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2019年12月20日 第137回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

令和元年12月20日(金)  10:00~

 

○場所

中央合同庁舎5号館 共用第6会議室(3階)

○議題

・雇用保険制度について
・「雇用保険法第十八条第四項に規定する自動変更対象額を変更する件及び雇用保険法第十八条第一項及び第二項の規定に基づき同条第四項に規定する自動変更対象額を変更する件の一部を改正する告示案要綱」、「雇用保険法第十九条第一項第一号に規定する控除額を変更する件の一部を改正する件案要綱」及び「雇用保険法第六十一条第一項第二号に規定する支給限度額を変更する件等の一部を改正する告示案要綱」について
・その他

○議事

 

○阿部部会長 ただいまから、第137回雇用保険部会を開会します。皆様、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の水島委員、使用者代表の深澤委員が御欠席となっています。それでは、議事に移りたいと思います。なお、カメラの頭撮りは以上となりますので、撮影の方は御退室をお願いします。

 では、議事に入ります。本日の議題は、次第に記載のとおり3件あります。まず、雇用保険制度についてです。前回の雇用保険部会では素案として提示されていなかったものも含めて、報告書案を資料として事務局に御用意いただきました。前回からの変更箇所については参考資料に示しておりますので、まず事務局から参考資料に沿って御説明を頂き、その後質疑に入りたいと思います。では、資料について説明をお願いします。


○高島雇用保険調査官 今、部会長から御紹介いただきましたとおり、雇用保険部会報告の案について御説明をさせていただきます。こちらの案は、前回の部会で素案として提示をさせていただいたものについて、一定の記載の修正を行ったものになっております。資料1は、修正も含めて全て反映されているものになりますので、参考資料を用いて、前回からどの点が変わったのかについて御説明をさせていただきたいと思います。

 なお、本日も資料についてはお手元に紙にてお配りをさせていただいており、お手元のタブレットについては、前回までの部会の資料が格納されていることになっておりますので、御承知おきいただければと思います。

 それでは、お手元の紙の参考資料1に基づいて御説明をさせていただきます。前回の雇用保険部会提示の素案からの修正点は、赤字で修正をしておりますので、そちらを御確認いただきながら御説明させていただければと思います。表紙は「素案」が「案」に変わったという以外は、特段の変更はありません。雇用保険制度等の見直しの方向について、基本手当の在り方に関する部分も特別に変更はありません。

 2番のマルチジョブホルダーについても、特別な変更はありません。

 5ページの後ろの3番の高年齢雇用継続給付についてです。前回はタイトルのみ書かせていただいて、調整中ということで御説明をさせていただきましたが、内容を盛り込ませていただきましたので、こちらについて、御説明をさせていただきます。

 6ページですが、高年齢雇用継続給付は、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的に平成6年に創設されたものです。同給付創設後の高齢者雇用の進展を踏まえ、これまで当部会においても次のとおり累次の議論が行われてきております。

 この先は、平成19年からの部会の報告書を順番に載せさせていただいております。平成1919日の雇用保険部会報告書では、「改正高年齢者雇用安定法等を踏まえ、原則として平成24年度までの措置とし、激変を避ける観点から、その後段階的に廃止すべきである(同年度までに60歳に達した者を対象とする。)。」とされております。

 次が平成21年です。平成211228日の雇用保険部会報告書では、「平成1919日の雇用保険部会報告において、改正高年齢者雇用安定法等を踏まえ、原則として平成24年度までの措置とすべきこととされているが、60歳代前半層の雇用の状況を踏まえ、平成25年度以降のあり方を改めて検討すべき」とされております。

 続いて、平成24年です。平成2416日の雇用保険部会報告書では、「高年齢者雇用安定法に基づく高年齢者雇用確保措置の義務年齢が平成25年度に65歳まで引き上げられるが、高年齢雇用継続給付は、実態として労使間で広く定着し、高年齢者の雇用促進に重要な役割を果たしているのが現状である。こうした現状を踏まえ、雇用と年金の接続に資する観点も考慮し、高年齢雇用継続給付は当面の間は存置することとし、今後の高齢者雇用の動向を注視しつつ、その在り方について改めて再検証すべきである。」とされております。

 その後、平成25年、27年及び28年の雇用保険部会報告書については、ほぼ同様の記載ですが、「今後の高齢者雇用の動向や社会経済情勢等を勘案しつつ、引き続き中長期的な観点から議論していくべきである。」とされたものです。部会でも御紹介させていただいたとおりです。

 その後ですが、現在、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律により、60歳以上65歳未満の労働者に対する継続雇用制度が実施され、令和7(2025)年度には継続雇用対象労働者の限定に関する経過措置が終了し、60歳以上65歳未満の全ての労働者は、希望すれば継続雇用制度の対象となるという状況です。

 その後が実績の関係ですが、6064歳の就業率は平成30年度で68.8%、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は、令和元年時点の調査で78.8%に達しています。また、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(派遣法)、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート法)及び労働契約法の改正により、今後、高年齢労働者も含め、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保が求められていくこと等を踏まえると、雇用継続給付としての高年齢雇用継続給付については、段階的に縮小することが適当であるとしております。

 その際にはということで、実施に当たっての留意点、具体的な方針を記載しております。その際には、当該給付が高年齢労働者の継続雇用時の処遇決定に影響を与えている実情にかんがみ、事業主を含めた周知を十分な時間的余裕をもって行うとともに、激変を避ける対応が必要である。具体的には、令和6(2024)年度までは現状を維持した上で、65歳未満の継続雇用制度の経過措置が終了する令和7年度から新たに60歳となる高年齢労働者への同給付の給付率を半分程度に縮小することが適当であるとしております。

 また、高年齢雇用継続給付の見直しに当たり、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を推進する等の観点から、高年齢労働者の処遇の改善に向けて先行して取り組む事業主に対する支援策とともに、同給付金の給付率の縮小後の激変緩和措置についても併せて講じていくべきであるとしております。

 その上で、高年齢雇用継続給付の在り方については、これらの状況も見つつ、廃止も含め、更に検討を行うべきであるとしております。

 この次の○は、70歳までの就業確保措置に関するものです。一方、職業安定分科会雇用対策基本問題部会においては、65歳以上の高齢者の70歳までの就業機会の確保に関する議論が行われている。就業機会確保措置に取り組む事業主への支援、高齢者の再就職支援や地域での多様な就業機会の確保に関し、当該支援策を雇用保険二事業を中心に効果的に行うことができるよう、雇用安定事業、雇用保険二事業の中の1つの事業ですが、これに位置づけるべきであるとしております。こちらが高年齢雇用継続給付に関する記載の追加となります。

 7ページの下からの4財政運営については、(1)(2)、特に修正はありません。(3)は、軽微な文言上の体裁の修正になります。

 11ページ、最後の部分のその他になります。もともとその他の記載は1つだったのですが、項目を1つ増やしました関係で見出しを付けております。11ページの一番下の(1)、先日御紹介させていただいたものですが、雇用保険被保険者がいると認められる事業所に対する立入検査等について、見出しを付けたものになっております。内容の変更はありません。

 最後の12ページですが、(2)として新たに記載を追加しております。法令上の給付額に変更が生じた場合の取扱いです。例えば、毎月勤労統計の変更等に起因する追加給付のように、雇用保険業務において、賃金日額の範囲(自動変更対象額)等給付額を計算する基礎となる指標に変更が生じた場合には、個々の給付額決定の実務における変更と異なり、より広い範囲の受給者に影響があり、追加的な支給の必要が生ずる場合があります。こちらは、これまでも雇用保険部会で定期的に御報告をさせていただいたとおりです。このような場合において、対象となる当時の受給者が亡くなられた場合には、その遺族に未支給の失業等給付の給付を実施する必要があるなど、連絡及び手続に時間を要する。対象者の安心のため、こうした場合の給付に関しては、雇用保険法第74条の規定による2年の消滅時効を援用しないこととすべきであるとしております。雇用保険部会報告の素案から案までの変更に関する内容は、以上となります。

 また、参考資料2で、前回もお付けをさせていただいておりました財政運営のうち、資料の変更があった部分のみ直して再度お付けをさせていただいております。高年齢雇用継続給付の取扱いの案が今回追記された関係もあり、財政影響額について、高年齢雇用継続給付の縮小に関するものを追加しているものです。事務局からの説明は以上です。


○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して、御質問あるいは御意見があれば御発言いただきたいと思います。


○柳沢委員 今回追記された高年齢雇用継続給付金ですが、7ページの真ん中辺りに、「また、高年齢雇用継続給付の見直しに当たり」という文章があります。この中で「処遇の改善に向けて先行して取り組む事業主に対する支援策」とか、その後に「縮小後の激変緩和措置について」ということで記載がありますが、処遇の設計、検討をする立場として、もう少しイメージアップできるように、どのようなものをお考えなのか、今お考えがあれば御教示いただければと思います。よろしくお願いします。


○阿部部会長 では、御質問ですので、事務局お願いします。


○松本雇用保険課長 今回このような取りまとめを頂くことになった場合に、令和3年度概算要求に向けて検討する内容ですので、大変恐縮ですが、今の時点で御説明できるものを持ち合わせてはおりませんが、早めに御相談したいと思います。


○阿部部会長 柳沢委員、どうでしょうか。


○柳沢委員 周知と併せてなるべく早めに御案内いただけますと、私どもも助かりますので、よろしくお願いしたいと思います。


○阿部部会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。


○仁平委員 同じ7ページですが、これまでも労働側から申し上げているとおり、高年齢継続給付については、セーフティネットの観点から、現行どおり65歳未満の労働者への給付を継続しつつ、まずは来年4月施行の同一労働同一賃金に対する法律への対応を確実に実施すべきであるというのが、労働側の基本的なスタンスです。今回、給付率を半分程度に縮小するのであれば、「事業主を含めた周知を十分な時間的余裕をもって」との報告書の記載のとおり、十分な時間的猶余を確保していただくとともに、柳沢委員の発言とも重なるところですが、記載されております「高年齢労働者の処遇の改善に向けて先行して取り組む事業主に対する支援策」、それと次に書いてある「同給付金の給付率の縮小後の激変緩和措置」、これについて十分な予算措置を講じていただくことを求めておきたいと思います。


○阿部部会長 ありがとうございます。御意見として承ります。ほかにいかがですか。特段よろしいですか。それでは、お二人から御意見がありましたので、それを十分に踏まえていただきたいと思いますが、この報告書案のとおり当部会としては取りまとめることとして、後日開催される職業安定分科会へ報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。


(異議なし)


○阿部部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。職業安定分科会への報告文案の配布をお願いします。


(報告文案配布)


○阿部部会長 ただいまお配りいただきました報告文案によって、職業安定分科会へ報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。


(異議なし)


○阿部部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。

 次の議題に移ります。次の議題ですが、「雇用保険法第十八条第四項に規定する自動変更対象額を変更する件及び雇用保険法第十八条第一項及び第二項の規定に基づき同条第四項に規定する自動変更対象額を変更する件の一部を改正する告示案要綱」、「雇用保険法第十九条第一項第一号に規定する控除額を変更する件の一部を改正する件案要綱」及び「雇用保険法第六十一条第一項第二号に規定する支給限度額を変更する件等の一部を改正する告示案要綱」についてです。では、事務局から、資料について説明をお願いします。


○宮下雇用保険業務推進官 それでは、資料2-12-2を使いまして御説明させていただきます。資料2-1が告示案要綱です。概要については、資料2-2に記載がありますので、そちらを御覧ください。雇用保険の基本手当の日額の算定の基礎となります賃金日額の範囲については、毎年夏頃、告示をしております。今年も7月末に、今年8月から来年7月まで適用する額を告示しているところです。

 2つ目の○にありますように、大阪府で統計職員の不適正事案が発覚しました。全国調査を行ったところ、奈良県でも同じような事象が見受けられ、大阪府、そして奈良県の数値を精査したところ、毎月勤労統計の数値にも影響があったというところでして、それに基づき給付をしております雇用保険の賃金日額についても、変更が生じたということです。

 具体的には、1枚おめくりいただきますと、参考の所に表があります。マル1~マル8の類型ごとにお示しをさせていただいています。旧数値と記載しているのが、今年7月末に告示をして、今年8月から来年7月末まで適用する数値であると現在お示ししているものですが、大阪、奈良事案を踏まえますと、新数値に変更する必要がありました。このため、今般お諮りする告示により、新数値を適用することとし、正確な本来給付すべき金額で事後適用となる方に対してお支払いをするという内容です。

 なお、マル1~マル3、マル6~マル8については、マイナスということです。これは、本来給付すべき額よりも現在多く支払われているということですが、これらの方々については、回収することは求めません。また、マル4とマル5については、+1円、+4円ということですが、実際この額を適用されている方はいらっしゃいませんので、改めて追加を行うことにはならないということです。告示は本年度1月上旬若しくは中旬に行い、速やかに適用していきたいと考えております。以上です。


○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、本件について何か御質問、御意見がありましたら、御発言をお願いしたいと思います。いかがですか。特段よろしいですか。それでは、御意見、御質問がないようですので、当部会としてはこれらの告示案要綱について「妥当」と認めることとし、その旨を職業安定分科会長宛てに報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。


(了承)


○阿部部会長 ありがとうございます。では、報告文案の配布をお願いします。


(報告文案配布)


○阿部部会長 ただいまお配りいただきました報告文案で職業安定分科会へ報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。


(了承)


○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。ここで小林局長より一言御発言がありますので、よろしくお願いします。


○小林職業安定局長 一言御礼の御挨拶を申し上げます。94日からですが、雇用保険制度の在り方について精力的に御議論いただいてまいりました。先ほど報告という形でお取りまとめいただきましたことに、心から感謝を申し上げます。事務局といたしましては、頂いた報告を基に今度は法律案という形にいたしまして、次の通常国会に提出していくことを目指したいと考えております。

 なお、報告書の中にも記述がございましたように、別途、職業安定分科会におきましては、高齢者雇用の関係、あるいは中途採用の関係も御審議いただいておるところでございます。年明けに、改めて法律案要綱という形でお諮り申し上げたいと思いますので、引き続き御審議賜れればと考えております。この度は大変ありがとうございました。


○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、以上をもちまして本日の会議は終了したいと思います。本日の会議に関する議事録については、部会長のほかお二人の委員に署名を頂くこととなっております。本日の署名委員は、使用者代表の湊元委員、労働者代表は佐藤委員にお願いしたいと思います。後日、事務局は連絡をお願いします。次回の日程については、事務局から改めて委員の皆様に御連絡をします。本日はこれで終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、年末のお忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

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