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2017年9月13日 第4回「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」議事録

雇用環境・均等局雇用機会均等課

○日時

平成29年9月20日


○場所

専用第22会議室(18階)


○議題

(1) 前回ご指摘いただいた事項等について
(2) 主な論点(案)について
(3) その他

○議事

 

 

○佐藤座長 

定刻ですので、第 4 回職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会を始めさせていただきます。お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。本日は川上委員から御欠席の連絡を頂いています。また、本日は杉崎委員の代理として、高野晶子様に御出席いただいていますので、よろしくお願いします。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 では早速ですが、本日の議題は、「その他」もありますが、 2 つあります。まず議題 1 として、前回御指摘いただいた事項等について、事務局に資料を用意していただいているので、それについてまず最初に御説明いただければと思います。

 

○堀井雇用機会均等課長

 それでは、説明をさせていただきます。まず議題 1 の「前回御指摘いただいた事項等について」ということで、 2 つ説明をしたいと思います。 1 点目は前回の検討会のときに委員から、中小企業、特に小さい企業において、どのような対応をしているのかという資料を、という御指摘があったことに対応したものです。それで資料 1-1 、資料 1-2 、資料 1-3 ということで、これが中小企業の対応という資料になります。

 実はその御指摘を頂いた後に、日本商工会議所さんに要は中小企業の生の声を何か把握できないかということで、御相談をさせていただきましたところ、本日、杉崎委員の代理ということで高野課長がいらしてくださっていますが、東京商工会議所のセミナーを実施した際に、参加いただいた企業 91 社にアンケートの回答をしていただきました。まず冒頭に、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。それで、その結果を資料 1-1 ということで御覧いただければと思います。

 まず右下に 2 ページということでページ番号を振っているのですが、全体として 91 社の中で、「パワーハラスメントの予防などのために実施している取組」、これは一部複数回答がありますが、聞いたところ、下のような回答数でした。まず、相談窓口を設置しているという所が一番多くて、 39 社ということで約 4 割強の回答がありました。そして、次いで就業規則など、社内規定の明示ということで、これが 35 社、大体これも 4 割近くです。ただ、その次に、特に予防のために対応している措置はないという回答が 27 社ありまして、これは全体の 3 割弱ぐらいということになります。この辺りが、なかなか企業規模が小さいとしにくいというところなのかなという印象があります。

 続きまして 3 ページですが、「社内でパワーハラスメントが発生した場合の対応」ということで聞いたものです。これを御覧いただきますと、受けた人への相談・苦情への対応、これが 70 社ということで、割と実施されている。次にパワハラがあったかどうかの事実関係の調査・確認、これも 67 社ということで、数字としては比較的高く出ています。ただ、それ以外の選択肢になりますと、例えば行為者に対する懲戒や配置転換ですとか、外部への相談、こういったところになりますと、実施していると答えた数はかなり減ってくると、そのような印象です。

 次に 4 ページですが、「職場のパワーハラスメント対策を行うにあたり困っていること」という質問です。これは一番多かったのが、パワーハラスメントかどうかの判断が難しいという回答で、これが 44 社という回答数になりました。次いで、適正な処罰・対処の目安に関する判断が難しい、そして発生状況の把握が難しいということで続きまして、それ以降はプライバシーの確保ですとか、社内で対応する人材がいない、意識が低い、そのような回答数が同じぐらい出ているという状況になっています。こちらのセミナーに参加された企業さんということで、比較的こういったことについての関心が高い企業ではないかと思いますが、そういった企業の生の声ということで御紹介をさせていただきます。

 次いで資料 1-2 ですが、こちらは平成 28 年度に厚生労働省で実施した調査の追加分析ということです。 5 月にこの調査の主要点ということで、こちらの検討会でも出させていただきました。ただ、その中の幾つかの項目を拾いまして、データを集めて、また企業規模別に集計をしたものです。

 まず 2 ページですが、企業調査の結果で幾つか分析をしました。左側にはパワハラの予防に向けて、どのようなことを実施しているかという項目で、青い色が 1 299 人という中小企業、グレーが 1,000 人以上という企業のデータです。オレンジが真ん中ということですが、これを御覧いただきますと、何をやったかというので割合に高いのは、上から 3 つ目にあります相談窓口の設置ですとか、上から 2 つ目の就業規則などの社内規定、これは先ほどの東商さんにやっていただいたアンケートともかぶりますが、そういったものの実施割合が高くなっています。

 しかしながら企業規模によって、その数がかなり違うと。例えば相談窓口の設置ですと、グレーの所の 1,000 人以上は大体 70 %を超えた所がやったということですが、青の 300 人未満の所は 20 %超えということで、かなり実施割合が低くなっているという状況です。社内規定についても、ほかの項目についても、同様の傾向が見て取れると思います。右側は同じ質問について、業種別に分けたもので、これは回答数が多かった業種、分析に頼る業種をピックアップしてみました。全般的に製造業などの実施割合が高いように見えますが、個別の業種として立っていなかったグレーのものでも高くなっていまして、サービス関係のものとか、そういったものも入るのかもしれません。

 そして、次の 3 ページです。これは過去 3 年間に、パワハラに関する相談があったかどうかで、あった場合、その中でもパワハラに該当すると判断したもの、それについて企業規模別に回答を分けたものです。全体の傾向として見て取れるのは、やはり類型で言いますと、左から 2 つ目の精神的な攻撃。この 6 類型は、いわゆる円卓会議のワーキンググループ報告の 6 類型ですが、脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言、これに該当するパワハラと答えた割合が、あったもの、そして実際に該当したもの、それぞれ高くなっているということが言えると思います。

 次のページは、過去 3 年間に行った加害者への対応方法ということで聞いたものです。左側、これは企業規模を問わず、口頭指導と答えた割合は高くなっていると思います。しかしながらその下の、例えば書面による指導をした、配置転換をした、そういったものについては、やはり企業規模が高くなってくるほど、高い割合ということになっていると思います。そして右側のパワハラ対策、予防や解決を進める上での課題、問題ということですが、ここも先ほどの東商さんのアンケートとかぶりまして、パワーハラスメントかどうかの判断が難しい、これが最も断然トップという形で、割合が高くなっています。そして、この回答の割合については、企業規模で余り大きい差がないかなと。どのような企業規模におきましても、やはりパワハラかどうかの判断について苦慮している様子が見て取れます。

 続きまして 5 ページ以降ですが、これは労働者調査、同じく実態調査の中で、労働者に聞いた項目があります。その結果を、その労働者が属する企業規模ごとでまとめたものです。 5 ページの左側は、過去 3 年間にパワハラを受けたかどうかという結果で、これを御覧いただきますと、青い色が経験をしていないという回答で、 65 %を超えたぐらいの割合で、これも大体、余り企業規模ごとの傾向ということではないのではないかと思います。一度だけ経験した、時々経験した、何度も繰り返した、これも余り大きな企業規模ごとの差異というのは感じられないと思います。

 そして、先ほど 6 類型のお話が出ましたが、どれに該当すると思うかという所ですが、これもやはり精神的な攻撃が最も高くなっている。そして若干ですが、業務上明らかに不要なことですとか、過大な要求に当たるところが次ぐらいかなという状況です。

 次に 6 ページですが、労働者に対して、パワハラを受けてどのような行動をしたかというのを聞いたものが左側です。会社の関係に相談したという割合が、これは 1,000 人以上と 300 999 人がほぼ同じような割合なのですが、小さい規模だと若干それよりは低いということで、むしろ会社とは関係ないところに相談したり、会社を休んだり退職した、そういった割合が、企業規模が小さいほうが比較的高くなっているように思います。

 では、何で何もしなかったのかというところを、何もしなかった人に聞いたところ、右のような形で、 6 割を超える人々が、何をしても解決にならないと思ったということで、特にこれは企業規模を問わず、このような回答割合という状況でした。

 次に 7 ページですが、これはパワハラを受けたという人に、企業、勤務先はどのように対応したかというのを聞いたところです。この中を御覧いただきますと、どの企業規模を通しても一番多かったのが、パワハラがあった、なかったを判断せず、曖昧なままだったと労働者が感じた割合、これが一番高い。パワハラと認めなかった、あるいは認めた、そのような割合で、これも余り大きい企業規模という差異は感じません。そして次に右側が、そのパワハラを受けたと認めた後、どのような対応をしたかという割合ですが、配置転換をした、謝罪をした、いろいろある中で、一番下の何もしなかったという割合が、そう感じている割合も、それぞれの企業規模で一定規模あるという形になっています。これが実態調査の追加分析ということです。

 続きまして資料 1-3 をお開きください。本日、皆様方のお手元に、平成 28 年度働きやすい職場環境形成事業という、委託事業の好事例集を配らせていただいております。この好事例集自体は企業規模を問わず、様々な良い取組ということで集めたものですが、今御覧いただいている冊子の中から、特に従業員数が 300 人未満のものをピックアップしたもの、これを資料 1-3 ということでまとめているところです。冊子も合わせて後ほど御覧いただければと思うのですが、この資料 1-3 1 ページ目の所に戻らせていただきますと、時間の関係で中身は省略させていただきまして、この 1 枚目の総括的な部分だけを御説明させていただきます。

300 人未満の企業・団体の事例が 12 事例ということで、この 12 事例をそれぞれ拝見しますと、小さい所はそれぞれ企業規模をいかした形で、創意工夫なり取組をされていたり、あるいはいろいろな特徴的な取組をされていたりというのがあるのですが、特にこの調査の中で、取組をしているポイントは何ですかと聞いていまして、それが 1 ページ目の取組項目ということで表が書いてあり、こういったことになっています。

 この取組項目の中で、特に中小企業の中で取組が多かったもの、事例の数をカウントしたところ、中央付近にある教育をするというところにポイントを置いている所、それからトップのメッセージという、一番冒頭のところにポイントを置いている所、そういった所が目立った形になっています。それ以外にも、企業内でルールを決めたり、実態を把握したり、あるいは相談の場を設けたり、マニュアルを作ったり、従業員の自主的な参画を求めたり、そのような形の取組をされています。確かに全体として見ますと、中小企業はなかなか取組をしにくい難しさも多いのですが、ただ一方で、例えば企業内でパワハラがあったことを契機にやってみたら、かなり面白い取組ができたとか、そういう展開もあるなということを感じた次第です。

 議題 1 の中でもう 1 つ御紹介させていただきたいのが、本検討会は裁判例をこれまで出したことがなかったので、事務局のほうでとりあえずまとめてみたものです。お手元の資料 4-1 と資料 4-2 をお開きください。この資料 4-1 と資料 4-2 は、特に職場のパワーハラスメントですとか、いじめ・嫌がらせ、こういったことをピックアップして裁判例を拾ってみたのですが、このような裁判例は相当数ありまして、私どもも全体像を把握できていないという状況です。ですので、今の時点でピックアップしたもの、いじめ・嫌がらせ、それから原告が用いたパワーハラスメント、こういったワーディングに着目してピックアップした裁判例のうち、ごく一部をお手元に配布させていただきました資料 4-2 ということで、付けさせていただきました。

 委員の皆様方は、よく御案内の内容も多いと思うのですが、裁判所の判断というのは様々でして、そのような意味からも個別の裁判例を見ていくことの重要性というのはあると思うのですが、本日、時間が限られた中での説明の便宜のために、資料 4-1 という総括表を作らせていただきました。これは様々な裁判例の中で見られた要素、エッセンスを羅列した総括表ということでして、もちろんここに書いてあるエッセンスが全てではありませんので、そこはお含み置きをいただきたいと思います。

 更には後ほど説明しますが、縦の列が幾つかある中で並んで書いたのですが、必ずしも横で対応関係があるわけではなくて、個々の事案はいろいろな形で対応関係があるということに留意が必要ですし、ここに書いてある行為、あるいは請求内容が全て訴訟の上で認められたというものでもありません。そのようなことを前提にして御覧いただければと思います。

 まず資料 4-1 の総括表の、左から 1 つ目と 2 つ目の列。これは個々の事案において行為をしたとされる者、ここでは加害者というようにまとめてしまっていますが、加害者と、その事案の中で取り上げられた行為の類型というのを、書かせていただきました。そして加害者では、やはり上司ですとか同僚というパターンが極めて多く見受けられまして、裁判例の中では、顧客というのは余り私どものほうでは見つけられなかった部分です。

 次の左から 2 つ目、行為の所ですが、特に行為の○の上から 6 つ、これは職場のパワーハラスメントの、職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議の 6 類型を念頭に置いて、書かせていただきました。実際の裁判例の行為を見たときに、この行為 1 つに該当するという事例というのは余りなくて、複数のどれかに該当して、これにも該当してという、複合的な事案が多くなっているという印象があります。

 それで、特にこの行為の中の暴行・障害・侮辱・暴言・脅迫・名誉毀損と 6 つある 6 類型の中で見ると、先ほど紹介させていただいたアンケートにもありましたように、精神的な攻撃に係る侮辱・暴言・脅迫・名誉毀損、こういった行為多いような印象もありました。

 このような行為の結果、精神疾患等に罹患したり、自殺したり、あるいはそこまで至らずとも精神的な苦痛を被ったということで、その事態を惹起したということで、訴えが起こされているといったことが多くなっています。

 それと、行為の列の所で下の 4 つですが、これはいわゆる 6 類型の中にもしかしたら入るのかもしれないのですが、なかなか入りにくいという形に思われましたので、 4 つ出させていただいています。例えば本人がいない所で誹謗中傷したり、風説の流布をしたり、あるいは退職勧奨ですとか解雇、雇止めをされた、恣意的あるいは著しく低い人事考課をされた。年次有給休暇ですとか、育児休業ですとか、労働者の権利行使の侵害があったと。そのような行為も、例えば上のほうの暴言とか、そういった行為と相まった形で、全体ということで訴えの対象となった行為という形も、よく見受けられたという状況です。

 そういう意味では上のハラスメントということとまた違う、人事権がある人が行使をしたということですので、少しニュアンスが違うという御指摘もあるかもしれませんが、とりあえずこの表の性格自体が、裁判であったものを羅列したという状況ですので、御容赦いただければと思います。

 それで、この加害者や行為の関連で、裁判例を幾つか見てみますと、判決理由の中などでパワーハラスメントの定義に言及したり、あるいは実際に定義付けをしたというものもあります。資料 4-2 4 ページをお開きください。 U 事件ということで、東京高判、平成 25 2 27 日と書いてあります。こちらの資料の 4 ページの下のほうに、※ということで書いていまして、こちらの第一審が平成 24 3 月に出されていまして、その第一審の中での記述があります。、このペーパーに書いていない中で、第一審の裁判所が述べた内容として、パワーハラスメントについて、極めて抽象的な概念で、内包外延とも明確ではないと。そうだとすると、パワーハラスメントと言われるものが不法行為を構成するためには、質的にも量的にも一定の違法性を具備していることが必要であると。

 それで、したがってということで、この資料の 4 ページの下の※の所に入るのですが、「パワーハラスメントは、それを行った者とされた者の人間関係、当該行為の動機・目的・時間・場所、態様等を総合考慮の上、企業組織若しくは職務上の指揮命令関係にある上司などが、職務を遂行する過程において、部下に対して職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地から見て、通常人が許容しうる範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為をしたと評価される場合に限り、被害者の人格権を侵害するもの」としているという裁判例です。

 ほかにも下級審レベルになりますけれども、裁判例の中でパワーハラスメントとはということで、定義付けをしたというものも見られたようです。しかしながら、原告が訴えるときにパワーハラスメントだということで訴えても、あえて裁判所としてはそのパワハラに言及せずに、個別の不法行為の成立要件を個々の行為に立脚して、検討しているというものも多くなっていまして、先ほど御覧いただいた資料 4-2 4 ページ、こちらの控訴審、東京高判の平成 25 年も然りで、個々の行為ごとに不法行為の該当性を見て、最終的には判断をしているというパターンです。

 そして、資料 4-1 の総括表の所にお戻りください。裁判をしたときに、この列の中の右から 2 つ目の所で、請求の根拠とされた規定という、どのような根拠付けをしているかということで、多くはまず行為を行った本人、加害者に対して民法 709 条の不法行為責任を追及する。そして、それと同時に、それが事業の執行についてなされたものについては、勤務先に使用者としての責任、民法 715 条を追求するもの。同時に同僚などがいた場合には、 719 条の不法行為の共同不法行為者の責任を追及するもの。こういったものが見られます。

 また、勤務先に対してはその下の所にありますが、使用者自身の労働契約、又は不法行為上の義務違反を問うということで、民法 415 条、あと 709 条を使ったリ、あるいは労働契約法違反といった形で問うという例が多いようです。不法行為責任と債務不履行責任は競合関係にありますので、両方という形で出てきたりというパターンもあります。

 そして、この資料 4-1 の真ん中に請求内容という列がありますが、多いものはほとんどが損害賠償、慰謝料請求ということで、この表の中では欠勤期間中等の逸失利益の支払いは別立てにしていますが、金銭賠償を求めるもの。場合によっては、例えば先ほど行為のところで少しお話をさせていただいたように、人事的、人事権の行使などが争われた場合におきましては、その人事的な措置の無効確認、異動や退職などについての無効確認を求めたり、あるいは著しくひどいいじめ・嫌がらせが続行したような場合、そういったものについてはいじめ・嫌がらせ行為の差し止め、こういったことがされるというケースもあります。なお、労働者の方がパワーハラスメントなどで精神障害、精神疾患等に罹患して、自殺して、その労働者や遺族の方が労災保険の給付請求を求めたりとか、そういうパターンで争われて、不支給の処分の取消などをされるという場合もあります。

 多分、次のところが、議論がいろいろされるかと思うのですが、資料 4-1 の総括表で御覧いただきますと、一番右側の列の、ここは違法性を判断する際の考え方ということでまとめていますが、ここの欄を御覧ください。不法行為を認めた裁判例では、労働者の人格権を被侵害利益ということで把握しているものが多くなっていまして、その際、加害者や使用者の義務違反を問うときに、その加害者の被害者に対する言動が、職務上の指揮監督・業務命令の範囲であるのか、あるいは指導として社会通念上許される範囲を逸脱した不法行為に当たるのか、そのようなことが考えられているというものも見られます。具体的には業務上の必要性があったか、あるいは必要性があっても、社会通念上許される指導の範囲を超えているか。相手の人格、例えばキャリアとか、入ったばかりとか、企業内の地位とか、そういったものに配慮して、抑圧的であるかどうかとか、そのようなことが配慮されているように思います。

 この論点に関連した裁判例ということで、例えば資料 4-2 1 ページ、 S 事件というものがあります。東京高判で平成 27 1 28 日に判決が出されたものですが、これは事案の概要・結果という所にも記述がありますように、うつ病を発症し、その後休職に至ったと。それが当時の上司 Y2 によるパワーハラスメントが原因だということで訴えられたものになっています。

 それで、判旨の概要ということで○1から○3まで書いてあるのですが、これは一審判決の内容と同じで、この一審判決については控訴審においても維持されたという状況になっています。それで、例えば判旨の概要の○1の所で、「新入社員以下で、任せられない、お前はバカだ」等の発言をしたと。これは名誉感情をいたずらに害するもので、注意・指導のための言動として許容される限度を超えて、相当性を欠くので不法行為という形で、○1の所で書いてあります。ただ、ここの部分について控訴審では、下から 5 行目にあるのですが、当該行為の悪質性が高いとは言えないと。ちょっと記述がないのですが、部下に対する、業務に関する叱責の行き過ぎとか、精神的不調を訴える部下への対応が不適切であったというのはあるのですが、悪質性が高いとは言えないという判断をして、それで最終的には、慰謝料については減額ということで、控訴審で認められたというケースです。

 次は 2 ページですが、 O 事件というものがあります。これは仙台高判で平成 26 6 27 日に判決をされたものでして、事案の概要という所にもあるのですが、精神障害を発症して、自殺をするに至ったようなケースです。これは下のほうにも出てくるのですが、自殺した社員の方は新卒の社会人だったという状況がありました。それで、不法行為の成否についてという形になるのですが、一審におきましては、 Y2 という上司についての請求は認められなかったと。それが二審については、一部認容されたというケースです。

 下の所に下線が引いてあって、この上司のするべきことについて義務違反があったと書いてあるのですが、特に下線が引いてある所の (2) ですが、指導についてということで、その新卒社会人であって自殺をしてしまった A の心理状態、疲労状態、業務量や労働時間による肉体的・精神的負荷も考慮しながら、 A に過度の心理的負担をかけないようにする義務を負っていたと解されるが、その義務がちゃんとされていなかった義務違反が認められたという、そのような判断です。

 特にこのケースについては、一定の指導ということで、繰り返していろいろやられていたのですが、ただ、この控訴審で言われていたのが、一定程度の期間、指導をやってみて、実際にその指導が功を奏していない、成長が見られないと感じていたのであれば、例えば指導体制について問題がないかについて具体的に検討や見直しを行うべきであったにもかかわらず、引き続きミスをしたことについて、一方的に叱責するということを、漫然と続けていたと。特に新卒の社会人であったということを鑑みると、という理由が示されていたと承知しています。

 次は 3 ページですが、 Y 事件という事件です。これも事案の概要の所にありますが、 X のということで、人格を否定するような非難、罵倒、叱責等でうつ病等に罹患して、休職、その後退職を余儀なくされたというケースです。これは原告の請求を棄却して、控訴審では一部変更して、慰謝料、逸失利益等を認めたのですが、会社と上司の不法行為の成立は否定したというケースです。しかしながら会社が、お休みするまでの安全配慮義務違反を認めたということで、慰謝料ということになっています。

 個々のいろいろな行為が判旨の概要という所にありますが、 1 1 つ照らし合わせてみて、業務上の指導の域を超えた不当なものであったとは言えないとか、社会的相当性を逸脱した行為があったと言うことはできないとか、そのような形で。発言につきましても、「また」という真ん中ぐらいの次の所にありますが、人格非難に及ぶものではなくて、名誉毀損する内容でもないと。本人がそれらに矛盾や不合理を感じることがあったとしても、業務上の指示・指導の範囲を逸脱したものと言うことはできないということで、判示をしています。

 次に、 5 ページは N 事件ということで、これは国家賠償法に基づく損害賠償請求事件ということです。これは損害賠償請求事件なのですが、判旨の概要の所に線が大きく 2 つ分けて引いてあり、上司が 2 人いるのですが、上官 B と上官 C ということになるのです。上のほうに書いてある上官 B については、指導の行き過ぎというのを認めて、不幸にして自殺をしてしまったケースなのですが、その自殺をしたということと上司の指導の中に相当因果関係があるということで、両親への慰謝料請求を一部認容したというケースです。

 一方で、下の上官 C のほうについては、この下線部の所にも書いてあるのですが、普段の人間関係というかやり取りについて見ると、平均的な耐性を持つ者に対して、心理的な負荷を蓄積させるようなものではなかったということで、この上官 C については違法性を否定しているという、そのような結果が出ている状況です。

 次に、 10 ページの T 事件ということで、これは解雇も含めたような形の事案になっています。これは正社員が身体、精神の障害で業務に耐えられないということを理由に解雇された。これが集団いじめや嫌がらせだということで訴えられたのですが、結果的にはこれは認められないという形になっていまして、これも一つ一つ、また後ほど御覧いただければと思うのですが、例えば日報の関係や指導の内容について見て、特にいじめや嫌がらせという、そのような目的はないというように判断をしたということです。

 この 10 ページの中には書いていないのですが、これは解雇も争われた事案で、解雇の部分についても、その解雇の意思決定までの過程をつぶさに見まして、意見表明の機会を与えていたなどとして、退職を選択しない余地も労働者に残していたので、就業規則所定の解雇事例に該当するこのケースについては、解雇についても問題がないと判断をして、解雇は有効ということで判断をしたという事案です。

 次に 11 ページを紹介させていただきますと、 M 事件というものがあります。これは事案の概要の所で、勤務先の従業員であった社員が、これも自殺をして、営業所長の方が自殺したのですが、それも業務命令の限界を超えた、過剰なノルマ達成の強要や指摘という、そういうことを訴えられた事案です。これは会社の債務不履行責任が一審では認められたのですが、二審ではそれは取り消したという事案です。その内容が 11 ページの控訴審という所にも書いてあるのですが、事案が不正経理についての事案だったと。それで 2 パラの所ですが、上司が不正経理の是正を指示したにもかかわらず、 1 年以上是正がなされなかったことから、上司が A に対してある程度厳しい改善指導をすることは正当な業務の範囲内にあると。それで、社会通念上許容される業務上の指導の範囲を超えるものではないということで、先ほどお話したような形で一審を取り消したと、そのような状況になっています。

 最後に、使用者の債務不履行責任などが争われたケースということで、先ほどの総括表、資料 4-1 の一番右側の「違法性を判断する際の考え方」の所に入れてしまっているのですが、この下から 2 つ目とか、下から 1 つ目の配置換えとか、面談・指導方法の改善など組織的な対応の適切さ、この辺りは使用者の債務不履行責任を問われる場合、あるいは安全配慮義務違反などが問われる場合について、特にこのようなことが考慮されるわけですが、先ほど御覧いただいた 1 ページの S 事件ですが、この S 事件につきましては、加害者の不法行為責任は認めましたが、使用者の安全配慮義務違反とか、会社自身の労働者に対する不法行為を否定した例ということでも、御紹介ができるのではないかと思っています。

 ざくっとした資料 4-1 の総括表を、あえて作りましたのは、やはり今申し上げたように、個々の事案によって、状況によって、いろいろなケースがありまして、なかなか判断が難しいと。裁判所で一つ一つの事案を見ていて、特に一審と二審でも判断が変わるというケースもありましたので、個別の事例を見ているだけでは分かりにくいかなと思って作らせていただいたのです。ただ、やはりなかなか十分ではないというところも多くありますので、その点については委員の皆様方の御指摘を受けて、私ども、引き続き検討してまいりたいと思います。

 なお、本日資料 4-2 のほうで説明を省略させていただいた事案については、先ほど御覧いただいた行為類型、それに着目しまして、例えば精神的な障害以外でも過大な要求とか、過小な要求、私生活への干渉、こういったことが事案の中で盛り込まれているようなもの、そういった観点で入れさせていただいていますので、後ほどお時間があるときに御覧いただければと思います。議題 1 につきまして、私からの説明を終わらせていただきます。

 

○佐藤座長

 はい、どうもありがとうございました。まず、資料 1 のほうは中小企業におけるパワハラの予防対策等の資料を作っていただいて、資料 4 のほうは判例の分析ということで、前半と後半を分けて御質問受けたいと思いますが、最初確認で、資料 1-1 は、東京商工会議所のセミナーで、これ先ほどセミナーに出て関心がある、これパワハラ予防のセミナーですか。

 

○堀井雇用機会均等課長

 もし違ったら訂正していただきたいとと思いますが、必ずしもパワハラだけではないと承っておりまして、労務管理に関するセミナーと承っております。

 

○佐藤座長

 労務管理のセミナーね。

 

○高野氏 ( 杉崎委員代理 )

 ありがとうございます。これ、 2 回セミナーやったもの、 2 回聞いていまして、 1 つが、助成金セミナーみたいなものが 1 つです。

 もう 1 つが、職場の 3 大ハラスメント防止セミナーみたいな、正にハラスメントのセミナーということでもお聞きしている、この 2 つのセミナーでお聞きしたアンケートです。

 

○佐藤座長

 そうすると、パワーハラスメントというのは、関心がある企業のセミナーも入っていることね。それと、もう 1 つごめんなさい、東京商工会議所でも結構大企業も入ってるよね。だから、中小企業ばかりではないという理解でいいかな、セミナーに参加した人は。

 

○高野氏

 そうですね、会員は広く募集かけていますので。

 

○佐藤座長

 次に、資料の 1-2 で、これは後で事務局で調べていただいていいのだけれど、資料 1-2 を開けていただくと、最初の○1だけど、これ「特にない」に答えたのは 1 個もないのだよね。だから、多分 229 以下、あるのではないかという気がする。さっきの東京商工会議所であったよね。やってない、ちょっと変だなという気がするのです。確認してください。その下の○2も、これは相談がないというのは 7 割ぐらいあるんだよね、多分。 1 229 、そうだよね。

 

○堀井雇用機会均等課長

 そうです。

 

○佐藤座長

 だから、まず相談にある分布が違うんだよね。あるところの分布ですよね。だから、多分大事なのは規模が小さくなると、相談が少なくなる。相談があった人の中の構成でいいね。多分、下のですね。

 

○上田雇用機会均等課長補佐

 そうですね。

 

○佐藤座長 では、御質問なり御意見あれば。多分、中小のほうが取組も少なくなるし、労働調査を見ると、パワハラがあるという人の比率は余り変わらないんだよね。だけど、大企業と中小企業を比べると、中小企業の場合は会社に言ってる人が少なくなる。多分それは仕組みがないという場合もあるし、 1 つは、そういう仕組みがないので、言えないということありますよね。そうすると、相談するとなると労働局へみたいな構造があるのかなと思います。中小企業の場合は、なかなかそういうのやりにくいということもあると思いますけれども、現状は規模に関係なく、あれですよね。資料 1-2 で見ると、労働省調査ですか、 5 ページ目見ると、経験した人の比率は余り変わらないので、ですから、多分経験している人の比率は余り変わらない。だけど、窓口が少なかったりするので、言う人が少なくなっているという構造かなと思います。よろしいですか。これは。

 では、資料 4 のほうで、これは判例を、今の時点でということで、ちょっとその前に確認で、資料 4-1 は基本的に資料 4-2 のまとめ、つまり資料 4-1 のまとめは資料 4-2 以外はあるということですか。

 

○堀井雇用機会均等課長

 全てをまとめているわけではありません。顧客については、資料 4-2 の中には入れていませんので。ですが、この資料 4-1 の中には ( 顧客 ) ということで、入れさせていただいています。

 

○佐藤座長

 資料 4-1 の顧客以外は、資料 4-2 の事例が、資料 4-2 をまとめたのが資料 4-1 でいいのかな。

 

○堀井雇用機会均等課長

 例えば労災の給付不支給とか、必ずしも全部資料 4-2 の中に入れたというわけではないのですが、類型の行為の所についてはお付けするようにしたと、そういう趣旨です。

 

○佐藤座長

 資料 4-1 で取り上げたもので資料 4-2 に入っていないものもあるということね。

 

○堀井雇用機会均等課長

 あります。

 

○佐藤座長

 資料 4-2 にあるけれど、資料 4-1 に入っていないものもあるのかな。

 

○堀井雇用機会均等課長

 資料 4-2 にあるけれど、資料 4-1 に入っていないものはほぼないと思います。

 

○佐藤座長

 ということのようです。それでは、感想でも、あるいはもうちょっとこの辺これからも作業していただくのがあるというようなことで、どなたからでも、いかがでしょうか。原委員は何かあれば。

 

○堀井雇用機会均等課長

 すみません、ちょっと今のお話で国家賠償法が請求の根拠に入っていませんでしたので、国家賠償法に基づく請求の事案は先ほど入れましたので、そういう意味では資料 4-2 のものが全部資料 4-1 というわけではないという、すみません、失礼しました。

 

○佐藤座長

 何か、もしあれば。

 

○原委員

 裁判例で注目すべきところは,主に、この資料 4-1 の総括表の一番右と、右から二番目かなと思っております。様々な事例はございますが、大半は民法 709 条の不法行為に関連する事例だということかと思います。具体的に違法性を判断するポイントとして、総括表の一番右上、人格というところが重視されている。これは裁判例の傾向として否定できないところかと思います。様々な言動がある中で、要は被害者側の人格が何らかの形で傷つけられていれば、それは裁判所で不法行為などの理屈を使って法的責任、損害賠償責任を認める傾向にあるということを,資料としてまとめてくださっているかなと思います。引き続き検討すべきところが左から 2 番目の行為類型のところです。必ずしも全てがきれいに整理できればいいというわけでもないと思うのですが、いわゆる 6 類型をどういうふうに活かしていくかということだと思うのです。例えばこの「行為」のところ, 6 類型以外の下の 4 つの行為ですね。誹謗中傷や恣意的な人事考課などとありますが、こういったものを, 6 類型を活かして、そのどれかに入れ込むような形で整理していくほうがいいのか、それともあくまで 6 類型は 6 類型で、ほかに様々な行為類型を新たに足していく形で整理するほうがいいのか。考え方として,是非ほかの委員の方にもお考えいただければと思った次第です。

 

○佐藤座長

 特に最後の点、いかがですか。僕は、まず 6 類型を置きながら実際の裁判例を見ると、無理に当てはめるよりかは、やはりそれはそれとして新しい類型にする可能性があればということが分かるほうがいいかなと思うのですけれどね、今の段階では。

 

○内村委員

 今の 6 類型の関係もそうなのですけれども、これまでの円卓会議なり、ワーキンググループでまとめてきたものは、そのときの当時からのメンバーの方もたくさんいらっしゃると思いますが、非常によくまとまっていると思います。あとは、運用上、実効性あるものにするにはどうしていくのかというところが今後の課題だと思います。

 それと、例えば資料の 1-2 の均等局で企業調査した結果を見て思ったのですけれども、パワハラと判断したか、判断していないかとか、あるいは労働者の調査にはパワハラを受けたことがありますかと質問して項目について、何がパワハラかというのは、みんなそれぞれによって違う中で、ある一定のパワハラという解釈がみんなそれぞれにあって、それも経験したというのが一度だけ、複数回、あるいはときどきとかというところである程度の分布が同じように、企業規模に余り関係なく同じように出てきているということは、それなりの認知度があるのかなという感じはしています。いずれにしても、以前からパワハラをどう防止していくかは、今までの円卓会議ワーキンググループや、厚労省さんが作っているいろいろなマニュアルや冊子を拝見させていただいていると、本当によくできていますが、更に一歩進めていくにはどうしたらいいのかというところを、しっかり検討したほうがいいと思います。

 

○佐藤座長

 そういう意味では、あれですよ、 6 類型をもちろんきちっと押さえながら、それも僕も賛成なんだ。ただ、もしかしてそれでカバーできるかどうか少し見ていくことも大事かなということ。

 

○原委員

 裁判所的には、パワハラかどうかの定義はあまり問題にしていないわけですよね。全てはそれが不法行為や債務不履行に当たるのかということがメインになっています。裁判例を追っていくだけでは限界もあろうかと思うのですけれども、多分今回の資料の 1 にもありましたように、パワハラと言えるかどうかが分からない,というところがやはり大きなところかと思います。そうすると、裁判例の総括表の「行為」のところに注目して、まずはとにかく具体例を示していくような形で、 6 類型プラス幾つかを示すようにする。いろいろな考え方があると思うのですけれども、とにかくこういったことは具体的にパワハラになる、法的責任が生じる可能性があるよ,ということをまず示して,次に,そこでのキーワードとしては総括表の一番右側の人格があるよ,とキーワードを強調していく。行為類型つまり外形的なところと,本質としての人格というところの両方を強調していく。このように 2 つのアプローチを組み合わせると、まさに防止のために役に立ちそうかなと思うところです。

 

○佐藤座長

 先ほどの企業調査なり、一応労働調査は回答する人が読んでいるかどうかは別として定義は書いています。ただ、そのとおり答えているかどうかは別だけれど。一応こういうものをパワハラとしてというのはお願いしてるのですけれど。ほかにはよろしいですか。

 

○岡田委員

 先ほどの類型のところで原先生がおっしゃっておられるように、例えばここで言うと暴行、傷害とか、侮辱・脅迫・名誉毀損、これはもう法的に明らかにおかしいということが分かる領域と思うのですね。その下になると、それぞれが私なんかちょっとよく分からないのですけれども、どれがどの法に対応しているのかということがはっきりすると、レベルとしては法的に問題があるレベル、明らかに、問題のあるレベルというのと、経営上とか人を尊重するという意味でどうなのというレベルのものがレベル的にはあると思うのですね。まず最初に、明らかに対応するものはなんなのというところは、はっきり法的に問題であるというところを、この類とそれ以外のものも個別に対応する法があります。少なくともここに出ているものについては明らかな問題レベルとして対応するということをしていくと分かりやすいのかなという気がします。それ以外のものについては、ガイドラインなどで啓発していくというのでしょうかね、そんなやり方もあるかなと思います。

 

○佐藤座長

 ほかには。

 

○安藤委員

 私個人として見ていて思うのは、今回は防止ということで、リストになるとしても多分ネガティブリストといって、やっちゃ駄目なことというのがいっぱい挙がってくると思うのですが、一方で、やっては駄目なことというのはいっぱい挙がり過ぎてしまうと、じゃ結局どうすればいいのだろうというそっちがよく分からなくなってしまう、何か可能性もあるのかなというのがありまして、類型を挙げることもすごく大事な一方で、そればっかりがすごく挙がってしまっても、何か逆にどう指導していいのかという、そっちもよく分からなくなってしまうことにもなりかねないのかなというのはちょっと思いました。

 

○原委員

 今の岡田委員の発言のところで総括表、資料 4-1 なのですけれども、これ多分考え方はいろいろあろうかと思うのですが、行為のところを見ていただけますか。例えば行為の左側のところで上から 4 つ目、 5 つ目に過大な要求,過小な要求とありますよね。過大かどうか,過小かどうかという考え方としてはこう整理ができると思います。つまり,入り口のところで,過大か過小かという認定,判断に力を注ぐよりは、さしあたり大きな要求、小さな要求としておいて,その大きな要求というのが,総括表の一番右側,相手方の人格とか尊厳を傷つけるぐらいの大きな要求であれば、それはまさに「過大」であって駄目である。これに対し,多少大きいくらいで,人格を損なっているとまでは言えないということであれば,要求が大きくてもそれは別に違法とまでは言えないわけですよね。ですから、この左側の行為類型のところは,おそらくどの類型だと自動的に何法の何条に引っ掛かるとか、そういった 1 1 の対応ではない。例えば要求が大きいといった外形的な行為が、総括表の一番右側の圧迫や人格の侵害のレベルに至ると,これは違法であり駄目だと。このような関連性があると整理していただくのも一つの選択肢かなと思いました。

 

○佐藤座長

 よろしいですか。この判例のほうはまだまだ整理していただくんだよね、でいいんですか。

 

○堀井雇用機会均等課長

 いろいろ御指摘をいただいた中で、中身を今後整理していくに当たって非常に御示唆、深い御意見が多くいだけたなと思いましたので、そういう観点からもっとこういう裁判例もあるとか、ここはこう整理をしたほうがいいのではないかとお知恵も頂きつつ、事務方としては引続き検討していきたいと思っています。

 

○佐藤座長

 議題の 2 に移らせていただいて、これまでは広い意味でパワーハラスメントの予防どうするかということで、広く御意見を伺えたわけです。まとめてどうしていくかということも大事ですので、まとめる方向で少しこういうような論点について議論していくことが、それ以外議論しないという意味ではないと思いますけれども、こういう論点を議論していくという、当面ということで案を作っていただいていますので、それについて事務局から御説明いただければと思います。

 

○堀井雇用機会均等課長

 それでは、資料 2 と資料 3 を御覧ください。これまでいろいろな形で委員の皆様方に御意見を頂いたものを、資料 3 ということで、これは事務局責任で非常にラフな形ですがまとめたものです。このまとめを踏まえまして、大きく次回以降検討していただく便宜ということで柱の論点をまとめたものが資料 2 です。それで、主な論点については、この論点でということでありましたら、その項目ごとに回を分けて、その内容に適したような形の重点的な資料を出してまた御議論を頂くというイメージなのです。

 まず、主な論点、資料 2 1 です。なぜパワーハラスメントの防止に取り組むかという意義、それから今の実態のところの関連です。これは資料 3 も併せて御覧いただくと、御意見ということで、 1 の総論という形で書いているのです。そもそも、なぜパワーハラスメント対策に取り組むのか。これはある意味、私どもとしては当然やるべきことと考えていますが、ただいろいろな切り口もあるだろうということで、例えば経営的な損失になることもしっかりと訴えていくべきであるとか、それから労働者の生産性、意欲の低下、人命にも関わること、そういったことも踏まえていろいろな御意見を頂きましたので、そういったところをまず意義ということで、主な論点資料 2 1 (2) ということで書いております。

 そして資料 3 の総論の所で、 1 の総論の (2) 原因・要因と、 (3) 実態把握の難しさということで書いております。これは、パワーハラスメントはいろいろ原因があって、実際問題こういう現状があるのではないかというところの御意見や、あるいは、先ほど内容が難しいということもありましだが、実際に起きた場合の調査が難しいとか、あとは、様々な事案があって、その事案ごとに考えると取っ付きにくいと。いろいろなそういう課題がありますので、そういうことが一つ大きい論点として言えるのではないかという、まず前提条件を 1 のところに書いております。

 そして資料 3 の、これまで出た御意見の 2 ページの所です。非常にこれまでの 3 回の御議論の中でもいろいろな御意見が出たのではないかというのが、次の 2 の、何をパワーハラスメントと考えるかという定義のところです。アンケート調査でもパワハラの定義は難しいというのがありました。これまでに頂いた御意見の中でも、 2 ページの 2 (1) の所です。例えば行為者、先ほどの裁判の総括表では加害者ということでまとめましたが、行為者のところでは、例えば流通とか介護業界では、顧客からのハラスメントというのもあるので、そうなると顧客は行為者となるのではないのかとか、あるいは、例えば 3 つ目のところで、職場という範囲に限定して、指揮命令があるところを核に限定するのはどうかとか、あるいは組織によってかなり違うので、そういう定義があってもいいのではないかとかいろいろな御意見を頂きました。

 そして、先ほど裁判例のところでも関連する御意見がありましたが、 (2) の行為の態様というところです。まず行為の類型です。類型が分かりにくいのではないか、それに該当する適切な行為かどうかというのは判断が難しい。それで、結局、そのようなことがはっきりできないと企業としても対応が難しいこともあると。あとは、よく御指摘があった話として、調査の難しさというところにも関連するのですが、相談に来た労働者の方が一方的な主張をしているということもありました。そして、次の 3 ページでは、これは裁判例でも出てきましたが、指導監督とか業務命令との関係という御指摘もありました。

 このようなことを踏まえまして、資料 2 2 ではパワーハラスメントの定義ということで、例えば (1) の行為者、 (2) の行為の態様、 (3) 範囲ということで、これは業務との関連の範囲ということもあると思いますが、それにとどまらずもっと広い形の範囲という御示唆もあるかもしれません。そういったことも論点ということで議論をしていただくのではどうかと考えています。

 次の 3 です。これは資料 3 の御意見のところで、「職場のパワーハラスメント防止強化策のための方策」ということで、これまでの御意見も幾つか書いております。このようなことを踏まえまして、資料 2 の論点では、まず (1) 予防をどのようにしていくか。そして (2) 不幸にして発生してしまった場合にどのような対応をより強化していくか。そして、今日の初めにも御紹介をしましたが、中小企業をどうするか。パワーハラスメントは労働者が一定割合いるところは、大企業も中小企業も規模を問わないわけですが、一方で、その対応で差異があるのであればそういったところをどう考えるかというのが (3) の論点です。そして (4) は、以上を踏まえた形で、それではこのような対策を実効性を持って実施していくためにはどのようなやり方が今日的なやり方として考えられるのか、そのような論点ということでイメージをした柱です。私からは取りあえず以上です。

 

○佐藤座長

 資料 2 と資料 3 があって、一応、これは対応していて、資料 2 1 が資料 3 の総論のところです。 2 2 3 3 ということで。それで、資料 2 は資料 3 と対応しているのですが、資料 3 のほうにはこれまで出た主要な意見が出ている形になっています。資料 2 は、これから議論をしていくときに、多分、出口は職場のパワーハラスメントの予防、防止なり取組をどうするかというのが出口です。もちろんこれには幅があって、実効性担保についていろいろ幅があるわけですが、最終的にはパワーハラスメント予防、防止というところになると思います。

 それを議論していくためには、 1 で、まずは実態を踏まえた上でその必要性です。特に企業にそれを理解してもらう必要があるので、実態と意義をきちんと書こうということです。それともう 1 つは、これからも何がパワハラなのという議論がありまして、企業が取り組む上でそこが分からないと要望もできないですねという話なので、定義を少し議論しましょう。これも以前の類型を踏まえるのかどうかという幅はあります。もう少し考えるのかどうかと、これはいろいろ意見の幅があったと思います。その上で最後の 3 のところという。 (1) とか (2) とありますが、これはこういうものがということです。一応、これから少し出口を踏まえながら議論をしていくときに、大きくは必要性、定義、予防の措置みたいなことがあるのではないかということです。資料 3 は、その中でこれまで出た御意見を、全部ではないかも分かりませんが主なものを整理しています。

 皆さんにまず伺いたいのは、資料 2 みたいな形で議論をしていっていいかどうか。これ以外を議論するわけではないです。一応、当面はここの資料 2 のような大きなテーマを議論していくことでいいかどうかをまず伺ってということです。その上で、今日この後は、資料 2 1 のところに、資料 3 でも出ていますが、対策を取り組む意義のところを先に今日御意見を伺いたいというのが事務局の案のようです。ですからまず当面、資料 2 のような形で議論をしていっていいかどうか、その辺から伺えればと思います。どうぞ。

 

○吉住委員

 連合の吉住です。これまでの会議の中でもいろいろな論点が出てきたものをまとめてた上で区切って議論をするのは非常にいいなと思います。どうしてもあちらに行ってこちらに行ってとなってしまいがちですので、やはりこのようにまとめて議論をしていくのがより深まっていくという感想を持っております。その上で、資料 2 2 番のところにあります定義のところです。まず 3 番の範囲ですが、範囲が広すぎるという感じがしています。行為そのものの範囲のことを言っているのか、あるいは場所ですね、どこで起こっているかという範囲のことを言っているのか、捉え方がいろいろあり、それも含めて議論をしろという御説明ではあったのですが、どちらなのかという感じがしています。

 それから行為者のところについては、先ほどからもいろいろ議論が出ていますが、例えば、企業において、被害者も加害者も出さないという職場を作るのが最終的に求められる企業の活動、行動であるのだと思っております。そうしたところを捉えて、行為者の範囲について定義をまとめていくことについては大いに賛成です。

 

○佐藤座長

 この大きな 1 2 3 みたいな、もちろんほかを議論するなという意味ではないですが、一応、どういうものを中心に今日は議論をするという形で進めることは賛成ということで、ただ中身については少しそのときにという御意見だと思います。いかがでしょうか、大きくこういう枠組みで議論をし始めて、もちろんそこだけで全部収まる、多分ほかも触れなければいけない部分もあると思いますので、それがいけないというわけではなくてですが。また戻ると、最終的にはまた全体を議論することになるかと思います。よろしいですか。何かあれば。

 

○堀井雇用機会均等課長

 今、吉住委員から御指摘があった資料 2 2 (3) の範囲は、余りにも広いのではないかという御指摘で、確かにちょっと漠とし過ぎていて、申し訳ございませんでした。先ほど裁判例の御紹介のときに、パワーハラスメントの定義に触れたものがあった中でも、非常に抽象的な概念で内包・外延というのが本当に広いのでというのがあって、この範囲というところは、これからの委員の御議論、ということもあると思うのですが、その外延を画するという意味で、業務上の指導、業務外とかそういう論点があるので、今までの御意見を踏まえるとそういうところがメインになるのかというイメージはありました。ただ、今の御指摘がありましたので、そこはもう少し整理をした形でまた資料などを用意することを御相談させていただきたいと思います。

 

○佐藤座長

 資料 3 を見ていただくと範囲はないのです、これ。ただこれまでは議論をしていないということなので、議論しないわけにもいかないだろうということだと思いますので。どうぞ。

 

○岡田委員

 パワーハラスメントの定義のところなのです。ここに 3 つになっています。その前にもう 1 つ、定義をする目的というのですか、どういうところでこの定義を使っていくのかというところもちょっと議論をしていたただければと思います。

 

○佐藤座長

 なぜ必要なのかということですね。

 

○野川委員

 それに関連してよろしいですか。

 

○佐藤座長

 どうぞ。

 

○野川委員

 前にも申し上げましたが、この検討会で最終的に何をするのか、どういう成果物を目的とするのかに関わると思うのです。既に円卓会議やワーキンググループ等でそれなりの成果が出ていて、それに基づいて役所もいろいろと対応されています、ガイドラインもあるし、 6 類型も作ったし。あれによって今、実現しているのは、世の中にパワハラが起こらないようにする。パワハラはすごく抽象的だったけれど、何となくこういうパターンを示してもらったので、こういうことが起こらないようにすればいいのだなということが分かっている。

 私はこの間調べて思ったのですが、例えば安全配慮義務の中に、心身の安全を保つことの中にはパワーハラスメントも入るという、何かあれは解釈例規ですか、厚労省から確か出ているのです。心身の安全という中には、パワーハラスメントによって心身の安全が脅かされるようなことについても安全配慮義務の一環ですよというのが入るので、一定程度もう入っているのです。それに加えてこのような検討会を設けてなお成果物を出そうとすれば、そこにとどまらないものをやはり出す必要がある。そうすると、ガイドラインを作ってもっと徹底しましょう、啓発をしましょうということに加えて、どれぐらいのことをここでは考えるのかということに今の御提案が関わっている。

 つまり、定義をするに当たっては、例えば、最もガイドラインの幅広い定義であればうんと広くなる。行為者にしても、それこそ上司ではなくて顧客から部下もみんな入ってもいいわけですよね、こういうことが起こらないようにしましょうねというだけだったら。だけれど、極端なことを言えば、パワハラ罪という犯罪類型を作りましょうと。パワハラをやったらその類型に、構成要件に該当したら 1 年の最高懲役だというのであれば、この行為者も行為の態様も極めて限定される、厳しくなります。

 ですから、岡田委員がおっしゃったように、確かにまずやはりどこに着地するのかということについてある程度の共通了解が必要です。ガイドライン的なものは大体もう出発点はあって、それを進めていくぐらいはもちろん大体了解されているでしょう。加えて、何らかの民事的、あるいは刑事的な違法類型みたいなものを作ることも射程に入れるのかというのであれば、少しやはりこの定義の考え方は限定されてくる。それは 3 (4) の実効性確保の方策にも当然関わってきます。当然ながら、この実効性というのは、最終的には刑罰をもっても阻止するのだという形と、いや、もうどんどん助言、指導をしていくことを徹底するのだということではやはり違ってくることを想定した上で、次回以降の議論になりますが、 2 3 については、検討することをここで申し上げておきたいと思います。

 

○佐藤座長

 これは大事な点で、 2 3 、特に 3 の実効性確保のところと 1 の範囲は関係している。ただもちろん、パワハラをある程度企業の人事管理上みたいに広めに定義して、法律上担保するのは狭くするというやり方もあり得るのです。ですから、そこはただ相互に関係するのは御指摘のとおりなので、そのことを踏まえながら議論をするのは大事かと思います。少なくとも今より進めるということでは合意ある。ただどうやってということですね。

 

○小保方委員

 今までの論議の流れの中で、関連する観点としてあらかじめお伝えしておきたいと思うのです。全体の流れ自体は違和感はないですという前提ではあるのですが、取り分け、先程来論議になっている 2 ポツの職場のパワーハラスメントの定義を次回以降論議していくに当たって、あらかじめ踏まえておくべき職場の実態という観点で是非共有をさせていただければという趣旨です。

 先程来出ている円卓会議における職場のパワハラの定義を見ていただくと、いわゆる職場内の優位性というものが要件の 1 つとして入っているというのが今の作りだと認識しています。一方で、現下の職場の実態を見たときに、必ずしも職場内の優位性という背景がなく、定義で言われているところの精神的、肉体的苦痛を与えたりだとか、職場環境を悪化させる行為、ハラスメントが見られているという実態があるのだと思うのです。取り分け、例えば同僚間、あるいは部下から上司へのハラスメントというところにおいては、もともと職場内の優位性というのは比較的広めに定義はされているものの、そういった背景なく起こっている事例というのはあるのだと思うのです。

 例えば、先ほど調べていただいた判例の中とかで言うと、いわゆる風説の流布とか、本人がいないところでの誹謗中傷などというのは必ずしもこれは優位性があって行われているものではないことを踏まえるべきだと思っているという視点と、あとは、もう少し広く捉えると、これはいわゆる性自認とか性的思考といったものも含めたジェンダーハラスメントであるとか、あるいは障害があることによるいじめ・嫌がらせです。それから、先ほど来話が出てきている顧客からの脅迫とか誹謗中傷です。こういったことを考えると、非常にハラスメントというものを捉えると、職場内の優位性ということの有無に関わらず多様化しているという実態があることを十分に踏まえなければいけないと思っています。

 ですので、これは次回以降だと思っているのですが、 2 ポツの論議をしていくに当たっては、必ずしもパワハラという限定的な今までの概念、取り分け職場内の優位性を背景としたものにこだわってやっていくのは、少し実態と乖離してしまうのではないかということを問題提起しておきたいという趣旨と、第 2 回の検討会のときに、これは事務局から調べて御提示いただいた諸外国の事例があったと思うのですが、それを見た場合でも、これから日本があるように、いわゆるセクハラ、マタハラ、パワハラみたいに縦割りでエスポート的に対策を講じているというよりは、広く職場のいじめ・嫌がらせ全般を予防する措置義務を課したりだとか、あるいは禁じているという諸外国の事例があることも踏まえてどうしていくべきかを考えていく必要があるのではないかと思っています。以上です。

 

○原委員

 先ほどの野川委員のお話とも関連するのですが、定義の使い方、使われ方がすごく大事だと感じました。というのは、パワハラの定義はやはり難しくて、それは,定義に当てはまると一発アウト、必ず黒であって法的責任も絶対生じるよ,という意味での定義を考えているのか、それとも、それに当たると違法になる可能性も高いし、できれば避けましょうという類型的な理解なのか。多分、そこにかなり差があって、つまり黒なのか、黒に近いグレーなのか、グレーなのかといろいろな理解ができると思うのです。ですから,定義を考えるときに、当たれば一発アウトだよという、そういう突き詰めたものを目指していくのか、それとも、黒になるとは断言しないけれどもなるべく避けるべき類型として PR していく,といったイメージなのか、多分、定義という言葉にはかなり幅があると感じたので,発言させていただきました。

 

○浜田委員

 先ほど小保方委員も言われたのですが、 1 回目の会議のときに申し上げたかと思いますが、やはり私も職場のパワーハラスメントの相談を受けますと言って相談は決して受けてはおらず、嫌だなと思ったことがあった人が相談にやはり来るわけです。これはパワハラですと言って相談に来るわけではないので。どうしても現場の感覚で言うと、いじめ・嫌がらせ、ハラスメント全般への対応が実際は求められているのではないか感じています。

 先ほど前半に御説明いただいた資料の、中小におけるパワハラ対策の好事例の中でも、パワーハラスメントの入口は対策と言いつつも、対応自体はハラスメント全般の対応をされているところが非常に多いという印象を持ちました。就業規則の中にハラスメント全般の禁止規程を入れていたりとか、理解を深めるためのアンケートを実施したりとかいうのがありましたので、先ほども障がいのことであるとか LGBT のことなども含めハラスメントが多様化していることを考えると、パワハラのみの防止策を講じるというよりは、快適な職場環境の構築をしていくことが大事なのではないかという印象を持ちました。

 

○野川委員

 すみません、もう 1 つよろしいですか。

 

○佐藤座長

 どうぞ。

 

○野川委員

 小保方委員と今、浜田委員の御指摘に合わせたことを 1 つともう 1 点。いじめ・嫌がらせ、誹謗中傷と、人的要因によるトラブルは職場にたくさん生じている。生じているのは職場だけれども、その原因は職場であるとは限らないということがいっぱいあって、それはいずれも誰が誰に対してするのであれ、人的な要因による職場で生じているトラブルは避けたほうがいいし予防しなければいけないのです。

 問題は、それを投網を掛けて全てを包括する形で対応することはどうやって可能かということなのです。政策によって、取り分け具体的のあるエンフォースメント、つまり何らかの実施をする、何とかの措置を実施することによって対応できるものというのは、やはり措置を講じるというのは何らかの強制的な契機を含むので限定されざるを得ない。そうすると、例えばコンサルタントの領域みたいな形で、人間関係を職場でよく保つにはどうしたらいいでしょうかという、そういうアプローチであれば全てのハラスメント的なもの、不都合についてこういう対応ができますよと言えますが、やはり、政策によって何らかの強制的契機が多少は伴うような措置を講ずることになると限定せざるを得なくなるというのが 1 つです。

 しかし、そうは言ってもそれで無意味ではないのです。例えば、セクシャルハラスメントがあれだけ定着したお陰で、ほかのハラスメントについても当然意識が高まったわけです。つまり、かつて『民主主義は工場の門前で立ちすくむ』という本があって、うちの会社は世の中とは違うのだと、何やってもいいのだと、俺が法律だという社長さんは今でもいるみたいですが、そんな状況もありました。しかし、そういうのではないのだということは、セクシャルハラスメントはいけないねということによって広がりました。言わばチャンピオン方式と言いますか、セクハラの不当性が認識されたおかげで、ほかにも職場では労働者の人格的利益が守られるべきだという一般的な意識が広がった。

 そこで、次はパワハラでいく。こういうパワーハラスメントという類型に該当することがいけないことだとなれば、当然それに関連するような周辺的なハラスメントについても意識が高まりますので、というやり方も私は 1 ついいのではないかと思います。そういう点を少し考えた上で、次回以降検討されたらいいかと思います。

 

○佐藤座長

 私も、座長というか 1 つの感想として、野川委員が言われたように、小保方委員に伺って、確かに人が集まるといろいろなトラブルが起こるわけです。これの中で、確かに働きやすい職場環境にしなさいという一般論は正しいのだけれど、企業にこれをやらなければいけませんというのをどこまで書けるかという話だと思うのです。そうすると、やはりある程度、先ほどの管理職の業務上の権限を超えてみたいな話になってくると思うので、ほかのハラスメントがあっていいというわけではないのですが、ただどこまで広げていくかですね。やはりお互い他人を尊重してくださいと言っているのと同じような話だから、私はなかなかそこは難しいかなと。

 先ほど野川先生が、一般論として快適な職場環境を作れというのはよく分かるのだけれど、ちょっとそこは議論していく。そういう意味ではパワーハラスメントというパワーの範囲を少し限定するというのは、そういうのは野川委員と同じようなことかも分からないけれど、それを明確にすることによってやはり職場の状況が変わっていく可能性があるかと思っています。ですからそこは少しまた皆さんと議論していければと思います。

 

○岡田委員

 そういう意味で言うと、割とパワーハラスメントを見ていると、普通のいじめとかセクシャルハラスメントはどう考えても正当化できないですよね。ところがパワーハラスメントというのは、大抵の場合、その人はお客様のためとか会社のためとか。

 

○佐藤座長

 なるほどね。

 

○岡田委員

 教育のためとかという大義を持っているところが一つのパワハラの一番大きな特色かという気がしますので、その辺りを入れていくと分かりやすいかもしれないです。こういう実態から見た感じで。

 

○布山委員

 皆さんから今、いろいろ御意見を伺っていて、私も思うところは、職場の環境をみんなが働きやすいように整えましょうというのであれば、定義を広く取ってどのようにみんなでやっていくかという形で、ふわっとした形でできるのですが、これが実際に、何かしらの罰を与えましょうとか、何か違反の場合にはこうしなければいけないということになると、きちんと定義をされた限られたものでないと回っていかないと思うのです。

 今日の判例にはありませんでしたが最近見た判例では、被害を受けたと言っている方が裁判としては勝っているのですが、その方は以前に同僚に対する暴力行為があったのです。隔離する意味でだんだん仕事が少なくなっていて、それで仕事が少ないということで訴えてそれが認められてしまったのです。となると、この原因・要因でコミュニケーション不足だと書かれていますが、これは、結局被害を受けている方の部分をどうするかというところがあり、特に、パワーハラスメントに関しては、仕事絡みになってくると、余計にその方の能力やその方を育てていくという観点と、もう単純に気に入らないから何かしようということと、この線引きが本当にうまくできるのかどうか。それができにくいので、先ほどアンケートにあったように、何かいじめを受けましたと言われたけれども、結局のところどうか分からなかったというのも 1 つ事例としてあるのではないかと思っています。

 ですから、次回議論することになっている定義のところを、本当にしっかり議論する。そのためには、多分 1 回目からみんな同じような御意見を言っているかと思うのですが、最終的にどうするつもりで、ではどうするかという、、ここを本当にきっちり議論をしないとけないと思います。毎回こうした同じ意見を言い合っている感じがいたしますので、一応、申し上げておこうと思います。

 

○佐藤座長

 取りあえず議論としては 1 2 3 。もちろん中身はいろいろありますが、取りあえず今みたいに行ったり来たりすることを踏まえて、少し 1 から議論をしていこうと、その辺はよろしいですか。もちろん中身はこれだけという意味ではなくて。特に 2 3 が相互に関係するということですのでここは分けるにしても、かなり行ったり来たりする議論は必要かと思います。

 ではそうさせていただくということで、今日は、資料 2 で言えば 1 です。資料 3 で言えば総論の (1) のところについて、つまり取り組む、予防する意義です。これについて追加的な意見とかがあれば伺えればと思うのですがいかがでしょうか、資料 2 1 で。今までは資料 3 の総論のところの 2 ページの上ぐらいまでのところで、取り組む意義、原因・要因、実態把握の難しさみたいなことが出されていますが、何かこの辺を見て追加することなり、この辺はちょっと要らないのではないみたいなことがあれば伺えればと思います。

 

○久保村委員

今のお話の (1) 2 番目の「中小企業では」という文章です。パワハラは経営的な損失にもなるということ、これは絶対に大きく意義付けていく必要があると思います。一企業として見れば企業利益に非常に影響すること、これがパワーハラスメントとは切っても切れないような関係であることは全面的に出したほうがより取り組みやすいと思います。

 

○佐藤座長

 取組 2 については、やはり中小企業の人にどう理解してもらうかは結構大きいですね。そこが進んでいないところなので、この打ち出し方としては、中小企業の人事だけではなくて、経営者の方にこの必要性を経営の観点から含めて理解してもらうことがすごく大事かと。

 

○中澤委員

 今の御意見に別に反対ではないのですが、後段の、いわゆる経営的な損失になることを見せていくことが重要であるということは確かだと思うのです。前段のほうはよく分からないのですが、恐らくパワハラを経営者がやっている例もあるということなのです。どのような規模の中小企業を前提にしてこれを発言されているのか分からないですが、経営者が、小規模の場合はそれぞれ経営者自体が何役も対応しているというケースで、同一人が幾つかのポジションを兼務している結果として経営者が発言をしているものも含まれるのではないかと思いますので、余り前段に書くのはいかがなものかと。経営的な損失になるということ自体を明記していくことは大切なことだと思います。

 

○原委員

(1) 2 つ目の黒ポツで、パワハラが経営的な損失になるというのは、パワハラがマイナスだから,防ぐことでゼロに近づける,というイメージですね。それだけではなくて、パワハラ対策をすると、簡単に言うと儲かるのだということ,つまり,パワハラ対策をすることによって職場の環境が良くなって,働く人の意欲が高まって、様々な面で利益につながる,というプラスの面をもっと見せるような書き方も加えていただくといいのではと思います。

 

○佐藤座長

 多分、コミュニケーションも円滑化するし、管理職部下マネジメントも部下を考えてやるようになって、そういう意味ではプラスは大きいと思うので、それをもう少し出せということですね。

 

○安藤委員

 私も経営者という立場でもあるのですが、確かに損失にもなるし、言ったのがもうかるよという話は何となくうっすらとは分かるにしても、では実際どれくらい損失を防げるのだろうとか、一体どれくらいもうかるのだろうというのがなかなか難しいとは思うのです。具体的な何かがないと、そうは言ってもというところになってしまい兼ねないのかというところはちょっと印象としてはあるのかと思います。

 

○佐藤座長

 損失のほうは結構いろいろ、離職率だとか、一定の確率かけてやれなくはない。結構そういうのもあるので。ただプラスのほうはなかなか難しい、損失のほうは一応計算できるかも分からない。

 

○岡田委員

 中小企業とここにあるのですが、中小企業はもちろん是非やりたいところで興味あるのですが、もう 1 つは、では大企業とかグローバル経営をやっているところにとってはどうかというのも是非入れていったほうがいいと思います。それは、 1 つには、パワーハラスメントは結構自分のやり方とか価値観の押し付けというところがすごくあるので、それはもうグローバルで通用しないのだろうと思うのです、価値観はみんな違うから。そういう意味での、大企業に対してはそういう訴え方があるのではないかと思います。

 

○佐藤座長

 だから自分の価値感を部下に押し付けないと、出発点かも分からないね。

 

○小保方委員

 今までの論議の流れの中で、関連する観点としてあらかじめお伝えしておきたいと思います。全体の流れ自体には違和感はないという前提ではあるのですが、とりわけ、先程来論議になっている 2 の職場のパワーハラスメントの定義を次回以降論議していくに当たって、あらかじめ踏まえておくべき職場の実態という観点で是非共有をさせていただければという趣旨です。

 先程来出ている円卓会議における職場のパワハラの定義を見ていただくと、いわゆる職場内の優位性というものが要件の 1 つとして入っているというのが今のつくりだと認識しています。一方で、現下の職場の実態を見たときに、必ずしも職場内の優位性という背景がなく、定義で言われているところの精神的、肉体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させる行為、ハラスメントが見られているという実態があるのだと思います。とりわけ、例えば同僚間、あるいは部下から上司へのハラスメントというところにおいては、もともと職場内の優位性というのは比較的広めに定義はされているものの、そういった背景なく起こっている事例というのはあると思います。

 例えば、先ほど調べていただいた判例の中で言うと、いわゆる風説の流布や、本人がいないところでの誹謗中傷などは必ずしも優位性があって行われているものではないことを踏まえるべきだと思っているという視点と、あとは、もう少し広く捉えると、いわゆる性自認とか性的指向といったものも含めたジェンダーハラスメントであるとか、あるいは障害があることによるいじめ・嫌がらせです。それから、先ほど来話が出てきている顧客からの脅迫とか誹謗中傷です。こうしたことを考えると、ハラスメントというものが、職場内の優位性ということの有無に関わらず多様化しているという実態があることを十分に踏まえなければいけないと思っています。

 従いまして、これは次回以降だと思っているのですが、 2 の論議をしていくに当たっては、必ずしもパワハラという限定的な今までの概念、取りわけ職場内の優位性を背景としたものにこだわってやっていくのは、少し実態と乖離してしまうのではないかということを問題提起しておきたいという趣旨と、第 2 回の検討会のときに、事務局から調べて御提示いただいた諸外国の事例があったと思うのですが、それを見た場合でも、これから日本があるように、いわゆるセクハラ、マタハラ、パワハラのように縦割りでエスポート的に対策を講じているというよりは、広く職場のいじめ・嫌がらせ全般を予防する措置義務を課したり、あるいは禁じているという諸外国の事例があることも踏まえてどうしていくべきかを考えていく必要があるのではないかと思っています。以上です。

 

○佐藤座長

 これはなかなか難しくて、法律上は今、セクハラとマタハラなんかなのですが、パワハラなんか考えないと言っても、実際の取組として企業の単位でいくと、ばらばらということはないんだよね。そうすると、法律の根拠なり、実効性をどうするか別ですよ。何か別々なんだけれども、実際上、本当は役所が作るガイドラインとか、一緒にしてという感じがしないでもないんだよね。法律、公儀は別でもね、これはなかなか難しいか分からないのだけれども。だから対策として、実際上はハラスメント対策なのです。ただ、そうすると今、まだ、セクハラのガイドブックとか、対策はあるのだけれども、これは少し別の話ね。

 

○内村委員

 読んでいて気になったのが、ポツ 2 の「中小企業では、パワハラを経営者がやっている例もある」というのは、そうすると大企業ではやっていないように感じてしまうので、表現は変えたほうがいいかと思います。また、 1 番目のポツの中で、私も東京都の職場のメンタルヘルス対策推進事業検討委員をやっていて、企業の損失の観点でも、メンタルの場合はパワハラだけではないのです。いろいろな要因があるのですけれども、それはその企業にとっても一緒に働く仲間にとっても、いろいろな意味で非常にマイナスです。したがって、ここにメンタルという言葉を入れるのかどうかは少し検討してもいいかとは思います。また、復帰にも、体の問題と違ってメンタルというのは時間が結構かかったりもするので、そうした部分も検討の材料として、意義の中には入れても良いのではないかと感じます。

 

○内藤委員

恐れ入ります。今、諸委員から様々な御意見を賜りましたが、これは恐らく、ここで事務局サイドからお示しいただいた資料 3 が、将来的な報告書の、ある意味で骨子になっていくのかと思いました。そう考えますと、これは私の個人的意見かもしれませんが、何人かの委員の方がおっしゃったように、例えば総論ののっけから、いきなりパワーハラスメント対策に取り組む意義として、その企業の経営的なもうけになりますとかいう事を提示するのは、私としては違和感があります。

 決してそれに反対をしているわけではありません。最終的にはそういったメリットが多くの企業に、これは先ほど何人かの委員から御意見が出たように決して中小企業対策ではなく、大企業、あるいは先端的な企業でも起こり得ることですので、そういった文言を何らかの形で、文章を考えて入れる必要はある。つまり、意欲や生産性の向上に有用だとは思うのですが、総論の最初は、一番最初の御報告に出た、いわゆる人格権侵害の問題なのだということを入れるべきではないかと。

 そしてまた、今回の委員会、これは残念ながらパワーハラスメントが表題に載ってしまってはいるのですが、実際にはハラスメント、あるいはそれこそヨーロッパで言うブリイング、つまりいじめ、ハラスメント、嫌がらせ対策だということを、多少とも全般的な総論として出しておいて、その中で、特に企業社会の中では・・・と持っていかないと、話の流れとして少し狭すぎる気がいたしました。

 これは諸委員の御議論によります。先ほど小保方委員がおっしゃった例えばの話ですが、いわゆる職場における優位性うんぬんのところは少し議論の必要性があるかと思います。私も個人的には、同僚間とか部下からという、むしろいじめ的な形で入れるべきではないかという気がいたしますので、その点について、総論の書き出しは後ほど練ればよいことではありますが、お考え合わせいただければと思います。

 それから 2 番目なのですが、 (2) のところの 3 ポツです。「パワハラには、個人に問題がある場合と、組織に問題がある場合がある」と 2 つに分けておいでなのですが、これ、幾つかの裁判例を読んでいて思うのは、個人に問題があったとしてもそれに対する対応、あるいは対策が無策であるとすれば組織の問題だと思うのです。ですから、個人に問題がある場合であっても、背景としては、組織の対応が非常に遅れていることがあるのではないかと考えますと、個人か組織かという書き方は不適切な場面もある気がします。ですから文章そのものについては後ほどまたまとめればよろしいところですが、少し工夫を御願いしたいと思います。

 

○佐藤座長

 事務局としては、その資料は報告書の骨子ではなくて出た意見を書いたので、多分、当然、書くこと以外のことを委員は言ったので、書くことはある上で生産性にも着目したら、そういうことだったのだろうと思います。その辺はそれだと思います。

 

○布山委員

 ありがとうございます。先ほどから議題になっている中小企業のところについては、冒頭、中澤委員もおっしゃった趣旨も恐らく、パワハラを防止をしなくてはいけない一番の経営者が、やっていない場合もあるのでという形にして、あえて規模を入れなくてもいいのではないかという御指示だったと思うので、私もそのように思います。先ほど、同じような御意見があったと思います。

 また、セクシュアルハラスメントやマタニティハラスメントの関係なのですけれども、既に規定をされています。ただし、これを別のものというよりも、総論の初めのところに既にこの 2 つは対策がされていて、ある程度は措置されているけれども、その中でこのいわゆるパワーハラスメントについてもという感じでつなげていけば、恐らくきちんと取り組んでいるところに、これを付け加えたときにどうするかという議論もできるのではないかと思いますのでお願いします。

 

○佐藤座長

 実際、今の布山委員のようなやり方になると思うのですよね。最後のところでどうする、今後、どうするかだよね。ハラスメントみたいなふうに、くくるのかということはあると思います。ほかにはいかがですか。結構、この 1 のところ、資料 3 にあるいろいろな御意見はこれまで伺っていたと思うのですけれども。

 

○吉住委員

 既にこれまでの議論の中で出ているのでいいのかなと思いながら、一番最初に座長のほうから御質問があったところ、事務局の前に僕がお答えをしますが、特になしというのは、これは 2 つの表がどうも 1 つになっているようでして、 52.5 %のところが対応しているということで、対応をしていないところというのが 47.2 %ということかと思います。

 

○佐藤座長

 だから要するに、 40 幾つあるということですよね。

 

○吉住委員

 その上で、厚生労働省も実態と課題というところで、この間の議論を聞いていても大きいなと思うのは、その 52.5 %のところしかやっていない、つまり半分のところしかやっていなくて、半分のところは対応ができていないということなのだと思います。厚生労働省もこの間円卓会議があり、また調査をやったり、ポータルサイトやパンフレット、ポスター、企業向けの好事例集を出したり、ハンドブックなどを作成したり、セミナーの開催等を実施していますが、今、この段階ということでありますので、更にこれを強めなくてはいけないということであります。

 それと、中小企業のところ、私も気になっていて、この強化のための方策の中に 1 個入れるのではなくて、何か別の項目ではないかと思います。大企業だとか中小企業だからやらなくてはいけないという訳ではなく、進んでいない実態はいろいろな調査からも出てくるのですけれども、中小企業にとってはどういうところが不足しているとか、更にこういうことをすればそこが進むのかという視点も必要かなということでありますので、中小企業が悪いとか、できていないというのは少し違うという感想を持っています。

 

○上田雇用機会均等課長補佐

 すみません、事務局から。今、御指摘していただいたことの補足ですけれども、正におっしゃっていただいたとおり、データの関係で質問が 2 つに分かれていまして、今回、資料にしたのは後ろの質問だけです。つまり、初めに、取り組みをしていますか、していませんかと YES NO を聞いて、その中で、では、何をやっているのですかという聞き方をしたので、特にないというところが 0 になってしまっているのですけれども、これは前の分がここに入っていなかったという少し技術的な問題ですので、そこは修正をして対応しようと思います。すみません。失礼しました。

 

○佐藤座長

 いかがでしょうか。今はやはり、効率的な会議運営を、我々は早く終える必要はないのですが無理に延ばす必要もないので。

 

○岡田委員

 それぞれの委員の方、いろいろ個別のところで意見があると思うのです。ただ時間が限られていると思って、きっと皆さん控えられて、全部を言わずにポイントだけをおっしゃっていると思うのですけれども、もし、あったら項目別に気になるところとか、こんな意見を持っているとか、例えば、少し表現方法なども、ここで言っていいのかどうかみたいなのもとてもあると思いますので、そういったことを意見のある方は別途、送るか何かという形にしてはいかがでしょうか。

 

○堀井雇用機会均等課長

 今まで頂いた御意見を拝聴していまして、資料 3 のこれまでに出た主な御意見のところは、本日、 1 の総論、 (1) (3) で御意見を頂きましたので、頂いた御意見は、これに反映させた形で直していこうと思います。それで次回、直したものを、したがいまして、この 1 の総論の部分がバージョンアップされたものを次回に出して、それで、 (2) を議論したらそれをという形でしようと思います。もし、今日、御意見を言う機会がなかったという方におかれましては、事務局に頂きましたら座長とも相談の上、反映したいと思います。また、御意見以外にも、例えば次回以降、こういう資料を用意してもらえないかとか、そういう御要望がありましたら次回のテーマ、次々回のテーマに関連したことですけれども、極力用意させていただきたいと思います。以上です。

 

○佐藤座長

 議事録はずっとあるのだけれども、正に主なということだから、これは主なと事務局がとりあえず考えたということなので、載っていないのが大事ではないという意味ではなくて、だから、あればまた、議論していただくということです。とりあえず、こんな意見があったという参考に思っていただければいいと思います。

 

○原委員

 資料というところですが、先ほど今までの資料を拝見したのですけれども、裁判例としての数は少ないのかもしれませんが,実際にはパワハラでうつになって労災,という事例は結構あると思うのです。ですから、労災補償の問題において、精神疾患に関する労災の認定基準の中で、例えばパワハラに関係しそうなところなどを分かりやすく整理していただくことを,事務局に検討していただけると有り難いと思います。

 

○佐藤座長

 なるほど、それは大事な点ですね。

 

○吉住委員

 次回以降の資料請求ということでありましたので、 2 番のところ、次回に話をされるということで、先ほどありましたセクハラやマタハラについて、どういう書き振りになっているのか比較するために表にしていただけると有り難いです。お願いします。

 

○佐藤座長

 範囲などもかなり違うので、その辺は取引先とかそういうこともあるので、ほかのものがどうなっているかは結構大事なので、よろしくお願いします。大体、今日、資料 2 1 のところについて追加的に御意見を出していただいたわけです。もちろん次回以降もあっていいわけですけれども、今日はこの辺でよろしいですか。

 

○内村委員

 次回から取り組む意義というと、基本中の基本ですが、第 1 回に配布された資料のときから、なぜこの検討委員会をやっているかということは、働き方改革実行計画に基づいて、罰則付き時間外労働の上限規制の導入など、長時間労働の是正の中の 1 項目としてパワーハラスメント対策、メンタルハラスメント対策をしましょうということで、検討会をスタートしているのです。これと同じようにメンタルヘルス対策の検討会というのは、別にやっているのですか。これはパワーハラスメント対策の検討会ですけれども、メンタルヘルスもやっていますか。

 

○堀井雇用機会均等課長

 メンタルヘルスについてこのような形の検討会は承知していないのですが、一応、関係部局に改めて確認をしておきます。

 

○内村委員

 ありがとうございます。要は何が言いたかったかと言うと、ずっと議論が進んでいって、論点ごとに個別にやっていくと、元々、何だったのかを私もすっかり忘れてしまうときがあるので、こういう一番上に、分かるように元々のところを書いておいてもらうと助かります。

 

○佐藤座長

 設置のきっかけはそうね。ただ、ここはなかなか難しいのですけれども、長時間労働のところだけかというとそうでもないので、それにつながる部分はもちろんだけれども、皆さんもう少し、広めに議論するということだと思います。ただ、設置のところはそうであったということを振り返ることは大事だと思います。よろしいですか。そうしましたら、次回以降はどうするかを御説明ください。次は 2 ということになると思うのですけれども。

 

○上田雇用機会均等課長補佐

 次回の日程ですけれども、 10 19 日木曜日の 10 時~ 12 時を予定しております。場所については調整中ですので、決まり次第、また御連絡させていただきます。以上です。

 

○佐藤座長

 それでは、本日はここまでということで、また、個別に御意見あれば事務局まで出していただくのは歓迎ですのでよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 



(了)

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