ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成29年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会> 平成29年度第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会議事録(2017年9月8日)




2017年9月8日 平成29年度第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成29年9月8日(金)15:00~


○場所

中央合同庁舎第4号館全省庁共用108会議室


○議題

平成31年ばく露作業報告対象物質の選定について ほか

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会を開催いたします。委員の出席状況ですが、吉田委員は所用により御欠席です。

 それでは、櫻井委員に座長をお願いいたします。

○櫻井座長 よろしくお願いいたします。最初に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 本日の資料の確認をいたします。資料につきましては、左上1点止めの資料です。表紙が議事次第です。本日の議題は、「平成31年有害物ばく露作業報告対象物質の選定について」です。その裏面が配付資料一覧です。その次のページからページ数を振っております。資料1「平成31(平成301月~12月集計分)有害物ばく露作業報告対象物質・案件の選定について()」、1ページの資料です。資料2「パブコメによる候補物質の意見提出状況」、34ページです。資料3「平成31年有害物ばく露作業報告検討物質の情報」、5ページのA4横の資料です。

 続きまして、参考資料です。参考資料1「化学物質のリスク評価に係る企画検討会開催要綱・参集者名簿」が78ページです。参考資料2「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」が938ページです。参考資料3「これまでのリスク評価の進捗状況一覧」が3945ページです。参考資料4「表示・通知義務対象物質で、IARCグループ12Bであるが、特化則で規制されておらず、有害物ばく露作業報告が未実施のもの」が4750ページです。参考資料5「平成29年度のリスクコミュニケーションの進め方について」が5152ページです。参考資料6「有害物ばく露作業報告の手引き(平成30年報告版)」が5363ページとなっております。以上の資料で不備等がありましたら事務局までお申し付けください。

○櫻井座長 皆様、資料はお手元におそろいでしょうか。それでは、本日の議事に入ります。本日は、平成31年有害物ばく露作業報告の対象物質を検討するというのが主要の議題ですが、基本的な考え方については、前回第1回の企画検討会で議論しました。この考え方を踏まえて、本年度の物質の選定方針を事務局にまとめていただきましたので説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料1と参考資料2に沿って御説明します。前回の第1回企画検討会において、「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」ということでお示ししております。参考資料29ページの1ですが、「リスク評価対象物質・案件の選定については、これまで国際がん研究機関(IARC)の発がん性指標の高いグループ1から2Bの順に物質を選定するとともに、最近では生殖毒性や神経毒性の高い物質についても選定をしてきたところである。今後もハザード、特に発がん性の高い物質を優先的に選定する原則は変更する必要はないと考えるが、リスク評価の現状を見ると、過年度選定した物質について測定方法の確立が困難なこと、ばく露実態調査対象事業場の確保ができないこと、必要な有害性情報が不足していることのため、リスク評価が進まない物質がかなり見られるところである」という認識を共通にしました。2「このため、今後の選定に当たっては以下のように進めること」として、優先順位と測定手法の開発、一定程度の数量又は広い用途、有害性情報が不足している物質といった点について考慮した上での今年度の選定ということで進めていくこととしました。

 資料1に戻ります。したがって、今回の選定ですが、以下のように進めることとしました。(1)「現在評価中の物質と比べても優先度が高いと考えられる物質・案件に限定する」ということで、参考資料2にありますように、発がん性の考慮、測定手法の開発、一定数量、広い用途があるか、有害性情報がある程度そろっているかという観点から、今回選定をしていきたいと考えております。さらに、(2)「来年度以降に選定すべき物質について、以下のとおり準備を進めること」ということで、ア「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」の2(1)の優先度の高い物質順に、測定手法の開発について委託事業等であらかじめ調査し、開発が困難な物質については選定を猶予する。イ、再告示してもばく露作業報告対象事業所がなく、打切りとなったものがかなりの頻度で見られることから、「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」の2(1)のリストと同じグループの中で、委託事業場であらかじめ一定程度の数量又は広い用途があるものを抽出する。また、有害性情報が不足している物質についても委託事業等であらかじめ抽出するという考え方で、今回進めていきたいと考えております。以上です。

○櫻井座長 ただいま今回の選定の方針について説明がありましたが、何か御質問、御意見がありましたらお願いします。前回既に御議論いただいたことをやや具体化した内容だったと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、ただいまの案を踏まえて、平成31年、すなわち平成301月から12月までの集計分に関する有害物ばく露作業報告対象物質・案件の選定を行うことにしたいと思います。その議論をする前に、募集していたパブコメによる候補物質の御意見の提出状況について事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料2に沿ってパブリックコメントによる候補物質の意見提出状況について御報告します。このパブリックコメントについては、法令改正を行う際のパブリックコメントと異なり、任意のパブリックコメントということで意見募集を行ったものです。募集期間については、検討会が終わった平成29619日から718日までの30日間、意見の募集を行いました。提出件数は5件です。今回、候補物質・案件として上がってきたものは2物質、その他の意見は3件です。

 候補物質・案件ですが、1件目は、1-ブロモプロパンに関する意見がありました。その他の意見でも1-ブロモプロパンに言及されているところがありますが、1-ブロモプロパンについて1つ意見を出しております。理由ですが、「リスク評価候補物質は、化学品の持つ危険有害性データと実際に取り扱われる作業内容においてばく露量を考慮すべきと考えている。しかし、その前提となる危険有害性データである日本産業衛生学会勧告値や米国のACGIHなどの産業医学の専門家から非常に厳しい許容濃度勧告値が出ているにもかかわらず、日本においては管理濃度すら設定されていない1-ブロモプロパンは大きなリスクがあると考える。PRTR法により一定量使用する需要家からの移動数量は掌握できたとしても、安衛法には非該当では全く意味がないのではないか。1-ブロモプロパンは、国内においては産業洗浄分野で塩素系溶剤代替として採用が加速されたが、医学的に警鐘がなされており、早急なリスク評価と管理濃度設定が急務と考える。需要家の化学品の選定要件は、法規制対象外が優先条項であり、安衛法非該当という大きな看板によって様々な対応が不要になることが、すなわち安全、そして安心だとした考え方につながっている」という意見です。

 この1-ブロモプロパンですが、実は既にリスク評価対象物質として列挙されており、今後ばく露実態調査を実施することとしていることから、新たにリストに加えることにはしないものになります。既にリスク評価対象物質ということで、有害物ばく露作業報告も受けている物質ということですが、このような案件がありましたので報告させていただきます。

 次にフラーレンです。ナノマテリアルで言われているフラーレンです。理由ですが、「フラーレンは、ナノマテリアルのリスク評価の方針(平成2312月、化学物質のリスク評価検討会取りまとめ)において、リスク評価を行うべきナノマテリアルの1つとして取り上げられており、その際に評価スケジュールも想定されている。しかしながら、平成297月現在、そのリスク評価は進んでいない。一方、フラーレンの製造事業者単位では、平成21331日付厚生労働省労働基準局長通達(基発第0331013)「ナノマテリアルに対するばく露防止等のための予防的対応について」等を踏まえたリスク管理を行っており、製造現場においては現時点までに作業者の健康上の懸念や被害等の具体的事例はないと認識している。また、厚生労働省の化学物質リスク研究事業や経済産業省のナノ材料リスク評価等での評価結果を見ても、フラーレンに関しては安全性に関する懸念点は比較的少ないのではないかと考えられる。しかしながら、フラーレンの利用用途が広がりつつある中で、その製造されたフラーレンを利用する事業者からは、より高い安全性を確認するためにも、慢性的に体内にフラーレンが取り入れられた場合の毒性評価、がん原性、及びこれを基にしたリスク評価を求める声が増えてきている。このような状況下、代表的なナノマテリアルの1つと広く社会で認識されているフラーレンについては、当初の予定に従ったリスク評価の実施を提案する。リスク評価は、有害性評価及びばく露評価の観点からのアプローチが必要であるが、フラーレンは有害性評価としての慢性毒性評価、がん原性試験が優先的課題であると考えている。その上でばく露評価の実施を検討してはどうか。さらに、がん原性試験は民間企業では実施することが困難であることから、本リスク評価事業での実施を求めるものである」。このような意見がありました。

 次に、その他の意見が3点ほどあります。1点目ですが、「リスク評価候補物質は、平成27年までは労働安全衛生法施行令別表9記載の物質から選定されていたが、平成28年以降はこの制約がなくなり、状況を満たす物質の中から選択されるように変更されている。調剤や一部の単一物質化学製品中の成分は、労安法、毒劇法、化管法で含有物質を知らせる義務がなければ、ほとんどの事業者は知らせないのが現状である。安衛法では、確かに危険有害性を有する物質は別表9に記載がなくても通知することが努力義務となっているが、実情はほとんど実施されていない。このため、報告作成の実務上、化学品の購入元に含有有無について問合せを実施しているが、購入(製造元)でも更に自社のサプライチェーンをたどるとして、期限までに回答が得られないことがある。候補物質選択の前提として、情報伝達が実施されることを担保することをお願いする。また、担保できないならば、別表第9に記載されていない物質がSDS等に記載されていない場合の取扱いについて指針提示をお願いする」という意見がありました。

 更なる意見です。「産業衛生学会より勧告される許容濃度は、ある種のハザードを有する化学物質について、職場における労働者の健康障害を予防するために定められている。許容濃度を勧告された物質のうち、その許容濃度の値が小さい物質は、リスクが許容される職場環境を実現することが難しく、何らかの対策が必要な物質と考えることもできる。よって、産業衛生学会において低い許容濃度が設定された物質は、職場において健康障害が発生するリスクが高いと考えられることから、このような物質についてリスク評価の優先順位を上げるべきと考える。例えば、規制が予定される2-ブロモプロパンは、許容濃度が1ppmであるのに対し、まだ規制が予定されない1-ブロモプロパンは0.5ppmである。トリクロロエチレンは25ppmであるが、既に安衛法特定化学物質に指定されている。また、他国の化学物質管理制度で、例えば欧州のREACH規則や米国のTSCA等で既に禁止制限が定められた、又はそれが予定される物質についても優先順位を上げるべきと考える。胆管がんの原因物質と考えられている1,2-ジクロロプロパンは、米国で発がん性が指摘されていたにもかかわらず規制が遅れたという報道が過去になされた。現在のリスク評価予定物質である1-ブロモプロパンは、既に欧州では2019年での使用廃止が定められており、米国でも蒸気洗浄の使用を制限する規則が提案されているが、日本では何ら規制が検討されていない。1-ブロモプロパンの日本での主な用途は洗浄用途と推察でき、また欧米と使用法が大きく変わらないと考えられることから、適切に規制がされるべきと考える。その全体の表現の要点として、1)産業衛生学会の許容濃度が低く設定される物質についてリスク評価の優先度を高くすべき、2)海外において禁止又は制限などが置かれる物質であればリスク評価の優先度を高くすべき」という意見です。

 最後です。「化学物質の使用において、法規制がないことが採用の重要なポイントであることは言うを待たない。特に作業環境管理濃度は使用者側にとって採用基準の最たる条件と言える。かつて管理濃度が規定されておらず、ジクロロメタン代替として使用された1,2-ジクロロプロパンの胆管がん事例も記憶に新しい。管理濃度の設定は、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)や日本産業衛生学会等の許容濃度が基準根拠となっている。そのことから言えば、管理濃度が設定されていないが、許容濃度が著しく低い値に設定されている化学物質に関してはリスク評価を優先すべきものと考える。例えば1-ブロモプロパンなどがある。リスク評価優先化学物質として上記基準にて御検討いただきたい」という意見がありました。以上です。

○櫻井座長 ただいま5つの御意見を紹介いただきました。似たものも幾つかありましたが、いかがでしょうか。

○堀口委員 内容ではないのですが、5件というパブコメの件数は、そんなに多い件数ではないと認識しています。この会議の資料がホームページに掲載されることも考えれば、一つ一つに回答するかは別としても、パブコメの意見が出ました、それについて返答を記載しないといけないのではないかと。それは一つ一つを丁寧に回答するものもあれば、全体としてざっくり、この意見はこういう検討会に議論の材料としてもらうために報告しますとか、そういった回答でも構わないと思うので、是非、回答を作成していただければと思いました。

○平川化学物質評価室長補佐 この件については、毎年同じように有害物ばく露作業報告対象物質選定に先立ち、パブリックコメントの意見募集を行っており、その中で実際に有害物ばく露作業報告に入れた物質もあります。その物質が、正に今回ちょうど意見の出た1-ブロモプロパンです。これについては、パブリックコメントの意見で海外の情報として1-ブロモプロパンに発がん性の情報があるということでしたので入れさせていただきました。

 フラーレンについては、この後資料3の中で御報告します。その他の化学物質についても、堀口委員がおっしゃった回答の内容ということですが、ここで報告することによって、是非今後のリスク評価の取組の参考にしていただければということで、今回報告させていただきました。議事録に残る形になりますので、このような形での回答が議事録に載るということで御理解いただければと思います。

○堀口委員 それでは、そのように書いておかないと、意見を寄せた人がどこを見たらいいのかが分からなくなると思いますので、議事録を御参照くださいという一言が掲載のときにあればいいのかなと思いました。

○平川化学物質評価室長補佐 資料等掲載の際に、その辺りの内容が分かるような対応をしたいと思います。

○櫻井座長 今回の御意見は妥当な意見が多いですが、1-ブロモプロパンについては、既にリスク評価候補物質として採用しているということを御存じないのですね。

○平川化学物質評価室長補佐 リスク評価対象物質であることを承知の上で、1-ブロモプロパンのリスク評価を加速化してほしいという要望とも考えられます。

○櫻井座長 フラーレンについては、ちょうど議論の対象とする予定になっております。その他の意見の最初の意見、あるいはその次の意見、特にその他の意見の最初の意見は、別表9に記載されていない物質を取り上げて報告を求めたとき、いろいろな事業者が自分が使っている混合物の中にそれが入っているかどうかを確かめることが困難であるという問題ですね。

○名古屋委員 でも、この後フラーレンが出るのであれば、フラーレンの取扱いはどういう取扱いになるのでしょうか。もともとフラーレンは、ナノマテリアルとしてリスク対象物質である5つの物質の中に入っているわけですね。酸化チタンは終わっていますね。今回はカーボンブラックとナノ銀を実施しようとしているのですが、1年間、残念ながら実施できなくて、今年もどうもできそうにないと。その後には多分フラーレンを実施することになると思うのです。ナノカーボンチューブはリスク評価をやらないと決まっていますね。そうすると、フラーレンは、ナノマテリアルとしてこれから測定を実施しようというものと、これからリスク評価をやろうとするものと、その点の整合性はどう取るのですか。実際にやることが決まっていて、要するにカーボンブラックが終わったらフラーレンのリスク評価をやることになっているわけです。それをあえてここに持ってきた理由は何かあるのですか。

○平川化学物質評価室長補佐 あくまでもパブリックコメントの意見ということで、フラーレンをやってはどうかというのが、平成23年のリスク評価の方針等の過去の内容を見て、フラーレンをそろそろということで御意見が出たものと承知しております。フラーレンの状況を申し上げると、最新のナノマテリアルの情報提供シートで平成27年の製造量が1t未満という数字です。有害物ばく露作業報告の対象ですが、参考資料653ページに書いてありますが、平成30年報告版「有害物ばく露作業報告」の手引には、報告の対象となる物質については年間500kg以上の製造・取扱いがある事業場についての報告ということですので、ほぼ出てこないと考えられます。

○名古屋委員 そうではなくて、本来的には、ちゃんと進んでいれば、フラーレンは今リスク評価を実施しているはずだったのでしょう。それが遅れて実施していないだけの話であって、なぜ、あえてここでもう一度取り上げるのかという話をしているのです。年度から言えば、もともと去年辺りからフラーレンを実施しているはずなのです。それが遅れ遅れになっていて、今は、カーボンブラックの分析方法、測定法も決めて測定を実施しようとしているところです。フラーレンについては、これから分析方法及び測定方法を検討しようとしているところです。ただ、事業としてなのか予算なのかよく分かりませんが、進んでいないだけの話ですよね。やることは決まっていますよね。それを、ここにきてもう一度リスク評価し直すというのは、ナノカーボンチューブみたいに、要するに500kgやっているかどうか一応調査したほうがいいから、あえてここに持ってきてそれを調査する形にしているのか、その扱いがよく分からないので質問しているのです。

○穴井化学物質評価室長 1つは、パブコメに出たので、ここに載せれば、ちゃんとコメントが出て、どういう進捗状況になったかがオープンになりますね。そういう整理のためというのが1つです。

○名古屋委員 それなら分かりました。

○櫻井座長 いかがでしょうか。許容濃度等が非常に低い物質を優先すべきであるという御意見も、ごもっともな点がありますが。

○宮川委員 今の点ですが、確かに一般論としては、許容濃度が低いもののほうがそこまで作業場の濃度を抑えるのが難しいと言えると思いますので、そこに注目するのも1つの考え方ではあると思います。ただ、許容濃度の高低がその物質のハザードの絶対的な高低を示すものではないということが一般に誤解されないように、ある程度の説明というか、ここで議論があって、そこは考えながら、しかし管理は難しいかもしれないという考え方で受け止めておくということを整理しておいたほうがいいような気がします。

○櫻井座長 もう1つ、現実に許容濃度が非常に低い物質をざっと見ると、前からそれは頭の中には入っていたのですが、刺激だけで決まっている物質が非常に多いのです。蒸気又はガス状の物質で、1ppm以下であるようなものをざっと調べてみると、過半数が単に目や鼻に対する刺激がないことを求めるもので、刺激そのものを無制限に許容できないという考えは当然ではあるけれども、毒性の種類としては、より重篤な発がん性、あるいは生殖毒性、中枢神経毒性というところに優先度を置いている点から考えて、そういったものはばく露限界値が低いから、一応今後も常に頭に置くけれども、優先順位としては当面遅れてもやむを得ないだろうと考えております。

 あと低いものは、農薬などが非常にたくさんあります。これはまた農薬としてほかのメカニズムで評価されつつあるわけですが、職場における農薬の取扱いというのも、もちろん大きな問題としてありますから、どこかの時点で。農薬の場合、中枢神経毒性みたいなものが多いですね。あるいは皮膚吸収もありますし、次に問題になるのだろうとは思っておりますが。

○宮川委員 パブコメについて、一般的なことですが、3ページの一番下で「別表9に記載がなくても通知することが努力義務となっているが、実情はほとんど実施されていない」という指摘がありました。また、4ページの一番最後のコメントで、「法規制がないことが採用の重要なポイントであることは言うを待たない」とあります。これは本来は努力義務のものもやっていただくのが筋だけれども、実際はやられていないという声が寄せられてきたと。それから、法規制をすると、まだ毒性があるかどうか分からないようなものに、安易に法規制がないほうに移るという実情もある可能性があるという声がありますので、本来は望ましくないことで、どういうものに法の網を掛けるかを考えるときに、掛けないほう、あるいは努力義務としたところにどういう影響があるかを考える必要があるかなと考えつつ、そのうちのごく一部ですが、リスク評価の対象を選ぶときの考え方としては、頭の片隅に入れておくことも、そういうことを受け止めておくことが重要かと思います。

○櫻井座長 受け止めておきたいという御意見ですね。私も同じような意見です。

○近藤委員 そういう意味合いでは、先ほど堀口委員がおっしゃいましたが、今回パブコメが上がってきて、その結果をこの検討会の席上でどう処理をしたか、どういう見解を世間に公表するか、パブコメに対してそれを回答という形では書かないで、本検討会で検討した結果がそのまま議事録に載るのでいいですよという話だったと思うのです。今回のフラーレンも、資料3の中で4物質上がっていますが、実際にこれをやっていくかやっていかないかは今から話合いがされるということですね。そういう意味では、パブコメの対応はそういう形で対応すると。それと、これからここを検討するということで、分けて話をしないといけないと思いますので、そういう位置付けでよろしいのですよね。

○櫻井座長 そうです。

○丸田委員 パブリックコメントに関して言うと、「意見は意見として承りました。その扱いをどうするか今後検討します」ということになるのかと思いますが、せっかく意見を出していただいた方にしてみれば、それがどのように反映されたのかが分かるようにした方がいいのではないかと思います。今回のパブリックコメントの結果、これはe-Govに掲載されるのでしょうか。それとも厚生労働省のウェブサイトに掲載されるのでしょうか。

○平川化学物質評価室長補佐 これまで行っているパブリックコメントについては、ここの検討会でどういった意見が出たかということを公表して、その内容について議事録や実際に有害物ばく露作業報告の対象に上げるなどの対応をするということで、回答内容を改めてe-Govに掲載するということはこれまで行っていないという状況です。

○丸田委員 できれば、どこにいけば自分たちの意見に対する回答が載っているか、案内だけでもしていただけると有り難いと思います。e-Govならe-Gov本体に書かなくても、リンクを貼るだけでもいいのではないかと思います。

○櫻井座長 それは先ほども同じ御意見があって、事実上ここでの議論は完全にそのままホームページに出ますので、議事録を参照されたいという御返事でもいいかと思いますが、それも可能なわけですね。

○平川化学物質評価室長補佐 そうですね。

○清水委員 匿名でいくのですか。

○平川化学物質評価室長補佐 基本的には、ここではどなたが出したかという具体的なものは出しておりません。

○清水委員 出した人に対して回答はできるわけですね。

○平川化学物質評価室長補佐 基本的にパブリックコメントは個人に回答するという形式ではなくて、回答内容に対して、こういった考え方について行政としてこのような形で対応しますという形で公表しておりますので、個別への回答は行っておりません。

○櫻井座長 その他、何かお気付きの点はありますか。先に進んでよろしいでしょうか。

 それでは、既に若干議論された御意見等も踏まえながら、平成31年有害物ばく露作業報告対象物質の候補物質について具体的に検討したいと思います。事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 事務局より、平成31年有害物質ばく露作業報告対象物質の候補ということで、お示しした資料につきまして説明させていただきます。今回の候補物質の考え方ですが、発がん性の優先ということを中心にまとめさせていただきました。この度、参考資料2にもございますとおり、国際機関における発がん性評価の変更というのが、一部、最新のものがございましたので、そうしたものを中心に今回、新たに掲載させていただいたのと、再告示が1つ、あとパブリックコメントの提案ということで、先ほどお話がございましたフラーレンについての検討を進めてまいりたいと思います。

1番、2番ですけれども、これはIARC119というのが最新の勧告で出ていて、そこで新たに2B以上となったものがありますので、この物について出させていただいています。

1つ目がテトラヒドロフランです。新たに2Bになったものですが、物理・化学的性質については液体、無色で、エーテル類似臭、沸点が65℃、蒸気圧が145mmHg(20)、比重は資料に示したとおりです。用途及び製造量等ですが、多様な用途で合成樹脂・塗料・接着剤溶剤、医薬・農薬製造反応溶媒ということで溶剤系での用途です。製造・輸入量は19,296(平成27年度)で、これだけの量が製造・輸入されているところです。発がん性評価区分等は、先ほど申し上げたとおりIARCGroup2Bの評価が新たに出されています。さらにEPAS(発がん性を示唆する物質)EU2(ヒトに対する発がん性が疑われる物質)という評価がなされています。その他の有害性ですが、特定標的臓器毒性(単体ばく露)(中枢神経系)、特定標的臓器特性(反復ばく露)(中枢神経系)ということです。管理濃度等ですが、管理濃度50ppm、これは備考欄にもございますとおり、第2種有機溶剤ということで指定されている物質でありながら、今回、発がんの可能性がある物質になっているということです。さらに日本産衛学会で50ppm、皮膚の勧告、ACGIHTWA50ppmの勧告がなされています。

 この物質に関しての作業環境の測定方法ですが、先ほど申し上げたとおり第2種有機溶剤に指定されているということで、固体捕集方法又は直接補集方法による試料採取、分析方法はガスクロマトグラフ分析方法ということで、作業環境測定基準である告示が既になされているところです。これにつきましては、似たようなもので言いますとクロロホルムやジクロロメタンと同様に、リスク評価対象物質として評価する必要があるものと考えて、このような形で出させていただきました。作業環境測定基準で固体補集方法となっていることから、個人ばく露測定も対応可能と考えられるところです。その他の法令関係としては、安衛令別表第1の危険物、化審法の優先評価化学物質に指定されているところです。

2に移ります。IARCGroup2B以上の評価となっている物質ということで、新たに指定されたのがフルフリルアルコールです。名称、構造式は資料のとおりです。物理・化学的性質ですが、無色の液体、光、空気にばく露すると赤色又は茶色になる。特徴的な臭気、融点が-15℃、沸点が170℃前後です。蒸気圧が53Pa(20)81.2Pa(25)です。比重は1.13となっています。用途及び製造量等ですが、フラン樹脂原料、樹脂変性剤、溶剤ということで広く溶剤用途でもあるということです。製造・輸入量ですが、テトラヒドロフランとほぼ同じような数量で1万~2万t(平成27年度)と、このような数字が上がってきています。IARCの区分はGroup2Bで、EUの区分でも2ということで、ヒトに対する発がん性が疑われる物質に区分されています。その他の有害性ですが、特定標的臓器毒性(反復ばく露)(呼吸器)ということで区分1となっています。許容濃度ですが、日本産衛学会でテトラヒドロフランよりも厳しい5ppmACGIHTWA10ppmという数字と、Skinの勧告がなされています。試料採取方法ですが、固体補集方法、分析方法はガスクロマトグラフ分析方法がNIOSH2505の中で示されているところです。これについては、SDSの対象物質にもなっている物質ということです。

 次は3で、再告示物質です。直近の平成291月から3月報告で報告が上がってこなかった物質で、2,4,6-トリクロロフェノールです。CAS番号、構造式は資料のとおりです。物理・化学的性質ですが、固体、フェノール臭、融点が69.5℃、沸点が246℃です。これについては常温でも蒸気圧を有していて0.008mmHg(25)という数字です。比重は資料のとおりです。用途及び製造量等ですが、用途は染料中間体、殺菌剤、防腐剤(木材用)となっています。これについては備考欄にありますようにPRTR法の対象ということで、排出量、移動量の数値が上がってきていて、排出量0kg、移動量6kgという数字が上がってきているところです。これについては前回の有害物質ばく露作業報告で上がってきていた物質ですが、IARC117Group2BEPAB2(おそらくヒト発がん性物質(動物での十分な証拠あり))ということです。NTPREU2という区分です。その他の有害性については環境毒性に関するものが上がってきています。管理濃度は日本産衛学会が未設定、ACGIHで未設定ということです。作業環境の測定方法ですが、これは化学物質分析法開発調査報告書がこちらの調べて出ていて、その試料採取方法で言うと酸化防止剤を含浸させた捕集管に大気試料を通気して補集、分析方法はGC/MS-SIMということで出ています。なお、この物質についてはIARC117 Group2Bと並行して、当方でも平成26年度に発がん性ワーキンググループで評価していて、文献調査によりIARCにおけるグループ1から2B相当ではないかと学識経験者の中で検討結果が出されたところです。

 最後に、4のパブリックコメントでの提案ということでフラーレンです。名称、構造式については、フラーレンはいろいろな種類がありますので代表的なものを書いています。C60 CAS番号が99685-96-8で、C70 、そのほかのものがあるということです。物理・化学的性質の代表的なものとして、これはC60 かと思いますが、固体、融点1,180℃、1次粒子、2次粒子については資料のとおりです。用途及び製造量等ですが、非常に幅広い用途で使われています。医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器、フォトレジスト材料、写真材料、印刷版材料、プラスチック、プラスチック添加剤、プラスチック加工助剤等幅広い用途で使われています。発がん性評価区分等、その他の有害性については、まだGHSの政府分類がなされていませんので付けていません。管理濃度等についても日本産衛学会で未設定、ACGIHで未設定です。作業環境の測定方法については、平成27年度の厚生労働省委託事業において試料採取方法は導電性サンプラーによる捕集、分析方法は高速液体クロマトグラフ法が示されているところです。

 以上、資料3に沿いまして候補の物質について説明させていただきました。よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 今、4つの物質についてまとめて御説明がございましたが、順次、御意見を賜りたいと思います。最初、一番上のテトラヒドロフランについて、いかがでしょうか。IARC119というのは一番新しい。それで、Group2Bに分類されたということで、今までのここでの方針に従って、早速、検討物質の候補にするということですが、特に有機則の物質でもあるということです。

○平川化学物質評価室長補佐 これまでの経過としましては、クロロホルムとかジクロロメタンもリスク評価対象物質ということで入れていますので、状況としては同じ状況かと思います。

○櫻井座長 全く同じ状況ということ。

○平川化学物質評価室長補佐 そうです。候補として上げさせていただいています。

○櫻井座長 これを今回の検討物質の1つとすることについては、特に御異存ございませんか。では、そのように決定させていただきます。2番目のフルフリルアルコール、いかがでしょうか。これも同じようにIARC Group2Bに新しく指定されたと。製造・輸入量も多いですね。その測定も可能であると。沸点は高い。テトラヒドロフランが65℃で、こちらは170℃と随分違いますけれども、しかし、170℃ぐらいですと蒸気圧は53Pa(20)ですか、それなりの蒸気圧があるので、ばく露が考えられるということですから、これも検討物質とするのが妥当だろうと思われますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、そのように決めさせていただきます。

3番目の2,4,6-トリクロロフェノール、これは再告示物質として、この際、もう一回ということですね。その大きな理由は、まずIARCGroup2Bに比較的最近、これは117と言うと23年前ですかね。

○平川化学物質評価室長補佐 まだモノグラフとしては出ていないですが、そうですね。

○櫻井座長 前回、ばく露報告を求めたときの判断は、IARCGroup2Bであったからではなくて。

○平川化学物質評価室長補佐 備考欄にございますとおり、平成26年発がん性ワーキンググループでIARC1から2B相当と考えられるということで、対象とさせていただきました。実際にIARC117Group2Bという発がん性評価の区分となったということです。

○櫻井座長 そうなったということですね。全然、上がって来ないときに再告示を求めるケースとして、これは妥当だろうと思いますが、よろしいでしょうか。

○石井委員 排出量が27年度に0kgということで、その以前のデータというのはどうですか。排出量としては出てきてないでしょうか。

○平川化学物質評価室長補佐 移動量として、もう少し大きな数字が上がっていました。

○石井委員 もともとPRTRの第一種ということで、もし発がん性に関して最近決まったということであれば、水生環境有害性で指定になった可能性があるということでしょうか。

○平川化学物質評価室長補佐 発がん性としては、前に出したときの数値よりも更に移動量として減っていますし、あと毒性について、今、申し上げたとおりの状況ですので、有害性区分としては石井委員がおっしゃったとおり、恐らく環境のほうで対象ではないかと思われます。

○石井委員 アイソマー、異性体もどんなものがあるかなと思っていたのですが、2,4,5というのは明らかにありそうで、GHS分類もされているようですから、もしこの異性体だけでなくて、もっと他にあれば、そこも見ていただくということはあるのかなと。まだIARCのほうの新しいモノグラフを確認していないのですが、そちらも入っているような形であれば、ポリクロロフェノールという位置付けもあるのかなと思って見ていたのですが、そういったことがあれば、もう少し範囲を広げていただくというのもあるのではないかと思います。

○櫻井座長 今、おっしゃったのはよく聞き取れなかったのですが、2,4,6以外に2,4,5という。

○石井委員 そうですね。2,4,5- は、そうです。

○櫻井座長 はっきり出てきているのですね。

○石井委員 CHRIPの中で確認できましたので。

○櫻井座長 たまたま私、ACGIH2017年のTLVなんかでクロロフェノールというのが何か出ていないかなと思ったら、ないですね。ジクロロフェノールでもトリクロロフェノールでも何でも、何かしらあったらなと思って調べたら、全然、出ていないということは、職場で割合よく使われていて既に話題になっているというわけではない。けれども、固体でフェノール臭がある昇華性の物質なのですね。それで排出量が0kgで移動量6kgというけど、この数字が小さいからといって職場で余り使われていないとは言い切れないので、この際、報告を求めるというのは妥当なのだろうと思います。今、これに限定しないで、その周辺の物質についても何か注意を喚起するという御意見ですね。

○石井委員 そうです。

○櫻井座長 それは、実際は。

○平川化学物質評価室長補佐 これは備考欄のとおり、労働安全衛生法施行令の別表第9に指定されていない。

○櫻井座長 ないですね。

○平川化学物質評価室長補佐 資料3の下に書いていますが、発がん性評価ワーキンググループでIARCグループ1から2B相当に当たる物質との評価結果を得て、有害物ばく露作業報告の候補に追加させていただきました。以前はSDSの対象物質から必ず選ぶということをしていたのですが、1-ブロモプロパンを追加して以来、SDS、別表第9に入っていないものでも追加をしていくということで、その流れで当時、2,4,6-トリフェノールが追加されたという形です。

○櫻井座長 そうですね。要するに別表第9に挙げていない物質であっても、一応、発がんという分類が明確になったものについては放置できないので、それを優先的に取り上げているということだと思います。ですから、SDSの義務化がされていないから報告が上がって来ないのは、もしかすると何パーセントか含まれているようなものは調べても分からないから上がって来ない可能性、先ほど指摘された可能性の範囲に入ってしまうことも考えられます。そういうような場合、トータルの日本での製造・輸入量等を参考にしながら、我々も慎重に考えなけれはいけないだろうなという気はしますが、なかなか難しい課題ではあると思います。

○平川化学物質評価室長補佐 ひとつの考え方としては、これまで0件の物質については再告示ということで、0件の確認をするということです。今の話をいろいろ聞いていますと、出てこないとも限らないということもあります。出てきた場合にどうするかということと、出てきた場合にどれぐらいの数が出てくるのか。そういった物質を再告示だけでもするかどうか。その御意見をいただければと思います。

○櫻井座長 そうですね。それはどこかの段階で再告示するかしないか、リストを見て考える必要があるのかもしれません。

○平川化学物質評価室長補佐 これまでは、出ていなければ再告示ということで出させていただいているのですが、再告示をした場合、0件であれば打切りになりますけど、1件でも2件でもあれば、それがまたリスク評価をしなければいけないということで、途中、リスク評価が進まない物質になる可能性もございます。

○櫻井座長 それは今後の課題ということで、当面、この物質については再告示でよろしいですね。それから、その類縁の物質について注意をすべきであるという先ほどの御意見は、今後に向けての宿題とさせていただくということで、よろしいでしょうか。ありがとうございました。4番目、フラーレンですね。パブコメもございましたが、この物質についてはいかがでしょうか。

○名古屋委員 情報を集めるということでは意味があると思うのですが、ナノマテリアルで取り扱うことになっていると、うまくすると平成30年からリスク評価を始められるわけです。平成29年はカーボンブラックを行い、平成30年からうまくすればフラーレンの測定が始まる。でも、ここにリスク評価物質としてフラーレンを上げてくると実際にリスク評価が始まるのは、平成31年にデータを集めて32年の1月から3月までに報告書をもらいますね。それからリスク評価をやるかどうか決めていくということは2年遅れてしまいます。パブリックコメントを早くやると言っている所に比べると、リスク評価は2年遅れて実施することになります。すでにナノマテリアルとしてフラーレンを実施することは決まっているのだから、あえてここで行うのはどうなのかという気はしないでもないのです。ナノマテリアルでやることが決まっていて、順調にいっていれば今は測定が終わっているはずのものが、諸事情で遅れているから進まなかった。でも間違いなくカーボンとナノ銀を今年やれれば、その次の年はフラーレンをやりますと決まっているわけです。それが1年遅れても31年にはできますね。でも、これでやると、それよりもっと遅れて33年からナノの測定が始まりますということになると、あえてどのくらい使っているか情報がほしいという意味では、やったほうがいいと思います。これに上げることによってナノマテリアルのほうのフラーレンはやめてしまって、こっちに置き換えるという形だったら、それはそれでいいのかもしれません。その辺を行政がどう判断されるのか、正直な話、ちょっと思っているところです。

○穴井化学物質評価室長 パブリックコメントとか、実際に業界の方のお話を聞くと、リスク評価を最終的にやってほしいのですが、まずは長期的ながん原性試験をやってほしいというのが業界としての要望です。そういうふうに我々は承っています。

○名古屋委員 それは、やる予定があるのですか。ナノカーボンチューブが終わった後に、カーボンブラックでなくフラーレンを、がん原性物質として動物実験をやるということにはならないわけですか。何か予定があるのですか。

○穴井化学物質評価室長 候補物質として、発がん性ワーキング等の中で議論していただき、フラーレンを優先すべきだという話になれば、当然、そうなります。

○平川化学物質評価室長補佐 発がん性試験物質の選定につきましては、まず企画検討会で発がん性試験を行う前段階のフィージビリティテストを実施する物質を選定いただき、日本バイオアッセイ研究センターで実際に試験ができるかどうかの検証を行っていただき、試験ができるということであれば、有害性評価小検討会で実際にやるかどうかの決定を行うという流れで行っていますので、実際に発がん性試験をやるための準備段階に入れるかどうかにつきましては、またこの企画検討会で御議論いただく流れになっています。

○櫻井座長 今、発がんに係る実験等でデータが出てこない中で、評価値をどう決めているのかというのが疑問なのです。

○名古屋委員 扱う量が多いので、結局、リスク評価しても評価値が出ていないと駄目ですよね。酸化チタンも本来的にはもっと早く出るはずだったのに、要するにナノ以外の酸化チタンの評価値が出ないから1年間置き去りにされたわけです。リスク評価の結果が出ていたということがまた起こるのではないかという気はするのです。だったら、ナノマテリアルのところに預けて、そのままずっと行ったほうが流れとしたらいいのかなと思います。あえてここを取り上げてナノマテリアルのところを落とすよりは、ナノマテリアルで間違いなくやることが決まっていて、順番さえ来ればやることになっているものを、あえてそのナノマテリアルからフラーレンを落として、分析だって結果だって2年遅れるわけですから、もしかしたらナノマテリアルのほうが早く行っているかもしれないというのだったら、あえてここに上げる必要はないのではないかと思っています。

○平川化学物質評価室長補佐 酸化チタンのケースで言いますと、当時、ナノとナノでないものが区別されずにリスク評価の対象になっていました。

○名古屋委員 そうです。

○平川化学物質評価室長補佐 その後、ナノ粒子も扱われているということで、酸化チタンのリスク評価においては、ナノ粒子もナノ粒子以外も合わせて有害物ばく露作業報告をやったという形でリスク評価書をまとめています。現在、措置検討会ではナノ粒子もナノ粒子以外も並行して検討していただいていると。

○名古屋委員 でも、その前に13物質、ナノ物質を上げてくれたのです。その中で実際にリスク評価はどうしましょうかと言って、その中で5つ物質を取り上げているから、リスク評価はもともとやることになっていたのです。ナノマテリアルのほうとしてね。あれだけナノの問題が起こったときに、13物質、この検討会でどれをリスク評価しましょうかと言ったときに、カーボンナノチューブ、酸化チタン、カーボンブラック、ナノ銀、フラーレン、この5つについてはリスク評価しましょうと決まったわけです。そのとき確かに酸化チタンもあったのです。酸化チタンをやったけれども、ナノとナノ以外に酸化チタンを合わせてやったほうがいいですよというので、本来的にはナノ以外が先にあって、ナノをやって、でも実態がどうなんだろうと言ったときに、ナノ以外の所は濃度が出なかったわけです。だから置いておいて、もう一度やってみたら粉体塗装をやっていない。粉体塗装をやってみようということで粉体塗装をやったらリスクが高いということで、では合併してやりましょうという話になっているから共同に来ているけれども、ここであえて入れて遅らせるのだったら、ナノマテリアルでやったほうがいいのではないか。もともとナノを対象でやっている物質だからと思うのですが、ここでやるのだとしたら、1t未満の所でどういう事業場が扱っているか。情報は確かにそれで得られるけれども、やることはナノの委員会でやっても変わらないのではないかと思います。やる人も一緒だし、測定方法も考えるところも一緒だしということですよね。

○宮川委員 質問ですが、ここでやることになった場合と、ナノのほうで研究のような形で行政が取り上げているものと、多少、世の中の受け取りかたが違うのでは。

○名古屋委員 研究でなくて、要するにナノでやりましょうと決まっているわけです。

○宮川委員 研究という意味ではなく、私の言い方が悪かったかもしれませんが、評価をするということでリスク評価の対象になるときに、新しい物質でよく分からないのでやりましょうというところで取り上げるのと、一定の有害性のものから優先してここで取り上げましょうということで取り上げるのと、少し。

○名古屋委員 量も多かったし、リスク評価も出ているのでやりましょうとなって、5つ物質を選んだと思いました。選定のときの理由を後で見ていただければ分かりますけど、5つ選んでいるので、ちゃんとリスク評価されているのだと思います。そうしなかったらリスクは入って来ない。ほかの物質だって13物質のうち、やりませんよと8物質を切っているわけです。5つの物質を選んでいるからリスク評価されていると思います。23年か4年で古いので記憶が正しくなくて申し訳ないですけれども。

○平川化学物質評価室長補佐 平成27年度だったかと思いますが、有害物ばく露作業報告の対象にするかという議論をしております。

○名古屋委員 ありました。

○平川化学物質評価室長補佐 そのときに作っていないとか、ほかの物についてもまだ有害性がはっきりしていないので、有害物ばく露作業報告の対象にするかどうかの結論としては、しないということになりました。その後、カーボンナノチューブのMWNT-7については、がん原性指針の対象ということで告示を出しております。リスク評価の結論としてはリスク評価の結果、最終的には特別則にするかどうかの部分まで持って行くのですが、カーボンナノチューブについては特別則という形でなく、がん原性指針の対象にしたという形になっています。

○名古屋委員 もしフラーレンをやるのだったら、カーボンナノチューブと同じような形の扱いをしましょうという形で説明してくださると、それはいいです。そしたら別段、ナノでやらなくても、ここでやっていってリスク評価すればいい。それは全然問題ないです。ただ、それをすると2年も遅れてしまう。先にやることが決まっているものを2年遅らせてもやるのだったら、早くやったほうがいいのかなと私は思っている。そこのところが疑問ですねと思っているだけです。

○平川化学物質評価室長補佐 カーボンナノチューブについては、がん原性試験を平成21年からはじめて、平成27年度末にがん原性指針を出したというように、かなり時間をかけて結論を出していたということですが、今後、フラーレンについては、この企画検討会で物を選定していく中でフラーレンを決めていった場合に、がん原性試験のスキームに乗せていって最終的に対策を講じていくというのも、カーボンナノチューブの例を当てはめればそのような形の対応になっていくということです。そうしたことを後日、改めて開催する企画検討会で、物の選定としてフラーレンを入れていくかどうかを、このメンバーで検討していくということ。それがカーボンナノチューブと同じ対応ということでは、そういった対応になるのではないかと考えるところです。

○名古屋委員 カーボンナノチューブと同じにするよということだったら、全然、何も問題ないのです。ただ、既定の路線があるのに対して、あえてそこのところを選ぶというのは、ちゃんとした理由がないとまずいのではないかと言っているわけです。あえてそこを選ばなくても、ちゃんと行くルートができているわけです。そのルートを止めてあえてリスク評価のところに持って来てやる。その意味はカーボンナノチューブと同じ扱いにしたいというのだったら、それはそれでいいと思います。

○宮川委員 ポイントは、最後、結局、発がん性試験のデータがないと、許容濃度もないですし、最後の判定ができないので、そこは絶対遅れないように、もし発がん性試験のほうに載っているのだったら早く進めていただきたい。逆に言うと、そこの結果が出るまでは12年、ほかのことがどうなっても、最終的な評価ができないのであれば同じことになると思います。そういうことであれば今の全体の流れの中でやっていただいてもいいように思います。

○名古屋委員 どっちでやっても、濃度が出なかったから結果が出てこない。

○櫻井座長 評価のしようがないですね。

○名古屋委員 ただ、リスク評価は、要するに現場がデータを2年前に取っています。でも結果が出なかったら駄目です。それが早く出れば先にやっておいたもので評価できるけれども、遅れていて、もっと遅れているのだったら別に2年遅れて測定しても全然問題ないということだと思います。それは皆さんの意見で何も問題ないです。

○櫻井座長 発がん性試験の候補物質にするような方向で、どうですかという話も次の会で出てくるかなと思います。そういうことで進めていく。

○名古屋委員 全然、やること自体は何も問題ない。ただ、今、やっているのでどうかなと思っただけです。

○櫻井座長 当面、次々年度の報告を求めるのでなくても、あれはよろしいでしょうかね。

○名古屋委員 1点、質問していいですか。7月に溶接ヒュームがIARCでグループ1(ヒトに対して発がん性がある物質)になりましたね。きちっとしたデータはこれから出しますよとなっていますが、溶接ヒュームがグループ1になっているということは現場への影響がものすごく大きいです。そうすると、ちゃんと出てくるのを待って来年の候補にするのか。あるいは、影響が大きいから今年の中に入れるのかなというところは、行政としてはどう考えるのか聞きたいと思いました。

○穴井化学物質評価室長 データとか文章を細かく読んでいないのですが。

○名古屋委員 まだ出て来てないです。

○穴井化学物質評価室長 ニュースの段階ですね。

○名古屋委員 私もそうです。ニュースの段階です。

○穴井化学物質評価室長 ヒュームが出す紫外線が悪さをしていると、私はニュースで読んだのですが。

○名古屋委員 「紫外線等」と書いてある。紫外線はもともとあって、でも初めて溶接ヒュームが急に出てきたので、現場としては戸惑っている部分があって、どうなのだろうというのがある。ただ、中で見ていても、発がん性のメカニックはアスベストのような起因物質なのか、シリカのようにじん肺を経由して、がんに転移していくのかによっても扱いが違うと思います。だから、ちゃんと出てこないと分からない。ただ、IARCでグループ1というのが衝撃的で、現場としては戸惑っている部分があり、どうするのか議論になっています。これから先、リスク評価されるのだと思いますが、次年度にリスク評価になると、リスク評価が平成33年度から始まってきて、間違いなくばく露濃度が高いですからリスク評価で詳細リスク評価までいくと思いますが、出てくると、平成35年辺りに規則になるのかなと思っています。そんなのがあって、どうなのかなと思っていました。

○櫻井座長 非常に新しい情報を先ほど伺って驚いていますが、報告書を丁寧に読む必要がありますね。

○名古屋委員 そうだと思います。

○櫻井座長 がんは肺癌か何かですか。皮膚癌なら紫外線で説明が付いてしまいますけれども、逆に肺癌とか何かだったら紫外線では全然説明できないので、一体、どうなっているのかなというのが率直な疑問です。読めばちゃんと書いてあると思いますけれども。

○名古屋委員 出てからでいいのだと思いますが、そんなのがあって。

○櫻井座長 今、細かいところまで議論できない。

○名古屋委員 きちっと出てきて議論したいと思います。

○穴井化学物質評価室長 まだニュースの段階で、細かいところまで今日のところはつかめていません。

○名古屋委員 そうですね。次年度でもいいと思う。

○櫻井座長 ばく露の程度との関連で、非常に難しい議論をやっていかなければいけない。

○名古屋委員 溶接の場合は粉じん則で引っ掛かっていて、マスクをしていますから肺癌だとしてもそれほどはないので、ちゃんと説明を読んでから対処しても全然問題ないと思います。ただ、溶接が1になっているのはちょっと驚きかなと思ったのです。

○櫻井座長 4つの物質について議論してまいりましたが、4番目のフラーレンについては、今回は検討物質には取り上げないと私は理解しています。特に追加の御意見もないようですので、今の協議を踏まえて今般、有害物ばく露作業報告の対象となる物質について確認をしたいと思います。事務局から対象物質等を読み上げてください。

○平川化学物質評価室長補佐 資料3に沿いまして、今回、対象物質となりましたものにつきまして確認させていただきます。1番のテトラヒドロフラン、2番のフルフリルアルコール、3番の2,4,6-トリクロロフェノール、以上、3物質でございます。

○櫻井座長 それでは、そのように決定させていただきます。ありがとうございました。今の整理で告示に向けて仕事を進めていただくよう、お願いいたします。議事のその他ですが、事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 事務局から説明させていただきます。前回の検討会で御指摘のあったリスクコミュニケーションの進め方につきましては、参考資料5のとおり、リスク評価結果のところをリスク評価ということで修正し、今後、リスクコミュニケーションを実施することといたしますので報告いたします。

 次回の予定です。平成29年度第3回企画検討会の開催日時につきましては、改めて日程調整させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 予定された議事は以上で終わります。

○宮川委員 1点だけ、関係ない話かもしれませんが、気が付きましたので、頂いた資料の15ページです。IARCグループ1に分類されている作用因子として各種のものが挙げられていて、その中の6、職業ばく露対策では対応できないもの(嗜好品など31因子)の中にたばこが3つ入っています。

○櫻井座長 そうですね。

○宮川委員 たばこについては嗜好品であって、積極的に摂取される方は確かに職業ばく露ではないと思いますけれども、職場の受動喫煙というのが相当問題になっている折、「職業ばく露対策では対応できないもの」という言い方の所に入れるのが適当かどうか。

○櫻井座長 なるほど。

○宮川委員 確かに職場の受動喫煙は、本来の意味での職業性ばく露とは多少違う。取扱化学物質ということではないかもしれませんが、職場の有害化学物質ばく露問題ではあるので、この6でくくられると、たばこというのが、そういう職業ばく露対策では対応できないものとみなしていると思われるのは、少しいかがなものかと思いましたので、一言、申し上げました。

○櫻井座長 御指摘いただきまして、ありがとうございます。事務方のほうで修正等、御検討ください。

○穴井化学物質評価室長 適当な表現を考えたいと思います。

○櫻井座長 表現を少し考えていただいて、ありがとうございました。その他、何かお気付きの点、ありますか。ないようですので、これで終わります。ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成29年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会> 平成29年度第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会議事録(2017年9月8日)

ページの先頭へ戻る