- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)) >
- 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院・外来医療等の調査・評価分科会)) >
- 2025年7月31日 令和7年度第8回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録
2025年7月31日 令和7年度第8回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録
日時
令和7年7月31日 13:00~15:00
場所
全国都市会館 3階 第2会議室
出席者
- 本委員
-
- 尾形分科会長
- 池田委員
- 今村委員
- 津留委員
- 林田委員
- 牧野委員
- 眞庭委員
- 中野委員
- 眞野委員
- 小池委員
- 田宮委員
- 鳥海委員
- 井川委員
- 武井委員
- 事務局
-
- 矢野課長補佐 他
議事
○尾形分科会長
こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより令和7年度第8回「診療報酬調査専門組織 入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、今回の会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うことといたしております。
初めに、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は秋山委員が御欠席でございます。
なお、冒頭の頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきたいと思います。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
まず、第1の議題「個別事項について(その1)」でございます。本件については、「意思決定支援について」と「身体的拘束を最小化する取組について」と、2つの個別事項がございますので、それぞれ分けて事務局から説明をし、御意見を頂戴できればと思います。それでは、まず「意思決定支援について」に関しまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
入-1の資料に基づいて御説明いたします。
3ページ目以降でございます。まず、「意思決定支援について」でございます。
4ページ目を御覧ください。令和6年改定で入院料の通則の改定がありまして、この指針の作成が要件となる医療機関について、入院料を算定する医療機関及び以下の届出を行う医療機関として、地域包括診療料の届出を行う医療機関などが定まったところでございます。
5ページ目を御覧ください。こちら、平成30年に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が定まったことに基づきまして、診療報酬でもこれに基づいた改定が行われてきているところでございます。
6ページ目を御覧ください。それが評価の経緯となっておりまして、平成30年改定以降、入院・外来・在宅、それぞれにつきまして、この指針を定めていることの要件化などの見直しが行われてきたところでございます。
7ページ目でございますが、こちらが令和5年時点での入院の適切な意思決定に係る指針の策定状況でございます。左側が適切な指針の作成の有無、右側が定期的な見直しの状況でございますが、「あり」と「なし」で色分けしてお示ししておりますが、こういう状況でございました。
これと同じ調査を、8ページ目でございますが、令和6年の入・外調査でも行っておりまして、こちらの7ページと8ページ目を比較して御覧いただければと思います。最新の調査結果でございますが、作成している医療機関は80.3%、定期見直しを行っている医療機関は70.5%という状況でございます。
9ページ目でございますが、こちらは令和4年のときの入・外調査のほうで、自院での適切な意思決定支援の実施の有無、右側のほうは、その医療・ケアの方針についての情報提供の有無ということの調査もしております。
10ページ目が令和6年調査における結果でございますが、こちらも9ページ目と10ページ目を比較して御覧いただければと思いますが、こういった結果になっている状況でございます。
次、11ページ目が地域包括診療料等の見直しの令和6年改定の説明資料でございますが、この中で人生の最終段階のプロセスのガイドラインの内容を踏まえた指針を定めることというのが加わったところでございますが、12ページ目が外来における適切な意思決定支援の指針の作成状況、及び定期的な見直しの状況の調査結果であります。これは令和5年度の入・外調査の結果のデータでございます。
13ページ目を御覧ください。こちらが令和6年調査における指針の策定状況でございます。こちらのほうは、病院・診療所の別、あるいは全日病の総合医育成プログラム研修修了医師あり、なしとか、病院総合医の育成プログラムあり、なし、あるいは地域包括診療料の届出あり、なしなどに分けて、こちらの比較をさせていただいておりますが、いずれも「あり」のほうの割合が高いというような結果がございますが、一方、意思決定支援に係る指針の見直しの有無につきましても、同じように分類してお示ししているところでございますので、御参照ください。
14ページ目が意思決定支援に関する取組についてということで、今お示ししたデータをどのように評価するのか、あるいは取組の進捗や推進策などについて、どのように評価するかということで御審議いただければと思います。
なお、本日欠席の秋山委員から意見の提出がありましたので、読み上げさせていただきます。意思決定支援について、通則に書き込まれたことで、意思決定支援に関する指針の策定が進んできたものの、意思決定支援の実施については、スライド10を見ると、2年前と比べて、そこまで進展していません。特に、自院以外の情報提供の有無については、全体に「あり」の割合が低く、地域全体で切れ目なく情報共有や支援をするための取組は、まだまだ進んでいない状況が見てとれます。特に、高齢者の場合、その時々の病状や状況に応じて、本人・家族の考え方も変化し得るため、医療・介護施設間の情報共有・連携が極めて重要です。意思決定支援があらゆる場で確実に行われ、なおかつ情報共有・連携が進むよう評価することが必要です。こういったコメントがございましたので、御紹介させていただきます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
今村委員、どうぞ。
○今村委員
まず、人生の最終段階における、どのような最期を迎えるかということに関しては、あくまでも御本人が決定するものだと思います。ただ、そういうことをACPという形で、しっかりその考えを御家族の方を含めて言ってくださいねといった方向に関しては、国が今、進めていらっしゃるわけですけれども、本来、そこの部分というのは、国もしくは実際に医療機関にかかる前に、しっかりそういうことをやって医療機関にかかるということが前提になるのではないかと思います。そこは、本来でしたら国もしくは保険者側で、御家族でそれをしっかりやった上で医療機関にかかってくださいねと。
今、この状況を見ておりますと、医療機関は支援する側ではありますけれども、医療機関が本来、表に立ってといいますか、指導するという形になりますと、医療機関は基本的にいつ死にますかということしか言えなくなってしまうわけですので、そうすると、医療機関側でそれを指導するというのは、本来あってはいけないのではないか。あくまでも、ここはその前の段階でそれらを御家族を含めて、一番大事なのは御本人ですけれども、御本人がやる体制をしっかりつくっていただいた上で、医療機関側は、その御自分の考えに対して、それをしっかり受けてサポートする形で診療を行うと。
このような形というか、今の医療機関側だけに押しつけられているような形、もしくは医療機関側が御家族にACPに関しての指導を行って、強制的にせざるを得ない状況というのは、必ずしも方向性として正しいかというところは懸念がありますということは、ちょっと指摘させていただきます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
お二方の御意見、ごもっともであると拝聴いたしました。まず秋山委員からも出ましたけれども、7ページ、8ページの解釈、それから9ページ、10ページの解釈につきましては、同意するものでございます。とは言いましても、これは経過措置期間中でありますので、そういった目で見る必要はあるかと思います。
ただ、今もございましたけれども、一連の流れ、すなわち御本人の意思決定に当たっては、指針の策定だけではなく、本人が意思決定する。それから、ガイドラインにもありますけれども、患者さん御本人の意思は変化し得るということがあるわけですので、それを十分考慮した上で、そしてまた、御本人が転院するということになれば、その転院先に対して、きちんと情報提供されるという一連の流れをつくるというサポートが必要ということになります。それが支援という一連の流れかと思いますので、6年度調査におきましては、この意思決定支援を行う上での困難を感じる点の調査を施設票で調べておりますので、そちらの分析も含め、さらに分析が必要になるかと思います。
ただ、今、お二方がおっしゃったとおり、課題については、保険者側としても理解しておりますし、それを御家族を含め、十分周知していくということが重要かと思いますので、これはかなり私どももしていかなければいけないということは認識している次第でございます。そういうことなので、一連の流れということでは、さらに進むような工夫をしていく必要があるというふうに考えます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
この意思決定支援の取組ですが、そもそも終末期における無駄な延命治療に医療費がどれぐらいかかっているかというのが、昔、年間5000億円ぐらい使われているのではないかというデータを見たことがあるのですけれども、現在、その額が幾らになっているのか把握していませんし、もし事務局のほうで御存じだったら教えていただきたいなと思うところですけれども、現在は、この適切な意思決定支援は、医療費削減という視点においても、我々医療側が患者に適切に提供すべきサービスの一つかなと思うところです。
現状では、意思決定支援の指針を策定していること、あるいはその指針が定期的に見直しされているということが要件化されていて、やっていなければ届出ができないとか、どちらかというとペナルティーの評価になっているわけですけれども、実際、意思決定支援を行ってみての、その効果について、プラスの評価を検討してもよいのではないかと思うところです。
今回はその1ということなので、具体的な内容については、また協議できればと思うところですけれども、実際、患者及び患者家族が適切な意思決定ができるように、我々医療提供側も十分に時間を取って、患者及び患者家族に十分な情報も与えて、場合によっては一緒に悩んであげて、寄り添った支援を行っているわけですけれども、そこには多職種も介入しますし、多くの手間暇がかかるわけですね。単純に終末期の医療費が削減できたからというアウトカムではなくて、結果として患者さんのQOLの向上につながったかどうかとか、あるいは患者・家族の満足度がどうかとか納得度がどうかとか、そういったアウトカム評価を次のステップとして考えてもいいのではないかというのが私の意見です。
そこで注意が必要なのは、意思決定支援を行ったとして、患者・家族が、最初の考えどおり、無駄と分かっていても終末期ぎりぎりまで延命治療を行ってほしいという結論を引き出す場合もあろうかと思いますけれども、患者の意思が変わらなかったから、その支援が失敗だったということは決してないわけで、そういったところの評価の取扱いに関しては、十分注意が必要かなと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
終末期医療の医療費は幾らかというようなお話がありましたけれども、何か事務局、コメントありますか。
○矢野補佐
事務局でございます。
現在、厚労省としては、そういったデータはないと承知しております。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
今の津留委員からも、十分な情報を提供して、一緒に悩んで考えるというお話が出ましたけれども、情報が十分にない、判断材料がないというのが現状ではないかと思っています。なので、まず大事なことは、意思決定の支援ですから、押しつけてはいけなくて、いろいろなことをやらないで死を迎えましょうということを押しつけるのではなくて、できるだけの判断材料を出して、その上でどうするかというところだということは、私も自分の施設でACPをやっているのですけれども、押しつけるように感じてしまう人が多くて、死ねということですかみたいな方、多いです。
そうならないように情報をいろいろ入れて、もし今、医療技術を享受して最期まで医療と頑張りたいという方は、それでもいいですよと申し上げると、意外とそっちをつける人もまだいます。その後、考えている間に、この間はそう言いましたけれども、やめておきますという方もいらっしゃるし、これはじっくりと向き合うことが必要であるということが1つと。
それから、先ほどの情報ですね。実際、こういうデータはないのです。私も人工呼吸器をつけると、年寄りの場合、長くなるから大変ですみたいなことを結構言うのですけれども、実はデータがなくて。私たち、レセプトでちょっと研究しましてやったら、3日間生存した場合は退院までかなり持っていけて、ずっと抜けないということはないというようなことが、一部のつくば市の研究ですけれども、分かってきたので、判断材料となるところ、呼吸器で言えばそういうことですし。
あとは、次の話題にもなるのですけれども、人工栄養の場合は必ず拘束という問題がついてくるように思うのですね。人工栄養するときには手足も拘束されてみたいなことは、まだお話の中に入っていないと思うので、できるだけそういうことを厚労省としてもいろいろ判断材料をそろえるということも同時に進めながら、フラットに判断していくということ。そして、途中で変わることもちゃんと受け入れられて、それの連絡が行くようにというような丁寧なプロセスは大事だと思います。
ただ、その上でACPを進めるのは、救急車がどう判断したらいいか分からない。困っていますから、それはこうやって進めていくことは賛成です。プロセス、判断材料を充実させたいということをよろしくお願いします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。
意思決定支援、言い換えればQOLを重視したということになって、御本人の御意向も、各委員の先生方からのコメントも、全て賛同する話であります。その中で、私自身は、医療機関とはいえ、在宅医療という地域での医療の分野で、比較的メインに今、検討してあるものを出している最中なのですけれども、これは恐らく医療機関の中でも同様かもしれないなということでコメントさせていただきます。
当然、御本人、あと御家族の御意向をということは言うまでもない話なのですけれども、それと同時に、組む多職種のメンバーの中での、例えば不満、意見の不一致、理解している感覚のそごというのがあると、ちょっとよくない。ある意味、あの先生はこういう方針だけれども、私たちの感覚はちょっと違うのだけれども、これもなるべくなくしたいわけです。
最近もよく言われておりますけれども、QOL、クオリティ・オブ・ライフのライフには、命、生命という考え方と、暮らし、生活という考え方と、生きがい、人生という、ちょっと概念チックになりやすいのですけれども、その3つの視点に合わせて、ちゃんと評価していくという。その評価していく指標というものも、我々、つい最近出していっておりますので、そういうものが徐々に根づいて、御本人、御家族と同時に、多職種間の中でもちゃんと感覚が一致できているということを目指したいなというふうに思っておりますので、またさらなる推進が必要かと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、特にほかに御意見、御質問等もないようですので、本件は以上としたいと思います。
引き続きまして、「身体的拘束を最小化する取組について」でございますが、こちらにつきましても、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
15ページ目以降でございます。「身体的拘束を最小化する取組について」でございます。
16ページ目でございますが、これも令和6年改定の入院料通則の改定におきまして、身体的拘束を最小化する体制の整備に関連して、指針の作成でありますとか、職員に対する定期的な周知・研修、最小化チームの設置が、入院料の通則として位置づけられたところでございます。
17ページ目が身体的拘束の診療報酬算定上の定義でございます。
18ページ目は老健局の介護施設・事業所等における身体拘束廃止・防止の取組の調査研究事業における、身体拘束の具体的な例ということでございます。こちらは診療報酬上の定義より、さらに広くベッド柵、薬剤使用なども含めて身体拘束と定義するような考え方がございます。
19ページ目が入院料ごとの身体的拘束の実施状況であります。急性期の病棟あるいは慢性期の病棟まで、身体的拘束の実施率が10%未満の施設が最も多いという状況でございますが、回リハ病棟、療養病棟、障害者施設等入院基本料では、実施率20%以上が3~4割となっていたということでございます。
20ページ目が入院料別の身体的拘束の時間・方法についてであります。濃い青色が常時という形でございますが、常時、手指・四肢・体幹抑制していた割合については、治療室、地域包括医療病棟、療養病棟で約7割ということでございました。
21ページ目は身体的拘束の実施理由についてであります。こちらは「ライン・チューブ類の自己抜去防止」、または「転倒・転落防止」が多いという状況でございますが、治療室、療養病棟では、「ライン・チューブ類の自己抜去防止」が5割を超えていて多いという状況。一方で、地域包括ケア病棟、回リハ病棟では、「転倒・転落防止」が5割を超えているということで、一定の理由の違いが見られたという状況であります。
22ページ目が入院料別の身体的拘束の実施日数であります。調査基準日から過去7日間における身体的拘束の実施日数について調査を行っておりますが、「7日間」となっていた割合は、地域包括ケア病棟で70.7%、回リハで78.8%、療養で89.3%といった状況となっておりました。
23ページ目は6月13日にお示しした資料でございますが、療養病棟における中心静脈栄養中の身体的拘束の実施状況であります。中心静脈を実施した人数の区分ごとに、身体的拘束の実施率の分布をお示ししておりますので、御参照いただければと思います。
24ページ目は入・外調査の結果でございますが、患者の状態別の身体的拘束の実施の有無ということでございまして、認知症の「あり」「なし」、またはBPSDの「あり」「なし」、せん妄の「あり」「なし」というところで分けて、身体的拘束の実施状況をお示ししております。
また、要介護度別、認知症高齢者の日常生活自立度別にも身体的拘束の実施率をお示ししておりますが、認知症の傾向が強いほど身体的拘束の実施率が高いという状況であります。
25ページ目が入院料別・認知症の有無別の身体的拘束の実施有無でございます。いずれの入院料においても、「認知症あり」の場合、実施率が高いというような傾向がございます。
26ページ目は既にお示ししているものですが、入院料ごとの認知症の有無の割合のデータでございます。
また、27ページ目が日常生活自立度別の患者の割合、病棟別に示したものでございます。
28ページ目が平成28年度改定でつくられました認知症ケア加算の中の、特に赤枠で囲っておりますが、身体的拘束を実施した日は、所定点数の100分の60に相当する点数で算定するということになっております。
29ページ目が令和6年改定で認知症ケア加算の見直しがありまして、身体的拘束を実施した日は、100分の40に相当する点数で算定するという形に見直しがされたところでございます。
30ページ目、赤枠で囲っておりますとおり、身体的拘束については、身体的拘束を必要としないよう環境を整える、あるいは身体的拘束をするかどうかは複数の職員で検討する。やむを得ず実施する場合は早期解除に努める等といったことも、こちらに定められているところでございます。
31ページ目は算定の推移であります。年々、認知症ケア加算は増加しているという状況であります。
一方で、「身体的拘束を実施した日」として算定した割合は、令和5年から令和6年に4%の減少になっていたということでございます。
32ページ目、入院料別の認知症ケア加算の算定状況であります。認知症ケア加算1は、令和5年より令和6年のほうが算定回数は増加しております。認知症ケア加算2・3は、地ケア病棟、回リハ病棟、療養病棟で多く算定しているというデータでございます。
33ページ目が身体的拘束の令和6年の改定の中で、特にイの部分を赤枠で囲っておりますが、身体的拘束を最小化するための指針の作成に関連しまして、当該指針には、鎮静を目的とした薬物の適正使用や(3)に規定する身体的拘束以外の患者の行動を制限する行為の最小化に係る内容を盛り込むことが望ましいという規定もされているところでございます。
34ページ目が指針の策定状況。こちらは既にお示ししたデータでございますが、令和6年11月1日時点ては、こういったことになっているという状況でございます。
35ページ目が入院料ごとの指針の策定状況で、最小化するための指針の状況については、多くの入院料で90%を超えていたということでございます。
36ページ目は身体的拘束廃止・防止に向けてなすべき4つの方針ということで、こちらも老健局の事業をお示ししているものでございますが、特に赤枠にございますとおり、組織のトップが決意して、一丸となって取り組むということの重要性も、こちらの4つの方針の中の一つとして位置づけられているところでございます。
その他、2、3、4のところが、こういった廃止・防止に向けて、特に目指すべき方針として示されているところでございます。
37ページ目は令和5年の入・外分科会でお示しされたデータでございますが、病棟の取組の具体例ということで、事例を挙げさせていただいております。
38ページ目が身体的拘束のデータの可視化というタイトルになっておりますが、医療の質の可視化プロジェクト、医療機能評価機構のほうで行われているものの指標の一つとして、身体的拘束の実施率というのがあるということでございます。
また、2024年のDPCの調査にこちらも入力することになっておりまして、39ページ目にございますとおり、DPC制度における機能評価係数Ⅱの新たな評価項目として位置づけられたというところでございます。
40ページ目は、その具体的な内容で、医療の質指標(3テーマ9指標)と書いておりますが、この中の一つに身体的拘束の実施率というのが位置づけられたというところでございます。
41ページ目は病床数別の身体的拘束の実施状況。こちらは医療機能評価機構の医療の質可視化プロジェクトの中にあるデータということでございますが、拘束率の中央値は4~5%、サーベイランスでは7~8%というようなデータとなっていたということでございます。
42ページ目は身体的拘束を最小化する具体的な取組の例で、赤枠で囲っておりますが、指針の中で「鎮静を目的とした薬物適正使用の内容を定めること」については、40.9%というようなデータでございます。また、「院長・看護師長が、身体的拘束を最小化する方針を自らの言葉で職員に伝え、発信している」が53.4%。「身体的拘束が行われるたびに、代替方策がないかどうか複数人数で検討する仕組みがある」は71.0%。その他、「身体的拘束の実施状況の全職員への公開・周知」が47.2%。「院内掲示やHP掲載」が10.7%。こちらは令和6年調査で取組状況を調査しておりますので、御参照いただければと思います。
43ページ目以降、今、申し上げたことを整理したものでございますが、44ページ目、課題としまして、上記の現状をどのように評価するか。
身体的拘束を最小化する取組をさらに進めるための方策について、どのように評価するかということでお示ししておりますので、御検討いただければと思います。
秋山委員から、この身体的拘束についてコメントをいただきましたので、事務局から読み上げさせていただきます。実際に身体的拘束を最小化するために、現場の看護師たちが多大な努力を重ねている結果として、スライド31にあるように、身体的拘束実施割合が低下してきていると考えられます。どの入院料でも身体的拘束の実施ゼロを目指していくことが大前提ですが、スライド20、21を見ると、身体的拘束の理由や方法は入院料によって異なり、それぞれの患者像や状況に応じた対策を講じていくことが必要です。
令和6年度改定の際にも発言しましたが、高齢者が増えている中にあって、転倒防止のために行動を制限することは本末転倒であり、医療機関内で転倒しても大事に至らないような環境整備などを行うとともに、不要な医療処置を行わない、早期に慣れた環境に戻るなどの対応が進むように、社会全体での議論を醸成していくべきであると考えます。
また、医療機関内では、転倒が発生した場合に、看護職だけが責任を負うことがないよう、経営者や管理者のリーダーシップ、多職種を含めた取組が必要です。スライド35の指針の策定状況や、スライド42の取組内容を見ますと、指針の策定や最小化チームの設置等の取組が進んできている一方で、スライド36や37の事例にあるような、患者に医療処置を説明する掲示物の導入、緩衝マットの活用、管理者から職員への発信というような取組は、比較的実施が少ないようです。こうした具体的な取組が進むような方策について検討が必要です。こういったコメントをいただきましたので、御紹介させていただきます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
池田委員、どうぞ。
○池田委員
池田でございます。
身体的な拘束を最小化するというのは、患者さんの尊厳といった点からも大変重要なことかと思います。これがいろいろな形で進んでいるということで、これをさらに促進するような診療報酬上の工夫も進めていく必要があるというふうに感じたところです。
ちょっとお伺いしたいのは、すみません、私の臨床現場での経験がちょっと古くさいのかもしれませんけれども、17ページ、18ページで、身体的拘束の定義でしょうか、診療報酬上の考えと、より広い考え方についてお示ししていただいていたかと思います。それに基づいて、20ページだったと思いますが、身体的拘束の方法として、クリップセンサーですか、離床センサーのようなものだと思いますが、こちらも身体的拘束ということの中で集計がされていたかと思います。
私の知識とかが古いのかもしれませんけれども、こうした離床センサーを使用することで、徘回とか転倒などの事故を未然に防ぐことにも役立つ側面もありますし、より患者さんの尊厳に関わるような形での拘束を防ぐこともしなくて済むということもあって、これは必ずしもネガティブな面ばかりでないように思うのですが、これは今、診療報酬上の扱いだと身体的拘束として、ほかのものと同等に扱っているのかどうか、それについて教えていただきたいと思います。
○尾形分科会長
これは御質問ですので、事務局、お願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
こちらも診療報酬の算定上は、身体的拘束の一部として扱うという解釈で考えております。
以上です。
○池田委員
分かりました。17ページで示していただいたものに、確かに患者さんがクリップとかひもでつながれているという点では、そうかもしれませんが、そういったものとは、いわゆる身体的な拘束といっても、ちょっと意味合いが違うような気がいたしましたので、この辺り、どういうふうに取り扱うかということは、また専門の委員の皆様にいろいろと御検討いただければと思っております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
ありがとうございます。
36ページのスライドですけれども、身体的拘束廃止に向けての4つの方針ということで、基本的に病棟におりますと、患者さんはよく転倒します。高齢者の方、認知症の方。病院じゃなくても転倒は起きることだと思います。もちろん、拘束を最小限にするために努力は必要でございますが、半面、転倒のリスクとかと相反するところも出てくるかもしれません。当然ながら、マットの活用、転倒しない床、段差の解消と、できるだけのことをしていくべきだと思いますが、この中で③にありますように、秋山委員の御意見にもあったと思いますが、御家族の理解というのも必要かと思われます。病院にいたら転倒しないというふうに思われるのは、ちょっとそれも違うかなと思うので、御家族、そして社会的風土、全体でそういった風土を醸成していく必要があろうかと思います。
また、組織におきましては、赤枠で囲ってありますけれども、何といっても組織が一丸となって、そういったことに取り組んでいくトップの方の姿勢とか、そういったことが表に出てくることで、普通の一般のスタッフの方の取組も異なってくるかと思いますので、その辺、表に出やすいような工夫をぜひ評価してあげていただきたいなというふうに思います。
意見でした。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
身体的拘束の実施状況につきましては、これも先ほどと同様、経過措置期間中であるということを踏まえてデータを見る必要があるかと思いますが、いずれにしましても、入院料別にかなり特色があるということはよく分かります。
ただ、その中にあって、回復期リハビリテーション病棟入院料についてなのですが、身体的拘束の実施状況について、22ページに、調査日より過去7日間で実施している割合が8割近くというデータが上がっております。回復期リハビリテーションにつきましては、集中的にリハビリを行って、それをもって在宅等への復帰を目指すという病棟でありますので、この実態についてはいかがなものか、ちょっと引っかかってしまいまして、委員の中で説明できる方がいらっしゃいましたら、ぜひ御教示いただければと思います。
それから、認知症ケア加算に絡んでの身体的拘束については、31ページでございますが、先ほども御説明があったとおり、5年から6年にかけて拘束の実施割合が減少している。これは算定要因によるものか、または29ページにある減算基準見直しによって身体的拘束が減少したのかどうかということになるかと思いますが、それを踏まえまして、もう少し評価を厳格化していくということも考えていくのかどうかということかもしれないということを思った次第でございます。
それから、身体的拘束を減らすための取組、これも秋山委員の文書にありましたけれども、実際、36ページに厚労省のパンフレットが示されておりますが、これを見ますと、院長先生を中心として一丸となって取り組むこととあります。そういった目で今回の結果の42ページを見ますと、院長先生や看護師長さんの発信による取組状況はもう少し高くなってもいいのかなと思います。具体的な取組内容がさらに進むように、まだまだ工夫の余地があるのではないかと思って、この表を見ました。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
43ページから44ページにかけて現状と課題をおまとめいただいていますが、ちょっと補足したいと思います。医療現場では、21ページにございますように、特に「ライン・チューブ類の自己抜去防止」、そして「転倒・転落防止」を、患者さんの医療安全を重視する、優先するからこそ身体拘束せざるを得ないのだ、業務上、仕方なくやっているというのが現場の看護師さんの意見ではないかなと。それと、夜勤帯では人手が足りず、見守り対応がそもそも厳しいということと、今、看護補助者が転職を希望することも多くて、見守るだけのスタッフが足りないという現場の意見もあります。
もう一つは、看護業務として必要なことではあるのですが、患者を評価して記録する業務がやたら多いのです。例えば、転倒・転落の評価、認知症のリスクの評価、せん妄のリスクの評価、嚥下の評価、褥瘡の評価、いろいろあります。そして、看護記録として残す作業に追われてしまって、つまり、スクリーニングを行うこと自体が目的みたいになってしまっている現状があり、それによって、多職種でカンファレンスで十分に中身のある検討とか代替方策の検討がちょっと追いついていないということを、しばしば聞きます。
あと、18ページにお示しいただいていますが、この身体的拘束をさらに広げて身体拘束とするのかどうか。そういった資料を出していただいていますけれども、そこには、ほかにも身体拘束に該当する行為がありますよというふうな記載もありますが、これらに関しては、私は慎重に対応すべきだと思います。例えば、ICTとかAIを使った見守りロボットとか見守り監視システムあるいは離床監視システム、そういったICTを活用することをむしろプラスに評価するような仕組みも必要じゃないかなと思います。
簡易なセンサーマットにしても、それなりにコストがかかっておりまして、病院の経営が非常に苦しい中、安全管理上の設備投資として、身体拘束をなるべく行わないような取組を行っておりますので、これを100分の40の減算といったペナルティーではなくて、むしろインセンティブとして、そういったICT・AIの活用に関して評価する仕組みにしていただければと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。
私も身体拘束に関してなのですけれども、今回、通則にこれが入ったことで、各医療施設、一生懸命取り組んでいるのではないかと思って見ています。ただ、身体拘束の目的が医療のステージによって、ちょっと違ってきているなということもあります。例えば、20ページ、21ページの辺りですけれども、治療室とか急性期の病棟もそうですけれども、「ライン・チューブ類の自己抜去防止」ということで、常時、四肢や体幹を抑制している患者がいる。これは治療上、やむを得ないという部分がある程度あるのだと思います。ですから、これについては、チューブをつけている時間を少しでも短くするとか、そういった工夫をしながら対応することになると思うのですが、今後もある程度の頻度では必要だろうというふうに思っております。
それに対して、回復期、地ケアとか回リハといった病棟では、「転倒・転落防止」を目的とした身体拘束が結構多いということ。そして、これが毎日のように行われているということもデータからは見てとれます。これは身体機能の改善を目的としている病棟としては、少しでも身体拘束を減らしたいというのは当然のことだと思うのですけれども、認知症患者の割合が高いということもあって、現場はかなり苦労しているのではないかなというふうに思います。
先ほどどなたかの意見もありましたけれども、例えばクリップセンサーです。これは完全な拘束ではなくて、動けば勝手に外れてくれるようなものなので、通常の抑制とはちょっと違うのです。こういったものをうまく使うことで、患者さんが完全に縛りつけられるといった環境から解放されるということも、今後、ちょっと考慮していくことも必要なのではないかなということを思ったところです。
ただ、今回は通則が出て最初の調査ということで、取組が始まった直後ですので、今年度以降の調査において、こういった身体拘束がどのように変化していくのかを見ることが重要だろうというふうに思っています。
あと、今後、データの公表ということにも関係するのですけれども、身体拘束率を公表していくということになるわけですが、同時に、インシデントレベル3以上の転倒・転倒事故とペアにして見ていかないと、身体拘束は減ったけれども、けが人が増えたということでは何にもなりませんので、そういったことも併せて見ていくことが必要だろうと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
今まで御議論にあるように、身体拘束、今回試みでいろいろ分かってきましたけれども、中身によってかなり違うので、それを分けて対応を考えていく必要があると思います。
転倒につきましては、今、いろいろ議論が出ていますけれども、老年医学会とかは転倒はある程度するものである的な発表もしていらっしゃいますし、それはアクティビティとの裏返しでもあるので、そこを皆さんおっしゃっていたように、骨折しないような環境を整えるとか、最初からどの程度のアクティビティにするかをよく考えておくとか、またはそのことをインフォームドコンセント的に取っておくとか、いろいろ別の対応があると思うのですね。
私、一番気になっているのはライン・チューブです。21ページを見ると、ライン・チューブが治療室と療養病棟で多いということになっています。治療室は、さっきお話があったように、アキュートな理由としてはしようがないかなという場合もあると思うのですけれども、療養病棟において、しかも20ページと併せて見ますと常時なのです。常時、療養病棟での暮らしにおいて、常に拘束していて、それがライン・チューブの抜去予防が原因だということだと、このライン・チューブって何なのでしょうかね。尿カテですとか、いろいろあると思うのですけれども、常時置いているラインというと、中心静脈栄養とか鼻のカテーテルとか。経鼻栄養がずっと続くのはよくないですけれども、いろいろな理由で。
この辺はちょっと深掘りしていただいて、そのライン・チューブによって、ミトンなり何なり、ずっと抑制されている生活というのを本人も家族も望んで、その処置をしているのか。栄養なり何なり、そのライン・チューブを選ぶときに、そこまで分かって選んでいないと思うのです。そういうことまで、こちらも説明がなかなかできないですし。
ただ、本来は、ACPにも関わるのですけれども、人工栄養を選んでいくということは、同時に拘束も伴ってしまうと。命を維持するために医療現場は本当に大変で、それを抜かないようにしているわけです。でも、それが本当に望まれた姿なのか、そこがまだ議論がなかなかないまま、こういう状況になっているというのは、見直していく必要があるのではないかなというふうに思っています。
それから、モニターですね。クリップの話、池田先生がおっしゃいましたけれども、それはまた別のものなので、その辺を今後分けて、どうしてそうなっているかということ。そして、ライン・チューブについては、どんなラインで、何のために拘束されているのか。その適応のときのプロセスも含めて検討して要望していくことが必要かなと思いました。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございました。
まず、1点確認させていただきたいのですけれども、先ほどクリップセンサーは抑制の範疇に入る。抑制の一番の原則は、個人の運動を抑制するというところから始まっているので、クリップセンサーは該当しないという認識で、皆さん、多分おられるのではないかと思っています。例えば、足下に置いたマットセンサーがオーケーで、背中に引いたマットは駄目という話になってしまいますので、本人の動きを抑制しないセンサー群に関しては、私は、これはオーケーだという認識で、今まで動いておりました。ということを1つ申し上げます。
その上で、別のお話としまして、19ページに回リハ、療養、障害者病棟、慢性期、包括期の身体抑制の実施率が20%以上という回答が30~40%ぐらいあるということが示されまして、20ページでは、拘束が行われた患者のうち、70%が常時、手指・四肢・体幹抑制をされているということが明らかになって、包括期、慢性期では、結構長い間、ずっとやりっ放しなのだなという感じに見れるわけですけれども、一方で同じ入院料でも、拘束ゼロという医療機関も15~20%ぐらいあることも同時に示されております。
私見ではありますけれども、トップダウンで一気に拘束ゼロというふうな形で持っていけた施設は、そのまま結構維持できて、拘束ゼロのまま行けるのですね。一方で、できるだけ減らしましょうという格好で、皆さんの意見を聞きながら、看護師さん等の意見を聞きながらという形で少しずつ減らしてという形で行かれている施設は、なかなかゼロにならないというのが現状だろうと私は思っています。そのできていない施設に話を聞くと、0%の施設は患者層が違うんだよとか、そういうことを言って、我々の施設では無理なんだよという話になります。
ですので、その0%の施設と、それ以外の20%を超えるような施設の患者、病態とか認知症の度合いというものをぜひとも一度調べていただいて、それが同等のものなのかどうなのかという調査は必要ではないかと思っております。その上で、当然、年齢分布などもそうですけれども、その違いというのを把握していただければ、今後、身体的な抑制・拘束が減っていく一助になるのではないかというふうに思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
最初の点、クリップセンサーについての御質問ですが、これについてはいかがでしょうか。
○矢野補佐
事務局でございます。
17ページ目に事務連絡がございますが、この中で、身体的拘束は「衣服に触れる何らかの用具を使用して」というところが示されておりまして、こちらの一つとしてクリップセンサーは該当するという解釈で考えておるところでございます。
○尾形分科会長
今の点ですか。ちょっと問題があるようですけれども、また何か追加的なコメントがあれば、後でお聞きしたいと思います。取りあえず、すみません、先に行きます。
眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
ありがとうございます。
これまでの委員の方々からも発言ありますけれども、この身体拘束、状況によって評価が違ってくる部分というのがある。そうした中で、急性期、高度急性期の診療に関わる者としての発言になりますけれども、例えば20ページ、21ページ。先ほどもありましたライン・チューブの管理というような部分に関しましては、例えば術後の管理等でここにトラブルが起きますと、患者さんにとって生命の危機に及ぶような、非常にクリティカルなことになり得るということです。
そういった状況も考えますと、もちろん拘束の最小化・廃止に向かってという方向性というのは、倫理的にも当然かもしれないですけれども、単純にこれを否定するのではなく、例えば診療報酬の面からも必要な部分、有効な身体管理というような解釈の下で、シチュエーションに応じた、その辺りの評価をさらに進めていく必要があるのではないかということを私も感じましたので、発言させていただきました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございます。
牧野委員、挙手されていますか。
○牧野委員
ありがとうございました。
先ほどの井川委員のクリップセンサーのことに関連してですけれども、実は私も17ページ辺りの文章を見ても、クリップセンサーがどうなのか、よく分からなかったので、事前説明の際にお聞きして、クリップセンサーは入りますよということは確認を取っています。井川委員がクリップセンサーは入らないというふうに理解していたように、多くの方はちゃんとした理解ができていないのではないかと思うのですね。ですから、ここは厚労省として、しっかりと何が抑制に該当しないということを示した文書を出していただくのが一番いいのではないかなと思っております。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
今村委員、どうぞ。
○今村委員
まず、身体的拘束を最小化するということは非常に大事なことだと思います。そういった部分がこういう形での見える化というのは、今後も進めてくべきだろうと思いますし、そういう中で、今日もいろいろな議論が出てきたと思います。単純にゼロにすれば、もしくはゼロにできると一番いいということでは、どうもなさそうだと。中身は、さらに詳細に検討する必要があるということが、まず言えるのではないかなと思います。
その上で、各委員のお話でも出てきましたけれども、日本においては、諸外国に比べて圧倒的にしっかりと高齢者の皆さんについても、治療、それからケアを行っている国だと思います。そういたしますと、御高齢になると、いわゆる老年症候群の中で、必然的に若い方ができたことができなくなっていくと。そうした過程の中で、例えば、何となく国民は、施設や病院に行けば転倒・転落を起こしてはいけないというか、起こるはずがない。また、起こった場合には病院や施設の過失であるといったところが、まだまだ社会的に、老年症候群が進むと、どれだけ見守りやセンサーを使っても、一定程度の転倒・転落、場合によっては、それによる骨折は防ぎ切れないのだということ。まず、それを前提で今後も身体的拘束を考えていかないと、それこそ本末転倒のことが起こるのかなと。
その上で、国においても、こういった老年症候群でどういうことが起こるかということ。そして、その結果として、ある一定程度転倒・転落が起こる。そこを医療機関も、ここの中でも触れられているように、御家族ともしっかりと情報共有しながら、方向性的には、そういう危険性があるけれども、動けるようになりましょうねとリハビリを進めていくというのが、本来の医療やケアの在り方かなと思います。その上で、国においては、こういった老年症候群についての国民の理解を得るための啓発活動等を、さらにしっかり積極的に進めていっていただければ。
それと一方では、この最小化を進める中で起こる本当に細かい点については、これからしっかりと詳細な検討をいただければと思います。
意見でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
ほかに特に御意見等がなければ、本件については以上としたいと思います。
それでは、先に進めます。2つ目の議題でございますが、「働き方・タスクシフト/シェア(その2)」につきまして、これもまず事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
45ページ目以降でございます。働き方・タスクシフト/シェアでございますが、まず医師の働き方改革についてでございます。
46ページ目が医師の働き方改革の進捗状況でございますが、令和6年4月から施行されている状況でございます。
47ページ目が医師に対する時間外・休日労働の上限規制、健康確保措置の適用の概要でございます。
48ページ目が医師の時間外労働規制に関する詳細な説明になっております。
49ページ目が特定労務管理対象機関の指定の状況ということで、連携BあるいはB水準などといった医療機関の特定労務管理対象機関の数、令和6年12月時点でございますが、460施設となっております。
50ページ目が医師の勤務状況の改善の必要性ということで、これは令和6年の医師票の調査でございますが、「改善の必要性が高い」あるいは「改善の必要がある」と答えたのが半数近くに及んだという状況でございます。
51ページ目及び52ページ目は宿日直の許可に関する詳細な基準をお示ししておりますが、53ページ目が宿日直許可の取得状況についての令和6年の施設票の調査結果であります。「すべての業務について許可を受けている」と回答した医療機関が54%、「許可を受けている業務と受けていない業務がある」と回答した医療機関が38%といったような状況でございます。
54ページ目が病床規模別に見た平日夜間の勤務体制ということで、病床規模別に平日の夜間当直の人数の分布をお示ししておりますが、200床未満の医療機関では当直の人数1人が39%、400床以上の医療機関では当直の人数1人は2%と少なくて、5人以上が86%といった形の分布となっておりました。
55ページ目は地域医療介護総合確保基金の区分Ⅵの事業ということで、勤務医の労働時間短縮に向けた補助金の事業があるということでございますが、こちらは救急車2000件未満の医療機関が対象になってくるという状況であります。
56ページ目が令和2年改定で地域医療体制確保加算が新設されたときの説明資料でありますが、救急車等の搬送件数が年間で2000件以上あることが要件となっている状況でございます。
57ページ目が令和4年改定における、この加算の見直しの概要。
58ページ目が令和6年改定における、この加算の見直しでございます。原則として、タイムカード、ICカード、パソコンの使用などの労務管理が行われていることが原則となったことなども書いてございます。
59ページ目が地域医療体制確保加算に関する令和6年度の入・外調査の結果であります。「届出あり」、「なし」で見まして、届出ありが47.8%、届出なしが52.2%でございまして、この「届出なし」の582医療機関について、さらに内訳、救急搬送等の件数の状況でありますが、年間2000件以上だったのは2.0%、その他が大部分だったという状況であります。
60ページ目が地域医療体制確保加算と勤務環境の現状把握の状況について調査しております。実態把握や分析の頻度、あるいは勤務環境改善の取組の計画の策定状況について、「届出あり」、「なし」別に示しておりますので、御参照いただければと思います。
61ページ目も入・外調査のほうで、ICTの活用状況とクロスして集計しているものでございますが、地域医療体制確保加算「届出あり」が青色で、「届出なし」が赤色になっておりますが、特に勤怠管理のICT化については、「届出あり」のところで72%ということで、「届出なし」と比べて特に多いという状況がございますが、その他のICTの取組については、こういった状況になっているということで、御参照いただければと思います。
62ページ目が医師の月当たりの休日・時間外労働の状況であります。左側が地域医療体制確保加算の「届出あり」、右側が「なし」となっておりますが、「届出あり」のほうでは、令和5年度と比較して、令和6年度では月当たりの休日・時間外労働時間が減少傾向にございました。
続きまして、63ページ目、医師事務作業補助者についてであります。
64ページ目が医師事務作業補助体制加算の見直しでございます。令和6年改定の説明資料でございます。
65ページ目が医師事務作業補助者の加算の届出状況をお示ししたものでございますが、右肩上がりとなっておりますが、令和4~5年は横ばいとなっております。
66ページ目は医師事務作業補助体制加算を算定している医療機関の病棟における医師事務作業補助者の配置であります。こちらも入・外調査の結果でありまして、青が令和5年、赤が令和6年でございまして、どのような経年変化となっているかもお示ししているところでございます。
67ページ目は医政局医事課のほうの事業における調査結果でございますが、医師事務作業補助者の確保の状況について質問したものでございますが、「必要数が確保できていない」という回答の割合について、令和2年度~令和6年度にかけて上がってきている。約4割となっている状況でございます。
68ページ目が同じ調査の中で正規雇用割合がどうなっているかということで調査しているものでございます。非正規雇用が10%未満である医療機関は44%、全て非正規雇用である医療機関が25%というデータでございます。
69ページ目が医師事務作業補助者定着に向けた取組について、効果がある取組を上位3つお聞かせくださいという質問に関する集計結果でございますが、「給与・賞与の見直し」が一番多いという状況であります。その他、「面談による評価フィードバック」「人事評価制度の整備」などが特に効果があるという回答となったということでございます。
70ページ目が医師事務作業補助加算を算定している医療機関における人事考課・効果などについての調査結果であります。人事考課の有無については、「あり」のほうが698、57%ということでございます。その他、効果について、下に示してあるとおりでございます。
71ページ目は医師事務作業補助者が実施している業務の内容ということで、医政局医事課がまとめたものでございますが、こういった業務が行われているところでございます。
72ページ目、ICTの活用の取組についてということで、AI問診とか情報共有ツールの活用といった形で、医師事務業務の負担軽減につながる情報共有ツールなどの活用が進められている事例があるということでございます。こちらは令和7年も調査しておるところでございます。
73ページ目が現状と課題を整理してお示ししたものでございますが、課題としまして、医師の働き方改革を進める観点から、地域医療体制確保加算の勤務環境の改善の取組、時間外・休日夜間労働の減少について、どう評価するのか。
医師事務作業補助体制加算につきましては、医師事務作業補助者の定着促進に向けた取組や、ICTの活用の効果について、どう考えるかということで御議論いただければと思います。
説明は以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。
まず、62ページの医師の月当たりの休日・時間外労働時間の状況というところに関連してですけれども、地域医療体制確保加算の届出のある医療機関では、医師の時間外管理がある程度できてきているというふうに見てとれるのではないかと思います。ただ、業務上、救急車をたくさん受けているということで、忙しさということもあって、最大値がA水準の上限である80時間を超えているという医療機関が一定数存在しているのも事実です。ですから、今後、いわゆるB水準の医療機関においても、これを減らすことが求められているのだなと思っています。
気になるのが、加算の届出のない一部の施設において、平均値そのものが100時間を超えていたり、最大値・最小値も100時間を超えているということで、時間外管理が全くなされていないように見えるところがあります。実は、救急車が2000台を超えていても、2%が届出していないというのもあるのですけれども、こういった届出をしていない施設はどういった実態なのかということを、もう少し細かく見ていく必要があるのではないかと思います。
次に、67ページの医師事務作業補助者のところになりますけれども、令和6年度で「必要数確保できていない」のが40.1%と、まだまだ十分確保できない。その要因は、今、人材確保がなかなか難しいというところで、69ページを見ますと、効果があるのは「給与・賞与の見直し」ということで、それに必要な報酬を出せていない。だから、確保できないのだというのも実態として見てとれるところです。ですから、こういった確保ができるような加算の在り方というのを、今後しっかりと検討すべきかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
私も医師の働き方改革について申し上げます。地域医療体制確保加算との関係になりますけれども、60ページ辺りの解釈は、今、牧野委員からもお話のあったとおりでございます。
さらに、62ページにつきましては、届出の状況によって、「届出なし」よりも休日夜間・時間外労働が長いということも、今、牧野委員からありました。そういうことでありますので、救急搬送2000件ということを考えれば、ある程度当然というか、医師の時間外労働が多くなっているという解釈もあるかと思いますが、医師の働き方改革は、急性期病院の集約化、役割分担と密接に関係することになりますので、このたびの改定で急性期の医療機関機能を検討するに当たりましては、地域医療体制確保加算についても併せて整理していくことが必要なのではないかと思う次第でございます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
まず、医師の働き方改革と地域医療体制確保加算につきまして、前回改定で、この医師の働き方改革が導入されまして、これはたしか1号側からの意見だと思いますけれども、地域医療体制確保加算の役割はもう終わったみたいな、必要ないというような廃止を求める意見もあったかと記憶していますが、2号側からは、まだまだ現在進行形なのだからという意見だったかと思います。そのような視点で、医師の働き方改革の影響で、病院はどれぐらい経費が増えたのか。
とある都道府県で、n数55ぐらいの病院のデータしか、まだ集まっておりませんが、正式には公表しておりませんけれども、2019年度と2024年度を比較したデータがございまして、各病院で医師に係る経費は全体でおよそ7.6%増加しているという仮の結果が出ています。これらには、もちろん社会保険料の事業主負担分も含まれますし、大学医局への、例えば寄附講座の寄附も含んでおります。内訳としまして、常勤医師の給与ベースで見ますと約10%の増加、非常勤医師の給与は約11%の増加。そして、医師派遣業者への支払いは約34%の増加でした。
医師の働き方改革のために、例えば宿日直の要員をそろえたり、あるいはバイトの依頼を増やしたりということで、平均では医師数も常勤換算では7.3%増加していますので、もちろんその影響もあるわけですけれども、これらを踏まえますと、2000台以上、救急車に対応しているような医療機関は、それだけ医師確保で非常に経費が増えておりますので、この地域医療体制確保加算はもっと評価されてもよろしいのではないかというふうに思うところです。
そして、もう一点、医師事務作業補助体制加算ですが、生産年齢人口減少が大きな問題であり、以前、分科会でも看護師確保、あと看護専門学校、看護大学の定員割れの議論がございました。医師事務の資格取得の受験者数は、これは正確な数字を把握していませんけれども、コロナ前と比較すると恐らく半分以下になっているのではないかと思います。そして、医師事務作業補助者の資格試験の希望者も、コロナ前と比べたら多分2~3割は減少してきていると思いますし、さらに減っていっているのではないかなと思います。
これらは、恐らく他の業種のほうが処遇改善、ベースアップしていますので、我々医療業界だけが取り残されている結果ではないかなと思います。先ほど牧野委員もおっしゃっていましたが、ベースアップ評価料に、例えば医療事務が対象になっていなかったり、病院の手出し、負担もかなり大きくなっておりますので、まずこれらを改善していかないと、医師事務作業補助者の確保もままならなくなってしまうのではなかろうかと思います。
69ページ~70ページにございますように、病院もなるべく職員が定着するような努力はしているわけですけれども、まずは基本的な処遇が改善できるように、入院基本料の見直しが優先される課題ではないかなと思うところです。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。
医師の働き方改革に関しまして、当然、着実に進んでいるということは手に取るように分かりますし、一方で、先ほど救急のお話も、救急の受入件数の多いところも含めて、現場の諸事情はあろうかと思います。そういう救急搬送の多い現場を例に取ったとしも、その働いている研修医、若手のドクター、中堅の受け止め方というのは多少違うと思うのですね。これは加算でどう定義づけるかというより以前の話なのかもしれませんけれども、研修医に限らず、その上のまだ若手のドクターたち、中堅のメンバーたちが、例えば何か不満がある、何か我慢しているという気持ちが残ってしまっているということが一番問題だと思います。
そういうことも含めまして、数値的に時間的なことで決めていく部分も当然重要なのですけれども、そこに事前に確認できているかどうかということですね。単なる従来の面談ということがいいのか、意見を自由に言えるようなシステム、仕組みといいますか、そういうものを含めて工夫しながら、そういう気持ちを確認できているというところも必要かなと思いました。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
私からは、宿日直許可の部分に関してですけれども、54ページ、平日夜間の勤務体制ということで、病院規模によってのいわゆる当直医の数というのを示していただいておりますけれども、その中で上の一番左のグラフ、小規模な病院では1人当直というような形が示されております。ここで私が思うのは、この1人当直体制にしている病院というのは、多くの当直医というのが、実は大学病院からの兼業・外勤という形で満たされているものが多いのではないかというふうに思います。地域の病院にとりましても、そういった形で夜間の体制を維持しているというのが、我々が考えると、そういう状況というのが維持されている、せざるを得ないという状況なのではないかと思っております。
できれば、こういった当直体制というのがどういうふうに維持されているのかというのを、より具体的にデータとして示していくことが必要だろうということ。それから、夜間の医療体制というものをしっかりと維持していくために、そういったデータを踏まえて、夜間の体制、宿日直許可というものをしっかりとした形で維持していくことも必要だというふうに考えております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、ほかに御意見、御質問等もないようですので、本件に関わる質疑はこの辺りにしたいと思います。
続きまして、3つ目の議題でございますが、「医師の診療科偏在(その1)」でございます。まず、これも事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
74ページ目以降でございます。まず、外科の医師数等の現状についてであります。
75ページ目が医師数の年次推移で、右肩上がりで増えている状況でございますが、76ページ目にございますとおり、診療科別の医師数の平成20年を1.0とした場合の状況でございますが、赤枠で囲っておりますが、外科についてはほぼ1という状況になっているということでございます。
77ページ目でございますが、外科の医師数の推移の中で、外科の医師数の内訳ごとに確認しているものでございますが、一般外科・消化器外科については1を下回っているという状況でございます。
78ページ目でございます。40歳未満の医師数につきましては、2012年と比較して8%増加しておりますが、外科医については7%減少している状況でございます。
79ページ目が40歳未満の外科医数の推移でございます。これも40歳未満の若手医師数の減少率が大きくて、過去10年間で15%の減少となっております。
80ページ目が消化器外科学会に所属する65歳未満の医師数の推計ということでございますが、今後の予測も含めまして減少傾向となっている状況であります。
81ページ目が診療科別の時間外・休日労働が年1860時間超えの医師の割合ということで、外科はこういった調査の中でも特に多い傾向があるという状況であります。
82ページ目、専攻医が外科を選択しなかった理由として、「ワークライフバランスの確保」に課題を感じているという回答が非常に多かったという調査結果もございます。
83ページ目が臓器別の手術件数の推移であります。こちら、診療報酬のコードで集計したものですが、食道・腹部の手術が増加傾向にあるという状況であります。
84ページ目から診療科偏在の是正に向けた取組であります。
85ページ目、厚生労働省が公表した医師偏在の是正の総合的な対策パッケージでございます。
86ページ目が、その総合的パッケージの概要の中で、診療科偏在の是正について赤枠で囲っております。必要とされる分野が若手医師から選ばれる環境づくり、処遇改善に向けた支援を実施していくことなどが示されております。
87ページ目が診療科偏在の是正に向けた取組ということで、こういった外科医師が比較的長時間労働していることの業務負担への配慮・支援等の観点での手厚い評価について必要な検討を行うという取りまとめとなっております。
88ページ目が令和7年6月13日に閣議決定されました骨太の方針の概要でございますが、この中で診療科偏在の対応、経済的インセンティブや規制的な手法といった総合的なパッケージを実施して、効果を検証するということが示されております。
89ページ目はがんの診療提供体制のあり方に関する検討会の中での取りまとめの基本的な考え方でございます。がんの手術について、特に集約化が必要なもの、あるいは逆に均てん化が必要なものに関する医療の内容についての考え方の取りまとめが示されております。
90ページ目もその検討会の中で示されているもので、手術療法に関する提供体制の考え方ということで、学会からの提案内容に基づいたものも示されております。
91ページ目は消化器外科学会の提出資料ということで、高度ながんの手術の集約化・重点化などがロードマップとして提案されております。
92ページ目が病院の機能分化に基づく集約化による負担軽減ということで、基幹病院とサテライト施設の役割分担の中の集約化の一例ということで、負担軽減につながったという事例が紹介されております。
93ページ目が勤務環境に特に配慮を要する領域への対応ということの一つとして、手術・処置の休日・時間外・深夜加算というのがある状況でございますが、こちらの算定医療機関数は、令和4年で344施設という状況でありました。
94ページ目が処置・手術の休日・時間外加算等の見直しの概要でございます。見直しとしては、医師の処遇改善の(1)~(3)の部分が要件化されまして、(1)交代勤務制の導入か、(2)チーム制の導入のいずれかを実施するという形の見直しが行われております。こちら、施行は令和8年5月31日ですが、こういった見直しが行われたところであります。
95ページ目は入・外調査におきまして、施設票で診療科ごとに給与を変えているのかということに関する質問をしておりますが、「変えていない」という施設が79%で、多いという状況でありました。変えている場合につきまして、どのように手当をつけているのかに関する調査結果でございますが、手当が支払われた医師の月当たりの平均的な手当額は1~5万円が最も多いというような状況でありました。
96ページ目は処遇改善に向けた取組の事例として、広島大学の取組、津山中央病院における取組を紹介させていただいております。
97ページ目が消化器外科医師数別の医療機関の数ということで、このような分布を見ますと、医療機関の中に消化器外科の医師が1人または2人の医療機関が全体の48.7%を占めているという状況でありました。
98ページ目が20万人未満の二次医療圏における所属消化器外科医師数の分布ということでございますが、濃い青色は1人~2人というものでございまして、このような分布となっておりますし、99ページ目、100ページ目について、中規模の二次医療圏、大規模の二次医療圏ということで、それぞれの分布をお示ししているものでございます。
101ページ目が二次医療圏人口と消化器外科手術の件数ということで2軸でお示ししておるものでございますが、一定程度、症例が大都市圏に集まる、人口が移動している、より広域でこういった機能が果たされているという傾向があるというデータもございます。
102ページ目につきましては、医療機関別の消化器外科医師数と消化器外科手術件数で、施設当たりの外科医師数が多いほど手術件数が多いという状況であります。
103ページ目がより高度な手術に着目して分析したものでございます。折れ線グラフのほうは医療機関の全体ということでございますが、全体で見ますと、年間の手術件数が1件~39件、あるいは40件~79件のところに該当する医療機関が多いということでございますが、一方で、縦の棒グラフになっている大学病院につきましては、200件以上といったカテゴリーに入っているところも多く見られるということでございます。
104ページ目に現状と課題をお示ししております。課題としまして、診療科偏在につきまして、消化器外科医の減少などの診療科医師の偏在について、働き方、教育体制、処遇などの様々な要因が指摘されていることも踏まえて、現状やこれまでの取組をどう評価するか。
高度な手術や医師の集約化によって、働き方改革の促進あるいは手術成績の向上が見られるという報告があること、あるいは各施設の手術件数や医師数の分布について、どのように評価するのかということで御議論いただければと思います。
説明は以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。
鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
ありがとうございます。
まず、102ページ、外科医が何人いるかということでありますけれども、外科医が2人ということですと、手術の内容については、かなり制限が出てくるものと思われます。その手術の大きさ、難度、それからどこの部分の手術をするかということにもよるのですけれども、6人以上のスタッフがいるところで高難度の手術を集中してやるようにするというような取組は、今後必要になってくるかと思います。
それから、外科医の専門化と細分化の話ですけれども、例えば消化器外科とおっしゃっていましたけれども、消化器外科の中にも、上部の消化器と下部消化管外科、それから肝胆膵外科とかありますし、同じ外科の医局の中でも、私どもでも乳腺外科とか呼吸器外科とか小児外科とか血管外科とか、いろいろあるのですね。前は、1人医者がいるとある程度のカバーができたのですけれども、高難度手術、治療の専門化・高度化が進むに当たって、医者がというか、外科医が1人いても、その人の専門が何なのかということで、単に頭割りで手術件数を割ればいいというものではなくなってきているのだと思うのです。必要な専門家の数はかなり多いというのが、ここにお示しいただいた印象よりもさらに強いと私は思います。
それから、例えば消化器外科で、僕たちが若いときは胃がんの手術をたくさんしたのですけれども、最近は胃がんの手術をするといっても、これは内視鏡で胃の壁の内側から取るようなESDとか、そういったことで手術がなされることが多うございますので、胃がんの手術が何件あるから、それだけ消化器外科医が出動しているかというと、そんなことはなくて、内視鏡で行われている手術が多く含まれているというふうにお考えいただければと思います。
それから、外科のスタッフがどうしても増えてこないということがあるのですけれども、外科医は確かに一人前になるまで時間がかかります。ワークライフバランスが悪いと言われたりします。今のところ、外科医になるためのモチベーションというのを上げるようなこと。だから、今、外科医になっている人たちは、その生き方とか格好いいみたいなことで、若い人からああいうのはいいなというふうに思ってもらえるような背中を持ちたいなというふうに思っております。
それでも、現実的なところ、なかなか大変だということで、海外では外科のドクターの収入がほかの科より高かったりすることがあるのですけれども、96ページの広島大学のインセンティブなんかは、1つの対策ではあろうかと思います。私どもの医局では、先代のチェアマンが大変尽力いたしまして、コンスタントに毎年10人以上、入局が継続しております。女性の入局者も多くて、結婚・出産を経て時短等で復帰して勤務しているスタッフも多うございます。
ワークライフバランスが悪いというふうに言われるのですけれども、これは人数が減ってくると余計悪くなるのですが、どこかで人数を多くして好循環になってくるとワークライフバランスもよくなってくるので、ぜひそういう努力を、もちろん国としてもする必要があるし、各医療機関でもする必要があるだろうなと思います。どうもありがとうございました。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、池田委員、どうぞ。
○池田委員
池田でございます。
今回提示いただいた資料で、消化器外科をはじめとする外科系の診療の現場では、長時間労働とか緊急対応の多さからというふうに思いますが、非常に医師の負担が大きいということが分かりました。
まず1つ、資料に関しての質問です。83ページ、手術数の推移が示されていたと思いますが、これは連続的な数の推移になっていないところが見受けられましたので、これは何か集計上の問題があるのかどうかということについて、まず1点質問となります。
あとは、もし今後の議論に向けての分析などをお願いできるということでありましたら、この診療科の偏在というのは、特定の地域では外科医が少ないとか、そういった地域偏在とも密接に関連しているように思います。そうした点から、例えば医師・歯科医師・薬剤師調査でしたか、そのデータなどからも都道府県ごとの偏在、ばらつきなどが見えるようでしたら、そちらについてのデータもまた御提示いただければと思います。
あと、外科を標榜されていても、私の近所でもクリニックで開業していて、基本、大きな手術をされていないような先生もいらっしゃるので、手術のできるようなところ、あるいは病院の御勤務であるかどうかというところの資料も、もしお示しいただければ、さらに議論の参考になるかということで、これは要望でございます。
あとは意見でございますが、82ページでしたでしょうか、ワークライフバランスを非常に考える意見が多いということであったと思いますけれども、私も医学教育の現場におりまして、医学生とか若手の医師が、以前よりもさらにワークライフバランスを重視する傾向にあるというのは、実感として持っているところでございます。そんな中で、これはちょっと長期的な視点となりますけれども、外科医を目指す医学生や若手医師を増やすというために、これは診療報酬上の措置も大事ですが、それに加えまして、外科診療の魅力とか外科医ならではのやりがいを伝えるような教育も進める必要があるというふうに感じました。当然、現場も働きやすい環境に変えていくというような努力も必要かと思います。
一方、喫緊の課題としては、現状において非常に限られた人材を有効に活用して、持続可能な外科の診療体制を構築するということが必要かと思います。事務局からの御提案といいますか、資料の中にもありましたように、負担軽減とともに集約化ということも1つの解決になるかと思います。特に、医療政策、ヘルスサービスリサーチのほうの領域ですと、いわゆるボリューム・アウトカム・リレーションシップと言って、複雑な手術などでは、一定の症例数を経験している医師や医療機関に集約することによって治療成績が上がる、あるいは合併症が減らせるということが30年ぐらい前から研究成果が出ておりまして、日本でもNDBを使ったそういう研究も示されていると認識しております。そうした集約化という点も進めていく必要があると思います。
もちろん、患者さんのアクセスという点で若干の不便が生じるという点にも考慮する必要がありますけれども、医師の勤務環境とか医療の質の観点を意識した上で、集約的に手術を担う病院を適切に評価するといった診療報酬上の工夫というのを進めていく必要があるというふうに感じております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。最初の点は御質問ですかね。83ページのグラフについてだったと思いますが、事務局、お願いします。
○佐々木補佐
事務局でございます。
池田先生が御指摘いただいたのは、恐らく2018年度に食道・腹部の手術件数が少し上がっているところを御指摘されたのかなと思っておりますけれども、こちらは短期滞在手術3の対象手術が少し変わったため、NDBオープンデータにその手術が出てきたということで、手術件数自体は短期滞在3と合わせると変わっていない部分があるのですけれども、こちらはNDBオープンデータを集めたものですので、そういう点で少し連続性がないように見えるということで、ここの臓器別手術件数の推移は、そういった点を踏まえて御参考にしていただければと思っております。2020年のところは、コロナの影響で少し減ったのかなと思っております。
もう一点、診療所等で働いている医師の数等もということでございましたけれども、今回お示ししている医師数につきましては、常勤医師で診療を4日間以上しているような病院の医師という観点から集めた資料になっております。
以上でございます。
○池田委員
ありがとうございます。
すみません、病院とおっしゃいましたか。病院であって、診療所は除いているということでよろしいですか。
○佐々木補佐
はい。外科の医師数については、診療所は除いているということになっております。
○池田委員
分かりました。ありがとうございました。
○尾形分科会長
よろしいですか。
それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。
まず、外科、特に消化器外科の医師が減少しているということなのですけれども、私も消化器外科の医師にいろいろ聞いてみるのですが、自分たちの業務量と報酬がマッチしていないと感じている外科医が非常に多いということがあります。特に消化器外科というのは一般外科を兼ねているという部分もあって、必要とする医師数が絶対的に多いということを理解して対応する必要があるのかなと思います。同じ外科でも、例えば心臓血管外科医などは増加しているわけです。呼吸器外科も増加しています。また、私も脳外科医ですけれども、脳外科医なんかも増えているわけです。心臓血管外科とか脳外科というのは、救急対応も多くて忙しい、業務量と報酬がマッチしていないということに関しては、消化器外科と全く共通しているのです。
ただ、82ページにあったグラフと同じ脳外科バージョンというのがあるのですけれども、それを見ると、脳外科を志望する医師というのは、ワークライフバランスをあまり重要視していない傾向のある人が脳外科医になっているということも実は示されているのです。ですから、業務量と報酬がマッチしていないと感じていても、自分が進みたい分野に進む医師というのはいるわけなのです。ただ、そのような医師は限られている。決して多くはない。ですから、多くの医師を確保しなくてはいけない消化器外科という分野においては、改善が必要だということになるわけです。裾野が広いために救急から呼ばれる回数も多い。一般外科ですから、自分の専門性と合致しないことで呼ばれることもあって、それを負担と感じることもあるというふうに聞いています。
あと、外科系というのは、消化器外科であれば専門性を究めていくために時間がかかるというのも事実でして、開腹手術、鏡視下手術、ロボット手術と学ぶ部分が多くて、一人前になるのに専門医としての勉強を始めてから10年以上かかるということになります。その専門医の維持ということも大変です。そういった努力、労働量、負担感に比べて報酬が見合っていないというふうに感じる若い医師が多いわけです。今回も例示されていますけれども、処置及び手術の休日加算1というのがあって、こういうものでもって医師の報酬を増やすという取組もあるのですが、これに関しては要件が厳しくて、実際に算定できるのは、多くの医師が在籍している一部の医療機関に限られます。ここでも344施設が算定できていて、これはほとんど伸びていません。
これは施設数であって、その中でも取れている診療科と取れていない診療科があって、344施設で外科はみんな取れているかというと、決してそうではないわけです。ですから、今後、実効性のある外科医の待遇改善を考えていかなくてはいけないだろうというのが、まず第1点です。
あともう一つは、先ほどから出ていますように、高難度の手術は集約するということが、もう必須条件じゃないかなというふうに私自身は思っています。ただ、一般外科もありますので、例えば胆のう炎とか胆石といった外科的な治療をする医療機関は、決して集約するわけにいきませんので、こういったところを診る外科医も確保する。これをどうバランスを取っていくのかというのが、今後重要な課題になるのかなと思っています。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
今回、医師偏在、消化器外科医師のいろいろな課題について資料を提供していただきまして、ありがとうございます。医師の診療科偏在の問題を診療報酬で議論するということで、これからは医政局の議論とかもしっかり頭にたたき込んでおかないと、理解しておかないと、誤った読み込みというか、ミスリードして理解していると議論を誤った方向に導いてしまうのかなということで、ちょっと注意しなければいけないなということを再認識しているところです。
そういった視点で、今回の資料を見せていただいて感じたことは、女性医師のデータがちょっと少ないかなと思っています。今さら女性医師がどうのこうのという議論を改めてするつもりはございませんけれども、今年の国家試験の合格者、男性が63.7%、女性が36.3%ですから、女性が3分の1以上なのですね。なので、これからの医療提供体制を考える上では、見逃せない視点の一つなのかなと。
77ページ、ここにはございませんけれども、厚労省の令和2年、2020年のデータで乳腺外科の女性医師の割合というのがありまして、これが31.6%、平均年齢が56.5歳です。消化器外科は女性医師の割合が3.1%、10分の1です。平均年齢が64.1歳。これをどういうふうに捉えるのか。診療科の偏在を議論する上では、そういった視点も細かく見ないといけないのかなと思っているところです。
これも医政局の議論だと思いますけれども、新たな地域医療構想のまとめに、大学病院の本院機能としまして、医育・広域診療機能というものがございますけれども、そこに広域の観点で担う常勤医師や代診医の派遣機能ということが書かれていまして、恐らくこれも診療報酬と絡めて、この医師の派遣機能の評価ということも出てくるのかなと思いますけれども、例えば大学病院から関連病院に派遣する場合、外科医として女性医師を1名派遣しますとした場合、たまたまその方がおめでたになって、派遣早々、産休に入られて育休に入られたとした場合、大学病院からは派遣1とカウントされているわけですけれども、受け入れた病院側としては、マンパワーとしてはもうカウントできないという問題がございます。
そういった場合に、医師派遣機能をどういうふうに評価するのかというような、早速、そんな問題が出てくるのではないかなと思います。今さら女性医師がどうのこうのと言うつもりは全くございませんけれども、出産とか育児の問題がございますので、卒業生の3分の1以上が女性を占める時代ということになりますので、診療科偏在の問題を検討する場合には、その視点も重要かなと思っています。
あともう一つ、医師偏在対策の問題では、基本的にはペナルティーで解決していくのか、インセンティブで解決していくのかという問題があろうかと思うのです。インセンティブを幾らつけても、過疎地にはもう誰も行かないというのが、フランスとか諸外国でもこの問題が解決できている国はないと思っていますので、例えば日本の場合は、僻地勤務歴がないと公立病院の院長にはなれないというような、これはペナルティー的な解決なのかなと思いますけれども、今どきの若者は管理職になるのは罰ゲームという認識ですので、罰ゲームにしない管理職のつくり方というのが週刊誌のタイトルになるぐらいですから。ということで、基本的な解決策はインセンティブしかないのかなと思っています。診療報酬上で、そのインセンティブをどういうふうにあてがうのかというのは、非常に難しい問題かと思います。
今回、消化器外科のテーマをいただきましたので、集約化の問題についてちょっと触れますと、例えばこれまで中小病院で簡単なアッペの手術、虫垂炎の手術ぐらいだったら、恐らく地方の病院で、98ページにございますように、60代の1人外科部長が頑張って対応していたと思うのですね。
しかし、あと5年もすると、恐らく集約化の時代の流れで、虫垂炎の診断がついたら救急車で三次救急の病院まで1時間、2時間かけて搬送されて、腹腔鏡で手術しますということになるのかなと思いますけれども、場合によっては、内科的に抗生剤で一旦治療して、半年先に予約で短期滞在手術になるのか分かりませんけれども、私は、消化器外科は専門外ですので、この辺りは学会にお聞きして、これからどういうふうな対応になるのか、これを診療報酬上でどういうふうに見ていくのか。消化器外科の医師に対するインセンティブを含めて、そういった検討が必要なのかなと思いましたので、意見させていただきました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
今回は医師偏在対策といたしまして、消化器外科の偏在についてということになりますけれども、いずれにおきましても、今、津留委員も他局の、いわゆる施策を展開している担当局の審議会等の中身をしっかりウオッチしたいという意見もありましたが、働き方改革と関連するものでございますので、急性期の医療機関の機能を検討する中で整理していくべきものだというふうに理解しています。
90ページに日本消化器外科学会から提示されておりますものですが、労働時間短縮のためにどの方法を取ったらいいかという会員のアンケートがありますけれども、こちらでは、化学療法を他科へ依頼する、医療事務を充実する、外科医の集約化という御本人たちからの希望が出ているということでございます。まさに進める方向はこの内容ではないかと思う次第であります。
それから、消化器系の高度な手術の実施状況は103ページに示されているとおりでございますけれども、先ほど来出ておりますけれども、症例数が少ない医療機関がある一方、難易度の高い手術につきましてはということになると思いますけれども、大学病院、特に本院を中心として症例数を稼いでいるところでございます。先ほど池田委員からもございましたけれども、手術件数の多寡と手術結果、術後の合併症等々の在り方につきましては、関係があるわけでございますので、当然集約化ということ。牧野委員もおっしゃっていましたけれども、特に難易度の高い手術については、特定の医療機関に集約して治療成績を高めるべきだというふうに考えます。
それから、今回は消化器外科を取り上げているわけでございますけれども、今、乳腺外科について、津留委員から意見が出ましたけれども、他の診療領域におきましても、同じような課題があるのではないかということを併せて検討すべきだと考える次第でございます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
ありがとうございます。
私は、池田先生の後段の意見と一部重なるところがございますが、医師偏在対策と集約化が必ずしも二者択一ではないのだというような点から意見を述べたいと思います。偏在対策が重要であるということは論をまちませんし、急性期機能の議論でも、人口が少ない地域や時間の勝負になる疾患への配慮が必要との議論がありました。
ただ、ハイボリューム施設の治療成績が良いという事実や、医療安全上も拠点に集約化するということが必要なのははっきりしております。働き方改革を進めていく上でも、数の少ない疾患、医療安全の観点から必要な疾患等、集約化についても偏在是正とは別の議論としていかないと、医療の持続可能性が立ち行かないものになってくるのではないかと考えております。
医師偏在の是正と集約化のどちらが必要かというのを、ある程度領域を分けて、偏在是正や均てん化を進めるべき領域の対応を取りつつ、集約化が必要な領域については、そのためのインセンティブの検討を進めるという双方の対応が必要ではないかと考えております。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
私も今、先生方がおっしゃっていたように、集約化はもう絶対必須だと思うのです。集約化を診療報酬でどのように進めていくかという点を考えますと、先ほど集約した大きいところでの手術のインセンティブを上げるというお話が出ていまして、それはすごい重要だと思うのですが、先ほどあった、今は地域でやっている小さい手術なんかも、私も専門ではないですけれども、ある程度集約化してやっていくほうがいいのではないかなと思います。また、48.7%の先生が1人か2人のところで仕事をされていて、そこではあまり手術が行われていないという現状があります。そうすると、せっかく生涯を経て得た技術というのもあまり生かされていないというのもありますし、集約化はそういう意味でも重要だと。
そうすると、小さい病院が、そこで手術をしないでセンターに送った場合のインセンティブは、多分、今はあまりないのではないかと思うので、大きいところでやったインセンティブだけではなくて、きちんと送った場合も考えていく必要があるのではないかなと思いました。その辺は専門の先生にも伺いたいところです。
それから、1点すみません、前のところで、23ページの話ですけれども、私、中心静脈栄養と身体的拘束の話を具体的に教えてくださいと申し上げたら、資料を用意していただきました。ありがとうございます。ただ、これは施設なので、これだけだとよく分からないし、中心静脈栄養だけかどうかも分からないので、すみません、別の話ですけれども、拘束についてはもう少し細かく見ていく必要があるなと思ったところ、追加させていただきました。資料作成、厚労省の方、ありがとうございました。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
ありがとうございます。
まず、集約化のこと、今、割と話題が出ていたのですけれども、当然、これまで出てきましたように、1施設での手術件数とその成績というのは、各外科分野で数字として明らかに出てきておりまして、そういう点では、外科手術の質を担保するという意味でも、集約化というのはぜひとも必要だろうと思います。
ただ、外科医の不足・減少に対応するための集約化というのは、これはちょっと違うのではないか。集約化して、本当に外科医不足が解消されるのかというと、それでもさらに外科医の不足が続いて、集約化の集約化というような循環になっていく危険もあろうかと思います。外科医の確保ということを考えますと、その外科医の業務実態に合わせたインセンティブをしっかりと確保することが必要なのではないかと考えております。
例えば、医学部のほうで、学生が外科手術を見学して、外科医に皆さん、多くの方が憧れられます。ところが、実際、初期研修等を経験した上で、憧れるのだけれども、外科医を生涯やっていけるかどうかが心配だ、不安だ、無理かもしれないというようなことがだんだんと出てくるわけです。その辺に外科医の実際の業務に対する評価というのが、必ずしも十分ではないのではないかというところが反映されているのではないかと思います。そういうことで、私としましては、この外科医不足に対応するには、それなりのインセンティブということになろうかと思います。
その中で、例えば93ページ、休日・時間外の加算というのが出てきておりますけれども、これは先ほど牧野委員がおっしゃられたとおりで、例えばチーム医療体制というようなことがしっかりと確保されていなければならないという条件がありまして、それこそ外科医不足で苦労している病院で、それを確保することは到底難しいということで、施設・診療科の数が増えていない、加算が取れる科が増えていない原因になっているということで、より直接的なインセンティブというのを考えていく必要があるだろうと思います。
例えば、広大の院内措置でインセンティブを確保しているということも示されましたけれども、それが十分にできる余力を持った総合病院は少ないでしょうし、自治体病院などの公的病院では、独自の判断で医師間にインセンティブの差を出すということは到底困難ですので、そこは行政的な判断の中で、診療報酬加算というような形でも確保していく必要があるのではないかというふうに私は考えております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
76ページ以降、外科の医師数に関するデータと併せまして、今後、外科医師、消化器外科医師というのが減少してくるということが非常に問題になるというふうに御提示いただきました。その原因の一つとして、81ページに時間外労働の多さ、82ページはワークライフバランスの確保が困難だ、大きな課題であるというふうに報告いただいたと思います。
確かにそのとおりだと思うのですけれども、実は、私は82ページで全体との比というものに注目して見させていただきました。ワークライフバランスの確保の困難は、全体と比べますと約2.3倍です。その次にありますのが、医師不足で過酷なイメージというのが2.4倍ぐらいあります。何よりも多いのが何かといいますと、出産・育児・教育体制が十分でないから。これが2.8倍ある。女性の外科医数がもともと少ないですから、n数としては絶対増えないので、そういう意味でいいますと、この差というのは非常に大きな意味を持ってくるのではないかと私は思います。
昨年実施されました医政局主催の第7回の医師養成課程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会において、日本消化器外科学会理事長の調先生が参考人として発言されて、そのときに消化器外科学会の女性会員自体は全体の7%程度ですけれども、2015年から36%増加してきている。また、年齢ごとの女性会員の比率を見てみますと、年齢が若いほど女性の割合が高くて、30歳未満では既に20%を超えてきたというふうなお話しをされています。女性外科医の支援が今後、非常に重要になるよというお話しをされているのですけれども、先ほど申し上げた30%未満というのは、今の研修制度で言いますと、外科医になりたてという方々が20%を超えて活躍されようとしているわけですね。
そういう意味でいいますと、先ほど津留先生がおっしゃったように、医学部入学者の3分の1以上が既に女性となっている状況であれば、今後、消化器外科医として女性活躍の場というのをつくっていかなければ、消化器外科医の活動というのは当然減ってくる。そういうふうな視点からの取組というのは、津留先生がおっしゃるように必要であると私も思っております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。ほかに御意見、御質問ないようですので、本件は以上にしたいと思います。
それでは、4つ目の議題でございます。「中間とりまとめ(案)」です。本議題につきましては、後日、中医協総会へ報告する予定であることを併せてお伝えしておきたいと思います。それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
入-2の資料、また入-2の参考1、2、3、4、5-1、5-2までございます。全体の御説明は省略させていただきますが、入-2の中間とりまとめの案をお示ししております。これまでの5月以降の入・外分科会における議論の課題を整理したものでございます。
1ページ目、目次に示されておりますとおり、急性期入院医療から個別的事項まで分けまして、それぞれのテーマごとの現況とか分科会で出た御意見、あるいは今後の検討の方向性などにつきまして、おまとめしております。こちらのほう、それぞれ御確認いただきまして、もし修正すべきとか、そういった点がありましたら御議論いただきまして修正作業をさせていただいて、中医協総会へ報告のほうに進めせていただければと思っておりますので、御意見などよろしくお願いいたします。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
そろそろ予定の時間でございますが、少し延長させていただきまして、今の事務局からの説明、それから、この資料につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。
今村委員、どうぞ。
○今村委員
日本医師会のほうから1点だけ、全体を見させていただいた中で、33ページの分科会での意見というところで、意見を取り上げられている部分の一番下の「現在の機能強化加算は、地域包括診療料・加算、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料等の届出をもって、かかりつけ医機能が高いと評価する考え方となっている。かかりつけ医機能報告制度が開始されることを踏まえると、この制度に沿った形で再検討することが求められるのではないかとの意見があった。」という部分があります。
これにつきまして、このかかりつけ医機能を評価するものとして、診療報酬上で評価されている機能強化加算、地域包括診療料・加算、小児かかりつけ診療料等については、そもそもそれぞれの点数が新設された際の趣旨や、中医協として答申した際に、何を評価の対象にしたのか。そして、これまで細かな疑義解釈を積み重ねてきたことなどをしっかり踏まえて検討する必要があるということを一言伝えたいと思います。
特に、今回のかかりつけ医機能報告制度は、ここにありますように、報告制度ということであって、かかりつけ医を認定する制度というものではないということ。専門性を有する地域の医療機関が連携して、地域全体が面となって患者さんを支えていくために必要な制度として、その地域でどういう状況になっているかということをしっかり報告していくという制度に、国民から、その地域でどういったかかりつけ医機能が提供されているかを分かりやすくすること。また、それらを踏まえて、その地域でしっかり面としてかかりつけ医機能を発揮するために、どうすればいいかを検討していただくといった材料としての報告制度ということであって、診療報酬上の評価と結びつけて議論するものではないということを強調させていただいておきます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
17ページ、5-3.廃用症候群リハビリテーションについてという項目でございますけれども、その2番目の○のところに、「運動器リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料において、7単位/日以上の提供ではFIM利得が比較的小さかった。」という記載がありまして、その次の18ページの評価・分析に関する意見として、「廃用症候群リハビリテーション料について、7単位以上でFIM利得が小さくなる傾向が認められことや、かなり多くの廃用症候群リハビリテーションを実施している施設があることを踏まえると、疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数のあり方についても検討する必要があるのではないかとの意見があった。」と書かれているのですけれども、確かにこういうふうな意見がございました。
私も、そのとき、6月13日の第3回分科会の議論だろうと思いますけれども、運動器も廃用も、いずれも脳血管に比べて傾きは小さいですけれども、確実に増加している。6単位と9単位の間には2~3点というふうな点数差があって、その点数差というのはかなり大きい意味を持つのだよという旨、発言をさせていただきました。同時に、これはDPCデータからのデータですので、廃用症候群のn数が1万単位ですね。運動器に至っては4万とか5万という単位で1上がっていて箱ひげ図が書かれている。
これはSDが分からないので断言はできませんけれども、恐らく有意差が出てくるのではないか。有意差があるものに対して、差が変わらないから、そこをやらなくてもいいよという議論になってくるのはいかがなものかと私は思っております。ぜひとも反対意見に関しても一緒に記載しておいていただきたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。特にほかに御意見、御質問等もないようでしたら、本件に係る質疑は以上としたいと思います。
なお、本件を中医協総会に報告するに当たりまして、本日の議論を踏まえて必要な加筆・修正を行うことにつきましては、分科会長であります私と事務局に御一任いただきたいと思いますが、その点、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○尾形分科会長
ありがとうございます。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
本日の議論は以上でございます。
次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
1点だけ補足させていただければと思いますが、先ほどの身体的拘束の議論の中でクリップセンサーの扱いの点がございました。クリップセンサーの仕組みによりまして運動の抑制になるかどうかとか、様々なことも考えられるかもしれませんので、もう少し整理が必要かどうかについて、また検討させていただきたいと思っております。
次回の日程については未定でございますので、決まり次第、御連絡させていただきます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、令和7年度第8回「診療報酬調査専門組織 入院・外来医療等の調査・評価分科会」を終了させていただきます。本日は長時間にわたりまして熱心な御議論、どうもありがとうございました。
こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより令和7年度第8回「診療報酬調査専門組織 入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、今回の会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うことといたしております。
初めに、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は秋山委員が御欠席でございます。
なお、冒頭の頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきたいと思います。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
まず、第1の議題「個別事項について(その1)」でございます。本件については、「意思決定支援について」と「身体的拘束を最小化する取組について」と、2つの個別事項がございますので、それぞれ分けて事務局から説明をし、御意見を頂戴できればと思います。それでは、まず「意思決定支援について」に関しまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
入-1の資料に基づいて御説明いたします。
3ページ目以降でございます。まず、「意思決定支援について」でございます。
4ページ目を御覧ください。令和6年改定で入院料の通則の改定がありまして、この指針の作成が要件となる医療機関について、入院料を算定する医療機関及び以下の届出を行う医療機関として、地域包括診療料の届出を行う医療機関などが定まったところでございます。
5ページ目を御覧ください。こちら、平成30年に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が定まったことに基づきまして、診療報酬でもこれに基づいた改定が行われてきているところでございます。
6ページ目を御覧ください。それが評価の経緯となっておりまして、平成30年改定以降、入院・外来・在宅、それぞれにつきまして、この指針を定めていることの要件化などの見直しが行われてきたところでございます。
7ページ目でございますが、こちらが令和5年時点での入院の適切な意思決定に係る指針の策定状況でございます。左側が適切な指針の作成の有無、右側が定期的な見直しの状況でございますが、「あり」と「なし」で色分けしてお示ししておりますが、こういう状況でございました。
これと同じ調査を、8ページ目でございますが、令和6年の入・外調査でも行っておりまして、こちらの7ページと8ページ目を比較して御覧いただければと思います。最新の調査結果でございますが、作成している医療機関は80.3%、定期見直しを行っている医療機関は70.5%という状況でございます。
9ページ目でございますが、こちらは令和4年のときの入・外調査のほうで、自院での適切な意思決定支援の実施の有無、右側のほうは、その医療・ケアの方針についての情報提供の有無ということの調査もしております。
10ページ目が令和6年調査における結果でございますが、こちらも9ページ目と10ページ目を比較して御覧いただければと思いますが、こういった結果になっている状況でございます。
次、11ページ目が地域包括診療料等の見直しの令和6年改定の説明資料でございますが、この中で人生の最終段階のプロセスのガイドラインの内容を踏まえた指針を定めることというのが加わったところでございますが、12ページ目が外来における適切な意思決定支援の指針の作成状況、及び定期的な見直しの状況の調査結果であります。これは令和5年度の入・外調査の結果のデータでございます。
13ページ目を御覧ください。こちらが令和6年調査における指針の策定状況でございます。こちらのほうは、病院・診療所の別、あるいは全日病の総合医育成プログラム研修修了医師あり、なしとか、病院総合医の育成プログラムあり、なし、あるいは地域包括診療料の届出あり、なしなどに分けて、こちらの比較をさせていただいておりますが、いずれも「あり」のほうの割合が高いというような結果がございますが、一方、意思決定支援に係る指針の見直しの有無につきましても、同じように分類してお示ししているところでございますので、御参照ください。
14ページ目が意思決定支援に関する取組についてということで、今お示ししたデータをどのように評価するのか、あるいは取組の進捗や推進策などについて、どのように評価するかということで御審議いただければと思います。
なお、本日欠席の秋山委員から意見の提出がありましたので、読み上げさせていただきます。意思決定支援について、通則に書き込まれたことで、意思決定支援に関する指針の策定が進んできたものの、意思決定支援の実施については、スライド10を見ると、2年前と比べて、そこまで進展していません。特に、自院以外の情報提供の有無については、全体に「あり」の割合が低く、地域全体で切れ目なく情報共有や支援をするための取組は、まだまだ進んでいない状況が見てとれます。特に、高齢者の場合、その時々の病状や状況に応じて、本人・家族の考え方も変化し得るため、医療・介護施設間の情報共有・連携が極めて重要です。意思決定支援があらゆる場で確実に行われ、なおかつ情報共有・連携が進むよう評価することが必要です。こういったコメントがございましたので、御紹介させていただきます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
今村委員、どうぞ。
○今村委員
まず、人生の最終段階における、どのような最期を迎えるかということに関しては、あくまでも御本人が決定するものだと思います。ただ、そういうことをACPという形で、しっかりその考えを御家族の方を含めて言ってくださいねといった方向に関しては、国が今、進めていらっしゃるわけですけれども、本来、そこの部分というのは、国もしくは実際に医療機関にかかる前に、しっかりそういうことをやって医療機関にかかるということが前提になるのではないかと思います。そこは、本来でしたら国もしくは保険者側で、御家族でそれをしっかりやった上で医療機関にかかってくださいねと。
今、この状況を見ておりますと、医療機関は支援する側ではありますけれども、医療機関が本来、表に立ってといいますか、指導するという形になりますと、医療機関は基本的にいつ死にますかということしか言えなくなってしまうわけですので、そうすると、医療機関側でそれを指導するというのは、本来あってはいけないのではないか。あくまでも、ここはその前の段階でそれらを御家族を含めて、一番大事なのは御本人ですけれども、御本人がやる体制をしっかりつくっていただいた上で、医療機関側は、その御自分の考えに対して、それをしっかり受けてサポートする形で診療を行うと。
このような形というか、今の医療機関側だけに押しつけられているような形、もしくは医療機関側が御家族にACPに関しての指導を行って、強制的にせざるを得ない状況というのは、必ずしも方向性として正しいかというところは懸念がありますということは、ちょっと指摘させていただきます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
お二方の御意見、ごもっともであると拝聴いたしました。まず秋山委員からも出ましたけれども、7ページ、8ページの解釈、それから9ページ、10ページの解釈につきましては、同意するものでございます。とは言いましても、これは経過措置期間中でありますので、そういった目で見る必要はあるかと思います。
ただ、今もございましたけれども、一連の流れ、すなわち御本人の意思決定に当たっては、指針の策定だけではなく、本人が意思決定する。それから、ガイドラインにもありますけれども、患者さん御本人の意思は変化し得るということがあるわけですので、それを十分考慮した上で、そしてまた、御本人が転院するということになれば、その転院先に対して、きちんと情報提供されるという一連の流れをつくるというサポートが必要ということになります。それが支援という一連の流れかと思いますので、6年度調査におきましては、この意思決定支援を行う上での困難を感じる点の調査を施設票で調べておりますので、そちらの分析も含め、さらに分析が必要になるかと思います。
ただ、今、お二方がおっしゃったとおり、課題については、保険者側としても理解しておりますし、それを御家族を含め、十分周知していくということが重要かと思いますので、これはかなり私どももしていかなければいけないということは認識している次第でございます。そういうことなので、一連の流れということでは、さらに進むような工夫をしていく必要があるというふうに考えます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
この意思決定支援の取組ですが、そもそも終末期における無駄な延命治療に医療費がどれぐらいかかっているかというのが、昔、年間5000億円ぐらい使われているのではないかというデータを見たことがあるのですけれども、現在、その額が幾らになっているのか把握していませんし、もし事務局のほうで御存じだったら教えていただきたいなと思うところですけれども、現在は、この適切な意思決定支援は、医療費削減という視点においても、我々医療側が患者に適切に提供すべきサービスの一つかなと思うところです。
現状では、意思決定支援の指針を策定していること、あるいはその指針が定期的に見直しされているということが要件化されていて、やっていなければ届出ができないとか、どちらかというとペナルティーの評価になっているわけですけれども、実際、意思決定支援を行ってみての、その効果について、プラスの評価を検討してもよいのではないかと思うところです。
今回はその1ということなので、具体的な内容については、また協議できればと思うところですけれども、実際、患者及び患者家族が適切な意思決定ができるように、我々医療提供側も十分に時間を取って、患者及び患者家族に十分な情報も与えて、場合によっては一緒に悩んであげて、寄り添った支援を行っているわけですけれども、そこには多職種も介入しますし、多くの手間暇がかかるわけですね。単純に終末期の医療費が削減できたからというアウトカムではなくて、結果として患者さんのQOLの向上につながったかどうかとか、あるいは患者・家族の満足度がどうかとか納得度がどうかとか、そういったアウトカム評価を次のステップとして考えてもいいのではないかというのが私の意見です。
そこで注意が必要なのは、意思決定支援を行ったとして、患者・家族が、最初の考えどおり、無駄と分かっていても終末期ぎりぎりまで延命治療を行ってほしいという結論を引き出す場合もあろうかと思いますけれども、患者の意思が変わらなかったから、その支援が失敗だったということは決してないわけで、そういったところの評価の取扱いに関しては、十分注意が必要かなと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
終末期医療の医療費は幾らかというようなお話がありましたけれども、何か事務局、コメントありますか。
○矢野補佐
事務局でございます。
現在、厚労省としては、そういったデータはないと承知しております。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
今の津留委員からも、十分な情報を提供して、一緒に悩んで考えるというお話が出ましたけれども、情報が十分にない、判断材料がないというのが現状ではないかと思っています。なので、まず大事なことは、意思決定の支援ですから、押しつけてはいけなくて、いろいろなことをやらないで死を迎えましょうということを押しつけるのではなくて、できるだけの判断材料を出して、その上でどうするかというところだということは、私も自分の施設でACPをやっているのですけれども、押しつけるように感じてしまう人が多くて、死ねということですかみたいな方、多いです。
そうならないように情報をいろいろ入れて、もし今、医療技術を享受して最期まで医療と頑張りたいという方は、それでもいいですよと申し上げると、意外とそっちをつける人もまだいます。その後、考えている間に、この間はそう言いましたけれども、やめておきますという方もいらっしゃるし、これはじっくりと向き合うことが必要であるということが1つと。
それから、先ほどの情報ですね。実際、こういうデータはないのです。私も人工呼吸器をつけると、年寄りの場合、長くなるから大変ですみたいなことを結構言うのですけれども、実はデータがなくて。私たち、レセプトでちょっと研究しましてやったら、3日間生存した場合は退院までかなり持っていけて、ずっと抜けないということはないというようなことが、一部のつくば市の研究ですけれども、分かってきたので、判断材料となるところ、呼吸器で言えばそういうことですし。
あとは、次の話題にもなるのですけれども、人工栄養の場合は必ず拘束という問題がついてくるように思うのですね。人工栄養するときには手足も拘束されてみたいなことは、まだお話の中に入っていないと思うので、できるだけそういうことを厚労省としてもいろいろ判断材料をそろえるということも同時に進めながら、フラットに判断していくということ。そして、途中で変わることもちゃんと受け入れられて、それの連絡が行くようにというような丁寧なプロセスは大事だと思います。
ただ、その上でACPを進めるのは、救急車がどう判断したらいいか分からない。困っていますから、それはこうやって進めていくことは賛成です。プロセス、判断材料を充実させたいということをよろしくお願いします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。
意思決定支援、言い換えればQOLを重視したということになって、御本人の御意向も、各委員の先生方からのコメントも、全て賛同する話であります。その中で、私自身は、医療機関とはいえ、在宅医療という地域での医療の分野で、比較的メインに今、検討してあるものを出している最中なのですけれども、これは恐らく医療機関の中でも同様かもしれないなということでコメントさせていただきます。
当然、御本人、あと御家族の御意向をということは言うまでもない話なのですけれども、それと同時に、組む多職種のメンバーの中での、例えば不満、意見の不一致、理解している感覚のそごというのがあると、ちょっとよくない。ある意味、あの先生はこういう方針だけれども、私たちの感覚はちょっと違うのだけれども、これもなるべくなくしたいわけです。
最近もよく言われておりますけれども、QOL、クオリティ・オブ・ライフのライフには、命、生命という考え方と、暮らし、生活という考え方と、生きがい、人生という、ちょっと概念チックになりやすいのですけれども、その3つの視点に合わせて、ちゃんと評価していくという。その評価していく指標というものも、我々、つい最近出していっておりますので、そういうものが徐々に根づいて、御本人、御家族と同時に、多職種間の中でもちゃんと感覚が一致できているということを目指したいなというふうに思っておりますので、またさらなる推進が必要かと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、特にほかに御意見、御質問等もないようですので、本件は以上としたいと思います。
引き続きまして、「身体的拘束を最小化する取組について」でございますが、こちらにつきましても、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
15ページ目以降でございます。「身体的拘束を最小化する取組について」でございます。
16ページ目でございますが、これも令和6年改定の入院料通則の改定におきまして、身体的拘束を最小化する体制の整備に関連して、指針の作成でありますとか、職員に対する定期的な周知・研修、最小化チームの設置が、入院料の通則として位置づけられたところでございます。
17ページ目が身体的拘束の診療報酬算定上の定義でございます。
18ページ目は老健局の介護施設・事業所等における身体拘束廃止・防止の取組の調査研究事業における、身体拘束の具体的な例ということでございます。こちらは診療報酬上の定義より、さらに広くベッド柵、薬剤使用なども含めて身体拘束と定義するような考え方がございます。
19ページ目が入院料ごとの身体的拘束の実施状況であります。急性期の病棟あるいは慢性期の病棟まで、身体的拘束の実施率が10%未満の施設が最も多いという状況でございますが、回リハ病棟、療養病棟、障害者施設等入院基本料では、実施率20%以上が3~4割となっていたということでございます。
20ページ目が入院料別の身体的拘束の時間・方法についてであります。濃い青色が常時という形でございますが、常時、手指・四肢・体幹抑制していた割合については、治療室、地域包括医療病棟、療養病棟で約7割ということでございました。
21ページ目は身体的拘束の実施理由についてであります。こちらは「ライン・チューブ類の自己抜去防止」、または「転倒・転落防止」が多いという状況でございますが、治療室、療養病棟では、「ライン・チューブ類の自己抜去防止」が5割を超えていて多いという状況。一方で、地域包括ケア病棟、回リハ病棟では、「転倒・転落防止」が5割を超えているということで、一定の理由の違いが見られたという状況であります。
22ページ目が入院料別の身体的拘束の実施日数であります。調査基準日から過去7日間における身体的拘束の実施日数について調査を行っておりますが、「7日間」となっていた割合は、地域包括ケア病棟で70.7%、回リハで78.8%、療養で89.3%といった状況となっておりました。
23ページ目は6月13日にお示しした資料でございますが、療養病棟における中心静脈栄養中の身体的拘束の実施状況であります。中心静脈を実施した人数の区分ごとに、身体的拘束の実施率の分布をお示ししておりますので、御参照いただければと思います。
24ページ目は入・外調査の結果でございますが、患者の状態別の身体的拘束の実施の有無ということでございまして、認知症の「あり」「なし」、またはBPSDの「あり」「なし」、せん妄の「あり」「なし」というところで分けて、身体的拘束の実施状況をお示ししております。
また、要介護度別、認知症高齢者の日常生活自立度別にも身体的拘束の実施率をお示ししておりますが、認知症の傾向が強いほど身体的拘束の実施率が高いという状況であります。
25ページ目が入院料別・認知症の有無別の身体的拘束の実施有無でございます。いずれの入院料においても、「認知症あり」の場合、実施率が高いというような傾向がございます。
26ページ目は既にお示ししているものですが、入院料ごとの認知症の有無の割合のデータでございます。
また、27ページ目が日常生活自立度別の患者の割合、病棟別に示したものでございます。
28ページ目が平成28年度改定でつくられました認知症ケア加算の中の、特に赤枠で囲っておりますが、身体的拘束を実施した日は、所定点数の100分の60に相当する点数で算定するということになっております。
29ページ目が令和6年改定で認知症ケア加算の見直しがありまして、身体的拘束を実施した日は、100分の40に相当する点数で算定するという形に見直しがされたところでございます。
30ページ目、赤枠で囲っておりますとおり、身体的拘束については、身体的拘束を必要としないよう環境を整える、あるいは身体的拘束をするかどうかは複数の職員で検討する。やむを得ず実施する場合は早期解除に努める等といったことも、こちらに定められているところでございます。
31ページ目は算定の推移であります。年々、認知症ケア加算は増加しているという状況であります。
一方で、「身体的拘束を実施した日」として算定した割合は、令和5年から令和6年に4%の減少になっていたということでございます。
32ページ目、入院料別の認知症ケア加算の算定状況であります。認知症ケア加算1は、令和5年より令和6年のほうが算定回数は増加しております。認知症ケア加算2・3は、地ケア病棟、回リハ病棟、療養病棟で多く算定しているというデータでございます。
33ページ目が身体的拘束の令和6年の改定の中で、特にイの部分を赤枠で囲っておりますが、身体的拘束を最小化するための指針の作成に関連しまして、当該指針には、鎮静を目的とした薬物の適正使用や(3)に規定する身体的拘束以外の患者の行動を制限する行為の最小化に係る内容を盛り込むことが望ましいという規定もされているところでございます。
34ページ目が指針の策定状況。こちらは既にお示ししたデータでございますが、令和6年11月1日時点ては、こういったことになっているという状況でございます。
35ページ目が入院料ごとの指針の策定状況で、最小化するための指針の状況については、多くの入院料で90%を超えていたということでございます。
36ページ目は身体的拘束廃止・防止に向けてなすべき4つの方針ということで、こちらも老健局の事業をお示ししているものでございますが、特に赤枠にございますとおり、組織のトップが決意して、一丸となって取り組むということの重要性も、こちらの4つの方針の中の一つとして位置づけられているところでございます。
その他、2、3、4のところが、こういった廃止・防止に向けて、特に目指すべき方針として示されているところでございます。
37ページ目は令和5年の入・外分科会でお示しされたデータでございますが、病棟の取組の具体例ということで、事例を挙げさせていただいております。
38ページ目が身体的拘束のデータの可視化というタイトルになっておりますが、医療の質の可視化プロジェクト、医療機能評価機構のほうで行われているものの指標の一つとして、身体的拘束の実施率というのがあるということでございます。
また、2024年のDPCの調査にこちらも入力することになっておりまして、39ページ目にございますとおり、DPC制度における機能評価係数Ⅱの新たな評価項目として位置づけられたというところでございます。
40ページ目は、その具体的な内容で、医療の質指標(3テーマ9指標)と書いておりますが、この中の一つに身体的拘束の実施率というのが位置づけられたというところでございます。
41ページ目は病床数別の身体的拘束の実施状況。こちらは医療機能評価機構の医療の質可視化プロジェクトの中にあるデータということでございますが、拘束率の中央値は4~5%、サーベイランスでは7~8%というようなデータとなっていたということでございます。
42ページ目は身体的拘束を最小化する具体的な取組の例で、赤枠で囲っておりますが、指針の中で「鎮静を目的とした薬物適正使用の内容を定めること」については、40.9%というようなデータでございます。また、「院長・看護師長が、身体的拘束を最小化する方針を自らの言葉で職員に伝え、発信している」が53.4%。「身体的拘束が行われるたびに、代替方策がないかどうか複数人数で検討する仕組みがある」は71.0%。その他、「身体的拘束の実施状況の全職員への公開・周知」が47.2%。「院内掲示やHP掲載」が10.7%。こちらは令和6年調査で取組状況を調査しておりますので、御参照いただければと思います。
43ページ目以降、今、申し上げたことを整理したものでございますが、44ページ目、課題としまして、上記の現状をどのように評価するか。
身体的拘束を最小化する取組をさらに進めるための方策について、どのように評価するかということでお示ししておりますので、御検討いただければと思います。
秋山委員から、この身体的拘束についてコメントをいただきましたので、事務局から読み上げさせていただきます。実際に身体的拘束を最小化するために、現場の看護師たちが多大な努力を重ねている結果として、スライド31にあるように、身体的拘束実施割合が低下してきていると考えられます。どの入院料でも身体的拘束の実施ゼロを目指していくことが大前提ですが、スライド20、21を見ると、身体的拘束の理由や方法は入院料によって異なり、それぞれの患者像や状況に応じた対策を講じていくことが必要です。
令和6年度改定の際にも発言しましたが、高齢者が増えている中にあって、転倒防止のために行動を制限することは本末転倒であり、医療機関内で転倒しても大事に至らないような環境整備などを行うとともに、不要な医療処置を行わない、早期に慣れた環境に戻るなどの対応が進むように、社会全体での議論を醸成していくべきであると考えます。
また、医療機関内では、転倒が発生した場合に、看護職だけが責任を負うことがないよう、経営者や管理者のリーダーシップ、多職種を含めた取組が必要です。スライド35の指針の策定状況や、スライド42の取組内容を見ますと、指針の策定や最小化チームの設置等の取組が進んできている一方で、スライド36や37の事例にあるような、患者に医療処置を説明する掲示物の導入、緩衝マットの活用、管理者から職員への発信というような取組は、比較的実施が少ないようです。こうした具体的な取組が進むような方策について検討が必要です。こういったコメントをいただきましたので、御紹介させていただきます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
池田委員、どうぞ。
○池田委員
池田でございます。
身体的な拘束を最小化するというのは、患者さんの尊厳といった点からも大変重要なことかと思います。これがいろいろな形で進んでいるということで、これをさらに促進するような診療報酬上の工夫も進めていく必要があるというふうに感じたところです。
ちょっとお伺いしたいのは、すみません、私の臨床現場での経験がちょっと古くさいのかもしれませんけれども、17ページ、18ページで、身体的拘束の定義でしょうか、診療報酬上の考えと、より広い考え方についてお示ししていただいていたかと思います。それに基づいて、20ページだったと思いますが、身体的拘束の方法として、クリップセンサーですか、離床センサーのようなものだと思いますが、こちらも身体的拘束ということの中で集計がされていたかと思います。
私の知識とかが古いのかもしれませんけれども、こうした離床センサーを使用することで、徘回とか転倒などの事故を未然に防ぐことにも役立つ側面もありますし、より患者さんの尊厳に関わるような形での拘束を防ぐこともしなくて済むということもあって、これは必ずしもネガティブな面ばかりでないように思うのですが、これは今、診療報酬上の扱いだと身体的拘束として、ほかのものと同等に扱っているのかどうか、それについて教えていただきたいと思います。
○尾形分科会長
これは御質問ですので、事務局、お願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
こちらも診療報酬の算定上は、身体的拘束の一部として扱うという解釈で考えております。
以上です。
○池田委員
分かりました。17ページで示していただいたものに、確かに患者さんがクリップとかひもでつながれているという点では、そうかもしれませんが、そういったものとは、いわゆる身体的な拘束といっても、ちょっと意味合いが違うような気がいたしましたので、この辺り、どういうふうに取り扱うかということは、また専門の委員の皆様にいろいろと御検討いただければと思っております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
ありがとうございます。
36ページのスライドですけれども、身体的拘束廃止に向けての4つの方針ということで、基本的に病棟におりますと、患者さんはよく転倒します。高齢者の方、認知症の方。病院じゃなくても転倒は起きることだと思います。もちろん、拘束を最小限にするために努力は必要でございますが、半面、転倒のリスクとかと相反するところも出てくるかもしれません。当然ながら、マットの活用、転倒しない床、段差の解消と、できるだけのことをしていくべきだと思いますが、この中で③にありますように、秋山委員の御意見にもあったと思いますが、御家族の理解というのも必要かと思われます。病院にいたら転倒しないというふうに思われるのは、ちょっとそれも違うかなと思うので、御家族、そして社会的風土、全体でそういった風土を醸成していく必要があろうかと思います。
また、組織におきましては、赤枠で囲ってありますけれども、何といっても組織が一丸となって、そういったことに取り組んでいくトップの方の姿勢とか、そういったことが表に出てくることで、普通の一般のスタッフの方の取組も異なってくるかと思いますので、その辺、表に出やすいような工夫をぜひ評価してあげていただきたいなというふうに思います。
意見でした。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
身体的拘束の実施状況につきましては、これも先ほどと同様、経過措置期間中であるということを踏まえてデータを見る必要があるかと思いますが、いずれにしましても、入院料別にかなり特色があるということはよく分かります。
ただ、その中にあって、回復期リハビリテーション病棟入院料についてなのですが、身体的拘束の実施状況について、22ページに、調査日より過去7日間で実施している割合が8割近くというデータが上がっております。回復期リハビリテーションにつきましては、集中的にリハビリを行って、それをもって在宅等への復帰を目指すという病棟でありますので、この実態についてはいかがなものか、ちょっと引っかかってしまいまして、委員の中で説明できる方がいらっしゃいましたら、ぜひ御教示いただければと思います。
それから、認知症ケア加算に絡んでの身体的拘束については、31ページでございますが、先ほども御説明があったとおり、5年から6年にかけて拘束の実施割合が減少している。これは算定要因によるものか、または29ページにある減算基準見直しによって身体的拘束が減少したのかどうかということになるかと思いますが、それを踏まえまして、もう少し評価を厳格化していくということも考えていくのかどうかということかもしれないということを思った次第でございます。
それから、身体的拘束を減らすための取組、これも秋山委員の文書にありましたけれども、実際、36ページに厚労省のパンフレットが示されておりますが、これを見ますと、院長先生を中心として一丸となって取り組むこととあります。そういった目で今回の結果の42ページを見ますと、院長先生や看護師長さんの発信による取組状況はもう少し高くなってもいいのかなと思います。具体的な取組内容がさらに進むように、まだまだ工夫の余地があるのではないかと思って、この表を見ました。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
43ページから44ページにかけて現状と課題をおまとめいただいていますが、ちょっと補足したいと思います。医療現場では、21ページにございますように、特に「ライン・チューブ類の自己抜去防止」、そして「転倒・転落防止」を、患者さんの医療安全を重視する、優先するからこそ身体拘束せざるを得ないのだ、業務上、仕方なくやっているというのが現場の看護師さんの意見ではないかなと。それと、夜勤帯では人手が足りず、見守り対応がそもそも厳しいということと、今、看護補助者が転職を希望することも多くて、見守るだけのスタッフが足りないという現場の意見もあります。
もう一つは、看護業務として必要なことではあるのですが、患者を評価して記録する業務がやたら多いのです。例えば、転倒・転落の評価、認知症のリスクの評価、せん妄のリスクの評価、嚥下の評価、褥瘡の評価、いろいろあります。そして、看護記録として残す作業に追われてしまって、つまり、スクリーニングを行うこと自体が目的みたいになってしまっている現状があり、それによって、多職種でカンファレンスで十分に中身のある検討とか代替方策の検討がちょっと追いついていないということを、しばしば聞きます。
あと、18ページにお示しいただいていますが、この身体的拘束をさらに広げて身体拘束とするのかどうか。そういった資料を出していただいていますけれども、そこには、ほかにも身体拘束に該当する行為がありますよというふうな記載もありますが、これらに関しては、私は慎重に対応すべきだと思います。例えば、ICTとかAIを使った見守りロボットとか見守り監視システムあるいは離床監視システム、そういったICTを活用することをむしろプラスに評価するような仕組みも必要じゃないかなと思います。
簡易なセンサーマットにしても、それなりにコストがかかっておりまして、病院の経営が非常に苦しい中、安全管理上の設備投資として、身体拘束をなるべく行わないような取組を行っておりますので、これを100分の40の減算といったペナルティーではなくて、むしろインセンティブとして、そういったICT・AIの活用に関して評価する仕組みにしていただければと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。
私も身体拘束に関してなのですけれども、今回、通則にこれが入ったことで、各医療施設、一生懸命取り組んでいるのではないかと思って見ています。ただ、身体拘束の目的が医療のステージによって、ちょっと違ってきているなということもあります。例えば、20ページ、21ページの辺りですけれども、治療室とか急性期の病棟もそうですけれども、「ライン・チューブ類の自己抜去防止」ということで、常時、四肢や体幹を抑制している患者がいる。これは治療上、やむを得ないという部分がある程度あるのだと思います。ですから、これについては、チューブをつけている時間を少しでも短くするとか、そういった工夫をしながら対応することになると思うのですが、今後もある程度の頻度では必要だろうというふうに思っております。
それに対して、回復期、地ケアとか回リハといった病棟では、「転倒・転落防止」を目的とした身体拘束が結構多いということ。そして、これが毎日のように行われているということもデータからは見てとれます。これは身体機能の改善を目的としている病棟としては、少しでも身体拘束を減らしたいというのは当然のことだと思うのですけれども、認知症患者の割合が高いということもあって、現場はかなり苦労しているのではないかなというふうに思います。
先ほどどなたかの意見もありましたけれども、例えばクリップセンサーです。これは完全な拘束ではなくて、動けば勝手に外れてくれるようなものなので、通常の抑制とはちょっと違うのです。こういったものをうまく使うことで、患者さんが完全に縛りつけられるといった環境から解放されるということも、今後、ちょっと考慮していくことも必要なのではないかなということを思ったところです。
ただ、今回は通則が出て最初の調査ということで、取組が始まった直後ですので、今年度以降の調査において、こういった身体拘束がどのように変化していくのかを見ることが重要だろうというふうに思っています。
あと、今後、データの公表ということにも関係するのですけれども、身体拘束率を公表していくということになるわけですが、同時に、インシデントレベル3以上の転倒・転倒事故とペアにして見ていかないと、身体拘束は減ったけれども、けが人が増えたということでは何にもなりませんので、そういったことも併せて見ていくことが必要だろうと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
今まで御議論にあるように、身体拘束、今回試みでいろいろ分かってきましたけれども、中身によってかなり違うので、それを分けて対応を考えていく必要があると思います。
転倒につきましては、今、いろいろ議論が出ていますけれども、老年医学会とかは転倒はある程度するものである的な発表もしていらっしゃいますし、それはアクティビティとの裏返しでもあるので、そこを皆さんおっしゃっていたように、骨折しないような環境を整えるとか、最初からどの程度のアクティビティにするかをよく考えておくとか、またはそのことをインフォームドコンセント的に取っておくとか、いろいろ別の対応があると思うのですね。
私、一番気になっているのはライン・チューブです。21ページを見ると、ライン・チューブが治療室と療養病棟で多いということになっています。治療室は、さっきお話があったように、アキュートな理由としてはしようがないかなという場合もあると思うのですけれども、療養病棟において、しかも20ページと併せて見ますと常時なのです。常時、療養病棟での暮らしにおいて、常に拘束していて、それがライン・チューブの抜去予防が原因だということだと、このライン・チューブって何なのでしょうかね。尿カテですとか、いろいろあると思うのですけれども、常時置いているラインというと、中心静脈栄養とか鼻のカテーテルとか。経鼻栄養がずっと続くのはよくないですけれども、いろいろな理由で。
この辺はちょっと深掘りしていただいて、そのライン・チューブによって、ミトンなり何なり、ずっと抑制されている生活というのを本人も家族も望んで、その処置をしているのか。栄養なり何なり、そのライン・チューブを選ぶときに、そこまで分かって選んでいないと思うのです。そういうことまで、こちらも説明がなかなかできないですし。
ただ、本来は、ACPにも関わるのですけれども、人工栄養を選んでいくということは、同時に拘束も伴ってしまうと。命を維持するために医療現場は本当に大変で、それを抜かないようにしているわけです。でも、それが本当に望まれた姿なのか、そこがまだ議論がなかなかないまま、こういう状況になっているというのは、見直していく必要があるのではないかなというふうに思っています。
それから、モニターですね。クリップの話、池田先生がおっしゃいましたけれども、それはまた別のものなので、その辺を今後分けて、どうしてそうなっているかということ。そして、ライン・チューブについては、どんなラインで、何のために拘束されているのか。その適応のときのプロセスも含めて検討して要望していくことが必要かなと思いました。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございました。
まず、1点確認させていただきたいのですけれども、先ほどクリップセンサーは抑制の範疇に入る。抑制の一番の原則は、個人の運動を抑制するというところから始まっているので、クリップセンサーは該当しないという認識で、皆さん、多分おられるのではないかと思っています。例えば、足下に置いたマットセンサーがオーケーで、背中に引いたマットは駄目という話になってしまいますので、本人の動きを抑制しないセンサー群に関しては、私は、これはオーケーだという認識で、今まで動いておりました。ということを1つ申し上げます。
その上で、別のお話としまして、19ページに回リハ、療養、障害者病棟、慢性期、包括期の身体抑制の実施率が20%以上という回答が30~40%ぐらいあるということが示されまして、20ページでは、拘束が行われた患者のうち、70%が常時、手指・四肢・体幹抑制をされているということが明らかになって、包括期、慢性期では、結構長い間、ずっとやりっ放しなのだなという感じに見れるわけですけれども、一方で同じ入院料でも、拘束ゼロという医療機関も15~20%ぐらいあることも同時に示されております。
私見ではありますけれども、トップダウンで一気に拘束ゼロというふうな形で持っていけた施設は、そのまま結構維持できて、拘束ゼロのまま行けるのですね。一方で、できるだけ減らしましょうという格好で、皆さんの意見を聞きながら、看護師さん等の意見を聞きながらという形で少しずつ減らしてという形で行かれている施設は、なかなかゼロにならないというのが現状だろうと私は思っています。そのできていない施設に話を聞くと、0%の施設は患者層が違うんだよとか、そういうことを言って、我々の施設では無理なんだよという話になります。
ですので、その0%の施設と、それ以外の20%を超えるような施設の患者、病態とか認知症の度合いというものをぜひとも一度調べていただいて、それが同等のものなのかどうなのかという調査は必要ではないかと思っております。その上で、当然、年齢分布などもそうですけれども、その違いというのを把握していただければ、今後、身体的な抑制・拘束が減っていく一助になるのではないかというふうに思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
最初の点、クリップセンサーについての御質問ですが、これについてはいかがでしょうか。
○矢野補佐
事務局でございます。
17ページ目に事務連絡がございますが、この中で、身体的拘束は「衣服に触れる何らかの用具を使用して」というところが示されておりまして、こちらの一つとしてクリップセンサーは該当するという解釈で考えておるところでございます。
○尾形分科会長
今の点ですか。ちょっと問題があるようですけれども、また何か追加的なコメントがあれば、後でお聞きしたいと思います。取りあえず、すみません、先に行きます。
眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
ありがとうございます。
これまでの委員の方々からも発言ありますけれども、この身体拘束、状況によって評価が違ってくる部分というのがある。そうした中で、急性期、高度急性期の診療に関わる者としての発言になりますけれども、例えば20ページ、21ページ。先ほどもありましたライン・チューブの管理というような部分に関しましては、例えば術後の管理等でここにトラブルが起きますと、患者さんにとって生命の危機に及ぶような、非常にクリティカルなことになり得るということです。
そういった状況も考えますと、もちろん拘束の最小化・廃止に向かってという方向性というのは、倫理的にも当然かもしれないですけれども、単純にこれを否定するのではなく、例えば診療報酬の面からも必要な部分、有効な身体管理というような解釈の下で、シチュエーションに応じた、その辺りの評価をさらに進めていく必要があるのではないかということを私も感じましたので、発言させていただきました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございます。
牧野委員、挙手されていますか。
○牧野委員
ありがとうございました。
先ほどの井川委員のクリップセンサーのことに関連してですけれども、実は私も17ページ辺りの文章を見ても、クリップセンサーがどうなのか、よく分からなかったので、事前説明の際にお聞きして、クリップセンサーは入りますよということは確認を取っています。井川委員がクリップセンサーは入らないというふうに理解していたように、多くの方はちゃんとした理解ができていないのではないかと思うのですね。ですから、ここは厚労省として、しっかりと何が抑制に該当しないということを示した文書を出していただくのが一番いいのではないかなと思っております。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
今村委員、どうぞ。
○今村委員
まず、身体的拘束を最小化するということは非常に大事なことだと思います。そういった部分がこういう形での見える化というのは、今後も進めてくべきだろうと思いますし、そういう中で、今日もいろいろな議論が出てきたと思います。単純にゼロにすれば、もしくはゼロにできると一番いいということでは、どうもなさそうだと。中身は、さらに詳細に検討する必要があるということが、まず言えるのではないかなと思います。
その上で、各委員のお話でも出てきましたけれども、日本においては、諸外国に比べて圧倒的にしっかりと高齢者の皆さんについても、治療、それからケアを行っている国だと思います。そういたしますと、御高齢になると、いわゆる老年症候群の中で、必然的に若い方ができたことができなくなっていくと。そうした過程の中で、例えば、何となく国民は、施設や病院に行けば転倒・転落を起こしてはいけないというか、起こるはずがない。また、起こった場合には病院や施設の過失であるといったところが、まだまだ社会的に、老年症候群が進むと、どれだけ見守りやセンサーを使っても、一定程度の転倒・転落、場合によっては、それによる骨折は防ぎ切れないのだということ。まず、それを前提で今後も身体的拘束を考えていかないと、それこそ本末転倒のことが起こるのかなと。
その上で、国においても、こういった老年症候群でどういうことが起こるかということ。そして、その結果として、ある一定程度転倒・転落が起こる。そこを医療機関も、ここの中でも触れられているように、御家族ともしっかりと情報共有しながら、方向性的には、そういう危険性があるけれども、動けるようになりましょうねとリハビリを進めていくというのが、本来の医療やケアの在り方かなと思います。その上で、国においては、こういった老年症候群についての国民の理解を得るための啓発活動等を、さらにしっかり積極的に進めていっていただければ。
それと一方では、この最小化を進める中で起こる本当に細かい点については、これからしっかりと詳細な検討をいただければと思います。
意見でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
ほかに特に御意見等がなければ、本件については以上としたいと思います。
それでは、先に進めます。2つ目の議題でございますが、「働き方・タスクシフト/シェア(その2)」につきまして、これもまず事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
45ページ目以降でございます。働き方・タスクシフト/シェアでございますが、まず医師の働き方改革についてでございます。
46ページ目が医師の働き方改革の進捗状況でございますが、令和6年4月から施行されている状況でございます。
47ページ目が医師に対する時間外・休日労働の上限規制、健康確保措置の適用の概要でございます。
48ページ目が医師の時間外労働規制に関する詳細な説明になっております。
49ページ目が特定労務管理対象機関の指定の状況ということで、連携BあるいはB水準などといった医療機関の特定労務管理対象機関の数、令和6年12月時点でございますが、460施設となっております。
50ページ目が医師の勤務状況の改善の必要性ということで、これは令和6年の医師票の調査でございますが、「改善の必要性が高い」あるいは「改善の必要がある」と答えたのが半数近くに及んだという状況でございます。
51ページ目及び52ページ目は宿日直の許可に関する詳細な基準をお示ししておりますが、53ページ目が宿日直許可の取得状況についての令和6年の施設票の調査結果であります。「すべての業務について許可を受けている」と回答した医療機関が54%、「許可を受けている業務と受けていない業務がある」と回答した医療機関が38%といったような状況でございます。
54ページ目が病床規模別に見た平日夜間の勤務体制ということで、病床規模別に平日の夜間当直の人数の分布をお示ししておりますが、200床未満の医療機関では当直の人数1人が39%、400床以上の医療機関では当直の人数1人は2%と少なくて、5人以上が86%といった形の分布となっておりました。
55ページ目は地域医療介護総合確保基金の区分Ⅵの事業ということで、勤務医の労働時間短縮に向けた補助金の事業があるということでございますが、こちらは救急車2000件未満の医療機関が対象になってくるという状況であります。
56ページ目が令和2年改定で地域医療体制確保加算が新設されたときの説明資料でありますが、救急車等の搬送件数が年間で2000件以上あることが要件となっている状況でございます。
57ページ目が令和4年改定における、この加算の見直しの概要。
58ページ目が令和6年改定における、この加算の見直しでございます。原則として、タイムカード、ICカード、パソコンの使用などの労務管理が行われていることが原則となったことなども書いてございます。
59ページ目が地域医療体制確保加算に関する令和6年度の入・外調査の結果であります。「届出あり」、「なし」で見まして、届出ありが47.8%、届出なしが52.2%でございまして、この「届出なし」の582医療機関について、さらに内訳、救急搬送等の件数の状況でありますが、年間2000件以上だったのは2.0%、その他が大部分だったという状況であります。
60ページ目が地域医療体制確保加算と勤務環境の現状把握の状況について調査しております。実態把握や分析の頻度、あるいは勤務環境改善の取組の計画の策定状況について、「届出あり」、「なし」別に示しておりますので、御参照いただければと思います。
61ページ目も入・外調査のほうで、ICTの活用状況とクロスして集計しているものでございますが、地域医療体制確保加算「届出あり」が青色で、「届出なし」が赤色になっておりますが、特に勤怠管理のICT化については、「届出あり」のところで72%ということで、「届出なし」と比べて特に多いという状況がございますが、その他のICTの取組については、こういった状況になっているということで、御参照いただければと思います。
62ページ目が医師の月当たりの休日・時間外労働の状況であります。左側が地域医療体制確保加算の「届出あり」、右側が「なし」となっておりますが、「届出あり」のほうでは、令和5年度と比較して、令和6年度では月当たりの休日・時間外労働時間が減少傾向にございました。
続きまして、63ページ目、医師事務作業補助者についてであります。
64ページ目が医師事務作業補助体制加算の見直しでございます。令和6年改定の説明資料でございます。
65ページ目が医師事務作業補助者の加算の届出状況をお示ししたものでございますが、右肩上がりとなっておりますが、令和4~5年は横ばいとなっております。
66ページ目は医師事務作業補助体制加算を算定している医療機関の病棟における医師事務作業補助者の配置であります。こちらも入・外調査の結果でありまして、青が令和5年、赤が令和6年でございまして、どのような経年変化となっているかもお示ししているところでございます。
67ページ目は医政局医事課のほうの事業における調査結果でございますが、医師事務作業補助者の確保の状況について質問したものでございますが、「必要数が確保できていない」という回答の割合について、令和2年度~令和6年度にかけて上がってきている。約4割となっている状況でございます。
68ページ目が同じ調査の中で正規雇用割合がどうなっているかということで調査しているものでございます。非正規雇用が10%未満である医療機関は44%、全て非正規雇用である医療機関が25%というデータでございます。
69ページ目が医師事務作業補助者定着に向けた取組について、効果がある取組を上位3つお聞かせくださいという質問に関する集計結果でございますが、「給与・賞与の見直し」が一番多いという状況であります。その他、「面談による評価フィードバック」「人事評価制度の整備」などが特に効果があるという回答となったということでございます。
70ページ目が医師事務作業補助加算を算定している医療機関における人事考課・効果などについての調査結果であります。人事考課の有無については、「あり」のほうが698、57%ということでございます。その他、効果について、下に示してあるとおりでございます。
71ページ目は医師事務作業補助者が実施している業務の内容ということで、医政局医事課がまとめたものでございますが、こういった業務が行われているところでございます。
72ページ目、ICTの活用の取組についてということで、AI問診とか情報共有ツールの活用といった形で、医師事務業務の負担軽減につながる情報共有ツールなどの活用が進められている事例があるということでございます。こちらは令和7年も調査しておるところでございます。
73ページ目が現状と課題を整理してお示ししたものでございますが、課題としまして、医師の働き方改革を進める観点から、地域医療体制確保加算の勤務環境の改善の取組、時間外・休日夜間労働の減少について、どう評価するのか。
医師事務作業補助体制加算につきましては、医師事務作業補助者の定着促進に向けた取組や、ICTの活用の効果について、どう考えるかということで御議論いただければと思います。
説明は以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。
まず、62ページの医師の月当たりの休日・時間外労働時間の状況というところに関連してですけれども、地域医療体制確保加算の届出のある医療機関では、医師の時間外管理がある程度できてきているというふうに見てとれるのではないかと思います。ただ、業務上、救急車をたくさん受けているということで、忙しさということもあって、最大値がA水準の上限である80時間を超えているという医療機関が一定数存在しているのも事実です。ですから、今後、いわゆるB水準の医療機関においても、これを減らすことが求められているのだなと思っています。
気になるのが、加算の届出のない一部の施設において、平均値そのものが100時間を超えていたり、最大値・最小値も100時間を超えているということで、時間外管理が全くなされていないように見えるところがあります。実は、救急車が2000台を超えていても、2%が届出していないというのもあるのですけれども、こういった届出をしていない施設はどういった実態なのかということを、もう少し細かく見ていく必要があるのではないかと思います。
次に、67ページの医師事務作業補助者のところになりますけれども、令和6年度で「必要数確保できていない」のが40.1%と、まだまだ十分確保できない。その要因は、今、人材確保がなかなか難しいというところで、69ページを見ますと、効果があるのは「給与・賞与の見直し」ということで、それに必要な報酬を出せていない。だから、確保できないのだというのも実態として見てとれるところです。ですから、こういった確保ができるような加算の在り方というのを、今後しっかりと検討すべきかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
私も医師の働き方改革について申し上げます。地域医療体制確保加算との関係になりますけれども、60ページ辺りの解釈は、今、牧野委員からもお話のあったとおりでございます。
さらに、62ページにつきましては、届出の状況によって、「届出なし」よりも休日夜間・時間外労働が長いということも、今、牧野委員からありました。そういうことでありますので、救急搬送2000件ということを考えれば、ある程度当然というか、医師の時間外労働が多くなっているという解釈もあるかと思いますが、医師の働き方改革は、急性期病院の集約化、役割分担と密接に関係することになりますので、このたびの改定で急性期の医療機関機能を検討するに当たりましては、地域医療体制確保加算についても併せて整理していくことが必要なのではないかと思う次第でございます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
まず、医師の働き方改革と地域医療体制確保加算につきまして、前回改定で、この医師の働き方改革が導入されまして、これはたしか1号側からの意見だと思いますけれども、地域医療体制確保加算の役割はもう終わったみたいな、必要ないというような廃止を求める意見もあったかと記憶していますが、2号側からは、まだまだ現在進行形なのだからという意見だったかと思います。そのような視点で、医師の働き方改革の影響で、病院はどれぐらい経費が増えたのか。
とある都道府県で、n数55ぐらいの病院のデータしか、まだ集まっておりませんが、正式には公表しておりませんけれども、2019年度と2024年度を比較したデータがございまして、各病院で医師に係る経費は全体でおよそ7.6%増加しているという仮の結果が出ています。これらには、もちろん社会保険料の事業主負担分も含まれますし、大学医局への、例えば寄附講座の寄附も含んでおります。内訳としまして、常勤医師の給与ベースで見ますと約10%の増加、非常勤医師の給与は約11%の増加。そして、医師派遣業者への支払いは約34%の増加でした。
医師の働き方改革のために、例えば宿日直の要員をそろえたり、あるいはバイトの依頼を増やしたりということで、平均では医師数も常勤換算では7.3%増加していますので、もちろんその影響もあるわけですけれども、これらを踏まえますと、2000台以上、救急車に対応しているような医療機関は、それだけ医師確保で非常に経費が増えておりますので、この地域医療体制確保加算はもっと評価されてもよろしいのではないかというふうに思うところです。
そして、もう一点、医師事務作業補助体制加算ですが、生産年齢人口減少が大きな問題であり、以前、分科会でも看護師確保、あと看護専門学校、看護大学の定員割れの議論がございました。医師事務の資格取得の受験者数は、これは正確な数字を把握していませんけれども、コロナ前と比較すると恐らく半分以下になっているのではないかと思います。そして、医師事務作業補助者の資格試験の希望者も、コロナ前と比べたら多分2~3割は減少してきていると思いますし、さらに減っていっているのではないかなと思います。
これらは、恐らく他の業種のほうが処遇改善、ベースアップしていますので、我々医療業界だけが取り残されている結果ではないかなと思います。先ほど牧野委員もおっしゃっていましたが、ベースアップ評価料に、例えば医療事務が対象になっていなかったり、病院の手出し、負担もかなり大きくなっておりますので、まずこれらを改善していかないと、医師事務作業補助者の確保もままならなくなってしまうのではなかろうかと思います。
69ページ~70ページにございますように、病院もなるべく職員が定着するような努力はしているわけですけれども、まずは基本的な処遇が改善できるように、入院基本料の見直しが優先される課題ではないかなと思うところです。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。
医師の働き方改革に関しまして、当然、着実に進んでいるということは手に取るように分かりますし、一方で、先ほど救急のお話も、救急の受入件数の多いところも含めて、現場の諸事情はあろうかと思います。そういう救急搬送の多い現場を例に取ったとしも、その働いている研修医、若手のドクター、中堅の受け止め方というのは多少違うと思うのですね。これは加算でどう定義づけるかというより以前の話なのかもしれませんけれども、研修医に限らず、その上のまだ若手のドクターたち、中堅のメンバーたちが、例えば何か不満がある、何か我慢しているという気持ちが残ってしまっているということが一番問題だと思います。
そういうことも含めまして、数値的に時間的なことで決めていく部分も当然重要なのですけれども、そこに事前に確認できているかどうかということですね。単なる従来の面談ということがいいのか、意見を自由に言えるようなシステム、仕組みといいますか、そういうものを含めて工夫しながら、そういう気持ちを確認できているというところも必要かなと思いました。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
私からは、宿日直許可の部分に関してですけれども、54ページ、平日夜間の勤務体制ということで、病院規模によってのいわゆる当直医の数というのを示していただいておりますけれども、その中で上の一番左のグラフ、小規模な病院では1人当直というような形が示されております。ここで私が思うのは、この1人当直体制にしている病院というのは、多くの当直医というのが、実は大学病院からの兼業・外勤という形で満たされているものが多いのではないかというふうに思います。地域の病院にとりましても、そういった形で夜間の体制を維持しているというのが、我々が考えると、そういう状況というのが維持されている、せざるを得ないという状況なのではないかと思っております。
できれば、こういった当直体制というのがどういうふうに維持されているのかというのを、より具体的にデータとして示していくことが必要だろうということ。それから、夜間の医療体制というものをしっかりと維持していくために、そういったデータを踏まえて、夜間の体制、宿日直許可というものをしっかりとした形で維持していくことも必要だというふうに考えております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、ほかに御意見、御質問等もないようですので、本件に関わる質疑はこの辺りにしたいと思います。
続きまして、3つ目の議題でございますが、「医師の診療科偏在(その1)」でございます。まず、これも事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
74ページ目以降でございます。まず、外科の医師数等の現状についてであります。
75ページ目が医師数の年次推移で、右肩上がりで増えている状況でございますが、76ページ目にございますとおり、診療科別の医師数の平成20年を1.0とした場合の状況でございますが、赤枠で囲っておりますが、外科についてはほぼ1という状況になっているということでございます。
77ページ目でございますが、外科の医師数の推移の中で、外科の医師数の内訳ごとに確認しているものでございますが、一般外科・消化器外科については1を下回っているという状況でございます。
78ページ目でございます。40歳未満の医師数につきましては、2012年と比較して8%増加しておりますが、外科医については7%減少している状況でございます。
79ページ目が40歳未満の外科医数の推移でございます。これも40歳未満の若手医師数の減少率が大きくて、過去10年間で15%の減少となっております。
80ページ目が消化器外科学会に所属する65歳未満の医師数の推計ということでございますが、今後の予測も含めまして減少傾向となっている状況であります。
81ページ目が診療科別の時間外・休日労働が年1860時間超えの医師の割合ということで、外科はこういった調査の中でも特に多い傾向があるという状況であります。
82ページ目、専攻医が外科を選択しなかった理由として、「ワークライフバランスの確保」に課題を感じているという回答が非常に多かったという調査結果もございます。
83ページ目が臓器別の手術件数の推移であります。こちら、診療報酬のコードで集計したものですが、食道・腹部の手術が増加傾向にあるという状況であります。
84ページ目から診療科偏在の是正に向けた取組であります。
85ページ目、厚生労働省が公表した医師偏在の是正の総合的な対策パッケージでございます。
86ページ目が、その総合的パッケージの概要の中で、診療科偏在の是正について赤枠で囲っております。必要とされる分野が若手医師から選ばれる環境づくり、処遇改善に向けた支援を実施していくことなどが示されております。
87ページ目が診療科偏在の是正に向けた取組ということで、こういった外科医師が比較的長時間労働していることの業務負担への配慮・支援等の観点での手厚い評価について必要な検討を行うという取りまとめとなっております。
88ページ目が令和7年6月13日に閣議決定されました骨太の方針の概要でございますが、この中で診療科偏在の対応、経済的インセンティブや規制的な手法といった総合的なパッケージを実施して、効果を検証するということが示されております。
89ページ目はがんの診療提供体制のあり方に関する検討会の中での取りまとめの基本的な考え方でございます。がんの手術について、特に集約化が必要なもの、あるいは逆に均てん化が必要なものに関する医療の内容についての考え方の取りまとめが示されております。
90ページ目もその検討会の中で示されているもので、手術療法に関する提供体制の考え方ということで、学会からの提案内容に基づいたものも示されております。
91ページ目は消化器外科学会の提出資料ということで、高度ながんの手術の集約化・重点化などがロードマップとして提案されております。
92ページ目が病院の機能分化に基づく集約化による負担軽減ということで、基幹病院とサテライト施設の役割分担の中の集約化の一例ということで、負担軽減につながったという事例が紹介されております。
93ページ目が勤務環境に特に配慮を要する領域への対応ということの一つとして、手術・処置の休日・時間外・深夜加算というのがある状況でございますが、こちらの算定医療機関数は、令和4年で344施設という状況でありました。
94ページ目が処置・手術の休日・時間外加算等の見直しの概要でございます。見直しとしては、医師の処遇改善の(1)~(3)の部分が要件化されまして、(1)交代勤務制の導入か、(2)チーム制の導入のいずれかを実施するという形の見直しが行われております。こちら、施行は令和8年5月31日ですが、こういった見直しが行われたところであります。
95ページ目は入・外調査におきまして、施設票で診療科ごとに給与を変えているのかということに関する質問をしておりますが、「変えていない」という施設が79%で、多いという状況でありました。変えている場合につきまして、どのように手当をつけているのかに関する調査結果でございますが、手当が支払われた医師の月当たりの平均的な手当額は1~5万円が最も多いというような状況でありました。
96ページ目は処遇改善に向けた取組の事例として、広島大学の取組、津山中央病院における取組を紹介させていただいております。
97ページ目が消化器外科医師数別の医療機関の数ということで、このような分布を見ますと、医療機関の中に消化器外科の医師が1人または2人の医療機関が全体の48.7%を占めているという状況でありました。
98ページ目が20万人未満の二次医療圏における所属消化器外科医師数の分布ということでございますが、濃い青色は1人~2人というものでございまして、このような分布となっておりますし、99ページ目、100ページ目について、中規模の二次医療圏、大規模の二次医療圏ということで、それぞれの分布をお示ししているものでございます。
101ページ目が二次医療圏人口と消化器外科手術の件数ということで2軸でお示ししておるものでございますが、一定程度、症例が大都市圏に集まる、人口が移動している、より広域でこういった機能が果たされているという傾向があるというデータもございます。
102ページ目につきましては、医療機関別の消化器外科医師数と消化器外科手術件数で、施設当たりの外科医師数が多いほど手術件数が多いという状況であります。
103ページ目がより高度な手術に着目して分析したものでございます。折れ線グラフのほうは医療機関の全体ということでございますが、全体で見ますと、年間の手術件数が1件~39件、あるいは40件~79件のところに該当する医療機関が多いということでございますが、一方で、縦の棒グラフになっている大学病院につきましては、200件以上といったカテゴリーに入っているところも多く見られるということでございます。
104ページ目に現状と課題をお示ししております。課題としまして、診療科偏在につきまして、消化器外科医の減少などの診療科医師の偏在について、働き方、教育体制、処遇などの様々な要因が指摘されていることも踏まえて、現状やこれまでの取組をどう評価するか。
高度な手術や医師の集約化によって、働き方改革の促進あるいは手術成績の向上が見られるという報告があること、あるいは各施設の手術件数や医師数の分布について、どのように評価するのかということで御議論いただければと思います。
説明は以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。
鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
ありがとうございます。
まず、102ページ、外科医が何人いるかということでありますけれども、外科医が2人ということですと、手術の内容については、かなり制限が出てくるものと思われます。その手術の大きさ、難度、それからどこの部分の手術をするかということにもよるのですけれども、6人以上のスタッフがいるところで高難度の手術を集中してやるようにするというような取組は、今後必要になってくるかと思います。
それから、外科医の専門化と細分化の話ですけれども、例えば消化器外科とおっしゃっていましたけれども、消化器外科の中にも、上部の消化器と下部消化管外科、それから肝胆膵外科とかありますし、同じ外科の医局の中でも、私どもでも乳腺外科とか呼吸器外科とか小児外科とか血管外科とか、いろいろあるのですね。前は、1人医者がいるとある程度のカバーができたのですけれども、高難度手術、治療の専門化・高度化が進むに当たって、医者がというか、外科医が1人いても、その人の専門が何なのかということで、単に頭割りで手術件数を割ればいいというものではなくなってきているのだと思うのです。必要な専門家の数はかなり多いというのが、ここにお示しいただいた印象よりもさらに強いと私は思います。
それから、例えば消化器外科で、僕たちが若いときは胃がんの手術をたくさんしたのですけれども、最近は胃がんの手術をするといっても、これは内視鏡で胃の壁の内側から取るようなESDとか、そういったことで手術がなされることが多うございますので、胃がんの手術が何件あるから、それだけ消化器外科医が出動しているかというと、そんなことはなくて、内視鏡で行われている手術が多く含まれているというふうにお考えいただければと思います。
それから、外科のスタッフがどうしても増えてこないということがあるのですけれども、外科医は確かに一人前になるまで時間がかかります。ワークライフバランスが悪いと言われたりします。今のところ、外科医になるためのモチベーションというのを上げるようなこと。だから、今、外科医になっている人たちは、その生き方とか格好いいみたいなことで、若い人からああいうのはいいなというふうに思ってもらえるような背中を持ちたいなというふうに思っております。
それでも、現実的なところ、なかなか大変だということで、海外では外科のドクターの収入がほかの科より高かったりすることがあるのですけれども、96ページの広島大学のインセンティブなんかは、1つの対策ではあろうかと思います。私どもの医局では、先代のチェアマンが大変尽力いたしまして、コンスタントに毎年10人以上、入局が継続しております。女性の入局者も多くて、結婚・出産を経て時短等で復帰して勤務しているスタッフも多うございます。
ワークライフバランスが悪いというふうに言われるのですけれども、これは人数が減ってくると余計悪くなるのですが、どこかで人数を多くして好循環になってくるとワークライフバランスもよくなってくるので、ぜひそういう努力を、もちろん国としてもする必要があるし、各医療機関でもする必要があるだろうなと思います。どうもありがとうございました。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、池田委員、どうぞ。
○池田委員
池田でございます。
今回提示いただいた資料で、消化器外科をはじめとする外科系の診療の現場では、長時間労働とか緊急対応の多さからというふうに思いますが、非常に医師の負担が大きいということが分かりました。
まず1つ、資料に関しての質問です。83ページ、手術数の推移が示されていたと思いますが、これは連続的な数の推移になっていないところが見受けられましたので、これは何か集計上の問題があるのかどうかということについて、まず1点質問となります。
あとは、もし今後の議論に向けての分析などをお願いできるということでありましたら、この診療科の偏在というのは、特定の地域では外科医が少ないとか、そういった地域偏在とも密接に関連しているように思います。そうした点から、例えば医師・歯科医師・薬剤師調査でしたか、そのデータなどからも都道府県ごとの偏在、ばらつきなどが見えるようでしたら、そちらについてのデータもまた御提示いただければと思います。
あと、外科を標榜されていても、私の近所でもクリニックで開業していて、基本、大きな手術をされていないような先生もいらっしゃるので、手術のできるようなところ、あるいは病院の御勤務であるかどうかというところの資料も、もしお示しいただければ、さらに議論の参考になるかということで、これは要望でございます。
あとは意見でございますが、82ページでしたでしょうか、ワークライフバランスを非常に考える意見が多いということであったと思いますけれども、私も医学教育の現場におりまして、医学生とか若手の医師が、以前よりもさらにワークライフバランスを重視する傾向にあるというのは、実感として持っているところでございます。そんな中で、これはちょっと長期的な視点となりますけれども、外科医を目指す医学生や若手医師を増やすというために、これは診療報酬上の措置も大事ですが、それに加えまして、外科診療の魅力とか外科医ならではのやりがいを伝えるような教育も進める必要があるというふうに感じました。当然、現場も働きやすい環境に変えていくというような努力も必要かと思います。
一方、喫緊の課題としては、現状において非常に限られた人材を有効に活用して、持続可能な外科の診療体制を構築するということが必要かと思います。事務局からの御提案といいますか、資料の中にもありましたように、負担軽減とともに集約化ということも1つの解決になるかと思います。特に、医療政策、ヘルスサービスリサーチのほうの領域ですと、いわゆるボリューム・アウトカム・リレーションシップと言って、複雑な手術などでは、一定の症例数を経験している医師や医療機関に集約することによって治療成績が上がる、あるいは合併症が減らせるということが30年ぐらい前から研究成果が出ておりまして、日本でもNDBを使ったそういう研究も示されていると認識しております。そうした集約化という点も進めていく必要があると思います。
もちろん、患者さんのアクセスという点で若干の不便が生じるという点にも考慮する必要がありますけれども、医師の勤務環境とか医療の質の観点を意識した上で、集約的に手術を担う病院を適切に評価するといった診療報酬上の工夫というのを進めていく必要があるというふうに感じております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。最初の点は御質問ですかね。83ページのグラフについてだったと思いますが、事務局、お願いします。
○佐々木補佐
事務局でございます。
池田先生が御指摘いただいたのは、恐らく2018年度に食道・腹部の手術件数が少し上がっているところを御指摘されたのかなと思っておりますけれども、こちらは短期滞在手術3の対象手術が少し変わったため、NDBオープンデータにその手術が出てきたということで、手術件数自体は短期滞在3と合わせると変わっていない部分があるのですけれども、こちらはNDBオープンデータを集めたものですので、そういう点で少し連続性がないように見えるということで、ここの臓器別手術件数の推移は、そういった点を踏まえて御参考にしていただければと思っております。2020年のところは、コロナの影響で少し減ったのかなと思っております。
もう一点、診療所等で働いている医師の数等もということでございましたけれども、今回お示ししている医師数につきましては、常勤医師で診療を4日間以上しているような病院の医師という観点から集めた資料になっております。
以上でございます。
○池田委員
ありがとうございます。
すみません、病院とおっしゃいましたか。病院であって、診療所は除いているということでよろしいですか。
○佐々木補佐
はい。外科の医師数については、診療所は除いているということになっております。
○池田委員
分かりました。ありがとうございました。
○尾形分科会長
よろしいですか。
それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。
まず、外科、特に消化器外科の医師が減少しているということなのですけれども、私も消化器外科の医師にいろいろ聞いてみるのですが、自分たちの業務量と報酬がマッチしていないと感じている外科医が非常に多いということがあります。特に消化器外科というのは一般外科を兼ねているという部分もあって、必要とする医師数が絶対的に多いということを理解して対応する必要があるのかなと思います。同じ外科でも、例えば心臓血管外科医などは増加しているわけです。呼吸器外科も増加しています。また、私も脳外科医ですけれども、脳外科医なんかも増えているわけです。心臓血管外科とか脳外科というのは、救急対応も多くて忙しい、業務量と報酬がマッチしていないということに関しては、消化器外科と全く共通しているのです。
ただ、82ページにあったグラフと同じ脳外科バージョンというのがあるのですけれども、それを見ると、脳外科を志望する医師というのは、ワークライフバランスをあまり重要視していない傾向のある人が脳外科医になっているということも実は示されているのです。ですから、業務量と報酬がマッチしていないと感じていても、自分が進みたい分野に進む医師というのはいるわけなのです。ただ、そのような医師は限られている。決して多くはない。ですから、多くの医師を確保しなくてはいけない消化器外科という分野においては、改善が必要だということになるわけです。裾野が広いために救急から呼ばれる回数も多い。一般外科ですから、自分の専門性と合致しないことで呼ばれることもあって、それを負担と感じることもあるというふうに聞いています。
あと、外科系というのは、消化器外科であれば専門性を究めていくために時間がかかるというのも事実でして、開腹手術、鏡視下手術、ロボット手術と学ぶ部分が多くて、一人前になるのに専門医としての勉強を始めてから10年以上かかるということになります。その専門医の維持ということも大変です。そういった努力、労働量、負担感に比べて報酬が見合っていないというふうに感じる若い医師が多いわけです。今回も例示されていますけれども、処置及び手術の休日加算1というのがあって、こういうものでもって医師の報酬を増やすという取組もあるのですが、これに関しては要件が厳しくて、実際に算定できるのは、多くの医師が在籍している一部の医療機関に限られます。ここでも344施設が算定できていて、これはほとんど伸びていません。
これは施設数であって、その中でも取れている診療科と取れていない診療科があって、344施設で外科はみんな取れているかというと、決してそうではないわけです。ですから、今後、実効性のある外科医の待遇改善を考えていかなくてはいけないだろうというのが、まず第1点です。
あともう一つは、先ほどから出ていますように、高難度の手術は集約するということが、もう必須条件じゃないかなというふうに私自身は思っています。ただ、一般外科もありますので、例えば胆のう炎とか胆石といった外科的な治療をする医療機関は、決して集約するわけにいきませんので、こういったところを診る外科医も確保する。これをどうバランスを取っていくのかというのが、今後重要な課題になるのかなと思っています。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
今回、医師偏在、消化器外科医師のいろいろな課題について資料を提供していただきまして、ありがとうございます。医師の診療科偏在の問題を診療報酬で議論するということで、これからは医政局の議論とかもしっかり頭にたたき込んでおかないと、理解しておかないと、誤った読み込みというか、ミスリードして理解していると議論を誤った方向に導いてしまうのかなということで、ちょっと注意しなければいけないなということを再認識しているところです。
そういった視点で、今回の資料を見せていただいて感じたことは、女性医師のデータがちょっと少ないかなと思っています。今さら女性医師がどうのこうのという議論を改めてするつもりはございませんけれども、今年の国家試験の合格者、男性が63.7%、女性が36.3%ですから、女性が3分の1以上なのですね。なので、これからの医療提供体制を考える上では、見逃せない視点の一つなのかなと。
77ページ、ここにはございませんけれども、厚労省の令和2年、2020年のデータで乳腺外科の女性医師の割合というのがありまして、これが31.6%、平均年齢が56.5歳です。消化器外科は女性医師の割合が3.1%、10分の1です。平均年齢が64.1歳。これをどういうふうに捉えるのか。診療科の偏在を議論する上では、そういった視点も細かく見ないといけないのかなと思っているところです。
これも医政局の議論だと思いますけれども、新たな地域医療構想のまとめに、大学病院の本院機能としまして、医育・広域診療機能というものがございますけれども、そこに広域の観点で担う常勤医師や代診医の派遣機能ということが書かれていまして、恐らくこれも診療報酬と絡めて、この医師の派遣機能の評価ということも出てくるのかなと思いますけれども、例えば大学病院から関連病院に派遣する場合、外科医として女性医師を1名派遣しますとした場合、たまたまその方がおめでたになって、派遣早々、産休に入られて育休に入られたとした場合、大学病院からは派遣1とカウントされているわけですけれども、受け入れた病院側としては、マンパワーとしてはもうカウントできないという問題がございます。
そういった場合に、医師派遣機能をどういうふうに評価するのかというような、早速、そんな問題が出てくるのではないかなと思います。今さら女性医師がどうのこうのと言うつもりは全くございませんけれども、出産とか育児の問題がございますので、卒業生の3分の1以上が女性を占める時代ということになりますので、診療科偏在の問題を検討する場合には、その視点も重要かなと思っています。
あともう一つ、医師偏在対策の問題では、基本的にはペナルティーで解決していくのか、インセンティブで解決していくのかという問題があろうかと思うのです。インセンティブを幾らつけても、過疎地にはもう誰も行かないというのが、フランスとか諸外国でもこの問題が解決できている国はないと思っていますので、例えば日本の場合は、僻地勤務歴がないと公立病院の院長にはなれないというような、これはペナルティー的な解決なのかなと思いますけれども、今どきの若者は管理職になるのは罰ゲームという認識ですので、罰ゲームにしない管理職のつくり方というのが週刊誌のタイトルになるぐらいですから。ということで、基本的な解決策はインセンティブしかないのかなと思っています。診療報酬上で、そのインセンティブをどういうふうにあてがうのかというのは、非常に難しい問題かと思います。
今回、消化器外科のテーマをいただきましたので、集約化の問題についてちょっと触れますと、例えばこれまで中小病院で簡単なアッペの手術、虫垂炎の手術ぐらいだったら、恐らく地方の病院で、98ページにございますように、60代の1人外科部長が頑張って対応していたと思うのですね。
しかし、あと5年もすると、恐らく集約化の時代の流れで、虫垂炎の診断がついたら救急車で三次救急の病院まで1時間、2時間かけて搬送されて、腹腔鏡で手術しますということになるのかなと思いますけれども、場合によっては、内科的に抗生剤で一旦治療して、半年先に予約で短期滞在手術になるのか分かりませんけれども、私は、消化器外科は専門外ですので、この辺りは学会にお聞きして、これからどういうふうな対応になるのか、これを診療報酬上でどういうふうに見ていくのか。消化器外科の医師に対するインセンティブを含めて、そういった検討が必要なのかなと思いましたので、意見させていただきました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
今回は医師偏在対策といたしまして、消化器外科の偏在についてということになりますけれども、いずれにおきましても、今、津留委員も他局の、いわゆる施策を展開している担当局の審議会等の中身をしっかりウオッチしたいという意見もありましたが、働き方改革と関連するものでございますので、急性期の医療機関の機能を検討する中で整理していくべきものだというふうに理解しています。
90ページに日本消化器外科学会から提示されておりますものですが、労働時間短縮のためにどの方法を取ったらいいかという会員のアンケートがありますけれども、こちらでは、化学療法を他科へ依頼する、医療事務を充実する、外科医の集約化という御本人たちからの希望が出ているということでございます。まさに進める方向はこの内容ではないかと思う次第であります。
それから、消化器系の高度な手術の実施状況は103ページに示されているとおりでございますけれども、先ほど来出ておりますけれども、症例数が少ない医療機関がある一方、難易度の高い手術につきましてはということになると思いますけれども、大学病院、特に本院を中心として症例数を稼いでいるところでございます。先ほど池田委員からもございましたけれども、手術件数の多寡と手術結果、術後の合併症等々の在り方につきましては、関係があるわけでございますので、当然集約化ということ。牧野委員もおっしゃっていましたけれども、特に難易度の高い手術については、特定の医療機関に集約して治療成績を高めるべきだというふうに考えます。
それから、今回は消化器外科を取り上げているわけでございますけれども、今、乳腺外科について、津留委員から意見が出ましたけれども、他の診療領域におきましても、同じような課題があるのではないかということを併せて検討すべきだと考える次第でございます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
ありがとうございます。
私は、池田先生の後段の意見と一部重なるところがございますが、医師偏在対策と集約化が必ずしも二者択一ではないのだというような点から意見を述べたいと思います。偏在対策が重要であるということは論をまちませんし、急性期機能の議論でも、人口が少ない地域や時間の勝負になる疾患への配慮が必要との議論がありました。
ただ、ハイボリューム施設の治療成績が良いという事実や、医療安全上も拠点に集約化するということが必要なのははっきりしております。働き方改革を進めていく上でも、数の少ない疾患、医療安全の観点から必要な疾患等、集約化についても偏在是正とは別の議論としていかないと、医療の持続可能性が立ち行かないものになってくるのではないかと考えております。
医師偏在の是正と集約化のどちらが必要かというのを、ある程度領域を分けて、偏在是正や均てん化を進めるべき領域の対応を取りつつ、集約化が必要な領域については、そのためのインセンティブの検討を進めるという双方の対応が必要ではないかと考えております。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
私も今、先生方がおっしゃっていたように、集約化はもう絶対必須だと思うのです。集約化を診療報酬でどのように進めていくかという点を考えますと、先ほど集約した大きいところでの手術のインセンティブを上げるというお話が出ていまして、それはすごい重要だと思うのですが、先ほどあった、今は地域でやっている小さい手術なんかも、私も専門ではないですけれども、ある程度集約化してやっていくほうがいいのではないかなと思います。また、48.7%の先生が1人か2人のところで仕事をされていて、そこではあまり手術が行われていないという現状があります。そうすると、せっかく生涯を経て得た技術というのもあまり生かされていないというのもありますし、集約化はそういう意味でも重要だと。
そうすると、小さい病院が、そこで手術をしないでセンターに送った場合のインセンティブは、多分、今はあまりないのではないかと思うので、大きいところでやったインセンティブだけではなくて、きちんと送った場合も考えていく必要があるのではないかなと思いました。その辺は専門の先生にも伺いたいところです。
それから、1点すみません、前のところで、23ページの話ですけれども、私、中心静脈栄養と身体的拘束の話を具体的に教えてくださいと申し上げたら、資料を用意していただきました。ありがとうございます。ただ、これは施設なので、これだけだとよく分からないし、中心静脈栄養だけかどうかも分からないので、すみません、別の話ですけれども、拘束についてはもう少し細かく見ていく必要があるなと思ったところ、追加させていただきました。資料作成、厚労省の方、ありがとうございました。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
ありがとうございます。
まず、集約化のこと、今、割と話題が出ていたのですけれども、当然、これまで出てきましたように、1施設での手術件数とその成績というのは、各外科分野で数字として明らかに出てきておりまして、そういう点では、外科手術の質を担保するという意味でも、集約化というのはぜひとも必要だろうと思います。
ただ、外科医の不足・減少に対応するための集約化というのは、これはちょっと違うのではないか。集約化して、本当に外科医不足が解消されるのかというと、それでもさらに外科医の不足が続いて、集約化の集約化というような循環になっていく危険もあろうかと思います。外科医の確保ということを考えますと、その外科医の業務実態に合わせたインセンティブをしっかりと確保することが必要なのではないかと考えております。
例えば、医学部のほうで、学生が外科手術を見学して、外科医に皆さん、多くの方が憧れられます。ところが、実際、初期研修等を経験した上で、憧れるのだけれども、外科医を生涯やっていけるかどうかが心配だ、不安だ、無理かもしれないというようなことがだんだんと出てくるわけです。その辺に外科医の実際の業務に対する評価というのが、必ずしも十分ではないのではないかというところが反映されているのではないかと思います。そういうことで、私としましては、この外科医不足に対応するには、それなりのインセンティブということになろうかと思います。
その中で、例えば93ページ、休日・時間外の加算というのが出てきておりますけれども、これは先ほど牧野委員がおっしゃられたとおりで、例えばチーム医療体制というようなことがしっかりと確保されていなければならないという条件がありまして、それこそ外科医不足で苦労している病院で、それを確保することは到底難しいということで、施設・診療科の数が増えていない、加算が取れる科が増えていない原因になっているということで、より直接的なインセンティブというのを考えていく必要があるだろうと思います。
例えば、広大の院内措置でインセンティブを確保しているということも示されましたけれども、それが十分にできる余力を持った総合病院は少ないでしょうし、自治体病院などの公的病院では、独自の判断で医師間にインセンティブの差を出すということは到底困難ですので、そこは行政的な判断の中で、診療報酬加算というような形でも確保していく必要があるのではないかというふうに私は考えております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
76ページ以降、外科の医師数に関するデータと併せまして、今後、外科医師、消化器外科医師というのが減少してくるということが非常に問題になるというふうに御提示いただきました。その原因の一つとして、81ページに時間外労働の多さ、82ページはワークライフバランスの確保が困難だ、大きな課題であるというふうに報告いただいたと思います。
確かにそのとおりだと思うのですけれども、実は、私は82ページで全体との比というものに注目して見させていただきました。ワークライフバランスの確保の困難は、全体と比べますと約2.3倍です。その次にありますのが、医師不足で過酷なイメージというのが2.4倍ぐらいあります。何よりも多いのが何かといいますと、出産・育児・教育体制が十分でないから。これが2.8倍ある。女性の外科医数がもともと少ないですから、n数としては絶対増えないので、そういう意味でいいますと、この差というのは非常に大きな意味を持ってくるのではないかと私は思います。
昨年実施されました医政局主催の第7回の医師養成課程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会において、日本消化器外科学会理事長の調先生が参考人として発言されて、そのときに消化器外科学会の女性会員自体は全体の7%程度ですけれども、2015年から36%増加してきている。また、年齢ごとの女性会員の比率を見てみますと、年齢が若いほど女性の割合が高くて、30歳未満では既に20%を超えてきたというふうなお話しをされています。女性外科医の支援が今後、非常に重要になるよというお話しをされているのですけれども、先ほど申し上げた30%未満というのは、今の研修制度で言いますと、外科医になりたてという方々が20%を超えて活躍されようとしているわけですね。
そういう意味でいいますと、先ほど津留先生がおっしゃったように、医学部入学者の3分の1以上が既に女性となっている状況であれば、今後、消化器外科医として女性活躍の場というのをつくっていかなければ、消化器外科医の活動というのは当然減ってくる。そういうふうな視点からの取組というのは、津留先生がおっしゃるように必要であると私も思っております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。ほかに御意見、御質問ないようですので、本件は以上にしたいと思います。
それでは、4つ目の議題でございます。「中間とりまとめ(案)」です。本議題につきましては、後日、中医協総会へ報告する予定であることを併せてお伝えしておきたいと思います。それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
入-2の資料、また入-2の参考1、2、3、4、5-1、5-2までございます。全体の御説明は省略させていただきますが、入-2の中間とりまとめの案をお示ししております。これまでの5月以降の入・外分科会における議論の課題を整理したものでございます。
1ページ目、目次に示されておりますとおり、急性期入院医療から個別的事項まで分けまして、それぞれのテーマごとの現況とか分科会で出た御意見、あるいは今後の検討の方向性などにつきまして、おまとめしております。こちらのほう、それぞれ御確認いただきまして、もし修正すべきとか、そういった点がありましたら御議論いただきまして修正作業をさせていただいて、中医協総会へ報告のほうに進めせていただければと思っておりますので、御意見などよろしくお願いいたします。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
そろそろ予定の時間でございますが、少し延長させていただきまして、今の事務局からの説明、それから、この資料につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。
今村委員、どうぞ。
○今村委員
日本医師会のほうから1点だけ、全体を見させていただいた中で、33ページの分科会での意見というところで、意見を取り上げられている部分の一番下の「現在の機能強化加算は、地域包括診療料・加算、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料等の届出をもって、かかりつけ医機能が高いと評価する考え方となっている。かかりつけ医機能報告制度が開始されることを踏まえると、この制度に沿った形で再検討することが求められるのではないかとの意見があった。」という部分があります。
これにつきまして、このかかりつけ医機能を評価するものとして、診療報酬上で評価されている機能強化加算、地域包括診療料・加算、小児かかりつけ診療料等については、そもそもそれぞれの点数が新設された際の趣旨や、中医協として答申した際に、何を評価の対象にしたのか。そして、これまで細かな疑義解釈を積み重ねてきたことなどをしっかり踏まえて検討する必要があるということを一言伝えたいと思います。
特に、今回のかかりつけ医機能報告制度は、ここにありますように、報告制度ということであって、かかりつけ医を認定する制度というものではないということ。専門性を有する地域の医療機関が連携して、地域全体が面となって患者さんを支えていくために必要な制度として、その地域でどういう状況になっているかということをしっかり報告していくという制度に、国民から、その地域でどういったかかりつけ医機能が提供されているかを分かりやすくすること。また、それらを踏まえて、その地域でしっかり面としてかかりつけ医機能を発揮するために、どうすればいいかを検討していただくといった材料としての報告制度ということであって、診療報酬上の評価と結びつけて議論するものではないということを強調させていただいておきます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
17ページ、5-3.廃用症候群リハビリテーションについてという項目でございますけれども、その2番目の○のところに、「運動器リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料において、7単位/日以上の提供ではFIM利得が比較的小さかった。」という記載がありまして、その次の18ページの評価・分析に関する意見として、「廃用症候群リハビリテーション料について、7単位以上でFIM利得が小さくなる傾向が認められことや、かなり多くの廃用症候群リハビリテーションを実施している施設があることを踏まえると、疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数のあり方についても検討する必要があるのではないかとの意見があった。」と書かれているのですけれども、確かにこういうふうな意見がございました。
私も、そのとき、6月13日の第3回分科会の議論だろうと思いますけれども、運動器も廃用も、いずれも脳血管に比べて傾きは小さいですけれども、確実に増加している。6単位と9単位の間には2~3点というふうな点数差があって、その点数差というのはかなり大きい意味を持つのだよという旨、発言をさせていただきました。同時に、これはDPCデータからのデータですので、廃用症候群のn数が1万単位ですね。運動器に至っては4万とか5万という単位で1上がっていて箱ひげ図が書かれている。
これはSDが分からないので断言はできませんけれども、恐らく有意差が出てくるのではないか。有意差があるものに対して、差が変わらないから、そこをやらなくてもいいよという議論になってくるのはいかがなものかと私は思っております。ぜひとも反対意見に関しても一緒に記載しておいていただきたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。特にほかに御意見、御質問等もないようでしたら、本件に係る質疑は以上としたいと思います。
なお、本件を中医協総会に報告するに当たりまして、本日の議論を踏まえて必要な加筆・修正を行うことにつきましては、分科会長であります私と事務局に御一任いただきたいと思いますが、その点、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○尾形分科会長
ありがとうございます。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
本日の議論は以上でございます。
次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
1点だけ補足させていただければと思いますが、先ほどの身体的拘束の議論の中でクリップセンサーの扱いの点がございました。クリップセンサーの仕組みによりまして運動の抑制になるかどうかとか、様々なことも考えられるかもしれませんので、もう少し整理が必要かどうかについて、また検討させていただきたいと思っております。
次回の日程については未定でございますので、決まり次第、御連絡させていただきます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、令和7年度第8回「診療報酬調査専門組織 入院・外来医療等の調査・評価分科会」を終了させていただきます。本日は長時間にわたりまして熱心な御議論、どうもありがとうございました。