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2023年8月10日 令和5年度第5回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録
○日時:令和5年8月10日
14:00~16:00
○場所:日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F
○出席者
【委員】
尾形分科会長、秋山委員 飯島委員、井川委員
池田委員、猪口委員、小池委員、武井委員、
津留委員、鳥海委員、中野委員、牧野委員
眞野委員
【事務局】
加藤課長補佐 他
○尾形分科会長
こんにちは。ただいまより、令和5年度第5回「診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、今回の会議の公開については、YouTubeによるライブ配信で行うことといたしております。
まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、田宮委員、林田委員、山本委員が御欠席と承っております。
それでは早速議事に入らせていただきます。まず、1つ目の議題であります急性期入院医療(その2)につきまして、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、2ページ目以降、急性期入院医療(その2)について御説明させていただきたいと思います。まず、(1)ということで前回の議論における御指摘を御説明させていただきます。
3ページ目に前回の御議論の御指摘、まとめさせていただいておりましたが、特に7月20日におきましては600床以上で急性期充実体制加算、届け出ていない施設はどうか、あるいは300床未満の急性期充実体制加算届出医療機関について分析をということで御指摘いただきました。
4ページ目から6ページ目は前回資料でございますが、7ページ目に、600床以上の急性期充実体制加算を届けていない医療機関のその理由について、入・外調査から分析しました。その結果、右側でお示ししていますとおり、手術等に係る実績、そして、いわゆる敷地内薬局の要件に係るというところがそれぞれ3施設ずつあったということでございます。
8ページ目は、この急性期充実体制加算が増加傾向であって、令和5年1月以降も4月にかけて200まで増加したというような傾向をお示ししています。
9ページ目は、前回もお示しした急性期入院料1と急性期充実体制加算と総合入院体制加算の届出状況を分析したものでございますが、今回は特定機能病院を含めてその3つの類型が急性期1の中でどれぐらいの割合なのかということで、赤の折れ線ブラフでお示ししていますが、10ページ目は人口10万対で比較したものでございます。それぞれ御覧いただいていますとおり、かなり都道府県においてのばらつきが顕著であるということが見て取れるかと思います。
11ページ目御覧いただきますと、こちら、300床未満の急性期充実体制加算ということで、最新のデータ、令和5年の4月におきましては、全国で6施設がこの300床未満ということで該当していたということでございますが、その6施設の中で5施設はいわゆる都市部、5都府県にある医療機関であったということと、一番右側にございますが、大分県でも、右側のグラフを御覧いただきますと、その二次医療圏には特定機能病院もあり、ほかにも急性期充実体制加算もあるような二次医療圏で取られていたというような傾向が見て取れました。
12ページ目以降、前回の宿題事項ではなく、その他の一般の病棟における重症度、医療・看護必要度などについて御説明させていただきたいと思います。
13ページ目以降、前回の改定資料でございますが、16ページ目、前回の中医協でもお出ししました病床の推移ということで、急性期一般1が令和2年以降増加傾向であるという傾向等をお示ししています。
18ページ目は、その中で看護補助者の従事者数というのが平成26年以降減少しているということを再度お示ししています。
19ページ、20ページは救急搬送の高齢者における軽症、中等症、中でも症状・徴候診断名不明確という方が増えているということをお示ししているもの。21、22は三次救急、二次救急における件数の分布、23ページ目は医療計画における救急医療のイメージで出口問題が発生しているということを再度お示ししたものです。
24ページ目は、2040年までに向けて今後増加するのが75歳以上だということをお示ししたものでございます。
25、26に、これまでいただいた意見、中医協や同時改定の意見交換会でいただいた意見をお示ししています。
27ページ目以降、まずは重症度、医療・看護必要度の概要をお示ししておりますが、その前に、32ページ御覧いただきますと、平均在院日数の分布をまずお示ししています。かなりばらつきがございますが、多くで施設基準の18日を下回っておりますが、この右側を御覧いただきますと、許可届出病床別で特に病床数が小さいところにおいては、この平均在院日数、ばらつきが大きいということでございます。
33ページ目御覧いただきますと、この平均在院日数と病床の利用率の分布をお示ししているところでございます。
34ページ目は、急性期、特に1においては、必要度IIを用いているところは約9割ということでお示ししています。
35ページ目は該当患者割合、36ページ目以降、急性期の病棟種別ごと、そして200床未満、200床以上でこの該当患者割合を比較しております。必要度IIのほうが全体の傾向として基準未満割合が小さくなっているというような傾向が見て取れるかと思います。
続きまして40ページ目からは、A項目における各入院病棟ごとの該当患者割合でございます。御案内のとおり、心電図モニターの管理というものを前回廃止しておりまして、それに相対するような形で、この薬剤3種類以上というような分類が加わっておりますけれども、点滴ライン同時3本に代わって薬剤3種類以上となっておりますが、こちらの該当患者割合が令和3年に比べると大きくなっているということでお示ししています。
その傾向を42ページ目までお示ししています。
今申し上げました点滴同時3本のところ、43ページ目にどう改定したのかということで概要をおまとめしておりまして、44ページ目に専門的な治療・処置の該当患者割合を詳細にお示ししていますが、いずれにおいても、ドレナージの管理というのが一番多い該当処置ということになっております。
45ページ目以降、高齢者に多い疾患ということで、今回、75歳以上に占める割合が多いものから順に並べさせていただきました。1番目はコロナということでございますが、2番目にいわゆる誤嚥性肺炎、うっ血性心不全ということで、17番目までの疾患でおよそ30%を占めるというような傾向でございます。
そうした高齢者に多い疾患を46ページ目でお示ししていますが、どの入院料の種別のところで入院されているかということで、全疾患で見ますと、55%が急性期でございますが、特に注目していただきたいのは2番、6番、8番などでございますが、こういった高齢者の典型的な症例に関しても、急性期1で同じような割合で入院しているとともに、括弧内が救急搬送で入院した割合になります。こちら、誤嚥性肺炎は65.9%、尿路感染症57%など、主要な高齢者の疾患の一部は、こういった救急搬送の割合は非常に急性期1で高くなっているというような傾向でございます。
47ページ目御覧いただきますと、こうした高齢者に多い疾患における入院料間における医療資源投入量の比較をお示ししています。急性期1と地域一般1、2、あるいは急性期2~6と比較して御覧いただいておりますけれども、まず全疾患ですと、地域一般1、2と急性期1を比較すると約2.4倍の医療資源投入量が急性期1には投入されているということでございますが、この赤字でお示ししています誤嚥性肺炎、あるいは尿路感染症に関しては1.24倍、あるいは1.4倍ということで、医療資源投入量は差が小さくなっているということでございます。
48ページ目御覧いただきますと、これは横軸が地域一般1、2と急性期1の比較、縦軸が急性期2~6と急性期1の比較でございますが、こちらにおいて、いずれにおいても左下のほうに誤嚥性肺炎、尿路感染症というのは集約してきていて、急性期1とそれ以外の急性期、あるいは地域一般の病棟と医療資源投入量の差が小さいというような傾向でございます。
そして、49ページ目御覧いただきたいのは、今申し上げたような高齢者に多い疾患に関して、特に誤嚥性肺炎、尿路感染症に関して言うと、この点線のところが急性期1における必要度の基準でございます。25~28%ということでお示ししていますが、こちら、基準を超えてくる患者の割合が比較的多いということが見て取れるかと思います。
そういった誤嚥性肺炎や尿路感染症に関して、50ページ目においては、基準1、2、3のうち1、2で満たしている患者が多いというようなことをお示ししています。
51ページ目からは、入院後、日数ごとでこの必要度の該当割合をお示ししておりますが、まず、全般、51ページ目は、急性期一般における入院後日数ごとの必要度、基準該当割合、左側を御覧いただきまして、右側がA項目でございます。いずれにおいても、入院5日後までは該当患者割合が一定いるものの、6日目で大きく低下し、その後フラットというような傾向が強いということかと思います。
52ページ目御覧いただきますと、その中でのA項目の該当割合と、そして、一番該当割合が高くなる入院2日目を見ています。A項目、どういうもので該当しているのかということでございますが、特に入院2日目、右側御覧いただきますと、右側の一番下、救急搬送後の入院ということで、特に誤嚥性肺炎、尿路感染症、腰椎骨折等での該当割合が非常に高くなっているということが見て取れるかと思います。
53ページ目御覧いただきますと、急性期1の全疾患の年齢と、急性期1の75歳以上の入院後の日数の各項目該当割合ということでございます。こちらも、いずれかの基準該当しているものと救急搬送後の入院というものがかなり相関していることが大きく見て取れるかと思いますが、54ページ目に御覧いただきたいのは誤嚥性肺炎、尿路感染症、腰椎骨折に関しては、この必要度に該当している患者と救急搬送での得点がかなり相関しているということが見て取れるかと思います。
55ページ目はその入院料間における比較でございまして、急1、あるいはそのほかの医療機関、ほかの急性期2~6、4~6で比較しておりますが、右下御覧いただきますと、入院2日目における救急搬送後の入院のところでは急性期1、75歳以上、赤のバーでございますが、そういった患者さんが該当している割合が高くなっているというのが見て取れるかと思います。
同様の傾向を56、57ページ目で各疾患ごとでお示ししています。
58ページ目、課題、論点をおまとめさせていただいておりますが、論点としましては、高齢者の軽症、中等症の救急搬送が増加する中で、特に急性期病棟における集中的な急性期医療を必要とする患者への対応に対する適切な評価及び機能分化の推進の観点から、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度についてどのように考えるのかということで、論点、御用意させていただきました。
説明は以上になります。
○尾形分科会長
どうもありがとうございました。それでは、この議題につきまして、前回の議論における御指摘も踏まえ、スライドで言いますと58枚目につきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
まず、11ページの地域のコアとなるべきだったろうと思われる病院で、急性期充実体制加算を取ってほしいというようなもくろみがあったと思うのですけれども、実際、この11ページで調べてみますと、その6病院でございますか、近くに特定機能病院があったり、大きなところで、都道府県の大きな町にこういう病院があって、本来意図していたところとちょっとずれているのではないかなという思いがいたしました。
もう一つ、19ページの高齢者の救急でございますけれども、軽症、中等症が多いということは、恐らく高齢者が受診しにくい何か背景があるのではないかなと思うのです。中等症とか軽症でも病院に行きにくい背景があるのではないかなと思うのです。ですから、この受診された方々が、例えば独居なのかとか、家族がいてサポートができるのかとか、一律に高齢者でというと、受診できない理由を何か考えなければいけないかなあということで、家族性の問題とか、それから地域性ですね。都市とか、非常に田舎なのかというところをもう少し見たらどうかなという思いがいたしました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。事務局からのコメントはまた後ほどまとめて行いたいと思います。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。まず私は、今、鳥海委員がおっしゃった高齢者の誤嚥性肺炎とか尿路感染、こういったものが救急に行くということの背景ということで実際に現場にいて感じているのは、今、高齢者というのは独居であったり、老老介護であったり、とにかく若い人がいない中で、高齢者だけで生活をしているということが非常に増えてきています。したがって、通常なかなか医療機関もかかることが難しい。まして、こういった肺炎、尿路感染という感染症で熱を出したときにはもう動けなくなってしまう。ですから、通常の外来受診ということはまずあり得ないということで、どうしても救急に頼るということになります。今後こういった救急利用というのはますます増えるだろうということは当然予測されます。ですから、これをどこで見るのか、三次救急で見るのか、二次救急で見るのか、地ケアで見るのか、そういったこと、この議論は非常に重要になってくると思います。
その議論の中で、今日出していただいたデータというのは、高度急性期の病院で見たとしてもそうでないところで見たとしても、医療資源の投入量はそれほど大きく変わらないというようなデータも示していただいたのだと思います。
確かに、がんの治療のように、手術をしたり、高い薬を使ったり、そういったものと訳が違いますので、感染の治療、抗生剤とかうまく使えば回復できる。ですから、必ずしも高度急性期の病院である必要ないわけですけれども、そうであれば、逆に、地ケアにしろ、入院料2以下の病院であっても、受け入れやすい診療報酬というのがついてくれば受けていただけると、そういったことが見えてくるのかなと思っております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
ありがとうございます。何点かあるのですけれども、まず、18ページの看護業務補助者の従事者がだんだん減っているというお話ですが、これはもう本当に切実な問題で、看護補助になる介護福祉士の人も含めて、本当に今日本中の医療施設、介護施設が悲鳴を上げているわけです。ただ、この問題は若年者がこれからも減るということで、医療・介護の中で話せば解決するという問題では全くなくて、むしろ外国人の方をどう招聘するか、それから、DXがどのように進んで寄与するかとか、そのようなことで、これは国家的な問題だろうと私は思っていて、ぜひ国のほうでもこの問題を大きく取り上げていただきたいと思っているところです。
続きまして42ページですけれども、重症度、医療・看護必要度の問題ですけれども、このデータを見る限り、心電図モニターがなくなったという大きなこの間の改正があったのですけれども、点滴、薬剤3本以上というのが増えたり、ほかのものに振られて思ったよりも影響は少なく済んでいるけれども、大分スコアとしては落ちましたという結果だろうと思っています。
私は、この重症度、医療・看護必要度をこの間みたいに非常に重要な部分をなくしてしまったりということもやられたわけですが、やはり項目を変更するときに、その影響とか、実態としてどうなるかと、そのようなことを十分に調査して慎重にやっていただきたいと思いました。
それから、先ほどから出ている高齢者の救急の問題ですけれども、高齢者の救急というのは、要は、今の起きたこと、骨折にせよ、肺炎にせよ、それよりも前の状態がどうだったかということが非常に大きく関与します。それによって治療方法が変わったりすることも当然あるでしょう。例えば年齢の問題にしても、要介護の問題にしても、そういうこともあるし、中には集中的な治療が必要になるということもありますし、そうではないということもある。そうすると、どこに入院するかというのは非常に多面的な面から考えていかなければいけなくて、一概に急性期よりも地ケアという話ではないだろうと思います。
ただ、急性期に行ったとしても、必要な治療が終わったら一日も早く後方転送する、そこに導くような方法を考えることによって、かなりこの問題は解決されるのではないかなあと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、秋山委員、津留委員の順番でお願いします。秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
ありがとうございます。私からも3点意見です。
まず、34ページのIとIIの届出状況について、既に6月8日の分科会で示された資料ですが、必要度Iを届けている理由の大半が「変更の必要性を感じていない」という実態ですので、評価方法を統一する上でも、また看護師の評価の手間を軽減する観点からも、できるだけ早く必要度IIに一本化すべきだと考えます。
2点目は44ページの「専門的な治療・処置」の該当患者割合についてですが、今回、11の下位項目についてもお示しいただきありがとうございます。ほとんどの項目では、急性期1から6にかけて該当割合が小さくなっていることが見て取れるのですが、令和4年の「抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用」では少し異なる動きが出ているように感じました。「抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用」の該当患者割合については、特定機能病院7対1や、専門病院7対1、急性期1では、令和3年に比べて令和4年に減少している一方、急性期4、5、6では、令和3年に比べて令和4年に増加していることが見て取れます。
N数が少ないので何らかの要因による影響が大きく出ただけなのかもしれませんが、「ドレナージの管理」、「免疫抑制剤の管理」に次いで該当割合の高い項目ですので、何がしか、モラルハザードのようなものが生じていないか、今後も注視していく必要があると思います。
3点目は、先ほどからも話題になっております高齢者の救急搬送ですが、、必要度Iの「救急搬送後の入院」、必要度IIの「緊急入院を要する状態」の項目については、現在、単独2点という高い得点が5日間カウントできるという評価票になっていますので、もともと介護を要する高齢者の場合、当然、B得点が高く、5日間ほぼ自動的にA得点2点かつB得点3点以上の基準が当てはまってしまうということだと思います。
ですので、この項目については、2点から1点に減点するか、もしくはカウント期間を5日間から短縮するか、あるいはまた、最初2日間は2点、その後3日間は1点といったような形で、期間に応じて得点に傾斜をつけるのか、何がしかの見直しが必要ではないかと考えます。
とはいえ、高齢者の誤嚥性肺炎や尿路感染、腰痛圧迫骨折等においては、医療資源投入量に差がないという結果に照らせば、医療の必要度という点からは、必ずしも急性期病棟でなくてもよいのかもしれませんが、実際、看護の必要度という点からは、実際、急性期病棟並みに集中的に看護の手をかけないと早期回復が難しい患者だということも確かだと思いますので、急性期病棟に代わって、こうした高齢患者の受け皿となる病棟においても高い看護師配置が必要、特に夜間の手厚い看護配置がないと受け切れないのではないかと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。今回、高齢者救急における、特に誤嚥性肺炎、尿路感染症について、資料を多方面から分析いただきましてありがとうございました。私のほうから2点、要望と意見を述べさせていただきたいと思います。
今回の資料では、令和4年の1月から12月のDPCデータを用いて、75歳以上では誤嚥性肺炎、尿路感染が多かったということは分かりました。ただ、45ページから47ページ辺りを見ますと、一番多かったのはコロナ感染症となっていまして、この時期、令和4年1月、12月は急性期一般1でも、ゾーニングをきちっと分けて、一般の患者はある程度制限して対応していた、もしくは院内でクラスターが発生してしまって、最もその中で医療資源投入量が多くなる疾病として新型コロナを選択したということかなと。新型コロナの場合、出来高算定で加算も取れるというようないろんな事情があったかと思います。ということは、つまり、このコロナの中にほかの疾病が数多く含まれているのではないかということがちょっと懸念されるところです。
様々に新型コロナの影響を受けているデータであるという認識も重要でないかなと思いまして、このデータを基に必要度の評価の見直しを今検討しようとしているところですけれども、それで大丈夫なのかなと。コロナの影響を受ける前の2019年の例えば1月から12月のDPCのデータとの比較も見たほうがいいのではないかと思いましたので、これはちょっと要望としたいと思います。
もう一点ですけれども、2022年度の診療報酬改定で令和4年度の調査から急性期一般入院料1、いわゆる7対1が微増していたというデータは本日もお示しいただきましたけれども、今後、A項目、B項目の評価の基準を変える、あるいは点数を変える、そして必要度を満たす割合のパーセントを調整することで、果たして医療資源投入量が少ないと評価されている誤嚥性肺炎、尿路感染をうまく地ケアに移行できるのかというのは、それはそう簡単ではないだろうと思うところです。
あと気になる点は、48ページですが、ここでお示しいただいた赤文字の誤嚥性肺炎のすぐ隣に脳動脈血栓症による脳梗塞というのがプロットされているのですね。これは医療資源の投入量が少ないと評価されていますけれども、脳梗塞の場合は、治療経過によっては、ADLをその後大きく下げてしまって、後でリハビリとか、医療資源をたくさん使っている可能性なんかもありますので、その後の経過をどうやって評価、見ていくかということも必要なのかなと思いますし、そういうことで、気になるのは脳動脈の血栓症による脳梗塞のところで、同一のDPC病名でも様々な病態があるのではなかろうかと。それは同じく誤嚥性肺炎についても同じことが言えるのではないかなと思いますので、一律に医療資源投入量が少ないからということで、例えば必要度をカットするとかいうことになりますと、医療の現場にはいろんな影響を及ぼしていく可能性が懸念されるなと思いますので、この点は注意が必要だと思いました。これは意見でございます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
前回の議論における御指摘から入らせていただきます。まず、8ページでございますけれども、急性期充実体制加算の届出が徐々に増えているというのが見て取れるわけでございまして、人口構造の変化を踏まえて医療資源を重点化するためにも、地域で妥当な数の目安が必要ではないかということは以前から申し上げているところでございます。
それを受けて、併せて総合入院体制加算からの移行も多く占めているわけでございますけれども、前回は、地域医療の関係ということで精神科関係が話題にもなりましたけれども、地域医療に支障が生じないということは大原則になるわけでありまして、そういう観点からも、今後は新たに急性期充実体制加算を届け出る場合には、地域の医療構想調整会議、こちらで事前に議論するようなことを要件化するということも考えてはどうかということを思いました。
それから、地域医療という視点でございますけれども、11ページ、300床未満で、急性期充実体制加算を届け出ている医療機関6施設ということでございますけれども、全て同じ医療機関におきまして、ほかに急性期充実体制加算の届出医療機関があるという現状。それから、一つの二次医療圏を除いて特定機能病院が存在しているということを先ほど説明ございましたけれども、そういうことになるわけでございますけれども、こういった中で、300床未満を対象とする病床当たりの実績要件が必要になっているのかどうかというのが改めて思うところでございまして、これについては検討することが必要なのかもしれません。
それから、一般病棟用の必要度に関してでございます。まず、32ページ、急性期一般入院1の平均在院日数についてでございますけれども、90%以上の施設で、施設基準であります18日より2日以上短いが、病床数が少ない場合に平均在院日数が長い施設が見受けられます。また、33ページにおきましては、300床未満の場合、平均在院日数が長い施設で病床利用率が長くなるという傾向がうかがえます。200床未満の該当患者割合の基準を引き上げるべきということで今回は提案したいと思います。
41ページから42ページにかけてでございますけれども、必要度のA項目で、点滴ライン同時3本、薬剤3種類以上が、かなりというレベルで伸びているという感じがします。これは前回改定して定義を変更したことが大きく影響するわけだと思いますけれども、次の43ページにその定義に基づくペーパーが用意されておりますけれども、そもそも点滴ライン同時3本としていた趣旨を踏まえまして、改めて注射薬剤の取扱いにつきまして、このたび、注射薬剤になったわけですけれども、この取扱いについて改めて検討すべきではないかという感じを持っております。
44ページ、抗悪性腫瘍剤の使用、それから、抗悪性腫瘍剤の内服管理の患者割合が若干減っているということが示されております。要因は外来化学療法の増加によります影響、それから入棟患者の疾患構成の変化による影響、多々考えられるわけでございますけれども、このままの形で評価いたしますと、外来化学療法を適切に評価しているかどうかがちょっと疑わしくなってくるのではないかという感じがしています。今後も評価項目として位置づけるというのであれば、外来と入院が明確に分かるようなすみ分けが必要だと考えられます。
それから、45~49ページにかけてでございますが、誤嚥性肺炎、あと大腿骨頸部骨折、尿路感染症など、高齢者に多い疾患で、急性期一般入院1に入院する際には救急搬送されるケースが多いわけですけれども、医療資源投入量は、ほかに比べると、急性期一般1と地域一般入院料1、2でそれほど大きな差がないということが示されております。これらの疾患は必ずしも、これを見ますと、急性期一般1で見る必要がないのかどうかということ、地域包括ケア病棟を積極的に活用すべきかということだと思いますけれども、この辺りも改めて検討すべきだと思います。
それから50ページでございますけれども、誤嚥性肺炎、尿路感染症、腰椎骨折におきまして、B得点で3点以上の該当割合がほかと比較して高いと、これは必要度の基準を満たしやすくなっているのではないかということを考えさせるデータだと思いますので、急性期一般入院1、2についてはB項目が果たしてどれだけなじんでいるものかということを改めて再度検討すべきではないかという感じもしております。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
ありがとうございます。高齢救急の問題を中心に2点意見を述べさせていただければと思います。
1つ目は、23ページのいわゆる出口問題というところになるかと思います。こちらは受け入れる側とともに、送る側の双方へのアプローチが大切ではないかと思っております。高齢の患者さんで、合併症を有するような方の場合、救急で搬送された原因になる疾患だけではなくて、合併症や背景疾患等があり、そのことが次の受入れを困難にする事例というのもあるのかと思っております。急性期救急側、でも、栄養の問題、ADLの問題、医薬品の調整を呼内ですとか処方の問題ということを受入れ側の医療機関が受け入れやすいような形で調整する等が必要でしょうし、受け入れる側も、透析であったり、合併症の管理といった部分の対応の強化、それを促す仕組み、評価ということも含めて今後検討していくことが必要ではないかと考えております。
2点目です。他の委員からも多々御指摘があるところですけれども、重症度、医療・看護必要度に関してです。誤嚥性肺炎ですとか尿路感染症の救急搬送、あるいは緊急入院後の該当割合が高いというところですけれども、秋山委員からも御指摘あったように、こちらの割合が平均より高いというよりは、むしろこのほかの割合が相対的に低い可能性があるのかと思って拝見しておりました。
それぞれの点数を見てまいりますと、5日間については、A得点において2点というところをどう考えるのか、例えば原因となる疾患別に何か考えていくことができないのかというところについても今後の課題になるのではないのかなと考えております。
いずれにしても、高齢救急医療の特性を考えた上で、人の手当てであるとか、特に夜間の体制であるとか、医療機関間の連携を一層促進するような仕組みづくりということも併せて検討する必要があるのではないか、このように考えております。
私からは以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは眞野委員、どうぞ。
○眞野委員
ありがとうございます。44ページの専門的な治療・処置の該当患者割合のところで、先ほど中野委員も少し触れられましたけれども、抗悪性腫瘍剤の使用と抗悪性腫瘍剤の内服の管理について、7対1特定や7対1専門でほかに比べて高くなっています。これはがん治療をしている患者さんの割合がほかよりも高いことを示していると考えています。
抗悪性腫瘍剤投与直後は特に重篤な副作用が表れることがありますので、一定時間、観察の頻度を上げる必要があると思いますし、内服剤はレジメンで定められたスケジュールどおりに内服することは非常に重要ですので、適正な服薬管理が求められます。このような観点から、医療・看護必要度が高くなるので、これらの項目が設けられていると理解しています。
例えば重篤な骨髄抑制を引き起こすような薬剤や、過敏症の頻度の高い薬剤の場合には、より医療・看護必要度は高くなると考えますけれども、一方でレジメンによって、あるいは使用する薬剤によって異なると思います。例えば初回投与で特に気をつけなければならない薬剤もたくさんありますけれども、特に内服剤の場合は全ての薬剤で頻度の高い観察が求められるかどうかと言えば、必ずしも管理の必要性が高いものばかりではないと考えられますので、どこで線引きすべきか難しいですが、少し細かくなりますけれども、例えば薬剤やレジメンを考慮しながらめり張りをつけることも可能と思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
先ほど中野委員からB項目に関することがちょっと出てきたのですけれども、今もそうですけれども、今後さらに起こってくると思っていますのは、いわゆる高度急性期医療、要介護の人ですね。介護認定されたような人にそういった医療を行うということが今後ますます増えてくるだろうということがあるわけです。これは高齢化ということで、明らかに急性期病院の入院患者の年齢層が上がっているというところからそれも分かるわけです。
ただ、そんな中で、当然、B項目のあり方というのは今後問題にしなくてはいけないかなと思っています。といいますのは、A項目のほうはレセプト電算コードから取れる看護師の負担の軽減できる手法を見つけているわけですけれども、残念ながら、B項目は相変わらず、日々看護師がつけているものに頼っているということです。ただ、今後やはりそういった負担軽減ということを考えると、例えば要介護度とかADLとか、あと退院支援とか、常に別な格好で評価できるもの、そういったものも組み合わせることで評価の負担軽減を図っていくことも考えられるのではないかと考えています。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。
それでは、いろいろ御意見頂戴しましたので、ここまでのところで事務局のほうからコメントないしは回答をお願いいたします。
○加藤補佐
事務局でございます。
本日も多数の御意見ありがとうございました。明示的な御質問はなかったかと思いますけれども、およそ事務局としてコメントさせていただきたいところ、何点か述べさせていただきたいと思います。
まず、鳥海委員から御指摘いただきました急性期充実体制加算の300床未満の6病院、意図とずれているのではないかという御指摘もいただいております。こちらに関しても御指摘を踏まえてさらに今後検討していきたいと思っておりますが、また高齢者に関しても御意見いただきました。受診できない理由、地域性などを見るべきではということでございます。今回お渡しした資料に関しましては、消防庁からデータ提供していただいておりますので、さらなる分析、このデータからはなかなか難しいところもあるかと思いますが、高齢者の救急というのは引き続き課題だと思っておりますので、どのような検討ができるのか検討してまいりたいと思っております。
牧野委員から何点か御指摘いただきました。高齢者救急の背景、独居や、かかることが困難な高齢者はどうしても救急に頼らざるを得ない。そういった中で、二次救急、三次救急のあり方をどう考えるのか、非常に大きな命題だと認識しています。
また、急性期1で受けないのであれば、2から6などにおいて受けやすい体制、報酬体系などが必要なのではないかということで御指摘いただきました。
猪口委員からは、看護補助者が減少している課題に関しまして、国家的な問題であるということで、我々はそのとおりだと思っておりますが、このような形で、中医協や、あるいは分科会などではどうしようもならない課題であるのは確かかと思いますけれども、我々事務局としてもそのような認識のもとで可能な対応をとっていきたいと思っております。
必要度について、前回の大きな変更のもと、やはり十分調査して取り組んでもらいたいということで御指摘いただきました。今回、心電図モニターを外して、注射器3種類に関しても、前回シミュレーションをかなり行って、一定程度シミュレーションどおりな部分もあったかと思っておりますけれども、引き続き慎重に、現場にどのような影響あるのかというのは十分なシミュレーションを行いながら取り組んでいきたいと思っております。
また、高齢者救急に関しましては、要介護度が上がっている方も多くて、一概にどこで受けるべきなのかということは言えないのではないかという御指摘はそのとおりだと思っておりますし、また、重要な御指摘として、一日も早く後方転送することが重要だということで御指摘いただきました。こういった視点、非常に重要だと思っておりますので、これに対してどのような対応ができるのか検討してまいりたいと思っております。
秋山委員からは、必要度IIをさらに推進すべきという点と、そして抗血栓薬に関する分析がもう少し必要なのではないか、モラルハザード起きていないかというような御指摘をいただいております。非常に重要な点だと思っておりますので、こちら、検討してまいりたいと思っています。
高齢者急性期に関しましても、やはり看護の高い配置が必要なのではないかということで御指摘いただいておりますので、そういった視点も重視しながら検討してまいりたいと思います。
また、津留委員からは、高齢者の疾患の分析においてコロナ感染症に関しての影響をやはり除外できないのではないかというような御指摘もいただきました。こちらは、今回、誤嚥性肺炎や尿路感染症、コロナの影響は小さいであろうというものも、そういった推察もしながら分析しておりますけれども、ほかに過去のデータも含めてどのような分析ができるのか検討してまいりたいと思っています。
また、そういった高齢者救急に関してなかなか地ケアにうまく移行できないのではないかというような御指摘もいただきました。様々な病態がある中でどのような形で適切なところで入院していただけるのか、どのような形で促していけるのか、また検討してまいりたいと思います。
中野委員からは、急性期充実体制加算、前回同様に、まず目安が必要なのではないか、また、今回新たに構想調整会議なども経ることを要件化するべきではないかというような御指摘もいただきました。こちら、医政局が担当部局になりますけれども、担当部局と連携して、今後どう対応できるのか検討してまいりたいと思います。
平均在院日数についても御指摘いただきました。200床未満、200床以上で評価を分けるべきではないかというような御指摘もいただいております。薬剤3種類に関しましても、先ほど御指摘もありましたけれども、これに関して一定のシミュレーションを行ってはございますが、この影響について検討を深めていきたいと思っています。
抗悪性腫瘍薬に関しましても、先ほど眞野委員からも御指摘いただいておりますが、外来ケモとのすみ分けが重要だということは御指摘いただいた点として認識しております。また、B項目が急性期1になじむのかという点がポイントだということで御指摘いただきました。
また、小池委員からは、出口問題について受入れ側の体制として十分かどうか、そういった視点も必要だということ。救急搬送後のほかの5以外の評価というものは相対的に低いのではないかというような御指摘もいただきました。こうした点も含めて、高度急性期のあり方、仕組みづくりについて広い視野でこういった必要度については検討が必要だと思いますので、そのように今後も進めていきたいと思っております。
眞野委員からは、抗悪性腫瘍薬に関しまして非常に詳細な御説明ありがとうございました。レジメンによって、初回投与のときに注意が必要、あるいは内服薬は比較的そういった懸念が低いのではないかというような御指摘もいただきました。めり張りのある評価ということで御指摘いただきましたので、御指摘踏まえて検討してまいりたいと思います。
最後、牧野委員から、B項目について、こちら、やはり高度急性期救急の中でも非常に要介護度の高い方が負担になっているというようなこと、そして、B項目をとること自体がやはり看護師さんにとっては非常に大きな負担になっているということで御指摘いただきましたので、この評価のあり方についても、御指摘を踏まえてまた検討してまいりたいと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ただいまの事務局のコメントにつきまして何か追加的な御意見等ございますでしょうか。
よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、本件に係る質疑はこの辺りにしたいと思います。
次の議題に進みたいと思います。2つ目の議題でありますが、高度急性期入院医療について(その1)でございます。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
事務局でございます。引き続きよろしくお願いいたします。
63ページ目から高度急性期入院医療について(その1)ということで御説明させていただきたいと思います。
まず、65ページ目から、どの入院料のところに治療室が配置されているかということでお示ししています。
66ページ目は特にHCUの状況、67ページ目も、医療機関別でどのような割合でHCUが配置されているのかということでお示ししています。
68ページ目は必要度の該当患者割合、69ページ目は各項目別でお示ししています。
70ページ目は、御指摘も踏まえて、今回、病床規模別で必要度の該当患者割合をお示ししておりまして、HCUの病床数は10床以下、あるいは20~30床でどう異なるかということでお示ししています。
71ページ目、72ページ目は、そのHCUの患者さんがどのような項目を必要度満たしているのかということで、心電図モニターが100%に近いというような状況、輸液ポンプも90%を超えているような状況が見て取れるかと思います。
73ページ目は、このHCUの分析において、今回、ICUの併設の有無について分析しております。ICUがない場合、左側のグラフの真ん中でございますが、A得点3点以上という患者の割合が高いというような傾向でございます。
74ページ目は、病床の10床未満、20床以上で、ICUありなしで細かく分析しておりますが、同様の傾向でございます。
75ページ目は入室経路別でどのような患者さんが入っているか、HCU1、2、ICUのあり、なしで分析を行っております。
入室経路に関しましては、76ページ目にお示ししていますとおり、ICUの併設有無にかかわらず、かなりばらつきがあるというような傾向でございます。
77ページ目は、御覧いただきますとおり、マル3の入院初日の手術なし、家庭または施設からの緊急入院のところは、A得点3点以上の割合が若干低くなっております。そのうちB項目4点を満たすというような患者さんの割合は、真ん中、御覧いただきますとおり、非常に高く推移しているということかと思います。
78ページ目はそれぞれの該当患者、項目別でお示ししているものでございます。
79ページ目も同様に各項目の該当割合をお示ししています。
80ページ目は、ここから重症化率で見ております。重症化の定義を、HCUの連続して算定している期間後に死亡、あるいはICUに転室を行った数ということでお示ししておりますが、25%tileと75%tileで切って比べてございますが、81ページ目でございます。意外と、HCUに関しましては、ここの部分、逆転している部分がございまして、重症度が低いところでも必要度の該当患者割合が高くなっているような項目が見て取れます。
一方、82ページ目の人工呼吸器に関しましては、重症化率が高い群において該当患者割合が高いというような傾向でございます。
83ページ目は、必要な常時監視を受けているような患者の割合の分布ということでお示ししています。こちらに関しましては、84ページ目を御覧いただきますと、点滴同時3本、動脈圧、Aライン、シリンジポンプ、人工呼吸器などで、やはり75%tile以上のところが該当患者割合多いというような傾向でございます。
まず、HCUに関しましては85ページ目にお示ししていますとおり、論点としましては、一般病棟ではなく、治療室で診療する必要のある重症度の高い患者に対する医療提供を適切に評価する観点から、HCUにおける重症度、医療・看護必要度の評価項目についてどのように考えるのかということでお示ししています。
86ページ目から、ICUにおける重症度、医療・看護必要度等についてということでお示ししています。
87ページ目は、必要度IかIIか、88ページ目は患者ごとで見ておりますが、必要度Iと必要度IIの分布の傾向をお示ししておりますが、1、2、3、4で大きくその分布に偏りがないことをお示ししています。
90ページ目、91ページ目は、患者ごとの必要度IとIIにおける該当患者割合をお示ししていますが、かなりの割合でこの必要度を満たしているということでお示ししています。
一方、92ページ目からが平成30年度以降導入しておりますSOFAスコアでございます。こちら、ICUにおいては測定されているものの評価には用いていないということでこれまで位置づけられておりました。
93ページ目御覧いただきますと、ICUにおけるSOFAスコアと死亡率には一定の相関があるということで、以前よりお示ししておりますが、そのようなものでございます。
94ページ目は治療室における主な施設基準、95ページ目はSOFAスコアの分布、96ページ目は必要度の該当ありとなしでSOFAスコアがどうかということでお示ししていますが、該当している場合は、4割以上、SOFAスコア5点、該当なしですと15%ぐらいがSOFAスコア5点以上という傾向でございます。
97ページ目を御覧いただきますと、必要度で見ていただきますと、死亡や治癒との比較で大きな差が生じていないにもかかわらず、右側を御覧いただきますと、SOFAスコア5点以上だとかなり差が生じるというようなことでございます。10点以上だとさらに生じるわけでございますが、こういった性質がSOFAスコアにあるということでございます。
98ページ目、99ページ目で、各病棟ごと、施設ごとにおけるこの必要度の該当患者割合をお示ししておりまして、このような分布ということでございますが、100ページ目を御覧いただきますと、SOFAスコア5点以上の患者の割合ごとの治療室数ということでございます。こちら、点線枠囲みの外側が全体でございますが、点線枠囲みの中は必要度90%以上の施設に絞ってございますが、この上と下の分布に関しては大きな違いがないということで見て取れるかと思います。
100ページ目を御覧いただきたいと思いますが、論点でございます。特定集中治療室に入室している患者の重症度、医療・看護必要度及び入室時のSOFAスコアの分布、転帰との相関及び施設ごとのばらつきを踏まえ入室時のSOFAスコアの活用、特定集中治療室の患者の使用についてどのように考えるのかということで論点をまとめさせていただきました。
御議論よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、この議題につきまして、スライドで言いますと101枚目までにつきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員 ありがとうございます。まず、ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度のほうですけれども、まず、A項目の中に心電図モニターの管理というのが入っています。これは一般病棟用でも特定集中治療室管理料用の評価項目からも現時点では外れているということは御存じのとおりです。ハイケアユニットだけが残っているのですけれども、実はこれ、該当患者割合がほぼ100%に近いという状況ですので、これを外すということを考慮できるのかなということは思います。
ただ、一般病棟用でこれを外したときにかなり影響を受けた一部の患者群があります。これは循環器疾患の患者なのですね。循環器内科では実はこれによってかなり下がりました。それで、その代わりにということではないのですけれども、83ページの四角い枠で囲っている、これが多分、常時監視が必要な患者群ということで例示しているのかなと思うのですけれども、この中のエに「血管作動薬を使用している」とあります。ですから、こういったものを充てるということもできるかなと、代わりに導入するということもあっていいのかなと思いますし、あと、ここにあるイのところの透析というのが、アとウの人工呼吸器とECMOはもう既に項目として入っているのですけれども、透析というのが単独では入っていないということもありますので、こういったものも新たな項目の候補になるのかなという気はいたします。
あと、点滴ライン同時3本以上というのは、これが私も今後どう考えていいのか分からないのですけれども、少なくとも一般病棟用のものに合わせたほうが分かりやすいのかなという気はしております。
あと、B項目に関してですけれども、77ページの右のグラフの真ん中のところ、A項目3点以上のうちB項目4点以上というのはほぼ100%に近いということもありますので、ハイケアユニットが重症患者用の治療室であるということも考慮すると、特定集中治療室と同様に、B項目の評価は必要ないのではないかと考えます。
次に必要度IIですね。これは一般用とICUでは必要度IIがあるのですけれども、ハイケアユニット用ではないということになっています。これもやはり評価のための負荷軽減という観点から、このハイケアユニット用においても、必要度IIの導入を考慮すべきと考えるところです。
次、特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度についてというところでのお話になりますけれども、まず、ICUへの人的要件ですね。特に医師の常時配置に関する宿日直基準に関しての疑義解釈が最近出ました。確かにICUというのはそれを管理する専任の医師のみが関わっているということが必要なのは書かれています。ただ、現実にはその専任の医師1名のみが関わっているわけではなくて、複数の診療科の多くの医師が協力しながら治療を常に行っている。そして、そういった医師は、常時ICUの中にいなくても、治療室の中にいなくても、オンコールとかで必要時にいつでも来られる体制をとっているのが普通だと思います。そういった点も今後評価というか、今後の検討の中では考慮されてもいいのかなと思っています。
あと、看護必要度に端を発したこの重症度、医療・看護必要度というのはだんだん看護の必要性の評価から患者そのものの重症度の評価に変わってきているというのがまず事実です。その視点から、現在の集中治療室用の重症度、医療・看護必要度を考えていく必要があると思います。
71ページを見ると、ハイケアユニット用と集中治療室用の必要度の該当患者割合を比較して見ることができます。この中でシリンジポンプを除きますと、動脈圧測定から右側の項目ですね。動脈圧測定、中心静脈圧測定、人工呼吸器の管理、輸血や血液製剤の管理、肺動脈圧管理、特殊な治療法等というところで、これは特定集中治療室とハイケアユニットでは該当患者割合が明らかに異なっているのですね。ということは、これらは評価票において2点の項目にもなっているわけでして、ICUの評価項目がこの重症患者の指標として十分機能していると見ることができると思います。
ただ、今度、97ページ、今回、SOFAスコアがかなり問題になっていますのでこれについて述べたいと思いますけれども、97ページにありますように、重症度、医療・看護必要度の該当の有無とSOFAスコア5点以上、10点以上と転帰の相関、どちらも相関があるのですけれども、ただ、SOFAスコアのほうがよりいい相関のようにも確かに見えます。ということから、SOFAスコアが患者の重症度そのものを示す指標として評価できると考えます。
ただ、その観点から、この95ページを見ると、入室時のSOFAスコアの0点の患者割合が管理室ごとに17%から26%もあるということが示されています。これは一見、重症でない患者が入室しているというようにも見えます。しかし、現場の人間からこれに関して弁解していきますと、例えば術後、手術終わった直後の不安定な患者を観察する目的で入れるというICUの使い方は当然あるわけです。また、最近では、ラピッドレスポンスシステムですね。これは急性期充実体制加算でも出てきて注目されていますけれども、これを行っていきますと、重症化する前の患者をピックアップして、そしてこれを早めに対応する、そのためにICUを使う、そういった使い方もあるわけです。ですから、そのような利用もあることを考慮した上で、今後、SOFAスコアも含めたICUの基準を考えていくべきと考えます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
ありがとうございます。71ページのHCUにおける入室時の状態別の重症度、医療・看護必要度の該当患者割合を見ますと、心電図モニター、輸液ポンプの管理についてはほぼ全ての患者で該当していますし、心電図モニターに至ってはもう既にICUでも一般病棟でも評価票から削除されておりますので、私も、これらの項目を削除することについて検討すべきだと考えます。
ただし、輸液ポンプについては、ICUの評価票にもまだ含まれていますので、ICUの評価票についても併せて検討すべきだと思います。
一方で、蘇生術の施行については救急蘇生後を除いて該当患者はほとんどなく、救急蘇生後の8割以上の患者が、人工呼吸器、点滴ライン3本以上にも該当していることを見ると、蘇生術の施行というような項目も外せるのではないかと思います。
73ページ以降の資料からは、ICUのない病院では本来ICUで見るべき重症患者をHCUで見ているという実態や、ICUのある病院では本来HCUでも見られる術後患者等をICUで見ている可能性などが示唆されたように思います。常時、2対1以上のICUで見るべき患者と、常時4対1や5対1のHCUでも見られる患者を適切にスクリーニングできるような評価票が求められると考えます。
ICU基準を満たす患者割合、ICU基準は満たさないがHCU基準は満たす患者割合の組合せによって、常時2対1から5対1までの治療室の整合性のとれた評価体系を構築すべきだと思います。
ICUについては、95ページの入室日のSOFAスコアですが、SOFAスコアは臓器障害の程度を表していますので、入室時のSOFAスコアでは、先程牧野委員からお話がありましたように予定手術後の患者などでは高くならないことや、疾患による差もありますので、ICUの患者像や医療・看護の必要度を測る指標として単独では使えないのではないかと思います。入室理由ごとの入室のSOFAスコアや、入室時の必要度のA得点との相関、またA項目のうちの特殊な治療法等の該当有無別の入室時SOFAスコアなど、入室理由と状態の組合せがどうなっているかをもう少し分析する必要があると思います。
また、入室時のSOFAスコアの高い患者が一定割合いることをICUの要件に加えることに反対するものではありませんが、入室時のSOFAスコアの解釈に当たっては、先ほど牧野委員からもお話がありましたように、急性期充実体制加算で要件化されたラピッドレスポンスシステムが機能している病院では、急変する手前の状態、すなわち、SOFAスコアが上がり切る手前の状態をキャッチして早期にICUに入室させ、集中治療を施して早期回復につなげている実態があることを考えますと、RRSが機能すればするほど入室時のSOFAスコアの高い患者割合が低下する可能性も示唆されますので、入室時のSOFAスコアが低いことの解釈や指標への導入についてはもう少し慎重に検討する必要があると思います。
一方で、項目の定義や配点についても見直しが必要だと思います。例えば83ページでは、常時監視が必要な治療等に人工呼吸器が含まれていますが、人工呼吸器の装着については、現在の定義では、侵襲的な人工呼吸管理はもちろんですが、BIPAPなどの非侵襲的な陽圧換気も含まれ、ともに2点という現状ですので同じ点数であることが妥当なのかどうか、そういったところも検討が必要かと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
中野委員、どうぞ。
○中野委員
まず、今、秋山委員がICUの関係で御説明になったことについてなのですけれども、術後の患者さん、ICUに入れるべきということ、それは入るのは当然であるのですけれども、手術後の患者さんばかり入室しているICUということで、ICUの高い評価というのはいかがなものかというのがありますので、それはバランスよくいくべきだと思いますので、ちょっとコメントしたいと思います。
それから、その他の意見ですけれども、冒頭既に牧野委員より御発言ありましたけれども、ハイケアユニットにおきます心電図モニターの管理、それから輸液ポンプの管理につきましては、90%以上の患者さんが該当するという中にあって、手術のありなし別に見ても同様の傾向だということも含め、また、ICUを併設するHCUにつきましても、入室後の重症化率、25%tile以下、それから75%tile以上を見ても、それぞれ大きな差がないということを含め、少なくともHCUにおけます評価項目から心電図モニターと輸液ポンプの管理については外す方向になるのかなという感じはいたします。
それから、B項目についても同じく牧野委員から御発言ありましたけれども、ICUの併設の有無別に見て、必要度の該当患者割合はICUの併設なしで高くて、A得点の3点以上の患者割合に差が見られたわけですけれども、A得点3点以上のうち、B得点の4点以上はICU併設の有無で差がなかったということで示されております。
前回の改定で、ICUにおきましてB項目の取扱いが見直されておりますけれども、HCUにおきましてもB項目の評価については検討すべきではないかと思う次第でございます。
それから、既にSOFAスコアについてもいろいろ意見が出ておりますけれども、96ページでは、入室日の必要度、非該当患者さんにつきまして、入室日のSOFAが高いという患者さんもいるということが見受けられるわけでございますけれども、これは必要度だけでは患者さんの実態を把握し切れていないということになります。また、100ページにおきましては、必要度90%以上の施設もばらつきがあるということはありますので、入室患者さんの状態を適切に評価する観点からSOFAスコアの活用を考えていいのではないかと思った次第でございます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。
それでは、ここまでのところ、御意見いろいろ出てまいりましたので、事務局のほうからコメント等をお願いします。
○加藤補佐
事務局でございます。
非常に示唆に富む御指摘ありがとうございました。まず、牧野委員からは、HCUに関しまして、A項目の心電図モニターの影響に関して、これは一般病棟では循環器病棟において影響が大きかったということもございまして、血管作動薬やそういった透析などの入れ込むことについて御指摘、御提案いただいたと認識しております。点滴同時3本に関しましても、検討すべきという一方で、B項目に関してはなしでいいのではないかということで御指摘いただきました。また、必要度IIの導入についても御指摘いただいたと思っております。
ICUに関しまして、今回この必要度に関してHCUと比較すると、必要度、それなりに機能しているのではないかということで御指摘もいただきましたが、SOFAに関して、重症度を示すものとして有用なのではないかという御指摘をいただいております。一方で、SOFA、0点での入室もあって、オペ後で使うことを想定すべきということや、RRSによって早めに入室していることも考慮すべきということで御指摘いただきましたので、こちらも検討してまいりたいと思います。
秋山委員からは、今回、HCUに関して心電図モニターというポンプに関しては削除すべき、蘇生後の施行ということも外していいのではないかということで御指摘いただいたところでございます。ICUの基準、そしてHCUの基準それぞれ整合性のある評価体系が必要になるのではないかということで、非常に重要な御指摘をいただいたと思っております。また、ICUの評価に関しましては、牧野委員同様、予定手術や、RRSによって早めに入室していることをどのように考えるのか、整理が必要なのではないかということで御指摘いただいております。
また、現行の必要度との相関など、もう少し検討が必要なのではないかということで御指摘いただきましたので、どのような検討ができるのか、事務局で再度検討していきたいと思っております。また、人工呼吸器に関しまして、もう少し中身を見て、BIPAPなどと同じ点数でいいのかというようなことも御指摘いただきましたので、また事務局の中で検討して、また御回答させていただきたいと思っております。
また、中野委員からは、一方で、術後の患者さんばかり見ているのはいかがなものか、バランスよく見るべきではないかということで御指摘いただきました。心電図モニターを外すべきという御指摘も同様にいただいております。B項目についてもなくていいのではないかということで御指摘いただいたと思っております。SOFAに関しましては、必要度だけでは見えていない側面があるということで、これに関しても肯定的な御指摘をいただいたと捉えております。
事務局の受け止めとしては以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ただいまの事務局のコメントにつきまして、何か追加的な御意見等ございますでしょうか。
よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、本件は以上としたいと思います。
次の議題に進みたいと思います。地域包括ケア病棟について(その2)ということでございます。こちらにつきましても、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
事務局でございます。
102ページ目以降、地ケア(その2)ということで御説明させていただきたいと思います。
103ページ目、まず、前回御指摘いただいた内容として、救急搬送だけではなくて、自宅からの救急の受入れに関してもしっかり分析すべきではないかというような御指摘をいただきました。これに関して冒頭御説明させていただきたいと思います。
104ページ目以降は、前回資料、あるいは改定説明資料でございますので、少し飛んでいただいて111ページ目でございます。こちら、緊急入院後(外来の初再診後)ということで、救急搬送ではない緊急入院について分析を行いましたが、まず傷病名に関しまして、誤嚥性肺炎、尿路感染が救急搬送と同様に多かったということでございます。
112ページ目は、前回、中医協でもお示ししましたが、入院料ごとの入院患者の主傷病の内訳でございます。
113ページ目以降、前回もお出しした資料の中で1つ、緊急入院、外来初再診後というようなことでお示ししておりまして、おおよそ入棟患者全てと救急搬送の中間的な位置づけとしてのデータが出てきているのかなと。比較的要介護度高い方も多いというようなことでございます。
114ページ目は患者の入棟期間の分布でございますが、こちらに外来初再診後の緊急入院に関しましても同様の入棟期間の分布でございました。
116ページ目以降、緊急入院、外来初再診後の患者の状態、そして医師の診察の頻度、看護提供の頻度、リハビリの実施状況、それぞれ119ページまでお示ししております。
120ページ目からはDPCデータを解析した入棟経路別の傷病名をお示ししています。
121ページ目を御覧いただきたいと思いますが、真ん中でございます。1人1日当たりの平均医療資源投入量、包括範囲内において、算定患者数全てのグループは1,316点相当であるのに対して、緊急入院後、そして救急搬送後に関してはそれぞれ包括範囲内でより高い点数の医療資源投入量がされているという傾向が見て取れるかと思います。
122ページ目御覧いただきますと、この救急搬送後の割合が15%以上のところが129施設、5%未満が199施設ございまして、こちらを比較しますと、126ページ目御覧いただきますと、救急搬送後、直接入棟が15%以上のところに関して言うと、包括範囲の中での医療資源投入量が明らかに高くなっているというような傾向が見て取れるかと思います。
124ページ目以降、短期滞在手術についての概要を前回改定資料とともにお示ししております。
130ページ目まで飛んでいただきますと、今回、地ケアの病棟の中での短期滞在手術について解析しておりますが、10%以上の患者がこの短期滞在手術基本料3を算定している患者だという病棟に関しては158施設ございまして、これと0%の施設を比較しております。
まず、131ページ目、短在3の患者が10%以上のところと0%と比較しておりますが、こちら、自院からの一般病棟の転棟患者割合6割未満という基準に関しては、およそ大きく影響ないということでございますが、132ページ目からでございます。
地ケアの要件として自宅等から入棟した患者割合2割以上というものがございますが、これに関しては、短在3が10%以上のところは当然ながら非常に高くなっているということ。
133ページ目では、在宅復帰率に関しても短在3の10%以上のところは高くなっている。
134ページ目に関しましては、こちらは平均在棟日数でございますが、当然ながら、短在3の割合が10%のところは平均在棟日数が短くなっているというような傾向をお示しさせていただきました。
最後、135ページ目以降、地ケアにおける必要度ということで、136ページ目に概要をお示ししておりますが、138ページ目からが地ケアの必要度の状況でございます。R3とR4の基準をこのような形でお示ししておりまして、R4では、今、12%と8%になっている。
139ページ目以降、地ケアの管理料、入院料の必要度I、IIにおけるそれぞれの分布をお示ししています。
140ページ目では、A項目の該当患者割合をお示しさせていただきました。
141ページ目、課題、論点をお示ししていますが、論点では、地域包括ケア病棟に入棟した患者のうち、救急搬送後直接入棟である患者の特徴を踏まえ、患者の評価についてどのように考えるのか。もう一つ、短期滞在手術基本料3を算定する患者の割合が高い病棟の特徴を踏まえ、地域包括ケア病棟の指標についてどのように考えるのかということで2点、論点を御用意させていただきました。
御議論よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、この議題、スライドで言いますと141枚目まででございますが、御意見、御質問等を承りたいと思います。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
前回の分科会で私がお願いしていた緊急入院に関する資料、非常に丁寧に分析していただきまして、まず、ありがとうございます。これをお示しお願いした理由というのが、106ページにありますように、地ケア病棟に入る急性期、救急患者というのは直接入るのではなくて、ほとんどの場合、一般入院料のところに入ってしまうということがあるのと同時に、2番目にあります緊急入院が34.9%、約3分の1が緊急入院で入ってきているということがあって、その患者さんたちの病態というのはどうなるか知りたいということで検討いただきました。
111ページでは入棟時の病名がありますけれども、これは救急に直接入棟患者とほぼ同じ分布です。これはDPCデータから得られた120ページの結果でも同等で、特にDPCデータの解析では上位5位までの病名が全く同じで、全体の20%余りを占めているという状態でございます。しかも、その状態は、左の欄にある算定患者全てというものに比較してもやはり少し違うという感じがしております。
113ページの要介護度では救急搬送後直接入棟と緊急入院の要介護度が同等に高く、116ページ、117ページにある医療の必要性や医師の診察の必要性も同等と言ってもいいと思われます。
119ページにリハビリがございますけれども、これはともに提供単位数が減っているというのが現状でございますけれども、裏を返せば、お互いに重傷であって、そのためにリハビリがすぐに介入できなかったということも言えるわけでございまして、そういう意味で言いますと、重症度のレベルが余り変わらないのかなということの表れかとも考えられます。
121ページの、これが包括範囲の医療資源投入量が救急搬送、直接入棟と全体の間に緊急入院が入ってくるということにつながっているのではないかと思っております。
123ページに救急搬送直接入棟が多い医療機関と少ない医療機関で医療資源投入量の差を示されておりまして、これを見ますと、やはり救急搬送、直接入棟が多い医療機関、多くを取っておられる医療機関では、募集上の何らかのインセンティブというのが必要であろうかなと判断されるわけでございますけれども、同様のグラフを緊急入院でも作成していただくことがもしできればしていただきたいなと思っております。もし結果が同様であれば、同じく緊急入院に関しても同様のインセンティブが必要となるのではないかと私は考えております。
これが1点目です。
次に、短期滞在手術等基本料についてでございますけれども、基本的に短期滞在手術基本料のデータをお示しいただきましたけれども、出てきましたデータ、130ページ以降のデータというのは、当然といえば当然、自宅から入院していただいて、手術をして、早急に帰っていただくというのがこの特徴でございますので、結果的にはほとんど当然ということでございますけれども、ここのデータというのは短期滞在が取れる非DPC病院に限られております。とすると、であるならば、同じような疾患であっても、同じ手術であっても、出来高算定で、DPCでやっている場合もなきにしもあらずということでございますけれども、そういうものに関しての比較というのはできるのかということが1点お伺いしたいなと思っております。
あと、短期滞在手術料を算定する、入棟させることによって非常に大きなメリットというのは今申し上げたところですけれども、地ケア病棟、短期滞在とはいいましても、やはり手術ですので、その日入院させていれば、夜は看護師さんが多いところで診たい。看護師さんがお一人しかおられないところの病棟では診たくないということもございまして、例えば地ケア病院であったり、地ケアが一番上、一般病棟を持っておられないような施設であれば、やはり地ケアに入院されているのかなと思っております。
そういたしますと、そういうところと、それから一般病棟を持っておられるところの地ケアで短期滞在入院料を取っておられる施設での意識の差というのですかね、少し違うのではないかなという気がしております。一般急性期を持つ医療機関と持たない医療機関に分けての同等の検討とか、手術数の検討とか、そういうものはできないものかなあと思っております。
最後に、地域包括ケア病棟、ここに直接出ているデータではお示しになっておられませんけれども、先ほどありました高齢者救急とも絡みますので、少し救急搬送について意見を申し上げます。
東京都では、墨田区とか八王子市とか、6区2市において、医師会事業として、病院救急車を活用したものが開始されております。八王子市を例に挙げますと、最近8年間で3,601件の患者を病院救急車で搬送し、自宅から病院に搬送したのが1,007件、高齢者施設から病院に搬送した患者が97件ということでございました。
搬送先医療機関は地ケアを含む慢性期精神病院が53%を占め、年々、病院救急車から慢性期病院への搬送例が増加して、2021年の年間搬送件数は、病院救急車が377件、一方、消防救急車が147件と逆転しております。
このことはどういうことかといいますと、高齢者救急が逼迫する中で、病院救急車というものをどうやって運用していくかということにつながるのですけれども、残念ながら、地ケア病院に病院救急車から入っても救急入院にはならないのですね。それから、実際のデータとしてもなかなか把握できないということがございますので、こういうものをどのようにして今後把握していくかというのは高齢者救急を見る上で非常に重要な視点であろうかと思っております。これは意見です。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほかはいかがでしょう。
鳥海委員、どうぞ。
○鳥海委員
今の井川先生の御意見と一部ダブりますけれども、地域包括ケア病棟にどういうものを算定するかということですけれども、患者さんが入ってきて治療して出ていくという一連の流れがケア病棟でもあると思うのですが、短期滞在の手術というのは大体泊数が決まっているわけですよね。何泊何日というのが。この地域包括ケア病棟で短期滞在はやってはいけないとかそういうことはないのですけれども、その在院日数とか何かいろんな統計に短期滞在をたくさん入れているところ、入れていないところというのが混じってきてしまうと、そこの地域包括ケア病棟のあり方というのがちょっとぶれてしまうのではないかなと思うので、そこのところ、入院日数とか何かに一概に包括して考えていいのかどうかということも1つ議論になろうかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、武井委員、どうぞ。
○武井委員
ありがとうございます。先ほどあった井川委員の意見と関連するかもしれないですが、高齢者の軽度急性期患者を地域包括ケア病棟等で受入れを推進していくことは今後の高齢者増加に伴って必要なことだと理解はしております。ただ、受入れを推進していくためには、急性期患者を受け入れることに対しての評価と病院の負担軽減を踏まえ、体制を検討していくことはどうしても必要なのではないかと思っています。
なぜなら、救急、緊急入院する患者の傾向は、スライドの116から118にもあるように、医療的に不安定であり、医師の診察頻度も看護師の直接看護を提供する頻度も高かったり、医療資源投入量も予定入院や救急搬送後のほかの病棟を経由して入院する場合に比べて多いことが示されています。また、予定入院と異なって、緊急入院で入院を受け入れるということは、看護師は患者の観察であったり、ケアの提供、医師の指示受けや実施、家族面談等、急性期病院と同様の大変さがあります。なので、やはり緊急入院を受け入れるためには看護体制の充実も大変必要なことだと思います。
あと、現在、地域包括ケアで設定されている加算の中に、在宅患者支援病床初期加算と在宅患者緊急入院診療加算というものがあります。ただ、これは両方とも後方支援や連携を評価して加算した加算であり、緊急入院を評価したものではないので、このような加算で緊急入院の受入れ等を評価するのも1つ考えられるのではないかと思いました。
もう一つ、短期滞在手術基本料3についてですが、地域包括ケア病棟で、白内障や、大腸ポリペクトミーを主に受け入れている施設があることは耳にします。
ただし、地域の医療体制によってこのような病院が必要だということも理解しております。しかし、ポストアキュートやサブアキュート、退院支援をバランスよく担っている病院に比べると、このような病院は、在宅復帰率や、自宅等からの入院患者数の基準をクリアしやすかったり、提供する看護、リハビリ、退院支援等のケア量も少ないと思っています。また、このような短期滞在手術基本料対象の患者を受けることによって、手術は、包括外なので収益確保につながるという病院のメリットもあると思っています。スライド129にある入院外で実施割合が高い手術、この手術を一定程度受け入れている地域包括ケア病棟と機能をバランスよく担っている地域包括ケア病棟との差別化を図る指標のあり方を検討したらどうかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
ありがとうございます。鳥海委員や武井委員の話と関連してくるのですけれども、短期滞在手術については、地域包括ケア病棟で必要な機能だと思っておりますが、在宅率ですとか平均在院日数が施設基準にもかかわらず余りにも違うものが入ってくるというところをどう対応するかというところで、例えば基準の算定式から短期手術を外した場合、あるいは短期手術が一定割合を超えた場合はカウントをしないというような形をとった場合に、一体基準を満たすものがどうなってくるのかというところは、シミュレーションしてみると有用ではないかと考えております。
それに加え、井川先生御指摘のように、一般病院が併設されているかどうかというところでも状況も変わってくるかと思いますし、シミュレーションすることでどんな影響が出るのか、確認というのは必要ではないのかなと思っております。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。今回も、地ケア直入の場合のデータをいろいろお示しいただきました。直入で見る場合の現場の負担、負荷がうかがい知れるデータと認識しているところです。医師の診察の頻度、あるいは看護の介入の度合い、そして医療資源の投入量、その辺りを見ましても、13対1の看護体制で高齢者救急を直入で見るということに当たっては、現実、現場では看護師をやや加配したり、あるいはいろいろな対応をしていると思いますので、これは井川委員、武井委員もおっしゃいましたけれども、それなりのインセンティブ評価が必要と考えるところです。
今日の資料の中には残念ながらちょっとなかったのですけれども、過去、前々回、たしか第3回の資料の中で、地ケア病棟を有する病院の救急受入れの判断基準というスライドがございました。この中でも、患者の状態により受入れを判断しているというのが80%から90%ということで、適切にトリアージされているということがございましたし、それはすなわち、地ケアで直接見るということに現場も非常に不安を感じているということで、負荷もかかるということで、救急車の受入れの判断基準のデータの中にも表れていたということでございます。
同じく、今日出ていない資料の話で申し訳ございませんけれども、同じくこの救急の受入れの判断基準のスライドの中において、自院の通院歴、あと入院歴の有無により受入れを判断しているという割合が半数近く、たしかございました。これは何を意味するかといいますと、地域包括ケアシステムの中では、全くの初診の場合は大変だけれども、自院の通院歴、あるいは入院歴がある場合は、すなわち、ある程度病歴、あるいは家族構成とか社会的背景が十分把握されている場合は、あるいはまた、地域の施設、そして在宅のケアマネとしっかり連携がとれている、そして必要な情報は直ちに受け取れるという環境が整っている場合は地ケアでも直入でも見れるということを意味するかなと思いますので、これは、疾患のイメージとしては、状態にもよりますけれども、例えば慢性疾患がちょっと悪くなったとかいう場合ですね。こういったものならば、ふだんから対応できている疾患ならば、地ケア直入も十分に可能だと思いますので、その辺りを評価することが重要と考えます。
この点、逆に考えますと、この地域包括ケアシステムの中で対応できている患者さんがたまたま二次救急、地ケアのあるようなケアミックスが受入れできなくて、これが三次救急とか高度急性期に搬送されますと、受け入れた高度急性期の病棟では、施設からの情報がなかなか来ないとか、家族がすぐに来られないとか、あるいはACPがどうなっているかそもそも分からないとかいうことで、一から情報収集を根掘り葉掘りしなければいけない。あるいは、一から検査を全部やり直す。そこで無駄な医療が発生しますので、そして高度急性期も負荷がかかってしまうということはしばしば経験するところですので、そういった場合、適切な下り搬送、猪口委員も最初おっしゃいましたけれども、こういったものをきちっと評価することで、地ケアでスムーズに入院対応ができるように、こういったものはしっかり考えていかなければいけないと思うところです。
最後に1つ、来年4月施行の医師の働き方改革がスタートしますけれども、これまで夜間に二次救急で受入れ対応できていた医療機関が宿日直許可を取ったという関係で、夜間だけはちょっと高齢者も、軽症であっても受入れできないとか、救急車の対応できないという問題が発生することが懸念されます。そうした場合に、診療報酬で幾ら地ケア直入の仕組みをつくり上げても、対応したくたって対応できないということも十分予想されますので、これはもう医政局マターかもしれませんけれども、地域の救急医療に大きなダメージを与えないように、この辺り、十分な配慮が必要と考えているところです。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
ありがとうございます。地ケア病棟については、救急搬送後直接入棟の患者や、そうした患者の割合が高い病棟で医療資源投入量が多いという結果が示されたと思います。病院や地域によって地ケア病棟の役割は様々ですので、柔軟に活用できるようにすべきだとは思いますが、在宅患者の療養を支えるという点はいずれの地域であっても重要なことですので、救急搬送直接入棟の患者の受入れが円滑に進むような方向で、そうした病棟により高い評価をつけるべきだと考えます。
武井委員からもお話がありましたように、医療資源投入量が多いということは、すなわち、医療処置、投薬等が多いことが予想され、それに伴って看護ケアもより密度高く求められる状態にあると考えられますので、看護師配置もより手厚く配置されていると予想されます。
津留委員からもお話がありましたが、6月8日の第2回の入院・外来医療等の分科会の資料を見ますと、地ケア1で、40床当たり、看護師、准看護師の合計が平均21人、地ケア2でも40床当たり平均19人、地ケア3、4では平均16人という調査結果が示されておりました。40床当たり20人というのは雇用配置でいうと2対1に当たりますので、実質配置に換算すると10対1という基準に該当します。
20人以上が配置されると、基準上は13対1でも、実態としては10対1以上配置されているということになりますので、救急搬送後直接入棟の患者割合の高い病棟と低い病棟の間で看護師配置の実態を比較しておくことも必要かと思います。
地ケア病棟は13対1と配置が薄く、特に夜間は2名配置がベースと非常に少ない人数で対応しているわけですが、入院患者へのケアに影響が出ないように、救急搬送後直接入棟の患者割合の高い病棟により高い評価をつける際には、夜間配置も含め人員配置等適切な看護体制が確保できるようにすべきだと考えます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、眞野委員、どうぞ。
○眞野委員
ありがとうございます。私も先生方と同じようなところなのですけれども、地域包括ケア病棟に救急搬送後直接入棟する患者や、外来初診後に緊急入院する患者が一定数います。地域包括ケア病棟がそういった機能を担うのは当然だと思いますけれども、そういう場合はやはり不安定な状態にある患者が多いということや、医療を必要とする割合が高いというデータも出ています。
6月8日にも同じような意見を申し上げましたけれども、そういった場合は、当然ですけれども、薬物療法が患者の状態によって様々変化するということになります。そういう意味では、薬物療法の適正化を図ることは非常に重要だと思います。
一方で、今さきほど秋山委員からもお話がありましたけれども、6月8日に示された職員の配置状況のデータを見てみますと、急性期の一般入院料1では薬剤師が40床当たり1.31人配置されているのに対して、地域包括ケア病棟1では0.58人で半分以下になっています。薬物療法の適正化を図っていくうえでは、薬剤師の配置が重要だと思いますので、地域包括ケア病棟でも、薬剤師の配置を進めていくような工夫が今後必要になってくるものと考えています。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
114ページの資料に基づきますと、入棟経路による在棟日数の差がないということですけれども、DPCデータによる解析も行っているので、それに基づいて入棟日数による医療資源投入量を見たほうがいいのではないかと考えます。
入棟期間が60日という患者さんもいるわけですので、在宅や施設への移行を目指す役割機能を果たすというためには、地ケア病棟におきます重症患者割合の引上げの検討なども必要になってくるかと思います。
それから、医療資源投入量につきましては、包括範囲で見ますと救急搬送の直入が多い傾向にあるわけですけれども、これは逆にいうと、その他の患者さんは医療資源投入量が少ないという見方もできるわけでありますので、救急搬送の受入れが地ケアの重要な機能であることを考えれば、評価のあり方については慎重に判断すべきだと考えます。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。1点だけ。
短在の比率ですね。130ページ、どの程度の患者さんの比率、病室の数があるのかというのが出ていますけれども、50%以上というのが10あるのですね。50%以上、半分以上が短在ということになると、これも地ケアの使用の仕方からするとかなり外れているような気がするのですけれども、この中身の詳細というのはお分かりになるでしょうか。どのような、それこそもっと高い率で実はそれ専用の病棟みたいなのを地ケアとして使っているとか、そのようなことが分かればお教えいただきたいなと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。
それでは、いろいろ御意見、御質問等ございましたので、ここまでのところで事務局のほうから回答等をお願いいたします。
○加藤補佐
様々な御指摘ありがとうございました。
まず、井川委員から幾つも御指摘いただきましたけれども、救急搬送された場合と緊急入院した場合のところで余り差がなかったのではないかということで御指摘いただきました。そして、この緊急入院、救急搬送についての評価のあり方について御指摘いただいたと思っております。
短在に関しましては、DPC病棟におけるところの分析ということで、DPCにおいては、短期滞在手術に関しては、基本的にはDPCの中で見られるものと認識しておりますけれども、あと、御指摘踏まえてどのような検討ができるか事務局で検討してまいりたいと思いますが、今、短在で50%以上のところということで御指摘いただきました。この病棟以外が何を持っているかというのはちょっと分析が難しい部分もございますが、この50%のところ、やはり皆さん気になるところだと思いますので、中身、どのような患者さんがいて、どのような特徴があるのか、少しできる範囲の中で検討してまいりたいと思いますので、またお示しさせていただきたいと思います。
また、高齢者の急性期に関しまして、地ケアに関してはやはり自院の救急車を使っているのだということで御指摘いただきました。確かに、我々、要するに消防救急以外の自院の救急車についてのデータというのは十分に把握できていない部分もございますので、これから様々なデータを分析するに当たっても把握できるような形がどのように取り得るのか、また検討してまいりたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
また、鳥海委員からは、短在に関しては、やはり基準との関係からすると入れているのはどうかということでございますので、短在を外してこの基準を用いるべきということで御指摘いただいたと思っております。
武井委員からは、地ケアについて、高齢者急性期を受け入れる必要性について理解できるが、やはり体制づくりが必要だというような御指摘をいただきました。救急入院新加算等あるが、十分な実態を踏まえた評価になっていないのではないかという御指摘もいただきましたので、御指摘踏まえてまた検討してまいりたいと思っております。
また、短在についても、地域によって、地ケアで短在をやるところ、必要な地域や病棟があるということは理解できるものの、差別化を図る指標等の導入が必要なのではないかということで御指摘いただきましたし、小池委員からは、この短在を外した後どのような基準該当割合になっていくのかということで、シミュレーションの必要性についても御指摘いただきました。
津留委員からは、直接入棟や救急搬送を受け入れると看護師の負担が非常にあって、加配も必要なのではないかということで御指摘いただいております。そして、本日資料でお示ししておりませんで大変失礼しましたが、この救急搬送の受入れ基準についても、前回お示ししたものは、適切な状況把握できるものとしては、判断基準としては適切だったのではないかということで御指摘いただいております。高度急性期に、急性期病棟が急性期の患者さんを受け入れることの弊害についても御指摘いただきました。やはりACPの情報等を含めて情報の連携の面では、高度急性期に直接入院することの弊害があるのではないか、下り搬送を促すべきなのではないかということで御指摘いただきましたので、そういった指摘を踏まえた上で検討を進めてまいりたいと思いますし、また、重要な御指摘として働き方改革が来年4月から施行されることを踏まえた対応が必要なのではないか、地ケアでは宿日直許可を得た宿日直がされているというような実態を踏まえた対応ぶりが必要なのではないかということで御指摘いただいておりますので、そうした指摘を踏まえてまた検討してまいりたいと思っております。
秋山委員からは、この地ケアが役割様々であること、在宅患者の緊急入院を円滑に受け入れられる体制づくりが必要なのではないかということ、そして、看護師の配置がほぼ10対1になっているようなことも踏まえるべきであろうということを御指摘いただいております。
救急搬送をより受け入れているところの看護配置、比較については御指摘を踏まえて検討してまいりたいと思っておりますので、またお示しさせていただきたいと思います。
眞野委員からは、救急搬送患者が不安定であり、特に高齢者に関しましては、薬物療法の適正化という観点で、地ケアの薬剤師に関しては役割が大きいのではないかということで御指摘いただきました。
中野委員からは、短在に関する評価のあり方、そして医療資源投入量についてもまた分析を深めていく必要があるのではないかということで御指摘いただきましたので、指摘を踏まえてまた検討してまいりたいと思っております。
コメントは以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ただいまの事務局の回答、コメント、いかがでしょうか。何か追加的にございますでしょうか。
よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、先に進みたいと思います。本日最後の議題でございますが、慢性期入院医療について(その1)でございます。これもまず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
142ページ目以降、慢性期入院医療(その1)ということで、主に療養病棟の御議論をいただきたいと思っております。
143ページ目以降、概要資料を並べておりますけれども、146ページ目にこの療養病棟の改定の経緯をお示ししております。
一方、148ページ目にお示ししていますとおり、今回、経過措置病棟の廃止に向けて、今、経過措置病棟、徐々に施設数、そして病床数ともに減少傾向であるということはこれまでも御説明させていただいたところでございます。
150ページ目では、療養病棟に関して中医協でも御意見いただいておりますので、中心静脈栄養や拘束について御指摘いただいていたところ、今回、入院分科会でも御議論いただきたいと思っております。
152ページ目以降、医療区分1、2、3とございますが、それぞれの医療資源投入量についてお示ししています。
155ページ目はそれぞれの区分における医療資源投入量の内訳ということで、例えば医療区分2においては、恐らく、喀たん吸引等の処置が多いことにより、このJの割合が大きくなっていて、医療区分3においては中心静脈栄養が割合として大きくて、このGが割合を大きく占めているということが傾向として見て取れるかと思います。
156ページ目は現状の医療区分について、157ページ目以降、医療区分1、2、3において、疾患状態と、そして処置に分けて今回医療資源投入量を比較してございます。1については大きく分布として差異はないということでございますが、159ページ目、161ページ目を御覧いただきますと、医療区分2や3においては、疾患状態と処置においてちょっと分布が異なる、明らかに異なるというような傾向が見て取れました。
162ページ目では、医療区分3において疾患状態と処置の医療区分それぞれ3における医療資源投入量の内訳を見ておりますが、これにおいても差が見られるのではないかということでお示ししています。
163ページ目からは療養における栄養の摂取状況についてということで、経管栄誉、経静脈栄養、当然ではございますけれども、比較的多いというような傾向でお示ししておりまして、164ページ目、栄養サポートチームの加算については、ほかの施設に比べると加算の届出施設割合が、施設数が少ないというような傾向をお示ししています。
165ページ目は療養病棟における患者さんの医療行為・処置ということをお示ししていますが、経鼻経管栄養、中心静脈栄養の患者の割合をお示ししています。
166、167においては、この中心静脈栄養に関してより適切な管理がなされるよう、累次の改定で変更を行ってまいりますが、168ページ目は、新規入院患者で中心静脈栄養の実施数がこれだけあるというようなことをお示ししております。
169ページ目、170ページ目は前回の改定を踏まえた対応でございますが、170ページ目にあるとおり、摂食、嚥下機能の回復に必要な体制をとること自体が今回要件として設けられております。
171ページ目に、真ん中、5番ございますが、過去1年間に中心静脈栄養を実施した患者数と、そして、そのうち経口摂取に移行した患者数が平均39に対して1人しか経口摂取に移行していないというような傾向も見て取れます。
172ページ目は、中止・終了した患者数でございますが、こちらは摂食嚥下機能の、あるいはその体制を有しているかどうかによって少し差があるだろうということでお示ししています。
173ページ目は、経静脈栄養と経腸栄養の選択基準ということで、一番下にございますとおり、絶対適応と相対適応があるのではないかということでお示しさせていただきました。
174ページ目は、この経静脈栄養と経腸栄養におけるその予後を含めた影響があるということでエビデンスをまとめさせていただいております。
また、177ページ目に関しましては、中心静脈栄養を開始した患者数と、そして右側にございますのが、それを中止あるいは終了できた患者数ということで、点線枠囲みの中は実施開始した患者数は非常に多いものの、なかなか中止・終了できていない施設もあるということをお示ししています。
179ページ目は、この中心静脈栄養におけるカテ感染の発生状況等をお示ししています。
180ページ目からは身体拘束に関連するもので、療養病棟が一定程度の認知症の患者さんが多いわけではございますが、身体拘束ありの患者さんが多いというような傾向。
181ページ目は、その中でライン・チューブの自己抜去防止というような目的で拘束がなされているというような傾向をお示ししております。
184ページ目からは前回の療養病棟における改定内容をお示ししておりますが、185ページ目から、介護医療院においても、今、医療療養で行われているような処置の一部はこういった介護医療院においても実施されつつあるということで、187ページ目、施設内で提供可能な医療ということで、24時間点滴、喀たん吸引、酸素療法等においては介護医療院においてもかなりの確率でこうした処置がなされているということをお示ししております。
188ページ目、論点としまして、この療養において患者の特性や医療提供内容に応じた評価を実施していく上で、医療区分による評価についてどのように考えるのかということで論点をおまとめさせていただきました。御議論よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。こちらの議題につきましては、質疑に入る前に、本日御欠席の委員の方から御意見が出されているようですので、事務局のほうから紹介をお願いいたします。
○木下補佐
事務局でございます。
それでは、田宮菜奈子委員が本日欠席でございますので、事務局のほうで、コメントいただいておりますので代読をさせていただきます。
まず、療養病棟の包括範囲内のコストについて、「処置」と「疾患・状態」それぞれについて分析していますが、性質が異なるものなので、「疾患・状態」と「処置」のそれぞれのニーズに合わせた区分を検討することも必要かと思います。そのために、例えば「処置」としての医療区分3と「疾患状態」の医療区分2の組合せの医療資源投入量の分析等を確認させていただければと思います。
2つ目。中心静脈栄養の医療区分3としての評価は、入院以前に実施されていることが多いことからも、療養病棟の対象患者割合から除外する、または、評価を医療区分3から2あるいは1に引き下げるなど見直しが必要と思います。ただし、経管栄養などは適応にならず真に中心静脈栄養を必要とする場合には、その受け皿として機能するよう確保を図ることも必要かと思います。
3つ目、中心静脈栄養と身体的拘束の関係について。認知症がない場合の拘束が、治療室に次いで療養病棟に多くなっている。認知症がない状況下であれば本人の同意も可能ではないかと思いますが、同意の状況はどうなのでしょうか。
また、拘束の理由は「ライン・チューブの自己抜去防止」の割合が高くなっている。そして、療養病棟における処置ごとの拘束の実施割合について、、療養病棟で多く実施されている中心静脈栄養での31%は、実際は拘束が必要なのはどのような状況なのか確認が必要と思います。認知症の方の拘束ももちろん課題ですが、認知症のない方が人工栄養の保持のために拘束されている状況は、人工栄養の適応が本人の希望に基づく状況であるのかを含めて、慎重に検討する必要があるかと思います。
続いて4つ目、全体に、人工栄養の適用について。
上記を踏まえ、療養病棟に至る以前の問題が多いことからも、事前に、人工栄養の意味を本人や家族に理解いただき、その意思を確認することがまず重要かと思います。一方、命を長らえる技術があればそれを望む選択も十分あり得るため、それを選んだ場合の療養の受け皿の確保も必要です。今は療養病棟がこれらのケースの受け皿として重要な役割を果たしていると考えます。
5つ目、医療療養病棟と介護医療院で提供可能な医療について。
前述のように、まず、人生の最後の人工栄養や医療処置の在り方を、本人と家族が理解した上で、選べるような体制をつくることが重要です。その上で、それでも各種処置や医療技術とともにある生活を支える必要のあるケースの受け皿が重要です。こうしたケースは、医療目的の医療保険による病院ではなく、介護を主とした体制が整備されている中での医療への対応という視点で考える必要があり、今後の介護医療院での医療の在り方の議論として重要かと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
本日もまたちょっと時間になってしまいましたけれども、申し訳ありません。少し時間を延長して御議論をいただきたいと思います。
それでは、ただいまの説明等につきまして皆様から御意見、御質問等を承りたいと思います。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。特に今回は医療区分に関しましてようやっとデータ提出加算のデータから非常に膨大な資料を見ていただきましてありがとうございます。感謝いたします。
152ページから154ページに各医療区分のコスト分布を見ますと、やはり医療区分1から3にかけてピークが次第に右にシフトしていってコストがかかっていくということが示されておりますし、156ページにありますように、医療区分に比して、2では処置が増加し、3では点滴が増えていくというような内容で、言えば、今の医療区分って案外悪くないねという結果になろうかとは思うのでございますけれども、153ページの医療区分2で、左端にあるコストがほとんどかかっていないものが結構あったり、それから、159ページ、161ページの医療区分2、3で、疾患・状態としての医療区分と、それから処置としての医療区分が並列で示されておりますけれども、そこの傾きといいますか、配置が少しずつ違うとかいう問題点というのがあろうかと思います。
そういうものは何かといいますと、恐らく、疾患では区分3ですけれども、処置では2、1であったり、逆の場合があったりとかいうこともあって、こういうことが原因でありますので、疾患・状態区分と処置区分を掛け合わせたような形の検討が必要と考えております。
ただし、細かく条件を設定すればするほどコストとの整合性が増すのは間違いないとは思うのですけれども、それをそのまま現在の医療区分の細分化につながると、医療療養病棟を有する医療機関では非常に苦しいということも現実的に考えておかなければなりません。
どういうことかといいますと、医療療養病棟の電子カルテの普及率がいまだに50%ほどしかないということでございます。すなわち、約半数は紙カルテで診療情報管理士や医療クラークというのは毎日毎日そのカルテを眺めながら医療区分がどこに当たるかというのをチェックしながら入力するということを実際に行っているということでございますので、細かくなればなるほど、どこの区分に入れるのかというのが、数が増えてくるわけですから、項目も増え、手間もかかり、時間も必要となる。
厚労省が進めておられます医療情報システムや電子カルテの標準化というのが実用化されれば、導入コストが下がり、もう少し電子カルテの普及率も上がるかと思いますので、これに関しては非常に期待しております。
次に、164ページに突然、栄養サポートチーム加算の届出状況が出てくるのでございますけれども、確かに療養病棟は低いのですけれども、施設票ではこの次の質問に届出出ていない理由を聞く設問があったと思うのですけれども、そこの部分がまだ出されていないので、これはぜひとも同時に出していただきたい。でないと、低いよと言われても、どうお答えしていいのかよく分からないというのが現状でございます。
それから、TPNの中心静脈栄養に関しては、168ページのデータがちょっとnが少な過ぎて比較できないですね。それから、170ページの下段のTPNの適応理由で、ほかに代替できる栄養経路がないというのがいまだにやはり改定前後でも多いというのは非常に問題で、これが一体何を意味するかというのをもう少しきっちり詳細に調べていただかないと、本当に経腸栄養ができないのかどうかということが分かりません。ここのところは、これが半分以上占めるというのはちょっと異常な事態だと私は思っていて、これはもう少し詳細な検討を何らかの方法で調査する必要があるのではないかなと思っております。
170ページに摂食・嚥下機能回復において必要な体制がとれているかどうかということがございますけれども、改定後1年ちょっとで約3分の1しか取れていないところがないというのは、私思うには比較的上出来だったなと思います。ただ、施設基準を満たせない理由で、VFもしくはVE検査が実施できないというのが3分の2を占めることは、訪問歯科等で別の施設から来ていただいても行けるということから考えますと、もう少し減ってもいいのかなという気はいたしております。
175ページ、176ページ、平成30年のDPCデータが出ているのですけれども、これは現在との比較がないので、どういう意図でこれを出してこられたのかというのがちょっと分からないというか、御説明のほうでも多分飛ばされていたとは思います。TPNの患者割合はやはり減らそうとして改定を加えたのですから、現在との比較がやはり重要であると思っております。
181ページにCRBSIのデータが出ておりますけれども、使用日数が増えれば当然感染率というのが増えるというのは当たり前ですけれども、この場合、CRBSIの発生率そのものを求めているわけではないので、この値が本当に高いのかどうかというのがちょっと予想ができないですね。
例えば一番左端にあります棒グラフで、30日目に全員がCRBSIになったと仮定して、65名のうち12.3%、すなわち、8名がCRBSIでチューブ抜去したと仮定すると、感染率は4.1%ぐらいにしかならなくて、案外と高くないのですね。だから、そういう意味でいいますと、本当にこれが高いのかどうかというのをちょっとお示しいただかないといけないかもしれませんし、この数字の意味が少し分からないと思っております。
それから、最後に拘束についてでございます。認知症のあるなしということで結構言われることが多いのですけれども、療養病棟に入院してこられる患者さんというのは、基本的に急性期病院で退院できなかった方が来られるというのが原則でございます。そういたしますと、その中には、高次脳機能障害であったり、せん妄を持ったまま移動されておられる方というのがあったり、場合によっては認知症のテストそのものすらできないという方も結構おられるわけですね。だから、認知症あるなしで分けると、下手をすると、そのなしの中にはそのようなものが入ってくる可能性が出てくるので、拘束そのものはないほうがいいにこしたことはないのですけれども、全くないのがいいというのは、それを完全に否定してしまうと、逆にいいますと、療養病棟で高次脳機能障害のひどい方とか、認知症のひどい方とか、大暴れされるような方を取るのを控えてしまうという逆の効果も現れるかなと思って、ここは少し慎重な対処のしようが必要かなと考えております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。先ほどの委員からのコメントにもちょっと重複になりますけれども、当然、全ての病院、施設、全ての病棟、それこそ地域医療も含めて、栄養管理というのはベイシックであります。先ほど御指摘ありましたように、163、164ページのNSTですね、栄養サポートチーム加算の届出というところの情報にあるように、このNSTがどのように編成されてどのようにワーク、機能しているのか。細かいところまでは当然分からないのですけれども、全ての入院機能というところが横並びに同じパーセンテージになるとはまずあり得ないのでしょうけれども、先ほどコメントありましたように、なぜもう一回り、重要だということが分かっていながらうまく数字を底上げできていないのかというところの掘り下げ、それに対する傾向と対策ということが必要かなと。当然、低いところはマンパワー云々という、よく昔から言われている諸事情というのはあるのでしょうけれども、そこをどのように打開していくのかというところかなと思います。
あと、それに連動しまして、今回、網羅的なデータによって、いわゆる横断的な解析で傾向というものが見られたわけですけれども、この例えば5年、10年でNSTという視点がどのように経年変化として日本全体、あと多様な入院機能として成長してきているのかという、いわゆる経年変化的な縦断的な視点というものも必要かなと思います。
最後1点としましては、中心静脈栄養が、今はほとんどないのではないかなと信じたいのですけれども、いわゆる漫然と続いてしまうというところですよね。腸を使った栄養管理というものへのシフトチェンジといいますか、ケースごとに、及びフェーズごとにちゃんとうまくシフトしていくというところの、しかも医学的根拠に基づいて、いわゆる過不足のない中心静脈栄養というものが行われるような促し方、そこには先ほど拘束の話題もありましたけれども、それもセットですけれども、そういう促し方が必要かなと思いました。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。武井委員、どうぞ。
○武井委員
ありがとうございます。先ほど田宮委員からの意見でACPの必要性についてありましたが、私も関連したコメントをさせていただきます。
まずは、スライド173に、経管栄養が禁忌で、中心静脈栄養の絶対適応とされている病態が示されています。しかしながら、現状は、医師が家族に胃ろうや腸ろうによる栄養を提案しても、そこまでしなくてもという声が聞かれ、中心静脈栄養を希望するというようなことがあります。家族にしてみれば、手術で体に穴をあける胃ろうや腸ろうというのは患者さんに負担があると。だとすると、中心静脈栄養は点滴だから負担にならないと選択していると感じたことがあります。このことを考えると、経口摂取が不可能な場合や中心静脈栄養から胃ろうや腸ろうなどへ栄養方法を変更するような場合、医療者から患者家族への十分な情報提供や意思決定支援がとても重要ではないかと思っています。
もう一点ですが、医療区分2、3についてですが、先ほど井川委員から、余り詳細にすぎる設定は大変だというお話がありましたが、私は、疾患病態や医療処置について判断がしやすいように要件を具体化することも必要ではないのかなと感じます。
また、医療区分3の中心静脈栄養ですが、絶対適応の患者のみを要件とするということも一つの考え方としてあるのではないかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
ありがとうございます。ざっと資料を見させてもらって思うのは、現在の医療区分というのは医療資源投入量からいうと非常にうまくバランスがとれている。それから、処置と状態と分けたとしても、そんなに極めてこれはよくないという結果はないのだろうと思っているのですね。ですから、そこをどうするかということだろうと思いますが、基本的には大きく変える必要はないかなと感じました。
それで、やはり思いますのは、中心静脈栄養の今後のあり方、これは一概にいい悪いとかいうことよりも、経口摂取ができなくなった。これは病気とかいろんな理由があればいいのですけれども、いわゆる身体的な、御高齢による衰えによって経口機能が落ちたときにどういう治療の選択が御本人にとって一番いいのかということをもう一回考えてもいいのかなというような気がしております。いわゆるACPという考え方も含めてですね。そこのところは今後まだ少し考える余地があるのかなと思いました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
医療区分に関してですけれども、田宮委員のペーパーにもありましたけれども、コストの内訳を見ますと、コスト構造に差があることが分かります。また、同じ医療区分の中においても、疾患・状態と処置に分類すると、それぞれコスト構造が明らかになっているわけですけれども、違いがあるということが分かります。それから、医療区分においてもそうでありますし、これだけの差があってですけれども、同じ点数で評価しているという違和感があるということでございますので、医療区分につきましては評価法の検討が必要なのではないかと感じる次第でございます。
それから、中心静脈栄養につきましては、患者さんのために可能な限り早く速やかに抜去するということは当然ですけれども、実際はそれほど進んでおらず、改善の余地がありという感じがいたします。
そこで、前回改定で見直しが行われたわけでございますけれども、摂取機能、また嚥下機能の回復に必要な体制を確保するという対応につきましては引き続き進めながらという中にあって、さらに手を加えるところがあれば何であるかということを考えて対応を進めていくべきではないかと思います。
それから、介護医療院をはじめといたします介護系の施設におきましては、医療的な処置がそれなりにできているというのが今回の資料で分かりました。それで、介護サービスが必要な患者さんにつきましては当然介護系の施設で見るべきということになるわけでございますけれども、仮に医療系のほうの患者さんが介護系の施設に移ったということを考えれば、区分でいきますと1の患者さんになりますが、医療病棟におきましてそれなりに相対的に減少するのではないかということが想定されますので、そうしたことも踏まえて医療と介護のすみ分けを進めていくことになるように今後も検討していくべきではないかと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。
それでは、これまで出ましたいろいろな御意見等につきまして、事務局のほうからコメントをお願いいたします。
○加藤補佐
ありがとうございます。すみません。時間が押してしまって大変恐縮でございますが、事務局としてコメントさせていただきたいと思います。
まず、井川委員から療養についてコメントいただきました。処置・疾患で分けて掛け合わせた分析等も必要なのではないかということで御指摘いただいている一方で、この細分化することに対する御懸念ということも御表明いただいたと思っております。標準型電子カルテの導入に御期待いただいているところでございますが、現場にとって手間がかかるようなことに関しては十分に検討が必要だということかと思っております。
また、栄養サポートチームについての導入できていない理由についてはまたデータをお示しさせていただきたいと思っています。こちら、詳細な検討が必要だと思いますけれども、経腸栄養ができない理由についてもう少し、どのようなデータがあり得るのか、今後検討し得るのか、また事務局としても検討してまいりたいと思っています。
また、データに関しても一部古いものだということで御指摘いただきましたので、今後またどのようなデータを出せるのか検討してまいりたいと思います。
また、カテ感染に関しましても、カテ感染自体は非常に実勢の高い状況だと我々認識しておりますが、こういったものがどのように減らせるのかということは非常に重要な視点だと思いますけれども、御指摘踏まえてまた検討してまいりたいと思います。
拘束に関しましても御指摘いただきましたが、療養の方、どのような方が入院されているのか、そういったところも非常に我々としても注意深く見る必要があると思っておりますので、また改めてこうした点、御議論いただきたいと思います。
飯島委員からは、NSTがどう機能しているのか、傾向や対策、どのように今後していくのか、また検討すべきではないかという御指摘をいただきました。また、経年変化についても、我々として今手元にあるデータの中でまたお示しできるものに関して検討してまいりたいと思っております。
中心静脈栄養に関しましては、漫然として提供されていないかというような視点が重要であって、過不足ないような提供体制というのが重要なのではないかということで御指摘いただいております。
武井委員からは、田宮委員同様に、ACPの中でこの中心静脈栄養の絶対適応についてやはり十分に検討すべきではないか。現場として、患者さんが特に胃ろうには至りたくないが、中心静脈栄養についての十分な情報を得ていないのではないかということで御指摘いただきました。判断しやすいようにどのように情報提供をし得る体制を全国的にもとっていけるのか、これは制度としての課題だとも受け止めておりますので、こちら、事務局としても今後の対応ぶりを検討していきたいと思いますし、最後、絶対適応についてのみ絞って評価すべきではないかということでも御指摘いただきました。
猪口委員からは、医療区分、現状のものでも十分に機能しているのではないかということでも御指摘いただきました。経口摂取、こういったことの評価のあり方、そして本人にとって何がいいのかということに関して、ACPの文脈の中でももう一度考え直す必要があるのではないかという御指摘をいただきましたので、事務局としても対応を検討してまいりたいと思っております。
一方で、中野委員からは、こうした疾患・状態に関して、今回のデータではやはり大きく異なることから、評価のあり方について検討すべきではないかと、差をちゃんと評価すべきではないかという御指摘をいただいたところでございます。中心静脈栄養に関しましても、前回の改定で嚥下機能のところ、対応を行いましたが、今回に関しても何かしらの対応が必要なのではないかということを御指摘いただいたとともに、介護医療院との医療用途のすみ分けについても御指摘いただいたところでございますので、御指摘踏まえてまた今後検討してまいりたいと思います。
事務局のコメントとしては以上でございます。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局のコメントにつきまして何か追加的にございますでしょうか。
よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、本件に関する質疑は以上としたいと思います。
本日の議題は以上でございます。次回の日程等について事務局のほうからお願いいたします。
○加藤補佐
本日もありがとうございました。次回の開催はまだ未定でございますが、日程が決まりましたら御連絡させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○尾形分科会長
それでは、以上をもちまして令和5年度第5回「診療報酬調査専門組織入院・医療等の調査・評価分科会」を終了させていただきたいと思います。本日も20分以上オーバーしてしまいまして大変申し訳ございません。本日は、お忙しい中、熱心な御議論いただきまして、大変ありがとうございました。
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