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2019年8月21日 第33回ILO懇談会議事概要

大臣官房国際課

○日時

令和元年8月21日(水)15:30~17:30

 

○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)
 

○議題

1 第108回ILO総会について
2 2019年年次報告について
 

○議事

1 第108回ILO総会の報告について
政府側から、資料に基づき説明を行った。労使から発言はなかった。
 
2 2019年年次報告について
政府から年次報告の内容について説明を行い、その後、意見交換が行われた。
 
【第87号条約について】
(労働者側)
政府報告に記載されている事項について、政府として可能なことは対応していると理解しているものの、ILOからの質問に真摯に回答していない。昨年のILO総会基準適用委員会における個別審査以降のILOの指摘に対して応えられていないという認識。
3ポツ目の刑務官については、社会的パートナーに関する政府報告の記載が削除されたので、連合の意見は修正したい。改めて、関係組織と協議する。
また、団結権の付与や刑事施設職員の分類について触れていない点は問題であり、ILOからの指摘に沿った報告となるようにしてほしい。
 
(政府側)
社会的パートナーが存在しないという記載を削除したことについて、代替措置について紹介することをもって年次報告の内容としたもの。今後も代替措置をもって対応していきたい。
 
政府報告全体としては評価しつつも、ILOの指摘に耐えられないのではないか、という連合の指摘を踏まえ、引き続き、来年の春夏に向けて政府部内及び連合とも相談していきたい。
 
(労働者側)
消防職員の団結権について、3回続けて協議をしたとの記載はあるが、消防職員は警察と同視されるという事項について議論しているだけでは、ILOからの指摘に応えられていないのではないか。
 
(政府側)
ご指摘の3回の議論については、自治労と行っているもの。消防職員委員会の今後の在り方も含めて、様々な議題について扱うということになっている。まずは、ILO総会基準適用委員会の議長集約で指摘されている部分について議論することとしたため、ご指摘のような論点について議論している。このテーマについてのみ協議しているわけではないが、協議自体は続けている。
 
(労働者側)
我々としては引き続き検討が必要と思っているのでお願いしたい。
 
【第100号条約について】
(労働者側)
女性活躍推進法の改正については、連合も賛同している。しかし、情報公開の項目について、参議院厚生労働委員会での附帯決議においては、男女間の賃金の差異を基礎項目又は情報公表項目に加えるということを含めて労働政策審議会で検討することとされたため、政府に立法府の意を汲んで対応してほしいという趣旨で意見書に記載した。
パートタイマーなど非正規雇用労働者の客観的職務評価については、ガイドラインが作成されたが、同ガイドラインは、あくまでパートタイム・有期雇用労働法に対応したもので、同一価値労働同一賃金の考え方に基づく職務評価の方法については紹介にとどまっている。連合としては、同一価値労働同一賃金の考え方に基づく職務評価の方法を適切に実施することを求めている。また、職務評価手法の周知とさらなる研究開発については、以前からも連合が求めてきていることであり、早期に取りかかってほしい。
間接差別については、昨年8月から11月までの労働政策審議会の議論において、新たな判例が出ていないことを踏まえ、間接差別の対象をさらに拡大するという結論には至らなかったという記載があった。間接差別は審議会の議題になっていなかったが、労働者側委員が間接差別に関連する発言をしたことをもって、このように記載したものと認識しているが、事実と異なるのではないか。
 
(政府側)
女性活躍推進法の情報把握と情報公表項目の関係については、ご指摘のとおり、女性活躍推進法等一部改正法の附帯決議において、男女間の賃金の差異について、基礎項目又は情報公表項目に追加することについて、労働政策審議会で検討するといったことが盛り込まれている。今後、労働政策審議会の雇用環境・均等分科会において、引き続き議論いただきたい。
間接差別にかかるご指摘については、昨年の分科会においては、女性活躍推進法の関係がメインテーマであったと承知。ただし、労働者側の委員の方から、間接差別について意見をいただいたので、論点の一つとして議論を行った。その中で、使用者側の委員から、新たな判例は出ていないため、見直しは必要ないのではないか、という意見もあり、労働政策審議会としてのコンセンサスが得られず、建議には盛り込まれなかった。政府報告は、そういった経緯を踏まえ記載している。
 
職務評価については、「同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差の解消」に向け、企業が、社内の賃金制度の点検・検討をし、公正な待遇を確保するために有効な手段であると考えているところ。政府としては、マニュアルを策定しており、今後、個別企業に対するコンサルティングやセミナー等によって周知・普及を図っていくとともに、職務評価ができる専門家を養成することによりさらなる普及に努めてまいりたいと考えている。また、適切な職務評価が必要であることから、その評価の在り方について研究を重ねていく必要があると考えている。
 
(労働者側)
間接差別について、今の年次報告の記載では、最初から議題になっていたかのように伝わってしまう。年次報告は、残された課題が何かということを盛り込んだ、正確に事実が伝わる内容の報告にするべきであると思う。また、同一価値労働同一賃金については、速やかに研究を進めてほしい。
 
【第122号条約について】
(労働者側)
障害者雇用については、国と地方の不適切計上事案について、この条約を国内実施するに当たり問題であるという観点から指摘をした。
女性が非正規雇用に集中していることや、民間企業で総合職に就きにくいことについては、これは男女の賃金格差につながるため、雇用政策上の課題であるということを指摘したい。
就職氷河期世代の就職については、年次報告に追記されたため、意見を取り下げる。ただし、3年間の集中プログラムを実施していく際に、就職支援をする業種や職種については本人の希望を踏まえたきめ細かな対応が必要であると考えている。本人の希望を重視せずに、例えば、人手不足な業種に短期的な資格取得を経て、本人が希望しない仕事に就くことでは問題がある。プログラムの目標達成を焦るあまり、本人の希望を踏まえることがおろそかになることがないようにすべき。
 
(政府側)
ご意見については留意したい。
 
【第156号条約について】
(労働者側)
待機児童については、そもそも就業継続と育児や介護が両立することができる形が必要であるので、育児休業の再延長という解決策自体が問題である。育児介護休業法改正後2年が経ったが、待機児童はまだ2万人前後おり、問題が解消されないことに問題意識を持っている。実際に、連合の中には保育所に入れずに育児休業を延長している人がいる。そのような現場の声も聞き、課題があるということも年次報告に記載してほしい。
男性の育休の取得に関しても、取得数が増加しているかどうかだけではなく、男女間の育休の取得期間の差など、実態を検証しなければならない。年次報告にはそういった課題やその分析を記載しなければ、日本としての取組がILOに伝わらない。成果だけでなく、課題についても報告してほしい。
 
(政府側)
子育て安心プランについては2018年から実施しているもので、開始から1年経過しているが、未だ待機児童がいることは真摯に受け止めなければならないと認識。子育て安心プランの前に実施していた、待機児童解消加速化プランでは、約50万人の保育の受け皿を確保した。今の子育て安心プランは2020年度末までとしているが、同プランでは、毎年市町村が待機児童の状況をもとに市町村計画を見直すこととしている。政府としては、引き続き市町村のニーズを踏まえ整備をしていきたい。
 
課題についても報告してほしいという指摘については、報告内容全体を通しての意見として承った。政府としては、条約勧告適用専門家委員会が政府に課題に対する進捗の情報を求めているという認識で記載している。
 
政府と労使の考えはそれぞれ異なっているところもあり、労使の指摘も重要であると思っている。
政府の報告と労使の意見は同時に提出されるので、政府の報告に補足することがあれば、意見として提出していただければと思う。
 
 

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