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2019年11月15日 第134回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

令和元年11月15日(金)  13:00~15:00

 

○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

 

○阿部部会長 定刻になりましたので、ただいまから第134回雇用保険部会を開会いたします。皆様お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の田島委員、水島委員が御欠席とお聞きしております。
それでは議事に移ります。本日の議題ですが、「雇用保険制度について」と「その他」になっております。それでは事務局から資料に沿って御説明を頂き、その後、質疑に入りたいと思います。では、説明をよろしくお願いいたします。

○高島雇用保険調査官 雇用保険課の高島です。それでは資料についての説明をいたします。お手元のタブレット高年齢雇用継続給付について。資料番号としては1番になりますが、こちらについて御説明いたします。
1ページ目、高年齢雇用継続給付とは、失業給付、雇用保険の中で雇用継続給付の第一類型ということになりますが、基本手当を受給せずに雇用を継続する者に対して支給されるもので、大きくは2つあり、「高年齢雇用継続基本給付金」と再就職した者向けの「高年齢再就職給付金」の2つの給付金からなっております。
対象者の方については、60歳以上65歳未満の労働者の方で、更に賃金が下がった方です。どういう形で下がったかというと、60歳時点の賃金と比較して75%未満となった状態で雇用されている方が基本給付金のほうで対象になります。再就職給付金のほうは、基本手当を受給されていた方が60歳後に再就職されて、その再就職後の賃金が基本手当のもともとの基準となっていた賃金の額の75%未満となった方で一定の要件を満たす方に対して支払われる形になっております。給付額は60歳以降の賃金の15%で、支給期間は65歳に達するまでの期間という形になっております。
給付のイメージですが、右側の下に図でお示ししております。こちらのほうが分かりやすいかと思います。賃金の額が75%よりも下がった場合に給付されるので、この図ではグレーに網掛けされた所が給付ということになります。基本的には賃金額の15%となるのですが、ここの図形が三角形になっているとおりで、一定の割合を超えると、その給付額は逓減する形になっており、75%以降については給付されないという形になっております。
こちらの制度変遷ですが、もともとは平成7年度から始まった制度です。その当時は賃金の原則25%ということになっております。今は15%ですが、当時は25%から始まったということです。
賃金低下の要件についても当時とは変更されており、最初は85%が境目になっておりました。85%以上であれば支給されないという形になっております。そちらについては平成15年に改正が行われ、その年の5月から施行されているわけですが、今の制度に変わっていて、60歳のときの賃金に比べて75%以上であれば支給されないという形になっております。平成30年度の初回受給者数は、約17万人となっております。
続いて2ページになります。高年齢雇用継続給付の支給状況です。こちらは高齢労働者の数ですが、そもそも賃金が下がった方などで受給者の数というのは変動するわけですが、平成30年度は約17万人が初回受給者ということですが、今は前年度比で大体同じぐらいの数字となっております。
続いて3ページ、高年齢雇用継続給付等に関する過去の主な意見です。高年齢雇用継続給付については、これまでも雇用保険部会で議論いただいておりました。その議論いただいた際のまとめの報告書で、これまでどのようにまとめられてきたかというところを整理したのが、この3ページと4ページとなります。
まず、平成19年1月の雇用保険部会報告書になります。こちらでは高年齢雇用継続給付については、改正高年齢者雇用安定法等を踏まえ、原則として平成24年度までの措置とし、激変を避ける観点から、その後、段階的に廃止すべきである。(同年度までに60歳に達した者を対象とする)というように整理されておりました。このときの改正高齢法というのは、今の高年法の2つほど前ということで、65歳までの継続給付が義務化されつつ、更にその対象者の基準について平成24年度まで定めることができるようになっていた、そういう時代の高年齢者雇用安定法等を踏まえということで整理されていたものです。
続いてその後、平成21年12月28日の雇用保険部会報告書ですが、平成19年の雇用保険部会報告において、改正高年齢者雇用安定法等を踏まえ、原則として平成24年度までの措置とすべきこととされているが、60歳代前半層の雇用の状況を踏まえ、平成25年度以降のあり方を改めて検討すべきと整理されました。
続いて平成24年の年始の雇用保険部会報告書ですが、2つ目の○からです。「高年齢雇用継続給付については、制度の存在意義を問う意見がある一方で、制度の拡充等を図るべきという意見もある。高年齢者雇用安定法に基づく高年齢者雇用確保措置の義務年齢が平成25年度に65歳まで引き上げられるが、高年齢雇用継続給付は、実態として労使間で広く定着し、高年齢者の雇用促進に重要な役割を果たしているのが現状である。こうした現状を踏まえ、雇用と年金の接続に資する観点も考慮し、高年齢雇用継続給付は当面の間は存置することとし、今後の高齢者雇用の動向を注視しつつ、その在り方について改めて再検証すべきである」とされておりました。
次のページは平成25年度以降になります。平成25年12月、平成27年12月、平成28年12月の雇用保険部会報告書でも、それぞれ整理されております。記載の内容は基本的に共通しているのですが、最初の平成25年で申し上げると、「高年齢雇用継続給付及び65歳以上の対処については、今後の高齢者雇用の動向や社会経済情勢等を勘案しつつ、引き続き中長期的観点から議論していくべきである」と整理されております。こちらの雇用保険部会報告書は、基本的に制度改正の度に部会で御議論いただいて内容を取りまとめるわけですけれども、これまでの部会の議論の中でも継続的に論点としており、その都度、報告書でおまとめいただいてきたというような経緯となっております。
続いて5ページですが、ここでは雇用保険というよりは、高年齢者雇用制度に関する概要となります。2つの○があり、全て高年齢者雇用安定法に規定されております。1つ目は、60歳未満の定年の禁止です。定年齢は60歳以上としなければならないとなっております。2つ目は、65歳までの雇用確保措置です。こちらの「定年は65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置を講じなければならない」と、これが高年齢者雇用確保措置と呼ばれているものになります。
青字で3つあります。マル1が65歳までの定年の引上げです。先ほど申し上げましたが、マル3が定年制の廃止、マル2が65歳までの継続雇用の制度の導入です。この継続雇用制度の導入については、再雇用制度や勤務延長制度等になりますが、黒字で補足解説されております。平成24年度の法改正により、平成25年度以降、制度の適用者は原則として「希望者全員」となっております。ただし、平成24年度までに労使協定により制度適用対象者の基準を定めていた場合は、その基準を適用できる年齢を令和7年3月31日まで、令和6年度末ということになりますが、それまでに段階的に引き上げるといった経過措置が可能となっております。ですので、この経過措置は令和6年度末までとなっております。
次の6ページですが、「高年齢者の雇用状況」に関して毎年行っている統計の一番新しい数字です。左側が65歳までの「高年齢者雇用確保措置」のある企業の状況となっております。(1)雇用確保措置の実施企業は99.8%となっております。その中で申し上げると、継続雇用制度を導入している社は、先ほどの解説のマル2を導入している会社ですが、12万4,000社ほどです。定年の引上げをしている会社は約2万8,000社で、定年制の廃止をしている会社が約4,000社となっております。
(2)65歳定年企業の状況です。65歳定年企業は16.1%となっており、経年で追っている調査としては前年比で0.8%ポイント増加しています。301人以上の企業と31人~300人の企業で、それぞれこのような実績になっております。右側は、その65歳を超えての実績です。高齢者の雇用の関係の調査ですので、それを超えての実績についても併せて整理しております。66歳以上働ける制度のある企業の状況ということで、そうした制度があるのが27.6%、大企業は21.8%、中小企業は28.2%ということになっております。右下は70歳以上働ける制度のある企業の状況ですが、現在25.8%ということで、前年と比べると3.2ポイント増えているということで、約4万社がそうした制度のある企業です。
7ページが、高齢法に基づく高年齢者雇用確保措置の実施状況を経年で見たものになっております。平成18年から平成30年まで見ている形です。
次の8ページが、高齢者雇用対策の概要です。高年齢雇用継続給付や、先ほどの高齢法の関係で申し上げた継続雇用制度等とはまた別に、65歳までの雇用確保措置の徹底や65歳以上の雇用・就業機会の確保等による高齢者の雇用延長等の措置についての助成金などの様々な事業を合わせて雇用対策として実施していることになっております。大きくは3分野あり、企業における雇用確保関係の事業、中高年齢者の再就職支援の関係の事業、あとは地域における多様な雇用・就業機会の確保ということで、様々な事業を行っております。
その中で1つ、少し御紹介させていただきたいのが、次の9ページになります。65歳超雇用推進助成金というものです。趣旨・目的としては、将来的に継続雇用年齢や定年年齢の引き上げを進めていくため、66歳以上の継続雇用の延長・65歳以上の年齢までの定年引上げを行う企業に対して支援を実施することにより、65歳以降も希望者全員が安心して働ける雇用基盤を整備するとともに、「生涯現役社会」の構築を図るという形になっております。65歳超継続雇用促進コースということで、定年の引下げや定年の定めの廃止、あるいは継続雇用の制度を導入した企業に対して助成金による支援措置をやっております。こちらは雇用保険の中の雇用保険二事業によって講じられている措置となっております。
続いて10ページです。55歳以上の労働者の方々に係る賃金の状況になっております。こちらの雇用保険部会で高年齢雇用継続給付の議論をしていただく際には、賃金構造基本統計調査の統計に基づき、労働者の賃金の動きを併せてお示ししております。今回についても最新のデータでアップデートした表がこちらです。下の表ですが、一般労働者の方の年齢階級別の所定内給与額を55歳から59歳、60歳から64歳、65歳から69歳、70歳以上ということで4つのグループに分けて経年で取っております。
この表のポイントとなるのは下の部分になります。b/aということで、60歳から64歳のグループと、55歳から59歳のグループの所定内給与額の変化を見ております。これは言い替えると、60歳を境目として賃金がどのように変わっているのかということを見ているものとなっております。同じくc/bは65歳を境にしてどうなっているか、d/cは70歳を境としてどうなっているかということになっております。最初のb/aの所ですが、上の点線の枠の中に解説を書いておりますけれども、賃金の低下率はだんだん収まってきていて、大体75%ということで推移しているという状況になっております。c/bの65歳以上については9割前後ということですので、大きな賃金低下にはなっていないという状況です。
続いて11ページです。賃金処遇の関係ということで、併せて最近の雇用労働関係の状況の報告ですが、先般、平成30年に成立した法律で、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律ということで、働き方改革の関連法があります。この中で雇用形態に関わらない公正な待遇の確保ということで、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法に関して改正を行ったものがあります。
表の中の赤枠の中の1.不合理な待遇差を解消するための規定の整備です。1つ目の○は、短時間・有期雇用労働者に関する同一企業内における正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化するということです。2つ目は、有期雇用労働者について、正規雇用労働者と職務内容配置の変更範囲が同一である場合の均等待遇の確保を義務化するという規定が設けられております。また3つ目は、派遣労働者の関係です。派遣先の労働者との均等・均衡待遇、一定の要件を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化する。また、ガイドライン等の根拠規定を整備などの改正の内容がありました。こちらの制度については、来年度から施行されており、中小企業については更にその1年後、令和3年4月です。令和3年度から施行されるという形になっております。
続いて12ページ、13ページは雇用保険部会ではなく、職業安定分科会にある雇用対策基本問題部会の議論の状況になっております。雇用保険部会では雇用保険制度に関して御議論いただいているわけですが、雇用対策基本問題部会のほうでは、高齢者の雇用・就業機会の確保に関して、ちょうど並行して議論していただいているところです。
その部会の中で出ていた検討課題の資料ですが、こちらは成長戦略の実行計画に示された70歳までの就業機会の確保に関して、法制度上明示する選択肢の具体化等に向けて今後、検討を行うということになっております。検討課題として2つの○があります。1つ目が、70歳までの就業機会の確保についてとなっております。まず、事業主の努力義務とする措置の在り方について、具体的な考え方、あるいは事業主の方々に実施していただく内容事業主の履行確保を図るための仕組み、また事業主による措置の導入に伴って生じる対応、新たな制度の円滑な施行を図るために必要な準備期間、高齢者の活躍を促進するために必要な支援について検討していただくことになっております。また、2つ目は、65歳までの雇用機会の確保についてということで、高年齢者の更なる活躍の促進に資するための取組の強化についても、もう1つのグループで検討会として議論いただいております。
次のページが、その部会の議論のテーマに大きく関わる関連閣議決定であり、今年の6月に閣議決定された成長戦略実行計画の関係です。この中で高齢者の雇用について触れられております。全世代型社会保障への改革の中ですが、70歳までの就業機会の確保ということで、左側に多様な選択肢という記載があります。人生100年時代を迎え、働く意欲のある高齢者が能力を十分に発揮できるよう、高齢者の活躍の場を整備することが必要である。その高齢者の雇用・就業機会を確保するために、70歳の就業機会の確保を図りつつ、65歳までと異なり、それぞれの高齢者の特性に応じた活躍のため、取り得る選択肢を広げる必要があるということになっています。
法の制度上整える選択肢のイメージとして、(a)から(g)までの7つになっております。(a)定年廃止、(b)70歳までの定年延長、(c)継続雇用制度の導入(60歳から65歳までと共通する部分)、(d)他の企業への再就職の実現、(e)個人とのフリーランス契約への資金提供、(f)個人の起業支援、(g)個人の社会貢献活動参加への資金提供といった記載があります。正に、これらのものについて法制上の具体策を取り得る選択肢について基本問題部会で御議論いただいております。
最後は論点になっております。論点が2つあります。1つ目ですが、これまでの高年齢雇用継続給付に係る雇用保険部会での議論や高年齢者雇用の進展等を踏まえ、本給付の役割についてどのように考えるかというところが1つ目の論点です。2つ目の論点は、65歳までの雇用の状況や、先ほど御紹介させていただいたものですが雇用対策基本問題部会における70歳までの就業機会の確保に関する議論の検討状況を踏まえ、高齢者雇用に係る雇用保険制度における対応についてどのように考えるかと、以上2点を論点とさせていただいています。事務局からの説明は以上となります。

○阿部部会長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○湊元委員 1つ目の論点の高年齢雇用継続給付についての意見ということでありますが、資料の支給状況を見ますと、直近数年間の支給金額は1,700億円台で推移しているということで、雇用保険制度全体で見ても、かなりのウエイトを占めて広く活用されているという状況であると思います。また、賃金の状況で、55歳から59歳、それから60歳から64歳にかけて、データによりますと賃金低下率は減少傾向にあるものの、依然として75%前後で推移しているということであると思います。以上の点から、高年齢雇用継続給付は、高年齢者の就業意欲を維持・喚起し、65歳までの雇用の継続を援助・推進という目的に大きな役割を果たしているのではないかと我々は認識しております。したがって、今後も本給付は継続していただきたいということであります。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、御意見として承っておきます。ほかにはいかがでしょうか。

○仁平委員 高年齢雇用継続給付ですが、雇用のセーフティーネットとして機能しているという側面があると認識しております。同一労働・同一賃金への法対応が各企業において、今後、確実に実施され、労働の対価として適正な処遇が確保されるまでの間ということでは、現行の給付を維持すべきだというのが基本的な考え方でございます。繰り返しになりますが、重要なことは「65歳まで働きがいを持ちながら安心して働く」ためには、その環境がどうあるべきか、それには本人の期待・役割が明確になって、その期待・役割、本人の成果に見合った処遇体系になっていくということが、極めて重要ではないかと思っております。そのためにも、来年4月より施行されます同一労働・同一賃金に関する法律への対応が着実に前進し、希望者全員がやりがいを持って65歳まで働くことができる、そういった状況を1日も早く実現していくということが大事ではないかと考えております。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。では、御意見として承っておきたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○深澤委員 高年齢雇用継続給付についての意見を申し上げます。私の会社を例にしますと、ちょうど高年齢の継続雇用者の処遇の制度改定を、ここ数年議論しておりまして、来年の4月にちょうど改定する方向で話を進めているところです。議論の経緯としましては、当然ですけれども、途中、複数回の労使協議なども行っておりますし、従業員への説明もしてきております。その中に、この高年齢雇用継続給付も現状の制度として説明してきているというようなところです。ですので、対象の皆さんは、今、受け取っている方だけではなくて、これから受け取るような人たちも、この給付があるものとして、経済設計の試算をしているということがあるのだろうと思われます。それから、個社の例ではありますが、こういう企業も多いのではないかと。対象者の皆さんもそういう見込みで予想されているということは大いにあるのかなと考えております。したがいまして、仮に見直しを行うということがありましても十分な期間ですとか経過措置が講じられれば、準備その他ができていくのかなと思っておりますので、その辺りを意見として申し上げます。

○阿部部会長 では、御意見として承りたいと思います。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○中窪委員 先ほどの資料の中で、3ページに過去の部会の報告書がありました。私、考えてみましたら、ずっと以前にもこの部会の委員をしており、一番最初に出ている平成19年の報告書の時は、確か委員として参加していました。この報告書では、平成24年度までの措置として段階的に廃止すべきであるということが一旦出されております。ただ、その後、私はもうやめていたのですけれども、これを見ますと、状況を踏まえてもう一度検討すべきであるとしつつも、当面ずっと続いてきているわけです。
平成19年当時は、確かに一方で、現に果たしている役割は重要であるという積極的、肯定的な意見も出ましたけれども、他方でそれが賃金決定の構造を歪めている面もあるのではないかという意見もあり、詳しくは思い出せませんが、いろいろな議論を行った記憶があります。その上で、報告書としてこういう結論が出たことを、当時関与した者としては、やはり踏まえておくべきなのかなと思います。
その後、高年法のいろいろな改正によって雇用延長の措置がなされ、その間は様子を見てきたというのは分かるのですけれども、その辺りが一段落して、今度は70歳までというターゲットに力点が移るのであれば、改めてもう一度考えてみる必要があるのではないかという気がしております。

○阿部部会長 ありがとうございます。では、御意見として承りたいと思います。

○柳沢委員 先ほどの深澤委員の御意見に、ちょっと加えさせていただきまして、先ほど、資料の6ページでも継続雇用制度を導入している企業が8割ぐらいあるということで、弊社も同じように定年退職後に継続雇用ということになっているのですが、当時、在職老齢年金プラス継続給付というのがある前提で、60歳以降の人の処遇設計をしておりました。それが年金の受給の年齢がだんだん後ろ倒しになってきたという中で、年金の部分を除いて、もう一度再設計をしているのが現状でございます。したがいまして、継続雇用給付がある前提での今の制度設計になっておりますので、先ほどの8割の企業というのも、結構そういった企業が多いと私どもは認識しております。したがいまして、処遇という面で見ても、急になくなるとなるといろいろと影響が非常に大きかろうと思いますし、私どももそれなりの準備期間が必要になってまいりますので、その辺は十分な検討期間なり、慎重な検討をお願いできればと思います。意見として申し上げます。

○阿部部会長 ありがとうございました。では、御意見として承っておきます。ほかにいかがでしょうか。

○菱沼委員 今日、資料の説明を頂いた中で、やはり湊元委員もおっしゃっていましたが、平成15年からもう16年たっていますけれども、制度が定着している高年齢継続給付が新制度になってからということですが、やはり企業のほうもその対応をしていて、調査結果によっても、やはり25%という、大体そのぐらいかなというところを皆さんも共通認識を持っていただいたと思うのです。それを変えるに当たっては、今、おっしゃっていたとおり、賃金体系の見直しだとか、そういう部分もあるやもしれませんので、やはり激変緩和といいますか、過去の主な意見にもありますけれども、そういった部分の対応が何か必要ではないかなと思われます。要は、65歳以上の助成金などもありますし、今はそういった制度もあるということであれば激変緩和の助成金などを検討してもいいのかなというのはありましたので、意見として申し上げます。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○清家委員 論点の1つ目の現状の高年齢継続給付に関する意見は、それぞれ使用者側の委員がおっしゃられた方向で、仮に見直すという方向で何らかの議論をするのであれば、慎重な議論をしていただきたいと考えております。2つ目の論点ですが、70歳までの就業機会の確保という課題に雇用保険としてどう対応するのかという点ですけれども、今日も幾つか資料も出していただいています。企業として法改正への対応ということになりますと、努力義務規定のもとで取り組むことに対する支援もしていただきたいと考えております。それと併せて、例えば13ページの成長戦略実行計画の抜粋が出ていますが、その一番右の下の「諸環境の整備」という所に「多様な高齢者の方々のニーズに対応する環境整備をしていく」ということが書かれています。これに関して、例えば、地域での就労促進、高齢者の就労環境という意味での安全や健康確保に向けた対応の整備、シルバー人材センターなど、いろいろな環境整備という面で、先ほどの説明の中でも二事業という話がありましたが、雇用保険として効果的に使うことはあって然るべきと考えております。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、また更に議論を深めるためにも、今日、各委員から頂きました意見を整理していただいて、また今後も議論していきたいと思いますので、そのような形でお願いいたします。よろしくお願いします。
それでは、次の議題のほうに移りたいと思います。その他となっておりますけれども、資料が出ておりますので、資料2について、説明をお願いしたいと思います。

○宮下雇用保険業務推進官 タブレット上の資料2をお開きください。追加給付に関して、これまでの取組などについて3点御報告させていただきます。まず1点目、資料1ページ、追加給付に関するこれまでの進捗状況です。1ページの冒頭にありますが、今年の2月4日に公表した工程表に基づき、着実に対応を始めているところであり、おおむね工程表どおりに進捗しているという状況です。
具体的には、1番にありますが、現に給付を受けている方々については、7月末の時点で給付の支払いを終えております。実績としては、約20万1,000人に対して約7,000万円を支払済みとなっています。
2.過去に給付を受けていた方への対応ですが、育児休業給付を受給していた方に対しては、8月8日から順次「お知らせ」を送付しております。また、その他の給付、育児休業給付以外を受給していた方に対しては、10月28日から、前々回のこの部会でも御報告しましたが、口座確認書類とか、本人確認書類を送りまして支払いの準備をしています。いずれの給付についても、11月1日から順次、支払いを開始しているという状況です。
2ページ目を御覧ください。私が今申し上げましたことについては、11月1日に、このPress Release資料で公表しております。2ページから7ページの資料によって公表をさせていただきました。
具体的に、雇用保険については4ページにありますが、追加給付のスケジュールということで、雇用保険だけではなく、労災保険や船員保険等の保険の取扱い状況についてまとめています。上段は現に給付を受けている方、下の段は過去に給付を受けていた方ということで、それぞれのお知らせ開始時期とお支払いの開始時期についてまとめております。
赤字の部分が、前回7月30日にも一度進捗状況を公表していますが、それ以降変更があった点ということで、各給付の横に「済」という表記があるものについては給付が終わっているものです。
5ページ、6ページは、それぞれ各給付についてのスケジュールを詳細に見える化したものです。雇用保険で申し上げれば10月28日、11月1日というのが赤字で記載しておりますが、こちらも7月30日以降に変更があったというところです。
7ページは追加給付の実績ということで、冒頭申し上げましたとおり、約20万1,000人の方に対して、約7,000万をお支払い済みであるという表となっております。
引き続き、我々としては工程表に沿って追加給付を着実に行っていきたいと考えています。
続いて2点目の御報告です。資料の8、9ページを御覧ください。大臣が定める件ということで、大臣告示を手当てをしております。内容については、1.告示の概容にありますが、平成31年3月に既に告示された追加給付に関する告示について、厚生労働大臣が定める日とした適用日を11月1日と、具体的な日にちを特定して定めるという告示です。これは先ほど申し上げましたが、過去に給付を受けていた方に対して支払いを11月1日から開始すると報告しましたが、この給付を開始する日を定めるために、法令的な措置をしたというものとなっております。告示日は10月31日当日から適用されています。
3点目ですが、資料の10ページ以降を御覧ください。それは大阪府で判明しました統計調査員によります不適切な事務処理を踏まえた全国点検の結果についてまとめたものです。こちらも10月21日にPress Releaseしまして公表をしております。
1番の事案の概要にありますが、「毎月勤労統計調査」は、法定受託事務ということで都道府県の統計調査員の方に担当していただいていますが、今年の8月に大阪の12名の統計調査員が実際に調査対象事業所に聞き取りを行うために行かなければいけないのですが、その聞き取りを行うことなく調査表を作成していたという事案がありました。これを受け、他の都道府県でも同様の事案がないか、全国点検を行いましたところ、奈良県で1名が同様の事務処理を行っていたという報告があったところです。具体的な事務処理は、「奈良県からの報告の概要」の所にも記載がありますが、最初はきちんと聞き取りをやっていたのですが、途中から調査対象事業所への聞き取りを行うことなく調査表を作成していたというものであり、平成30年の8月分から今年の8月分まで、当該調査員の担当していた7事業所中3事業所について、このような取扱いをしていたということです。
その結果、統計の数値に与える影響ですが、13ページの最後のところにありますが、それぞれ影響があったところです。数値が変更になったことに伴う各保険給付への影響ですが、11ページの3に記載してあるとおり、雇用保険については、追加給付が必要となる方はいらっしゃらなかったということです。ただし、現行の保険給付については、賃金日額の上限の一部で下方修正が必要となるということから、今年の8月以降に基本手当を受給した一部の年齢階層、45歳から59歳までの受給者の一部、数にしますと約1.9万人に対して、1人当たり平均25円の引き下げが生じるという見込みになっております。この点については、所要の準備を行って整え次第、来年の3月から適用できるよう措置をする予定です。なお、これまで同様、適用前に支払った分については回収は行わないという取扱いにしたいと考えております。追加給付に関しては以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、本件について、御質問、御意見がありましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。特段よろしいですか。
私から1つ。事務局から追加給付について説明があったと思いますが、工程表に基づいて適切に実施する上で課題がないかどうか再度御確認いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ほかに何か。よろしいですか。
では、御質問、御意見がないようでしたら、本日の議題は以上ですので、ここで終了にしたいと思います。本日の会議に関する議事録ですが、部会長のほかに2名の委員に署名を頂くとなっております。本日の署名委員は使用者代表の清家委員、労働者代表の小林委員にお願いしたいと思いますので、後日、事務局から連絡をお願いしたいと思います。
次回の予定については、事務局から改めて確認の御連絡をいたします。その他、事務局から何かございますでしょうか。

○高島雇用保険調査官 議題以外の事項で恐縮ですが、この場をお借りして1点だけアナウンスをさせていただければと考えております。雇用保険に限らず、行政手続のオンライン化といいますか、電子申請の促進が非常に課題となっております。それに関して、雇用保険でも、昨年の12月にこちらの部会、職業安定分科会で諮問させていただいた電子申請の義務化に関する事項がございました。雇用保険の資格取得、喪失届等、事業主の方にやっていただく届出が多いですけれども、それについて、出資金が1億円を超えるなどの一部の法人事業所の方々に関する電子申請の義務化の省令は、施行が来年の4月になっております。ですので、こういった手続が今後ますます増えていくということで、電子申請は事業主の方から24時間していただくことができるようになってまいりますが、ハローワークサイドのほうで、そうした電子申請をしていただいた場合に、きちんと適時に処理をするということがますます重要になってまいります。そうした処理を適時に行うためにハローワークで事業主の方々が紙でお持ちになられた場合の雇用保険の適用部門がありますが、窓口の時間を16時までとさせていただいて、一方で、16時以降は24時間来る電子申請の処理を集中的に行うように業務体制を直すようにさせていただきたいと考えています。こちらについて、来月から各ハローワークを通じて、事業主の方に周知を行い、来年1月に、雇用保険の繁忙期を少し避けて先に始めるような形で、窓口の時間変更をさせていただきたいと考えています。以上、御説明させていただきました。

○阿部部会長 ありがとうございます。本件について何かございますか。周知をできるだけ、よろしくお願いしたいと思います。混乱のないようにお願いしたいと思います。それでは、以上をもちまして、本日は終了とさせていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中ありがとうございました。
 

 

 

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