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2018年8月22日 第126回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

○日時

平成30年8月22日(水)16:00~17:00

 

○場所

厚生労働省省議室(9階)

○議題

・教育訓練給付について
・その他

○議事

 

 

 

○阿部部会長 ただいまから、第126回雇用保険部会を開会したいと思います。皆様、暑い中、お忙しいところ御参集いただきましてありがとうございます。

 議事に入ります前に、委員の交代がありましたので御紹介をさせていただきます。使用者代表委員として、一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部上席主幹の清家武彦委員です。

○清家委員 清家でございます。よろしくお願いします。

○阿部部会長 本日の出欠状況ですが、中窪委員が御欠席、水島委員は途中からの御出席と聞いております。

 また、事務局に異動がありましたので御紹介いたします。職業安定局長に土屋喜久さんが就任されていますが、本日は所用のため、途中からの出席とお聞きしております。職業安定担当審議官には、田畑一雄さんが就任されました。

○田畑審議官 田畑でございます。よろしくお願いします。

○阿部部会長 また、職業安定局総務課長に岸本武史さんが就任されておりますが、本日は所用のため欠席とお聞きしております。以上です。

 それでは議事に入ります。本日の議題は、「教育訓練給付について」です。まず、事務局から資料2について御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○田中雇用保険課長補佐 事務局です。それでは、資料2、教育訓練給付について簡単に御説明させていただきます。資料の2ページです。「教育訓練給付」の全体像についてお示しさせていただいておりますが、御承知のとおり、教育訓練給付については、マル1の一般教育訓練に係る教育訓練給付金。我々はよく一般教育訓練給付金と呼んでいますが、こちらが給付水準で申しますと、訓練に要した費用の20%相当額を給付するものされております。続きまして、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金。専門実践教育訓練給付と呼んでいますが、こちらは訓練に要した費用の50%相当額、更に資格取得、就職等をした場合には20%相当額を上乗せするというような給付設計になっています。それぞれ、詳細を御説明させていただきます。

 3ページです。まず、「一般教育訓練給付金の概要」ですが、真ん中の給付の内容の部分にありますとおり、今ほど申しました受講費用の20%相当額を給付するということで、上限が年間分で10万円というように定められています。支給要件はここに記載されていますように、被保険者期間は3年以上、初回の場合は1年以上ということになっています。厚生労働大臣が指定した講座を受講した場合に給付費用が給付される形になっておりますが、対象講座につきましては、輸送・機械運転関係が6,000講座で一番多くなっている状況です。続きまして医療・社会福祉・保健衛生関係が多くなっており、3,000弱の講座が指定されています。一番下は、一般教育訓練の指定講座数推移、受給者の人数の推移を示していますが、平成29年度で大体10万人の受給者がおられるという状況です。

 続きまして、次ページ、「専門実践教育訓練給付金の概要」です。こちらは御承知のとおり、平成26年の雇用保険法改正の中で新たに創設された制度で、同年10月から「専門実践教育訓練給付」としてスタートしております。非正規の中長期的なキャリアアップを支援するということでもともと設定しておりまして、給付内容につきましては、下の枠の真ん中の部分ですが、先ほど申し上げました、受講費用の50%、上限年間40万円ということで、訓練が長期にわたっておりますので、6か月に1回支給するというような制度構成をとっております。加えまして、訓練終了後1年以内に資格取得、就職等をした場合には、受講費用の20%相当額、上限年間16万円を追加支給するという構成になっており、我々がよく最大7割の給付と御説明するのは、この50%と20%を足した70%相当額を支給するということです。支給要件は、先ほどの一般教育訓練給付と同様に、原則としては被保険者期間3年以上、ただし、初回の場合は2年以上という形で設計されております。一番下が指定講座の状況ですが、2,133講座指定されています。最も講座数が多く指定されている類型が、マル1番、いわゆる国家資格の養成課程の関連で、1,180講座あります。

 次ページです。専門実践の教育訓練の指定基準の概要です。2、教育訓練等の基準という所に太字で(1)から(6)までお示ししておりますが、これが専門実践教育訓練の指定講座でいうところの、いわゆる第1類型から第6類型までの講座です。今回の議論に関連して御説明申し上げたいのが、期間の限定についてです。期間は原則1年以上として、現行、3年以内の講座であれば、対象講座として指定されているという設計になっております。(3)の専門職大学院に関しても、一部3年以内に資格取得可能な講座が指定されており、現行、専門実践の中では、最長3年の講座までが対象として認められるというルールになっています。

 6ページです。「教育訓練給付に係る制度変遷」です。御承知のとおり、平成10年の制度創設当初は、給付割合80%という形で設定しており、15年改正、19年改正と給付割合を下げるような改正を行ってきたところです。そして、平成26年の改正で、先ほど申し上げました非正規、若者の中長期的なキャリア形成という観点で専門実践がスタートいたしまして、当初は最大6割までの給付。それが、平成29年の改正で最大7割までの給付に引き上げられたところです。

 関連しまして7ページです。こちらは、平成29年にリカレント教育全般についての拡充の改正を行っておりまして、その中身をまとめたものです。特に御説明申し上げたいのが(2)(3)です。(2)の所は、先ほどから何度も御説明申し上げていますが、給付割合については、もともと6か月ごとに給付される部分が4割だったのですが、29年の改正で5割まで引き上げられております。これで、資格取得をした場合の追加給付2割と合わせて最大7割となっておりますが、これに伴って上限額も引き上げられているという状況で、年間56万円までを見るという制度設計になっております。

 それに対して(3)ですが、この29年の改正に合わせて行われた制度変更ですが、もともと専門実践は、平成26年の制度創設当初は、1度受けると、10年間受けられないというような制度になっていましたが、その期間を3年に緩和しております。当時の講座の中にIT関係の講座が入っていること等を踏まえて、インターバルの期間を3年に短縮したということです。正にの所ですが、インターバル期間は3年に短くはしておりますが、10年間で受けられる給付総額自体は168万円。これは年間が56万円までの給付上限になっておりますので、先ほど申し上げた専門実践の最長の講座期間3年ということを加味して、年間56掛ける3年で168万円までを上限とするというような制度設計になっています。

 続きまして、8ページ、「教育訓練給付の支給状況」について記載しております。こちらは、支給金額の推移だけ簡単に申し上げますが、一般教育訓練給付につきましては、現行平成29年度で大体38億円、右上の専門実践教育訓練給付につきましては、平成29年度で概ね49億円出ているというような状況になっております。

 続きまして、10ページです。正に今回、雇用保険部会で御審議いただきたい内容の関連です。10ページ以降、第7回人材開発分科会の資料を付けさせていただいております。もともと平成26年の専門実践の制度創設当初に指定基準を定めた際に、当時、職業能力開発分科会で、その指定基準については、3年を目途にして指定基準の見直しを議論するとされておりまして、それに従い、今年の初めから、職業能力開発分科会の後継である人材開発分科会で議論が行われておりました。その指定基準の見直しの議論を受けて、730日に、具体的な指定基準の改正の内容について諮問等が行われたという状況です。

 その中身の御説明になりますが、11ページ以降に、それぞれの見直し事項について説明がされております。この中では、具体的に雇用保険の専門実践の給付制度に関連する部分をかいつまんで御説明いたします。11ページの1つ目の見直し事項の所ですが、専門職大学等の課程の対象への追加ということです。専門職大学は文部科学省で制度創設を検討しておりまして、具体的には大学が持っているような幅広い教養ですとか、学術研究の成果に基づく知識、理論、その応用。それと、専門学校が持っているような特定の職種の実務に直接必要となる技能の教育を合わせたような、新たな大学体系を創設するということで議論されていたものです。こちらは、平成31年の4月の開校を目指して、現在、認可等の手続が行われています。この専門職大学が創設されることに伴いまして、専門実践の対象講座に入れていくということについて人材開発分科会で議論が行われまして、これに関しては対象講座にしていくということで、結論が得られているところです。

 12ページです。こちらも関連の対象講座の追加になっておりますが、専門職大学の4年制の課程が新たに追加されてくるということに伴って、第1類型の中で、現行で4年の課程が幾つかあります。それについても専門実践の対象とすべきではないかということで議論されたものです。具体的には、管理栄養士の養成課程、それから、法令上最短期間が3年とされている資格に関する養成課程であって、定時制、土日や夜間の開校であるが故に4年になっているもの、今ほど申し上げた2つにつきましては、現行4年であるということで専門実践の対象にはなっておりませんでしたが、こちらも入れてよいのではないかという御議論を頂きまして、対象として追加するということを聞いております。

 続きまして、14ページ、見直し事項マル6です。こちらは専門職大学院、専門実践でいうところの第3類型の「訓練効果の継続的把握・再指定への反映」ということで、人材開発分科会で、第3類型については、受講者に占める在職者の割合が9割を超えているということで、この訓練終了後の訓練効果の把握・評価が困難であるといったことが問題点として指摘されたところです。そういったことを受けまして、具体的に給付設計上の意見をいただいたところが、上から3つ目のの部分です。1つ目のポツの部分が、専門実践の要件になっている、いわゆる訓練前キャリコンについて、現行、在職者については事業主証明でよいという給付制度になっていますが、在職者についても、訓練前キャリコンを必須化にすべきではないかということです。それから2点目、訓練終了後に受講効果の把握の観点から、その報告を給付の要件として課してはどうかという御提言を頂いているところです。

 続きまして、16ページ以降です。今ほど申し上げた指定基準に関する議論につきまして、更に加えて、具体的に人材開発分科会の中で出た主な意見、課題についてということで、頂いた意見を記載しています。この中から何点か御紹介させていただきたいと思いますが、18ページを御覧ください。

 5.「その他の意見について」です。こちらに若干給付制度に関する御意見を記載させていただいておりまして、5.1つ目のの部分ですが、正に基本手当という名前からも分かりますとおり、求職者給付が優先されるべきであると。専門実践教育訓練給付につきましては、上限額が301月から168万円ということになっていますが、これは公平性の観点から、引下げも含めて検討するべきではないかということを御意見として頂いております。更にその下のですが、負担と給付のバランスから考えて、若しくは給付の効用の観点から、教育訓練給付について、所得に応じて給付率の傾斜をつける、受給回数を制限するといったことも検討されるべきであるという御意見を頂いています。

 続きまして3つ目のの部分ですが、先ほど申し上げた、最短3年の講座が、夜間、土日開校で、定時制であるが故に4年になっているような講座、今回対象として追加されるものについては、訓練期間に応じて給付額、給付の上限が上がる制度設計としてしまいますと、通常3年で受けておられる方との給付のバランスが悪くなるので、その点は検討上の留意が必要であるという御意見を頂いているところです。人材開発分科会関連の御説明は以上です。

 続きまして、20ページですが、こちらは一般教育訓練給付に関する内容です。人生100年時代構想会議、今後、人生100年時代を迎える中でどういった施策が必要かということを議論していた場ですが、そちらの提言を21ページに載せております。赤字の部分ですが、教育訓練給付の拡充ということでございまして、「また」以下ですが、「一般教育訓練給付については、対象を拡大するとともに、ITスキルなどキャリアアップ効果の高い講座を対象に、給付率を引き上げるべきだ」というような御提言を頂いています。以上が、教育訓練給付の概要、昨今議論されている教育訓練給付の状況についてです。

 22ページに、それらをまとめまして、論点の案を御提示させていただいています。1つ目の部分ですが、専門実践教育訓練給付について、訓練期間が4年の講座が、人材開発分科会での議論を経て新たに対象講座として入ってくるということに伴って、先ほど申し上げた、現行168万円で設定されている給付上限のあり方について、どのように考えるかという論点が1点目です。続きましてのは、正に人材開発分科会で検討すべきだと言われた内容そのものですが、訓練効果のキャリアアップへの結び付きの強化、対象訓練の質の保証のために、在職者についても訓練前キャリコンを必須としてはどうかというのが1点目。2点目で訓練受講の効果について、報告を給付要件とする、そういう仕組みを設けることとしてはどうかということです。

 続きまして、一般教育訓練給付ですけれども、こちらはどちらかというと進め方の御提案に近い形になりますが、先ほど申し上げましたとおり、キャリアアップ効果の高い講座について、給付率を引き上げるという御意見を頂いているところですので、まずは対象となるキャリアアップ効果の高い講座としてどのようなものが考えられるか。これについて人材開発分科会で御議論を頂き、検討してはどうかということを御提案させていただいています。更に、高率の教育訓練給付の制度設計について何か留意すべき点、議論すべき点があればということで、御意見を頂きたいと考えているところです。私からの御説明は以上になります。

○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、本件について御質問や御意見があれば御発言をお願いしたいと思います。

○秋元委員 御説明、ありがとうございました。まずは、教育訓練給付金の全般の考え方の基本的なスタンスについて労働側として2点申し述べさせていただきたいと考えております。

 今、お示しいただきました人づくり革命基本構想や、経済・財政運営と改革の基本方針の中で教育訓練給付の拡充・拡大が示されているわけですが、この中のリカレント教育を拡充すること自体については、反対するものではございません。ただ、国の優先課題としてリカレント教育を拡充し、その制度運営を安定的、継続的に行うことを考えるのであれば、雇用保険財源に頼るのではなく、一般会計からの支出が不可欠であると労働側としては改めて申し上げておきたいと思っております。

 2点目です。専門職大学などの講座への給付認定と給付上限につきましても、これも雇用保険財政に関わる部分ですので、雇用保険部会における公、労、使の合意を得た上で進めていただきたい。よろしくお願いいたします。

○阿部部会長 ありがとうございました。その他、いかがでしょうか。

○亀﨑委員 同じく資料222ページの論点の所、いわゆる教育訓練給付全体の考え方についてですが、2点、意見を述べさせていただきたいと思います。

 1つ目は、専門実践教育訓練の対象講座の拡充や一般教育訓練給付の対象拡大と給付の引上げについては、それらが雇用保険制度の趣旨の1つである生活及び雇用の安定並びに就職の促進に資するかどうか、そして、その費用対効果を含めて、今後、雇用保険部会においてもしっかりと議論する必要があるということです。

 2点目は、人材開発分科会でも先ほど労側委員が発言していますが、雇用保険制度の趣旨を踏まえれば、まずは求職者給付が優先されるべきであり、加えて、基本手当の所定給付日数、あるいは給付率の改善や暫定的に引き下げられている国庫負担率の本則への復帰といった雇用保険財政の収入側についても同時に議論されるべきだと思いますので、意見として申し上げておきます。

○阿部部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

○千葉委員 意見と質問となりますが、今回、仮に改正案の中で専門実践教育訓練の対象講座の拡大や一般教育訓練給付の対象拡大と給付率の引上げが行われた場合に、雇用保険財政にどの程度の影響があるのかについては把握しておくべきだと考えております。その点におきまして、資料の11ページ目以降に示されております見直し案の中で見直し事項マル1の「専門大学等の課程の対象への追加」や、見直し事項マル3の「第2類型における『社会人向けプログラム』の追加」について、現時点でどの程度の講座が対象となる見込みなのかということと、それらの対象講座がいつ明らかになるのかというスケジュールについてお伺いしたいと思っております。

○阿部部会長 ありがとうございます。事務局、御質問ですのでお願いします。

○田中雇用保険課長補佐 お答えいたします。雇用保険財政への影響を把握しておくべきではないかという点と、人材開発分科会で提言された訓練が、それぞれ、いつ対象講座として入ってくるかということですが、今、手元に詳細な資料を持ち合わせてはいない状況ですが、今、人材開発統括官付と連携して議論を進めております。

 まず見直し事項の関係につきましては、専門職大学につきましては、短期大学を含めて、先ほど申し上げた平成314月の開校ですので、その段階で専門実践の対象講座として給付を始めるという前提で今、制度設計の議論をさせていただいているという状況です。見直し事項マル3の社会人向けプログラムも、平成314月の対象講座への追加の前提で議論を進めていたと把握しております。

 その上で、では、これらの対象講座への追加に伴って、どの程度の財政影響が考えられるかというお尋ねだったと思います。まず、それぞれの制度改正の効果を詳細に把握するのは多少難しい面があるのですが、現行、専門職大学につきましては、文部科学省で認可申請があった大学を既に公表しているところですが、現時点で確か16校程度の申請だったと記憶しております。現行、専門実践の対象講座は2,000を超えるような状況ですので、専門職大学を追加したことをもって、直ちに雇用保険財政、保険料引上げにつながるといった事態になることはないだろうとは思っております。

 加えて、毎年の冬、雇用保険部会で財政について御議論いただいているところですが、教育訓練給付につきましては、専門実践はトレンドとしてかなり高い伸びを示しております。そういった伸びを勘案した上で財政試算をしているところでありますので、こういった対象講座の追加をもって、もともと雇用保険部会で御議論いただいていた、想定したような規模を上回るような財政的なインパクトがあるとは考えてはいないというような状況です。

○阿部部会長 よろしいですか。

○千葉委員 はい。

○阿部部会長 ほかにいかがですか。

○清家委員 今のやり取りに関連しまして、可能であれば、次回以降で構いませんので情報を頂ければと思います。いずれにしても年末というようなお話がありましたが、平成31年度予算の概算要求をされる際に、大体どれぐらいの規模になるのかというのは、恐らく念頭に置かれるのではないかと推察しています。先ほど、御質問にもありました財政影響との関連もありますので、もしその辺り、お示しいただけるようなことであれば、お願いできればというのを意見として申し上げたいと思います。

○阿部部会長 では、その点はよろしくお願いいたします。ほかにいかがですか。

○三島委員 私からも、論点()22ページの一般教育訓練給付についてですが、一般教育訓練給付の給付率の引上げの対象となりますキャリアアップ効果の高い講座について、人材開発分科会においてキャリアアップ効果の定義や公平性、納得性のある判断指標の策定をお願いしたいと思います。特にIT分野の拡充が中心となることが想定されますが、資料の3ページにもあるとおり、情報関係だけを見ても約350の講座がありますが、そういった講座が存在する中で、どの講座の給付を40%まで引き上げるかについては慎重な議論をお願いしたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。

○柳沢委員 22ページの論点の一番最初の所について余り御意見が出ていなかったように思いましたので、一言言わせていただきたいと思います。

 訓練期間は今まで3年の上限があったということですが、4年の講座が新たに専門実践教育訓練ということで指定されるのであれば、その4年分が必要だということでしょうから、今までの3年分の上限しか出さないということでは効果として薄くなるのではないかと思いますので、その講座内容の効果を認めて指定されるのであれば、やはり、上限についても柔軟に考える必要があるのではないかなと思います。ただし、先ほどの、「その他の意見」の所にありましたように、効果として、例えば定時制ということで4年間に延びただけであれば、それはやはり、当然、その取得する資格とのバランスというようなことで考慮される部分があるべきと思います。

 また、雇用保険でやるのがいいかどうかという議論は当然あるとは思うのですが、今、産業界でもいろいろと人手が足りないという議論がある中で、特に介護士とか看護師とか、あと、IT関係とか、人手が足りないと聞いております。そういった部分で流動性に資するという部分があるのであれば、少しでもその転身するところの支えになれば良いと思いますので、やってみるのも1つ手かなと。その上でその効果を十分に検証していただいて、またその何年後かに見直すというようなことを条件にというようなことで前向きに取り組まれたほうがいいのではないかと私は思っております。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。その他、いかがでしょうか。

○清家委員 今の柳沢委員の御発言に関連して私からも意見を申し上げたいと思います。この制度は保険料を財源に給付するという仕組みですので、やはりその効果、訓練によって効果が見込めるようなきちんとした制度設計をしていくという点は非常に重要と思っています。今回の論点()の中にも、例えばその専門実践の中で、2つ目のにもございますように、訓練前キャリア・コンサルティングの受講を必須化するとか、給付要件の中に受講効果の報告を入れるとか、そういった方向性は非常に重要と思っております。

 それから給付上限につきましても、私どもとしては、原則、今の3168万円というのは維持することが良いと思っております。ただし、今、柳沢委員からもありましたとおり、4年受けてキャリアアップないしキャリアチェンジに資するような講座ですと、やはり、4年分をしっかり出していくといったような対応も考えてしかるべきではないかと考えております。

 一般教育訓練給付の論点につきまして、今後、人材開発分科会で議論していただく際に、新たに4割給付になる部分も出てきますし、7割給付となった専門実践もありますので、全体として制度設計の整理もしっかり行いながら御議論を進めていただきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

○村上委員 今、2人の使用者側委員からは、給付上限を引き上げても良いのではないかという御意見でしたが、私どもとしては逆の意見を持っております。人材開発分科会の意見のまとめの「その他の意見」の所にも記載いただいているように、専門実践教育訓練給付の上限額は168万円でも高額だと考えておりますので、その給付上限の在り方を議論する上では、やはり失業給付の金額とのバランスは大変重要だと思っております。加えて、今度新設される専門職大学については、現時点ではまだ形がなく、就職・在職率という現在の専門実践教育訓練の専門職大学院のような実績もない中でのスタートとなるため、客観的な指標もなく、また、効果測定も難しいということもあります。そういう中で、訓練機関が4年になるから自動的に専門職大学についても168万円ではなくてもっと引き上げるのかということに関しては、大変否定的な意見を持っておりまして、そこは168万円を上限額とすべきではないかと考えております。

 それから、22ページで論点として出されている、2つ目の訓練効果のキャリアアップへの結び付きなどについての訓練前キャリア・コンサルティングや訓練受講の効果の報告を給付の要件とするということについては、前向きに捉えております。こうしたことも含めて、より訓練効果の高いものが講座として指定され、また、給付についても、それらの講座を受けた方が受給できるようにしていくということの方向性は賛同しているところです。一方、一般教育訓練給付についてですが、人材開発分科会にも参加しておりますので、キャリアアップ効果をどのような指標で測るのかということはどうしても難しく、何らかの代理指標で見ていくしかないという難しさを感じています。

 そういう中で、できるだけ客観的なものをどのようにして設定していくのか、あるいは、いつも申し上げているのですが、雇用保険が財源ですので、より納得性の高いもの、公平性の高いもの、あるいは社会的に必要とされているようなもの、そういうことを含めてキャリアアップ効果の高い講座についての指定が考えられるように人材開発分科会でも議論していきたいと思っておりますし、厚生労働省におかれても、是非そうした視点での検討をお願いしたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。

○青山委員 ありがとうございます。論点()の一般教育訓練給付の所ですが、KPIのような指標を用いて、キャリアアップ効果を測るというのは非常に難しい問題だと思いますが、考え方としては盛り込めるのではないかと思います。日本商工会議所としては、これからますます人手不足になるため、個人の生産性を上げなければいけないと考えています。個人の生産性向上は、結果として中小企業の生産性向上に結びつくため、単にキャリアアップという観点よりも、個人の生産性向上にいかに資するかという観点も必要になると思います。それからもう1点、地域経済への寄与、という観点も必要なのではないかと思います。

 また、一方で、極端に人手不足の業種、地域がありますが、考え方としては、そのような業種、地域にも配慮はすべきではないかと思います。そのような点について人材開発分科会で議論されるよう、是非お願いしたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 皆様の意見をお聞きしますと、人材開発分科会に意見を伝えていただくような御意見もありましたので、是非、それは伝えていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。また、この部会で議論すべきことは次回のところで議論したいと思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。その他、何かございましたら御発言いただきたいのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。特段ないようでしたら、本日は以上をもちまして終了したいと思います。

 本日の会議に関する議事録ですが、私のほかお二人の委員に署名を頂くことになっております。本日の署名委員は、使用者代表の柳沢委員と労働者代表の亀﨑委員にお願いしたいと思います。後日、事務局は連絡をお願いしたいと思います。次回の日程につきまして、事務局から御連絡をお願いいたします。

○田中雇用保険課長補佐 次回日程につきましては、事務局より改めて各委員と調整させていただいた上で御連絡させていただきたいと思っております。

○阿部部会長 それでは、以上をもちまして終了したいと思います。本日は活発な御意見を頂きまして、ありがとうございました。

 

(了)
 

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