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2019年10月3日 令和元年度第9回入院医療等の調査・評価分科会・議事録

○日時

令和元年10月3日
9:59~12:02

 

○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室(18階)

○出席者

【委員】

尾形分科会長、山本委員、池田委員、池端委員
石川委員、井原委員、田宮委員、眞野委員、神野委員
菅原委員、武井委員、林田委員、牧野委員、松本委員
 
 

【事務局】

医療課長、医療技術評価推進室長他

○議題

1.特定集中治療室管理料等 
2.療養病棟入院基本料 
3.抗菌薬適正使用支援加算 
4.横断的事項 
5.その他の事項 
6.DPC/PDPS等作業グループの分析についての報告

○議事

○尾形分科会長
それでは、ただいまより令和元年度第9回「診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)」を開催いたします。
初めに、委員の出欠状況でございますが、本日は奥委員が欠席をされております。
それでは、本日の議題の「特定集中治療室管理料等」から「その他の事項」につきまして、議論を行いたいと思います。
まず、事務局より一括して資料の説明をお願いいたします。
○木下補佐
事務局でございます。
お手元の資料入-1を御用意ください。本日議題として御用意いたしておりますのが大きく5つございまして、「特定集中治療室管理料」から始まりまして、「療養病棟」「抗菌薬適正使用支援加算」「横断的事項」「その他」と5つの項目に分けて御用意しております。
まず、3ページ、特定集中治療室管理料等の状況について御説明してまいります。
4ページに救命救急入院料等の主な施設基準をおつけしておりますので、適宜御参照いただければと思います。
5ページにおきましては、特定集中治療室用とハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度の資料をおつけしているところでございます。
6ページを見ていただきますと、平成30年度の診療報酬改定におきまして一部要件を見直しております。具体的に申しますと、生理学的スコアの測定を要件化しておりまして、算定する患者さんにつきましては、入退室時に生理学的スコア(SOFAスコア)をDPCデータの報告の対象とさせていただいております。スコアにつきましては、そちらにある内容を御参照いただければと思います。
簡単にこのスコアについて御説明します。7ページ、ICUにおけます生理学的指標に基づく重症度スコアの例としてSOFAスコアを挙げさせていただいておりまして、こちらにつきましては、6つの臓器の機能不全の状態を0~4点までの5段階で点数化して評価を行っているものでございます。
グラフをおつけしていますとおり、24時間ごとに評価したスコアの期間中の最大値を合計して得られるTMSが患者の生命予後と一定の相関があるというエビデンスが得られていることをもとに、こういったものの入力というものを要件化したところでございます。
8ページ、このスコアの入力状況について今回の調査の中でお尋ねしているところでございます。いつから入力していましたかということでございますが、管理料1・2につきましては、入力した時期は、約3~4割につきましては改定の前から入力していたという結果でございました。また、入力を行う職種に関しましては、約7割が医師の方が入力しているというところでございました。
また、集中治療の3と4の7~8割につきましてもスコアにて回答を得られているところでございます。
9ページ、入力いただいていますスコアの点数がどういうふうになっているかというところを、入室時と退室時で分けて集計しているところでございます。全患者の入退室時のスコアを見ますと、特定集中治療室管理料3で見ていただきますと、入室時でスコアが0点という方が20.8%。ほかの入院医療よりも高くなっているというところでございますし、退室時を見ていただきましても、スコアの0点もしくは1~5点というゾーンが特定集中の3については高くなっているという結果が得られているところでございます。
次に、スコア別の患者さんの割合を見ているところでございますが、それぞれの1~4につきまして、左上が0点、右に行きまして1~5点。以降、6~10点、10点以上という4つに分けております。一部につきましては、入室時のスコアが0点の患者が占める割合が高いというケースも見られたという結果が得られているところでございます。ここまでが30年度からスコアを集めたSOFAスコアの集計の結果でございます。
続きまして、11ページからは専門性の高い看護師の配置状況について、スライドを少し追加しております。こちらにつきましては前回の本分科会におきましても御議論いただいた内容でございまして、12ページから数枚は前回と同じスライドをつけているところでございます。配置状況でありますとか、配置の人数。14枚目まで行っていただきますと、1人当たりの配置時間数。延べ時間数を配置人数で割った時間数を14枚目までおつけしているところでございます。これらの資料につきまして、前回いろいろな御意見をいただいたところでございます。
今回追加したのが15枚目でございます。こちらにつきましては、人数で割り返す前の延べの時間数をおつけしております。14枚目と15枚目を比べていただきますと、実際複数名の場合は複数の時間を配置しているというカウントで見ているところでございまして、要件となっています特定集中の1もしくは2の時間を見ていただきますと、14枚目では40時間弱だったところでございますが、今回60時間ぐらいになっているというところで、複数名配置いただいていることによって延べ時間数が少し延びているという結果が得られているところでございます。
16枚目、前回いただいた御指摘を踏まえてスライドを少し追加しているところでございます。30年改定で特定集中治療室管理料の早期のリハの加算を策定いただいたところでございますが、その算定状況等は前回御報告したところでございます。
18枚目を見ていただいたときに、こちらでいただいた御指摘ですけれども、早期の加算を届け出ていない理由でPT・OTの確保ができないという方が多かったというところで、こちらの理由が、開設主体ごとによって人員の確保の状況に違いがあるのではないかという宿題、御指摘をいただいたところでございます。
それを受けまして、19ページ、開設者別にその状況等を見たところでございます。左半分は届出状況を開設者別に見たところでございます。上から国立、公立、公的、次に社会保険関係、医療法人、その他の法人というところでございます。その他の法人の多くに社会医療法人が入っていると思っているところでございまして、届出状況を見ますと、医療法人が相対的に低くなっているというところで、国立、公立、公的がやや高くなっているという結果が得られております。
それぞれの届け出ない理由を右に集計しているところでございますが、医師の確保ということに関しましては、国立ではそんなに高くない。国立、公的、もしくはその他におきましては4割程度それが理由に挙がっているというところでございます。
また、専任の看護師につきましても「確保が困難」という回答をいただいているのがその他の集団が一番多くなっているというところでございます。
PT・OTに関して言いますと、3つ目になりますが、開設主体ごとの差は余り大きくないのかなという傾向が見てとれるところでございます。前回の御指摘を踏まえた集計をしたところ、こういう結果が得られたという状況になっております。
ここまでをまとめましたのが20枚目でございます。現状と課題につきましては、今、御説明した内容をまとめております。論点のところに2つつけておりまして、SOFAスコアについて、重症度、医療・看護必要度の該当項目の状況等との比較も含め、引き続き分析をしてはどうか。2つ目といたしまして、専門性の高い看護師の配置状況を踏まえ、現行の施設基準の要件をどのように考えるかというのを論点として挙げさせていただいております。
続きまして、21枚目から療養病棟入院基本料の追加の集計等の御報告になります。
22枚目のスライドの真ん中の円グラフの凡例が少し漏れておりましたので、委員の先生方には机上に「差替」という形で、追加で1枚配付させていただいております。具体的に申しますと、真ん中の留置期間の分布の割合のところの凡例が、薄い紫8.7%が1週間から1カ月以内でございまして、その次の水色のところが1カ月から3カ月。紫の74.1%が3カ月以上となっているところでございますが、こちらの凡例がそれに合致していないという状況でございます。
円グラフをそれぞれ御説明してまいります。一番左をごらんください。今回調査した対象約2万人の患者さんのうち、膀胱留置カテーテルの留置状況を見ているところでございますが、約4分の1、24%の方が現在留置中という状況でございました。
調査時点で留置中の患者さんにつきまして、どのぐらい期間留置されているかというのを真ん中の円グラフで集計しているところでございますが、74.1%、約4分の3の患者さんが3カ月以上留置されていたという結果が得られております。
また、抜去後の患者さんについて、その期間、どのぐらい留置していたかというのを見ているところでございますが、割合として見ますと、紫の3カ月以上が多いところでございますが、逆の見方をしますと、3カ月以上の方であっても抜去が行われているということがわかったという状況でございます。
23ページから各医療機関、病棟ごとの膀胱留置カテーテルの患者さんが占める割合を病棟数で集計したものでございます。10%以上20%未満というところに病院が集中しているところでございますが、一部の病棟におきましては、留置されている患者さんの割合が50%以上というところも一定数認められるというところでございました。
24枚目、膀胱留置カテーテルの留置期間を短縮するための取り組みということについてお尋ねしたところでございます。日々のケアの中で評価を行っているとか、カンファレンス等で検討を行っているというところが一定数認められるところでございますが、下から2つ目、特に取り組みは行っていないというところも約16%程度あったという結果が得られているところでございます。
25枚目は、24枚目の御回答で取り組みを何かしら行っているというグループと行っていないという2つのグループに分けまして、抜去の状況について集計したものでございます。結果だけを見ますと、抜去後という方の割合が、取り組みを行っている側では6.1%、行っていない側では2.1%と差があったというところでございますが、これを有意的な差と見るかどうかというところまでは分析ができていないところでございますが、数値として開きがあったという結果が得られているところでございます。
26枚目、排尿の自立指導料といった取り組みを推し進めるために、平成28年に排尿自立指導料ということで、200点の点数が創設されているところでございます。届出状況、算定状況につきましては、下におつけしているとおりでございます。
27枚目、この届出の有無におきまして、膀胱留置カテーテルの留置状況もしくは抜去の状況というものを比較した円グラフをおつけしているところでございます。こちらで見ますと、抜去後の割合が6.3%、5.2%ということで、1ポイントだけ差があるという結果が得られているところでございます。
28枚目に進んでいただきますと、先ほどの23枚目と比較しながら見ていただければと思うのですけれども、算定している病棟に占める膀胱留置カテーテルを留置している患者さんの割合の分布をとっております。先ほどの23枚目と比較しますと、ピーク自体は2~3割に来ているところでございますが、極端に割合の高いというゾーンにカウントされている病棟がないというところで、こちらの算定されているところでは、全体的に見ると、膀胱留置が改善の取り組みが促されているような傾向が見られるかなと思っているところでございます。
29枚目は、算定していない理由を集計しているところでございます。A票は急性期の票になりますので、B票を見ていただければと思います。B票のほうで理由で一番高いところを見ますと、「経験を有する医師の確保が困難」というのが一番の理由になっていまして、続きまして、「算定対象となる患者がいない」もしくは「専任の看護師の確保が困難」というのが3つ高い理由となって挙げられているところでございます。
続きまして、30ページ目からは療養病床の関係の最後のシリーズでございます。質の高い療養生活のための取り組みについてというお尋ねをしているところでございます。こういった取り組みをやっているか、やっていないかということをお尋ねしたところが31枚目でございます。約3分の2でこういった何らかの取り組みを自主的にやっていただいているというところでございます。その取り組みの中で内訳を聞いているところでございますが、周囲とのコミュニケーションを促す活動でありますとか、手足を動かす活動といったものが複数回答として高い割合で得られているところでございます。
これらの取り組みをどなたがやっていますかというところをお尋ねしているのが32枚目でございます。複数回答となっておりますが、一番多かったのが看護職員が91%、続きまして看護補助者の方が86.4%という形で高い割合を示しているところでございます。
その頻度をお尋ねしているのが右の円グラフでございます。週4回以上というところが全体の4分の1。それ以外のところも週1回以上というところで、3分の2ぐらいを占めているということで、患者さんの療養生活の質を高めるための取り組みが相当程度の頻度でやられているというところが見てとれたところでございます。
そういった取り組みをやったところで何が得られましたかということで、効果をお尋ねしているのが33枚目でございます。身体機能の維持が一番多く挙がっておりまして、続きまして職員との関係性の構築、3番目としまして認知症症状の軽減、さらには不眠の軽減といった効果が得られているということでございます。
34枚目にこれまで御説明した現状と課題を受けまして論点を2つ挙げさせていただいております。療養病棟におけます膀胱留置カテーテルの留置状況について、留置期間を短縮するための取り組みや排尿自立指導料の算定状況を踏まえ、どのように考えるか。質の高い療養生活のための取り組みについて、実施状況やもたらされている効果を踏まえ、どのように考えるかという2つを論点として挙げさせていただいております。
続きまして、3つ目のテーマ、抗菌薬の適正使用支援加算の算定状況等について御説明してまいります。
36枚目、37枚目は点数の概要等をおつけしているところですので、適宜御参照いただければと思います。
38枚目は算定状況でございます。こちらはA票でお尋ねしておりまして、一般病棟入院基本料を届けている医療機関におきましては、約5割が現在届け出をいただいているというところでございます。入院料別に分けましたのが右になっておりまして、こちらを見ていただきますと、急性期の一般病棟におきましては約7割。下から2つ目、特定機能病院におきましては94.2%ということで、1病院か2病院除いてもこちらのほうが届け出をいただいているという状況が見てとれるところでございます。
39枚目は、これらはどういう役割をやっていますかというところに対しましては、大変多くの施設におきまして、相談の有無によらず必要な助言等を行っているという状況でございました。
他方で、どういった薬剤の使用状況を把握していますかとお尋ねしたところ、一番上のカルバペネム系と下から3つ目の抗MRSA薬につきましては90台後半、ほとんどおおむね把握されていたという結果が得られている一方で、それ以外の薬剤につきましては少しばらつきがあるのかなという結果が得られているところでございます。
さらには、40枚目で届けている医療機関の体制についてもお尋ねしているところでございます。全ての診療科から受ける体制が整っているかということに関しましては、ほぼ多くの病院におきまして体制あり。また、院内の検査体制、アンチバイオグラムの有無等につきましても、9割前後でやられているところでございますが、副作用についてASTが把握する体制につきましては半分程度ということで、ここにつきましては少し差があるのかなと見てとれるところでございます。
41枚目は、カンファレンス、院内講習等の頻度をお尋ねしているところでございます。カンファレンスの頻度を見ていきますと、週1回程度というところが7割程度。真ん中の院内講習会につきましては、半年に1回というところが8割程度となっております。
他方で、一番右の周辺地域の医療機関からの相談に応じた実績というものを3カ月でお尋ねしているところでございますが、これは相談を受ける側でございますので、実績なし、相談がなかったという結果が5割程度ということでございまして、周辺からの相談というものが要件になっているところでございますが、このあたりは少し課題かなと思っているところでございます。
42枚目が論点でございますが、これらの届出状況や実績を踏まえまして、適正使用にかかる取り組みをさらに進める観点から、要件についてどのように考えるかという論点を挙げさせていただいております。
43枚目から横断的事項ということで、少しわらわらとしたような項目が続きますが、御説明を続けさせていただきたいと思います。
44枚目は前回おつけした資料でございますが、退院時の共同指導の2、退院前訪問指導、退院後訪問指導の3つの項目につきまして、算定状況というものを入院基本料別に並べているところでございます。これは前回と同じ資料をおつけしているところでございます。
このうち退院指導の2につきまして、45枚目におつけしているところでございます。単月の算定回数等々をデータとしておつけしているところでございます。これにつきまして、30年の改定の際に、医師及び看護職員以外の医療従事者が共同指導する場合も評価対象とするように見直しを行っておりまして、後ほどどういう職種の方と共同でやっているかというところを見ているところでございます。
47枚目は、退院時の共同指導もしくは多機関の共同指導というところの算定状況でございます。後ほどの御説明の中で何でとれていないのかということも御説明していきますが、対象の方がいない、もしくは業務が多忙でできないということもありまして、頻度としましては3月で3名程度というところでございます。
多機関のほうにつきましては3月で1.8人程度ということで、算定状況が低調なこともありますが、各医療機関でもこのぐらいの頻度という結果が得られているところでございます。帯グラフを見ていただきますと、多くのところで1~5件未満というところが一番ゾーンとしてなっているというところでございます。
また、ビデオ通話を用いたということにつきまして、昨年につきましては報告が0件だったところでございますが、今回は1件だけ用いた共同をやりましたよという報告があったというところでございます。
48枚目、ビデオ通話を用いた共同指導を行っていない理由もお尋ねしているところでございますが、環境がない、もしくはビデオを用いた共同指導を行う必要性がないというところが6割ぐらいの理由で挙がってきているというところでございます。あとは、要件に合致しないという回答も相当程度あるところでございます。
49ページ以降は、職種と共同指導にかかわる時間というものをそれぞれの点数でグラフをおつけしているところでございます。続けて見ていくと少し差が出てくるかなと思うところでございますが、まず共同指導を行った職種を見ていただきますと、一番多いのが看護職員、次に医師、3番目として社会福祉士という方が出てきておりまして、これらの方が多いというところでございます。
時間、それぞれどれぐらい手間がかかっていますかということに関しましては、看護職員がほかの職種に比べて要する時間が多かったというものが1つ目の退院共同指導について見られるところでございます。
50枚目、算定していない理由に関しましては、対象者がいないというのが一番多くなっているところでございます。
51枚目からは退院前後の訪問指導をつけておりまして、52枚目、退院前の指導料の算定状況をおつけしているところでございます。
53枚目につきましては、先ほどの49枚目と比較しながら見ていただくと、少し差が見られるかなと思っております。退院前に訪問した職種が「理学療法士等」となっていますが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の割合が、先ほどのスライドと比べると高くなっていて、医師が下がってきているところで、退院前に指導する際にはどういう職種の方がかかわるかという傾向が大きく違っているのかなというところが見てとれるところでございます。
また、1回にかかる訪問時間に関しましては60分以上ということで、長目の時間こういった指導をやっているということが、退院前には見てとれるところでございます。
54枚目の理由に関しましては、先ほどの対象者がいないところと加えまして、指導を行う職員が指導時間を確保できないというところも相当程度の割合で挙がってきているというところでございます。
55枚目で、退院後の訪問指導に関しましては、先ほどのところと職種を多少比較していただきますと、退院後の訪問指導に関しましては、ほぼ看護師でそういった訪問がされているというところと、それに要する時間を見ているのが右でございます。1回にかかる訪問時間は60分以上ということで、非常に長い時間手間がかかっているという結果が得られているところでございます。
それの裏表になろうかと思いますが、57枚目に関しましては、指導する時間を確保できないというところが理由として高くなっているという結果が得られているところでございます。
58枚目から認知症ケア加算の対応状況についてでございます。
59、60、61までは、これまで既存のスライドですので、説明を割愛させていただきます。
61枚目は前回おつけしている資料でございますが、届け出ていない理由を複数回答で出していただいたのが61枚目でございます。それを最も該当するものという形でもう一回集計し直したのが62枚目でございます。この2つを比較していただきますと、一番の理由として挙げられているのが、「精神科又は神経内科の経験を5年以上有する専任の常勤医師を確保できない」ということが非常に高い割合になっているところでございます。ただ、特定機能病院に関しましては、この理由に関してはほとんど挙がってきていないというところで、特定機能病院であれば、こういった方の確保は困難ではないという結果が得られているところでございます。
63枚目でございます。この見方は、急性期の一般の1で、認知症ケア加算2があるか、1も2もなしかというところで集計を分けて見たものでございます。ケア加算1を届け出ない理由を届出別に見ますと、1、2ともに届け出ていない施設よりも、2を出していない施設のほうが、医師に関する要件が理由として高くなっているという結果が得られているところでございまして、医師の要件等々を見直したらどういうふうに変化するのかというのを想像するに当たりまして、こういった集計もさせていただいたところでございます。
他方で、64枚目、届けていない施設におきまして何かしら取り組みをやっていますかということをお尋ねしたところでございます。こちらのほうで想定した選択肢のほかに、チームによるラウンドや専門性の高い看護師への相談というようなさまざまな取り組みをやっていただいているという結果が得られているところでございます。
65枚目以降、せん妄予防の取り組み状況をお尋ねしているところでございます。
せん妄予防の取り組み状況について、66枚目に入院基本料別につけているところでございますが、せん妄のリスクの高い患者さんが多いところにおきましては取り組みが進んでいるというのが全体的な傾向として見られるところでございます。具体的に申しますと、救急の入院料でありますとか、特定集中の管理料におきまして取り組み、やっていますよという割合が高いものでありますとか、66枚目の右、その取り組みをやっているタイミングというところで、それらの入院料を算定しているところにおきましては、早期からの介入が行われているという結果が得られているところでございます。
67枚目、その取り組みを行っている職種ということに関しましては、多くが看護師さん、もしくは医師の方で取り組みを行っていただいているところでございますが、薬剤師さんの関与というものも一定程度あるというところが見てとれるところでございます。
68枚目は、チェックリスト、もしくはそれが学会に基づいたチェックリストかどうかということに関しても、救急入院料でありますとか特定集中に関しましては、こういったチェックリストの活用状況でありますとか、それらが学会から示されているチェックリストを使っているという傾向が高くて、そういった取り組みが促されているという結果が見てとれるかと思います。
69ページに行きますと、予防的介入の有無というところでございます。予防的介入は、いずれの医療機関におきましても相当程度高い取り組みをやっていただいておりまして、その多くが非薬物療法、環境調整等を中心に行われているという結果が得られているところでございます。
70枚目の非薬物療法の具体的な内容ということで、6項目ほど挙げさせていただいておりますが、いずれの取り組みもせん妄予防に対しまして一定の効果があるというエビデンスが得られている項目を挙げさせていただいているところでございます。
ただ、その中身を見ていただきますと、多くの医療機関で8割程度でやられている項目もあれば、例えば脱水の予防のようにまだ4割程度でしか取り組まれていないという項目がありまして、こういうことにつきましては、各入院料ごとで見ても項目別に見てもばらつきがあるという結果が得られたところでございます。
71枚目のところは、取り組みが行われていない理由は何ですかというのをお尋ねしたところでございます。こちらについては特定の項目が高いということはなかったところでございますが、その他というところも割合が多かったので、少し自由記載を見たところでございますが、自由記載のところで例を挙げますと、必要性は感じているが、体制とかマニュアルが整っていない。予防が大切という教育が十分行われておらず風土がない。リスク評価はしていないが一律に環境調整のみ行っている。せん妄が発生してから対応している等々の御回答が得られたところでございます。
続きまして、横断的事項の4つ目でございます。総合評価加算の算定状況等をお尋ねしているところでございます。
73枚目に点数の概要と算定回数、届出状況をおつけしております。この算定状況につきましては74枚目でございますが、急性期の1で4割程度。特定機能病院、専門病院で3割前後という結果が得られております。
先ほどの算定要件にありますが、こちらの要件の中に研修を修了した医師というものが要件となっておりまして、それの確保ができないというのが算定できない理由として一番高くなっているところでございます。
実際にこの評価を行っている職種というものを見ますと、こちらはガイドラインに沿った評価を求めているところでございますが、やはり医師と看護師がそれらの評価を行っているという結果が得られているところでございます。
チェックリストに関しましては、何らかのチェックリストを活用いただいているところでございますが、それが真ん中の欄にありますように、学会のほうで示されているチェックリストが療養病棟のほうで活用いただいている一方で、特定機能病院も同じく関係学会のチェックリストの活用が相当程度ある一方で、それ以外の入院料におきましては、病院における独自のチェックリストを用いているという状況と、さらにはということで、ガイドラインに沿ったというのをお願いしているところでございますが、ガイドラインにつきましては、「ある」もしくはそれをちゃんとわかっているというところよりも、「わからない」もしくは「ない」というところが相対的に高くなってきているのはちょっと気になるところでございます。
横断的事項の一番最後、患者サポート体制充実加算について御説明してまいります。こちらは24年の診療報酬改定におきまして創設したところでございます。算定回数がふえているところでございますが、届出施設数が若干減ってきているというところでございます。
80枚目は、入院基本料別の届出状況を見ているところでございます。
81枚目は、今後の意向というところでございます。
82枚目は、窓口の対応状況というのを入院と外来に分けてお尋ねしたところでございますが、多くの入院料におきましては、ほとんどの施設が入院患者、外来患者ともに対応しているという回答が得られているところでございます。
また、窓口で主にどの職種の方が対応いただいていますかというのをお尋ねしたのが83枚目でございます。多くのところで社会福祉士、続いて看護師の方が多いということがいずれの基本料におきましても多く見られたというところでございます。
届出ありと届出なしを比較しますと、なしのほうでは、それ以外の職種の方、グレーの部分が少し多くなっているかなという傾向が見てとれます。
84枚目、今のをまとめまして、これらの算定状況とか取り組み状況を踏まえまして、入院患者さんに対してさらに適切な医療・ケアを提供する観点から、加算の算定要件等についてどのように考えるかという論点を挙げさせていただいております。
85枚目からその他の事項として2つ御用意しております。1つ目が、地域包括ケア病棟・病室についてということでございます。
86枚目で現行の算定要件等をつけております。
87枚目以降は7月の本分科会でのデータ等々を数枚おつけしているところでございます。
90枚目までお進みください。90枚目から少し追加の分析を行っているところでございます。地域包括ケア病棟におきましても必要度の該当の有無を確認いただいているところでございます。それらにつきまして、どちらの病棟・病床から来たのかによって、該当項目に差があるのかというところを見たのが90枚目でございます。A項目、B項目、C項目それぞれを自院の一般病床から来たのか、他院の一般病床から来たのか、もしくは自宅・介護施設から来たのかという3類型で分けて見ているところでございますが、いずれの項目におきましても特段高かったり、低かったりという傾向がなかったというのが90枚目でございます。
91枚目は、6月の資料でございますが、地域包括ケア病棟に来ている患者さんが、どこから来て、どこに帰っていくかというのをまとめたものでございます。自分の病院の一般病床から来ているという非常に高かったという結果がこれまで得られているところでございます。
どこから来たのかというのが92枚目でございますが、許可病床の規模別に分けてみたところでございます。こちらは200床、200~400床、400床以上という病床の規模別で見たところでございますが、結果を見ていただきますと、少し小さくなっておりますが、自院の一般病床の割合を見ていただきますと、200床未満であれば3割のところでございますが、200~400、400以上となるにつれて自院の一般病床から来る患者さんの占める割合が非常に高くなっているという結果が得られているところでございます。
また、退棟先につきましては、病床規模にかかわらず、自宅の割合が6~7割という結果が得られているところでございます。
93枚目は、病床規模ではなくて、地域包括ケア病棟以外にどういう病床を持っていますか、どういう基本料を算定していますかというものの届出状況とあわせて見たところでございます。
大きく一般病棟の届け出のある、なしで見た場合ですが、一般病床の割合が多いと、他院の一般病床の割合が少なくなってくるという傾向。退棟先につきましては、どの入院料を持っているかにもかかわらず自宅の割合が高いというところがある一方で、療養病棟がある場合につきましては、比較しますと、自院の療養病床に行ったり、死亡退院の割合が相対的に高くなっているという結果が得られているところでございます。
ここまでが地ケアの分析でございます。
94枚目と95枚目は、前回、前々回の本分科会におきまして、転棟もしくは転出した患者さんの基本料の算定の方法がごちゃごちゃしているのではないかという御指摘をいただきまして、少し整理をさせていただいたところでございます。
94枚目を見ていただきますと、上と下に大きく分けておりまして、ほかの病棟に転棟した場合を上に分けております。3つパターンを書いておりますが、一般病棟から地域包括ケアに行った場合、サイズを大きくしたり、小さくしたりしているのは、それぞれの病棟の規模感をあらわしているところでございます。
3つ目の類型としまして、持っているのが一般病棟と療養病棟をお持ちの病院で、療養病棟の中の地域包括ケア病室に転棟した場合。大きくこの3つのパターンが考えられるかなと思っておりまして、それぞれの場合、点数がどうなるかというところでございますが、当然ながらDPCの病棟にいる間はDPCの算定。違う病棟に移ったら、移った先の病棟の点数になるというところでございますが、地域包括ケアの病棟に行ったら地域包括ケア病棟。療養病棟の地域包括ケア病室に行った場合も地域包括ケア病室の点数を算定するというルールになっております。
一方で、下でございますが、同一の病棟の中の室に転換したというところでございます。今回は少し規模感をつけさせていただいておりますが、多くがDPCの病棟で、一部地ケア室の場合と、相対的に地ケア室のほうが大きくて、DPCの病棟なのにこういう状況というケースもございます。
ただ、この場合、転出後につきましても病棟ごとの点数の算定ということになりますので、いずれもDPCによる点数を算定、続けるということになりまして、そこに書いてありますように、同じ地域包括ケアの管理でも算定する報酬が異なるというのが現行のルールになっているところでございます。
これが基本的な点数の算定のルールになっておりますが、それに附随しまして少し違いがあるというところが95枚目で整理させていただいているところでございます。
転棟した場合の入院料の算定のところでございますが、一般病棟でDPCの中から地ケア室に転出した場合を見ていただきますと、基本料の算定方法を今、御説明したところでございますが、地ケア室であれば、リハビリが包括になっている部分もございますが、DPC/PDPSはリハビリが出来高になっていますので、ここはDPCの点数プラスリハビリがとれるというところになります。
算定期間の取り扱いに関しましては、転棟した日から60日というところは共通になっているところでございます。
一番右の欄、入院患者の評価指標のところで中段にありますが、療養病棟の地ケア室に関しましては、重症度、医療・看護必要度の算定から除外になっているというところの違いもあるというところがポイントかなと思っているところでございます。
さらに、算定方法の短期滞在手術と絡めた場合の点数の算定方法というのも下半分につけておりますので、参照いただければと思います。
これら転棟のルール等々を照らし合わせて、96枚目でございます。こちらは7月25日にお示ししているところでございます。DPCの病棟から地ケア室に転棟してくる時期を見ているところでございますが、左につけておりますのがその時期のヒストグラムでございます。それと関係するものとしまして、右半分にDPCの点数と地ケア病棟の入院基本料の差をつけているというところで、ピークのところと点数の変わり目というものが一致しているというグラフでございます。
続きまして、97枚目、これらの関係するものとして、これも既にお出ししているところでございますが、当該医療機関に占めますDPCの算定病床の割合が少なくなってくると、グラフの傾向としまして、転棟する症例の割合が高くなるという一定の傾向が見られるというのが97枚目でございます。
97枚目で丸をつけている医療機関というものをプロットしたのが98枚目でございます。横軸に在院日数、縦軸に医療資源投入量をつけますと、DPCの病棟にいた期間が短く、医療資源投入量は比較的少ないというところにこの病院がプロットされるという結果が得られているところでございます。
99枚目は短期滞在の点数の算定のルールを参考までにおつけしております。
100枚目、101枚目はそれぞれにおきましてどういう手術がされているかというものの集計でございます。
これらをまとめたのが102枚目でございまして、地域包括病棟における患者像、病院の許可病床の規模や届出状況、あわせて何を持っているかという状況を踏まえて、主な役割を適切に推進する観点から、施設基準の要件についてどのように考えるかという論点を挙げさせていただいております。
103枚目からは最後の御説明になります。9月19日の本分科会におきまして、提出するデータの項目の拡大等々について御議論いただいたところでございます。
104枚目にいただいた御意見をつけているところでございまして、大きく2つ分けております。FIMに関しましては、急性期の全部にとるということは負担が大きいのではないか。ただ、データの正確性の担保という点から、急性期の病棟の医師、看護師全てを測定するのは難しいのではないかという御意見がございました。
他方、要介護度につきましては、高齢の患者さん、日常生活の自立度が低い患者さんがふえているということを踏まえて、要介護度については、急性期の病棟においても提出することを検討してはどうか。入力を求められているなど、既に他の要件などで入力を求められているので、DPCを入力するということも負担が少ないのではないかという御意見をいただいております。
105枚目、今いただいているデータをどう公表するのかというところについて御議論いただいたのが9月19日でございますが、その際には、FIMを入棟時と退棟時、さらには要介護度もそれぞれの割合を出してはどうかということでございましたが、それのみではなくて、集計する項目として各病棟の様子がわかるものもあわせて公表してはどうかというところで御提示させていただいたところでございます。
あわせて公表、集計する項目としまして、事務局案として106ページに幾つか項目を挙げさせていただいているところでございます。
これらの項目について、あわせて集計する、しない等々について、きょう御意見をいただければと思っております。
107枚目は、FIMに関しましては、前回急性期で一律にとるのは負担が大きいという御意見もいただいたところでございまして、改めて現行のFIMの取り扱いにつきまして整理をさせていただいたところでございます。算定要件に入っているものとしましては、回リハの病棟入院料、疾患別のリハのうち標準的算定日数を超える方へリハをする場合。この場合はバーセルインデックスと選択可で、月ごとの評価となっております。
さらには、廃用症候群のリハでありますとか、目標設定等の支援・管理シートには入っておりますが、いずれもバーセルインデックスと選択可となっております。
また、様式にはあるのですが、明確にそれを記入するということを求めていないというものがリハビリの総合実施計画書。
また、他の指標が用いられているものが別にございまして、これら複数の指標があったり、そもそも要件が必ずしも求められていないというように少しばらつきがありますので、一定程度整理したほうがいいのではないかと思っているところで御提示をさせていただいております。
また、項目の整理が必要な項目としまして108枚目でございます。こちらはDPCの様式1と褥瘡対策、入院料の通則7にありますものをつけているところでございます。いずれも褥瘡の評価というものを行っている項目でございますが、今、見ているところが違うというところがございますので、いずれも同じく褥瘡に対する評価という観点から見た場合に一定の整理が必要ではないかということで、つけさせていただいております。
以上、まとめましたものが109ページになっておりまして、論点を3つ挙げさせていただいております。提出データの公開方法について、FIM及び要介護度の集計の公開に当たっては、適切な解釈が可能となるよう、これらの項目を踏まえて、必要なものとあわせて公開してはどうか。
2つ目、リハビリテーションに係る事項については、まずは現状を踏まえて評価項目や様式のあり方について整理をしてはどうか。
3つ目、褥瘡の様式1について、他の項目の算定要件における項目との同一の事象に係る評価であるものについては、データの利活用、入力の事務負担の軽減を考えて、そろえてはどうかということを論点として挙げさせていただいております。
駆け足でございますが、以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、この議題につきまして議論をしたいと思いますが、パートに分けて御議論をいただきたいと思います。初めに「特定集中治療室管理料等」、3ページから20ページにつきまして御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。松本委員、どうぞ。
○松本委員
ありがとうございます。健保連の松本です。
スライド20の論点ですが、必ずしも本日示されている救命救急入院料や特定集中治療室管理料に限らず、人員の配置状況を施設基準の要件としているものが基本料の中に相当数ございます。しかしながら、入院患者の病態の軽重にかかわらず同じ診療報酬が支払われるということについて、疑問を感じています。患者さんの病態に応じた診療報酬となるように、これは次の改定ということでなく、中長期的な課題として基本料の設定のあり方を検討すべきではないかと思います。これは意見です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
林田委員、どうぞ。
○林田委員
ありがとうございます。
論点の1点目にSOFAスコアと重症度、医療・看護必要度の比較みたいな話があるのですが、これは非常に重要なので進めていただいてはどうかなと考えています。ただ、一方、比較ということを考えたときに、現行の特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度評価票にも一定の課題があると認識しておりまして、集中治療医学会の先生方からもICUに入室している重症な患者さんが適切に評価されていないのではないかとか、あるいは新しい医療技術みたいなものが含まれていない等の御意見をいただいています。
そこで1点お願いですけれども、現在学会の先生方とそのような課題等に関して資料を作成中ですので、次回の分科会等で委員資料として提出させていただければと考えているのですが、いかがでしょうか。
○尾形分科会長
それはぜひお願いしたいと思います。
ほかはいかがでしょう。山本委員、どうぞ。
○山本分科会長代理
早期離床・リハビリテーション加算の部分で、多くの医療機関が理学療法士、作業療法士の確保困難というものを挙げられておりますが、もう一つ、専任の看護師の確保も問題かと思います。研修の要件がかなり厳しくて、たしか600時間の研修を受けなければいけないということで、大学病院でもこれだけの時間を行う看護師の確保というのは相当難しいと思います。一方、早期離床・リハビリテーションの効果というのは極めて絶大なものがありますので、ここがもうちょっとうまく積極的に行えるような体制の整備が必要ではないかなと考えます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
牧野です。
10ページを見ていただきたいのですけれども、今回SOFAスコアが出てきて、先ほど松本委員がおっしゃったように、そこに入っている患者像が少し見えてきたのかなという気がしています。ここで入室時のスコアが0点ですから、一見問題がなさそうに見える患者がかなりたくさん入っているようなところも確かにあります。ただ、例えば胸部の手術、肺の手術とか心臓の術後とか、急性心筋梗塞やPCIをやった直後とか、そういった方をICUに入れるというふうに運用しているところであれば、0点というのも最初からだめと切り捨てるわけにはいかないのですが、ただ、その辺の割合の部分はちょっと気にはなるかなという気はしています。ですから、どういう患者がそこに入ってきているのか。多分術後の患者とか、実際に病棟で悪くなった敗血症とかDICとか、そういった中身まで見られると、この辺がより深い分析ができるかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
山本委員、どうぞ。
○山本分科会長代理
今の牧野委員の補足です。術直後の患者さんをいきなり一般病棟におろすというのは非常にリスクが高い。一見安定しているように見えても、手術の内容によっては、一旦ICUに入れて、落ちついたのを見て、翌日に一般病棟におろすというほうが、一般病棟の負荷も非常に軽減されますので。術直後、何が起こるかわからない患者さんを一晩一般病棟で診るというのは非常に負担が大きいと思います。一般病棟の負担の均てん化というのも病院にとっては大きな課題ですので、そこの部分は注視する必要があるかなと思います。
あと、患者さんの状態に応じての基本管理料というお話もございましたけれども、別に軽い患者さんがふえたから、配置、看護師をよそへ移すとか、そういう対応は絶対できませんので、最悪の状態、一番重症の状態を想定して人を配置しないと、ICUの運用というのはできないということも御理解いただきたいと思います。
○尾形分科会長
ありがとうございます。
田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
早期リハのところでリクエストにすぐ応えていただいて、開設者別のを出していただいて、ありがとうございました。
PTさんの理由が推定したほどではなかった、どこも同じだったということで、安心しましたが、逆に開設者別にしていただいたことで、届け出の割合が開設者別に結構違っていて、医療法人がほかに比べるとすごく少ないのですけれども、これはどうしてかなというのが気になりました。先ほど山本委員がおっしゃったように、これは非常に重要なものなので、ここが少ないというのは課題かなと思うのです。
その理由を見てみますと、多分医療法人はその他に入るのかなと思いますが、看護師が確保できないということが大きいので、看護師さんの研修が厳し過ぎるとか、そういうことがあるのであれば、医療法人さんももう少し早期リハにも取り組めるように改善が必要かなと思いました。
以上です。
○尾形分科会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
ありがとうございます。健保連の松本です。
山本委員の御説明、納得いたします。ただ、基本料と加算との組み合わせによってより適切な評価を行うように見直したほうがいいのではないかという趣旨でございまして、基本料のみで評価を行うべきだということではありません。ただ、平均してどのような評価を行うかということと、さらに重くなったときに加算を組み合わせた評価を行うように見直したほうがいいのではないかという趣旨でございます。
ありがとうございます。
○尾形分科会長
神野委員、どうぞ。
○神野委員
原点の話ですけれども、4ページにあるように、救命救急、特定集中、ハイケアというところでの点数ですが、日当点として救急でも9万、10万、特定集中で13万というお金が投入されているというだけに、ここはある程度厳しくというか、後ろ指を指されないような対応をしていただきたいなと思うところです。
特に集中治療はSOFAとかありますので評価できると思うのですけれども、逆に救命救急のほうは、今、消防庁のデータとかを見ても高齢者救急が非常にふえていて、救急車で来れば、いきなり地域包括というわけにはいかぬと思うので、そのときにいわゆる軽症高齢者、救急車でおうちに帰せない人をもし救命救急に入れると、9万円以上の額を投入するということに関しては、何らかの必要度があるわけですが、ここはかせをかけなければいけないのではないかなと思います。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。武井委員、どうぞ。
○武井委員
専門性の高い看護師の配置についてですが、スライド15で週当たりの配置時間数が平均約60時間で、かなり配置をされている状況はあるかと思いますが、そうではない、30時間以下の施設もある。平成30年度に導入したばかりで、そのときの要件が20時間以上である。認定看護師の育成には時間がかかることもあるので、すぐには手厚く配置できない病院もあるかと思いますので、経過措置については前回も御意見を申したとおり、2020年3月末で終了ということでいいかと思いますが、ほかの要件はこのままでいいのではないかと思っています。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
よろしいですか。石川委員、どうぞ。
○石川委員
先ほど来SOFAスコアのことが出ていますが、0点の患者が占める割合、10ページ目のものであります。これは山本構成員がお話ししたようにいろいろな患者像があると思うのですけれども、これこそ病名とSOFAスコアの成り立ちというのをよく分析しないと、特定集中治療室とかそういったところの評価ができないと思うのです。
私たちは0点でも何らかの意味があると思うので、この評価、この病院は病名とどうやって特定集中治療室を使っているのかということについて分析するのは、そこら辺しかないのではないかなと思いますので、この辺は統計をやっている方とか、林田委員とか、ぜひお願いしたい内容でございます。
○尾形分科会長
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
牧野です。
先ほど神野委員がおっしゃったことに対するつけ加えです。救命救急入院料のことですけれども、これを今後どう要件を変えていくかというのは結構難しいと思っているのです。といいますのは、救急医療管理加算とも相通じるものがあるのですが、そこに入っている患者さんが必ずしも重症だということは言えない場合も確かにあるのです。ただ、高齢者が増えてくると、合併症も持って、いろんな病態もある。来た段階ではそういったものを全て把握して入院させられるわけではないわけですから、それなりの観察が必要だということにもなります。その結果として、例えば高エネルギー外傷で来た人が来たときのバイタルは全く安定していることもあります。だけど、発見できない出血か何かで何時間か後にはショックになったりするような場合もありますので、そういった病態も考慮した対応が必要です。新たなルールをどうつくるかを考えるべきかと私も思います。
○尾形分科会長
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、先へ行きたいと思います。療養病棟入院基本料、21枚目から34枚目につきまして御意見、御質問等を賜りたいと思います。松本委員、どうぞ。
○松本委員
ありがとうございます。
スライド34の論点の最初の○、膀胱留置カテーテルについて意見を述べさせていただきます。スライド22では、療養病棟において、24%の患者に膀胱留置カテーテルが留置されており、そのうち74%の患者が3カ月以上留置されている状況が示されております。また、スライド23で膀胱留置カテーテルを留置している入院患者の割合が50%以上という療養病棟も一定程度存在することも明らかになっております。
これまで分科会の議論において、中心静脈栄養カテーテルの長期間留置については、感染症のリスクが高まる可能性があるという指摘があったところですが、この膀胱留置カテーテルも同様の心配があると思っております。
ところが、スライド24にありますように、膀胱留置カテーテルの留置期間を短縮するための取り組みについて、特に取り組みを行っていないところが15.8%あるとの結果が出ております。ありのまま回答していただいたことには感謝いたしますが、この数字については、患者あるいは支払側としても悲しいものがありますし、問題があるのではないかと思っています。
スライド27にありますように、排尿自立指導料を算定している病棟のほうが、算定していない病棟に比べてカテーテルを留置している患者の割合が3%少ない。また、裏を返して、抜去後が6%に対して5.2%とわずか1%の差でありますが、nの大きさを考えると、それなりの意味があるのではないかと思います。
患者のQOLの向上のためにも、膀胱留置カテーテルの留置期間の短縮や、カテーテル抜去のために排尿自立に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、その他にもどのような取り組みが考えられるかということについて、今後中医協で議論できるようなデータを示していただければと思います。 以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
池端委員、どうぞ。
○池端委員
ありがとうございます。池端です。
今の松本委員の御意見は、私もごもっともだと思いますし、こういう努力を全施設がしていくべきということで、特に反対するところではありません。
ただ、一方で、膀胱留置カテーテル、これも中心静脈栄養と同じなのですけれども、カテーテルがどこで入れられているかということもぜひ御検討いただきたいと思うのです。というのは、協会の中でもこの問題はよく取り上げているのですが、明らかに急性期から入れて、入ってくる方々も一定程度いらっしゃる。どういう理由かはいろいろあると思うのですが、それについてもデータがわかるのであれば、またお示しいただきたいと思います。
例えば私どもが経験するのは、急性期病院で泌尿器科の専門医も診ていて、どうやっても自然排尿できない。そうすると、自己導尿をするか、持続で入れるかということで転院してきて、療養病床ではそれ以上変更のしようがないということで継続している。中にはそういうのもあるかと思いますので、そういうことも少し御理解いただきたいと思います。
ただ、全般的には指導料加算をとる、とらないは別として、こういうことに対して積極的に取り組むという姿勢は持っていきたいということは、私も同感だと思いますので、よろしくお願いします。
持ち込みのことがわかるデータは出しようがありますか。難しいのかなと思いますけれども、それだけお聞きしたいのですけれども。
○尾形分科会長
これは御質問ですので、事務局、いかがでしょうか。
○木下補佐
今回行っている調査におきましては、今の入棟時の状況、どこからというのを見るのは限界でございます。
○尾形分科会長
池端委員、どうぞ。
○池端委員
では、当協会はこの調査をやる予定をしていますので、何かデータが出まして、お示ししたほうがいいようなことがあれば、また御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
わかりました。
神野委員、どうぞ。
○神野委員
視点としては質の高い療養生活の話なのですが、例えば33を見てみると、質の高い療養生活。これは何かというのは大変難しいけれども、その中で身体機能の維持・向上ということで、療養に入ってから質の高い療養生活のための取り組みをすることによって身体機能がよくなるならば、膀胱留置カテーテルも抜けるかもしれないということですね。
その中で、これは問題だと思い、あえて申し上げさせていただきますが、質の高い療養生活なのですね。生活なのですよ。生活を支えるのは何ですかというと、これは医療だけでなくて、介護とかそちらの分野もいっぱいあるわけです。そうすると、そこに介護のプロとしての介護福祉士の役割というのをどこかで誰かが言わなければだめな時期なのではないかなという気がしてなりません。
32ページを見ていただいても、主に質の高い療養生活にかかわっているのが、看護補助者86.4ということで、看護職員と同様に非常に高いわけであります。ただ、ここは看護補助者と言われていたら、例えば介護福祉士みたいな方がいらっしゃれば、誇りを持って生活を支援するということができるはずなのだけれども、看護補助者というのは補助者ですから、誇りを持てるかというところに問題が絶対にあるのではないかなと思います。ここは中医協の話ではないのかもしれないけれども、また介護福祉士の導入の経緯もよく存じ上げておりますが、そろそろここで介護福祉士を評価してあげるということをやらないと、質の高い療養生活というのはなかなか難しいのではないかなと思います。
○尾形分科会長
池端委員、どうぞ。
○池端委員
ありがとうございます。
神野委員がおっしゃったことは、私が言わなければいけないことを代弁していただいたような気がしますし、私も全く同感です。「介護福祉士」という言葉を入れることに対してはいろいろな問題があるということも重々承知はしていますが、そろそろそういうことを検討する時期に来ているということは私も非常に感じておりますし、ぜひどこかの機会で御検討いただけるとありがたいと思います。
もう一つ、これも神野委員がおっしゃったように、療養生活ということが出ているのですけれども、この項目は数年前から調査していると思うのですが、当初、この中に「レクリエーション」という言葉が入っていて、さすがに今、療養病床といえどもレクリエーションをやるような生活を送る方は入院していらっしゃらないということで、これを外していただいた経緯があります。
なおかつ病院でありながら、ここだけ「質の高い療養生活」ということが入っていること自体、少しずつ違和感を覚えています。というのは、療養病床といえども、今は医療区分2・3が8割以上を中心に、これから慢性期の治療、長期だけれども治療が必要な方々が中心に集まっているので、本当に生活を楽しむというイメージの方々がどんどん減っていることも事実。いないとは言いません。介護医療院にどんどん移られて、また基本料2に関しても医療区分5割以上という縛りがついてくると、どんどんそういう重い方が入っていって。
御見学いただければわかると思うのですが、療養病床にレクリエーションをしたり、コミュニケーションをとったりして楽しんでいただけるような方々がいらっしゃるかというと、そうではない方が多いということで、この項目をどう考えるかであります。こういうことを実施することに反対するわけではないのですけれども、療養病床に入っている入院患者の全てに対してこういうことが対象になるかというと、そうではないことも増えてきていることだけ現場感覚としてお伝えしておきたいと思います。意見です。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
松本委員、どうぞ。
○松本委員
ありがとうございます。健保連の松本です。
神野委員、池端委員から現場の率直な状況をお知らせいただきまして、ありがとうございます。私もスライド31を見て、療養病棟入院基本料を届け出ている病棟のうち、約7割の病棟で質の高い療養生活のために取り組まれているということについて、本当に頭が下がる思いです。また、その成果として「身体機能の維持・向上」と回答した病棟が最も多かったとのことですが、やはりこれが維持されないと、退院してからもなかなか普通の生活に戻れませんので、この取組を実施していただいていることについて本当に感謝申し上げます。
また、これは療養病棟で取り組まれていることですが、例えば地域包括ケア病棟でも当然このような取り組みがなされているのだろうと思います。そういう意味では、さきほど神野委員から、「看護補助者」という名称でどうかというご意見がありますが、それは中医協で議論していただくとしても、全体としては現行のまましばらく見守るということでもいいのではないかという印象を持っております。
以上です。
○尾形分科会長
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
牧野です。ありがとうございます。
2つあります。1つは介護福祉士の件。神野委員がおっしゃったのですけれども、これは療養だけではなくて、今の時代、急性期の病院でもこういった考え方は必要かと思うのです。今、高齢者がふえてきて、今までは看護師さんがそれに近い役割も担っていますが、看護師は専門職としてそれなりの仕事がある。そうであれば、生活にかかわる部分はそのプロがいてもいいのではないかと思います。ですから、神野先生がおっしゃることに全く賛成します。
もう一つ、33ページの表「取組によりもたらされている効果」というのが描いてあるのですが、申しわけないけれども、科学的ではないなというのが一つの印象。全て主観的で、実際に不眠が軽減された。では、どれぐらいの人が例えば睡眠薬が減ったとか、もうちょっと客観的なデータがとれるのだったら、そうしていただいたほうがいいかなと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
石川委員、どうぞ。
○石川委員
質の高い療養生活のための取り組み、31ページ目と、それとアウトカムみたいなことで33ページということで、今、牧野委員がおっしゃられたのだと思うのですが、31ページを見ますと、複数回答ということでやっているのがかなり大ざっぱで、「周囲とのコミュニケーションを促す活動」と「体幹を促すための活動」とか、これは重複しているはずなのです。重複していて、このとり方はどういう意味があるのかよくわからない。大ざっぱ過ぎて、どれをやったら効果的なのかというのが何にもわからないまま33ページに結論が出ているので、ここは先生がおっしゃったように、非科学的だなと言われてしまうと思うのです。この取り組みはかなり苦労してやられていると思うので、もう少し分析を細かくするといいかなと思います。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
武井委員、どうぞ。
○武井委員
膀胱留置カテーテルのところにちょっと戻らせていただいて御意見を言わせていただきます。現場の状況を聞くと、膀胱留置カテーテルの留置期間を短縮する取り組みとして、スライドにもあったように、評価とかカンファレンスの実施とか、病院として留置患者さんを定期的に把握して検討を実施するなど、早期抜去に向けての取り組みをしている病院が多い印象です。積極的に取り組んでいる病院もあります。
ただ、療養病棟は高齢患者さんが多く、尿閉や創傷、褥瘡の清潔保持のために、やはり長期療養が必要であるなど、病態により長期留置している患者もいますが、先ほどデータにもありましたが、長期留置していても抜去している実績もあり、実績がある病院は積極的に取り組みをしている病院だと思います。
ただし、スライド25のように取り組みを行っていない病院もあることは事実で、療養病棟でも施設によって取り組みに差があることは事実なので、こういうところは改善しないといけないと考えます。
また、排泄自立指導料についてですが、スライド29にもあるように、算定できない理由として医師とか看護師の研修に参加できない等の理由が多いようですが、要件を整備して排泄ケアチームを設置して活動しても、留置カテーテルは抜去するのですが、要介護高齢者の場合は抜去しても排尿自立が見込めないという評価になり算定対象とならない状況だそうです。療養病棟に入院する患者層から見て、もし抜去するということを評価するのであれば、排泄自立指導料の要件を少し考えるか、もしくは別途、入院時の評価やアセスメント、継続評価することを求めるなどの工夫が必要なのではないかと思いました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、先へ行きたいと思います。続きまして、抗菌薬適正使用支援加算、35枚目から42枚目の部分につきまして御質問、御意見等お願いします。松本委員、どうぞ。
○松本委員
ありがとうございます。健保連の松本です。
抗菌薬の適正使用加算について意見を述べさせていただきます。感染症対策、薬剤耐性対策の推進は保険者としても非常に関心を持っており、健保連としても、この問題について広報誌で特集を組んで、被保険者教育を始めたばかりという状況です。
薬剤耐性等の重要な評価の一つであります抗菌薬適正使用支援加算は、スライド38からまだよく知られていないという印象を受けます。定着することが大事ですので、関係団体あるいは関係学会の協力を得ながら制度の周知に務めていただき、しばらく様子を見ておくことでいいのではないかという印象を持ちました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございます。
どうぞ。
○眞野委員
眞野です。
38ページを見ますと入院料別の届出状況がありますけれども、「届出あり」が半分弱ということになっていますが、恐らく完全に一致はしないと思いますけれども、これは感染防止対策地域連携加算を算定している施設の分布をほぼそのままあらわしているのだろうと思われます。これは前回も少し発言させていただきましたが、恐らく「届出なし」のところは、感染防止対策加算2の届け出をしている施設なのだろうと思います。
一方で、恐らく1の施設、届け出をしている施設が連携している2の施設に対していろんなアドバイスをしたり、そういうことを期待してこういう仕組みになっているのだろうと思いますけれども、41ページの一番右のグラフ、周辺地域の医療機関からの相談に応じた実績があるところは半分以下であるということを考え合わせても、また、同じような話で、クリニックとかいろんなところから処方箋を出されている患者さんが例えばうちの病院に入ってきたときに、重複投与とかいろいろありますが、そういうことを整理しようとしたときにも、ドクターたちに話を聞くと、他院のドクターが出した処方は切りにくいということを言うドクターもかなりたくさんいます。これも同じような感じで、なかなか他院に言いにくいところもあるでしょうし、もう一つの理由としては、自分のところの施設が危ない状況に陥っているということに気がつかないということもあるのだろうと思います。
そういう意味では、感染防止対策加算2の施設などは、宮城県でもずっと地域サーベイランス、データをとっていますけれども、そういった施設で時々耐性菌が集積しているようなデータが出てきていますので、むしろそういうところについて体制整備を積極的に進めていくべきなのだろうと思っています。そういう意味では、感染防止対策加算2の施設であっても一定の体制を整備したらこの加算がとれるようにすると、そういう体制整備が進んでいって、抗菌薬適正使用が進んでいくのではないかなと思いますので、その辺を考えたほうがいいかなと思っています。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
神野委員、どうぞ。
○神野委員
まだ物足りないのではないかという資料の出し方かなと思うのです。今おっしゃったように、2の病院に対してのいろんな仕組みというのは大切だと思うのです。でも、とにかくこの加算でとても効果のあったことというのは、39ページの左のグラフのように、相談があったら助言するという受け身から、2番目、3番目にあるように相談がなくても必要に応じて助言を行う、介入するというのは、感染対策のチームの大きな変化というのがこの加算のおかげでも結構出てきたのかなと思いますので、これを高く評価して、この加算はよかったねという加算にしていただきたいと思います。
そして、右のほうの使用状況を把握している薬剤ということで、私は専門でないのであれだけれども、カルバペネム系と抗MRSA製薬はマストなのでしょう。そのほかの薬剤は病院によっての考え方があるような気もしないではないのですが、もしこれが必要だとするならば、きちんと加算要件に加えていただければ、皆さん一生懸命やるのではないかという気がいたします。これは専門家の方の御意見とのすり合わせが必要だと思いますけれども。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
牧野です。
私も神野委員の意見に全く賛成でして、この加算ができて何が大きく変わったかというと、病院というのは診療科単位でしか処方をしないものなのですが、この加算によって、感染を管理する医師がどの診療科に対してでも物を言うということが起きました。しかも、聞かれたから言うのではなくて、抗生物質を使っているのを見て、出てきた菌の種類を見て、そして積極的に介入していくという動きが一般化してきたのです。これは非常に大きなことなのです。逆に言うと、ある程度の高度な医療を行っている病院では、むしろこれを必須にしてもいいぐらいではないかとすら思っています。
ですから、もう既にできている病院はいいのですけれども、そうでない病院に対する対応が必要です。では、いわゆる感染加算の2の病院で同じことができるのか。感染をある程度専門にしたドクター、ナースが必要なのです。ですから、そこのところを底上げするための取り組みというのもあわせていかないと、単に加算だけ広げていけば同じだけの機能を発揮できるかというと、ちょっと難しいかなと思っています。
もう一つが地域の中でほかの医療機関からの相談ということなのですけれども、実際に相談を簡単に受けられるかというと、受ける側は受けられるのですが、相談する側はなかなかハードルがあるのではないかと思います。これは感染防止対策地域連携加算をとっていることが要件なのです。感染防止対策連携加算をとっている場合には、年に何回かカンファレンスをしているのです。ですから、そういったところで話はできるのではないかなと思います。ただ、これは1と2の親子関係にある医療機関しか参加できない。ですから、そこでもう少し広い医療機関が参加できるような仕組みがあると、地域ぐるみでの感染防止ということがもうちょっと進むかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
井原委員、どうぞ。
○井原委員
今までの御意見、私も全くそのとおりだと思います。耐性菌の問題は、サミットでも議論されたぐらいで、大げさでなく、世界中で取り組もうとしている課題です。もう一つ、これは医療を受ける国民の皆さんに大変利益がある話です。ですから、この論点にも書いてありますように、さらに取り組みを進めようということに賛成です。問題は、「現行の施設基準等の要件についてどのように考えるか」とテーマが出ていますが、37ページ、抗菌薬のチームですとか、いま一つこれが拡大していない要件が、連携をしていなければいけないとか、医師、専任の常勤医師がこうだとか、さまざまな条件がここに書かれているわけですが、何が算定を阻害しているのか。先ほど100%必須にしてもいいという意見もあったぐらいですので、これが45%ぐらいにとどまっている要件は何なのかということをもう少し掘り下げてわかれば、そこを考え直すことによってもっと数多くの病院が積極的にこれを取り入れるようにするという方向で、すぐには無理かもしれませんが、中長期的には考えていただきたい。そのように思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
山本委員、どうぞ。
○山本分科会長代理
先ほどカルバペネムと抗MRSAはほぼ100%近くモニタリングがされているということでありますが、これも内容によって、つまり、届出制なのか、あるいは一歩踏み込んで許可制にするのか。大学病院でもまだ半分ぐらいは許可制までも行かないのです。届出制のところが多くて、千葉大学は完全にこの辺は許可制にしておりますけれども、そこまで踏み込むということも非常に重要だと思いますので、人員要件もさることながら、業務の内容についても踏み込んでやっているということについての評価もしっかりしていただく必要があるかなと。そうすると、内容そのものも充実してくるのではないかなと考えます。
○尾形分科会長
神野委員、どうぞ。
○神野委員
もう一点だけ。これは中医協のほうで薬剤のことをやっていらっしゃいますので、あえて申し上げますが、今、抗生剤でCEZ、セファゾリンがもう世の中にないのです。ああいう基本的なお薬。しようがないからほかのものを使うと、昔の言う第二世代、第三世代を使わざるを得なくなる状況があるので、これは厚労省から薬品業界にセファゾリンをつくれ、あるいは輸入しろとか言っていただかないと、ここと相反することが起きてしまうのかなと思います。
○尾形分科会長
石川委員、どうぞ。
○石川委員
36ページ目に感染防止対策地域連携加算というのがありますが、私のところもそうですけれども、VREというMRSAよりももっとたちの悪いのが発生して、経営的にも大変なダメージを受けたりしているのですが、これは持ち込まれてしまったのです。今、連携を一生懸命やっていますけれども、連携の中で患者さんを紹介されて、こういうものが持ち込まれて、受けた病院が大変な状況になってしまう。病棟を閉鎖したりするということになってしまったりしています。
ですから、地域ごとのきちんとした防御体制ということについては、逆にこれを、検査しないでという病院も出てきたりして、皆さん、そういうのがあるというのを御存じだと思うのですけれども、地域ごとにきちんとサーベイランスをやらないと、この体制の問題とか、そういうのは全然解決しないのだと思うのです。
これはここでの評価の問題にならないかもしれないのですが、そういった点で一生懸命やっている病院は調べると出てきてしまったりして、余計慌てたりするということもあります。こういう現実もありますので、まず地域連携加算をより充実させるという形で、それから外来も含めて取り組むということで、中医協のほうでは議論していただきたいと考えます。
○尾形分科会長
田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
今の件に補足ですけれども、私も本当にそのように思っていて、外来というお話が今、石川委員から出ましたが、在宅でも重症度の高い方がいて、市中と院内の区別ができなくなるぐらいニーズも高いと思うのです。なので、そこに対する対応というのはしていただきたい。
関連して41ページ、周辺の医療機関からの相談というのが少ないというのは、先ほどから議論になっていますけれども、相談する側にバリアがあって、相談する側のメリットというのが、今、どんな加算になっているのか、細かいことはわからないのですが、ちょっとした在宅の診療所であってもきちんとコンサルができるような、そういう後押しみたいなものも考えていただけたらなと思っています。
以上です。
○尾形分科会長
眞野委員、どうぞ。
○眞野委員
要件のことについて今、ずっと考えていたのですが、37ページのところを眺めていて、大規模な施設であれば、この要件でもそんなに難しくないかなと思いますけれども、規模が小さくなってくると、いずれか1名は専従であることとなっているところがネックになるのかなと思いました。人が少ない中で専従でそこに充てるということが、規模が小さい病院になると難しいのかな。そういう意味では、調べてみないとわからないですが、2段階にするとか、少し工夫を必要があるのかもしれないなと思いました。
○尾形分科会長
池田委員、どうぞ。
○池田委員
抗菌薬適正使用支援加算は大変意義のあるものだと私も感じておりますが、この加算の要件はいわゆるストラクチャー中心で、今回調べたものはプロセスの点で、一部課題はあるものの非常に機能しているということは理解できたのですが、アウトカムが見られていないということで、これがどのように実際にアウトカムの改善につながっているのかというのが、今のところは評価できていないなという意見、感想です。その方向でも今後調査をするなり、評価に加えていくことが望ましいと思います。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、横断的事項につきまして、43ページから84ページまで御質問、御意見を承りたいと思います。松本委員、どうぞ。
○松本委員
ありがとうございます。
横断的事項のせん妄予防の取り組みについて、意見を述べさせていただきます。スライド66でせん妄予防の取り組み状況を見ますと、急性期一般入院料1を算定しているところ、あるいは集中治療室の約7~8割は取り組みが見られます。一方、nは少ないですが、地域一般入院料では取り組みの割合が24.4%で、4分の1と少ない状況となっています。また、取り組みを行っているタイミングは、「入院時または入院後早期に一律に行っている」と「せん妄を疑う際に行っている」が多いのですが、入院料ごとにどういうタイミングで行うかについてもばらつきが見られます。
せん妄予防の取り組みを進めることは大変重要でありますし、その予防のために取り組まれているところについては感謝申し上げますが、せん妄予防の取り組みをより効果的に進めるという観点から、取り組みを行うタイミングや内容によって患者の状態がどのように変わるのかということがわかるようなデータ、エビデンスをご提示いただければと思います。例えば、早期に予防に取り組むことで入院期間が短くなるなど、そういう具体的な指標があれば、今後中医協で議論を行えるよう、データを示していければと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ちょっと前のビデオ通話のことにコメントをさせていただきたいのですけれども、ここはまだ行っていないということで、理由が「主にビデオ通話に対応できる環境がないため」。48ページです。これはZOOMとか何かを入れるとかいうのではなくて、スマホでやればいいわけですね。そういうことがまだ周知されていないのではないかなと思われて、大仰な装置がないとできないという印象を持っているとしたら。もう少しスマホでいいのだよということを周知していただければ、ふえるのではないかなと思っています。私もここで提案させていただいたのですけれども、なかなかみんなが集まるのが難しいというのは現実的にあると考えていますので。
それから、指導料の直接の定義にはないのですが、現場では遠くに住んでいる御家族が参加したいけれども来られないというのが結構ネックになっている事例に接しています。特に家族のことは診療報酬上どうという位置づけにないのでしょうけれども、同様に遠くの家族がスマホで参加したいという場合は、それもいいも悪いもないのかなと思うのですが、せっかくみんなが持っている技術、テクノロジーを活用できるような周知の仕方をお願いしたいと思います。
○尾形分科会長
神野委員、どうぞ。
○神野委員
認知症ケア加算についてです。62ページの一番上に「精神科又は神経内科の経験を5年以上有する専任の常勤医師を確保できないため」とあります。認知症の話はOECDでしたか、全世界的に大きな話でありまして、何とかしなければいかぬので、何とか認知症ケアをできるような体制とするならば、専任医師基準というのは、今、働き方改革の時代でもありますし、非常勤とか、0.5足す0.5が1になるような非常勤の形とか、専任の医師基準というのがケア加算をとる上で問題だとするならば、そろそろ見直すべきものなのかなと思います。
○尾形分科会長
池端委員、どうぞ。
○池端委員
また違う項目なのですが、退院前訪問指導料についてです。スライド54の算定していない理由の中で、少し少ないところに着目したいのです。左の「該当するものすべて(複数回答)」で、保健師や看護師が訪問指導に従事すると、施設基準を満たせなくなる。これは理学療法士に関しても8%あるのです。これは質問ですけれども、退院前訪問指導のために病棟の看護師あるいは専任の理学療法士が訪問した場合には、現状の施設基準上、時間を減算しなければいけないという体制ということでよろしいですね。ということがあります。
適時調査などでも時間が厳しくて、例えば会議に出ていても、その30分は引きなさいとか、そういうことがあります。ぎりぎりのところは、なかなかこういうところができない。特に退院前訪問指導というのは、あくまでも入院患者さんのために行っているのに、たまたま病棟にいないだけで、それは施設基準上は働いていないことと同じようにカウントしなさいということが出てきているのです。これはパーセントがまだ少ないかもしれませんが、精神的にはかなり負担。(病棟を少しでも)出ることはいけないということで負担なので、どう考えても入院している患者さんのために働いていることに対して、それを施設基準上外すというのはいかがなものかということを感じます。
ここで議論することではないかもしれませんけれども、しかるべきところでその辺はぜひ検討していただいて。特に働き方改革等々で専従、専任の要件というのも、本当に患者さんのためにという視線で考えれば、そういうことを少し緩和してもいいのではないかという気がしていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
さらに言えば、以前中小病院で病棟に配属された看護師等が、たまたま急患に応需するために外来におりたときに、そこの時間帯は専従から外しなさいと言われてしまって、入院基本料の施設基準を満たさずかなり大きな診療報酬の返還指導を受けたところがあって、前々回の改定でそれは少し緩和されたと思うのですが、そういうやり方もあると思うので、何らかの一定の条件をつけて少し緩和する方向も考えていただけるといいかなと思います。そうすると、もっとこれが進むのではないか。これは非常にアウトカムがある指導料だと思いますし、退院後の訪問に関しても同じような理由で行けないというところが十数%ありますので、ぜひ中医協で御検討いただけるといいかと思います。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
では、山本委員、どうぞ。
○山本分科会長代理
認知症ケアの加算のところ、先ほど神野委員からも御指摘がございましたけれども、私の個人的な印象としては、精神科の先生あるいは神経内科の先生で認知症に真剣に取り組んでいらっしゃる方はそんなに多くないですねというのが正直なところだと思います。ほかにもやることがたくさんあるので。先生方皆さん、やらなければいけないことがたくさんあるので、ここで専任の常勤医師の確保というのは、絶対数から考えてもなかなか難しいのではないかなというのが私の感想でございますが、ここは見直さないと、なかなか。実際加算の2のほうはうわっとふえているわけですから、それだけのニーズはある。けれども、体制が追いつかないということが如実にあらわれていると思うので、ここは見直す必要があるのかなと考えます。
○尾形分科会長
菅原委員、どうぞ。
○菅原委員
ありがとうございます。
私は、73枚目の総合評価加算というところについて御質問なのですけれども、私が不勉強だということを前提でお聞きしたいのですが、総合評価加算の加算設置の目的、背景をきちんと明確に御説明いただきたい。というのは、総合評価加算というのは、高齢者を対象にしているというのはよくわかるのですけれども、例えば患者の基本的な日常生活能力とか、認知機能とか、意欲という項目が挙がっておりますが、こういった部分というのはほかの日常診療の中で評価されていますけれども、当然把握をされて、一部はきちんと評価をされているような部分と何となく重複するような気もしますし、実際の評価をされた後の情報というのが診療の中でどのように利活用されているのかという部分が見えにくい。患者さんに対するメリットがどういうふうに結びついているのかというのが理解が難しかったので、御説明いただければと思います。
○尾形分科会長
これは事務局に対する質問ということですか。
○菅原委員
はい。
○尾形分科会長
お願いします。
○木下補佐
事務局でございます。
こちらの総合評価加算につきましては、創設されたのが平成20年、これから10年以上前の項目でございます。その時点におきまして、ここにありますように、高齢者の方に関しまして、病状の安定が見込まれた後できるだけ早期に患者さんを総合的に評価するというコンセプトで導入されたものでございます。
それ以降、報酬の改定ごとにさまざまな評価の加算、認知症でありますとか、さらには入院前後の服薬の状況でありますとか、そういった個別の項目の評価というものは、歴史的経緯を申しますと、後から入ってきているというところでございまして、これは10年以上前に患者さんの全体を総合的に評価して、要は、特定の分野だけではなくて、患者さん全体として評価しましょうというコンセプトから入ってきたところでございます。
その当時、関係学会から示されたガイドラインの取り組みとか、そういうものを参考として入ってきているところでございまして、その中にも要素として日常生活機能とか認知機能、さらには施設基準にありますように薬物療法的なものの研修も必要だということ、ここにありますように、いろいろな項目が入っていたというところでできたという経緯でございます。
繰り返しになりますが、個別の部分を特化した評価というものが、それに加えて後から入ってきているということでございまして、現行そういったものが重複して評価されているようなというのは委員御指摘のとおりですので、今回御提示しているのは、そういったものも整理が必要ではないかというところも問題意識を持って今回提案させていただいているというところでございます。
加えて、こういった評価をやった後、患者さんにどうかというものは、現状こちらが持ち合わせているデータではないので、現場のほうでこれをどういうふうに活用いただいているかというところは、現場の先生方から御意見があれば、いただければと思います。
○尾形分科会長
よろしいですか。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
牧野です。
今のことに関連してですが、総合評価加算と退院支援は基本的にはリンクするのです。多分総合評価加算をとっていないところでも、これと同じような評価を退院支援の中ではやっているはずなのです。これがとれるかどうかというのは、研修を受けた医者がいるかどうかという部分の差が大きいのかなと思っています。ですから、結構似たようなものがあちこちにありますので、今後中医協のほうでその辺の整理をしていただいたほうがいいかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
松本委員、どうぞ。
○松本委員
ありがとうございます。松本です。
総合評価加算について、事務局から、歴史的な経緯として後から個別に評価が追加されたというご説明がありましたが、追加された評価項目について一覧表で整理すると議論する際に便利ではないかと思います。そういうデータがないと、この加算の役割が終わったかなどの判断ができないと思いますので、中医協で議論する際には、事務局から御説明いただいた内容を一覧表に整理して示していただきますようよろしくお願いします。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
菅原委員、どうぞ。
○菅原委員
ありがとうございました。事務局からの説明、それからほかの委員の御意見でよくわかりましたが、この加算を払う患者さんの立場からすると、これは何らかのサービスに対する対価ということになりますので、この加算をとられている中で患者さんにどういうメリットが生まれているのかということを中心に、とっているところととっていないところで例えば退院状況とか療養のサービスの提供のあり方に何らかの差があるのかどうかといった点も少し掘り下げていただけるといいのかなと感じました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
それでは、最後の部分、その他の事項、85ページから109ページにつきまして、御質問、御意見等を賜りたいと思います。松本委員、どうぞ。
○松本委員
ありがとうございます。
その他の事項の地域包括ケア病棟について意見を述べさせていただきます。地域包括ケア病棟については、7月25日の分科会でも申し上げましたが、急性期からの受け入れや、緊急時の受け入れ、在宅生活復帰支援の役割を担うものと理解しておりますが、スライド92にありますように、自院の一般病床からの受け入れが多く、特に許可病床数が多いほどその割合が大きくなっているという状況が見てとれます。地方で受け入れる医療機関がないところは理解できますが、都市部でほかに医療機関があるところは、もう少し医療機関の機能分化を進めてもらいたいというのが保険者の切なる願いです。
今回申し上げたいのは、スライド94と95の説明でよくわかったのですが、同一医療機関の一般病床で、DPC算定病床から地域包括ケア病棟に転棟した場合と同一病棟内の地域包括ケア病室に転室した場合で、入院料の算定方法や加算の取り扱いが異なっているということが示されております。 地域包括ケア病棟、病室における看護職員配置等の施設基準が同じであるために、転棟するか転室するかの違いによって算定方法が異なる。ひいては、自己負担も異なることはいかがなものか。患者の状態や医療の提供内容に応じた適切な評価が行えるように、次期改定に向けて整理していく必要があるのではないかと考えます。
以上です。
○尾形分科会長
神野委員、どうぞ。
○神野委員
全く同じところで、前回DPCのときに変なことを言って失礼しましたが、このことでありまして、おっしゃるように、一部追加というか、同じサービスに対しては1つの価格というのは、きちんとここはやるべきなのかなと気がいたします。ここは松本委員と全く同感であります。
それから、92のほうであります。今、お話があった自院の一般から来るのが、大きいところは大きいのですけれども、例えば200床未満の他院の一般16.9と自院の一般30.7を合わせますと、それなりの数になっているのですね。他院であろうが自院であろうがポストアキュートが多いというのが事実で、それよりも、上のほうの自宅から来るのが200床未満が多くて、400床以上が少ないと。こちらのほうがもしかしたら大きな意味があって、200床未満の地域包括を持っていらっしゃる病院というのは、本当に地域の駆け込み寺、地域密着病院であるという証拠かなというふうな気がいたします。
なので、以前のこの会でも申しましたが、自宅から入れるのとポストアキュートに関しては何らかの差があってもいいのではないかなという気がいたしました。
○尾形分科会長
池端委員、どうぞ。
○池端委員
私も松本委員、神野委員とほぼ同じ意見ですけれども、92ページ、93ページは非常に実態がわかる図表かなと思いました。地域包括ケア病床というのは、急性期からのポストアキュートの機能と、在宅からのサブアキュートの機能と、在宅支援という3つの機能を持っていただく病棟ということになると、92ページを見ますと、200床未満。診療報酬を見ていても、200床未満というのは在宅療養支援病院もとれるし、初診料の加算もついている。いわゆる在宅を支援していく機能を担うのは200床未満ですよということが、これまでもいろんなところでメッセージがあると思うのですが、そういう200床未満というのは、他院の方を16%受けていて、しかも自宅からも26%受けていて、そして退院は50%以上在宅に帰している。まさに地域包括機能の本家本元という感じの機能。
一方で、400床以上になってくると、どうしても自院のポストアキュート機能が多くなる。これはやむを得ないことだと思いますけれども、規模のこと。それからもう一つ、93ページは、どういう病床と組み合わせを持っているかによってもかなりはっきりしている。単独であれば、当然ながらその3つの機能をバランスよく担うでしょうしということがはっきり出ていますので、この辺を少し。今、同じ地域包括ケア病棟をとれるのが2種類出てきているのかなという気がするので、それを評価としてどう考えるかということを今後中医協で御検討いただければいいと思います。この2つの表は、ある意味では現状をよくあらわしている表かなと感じました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございます。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
牧野です。
先ほどから出ている地域包括ケア病棟と管理料のところで、DPCの点数を引きずってしまう構造になっていることに関してですが、なぜそういうつくり方をしたのか。ここに出ている人はみんなおかしいとおっしゃっているわけですが、それはなぜおかしいと言われるような構造になったのか、どなたか御存じだったら教えていただきたい。
○尾形分科会長
井原委員、どうぞ。
○井原委員
本来私が答えることではないと思いますが、地域包括ケア病棟というのは、たしか26年改定のときだったと記憶しておりますが、つくられたときに、先ほど池端委員が目的を3つおっしゃいましたが、どのように機能していくかということが、まだ先が見えない状況でした。その3つの目的を考えたときに、急性期の入院、たしかに120日以上のDPCもありますが、本来の目的は急性期入院包括ですから、そういう契機で入った方たちが果たしてこういった病棟になじむのかどうかということに一抹の不安、問題意識といいますか、何かがあった。いずれ整理されるとしても、DPCの一般病棟にそのままおられて、管理料で算定する場合には、それはDPCの延長上と考えて構わないだろうと。
しかし、他の病棟に転棟するということになりますと、患者さんの病態像としては、入院当初の急性期をそのまま引っ張るのはいかがなものかなと。どういう患者さんがどのように地域包括病棟に入っていくか、まだ先読みができない状況でしたので、ここは一旦こういう形で整理をしたということで、現状がこのようになっているのであれば一物二価はおかしいということも今では理解できますので、このような形で整理することには私も基本的に賛成だということす。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。事務局、どうぞ。
○木下補佐
今回提出しました94、95は、あくまで現状をお示ししたところで、これで整理したというものではございませんので、整理する場は総会だと御理解いただければと思います。あくまで今回は現状をお示ししたというところでございます。
○尾形分科会長
ほかはいかがでしょう。よろしいですか。
ほかに御意見、御質問等もないようでしたら、本件にかかわる質疑はこのあたりにしたいと思います。
本日はもう一件ございまして、DPC/PDPS等作業グループの分析についての報告でございます。作業グループの山本班長より資料の説明をお願いいたします。
○山本作業グループ班長
資料は入-2をごらんください。かいつまんで御説明申し上げます。本グループでの目的は、7月18日の中医協総会で確認された事項について検討を行うということで、1)、2)、3)とございます。DPC/PDPSに関する課題等としては、基本問題小委員会において指摘がされている医療資源投入量が相対的に少ない場合、粗診粗療の懸念があるのではないか。あるいは平均的な医療資源投入量や、在院日数から乖離している場合、DPC/PDPSのこの仕組みになじまないのではないか。あるいは最後の○でありますが、医療資源投入量が少ない、あるいは在院日数が長い等の平均から乖離した病院については、その実態を分析する必要があるのではないかということでございます。
次のページ「制度の導入及び現状等」というところでございます。御承知のように、82の特定機能病院から始まりましたが、現状は急性期一般入院基本料等の約80%を占めるに至っている。そして、対象病院が拡大するとともに、急性期の医療以外を合わせて提供する病院がこの仕組みに参加するようになってきているということで、そこの下にあるような数字がございます。
次が(2)本グループでの分析検討の内容であります。この仕組みそのものの大きな目的は、急性期医療の標準化を進めるということであります。また、この仕組みのもとで、粗診粗療の懸念のある病院、あるいはそもそも制度になじまない可能性のある病院ということで検討を進めてまいりました。
その下の①医療資源投入量が平均から外れた病院については、診療する疾患群での補正を行った上で算出された医療資源投入量については、一定の幅は存在しますけれども、平均に収れんすることが望ましいということであります。
次の○であります。一方で、医療資源投入量が少ない病院というのが必要な医療資源投入量が十分に提供されていない可能性、つまり、粗診粗療の可能性もありますが、単に医療資源投入量が少ないということだけをもって評価・分析した場合、逆に不要な医療の実施を招く危険性もあることに留意が必要と考えられます。
これらを踏まえて、次のページでございますが、DPC/PDPSの病院で、例えば内科系の疾患、急性心筋梗塞、脳梗塞、狭心症、心不全、このような医療内容の標準化が進んでいる疾患について、「手術なし」かつ「手術・処置等なし」、つまり、何もしていないという症例が占める割合が高くて、しかも在院日数が平均から外れて長いというものについての検討を行ったところでございます。
四角の中がその分析の内容でありますが、医療資源投入量の相対値が-2SDを下回って少ない病院は20病院。
急性心筋梗塞については、「手術なし」かつ「手術・処置等なし」の症例が50%以上を占める割合というのが23病院ございまして、そのうちで医療資源投入量が平均より少なく、かつ在院日数が平均より長い病院が13病院あったということであります。この辺の細かいデータは、参考2というところにお示ししているところでございます。
同じような分析を脳梗塞及び狭心症、心不全というところで分析してございます。例えば一番下のポツの心不全については、「手術なし」かつ「手術・処置等なし」の症例が占める割合が100%、つまり、心不全で入院している患者さん全員が「手術なし」かつ「手術・処置等なし」に該当する病院が52病院ございまして、このうち医療資源投入量が平均より少なくて、かつ在院日数が平均より長い病院が30病院あったということでございます。
次の○であります。医療資源投入量の多い病院については、必要な医療が実施されていない。粗診粗療ではないということは間違いないわけでありますが、一方で、効率的な医療の提供という観点からは、具体的な医療内容について検討が必要であろうということであります。
4ページ目、②在院日数が平均から外れた病院につきましては、診療する疾患群の補正を行った上で算出した在院日数については、一定の幅は存在するものの、平均に収れんすることが望ましいことは言うまでもありません。また、在院日数については、結果としては経年的に短縮化の傾向が見られているということであります。
また、在院日数が平均から外れて短い病院については、必要な医療が提供され、かつ在院日数が短い病院がある一方で、急性期医療が必要な状態である患者への医療がほかの病棟において提供されている可能性もあるということであります。
今回、自院のほかの病棟種別へ転棟した患者の割合というのは、全体では4%でありますが、その割合が30%を超えるという病院もあったということで、分析を行いました。
四角の中が分析の内容であります。在院日数の相対値が-2SDを下回る。つまり、在院日数が短い病院は34病院。そして全入院症例のうち転棟する症例の割合が30%を超える病院は94病院あるということです。下のポツですが、転棟する症例の割合が50%を超える病院は19病院で、そのうち医療資源投入量が平均より少なく、かつ在院日数が平均より短い病院は16病院あったということでございます。
次の○です。在院日数が平均から外れて長い病院については、医療資源投入量が少ないこと、あるいは「手術なし」かつ「手術・処置等なし」の症例が占める割合が高いという視点を加えて、これはDPC/PDPSという仕組みになじまない可能性があるのではないかということで、検討を行っております。
分析の内容が次であります。在院日数の相対値が+2SDを上回って長い病院は27病院。在院日数の相対値が上位100病院以内、かつ医療資源投入量の相対値が下位100病院以内の病院は13病院。在院日数が長くて、医療資源投入量が少ない病院が13病院あるということであります。DPC対象病院のDPC算定対象病床数の平均が279床であるのに対して、このような13病院、在院日数が長くて、なおかつ医療資源投入量が少ないところは109床ということで、DPC算定対象病床が少ない傾向にあったということでございます。
次のページでございます。その他、特定の診療領域に特化した診療を行う病院。専門性の高い病院ということでありますが、ここについては、医療資源投入量と在院日数との間に明らかな相関はございませんでした。次の四角にあるように、最も多い診断群分類の占める割合が50%を占める、つまり、かなり専門性が高いという病院は17病院ありましたが、今、申し上げたように、医療資源投入量と在院日数との平均の相関は見られなかったということであります。
次に、小児を対象とした病院でありますが、ここについても医療資源投入量が少なくて、なおかつ在院日数が短い傾向が見られました。
四角の中でありますが、症例の50%以上が小児の診療を行う病院は18病院。このうち医療資源投入量が平均より少ないのは17病院。また、在院日数が平均より短い病院は15病院ということであります。小児対象でありますので、ある意味当然の結果と言えるようなデータかと思います。
次に、(3)この作業グループにおける作業の今後の方向性につきましては、作業のアとイ。例えば医療資源投入量の少ない病院であって、先ほどの急性心筋梗塞、脳梗塞、狭心症、心不全などで「手術なし」かつ「手術・処置等なし」、何もやっていない症例が占める割合が高い病院とか、在院日数が短い病院であっても、自院の他病棟への転棟の割合が高い病院については、書面調査あるいは個別のヒアリングなどを通じて引き続き評価・分析を行うこととしてはどうかということであります。
次の○であります。医療資源投入量の多い病院、あるいは在院日数の長い病院についても、この制度の趣旨、標準化というところの趣旨を鑑みて、提供される医療の実態の把握を行って、評価・分析を行ってはどうかというところでございます。
最後のページ、(4)各病院の診療状況等の確認ということです。DPC対象病院で実施される診療の標準化を進めることは重要でありますので、①から④にあるような項目について、各病院に対して、DPC病院全体の中でどこの位置にあるのか。おたくの病院は全体から見てこういうところにありますよといということをお知らせすることとしてはどうかということであります。その後、そういう病院がどういうふうに動いてくるのかということを注視するのも大変興味深いところではないかなということでございます。
報告は以上でございます。ありがとうございました。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
済みません。本日は大変盛りだくさんの内容で、既に予定の時間になってしまいましたが、少し時間を延長させていただいて、ただいまの報告についての御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、特に御質問等もないようでしたら、本件に関する質疑はこのあたりにしたいと思います。
本日の議題は以上でございます。
それでは、次回の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。
○木下補佐
事務局でございます。
次回の開催は10月16日を予定しております。次回につきましては、これまでいただいた御議論につきまして一定程度整理したものを事務局のほうで用意させていただいて、御議論をお願いしたいと思っております。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして令和元年度第9回「診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)」を終了させていただきます。長時間にわたりまして熱心な御議論、どうもありがとうございました。

 

 

(了)

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