- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)) >
- 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院・外来医療等の調査・評価分科会)) >
- 2025年6月13日 令和7年度第3回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録
2025年6月13日 令和7年度第3回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録
日時
令和7年6月13日 10:00~12:00
場所
全国都市会館 地下1階 第3会議室、第4会議室
出席者
- 本委員
-
- 尾形分科会長
- 池田委員
- 今村委員
- 井川委員
- 津留委員
- 林田委員
- 牧野委員
- 秋山委員
- 眞庭委員
- 中野委員
- 眞野委員
- 小池委員
- 田宮委員
- 鳥海委員
- 飯島委員
- 武井委員
- 事務局
-
- 矢野課長補佐 他
議事
○尾形分科会長
おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから令和7年度第3回「診療報酬調査専門組織・入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、今回の会議の公開につきましてはユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、秋山委員が遅れての御参加の予定と伺っております。
なお、冒頭の頭撮りはここまでとしたいと思います。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
まずは第1の議題であります「高齢者の入院医療について(総論)」でございます。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
お手元の資料の入-1に基づきまして御説明をいたします。入-1の2ページ目、「1.高齢者の入院医療について(総論)」でございます。
3ページでございます。「入院患者の高齢化」という題になっておりますが、入院患者の総数は減少傾向でありますが、75歳以上の高齢者の割合は漸増しておりまして、令和5年においては57.2%となっております。いずれの年代においても、人口1,000人当たりの入院患者数は減少していますが、85歳以上においては、入院割合の減少を上回る人口増加により、入院患者の実数は増加しているということで、今後の入院医療を考える上で入院患者の高齢化の背景のデータとなっております。
4ページ目でございます。要支援・要介護認定者数の経年推移ということで、要介護5以外の全ての区分で漸増傾向。特に要介護1の増加が目立つという状況となっております。
続きまして、5ページ目、入院料ごとの年齢階級別患者数の推移でございます。こちらはバーがたくさんございますが、入院料ごとに平成30年から令和6年までの年齢階級別の患者数の割合を並べてお示ししております。特に地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟では、70歳以上の高齢者の割合が他の入院料を算定する病棟よりも高いという傾向。経年的にその割合が増加傾向になっているといったデータとなっております。一方で、急性期一般入院料を算定する病棟においては、年齢層の分布の経年的な変化は目立たないということで、こちらは病棟の種類ごとに経年推移、傾向が異なっているというデータになっているかと思います。
6ページ目、病棟ごとの要介護認定者数の経年推移でございます。こちらについても、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟で高い患者が多くて、経年的に増加しているという傾向が認められます。
7ページ目でございます。こちらは令和6年度の診療報酬改定で高齢者の医療の関係でどのような見直しが行われたのかの概要であります。特に救急患者の連携搬送料の新設、いわゆる下り搬送の促進という観点での見直しが行われました。また、地域包括医療病棟入院料の新設という形で、高齢者救急の受け皿を想定した新設の入院料がつくられております。また、医療機関等と介護施設の平時からの連携促進という観点での見直しも行われております。
8ページ目は、高齢者の救急搬送に関する評価と救急医療提供体制のイメージということで、今、申し上げたような救急搬送の受入れ、下り搬送の評価などもございますし、また、右下にございますような介護施設、在宅医療などの後方支援機能に関する評価、それぞれ行われたところでございます。
9ページ目でございます。これは新たな地域医療構想に関するとりまとめでございます。この中で太字でお示ししておりますとおり、自宅以外の高齢者施設からの救急搬送の増加も見込まれるほか、発症後の生活機能を維持するためのリハビリテーション、退院後の生活環境も踏まえた退院調整が重要になるというようなとりまとめがございます。また、下のところ、「治す医療」を担う医療機関と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療・介護提供体制を構築する必要があるということ。また、高齢者救急について、受入体制を強化するとともに、ADLの低下を防止するため、入院早期から必要なリハビリテーションを適切に提供し、生活の場に戻ることができる支援体制を確保する。在宅医療を提供する医療機関、高齢者施設等と地域の医療機関との連携強化ということで、こちらのとりまとめを抜粋させていただいております。
10ページ目、医療機関機能の報告の中の医療機関機能の名称・定義の中で、特に高齢者に関連するところ、高齢者救急・地域急性期機能と在宅医療等連携機能がございますので、こちらも御紹介させていただいております。
11ページ目、「地域包括ケアシステムの中における高齢者の救急対応」というタイトルとなっておりますが、高齢者の入院医療を考える上では、地域包括ケアシステムの推進という文脈の中でも検討していく必要があるということでございます。
12ページ目でございます。地域包括ケアについては、住まいがあった上での介護予防、生活支援のサービスがあり、その上で医療のサービスをどのように提供するかという視点が重要です。
13ページ目、高齢者救急の増加でございます。こちらは消防庁のほうからのデータでございますが、主に85歳以上の年齢層で救急搬送率が増加しているということでございます。これは搬送の人数が増加しているだけでなくて、搬送率が増加しているということで、人口の増だけではなくて、高齢者の方で運ばれる率が上がっているということに着目する必要があるかと思います。
14ページ目、高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言で、こちらは日本救急医学会のほうから出ている提言でございます。高齢者の救急搬送件数の増加、搬送時間の延長、患者さん御本人が事前に高度な治療を望まない場合においても搬送される事例があるということが指摘されております。それに関連しまして救急医学会のほうから提言が出されている内容でございます。特に意思決定支援をきちんと行うこと、また、その内容を医療を提供する現場に共有がきちんとなされ、それを基に治療やケアに反映していく、そういったことが高齢者救急問題として重要であるというような提言がなされております。
15ページ目であります。終末期における疾病の軌道ということで、こちらは疾病の医学モデルで示したものでございますが、特に繰り返す入退院でありますとか、経過中に肺炎・骨折を生じる認知症、老衰といった病態が増えていくということで、こういった方々の入院医療の体制を考えていく必要があるということでございます。
16ページ目、在宅療養生活と入退院のスムーズな移行のための連携で、こちらは「在宅医療・介護連携推進事業の手引き」から引用させていただいておるものでございますが、在宅療養生活において入院医療が生じる場合、退院後、在宅医療・介護へつながることを意識した連携・情報交換を行うことが必要である。また、人生の最終段階においては、本人の希望する場所で療養を行うことが必要であるということで、こちらの在宅医療・介護連携推進事業のところから抜粋させていただきました。
17ページ目が在宅医療の4場面の視点からみる高齢者の医療ということで、在宅医療で必要となる医療の4機能がございます。このうちの入退院支援、急変時の対応が地域の中で特に重要な機能とされております。ここの部分について、診療報酬上の評価、御覧のような加算、あるいは指導料などの評価がございますが、今後の診療報酬改定を考える上での考え方ということでお示しをいたしております。
18ページ目、かかりつけ医機能報告制度でございます。こちらは、令和5年の改正医療法に基づいて創設されましたかかりつけ医機能報告制度に基づく地域の中での協議の仕組みのイメージ図でございます。入退院支援に関する地域の機能につきましては、地域の在宅療養中の高齢者が急変した際、入院が必要となった場合に受け入れられるような後方支援の役割を担う病床の確保について話し合うこととされております。具体的には、右下にありますような在宅医療を提供する医療機関と後方病床を提供する医療機関のマッチングやグループ化を共有の中で進めていく、あるいは平時から情報共有する仕組みの構築、入退院支援のルール作成・運用、医療DXの活用など、高齢者救急の搬送のルール調整といったことも共有の中で想定されているということで、こちらの高齢者の入院医療に関連した項目として紹介させていただいております。
19ページ目は、令和6年度介護報酬改定の検証及び調査研究に関する調査からの引用でございます。高齢者施設と医療機関の連携体制等にかかる調査研究で、こちらは協力医療機関の定めの状況。3つの機能、①相談対応を行う体制、②診療を行う体制、③入所者の入院を原則として受け入れる体制。これを全て満たす協力医療機関を定め、これを必ず持つことが義務づけられたというところでございますが、それの効果に関する調査結果が20ページ目でございます。
調査結果の概要に、要件を満たす協力医療機関を定めているほうが救急車による搬送が少なかったということで、きちんと高齢者と医療機関の協力関係があるほうが高齢者救急を減らす効果があったというような調査結果が示されております。
21ページ目、高齢者に対する適切な医療提供の指針であります。こちらは平成22年の厚生労働科学研究に基づく研究成果となっております。高齢患者に対して適切な医療を提供するに当たって必要な考え方がまとめられておりまして、それを抜粋したものでございます。多疾患を併存している。また、高齢の患者さんは個別性が高い。QOLの維持・向上を目指したケアが必要で、早期離床を図る。機能回復のためのリハビリテーションを早期から行う必要がある。老年症候群の予防が必要である。また、生活の場の重視、あるいは意思決定支援ということが重要になってきたり、薬物療法においては、有害事象に注意した投与が必要である。若年者の疾病ガイドラインをそのまま適用することは必ずしも適切ではない場合があるということが示されております。また、家族のケア、チーム医療の重要性などが指摘されているところであります。
22ページ目が高齢者の入院医療における包括的なスクリーニングと評価に基づく対応でございます。高齢者の入院医療においては、主たる傷病の治療以外にも、急性の発症や生活の場を離れた安静臥床に伴う様々な機能障害のリスクを考慮した、総合的な診療が必要となってくるということで、これは入院中の医療の提供の中でこういった様々な加算も設定されておりますが、診療報酬上の評価をどのようにしていくのか考える必要があるのではないかということで、背景としてお示しさせていただいております。
23ページ目に高齢者医療に関する現状と課題としてまとめさせていただいております。1つ目、高齢者の医療のニーズと「新たな地域医療構想のとりまとめ」における医療機関機能について。85歳以上の世代においては、入院患者数、要介護認定者数共に増加しており、主に地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟で高齢者・要介護者の割合が経年的に増えているというデータがございます。また、「新たな地域医療構想のとりまとめ」において、医療と介護の複合ニーズを持つ高齢者の増加、高齢者の救急搬送の増加、高齢者の入院医療における早期からの在宅復帰を目指した関わりの必要性等を踏まえて、新たに医療機関機能が位置づけられたところであります。
2つ目、高齢者の救急搬送の受入体制につきまして。85歳以上の救急搬送率が増加していること。令和6年改定では救急患者連携搬送料、地域包括医療病棟が新設されたところであります。
3つ目、在宅・介護施設等の後方支援機能について。地域包括ケアシステムにおいても、従来より適切な連携等により生活医療圏において完結することが望ましいという考え方が示されております。また、新たに開始されるかかりつけ医機能報告制度におきまして、かかりつけ医機能を後方から支援する病院・診療所の役割、平時からの情報共有のルール、救急搬送ルールについて、地域の中で話し合うことが今後求められていくということとなっております。
また、高齢者の入院中に必要な介入につきまして。主傷病の治療以外にも、廃用症候群、老年症候群の予防、早期のリハビリテーション、ポリファーマシーへの対応、意思決定支援等、そういった若年者にはない視点が求められているということ。令和6年改定ではこうしたことを考慮しましたリハビリ・栄養・口腔ケア等の評価が行われたところであります。
こういった現状を踏まえまして、課題。現状についてどのように評価するのか。また、さらに検討を進めるべき事項についてどのように考えるかということでお示ししております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。では、井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
15ページにあるLynnのモデルはよく出てくるグラフでございますけれども、このグラフがつくられたのは実は2001年。今から二十数年前なのです。現在、こういう傾きというのは、特に心不全モデル、呼吸不全モデルなどは、恐らく若い方はこうなります。ですけれども、予備力がなくて、マルチモビディティ状態にある高齢者の方では一旦落ち込む。急性増悪して落ち込むときに、元のラインまで戻らないのです。それが一番の課題だろうと思います。一段、二段下がった状態になってしまう。認知症や老衰のモデルは、だらだら書いていますけれども、実はその過程の中で肺炎とかそういうエビデンスを起こすたびに、上の慢性心不全、慢性呼吸不全のような形になるというのが現状だろうと思います。
元のラインに戻すには、当然発症や悪化時の早期から維持リハや栄養維持やオーラルフレイル、予防が重要と考えていますが、前回の資料からは急性期では専門性の高い治療が優先されているために、これらがそれほどされていないというのが実情である。
こういうことは、超高齢社会にある我が国では喫緊の課題で、いずれ急性期でもそういう意識が目覚めるだろうという形でゆっくり待っていられるかというと、もうそうではないのではないかなと私は思っています。
大胆ではありますけれども、例えば超急性期の治療が本当にある程度めどがつく1週間ぐらいとか、早ければ4~5日とかいうレベルでめどがつけば、包括期や回復期にさっさと移して、そしてリハビリをそこで始めてしまうというふうな大胆な診療報酬の体系をつくっていってもいい時代ではないかなと思っています。これが私の考える23ページの課題に対する答えです。
以上です。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
ここは総括的な話についてでございますが、現状を見てどう考えるかというお題目について、その観点から申し上げます。高齢者の入院医療につきましては、現状を御説明いただいたわけでございますが、救急搬送の受入体制、早期の在宅への復帰につながる機能を充実していくことがますます必要になっていくと考える次第でございます。これらと併せて考えなければいけないのは、限られた医療資源ということがあるわけでございますので、さらに救急搬送の必要性を適切に判断する取組も推進する必要があると考えております。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
高齢者の入院医療につきましては、前回、令和6年度の改定の議論でも、ちょうど2年前、今の医療と介護の意見交換会の後ぐらいから議論をずっと行ってきたところだと思います。前回改定と今回と異なっている点を大きく2つ挙げるとすれば、1つは、現在、医療崩壊の危機と言っても過言ではないほど、全ての病院の経営がこれまでにないほど非常に悪化しているというのが1点。もう一つが、2040年に向けての新たな地域医療構想に関する検討会のとりまとめが昨年12月に示されているというところです。
ただ、基本方針は示されているわけですけれども、現在、医療法の改正、法案審議はまだ継続中だと思いますし、具体的なガイドラインの議論はまだ何も始まっていない状況ですので、診療報酬で議論を先に進めるという点に関してはちょっと注意が必要だと思っています。
これらを踏まえまして、この課題に対する意見を述べたいと思います。繰り返しになりますけれども、今、病院経営が非常に厳しくなっておりまして、高度急性期、急性期、包括期、いずれもとにかく病床利用率を上げないとどこも赤字になってしまうので、必死で救急も受け入れて入院を増やしている状況です。これは6年度調査でも平均在院日数が短縮がされているにもかかわらず病床利用率が上がっているというのは、前回のデータでも出ていたので、御承知のとおりことだと思います。今、大学病院、急性期充実体制加算や総合入院体制加算を取っているような高度急性期、地域医療支援病院、こういった病院が病床利用率90%以上を目標に掲げて、最近では大学病院も経営が悪化していて、病床利用率を90%ないし95%目標というような病院もあると聞きますが、これはある意味異常な状況なのかなと思いますので、もう少しゆとりのある医療が提供できるようにしないと、とにかく病床利用率を上げろ、上げろということでは、適切な機能分化が行えないのではないかなと懸念しています。
その対応策として、令和6年度の調査でも新設になりました救急患者連携搬送料。前回お示しいただきましたけれども、これは届出が僅か17%なのです。高度救命救急センター、救命救急センターにその理由は何かというデータも前回出ていましたが、下り搬送に同乗するスタッフが確保できないとか、メディカルコントロール協議会との協議を行って、候補となる連携先のリストをつくるのがなかなか難しいとか、自院の救急車を出せないとか、理由がありましたが、自院で入院対応が可能ですといった意見もありましたし、ほかの病院に転送で自院の病床稼働率が低下してしまうという話も出ていました。ということで、本来高機能で診なくてもいいような高齢者救急、あるいは高齢急性期入院患者、何でも入院になりそうな患者は取りあえず取り込むと。あるいは軽症であっても、病床利用率の目標が95%になっていれば、取りあえず入院させておくというような非常に非効率的な医療になっていないかどうか、そういった実態をもうちょっと明らかにしていって、それぞれの医療機関機能できちんと受入れを行っていけるようにする必要がありますし、より適切に下り搬送が進むようにすべきと思っています。
それに関連しまして、これは医師の働き方改革にも関係する話ですけれども、この適切な下り搬送先が宿日直許可を取っている二次救急の場合、大学病院から夜、バイトで医師が派遣されていて、そこに夜、下り搬送を行うと、夜間救急対応で起こされてしまって、大学病院からバイトに行っている先生が宿日直にはならないと。だから、受けられないという問題もいろいろ起こっているのではないかなと思いますので、こういった点にも注意が必要だと思っています。
これは最後になりますが、地域によって人口構成、高齢化率が異なりますし、急性期の医療需要、特に高齢者の医療についても需要が大きく異なっています。そして、地域によって提供できる医療資源、介護資源も異なりますので、現在、全国共通の診療報酬制度で評価してカバーするということは、かなり無理が来ているのかなと思います。当然基金を併用したり、補助金を使って医療提供体制を維持していく必要がありますけれども、診療報酬制度もそろそろ地域性にどう対応するのかという検討を行う必要があるのかなと思いまして、意見を申し上げました。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
ありがとうございます。
1点、高齢者医療施設からの救急搬送に関してですけれども、先ほどDNARとかACPの話が出ておりました。もちろん、病院に入ってきたときにはDNARの話はするわけで、それから在宅医療などでもACPについては話すようにという指針が打ち出されているところではありますが、現実問題として高齢者医療施設から病院に搬送するときに御家族とのトラブルも多いというふうに伺っております。高齢者医療施設での、ちょっと足が早いのかもしれないですけれども、DNARとかACPについて、在宅のみならず、そういう介護施設などでもお話しいただいて、十分そのところを練った上で、救急搬送をどうする、あるいは救急隊が行ったときにどうしたらいいかという対応がまた変わってくると思いますので、その辺の意見調整を事前にしっかりしておかないと、その日の夜になって、救急隊の人も不幸だし、病院も不幸だし、家族も不幸だし、本人も不幸だしということになってしまいかねません。そこのところをしっかりしたほうがいいだろうと思いました。
以上です。ありがとうございました。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
私は2点お願いしたく思います。1つは今ずっと話題になっています救急搬送のことです。私は、今、、救急搬送の実態を把握すべくNDBを使った研究とかいろいろやらせていただいていますが、、救急搬送の実態はなかなかレセプト上から難しいところがあると思うのです。13ページの資料はレセプトからですかね。消防の記録から取っている現状も私たちはあるのですけれども、今は変わったかもしれませんが、救急搬送について、その実態が把握できるような仕組みを確認していだき、まだなければ、やはり必要かと考えます。。その際、施設から来たのかとか、P13のグラフもどこから来たのか分かると、さらにいろんなことが読み取れると思うのです。そのように、下り搬送も今、重要になっているので、こうした状況が把握できる方法をまず確認していただきたいと思っています。
併せて、ACPを確認するのが必要ですというふうに14ページにも出ていますけれども、私も老健施設の現場でACPを担当したことがありますが、これが難しいのです。入所した途端にACPを聞くのはやりにくいです。。でも、やっていかなければいけない事ですし、繰り返しやっていくうちにだんだん分かっていただくこともあります。、この辺は根気強く、今、御意見もありましたが、押しつけはしないけれども、大事なので進めていく必要があると思います。
また、、ACPが本当にあった搬送なのか、ない搬送なのかというのが、今、白黒つきにくいところもある中ですが、把握しておくことは今後の長い目では必要なのではないかと思っています。
これらも含めた下り搬送のことに重きを置かれていますけれども、先ほど津留委員がおっしゃったように、病床稼働率だけを評価するようではこの動きはつくっていけないので、いろいろな調整をしながら下り搬送をACPなども含めて丁寧にやるということへの評価が、病床稼働率だけではなくて、なされていくようにしていくことがとても重要かなと思います。
もう一点、ここの直接の議題ではないかもしれませんが、21ページの下から2行目に家族への配慮というのが出てきています。家族や介護者のケアというのが今、日本は遅れていて、でも、そこが一番決め手になっているところも結構あります。退院するときに家族の評価をして、考慮してその先を考えるとか、少し家族に対する仕組みというのも急性期であっても入れておく必要があるのではないかなと思っています。
以上2点です。よろしくお願いします。意見になると思います。あとは救急搬送がレセプトでどうつかまえられるかを確認いただきたいということです。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、データの点について事務局からお願いします。
○矢野補佐
事務局でございます。
救急に関するデータについては、DPCデータで入院する病院が救急車で来た患者なのかということについては把握できるわけですが、例えば応需率の問題であるとか、どれぐらい待たされて来たのかとか、そういったデータについては、消防庁のほうでどういったデータがあるのかということになりますので、救急搬送全体をどういうふうに見ていくのかということの中で、厚労省の仕組みの中でできること、消防庁の仕組みなど、様々なものを組み合わせて見ていかなければいけないというのが現状だと思います。こういったものをきちんと把握できる体制が重要ではないかという御指摘だと思いますので、そういった観点も含めて今後議論できるように準備できればと思います。
以上です。
○尾形分科会長
よろしいですか。
○田宮委員
はい。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。飯島と申します。
今回取り上げられました様々な視点、いわゆる地域医療の安心ある生活をどう支援するのかと。これは在宅療養も含めてということですけれども、これも非常に核心的な部分だと思います。各部分部分はもう確立されているのですが、それがどう連携したり、どう組み合わされて、いわゆる地域包括ケアの第2ステージをどのように地域に展開できるかということが問われる全体像だったかなと思います。
先ほどほかの先生方からも御指摘がありましたけれども、機能分化が進んできているという中で、それが徐々に達成、形づくられてはきているのですが、その中での病院経営の厳しさとかそういう側面も出てきて、この難しい方程式をどういうふうに解くのかというところになってくるかと思います。
空港でうるさい状態で申し訳ございません。
2点だけ。7ページの「令和6年度診療報酬改定における高齢者の医療のあり方」というところで、先ほど出ました下り搬送の促進、そして地域包括医療病棟における在宅復帰率を増やす、そしてADL維持率95%以上。後ほどの資料で恐らくリハビリテーションのFIMとか栄養基準、GLIM基準とか、そういうのが出てくると思いますけれども、ここら辺がどれだけ達成に向けて確実な足取りを取っているのかというところがポイントかなと思います。
もう一点、13ページ、高齢者の救急搬送のところで85歳以上が増えていると。特に搬送率が上がっているということを強調されました。ACPの話もあって、搬送の意向がないにもかかわらずと。これだけ言われてきている時代の中で、どのぐらいの割合がどうなってしまっているのかと細かく見た上で、もうちょっと深掘りしていかないと、同じ現象がずっと続いてしまうという気がいたしますので、そこら辺の体制整備も必要かなと思います。
以上でございます。すません。雑音がうるさくて申し訳ございませんでした。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
私のほうからは、資料を見ていて違和感があったので、あえて言わせていただきます。5ページから6ページの部分です。包括期病棟、地ケアとか回リハとか、そういったところでは年々年齢が高くなって、なおかつ要介護認定の人が増えてきているということを示しているのですが、逆に一番上のところ、急性期1とか急性期2~6、こういったところでは少なくともこの数年間、年齢が上がっているということもなければ、要介護認定者がそんなに増えているわけでもないというので、現場の感覚としてはちょっと違和感があると思ったのです。もっと長いスパンで見るとこの辺の数字が動いているのですけれども、少なくともこの数年間では動いていないということ。これをどう考えるのかというところなのです。
例えばケアミックスの病院とそうでない病院ではひょっとしたら差があるのかとか、あと、最近だんだん包括期病床の整理が進んでいるおかげで、そういった高齢者がそちらに流れているために急性期病棟のほうではそういった患者が最近増えなくなっているのか。急性期のほうの分析もまた進んでいると思いますので、そういったところで分かるようなデータを出していただきたいなというのが要望です。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
では、これは御要望として承りたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。今村委員、どうぞ。
○今村委員
日本医師会の今村です。
まず、高齢者の入院医療についての総論ということで、これはそもそも入院・外来医療等の調査・評価分科会ですので、ここらに提示されているデータの結果についての評価ということかと考えています。今、いろいろと述べられた部分の中には、結果の評価よりもどうしてほしいという要望等がたくさん入っておりましたけれども、基本的にはここに出されているデータからの評価についてと。そういう意味では、先ほど牧野委員がちょっと違和感があるということをおっしゃいましたが、5ページの結果については、日本医師会のほうでもこれをどう評価するのかというのは非常に大事だと考えております。
と申しますのも、先ほど牧野委員も指摘されましたが、例えば急性期1において、実際には高齢者の率がどんどん増えるということにはなっていない。一方で、地ケア、回復期リハではここは増えていると。3ページで85歳以上の入院患者さんは基本的には全体ではどんどん増えているにもかかわらず、ある意味ここの急性期1があまり増えていない。また、特定機能病院、大学病院においても実は令和6年度は若い方の率のほうが高くなっているという結果になっていて、これは今までの地域包括ケアの政策がうまくいっている結果、それなりの病床機能分化を進めてきたわけですが、その機能分化が進んだ結果として高齢者の方は今後目指す地ケアや回復期リハのほう、また、療養病棟のほうは、そもそも受入れをしていらっしゃったのですけれども、ここがあまり変わらないのは、結果、ここから在宅支援、在宅療養がうまくいっているのかどうか。それとも受け入れられずにキャパオーバーをどこかで起こしているのか。そういった部分の評価、お考えというのが。本日の委員の皆様にはそれぞれの現場の方々がいらっしゃるかと思いますので、先ほど牧野委員は、どうも急性期1は現状と合っていないのではないかということでしたが、場合によっては、先ほど私が指摘しました、少し政策的にうまくいっているのでこういうことなのか。それと、今、問題になっているケアミックス型と一般病院型によって急性期1も分けると大きく変わっていくのか。
そういったところの、これをさらにどう評価して、もしくは今回の評価の中で出ていないとすれば、どういったデータが必要かということをここで出す必要があるのかなと。そういう意味では、5ページと6ページの要介護の状況、ここの部分をしっかりどう評価するかというのが大事かなと思った次第です。
少し意見ということにもなりますけれども。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、全体を通じて事務局からコメントがあれば。
○矢野補佐
事務局でございます。
今し方いただきました5ページ目のところ、急性期における高齢者の割合、あるいは要介護者の割合に関しましては、もう少し詳細な分析が必要という御意見があったということを踏まえまして、事務局のほうでまたそういった分析をしましてお示ししていきたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ほかに特に御意見・御質問がなければ、先に進みたいと思います。
2つ目の議題でありますが、「包括的な機能を担う入院医療について(その1)」でございます。まず、これも事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
24ページ目以降、「包括的な機能を担う入院医療について(その1)」の御説明をいたします。
25ページ目でございます。地域包括医療病棟の令和6年改定での新設のイメージとなっております。この病棟が新設された背景でございますが、高齢者の救急搬送が増加しており、中でも軽症・中等症が増加していること。急性期の治療を受けている間に離床が進まず、ADLが低下し、急性期から回復期に転院することになり、在宅復帰が遅くなるケースがあること。また、誤嚥性肺炎患者に対して早期にリハビリテーションを実施することは、死亡率の低下、ADLの改善につながること。高齢患者の一定割合が低栄養リスクあるいは低栄養である。また、栄養状態不良と生命予後不良は関連が見られる。こういったことを背景として新設され、下の赤囲みになっているようなところを包括的に提供する。こういった背景で創設されたのが地域包括医療病棟ということでございます。
26ページ目が包括期を担う病棟の施設基準でございますが、参考として急性期一般入院料4、地域包括医療病棟、地域包括入院料について施設基準などを一覧に並べておりますので、御参照いただければと思います。
27ページ目でございます。新設された地域包括医療病棟を届け出る前の入院料が何かということで、nが131のデータでございますが、急性期一般入院料1からの移行が4割程度と最多でありました。また、急性期一般入院料4、急性期一般入院料2、地域包括ケア病棟からの移行がそれに続いているという状況であります。急性期一般入院料2~6から移行した医療機関の約半数で、移行によって急性期一般入院料の届出病棟がなくなっていたということで、届出病棟がなくなったのが青色のところで示されております。赤色のほうは急性期一般入院料の病棟と現在も合わせてこの地域包括医療病棟を持っているという形で、赤と青で色分けしてお示ししております。
28ページ目でございます。地域包括医療病棟入院料と同一の医療機関で算定されている入院料ということで、同一医療機関内に急性期一般入院料1~6のいずれかを有する医療機関が約3分の2ということになっています。また、地域包括ケア病棟を有する医療機関が約半数ということでございます。約3分の2がDPC対象病院となっているという状況でございます。
29ページ目が地域包括医療病棟入院料と同一の医療機関で算定されている入院料ということで、この医療機関は急性期と地域包括医療病棟を持っている、あるいは急性期から回復期を持っている、急性期から慢性期まで持っている、こういった形で区分に分けまして、これを二次医療圏の区分ごと、大都市型、地方都市型、過疎地域型という形で分けて、どういう類型になっているかということを集計したものでございます。ごらんのようなデータとなっていますので、御参照いただければと思います。
30ページ目、地域包括医療病棟の届出施設における同一・隣接敷地内の事業所ということで、こちらは訪問看護ステーションなどが多くなっておりますが、こちらも御参照いただければと思います。
31ページ目は前回の入院・外来分科会でお示ししたものでございますが、職員の数の状況であります。
32ページ目が地域包括医療病棟入院料の届出を行った理由ということで、こちらも前回お示ししたものでありますので、説明は省略させていただきます。
33ページ目も同じように届出を行った後の状況であります。
34ページ目も前回お示ししたものでありますが、届出を検討中であるという医療機関は1割弱ということになっております。
35ページ目、届出を検討した場合、その理由をお示ししております。
36ページ目、届出にあたり基準を満たすことが困難な項目。こちらはA票の調査票でありますので、急性期病棟を届け出ている病院の調査票でございますが、満たすことが困難な項目として、一番多いのが「休日を含めて、リハビリテーションを提供できる体制」、また、「常勤のPT/OT/STの配置」「自院の一般病棟から転棟した者の割合が5%未満」。基準を満たすことが困難な項目として多いものがこれら3つになっていたということでございます。
37ページはB票のほうです。地域包括医療病棟を届け出ている医療機関などを対象とした調査でありますが、38ページ目にございますとおり、どういった基準を満たすことが困難なのかにつきましては、B票の調査票においては、「重症度、医療・看護必要度の基準①を満たすこと」「在宅復帰率8割以上を達成すること」「転棟患者5%未満」「休日を含めて、リハビリテーションを提供できる体制」、こういったところが困難な項目として挙げられておりました。
39ページ目、地域包括医療病棟に入院する患者像についてであります。
40ページ目は、急性期一般入院料4~6、あるいは地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の入院料と比較した年齢階級で見た入棟している患者のところでございますが、急性期4~6と比較して、地域包括医療病棟では70歳以上の患者割合が多いという状況であります。地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟との比較では年齢分布に大きな差はないという状況となっております。
41ページ目は認知症の有無で見た比較であります。こちらも急性期一般入院料4~6と比較しますと、認知症を有する患者割合が地域包括医療病棟は多いということでございます。地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟では大きな差はないという結果であります。
42ページ目は要介護度別で見た患者割合でございまして、こちらも同様の傾向が認められております。
43ページ目は、認知症高齢者の日常生活自立度別の患者割合ということでございます。こちらも同様の傾向となっております。
44ページ目、低栄養のリスクの状況であります。こちらも同様の傾向になっているかと思います。
45ページ目、地域包括医療病棟における入棟経路であります。こちらは一般病棟から転棟した者の割合の施設基準が5%未満、あるいは入院患者の割合に占める救急搬送などがされた患者の割合が15%以上などの施設基準がございますが、これに関連して、現状どれぐらい満たせているのかということの調査結果をお示ししております。
46ページ目は患者の状態、医療・看護必要度を満たす患者の割合ということで、ほぼ全ての医療機関が満たしているという状況であります。
47ページ目、地域包括医療病棟に直接入院する上位の疾患ということで、転棟ではなくて直接入院した患者の、どういったところがDPCの14桁コードで見た場合、多いのかということで、割合をお示ししております。一番多いのが誤嚥性肺炎、次に多いのが肺炎という形になっておりますが、また、股関節骨折とか胸椎圧迫骨折のような整形外科疾患も認められているところであります。
48ページ目、地域包括ケア病棟における上位疾患、あるいは参考で急性期一般入院料2~6における上位疾患ということで、こちらを比較して検討できるように併せて集計しております。地域包括ケア病棟のほうでは短期滞在手術3の対象となる入院例も多いというような状況で、白内障、小腸・大腸のポリープ切除術をやる入院の数が多いというようなデータもございます。これは47ページと48ページをそれぞれ集計しております。
49ページ目は短期滞在手術等基本料の対象手術の一覧で、御参考いただければと思います。
50ページ目が地域包括医療病棟で入院患者数の多い疾患についての患者像の比較ということで、これらの上位に出てくる疾患で、入っている病棟ごとに平均年齢、平均在院日数が異なるかという観点で集計を行ったものであります。こちらも御覧のとおりの結果となっている状況であります。
51ページ目、地域包括医療病棟における施設ごとの疾病種類の内訳ということで、赤色のほうは手術を伴わない内科疾患の上位10を集計したもの。また、黄色はKコード、輸血とか手術とかの算定症例、灰色はその他ということになりますが、その割合が施設ごとにどのようにばらついているのかを見たものであります。右側に行くほど外科系の患者さんが多い、左に行くほど内科系の患者さんが多いという状況でありますが、かなりばらつきがある状況ということになるかと思います。
52ページ目、地域包括医療病棟のプロセス・アウトカム評価についてであります。
53ページ目にありますとおり、地域包括医療病棟のプロセス・アウトカムにつきましては、平均在院日数21日以内、在宅復帰率8割以上、また48時間以内のADL・栄養・口腔評価、土日のリハビリ提供、ADL低下が5%未満、こういった基準が定められております。
54ページ目、平均在院日数及び病床利用率であります。地域包括医療病棟入院料の平均在院日数は令和5年が14.8、令和6年調査では14.6ということでございます。
55ページ目、地域包括医療病棟入院料の入退院ということで、入棟元と退院先がどのようになっているかについてお示ししているものであります。退棟先は自宅が最も多いという状況でございます。入棟元は自宅が最も多いという状況となっております。
56ページ目、地域包括医療病棟の入退院時のADL(急性期病棟との比較)でございます。それぞれの疾患ごとに急性期一般2~6と地域包括医療病棟で入退院時のADLの差がどれぐらいあるかということで見ているものであります。水色が入院時のADL、オレンジが退院時のADLですので、退院時のほうが上がっている場合はADLがその病棟に行ったことで回復しているということをお示ししているものでございます。疾患ごとに急性期と地域包括医療病棟であまり大きな差はないということになるかと思います。一方で、ADLの回復具合については、肺炎、誤嚥性肺炎といった内科系疾患と、右下にある股関節骨折、胸椎圧迫骨折のような整形外科疾患で回復の度合いが異なるというように、疾病による違いというのも認められるデータになっているかと思います。
57ページ目が年齢と在院日数の関係でございます。こちらは論文を抜粋したものでございますが、心不全の入院症例におきまして、主傷病の重症度、併存疾患、ADLの点数等、多変量解析で調整をしたとしても、高齢であること自体が在院日数の延長と関係するというような報告がなされております。
58ページ目、入院料ごとの疾患別リハビリテーションの実施状況でございます。地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟では、急性期一般入院料4~6に比べまして、廃用症候群リハビリテーション提供施設の割合が若干多いという傾向がございました。
59ページ目はリハビリテーション・栄養・口腔連携加算に関する状況で、こちらは前回お示ししたデータでございますが、届出状況は11%ということになっております。
60ページ目、土日のリハビリ体制を満たせていない施設が6割あったということで、前回お示ししたデータでございます。
61ページ目が地域包括ケア病棟についてであります。
62ページ目にありますように、地域包括ケア病棟の役割として3つ挙げられております。①急性期治療を受けた患者の受け入れ、②在宅で療養を行っている患者等の受け入れ、③が在宅復帰支援ということで、この3つの機能を包括的に果たす病棟とされております。その点数設計につきましては、この模式図にあるような形となっております。
63ページ目、令和6年改定におきましては、入院期間の40日以内と40日以降で点数差が設けられるような見直しが行われております。
64ページ目、こちらも5月22日にお示しされているものでありますが、地域包括ケア病棟の平均在院日数の分布でございます。令和5年と令和6年の同時期を比較したところ、入院期間の中央値は変わらなかった。改定の前後で平均在院日数が40日を超える病棟は減少したというデータとなっております。
65ページ目が地域包括ケア病棟の施設基準の見直しということで、青い太字になっている部分が令和6年改定で見直しがなされたところとなっております。
66ページ目が在宅復帰率に関するものであります。入院料・管理料1~2において90%以上の施設が基準を満たしており、改定前後を比較すると、改定後に高いという傾向が認められております。
67ページ目は、地域包括ケア病棟の入棟患者の入棟元の割合であります。青色が自院の一般病床からの転棟の患者の割合、赤色が自宅等からの直接入院の割合ということでございますが、青と黄色、自院からの転棟あるいは他院からの転棟というところと自宅入棟の割合を医療機関ごとに並べますと、ほぼ自院からの転棟のような施設もあれば、自宅から入棟患者を受けているというような医療機関もあるということで、こちらもばらつきが認められている状況であります。
68ページ目は、前回お示ししたものでございますが、地域包括ケア病棟・病室における患者の流れ。入棟元と退棟先ということでお示ししております。
69ページ目、地域包括ケア病棟を有する病院の在宅医療の状況のデータとなっております。
2-5、治し支える医療を提供する医療機関についてでございます。
71ページ目、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟届出施設の救急提供体制であります。救急告示の有無があるかどうかにつきましてお示ししておりますが、地域包括医療病棟を有する病院につきましては、95.2%が救急告示があったところでございます。地域包括ケア病棟のほうは、それよりは低い8割弱といったような形になっておりました。
72ページ目でございます。地域包括医療病棟を有する医療機関の約90%、地域包括ケア病棟を有する医療機関の約70%が毎日救急を受け入れていたということでございます。地域包括ケア病棟を有する医療機関では、救急受入が日中のみとなっている病院が1割弱あったということであります。救急の受入件数の中央値は784件で、救急受入件数が2,000件以上の医療機関が22%あったということで、右下の図につきましては、地域包括医療病棟を有する医療機関が赤色で内訳がなっているように示させていただいております。
73ページ目につきましては、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の救急受入患者像でございます。2つ赤枠で囲っておりますが、いずれも「精神疾患を有する者」の受入れを行っているところが少ないという傾向もあります。受け入れている患者像を2つの入院料で比較しますと、青色のほうが若干多いというような傾向はございました。
74ページ目、地域包括医療病棟を有する医療機関の救急や連携の状況であります。赤色が急性期ありの地域包括医療病棟を有する医療機関、青色が急性期の届出がない医療機関ということで、同じ地域包括医療病棟を有するところでもこの2つのグループに分けまして比較したものでございます。救急に関する搬送の受入件数、あるいは救急医療管理加算の算定件数、在宅患者の緊急入院診療加算の算定件数をそれぞれ見ましたところ、このように急性期のほうが多いという傾向がございました。また、在宅との連携に関する加算の算定状況についてもごらんのような形になっております。
75ページ目は地域包括ケア病棟で同じような集計を行ったものとなっております。こちらも急性期の届出がある病院のほうが救急医療管理加算や救急搬送件数が多いという傾向が認められるかと思います。
76ページ目は在宅療養後方支援病院。こちらは200床以上の病院が算定するものでございますが、こちらの有無別に比較したというものでございます。
77ページ目は在宅療養支援病院。200床未満の病院の有無で比較したということで、こちらも御参照いただければと思います。
78ページ目は包括期を担う病棟の施設基準でございます。
79ページ目、こちらの病院の要件に示されております連携医療機関の数に関する調査結果となっております。地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟で入退院支援加算を届け出ていることが要件となっておりますが、その中で協力医療機関が25以上ということになっておりますが、連携医療機関の数はこういった形になっているというような調査結果となっております。
80ページ目、協力医療機関となっている介護保険施設の数と類型ということで、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟の1、2、それぞれごとにどういった施設と協力医療機関の関係になっているかの内訳を示したものとなっております。
81ページ目、協力対象施設への医療の提供内容ということで、協力医療機関と対象施設となった上で、どのような医療が提供されているかについての調査結果がこちらになっております。
82ページ目が協力医療機関となることを断った理由をお示ししておりますが、診療の求めがあった場合に、常時診療するということの確保が困難であったということが一番多いという傾向がございました。
83ページ目が地域貢献活動ということで、こちらもこの病棟の要件となっているものでございますが、地域医療構想調整会議への参加、地域ケア会議への参加が最も多いというようなデータとなっております。
84ページ目に現状と課題をお示ししております。現状につきまして、地域包括医療病棟の届出に関する調査結果につきましては、地域包括医療病棟を有する病院の約3分の2が急性期の病棟を有しておりました。今後届出を行う医療機関は5%前後でございました。休日のリハビリテーションの提供、重症度、医療・看護必要度の基準、ADLに関するアウトカム評価等を挙げた医療機関が多いという傾向となっておりました。
2つ目、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟との相違点について。地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の入院患者を比較しますと、入院患者数の多い疾患や、その患者像は一定の類似が認められました。
地域包括医療病棟と急性期一般入院料2~6との相違点について。こちらにつきましては、入院患者数の多い疾患、その患者像は一定程度の類似がありました。いずれの病棟に入棟したかで患者の要介護度、認知症高齢者の日常生活自立度の分布を比較しますと、地域包括医療病棟において、要介護度の患者が多い傾向がございました。入院から退院までのADLの変化は大きな違いがないという状況でありました。
地域包括医療病棟における内科疾患・外科疾患の受入の状況について。こちらについては、医療機関ごとに診療している疾患の内訳に大きなばらつきがありました。
地域包括医療病棟におけるADLの変化、平均在院日数の基準について。入院中のADLの変化については、疾患ごとに一定のパターンがあって、誤嚥性肺炎、心不全においては、整形外科系の疾患と比較するとADLの改善幅が小さいというデータがございました。また、高齢であるということは、他のリスク因子を調整しても在院日数が長くなるといった学術的な報告がありました。
85ページ目、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟を有する医療機関の機能ということで、救急搬送の受入機能、在宅・介護施設の後方支援機能、それぞれのこれに関連する診療報酬の算定回数などを医療機関単位で比較したものがございますが、急性期病棟を持つ病院、在宅療養後方支援病院、在宅療養支援病院、いずれもこういったものが多いという傾向がございました。また、連携医療機関の状況、地域活動についてもお示ししたようなデータでございました。
課題につきましては、上記のような現状についてどのように評価するのか。また、さらに検討を進めるべき事項についてどのように考えるかということで挙げさせていただいております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。私から5点お話ししたいと思います。
まず、31ページのところです。平均職員数ということで、地メディと地ケアを比較しているのですけれども、40床当たりの看護職員の配置数が、平均で見ると、地ケアに比べて地域包括医療病棟のほうが少ないのです。本来地域包括医療病棟のほうは10対1、地ケアのほうは13対1と看護配置は多くなくてはいけないはずなのですけれども、それが逆転している。これはなぜなのかというところをもうちょっと深掘りする必要があるのではないかなという気がします。これは平均値だけですので、中央値とか分布とかヒストグラムとか、まだいろいろと分析の仕方があると思いますので、そういったことをお願いしたいというのが第1点です。
2つ目が44ページのところに行きます。これは入院料ごとの栄養スクリーニングによる低栄養リスクの状況ということですが、この前の40~42ページにかけて急性期一般入院料4~6と比較して、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟では高齢者割合、認知症を有する患者割合、医療支援要介護割合、日常生活自立度Ⅲa以上の割合が多いと。ただ、地域包括医療病棟と地ケア病棟では差がないということが示されているわけです。にもかかわらず、この低栄養リスクは、地ケアと比べると地メディ、地域包括医療病棟のほうが低栄養リスク患者の割合が多いように見えます。これはなぜかなと思って考えていくと、地域包括医療病棟のみが管理栄養士要件があるのです。管理栄養士が栄養スクリーニングを専門家の立場で行っていると、低栄養の見逃しが少なくなっているのではないかということが見てとれます。ですから、少なくとも低栄養患者のアセスメントという観点では、管理栄養士の病棟配置というのは高齢者の多い包括期病棟では有用だろうということが見てとれます。
ただ、次の視点として、管理栄養士の配置でもって栄養状態の維持・改善に対する効果があるのかどうかという分析も今後必要だろうと思っております。
3点目、48ページになります。ここでは地域包括ケア病棟と急性期一般2~6の疾患を示していますけれども、地ケア病棟の上位2つが短期滞在手術なのです。包括期の病棟としてはいかがなものかなという感じはします。それに比べて、47ページの地域包括医療病棟では、下から3番目にポリープが出てきますが、それ以外では出てきていない。この理由はなぜかなと考えると、入院時に介護を要する患者が5割以上というのが地域包括医療病棟では要件になっていますから、こういったことが短期滞在手術を多く入れることができない、そういった足かせになるのかなということも私としては考えたところです。
4点目、51ページになります。これは施設ごとの疾病種類の内訳ということですが、これを見て思ったのが、意外と黄色のKコードの部分が多いのだなということです。私の推測ですけれども、整形外科を標榜している施設では地域包括医療病棟を導入しやすいのではないかということを思ったところです。といいますのは、もともとリハビリテーションのスタッフがそれなりにいるということで、急性期で地域包括医療病棟を導入できないのは、リハスタッフがいない、確保できないということがありますので、整形外科主体のところではそれができるのだろうということ。逆に、本来誤嚥性肺炎とか尿路感染症とか、そういった内科系の疾患を多く入れたいというのが包括期病棟の趣旨でもありますので、そういったところからいくと、内科系の疾患中心の施設ではリハスタッフの確保という点でなかなか難しいということが見てとれるのかなと思います。
ここからは1つお願いですけれども、Kコードの部分です。これが輸血と実際の手術とごっちゃになっているのです。ですから、Kコードの部分から輸血を外したものもつくっていただきたいというのが要望になります。
最後、56ページになります。これは非常に大事な図だと思います。地域包括医療病棟における入退院時のADL変化。ここで見る限りは急性期一般2~6と比べて改善の度合いに差がないではないかということになってしまって、せっかく管理栄養士を入れたり、リハスタッフを入れたりといった効果がないという解釈になりかねないです。
これで何が問題かというと、個々の患者の入院時から退院時の間での変化が見えない。といいますのは、入院患者におけるADLの幅があり過ぎて、それが改善以上に大きいということです。ですから、一人一人の患者の改善度合いというものを尺度で示した。少なくとも個々の患者が悪化しているのか、していないのか、改善した患者がどれだけ、悪化した患者がどれだけ、変わらなかった患者がどれだけと。そういった変化を見るということでこの病棟でのチーム医療を確認できるのではないかなと思います。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
地域包括医療病棟の関係でございますので、それについて触れます。冒頭御説明があったとおり、創設した経緯といたしましては、この病棟につきましては、増加する高齢者の救急搬送を受け入れること、急性期病棟に入院する高齢者のADLの低下を防ぐという観点から創設したということを踏まえますと、入院医療として急性期一般入院基本料からの移行が多いという点につきましては、当初の目的、理にかなったものだと考えたいと思います。
ただ、ずっと出ておりますとおり、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟との患者像が強く類似しているということが表されておりますし、加えまして、地域包括医療病棟の中でも疾病の種類にばらつきがあったという表現もありましたので、医療の内容を含め、さらに詳細に分析する必要があると考えます。
病院機能という観点で考えますと、救急搬送の受入れから自宅に帰るまで一連の医療行為を可能な限り1つの病院で完結するということが望ましいわけでありまして、今後新たな地域医療構想に基づいて、高齢者の救急、地域急性期機能と在宅医療と連携機能を整備していくことになるわけですが、急性期寄りの包括的な機能を担う病院と在宅医療の支援までを含めて幅広い役割を担う病院で役割分担をすることが必要と考えます。
急性期病棟とケアミックス、在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院の場合には、救急の受入れや入退院支援、介護との連携で高い機能を発揮し、その傾向が一定程度うかがえるということが見てとれますので、これらを踏まえまして病院単位としてどのような役割を担うことが必要かということ、さらにそういう観点から分析することが必要であると考えられます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
ありがとうございます。
包括的な機能を担う病院への期待が非常に高い中、どんな利用状況になっているのか、どんな機能を有しているのか、また、制度設計時に目指していたものとの乖離がないのかということを踏まえてさらに検討を進めていくことが必要だと思っております。その点からコメントと意見を2点ほど述べさせていただきたいと思います。
コメントとしては、45ページ、46ページですが、施設基準の直上にピークがあるというのは、比較的条件が厳しい、施設基準から少し離れたところにピークがあるというのは、ある程度余裕を持ってクリアできているのかなということかと思われますので、今後の議論の際に留意していただきたいというのがコメントです。
意見の1点目が、51ページ、地域包括医療病棟の数がそれほど多くない点踏まえ、病棟だけではなくて、病院の機能にも注目しながら今後分析をしていく必要があると考えます。29ページに示されているような病院中にあるほかの病棟との組合せのパターンというのも参考に類型化して、患者像とか、あるいは投入される医療資源量を分析していくということが必要ではないのかと考えております。投入されている資源量が大きく変わることがあるというのであれば、これまでと違った視点の評価の議論にもつながるかと思いますし、例えば短期滞在手術等基本料対象手術の話なども、同じ病院に急性期病床がある場合とそうでない場合に分けて分析することで、例えば何らかの理由があって急性期病床を利用できずに、地域包括医療病棟を利用しているのか、あえて初めから地域包括医療病棟を利用されているのかという状況も明らかになるのかもしれないと思っております。
56ページのスライドで、牧野先生も触れておられましたけれども、これも非常に重要かつ興味深いスライドであると思っております。15ページの終末期の軌道のグラフについて、また、井川先生がそのときにお話しされた最近の状況とかを踏まえると、患者の自然経過が背景疾患によって随分違ってくる、提供された医療を正しく評価するためには、もともと比較的ADLがよくて、手術で原因がなくなって回復がある程度期待できるような性質の疾患と、もともとADLが悪くなっている中で、さらに状況が上乗せされて悪くなっていくような疾患はわけて分析、評価が必要ではないかと思います。その意味で、背景疾患、診療科、入院前の状況を考慮した分析・評価をしていくということが、重要と考えております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
地域包括医療病棟に関しましては、高齢者急性期入院医療の切り札的存在ということで、非常に期待されているわけですが、ところが、施設基準が厳しいということで、なかなか届出が進んでいない状況かと思います。それに基づきまして3点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、60ページです。土日のリハに対応できていない、6割が満たせていないということですけれども、この点、土日のリハを8割以上満たす、その体制を整えるためにはそれなりのリハスタッフの確保が必要ですし、リハ・口腔・栄養連携加算がついたとしても、その人件費分になかなか見合わないというのが1つの大きな理由かなと思っています。これは意見でございます。
56ページ、先ほどからここについて意見が出ていますが、ここでは高齢者の股関節骨折、圧迫骨折、急性期の外傷病名の場合は、入院時が最もADLが低いわけで、改善しているということでよろしいのですが、例えば整形外科の予定手術の場合、例えば膝関節症の人工関節とかそういった場合は、入院時よりも手術後のほうがADLが落ちるパターンもあろうかと思いますので、これがADLの低下、5%未満のハードルに引っかかってしまうということで、高齢者の受入れはなかなかできないケース。これがハードルになっているということがあると思いますので、この辺もデータでもし見られればと思います。これは要望です。
最後に、マルチモビディティの高齢救急患者。これは搬送時点では何の疾病で悪くなっているのかというのが直ちに分かりにくいわけです。例えば呼吸状態が悪い、慢性心不全の急性増悪なのか、誤嚥性肺炎なのか、ほかに原因があるのか。例えば急性期一般と地域包括医療病棟を有しているケアミックスの病院の場合、二次救急で高齢者を受け入れた場合にどちらの病棟に入れるのがいいのかというのは、直ちに判断するのが難しいわけです。そこでハードルとなってくるのが、自院の一般病棟からの転棟割合5%未満ということで、36ページのA票の部分、38ページのB票のほうでもこれがなりハードルになっているという問題がございますので、高齢者の救急患者は最低限48時間程度経過を見ないと、予後の判断、予測が難しいケースがございますので、解決策としましては、現状の施設基準でも、48時間以内であれば遡ってどちらかの入院料を選択してもいいよといった通知でも出していただくと、医療現場では非常に助かるのです。非常に効率的な病床運営ができると思いますので、適切に地域包括医療病棟、高齢者救急を安心して診るという意味では、そういったことも御検討いただければと思います。これはお願いです。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
まず、31ページ、平均職員数。牧野委員は看護師のほうの逆転現象を非常に疑問に思っておられましたが、私もそう思っておりましたけれども、そこの部分は聞いていただきましたので、私はセラピストの部分です。理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士というところが、地ケア病棟の1、2に比べてもすごく低い。1と比較しますと半数程度しかいないのです。本来であれば出来高算定が可能なのが地域包括医療病棟ですので、先ほど津留委員もおっしゃいましたが、リハ・栄養・口腔連携加算の点数だけではセラピストの原資にならないかもしれませんが、ここの部分で出来高算定があれば普通はできるということから考えると、これはもっともっと増えていくべき職員であろうと思っています。これが少ないということは、高齢者救急を主に扱うであろう地域包括医療病棟で、発症や悪化直後からの早期のADL維持に向けた取組ができないこととか、あと36ページ、38ページにありますような地域包括医療病棟の届出に当たって満たすことが困難な施設基準である、上位に出てきますセラピストに関わる項目。それから、58ページには先ほど津留委員がおっしゃったリハ・栄養・口腔連携加算の算定数が非常に少ない理由、その一つにあります土日のリハ提供が少ない、できないと。あと、牧野委員が指摘されました56ページ、セラピストが少ないわけですから、ADLの変化率が普通の急性期一般の2~4と変わらない。いなければそういうことになりますので、そういうことにも通じてしまうということになります。
ということは、セラピストの数がなぜ地域包括医療病棟で少ないのかというそもそもの原因のところをしっかりと追求しなければ。あらゆるところに影響を及ぼしている項目ですので、ぜひとももう少し深掘りをしていただいて、例えば応募そのものが少ないのか、セラピストの総数全体が少ないのか、もしくはそこの施設はもう募集すらしていないのかというところも含めて調査・解析をする必要があると考えています。
続きまして、32ページ、33ページでございます。ここには届出を行った理由と、実際に届出を行った後の状況の調査結果がございます。確かに他の入院料の病棟と組み合わせることで患者の状態に即した医療が提供できているとか、実際の患者の状態により即した入院料であると感じておられるのだろうと思いますけれども、この項目、複数回答が可能でございますので、例えば思わなかったところはチェックが入らないということになります。ということは、例えば32ページでは60%以上の施設が経営が安定すると考えて届出を行っていますが、届出をした後で経営が安定していると答えたのは上位には来ていますけれども、逆に55%の施設はあまり安定していると感じていないということになります。
先ほどの意見にもありましたが、リハビリテーション・栄養・口腔管理が進んだというふうに感じると答えたのは僅か20%しかなくて、80%の施設はそう思わないということになる。これは25ページにありますような地域包括医療病棟の医療サービスのイメージというところから考えますと、そこのところは早急に調査して改善すべき問題だろうと考えています。
71ページに地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の救急提供体制をお示しいただいております。地ケアは療養病床からも算定できますけれども、5%の減算を受け入れれば、救急体制がなくてもよいということになっております。これが一般病床との大きな違いですが、ここに療養病床のパーセンテージを追加していただいたのですけれども、実際にこれを評価していこうと思うと、一般病床と療養病床の地ケアの救急医療体制をそれぞれ分けてお示しいただかないと、議論の材料としては不足しているかなと思っております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
ありがとうございます。
ざっくりした意見ですけれども、地域包括医療病棟、包括ケアのほうでも施設基準があって、先ほどからリハビリの話などが出ておりますが、届出が一定以上伸びてこないということも先ほどおっしゃられていましたけれども、やはり厳しいというところがあるのかなと。地ケアと地域包括で物すごくざっくり考えたときに、同じようなキャラクターを病院としては示しているところがあるのではないかと思うので、極端な話かもしれませんが、これを緩く統一して、両方ともほかのいろんな病院が入れるような仕組みにしておいて、例えば先ほどのリハビリとか何かは別に加算立てのような形で取れるというふうにすれば、こういったものにDPC以外のところで乗ってきてくれる病院も増えてくるのではないかなと思うのです。こういうものに参画できないということで病院が廃業してしまうということは避けなければいけないと思いますし、地域の医療を守るためにもできるだけ地域の病院が参加しやすいようなお膳立てをしてあげるのがいいのかなと思います。ざっくりした意見ですみません。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。今村委員、どうぞ。
○今村委員
ありがとうございます。
主に地域包括医療病棟に関してですけれども、まずP28で、ここでは3分の2の医療機関が急性期の1~6のいずれかをということで、一言で言うとケアミックスになっているということが示されているのかなと。これについてどう評価するのかということと、もう一つ、72ページで、ここで救急車の受入状況が書いてあって、P72の右下では、地域包括医療病棟を有する病院、2,000台以上、場合によっては6,000台以上も救急車をちゃんと受け入れている病院が2割もあると。これをどう評価するのかというところが非常に大事なのかなと。地域によってはこの病院がその地域の救急を請け負っていると。結果、高齢者救急、場合によっては一般救急だろうと思います。
先ほど津留委員の御発言で、実は高齢者であっても、最初からこの人は嚥下性肺炎だね、この人は骨折だね、この人は尿路感染症だねと分かってくる人はほとんどいないのだと思います。そうすると、最初の段階で診断とそこでのトリアージが必要だと。その結果、場合によっては2日ぐらいそこにかかりますよと。
その結果として、これは津留委員にお聞きしたいのですが、いわゆる高齢者の3疾患に関しては、むしろ地域包括医療病棟のほうがリハビリを含めてよくて、そうでないような、場合によっては急性心不全や急性脳梗塞のように最初に治療が必要な患者さん、これは急性期入院の1病棟で診るべきだよねとか、ここら辺はある程度のすみ分けが必要なのかということと、両方あるほうが便利というのか、それぞれの役割が違うのか。ここら辺をお聞きしたいところです。その結果として、72ページ、救急車をこれだけ受け入れているということをどう評価するかというのが非常に大事なのかなというところです。
以上です。
○尾形分科会長
では、津留委員、何かありますか。
○津留委員
ありがとうございます。
急性期一般と地域包括医療病棟は、病棟の性格、持つべき機能が違うと思いますので、高齢者の場合、入院の時点でその方がどれくらいの平均在院日数で退院できそうなのかとか、どういう予後で、どれくらいの医療資源投入が必要なのかというのがぱっと分かれば、どちらの病棟を選んで適切にうまく運用できるのですけれども、それがなかなか難しいので非常に迷ってしまって、後から病棟をやはりこちらに移そうと思っても、そこに5%未満という高いハードルがありますので、そこで非常に運用が難しくなってしまっているということがございます。それは施設基準をすぐ変えることが難しいと思いますが、48時間以内であれば、遡ってどちらかの入院料を選択してもいいよというふうにしていただくだけで現場のほうは非常に助かりますので、ぜひそういうことを御検討いただければということを申し上げました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、真庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
ありがとうございます。
今のお話とも重なるのですけれども、55ページ、包括医療病棟の入退院というところで、特に退院・転棟先というところを見ますと、絶対数は必ずしも多くはないのですが、最終的に転院している。これはどちらに転院されているのか。それから8番目は死亡ということで上がっております。これもある程度の数があるのですが、この結果から見たときに、果たして地域包括医療病棟にそもそも入るのが適切だったのかということの検証も必要なのかなと思います。その辺りを今後分析して検討していただけたらと思いました。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、いろいろ御意見が出ましたけれども、全体を通じて事務局から何かコメントがあれば。
○矢野補佐
事務局でございます。
様々な意見をいただきまして、追加でどのような分析をすべきかというアイデアをたくさんいただいたところでございますので、そういったことを踏まえまして、また次回以降お示ししていきたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ほかに特に御意見・御質問がなければ、先に進みたいと思います。
次は3つ目の議題「回復期リハビリテーション病棟について(その1)」ということでございます。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
86ページ目、回復期リハビリテーション病棟についてでございます。
87ページ目は回復期リハビリテーション病棟入院料の主な改定の経緯となっております。
88ページ目が届出医療機関数と病床数の推移となっております。令和5年時点で回復期リハビリテーション病棟入院料の届出病床数は約9.5万床、届出医療機関数は1,620施設となっております。届出機関数は直近5年で横ばいになっておりますが、直近10年で病床数は1.4倍に増加という状況でございます。
89ページ目が回復期リハビリテーション病棟の入院料別の届出病床ということで、他の入院料と組み合わせてどのように捉えているかということにつきましては、急性期一般入院料との組合せ、地域包括ケア病棟との組合せが多いという結果となっており、回復期リハビリテーション病棟のみの病院が14.1%、8.3%という結果となっております。
90ページ目は、回復期リハビリテーション病棟入院料の令和6年改定における見直しの内容でございます。この中でGLIM基準による評価が入院料1では求められるということで、こういった見直しがございました。
91ページ目、GLIM基準の各項目の測定や判定に関わる職種につきましては、管理栄養士が全ての項目で8割以上携わっていた。その他の職種の関わり状況は御覧のとおりとなっております。
92ページ目、回リハ1におけるGLIM基準の評価を導入したことによる影響ということで、導入したことで栄養評価に時間がかかるようになった、多職種連携が進んだという回答が多かったという状況でございます。
93ページ目が地域包括ケア病棟との相違点ということです。
94ページ目に新たな地域医療構想に関するとりまとめの抜粋をお示ししております。回復期を担う主な病床としては、複数のリハビリ専門職が専従し、集中的にリハビリテーションを行う回復期リハビリテーション病棟、急性期を経過した患者の受入れとともに、在宅で療養している患者の対応を行う地域包括ケア病棟があるというような抜粋があります。
95ページ目は医療機関機能・病床機能の報告の中の病床機能報告のほうですが、これまでの回復期機能を、包括期機能(高齢者救急等を受け入れ、入院早期からの治療とともに、リハビリテーション・栄養・口腔管理の一体的取組等を推進し、早期の在宅復帰を包括的に提供する機能、急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能)として位置づけるということで、回復期機能というのが包括期機能という形で見直すことが検討されている状況であります。
96ページ目が施設基準の一覧となっております。
97ページ目は職員数でございますが、こちらは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のところを細分化してデータをお示ししております。
98ページ目、入院料ごとの40床当たりの療法士の数でございます。入院料ごとの40床当たりの療法士数については、回復期リハビリテーション病棟がほかの入院料と比較して特に多いという状況となっております。
99ページ目が回復期リハビリテーション病棟の疾病の特徴ということで、大腿骨近位部の骨折、脳卒中、胸腰椎の骨折、膝関節の疾患などが多いという状況であります。
100ページ目に地域包括ケア病棟における疾病の特徴ということで、高齢者救急に関連する肺炎、白内障の予定手術、大腿骨近位部の骨折など、回復期リハビリテーション病棟で見られる疾患も地域包括ケア病棟で入院しているという状況であります。
101ページ目、入院料ごとの要介護度別の患者割合ということで、黄色の枠と赤色の枠で地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟の比較の状況をお示ししております。要介護認定者の割合については大きな差はないという状況であります。
102ページ目が回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟の入院患者の認知症の状況ということで、回復期リハビリテーション病棟にも介護が必要な認知症高齢者が一定数入院しているという状況であります。
103ページ目が回復期リハビリテーション病棟の現状であります。
104ページ目、疾患別および要介護度別のFIM利得でございます。こちらは特に要介護度が上がるに従ってFIM利得が減少していくというデータがございます。特に要介護度4、5ではFIM利得が比較的小さくなるというようなデータがございます。
105ページ目が回復期リハビリテーション病棟における要介護状態の高齢者の割合でございます。左側が要介護状態の高齢者の割合、右側が要介護4、5の高齢者の割合ということで、回復期リハビリテーション病棟でこういった要介護度の患者さんがたくさん入っている病棟もあるということで、ばらつきが認められたという状況であります。
106ページ目が回復期リハビリテーション病棟入院料のアウトカム基準。重症患者の割合であります。
107ページ目、重症患者の割合は、調査結果によりますと以下のような状況となっております。回復期リハビリテーション病棟1・2の重症患者割合は約40~50%となっております。
108ページ目に実績指数に関する計算式の参考資料を載せておりますが、この中に医療機関の判断で各月の入棟患者数の3割以下の範囲で除外できる患者というのがございまして、入棟時のFIM項目(運動項目)の得点が20以下の患者、あるいは80歳以上の患者など、こういった除外患者の基準がございます。
109ページ目にございますように、入院料ごとにリハビリテーションの実績指数が40あるいは35という形で設定されておりますが、110ページ目、リハビリテーション実績指数の分布につきましては、お示ししているような分布のとおりとなっております。
111ページ目、除外対象患者の割合ということでございますが、80歳以上の項目で除外される患者さんが多いということであります。いずれかの除外項目が該当する患者さんの施設は、多くの施設で40%を超えているということで、こういった状況となっています。
112ページ目、FIM利得別の患者数の分布ということで、FIM利得0というデータが多いという状況でありますが、FIM利得マイナスの患者さんも含めまして、この病棟に入っている患者さんのFIM利得の分布はこのようになっているという状況であります。
113ページ目は、施設ごとのFIM利得が低下した患者の割合ということで、FIM利得がマイナスとなる患者さんが3割を超えるような施設もあるということで、こういったばらつきになっているということをお示ししております。
114ページ目が運動器リハビリテーションの算定単位数の見直しの令和6年改定の説明の概要となっております。
115ページ目が重症度別のリハ提供単位数とFIMの変化ということで、こちらのデータに基づきましてこういった見直しが行われている状況であります。
116ページ目にございますとおり、運動器リハにおいて認められた平均のリハビリテーション提供単位数とFIM利得の傾向につきましては、廃用症候群リハでも似たようなパターンとなっていて、脳血管疾患のリハとは異なるという状況があるかと思います。
117ページ目は回復期リハビリテーション病棟と疾患別リハビリテーション料ごとの実施割合ということで、廃用症候群リハビリテーションのところは赤枠で示しておりますが、これが4割、5割を超える施設もあるという状況になっております。
118ページ目が回復期リハビリテーション病棟に係る現状と課題であります。まず、回復期リハビリテーション病棟の背景でございますが、直近で約1.4倍に病床数が増えている状況。40床当たりの療法士の数は、特に回復期リハビリテーション病棟が多いという状況になっております。
回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟との相違点についてでありますが、新たな地域医療構想で回復期を包括期に見直すという検討が行われていること。また、入棟している患者の要介護度、認知症高齢者の日常生活自立度の分布が類似していたという傾向がありました。
回復期リハビリテーション病棟に入棟する患者像につきましては、介護度が重くなるに従ってFIM利得は減少する。特に要介護度4、5につきまして、入院患者全体に占める割合が施設によってまちまちであったということ。
また、回復期リハビリテーション病棟1・2に占める重症患者の割合は約40~50%であったこと。
また、リハビリテーション実績指数の除外対象患者は、今、3割と設定されていますが、いずれかの除外項目に該当する患者が非常に多いという状況。FIM利得がマイナスとなる患者が多くの施設で存在しているという状況がございます。
また、廃用症候群リハビリテーションについては、平均リハビリテーション単位数とFIM利得の関係性についてのパターンが、廃用症候群とリハビリテーションで似ており、脳血管疾患のリハビリテーションとは異なるという傾向がありました。
また、廃用症候群リハビリテーションの実施割合が比較的多い医療機関もございました。
課題としまして、上記の現状を踏まえてどのように評価するのか。さらに検討を進めるべき事項についてどのように考えるかということでお示ししております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。池田委員、どうぞ。
○池田委員
池田でございます。
112ページ、113ページでFIM利得、施設ごと、あるいは患者ごとの分布を示していただいているところでありますけれども、最後のまとめのところでも書いてございますように、FIM利得マイナスの患者さんがいらっしゃるということですが、恐らくリハビリテーションの効果が個人差もあるので、マイナスになる方も一定数はいらっしゃることかと思いますが、それにしても施設間のばらつきが大きく、FIM利得が特にマイナスの割合が多いという施設が数施設あるようですので、そういった施設の特徴、あるいはそこでの患者像といったもののより詳細な分析をお示しいただきたいと思います。事務局へのお願いでございます。
もう一点ですが、112ページ、FIM利得別の患者数の分布を見ますと、0のところに患者さんの数が非常に多いということで、通常はリハビリテーションも含めて医療行為の効果というのはばらつきがあるわけですが、それにしてもこうした0のところにピークがあるというのは極めて不自然でありまして、これはFIMの測定や評価に何かの問題があるのか、あるいは診療報酬上の評価を踏まえての報告の仕方に課題があるのか。非常に不自然な分布に見えますので、施設ごとにこうした分布の原因となっているような状況があるのかどうかということについて詳細な分析などを御提示いただけると議論が進むのではないかと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
回復期リハビリテーション病棟は原則専門的なリハビリを一定期間集中的に行うということでありまして、身体機能を改善することが想定されるわけでございます。そのためにも、基本的には回復が見込まれる患者さんを受け入れるというところになると思いますが、そこで実績指数を除外要件ということになるわけですけれども、111ページで御説明いただいたとおりで、除外項目に該当する患者さんはかなり多いという感じを受けます。中にはほぼ全ての患者さんが除外基準に該当しているところであり、現行で病棟の機能がこれで正しく評価されているのかどうかということを疑問点として持ってしまうところであります。今もマイナスの話が出ましたけれども、除外基準そのものを見直すべきというふうに考えたいと思います。それと併せまして、この実績指数の基準値についても当然検討の俎上に乗せるべきだと思います。
それから、疾患別リハビリテーションについてですけれども、廃用症候群リハビリテーションにつきましては、7単位以上でFIM利得が小さくなる傾向が認められたと。それから、かなり多くの廃用症候群リハビリテーションを実施している施設があるということを踏まえますと、疾患別のリハの算定上限の在り方についても、現状を十分分析の上、検討する必要があるのではないかと考えます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。
90ページから92ページぐらいでしょうか、回復期リハビリテーションに関しまして、特にリハビリテーション・栄養・口腔の三位一体のところです。御存じのように、低栄養の診断基準、評価というのは従来のものがずっと残っていて、ここに来て新しい低栄養の診断基準、いわゆるGLIM基準というものが出てきて、現場としては新基準に切り替えていく、合わせていくというのは結構大変かもしれません。ただ、データを見させていただきますと、着実に浸透してきている感じもあります。しかし、まだまだFIM改善という課題も残っておりますし、リハビリテーション・栄養・口腔の三位一体としての連携と、ましてや結果にこだわるというところは必要なのかなと思います。そこには当然在宅復帰ということを視野に入れてリハビリテーション・栄養という。結局、リハビリテーションと栄養というのが両立していなければならないというところの中核の考え方というのが必要なのかなと思います。
最後に、今回の調査では対象の範疇を超えてしまうのかもしれませんけれども、病院内のNSTというものはある程度確立されて、どこまでやれているかは別にして確立されている概念ですが、一方で、在宅療養という視点でのNST、そこら辺もこれから大きく問われる視点かなと思いますので、また底上げをみんなでできればと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
私は、117ページ、廃用症候群のリハに関しまして、都道府県の国保・社保審査会において廃用症候群の病名を認めるか認めないかというのは、以前に比べると大分改善されたということをお聞きはしていますが、ダブルスタンダードとも言っていいような、場合によっては認める、認めない届けがあったりということがあるのではないかなと思っています。そういった面で、117ページで非常に割合が高い施設もございますので、そもそも廃用症候群の基礎となる病気、疾病、原因となる病名はどういった病名なのかというところまで分かると、少しそれのヒントになるのかなと思いますので、そういったものも調べていただければと思います。要望です。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
ありがとうございます。
私からも1点質問。先ほど池田委員からも質問がありましたが、112ページのFIM利得別の患者数の分布ですけれども、0の患者が非常に多くて、不自然な分布をしているように思いましたので、現時点で何か要因が分かっているのであれば教えていただきたいということが1点。
意見ですけれども、もしこういった効果の少ない方が一定割合いらっしゃるのだとすると、療養の場の選択にミスマッチもあるのかなと考えます。回復期を担う病棟では集中的なリハビリによって回復が見込める患者を対象にしっかりリハビリを実施していく必要があると思いますし、同時に現在訪問看護、訪問リハの充実を通して、医療ニーズの高い患者さんでも在宅の場で安心して療養できる方向に向かっていく中で、リハビリ自体も生活の場で行われてこそ真のアウトカムではないかなと思います。急性期での早期リハ、そしてまた在宅での生活リハ等の適切な療養の場の選択ができて、効果的なリハビリが十分に行えるよう、評価の仕組みを整えていく必要があるかなと思います。
以上です。
○尾形分科会長
1点目は御質問なので、事務局、お願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
112ページの0がピークが高いことにつきまして、まだ事務局でも十分分析できておりませんので、今後そういったことも含めてお示しできればと思います。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
私は1点だけ。以前ここでも議論になって、新しく診療報酬がついた心リハが今、回復期でどうなっているのかなというのが気になっています。今回は議題になっていないですけれども、できれば伺いたいと思います。
廃用症候群の実態という話題が出ましたが、恐らく施設基準は厳しいままですので、心リハとして算定できずに、廃用として心リハもやっているのではないかという状況もあったと思いますので、その辺、可能な範囲で教えていただければと思いました。お願いします。
○尾形分科会長
これは事務局、いかがですか。
○矢野補佐
事務局でございます。
本日の資料に入っているか分からないですが、回リハ病棟における疾患別リハビリテーションの提供の割合ですが、心臓リハビリテーションは1%ぐらいになっていたかと思いますので、疾患別リハとしての心臓リハビリテーションはほぼ実施されていない、1%程度という状況かと思います。多いのは脳卒中と運動器と廃用症候群ということですので、今回の資料もその3つでお示ししている状況でありますが、心臓リハビリテーションの状況についての御指摘だと思いますので、今後はそういった観点も含めてまた検討できればと思います。
以上です。
○尾形分科会長
よろしいですか。
○田宮委員
はい。
○尾形分科会長
ほかはいかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
私も112ページのFIM利得が0という話でございますけれども、回リハに入院されている患者さんも誤嚥性肺炎、尿路感染など高齢者が罹患しやすい疾患にかかられると、その間リハビリが止まったり、ADLが落ちたりという形で、0というのは一定程度仕方がない。だから、この数で言いますと、80万人中4万5000人、5.6%。それを多いと考えるか、少ないと考えるかの違いだろうと思うのです。感覚的に言いますと、恐らく1%ということはないです。数%はそういう形で0に。その1か月間を取ると、おられるという感覚は実際にはあるのではないかと思います。
ただ、次の113ページの施設別で見たときに、その患者数が異常に多い施設がある。これはおかしい。左側で見ますと、0を含んだ場合の0点以下の五十何%が0点以下と。この施設は一体病院なのかと言いたいぐらい異様な施設ですので、そういうところの詳細は明らかにしていただきたいなと思います。
続けて、116ページに疾患別のリハビリテーション料の提供単位数別のFIM利得というのが出されております。これは前回の運動器のリハビリテーションが6単位以上やってもあまり変わらないよという話のときに出てきたような形で出ておりますが、運動器、廃用と脳血管の一番の違いは何かといいますと、失調の原因なのです。脳血管の失調の原因は、神経学的な麻痺ということになりますけれども、運動器や廃用というのは、どちらかというとサルコペニア、筋肉減少によって起こっている場合が多い。そうすると、その回復度というのは当然変わってくるので、リハビリテーションをどの程度やれば上がるか、下がるかというのは変わります。そういう意味で言いますと、サルコペニアというのは筋肉量をある程度上げてあげますと、取りあえず立てるのです。立てて、ちょっと歩行器ぐらい使えば歩けるのです。そうすると、FIMとで言うとその段階で一気に70点ぐらいまで跳ね上がってしまいます。ところが、その後、家へ帰ってちゃんと生活できるかどうかとなると、そこから数点というのが非常に大きい。これは前回の改定のときにもどなたか、先生がおっしゃっていましたが、実際にそうなのです。72点と74点という点数は全然違ってきて、例えば72点で帰してしまうと、その方々はまた戻ってきてしまうのです。サルコペニアの治療が不十分ですから。帰ってきてしまって、結果的にまた入院してリハビリをしないといけない。医療資源投入量的に言うと、1人当たりで考えると、その人たちのほうがむしろ増えてしまうということも加味した上でこのグラフを見ていかないといけないですし、このグラフの中で6単位から9単位の間に1.5という傾きは低いですけれども、廃用も運動器も増えている。これが1つ大きな重要な意味を持つのではないかと私は考えています。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
予定の時間になってしまいましたけれども、もうしばらくお付き合いを願えればと思います。真庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
ありがとうございます。
私のほうからもこの回復期リハに関しましても、結局、最終的にどのような転帰に患者さんがなっているのか。究極的には自宅でどのような生活ができるようになったか。場合によってはこちらで治療の後、診療に関してはどのような施設でどのような診療を継続されていたであるかとか、そういうこともぜひとも分析していただいて、回復期リハの効果というものを示す必要があるのではないかと思いました。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、事務局、何かあれば。
○矢野補佐
事務局でございます。
本日いただいた様々な観点を踏まえましてまた分析しましてお示ししていきたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ほかに御意見・御質問がなければ、最後の議題に進みたいと思います。
4つ目の議題ですが、「慢性期について(その1)」でございます。事務局から資料の説明をお願いします。
○矢野補佐
事務局でございます。
119ページ目以降になります。
120ページ目が療養病棟入院基本料に係る改定の経緯でありまして、121ページ目までお示ししているところであります。
122ページ目が新たな地域医療構想に関する療養病床に関するとりまとめの部分の抜粋でございます。在宅医療と介護施設、療養病床の一部については患者像が重複する場合があり、都道府県別の療養病床数については、介護施設の定員数と合わせると地域差は縮小するということで、在宅医療・介護等のデータも踏まえて、地域の資源の状況に応じて、療養病床だけでなく、在宅医療や介護施設・高齢者向け住まい等と併せて構築していくという考え方が示されており、こちらに紹介させていただいております。
123ページ目が令和6年度改定における療養病棟入院基本料の見直しであります。疾患・状態に係る3つの医療区分、処置に係る3つの医療区分及び3つのADL区分に基づく27分類の評価に見直すというような見直しでありますとか、2ポツ目にありますように、中心静脈の評価に関する医療区分の見直しでありますとか、あるいは5ポツにあるような経腸栄養管理加算の新設といったような見直しがなされております。
124ページ目が療養病棟における医療区分2・3の該当割合ということで、入院料1のほうは8割以上、入院料2のほうは5割以上の要件になりますが、状況についてはこのような分布となっております。
125ページ目、療養病棟を届け出ている病棟・病床の改定前後での転換状況ということで、令和6年改定前後で入院料の届出は変わっていない病床が多かったのですが、療養病棟入院料2においては、療養病棟入院料1の届出に変更した病床が7%程度あったという状況であります。
126ページ目が療養病棟における医療区分3の疾患・状態、処置の占める割合ということであります。それを細かく見ていきますと、御覧のような形になっておりますが、この中で特掲診療料の施設基準の別表7・8に掲げる疾患状態のものも水色の点線囲みでお示ししております。その中では特に酸素療法の割合が多いですが、人工呼吸器あるいは気管切開などは少ないという状況がございます。
127ページ目は療養病棟における入棟患者の病態であります。病状で見ますと、青枠のかかっているところが別表7・8に掲げる疾患状態ですが、このような状態になっているということであります。
128ページ目に医療保険と介護保険の訪問看護対象患者に関する別表7・8の告示をお示ししておりますので、御参照いただければと思います。
129ページ目が療養病棟における患者が受けた医療行為・処置についてであります。中心静脈栄養については、医療区分の定義の見直しが行われましたが、令和4年調査と令和6年調査で比較しておりますが、あまり大きな変化はなかったという状況になっております。
130ページ目、療養病棟入院基本料の見直しに関する、経腸栄養管理加算の部分が見直しがなされており、その詳細のものをお示ししております。
131ページ目、経腸栄養管理加算の算定状況は、これも前回お示ししたものではございますが、9.3%が算定ありというような状況であります。
132ページ目、経腸栄養管理加算の有無別の中心静脈栄養の実施状況でございますが、算定ありと算定なしと比較して、この中で中心静脈栄養の実施状況がどれぐらい違うのかということで、若干多いというデータになっているかと思います。
133ページ目が中心静脈栄養中の身体拘束の実施状況であります。中心静脈栄養を実施した患者のうち、身体拘束を行った患者の割合が高い病棟も認められたというところでございます。
134ページ目が摂食・嚥下の回復に必要な体制の状況で、入院料1と入院料2に分けてお示ししております。
135ページ目、こういった体制の整備の予定ということで、「1~3か月以内に必要な体制を満たす予定」と回答している病院は僅かという状況であります。体制整備が困難な理由として、内視鏡下の嚥下機能検査とか嚥下造影を実施する体制の整備が困難であるためということが一番高いという状況となっております。
136ページ目が現状でございます。慢性期の医療提供体制につきまして、「新たな地域医療構想のとりまとめ」において、慢性期の医療提供体制については、地域の中の在宅需要、介護需要なども踏まえて構築していくことが重要という指摘がありました。
令和6年度改定における医療区分の見直しにつきまして、入院料1では、12.8%の医療機関が「医療区分2・3の患者が8割以上」の要件を満たしていなかったという状況があります。療養病棟から一定期間に退棟した患者について、別表7・8に該当する疾患の割合は少ないという状況がございました。
また、中心静脈栄養・経腸栄養管理加算・摂食機能、嚥下機能の回復に必要な体制については、こちらに記載されているとおりでございますが、現状を踏まえましてどのように評価するのか、さらに検討を進めるべき事項についてどのように考えるかという課題をお示しさせていただいております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
これは後で井川委員にも御意見を伺いたいなと思いますけれども、今回も新たな地域医療構想に関する部分、引用文が多く資料として提示されていまして、○の2つ目のところに慢性期についても新たな地域医療構想からの文言が引用されています。御存じの方がいらっしゃると思いますが、ここでは挙がっていませんが、医療機関機能の中においては「慢性期」という言葉は存在しません。これは尾形分科会長も構成員でいらっしゃいますのでお詳しいと思いますけれども、12月3日の第13回の「新たな地域医療構想等に関する検討会」の資料までは、専門等機能のところに、黒ポツの説明文で専門等機能とは何ぞやというところで、「集中的なリハビリテーション、高齢者等の中長期にわたる入院医療」とはっきり書かれていましたが、あとは「有床診療所の担う地域に根ざした診療機能、一部の診療科に特化し地域ニーズに応じた診療を行う」といった文言がございましたけれども、これが12月6日の第14回の検討会、まとめの案になりますと、「高齢者等の中長期にわたる入院医療」の「高齢者等の」という言葉が外れてしまって、「中長期にわたる入院医療」しか言葉が残らなかったのです。これは12月18日に最終のまとめが出ましたが、結局、「高齢者等の」という言葉も消されてしまったということになります。
だから、「慢性期」という言葉、あるいは「高齢者の入院」というところが存在していないというところで、これは質問になりますが、現在慢性期の入院医療、そして医療療養病棟ですけれども、新たな地域医療構想の医療機関機能での位置づけがどうなるのかなというのを事務局にぜひ御意見としてお聞きしたいなと。これは将来的になくなる可能性もあるのかどうか。これは答えにくいかもしれませんけれども、今回、慢性期の入院医療のその1ということですので、これからの議論の出発点になろうかと思いますので、御質問させていただきました。
以上です。
○尾形分科会長
これは御質問ですので、事務局、お願いします。
○矢野補佐
事務局でございます。
今回引用させていただいているのは新たな地域医療構想の12月のとりまとめの分でございまして、また法案の審議がなされたり、ガイドラインの検討がなされる方向性であると理解しております。今回お示ししているのも、あくまでとりまとめとの部分でお示ししているものでございますので、今、事務局において何ら定まった方向性を持っているものではございませんので、あくまで今後医政局などにおいて議論されることなども踏まえまして、引き続き検討を進めていく事項であるのではないかと。今の時点で何らかの定まった方向性を持っているわけではございません。
○尾形分科会長
津留委員、いかがでしょうか。
○津留委員
ありがとうございます。
とはいえ、医療療養病棟では非常に多岐にわたる高齢者の入院を中長期で診ておりますので、これが全て例えば介護施設とかになってしまうと、これはかなり無理があると思いますので、これから慎重に議論していかなければいけない問題かなと思っております。
ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
ありがとうございます。
私から1点。133ページの中心静脈栄養を実施した患者のうち、拘束を実施した患者割合がやや高い病棟も見られたというところの、今回実態を明らかにしていただいた。大変ありがたいと思います。
中心静脈栄養をしていたときに自己抜去が起こらないようにするというのが必要ですが、身体拘束の必要性というところの判断や基準の解釈がどうだったか、調査には病棟が回答しているということも踏まえ、解釈に注意が必要ではないのかと考えております。患者さんについてどんな状況であったかとか、病棟の人員の配置状況がどうだったかといったところをもう少し深掘りをしていただいて、どうすれば身体拘束をさらに減らしていけるのかというところにつなげていけるような分析が必要ではないかと考えております。もし、こういった分析について、今の調査のやり方の限界が明らかになれば、次回以降の調査にもつなげていくべきではないのかと考えております。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
同じような御意見が出ておりますが、療養病棟につきましては、今後の患者さんを受け入れるという基本的な考え方は、維持されるものと考えられますので、在宅医療の提供体制を整備して、より医療の必要性に着目した、めり張りある評価をするべきと思います。
中心静脈栄養は、前回の改定の前後で大きな変化がなかったということが見てとれるわけですけれども、身体拘束の実施状況が今回新たに示されておりますので、この辺の取組をよく見て、また経腸栄養に切り替えるという観点から、どういう工夫ができるかということをしっかり検討していくべきと考えます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
ありがとうございます。
1点意見です。療養病棟の入院料1では看護職員の20対1と看護補助者の20対1の配置基準ですので、夜間も看護職員が1名でもいいということになっていますけれども、126ページ、127ページにあるような医療区分2・3の対象となる疾患・状態・処置等に多数対応するためには、夜間看護職員1人の体制では安全を保つということが難しいことを考えますと、夜間の体制次第では積極的に医療依存度の高い方を受け入れていくのが難しい状況なのではないかなとうかがえました。
今後療養病棟でどんな機能を果たしていくべきかということと併せて、夜間の体制についても検討が必要だと考えます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
私からまず2点質問をさせていただきたいのですけれども、126ページから127ページにかけて突然訪問看護、1日に複数回訪問が可能となるなどの特例がある別表7・8というものと、医療区分2における疾患・処置と合わされたようなデータをお示しいただいているのですが、別表7・8というのを医療区分の疾患・状態・処置と絡めた理由というのは何か特別なものがあったのでしょうか。突然出てきたので、我々としてもどう評価していいのかよく分からないというのが1つ。これが1点です。
もう一点が、132ページに療養病棟における経腸栄養管理加算の有無別の中心静脈栄養の実施状況を示していただいているのですが、これは病棟票、Cということでございますので、その数値を基に作成されているようですけれども、分母が令和6年10月の1か月間の入院実患者数で、分子が同期間の中心静脈栄養を実施した実患者数ということでいいのでしょうか。だとすると、経腸栄養管理加算の算定をしていない409の病棟のうち、例えば1病棟40床とすると、そのうち36人ぐらいがTPNをやっているというふうな病棟が数か所存在するということになるのですが、その認識で正しいのでしょうか。まず、その2つを質問としてさせてください。
○尾形分科会長
これは2点御質問ですので、事務局、お願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
1つ目の御質問につきましては、122にありますように、新たな地域医療構想のとりまとめにおいても、在宅で提供されている患者像と重複が認められるということ。そんな中で、全体の中で地域の中での療養病床の在り方が構築されていくということがお示しされておりますので、これは訪問看護のほうの重症度のところも示した上で、療養病床における医療区分と訪問看護における部分と併せた視点でお示ししたところであります。
2つ目の御質問については、御指摘のとおりの御認識ということで、そのとおりということになります。
○井川委員
そんなにたくさんTPNをやっている病院があるとはついぞ知りませんで、びっくりするような数字なのですけれども、分かりました。そういうふうな常識から外れた病院があるということで認識いたしました。
それはのけまして、質問というか、意見が幾つかございますので、お話をさせていただきます。131ページ、療養病棟における経腸栄養管理加算の状況が示されております。経腸栄養管理加算は、療養病棟に入院した患者が新たに経腸栄養を算定した場合に取れる加算でございますが、それが僅か9.3%と低く、あたかも療養病棟では経腸栄養に移行する気はないのではないかと思われるぐらいの数字になっているということなのでございますけれども、80%以上の施設が加算の届出が困難な理由として、栄養サポートチーム加算を届けられないということを挙げています。この栄養サポートチーム加算は、療養でどの程度算定できているのか。実は前回の分科会でも質問させていただき、お答えをいただくことになっていたところでございますが、令和6年度調査には入っておらず、令和4年度調査に入っております。令和4年度調査では栄養サポートチーム加算の算定状況は、療養病床1で9%、2では僅か5%程度しか取れていない。同時にされた算定できない理由の質問では、50%以上の施設が所定の研修を修了した医師・看護師・薬剤師の確保が難しいというふうに回答しています。
所定の研修というのはどういうものかというと、医師は10時間程度の研修なのですが、看護師とかコメディカルに関しては40時間以上の研修をやれということになっています。これは実は急性期病院と同様の基準なのです。看護師の配置が20対1のところと7対1のところで、看護師の数が全然少ないにもかかわらず同じ40時間の研修を受けろということになりますと、5日間その看護師さんが1人抜けてしまうということになりますので、結構療養病床の中では痛いということになります。
一方で、専任の管理栄養士がおれば取れるのですけれども、管理栄養士も年間7,000人以上輩出されていますが、実際に病院に来てくださる方は多くなくて、それを確保するのも難しいということで、実際には取れていないということでございます。つまり、経腸栄養管理加算は療養病棟では取りたくてもなかなか取れないということが現実だと考えますから、もしこの加算を本当に療養病床に算定させて経腸栄養を進めていくということを考えるのであれば、施設基準の見直しをやはり考える必要があるのではないかと考えています。
133ページにTPN実施患者の身体拘束率について記載がございます。R4年度調査の療養病床の身体拘束実施率は21.7%でございましたが、実施された463名の患者は全員認知症ケア加算を算定されていたということがそのとき明らかにされています。今回の調査では、令和6年10月1か月間の療養病床での身体拘束実施数は平均8.1人。同期間のTPN実施数は平均7.2人で、そのうち平均で言いますと2.0人。つまり、27%に身体的拘束がなされたと先月いただいた調査結果報告には記載されています。
一方で、TPN患者さんは経口摂取により十分な栄養を確保できないという患者像でありますので、認知症はその要因として極めて大きいものです。それらを考えますと、療養病床全体の身体拘束率21.7%に対して、TPN患者の27%は一概に高いとは言えない。そうすると、認知症患者かどうかという判定をしっかり下した上で、独立した要因であるかどうかというのを解析後に、TPN実施患者の身体拘束率が高いというふうな記載になるべきだろうと私は思っています。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、事務局の方で、これまでの御意見を踏まえて何かコメントがあれば。
○矢野補佐
事務局でございます。
本日いただいた御意見も踏まえましてさらなる分析を進めていきたいと思います。ありがとうございました。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
本日用意した議題は以上でございます。
次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
次回の日程は未定でございます。また追ってお知らせいたします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、令和7年度第3回「診療報酬調査専門組織・入院・外来医療等の調査・評価分科会」を終了させていただきます。すみません。予定時間を20分近くオーバーしてしまいましたけれども、長時間にわたりまして熱心な御議論、どうもありがとうございました。
おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから令和7年度第3回「診療報酬調査専門組織・入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、今回の会議の公開につきましてはユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、秋山委員が遅れての御参加の予定と伺っております。
なお、冒頭の頭撮りはここまでとしたいと思います。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
まずは第1の議題であります「高齢者の入院医療について(総論)」でございます。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
お手元の資料の入-1に基づきまして御説明をいたします。入-1の2ページ目、「1.高齢者の入院医療について(総論)」でございます。
3ページでございます。「入院患者の高齢化」という題になっておりますが、入院患者の総数は減少傾向でありますが、75歳以上の高齢者の割合は漸増しておりまして、令和5年においては57.2%となっております。いずれの年代においても、人口1,000人当たりの入院患者数は減少していますが、85歳以上においては、入院割合の減少を上回る人口増加により、入院患者の実数は増加しているということで、今後の入院医療を考える上で入院患者の高齢化の背景のデータとなっております。
4ページ目でございます。要支援・要介護認定者数の経年推移ということで、要介護5以外の全ての区分で漸増傾向。特に要介護1の増加が目立つという状況となっております。
続きまして、5ページ目、入院料ごとの年齢階級別患者数の推移でございます。こちらはバーがたくさんございますが、入院料ごとに平成30年から令和6年までの年齢階級別の患者数の割合を並べてお示ししております。特に地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟では、70歳以上の高齢者の割合が他の入院料を算定する病棟よりも高いという傾向。経年的にその割合が増加傾向になっているといったデータとなっております。一方で、急性期一般入院料を算定する病棟においては、年齢層の分布の経年的な変化は目立たないということで、こちらは病棟の種類ごとに経年推移、傾向が異なっているというデータになっているかと思います。
6ページ目、病棟ごとの要介護認定者数の経年推移でございます。こちらについても、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟で高い患者が多くて、経年的に増加しているという傾向が認められます。
7ページ目でございます。こちらは令和6年度の診療報酬改定で高齢者の医療の関係でどのような見直しが行われたのかの概要であります。特に救急患者の連携搬送料の新設、いわゆる下り搬送の促進という観点での見直しが行われました。また、地域包括医療病棟入院料の新設という形で、高齢者救急の受け皿を想定した新設の入院料がつくられております。また、医療機関等と介護施設の平時からの連携促進という観点での見直しも行われております。
8ページ目は、高齢者の救急搬送に関する評価と救急医療提供体制のイメージということで、今、申し上げたような救急搬送の受入れ、下り搬送の評価などもございますし、また、右下にございますような介護施設、在宅医療などの後方支援機能に関する評価、それぞれ行われたところでございます。
9ページ目でございます。これは新たな地域医療構想に関するとりまとめでございます。この中で太字でお示ししておりますとおり、自宅以外の高齢者施設からの救急搬送の増加も見込まれるほか、発症後の生活機能を維持するためのリハビリテーション、退院後の生活環境も踏まえた退院調整が重要になるというようなとりまとめがございます。また、下のところ、「治す医療」を担う医療機関と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療・介護提供体制を構築する必要があるということ。また、高齢者救急について、受入体制を強化するとともに、ADLの低下を防止するため、入院早期から必要なリハビリテーションを適切に提供し、生活の場に戻ることができる支援体制を確保する。在宅医療を提供する医療機関、高齢者施設等と地域の医療機関との連携強化ということで、こちらのとりまとめを抜粋させていただいております。
10ページ目、医療機関機能の報告の中の医療機関機能の名称・定義の中で、特に高齢者に関連するところ、高齢者救急・地域急性期機能と在宅医療等連携機能がございますので、こちらも御紹介させていただいております。
11ページ目、「地域包括ケアシステムの中における高齢者の救急対応」というタイトルとなっておりますが、高齢者の入院医療を考える上では、地域包括ケアシステムの推進という文脈の中でも検討していく必要があるということでございます。
12ページ目でございます。地域包括ケアについては、住まいがあった上での介護予防、生活支援のサービスがあり、その上で医療のサービスをどのように提供するかという視点が重要です。
13ページ目、高齢者救急の増加でございます。こちらは消防庁のほうからのデータでございますが、主に85歳以上の年齢層で救急搬送率が増加しているということでございます。これは搬送の人数が増加しているだけでなくて、搬送率が増加しているということで、人口の増だけではなくて、高齢者の方で運ばれる率が上がっているということに着目する必要があるかと思います。
14ページ目、高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言で、こちらは日本救急医学会のほうから出ている提言でございます。高齢者の救急搬送件数の増加、搬送時間の延長、患者さん御本人が事前に高度な治療を望まない場合においても搬送される事例があるということが指摘されております。それに関連しまして救急医学会のほうから提言が出されている内容でございます。特に意思決定支援をきちんと行うこと、また、その内容を医療を提供する現場に共有がきちんとなされ、それを基に治療やケアに反映していく、そういったことが高齢者救急問題として重要であるというような提言がなされております。
15ページ目であります。終末期における疾病の軌道ということで、こちらは疾病の医学モデルで示したものでございますが、特に繰り返す入退院でありますとか、経過中に肺炎・骨折を生じる認知症、老衰といった病態が増えていくということで、こういった方々の入院医療の体制を考えていく必要があるということでございます。
16ページ目、在宅療養生活と入退院のスムーズな移行のための連携で、こちらは「在宅医療・介護連携推進事業の手引き」から引用させていただいておるものでございますが、在宅療養生活において入院医療が生じる場合、退院後、在宅医療・介護へつながることを意識した連携・情報交換を行うことが必要である。また、人生の最終段階においては、本人の希望する場所で療養を行うことが必要であるということで、こちらの在宅医療・介護連携推進事業のところから抜粋させていただきました。
17ページ目が在宅医療の4場面の視点からみる高齢者の医療ということで、在宅医療で必要となる医療の4機能がございます。このうちの入退院支援、急変時の対応が地域の中で特に重要な機能とされております。ここの部分について、診療報酬上の評価、御覧のような加算、あるいは指導料などの評価がございますが、今後の診療報酬改定を考える上での考え方ということでお示しをいたしております。
18ページ目、かかりつけ医機能報告制度でございます。こちらは、令和5年の改正医療法に基づいて創設されましたかかりつけ医機能報告制度に基づく地域の中での協議の仕組みのイメージ図でございます。入退院支援に関する地域の機能につきましては、地域の在宅療養中の高齢者が急変した際、入院が必要となった場合に受け入れられるような後方支援の役割を担う病床の確保について話し合うこととされております。具体的には、右下にありますような在宅医療を提供する医療機関と後方病床を提供する医療機関のマッチングやグループ化を共有の中で進めていく、あるいは平時から情報共有する仕組みの構築、入退院支援のルール作成・運用、医療DXの活用など、高齢者救急の搬送のルール調整といったことも共有の中で想定されているということで、こちらの高齢者の入院医療に関連した項目として紹介させていただいております。
19ページ目は、令和6年度介護報酬改定の検証及び調査研究に関する調査からの引用でございます。高齢者施設と医療機関の連携体制等にかかる調査研究で、こちらは協力医療機関の定めの状況。3つの機能、①相談対応を行う体制、②診療を行う体制、③入所者の入院を原則として受け入れる体制。これを全て満たす協力医療機関を定め、これを必ず持つことが義務づけられたというところでございますが、それの効果に関する調査結果が20ページ目でございます。
調査結果の概要に、要件を満たす協力医療機関を定めているほうが救急車による搬送が少なかったということで、きちんと高齢者と医療機関の協力関係があるほうが高齢者救急を減らす効果があったというような調査結果が示されております。
21ページ目、高齢者に対する適切な医療提供の指針であります。こちらは平成22年の厚生労働科学研究に基づく研究成果となっております。高齢患者に対して適切な医療を提供するに当たって必要な考え方がまとめられておりまして、それを抜粋したものでございます。多疾患を併存している。また、高齢の患者さんは個別性が高い。QOLの維持・向上を目指したケアが必要で、早期離床を図る。機能回復のためのリハビリテーションを早期から行う必要がある。老年症候群の予防が必要である。また、生活の場の重視、あるいは意思決定支援ということが重要になってきたり、薬物療法においては、有害事象に注意した投与が必要である。若年者の疾病ガイドラインをそのまま適用することは必ずしも適切ではない場合があるということが示されております。また、家族のケア、チーム医療の重要性などが指摘されているところであります。
22ページ目が高齢者の入院医療における包括的なスクリーニングと評価に基づく対応でございます。高齢者の入院医療においては、主たる傷病の治療以外にも、急性の発症や生活の場を離れた安静臥床に伴う様々な機能障害のリスクを考慮した、総合的な診療が必要となってくるということで、これは入院中の医療の提供の中でこういった様々な加算も設定されておりますが、診療報酬上の評価をどのようにしていくのか考える必要があるのではないかということで、背景としてお示しさせていただいております。
23ページ目に高齢者医療に関する現状と課題としてまとめさせていただいております。1つ目、高齢者の医療のニーズと「新たな地域医療構想のとりまとめ」における医療機関機能について。85歳以上の世代においては、入院患者数、要介護認定者数共に増加しており、主に地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟で高齢者・要介護者の割合が経年的に増えているというデータがございます。また、「新たな地域医療構想のとりまとめ」において、医療と介護の複合ニーズを持つ高齢者の増加、高齢者の救急搬送の増加、高齢者の入院医療における早期からの在宅復帰を目指した関わりの必要性等を踏まえて、新たに医療機関機能が位置づけられたところであります。
2つ目、高齢者の救急搬送の受入体制につきまして。85歳以上の救急搬送率が増加していること。令和6年改定では救急患者連携搬送料、地域包括医療病棟が新設されたところであります。
3つ目、在宅・介護施設等の後方支援機能について。地域包括ケアシステムにおいても、従来より適切な連携等により生活医療圏において完結することが望ましいという考え方が示されております。また、新たに開始されるかかりつけ医機能報告制度におきまして、かかりつけ医機能を後方から支援する病院・診療所の役割、平時からの情報共有のルール、救急搬送ルールについて、地域の中で話し合うことが今後求められていくということとなっております。
また、高齢者の入院中に必要な介入につきまして。主傷病の治療以外にも、廃用症候群、老年症候群の予防、早期のリハビリテーション、ポリファーマシーへの対応、意思決定支援等、そういった若年者にはない視点が求められているということ。令和6年改定ではこうしたことを考慮しましたリハビリ・栄養・口腔ケア等の評価が行われたところであります。
こういった現状を踏まえまして、課題。現状についてどのように評価するのか。また、さらに検討を進めるべき事項についてどのように考えるかということでお示ししております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。では、井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
15ページにあるLynnのモデルはよく出てくるグラフでございますけれども、このグラフがつくられたのは実は2001年。今から二十数年前なのです。現在、こういう傾きというのは、特に心不全モデル、呼吸不全モデルなどは、恐らく若い方はこうなります。ですけれども、予備力がなくて、マルチモビディティ状態にある高齢者の方では一旦落ち込む。急性増悪して落ち込むときに、元のラインまで戻らないのです。それが一番の課題だろうと思います。一段、二段下がった状態になってしまう。認知症や老衰のモデルは、だらだら書いていますけれども、実はその過程の中で肺炎とかそういうエビデンスを起こすたびに、上の慢性心不全、慢性呼吸不全のような形になるというのが現状だろうと思います。
元のラインに戻すには、当然発症や悪化時の早期から維持リハや栄養維持やオーラルフレイル、予防が重要と考えていますが、前回の資料からは急性期では専門性の高い治療が優先されているために、これらがそれほどされていないというのが実情である。
こういうことは、超高齢社会にある我が国では喫緊の課題で、いずれ急性期でもそういう意識が目覚めるだろうという形でゆっくり待っていられるかというと、もうそうではないのではないかなと私は思っています。
大胆ではありますけれども、例えば超急性期の治療が本当にある程度めどがつく1週間ぐらいとか、早ければ4~5日とかいうレベルでめどがつけば、包括期や回復期にさっさと移して、そしてリハビリをそこで始めてしまうというふうな大胆な診療報酬の体系をつくっていってもいい時代ではないかなと思っています。これが私の考える23ページの課題に対する答えです。
以上です。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
ここは総括的な話についてでございますが、現状を見てどう考えるかというお題目について、その観点から申し上げます。高齢者の入院医療につきましては、現状を御説明いただいたわけでございますが、救急搬送の受入体制、早期の在宅への復帰につながる機能を充実していくことがますます必要になっていくと考える次第でございます。これらと併せて考えなければいけないのは、限られた医療資源ということがあるわけでございますので、さらに救急搬送の必要性を適切に判断する取組も推進する必要があると考えております。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
高齢者の入院医療につきましては、前回、令和6年度の改定の議論でも、ちょうど2年前、今の医療と介護の意見交換会の後ぐらいから議論をずっと行ってきたところだと思います。前回改定と今回と異なっている点を大きく2つ挙げるとすれば、1つは、現在、医療崩壊の危機と言っても過言ではないほど、全ての病院の経営がこれまでにないほど非常に悪化しているというのが1点。もう一つが、2040年に向けての新たな地域医療構想に関する検討会のとりまとめが昨年12月に示されているというところです。
ただ、基本方針は示されているわけですけれども、現在、医療法の改正、法案審議はまだ継続中だと思いますし、具体的なガイドラインの議論はまだ何も始まっていない状況ですので、診療報酬で議論を先に進めるという点に関してはちょっと注意が必要だと思っています。
これらを踏まえまして、この課題に対する意見を述べたいと思います。繰り返しになりますけれども、今、病院経営が非常に厳しくなっておりまして、高度急性期、急性期、包括期、いずれもとにかく病床利用率を上げないとどこも赤字になってしまうので、必死で救急も受け入れて入院を増やしている状況です。これは6年度調査でも平均在院日数が短縮がされているにもかかわらず病床利用率が上がっているというのは、前回のデータでも出ていたので、御承知のとおりことだと思います。今、大学病院、急性期充実体制加算や総合入院体制加算を取っているような高度急性期、地域医療支援病院、こういった病院が病床利用率90%以上を目標に掲げて、最近では大学病院も経営が悪化していて、病床利用率を90%ないし95%目標というような病院もあると聞きますが、これはある意味異常な状況なのかなと思いますので、もう少しゆとりのある医療が提供できるようにしないと、とにかく病床利用率を上げろ、上げろということでは、適切な機能分化が行えないのではないかなと懸念しています。
その対応策として、令和6年度の調査でも新設になりました救急患者連携搬送料。前回お示しいただきましたけれども、これは届出が僅か17%なのです。高度救命救急センター、救命救急センターにその理由は何かというデータも前回出ていましたが、下り搬送に同乗するスタッフが確保できないとか、メディカルコントロール協議会との協議を行って、候補となる連携先のリストをつくるのがなかなか難しいとか、自院の救急車を出せないとか、理由がありましたが、自院で入院対応が可能ですといった意見もありましたし、ほかの病院に転送で自院の病床稼働率が低下してしまうという話も出ていました。ということで、本来高機能で診なくてもいいような高齢者救急、あるいは高齢急性期入院患者、何でも入院になりそうな患者は取りあえず取り込むと。あるいは軽症であっても、病床利用率の目標が95%になっていれば、取りあえず入院させておくというような非常に非効率的な医療になっていないかどうか、そういった実態をもうちょっと明らかにしていって、それぞれの医療機関機能できちんと受入れを行っていけるようにする必要がありますし、より適切に下り搬送が進むようにすべきと思っています。
それに関連しまして、これは医師の働き方改革にも関係する話ですけれども、この適切な下り搬送先が宿日直許可を取っている二次救急の場合、大学病院から夜、バイトで医師が派遣されていて、そこに夜、下り搬送を行うと、夜間救急対応で起こされてしまって、大学病院からバイトに行っている先生が宿日直にはならないと。だから、受けられないという問題もいろいろ起こっているのではないかなと思いますので、こういった点にも注意が必要だと思っています。
これは最後になりますが、地域によって人口構成、高齢化率が異なりますし、急性期の医療需要、特に高齢者の医療についても需要が大きく異なっています。そして、地域によって提供できる医療資源、介護資源も異なりますので、現在、全国共通の診療報酬制度で評価してカバーするということは、かなり無理が来ているのかなと思います。当然基金を併用したり、補助金を使って医療提供体制を維持していく必要がありますけれども、診療報酬制度もそろそろ地域性にどう対応するのかという検討を行う必要があるのかなと思いまして、意見を申し上げました。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
ありがとうございます。
1点、高齢者医療施設からの救急搬送に関してですけれども、先ほどDNARとかACPの話が出ておりました。もちろん、病院に入ってきたときにはDNARの話はするわけで、それから在宅医療などでもACPについては話すようにという指針が打ち出されているところではありますが、現実問題として高齢者医療施設から病院に搬送するときに御家族とのトラブルも多いというふうに伺っております。高齢者医療施設での、ちょっと足が早いのかもしれないですけれども、DNARとかACPについて、在宅のみならず、そういう介護施設などでもお話しいただいて、十分そのところを練った上で、救急搬送をどうする、あるいは救急隊が行ったときにどうしたらいいかという対応がまた変わってくると思いますので、その辺の意見調整を事前にしっかりしておかないと、その日の夜になって、救急隊の人も不幸だし、病院も不幸だし、家族も不幸だし、本人も不幸だしということになってしまいかねません。そこのところをしっかりしたほうがいいだろうと思いました。
以上です。ありがとうございました。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
私は2点お願いしたく思います。1つは今ずっと話題になっています救急搬送のことです。私は、今、、救急搬送の実態を把握すべくNDBを使った研究とかいろいろやらせていただいていますが、、救急搬送の実態はなかなかレセプト上から難しいところがあると思うのです。13ページの資料はレセプトからですかね。消防の記録から取っている現状も私たちはあるのですけれども、今は変わったかもしれませんが、救急搬送について、その実態が把握できるような仕組みを確認していだき、まだなければ、やはり必要かと考えます。。その際、施設から来たのかとか、P13のグラフもどこから来たのか分かると、さらにいろんなことが読み取れると思うのです。そのように、下り搬送も今、重要になっているので、こうした状況が把握できる方法をまず確認していただきたいと思っています。
併せて、ACPを確認するのが必要ですというふうに14ページにも出ていますけれども、私も老健施設の現場でACPを担当したことがありますが、これが難しいのです。入所した途端にACPを聞くのはやりにくいです。。でも、やっていかなければいけない事ですし、繰り返しやっていくうちにだんだん分かっていただくこともあります。、この辺は根気強く、今、御意見もありましたが、押しつけはしないけれども、大事なので進めていく必要があると思います。
また、、ACPが本当にあった搬送なのか、ない搬送なのかというのが、今、白黒つきにくいところもある中ですが、把握しておくことは今後の長い目では必要なのではないかと思っています。
これらも含めた下り搬送のことに重きを置かれていますけれども、先ほど津留委員がおっしゃったように、病床稼働率だけを評価するようではこの動きはつくっていけないので、いろいろな調整をしながら下り搬送をACPなども含めて丁寧にやるということへの評価が、病床稼働率だけではなくて、なされていくようにしていくことがとても重要かなと思います。
もう一点、ここの直接の議題ではないかもしれませんが、21ページの下から2行目に家族への配慮というのが出てきています。家族や介護者のケアというのが今、日本は遅れていて、でも、そこが一番決め手になっているところも結構あります。退院するときに家族の評価をして、考慮してその先を考えるとか、少し家族に対する仕組みというのも急性期であっても入れておく必要があるのではないかなと思っています。
以上2点です。よろしくお願いします。意見になると思います。あとは救急搬送がレセプトでどうつかまえられるかを確認いただきたいということです。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、データの点について事務局からお願いします。
○矢野補佐
事務局でございます。
救急に関するデータについては、DPCデータで入院する病院が救急車で来た患者なのかということについては把握できるわけですが、例えば応需率の問題であるとか、どれぐらい待たされて来たのかとか、そういったデータについては、消防庁のほうでどういったデータがあるのかということになりますので、救急搬送全体をどういうふうに見ていくのかということの中で、厚労省の仕組みの中でできること、消防庁の仕組みなど、様々なものを組み合わせて見ていかなければいけないというのが現状だと思います。こういったものをきちんと把握できる体制が重要ではないかという御指摘だと思いますので、そういった観点も含めて今後議論できるように準備できればと思います。
以上です。
○尾形分科会長
よろしいですか。
○田宮委員
はい。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。飯島と申します。
今回取り上げられました様々な視点、いわゆる地域医療の安心ある生活をどう支援するのかと。これは在宅療養も含めてということですけれども、これも非常に核心的な部分だと思います。各部分部分はもう確立されているのですが、それがどう連携したり、どう組み合わされて、いわゆる地域包括ケアの第2ステージをどのように地域に展開できるかということが問われる全体像だったかなと思います。
先ほどほかの先生方からも御指摘がありましたけれども、機能分化が進んできているという中で、それが徐々に達成、形づくられてはきているのですが、その中での病院経営の厳しさとかそういう側面も出てきて、この難しい方程式をどういうふうに解くのかというところになってくるかと思います。
空港でうるさい状態で申し訳ございません。
2点だけ。7ページの「令和6年度診療報酬改定における高齢者の医療のあり方」というところで、先ほど出ました下り搬送の促進、そして地域包括医療病棟における在宅復帰率を増やす、そしてADL維持率95%以上。後ほどの資料で恐らくリハビリテーションのFIMとか栄養基準、GLIM基準とか、そういうのが出てくると思いますけれども、ここら辺がどれだけ達成に向けて確実な足取りを取っているのかというところがポイントかなと思います。
もう一点、13ページ、高齢者の救急搬送のところで85歳以上が増えていると。特に搬送率が上がっているということを強調されました。ACPの話もあって、搬送の意向がないにもかかわらずと。これだけ言われてきている時代の中で、どのぐらいの割合がどうなってしまっているのかと細かく見た上で、もうちょっと深掘りしていかないと、同じ現象がずっと続いてしまうという気がいたしますので、そこら辺の体制整備も必要かなと思います。
以上でございます。すません。雑音がうるさくて申し訳ございませんでした。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
私のほうからは、資料を見ていて違和感があったので、あえて言わせていただきます。5ページから6ページの部分です。包括期病棟、地ケアとか回リハとか、そういったところでは年々年齢が高くなって、なおかつ要介護認定の人が増えてきているということを示しているのですが、逆に一番上のところ、急性期1とか急性期2~6、こういったところでは少なくともこの数年間、年齢が上がっているということもなければ、要介護認定者がそんなに増えているわけでもないというので、現場の感覚としてはちょっと違和感があると思ったのです。もっと長いスパンで見るとこの辺の数字が動いているのですけれども、少なくともこの数年間では動いていないということ。これをどう考えるのかというところなのです。
例えばケアミックスの病院とそうでない病院ではひょっとしたら差があるのかとか、あと、最近だんだん包括期病床の整理が進んでいるおかげで、そういった高齢者がそちらに流れているために急性期病棟のほうではそういった患者が最近増えなくなっているのか。急性期のほうの分析もまた進んでいると思いますので、そういったところで分かるようなデータを出していただきたいなというのが要望です。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
では、これは御要望として承りたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。今村委員、どうぞ。
○今村委員
日本医師会の今村です。
まず、高齢者の入院医療についての総論ということで、これはそもそも入院・外来医療等の調査・評価分科会ですので、ここらに提示されているデータの結果についての評価ということかと考えています。今、いろいろと述べられた部分の中には、結果の評価よりもどうしてほしいという要望等がたくさん入っておりましたけれども、基本的にはここに出されているデータからの評価についてと。そういう意味では、先ほど牧野委員がちょっと違和感があるということをおっしゃいましたが、5ページの結果については、日本医師会のほうでもこれをどう評価するのかというのは非常に大事だと考えております。
と申しますのも、先ほど牧野委員も指摘されましたが、例えば急性期1において、実際には高齢者の率がどんどん増えるということにはなっていない。一方で、地ケア、回復期リハではここは増えていると。3ページで85歳以上の入院患者さんは基本的には全体ではどんどん増えているにもかかわらず、ある意味ここの急性期1があまり増えていない。また、特定機能病院、大学病院においても実は令和6年度は若い方の率のほうが高くなっているという結果になっていて、これは今までの地域包括ケアの政策がうまくいっている結果、それなりの病床機能分化を進めてきたわけですが、その機能分化が進んだ結果として高齢者の方は今後目指す地ケアや回復期リハのほう、また、療養病棟のほうは、そもそも受入れをしていらっしゃったのですけれども、ここがあまり変わらないのは、結果、ここから在宅支援、在宅療養がうまくいっているのかどうか。それとも受け入れられずにキャパオーバーをどこかで起こしているのか。そういった部分の評価、お考えというのが。本日の委員の皆様にはそれぞれの現場の方々がいらっしゃるかと思いますので、先ほど牧野委員は、どうも急性期1は現状と合っていないのではないかということでしたが、場合によっては、先ほど私が指摘しました、少し政策的にうまくいっているのでこういうことなのか。それと、今、問題になっているケアミックス型と一般病院型によって急性期1も分けると大きく変わっていくのか。
そういったところの、これをさらにどう評価して、もしくは今回の評価の中で出ていないとすれば、どういったデータが必要かということをここで出す必要があるのかなと。そういう意味では、5ページと6ページの要介護の状況、ここの部分をしっかりどう評価するかというのが大事かなと思った次第です。
少し意見ということにもなりますけれども。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、全体を通じて事務局からコメントがあれば。
○矢野補佐
事務局でございます。
今し方いただきました5ページ目のところ、急性期における高齢者の割合、あるいは要介護者の割合に関しましては、もう少し詳細な分析が必要という御意見があったということを踏まえまして、事務局のほうでまたそういった分析をしましてお示ししていきたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ほかに特に御意見・御質問がなければ、先に進みたいと思います。
2つ目の議題でありますが、「包括的な機能を担う入院医療について(その1)」でございます。まず、これも事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
24ページ目以降、「包括的な機能を担う入院医療について(その1)」の御説明をいたします。
25ページ目でございます。地域包括医療病棟の令和6年改定での新設のイメージとなっております。この病棟が新設された背景でございますが、高齢者の救急搬送が増加しており、中でも軽症・中等症が増加していること。急性期の治療を受けている間に離床が進まず、ADLが低下し、急性期から回復期に転院することになり、在宅復帰が遅くなるケースがあること。また、誤嚥性肺炎患者に対して早期にリハビリテーションを実施することは、死亡率の低下、ADLの改善につながること。高齢患者の一定割合が低栄養リスクあるいは低栄養である。また、栄養状態不良と生命予後不良は関連が見られる。こういったことを背景として新設され、下の赤囲みになっているようなところを包括的に提供する。こういった背景で創設されたのが地域包括医療病棟ということでございます。
26ページ目が包括期を担う病棟の施設基準でございますが、参考として急性期一般入院料4、地域包括医療病棟、地域包括入院料について施設基準などを一覧に並べておりますので、御参照いただければと思います。
27ページ目でございます。新設された地域包括医療病棟を届け出る前の入院料が何かということで、nが131のデータでございますが、急性期一般入院料1からの移行が4割程度と最多でありました。また、急性期一般入院料4、急性期一般入院料2、地域包括ケア病棟からの移行がそれに続いているという状況であります。急性期一般入院料2~6から移行した医療機関の約半数で、移行によって急性期一般入院料の届出病棟がなくなっていたということで、届出病棟がなくなったのが青色のところで示されております。赤色のほうは急性期一般入院料の病棟と現在も合わせてこの地域包括医療病棟を持っているという形で、赤と青で色分けしてお示ししております。
28ページ目でございます。地域包括医療病棟入院料と同一の医療機関で算定されている入院料ということで、同一医療機関内に急性期一般入院料1~6のいずれかを有する医療機関が約3分の2ということになっています。また、地域包括ケア病棟を有する医療機関が約半数ということでございます。約3分の2がDPC対象病院となっているという状況でございます。
29ページ目が地域包括医療病棟入院料と同一の医療機関で算定されている入院料ということで、この医療機関は急性期と地域包括医療病棟を持っている、あるいは急性期から回復期を持っている、急性期から慢性期まで持っている、こういった形で区分に分けまして、これを二次医療圏の区分ごと、大都市型、地方都市型、過疎地域型という形で分けて、どういう類型になっているかということを集計したものでございます。ごらんのようなデータとなっていますので、御参照いただければと思います。
30ページ目、地域包括医療病棟の届出施設における同一・隣接敷地内の事業所ということで、こちらは訪問看護ステーションなどが多くなっておりますが、こちらも御参照いただければと思います。
31ページ目は前回の入院・外来分科会でお示ししたものでございますが、職員の数の状況であります。
32ページ目が地域包括医療病棟入院料の届出を行った理由ということで、こちらも前回お示ししたものでありますので、説明は省略させていただきます。
33ページ目も同じように届出を行った後の状況であります。
34ページ目も前回お示ししたものでありますが、届出を検討中であるという医療機関は1割弱ということになっております。
35ページ目、届出を検討した場合、その理由をお示ししております。
36ページ目、届出にあたり基準を満たすことが困難な項目。こちらはA票の調査票でありますので、急性期病棟を届け出ている病院の調査票でございますが、満たすことが困難な項目として、一番多いのが「休日を含めて、リハビリテーションを提供できる体制」、また、「常勤のPT/OT/STの配置」「自院の一般病棟から転棟した者の割合が5%未満」。基準を満たすことが困難な項目として多いものがこれら3つになっていたということでございます。
37ページはB票のほうです。地域包括医療病棟を届け出ている医療機関などを対象とした調査でありますが、38ページ目にございますとおり、どういった基準を満たすことが困難なのかにつきましては、B票の調査票においては、「重症度、医療・看護必要度の基準①を満たすこと」「在宅復帰率8割以上を達成すること」「転棟患者5%未満」「休日を含めて、リハビリテーションを提供できる体制」、こういったところが困難な項目として挙げられておりました。
39ページ目、地域包括医療病棟に入院する患者像についてであります。
40ページ目は、急性期一般入院料4~6、あるいは地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の入院料と比較した年齢階級で見た入棟している患者のところでございますが、急性期4~6と比較して、地域包括医療病棟では70歳以上の患者割合が多いという状況であります。地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟との比較では年齢分布に大きな差はないという状況となっております。
41ページ目は認知症の有無で見た比較であります。こちらも急性期一般入院料4~6と比較しますと、認知症を有する患者割合が地域包括医療病棟は多いということでございます。地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟では大きな差はないという結果であります。
42ページ目は要介護度別で見た患者割合でございまして、こちらも同様の傾向が認められております。
43ページ目は、認知症高齢者の日常生活自立度別の患者割合ということでございます。こちらも同様の傾向となっております。
44ページ目、低栄養のリスクの状況であります。こちらも同様の傾向になっているかと思います。
45ページ目、地域包括医療病棟における入棟経路であります。こちらは一般病棟から転棟した者の割合の施設基準が5%未満、あるいは入院患者の割合に占める救急搬送などがされた患者の割合が15%以上などの施設基準がございますが、これに関連して、現状どれぐらい満たせているのかということの調査結果をお示ししております。
46ページ目は患者の状態、医療・看護必要度を満たす患者の割合ということで、ほぼ全ての医療機関が満たしているという状況であります。
47ページ目、地域包括医療病棟に直接入院する上位の疾患ということで、転棟ではなくて直接入院した患者の、どういったところがDPCの14桁コードで見た場合、多いのかということで、割合をお示ししております。一番多いのが誤嚥性肺炎、次に多いのが肺炎という形になっておりますが、また、股関節骨折とか胸椎圧迫骨折のような整形外科疾患も認められているところであります。
48ページ目、地域包括ケア病棟における上位疾患、あるいは参考で急性期一般入院料2~6における上位疾患ということで、こちらを比較して検討できるように併せて集計しております。地域包括ケア病棟のほうでは短期滞在手術3の対象となる入院例も多いというような状況で、白内障、小腸・大腸のポリープ切除術をやる入院の数が多いというようなデータもございます。これは47ページと48ページをそれぞれ集計しております。
49ページ目は短期滞在手術等基本料の対象手術の一覧で、御参考いただければと思います。
50ページ目が地域包括医療病棟で入院患者数の多い疾患についての患者像の比較ということで、これらの上位に出てくる疾患で、入っている病棟ごとに平均年齢、平均在院日数が異なるかという観点で集計を行ったものであります。こちらも御覧のとおりの結果となっている状況であります。
51ページ目、地域包括医療病棟における施設ごとの疾病種類の内訳ということで、赤色のほうは手術を伴わない内科疾患の上位10を集計したもの。また、黄色はKコード、輸血とか手術とかの算定症例、灰色はその他ということになりますが、その割合が施設ごとにどのようにばらついているのかを見たものであります。右側に行くほど外科系の患者さんが多い、左に行くほど内科系の患者さんが多いという状況でありますが、かなりばらつきがある状況ということになるかと思います。
52ページ目、地域包括医療病棟のプロセス・アウトカム評価についてであります。
53ページ目にありますとおり、地域包括医療病棟のプロセス・アウトカムにつきましては、平均在院日数21日以内、在宅復帰率8割以上、また48時間以内のADL・栄養・口腔評価、土日のリハビリ提供、ADL低下が5%未満、こういった基準が定められております。
54ページ目、平均在院日数及び病床利用率であります。地域包括医療病棟入院料の平均在院日数は令和5年が14.8、令和6年調査では14.6ということでございます。
55ページ目、地域包括医療病棟入院料の入退院ということで、入棟元と退院先がどのようになっているかについてお示ししているものであります。退棟先は自宅が最も多いという状況でございます。入棟元は自宅が最も多いという状況となっております。
56ページ目、地域包括医療病棟の入退院時のADL(急性期病棟との比較)でございます。それぞれの疾患ごとに急性期一般2~6と地域包括医療病棟で入退院時のADLの差がどれぐらいあるかということで見ているものであります。水色が入院時のADL、オレンジが退院時のADLですので、退院時のほうが上がっている場合はADLがその病棟に行ったことで回復しているということをお示ししているものでございます。疾患ごとに急性期と地域包括医療病棟であまり大きな差はないということになるかと思います。一方で、ADLの回復具合については、肺炎、誤嚥性肺炎といった内科系疾患と、右下にある股関節骨折、胸椎圧迫骨折のような整形外科疾患で回復の度合いが異なるというように、疾病による違いというのも認められるデータになっているかと思います。
57ページ目が年齢と在院日数の関係でございます。こちらは論文を抜粋したものでございますが、心不全の入院症例におきまして、主傷病の重症度、併存疾患、ADLの点数等、多変量解析で調整をしたとしても、高齢であること自体が在院日数の延長と関係するというような報告がなされております。
58ページ目、入院料ごとの疾患別リハビリテーションの実施状況でございます。地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟では、急性期一般入院料4~6に比べまして、廃用症候群リハビリテーション提供施設の割合が若干多いという傾向がございました。
59ページ目はリハビリテーション・栄養・口腔連携加算に関する状況で、こちらは前回お示ししたデータでございますが、届出状況は11%ということになっております。
60ページ目、土日のリハビリ体制を満たせていない施設が6割あったということで、前回お示ししたデータでございます。
61ページ目が地域包括ケア病棟についてであります。
62ページ目にありますように、地域包括ケア病棟の役割として3つ挙げられております。①急性期治療を受けた患者の受け入れ、②在宅で療養を行っている患者等の受け入れ、③が在宅復帰支援ということで、この3つの機能を包括的に果たす病棟とされております。その点数設計につきましては、この模式図にあるような形となっております。
63ページ目、令和6年改定におきましては、入院期間の40日以内と40日以降で点数差が設けられるような見直しが行われております。
64ページ目、こちらも5月22日にお示しされているものでありますが、地域包括ケア病棟の平均在院日数の分布でございます。令和5年と令和6年の同時期を比較したところ、入院期間の中央値は変わらなかった。改定の前後で平均在院日数が40日を超える病棟は減少したというデータとなっております。
65ページ目が地域包括ケア病棟の施設基準の見直しということで、青い太字になっている部分が令和6年改定で見直しがなされたところとなっております。
66ページ目が在宅復帰率に関するものであります。入院料・管理料1~2において90%以上の施設が基準を満たしており、改定前後を比較すると、改定後に高いという傾向が認められております。
67ページ目は、地域包括ケア病棟の入棟患者の入棟元の割合であります。青色が自院の一般病床からの転棟の患者の割合、赤色が自宅等からの直接入院の割合ということでございますが、青と黄色、自院からの転棟あるいは他院からの転棟というところと自宅入棟の割合を医療機関ごとに並べますと、ほぼ自院からの転棟のような施設もあれば、自宅から入棟患者を受けているというような医療機関もあるということで、こちらもばらつきが認められている状況であります。
68ページ目は、前回お示ししたものでございますが、地域包括ケア病棟・病室における患者の流れ。入棟元と退棟先ということでお示ししております。
69ページ目、地域包括ケア病棟を有する病院の在宅医療の状況のデータとなっております。
2-5、治し支える医療を提供する医療機関についてでございます。
71ページ目、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟届出施設の救急提供体制であります。救急告示の有無があるかどうかにつきましてお示ししておりますが、地域包括医療病棟を有する病院につきましては、95.2%が救急告示があったところでございます。地域包括ケア病棟のほうは、それよりは低い8割弱といったような形になっておりました。
72ページ目でございます。地域包括医療病棟を有する医療機関の約90%、地域包括ケア病棟を有する医療機関の約70%が毎日救急を受け入れていたということでございます。地域包括ケア病棟を有する医療機関では、救急受入が日中のみとなっている病院が1割弱あったということであります。救急の受入件数の中央値は784件で、救急受入件数が2,000件以上の医療機関が22%あったということで、右下の図につきましては、地域包括医療病棟を有する医療機関が赤色で内訳がなっているように示させていただいております。
73ページ目につきましては、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の救急受入患者像でございます。2つ赤枠で囲っておりますが、いずれも「精神疾患を有する者」の受入れを行っているところが少ないという傾向もあります。受け入れている患者像を2つの入院料で比較しますと、青色のほうが若干多いというような傾向はございました。
74ページ目、地域包括医療病棟を有する医療機関の救急や連携の状況であります。赤色が急性期ありの地域包括医療病棟を有する医療機関、青色が急性期の届出がない医療機関ということで、同じ地域包括医療病棟を有するところでもこの2つのグループに分けまして比較したものでございます。救急に関する搬送の受入件数、あるいは救急医療管理加算の算定件数、在宅患者の緊急入院診療加算の算定件数をそれぞれ見ましたところ、このように急性期のほうが多いという傾向がございました。また、在宅との連携に関する加算の算定状況についてもごらんのような形になっております。
75ページ目は地域包括ケア病棟で同じような集計を行ったものとなっております。こちらも急性期の届出がある病院のほうが救急医療管理加算や救急搬送件数が多いという傾向が認められるかと思います。
76ページ目は在宅療養後方支援病院。こちらは200床以上の病院が算定するものでございますが、こちらの有無別に比較したというものでございます。
77ページ目は在宅療養支援病院。200床未満の病院の有無で比較したということで、こちらも御参照いただければと思います。
78ページ目は包括期を担う病棟の施設基準でございます。
79ページ目、こちらの病院の要件に示されております連携医療機関の数に関する調査結果となっております。地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟で入退院支援加算を届け出ていることが要件となっておりますが、その中で協力医療機関が25以上ということになっておりますが、連携医療機関の数はこういった形になっているというような調査結果となっております。
80ページ目、協力医療機関となっている介護保険施設の数と類型ということで、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟の1、2、それぞれごとにどういった施設と協力医療機関の関係になっているかの内訳を示したものとなっております。
81ページ目、協力対象施設への医療の提供内容ということで、協力医療機関と対象施設となった上で、どのような医療が提供されているかについての調査結果がこちらになっております。
82ページ目が協力医療機関となることを断った理由をお示ししておりますが、診療の求めがあった場合に、常時診療するということの確保が困難であったということが一番多いという傾向がございました。
83ページ目が地域貢献活動ということで、こちらもこの病棟の要件となっているものでございますが、地域医療構想調整会議への参加、地域ケア会議への参加が最も多いというようなデータとなっております。
84ページ目に現状と課題をお示ししております。現状につきまして、地域包括医療病棟の届出に関する調査結果につきましては、地域包括医療病棟を有する病院の約3分の2が急性期の病棟を有しておりました。今後届出を行う医療機関は5%前後でございました。休日のリハビリテーションの提供、重症度、医療・看護必要度の基準、ADLに関するアウトカム評価等を挙げた医療機関が多いという傾向となっておりました。
2つ目、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟との相違点について。地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の入院患者を比較しますと、入院患者数の多い疾患や、その患者像は一定の類似が認められました。
地域包括医療病棟と急性期一般入院料2~6との相違点について。こちらにつきましては、入院患者数の多い疾患、その患者像は一定程度の類似がありました。いずれの病棟に入棟したかで患者の要介護度、認知症高齢者の日常生活自立度の分布を比較しますと、地域包括医療病棟において、要介護度の患者が多い傾向がございました。入院から退院までのADLの変化は大きな違いがないという状況でありました。
地域包括医療病棟における内科疾患・外科疾患の受入の状況について。こちらについては、医療機関ごとに診療している疾患の内訳に大きなばらつきがありました。
地域包括医療病棟におけるADLの変化、平均在院日数の基準について。入院中のADLの変化については、疾患ごとに一定のパターンがあって、誤嚥性肺炎、心不全においては、整形外科系の疾患と比較するとADLの改善幅が小さいというデータがございました。また、高齢であるということは、他のリスク因子を調整しても在院日数が長くなるといった学術的な報告がありました。
85ページ目、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟を有する医療機関の機能ということで、救急搬送の受入機能、在宅・介護施設の後方支援機能、それぞれのこれに関連する診療報酬の算定回数などを医療機関単位で比較したものがございますが、急性期病棟を持つ病院、在宅療養後方支援病院、在宅療養支援病院、いずれもこういったものが多いという傾向がございました。また、連携医療機関の状況、地域活動についてもお示ししたようなデータでございました。
課題につきましては、上記のような現状についてどのように評価するのか。また、さらに検討を進めるべき事項についてどのように考えるかということで挙げさせていただいております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。私から5点お話ししたいと思います。
まず、31ページのところです。平均職員数ということで、地メディと地ケアを比較しているのですけれども、40床当たりの看護職員の配置数が、平均で見ると、地ケアに比べて地域包括医療病棟のほうが少ないのです。本来地域包括医療病棟のほうは10対1、地ケアのほうは13対1と看護配置は多くなくてはいけないはずなのですけれども、それが逆転している。これはなぜなのかというところをもうちょっと深掘りする必要があるのではないかなという気がします。これは平均値だけですので、中央値とか分布とかヒストグラムとか、まだいろいろと分析の仕方があると思いますので、そういったことをお願いしたいというのが第1点です。
2つ目が44ページのところに行きます。これは入院料ごとの栄養スクリーニングによる低栄養リスクの状況ということですが、この前の40~42ページにかけて急性期一般入院料4~6と比較して、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟では高齢者割合、認知症を有する患者割合、医療支援要介護割合、日常生活自立度Ⅲa以上の割合が多いと。ただ、地域包括医療病棟と地ケア病棟では差がないということが示されているわけです。にもかかわらず、この低栄養リスクは、地ケアと比べると地メディ、地域包括医療病棟のほうが低栄養リスク患者の割合が多いように見えます。これはなぜかなと思って考えていくと、地域包括医療病棟のみが管理栄養士要件があるのです。管理栄養士が栄養スクリーニングを専門家の立場で行っていると、低栄養の見逃しが少なくなっているのではないかということが見てとれます。ですから、少なくとも低栄養患者のアセスメントという観点では、管理栄養士の病棟配置というのは高齢者の多い包括期病棟では有用だろうということが見てとれます。
ただ、次の視点として、管理栄養士の配置でもって栄養状態の維持・改善に対する効果があるのかどうかという分析も今後必要だろうと思っております。
3点目、48ページになります。ここでは地域包括ケア病棟と急性期一般2~6の疾患を示していますけれども、地ケア病棟の上位2つが短期滞在手術なのです。包括期の病棟としてはいかがなものかなという感じはします。それに比べて、47ページの地域包括医療病棟では、下から3番目にポリープが出てきますが、それ以外では出てきていない。この理由はなぜかなと考えると、入院時に介護を要する患者が5割以上というのが地域包括医療病棟では要件になっていますから、こういったことが短期滞在手術を多く入れることができない、そういった足かせになるのかなということも私としては考えたところです。
4点目、51ページになります。これは施設ごとの疾病種類の内訳ということですが、これを見て思ったのが、意外と黄色のKコードの部分が多いのだなということです。私の推測ですけれども、整形外科を標榜している施設では地域包括医療病棟を導入しやすいのではないかということを思ったところです。といいますのは、もともとリハビリテーションのスタッフがそれなりにいるということで、急性期で地域包括医療病棟を導入できないのは、リハスタッフがいない、確保できないということがありますので、整形外科主体のところではそれができるのだろうということ。逆に、本来誤嚥性肺炎とか尿路感染症とか、そういった内科系の疾患を多く入れたいというのが包括期病棟の趣旨でもありますので、そういったところからいくと、内科系の疾患中心の施設ではリハスタッフの確保という点でなかなか難しいということが見てとれるのかなと思います。
ここからは1つお願いですけれども、Kコードの部分です。これが輸血と実際の手術とごっちゃになっているのです。ですから、Kコードの部分から輸血を外したものもつくっていただきたいというのが要望になります。
最後、56ページになります。これは非常に大事な図だと思います。地域包括医療病棟における入退院時のADL変化。ここで見る限りは急性期一般2~6と比べて改善の度合いに差がないではないかということになってしまって、せっかく管理栄養士を入れたり、リハスタッフを入れたりといった効果がないという解釈になりかねないです。
これで何が問題かというと、個々の患者の入院時から退院時の間での変化が見えない。といいますのは、入院患者におけるADLの幅があり過ぎて、それが改善以上に大きいということです。ですから、一人一人の患者の改善度合いというものを尺度で示した。少なくとも個々の患者が悪化しているのか、していないのか、改善した患者がどれだけ、悪化した患者がどれだけ、変わらなかった患者がどれだけと。そういった変化を見るということでこの病棟でのチーム医療を確認できるのではないかなと思います。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
地域包括医療病棟の関係でございますので、それについて触れます。冒頭御説明があったとおり、創設した経緯といたしましては、この病棟につきましては、増加する高齢者の救急搬送を受け入れること、急性期病棟に入院する高齢者のADLの低下を防ぐという観点から創設したということを踏まえますと、入院医療として急性期一般入院基本料からの移行が多いという点につきましては、当初の目的、理にかなったものだと考えたいと思います。
ただ、ずっと出ておりますとおり、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟との患者像が強く類似しているということが表されておりますし、加えまして、地域包括医療病棟の中でも疾病の種類にばらつきがあったという表現もありましたので、医療の内容を含め、さらに詳細に分析する必要があると考えます。
病院機能という観点で考えますと、救急搬送の受入れから自宅に帰るまで一連の医療行為を可能な限り1つの病院で完結するということが望ましいわけでありまして、今後新たな地域医療構想に基づいて、高齢者の救急、地域急性期機能と在宅医療と連携機能を整備していくことになるわけですが、急性期寄りの包括的な機能を担う病院と在宅医療の支援までを含めて幅広い役割を担う病院で役割分担をすることが必要と考えます。
急性期病棟とケアミックス、在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院の場合には、救急の受入れや入退院支援、介護との連携で高い機能を発揮し、その傾向が一定程度うかがえるということが見てとれますので、これらを踏まえまして病院単位としてどのような役割を担うことが必要かということ、さらにそういう観点から分析することが必要であると考えられます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
ありがとうございます。
包括的な機能を担う病院への期待が非常に高い中、どんな利用状況になっているのか、どんな機能を有しているのか、また、制度設計時に目指していたものとの乖離がないのかということを踏まえてさらに検討を進めていくことが必要だと思っております。その点からコメントと意見を2点ほど述べさせていただきたいと思います。
コメントとしては、45ページ、46ページですが、施設基準の直上にピークがあるというのは、比較的条件が厳しい、施設基準から少し離れたところにピークがあるというのは、ある程度余裕を持ってクリアできているのかなということかと思われますので、今後の議論の際に留意していただきたいというのがコメントです。
意見の1点目が、51ページ、地域包括医療病棟の数がそれほど多くない点踏まえ、病棟だけではなくて、病院の機能にも注目しながら今後分析をしていく必要があると考えます。29ページに示されているような病院中にあるほかの病棟との組合せのパターンというのも参考に類型化して、患者像とか、あるいは投入される医療資源量を分析していくということが必要ではないのかと考えております。投入されている資源量が大きく変わることがあるというのであれば、これまでと違った視点の評価の議論にもつながるかと思いますし、例えば短期滞在手術等基本料対象手術の話なども、同じ病院に急性期病床がある場合とそうでない場合に分けて分析することで、例えば何らかの理由があって急性期病床を利用できずに、地域包括医療病棟を利用しているのか、あえて初めから地域包括医療病棟を利用されているのかという状況も明らかになるのかもしれないと思っております。
56ページのスライドで、牧野先生も触れておられましたけれども、これも非常に重要かつ興味深いスライドであると思っております。15ページの終末期の軌道のグラフについて、また、井川先生がそのときにお話しされた最近の状況とかを踏まえると、患者の自然経過が背景疾患によって随分違ってくる、提供された医療を正しく評価するためには、もともと比較的ADLがよくて、手術で原因がなくなって回復がある程度期待できるような性質の疾患と、もともとADLが悪くなっている中で、さらに状況が上乗せされて悪くなっていくような疾患はわけて分析、評価が必要ではないかと思います。その意味で、背景疾患、診療科、入院前の状況を考慮した分析・評価をしていくということが、重要と考えております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
地域包括医療病棟に関しましては、高齢者急性期入院医療の切り札的存在ということで、非常に期待されているわけですが、ところが、施設基準が厳しいということで、なかなか届出が進んでいない状況かと思います。それに基づきまして3点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、60ページです。土日のリハに対応できていない、6割が満たせていないということですけれども、この点、土日のリハを8割以上満たす、その体制を整えるためにはそれなりのリハスタッフの確保が必要ですし、リハ・口腔・栄養連携加算がついたとしても、その人件費分になかなか見合わないというのが1つの大きな理由かなと思っています。これは意見でございます。
56ページ、先ほどからここについて意見が出ていますが、ここでは高齢者の股関節骨折、圧迫骨折、急性期の外傷病名の場合は、入院時が最もADLが低いわけで、改善しているということでよろしいのですが、例えば整形外科の予定手術の場合、例えば膝関節症の人工関節とかそういった場合は、入院時よりも手術後のほうがADLが落ちるパターンもあろうかと思いますので、これがADLの低下、5%未満のハードルに引っかかってしまうということで、高齢者の受入れはなかなかできないケース。これがハードルになっているということがあると思いますので、この辺もデータでもし見られればと思います。これは要望です。
最後に、マルチモビディティの高齢救急患者。これは搬送時点では何の疾病で悪くなっているのかというのが直ちに分かりにくいわけです。例えば呼吸状態が悪い、慢性心不全の急性増悪なのか、誤嚥性肺炎なのか、ほかに原因があるのか。例えば急性期一般と地域包括医療病棟を有しているケアミックスの病院の場合、二次救急で高齢者を受け入れた場合にどちらの病棟に入れるのがいいのかというのは、直ちに判断するのが難しいわけです。そこでハードルとなってくるのが、自院の一般病棟からの転棟割合5%未満ということで、36ページのA票の部分、38ページのB票のほうでもこれがなりハードルになっているという問題がございますので、高齢者の救急患者は最低限48時間程度経過を見ないと、予後の判断、予測が難しいケースがございますので、解決策としましては、現状の施設基準でも、48時間以内であれば遡ってどちらかの入院料を選択してもいいよといった通知でも出していただくと、医療現場では非常に助かるのです。非常に効率的な病床運営ができると思いますので、適切に地域包括医療病棟、高齢者救急を安心して診るという意味では、そういったことも御検討いただければと思います。これはお願いです。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
まず、31ページ、平均職員数。牧野委員は看護師のほうの逆転現象を非常に疑問に思っておられましたが、私もそう思っておりましたけれども、そこの部分は聞いていただきましたので、私はセラピストの部分です。理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士というところが、地ケア病棟の1、2に比べてもすごく低い。1と比較しますと半数程度しかいないのです。本来であれば出来高算定が可能なのが地域包括医療病棟ですので、先ほど津留委員もおっしゃいましたが、リハ・栄養・口腔連携加算の点数だけではセラピストの原資にならないかもしれませんが、ここの部分で出来高算定があれば普通はできるということから考えると、これはもっともっと増えていくべき職員であろうと思っています。これが少ないということは、高齢者救急を主に扱うであろう地域包括医療病棟で、発症や悪化直後からの早期のADL維持に向けた取組ができないこととか、あと36ページ、38ページにありますような地域包括医療病棟の届出に当たって満たすことが困難な施設基準である、上位に出てきますセラピストに関わる項目。それから、58ページには先ほど津留委員がおっしゃったリハ・栄養・口腔連携加算の算定数が非常に少ない理由、その一つにあります土日のリハ提供が少ない、できないと。あと、牧野委員が指摘されました56ページ、セラピストが少ないわけですから、ADLの変化率が普通の急性期一般の2~4と変わらない。いなければそういうことになりますので、そういうことにも通じてしまうということになります。
ということは、セラピストの数がなぜ地域包括医療病棟で少ないのかというそもそもの原因のところをしっかりと追求しなければ。あらゆるところに影響を及ぼしている項目ですので、ぜひとももう少し深掘りをしていただいて、例えば応募そのものが少ないのか、セラピストの総数全体が少ないのか、もしくはそこの施設はもう募集すらしていないのかというところも含めて調査・解析をする必要があると考えています。
続きまして、32ページ、33ページでございます。ここには届出を行った理由と、実際に届出を行った後の状況の調査結果がございます。確かに他の入院料の病棟と組み合わせることで患者の状態に即した医療が提供できているとか、実際の患者の状態により即した入院料であると感じておられるのだろうと思いますけれども、この項目、複数回答が可能でございますので、例えば思わなかったところはチェックが入らないということになります。ということは、例えば32ページでは60%以上の施設が経営が安定すると考えて届出を行っていますが、届出をした後で経営が安定していると答えたのは上位には来ていますけれども、逆に55%の施設はあまり安定していると感じていないということになります。
先ほどの意見にもありましたが、リハビリテーション・栄養・口腔管理が進んだというふうに感じると答えたのは僅か20%しかなくて、80%の施設はそう思わないということになる。これは25ページにありますような地域包括医療病棟の医療サービスのイメージというところから考えますと、そこのところは早急に調査して改善すべき問題だろうと考えています。
71ページに地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の救急提供体制をお示しいただいております。地ケアは療養病床からも算定できますけれども、5%の減算を受け入れれば、救急体制がなくてもよいということになっております。これが一般病床との大きな違いですが、ここに療養病床のパーセンテージを追加していただいたのですけれども、実際にこれを評価していこうと思うと、一般病床と療養病床の地ケアの救急医療体制をそれぞれ分けてお示しいただかないと、議論の材料としては不足しているかなと思っております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
ありがとうございます。
ざっくりした意見ですけれども、地域包括医療病棟、包括ケアのほうでも施設基準があって、先ほどからリハビリの話などが出ておりますが、届出が一定以上伸びてこないということも先ほどおっしゃられていましたけれども、やはり厳しいというところがあるのかなと。地ケアと地域包括で物すごくざっくり考えたときに、同じようなキャラクターを病院としては示しているところがあるのではないかと思うので、極端な話かもしれませんが、これを緩く統一して、両方ともほかのいろんな病院が入れるような仕組みにしておいて、例えば先ほどのリハビリとか何かは別に加算立てのような形で取れるというふうにすれば、こういったものにDPC以外のところで乗ってきてくれる病院も増えてくるのではないかなと思うのです。こういうものに参画できないということで病院が廃業してしまうということは避けなければいけないと思いますし、地域の医療を守るためにもできるだけ地域の病院が参加しやすいようなお膳立てをしてあげるのがいいのかなと思います。ざっくりした意見ですみません。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。今村委員、どうぞ。
○今村委員
ありがとうございます。
主に地域包括医療病棟に関してですけれども、まずP28で、ここでは3分の2の医療機関が急性期の1~6のいずれかをということで、一言で言うとケアミックスになっているということが示されているのかなと。これについてどう評価するのかということと、もう一つ、72ページで、ここで救急車の受入状況が書いてあって、P72の右下では、地域包括医療病棟を有する病院、2,000台以上、場合によっては6,000台以上も救急車をちゃんと受け入れている病院が2割もあると。これをどう評価するのかというところが非常に大事なのかなと。地域によってはこの病院がその地域の救急を請け負っていると。結果、高齢者救急、場合によっては一般救急だろうと思います。
先ほど津留委員の御発言で、実は高齢者であっても、最初からこの人は嚥下性肺炎だね、この人は骨折だね、この人は尿路感染症だねと分かってくる人はほとんどいないのだと思います。そうすると、最初の段階で診断とそこでのトリアージが必要だと。その結果、場合によっては2日ぐらいそこにかかりますよと。
その結果として、これは津留委員にお聞きしたいのですが、いわゆる高齢者の3疾患に関しては、むしろ地域包括医療病棟のほうがリハビリを含めてよくて、そうでないような、場合によっては急性心不全や急性脳梗塞のように最初に治療が必要な患者さん、これは急性期入院の1病棟で診るべきだよねとか、ここら辺はある程度のすみ分けが必要なのかということと、両方あるほうが便利というのか、それぞれの役割が違うのか。ここら辺をお聞きしたいところです。その結果として、72ページ、救急車をこれだけ受け入れているということをどう評価するかというのが非常に大事なのかなというところです。
以上です。
○尾形分科会長
では、津留委員、何かありますか。
○津留委員
ありがとうございます。
急性期一般と地域包括医療病棟は、病棟の性格、持つべき機能が違うと思いますので、高齢者の場合、入院の時点でその方がどれくらいの平均在院日数で退院できそうなのかとか、どういう予後で、どれくらいの医療資源投入が必要なのかというのがぱっと分かれば、どちらの病棟を選んで適切にうまく運用できるのですけれども、それがなかなか難しいので非常に迷ってしまって、後から病棟をやはりこちらに移そうと思っても、そこに5%未満という高いハードルがありますので、そこで非常に運用が難しくなってしまっているということがございます。それは施設基準をすぐ変えることが難しいと思いますが、48時間以内であれば、遡ってどちらかの入院料を選択してもいいよというふうにしていただくだけで現場のほうは非常に助かりますので、ぜひそういうことを御検討いただければということを申し上げました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、真庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
ありがとうございます。
今のお話とも重なるのですけれども、55ページ、包括医療病棟の入退院というところで、特に退院・転棟先というところを見ますと、絶対数は必ずしも多くはないのですが、最終的に転院している。これはどちらに転院されているのか。それから8番目は死亡ということで上がっております。これもある程度の数があるのですが、この結果から見たときに、果たして地域包括医療病棟にそもそも入るのが適切だったのかということの検証も必要なのかなと思います。その辺りを今後分析して検討していただけたらと思いました。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、いろいろ御意見が出ましたけれども、全体を通じて事務局から何かコメントがあれば。
○矢野補佐
事務局でございます。
様々な意見をいただきまして、追加でどのような分析をすべきかというアイデアをたくさんいただいたところでございますので、そういったことを踏まえまして、また次回以降お示ししていきたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ほかに特に御意見・御質問がなければ、先に進みたいと思います。
次は3つ目の議題「回復期リハビリテーション病棟について(その1)」ということでございます。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
86ページ目、回復期リハビリテーション病棟についてでございます。
87ページ目は回復期リハビリテーション病棟入院料の主な改定の経緯となっております。
88ページ目が届出医療機関数と病床数の推移となっております。令和5年時点で回復期リハビリテーション病棟入院料の届出病床数は約9.5万床、届出医療機関数は1,620施設となっております。届出機関数は直近5年で横ばいになっておりますが、直近10年で病床数は1.4倍に増加という状況でございます。
89ページ目が回復期リハビリテーション病棟の入院料別の届出病床ということで、他の入院料と組み合わせてどのように捉えているかということにつきましては、急性期一般入院料との組合せ、地域包括ケア病棟との組合せが多いという結果となっており、回復期リハビリテーション病棟のみの病院が14.1%、8.3%という結果となっております。
90ページ目は、回復期リハビリテーション病棟入院料の令和6年改定における見直しの内容でございます。この中でGLIM基準による評価が入院料1では求められるということで、こういった見直しがございました。
91ページ目、GLIM基準の各項目の測定や判定に関わる職種につきましては、管理栄養士が全ての項目で8割以上携わっていた。その他の職種の関わり状況は御覧のとおりとなっております。
92ページ目、回リハ1におけるGLIM基準の評価を導入したことによる影響ということで、導入したことで栄養評価に時間がかかるようになった、多職種連携が進んだという回答が多かったという状況でございます。
93ページ目が地域包括ケア病棟との相違点ということです。
94ページ目に新たな地域医療構想に関するとりまとめの抜粋をお示ししております。回復期を担う主な病床としては、複数のリハビリ専門職が専従し、集中的にリハビリテーションを行う回復期リハビリテーション病棟、急性期を経過した患者の受入れとともに、在宅で療養している患者の対応を行う地域包括ケア病棟があるというような抜粋があります。
95ページ目は医療機関機能・病床機能の報告の中の病床機能報告のほうですが、これまでの回復期機能を、包括期機能(高齢者救急等を受け入れ、入院早期からの治療とともに、リハビリテーション・栄養・口腔管理の一体的取組等を推進し、早期の在宅復帰を包括的に提供する機能、急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能)として位置づけるということで、回復期機能というのが包括期機能という形で見直すことが検討されている状況であります。
96ページ目が施設基準の一覧となっております。
97ページ目は職員数でございますが、こちらは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のところを細分化してデータをお示ししております。
98ページ目、入院料ごとの40床当たりの療法士の数でございます。入院料ごとの40床当たりの療法士数については、回復期リハビリテーション病棟がほかの入院料と比較して特に多いという状況となっております。
99ページ目が回復期リハビリテーション病棟の疾病の特徴ということで、大腿骨近位部の骨折、脳卒中、胸腰椎の骨折、膝関節の疾患などが多いという状況であります。
100ページ目に地域包括ケア病棟における疾病の特徴ということで、高齢者救急に関連する肺炎、白内障の予定手術、大腿骨近位部の骨折など、回復期リハビリテーション病棟で見られる疾患も地域包括ケア病棟で入院しているという状況であります。
101ページ目、入院料ごとの要介護度別の患者割合ということで、黄色の枠と赤色の枠で地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟の比較の状況をお示ししております。要介護認定者の割合については大きな差はないという状況であります。
102ページ目が回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟の入院患者の認知症の状況ということで、回復期リハビリテーション病棟にも介護が必要な認知症高齢者が一定数入院しているという状況であります。
103ページ目が回復期リハビリテーション病棟の現状であります。
104ページ目、疾患別および要介護度別のFIM利得でございます。こちらは特に要介護度が上がるに従ってFIM利得が減少していくというデータがございます。特に要介護度4、5ではFIM利得が比較的小さくなるというようなデータがございます。
105ページ目が回復期リハビリテーション病棟における要介護状態の高齢者の割合でございます。左側が要介護状態の高齢者の割合、右側が要介護4、5の高齢者の割合ということで、回復期リハビリテーション病棟でこういった要介護度の患者さんがたくさん入っている病棟もあるということで、ばらつきが認められたという状況であります。
106ページ目が回復期リハビリテーション病棟入院料のアウトカム基準。重症患者の割合であります。
107ページ目、重症患者の割合は、調査結果によりますと以下のような状況となっております。回復期リハビリテーション病棟1・2の重症患者割合は約40~50%となっております。
108ページ目に実績指数に関する計算式の参考資料を載せておりますが、この中に医療機関の判断で各月の入棟患者数の3割以下の範囲で除外できる患者というのがございまして、入棟時のFIM項目(運動項目)の得点が20以下の患者、あるいは80歳以上の患者など、こういった除外患者の基準がございます。
109ページ目にございますように、入院料ごとにリハビリテーションの実績指数が40あるいは35という形で設定されておりますが、110ページ目、リハビリテーション実績指数の分布につきましては、お示ししているような分布のとおりとなっております。
111ページ目、除外対象患者の割合ということでございますが、80歳以上の項目で除外される患者さんが多いということであります。いずれかの除外項目が該当する患者さんの施設は、多くの施設で40%を超えているということで、こういった状況となっています。
112ページ目、FIM利得別の患者数の分布ということで、FIM利得0というデータが多いという状況でありますが、FIM利得マイナスの患者さんも含めまして、この病棟に入っている患者さんのFIM利得の分布はこのようになっているという状況であります。
113ページ目は、施設ごとのFIM利得が低下した患者の割合ということで、FIM利得がマイナスとなる患者さんが3割を超えるような施設もあるということで、こういったばらつきになっているということをお示ししております。
114ページ目が運動器リハビリテーションの算定単位数の見直しの令和6年改定の説明の概要となっております。
115ページ目が重症度別のリハ提供単位数とFIMの変化ということで、こちらのデータに基づきましてこういった見直しが行われている状況であります。
116ページ目にございますとおり、運動器リハにおいて認められた平均のリハビリテーション提供単位数とFIM利得の傾向につきましては、廃用症候群リハでも似たようなパターンとなっていて、脳血管疾患のリハとは異なるという状況があるかと思います。
117ページ目は回復期リハビリテーション病棟と疾患別リハビリテーション料ごとの実施割合ということで、廃用症候群リハビリテーションのところは赤枠で示しておりますが、これが4割、5割を超える施設もあるという状況になっております。
118ページ目が回復期リハビリテーション病棟に係る現状と課題であります。まず、回復期リハビリテーション病棟の背景でございますが、直近で約1.4倍に病床数が増えている状況。40床当たりの療法士の数は、特に回復期リハビリテーション病棟が多いという状況になっております。
回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟との相違点についてでありますが、新たな地域医療構想で回復期を包括期に見直すという検討が行われていること。また、入棟している患者の要介護度、認知症高齢者の日常生活自立度の分布が類似していたという傾向がありました。
回復期リハビリテーション病棟に入棟する患者像につきましては、介護度が重くなるに従ってFIM利得は減少する。特に要介護度4、5につきまして、入院患者全体に占める割合が施設によってまちまちであったということ。
また、回復期リハビリテーション病棟1・2に占める重症患者の割合は約40~50%であったこと。
また、リハビリテーション実績指数の除外対象患者は、今、3割と設定されていますが、いずれかの除外項目に該当する患者が非常に多いという状況。FIM利得がマイナスとなる患者が多くの施設で存在しているという状況がございます。
また、廃用症候群リハビリテーションについては、平均リハビリテーション単位数とFIM利得の関係性についてのパターンが、廃用症候群とリハビリテーションで似ており、脳血管疾患のリハビリテーションとは異なるという傾向がありました。
また、廃用症候群リハビリテーションの実施割合が比較的多い医療機関もございました。
課題としまして、上記の現状を踏まえてどのように評価するのか。さらに検討を進めるべき事項についてどのように考えるかということでお示ししております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。池田委員、どうぞ。
○池田委員
池田でございます。
112ページ、113ページでFIM利得、施設ごと、あるいは患者ごとの分布を示していただいているところでありますけれども、最後のまとめのところでも書いてございますように、FIM利得マイナスの患者さんがいらっしゃるということですが、恐らくリハビリテーションの効果が個人差もあるので、マイナスになる方も一定数はいらっしゃることかと思いますが、それにしても施設間のばらつきが大きく、FIM利得が特にマイナスの割合が多いという施設が数施設あるようですので、そういった施設の特徴、あるいはそこでの患者像といったもののより詳細な分析をお示しいただきたいと思います。事務局へのお願いでございます。
もう一点ですが、112ページ、FIM利得別の患者数の分布を見ますと、0のところに患者さんの数が非常に多いということで、通常はリハビリテーションも含めて医療行為の効果というのはばらつきがあるわけですが、それにしてもこうした0のところにピークがあるというのは極めて不自然でありまして、これはFIMの測定や評価に何かの問題があるのか、あるいは診療報酬上の評価を踏まえての報告の仕方に課題があるのか。非常に不自然な分布に見えますので、施設ごとにこうした分布の原因となっているような状況があるのかどうかということについて詳細な分析などを御提示いただけると議論が進むのではないかと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
回復期リハビリテーション病棟は原則専門的なリハビリを一定期間集中的に行うということでありまして、身体機能を改善することが想定されるわけでございます。そのためにも、基本的には回復が見込まれる患者さんを受け入れるというところになると思いますが、そこで実績指数を除外要件ということになるわけですけれども、111ページで御説明いただいたとおりで、除外項目に該当する患者さんはかなり多いという感じを受けます。中にはほぼ全ての患者さんが除外基準に該当しているところであり、現行で病棟の機能がこれで正しく評価されているのかどうかということを疑問点として持ってしまうところであります。今もマイナスの話が出ましたけれども、除外基準そのものを見直すべきというふうに考えたいと思います。それと併せまして、この実績指数の基準値についても当然検討の俎上に乗せるべきだと思います。
それから、疾患別リハビリテーションについてですけれども、廃用症候群リハビリテーションにつきましては、7単位以上でFIM利得が小さくなる傾向が認められたと。それから、かなり多くの廃用症候群リハビリテーションを実施している施設があるということを踏まえますと、疾患別のリハの算定上限の在り方についても、現状を十分分析の上、検討する必要があるのではないかと考えます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。
90ページから92ページぐらいでしょうか、回復期リハビリテーションに関しまして、特にリハビリテーション・栄養・口腔の三位一体のところです。御存じのように、低栄養の診断基準、評価というのは従来のものがずっと残っていて、ここに来て新しい低栄養の診断基準、いわゆるGLIM基準というものが出てきて、現場としては新基準に切り替えていく、合わせていくというのは結構大変かもしれません。ただ、データを見させていただきますと、着実に浸透してきている感じもあります。しかし、まだまだFIM改善という課題も残っておりますし、リハビリテーション・栄養・口腔の三位一体としての連携と、ましてや結果にこだわるというところは必要なのかなと思います。そこには当然在宅復帰ということを視野に入れてリハビリテーション・栄養という。結局、リハビリテーションと栄養というのが両立していなければならないというところの中核の考え方というのが必要なのかなと思います。
最後に、今回の調査では対象の範疇を超えてしまうのかもしれませんけれども、病院内のNSTというものはある程度確立されて、どこまでやれているかは別にして確立されている概念ですが、一方で、在宅療養という視点でのNST、そこら辺もこれから大きく問われる視点かなと思いますので、また底上げをみんなでできればと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
私は、117ページ、廃用症候群のリハに関しまして、都道府県の国保・社保審査会において廃用症候群の病名を認めるか認めないかというのは、以前に比べると大分改善されたということをお聞きはしていますが、ダブルスタンダードとも言っていいような、場合によっては認める、認めない届けがあったりということがあるのではないかなと思っています。そういった面で、117ページで非常に割合が高い施設もございますので、そもそも廃用症候群の基礎となる病気、疾病、原因となる病名はどういった病名なのかというところまで分かると、少しそれのヒントになるのかなと思いますので、そういったものも調べていただければと思います。要望です。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
ありがとうございます。
私からも1点質問。先ほど池田委員からも質問がありましたが、112ページのFIM利得別の患者数の分布ですけれども、0の患者が非常に多くて、不自然な分布をしているように思いましたので、現時点で何か要因が分かっているのであれば教えていただきたいということが1点。
意見ですけれども、もしこういった効果の少ない方が一定割合いらっしゃるのだとすると、療養の場の選択にミスマッチもあるのかなと考えます。回復期を担う病棟では集中的なリハビリによって回復が見込める患者を対象にしっかりリハビリを実施していく必要があると思いますし、同時に現在訪問看護、訪問リハの充実を通して、医療ニーズの高い患者さんでも在宅の場で安心して療養できる方向に向かっていく中で、リハビリ自体も生活の場で行われてこそ真のアウトカムではないかなと思います。急性期での早期リハ、そしてまた在宅での生活リハ等の適切な療養の場の選択ができて、効果的なリハビリが十分に行えるよう、評価の仕組みを整えていく必要があるかなと思います。
以上です。
○尾形分科会長
1点目は御質問なので、事務局、お願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
112ページの0がピークが高いことにつきまして、まだ事務局でも十分分析できておりませんので、今後そういったことも含めてお示しできればと思います。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
私は1点だけ。以前ここでも議論になって、新しく診療報酬がついた心リハが今、回復期でどうなっているのかなというのが気になっています。今回は議題になっていないですけれども、できれば伺いたいと思います。
廃用症候群の実態という話題が出ましたが、恐らく施設基準は厳しいままですので、心リハとして算定できずに、廃用として心リハもやっているのではないかという状況もあったと思いますので、その辺、可能な範囲で教えていただければと思いました。お願いします。
○尾形分科会長
これは事務局、いかがですか。
○矢野補佐
事務局でございます。
本日の資料に入っているか分からないですが、回リハ病棟における疾患別リハビリテーションの提供の割合ですが、心臓リハビリテーションは1%ぐらいになっていたかと思いますので、疾患別リハとしての心臓リハビリテーションはほぼ実施されていない、1%程度という状況かと思います。多いのは脳卒中と運動器と廃用症候群ということですので、今回の資料もその3つでお示ししている状況でありますが、心臓リハビリテーションの状況についての御指摘だと思いますので、今後はそういった観点も含めてまた検討できればと思います。
以上です。
○尾形分科会長
よろしいですか。
○田宮委員
はい。
○尾形分科会長
ほかはいかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
私も112ページのFIM利得が0という話でございますけれども、回リハに入院されている患者さんも誤嚥性肺炎、尿路感染など高齢者が罹患しやすい疾患にかかられると、その間リハビリが止まったり、ADLが落ちたりという形で、0というのは一定程度仕方がない。だから、この数で言いますと、80万人中4万5000人、5.6%。それを多いと考えるか、少ないと考えるかの違いだろうと思うのです。感覚的に言いますと、恐らく1%ということはないです。数%はそういう形で0に。その1か月間を取ると、おられるという感覚は実際にはあるのではないかと思います。
ただ、次の113ページの施設別で見たときに、その患者数が異常に多い施設がある。これはおかしい。左側で見ますと、0を含んだ場合の0点以下の五十何%が0点以下と。この施設は一体病院なのかと言いたいぐらい異様な施設ですので、そういうところの詳細は明らかにしていただきたいなと思います。
続けて、116ページに疾患別のリハビリテーション料の提供単位数別のFIM利得というのが出されております。これは前回の運動器のリハビリテーションが6単位以上やってもあまり変わらないよという話のときに出てきたような形で出ておりますが、運動器、廃用と脳血管の一番の違いは何かといいますと、失調の原因なのです。脳血管の失調の原因は、神経学的な麻痺ということになりますけれども、運動器や廃用というのは、どちらかというとサルコペニア、筋肉減少によって起こっている場合が多い。そうすると、その回復度というのは当然変わってくるので、リハビリテーションをどの程度やれば上がるか、下がるかというのは変わります。そういう意味で言いますと、サルコペニアというのは筋肉量をある程度上げてあげますと、取りあえず立てるのです。立てて、ちょっと歩行器ぐらい使えば歩けるのです。そうすると、FIMとで言うとその段階で一気に70点ぐらいまで跳ね上がってしまいます。ところが、その後、家へ帰ってちゃんと生活できるかどうかとなると、そこから数点というのが非常に大きい。これは前回の改定のときにもどなたか、先生がおっしゃっていましたが、実際にそうなのです。72点と74点という点数は全然違ってきて、例えば72点で帰してしまうと、その方々はまた戻ってきてしまうのです。サルコペニアの治療が不十分ですから。帰ってきてしまって、結果的にまた入院してリハビリをしないといけない。医療資源投入量的に言うと、1人当たりで考えると、その人たちのほうがむしろ増えてしまうということも加味した上でこのグラフを見ていかないといけないですし、このグラフの中で6単位から9単位の間に1.5という傾きは低いですけれども、廃用も運動器も増えている。これが1つ大きな重要な意味を持つのではないかと私は考えています。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
予定の時間になってしまいましたけれども、もうしばらくお付き合いを願えればと思います。真庭委員、どうぞ。
○眞庭委員
ありがとうございます。
私のほうからもこの回復期リハに関しましても、結局、最終的にどのような転帰に患者さんがなっているのか。究極的には自宅でどのような生活ができるようになったか。場合によってはこちらで治療の後、診療に関してはどのような施設でどのような診療を継続されていたであるかとか、そういうこともぜひとも分析していただいて、回復期リハの効果というものを示す必要があるのではないかと思いました。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、事務局、何かあれば。
○矢野補佐
事務局でございます。
本日いただいた様々な観点を踏まえましてまた分析しましてお示ししていきたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ほかに御意見・御質問がなければ、最後の議題に進みたいと思います。
4つ目の議題ですが、「慢性期について(その1)」でございます。事務局から資料の説明をお願いします。
○矢野補佐
事務局でございます。
119ページ目以降になります。
120ページ目が療養病棟入院基本料に係る改定の経緯でありまして、121ページ目までお示ししているところであります。
122ページ目が新たな地域医療構想に関する療養病床に関するとりまとめの部分の抜粋でございます。在宅医療と介護施設、療養病床の一部については患者像が重複する場合があり、都道府県別の療養病床数については、介護施設の定員数と合わせると地域差は縮小するということで、在宅医療・介護等のデータも踏まえて、地域の資源の状況に応じて、療養病床だけでなく、在宅医療や介護施設・高齢者向け住まい等と併せて構築していくという考え方が示されており、こちらに紹介させていただいております。
123ページ目が令和6年度改定における療養病棟入院基本料の見直しであります。疾患・状態に係る3つの医療区分、処置に係る3つの医療区分及び3つのADL区分に基づく27分類の評価に見直すというような見直しでありますとか、2ポツ目にありますように、中心静脈の評価に関する医療区分の見直しでありますとか、あるいは5ポツにあるような経腸栄養管理加算の新設といったような見直しがなされております。
124ページ目が療養病棟における医療区分2・3の該当割合ということで、入院料1のほうは8割以上、入院料2のほうは5割以上の要件になりますが、状況についてはこのような分布となっております。
125ページ目、療養病棟を届け出ている病棟・病床の改定前後での転換状況ということで、令和6年改定前後で入院料の届出は変わっていない病床が多かったのですが、療養病棟入院料2においては、療養病棟入院料1の届出に変更した病床が7%程度あったという状況であります。
126ページ目が療養病棟における医療区分3の疾患・状態、処置の占める割合ということであります。それを細かく見ていきますと、御覧のような形になっておりますが、この中で特掲診療料の施設基準の別表7・8に掲げる疾患状態のものも水色の点線囲みでお示ししております。その中では特に酸素療法の割合が多いですが、人工呼吸器あるいは気管切開などは少ないという状況がございます。
127ページ目は療養病棟における入棟患者の病態であります。病状で見ますと、青枠のかかっているところが別表7・8に掲げる疾患状態ですが、このような状態になっているということであります。
128ページ目に医療保険と介護保険の訪問看護対象患者に関する別表7・8の告示をお示ししておりますので、御参照いただければと思います。
129ページ目が療養病棟における患者が受けた医療行為・処置についてであります。中心静脈栄養については、医療区分の定義の見直しが行われましたが、令和4年調査と令和6年調査で比較しておりますが、あまり大きな変化はなかったという状況になっております。
130ページ目、療養病棟入院基本料の見直しに関する、経腸栄養管理加算の部分が見直しがなされており、その詳細のものをお示ししております。
131ページ目、経腸栄養管理加算の算定状況は、これも前回お示ししたものではございますが、9.3%が算定ありというような状況であります。
132ページ目、経腸栄養管理加算の有無別の中心静脈栄養の実施状況でございますが、算定ありと算定なしと比較して、この中で中心静脈栄養の実施状況がどれぐらい違うのかということで、若干多いというデータになっているかと思います。
133ページ目が中心静脈栄養中の身体拘束の実施状況であります。中心静脈栄養を実施した患者のうち、身体拘束を行った患者の割合が高い病棟も認められたというところでございます。
134ページ目が摂食・嚥下の回復に必要な体制の状況で、入院料1と入院料2に分けてお示ししております。
135ページ目、こういった体制の整備の予定ということで、「1~3か月以内に必要な体制を満たす予定」と回答している病院は僅かという状況であります。体制整備が困難な理由として、内視鏡下の嚥下機能検査とか嚥下造影を実施する体制の整備が困難であるためということが一番高いという状況となっております。
136ページ目が現状でございます。慢性期の医療提供体制につきまして、「新たな地域医療構想のとりまとめ」において、慢性期の医療提供体制については、地域の中の在宅需要、介護需要なども踏まえて構築していくことが重要という指摘がありました。
令和6年度改定における医療区分の見直しにつきまして、入院料1では、12.8%の医療機関が「医療区分2・3の患者が8割以上」の要件を満たしていなかったという状況があります。療養病棟から一定期間に退棟した患者について、別表7・8に該当する疾患の割合は少ないという状況がございました。
また、中心静脈栄養・経腸栄養管理加算・摂食機能、嚥下機能の回復に必要な体制については、こちらに記載されているとおりでございますが、現状を踏まえましてどのように評価するのか、さらに検討を進めるべき事項についてどのように考えるかという課題をお示しさせていただいております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見・御質問等を承りたいと思います。津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
これは後で井川委員にも御意見を伺いたいなと思いますけれども、今回も新たな地域医療構想に関する部分、引用文が多く資料として提示されていまして、○の2つ目のところに慢性期についても新たな地域医療構想からの文言が引用されています。御存じの方がいらっしゃると思いますが、ここでは挙がっていませんが、医療機関機能の中においては「慢性期」という言葉は存在しません。これは尾形分科会長も構成員でいらっしゃいますのでお詳しいと思いますけれども、12月3日の第13回の「新たな地域医療構想等に関する検討会」の資料までは、専門等機能のところに、黒ポツの説明文で専門等機能とは何ぞやというところで、「集中的なリハビリテーション、高齢者等の中長期にわたる入院医療」とはっきり書かれていましたが、あとは「有床診療所の担う地域に根ざした診療機能、一部の診療科に特化し地域ニーズに応じた診療を行う」といった文言がございましたけれども、これが12月6日の第14回の検討会、まとめの案になりますと、「高齢者等の中長期にわたる入院医療」の「高齢者等の」という言葉が外れてしまって、「中長期にわたる入院医療」しか言葉が残らなかったのです。これは12月18日に最終のまとめが出ましたが、結局、「高齢者等の」という言葉も消されてしまったということになります。
だから、「慢性期」という言葉、あるいは「高齢者の入院」というところが存在していないというところで、これは質問になりますが、現在慢性期の入院医療、そして医療療養病棟ですけれども、新たな地域医療構想の医療機関機能での位置づけがどうなるのかなというのを事務局にぜひ御意見としてお聞きしたいなと。これは将来的になくなる可能性もあるのかどうか。これは答えにくいかもしれませんけれども、今回、慢性期の入院医療のその1ということですので、これからの議論の出発点になろうかと思いますので、御質問させていただきました。
以上です。
○尾形分科会長
これは御質問ですので、事務局、お願いします。
○矢野補佐
事務局でございます。
今回引用させていただいているのは新たな地域医療構想の12月のとりまとめの分でございまして、また法案の審議がなされたり、ガイドラインの検討がなされる方向性であると理解しております。今回お示ししているのも、あくまでとりまとめとの部分でお示ししているものでございますので、今、事務局において何ら定まった方向性を持っているものではございませんので、あくまで今後医政局などにおいて議論されることなども踏まえまして、引き続き検討を進めていく事項であるのではないかと。今の時点で何らかの定まった方向性を持っているわけではございません。
○尾形分科会長
津留委員、いかがでしょうか。
○津留委員
ありがとうございます。
とはいえ、医療療養病棟では非常に多岐にわたる高齢者の入院を中長期で診ておりますので、これが全て例えば介護施設とかになってしまうと、これはかなり無理があると思いますので、これから慎重に議論していかなければいけない問題かなと思っております。
ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
ありがとうございます。
私から1点。133ページの中心静脈栄養を実施した患者のうち、拘束を実施した患者割合がやや高い病棟も見られたというところの、今回実態を明らかにしていただいた。大変ありがたいと思います。
中心静脈栄養をしていたときに自己抜去が起こらないようにするというのが必要ですが、身体拘束の必要性というところの判断や基準の解釈がどうだったか、調査には病棟が回答しているということも踏まえ、解釈に注意が必要ではないのかと考えております。患者さんについてどんな状況であったかとか、病棟の人員の配置状況がどうだったかといったところをもう少し深掘りをしていただいて、どうすれば身体拘束をさらに減らしていけるのかというところにつなげていけるような分析が必要ではないかと考えております。もし、こういった分析について、今の調査のやり方の限界が明らかになれば、次回以降の調査にもつなげていくべきではないのかと考えております。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
同じような御意見が出ておりますが、療養病棟につきましては、今後の患者さんを受け入れるという基本的な考え方は、維持されるものと考えられますので、在宅医療の提供体制を整備して、より医療の必要性に着目した、めり張りある評価をするべきと思います。
中心静脈栄養は、前回の改定の前後で大きな変化がなかったということが見てとれるわけですけれども、身体拘束の実施状況が今回新たに示されておりますので、この辺の取組をよく見て、また経腸栄養に切り替えるという観点から、どういう工夫ができるかということをしっかり検討していくべきと考えます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
ありがとうございます。
1点意見です。療養病棟の入院料1では看護職員の20対1と看護補助者の20対1の配置基準ですので、夜間も看護職員が1名でもいいということになっていますけれども、126ページ、127ページにあるような医療区分2・3の対象となる疾患・状態・処置等に多数対応するためには、夜間看護職員1人の体制では安全を保つということが難しいことを考えますと、夜間の体制次第では積極的に医療依存度の高い方を受け入れていくのが難しい状況なのではないかなとうかがえました。
今後療養病棟でどんな機能を果たしていくべきかということと併せて、夜間の体制についても検討が必要だと考えます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
私からまず2点質問をさせていただきたいのですけれども、126ページから127ページにかけて突然訪問看護、1日に複数回訪問が可能となるなどの特例がある別表7・8というものと、医療区分2における疾患・処置と合わされたようなデータをお示しいただいているのですが、別表7・8というのを医療区分の疾患・状態・処置と絡めた理由というのは何か特別なものがあったのでしょうか。突然出てきたので、我々としてもどう評価していいのかよく分からないというのが1つ。これが1点です。
もう一点が、132ページに療養病棟における経腸栄養管理加算の有無別の中心静脈栄養の実施状況を示していただいているのですが、これは病棟票、Cということでございますので、その数値を基に作成されているようですけれども、分母が令和6年10月の1か月間の入院実患者数で、分子が同期間の中心静脈栄養を実施した実患者数ということでいいのでしょうか。だとすると、経腸栄養管理加算の算定をしていない409の病棟のうち、例えば1病棟40床とすると、そのうち36人ぐらいがTPNをやっているというふうな病棟が数か所存在するということになるのですが、その認識で正しいのでしょうか。まず、その2つを質問としてさせてください。
○尾形分科会長
これは2点御質問ですので、事務局、お願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
1つ目の御質問につきましては、122にありますように、新たな地域医療構想のとりまとめにおいても、在宅で提供されている患者像と重複が認められるということ。そんな中で、全体の中で地域の中での療養病床の在り方が構築されていくということがお示しされておりますので、これは訪問看護のほうの重症度のところも示した上で、療養病床における医療区分と訪問看護における部分と併せた視点でお示ししたところであります。
2つ目の御質問については、御指摘のとおりの御認識ということで、そのとおりということになります。
○井川委員
そんなにたくさんTPNをやっている病院があるとはついぞ知りませんで、びっくりするような数字なのですけれども、分かりました。そういうふうな常識から外れた病院があるということで認識いたしました。
それはのけまして、質問というか、意見が幾つかございますので、お話をさせていただきます。131ページ、療養病棟における経腸栄養管理加算の状況が示されております。経腸栄養管理加算は、療養病棟に入院した患者が新たに経腸栄養を算定した場合に取れる加算でございますが、それが僅か9.3%と低く、あたかも療養病棟では経腸栄養に移行する気はないのではないかと思われるぐらいの数字になっているということなのでございますけれども、80%以上の施設が加算の届出が困難な理由として、栄養サポートチーム加算を届けられないということを挙げています。この栄養サポートチーム加算は、療養でどの程度算定できているのか。実は前回の分科会でも質問させていただき、お答えをいただくことになっていたところでございますが、令和6年度調査には入っておらず、令和4年度調査に入っております。令和4年度調査では栄養サポートチーム加算の算定状況は、療養病床1で9%、2では僅か5%程度しか取れていない。同時にされた算定できない理由の質問では、50%以上の施設が所定の研修を修了した医師・看護師・薬剤師の確保が難しいというふうに回答しています。
所定の研修というのはどういうものかというと、医師は10時間程度の研修なのですが、看護師とかコメディカルに関しては40時間以上の研修をやれということになっています。これは実は急性期病院と同様の基準なのです。看護師の配置が20対1のところと7対1のところで、看護師の数が全然少ないにもかかわらず同じ40時間の研修を受けろということになりますと、5日間その看護師さんが1人抜けてしまうということになりますので、結構療養病床の中では痛いということになります。
一方で、専任の管理栄養士がおれば取れるのですけれども、管理栄養士も年間7,000人以上輩出されていますが、実際に病院に来てくださる方は多くなくて、それを確保するのも難しいということで、実際には取れていないということでございます。つまり、経腸栄養管理加算は療養病棟では取りたくてもなかなか取れないということが現実だと考えますから、もしこの加算を本当に療養病床に算定させて経腸栄養を進めていくということを考えるのであれば、施設基準の見直しをやはり考える必要があるのではないかと考えています。
133ページにTPN実施患者の身体拘束率について記載がございます。R4年度調査の療養病床の身体拘束実施率は21.7%でございましたが、実施された463名の患者は全員認知症ケア加算を算定されていたということがそのとき明らかにされています。今回の調査では、令和6年10月1か月間の療養病床での身体拘束実施数は平均8.1人。同期間のTPN実施数は平均7.2人で、そのうち平均で言いますと2.0人。つまり、27%に身体的拘束がなされたと先月いただいた調査結果報告には記載されています。
一方で、TPN患者さんは経口摂取により十分な栄養を確保できないという患者像でありますので、認知症はその要因として極めて大きいものです。それらを考えますと、療養病床全体の身体拘束率21.7%に対して、TPN患者の27%は一概に高いとは言えない。そうすると、認知症患者かどうかという判定をしっかり下した上で、独立した要因であるかどうかというのを解析後に、TPN実施患者の身体拘束率が高いというふうな記載になるべきだろうと私は思っています。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、事務局の方で、これまでの御意見を踏まえて何かコメントがあれば。
○矢野補佐
事務局でございます。
本日いただいた御意見も踏まえましてさらなる分析を進めていきたいと思います。ありがとうございました。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
本日用意した議題は以上でございます。
次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○矢野補佐
事務局でございます。
次回の日程は未定でございます。また追ってお知らせいたします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、令和7年度第3回「診療報酬調査専門組織・入院・外来医療等の調査・評価分科会」を終了させていただきます。すみません。予定時間を20分近くオーバーしてしまいましたけれども、長時間にわたりまして熱心な御議論、どうもありがとうございました。