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2018年11月16日 第127回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

平成30年11月16日(金)13:00~15:00

 

○場所

厚生労働省職業安定局第1・第2会議室(12階)

○議題

・教育訓練給付について
・その他

○議事

 

 

 

○阿部部会長 ただいまから、第127回雇用保険部会を開催いたします。大変お忙しいところ、皆様には御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の出欠状況ですが、中窪委員が御欠席です。また、土屋職業安定局長が所用のため途中で退席と聞いております。岸本総務課長は所用のため欠席です。
それでは、議事に入りたいと思います。なお、カメラの頭撮りは以上となりますので、撮影の方は御遠慮ください。
本日の議題、「教育訓練給付について」に入りたいと思います。まず、事務局から資料2について御説明を頂きたいと思います。
○田中雇用保険課長補佐 事務局から資料について、御説明させていただきたいと思います。雇用保険課課長補佐の田中でございます。よろしくお願いいたします。
今、関係の資料を少し補足で配らせていただいていますけれども、基本的にはタブレットを用いたペーパーレスでの会議ということで、進めさせていただきたいと思っています。今、お手元のタブレットはマイプライベートファイルという形で、開かれていると思いますので、資料2の教育訓練給付についてという資料をお開きください。
まず、教育訓練給付についてという資料の2ページ目以降を御覧ください。制度概要等々についての確認的な御説明です。2ページ、一般教育訓練給付の概要です。こちらは従前から御説明申し上げていますとおり、在職者又は離職後1年以内の方、妊娠、出産、育児等々の事情で対象期間が延長されておられる方は、最大20年までの方を対象として、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を受講した場合に、受講費用の20%を支給する制度です。
対象講座については、平成30年度の時点で1万強の講座が指定されています。輸送・運転機械系、医療・社会福祉・保健衛生関係の資格に関する講座が、講座数としては多くなっている状況です。
3ページ、専門実践教育訓練給付の概要です。こちらも従前から御説明を申し上げていますとおり、平成26年から若者や非正規の方を中心とした中長期的なキャリア形成を支援するということで、制度がスタートしています。対象者については同様ですが、厚生労働大臣が指定する講座として、専門的、実践的な教育訓練、専門実践教育訓練という形で指定をして、そちらを受ける場合には高率の給付で支給するということになっています。具体的には、受講費用50%を6か月ごとに支給するという形になっています。修了後、1年以内に資格取得などをし、更に就職した場合には受講費用の20%が追加で支給されるということです。こちらの上限額が、まず年間で設定されています。50%相当の部分については40万円、20%部分相当については16万円、したがって最大7割のときには、上限が年56万円で設定されているという状況です。こちらの指定講座については、足元の状況では第1類型から第6類型までということで、指定されています。講座数は2千強となっています。また後ほど御説明しますが、専門職大学が新たに追加されるということが、既に人開分科会で決定していますので、第7類型として追加されるという状況です。
4ページ、教育訓練給付に関する制度の変遷です。こちらも確認的に御説明します。もともと教育訓練給付制度は、平成10年に創設されました。給付率は当初80%であったところです。これが平成15年の改正で20~40%に落ち、平成19年で20%になっていますが、平成26年に先ほど御説明申し上げた、より専門的、実践的な講座に限って給付割合を引き上げるという形で、専門実践がスタートしています。それが平成29年の改正で、更に給付割合を引き上げるという形で拡充してきている状況です。
5ページ、平成29年の改正の関連の御説明です。平成29年の雇用保険法改正において、リカレント教育、特に専門実践教育訓練給付について充実の措置を行っています。点線で囲った部分ですけれども、今ほど御説明申し上げたとおり、支給割合についてはもともと4割だった部分を5割に引き上げて、合わせて上限も引き上げている状況です。
本日の議論に関わってきますが、(3)の部分です。もともと専門実践は1回受けると、10年間はインターバル期間として受けられないという設計でしたが、その期間が3年に緩和をされている状況です。そうすると10年の間で、3年間のインターバルをあければ、複数回受講できることになるわけです。この10年間の給付総額については、168万円に設定されているという状況です。この168万円が、年間の上限額56万円の3年分ということで、もともと設定されています。
6ページ、支給状況の確認です。一般教育訓練給付については、現行は受給者数、支給額ともに落ちてきているところです。それに対して専門実践のほうは、支給金額が制度創設当初から大きく伸びてきているところです。
7ページ、前回、委員から教育訓練給付の概算要求の数字について出していただきたいと御指摘を頂きましたので、添付しております。一般教育訓練給付、専門実践教育訓練支援給付について載せておりますが、ざっくり申し上げますと専門実践教育訓練支援給付については、足元で受給者数が大きく伸びている状況です。その伸びを反映した増額となっています。一般教育訓練給付については、現行、人開分科会と雇用保険部会の場で具体的な改正内容について御議論いただいている状況ですので、概算要求の段階ではざっくりと倍近い額を計上するという形で、対応しております。
8ページ、本日の議題に関連するものですが、前回も御説明しましたとおり、人づくり革命基本構想です。6月の人生100年時代構想会議の決定ですが、こちらで専門実践については専門職大学課程の追加、一般教育訓練給付については、ITスキルなどキャリアアップ効果の高い講座を対象にして、給付率を引き上げるということについて、提言を頂いたところです。
次に、前回の雇用保険部会の議論について、確認をさせていただきたいと思います。10ページを御覧ください。前回の雇用保険部会で、御提示した論点について確認的に再掲させていただいています。まず専門実践については、訓練期間が4年の講座、つまるところ専門職大学等が新たに対象として指定されることに伴って、先ほど御説明申し上げた給付上限168万円についてどう考えるかという話と、人材開発分科会で専門職大学院を中心に、特に在職者の方が受けられたときに、実際にキャリアアップしているかどうかということの効果検証が難しいのではないかといった議論もあり、「在職者の方についても訓練前キャリコンを必須としてはどうか。訓練効果の把握の観点から、訓練効果についての報告を給付要件としてはどうか」という御提言を頂いたところですので、そちらも論点として掲げさせていただいたところです。
一般教育訓練給付については、人づくり革命基本構想等を踏まえて、給付率の引上げの対象となるキャリアアップ効果の高い講座とは何なのかということについて、まずは人開分科会で御議論いただくこととしてはどうかという形で、御提示させていただいたところです。
その場で出た御意見について、当課の責任でまとめさせていただいたものが、11、12ページです。総論的なところとしましては、「雇用保険制度の趣旨に立ち返れば、まずは求職者給付が優先されるべきものではないか」といったことや、「国の優先課題としてリカレント教育を充実させていくのであれば、本来は一般会計からの支出が不可欠ではないか」といったこと、少し逆の視点として、「現行の人手不足の状況では人材の流動性に資するということであれば、雇用保険での対応もあり得るのではないか」といった御意見があったところです。
2.の一般教育訓練給付の拡充の部分については、総論としてキャリアアップ効果の高い講座というものを人開分科会で御議論いただく際には、しっかりとした基準や考え方、効果のある講座となるように議論をお願いしたいという御意見を複数いただいたところです。こちらは部会長からの指示で、人材開発分科会にもお伝えすべしということでしたので、こちらも事務局の責任において、この2.に掲げている内容については、人開分科会にも提出させていただいたところです。
具体的な内容に関連して、12ページの3.の専門実践見直し部分についてです。「(1)給付上限について」に関しては、引上げについては肯定的な御意見と否定的な御意見の双方が出ていたと認識しています。具体的には、2つ目のマルの部分で御説明させていただきます。「専門実践の給付上限については、原則は現行の3年で168万円を維持すべきである、しかし4年の講座の受講によってキャリアアップに資するということであれば、4年分の給付を行うことを検討してもよいのではないか」という御意見です。3つ目のマルの部分ですが、「専門実践の上限額は現行の168万円でも高額である、その給付上限の在り方を議論する上では、失業給付の金額とのバランスも重要ではないか、専門職大学については、これから創設されるものですので効果測定も難しい、こういった中では上限額は現行の168万円を維持するべきではないか」という御意見であったと承知しています。以上が、前回の雇用保険部会の議論の内容です。
具体的に人材開発分科会の議論について、御説明したいと思っています。まず、一般教育訓練給付の拡充の対象になる講座の関連での御議論を紹介させていただきたいと思います。
15ページが総論的な内容の記載になっています。コンセプトについて、簡単に御報告をさせていただくために、16ページを先に御覧ください。
こちらは10月18日に人材開発分科会で御議論された資料からの抜粋です。まず、緑の枠で囲まれたコンセプトの部分ですが、人づくり革命基本構想に基づくキャリアアップ効果の高い講座とは、「速効性のあるキャリア形成ができ、社会的ニーズが高く、かつ、就職実現・キャリアアップとの結びつきの強さを客観的に評価できるような訓練」であると整理されています。そうしたコンセプトを踏まえて、これは専門実践と同様の考え方ですが、いわゆるポジティブリスト方式で対象課程の類型を作る、更に課程類型ごとの講座指定基準を作ることによって、講座の質を担保していくというような総論的な考え方が示されたところです。
これに基づいて提示された類型ですが、体系的に1枚紙で御説明いたします。15ページを御覧ください。一般教育訓練が緑の枠、専門実践が青の枠で提示されています。一般教育訓練の緑の枠の中で、拡充の対象となる講座の類型を記載しています。大きくA類型からD類型までの4つの課程類型が提示されています。まず、1つ目のA類型です。こちらは公的職業資格の養成課程(短期)となっていますが、現行では公的職業資格の養成課程で120時間以上のものについては、専門実践の対象講座となっている状況です。これは専門実践ですので、中長期的なキャリア形成に資するということで、長期の訓練をもともと想定していたものです。長期だからこそ高額でありますので、そういった高額の訓練を受けるにあたって、やはり給付割合を引き上げて、訓練の受講を促進していこうという発想であったと承知しています。これについては、キャリアアップ効果の高い講座の対象として、公的職業資格の養成課程の中で短期のものを想定してはどうかという内容で、こちらは主に現行の一般教育訓練給付の中で言えば、輸送運転系の講座などが多く該当してくるところです。
それに加えまして、公的な職業資格の取得を目標とするものであって、養成課程ではないのですが、試験が存在するような資格については、その試験の合格を目標とするような講座、我々は試験合格目標講座と呼んでいますけれども、そういったものもその資格を取れば就職に結び付いていきやすいということで、対象としてはどうかという御議論です。
更に細かい話を申し上げると、現行、専門実践では業務独占資格・名称独占資格の資格しか対象にしていないというところですが、今般の案では業務独占資格・名称独占資格と近い効果を持つような講座として、まず必置資格の講座、介護初任者研修や生活援助従事者研修、特定行為研修を含んだような講座を対象としてはどうかということで提案をされています。
続きまして、B類型、C類型です。こちらはIT関係です。B類型が、ITSSのL2、すなわちITスキルスタンダードのレベル2以上の資格の取得を目標とする講座ということで、対象として挙げられています。御承知のとおりITSSのLについては、L1が最低限の基礎知識を身に付ける、最低限の基礎知識が身に付いていると評価される資格です。L2が上位者の指揮の下に、作業を担当することができるレベルと定義されています。L3については、要求された仕事を独力でこなすことができるレベルと定義をされています。現行、ITSSのL3以上については、専門実践の対象講座となっているところです。
今般の案では、今ほど私が御説明申し上げました、上位者の指揮の下に作業を担当できるレベルということで、このレベルの資格を取得するということであれば、これもIT関係では就職に直結していきやすいだろうということで、ITSSのL2以上をIT資格取得目標講座として対象とすることとして提示されているところです。
もう1つが、CのITLSです。こちらは経済産業省で、今後作っていく資格制度で、ITリテラシースタンダードと呼ばれているものです。ITSSは比較的、ITのエンジニアの方を対象としたような講座ですが、こちらはエンジニアの方々と具体的にやり取りをして、自分の経営にいかしていく、自分の実務の方にいかしていくということを念頭に置いて、IT関係のリテラシー、業務にいかしていけるような知識、技能を評価する資格として導入されるものです。こちらは、その資格の取得を目標とする講座を対象としてはどうかということで、提案をされています。
最後がD類型ですが、こちらも近いもので申し上げますと、現行の専門実践でも大学における職業力実践育成プログラムについては、120時間以上のものとして対象講座となっているところです。今後、文部科学省で60~120時間未満のものも対象として、制度を創設していくということで、こちらが平成31年4月から走り出すことになっています。こちらも、拡充の対象としてはどうかと御議論されているものです。
以上が、A類型からD類型までのざっくりとした御説明になっています。このそれぞれの類型について先ほど申し上げましたとおり、講座の指定基準をクリアする必要があるということで、指定基準が設定されていますが、これらは総じて現行の専門実践で課しているような指定基準を、この拡充対象となる講座に関しても同様に課していくということで、御議論をされているところです。
最後に少しだけ補足させていただきます。20ページです。こちらは、やはり対象講座の拡充にあたっては、その効果を適切に検証していく必要があるということで、総じて2年後を目途に検証を行うこととしてはどうかとされています。検証事項の部分の2つ目のマルですが、C類型とD類型については現時点で計画段階の制度であるということで、適用開始の1年後を目途に、具体的な事例について検証を行うこととしてはどうかとされているところです。
21ページに、人材開発分科会における主な御意見を挙げさせていただいていますが、制度面に絡む内容として2つ御紹介させていただきます。21ページの4.の所です。「一般教育訓練給付の拡充による教育訓練の受講を確実にキャリアアップにつなげていくという観点では、専門実践と同様にキャリア・コンサルティングを要件化していくこととしてはどうか」ということが御提案されているところです。さらにはIT分野に対する教育訓練は重要ですので、国が責任をもって施策として行っていくべき、すなわち安定的な一般財源を使用するべきではないかといった御意見が出ていたところです。以上が、一般教育訓練給付の拡充対象になる講座の御説明です。
22ページ以降は、一般教育訓練給付の拡充の対象講座の議論ではなく、専門職大学の追加の際に行われた議論を再掲させていただいています。こちらは、前回の雇用保険部会でも御説明しましたので、飛ばし飛ばしで御説明させていただきます。今回、御提案の内容と関連するものとして、23ページ、専門職大学を課程の対象へ追加しますというお話です。24ページ、見直し事項マル2部分ですけれども、専門職大学が入ってくることに伴って、第1類型の中でも4年制の課程がありますので、それらについては限定的に追加してよいのではないかと。具体的には、管理栄養士の養成課程が1つ、それから法令上最短の期間が3年となっていても、定時制等々であるがゆえに4年で開催されているようなものもありますが、こちらも対象としてよいのではないかということで、具体的に4年の講座として見直し事項マル1の専門職大学、見直し事項マル2の管理栄養士、それから法令上3年の講座が定時制等々で開講されることで、4年になるものという3つが入ってくるということになっています。
26ページ、見直し事項マル6の部分、これも御説明しましたとおり、専門職大学院の訓練効果の継続的な把握の観点で、訓練前キャリコンの必須化、受講後報告の要件化というところについての御提案が出たところです。
今回の内容に関連して、人材開発分科会でこの専門職大学を追加するときの議論として、出た内容を確認させていただきます。30ページ、こちら大変恐縮ですが、タブレットで縦紙を入れてしまいましたので、縦にしてもなかなか見づらいことになっています。別途、紙の方を配布させていただいています。3ページ、通しで言うと30という数字が出ていると思いますが、御覧いただきますと、専門職大学を追加するときに具体の御意見としていただいたものです。専門実践については168万円でも十分高いので、今後、引下げも含めて検討すべきであるという話が1つ目です。それから、負担と給付のバランスを考える、若しくは給付の効用ということを考えると所得に応じて給付率に傾斜をつける、受給回数を制限するといったことも、専門実践では考えられるべきだという話が2つ目です。3つ目として、本来、3年分のプログラムが定時制であるがゆえに4年制になっているものについては、やはり、全日制課程との給付バランスを考慮すると上限を引き上げるということについては、検討、留意が必要であるというような御意見を頂いていたところです。
長くなりましたが、以上が人材開発分科会で行われた議論です。この雇用保険部会で出た御意見も含めて、具体の内容として御提示させていただくものが、まず一般教育訓練給付については、32ページです。対象講座については、キャリアアップ効果が高いものとして厚生労働大臣が指定するという形にさせていただくものですが、もちろん想定しているのは、現行、人材開発分科会で提示、議論されている対象講座のA~Dです。このA~Dを受講する際には、給付割合を4割、上限を20万円としてはどうかというところです。
次は専門実践で議論された内容ですが、訓練効果のキャリアアップへの結び付きの強化と対象訓練の質の保証というところです。これは当然、専門実践に限らず特に高率の給付を行うものについては、同様に生ずる議論ですので、こちらも同様に訓練前キャリコンについて在職者を含めて必須化すること、それから訓練の受講後、受講の効果の報告を支給申請時に求めていくということとしてはどうかと考えています。それ以外の要件については、一般教育訓練給付と同様とするというところです。
続きまして、33ページ、専門実践の見直しについてです。こちら10年間の支給上限額の引上げについては、先ほど申し上げたとおり双方から御意見があったところです。人材開発分科会でも、そもそも専門実践は所得に応じて給付率等々に差を付けるべきではないかといった御意見もあったところで、そうした人材開発分科会での御意見を踏まえて、御提示させていただくものです。
具体的には1つ目のマルの部分ですが、法令上最短4年の専門実践、これはすなわち専門職大学と管理栄養士の養成課程ということになってきますが、これを受講される方については、10年間の支給上限額の168万円に4年目の受講相当分として56万円を上乗せしてはどうか。ただし在職者であって、かつ、比較的高い賃金を受けていると考えられる方については、この限りではないものとするということです。
また、専門実践は冒頭で御説明申し上げましたとおり、10年間の間で複数回受講することが想定されます。例えば、2年の講座を1回受けて3年のインターバルを開けて、また2年、3年の講座を受けるということも可能です。こういった場合には、そもそも168万円の上限の中でしか給付が出ない状況になっていますので、こういった方々とのバランスも考慮し、この上限の引上げは複数回受講の場合には行わないということで御提案をしています。
その下の訓練効果のキャリアアップへの結び付きの強化と対象訓練の質の保証については、人材開発分科会での御提言のとおり実施することとしてはどうかという内容です。長くなりましたが、私からの御説明は以上になります。
○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関して御意見、御質問等があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○千葉委員 一般教育訓練給付の対象講座についての意見です。対象講座A~Dについては、人材開発分科会において議論がなされたと報告を受けておりますし、その判断については尊重すべきものと考えております。その中で、資料2の16ページの中に、「特に就職実現・キャリアアップとの結び付きの強さを客観的に評価できる教育訓練であると整理できるもの」と記載されておりますが、雇用保険制度において重要な考え方だと認識しているところです。
今回、訓練前キャリコンというものを質の保証の観点から必須としてありますが、このコンセプトに書かれている内容をより実践するためには、例えばハローワークの求人データの資格の記載状況などについて、実際により就職に結び付くことが確認できるような仕組みが必要ではないかと考えております。以上です。
○阿部部会長 ここは御意見として賜りたいと思います。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○三島委員 一般教育訓練給付割合について要望いたします。給付割合が、現在の受講費用の2割上限10万円から4割上限20万円と倍増されることとなっておりますが、雇用保険財政に影響することを議論する場合においては、本来であれば、給付割合の増加による雇用保険の財政の影響も加味し、支給率を決めるという視点も必要だと考えます。今回、提示されている金額については、資料8ページにあります6月15日に閣議決定された骨太方針において記載されている決定事項と考えられますので、雇用保険部会においては議論の余地がないものと認識せざるを得ないと思います。
今回の4割上限20万円という給付割合を否定するものではもちろんありませんが、今後は雇用保険の国庫負担率に関する議論も控えている状況でもありますので、今回の議論については、他府省主導になりすぎるあまりに雇用保険部会での議論が結論ありきとならないようにお願いしたいと思います。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございます。
○深澤委員 一般教育訓練給付の拡充の所のITの資格、スキルの充実の所で、IT人材というのが大くくりにして語られることが多いと思います。先ほど事務局から御説明もありましたとおり、主にITの業界の方が使われるような開発者、あるいは営業の方もいるかと思いますが、そういった方々というIT人材、それから、どの企業や団体にもいらっしゃるような、ITをその企業の中で専門的に扱う職種である情報職種の方々やIT職種の方々、それから個々人のリテラシー・ITスキルという3つぐらいに大別されると考えております。
今回、Bの類型としては、IT業界の開発者を中心とした方々、それからIT以外でも各団体にいらっしゃるIT・情報システム職種の方々、この2つだと考えております。その2つの方々にとって、ITSSという基準については、非常に定着したものですので、この基準をコアにして要件を考えられているのは、適切であると考えております。 レベルについても、専門実践はレベル3以上に置いていますので、一般の拡充を2以上という設定も一般的に理解され得る、ちょうどいい設定ではないかと考えます。一方、申し上げました類型の中の個人のリテラシー部分については、今回C類型ということで取り上げられております。現在の産業の中でITは労働者の共通スキルとなってきておりますので、こちらの人材を質・量ともに増やす支援は、適切と考えます。
過去で言いますと、今は廃止されてしまいましたが、システムアドミニストレータ、その後、今はITパスポート、次は新しいITリテラシースタンダードということで進んでまいりますが、IT分野は、特に変化・進展が早く、スキルの部分もどんどん伸張が必要となりますので、このような新しい仕組みに変えて認定していくのも非常に適切ではないかと考えております。
こういった基準について、何かと古くなっていきますのでアップデートしていく、しっかり見直しをしていくという、今回まだ導入前ですが、導入後もしっかり見直しをしながら、そのときにふさわしい資格にしていくことが必要だと思います。このITスキルが、全体の労働者の底上げということで、今、世の中でも皆さんがおっしゃっているとおり、IT、IoT、AI自動化が圧倒的な生産性の向上にもつながりますので、そういう生産性の向上が将来的な賃金向上、全体に賃金の底上げにつながっていくかと思います。是非、こちらの内容を充実させていただけたらと考えております。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。
○亀﨑委員 先ほど御説明もありましたが、今後、省令改正が行われた後に、専門実践教育訓練給付の対象となる専門職大学がいつ決まるのか、また、いつから専門実践教育訓練給付の対象講座の制度運用が始まるのか。先ほど平成31年4月と言われましたが、それは制度の運用開始時期という認識で間違いないかという確認と、新一般教育訓練についても同様に、講座指定時期と制度開始時期がいつなのかを確認したいと思います。お願いします。
○阿部部会長 では、事務局からお願いします。
○田中雇用保険課長補佐 御説明いたします。まず専門実践の専門職大学の部分については、既に人材開発分科会で対象講座等を指定するということは決定しており、平成31年4月の開校のタイミングに合わせて、対象講座として指定できるよう手続を進めております。したがって、平成31年4月からの開校講座分について、専門実践の対象になることになっております。
もう1点の一般教育訓練給付の拡充については、こちらの対象講座を指定してからの施行になってまいりますので、どんなに早くスケジュールを組んだとしても、平成31年4月以降に募集を開始し、一定期間でその募集に対する審査を行った上で対象講座として指定し、その指定された講座が開校するタイミングからの給付割合の引上げになってまいりますので、想定としては、早くても平成31年後期からの開校講座分の施行になると考えております。
○阿部部会長 亀﨑委員よろしいですか。
○亀﨑委員 新一般教育訓練は、平成31年度後期から開始ということですね。
○田中雇用保険課長補佐 一般教育訓練給付、まず講座の指定、要は今、人材開発分科会で指定基準を含めて議論されている状況です。その結論が出てから講座の募集をして指定するという手続になりますので、それは平成31年度に入ってから行われる形になると想定されます。その指定された講座について、開校されてから給付割合が引き上がる形になってまいりますので、雇用保険法施行規則部分の改正の施行という意味では、平成31年度の後期から10月以降という形になろうかと思っております。
○阿部部会長 ほかにいかがですか。
○菱沼委員 亀﨑委員から専門実践の専門職大学についてありましたので関連して、今、御説明のあったとおり、専門職大学が平成31年4月から開校ということですが、人材開発分科会での議論になるかと思います。昨日の段階で多分、3校ぐらいしか認可が下りていなかったという状況です。せっかく、こうやって皆さんで議論していただいた制度ですので、文科省でもしっかり議論されてはおりますが、そういった教育訓練は大体4月ぐらいから、やってみようという方もいらっしゃると思いますので、そういった制度をしっかり出していただきたいというのが1点です。
別件でキャリア・コンサルタントの訓練前のものです。受講が必須ということですが、複数回の受講分でいろいろと議論になっておりますが、6月27日でしたか、人材開発分科会でも、確かキャリア・コンサルタントの実技を10時間延ばすなど、そういった形で今回の教育訓練給付や我が国の教育訓練制度について、しっかりやっていくということが分かりましたので、こういったキャリア・コンサルタントの必須はいいのかなということで意見として申し上げます。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。ほかには、いかがでしょうか。
○秋元委員 これまでの議論の中で、専門実践教育訓練給付の支給の上限額について、労働側の意見として申し上げてきたことがありましたので、今回、改めてということになりますが、過去からの議論の中では、やはり失業給付とのバランスの観点から、現行の条件である168万円は維持すべきということを労働側委員として申し上げてきた経過があります。
その考え方自体に変わりはありませんが、今回、4年目相当分の上乗せについて、1つは、賃金の高い方は対象外とするということ、それから、この最後のページの2つ目のマルの所で、通常の3年以下の受講者とのバランスも配慮することを御提案いただいておりますので、労働側委員としても、この給付の上限額の考え方については、今回、了承したいということを申し述べたいと思います。
○阿部部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。
○清家委員 2点申し上げたいと思います。まず、先ほどからも議論になっております訓練前キャリコンの受講の必須化や訓練受講の効果についての報告、こういったものも含めて質の保証という点で、今回の提案については私どもとしても望ましい方向に向かっているのではないかと認識しております。
それから、専門実践の10年間の支給上限の話です。これについては前回も申し上げたラインで、あくまでも原則は168万円というところは置きつつも、こういった形で今回、御提案された内容について使側としても、このような方向でよろしいのではないかと考えております。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。特にありませんか。
○青山委員 この見直し案については、基本的にはよろしいかと思います。1つお願いですが、キャリア・コンサルティングの受講を義務付ける際に、あまりキャリコンになじみのない会社もあります。こうした会社では、キャリコンをなぜ受けるのか、どのように受けたらいいのか、最寄りのキャリコンは、どこにどういう人がいるのか、よく分からないのが現状です。特に中小企業の場合は、制度や活用方法についてよく分からないので、この点は周知や十分力を入れていただければ幸いです。よろしくお願いしたいと思います。
○阿部部会長 ありがとうございました。御意見として承ります。その他はいかがでしょうか。
○柳沢委員 意見というか、お願いのようなことです。今回、拡充される一般教育給付の部分で、文部科学省・経済産業省など厚生労働省以外の省庁が所管される講座も一部入っておりますが、雇用保険を使うということなので、他省庁所管の講座についても厚生労働省できちんとチェックしていただき、先ほど深澤委員が言ったアップデートの所も含めてフォローをお願いしたいと思います。
○阿部部会長 御意見として承りたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。それでは、ほかに特段ないようでしたら、本日は以上をもちまして終了としたいと思います。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。本日の会議に関する議事録については、部会長のほか二名の委員に署名を頂くことになっております。本日の署名委員は、使用者代表の深澤委員と労働者代表の秋元委員にお願いしたいと思います。最後に、次回の日程について事務局からお願いします。
○田中雇用保険課長補佐 次回の日程については、事務局より改めて御連絡させていただきたいと思っております。
○阿部部会長 それでは、以上をもちまして本日は終了したいと思います。お忙しい中、ありがとうございました。

 

(了)
 

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