ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会)> 第131回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録(2019年9月4日)

 
 

2019年9月4日 第131回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

令和元年9月4日(水)18:00~20:00

 

○場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)

○議題

・雇用保険制度について
・その他
 

○議事

 

 

○松本雇用保険課長
定刻になりましたので、ただいまから第131回雇用保険部会を開会いたします。事務局の雇用保険課長です。よろしくお願いいたします。
皆様、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。まず初めに、委員の交代がございましたので御紹介申し上げます。公益代表委員として京都大学大学院人間・環境学研究科教授の小畑史子委員です。労働者代表委員としてJAM総合政策グループ長の小林妙委員です。全国ガス労働組合連合会中央執行委員長の佐藤和幸委員です。使用者代表委員として、日本商工会議所産業政策第二部長の湊元良明委員です。以上、4名の方に御就任いただいております。また、本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の中窪委員が御欠席です。
続きまして、委員の改選がございましたので、雇用保険部会長選出の手続をさせていただきます。雇用保険部会長は労働政策審議会令第7条第4項により、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から、本審に所属する委員により選出されることとなっております。当部会におきましては、阿部委員、小畑委員、中窪委員の3名が該当です。御推薦等はございますでしょうか。
 
○小畑委員
阿部委員を御推薦申し上げます。
 
○松本雇用保険課長
ありがとうございます。ほかに御推薦はございますでしょうか。それでは、阿部委員に部会長をお願いしたいと存じます。以降の議事進行は阿部部会長にお願いいたします。なお、カメラによる頭撮りは以上となりますので、よろしくお願いいたします。
 
○阿部部会長
それでは、よろしくお願いいたします。まず、部会長の就任に当たりまして、労働政策審議会令第7条第6項において、部会長代理を公益委員から部会長があらかじめ指名することとされております。当該規定に基づきまして、本日は御欠席ではございますが、中窪委員を部会長代理に指名したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、事務局に異動がありましたので、御紹介したいと思います。職業安定局長に小林洋司さんです。職業安定担当審議官に岸本武史さんです。職業安定局総務課長に宮本悦子さんです。職業安定局雇用保険課雇用保険業務推進官に佐藤俊さんです。職業安定局雇用保険課調査官に髙島洋平さんです。職業安定局雇用保険課課長補佐に伏木祟人さんです。同じく小林孔さんです。同じく菊田正明さんです。以上です。
それでは、議事に移りたいと思います。本日の議題は「雇用保険制度について」、「その他」となっています。まず、本日の議事に当たり、職業安定局長から御挨拶がございます。
 
○小林職業安定局長
小林でございます。今日は遅い時間からの開催となってしまいましたが、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。先ほど、委員の改選、新しい委員の先生方の御就任のお話がございましたが、これから新しいメンバーで雇用保険制度の在り方につきまして、是非積極的な御議論をお願いしたいと思っております。
現在の雇用保険制度に関して申し上げますと、雇用保険料率と国庫負担率の暫定措置というものが講じられておりまして、これが今年度末までということが法律で規定されてい ます。また、過去の雇用保険部会の議論において、積み残しの課題もございますし、それから前回の法改正の際の附帯決議等もございまして、そういったことを踏まえて、これからの雇用保険制度の在り方について、是非積極的な御議論をお願いしたいと思っています。
今後、この部会の御議論を踏まえまして、法案の提出、その他必要な対応を図っていきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。それでは、事務局から資料に沿って御説明いただき、その後、質疑に入りたいと思います。まず、事務局から資料について説明をお願いいたします。
 
○高島雇用保険調査官
お手元のタブレットに資料は全て格納されております。最初のページに資料の一覧がありまして、そちらの中で雇用保険制度についての関係は、資料1から資料4です。あと参考資料として、参考資料1から参考資料4までを、雇用保険制度についての議題の関係資料として準備しております。資料1から、順番にポイントの御説明をさせていただきます。
資料1「雇用保険制度の概要」です。雇用保険というのは、労働者が失業し、その所得の源泉を喪失した場合等についての失業等給付を支給する、また、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上、その他労働者の福祉の増進を図るための二事業を行う、雇用に関する総合的機能を有する制度ということになっています。
2ページは雇用保険制度の体系となっています。失業等給付と雇用保険の二事業、そして求職者支援法に基づく就職支援法事業。そして失業等給付については、求職者と失業者向けの給付、就職促進の給付、教育訓練の給付、雇用継続の給付の4つがあります。求職者の給付と雇用継続給付については、更にメニューが分かれております。こちらのそれぞれの失業等給付については、それぞれの給付に応じて国庫負担が定められています。紫の枠の中に、国庫負担について給付ごとに書いております。こちらについて下の※にありますが、平成19年度以降、国庫負担の額は当分の間、本来の額の55%とされた上で、平成29年度から令和元年度までの国庫負担の額は、先般の雇用保険法改正により、特例的に本来の額の10%とされております。
続いて、雇用保険の適用事業と被保険者の関係です。労働者が雇用される事業を強制適用事業としていて、適用事業に雇用される労働者を被保険者としています。被保険者の条件は、適用除外という形で書いておりますが、逆から申し上げますと、週の所定労働時間が20時間以上である方ですとか、31日以上雇用されることが見込まれる方といった条件に該当される方が、雇用保険の被保険者ということになります。
続いて、4ページの雇用保険の適用事業と被保険者です。被保険者について、一般の被保険者、65歳以上の高年齢の被保険者、短期雇用の特例の被保険者、日雇労働の被保険者の類型があります。
続いて、求職者給付の関係を御説明いたします。求職者給付の中の根本である基本手当については、2つのケースに該当する場合に支給されます。まず、下のほうの2ですが、倒産、解雇等による離職者、又は有期労働契約が更新されなかったこと等による離職者については、離職日から1年間に被保険者期間が6か月以上あれば、支給が受けられます。上のほうの一般の方の場合は、離職から2年間の間に被保険者期間が12か月以上あった場合に、支給が受けられることになっています。基本手当の受給者実人員は、昨年度は約37万人となっています。
続いて、基本手当の中身に入ります。7ページは基本手当の給付額の計算の仕方です。賃金の日額に一定の給付率を掛ける形で計算されます。続いて、8ページです。基本手当に関して、給付日数の類型が設けられています。倒産、解雇等による離職者(特定受給資格者)、一般の離職者、就職困難な障害者等となります。(ロ)の所に※が付いていまして、有期労働契約が更新されなかったことによる離職者については、暫定的に令和3年度までは(イ)の給付にすることになっています。こちらは平成29年の雇用保険法の改正によって設けられています。
9ページは給付日数の特例についてです。この中で、(ロ)の個別延長給付と、(ホ)の地域延長給付については、先般の改正により設けられたものです。10ページは更に手当の関係で、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当といったものが設けられています。
11ページを御覧ください。先ほど被保険者の類型を申し上げましたが、それぞれの方に応じた給付が設けられています。65歳以上の被保険者向けの高年齢求職者給付金、特例一時金、日雇労働求職者給付金といった種類の給付金が設けられています。
12ページからは就職促進給付です。就職促進手当等ということで、様々な手当があります。こちらの基本的な趣旨は、雇用保険受給者、失業者の早期再就職を支援するというものです。その観点で、例えばイの手当を申し上げますと、受給資格者の方が職業に就いた場合で、所定給付日数の一定日数を残して就業された場合に、その基本手当日額の一定割合を支給するといった制度が、様々に設けられております。この中のホの移転費については、先般改正がなされているものです。
続いて、14ページの3の教育訓練給付の関係です。教育訓練給付には3つの類型があります。一般教育訓練に係る教育訓練給付金、特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金となっています。それぞれ訓練に応じた給付金という形になっていて、給付金の給付率が様々に異なっています。一般の教育訓練については、教育訓練に要した費用の20%、特定一般教育訓練については、昨年度に議論いただいた部分ですが、教育訓練に要した費用の40%、専門実践教育訓練については教育訓練に要した費用の50%に加えて、資格取得等をして被保険者として雇用された方等について、更に20%を支給するという形になっています。下のほうに※2として設けられていますが、一定の条件を満たす方については、基本手当の80%を給付する教育訓練支援給付金の制度がありまして、令和3年度までの暫定措置となっています。
続きまして、雇用継続給付について説明いたします。17ページは、高年齢の方に関する給付です。高年齢雇用継続給付ということで、基本手当を受給せずに雇用継続する方に対して支給する給付金です。こちらの給付金について説明いたしますと、60歳以上の方について、60歳以後の各月に支払われる賃金が60歳時点の賃金額の一定割合より下がって75%未満になった場合について、原則として賃金の15%分を給付するといった制度が設けられています。
続いて18ページで、残り2つの継続給付である育児休業給付と介護休業給付について、説明しています。育児休業給付については、育児休業を取得した方について、最初から6月までの間は休業開始時賃金の67%相当額、それ以降は50%相当額を支給することになっています。こちらは、先般の平成29年の改正の際には、育介法の改正により最大2年間までということになっています。次が介護休業給付で、67%相当額を支給する形になっています。
続いて、20ページの雇用保険二事業です。その名前のとおり2つの事業がありまして、被保険者等に関して失業の予防を図るとともに、雇用状態の是正、雇用機会の増大等、雇用の安定を図るための事業として雇用安定事業、それと能力開発事業の2つの事業が設けられています。
21ページからはその他となり、財政関係の事項になっております。まず、費用の負担に関して、雇用保険料率は原則は1,000分の15.5になっています。ただ、括弧で書いておりますが、先般の改正により、平成19年度から今年度までは1,000分の13.5を本来の原則とするという形で改正されております。さらに、こちらの保険料率は、労働者向けの給付である失業等給付分と、雇用保険二事業分の2つに分かれています。こちらについても、2つ目の○にありますが、財政状況に照らして一定の要件を満たす場合には、雇用保険料率は大臣が変更することができる、あるいは変更されるような弾力条項という規定がありまして、それらの規定が発動された結果として、今年度の保険料率は、失業等給付については労使折半で1,000分の6、二事業分については事業主の負担により1,000分の3という形になっています。下段の国庫負担については先ほど御説明申し上げたとおりでして、※の所で、今年度までの国庫負担の額は、本来の額の特例的に10%という形になっています。
23ページは失業等給付についての保険料率の推移をイメージで示したものになっております。このブルーの部分が弾力条項などを用いながら設定できる範囲になっておりまして、ここ数年はこの弾力条項を用いて、保険料を下限に設定するような形で運営させていただいております。
続いて、24ページは弾力条項の考え方についてまとめています。少しまとめて申し上げますと、失業等給付については、積立金の額などが、失業等給付費と比較して2を越える場合には保険料率の引下げが可能、1を下回るような状況のときには、保険料率の引上げ可能ということになっていまして、現在は2を越えている状況のために、引下げを行っている形になっています。同じく雇用保険二事業についても、弾力条項の条件を満たしていますので、保険料率の引下げが現在行われているという形になっています。
これまで申し上げた関係と財政の関係の指標をまとめたのが、25ページの図になっています。雇用保険の積立金が棒グラフになっていまして、受給者実人員の推移が出ています。あとは雇用保険の料率が赤の折れ線グラフという形になっています。
資料1の最後の部分ですが、求職者支援制度です。こちらの趣旨ですが、雇用保険を受給できない求職者に対して、職業訓練を受講する機会を確保して、さらに一定の要件を満たす場合には訓練期間中に給付金を支給する。そうした制度となっています。こちらも負担については、もともと国庫負担と労使の負担の半分ずつでやっていましたが、雇用保険と同様の国庫負担の暫定措置によりまして、今は原則の100分の10という形になっています。一番下の表の所に、求職者支援の訓練の受講者数が載っていまして、現在、平成30年度は2万3,385人という形になっています。資料1の説明は以上です。
資料2については、今、御説明申し上げた各種制度の指標などが掲載されていますので、御参考としていただければと思います。説明は省略させていただきまして、続いては資料3の説明に移ります。こちらは、複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会報告書の概要です。いわゆるマルチジョブフォルダーに関する検討のもので、マルチジョブフォルダーについては、これまでの雇用保険部会でも累次、御議論を頂いていました。前回まとめられた平成28年の雇用保険部会報告書の中でも、「技術的な論点、雇用保険制度のあり方との関係など専門的に検討する課題があることから、専門家による検討会を設置し、検討を進めていくことが必要である」とおまとめいただいております。こちらの報告書等を受けて、昨年、平成30年いっぱいでこの検討会を設置して、昨年末に取りまとめをいたしました。本日が雇用保険制度の見直しを御議論いただく最初の部会となりますので、この部会の場で、まずはこちらを御紹介させていただきます。
資料3の1ページ目を使って御説明いたします。こちらの検討会ですが、マルチジョブフォルダーの現状について、雇用関係の統計、就業構造基本統計調査あるいはJILPTの調査、関係者の方々にお越しいただいてのヒアリングなどを行いまして、その実態についてまずは確認いただきました。
こちらの就業構造基本調査では、本業も副業も雇用である労働者は増加傾向で2017年は129万人、本業の雇用形態は「パート」、「正社員」が多いという形になっています。JILPTの調査では、就業者13万人の中で副業をしていると回答した方が9,299人で、もともとマルチジョブフォルダーの検討の背景にありますが、それぞれの現在の状況では雇用保険が適用されていない、申し上げますと、それぞれの事業所単位では所定労働時間が20時間にいっていない方々で、週所定労働時間を事業所で合算すると20時間以上にあると考えられる方が、その4%の371人おられて、その世帯状況や収入や就業形態などを分析いただきました。また、関係者のヒアリングの中で、ダブルワークは長時間労働が見えにくい等の課題などについても指摘がなされました。 雇用保険制度の趣旨としては、自らの労働により賃金を得て生計を維持する労働者が失業した場合の生活の安定等を図るということになっています。また、現在の雇用保険制度は、1人1事業所に雇用されて、そこから保険料を頂き、その事業所を離職して失業状態になった場合に給付するという形になっていますので、複数の事業所に雇用されて、そこから複数の保険料を頂いて、一部失業された場合といったことになりますと、雇用保険制度及び雇用保険業務について、大きな見直しが当然発生することになりますので、そうした適用により生じる事務コスト等に照らして、適用の必要性が直ちに高いとは評価できない、という形でまとめられています。その上で、マルチジョブフォルダー全体を雇用保険の適用拡大によって保護するよりも、先ほど御紹介したものと重なりますが、むしろ雇用の安定化の必要性が高いものに対しては、求職者支援制度をはじめとする各種の施策を活用した支援が適当である、とまとめていただいています。さらに、こちらの検討会では重ねて、マルチジョブフォルダーの雇用保険適用を推進するに当たって、どのような適用、給付の制度が考えられるかについても、議論を頂いております。
右下の赤枠の部分ですが、考察です。現状で実行可能性があると考えられるということで、本人からの申出を起点とする、本人から連絡を頂いて、その事業所を合算して20時間を越えた場合に適用する。そして、一時金方式ですが、基本手当方式ですと、4週間に1度ハローワークにお越しいただいて、失業の認定をして給付を行うという形ですが、そうした形ではなく一時金方式で給付するという考え方がありました。ただ、その場合でも逆選択ですとか、モラルハザードといったような懸念もありますので、そこについては、今後雇用保険の適用を検討、推進していく観点から、一定の対象者層を抽出して、試行的に制度導入を図ることが考えられるという形でまとめられております。そして、この場合「試行」と書いていますので、適用による行動変化や複数事業所の労働時間を把握・通算する方法に関する検討状況も踏まえつつ、改めて制度の在り方を検討することが考えられるという形になっています。
今後マルチジョブフォルダーについて、また個別に御議論いただく際に、こちらの検討会報告書についても詳細を御説明させていただきまして、また関連するデータ等とともに、委員の皆様には御議論いただきたいと思っております。まずは制度見直しの初回ということですので、こちらの報告の内容のアウトラインについて御説明させていただきました。
次が資料4です。これから制度の議論を頂く際の主な論点ということで、案を準備いたしました。論点の1つ目は、基本手当の在り方です。論点の2つ目は、今、ちょうど御説明申し上げたマルチジョブフォルダーに関することで、マルチジョブフォルダーへの対応です。3つ目は、財政運営ということです。先ほど保険料率や国庫負担に関する暫定措置について御説明いたしましたが、ちょうど今年度が期限ということになっていますので、こちらの財政運営についても御議論いただきたいと思っています。その他の論点として、雇用継続給付について掲げております。本体の資料については以上です。
そのほかに参考資料として、一番上に制度改正があります。これまで、各年の制度でどのような改正がなされているか、また給付ごとにどういった改正履歴があるかということを整理しています。参考資料2は雇用保険部会の報告書で、前回、平成29年に雇用保険法の改正をしたときに、こちらの部会で平成28年におまとめいただいた報告書の内容です。先ほど御紹介したマルチジョブフォルダーの雇用保険の適用の在り方などが、継続的な課題ということで掲げられており、こういったことについても御議論いただきたいと思っています。
参考資料3-1、参考資料3-2については、前回の法律を国会で御議論いただき、衆議院と参議院のそれぞれの厚生労働委員会において、法案を可決いただく際に、併せて附帯決議が出されていますので、こちらも併せて資料として提示しています。参考資料4は、関連の閣議決定として出ているものを資料として準備させていただいております。参考資料4の下段ですが、経済財政運営と改革の基本方針2019ということで、今年の6月21日に閣議決定されたものになっています。こちらの部分ですが、社会保障に関する部分で、雇用情勢、アベノミクス等の成果により、引き続き安定的に推移していること等を踏まえ、消費税率引上げ後の国民の所得環境にも配意し、雇用保険の積立金の積極的な活用と安定的な運営の観点から、雇用保険料と国庫負担の時限的な引下げの継続等について検討するという形になっています。以上が、雇用保険制度の見直しについての資料となります。事務局からの説明は以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見がありましたら御発言ください。
 
○三島委員
説明ありがとうございました。基本手当についてお伺いしたいと思います。資料1の求職者給付の8ページですが、参考資料の中で、平成29年に法改正された際には、特定受給資格者の所定給付日数内での就職率について、被保険者であった期間が1年~5年未満である30歳以上35歳未満と、35歳以上45歳未満の方の層が、他の層と比べて低くなっていたことから、それぞれの層の給付日数についての引上げを行っていると認識しております。今回の見直しにおいても、一般離職者、特定受給資格者それぞれについて就職率が低くなっている層はあるのかについては、検証しておくべきだと考えます。現状についてはどのような状況なのか確認させていただきたいと思います、お願いします。
 
○阿部部会長
それでは、事務局お願いいたします。
 
○松本雇用保険課長
それぞれのマトリックスでの就職率のお尋ねですが、今の時点では数値がありませんので、御議論いただくときまでに準備したいと存じます。
 
○阿部部会長
では、お願いします。ほかにいかがでしょうか。
 
○佐藤委員
ありがとうございます。私からは、論点案の3点目にあった財政運営、特に国庫負担について申し上げます。国庫負担を本則の10分の1とした2017年の雇用保険法改正の際の資料を本日の参考資料2として雇用保険部会報告を、また、衆参の厚生労働委員会の附帯決議ということで参考資料3-1、3-2を添付していただいております。雇用保険部会報告では、やむを得ないという内容でありましたし、衆議院に関して申し上げますと、衆議院厚生労働委員会の附帯決議には、「今回の時限的な国庫負担率の引下げについては、平成31年度までの3年度間に厳に限った措置とすること」とされておりました。参議院の厚生労働委員会についても同様の附帯決議とされており、まずは立法府が示された意思、附帯決議の重みを認識しておく必要があるのではないかと考えております。
その上で参考資料4、先ほど調査官から御説明いただきましたが、6月に閣議決定された骨太方針について1点確認させていただきたいと思います。消費税率の引上げ後の国民の所得環境への配意からすると、国庫負担はむしろ引き上げるべき、本則に戻すべきなのではないかと考えますが、今回、時限的な引下げの継続について検討するとされた政府の考え方についてお伺いしたいと思います。
 
○阿部部会長
それでは御質問ですので、事務局お願いいたします。
 
○松本雇用保険課長
参考資料4の閣議決定そのものを御参照ください。御指摘のような観点も当然あろうかと存じます。一方で政府としての現時点での閣議決定の内容に則して申し上げれば、雇用保険の積立金の積極的な活用という点も掲げられているところで、かつ安定的な運営の観点といった点も列挙されているところで、こういった様々な事情を勘案した上で引下げの継続等について検討するとされているところです。
 
○阿部部会長
佐藤委員、どうぞ。
 
○佐藤委員
ありがとうございました。今ほど雇用保険の積立金のお話がありましたが、雇用保険の積立金につきましては、これまで労使が拠出した保険料のみで構成されているものを政府にお預けしているものと認識しております。したがって、その使途につきましては、労使の意見を最大限御尊重いただきたいと思っておりますし、最大限尊重されるべきものであるということです。
これまでの部会におきましても、労働側の委員から、国庫負担の本則戻しを常々申し上げてまいりましたが、今後の本部会におきましても、同様のスタンスで労働側としては臨んでまいりたいと考えております。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 
○千葉委員
マルチジョブフォルダーへの対応についての意見です。平成29年の改正時の衆院厚生労働委員会の附帯決議におきまして、検討会の設置が明記されたことを受けて、昨年実際に検討会が立ち上がり一定の取りまとめが行われていることについて、まずは評価ができるものと考えております。資料3の中に記載されているとおり、「適用の必要性は、直ちには高いとは評価できない」という評価がありながらも、「一定の対象層を抽出し、試行的に制度導入を図ることが考えられる」と記載されておりますので、制度の導入自体は否定はされていないものと考えております。通算時間の問題であったり強制性の問題という難しいテーマもありますが、制度導入に向けた議論ができればよいのではないかと考えております。
また、報告書の中にマルチジョブフォルダーの現状ということで記載がされておりますが、生活補填のためにやむを得ず副業・兼業を行っている者が少なくないという実態も報告されています。まずはこの制度の対象労働者を正確に捉えた上で、弱い立場の労働者の保護を図る視点での議論が必要ではないかと考えております。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。では清家委員、どうぞ。
 
○清家委員
先ほど佐藤委員から財政運営の国庫負担についてお話がありましたが、私ども使側としても、前回の雇用保険部会の報告書もそうですし、衆参両院の附帯決議にも書かれているように、基本的に拠って立つところは、本則に戻すというところは、ここを前提に立ってこれからの議論に臨んでまいりたいと考えております。それに合わせて保険料率の件もありますが、これはいずれにしても、今後の財政見通しがどうなっているのかというところをきちんと示していただいた上で、どうあるべきかという議論になろうかと思いますので、その点については、なるべく早く数字を示していただければと思います。
それからマルチジョブフォルダーへの対応については、報告書を検討会で出されて幾つか懸念も示されている点について、私どもも同様な心配をしております。課題がいろいろあろうかと思いますので、慎重な議論をお願いできればと思います。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 
○村上委員
資料4に主な論点が示されており、その論点についての意見です。今、佐藤委員から申し上げたように、雇用保険料率の戻しや国庫負担の本則戻しの問題、あるいはマルチジョブフォルダーに関する検討会からも報告が出ているということ、また70歳までの就業機会の拡大に向けた政府の方針も出されていること、さらに収支バランスを見ますと、保険料を一定程度引き下げて給付は従来どおりということですので、積立金残高も急速に減ってきているという状況など様々あり、そういった状況を正確に把握した上で、きちんと議論していくことが必要であると思っております。
論点は様々ありますが、私どもとしては、やはり雇用保険の持つ生活安定機能を充実させるべきということが一番大事だと思っておりますので、そのスタンスで議論に臨んでいきたいと思っております。基本手当を充実させることと、例えば教育訓練給付に関しましても、教育訓練給付をこの間充実させてきた際にも申し上げてまいりましたが、やはり何が優先かといえばやはり基本手当だろうと思っております。給付、国庫負担、保険料率などについても、優先すべきは基本手当の水準だと思っておりますので、そのことを基本的な考え方として議論をさせていただければと思っております。以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。ほかには、いかがでしょうか。それでは特段なければ、今頂いた意見、あるいは資料の準備もありましたので、今後部会で慎重に議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に移ります。資料5について、説明をお願いしたいと思います。
 
○佐藤雇用保険業務推進官
それでは資料5につきまして説明いたします。雇用保険の追加給付に係る進捗状況の御報告です。今年3月の部会でも報告いたしましたが、皆さん御存じのとおり、毎月勤労統計の不適正な処理に伴い、雇用保険で追加給付が発生しております。今年2月に工程表を我々として作り、これに基づき今、追加給付の作業を行っているところです。3月の時点で現に給付を受けている方と、過去に給付を受けていた方で、大きく分けまして、まずは現に給付を受けていらっしゃる方への追加給付を優先して行ってまいりました。ここに書いてあるとおり、現に給付を受けていらっしゃった方で追加給付が発生する方の過去分につきましては、おおむね99.8%支払を終了しているというところです。
これから過去に給付を受けていらっしゃった方に対する追加給付を行うことになっておりますが、こちらも2月に公表した工程表のとおりに進捗している状況です。まずは優先して育児休業給付を受給していた方について、8月頃から順次お知らせを送付するという予定になっておりましたが、こちらは8月8日から既にお知らせをお送りしているところです。育児休業給付以外の給付を受給されていた方については、10月頃から順次お知らせを送付する予定となっており、こちらも今のところ順調に進んでいるところです。いずれにつきましても、11月頃から順次追加額のお支払をさせていただきたいというふうに今のところ考えております。そういった意味で、現に給付を受けている方につきましてはほぼ終了し、過去に給付を受けられた方につきましても、工程表どおりに進捗しているところです。
それから※、雇用保険とは違う制度になりますが、国家公務員退職手当法に基づく失業者の退職手当という制度があり、基本的には国家公務員の方々が退職をされる場合には、国家公務員退職手当法に基づき退職手当というものが支給されるのですが、在職期間に雇用保険に入っていたと仮定した場合に、雇用保険の給付額としてもらえる額よりも、退職手当の額のほうが少ない場合には、差額を支給する仕組みがあります。実はこの退職手当につきましても、同じように追加給付が発生しており、こちらも今、同じように対応をしているところです。
この関係で、実は先週発表しましたが、一部の安定所におきまして、これらの国家公務員の退職手当法に基づく失業者の退職手当につきまして、行政文書の誤廃棄が一部ありましたが、こちらもほかの資料から必要な情報を把握することができておりますので、追加給付の対象者に不利益は生じないことになっております。こちらも粛々と進めていきたいと考えております。
後ろは、3月の部会の際にスケジュールと工程表をお示しましたが、これを今現時点でのものにリバイスしたものですので、御参考までに付けております。お時間のあるときに御覧いただければと考えております。私からの説明は以上です。
 
○阿部部会長
ありがとうございました。ただいまの説明に関して御質問、御意見がありましたら御発言ください。
 
○小林委員
追加給付の状況については承知しました。一方で、先月ですが大阪労働局で統計調査の不正があったとの報道がありました。保険給付全体には影響はないということで報道されていましたが、今後どのように対応していくのか、お伺いさせていただければと思います。
 
○阿部部会長
それでは事務局、お願いいたします。
 
○佐藤雇用保険業務推進官
毎月勤労統計の関係で大阪府の調査員で不適切な事案があったということで、また若干数字が変わるのではないかという話になっております。今は、まずは大阪で見つかりましたので、全国でどうするか、ほかに似たような事案がないかというのを調査しているところです。大阪の事案だけですと基本的には大きな影響はないものと考えておりますが、最終的には全国に同様の事例がないかを調べた上で、その影響額がどうなるかということを踏まえ、判断させていただくことになろうかと考えております。
 
○阿部部会長
よろしいですか。
 
○小林委員
データの調査もそうですが、なぜこのようなことが起こったのか、原因も併せて調査していただければと思いますので、よろしくお願いします。
 
○阿部部会長
ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは全体を通じて、御意見等ありましたら。特段なければ、以上をもちまして本日は終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは本日の会議に関する議事録ですが、部会長のほか2名の委員に署名を頂くことになっております。本日の署名委員ですが、使用者代表は柳沢委員に、労働者代表は千葉委員にお願いしたいと思いますので、事務局は後日連絡をお願いいたします。
次回の日程につきましては、事務局から改めて各委員に御連絡をいたします。それでは以上をもちまして、本日は終了したいと思います。本日は夕方遅くになり、またお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。


 

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