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2019年9月27日 第132回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

令和元年9月27日(金)  17:30~19:30

 

○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)

○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

 

 

○阿部部会長
ただいまから第132回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会を開会いたします。皆様お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の小畑委員、田島委員、水島委員、それから、使用者代表の深澤委員が御欠席です。
次に事務局に異動がありましたので、御紹介いたします。職業安定局雇用保険課雇用保険業務推進官に宮下雅行さんが就任されました。
それでは、議事に入ります。本日の議題ですが、雇用保険制度について、その他となっております。では、事務局から資料に沿って御説明していただき、その後に質疑に入りたいと思います。では、事務局、お願いします。
 
○高島雇用保険調査官
雇用保険課の高島です。よろしくお願いいたします。それでは、雇用保険制度の議題について資料の御説明をさせていただきます。お手元のタブレットにあります資料の中で、資料1、参考資料1、参考資料2を用いて御説明させていただきます。それでは、資料1をお開きください。前回の雇用保険部会で、雇用保険制度の見直しの論点について御議論いただきました。本日からは個々の論点について御議論いただく会となっております。まず本日は、マルチジョブホルダーに対する雇用保険の適用についてです。
資料1ページ目をお開きください。雇用保険の適用についてです。上半分の四角、1番の所ですが、雇用保険の被保険者については、1週間の所定労働時間が20時間以上である方、そして、同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれる方が被保険者となっております。
その下の2番の所ですが、現在、2つ以上の事業主に雇用されて2以上の雇用関係にある労働者の方の雇用保険はどうなっているかということですが、今の雇用保険制度では、その労働者の方が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける1の雇用関係についてのみ、被保険者となる形になっております。さらに、この資料の絵の所ですが、複数の事業主に雇用されている方でも、それぞれの事業主で所定労働時間を見ておりまして、週所定労働時間が20時間以上ない場合は雇用保険の被保険者にならないと。例えば、週所定15時間と10時間と2つの事業所にお勤めの方の例が出ておりますが、この方については、それぞれの事業所で週所定20時間以上になっておりません。合算するとなりますが、それぞれではなっておりませんので、雇用保険の被保険者になっていないというのが現行の制度になっております。そうした現行の制度のもとで、これまでの雇用保険部会においてマルチジョブホルダーの方の取扱いについて、随時御議論いただいておりました。
2ページ、マルチジョブホルダーに関するこれまでの報告等ということで整理させていただいております。これまで雇用保険部会報告書では、4回マルチジョブホルダーについておまとめをいただいております。その中の一番新しいもの、上から4番目になりますが、平成28年12月13日の雇用保険部会報告書のまとめによりますと、マルチジョブホルダーについては、複数の職業で就労することにより雇用保険が適用される週所定労働時間20時間以上となる者のセーフティネットの必要性について議論がある中で、仮にマルチジョブホルダーについて適用を行う場合には、技術的な論点、雇用保険制度そのものの在り方との関係など専門的に検討する課題があることから、専門家による検討会を設置し、検討を進めていくことが必要であるとおまとめいただいておりました。
その部会の報告書を受けての雇用保険法等の改正法案の国会審議の中で附帯決議がやはり出ておりまして、同様に早期に専門家による検討を行い、必要な措置を講ずるということの御指摘を頂いております。また、マルチジョブホルダーについては、働き方改革実行計画の中で副業・兼業の観点からも併せて言及されている状況となっております。
3ページ、前回の部会でも御紹介させていただきました。先ほどの雇用保険部会報告書がまとめられた後の平成30年に、こちらの複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会を開催しまして、その報告書がまとめられております。こちらのページの資料は、前回の部会でも御説明させていただいたものです。本日、更に詳しい部分について御説明させていただきますので、このページの説明は省略させていただきます。
こちらのページで申し上げれば、大きく概要が4つの四角が出ておりますが、上半分のマルチジョブホルダーの現状と適用の必要性というセクション、そして、下半分の考えられる適用・給付の制度設計と考察というセクション、これからこの2つのセクションに主に分けまして、平成30年の検討会でどのような議論が行われ、どのようなまとめに至ったかということについて、事務局から御紹介させていただければと思います。
4ページ、見出しです。マルチジョブホルダーの現状及び適用の必要性です。
5、6ページは、先ほど御紹介した検討会の報告書の該当部分の抜粋になっております。まずはこちらを御紹介させていただきまして、関連資料を補足させていただきます。検討会の報告書の3番の部分になります。適用の必要性の (1)の前提ですけれども、マルチジョブホルダーは大きく2つの類型があります。本業でフルタイムに近い就業をしつつ、副業で週に数時間の労働を行うような働き方がある一方で、下線の部分ですが、本業・副業ともに短時間のパートタイムを、パートとアルバイトを組み合わせるような働き方もある。次の下線に飛びまして、本検討会では雇用保険の適用・給付の必要性を検討するという性格上、原則として、後者のような働き方を前提として議論を進めるということになっております。本業でフルタイムに近い就業されている方、雇用保険が既に適用されていると考えられますので、これまで雇用保険が適用されていない方々の取扱いを整理、検討いただく観点でこの検討会を開いていただいた次第です。
(2)の適用の必要性です。こちらは検討会の議論では、JILPT、厚生労働省の調査、研究を行う法人ですが、そちらで行った調査の内容を御紹介しながら御議論いただいておりました。下線の部分のJILPT調査の内容ですが、副業していると回答した方が9,299人おられました。その中で3つの基準で絞り込みを行っております。雇用保険に加入していると回答しなかった方、本業及び副業の週所定労働時間が合計20時間以上になる方、そして、本業及び副業の週所定労働時間がいずれも20時間未満になる方、つまり、雇用保険に現行、適用されていない方で、ただ、その事業所の労働時間を合算すると、今の雇用保険の適用基準である、20時間以上となる方についての絞り込みを行ったものになっております。その方が先ほどの9,299人の中で371人という結果になりました。この371人について、更にそれがどういった方々なのかということについて整理していただいたのが、次ページに続いております。
まずは、その方が世帯主であるかないかを調査で行っておりまして、世帯主と回答された方が先ほどの371人の中の3割程度の120人、一方、世帯主と回答されなかった方が残りの251人となります。そして、世帯主と回答された120人の中で、マルチジョブホルダーとしてのその方の年収が、世帯全体の年収にどれぐらいの割合を占めているのかということを調査したところ、世帯主と回答された方の中では、御自身のマルチジョブホルダーとしての年収が、世帯全体の年収の半分以上になるという方が72.5%、7割ということになりました。先ほどの全体との関係で申し上げれば、約3割の方が世帯主と回答され、更にその中の7割の方が御自身の年収が世帯全体の2分の1以上というように回答されたということになります。
次に、世帯主と回答されなかった方、251人の中で申し上げると、こちらのパターンですと、やはり御家庭の中に世帯主の方が別におられるということになりますので、グループとして多かったのは、そのマルチジョブホルダーの年収が世帯年収に占める割合が4分の1以下だったという方が一番多く、59.0%ということになっております。
そして、このような調査、整理の結果、平成30年の検討会では、マルチジョブホルダーであって自らの労働によって生計を立てていると考えられる者は、就業者全体に比して多いとは言えずというように整理されております。その上で雇用保険を適用させる必要性は、雇用保険の趣旨、労働者の生活及び雇用の安定を図るという趣旨ですけれども、そういった趣旨や適用に生ずる事務コストを踏まえて、直ちに高いとは評価できないという整理になっております。そして、マルチジョブホルダー全体を適用拡大によって保護するよりも、むしろ、世帯主である者など雇用の安定化の必要性が高いものについては、求職者支援制度や公共職業訓練等の施策により支援することが適当と考えられると整理されております。
6ページ、先ほど私から御説明をさせていただいた調査結果の基の部分になります。
7ページの資料は、371人の方で、世帯主の方が120人いるという調査になります。
8ページ、先ほどの御紹介の中には出ていませんが、371人の方で、過去1年間の年収を確認したところ、200万円未満の方が75.7%を占めるという調査の結果になります。
9ページは、またその世帯の年収と、御自身の年収の関係を比較した資料になっております。御自身の年収が、50~100万円未満の方の世帯年収を見ると、400~500万円未満という層が多くなっております。一方、自己の年収100~150万円未満の方のその方を含めた世帯年収を見ると、100~150万円未満という層と、700~800万円未満という層が多くなっております。
10、11ページは、先ほど御紹介した内容の元のデータです。371人の方について、世帯主の方についての世帯全体の年収との関係を比較したのが10ページで、被世帯主の方については11ページとなっております。世帯主の方については、先ほど御説明で申し上げた一番グループとして多いのが、橙色の枠でして、マルチジョブホルダーとしての御自身の年収が世帯全体に占める割合が、2分の1以上の方が72.5%という結果になっております。
11ページ、被世帯主の方ですが、このグループになりますと、青枠ですが、御自身の年収が世帯年収に占める割合が4分の1以下の方というのが一番多いグループになっておりまして、59.0%となっております。
12、13ページについては、先ほど事務のコストについて言及がありました関係で、検討会で提出された資料となっております。12ページが、被保険者資格の取得・喪失に関する事務フローです。2つの事業所にお勤めの方をパターンとして例にしておりますが、実際、現行制度からしますと、A事業所、20時間以上の労働をされている方の労働のみ適用されるパターンになっております。このパターンですと、A事業所でお勤めのタイミングで赤矢印の対ですが、資格取得の届けが出されるということになります。そして、20時間のところを辞めたときに、雇用保険の資格喪失の届けがなされる。また、赤矢印の一対の届けのやり取りがされる。そうしたものの結果として、御本人がハローワークに来庁されるという形になります。これがマルチジョブホルダーについて雇用保険を適用させていくという議論になった場合には、この赤い矢印の対が更に増えていくことになります。
13ページ、こちらは労働者の方の立場から見たときの手続の流れになっております。こちらについては、事業所を辞められてから雇用保険の現行で言えば基本手当になりますが、それをもらうために4週間に一遍、指定日にハローワークに来庁していただく仕組みになっております。各指定日ごとにそれまでの4週間の間にどのような求職活動されていたかを御報告いただく形になっております。その御報告の内容に基づいて基本手当を、その都度4週間ごとに支給する形になっております。
14ページ、現行の基本手当に関係する制度です。雇用保険の被保険者であった会社を辞められて失業状態になられた方が求職活動などされている際に、内職等の労働によって収入を得ている場合、その額が一定限度超えた場合にはそれを申告いただいて、減額するという制度になっております。
15ページ、求職者支援制度です。こちらは前回の部会でも御紹介させていただいたものですが、こちらはポイントのみ御説明させていただきます。求職者支援制度、趣旨・目的の(1)ですが、雇用保険を受給できない求職者の方に対して職業訓練を受講する機会の確保や、訓練期間中の給付金の支給を行う制度となっております。そのため、対象者(2)でも、雇用保険の受給終了者、受給資格要件を満たさない方、被保険者ではない方というように雇用保険の給付をもらえない方、あるいは入っていない方が対象となるという、雇用保険と正に補完関係のある制度になっております。そうしたこともありまして、先ほどの検討会の報告の中では、マルチジョブホルダーの方の1つの雇用の安定化に向けた支援として、求職者支援制度について言及がなされている形になっております。
続いて、2番目のセクションになります。先ほどの概要で申し上げれば下半分です。考えられる適用・給付の制度設計の部分について、検討会での取りまとめについて御紹介させていただきます。
17、18ページの2ページの所で、考えられる適用・給付の制度設計についてまとめられております。部分的に紹介させていただきながら、後ほどの資料の補足をさせていただきます。先ほどのセクションの所でマルチジョブホルダーについて雇用保険が適用される必要性について、直ちに高いとは評価できないという話もありつつ、更に雇用保険を適用させるとした場合のその技術的な論点について検討会で議論いただいたということになっております。まずは雇用保険の適用の方式として「合算方式」、事業所の労働時間を足して適用するか、「基準引下方式」、基準をそもそも今の20時間を引き下げて、短い時間の事業所でも適用するという方式を取るかということについて検討会で議論されておりました。基準引下方式を採用する場合は下線の部分になりますが、一般被保険者を含めての基準引下げとならざるを得ない。必然的に適用の強制性、保険料率の設定、給付設計等は現行の一般被保険者と同様となる。「ただし」ということで続きますけれども、適用基準を引き下げることをもって保険事故の発生をみる週所定労働時間も併せて引き下がることとなる。これはマルチジョブホルダーに雇用保険を適用させるために、現行の一般被保険者の給付要件を引き下げることとなるが、その合理性を説明するのは困難であるとされています。後ほど補足させていただきます。
一方で、合算方式については、それぞれの事業所の所定労働時間がどうなっているかという把握と適用の強制性が問題となるということになっておりまして、現時点では下線の部分ですが、対象労働者の労働時間を事業所や行政が、他の事業所での労働時間も含めて継続的に把握することは現時点では現実的ではなく、これが可能であることを前提とする「合算方式・強制適用」は現時点では実行可能な選択肢とならないと考えられると整理されております。
18ページでは、そうした議論を基に労働者御本人からの申出を起点として合算する適用の方式について提案され、議論されているという形になっております。この場合について、事業所や行政の事務負担の問題は同様に懸念されるが、合算する事業所・雇用関係の範囲の設定等によっては実現可能な選択肢たり得るとされております。
また、部分失業が多いと考えられる合算方式の性格、部分失業というのは、例えば2つの事業所にお勤めになられた方が片方を辞められて、片方続けられているパターンですけれども、そうした合算方式の性格に鑑み、一時金方式、4週間に一遍お越しいただき基本手当方式ではなくて、1度にお支払いするという方式の一時金方式を採用し、また、継続する雇用関係に基づく賃金の減額の仕組みがない一時金の性格を考慮し、賃金非合算方式、こちらは、辞められた事業所の賃金に基づいて、給付を計算するという方式を採用することが考えられると整理されております。
最後の考察の部分です。これまでの議論で適用については、合算により申出を起点として合算する方式の適用。給付については一時金方式が想定されると検討会では整理されておりましたが、そのような制度を導入した場合、もらえると思う方が入られる逆選択や、入ってすぐ辞めてもらわれるといった循環給付の問題が懸念される。保険適用によりマルチジョブホルダーの行動にどういった変容が生ずるか予測するのは困難であり、そもそもマルチジョブホルダーに対する雇用保険の適用の必要性が、直ちに高いと評価できない状況ではこうした制度を導入するのは難しいと結論付けざるを得ないとされています。
その上で、雇用の安定化の必要性が高いと考えられる者に対しては、求職者支援制度をはじめとする各種の施策を活用し、支援を行っていくことが適当と考えられる。しかし、こうした議論を踏まえても、「なお」ということで、更に雇用保険の適用を検討し、推進していくのであればということで、最後にまとめております。例えば現行の被保険者類型も参考に、まずはマルチジョブホルダーでの働き方になじみ、上記のような制度設計にも親和性が高く、かつ、財政影響を予測しやすい対象者層を抽出し、試行的に制度導入を図ることも考えられるとまとめられております。その場合、試行によって雇用保険が適用されたマルチジョブホルダーがどのように行動するかを把握し、また、複数事業所の労働時間を把握、通算する方法に関する検討状況も踏まえつつ、改めて制度の在り方を検討することが考えられるとされております。
以下、補足をさせていただきます。19ページは、検討会で実際に出た資料を、検討会のまとめを基にアップデートさせたものになります。適用に係る制度設計のイメージですが、先ほど私から御説明申し上げた2つの方式、合算適用と仮定した場合と、基準引下げと仮定した場合の議論の経緯ですが、合算適用と仮定した場合の下半分、(参考)一般被保険者の所を御覧いただければと思います。
現在、20時間以上の所定労働時間の場合に適用されておりますので、C事業所に勤めている25時間の所定労働の方は適用されることになります。そして、一番最後、辞められて0時間労働になれば、当然これは雇用保険をもらえる方になるわけですが、現在の制度としては、例えばその途中で契約変更があり、20時間という数字を切る場合、この場合の例では10時間という数字になっていますが、この場合でも、更にその長い時間、20時間以上の労働をする意思がある場合には保険事故があったとみなして、給付をするという制度設計になっております。つまり、現行の制度では20時間というものを境目として、20時間以上の方については、被保険者として保険料を頂き、20時間を切る場合であって、失業していると認定される場合には、給付を差し上げるという形になっております。
こうしたことを基にして、検討会では基準引下げと仮定した場合にどうするかというところで議論した際に、下半分の一般被保険者になりますが、仮にこれを10時間に引き下げた場合には、10時間の労働の場合、C事業所で間の部分ですが、こちらの部分でも、まだ被保険者となり続けるということになります。完全に辞められた0時間、10時間を切る場合に保険事故が発生したということになりますので、合算適用と基準引下げで比較した場合に、基準引下げの場合には、これまでと比較して保険事故の発生が後ろに後退する。ここが一般被保険者の取扱いが変わる部分になるので、合理性を説明するのは困難と整理されております。その上で合算適用と仮定した場合について、マルチジョブホルダーの所を御紹介させていただくと、15時間、10時間という労働の方に関して申出により、足して25時間により適用するというのが検討会の整理でした。この場合に今の議論を前提としますと、最終的に両方辞められる0時間というパターンの手前の部分、片方の事業所を辞められて、週所定労働時間の合計が20時間を切った時点、この時点で保険事故があったと考えるという整理でした。
このような整理ですと、その下に一般被保険者の現行の取扱いと、保険事故の発生時点が変わらないということで、検討会ではこれが実現可能な選択肢足り得るという整理になったというものです。
20ページ、雇用保険制度の現行の体系の御紹介です。右側の紫の所が給付になっておりまして、失業者向けの給付はa~dの4種類あります。4週間に一遍ということで、何度か御説明申し上げたのが一番上の基本手当です。その下は、それぞれの被保険者類型に基づく給付になっておりまして、65歳以上の高年齢求職者給付については、今、一時金方式でやっております。また、cの短期雇用特例求職者ということで、季節労働の方についても一時金によって運用されております。
21ページ以降は、求職者支援制度又は訓練に関する御説明です。求職者支援制度については、平成23年度からスタートしておりまして、有効求人倍率の高まりと、雇用情勢の好転に伴い受講者数は減少が続いているという状況になっています。
22ページ、こちらの求職者支援制度の受講者数は減少していますが、そのコースの充足率は6割前後で推移、また、そのコースを修了された方の就職率に関しても、おおむね6割前後で推移している形になっております。
23、24ページ、求職者支援制度に関して、その利用状況を年齢別に整理したものです。訓練が23ページで、給付が24ページ、制度としてはほぼ一体ですので、非常に似た図形になっておりますが、ピークになっているのは、どちらも共通して25~29歳となっております。その後、年齢が上がるに連れて、受講者数であるとか、受給者数が減少していくといった流れになっております。
25ページ、求職者支援訓練も含めた訓練の受講者数の推移と、その仕事を探される新規求職者の推移を並べたものになります。折れ線グラフが計6本ありますが、上のグループの3つの折れ線グラフが新規求職者数の推移です。こちらの年齢別の状況で見ますと、やはり25~29歳で1つのピークを向かえ、40~44歳ぐらいでまた1度上がり、そして、年齢が上がるに連れて下がった上で、60歳以降になると、また上がるという流れになっております。
一方、訓練受講者については、先ほどの御説明と重なりますが、25~29歳の所が1つのピークになっていまして、年齢が上がるに連れて受講者数が下がるという形になっており、新規求職者の動きと少し違った形で動いております。
26ページ、兼業・副業の現状ということで、JILPTの調査とはまた別の公的統計である就業構造基本統計調査の内容の御紹介です。こちらは有業者数の3つのボックスがありますが、一番上のA)は有業者数、仕事を持っている方です。B)はその中で本業も副業も雇用者である方で、本業が非正規である方、つまり、今回の雇用保険のマルチジョブホルダーの議論の射程になってくる方々です。そちらの人数を更に集計しています。これらについての割合を見ているのがC)になっております。C)の所を年齢別に見ると、絶対的な割合としては2%、1%、0%台という数字ですが、平成19年から5年ごとの統計で見たときに、伸びている年齢層もありまして、年齢層ごとに見た場合には、60歳以上の所が比較的、相対的に伸び率が高いということになっております。
最後に論点の御紹介です。2つあります。1つ目は、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用について、雇用保険制度の趣旨、適用に生ずる事務コストや、検討会の報告書を踏まえ、現時点で全てのマルチジョブホルダーに対し雇用保険の適用をすることについてどのように考えるか。先ほどの私の御説明で言う、前半のセクションに関連する論点です。
2つ目の論点ですが、報告書においては、まとめの中で書いてある部分ですが、現行の被保険者類型も参考に、まずはマルチジョブホルダーでの働き方になじみ、上記のような制度設計、こちらは、申出起点による合算適用方式、給付は一時金という制度設計ですが、そうした制度設計にも親和性が高く、かつ、財政影響を予測しやすい対象者層を抽出し、試行的に制度導入を図ることも考えられるとされているが、マルチジョブホルダーの人数や、有業者に対するマルチジョブホルダーの割合の動向、求職者支援制度の利用状況や、職業訓練の受講に関する年齢別の状況を踏まえ試行的に雇用保険の適用をすること、及びその対象者層についてどのように考えるかという論点になります。こちらが資料1の御説明になります。参考資料1は、そのほか、マルチジョブホルダーあるいは雇用保険関係の制度の状況を集めたものになっております。また、参考資料2は、前回の部会でもお付けしました検討会の報告書の全体版になっておりますので、説明は省略させていただきます。事務局からの説明は以上となります。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。ただいまの説明について、御質問、御意見がありましたら御発言をお願いいたします。
 
○三島委員
御説明ありがとうございました。資料1の3ページと5ページのJILPTの調査にもあるとおり、現在、雇用保険が適用されておらず1週間の所定労働時間を合算すると、20時間以上になる者の割合は全体の4.0%と高くはないです。一方で、例えば10ページにありますように世帯状況別の収入状況を見ると、○1の自己と世帯の年収層が一致する者、黄色の部分は49.2%。あるいは○2の自己の年収が世帯年収に占める割合が少なくとも2分の1以上の者、橙色の人は72.5%となっていて、後ろにデータがありますが、さらにクロス集計を見ると比較的年収の低い者、200万円未満の世帯にこうした傾向が多く見られると思います。このようにマルチジョブホルダーは、自らの所得変動がこのまま生計に直結する、比較的所得の低い世帯に多いということを踏まえると、副業している者の全体から見た4.0%という対象者の割合が低いということだとしても、社会的なセーフティネットとして、雇用保険を必要としている人が一定程度いると言えます。
こうした実態を踏まえつつ、制度の対象労働者を正確に捉えた上で、雇用保険を適用することを前提に議論を進めていくべきだと考えます。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 
○千葉委員
資料1の1ページ目の所に、雇用保険の適用の範囲が記載されていますが、その記述の中に「雇用保険は、自らの労働により賃金を得て生計を立てている労働者が失業した場合の生活の安定等を図る制度」となっています。その趣旨に照らし合わせるならば、マルチジョブホルダーの中にも、そうした労働者が存在する以上は広く保険を適用するべきだと考えています。
その上で、マルチジョブホルダーの雇用保険を適用する場合の制度設計について、意見を申し上げたいと思います。週の所定労働時間引下げ方式については、報告書の中でも触れられていますが、労基法で定める法定の労働時間を基にして、雇用保険適用の考え方を設けています。基準自体を引き下げることは、その考え方そのものを変更することになるのではないかなと考えます。また、適用基準の議論については、失業給付の受給要件や給付内容とも連動する内容であると考えています。今後の雇用保険制度については、誰をどのように救済する制度なのかという大きな観点から、改めて議論をしていく機会があってもいいのではないかと考えます。いずれにしましても、マルチジョブホルダーへの雇用保険適用の選択肢として、基準の引下げの議論は難しいと言わざるを得ないのかなと考えており、まずは実現可能性の高い合算方式を前提に議論をすべきだと考えます。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。ほかにはいかがでしょう。
 
○湊元委員
適用の必要性については、報告書の中でマルチジョブホルダー全体を雇用保険の適用拡大により保護するよりも、むしろ雇用の安定化の必要性が高いものに対しては、求職者支援制度をはじめとする各種施策を活用する支援が適当と書いてありますので、氷河期対策に講じられる施策の活用、あるいは短時間のパート、アルバイトを組み合わせた働き方をされている世帯の方の雇用の安定化を推進する方向が適当であると思っています。
また、試行的な導入についても発言してよろしいですか。
 
○阿部部会長
どうぞ。
 
○湊元委員
試行的な制度導入に関しては、導入するのであれば、中小企業にとって過度な事務負担が生じないように配慮していただきたいと思っています。今後、中小企業は、時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金の施行により、負担が一層増してまいります。試行的な制度導入における対象者、目的、期間、必要手続等を周知して混乱がないように最大限配慮いただきたいと思っています。また制度設計に当たっては、逆選択やモラルハザードが懸念されますので、自己都合離職の取扱いについて慎重に検討すべきと思っています。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございます。御意見として承ります。ほかにいかがですか。
 
○佐藤委員
調査官から御説明を頂きました、複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会については、第1回が昨年1月からだったと思いますが、私も改めて資料等を確認させていただきました。
昨年1月31日に開催された第1回の事務局資料によると、雇用保険が適用されていないマルチジョブホルダー数は、粗い推計ということでしたが、29万人程度という数字が示されていました。資料にも書かれていましたが、この29万人の中には、副業の時間を加えても労働時間の合計が20時間未満の者も含まれていると推定されるということですが、裏を返せば合算すれば20時間以上の者が一定程度存在していると捉えられると考えています。
また、本日の資料1の26ページにも示されていましたが、副業・兼業の割合は、年代ごとに差はあるものの全体としては増加傾向にあります。今後もこの傾向が続く、また何かをきっかけにもう少し拡大していく、そういったこともあるのではないかと受け止めています。もちろん本業があって副業・兼業を行う、そういう場合には個別の労使が産業の実態や職場の実態などを踏まえて、協議し決定する事項であるとは考えていますが、こうした合算して20時間以上になる、そういう働き方をされている方も一定程度いるということでしたら、やはり就労者保護の観点からは、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用も認めるべきであろうと思います。また、このタイミングで歩みを進めるために、何か打つ手を考えるということも必要なのではないかと受け止めた次第です。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございます。ほかにはいかがですか。
 
○小林委員
私もマルチジョブホルダーへの雇用保険適用については、財政的な影響やモラルハザード、若しくは逆選択のリスク等があることも十分理解はしているところです。一方で、財政の影響ということで言えば、4,100万人の一般被保険者、37万人の受給者人員という雇用保険の規模に対して、マルチジョブホルダーへの雇用保険を適用することが与える影響がそれほど大きいものなのかという考え方もあるのではないかと思います。セーフティネットを広く張り巡らせて、本当に困っている人を助けるためにも、所定労働時間を合算して、先ほど労働者の委員の方からもありましたが、やはり合算して20時間以上になる労働者に対して、広く保険適用していくことができるかどうかということを是非とも検討していただければと思っています。この検討会の報告書の位置づけは理解していますが、今後の方向性については、この部会でもしっかり十分議論していっていただきたいと思います。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。
 
○清家委員
論点を2つ出されていますが、まず最初の現時点で全てのマルチジョブホルダーに対して、適用することについてですが、検討会報告書の整理や考察というのは私どもとしても、極めて妥当な内容だと受け止めています。制度設計上の技術的な問題が、まだまだたくさんあるということですので、現時点で全てのマルチジョブホルダーの方に適用するというのは難しいという認識を持っています。
そういった点も踏まえますと、2つ目の論点について、試行的に制度導入を図ることもという内容ですが、先ほどもいろいろな方がおっしゃっているように、全てを否定するわけではありません。保険加入者、労使双方、納得のいくような形で、どういった実行可能性のある仕組みとなるのかというところを追求していただいて、対象者層についても同様ですが、先に1歩というか半歩というか、いろいろな捉え方があるかと思いますが、検討を進めるということでよろしいのではないかと思っています。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。ほかにはいかがでしょう。よろしいですか。
 
○菱沼委員
今、議論されているマルチジョブホルダーですが、先ほど事務局から御説明いただいたとおり、雇用保険、生活保護に至らないために求職者支援制度を作って、困っている方をなるべく雇用に結び付くような形で、多分、制度作りされたと思うので、先ほど、湊元委員がおっしゃっていましたが、そういった部分の活用や制度の普及は必要だと思います。仮にマルチジョブホルダーをやってきた場合に、自己申告だということであれば、ほかで仕事をしていて、実は20時間を超えるのですということであれば、事業主側にはやはり事務的な負担もあるでしょうし、そういった企業側の準備もあると思います。併せて、今、労働条件分科会などで兼業・副業の問題も議論されているかと思いますが、そういった部分を踏まえて制度設計においては、繰り返しになりますが、いろいろな制度の説明やシステム改修もあるかと思いますので、慎重にやっていったほうがいいのかなということを意見として申し上げます。以上です。
 
○柳沢委員
民間の事業体の立場で、若干申し上げさせていただくと、確かに実際にセーフティネットを使用される方はいらっしゃるとは思うのですが、企業側から申し上げると、やはり労働時間をトータルでどう管理するのかという部分もあります。中にはそういった制度の適用を、希望されない方もいるということも一部あると思いますので、慎重な検討を是非お願いできればと思います。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございます。よろしいですか。事務局で全体として、何かありますか。特にいいですか。では、皆様からの御意見は伺って、また今後の議論にいかしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。では、資料1についてはこの辺りにさせていただきます。
その他で資料2が出ていますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。
 
○宮下雇用保険業務推進官
毎月勤労統計事案を受けました、雇用保険の追加給付の全体の対応については、3月18日の雇用保険部会で御説明しましたが、これに沿って作業を進めてきたところです。この度、過去に受給していた方々についても、11月1日以降にお支払いができるめどが付いたことから、これから御説明する方法によりまして、お支払いを進めることにしたいと思います。
資料2を御覧ください。雇用保険を過去に受給されていた方で、追加給付の対象となる方については10月頃から順次お知らせを送付することにしています。対象者の住所を把握するためには、住民基本台帳のデータと突合することにしています。その上で2つの類型に分けて対応する予定であり、お知らせからお支払いまでのスキームは、資料に記載のとおりです。
まず、ハローワークシステムの中で追加給付の対象者を抽出した上で、住基データと突合し、お知らせを送付する住所を把握します。突合の結果、氏名、性別、生年月日、住所の4情報が合致した場合、これは資料の左側になりますが、この場合は対象者が特定されます。このため口座確認のお知らせを送付しまして、振込先の口座情報を返送していただき、ハローワークからその口座に追加給付額をお支払いするという流れになります。
一方、氏名、性別、生年月日の3情報のみが合致し、住所が特定されない場合、そういった方がいらっしゃいます。これは資料の右の流れになりますが、この場合には本人確認のお知らせを送付することにしています。これは対象者が特定されていないということから、こういう手続になります。同一の氏名、性別、生年月日で候補者が複数いる場合、こういう場合もありますので、こういった場合には全員に送付するということになります。
本人確認のお知らせを受け取った候補者は、お知らせに記載のあります受給時期を基に心当たりのある場合には、勤め先や口座番号などを記載した回答票を返送していただきます。その上で、ハローワークで審査し対象者を特定の上、ハローワークから回答があった口座に追加給付額をお支払いするという流れになります。
資料の参考として、送付します口座確認のお知らせを別添の1ページ以降に、それから本人確認のお知らせを別添の5ページ以降に、それぞれ添付しています。簡単ですが、以上です。
 
○阿部部会長
ただいまの説明について、何か御質問や御意見はありますか。特によろしいですか。特にないようでしたら、以上をもちまして本日の会議は終了なのですが、全体を通しまして何か御質問や御意見等があれば承りたいと思いますが、よろしいですか。
本日の会議に関する議事録については、部会長のほか2名の委員に署名を頂くことになっています。本日の署名委員ですが、使用者代表の湊元委員にお願いします。労働者代表は佐藤委員にお願いしたいと思います。後日、事務局は連絡をお願いします。次回の日程については、事務局から改めて各委員に御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。それでは、以上をもちまして本日は終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。

 

 

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