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2019年9月5日 令和元年度第6回入院医療等の調査・評価分科会・議事録

○日時

令和元年9月5日
9:57~11:56

 

○場所

全国都市会館第2会議室(3階)

○出席者

【委員】

尾形分科会長、山本委員、池端委員、石川委員
井原委員、奥委員、眞野委員、神野委員
菅原委員、武井委員、林田委員、牧野委員、松本委員
 
 

【事務局】

医療課長、医療技術評価推進室長他

○議題

1.中医協基本問題小委員会・総会への報告結果について 
2.診療情報・指標等作業グループの分析についての報告

○議事

○尾形分科会長
それでは、少し早いですが、皆さんおそろいですので、ただいまから令和元年度第6回「診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)」を開催いたします。
初めに、委員の交代がございましたので、事務局のほうから御紹介をお願いいたします。
○木下補佐
事務局でございます。
御紹介させていただきます。
8月23日付で川上純一委員が御退任となっております。
また、本日より新たに東北大学病院教授・薬剤部長、眞野成康委員に当分科会に御参加いただいております。
○尾形分科会長
それでは、ただいま御紹介いただきました眞野委員、一言御挨拶をお願いしたいと思います。
○眞野委員
今回から委員に加わることになりました東北大学病院の眞野と申します。いろいろ御迷惑をおかけすることもあろうかと思いますが、御指導いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
次に、厚生労働省において異動がございましたので、事務局から紹介をお願いします。
○木下補佐
事務局でございます。
前回の分科会以降に異動がございましたので、事務局の紹介をさせていただきます。
戸部美起医療課長補佐でございます。
○戸部補佐
戸部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
次に、委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、池田委員が欠席となっております。
それでは、本日の議題でございます「中医協基本問題小委員会・総会への報告結果について」につきまして、議論を行いたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。
○木下補佐
事務局でございます。
タブレットの中の資料の「診調組入-1」をお開きください。先日開催いたしました中医協の基本問題小委員会並びに同日に行われました総会に本分科会からの結果につきまして御報告させていただいたところでございます。8月28日に基本問題小委員会と総会を開催いたしまして、これまでの本分科会におけます第3回から第5回までの検討状況について御報告を委員長よりお願いいたしたところでございます。その際にいただいた主な意見を御紹介させていただければと思います。
一般病棟入院基本料に関しましては、1つ目といたしまして、急性期の一般入院料1において、病床規模が小さいほど高齢で介護度の高い患者が多いことについてどのような要因が考えられるか。
2つ目といたしまして、平成30年度改定で新たに導入した重症度、医療・看護必要度の「B14又はB15に該当し、A1点かつB3点以上」の基準については、病床規模ごとの該当患者割合や基準を満たす患者の該当項目のさらなる分析をしてほしい。
3つ目といたしまして、これらの評価方法IIを選択することで評価の負担が軽減されると思われるが、現状、届け出が少ないことについて理由も含め、引き続き検討してほしい。
4つ目といたしまして、評価方法ⅠとIIの該当患者割合の差について引き続き検討してほしいという御意見をいただいたところでございます。
また、療養病棟入院基本料に関しましては、経過措置の部分に関しまして、転換意向が「現状維持」となっている病棟が一定割合あることについての検討をしてほしいという御意見をいただいております。
続きまして、地域包括ケアに関して2点いただいております。1つ目としまして、地域包括ケア病棟の入院患者の約3割がリハを実施していないことについて検討してほしいという御意見をいただいております。
2つ目としまして、手術の実施割合が異なっているということもありまして、地域包括ケア病棟に入院中に実施がどの程度あるのかという点で分析できないかという御意見をいただいております。
続きまして、回リハに関してでございます。回リハの実績指数がいずれの入院料でも上昇していることについての要因を検討してほしいという御意見をいただいております。
また、重症者の割合や在宅復帰率が基準を大きく上回っていることにつきまして、現行の施設基準と医療機関の実績につきましてさらなる分析をしてほしいという御意見をいただいております。
次のページにお進みください。入退院支援に関してですが、医学的には外来・在宅でもよいが、他の要因のために退院予定がないという患者が退院できない理由として、介護に関連する理由が多いが、地域に介護サービスが不足しているのか、連携に支障があるのかという点について検討してほしいといった御意見をいただいております。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等があれば承りたいと思います。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。特に御質問等もないようでしたら本件に係る質疑はこの辺にしたいと思います。
続きまして「診療情報・指標等作業グループの分析についての報告」につきまして、議論を行いたいと思います。まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○木下補佐
事務局でございます。
続きまして、資料「診調組入-2」と「診調組入-2参考」を用いまして御説明を行いたいと思います。主に「診調組入-2」でいただいた御指摘、御意見を参考資料を交えながら御説明してまいりたいと思います。委員の先生方のお手元にはワードのプリントアウトしたものを置いてあるかと思いますので、タブレットで参考を開きながら、適宜御参照いただきながら確認いただければと思います。
それでは、「診調組入-2」をごらんください。診療情報・指標等作業グループにおきましては、これまで計3回開催しております。その中で入院医療機能の評価指標等につきまして、これまでいただいた御指摘を踏まえた分析・検討を行ってまいりました。その状況につきまして御報告したいと思います。
参考の2枚目以降、それぞれの作業グループでどういう役割を担っているのか、また、指標における課題、検討方針等につきまして、これまでの資料をおつけしているところでございます。
5枚目以降、重症度、医療・看護必要度に関する今の検討状況について御説明してまいります。
6枚目、7枚目は、現行の必要度の概要をおつけしております。
8枚目に基本問題小委員会・入院分科会における主な指摘事項を記載しておりまして、こういった指摘事項を踏まえた分析をこれまで行ってきたところでございます。
10枚目以降は、それらの分析の内容についておつけしているところでございますが、いただいた御意見に関するところを中心に御説明していきたいと思います。
資料の見方がわかりにくいところがありますので、補足したいと思います。11枚目までお進みください。込み入った資料になっておりますが、今回、平成30年度の診療報酬の改定におきまして、基準マル2「B14又はB15に該当し、A1点かつB3点以上」という新しい項目を設けたところでございますが、この項目について他の基準との重複の様子を見ているのが11枚目以降のスライドになっております。
見方としまして、上から2段目に基準マル2のみ該当する患者さんを集めた状態で他の項目との重複状況を見ているところでございます。表の一番上に関しましては、基準マル2のみ該当で、マル1とマル3とマル4、いずれも×をつけているところでございます。ここでは、基準マル2のみに該当している方の割合を入院料ごと、1から7のそれぞれにどの程度いるかを見ております。その下の欄につきましては、基準マル2に該当しつつ、さらに基準マル1にも該当する方の割合を入院基本料別に横に並べてつけているという見方をするグラフになっております。
同じく12枚目につきましては、必要度IIの患者さんについて整理を行っているものとごらんいただければと思います。
14枚目、15枚目は、先ほど入院料別に見たものでございますが、こちらにつきましては、急性期一般入院料1の患者さんのみを集めまして、病床規模ごとに見ています。
16枚目まで行きますと、基準マル1に該当している方、以降、基準マル2等も分析しているところでございますが、それらの患者さんがどの項目に該当しているのか見ております。
こちらに関連しまして、いただいた御意見といたしまして、平成30年度改定で新たに追加した「B14又はB15に該当し、A1点かつB3点以上」、以下、基準マル2と御説明いたしますが、これに該当する患者さんのうち、A1点に該当している患者さんは心電図モニターの方が多いということについてさらなる分析をしてはどうかという御意見をいただいております。
その状況につきましては、19枚目の基準マル1、20枚目の基準マル2に該当している患者さんの中で心電図モニターに該当している方の割合が他の項目と比較して多いという状況が見てとれるかと思います。それを必要度IIで見たのが21枚目です。
続きまして、御意見の2つ目でございます。基準マル2のみに該当する患者割合は病床規模が小さい病院に多い傾向にあるのではないかという御意見をいただいております。
こちらに関しましては、前後しますが、14枚目、15枚目を見ていただきますと、先ほど御説明いたしましたように、病床規模ごとに見て少ないところで該当が多い傾向が見られるのではないかというところでございます。
22枚目を見ていただきますと、こちらは研究班により分析いただいているものでございます。右上の表では、基準マル2に該当する患者さんの割合を病床規模別に見ていくと、少ないところでここに該当する割合が多い傾向が見てとれるという分析をいただいているところでございます。
いただいた意見の3つ目でございます。いずれの基準にも該当しない状態から基準マル2のみに該当する状態に移行した患者については、基準非該当日における各項目の該当状況を分析してはどうか。また、治療によって状態が改善することで、かえって基準マル2に該当するようになる場合があるのではないかという御意見をいただいています。
こちらにつきましては、23枚目をごらんいただきますと、基準マル2のみに該当する直前の状況ということで、49.3%の方が非該当であったということが見てとれます。
24枚目は、基準マル2のみに該当するまでの日数の経過をお示ししております。
続きまして、3つほど関連する御意見をいただいているところでございます。こちらに関しましては、25枚目から29枚目をごらんいただければと思います。
まず、基準マル2のみに該当する患者の傾向としまして、高齢で要介護度が高いなど、退院に向けてかかわる必要があるという特徴があるのではないか、2つ目といたしまして、B項目は重症度ではなく患者の状態なので、急性期入院医療の指標としてはB項目単独で考えるのではなく、他のA・C項目と組み合わせていく必要があるのではないか、3つ目といたしまして、B項目を組み合わせた基準は、年齢や認知症の有無と一定の関係性があり、これらの評価とあわせて考える必要があるのではないかという御意見をいただいております。
関連する25枚目は、各基準のみに該当する患者の年齢区分の割合、26枚目は、それらの患者の認知症やせん妄の有無に該当する割合を見ております。27枚目は、基準別の要介護度、認知度、自立度の割合、28枚目は栄養の摂取状況、29枚目は、医師・看護師による診察・看護の提供頻度等を見ているところでございます。
また、これらのB項目の評価や記録には一定の負担が伴うが、患者の日々の状態を把握するために記録することには意味があるのではないかという御意見もいただいているところでございます。
次の項目でございますが、入院中のB項目の該当状況の変化について、手術等の有無を含めて分析してはどうかという御意見をいただいているところでございます。30枚目につけておりますのは、検体検査、X線単純撮影、生体検査等の実施状況でございます。
34枚目にお進みください。こちらから各項目の中に分析を進めていただいたところでございますが、「A2点かつB3点以上」の基準に該当する患者を見た場合のA2点の該当状況につきましては、「専門的な治療・処置」が多く、当該項目の中でも「免疫抑制剤の管理」の占める割合が多いのがわかるところでございます。
さらに、入院と外来における治療薬や内服薬の使用状況が薬剤の種類によってばらつきがあって、入院・外来のいずれで使用するかは、患者の状態や治療の状況、施設の方針等によるため、どちらが望ましいとは一概に言えないのではないかという御意見をいただいております。
35枚目のスライドになりますが、説明を補足させていただきます。それぞれ6つのカテゴリーに分けまして、悪性腫瘍の注射・内服、麻薬の注射・内服、免疫抑制剤の注射・内服、それぞれ分けております。横に並んでいる縦のグラフそれぞれが薬剤一つ一つをお示ししているところでございます。
例えば免疫抑制剤の内服を見ていただきますと、縦が入院での使用頻度になりますので、ほとんどの薬剤におきまして外来で行われているところが見てとれます。一方で、麻薬の注射を見ていただきますと、100%のところが多いということで、主に入院で使用されているということで、それぞれの薬のカテゴリーごとに主にどちらで使っているのかという違いが見てとれるところでございます。
次に、いただいた御意見でございますが、入院の必要性に関しましては、個々の患者の状態を踏まえ判断されるが、患者の状態によらず通常入院で行う手術等の医療行為については評価対象とすべきではないか、そのためにも、外来で行うことが比較的多い医療行為については評価対象から外す等の整理をしてもよいのではないかという御意見をいただいております。
36枚目は、手術を入院で実施する割合を見ているところでございますが、現行の必要度C項目の対象手術に関しましては、入院で9割以上やられているのが98%、9割未満が2%ございます。9割未満の手術を一部抜き出しているのが表になっておりまして、一定程度、入院の割合が低い手術もございますので、これらのものをC項目としてどう評価するかというところを御提示させていただいています。
次の意見としまして、手術の評価に当たって、術後の一定期間をICUで管理することもあるので、その点には留意が必要ではないかという御意見をいただいております。
続きまして、41枚目以降、評価法ⅠとIIの中の比較をいろいろしているところでございますが、評価法ⅠとIIにおける個別項目の該当状況の差については、判定ルールの違いがあることや、評価法IIの入力の精度による影響が大きいのではないかという御意見をいただいております。
43枚目、44枚目につきましては、評価法ⅠとIIの差を分析したものについて、研究班におきましても類似の分析をいただいた結果をおつけしているところでございます。これまで5%ほどの差があるという御説明をしてきているところでございますが、他の研究班の報告におきましても似たような傾向が見てとれるというところです。
45枚目は、各項目の評価法ⅠとIIの違いを分析いただいています。
ここまでが重症度、医療・看護必要度の分析状況の御説明です。
続きまして、46枚目以降、医療区分・ADL区分に関する分析について御報告申し上げます。
スライドは54枚目までお進みください。54枚目以降、医療区分とADL区分の状況について分析を進めたところでございます。54枚目は、医療区分1・2・3それぞれにおきまして、ADL区分1・2・3それぞれに該当する患者がどうなっているか見ております。
55枚目につきましては、逆に、ADL区分1・2・3の中に占める医療区分1・2・3それぞれの割合をお示ししているところでございます。こちらに関しましては、医療区分とADL区分に一定の相関が見られるのではないかという御意見をいただいているところでございます。
続きまして、59枚目以降、それぞれの患者につきまして、どういった医療行為・処置が行われているのか、また、それぞれの医療区分の各項目に該当している患者の割合を比較しているところでございます。
いただいている御意見でございますが、入棟時に医療区分の項目に該当している場合については、入棟前から該当する状態であった場合と、入棟日の時点におきまして該当するようになった場合があるのではないかという御意見をいただいております。
61枚目を見ていただきますと、こちらは、入棟日でなくて調査を行った基準日に各項目に該当している患者の割合を見ております。つまり、60枚目と61枚目をあわせて分析することによりまして、62枚目になりますが、入棟時と調査基準日の医療区分の該当項目の比較ができます。
ただ、医療区分が改善したかどうかを見る場合におきましては、退院した方も基準日にいらっしゃいませんし、死亡退院したというケースにおきましても基準日にはいないということもあるので、そういった方が調査対象から外れるということで、本調査を用いて病棟における患者の状態がどう変化したのかについて評価を行うことは難しい面もあるのではないかという御意見をいただいているところでございます。
63枚目を見ていただきますと、入棟時に該当があった項目につきまして、在棟期間別に分析しているところでございますが、日数にかかわらず該当している方が一定程度いるという傾向が見てとれるかと思います。
64枚目以降、それぞれ医療区分2・3のいずれの項目に該当している方が多いかを見ております。
65枚目は、区分3を見ているところでございますが、中心静脈栄養の方が48.3%、66枚目を見ていただきますと、医療区分2につきましては、4分の1の方が1日の喀痰吸引8回以上に該当しております。これら該当患者が一番多かったものにつきまして、以降、分析を進めているところでございます。
65枚目の状況から見まして、一番多かった中心静脈栄養の方につきましての分析を御紹介いたします。
72枚目をごらんいただきますと、中心静脈栄養の該当がある患者が調査日時点でどのぐらい入院されていたかを見ているところでございます。
73枚目につきましては、入棟時に中心静脈栄養があって、調査を行った基準日におきましても中心静脈栄養をやっていた方がどのぐらいの期間入っていたかを見ているところでございます。入棟時以降ずっとやったかどうかに関しましては、途中で中断して再開したというケースもあろうかと思いますが、この場合は入棟時と基準日という2地点を比較しまして、該当している患者の割合を計上しているものという点につきましては、留意が必要かと思います。
その中で、中心静脈カテーテルについて、代替する栄養補給法がない等の医療的な事情や家族の希望によって長期間留置を行う場合があるのではないか、また、長期間留置する場合にはカテーテル感染などの合併症に注意する必要があるのではないかという御意見をいただいているところでございます。
次に、医療区分2で該当の多かった喀痰吸引の状況についても同様の分析を行っているところでございます。75枚目、76枚目をごらんください。
まず、いただいた御意見がありまして、喀痰吸引を実施している場合について、例えば脳梗塞等で嚥下機能が低下している患者について誤嚥を防止するために口腔内の唾液等を吸引しているというケースもあるのではないか、2つ目としまして、認知症と医療区分の該当項目の関係については、併存疾患の影響を考慮すべきではないかといった御意見もいただいているところでございます。
ここまでが医療区分のお話になります。
続きまして、84枚目以降、次のカテゴリーでございますFIMに関する分析についていただいた御意見を御紹介してまいりたいと思います。
85枚目、86枚目に関しましては、FIMの点数のつけ方をおつけしているところでございまして、後ほど御紹介する項目と関係する86枚目を見ていただきますと、FIMによるADL評価というところがございます。運動項目を見ていただきますと13項目ございます。これらにつきまして、1点から7点までつけることがございますので、FIMで評価する際に13点刻みという評価で、後ほど御紹介する13点の刻みがこの項目の数と御理解いただければと思います。
90枚目から実際にどういう変化が見られるかを見ているところでございます。90枚目、92枚目を見ていただきますと、脳血管疾患等の患者について、他の疾患区分に比べて入棟時から退棟時のFIM得点が改善していない患者が多いが、発症から入棟までの期間が長いことによるのではないかという御意見をいただいております。
91枚目、92枚目を見ていただきますと、先ほど御紹介しました13点刻み、さらに2点ずつ乗せた状態で26点刻みになっております。この見方ですが、入棟時のFIMと退棟時のFIMを比較しまして、もともとの点数が低い方、91枚目でいくと緑の方ですが、入棟時に低かった方が退棟時にどうなっているか、赤の中等度の方のFIMの変化の割合、青の点数が高い方、比較的軽症の方が退棟時にどうなるかを見ているところでございます。
92枚目につきましては、それらを疾患別に見ています。重度の方、中等度の方、軽度の方がそれぞれ入院期間中にどういう変化をしているかを見ています。
同様の比較で94枚目、これは入院料別で見ているところです。例えば2017年でいくと回リハ1に該当する患者のFIM得点の変化の割合が大きく、2018年におきましても回リハ1の方のFIM得点の変化が大きいという傾向が見てとれるかと思います。
続きまして、96枚目をごらんください。入棟時と退棟時のFIMとその得点の変化につきまして、経年の推移を見ています。
こちらにつきましては、幾つか御意見をいただいております。まず、入棟時から退棟時までのFIM得点の変化が年々増加傾向にあることについては、発症から入棟までの日数が短くなったことにより、FIMが低い状態からリハビリが開始されていることによるのではないか、入棟時から退棟時のFIM得点の変化が増加している時期と、発症から入棟までの期間が短縮している時期が異なるということを踏まえて、さらなる検討が必要ではないか、退棟時のFIM得点は経年的にもさほど変わっていないが、この解釈について引き続き検討が必要ではないか、実績指数の導入に伴い、FIMの改善が期待できる患者を選択的に入院させている可能性があるのではないかといった御意見をいただいたところでございます。
100枚目以降、ADLスコアとFIMの関係の分析を進めたところでございます。105枚目までそういった分析を行ってきたところでございますが、それらの関係の分析としましては、FIMと日常生活機能評価の関係性については、個別の症例におけるばらつきが大きい一方で、平均値や中央値を見るとある程度相関があるので、個々の患者ではなくて患者全体を見る指標としては類似していると言えるのではないかといった御意見をいただいております。
これらにつきましては、引き続き作業グループにおける検討を踏まえて、本分科会におきまして評価指標のあり方について議論をお願いできればと思っております。
続きまして、話が変わりまして、データの利活用に関することにつきましても指標グループで検討いただきましたので、その御紹介をしたいと思います。
107枚目をお開きください。現行のDPCに関連して退院患者調査の現状をまず御説明いたしたいと思います。
DPCの対象病院等につきましては、これまで影響等の評価を行うためにDPCの提出時に退院患者調査報告をいただいておりまして、複数のモニタリング項目について中医協に御報告して、報告内容と関連する集計項目等につきましては、医療機関ごとの急性期に関する詳細な分析を公開させていただいているところでございます。
退院患者調査に関しまして、平成30年度改定におきまして、従来の急性期一般、地ケアに加えまして、回リハ、療養についてもこれらの提出の要件を拡大して、それぞれの病棟に関連した項目も追加して提出いただいているところでございます。これらの取り扱いにつきまして検討をお願いしたところでございます。
それらに該当する病棟がそれぞれの基本料ごとにどのぐらいあるか、108枚目と109枚目におつけしているところでございます。例えば108枚目を見ていただきますと、回リハを集めているところでございますが、回リハ1でデータ提出の算定の要件に合致しているのが6割、回リハ2で56%、回リハ3で42.6%が提出いただいているところでございます。
一方、109枚目を見ていただきますと、療養病棟の入院料別でございます。こちらにつきましては、先ほどの回リハと比較しますと、療養1で提出が3割、療養2で提出が17.3%という状況で、それぞれカバーしている範囲が異なっているという現状がございます。
110枚目を見ていただきますと、実績データの提出対象の拡大につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。
それらから得られる項目も追加しておりまして、そちらが111枚目になっております。療養病棟に入院する患者につきましては、要介護度、さらには低栄養情報、摂食嚥下機能障害の有無を追加して御報告いただいているところでございます。また、FIMに関しましては、回リハを算定する患者につきましては、任意の項目を必須項目という見直しをお願いしたところでございます。
これらにつきまして、いただいた主な御意見を御紹介いたします。現在公開されているデータは、自施設の診療内容等を客観的に確認する目的で広く利用されている、また、回リハや療養病棟につきまして、先ほど御紹介いたしましたように、全ての病棟がデータを提出することになっていないため、公開するに当たってはその点は注意が必要ではないかという御意見をいただいております。さらに、項目に関連しましては、回リハや療養病棟に特徴的な項目について、それらを公開してはどうかという御意見をいただいております。
こういった御意見を踏まえまして、今後についてでございますが、具体的な集計方法、公開方法につきましては、DPCの作業グループにおいて、これまで行っている延長でございますので、検討を行っていただくということでいかがかという議論をいたしました。
113枚目以降につきましては、入院医療機能の適切な評価の指標や測定方法について中長期的に検討せよという宿題をいただいていたところでございます。
114枚目にありますように、平成30・31年度の厚労科研におきまして「急性期の入院患者に対する医療・看護の必要性と職員配置等の指標の開発に係る研究」を進めていただいているところでございます。研究代表者につきましては産業医大の松田先生、研究分担者につきましては、委員でもいらっしゃいます林田先生に御協力いただいているところでございます。
114枚目にこの研究の目的と方法をおつけしているところでございます。こういった研究の取り組み状況を御紹介いただきまして、具体的に115枚目で今の課題、さらにはそれをどう解決するのかという対応案をお示しいただいたところでございます。
こういった取り組みを進めていただいている中で、中長期的なイメージを116枚目におつけいただいているところでございまして、まず、急性期一般、地域一般、長期療養に加えまして、それらの基礎的な評価を行った上で、提供している医療内容の評価、患者状態の評価、さらには成果に応じた評価を将来的に検討したらどうかということで、これらの要素を掛け合わせたような評価体系を今後イメージしてはどうかという御提案をいただいているところでございます。
具体的にどういうふうに進めるかというのが117枚目でございます。現行あるさまざまな指標、データ等を分析して、どういうことができるのか進めてはどうかという御紹介をいただいたところでございます。
これに対する御意見としまして、1つ目、医療内容の評価については、急性期と長期療養では行われる医療の目的や内容が異なることを踏まえ、それぞれを適切に評価する指標を検討すべきではないか、2つ目としまして、患者状態の評価については、急性期から長期療養までシームレスに患者像を把握・評価することを検討してはどうか、なお、ADLが改善することでかえって看護の業務量がふえる場合があるということに留意が必要ではないか、3つ目としまして、現在の重症度、医療・看護必要度のB項目は、患者状態と行為実施の有無を合わせた評価指標となっていることをどう考えるか、4つ目としまして、将来的にアウトカムに対する評価を組み込むことも必要ではないかという御意見をいただいております。
こちらにつきましては、中長期的な検討ということもありますので、引き続き研究班におきまして検討を行っていきまして、必要に応じて作業グループにおける意見交換を行っていきたいと思っております。
御説明は以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、膨大な資料ですので、それぞれのパートに分けて議論を行いたいと思います。「診調組入-2」の分類に従って、まず最初が、重症度、医療・看護必要度に関する分析ということで、ただいまの参考資料でいいますと5ページから45ページに該当する部分でございますが、この部分につきまして御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。松本委員、どうぞ。
○松本委員
健保連の松本です。
診療情報・指標等作業グループの委員の皆様、事務局の方々には、この膨大なデータをいろいろ検討していただき、またコンパクトにまとめていただきまして、ありがとうございます。まず感謝申し上げます。
そこで、重症度、医療・看護必要度に関する事項の、基準②、B14で指示が通じる、またはB15の危険行動、かつA1点、B3点以上のみに該当する患者について、意見を申し上げます。
参考資料についておりますように、スライドの25枚目で基準②のみに該当する患者は他の基準と比べて年齢が高い、あるいはそれ以後のスライドでも要介護度が高くて日常生活自立度が低いことや、あるいは経口摂取のみの割合が低い等、ケアが必要な状態であることはわかりますが、認知症やせん妄状態の医療の提供のみをもって高度な医療を提供する急性期入院医療の基準とすることについては、若干違和感があるところです。認知症やせん妄に対するケアは急性期以外でも必要であるということもございますので、その評価と急性期入院医療の必要な基準は分けて整理する必要があるのではないかと感じた次第でございます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
神野委員、どうぞ。
○神野委員
今の話とつながると思いますが、私、作業部会のメンバーなので細かいことは作業部会で申し上げているので、確認といいますか、ここですというところだけをお話ししたいと思います。
29枚目、看護師による直接の看護提供の頻度は、今御指摘のあった基準②はほかの①、③、④に比べて高いというのが特徴かと思います。そういった意味では、今回の議論のまさにネーミング自体が「重症度、医療・看護必要度」でありますので、看護必要度として②の存在意義があるということになると思います。将来的に重症度と看護必要度をお分けになるということならば、②は重症度分類としてはおかしいのではないかということになるのかなと思います。
今もお話のあったように、これから高齢社会になって、認知症の方は最初から認知症ですけれども、どこか資料にありましたが、せん妄の方は、入ったときは普通に見えたのだけれども、手術あるいは化学療法などをすることによってせん妄状態になるという方もたくさんいらっしゃる。何日目からせん妄になるかを見て、最初のほうは何ともなかったけれども、後からせん妄になるという資料が出ておりますので、そういうことだと思います。そうなりますと、急性期に入ってせん妄状態になった方をきちんと管理できる体制はやはり急性期病院でも持っていただく必要があるのかなと思います。
ちょっと事務局に、先走るような話で恐縮ですが、資料の見方がわからなくて、出ているのかもしれませんが、例えば基準①を抜いたら、重症度、医療・看護必要度が何%下がる、基準②を抜いたら何%下がる、基準③を抜いたら何%下がるというデータをここから読み解けるのでしたか。本当は作業部会できちんと議論すべきだったと思いますが、いかがでしょうか。
○尾形分科会長
事務局、お願いします。
○木下補佐
事務局でございます。
足す引くの話なので作業としてはできます。どう示すか、要は医療機関ごと、患者ごとで見て、その集合体なので、平均を出しても意味がないので、基準マル1を外したとしたら分布みたいな示し方になろうかと思います。作業としてはできますが、結構、膨大な作業にはなります。
○尾形分科会長
神野委員。
○神野委員
例えば、11ページで重複を見ていて、赤い枠のところですが、基準①、基準③、基準④に該当していなくて基準マル2だけのは41.8%あるということですが、これは全体の中で何%の患者がという話なので、重症度、医療・看護必要度にどうドライブするかはこれではわからないということですね。今後の方向性次第ですが、そういう作業にチャレンジしていただくかどうかということが要るのかなと思いました。
○尾形分科会長
事務局、お願いします。
○木下補佐
事務局でございます。
要は、どの水準で基準を設けるかという議論につきましては、この分科会というよりも総会の中での議論ですので、そういったものが今後の検討に資するということであれば私どもとして作業をやる必要があろうかと思いますが、この分科会においてそれをどう扱うかというのは座長とも御相談かなと思います。
○尾形分科会長
よろしいですか。
池端委員、どうぞ。
○池端委員
今の点に関してですが、私も神野委員の意見に賛同です。療養から見ても、B項目というのはある意味では介護施設から高度急性期までどこでもあり得る項目ですが、急性期の疾患を治療しなければいけない病棟にそういう病態が起きることによって看護必要度は明らかに上がるということでB項目を今回入れたのだろうと思います。もしそういう医療行為が全くないB項目だけであれば、当然、介護施設でも見られるはずなので、これはまた違った見方になってしまうと思います。合わせわざであるからこそ、合わせわざ一本ではないですが、そういう形で重症度になっていることをどう評価するかということで今回初めてこれが入ってこういう評価になってきたと思います。
恐らく現場感覚としてはかなり当たっていると思っていらっしゃる方が多いのではないかという気はしています。ただ、それを重症度でなくて看護必要度というところで合わせるとそういう形が出てくるので、重症度と看護必要度を分けるとなればまた別の見方になるかと思いますが、現時点では合わせて、重症度、医療・看護必要度で出している場合には、大事なことは、高度急性期でも高齢者は平均7割以上入院しているので、当然こういうことが起きてくるのが日本の今の医療の現場かと思うので、現場感覚としては結構リーズナブルかなという気はしています。
以上です。
○尾形分科会長
林田委員。
○林田委員
先ほどの神野委員からの、例えば基準マル1がなくなったら、基準マル2がなくなったらどうなるのかということに関してですが、22枚目のスライドをごらんいただければと思います。ただ、これは研究班のデータで、分析の対象が違いますので、参考程度ということになると思いますが、左下の表は、2018年度基準に関して、1、3、4、2でどの基準を満たしているのかということになっております。例えば中段の2に関してだけ満たしている行を見ていただくと、評価法Ⅰであれば、この基準のみで満たしているという方が5.9%、評価法IIだと5.6%となりますので、この基準がなくなると今より5~6%ぐらい下がるということになります。
必要度を満たす患者に対する割合からしますと17~18%程度下がるということになります。基準マル2に関してはそうですけれども、基準マル1であれば、上から2つ目の行を見ていただくと、この程度数値が下がるのではないか。あくまでも参考程度ですし、平均的なものになりますが、参考値と見ていただければと思います。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
今の点はいかがですか。神野委員。
○神野委員
ありがとうございます。ここから先は中医協の議論だと思いますが、もし何かなくなったら、当然、重症度、医療・看護必要度は下がる、要件は下がるということだけ確認させていただきました。意見はいいです。
○尾形分科会長
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
牧野です。
一番最初の松本委員からの指摘で、基準マル2がふえてくることは高度な医療の評価ということに違和感があるというような発言があったのですが、これに関しては、やはり神野委員がおっしゃったように、重症度と看護必要度、両方合わさったものだということが一番の答えだと思います。
今後、考えなくてはいけないのは、やはり高度な医療を評価できるものにすることもまた一方では必要ではないかということです。例えば、基準マル1からマル4までの項目のマル2という中で、認知症項目がある、B3点プラス心電図モニターということが一番問題になると思いますが、心電図モニターは、A項目の中で唯一治療行為でなくて観察行為です。ほかは全て治療行為が入っています。喀痰吸引にしても点滴3本にしてもみんな治療行為なのですが、心電図モニターだけは治療というよりもむしろ観察なのです。ですから、そこを今後どう考えていくのかというところでまた別の議論が必要になるのだと思います。
もう一つが高度な医療の評価ということに関して言うならば、現在の項目ではちょっと不足しているのではないかということを感じています。例えば高度な医療、これが入院に特化したものを評価するということで、例えば35枚目、今回ここで外来でも結構やっている医療行為が評価されているのはどうかということでの35枚目かと思いますが、確かにある意味ではそういったことをちゃんと議論しなくてはいけないと思います。
ただ逆に、入院でしかできていない医療がこの項目の中に全然入ってきていないというのも一方ではあります。例えば、肝臓や肺の生検、肺の内視鏡でのいろんな行為、血液灌流、内分泌の負荷検査などもありますし、本来入院して行っているそれなりにリスクの高い治療が実はまだたくさん抜けているのです。ですから、そういったものも含まれてくると高度な医療ということがより評価できるものに変わるのかなという気がしています。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
奥委員、どうぞ。
○奥委員 今の話し合いのところで、おっしゃるとおり、重症度、看護必要度は、もともと患者さんが重症なこととそこに投入する医療資源、両方掛け合わせてみないと本当に患者さんがよくなるのかというところで、AとC、AとBを掛け合わせてみるというところが基本です。先生方がおっしゃっていた、例えばB項目は高度な医療を評価するものに違和感というところについては、高度な医療とは何なのだろうと思っています。
例えば高度な手術をする、難しい治療をするということももちろん高度な医療ですが、それをして命は助かったけれども、寝たきりとか、そういうことではないと思ったときに、やはり治療と、その後その人たちにどう集中的に医療や人的資源も含めた投入をして、ADLやQOLをよくしたりというところまでを考えた指標、もちろん指標としてこっちは重症度をはかるもの、こっちは患者の状態をはかるものというふうに分けられたとしても、やはりそこで投入する資源を考えるときは掛け合わせる、それをどう掛け合わせるかは検討が必要だと思いますが、両方考えないと本当に高度な医療と言えないのではないかと思います。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。山本委員、どうぞ。
○山本分科会長代理
やはり高度急性期で考えた場合には、B14、B15というのは違和感がある。つまり、看護をどう考えるかということだとは思いますが、高度急性期の医療の一環として必要な看護の内容と、B14、B15に必要な看護の内容は、おのずから違うのではないかと考えます。もちろん、この設定自身が合わせわざなので、こういう形でいくのはやむを得ないけれども、その部分で高度急性期の看護とは何なのという根本的な問いかけが必要なのかもしれませんが、やはり違和感があることは事実だと思います。
○尾形分科会長
奥委員。
○奥委員
これはまだわからないのかもしれないのですが、急性期、高度急性期というものがそれこそ何なのか、命の問題なのか、急性期とは何なのかというところもあると思いますけれども、例えば集中治療後後シンドロームを予防するためや、せん妄の人のところに集中的に人の資源を投入して、医療的な治療だけをすることではその先につながらないというような、これからの医療を考えたときにも、逆に言えば、そもそも高度急性期の看護がどうこうだけではなくて、高度急性期の医療とは何なのだろうというのも考えたほうがいいと思います。
○尾形分科会長
神野委員。
○神野委員
今のお話で、高度急性と急性は地域医療構想では違いますが、高度急性期と急性期を一緒にして7対1で急性期ということを言っているので、確かに大学病院やがんセンター等で在院日数が4~5日で、紹介患者さんだけで、手術してさよなら、次の病院というところと、先ほど来お話があったように、小さい病院のほうが基準②が多いという話があったのですけれども、地域の中で地域密着した急性期病院と多少ニュアンスは違ってくる。けれども、地域の中での地域密着の急性期病院という存在も否定されると、その地域から医療がなくなってしまうと思います。そうすると、いろんな患者さんあるいはいろんな介護施設とか、急性変化に対する駆け込み寺的な病院においては、先ほど来、お話があったように、看護の関与というのが必要だし、もともと認知症、何らかの処置を加えることでせん妄になった人、ここに一番手がかかっているのは事実で、そこは否定できないと思います。
○尾形分科会長
牧野委員。
○牧野委員
牧野です。
私もその意見には全く賛同します。今、A項目、B項目、これを足し合わせて評価しているので混乱が生じていますが、本来、医療行為と看護行為というのは縦糸と横糸のような関係であるはずです。同じ医療を行っても、B項目でかなり問題がある人に関してはそれなりに病院としては手がかかる。それはやはりしっかりと考慮しなくてはいけないと思います。ただ、その場合に、より高度な、リスクの高い医療を行っていこうとしたら、これは看護だけの問題ではなくてチーム医療、いろんな職種が加わって行う医療、そういった観点から捉えることも必要ではないかと思います。
○尾形分科会長
石川委員、どうぞ。
○石川委員
皆さんのお話を聞いていますと、重症度と看護というのは、患者の状態というのはさまざまですから、患者のどの状態であっても高度な医療が必要なときもあるしということですね。ただ、牧野委員がおっしゃるように、高度な医療というのはもう少し入れ込んだほうがいいのではないか、私もそうは思いますが、これ以上入れますとそれぞれの項目に不全性があるのです。この重症度ということについても不全感があるし、患者の状態ということについてもこれだけでは表現し切れないことがあるかもしれないですね。ただ、これらをそれなりに代表的なものでまとめることによって、病棟の状態、病棟に対しての医療の必要度ということについてこのぐらいが妥当ではないのかと思います。これ以上細かくやると何が何だかわからなくなって大変だと思うので、それなりに不全性はあっても、重症度と患者の状態ということについてはこれでいいかなと思っております。
○尾形分科会長
井原委員、どうぞ。
○井原委員
今までの御意見を伺っていると、この1つの項目で高度医療の問題から病棟の問題からこれだけ議論が広がるということは、この項目の抱えている範囲といったらいいか、ウイングが広過ぎるのかもしれないと思います。
今、石川委員が話されたように、確かに当面これしかないという考え方もできるのですが、医療の中でも治療行為と、先ほど牧野委員がおっしゃったような観察項目、患者の状況等でも、14番、15番のように看護師にとって危険を伴うようなものと、手があいたときにお世話をすればいいような項目というのが混在しているものですから、研究班提案にもあるように、急性期医療でよくなったことによってかえってBが変化する、看護の必要度が高まることもあるということが将来検討にもあるし、今回の作業グループでもそういう意見が出ている。
ですから、この辺のところを少し分けて整理することを議論したほうが、どんどん話が広がっていってしまって文字どおり収拾がつかなくなってしまう気がするので、そこは整理する。そして、どなたにも違和感が出ないとは申しませんが、それが少なくなるような評価の仕方を将来的には検討していただけたらいいのではないかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
確かに中長期的な検討課題に踏み込んでいる部分も結構あったかと思いますが、ほかにいかがでしょうか。武井委員、どうぞ。
○武井委員
今までの先生方とほぼ同じ意見になるのですが、今、急性期病院に高齢で急性増悪の患者さんが入院している実態が明らかにできるのはやはりB項目があるからと思っています。これをなくしたら、今の高齢者社会の急性期病院の実態が把握できなくなってしまうのではないかと考えています。
重症度、医療・看護必要度ですが、これはとても時間をかけて研究して、その結果、A、Bの組み合わせの評価がエビデンスのある指標だったはずです。それをB項目評価をなくすような大きな変更をするのであれば、先ほどお話があったように、科研等で十分検討や検証して、皆さんが違和感がないように、今の医療の実態に合ったものを検討していく必要があるのではないかと考えます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
山本委員、どうぞ。
○山本分科会長代理
さっき牧野委員がおっしゃったことで、今のB項目14、15については引っ込めますけれども、専門的な治療云々というところは、先ほどの免疫抑制剤の内服の問題や、手術の内容、外来でもできる手術をここに入れるのか、ここはしっかり検討しないと、まさに急性期医療とは何なのかが問われるところではないかと思います。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
では、菅原委員、どうぞ。
○菅原委員
私も全く同意見でありまして、入院の必要性は患者の状態像に応じて個別に判断されるにしても、今、御指摘があったように、35枚目の専門的な治療・処置の薬剤の内容を見ますと、免疫抑制剤の内服に関してはほとんどの薬剤は入院で使われていないという状況になっていますので、評価の実態と現状が若干乖離しているのではないかという認識ができると思います。ですので、一方で評価に入れていかなければいけない状況もあると思いますし、手術などは確かに評価されるものもあると思いますが、必ずしも入院でなくてもよい医療というものについてはここの評価の対象から外す方向で整理するという必要性もあるのではないかと考えます。
以上です。
○尾形分科会長
牧野委員。
○牧野委員
私も、経口のものに関して外す方向で検討するのはいいと思いますが、ただ、例えば抗がん剤の中には、経口であっても初回治療のときには副作用とか見るために観察が必要な薬剤も含まれますので、そういったものはきちんとした対応をとっていただきたいと思います。
○尾形分科会長
池端委員、どうぞ。
○池端委員
私も全く同じことを思っています。35ページの6項目が、全て導入期と維持期に入った場合と全然違ってきているので、当然、導入期は3日なり1週間なりはきちんと見て、それから外来へ持っていくというのが一般的ではないかと思います。その時系列がここには全然入っていないので、そういうことも掛け合わせて見ていかないとミスリードされてしまう可能性があると感じました。
○尾形分科会長
課長、どうぞ。
○森光医療課長
先ほど武井委員のほうから科研でやってからという話がありましたけれども、エビデンスが出てこの中に入ったというのは確かなのですが、実際は、それをやって新しく基準が変わって、そして全国的に広がってみて、そしてこの検証をしなくてはいけないという状態になっていますので、基本的には、この中で広がってみて、そしてデータを集めて、そこで解析する。そういう意味では、ここの委員会というのは非常に重たい役割を担っているということで、やはりここでしっかり議論をしていただきたいと思っております。
○尾形分科会長
ということです。
奥委員。
○奥委員
でも、先ほども出てきたように、これをすぐに変えるものがないから、今、研究を中長期的にしているのだと思うので、言っていることが違う。
○尾形分科会長
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
31枚目を見ていただきたいのですが、今までと違った視点の発言になります。基準マル2に該当する項目というのは、医学的な理由のため、どちらかというと入院のほうが好ましい患者が多いということが出ているのだと思います。なかなか退院できない患者、そういった意味でも手がかかる患者、しかも、こういった患者は今後どんどんふえてくるはずです。
その場合に、前に退院支援のところでデータが出てきたのですが、こういった患者が退院できない幾つかの理由があって、1つは受け入れてくれる介護施設がないという問題、もう一つが退院支援のマンパワーです。担当者が対応し切れないということがたしかデータとして出ていたはずです。ですから、今後、特に基準マル2に該当する患者が多いところではそういったところに一層マンパワーをかけられるようなことを対応としてとらなければ、いつまでたってもこういった患者が病院に残ってしまうということも言えるのではないかと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ほか、よろしいでしょうか。
井原委員、どうぞ。
○井原委員
先ほどの手術等の状況のところですけれども、C項目、ここで頭頸部の手術とか、入院が必要で難しい手術というのはたくさんあるのです。この分け方が、開頭しなければ該当しないとなってしまっていますので、そういった入院がほぼ必須だという項目は入れなければいけないのだろうと思います。そのためにと言ってはいけないのですが、外来化学療法にしても何にしても、外来で実施できることも最近は非常にふえてきています。先ほどおっしゃったように、導入期というのはさまざまな危険性がありますから、透析の導入時評価的に、導入当初はこういった項目に入れるけれども、ルーチンに行うようになった場合には、ここからはご遠慮いただくというような形の整理はしていかないと、入れるべきものがなかなか入れにくくなるのだろうという気がいたします。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
それでは、一通り御意見が出たようですので、次のパートに移りたいと思います。医療区分・ADL区分に関する分析、参考資料でいいますと46ページから83ページの部分につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。松本委員、どうぞ。
○松本委員
健保連の松本です。
中心静脈栄養については、7月3日の本分科会での指摘事項にもなっておりました。スライド60枚目にありますように、中心静脈栄養を実施している患者割合は入棟時では16.7%と2番目に多く、さらに基準日になると19.2%に増えています。
また、スライド73枚目には入棟時と基準日に中心静脈栄養に該当した患者の在院期間が示されておりますが、データの読み方の注意として、ずっと中心静脈栄養をやっているかどうかはわからなくて、一旦中断してまた再開した可能性もあるという御説明がありました。181日以上も在院している方が半分を超えているということがございます。
中心静脈栄養につきましては、私の拙い知識ですが、消化管が使用できない場合や、消化管を使っての栄養吸収をすべきでないと医師が判断した場合、あるいは仮に消化管を通じてできたとしても不十分な場合等、適用基準を定めています。また、長期間、中心静脈カテーテルをやっている方については感染の可能性があるということで、十分注意するようにといったガイドラインなどがついております。
今回のデータを見てみますと、適用基準を踏まえた場合にどうなのかということもございますし、長期にカテーテルが留置されている場合に定期的に管理がなされているのかどうか、そういう点をチェックする必要があると思われますが、現場ではどういう状況なのかというのが資料を見ながら思ったところであります。
作業グループの意見にも、家族の要望で長期間留置を行う場合があるというのがありました。中心静脈栄養が延命措置で行われている場合があるということは想像にかたくありませんし、現場の先生方、医療関係者も非常に悩み、苦慮されている部分ではないかと思います。
この問題の解決については保険者としても非常に関心がありまして、健保連としてはアドバンス・ケア・プランニング、人生会議を被保険者、家族に広げていくということで、医療関係者とともに取り組む必要があると考えております。そのような観点からも、中心静脈栄養がどういう状況であるかということについては明らかにして、改める点があればやはり改善をお願いしたいというのが切なるお願いでございます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
池端委員、どうぞ。
○池端委員
前も同じような議論をしたような気がしますが、松本委員のおっしゃることは、この図を見れば当然そういう解釈になると思いますけれども、作業グループで分析した中でも、2点の定点調査で本当にその方が入棟時持ち込みのIVHなのかどうかということは、これは定点の2点での比較なのできちんとできないということはあると思います。いずれにしても一定程度の持ち込みがあることは間違いないということを御理解いただきたいことと、半分がIVHという65ページのグラフですが、実はこれは医療区分3の中の半分なのです。療養病床に入院している中で、医療区分は大体3割弱、その中の半分だから15%か20%ぐらいなので、これが多い、けしからんということなのかどうかということはもう少し冷静に考えていただきたいということがあります。
いずれにしても、どういう理由で入っているか、あるいは療養病床も病院ですので感染対策は十分やっていて、なおかつ急な高熱が出た場合には入れかえしたりということは当然やっていますので、その辺はもう少し信用いただきたいと思っています。この辺はもう少しきちんと我々療養病床の団体としても分析したいと思いまして、実は先日、当協会で5000床分、6300人ぐらいのアンケート調査をさせていただいたので、もしよければ次回にその結果をここで御報告させていただきたいのですが、御了解いただけますでしょうか。
○尾形分科会長
それはぜひお願いします。
○池端委員
では、協会内のデータということを御理解いただいた上でお示しして、また御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
ほか、いかがでしょうか。
山本委員、どうぞ。
○山本分科会長代理
池端委員が御説明なさった後で追い打ちをかけて申しわけないですが、入棟時から基準日までずっとやっていたかどうかという問題はもちろんあるにしろ、73ページだけ見ると、半分以上の患者さんが180日以上という数字は、医学の常識から考えて余りにも患者さんへのリスクが高過ぎる。このグラフのつくり方に問題があるのかもしれませんが、そういう印象を持たざるを得ない。
逆に言うと、持続期間というところを調べられればぜひ調べていただきたいと思いますし、もし仮に180日を超えるような患者さんにほかのトラブルが起きていないか、感染のトラブル、そういうリスクがふえていないかというところはあわせて調べていかないと、この数字だけ見ると危ないという印象を持たざるを得ない。ここは申しわけないですけれども、お許しいただきたいと思います。
池端委員がおっしゃるように、ほかのデータもぜひつけ加えて、この人たちが実は持続期間としては長くないのか、あるいはリスクはそんなになくてちゃんと管理されているのかというところは、データとして追加する必要があると考えます。
○尾形分科会長
では、神野委員、どうぞ。
○神野委員
次回の調査にあればいいと思いますが、医療提供側からのスタンスとして、漫然としていないというスタンスが必要だと思います。例えば中心静脈を外すような努力というか、患者へ説明等をやっているかどうか、その辺が鍵で、本当に消化管が全滅していて使えないという人も世の中にはいるわけですので、どうしようもないというのと漫然なのかをきちんと区別して、必要な人は必要、必要ない人はどういう努力をしてほかの栄養に転換しているかということが出せればいいのでしょうねと、作業部会で言わなければいけないことですけれども、済みません。
○尾形分科会長
では、牧野委員。
○牧野委員
なぜ中心静脈栄養が必要なのかという説明が今後必要という気は確かにします。一つ気になるのは、基礎疾患が脳梗塞や認知症とか、消化管に関係ある病名が出てこないのですね。だけど必要だということをしっかりとおっしゃっていただければ説明ができるのかと思います。
○尾形分科会長
では、石川委員、どうぞ。
○石川委員
この間から中心静脈栄養の話がずっとあって、今回、67ページから73ページまで、多少細かくはなっていますが、これで全部の中心静脈栄養をやっている患者の状態が表現されたとは思わないのです。まだまだいろんな条件があって、医師の判断や周囲の判断がどうだったのかについて詳細に調べないと、これだけの資料でやると、池端先生の分野がかなり意図的にこういうものになるようなストーリーみたいになっているので、先生方の判断があってこうやって長期になっているとか、入棟先がほとんど自分の病院の転棟だったとか、ほかの病院からの転院だったということをもう少し詳細にやらないと、評価できないと思います。
○尾形分科会長
では、池端委員、どうぞ。
○池端委員
次回と思ったのですが、そこまで皆さんがおっしゃるのなら。ここ5年から10年、IVHを入れて急性期から療養に来ているのが圧倒的に多いのです。そこで入れてしまっているのです。ムンテラをして入れてしまった患者さんが送られてきて、療養に来てそれを抜くという動作はできない。それが一つです。
もちろん胃腸を取ってしまって経管栄養が入れられない、あるいは胃ろうもできないという方も一定程度いますが、PEGも含めて経管栄養だけは絶対嫌だ、では、このまま死んでしまいますよという言い方をしてIVHを入れて療養へ送ってくる。では、うちが受けなかったらその方はどうするのですか。死ねということですか。どこも行き場所がないのです。そういう方の受け皿になって受けているということもぜひ御理解いただきたい。
当然、その方は長期になります。結構長生きされます。うちの病室でも5%か10%いますけれども、そういう方は3カ月から半年ごとに感染を起こして、どうしてもカテーテルを一回抜いてまた入れかえるということをやっています。半年以上も1本のカテーテルでもつことはないので、それをやっています。でも、それでずっと180日以上長生きされている方がいる。それがいけないというのだったら、それを抜くということは現実的にはできない状況があることを御理解ください。
○尾形分科会長
石川委員。
○石川委員
そういう議論がこの統計の中で出てこないと意味がないということを言いたいわけです。ACPの話もありましたが、単にACPでこれを少なくするなんてことはあり得ないわけだから、そういうリアルな状態がどうなのかわかるような統計があればいいなということですね。
○尾形分科会長
池端委員。
○池端委員
次回お出ししようと思いますが、ちょっと御紹介しておきます。6246例の患者さん、3カ月間、60ぐらいの施設でアンケート調査をやったときに、6246例中、中心静脈栄養だったのが18.2%、20%弱ですね。そのうち、自宅あるいは病棟から入れた状態で入ってきたのが約4割、それ以外の6割のうち、経管栄養等に変更できた例が5割あります。経口に変えたのが24%、末梢静脈栄養に変えたのが19%ということです。中心静脈栄養を中止した20%の中で5割は経管に変えて、あとの4分の1は経口に変えて、あと2割は末梢静脈栄養に変えたというのが449例中13.9%、158例が転換できた。そういう努力にもかかわらず、あるいは代替の栄養法があるにもかかわらず、中心静脈栄養をやっていたものが17例、1.5%、その中身は、本人、家族の希望ということでやった。それ以外の理由というのは1例だけあったというのが今回の調査です。
本人、家族であってもやむを得ずやったのが1.5%ということなので、その程度の数字で、実際は努力しているということがデータにも出てきているので、その辺をぜひもうちょっと御理解いただきたいと思っています。これは次回に数字でお示ししたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
では、次回お願いします。
田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
この間からこれはとても議論になっている重要なところだと思います。今おっしゃったように、慢性のところでいろんな努力をされているのはそうだと思います。ただ、おっしゃったように、急性期のところで入れてきてしまっていたら、その後、非常に大変だということ、そこはすごく問題だと思っています。
急性期のところでは、急性期で必要があって、いろいろ忙しいし、ゆっくりインディケーションとか、その後のことなどを考えた治療をすることが実際難しいと思います。その辺は慎重に、急性期であっても今後の長期的な視点で見たアレンジがとても重要であり、今後の入院のその先のことを考えるのにもマンパワーが要るので、急性期の中ででも考えていかなければいけない。慢性期だけの問題ではなくて全体の問題としてと思うことが一つあります。インディケーションをもっと慎重に社会的なことも含めて考えていくような急性期であってほしいということが一つです。
それから、これはすごく重たいお話なのですが、中止するということですね。IVHが長期になって、家族も希望されていて、本人がわかれば一番いいですけれども、日本はまだまだそういう状況で中止するという条件は整っておりませんし、難しい状況です。
ただ、諸外国は結構ガイドラインになっていたり、定期的に何回かアセスメントして、本当に必要がないと思ったら御家族やチームで相談してやめるという選択もなされています。私が海外でそういう話をして、それは難しいことだからできないということを言ったら、医者としてそれは無責任だとすごく言われました。医療行為として必要だからやっていて、必要がなくて利益ではないということがわかったときには、非常に難しいけれども、いろんな人を調整して考えてやめていくということだって医療の責任なのだから、それを日本がまだやれていないというのはびっくりだと言われたことがあります。
そんなに簡単な問題ではありませんが、こういう議論の中で考えていってもいいのではないかと思いました。その2点です。
○尾形分科会長
池端委員。
○池端委員
今回は田宮委員の意見に全く賛成です。今回はというのは失礼ですけれども、前半のほうはまさにそのとおりだと思います。当然、急性期は時間がない、早く退院させなければいけないときに、誤嚥性肺炎を繰り返して食べさせるのは無理ですよ、経管はどうしますか、経管は嫌だ、ではIVHしかないですね、そうしたら次の病院へ行けますよということで、安易に送られてくることは間違いない。
我々としては、できればその段階で選択する前に送っていただいて、こちらでじっくりもう一度経口ができないかどうかをやって、少し時間がありますので、そのうち何割かはできるようになることがあるのです。この連携をもうちょっと早く、回復期、慢性期に送っていただき、そこで選択することでもう少し時間的余裕ができて、人生会議もできるのではないかという気はしています。急性期の先生方は早く送らなければいけないということがあるので、私はそういうことを感じています。
もう一つ、IVHが今こうなっていますが、10年前は経管栄養がそうでしたね。欧米諸国より圧倒的に経管栄養が多くて、これだけ経管栄養が嫌われたのは、多分、石飛先生の特養での(医療を選択しない)平穏死の問題提起が出てからかもしれません。ただ逆に経管のほうがずっといい方も、確かにいらっしゃる。医学的に見たら、胃腸を使って経管栄養だったら施設も行けるし、本人はそのほうが栄養学的にもいい、感染の危険もないという方もいらっしゃるのに、IVH導入後で慢性期病棟に転院してくると、それを切りかえることは、何とか会議を開いて説得しようと思っても「いや、それだけはいいです」ということを必ずおっしゃるので、その辺は国民的議論もしていかなければいけない、醸成していかなければいけないことの一つではないかと思っています。
○尾形分科会長
石川委員。
○石川委員
ちょっと補足ですけれども、急性期病院はそうであって、要するに、ほかの方法も考えたけれども、時間がなくて慢性期のほうに行ってもらった。慢性期のところでまた一生懸命考える。これが本来の姿で、私はいいと思います。
私が重要だと思うのは、急性期から慢性期のときに、何で中心静脈栄養の者が退院したのかという理由と、どこら辺までいろいろ選択があったのかきちんとやるということと、慢性期になったら慢性期で中心静脈栄養がなぜこんなに長くなったのかという理由を明確にするべきだということを言っているわけです。皆さんは急性期も慢性期もそれなりの働きのことを言っているのであって、私は妥当だと思っています。
○尾形分科会長
池端委員。
○池端委員
これを言っていいかどうか、私はわからないのですが、急性期は早く退院させたい、でも療養は、今、IVHでないと受け入れられないということがあって、そこで(やむを得ず) IVHを入れて(療養病床に)送ろうというバイアスが比較的かかる可能性があるのではないかということを、牧野委員にお聞きしたいのですけれども。
○尾形分科会長
牧野委員、よろしいですか。
○牧野委員
それに関しては、必ずしも否定はしません。ただ、肯定できるだけの材料を持っていないので、真っ向から否定することはできないですが、幾つかそういった例があることは知っています。
○尾形分科会長
井原委員。
○井原委員
今のお話と関連してですが、急性期のところが行う治療行為が妥当かどうかというのは、症例ごとに非常に難しいと思います。中心静脈栄養という方法は、感染のリスク、DPCでもカテーテル感染というコーディングをしてくる症例は少なからずあるわけであって、そういったリスクであるとか、抗菌剤使用による耐性菌の問題であるとか、これはさまざまな問題がある。ですから、長期、漫然と行うという治療手段ではない。さまざまな栄養の選択肢があるのだということの患者さんへの説明は十分になされるべきなのだと思います。後はそれぞれの症例に応じるしかないのですが、そこがないと、池端先生たちがおっしゃるように、受け取った側が大変に苦労することになる。その説明は十分にする義務を急性期側にはお願いしたいと思います。
○尾形分科会長
池端委員。
○池端委員
あと、もう一点、これはここの議論ではないかもしれませんけれども、さっき言ったIVHを入れてあえて送るということですが、受け手側としては医療区分2・3を8割以上というのを死守しなければいけないのです。そうしないと入院基本料が取れないわけです。8割以上死守ということは、例えば肺炎が治ったらその時点で医療区分1になりますので、どうしてもそう言う状況ですぐに退院出来ない方々の入院期間の合算で、医療区分1の2割はすぐに限度を超してしまいそうになる。つまり現実的には新規入院は、何らかの形で医療区分2・3の対象になっている患者さんしか受けられない。今まで「療養入院基本了2」があったときは、(医療区分2・3が)5割でよければ、医療区分1だけれども、頑張って治療して、経口訓練をやって、1カ月、2カ月の間にまた食事ができるようにして帰すということができたけれども、今、そういう余裕はないのです。
療養病床に送られてくると、既に医療区分的にリハビリの期間も過ぎてしまっている。では、どう考えても医療区分1しかない。経管栄養の段階であっても、長期に経管栄養管理だけを受けることができないということになってしまう。だから、こちらとしてもジレンマがある。我々がきちんと経管栄養あるいは経口栄養の訓練をして、IVHにならないようにリハビリをやりながらもう少しやってみたいと思っていても、受けられないのが実際です。この辺の医療区分をどう考えるか。例えば経口訓練をやったり、入院から1カ月間はリハビリテーションを医療区分で認めていただける、それなら十分頑張ってつなぎができると思います。ここの議論ではないかもしれませんけれども、この辺は私が本当に言いたいところです。
○尾形分科会長
神野委員。
○神野委員
別な話でよろしいでしょうか。もう一つの喀痰吸引8回の話がここで話題になったのですが、ただ、口の中の吸引と、もっと奥のほうの吸引というのは、それをカウントするほうは区別できないと思うので、とやかく言えないと思います。
78ページ、これは全くここの議論ではないのですが、全体の入棟元と入棟日時点で喀痰吸引の該当患者というのを見てみたら、介護施設等において入棟日時点で喀痰吸引のあるのは介護療養型医療施設なのですね。そのほかは入棟元と比べると非常に少ない。例えば介護医療院、特養、老人ホームなどは入棟時点で喀痰吸引に該当する患者は少ないということです。なぜかと言ったら当たり前で、それらの施設では喀痰吸引ができない。今、喀痰吸引等の研修というので、一部、介護福祉士が喀痰吸引の研修をすればできるようになっていますが、非常に少ないわけです。そうすると、もしかしたら、今度は介護のほうの話だと思いますが、そういう施設でもっと喀痰吸引できるようにすれば喀痰吸引が理由でこっちに来る人は少なくなるのではないかという全体の制度論になるのかと思いました。
以上です。
○尾形分科会長
松本委員。
○松本委員
健保連の松本です。
喀痰吸引の回数が1日8回以上と定めていることについて、医学的な根拠が証明されているのかどうかよくわからないと感じています。喀痰吸引については口腔内か、あるいは気管吸引がありますが、気管吸引ガイドラインを見てみますと、1~2時間ごとというようにルーチンに行うのではなく、必要に応じて判断した上で気管吸引を行うことが推奨されているところからすると、1日8回以上の喀痰吸引というのは医学的にどうなのかと素朴に感じています。
喀痰吸引以外にもっと適切な評価項目があれば評価すべきですし、8回以上という回数が医療区分で評価すべき行為なのかどうか、御意見をお伺いしたいと思います。
○尾形分科会長
池端委員。
○池端委員
実のところ、医学的根拠は全くないと思っています。では、8回というのはどういう数字か。常時吸痰が必要な状態というと大体3時間ごと、3×8=24ですから8回になった。だから「8回程度」という基準でよかったはずなのですが、いつの間にか8回以上と7回以下はそこで線引きされてしまって、適時調査などがあると、喀痰吸引実績のマークを1日8回以上つけていないと、そこで基準外と言われて診療報酬返還の対象になってしまうのです。とにかく喀痰吸引を8回実施して記録をつけるということが、監査の対象に入っている。金科玉条のごとく8回以上というのが義務づけられてしまっている状態なのですが、医学的根拠は、8回という数字はないと思っています。ただ、さっき言ったように、あるとすれば、3時間ごとに1回程度、常時吸痰が必要な状態ということでスタートしたのではないかと思っています。後は医療課に聞いて頂いた方がいいかもしれませんけれども。
○尾形分科会長
井原委員、どうぞ。
○井原委員
今はエビデンスと論理性で物を考える時代ですから、8回実施することによって、肺炎の減少がみられるとか、そういった医学的根拠はないと言われてしまいますと、それを評価に入れておくのはいかがなものかと逆に思ってしまいます。今、委員がおっしゃったように、3時間ごとに吸引が必要な状況というのは、喀痰吸引の回数ではなくて別の指標があるならば、医学的妥当性のある指標を新たに検討すべきであって、7回だといけないけれども、8回だととれる、こういったことはやはり再検討する必要があると思います。
○尾形分科会長
ほか、よろしいですか。
それでは、時間の関係もありますので、先に行きたいと思います。続きまして、FIMに関する分析ということで、参考資料でいいますと84ページから105ページの部分につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。牧野委員。
○牧野委員
牧野です。
96枚目、最近、入棟時のFIMが下がってきて利得が大きくなってきているということがここで示されています。最近なぜ成績がそんなによくなってきているのかということに関しての一つの考察ですが、リハビリは週当たりの単位数がふえるとかなり成績がよくなるということは前にここでのデータでも出ていたはずです。この数年間でこういった病院で行っている週当たりのリハビリの単位数の変化が把握できるのだったら示していただけないかと思います。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
これは事務局はいかがですか。
○木下補佐
提供している単位数の変化ということはこちらとしても見ることができますが、それと下がっていることとの関係はこちらでは今のお話からよくわからなかったところでございます。
○尾形分科会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
健保連の松本です。
FIMについては、リハビリテーションの実施で入棟時より退棟時のほうが改善していることが可視化されたという点においては、これを導入したことは非常によかったと思います。ただ、牧野委員がおっしゃいましたが、スライド96のところで入棟時のFIMが2016年度以降低下しています。これは学会等でFIMの指標の測定の仕方が大きく見直されたということがあるのでしょうか。そこのところを教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○尾形分科会長
牧野委員。
○牧野委員
FIMの評価の仕方が変わったということは聞いていません。
○尾形分科会長
神野委員。
○神野委員
96ページ、それから報告などにもありましたが、入棟時のFIMが下がったと同時に、下の参考のグラフにありますように、発症から入棟までの日数も下がっているということは、悪いうちに転棟しているということになります。今まではもうちょっと急性期ないしその他の病棟が発症から持っていたのが、早く回リハ病棟に移ることによって入棟時のFIMが下がった。退棟時のFIMに関しては、日本人の体格がここ数年で変わるわけでなく、これは限界があると思います。したがって、入棟時のFIMが下がったことでFIMの利得がふえた。
その理由として、当然、診療報酬改定の影響というのは効いているわけで、FIM利得が上がることによって、回リハ病棟は一般病棟に対して早くよこせということだし、クリームスキミングではないですけれども、ある程度、FIMの利得ができそうな患者さんはこちらにお願いしますというベクトルがかかっているのかなという気がいたします。ですので、FIM利得が期待できない患者さんは回リハには来なくなったと言ってもいいのかと思います。
あと、さっき牧野先生の話があったように、これは印象ですが、リハビリの単位数の話ですけれども、365日、リハをやる病院が非常にふえております。これは事実だと思います。前は土曜あるいは日曜日休むことによって1日あいたわけですけれども、日曜日もあるいは年末年始もやることによってFIM利得がよくなっているのではないかと思います。
○尾形分科会長
松本委員。
○松本委員
保険者としてはFIMの評価の仕方は比較的標準化されているのではないかという認識は持っていますが、例えば急性期から回復期リハに移った場合に、退院するときのFIMの評価と新しく移った先での入棟時のFIMの評価は、同じ患者さんについてどのようなものであったか。そういった調査がもしあったら、どういう結果であったか示していただければと思います。FIMの評価の仕方が普遍的であれば、同じ患者さんで急性期からあまり時期が変わらない段階で回復期リハに転棟した方については、そう大きくFIMは違わないと思いますので、もしそのような調査結果があればお伺いしたいところです。
○尾形分科会長
神野委員。
○神野委員
この出典そのものが、回復期リハビリテーション病棟協会の資料をもとにしてつくった資料ということなので、私はそのメンバーではないのでわかりませんが、何らかの調査をやっているとするなら、そこに問い合わせなければいけないのかなという気がいたします。恐らく回リハに入る前も、当然ですけれども、急性期の病棟でも何らかのリハビリテーションをやっていたわけですね。少しよくなって、急性期のリハビリ以外の処置が少なくなって回リハに移った。急性期のほうで早く回リハに流していってこの結果なのでしょうねということしか今のところわかりません。
○尾形分科会長
菅原委員。
○菅原委員
神野先生の御説明もなるほどと思う一方で、大変申しわけないのですが、98枚目、その推移を見ると、確かに発症から入棟までの日数は短くなってきて、スピーディーに移行しているのでという、その一面もあるのでしょう。けれども、実績指数の導入前後で比較しますと、2016年以前も基本的には入棟までの日数は下がってきている傾向があります。その前後で比較して入棟までの日数は継続してずっと下がってきているわけですが、実績指数導入の2016年以降の乖離が明らかに傾向的に大きくなっていますので、神野先生の要因は当然一つあるのでしょうけれども、それだけでは説明できない要因があるのだろうと解釈するのがいいのではないか、これは私の個人的意見です。
以上です。
○尾形分科会長
林田委員。
○林田委員
私も同意見で、FIM利得が上がっているということは、どういう患者さんに対して実際にどういうリハをやったのか、という2つの大きな要因がかかわると思います。患者要因に関しては、例えば入棟までの日数が短いとか、ある程度明らかになっているのですが、実際にどういうリハをやっているのかという意味では、先ほど牧野委員のほうから単位数に関しての経年変化はどうかというお話があったように、その辺についてのデータもあったほうがいいのかなと。それによって、神野委員がおっしゃっていたようなクリームスキミングが発生しているのかどうかということもある程度は推察できると思います。その辺のデータもぜひお見せいただければと思います。
○尾形分科会長
どうぞ、菅原委員。
○菅原委員
今の実績評価、アウトカム評価をしていくという大きな流れは一つの大きいトレンドとしてはあるのだと思いますが、ただ、本音ベースで話をさせていただくと、こういう評価をするときに、当事者である方々で実績の改善度合いを評価させるというシステムになっていればこういうことが起こるのは当たり前だと考えるのが一般産業界の規制のあり方としては当然なので、逆に言うと、こういうことが起こってけしからんというのは、日本の医療界は真面目だなと、健全だなと安心します。
そういった意味では、こういう改善度合いできちんと改善されているというところは適切に評価して、それは目に余るという話であれば、もちろんいろんな形で、モニタリングのシステムあるいは第三者評価、それ以外の評価を考える必要があるのでしょうが、現況を見る限りではそこまで深刻な状況ではない、これはあくまでも個人的な意見ですけれども、そのように感じております。
以上です。
○尾形分科会長
山本委員、どうぞ。
○山本分科会長代理
私も言うべきか、言わざるべきか、黙っていたのですが、ここが収入に結びつくとなればこういう傾向になるのは当然のことで、しかも判定しているのが人間ですから、それぞれ経営判断をそれぞれの現場でもしているのだなと、私は、これがうちのデータだとしたら、みんな経営をよく考えてありがとう、現場で考えてくれて偉いなと言ってしまうと思います。
今までいろんな御意見があったように、この数字の動きが、ほかのファクター、単位数の問題やいろんなファクターを見た上で、それに影響されているのかを見ることは当然必要ですが、これを導入して3年ですから、ある程度どこかで収束してくれば、現状のこの評価法でやる限りはそこが限界と考えるべきだと思いますし、もしそれでもなおかつ、何かわからない要因でぐんぐん動くようであれば、それはまたこの評価法の問題点として考えるということでいかざるを得ないのかと、人間が人間を評価している以上やむを得ないというのが私の感想でございます。
○尾形分科会長
神野委員、どうぞ。
○神野委員
そういうことをきちんと監査するのが適時調査で、厚生労働省保険局医療課長通知によって来ましたといわれるたびに、私、森光課長の顔が浮かぶのですが、カルテの書き方のどうのこうのではなくて、さっきの吸痰の8回という細かいところではなくて、患者像とか、FIMの利得が高い病院に対してはそこは本当ですかと、それを見に行くのが適時調査ではないのかと思います。
○尾形分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
この場の議論ではないのですけれども、基本的には、適時調査自身は基準に従っているかどうかを見るということなので、前年度と比較してFIMが上がっていますねと毎年言われるのも、上がったり下がったりという話も、また現場で嫌がられるのではないかという気がしておりますので、それはおいておいて、ただ、先ほど自分でみずからはかるのだから若干仕方ないと、そういう雰囲気になってきていました。正直言えば、そうはいっても、患者さんにしっかり効果があったものについてちゃんと評価するというのはそのとおりですが、そこが若干ゆるゆるとなってしまったというところに関しては、もしそうであるならば、例えばそれが全くだめとかいうわけではないにしても、これはだめじゃないかというのを相互に見てもらうとか、第三者の目を入れるとか、そういう形で、おいたが過ぎるのはいけませんよというような部分は多少あってもいいのではないかと医療課長として思っております。
○尾形分科会長
山本委員。
○山本分科会長代理
私は、別においたを現場に勧めるわけではなくて、このスコアリングを見ればどっちかなというのは当然あるわけです。どっちかなというときに、こっちという、そこの感覚の問題です。これを「おいた」と言うかどうか、これは現場の判断と考えていいのではないかと思います。もちろん組織的なおいたがあるとすれば、そこに対して厳重に対応すべきであるということは間違いないと思います。
○尾形分科会長
井原委員、どうぞ。
○井原委員
両方の御意見、ごもっともだと思って聞いていたのですが、中長期の検討のところ、林田委員の研究班でも将来的にアウトカムの評価を組み込むべきであると、これには基本的に大賛成です。ただ、アウトカム評価は今後も絶対必要なことではあるのだけれども、どういう形でこれを評価するのか、第三者の目から見ても、誰から見ても公平なアウトカム評価というものを中長期には考えていただかないと、何かアウトカム評価を入れるたびに必ずこういう議論は繰り返されてしまうだろう、そういう気がしますので、中長期的にはぜひよろしくお願いしたいと思います。
○尾形分科会長
よろしいでしょうか。
それでは、先に行きたいと思います。続きまして、データの利活用のあり方に関する事項、参考資料でいいますと106ページから112ページにつきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。池端委員、どうぞ。
○池端委員
療養病床に関係するデータ提出加算について2点、1点はお伺い、1点は提案です
まず、109ページ、現在、療養病棟入院基本料をとっている中でデータ加算を提出しているのが、療養1が3割ということです。この3割という数字はどう読めばいいのか、林田委員にお聞きしたいのですが、これが3割あれば母集団を代表して一定程度の評価ができると判断すればいいのか、あるいは実態調査をされて4割以上とか、そういうことが出ているので、もう少し必要なのか、その辺はいかがでしょうか。
○尾形分科会長
林田委員、よろしいですか。
○林田委員
私がお答えするのが適切かわかりませんが、このデータでは傾向はわかると思いますけれども、これで何か完全に物が言えるかという割合ではないと私も思います。では、何割あればいいのかというと、またそれはそれで難しい問題かと思います。いずれにしてもこの値で完全に何か結論づけるには少な過ぎると思っております。
○池端委員
ありがとうございます。
うちの協会でもこのデータ加算はぜひ提出するようにといって、これが一定程度評価できる数字、ボリュームであれば、急性期から療養まである程度同じ評価で物が言えることになると思うので、これを広めていきたいと思います。
もう一点、今度は提案ですが、111ページ、これは療養に限って新項目として、要介護度と要介護情報ということで、介護度と栄養指標、嚥下障害の指標が入っています。実は療養だけではなくて急性期でもこの指標はあるべきではないかと思います。その辺は医療課にお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
○尾形分科会長
これは質問ということですね。お願いします。
○木下補佐
きょう御議論いただきたいのは、今、集まっているデータの取り扱いをどうするかということでございますが、この入院分科会の議題といたしまして、次回以降どういう項目を追加するかということは取り上げさせていただきたいと思っております。
○池端委員
わかりました。
○尾形分科会長
それでは、その時点でお願いします。
ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、最後の部分です。中長期的な検討ということで、入院医療機能の適切な評価指標や測定方法等に関する事項、参考資料でいいますと113ページから117ページの部分でございますが、御質問、御意見をお願いします。神野委員、どうぞ。
○神野委員
恐らく総論的には誰も反対される方はいらっしゃらない。各論という話になってくると思いますが、116ページ等で先ほど来お話のあったアウトカム、成果に応じた評価というところが載っているわけです。この辺のところをどうするかというのが一番大きな議論になってくると思います。今のところ、こんなものというのはあるのですか。
○林田委員
あくまでも一つの案ですが、患者状態の評価を実施することにしておりますので、患者状態の変化というか、改善という部分に関して評価できればと思っています。というのも、患者状態がよくなることによってケアが不要となり、入院評価の基本的な部分で評価されなくなってしまう。それであれば逆に患者状態が悪いほうがいいということになってしまうのもよくないですので、患者状態をどんどんよくすればそれはそれできちんと評価されるような形にしたいと、これはあくまでも検討段階の一つの例ですが、そういうふうに考えています。
○尾形分科会長
よろしいですか。
○神野委員
はい。
○尾形分科会長
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
牧野です。
115ページに「容易なデータ収集」という項目があるのですが、今回、これは非常に大事なことだと思います。必要度IIのほうでEFファイルを使っている。こういった既に出されたものを利用して、それで評価するのは大変いいことだと思います。ところが今回、様式1、このデータは使われていないわけですね。こういったデータというのは使うのが難しいのか、使えないのか、その辺の理由があったら教えていただきたい。
○木下補佐
事務局でございます。
通常のDPCの係数を設定する際の作業に使っているところでございまして、本日御提示している資料の中には使っていないということで、具体的にそれを使った分析という御意見がございましたら、それはまた御相談させていただければと思っています。
○尾形分科会長
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
評価の2のときに救急搬送という項目が抜けているのです。これは様式1にはあるのですが、それが使われずに単純に除外されてしまったのはなぜか、知りたいのです。
○木下補佐
経緯を確認する必要があろうかと思います。様式1でとろうとすると、退院時ではないととれないので、そこの兼ね合いがあったのではないかと思料いたしますが、過去の経緯を確認しないと、にわかにはお答えできないかと思います。
○尾形分科会長
ほか、いかがでしょうか。池端委員。
○池端委員
116ページの中長期的な入院に係る評価体系ですが、私どもの慢性期医療協会でも、できればこういう形が医療区分にかわってできないか、常に考えていますけれども、具体的にはなかなか難しいことがあります。研究班長さんとしては、もしこれがいけるとしたらタイムスケジュール的にはどれくらいを考えていらっしゃるのか、イメージがありましたら教えていただきたい。
○尾形分科会長
よろしいですか。林田委員。
○林田委員
済みません。そういう質問が来ると思わなかったので全く準備していなかったのですが、まずは急性期のほうからつくっていきたいと個人的には考えています。先ほど現在のデータがどれくらいの医療機関をカバーできているかという話もありますので。そうはいっても、基本的な方針について、最初に急性期から長期療養までの全体像を御提示させていただいています。何年後というのは、急性期すらすぐに即答できませんので、徐々に広げていって長期療養のところまでとなると何年というのは言えませんが、できるだけ早目には整理していきたいと思っています。頑張りますとしか言えないのですが、そういうことです。よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
池端委員。
○池端委員
ありがとうございます。医療区分の抜本的見直しと10年以上前から言い続けて、なかなかこれも難しい。現状の医療区分は比較的精度がいいということになってしまっているのですが、我々協会も協力できることはさせていただきますので、ぜひ前向きに御検討いただければと思います。
○尾形分科会長
菅原委員、どうぞ。
○菅原委員
この部会の中では唯一の経済学者ですので、余り言いたいことではなく本意ではないのですが、国全体のバジェットが厳しくなってきていることを考えますと、評価体系の中に効率的に効果を出した医療機関が評価されるような考え方というのが必要ではないか。116ページの見取り図を見ますと、評価内容は基本的にやったことに関して評価をしていく、改善に関しては成果に応じた評価というのは入っていますけれども、最終的にそれをどれだけ効率的に生み出してもらえたのかという評価が抜けているような気がしますので、そこについては少し真剣に考えていただきたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ほか、いかがでしょうか。石川委員。
○石川委員
ここは入院医療費ということなので、今回は入院の調査ということですが、アウトカムということを今回、FIMだとか、そういうのでやって、ADLだとか考えますと、この先が例えば在宅とか、そういったところに行くときにどれだけ問題を残したかということが、私なんかは全然イメージが湧きませんけれども、先生方の努力でそういうのは係数化して、そうすると全ての入院の一定のアウトカムみたいな形が出るのではないか。どれだけ問題を残しつつ在宅に行ったのかということの評価が、先生方の頭の中で考えていただくと、入院全体のアウトカムという形で出てくるのではないかと思います。今まで日本の医療の全体像の中で、在宅、在宅と言われていても入院と在宅に大きな溝があることになってしまうわけです。連続性の中で考えたら入院のアウトカムというのは一体何かということですね。ぜひそういうものを研究していただきたいと思います。
○尾形分科会長
林田委員。
○林田委員
御指摘はまさにそのとおりだと思います。そういう意味でいくと、入院の中でも今、シームレスに評価できていないという部分、まずはそこを改善したいと思っていますが、当然その後には在宅ということも視野に入れて考えなければいけません。したがって、在宅のほうでも活用できるような患者状態として把握できるような項目をできれば入れていきたいと考えています。
○尾形分科会長
奥委員、どうぞ。
○奥委員
そのアウトカムで患者さんが在宅も含めてどうなるかというところにおいては、115枚目に「患者の状態(ADL等)」と書いてありますが、単なるフィジカルな動きではなくて生活の質のところまで考えられるといいだろうなと思います。
○尾形分科会長
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、そのほか、全体を通しまして、何か御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ほかに御質問等もないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりにしたいと思います。
本日の議題は以上でございます。
次回の日程等について事務局からお願いいたします。
○木下補佐
事務局でございます。
次回の開催は9月19日を予定しております。詳細につきましては、改めて御連絡させていただきます。
○尾形分科会長
それでは、以上をもちまして、令和元年度第6回「診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)」を終了させていただきます。長時間にわたりまして、熱心な御議論をどうもありがとうございました。

 

 

(了)

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