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2020年1月8日 第138回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

令和2年1月8日(水)  10:30~

 

○場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室

○議題

・雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について

○議事

 

○阿部部会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第138回雇用保険部会を開会いたします。皆様、お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の小畑委員、田島委員、使用者代表の湊元委員、菱沼委員、柳沢委員が御欠席です。なお、湊元委員の代理として、日本商工会議所産業政策第二部主任調査役の朝日様が御出席されております。
それでは議事に入りたいと思います。本日の議題ですが「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について」です。昨年12月20日に取りまとめられた雇用保険部会報告については、12月25日の職業安定分科会に報告され、了承されたところです。この報告を踏まえまして、事務局で法律案要綱を作成し、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問がなされたものです。昨年12月25日の職業安定分科会において、あらかじめ当部会において審議することとされたことから、本日、当部会で御議論いただくものです。それでは事務局から資料について御説明を頂き、その後質疑に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高島雇用保険調査官 雇用保険課の高島です。よろしくお願いいたします。それでは、お手元の資料に基づいて御説明をいたします。「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」となります。今、部会長からも御紹介いただきましたとおり、昨年の12月20日の雇用保険部会でおまとめいただいた報告書は、12月25日の職業安定分科会に御報告させていただき了承いただいたものですが、こちらの内容を基に、法案の内容に盛り込ませていただくものについて、今回、要綱の説明をさせていただくものです。
資料の1つ目の所をおめくりください。こちらの要綱の諮問に関しては、厚生労働大臣から労働政策審議会の会長宛てになされているものになります。そのため、こちらの雇用保険部会で御議論いただいたもののほか、雇用対策基本問題部会、あるいは労災保険部会で御議論を頂いているそのほかの法律事項の内容、具体的には70歳までの就業機会の確保に関するもの、中途採用に関するもの、複数就業者の労災保険給付に関するもの、そういったものについても併せて今回の要綱に盛り込んでおるものです。そうしたものについては、それぞれの部会で御議論いただいているものであることに簡潔に触れさせていただいた上で、雇用保険部会で正に御議論いただいた内容を要綱に盛り込んだものについて、御説明させていただければと思っております。
それでは、資料の中のページに進みます。別紙と付いてある所から、雇用保険法等の一部を改正する法律案の要綱となります。先ほど申し上げましたとおり、幾つかの法律を併せて今回改正をしておりますので、法律が順番に出てまいります。第一が「雇用保険法の一部改正」になります。一が目的の改正になります。労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図ることを雇用保険の目的として追加するものとすること。こちらについては、育児休業給付について別途の経理とすることと併せまして、これまでの雇用保険の失業等給付の中から育児休業給付を別立てすることに伴う改正になっております。
二は育児休業給付の新しい給付の体系への位置付けということで、今御説明申し上げたものについて、そのほかの条文上の手当てを説明させていただいているものになります。1番は、育児休業給付金について、失業等給付の雇用継続給付から削除するとともに、失業等給付とは別の章として、育児休業給付の章、独立した章を新設するものとすることです。2番目ですが、現行の育児休業給付金に係る規定を削除するとともに、1で新設する章に同内容を規定する。いわば動かすという内容になります。3番目ですが、これまでの雇用保険の各給付において設けられている措置、未支給の失業等給付、返還命令等、受給権の保護及び公課の禁止の規定について、育児休業給付金についても準用するというものです。4番目ですが、国庫負担についても別に規定をしております。国庫は、育児休業給付について、当該育児休業給付に用する費用の8分の1を負担するものとすること。最後の5番目ですが、保険料率に関するものです。一般保険料徴収額に育児休業給付率(1,000分の4の率を雇用保険率で除して得た率をいう。以下同じ)を乗じて得た額は、育児休業給付に要する費用に充てるものとすること。
三は高年齢被保険者の特例です。こちらは、こちらの部会でマルチジョブホルダーの雇用保険の適用の施行に関して御議論いただいた内容を、法案の要綱に盛り込ませていただいたものになっております。対象者が65歳以上になっておりますので、高年齢被保険者という現行ある65歳の枠の中での改正になっております。1番目ですが、次に掲げる要件のいずれにも該当する者が、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出た場合には、高年齢被保険者となることができるとすること。3つの条件を書いておりますが、1番目、1の事業主における1週間の所定労働時間が20時間未満であること。1つの会社では雇用保険に入れていない方になります。2番目、2以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者であること。3番目、2の事業主の適用事業(申出を行う労働者の1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間数以上であるものに限る)における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること。2つの雇用先の時間を合算すると20時間以上になるということになります。こちらには、1つ注を付けております。1週間の所定労働時間に関する条件でありまして、(注1)5時間とする予定になっております。こちらは部会の報告書でおまとめいただいた内容になりますが、法律事項でなく、下位法令の事項になります。ただ、こちらはもう既に部会で御議論いただける内容になりますので、要綱中に(注)の形で併せて触れさせていただいているものになります。
2番ですが、事業主は、労働者が申出をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすることです。
その次の四は、被保険者期間の計算方法の改正になります。これまでの部会で、賃金支払基礎日数について、11日以上という日数だけではなくて労働時間でも見るという内容について御議論いただいたものになります。被保険者期間が12か月(特定理由離職者及び特定受給資格者にあっては6か月)に満たない場合は、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上であるもの又は賃金の支払いの基礎となった時間が80時間以上であるものを1か月として計算するものとすることになります。
五は高年齢雇用継続給付の改正になります。こちらは、65歳までの継続雇用制度などが、経過措置が終了する2025年度のタイミングで縮小するという内容になります。1番目、高年齢雇用継続給付金の改正になります。高年齢雇用継続基本給付金の額は、各支給対象月に支払われた賃金の額に100分の10(当該賃金の額が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の64に相当する額以上であるときは、みなし賃金日額に30を乗じて得た額に対する当概賃金の額の割合が逓増する程度に応じ、100分の10から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率)を乗じて得た額とするもの。こちらですが、部会の際には半分程度に縮小ということでおまとめいただいた内容について、100分の10と盛り込んでおります。その後に出てまいります100分の64というのは、現行もある枠組みですが、賃金額が一定額以上になったときに、給付率が逓減する制度になっております。こちらは、100分の10と給付率を見直したことに伴う改正として、100分の64という改正を併せて盛り込んでいるものになります。
続いて2番の高年齢再就職給付金については、同じく高年齢雇用継続給付の中の一類型として同内容の改正をするものになります。
続いて六の雇用安定事業の改正です。こちらは70歳までの就業機会確保措置に関するものについて、雇用安定事業に続けるということで、部会の報告書でおまとめいただいた内容になります。高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づく高年齢者就業確保措置の導入等により高年齢者の雇用を延長する事業主に対して、必要な助成及び援助を行うことについて、雇用安定事業として行うことができるものとすることになります。
続いて七の会計法の特例です。こちらは、時効に関する内容として報告書でおまとめいただいた内容になります。年度の平均給与額が修正されたことにより、厚生労働大臣が自動変更対象額、控除額又は支給限度額を変更した場合において、当概変更に伴いその額が再び算定された失業等給付又は育児休業給付があるときは、これらに係る未支給の失業等給付又は育児休業給付の支給を受ける権利については、会計法第31条第1項の規定を適用しないものとすること。部会の報告書の中では、毎月勤労統計の変更を受けた追加給付の例のようにということで御紹介をさせていただいた内容であり、かつ未支給の失業等給付、育児休業給付金に関するものになります。会計法の第31条第1項の規定を適用しないものとすることという改正によって、時効を援用しないと消滅事項が完成しないという形になりますので、法制上はこのような措置になります。
続いて八の報告徴収及び立入検査の対象の追加です。報告徴収及び立入検査の対象に、被保険者と認められる者を雇用し、又は雇用していた事業主を追加するものとすること。こちらも部会の報告書でおまとめいただいたものになります。
九は国庫負担の改正になります。1ですが、令和2年度及び令和3年度の各年度における失業等給付等に要する費用に係る国庫の負担額については、国庫が負担すべきこととされている額の100分の10に相当する額とするものとすること。こちらは、部会の中でおまとめいただいた2年間の国庫負担の引下げ措置の継続について盛り込んでいるものになります。そして、併せて本則復帰に関する規定が2に付いております。雇用保険の国庫負担については、引き続き検討を行い、令和4年4月1日以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で雇用保険法附則第13条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとすることです。その他所要の改正が入っております。
続きまして、第二、次の法律改正ですが、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正」になります。雇用保険の保険料率等に関する、あるいは弾力条項等に関する改正の内容が盛り込まれております。こちらの改正事項の一の労災保険率の算定方法の改正については、先ほど冒頭で御説明したとおり、労災保険部会で議論されている複数就業者の労災保険給付の内容に関連する改正になりますので、説明は省略させていただきます。
二が雇用保険関係になります。雇用保険率の弾力条項の算定方法の改正です。こちらも部会の内容でおまとめいただいたものになりますが、景気によって変動する給付とそうでない給付に分けた上で、求職者給付については従来の質を維持しつつ、雇用継続給付や教育訓練給付については1年分を補足という改正内容を盛り込んでいます。労働保険特別会計の雇用勘定の積立金の状況による雇用保険率の変更に係る算定において、教育訓練給付の額と雇用継続給付の額を除いて算定するとともに、算定で用いる国庫の負担額から育児休業給付に要する費用に係る国庫の負担額を除き、算定で用いる徴収保険料額から一般保険料徴収額に育児休業給付率を乗じて得た額を新たに除くものとすること。育児休業給付は別の区分にしておりますので、当然こちらも併せて除いています。
続きまして、三は二事業の保険料率に関するものです。二事業率の弾力的変更の範囲の改正。労働保険特別会計の雇用勘定の雇用安定資金の状況による雇用保険率の変更が行われた場合において、厚生労働大臣は、雇用安定資金の状況に鑑み、必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、1年以内の期間を定め、雇用保険率を当該変更された率から1,000分の0.5の率を控除した率に変更できるものとすること。労働政策審議会で新たに議論して、1,000分の0.5を引き下げることができる規定を盛り込んでいます。
続きまして、四は雇用保険率の改正で、失業等給付のほうの保険料率の内容になります。暫定措置の継続です。令和2年度及び令和3年度の各年度における雇用保険率については、1,000分の13.5(うち失業等給付に係る率1,000分の6)、こちらは育児休業給付の保険料率を除いています、(農林水産業及び清酒製造業については1,000分の15.5(同1,000分の8)、建設業については1,000分の16.5(同1,000分の8))とするものとすることとなっております。こちらには(注2)が付いており、こちらも正に部会で議論いただいた内容と関連しますが、令和2年度における失業等給付に係る保険料率については弾力条項の規定(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第5項)に基づき、1,000分の2とする予定。これまでも行われている弾力規定に基づく保険料率の1,000分の4の引下げを、引き続き告示によって実施する予定となっています。こちらは法律改正が行われた上で行う措置になるので、こちらの要項の法律の部分には出ていませんが、部会で御議論いただいた内容ですので、併せて触れさせていただいています。五がその他ということで、所要の改正になっています。
第三は特別会計に関する法律の一部改正です。育児休業給付の区分経理に関して、労働保険特別会計の雇用勘定に関する部分についての見直しをしています。こちらは特別会計ですので、特別会計に関する法律と改正しています。内容としては、1に育児休業給付資金の創設が置かれています。失業等給付の積立金や雇用保険二事業における雇用安定資金と同じように、育児休業給付につきまして、その剰余等を積み立てる積立金的な制度、法制上は資金という名前ですが、それを創設するという内容になります。
それぞれアラビア数字では、その育児休業給付資金にどういうふうにお金が入っていく、あるいは出ていくかというルールを順番に定めているものです。1、雇用勘定に育児休業給付資金を置き、同勘定からの繰入金及び3による組入金をもってこれに充てるものとすること、2、1の雇用勘定からの繰入金は、予算で定めるところにより、繰り入れるものとする、3、雇用勘定において、毎会計年度の育児休業給付費充当歳入額、保険料とかによる収入から、当該年度の育児休業給付費充当歳出額、実際に要する費用となりますが、それを控除して残余がある場合は、当該残余のうち、育児休業給付費に充てるために必要な金額を、育児休業給付資金に組み入れるものとすること、という規定になります。その逆が書いてあるのが4です。雇用勘定において、毎会計年度の育児休業給付費充当歳入額から当該年度の育児休業給付費充当歳出額を控除して不足がある場合その他政令の定める場合には、政令の定めるところにより、育児休業給付資金から補足するものとすること。続いて5になりますが、育児休業給付資金は、育児休業給付費及び特別会計に関する法律第102条第3項の規定による雇用勘定からの徴収勘定への繰入金(労働保険料の返還金の財源に充てるための額に相当する額の繰入金に限る)を支弁するために必要がある場合には、予算で定めるところにより、使用することができるものとすること。6、育児休業給付資金の受払いは、財務大臣の定めるところにより、雇用勘定の歳入歳出外として経理するものとすることになります。
二は繰替使用の改正です。雇用勘定においては、同勘定の積立金、育児休業給付資金又は雇用安定資金に属する現金を、それぞれ繰り替えて使用することができるものとすること。こちらは、労働保険料の収入が年度の途中になりますので、年度当初、その該当する保険料が入っていない段階において、要は立替払的に、今、雇用勘定の中に入っているお金を使うことができるという改正になります。その他所要の改正を行うこととなっております。
続きまして、第四の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部改正」につきましては、雇用対策基本問題部会で御議論されている、70歳までの就業確保措置に関する内容になりますので、説明は省略させていただきます。その後、12ページに第五ということで、また別の法律が出てまいります。「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の一部改正」です。こちらにつきましても、雇用対策基本問題部会で議論されている、中途採用に関する内容を法制上の措置として盛り込んだ内容ですので、こちらでの御説明は省略させていただきます。
次のページ、第六の「労働者災害補償保険法の一部改正」になります。こちらも労災保険部会で議論されている、複数就業者への労災保険給付の内容について法制上の措置を盛り込んでいるものになりますので、こちらの内容も説明を省略させていただきます。
最後に、15ページです。第七で「施行期日等」ということで触れております。雇用保険関係のところの施行期日を、順番に御説明します。まず一の施行期日、この法律は、令和2年4月1日から施行すること。ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行することとなりまして、基本は財政関係などを中心に、来年4月1日からの施行内容になります。例えば、雇用保険の保険料率や、国庫負担の引下げの暫定措置の継続、こちらは正に今年度末で期限が切れるものですので、来年度の4月1日から再び施行して継続する必要があるというものになります。また、育児休業給付の区分経理に関するものなどが、こちらに該当するものになります。それ以外の項目がそれぞれ特別に記載されています。1つ目ですが、第一の四、令和2年8月1日です。賃金支払基礎日数11日以上だけではなくて、80時間以上を満たす場合でもよいとする改正については、令和2年8月1日の施行としております。第二の一及び第六の一から三まで、こちらについては複数就業者の労災保険給付の内容になりますので、省略させていただきます。
続きまして、3つ目の第一の六、第二の三、第四及び第5。第四及び第五は就業確保措置と中途採用に関するものですが、第一の六、第二の三は、正に雇用保険部会で議論いただいた内容で、1つ目が、70歳までの就業確保措置に取り組む事業主に対する支援等を雇用安定事業に位置付ける改正、2つ目が、雇用保険二事業に関する保険料率について、労働政策審議会で御議論いただいた上で更に0.5引き下げることができる規定、この2つについては令和3年4月1日施行としております。4つ目の第一の三、令和4年1月1日につきましては、マルチジョブホルダーに関する雇用保険の施行、適用になっております。令和4年1月1日の施行になります。最後の5の第一の五、こちらは高年齢雇用継続給付の縮小・見直しに関する内容で、令和7年(2025年)4月1日の施行となっております。
最後、二で検討の規定を置いております。こちらは、マルチジョブホルダーにつきまして5年間の検証の上で更に検討するということで、部会でもおまとめいただいた内容になりますので、そちらを法制上の検討規定として盛り込んでいるものになります。政府は、第一の三、マルチジョブホルダーの関係の規定ですが、これの施行後5年を目途として、第一の三の1に基づく適用の状況、これにより高年齢被保険者となった者に対する雇用保険法に基づく給付の支給状況等を勘案し、2以上の事業主の適用事業に雇用される労働者に対する同法の適用等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることとなっております。そのほか、経過措置や関係法律の整理に関するものが、その他の改正事項として盛り込まれております。
こちらの内容で、基本的に雇用保険部会報告でおまとめいただいた内容を盛り込んでいるものになります。なお、昨年まとめていただいた雇用保険部会報告の中で、自己都合離職者に関する給付制限の見直しもありましたが、こちらは業務取扱要領による改正事項になりますので、この法律の要綱の中には盛り込まれておりません。そのほかの事項につきましては、今御説明した法律案の要綱に盛り込まれています。事務局からの説明は以上となります。

○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱に関しまして、御意見、御質問がございましたら、お願いします。

○小林委員 施行日に関連して確認と意見を申し上げたいと思います。65歳以上のマルチジョブホルダーへの雇用保険の適用については、施行日が令和4年の1月1日とされていますが、施行時期をこのタイミングにしたときの考え方をお伺いできればと思います。また、意見としては、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用については、本人申告を起点としていると思います。ですので、事業主のみならず、個々の労働者への十分な周知が必要ではないかと思っております。施行までまだ2年間という期間はあるのですが、制度の対象である65歳以上の短時間で働く労働者の方々との接点が少ないと思いますので、その点も考慮しながら、効率的かつ効果的な周知をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。

○阿部部会長 それでは、御質問もございましたので、事務局からお願いいたします。

○松本雇用保険課長 まず、御質問の件でございます。施行期日を令和4年1月にしている件につきましては、現在、雇用保険では1つの事業所で週20時間以上という前提で業務を行っていて、それに応じてシステムを組んでおります。今回、マルチジョブホルダーは足して20時間というこの制度を施行するためには、システム変更を要して、雇用保険としては、いわば初めての概念をシステムに盛り込む内容ですので、少々お時間を頂戴するということで、システムの改修に要する期間を前提に、この施行期日案としております。後段の御意見については、しっかりと受け止めてまいりたいと思います。

○阿部部会長 よろしいですか。では、ほかにいかがでしょうか。

○仁平委員 要綱を取りまとめていただき、ありがとうございます。要綱については理解するところなのですが、育児休業給付や高齢者の継続雇用に係る課題などについては、本部会としても今後しっかりと検討していかなければいけない課題ではないかと認識していることを、まず申し上げておきたいと思っております。そのためには、労使の取組のみならず、国の果たすべき役割が大きいと思っております。何度も申し上げてきたことですが、2年後の国庫負担の本則復帰と併せて、そうした観点からも意見を申し上げておきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○清家委員 まず、ちょっと質問をさせていただければと思います。弾力条項に関わる算定方法の改正が今回、要綱に盛り込まれております。部会報告の中では、継続給付と教育訓練給付について、1年分をもつことが前提として書かれていたのですが、その取扱いについてこの要綱上どう理解すればいいか御説明いただければと思います。

○阿部部会長 はい、では御質問ですので、事務局お願いします。

○松本雇用保険課長 要綱の5、6ページにかけてを御覧いただきたいのですが、5ページの最終行、変更に係る算定においての次ですけれども、「教育訓練給付の額と雇用継続給付の額を除いて算定する」という部分で、分母分子ともに除外するということを表現しております。

○清家委員 そうすると、除外した上で、部会報告に書いている1年分を控除することを前提としているという理解でよろしいですか。

○松本雇用保険課長 はい。

○清家委員 分かりました。あと、先ほど仁平委員からも御指摘がありましたが、私どもとしても国庫負担の問題については、2年後というのは、そう長い期間ではありませんので、しっかりとした議論をさせていただいて、できる限り、今回の要綱案にも盛り込まれた方向となるようにお願いしたいと思っております。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。ほかに何か御質問、御意見ございますでしょうか。

○中窪委員 1つは事務局へのお願いになるのですが、この法案要綱の関係で、現行法がどうなっているか見ようとしたら、条文がなかったものですから、手元に労働総覧でも置いておいてもらえればと思います。
それで、法案要綱の中身ですが、改めて見ると、なるほど、これは大きな改正だなと思いました。目的規定も変わりますし、章立てとしても、失業等給付とは別に、この育児休業給付が出てくるということで。先ほど報告書を見直しましたら、確かにそうすると書いてありましたが、「財政運営について」という項目の中にあったものですから、私としても明確に認識していませんでした。とにかく、体系自体が変わっている、大きな改正だなと印象付けられました。
その上で質問になりますけれども、現在は雇用継続給付ということで、雇用の継続が困難となるような事由が生じた場合に必要な給付を行うという形で、育児休業給付があるわけですけれども、それを新しい目的規定の下で新しい給付として位置づけることが、どういう意味を持っているのか。それは本来、研究者として学術的に考えるべきなのかもしれませんが、今までの雇用継続給付の理屈でも説明はできるけれども、一歩進めてそこが明確になるようにするということなのか。実際的な効果としては、財政上この給付を切り離すということがあると思うのですが、給付の性格そのものまで変わるのか変わらないのか、共通性があって、その上に若干発展したという理解になるのか、もし事務局でお考えのことがありましたら、教えていただきたいと思います。

○阿部部会長 では、事務局、お願いいたします。

○松本雇用保険課長 現行の雇用保険法の第1条の目的規定ですが、総覧がなくて申し訳ございません。もろもろの必要な給付を行うことにより、その後ですが、「労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに」という上位概念の目的でくくられております。今回の育児休業給付を新たに章立てするにしても、この生活及び雇用の安定を図るという点においては共通だと考えていて、目的規定のいじり方としては、必要な給付の中に、この育児休業給付を追加するという見かけになります。ただ、先生が御指摘のとおり、雇用継続給付の場合には、失業した場合と比較してというロジックが入るのですが、今回の章立てで独立させることによって、育児休業期間中の生活及び雇用の安定を図ることそのものが給付の目的となるという位置付けといった整理をしております。

○中窪委員 ありがとうございました。

○阿部部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。ないようでしたら、当部会としては、雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱については、「おおむね妥当」と認めることとし、その旨を職業安定分科会長宛てに報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(了承)

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。
                                
(報告文案配布)

○阿部部会長 ただいまお配りいただきました報告文案で、職業安定分科会へ報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(了承)

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱につきましては、この後開催されます職業安定分科会に報告したいと思います。
最後に、職業安定局長より御挨拶がありますので、お願いしたいと思います。

○小林職業安定局長 昨年末の報告に続きまして、本日は法律案要綱という形でお諮り申し上げましたが、御了承いただきましたことに心から御礼を申し上げます。この後、今お話がございましたように、職業安定分科会にもお諮りするわけですが、御了承いただけましたら、所要の手続を経て法律案という形で国会に提出したいと考えております。法律案の審議は、もちろん国会での審議ということになるわけですが、具体的な施行ということになりますと、関係法令の整備が必要になりますし、今日も御指摘いただきましたような周知の話、あるいは制度運営の話等々ございますので、今後とも節目節目でお諮りしながら進めてまいりたいと思います。引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

○阿部部会長 それでは、以上をもちまして、本日の会議は終了したいと思います。本日の会議に関する議事録については、部会長のほか、2名の委員に署名を頂くこととなっております。本日の署名委員は、使用者代表の清家委員、労働者代表の仁平委員にお願いしたいと思います。後日、事務局は連絡をお願いいたします。次回の日程につきましては、事務局から改めて各委員に御連絡したいと思います。それでは、以上をもちまして、本日は終了いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中ありがとうございました。

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