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2023年9月6日 令和5年度第6回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録


 

2023-9-6 令和5年度第6回入院・外来医療等の調査・評価分科会
 
○日時:令和5年9月6日
10:00~12:00
 
○場所:日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8E
 
○出席者
【委員】
尾形分科会長、秋山委員 猪口委員、井川委員
池田委員、津留委員、武井委員、林田委員、牧野委員
山本委員、中野委員、眞野委員、小池委員、田宮委員
 
【事務局】
加藤課長補佐 他
 
○尾形分科会長
 おはようございます。ただいまより令和5年度第6回「診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
 本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、今回の会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、飯島委員、鳥海委員が御欠席でございます。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 まずは、1つ目の議題であります「診療情報・指標等作業グループからの中間報告について」につきまして、事務局及び作業グループの池田班長より資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
 事務局でございます。
 それでは、資料入-1と入-1参考をお手元に御用意いただければと思います。
 これまでこの分科会の下、「診療情報・指標等作業グループ」という名称で、急性期、回復期、慢性期の主に入院医療に関する指標について、このグループの中で御議論いただきました。昨年度数回、そして今年度に入りまして5回程度御議論いただきまして、今回、このような形で入-1、そして入-1参考ということでおまとめいただきましたので、池田班長からこの資料の御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○池田委員
 診療情報・指標等作業グループの班長を務めております池田でございます。
 それでは、資料に基づいて概要を御説明させていただきます。
 入-1の資料の本体と別添資料編で説明させていただきます。別添資料編は作業グループで用いた資料を用いて結果をまとめております。
 まず、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度についてですが、別添資料の3ページから11ページで令和3年から4年の変化を掲載しています。全体として該当患者割合が僅かに低下するとともに、個別の項目としては、点滴ライン3本以上の管理が薬剤3種類以上の管理に変わったことによる該当割合の増加などが見られました。
 また、13ページから16ページでは入院料ごとの傾向を分析しています。急性期一般入院料1は、他の入院料よりもB得点3点以上の割合が低いことや、項目としては「専門的な治療・処置」と「救急搬送後の入院・緊急に入院を必要とする状態」の該当割合が高い結果でした。
 さらに、17ページから23ページには疾患ごとの分析結果を出しています。高齢者の誤嚥性肺炎や尿路感染症は1日当たりの医療資源投入量が低い一方で、B得点3点以上の割合が高く、平均として急性期一般入院料1の必要度基準を満たす傾向にありました。これらの疾患について、個別の項目としては「救急搬送後の入院」の該当割合が高く、「専門的な治療・処置」の該当割合が低い傾向にありました。
 次に、24ページから39ページでは平均在院日数に関する分析も行っています。急性期一般入院料1では、病床数が小さい場合に平均在院日数のばらつきが大きく、平均在院日数の長い群ではICUの併設の割合が低いことや、全身麻酔手術、救急搬送の件数が少ないこと、必要度の該当割合が低いこと、1日当たりの医療資源投入量が低いなどの傾向が見られました。
 これらの結果に対する意見としては本体資料4ページの上段でございます。
 1つ目として、必要度項目の「救急搬送後の入院・緊急に入院を要する状態」について、日数の短縮化や、5日間の中でも入院後日数によって重みづけをすることが考えられるのではないか。
 2つ目として、7対1病棟に求められるような高度・専門的な医療を必要とする患者への対応を評価する観点からは、必要度のB項目はなじまないのではないか。
 3つ目として、2つ目に関連しますが、手術等の急性期医療に伴いADLが低下した患者等へのケアに対する評価のためにはB項目も重要ではないか。
 最後ですが、急性期一般入院料1における指標としては、平均在院日数の短縮が考えられるのではないか。
 以上です。
 次に、ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度についてです。
 42ページから46ページに分析結果を掲載しています。分析結果を踏まえた主な御意見は5ページの中段にあります。
 1つ目として、「心電図モニターの管理」や「輸液ポンプの管理」は、患者の状態や入室経路によらず、ほぼ全ての患者に該当しており、重症度等を評価する観点からは項目として不要ではないか。
 2つ目として、重症度の高い患者への対応や、常時監視の必要な治療の実施を評価する観点から、一部の項目について特定集中治療室用と同様に点数に差をつけることが考えられるのではないか。
 最後に、一般病棟ではなく治療室に入室が必要な重症度の高い患者に対する医療・看護を評価する観点からは、特定集中治療室用と同様にB項目は不要ではないかといった意見であります。
 続いて、特定集中治療室についてです。
 別添資料編の57ページから71ページでは、特定集中治療室の患者の重症度、医療・看護必要度、SOFAスコア等の分析を行っています。
 62ページでは、入室日において、重症度、医療・看護必要度の該当有無とSOFAスコアに相関が見られることが示されています。
 63ページでは、重症度、医療・看護必要度の該当と比較し、SOFAスコア5点以上、10点以上のほうが退院時の転帰とよく相関していました。
 66ページでは、入室日のSOFAスコアにばらつきがあることが示されています。
 分析結果についての主な意見ですが、本体資料の6ページの中段でございます。
 1つ目として、SOFAスコアが低い患者ばかりのICUが本当に重症な患者を主体的に入れるICUと同列の評価となる指標は適切ではないのではないか。
 2つ目として、予定入院の術後患者では入室時のSOFAスコアが高くならない。こうした患者でもICUのケアが必要な場合があるのではないか。
 最後に、SOFAスコアが悪化してからICUに入室させるのでは遅いという考え方もある。SOFAスコアの解釈は慎重に行うべきではないか。
 続いて、地域包括ケア病棟についてです。
 別添資料編の73ページから98ページで地域包括ケア病棟について分析しています。
 87ページにあるように、入棟経路別の医療資源投入量等においては、救急搬送、直接入棟の患者は包括範囲の医療資源投入量が多い傾向が見られました。
 また、92ページから95ページでは、短期滞在手術等基本料の算定患者が多い病棟において、在宅復帰率等の指標に一定の傾向があることが示されています。
 分析結果についての主な意見は本体資料の7ページ下段からです。
 1つ目として、救急搬送後、直接入棟の患者は医療資源の投入が必要であることをどう考えるか。
 緊急入院の患者も他の患者に比較して医療資源が必要なのではないか。
 最後に、短期滞在手術等基本料の患者数が多い地域包括ケア病棟の指標の傾向から、短期滞在手術等基本料の患者は、地域包括ケア病棟の指標を計算する際には対象から除外することも考えられるのではないか。
 続いて、回復期リハビリテーション病棟についてです。
 別添資料編の99ページから118ページでは、主に回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価であるFIMについての分析を行っております。
 111ページから114ページでは、重症度別の平均リハビリテーション提供単位数ごとのFIMの変化について示しております。特に運動器疾患の一部の患者においては、リハビリテーション提供単位数を増加してもFIMの改善は見られませんでした。
 116ページでは、入棟後週数が経過するごとにFIMの改善が異なることが示されています。
 118ページでは、体制強化加算の有無でFIMの変化や提供リハビリテーション単位数、平均在院日数を比較しております。
 分析結果についての主な意見につきましては、本体資料8ページの下段からです。
 1つ目として、回復期リハビリテーション病棟におけるデータ提出加算の提出データ項目であるFIMについて、入退棟時のみの提出ではなく、入院期間中の定期的な提出を求めてはどうか。
 2つ目として、指標の在り方については、体制強化加算の届出の有無による入退棟時のFIMの変化や平均在院日数の差が小さいことも踏まえて検討することが必要ではないか。
 続いて、慢性期入院医療についてでございます。療養病棟における医療区分について分析を行っております。
 別添資料編の124ページから136ページを御覧ください。データ提出加算の提出対象となるデータについて、医療区分ごと、また疾患・状態としての医療区分と処置等としての医療区分に分類して医療資源投入量を分析しております。また、療養病棟における中心静脈栄養について分析しています。
 分析結果についての主な意見は本体資料の10ページの下段でございます。
 1つ目として、医療区分について、同一の医療区分においても医療資源投入量にばらつきがあることや、疾患・状態等と処置等の医療区分によって医療資源投入量の分布や内訳が異なることから、医療の提供内容に応じた適切な指標となるように見直しを行ってはどうか。
 2つ目として、医療区分を精緻化する場合、評価及び記入に係る負担に十分配慮すべきである。
 3つ目として、経口摂取が不可能な場合や中心静脈栄養から胃ろうや腸ろうなどへ栄養方法を変更する場合の医療者からの患者・家族への情報提供や意思決定支援が重要である。
 最後に、中心静脈栄養は経管栄養が実施できない限られた病態に応じて実施されるべきであることや、経管栄養と比べて生命予後が不良であるとのことから、医療区分3としての評価について適切な指標となるよう見直してはどうかという意見がありました。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 今の資料の中の4ページのマル3「分析結果に関する主な意見」の部分です。2番目の丸につきましては、昨日の作業グループでも議論になりまして、一部御修正いただきました。また改めて意見を述べさせていただきます。
 今、全国の7対1病棟では、現状、大変多くの高齢者急性期の入院患者さんを見ております。この文章にもありますけれども、7対1がいつから高度かつ専門的な医療に限定されるようになったのか、ここはまだやや違和感を感じております。高齢者救急患者さんはマルチモビディティとして様々な合併症を持ち合わせながらも、排せつ介助や食事介助、歩行介助が必要だったり、認知症で常時見守りが必要であったりということで、医療現場では、看護必要度も高い、非常に手間のかかる患者さんをかなり多く見ています。特に介護職員が常時配置されているわけでもございません。そのような手間のかかる患者さんが高度医療なのか、専門的医療なのかと問われますと、確かにその対象からは外れるという視点ではB項目はなじまないという表現もありなのかということは、一定程度理解できます。
 ただ、そのような高齢者の重度も含めての急性期患者はどの入院料がふさわしいのかとなりますと、これまで議論にもありました地ケア直入で全て13対1で果たして見れるのかといいますと、非常に手間のかかる高齢者救急の対応ができるのかと言われれば、それはちょっと無理がある、そう考えるのが妥当なのかなと思っています。なので、7対1で見る対象の患者さんは必ずしも高度かつ専門的な医療に限定される患者ばかりではないということはここで確認しておきたいと思います。13対1ではとても対応できない、やはり7対1で対応せざるを得ないADLの落ちた重度の高齢者の急性期、これは手術の対象患者さんばかりではなくて、内科系の急性期疾患も多く含んでということになりますが、高齢者急性期も7対1の対象患者であるというのが現場の意見ということだと思います。繰り返しになりますけれども、7対1を今後、高齢者救急、高齢者急性期から切り離したい、とにかく7対1の病床を今後もっともっと減らしたいといっても、高齢者急性期はこれからもどんどん増えていきますので、切り離すことはなかなか難しいのではないかというのが私の考えです。
 3番目の丸ですけれども、ここに「手術等の急性期医療に伴いADLが低下した患者等へのケア」としていただいておりますが、高齢者の急性期というのは外科系ばかりではなくて、内科系の急性期の患者さんは、特に手術が必要なくても入院前からADLは既に落ちている患者さんがたくさんいらっしゃいますので、あえて手術等と限定する間もなく、B項目での看護の評価は必要と考えるところです。
 長くなっていますけれども、最後です。もし仮に急性期入院基本料の体系評価としてB項目を外すというのであれば、療養上のお世話としては看護業務あるいは介護に必要なマンパワーも考慮したところでの基本的な入院料の見直し、あるいは何らか看護・介護のマンパワーを評価する仕組みがないと現場は回らないのではないかと考えます。
 長くなりましたけれども、この部分の意見として、この辺、御配慮いただければと考えます。以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
 ありがとうございます。
 何点か意見を述べさせていただきます。
 まず、急性期医療に関して7対1の病棟ですけれども、今、津留委員が言われたとおり、高齢者の救急が非常に増えているということですが、高齢者の場合には、すぐに診断がつく、治療ができるということではなくて、少し経過を見なければならないという患者さんが多いので、7対1の入院が必要であるということはあり得ると思います。しかし、可能な場合には、早期に地域包括ケアとか回復期リハへの転院・転棟させる必要があると思いますので、早期に後方に転送するための加算のようなものがあるともう少しスムーズに動くのではないかと思います。
 また、8ページの回復期リハ病棟の評価に関してですけれども、こちらでは逆に、ここに急性期もしくは救急搬送後の直接入院が増えるということが言われておりますので、この場合には医療資源の投入量も多いことですし、やはり加算が必要であると思いますので、7対1の後方支援を促すということと、地域包括ケアで早期に加算をつける、この両者が必要なのではないかと考えます。
 それから、慢性期の中心静脈栄養のことですが、中心静脈栄養の適応というのはここに書いてあるよりもう少し広いのではないかという気がいたします。よく適応を見極めて慎重な議論を行う必要があると考えております。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
 ありがとうございます。
 私からも先ほど津留委員からお話のありましたB項目のところについて補足の意見でございます。
 4ページのマル3の2つ目、3つ目のところでございます。そもそも看護必要度というのは入院患者さんに提供されるべき看護の必要量を測る尺度でございまして、単に患者さんのADLの自立度や要介護度を測るものと同じではないということでございます。ですので、急性期だろうと回復期だろうと慢性期だろうと、患者さんの状態を評価するB項目というのはどの入院ステージでも重要だと思いますし、A項目とC項目との組合せによって個々の患者さんへの看護の提供量を推計するモデルとして、もっとブラッシュアップしていく必要があるだろうと思います。
 例えば入院前にADLが自立していた人であっても、先ほど手術というお話がありましたけれども、外科であれば術後の痛みあるいは倦怠感などで、通常なら一人でトイレに行けるような人でも看護師が車椅子で介助したりあるいは見守ったりしておりますし、内科系であっても、化学療法当日であれば薬の副作用等でめまいやふらつきがあって、通常なら一人で行けるところも看護師が介助したり見守るといったようなことが行われていて、患者さんが安全に、また安楽に療養生活を過ごすことができて、急性期を乗り越えることができているのだと思います。ですので、B項目の患者状態の評価というのは当然どの場面においても重要だということでございます。
 今回の結果ですけれども、高齢化に伴って、そもそも入院前から自立度の低い、要介護度の高い、あるいは認知症の進んだ高齢者の患者が増えてきたために、必要度のB項目、B得点が入院前から、また退院まで入院期間を通しておのずとベースが高くなっていて、このような結果に至ったのだと推察いたします。といいましても、治療のためだろうと、高齢のためだろうと、B得点の高さが看護の手間に相関していますので、いずれにしても評価は必要ということでございます。問題は、むしろ入院前から高度の認知症であったり要介護度が非常に高い高齢者に対して、一体どこまで濃厚な急性期の治療をするのか、抑制してまで本当にやるべき治療なのか、そうした急性期医療の入り口の議論のほうがよほど重要ではないかと思っています。
 それともう一つ、急性期では評価票IからIIが登場いたしまして、看護師の手からA項目やC項目の評価が離れてきましたので、B項目についてはむしろ項目を増やす方向で見直すことも必要だと思います。開発当初の看護必要度には、身体的な症状の訴え、療養指導あるいは意思決定支援、退院予定、そういった項目も含まれておりましたので、現在、重症化とか再入院を予防する観点からもこうした項目というのは急性期においてこそ重要だと思いますので、今すぐということではございませんが、評価票IIへの一本化と併せて急性期医療の評価になじむようなB項目そのものの再構築を検討すべきだと思います。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
 ありがとうございます。
 まず最初に、B項目の取扱いに関してですけれども、私もB項目をどこかで外す方向で考えなくてはいけないと考えている人間の一人です。ただ、これは決して患者のADLが下がっていることに対しての看護力、介護力、こういったものを全く評価しないということではなくて、今、B項目の在り方というのは、日々の変化を見て、評価のための労力がそれなりにかかっている。むしろそういった労力をかけずに評価する方法を考えるべきではないかと思っているところです。急性期病棟においても高齢者が増えて、間違いなく看護を要する人、介護を要する人は増えているのです。ですから、これをちゃんと評価しないわけにはいかないということですけれども、その評価の在り方をもう少し見直すことはあっていいのかなと思っています。これが1つです。
 あと、もう一つ、これは猪口先生がおっしゃったことに関連するのですけれども、地ケアの在り方、ポストアキュートの医療施設をしっかりとつくらなくてはいけない。急性期病院の受け皿をしっかりと確保しておかないと、急性期が回らなくなってくる。少しでも早く回復期に回すべきなのです。ところが、例えば地ケアの在り方が次第にサブアキュートに軸足を置くようになって、ポストアキュートの患者を制限する、そういった制度設計に徐々に変わりつつあるところに私は懸念を抱いています。やはり急性期からちゃんとその次に移れる、そのための仕組みとその部分への評価が重要だと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
 ありがとうございます。
 まず、急性期の側のほうのお話を私も受け側としてお話をさせていただきたいと思います。地ケア病棟に転院とか、そういうことを考えるときに一番重要なのは、いかに急性期の入院期間を短くするかということであろうかと思います。その時点で何がネックになるかということをよく考えますと、多分、急性期病院で退院できると言っていただいたにもかかわらず、その後、例えば家族面談であったり、いろんなことがあって、結局それから1週間、2週間かかってしまう。そういうことが非常に大きな要素を占めていて、転院までの期間の多くの部分をそういったものが占めているということを考えますと、先ほど猪口委員がおっしゃったような何らかのインセンティブをつけて、できるだけその時間を短縮するということが非常に重要なことであろうかと思います。
 それと、救急に関していいますと、地ケア病棟にできるだけ高齢者救急を持っていこうという方向で進んでおられるという気がいたしておりますけれども、実際に上り搬送と下り搬送、どちらが難しいかといったら、やはり上り搬送のほうが大変ですし、場合によっては上り搬送する間に患者が重症化していってしまうということを考えると、取りあえず診断だけつけていただいて、下り搬送の時間を短くするという考え方も重要ではないかと思っております。
 介護の評価というのは、これだけ高齢者、手術患者の平均年齢が80歳を超えるような時代になってまいりましたら、先ほど津留委員がおっしゃったようにマルチモビディティ患者がおられるわけで、そういう患者さん方というのは、初めのころのADLがよくても非常に悪化しやすい、いつどこで悪化するか分からないという状況にあると思います。そういう意味でいいますと、看護と介護というのはある程度分けてくる時代ではなかろうかと私は思っていて、介護というものを別の評価、例えば日本慢性期医療協会ではよく基準介護と申し上げおりますけれども、ああいうものを一考する時期ではないかと思っております。
 もう一点、猪口委員から出ましたTPNについてのお話でございます。適応範囲がもうちょっと広いのではないか、私も同感でありまして、特に特定看護師が行いますPICCというものがございますので、それを使いますと非常に早期に、医師がわざわざ出向いてCVを入れなくても済むということでございますので、非常に容易に対応でき、同時に、、食欲不振の方に経鼻管を挿入することによって生じる抑制であったり、ADLの低下を伴うような行為、そういうものも防げる可能性があるという点からいきますと、TPNをあまりがんじがらめの状態で、経腸が使えるからそのほうが絶対いいという形にはならないのではないかと考えております。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
 私もB項目の関係から入らせていただきます。冒頭、津留委員のほうから高度・専門医療に関する観点と7対1の観点ということでお話がありましたけれども、7対1病棟においては高度・専門的な機能を持たせる病棟であるということは整理しておくべきではないかと思いますし、ただ、それをもって高齢者の方が入る、入らないということではなく、機能という観点からは整理が必要かと思います。
 今回の資料から、急性期入院料4でB得点が3点以上の割合が高いということが出ているわけですけれども、これらの部分では「専門的な治療・処置」の該当割合が低い、手術の実績も低いということが出ている観点から、先ほど申し上げたとおり、高度・専門的な医療を評価するという観点から、7対1においてはB項目以外の観点をもうちょっと重視していくべきではないかと思う次第でございます。
 それから、回復期リハにおいてのお話ですけれども、先ほど池田班長のほうからも説明がございましたが、リハビリテーションの単位数と運動FIMの変化について、リハビリテーションを提供する単位数の増加に伴って明らかな改善があったかというと、必ずしもそうでもなかったということがございました。6単位以上、7単位以上、8単位以上、9単位以上、このデータを見ますと、1日当たり9単位まで評価する意味が果たしてあるのかどうかを含めて、単位数の関係はFIMの改善という観点から御検討が必要かと思いました。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 では、山本委員、どうぞ。
○山本委員
 既に多くの委員の皆さんがお話しになっていますが、7対1のB項目のところでございます。この点については、私どもJCHOの57病院、年間300万症例を過去5年間、B項目の集計をして検討しているところでございますが、入院時及び退院時のB得点というのはこの5年間一貫して上昇してきているということ、もう一つ重要な点は、入院時に比べて退院時のB項目・B得点が悪化している症例、これもこの5年間で一貫して増えてきているということです。つまり、今の急性期病棟は、疾患の治療は行っているけれども、逆にそれで高齢者のADLを落としているということがデータとして明らかでございます。これはまもなく論文にする予定でございます。これに対する対応を今までどおり看護でやるのか、それとも介護も入れるのか、この本質的な問題を解決せずして、ただ単にB項目をいじるというのは、患者に対する不利益以外何物でもないと私は考えます。現状、看護でやるというのであれば、ここは看護必要度という観点から残すべきだし、その辺の結論をすぱっとこの改定で出すのは難しいと思いますけれども、そこは非常に重要な点だと思います。繰り返しになりますけれども、現状の7対1病棟では、疾患の治療は進んでいるけれども、ADLは悪化する、それがどんどん進んでいることは間違いないということは注目すべきではないかと思います。
 それから、2つ目、これは質問してもよろしいのですか。113ページ、先ほど運動器のFIMが1日の単位数を上げても変わらないという資料がございましたが、これは何か医学的な根拠があるのかというところですね。例えばほかの脳血管であれば単位数を上げてくると効果が上がってくるのに、運動器はなぜ上がらないのか。
 もう一つ、110ページのデータを見ると、不思議なことに、提供単位数が脳血管の場合は実際にマックスのほうに張りついているけれども、運動器の場合はちょうど5から6単位のところが一番多いというようなことで、この辺、何か関連があるのか、ちょっと不思議な感じがするのですが、その辺、何かお分かりであれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 秋山委員、挙手されていますか。
○秋山委員 度々すみません。先ほど山本委員がおっしゃったB項目が悪化しているという点、私も非常に重要だと思います。B得点が下がるというところがやはり看護のアウトカムになってくる部分ですので、恐らくそこは看護師が専門職として頑張るべきところだと思いますし、看護必要度としても残すべきだと思います。
 それから、もう一点、牧野委員から看護師のB評価に対する負担というお話がございましたが、今、療養上の世話の一部をタスク・シフト/シェアの中で看護補助者にシフト/シェアしていこうという中で、医療の質あるいは安全の観点から、専門職である看護師による患者の状態評価と任せるか、任せないかの判断はむしろ今こそ重要だと考えますので、この点においてもB項目の評価をしっかりとブラッシュアップする必要があると思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほか、よろしいでしょうか。田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
 ありがとうございます。
 リハビリのところですけれども、117ページ、118ページ、先ほど来、効果があまり出ていないという議論が出ています。体制強化加算について、あまりお話が出ていないと思うので、一応、念のためですけれども、これは、1日につき、1の場合200点とか取っているところも多いのですが、これによって効果がどうかというと、逆に入院日数が長くなったり、効果がそれほど大きく出ていないという結果が出ています。これによってリハビリの医者が病棟専従になってしまって、外来や地域に出ていけないということもありますので、少し見直したほうがいいのではないかと思うことが一点です。
 それから、TPNの議論です。これは前から私もいろいろ問題視させていただいていまして、大分動いてきてよかったと思うのですが、猪口委員がおっしゃったように、本当の適応でそのほうがいいという部分もあるとは思うのです。経鼻栄養にして抑制するよりはというお話が出ましたけれども、それはそのとおりだと思うので、ただ、漫然と長期間、適応を考えずにということではなく、適応の場合は必要に応じてやるというのがとても大事かと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、これまでのところ、いろいろ御意見、御質問もございましたので、事務局のほうからコメントをお願いしたいと思います。
○加藤補佐
 事務局でございます。非常に多くの御意見ありがとうございました。
 簡単ではございますが、事務局からコメントさせていただきたいと思います。
 まず、津留委員から、7対1、B項目に関して様々御意見を頂きました。指標に限らず、高度急性期に関して表現ぶりが7対1にふさわしいのか、高齢者急性期と高度急性期というのがやはり切り離せない部分があるのではないか、こういった高齢者の急性期に関しては13対1では厳しいのではないかという御意見も頂いております。B項目の必要性についても御意見を頂きましたし、もしB項目がないのであれば、療養上の世話の評価あるいは介護の配置について必要なのではないかというようなことで御意見を頂いております。
 猪口委員からは、高齢者急性期、7対1が当然必要な場合もあるということ、また、早期に後方搬送すべきだというようなこと、地ケアも、そうした直接入棟、救急の評価が併せて必要だということで御意見を頂いております。また、慢性期に関しましては、中心静脈栄養の適応がもう少し広いのではないかということで御意見を頂きましたので、この点に関しましても、再度事務局として精査させていただきたいと思っております。
 秋山委員からは、B項目に関して、看護の必要度として、単なるADLの評価をしているわけではなくて、看護としての手間を評価しているのであるということで御意見を頂いております。また、急性期になじむB項目というものに関してブラッシュアップが必要だということで御意見を頂きましたし、また、入り口の問題であるということで、急性期に関してこれまでも様々御議論いただいておりますけれども、やはりこの点、高齢者の急性期を入り口の問題としてどう捉えるのかということは、事務局としても再度、今後検討していきたいと思っております。
 牧野委員からは、B項目についていつかは消さないといけないのではないかということで御意見を頂きました。ただ一方で、看護の手間がかかっているということは否定するものではない、それをどう評価するかということで御意見を頂いております。また、地ケアに関しては、ポストアキュートの機能に関して非常に重要なので、サブアキュートに寄り過ぎず、こういったポストアキュートの役割、その評価をどうするのかといった議論が必要だということで御議論いただいております。
 井川委員からは、いかに急性期を短くするのかが重要だろうということ、そして下り搬送の重要性について御意見を頂きました。看護、介護の評価を分けることの可能性についても御意見を頂きましたし、慢性期に関しましては、中心静脈栄養、PICCカテーテルの活用についても言及いただきましたので、事務局としてもまた検討してまいりたいと思います。
 中野委員からは、7対1に関しては、より高度・専門のほうへ機能分化を推進すべきではないかという御意見を頂きました。また、指標としてはB項目以外を重視すべきではないかという御意見も頂いております。回リハに関しては、運動器に関して、7単位から9単位の評価に関してデータでこのようなFIMの改善がないのであれば見直すべきではないかという御意見を頂いております。
 山本委員からは、B項目、JCHOのデータにおいては、ADLが急性期において入院中に悪化しているというような貴重なデータについて御紹介いただきました。これをどう評価するのかというようなことで様々ほかの委員からも頂いていることも踏まえて、検討が必要と認識しております。
 また、運動器の7単位から9単位のFIM利得が上がっていない部分に関しまして、運動器と脳血管疾患で異なるのかということで御質問を頂いておりますけれども、こういった疾患ベースでそれぞれリハビリの必要性が異なるということは文献上でも多々言われている部分でございます。脳梗塞の場合に関しては用量依存性で改善するということも文献上も示されているわけでございますし、脳梗塞のリハビリテーションは運動器と異なって脳の再生を行うというような機序もあるということでございますので、そういったところを含めて、機序に関しては大きく異なり、その結果でこのようなエビデンスが出ていると思っております。6単位に張りついているところに関しましては、一部、以前も井川委員からも御紹介いただいておりますけれども、現場の審査の中では6単位以上必要なのかということで査定されているような状況もあると我々も聞いておりますので、そういったところの影響があるのだろうと認識しております。
 田宮委員から、体制強化加算について御意見を頂きまして、現状の評価においては、病棟専属の医師がそれによって地域に出ていけない状況が生じているというようなことで、非常に貴重な示唆を頂きましたので、こういった点に関しましても、今後また見直しさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ただいまの事務局のコメントにつきまして、よろしいでしょうか。何か追加点ございますか。ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見、御質問等もないようですので、本件は以上とさせていただきます。
 それでは、2つ目の議題でございます。「DPC/PDPS等作業グループからの中間報告について」につきまして、事務局及び作業グループの山本班長より資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
 まず、事務局から資料の御説明をさせていただきたいと思います。
 今回、DPC/PDPS等作業グループからの中間報告ということで、入-2、入-2参考、そして入-2別紙ということで資料を御用意させていただきました。
 こちらも指標等作業グループと同様に、昨年度から作業グループにおいて様々な御検討を頂きまして、今年度に入りましても5回作業グループを開催し、お手元にある資料のような議論をさせていただいております。今回、中間報告としてまとめていただきましたので、山本班長から御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山本委員
 それでは、入-2に沿って御説明いたします。資料は入-2参考を御覧ください。
 まず、入-2の1ページ目の「1.DPC対象病院に係る検討について」ですが、DPC対象病院は増加傾向にありまして、特に急性期病床が200床未満の病院が増加傾向にあるということで、平成30年の改定以降、DPC制度になじまない可能性のある病院についてどう考えるのかということで分析やヒアリングを実施してきたというところでございます。令和6年度改定に向けては、このような経緯も踏まえて、DPC対象病院の在り方について評価方法を含めて検討を行っているところでございます。
 「(2)具体的な検討内容」のマル1「医療機関別係数による評価について」でございます。まず、保険診療係数についてですが、現在、評価している適切なDPCデータの作成に係る3つの項目について、令和5年度係数において基準を満たさない病院は僅かでありました。この点については、質の高いデータ提出が安定的なDPC制度の運用の前提となっていることを踏まえると、適切なデータの作成に係る基準をDPC対象病院の要件とすることも考えられるのではないかということでございます。
 一方、適切なコーディングという観点から評価を行っております「部位不明・詳細不明コード」の使用割合については、実態把握のために、基準値を上回る病院、このコードの使用割合が多い病院については令和5年度特別調査を実施しております。
 特別調査の結果については、入-2の別紙にございます。別紙の1ページ目に概要、2ページ目に調査の実施方法と回収率、3ページ目にヒアリングの対象施設の概要を示しています。
 4ページ目以降がヒアリングの調査結果でございまして、5の(1)にコーディングに係る調査結果を記載しています。作業グループの指摘としては、コーディング担当者の理解不足、あるいは病院全体としてコーディング体制の不備に起因する不適切なコーディングがあるのではないかという指摘、もう一つは、急性期病棟での入院がもともと想定されていない症例においてコーディングが困難になるケースがあるのではないかということが指摘されているところでございます。
 なお、「部位不明・詳細不明コード」の一部については、DPC病院全体での使用割合の高いものが含まれていることが指摘されており、コーディングテキストの記載内容の充実も含めて精査を行うこととされているところでございます。
 次に、入-2の2ページ目、効率性係数・複雑性係数に関する検討でございますが、令和4年度特別調査に係る検討過程において、診療対象とする診断群分類の種類が少なく、症例構成が偏っている医療機関に対して、本来の趣旨に合わない評価となる場合があるという指摘がございます。具体的なモデルケースについては、入-2参考の37ページと41ページを御参照ください。こうした点について、本来の評価の趣旨やDPC対象病院の在り方も踏まえて、算出方法の見直しやDPC対象病院の基準の見直し等の対応が必要ではないかという意見がございました。
 次は、救急医療係数でございます。入-2の3ページ目に記載がございますが、これについては、評価が高い場合、何で評価が高くなるのかという趣旨が明確になるように、そもそも名称の変更等も含めて検討が必要ではないかということが指摘されております。
 次は、地域医療係数(体制評価指数)についてです。令和5年度係数における医療機関群ごとの体制評価指数の分布を考えますと、特に大学病院本院群あるいはDPC特定病院群については、評価項目や実績評価の手法の在り方を検討する必要があると考えられております。また、社会や地域の実情に応じて求められている機能の評価という観点から、新たに評価を行うことも検討を行っているところでございます。
 続いて、DPC対象病院の要件についてでございます。DPC対象病院が満たすべき要件の1つとしてデータ/病床比が設定されておりますが、これについては急性期一般入院基本料の届出を行う医療機関の大半が満たしている状況であるということです。一方、今の比率の分子のデータ数について着目すると、急性期一般入院基本料の届出を行う医療機関全体と比較してもデータ数が少ないDPC対象病院が存在しているという現状がございます。入-2参考の62ページから65ページに記載がございますが、このようなデータの少ないDPC対象病院は、例えば62ページですけれども、複雑性係数が高い傾向にある一方で、逆にデータ数が少ない、1か月当たり90以下の病院では診療密度の相対値が低いという傾向にございます。このような点から急性期医療の標準化というDPC制度の趣旨を踏まえると、DPC対象病院の要件とその評価の在り方の両面から検討する必要があるのではないかというような指摘がございました。
 次に、入-2の4ページ目、今後の方向性について記載しております。医療機関別係数による評価を含めたDPC対象病院の在り方について、引き続き検討を進めることとしております。
 続いて「2.算定ルールに係る検討について」でございます。マル1の「点数設定方式について」ですが、標準的な点数設定方式A、これは令和4年の改定において、入院期間Iをより重点的に評価する体系へ見直しを行ったということがございます。
 点数設定方式別の在院日数の変化の推移を確認しておりますが、症例構成の補正を行った場合でも、点数設定方式Aで設定される診断群分類については、在院日数はあまり変化していないということでございます。
 一方で、入-2参考の75ページから77ページにございますが、経年的な変化に伴って、入院期間Iでの医療資源投入量が増加している診断群分類が多いということ、それから、A方式が適用される分類において、入院期間Iでの医療資源投入量の比率が大きくばらついていることが確認されておりまして、A方式の分類のうち、入院期間Iにおいて医療資源投入量がもともとの設定点数を大きく上回る例も存在しています。したがって、入院初期に患者を退院させるとコスト回収ができないということが起きていて、早くに退院させてもコスト回収ができるよう見直すべきではないかという指摘がございました。また、標準的・定型的な経過をたどれば早期退院できるような診断群分類については、入院期間IIより早期に退院させた場合であっても十分な評価ができるよう検討すべきではないかという指摘がございます。
 次が5ページ目、マル2の「短期滞在手術等の算定ルールについて」です。短期滞在手術等について、DPC対象病院ではD方式で算定することとされておりますが、DPC対象病院において、入院外での実施割合が低い手術が存在することが確認されているということであります。DPC対象病院の中でも、入院でやるか、あるいは入院外でやるかの実施状況に大きなばらつきがあったことから、短期滞在手術等の入院あるいは入院外での実施状況の実態把握のために特別調査を実施いたしました。
 結果は別紙の6ページ以降に記載がございますが、ここでの検討の中では、短期滞在手術等の入院外での実施状況については、やはり病院の設備や人員体制が整備できているか、これが大きく関わっているということがある。あとは、患者さんや家族の意向等によって簡単には外来に移行できない状況もあって、やはり短期滞在手術等自体の評価の見直しにより解決するのは難しいのではないか。あるいは日帰り手術として実施可能な手術について、術後の経過観察を目的として、病床を利用して、1日入院として当日に入退院させる場合があるというような指摘もあったところでございます。
 今後の方向性でございますが、点数設定方式については、引き続き検討を進めてまいります。一方、短期滞在手術等の評価については、DPC/PDPSや短期滞在手術等基本料による包括評価の在り方も踏まえて、分科会において検討を行っていくものと整理しているところでございます。
 続いて「3.診断群分類に係る検討について」でございます。この論点については、診断群分類の見直し作業の基本的な方針を確認したほか、より適切な指標による分岐の設定等について議論がございました。
 最後に、6ページ目以降の「4.退院患者調査に係る検討について」でございます。この論点に関しましては、調査の名称や退院患者調査の結果報告の在り方等の整理の必要性について議論があったほか、診断群分類に用いることが想定されているデータについては、その入力状況を公開データにおけるモニタリングの対象としていくことについて議論があったところでございます。
 作業グループからの報告は以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等承りたいと思います。いかがでしょうか。猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
 ありがとうございます。
 今回の中間報告を見せていただいて、ここで言う3ページ、DPCの対象病院の要件ということですが、どうしてもデータ数が少なくて診療密度が低いとか、本来DPCというのは急性期に特化した制度だと思っているのですが、リハビリテーションのための入院がDPCで行われるというようなこともあるようですので、ある程度DPCの対象の病院もしくは病棟の一定の基準をそろそろ設けるべきではないかと感じました。その場合には、DPCの制度からの退出というような議論も必要になるかと思いますので、そのような検討も必要かと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 何か事務局のほうから追加コメントありますか。
○加藤補佐
 ありがとうございます。事務局でございます。
 猪口委員から、基準を設けて退出の検討も必要ではないか、データ数が少ないところに関してリハビリテーションのための入院があるのではないかというような御指摘も頂きました。まさしく作業グループでも同様の議論がなされたところでございますので、御意見も踏まえて、作業グループでも再度検討していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 山本委員、どうぞ。
○山本委員
 今、猪口委員から御指摘があったとおりでございまして、この作業グループは改定3回ぐらいずっと検討しているのですけれども、何ら決めていないというところで、かなり検討は熱くしておりますので、そろそろ何らかの結論を出してアクションを起こすべきではないかということは作業グループの中でも議論しているところでございます。ありがとうございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 特にほかに御意見等もないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りにしたいと思います。
 それでは、本日の3つ目の議題でございます。「急性期入院医療について(その3)」でございますが、まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
 事務局でございます。
 入-3を御覧いただければと思います。「1.急性期入院医療について(その3)」を御説明させていただきたいと思います。
 3ページ目に、これまで入・外分科会においても頂いた御意見をまとめておりまして、急性期におけるリハビリテーションについても様々な御意見を頂いたところでございます。
 4ページ目から、3月から行われておりました同時改定に向けた意見交換会における主な御意見を御紹介させていただいております。
 7ページ目、入院関連機能障害ということで、先ほど山本委員からも入院中にADLが落ちているということで御報告いただきましたけれども、まさしくその観点で御紹介させていただいたわけでございますし、その要素の一つとして、8ページ目、安静臥床の弊害についてということでまとめております。
 9ページ目に入院料ごとの要介護度の変化ということで、対平成28年度のデータと比べていただいております。専門病院あるいは特定機能病院において要介護・要支援の患者さんの割合が増えているというようなことをお示ししています。
 10ページ目以降、ICUや治療室における早期離床・リハビリテーション、あるいは早期栄養介入管理加算に関してまとめております。
 前回の改定においてICUから他の治療室においても適用拡大しておりまして、11ページ目に、その算定回数、届出医療機関数の変化、12ページ目に、令和4年度診療報酬改定で新たに算定可能とした治療室における今の届出状況についてお示ししています。
 13ページ目は、届出ができていない理由ということで、経験を有するPT・OTの確保が原因ということで、データとして上がってきています。
 14ページ目以降、早期栄養介入管理加算の状況を同様にお示ししています。
 17ページ目は、誤嚥性肺炎に対するリハビリテーションということで、急性期の疾患であります誤嚥性肺炎におきましても、早期にリハビリテーションに入ることによって死亡率あるいは入院期間に関して有意に結果が改善しているというようなことを示しております。
 18ページ目は、急性期の脳卒中に対する早期リハビリテーションです。こちらは最新のガイドラインにおきましても、1つ目のポツが新たに加わりまして、機能回復を促進するための24時間から48時間以内の病態に合わせた計画を立てることがより勧められるようになっております。
 19ページ目はリハビリテーションの実施状況、20ページ目に、入院料ごとの1日平均の提供単位数ということで、急性期においては、回復期、地ケアなどに比べると提供単位数としては小さくとどまっているというような傾向でございます。
 21ページ目、22ページ目を御覧いただきますと、急性期の1あるいは2から6においてリハビリの実施率が非常に少ないような病棟が中には見受けられるということでございます。
 23ページ目は、40床当たりのリハビリテーション専門職の人数分布ということでお示ししていますが、地ケアに比べると、当然ではございますが、急性期の1あるいは2から6に関しては、その配置にかなりばらつきがあるということをお示ししています。
 一方で、24ページ目、25ページ目に、配置されていると実施率が高くなるし、ADLスコアの改善がより見込めるというような結果をお示ししています。
 先ほど山本委員からも御指摘がございましたが、26ページ目、27ページ目に、ADLが悪化しているということは結果としてもお示ししておりまして、一定の割合で65歳以上の高齢者のADLを悪化させているというようなデータをお示ししているところでございます。
 それに対して28ページ目に、一つの切り口でございますが、土日・祝日のリハビリテーションということで、日曜日に全く実施していないところが7割程度あるという結果も出てきております。
 一方で、29ページ目、30ページ目にお示ししていますのは、急性期において休日リハビリテーションを行うことによって、平均在院日数あるいはICUの在院日数、端座位達成率など有意にエビデンスとしても改善しているということがきれいに出てきております。30ページ目は、そうした休日リハビリテーションを行う群においてADL利得が高いという結果もございます。
 31ページ目からはADL維持向上等体制加算でございますが、急性期のリハビリテーションの必要性がこれだけうたわれているものの、なかなか届出医療機関数は伸びておらず、算定要件に関しては難しい点があるのではないかという御指摘も頂いているところでございます。
 32ページ目は、届け出ていない理由に関して、PTの確保ができないため、あるいは疾患別リハビリテーションをそもそも算定しているので、その必要性を感じられないというような回答が出てきています。
 33ページ目は、要件に関してどれぐらい満たしているかということでございます。
 34ページ目以降に栄養管理に関する評価の主な変遷、35ページ目に入院における主な評価ということで概要をお示ししています。
 36ページ目は、同時意見交換会における資料でございますが、70歳以上になりますと、低栄養のリスクあるいは低栄養の患者さんの割合が当然ながら増えてくるということでございまして、37ページ目に現状の栄養摂取の状況、38ページ目に嚥下調整食の状況等をお示ししています。
 39ページ目に、そもそも入院基本料において、通則的に施設基準の中では様々な栄養の基準、要件がございます。例えばマル2においては、栄養管理手順を作成することというようなことで記載しておりますが、一部形骸化されているのではないかというような声も上がっております。
 40ページ目は、Lancetの論文でございますが、急性期において入院後48時間以内に適切なスクリーニングして、必要な人に介入すると、死亡率も含め、負のアウトカムに関しては改善が認められているというようなことでございます。
 41ページ目は、栄養に関するデータ提出に関してですが、入院時のみしか例えば体重は報告されていないような現状もございます。
 44ページ目は、低栄養の世界的な診断基準も2018年に定められておりますので、左側にアセスメント、表現型、病因とございますが、これに一つ当てはまった場合は重症度の診断をするというような手順が世界的にも標準化されつつあるという現状をお示ししています。
 45ページ目は、栄養サポートチーム(NST)の概要でございますが、近年、令和2年度以降、算定回数が伸び悩んでおりますが、こちらは併算定の判定から治療室における様々な加算ができましたので、その影響も受けて少し算定回数が減っているというような現状でございます。
 NSTに関しましては、46ページ目、前回の改定で障害者施設等入院基本料においても算定できるという変更を行いまして、47ページ目を御覧いただきますように、既に多くの入院料において算定が可能ということになっております。
 49ページ目は、NSTの届出をしていない理由ということで、所定の研修を受けた医師・看護師・薬剤師の確保が難しいというような結果が上がってきています。
 50ページ目に、新設しております入院栄養管理体制加算について概要をお示しし、51ページ目にその結果をお示ししています。
 52ページ目は、病棟における管理栄養士の配置状況で、配置要件となっている回リハの1に関しては専任として配置されている状況が見てとれるかと思いますが、それ以外に関しては配置が薄いというような結果でございます。
 中身を見ていただきますと、53ページ目、実際の内容ですが、栄養情報提供書の作成あるいはミールラウンド実施割合がいずれの区分においても低いという結果、54ページ目には、その中で管理栄養士の病棟配置を行えば、体重減少量及び体重減少率、いずれにおいても有意に改善するというようなことが結果として出てきております。
 55ページ目は、周術期栄養管理実施加算の概要をお示ししておりまして、56ページ目が現状での算定回数、57ページ目が入院栄養食事指導料等、58ページ目が栄養情報提供加算、こちらは在宅担当医療機関に提供した場合の評価としておりますが、59ページ目を御覧いただきますとおり、算定回数は全体的に少ない状況でございます。
 60ページ目は、高齢入院患者の低栄養状況等でございます。今回、同時改定でもございますが、介護施設等から入院する方の低栄養の状況と、そういった方が退院しているというような状況を61ページ目にわたってお示ししているところでございます。
 63ページ目、誤嚥性肺炎患者に対する多職種連携の必要性について同時改定の意見交換会でも確認したところでございます。
 一方で、64ページ目は、病棟における多職種連携の取組状況ということで、9から11に、栄養、リハビリテーション、口腔の計画の作成にどういった職種が関わっているかということでお示ししていますが、リハ、口腔、栄養の関連する職種においてそれぞれの関与がまだ薄いというような状況をお示ししているところでございます。
 65ページ目は、課題と論点ということでお示ししていますが、今回、論点としては、急性期におけるリハビリテーションや栄養等の取組とその連携の推進を図る上でどのような方策が考えられるかということで御議論いただければと思います。
 説明は以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明、スライドでいいますと65枚目まででございますが、この部分につきまして、御意見、御質問等承りたいと思います。牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
 ありがとうございます。
 まず、9ページ目を見ていただきたいのですけれども、これは入院料ごとの要介護度別の患者割合ということで、平成28年度との比較になっています。四角に書かれたコメントの訂正をお願いしたいというのがまず第1点です。といいますのは、急性期一般入院料1、専門病院、特定機能病院においては要介護度非該当の患者比率が増加した、これだけ読んだら、該当者が減ったのではないかというふうに取れる表現です。実際にはそうではなくて、非該当が増えたのは未申請のカテゴリーの人たちが減っているということであって、そもそも未申請と非該当の区分というのはちゃんとした定義はないのではないかと考えているのです。ですから、その意味で増えたということであって、要介護と要支援者の比率というのはむしろ増えているのです。入院料1でいくと大体10%増えています。専門病院のほうでは約2倍になっています。特定機能病院では15%増加しています。むしろ要介護者が増えたということをコメントとして記載するべきだと思います。これがまず第1点です。
 次に、23ページからのリハビリのところです。リハビリ専門職の重要性という点ではいいのですけれども、ただ、23ページ、24ページ、25ページ辺りのグラフを見るときに、これにはちょっとしたバイアスがあるということも分かった上で見なくてはいけないということをお伝えしたいと思います。要は、脳卒中とか運動器疾患とか、そういった疾患を多く扱う施設では当然リハビリスタッフの配置が多いのです。回リハとかでも回復期ですからリハビリが中心になるので多い。そういったところではリハビリというのが治療の一部を占めているので、ADLの向上を目指して治療を行っているわけです。ですから、そういったところはADLがどんどん改善するというのは当然だということで、そういったバイアスがあるということはちゃんと理解していただきたいと思います。ただ、リハビリテーションを否定することではないです。むしろ重要だと思っています。
 次に、29ページから30ページのところです。早期からの切れ目のないリハビリというのは極めて重要です。これを実施している施設は今後高く評価されるべきだと思います。
 次に、31ページに行きます。ADL維持向上等体制加算ですけれども、リハビリに対する考え方というのはこの数年大きく変化してきていると思っています。従来は脳卒中とか運動器疾患など治療の一部としてリハビリが定着している。そういったものに実施してきたわけです。ところが、病棟が高齢化してきています。その中で新たなニーズとして対応すべきは、廃用の予防、ADL低下の予防なのです。ADL低下がある一定レベルになると、実は廃用症候群として疾患別のリハビリの対象になるのです。ただ、今後は、そうなる前に、先ほどからいろいろと議論になっていますけれども、より早期の廃用予防を兼ねた部分、そこにリハビリスタッフの介入が求められることになると思いますけれども、現行では廃用予防は疾患別リハビリのカテゴリーではありませんので、リハビリスタッフの対象になっていないということになります。
 そこで出てきたのがADL維持向上等体制加算ということになるのですけれども、このグラフにあるとおり、届出施設は極めて少ないと言わざるを得ません。なぜ少ないかというと使いづらいからです。意識の高い施設は疾患ベースリハビリをしっかりと行っています。32ページのグラフが示すように、右側のグラフの下のところで疾患別リハビリをやっているから要らないということで、悪い言い方をしたら、入院して何日間か待っていると廃用リハビリの算定適用になるような患者も出てくるのです。ですから、そこで廃用としてリハビリを取るということも起こってきます。ただ、それでは駄目なので、もっと早期からリハビリを開始するということ、それができるような評価体系になるべきだと思っています。その意味で、ADL維持向上等体制加算をもっと使いやすいようにするか、もしくは廃用予防のための評価というのを別に考えるか、何かが必要だと思います。
 長くなりますけれども、次、栄養に関して60ページです。高齢化というのは急性期病院においてもありまして、入院時から既に低栄養、嚥下機能低下という方が一定割合いる。それは今後さらに増えるだろうと思っていまして、入院早期からこういった患者に適切に対応するということは必須だと思います。その意味で、管理栄養士の病棟配置というのは極めて意義があると思います。病棟配置によって患者さん一人一人に適した栄養管理ができますし、きめ細かい栄養指導もできます。チーム医療という観点からも、食事に関する対応を看護師ではなく栄養士が行うということが重要だろうと思います。その意味で入院栄養管理体制加算の対象範囲の拡大は考慮していいのではないかと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 まず、急性期のリハビリに関しまして、13ページには早期離床・リハビリテーション加算の届出をしていない理由、16ページには早期栄養介入管理加算の届出をしていない理由のデータをお示しいただきました。質の担保として比較的ハードルの高い施設基準となっているのだろうと思いますが、そこに経験を有する専任、常勤のPT・0Tの確保、また経験を有し、研修を修了した専任の常勤看護師の確保というようなことで、そのようなスタッフがなかなか確保できないことで届け出ることができないという理由が多く見られますので、その質の担保も必要ではありますけれども、ややハードルが高過ぎるのではないかというのが意見です。
 31ページ、今、牧野委員も御指摘されましたが、ADL維持向上等体制加算の届出医療機関の伸び悩みも見られて、コロナの影響もあるのかもしれません。
 32ページ、今、御指摘いただきましたように、セラピストの確保ができないというものと、あと、疾患別リハを行っていればこの加算の必要性は感じられないという届け出ない理由が示されているとおり、すなわち加算点数の設定が低過ぎて、その必要性があまり感じられないということかなと思いますので、点数設定自体を見直す必要があるのかと思われます。
 長くなりますけれども、急性期の栄養に関しまして、今回、栄養管理に関する評価をいろいろおまとめいただきました。57ページには、入院栄養食事指導料について、その対象者を挙げていただいていますし、それに対する加算ということで栄養情報提供加算、58ページにもその概要をお示しいただいていまして、関連先、紹介先もここに挙げていらっしゃいます。
 59ページには、栄養情報提供加算の算定回数が入院栄養食事指導の算定回数に対して非常に少ないという結果が示されています。これを考えますと、介護施設、例えば介護医療院、療養に紹介するような患者さんで、寝たきりだったり認知症だったり経管栄養といった患者さんも多くて、そもそも入院栄養食事指導の対象にならない場合も多いのではなかろうかと思われます。栄養情報提供加算はあくまでも入院栄養食事指導に対する加算という設定ですので、介護施設に紹介するような患者さんはそもそも対象となるケースが少ないのではないかと思います。ここには算定のミスマッチがあるのではないかと思いますので、ここは確認が必要と思います。それ以外にも、在宅医、かかりつけ医に栄養情報提供を行っても、退院後に自院の外来のほうに受診される場合もあるでしょうし、あるいは退院時共同指導料2の併算定は不可という縛りもあったりしますので、この算定につながっていない。そういったことで算定につながっていないケースもあるのではないかと思います。
 これは意見ですけれども、入院栄養食事指導料につきましては、来年、同時改定で医療・介護との連携を重視するという意味においては、対象者の要件を、例えば経管栄養の患者さん、摂食・嚥下障害の患者さんに少し拡大した上で、紹介時に栄養情報提供加算をもっと算定しやすくして、もっと連携できるようにしたほうがよいのではないかと考えます。それでは、その基準をどうするのか、どこまでを算定の対象者にするのかということに関しましては、今日お示しいただきました43ページの「嚥下調整食分類2021」、あるいは44ページでお示しいただいた世界的診断基準の分類などを用いて行ってはどうかと思います。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
 ありがとうございます。
 牧野委員、津留委員からお話があった部分ですけれども、ADL維持向上等体制加算ですが、先ほどのデータで急性期入院をしていると入院時よりも退院時のほうがADLが低下してしまうというようなデータもございます。高齢者の入院というのは、入院してからもちろん治療との並行ということになりますけれども、ADLが評価され、それを低下するのを予防するにはどうしたらいいかという議論が非常に重要だと思っております。この部分を診療報酬上でもやはり評価すべきであろうと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員 ありがとうございます。
 特にリハビリテーションの栄養について、今後の人口動態を見てまいりますと、独居とか高齢の患者さんが増えて、入院のきっかけが急性期疾患であっても、併存している疾病やADLの状況によって状況が全く変わってくる点が重要かと思います。新型コロナによる入院後、コロナ自体がある程度落ち着いてきても、栄養状態が悪いとか、入院関連の機能障害による運動機能障害などで転院先、退院先がなかなか難しい、あるいは看護スタッフが相当疲弊したということも記憶に新しいかと思います。
 山本委員から、B項目の分析から疾患の治療が進んでもADLの改善につながっていないという御指摘、あるいは6ページから8ページで多疾患併存、入院関連の障害が起きる中で、栄養、リハビリの対応を通じてADLや栄養状況の改善、改善が難しくても悪化が防止されるなら、医療機関間や医療・介護の連携がより深まり、患者の流れがスムーズになっていくという意味で非常に有意義と考えます。急性期におけるリハビリテーションや栄養等の取組の評価の充実の必要はますます高まっていると考えております。
 41ページにDPCの様式1で取得可能な栄養関連の項目がございます。他にも入院時・退院時の双方にタイミングで取得される情報もありますので、現在一部の患者で取得されている入退院時の体重の取得の対象を拡大することを検討されてはいかがかと思います。、44ページで紹介されているような低栄養の診断基準ですとか、あるいは低栄養のスクリーニングの方法なども広く用いられているものがございますので、こういったものを今後含めていくことも必要では重要ではないかと考えております。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
 ありがとうございます。
 まず、急性期に栄養とかリハを評価しているということはすごくすばらしい着眼だと思います。
 幾つかありますが、まず、28ページの土日のリハビリテーションの実施ですけれども、これだけ急性期のリハの効果が明らかに出ていて、土日をやっていないということになりますと、金曜日に入院した方などはほとんどやらないまま3日過ぎてしまうわけです。29ページに急性期のリハの効果も書いてありますので、土日の体制を整えることは非常に重要だと思います。聞くところによると、土日の加算とか、土日に何かやったからということは、今のところ特にインセンティブはないようですので、ここはぜひお願いしたいと思っておりました。
 それから、32ページは、牧野先生とかいろんな方がおっしゃっているように、疾患別リハとの関係というのは、どういうためにこの加算があるかという意味で、もう少しみんなが活用できるようにということを考える必要があるのかなと思います。
 それから、退院時の体重については、さっきお話しいただいたとおりです。
 それから、49ページ、栄養サポートチームはすごく重要なのに、なぜか。これはお話もありましたが、研修が何で受けられないのか、オポチュニティーがないのか、もしくは要件が厳し過ぎるのか、医学部の中でも栄養の教育はあまりないので、大事と思うので、研修の機会を工夫するほうも要件を緩めるのも両方考えたほうがいいと思いますけれども、やはり広まっていく工夫は必要かと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、秋山委員、どうぞ。
○秋山委員 ありがとうございます。
 私も先ほどの休日リハについてですが、田宮委員からもお話のありましたように、リハビリが必要な急性期の患者さんにとっては、休日といえども当然リハが提供されるべきだと思いますし、休日リハが推進される方向で評価すべきだと思います。
 また、リハビリと栄養、特に栄養は治療を通じて入院前からも非常に重要で、栄養状態を改善して治療に臨むということも非常に重要ですし、リハビリしていく上で消費するカロリーに合わせて栄養状態を保っていくことも非常に重要ですので、やはり治療、リハビリ、栄養をセットで提供されることを推進するような方向で検討されるべきだと思います。
 また、自宅での生活にスムーズに着地していけるようにするためには、単にリハの時間帯だけではなくて、通常の生活の中でも看護師等による生活リハがきちんと行えることも重要ですので、そのための手厚い体制も求められると思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
 資料に出ておりますけれども、まず、早期離床とリハビリテーション加算の関係でございますが、明らかに11ページに示されているように、加算届出数、それから算定回数が増えていくことは確実でございます。また、13ページに示されているとおり、届け出ない理由として、比較的割合が高いのは、PT・OTの確保、それから、経験を有し研修を修了した専任・常勤看護師の確保が難しいということでございますが、今後ますます必要になってくるに当たってこの理由が続くとどうなるかということになりますが、今後の見込み、確保体制はどうなっていくのか、それが十分でなければ、それに対してどうするかということを考えていかなければいけないと思います。その辺は、お分かりになる方、または事務局のほうでお答えいただければと思います。
 それから、21ページ、22ページ、リハの実施率に関してでございます。急性期一般入院料1における65歳以上のリハビリ実施ということでありますけれども、22ページに関しましては、2から6でございますが、実施率ゼロのところがやはり目立ってしまうわけでございます。これは医療機関数でございますけれども、特に2から6については一番高いので、この辺りの実態把握が必要かと感じます。特に2から6については実施率が多いところから少ないところまでばらついているという感じもありますので、この辺の実態がよく分かっていないところがあって、実態をどう把握していくか。実際、次の医療機関に移っている方なら、それはそれでリハもなく次に移っているということもないわけではないと思いますが、他の医療機関との連携、患者さんの状態も含め、再度詳細を検討して次のステップに進むべきではないかと考える次第でございます。
 それから、栄養関係でございます。39ページに医療機関における施設基準としての栄養管理体制の基準が示されております。これを見ますと、特に常勤の栄養士が1名以上配置されていることに加えて、入院時に患者さんの栄養状態を医師、看護師、管理栄養士が共同して確認するということが書かれているわけでございます。病棟配置されている管理栄養士による栄養管理内容は53ページにございますが、先ほどおっしゃっていましたけれども、栄養情報提供書の作成、ミールラウンドについては必ずしも高い率では行われていないということが示されております。実際の施設基準とのギャップがあるとういうことはどういうことなのかということをまずはみて、病棟配置の管理栄養士が果たすべき役割を改めて確認、明確にした上で、対応することが必要ではないかと思う次第でございます。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。山本委員、どうぞ。
○山本委員
 ADLの悪化の割合の分布という表を出していただいておりますが、これを見ると、平均値が6%とか7%ということでありますから、先ほど御紹介したJCHOでB得点の悪化ということで見ると、25%の症例なのですね。この数字が年々悪化している。年々増えている。24%ぐらいから26%ぐらいまで上がってきているということで、状況はさらに悪化していることを考えると、やはり急性期医療におけるADLの悪化対策というのは喫緊の課題ではないかと認識します。
 それから、休日のリハビリの重要性も指摘されておりますが、入院期間は短いので、これで休日2日抜ければ、その影響が出てくるのは当然のことですから、ここもしっかりできるような形にすべきで、そう考えると、ADL維持向上等体制加算はあまりにも地味ではないか。この点数を見て、では頑張ってPT・OTの雇用を増やして、こうやろうという意味では、病院の管理者、経営側からするとインセンティブがなかなか働きづらい加算と思います。ここはしっかり考えるべきではないでしょうか。
 それから、繰り返しになりますが、こういうふうに状況がどんどん悪化している中で、今回リハビリの充実というところの提案があって、これはいいことですが、それだけでいいのかというところですね。やはり本質的にもうちょっとパッケージとして、あとどんなことが必要なのか、さっきから申し上げている看護体制だけでいいのか、介護的な専門職の投入が必要なのではないか、その辺の議論をしっかりしていかないと、小手先でパッチを細かく当てていっても状況は改善していかないのではないかということを強く危惧いたします。
 以上です。ありがとうございます、
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 井川委員、どうぞ。
○井川委員
 ありがとうございます。
 我々日本慢性期医療協会は以前から、急性期から下りてこられるポストアキュートの患者さんに対して、非常に低栄養で、医原性とも言えるようなサルコペニアになっている方が多いということをずっと主張してまいりました。それがやっとデータとして少し日の目を見たかなということで、非常にありがたく思っております。今、各委員からおっしゃられたように、休日リハがないというのは急性期にとっては非常にデメリット、ADL低下にとっては非常に致命的であろうと思いますので、そこら辺のところはやはりつけていただきたい。
 もう一点、ADL維持向上等体制加算ですけれども、私の認識が誤っていなければ、疾患別リハが取れたときにはこれは加算できないのではなかったですか。そうですね。だから、これが取れると、しなくていい。牧野委員もおっしゃいましたけれども、ADL維持というのと疾患別リハというのは意味が違って、ADLが落ちた人に対して疾患別リハはあげようと、それに対してADL維持向上等体制加算というのは維持しましょうという加算ですので、相対するものではなくて、並列でいけるものであろうと私は思っています。そういう点でいいますと、疾患別リハであるから、疾患別が取れているから、これを取らなくても済むという理由にはならないような加算のつけ方をすべきであろうと考えております。
 もう一点ですけれども、ここに関して、要件の中に、当該病棟の新規入院患者のうち、循環器、新生物、消化器、運動器系、呼吸器系の疾患の患者さんの割合が6割以上というのがございまして、32ページを見ますと、65歳以上の患者数の割合とワンセットで、数としては少ないですけれども、18.4%が算定できないとなっています。この疾患の算定の中になぜ脳血管が入っていないのか、非常に疑問に思っております。脳血管が入ってくるとどのぐらいここが減るのかという気はしております。
 それと、栄養に関してですけれども、栄養の中で管理栄養士の確保が結構厳しい。薬剤師ほどではないですけれども、管理栄養士の確保は非常に厳しいのですが、よく調べて見ますと、国家試験では年間大体1万人近い合格者数が出ている。一方で、病院におられる管理栄養士の数は2万人程度、ほとんど変わっていないということで、毎年出てくる1万人の管理栄養士が病院になかなか来てくれないというところがございます。そこのところは、給与面であったり待遇面であったりという部分が病院を敬遠される一つの大きな理由なのだろうと思います。そういう意味でいいますと、もう少し管理栄養士をつける、専従とか、そういうことを項目で加えるのであれば、それに対する加算というのは、せめて管理栄養士1人当たり雇用できるぐらいの加算にしていただかないとなかなか雇えないということは考えなければならないと思っております。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまいろいろ御意見等頂きましたので、事務局からコメントをお願いいたします。
○加藤補佐
 事務局でございます。非常に多岐にわたる御指摘ありがとうございました。
 簡単ではございますが、事務局としての考えを共有させていただきたいと思います。
 まず、牧野委員から、9ページ目のリード文に関しましては、誤植がございましたので、修正して再配付させていただきたいと思います。
 24ページ、25ページ目のバイアスに関しましては、施設票と実際にアウトカムで示しているところは少し乖離がございますので、御指摘のとおりのバイアスは一定程度かかってくるかと思っております。
 コメントとして頂きました切れ目のないリハビリを高く評価するという観点に関しましては、今回、事務局としてもそのような観点で資料をまとめているわけでございますので、御指摘は非常にありがたく思っております。
 ADL維持向上等体制加算に関しましても、様々御意見を頂きましたけれども、牧野委員からは、考え方が変わってきている、より早期に使いやすく入れるようにというようなことで御指摘いただきましたので、ほかの先生方からの様々な御意見も踏まえて検討させていただきたいと思っております。
 また、栄養士の病棟配置に関する重要性についても御指摘いただきました。
 津留委員からは、栄養やリハビリの算定要件に関する基準が厳しいのではないかというような御指摘も頂きました。
 中野委員からも、この体制が整わないような場合にどうすればいいのかということで御指摘いただいていますが、一定程度の質を担保するという意味での基準は重要だと思っておりますので、その中でいかに機能分化を促しながら、患者さんに対して必要なサービスが提供できるような体制をいかに構築するか、そのような観点で検討を進めていきたいと思っております。
 また、栄養情報提供加算や入院栄養食事指導料について、対象患者さんについてその拡大が必要なのではないかというような御指摘を頂きましたし、また、GLIM基準の活用についても御指摘を頂きました。様々可能性はあるかと思いますが、今回、同時改定でもございますので、御意見を踏まえて、また検討してまいりたいと思っております。
 猪口委員からも、ADL維持向上等体制加算に関する御指摘と、ADLをいかに急性期でもアプローチして適切に評価するべきなのかということで御指摘いただいておりますので、この点を踏まえて、また検討してまいりたいと思います。
 小池委員からは、コロナ禍においてもリハビリの重要性は再認識されたのではないかということ、栄養も併せて重要なのではないか、DPCデータの中で体重に関して、あるいは低栄養の診断基準に関しても盛り込むことの検討をする必要があるのではないかということで御指摘いただいております。
 田宮委員からは、土日リハの体制を整える必要性について、インセンティブについても考えるべきではないかということ、そしてNSTを広めていく工夫として、緩めるだけではなくて研修機会の確保などに関しても御指摘いただいたところでございます。
 秋山委員からは、リハと栄養をセットで実施することの重要性、また生活リハという観点で看護師が行えるリハについても在宅復帰に向けては非常に重要だということで御指摘いただいております。
 中野委員から、先ほども少し触れさせていただいておりますが、その体制が整えられない場合についての御質問を頂きましたが、繰り返しになりますが、機能分化という観点も非常に重要だと思っております。データで今お示ししています以上の実態の把握というのは現時点ではなかなか難しいかと思っておりますが、今後また新たな調査の機会等においては、御指摘いただいた視点も加えたいと思っております。
 また、他施設との連携が重要ではないかという御指摘も頂きましたが、いずれにせよ一旦入院しますと数日は入院期間がございますことを考えますと、その間でもADLが低下することを念頭に置かないといけないと思っています。僅かな入院期間においてもADLが低下する実態があると思っておりますので、そういった観点も機能分化とともに併せて検討する必要があると思っています。
 山本委員からは、繰り返し、データの御紹介を頂きまして、ありがとうございました。25%落ちているというようなデータも共有いただきまして、これが喫緊の課題であるという御指摘、非常に重要だと思っております。土日リハの重要性、そしてこういったものをパッケージで考えるべきではないかということで御指摘いただきました。そのような形で、またどのような検討ができるのか、事務局としても今後御提案させていただきたいと思っております。
 井川委員からは、やはり急性期でのADLの維持の重要性、また疾患別リハとの概念上の違いということの御指摘を頂いております。様々要件に関して見直しの必要性と、管理栄養士に関する確保の難しさというようなことでも御指摘いただいたところでございますので、こうした御指摘を踏まえまして、また事務局としても検討してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ただいまの事務局のコメントいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
 この議題については以上としたいと思います。
 それでは、4つ目の議題でございます。「回復期リハビリテーション病棟について(その1)」でございます。
 まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
 事務局でございます。
 66ページ目からでございます。時間が押しておりますので、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 67ページ目にこれまでの御意見を並べておりまして、68ページ目からが基本的な資料です。
 73ページ目、これまで中医協でもお示ししていますが、入棟時・退棟時FIMの年次推移でございます。入棟時のFIMが年々落ちているということがこれまでも指摘されているところでございます。
 74ページ目、75ページ目は、前回の改定におきまして、実績指数、FIMによる重症患者の割合などの基準を変更しておりますが、その結果をお示ししています。
 76ページ目から第三者機能評価についてお示ししております。
 83ページ目からは、同時改定の観点でもございますリハ、口腔、栄養に関してどのように一体的に取り組み得るかというようなことで資料をお出ししておりますが、84ページ目は栄養管理に関してFIM得点との変化の関係性についてお示ししています。
 85ページ目は回リハにおける栄養管理の状況、86ページ目は先ほどもございました入院栄養食事指導料についてでございます。
 87ページ目からが特別食の加算算定状況、88ページ目が疾患別における栄養評価の状況についてでございます。
 一方で、89ページ目にお示ししておりますのは入院栄養食事指導料の算定状況で、回リハにおいて、特に病棟配置がなされている1において0%というところが23.1%もあるということをデータとしてお示ししております。
 90ページ目からは摂食嚥下に関してで、92ページ目が経口摂取の回復割合についてお示ししています。
 94ページ目は、回リハにおける嚥下機能検査の実施状況ということで、VE、VFを全く行っていない病棟も55.8%あるということでございます。
 95ページ目は、嚥下機能検査の有無による経腸栄養の離脱割合をお示ししています。
 96ページ目から退院前訪問指導ということで、現状の実施割合などを98ページ目にお示ししておりまして、0%というところも43.6%あるということでお示ししています。
 100ページ目にお示ししていますのは、回リハに求められる役割がそもそもADLの向上による寝たきりの防止、家庭復帰を目的としたリハビリテーションの病棟であるということをお示ししております。
 その一方で、101ページ目からございますのは、これまでもお示ししていますが、身体拘束の状況でございます。こうした目的である回リハにおいてもこのような形で身体的拘束が実施されており、102ページ目から、その実施の詳細、認知症の有無、あるいはどのような拘束がされているか、拘束時間についてお示ししています。
 105ページ目は新しい資料でございますが、身体拘束を実施されている患者の特性ということでお示ししています。
 108ページ目は、地域リハビリテーション活動支援事業の概要をお示ししていますが、近年、109ページ目にありますように、市町村の総合事業においてリハビリ専門職の確保が困難というようなことでございます。
 リハ職が多い回リハに求められているところが多くございますが、110ページ目にありますように、地域貢献活動ということで、現状、回リハの中でこういった活動に参加している状況について並べております。
 111ページ目に課題と論点をお示ししておりますが、論点に関しましては、第三者評価、そして、リハ、口腔、栄養の提供状況、身体拘束、地域貢献活動について並べております。
 説明は以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明、スライドでいいますと111枚目まででございますが、この部分につきまして、御意見、御質問等承りたいと思います。井川委員、どうぞ。
○井川委員
 ありがとうございます。
 第三者評価に対してですけれども、初め、これが入ったとき、どういう意味をなすのかというのが全く分からずに、なぜ回リハだけにこれが入ってくるのかと思っていたのですけれども、今回お示しいただいたデータによってこれの意味するところは非常に大きなものを占めているということが分かりました。といいますのは、恐らく適切なFIMをどのように評価するかということをしっかりと検証したり、そういうことが機能評価の中に含まれているということから、この項目が加わったのであろうと思います。としますと、今、「望ましい」という形になっていますけれども、今後これをどうやって必須項目に持っていくかということでございますが、第三者機能評価というもの、そのものを持ってくるのは私としては不適切かなと思います。FIMの適切な測定をするためという目的であれば、82ページの下段にあります※印の1から6のような各項目だけを満たすような条件をつければ済むということで、81ページの下段、FIM評価の部分だけを満たせれば、取りあえずFIMの整合性といいますか、適切なFIMということに関しては担保されるのではないかと考えております。したがって、第三者機能評価、一つ大きなものを加えるのではなくて、そういうふうなことも考える必要があるのではないかと思っています。
 89ページに回リハにおける入院栄養食事指導料の算定状況が示されていますけれども、先ほど事務局のほうからも述べられましたように、専任の管理栄養士の配置があるにもかかわらず、23.1%の病棟で算定患者がいないということは、普通に考えたらまずあり得ないと考えております。これは少なくとも私どもがやっている病院では、まず、ない事態でございますので、もう少し厳しめの対応が必要かと思います。
 98ページに、退院前訪問指導、いわゆる家屋調査というものがございます。私どもの病院は、おうちに帰られるときに、ADLが完全に機能復帰しておられる方ですと行いませんけれども、入院前よりも退院時のほうがADLが低下されている方に関しては家屋調査をしっかりして、段差解消であったり手すりの設置であったり、そういうものを見るべきだと思っておりますし、我々のグループでは必ず実施しております。そういう点から見ますと、これを見たときに43.6%の施設がしていないという数字が出たものですから、「本当ですか」と言いたいぐらいの数字が実際には出ていて、この値が事実だとするならば、非常に問題であろうと考えております。もし家屋調査を推進するということであれば、それに対する診療報酬上の加算をつけるのか、逆に減算するのかということが必要かと思います。
 あと、地域貢献活動に関していいますと、回リハ病棟は療法士の数が一番多い。一番動きやすいといえば動きやすいところではございますが、残念ながら、それに対するインセンティブみたいなもの、大きなものがございませんので、そういう意味でいいますと、動きやすいような形の施策をやっていただければと思っております。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
 ありがとうございます。
 まず、96ページ以降、回リハにおける退院前訪問についての資料を用意していただきました。退院前訪問は非常に重要ということは間違いございません。ただ、セラピスト一人で対応しているかというと、実はPT・OT、病院のMSW、ケアマネ、多職種チームで訪問しているケースが多いのではなかろうかと思います。場合によってはそこに住宅改修の業者を呼んだり打合せをしたり、そうしますと、少なくとも半日はそこにマンパワーを拘束されるというような状況もありますので、それに対しては何らかの配慮、インセンティブが必要なのかと思います。
 現在、訪問する余裕がないということで、例えば御家族に退院後患者さんが過ごすことになるお部屋、トイレ、風呂の写真を撮ってきてもらうとかいうような対応をしているところもあるかもしれません。今後は、何も訪問しなくても、ITを使って動画でリモートで配信してもらって評価するとか、いろんな方法があろうかと思いますので、そういったものに対しての評価も今後考えていく必要があると思います。これが一点です。
 もう一つ、101ページ以降、身体拘束についての資料を用意していただいています。リハビリする一方で、何で拘束するのかということがあるかもしれませんけれども、高齢者の場合、転倒して骨折して入院して手術します。その後にリハビリを行いますと、自分だけで動けると過信して動き出したときが危ないということもございますし、脳梗塞で片麻痺になった場合もこれくらいはできるだろうという過信で院内で転倒するというケースもあろうかと思います。あと、認知症があって、転倒・転落の危険性そのものが判断できないということもあろうかと思いますので、むやみやたらに拘束しているわけではなく、院内での転倒・転落の事故を防ぐという観点から、やむを得ず身体拘束せざるを得ない事情があるということは御理解いただければと思います。
 これは質問ですけれども、107ページに身体拘束について定義が一応記載されていますけれども、患者に直接触れないもの、これは以前も議論がありましたけれども、センサーマットとか、例えばIT、AIを使った見守りシステム、そういったものを身体拘束に含めるのか、含めないのか、ここはお聞きしたいと思います。
 これは意見になりますが、身体拘束の定義は学術的・学問的な定義というわけではなく、むしろ実務的な定義として、センサーマットをそこに含めるのかどうかということに関してはしっかりと定義を議論していかないと、2024年改定後に後から通知・事務連絡で身体拘束にはセンサーマットを含むものとするとかなりますと、話が大きく違ってくる場合もございますので、この辺は最初の定義の確認が肝腎だと思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
 ありがとうございます。
 まず、今もお話が出ていました第三者機能評価の在り方ですけれども、82ページを見る限り、FIMの測定に関しては相当の差が出ておりますので、やはり第三者機能評価というものを何らかの形で増やしていく必要があろうかと思います。ただ、全病院というわけにもいきませんので、そこはいろいろ工夫しながらということでよろしいかと思っております。
 それから、退院前訪問とか、そういうことですけれども、実は回復期リハビリテーション、特に病院ですと、患者さんがかなり広域から来ていることがあって、そう簡単に自宅に行くということができないということも間々あろうかと思います。このような場合に、患者さんが戻る地域の医療機関との連携ということを念頭に、直接行かなくても連携でやれるというような体制を評価してもいいのではないかと思っております。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
 ありがとうございます。
 私からも101ページからの回復期リハの身体拘束についてですが、先ほど津留委員からもお話がありましたが、以前の分科会の際にも発言しましたように、身体拘束の定義が曖昧で、クリップセンサーあるいはセンサーつきマットといったような体に接しているという定義に基づいて、こうした離床センサーの類いが拘束に含まれているようであれば、いわゆる狭義の、物理的な身体拘束とは区別して評価すべきだろうと思います。離床センサーによる行動の監視は、物理的に体を拘束しないための代替手段の一つであって、見守りのために行っているのであれば、物理的な拘束と同列に扱うべきではないと思います。その上で、回復期リハにおいて物理的な拘束が行われているのだとすれば、非常に重大な問題だと思います。
 大部分が転倒防止として行われているようですが、以前の会議でも申し上げましたように、転ぶのは家でも施設でも病院でも同じだと思いますので、転倒しても大事に至らないための床材等を含めた環境の工夫がまず重要だと思います。病院でさえ転ばなければいいのかということになってしまいますので、転倒したがために、例えばFIM利得が悪くなるような、そういうケースを対象から外すといったようなことも検討すべきではないかと思います。転ばせないために動かさないというのは本末転倒であって、患者に行動の自由を与えて、転ぶことは問題ではない、転ばないように行動の自由を奪うことのほうが問題だということを家族も含めて広く社会全体で議論し、理解を醸成していくことが何より重要ではないかと思います。
 また、転倒が起きたときには看護職だけに責任を負わせるようなことが決してあってはならないと思いますし、身体拘束ゼロに向けた取組ということで、経営者のリーダーシップ、多職種も巻き込んだ病院全体での取組が求められると思いますので、そうした取組が進められるような施策が必要だろうと思います。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、武井委員、どうぞ。
○武井委員
 ありがとうございます。
 私も回リハ病棟の身体拘束についての意見です。秋山委員等の意見に重複するところもありますが、回復期リハビリテーションの100ページにあるような役割を考えると、回リハ病棟での身体抑制の適正化のためにも、107ページにあるような認知症ケア加算の推進、身体拘束に対する体制の充実はとても大事なことだと思っています。
 幾つかの回リハ病棟に実態を聞いてみました。やはり転倒や転落防止目的で、例えば車椅子で離床支援をしている際に、立ち上がり防止のためのサポートキーパーを使用する。脳血管疾患や認知症患者さんがベッドからの転落を防止する目的とか、あと、おむつ内の排せつ物を触ってしまう等、そういうことを防止するために体幹抑制や両手のミトン等を実施しているという話もありました。そのほかに、経管栄養チューブ自己抜去目的で抑制を使用することもあるようです。日中は看護師、リハビリスタッフ、介護職員等多くのスタッフがいるのですが、夜間は看護師と介護職員のみで、患者の安全を確保するためにはやはりこのような身体抑制を選択してしまうこともあるということでした。看護師、リハビリスタッフともに、転倒・転落により有害事象を発生してしまうことにかなり不安があるということも感じました。なので、限られた人員の中で多くの患者の管理していること、転倒・転落を起こしてはいけないという責任感、様々な課題がある中で、今回の身体拘束の実施率につながっているかと思いました。
 しかしながら、抑制を実施しないことをコンセプトとして取り組んでいる病棟もあることは事実です。話を伺っていて、患者さんの「ADL向上による寝たきり防止と家庭復帰」ということを考えたときに、多職種で、身体拘束回避を含め、十分に検討することはできるのではないかと思いました。リハビリを実施しながら身体拘束を実施するという、相反するケアを提供することで、退院後のQOLや機能回復に影響するとも考えられますので、107ページにあるような認知症ケア加算、身体拘束に関する体制の充実は必要だと思いますので、検討が必要だと思いました。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、林田委員、どうぞ。
○林田委員
 ありがとうございます。
 私のほうから98ページ目の退院前訪問指導の件です。全く実施していない施設が43.6%ということのようですが、これはもしかしたらコロナの影響もあって訪問が難しかったというのもあるのかなと思っています。ただ、退院前訪問指導というのは再入院や転倒を減少させるということで非常に有用ですので、今後どうなっていくのか、この辺りは注視していく必要があると思うとともに、先ほど津留委員からもお話がありましたけれども、訪問しなくてもIT等を活用して同じような機能を代替していくということも一部可能ですので、その辺りもぜひ推進していただければと思いました。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございます。
 それでは、小池委員、どうぞ。
○小池委員
 ありがとうございます。
 私も回復期リハの身体拘束の件について意見を述べさせていただきます。106ページの解釈には若干の注意が必要かと思っております。リハビリができるのに身体拘束しているというふうな捉え方をするのか、拘束しなければいけないほど安定しないので、人手をかけられるリハビリのときに拘束をせずにいるということがないか確認が必要と思います。また、先ほどセンサーマットについての御指摘もございましたけれども、身体拘束の定義の明確化、やむを得ない場合の明確化や記録といったようなことについての議論をさらに進めることが必要かと思います。また、そもそも人員配置の問題、本人の痛み、不安のコントロールといったことの課題も今後考えていく必要があるのではないかと考えています。
 103ページの身体拘束の実施理由のところで、何々の防止という点、先ほど秋山委員からも御発言ありましたけれども、転倒防止しなくてはいけない患者さんもいると思いますし、次回調査することがございましたら、本人の状態がより詳細に分かるような質問とすることも必要ではないかと考えています。
 以上です。ありがとうございました。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 申し訳ありません。予定した時間ですが、少し延長してお付き合いいただきたいと思います。
 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
 多少重複いたしますけれども、私からも意見を申し上げます。
 まず、第三者機能評価については、既に意見が出ておりますけれども、受けることが望ましいと言われている入院料の1、3、これについて、今回の資料はFIMに関して第三者機能評価に併せて出ておりますが、確かにFIMに関しても運動FIMが高くなる、それから、適切な測定に関する取組が進んでいるということになりますけれども、そもそも機能評価というのは、改めて自分の施設を確認、認識して、それによって質の向上を図るという趣旨でございますので、今は受けて当然という風潮といいましょうか、そういう流れにございますので、この機能評価は考えるべきだと思います。今までは「望ましい」ということでありましたけれども、義務化を図るべきだと思います。それに追随して、いずれ今度は入院料2、4にも波及していくのではないかと考えられますが、第三者機能評価はそういうふうに受け止めるべきだと思います。
 それから、栄養障害の関係で、93ページ、94ページ辺りでございますけれども、必要とする患者さんがいるのに嚥下機能の検査が行われていないというのが、55.8%という数字が出ております。これもまたどういう状況なのかということを知るべきだと思いますので、適切な対応を促す必要があるのではないかと思われます。
 それから、地域貢献活動に関してでございます。110ページにどういう内容で活動しているかということが示されておりますけれども、最初の項目で地域ケア会議への参加ということで率が表れています。入院料1に関しては61.5%という数が出て、これは一瞬高いかなと思うのですが、ただ、リハ関係に関しましては、まずは現場の会議に出るというのは当然ということが考えられますので、これは決して高い数ではないと思います。100%により近づくようなことを考えるべきだと思いますので、その辺も検討の題材かなと思います。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほか、よろしいでしょうか。井川委員、どうぞ。
○井川委員
 一点追加でございます。94ページの嚥下機能の検査の状況ということで55.8%が非常に高くて、できるところであるのにもかかわらず、やっていないのがけしからんというお話が一つあろうかと思いますけれども、93ページの嚥下調整食の必要性というところから見ますと、3割ぐらいの方しかおられないのです。つまり、嚥下機能として客観的に見てそれほど問題ないだろうという方が非常に多いということになりますので、この55.8%というのは、そこから考えると、そんなものかなという数字だろうと考えられると思っております。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、いろいろ御意見、御質問もあったかと思いますので、事務局のほうからコメントをお願いいたします。
○加藤補佐
 事務局でございます。時間も押しておりますので、簡単にコメントさせていただきたいと思います。
 井川委員からは、第三者機能評価に関しまして、そのものというよりも、必要なFIMを適切に実施するための評価という観点で見るべきではないかというような御意見を頂きましたし、栄養の現状は厳しく捉えるべきだというようなこと、退院前訪問に関しては、実際、現場としてほとんどやられていないのは問題なのではないか、そういったところに減算、加算などの対応が必要なのではないかという御意見を頂いております。また、地域貢献活動に関しても、それに対するインセンティブがないというようなところで御意見を頂いております。
 津留委員からは、退院前訪問指導に関して、これはそもそもPT・OTに限らず多職種で対応している実情があるということで御示唆いただきました。また、リモートで実施する可能性についても御意見を頂きましたので、この点に関してもまた事務局で検討してまいりたいと思っております。
 また、拘束の定義に関しましては、今回の資料107ページ目に、前回も御意見を頂いたところでございますので、追加的に解という形で疑義解釈の引用もつけております。もともとの認知症ケア加算における要件、あるいは今回の入・外調査における質問票の中でも今回は身体に直接触れるものを使用した拘束ということで、先生方から今頂いている中で狭義の拘束、そのような形で調査票も御回答いただいたということで、そういった質問票に対する回答ということで御理解いただければと思っております。その上で津留委員からは、転倒予防でやっているようなことに関してどう考えるのかというような御指摘も頂いております。
 猪口委員からは、第三者評価に関して推進は必要だろうというようなことで御指摘いただいていますし、退院前訪問に関しては、遠方から入院されている方に関する地元の医療機関との連携などに関しても御示唆いただいているところでございます。
 秋山委員からは、やはり身体拘束に関して、今、申し上げましたような、物理的に身体に触れているような拘束と見守りセンサー的なものは分けて考える必要性について御指摘いただいておりますし、転倒があった方に関する評価としてはFIM利得に関して配慮が必要なのではないかというような御指摘を頂いております。また、こうした問題に関しては、そもそも行動の自由を奪ってはいけないだろうというような観点、そういった状況に関する社会的な理解の必要性について御指摘いただいております。病院全体での取組の重要性についても御指摘いただいております。
 武井委員からも同様の御指摘を頂きました。様々現状についてヒアリングいただきながら、その結果も共有いただきまして、ありがとうございます。その中で、必要とされている中でも認知症ケア加算をさらに推進し、拘束自体をいかに減らしていくのかという観点が必要という御示唆を頂いております。
 林田委員からは、退院前の訪問に関して、結果に関してはコロナの影響があるのではないかという御指摘を頂きました。また、津留委員からも御指摘がありましたように、ITの活用の可能性について事務局でも検討してまいりたいと思っております。
 小池委員からは、拘束に関して定義をはっきりさせるべきではないかというようなこと、そして患者さんの不安のコントロールをどうするかというようなところで御指摘いただきました。今後の調査においては、転倒防止が必要な患者さんがどれぐらいいるのかというようなことで、その状況も併せて把握すべきではないかというような御指摘も頂きましたので、また事務局でも工夫できるところがないか、検討してまいりたいと思っております。
 中野委員からは、第三者機能評価について、これは受けて当然という流れがあるので、義務化するのが自然なのではないかという御指摘を頂きました。VE、VFを実施できていない状況について、どういう状況なのか、適切に把握することの必要性を御指摘いただきましたが、井川委員からは、この点に関しましては、今の嚥下食が必要となっている患者さんの割合等も加味してデータを見るべきではないかという御指摘を頂きました。また、地域貢献に関しては100%に近づける工夫等について必要性を御指摘いただいたと認識しております。
 簡単ではございますが、事務局から以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からのコメント、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に進みたいと思います。最後でございますが、5つ目の議題「慢性期入院医療について(その2)」につきまして、まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
 112ページ目から慢性期入院医療について(その2)をお示ししております。
 115ページ目に中医協総会あるいは分科会で御指摘いただいた内容をまとめておりますが、赤枠で囲っているところ、「処置」と「疾患・状態」それぞれについての性質が異なるため、それぞれのニーズに合わせた区分を検討することが必要、医療区分の組合せの医療資源投入量について分析してはどうかということで御指摘いただいたところでございます。
 116ページ目以降は、これまでの御意見をまとめておりますけれども、117ページ目以降は一旦前回お示しした資料が並んでおりますので、こちらの説明は割愛させていただきまして、129ページ目でございます。医療区分3と疾患・状態と処置等の組合せということで、特に医療区分3、全体に関して緑でお示ししていますが、処置等の医療区分1、2、3で分けたものを並べております。この中で医療区分3に関しましては、特に山が大分中央付近に寄っておりますので、ほかの分布と明らかに異なるということがこの結果としては見えてきたところかと認識しています。
 130ページ目にさらなる組合せをお示しし、処置等の組合せの内訳を131ページ目にお示ししています。
 同様に、132ページ目は医療区分2に関して分析したところでございますし、133ページ目は、その組合せの内訳をお示ししています。
 最後、134ページ目に関しましては、評価としては様々区分がございますが、今回御覧いただきたいのは、入院料Iのところにおきまして、リハビリテーションにおける医療資源投入量がほかに比べて非常に高くなっているというような結果が出てまいりましたので、こうしたところも含めて御議論いただきたいと思っております。
 135ページ目に課題と論点をお示ししております。
 1つ目は、今お示しした医療区分の評価について、この結果に基づいて精緻化していくことについてどのように考えるのか。
 2つ目に関しましては、134ページ目にございますとおり、医療区分の入院料Iの部分、リハビリテーションが多く提供されている実態を踏まえてどのように考えるのかということで御意見を頂ければと思っております。よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等承りたいと思います。井川委員、どうぞ。
○井川委員
 前回、私がお願いしました分け方によって分けていただきまして、ありがとうございます。
 今回見せていただきまして、特に医療区分3、129ページでは、同じ医療区分3であっても処置の区分1、2、3によって倍以上、ひょっとしたら3倍近い医療資源投入量の違いがあるということが分かってまいりました。それを医療区分3というような形で一つにまとめてしまうと、一番多い医療区分3、かつ処置の医療区分3ということになると、それがペイできないといいますか、そういう形になってしまって非常に取りにくくなってしまうということもございますので、それに対する増額や、不必要なところでは減額というようなことも考えて、区分をさらに細かくしないといけないのかなと認識しています。ただし、以前から申し上げておりますように、あまり細かくし過ぎますと、現場での影響が非常に大きいということもございますので、そこら辺は考えていただきたいということが一点でございます。
 もう一点でございますけれども、それだけ細かくしないでくださいと言いながらも、このパターンで出てこない、我々慢性期医療側の問題がございます。一点は、例えば医療区分2に該当する処置がございますけれども、例えば発熱、肺炎などを起こした場合に酸素投与を1リットルだけやって、抗生物質へいってというふうなことを繰り返しても、医療区分2の処置を幾つも加えても、医療区分としての出てくる数字としては同じということになってしまいます。処置が幾つ重なったら医療資源投入量どのぐらい上がるのかというふうな非常に細かい設定まで本来はしていただきたいというところが本音でございます。
 もう一点は、例えばTPNや気管切開ということをできるだけ離脱したいと我々は考えておりますけれども、離脱すると、その時点で医療区分が翌日から下がってしまう。かといって、翌日すぐに退院できるかというと、そういう話にはならないので、結果的にその患者さんが医療区分が下がった状態で1か月、2か月いないといけないということになって、そこに対するインセンティブが全くございませんので、そういう患者さんに対して離脱後1か月以内とか、そういう形で医療区分を残していただく、そういう配慮が必要かと考えております。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
 ありがとうございます。
 全体的な話なのですけれども、医療療養病棟でも最近は地域性を持って、地域の中の介護施設で悪くなった方、そういう方が入院してリハビリをやるというようなことを積極的に行っているというお話をよく聞きます。こういう場合には地域医療の充実に貢献しているので、仮に医療区分1であっても、評価してもいいのではないかと思いますので、意見させていただきました。
 以上です。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。中野委員、どうぞ。
○中野委員
 医療区分に関係して、評価の面で精緻化することはどうかという命題があるわけですけれども、前回もこの会で出ておりましたとおり、やはり分類は整理すべきだということになります。医療区分と疾患・状態、それから処置という組合せがあることによって医療資源の投入量が異なっているわけでございますので、その辺を精緻化することが必要になるかと思います。単純に3つの区分があるわけですけれども、それに併せて疾患・状態と処置という分類がありますので、3掛ける3なりの9分類とか、いろいろ考え方はあるかと思います。その辺はシミュレーションするなりして整理していけばよいかなと思います。
 それから、療養病棟に関して医療資源投入量が高くなるという点で134ページに示されておりますけれども、入院料Iのところでございます。あえて事務局もゴシックの濃いものにしているようでございますけれども、ここは明らかにパーセンタイルを見て点数が上がっているわけでございます。このリハビリにつきましては、回復期リハビリ病棟でするというのではなく、療養病棟におけるリハビリテーションということになりますので、いわゆる包括範囲内と見れば、本来の包括範囲内の内容を整理した上でこのリハビリテーションがどうなっているかということを含め、医療資源投入の全体像を改めて見た上で対策を講じるべきと思います。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ほか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御意見等につきまして、事務局からコメントをお願いします。
○加藤補佐
 簡単ではございますが、事務局からコメントさせていただきたいと思います。
 井川委員からは、今回、処置に着目した分析に関してコメントいただきまして、こうした評価がより適切になることによって、取りにくい患者さんがいるということであれば、それは解消されるのではないかというような御指摘も頂きました。ただ一方で、評価に関して細か過ぎると現場も困るというような御意見も引き続き頂いておりますので、これを踏まえて検討してまいりたいと思っております。また、追加的に検討が必要ということに関しましては、評価の2に当たる処置が重なったところの評価、あるいはTPNの離脱後の評価などに関して改めて評価が必要なのではないかということで御意見を頂きましたので、こうしたデータを分析していきますと、やはり見える化も大分進むわけでございますので、どのようなところでどのような評価が必要になってくるのか、今後またデータを取りながら検討が進められるのではないかと認識しております。
 猪口委員からは、近年では医療療養などにおいて地域の中で非常に大きな役割を果たしているのではないかというようなことで御意見を頂きました。医療区分1のところにも言及いただきましたが、そういった社会情勢の変化の中で医療療養の評価はまた今後随時検討してまいりたいと思っております。
 中野委員からは、この医療区分に関して評価を精緻化することに関して御賛同いただいたと思っております。具体的には、3掛ける3の9区分ということで医療区分を精緻化する御提案も頂いたと思っています。最後、入院料Iのところに関しましては、どういうような分析ができるのか、また事務局の中でも検討してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○尾形分科会長
 ありがとうございました。
 ただいまの事務局のコメントですが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、本件に係る質疑はこの辺りにしたいと思います。本日の議論は以上でございます。
 次回の日程等につきまして、事務局からお願いします。
○加藤補佐
 次回の日程は未定でございますので、先生方には追って御連絡させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○尾形分科会長
 それでは、以上をもちまして、第6回の分科会を終了させていただきたいと思います。今回も大幅に時間をオーバーしてしまいまして、大変申し訳ございませんでした。
 本日はお忙しい中、熱心に御議論いただきまして、どうもありがとうございました。
 
 

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