2025年9月25日 令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録

日時

令和7年9月25日 13:00~15:00

場所

全国都市会館  3階 第1会議室

出席者

本委員
  • 尾形分科会長
  • 今村委員
  • 津留委員
  • 林田委員
  • 牧野委員
  • 眞庭委員
  • 中野委員
  • 眞野委員
  • 小池委員
  • 田宮委員
  • 鳥海委員
  • 井川委員
  • 河嶋委員
  • 秋山委員
事務局
  • 矢野課長補佐 他

議事

○尾形分科会長
 こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより、令和7年度第13回「診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
 本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
 また、今回の会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うことといたしております。
 初めに、委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、池田委員、飯島委員が御欠席です。また、秋山委員から15分ほど遅れての参加と伺っております。
 なお、カメラの冒頭の頭撮りはここまでとしたいと思います。
 それでは早速、議事に入らせていただきます。本日の議題は、「入院・外来医療等の調査・評価分科会におけるこれまでの検討結果(とりまとめ)(案)」ということですが、大変資料の分量も多いわけですので、全体を7つのパート、部分に区切りまして、それぞれのパートごとで事務局に御説明いただいた後に皆様に御議論をいただければと思います。
 なお、本議題につきましては、中医協の総会のほうへ報告する予定である旨を併せてお伝えしておきたいと思います。
 それではまず最初ですが、「1.急性期入院医療について」から「3.DPC/PDPSについて」の3項目につきまして、ページ数で言いますと1ページから13ページまでにつきまして、事務局からまず資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 入-1の資料に基づいて御説明いたします。
 1ページ目の目次のところに別添の資料のページ数も記載されておりますので、参考資料、かなり大部となっておりますが、そちらのほうにこれまでお示ししておりましたスライドも準備しておりますので、必要に応じて御参照いただければと思います。
 まず、2ページ目から御説明でございますが、「1.急性期入院医療について」であります。
 3ページ目にいっていただきまして、中間とりまとめから追加になったところが下線になっておりますので、この下線部を中心に御説明をさせていただこうと思います。
 まずデータのほうですけれども、こちらに記載のとおり、急性期一般入院料1の算定病院の救急搬送件数と医業収益、医業費用に関するデータをお示ししたところであります。また、こうした病院の包括範囲出来高点数の関係も新たな分析としてお示ししたところでございます。
 3ページ目の下のほう、これに関する意見を記載させていただいておりますが、同じ入院料1の中でも医療支援投入量に差があるのではないかといった意見がありました。
 また、専門病院、子ども病院などの状況、あるいは医業利益や経常利益の悪化に関係することであるため、こうした施設は1の評価が必要ではないかといった意見があったところでございます。
 4ページ目は拠点的な急性期機能についてであります。こちら、総合入院体制加算、あるいは急性期充実体制加算等の施設基準の関係性をまとめたもの、あるいは心臓血管外科の関係の実績データ、へき地拠点病院との関係性、精神科の届出病床数の状況の経年変化、こういったところの追加のデータをお示しして御議論いただいたところでございます。
 5ページ目にございますとおり、これに関連した意見としまして、総合入院体制加算、急性期充実体制加算の算定要件が似ているところがあること、また、こういった実績要件を満たす項目が多いほど、より拠点的な急性期の病院という見方ができるのではないか。また、精神医療等の必要な要件を組み入れつつ、各評価の趣旨を生かして統合して見直すことも考えられるのではないかといった意見もございました。
 また、地域性に配慮しつつ、シェアの評価、人口の少ない地域の評価体系について整理すべきではないか、また、精神科の医療提供体制のことも考慮して検討する必要がないか、こういった意見があったところでございます。
 続きまして6ページ目から「2.高度急性期入院医療について」であります。こちら、中間とりまとめから新たにお示ししましたデータとしまして、特定集中治療室管理料、あるいはハイケアユニット入院医療管理料、これらを算定する病院の救急搬送件数、あるいは全身麻酔件数との関係性のデータをお示ししたところであります。
 また、脳卒中ケアユニットについても、rt-PA療法、あるいは血栓回収療法との関係性をデータとしてお示ししたところであります。
 これに関する意見、7ページ目にございますが、特定集中治療室、ハイケアユニットの医療資源投入については、救急搬送件数が多くなるほどこういった医療資源投入量が多くなるという関係性、一方で、全身麻酔件数については、ハイケアユニットにおける医療資源投入量と逆比例している関係があるのではないか。こうした全身麻酔件数の多い施設では、各指標に対して安定した治療・術後管理が行われる結果として、個々の症例に対する医療資源投入量が抑制されているのではないかといった意見がありました。
 また、特定集中治療室、ハイケアユニットを有する病院の在り方については、こういった年間救急、あるいは全身麻酔の実質件数を指標として整理できるのではないかという意見もありました。
 脳卒中ケアユニットについては、rt-PA、あるいは血栓回収術の実績がある程度ある病院が設置すべきという点について検討すべきではないかという意見があったところであります。
 続きまして、2-2の医師の配置要件に関連したもの、8ページ目にございますが、令和7年度調査において、特定集中治療室管理料5、6と、あるいはそれ以外の区分において処置・モニタリングに関連する項目、あるいは患者状態に関する項目に関する患者の受入方針に大きな差は認めないというデータがございました。
 また、特定集中治療室管理料5、6については、その他の区分と比較して、その他の診療科の医師を配置している割合が多いといったデータもございました。
 これに関連して、分科会で挙がった意見、8ページ目の下のほうに記載させていただいておりますが、患者状態に関する項目に関する患者の受入方針に大きな差は認めなかったことを踏まえると、特定集中治療室の区分によって、機能的な点では大きな差は認めないのではないか、一方で、救急患者数は区分により差があって、これらは病院の規模が小さいなどの理由から受け入れない重症患者がいることを表しているのではないか、そういった意見があったところでございます。
 9ページ目の2-4の重症患者対応体制強化加算について新たに御議論いただいたところであります。これに関して分科会のほうでの意見、施設基準で急性期充実体制加算の届出医療機関のあることが要件となっておりますが、特定機能病院が当該加算を算定できないとなっていることについて、検討すべきではないかという意見があったところでございます。
 10ページ目からDPC/PDPSになります。まず、3-1の機能評価係数Ⅱでございますが、こちら、地域医療係数の中の特定機能病院に関連した医師派遣のところでございますが、特定機能病院の検討会において医師の派遣に関することが議論されていること、こちらのほうをお示ししたところであります。
 また、10ページ目の下のほうでございますが、複雑性係数に関すること、また地域医療係数における医師派遣の定義のことについて御意見があったところでございます。
 11ページ目の再入院・再転棟ルールは、同一傷病名による再転棟については、転棟後7日を超える場合であっても、原則として一連の入院として取り扱うこととすべきではないかという意見があったところでございます。
 3-3、持参薬ルールにつきまして、今、入院中の患者に対して使用する薬剤は、入院する病院において入院中に処方することが原則であり、入院の契機となった傷病に対する持参薬の使用は、特別な理由がある場合を除き認めないこととされているところでございますが、これに関するデータ、入院の契機となった傷病に対する持参薬の使用割合の分析においては、算定ルール上認められていない入院の契機となった傷病に対する持参薬の使用割合が5%以上となる医療機関も一定程度見られた、こういったデータがあったところでございます。
 これに関する御意見としまして、現行ルールの周知徹底を行うべきではないかといった意見がございました。
 また、12ページ目でございますが、こういった入院の契機となった傷病以外の持参薬の使用については引き続き議論する必要があるのではないかという御意見があったところでございます。
 3-4が点数設定方式でございますが、こちらのほう、意見としまして、入院数の割合の変動係数が著しく低い医療機関が一定数存在しているということで、病床稼働率を過度に重視した病院経営を行うと病床の活用が硬直的になるので、そうしなくてもいいような設計とすべきではないかという意見があったところでございます。
 また、点数設定方式における入院期間Ⅱのところ、在院日数の標準化が進んでいる診断群分類を中心として中央値に移行すべきではないかという意見、一方で、一定の激変緩和措置を設けるべきではないかという意見もあったところでございます。
 最後、3-5は特別調査の結果ですので、こちらは割愛させていただきます。
 説明は以上になります。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
 眞野委員、どうぞ。
○眞野委員
 すみません。1点だけ。11ページの持参薬ルールのところですけれども、入院の契機となった傷病に使用する薬剤は、院内で処方されるのが原則だというのはそのとおりだと思いますけれども、持参薬はもともとあるそれ以外の併存疾患に対する治療を継続するという意味合いで使用されることが多いのだろうと思います。一方で、入院の契機となった傷病の治療を進めた結果、その併存疾患の治療継続のために使用していた持参薬を変更することや、ポリファーマシー対策の一環で薬剤調整を行うこともあると思います。今後分析を進めるのだと思いますけれども、その際には、今申し上げたような点も考慮する必要があるのではないかと考えています。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
 前回の第12回分科会での発言の繰り返しになりますが、改めまして強調したい点ということで触れたいと思います。
 急性期の入院医療についてなのですけれども、医療機関として地域で果たしている機能という観点からデータを整理したところ、急性期一般入院料1の中におきましても実態に差があることが分かったということで、前回話しております。それから、総合入院体制加算と急性期充実体制加算につきましても、共通する部分がより鮮明になったということを前回申し上げております。
 これらのことから、機能が異なるものについては現存の評価を分け、一体的に見たほうがより特徴を捉えることができるというものについては、現存の評価を統合するということで医療機関の機能をより反映した医療の評価体系として整理できると考えられるのではないかということを改めて申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 これは分科会の意見としてどこに記載していただくのがよいか、ちょっと分かりませんし、最新の資料は今日午前中に送っていただきましたので、ひょっとしたらどこかに記載されていて見逃しているかもしれませんので、その点、失礼します。
 前回の総合入院体制加算、急性期充実体制加算の議論の中で、心臓血管外科手術の対象手術が異なる問題を我々ディスカッションしました。心臓手術の実績件数を決める場合には、令和8年度改定で一旦決めてしまうと、次の改定、令和10年まで2年間はそれに縛られてしまうと思いますので、これは前回も意見させていただきましたけれども、開胸CABGバイパス手術からも今急速にPCIステントに置き換わっていっていまして、開胸症例も激減していく流れが非常に早いと思われます。恐らくこの2年間、令和10年度までにも大きく変化していくと思いますので、ぜひ学会等によくヒアリングしていただいて、例えばPCI症例と開胸CABGを一緒にセットでカウントして、心臓手術治療症例数○○件とかいう評価に替えることも検討していただいたほうがよいのかなと思いまして、再度発言させていただいています。
 そしてもう一点です。7ページの分科会での意見のところに数々挙がっておりますが、全身麻酔実施件数2000件以上とかありますけれども、これも以前発言させていただいたかと思いますけれども、今後新たな地域医療構想で拠点的な急性期機能、すなわち、急性期拠点機能を議論する上でも、この全身麻酔実施件数というのがキーワードになることは間違いないと思いますが、この全身麻酔件数がすなわち医療資源が高い医療行為なのか、ほぼ間違いないとは思いますけれども、本当に医療資源を反映する指標として問題ないのかというのがちょっと時間切れで十分な検討ができなかったのかなと思っているところです。
 これは繰り返しになりますけれども、手術点数が低めの手術でも、例えばフリーランスの麻酔科医が歩合制になるので、安易に、全麻で麻酔かけましょうなんていうことにならないのか、あるいは、一方で、今までも手術点数の大きな手術は実際行われているという現状もあるかと思います。
 そしてもう一つ、開頭術、開頸術回復からも、今、PCIカテーテル治療、ステントコリリングとかで、全麻ではないけれども、低侵襲だけれども、医療材料等、医療資源はかなり使用しているものもあろうかと思います。最近の保材専、保険医療材料専門部会等でも、医療材料が保険償還価格よりも上がっていて逆ざやになっているというのが問題視されていました。今、前年比で3.5倍も620品目上がっているというようなことで、手術で使えば使うほど赤字になるといった報告もあるところだと思いますけれども、手術件数として、ロボット手術も含めて、医療資源投入量が多い手術はどれぐらい実際行われているのかというような視点で急性期拠点機能評価するということを、令和8年、来年までは分析が間に合わないかもしれませんけれども、次期の令和10年度の改定でもよいので、継続して検討していただければと思いまして発言させていただきました。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
 眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
 ありがとうございます。
 私は冒頭の1-1、3ページ上のほうに示されたような、これは前回も示されていましたけれども、やはり救急、それから麻酔件数が多いところで収益も多い一方で、費用、むしろそちらのほうが大きくかさんでしまっているというのが現実のところかと思います。
 特に私が申し上げたいのは、やはり高度の救急医療、高度の手術医療を展開している高度急性期病院においてその傾向が強いと私は認識しております。この理由としまして、もちろん材料費の高騰もありますけれども、これらの医療を展開するためには人材の確保というのが非常に重要であるし、それらの病院にとって負担になっているというのが示されていると思っております。
 これも前回話題になっておりますけれども、例えば外科の集約化、高度な治療、手術を展開するためにも必要ということは私もそのとおりだと思いますが、そのためには、手術を集約化するには、それに携わる医療人材の集約化ということも必要になるということで、これにつきましても、人件費、今、高騰している中でさらに人を集めていかなければいけないというのが急性期、高度急性期病院の大きな負担になっているということで、ぜひとも、その人件費の部分を中心にして、その辺りを十分に確保できる体制というものを今後検討していかなければならないと考えましたので発言させていただきました。
 私から以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。ほかに特に御意見、御質問がないようですので、本件は以上としたいと思います。
 それでは続きまして、「4.包括的な機能を担う入院医療について」から「6.療養病棟入院基本料等について」の3項目につきまして、ページで言いますと13ページから28ページまででございます。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 13ページ目の4.のところからでございます。こちらも下線のあるところを中心に御説明させていただきます。
 まず16ページ目でございます。リハビリテーション・栄養・口腔連携加算についてであります。これの加算のあり、なしに応じましてADLがどう改善するのか、あるいはADLが定着化した患者の割合がどうなっているのかということでデータをお示しさせていただきまして御議論いただいたところでございます。
 また、土日祝日のリハビリ提供の状況、加算あり、なしでどうなのかということについてもデータをお示ししたところでございます。
 17ページ目にございますが、地域包括医療病棟の医療資源投入量に関すること、患者ごとに予定入院、緊急入院、あるいは手術の実施の有無により1日当たり包括内の出来高実績点数の患者ごとの分布を比較したデータをお示ししておりますが、手術を行わない緊急入院群で1日当たり包括内出来高実績点数の平均値は約440点高く、群による差が大きいという結果がございました。
 また、18ページ目、地域包括ケア病棟のほうですが、急性期病棟を有する施設では、有さない施設と比べて直接入院の患者の状況が違うというデータ。また、包括内出来高実績件数については地域包括医療病棟と比較するとばらつきが少ないというところがございましたが、緊急入院の有無によって包括内の出来高点数は高い傾向があったというデータとなっておりました。
 19ページ目、包括的な入院医療を担う医療機関の機能についてというところでございます。こちら、後方支援に関する現状評価について、在宅患者緊急入院診療加算の状況、あるいは介護保険施設等連携往診加算、あるいは協力対象施設入所者入院加算、こういった点数がございますので、これの実績の状況、算定の状況のデータをお示ししたところでございます。
 また、在宅患者緊急入院診療加算や協力対象施設入所者入院加算のお互いの件数の相関性などについても、相関していないという結果でございましたが、こういった分析もお示ししました。
 また、救急搬送件数からの入院が15%超えるような地域包括ケア病棟の状況、こういった病棟における特徴、在院日数の特徴、在宅復帰率の特徴、重症度、医療・看護必要度の特徴、こういったのをお示ししたところであります。
 また、協力対象施設入所者入院加算の施設基準となっている在支病、あるいは在宅後方支援病院、地ケア病棟を有する病院、これはいずれも満たさなくても、施設からの緊急入院を受け入れている施設があったというデータがあったところであります。
 20ページ目、こういったデータに関する分析の意見でございますが、緊急入院を多く受け入れている地ケア病棟は一定の評価を検討されるべきではないかという意見。後方支援の加算については、病棟の役割という観点では、何割程度を実際に包括ケア病棟で受け入れているかということを指標とする考え方もあるのではないかという意見がありました。
 介護施設からの入院を多く受け入れている地域包括医療病棟があるので、こういったところは評価対象としてもいいのではないかという意見もあったところでございます。
 また21ページ目、後方支援機能を担う施設、200床、400床といった病床規模の制限がつくられているところがありますが、医療資源を柔軟に活用できるようにこういったところを見直してもいいのではないかという意見もあったところでございます。
 「4-4.包括算定病棟における高額薬剤の使用について」ということで、地ケア病棟、回リハ病棟、あるいは療養病棟などにおいて、入院の受入れが困難となる理由として、「高額薬剤を使用している」と回答した施設がいずれの入院料でも4割を超えていたという状況がございました。
 特に困難である薬剤については、トルバプタン、パーキンソン病治療薬、血友病以外の出血抑制の医薬品、また骨粗鬆症治療薬、生物学製剤を含む分子標的薬、こういったところが薬の例として挙げられたところであります。
 ここに関する分科会での御意見、転院前に急性期病院で大量の高額薬剤の処方をしなければならなくなり、急性期の病院の負担になっているのではないかという実態の御指摘がございました。
 また、高額薬剤を使用しているため、包括期病棟の適応があるにもかかわらず受入困難な例は実際にあるという意見がありました。
 また、抗悪性腫瘍剤、生物学的製剤などを長期に使いながら維持期を過ごす患者が増えているという実態もあるのではないか、除外薬剤そのものの考え方について改めて検討する必要があるのではないか、こういった意見があったところでございます。
 21ページ目の下のほう、5.の回リハ病棟に関することでございます。
 22ページのほう、まず実績指数に関連したところ、実績指数から除外可能な要件のうち、年齢が80歳以上の者については、該当割合が50%以上の施設が9割超えているというようなデータがございました。
 また、FIMの下位項目、トイレ動作が入棟時に5点以下の患者についても、退院先が自宅である患者は、転棟・転院した患者に比べて、退院時に6点以上改善した割合が高いというデータがあり、こういったデータをお示しした上で御議論いただいたところでございます。
 分科会における意見としましては、80歳以上、認知機能が低い患者と全体の患者でFIM利得に大きな差はなく、改善しないから受け入れていないかというとそうではないということもあるので、実績指数の計算対象から除外する必要性は乏しいのではないかという意見があったところでございます。
 また、在宅復帰を目指す上で、FIM下位項目の得点が2点から3点に上がることと5点から6点に上がるのでは意味が異なる可能性があるということで、こういった効果を見落とさない評価をすべきではないかという意見があったところでございます。
 5-2が重症患者割合でございますが、こちらも重症患者実績数の除外基準両方に該当する患者が増えていることは理解するが、重複しないようにすると重症な患者も選別せずに入院を受け入れてほしいという当初の理念と食い違いが生じるため、慎重に検討すべきと、こういった意見があったところでございます。
 23の下のほうで、「5-3.廃用リハビリテーションについて」であります。こちらも回リハ病棟における実態、心大血管リハのことも含めてちょっと実態のデータをお示ししたところでございます。
 これに関する分科会での御意見、24ページ目でございますが、回リハ病棟における心大血管リハの算定回数が少ないことについては、廃用症候群として実施されている実態があるかも含めて原因を分析すべきという意見がございました。
 また、令和6年度改定後も運動器リハビリテーション6単位を超えて実施している患者が相当数いるが、単位数が増えてもFIM利得がほとんど変わっていないため、6単位を超えるリハビリを実施できる対象について分析を深めてはどうかという意見があったところでございます。
 「5-4.質の高いリハビリテーション医療の推進」ということで、退院前訪問指導料、指導の実施状況のデータ、あるいは地域リハビリテーション活動支援事業の地域支援事業に参加していることに関するデータ、あるいは排尿自立支援、摂食嚥下機能回復体制加算、こういったところのデータについてお示ししたところでございます。
 これに関する御意見としまして、退院前訪問指導については60分以上かけて行っている施設が9割を超えており、実施内容を踏まえた適切な評価方法について検討すべきといった御意見がございました。
 6は療養病棟の基本点数であります。
 26ページ目にございますとおり、DPCデータにおきましては、入院料2で医療区分2・3の割合が6割以上である施設が95.5%というデータでございました。また、身体的拘束と認知症、あるいは挿入デバイスがあるかどうかということとの関係性に関するデータをお示ししたところでございます。
 これに関する分科会での御意見につきましては、同じ患者が肺炎を発症した場合、同じ処置区分に該当する項目が2つ以上生じた場合の医療資源投入量についても検討してはどうかという意見がございました。
 また、入院料2の場合、医療区分2・3の患者が6割を超える施設がほとんどであることを踏まえて基準を検討する余地があるのではないかという意見がございました。
 身体的拘束についても、デバイス、認知症以外の要素で患者像に違いがあるのか、病棟そのものの手厚い見守り等の取組が異なるのか、夜間を含めた人員体制まで踏まえて検討を進めるべきではないかという意見があったところでございます。
 6-2は経腸栄養管理加算・摂食嚥下機能回復に関することであります。
 こちら、27ページ目にございますとおり、経腸栄養管理加算届出施設、契約している施設のうち、算定回数が0の施設が9割であるというデータ、また、摂食嚥下機能回復体制加算3の算定回数の施設は94施設、算定回数0回の施設が約6割だった。こういうデータを新たにお示ししまして御議論いただいたところでございます。
 これに関する分科会での御意見、27ページの下のほうにございますが、身体拘束の分析と併せて考えると、認知症がないのに身体的拘束を受けながら中心静脈栄養を続けられているような患者の栄養管理の在り方について議論が必要ではないかといった意見がございました。
 また、28ページ目、嚥下造影、内視鏡下嚥下機能検査の体制、これは全体の3分の1程度であることは分かったが、全ての施設で検査体制が必要なのかどうかについては検討の余地があるのではないかというような意見があったところでございます。
 6-3が在宅復帰の取組ということで、在宅復帰機能強化加算という点数加算がございますが、これの算定状況などについてデータをお示しして御議論いただいたところでございます。
 分科会の御意見としまして、こういった在宅復帰機能強化加算ありでも死亡退院が5割を超える病棟があるが、療養病棟としては決して望ましい姿とは言えず、加算の要件として死亡退院を含めた在宅復帰率を見ることもあり得るのではないかといった意見がございました。
 6-4が障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料についてであります。こちらについては実績のデータもお示ししたところでございますが、レセプトやDPCデータにおいては、もともとの患者の要件に係る傷病名ではなくて、入院契機となった傷病名が記録されているため、入棟要件のいずれに該当する患者なのかの把握は難しいというデータの見解があったところでございます。
 4.から6.までの御説明は以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
 井川委員、どうぞ。
○井川委員
 ありがとうございます。
 詳細に地域包括関係から回リハ、療養病床に関して我々の意見を非常によく取り入れていただいておるのですけれども、余り文句つけようがないといいますか、非常にいい報告書だなと思いながら見させていただいたのですけれども、何点か、御要望としてあります。
 例えば22ページの5-1の一番最後の○ですけれども、回リハの病棟患者のうち、入棟に比べ退棟時のFIM得点が低下した患者の5%未満の施設は約64%という形のこの5%の根拠というのがそもそもないのではないですかというお話を多分分科会自体ではさせていただいたと思うのですけれども、そこに対する記載が我々の意見のほうには反映されていなくて、5%がそのまま生きてしまっているというのが少し残念であります。
 それとあと、療養でございます。療養は非常に細かく分析はしていただいているのですけれども、基本的に療養病床の一番大きな変更というのは、医療区分を結局30区分に変更したことだろうと思います。今年の4月17日に行われた令和7年度の第1回の分科会のときに、療養病床等において令和6年度の改定で大きな変更、見直しであるにもかかわらず、調査項目には療養病棟の入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響についてというものがあって、その中に入院患者の医療区分、患者割合の状況であったり、各入院料ごとにおける患者の状態、それから医療提供内容とか、平均在院日数とか、そういうものを調べるということになっておりました。
 そのときに私が質問させていただいたのは、令和7年度調査にもないし令和6年度の調査にもないので、これはDPCとかそのようなデータ提出のものから取ってお出しいただけるのかと質問させていただいたところ、事務局のほうには、そのとおりであると、お示しいただけるというお話をいただいたのですけれども、今日、本日を迎えてもそこの部分というのは全く出てきていないというのが現状でございます。
 確かにほかの項目に関しては非常に細かく出していただいていてありがたいと思うのですけれども、根本的に診療報酬の医療区分を変えたにもかかわらず、医療区分そのもののデータが全くないという状況に今なっていて、その状況で医療区分の変更が成功であったのか不成功であったのかということに関しても全く言えないと私は思います。
 そういう観点から、療養病棟的に言うと、この報告書にないというのが余りにも不自然なまま、しかも、今回、これは飛びますけれども、最後に1つ、中長期的に検討すべき課題というのがあって、それを追記しますということで、結局、これの資料そのものが今朝まで延びたと伺っておりますので、そこのものには入っていない、療養病床、全くゼロなのですね。それから考えると、療養病床、今後どうしていくのと言わざるを得ないという気がいたしますけれども、事務局はその点、どうお考えでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。
○尾形分科会長
 これは御質問ですので、事務局、お願いします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 今、御指摘のありました令和6年改定で医療区分に応じて入院料が30区分に見直した影響につきましては、すみません、そこはこのとりまとめ報告書に文章としての記載がちょっとないようなので、そこは追記させていただきたいと思うのですが、分析としましては、8月21日の分科会でもお出ししたところです。
○井川委員
 それは全体区分、療養病床1、2とかそのようなレベルの話であって、医療区分それぞれに対してどうであったかとか医療資源投入量がどうであったかとかいう話は一切出ていないですよね。各区分に関して言うと。
○矢野補佐
 各区分の中での包括範囲出来高点数のデータをお示ししましたし、令和5年から令和6年にかけて実際に重症な患者の受入れが進んだかどうかという観点で、医療区分がどのように全体として移ったのかというデータは分析させていただいたものを8月21日にお示ししてございます。そういったことのデータ及び御意見みたいなところについて、ちょっと記載が漏れていたとは思いますので、そこは追記させていただきたいと思いますが、事務局側としてはそういった分析をDPCデータなど用いて行ったという認識でございます。
○井川委員
 分かりました。
○尾形分科会長
 よろしいですか。
 それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
 ありがとうございます。
 私から2点で、まず1点目は、24ページの回復期リハビリテーションのところの記述で、申し上げたように、心大血管リハビリテーションの算定が非常に少ないことについて言及していただいて、ありがとうございます。非常にこれは重要なことなので、ここに書いてあることも含め、どうして少ないのか、施設基準についても検討が必要かと思います。この記載は、それらも含めてということだと思うので、ニーズがありますから対応をぜひ進めてください。追記いただいてありがとうございます。
 それからもう一点、28ページですけれども、療養病床のところで(分科会での評価・分析に関する意見)というところがございまして、「在宅復帰機能強化加算ありでも死亡退院が50%を超える病棟があるが、医療保険の療養病棟としては決して望ましい姿とは言えず、加算の要件として、死亡退院を含めた在宅復帰率を見るということもあり得るのではないか」と書いてあるのですけれども、2つありまして、この在宅復帰率に死亡退院を含める見方というのがちょっと私覚えていなくて、どのように見ていくのか。死亡が多いのはよくないので、在宅復帰機能加算には入れないのか、死亡退院をどのように含めるという意味の文言か、これだけだとちょっと分からないので、もう少し説明が必要かなというのが1点。
 それからもう一点は、療養病棟の在り方は前からここでも議論になっているのですけれども、死亡退院が確かに多いのですね。でも、前回お話があったように、透析ですとか、透析の患者さんで送迎が難しくなった方はやはり療養型に入っている方が多いのですよね。だから、そういう理由で医療ニーズが非常に高い、そして介護ニーズもある、そういう場合は他の介護施設に入れませんので、療養に入って、最後まで療養するということもあり得るわけですね。
 そういうニーズもある中で、医療保険なのでということは分かるのですけれども、「決して望ましい姿とは言えず」まではっきり書いてしまっていいのかなと、私は疑問があります。ある程度医療ニーズの高い方に対応しつつ、最期までいられる場所であるという役割もあると思います。
この文章について、前者はどのような方向の意味の書き方なのかということと、この50%が、「決して望ましい姿とは言えない」のかというところとちょっと2つ疑問に思いまして、これは御質問です。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
 これは御質問ですので、事務局、お願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 まず、在宅復帰率に死亡退院を含めたというところの意味についてなのですが、こちらは分科会の委員から出た意見をそのまま要約して記載させていただいているものではございますが、認識としましては、こうした在宅復帰率を計算するときに死亡退院を、分母からも分子からも除くという考え方ではなくて、死亡退院も分母、分子に組み入れた計算をすべきではないかという御意見ではないかということで認識しておるところでございます。
 これが望ましいのか望ましくないのかということについては、この療養病棟の在り方は決してこの中医協だけで決まるものではなくて、もっと全体の施策の中でも検討されるべきものであると思います。なので、ここの場で結論を出すものではなくて、あくまでこの分科会でこういう意見があったということを抜粋して記載させていただいているもので、事務局として、こういう方向性であるべきという趣旨のものではないのですが、そういった意見があったという形で今の段階で記載させていただいておるものでございます。
 以上です。
○尾形分科会長
 田宮委員、よろしいでしょうか。
○田宮委員
 そうですね。分科会、一委員の意見ということであれば。ただ、「決して望ましい姿とは言えない」とこの分科会が考えているかというのは、そこはまだ議論がこれから、本当に重要なところなので、ちょっと書き方が、そういう議論があったとかにしていただいたほうがいいのかなと思います。
また、在宅復帰率の中に死亡を分子・分母にも入れるということですか。そうすると、療養病棟の中で死亡がある程度あったら、それも在宅復帰ということでカウントするという方向なのでしょうかね。それとも、死亡は、この文章が、療養型の中で死亡するのはいいとは言えないということであれば、死亡は減らすようにしていかなければいけないという方向にこれを加算するのか、それはどっちかよく分からなくて、今の両方に含めるということだと、死亡退院がそこそこいても、それは在宅復帰と同じように考えるということになると思うのですよね。
 ちょっとそこがよく分からないので、この数字、この意見が何を意味しているのか、やはりご確認いただいたほうがいいような気もします。分子、分母に両方入れるという意見だったのでしたっけ。ちょっと覚えてないのですね、私も。死亡退院をどちらに入れるかというのは結構大きいと思いますので、書き方を、確認いただくほうがいいかなとまだ思います。すみません、しつこくて。
○尾形分科会長
 これは委員からの意見ということですが、何か事務局のほうでコメントはありますか。
○鈴木補佐
 少し補足をさせていただきます。まず、記載について、「望ましい姿とは言えず」というところの引用につきましては、また事務局で分科会全体の御意見として成り立つように修正を検討させていただきます。
 その上で、死亡退院についての当日の議論を今振り返っておりましたけれども、添付資料の②、137ページのスライドを見ての御議論であったかと記憶しております。この際は、在宅復帰機能強化加算におけます現在のこちらの在宅復帰の計算の仕方におきまして、まず今の計算の仕方では、分母から死亡退院は除かれていて、要するにきちんと生存した状態で御退棟された方の中で自宅に退院された方というのを在宅復帰とカウントしてございます。
 こちらには、分母の中に全員を含んだ上で在宅というのを計算する、あるいは、もう一つ、グラフの左右を見比べていただきますと、そのように死亡を除いて計算した在宅復帰が高い方の中で、なおかつ、死亡退院も高い病棟というのもあるということに注目されて、死亡退院は一定の割合以下であって、なおかつ在宅の復帰が高いところを評価するという要件の在り方もあるのではないでしょうかと、そうした御意見だったと記憶しておりますので、委員から当日出た、死亡退院も含めてというものの解釈はそういったことだったと記憶しております。
 少し言葉を補ったほうが意図が伝わるかと思いますので、分科会の御意見のところは修正を検討させていただきます。
 以上、補足でした。
○田宮委員
 ありがとうございます。それなら理解できました。
○尾形分科会長
 よろしいですか。ほか、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、ほかに特に御意見、御質問がなければ、本件は以上としたいと思います。
 それでは、先にまいります。続きまして、「7.重症度、医療・看護必要度について」から「11.病棟における多職種でのケアについて」の5項目、ページで言いますと29ページから47ページまでにつきまして、これもまず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 29ページ目、7.でございますが、7-1の特定集中治療室・ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度についての下線引いておりますところ、こちら、中間とりまとめ以降、看護必要度に関する基準の患者の該当割合のデータの状況、個別に動脈圧測定とか肺動脈圧測定とか、こういった個別項目に関する実態についてもデータをお示ししておりますし、また、蘇生術の施行、あるいは抗不整脈剤の使用、一時的ペーシングなどについての状況もお示ししたところであります。
 こちらについて、30ページ目、御意見があったことについて追記しておりますが、人工臓器サポートや心血管作動薬などの薬剤持続投与を行わない動脈圧測定、中心静脈圧測定は、中間ユニットがない医療機関においては集中治療室で行うことがあるのではないかという意見がありました。
 また、特定集中治療室用、あるいはハイケアユニット用の基準については、該当する患者や施設の割合を踏まえて検討すべきではないかという意見があったところでございます。
 続きまして7-2の一般病棟用の重症度、医療・看護必要度でございますが、まず、必要度Ⅰ、Ⅱのところについては、重症度、医療・看護必要度の記録について、病棟看護管理者が課題に感じていることについての割合、こちらのデータをお示ししたところでございます。
 また、B項目について、令和2年度改定でB項目について患者の状態と介助の実施に分けた評価として、「評価の手引き」により求めている「根拠となる記録」は不要とするという見直しを行ったところがございます。
 また31ページ目、新たなデータとしまして、患者全体の入院中のB項目の平均値、入院後の日数の経過でどのように動いていくのかということについてのデータ、あるいは、これを予定/緊急入院別で見たり、あるいはA項目の変化との関係性といった形で様々な分析をいたしましてデータをお示ししたところでございます。
 32ページにございますとおり、その結果、B項目は疾患によって悪化した身体機能によるケアの必要性と発症前からの身体機能によるケアの必要性の双方を反映した指標であると考えられたというところでございます。
 また、内科系症例における重症度、医療・看護必要度について、救急搬送により入院した内科系症例の重症度、医療・看護必要度の該当割合は、救急搬送でない外科系の症例と比較して、いずれの入院料においても低かったということ、救急搬送からの入院、緊急入院の約8割を内科系症例が占めていたこと、また、日本内科学会の提出資料によれば、検査、処置を追加する案が提案されておりますが、これによって該当患者割合が24.3%から22.8%に縮まるというデータ、また、A・C項目を精緻化するのではなくて、病棟や病院の負荷をかけずに医療・看護必要度の底上げを用いる方法として、救急入院を要する状態の評価を令和6年改定で5から2に引き下げられていますが、これを単純に戻すと入院を延長する要因となり得ることも考慮して、救急搬送応需件数を各病棟ごとに案分する考え方などをお示ししたところでございます。
 これらのデータに基づいて御議論いただいたところでございますが、32ページ目の一番下のところ、令和2年改定の記録簡素化については再度周知すべきではないか、また、33ページ目、B項目に代わる指標がないのであれば、引き続きB項目の測定が必要ではないか、また、B項目については要介護度が高い点数で変化しない傾向、A項目と同じ方向で動く傾向が見られているので、一定の要件に該当した場合は測定を省略するといった負担軽減策は検討し得るのではないか、内科系症例の診療を評価する方法として、緊急入院は効果があると考えられるものの、指標が繁雑になり過ぎないよう、病院の負担や予見可能性の観点を踏まえて、技術的な課題について詳細に検討すべき、こういった意見があったところでございます。
 33ページ目、8.の救急医療、こちらは追加の検討事項はありませんので、説明は省略させていただきます。
 9.が入退院支援であります。35ページ目にございますとおり、新たなデータとしまして令和7年度調査に基づく結果などをお示ししておりました。退院困難な患者のうち退院調整完了までに時間や人手を要する患者について、身寄りのない同居者が不明な者が多いという結果がありました。
 また、退院先の確保に関する取組の調査、協力医療機関となっている施設の数、これに関するデータもお示ししたところであります。
 36ページ目、協力医療機関ごとの人数の状況でありますとか、病院における地域医療情報連携ネットワークなどのICTの活用の状況、また、カンファレンスの状況でありますとか、精神科入退院支援加算の関連、また地域連携診療計画加算、クリティカルパスの加算の状況、あるいは面会制限に関する状況、これらについてデータをお示しした上で御議論いただいたところであります。
 これに関する分科会での御意見、37ページ目、下線でお示しさせていただいていますが、身寄りのない同居者不明である者については人手を要している状況が分かり、こういったところは非常に苦労が多いことを踏まえて検討すべきではないか、同居の高齢者が増えることも踏まえてこういったところを検討してはどうかという意見がありました。
 また、退院先の確保においては、ケアマネージャーとの連携が重要という意見がございました。
 また、本人と家族の意思の確認についてはコミュニケーションが重要で、面会制限との関係性があるのではないかという意見がありまして、面会ルールについては、状況に応じて変える工夫をしていく必要があり、何らかの方針を示していただくことが必要ではないかという意見があったところでございます。
 また、平時からの連携に関連したこと、協力医療機関の専門性高い人材が介護施設を訪問して支援するなどの取組が実際行われていることから、こういったことを強化していくことの検討が必要ではないかという意見がございました。
 また、介護保険施設の対応力強化するための協力医療機関としての機能についての評価が必要ではないかという御意見があったところでございます。
 続きまして10.の働き方・タスクシフト/シェアであります。38ページ目に10-1.医師についてというところがありますが、特に中間とりまとめ以降、医師事務作業補助の加算に関連したICTの活用についての調査結果をお示しし、AIの活用などの実態調査をしたところでございます。
 38ページ目、分科会での御意見、ICT化は極めて重要だが、多額の費用が必要であり、何らかの支援を考慮したほうがよいのではないかといった意見があったところでございます。
 39ページ目が看護職員についてであります。こちらは夜勤の状況でありますとか、妊娠・子育て中の職員の配慮の実施に関すること、また、短時間勤務、あるいは夜勤免除者の実態、夜勤手当の支払いの実態でありますとか看護職員夜間配置加算の状況、あるいは看護職員確保における有料求人サービスの利用状況、ICTの活用における業務負担軽減の状況、また、ICTの具体的な活用内容やそれに関する継続的に利用することにおける課題、また特定行為研修の領域別パッケージの状況でありますとか、感染対策の専門的知見を有する者の介護施設での助言、こういったところの状況などのデータに基づきまして御議論いただいたところでございます。
 41ページ目に分科会での御意見ございますが、20~30代の若年層において、看護職以外の他の職への興味が退職理由として一定程度挙げられていることから、処遇改善が進まない中では、他産業への流出も現実の問題として捉えるべきであるという意見がございました。
 また、子育て、介護を担う職員の配慮を進める一方で、夜勤の職員の確保が課題となっていて、夜勤手当の引上げが必要ではないかという意見があったところでございます。
 また、夜間看護体制特定日減算については、看護職員が病棟を離れることは質の担保に懸念があることから、拡大の必要性あるかどうかは慎重に検討すべきという意見があったところでございます。
 また、42ページ目でございますが、ICT、AI等の活用につきましては、看護の充実、質の向上のためにどういうICT機器を導入するのか、検討した上で導入されている例があり、病院の看護の状況をよく分かっている看護管理者がキーパーソンとなって進めていくとよいのではないかという意見がありました。
 また、令和6年度改定で感染対策向上加算における専従要件の明確化が行われたが、ほかの加算についても同様の見直しをしてもよいのではないかという意見があったところでございます。
 続きまして、「11.病棟における多職種でのケアについて」であります。11-1.リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算等についてでありますが、加算のありとなしに分けて、ADLの状況でありますとか、土日のリハビリテーションの実態などについて追加で分析を行った上でお示ししたところでございます。
 また、体制加算の有無に応じて、退院後の歯科受診の状況がどのように変わっているかについても追加でデータをお示ししたところであります。
 これに関する分科会での御意見、43ページの下のほうにございますが、体制加算に取り組みたい医療機関は多いものの、人員配置等の施設基準が厳しいため、伸び悩んでいるのではないかという意見。
 また、44ページ目でございますが、より一層病棟での多職種連携の推進が必要ではないかという意見もあったところでございます。
 11-2が病棟におけるリハビリテーションについてということで、こちら、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟のうちの疾患別リハビリテーション以外のADLの維持、向上を目的とした指導を実施している割合についてデータをお示ししたところでございます。
 また、回リハ病棟での「生活機能の回復に向けた支援」など、ADLに係る項目については療法士が関与している割合が高い、こういったデータもお示ししており、また、排せつや離床の促し、体位交換等の業務も療法士が関与している割合が高いというデータをお示ししたところでございます。
 これに関する御意見につきましては、44ページ目の下のほう、日常生活動作に関して、オンデマンドでリアルタイムに介入していくことが、退院後の生活に直結しているため、看護師は看護の視点で日々こうした支援を実施している。病棟での多様な職種の関わりが増えることにより、有機的に連携して、こういったマネジメントの経験ある人材がしっかりとまとめていくことが必要であるといった意見がございました。
 45ページの11-3.病棟における栄養管理について、こちらも算定要件の条件などでちょっと追加でデータをお示ししたところです。
 あと、病棟における薬剤管理につきまして、こちらは追記した部分はないので、説明は省略させていただきます。
 46ページ、11-5.病棟における看護業務とタスクシェアでございます。こちら、急性期から慢性期の43病棟を対象としたタイムスタディ調査のデータもお示ししまして、診療、診察、患者のケアに従事している時間が長く、全体の半分程度を占めているというデータがございました。
 また、病棟業務への多職種の関与、診察・治療のうち栄養状態、摂食・嚥下状態、ADL、口腔状態のスクリーニング・評価など、こういったところで管理栄養士、療法士などが主として実施している病棟がある、こういった調査結果がございました。また、臨床検査技師の関与などについてもデータをお示ししたところであります。
 患者のケアに関すること、看護師が主として実施していましたが、食事の配膳、排せつ介助、見守り・付添い、こういったことについては看護補助者が主として実施していると回答した病棟がある、また、離床の取組、患者宅への訪問は理学療法士が関与しているところが多いという調査結果もあったところでございます。こうした専門職が関わることにより、業務の安全性向上、効率化、迅速化のメリットがあるというデータがございました。
 分科会でのこれに関する御意見、有機的な多職種との連携が不可欠であるということ、また、療法士が病棟を担う役割に期待しており、どのような業務・ケアを担当するか詳細に検討してはどうかという意見。
 また、47ページ、一番上のところですが、大病院に雇用が集中して、需給バランスが崩れる懸念があるために、こういった加算を評価することについては医療機関ごとの需要に応じた柔軟な体制が取れるように技術的に検討すべき、こういった意見があったところでございます。
 説明は以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
 河嶋委員、どうぞ。
○河嶋委員
 ありがとうございます。
 41ページに看護職員の夜勤手当のことについて記載いただいてありがとうございます。夜勤手当の向上等は大変重要なのですけれども、現在の病院の経営の状況では、人件費を上げるだけの財源の確保が大変難しい状況ですので、重ねての意見になりますが、ダイレクトに夜勤手当の向上等のインセンティブにつながる仕組みをこれから検討していく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
 ありがとうございます。
 私からは、まず30ページのところですね。7-2の4つ目の○のところで、重症度、医療・看護必要度の記録についての負担感ということで書いているのですけれども、「特になし」が26.1とか、Ⅱが28.9とかあるのですが、実はこれと同じような内容のものが別なところに資料として出てきていまして、参考資料5の196ページ、ここで記録の簡素化という別なテーマで議論したところでこの資料が出てきているのです。「記録や書類作成等の業務で簡素化の必要性があるもの」、これは病棟のほうから出てきたものです。
 これで見ますと、実は重症度、医療・看護必要度の評価・記録に関して簡素化の必要があるというのが実は3番目に多くて、38.8%がそこで問題を感じているというような記載もあるのですね。こういったものもこのB項目のところに記入できないかというお願いなのですが、いかがでしょうか。
○尾形分科会長
 では、これは事務局、お願いします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 本日御議論いただきまして、意見、追記すべきところは追記するという趣旨で御議論いただいておりますので、今、追記すべきではないかという御意見をいただきましたので、そのように進めさせていただければと思います。
○尾形分科会長
 牧野委員、よろしいですか。
○牧野委員
 はい。ありがとうございます。
○尾形分科会長
 ほか、いかがでしょうか。
 眞野委員、どうぞ。
○眞野委員
 薬剤のところですので、45ページの11-4のところです。私が述べました意見を取り上げて記載していただいてありがとうございます。それで、150床云々の話は、医療機関の規模で考えたときには、例えば病棟薬剤業務実施加算の場合、150床程度ないとなかなか1人分の人件費にはならないという話をいたしました。一方で医療機関の機能で考えたときには、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟入院料の場合ですと、出来高算定可能なのはポリファーマシー対策の薬剤総合評価調整加算くらいになります。仮にポリファーマシー対策に一生懸命取り組んだとしても全然人件費の確保には及ばないということになりますので、結果的に薬剤師の確保のための財源が入手できず薬剤師が確保できないので、病棟での業務全般が展開できないという、ある意味、悪循環に陥っているところがあるようにも思いますので、こうした状況の解消にどのように取り組んでいくのかを考える必要があるのではないかと思っています。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは林田委員、どうぞ。
○林田委員
 ありがとうございます。
 29ページ、7-1.特定集中治療室・ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度についてのところです。特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度のA項目に「シリンジポンプの管理」というものがございます。ただし、これについては、ありの場合、1点ということになっていて、ほかには1点の項目がないため、基準であるA得点2点以上には影響を与えていないという現状です。
 そのため何かしら検討が必要なのではという意見が、分科会だったか、診療情報・指標等作業グループだったか、どちらでの意見か覚えていないのですが、あったように記憶しています。その辺りについて少し追記してもいいのかなと思いました。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、ほかに御意見、御質問等もなければ、本件は以上としたいと思います。
 それでは、先にいきたいと思います。次は、「12.外来医療について」から「14.入院から外来への移行について」の3項目でございます。ページ数でいうと47ページから55ページまでということになりますが、ここにつきましても、まず事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 47ページ目、外来医療について、12-1.地域包括診療料・生活習慣病管理料についてでございます。こちらのほうは、48ページ目にお示ししてあるような新たなデータとしまして、生活習慣管理料を算定する場合の主傷病名の状況、あるいは併算定の状況、また生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)をそれぞれどのような患者に算定しているかに関するデータ、生活習慣病管理料(Ⅰ)に包括される検査などの項目の実施状況でありますとか、生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定した患者さんの外来の血液検査の算定回数、また生活習慣病管理料を算定された患者の受診の継続率のデータ、こういったところを新たにお示ししまして分科会で御議論いただいたところでございます。
 49ページ目以降、分科会での意見をまとめておりますが、新たに出ていた御意見としまして、高齢者に対しては疾患重症化予防とともに、栄養・口腔機能・運動・社会参加を含む包括的なフレイル対策が求められていて、現在は行政が中心となっているが、限界もあるため、かかりつけ医を含む医療機関も一定の役割を担うべきではないかという意見がありました。
 また、生活習慣病患者について、6か月間検査が実施されていない患者が一定おり、適切な医学管理が行われているか疑問があるという意見がございました。
 また、生活習慣病管理料に関する調査結果から、検査料等が包括される生活習慣病管理料(Ⅰ)について、生活習慣病の疾患コントロールは良好で、合併症等も認められず、検査頻度が低下した状態において算定されていると解釈できるため、実態を分析した上で、医療資源投入量に応じた評価となるように検討すべきではないかという意見があったところでございます。
 50ページ目が12-2のかかりつけ医機能に関連すること、こちらは追加ございませんので、省略させていただきます。
 12-3.外来機能分化についてでございます。51ページ目にございますが、追加でお示ししたデータ、外来診療料の注2、3の減算の算定状況であります。1回以上であった病院の割合の状況、いずれの区分でも10%未満で、特定機能病院においては0%だったというデータでありますとか、外来診療料を算定した患者の主傷病名の状況でありますとか、減算を算定した患者の主傷病名の状況、あるいは特定機能病院において周知のポスターとか案内、こういったところの取組状況、あるいは再診患者を逆紹介するにおいての課題がどのようなことがあるのかでありますとか、いわゆる「2人主治医制」と呼ばれるような取組の実施状況のデータ、こういったものを新たにお示しした上で御議論いただいたところでございます。
 52ページ目の中ほどでございますが、これに関する評価・分析の意見でございます。特定機能病院等の再診患者について、悪性腫瘍、指定難病、小児慢性特定疾病の患者が一定数存在しており、これらの患者は逆紹介困難な傾向にあるが、傷病名のみで継続的な外来診療の妥当性を判断することは困難であり、例えば化学療法の実施や薬剤使用の具体的な診療行為についても検討する必要があるのではないかという意見がありました。
 また、逆紹介が可能な場合には、積極的に逆紹介を行うことが望ましく、地域の診療所との特定機能病院の連携を進めるとともに、いわゆる「2人主治医制」の導入なども含めて継続的な医学管理の在り方について検討が必要であるという意見がございました。
 13.の情報通信機器を用いた診療については追記項目がございませんので、省略いたします。
 14.の入院から外来への移行についても追加の部分はございませんので、こちらも省略をさせていただきます。
 説明は以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。
 今村委員、どうぞ。
○今村委員
 まず、48ページの下から2ポツ目、生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定状況で、6か月に1回も算定がない患者も一定数を占めていたと。それに対して、この評価・分析に関する意見として、49ページ下から2ポツ目、生活習慣病患者に6か月間検査が実施されていない患者が一定おり、適切な医学管理が行われているか疑問があるとの意見があったということでした。それらについて追記のコメントをお願いしたいと思います。
 この6か月検査が実施されていないということですが、そもそも前提として生活習慣病管理料については、症状や生活習慣等も含めて、患者さんの状態を総合的に評価した上で療養計画書を作成。この作成した計画書については患者さんに対して丁寧に説明し、同意をいただいた上で署名を受けて交付し、算定ということになっています。
 したがって、管理料が算定されている時点で、療養計画書に従った適正な医学管理が行われるという点に御留意いただきたい。また、当日示された検査料の算定回数に関するデータは、収集期間が半年間と限定であり、さらに個々の患者の状態によって、例えば管理料を算定している療養機関において、検査実施がない場合でも、健診や人間ドックの結果を医療機関に持参していただくことで検査を実施しないケースも多々見られる。つまり、できるだけ採血検査を省くなどして、患者さんの負担や医療費への影響等も考慮しつつ、質の高い医学管理を行っているという現状と捉えております。こうした点が十分に反映されていないことから、現時点では示されたデータのみをもって安易に結論を導くことは困難と考えています。
 一方で、療養計画書については、署名を求めることや記入すべき事項の多さ等により医師・患者双方の負担になっている。それが生活習慣病を適切に管理することの障害にもなっていることから、計画書の簡素化、必要項目の絞り込みなどにより臨床現場の実態に即した負担軽減をすべきと考えています。
 これらについてはとりまとめへの意見を追加いただければと思います。
 次に51ページ目の下で、いわゆる「2人主治医制等」という文言が使われておりますが、いわゆるとはついておりますけれども、2人主治医制というと、この言葉が少し独り歩きする可能性ないかなと。ここで言うのは、2人というか、複数主治医制ということではないのかなと思うのですが、ここは確認をさせていただき、いわゆる複数主治医制のことであれば、むしろ2人より複数主治医制のほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。後半は確認ということですので、事務局、お願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 「2人主治医制」という用語につきましては、実際に大学病院などでそういった2人主治医制を御理解くださいという形で逆紹介を促すような取組事例があるということで、「いわゆる」という形で、そういった事例があるということを基にこの用語をちょっと出させていただいておりました。
 その複数主治医制というところも、その関係性といいますか、よく働き方改革の中で、入院中の患者さんの管理として複数の主治医で診ますというようなパターンの御説明の中で使われたりとか、いろんな中でその用語が使われている実態で、一意に定まったものは現状ないということで、ここで用いているのも、大学でそういう取組があったという趣旨で、「いわゆる」という形で記載させていただいたものでございます。ですので、複数主治医とどういう関係性あるのかみたいなことも定まったものがあるわけではないという認識ではございます。
○尾形分科会長
 今村委員、よろしいでしょうか。
○今村委員
 はい。その上で、この言葉が独り歩きしないようによろしくお願いします。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
 すみません。カメラの調子が悪くて、真っ暗な中に手だけ挙がってすみません。
 51ページの下のほうで逆紹介についてというところがあるのですけれども、本会のほうでもちょっと発言をさせていただいた経緯がありますが、大学病院、特定機能病院等、健診施設から紹介された場合に、逆紹介がなかなか困難なことがありまして、逆紹介については、その健診施設等からの紹介でなかなか困難なことがあるということが課題であるというようなことを入れておいていただけるといいかなと思うのですが、御検討くださいませ。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、ほかに御意見、御質問等がなければ、本件は以上としたいと思います。
 続きまして、「15.賃上げ・処遇改善について」及び「16.人口・医療資源の少ない地域における対応」の2項目でございます。ページ数で言いますと55ページから58ページまででございますが、ここもまず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 「15.賃上げ・処遇改善について」でございます。こちら、中間とりまとめ以降新たに資料を御準備して御議論いただいた内容でございますが、こちらで御準備させていただいた資料、ベースアップ評価料の算定状況、あるいは外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定されている医療機関の特徴といったデータ、また、56ページ目にございますが、その賃金改善計画書ベースで見た賃上げの状況でありますとか、それを40歳未満医師、あるいは事務職員の賃上げの状況についてもデータを示したところであります。
 また、歯科技工所、あるいは薬局などについても併せてデータをお示ししたところであります。
 分科会での評価・分析に関する御意見、職責に合った賃上げが必須であるが、他産業に比べて賃上げ率が少ないため、こういったことが可能となる報酬制度を検討すべきという意見。看護職員処遇改善評価料、ベースアップ評価料の双方について、様々な影響を勘案して慎重に対応していくことが必要、また、書類作業が繁雑であるため、両者を統合することについては検討の余地があるのではないかという意見がございました。
 また、病床規模の小さい医療機関では、事務職員が不足している中、届出書類の作成の事務負担が多いという意見がございました。
 また、賃上げの原資は入院基本料等の増分で賄われるべきであり、ベースアップ評価料を入院基本料等に統合すべきであるが、難しければ、書類の簡素化、対象職種の見直しなどを講じるべきという意見がございました。
 賃金増率については、政府目標の4.5%に届いていないが、他方で、賃上げ促進税制も含めた目標であるため、税制の活用状況も分析が必要ではないかという意見がございました。
 続きまして「16.人口・医療資源の少ない地域における対応」ということでございます。こちら、基礎データをいろいろお示しし、また、急性期拠点機能を担う医療機関が代診医など派遣することが想定されているということ、また、医療支援の少ない地域に関するヒアリング調査を実施しましたので、その結果をお示ししたところでございますが、地域の外来診療を近隣の医師派遣に頼っているといった状況もございました。
 また、全二次医療圏の中の人口のばらつきもお示しした上で、こうした人口の少ない二次医療圏の実態についてのデータもお示ししたところです。
 また、へき地拠点病院の主要3事業の状況、情報通信機器を用いた診療の活用状況でありますとか地域医療支援病院における研修の状況などについてもお示ししたところでございます。
 57ページ目が分科会における御意見ということでございますが、巡回診療、医師派遣、代診派遣などは、へき地拠点病院以外でも実施されているということを踏まえて、派遣元医療機関が果たしている機能に着目した評価が重要ではないか、これが地域医療の継続的な確保に資するのではないかという意見があったところでございます。
 また、人口の少ない二次医療圏については、こういった地域の事情を踏まえた基準緩和や代替的な指標の検討が必要ではないか。また、オンライン診療については、都市部における利便性向上を目的としたものではなくて、医療アクセスが困難な地域への補完のことについて特に考えていくべきではないかという意見がございました。
 また、58ページでございますが、D to P with Nについては、看護師の同席により、オンライン診療では対応困難な検査・処置などが可能になる点があるので、こういった実態を踏まえた評価の検討が必要ではないかという意見がございました。
 説明は以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。
 今村委員、どうぞ。
○今村委員
 1点、55ページ、56ページで、まず、ベースアップ評価料(Ⅰ)の状況の説明、それとベースアップ評価料(Ⅱ)の説明があり、意見として、こちらのほうには賃上げの原資はということで書かれて、難しければ届出書類の簡素化や対象職種の見直し等を講ずべきとの意見と書かれております。
 それにちょっと補足説明ですけれども、実際、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)については、賃金改善計画や賃金改善実績報告書などの提出、報告作成が現実大幅に簡素化されたことから届出が伸びたということ。それでも対象職種が限定されているなど、十分な評価とは言えないから、算定をためらう医療機関がまだ少なくないということ。そして、入院ベースアップ評価料については、依然として届出内容が複雑で、小規模な病院においては対応できない現状もあるということから、各様式の簡素化が急務となっていますと。これは外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)についても同様の課題ということで、課題内容や手続の簡素化を図ることがより一層の賃金改善につながると考えられるということを補足説明させていただきます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 私からも、56ページの賃上げ・ベースアップ評価料に関する分科会の意見のところです。令和8年度の診療報酬改定の財源配分では、この賃上げ・ベースアップ評価料の部分が一番大きい比率を占めるのではないかと予測されます。これは以前分科会でも発言させていただいておりますが、あと、前回改定では、全ての病院、医療従事者、職員が対象にはなっていないという問題もございます。そして、この問題は、中医協総会と情報共有しつつ、もう別枠として論じてもいいぐらい大きな問題だということは発言させていただきました。
 56ページの意見の○の1つ目にもありますように、賃上げが他作業に追いついていない等々いろいろ問題ございますし、今後恐らく、その評価料の計算式までどうのこうの扱うかどうか分かりませんが、何かしらの見直しはされるのではないかと思います。
 その場合に、また何らかの技術的な検討をという余地があるという視点で、今後、12月とか1月とか、その辺りで技術的な検討をこの分科会で行うのかどうか、これも分かりませんが、そのような含みを持たす意見として挙げていただければということで発言させていただきました。文言は一任いたしますので、ぜひ御検討いただければと思います。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、ほかに御意見、御質問もないようですので、本件は以上としたいと思います。
 続きまして、「17.個別的事項」でございます。ページ数で言いますと58ページから74ページでございますが、これもまず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 58ページ目、個別的事項でございます。17-1の意思決定支援について、こちらは追加ございませんので、説明は省略いたします。
 17-2の身体的拘束最小化の取組につきまして、こちらのほうは61ページ目に記載させていただきましたが、クリップセンサーに関連すること、完全な拘束ではなく、動けば勝手に外れるものが多く、通常の抑制とは少し性質が異なる、うまく活用することで患者が完全に縛りつけられるといった環境から解放されるということも考慮していくことも必要ではないか、また、今回は身体的拘束最小化の基準が通則と位置づけられ、取組が始まった直後であるため、今後の変化を見ることも重要ではないかという意見があったということを追記させていただいております。
 17-3の栄養管理体制につきまして、データとして追記した入院時のGLIM基準による低栄養に該当する患者のデータを追記させていただきました。
 また、17-4のリハビリテーションについて、こちらも御議論いただいたところでございますが、土日祝日のリハビリテーションの実施の状況、あるいは退院時リハビリテーション指導料の状況でありますとか、リハビリテーション総合実施計画書の状況、目標設定と支援管理料の状況、こういったところに関連して御議論いただいたところでございます。
 63ページ目のところに意見を記載させていただきましたが、疾患別リハの専従要件につきましては、リハビリ室で実施されるリハビリテーションそのものの質が落ちないように留意しつつ、病棟でのリハビリテーションができることを明確化する必要があるのではないかという指摘がございました。
 また、より早期の在宅復帰につなげるため、土日も含めて中断しないように、その加算の算定要件を検討したらいいのではないかという意見もありました。
 また、退院時リハビリテーション指導料については、早期のリハビリテーション開始につなげるためにも、入院中のリハビリテーションを要件化するべきではないかという意見、退院時リハビリテーション指導料に関連しては、入院中にリハビリテーションを実施しない場合には算定できないようにする、これについては慎重な議論が必要ではないかという意見もございました。
 また、リハビリテーション関係書類は非常に多く繁雑であるため、簡素化が重要ではないかという意見があったところでございます。
 17-5は食事療養についてであります。
 63ページの一番下、食事基準の引上げによって給食提供に関して見直したこと、令和7年の調査もありましたので、これに関する結果のデータをお示ししております。
 また、嚥下調整食に関すること、食堂加算に関すること、また患者からの特別料金の支払いを受けて特別メニューを提供すること、こういった食事関係のルールについての調査結果に基づいて御議論いただいたところであります。
 挙がった意見としましては、病院給食が赤字で提供されていることを患者や国民はほとんど知らないと思うので、御理解いただいた上で、一部自己負担で引き上げることについて選択肢ではないかという意見があったこと。また、見た目や栄養量に配慮した嚥下調整食の取組は進めるべきだがコストがかかるということで、どう整理するか検討の余地があるとの意見があったこと。
 また、食堂加算についても、食堂を使用していない自治体があるのであれば加算の在り方について検討が必要ではないか。また、多様なニーズに対応した食事提供ができるように配慮すべきであるが、1食当たり17円という追加料金の目安は現状に合っていないので、見直しが必要ではないか、こういう意見があったところでございます。
 65ページ目、17-6、病院薬剤師については追加ございませんので、説明は省略させていただきます。
 17-7、ポリファーマシー対策に関連したもの、66ページ目に、一文追記させていただきますが、薬剤適正使用連携加算については、これを算定しない理由が「当該加算の存在を知らなかったため」が最も多かったというデータがございましたので、こちら、追記させていただきました。
 17-8、総合病院精神科については説明を省略させていただきます。
 17-9、診療科偏在対策に関連しまして、68ページ目でございますが、こちら、特に新たな資料といたしまして、山口大学の取組でありますとか消化器外科領域の高度な手術の実施状況、あるいは手術の休日・時間外・深夜加算1におけるチーム制を採用している場合の緊急呼び出し当番の翌日の状況に関するデータ、これをお示しした上で御議論いただいたところでございます。
 これに関する追加の御意見、69ページ目にございますが、高度な手術をほとんど実施していない病院もあるということであるので、集約化する必要があるため、役割分担、集約化を進めてはどうかという意見があったこと。
 また、手術の休日・時間外・深夜加算1における「緊急呼び出し当番の翌日が休日」という要件を満たさなくてよいようにするということは、連日勤務になって、加算の趣旨である働き方改革にはならなくなってしまう懸念があるので、慎重に判断する必要があるのではないかという意見がございました。
 また、手当をしっかり支給すれば緩和してもよいのではないかという意見とか、経過措置が終了すると加算が算定できなくなる病院が出てくるということについての意見があったところでございます。
 17-10のデータ提出加算に関連したことについて、こちら、外来医療の質の評価に関する研究班からのデータなども含めて御議論いただいたところでございます。
 70ページ目にございますが、外来データ提出加算については医療の標準化において重要であり、積極的にデータを収集すべきではないかという意見がございました。また、収集されたデータについては、医療機関のベンチマークやデータを用いた医療の質の評価への活用も含めて検討すべきではないかという意見がございました。
 17-11の透析医療についてであります。こちら、慢性維持透析患者の数でありますとか、血液透析の提供体制の状況、災害に関すること、シャントトラブルの対応に関すること、腹膜透析に関することなど、データに基づいて御議論いただいたところでございます。
 分科会での御意見でございますが、慢性維持透析を行った場合の2、3の算定回数は減少傾向であるので、評価方法を見直してはどうかという意見がございました。
 また、シャントトラブルについては、治療施設と事前に連携していないと不利益が大きいことから、連携を促す評価がいいのではないかという御意見がございました。
 また、71ページ目の上のところ、腹膜透析の取組、情報提供が不十分であること、またシャントトラブル対応、緩和ケア、患者の意思決定支援についてもまだ必ずしも十分ではないということから、こういった質の高い医療を推進する観点で評価を見直すことが必要ではないかという意見がありました。
 また、腹膜透析を増やしていくこと、あるいは通院困難な患者に対しての療養病床や介護施設を案内すると回答した医療機関が多いが、地域によってはこのような対応が難しい地域もあるということも踏まえて検討すべきと、こういった意見があったところでございます。
 次に17-12が災害医療についてであります。こちらは災害派遣に関する医療チームの設置状況であるとか、令和6年の能登半島地震への派遣の状況、あるいは派遣が困難であった理由など調査結果を示したところであります。併せて、新型コロナウイルス感染症の影響などについてもデータをお示ししたところでございます。
 分科会での御意見につきまして、大規模な地震が発生した際の施設基準を満たすことができなくなる場合の取扱いについては、発災数日後から発出されているが、被災地支援は迅速かつ継続的な対応が求められているので、緩和の内容は事前に明確にしておくべきではないかという意見などがございました。
 また、BCPに関することについては、義務化を含めた対応が検討されるべきではないかという意見がありました。
 17-13.小児・周産期医療についてであります。こちらは特にNICU、PICU、あるいはMFICU、こういったところについて実態のデータを基に御議論いただいたところでございます。
 73ページ目、御意見でございますけれども、移行期医療に関する御意見がございました。
 また、17-14.業務の簡素化について、こちらも病棟、あるいは施設票の調査結果に基づいてどういったところに簡素化のニーズが高いかということの調査結果をお示ししたところでございますが、分科会での御意見、積極的に進めるべきであるという意見がございましたが、一方で、リハの計画書については医師の指示を受けた療法士が説明して同意を得る仕組みも必要ではないかという意見、電子署名、IT機器を活用した業務の簡素化が必要だが、導入費用がかかることも意識して検討すべきではないか、訪問看護指示書が例示されているが、医師の署名は入院診療計画書等とは違うため、各様式の趣旨を考慮しながら簡素化を検討する必要があるのではないかといった意見があったところでございます。
 説明は以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それではただいまの説明につきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。
 眞野委員、どうぞ。
○眞野委員
 65ページの17-6.病院薬剤師についてのところで、ここで分科会の意見が1つ記載されています。ここではたしか外来処方に関する院内と院外の調剤技術基本料等の診療報酬の比較のデータが示されていて、それに対して意見を申し上げたように記憶しています。そうすると、ちょっと細かい話ですけれども、このとりまとめの分科会の意見の3行目の「院内処方の評価を上げることで」と書いているところは、「院内処方に対する調剤の評価を上げることで」にしたほうが適切かと思いますので、御検討いただければと思います。
 それと、今回、調剤業務に関する比較のデータが示されていましたので、もし検討するのであれば、入院患者の調剤に対する評価を考えてはどうかと申し上げましたけれども、ほかにも例えば、令和6年の改定でもがん薬物療法体制充実加算が新設されたように、病院の薬剤師が外来の患者に対しても多くの場面で薬学的な管理を実施しているということから、そういった方向の評価を充実させていくということも併せて考えられるのではないかと思います。
 それが1つと、その次の17-7.ポリファーマシー対策・薬剤情報連携についてのところですけれども、ポリファーマシー対策の肝はやはり情報連携だと思っています。前回も申し上げたと思いますけれども、現在は退院時薬剤情報管理指導料にひもづける形で、保険薬局に対して情報連携した場合に評価されていますけれども、在院日数の短い急性期から回復期や慢性期への転院時、それから回復期から在宅医療や介護施設等への転院、あるいは転所等の段階における情報連携については診療報酬では評価されていません。けれども、そういった情報連携が必要に応じて実際に行われているということを考慮すると、こうした情報連携をより適切に評価することでポリファーマシー対策がよりスムーズに実施されるようになるのではないかと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 非常に細かい話で恐縮です。66ページの分科会での評価・分析に関する意見の○の1つ目のところですけれども、これは恐らく発言された委員の言葉そのまま記載されているのかなと思いますけれども、急性期病棟で云々で、回復期以降と書かれていますけれども、分科会の議論でも最初から、回復期ではなくて、包括期という文言で統一しているかと思いますので、中医協総会に報告される場合は包括期に統一したほうがよろしいのではないかと思いました。
 それともう一つ、68ページの、ここも分科会での評価・分析に関する意見のところで、○の3つ目です。「外科領域の集約化や偏在是正については、急性期医療機関機能」という言葉がありますけれども、この文言が果たして一般的な用語なのかなと、ちょっと耳慣れない感じがしまして、例えば「急性期に係る医療機関機能」とかだったら問題ないのですけれども、これは医政局とかでも使われているような正式な用語ならば問題ございませんけれども、ちょっとそこが引っかかりましたので、発言させていただきました。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
 田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
 ありがとうございます。
 私は、71ページで、先ほども少しお話しさせていただいた透析について、通院困難な方について言及いただいてありがとうございます。ここに関して、中長期的なお話とかいうのも少しあったので申し上げますと、この問題は、医療保険で透析医療というものに対するアクセスを確保するという必要性と、それから、受け入れている介護施設のほうでは、医療ニーズが普通よりも高い方に対して介護で賄わなければいけないという問題と両側面がございます。全て療養型でというのも、またそれは医療保険の本当にあるべき姿かというのもありますので、こういう問題は医療保険と介護保険と両方で見ていかなければいけない問題で、ほかにもそういうことも出てきていると思います。中長期的に、次の同時改定、2030年でちょっと先ですけれども、医療は医療、介護は介護で議論していると、その間に落ちてしまう問題があるということをどこかで書いていただくなり、何か意識していただけるとうれしいと思っております。
 意見です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、ほかに御意見、御質問ともないようですので、本件は以上としたいと思います。
 それでは最後でございますが、18番目、「中長期的に検討すべき課題について」でございます。これにつきましても事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 74ページ目、「18.中長期的に検討すべき課題について」であります。これまで十数回にわたりましてこちらの分科会で御議論いただきまして、こういった課題の中にはデータの解析において技術的な限界があったり、あるいは委員の中でも見解の相違があったりするなどのこともありまして、中長期的に検討を要する課題があったのではないかということで、こうした課題については来年度以降に実施される入院・外来医療の実態調査、あるいは厚生労働科学研究などによりさらに検討が進められることが望ましいのではないかということで、こちら、ちょっとまとめさせていただいているものでございます。
 3つテーマがございまして、1つ目のテーマが持参薬のルールについてであります。入院中の持参薬の使用については、先ほど申し上げましたとおり、公平な支払いを実現する観点から、できるだけ統一的な運用になることが望ましいということでございますが、医療機関間でも大きなばらつきがあるというデータもございました。
 ただ一方で、これまでの分科会の御意見では、持参薬のルールの明確化を行う上では、医療安全を確保する観点、あるいは病棟における持参薬の確認業務の負担の観点、患者が薬剤を持参する負担の観点なども含めて様々な観点があり、また、持参薬の処方元が自院であるか他院であるかといったこと、予定入院なのか緊急入院なのかといったこと、あるいは入院中の診療内容と持参薬の関係性とか薬剤の特性別とか、様々な具体的な場面を想定して検討する必要があるということもございますので、その妥当性、丁寧に検討する必要があるという御意見があったところでございます。
 また、DPC以外でも薬剤費が包括される入院料がございますので、こういった病棟における持参薬の取扱いについても検討を進めることが望ましいという形で記載させていただいております。
 (2)が重症度、医療・看護必要度についてであります。①の一般病棟の重症度、医療・看護必要度についてでございます。これまでの経緯、平成20年改定において病棟のタイムスタディ調査の結果などを基に、「入院患者へ提供されるべき看護の必要量」を予測する指標として導入されたという経緯があり、これを活用した報酬評価が開始されたところであります。
 その後、平成26年改定では、患者像に応じた適正な評価を行うという観点から、「重症度、医療・看護必要度」に名称が変更され、急性期患者の医学的特性を測る目的を重視した項目の改定が行われ、また、28年改定では、医学的状況を測るC項目の追加、平成30年改定では測定負担を軽減する観点から、A、C項目をレセプト電算コードにより評価する看護必要度Ⅱが選択可能となった、こういった経緯がございます。
 こういった経緯を踏まえますと、よりよい入院料の評価のための重症度、医療・看護必要度の実現、これを検討する前提としまして、入院患者に提供されるべき看護の必要量を予測するということと急性期患者の医学的特性を測ることという2つの考え方をどのように勘案すべきかということについて整理が必要ではないか。
 また、開始から20年を経て、入院患者の高齢化、電子カルテの状況、ICT技術の進展、インフォームド・コンセントなどの患者本位の医療の普及などによって病棟の看護業務の変化があるという指摘もございました。現在の指標が実際の病棟の看護必要量を適切に推測できているのかについて検証が必要ではないかといった意見もございました。
 この点、最新のタイムスタディ調査によりますと、病棟看護業務の約25%を「診療・治療」が占め、約25%を「患者のケア」を占めているという実態が最新の調査でありましたが、「診療・治療」の定量的評価についてはレセプト電算コードを用いて表現可能であり、A項目・C項目、医療資源投入量(包括範囲出来高実績点数)についてはレセプト電算コードを活用した評価が可能となっている状況であります。
 また、「患者のケア」については、要介護度、ADL、B項目などで測定され得るが、これらの評価項目は重複があって、一定の類似性があるという分析結果となっている状況です。
 B項目につきましては、特に患者の高齢化に伴う近年の看護業務の増加を証明することに有用ではないかという意見がございますが、B項目のこうした観点での有用性の検証というのは、レセプトデータ、あるいは診療行為情報が主体のDPCデータでは限界があることに留意する必要がある。
 さらに、こうした検討についてはあくまで適切な診療報酬の支払いを実現する観点で行われるべきものであるが、測定した結果を、医療現場において、入退院時の医療・介護連携の推進、病棟内の多職種連携の推進、病棟の人員マネジメントの向上等に用いることが有用であるという指摘もありますで、こういった可能性も含めて検討することが考えられるという形でまとめさせていただいております。
 (3)の包括期入院医療における患者別の評価についてであります。患者ごとに医療・看護ケアの必要量に応じた適切な費用が償還されない仕組みになってしまいますと、入棟させる患者の選別を引き起こして、結果として病棟機能の低下につながる懸念があります。
 現在、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟などの主として高齢者を受け入れる機能を担う病棟については、急性期のDPC/PDPSのような、疾患・ADL・診療行為等に応じて患者別に包括評価の支払額を変化させる仕組みはなく、基本的に全ての患者が一律の支払額により算定する仕組みになっております。
 こうした機能を担う病棟の、より適切な患者別の評価の実現に向けて検討を行ったところでございますが、特に地域包括医療病棟については、緊急入院や手術の有無による「医療資源投入量」に一定の違いがあるといったデータがあったところでございます。
 一方で、「医療資源投入量」が同じ程度であったとしても、高齢者のADLや要介護度は様々で、これに要する看護ケアの必要度は「医療資源投入量」という考え方では推し量れないのではないかという意見もあったところでございます。
 また、高齢者は、複数疾患を併存している場合が多く、症状が非典型的に現れやすいことから、DPCのように「医療資源を最も投入した傷病名」を一意に定めて区分を決めて支払う方針はなじみにくく、予定/緊急入院、あるいは手術の実施といった客観的事実に着目した評価がよいのではないかという意見もあるところでございます。
 さらに、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟に期待される機能が連続的であることを踏まえた評価方法とすることや、あるいは高齢者の介護の必要性を反映することができる評価方法とすることも考えられますが、いずれにしましても、より適切な患者別評価の実現に向けて、引き続き最新の診療データを用いた分析、あるいは別途実態調査を行うことが必要かどうかも含めて、現行の評価方法の課題の明確化、妥当性の検証を行って検討する必要があるのではないかということで記載させていただいております。
 こちらは今までの検討結果を本日新しくまとめてはどうかとお示しさせていただいているもので、本日御議論の上、整理させていただくとよいのではないかということでございますので、御検討いただければと思います。
 説明は以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。
 津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 私から、18の中長期的に検討すべき課題について、3つほど意見を述べさせていただきます。
 まず、74ページの(1)、持参薬のルールです。高齢者の方が入院時に大きな缶に入った大量の薬を持ってこられて、一体いつもらった薬なのか、有効期限内なのか、どれぐらい古い薬なのかというのも分からないようなケースもままありまして、それをナースが鑑別する作業、あと、病棟薬剤師がその作業、大変でございます。
 その一方で、持参薬を積極的に使用する病院さん、これは大学病院も含めてたくさんあろうかと思いますけれども、そもそも自分が病院に預けた薬がちゃんと自分に配薬されているかどうかの確証もないといいますか、あと、退院時に、このお薬余りましたということで戻されても、それが本当に自分が提出した薬なのかどうかも、これはなかなか確認取れないわけですね。
 ということで、そのお薬が実はほかの患者さんの5年前の薬だったり、誰がそれを証明できるのかという話にもなりかねませんので、これは令和10年度改定の宿題持ち越し案件とするのではなくて、これは分析というよりは持参薬のルールを決めて、通知とか事務連絡を行えばすぐにでも解決できそうな内容と思いましたので、発言させていただきました。
 そして2点目です。74ページから75ページにかけて、(2)重症度、医療・看護必要度、これも来年度以降、中長期、持ち越し案件ということかと思いますが、次期分科会での議論がスタートとなりますと、その次の改定、来年度までまた時間が経過しますので、何かしらワーキンググループなり設置していただいて、早期から検討開始していただいて、それでも調査、結果分析等々で、令和10年度改定には間に合うかどうかという話になりますので、また、医療課の方々も改定後にはスタッフの方も替わっていかれますし、なかなか継続した議論が難しいなあと感じております。
 以前から、重症度、医療・看護必要度に関しましては根本的に見直しが必要ですよねと言いながら、ずうっとこのパターンを繰り返している印象がございますので、根本的な見直しを行う場合は、どのような検討を進めるべきなのか。例えば何かしら学会とか学術専門家に意見を聞いていくのか等々、次に向かって早め早めにワーキングとかを立ち上げていただいて議論を開始していただいて、早めに動いていっていただければと思うところです。
 それと、最後です。75ページの下のほうの(3)包括期入院医療です。まだまだ、中医協総会では、令和8年度改定案件としてこの包括期入院医療に関しては御議論されると思います。今回の分科会では、高齢者救急、地域急性期機能との整合性とかその辺、直接的にはなかなか議論できませんでしたけれども、この包括期入院医療については一応中長期的持ち越し案件ということで、次の令和10年度改定に向けてまた議論を続けていくと思いますけれども、今後、高齢者救急、高齢者急性期入院医療を担う病棟として大きく成長させるためにも、今後ともしっかり次期の分科会でも議論を継続していく必要があるかなと思いましたので、最後、発言させていただきました。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
 井川委員、どうぞ。
○井川委員
 ありがとうございます。
 この中長期的検討すべき課題というのは今までの分科会ではない項目でございますよね。いつも最終は横断的事項みたいな形で終わっていたのですけれども、この中に我々の分科会での意見というのがどの程度反映され、事務局の考え方というのがどの程度反映されているものと理解すればいいのでしょう。
 というのは、当然我々の分科会の資料というのはこれから中医協に上がりまして、その後、附帯意見として最終的にまた出てきて、それを来年また次回以降検討していくという流れに普通はなっているわけでございますけれども、ここで例えば事務局のほうの意見がどんと入ってきてしまいますと、我々の意見というのはどうなるのという感じになってしまいますので、そこだけ少しお伺いしたいとと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 これは御確認ということですので、では事務局、お願いします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 委員の方から全く意見がなかったところではなくて、これまで出た意見をまとめる形で原案を作成していただいているつもりでございますが、当然、このまとめ方に、これはちょっと違うのではないかという御意見がありましたら、ちょっと本日いただいて修正させていただきたいと思っておりますので、もし修正すべきという御意見があれば今いただければと思っております。
○井川委員
 意見的に違うとかいう話ではなくて、事務局の意見がある程度入った状況で我々のとりまとめとして出していいのかどうかという根本的な問題と考えていただいたらいいかなと思いますけれども。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 事務局としましては、本日御議論いただいて、先ほど津留委員の御意見もございましたが、2年の改定ごとにリセットになるのではなくて、きちんと継続的に検討すべきことは何なのかということを今回も十何回にわたりまして御議論いただいたわけですから、そうしたことはきちんと分かる形で整理したらどうかということで、ちょっとこういったまとめを提案させていただいているものでございますが、そういうのがふさわしくないということであれば御意見いただければと思います。
○井川委員
 多分、そうなっていったほうが私もいいと思うのです。中長期的な範囲も、2年ごとのスパンでぽんぽんぽんと切るのはやはり現実的でないですし、結果、いろんな書類なんかも非常に繁雑になってきたという経緯がございますので、簡略化していくためには、中長期的なスパンの話というのは絶対必要なので、このように書いていただくのはありがたいなとは思うのですけれども、今までの流れと違うというので少し質問させていただきました。ありがとうございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございます。ここも含めて分科会としてのとりまとめということですので、我々全員の意見の最終的な姿だと思います。よろしいでしょうか。
 ほか、いかがでしょうか。
 河嶋委員、どうぞ。
○河嶋委員
 ありがとうございます。
 私は医療現場の看護管理者ですので、74ページの重症度、医療・看護必要度について今後中長期的に検討すべき課題についてまとめていただいているのですけれども、記載されている内容を拝見しますと、私は9月からの参加ですので、これまでの議論でどういったことかというのは子細には確認できていないのですが、ここに記載されている内容を拝見しますと、極めて現在医療現場においても課題となっていることが記載されておりますので、私としては、ここに記載されている内容については特にこのとおりかなと捉えているところでございます。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
 田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
 しつこくて申し訳ないですけれども、さっき申し上げた言葉の、診療報酬を考えるときに医療と介護と全く分けてだけはできないというのは、これは中長期的にコメントとして申し上げたので、ここの中長期的な展望のところは結構項目に分かれていますけれども、全体としてのところにちょっとそのようなことも入れていただければありがたいと思います。御検討ください。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。ほかに特に御意見、御質問もないようでしたら、本件は以上としたいと思います。
 そのほか、全体を通じてでも結構ですが、せっかくの機会ですので、何か御意見、御質問等がありましたら御発言をお願いしたいと思います。
 特によろしいですか。
 ありがとうございました。本日は事務局から示されましたとりまとめの案につきましていろいろ追加的な御意見等を頂戴いたしました。冒頭申し上げましたように、本件を中医協総会に報告するに当たりまして、本日の御議論を踏まえた文言等の修正につきましては、事務局と相談しながら私のほうで対応したいと思いますが、そうした形で私と事務局に御一任いただくということで御了承いただけますでしょうか。
(委員首肯)
○尾形分科会長
 ありがとうございました。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
 本日の議論は以上でございます。
 次回の日程等について、事務局からお願いします。
○矢野補佐
 次回の開催は未定でございます。決まり次第御連絡させていただきます。
○尾形分科会長
 それでは、以上をもちまして、令和7年度第13回「診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会」を終了させていただきます。長時間にわたりまして熱心な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。