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2019年11月29日 第135回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

令和元年11月29日(金)  10:00~12:00

 

○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)

○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

 

○阿部部会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第135回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会を開会いたします。皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の水島委員、使用者代表の深澤委員、労働者代表の佐藤委員が御欠席です。田島委員がまだお見えになっていませんが、後ほどお見えになると思います。

 それでは議事に移ります。本日の議題は「雇用保険制度について」と「その他」ということになっております。それでは、事務局から資料に沿って御説明いただき、その後質疑に入りたいと思います。まず、事務局から資料について説明をお願いします。


○高島雇用保険調査官 雇用保険課の高島です。それでは、資料について御説明いたします。資料1、をお開きください。「マルチジョブホルダーに対する雇用保険の適用について」です。こちらは9月の第132回雇用保険部会で、一度御議論をいただきました。その際に提示させていただいた論点を付けております。マルチジョブホルダーについては、過去の雇用保険部会でも累次御議論を頂いており、平成28年の雇用保険部会報告の際には、技術的な検討をするということでおまとめいただき、平成30年に有識者による検討会を開催していただきました。前回の部会の際には、その検討会の報告書の内容について御説明させていただきつつ、これらの論点について御議論いただいたということになります。

 前回の論点は2つありました。1点目は、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用について、雇用保険制度の趣旨、適用により生ずる事務コストや検討会の報告書を踏まえ、現時点で全てのマルチジョブホルダーに対し雇用保険を適用することについてどのように考えるか。こちらについて各委員から様々な御意見を頂いたところです。

 2点目は、報告書においては、「現行の被保険者類型の参考に、まずは、マルチジョブでの働き方になじみ、上記のような制度設計にも親和性が高く、かつ、財政影響を予測しやすい対象者層を抽出し、試行的に制度導入を図ることも考えられる」とされているが、マルチジョブホルダーの人数や、有業者に対するマルチジョブホルダーの割合の動向、求職者支援制度の利用状況や職業訓練の受講に関する年齢別の状況を踏まえ、試行的に雇用保険を適用すること及びその対象者層についてどのように考えるか。こちらの論点についても様々御議論いただいておりましたが、試行そのものについては各委員の方々から特に反対もありませんでしたので、本日の部会においては、この試行に対して、更に対象者層、その制度設計について事務局で資料を準備させていただきましたので、御説明をさせていただく次第です。

 2ページ目です。234ページは昨年開かれた検討会の報告書の抜粋を付けており、タイトルは「考えられる給付・適用の制度設計」ということになります。対象者層の議論に先立ち、検討会あるいは前回の部会で、どういった議論があったかということを振り返るという意味の御説明をさせていただきます。下線部の部分を中心に御説明させていただきます。

 マルチジョブホルダーの方々への給付方法についてです。マルチジョブホルダーの方々については、通常の雇用保険の被保険者、受給者のように、1つの会社にお勤めで、その会社を失業された場合に給付が出るという形とは異なり、2つ以上の会社にお勤めの形になります。ですので、例えば1つ辞められてももう1つの仕事については続いておられるということが想定されるわけです。そうした場合に、今の雇用保険の基本手当方式ということになりますと、4週間に一遍、ハローワークの指定した日にお越しいただくというところがまず1つあります。もう1つは、失業された仕事と別の仕事を短時間されていた場合については、報告を頂いて給付額から減額するという内職減額という制度がありました。これらについて、基本手当方式について、部分失業の状態も多いと想定されることを考慮すると、1つ目のポツで、そもそも失業認定日にハローワークに出頭を求める基本手当方式がなじむかどうかという論点と、2つ目のポツに書いておりますが、内職減額がかかるケースが増えると想定され、基本手当の支給額が小さくなってしまうのではないかといった問題が懸念されると。その点、一時金方式の場合、内職減額等の仕組みがないため、マルチジョブホルダーになじみやすい側面があるとされております。

 続きまして3ページになります。3ページについては、適用するとした場合の基準についての議論を整理しているものです。通常の雇用保険の場合ですと、週の所定労働時間が20時間以上、1つの会社に20時間お勤めされることになっている方について、雇用保険が適用されており、短い労働時間を複数されているということが想定されるマルチジョブホルダーの方々について、基準をどうするかという論点です。こちらについては前回の部会でも御紹介をさせていただきましたが、仮に週20時間という基準そのものを引き下げる場合にどうなるのかというところの議論でした。下線の部分で、その基準引下げ方式を採用する場合、一般被保険者を含めての基準引下げとならざるを得ない。今、普通の会社にお勤めで、週20時間以上で適用されている方についても、これは併せて引き下げる。この場合になりますと、この次の下線に続きますが、適用基準を引き下げることをもって、保険事故の発生をみる週所定労働時間も併せて引き下がることとなる。これまでですと、20時間以上お勤めの場合は、被保険者として保険料を払っていると。一方、20時間を下回るような労働時間になった場合には、失業状態にあると認定されれば受給者になるということでしたが、その境目である20時間が変わる、下がるということになります。これは、マルチジョブホルダーに雇用保険を適用させるために、現行の一般被保険者の給付要件を引き下げることになるが、その合理性を説明するのは困難であると整理されておりました。そうしたこともありましたので、マルチジョブホルダーの方々については、合算ということでどうかと整理されていたのが、こちらの部分です。

 続きまして4ページです。34ページの間の議論を補足させていただきますと、仮に合算方式で適用するということになれば、現時点でそのそれぞれの事業所での労働時間を把握されているのは、労働者御本人のみということになりますので、合算ということでやるのであれば、やはりそこは御本人にお申し出いただいて、それによって適用していくことが考えられるというのが前回の御議論でした。下線の部分になりますが、適用基準を合算方式としつつ、申出起点適用を採用することとした場合、この方式の場合、事業所や行政の事務負担の問題は同様に懸念されるが、合算する事業所・雇用関係の範囲の設定等によっては、実現可能な選択肢たり得るとされております。

 また、先ほどの一時金方式の話がここでもう一度出ておりますが、部分失業が多いと考えられる合算方式の性格に鑑み、一時金方式を採用し、また、継続する雇用関係に基づく賃金の減額の仕組みがない一時金の性格を考慮し、賃金非合算方式を採用することが考えられる。これは失業された会社の賃金に基づいて給付を差し上げるということでした。

 まとめとして(2)考察です。これらの議論の整理から、適用する場合には申出を起点とした合算方式、給付をする場合には一時金方式が想定されるということです。下線を引いていない部分ですが、こういう制度を導入した場合に、もらうことが見込まれている方が申出をされているという逆選択や、何度も何度も給付をもらう循環給付等の問題が懸念されるが、保険適用によりマルチジョブホルダーの行動にどういった変容が生じるのかを予測するのが困難だというところがありました。

 そうしたこともありましたので、最後のパラグラフの所の下線に移りますが、後ろから5行目、現行の被保険者類型も参考に、まずは、マルチジョブでの働き方になじみ、上記のような制度設計にも親和性が高く、かつ、財政影響を予測しやすい対象者層を抽出し、試行的に制度導入を図ることも考えられるということです。

 次のページから試行の対象者についての議論に進みます。5ページについても前回の部会でお出しした資料です。検討会の報告書の中でも、また前回の御議論の中でも、求職者支援制度や公共訓練との関係の議論がありました。雇用保険と求職者支援制度は正に補完関係になっております。雇用保険に入れない方、又は雇用保険の給付がもらえない方が、求職者支援制度を利用でき、訓練を受けた場合に、その間の生活費が支給されるという制度です。

 では、その求職者支援訓練も含めた、訓練の受講者数と、仕事を探されている新規求職者の方々の年齢ごとの分布がどうなっているか、推移がどうなっているかを見たのがこちらの表になっております。折れ線グラフが6つあり、大きく2グループに分かれております。上半分の3つの折れ線グラフが、新規求職者数の推移になっております。全体的などの年にあっても共通する傾向として、25歳~29歳の方々が1つピークを迎え、また40歳~44歳ぐらいの方でまたもう一度ピークを迎えるという形になります。その後、年齢が上がるに連れて、だんだん求職者数が下がっていくのですが、60歳を過ぎたぐらいから、また再び上昇していくということになっております。ここはやはり定年制度、継続雇用制度といったこととの関係があるかなと見込んでおります。

 続きまして、下半分の3つの折れ線ですが、訓練受講者数の推移です。こちらは新規求職者数と少し異なった動きになっており、ピークとして25歳~29歳があるというところは変わらないのですが、こちらについてはそこをピークとして、基本的に年齢が上がるに連れて下がっているということになります。ですので高齢者層について見ますと、新規求職者数が増加に転じている一方で、訓練受講者数については年齢を重ねるごとに減っているという形になります。

 続きまして6ページです。こちらも前回お出しした資料、副業・兼業の現状ということで、就業構造基本統計調査にあるものからデータを引用しています。3つの表が並んでおります。こちらについては、仕事がある方の中で、本業・副業どちらも雇用されるタイプの仕事をされている方、また、かつ、本業が非正規である方というのを抜粋しております。これは雇用保険で今まさに雇用保険部会で議論されている、マルチジョブホルダーの適用の対象者の射程に入る方々に近いイメージの方々を抜いてきています。そうした方々の年ごとの推移、就業構造統計基本調査のデータ、これは5年に1回取れますので、5年ごとにおいて見た場合、どのように数字が変わってきているかを整理したものが、一番最後の下の表になっております。こちらについて御覧いただきますと、65歳以上の動きが相対的に伸び率が高いということになっております。例えば40歳代はむしろ減少しているという傾向にある中で、高齢者層、65歳以上については、相対的に高い伸びを示しているという形です。

 続きまして7ページです。前回の部会の際には、昨年の検討会で議論した際に素材として用いた、JILPTの調査を紹介させていただきました。あちらの調査は64歳以下の方が対象になっておりましたので、そちらを補完するための調査をこの間、実施させていただきましたので、その内容を御紹介させていただくものです。前回の議論の際に紹介させていただいたデータとして、7ページ目の一番下に※があります。64歳以下の方のJILPT調査では、副業されている方々が9,299人いらっしゃいました。そのうちマル1~マル3の条件を御紹介させていただきますと、一つ一つの会社では雇用保険には加入されていない、20時間以上の働き方をしていない、ただし、複数の仕事をされている方の労働時間を合算すると20時間以上となる。そうした条件に合致する方を抜き出していくと、9,299人の中の4.0%である321人だったというデータを御紹介させていただきました。こちらについて、65歳以上の方々について同様に調査を行い、同様の抽出を行った結果どうなったかということですが、結果として33人、その中の割合としては4.6%となっております。65歳以上4.6%、64歳以下が4.0%となっております。

 8ページについて御説明をいたします。先ほど御紹介をさせていただいた調査に関して、マルチジョブホルダーの方の世帯における位置、あるいは収入に関して調査した内容を御紹介いたします。同様の調査をそれぞれの年齢層でしておりますので、65歳以上と64歳以下を並べて表にしております。65歳以上の方々では、最も多いのは世帯主の方々でした。33人のうち28人の方が世帯主であるとお答えをされています。一方、64歳以下については、これは前回も報告させいただいた内容になりますが、371人のうち世帯主の方は3割程度の120人、一方で、一番多かったのは世帯主の配偶者の方でした。

 続きまして9ページです。個人の収入と世帯の収入をそれぞれ比較したものになっております。上の図が個人の収入、下の図が世帯の収入となっており、それぞれ65歳以上と64歳以下の調査結果を整理しております。一番回答者数が多かった収入層を黄色く塗っております。傾向を御説明させていただきますと、65歳以上の方々の個人収入で一番多かったのは400万円~500万円未満の方々、64歳以下の方々で一番多かったのは50万円~100万円未満の層でした。一方、世帯収入で見た場合については、65歳以上のマルチジョブホルダーがいらっしゃる世帯の方々、64歳以下のマルチジョブホルダーがいらっしゃる世帯の方、どちらの世帯も世帯収入としては400万円~500万未満が一番回答者数が多かったです。先ほどの64歳以下のマルチジョブホルダーの方々に、世帯主でない配偶者の方が多かったということで、世帯収入としてはこうした変化が出るという形になっております。

 続きまして1011ページは、今の御説明の内訳的な資料となります。65歳以上と64歳以下の2グループで比較をいたしましたので、10歳刻みで見た場合どうかということになっています。10ページは個人収入の資料になっております。10歳代は少し低いですが、20歳代から6064歳の層については、基本的な傾向は同じで、65歳以上になると少し収入の層が変わってきているという形になっております。

 11ページは同様に世帯の収入となっております。こちらは若干ばらつきはありますが、多くの年齢層において基本的に300万円~600万円未満の層の中に、多くの方々が入っているという形になっております。

 最後に雇用保険制度の中での御紹介になります。65歳以上の方々については、現在、高年齢被保険者という形になっております。平成28年の改正より前は、高年齢継続被保険者という類型になっており、65歳よりも前の会社に引き続きお勤めの方の場合に、雇用保険に入れるというか、残れる制度となっておりましたが、28年の改正、29年の11日から施行されておりますが、こちらについて、その改正により、65歳以上になって新しく仕事を始められた方でも、高年齢被保険者として雇用保険が適用されるという形となっております。そうした方々が失業された場合、どのような給付金になっているのかというのが、この下半分になっており、先ほど御説明した中に出てまいりましたが、一時金の制度になっております。基本手当方式と異なり、1回お越しいただいた際に、まとめてお支払いするという形になっております。基本手当は90日からの給付日数となっており、それに比較すると、短い給付日数になっておりますが、4週間に一遍定期的に確認をしてお支払いをするという形ではなく、また内職減額といったような減額の調整の仕組みもない、そういった制度の中で、一度にお支払いを一定日数分差し上げると、そのような制度設計になっております。

 その上で、まず論点を御紹介させていただきます。2点あります。1つ目の論点ですが、対象者層についてです。検討会の報告書を踏まえ、有業者に対するマルチジョブホルダーの割合の動向や求職者支援制度等の利用に関する年齢別の状況等を鑑み、65歳以上の方を対象として、御本人の申出を起点として2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を試行して、その実施状況を検討することとしてはどうか。

 2つ目の論点は、こちらとつながっておりますが、65歳以上の方々を対象として試行する場合であれば、原則としてその給付等の在り方も高年齢被保険者と揃えることとして、マルチジョブホルダーの特性を踏まえて、一定の調整を行った上で制度を設計することとしてはどうか。その2点の論点になっております。2つ目の論点について、この次の資料で若干補足をさせていただきます。

 マルチジョブホルダーの特性というのはどういうところに出てくるのかということに関する御紹介となります。14ページですが、考えられる枠組み、イメージの資料を準備しております。2組の人型の図が出ておりますが、上のほうから説明させていただきます。1つ目で、マルチジョブホルダーの方で、ABC3つの事業所にお勤めの方です。14時間、10時間、5時間という労働時間でそれぞれお勤めだという方を想定しております。この場合については、先ほど論点で御紹介したとおり、2つの事業所で適用する場合には、ABを合算して適用の申出をされるということになります。足すと20時間以上の24時間となりますので、適用されるという形となります。仮にこれでAの事業所だけを離職されたという場合になりますと、Aの労働時間は当然0時間となります。この方については、もう雇用されている事業所の労働時間を合算しても20時間以上となりませんので、受給者として、高年齢求職者給付金を支給をするということになっております。

 このそれぞれの人型の図の下の青の枠になりますが、こちらについては、ABC3つの事業所になりますけれども、足して20時間以上になり失業されて20時間を下回る場合に給付を差し上げるという形になりますと、C事業所の合算の有無にかかわらず、この方は20時間以上となり、かつ、Aを離職された場合に給付が出るという形になります。また、合算する事業所の数が多くなればなるほど、事務負担等が発生するということになりますので、合算する事業所の数については、2までとすることが考えられるとしております。また、2以上の所定労働時間を合算する場合でも、余りにも短い労働時間、例えば19時間と1時間といったような場合、合算対象となる個々の所定の労働時間に一定の基準を設けることが考えられる。例えばこの例で申し上げているような、所定の労働時間5時間という辺りが1つの基準になるかと考えています。給付の局面についての補足ですが、高年齢被保険者の給付金と同様ではありますが、1事業所を離職した場合でも給付を行うことになります。2つの会社にお勤めの場合で、片方だけ辞められた場合でも給付するという形になります。ただ、そのほかの給付については、一般の65歳以上の高年齢被保険者と同じ取扱いにしたいと考えています。

 その下の人型の図ですが、労働時間が少し違った14時間、10時間、10時間で勤める場合について、説明を補足させていただきます。こちらについては、ABを合算して24時間で適用されるというところは変わらないのですが、Aを離職された場合に、この方は実はBCを合算した場合でも、20時間以上となりますので、この方については給付をするのではなくて、引き続き被保険者、マルチジョブホルダーの被保険者として、雇用保険が適用されるという形になっております。現在の一般の被保険者の方についても、例えば20時間と20時間でお勤めの方でありましたら、どちらか一方のみ適用される形になっております。その一方の事業所を辞められた場合には、残りの事業所の雇用で20時間以上のものがあるのであれば、やはり給付ではなく、引き続き被保険者という形になっておりますので、その整理でバランスを取る観点から、このようなパターンについては、引き続き雇用保険の適用ということで被保険者になっていただくという形が考えられるということです。

 15ページは、今御説明したものに関連する、昨年の検討会の報告書です。今の図で御説明した以外の部分について簡単に補足をいたします。下線の部分ですが、65歳以上の方について、現在、教育訓練給付が支給の対象になります。こちらも同様に支給することと考えております。高年齢雇用継続給付は、60歳から64歳の方が対象となる給付ですので、65歳以上の方々は、一般の方もマルチジョブホルダーの方も外れるということになります。

 最後に、育児休業給付と介護休業給付です。こちらも65歳以上の高年齢被保険者の方々は、給付の対象となっております。マルチジョブホルダーの方々についても、同様に対象とすることといたしますが、失業のパターンと異なり、休業されて給付をするという制度ですので、こちらについては、適用されている2つの事業所を共に休業を取られた際に、それらに関する給付をするという形で考えております。

 続きまして16ページです。賃金の日額に関するものです。先ほど御紹介させていただいた内容と重なりますが、2つの会社にお勤めの方が、1つ離職された場合の給付については、辞めたほうの賃金額に基づいて給付をするということを考えています。ただし、複数の事業所を一緒に辞められた場合については、2つの事業所の賃金を合算したもので給付額を計算すると考えています。

 現在の雇用保険制度ですが、給付額については、賃金を基に一定の給付率を掛けて計算しておりますが、その賃金日額については、上下限の制度があります。現在の下限は2,500円なのですが、こちらは1つの会社に週所定20時間以上お勤めの労働者を念頭に置いて設計されていますので、一部離職が発生するマルチジョブホルダーの場合、先ほどの例で申し上げれば、週に14時間・10時間で、例えば10時間のほうを辞められたということであれば、週に20時間の方と比べると、労働時間も少ないですので、当然もらえる賃金も少なくなると。その場合に、今の賃金日額の下限をそのまま適用して給付をすると、給付と賃金の逆転なども起こりかねないというところがありますので、マルチジョブホルダーの方に関しては、その賃金日額の下限は適用しない調整を行うことが考えられるものです。

 続きまして17ページ、自己都合離職の関係です。前回の御議論の中でも、自己都合離職の方々についての制限について御意見を頂きました。また検討会の報告書でも、自己都合離職の方々に関する給付制限についても触れられておりました。現行の雇用保険制度については、正当な理由のない自己都合で辞められた方については、3か月間の給付制限が基本手当上、設けられることになっています。また、65歳以上の被保険者の方に対して給付をされている高年齢求職者給付についても、自己都合離職の方については、給付制限がかかっておりました。ですので、こうしたマルチジョブホルダーの方々についても、自己都合で離職をされた場合については、同様に給付制限をかけることを考えています。一方で、自己都合離職者の方であっても、被保険者として保険料を負担した上で、離職して、賃金を失っている点は、ほかの被保険者の方と変わりませんので、ここは全てほかの被保険者と同様に給付制限期間を設けた上で、給付を行うこととすると。

 また、申出ということで御本人からの意思表示により適用される制度がありますが、一方で雇用が継続しているにもかかわらず申出により任意で脱退することは認められないことが考えられると。また、離職時であっても、先ほど御紹介した例ですが、他に合算して20時間以上となる雇用がないかを確認して、20時間以上となるのであれば、引き続き適用するということを考えています。

 仮に同時に2つの事業所を離職された場合、それぞれの給付をそれぞれで計算をして、何度も来所を求めることを考えますと、そういったマルチジョブホルダー、複数の仕事をいろいろ掛持ちされている方ですと、何度も来所を求めるということは、その性質を考えると負担になりますので、給付については、一緒に辞めた場合でも、一括して支払いをすることになります。その場合に、それぞれの事業所でお勤めですので、離職理由は異なることも考えられます。その場合については、解雇、倒産、雇い止めとか、給付制限がかからないもので離職をされた離職理由が入っている場合には、そちらの給付の時点で一括してお支払いをすることといたしまして、2つの仕事を一緒に辞められたことについて、ハローワークの窓口で詳細を聴き取りまして、これは試行の結果として、今後の検証において活用することと考えております。

 最後に参考資料で、マルチジョブホルダーに関するその他の調査、御紹介したもの以外のものも幾つかありますので、そちらについての資料を準備しております。事務局からの説明は以上になります。


○阿部部会長 それでは、ただいまの説明に関して、御質問、御意見がありましたら御発言をお願いします。いかがでしょうか。


○千葉委員 意見でございます。適用範囲についてですが、本来であれば生活のためにやむを得ずマルチジョブホルダーに至っている人に対して、広く雇用保険を適用すべきというのが、この間、労働側として主張してきた内容です。そういう意味では、65歳以上に限定をする方法というのは、労働側の基本的な考え方に照らし合わせますと、直ちに賛同できるものではないと思っています。

 ただし、その一方で、報告書の中でも、この間確認させていただきましたが、財政影響であったり、逆選択、モラルハザード、そういったものについては払拭し切れない課題としてあるのもまた事実かと考えております。これらを踏まえまして、全てのマルチジョブホルダーに対して雇用保険適用に向けた一歩として、トライアルとして実施するということについては、その中で課題を検証しながら、制度的に改善に取り組んでいくという考え方については、賛同をしていきたいと考えています。以上です。


○阿部部会長 ありがとうございます。それでは御意見として承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。


○柳沢委員 1つ質問させていただきたいと思います。複数の企業に勤めているという前提で考えたときに、企業側として見ますと、この対象者がどこでどのぐらい働いているのかというのは分からないと思うのですが、一方で、本人の申告で対象になる、ならないということになりますと、その方が本当に対象になるのかということを確認する術がないのではないかなと思うのですが、その辺は何か仕組みとして担保されるとか、その辺の方策はお考えでしょうか。


○阿部部会長 では、事務局お願いいたします。


○高島雇用保険調査官 ただいまの御質問については、確かに私のほうから御説明させていただいたとおり、これまでの雇用保険でしたら、1つの事業所でお勤めの中で、その労働時間は20時間以上で適用していますので、その会社のみで分かるということになります。一方で、複数の事業所を合算して初めて20時間以上になるということであれば、当然その会社の雇用契約だけでは分からないということになりますので、そこは会社のほうから確認することはなかなか現実的に困難であると考えております。ですので、今回のやり方については、正に御本人の申出をスタートとして、御本人がハローワークですとか、会社ですとか、そういった所に連絡をして、それで雇用保険の適用が始まるという形にしておりますので、今回のマルチジョブホルダーを仮に試行するとした場合には、その制度のやり方ですとか、届出のやり方なども、これまでと異なるところが多いかと思いますので、そういったところもよく整理をして、周知に努めたいと考えております。


○阿部部会長 いかがですか。


○柳沢委員 そういったことでありますと、突然、本人の申出で、対象になるとかならないとか、一方で辞めたので外れますというようなことになり、企業の実務として非常に煩雑になったり、間違いが起こったりということも懸念されますので、その辺を十分配慮をお願いしたいと思っております。


○阿部部会長 ほかにいかがですか。


○三島委員 1点確認をさせていただきたいと思います。16ページの賃金日額についてですが、2ポツ目の下段の「マルチジョブホルダーに限っては、賃金日額の下限は適用しない調整を行うことが考えられる」と記載がありますけれども、上限額及び給付率の屈折点については、マルチジョブホルダーに対しても現行のルールを適用するという認識でよろしいか、確認をさせていただきます。


○阿部部会長 では、お願いします。


○高島雇用保険調査官 そちらのほうについては、同様に適用することを考えておりまして、変更するのは下限のみかなと考えております。


○阿部部会長 よろしいですか。


○湊元委員 このマルチジョブホルダーに対する雇用保険の適用に関しては、前も申し上げましたとおり、基本的には、マルチジョブホルダーに対する検討会報告書で、マルチジョブホルダー全体の雇用保険の適用拡大によって保護するよりも、むしろ雇用の安定化の必要性の高いものに対しては、求職者支援制度をはじめとする各種施策を活用した支援が適当とあるように、本来的には、短時間のパート・アルバイトを組み合わせた働き方をされている世帯主の方の雇用安定化を推進するのが望ましいと思います。マルチジョブホルダーをしっかり検討して試行するのであれば、資料中における副業・兼業の割合を見ると、65歳以上の年齢層で直近5年間の伸び率が高くなっておりますし、また世帯主の割合も高いという結果を踏まえると、セーフティネットの視点からも、65歳以上を対象に制度を試行することは、一定程度効果が見込めるのではないかなと考えております。

 試行するに当たっては、賃金日額、あるいは自己都合退職の問題点、こういったところを十分検討した上で、試行を行っていただきたいと思います。また、試行に当たっては、対象者、目的、期間、手続の話もありましたが、そういう事務面での混乱とか、過度な事務負担などが生じないように、最大限配慮いただきたいと思います。また、試行後は、きちんとPDCAを回しながら、想定どおりの効果が出ているのか、しっかり検証していただきたいと思っております。以上、意見でございます。


○阿部部会長 ありがとうございます。では、御意見として承りたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。


○菱沼委員 ありがとうございます。マルチジョブホルダーの議論をしているところですが、事務局からの説明で65歳以上ですとか、本人申出を起点ということでありますが、新たな制度を導入するということですので、恐らく厚生労働省においては、システム改良とか、そういうこともされるでしょう。今、柳沢委員のほうからもお話があったと思いますが、申出があって、急にどういう対応をしていいかという部分があるでしょうし、事業主側は、資格取得届けとかを出せるハローワーク、今インターネットとかでできるとは思いますけれども、そういった届出の提出、そういった部分とか、今日の資料で出ていましたが、14ページの「考えられる枠組み」でありましたけれども、そういった分かりやすい資料があればいいですけど、働く側もこれを持って歩いているわけではないと思いますので、そういったものが必要なのかなと思います。要は、事業主にとっても、働く側にとっても、こういう制度があるよということで、今、湊元委員からもお話がありましたが、やるのであれば、ある程度回してみて、実施状況を見て、いい部分は引き続きやり、駄目な部分は見直していくとか、そういう形で検討してはどうかということを、意見として申し上げます。


○阿部部会長 御意見として承りたいと思います。ほかにいかがですか。特になければ、この件に関してはこの辺りにさせていただきたいと思います。

 では、資料2及び資料3も提出されておりますので、それについても事務局から説明を承って、それから皆さんで議論していきたいと思います。では、事務局から資料2について説明をお願いいたします。


○高島雇用保険調査官 それでは、資料2と資料3について、続けて御説明させていただきます。資料2については「財政運営」です。財政運営については、2回前の10月の133回の雇用保険部会の際に、一度御議論いただいております。その際には、平成30年度決算などを含めた、現在の収支状況とともに、失業等給付費の今後の収支見込みについて資料をお出しいたしました。その中で委員の方からの御意見として、正に今回の議論の背景として、骨太方針2019の中で、雇用保険料や国庫負担についての暫定措置の引下げの継続の検討がありましたので、今年度で終了することになっている暫定措置を仮に継続した場合にはどのようになるのか。そういったものについても示してほしい、という御意見を頂いておりました。そうしたものについては、今回準備いたしましたので、御説明させていただきます。

 1ページを御覧ください。失業等給付費の今後の収支見込みについてで、前回もお出しした資料で、試算の前提を少し変更していますので、そこの部分をアップデートしております。1つ目のアップデートの箇所はマル2の試算に当たっての前提の収入関係の所です。下線の部分を御覧ください。平成29年改正において措置された軽減措置の期間(平成29年度から令和元年度まで)について、仮に機械的にというところですが、令和2年度から更に3年引き続き措置された場合にどうなるかということで試算しております。この場合については、雇用保険料率は弾力条項など様々ございますが、雇用保険料率は現在のまま1,000分の6ということで据え置いているものです。

 その後の3つ目のポツの所です。国庫負担についても、雇用保険料率と同様に暫定措置が3年間延長されたものと仮定して、来年度から令和4年度までの国庫負担について、本則の100分の10というようにした上で計算しています。

 支出関係については数字が変わっているものではありませんが、こちらは前回に委員から御質問いただいた関係がありますので、平成30年度実績と比較して変動することが見込まれる育児休業給付と教育訓練給付については変動を反映したものということで明記しています。そのほか、例えば失業者向けの給付である基本手当については、受給者実人員を平成30年度実績をベースとしていますので、ここの部分は引き続き前回と同様の試算となっています。

 それらを踏まえての試算の状況を整理しましたのが、2ページとなっています。暫定措置を仮に3年間延ばした場合にどうなるかということで、令和2年度、令和3年度、令和4年度までの見通しを示しております。収入については、最後の令和4年度のところが、11,555億円ということで、今のベースの1,000分の6の保険料率と本則の100分の10の国庫負担という形となっています。支出については御覧いただいているとおりで、参考として基本手当と育児休業給付について、それぞれをどのような額で見込んでいるかということも併せて内訳として提示しています。差引剰余についても、このとおりですが、現行、平成29年度、平成30年度、また令和元年度見込みの所の差引剰余と同様に、保険料率や国庫負担が引き下がったままとなりますので、差引剰余についても引き続き赤字となる形となっていまして、令和2年度以降、6,000億円台、又は7,000億円台の差引剰余の赤字が続くという形になっています。仮に、これを機械的に3年間続けた場合には、令和4年度の積立金残高の見込みは2兆円台前半、22,848億円という形になります。こちらが財政見通しの更新版となります。

 続いて、弾力条項の関係について御説明いたします。3ページを御覧ください。弾力条項については、前回も御説明させていただきました。その際の趣旨を明記していますが、上の枠の「1」、「2」と書いてある所と、下の「※」の所です。弾力条項の趣旨としては、積立金を好況期に積み立て、不況期に取り崩すことで、景気変動による給付の増減に対応しつつ、機動的に保険料率の引上げ、引下げを可能とすることにより、過剰な積立や積立不足を回避して、安定的な財政運営を可能とするものでした。こちらについては、失業保険制度の時代から、こうした引下げ、引上げは可能となるような規定は設けられておりました。保険給付、保険料収入、あるいは積立金といった要素を基に計算しまして、引上げ又は引下げを可能とするような規定がありました。

 こちらについて、前回の御議論の中で委員の方から、雇用保険弾力条項は雇用保険の制度の前からあるものではあるけれども、またその間、給付がいろいろと多様になっている。実際に景気変動によって動く給付とそうでないものがあるというところで、そうしたものを議論していける資料を、ということもございましたので、4ページに、給付の種類ごとに見た給付額の推移を準備しています。大きく給付を3グループに分けています。上の折れ線グラフは、完全失業率と給付の総額になっています。1つ目の水色の棒グラフですが、求職者給付と失業者向けの給付ということになります。こちらについては、正に年度によってボコボコと推移が上下しておりますが、こちらの動きは紫の折れ線グラフである完全失業率の動きに非常に近い動きとなっていて、景気状況に応じて変動する給付であろうと考えています。そのほか2グループということで、高年齢者雇用継続給付については、ベージュの色のバーの高さで御覧いただけるとおり、景気状況にかかわらず一定の水準ということになっています。こちらは失業の状況と言うよりは、むしろ高年齢労働者の方々とか、賃金低下の状況はどうなっているかということによって給付が出るものですので、結果として一定の水準で推移しているということになっています。育児休業給付については、景気状況にかかわらず一貫して増加をしています。育児休業取得率の増加あるいは雇用保険制度の中で幾度かの制度改正をすることで、給付率を引き上げる、あるいは給付期間を育児休業制度に合わせて延ばすといったことによって、給付の総額が一貫して増加をしているという動きになっています。なお、介護休業給付、教育訓練給付についても、この棒グラフの中に併せておりますが、額としては余り大きくなっておりませんので、特別の傾向はないと考えています。

 続いて、5ページが雇用保険料と国庫負担の推移です。こちらは前回もお出しした資料ですが、平成29年度から雇用保険料については1,000分の9で、これは失業等給付の1,000分の6と、雇用保険二事業の1,000分の3を足したものになっています。また国庫負担率については、基本データの場合であれば、2.5%ということで、4分の10.1100分の103年間続けてきているというものになっています。

 6ページ、その上で論点です。論点は2つあります。「失業等給付に係る雇用保険料率及び国庫負担の暫定措置の取扱いについて、経済財政運営と改革の基本方針2019及び今後の積立金残高の推移の見通しを踏まえ、どのように考えるか」が1つ目の論点です。2つ目の論点は弾力条項の関係ですが、「失業等給付に係る弾力条項について、制度創設以降、給付の内容が多様化しており、雇用状況に応じて実績が大きく変動する給付とそうでないものがあることを踏まえ、弾力条項における各給付の取扱いをどのように考えるか」という2点です。こちらが資料2の関係の御説明です。

 続いて、資料3の「雇用保険二事業について」御説明いたします。こちらの雇用保険二事業については、制度改正についての検討の素材と言うよりは、実施状況の報告です。1ページおめくりください。雇用保険二事業については、目標管理のサイクルで事業の運営を行っています。真ん中から始まって、時計回りで矢印が動いております。まず、個々の事業ごとに、予算成立に伴って事業が確定したら目標を決めるというプロセスがございます。その目標を決めて公表した上で、事業を実施します。その後、その実施状況を確認した上で、その目標あるいは執行率としたものに基づいて、どのような実施状況にあるかということについての評価をチェックしています。その評価をした上で、それを事業の見直しにつなげるという形になっていて、こうしたPDCAサイクルで目標管理を動かしております。こちらの雇用保険部会でも、毎年度に一度、雇用保険二事業のこうした実施状況について御報告させていただいておりまして、今回、財政運営の議論を頂いたタイミングで御報告させていただくものとなります。

 次に、その下の半分に出ていますが、雇用保険二事業の評価方法についてです。2つの軸があります。横軸が目標達成度、縦軸が事業執行率です。その目標達成があるかないか、事業執行率は80%の基準で上回っているか下回っているかということについて、評価をしております。目標を達成しているab、目標を達成していないはcdでして、目標を達成して、かつ事業執行率が高いaについては施策継続、達成をしているけれども執行率が低いbについては予算を適切な水準にする見直し、目標を達成していないcdについてですが、cについては目標の未達成要因を分析、また事業の執行率に基づいて事業の見直し又は廃止が必要、dについては事業の廃止又は見直しが必要というように整理しております。このようなPDCAサイクルに基づいて雇用保険二事業の運営をしております。

 令和2年度の概算要求、来年度の事業についての雇用保険二事業の予算の全体像について御説明いたします。事業数については、令和元年度の予算は73事業から74事業に増えています。その中で特に特徴としては、働き方改革・人づくり革命の所で、前年度(令和元年度)と比較して500億円の増としています。その中のポイントを御説明しますと、1つ目が同一労働同一賃金など、非正規雇用の処遇改善というところで、キャリアアップ事業助成金の拡充をしています。近時の執行状況を踏まえての事業の拡充ということで、163億円の増となっています。もう1つは、その下の段にある女性・若者・就職氷河期世代の活躍の促進ということで、こちらはくくると令和元年度予算費プラス3億円なのですが、その中を御覧いただきますと、一番下の○ですが、就職氷河期世代対策があります。こちらについては、就職氷河期の方向けの短期の取得コースの創設、あるいは関係機関と連携したハローワークによるチーム支援といった事業を新しく立ち上げるもので、新規事業として61億円の要求をしているものです。また、その下の人材投資の強化ということで317億円のプラスになっていますが、そこの主な要素としては、人材開発支援助成金、昨年度から実施した教育訓練休暇の関係で、年度途中でしたので、それを完全に今回は1年度分実施することになりますので、そうしたことを踏まえた予算の増などを行っています。こうした形で、雇用保険二事業の運営を行っているところです。その下の資料については、それぞれの雇用保険二事業についての正にPDCAのサイクルをどのようにやっているかということで、個々の事業ごとに、その目標あるいはその目標の評価がどうであったか、あるいはその評価がCDであったものについてはどのような見直しを行っていたか、あるいは予算額はどう推移しているかというものを、正に個票形式で一つ一つ整理をしたものですので、こちらは参考として併せてお配りさせていただくものです。事務局からの説明は以上です。


○阿部部会長 それでは、ただいまの説明に関して御質問、御意見がございましたら御発言をお願いいたします。


○仁平委員 財政の試算のほうの2ページ目についてです。前回のこの場での意見を踏まえて試算していただいたと説明にあったとおりだと承知しています。※にあるとおり、雇用保険と国庫負担の軽減の延長による財政支出を明らかにするためということで、令和2年度以降については、弾力条項にかかわらず、雇用保険料率を1,000分の6として試算をされていると思います。

 改めて見ますと、国庫負担の保険料の時限的な引下げをしても、令和3年度で3兆円の積立金が見込めるということですが、率直に申し上げて、このように見込めるということと、引き下げを継続することを決めるということは別の話で、できるからやるのだということは慎重に考えなければいけないのではないかと思っています。

 そもそもですが、国会の2017年の附帯決議ということは尊重すべきだと思っていますし、仮にこういった延長をした場合、例えば2年後、3年後の担保について、どのようになるのかといったことについて質問としてさせていただきたいと思います。

 そもそも労働側の立場として、改めて意見を申し上げたいと思いますが、現行の時限的な引下措置の先には、国庫負担の本則復帰ということも含めて我々は考えているわけですので、そういうことが更に遠退いてしまうのではないか、あるいは政府が本則復帰をどんどん先延ばしにすると、雇用政策に対して本気でないというメッセージを国民に発していることと同じなのではないかと思っています。積立金残高があるということであれば、国庫負担の引下げを継続するというよりも、基本手当の充実などを優先させてほしいということを改めて労働側として意見申し上げておきたいと思います。


○阿部部会長 では、御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。


○松本雇用保険課長 御質問についての確認ですが、仮に延長した場合に23年後はどうなるのかという御質問でよろしいでしょうか。


○仁平委員 そうです。仮にそうした場合、今も附帯決議があった上で今後どうするかという検討になるとは思うのですが、このとおりに元に戻すというのは1つの考え方だとは思うのですが、仮にそうではないという仮の話をした場合、その担保というのをどのように考えるのかといった質問です。


○松本雇用保険課長 平成29年改正の際、それに先立つ雇用保険部会での取りまとめでも、元に戻すという御指摘を頂戴して、それを基に法案化されたわけです。

 今回、あくまでも仮定の話として、これを更に限定的に延長することとした場合には、限定的に延長することにする時限を当然に明らかにし、それが経過したら戻すということを法案上明記した上で、国会に御提示申し上げるということになろうかと存じます。


○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。


○清家委員 論点が2つ出されているので、それぞれについて意見を申し上げます。1点目について、資料の2ページで財政見通しについて出していただきました。これは前回、前々回も使用者側から申し上げていますように、更に3年間続けるというのは、いかがなものかと、仮に時限的引下げをやるにしても、最長でも2年と考えます。

 時限的引下げの話と弾力条項の適用の話があいまって、時限的引下げを仮に続けて、終わった後、保険料率がどうなるのかという部分について、私どもは9月に提言を出していますが、非常に危惧しております。その辺りについて、今ここで、こういう見立てになるのだというところをお話できる範囲で、この場で共有を頂けるような情報を厚労省から出していただけると有り難いと思います。

 2つ目の論点で弾力条項について、給付の取扱いについてという論点が出されていますが、資料の3ページに弾力条項についての趣旨等が書かれているように、景気変動による給付の増減に対応して、安定的な財政運営を可能にするという趣旨がもともとありますので、そういう趣旨に照らして、よりその趣旨に合う形の仕組みを考えるということ自体は検討されてしかるべきと思います。まずは、質問を含めて意見を申し上げました。


○阿部部会長 では、事務局からお願いします。


○松本雇用保険課長 1点目の御質問についてですが、弾力規定の見直しをどのようにするかによっても、保険料率の見通しも変動するわけです。今般、第2の論点として、4ページにあるように、景気変動との関連性が違う3種類の給付について何らかの見直しをした場合といった、そういったケースによって変動するわけですので、そういう意味で、まずは弾力条項の見直しについて何かしらの御意見を頂戴したら、それを基に弾力規定の見直し、それに伴って導き出され得る保険料の推移といった点を、後日お示しするということになるのではないかと思います。


○清家委員 そうしますと、3ページに弾力条項の中身が書かれていますが、仮に弾力条項の議論をするとすれば、例えばここに分母と分子がありますが、その対象とするものをどうするのかとか、あるいは2倍などの水準論と言うか、そういうものも議論の対象になるという理解でよろしいのでしょうか。


○阿部部会長 事務局お願いします。


○松本雇用保険課長 まさに、この分母と分子をどうするかといった点が、御意見を頂戴したい点です。


○清家委員 今日も論点として出されていますが、もともとの趣旨が景気変動による給付の増減への対応ということでいきますと、その部分は非常に重視して、弾力条項を考えるのであれば、そこをよく見ていくということだと思います。


○阿部部会長 事務局から何かありますか。


○松本雇用保険課長 御意見を頂戴いたしました。


○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。


○湊元委員 保険料率の引下げについて、中小企業は非常に社会保険料の負担が厳しいという声が出ています。その他、コストアップ要因がものすごくありまして、最低賃金の引上げもありますし、同一労働同一賃金でまたコストアップにもなるというところもありますので、保険料率の引下げは延長していただきたいと思います。ただし、積立金残高の推移の見通しを見ると、延長は2年が限度と思っております。

 国庫負担については、なるべく早く本則に戻していただくためのロードマップをしっかりと作っていただきたいと思います。

 また、弾力条項のところですが、景気変動によってというのは分かるのですが、育児休業給付とか高年齢者雇用継続給付は景気と連動していないので、これらを弾力条項の計算式に含める必要はないという感じがします。育児休業給付は国の少子化対策に関わるところですので、この雇用保険で見るのが適当なのかどうか、国庫としてしっかり見るべきではないかなという思いです。以上です。


○阿部部会長 御意見として承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。


○柳沢委員 時限的引下げを延長する等で、先ほどの見通しで積立額が減っていくということがあるのですが、この先々を含めて余り急激に上がるということは、企業の業績見通しにも影響してきますので、急激な変動がないような形で安定的な推移をしていただけたらなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。


○阿部部会長 御意見として承ります。ほかにいかがでしょうか。


○小林委員 使側の委員の皆様からも弾力条項についての御意見があったと思いますが、労側からも意見させていただきたいと思います。先ほど出ていました育児休業給付金についての弾力運用の適用ですが、こちらについては弾力運用の適用外とした上で運用するものと思っています。先ほどの資料24ページについて、使側の委員からもありましたが、こちらの育児休業給付については景気状況にかかわらず一貫して増加しているため、、弾力条項の対象外とすべきではないかと思っています。求職者給付のみを弾力運用の対象とすべきではないかと思っていますので、こちらは御意見として述べさせていただきます。


○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。ほかになければ、よろしいでしょうか。本日、委員の皆様から様々な御意見を頂きましたので、一旦整理を事務局にしていただいて、今後の議論につなげていただければと思います。

 全体を通して、御意見、御質問等はございますか。よろしいですか。

 それでは、以上をもちまして、本日は終了したいと思います。本日の会議に関する議事録ですが、部会長のほか、お二人の委員に署名を頂くこととなっております。本日の署名委員は使用者代表の菱沼委員、労働者代表の三島委員にお願いしたいと思いますので、後日、事務局は連絡をお願いいたします。次回の日程については、事務局から改めて皆様に御連絡いたします。

 それでは、以上をもちまして、本日は終了したいと思います。お忙しい中、どうもありがとうございました。

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