ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録(2017年9月8日)




2017年9月8日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成29年9月8日(金)9:30~


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

出席委員(15名)五十音順

渥 美 達 也、○奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
菊 池    嘉、◎清 田    浩、 鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、
舘 田 一 博、  登 美 斉 俊、 中 野 貴 司、 濱 口   功、
増 井    徹、  森 田 満 樹、 山 本 善 裕

欠席委員(6名)

浦 野 泰 照、 大槻 マミ太郎、  半 田   誠、 南   博 信、 
山 口 拓 洋、 渡 辺    亨
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山  本    史 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇  津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
林   憲  一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、ただいまより「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中を御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出席の状況ですが、浦野委員、大槻委員、半田委員、南委員、山口委員、渡辺委員より御欠席との連絡を頂いております。また渥美委員、川上委員より遅れて御到着との連絡を頂いております。現在のところ、本日は当部会委員数21名のうち13名の委員の御出席を頂いておりますので定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 なお、頭撮りはここまでといたします。マスコミの方はよろしくお願いいたします。続きまして、部会を開始する前に事務局から御報告がございます。

○事務局 当日配布資料24、7月31日付けのプレスリリースを御覧いただければと思います。前回の部会開催時に薬事分科会規程に基づき辞任いただいた委員の事案について御報告をいたしました。当該事案を踏まえ、薬事分科会の全ての委員を対象に改めて薬事分科会規程の適合状況を確認させていただいておりました。その結果、新たに臨時委員2名が薬事に関する企業から定期的に報酬を得る顧問に就任していたことが判明したため、当該臨時委員2名には辞任いただいた上で7月31日に本事案を公表しております。

 なお、前回の部会で御案内のとおり、本部会においては規程に抵触する委員はいらっしゃいませんでした。

 委員の皆様方におかれましてはお忙しい中、確認作業への御協力を頂きましたこと、改めて感謝申し上げます。今後の再発防止のための具体的な方法につきましては、決定次第、改めて御連絡いたしますので引き続き御協力をお願いいたします。事務局からの説明は以上です。

 それでは清田部会長、以後の進行をお願いいたします。

○清田部会長 皆様、おはようございます。

 本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。

○事務局 配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されております資料1~17をあらかじめお送りしております。

 このほか資料18、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料19が専門委員リスト、資料20は競合品目・競合企業リスト、資料21、アベルマブ(遺伝子組換え)の最適使用推進ガイドライン()、資料22、ニボルマブ(遺伝子組換え)の最適使用推進ガイドライン()、資料23-1、最適使用推進ガイドラインの取扱いに係る通知案について、資料23-2、最適使用推進ガイドラインの取扱いについての通知案を配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料20について御報告させていただきます。資料20の1ページを御覧ください。シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAU及び同スギ花粉舌下錠5,000JAUですが、本品目はスギ花粉症(減感作療法)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は全て当該企業の製品であることから競合品目はなしとしております。

 2ページと3ページを御覧ください。ベンリスタ点滴静注用120mg、他3規格です。本品目は既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスを予定効能・効果としており、同様の臨床的位置付けを有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 4ページを御覧ください。ジーンプラバ点滴静注625mgです。本品目はクロストリジウム・ディフィシル感染症の再発抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。

 5ページを御覧ください。マヴィレット配合錠です。本品目はC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 6ページを御覧ください。エイフスチラ静注用250、他6規格です。本品目は血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページを御覧ください。ダラザレックス点滴静注100mg及び同点滴静注400mgです。本品目は再発又は難治性の多発性骨髄腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 8ページを御覧ください。バベンチオ点滴静注200mgですが、本品目は根治切除不能なメルケル細胞癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。

 9ページを御覧ください。アラグリオ顆粒剤分包1.5gです。本品目は筋層非浸潤性膀胱癌の経尿道的膀胱腫瘍切除術時における腫瘍組織の可視化を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。

10ページを御覧ください。リツキシマブBS点滴静注100mg「KHK」、同点滴静注500mg「KHK」です。本品目はCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患及びヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

11ページを御覧ください。アダリムマブ(遺伝子組換え)です。本品目は化膿性汗腺炎を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

12ページを御覧ください。ブリナツモマブ(遺伝子組換え)です。本品目は急性リンパ性白血病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

13ページを御覧ください。オラパリブですが、本品目はBRCA遺伝子変異陽性の手術不能又は再発乳癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○清田部会長 今の事務局案の説明に特段の御意見はございますでしょうか。ございませんね。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆様の御承認を頂いたものといたします。

 委員からの申し出状況について御報告をお願いいたします。

○事務局 各委員からの申し出状況については次のとおりです。議題1、シダキュア、退室委員、議決には参加しない委員はともになし。議題2、ベンリスタ、退室委員は渥美委員、議決には参加しない委員なし。議題3、ジーンプラバ、退室委員なし、議決には参加しない委員は、渥美委員、舘田委員、中野委員、山本委員。議題4、マヴィレット、退室委員なし、議決には参加しない委員は渥美委員。議題5、エイフスチラ、退室委員なし、議決には参加しない委員は渥美委員。議題6、ダラザレックス、退室委員なし、議決には参加しない委員は渥美委員。議題7、バベンチオ、退室委員、議決には参加しない委員ともになし。議題8、アラグリオ、退室委員、議決には参加しない委員ともになし。議題9、リツキシマブ、退室委員なし、議決には参加しない委員は中野委員。議題10、アダリムマブ、退室委員なし、議決には参加しない委員は渥美委員。議題11、ブリナツモマブ、退室委員なし、議決には参加しない委員は渥美委員、川崎委員、舘田委員、中野委員、山本委員。議題12、オラパリブ、退室委員なし、議決には参加しない委員は渥美委員。委員からの申し出状況については以上です。

○清田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見はございますでしょうか、よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。本日は審議事項12議題、報告事項4議題、その他事項が1議題となっております。

 審議事項、議題1に移ります。議題1につきまして機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAU及び同スギ花粉舌下錠5,000JAUの製造販売承認の可否等について機構より説明いたします。

 本剤は、スギ花粉から抽出されたスギ花粉エキス原末を含有する舌下錠です。スギ花粉症の減感作療法に用いる製剤として、本邦では、2014年に舌下投与の液剤が承認されておりますが、利便性の向上などを目的として本錠剤が開発されました。本申請の専門委員として資料19に記載の7名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書9ページの表7及び10ページの図1を御覧ください。これらの図表はスギ花粉症患者を対象とした国内第II/III相試験における有効性を示しています。本剤の申請された維持用量は5,000JAUであり、表7では左から3番目の列、図1では小さな菱形と細い実線で示しております。主要評価項目とされた、くしゃみ、鼻汁、鼻閉の程度を反映した鼻症状スコアとレスキュー薬の使用状況を反映した薬物スコアの合計である総合鼻症状薬物スコアについて、本剤5,000JAUのプラセボに対する優越性が検証されております。

 また、10ページの表8に示しますように、副次評価項目とされた、眼のかゆみ、涙目の程度を反映した眼症状スコアと薬物スコアの合計である総合眼症状薬物スコアやその他の有効性評価項目についても、プラセボ群と比べて本剤群では改善の傾向が認められております。これらのことから、スギ花粉症に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 次に安全性について、審査報告書12ページの表9を御覧ください。この表は国内第II/III相試験において、いずれかの投与群で発現割合が2%以上であった有害事象を示しています。本剤群では口腔浮腫、咽喉刺激感、口腔そう痒症などの投与部位局所の有害事象が多く認められましたが、ほとんどが軽度であり、発現後早期に回復しております。

 また、本剤の臨床試験ではアナフィラキシーショックなどの重篤な事象は認められておりませんが、アレルゲンを直接投与するという減感作療法の特性を考慮し、既承認の液剤と同様の安全対策、すなわち、本剤のリスクを適切に管理できる医師や医療機関での使用を前提とするなどの安全管理が必要と判断しております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

○中野委員 本治験は、企業からの申請は5歳以上の小児に対してと出ていると思うのですが、最終的な添付文書を拝見いたしますと年齢制限は特にないと思います。現場の者としては、小児であればこの舌下錠が安全に使用できる状況であれば使っていいのかという理解でいいのかという点を確認させていただきたいのが一点です。

 もう一点、この薬剤にはゼラチン、魚由来だと思いますがゼラチンが含まれています。アレルギーの素因のある方に使用する薬剤ということで、かつてワクチンに含まれたゼラチン等でアレルギーが起こったという事象が国内にもあったわけです。本剤の臨床試験の段階、あるいはミティキュア、これは12歳以上ですがダニ舌下錠も確か魚のゼラチンが含まれていたと思います。ゼラチンが特にアレルギーの素因のある方に投与して、何か問題があったというようなことは今のところは観察されていないという理解でよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。一つ目の用法・用量の件ですが、本剤による治療は長期間に亘りますことから患者の協力が必要となります。そうした協力のできる患者を適切に選択することが重要と考えておりまして、5歳という年齢で一律に区切るのではなく、医師が個別に患者を一人一人、適用できるかどうかを判断した上であれば投与は可能であると考えて、現在の用法・用量の記載ぶりとなっております。ですので、御認識のとおりで結構かと思います。

 2点目のゼラチンに関してですが、ゼラチンに対するアレルギーの素因のある患者については特に除外されておりません。また、臨床試験ではショック、アナフィラキシーは報告されておりません。

○中野委員 どうもありがとうございました、了解いたしました。ゼラチンアレルギーに関しては、問題となったのが恐らく1990年代から2000年代にかけてだと思いますので、そのころ、もしかしたら魚ではなく、ウシやブタのゼラチンかもしれませんが、そういった方々が成長して成人にもなっていると思います。今後、市販後の調査の安全性のデータなど集積をお願いできればと思います。ありがとうございました。

○清田部会長 ほかにどなたか御質問、御意見はございますでしょうか。

○菊池委員 たくさんあります。この評価法というのはシダトレンのときと一緒の評価法ですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○菊池委員 昔から言っていますが、私は余りこういうものは好きではないのですが、仕方がないので。こういう評価で有意差が出ると、それでということですが、まあ、それはそれとして、先々のシダトレンとの住み分けはどのように考えているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 申請者としては、両剤を併売すると説明しております。

○菊池委員 シダトレンのときはもっと、非常にきめ細かく、段階的に上げていっていますけれども、これはそうではなくて、いきなり2,000JAUを置いてとなっています。そこら辺の検討はどうなっているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤では、2,000から5,000JAUに一段階の増量で使用できる点が利便性の向上の一つと申請者は説明しております。

○菊池委員 シダトレンはすごく複雑だったと思いますが、そういうことなのですね。あと、添付文書の警告のところで、薬剤師が調剤の前にいろいろ確認しろということが前から問題になっていますが、これは企業任せなのですか、これの登録のことに関しては。

○医薬品医療機器総合機構 薬剤師が、処方した医師がデータベースに登録されているか否かを確認するように求めております。

○菊池委員 そのデータベースは誰が管理しているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 作成するのは企業です。

○菊池委員 その企業が確認していることをもって良しとするのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、これまではそのような形で対応しておりました。

○菊池委員 そういうことでいいのでしょうか。企業がe-ラーニングの答えを教えているとか、そういうことというのは考えなくていいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 企業が、トレーニングした医師を確認して、登録することになり、答えを教えるとかいう話については、なかなかそこは。

○菊池委員 そうすると、例えば薬剤師さんが基本的には門前薬局とか、クリニックだったら隣の薬局でやっているのでしょうが、そうではないところに行くような人がいた場合、その先生の確認が取りづらいとかいうところでのエラーとか問題とか、そういうものは大丈夫なのですか。

○医薬品医療機器総合機構 登録されている医師のデータベースがインターネット上にございまして、薬剤師はそのサイトで確認できる形になっていますので、門前でなくても遠くの薬局でも確認できる形となります。

○菊池委員 その確認は簡単にできるものなのですか、公開されているのですか。普通の人でも見られるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 医療関係者向けの確認用サイトを作っておりまして、企業が医療関係者の方にそのサイトのアドレスを伝えております。確認用サイトについては、通常の検索エンジンで検索してもヒットしにくいような工夫していると聞いております。

○菊池委員 添付文書に警告として出しておいて、その確認をそういった企業任せにすること自体、すごく違和感がある。登録してちゃんとできる人かどうかをチェックするのはいいと思いますけれども、結局企業任せでやっていることを警告のトップに持ってきて書いているわけですよね。質の担保というか、機構のホームページから検索するとか、添付文書の意味と言ったらかなり強いものとしてトップに出ていますから、その取扱いはどうなのかなとすごく思うわけです。麻薬施用者番号などとは全然違うわけですよね。そこまで強く言っているわけではないのですが、しっかりアレルギーや脱感作などを知っているということを確認していることの担保になるかもしれませんが、それは別に、その程度というようになってしまいませんか。

○医薬品医療機器総合機構 例えば抗癌剤ですと、がん化学療法の知識と経験を有する医師が使用してくださいということも警告に書いてあります。ただ、やはり、使用者側の意識にある程度頼らざるを得ないところがあります。先ほど、我々のホームページに掲載するという委員からの御提案がありましたが、そういうことは今のところはしていないというところです。

○菊池委員 いつも、ほかの薬でもそうですけれども、その疾患に対して十分な知識があって、そのことができる施設でということを言っていますが、それが余りに曖昧だと思います。今回の場合、登録しているうんぬんを見るのだったら、揚げ足取りで悪いのですが、先ほど言ったような癌の登録は癌の登録病院でなければいけないということにするのか、誰でもいいのか。今日、別のオプジーボとかでガイドラインなどが出てきますよね。そこも施設の限定などをされている、していく傾向だと思います。とにかく警告のところにしっかり出ているのに、そんなものだろうというのはちょっと失礼な言い方ですが、そういう管理をされて。それを更新されるのかどうか、一遍やったらずっとそのままいいのか、そこら辺の管理とかはどのようにされているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 内容であったり、薬剤が増えたりとかいう形で、状況が変われば更新が必要な場合もあると考えます。

○菊池委員 変わらなかったらずっといいわけですか、一遍取ってしまったら。

○医薬品医療機器総合機構 状況が変わらなければ。

○菊池委員 3年前と、知識が全然刷新されないような、私のような年寄りだったらもうそろそろヤバくなるわけですよね。毎年受けなくていいのですかということです。質の担保というか。

○医薬品医療機器総合機構 今の段階では、内容としてはアナフィラキシーに関して、

○菊池委員 一遍取ったらいいのですね。

○医薬品医療機器総合機構 患者への説明も含め、アナフィラキシー等に気を付けて本剤を使っていただくというところと、減感作療法の知識を身に付けていただくということを理解してもらう必要があると考えています。

○菊池委員 はい、分かりました。次の話題になります。先ほど年齢のことで、5歳から18歳未満のところでやって、有効性は一応分かりますけれども、17ページ、2,0005,000も合わせて54人と49人ぐらいしかやっていないですよね。もちろん有効性がこういった形で出ているからいいのですが、この安全性において年齢別の比較みたいなものはちゃんとされているのですか、表は持っていますか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、18ページの表14にございます。

○菊池委員 分かりました、これは大人とは余り変わらないという認識でいいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○菊池委員 分かりました。このぐらいの集団を見て、それでいいということなのですね。

○医薬品医療機器総合機構 確かに例数は限られておりますので、市販後、製造販売後の調査等の中で引き続き検討していく必要があると考えております。

○菊池委員 またもう一つ、話題を変えます。そもそも、この薬の開始時期についてのことが余り書かれていません。どういうように捉えるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書のほうに、スギ花粉が飛散している最中に本剤を投与することは避けてくださいと書いております。ですので、スギ花粉が飛散するよりも事前に、数か月前に始める必要があります。

○菊池委員 一般的にはいろいろなクリニックで、こういった薬はいつからいつまで出していいという言い方をされているか御存じですか。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございませんが、存じ上げておりません。

○菊池委員 一般的には、こういった薬をクリニック、例えばシダトレンをやっていますというクリニックがホームページで出している時、何月までに来てくださいという書き方をしているか確認していますか。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ありませんが、存じ上げておりません。

○菊池委員 それはちょっと困るのではないでしょうか。御存じですか、見れば書いてありますよ。

○医薬品医療機器総合機構 各クリニックの各ホームページというのは我々も全て確認はできていないのですが、どのような感じで書かれているのでしょうか。

○菊池委員 例えば、花粉が飛んでいないというようにその人が考えたら、ここの地域では飛んでいないから3月でもいいとなるのですか。そういう言い方になってしまうのですが、そういうことでよろしいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。飛んでいない時期であれば、どのぐらい前から始めるということは特に規定はありません。

○菊池委員 そうしたら、飛んでいないというのは誰が判断するのですか。

○医薬品医療機器総合機構 スギ花粉アレルギーに罹っている患者ですので、花粉が飛んでいれば症状が出ますし、症状が出なくなってしばらくすれば飛んでいないという判断になるかと思います。

○菊池委員 ということでいいのですか。そもそも、スタディのときも、いつから舌下をさせているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 スギ花粉の飛散する前年の月から月までに投与を開始しております。ですので、スギ花粉が飛散するまでの間に6か月以上となります。

○菊池委員 それからずっと毎日舌下させているということですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○菊池委員 ですから、いつからやるかがやはり明確ではないと思います。地域差もあるでしょうから、一概に何月から何月までという言い方をしていませんが、書いてあるのは大体1月になったらもうやらないというクリニックが多いです、関東では。関西もそうです。大体、12月までに来てくださいというような形で書かれています。それが慣例みたいになっているので、そういうことでいいのですかということなのです。そこら辺の考え方、もう通例みたいになっているのですが、それはそれでいいですかということです。年によっても当然違いますし、そこら辺はどうなのでしょうかということです。

○医薬品医療機器総合機構 基本的な認識として、花粉飛散シーズン前年の12月までであればどの地域でも飛んでないという説明もあり、12月までということであれば特段の問題はないかと思われます。また、企業から各年の飛散の予測について情報提供もされていますので、各クリニックでそのような情報も加味しながら処方の可否について判断されているのではないかと理解しております。

○菊池委員 余りこればかり言っていてもあれなので、このスタディは2015年1月からのもので評価していますが、2015年のときの花粉の飛散量というのは多かったのですか、少なかったのですか、例年どおりだったのですか。この1年だけの判断でいいのかということを考えて、この年が少なければ、「ああ、よかったね」ということだけであって、そういった評価についてはどう考えるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 例年と比べて極めて多かったかどうかというのはすぐには確認できませんが、審査報告書の10ページに図1として示しておりますように、期間Cは花粉が飛散し始めてから飛散が終了したまでの期間となっています。2月12日から4月30日までの2か月半ほどは飛散していたことになります。期間Bは1平方センチ当たり30個以上のスギ花粉が飛散しているという期間で、1か月程度、2月の終わりから3月の終わりまでとなります。

 スギ花粉の飛散量については、審査報告書には載せておりませんが、CTDの2.534ページ、表2...-8の上に、2011年が6537.5/cm22015年は3893/cm2という数字が出ております。2012年に比べると4分の1ぐらいですが、2011年に比べても3分の2ぐらいということで極めて多かったわけではないというところです。

○清田部会長 よろしいですか。

○菊池委員 仕方ありません。そういう認識を持っているのか、持っていないのかが大事だということです。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。

○清田部会長 ほかにどなたかにいらっしゃいますか、この辺でよろしいですか。

 そうしたら議決に移ります。議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異論がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。

 議題2に移ります。機構から御説明をお願いいたします。

                                 ( 渥美委員退室)

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2-1及び資料2-2、ベンリスタ点滴静注用120mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。資料2-1が静注用製剤、資料2-2が皮下注製剤の資料となっております。資料2-1に添付されている審査報告書に沿って説明させていただきます。

 本剤の有効成分であるベリムマブ(遺伝子組換え)は、可溶型Bリンパ球刺激因子に対するヒトモノクローナル抗体です。今般、全身性エリテマトーデス(以下、「SLE」)に関する効能・効果で製造販売承認申請されました。海外では、静注用製剤は、米国で2011年3月、欧州で同年7月に承認され、皮下注製剤は、米国では2017年7月に承認され、欧州では現在審査中となっております。本申請の専門委員として、資料19に記載されております10名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。有効性につきまして、審査報告書29ページ表32を御覧ください。この表は、既存のSLE治療薬で効果不十分なSLE患者を対象とした静注用製剤の国際共同治験における有効性の成績を示しております。本試験の主要評価項目として、SLEの疾患活動性を評価する複数の指標を組み合わせたSLE Responder Index(以下、「SRI」)のレスポンダーが設定されております。表32の上から2段目を御覧ください。主要評価項目である投与52週時のSRIレスポンダー率について、左から3列目のプラセボに対して左から2列目の本剤10mg/kg4週間隔投与の優越性が検証されております。日本人部分集団の成績は表33のとおりであり、全体集団の成績とおおむね類似しておりました。

 次に、審査報告書35ページ表43を御覧ください。この表は、既存のSLE治療薬で効果不十分なSLE患者を対象とした皮下注製剤の国際共同治験における有効性の成績を示しています。上から2段目を御覧ください。主要評価項目である投与52週時のSRIレスポンダー率について、左から3列目のプラセボに対して左から2列目の本剤200mg1週間隔投与の優越性が検証されております。日本人部分集団の成績は、表44のとおりです。日本人部分集団ではプラセボ群が本剤群を上回る傾向が認められましたが、組み入れられた日本人症例数は少数であり、日本人部分集団では疾患活動性の高い被験者がプラセボ群に偏る等、投与群間の患者背景が不均衡になったことが一因と考察されています。また、審査報告書の40ページ表53に示しましたステロイドの減量効果等の日本人部分集団における副次評価項目の結果も踏まえると、BEL112341試験の日本人部分集団の主要評価項目の成績は日本人における皮下注製剤の有効性を否定するものではないと考えております。これらの成績から、点滴静注用製剤及び皮下注製剤のSLEに対する有効性は期待できると判断いたしました。

 安全性につきまして、審査報告書42ページ表56、表57及び表58を御覧ください。これらの表は臨床試験において認められた主な有害事象を示しています。臨床試験成績及び本剤の薬理作用等を踏まえると、本剤投与時には重篤な感染症、投与後の全身性反応等の発現に注意する必要があると考えております。本剤投与時には重篤な事象が発現する可能性もあること、また、経口ステロイド剤や免疫抑制剤等のリスクの高い薬剤との併用が想定されることから、緊急時に十分対応できる医師・施設と連携すること、また、本剤の十分な知識と、SLE治療に関して十分な知識・経験を有する医師が使用する旨を添付文書で注意喚起する予定です。

 効能・効果について、審査報告書61ページを御覧ください。臨床試験では、ステロイドや免疫抑制剤等のSLE治療薬を投与しているにもかかわらず、疾患活動性を有し、抗核抗体又は抗dsDNA抗体が陽性であるSLE患者を対象として、有効性及び安全性が確認されております。専門協議における、本邦ではステロイド及び免疫抑制剤によるSLE治療が主となっているとの専門委員の意見も踏まえると、本剤は、ステロイドや免疫抑制剤等を使用しても疾患活動性を有するSLE患者に対する治療薬の選択肢の一つと位置付けることが適切と考えております。したがって、審査報告書61ページの中段以降のとおり、本剤の効能・効果は、「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」とし、さらに、効能・効果に関連する使用上の注意の項に、本剤の投与対象に関する注意喚起の記載が必要と判断いたしました。

 最後に、静注用製剤の添付文書案の変更について説明させていただきます。用法・用量に関連する使用上の注意の項におきまして、希釈時に生理食塩液又は乳酸リンゲル液を使用する旨の記載がございますが、乳酸リンゲル液に希釈した場合の品質保証が確認できていないことから、乳酸リンゲル液の希釈に関する記載を削除するとの申出が申請者よりございました。反映できておらず、申し訳ございません。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。非常に珍しい集団を適用としていますので、非常に数が少ないですね。ですから日本人だけのデータを取りますと非常に苦しい説明になってしまうのですが、いかがでしょうか、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

○菊池委員 今、部会長から日本人について攻めるなと言われたので攻めませんが、既存の治療で、例えばステロイドだけの人に乗せた、これは上乗せしてしまうことですよね。ステロイドだけの人に上乗せした方が効果あるのか、それとも免疫抑制剤を使ったとき上乗せした方が効果あるのかとか、そういうことで、より効果が上がる集団がもし分かっているのだったらそれを公開すべきではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。専門協議でもそのような御指摘をいただきました。各部分集団解析等で効果が高い傾向が示唆された高疾患活動性を有する患者や補体が低値の患者等については、資材等で臨床現場に情報提供をさせていただき、患者選択の参考にしていただくことを考えております。

○菊池委員 分かりました。

○清田部会長 ほかに御意見がございませんようですから、議決に入ります。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

                                 ( 渥美委員入室)

○清田部会長 それでは、議題3に移らせていただきます。議題3につきまして、機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品ジーンプラバ点滴静注625mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。

Clostridium difficile感染症(以下、「CDI」)は、抗菌薬治療などにより腸内細菌叢が影響を受けて菌交代が誘発された結果、腸内で異常増殖したClostridium difficileが産生する毒素により腸管壁が損傷されることで発症し、主な症状として、下痢、腸炎などが認められます。高齢者、CDIの既往歴を有する患者などは罹患リスクが高く、重症化する可能性も高いとされています。CDIに対する治療薬として、バンコマイシン塩酸塩製剤、メトロニダゾール製剤などが承認されていますが、これらの抗菌薬により治癒に至った後も一定の割合でCDIの再発が認められるとされており、現在、CDIの再発抑制目的で使用可能な薬剤は承認されていません。本剤の有効成分であるベズロトクスマブ(遺伝子組換え)Clostridium difficile産生毒素、トキシンBに対する抗毒素であり、本申請では、CDIの再発抑制を予定効能・効果として申請されました。本年8月時点で、本剤は、海外において欧米を含む32か国で承認されています。本申請の専門委員として、資料19に記載の9名の委員を指名いたしました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。本申請に際し、CDI患者を対象とした国際共同第III相試験2試験、001試験及び002試験の成績が提出され、このうち001試験は海外で、002試験では、国際共同として日本人CDI患者が組み入れられています。審査報告書37ページの表32を御覧ください。この表は、二つの第III相試験において、バンコマイシン、メトロニダゾール等の抗菌薬によるCDI治療施行中の患者に本剤又はプラセボを投与したときの有効性を示しています。一番左のカラム、上から2段目のCDI再発率が第III相試験における主要評価項目であり、抗菌薬治療によりCDIが治癒に至った後、治験薬投与後12週までにCDIを再発症した被験者の割合を示しています。CDI再発率について、001試験の本剤群では17.4%、プラセボ群では27.6%、002試験の本剤群では15.7%、プラセボ群では25.7%であり、いずれの試験でも、本剤群はプラセボ群との対比較において統計学的に有意に低い値が示されました。

 なお、第III相試験では、Clostridium difficileが産生するトキシンAに対する抗体であるMK-3415と本薬の配合剤についても開発が進められており、表32に本薬MK-3415群としてその結果を示しています。CDI再発率について、001試験で15.9%、002試験で14.9%とプラセボ群よりも低かったのですが、本剤群と顕著な差異は認められなかったことから、本申請では本剤のみが申請されています。また、002試験の日本人部分集団におけるCDI再発率は審査報告書40ページの表37に示しています。上から2段目に記載したCDI再発率について、日本人集団においても、本剤群21.4%で、プラセボ群46.2%よりも低い値を示しました。これらの試験成績等から、本剤のCDI再発抑制効果は期待できると判断しました。

 次に、安全性について、二つの第III相試験の成績を、それぞれ、審査報告書30ページの表22及び32ページの表26に示しています。これらの表は、いずれかの投与群で発現割合が3%以上であった有害事象及び副作用を示しています。いずれでも、本剤投与時の有害事象及び副作用の発現状況は、プラセボ投与時と大きな差は認められませんでした。また、審査報告書33ページの中段、「日本人部分集団において」で始まる段落に、002試験の日本人部分集団における安全性について記載しています。こちらでも特徴的な安全性の懸念は認められておらず、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 なお、本剤はCDI再発抑制を目的に投与される薬剤であることから、CDIを再発するリスクの高い患者が主な投与対象になると想定されます。しかしながら、CDI再発のリスク因子は、診療ガイドラインなどで明確に定義されていません。

 審査報告書42ページの表41を御覧ください。第III相試験ではCDI再発のリスク因子としてこちらにお示ししている、65歳以上であること、過去6か月以内に1回以上のCDI既往歴があること、免疫不全状態であることなどが設定され、これらの因子の有無別のCDI再発率について表41に示しています。また、審査報告書54ページの表50を御覧ください。先ほど御説明したCDI再発のリスクと設定された因子について、主な組合せ別のCDI再発率の推定値を示しています。

 機構は、これらの結果について、医療現場に情報提供を行い、医師がこれらの試験成績などを理解した上で、CDIを再発するリスクが高いと判断した患者に対して本剤が投与されるよう注意喚起を行うことが適切であると判断し申請者に伝達したところ、申請者は了承しています。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御意見、御質問はございますでしょうか。再発を予防するという観点のスタディですので割と理解しづらいのですが、よくよく見ますと、そんなに大きな問題はなさそうだと私は思っていますが、いかがでしょうか。

○舘田委員 東邦大学の舘田です。これはdifficileのトキシンBに対する抗体で非常に期待したいものなのですが、トキシンBに対する抗体だから、重症例に対しての効果は、当然あって良さそうなのです。それに関しては、この臨床試験の中で重症化の抑制ということに関しての効果は全くなかったのかとかということと、もう一つは、再発予防という目的で、どういうタイミングで使うのかですよね。ですから、これは発症している人に対しても使っていいのか、それともそれが治って、そしてリスクファクターを持っている人に対して投与していくのか、その辺をしっかりしておかないと、余計な症例というか、何かたくさん使われすぎてしまうような、そういったところが出てきてしまうのがちょっと心配かなと思いましたが、いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。まず1点目の重症化を抑えるのかという点ですが、本剤は再発抑制であって、CDIの治療は、別途実施される必要があります。CDIの治療施行後に、再発してしまったCDIの重症化を抑えるという御指摘かと理解しておりますが、こちらの点については、臨床試験では検討されておりませんので分かりかねます。申し訳ございません、よろしいでしょうか。

 2点目の本剤の投与タイミングですが、臨床試験においては抗菌薬投与中に本剤を投与することとされております。つまり、CDIに対する抗菌薬治療を行っている最中にです。臨床試験では抗菌薬は14日まで投与してよいと規定されているのですが、抗菌薬の投与開始日から14日までの間に本剤を投与することと設定されておりますので、本剤の添付文書においても、「抗菌薬の投与中に本剤を投与すること」というように用法・用量に関連する使用上の注意の項に記載させていただいております。

○清田部会長 よろしいでしょうか。特に問題がないようでしたら議決に移りたいと思いますが、特に御異論はございませんでしょうか。それでは議決に入ります。

 渥美委員、舘田委員、中野委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは議題4に移ります。議題4につきまして、機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品マヴィレット配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。マヴィレット配合錠(以下、「本剤」)は、C型肝炎ウイルスのNS3/4Aプロテアーゼを阻害するグレカプレビル水和物とNS5Aを阻害するピブレンタスビルの二つの有効成分を含有する配合剤です。本申請では、C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を予定効能・効果として申請されました。海外では、本年7月に欧州で、8月に米国で承認されました。本申請の専門委員として、資料19に記載の10名の委員を指名しました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。なお、本審査においては、C型肝炎に対する治療薬として承認されているNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤、NS5A阻害剤及びNS5Bポリメラーゼ阻害剤をDAAと総称しています。

 有効性について、審査報告書55ページの表36を御覧ください。この表は、国内第III相試験におけるDAA未治療のgenotype1又は2のC型慢性肝炎又は代償性肝硬変患者に対する本剤群及び対照薬群の投与終了後12週時点のC型肝炎ウイルスRAの持続陰性化率(SVR12)を示しています。表の一番左のカラム、genotype1について、主要な解析対象である重度の腎機能障害なし、かつ、Y93H変異なしのC型慢性肝炎患者において、SVR12率は本剤8週投与で99.1%、対照薬群(OBV/PTV/)と記載のオムビタスビル、パリタプレビル、リトナビルの配合剤で100%でした。また、表の一番左のカラム、genotype2の主要な解析対象である重度の腎機能障害なしのC型慢性肝炎患者については表の下から2番目の行に示していますが、本剤8週投与で97.8%、対照薬群(SOF/RBV)との記載、ソホスブビルとリバビリン併用で93.5%でした。genotype1、2のいずれにおいても本剤群と対照薬群の群間差の95%信頼区間の下限値が事前に設定された非劣性マージン-10%を上回ったことから、それぞれの対照薬に対する本剤の非劣性が示されました。また、表36に示している主要な解析対象集団以外のDAA未治療のgenotype1又は2のC型慢性肝炎又は代償性肝硬変患者について、全ての被験者でSVR12を達成しています。

 次にDAA既治療患者に対する有効性について、審査報告書56ページの表37及び表38を御覧ください。表37は国内第III相試験、表38は海外試験におけるDAA既治療のgenotype1又は2の患者に対する本剤12週投与のSVR12率を示しています。いずれでも75100%であり、集団ごとの例数が少ないことからSVR12率に幅が認められていますが、一定の有効性は期待できると判断し、DAA既治療患者に対しても本剤は治療選択肢となり得ると判断しました。

 次にgenotype3~6の患者に対する有効性について、審査報告書57ページの7....2、genotype3、4、5又は6に対する有効性の項、上から3行目、「国内第III相試験」で始まる段落を御覧ください。国内第III相試験で、例数は少ないものの、genotype3のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変患者について、それぞれ、10分の8例及び2分の2例でSVR12を達成しています。また、その下の表39に海外試験でのgenotype3~6の患者におけるSVR12率を示しています。いずれのgenotypeにおいても85%以上のSVR12率が達成されました。これらの試験成績等を踏まえ、genotype1~6のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。ただし、genotype3~6の患者やDAA既治療患者に対する本剤の投与経験は限定的であることから、製造販売後に引き続き情報収集を行うことが予定されています。

 次に安全性について、審査報告書61ページ表43を御覧ください。国内第III相試験において、本剤投与例で5%以上に発現が認められた有害事象及び副作用を示しています。ほとんどが軽度又は中等度の事象であり、適切な注意喚起を行った上で本剤8週間又は12週間投与の安全性は許容可能と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、いずれの原体及び製剤も毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

 なお、川崎委員より事前に御質問を頂いておりますので、読み上げさせていただきます。「製剤の確認試験と定量試験は2ピークになるので、別紙として参照クロマトグラムとピークの帰属を添付する必要はないでしょうか。また、分析時間の記載は必要ありませんか」と御意見を頂いております。

 まず、1点意図を御確認させていただきたいのですが、分析時間というのは具体的にはどのようなものを想定されていらっしゃいますでしょうか。

○川崎委員 HPLCにおけるデータの取り込み時間です。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。御意見を頂いた点については、品質に大きく影響を及ぼすものでないとは理解していますが、申請書には、御指摘いただいた点を適切に対応させていただきます。

○清田部会長 よろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。

○菊池委員 これはここの部会で話すことではないのかもしれないですが、genotype1と2と3~6というのは、市販のものではいい加減な部分が多くて、結局、血友病の人などは混合感染していますから、ダイレクトシークエンスとかをしなければいけなくて対応しているのですが、そちらのほうの診断みたいなものは進んでいるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 御意見、ありがとうございます。genotype検査については、御存じのとおり国内で薬事承認されているものがございません。企業等にも、指摘はしているのですが、採算性等の観点からは、なかなか開発が進まないようです。

○清田部会長 ほかに。

○菊池委員 そうすると、ちょっと大雑把な言い方なのですが、パンジェノですから、もう1でも2でもいいやで、「エイヤッ」というようなことになってしまうかなとは思うのですが、そういうことになってしまうのですか。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね、はい。今回についてはパンジェノタイプなので、genotypeを問わず使えるものとなっております。ただ、投与期間が一部、異なっております。 genotype1と2に該当するセログループ1又は2については、C型慢性肝炎は8週投与ですが、それ以外のgenotype3~6に該当するものについての投与期間は12週間です。セログループ検査をやっていただければ投与期間を決定することはできるというところです。失礼いたしました。

○菊池委員 ついでに、今の期間のこともそうなのですが、これ、申請したときと、後ろのほうにある表のほうがむしろ分かりやすくて、結局、今、説明されたとおりで、genotypeの1と2というように判断されたら8週でいいと。ただし、効かなかったら12週でもいいよというようなことがあるわけですよね。それ以外のものだったら12週が標準の量だということですが、この最初の添付文書の所に書いてある三つに分かれている書き方は、国語的にもちょっと分かりづらいかなと思ったのです。最初が1ポツで、次に二つのポツがあって、それが12週だというような書き方をされていますよね。それは、あえて分かりづらく書き直してしまっているというような気がしますが、いかがでしょう。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。できる限り分かりやすく書こうとは思っているのですが、ちょっと分かりづらいとのことですね。

○医薬品医療機器総合機構 この書きぶりについては、以前、genotype3、4、5、6のときの、ほかの薬剤のときにも御指摘いただいたところなのですが、先ほどありましたように、国内で薬事承認されているgenotype検査が、今はないというところで、かなり複雑な書き方をせざるを得なかったというのが現実のところです。

○清田部会長 よろしいですか。

○菊池委員 それを百歩譲っても、結局これは、例えば3ページにある用法・用量の所の書き方で、1ポツの所のセログループ1と次の二つのポツはその下に掛かるわけですよね。こういう書き方が分かりづらくないですかと、添付文書のほうに行けばもっと小さくなってしまうわけですが、それをもうちょっと、例えばくくるとか何かしたほうが分かりやすいという意味もありますけれども。

○医薬品医療機器総合機構 御意見、ありがとうございます。例えば、この三つのポツの間の1ポツ目と2ポツ目と3ポツ目を分けたような書き方とか、より見やすくなるような工夫をさせていただければと思います。

○菊池委員 せっかく書いているのに余計分かりづらくなったというのが、ちょっと印象です。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。工夫させていただきます。

○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいようでしたらば議決に入りたいと思います。

 渥美委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは議題5に移ります。議題5につきまして、機構より御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品エイフスチラ静注用250他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。本剤はロノクトコグ アルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤です。米国では2016年5月に、また欧州では2017年1月に承認されています。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料19にお示しした6名の方々です。

 審査の概略について臨床試験成績を中心に御説明します。有効性については、審査報告書18ページを御覧ください。ピボタル試験である1001試験では、本剤を出血時に投与した際の止血効果が検討されました。18ページの下から2行目に記載しているように、止血効果が「優」又は「良」と評価された出血エピソードの割合は92.3%であり、本剤の止血効果は期待できると判断いたしました。また、本剤を定期的に投与した際の出血回数の低減効果が、自然出血の年間出血回数であるAsBRを指標として検討されました。審査報告書19ページの表17に示すように、AsBRの中央値は、本剤を出血時にのみ投与した群では、1人当たり年間11.73回であったのに対し、本剤を定期的に投与した群では年間0回と低く、本剤の定期的な投与による出血回数の低減効果が期待できると判断いたしました。

 安全性については、審査報告書2425ページに記載しているように、提出された資料から、既存の血液凝固第VIII因子製剤と比べて問題となる有害事象等は認められておらず、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。

 以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。

 また、奥田委員より審査報告書の誤記について、事前に御指摘を頂いております。審査報告書の26ページの7.R.5.2の2段落目の上から4行目に、「開始容量」という記載がありますが、正しくは「用量」であり、「容量」の「容」が間違っておりましたので、適切に修正させていただきます。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○菊池委員 私たちの施設で血友病の人に凝固因子製剤を使用する際に困っている事の一つに、用法・用量が1kg当たり定期輸注のときに2050という範囲は倍量違うわけで、すごく多くほしがる人と、そうではない人といらっしゃったり、その人の効果で決めていったり、患者にはトラフ値でどうだといっても全然駄目で、心理的というか、その効果でやるので、これだと、例えば50kgの人に50単位でやったら、2,500単位のものが必要ですし、20単位でよければ1,000単位1個で済むわけです。そうすると、それ以外の体重の人もたくさんいるわけですから、適切な製剤の準備ということを考えると、幅がありすぎるのも困ると思います。製剤は1本ずつはものすごく高いので、買い置いたりして期限が切れてしまったら大変なことになるのですが、その適正さについての考え方とか、ほかの製剤との住み分けというのは、ますますこれで分からなくなって、うちでは専門の人間に任せているのですが、そこら辺はどのような取扱いになるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、用法・用量の幅があることに関してですが、本剤については2050IU/kgという用量で臨床試験が実施されており、また投与間隔についても週2回又は週3回と選択できることになっています。患者の状態やトラフ値などのいろいろな要因に応じて、投与量の調節がされることから、このような設定になっています。

○清田部会長 比較はしていないのでデータは出しにくいですね。

○菊池委員 その人にとって、50単位/kgだと、1週間もって何も起きないとなったら、その人のために2,500単位を院外薬局などから入れなければいけないとなるでしょうし、私は1,000でいいのだといったら、その人のために1,000を準備するかなということになるのですが、在庫の置き方も難しいというところですよね。

 あと、一番もったいないのは、お家に持って帰っていって、結局使わないということが実はあるわけで、社会資源のことなどを考えると、患者は一発で打ちたいのです。こちらも準備したいのですが、それをやることによっての周りの負担があるから、この製剤もこういった作り方をしているのは、そういう配慮だとは思うのですが、難しいかなと思います。その辺は先々どうするのかなと思います。コメントだけです。

○清田部会長 血友病の患者は特定の病院におかかりだと思うのです。ですから、全部の病院がこれを採用するわけではないと思います。特定の病院だけが採用されるような薬ということは、専門性の高い先生が処方されるということになろうかと思いますので、その辺は大丈夫かなと私も思いますが、よろしいでしょうか。御意見がないようでしたら議決に入ります。

 渥美委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは議題6に移ります。議題6について、機構から、概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品ダラザレックス点滴静注100mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。本剤の有効成分であるダラツムマブ(遺伝子組換え)は、多発性骨髄腫細胞の細胞膜上に発現するCD38に結合し、多発性骨髄腫細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を誘導することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。今般、本剤は再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は平成2811月の当部会の審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されています。平成29年5月時点におきまして、本剤は多発性骨髄腫に係る効能・効果にて、45の国又は地域で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた委員は、資料19にあるとおり8名の委員です。

 臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした第III相試験である3003試験及び3004試験の2試験が提出されました。

 有効性について、審査報告書の31ページの上から16行目以降、また36ページの下から5行目以降及び65ページの上から13行目以降に記載しています。3003試験、国際共同治験の全体の結果は、32ページの図と表です。この3003試験の結果として、レナリドミド水和物とデキサメタゾンとの併用投与、報告書中では「Ld」と記載しております。これに対して、本剤を上乗せすることにより、主要評価項目とされた無増悪生存期間(以下、「PFS」)の優越性が示されました。また、この試験の日本人集団の成績については、報告書の39ページの表23と図4にお示ししています。日本人集団においても、本剤群の成績が対照群を上回ることが示唆されており、一貫した結果が示されました。

 続いて3004試験です。審査報告書34ページの上から7行目以降、36ページの下から5行目以降及び65ページの上から13行目以降を御覧ください。主要な解析の結果として、34ページの表と次のページの図に解析結果をお示ししております。3004試験では、対照薬としてボルテゾミブとデキサメタゾンとの併用投与、報告書上では「Bd」と記載しております。このBdに対して本剤を上乗せすることにより、主要評価項目としたPFSの優越性が示されております。これらの結果を踏まえて、機構は本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書の40ページの上から3行目以降及び65ページの下から9行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、infusion reaction、骨髄抑制、感染症、溶血及び腫瘍崩壊症候群が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理など、適切な対応により忍容は可能と判断いたしました。ただし、今回日本人における検討症例が限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、事前に奥田委員より審査報告書の誤記の御指摘を頂いておりますので、そちらも併せて御説明いたします。審査報告書の70ページの表41を御覧ください。こちらの左側の欄の「追加の安全性監視活動」の3点目の内容で、継続試験について、「1005試験の継続試験の継続試験」と重複した記載がありますが、正しくは「1005試験の継続試験」ですので、訂正させていただきます。申し訳ありませんでした。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 委員の先生方から、御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。比較的少ない疾患であるということです。再発性、難治性というのを分けて解析されているということです。日本人に関しては少ないのですが、ある程度全体と変わらないデータであるということです。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 御意見がないようなので議決に入ります。渥美委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題7に移ります。議題7について、機構から御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品バベンチオ点滴静注200mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。本剤の有効成分であるアベルマブ(遺伝子組換え)は、抗原提示細胞や腫瘍細胞に発現しているprogrammed cell death ligand-(以下、「PD-L1」)に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体です。本剤は、PD-L1と結合することで、PD-L1とリンパ球等に発現しているその受容体との結合を阻害し、がん抗原特異的なT細胞の細胞傷害活性を増強すること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は、根治切除不能なメルケル細胞癌を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、平成2811月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。平成29年5月時点において、本剤はメルケル細胞癌に係る効能・効果にて、米国のみで承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料19にあるとおり9名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、遠隔転移を有するメルケル細胞癌患者を対象とした国際共同第II相試験である003試験が提出されました。有効性については、審査報告書の26ページの上から1行目以降、28ページの下から13行目以降及び62ページの上から13行目以降を御覧ください。003試験の結果、化学療法歴のある患者を対象としたパートAにおいて、主要評価項目とされた奏効率について、事前に設定された閾値奏効率を上回ったこと、また化学療法歴のない患者を対象としたパートBにおいて、一定数の奏効例が認められたこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書の29ページの上から11行目以降及び62ページの下から11行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、肝機能障害、間質性肺疾患、腎障害、infusion reaction、消化管障害、甲状腺機能障害、副腎機能障害、1型糖尿病、神経障害、心臓障害及び筋炎・横紋筋融解症が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は根治切除不能なメルケル細胞癌を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 委員の先生方から御意見、御質問を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。珍しいメルケル細胞癌が入り口であって、今後は裾野が広がるような薬になろうかと思います。いかがでしょうか。

○鈴木委員 オプジーボのように、最初は希少な疾病で承認を得て、薬価を高く付けておいて、その後に適応を拡大して対象の多い患者で利益を上げるというやり方は、もはや通じないということだと思いますが、現時点でどのぐらいの疾患について治験が行われているのでしょうか。

○事務局 現在、このバベンチオに関して治験が数多く実施されており、メルケル細胞癌以外の治験で実施されているものとしては、非小細胞肺癌、胃癌、腎細胞癌、卵巣癌、尿路上皮癌、頭頸部癌ということで、オプジーボであるとかキイトルーダのようなものが開発されているような癌種に対しての治験が実施されている状況です。

○鈴木委員 薬食審の先生方は御存じないと思うのですが、オプジーボは社会問題というか、政治問題というか、そのぐらいの問題になったわけですが、どのように適応拡大に伴って薬価に反映されたか、見直しが行われたかの経過について、整理して説明していただけますか。

○事務局 オプジーボの経緯について説明させていただきます。後ほど併せて御説明させていただこうと考えていますが、今回、高額な薬剤問題に端を発して、薬価制度全体の見直しに関して中医協で議論が行われている状況と理解しています。一方で、こちらの医薬品部会としても、実際に革新的な医薬品について、最適な患者に使用していただくために、どういった医療機関、どういった患者に使っていただくべきかということを、最適使用推進ガイドラインを作成し、そちらに臨床試験で得られた成績なども踏まえて、使用していただく医療機関や患者に関する情報を記載します。また、その内容に関して中医協でも御説明させていただき、医療保険の中でも、そのガイドラインに従って使われた場合に、医療保険の中で使っていただくような仕組みを作ったところです。ですので、こちらの品目の御審議を頂いた後に、最適使用推進ガイドライン()についても、御説明させていただきたいと思います。

○清田部会長 それでは、先にこちらの承認を頂いてからにしますか。

○事務局 まず、こちらの品目の承認の可否等について御審議いただいて。

○清田部会長 この後、すぐにガイドラインの御説明がありますので、まずこのお薬に関して、承認を可としてよろしいでしょうか。

○川上委員 意見として伺いたいのですが、1バイアル中に200mgを含有する規格が一つです。今回、承認を取得しようとしている効能・効果、また今後の適応拡大を考えたときに、果たしてこの200mgの規格一つでいいのかどうでしょうか。例えば体重50kgの方であれば500mg、すなわち2.5バイアルですから、最初から0.5バイアルを破棄することを前提とした規格設定になっています。他の同効薬2剤については、5倍で2種類の規格を準備しているということを考えると、適切かどうかの御意見を伺わせてください。

○医薬品医療機器総合機構 申請者から他の含量の製剤も開発中と聞いており、今後の効能追加等に伴って、そちらについても申請されると思います。

○清田部会長 よろしいでしょうか。

○川上委員 はい。

○森田委員 安全性の国内外差の点について、ほかのオプジーボとかキイトルーダのときに、このような安全性の国内外差は問題になっていたのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 オプジーボやキイトルーダのときも、審査の過程で国内外差について確認しており、キイトルーダとオプジーボについても、特段の国内外差は認められなかったと考えております。

○清田部会長 よろしいでしょうか。

○森田委員 はい。

○菊池委員 メルケル細胞癌にどれだけ効いたかというデータは、どこかに書いてあるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 有効性の成績は審査報告書の27ページを御覧ください。表14が、メルケル細胞癌患者を対象とした試験で、パートAが化学療法歴のある患者を対象とした成績です。全体集団が88例ありまして、うち28例が奏効したため、奏効率は31.8%、奏効率として信頼区間の下限値が21.9%でした。この下限値が、閾値奏効率の20%を上回ったことから、試験としては成功しており、有効性は示されたと考えております。また、日本人集団としても3例のみの結果ではありますが、CRが1例認められており、一定の有効性は示されたと考えております。

 また、パートBが化学療法歴のない患者を対象とした成績であり、表15に示しております。結果として日本人患者は含まれていませんが、外国人患者が16例組み入れられ、うち10例で奏効が認められており、一定の奏効例が認められていると判断しております。

○菊池委員 鈴木委員がおっしゃったように、珍しいものから入っていって、話を持っていっているわけです。例えば進行固形癌のほうで話をしないで、こちらに持ってきているところにすごく違和感があるわけです。メルケル細胞癌については、日本人にはまだ3人にしか使っていなくて、その中でCRが1例だから、それで有効性があるからいいという議論には違和感があります。それで、改めてメルケル細胞癌が本当に何例かということで伺ったまでであって、これはほかのことに関しての有効性について語っていただけで、ここの3例だけを詳しくケース1、ケース2、ケース3ぐらいで出さなかったら、これはメルケル細胞癌についてどうこうという議論にはならないような気がするのですが。

○医薬品医療機器総合機構 こちらの日本人集団の3例の結果については、お手元の資料のCTD2.542ページ、43ページを御覧ください。こちらに003試験のパートA、日本から3例の患者の詳細が記載されおり、我々もこういった情報を確認した上で審査をしております。なお、こちらは機構のホームページで審査報告書と合わせて公表されることになり、御覧いただけることになります。

○菊池委員 これが後から公開されるのは分かっていますが、そうではなくて、これが大事であれば前の審議の審査報告書の中になければおかしいと言っているのです。それで、メルケル細胞癌について効くのだという言い方をしたら、メルケル細胞癌が3例だけで、日本人は3人しかいなくて、それがメルケル細胞癌だと言っているわけですよね。その中の効いていることについては、後ろのほうでしかなくて、審査報告書は私は後ろのほうから読むようにしておりますが、これはそういう意味では。ここでいつも私は申し上げていますが、ここにいる方の連帯責任ですよね。審査しているあなた方もそうでしょうけれども、私たちが審議したのだから、もっと罪が重くなると思うから言っているのですが、固形癌に効くというなら、「ああ、そうですね」と言えますが、これは本当にそう言っていいのかというのは、私はすごく疑問があります。ほかの先生方も、それでよろしいのでしょうか。

○清田部会長 今回は、メルケル細胞癌に対する承認というだけなのです。それが、日本人には非常に少ないというのも事実です。ただし、国際共同治験の中では、これも多くはないのですが、限られた数の中ではそこそこの有効性があるということだけの審査ですので、これから先の話はまた先で議論しなければならないのです。ここの場ではないのです。

 ですから、メルケル細胞癌の話だけで通そうかという議論をお願いしたいと思うのです。ですから、適応追加で上がってくるデータは、それはそれで厳正に審査するということなのです。メルケル細胞癌については、その後も症例が追加されてきたら、それを集積して再評価するという場面が出てくるのだろうと思うのです。そのような考え方です。

○菊池委員 でしたら、その3例だけの話だということですよね。

○清田部会長 日本人の場合はですね。

○菊池委員 だけれども、日本人に対してメルケル細胞癌に対して通すのですから、ほかの固形癌の表などは要らない話ではないかと思うわけです。それに対して適応を取ろうとしているのだったらという気持ちがありませんか。

○清田部会長 それは御意見として伺っておくということでいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 あくまでも、今、御説明した試験というのは、メルケル細胞癌患者を対象とした試験で、メルケル細胞癌患者への有効性を検討しています。確かに今回の臨床データパッケージの中には001試験、002試験といった試験もありまして、例えば002試験は国内第I相試験であり、進行固形癌の患者を対象として主に安全性や薬物動態についての検討を中心に行っておりますが、審査報告書の25ページ表13に記載しております003試験はメルケル細胞癌患者を対象とした試験であり、あくまでも有効性の評価としては003試験で行っております。

○菊池委員 この中の本文などに、「メルケル細胞癌」というのは、きちんと何箇所かは書かれていますか。

○医薬品医療機器総合機構 冒頭の略語表に記載しているのですが、「MCC」というのがメルケル細胞癌です。

○菊池委員 例えば表14の前後の所で、これがそうだという認識が、パッと分かりますか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の26ページの7.1.2.1が、先ほどから説明させていただいている003試験で、この冒頭の「遠隔転移を有する根治切除不能なMCC患者を対象とする試験」と明記させていただいております。

○菊池委員 分かりました。それなら仕方がないですが、個人的にはすごく違和感があります。

○清田部会長 ほかの委員の先生方はいかがですか。今回、メルケル細胞癌に関しての評価ということになりますので、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきたいと思います。

 ここで先ほど触れた、本品目について事務局より追加の御説明があります。よろしくお願いいたします。

○事務局 当日配布資料21を御覧ください。こちらは先ほど申し上げましたが、今回のバベンチオに関する最適使用推進ガイドライン()となっています。こちらの内容の説明をいたします。今回、メルケル細胞癌を対象とした最適使用推進ガイドライン()となっており、2ページの中段に、今回のガイドライン作成に当たり、医薬品医療機器総合機構、日本臨床腫瘍学会、日本臨床内科医会、日本皮膚科学会に御協力いただいて作成いたしました。

 3ページ目に関しては、先ほど御説明がありましたが、本剤は抗PD-L1抗体になりますので、そちらの作用機序を記載しています。また、4ページ、5ページが、今回のメルケル細胞癌の主な臨床成績の結果をお示ししています。

 6ページ目は「施設について」ということで、先ほども御説明がありましたが、承認条件として全例調査を課す予定になっていますので、そちらに御協力いただける施設であって、1.-1として、ここに()()の医療機関であることということを記載しています。こちらは、これまでのキイトルーダ、オプジーボと同様に、癌の治療に精通している医療機関ということで設定しています。

 また、1.-2ですが、こちらはメルケル細胞癌の化学療法及び副作用発現時の対応に十分な知識と経験を持つ医師ということで、こちらは皮膚の悪性腫瘍ですので、これまでオプジーボやキイトルーダの悪性黒色腫のときの要件と同様に、臨床腫瘍学の知識と経験を有する医師や、皮膚悪性腫瘍の臨床経験を有している医師を要件とさせていただいております。

 そのほかにも、2.としては、院内の医薬品情報管理の体制が整っていること。7ページですが、3.に、様々な副作用が発現するので、速やかに検査などで確認ができ、さらにその治療が行えるような体制を取っていただくことを要件にしています。

 8ページ目は、「投与対象となる患者」です。まず、安全性に関する事項は、1.として禁忌の患者には使用しないこと、2.、慎重投与に設定されている患者に関しては基本的には推奨されないが、ほかに治療選択肢がない場合に限り慎重に使うこと。このような設定をしています。

 有効性に関する事項として、先ほど御議論がありましたが、化学療法歴のない患者、ある患者のいずれの場合にも、メルケル細胞癌の方で使用していただくことを考えておりますが、他の薬剤との併用に関しては有効性・安全性は確立していませんので、他の悪性腫瘍剤との併用はしないということになっています。

 9ページは、投与の際に留意すべき事項として、まず、添付文書等に加えて製造販売業者が提供する資料等に基づき、本剤の使用に当たって特性、副作用、有効性の情報を十分に理解してから使用することを求めています。そのほか、副作用のマネジメントや、4.で、今回の臨床試験では投与開始から1年間は6週間ごとに、それ以降は12週ごとに有効性の評価が行われていたので、定期的に効果があるかどうかを確認していただき、投与継続する必要があるかどうかもきちんと評価していただくことを求めています。最適使用ガイドライン()に関して、こちらの部会で意見を頂き、分科会でも御提示させていただく予定で、その後に薬価収載のときには中医協にも御提示させていただく予定となっています。以上です。

○清田部会長 いかがでしょうか。鈴木先生、大丈夫でしょうか。

○鈴木委員 学会だけでなく、多くの医師会会員も参加している日本臨床内科医会も、これでいいと言っていらっしゃるので、我々としてもいいと思います。

○清田部会長 ほかの委員からの御意見はございますか。よろしいですか。そうしましたら、議題8に移ります。議題8について、機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは議題8、資料8-1、8-2、医薬品アラグリオ顆粒剤分包1.5gの製造販売承認の可否等について機構より説明をいたします。本剤は、アミノレブリン酸塩酸塩(以下、「本薬」)を有効成分とする体内診断用医薬品です。

 審査報告書3ページの上段、「起源又は発見の経緯及び外国における使用状況」を御覧ください。アミノレブリン酸は、細胞内に取り込まれてヘム生成に利用されます。この過程で生成するプロトポルフィリンIX(以下、「PPIX)は、悪性腫瘍細胞では正常細胞に比べて多く蓄積し、青色光で励起されると赤色蛍光を発します。このようなPPIXの性質を利用して、本薬投与と蛍光観察による癌の可視化に関する検討がなされております。本邦においては、本薬のバイアル入りの経口剤が、悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の可視化の効能・効果で承認されております。

 膀胱癌診療ガイドラインによると、膀胱粘膜上皮に多発性に発生する特徴を有する筋層非浸潤性膀胱癌の診断及び治療では、尿道から膀胱鏡を挿入し膀胱内の腫瘍を切除する経尿道的膀胱腫瘍切除術(以下、「TURBT)において視認できる腫瘍を可能な限り全て切除することが、TURBT後の再発及び進展抑制のために必須とされております。また、TURBTにより切除した腫瘍の臨床的・病理学的な特徴から再発及び進展リスクを考慮し、術後の治療戦略が計画されております。しかしながら、従来の白色光源下でのTURBTで視認できる腫瘍は主に隆起病変であり、微小病変や平坦病変を特定することが困難な場合があります。

 以上の状況を踏まえ、本薬を用いた膀胱癌の可視化に関する開発が進められ、今般、SBIファーマ株式会社は、剤形を顆粒剤とし、国内第III相試験の成績等に基づき、筋層非浸潤性膀胱癌のTURBT時における腫瘍組織の可視化に係る効能・効果及び用法・用量の医薬品製造販売承認申請をいたしました。なお本薬は、「筋層非浸潤性膀胱癌の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の可視化」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品の指定を受けております。本剤の審査に関し、専門委員として資料19に記載されております委員を指名いたしました。

 本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明をいたします。まず、有効性について、審査報告書8~9ページに記載しております「7.2国内第III相試験」の項を御覧ください。国内第III相試験(以下、「本試験」)では、筋層非浸潤性膀胱癌及びその疑いのある患者を対象として、膀胱鏡挿入3時間前に、本剤を水に溶解して20mg/kgの用量で経口投与し、TURBT施行時の腫瘍の有無に関する診断能が検討されました。

 本試験における診断能の評価手順について御説明します。評価の手順は、本薬の臨床用量並びに有効性及び安全性を検討する試験として実施された国内第II/III相試験と同様であることから、審査報告書6ページからの「7.1国内第II/III相試験」の項に記載しております。審査報告書7ページを御覧ください。本試験では膀胱内を8領域に分けて、領域ごとに次の手順で評価が行われました。まず、膀胱鏡を挿入し、従来のTURBT時の観察方法である白色光源下で腫瘍と判断された部位を1か所特定し、次に、当該部位について、青色光源下における赤色蛍光の有無に基づく腫瘍の有無を評価した後に組織を採取します。さらに、白色光源下で「腫瘍なし」と判断された部位のうち、青色光源下で赤色蛍光あり、すなわち「腫瘍あり」と判断される部位がある場合には、その1か所から組織を採取します。また、白色及び青色光源下のいずれでも「腫瘍なし」と判断された部位について、領域ごとに1か所組織が採取されました。主要評価項目は、採取された検体について、病理判定を真のスタンダードとした場合のTURBT施行時の腫瘍の有無に関する評価の感度とされました。その結果は、審査報告書9ページの表5にお示ししたとおり、従来の白色光源下での判定の感度と比較して、青色光源下での判定の感度は高く、青色光源下のみで腫瘍と特定された病変が一定数得られました。したがいまして、従来の白色光源下での観察に加え、本剤を用いた青色光源下での赤色蛍光の有無の観察を併用することによって、より多くの腫瘍病変の特定が可能であり、視認できる腫瘍は可能な限り切除することを目的としたTURBTにおける本剤投与の有効性は示され、臨床的な意義があるものと判断しました。また、審査報告書14ページ表8を御覧ください。表8にお示ししたとおり、白色光源下では視認されにくく、かつ将来的に筋層への進展リスクが高いとされる尿路上皮内癌(CIS)が青色光源下でより多く特定されたことから、より適切なリスク分類及び治療が可能になることが期待されます。以上より、本剤投与による腫瘍組織の可視化に関する有効性は示され、臨床的意義があるものと判断いたしました。

 次に安全性について、審査報告書16ページからの「7.R.3安全性について」の項を御覧ください。国内第II/III試験及び本試験の併合解析の結果、本剤との因果関係が否定できない重篤な有害事象として、低血圧が1例に認められましたが、その他の有害事象は軽度又は中等度の事象でした。また、最も発現割合が高い有害事象として膀胱局所症状が61.8%に認められました。当該事象は、TURBT施行時の腫瘍病変の切除に伴い一定の割合で発現することが知られております。膀胱局所症状の中でも重症度の高い膀胱穿孔の発現割合については1.6%と、公表文献で報告されている従来の方法での発現割合0.9~5%と比較して高いものではありませんでした。以上の結果について、本剤は、視認できる腫瘍は可能な限り切除することを目的としたTURBT施行時に用いられることを考慮すれば、本剤の安全性は臨床的に許容されるものと判断しました。また、本薬に特徴的な副作用である肝機能障害及び光線過敏性反応については、既承認効能・効果と同様の注意喚起が必要と考えております。

 なお、本剤をTURBT施行時に使用した際の安全性情報は限られていること、及び現在実施中の既承認効能・効果に係る製造販売後の調査の結果が得られていないことから、本剤承認後の一定期間は本剤が投与された全例を対象とする調査を実施し、迅速に安全性情報を収集するとともに、得られた安全性情報を速やかに医療現場に提供する必要があると判断しております。

 以上の審査の結果、本剤をTURBT時における筋層非浸潤性膀胱癌の可視化の効能・効果にて承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本薬は希少疾病用医薬品に指定されていることから、本剤の再審査期間は10年、また、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、毒薬及び劇薬に該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○清田部会長 御説明ありがとうございます。委員の先生方からの御質問、御意見はございますでしょうか。泌尿器科医でなければ分からないのではないか、ぴんとこないのではないかと思います。資料の緒言の2.2というところがあります。そこに写真が載っています。3ページです。普通、内視鏡では上段の白色光源と示された写真のように見えるのです。一番左の所はどこが腫瘍かちょっと分かりにくいのです。これだと見逃してしまう。ところが、このお薬を使うと下のように赤く光って見えるのです。普通の内視鏡で見えない所が見えるようになるところに有用性があるわけです。真ん中のほうはちょっとだけ隆起した所、専門外の方は分かりづらいかもしれませんが、ここら辺がちょっと怪しいのではないかという話です。手前のほうまで怪しいかもしれない。一番右のほうは、はっきり言うと癌だと分かっている所を見せているわけで、これはこの薬を使わなくてもちゃんと取れるわけです。ですから、全例にこれが必要かどうかというと全例に必要ではないのです。紛らわしいのだけに多分使われていくだろうと思います。ですから、スペシフィシティとかセンシティビティは100%ではないのです。泌尿器科医であれば、それを十分理解してやるはずですので、この点の御心配は無用かと私は思います。御質問ございますでしょうか。どうぞ。

○菊池委員 これは水に溶かしてから経口投与となっていますが、それは何となく、ただ飲んではいけないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 水に溶かして内服することが必要と判断しています。

○菊池委員 では、何ccに溶かすのですか。

○医薬品医療機器総合機構 50mLの水に溶解します。

○菊池委員 それは添付文書に書いてないと思いますが。用法・用量のところに水に溶解して経口投与すると載っていますが。そうしたら、そこにやはり50mLでと付記されていますか。

○医薬品医療機器総合機構 適用上の注意の項を御覧ください。添付文書()の2ページ目になります。こちらの8.適用上の注意()調製方法の項に、「本剤1包に水50mLを加えて溶解後、24時間以内に使用する」という記載をしております。

○菊池委員 すみません、今のはどこですか、それ。

○医薬品医療機器総合機構 資料は1.8.1、添付文書()です。

○菊池委員 はい。

○医薬品医療機器総合機構 そちらの2ページ。

○菊池委員 ああここに、分かりました。ではまた別の質問です。14ページのところの表8です。結局、これは非浸潤性の平坦上の尿路上皮腫瘍の診断率が上がらなければいけないわけですよね、当たり前ですが。これの統計的有意差がないから出していないのですよね。これはずるくないですか。あれば当然出していると思うのですが。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。今回の試験のデザインとしては、あくまでも腫瘍のタイプによらず、腫瘍全体として評価をさせていただきました。表8にお示ししたのは、得られた結果を深掘りしていく中で、こういった平坦病変が特徴的によく見えてきたところが確認できたということでお示ししております。

○菊池委員 だからこれは。

○医薬品医療機器総合機構 ですので、もともと試験に組み入れるときに、患者さんがどういった病変をどれだけお持ちなのかというところが分かった状況での組入れができないものですから。

○菊池委員 それは当たり前ですよ。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○菊池委員 それは当たり前です。ですから、血尿があったり、そういった膀胱症状があるから疑ってそれをやっていくわけですから、それはそうなのですが。

○医薬品医療機器総合機構 はい。ですので。

○菊池委員 ではなくて、質問しているのは、普通でしたら大抵ここの有意差を出しますよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○菊池委員 これは傾向だけだということですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。

○菊池委員 これは、ですからそういうのは要求しないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 今回はそのような。

○菊池委員 いや、これは、ですからP値はこうだけれども有効性が認められたと書かないと、やはり臨床試験とかでも当然ですが、ここの群間の有意差を出していなくて、だけれど、その傾向があるというのは、機構の資料としては寂しいと思いますが。

○医薬品医療機器総合機構 もともと部分集団の解析ですので、統計学的な解析を実施する予定ではありませんでした。

○菊池委員 いや、ですから、それはプロトコールにはそれよってはそうですが、そのようには思いませんか。ほかのものは大抵やっていますよ。有意差がないけれどもそういったことで有効性があるのだという言い方をするけれど、そのようなことは全然やっていないですよね、これ。確かにこれが本当に難しいことはよく分かっていて、これはもう、私が30年代、学生時代から膀胱癌はとても難しいので、再発していってどんどん悪性化していく、それで最終的に急に亡くなるのです。そういうことは経験はしているので。ですから、この中の診断を上げるためにこれをやるので、すごくいいのですが、これの腫瘍移行性とかそういう検討は人間ではされているのですか、これ。これが3時間になっているということの根拠は動物実験から出ていると思うのですが、私は今回ちょっと詳しく見ましたが。

○清田部会長 先生、御質問の内容をもう少し絞ってお願いします。

○菊池委員 すみません。ですから、このP値を出さなくていいのですかというのがまず1点です。

○医薬品医療機器総合機構 お答えいたします。部分集団解析において、群間で統計学的な有意差がどうだったかという検討はもちろんしております。実際にCIS病変では、P値は0.001未満ということで有意差がついているものでしたが、もともとのプロトコール上には主要な解析と計画されておりませんでしたので、審査報告書ではP値を記載しておりません。ただし、審査の中では確認はしております。

○清田部会長 平坦なところは削ってしまうのです。平坦に隆起しているのは削ってしまう。問題はCISなのです。CISはちょっと分かりづらいからこれを使うと分かるようになるというのがポイントです。また、CISのほうが進行癌になりやすいので、CISを見つけてあげるのが臨床的には大事だというところから話が始まっていますので、すべての症例に必要ではないという御理解かと思いますが。

○菊池委員 はい。これはどうでもいいことなのですが、腫瘍の中に入っていって蓄積されるのが、動物実験では5時間ぐらいまで、まだピークで上がっているので、これが3時間でというよりも、CISというか平坦なものを考えたときには、もう少し時間を遅くしてやったほうが、もしかしたら感度が良くなるのではないかと、たまたま思いましたが。それは2.4の4ページのところの、これはもうモデルマウスですから何とも言えませんが、そこの中でどんどん、理屈の中にも書かれたように、アミノレブリン酸とかの代謝のところは、癌では亢進されて代謝されるものが、抑制されて二段階で強くなるわけですから、もう少しこの場合には長くしたほうがいいようにちょっと思いましたということです。

○清田部会長 術前に投与するのですよね。術前に投与するから、なかなかきっちり何時間たって削り始めるかというのは、ちょっと私のほうはいつもやっているものですから、微妙かなと思って先生の御意見を伺いましたが。何かお答えになりますか。

○医薬品医療機器総合機構 用法・用量の設定に関しては、先生の御指摘のとおり、動物実験の結果等を踏まえて臨床試験で実施した用法・用量を設定いたしました。このお薬は術前、膀胱鏡を挿入する2~4時間前に投与をしていただいて手術を始めていただく形で臨床試験をやっておりますので、そういった使い方をしていただいて、通常の長さのTURBTの時間では蛍光観察が可能であると考え、用法・用量を設定いたしました。

○森田委員 二つ質問があります。光線過敏症を起こすことが知られている薬剤ということと、それから健康食品のセイヨウオトギリソウということで、セントジョーンズワートという、よくこの膀胱の病気で使われている健康食品があるのですが、このものの光線過敏症で知られていることでの注意喚起がここの添付文書の中にあるのですが、そういったことがもう少し目立つようにと言いますか、恐らく、このようなセイヨウオトギリソウとかそういうものを使っている人は、なかなかお医者さんに言わなかったりするのではないかと思うので、そういうところの注意喚起が十分ではないと思ったことが1点あります。

それから、もう1点は偽陰性について。偽陰性が多いということで、偽陰性を最小化する方策で添付文書で注意喚起とあるのですが、その添付文書の注意喚起というところが使用上の注意とか用法・用量のところに当たるのかどうか、ちょっとこの2点を教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。順番が前後して恐縮ですが、まず2点目の偽陰性の注意喚起です。添付文書の1.8の1ページ目の左列の下に「用法・用量に関連する使用上の注意」という項目があります。そこに使用方法の注意と合わせて2番目に偽陰性に関する注意喚起をしております。また添付文書には注意喚起のエッセンスを記載しておりますので、より細かい情報については資材での情報提供を考えております。

 1番目の御質問、併用禁忌に記載のある光線過敏症を起こす恐れに関する注意喚起ですが、本剤投与時に併用をやめていただきたいという、併用禁忌としての注意喚起が最も強い注意喚起かと考えておりますが、先生の御質問の趣旨のお答えになっていますでしょうか。

○清田部会長 もうちょっと目立って、ここのところを強調して書いたらどうかという御意見なのですね。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。部会の資料でお配りしていて、大変恐縮なのですが、本資料では、禁忌の項は黒枠ですが、実際には赤枠で記載されます。したがって、実際に配布される添付文書ではもう少し目立つような形になるかと思います。

○森田委員 お願いします。

○清田部会長 光線過敏について今回御報告がないということですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、治験では確認はされませんでした。

○清田部会長 患者さんは手術の後、外に出歩かないですから、そこは大丈夫だと思うのです。

○森田委員 そうですか、分かりました。

○清田部会長 それからサプリメントは、どこの病院も昨今、すごく神経質に術前などにチェックしていますので。

○森田委員 そうですか。

○清田部会長 まず大丈夫ではないかと思いますが。

○森田委員 分かりました。

○清田部会長 そこは、御心配なさらないでよろしいかと思います。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異論がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは議題9に移ります。議題9及び報告事項の議題1をまとめてやりますが、機構から概略を御説明いただきます。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題9と報告事項の議題1について、説明させていただきます。資料9と資料13を御覧ください。審議事項の議題9、医薬品リツキシマブBS点滴静注100mg「KHK」及び同点滴静注500mg「KHK」の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、説明させていただきます。

 本剤は、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(遺伝子組換え)[リツキシマブ後続1]を有効成分とする製剤であり、リツキサン注を先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、サンド株式会社により製造販売承認申請がなされております。本剤は、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。また、先行バイオ医薬品であるリツキサンは、原体・製剤ともに毒薬及び劇薬に指定されていないことから、リツキサンと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないとすることが適当と考えております。

 なお、同一品目に係る報告事項の議題1(「医薬品リツキシマブBS点滴静注100mg『KHK』及び同点滴静注500mg『KHK』の製造販売承認について」)も、併せて御説明申し上げます。機構における審査の結果、本剤とリツキサンの同等性/同質性が確認され、バイオ後続品に関する指針に基づき、本剤はリツキサンのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断しました。報告事項については、以上です。

 審議事項の議題9である本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほど、どうぞよろしくお願いします。

○清田部会長 委員の先生方から、御質問、御意見を頂けますか。

○渥美委員 内容に異議はないのですが、効能の3番目、ヴェゲナ肉芽腫症という病名は既に使わないことが決まっており、今、多発血管炎性肉芽腫症という病名に変わっております。BSですから、前のリツキサンがそのような適応が付いているためだと思うのですが、ここはどうしたらよろしいのですか。既に使わない病名が添付文書に新たに出されるとなると、いろいろ問題があるかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。そのような状況であることは確かですが、先行バイオ医薬品のリツキサンがこのような記載になっておりますので、今後、そちらを合わせて検討することになると思います。

○医薬安全対策課長 先行バイオ医薬品も併せてヴェゲナ肉芽腫症という形の記載になっているという御指摘ですが、現状の医学的な診断名、その他が変わっているということであれば、そこは両方の製剤を合わせて変更する手続を、私どものほうで検討させていただきたいと思います。この承認はこの承認としてさせていただいた以降に対応させていただきます。

○清田部会長 よろしいですか。では、議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。中野委員においては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくことにします。本議題について、生物由来製品の指定を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございます。

 それでは議題10に移ります。議題10について、事務局から概要の御説明をお願いします。

○事務局 議題10、資料10、アダリムマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明します。資料10の「評価報告書」のタブをお開きください。1ページ中段を御覧ください。申請者はアッヴィ合同会社、予定される効能・効果は化膿性汗腺炎となります。

 1ページ下段の「対象患者数」について御説明します。公益社団法人日本皮膚科学会の調査結果に基づき、当該学会認定施設全体における化膿性汗腺炎の推定患者数は約3,500人と推定しており、さらに、軽症患者が認定施設以外で診療される可能性を考慮しても、本邦における化膿性汗腺炎の患者数は約6,700人と推定されたことから、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 2ページ上段の「医療上の必要性について」、御説明します。化膿性汗腺炎は、慢性、炎症性、再発性及び消耗性の毛包性疾患であり、慢性膿皮症の亜型の一つです。本邦において難治性の希少疾患と認識され、厚生労働省の「皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患群の網羅的研究」の対象疾患の一つとして扱われております。化膿性汗腺炎患者では、臀部や腋窩を中心に膿瘍や排膿に伴う瘻孔を生じ、病変部位の強い疼痛や持続する排膿による異臭を伴います。さらに、病変部位の持続する炎症から皮膚が硬化することによる四肢の可動制限、臀部病変の悪化による起座困難等、患者のQOLの著しい低下をもたらします。

 アダリムマブは、海外では、化膿性汗腺炎に対する効能・効果で米国及び欧州等の75か国で承認され、診療ガイドラインにおいて化膿性汗腺炎治療の第一選択薬とされている一方、本邦では、化膿性汗腺炎に対する対処療法として抗菌薬が用いられておりますが、化膿性汗腺炎そのものの症状改善には無効なことが多く、重症化した場合には外科的治療が行われております。しかしながら、化膿性汗腺炎の根治又は再発抑制は期待できず、寛解のためには病変部を残さないように広範囲に皮膚を切除する必要があり、その結果、広範囲の植皮、又、それに伴うQOLの低下が避けられないとされております。

 以上より、化膿性汗腺炎に対する現在の治療法のみでは十分な効果が得られないことから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、2ページ下段の「開発の可能性について」、御説明いたします。本剤は、欧州及び米国において承認されております。また、中等症から重症の化膿性汗腺炎患者における本剤の有効性及び安全性の評価を目的とした国内試験が平成26年9月から実施中であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、御意見、御質問はありますか。すごく珍しい病気ですね。後ろのほうの写真を見るとすごいなと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。渥美委員においては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題11に移ります。議題11について、事務局から概要の説明をお願いします。

○事務局 議題11、資料11、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。「事前評価報告書」のタブをお開きください。報告書の1ページ中段を御覧ください。申請者は、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社、予定される効能・効果は、急性リンパ性白血病となります。

 1ページ、「対象患者数」について御説明いたします。本邦における急性リンパ性白血病の総患者数は5,000人と報告されていることから、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、1ページ下段からの「医療上の必要性について」、御説明いたします。急性リンパ性白血病に対しては、未治療又は既治療の場合のいずれにおいても多剤併用化学療法等が実施されますが、多くの場合に再発が認められるなど、新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に2ページ中段から、「開発の可能性について」、御説明いたします。海外において、急性リンパ性白血病を対象とした第III相試験等が複数実施されております。1.にお示ししておりますように、再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陰性の急性リンパ性白血病患者を対象とした臨床試験において、治験担当医師が選択した化学療法群と比較して、本剤群で全生存期間の有意な延長が認められました。また、本邦では、再発又は難治性の急性リンパ性白血病の成人及び小児患者を対象に、本剤の有効性・安全性を検討することを目的とした第I/II相試験が実施中です。

 以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、御質問、御意見をお願いします。よろしいですか。それでは、御意見がないようですので、議決に入ります。渥美委員、川崎委員、舘田委員、中野委員、山本委員においては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題12に移ります。議題12について、事務局から概要の御説明をお願いします。

○事務局 議題12、資料12、オラパリブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料12の「事前評価報告書」のタブをお開きください。報告書1ページの中段を御覧ください。申請者はアストラゼネカ株式会社、予定される効能・効果はBRCA遺伝子変異陽性の手術不能又は再発乳癌となります。

 1ページの「対象患者数」について御説明いたします。本邦における乳癌の総患者数は、206,000人と報告されています。また、乳癌患者のうち3~5%がBRCA遺伝子に病的変異を有すると報告されていることから、本邦における対象患者数は6,18010,300人と推測されます。以上より、5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、2ページからの「医療上の必要性について」、御説明いたします。手術不能又は再発乳癌患者に対する化学療法としては、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤及びタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法が行われております。この化学療法後に疾患進行が認められた場合には、カペシタビン、エルブリン又はビノレルビンによる治療が行われるものの、予後不良であり新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、2ページ中段からの「開発の可能性について」、御説明いたします。アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤及びタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による治療歴のあるBRCA遺伝子変異陽性の手術不能又は再発乳癌患者を対象に、本剤と既存の化学療法を比較する国際共同第III相試験が実施されました。主要評価項目とされた無増悪生存期間(PFS)は、化学療法群と比較して有意な延長が認められました。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生から、御質問、御意見を伺います。いかがですか。よろしいですか。それでは、議決に入ります。渥美委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、報告事項に移ります。御説明を事務局からお願いします。

○事務局 事務局より報告事項について御説明いたします。報告事項の議題1については、先ほど審議事項とともに御説明しておりますので、議題2、医薬品ジカディアカプセル150mgの製造販売承認事項一部変更承認についてより御報告いたします。資料14を御覧ください。本剤は、未分化リンパ腫キナーゼ(以下、「ALK」)を阻害するセリチニブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在はクリゾチニブに抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果として承認されております。

 今般、ノバルティスファーマ株式会社から、化学療法歴のないALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象とした試験成績を基に、効能・効果をクリゾチニブに抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌から、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 議題3、医薬品オプジーボ点滴静注20mg及び同点滴静注100mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。資料15を御覧ください。本剤は、programmed cell death-(以下、「PD-1」)に対する免疫グロブリン G4 サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は根治切除不能な悪性黒色腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、及び再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌を効能・効果として承認されております。

 今般、小野薬品工業株式会社から、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 なお、本品目については、最適使用推進ガイドラインを作成することとしております。一度、ここまでの報告事項、議題2、議題3について御質疑を頂き、その後に続けてオプジーボ点滴静注の胃癌の最適使用推針ガイドライン()について御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。議題3までの御説明は以上です。

○清田部会長 ありがとうございます。議題2、3について、委員の先生方から御質問、御意見はありますか。よろしいですか。

○鈴木委員 後で説明があると思いますが、議題3のオプジーボはそうした胃癌への適応拡大が一部変更承認ということでさらっと報告事項でなされてしまうことで、以前も非常に症例数の多い非小細胞肺癌がそれで通ってしまったわけですが、それについて今回からはそうしたことがないということで、最適使用推進ガイドラインの説明があるということだと理解して、その説明を待っていてよろしいのですね。確認をさせていただきます。

○清田部会長 よろしいですよね。

○事務局 今回、オプジーボに関しては、この後、最適使用推進ガイドライン()も御説明させていただきます。

○清田部会長 鈴木先生に伺いたいのは、今、先に御確認いただいてしまったわけですが、それを戻したほうがいいということですか。

○鈴木委員 いいえ。

○清田部会長 大丈夫ですか。

○鈴木委員 はい。ただ、私としては、そうした大きな問題を一部変更承認という報告事項で済ませてしまっていいのかという疑問があるということです。

○清田部会長 これは先にお答えいただけますか。

○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。この部会で御審議いただくか報告いただくかということに関しては、審議規程で規定をしておりまして、ほかの医薬品なども含めて、抗癌剤の場合ですが、基本的に抗癌剤の癌種を追加する場合には、報告事項というふうに取り扱わせていただいております。ただ、最適使用推進ガイドライン作成が必要なものに関しては、この部会で最適使用推進ガイドラインの御説明をさせていただくこととなりますので、その点では最適使用推進ガイドラインの御説明をさせていただきます。

○審議官 ただいまの説明は、基本的なルールはこうなっているという御説明です。ただ、申請内容の中身によって、例えば安全性の問題で非常に注意を要するとか、あるいは有効性に対する議論の中でかなりユニークな話があるとか、適応追加であってもこの場で御審議いただくことは、必要に応じてお願いすることはできるようになっております。今回の胃癌の適応追加において、そのような特異的な安全性の問題が新たにありそうとか、そういったことが特になかったということで、事務局側として、これは報告で扱わせていただきたいということで挙げているものです。

 加えて、今般、こういった薬剤について、最適使用推進ガイドラインを作る必要があるとは考えているので、その点については付加的説明をさせていただくという形でこの部会に臨んでいるということですので、一応こういう取扱いをさせていただく際のルールとその原則と例外の扱いについて御説明させていただきました。

○鈴木委員 説明は分かりますが、これまでの一連の流れで、安全性・有効性のみでいくと報告事項ということになるけれども、それが中医協に行って、経済性の議論をしたときに大きな問題になったという先例がありますので、そういう意味では、最適使用推進ガイドラインを作るようなものは、もう少し丁寧な議論をしてもいいのではないかという感じは持っております。それが分かるように何かしていただくといいのではないですか。

○清田部会長 もう少し丁寧に説明してもらいたいという御希望ですよね。

○鈴木委員 はい。

○清田部会長 よろしいでしょうか。

○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。今後そのような形で工夫したいと思います。

○清田部会長 では、先ほど来話題になっている最適使用推進ガイドライン()を、引き続き事務局から御説明をお願いします。

○事務局 それでは、先ほどのオプジーボの胃癌の効能追加に伴いまして、最適使用推進ガイドライン()の御説明をさせていただきます。当日配布資料の資料22を御準備ください。今回、先ほど御報告させていただきましたオプジーボの胃癌の効能追加に対する最適使用推進ガイドラインを作成しております。こちらも2ページに記載しておりますが、作成に当たって、医薬品医療機器総合機構、日本臨床腫瘍学会、日本臨床内科医会、日本胃癌学会に御協力を頂き作成をしております。

 作用機序については割愛させていただきますが、4ページから、今回の胃癌の臨床試験についての有効性と安全性の臨床成績を示しております。今回、二つ以上の化学療法歴を有する患者ということですので、いわゆるサードラインの使用の患者さんの有効性・安全性のデータを掲載しております。6ページからが、「施設について」の要件です。今回、全例調査ということではないのですが、使用成績調査が課せられておりますので、こちらの使用成績調査と安全性監視活動に御協力いただける施設で御使用いただくことを前提といたしまして、施設については、1.-1が先ほどバベンチオのときと同じように癌の治療に精通した医療機関で使用していただくこと、1.-2に関しては、胃癌の化学療法及び副作用発現時の対応に十分な知識と経験を持つ医師として、ここに挙げているような治療の責任者を配置していただくこととしております。そのほかの副作用の対応などについては、先ほどのバベンチオと同様となっております。

 8ページ、「投与対象となる患者」ですが、安全性に関する事項として、添付文書で禁忌とされている患者、2.については慎重投与とされている患者に慎重に使っていただくことを求めております。

 また、有効性に関する事項として、今回、臨床試験で組み入れられておりましたように、二つ以上の化学療法歴のある患者ということで、一次治療、二次治療を受けていない患者は投与対象とならないこととしております。

 最後、9ページが、「投与に際して留意すべき事項」ですが、これまでの副作用の情報なども踏まえて副作用の十分な留意をしていただくとともに、4.に臨床試験において、投与開始から1年間は6週間ごと、それ以降は12週間ごとに有効性の評価を定期的に行っていただくことを求めており、定期的に効果があるかないか、投与を継続するか否かを、御判断を頂くこととしております。最適使用推進ガイドライン()に関しては以上です。

○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からいかがですか。

○鈴木委員 12週ごとに有効性を評価して、有効であればずっと投与が可能だということになりますか。

○事務局 有効性がきちんとあるかどうかを確認をしていただいて、今のところでは投与を継続していただくことになろうかと思いますが、今、実際、いろいろな所でいつまで使い続けたらいいかという研究なども行われているというふうに承知しておりますので、今後そのようなデータが得られてきましたら、そういったことも最適使用推進ガイドラインの中でも記載していけたらと考えております。

○清田部会長 そのようだそうです。今の資料の4ページを御覧ください。OSのカプランマイヤーが出てきますが、本剤投与群は最終的には20%弱が生存されている。この方はずっと続くかもしれないです。ほかの方は亡くなりますので、治療は終わるわけです。ただし、亡くなる前に、どんどん進行した時点でこの薬をやめなくてはいけないかどうかは書いてないですよね。ここは専門家が決めることですので、微妙なところだと思います。よろしいですか。

 ありがとうございます。では、それで確認していただいたということにしまして、引き続き報告事項の議題4について、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 続きまして報告事項議題4、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料16、一般的名称はエタネルセプト(遺伝子組換え)、販売名はエンブレル皮下注用25mg、他3規格の医薬品再審査確認等結果通知書です。こちらの品目について製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。事務局からの報告事項に関する御説明は以上です。

○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見はございますでしょうか。ないようですので、この議題について御確認いただいたものといたします。

 それでは、その他の事項に移ります。その他の事項について、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 その他事項、議題1、資料17、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価に関して、事務局より御説明いたします。

 はじめに、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議、以下、検討会議と呼ばせていただきますが、検討会議による検討における本「事前評価」の位置付けに関して御説明いたします。資料1782ページ、一番後ろです。検討会議とは、欧米等では使用が認められていますが、国内では承認されていない医薬品及び適応に関して、要望があれば本邦での医療上の必要性の評価及び承認のために必要な試験の有無及び試験の種類についての検討を行う会議です。

 資料の右上から御説明します。厚生労働省は、学会や患者会等から要望が挙げられ、検討会議で医療上の必要性が高いと評価された医薬品については、企業に対して開発要請を行います。開発の手段として、その医薬品が臨床現場において既に医学薬学上公知である場合には、公知申請を選択し、本邦において有効性・安全性を確認する試験が必要な場合には、治験等を行います。

 本部会での事前評価については、図の真ん中、左下あたりに記載されていますが、企業が開発の手段として公知申請を希望し、検討会議において公知申請に該当すると判断された場合に、公知申請の事前評価として御確認いただくこととしています。本部会での御確認を頂いた後に、企業が公知申請を行い、機構での審査を経て、改めて部会で承認を頂くという流れになります。

 それでは検討会議で公知申請を行うことが適当と判断されたフルデオキシグルコース及びボルテゾミブについて、順を追って御説明します。まず、フルデオキシグルコースについて御説明します。本資料の3ページを御覧ください。本要望は日本核医学会をはじめとする学会等及び患者団体より提出された、フルデオキシグルコース(以下、「本薬」)の大型血管炎の診断に対する適応追加に係るものです。

 続いて19ページです。7.「公知申請の妥当性について」に記載しているとおり、本薬を用いたPET検査は、国内外の臨床研究で大血管炎の診断において一定の感度と特異度を示すことが報告されています。また、欧州の幾つかの国において、大血管の血管炎の炎症範囲の検出に関する効能・効果で承認されており、国内外のガイドラインにおいて、大血管炎の炎症部位の特定に関する有用性が記載されています。本邦においても、大型血管炎の診断等において炎症部位の特定に関する情報を得るために、本薬を用いたPET検査が使用されている実態があることが公表論文等で示されています。

 安全性に関しては、大型血管炎に関する国内外の公表論文等では、本薬は概ね既承認の用法・用量の範囲内で用いられており、特段の懸念は報告されていません。また、本邦において、本薬は医薬品として承認されていることに加え、本薬を医療機関で合成する装置が医療機器として承認されていますが、それらを含む放射性医薬品の副作用事例に関する調査において、報告された本薬の副作用はいずれも非重篤であり、臨床上問題とはなっていません。さらに、2005年の本薬の承認以降、これまでに開発企業が入手した本邦での副作用・感染症症例報告のうち、大型血管炎に関して本薬が投与された症例での副作用は報告されていません。したがって、本薬は、使用目的にかかわらず、本邦において安全性に特段の問題なく使用されていると考えます。

 以上より、本要望内容に対する有効性及び安全性は医学薬学上公知であると、検討会議で判断されました。

 効能・効果、用法・用量に関してですが、20ページの真ん中より下の部分です。効能・効果は、大型血管炎の診断における炎症部位の可視化とします。用法・用量に関しては22ページです。本邦における既承認の用法・用量と同じく、通常、成人には本剤1バイアル(検定日時において185メガベクレル)を静脈内に投与し撮像する。投与量(放射能)は、年齢、体重により適宜増減するが、最小74メガベクレル、最大370メガベクレルまでとする旨を記載することが適切とされました。フルデオキシグルコースに関しては以上です。

○事務局 続きまして、ボルテゾミブについては29ページです。本要望は、日本リンパ網内系学会及び日本血液学会より提出された、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫の効能の追加に係るものです。

7276ページに記載していますが、有効性については、本薬の単独投与及び他の抗悪性腫瘍剤との併用投与について複数の公表論文が報告されており、国内外の教科書及び診療ガイドラインでは、本薬の単独投与及び他の抗悪性腫瘍剤との併用投与が要望された対象に対する治療選択肢の一つとして記載されています。また、本邦の臨床使用実態においても、本剤の単独投与例及び他の抗悪性腫瘍剤との併用投与例の報告がなされており、本薬による奏効例があることも確認されています。

 安全性についても、要望内容に係る用法・用量は、既に本邦においても他の効能・効果で承認されていること、本薬を要望された対象患者に投与する際に注意を要する有害事象については、既承認の効能・効果、用法・用量で使用する場合と同様であったことを踏まえて、今回の原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫患者に対する投与の際にも、現行の注意喚起に従い、造血器悪性腫瘍の治療に精通した医師により、治療初期の入院、有害事象の観察や管理等の適切な対応がなされるのであれば、本薬は忍容可能と判断しました。

 以上より、本要望内容に対する有効性及び安全性は医学薬学上公知であると、検討会議で判断がなされています。

 効能・効果に関しては76ページに示しているように、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫として、用法・用量は、その下にあるとおり、通常、成人に1日1回、ボルテゾミブとして1.3mg/ 2 (体表面積)を1、4、8、11日目に静脈内投与又は皮下投与をした後、10日間休薬する。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。本剤は最低72時間空けて投与することを記載することが適切とされました。説明は以上です。

○清田部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、本件については御確認いただいたものといたします。事務局から他に何かございませんでしょうか。

○事務局 最適使用推進ガイドラインの通知について、事務局より御説明いたします。当日配布資料23-1と、当日配布資料23-2を御用意ください。先ほどから個別品目のガイドラインについて御議論いただいているところですが、昨年度より当部会ではオプジーボ及びその類薬等について、最適使用推進ガイドラインを作成してきたわけですが、今般、最適使用推進ガイドラインの手続等について、通知という形でお示しすることを予定していますので御説明いたします。当日配布資料23-2が、発出を予定しております通知の案で、当日配布資料23-1がその概要となっています。概要に基づいて御説明いたします。まず、1番目の「本制度の趣旨」ですが、昨今、革新的かつ非常に高額な医薬品が登場してきていることから、国民負担や医療保険財政に与える影響が懸念されているところで、革新的な医薬品の使用の最適化推進を図ることが求められています。また、革新的な新規作用機序を有する医薬品については、薬理作用や安全性プロファイルが既存のものと異なってくる場合があります。そういったときに、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者さんに使っていただくということと、副作用が発現した際に必要な対応を迅速にとることができる医療機関で使っていただくということが重要なものと考えています。そのため、新規作用機序を有する革新的な医薬品については、当該医薬品の最適な使用を推進する観点から必要な患者及び医療機関等の要件、あるいは考え方や留意事項を示すガイドラインを審査と並行して作成していくものです。

 2番目の「対象医薬品」ですが、そういったガイドラインの対象になる医薬品は、こちらの1.から5.に掲げている要件への該当性を総合的に判断して、決定していきたいと考えています。具体的には1.薬理作用が既存の医薬品と比較して大きく異なっていること。2.として、安全性のプロファイルを考慮したときに、使用上の注意が特に必要なもの。3.として、既存の医薬品と比較して有効性が著しく高いというような結果が得られており、医療現場での医薬品に対する使用の期待が高まっているようなもの。4.として、既存の医薬品と比較した臨床的位置付けが異なっていて、より広い患者に使用される可能性が高いもの。そして5.として、将来的な効能追加等によって使用患者の拡大が見込まれているようなもの。そういったものを総合的に判断して、対象医薬品を選定したいと考えています。

 3番目の「手続」になりますが、具体的にそういった医薬品が承認申請されたら、直近の医薬品部会、第一部会、又は第二部会のほうに御報告させていただきたいと考えています。それと同時に、関係する学会等及び機構に対してガイドライン案の検討を依頼させていただきます。具体的にその対象医薬品の承認について審議が行われる部会においては、そのガイドラインの案をお示ししまして、事務局より御説明をして御了承いただきたいと思います。また、承認のあと、薬価収載について審議が行われる中医協のほうでは、ガイドライン案を同様に御説明して御了承いただくという流れを考えています。実際にその薬価収載が行われるまでに、保険適用上の留意事項とともに、そのガイドラインをお示しをするということを考えています。

 裏面は今後の予定になっておりまして、来週の中医協のほうでもこちらの通知案を御説明することを予定しておりまして、御了承いただけましたら、9月中旬ごろの通知発出を予定しています。御説明は以上です。

○清田部会長 ありがとうございます。よろしいですよね。どうぞ。

○渥美委員 ガイドラインがたくさん出ていまして、学会とか研究班がエビデンスベースドで現在の標準的な診断や治療法を示すものをガイドラインと呼んでいるわけですが、ご提示いただいたものはむしろNICEのガイダンス等に近いもので、もう少し強制力があって、従わないと査定するよというような意味合いを含んでいると思うのです。であれば、ガイドラインという名称ではなくて、もう少し強制力がある別の名称のほうが私はいいと思います。

○清田部会長 今おっしゃっているガイドラインの定義ですが、ガイドラインというのはMindsの方法に基づいたものでないとガイドラインではないと思っている方がいらっしゃいます。ですから、ここでいうガイドラインという名前でなく規約などという表現にしたほうがいいのではないのという御意見ですので、今日ここで決める必要もなかろうと思うのですが、今後、ガイドラインだとそういうふうに思っている人がいるので、規約の名前を御検討いただければというような御意見です。そうですよね。

○渥美委員 はい。

○医薬品審査管理課長 御意見ありがとうございます。ちょっとどんな呼び方がいいのか。また、もう一度事務局の中でも試行錯誤させていただきたいと思います。当面と言いますか、このガイドラインということで既に出ていることもあり、通知も一旦はガイドラインという形で出させていただきつつ、先生方に分かっていただける、もっと良い呼び名があれば、また考えたいと思います。

○鈴木委員 中医協でも議論が行われると思いますが、結局、一番の問題は前回も別な部会で話したのですが、要するに保険適用が制限されるという話です。ですから、ガイドラインというと、皆さんは守らなくても別に査定されることはないと思われてしまうかもしれませんので、そういう意味では別にしておいたほうがいいのではないかという気がします。それと、やはり有効性・安全性だけではないという議論です。特に4.、5.の場合は、有効性・安全性は担保された上で、より多くの方に使われる場合にこうしたものを作るということなので、経済性ということが前半に書いてあるわけですが、そういったことが、私はもう少し分かるようにしたほうがいいのではないかと思います。

○新薬審査第五部長 補足させていただきますと、今、渥美委員がおっしゃったような形の内実的な保険上の査定については、今回の資料23-1の一番下に書いてありますように、ガイドインとともに、保険局医療課が、保険適用上の留意事項というふうに、実際に査定上こういうところを見ますというところを具体化して出しますので、今回、こちらで確認していただいているガイドラインについては、あくまでも有効性・安全性のエビデンスが出たものをミニマムとして取りまとめて、その上で最適に使っていただくためのものを記載して、さらに、その中で保険適用上の査定については、同時期に保険局医療課が医療課長通知を出すということを形上、建付けにしています。以上、補足です。

○清田部会長 今、いろいろな難しいところが少しずつはあるのですが、よく御検討いただいて、また教えていただければと思うのです。我々の意見ですので、御参考になればと思います。

○医薬品審査管理課長 始めたばかりの仕組みですので、先生方からも御意見を頂戴しながら進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございます。ほかに事務局から何かございますか。

○事務局 1点、本日御議論いただきましたオプジーボの胃癌の効能追加に関して、ほかの品目のお話ではありますが御紹介させていただきます。オプジーボの類薬である抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ、キイトルーダのほうが、平成2710月に胃癌に対する効能・効果で先駆け審査指定制度の指定品目として指定をしており、当部会でも御報告をさせていただいています。

 今回、キイトルーダと同じ作用機序のオプジーボが胃癌の効能追加について御了承を頂きましたので、胃癌の治療薬としては抗PD-1抗体であるオプジーボが承認されますと使用可能ということになります。そうしますと、キイトルーダは、まだ胃癌の効能・効果での承認はされていませんので、先駆け審査指定制度の要件、4要件ありまして、治療薬の画期性、対象疾患の重篤性、対象疾患に係る極めて高い有効性、世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思、というものがありますが、この指定要件のうちの()治療薬の画期性というものが、既承認の薬と異なる新作用機序であること、を要件にしていますので、オプジーボが承認されることに伴い、キイトルーダはこの要件を満たさなくなりますので、その時点で、先駆けの指定を受けた品目としての取扱いを停止して、次回の薬事分科会で報告を行わせていただき、その後、先駆け審査の指定を取り消すこととする予定としています。以上、御紹介です。

○清田部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。大丈夫ですか。

○事務局 次回の部会については、11月6日午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 目標の3時間をちょっと過ぎてしまいましたが、御協力を頂きましてありがとうございます。何とか終わることができました。どうもお疲れさまでした。ありがとうございます。

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録(2017年9月8日)

ページの先頭へ戻る