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2018年12月21日 第128回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

平成30年12月21日(金)15:00~17:00

 

○場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)

○議題

・雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について
・雇用保険制度について
・その他

○議事

 

 

 

○阿部部会長 それでは、ただいまから第128回雇用保険部会を開会します。皆様、年末のお忙しいところ御参集いただきましてありがとうございます。本日の出欠状況ですが、秋元委員が御欠席です。また、土屋職業安定局長及び岸本総務課長は、所用のため欠席となっております。それでは、早速ですが議事に入りたいと思います。本日の議事は、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、雇用保険制度について、その他の3つになっております。それでは、事務局より資料に沿って御説明をいただき、その後、質疑に入りたいと思います。まず、事務局から資料2について説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○田中雇用保険課長補佐 それでは、資料の説明をさせていただきます。雇用保険課課長補佐の田中です。よろしくお願いいたします。本日もペーパーレスでの開催とさせていただいております。現在マイプライベートファイルが開かれておりますが、資料2-2に簡単に概要をまとめておりますので説明します。資料2-2を開きますと、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案の概要が出てくると思います。こちらは、前回に御議論いただいた教育訓練給付の改正に係る事項等を、省令案の要綱の形で本日出しており、その概要をまとめたものです。資料に沿って内容を説明します。
 1点目、特定法人に係る電子申請の義務化と書かれています。これは平成29年6月に閣議決定されております規制改革の実施計画において、一定規模以上の事業所について電子申請の義務化をそれぞれの制度で検討していくと書かれています。これにおきまして平成30年6月、厚生労働省で行政手続コスト削減のための基本計画を出しております。その中において税などの取組も踏まえ、資本金1億円以上の大きな法人などにつきましては、雇用保険に限らず社会保険や労災保険も電子申請の義務化を進めていくことが取組として規定されました。こういったことを踏まえ、今回は雇用保険法の施行規則の改正ですので、雇用保険に関する手続として雇用保険の資格取得届、喪失届等の届出を、資本金1億円以上の大きな法人、ここに記載している特定の法人が届け出る際には電子申請を原則義務化するということで省令案に盛り込ませていただいております。
 続きまして2.一般教育訓練給付の拡充です。これは、前回の雇用保険部会で御議論しました内容ですが、キャリアアップ効果が高いものとして厚生労働大臣が指定するもの、具体的には現在人材開発分科会で議論されておりますが、前回示した公的職業資格の短期の養成課程、ITSSのレベルⅡ相当の対策講座などのAからDの類型を想定しまして、ここに記載しておりますとおり、給付割合を講座費用の4割(上限20万円)とすることを省令案の要綱に盛り込ませていただいております。さらに、こちらも前回説明したとおりですが、訓練効果のキャリアアップへの結び付きの強化と対象訓練の質の保証という観点で、在職者も含めて訓練前のキャリア・コンサルティングの受講を必須とする。さらに、訓練受講の効果についての報告を、支給申請時等に求めるということを規定したいと考えております。
 続きまして3.専門実践教育訓練給付の見直しについてです。これも前回説明しましたとおり、専門実践教育訓練給付につきましては、最大7割の給付割合で、上限は最大で年間56万円と規定しております。10年間で支給する給付につきましては、56万円の3年分ということで168万円と規定されていました。この規定につき、人材開発分科会で専門職大学等の大学を対象講座とすることが決まっており、これらの講座が法令上最大4年の講座になっているということですので、この上限についての扱いを議論していただきました。具体的に前回示した内容としましては、最大4年の講座を受講する方については、4年目受講相当分として上限56万円を上乗せする。ただし、在職者であって比較的高い賃金を受けられている方については、この限りではないものとするということです。さらに、複数回の受講につきましては、通常の3年以下の訓練を受講される方とのバランスを考慮して、こうした上乗せは行わないということを提示したところです。こういった内容を今回の省令案にも盛り込ませていただいております。さらに、先ほどの一般教育訓練給付の内容と同様ですが、訓練効果のキャリアアップへの結び付きの強化、対象訓練の質の保証という観点で、在職者についても訓練前キャリア・コンサルティングの必須化、訓練受講の効果についての報告を、専門実践のほうでも求めることとしたいと考えております。
 最後に、施行期日について書いております。1.の電子申請の部分につきましては、平成32年4月からの開始を目指して、現在関係団体の皆様にも周知の御協力をいただいているところです。一般教育訓練給付の拡充につきましては、対象講座の指定の手続等も踏まえまして平成31年10月1日からとしております。一方、10年間支給上限額につきましては、具体的な対象講座の開講が平成31年4月から想定されておりますので、平成31年4月以降の施行という形にさせていただきます。ただ、こちらにつきましては、4年目の受講相当分からの上限になりますので、実際に上乗せが行われるのは4年目の受講相当分からとなります。簡単ですが、概要の説明は以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して御質問、御意見等があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。
○村上委員 今回の教育訓練給付拡充の施行規則の改正について、1点質問をさせていただきます。資料2-1、第七において訓練受講後の効果、把握について規定されているところです。ここではキャリア形成等の効果等を把握することができる書類等を出すということが書いてあるのですが、具体的にどのような書類を出せばよいのか行政としてフォーマットを何か用意するのかどうかについて確認したいと思います。本人が作成しなければならないとなりますと、どういう書類であればハローワークに受理されるのかということが分からなくなりますので、何か対応していただいたほうがいいのではないかと思っておりますが、その点について確認をしたいと思います。
○阿部部会長 事務局、お願いします。
○田中雇用保険課長補佐 回答します。こちらの様式につきましては、業務取扱要領等で示すということを考えております。
○阿部部会長 よろしいでしょうか。
○村上委員 何かしらフォーマットみたいなのものは出るということですね。分かりました。また、提出資料を確認しましたけれども、教育訓練給付の拡充については、いろいろな議論がありつつも、これまで部会でも発言してきたとおり、国が旗を振っていくということであれば、もう少し一般財源も確保して行うべきだと考えておりますが、人材開発分科会でも含めて議論されてきた内容だと承知しておりますので、今回の省令案要綱については了承したいと考えております。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
○菱沼委員 ありがとうございます。資料2-2で一般教育訓練や専門実践については、これまで意見を申し上げたところですので、引き続き周知等に努めていただきたいと思います。1点目の電子申請の義務化の点で質問させていただきます。○2特定の法人の所に資本金、出資金の関係で1億を超える法人と書いてありますが、平成32年4月施行ということですけれども、どれぐらいの企業が増えるのか教えていただけたらと思うのですが。
○阿部部会長 それでは、お願いします。
○田中雇用保険課長補佐 お答えします。現行では、全体の企業数のうちの1.7%程度と考えております。
○菱沼委員 ありがとうございます。それで、資本金1億円ということですけれども、実は中小企業の側からしますと、製造業だと資本金3億円で、従業員が300人とか、卸が1億円で100人、小売りで資本金5,000万円で50人、サービスで5,000万円で100人、両方満たすところが大企業という形になるのですけれども、1億といいますと、意外と製造業で資本金1億円以上という中小企業もまだあるということですので、時間はまだはありますので、その辺の周知とか、支援をしっかりしていただければという意見を申し上げたいと思います。以上です。
○阿部部会長 では、御意見として賜りたいと思います。ほかに、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、特に直接的にいろいろと問題があるとは思いませんでしたので、当部会としては、この省令案要綱については「妥当」と認めることにして、その旨を職業安定分科会会長宛てに報告したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

                                     (了承)

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、報告文案を配布してください。

                                (報告書文案配布)

○阿部部会長 ただいま、お手元に配布していただきましたとおりですが、このように職業安定分科会に報告させていただくこととしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                     (了承)

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにして報告したいと思います。
 では次の議題「雇用保険制度について」に移りたいと思います。それでは、事務局から資料3について説明をお願いいたします。
○田中雇用保険課長補佐 事務局でございます。資料3「財政運営」について御説明します。まず資料の1ページ目を御覧ください。失業等給付、本体給付の関係収支の状況をお示ししております。平成29年度の決算が出ております。平成28年度の決算の段階では1,000億円程度の財政的なマイナスだったところですが、平成29年度になりますと、保険料率の特例的な引下げ、それから国庫負担の特例的な引下げの影響もありまして、マイナスの5,500億円程度の赤が出ている状況です。平成30年度、平成31年度につきましても同様の特例の期間中ではありますので、マイナスで8,000億程度の赤が出ている状況になっています。
 2ページ、失業等給付に係る積立金残高及び受給者実人員の推移です。御承知のとおり、平成27年度に6兆4,000億で積立金は過去最高の水準になっております。その後の平成28年の改正による料率の引下げ、さらに、平成29年の改正による、今ほど申し上げた特例によって、積立金は平成31年度の概算要求ベースの4兆まで落ちている状況です。さらに青い点線の所です。受給者実人員につきましては、リーマンショックの時期の85万人からずっと低下しており、平成29年度のベースでは、38万人まで落ちている状況です。
 3ページ、雇用保険二事業の関係の収支の状況です。こちらも平成29年度の決算が出ております。そのベースで御覧いただきますと、収入6,000億円強、支出が4,500億円程度で、差引きの剰余で1,700億円の黒ということです。資金残高が1兆3,000億円ということで、過去最高の水準になっているところです。平成30年度、平成31年度につきましては、リカレント教育の充実等々で支出のほうを多めに積んでおり、平成30年度、平成31年度ともに、予算の要求としましては、若干、赤が出るような形での予算を組んでいるところです。
 4ページ、具体的な雇用保険料率の弾力条項についてです。毎年度決算のベースで弾力倍率の計算をして、その弾力倍率に従って翌年度の料率をどのようにするかについてお諮りしています。この弾力倍率につきまして、失業等給付、本体給付分についての計算を示したものが4ページです。真ん中の分数の所にありますとおり、ざっくり申し上げますと、失業等給付費の額に対して年度末の積立金の残高がどの程度の水準にあるかを計算するものですが、赤字の部分の平成29年度決算ベースでの数字が、3.52となって、2を上回っている状況です。したがいまして、平成31年度については、下限の6/1000までの料率の引下げが可能という状況です。
 5ページ、雇用保険二事業における弾力倍率の計算です。こちらは、ざっくり申し上げると、保険料収入に対して年度末の雇用安定資金残高を計算する形になります。これは1.5を超えていれば料率の引下げが行われるというものです。平成29年度の決算額で計算をしますと、赤字の部分は、2.22という結果になっていますので、2事業に関する料率については、弾力倍率が1.5を超える場合には「変更するものとする」と規定しておりますので、2事業の料率は、平成31年度については3/1000となってきます。そして、本体給付分については、先ほど申し上げたとおり、弾力倍率が2を超える状況ですので、毎年、今後5年間の財政見通しをお示しした上で、料率についての御議論を頂いているところです。
 6ページ、雇用情勢の前提です。受給者の実人員が平成29年度で38万人となっていますので、それをベースとして計算をしております。その他の試算に当たっての前提ですが、これは、過去からの例に倣って計算をしております。収入については、平成31年度要求をベースにして計算をしております。平成31年度の料率については、6/1000と仮定して、平成32年度以降は、8/1000下限に貼り付けた状態で、64歳以上の保険の徴収が32年度以降にスタートしてきますので、この影響を加味して計算をしております。国庫負担については、平成31年度までに限り、55/100から10/100に引き下げられていますので、その影響を加味しております。支出額その他については、基本的には平成29年度のベースで置いていますが、育児休業給付等最新の実績が高いものについては、そういう影響を加味しております。さらには、教育訓練支援給付金等の経過措置については、法律どおりに終了することを前提に計算しているところです。
以上の前提を置きまして、7ページの計算を見ていただきます。今ほど申し上げたとおり、雇用保険料率については下限に貼り付ける形で計算していますので、積立金が順次下がってきます。こちらを見ていただきますと、平成35年度の積立金の残高が3.5兆円となっております。1年前の計算では、平成34年度の段階で積立金の残高は3.5兆円という状況でした。それ以降の雇用情勢の改善等々によって、雇用保険の財政的には若干プラスに働きまして、今回の試算では、平成35年度の段階での積立金が3.5兆円ということになっています。1年前の段階での試算よりも計算としては良くなっている状況ですので、平成31年度についても、引き続き料率としては6/1000下限に貼り付ける形で御議論を頂きたいと思っております。それ以降、国庫負担のお話ですとか料率についての基礎的な資料を付けておりますが、説明は割愛させていただきます。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がございましたら御発言ください。
○三島委員 1点、意見させていただきます。昨年の12月の雇用保険部会でも、事務局から、3.5兆円の積立金残高があれば不況期に一定程度耐え得る旨の報告を頂いております。また今、事務局からも御説明があったとおり、今年は更に収支状況が改善されている状況です。その点も踏まえると、雇用保険料率の弾力条項については、その発動要件も満たしていることから、6/1000を維持することについて特段異論はありません。
ただ一方で、これまでも労側から再三意見を申し上げてきましたが、平成32年度以降の国庫負担の法律本則への復帰や、失業時における基本手当の給付日数、また給付率の改善に向けた検討も必要であるため、今後の財政運営を行う上では、そうした点も十分留意していただきたいということで意見させていただきました。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。
○青山委員 質問です。ご説明いただいた内容は、日本経済や世界経済の先行き、見通しをどのようにお考えになられているか、前提条件を聞かせていただければ幸いです。
○阿部部会長 それでは、事務局お願いします。
○松本雇用保険課長 毎回、毎年度、この歳入のお示しする失業等給付費の試し算については、これまでの実績を基に試し算をするという手の例です。したがいまして、前提にありますように、受給者実人員は実績を基に伸ばしております。経済情勢については、今後の変動をあらかじめ予測することはなかなか困難ということもあり、試し算としてするようなもので出させていただいております。
○阿部部会長 ということは、今の景気状況が今後も続くということを念頭には置いているということでよろしいのですね。
○松本雇用保険課長 試算上はそうでございます。
○阿部部会長 青山委員、よろしいでしょうか。
○青山委員 来年の世界経済、日本経済は下振れ要因も多く、政府の見通しに比べ民間の見通しは非常に厳しい。そのため、前提条件は厳しめに置く必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○阿部部会長 事務局、いかがでしょうか。
○松本雇用保険課長 御意見はそのとおりだと思います。一方で、どの程度を厳しく見るかという点については、あらかじめ予測は難しいということで、あくまでもこの試算は、必ずしもこのとおりいくと考えているわけではないという前提付きで御覧いただければと存じます。
○阿部部会長 はい。青山委員、どうぞ。
○青山委員 過去の経済状況を見て、例えばリーマンショック後の経済状況になった場合どの程度の給付が必要となるか、あるいは、リーマンショックに準じるような経済状況になったら、どの程度の給付が必要となるかなど、ある程度仮の前提条件を置いて考える必要があると思いますが、いかがですか。
○阿部部会長 では事務局、お願いします。
○田中雇用保険課長補佐 お答えいたします。御指摘は全くもっともだとは思っております。ただ、今の御指摘で少し申し上げるところがあるとするのであれば、これからリーマンショック級の不況がくるですとか、それから、平成10年の頃のように、失業率5%に近い状況が5年近く続いたという状況が来たときですとか、正に、そういったことに対応できる積立金の水準があるかどうかというところで考える必要があると思っております。過去の積立金の水準等々を見ても、4兆円程度の積立金の残高で乗り切って来たというところもありますし、平成21年のリーマンショックのときには、2年間で9,000億円近くの雇調金が出ておりますが、それに耐え得るような現行の二事業の安定資金の残高もあるわけです。今回の試算は、先ほど課長が申し上げたような考え方で、過去の試算の例にも倣ってどの程度の財政が推移しているかということも分かるように設定はしておりますが、積立金の残高としては、過去の不況の例を見ても、それなりに一定の水準はキープできているのではないかとは考えています。
○阿部部会長 直近、ここ1、2年の間にリーマンショック級が来ても、今の積立残高で、ある程度対応可能であると。ただ、そうなったらそうなったで、また料率を見直すことは、また来年の今頃ここで、もし来年ひどいことになっていれば見直すことになりますので、今の試算の中では、青山委員が御懸念なさっているようなことが起こったとしても、来年までは何とかやっていけるということであるそうですが、よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、来年度の雇用保険料率については、事務局から説明があったとおり、失業等給付が0.6%、雇用保険2事業の保険料率が0.3%ということについては御異論がなかったと思いますので、この後、開催されます職業安定分科会への告示案をその形で諮問させていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○阿部部会長 はい、ありがとうございます。それでは、事務局は、職業安定分科会において諮問の手続を進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
続いて、その他の報告事項について、事務局から資料3、資料4と続けて説明をお願いします。資料4、資料5ですか。失礼しました。
○國分訓練受講者支援室長 訓練受講者支援室の國分と申します。まず資料4に基づき、求職者支援制度の実施状況について御説明いたします。1ページの上の(表1)の求職者支援訓練の受講者数についてですが、年々減少しており、平成29年度は2万6,822人ということで減っています。制度創設以降、今年10月までの累計では40万人近くに上っているという状況です。基礎コース、実践コースの比率がおおむね3対7という傾向については変わっていません。
 その下の表は就職状況ですけれども、中段の(表2)が、平成28年度に終了した訓練です。右側の数字が就職率ですが、基礎コースが58.9%で、実践コースが63.8%です。下の(表3)が平成29年度に終了したコースですが、基礎コースが58.0%で、実践コースが65.0%ということで、基礎コースについては前年度より若干低下しているという状況です。
 2ページは、受講者数を半期ごとに示したものです。雇用情勢の改善が続いており、訓練を経なくても就職しやすい環境になっていることもあり、受講者の減少が続いています。水準としてはピークであった平成24年度上期の5万1,000人から、直近の今年度の上期では1万2,000人弱ということで、ピーク時の約23%という状況です。
 3ページは、訓練受講給付金の受給者の割合の推移です。左側が訓練の受講者数、真ん中の列が初回受給者数ということで、いずれも年々減少している状況です。一番右側が受講者に対する初回受給者の割合ということになりますが、ピークの平成24年度では48.9%でしたけれども、これが年々低下しており、今年度4~9月までの状況では30.0%という状況になっています。
 4、5ページは実践コースの分野別の就職状況です。4ページが平成28年度の状況ですが、中ほどに受講者数と、括弧書きでその割合があります。多いものとしては、営業・販売・事務が27.1%です。次いで、その他が20.5%で、これには建設、理美容等が含まれています。3番目に介護福祉が20.0%という順になっています。一番下の行は「就職率」になりますが、介護福祉が最も高くて73.6%、次いで医療事務の66.1%、デザインの62.1%という状況です。
最後の5ページが平成29年度の実施状況ですが、傾向としては平成28年度とおおむね同様の状況です。受講者数は営業・販売・事務が最も多くて30.6%、次いでその他が19.8%、3番目のデザインが17.2%という状況です。一番下の就職率については、多いのが介護福祉の74.7%、次いで医療事務の67.4%、デザインが63.7%となっています。着実に雇用情勢の改善が進む中で、訓練を必要とする方が適切に受講できるように制度の周知や斡旋に努めてまいりたいと思っておりますし、また、積極的な就職支援に努めていきたいと考えています。説明は以上です。
○田中雇用保険課長補佐 続けて、資料5の雇用保険二事業について御説明させていただきます。2ページです。雇用保険二事業は、これまでも御説明しておりますとおり事業主の皆様から拠出を頂いた保険料をもって運営をさせていただいておりますので、PDCA(Plan、Do、Check、Action)の取組を厳格に行って、効率的かつ効果的な事業の実施を目指しているものです。
具体的には、3ページですが、各事業でそれぞれ目標を定めており、その目標を達成したかどうか、その事業執行率が80%を超えているかどうかというところでa評価、b評価、c評価、d評価というのを設けさせていただき、それを事業に反映させていくというものです。
それを具体的に実施しているものが5ページ以降に付けているものです。正に、ここに記載していますとおり、それぞれの事業の評価、その評価に対して目標が未達成であったとするのであれば、平成31年度の要求の段階でどのような改善を行っているのか、そういった内容について、それぞれの事業について検証した上で予算を要求させていただいているところです。
 内容はかなり詳細になっておりますので、5ページ以降の御説明は割愛させていただきますが、そういった検証を経た上で雇用保険二事業の予算の全体図を示したものが4ページです。平成30年度予算の状況から平成31年度に向けて、事業数については1つ減って、全体で73事業となっています。下の表にあるとおり、予算要求については特に非正規の処遇改善の部分が1,124億円ということで多くなっております。具体的にはキャリアアップ助成金の影響です。
 さらに今般、リカレント教育の充実の観点から、3つ目の人材投資の強化、人材確保対策の推進というところで予算が大きく伸びているところですが、これは旧キャリア形成促進助成金、人材開発支援助成金の拡充を行ったことによるものです。二事業の全体像についてはこのような状況になっていて、これ以降についている資料は詳細ですので、御説明は割愛させていただきます。以上です。
○阿部部会長 それでは、ただいまの御説明に関連して御質問、御意見がございましたら御発言ください。
○千葉委員 資料5の雇用保険二事業についての要望です。3ページにあるaからdの評価のみに注目しすぎないように、各事業のPDCAサイクルを回すことが重要だと考えております。例えば、10ページにあるNo.28の生涯現役支援窓口事業(旧高齢者就労総合支援事業)についてです。こちらについてはd評価となっていますが、「未達成等の要因分析」の項の記載を見てみると、ハローワークの支援窓口を大幅に拡大させたことに伴って手厚いサボートが必要な65歳以上の支援対象者が増加したことというような旨の記載があります。こうした積極的な取組については評価すべきものだと考えています。
その一方で、平成29年度は目標未達成であったということから、平成31年度予算については1か所辺りの予算額と相談員数がそれぞれ削減されることになっています。高齢者の就職者のマッチング機能の強化については、今後の高齢者雇用を進める上でも非常に重要なテーマだと考えています。11月に未来投資会議が発表した「経済政策の方向性に関する中間整理」の中でも、その旨が明記されています。必要な施策については費用と人員を投入するというメリハリのある予算配分をお願いしたいと考えています。以上です。
○阿部部会長 では事務局、何かあればお願いいたします。
○田中雇用保険課長補佐 お答えいたします。御指摘のとおり、高齢者の雇用については非常に重要な施策であると認識をしております。働き方改革実行計画等にも記載されているところです。実際に今回の予算においては、60か所の新設等によって増額を認めているところです。ただ、やはり雇用保険二事業は、事業主の皆様に拠出していただいている保険料を財源として行われるものですので、目標が未達成であればその要因をしっかり分析していただいて、より効率的に実施をしていただくことを徹底してやってまいりたいと思いますので、その両方の視点から必要な事業については効率的、効果的なものとなるように推進していきたいと思っております。以上です。
○阿部部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○亀﨑委員 同じ資料5の雇用保険二事業について、取り分け外国人の雇用対策について意見を申し上げたいと思います。先の国会において入管法が成立して、今後は外国人労働者の受入れが拡大されることになるわけですが、4ページを見ると、外国人雇用に関連する事業として「その他働き方改革関連」の欄に外国人労働者雇用対策費として18億円、また、「その他の経費」の欄に外国人技能実習機構に対する交付金として34億円がそれぞれ記載されています。予算額は増額されてはいますけれども、果たしてそれで十分な予算と言えるのか。また、現行のハローワークにおける外国人就労支援や技能実習機構に対する交付金だけでなく、例えば二事業を活用して労働条件の改善に向けた企業への助成を行うといった視点も必要だと考えますけれども、厚労省としての見解をお尋ねしたいと思います。
○阿部部会長 それでは御質問ですので、事務局、お願いいたします。
○田中雇用保険課長補佐 外国人の雇用対策については、御指摘のあったとおり法律が国会で成立をいたしまして、現在、政府で総合的対応策という形で様々な外国人の方々が日本にいらっしゃったときに生活の面、雇用の面を含めてどういった対応を取っていくのかというのをまとめているところです。ハローワークにおいても、外国人の窓口で現在、多言語での対応を含めて対応させていただいているところですが、御指摘を踏まえて、外国人雇用対策課担当課とよく連携して十分な対策が取られるように連携を進めていきたいと考えております。
○阿部部会長 亀﨑委員、よろしいですか。その他はいかがですか。皆さんからなければ、私から1点だけよろしいでしょうか。資料4の求職者支援制度についてですが、景気が良いせいだと思いますけれども、受講者数は相当減少しているという説明がありました。私の理解では求職者支援制度は、そもそもは若年者の非正規雇用とか、ニートの方とか、そういった方の対策ということで整備されてきたのであろうと思うのですが、今の受講者の年齢構成はまだ若者が中心なのか、それともほかの年齢層が入ってきているのかちょっと気になるところがあります。
 今後は、やはり若年人口はこれから減少していきますので、一般的にはそういった形で求職者支援訓練を今後どのようにしていくかというのもそのうち議論になるのではないかなと考えます。そういう意味で今、実際のところ、この求職者支援制度を利用している人々というのはどういう人なのかというのをお聞きしたいと思います。
○國分訓練受講者支援室長 お答えさせていただきます。まず、年齢構成の関係ですが、部会長の御指摘のとおり、一番多い年代層としては20代の後半が大体15%ぐらいで推移をしています。少し減っている傾向はありますけれども、全体として依然として一番多い、次いで30代の前半と。40歳未満の若年者で、直近の平成29年度で大体55%ぐらいですので、部会長の御指摘のとおり、若年者中心であるということは引き続き変わっていない状況です。
 一方で、45歳以上の中高年齢者も少し増えてきている傾向にあるということで、平成24年度が45歳以上で27%だったものが直近の平成29年度で33%ぐらいに増えていて、中高年齢層が数パーセント増えている傾向があります。そういったことで、制度創設時から趣旨というものは大きくは変わっておりませんで、今後しばらくは同じような傾向が続くのかと思っていますけれども、いずれにしても利用状況を見ながら制度の在り方については考えていく必要があるかと思っているところです。
○阿部部会長 そうすると、今のところ受講者数の状況は制度発足当時と余り変わらないと。ただ、やはり45歳以上でも若干増加してくると。今後の人口ピラミッドを考えると、だんだん上のほうに昇っていくのではないかなと思うと、やはり気になるのはどういったコースを設けていくかとか、どういったレベルでそのコースを準備していくかというのは今後議論できたらよいのではないかなと思います。ありがとうございます。それではほかに、ないですか。全体を通して何か御意見、御質問はございますか。よろしいですか。
 それでは御意見、御質問がこれ以上ないようでしたら、以上をもちまして本日は終了させていただきたいと思います。なお、本日の会議に関する議事録ですが、部会長のほか2名の委員に御署名を頂くことになっております。本日の署名委員は使用者代表の青山委員と、労働者代表の村上委員にお願いしたいと思います。事務局は後日、連絡をお願いいたします。次回の日程について、事務局から御連絡をお願いいたします。
○田中雇用保険課長補佐 次回の日程については、事務局より改めて各委員に御連絡をいたします。
○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、以上を持ちまして、本日は終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。
 

 

(了)
 

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