2025年7月17日 令和7年度第7回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録

日時

令和7年7月17日 13:00~15:00

場所

全国都市会館  3階 第2会議室

出席者

本委員
  • 尾形分科会長
  • 池田委員
  • 今村委員
  • 津留委員
  • 林田委員
  • 牧野委員
  • 秋山委員
  • 眞庭委員
  • 中野委員
  • 眞野委員
  • 小池委員
  • 田宮委員
  • 鳥海委員
  • 井川委員
  • 武井委員
事務局
  • 矢野課長補佐 他

議事

○尾形分科会長
 定刻になりましたので、ただいまより、令和7年度第7回「診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
 本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
 また、今回の会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 初めに、委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、飯島委員が御欠席です。
 なお、冒頭のカメラの頭撮りはここまでとしたいと思います。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 まず議題1ですが、「外来医療について(その2)」でございます。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 入-1の資料に基づいて御説明いたします。4ページ、外来医療について(その2)で、外来機能分化にかかる現況について御説明いたします。
 5ページ目、外来医療の提供体制(第8次医療計画)でございますが、外来医療の機能分化連携の取組に関する取組がございます。
 6ページ目が外来機能報告の概要でございます。
 7ページ目がそれに基づく紹介受診重点医療機関の地域における協議についての仕組みを記載させていただいております。
 8ページ目が機能分化・強化による入院医療を含む病院の機能への効果ということで、これは前回の改定のときの議論であったものでございますが、外来機能分化を進めることで医師の働き方改革などにも資するということが言われております。
 9ページ目、これは病院の1日平均外来患者数の年次推移ですが、長期的には減少傾向です。
 10ページ目、外来患者の診察の待ち時間で、受療行動調査の結果でございますが、病床規模の大きい病院において待ち時間が長いという傾向がございます。
 11ページ目、傷病分類別に見た外来の推計患者数ということで、傷病分類で見ますと、悪性腫瘍などについては、病院で推計患者数が多いということで、基本的には診療所のほうが外来の患者数が多いですが、悪性腫瘍、妊娠、産褥、染色体異常などは、病院のほうが外来患者が多というデータとなっております。
 12ページ目が紹介状なしで受診した患者さん病床規模別の分類ということで、右肩下がりになっております。
 13ページ目は病院の機能別で見た場合でございますが、横ばいか、令和2年から5年にかけては微増の傾向もありますが、全体として右肩下がりのトレンドということになってございます。
 14ページ目が紹介状なしで受診する場合の定額負担の見直しということで、令和4年改定の資料でございますが、例えば初診に関しては、医科の場合、7,000円の定額負担という形で今、定められているところでございます。
 15ページ目、紹介状なしで受診する場合の定額負担の導入の状況。令和6年の入・外調査の結果でございますが、導入の状況は令和5年と6年で大きな変更は見られなかったという状況でございます。
 16ページ目、その設定の金額についても調査しておりますが、御覧のような形になっておる状況でございます。
 17ページ目、再診時のほうの金額をお示ししております。
 18ページ目が初診時に紹介状なしで受診した患者と定額負担を徴収した患者の割合という形でお示ししておりますが、令和5年と令和6年で比較しますと、義務化対象施設で2.8ポイント減少しているという結果となっております。
 19ページ目、大病院における初診料等の減算規定についてであります。
 20ページ目を御覧ください。紹介割合・逆紹介割合による初診料・外来診療料の減算の規定がございます。こちらは減算の対象患者でありますとか、紹介割合・逆紹介割合の基準とか計算方法などについて整理してお示ししているものでございます。
 21ページ目がこれまでの改定の経緯ということで、令和4年の改定のときにこの対象拡大が行われまして、今の計算の仕方が設定されております。
 22ページ目が外来の紹介・逆紹介割合の計算のイメージということで整理させていただきました。
 23ページ目、病院の区分別に見た紹介割合で、これは入・外調査の結果ということでございます。医療機関ごとの紹介割合につきましては、令和6年と5年で不変、もしくはやや増加という状況でございます。全ての区分において中央値、平均値共に減算基準を超えているという状況でございました。
 一方で、24ページ目、今度は逆紹介割合のほうでございますが、これは病院区分別で見た場合に、特定機能病院においては平均値が基準値を下回っているような状況がありました。そんなところが上回っている状況でございます。令和6年と5年を比較しますと、不変、やや増加という形になっております。
 25ページ目が入・外調査で見ました初診の患者数、再診の患者数の動向でございます。令和6年の再診患者の平均値・中央値は、令和5年10月と比較して増加しているという結果となっております。
 26ページ目が2年以内に初診料の算定がない外来再診患者の割合。こちらはNDBを集計してつくったデータでございますが、2年以内に初診料の算定がない、すなわち長く再診にかかっている患者さんの割合の状況ということでございますが、約6割ぐらいという状況で、特定機能病院、地域医療支援病院、それぞれの類型ごとにそういった状況となっているデータでございます。
 27ページ目、6か月以内に外来再診した患者の割合ということで、どれぐらいの頻度でかかっているか。6か月以内の再診を受けている患者が平均して8割程度となっているということで、これも病院の類型別にお示ししておりますので、御参照ください。
 28ページ目が診療情報提供料等についてでございます。
 29ページ目、診療情報提供料(Ⅰ)の概要であります。医療機関が他の機関に紹介した場合などに、月に1回算定できる点数でございます。
 30ページ目にあるようにいろんな場面に応じて加算がつくような仕組みになっております。
 31ページ目が診療情報提供料(Ⅱ)でございまして、これはセカンドオピニオンに関する評価となっております。
 32ページ目、連携強化診療情報提供料がございます。こちらは令和4年改定でつくられた点数でございますが、かかりつけ医機能を有する医療機関と紹介受診医療機関等の情報提供に関する規定で、それを算定できる条件などがいろいろございますので、こちらの表のように整理させていただいております。紹介元医療機関がどこなのか、紹介先医療機関がどうなのか、対象患者がどうなのかによって取れる・取れないなどが細かく定められているものでございます。
 33ページ目、診療情報提供料の算定回数の状況で、今、申し上げた診療情報提供料(Ⅰ)、診療情報提供料(Ⅱ)連携強化診療情報提供料のそれぞれの算定回数の状況です。コロナがありました令和2年のときに減っている状況でありますが、特に連携強化診療情報提供料については、令和6年に算定回数が特に病院で増加しているという傾向がございます。
 34ページ目が外来機能に応じた医療機関連携の具体例ということで、具体例でお示ししているのは紹介元医療機関が地域の診療所の場合ということで、専門的な治療、管理のための紹介を行う場合、診療情報提供料(Ⅰ)が算定できるということになります。
 一方で、紹介元となった診療所が診療情報の提供を求めた場合、紹介受診医療機関等は、求めに応じてそういう情報提供を行った場合に、連携強化診療情報提供料が算定できるという仕組みとなっております。ただ、この連携強化診療情報提供料については、※印にありますとおり、かかりつけ医機能に係る施設基準、※印に書かれているものの届出がある医療機関の場合に算定できるといった仕組みとなっております。
 35ページ目はその逆のパターンということで、特定機能病院等が紹介元になるパターンということで、これを地域のかかりつけ医機能を有する医療機関に紹介した場合、診療情報提供料(Ⅰ)が算定できますし、逆に求めに応じて情報提供した場合、紹介先に当たるかかりつけ医療機関も連携強化診療情報提供料が算定できるという状況でございます。
 今のような資料に基づきまして、外来機能分化に関する評価、さらに検討を進めるべき事項について御検討いただきたいと思います。
 説明は以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
 牧野です。ありがとうございます。
 私から1点。24枚目のところですが、病院区分別の逆紹介割合というのがここに出ています。ここで見ると、どうも特定機能病院において逆紹介が進んでいないというのが見てとれるところです。では、これはなぜなのかと私自身考えてみて、要因が2つかなと思っているのです。1つが、やはり外来に投入できる医師の数が多いというのがあるのかということ。もう一つは、再診を行わなければならない理由というのもあるのではないか。これは確認が必要だと思います。例えば悪性腫瘍の治療を行いますと、再発の有無の確認を含めた術後のフォローアップで、3か月から6か月単位で定期的な受診が必要になったりもします。疾患の性質上、かかりつけ医にフォローアップを任せられないものもあるのではないかと思います。
 最初の医師が多いということが逆紹介割合が多いということに結びつくのであれば、これはちょっと問題になりますけれども、後のほうの実際の疾患の性格からして再診が必要ということであれば、これはあまり問題視することもないだろうと思うのです。
 そこで、これをもうちょっと深掘りするためにも、大学病院と同様の医療を行っている例えばDPC特定病院群でどういったことが起きるのか。逆紹介がどの程度あるのかと。これも併せて見ていくことが必要ではないかということで、ぜひともこういったデータを出していただきたいと思います。これはお願いです。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
 私も今の牧野委員に続いてですが、第2項目の大病院における初診料等の減算規定等に関連して申し上げます。26ページ、27ページの観点からでございますが、このページを見ても、紹介割合・逆紹介割合が減算規定の基準である医療機関において、相当数の患者さんが2年以上通い続けていること。一方で、半年以内に外来受診をしているということが示されているわけであります。今、牧野委員がおっしゃいましたけれども、これはそれなりの理由があるのではないかということが考えられるわけであります。本来逆紹介をすべき患者さんもいらっしゃるのかもしれませんが、それとは別に、日常的な医学管理、医療管理については、地元の医療機関にかかりつつも、専門外来で一定間隔でフォローしていくというパターンが当然あるわけでありますので、こういうことは今回の資料では十分分析できておりませんので、一歩進めるに当たって、他の医療機関への受診状況、その患者さんの疾患の種類なども分析して、継続的な受診の妥当性について検討すべきと考えます。 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 私は、まず16ページ、17ページのところについて質問させていただきますけれども、今回令和6年10月1日のデータで、初診時・再診時の紹介状なしの場合の7,700円と最小値で7,000円、再診のほうは3,300円で、最小値が3,000円というのが出ていますが、これがなかなか分かりにくくて、恐らく各医療機関、消費税込みの金額で7,700円ということの数字が出ているのだろうと思いますけれども、一方で、最小値で7,000円、3,000円という数字も出ていますので、そもそもこの金額は消費税込みの金額なのか、その辺が全部きちんと確認できているのかどうかということをお尋ねしたいと思います。これが質問です。
 20ページの部分では紹介割合・逆紹介割合の減算、ペナルティーの資料が出ておりますが、ここに地域医療支援病院で一般病床200床未満を除くというものがございます。地域医療支援病院は入院時で1,000点、紹介受診重点医療機関は800点のインセンティブがついているわけですが、今回ペナルティーのほうでは200床未満は除くとなっていますけれども、200床未満を除く必要性がどうなのかなと疑問に感じるところです。
 これまでの分科会で、地域で例えば救急搬入の件数が少なくても、そのシェア率が非常に高い医療機関がそれをどう評価するかという話もありましたけれども、これとちょっと類似するような形で、そもそも過疎地に存在しているような基幹的な病院で、地元に逆紹介しようにも受けてくれる医療機関がないとか、診療所がそもそもないのだと。それで逆紹介もなかなかできないという事情のある病院もあると思いますので、そういうふうに一律に条件を満たさないから減算でいいのか。あるいは先ほど申し上げましたように、200床未満であれば一律に無条件に対象から外すというものがいいのかどうか。その辺は見直しが必要ではないかなと。つまり、ある程度地域性に配慮したそういった仕組みが必要ではないかと思うところです。
 最後です。24ページ、先ほどから御指摘がございました。牧野委員も特定機能病院のこれが少ない理由の中で、悪性腫瘍のフォローアップが必要なケースということをおっしゃいましたけれども、さらに細かく言えば、例えば外来で化学療法が繰り返し繰り返し必要な患者さん、かなりの数を抱えているとか、そういったものもあるのかどうか、その辺のデータをちょっと深掘りするような形で調べていただければと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 1点目は御質問かと思います。16ページ、17ページの定額負担と消費税の関係です。事務局、いかがでしょうか。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 今、御質問いただきましたのは、16ページ、17ページなどのところで消費税が入っているのかということについての御質問ですが、ここについては、医療機関がどちらで答えているのかが今、はっきりしないということでございますので、その解釈はその前提で見ていただく必要があるということでございます。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 津留委員、よろしいですか。
○津留委員
 そうすると、10%が乗っかっているか、乗っかっていないかのものが混在している可能性もあるという理解でよろしいでしょうか。
○矢野補佐
 そのとおりでございます。
○津留委員
 分かりました。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
 ありがとうございます。
 私も重ねて逆紹介率のところですけれども、これは特定機能病院の立場からという発言にもなりますが、24ページのグラフを見ますと、有意に特定機能病院で逆紹介の基準が低いというのが見られます。もちろん、逆紹介率を上げるための努力という部分も大切ですし、特定機能病院においてもそこはしっかりと取組をしているところですが、このようなデータが出てくるということになりますと、やはり算定方法、これまでもお話がありますように、受入患者、その後の診療というところで特殊性が出てきた結果がこのような有意な低い値になっていると思います。
 先ほど津留委員からもありましたけれども、がんの患者、外来での化学療法通院であるとか、その他も特殊な疾患を受け入れて治療を長期間にわたって継続する。悪性疾患も含めてですが、そういう特殊性があるという実感が我々はありますので、牧野委員、津留委員も言われましたけれども、特定機能病院における特殊性を今後しっかりと検証した上で、その算定方法についても踏み込んでいただきたいという印象を持ちました。
 私からは以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
 ありがとうございます。
 先ほどの逆紹介の話でございますが、牧野委員がおっしゃっていただいて、その後、津留委員とか眞庭委員もおっしゃっていただいたところでございますが、特定機能病院、外来をやっておりますと、結構紹介状を持ってくるのですけれども、健診機関からの紹介というのが割と多いのです。そこにただし書きがついていまして、当院は健診機関でありますので、患者さんを返さないでくださいというふうに御丁寧にこういうあれがついていたりするような医療機関もあるのです。ですので、普通の病院から病院への紹介以外にも、特定機能病院、健診施設から、つまり、医療を行っていないようなところからの紹介というものも多いと思いますので、パーセントを考えるときにその辺のことも考慮していただければと思って追加発言をさせていただきました。
 ありがとうございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございます。
 それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
 牧野先生、中野先生、津留先生、眞庭先生、鳥海先生も触れていらっしゃる24ページですけれども、特定機能病院として専門外来で継続的なフォローが必要な場合、2人主治医制で地元と実際役割分担しつつ診療している場合があると思いますし、地域の状況を踏まえ、本来本当は地域の医療機関に委ねたいけれども、適切な医療機関がない場合もあるかもしれないと思います。そういったものを除いた上で、患者にとって例えば利便性が高いということを理由に離れない場合があるかどうかというところをしっかり見ていくことが必要かと思いますので、特殊な外来なのかどうか、地域性はどうか、他医療機関との役割分担の状況、治療内容を含めた分析を行った上で検討いただくことが必要ではないかと思っております。
 以上です。
○尾形分科会長
 どうもありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。池田委員、どうぞ。
○池田委員
 池田でございます。
 今まで御指摘がありましたように、24ページ、あるいは26ページといったところが、特定機能病院が本来の形での医療が提供されているのかというところについて、より詳細なデータの御提示をお願いできればと思っております。例えば26ページでございますが、直ちに初診料の算定がない外来の再診患者が問題だということではなく、今までお話があったような専門的ごとの診療を行っているということで、他の病院ではなかなか診られないような患者さんであるということは、恐らく病名などの分析でも可能かと思います。
 また、2人主治医制で診ているかどうかというのは、恐らくNDBであれば、同じ疾患名で複数のところにかかっているかどうかということの確認も理論的には可能だと思うのです。あるいは外来化学療法をされていると。そういうことについてぜひより詳細なデータの御提示をお願いしたいと思います。場合によっては、本来こういった高機能の病院で診る必要性の低い患者さんが一定割合入っている可能性があるので、そこの確認ができればと思います。
 あとは、同じ特定機能病院でも、例えば26ページを見ますと、かなり値が大きく、幅がございますので、初診料の算定が2年以内にないような外来再診患者が極めて多い特定機能病院とそうでもないところということで、例えば地域性であるとか、診療の内容がどう異なっているということが分かりますと、それに向けてのいろんな改善の提案もできるかと思います。ぜひ追加のデータの分析をお願いできればと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、井川委員、どうぞ。
○井川委員
 ありがとうございます。
 私も同じ項目に関して1点ですけれども、その前に、5ページから14ページ、20ページから24ページの資料に関しましては、昨日の中医協総会に出されて議論が始まっていると認識していますが、これをそのまま分科会で議論させていただいて構わないという認識で構いませんか。よろしいですか。
○矢野補佐
 はい。
○井川委員
 では、そのことに関して意見を述べさせていただきます。牧野委員をはじめ、皆さんがおっしゃるように、逆紹介率に関しては、悪性腫瘍等の再診率が高くなると逆紹介率が下がるというのは自明のことで、実際に逆紹介率を特定機能病院で出している病院はあまりないのですけれども、例えば国立のがん研究センターの東病院となると、逆紹介率が2024年では37.4‰程度しか出していないのです。ところが、がんとかそういうのが全くない国立循環器病研究センターになると、ほぼ100‰のデータを持って出してくる。これは疾患によって全然違うのだということにつながっていますので、そういうところを具体的に調査していただかないと、十把一からげに特定機能病院は全て一緒という形には多分いかないのではないかなと思っております。
 次に、診療情報提供料等に関して意見を述べさせていただきます。今後かかりつけ医機能が文字どおり機能を発揮していくと仮定しますと、診療情報の提供というのはかかりつけ医と病院を結ぶジョイント部として非常に重要な意味を持つと考えます。
 33ページを見ますと、診療情報提供料の算定回数の適正値ははっきり分かりませんけれども、令和3年度よりも増加傾向にあるのは喜ばしいことだと考えますが、連携強化診療情報提供料に関しては、確かに令和6年度は大きく増加していますけれども、他の増加が診療所と病院がほぼパラレルに動いているのに対し、異常に病院側の伸びだけが高いということで、これがなぜかということを事務局側で把握しておられるなら教えていただきたいと思います。
 もし診療側の伸びが少ない理由が、32ページにあるような複雑な算定要件があって、診療所ではなかなか出せないという話になるのであれば、もっとシンプルにして、算定しやすいようにしなければ、これからかかりつけ医と病院をつなぐ非常に重要な部分が欠落していくおそれがありますので、その点も考えていただければなと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 33ページのデータについて、事務局から何かコメントがあればお願いします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 33ページ目の連携強化診療情報提供料の病院が特に伸びている理由について御質問をいただきましたが、事務局でもこれがなぜこうなっているのかについて定まった見解があるわけではございませんので、なぜこうなっているかなど、詳しい分析などをしましてお示ししていきたいと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 はい。ありがとうございました。
 それでは、ほかに特に御意見・御質問等もないようですので、本件に係る質疑は以上としたいと思います。
 続きまして、「包括的な機能を担う入院医療について(その2)」でございます。この部分につきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 入-1の37ページ目以降でございます。包括的な機能を担う入院医療について(その2)でございます。
 38ページ目を御覧ください。6月13日に御議論いただきましたが、その際の主な御意見ということでございます。まずは包括的な入院医療を担う病院の機能につきましては、85歳以上の救急搬送数が増えていること。救急搬送やくだり搬送を受け入れることも重要であるが、そもそも救急搬送を発生させないような管理も重要ではないかという御意見がございました。
 また、救急搬送4,000件以上であるような地ケア病棟を持つ病院というのはどういう機能なのか、確認すべきではないかという御意見がございました。
 また、急性期治療から在宅支援までを担うような病院もあるので、そういった病院の役割を分析してはどうかという御意見がございました。
 また、急性期病棟と地域包括医療病棟、両方持っている場合、どちらの病棟に入棟するのがいいか悩むケースも多いという御意見がございました。
 また、病院の持つ病棟の組合せごとの分析をしてはどうかという御意見もございました。
 続きまして、地域包括医療病棟の要件や患者像に関連するものでございますが、地域包括医療病棟は届出が少なく、施設基準を満たしにくいので、地ケア病棟と患者像が類似していることから、施設基準を緩和しつつ緩やかに統合し、各種基準は加算立てにするという発想もあるのではないかという御意見がございました。
 また、地ケア病棟の患者数上位が短期滞在手術の対象疾患となっているが、地域包括医療病棟ではこうした症例は少ないので、こういった要件についての検討が必要ではないか。
 また、ADLの変化に関連して、低下した割合についても分析すべきではないか。
 包括期の病院で高齢者の割合が増加している一方、急性期の病院ではその傾向は目立たないという分析に現場として違和感があるので、その点についての再分析が必要ではないかという御意見もございました。
 また、地域包括医療病棟については、手術の実施割合が多いということで、予定手術なのか、緊急手術なのかの観点も分析が必要ではないかという御意見がございました。
 リハビリテーション・栄養・口腔の三位一体の取組につきましては、地域包括医療病棟のほうが低栄養リスクのある患者の割合が多いというところについて、管理栄養士のスクリーニングについて、配置が効果があるかなどについての検証が必要ではないか。
 土日のリハビリテーションの職員のところの部分がなかなか難しいのではないかという意見。こういったものが6月13日の主な意見ということで認識しております。
 39ページ目が、それを基に追加でいろいろ分析したものがございますので、御議論いただきたいと思っております。
 40ページ目でございます。高齢者の受入れにつきまして、救急搬送の受入れと後方支援機能、それぞれの機能があるということでございます。
 41ページ目が地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟を有する医療機関の救急搬送の受入体制ということで、一番右にあるように、救急車4,000件などを受け入れている医療機関もあるということで、こちらはどうなっているのかということの御指摘がございました。
 42ページ目、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の救急搬送受入状況ですが、2,000件以上の医療機関は、いずれも急性期病棟を有している病院であったということでございます。
 43ページ目にございますとおり、地ケア病棟をする医療機関の救急連携搬送料についてでございますが、救急部門を有していない緑色のような医療機関であっても、こういった救急連携搬送料のくだり搬送を受け入れているような病院もあったということで、こちらには入・外調査の結果を再集計しましてお示ししております。
 44ページ目が救急受入や後方支援に関する現状の評価ということで、それぞれの点数ごとに地域包括医療病棟で取れるのか、あるいは地域包括ケア病棟で取れるのかなどの整理をしておりますので、御参照いただければと思います。
 45ページ目、これらの在宅・施設などの後方支援に関する評価の点数と、救急搬送受入件数の散布図、相関関係をお示ししているものでございますが、救急搬送は少なくてもこういった在宅患者の受入れなどを行っている医療機関もあるということで、それぞれ救急搬送の受け入れる機能、在宅患者の受け入れる機能など、それぞれの果たし方、医療機関が果たしている機能があるというようなデータかと思います。
 46ページは、地ケア病棟のほうで同じような集計をしてみたものでございますが、救急搬送が少ない医療機関であっても施設からの入院などの受入れを行っている医療機関もあるというデータでございます。
 47ページ目が地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の後方支援の状況ということで、回数を足し合わせて分布がどうなっているかをお示ししたものでございますので、御参照ください。
 48ページ目が地域包括医療病棟における後方支援と退院支援の関係性でございます。後方支援の受入れをやっている医療機関が多いと、退院時共同指導料のような退院時の点数、算定も多いといった傾向がございました。
 49ページ目、後方支援に関連する診療報酬と要件などを整理しておりますので、御参照ください。
 50ページ目が急性期一般病棟と地域包括医療病棟、両方を併設して持っている医療機関で患者さんの入院、どちらに入棟させるのかということに関連する御指摘がございましたので、それに関連した集計を行っております。左側にあるように、急性期一般の上位疾患10個と地域包括医療病棟の上位疾患10個はこちらのような病気となっておりますが、右下にございますように、地域包括医療病棟の全体の上位10疾患について分析しまして、医療機関ごとに地域包括医療病棟に入棟した割合が100%であると、その患者さんはその医療機関では100%地域包括医療病棟に入れている、0%だと急性期病棟に入れているということになるわけですが、例えば誤嚥性肺炎、左から5番目のところにございますが、医療機関によって、ほぼ急性期病棟に入れている病棟もあれば、逆に地域包括医療病棟に入れるのが多いという病院もあるということで、疾患ごとのばらつきに加えまして、医療機関ごとのばらつきも非常に大きいという傾向で、一定の傾向は見られなかったという形でお示しさせていただいております。
 続きまして、51ページ目、急性期一般病棟と地域包括医療病棟の患者像の違いということで、例えば肺炎に着目してみた場合、要介護度が急性期病棟と地域包括医療病棟で違うのかということでございますが、分布については大きな差はなかったという形でリード文に書かせていただいておりますが、このような結果になっているという状況でございます。
 52ページ目以降は地域包括医療病棟の施設基準に係る事項でございます。
 53ページ目、年齢階級ごとの各入院料の算定回数ということで、前回急性期病棟で85歳以上の割合などがあまり増えていないというのは、現場感覚で違和感があるという御指摘もありまして、今回はNDBオープンデータなど別のデータソースを用いまして改めて集計したものでございます。結果は御覧のとおりとなっております。急性期一般のほうも若干伸びている傾向でございますが、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーションなど、青色の病棟のほうが85歳以上の割合が伸びる傾向が高いというデータは、前回お示ししたデータと共通していると考えられます。
 54ページ目のほうは6月13日でも示したものでございますが、在院日数と年齢に関係するもの。主傷病の重症度や併存疾患、ADLの点数等、そういったもので調整したとしても、年齢が高いと在院日数が長くなっているという研究結果でございます。
 55ページ目のほうは在院日数と年齢の関係を病棟ごとにお示ししたものでございます。年齢が高くなると在院日数が長いというデータでございます。
 56ページ目はリハビリ・栄養・口腔連携加算とADLの変化ということで、これは患者で見ておりまして、ADLの変化、入院時と退院時のADLの差分のほうを患者でプロットしまして、リハ・栄養・口腔加算ありとなしという形で分けて、それがどう違うのかということを分析しております。リハ・栄養・口腔加算のあり・なしのところであまり大きな差は見られないということでございますが、一番下に※印で書いてありますとおり、ADL低下割合、低下した症例の割合が5.5%とか4.7%という数字をお示ししておりますが、入院した結果、ADLが低下した患者さんの割合もこちらにお示ししております。
 57ページ目は、5月22日にお示しした令和6年度入・外調査の結果、リハ・栄養・口腔加算に関連して、この調査結果の中に、退棟時のADLが3%未満という基準を満たすことが困難ということで、リハ・栄養・口腔加算については、こういった3%未満という基準があるということなのですが、こちらも一定程度これが困難という回答もあったということでございますので、地域包括医療病棟については5%未満という基準がございますが、こちらについて関連するデータでございますので、お示ししております。
 58ページ目は医療資源投入量に関連したものでございます。
 59ページ目は7月3日にお示ししたものでございますが、包括内の出来高実績点数につきましては、地域包括医療病棟においては、整形外科関係が請求点数が特に高いという傾向がございます。
 60ページ目、高齢者の外科症例と内科症例の救急搬送、緊急入院の割合でございますが、外科のほうが予定入院の割合が多いというデータ。内科のほうが緊急の割合が多いといったデータとなっております。
 61ページ目は、包括内出来高点数を緊急入院率が高いのか、手術率が高いのか、その2つの区分で比較してみたものでございます。地域包括医療病棟の場合、こういった緊急入院か、手術があるかに応じて包括の点数が変わることはありませんので、これは請求点数が一緒という前提で、包括内でやられている行為の積み上げがどのぐらい積み上がるのかということで分析したものでございますが、緊急入院率が多いほど積み上がっているものが多いという状況。手術の割合が少ないほうが積み上がっているという状況でございます。
 62ページ目は、緊急入院と手術を4区分にさらに分けて分析したものとなっておりますので、こういった形で並んでいるという状況でございます。
 63ページ目は医療資源投入量で評価できない治療・療養の手間ということで、医療資源投入量というのは、出来高の点数で評価されているもの、手術とか血液の採取でありますとか点滴、そういった出来高の点数で評価されているものの積み上げということになるのですが、一方で、療養の手間という部分については出来高の点数で評価されていないものがございますので、そういったものに関連したADL、あるいは要介護度に関連した部分について言うと、同じ尿路感染症でありましても様々に分布しているというデータでございます。
 64ページ目が地域包括ケア病棟の請求点数と出来高包括点数の傾向でございます。特に左上の白内障、鼠経ヘルニアが多いという状況がございますが、その他については比較的地域包括医療病棟よりも密集している状況でございます。
 65ページ目は地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の包括範囲の違いということで、地域包括医療病棟については、DPCの包括範囲と同じと設定されておりますので、地域包括ケア病棟とちょっと異なるというのが現状。整理したものをお示ししております。
 66ページ目、栄養管理に関するものでございます。
 67ページ目、栄養管理の配置基準、診療報酬上の評価につきまして、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟でこのように違うという現状となっております。
 68ページ目、入院料ごとの職員数につきまして、地域包括ケア病棟では管理栄養士の40床当たりの数が少ないというデータもございます。
 69ページ目、入院料ごとの管理栄養士の病棟での業務状況につきましても、ほとんどの病棟で従事していない病棟も一定程度あるという状況でございます。
 70ページ目が入院料ごとのスクリーニングによる低栄養状況ということでございますが、特に地域包括ケア病棟では地域包括医療病よりも割合が低いという状況でございます。
 今、申し上げたことを71ページ目、72ページ目に整理してお示ししておりますが、特に高齢者の救急受入れ、在宅の後方支援に関すること、地域包括医療病棟の施設基準に関連すること、高齢者の入院に関する医療資源投入量に関すること、地域包括ケア病棟の栄養管理に関すること、これらの観点についてさらなる分析、あるいは現状の評価について御意見をいただければと思っております。
 説明は以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
 ありがとうございます。牧野です。
 私から1点です。56枚目のリハビリテーション・栄養・口腔連携加算や病棟種別とADL変化という部分ですけれども、ここでリハビリテーション・栄養・口腔連携加算の有無とADL、これはあまり差がないというのが結論というふうに見えるのですが、右側の一般病棟と地域包括医療病棟では若干差がついているというようにも見えるのです。これが統計処理をして、有意と言えるものなのかどうかというのを1つ教えていただきたいというのが第1点です。
 もう一点が、もともとそれほど大きな差ではないと思いますので、もうちょっと深掘りして疾患別とか、ADL別とか、年齢別とか、そういった分析をすることで、いわゆる地域包括医療病棟のチーム医療がADL変化に影響をどの程度与えているのかということを見ていったほうがいいかと思います。これは意見です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 1点目は御質問で、56ページ目のこの差は有意差なのかということですが、いかがでしょうか。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 現段階では統計的な検定はしていないという状況でございます。御指摘いただいたように、もう少し細かい条件で見ると違いが出るのか等も含めて、さらなる分析を事務局でも検討していきたいと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
 私は、まず宿題返しに関しまして50ページについて触れたいと思います。急性期一般病棟と併設されている地域包括医療病棟におきまして、患者像についてどうかということで示していただきました。同じページの右の箱ひげ図を見ても、一部の疾患については急性期一般と地域包括医療病棟を使い分けている点は多少見られるのですけれども、改めて次の51ページの介護度、ADLも含めて比較しますと、やはり患者さんの状態に大きな違いがないのではないかということが分かりました。
 ということで、急性期で診ている患者さんを地域包括医療病棟で診るということができているということになりますので、誤嚥性肺炎や尿路感染症につきまして、急性期で診るよりも、本来の目的としておりますこのような患者さんを受ける地域包括医療病棟で受け入れるようにしていくことをさらに考えていくということになるのではないかと思います。
 ということを考えつつ、今度59ページの図に目を移しますと、これは前に参考資料として出ていた分でございますが、この表は地域包括医療病棟におけます請求点数と包括内出来高点数の関係を表しております。黄色いゾーンとブルーのゾーンに色分けをされておりますけれども、この間を通る45度ラインがあるという気持ちを持って見てみますと、明らかに45度ラインの上と下で特徴があるということが分かります。
 このペーパーではブルー枠を内科系疾患と表しておりますが、医療機関にとって内科系、外科系にかかわらず、請求点数と、包括内の出来高実績点数について公平な評価を受けるということをするためには、どういう方法を考えなければいけないかということを考えるに当たりまして、いわゆる公平な評価というのは、45度ラインに乗るか、または近づくかということになるわけですが、それのためには、具体的には疾患ごとの医療資源投入量の詳細を確認しつつ、さらなる分析をしていけば何か見えてくるのではないかと思っております。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
 ありがとうございます。
 私は、55ページ、年齢と在院日数のグラフです。これは皆様も思われるとおり、全く当然のグラフ、推移と見てとれるかと思います。これまでも急性期、重症な状態に落ち込んで、回復していく曲線グラフというのもお示しいただいておりますけれども、やはり高齢者になると重症な状況に落ち込んで、そこから回復までの時間が非常にかかる。ましてやいろいろな合併症を抱えた状態での重症管理ということになりますので、このデータというのはしかりというところかと思います。
 その中で、私が申し上げたいのは、同じ急性期病院の中でもこうした高齢者、より重症な患者というのは、どうしてもより高度な機能を持った病院に流れていくという傾向が見られることでして、そうしたときに単純に例えば在院日数だけでその病院の役割、働きを評価するというのには問題が生じてくるのではないかということ。どのような患者を受け入れているか。年齢層も含めて。その辺りをぜひともその病院の急性期機能の評価法の中に織り込んでいっていただきたいというのをこのグラフから感じたところです。
 私からは以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
 ありがとうございます。
 私からも72ページの課題の1点目、高齢者の入院における医療資源投入量についての意見です。まず、60ページを見ますと、救急搬送、緊急入院共に内科系症例のほうがその割合が高いということが分かります。特に85歳以上では救急、緊急の割合がかなり高くなっていまして、令和6年改定で地域包括医療病棟が創設されたのも、こうした高齢者救急への対応を主眼としたものだったと思います。
 一方で、59ページの地域包括医療病棟の請求点数と包括内出来高点数の関係を見ますと、誤嚥性肺炎、尿路感染症等の内科系疾患においては、出来高点数に比べて請求点数が低いという傾向が見られています。地域医療構想実現のためには、包括期を担う病棟においてこうした高齢者を受け入れ、治療やリハビリをして早期に退院支援ができるような報酬設定を工夫していく必要があると思います。
 63ページにもありますように、同一の診断分類であってもADL等の状態は多様であること、救急搬送、緊急入院等を受け入れる際には様々な対応が必要であることを考えますと、こうした高齢者の患者に対して、看護師等が実施している療養上の世話に係る手間については、投入している医療資源の一つとして適切な評価を検討していく必要があると考えます。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、林田委員、どうぞ。
○林田委員
 ありがとうございます。
 少し秋山委員の後半部分の意見、コメントと重なる部分がありますけれども、私からは63枚目の医療資源投入量で評価できない治療・療養の手間についてコメントさせていただきます。この件については、包括期だけではなく、急性期の評価においても恐らく同様の議論になると思いますけれども、医療資源投入量だけでは評価できない治療・療養の手間というのが臨床の現場で一定程度発生しているというのが事実だと思います。そのため、その手間の部分についてはきちんと評価していくというのが正しい方向性だと考えています。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 72ページのまとめにもございますけれども、地域包括医療病棟は、急性期一般と地ケア病棟の中間的位置づけということで、どちらもある程度幅広くカバーできるような、そういった高齢者の急性期、高齢者救急を受け入れるという機能が期待されていると思いますし、あと、新たな地域医療構想における医療機関機能とすれば、高齢者救急、地域急性期機能の役割になるのだろうと思われます。
 そこで、60ページのところです。今回外科系、内科系で、85歳以上、救急搬送、緊急入院のデータをお示しいただきましたけれども、外科系はある程度予定を組んで手術症例とかができますので、それに比べると内科系は明らかに救急搬送、緊急入院のケースが増えるということでございますし、特に85歳以上の内科系の症例は救急の入院が多いということで、この辺りをどういうふうに評価するかという問題があろうかと思います。
 それと、63ページ、先ほど秋山委員、林田委員が御指摘されましたけれども、ここの10対1の看護で見たとしても、現場は介護の部分での負担が非常に大きいと感じておりますし、その視点を忘れないように評価していかなければいけないと思いますので、急性期充実体制加算、総合入院体制加算でB項目を外すことはやむを得ないとしても、この部分は多少B項目をモディファイしたとしても、B項目を残しつつ、療養上のお世話の部分をきちんと評価できるような仕組みが必要と思っております。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
 ありがとうございます。
 私は、最後のほうの課題のところに入っていない地域包括医療病棟に関して少し意見を述べさせていただきたいと思います。地域包括医療病棟に関しましては、私、以前から3つの機能を平均的にこなすのではなくて、ある程度特化しても構わないのではないかと申し上げてきました。42ページにありますように、地ケア病棟を有していても救急搬送を多く受け入れている病院は急性期病棟を有しておりまして、前回の改定時の調査で、その多くが地ケア病棟ではなくて、急性期病棟に結局入院してしまっているということが分かっております。
 実は私のグループの病院で急性期病院を有しない地域包括ケア病棟で年間1,500件ぐらいの救急患者の搬送を受け入れていた病院がございますが、それは地域包括ケア医療病棟ができた段階で速やかに医療病棟に転換したということがあります。つまり、この傾向というのは、地域包括医療病棟ができることによってより顕著となっていっているのではないかと考えています。
 一方で、46ページは地ケア病棟の在宅・施設の後方支援の状況という形で書かれていますが、救急搬送が極めて少ない。施設によっては0のところでも在宅患者緊急入院診療加算や協力対象施設入所者入院加算という算定ケースが多くて、地域医療、在宅との連携、もしくはいわゆる後方支援に貢献しているという病院も非常に多くある。ここで例えば救急搬送が0という病院がありますけれども、これは施設基準の中に二次救急や救急告示というものが存在します。そういうものが果たしてどういう意味を持ってくるのかということになりますと、実質より形を取っているとしか思えなくなってきます。このことは同時に、療養病棟のほうから地ケア病棟を取得している場合に減算規定というのがあって、救急の部分がなければ5%減算ということが実質的になっておりますので、そういうことも含めて考えなければならないと考えています。
 地域包括医療病棟を創設した今、地ケアというのはもっとフレキシブルに、自由に動ける病棟になれるのではないかと考えております。
 次にもう一点、地ケア病棟における栄養管理についてお話をさせていただきたいと思います。確かに管理栄養士の配置要件がないために、病棟業務に従事する時間が短いことは否めません。しかし、72ページの地域包括病棟における栄養管理についての3ポツ目、「地域包括ケア病棟では、地域包括医療病棟に比べて低栄養のリスクがある患者が少なく、適切に覚知されていない可能性があった」という文面は、71ページのデータの対象が、栄養スクリーニングをちゃんとやっているという前提に基づくと、そこはちょっとそごがあるのではないかと考えます。
 さらに、6月の末の分科会で病院に来られる管理栄養士の数がそもそも少ないよという話になっていましたので、そういうことを考えるならば、管理栄養士の配置というのを何らかの要件として加えるということであれば、その病院全体の管理栄養士を増やすという努力をその前にしておかなければ、結局、管理栄養士の取り合いみたいな形になってしまって、非常にリスキーなことになると考えています。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。眞庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
 今の井川委員のお考えに全く同感、賛同しております。3つの機能というのを、それぞれの役割をより明確に分化していくことが必要なのではないかと私も思っております。特に急性期機能の部分につきましては、昨今集約化、機能の集中ということが叫ばれている中で、その部分が分散してしまうというのが、やはり医療資源を有効に活用していくという点では不利になってくると感じますので、それぞれの病院、病棟の機能を明確化していくような方向が今後さらに必要なのではないかと感じました。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
 ありがとうございます。
 先生方の意見とほとんど同じですけれども、45ページ、46ページの辺りの救急搬送についてと栄養士のこと2点です。ここは救急搬送の数を出していますけれども、全くどういう病気か分からない本当の急性期病棟でのアセスメントが必要な救急搬送と、ある程度在宅で誤嚥性肺炎を繰り返しているとか、予想がつくようなものの受入れとは全く別のものなので、その辺を救急搬送の要件を含めて、役割が違うということを前提に整理する必要があるのかなと思いました。
 それから、議論になっている栄養士のことですけれども、嚥下ついて、もう少し経口のリハビリができれば、経管栄養などではなく経口摂取ができるような患者さんまだ多くおられます。そういうことも含めて地域包括ケア病棟で栄養の知見というのは重要だと思いますので、今、議論があったように、今、包括になっていますけれども、人員の教育とか養成をきちんと考えた上で、きちんと栄養評価などができるような診療報酬に向けて、包括だけではない方向も考えていく必要があるかなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 武井委員、どうぞ。
○武井委員
 ありがとうございます。
 私も今出ている地域包括ケア病棟の管理栄養士の配置について意見をさせていただきます。確かに地域包括ケア病棟というのは、高齢者の入院患者が多い病棟であれば、管理栄養士の関与はとても必要なことだと思っていて、私が関わっている地域包括ケア病棟でも入院時から入院中、退院支援、そして退院後の在宅まで管理栄養士が関わることで安心して在宅療養に移行できていることはあると思います。ただ、地域包括ケア病棟は多様化していて、いまだ短期滞在を主に受け入れているような病棟もあるとは思うので、そういう病棟では管理栄養士の配置というのは必要ではないのではないかと思います。
 それを考えると、70枚目のスライドの低栄養リスクの状況というものですが、全て地域包括ケア病棟が混ざった状態で分析をしていると思うので、そこを分けて分析をすると、もう少し管理栄養士の栄養スクリーニングが適正に行われているのかが見えてくるのではないかと思いました。 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、事務局、お願いします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 本日欠席の飯島委員からこの議題に関しましてコメントをいただいておりますので、読み上げをさせていただきます。
 まず、56ページ目から57ページ目でございます。
  本来はリハビリテーション・栄養・口腔の三位一体の連携が推進されているからこそ、ADL改善という結果が出てほしかったが、現状のデータではまだ手応えのある結果が伴うまでに至っていないようである。この結果の評価として、まだ取組の導入開始から日が浅いことによるものなのか、むしろ三位一体の包括的な介入自体の質とこだわりのレベルに起因しているのか、またもう少し見ていく必要があるのではないか。
  さらに現場の当事者の各専門職には算定することだけではなくて、真のADL改善を実現する、実を伴う深い連携をお願いしたい。
というコメントがございました。
 また、67ページから70ページ目にかけまして。
  高齢の入院患者のことを考えれば、地域包括ケア病棟であろうが、それ以外であろうが、入院時の栄養スクリーニングによる低栄養リスク評価とリハビリテーション・栄養・口腔の三位一体の連携は必須である。よって、人材確保を含めてではあるが、同時に院内でそのようなシステムの構築、及び老年医学的な視点を含めながら、リカレント教育のようなものの推進も非常に重要であろう。そして、低栄養、新たなGLIM基準などを含めた最新式のブラッシュアップも重要な位置づけとなる。
こういったコメントがございましたので、御紹介をさせていただきます。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 はい。ありがとうございました。
 それでは、ほかに特に御意見等がなければ、本件は以上としたいと思います。
 それでは、3つ目の議題でございます。「入院から外来への移行(その1)」でございますが、これもまず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 73ページ目からでございます。
 74ページ目、短期滞在手術等基本料の概要でございます。日帰りの場合の短期滞在手術等基本料1と4泊5日までの場合の短期滞在手術等基本料3が今、点数ございます。
 75ページ目、短期滞在手術等の算定方法についてでございます。DPC対象病院であるか、DPC対象の算定病床であるかとか、有床診療所であるかなど、様々な区分に応じまして短期滞在手術3の算定方法は異なるというものでございます。また、短期滞在手術1の算定、病院、診療所はどうなっているかということも、今、算定ルールを整理してお示ししたものがございます。
 76ページ目、短期滞在手術等基本料1の対象手術の一覧でございます。赤字となっているのは3のほうの対象手術とかぶっているもの。
 77ページ目は、短期滞在手術等基本料3の対象手術で、赤色は1と重複するものをお示ししております。
 78ページ目、令和4年改定における短期滞在手術1の見直しでございます。こちらのところは麻酔の手術を伴った場合とそれ以外の場合の点数の2段階に分けるような見直し、また、施設基準のところの麻酔に関するところの見直しが行われております。
 79ページ目が令和6年改定における点数の見直しの概要でございます。
 80ページ目にございますとおり、短期滞在手術等基本料の算定回数については、令和4年改定の見直しによりまして、特に診療所におきまして算定回数が顕著に増加しているという状況でございます。
 81ページ目は、短期滞在手術等基本料1の算定となる手術でございます。それらの実施率の外来割合もお示ししております。
 82ページ目がポリープの粘膜切除2㎝未満の点数でございまして、これを経年的に見た入院・外来の状況、入院・外来実施率の経年推移を表しております。経年的に入院外実施率は上昇傾向であるということでございますが、令和4年改定の見直し後は短期滞在1の見直し後も入院外実施率の前年比は同程度であるという状況でございます。
 83ページ目につきましては、水晶体再建術の同じような集計をしてお示ししております。
 84ページ目は短期滞在手術等入院外の実施状況ということで、これもポリープ・粘膜切除と水晶体再建術について、赤色が入院での実施、青色が入院外での実施ということで、赤色、全て入院でやっている医療機関というのもある一方、全て外来でやっている医療機関もあるということで、ばらつきがあるという状況でございます。
 85ページ目は社会保障審議会医療保険部会で示された資料でございます。白内障手術につきまして、OECD平均で見ますと、日本は外来での実施率がかなり低い状況にあるというデータもございます。また、都道府県別で見たばらつきもございます。
 86ページ目はDPC対象病院における短期滞在手術の実施状況で、これも医療機関ごとのばらつきが認められるというデータとなっております。
 87ページ目が地域包括ケア病棟、また、急性期一般入院料における上位疾患ということで、こちらのところに白内障、あるいはポリープ・切除術の診断群分類が出てくる状況でございます。
 88ページ目は短期滞在手術基本料等の対象手術の入院外で実施した場合、また、入院で実施した場合、また、それぞれDPC算定なのかなども含めた点数で、実際にNDBデータ、DPCデータなどを集計しまして、どういった請求点数となっているかということの分析をしたものでございます。こちらにありますとおり、同じ手術をした場合でも、入院外、あるいは入院のそれぞれの点数が異なっているという状況でございました。
 89ページ目は、令和5年度に行われた特別調査。入院外で実施する理由などについて医療機関に調査した結果をお示ししております。入院で実施しなければならない理由などについての調査結果がこちらに示されております。
 90ページ目、短期滞在手術等基本料3の年次推移ということでございますが、3についても診療報酬改定のタイミングで算定ルールの変更に伴って回数が減ったということがございますが、こういった形での推移となっております。
 91ページ目、92ページ目、93ページ目、それぞれの手術につきまして、在院日数がどのように推移しているのか。多くの手術について在院日数が短縮している。4泊5日の評価で、入院日数が幾つであろうと、同じ入院料が支払われる仕組みとなっておりますが、これは多くの手術について在院日数が短くなっているというデータでございます。
 94ページ目、現状と課題を整理したものでございます。短期滞在手術等基本料1や外来移行などについて、また、短期滞在手術等基本料3などについて御意見をいただければと思っております。
 説明は以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。それでは、池田委員、どうぞ。
○池田委員
 池田でございます。
 75ページのところに短期滞在手術等の算定方法ということで、入院での短期滞在手術等基本料3の対象手術の算定方法が4泊5日までのところを見ますと、DPCの対象病院でDPC算定病床なのか、それ以外なのか、あるいは対象病院以外の病院なのか。同じ病院でありましても算定方法がそれぞれ異なっておりまして、恐らく疾患の特性手術、処置の内容から見まして、それぞれの病院、病床におきまして大きく対象の患者とか内容が異なると考えられませんので、これらの算定方法について、例えば短期滞在手術等基本料3にそろえるとか、算定方法については統一的な考えを導入したほうがいいのではないかと考えますので、発言させていただきました。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 85ページにOECDのデータを出していただいていますけれども、OECDでは白内障の手術、外来実施率100%から90%以上ですよということですが、日本は55%となっていますけれども、日本の場合は、高齢者に対して、かなりの年齢の方まで手術を実施していると思いますので、これは年齢別で見ると、日本だけは特殊な事情があるのではないかなと思うところです。
 89ページに入院で手術を行う理由が書かれていますけれども、確かに高齢者が多くなればいろんな事情もあると思いますし、患者さんの状態によっては入院で手術したほうがいいというケースもあると思いますので、入院での短期滞在手術が直ちに悪いとは言い切れない部分があると思いますので、特に高齢者の手術対象の患者さん、あるいは患者・家族への配慮というのも必要ではないかと思いまして、発言させていただきました。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
 今の津留委員の御意見と多少ダブりますが、短期滞在手術につきまして、84ページにグラフが示されております。これを見ますと、全ての患者さんについて入院で実施している医療機関がかなりあるということが見受けられます。代表的な疾患をここで並べておりますが、特にこの2つの疾患につきましては、外来で実施できることが技術的にも可能ということで、その内容としては確立されていると思いますので、外来への移行を進めるということが今後の流れだということは理解したいと思います。
 ただ、今もありましたけれども、どうしても入院で実施しなければならないということは何か理由があるかということを含めまして、これが医療上の必要性があるからということがまずあるわけであり、一方で、点数設定がゆえにであるということもなきにしもあらずかと思いますので、これをきちんと検討していくことが必要かと思います。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
 ありがとうございます。
 短期滞在手術ですけれども、基本的に短期滞在手術という区切りにしていますが、問題になるのは大腸ポリープとか白内障なのだろうと思います。例えば白内障を例に取ってみると、これは前にDPCのワーキンググループなどでも検討したことがあるのですけれども、患者要因と施設要因と両方あって、実は施設要因が結構大きいということも、前に出したデータからは見えてきたと思っています。
 では、その施設要因があった場合、それを簡単に変えられるのかというと、これはまた結構難しい問題だと思います。例えば患者によってはどうしても入院が必要な患者がいる。そういったときに、では、そういった患者だけ入院して、それ以外の患者を全部外来でできるのかというと、そのためには院内の設備そのものを大きく変えなくてはいけないということもありますので、現実には難しい。
 そしてまた、手術というカテゴリーでいきますと、例えば眼科であれば、白内障の手術だけを行っているわけではありませんので、ほかの手術も行う。そうすると、両方に共通の施設、共通の在り方、そういったものにならざるを得ない。そういった病院の事情も御理解いただきたいなと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。池田委員、どうぞ。
○池田委員
 先ほど海外との比較のデータ、85ページで白内障の外来実施割合などのことについての議論があったところでございまして、日本では高齢者の方の手術が多いという要素も考慮する必要があるということでございました。外国の事情、特に白内障手術を外来で100%やっている施設が高齢者をどうしているかというところは、調べるのがなかなか難しいと思いますが、85ページの下のグラフのような国内での都道府県ごとのばらつきについては、ある程度年齢調整なども可能かなと思いますので、年齢の要素以外の外来で実施できない理由もあるということは承知しておりますけれども、例えば年齢を調整した場合に、これがどのような形で実施割合のばらつきが示されるのかといったことも、もし可能であればデータとして提示していただければと思います。
 また、可能でありましたら、84ページは施設ごとの実施率のばらつきでございますが、これも例えば年齢によってどのような施設ごとの対応となっているかということでの集計などもできれば御提示いただければと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 はい。ありがとうございました。
 それでは、ほかに特に御意見・御質問がなければ、本件は以上としたいと思います。
 それでは、4つ目の議題「総合病院精神科について」でございます。これもまず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 95ページ目以降でございます。
 96ページ目から総合病院精神科をとりまく現状等についてでございます。
 97ページ目、これは医政局地域医療計画課から出ている医療計画の精神疾患の医療提供体制の指針ということで、精神症状と身体症状を一元的に対応できる医療機関の整備を推進していくことが重要ということが示されております。
 98ページ目は、障害部のほうの検討会で出てきた総合病院精神科の機能に関する資料でございますが、こちらにお示しされているような患者さんなどを診療する機能が期待されているということが示されております。
 99ページ目が救急車の病院収容平均所要時間ということで、精神系は特に長い傾向があるという状況でございます。
 100ページ目が自殺者の推移ということで、こちらは最新のデータでございます。
 101ページ目が総合病院精神科の診療報酬上の評価ということでございます。一般病床を対象とする点数でありますとか、精神病床を対象とする点数でありますとか、あるいはDPC算定病床の係数の評価などがいろいろございますので、101ページ目、102ページ目などを御参照いただければと思います。
 103ページ目からは総合病院への評価に関してということでございます。
 104ページ目が精神病床の推移でございます。精神病床自体は減少傾向にあるということでございますが、精神科の病院よりも一般病院のほうで減少傾向が大きいというデータがございます。
 105ページ目は散布図で、全病床数と精神病床の割合をプロットしたものでございますが、このうち400床以上あって、精神病床が15%未満のような総合病院の精神科と考えられるところを赤枠で囲っておりますが、こういったところ、存在しない二次医療圏もあるということでお示しさせていただいております。
 106ページ目、精神病床以外の病床で受け入れ可能な精神疾患についてで、精神病床を持っているか、あるいは常勤の精神科医がいるかなど5つの区分に分けて、ここに書いてあるような精神疾患に対応できるかということで、令和6年に調査しておりますが、精神病床を有する病院、あるいは常勤の精神科医がいる病院のほうが対応可能と回答した割合が多いという状況でございます。
 107ページ目、救急搬送患者のうち、精神科医の対応が必要となった件数。これについても令和6年調査で分析しておりますが、御覧のような結果となっている状況です。
 108ページ目が地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の救急受入患者像ということで、こちらの調査結果は何度もお示ししているものでございますが、このうちの「d 精神疾患を有する患者」について受入れを行っているというところは、割合としてほかの疾患よりも少ないというようなデータがございます。
 109ページ目は精神身体合併症の重症度別の診療場所のイメージということで、これも障害部の検討会の資料を基に、医療課で作成したものでございますが、1、3のようなところの機能が期待されているところということかと思います。
 110ページ目が、さきにお示しした診療報酬上の評価の一覧でございますが、このうちの総合入院体制加算、あるいは急性期充実体制加算及び精神科急性期医師配置加算2イの評価に関連して111ページ目以降にお示ししております。
 総合入院体制加算の精神科に関わる評価を赤枠で囲っております。
 112ページ目は急性期充実体制加算ということで、急性期充実体制加算は精神科リエゾンチーム医療加算を届け出ていることが要件となっております。
 113ページ目、これに関する令和6年改定の見直しということで、急性期充実体制加算のさらなる加算として精神科の充実体制加算というのが新設されたところでございます。
 114ページ目がその見直しのイメージ図ということで、こういった小児、産科、精神科など、こういった総合性の部分に関する加算の評価がつくられたところでございます。
 115ページ目が総合入院体制加算等の届出医療機関の状況ということで、こちらに書いてあるような推移となっております。
 116ページ目が診療科の標榜の状況であります。精神科の部分、総合入院体制加算を届け出ているか、急性期充実体制加算を届け出ているかなどに応じてこういった割合となっております。
 117ページ目、診療科の入院医療を提供しているか、精神科の入院医療を提供しているかということについてのデータはこういった形となっております。
 118ページ目は精神科急性期医師配置加算の2のイの点数が総合病院の精神科の精神病床を評価する点数、500点という点数がございますが、それの施設基準をお示ししているものでございます。
 119ページ目がそれの算定状況の届出状況の推移ということでございます。ほぼ横ばい、あるいは微増という形の傾向かと思います。
 120ページ目が総合病院精神科の医療機関の特徴ということで、この加算の対象医療機関です。今、申し上げた加算を取っているところが赤色ということでございますが、精神病床以外の病床数と精神病床数とをプロットした上で、加算の対象になっているところを赤色でお示ししております。
 121ページ目が統合失調症の患者で身体合併症のある入院の件数ということで、特に総合病院精神科などで診ることが期待されている患者の一つかと思いますが、こういった患者について、加算算定医療機関とその他医療機関に分けて、受入れの入院件数の状況を見ましたら、こういった加算を算定している医療機関のほうが対応件数が多いという結果となっております。
 122ページ目以降は、精神科リエゾンチーム加算についてでございます。
 123ページ目、精神科リエゾンチーム加算の算定回数、届出医療機関数は、こちらにあるとおり、右肩上がりという形でございます。
 124ページ目、精神科リエゾンチームが介入したことがある患者像については、せん妄、抑鬱、あるいはその他の精神疾患を有する患者などに介入しているというような調査結果がございます。
 125ページ目がそれに参加している職種ということで、精神科医らが要件となっておりますが、その他、こういう職種がチームとなって参加しているという状況でございます。
 126ページ目に認知症ケア加算がございます。こちらは精神科リエゾンチーム加算とは別に算定できないという算定ルールになっておりますが、こちらも病棟の中の認知症に関連する患者さんの対応したことの評価に関する点数でございますが、届出状況、算定回数などは下のグラフに示されているとおりでございます。
 127ページ目、精神科リエゾンチーム加算と認知症ケア加算の届出の状況ということで、それぞれ併せて届け出ている医療機関もあるということですが、どのように届け出ているのか。ベン図のような形で両方届け出るところ、一方のみ届け出ているところ、それぞれあるという状況でございますが、その状況について表でお示ししているものでございます。
 128ページ目は精神科リエゾンチームの設置の有無で、対応可能な疾患がどうなのかということで、これも入・外調査の結果でございますが、これは届け出ている医療機関は、それ以外のところと比べて多様な精神疾患に対応可能であったという状況でございます。
 赤色が精神科リエゾンチーム加算届出ありの医療機関ということで、認知症、せん妄以外にも幅広い病気について対応可能であるという回答が多かったという状況でございます。
 129ページ目に今、申し上げたところを整理してございますが、特に総合病院精神科をとりまく現状、あるいは総合病院に対する評価、精神科リエゾンチーム加算などについて、現状の評価、あるいはさらに検討を進めるべき事項について御意見をいただければと思っております。
 説明は以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
 ありがとうございます。
 120ページで統合失調症の話が出ておりましたが、統合失調症の病名がついていても、日常、僕らは外科で手術をするときに、非常に困難な場合と、それから普通に日常生活をしていて会社に勤めていてということで、「統合失調症」と名前がついていてもかなり幅があるということは念頭に置いておかなければいけないなという意見が1つ。
 それから、129ページの意見なのでございますけれども、私たち精神科の専門という方があまりいらっしゃらないかなと思われますので、ニュートラルなお立場で意見を述べていただくような精神科の方の話も伺ってみたいなと思いました。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
 ありがとうございます。
 104ページのところに関連してお話ししたいのですが、私のいる北海道では今、いわゆる総合病院、一般病院の精神科がどんどんなくなっていっているのです。それは精神科医が確保できないということが背景にあります。
 104ページのグラフでも一般病院の精神病床がどんどん減ってきているというのが示されているわけですが、実はこれは許可病床数の推移を見ています。ですから、これは実稼動病床数でいくと、多分もうちょっと大きいのではないかなと私自身は考えています。ですから、ぜひともそういったデータも示していただけないかなというお願いです。
 それと同時に、精神科医がどこで勤務をしているのか。精神科の単科病院での勤務、あと総合病院での勤務、あとメンタルクリニックというところでも最近勤務する人が増えています。特に総合病院で勤務する医師がどういうふうに推移しているのかということも一度データとして示していただいて、今後のこういった精神科医療を検討する上で参考にできないかなと考えています。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 はい。ありがとうございました。
 それでは、ほかに特に御意見がないようですので、本件は以上としたいと思います。
 最後の5つ目の議題「薬剤業務について」でございます。これも事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 130ページ目以降でございます。
 133ページ目から病院薬剤師に関連したものでございます。133ページ、病院に勤務する薬剤師と病床機能別、業務別人員配置の割合をお示ししたものでございます。下のグラフにありますとおり、薬剤師が少ない回復期、慢性期病院ほど病棟業務が少なく、中央業務に従事する薬剤師の割合が多いという傾向でございます。
 134ページ目は、薬局で策定されている薬剤師偏在指数を都道府県ごとに示したものでございます。偏在指数が1.0を超える病院薬剤師数を確保している都道府県はないというデータとなっております。
 135ページ目が医療機関・薬局に従事する薬剤師数の推移でございますが、病院薬剤師は緩やかに上昇しているものの、薬局の増加に比べると少なく、全体の薬剤師数における病院薬剤師の割合はどんどん減少傾向であるということでございます。
 136ページ目は病院薬剤師業務の評価でございます。
 137ページ目、病棟薬剤業務実施加算の算定状況でございます。平成24年改定に新設されて以降、届出施設が増加している状況でございます。
 138ページ目が令和6年度に新設されました病棟薬剤業務実施加算の中のさらなる加算として薬剤業務向上加算が新設されました。
 その算定状況につきまして、139ページでございますが、令和6年11月時点で17施設が届け出をしている。その内訳は特定機能病院が多いというデータでございます。
 140ページ目につきましては薬剤業務向上加算の今後の算定予定。算定がない場合のその理由などでございますが、算定予定の医療機関も多数ありますが、予定がない医療機関、その理由としまして、地域の医療機関に出向する薬剤師の確保ができないということが挙げられている状況でございます。また、研修を実施する体制が整備できないといった意見が続いているといった状況でございます。
 141ページ目、病院の薬剤師の中央業務に対する評価としまして、医師の処方に基づく医薬品の調剤に係る技術料の評価でございますが、院外処方に比べ、院内処方のほうが技術料の点数は低くて、また、夜間・休日の評価はなくて、差があるという状況をお示ししております。
 続きまして、143ページ目からタスク・シフト/シェアについてでございます。
 143ページ目、医師の負担軽減策としまして実施されている項目をお示ししておりますが、病棟薬剤業務実施加算を算定しない病棟においても、薬剤師による業務が医師の負担軽減項目として上位に上がっている状況でございます。
 144ページ目が令和6年度に新設されたがん薬物療法体制充実加算の算定状況でございます。新設直後であることもありまして、算定状況は4%でございますが、その算定が低い理由につきまして、薬剤師不足、認定薬剤師の不足が挙げられています。
 145ページ目が周術期薬剤管理加算ということでございますが、届け出ていない理由につきまして、専任の薬剤師の配置が満たせないことが挙げられております。
 続きまして、薬剤情報連携に関しましてでございます。
 147ページ目、退院処方の交付別服用に関する指導範囲の状況を示したものでございます。退院処方の指導・説明を薬剤師が実施すると、入院時持参された薬剤一包化、必要な服薬支援を含めた指導を実施できている割合が多いというようなデータでございます。
 148ページ目、薬剤師が実施している退院時薬剤関連情報連携に関する実施項目と連携先をお示ししております。最も多く提供されている項目は、退院処方の一覧となっております。また、情報連携の実施先は薬局が最も多くて、次いで医療機関という形になっています。
 149ページ目が退院時の薬剤に関する情報提供の実施状況でございますが、退院時薬剤情報連携加算の算定回数は、退院時薬剤情報管理指導料の算定回数と比較すると少ないということでございます。退院時薬剤情報連携加算が実施できない理由としまして、他の業務負担が大きいこと、労力が大きいことなどのほかに、情報連携先の薬局を退院時に把握することができないこと、情報提供先が医療機関であり、算定対象外となっているということが指摘されている状況でございます。
 続きまして、入院時以外の薬剤情報連携です。
 151ページ目、外来がん化学療法の病院・薬局間連携の評価である連携充実体制加算、薬局側の報酬として特定薬剤管理指導加算2が定められておりますので、その算定状況をお示ししております。いずれも加算は増加傾向ということでございます。
 続きまして、ポリファーマシー対策ということでございます。
 153ページ目を御覧ください。ポリファーマシーの概要をお示ししているものでございます。
 154ページ目、年齢階級別に見た薬剤の種類数ということでございます。NDBのデータでございますが、高齢になるほど6種類以上の服薬をしている患者数は増加しているということで、年次推移で見ますと、服用薬剤種類数の変化はほぼないという状況でございます。
 156ページ目、ポリファーマシーに関する現状の報酬上の評価でございます。156ページ目にございますとおり、医療機関側の取組の評価と薬局側の取組の評価ということで、医科点数表と調剤報酬の点数表とそれぞれでポリファーマシーに対する評価がございます。入院患者に対するもの、あるいは外来・在宅患者に対するもの。その減薬の部分に着目した評価でありますとか、処方、減薬の提案に着目したものでありますとか、様々な点数が今、設定されておる状況でございます。
 157ページ目は、医科の点数の中の機能強化加算の届出に関して、患者が受診している全ての医療機関や処方薬を把握するということが機能強化加算の算定要件の一部となっておりますが、これに関連した機能強化加算ありとなしで比較したものでございます。
 158ページ目が地域包括診療料についての服薬管理の要件でございますが、他の医療機関と連携して通院医療機関や処方薬全てを把握してカルテに記載するといった要件。当該点数を算定している場合は、7剤投与の減算規定の対象外となるということも示されております。こういった点数で服薬の管理が評価されているところでございます。
 159ページ目、地域包括診療料における薬剤適正使用連携加算がございます。こちらはふだん外来で診ている患者さんが入院・入所した場合、情報連携を行った場合の加算ということでございますが、その算定回数はこちらにあるとおりかなり低調となっている状況でございます。
 160ページ目が年齢階級別に見た1患者当たりの院内の処方薬剤種類数ということで、機能強化加算のあり・なし、あるいは地域包括診療加算のあり・なしという形で分けて、年齢階級別に薬の種類数をお示ししたものでございます。
 161ページ目は院外処方の薬剤の種類数をお示ししたものでございます。この機能強化加算の有無によって大きな差は見られなかったという結果となっております。
 162ページ目以降がポリファーマシー対策の現状。
 163ページ目にございますとおり、入院時のポリファーマシーの評価についてでございますが、これを評価する体制評価である薬剤総合評価調整加算と、実際に減薬したことを評価する薬剤調整加算、2つの形で評価されております。薬剤総合評価調整加算のほうは年々増加傾向で、算定施設は16.7%といった状況であります。
 164ページ目、入院中のポリファーマシー対策の実施状況で、薬剤総合評価調整加算の算定に至らない理由としまして、2剤以上の減薬に至らないということが最も多く、その理由としまして、入院期間が短いこと、処方の変更に対する反応を確認しながら1剤ずつ減量していく必要があることなどが挙げられております。
 165ページ目は病院でポリファーマシー対策が普及しない要因の調査結果をお示ししたものでございます。病院内においてポリファーマシー対策を始められない・進められない理由としては、人手不足が挙げられているところでございます。また、不足していると考えられる職種として薬剤師が最も多いという状況であります。
 166ページ目は医療機関における高齢者医薬品適正使用の取組の実施状況の令和6年調査の結果でございます。お薬手帳を活用した処方の把握というのが一番多いという状況でございますが、その他の取組の普及状況について、こちらに書いてあるような状況となっております。
 167ページ目、病院の薬剤師による薬学管理として、さらに充実が求められる業務として、入院中のポリファーマシー対策への要望が多いというデータがございます。
 168ページ目、薬局のポリファーマシー対策の診療上の評価と算定状況であります。服薬薬剤調整支援料という点数は医療機関への処方提案などを評価する点数でございますが、これらの算定状況がお示ししておりますとおり、年々増加傾向といったところでございます。
 169ページ目は、ポリファーマシー対策としまして、薬剤数だけでなく、質の評価として日本老年薬学会が作成した日本版抗コリン薬リスクスケールの概要をお示ししております。
 170ページ目は、ポリファーマシー対策のうち、薬剤種類数を減らす減薬とは独立して、服薬の簡素化に焦点を当てたものとして、こちらも日本老年薬学会が作成した高齢者施設の服薬簡素化提言をお示ししております。
 171ページ目では、薬剤師による薬物療法の適正化支援について、薬物治療を包括的に評価する取組の考え方。薬物療法を最適化するサイクルというものがお示しされてございます。
 172ページ目は現状と課題。病院薬剤師に関すること、タスク・シフト/シェアに関すること、薬剤情報連携に関すること、ポリファーマシー対策に関すること、それぞれ御説明しましたが、それぞれにつきましてどのように評価するのか、あるいはさらに検討を進めるべき事項について御意見をいただきたいと思っております。
 なお、本日欠席の飯島委員からこのテーマにつきましてコメントをいただきましたので、読み上げさせていただきます。
 まず、165ページ目、病院でポリファーマシー対策が普及しない要因の調査結果でございます。①病院でポリファーマシー対策を行わない主たる要因は、人手不足。特に薬剤師。対象患者の抽出や検討する時間をつくれない、医師が自科以外の処方薬を調整することは難しいなどが80%と高値であったと。この調査結果を踏まえ、素直に受け止めるしかないのだが、一方で、冷静に考えてみると、処方を出しているのは医師側であり、薬剤師がいないと進まないとか、対象患者のあぶり出しや検討する時間がないという理由になってしまうと、この先何も進まない状況に陥ってしまうと考えられる。これも改めて院内での啓発、リカレント教育的なアプローチでの意識の底上げが求められると考えられる。こういったコメントがございました。
 また、167ページ目でございます。入院中のポリファーマシー対策を医師、看護師、薬剤師などで実施することが最も強化すべき点という結果となっているが、各病院内で精力的なポリファーマシー対策をあえて仕掛けていかないと、現状のまま変わらず今後も続いてしまうのではないかと感じるというコメントがございました。
 最後、169~170ページ目、日本版抗コリン薬リスクスケールと高齢者施設の服薬簡素化提言がございますが、これらについては、委員である私、飯島が深く関わっている日本老年薬学会及び日本老年医学会から最新情報として強調している有益なアプローチである。ぜひとも多様な病院や施設においてこのツールの存在を強く推進し、ポリファーマシー対策の中でも単に多くの薬剤に対する減薬だけではなく、高齢者の慎重かつ適切な投薬内容の微調整にも活用いただきたい。このような簡易スケールの活用だけでもポリファーマシー対策の最初の一歩となり得る。こういったコメントをいただいております。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等をお受けしたいと思います。眞野委員、どうぞ。
○眞野委員
 薬剤業務について取り上げていただいてありがとうございます。
 幾つかコメントしたいと思います。まず、135ページのグラフですけれども、先ほど御説明がありましたように、薬局の薬剤師が30年間で4倍に増えています。この要因はいろいろあると思いますけれども、恐らく院外処方箋の発行率がこの間で10%から80%に変化しているということが一番大きいのだろうと思います。その処方箋を応需する薬剤師を確保するために薬局の薬剤師が増えているということです。比率では10%から80%ですけれども、処方箋の枚数自体がどうなっているかというのを見てみないと、もう少し詳しいことは分かりませんが、恐らくは院外処方箋の発行率の影響が一番大きいのだろうと思います。
 これに対して、病院・診療所の薬剤師ですけれども、この間、グラフを見ると横ばいに見えますけれども、実際には3.8万人から6.2万人と大体1.5倍ぐらいに増えています。外来調剤業務を薬局の薬剤師に移行してもなお病院の薬剤師が増えているというのは、もちろんこれは調剤以外の病棟等における業務に必要な人数が年々増えてきているということを意味しているのではないかと思います。
 そういう観点で見ますと、137ページのデータですが、病棟薬剤業務実施加算の届出が年々増加していて、現在医療機関の4分の1ぐらいになっているかと思います。令和4年度の本分科会の施設票Aの調査結果を見ると、その結果では6割の施設が届け出ているという結果が出ていたと思いますけれども、こうやって見てみると、入院基本料の加算の届出割合としてはかなり高いほうではないかと認識しています。
 仮に病棟薬剤業務実施加算で薬剤師の人件費を賄おうと考えた場合には、例えば平均在院日数が2週間で病床稼働率が80%と仮定したときに、150床ぐらいでようやく1人分になる計算になります。逆に言うと、小規模な病院や患者の回転が遅い医療機関では、この加算だけでは人件費の確保が難しいということになりますので、そうした医療機関での届出は伸び悩んでいるのではないかと思っています。
 こういう背景から、133ページに配置状況のグラフがありますけれども、この病床機能別に見た人数割合の円グラフを見てみますと、特定機能病院や高度急性期・急性期のほうで合計すると77%と非常に高い。そういった医療機関では、下の棒グラフを見てみますと、中央業務以外の例えば病棟業務等に従事する薬剤師の割合が高くなってきているということですから、そういう観点で、先ほど人件費の話をちらっとしましたが、先ほどの仮定を裏づける結果にもなっているのではないかと思います。これらのデータは、診療報酬によって人件費が確保できれば、回復期や慢性期の病院でも病棟等における業務の充実を図ることができるのではないかということを表していると思います。
 138ページの薬剤業務向上加算ですが、これは令和6年度に新設されたもので、特定機能病院や急性期充実体制加算を算定している、比較的急性期で規模の大きい病院が算定できるもので、そういったところから薬剤師の不足している地方の病院に薬剤師を出向させることで算定できるものになります。
 139ページの調査では、この時点で17施設が算定していますけれども、今年の4月の時点では30施設に順調に増えていますし、140ページのデータにもありますように、今後も算定を予定している施設がかなり出てきているということになります。
 当院も実はこれを算定していますが、出向元の施設と地方の病院は環境がかなり異なる中で、機能の異なる医療機関に出向した薬剤師が様々な業務を経験したり、薬剤業務のマニュアルや手順書を作成するなど、出向先の病院の薬剤業務の体制整備に深く関わるようなこともありますので、出向から戻ってきた薬剤師を見ていると、かなりの成長を強く感じています。一方で、出向者を受け入れた地方の病院にとっては、病院の支援という面で非常に効果が大きく、出向元の医療機関から例えば病棟等における業務に関するノウハウなどを伝えることもありますし、そういう形で地域の病院の薬剤業務の質の向上という観点でもかなり重要な取組になっているのではないかと思っています。
 148ページ、情報連携のデータが出ていますが、下の棒グラフで情報連携先の6割が薬局になっています。逆に4割ぐらいは薬局以外ですので、情報連携しても退院時薬剤情報連携加算は算定できません。このデータは、退院時薬剤情報管理指導料そのものが算定できない施設に対して、薬剤師が多くの情報を連携しているということを示しています。
 現在の診療報酬の仕組みの中では、転院先の医療機関や介護保険施設等に薬剤関連情報を連携しても診療報酬で評価されていないということになりますが、そういう状況にもかかわらず、薬物療法をスムーズに適正化するために転院先等に情報を提供している施設が多いということが分かると思います。
 入院中の薬剤調整に関する情報は、ポリファーマシー対策などにおいても重要ですけれども、そういった情報に関しては、必要な患者においては、薬局ももちろんですが、薬局だけでなくて、転院先や介護保険施設や、あるいは診療所などにも情報連携をしている医療機関は実際多いと思いますし、このデータはA票なので急性期の病院が中心になっていますけれども、回復期の病棟でも同じような情報連携をしている施設はかなり多いと思いますので、もしそういうデータがあれば今後お示しいただきたいと思っています。
 また、回リハや地ケアでは退院時薬剤情報管理指導料や退院時薬剤情報連携加算を算定できませんけれども、一方で、回復期の病棟では入院中に退院後の生活期に即した服薬調整を行っていますので、こういう情報連携を充実させると、ポリファーマシー対策も進むのではないかと思っています。
 次に、ポリファーマシーの話で164ページになりますが、ポリファーマシーはもともと多剤併用の中でも害をなすものと定義されていますけれども、右上のグラフを見てみても、ポリファーマシー対策の介入で2種類以上の薬剤を減らした割合はそんなに高くなくて、16.7%にとどまっていますし、変化なしが一番多いということになっています。場合によっては増加するケースもあると思います。
 その1枚前の163ページの左下のグラフを見ても、薬剤総合評価調整加算の算定に関しては徐々に増えていますが、薬剤調整加算、これは2剤減ったときに算定できるものですが、こちらが横ばいになっているということからも、2剤の減少というのは結構難しいということが分かると思います。当院もこの辺には力を入れていますが、むしろ急性期の病院では減らすことはかなり難しくて、調整した結果、増えるということも結構あるかと思います。そういう意味では、この辺のデータはその実態を表しているのではないかと思っていますし、そういう観点からは、薬剤数の変化を見るというだけではなくて、先ほど抗コリンスケールの話もありましたが、ポリファーマシー対策が適正に実施されているかどうかの判断をする意味では、何らかの形で薬剤調整の質を評価するということを考えたほうがいいのではないかと、このデータを見ていて思いました。
 以上になります。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
 ありがとうございます。私のほうからは2点です。
 まず、141ページになりますけれども、院内処方と院外処方における診療報酬の比較ということでデータが出てきています。外来院内処方と院外処方での点数差をここで見ますと、2剤処方として約7倍もの差があります。外来の院内調剤薬局は、今、錠数によらず1処方当たりとして、固定に対して、院外処方では剤数が増えれば、それに合わせて増点になりますので、3剤以上の処方だと7倍どころか、もっと大きな差がつくということになります。
 薬剤師が同じように業務を行って、その対価でこれほど差がつくという理由が一体どこにあるのか。これは分からないところです。少なくとも言えるのは、調剤薬局の薬剤師数が大幅に増加した。その裏返しとして病院薬剤師が不足に陥っているということも言えるのではないかと思います。
 これに関しては、患者の立場に立ってみたときに、これだけ差があることをメリットとして容認できるのか、理解できるのかということをいま一度検討する必要があるのではないかと思います。
 これは可能かどうか分かりませんけれども、これだけ差をつける必要がある理由、ないしはこれを設定したときのデータ、そういったものがあれば示していただきたいなというお願いも込めての意見です。
 2つ目は159ページの薬剤適正使用連携加算という部分になります。あまりにも算定回数が少ないのではないかなと思います。ほとんど算定されていない、利用されていないということです。算定要件が厳し過ぎるのではないか。地域包括診療加算等については、158ページの中ほどの服薬管理のところにありますけれども、ほかの医療機関と連携の上、処方数を管理することになっているのです。ですから、ここだけ見ると二重の評価にも見えるのですが、この薬剤適正使用連携加算の趣旨は、連携を行った上で、内服薬の種類を減らすというところがポイントのはずです。そうであれば、このポリファーマシーを評価するということですから、入院・入所といった入院連携だけでなくて、外来での連携に関しても評価を行うという方法もあるのではないかと思うところです。これは意見です。
 私からは以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。172ページの現状と課題を中心に意見を3点ほど述べさせていただきたいと思います。
 まず、病院薬剤師は多職種による院内チーム医療においてはキーパーソン的な存在だと思いますし、その辺りは143ページ以降にデータをお示しいただいていますが、しかしながら、ドラッグストア、大手調剤店のほうが初任給、処遇がよいために、卒後どうしてもそちらのほうに就職されてしまうという実態があろうかと思います。病院は経営状態が悪くて、とても病院薬剤師に初任給を多額に出すことはできませんので、負けてしまうのかなと。絶対数が少ないために病棟薬剤師配置が進んでいない事情もありますので、144ページ以降、様々な加算がなかなか取れないという実情もあります。
 ここからは診療報酬とは直接関係ないかもしれませんけれども、ここは1つ、薬剤師の卒後教育という意味も込めて、医師における初期臨床研修と同じように、病院薬剤師として、薬剤師さんも卒後2年間は病院研修を義務づけるとか、そういったことを真剣に検討する時期に来ているのかなと。これもかれこれ10年、20年ぐらい言い続けられている課題ではあるかと思いますけれども。
 ちょっと話がずれるかもしれませんが、例えばリフィル処方箋が活用されていない理由として、あまり表面化されていないと思いますけれども、薬剤師さんのフィジカルアセスメント能力が十分でないという問題もあろうかと思います。そもそも調剤の薬局のほうに血圧計すら置いていないとかいう話も聞きますし、薬剤に関する知識は豊富でも、リフィル処方箋でお薬を取りに来た患者さんを診察して、状態が変化していることに気づくことができない、あるいは状態、容態が変化しているにもかかわらず同じお薬を出してしまうのでは、薬剤師としての役割を果たしていないのではないかということになりますので、このためにも薬剤師さんが卒後に2年間は病院で臨床を学びながら、こういったフィジカルアセスメントのスキルを上げていくということは重要ではないかと思います。これが1点目です。
 2点目は、147ページから149ページ、薬剤情報連携についてですが、退院患者さんが慢性期の病院、あるいは老健施設、介護医療院などに転院していった場合、薬剤の情報が不足しますと、高額薬剤であるという理由で勝手に薬が切られてしまうということもございます。これが例えばDOACとか抗凝固剤であったりする場合には、脳塞栓を発症して、また元の救急病院に救急搬送されてしまうとか、あるいは心不全の投薬が減薬されてしまって心不全が悪化して、また救急搬送されると。そういうのがしばしば見られるケースかと思いますので、こういう薬剤の情報提供に関しましては、これを強化すべきと考えるところです。
 157ページ以降、ポリファーマシー問題ですけれども、これはお薬手帳で一つ一つ確認しても、アナログで類似薬をピックアップするよりは、電子処方箋で電子的に処理して、他の医療機関での処方と重複する処方内容を確認することでかなりスピードアップして、手間も改善できると期待しているところですが、電子処方箋自体がなかなか進んでいない実情がございます。これは国策としてインフラ整備をしっかりしていただく必要があるかなと思います。特に医師資格確認証としてHPKIカードが、ICチップの不足で遅れているという事情はあるにせよ、HPKIセカンドと言いまして、クラウドで医師資格確認を確認するシステム。これは各医療機関が対応、導入しようとしていたところ、今年の4月から突然そのシステム利用料を有償化しますと業者から一方的に宣言をされて、それの支払いをしない場合にはデータ通信をできなくすると。現場は非常に混乱したりしていますので、このポリファーマシー問題は、まず電子処方箋を国策として早くインフラ整備をしていただくのが先決ではないかなと思います。
 あと、入院患者さんの院内処方の情報と外来での処方情報をデジタルでひもづけするという作業。これをいつまでに整備するとかいうことがまだ予定にも上がっていないような気もしますので、この辺りもまだ先が見えておりませんので、そういったことも早く整備する必要があるのかなと思いまして、ちょっと発言させていただきました。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
 ありがとうございます。私もポリファーマシーに関して少しお話をさせていただきます。眞野委員も触れられましたが、急性期病院で減薬という役目を果たすということは、私も難しいと思っています。急性期病院の多くは専門的治療もしくは救急治療になっておりますので、その時点で165ページにありますような自科以外の処方薬を調整するということは非常に難しい状況になっているということです。
 さらに、減薬にもリスクを伴いますので、経過というのをある程度追う必要があるのですけれども、急性期病院では原病治療を終えた時点で、減薬をして経過を見る期間というのはほとんど残っていない。退院していただかないと仕方がないという状況で、そこで切るということはまず難しいだろうと考えます。
 164ページの調整加算の算定状況や、165ページにあるようなアンケート調査結果というのを入院基本料別で解析していただいたら、多少違うような結果が何かしらの形で出てくるのではないかということを感じます。
 一方で、そもそもポリファーマシーの多くは急性期病院の専門治療で生じていると感じています。疾患別ガイドラインというのが非常に多く存在しますけれども、1つの疾患に対して複数の薬剤の併用を進めていながら、ポリファーマシーに関する記載が全くないガイドラインというのは非常に多くて、例えば私、もともと心臓血管外科医だったので心臓関係で見てみましても、高血圧のガイドラインには実はポリファーマシー対策と書いてあるのですけれども、循環器学会と日本心臓血管外科学会が合同でつくっております安定冠動脈疾患の血行再建ガイドラインでは一切触れられていません。その上で、スタチンを投与しろ、抗血小板剤は初め2剤投与しろと書かれているわけです。先生方はそれにのっとって投与しますのでどうしても多剤になってしまって、それが幾つかの専門医にかかっていると、あっという間に多剤になるというのが現状ではないかと思います。
 ポリファーマシーそのものは我々医療者が生み出した弊害です。これは分科会マターではありませんけれども、専門医教育の中やガイドラインの中にポリファーマシーによる弊害をしっかりと組み込むなどの発生予防対策ということ。もう一つ非常に大事なことは、80歳以上の高齢者に対する薬剤の知見データというのはほとんど皆無に近いということを我々医療者が認識しなければならないと思っています。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょう。眞野委員、どうぞ。
○眞野委員
 ありがとうございます。
 井川先生が先ほどおっしゃった中で、急性期で2剤減らすのはなかなか難しいというのは、そのとおりだと思いますし、そういう意味では、急性期でチャレンジをして、その後、転院先等に情報をつなげていくというのはすごく重要だと思います。取組をしていても途中の状態で転院してしまうので、そういう情報連携は非常に重要だと思います。
 それから、先ほど牧野先生がおっしゃった院内と調剤での違いですけれども、何でこうなっているか分かりませんが、自分の想像を言いますと、恐らく昔は外来の院内処方もそれなりの点数があったのではないかという気がしていします。まず院外処方箋発行を進めるために院内の点数を下げていったということと、それから院内の薬剤師を調剤以外の病棟等の業務に振り向けるために、そちらを充実させて、調剤のほうを落としていったのではないかと思います。本当かどうか分かりませんが、きっとそうなのではないかと思っています。
 例えば何倍も違うから合わせるように外来院内処方の点数を上げようなどという話になると、逆に院外に発行していた処方箋が院内に戻ってきてしまうという可能性もあるかもしれませんので、そこは慎重に考えたほうがいのではないかと思います。変えるのであればむしろ入院患者の調剤関連の点数は変えてもいいかもしれないと思いますが、外来のほうを変えてしまうと院外処方箋が院内に戻ってきてしまうリスクがあるのではないかと思います。同じ業務で何故こんなに点数が違うのだというのは確かにありますけれども、最近は恐らく調剤報酬の中でも調剤以外の業務に関する評価が増えていて、調剤の点数が少しずつ下げられているように理解していますので、きっとそういう考え方で今後も進んでいくのではないかと思っています。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 はい。ありがとうございました。
 ほかに御意見・御質問もないようでしたら、本件に関わる質疑はこの辺りにしたいと思います。
 本日の議論は以上でございます。
 次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○矢野補佐
 事務局でございます。
 御議論ありがとうございました。
 次回の日程は未定でございます。決まり次第、御連絡させていただきます。
○尾形分科会長
 それでは、以上をもちまして、令和7年度第7回「診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会」を終了させていただきます。5分ほどオーバーしてしまいましたけれども、長時間にわたりまして熱心な御議論、どうもありがとうございました。