組ですが、これも様々あったので、詳細は資料を御覧いただきたいと思います。各事業者は、次に掲げる措置以外については、自主的に何らかの措置を行っているということで、「漏洩防止措置」に関して対応を行っているのは8社ということと、「健康診断」について、「特殊健康診断に準じた健診の実施(独自)」をしているのは7社。「特定業務従事者の健康診断に準じた健診の実施」を行っているのは3社で、両方行っているのは1社という形になっています。これ以外について、措置をやっているというのは何かというと、要は、いろいろな吸排装置とか、マスクをしているといったことを意味していると思います。そういうことをほとんどやられているということです。

 それと、なぜ設備をやらないのかという説明は、ちょっと意図が十分にくみ取れていないところもあったので、説明は冗長な感じで書かせていただいたものを、簡単にまとめたのはこういう状況なのですが、対策を必要としない理由とか、既に取っている対策というところに分けて考えると、こうなのかなぐらいのところを、幾つか書いてあるものをまとめて書きました。ですので、それぞれの順序は順不同ですが、このようなことが理由として挙げられているという御参考ということで、受け取っていただきたいと思っております。

 最後はまとめですが、(1)酸化チタンを使用する場合の化粧品製造における環境ばく露測定を、中央労働災害防止協会の御協力により実施を行いました。酸化チタンの取扱いがある日の作業者のTWA8時間値を算出した結果、基準値(非ナノが1mg/m3 、ナノを含む場合が0.3mg/m3)を超えないということが確認できました。

(2)は、化粧品製造においては、酸化チタンを扱わない化粧品製造も多くあるために、作業者の実質的なばく露というのは、より安全サイドに移るのではないかと考えております。

 最後に、酸化チタンというのは、これまで50年以上にわたって化粧品製造に使用されてきたのですが、酸化チタンの吸入ばく露によって労働者の健康被害が発生した事例は少なくとも、化粧品業界においては知られておりません。また、現在、国際的に見ても化粧品産業において、酸化チタンを扱う作業に特化して労働衛生上の規制は行われていないというように認識しております。化粧品産業の国際競争力の観点も御勘案いただいて、特化則適用の除外をお願いしたいということを業界の意見として述べさせていただきます。以上でございます。ありがとうございます。

○小野座長 ありがとうございました。今の御説明、御意見につきまして質問、御意見等ありましたらお願いします。

○保利委員 すみません。3,500社、製造業者があるということでかなりびっくりしていますけれども、会員企業数も1,197社あるということですよね。今、測定を行っていただいたところは、技術委員会加盟会社の38社の中から選ばれたということなのですけれども、この測定した会社というのはやはり、それだけ管理が行き届いている会社なのか、それとも一般的にこのデータは業界全体を代表しているようなデータであると考えてよろしいのでしょうか。

○日本化粧品工業連合会 私ども、これはどういう企業を選ぶかというのは非常に難しかったのですけれども、全体として見たときに、データを見ていただくと分かるのですがこの中にはいわゆる本当の意味での大手の会社もありますし、そうではなくてOEMで扱っている会社というような所も意図的に、入れています。今回、いろいろな会社を見ても、それほど大きな違いがないデータになっていると思うのです。という意味におきましては、これらの会社が例えば、言葉は悪いですけれども、設備的に余り整っていない会社というところまでは入っていないかもしれないのですけれども、そんなに大きくは違わないのではないかと考えております。工程自身の問題として、先ほどもここに述べましたけれども、一番問題になる部分はこの秤量・仕込みの部分です。この秤量・仕込みの部分は例えば、酸化チタンは10%ぐらいと仮にしますと、100kgのものを仕込むときにほかのものをいろいろ秤量していくわけです。酸化チタンは10kg入れるわけですけれども、10kgを秤量して入れるときに一体どのぐらい時間がかかるかというと、そこに10分かかることはないわけです。実際には本当に1分とか2分ぐらいでここが秤量できてしまうものなので、そこの部分以外はもうほとんど飛ばないと考えているので、余り違わないのではないかと考えております。

○保利委員 工程として大きく変わらないということで。

○日本化粧品工業連合会 工程自体はほとんど同じだと思います。

○保利委員 分かりました。

○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。

○名古屋委員 ちょっと聞きたいのですけれども、プロセスの中で見てくるとほとんど湿式の状態なので、乾燥されたパウダーが飛ぶことはないと思うのですけれども、1つ聞きたいのは、要するに製品の中にコーティングされていないものとコーティングされているものがありますよね。もし、コーティングするときはどのプロセスからコーティングされてくるのですか。

○日本化粧品工業連合会 ここで言っているコーティングというのは、実はその化粧品、恐らくは各社が自分の所でやるのではなくて、コーティングされた酸化チタンを買っているということになりますので、この工程はあくまで化粧品の製造なのでコーティングは我々の化粧品業界の工程ではないと扱っています。

○名古屋委員 それでは逆に言うと、粉末液状の製品のときに、もうコーティングされたものが入ってくる部分と、入ってこない部分があると考えていいと。

○日本化粧品工業連合会 あると思います。

○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。

○清水委員 今、酸化チタンのことだけをお話くださっておりますけれども、一工場で酸化チタンを使った生産ロット数が19%とか、あるいは92%とかと、19%の会社はほかには有害物質を扱っているということはないのですか。

○日本化粧品工業連合会 有害物質という範囲がはっきり分からないのですけれども、少なくとも私どもが化粧品原料として使えるというものの中に、有害物質というのは余りないような認識でいるのですけれども。

○清水委員 全部、化粧品関係と考えていいのですか。

○日本化粧品工業連合会 とおっしゃいますと。

○清水委員 その19%が酸化チタンということですと、81%は何か全く違う。

○日本化粧品工業連合会 すみません。ちょっと説明が悪かったかもしれないのですけれども、酸化チタンを使った生産ロットということなので例えば19%というのは、1年間のうち全部で100個の化粧品製造をする場合に、ファンデーションとか日やけ止めを19個作りますよと、それ以外の81個については化粧水だとかクリームだとかそういったものを作るので酸化チタンは入ってないものを作りますよという意味です。すみません、申し訳ありません。

○清水委員 そういう意味ですか、ありがとうございます。

○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。

○菅野委員 説明のあった表1ですけれども、個人ばく露の測定結果でしょうか。事業所のFというのの結果は作業者の方3人とも、ほかより高いように見えるのですけれども、規制値を超えているか超えていないかというのではなくて、ここだけ何か使っている機械が違うとか、工程が違うということはあるのでしょうか。

○日本化粧品工業連合会 それはですね、私ども、この調査というのはやはり、各社の非常に秘密の部分は大きいのですね、製造工程なので。なるべく関連の人間しか立ち合わないようにしていますので、今回も中災防の方とその各社で直接調整していただいてやっていますので、各社の製造設備がどのぐらい同じで、どのぐらい違うかに関しては正直申し上げてデータもありませんし分からないですね。

○菅野委員 そうですか。分かりました。

○日本化粧品工業連合会 これが例えばすごく問題になる値が出ているようだと、おっしゃるとおり少し気にしないといけないかもしれないのですけれども、ここで例えば、5番の事業所Fの方でも56番の方はNDなのですよね。ですので、その辺も含めて考えたときに、まあ、そういうばらつきぐらいの感じかなぐらいに思ったのですけれども、情報が申し訳ないですけれども、ございません。

○菅野委員 ありがとうございました。すみませんがもう1つよろしいですか。5-5、結果の考察という所で一番最後に、防護服が自発的に使われていると書いてありますけれども、この「自発的」というのはどういう意味でしょうか。

○日本化粧品工業連合会 規制になっていなくても使っているという意味でございます。すみません。

○菅野委員 そうしますと会社では使うように推奨しているということなのでしょうか。

○日本化粧品工業連合会 多分、そこまで聞いてはいないのですけれども、私が幾つかの事業所については事前に見させていただいた所もあるのですが、その時に、もう防具を付けているとか、マスクを付けているとか、吸排気装置があるとか、そういう所が多かったのです。それは別に、今回のように特化則の規制が入るわけでもなく、まあ、粉体のこともありますけれども、実際問題として規制とは関係なく使われている意味で「自発的」という言葉を書きました。恐らくは会社が使いなさいという指導はしているのだと思うのですけれども、それがしているのか、ここがすみません、労働者が自分で勝手ににやっているという意味で自発的と書いたのではなくて、会社としてそういう対策を自発的にやっているという意味での自発的というふうに御理解ください。

○菅野委員 分かりました。どうもありがとうございます。

○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。

○藤間委員 最初の789ページの表で「粉末状の剤型の有無」というところで、粉末状という定義なのですが、例えばファンデーションというのは、何となく感覚からすると粉末なのかなという気がするのですが、定義があって、例えばファンデーションにしても、品種によっていろいろな差があるのではないかと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

○日本化粧品工業連合会 先ほど言いましたが、ファンデーションのプレスパウダーというものなのですが、これは粉末を成型した製品なので、粉が飛び散るようなものではないのですよね。どちらかというと、ここに書いた粉末状というのは、むしろ固めていないので、少し粉っぽくなっているような状態のことを、難しいのですが。そういう意味でいうと、おしろいというのは、割と粉状態のものもありますし、例えば歯磨きも粉歯磨きとかありますし、ベビーパウダーも割と天花粉みたいですよね。あれも粉で使われますし、ボディパウダーも汗を押さえたりするのに使われる場合もあったりするという意味で、粉末状のものがあると書いたのです。プレスしたものは粉末なのですけれども、油で固まってしまっているようなものに近い。口紅ほど油が多くないのですが、余り粉末が飛ばないということで、粉末製品ということにはしていないです。

○藤間委員 具体的には何か定義があるわけではないのですか。

○日本化粧品工業連合会 ないですね。

○藤間委員 あと、もう1点なのですけれども、酸化チタンのいろいろな原料の中で、逆に母材に酸化チタンをコーティングとか、表面にいろいろ付いているようなもの、そういうものというのはあるのではないかと思うのですが。

○日本化粧品工業連合会 パール材と呼ばれるものがありまして、これは雲母の板状のものに対して、酸化チタンを担持させて、落として、干渉色で色を出すようなものがあるのですね。それは確かにおっしゃるとおり、酸化チタンが物にくっ付いたものがございます。それは酸化チタンとして、もう離れるということはないのです。パール材としてのもので、コーティングされたような状態になってますし、そもそも粉末自体が酸化チタンのレベルが全然大きいのです。板状のものに対して酸化チタンを落としていって、そこで光学的な屈折率の差でもって色を見るようなものになっていますので、全然大きさ的にもうまるで違う大きさなんで、酸化チタンと同じように、インハレーションで入っていくということでは、ちょっと考えにくいのではないかと思っています。

○藤間委員み そうしますと、今回のこのいろいろなアンケートの中では。

○日本化粧品工業連合会 それは今回入っていません。

○藤間委員 入っていないと考えていいですかね。

○日本化粧品工業連合会 はい。

○藤間委員 分かりました。

○小野座長 ほかにははよろしいでしょうか。では、私のほうから、2点教えていただきたいのですが、例えば、4の所で工程のファイバードラムのところから、撹拌器というか、そういうところに入れますという御紹介があったのですが、見た感じ余り大きいものではないように見えます。御紹介いただいた写真では、それは製品出荷サイズによって、かなり自動化されているものから、人が投入してというか、そういうものがあるというように理解してよろしいですか。

○日本化粧品工業連合会 そうですね。恐らくは化粧品の場合というのは、スケールとして、何十トンも一遍に作るようなものというのは、恐らくほとんどないと思うのです。シャンプーのようなものだったら多少あるのかもしれませんが、連続でやるようなものも余りないと思うので、酸化チタンを使うものは、多くても大体1トンクラスで、通常は多分100キロもいかないぐらいではないかと思いますけれども、酸化チタンも筐体も、ファイバードラムとか、紙袋で入ってきたのを開けて入れるというようなケースが多分圧倒的に多い。そのぐらいの量のレベル感なので、すごいものが舞った状態で仕込むということは少し違うかと思います。

○小野座長 先ほど御紹介いただきました、8時間TWAの数字というのは、そういういろいろな業種のところが入っていて、かつ1日に何分ぐらいやったとか、何時間やったということについても、まちまちな例でのそれを8時間にならしたという理解でよろしいですか。

○日本化粧品工業連合会 そのとおりです。私自身も全部が全部、この資料はすごい資料なので、全部読み切れているわけではないのですが、私の理解としては、工程別に、高そうなところでは、工程別にどのぐらいの量の濃度になっているのかというのは測っております。そういう意味では、先ほど言った仕込みのところは、0.5とか0.8と出ていることもあるのですが、時間が短いので、本人別でならしてみると、このぐらいの値に納まっているということで、結果としては考えております。

○小野座長 ありがとうございます。すみません。さっきからいろいろ考えて、もう1つだけお聞きしたいことがありまして、パウダーのファンデーションですよね。プレストではないものは、わりと小さな入れ物に、粉を充填するという作業になると思うのですが、プレストのほうは、先ほど図が示されていたのですが、それは人間がそうっと詰めているというか、そういうイメージになりますよね。

○日本化粧品工業連合会 そうですね。ファンデーションは恐らく油が混ざっているのですよね。粉の状態になって、粉っぽいもの、もしかすると余り粉状態のファンデーションというのはなかなかものが余りないような気がするのですが、もしあったとしても酸化チタンの粉が一粒子として舞い上がるような状態にはなっていないのですね。それを今度は充填するときも、通常は機械の充填機でもって、ある一程量入れるというようになると思います。人がそれをするというのは考えにくいてですね。

○小野座長 分かりました。ありがとうございます。

○唐沢委員 資料の24ページの7のまとめの所で、最後に先ほどの御説明では、「現在、国際的に見ても化粧品産業において酸化チタンを扱う作業に特化している労働衛生上の規制が行われていないと認識している」という記載、御説明があったのですが、私、前回の委員会でも申し上げたことがあって、繰り返しになってしまうのですが、私が調べた限りでは、EU28か国においては、最低の域内、各28か国では全体でどこでも最低基準として共通のばく露限界値が示されている物質なのです。それは4つのEU理事会指令とかですが、その中には二酸化チタンはまだ決められておりません。

 ただ、イギリスは御案内のとおり、EUとは別に管理規則というのがありまして、それにTiO2は明示されております。これは、ある一定の業種、例えば化粧品産業について規制するというやり方ではなくて、有害物があれば規制するという考え方です。基本的にはリスクアセスメントをして、それに伴って必要な措置を講じなさいということなんですね。TiO2については、インハレーション全体の粉じんとしては10mg/m3 、それからディスペラブルについては4mg/m3 です。それから、ドイツは有害物の保護規則というのがありまして、非常に包括的なドイツの規則でして、有害物であれば必ず適用されるのです。それは、基本的にはリスクアセスメントをして、然るべく措置を講じなさいということで、これはやはり化粧品産業とかいう方ではなくて、有害物を取り扱っていれば適応されると。アメリカはまだイギリスやドイツのような包括的な規則ではなくて、具体的な物質を挙げて、規制するのがアメリカのやり方ですけれども、一応TiO2は掲げられていますが、基準値がまだ定められていません。ちょっと御参考までに。

○日本化粧品工業連合会 ありがとうございました。そういう所をないということを言っているのではなくて、化粧品産業として、それに対応するような法的なリクワイヤメントがあるような状況に今はなっていないと認識しているということを書いただけでございます。以上です。

○小野座長 よろしいでしょうか。1つでお願いいたします。

○櫻井委員 21ページで、コーティング剤の種類という所で、コーティングとしては水酸化アルミニウムとか、アルミナとか書いてあるのですが、それ以外にプラスティック類でコーティングしてあるものは余りお使いにはならないのですか。

○日本化粧工業会 プラスティックは余り聞いたことないですね。

○櫻井委員 そうしますと、ここに書いてあるように、含有率はその粒子の80%とか90%ぐらいが酸化チタンで、残りの10%ぐらいがコーティング剤であるということですか。

○日本化粧品工業連合会 という例が多いと思います。

○櫻井委員 そういうものが多いということなのですね。

○日本化粧品工業連合会 そうですね。

○櫻井委員 はい、分かりました。

○日本化粧品工業連合会 量的にはもう少し少ないものがあるのかも分からないのですが、様々な、私どももいろいろな表面処理剤というのは、別な所で調べてくると、やはりシリカ、水酸化カリウム、ジルコニウム、ジメチコン、シリコン類とか、あるいは脂肪酸とかそういったものぐらいですね。

○櫻井委員 はい、分かりました。

○小野座長 では、ちょうど、時間になりましたので、これで日本化粧品工業連合会からのヒアリングを終わりといたします。どうもありがとうございます。

 この先、非公開となりますので、ここで一旦休憩といたします。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成29年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会> 平成29年度 第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録(2017年11月13日)

ページの先頭へ戻る