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2017年10月19日 第1回麻しん・風しんに関する小委員会

健康局結核感染症課

○日時

平成29年10月19日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○議題

(1)風しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて
(2)その他

○議事

○野田結核感染症課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第1回「麻しん・風しんに関する小委員会」を開催いたします。

開会に当たりまして、福田健康局長より御挨拶申し上げます。

○福田健康局長 皆さん、おはようございます。健康局長の福田でございます。

委員の先生方には、大変お忙しい中、またきょうは足元が大変悪い中、また遠方からもこの委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

また、日ごろから感染症対策を初めといたします厚生労働行政に御理解と御協力をいただいておりますことを、この場をかりまして厚く御礼申し上げたいと思います。

御承知のように、これまで麻しんと風しんに関する特定感染症予防指針、これを作成・改定するためには、麻しんに関する小委員会と、それから風しんに関する小委員会、それぞれ別個に開催しておったところでございますけれども、このたび、効果的・効率的な審議を行うために、両委員会統一いたしまして、「麻しん・風しんに関する小委員会」という形で設置することといたしました。

風しんにつきましては、かつて、国民の多くの皆様が、自然に感染する疾患であり、5~6年ごとに全国的に大きな流行を繰り返してきたところでありますけれども、予防接種の進展とともに、患者数は大幅に減少してまいったところでございます。最近では、平成24年に首都圏や関西地方などの都市部におきまして、多くの患者数が報告されました。その後、患者さんの数というものは減少傾向にございますが、風しんの排除とその維持に向けまして、中長期的視点に立った風しん対策を進める必要があると認識しております。

今回の小委員会では、まずは風しん排除に向けました対策につきまして、先生方に御審議をいただきたいと思います。御参加の先生方におかれましては、今後の風しん対策に向け活発な御議論をいただきますよう、重ねてお願い申し上げまして、御挨拶といたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○野田結核感染症課長補佐 続きまして、委員の皆様の御紹介をさせていただきたいと思います。

大石委員長でございます。

中野副委員長でございます。

平原委員でございます。

多屋委員でございます。

館林委員でございます。

竹田委員でございます。

高橋委員でございます。

釜萢委員でございます。

なお、委員に入っておられます山中委員、また調委員につきましては、御欠席と御連絡をいただいております。

委員長につきましては、感染症部会長及び予防接種基本方針部会の部会長より、大石先生を御指名いただいております。また、副委員長につきましては、大石委員長の御指名により、中野委員にお願いをしております。

続きまして、本日の委員の出席状況を御報告させていただきます。本日は、先ほども述べましたように、山中委員、調委員より御欠席の御連絡をいただいております。

定足数を超えておりますので、御報告させていただきます。

続きまして、審議参加について御報告を申し上げます。本日参加された委員及び参考人の方々の過去3年度の関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況につきまして御申告をいただいております。本日は、風しんに関する議論がある予定でございますので、申告いただいたものを御報告いたします。

中野委員より、薬事承認等の申請資料等の作成に関与されたとの御申告がありました。したがいまして、審議及び決議時には、中野委員には御退席をいただくことになります。このほかには、審議や決議に不参加となる基準の該当の方はおりませんでした。

なお、寄附金等で御申告いただいた内容につきましては、後日、ウェブサイト上で公開させていただきます。

続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第のほか、資料1から資料5、参考資料1から参考資料7を御用意しております。

不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力をよろしくお願いいたします。

以降の議事運営につきましては、大石委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○大石委員長 了解いたしました。

それでは、委員の皆様方には議事次第をごらんいただければと思います。「風しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて」と「その他」という2点がございます。資料1「麻しん・風しんに関する小委員会設置要綱」、まずは、この資料1の要綱について事務局のほうから御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○高倉結核感染症課長補佐 資料1をごらんください。こちらが麻しん・風しんに関する小委員会、当委員会の設置要綱でございます。「1.設置の趣旨」「2.委員」「3.その他」となってございますけれども、「1.設置の趣旨」につきましては、麻しん対策については、現在、排除の認定を受けて、排除の状態を維持している状況にございますが、風しん対策につきましては、平成32年までに風しんの排除を達成するということを目標にして各種の施策を推進している状況でございます。

 これらの指針は少なくとも5年ごとに再検討を加え、必要があると認めた場合には変更するということにされております。麻しん排除の維持及び風しんの排除達成のためにさらなる対策の実施に向けて、麻しん・風しんの発生動向や科学的知見を踏まえたこの予防対策指針の再検討を行うために、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会及び感染症部会のもとに、この麻しん・風しんに関する小委員会を設置するということでございます。それに伴いまして、従来の麻しんに対する小委員会及び風しんに対する小委員会は廃止となります。

 委員につきましては、公衆衛生、疫学、ウイルス学、臨床医学及びこれら関連分野の専門的知見を有する者から選定するということになってございまして、委員長は感染症部会長及び予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会長の指名によるものといたしております。

 委員長は副委員長を指名できる。

必要に応じて参考人を招致することができるとしております。

 その他につきましては、本委員会の議事は、原則、公開といたします。

委員会の庶務につきましては、厚生労働省健康局結核感染症課が行うことといたします。

その他小委員会の運営に必要な事項は、委員長が定めるものといたします。

 設置要綱については以上でございます。

○大石委員長 ありがとうございました。

この要綱につきまして、委員の皆様から御意見、質問はございますでしょうか。

 それでは、ないようですので、資料2及び資料3、「風しん排除認定に向けた取組について」及び今後の小委員会の進め方の案について、事務局のほうから御説明いただければと思います。

○高倉結核感染症課長補佐 それでは、資料2をごらんください。こちらが「風しんの排除認定に向けた取組について」の説明でございます。

 現行の「風しんに関する特定感染症予防指針」は平成26年に告示されておりますが、その中に、平成32年までに風しんの排除状態を達成するということを目標といたしております。

排除状態達成の確認には、現在既に排除が認定されております麻しんと同様に、風しんにおいても、全ての発生例に対する積極的疫学調査や8割以上の症例に対する遺伝子検査の実施が必要でございますけれども、実施率が低いというのが現状でございます。

 近年は、風しんの発生報告数は減少してきておりまして、年間100件程度ということになってございますけれども、そのような減少に伴いまして、全発生例に対する積極的疫学調査や遺伝子検査の実施が物理的に可能な件数になってきたと認識しております。

WHOでは、麻しんと風しんは共通のサーベイランスシステム、そして混合ワクチンを使用して対策するものでございますので、排除戦略につきましては、麻しんと風しんを合わせて推進することが推奨されております。

 このような状況を踏まえまして、本年の6月19日に第21回感染症部会、そして9月の予防接種基本方針部会におきまして、下に示したような方針が承認されました。この方針をまとめたものが下の表になってございますけれども、右手の麻しんのところですね。現在、排除が認定されているものでございますけれども、それと現在の風しんの状況の相違点を表にまとめたものでございます。

 3点違った点がございまして、積極的疫学調査、麻しんでは1例でも発生すれば実施となってございますが、風しんでは集団発生時にのみ実施という形になっております。

 2番目はサーベイランス、発生時の対応についてでございますけれども、右手、麻しんは届出は「直ちに報告」ということになってございますが、風しんでは「7日以内に報告」ということになってございます。

 3点目が遺伝子検査でございまして、麻しんでは、「原則として全例実施」となってございますが、風しんに関しては、「可能な限り実施」という形になってございます。

 この3つの相違点がございますので、この麻しんと風しんの相違点を、現在既に排除認定されております麻しんと合わせるような形で改定することにより、排除状態の達成ということを目指していくと、必要な改正を行うと、そのような方針が感染症部会及び予防接種基本方針部会で承認された事項でございます。

 それに従いまして、今後、麻しん・風しん小委員会について、資料3に示すように議論を進めて、必要な予防指針の改定を行っていくという方針でございます。

 1枚めくっていただきまして、資料3をごらんください。こちらが「麻しん・風しんに関する小委員会の進め方(案)」でございます。本日の第1回では、風しん排除に向けた必要な事項、先ほどの資料2で御説明申し上げたような、その資料について、この風しんに関する特定感染症予防指針の改定案の議論を行うということでございます。

 この議論を踏まえまして、今年中に風しんに関する特定感染症予防指針の改定を告示するということを目標としております。

 第2回以降につきましては、時期は詳細には未定でございますけれども、めどといたしまして、平成30年の1~2月に第2回、3~4月に第3回、5~6月に第4回という計画としておりますけれども、第2回目以降につきましては、麻しんに関する予防指針が平成30年に前回改定より5年が経過いたします。そして、風しんは平成31年に、同じく前回改定より5年経過いたしますので、改定後の麻しん対策及び風しん対策を総覧いたしまして両指針を同時に改定する、それを行うための議論を第2回で開始しまして、第3回、第4回と議論を行いまして、平成30年度中に麻しんに対する予防指針及び風しんに対する予防指針の改定について告示することを目指すものでございます。このような形で、この麻しん・風しんに対する小委員会を進めてまいりたいと考えております。

 事務局のほうからは以上です。

○大石委員長 御説明ありがとうございました。

資料2及び資料3について、これから委員の皆様方からの御意見、コメント等をいただきたいと思うところですけれども、資料2、3をまとめて言うと、資料2では、風しんの対策、検査の積極的疫学調査、サーベイランスの体制を麻しんと同じにするということを方針として、これは既に感染症部会、そして基本方針部会でも認められた内容であると。そういうことで、本日は、第1回目の会議を開くわけですけれども、この点について、まず第一段の改定を目指して議論をする。とりわけ、その検査体制、サーベイランス体制、こういったところを議論するというのが第1回目の会議であると。で、2回目、3回目、4回目と、4回の会議を踏まえた上で最終的な特定感染症予防指針の改定につなげていくということであろうと思いますが、皆さんのほうから御意見、御質問をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

○中野副委員長 1点、確認事項ですけれども、お尋ねさせてください。

 風しんの全例報告でございますけれども、先天性風しん症候群も診断された時点で直ちに報告という理解でよろしいかどうか、一度確認しておきます。

○高倉結核感染症課長補佐 先天性風しん症候群に関しましては、直ちにではなく、今回の改定では含まれず、従来どおりとさせていただきたいと考えております。

○大石委員長 従来どおりといいますと、診断について1週間、7日以内ということですね。

○高倉結核感染症課長補佐 7日以内ということでございます。

○大石委員長 私から竹田委員に、ウイルス学的な点でちょっと質問なのですけれども、麻しんと風しんはウイルス性疾患で近似したウイルスとは思うのですけれども、実際、検査診断、PCRとか、あるいはシークエンスを行うに当たって、その難易度について違いはないものでしょうか。ウイルス学的な見地で御説明いただければと思います。

○竹田委員 PCRの検出は、風しんウイルスのほうが少し難しいと思います。あと、ウイルスとしては、RNAウイルスという意味では似ていますけれども、プラス鎖、マイナス鎖という意味でウイルスとしては大分性質の違うものです。検出ははしかより難しいですけれども、その辺は感染研のほうでより感度の高いものを、検査のしやすいものを今後も開発していきたいと思っています。

○大石委員長 もう一つ、シークエンスも同様ですか。

○竹田委員 はい。うまく増幅できればその先はそんなに難しくないですけれども、若干風しんのほうが解析しにくいです。

○大石委員長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

○多屋委員 すみません。本質的なところではなくてすごく細かいところですけれども、資料2の「背景」の一番上の○の目標の部分ですが、特定感染症予防指針では、早期に先天性風しん症候群の発生をなくし、そして平成32年度までに排除をするとなっていたと思います。資料1のほうは平成32年度となっているのですが、細かいですが、3カ月ぐらい違うので、こちらはどうかと思いました。

○大石委員長 CRSの排除について。

○多屋委員 排除は風しんなのですが、平成32年度までに排除だったと思います。

○大石委員長 それはどうでしょう、事務局。

○高倉結核感染症課長補佐 32年度でございます。失礼いたしました。

○大石委員長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。

○中野副委員長 すみません。最初の会議というところで、委員含めてみんなで知識を共有しておくために、竹田委員に御教示いただきたいのですが、つい4年前も風しんの流行があったわけですけれども、そのとき流行していた、土着と呼ぶのかどうかはちょっと私もわからないですが、大体ウイルスのプロファイルというのはもう決定というか、確定されているのでしょうか。

○竹田委員 実際の患者さんのうちからウイルスが検出されている症例というのはそんなに多くないので全体の把握はできておりませんが、どういう株が流行してきたかということは大体把握できております。ただ、風しんウイルスのほうは、はしかウイルス以上に入れかわりが早いようで、常に新しいウイルス株が見られるような状態です。

○大石委員長 よろしいでしょうか。

○中野副委員長 はい。

○大石委員長 ほか、よろしいでしょうか。

特にございませんようでしたら、資料3の会議の時期というのは多少ずれる可能性もあるかもしれませんが、こういった資料3にある方針で進めていくことになると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

そうしましたら、資料4、5、風しん排除の定義について及び風しんに関する特定感染症予防指針の改定案について、事務局のほうから御説明いただければと思います。

○高倉結核感染症課長補佐 事務局より説明させていただきます。資料4をごらんください。

 こちらは、風しん排除の達成に向けまして、まず定義の確認ということでございますが、資料4の1ページ目に示してございますものはWHOが提示しているもので、真ん中の「風しん排除の定義」、WHOの文書の原文では「Endemic rubella virus transmission」となってございまして、「風しんウイルスの土着性の感染伝播が、ある地域や国で12カ月以上認められないこと」及び「質の高い動向調査の仕組みの存在下で風しんウイルスの土着性の感染伝播による先天性風しん症候群の事例は認められないこと」、以上が風しん排除の定義ということでございます。

 土着性の感染伝播という言葉が出てまいりましたが、これは従来、土着株の感染伝播というような表現がされることが多かったのでございますけれども、真ん中の囲みの中ほどに書いてございますが、土着株というのに厳密な定義というのはございませんで、土着性の感染伝播と言われる状況、状態、そのような形式の感染伝播を起こしているウイルス株が便宜上土着株と表現されているという事情がございます。

 ですので、この土着性の感染伝播というもの、これは後ほどまた補足いたしますけれども、これがないことを証明する必要があるということになります。土着性の感染伝播が断ち切られた後でも、先天性風しん症候群に関しましては、妊娠期間中などのタイムラグが存在しますので、先天性風しん症候群、CRSに罹患した児というのは産まれ得るのですが、その後、出生後12カ月程度はウイルスを排出するということですので、CRS事例からの持続的な感染伝播がないということもあわせて証明が必要になってくるというものでございます。

 以上の風しん排除の定義というものを踏まえますと、風しん排除の認定要件というのは、「土着性の感染伝播による風しんの事例」が最後に認められた後に、36カ月以上、すなわち、風しん排除の状態が3年以上ということになりますが、それがないことを証明するということになりますし、2番目としまして、国内事例・輸入事例の発見に十分な感度と特異度を持つ質の高い動向調査の仕組みが存在すること。そして3番、「土着性の感染伝播」が断ち切られたことを示す遺伝子型上の根拠の存在、この3つが風しん排除の認定要件という形になります。

 先ほどの「土着性の感染伝播」というものを補足するために作成いたしました資料が資料4の2ページ目でございます。事例をX1からX7まで、このような時系列的な順序で発生したと仮定いたしまして、おのおのの症例につきまして、積極的疫学調査等で疫学的なリンクが海外の事例に紐付けされるかどうかというものが調査される形になります。

 その結果、リンクが不明な場合、あるいは国内で伝播したであろうとしか想定できないような事例、あるいは海外例とのリンクが証明できる事例といったものに分かれるかと思います。

 同じように、遺伝子型の分析というものも行われます。遺伝子型という言葉に関しましてもちょっと追加で補足ですけれども、*印がついてございますが、この図の一番下に書いてございますように、従来の遺伝子型別よりも詳細な遺伝子配列解析によるクラスターによって分類されたものを含めて遺伝子型とこの資料の中では御説明させていただきます。

 と申しますのも、風しんの遺伝子型というのは余り細かく分けることができずに、同一株かそうでないかという分別が、従来といいますか、現状慣例的に使われている意味での遺伝子型というものとは、若干程度と申しますか、その分別の細かさが違ってまいりまして、旧来の1Eとか2Bとか、そういう形の遺伝子型のみではこの分別が不十分であるということでございますので、それで、より詳細な遺伝子配列解析によるクラスターのレベルまでの分別も含めて、ここでは遺伝子型ということで図示させていただいております。

 そちらも、各症例につきまして実施される形になるわけでございますけれども、そのような状況で、X1X2X3の事例の場合は、疫学的リンクが不明であったり、遺伝子型の分別的に国内での伝播が否定できないというような状況にそれぞれなります。土着性感染では、ETの判別の考え方の下のほうの丸囲みのところを見ていただきたいのですが、このような判別の考え方になりますと、X1からX3に関しましては土着性の感染伝播がありと考えなければならないということになります。

 一方、X4からX6につきましては、疫学リンクによって海外例と紐付けができる、あるいは、遺伝子型的に国内での伝播が否定できるという形になりますので、X4からX6につきましては、土着性感染伝播、ETではないということが判定できる形になります。

X7のような、疫学リンク、あるいは遺伝子型、どちらも不明というのが生じました場合には、それぞれ両者が不明なために、厳密には土着性の感染伝播の可能性が否定できないというようなことになってまいりますので、このX7のような事例が生じた場合には、その時期であるとかタイミング、あるいは疫学調査の状況などを踏まえた上で、麻しん・風しん排除認定会議にて最終的な事例の判定を行うという形になってまいります。

 原則的に、X4からX6のように、疫学リンク、あるいは遺伝子型別、このどちらかがはっきりとわかれば、土着性の感染伝播であるかなしやといったものが判別できるわけでございますので、このようなX4からX6の状態を目指す形で、積極的な疫学調査や遺伝子検査というものを徹底していく必要が、この排除の認定のためには必要になってくるということでございます。

 これらを踏まえまして、3ページ目、「日本における風しん排除」。これは先ほど御説明いたしましたWHOの定義によるところではあるのですが、日本において風しん排除を達成するために、証明するために、この必要な要素といたしまして、繰り返しになりますけれども、風しんと診断した場合に直ちに届出をするということ、一例でも発生したら積極的疫学調査を行うということ、そして、全例に遺伝子配列の解析を含むウイルス遺伝子検査を行うということ、この3つの要素を満たすことにより、我が国におきましても風しん排除状態というものが達成、証明できるかと考えているところでございます。

 この証明に必要な要素の第1番目の、診断した場合に直ちに届出するというものに関しましては、感染症法の規定がございますので、現在は感染症法の施行規則を改正手続中の状況にございます。

 2番目の積極的疫学調査と3番目のウイルス遺伝子検査、こちらが今回御議論いただきます予防指針にかかわる部分でございます。今のページの下のほうに、この手順と申しますか、これを模式図的に示しておりますが、直ちに届出をすることによりまして、積極的疫学調査が効率的・効果的に行える形になりますし、検体が適切なタイミングで採取できることにより、ウイルス遺伝子検査を全例で行うことが可能になっていくということでございまして、この3点の改正によりまして、全例が海外感染例、または海外感染例と疫学的リンクがあることを証明すること及び全例で、既国内感染例のウイルス株との遺伝子型と一致しないことを証明することによって、土着性の感染伝播のない状況というものが証明できるようになるという考え方でございます。

 以上の風しん排除の定義につきましては、麻しん・風しん排除認定会議のほうでも、この定義や考え方については御承認をいただいているところでございます。

○大石委員長 高倉補佐、ちょっと提案なのですけれども、資料4について、ここで一度切って御意見とか質問を受けてはどうでしょうか。そっちのほうが進めやすいのかなと思いますが、よろしいでしょうか。

○高倉結核感染症課長補佐 わかりました。お願いいたします。

○大石委員長 資料4の説明はこれでよろしいですか。これで終わりですね。

○高倉結核感染症課長補佐 資料4につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。

○大石委員長 そのようなことで、風しん排除の定義についてと、そして土着性の感染伝播の考え方ですね。複雑なところもあるのですけれども、あと、日本における風しん排除の戦略的な方針、こういったことについて御説明いただいたと思いますが、委員の先生方のほうから質問、コメントがございましたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

○館林委員 素人でよくわからないので確認させていただきたいのですけれども、この土着の感染伝播というのは、一例でも、国内で持ち込まれたのか、不明な由来なのか、わからなかったとしても、国内で感染者の人が別の人に感染させた場合は土着の感染伝播があったという理解でいいのですか。

○高倉結核感染症課長補佐 最初の症例が国外かどうかわからない状況で、その方が国内でほかの方に感染させたらということでございましたら、土着性の感染伝播ということになります。

○館林委員 あともう一点ですけれども、遺伝子型の検査が不明ということが時々あるのですけれども、技術的にはどのぐらい実際に患者さんから遺伝子型を検査してわかるものなのですか。

○大石委員長 竹田委員、お願いいたします。

○竹田委員 お答えさせてもらいます。

患者さんの急性期に臨床検体がしっかりとられればかなり検査で検出することはできると思います。作業としてはそれなりに大変な作業なので、患者数が多くなってくるとさすがに自治体でも対応できないので、そういった意味で、患者数をふやさないという取組が一番重要かと思います。

○大石委員長 いいタイミングでサンプリングするということが1つ重要なポイントで、あとは技術的な、地衛研もしくは感染研での検査の問題であるということですね。よろしいでしょうか。

 ほかはいかがでしょうか。

 釜萢先生、どうぞ。

○釜萢委員 今、資料4の御説明で大体理解はできたのですが、この下の部分の、最後に認められた後36カ月以上という根拠は、その上に書いてある、例えばCRS等のことを考慮することなのだろうと思いますが、確認で、36カ月の根拠についてもう一度教えてください。

○大石委員長 事務局、よろしいですか。

○高倉結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

こちらは、排除の状態というのは12カ月間続くというのが排除の状態でございますが、こちらが一定期間続いていないと、WHOによって国際的に排除を認定するということはできない。すなわち、排除状態というのは12カ月継続することを意味しますが、排除状態、排除を認定するとなると36カ月必要だと、これはWHOのほうが定めているというものでございます。

○大石委員長 中野委員、どうぞ。

○中野副委員長 資料4の2ページ目の土着性の感染伝播判別の考え方のX6について、ちょっと御質問です。もしかすると、本委員会ではなくて排除認定委員会のほうでお決めいただいたらいいことなのかもしれませんが、X6の一番下の四角の文章として、以前にETを起こしてない株、この「以前に」というのを、何カ月とか、6カ月とか、おおむねの目安をある程度前もって吟味しておくほうが、排除できているかどうかを決定する上で必要かなと思いました。なぜなら、現在、排除が達成されている麻しんにおいても、その遺伝子型がどれだけ続いているか、割と難しいかなと思ったりもいたします。

 風しんは臨床診断が麻しんより難しいと思いますので、たとえ潜伏期間が2週間であっても、一人の患者さんから一人の患者さんに伝播したというところではっきりしない場合、患者さんが報告されずに、間に誰か入って、次の患者さんが出た場合というのがあるので、そこを前もってある程度整備しておくほうが、ETがないということを証明するのに有用なのではないかと思って発言させていただきました。

○大石委員長 いかがでしょうか。

○高倉結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

そのような判別、判定に若干議論が生じるようなところに関しましては、排除認定会議のほうで議論した上で判定したいと考えております。

○大石委員長 結構いろんなパターンがありそうで、議論が難しいのではないかなという気もします。ほかはいかがでしょうか。

 平原先生。

○平原委員 ちょっと質問なのですけれども、海外から例えばある人が風しんを持ち込みましたと。職場内で流行させましたと。その流行した風しんがまた家庭に持ち帰って奥さんにうつりましたと。奥さんがまた別の職場へ行ってうつしましたというのは、紐付けできている限り、どこまで広がっても海外からの感染例という形でよろしいのですか。

○高倉結核感染症課長補佐 それはそのような形、最終的にひもづけられれば、海外例とリンクがある症例という形で判定されることになります。

○大石委員長 竹田先生、どうぞ。

○竹田委員 補足させてください。海外から持ち込まれて感染伝播していったときに、WHOの言っている定義としては、その伝播が12カ月を超えた段階で土着性という判断に変わるということになっています。

○大石委員長 コメントありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。

 私のほうから1点確認ですけれども、資料4の1ページの「風しん排除の定義」の真ん中の枠の一番下のところにある、CRSに罹患した場合にはウイルス排出があると。そして、そういうCRS事例からの持続的な感染伝播がないことの証明が必要であると。こういう事例については、少なくとも2012年、2013年の45症例の解析の中では、ウイルス排出は1年以上続いた事例があったかと思うのですけれども、感染伝播が起こったという事例はなかったと記憶するのですが、過去にはそういった事例、あるいは文献的にはあったのでしょうか。

○高倉結核感染症課長補佐 具体的には我々はちょっと関知しておりませんが、これはWHOのドキュメントの記載をそのまま訳したものでございます。

○大石委員長 国内の状況としては、直近のデータではCRS患者からの感染事例はなかったということは確認しておきたいと思います。

○高倉結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

○大石委員長 ほかはございませんでしょうか。

 どうぞ。

○館林委員 やはりまだちょっとよく理解できないので、すみません。12カ月以上流行があったとしても、同じ感染源の人からずうっと広まっていれば、1年以内に流行が終われば、それは土着性の感染伝播でないという理解なのですね。

○高倉結核感染症課長補佐 おっしゃるとおりでございます。

○館林委員 それは何人とか、この前の感染のときみたいに、すごい大量に感染しても、それが1年以内におさまっていれば土着性の感染伝播と言わないと。

○高倉結核感染症課長補佐 はい。定義上そのようになっております。

○館林委員 その場合は、すごい大量に感染者が発生したとするのと、CRSが出る出ないというのは何か関係があるのですか。

○高倉結核感染症課長補佐 それは確率的と申しますか、多数の感染者の中に妊娠されている方がどれだけ含まれるかということによって、最終的にはそのCRSの方が発生するかどうかというのは決まってくるものということになるかと思います。

○館林委員 そうすると、CRSの方がもし一人でも新たにお産まれになった場合は、排除の対象の定義には満たさないという理解なのですね。

○高倉結核感染症課長補佐 土着性の感染伝播によるCRSの事例が認められないことということですので、それでない、仮に海外で感染された、あるいは海外例とリンクのある方からの感染でCRSの方が発生したという場合には、この排除の定義、排除状態、その1例でもって排除ではないということにはならない、そのような理解になるかと思います。

○館林委員 わかりました。

○大石委員長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 ほかはございませんでしょうか。

 ないようでしたら、資料5の説明に入っていきたいと思います。事務局のほう、よろしくお願いします。

○高倉結核感染症課長補佐 続きまして、資料5をごらんください。「風しんに関する特定感染症予防指針 新旧対照表(案)」でございますけれども、右側に現行の予防指針、左側に今回の改正案を示してございます。

 今回改正するポイントにつきましては、5ページ目、6ページ目、7ページ目が該当いたします。5ページ目をまずお開きになっていただきますと、項目は「三 風しん及び先天性風しん症候群の届出」に関するところの記載でございますけれども、右側の現行の指針におきましては、風しんを診断した医師の届出については、7日以内に行うということにされておりまして、その下に、必要性に鑑みて可能な限り24時間以内に行うという形になってございまして、さらにその数行下ですけれども、風しん患者が集団発生した場合等の感染対策の必要性に応じて、地方衛生研究所での遺伝子検査を実施のための検体を提出するというような形が現行の指針になってございます。

 こちらを、先ほど申し上げましたように、「直ちに届出する」という形に改正いたしたいということで、左の列、改正案のほうをごらんになっていただきますと、届出については、法第十二条に基づき、診断後直ちに行うということといたしたいと考えております。

 そして、現行の指針での、5ページ目の2番目のパラグラフに続くわけですけれども、ここで我が国における風しん患者の発生数が大幅に減少したことを踏まえてという形で続く形になりまして、現行の指針の、可能な限り24時間以内というところから、集団発生した場合にウイルス遺伝子検査を行うといったような記載は削除するという形でございます。

 そのほか、改正案につきましては、原則的に全例でウイルス遺伝子検査をする形に改正することを踏まえまして、「風しんと診断された場合には、風しん(検査診断)への届出の変更を求めることとし」という文言を改正案の5ページ目の中ほどに挿入する形になります。

 5ページ目、右手の現行指針の下のほうに「都道府県は、届出が取り下げられた場合は」という文章がございますが、こちらに関しましては、本来、「都道府県等」というのが正しい表現でございましたので、改正案のほうでは「都道府県等」と、ここは訂正という形で改正を考えております。

 続きまして、6ページ目の項目「五 風しん及び先天性風しん症候群の発生時の対応」でございますけれども、こちらが積極的疫学調査にかかわる記載の部分でございます。現行指針におきましては、「地域で風しんの流行がない状態において、風しん患者が同一施設で集団発生した場合等」という限定的な文言がございましたが、改正案につきましては、こちらを「風しんの患者が一例でも発生した場合に」という形に変えるというものが今回の改正案でございます。

続きまして、7ページ目の項目「六 ウイルス遺伝子検査等の実施」でございますけれども、現行の指針では、「可能な限りウイルス遺伝子検査等を実施する」ということになってございます。そして、ウイルス遺伝子検査が従来の指針では必ずしも全例でなかったということから、この項目六の最後の文章が若干入り組んだ形と申しますか、「地方衛生研究所が実施した場合は、可能な限り、国立感染症研究所に報告する、又は一般に公表することとする」。国立感染症研究所がやるべきことが、現行指針ではこのような規定がございます。

こちらが、改正案におきましては、「原則として全例にウイルス遺伝子検査を実施する」という形になりますので、その解析の結果が国立感染症研究所に報告される形になりますから、その六の後半の文章も、「国立感染症研究所は、解析されたウイルスの遺伝子情報を適切に管理し、流行状況の把握や感染伝播の制御等に役立てることとする」という簡略化した記載に変える形になります。

以上、御説明いたしました5ページ目、6ページ目、7ページ目の3カ所が今回の改正によって、一例でも発生したときから積極的疫学調査を実施するということと、原則、全例に対してウイルス遺伝子検査を実施する、及び、こちらは省令の改正に伴いますけれども、届出を7日以内から「直ちに」に変更するというこの3点を反映いたしました改正案でございます。

事務局からの説明は以上でございますが、1点、事務局からお諮りしたいことがございます。冒頭にございましたように、中野委員につきましては、COIの関係がございますので、議決時には御退席いただくことといたしますが、中野委員より御意見をいただくことに関しましては、委員の皆様に御確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

事務局からは以上でございます。

○大石委員長 どうもありがとうございました。今、御説明がありましたように、この指針を、とりわけ積極的疫学調査、届出、そして検査診断、この部分について、まずは改定した上で、また小委員会のほうでその後の審議をして全体像を改定していくという進め方でいこうということで、今回かなり絞られた部分だけの改定の案をお示しいただいたところであります。

順に資料に従って進めていきたいと思いますけれども、まず、5ページの。

○高倉結核感染症課長補佐 委員長、すみません。事務局からですが、先ほどちょっと申し上げましたように、中野委員から御意見をいただくことにつきまして、委員会としての御承認をいただければと思います。中野委員には、議決のときには席を外していただきますけれども、この場で御意見をいただくことに関しまして、委員会として御承認をお願いいたします。

○大石委員長 すみません。そういった進め方だそうですが、委員の先生方、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大石委員長 どうもありがとうございます。どうも失礼しました。

 そういったことで、各修正点について議論を進めていきたいと思います。

 まず、5ページ目の修正、第二の三の「風しん及び先天性風しん症候群の届出」に係る文言の修正について議論をしたいと思いますけれども、この部分で御意見がおありになる方はおられますでしょうか。いかがでしょうか。

 よく練られている内容だと思いますので、特にないようです。

 1点、この指針の改定ということに特には関係ないのですけれども、第二の三の一番下のところに、「感染研において、風しん及び先天性風しん症候群の届出の手順等を示した手引きの作成を行う」ということがありますけれども、恐らくこれは2015年に改定したものが今準備されているのですけれども、ここも手引きを変えていく必要があろうかと思っています。この指針の修正ではございません。よろしいでしょうか。

 では、次に進めさせていただきます。6ページの第二の五の積極的疫学調査の記載について御意見をいただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

 中野委員、どうぞ。

○中野副委員長 積極的疫学調査について質問させてください。先ほどもちょっとCRSのことに触れましたけれども、妊婦さんが風しんと診断されずに、CRSのお子様がお産まれになることがあるかと思います。その場合に、積極的疫学調査というのはきっと、お産まれになったCRSのお子様の感染源はお母様でございますので、半年以上さかのぼったところでお母様の感染が起こっているわけでございますね。そういたしますと、先ほどの土着の感染が1年以上続いている、続いてないとか、いろんな排除の定義ともかかわってきますので、この積極的疫学調査に関しまして、妊婦が診断されずにCRSのお子様が産まれたときに、母の積極的疫学調査を半年以上さかのぼって可能なのかどうなのかの理解はいかがでしょう。

 というのは、適切なサーベイランスを実施したいのはもちろんでございますし、同時に個人情報の保護とかいろんなことにも気を払わないといけないのは大切なことでございますので、その点を確認しておきたいと思います。

○大石委員長 事務局、どうぞ。

○野田結核感染症課長補佐 技術的なことにつきましては専門家の先生方に御意見をいただきたいところだとは思いますが、少なくともまず、より詳細な部分につきましては、先ほども大石委員長からもございましたけれども、ガイドラインのところで記載をしていき、きちんと対応していくということはできるようにしていくべきだと思っています。一方で、半年以上もさかのぼることができるかどうかについては、なかなか状況把握が難しい可能性もございますので、そこはガイドラインをつくるときにもいろいろと委員の先生方の御意見をいただくことが必要かと思っております。

○大石委員長 ありがとうございます。実際には、15条の下に、自治体から感染研に依頼されてFETPが調査するということになりますけれども、調査は実施するけれども、しっかりした情報が得られるかどうか、それはわからないところだと思うのですね。この件はよろしいでしょうか。

ないようでしたら、また次に進めていきたいと思います。7ページの第二の六の「ウイルス遺伝子検査等の実施」について、コメント、御質問ございますでしょうか。

どうぞ、館林委員。

○館林委員 例えば25年に1万4,344人の報告があるのですけれども、これは技術的に全部ウイルスの遺伝子検査はできるという理解でいいのですか。このような大流行が起きたときはどうなるのでしょうか。

○大石委員長 事務局のほう、よろしくお願いします。

○高倉結核感染症課長補佐 ただいまの御指摘に関しましては、そういう大規模な集団発生が生じるというのは恐らく例外的なことであろうと考えておりまして、それで今回の改正案では「原則として全例に」ということの記載になってございますので、今、館林委員から御指摘のあったような状況におきましては、それはこの例外として、またそのときに応じた対処をするという形になろうかと思います。

なお、こちらに関しましては、現在、麻しんの予防指針でも同様の形になってございます。

○大石委員長 よろしいでしょうか。

ほかはございませんでしょうか。

○三宅結核感染症課長 ちょっと先生方にもお伺いしたいのですけれども、今の日本国民の免疫の保有状態であると、前回みたいな、1万4,000例まで広がるというのはほぼ考えられないということで今回は進めるのだと思いますが、そうではないのか、ちょっと多屋先生、御解説を。

○大石委員長 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 感染症流行予測調査事業によりますと、成人男性の中には感受性者はたくさん残っていらっしゃいます。今回、1人患者さんがいた場合にすぐに感染予防対策をすることが予定されています。今まではそういうのがなかったのです。まずすぐに予防対策をすることで、この間のような1万4,000人規模の流行を起こさないようにするというのは大事だと思うのですけれども、それが十分にできないと、今の感受性者のままだと、1万4,000人規模の流行は起こってしまうと考えておかなければいけないと思っています。

○三宅結核感染症課長 そうすると、やはり積極的疫学調査をしっかりやることが本当に非常に重要だし、それをやれば多分大丈夫だけれども、適当にというか、おろそかにするとまだ起こる可能性あるよということ。

○多屋委員 はい。おろそかにするともう十分にあり得ると思います。特に感受性者が多くいるような職場等では十分にあり得ると思います。ただ、積極的疫学調査をすれば絶対流行が起こらないと言うのは難しいのではないかと思います。ぜひ予防対策を一緒に走らせてほしいと思っております。成人男性への対策を一緒に進めていってほしいと思っています。

○大石委員長 2012年、13年の国内の流行については詳細をこれまでまとめてきているところでありますけれども、職域、そして30代、50代の年齢層で伝播が広がったということはあるのですけれども、全国的なレベルでどうしてこう感染が拡大したのかというところは、正直言ってよくわからない部分もあると思うのですね。こういった部分がもう数理モデル等で解析ができればいいのかなとは思っております。

この件に関しまして、委員のほうからは特に追加発言ございませんか。よろしいでしょうか。

どうぞ、事務局。

○三宅結核感染症課長 きょうは地衛研から調先生もいらっしゃってないので、万が一そういう場合には、1万4,000例を各自治体でPCRの検査をするなんていうことはなかなか現実的に無理だと、そのときちゃんとしろよ、厚生労働省という意見が、多分、調先生がいたら出ると思うのですけれども、そういった場合には、もちろん感染研や地衛研の方々と話しながら、何が重要なのか。つまり、疫学的調査とか、抗体を検査したり、どんどん免疫をとるための注射をするということと、それから、PCRでどこの遺伝子型かを一つ一つ丁寧にやると、多分優先順位が全然変わってくると思います。そういった場合にはもちろん、「原則として」という文言部分を適用して、地衛研が過剰な負担になってできなくなる、またはそれによって地方自治体の職員の方々が、本当にやらなければいけない優先順位の高いことができなくなるなんていうことにならないようには、先生方と相談しながらしっかりやっていきたいと思っております。

○大石委員長 三宅課長、どうもありがとうございます。多分、私の理解ですと、地方衛生研究所で実施する、感染研もそうですけれども、リアルタイムPCRとシークエンスとは別個に走らせるのですよね。よろしければ、竹田委員のほうから御解説を。

○竹田委員 リアルタイムPCRのほうが簡便かとは思うのですが、リアルタイムPCRやっているところ、従来のコンベンショナルPCRをやっているところ、自治体ごとに事情が違うので、それとあと遺伝子解析を求めるとリアルタイムPCRでは結果が出せないので、コンベンショナルPCRがどうしても必要になってきてしまうので、やはり流行の状況に合わせて何を求めるのかということが重要かと思います。

 また、WHOのほうでも、疫学的リンクのはっきりしている症例は、特別、検査は求めてないので、流行時に疫学的リンクがはっきりしている症例については、一般的な検査はすべきだとは思いますが、必ずしもウイルスの検出を求める必要はないかと思っています。

○大石委員長 地方衛生研究所ともしっかりコンセンサスを持って進めていければと思います。どうもありがとうございました。

 この7ページの部分の記載については、これ以上御意見ございませんでしょうか。

 どうぞ。

○平原委員 必ずしもこの話とリンクするかどうか難しいのですが、ウイルスの診断をしなさいと。行政がそういう指導をして、疑わしいのだったらしなさいねと言って、して、反応が出てきて、結果が出ましたと言ってくる時間というのは、麻しんに比べると時間がかかるのですか。これは竹田先生にむしろお伺いしたほうがいいかなと思うのですが。

○大石委員長 竹田委員、よろしくお願いします。

○竹田委員 検出がはしかより難しいというのは先ほどお話ししたとおりですが、所要時間については、検出できる場合は麻しんと差はないと思います。

○平原委員 というのは、この間も横浜市であったのは、風しんの疑いといって医師会から一気にアラートがかかって、よく調べたら麻しんでしたとかいう話があったから、違っていたのかな。とにかく、要するに臨床診断で動き始めたら、後でちょっと違っていましたというような話で、要は、一番大事なことは、確定診断を一生懸命しなさいということよりも、いかにアラートをかけるべき時に迅速にアラートをかけて、疑わしきはとにかく動きなさいということが一番肝心かなと私は思うので、遺伝子診断というのが余りに逆にブレーキになってしまうことがないようにしていただきたいなというのが感想でございます。

 以上です。

○大石委員長 竹田委員、どうぞ。

○竹田委員 遺伝子診断は時間がかかると思うのですが、まず、自治体の方々、PCRで陽性か陰性かだけを報告していると思いますので、そういった意味で、そこの部分は迅速かと思います。

○大石委員長 三宅課長、どうぞ。

○三宅結核感染症課長 多分、先ほどの5ページを見ていただきますと、そのことを先生方にも御議論していただいて、こういうことを昔から書いていただいたと思うのですけれども、4行目からですけれども、「病原体を確認することが不可欠であることから、原則として全例にウイルス遺伝子検査の実施を求めるものとする。しかしながら、迅速な行政対応を行うため、臨床診断をした時点でまず臨床診断例として届出を」しろと。その後に、またいろいろ出た場合には「風しん(検査診断例)への届出の変更を求める」ということで、そこの辺のおくれがないように、後出することのないようにということは書いているつもりでございます。この辺で、もしもっとこうしたほうがいいという御意見があればお聞かせいただければと思っております。

○大石委員長 ありがとうございました。平原委員、よろしゅうございますか。

○平原委員 基本的には、私、麻しんの動き方と同じような動きが風しんで起こればかなり大きな違いだろうなと思っていますので、大変すばらしい文章だとは思っております。

○大石委員長 ありがとうございました。ほかはございませんでしょうか。

 本日予定した改定の部分についての議論は大体終了したかと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 そうしましたら、審議に移りたいと思いますので、中野委員には一時退席を、申しわけございませんけれども、よろしくお願いいたします。

(中野委員退席)

○大石委員長 それでは、資料5の改定案につきまして委員の方々の承認をとりたいと思いますけれども、今の案でそのまま承認するということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○大石委員長 承認されたということで進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(中野委員着席)

○大石委員長 中野委員、どうも御協力ありがとうございました。承認されましたので、進めていきたいと思います。

 あと、議題の「その他」というのがありますけれども、これについては、事務局、どうなっておりますか。

○野田結核感染症課長補佐 特にはございません。

○大石委員長 事務的なことで、事務局のほうから何か御連絡ありますか。

○野田結核感染症課長補佐 次回の会議開催につきましては、日程を確定いたしまして、改めて御連絡させていただきたいと思います。

○大石委員長 釜萢委員。

○釜萢委員 きょうのこの予防指針の改定の部分については、皆様の御意見のとおり、これでよろしいと思うのですが、今後、この予防指針をいかにうまくさらに利用していくかという点で申しますと、既にお話が出ている、抗体を獲得していない人たちにどのようにワクチンを接種していくかということが非常に大きな戦略になるだろうと思います。その点について考えますと、MRワクチンの供給が非常に逼迫しておった中で、なかなか法定接種に当てはまらない、定期接種に当てはまらない人には接種ができなかったという状況があります。一方で、既にこの予防指針にすぐれて書かれているのですが、積極的に接種をすべき対象者などもたくさんあるわけですね。そこに今後いかに効率的に予防接種を行っていくかということをぜひ次回以降のこの検討会で取り上げていただきたいと思います。

 まずは、今後のMRワクチンの供給がどのようになるのか、そして、定期接種以外の必要な対象者をどのぐらい見積もって、そして、それをどのような形で接種していこうと今後対策を立てるかということについて、ぜひ議論ができるように資料をそろえていただき、またこの場で皆さんの討議ができるようにお願いを申し上げます。

 以上です。

○大石委員長 釜萢委員、ありがとうございました。次回以降ということでよろしいかと思います。

 あと、1点だけ事務局に確認ですけれども、きょう承認された改定の内容につきましてはいつから有効になるのでしょうか。そこを教えていただければと思います。

○野田結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

今回御承認いただきました内容につきましては、今後、予定といたしまして、感染症部会及び予防接種基本方針部会で御議論いただくという形になります。その上で、パブコメも踏まえまして改正をしたいと思っております。

事務局といたしましては、現在、この関連いたします風しんの届出の関係の省令改正の作業を進めておりまして、それを来年の1日から施行できるような形で進めておりますので、それに合わせて施行できるようにしていきたいと考えております。

○大石委員長 来年の1月1日ということでよろしいですか。

○野田結核感染症課長補佐 はい。可能であればそれに間に合うような形で進めたいと考えております。

○大石委員長 竹田委員、どうぞ。

○竹田委員 今、ワクチンの安定供給の話があったので、少しお願いというか、させてください。

先日の麻しん・風しんの排除認定委員会でも(話題に)出たのですけれども、なかなかMRワクチンの供給量が不足することがあり、また、アウトブレーク時にはとても、いつも(MRワクチンの在庫を持ち接種のできる施設を)見つけることもできないというような状況があります。実際に我々、国家検定を通じて供給にもかかわっておりますけれども、十分量を常に供給するのは、(ワクチン業者においても)いつも自転車操業に近くて、非常に大変なことでして、そういった中で国家検定の仕組みもいろいろ見直し等で変わってきておりまして、国家検定項目の見直しだとか、サマリーロットプロトコールのところとか、いろんな動きがありますので、監視指導・麻薬対策課の先生方ともぜひ意見交換されて、その辺の動きが早く進むようによろしくお願いいたします。

○大石委員長 事務局、よろしいでしょうか。

○江浪健康課予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。

 昨年度におきましては、MRワクチンの安定供給の課題がございまして、関係者の皆様方に大変御迷惑をおかけしたことを申しわけないと思っております。昨年度におきましては、結果としては、予防接種率に関しましては、例年どおり関係者の御努力によって維持できたということでございますけれども、今後の安定供給、あるいは定期接種以外の方の接種が進められるような量の確保、そのために必要な検定も含めた関係課との連携・相談をしっかりと進めていきたいと考えております。また、供給量の見込み等につきましては、また御相談をしながら、この小委員会のほうにも御相談できるように対応を進めていきたいと考えております。

○大石委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、本日はどうもありがとうございました。第1回目の小委員会をこれで終了したいと思います。


(了)

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