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2019年3月13日 第130回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

平成31年3月13日(水)13:00~14:00

 

○場所

厚生労働省省議室(9階)

○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

 

 

○阿部部会長
ただいまから第130回雇用保険部会を開会します。皆様お忙しいところご参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の中窪委員、水島委員、田嶋委員、労働者代表の千葉委員、秋元委員はご欠席です。また、田畑審議官は、所用のため途中退席、岸本総務課長は所要のため欠席と伺っています。
それでは、議事に入ります。本日の議題ですが、雇用保険制度についてとその他となっております。
事務局より資料に沿ってご説明いただき、その後質疑に入りたいと思います。本日もタブレットが提供されていますので、何かありましたら挙手をお願いします。
それでは、事務局から資料1についてご説明いただきたいと思います、よろしくお願いします。

○田中雇用保険課長補佐
事務局の雇用保険課長補佐の田中です、よろしくお願いいたします。
資料の1番、毎月勤労統計の再集計値等に基づく雇用保険の追加給付についてという資料をお開きいただけますでしょうか。こちらの資料に基づいてご説明させていただきます。
まず2ページでございます。前回の雇用保険部会でも概要をご説明さしあげましたが、雇用保険の給付の額計算、それから毎月勤労統計の今般の事案で影響が出る範囲の理屈のご説明の資料です。冒頭の四角囲みの1つ目の丸の部分でございますが、雇用保険の額計算につきまして、賃金日額を活用しているものはおもに2パターン計算がございまして、1つ目が一般の求職者給付、基本手当等でございます。額計算の形といたしまして、離職前6ヶ月の賃金の平均であります賃金日額に、給付割合を掛ける形で、この給付割合が賃金日額に応じて50~80%まで変化するという形ですが、一日あたりの基本手当の日額を定めまして、それを所定給付率の範囲内で支給するというものであります。
一方、育児休業給付につきましては、賃金日額を用いるところまでは同様ですが、給付割合が賃金日額に応じて変動するわけではなく、67%もしくは50%という形で、一定で定められるということでございます。この計算過程に出てまいります賃金日額につきましては、上限、下限、それから適用される給付割合の屈折点が、法改正の際に、それぞれ賃金構造基本調査のデータに基づいて、法律で規定されているということでございます。直近では29年、それから23年の改正の際に規定されております。
そのうえで、毎月勤労統計の労働者の平均定期給与額の変化率でその法改正までの間はスライドをさせることで、経済の実態を賃金日額の上下限に反映させていくというものです。以上の仕組みに付きまして、毎月勤労統計の平均定期給与額の変化率が変化した場合に何が起きるかというのが真ん中の図のところですが、賃金日額と給付割合の関係を示したのが真ん中のグラフになります。下から、まず下限額以下の賃金であれば、下限額に張り付く形で賃金給付が決まってまいります。その賃金日額に対しては給付割合80%で規定されておりまして、賃金日額が上がって、現行では4970円のところまでは給付割合80%が適応されますが、ここを80%屈折点と呼んでおりまして、そこから賃金日額が上がるに従って、給付割合が低減をしていくような形で規定をしております。50%屈折点に到達しますと、あとは上限額まで給付割合は一律50%というような内容になっておりますが、今申し上げた、上限下限、それから50と80の屈折点のところが、変化率が仮に上にぶれるということになりますと、より本来高くスライドさせるべきだったということになりますので、このピンクのところに示していますように、それぞれの点を上にスライドさせるような形で変化いたします。この給付割合にそれぞれの賃金日額を掛けたものが基本手当日額になってまいりますので、右図の通り、図示しております基本手当日額が動く範囲というのは、ピンク色の範囲に入って来られる方について、端数処理等で影響がキャンセルされない限りは、何らかの受給額に影響が出るという風に考えられております。
育児休業給付につきましては、給付割合が一定でありますので、いまほど申し上げた、上限下限に該当する方のみ、影響が出るという状況でございます。
続きまして3ページでございます。こちらの報道発表資料を用いまして前回説明させていただいたところですが、内容の確認でございます。統計情報部の方で発表されたものですが、確認された事実としまして、すでに報道でも出ております通り、500人以上の規模の事業所につきまして、平成16年から平成29年まで計画では本来全数調査で行われるべきところを、一部抽出調査で行われており、かつそこで、復元処理が行われていなかった。ということで、結果自体がおそらく低く出ているだろうというところでございます。
それに対する対応といたしまして、4番の(1)と(3)でございますが、平成24年から先のデータにつきましては、復元のために必要なデータが残っておりますので復元をする、平成16年から23年までにつきましては、復元の処理はむずかしいということでありますが、賃金が低く出ていたことはほぼ間違いないという状況なので、平成24年から29年までの再集計値と公表値との乖離幅で一定の補正を行いました給付のための推定値というものを改めて公表させていただいたところでございます。
続きまして4ページです。こちらも前回の雇用保険部会でご説明させていただきましたが、いまほど申し上げたような再集計値、給付のための推定値などを使いまして、平成16年以降具体的に額の再計算をいたしまして、過少給付であった方につきましては、必要となる時期にさかのぼって追加給付を行うという方針としています。
さらに5ページでございます。以上の方針を持ちまして、31年度の厚労省予算案について必要な修正の方を行いましたものです。一番左の雇用保険の部分でございますが、合計で472億、内訳といたしまして、追加給付で276億、前回ご質問頂いたところでございますが、事務費で177億を総額として算出しております。
続きまして6ページでございます。具体的な雇用保険の追加給付について、どのように行っていくかということで、2月4日にスケジュールとして公表させていただいたものです。まず現に受給中の方、失業等給付、基本手当などを今まさに受給されていて、認定日にハローワークに来所されておられるような方々につきましては、将来分については3月中から正しい額でのお支払いを開始するという方針で臨むところでございます。システム開始等の目処がつきましたので、昨日のプレスリリースで、3月18日から正しい額でのお支払いをするということを、打ち出させていただいたところでございます。現受給者の将来分につきましては、いまほど申し上げたとおり、3月18日以降の算定に係る分については正しい額でお支払いをいたしますが、正しい額に切り替わるということは、それ以前の分につきましても追加給付が発生していたということになってまいりますので、その点は現場で必要な説明をした上で、4月から6月にかけて、過去の追加給付についても支払いをしていくというようなことを方針として掲げています。
一枚めくっていただいて、7ページでございます。こちらは過去に給付を受けていた方、すでにハローワークからは離れてしまった過去の受給者の方でございます。こういった方々につきましては、ハローワークシステムに入っているデータを活用して、具体的な対象者をはじき出して、追加給付の額を計算しまして、まず対象者を特定した上でお手紙を送付し、雇用保険の追加給付がある旨のご連絡を行う、そして御本人とご連絡がとれましたら追加給付を開始していくということです。その具体的なスケジュールにつきまして、育児休業給付につきましては計算が簡便である等ことを踏まえまして8月からお手紙の送付を開始し、そして11月から具体的な給付を開始していきます。それ以外の方々につきましては、10月にお手紙の送付を開始、11月から追加給付を開始していくというスケジュールで現在考えているところでございます。
続きまして8ページでございます。いまほど申し上げたシステム対応、それから現場での対応をする前提といたしまして、雇用保険の追加給付に関する法令の規定の整備が必要となってまいります。その内容について、案としてご議論いただきたいと考えていますのが、8ページでございます。具体的に規定が必要な部分は1.の部分でございますが、雇用保険法の施行規則、それから毎年8月に定められております、自動変更対象額・賃金日額の上下限・屈折点などに係る告示についての規定の整備でございます。まず大きな話として、マル1ですが、現行は従来の公表値、もとの全数調査すべきところを抽出調査としていた、復元もしていなかった毎月勤労統計に基づいて賃金日額の上下限が定められておりますので、それにつきまして、再集計値、給付のための推計値に基づいて、自動変更対象額の再計算を行っております。そこで出てくる新しい値につきましては、改めて、過去定められている告示の額を変える形で規定をする法令的な手当が必要となってまいります。
参考資料といたしまして、12ページ以降でそれぞれ平成16年の8月以降の自動変更対象額、内職減額控除額、高年齢雇用継続給付の支給限度額につきまして、旧の額に対して新の額がいくらになるのか、新旧の差としていくらぐらいが想定されるのかを、資料としてつけさせていただいています。具体的には、この旧の額で公示されているものを、新の額にすべて変えていくというような手当が必要となってまいります。
続きまして、マル2の部分でございます。追加給付額につきましては、本来はかなり過去にお支払すべきであったものもございますので、過去に払われた給付額と、本来であれば給付されていた金額の差額に相当する部分を、現在価値に見合うような金額となるよう、一定の率を乗じてお支払いできるような規定の整備をしたいと考えております。
最後に2.のところですが、以上の内容について、システムの対応、現場の対応等々の行程表も踏まえまして、施行期日として考えているのがその四角の中でございます。まず先程申し上げました、現在給付を受けている方の将来分に関する適正なお支払は3月18日から施行、その方々の過去分につきましては基本手当、育児休業給付、介護休業給付等につきましては、4月中に施行して順次お支払いを開始したいと考えております。これ以外の給付については、通常の過去の給付については、11月中に施行し、順次お支払いを開始したいと思っております。過去に給付を受けていた方の追加給付については11月中に施行し、順次お支払いを開始していきたいと考えております。
続きまして、9ページ以降、ご報告でございます。10ページでございますが、追加給付を実施するにあたっては先程申し上げた通り、過去に支給されていた方についてはシステムで対象の特定を行った上でお知らせをご送付し、ご本人に連絡をとり追加給付を実施していくという方針であります。住所情報につきましては一定程度ハローワークで情報を保有しているところはありますし、今後、住基ネット等を活用しまして最新の住所情報の把握に努めていくところでありますが、一定の方につきましてはやはり住所把握が難しいだろうと想定される方々もいます。
こういった方々を対象としまして、厚労省のホームページに追加給付に関する住所情報の登録フォームというものを創設しまして、住所情報の登録をお願いしていきたいと思っております。こちらも3月18日に開設予定でございます。
続きまして11ページです。こちらは前回の部会でも委員の方から、追加給付の対象になられる方は、まさに自分が対象になるのかどうか、それから具体的に追加給付がいくらになるのかに関心が高いと思うので、必要な情報を出していくようにというご意見をいただきました。そうしたご指摘に対する対応ですが、雇用保険の追加給付につきまして、具体的な受給当時の年齢、当時の平均的な月収、受給を開始した時期、こうした情報を選んでいただきますと、おおむねいくらぐらいの一日あたりの追加給付が見込めるのかということを算出できるようなものを、厚労省ホームページに公表してまいりたいと思っております。こちらも3月18日にホームページに開設予定です。こうしたものも活用しまして、具体的に国民の皆様へのご説明をさせて頂きながら、追加給付を実施していきたいと考えているところでございます。私からの説明は以上になります。

○阿部部会長
ありがとうございました。それではいまの説明に関しまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いします。いかがでしょうか。はい、ではお願いします。

○三島委員
説明ありがとうございました。資料の9ページにある、住所登録フォームについての確認です。対象者が海外在住の方などとなっていますけれども、同じ参考資料の1月11日のプレスリリースには、「住所データのない受給者は推計延べ1000万人以上存在する」と記載されています。一方で、この登録フォームの入力者というのは、記載の1~4番の方という形になっていますけども、この住所データのない1000万人以上のうちの多くの方はその対象外のように見えます。例えば、過去に引越しをして住民票を移されている方のうち、今回の追加給付の該当者は、住民票の住所に通知が郵送されるためフォームへの登録は不要という理解でよろしいのかという点と、また、気になる方は1~4の方に限らず、誰でも自由に登録できるようにすればいいのではないかと思いますが、この1~4の方に限定した理由があるのならばお伺いしたいと思います。

○阿部部会長
では、事務局の方からお願いいたします。

○田中雇用保険課長補佐
お答えいたします。すみません、いまの説明では省略してしまったのですが、まず前提からご説明させていただきますと、1月11日に示しました住所がわからないと想定された1000万というのは、ハローワークに保有されている雇用保険関係データのなかに住所が入っていないと想定される方々でございます。検討を重ねまして、ハローワークの保有しているそれ以外の情報、例えば求職、職業相談システムの情報の中にも一定程度住所情報が入っており、そういったものを雇用保険のデータとぶつけてみるですとか、それから国会でも説明させて頂いている通り、住基ネットを活用して最新の住所情報を確認していくですとか、そうした対応を今後取る方針で動いております。なので、当時示しました1000万人から、実際にそうした様々な手法を検討して実行していけば、また住所がわからない方は減ってくるだろうと想定しています。
そういった住基ネットを活用するという方法をとったとしても、まさにいま申し上げた1~4の方については、おそらく最新の住所を把握することは出来ないだろうという風に考えており、こうした方々を主な対象として、まずは呼びかけていくというのを想定しています。ただ、これ以外の方々も当然活用は可能ですので、そういった方はご活用いただければ、我々としても様々な手法で御本人にご負担をかけることなく、住所情報を把握していくつもりであり、登録していただいた住所を活用させていただくこともあると考えております。

○阿部部会長
よろしいですか。

○三島委員
それでは例えばこの1~4番に5をつけて、その他気になる方といったように、該当者以外でも入力してもいいような形というのは検討いただけるのでしょうか。

○田中雇用保険課長補佐
もちろん、この方々以外でご活用いただいても大丈夫だとお伝えしていきたいと思います。

○三島委員
ありがとうございます。

○阿部部会長
はい、それでは他にはいかがでしょうか。

○亀﨑委員
はい。

○阿部部会長
それでは亀﨑委員どうぞ。

○亀﨑委員
私の方からも住所登録フォームについて質問させていただきたいと思います。
まず、こうしたツールを開発して活用していくことについては、コールセンターへの相談の一極集中が緩和され、利用者の利便性が向上するためたいへん歓迎したいと思っております。ただ一方でですね、こうしたツールの存在をどのように周知していくのかも課題かと思います。厚労省のホームページを通じた周知が中心になると思われますが、それでは十分とは言えないかと思います。せっかくのツールが一過性のものとして終わってしまわないようにぜひお願いしたいと思います。そして広く国民に周知を行うには、例えばですがNHKなどのマスコミに取り上げてもらうとか、コールセンターの紹介の脇に簡易計算ツールを掲載することなどを含めてご検討いただきたいと思います。なお限られた予算だと思いますので、その辺りは色々検討いただきながら周知・広報を工夫いただければと思っております。

○阿部部会長
はい、ありがとうございます。ご意見として承りたいと思いますが、事務局の方で何かありますか。特にいいですかね。
では、他にありますか。はい、では清家委員どうぞ。

○清家委員
二点質問させてください。8ページの整備についての案について、まず1.のマル2の加算額の規定について、一定の率を乗じた額ということですが、これは具体的に数字を載せる形で示されるのでしょうかというのが1つ目です。
二点目が、2.の施行日と適用日でございますが、現に給付を受けている方については3月18日と明記されていますが、それ以外の方は4月中、11月中などと具体的な期日が示されていませんが、これはそれぞれの時期が近づいた時に具体的な期日を明示されるのか確認させてください。

○阿部部会長
それではご質問ですので、事務局の方でよろしいですか。お願いします。

○松本雇用保険課長
失礼いたします。これはまず、「別途定める率」と言う形で公にする予定でございます。それから二点目の施行日につきましては、いつ施行するかは追って告示することになりますので、それも公にする予定でございます。今の時点では11月中という言い方ですが、実際にお支払いの準備ができた時点で日付を確定させたいと考えているので、このような形にさせていただいております。

○阿部部会長
はい、よろしいですか。他にいかがでしょうか。ありがとうございます。
他になければ、皆様から色々とご質問やご意見も承りましたが、今回の8ページの部分の案、再集計値及び給付のための推計値に基づき算出する賃金日額の上限額・下限額等の変更、及び、追加給付額を現在価値に見合う金額とする加算額の算定規定ということについては、ご異論はなかったという風に理解をしているところでございます。それで、今後開催される職業安定分科会へ所要の省令案等を諮問していただく形で進めるということで、差し支えないでしょうか。
それではそのようにさせていただきたいと思います。
事務局におかれましては職業安定分科会において諮問の手続きを進めていただければと思います。その他、事務局の方からございますか。

○事務局
事務局からは特段ございません。

○阿部部会長
委員の皆様から何かございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
本日の会議に関する議事録については、部会長のほか二名の委員に署名をいただくことになっております。本日の署名委員は、使用者代表菱沼委員、労働者代表の三島委員にお願いしたいと思います。後日事務局はご連絡をお願いします。次回日程に付きまして事務局より連絡があればお願いします。

○田中雇用保険課長
次回日程につきましては事務局より改めて各委員にご連絡差し上げます。

○阿部部会長
それでは、以上をもちまして、本日は終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中どうもありがとうございました。


 

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