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2024年1月4日 令和5年度第12回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録
○日時:令和6年1月4日
14:00~16:00
○場所:日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8D
○出席者
【本委員】
尾形分科会長、猪口委員、井川委員、
池田委員、津留委員、林田委員、牧野委員、秋山委員
山本委員、中野委員、眞野委員、小池委員、田宮委員
武井委員 飯島委員
【専門委員】
藤田委員 豊見委員
【事務局】
加藤課長補佐 他
○事務局
それでは、定刻となりましたので、令和5年度第12回「入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催させていただきます。
それでは、尾形分科会長、よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
尾形でございます。明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ただいまより「令和5年度 第12回診療報酬調査専門組織 入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、今回の会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
初めに、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は鳥海委員が御欠席と伺っております。
また、前回に引き続きまして、議題が「医療機関等の職員における賃上げについて」であることを踏まえまして、幅広く専門の方の御意見をいただきたく、日本薬剤師会常務理事の豊見敦委員と日本歯科医師会副会長の藤田一雄委員に専門委員として御参加をいただいております。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
「医療機関等の職員における賃上げについて(その2)」でございます。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○加藤医療課長補佐
ありがとうございます。事務局でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、入-1「医療機関等における職員の賃上げについて(その2)」ということで、御説明させていただきたいと思います。
2ページ目に、本日の資料の目次をお示しさせていただいておりますが、まず、3ページ目から、これまでの経緯ということでお示ししております。
3、4、5ページ目までが、これまでの御議論でございますが、6ページ目に、前回、12月21日に開催しました、この分科会における御意見をまとめさせていただきました。
様々な課題がございますが、大きくは1つ目、2つ目の○にございますとおり、シンプルな設計にすべきだという御意見もいただいております。
一方で、5つ目などには、看護職員処遇改善評価料を例にして、一定程度点数を分類することも必要なのではないかという御意見もいただいたところでございます。
6つ目に、外れ値の分析が必要だろうという御意見もいただいておりますので、そのような御指摘を踏まえて、本日、資料を御用意させていただいております。
7ページ目に、前回もお示しさせていただいておりましたが、12月20日に大臣折衝がございまして、その中で※2のところでございます。令和6年度改定の大臣折衝の※2でございますが「うち、看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について、令和6年度にベア+2.5%、令和7年度にベア+2.0%を実施していくための特例的な対応 +0.61%」ということで、このような決定がございましたので、それに基づいて御議論をいただいているということでございます。
8ページ目にお示ししていますのは、改となってございますが、前回12月21日に、初回としてデータの分析、基礎的なシミュレーションを行い、それに基づいて御議論いただいたところでございます。
本日は、前回の御意見に基づいて、データ分析を再度させていただいておりますので、そのシミュレーション結果に基づいて、再度御議論いただきたいと思っております。
報酬改定は迫ってございますので、1月中旬以降には取りまとめをさせていただきたいと、そのようなスケジュールでおります。
9ページ目に、前回の資料で最後にお示しした論点、これに基づいて御意見をいただいたところでございます。
10ページ目から、前回の御議論を踏まえた基礎的な分析ということで、11ページ目を御覧いただきますと、前回の御意見を再掲してございますが、病院類型別の職員の配置状況の分布も必要だろうということで、御意見をいただいたところでございます。
その御意見に基づきまして、12ページ目以降にお示ししていますのは、病床機能報告から分析した内容でございます。病院類型別に、それぞれの医療関係職種の配置状況についてお示ししております。
まず、構成は病院類型ごとで同じでございますが、12ページ目にお示ししていますのは、看護師、助産師、准看護師、看護補助者、薬剤師ということでお示ししています。
傾向としましては、マル3、マル4の看護補助者、薬剤師に関しては、そのばらつきが看護師よりも、かなり大きく出ているという傾向でございます。
13ページ目は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士ということで、リハ職種の分布状況、配置状況、14ページ目に、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、管理栄養士の配置状況をお示ししています。
このような形で、ここまでが救命救急入院料を届け出ている医療機関ということでお示ししておりますが、15ページ目からは、地域医療体制確保加算でございます。
同様の傾向が見て取れておりまして、一定程度のばらつきがありまして、特にばらつきが多い職種も同様の傾向でございます。
18ページ目から小児入管でございます。それが20ページ目まで、21ページ目からが、年間の救急車受入件数200件以上の病院の配置状況ということで、このような形でお示ししています。
24ページ目から療養の病床のみを持っている病院における職員の配置状況ということで、療養病床のみの医療機関においても配置の状況については、かなりばらつきあるということは見て取れるかと思っております。それが26ページ目まででございました。
ここまでが、病院類型別における各職種の配置状況ということでお示ししました。
27ページ目から、この議論を踏まえた点数のシミュレーションということで、お示ししています。
その前提としまして、28ページ目から何点か前提となる情報をお示ししています。
1つ目の○にございますのが、診療報酬で対応する賃上げの対象職種ということで、大臣折衝事項を踏まえ、今回のシミュレーションにおける対象職種は、下記のとおりでございます。
看護職員から始まり、病院及び診療所の薬剤師、その他の医療関係職種ということで、※以降に記載してございます。
2つ目の○でございますが「診療報酬(+0.61%分)で対応する賃上げ率」ということで、令和6年度はベア2.5、令和7年度はベア2.0%を実施していくため、賃上げ促進税制が有効的に活用されること等を前提とし、診療報酬で対応する賃上げ率は、対象職種賃金の2.3%と想定して、今回シミュレーションを行っております。
使用するデータに関しましては、前回同様に、基本的には給与に関しては実調を、算定回数に関してはNDBを使用してございます。
訪看に関しては、介護事業経営実態調査を用いて分析を行いました。
29ページ目、今回の賃上げの点数を設定する流れについて、イメージ図でお示ししています。
2つございますが、1つ目にありますとおり、賃上げの必要点数それぞれについては、マル1初再診料等、マル2訪問診療料、マル3入院料の順に設定するということでシミュレーションを行っています。
2つ目の○にありますとおり、必要点数については、対象保険医療機関における、個々に賃上げに必要な金額を対象となる診療報酬の算定回数掛ける10円によって、割り込んだ値で算出した点数の中央値として、今回設定させていただいております。
下でお示ししていますとおり、マル1の初再診料の点数設定においては、黄色の枠囲みの中の1つ目の○でございますが、訪問診療料を算定しない無床診療所のデータにより、賃上げに必要な金額を初再診料等の算定回数掛ける10円で除し、個々の診療所で必要となる点数の中央値を賃上げ点数として設定しております。歯科診療所についても同じでございます。
まず、このように初再診料等の部分を固め、マル2にございますとおり、不足分になる部分に関しては、訪問診療で同様に点数を設定するという方式を取ってございます。
最後に、この2つ、初再診料と訪問診療料で不足する分に関して、病院においては、その分を入院料で割り込んで必要な点数を計算したと、そのような順序で今回シミュレーションを行いました。
これに関しては、通則的に全てのシミュレーションにおいて共通でございますので、御理解いただければと思っております。
30ページ目からは、まず、診療所です。医科診療所、歯科診療所でございます。
31ページ目を御覧いただきますと、シミュレーションの方法について、お示ししています。
2つございますが、マル1でございます。
まずは、在宅患者の訪問診療料の算定のない医療機関において、対象職種の賃上げに必要な初再診料等への賃上げ必要点数を算出しています。
その際、初診料と再診料または初再診料を包括されている診療行為について、それぞれ初診料に類するもの、再診料に類するものの区分に分け、算定回数と点数の比で案分しております。288点と73点です。
マル2にございますのは、マル1で算出した賃上げに必要な点数を用いて、この賃金増率を算出した結果、2.3%に満たない医療機関においては、不足分を在宅患者訪問診療料に上乗せすることを想定して、点数を設計しております。
同様に、訪問診療料に関しても2区分に分け、それぞれで案分しているというものでございます。
その結果でございますが、まず、32ページ目は包括されている診療報酬のコードということでお示ししています。
33ページ目に、賃上げに必要点数ということで、こちらは、まず、初再診料の必要額をお示ししています。
上半分が初再診料等の賃上げ必要点数ということで、マル1-1で中央値6となる分布をお示ししています。
マル1-2には、再診料における賃上げに必要な点数ということで、中央値が2点となってございます。
これにおいても不足しているところにおいて、訪問診療料に上乗せする場合の点数が下半分にございますが、中央値は28点と7点という結果になってございます。
34ページ目に移っていただきますと、今、シミュレーションで行った賃上げ必要点数で、今回はこの中央値を用いて、初再診料に上乗せした場合、医科診療所における賃上げ増率の分布と分析については、このような形になってございます。
こちらは、1つ誤植がございまして、右上でございます。ボックスの中、75%tileのところは1.6%と記載してございますが、4.0%の誤りでございます。大変失礼しました。
ということで、2.3%に近づけるため、点数設計しておりますけれども、このような形で分布しておりまして、2%から2.3%ぐらいのところに大きな山が来ているということでお示ししております。
一方で、左のほうに寄っている医療機関や、右のほうに寄っている医療機関も一定程度あるというところに関しては、外れ値分析が必要だろうということで、35ページ目、36ページ目にお示ししています。賃金増率が低い医療機関の分析ということで、こちらは、0.5%未満となる医療機関、53施設でございますが、お示ししています。
特徴としては、一定の類似診療科、人工透析などを行っているところに関しては、該当確率が高いだろうということが言えると思いますし、ほかにも、内視鏡や小児科等が散見されるということでございます。
36ページ目、賃金増率が高いほうの医療機関の分析ということでお示ししておりまして、15%以上になるところも23施設あるということで、こちらに関しては、対象職種の常勤職員数が少ないという傾向が見て取れるかと思っております。
37ページ目、歯科診療所におけるシミュレーションということで、こちらは、医科と同様にマル1では、初再診料の賃上げの必要点数を算出し、所定の今の算定点数との比で案分してございます。
マル2に関しても同様に、初再診料において賃金を補填した上でも、なお不足する分において、訪問診療料に上乗せすることを想定してシミュレーションをし、その点数に関して点数を2つに案分してございます。訪問診療料1と2と3ということで、2区分に分けて案分しているという試算を行っております。
その結果が38ページ目、歯科でございますが、歯科に関しては、医科と同様に御覧いただければと思いますが、初診料に関しては7点、再診料に関しては2点という形で出ております。いずれも中央値です。
訪問診療料に関しても、1に関しては33点、2、3に関しては10点ということで、中央値が出ているということでございます。
39ページ目は、同様に、今、点数設定した中央値において配分した場合の賃金増率のシミュレーション分布でございます。
2.3%を中心に、このような形で山ができて分布されているものの、非常に少ないところ、多いところも一定程度あるという結果になっているかと思っています。
40ページ目にお示ししていますのは、賃金増率の低いところ、高いところの歯科医療機関ということでお示ししています。
41ページ目からは、病院におけるシミュレーションになります。
42ページ目に、病院におけるシミュレーションの方法をお示ししておりますが、以下の方法で行ったということで、2つお示ししています。
1つ目のポツでありますが、繰り返しになりますが、まずは初再診料、そして訪問診療料の必要点数を設定して、不足する分を入院基本料等で上乗せすることを想定して計算してございます。
マル1のところで、一律の点数を設定した場合、マル2のところで、点数を複数に分けて病院ごとに点数を設定するという2パターンで、今回シミュレーションを行っております。
なお、2つ目の○にございますとおり、前回、事務局から提示させていただいた、入院基本料等別に点数を設定する方法に関しては、事務局内で繰り返しシミュレーションをさせていただきましたが、1つ目にありますとおり、病棟に配置されていない職種、いわゆる中央部門に配置されている職種に関しては、やはり一定の仮定を置く必要があって、分析の精度に限界があるだろうということ。
2つ目に関しては、仮に、入院基本料等別に点数を設定した後に、なお生じる医療機関別の補填の過不足を調整する際の考え方に課題があるだろうということから、現実的な対応ではないだろうということで、今回検討の対象外とさせていただいたことに関しましては、御承知置きいただければと思っております。
このようなシミュレーションの前提に基づいて行った結果が、43ページ目以降でございます。
病院ごとの入院基本料等における賃上げの必要点数と病院における賃金増率のシミュレーション、マル1ということで、一律の点数を設定した場合をお示ししています。
入院基本料等による賃上げの一律の点数を設定するということでシミュレーションをしますと、左中央値が62点となりますので、こうした62点を用いると43ページ目の右側半分にございますとおり、一定2%から2.3%ぐらいのところに山ができつつありますが、かなりばらつきが生じ得るという結果もお示ししています。
こちらも同様に外れ値分析をしてございまして、44ページ目からが、必要点数が高くなる医療機関の分析でございます。
点数としては500点以上のところもございますし、非常に高い点数が必要になってくるということでございます。
45ページ目でお示ししていますのは、賃金増率が高い医療機関でございます。
こちらの傾向としては、精神科病院が挙がってくるということになってございます。
46ページ目は、マル1の方法での病院類型ごとの賃金増率ということで、一律の点数を設定した上で、病院類型別で分けるとどうなるのかということでお示ししていますが、a、b、c、d、前回と同様に救命救急入院料の届出医療機関、地域医療体制確保加算、小児入管と救急車受入れ200件以上ということで分けさせていただいておりますが、御覧のとおり、一定のばらつきが御確認いただけるかと思っております。
47ページ目も同様に、精神病床のみ、医療病床のみというところをお示ししていますが、非常に大きなばらつきが生じているということでございます。
一方で、48ページ目からがマル2の方法でのシミュレーションでございます。
幾つか点数を分けるという考え方に基づいて、シミュレーションを行った結果でございますが、まず、48ページ目にお示ししていますのは、リード文の中ほどにございますとおり、5区分に分けるという方法でございます。病院ごとに点数を設定する場合の賃金増率の推計結果をお示ししておりますが、左側を御覧いただきますと、必要な賃上げ点数ということは、分布をお示ししていますが、いずれか5つの累計の点数を選択してもらった場合に、右側のほうに、一定程度2.3%に近いところで収束するという形で、グラフを御覧いただけるかと思いますが、一方で、若干まだ不足しているところもあったり、あるいは、多過ぎるところもあるという傾向が見て取れるかと思います。
49ページ目でお示ししていますのは、先ほどは5区分でございましたが、49ページ目は、1点から150点に分けるパターンをお示ししています。
左側は、当然ながら各医療機関によって必要な点数が、かなりばらけるわけではございますが、右側の各医療機関、いずれかの必要な点数150通りの中の1つを選択していただいた場合においては、御覧のとおり2.3%のところにぴたっと収束してくるということでございます。25%tileから75%tileまで2.3ということで、一定の収束が見られるということでございます。
50ページ目に、これまでの病院の分析についての論点整理をさせていただいております。双方メリット、デメリットがございますが、マル1、一律の評価を設定した場合ということで、論点にお示しさせていただいていますとおり、制度設計は当然ながら単純でございますが、医療機関の事務負担も小さくなることも想定されます。
加えて、同様のサービスに対する評価が同じになるということもメリットとしてあると思いますが、やはり賃上げの対象職種の在籍状況や給与の状況、算定回数等も医療機関によって大きくばらつきますので、過不足のばらつきが非常に大きくなるということが見て取れるかと思っています。
一方で、マル2でございますが、複数に評価を分けるということでございます。賃上げの対象職種の在籍状況や給与の状況、算定回数などに応じたものになるため、当然ながら、49ページ目を御覧いただきますとおり、過不足のばらつきを最小限に抑えることができるようになります。
一方で、医療機関の事務負担が大きくなるということもございますので、その点に関してどう考えるかということかと思います。
また、もう一つの論点として、2つ目の○にありますように、同様のサービスに対する評価が異なるということも1つ論点としてございます。
ただ、これに関しては、既に看護職員の処遇改善評価料においては、医療機関の状況に応じた評価を行っているところでございますので、そこと類似していると言えるかと思っています。
続きまして、51ページ目からが訪問看護ステーションにおけるシミュレーションということで、52ページ目にシミュレーションの前提を記載してございます。
訪看のシミュレーションについては、繰り返しになりますが、介護事業実態調査における給与費を用いて、各訪問看護ステーションにおける医療関係職種の給与を推計しております。
訪問回数がゼロ回であるような訪問看護ステーションは、推計から除外するのと、訪看に関しては、医療保険と介護保険の給付がございますので、基本的には、賃上げに必要な金額については、医療保険の訪問回数と利用者数で案分してございます。
訪問看護ステーションにおける医療関係職種の給与総額を2.3%引き上げる場合に、訪問看護基本療養費と、そして管理療養費の増額分を算出するシミュレーションを行いました。
53ページ目が、医療保険と介護保険の利用者の割合、こちらは前回お示ししたものです。
54ページ目は、訪看の一利用者当たりの訪問日数の分布でございまして、ばらつきがあるとともに、訪問日数が31日となっている利用者さんも、これだけいるということでございますので、こうしたところの特性も踏まえて、検討する必要があるということかと思います。
55ページ目は、基本療養費に増額した場合の必要点数と賃金増率のグラフでございまして、56ページ目は、それに対して管理療養費を行った場合、中央値が780円になりますけれども、そうした額を設定すると賃金増率はどうかということで、下にシミュレーション結果を示させていただいております。
一定のばらつきがあるということでございますが、当然ながら訪看に関しては、介護保険のサービスもございますので、そうしたことも踏まえた分析が必要だということでございます。
57ページ目、課題と論点ということでお示しさせていただいておりますが、課題は、今、申し上げましたところで、論点について3つ御用意させていただいきております。
論点につきまして、1つ目でございますが、診療所等において、簡素な制度設計が求められる中において、賃上げのためにどのような評価を行うことが考えられるか。
2つ目、診療所等において、一律の評価を行った場合に、極端に低い賃金増率の施設が想定されることについてどのように考えられるか。
最後、病院において、様々な施設がある中、評価を分けることにより、賃金増率が収束する傾向にあることを踏まえ、賃上げのためにどのような評価を行うことが考えられるかということで、論点を3つ御用意させていただきました。
ほかにも様々な論点があるかと思いますけれども、幅広く本日も先生方から御意見をいただければと思っております。
説明は以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から御意見、御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。
山本委員、どうぞ。
○山本委員
幾つか質問がございます。最後の論点でもありましたように、簡素な制度設計は重要と思いますが、医療機関における事務負担というところが、50ページに記載されているところですが、これは具体的にどれくらい大変なのか。
つまり、ある一定の、例えば計算式みたいのを厚労省側が提供してくれて、そこに数字入れると出てくるぐらいのことでいくのかどうか、その辺が、まず重要かなと。やはり実際の負担がどれくらいあるかどうか分からないうちに、負担と言われてもバランスが取りにくいのかなというのが1つ思いました。これは質問です。
それから、2つ目は、今のとも関連するのですけれども、例えば診療所に関して、どうも議論としては、診療所、事務職員もいないような中で、なかなか大変ではないかということで、一律の点数設定ということが検討されているようでありますが、一方で、33ページの左の上のグラフなどを見ると、賃上げに必要点数の分布というと、一番左端、要するに、ほぼほぼ必要ないというところがたくさんあるという理解でいいのかなと思います。
一方で、また右端に52が飛び出しているということもあって、やはり分布が、中央値6点というのは、あくまでも真ん中の何となく山になっているところを見たときの中央値であって、両端にでっかい飛び出しがある中で、こういう一律の設定で本当にいいのかなというのは、疑問に思うところであります。
それから、3つ目ですけれども、病院のところで48ページ、要するに5段階で分けると、右側のグラフにあるように、かなり真ん中にぐっと寄ってきますということで、この辺は、1つの落としどころなのかなという気もいたしますが、一方で、48ページの右のグラフの左のほう、1%に満たないような医療機関が、898施設のうちで20施設ぐらいあるということで、これは、前回申し上げましたが、パーセントで見てもよく分からない、具体的にどの程度の規模の病院が当たるのか、例えば、大学病院クラスがここに入ると、億単位での補填不足というのが生じてくるかなと、何となく想像しますので、やはりその辺をもう少し、もし、5段階で収れんし、ちゃんと真ん中に寄っているというのであれば、特に足りないところというのは、具体的にどのような規模の病院で、どれくらいの不足額が生じるのかというところは、もう少し細かに見る必要があるのではないかと思います。今のも御質問と意見でございます。
以上です。
○尾形分科会長
3点ほど御質問と御意見をいただきましたが、どうしましょうか、取りあえず、お答えいただけますか。
○加藤医療課長補佐
御質問ありがとうございます。事務局でございます。
まず、医療機関の負担ということでございますが、前回の看護職員処遇改善評価料でも提供しておりましたが、今回に関しましては、対象職種の給与総額がベースのデータとして必要でございますので、そこを算出していただくのは、医療機関で行っていただかないといけないわけでございますが、当然ながら点数設計に必要な区分、点数を分けた場合、必要な場合においては、当然ながら計算式、エクセルシートなのか何か分かりませんが、当然ながら厚生労働省のほうから簡単にやっていただけるように、できるだけ多くの医療機関が簡単に申請していただけるような形で、ツールに関しては配付する予定でございます。およそ前回の看護職員処遇改善評価料でやっていただいたような負担感で捉えていただければと思っております。
2つ目、診療所のばらつきに関しましては、一律の点数設計を行いますと、必ずこのような形で一定程度、左に寄ったり、あるいは右に寄ったりする医療機関がございますので、シンプルなものを追求すると、やはりこのような外れ値に近いような医療機関をどのように手当するのか、そのような論点が生じてくるかと思っております。
最後、48ページ目で5区分にした場合の不足する医療機関に関しまして、これに関しましても、先生に前回御指摘いただいたとおり、やはり財政規模が大きな医療機関においては、非常に大きな影響があるということでございますので、少しまた事務局においても、該当する医療機関に関しては、少しどのような状況か検討していきたいと思っておりますが、そういった影響をできるだけ排除しようとしますと、49ページ目のように、点数設計をより細かく分けるという方向に行くのかなと思っています。
ちなみに、この5区分と150個に分けるのと、先ほどの事務負担という観点で申し上げますと、エクセルシートに入力をすれば、取るべき点数は何なのかというのが出てくることを想定していますので、これを5つに分けるのと150に分けるのは、事務負担としては変わらないと、事務局としては想定しております。
○尾形分科会長
山本委員、よろしいでしょうか。
それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。
最初に質問したかったことは、今、お答えいただいたのですけれども、要するに、5区分で分けるのと、150区分で分けるときの事務負担の違い、これが同じなのであれば、よりきちんと収束した方向で点数設計をしたほうがいいのかなと思うところです。
あと、論点に沿ってお話ししていきますと、50ページのところで出てきます、一律の評価を設定というのと、マル2の点数を複数に分けて設定するということですけれども、一律の評価では、あまりにもばらつきが多いということ。これは、見てのとおりですので、特に、私として気になるのは、資料の46ページにありますけれども、救命救急とか地域医療体制確保加算届出病院、こういったところが、中央値の2.3%よりも低いところに中央値ができてしまう、こういった病院というのは、基本的に規模の大きな高機能病院ですので、職員数も当然多いということで、こういったところで賃上げに関する十分な補填がされないのであれば、ちゃんとした賃上げをするには、なかなか難しいということも起こり得ますので、やはり賃上げを目指すのであれば、それに沿ったきめの細かい補填ということをお願いしたいと思います。
その意味で、マル2にあります中でも、150区分と、事務負担が同じならば、より精度の高いものに持っていくほうが、私自身はいいと思います。これが、まず1つです。
2つ目は質問になるのですけれども、論点の57ページにあります、診療所のところなのですけれども、特に2つ目の○、極端に賃金増率の低い施設ということであるのですけれども、基本的には、透析ですとか、消化器内科で内視鏡手術をやっているような、そういった診療単価が高い施設、初再診料に依存していない施設、こういったところがそれに相当するのだろうなと見て取れるのですけれども、そういったところと、もう一つ気になるのが、特に歯科などがそうなのですけれども、自由診療ですね、インプラントを専門にやっている施設、こういったところも当然入ってくるのかなと思うのです。
こういった自由診療であれば、そこから必要な賃金分を請求すればいいと思うのですけれども、透析とか内視鏡手術、そういったところであれば、ちゃんとした補填が得られないということも考えられるのですけれども、こういったものに対する対応は、何か考えているのか、考えられないのか、そういったところをお聞きしたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
2点目は御質問ですので、それでは、事務局、お願いいたします。
○加藤医療課長補佐
御質問ありがとうございます。非常に重要な論点でございます。
御指摘いただきましたとおり、今回、初再診料を一律の点数で設定した場合に、外れ値として、特に賃金増率が低くなるような医療機関に対して、どのような対応ができるのか、まさしく非常に重要な論点でございます。
35ページ目を再度御覧いただきますと、一定の診療科の偏りがあって、透析や内視鏡など、先ほど、牧野委員からは初再診料によらない単価の高い診療を行っている医療機関ということで、少し類型化をしていただきましたが、そのような医療機関に対してのアプローチの仕方もあるかと思いますし、このような形では特性として出てまいりませんが、内科と記載してあるところの中には、一定診療科の特性があるわけではなく、例えば、僻地や対象になる人口が小さい診療所なども該当してくるかと思っています。
そういう医療機関においても、しっかりと賃上げに資する加算体系を取るためにも、どのような対応ができるのか、そういう特性に対応するのか、あるいはそもそも十分な賃上げができないであろうというところが、計画段階で分かる場合における対応の仕方というのは、一定考えられるのではないかと思っておりますので、そのような考え方に基づいて検討してまいりたいとは思っております。
事務局の考えとしては以上でございます。
○尾形分科会長
牧野委員、よろしいでしょうか。
○牧野委員
了解しました。ありがとうございます。
○尾形分科会長
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
牧野委員の御発言に続いて発言いたします。まず、12ページ以降、病院群別に、改めて職員の配置数を示していただきまして、ありがとうございました。
これで、同じ機能を持つ病院に対しては、同じような配置になるであろうと思って見ればいいかなと思い、それであれば、一律の点数でいいかなと思いましたが、やはり、事務局の説明があったとおり、かなりばらつきがあるということ。
特に、救命救急入院料届出病院は、それなりに山があるようには見えますけれども、小児入院医療管理料届出病院につきましては、看護師さんも含め、かなりばらつきがあるということが見て取れましたので、これは、一本ではきびしいかと感じました。
それを受けて、50ページのほうに行きますけれども、先ほど来御意見が出ておりますが、これを一律ではなく、区分して、5区分か、150点区分かということになりますけれども、より収束しているのは、49ページ目に示されております150に分けたところでございます。手間の有り無しという点を差し引いたとしても、やはり細分化が、より精緻な結果となりよろしいのではないかと思います。
その上で、結果、患者さんの数が変動することが考えられますので、そのときの担保といいましょうか、変動に対してどうするかということについても、ルール化を図っておく必要があるのではないかと思います。
それから、今、牧野委員から点数が低いところについては、御質問がありましたが、逆に多いところについても考えなければいけないと思います。要するに、グラフの右にシフトしてしまう病院群につきましては、どうするかということも考えていかなければいけないのかなと。診療所については、病院のように区分を示すと、先ほどの事務局の御説明の意図に反してしまうような内容になってしまうかもしれませんが、区分を考えるか、それでなければ調整を図るとか、何らかの工夫が必要かなと思います。
それから、訪問看護ステーションに関しましては、54ページ、1人当たりの訪問日数の分布がばらけていることを考えますと、対象としては、やはり1月当たりの訪問看護管理療養費のほうではないかなと思いますけれども、これについては、事務局の御意見を伺いたいと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
最後の点は、御質問ですので、事務局、お願いいたします。
○加藤医療課長補佐
事務局でございます。
最後、訪問看護ステーションに関する御意見をいただいたところでございます。基本療養費と管理療養費ということで、今回お示しさせていただきましたが、分布に関しては、すごく圧倒的な差があるわけではないかと思っています。
これに関しましては、メリット、デメリット両方あるかと思っておりまして、基本的には、各訪問看護ステーションにおいて、1人当たりに対して頻度の高い、訪問日数が多い訪問看護ステーションもあれば、少ない訪問看護ステーションもあって、そうしますと、管理療養費につけると、そこに関しては、一定の不公平感があるのではないかという御意見にもなるかと思いますし、一方で、54ページ目の分布にもありますとおり、31日に訪問をしているようなところに関しては、これも全て一律の点数を基本療養費のほうにつけるのは、妥当なのかという観点もあるかと思っています。メリット、デメリット両方ありますので、基本、今のところ事務局のほうでは、いろいろと検討している、まだ決め切っているわけではございませんし、本日、委員の先生方から様々な観点で御意見をいただければと思っておりますので、この点に関しても、引き続き、御意見をいただければと思っております。
○中野委員
すみません、でしたら場合によっては両論併記になる可能性もあるみたいな感じですか、まだ、これからの検討でしょうけれども。
○加藤医療課長補佐
そうですね、最終的に取りまとめに当たっては、本日の御意見を踏まえて取りまとめ案をお出しさせていただきたいと思っております。
○中野委員
ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
ありがとうございます。
まず、質問なのですけれども、今回ベースアップという考え方でやっているわけですけれども、一般的には人事院勧告、俸給表などを使う場合には、それでどれだけ定期昇給があって、さらに全体をベースアップしていくという考え方でやって、公務員などですと、そういう考え方だと思いますけれども、果たして民間の中小医療機関、診療所が、今、そういう考え方をしているかというと、まずしていないわけですね。
独自の給与表をつくっていたり、そのときの状況によって、昇給をどうしようかということを考えたりしてやっているので、なかなかベースアップとはっきり書かれると、ここに昇給の部分はどう考えるのかと、その辺のことが絡みますので、そこは、多分報告義務もあるのでしょうし、あまりぎちぎちにやられると、少し現状と合わないかなということで、どうでしょうかというのが質問です。
それから、幾つか私の意見ですけれども、まず、49ページの左側は、いわゆる看護処遇改善と同じ考え方で、1万2000円アップさせるところを2.3%アップで固定して割り込むので、こうすると、正確に出てくるだろうと思います。ですから、私は、もうこれしかないかなと思いました。
それから、診療所なのですけれども、ここは、なかなか悩ましいなと思っているのは、簡素化と、それから点数が百何十通りもつくれるはずがないので、どうするかということもあるのですけれども、やはり35ページ、36ページの初再診が少なくて人数が多い、これだと当然補填率は低くなる。初再診が多いけれども、対象者が少ない場合には、非常に増えてしまうということがありますので、これを一律というのは、なかなかほかの要件をいろいろ加えても厳しいのかなという感じがしますので、これは、ふと、私が考えただけですけれども、48ページの右側に5段階でうまく収束しているという方法がありますので、5段階ぐらいならば、外来でも補填の点数は設定できるのではないかと。それによって、今よりはもう少し収束させられるのではないかと、これは、シミュレーションを私がやるわけではないので分かりませんけれども、イメージとしては、可能性があるかなと思いました。
あと、訪問看護も非常に悩ましい、つまり、介護保険が断トツで多い訪問看護ステーションはかなり多いので、そうすると、医療保険は数が少ないですから、また、非常に補填率のばらつきが出てしまうので、ここも何らかの特性に応じた訪問看護と医療保険とか、そういう特性を幾つかつくることによって、段階がつくれるのではないかなと思った次第です。
以上です。
○尾形分科会長
最初の点は御質問ですので、事務局、お願いします。
○加藤医療課長補佐
ありがとうございます。
医療機関におけるベースアップの考え方については、まさしく今回の大臣折衝では、令和6年度2.5%、令和7年度2.0%のベアを行っていくためにという記載になってございます。
この政府目標に対して、今回御議論をいただいている内容を、どのように活用し得るのかということに関しては、御議論を踏まえて、中医協総会においても、また、再び御議論をいただきたいと思っておりますが、先生から御指摘いただいたとおり、中小の医療機関、特に個人立の医療機関においては、そのベースアップの考え方に関して、大企業とは同様ではないという御指摘をいただいたと思っております。
こうしたところ、実際にこれを運用するに当たって、どのような整理で、考え方で、この目標値を達成していくに当たって、御報告も一定程度していただく必要あると思っておりますので、定義していくのかというところに関しては、慎重に検討してまいりたいと思っています。ありがとうございます。
1つ御提案いただきました、5区分ぐらいでどうかということでございますが、今、御参照いただきました医療機関に、病院における5区分のスライド48ページ目を御覧いただきますと、正直、診療所も病院も必要な点数の分布というのは、近しいものではございますが、48ページの右側、5つの点数設計を御覧いただきますと、29点から115点までございます。
この点数設計を5つに分けるだけでも、非常に外れ値に近い医療機関を、同様に2.3%に収束させに行こうと思うと、診療所の外来においても、かなりの点数をそこに当てないといけないということは、今回、お示ししていないシミュレーションを行う中でも見えてきたところでございまして、そうした加算が、一定程度、初診料288点に対して、どれぐらい点数を上乗せして、外来の患者さんにも共有され得るのかというところに関して検討しますと、かなり限界があるのではないかと考えているところでございます。
御指摘も踏まえて、ポイントとしては、やはりこれだけ増率が低いところ、高いところに関して、しっかり手当をしていかないといけないということに関しては、先生の御指摘はごもっともだと思っておりますし、我々も同様の課題認識でございますので、引き続き、これに関して解決する方法、対応する方法については、検討していきたいと思っています。御指摘ありがとうございます。
○尾形分科会長
よろしいでしょうか。
○猪口委員
ありがとうございました。
○尾形分科会長
ほかに、藤田委員、どうぞ。
○藤田専門委員
ありがとうございます。
歯科の立場から意見を述べさせていただきます。
昨年の12月21日開催の分科会におきまして、できるだけ幅広で、柔軟かつシンプルな仕組みをお願いしたところでございます。事務局におかれましては、短期間で詳細なシミュレーションの検討をいただき、まずは御礼を申し上げたいと思います。
資料の28ページの2つ目の○でございますけれども、診療報酬に対応する賃上げ率、これが各種賃金の2.3%想定と具体的な数字が出てございますけれども、小規模なところが多い歯科診療所では、対象職種となる歯科衛生士などの職員数も少ないところが非常に多い。1名増減しただけでも大きな影響が出てまいります。
今回御提示いただいたシミュレーションでは、基本的に初再診料とともに、歯科訪問診療料への補填という設計となっており、初再診料での評価と、在宅歯科医療を実施している医療機関への配慮というシンプルな今回の制度設計が、基本的には望ましい形ではないかと考えます。
一方、資料の39ページでございますけれども、ここに歯科のシミュレーションが出てございますけれども、極端に低い賃金増率の施設が一定数出てくることが示されております。やはり、このような補填不足となる施設への対応も必要と考えております。
先ほど猪口先生からの発言がございましたけれども、歯科診療室におきましての定期昇給とベアの切り分けは、非常に難しい状況でございます。
最後となりますけれども、全体の仕組みとして複雑にならないような制度設計にすべきと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
これは、御意見として承りたいと思います。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
私も意見でございますけれども、各委員がおっしゃいますのと、かなり重なると思いますけれども述べさせていただきます。
病院に関するシミュレーションから見ますと、1の一律の評価を設定するということにつきましては、対象病院全てを見た43ページの右の賃金増率の分布を見ると、割といい分布に見えるのですけれども、46ページ以降の病院類型別を見ると、特に施設数の少ないところ、対象とならなかった小児入管の届出病院や精神病棟のみとか、あと、療養病床のみということは、非常にばらつきが著しい。
これは、恐らくn数を大分増やしてもきれいな分布にはならないということから考えますと、一律の加算での対応は過不足のばらつきが非常にあって、かなり無理があると考えております。
一方、利用点数を複数に分けて、病院ごとに評価を設定する方法というのは、49ページにあるように、150区分に分けた場合には、確かに93%の病院、837施設が2.2から2.3%に収まると、非常に良好な結果が得られます。
50ページの論点ありますように、事務負担を少しでも減らすためには、私は区分数を減らしたほうがいいのかなと思って考えていたのですけれども、事務局のお話では、5区分でも150区分でも変わらないということであれば、これは150区分一択しかないと感じております。
そもそも今回のシミュレーションで見させていただいたところで、基本的な感想といいますか、意見を述べさせていきますと、例えば同じ療養病棟で同じ点数を増点した場合に、賃金増率がほとんどないところから10%も上げられるところがあるということと、今回、診療報酬で人件費の増額を施設間格差がないように補正するためには、幾つかの区分、恐らく150区分になのかと思いますけれども、分けて対応しなければならないということは理解できるのですけれども、そもそも、なぜそれほどの差が出てくるのかという点に関しては、まだまだ検証がされていないという気がいたします。
先ほど牧野委員がおっしゃられましたけれども、透析などを頑張っておられる、内視鏡的なことをやっておられるところが、非常に賃金増率が低いということが、ある程度分かってきていますけれども、ほかの観点から見た場合にどうなるかという検証があまりなされずに、単に点数に応じて加算額といいますか、給与額のアップ率に応じただけで増点をしていくと、150種類に分けたとしても、それを増点していくというのは、今後これをしっかりと検証していかなければ、何か誤った方向に進んでいく可能性はあると、私は考えております。それで、その検証はできるだけ細かく行う必要があると考えております。
以上です。
○尾形分科会長
これは、御意見として承りたいと思います。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
今回、精緻なデータをお示しいただきまして、本当にありがとうございました。
1から150のパターンで非常に収れんされたデータを示していただきましたけれども、先ほどから問題なっております事務作業の問題、看護師処遇改善評価料の場合は、看護師のみだったので、まだ、事務作業は、そこまでではなかったのかなと思いますけれども、28ページにも示されているように、かなり幅広い職種も対象としていただけるということで、ただ、まだ十分にしっかり定義されていない部分もあるように思います。保育士等ということになっておりますので、この辺が、非常に幅広い職種をどのような形で、簡単にインプットすることで事務作業を簡便にされるのかどうかというところは、非常に気になるところです。
あと、私のほうから2点ほど質問をさせていただきたいと思いますけれども、今回、28ページに、実調においてのデータで、非常勤職員の分も含めた給与で推計しているとございます。
一方、35ページには、実調での非常勤職員数の把握ができていない点には、留意が必要とありまして、これは地域性もあったりということで、非常勤、パート職員に非常に多く依存している医療機関もあろうかと思います。
その辺りをどう配慮されるのかというところ、そして、今後、何かしらの算定法が決まった場合に、医療機関の判断で、そのパートの賃上げにも使うとした場合、しかし、その報告義務はきっちりしてもらいますよと、非常に厳格に行いますよという形にされるのかどうかというところを、お聞きしたいと思います。それが1点です。
もう一つ、今回、有床診療所単独のデータは特に示されませんでしたが、42ページに有床診療所も病院と同等の扱いという形で、恐らくデータ解析をされていらっしゃるのかなと思いますけれども、有床診療所となりますと、また、事務局の問題もあろうかと思いまして、また、外来診療の依存度も高い有床診もあろうかと思います。
そういった場合、病院と同等の収れんが見られたのかどうかと、それも大体150パターンとかにすれば、病院同等の収れんになっていますという理解でよろしいのかどうか、その辺りを教えていただきたいと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
2点御質問をいただきましたけれども、事務局、お願いいたします。
○加藤医療課長補佐
御質問ありがとうございます。
まず、1点目のパート、非常勤の方の取扱いに関しまして、御指摘のとおり、医療機関においては、非常勤を多く採用しているところがあるということは、事務局としても承知しているところでございます。
最終的に、今回御指摘のとおり、この加算なり何なりの形で手当した場合においては、報告が発生するということは御指摘のとおりかと思います。その中で、どのような形で対象職種、常勤、非常勤を含めて御報告していただくのかということに関しては、今後、中医協総会のほうでも御議論いただく内容かと思っております。
当然ながら非常勤職員が多いから、そこは報告しなくていいということにはならず、この加算に関して、一定の医療機関に対して、この加算による収入があった場合においては、どのような形で賃上げにつながっているのかということを報告していただくというのが、基本的な設計でございますので、原則的な考え方にのっとりますと、非常勤であったとしても、当然、給与総額が上がるにつれ、報告をしていただくというのが考え方になるかなと思っております。
その際における医療機関における事務負担等に関しても、当然ながら考慮しないといけないところではございますが、原則としては、今、申し上げたところかと思っています。
有床診に関しても、基本的には病院と同じような考え方で検討しないといけないと思っておりますし、実調のデータを用いておりますので、有床診に関してもかなりn数が少なくなるということもございますが、基本的な考え方としては、医療機関、病院であっても有床診であっても、この初診と訪問診療と入院で構成されていることが同じだということを考えると、49ページ目にあるように、このメカニズムから考えると収束するものだろうと、我々は想定しております。
以上でございます。
○尾形分科会長
津留委員、いかがでしょうか。
○津留委員
ありがとうございます。
○尾形分科会長
ほかは、いかがでしょう。
よろしいですか、まだ時間はありますが、では、事務局、お願いします。
○加藤医療課長補佐
先ほど御指摘いただいた部分に関して、少しコメントをさせていただきたいと思います。
対象になっている人員の増減が生じ得るだろうということで、御指摘いただきました。これに関しましては、看護職員の処遇改善評価料を運用していく中でも同様の課題がございましたが、特に、これを今回診療所まで拡大することによって、より顕著な問題になってくると思っています。そもそも職員数が少ない場合において、その増減が、この制度設計の中でも非常に大きなインパクトがあるだろうということで、この課題に関しては事務局も認識しておりますので、その場合にどのような形で御報告していただくのか、それを十分勘案した上で御報告を求めないといけないと思っておりますので、また、適切に対応させていただきたいと思っております。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ほかは、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等もないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりにしたいと思います。
本日の議論は以上でございます。
本日御議論いただきました内容につきましては、中医協診療報酬基本問題小委員会のほうに報告をさせていただきます。細かい文言等の微修正については、私に御一任いただけますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○尾形分科会長
ありがとうございます。
それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
それでは、次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○加藤医療課長補佐
次回の開催は、まだ、未定でございますが、改定に向けて日が迫っておりますので、できるだけ早い段階で、また、先生方にも御案内させていただきたいと思っております。ありがとうございます。
○尾形分科会長
それでは、以上をもちまして「令和5年度第12回診療報酬調査専門組織 入院・外来医療等の調査・評価分科会」を終了させていただきます。
本日は、お忙しい中、熱心な御議論をどうもありがとうございました。
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